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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】電池式グリースガン
(51)【国際特許分類】
   F16N 3/12 20060101AFI20230530BHJP
   F16N 13/10 20060101ALI20230530BHJP
   F16N 23/00 20060101ALI20230530BHJP
   F04B 15/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
F16N3/12
F16N13/10
F16N23/00
F04B15/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022549858
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 AU2021050236
(87)【国際公開番号】W WO2021184068
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,238
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500221091
【氏名又は名称】マクノート ピーティワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウッセラーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,マティアス
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA02
3H075AA17
3H075BB03
3H075DA04
3H075DA09
3H075DB03
(57)【要約】
本出願は、電池式グリースガンに関する。この電池式グリースガンは、グリースを貯蔵するよう構成された容器に接続することができ、内部に第1及び第2の細長いチャンバを画定する本体であって、第1のチャンバは第1の軸に沿って延出し、第2のチャンバは第2の軸に沿って延出し、第1の軸は第2の軸から離隔し、第2のチャンバは第1のチャンバよりも小さい断面積を有する、本体と、第1及び第2のピストンであって、第1のピストンは第1のチャンバ内で第1の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第2のチャンバ内で第2の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第1のピストンよりも小さい断面積を有する、第1及び第2のピストンと、グリースが容器から第1及び第2のチャンバ内へ流入できるように、容器と第1及び第2のチャンバとの間に配置された共通グリース流路と、本体に接続されたアクチュエータであって、グリースが共通グリース流路を通って流れることができる後退位置と、グリースが共通グリース流路を通って流れることが制限される係合位置と、の間で移動することができ、係合位置と後退位置との間で移動した場合に第1のピストン及び第2のピストンの往復運動を発生させるよう構成されている、アクチュエータと、第1及び第2のチャンバに流体的に接続され、グリースをグリースガンから放出することを可能とするグリース出口と、を備える。電池式グリースガンは更に、感圧スプール、バイパス弁、又はギャップに基づくバイパスの形態である高圧/高流量スイッチを含み得る。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリースを貯蔵するよう構成された容器に接続することができ、内部に第1及び第2の細長いチャンバを画定する本体であって、前記第1のチャンバは第1の軸に沿って延出し、前記第2のチャンバは第2の軸に沿って延出し、前記第1の軸は前記第2の軸から離隔し、前記第2のチャンバは前記第1のチャンバよりも小さい断面積を有する、本体と、
第1及び第2のピストンであって、前記第1のピストンは前記第1のチャンバ内で前記第1の軸に沿って往復運動するよう構成され、前記第2のピストンは前記第2のチャンバ内で前記第2の軸に沿って往復運動するよう構成され、前記第2のピストンは前記第1のピストンよりも小さい断面積を有する、第1及び第2のピストンと、
前記グリースが前記容器から前記第1及び第2のチャンバ内へ流入できるように、前記容器と前記第1及び第2のチャンバとの間に配置された共通グリース流路と、
前記本体に接続されたアクチュエータであって、グリースが前記共通グリース流路を通って流れることができる後退位置と、グリースが前記共通グリース流路を通って流れることが制限される係合位置との間で移動することができ、前記係合位置と前記後退位置との間で移動した場合に前記第1のピストン及び前記第2のピストンの往復運動を発生させるよう構成されている、アクチュエータと、
前記第1及び第2のチャンバに流体的に接続され、グリースを前記グリースガンから放出することを可能とするグリース出口と、
を備える、電池式グリースガン。
【請求項2】
前記グリース出口は、前記第1のチャンバに接続された第3のチャンバ及び前記第2のチャンバに接続された第4のチャンバを介して前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに流体的に接続されている、請求項1に記載のグリースガン。
【請求項3】
前記第1のチャンバは、第1のグリース流路を介して前記第3のチャンバに接続されている、請求項2に記載のグリースガン。
【請求項4】
前記第1のチャンバから前記第1のグリース流路を介した前記第3のチャンバ内へのグリースの流れを可能とする、前記第1のグリース流路内に配置された第1の逆流防止弁を更に備える、請求項3に記載のグリースガン。
