(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(54)【発明の名称】カウントダウン・クロノグラフ機構及びストライク機構を備える時計ムーブメント
(51)【国際特許分類】
G04F 3/02 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
G04F3/02 E
G04F3/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566091
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021060999
(87)【国際公開番号】W WO2021219646
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501099611
【氏名又は名称】パテック フィリップ ソシエテ アノニム ジュネーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メンツァー、セドリック
(72)【発明者】
【氏名】シュラッピ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】スーダン、マルク - アントワーヌ
(57)【要約】
本発明は、所定の時間間隔の少なくとも1回のカウントダウンを実行することができるように配置構成されたクロノグラフ機構を備える機械式時計ムーブメントに関し、機械式時計ムーブメントが、所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの少なくとも残り時間を表示するように配置構成された表示手段と、カウントダウンの開始を制御するための少なくとも1つの部材と、ストライク機構と、を備える。ストライク機構が、カウントダウンの完了前の指定の時間にストライクを開始するように、及び、所定の時間間隔のカウントダウンの完了時にストライクを停止するように、配置構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔の少なくとも1回のカウントダウンを実行することが可能となるように配置構成されたクロノグラフ機構を備える機械式時計ムーブメントであって、前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの少なくとも残り時間を表示するように配置構成された表示手段と、前記カウントダウンの開始を制御するための少なくとも1つの部材(11)と、ストライク機構と、を備え、前記ストライク機構が、前記カウントダウンの完了前の指定の時間にストライクを開始するように、及び、前記所定の時間間隔の前記カウントダウンの完了時にストライクを停止するように、配置構成されることを特徴とする、機械式時計ムーブメント。
【請求項2】
前記クロノグラフ機構が、カウントダウンを実施することが可能となるように配置構成された少なくとも1つのクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン(1)を備え、前記ストライク機構が、前記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン(1)に運動学的に連結された少なくとも1つの第1のカム(34)であって、前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の前記指定の時間が前記第1のカム(34)にプログラムされ、前記第1のカム(34)が、前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の前記指定の時間より長い時間にわたって1回転するように配置構成される、少なくとも1つの第1のカム(34)と、ストライク歯車列と、前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の前記指定の時間の開始時にストライクをトリガーするために、前記第1のカム(34)及び前記ストライク歯車列と協働することが可能となるように配置構成された第1のストライク・フィーラー・レバー(38)を備える第1のストライク・レバー(41;100)と、前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了と同時に前記指定の時間の完了時にストライクの停止を制御するために、前記第1のストライク・レバー(41;100)と協働することが可能となるように配置構成されたストライク機構の端部と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のムーブメント。
【請求項3】
前記クロノグラフ機構の前記表示手段が、前記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン(1)を介して達成されるカウントダウンを表示するための、前記第1のカム(34)に関連付けられた第1の表示部材を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のムーブメント。
【請求項4】
前記第1の表示部材が分単位のカウントダウンを表示するように配置構成されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のムーブメント。
【請求項5】
前記第1の表示部材が秒単位のカウントダウンを表示するように配置構成されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のムーブメント。
【請求項6】
前記クロノグラフ機構の前記表示手段が、前記所定の時間間隔の分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第2の分単位の表示部材(16)を備え、前記ストライク機構が、前記第2の分単位の表示部材(16)に関連付けられた第2の分単位のカム(62)と、前記第2の分単位のカム(62)と協働することが可能となるように配置構成された第3の分単位のフィーラー・レバー(64)と、を備え、前記第2の分単位のカム(62)が、分単位のカウントダウンの完了を前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)に対して示すようにプログラムされており、前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)が前記第1のストライク・フィーラー・レバー(38)と協働するように配置構成され、その結果、前記第1のストライク・フィーラー・レバー(38)が分単位のカウントダウンの完了時に前記第1のカム(34)と協働するようになることを特徴とする、請求項5に記載のムーブメント。
【請求項7】
前記クロノグラフ機構の前記表示手段が、前記所定の時間間隔の10分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第3の10分単位の表示部材(18)を備え、前記ストライク機構が、前記第3の10分単位の表示部材(18)に関連付けられた第3の10分単位のカム(72)と、前記第3の10分単位のカム(72)と協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)と、を備え、前記第3の10分単位のカム(72)が、10分単位のカウントダウンの完了を前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)に対して示すようにプログラムされており、前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)が前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)と協働するように配置構成され、その結果、前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)が10分単位のカウントダウンの完了時に前記第2の分単位のカム(62)と協働するようになることを特徴とする、請求項6に記載のムーブメント。
【請求項8】
前記クロノグラフ機構の前記表示手段が、前記所定の時間間隔の10分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第3の10分単位の表示部材を備え、前記ストライク機構が、前記第3の10分単位の表示部材に関連付けられた第3の10分単位のカム(72)と、前記第3の10分単位のカム(72)と協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)と、を備え、前記第3の10分単位のカム(72)が、10分単位のカウントダウンの完了を前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)に対して示すようにプログラムされており、前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)が前記第1のストライク・フィーラー・レバー(38)と協働するように配置構成され、その結果、前記第1のストライク・フィーラー・レバー(38)が10分単位のカウントダウンの完了時に前記第1のカム(34)と協働するようになることを特徴とする、請求項4に記載のムーブメント。
【請求項9】
前記クロノグラフ機構の前記表示手段が、前記所定の時間間隔の時間単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第4の時間単位の表示部材(20)を備え、前記ストライク機構が、前記第4の時間単位の表示部材(20)に関連付けられた第4の時間単位のカム(78)と、前記第4の時間単位のカム(78)と協働することが可能となるように配置構成された第5の時間単位のフィーラー・レバー(80)と、を備え、前記第4の時間単位のカム(78)が、時間単位のカウントダウンの完了を前記第5の時間単位のフィーラー・レバー(80)に対して示すようにプログラムされており、前記第5の時間単位のフィーラー・レバー(80)が前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)と協働するように配置構成され、その結果、前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)が時間単位のカウントダウンの完了時に前記第3の10分単位のカム(72)と協働するようになることを特徴とする、請求項7又は8に記載のムーブメント。
【請求項10】
前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)、前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)、及び前記第5の時間単位のフィーラー・レバー(80)が、単一のレバーを形成することを特徴とする、請求項9に記載のムーブメント。
【請求項11】
前記第1のストライク・フィーラー・レバー(38)、前記第3の分単位のフィーラー・レバー(64)、前記第4の10分単位のフィーラー・レバー(74)、及び前記第5の時間単位のフィーラー・レバー(80)が、単一のレバーを形成することを特徴とする、請求項10に記載のムーブメント。
【請求項12】
前記クロノグラフ機構が、横方向又は垂直方向のクラッチ・デバイス(6)によりベース・ムーブメントに運動学的に接続されることが可能となるように構成されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載のムーブメント。
【請求項13】
前記ストライク機構の前記端部が、前記クラッチ・デバイス(6)の接続解除及び前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時のストライクの停止を制御するために、前記第1のカム(34)と協働することが可能となるように配置構成されたストライク・フィーラー・レバー(40)の第2の端部を備えるストライク・レバー(50)の端部を備えることを特徴とする、請求項12に記載のムーブメント。
【請求項14】