【請求項5】
前記第2のチャンバは、第2のグリース流路を介して前記第4のチャンバに接続されている、請求項2から4のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項6】
前記第2のチャンバから前記第2のグリース流路を介した前記第4のチャンバ内へのグリースの流れを可能とする、前記第2のグリース流路内に配置された第2の逆流防止弁を更に備える、請求項5に記載のグリースガン。
【請求項7】
前記第3のチャンバ及び前記第4のチャンバ及び前記グリース出口の間に出口空洞を更に備える、請求項2から6のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項8】
前記本体に接続され、前記共通グリース流路と流体連通している前記容器を更に備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記係合位置と前記後退位置との間で移動した場合に前記第1及び第2のピストンを同位相で往復運動させるように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項10】
前記第1及び第2のピストンに接続されて前記第1及び第2のピストンを同位相に維持するリンクを更に備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記第1の軸に垂直である中心軸を中心とした回転移動のため前記本体に接続されている、請求項10に記載のグリースガン。
【請求項12】
前記アクチュエータは、更にカム部材を備える、請求項11に記載のグリースガン。
【請求項13】
前記アクチュエータの回転移動によって前記リンクの往復運動が生じるように、前記リンクは、前記カム部材と係合可能であるカム表面を有する開口を含む、請求項10に記載のグリースガン。
【請求項14】
前記アクチュエータは、モータによって動作可能である、請求項1から13のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項15】
前記モータは、電池駆動式である、請求項14に記載のグリースガン。
【請求項16】
前記出口は、ノズルを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項17】
前記ノズルは、中心軸を有し、
前記ノズルの前記中心軸は、前記第1及び第2の軸に対して垂直である、請求項16に記載のグリースガン。
【請求項18】
前記本体は更に、
第3の軸に沿って延出する第1のスプール流路と、
前記第1のスプール流路内で開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるスプールと、
前記第1のスプール流路を介して前記第1のチャンバ及び前記容器と流体連通しているバイパス流路と、を備え、
前記スプールは、前記開放位置にある場合に前記第1のチャンバからのグリースの流出を可能とし、前記閉鎖位置にある場合に前記第1のチャンバからのグリースの流出を制限する、請求項1から17のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項19】
使用中、前記スプールは、前記開放位置にある場合に前記第1のチャンバから前記容器内へのグリースの流入を可能とし、前記閉鎖位置にある場合に前記第1のチャンバから前記容器内へのグリースの流入を可能とする、請求項18に記載のグリースガン。
【請求項20】
前記スプール流路の第1の端部に配置され、前記第3のチャンバと流体連通している圧力流路と、
前記スプール流路の第2の端部に配置され、前記スプールを前記閉鎖位置の方へ付勢するよう構成された付勢手段と、を更に備え、
前記第3のチャンバ内の圧力が増大すると前記圧力流路内の圧力が増大し、結果として前記第1の流路の第1の端部の圧力が増大し、これによって前記スプールが前記付勢手段に対して押し付けられる、請求項18又は19に記載のグリースガン。
【請求項21】
前記第1の流路の前記第1の端部が所定の圧力レベルである場合、前記スプールは、前記開放位置の方へ移動するように構成されている、請求項18から20のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項22】
前記バイパス流路は、前記第1のチャンバと前記スプール流路との間に配置された一次バイパス流路と、前記スプール流路と前記容器との間に配置された二次バイパス流路と、を含む、請求項18から21のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項23】
前記一次バイパス流路は、一次バイパス流路軸に沿って延出し、
前記二次バイパス流路は、二次バイパス流路軸に沿って延出し、前記一次バイパス流路軸は前記スプール流路に対して前記二次バイパス流路軸からずれている、請求項22に記載のグリースガン。
【請求項24】
前記一次バイパス流路軸は、前記二次バイパス流路軸に対して実質的に垂直であると共に前記二次グリース流路軸から離隔している、請求項23に記載のグリースガン。
【請求項25】
前記スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記一次バイパス流路から前記スプール流路を経由して前記二次バイパス流路内へ流入できるように、前記スプール流路は、前記一次及び二次バイパス流路に接続されると共に前記一次及び二次バイパス流路間に配置されている、請求項23又は24に記載のグリースガン。
【請求項26】
前記スプールは、
第1の環状リングと、
前記第1の環状リングから離隔した第2の環状リングと、
前記第1及び第2の環状リング間に配置され、前記第1及び第2の環状リングによって画定された中央部と、を備え、