ストライク機構の前記端部が、前記第1のストライク・レバー(100)と協働するように配置構成されたストライク・レバー(110)の端部と、前記クラッチ・デバイス(6)を接続解除することなく前記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時にストライクを停止するためにストライク・レバー(110)の前記端部を制御するように配置構成された、前記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン(1)に運動学的に連結されたストライク・カム(120)の停止装置と、を備えることを特徴とする、請求項12に記載のムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの少なくとも残り時間を表示するように配置構成された表示手段と、カウントダウンの開始を制御するための少なくとも1つの部材と、ストライク機構と、を備える、所定の時間間隔の少なくとも1回のカウントダウンを実行することが可能となるように配置構成されたクロノグラフ機構を備える機械式時計ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなムーブメントが例えば特許のスイス特許第704705号に説明されている。5分飛びで最大11:55まで調整され得る、所定の時間期間をカウントダウンすることを可能にするストライク・カウントダウン機構が提供される。プッシュ・ピースによって作動され得る制御装置がカウントダウンを開始することを可能にする。カウントダウンの完了が機械式ストライク機構によって示される。時間及び分のための2つの指示ディスクによって残り時間が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】スイス特許第704705号
【特許文献2】欧州特許出願EP20171993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、既知のストライク・カウントダウン機構に対して改善された機械式時計ムーブメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は、所定の時間間隔の少なくとも1回のカウントダウンを実行することが可能となるように配置構成されたクロノグラフ機構を備える機械式時計ムーブメントに関し、機械式時計ムーブメントが、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの少なくとも残り時間を表示するように配置構成された表示手段と、カウントダウンの開始を制御するための少なくとも1つの部材と、ストライク機構と、を備える。
【0006】
本発明によると、上記ストライク機構が、カウントダウンの完了前の指定の時間にストライクを開始するように、及び、上記所定の時間間隔の上記カウントダウンの完了時にストライクを停止するように、配置構成される。
【0007】
したがって、本発明は、所定の時間間隔の最新のカウントダウンが完了しそうであることを使用者に警告するために、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前にストライク機構をトリガーすることを可能にする。したがって、本発明は、機械式ストライク機構を使用するプレアラームを有する所定の時間間隔のカウントダウンを有すること、及び、ストライクの完了を、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了に同期すること、を可能にする。
【0008】
有利には、クロノグラフ機構が、カウントダウン、また具体的には、所定の時間間隔のカウントダウン、を実施することが可能となるように配置構成された少なくとも1つのクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオンを備え、ストライク機構が、上記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオンに運動学的に連結された少なくとも1つの第1のカムであって、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の上記指定の時間が第1のカムにプログラムされ、上記第1のカムが、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間より長い時間にわたって1回転するように配置構成される、少なくとも1つの第1のカムと、ストライク歯車列と、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間の開始時にストライクをトリガーするために、上記第1のカム及び上記ストライク歯車列と協働することが可能となるように配置構成された第1のストライク・フィーラー・レバーを備える第1のストライク・レバーと、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了と同時に上記指定の時間の完了時にストライクの停止を制御するために、上記第1のストライク・レバーと協働することが可能となるように配置構成されたストライク機構の端部と、を備える。
【0009】
クロノグラフ機構の表示手段が、好適には、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオンを介して達成されるカウントダウンを表示するための、第1のカムに関連付けられた第1の表示部材を備えることができる。
【0010】
本発明の第1の実施例によると、第1の表示部材が分単位の(minute unit)カウントダウンを表示するように配置構成される。
【0011】
本発明の第2の特に好適な実施例によると、第1の表示部材が秒単位のカウントダウン(second countdown)を表示するように配置構成される。
【0012】
第2の実施例によると、クロノグラフ機構の表示手段が、上記所定の時間間隔の分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第2の分単位の表示部材を備えることができ、ストライク機構が、上記第2の分単位の表示部材に関連付けられた第2の分単位のカムと、上記第2の分単位のカムと協働することが可能となるように配置構成された第3の分単位のフィーラー・レバーと、を備え、上記第2の分単位のカムが、分単位のカウントダウンの完了を第3の分単位のフィーラー・レバーに対して示すようにプログラムされており、上記第3の分単位のフィーラー・レバーが第1のストライク・フィーラー・レバーと協働するように配置構成され、その結果、上記第1のストライク・フィーラー・レバーが分単位のカウントダウンの完了時に第1のカムと協働するようになる。
【0013】
第2の実施例によると、クロノグラフ機構の表示手段が、上記所定の時間間隔の10分単位のカウントダウン(tens of minutes countdown)を表示するように配置構成された第3の10分単位の表示部材(tens of minutes display member)を備えることができ、ストライク機構が、上記第3の10分単位の表示部材に関連付けられた第3の10分単位のカム(tens of minutes cam)と、上記第3の10分単位のカムと協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバー(tens of minutes feeler lever)と、を備え、上記第3の10分単位のカムが、10分単位のカウントダウンの完了を第4の10分単位のフィーラー・レバーに対して示すようにプログラムされており、上記第4の10分単位のフィーラー・レバーが第3の分単位のフィーラー・レバーと協働するように配置構成され、その結果、上記第3の分単位のフィーラー・レバーが10分単位のカウントダウンの完了時に上記第2の分単位のカムと協働するようになる。
【0014】
第1の実施例によると、クロノグラフ機構の表示手段が、上記所定の時間間隔の10分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第3の10分単位の表示部材を備えることができ、ストライク機構が、上記第3の10分単位の表示部材に関連付けられた第3の10分単位のカムと、上記第3の10分単位のカムと協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバーと、を備え、上記第3の10分単位のカムが、10分単位のカウントダウンの完了を第4の10分単位のフィーラー・レバーに対して示すようにプログラムされており、上記第4の10分単位のフィーラー・レバーが第1のストライク・フィーラー・レバーと協働するように配置構成され、その結果、上記第1のストライク・フィーラー・レバーが10分単位のカウントダウンの完了時に上記第1のカムと協働するようになる。
【0015】
実施例に関係なく、クロノグラフ機構の表示手段が、上記所定の時間間隔の時間単位のカウントダウン(hour countdown)を表示するように配置構成された第4の時間単位の表示部材(hour display member)を備えることができ、ストライク機構が、上記第4の時間単位の表示部材に関連付けられた第4の時間単位のカム(hour cam)と、上記第4の時間単位のカムと協働することが可能となるように配置構成された第5の時間単位のフィーラー・レバー(hour feeler lever)と、を備え、上記第4の時間単位のカムが、時間単位のカウントダウンの完了を第5の時間単位のフィーラー・レバーに対して示すようにプログラムされており、上記第5の時間単位のフィーラー・レバーが第4の10分単位のフィーラー・レバーと協働するように配置構成され、その結果、上記第4の10分単位のフィーラー・レバーが時間単位のカウントダウンの完了時に上記第3の10分単位のカムと協働するようになる。
【0016】
有利には、第3の分単位のフィーラー・レバー、第4の10分単位のフィーラー・レバー、及び第5の時間単位のフィーラー・レバーが、単一のレバーを形成することができ、任意選択で、第1のストライク・フィーラー・レバーと共に、単一のレバーを形成することができる。
【0017】
クロノグラフ機構が、好適には、横方向又は垂直方向のクラッチ・デバイスによりベース・ムーブメントに運動学的に接続されることが可能となるように構成される。
【0018】
有利には、実施例によると、ストライク機構の端部が、クラッチ・デバイスの接続解除及び上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時のストライクの停止を制御するために、第1のカムと協働することが可能となるように配置構成されたストライク・フィーラー・レバーの第2の端部を備えるストライク・レバーの端部を備える。
【0019】
この実施例によると、クロノグラフ機構、また特にはクロノグラフ秒針が、所定の時間間隔のカウントダウンの完了時に自動で停止する。
【0020】
別の実施例によると、ストライク機構の端部が、第1のストライク・レバーと協働するように配置構成されたストライク・レバーの端部と、クラッチ・デバイスを接続解除することなく上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時にストライクを停止するためにストライク・レバーの端部を制御するように配置構成された、上記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオンに運動学的に連結されたストライク・カムの停止装置と、を備える。
【0021】
この実施例によると、クロノグラフ機構、また特にはそのクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオンが、所定の時間間隔のカウントダウンの完了の後で起動状態を維持する。したがって、第1の表示部材、また特にはクロノグラフ秒針が、ストライクをトリガーすることなく回転し続ける。クロノグラフ機構を停止するのに使用者による手動の停止が必要となる。
【0022】
添付図面を参照して、非限定の例によって提供される本発明の多様な実施例の以下の詳細な説明を読むことにより本発明の他の特徴及び利点が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】クロノグラフ機構がSTOP位置にある状態である、本発明によるムーブメントの第1の実施例を示す概略図である。
【
図2】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図3】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図4】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図5】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図6】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図7】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図8】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図9】制御デバイスが動作する準備が整った状態である、カウントダウンの開始とカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図1のムーブメントを示す概略図である。
【
図10】本発明によるムーブメントの第2の実施例を示す概略図である。
【
図11】時間単位、10分単位、及び分単位のための表示部材を示す概略図である。
【
図12】所定の時間間隔のカウントダウンの開始の前でクロノグラフ機構がSTOP位置にある状態である、本発明によるムーブメントの別の実施例を示す概略図である。
【
図13】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図14】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図15】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図16】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図17】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図18】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図19】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図20】完了から1分のカウントダウンと所定の時間間隔のカウントダウンの完了との間の多様な位置にある
図12のムーブメントを示す概略図である。
【
図21】ストライク中のSTOP位置にある図のムーブメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、本発明は、所定の時間間隔の少なくとも1回のカウントダウンを実行することが可能となるように配置構成されたクロノグラフ機構を備える機械式時計ムーブメントに関する。本記述では、「クロノグラフ機構」という用語はこの用語の広い意味が解釈されるべきであり、つまり、少なくとも1回のカウントダウンを実施するために時間及び時間の一部のカウントダウンを実現するように配置構成されたすべての必要な要素又は構成要素を含むものとして解釈されるべきである。
【0025】
ここでは、クロノグラフ機構が、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1と、クロノグラフ秒針に対応する、ここでは1分に1回転する駆動ホイール2であって、上記駆動ホイール2が、カウントダウンを、また特には所定の時間間隔のカウントダウンを、実施することが可能となるようにクロノグラフの他の構成要素と協働するように配置構成される、駆動ホイール2と、によって概略的に示される。クロノグラフ機構、また特にはクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1が、垂直方向のクラッチ・デバイス6により現在時刻を示すベース時計ムーブメントの秒車4に運動学的に接続されることが可能となるように配置構成される。上記垂直方向のクラッチ・デバイス6が、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合させるようにするために、カウントダウンを始動するためにクロノグラフが起動されるときに離れるように配置構成されたクラッチ制御クランプ8及びクラッチ・クランプ10を備え、それにより、クロノグラフ機構の動作のためにベース・ムーブメントからクロノグラフにエネルギーを伝達することが可能となる。
【0026】
クラッチ・デバイスは横方向であってもよく、ムーブメントの構造がこの種類のクラッチに合うように当業者によって適合され得る、ことは明らかである。
【0027】
クロノグラフ機構が、コラム・ホイール14を備える制御デバイス12を介して、クロノグラフ機構を少なくともトリガーすることを、また特にはクランプ8及び10を開けることを、制御するように配置構成された、カウントダウンの開始を制御するための部材11をさらに備える。この制御部材11は、例えば、プッシュ・ピースである。制御部材11がさらに、必要である場合、カウントダウン中、クロノグラフ機構の停止装置を、また特にはクランプ8及び10の閉じることを、制御するように配置構成され得る。
【0028】
図1から9による本発明の第1の実施例では、クロノグラフ機構が、ストライク機構と同時に自動で停止されるように配置構成される。
【0029】
この目的のため、制御デバイス12が、有利には、制御部材11によって作動され得る主制御装置13と、主制御装置13上に枢動可能に設置された副制御装置15と、を備え、主制御装置13が弾性部材(図示せず)により副制御装置15に連結される。主制御装置13及び副制御装置15が、それぞれ、フック13a、15aのところで終端する。コラム・ホイール14が、副制御装置15のフック15aによって作動されるように配置構成された、コラム14bに堅固に接続された第1の駆動ホイール14aと、主制御装置13のフック13aによって作動されるように配置構成された第2の駆動ホイール14cと、を備える。制御デバイス12が、主制御装置13上での副制御装置15の回転のロック機構をさらに備え、ロック機構が、制御部材11によって手動で、さらには、ここでは後で説明されるストライク・レバー50の端部のフック56である内部制御部材により内部で自動に、制御されることが可能となるように配置構成される。
【0030】
ロック機構及び副制御装置15がロック状態を占有するように配置構成され、ロック状態では、主制御装置3及び副制御装置15を接続する弾性部材が巻かれ、副制御装置15が主制御装置13と共に回転するように拘束され、それにより、作動部材11を介する主制御装置13の作動中に、主制御装置13及び副制御装置15によりコラム・ホイール14を同時に作動させることを可能にし、さらには、フック56によりロック機構が作動されるときにロック解除状態まで通過することを可能にし、ロック解除状態では、上記副制御装置15が主制御装置13から脱着され、コラム・ホイール14のみを作動させ、弾性部材が巻かれた状態から解放され、さらには、主制御装置13の作動を通してロック位置を通過することを可能にし、ここでは、主制御装置13のみがコラム・ホイール14を作動させ、上記主制御装置13が、弾性部材を再び巻くように、及び、ロック状態に戻るために副制御装置15のロック機構と協働するように、配置構成される。
【0031】
第2の駆動ホイール14cが、(副制御装置15がロック解除状態まで通過して制御部材11を介する次の手動の作動中に主制御装置13のみが作動される場合に)主制御装置13のフック13aにより第2の駆動ホイール14cのみが作動されるときに拘束回転のかたちで第2の駆動ホイール14cを第1の駆動ホイール14aに連結するように、及び、主制御装置13から脱着された後の副制御装置15により巻かれた状態から解放される弾性部材によって供給されるエネルギーにより、第1の駆動ホイール14aのみが作動されるときに第2の駆動ホイール14cを第1の駆動ホイール14aから脱着するように、配置構成された弾性結合要素(図示せず)により第1の駆動ホイール14bに接続される。
【0032】
より具体的には、ロック機構が、ロック解除状態まで通過するためにフック56によって制御されるように、及び、ロック位置まで通過してロック状態となるために主制御装置13上に設けられたピン21と協働することが可能となるように、配置構成された制御レバー19を備える。ロック機構が、ロック解除状態まで通過するためにピン23を介して上記制御レバー19によって制御されるように、及び、ロック位置まで通過してロック状態となるために副制御装置15上に設けられたフック15bと協働することが可能となるように、配置構成された、主制御装置15によって担持されたロック用フック22をさらに備える。
【0033】
クロノグラフ機構のこの制御デバイスが、ストライク機構と同時にクロノグラフ機構を停止するために、上記クロノグラフ機構の手動制御装置に加えて自動制御装置を有するようなかたちで、クロノグラフ機構の制御デバイスが使用者に作動されるがストライク機構に連結された内部制御装置によっても作動されることを可能にする。
【0034】
このような制御デバイスは欧州特許出願EP20171993でより詳細に説明されている。
【0035】
当業者には既知である任意適切な他の制御デバイスも使用され得る。
【0036】
具体的には、本発明の別の実施例に関連して後で説明されるように、クロノグラフ機構の開始/停止の制御を手動で従来の手法で実行するために、プッシュ・ピースによって制御される、コラム・ホイールを備える標準的な制御デバイスを使用することが可能である。
【0037】
本発明の実施例にもかかわらず、クロノグラフ機構が、所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの少なくとも残り時間を表示するように配置構成された表示手段をさらに備える。
図1に示される変形形態では、これらの表示手段が、秒単位のカウントダウンを、また特には所定の時間間隔の秒単位のカウントダウンを、表示するための第1の表示部材と、所定の時間間隔の分単位のカウントダウンを表示するための第2の表示部材と、所定の時間間隔の10分単位のカウントダウンを表示するための第3の表示部材と、所定の時間間隔の時間単位のカウントダウンを表示するための第4の表示部材と、を備える。
【0038】
これらの表示手段が、ディスク、針、ローラー、又は、時間単位、10分単位、及び分単位、さらには秒単位のカウントダウンを表示するための任意適切な他の表示部材であってもよい。
【0039】
秒単位のための第1の表示部材が、好適には、秒針に対応する針(図示せず)である。
【0040】
図11が、ディスクの形態で本発明で使用される、所定の時間間隔の時間単位、10分単位、及び分単位のカウントダウンを表示するための表示部材の好適な実施例を示しており、秒単位のための第1の表示部材が、秒針に対応する針(図示せず)である。より具体的には、所定の時間間隔の分単位をカウントダウンするための第2の表示部材が、その周縁部上に均等に分布する数字0から9を担持するディスク16であり、上記ディスク16が10分で1回転するように配置構成される。所定の時間間隔の10分単位をカウントダウンするための第3の表示部材が、分単位のディスク16に対して接線方向に配設されたディスク18である。10分単位のディスク18がその周縁部上に均等に分布する2列の連続する数字0から5を担持し、上記ディスク18が2時間で1回転するように配置構成される。所定の時間間隔の時間単位をカウントダウンするための第4の表示部材が、10分単位のディスク18の内部に同軸に配設されたディスク20である。時間単位のディスク20がその周縁部上に均等に分布する1列の連続する数字0から6を担持し、上記ディスク20が7時間に1回転するように配置構成される。3つのディスク16、18、及び20の中心が位置合わせされ、それにより、所定の時間間隔の時間単位、10分単位、及び分単位のカウントダウンを並列するアパーチャ内で表示することが可能となり、それにより、カウントダウンを読むことが容易になる。
【0041】
後で説明するように、所定の時間間隔の時間単位、10分単位、及び分単位のための表示部材が異なるかたちで配置構成されてもよく、ストライク機構がそれに合うように適合され得る、ことは明らかである。
【0042】
異なる表示部材は、例えば、駆動ホイール2から開始して、秒単位から時間単位まで、順々に、駆動されるように配置構成され得る。別の変形形態では、秒単位のカウントダウンを表示するための第1の表示部材が駆動ホイール2に運動学的に連結され得、分単位をカウントダウンするための表示部材にエネルギーを供給するために補助エネルギー源が提供され得、それにより、10分単位をカウントダウンするための表示部材を駆動し、それにより、例えば、各々の10分単位又は時間単位の変更に対応するように表示部材を飛ばすために協働するフィンガー及び星車を作動させることにより、時間単位をカウントダウンするための表示部材を駆動する。
【0043】