前記スプールの前記中央部は、前記スプール流路の直径並びに前記第1及び第2の環状リングの直径よりも小さい直径を有し、
前記スプールの前記中央部と前記スプール流路の壁との間に配置されたエリアは、連通流路を形成し、
前記スプールが前記開放位置にあるか又は前記閉鎖位置にあるかにかかわらず、前記連通流路は、前記一次バイパス流路と流体連通している、請求項18から25のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項27】
前記スプールが前記閉鎖位置にある場合、前記連通流路は、前記二次バイパス流路に隣接して位置しておらず、これによって前記スプール流路から前記二次バイパス流路内へのグリースの流入を制限する、請求項26に記載のグリースガン。
【請求項28】
前記スプールが前記開放位置にある場合、前記連通流路は、前記二次バイパス流路に隣接して位置しており、これによって前記二次バイパス流路内へのグリースの流入を可能とする、請求項26又は27に記載のグリースガン。
【請求項29】
前記スプールは、前記スプールを貫通する空洞を含み、
前記空洞は、前記スプールの前記中央部に配置されて、グリースが前記スプールの前記中央部を通って流れて前記連通流路を充填することを可能とする、請求項26から28のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項30】
前記第1のグリース流路内に配置され、開放構成及び閉鎖構成を有する第1のバイパス弁を更に備え、
前記第1のバイパス弁が前記開放構成である場合、グリースは、前記第1のチャンバから前記第3のチャンバ内へ流入することができ、
前記第1のバイパス弁が前記閉鎖構成である場合、グリースは、前記第1のチャンバから前記第3のチャンバ内へ流れることが制限され、
前記第1のバイパス弁は、前記第1のチャンバ内の圧力が前記第3のチャンバ内の圧力より小さい場合は前記閉鎖構成になるよう構成され、前記第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の前記圧力より大きい場合は前記開放構成になるよう構成されている、請求項1から17のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項31】
前記第1のチャンバは、第1の直径を有し、
前記第1のピストンは、第2の直径を有し、
前記第1のチャンバと前記第1のピストンとの間に半径方向ギャップが形成されるように、前記第2の直径は、前記第1の直径より小さく、
前記第1のチャンバ内の圧力が所定のレベルに達した場合、前記第1のピストンが前記後退位置から前記係合位置へ往復運動すると、グリースは、前記第1のチャンバ内の前記半径方向ギャップに沿って前記共通グリース流路内へ押し込まれる、請求項1から17のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項32】
前記第2のチャンバは、第3の直径を有し、
前記第2のピストンは、第4の直径を有し、
前記第3の直径及び前記第4の直径の大きさは、グリースが前記第2のチャンバと前記第2のピストンとの間から前記共通グリース流路内へ流入するのが制限されるように設定される、請求項31に記載のグリース。
【請求項33】
前記容器上の対応する係合手段に取り付けるための、前記グリースガンの前記本体上の係合手段を更に備える、請求項1から32のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項34】
前記係合手段は、外側環及び内側環を備え、
前記外側環は、前記内側環が前記容器を前記グリースガンの前記本体に固定することができる係止位置と、前記容器を前記本体から取り外すことができる係止解除位置と、の間で、前記内側環上で軸方向に移動可能である、請求項33に記載のグリースガン。
【請求項35】
前記内側環は、環係止ボールを収容する環ボール溝を備え、
前記環係止ボールは、前記容器上の対応する溝と係合可能である、請求項34に記載のグリースガン。
【請求項36】
前記係止位置において、前記環ボール溝の前記環係止ボールが前記容器上の前記対応する溝と係合することによって、前記容器は、前記本体に保持される、請求項35に記載のグリースガン。
【請求項37】
前記環係止ボールは、前記容器上の前記対応する溝と係合可能である前記環ボール溝内の係合位置と、前記容器上の前記対応する溝と係合可能でない前記環ボール溝内の係合解除位置と、を有する、請求項36に記載のグリースガン。
【請求項38】
前記環係止ボールは、前記外側環が前記内側環上で前記環ボール溝に隣接した位置に配置されている場合は前記係合位置であり、前記外側環が前記内側環上で前記環ボール溝に隣接していない位置に配置されている場合は前記係合解除位置である、請求項37に記載のグリースガン。
【請求項39】
前記外側環は、更にタブを含む、請求項34から38のいずれかに記載のグリースガン。
【請求項40】
前記外側環は、前記タブの回転によって前記係止位置と前記係止解除位置との間で移動可能である、請求項39に記載のグリースガン。
【請求項41】
前記第1のチャンバを前記筒に流体的に接続する第1の圧力除去流路と、
前記第1の圧力除去流路内に配置された第1の圧力除去弁であって、前記第1のチャンバ内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって前記第1のチャンバから前記筒へグリースが流れることを可能とするよう構成された、第1の圧力除去弁と、
を更に備える、請求項1から40のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項42】
前記第1の圧力除去流路から離隔された第1の監視流路と、
前記第1の監視流路を前記第1の圧力除去流路に流体的に接続する接続流路と、