例えば最大6:59まで調整可能とするようにカウントダウンすべき所定の時間間隔を表示するように、所定の時間間隔のカウントダウンをトリガーする前に、時間単位をカウントダウンするための(20)、10分単位をカウントダウンするための(18)、及び分単位をカウントダウンするための(16)、多様な表示部材を位置決めすることを可能にする調整機構(図示せず)が提供される。
【0044】
したがって、所定の時間間隔のカウントダウンがトリガーされるとき、多様な表示部材が、秒単位まで非常に正確に、所定の時間間隔の値から0:00:00まで、カウントダウンが進むにつれて減っていく残り時間を表示するように配置構成される。
【0045】
クラッチ・デバイスを介してベース・ムーブメントと協働するカウントダウン・クロノグラフ機構のこのような構造は当業者には既知であり、より詳細に説明する必要はない。
【0046】
本発明による機械式ムーブメントが、機械構成要素で構成され、具体的には、ここでは、ストライク歯車列の停止用星車(stopping star)32を担持するストライク歯車列の要素30によって示されるストライク歯車列を備える、ストライク機構をさらに備える。ストライク機構のこれらの構成要素は当業者には既知であり、より詳細に説明する必要はない。
【0047】
本発明によると、ストライク機構が、所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間にストライク機構がストライクを開始することになるように及びカウントダウンの完了時につまり上記所定の時間間隔のカウントダウンが0:00:00に達するのと同時にストライク機構がストライクを停止することになるように、配置構成される。
【0048】
この目的のため、ストライク機構が、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1に運動学的に連結された少なくとも1つの第1のカム34を備え、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の上記指定の時間が第1のカム34にプログラムされ、上記第1のカム34が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間より長い時間にわたって1回転するように配置構成される。第1のカム34が、少なくとも、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を介して得られる上記所定の時間間隔のカウントダウンを表示するための第1の表示部材に関連付けられる。本実例では、第1のカム34が、秒単位のカウントダウンを表示するために第1の表示部材(つまり、秒針)に関連付けられた秒単位のカムである。ここでは、したがって、第1のカム34が1分に1回転する。
【0049】
より具体的には、第1のカム34が実質的に円形のプロフィールを有し、ノッチ36を備え、ノッチ36の円の長さが、所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前のストライクの指定の時間に対応し、後で説明されるように、ノッチ36の始点36aがストライクのトリガーに対応し、ノッチ36の端部36bが、上記所定の時間間隔のカウントダウンの停止と同時であるストライクの停止に対応する。例えば、ノッチ36の始点36aと端部36bとの間のノッチ36の長さが、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の20秒の時間に対応することができる。
【0050】
ストライク機構が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間の開始時にストライクをトリガーするために、第1のカム34及びストライク歯車列と協働することが可能となるように配置構成された第1のストライク・フィーラー・レバー38を備える第1のストライク・レバーをさらに備える。
【0051】
ストライク機構が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了と同時に上記指定の時間の完了時にストライクの停止を制御するために、上記第1のストライク・レバーと協働することが可能となるように配置構成されたストライク機構の端部をさらに備える。
【0052】
クロノグラフ機構がストライク機構と同時に自動で停止されるように配置構成される、
図1から9による本発明の第1の実施例では、第1の秒単位のカム34が駆動ホイール2によって担持され、駆動ホイール2がクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1と噛合する。
【0053】
第1のストライク・フィーラー・レバー38が、Aのところに枢動可能に設置されたストライク・レバー41の第1のアームを構成する。第1のストライク・フィーラー・レバー38が、後でより詳細に説明されるように、ストライクの時間に、第1の秒単位のカム34と接触することが可能となるように及びひいてはそのノッチ36内に係合されることが可能となるように配置構成されたビーク38aを有する。
【0054】
上記ストライク・レバー41が、Dのところの枢動可能に設置されたストライク・レバー44の停止装置を制御するように配置構成された第2のアーム42と、第2のアーム42に堅固に接続されて長円形開口部45を介して上記レバー44に対しての連結装置を提供するピン43と、を備え、ストライク・レバー44自体の上記停止装置が、ストライク歯車列の停止用星車32と協働することが可能となるように配置構成される。ストライク・レバー41が、クラッチ・クランプ10によって担持されたピン48と協働することが可能となるように配置構成されたヒール46aを有する第3のアーム46を備える。
【0055】
ストライク・レバー41の多様な要素の動作は後で説明される。
【0056】
ストライク機構の端部が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了と同時に上記指定の時間の完了時にストライクの停止を制御するために、第1のカム34と協働することが可能となるように配置構成されたストライク・フィーラー・レバー40の第2の端部を装備する、Bのところに枢動可能に設置されたストライク・レバー50の端部を備える。したがって、本発明のこの実施例では、ノッチ36を装備する第1のカム34がストライク機構の端部の一部でもあり、ストライク・カムの始点及びストライク・カムの停止装置の両方を構成する。
【0057】
ストライク・フィーラー・レバー40の第2の端部が、ストライク・レバー50の端部の第1のアームを構成する。
【0058】
より具体的には、ストライク・レバー40の第2の端部が、後でより詳細に説明するように、ストライクをトリガーするために並びにカウントダウン及びストライクの完了時に上記ノッチ36内に係合されるために、第1のストライク・フィーラー・レバー38が上記第1のカム34のノッチ36の中に落下するときに、第1の秒単位のカム34と接触することが可能となるように配置構成されたビーク40aを有する。
【0059】
ストライク・レバー50の端部が、上記第2のアーム54の端部によって担持されたピン58により定位置で保持される、Cのところに枢動可能に設置されたフック56をその自由端のところに担持する第2のアーム54を備える。枢動フック56が、後で説明されるように、制御デバイス12と協働するように配置構成される。具体的には、ストライク・フィーラー・レバー40の第2の端部が、カウントダウンの完了時にストライク・フィーラー・レバー40の上記第2の端部がノッチ36の中に落下するときに上記フック56を介してクラッチ・デバイス6の接続解除及びストライクの停止を制御するように配置構成される。
【0060】
ストライク・レバー50の端部が、ストライク・フィーラー・レバー40の第2の端部の延長部分内に第3のアーム60をさらに備える。上記第3のアーム60が、ストライク・レバー41の第3のアーム46の脚部46bと協働することが可能となるように配置構成された第1のビーク60aと、クラッチ・クランプ10のピン48と協働することが可能となるように配置構成された第2のビーク60bと、を備える。
【0061】
ストライク・レバー50の端部の多様な要素の動作は後で説明される。
【0062】
ここで示される変形形態では、ストライク機構が、例えば10分に1回転するために第2の分単位の表示部材16に関連付けられた第2の分単位のカム62と、上記分単位のカム62と協働することが可能となるように配置構成された第3の分単位のフィーラー・レバー64と、を備え、上記分単位のカム62が、分単位のカウントダウンの完了を第3の分単位のフィーラー・レバー64に対して示すようにプログラムされている。この目的のため、分単位のカム62が実質的に円形のプロフィールを有し、ノッチ66を備え、上記第3の分単位のフィーラー・レバー64が、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材のすべてが0を表示するときに、つまり、カウントダウンされるべき時間が1分未満となる瞬間に、上記ノッチ66内に位置決めされるように配置構成される。
【0063】
さらに、第3の分単位のフィーラー・レバー64が、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材のすべてが0を表示するときに分単位のカウントダウンの完了時に第1のストライク・フィーラー・レバー38を第1の秒単位のカム34に接触させることになるように、第1のストライク・フィーラー・レバー38と協働するように配置構成される。
【0064】
より具体的には、第3の分単位のフィーラー・レバー64が、ストライク・レバー41と同様に、Aのところに枢動可能に設置された感知レバー68の第1のアームである。感知レバー68及びストライク・レバー41が互いに協働することが可能となるように配置構成される。この目的のため、感知レバー68が、ストライク・レバー41に接触するように及び例えばその第3のアーム46に接触するように配置構成されたピン70を、上記第3の分単位のフィーラー・レバー64上に、備え、その結果、感知レバー68及びストライク・レバー41の一方がAのところで枢動することにより、感知レバー68及びストライク・レバー41のもう一方がAのところで枢動することになる。具体的には、感知レバー68がAのところで反時計回り方向に枢動することによりピン70をストライク・レバー41から離すように移動させ、その結果、解放された上記ストライク・レバー41が部分的に反時計周り方向に枢動することができるようになる。
【0065】
ストライク機構が、第3の10分単位の表示部材18に関連付けられた第3の10分単位のカム72と、上記第3の10分単位のカム72と協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバー74と、をさらに備え、上記第3の10分単位のカム72が、第4の10分単位のフィーラー・レバー74に対して10分単位のカウントダウンの完了を示すようにプログラムされている。この目的のため、10分単位のカム72が実質的に円形のプロフィールを有し、例えば、10分単位のカム72と共に2時間に1回転するように第3の10分単位の表示部材18が配置構成される場合に、2つの反対側にあるノッチ76を有することができる。第3の10分単位の表示部材が1時間に1回転するように配置構成される場合、10分単位のカム72が1つのみのノッチ76を有することができる。第4の10分単位のフィーラー・レバー74が、時間単位のための表示部材20及び10分単位のための表示部材18の両方により0が表示される場合に、つまり、カウントダウンされるべき時間が10分未満となる瞬間に、ノッチ76のうちの1つのノッチ76内に位置決めされるように配置構成される。
【0066】
さらに、第4の10分単位のフィーラー・レバー74が、時間単位の表示部材20及び10分単位の表示部材18の両方が0を表示するときに10分単位のカウントダウンの完了時に第3の分単位のフィーラー・レバー64を第2の分単位のカム62と協働させることになるように、第3の分単位のフィーラー・レバー64と協働するように配置構成される。
【0067】
より具体的には、第4の10分単位のフィーラー・レバー74が、Aを基準として第3の分単位のフィーラー・レバー64の反対側にある感知レバー68の第2のアームであり、その結果、第4の10分単位のフィーラー・レバー74がAのところで反時計回り方向に枢動して10分単位のカム72のノッチ76のうちの1つのノッチ76の中に落下することにより、第3の分単位のフィーラー・レバー64がAのところで反時計回り方向に枢動するようになり、分単位のカム62に接触する。
【0068】
ストライク機構が、10分単位のカム72と重ね合わされる、第4の時間単位の表示部材20に関連付けられた第4の時間単位のカム78と、上記第4の時間単位のカム78と協働することが可能となるように配置構成された、第4の10分単位のフィーラー・レバー74と重ね合わされる、第5の時間単位のフィーラー・レバー80と、をさらに備え、上記第4の時間単位のカム78が、第5の時間単位のフィーラー・レバー80に対して時間単位のカウントダウンの完了を示すようにプログラムされている。この目的のため、第4の時間単位のカム78が実質的に円形のプロフィールを有し、ノッチ82(
図4及び5を参照)を有し、第5の時間単位のフィーラー・レバー80が、時間単位の表示部材20により0が表示される場合に、つまり、カウントダウンされるべき時間が1時間未満となる瞬間に、ノッチ82内に位置決めされるように配置構成される。
【0069】
第4の時間単位の表示部材20が、1回転で6時間のカウントダウンを行うことを可能にするように、第4の時間単位のカム78と共に回転するように配置構成され得る。カウントダウンされる時間単位の数字は、時間単位の表示部材20の配置構成に応じて異なってよい。
【0070】
さらに、第5の時間単位のフィーラー・レバー80が、時間単位の表示部材20が0を表示するときに時間単位のカウントダウンの完了時に第4の10分単位のフィーラー・レバー74を第3の10分単位のカム72と協働させることになるように、第4の10分単位のフィーラー・レバー74と協働するように配置構成される。
【0071】
より具体的には、第5の時間単位のフィーラー・レバー80が感知レバー68の第3のアームであり、その結果、第5の時間単位のフィーラー・レバー80がAのところで反時計回り方向に枢動して時間単位のカム78のノッチ82の中に落下することにより、第4の10分単位のフィーラー・レバー74がAのところで反時計回り方向に枢動するようになり、10分単位のカム72に接触する。
【0072】
これは、本発明のこの特に好適な変形形態では、第3の分単位のフィーラー・レバー64、第4の10分単位のフィーラー・レバー74、及び第5の時間単位のフィーラー・レバー80が、単一のレバー、つまり、感知レバー68を形成する、ことを意味する。上記レバーを同じ方向に枢動させるように選択される、これらのレバーの他の配置構成も可能である、ことは明らかである。具体的には、異なるフィーラー・レバーが、1つフィーラー・レバーが一方の方向に枢動することになるように及び他のフィーラー・レバーが同じ方向に枢動することになるように配置構成されながら、分離され得る。
【0073】
上述の異なる機構の、リターン・バー、レバー、制御装置、クランプ、フックなどの、すべての要素が、それぞれの戻しばね(図示せず)の影響下にある。
【0074】
ムーブメントの動作は以下の通りである:制御デバイス12が動作する準備が整っている初期のSTOP位置が
図1に示される。副制御装置15及びロック機構がロック状態にあり、ロック用フック22が副制御装置15のフック15bに結合されている。したがって、副制御装置15が主制御装置13に対して回転しないようにロックされており、副制御装置15及び主制御装置13を接続する弾性部材が巻かれている。このSTOP位置では、カウントダウン・クロノグラフ機構及びストライク機構が非動作状態である。時間単位のための(20)、10分単位のための(18)、分単位のための(16)、及び秒単位のための、多様な表示部材が、カウントダウンのための所定の時間間隔を表示するために位置決めされている、とみなされる。ベース時計ムーブメントの秒車4のみが回転する。
【0075】
図2を参照すると、制御デバイス12の制御部材11がSTARTをトリガーするために使用者によって押され、その結果、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合させるためにクラッチ制御クランプ8及びクラッチ・クランプ10を開けるように、コラム・ホイール14が回転する。クラッチ・クランプ10が開けられることによりストライク・レバー41及びストライク・レバー50の端部が解放され、ここでは、それらの個別のアーム46及び60がクラッチ・クランプ10のピン48によって保持されていない。ストライク・レバー41がAを中心として反時計回り方向に枢動し、それにより、感知レバー68が反時計回り方向に枢動ことが可能となり、その結果、カウントダウンのための表示部材16、18を調整することを可能にするためにそれぞれのカム34、62、72から一定の距離のところにあった第1のストライク・フィーラー・レバー38、第3の分単位のフィーラー・レバー64、及び第4の10分単位のフィーラー・レバー74が反時計回り方向に枢動し、それぞれのカム34、62、72にわずかに接近する。カウントダウンのための時間単位の表示部材20を調整することを可能にするためにその時間単位のカム78からやはり一定の距離のところにあった第5の時間単位のフィーラー・レバー80が、その時間単位のカム78に接触するまで、反時計回り方向に枢動する。
【0076】
同様に、ストライク・レバー50の解放された端部がBを中心として反時計回り方向に枢動し、その結果、ストライク・フィーラー・レバー40の第2の端部がやはり秒単位のカム34にわずかに接近する。ストライク・レバー50の端部が、ストライク・レバー50の第3のアーム60の第1のビーク60a上に載置されたストライク・レバー41の第3のアーム46の脚部46bにより、定位置で保持される。
【0077】
クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1が、秒車4に係合された状態で、駆動ホイール2及び第1の秒単位のカム34を反時計回り方向に駆動する。さらに、駆動ホイール2によって担持された秒針が0まで移動するたび、時間単位のための表示部材20、10分単位のための表示部材18、及び分単位のための表示部材16が、それぞれ、時間単位のカム78、10分単位のカム72、及び分単位のカム62と共に、駆動される。
【0078】
図3を参照すると、その戻しばね(図示せず)の作用の結果として制御部材11がその初期位置に戻ることにより、STARTフェーズが終了する。カウントダウンが進む。駆動ホイール2及び秒単位のカム34が反時計回り方向に回転し、その結果、標準的なカウントダウンと同様に、秒針が0まで移動するたび、時間単位のための表示部材20、10分単位のための表示部材18、及び分単位のための表示部材16が、それぞれのカム62、72、78と共に、解放され、表示されるべきカウントダウンに応じて、回転することができる。第5の時間単位のフィーラー・レバー80がその時間単位のカム78に接触し、他のフィーラー・レバー38、40、64、及び74がそれぞれのカム34、62、72から一定の距離のところに留まる。
【0079】
図4を参照すると、カウントダウンされる時間が1時間未満である場合、時間単位の表示部材20が0を表示するために位置決めされ、その結果、時間単位のフィーラー・レバー80が、時間単位のカム78に接触した状態で、Aのところで反時計回り方向に枢動することにより上記時間単位のカム78のノッチ82内に係合される。時間単位のフィーラー・レバー80がこのように枢動することは、感知レバー68並びにひいては10分単位のフィーラー・レバー74及び分単位のフィーラー・レバー64がAのところで反時計回り方向に枢動して、10分単位のフィーラー・レバー74が10分単位のカム72に接触し、分単位のフィーラー・レバー64がそのカム62に接近し、さらには、ストライク・レバー41及びひいてはストライク・フィーラー・レバー38がAのところで反時計回り方向に枢動し、ストライク・フィーラー・レバー38が秒単位のカム34に接近する、ことを意味する。クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって駆動される駆動ホイール2を介して、カウントダウンが継続する。
【0080】
図5を参照すると、カウントダウンされる時間が10分未満である場合、時間単位の表示部材20が依然として0を表示し、10分単位の表示部材18が0を表示するために位置決めされ、その結果、10分単位のフィーラー・レバー74が、10分単位のカム72に接触した状態で、Aのところで反時計回り方向に枢動することにより上記10分単位のカム72のノッチ76内に係合される。10分単位のフィーラー・レバー74がこのように枢動することは、感知レバー68及びひいては分単位のフィーラー・レバー64がAのところで反時計回り方向に枢動して、分単位のフィーラー・レバー64が分単位のカム62に接触し、さらには、ストライク・レバー41及びひいてはストライク・フィーラー・レバー38がAのところで反時計回り方向に枢動し、ストライク・フィーラー・レバー38が秒単位のカム34に接近する、ことを意味する。時間単位の表示部材20が0を表示する位置に留まり、時間単位のフィーラー・レバー80が時間単位のカム78のノッチ82内に係合された状態を維持する。クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって駆動される駆動ホイール2を介して、カウントダウンが継続する。
【0081】
図6を参照すると、カウントダウンされる時間が1分未満である場合、時間単位のための表示部材20及び10分単位のための表示部材18が依然として0を表示し、分単位の表示部材16が0を表示するために位置決めされ、その結果、分単位のフィーラー・レバー64が、分単位のカム62に接触した状態で、Aのところで反時計回り方向に枢動することにより上記分単位のカム62のノッチ66内に係合される。分単位のフィーラー・レバー64がこのように枢動することは、感知レバー68がAのところで反時計回り方向に枢動し、したがって、ストライク・レバー41及びひいてはストライク・フィーラー・レバー38がAところで反時計回り方向に枢動し、ストライク・フィーラー・レバー38が、駆動ホイール2に連結された秒単位のカム34に接触する、ことを意味する。時間単位のための表示部材20及び10分単位のための表示部材18が0を表示する位置に留まり、時間単位のフィーラー・レバー80が時間単位のカム78のノッチ82内に係合された状態を維持し、10分単位のフィーラー・レバー74が10分単位のカム72のノッチ76内に係合された状態を維持する。ストライク・レバー41及びそのアーム42が枢動する状態において、ストライク・レバー44の停止装置が、その枢動点Dを中心として時計回り方向に枢動することにより停止用星車32から自由状態になるのを開始するように配置構成され、ストライク・レバー41の第3のアーム46の脚部46bが、実際に、ストライク・レバー50の端部の第3のアーム60の第1のビーク60aから自由状態となる。クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって駆動される駆動ホイール2を介して、カウントダウンが継続し、その結果、秒単位の表示部材が秒単位のカム34と共に反時計回り方向に継続して回転する。
【0082】
図7を参照すると、時間単位のための表示部材20、10分単位のための表示部材18、及び分単位のための表示部材16が依然として0を表示し、秒単位の表示部材がカウントダウンの完了の前の例えば20秒の指定の時間を表示するとき、秒単位のカム34が、Aのところでの反時計回り方向の枢動により、秒単位のカム34に接触した状態であるストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aを上記秒単位のカム34のノッチ36の始点36a内に係合させるように、位置決めされる。ストライク・フィーラー・レバー38がこのように枢動することは、ストライク・レバー41及び具体的にはそのアーム42がAところで反時計回り方向に枢動し、その結果、ストライク・レバー44の停止装置が、その枢動点Dを中心として時計回り方向に枢動することにより停止用星車32から自由状態になり、停止用星車32を解放する、ことを意味する。ストライク歯車列の要素30が解放され、ストライク機構が、カウントダウンの完了の前の指定の時間でストライクを開始する。
【0083】
したがって、それぞれのカムのノッチ内に係合されているときに、時間単位のフィーラー・レバー80、次いで10分単位のフィーラー・レバー74、次いで分単位のフィーラー・レバー64が、反時計回り方向に枢動することは、感知レバー68及びストライク・レバー41の組立体がAのところで反時計回り方向に枢動し、その結果、それぞれの表示部材がゼロを表示するときに関連付けられたノッチ内に係合されることが可能となるためにそれぞれのカムに接触するまで、上記フィーラー・レバーがそれぞれのカムに漸進的に接近するようになり、及び、さらには、ストライクをトリガーするためにカウントダウンがカウントダウンの完了の前の指定の時間に達するときにノッチ36内に落下することが可能となるために、上記秒単位のカム34に接触するまで、ストライク・フィーラー・レバー38が秒単位のカム34に漸進的に接近する、ことを意味する。