前記第1の監視流路内に配置され、前記第1の監視流路内で前記第1の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第1の監視スプールであって、前記第1の監視スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記第1のチャンバから前記接続流路を介して前記油筒へ流れることができる、第1の監視スプールと、
を更に備える、請求項41に記載のグリースガン。
【請求項43】
前記第1の監視スプールに搭載された第1の磁石と、
前記磁石に隣接して配置された近接センサであって、前記磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている、近接センサと、
を更に備える、請求項42に記載のグリースガン。
【請求項44】
前記出口を前記筒に流体的に接続する第2の圧力除去流路と、
前記第2の圧力除去流路内に配置された第2の圧力除去弁であって、前記出口内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって前記出口から前記筒へグリースが流れることを可能とするよう構成された、第2の圧力除去弁と、
を更に備える、請求項1から43のいずれか1項に記載のグリースガン。
【請求項45】
前記第2の圧力除去流路から離隔された第2の監視流路と、
前記第2の監視流路を前記第2の圧力除去流路に流体的に接続する第2の接続流路と、
前記第2の監視流路内に配置され、前記第2の監視流路内で前記第2の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第2の監視スプールであって、前記第2の監視スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記出口から前記第2の接続流路を介して前記油筒へ流れることができる、第2の監視スプールと、
を更に備える、請求項44に記載のグリースガン。
【請求項46】
前記第2の監視スプールに搭載された第2の磁石と、
前記第2の磁石に隣接して配置された第2の近接センサであって、前記第2の磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている、第2の近接センサと、
を更に備える、請求項45に記載のグリースガン。
【請求項47】
前記第1及び第2の近接センサによって発生した前記信号を受信するように構成されたコントローラであって、前記第1及び第2の近接センサによって発生した前記信号に応じて前記グリースガンに関する情報を決定するように構成されている、コントローラと、
前記決定された情報を表示するように構成されたLCDと、
を更に備える、請求項43に従属する場合の請求項44から46のいずれかに記載のグリースガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示はグリースガンに関し、特に電池式グリースガンに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] グリースガンは、様々な業界において、車両やその他の機械の潤滑のため用いられる。これらのグリースガンは一般に、(取り付けられた筒部又は外部源からの)グリース供給部と、対応する機械に塗布するため圧力下で出口からグリースを押し出すピストンと、を含む。グリースガンは、2つの主なタイプ、すなわち手動グリースガンと動力補助グリースガン(電池式、空気圧式、及び電気駆動式グリースガンを含む)に分けることができる。
【0003】
[0003] 車両又は機械にグリースを塗る場合、しばしばグリース閉塞箇所が発生して高いグリース圧力を生じることがある。高いグリース圧力の一般的な原因には、管継手の閉塞、長くて蛇行した及び/又は狭いグリース流路、スムーズに流れない濃いグリースが挙げられる。これまで、閉塞を除去するためグリースに追加の圧力を提供することができるシステムが開発されてきた。いくつかのシステムは、外部電源を用いてこの追加の圧力を提供する。しかしながら、これは費用が高く扱いにくい可能性がある。
【0004】
[0004] 高容量/低圧モードと低用量/高圧モードとの間で移動できる手動グリースガンが開発されている。こういったシステムでは、ユーザが手作業でこれら2つのモードを切り替える必要がある。更に最近では、閉塞に起因した圧力増大が検出されると自動的にグリースガンを低用量/高圧モードに切り替えることができるシステムが開発されている。
【0005】
[0005] 既存の電池式グリースガンは、それらよりも複雑でない。ほとんどは、高流量(ガンを遮断(block)せず流出量を最大化する場合に有利である)と高圧(ガンを遮断させて閉塞を除去する場合)との間の妥協点に達するよう設計された単一のプランジャポンピング機構を特徴とする。この妥協点は、システムに動力を供給するため用いられる電池の容量の固有の限界によっても決定され、この限界は高圧及び高容量システムを供給する能力を限定する。グリースガンは、この妥協点の位置に置かれることによって、最大流量と最大閉塞除去の双方に対して限定される。
【0006】
[0006] 知識の文献、行為、又は項目が言及されるか又は検討されるこの明細書において、この言及又は検討は、知識の文献、行為、又は項目、又はそれらの任意の組み合わせが、優先日において、公的に利用可能であること、一般に既知であること、一般常識の一部であること、又は、本明細書に関するいずれかの問題を解決しようとする試みに関連することが既知であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本明細書に開示されるグリースガンの目的は、従来技術のグリースガン、特に従来技術の電池式グリースガンに勝る利点を提供すること、又は少なくともその有用な代替案を提供することである。
【0008】
[0008] 本明細書に開示されるのは、電池式グリースガンである。この電池式グリースガンは、グリースを貯蔵するよう構成された容器に接続することができ、内部に第1及び第2の細長いチャンバを画定する本体であって、第1のチャンバは第1の軸に沿って延出し、第2のチャンバは第2の軸に沿って延出し、第1の軸は第2の軸から離隔し、第2のチャンバは第1のチャンバよりも小さい断面積を有する、本体と、第1及び第2のピストンであって、第1のピストンは第1のチャンバ内で第1の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第2のチャンバ内で第2の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第1のピストンよりも小さい断面積を有する、第1及び第2のピストンと、グリースが容器から第1及び第2のチャンバ内へ流入できるように容器と第1及び第2のチャンバとの間に配置された共通グリース流路と、本体に接続されたアクチュエータであって、グリースが共通グリース流路を通って流れることができる後退位置と、グリースが共通グリース流路を通って流れることが制限される係合位置との間で移動することができ、係合位置と後退位置との間で移動した場合に第1のピストン及び第2のピストンの往復運動を発生させるよう構成されている、アクチュエータと、第1及び第2のチャンバに流体的に接続され、グリースをグリースガンから放出することを可能とするグリース出口と、を備える。
【0009】
[0009] いくつかの形態において、グリース出口は、第1のチャンバに接続された第3のチャンバ及び第2のチャンバに接続された第4のチャンバを介して第1のチャンバ及び第2のチャンバに流体的に接続されている。
【0010】
[0010] いくつかの形態において、第1のチャンバは第1のグリース流路を介して第3のチャンバに接続されている。
【0011】
[0011] いくつかの形態において、グリースガンは、第1のグリース流路内に配置された第1の逆流防止弁を更に備える。第1の逆流防止弁によって、グリースは第1のチャンバから第1のグリース流路を介して第3のチャンバ内へ流れることができる。好ましくは、第1の逆流防止弁はグリースが第3のチャンバから第1のチャンバへ流れることを制限する。更に好ましくは、第1の逆流防止弁はグリースが第3のチャンバから第1のチャンバへ流れることを防止する。
【0012】
[0012] いくつかの形態において、第2のチャンバは第2のグリース流路を介して第4のチャンバに接続されている。
【0013】
[0013] いくつかの形態において、グリースガンは、第2のグリース流路内に配置された第2の逆流防止弁を更に備える。第2の逆流防止弁によって、グリースは第2のチャンバから第2のグリース流路を介して第4のチャンバ内へ流れることができる。好ましくは、第2の逆流防止弁はグリースが第4のチャンバから第2のチャンバへ流れることを制限する。更に好ましくは、第2の逆流防止弁はグリースが第4のチャンバから第2のチャンバへ流れることを防止する。
【0014】
[0014] いくつかの形態において、グリースガンは、第3のチャンバ及び第4のチャンバ及びグリース出口の間に出口空洞を更に備える。
【0015】
[0015] いくつかの形態において、グリースガンは、本体に接続され、共通グリース流路と流体連通している容器を更に備える。
【0016】
[0016] いくつかの形態において、アクチュエータは、係合位置と後退位置との間で移動した場合に第1及び第2のピストンを同位相で往復運動させるように構成されている。
【0017】
[0017] いくつかの形態において、グリースガンは、第1及び第2のピストンに接続されて第1及び第2のピストンを同位相に維持するリンクを更に備える。好ましくは、アクチュエータは、第1の軸に垂直である中心軸を中心とした回転移動のため本体に接続されている。好ましくは、アクチュエータは更にカム部材を備える。好ましくは、アクチュエータの回転移動によってリンクの往復運動が生じるように、リンクは、カム部材と係合可能であるカム表面を有する開口を含む。
【0018】
[0018] いくつかの形態において、アクチュエータはモータによって動作可能である。好ましくは、モータは電池駆動式である。
【0019】
[0019] いくつかの形態において、出口はノズルを含む。好ましくは、ノズルは中心軸を有し、ノズルの中心軸は第1及び第2の軸に対して垂直である。
【0020】
[0020] また、本明細書で開示されるグリースガンは、第3の軸に沿って延出する第1のスプール流路と、第1のスプール流路内で開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるスプールと、第1のスプール流路を介して第1のチャンバ及び容器と流体連通しているバイパス流路と、を更に備え、スプールは開放位置にある場合に第1のチャンバから油筒へのグリースの流出を可能とし、閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから油筒へのグリースの流出を制限する。
【0021】
[0021] いくつかの形態では、使用中、スプールは開放位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を可能とし、閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を制限する。好ましくは、スプールは閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を防止する。
【0022】
[0022] また、本明細書に開示されるグリースガンは、スプール流路の第1の端部に配置され、出口チャンバと流体連通している圧力流路と、スプール流路の第2の端部に配置され、スプールを閉鎖位置の方へ付勢するよう構成された第3の付勢手段と、を更に備え、出口チャンバ内の圧力が増大すると圧力流路内の圧力が増大し、結果として第1の流路の第1の端部の圧力が増大し、これによってスプールが第3の付勢手段に対して押し付けられる。好ましくは、第1の流路の第1の端部が所定の圧力レベルである場合、スプールは開放位置の方へ移動するように構成されている。