【0084】
並行して、さらに、Aのところにストライク・レバー41の第3のアーム46が設けられ、その結果、その脚部46bが、ストライク・レバー50の端部の第3のアーム60の第1のビーク60aから完全に自由状態になる。次いで、ストライク・レバー50の端部が解放され、Bを中心として反時計回り方向に枢動し、その結果、ストライク・フィーラー・レバー40の端部のビーク40aが秒単位のカム34に接触するようになる。
【0085】
時間単位のための表示部材20、10分単位のための表示部材18、及び分単位のための表示部材16が0を表示する位置に留まり、時間単位のフィーラー・レバー80が時間単位のカム78のノッチ82内に係合された状態を維持し、10分単位のフィーラー・レバー74が10分単位のカム72のノッチ76内に係合された状態を維持し、分単位のフィーラー・レバー64が分単位のカム62のノッチ66内に係合された状態を維持する。クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって駆動される駆動ホイール2を介して、カウントダウンが継続し、その結果、秒単位の表示部材が秒単位のカム34と共に反時計回り方向に継続して回転する。
【0086】
図8を参照すると、カウントダウンが完了してゼロに達すると、時間単位のための表示部材20、10分単位のための表示部材18、及び分単位のための表示部材16が依然として0を表示し、秒単位の表示部材が0を表示するために秒単位のカム34と共に位置決めされ、ストライクが依然として進行している。秒単位のカム34のノッチ36の円の長さは、カウントダウンの完了時に0が表示されるときに、秒単位のカム34に接触した状態であるストライク・フィーラー・レバー40の端部のビーク40aが、Bのところで反時計回り方向に枢動することにより、上記秒単位のカム34のノッチ36の始点36a内に係合される、ことになるような長さである。ストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aがノッチ36の端部36bに達する。
【0087】
ストライク・フィーラー・レバー40の端部がこのように枢動してカウントダウンの完了時に秒単位のカム34のノッチ36の中に落下することは、ストライク・レバー50の端部及び具体的にはそのアーム54がBのところで反時計回り方向に枢動し、その結果、アーム54によって担持されたフック56が制御レバー19を解放し、制御デバイス12に作用させ、コラム・ホイール14の回転を制御し、クラッチ・デバイス6を係合解除する、ことを意味する。
【0088】
図9を参照すると、解放された制御レバー19が、そのピン23を移動中にロック用フック22と協働させるために十分に枢動し、それにより、ロック用フック22を反時計回り方向に枢動させる。次いで、副制御装置15のフック15bから分離されたロック用フック22がロック解除状態まで通過する。次いで、副制御装置15もロック解除状態となり、主制御装置13から接続解除され、その結果、巻かれた状態から解放されている弾性部材によって供給されるエネルギーにより、上記副制御装置15が解放され、そのフック15aにより起動されることにより時計回り方向のみに枢動し、コラム・ホイール14の第1の駆動ホイール14aが反時計回り方向に枢動する。これは自動STOPに対応しており、自動STOPの経過中、コラム・ホイール14が副制御装置15のみにより自動で作動され、主制御装置13及び第2の駆動ホイール14cが静止状態を維持し、2つの駆動ホイール14a、14cの間の弾性結合要素が係合解除されている。
【0089】
コラム・ホイール14のこの回転が、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合解除するようにクラッチ・クランプ8及び10を閉じることを制御し、それにより、駆動ホイール2及び秒単位のカム34が停止される。クラッチ・クランプ10を閉じるとき、上記クラッチ・クランプ10のピン48が、ストライク・レバー41のアーム46のヒール46a上に載置されていることにより、及び、ストライク・レバー50の端部のアーム60のビーク60b上に載置されていることにより、その初期位置に戻り、その結果、上記ストライク・レバー41、及び、ストライク・レバー50の端部、またより具体的には、ストライク・フィーラー・レバー38、及び、ストライク・フィーラー・レバー40の端部が、それぞれA及びBのところで、時計回り方向に枢動し、秒単位のカム34から自由状態になる。クロノグラフ機構が係合解除されるとの同時に、ストライク・レバー41及びひいてはそのアーム42がこのように枢動することにより、ストライク・レバー44の停止装置が、停止用星車32と再び協働するようになるために及びストライク歯車列の要素30を停止するために、その枢動点Dを中心として反時計回り方向に枢動する。したがって、カウントダウンの完了と同時にストライクが停止される。
【0090】
次のカウントダウンのために、カウントダウンのための所定の時間間隔に応じて表示部材16、18、20が再び位置決めされることになり、制御デバイス12が、次のSTARTの時間に動作する準備の整った位置で位置決めされるように配置構成されている。ここでは、より具体的には、ロック状態に戻る前に、使用者が制御部材11を押圧した後で次のSTARTがトリガーされるときに、ロック機構がそのロック位置まで通過することにより、副制御装置15の自動機能がクロノグラフの次の使用のために再び動作可能となる。実際には、使用者が新しいSTARTをトリガーするとき、副制御装置15がそのロック解除状態にあり、主制御装置13のみがコラム・ホイール14を作動させるために傾斜し、そのフック13aが第2の駆動ホイール14cを作動させ、それにより第1の駆動ホイール14aを駆動し、したがって、上述したように弾性結合要素によって形成されるカップリングを介して、コラム14bを駆動し、クランプ8及び10を新たに開けることを制御する。
【0091】
並行して、主制御装置13が、傾斜することにより、主制御装置13を副制御装置15に接続する弾性部材を再び巻くことを可能にする。他方で、主制御装置13が傾斜するとき、そのピン21がその移動中に制御レバー19をロック位置まで枢動させるように制御レバー19と協働するようになり、フック56を後退させる。制御レバー19が、枢動させられるとき、再び巻かれる。同時に、主制御装置13に埋設されたロック用フック22が副制御装置15のフック15bに再び接触し、それにより、副制御装置15のフック15bを反時計回り方向へと自由状態にし、それにより、ロック位置まで通過する。主制御装置13の傾斜の完了時、ロック用フック22が戻って副制御装置15のフック15b内に係合され、それにより、再びロック状態まで通過する。主制御装置13と副制御装置15との間の弾性部材が完全に再び巻かれる。
【0092】
もちろん、カウントダウン中、STOP及びSTARTを行うことも可能である。
【0093】
分単位及び秒単位のカウントダウンのみが所望される場合、時間単位の表示装置及び時間単位のカウントダウンに関連する要素を取り除くことにより、同様の機構を提供することも可能である。
【0094】
別の実施例によると、秒単位をカウントダウンせずに、分単位のカウントダウンを表示するように配置構成された第1の表示部材を有することも可能であり、ここでは、第1の表示部材に連結された第1のカム34が10分に1回転するように配置構成され、そのノッチの円の長さが、カウントダウンの完了の数分前にストライクをトリガーするために選択されることが可能である。
【0095】
この事例では、第1及び第2の表示部材が一致し、第1及び秒単位のカムが一致し、第3の10分単位の表示部材が提供され、第3の10分単位の表示部材が、上述したように、10分単位のカウントダウンを表示するように配置構成される、と考えられる。この場合、ストライク機構が、上記第3の10分単位の表示部材に関連付けられた第3の10分単位のカムと、上記第3の10分単位のカムと協働することが可能となるように配置構成された第4の10分単位のフィーラー・レバーと、を備え、上記第3の10分単位のカムが、10分単位のカウントダウンの完了を第4の10分単位のフィーラー・レバーに対して示すようにプログラムされており、上記第4の10分単位のフィーラー・レバーが第1のストライク・フィーラー・レバーと直接協働するように配置構成され、分単位のフィーラー・レバーに一致し、その結果、上記第1のストライク・フィーラー・レバーが、10分単位のカウントダウンの完了時に上記第1のカムと協働するようになる。この機構の残りは上述した機構と同じである。
【0096】
図10が本発明によるムーブメントの変形形態を示しており、ここでは、第1のストライク・フィーラー・レバー38、第3の分単位のフィーラー・レバー64、第4の10分単位のフィーラー・レバー74、及び第5の時間単位のフィーラー・レバー80が、単一のレバーを形成する。
【0097】
さらに、第1のストライク・フィーラー・レバー38が、第1の実例のアーム42及び46に対応する示されない2つの他のアームに堅固に接続され、その結果、組立体の全体が単一のレバーを形成することができる。
【0098】
図1のムーブメントの要素に等しい機能要素は同じ参照符号で示される。
【0099】
図10に示される変形形態では、秒単位の表示部材に及び駆動ホイール2に連結された秒単位のカム34が提供される。秒単位のカム34が、カウントダウンの完了の前の特定のストライク時間を画定するノッチ36を備える。ノッチ66を有する分単位のカム62に関連付けられた分単位の表示部材16と、2つのノッチ76を有する10分単位のカム72に関連付けられた10分単位の表示部材18と、ノッチ82を有する時間単位のカム78に関連付けられた時間単位の表示部材20とが、さらに提供される。
【0100】
時間単位のフィーラー・レバー80が、時間単位の表示部材20がゼロを表示するときに、時間単位のカム78と協働すること及びノッチ82内に落下することが可能となるように配置構成される。上記時間単位のフィーラー・レバー80が、時間単位のフィーラー・レバー80に対して実質的に垂直に配設された10分単位のフィーラー・レバー74をそのアーム上に担持する。10分単位のフィーラー・レバー74が、10分単位の表示部材18がゼロを表示するときに、10分単位のカム72に実質的に接線方向で接触するように及びノッチ76のうちの1つのノッチ76の中に落下するように配置構成されたピン75をその端部のところに担持する。分単位のフィーラー・レバー64が、分単位の表示部材16がゼロを表示するときに、分単位のカム62と協働すること及びノッチ66の中に落下することが可能となるように配置構成される。ストライク・フィーラー・レバー38が、ストライクをトリガーするために、カウントダウンがカウントダウンの完了の前の指定の時間に達するときに、秒単位のカム34と協働すること及びノッチ36の中に落下することが可能となるように配置構成される。
【0101】
ストライク・フィーラー・レバー38、分単位のフィーラー・レバー64、及び時間単位のフィーラー・レバー80が、Aのところに枢動可能に設置された単一のレバーの多様なアームを形成するように、それぞれのフィーラーに対してのそれらの両端部により、互いに堅固に接続される。したがって、上述したように、それぞれのカムのノッチ内に係合されているときに、時間単位のフィーラー・レバー80、次いで10分単位のフィーラー・レバー74、次いで分単位のフィーラー・レバー64が、反時計回り方向に枢動することは、レバー組立体が反時計回り方向に枢動し、その結果、それぞれの表示部材がゼロを表示するときに関連付けられたノッチ内に係合されることが可能となるためにそれぞれのカムに接触するまで、上記フィーラー・レバーがそれぞれのカムに漸進的に接近するようになり、及び、さらには、ストライクをトリガーするためにカウントダウンがカウントダウンの完了の前の指定の時間に達するときにノッチ36内に落下することが可能となるために、上記秒単位のカム34に接触するまで、ストライク・フィーラー・レバー38が秒単位のカム34に漸進的に接近する、ことを意味する。
【0102】
ストライク・レバー(図示せず)の端部が第1の実例のレバー50に等しい。
【0103】
図12から21による本発明の別の実施例では、クロノグラフ機構が、ストライクの自動の停止の後で、及び、所定の時間間隔のカウントダウンとの完了の後で、第1の秒単位の表示部材つまりクロノグラフ秒針が継続して回転することになるように、配置構成される。
【0104】
図1から9の実施例と共通する要素は同じ参照符号で示される。
【0105】
上記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1が、垂直方向のクラッチ・デバイス6により現在時刻を示すベース時計ムーブメントの秒車4に運動学的に接続されることが可能となるように配置構成される。上記垂直方向のクラッチ・デバイス6が、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合させるようにするために、カウントダウンを始動するためにクロノグラフが起動されるときに離れるように配置構成されたクラッチ制御クランプ8及びクラッチ・クランプ10を備える。クランプ8及び10を開けることが、クロノグラフ機構の開始/停止の制御を手動で従来の手法で実行するために、例えばプッシュ・ボタン11の種類のボタンによって作動される、コラム・ホイール14を備える標準的な制御デバイスにより従来の手法で制御される。
【0106】
所定の時間間隔のカウントダウンの完了までの残りの時間単位、10分単位、及び分単位を表示するように配置構成された表示手段が、上で説明した表示手段に類似する。
【0107】
分単位の表示部材に関連付けられた、ノッチ66を備える分単位のカム62と、Gのところに枢動可能に設置された分単位のフィーラー・レバー64と、10分単位の表示部材に関連付けられた、ノッチ76を備える分単位のカム72と、10分単位のフィーラー・レバー74と、10分単位のカム72と重ね合わされる、時間単位の表示部材に関連付けられた、ノッチ82を備える時間単位のカム78と、10分単位のフィーラー・レバー74と重ね合わされる、時間単位のフィーラー・レバー80とのみが示される。
【0108】
10分単位のフィーラー・レバー74及び時間単位のフィーラー・レバー80が、第1の実施例の感知レバー68の事例と同様に、Hのところに枢動可能に設置された感知レバー90のアームを形成する。この実施例では、感知レバー90が、Hを基準として10分単位のフィーラー・レバー74の反対側にある第3のアーム92を備え、その結果、10分単位のフィーラー・レバー74がHのところで時計回り方向に枢動して10分単位のカム72のノッチ76のうちの1つのノッチ76の中に落下することにより、感知レバー90の第3のアーム92がHのところで時計回り方向に枢動するようになる。感知レバー90の第3のアーム92の端部に、分単位のフィーラー・レバー64のビーク96と協働するように配置構成されたピン94が提供される。したがって、感知レバー90及びそのアーム92がHのところで時計回り方向に枢動することにより、第3の10分単位のフィーラー・レバー64がGのところで反時計回り方向に枢動することになり、分単位のカム62に接触する。
【0109】
上記の第1の実施例と同様に、分単位のフィーラー・レバー64が、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材のすべてが0を表示するときに、つまり、カウントダウンされるべき時間が1分未満となる瞬間に、分単位のカム62のノッチ66内に位置決めされるように配置構成される。
【0110】
ストライク機構が第1の秒単位のカム34を備える。この実施例では、本機構の構造が、第1の秒単位のカム34、及び、秒単位のカウントダウンを表示するための第1の表示部材つまりクロノグラフ秒針を、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1の軸によって直接担持することになるように、実現される。
【0111】
図12を参照すると、秒単位のカム34がノッチ36を備え、ノッチ36の円の長さが、所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前のストライクの指定の時間に対応し、ノッチ36の始点がストライクのトリガーに対応し、ノッチ36の端部が、ストライクの停止に対応する。例えば、ノッチ36の長さが、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の20秒の時間に対応することができる。
【0112】
ストライク機構が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前の指定の時間の開始時にストライクをトリガーするために、第1のカム34と協働することが可能となるように配置構成された第1のストライク・フィーラー・レバー38から構成された第1のアームを備える、Aのところに枢動可能に設置された第1のストライク・レバー100、及び、ストライク歯車列をさらに備える。
【0113】
より具体的には、第1のストライク・フィーラー・レバー38が、ストライクの瞬間に第1の秒単位のカム34に接触してそのノッチ36内に係合されることが可能となるように配置構成されたビーク38aを有する。ストライク・レバー100がそのばね101の影響下にある。
【0114】
第1の実施例と同様に、上記ストライク・レバー100が、Dのところに枢動可能に設置されたストライク・レバー44の停止装置を制御するように配置構成された第2のアーム42と、第2のアーム42に堅固に接続されて長円形開口部45を介して上記レバー44との連結装置を提供するピン43と、を備え、ストライク・レバー44自体の上記停止装置が、ストライク歯車列の停止用星車32と協働することが可能となるように配置構成される。
【0115】
ストライク・レバー100が、クラッチ制御クランプ8と協働することが可能となるように配置構成されたピン104を担持する第3のアーム102を備える。より具体的には、クラッチ制御クランプ8が閉位置にあるときにピン104上に載置される。
【0116】
さらに、第3の分単位のフィーラー・レバー64が、ストライク・レバー100の第3のアーム102を介して、第1のストライク・レバー38と協働するように配置構成され、その結果、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材のすべてが0を表示するとき、第1のストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aが、分単位のカウントダウンの完了時、第1の秒単位のカム34に接触することになる。
【0117】
より具体的には、分単位のフィーラー・レバー64が、分単位のカウントダウンの完了まで秒単位のカム34から一定の距離のところで第1のストライク・フィーラー・レバー38を保持するように、ストライク・レバー100の第3のアーム102のビーク106上に載置されるように配置構成された脚部64aを有する。
【0118】
ストライク・レバー100が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了と同時に上記指定の時間の完了時にストライクの自動の停止を制御するために、ストライク機構の端部と協働することが可能となるように配置構成された第4のアーム108を備える。
【0119】
この目的のため、ストライク機構の端部が、第1のストライク・レバー100と協働するように配置構成された、Eのところに枢動可能に設置されたストライク・レバー110の端部を備える。より具体的には、ストライク・レバー110の端部が、第1のストライク・レバー100の第4のアーム108のフックの形態の端部114と協働するように配置構成されたピン113を担持する、ビーク112のところで終端する第1のアーム111を備える。ストライク・レバー110の端部が、クラッチ・クランプ10によって担持されるピン116と協働するように配置構成された第2のアーム115を備える。ストライク・レバー110の端部がそのばね118の影響下にある。
【0120】
ストライク機構の端部が、ストライク・レバー110の端部及びひいては第1のストライク・レバー100を制御するように配置構成された、上記クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1に運動学的に連結されたストライク・カム120の停止装置をさらに備え、それにより、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時にストライクを自動で停止し、クラッチ・デバイス6を接続解除することなくこれを行う。
【0121】
有利には、ストライク・カム120の停止装置が秒単位のカム34と同軸であり、秒単位のカム34と共に回転するように拘束される。ストライク・カム120の停止装置がビーク120aを備える。
【0122】
ストライクを自動で停止するためにストライク・カム120の停止装置を介してストライク・レバー110の端部を制御することを可能にするために、ストライク機構の端部が、Fのところに枢動可能に設置されたレバー・フック122を備え、この目的のために提供される開口部により、その枢動軸がストライク・レバー100を通過する。上記レバー・フック122が、ストライク・カム120の停止装置のビーク120aと協働することが可能となるように配置構成された第1のアーム124と、第1のストライク・レバー100の第4のアーム108と協働するように配置構成されたピン126と、を備え、それにより、第1のストライク・レバー100がAのところで反時計回り方向に枢動して第1のストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aを第1の秒単位のカム34に接触させるときに、そのアーム124を、ストライク・カム120の停止装置のビーク120aの旋回半径内に位置決めするように、レバー・フック122をFのところで枢動させる。
【0123】
レバー・フック122が、ストライク・レバー110の端部をロックするためにストライク・レバー110の端部のビーク112と協働するように、及び、ストライク・カム120の停止装置により上記レバー・フック122が作動されるときにストライク・レバー110の上記端部を解放することが可能となるように、配置構成されたフックの形態の第2のアーム128を備える。
【0124】
レバー・フック122がそのばね130の影響下にある。
【0125】
この実施例による機構の動作は以下の通りである:カウントダウン・クロノグラフ機構及びストライク機構が非動作状態である初期のSTOP位置が
図12に示される。時間単位のための、10分単位のための、分単位のための、及び秒単位のための、多様な表示部材が、カウントダウンのために所定の時間間隔を表示するように位置決めされている、と考えられる。ベース時計ムーブメントの秒車4のみが回転する。
【0126】
制御デバイスの制御部材がSTARTをトリガーするために使用者によって押され、その結果、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合させるためにクラッチ制御クランプ8及びクラッチ・クランプ10を開けるように、コラム・ホイール14が回転する。
【0127】
クラッチ・クランプ10が開けられると、ストライク・レバー110の端部の第2のアーム115上に載置されたそのピン116が、ストライク・レバー110の上記端部をその初期位置に戻し、その結果、ストライク・レバー110の上記端部がレバー・フック122により定位置でロックされる。
【0128】
クラッチ制御クランプ8が開けられることによりストライク・レバー100が解放され、ここでは、その第3のアーム102が、ピン104上に載置されるようになるまで、クランプ8によって保持されない。
【0129】
第1の実施例と同様に、ストライク・レバー100がAを中心として反時計回り方向に枢動し、その結果、カウントダウンのための表示部材を調整することを可能にするためにそれぞれのカムから一定の距離のところにあった、第1のストライク・フィーラー・レバー38、さらには、分単位のフィーラー・レバー64並びに10分単位及び時間単位のための他のフィーラー・レバーが、枢動し、それぞれのカムにわずかに接近する。しかし、ストライク・レバー100の第3のアーム102のビーク106上に載置された分単位のフィーラー・レバー64の脚部64aにより、上記ストライク・レバー100が秒単位のカム34から離されて維持される。
【0130】