【0023】
[0023] いくつかの形態において、バイパス流路は、第1のチャンバとスプール流路との間に配置された一次バイパス流路、及び、スプール流路と容器との間に配置された二次バイパス流路を含む。好ましくは、一次バイパス流路は一次バイパス流路軸に沿って延出し、二次バイパス流路は二次バイパス流路軸に沿って延出し、一次バイパス流路軸はスプール流路に対して二次バイパス流路軸からずれている。更に好ましくは、一次バイパス流路軸は二次バイパス流路軸に対して実質的に垂直であると共に二次グリース流路軸から離隔している。
【0024】
[0024] いくつかの形態では、スプールが開放位置にある場合にグリースが一次バイパス流路からスプール流路を経由して二次バイパス流路内へ流入できるように、スプール流路は一次及び二次バイパス流路に接続されると共に一次及び二次バイパス流路間に配置されている。
【0025】
[0025] いくつかの形態において、スプールは、第1の環状リングと、この第1の環状リングから離隔した第2の環状リングと、第1及び第2の環状リング間に配置され、第1及び第2の環状リングによって画定された中央部と、を備え、スプールの中央部はスプール流路の直径並びに第1及び第2の環状リングの直径よりも小さい直径を有し、スプールの中央部とスプール流路の壁との間に配置されたエリアは連通流路を形成し、スプールが開放位置にあるか又は閉鎖位置にあるかにかかわらず連通流路は一次バイパス流路と流体連通している。
【0026】
[0026] いくつかの形態において、スプールはこのスプールを貫通する空洞を含み、空洞はスプールの中央部に配置されて、グリースがスプールの中央部を通って流れて連通流路を充填することを可能とする。
【0027】
[0027] いくつかの形態では、スプールが閉鎖位置にある場合、連通流路は二次バイパス流路に隣接して位置しておらず、これによってスプール流路から二次バイパス流路内へのグリースの流入を制限し、スプールが開放位置にある場合、連通流路は二次バイパス流路に隣接して位置しており、これによって二次バイパス流路内へのグリースの流入を可能とする。
【0028】
[0028] また、本明細書に開示されるグリースガンは、第1のグリース流路内に配置され、開放構成及び閉鎖構成を有する第1のバイパス弁を更に備え、第1のバイパス弁が開放構成である場合、グリースは第1のチャンバから第3のチャンバ内へ流入することができ、第1のバイパス弁が閉鎖構成である場合、グリースは第1のチャンバから第3のチャンバ内へ流れることが制限され、第1のバイパス弁は、第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の圧力より小さい場合は閉鎖構成になるよう構成され、第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の圧力より大きい場合は開放構成になるよう構成されている。
【0029】
[0029] また、本明細書に開示されるグリースガンにおいて、第1のチャンバは第1の直径を有し、第1のピストンは第2の直径を有し、第1のチャンバと第1のピストンとの間に半径方向ギャップが形成されるように第2の直径は第1の直径より小さく、第1のチャンバ内の圧力が所定のレベルに達した場合、第1のピストンが後退位置から係合位置へ往復運動すると、グリースは第1のチャンバ内の半径方向ギャップに沿って共通グリース流路内へ押し込まれる。
【0030】
[0030] いくつかの形態において、第2のチャンバは第3の直径を有し、第2のピストンは第4の直径を有し、第3の直径及び第4の直径の大きさは、グリースが第2のチャンバと第2のピストンとの間から共通グリース流路内へ流入するのが制限されるように設定される。
【0031】
[0031] また、本明細書に開示されるグリースガンは、容器上の対応する係合手段に取り付けるための、グリースガンの本体上の係合手段を更に備える。
【0032】
[0032] いくつかの形態において、係合手段は外側環及び内側環を備え、外側環は、内側環が容器をグリースガンの本体に固定することができる係止位置と、容器を本体から取り外すことができる係止解除位置と、の間で内側環上で軸方向に移動可能である。好ましくは、内側環は環係止ボールを収容する環ボール溝を備え、環係止ボールは容器上の対応する溝と係合可能である。好ましくは、係止位置において、環ボール溝の環係止ボールが容器上の対応する溝と係合することによって容器は本体に保持される。好ましくは、環係止ボールは、容器上の対応する溝と係合可能である環ボール溝内の係合位置と、容器上の対応する溝と係合可能でない環ボール溝内の係合解除位置と、を有する。好ましくは、環係止ボールは、外側環が内側環上で環ボール溝に隣接した位置に配置されている場合は係合位置であり、外側環が内側環上で環ボール溝に隣接していない位置に配置されている場合は係合解除位置である。
【0033】
[0033] いくつかの形態において、外側環は更にタブを含む。好ましくは、外側環は、タブの回転によって係止位置と係止解除位置との間で移動可能である。
【0034】
[0034] いくつかの形態において、グリースガンは、第1のチャンバを筒に流体的に接続する第1の圧力除去流路と、第1の圧力除去流路内に配置された第1の圧力除去弁であって、第1のチャンバ内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって第1のチャンバから筒へグリースが流れることを可能とするよう構成された第1の圧力除去弁と、を更に備え得る。
【0035】
[0035] いくつかの形態において、グリースガンは、第1の圧力除去流路から離隔された第1の監視流路と、第1の監視流路を第1の圧力除去流路に流体的に接続する接続流路と、第1の監視流路内に配置され、第1の監視流路内で第1の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第1の監視スプールであって、第1の監視スプールが開放位置にある場合にグリースが第1のチャンバから接続流路を介して油筒へ流れることができる、第1の監視スプールと、を更に備え得る。
【0036】
[0036] いくつかの形態において、グリースガンは、第1の監視スプールに搭載された第1の磁石と、磁石に隣接して配置された近接センサであって、磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている近接センサと、を更に備え得る。
【0037】
[0037] いくつかの形態において、グリースガンは、出口を筒に流体的に接続する第2の圧力除去流路と、第2の圧力除去流路内に配置された第2の圧力除去弁であって、出口内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって出口から筒へグリースが流れることを可能とするよう構成された第2の圧力除去弁と、を更に備え得る。
【0038】
[0038] いくつかの形態において、グリースガンは、第2の圧力除去流路から離隔された第2の監視流路と、第2の監視流路を第2の圧力除去流路に流体的に接続する第2の接続流路と、第2の監視流路内に配置され、第2の監視流路内で第2の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第2の監視スプールであって、第2の監視スプールが開放位置にある場合にグリースが出口から第2の接続流路を介して油筒へ流れることができる、第2の監視スプールと、を更に備え得る。
【0039】
[0039] いくつかの形態において、グリースガンは、第2の監視スプールに搭載された第2の磁石と、第2の磁石に隣接して配置された第2の近接センサであって、第2の磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている第2の近接センサと、を更に備え得る。
【0040】
[0040] いくつかの形態において、グリースガンは、第1及び第2の近接センサによって発生した信号を受信するように構成されたコントローラであって、第1及び第2の近接センサによって発生した信号に応じてグリースガンに関する情報を決定するように構成されているコントローラと、決定された情報を表示するように構成されたLCDと、を更に備え得る。油圧スイッチのうち1つのみ(例えば、上述の第1及び第2の圧力除去弁のうち1つのみ)を含む実施形態では、コントローラは、その1つの油圧スイッチの信号を受信し、その信号に応じてグリースガンに関する情報を決定するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
[0041] これより以下の図面を参照して本開示の様々な実施形態/態様を記載する。
【0042】
図1】[0042] 本発明に従ったグリースガンの画像である。
図2】[0043] ピストンが横並び構成であり、高流量/高圧スイッチがバイパス弁の形態をとり、第1のピストンが後退位置で示されている、図1のグリースガンの第1の実施形態の側断面図である。
図3】[0044] 第2のピストンが後退位置で示されている第1の実施形態の側断面図である。
図4】[0045] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第1の実施形態の上方からの断面図である。
図5】[0046] 第1及び第2のピストンが係合位置で示されている第1の実施形態の上方からの断面図である。
図6】[0047] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチがバイパス弁の形態をとり、ピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第2の実施形態の側断面図である。
図7】[0048] 第1及び第2のピストンが部分的係合位置で示されている第2の実施形態の側断面図である。
図8】[0049] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第2の実施形態の側断面図である。
図9】[0050] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチが圧力駆動スプールの形態をとり、第1及び第2のピストンが後退位置で、スプールが閉鎖位置で示されている、図1のグリースガンの第3の実施形態の上方からの断面図である。
図10】[0051] スプールが閉鎖位置で示されている第3の実施形態の側断面図である。
図11】[0052] 第1及び第2のピストンが後退位置で、スプールが開放位置で示されている、第3の実施形態の上方からの断面図である。
図12】[0053] スプールが開放位置で示されている第3の実施形態の側断面図である。
図13】[0054] スプールが閉鎖位置で示されている第3の実施形態のスプールの側断面図である。
図14】[0055] スプールが開放位置で示されている第3の実施形態のスプールの側断面図である。
図15】[0056] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチがギャップに基づくバイパスの形態をとり、第1及び第2のピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第4の実施形態の側断面図である。
図16】[0057] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第4の実施形態の側断面図である。