第1の実施例のために上述した手法と同じ手法でカウントダウンが実行され、秒車4に係合されたクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1が第1の秒単位のカム34及びストライク・カム120の停止装置を捕捉し、それにより、反時計回り方向に回転させる。さらに、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって担持された秒針が0まで移動するたび、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材が、それらのそれぞれのカムと共に駆動される。カウントダウンされるべき時間が10分未満であるとき、感知レバー90及びそのアーム92がHのところで時計回り方向に枢動することにより、分単位のフィーラー・レバー64がGのところで反時計回り方向に枢動し、分単位のフィーラー・レバー64が、分単位のカム62に接触するまで、分単位のカム62に漸進的に接近する。
【0131】
図13を参照すると、カウントダウンされるべき残りの時間が1分であるとき、時間単位のための及び10分単位のための表示部材が0を表示し、分単位のための表示部材が0を表示せず、その結果、分単位のカム62に接触している分単位のフィーラー・レバー64が、上記分単位のカム62のノッチ66内に係合されない。この位置では、ストライク・フィーラー・レバー38が依然として秒単位のカム34に接触しておらず、ストライク・レバー100の第3のアーム102のビーク106が、依然として、分単位のフィーラー・レバー64の脚部64aによって保持されている。この位置では、ストライク・レバー100が、その第2のアーム42により、ストライク歯車列を停止状態で維持し、ここでは、ストライク・レバー44の停止装置が停止用星車32内に係合されている。
【0132】
さらに、レバー・フック122がストライク・カム120の停止装置から一定の距離にある。
【0133】
図14を参照すると、カウントダウンされるべき時間が1分未満であるとき、時間単位のための及び10分単位のための表示部材が依然として0を表示し、分単位の表示部材が0を表示するために位置決めされ、その結果、分単位のカム62に接触した状態である分単位のフィーラー・レバー64が、Gのところで反時計回り方向に枢動することにより、上記分単位のカム62のノッチ66内に係合されることになる。
【0134】
枢動することにより、分単位のフィーラー・レバー64の脚部64aが第3のアーム102及びひいてはストライク・レバー100を解放し、その結果、上記ストライク・レバー100が、そのばね101の作用の結果として、Aのところで反時計回り方向に枢動し、ストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aが、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって担持された秒単位のカム34の最大径に接触する。
【0135】
ストライク・レバー100及びひいてはその第2のアーム42の枢動中、ストライク・レバー44の停止装置が、その枢動点Dを中心として時計回り方向に枢動することにより停止用星車32から自由状態になるのを開始するように配置構成される。クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を介してカウントダウンが継続し、その結果、秒単位の表示部材が秒単位のカム34と共に反時計回り方向に継続して回転する。
【0136】
図15を参照すると、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材が依然として0を表示しており、秒単位の表示部材がカウントダウンの完了前の例えば20秒である指定の時間を表示するとき、秒単位のカム34が、秒単位のカム34に接触しているストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aを上記秒単位のカム34のノッチ36内に係合させるように、位置決めされる。ノッチ36の中に落下すると、ストライク・フィーラー・レバー38がAのところで反時計回り方向に再び枢動する。ストライク・フィーラー・レバー38がAのところでこのように枢動することは、ストライク・レバー100が、また具体的には、その第2のアーム42が、Aのところで反時計回り方向に枢動し、その結果、ストライク・レバー44の停止装置がその枢動点Dを中心として時計回り方向に枢動することにより停止用星車32から自由状態になり、停止用星車32を解放する、ことを意味する。ストライク歯車列が解放された状態で、カウントダウンの完了の前の指定の時間で、ストライク機構がストライクを開始する。
【0137】
並行して、さらに、ストライク・レバー100の第4のアーム108が反時計回り方向に枢動し、その結果、レバー・フック122がそのピン126を介してその枢動点Fを中心として時計回り方向に傾斜し、その結果、そのアーム124が、クロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1によって担持されたストライク・カム120の停止装置のビーク120aの旋回半径に入る。
【0138】
Fのところで時計回り方向に枢動することにより、レバー・フック122のアーム128が、ストライク・レバー110の端部のビーク112からわずかに自由状態となる。
【0139】
図16を参照すると、カウントダウンが完了して、例えばカウントダウンの完了の5秒前といったように実質的にゼロに達すると、秒単位の表示部材が秒単位のカム34及びストライク・カム120の停止装置を用いて例えば5を表示するように位置決めされ、ここでは依然としてストライクが進行している。ストップ・カム120のビーク120aをこのように位置決めすることにより、上記ビーク120aがレバー・フック122のアーム124に接触するようになり、それにより、アーム124をFのところで時計回り方向に駆動することが可能となる。
【0140】
ストライク・フィーラー・レバー38のビーク38aがノッチ36の端部に達する。
【0141】
図17を参照すると、カウントダウンが完了してゼロに達すると、時間単位のための、10分単位のための、及び分単位のための表示部材が依然として0を表示しており、秒単位の表示部材が、秒単位のカム34及びストライク・カム120の停止装置を用いて、0を表示するように位置決めされる。
【0142】
レバー・フック122、及び、ストライク・カム120の停止装置のビーク120aが、カウントダウンの完了時に0が表示されるときに、ストライク・カム120の停止装置によって制御されるレバー・フック122をFのところで時計回り方向に十分に傾斜させてその結果としてそのアーム128によりストライク・レバー110のビーク112を解放することになるように、構成される。
【0143】
次いで、ストライク・レバー110の端部が解放され、そのばね118の作用の結果として、Eのところで反時計回り方向に枢動する。
【0144】
カウントダウンの完了時にストライク・レバー110の端部がこのように枢動することは、その第1のアーム111が反時計回り方向に枢動し、その結果、上記アーム111によって担持されたピン113が、ストライク・レバー100の第4のアーム108のフック114の形態の端部を駆動し、それにより、上記ストライク・レバー100をAのところで時計回り方向に枢動させる、ことを意味する。ストライク・レバー100がAのところで時計回り方向にこのように枢動することにより、ストライク・フィーラー・レバー38を秒単位のカム34から自由状態にすることが可能となる。並行して、ストライク・レバー100及びひいてはそのアーム42がAのところで時計回り方向にこのように枢動するとき、カウントダウンの完了と同時に、ストライク・レバー44の停止装置がアーム42によって駆動され、それにより、その枢動点Dを中心として反時計回り方向に枢動し、それにより、停止用星車32と再び協働するようになり、ストライク歯車列を停止する。したがって、カウントダウンの完了と同時にストライクが停止される。
【0145】
図18を参照すると、ストライクが停止すると、秒単位の表示部材、つまり、クロノグラフ秒針が、秒単位のカム34及びストライク・カム120の停止装置と共にその反時計回り方向の移動を継続し、その結果、ストライク・カム120の上記停止装置のビーク120aがレバー・フック122のアーム124を通過し、アーム124を解放する。解放されると、そのばね130の作用の結果として、レバー・フック122が、フックの形態のその第2のアーム128をストライク・レバー110の端部のアーム111の上に載置させるまで、Fのところで反時計回り方向に枢動する。したがって、レバー・フック122がストライク・カム120の停止装置の旋回半径から外に出て、それにより、クロノグラフ機構の手動の停止を待ちながら秒針がその移動を継続するときの不必要なエネルギー消費を一切回避することが可能となる。
【0146】
図19及び20を参照すると、使用者が秒針を停止するためにクロノグラフ機構を手動で停止するとき、使用者がSTOPをトリガーするためにクロノグラフ機構の制御部材を押圧し、その結果、コラム・ホイール14がクラッチ制御クランプ8及びクラッチ・クランプ10を閉じるように回転し、それにより、クラッチ・デバイス6を係合解除し、それにより、秒車4及びクロノグラフ駆動ホイール・アンド・ピニオン1を係合解除する。
図19に示されるように、開位置にあったクラッチ・クランプ10が閉じるとき、クラッチ・クランプ10が時計回り方向に枢動し、その結果、そのピン116が、ストライク・レバー110の端部をEのところで時計回り方向に枢動させるようにストライク・レバー110の端部の第2のアーム115を駆動し、ここではさらに、レバー・フック122がストライク・レバー110の上記端部に載置されている。
【0147】
クランプ8、10が
図20に示されるように閉じられると、その移動を完了したストライク・レバー110の端部が、クラッチ・クランプ10のピン116によって保持された状態を維持する。ストライク・レバー110の端部がレバー・フック122のアーム128によってロックされることになり、カウントダウンの次の開始中にクラッチ制御クランプ8を開けることにより解放されるストライク・レバー100をそのばね101の作用の結果としてAのところで反時計回り方向に枢動させるときに、そのばね130の作用の結果としてFのところで反時計回り方向に枢動することによりその初期位置に戻る。
【0148】
もちろん、例えばカウントダウン及びストライク中に、STOPを行うことも可能であり、この場合の機構は、
図15又は16の構成に類似する構成である。この構成では、クラッチ制御クランプ8がストライク・レバー100に接触していない。その理由は、クラッチ制御クランプ8が開位置にあり、ストライク・レバー100の第3のアーム102のピン104上に載置されていない、からである。
図21を参照すると、使用者がカウントダウンを停止するとき、クランプ8及び10が、コラム・ホイール14によって制御されて、閉じられる。クラッチ制御クランプ8が、ストライク・レバー100の第3のアーム102のピン104上に載置されるために、反時計回り方向に枢動し、その結果、上記ストライク・レバー100がAのところで時計回り方向に枢動する。ストライク・レバー100がAのところで時計回り方向にこのように枢動することにより、ストライク・フィーラー・レバー38を秒単位のカム34から自由状態にすることが可能となる。並行して、ストライク・レバー100及びひいてはそのアーム42がAのところで時計回り方向にこのように枢動するとき、ストライク・レバー44の停止装置が上記アーム42によって駆動され、それにより、その枢動点Dを中心として反時計回り方向に枢動し、それにより、停止用星車32と再び協働するようになり、ストライク歯車列を停止する。このようにして、ストライクが停止される。カウントダウンを表示するために表示部材を予め調整することなくカウントダウンの次の開始中、多様な部品が次のSTOPの前のそれらの位置に戻る。
【0149】
本発明は、所定の時間間隔の進行中のカウントダウンが完了しそうであることを使用者に警告するために、カウントダウンの完了の前の予め定められた時間に所定の時間間隔のカウントダウンの完了の前にトリガーされるストライク機構を装備するカウントダウン・クロノグラフ機構を有することを可能にする。したがって、本発明は、機械式ストライク機構を使用するプレアラームを有するカウントダウンを有することを可能にし、ストライクの完了が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了に同期される。変形形態によると、クロノグラフ機構が、上記所定の時間間隔のカウントダウンの完了時に停止することができか、又は、ストライクをトリガーすることなくクロノグラフ秒針を継続して回転させるように、起動状態を維持することができる。
【国際調査報告】