図17】[0058] ピストンが横並び構成であり、高流量/高圧スイッチがギャップに基づくバイパスの形態をとり、第1及び第2のピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第5の実施形態の水平断面図である。
図18】[0059] 図1のグリースガンの側断面図である。
図19】[0060] 係止位置にある簡易着脱筒機構を示す、請求項1のグリースガンの断面図である。
図20】[0061] 係止位置にある図19の簡易着脱筒機構の側面図である。
図21】[0062] 図20の簡易着脱筒機構の断面図である。
図22】[0063] 係止解除位置にある簡易着脱筒機構を示す、請求項1のグリースガンの断面図である。
図23】[0064] 係止解除位置にある図22の簡易着脱筒機構の側面図である。
図24】[0065] 図23の簡易着脱筒機構の断面図である。
図25】[0066] グリースガンの別の実施形態の断面図である。
図26】[0067] 第1の油圧スイッチ及び第1の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの断面図である。
図27】[0068] 第1の油圧スイッチ及び第1の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図28】[0069] 第1の油圧切り替え機構及び第1の近接センサの拡大図を示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図29】[0070] 第2の油圧スイッチ及び第2の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図30】[0071] 第2の油圧スイッチ及び第2の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図31】[0072] グリースガンの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0073] これより図1から図30を参照してグリースガンについて記載する。
【0044】
[0074] 本明細書に開示されるのは、図1で示されているような電池式グリースガン1である。図2で示されているように、グリースガン1は、クランクホイール2の形態であるアクチュエータ、及び本体3を含む。使用中、本体3は、油筒4の形態である容器に接続されている。油筒4は、標準的なグリースカートリッジ又はグリース源からの大量充填(bulk filled)によって充填するよう設計されている。グリースカートリッジを使用している場合に油筒4が空になったら、油筒4を本体3から外してカートリッジにアクセスしてこれを取り替える。あるいは、大量充填の場合に油筒4が空になったら、補充用の充填器/ブリーダ(bleeder)5を介してグリース源に接続することができる(例えば図2及び図4を参照のこと)。
【0045】
[0075] 本体3は、第1の細長いチャンバ6(図2に示されている)及び第2の細長いチャンバ7(図3に示されている)を含む。第2のチャンバ7は、第1のチャンバ6の断面積に比べて小さい断面積を有し、従って第1のチャンバ6よりも少ない容量のグリースを保持するよう構成されている。詳細な実施形態において、第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7は断面積が円形であり、第2のチャンバ7の直径は第1のチャンバ6の直径よりも小さい。第1のチャンバ6は第1の軸Aに沿って延出し、第2のチャンバ7は第2の軸Bに沿って延出し、これらの軸は離隔している。図4に示されている実施形態では、第1の軸A及び第2の軸Bは相互に対して実質的に平行である。第1のチャンバ6内で、第1のピストン8は第1の軸Aに沿って移動する(例えば平行移動する、往復運動する)ように移動可能である。第2のチャンバ7内で、第2のピストン9は第2の軸Bに沿って移動する(例えば平行移動する、往復運動する)ように移動可能である。当業者には認められるであろうが、これらのピストンをクランクホイール2によって同位相で作動できるならば、代替的な実施形態(図示せず)では軸1及びBは相互に平行でなくてもよい。
【0046】
[0076] 第1のピストン8及び第2のピストン9は、図4及び図5で示されているように横並び構成において同一水平面内に配置されるか、又は図6から図8で示されているように上下構成において同一垂直面内に配置され得る。これらの構成は、システムの動作に異なる利点を与える。例えば、図4及び図5で示されている横並び構成は、ガン本体の小型化に関してコンパクトで費用対効果の高い設計を提供する。図6から図8で示されている上下構成は、例えば、クランク及びピストンの側方負荷のバランスを改善することで、この機構の長寿命を保証する。
【0047】
[0077] 第1のピストン8及び第2のピストン9は一端がリンク10に固定されている。第1のピストン8及び第2のピストン9をリンク10に固定することで、各ピストンを相互に固定された関係に保持して、各ピストンが同位相で往復運動するようになっている。図4及び図5に示されている位置では、第1のピストン8及び第2のピストン9は横並び構成でリンク10に固定されている。図6から図8に示されている位置では、第1のピストン8は第2のピストン9の下方でリンク10に固定されている。リンクの両側に側方ガイド47が配置されて、側方負荷を受けると共に、リンクが2つのピストン上の完全に軸方向の負荷を解放することを可能とする。詳細な実施形態において、側方ガイド47は耐摩耗性の高い材料で作製される。
【0048】
[0078] リンク10は開口11を含む。クランクホイール2にはカム12が取り付けられている。クランクホイール2が移動すると、カム12はクランクホイール2のエッジに沿って円形移動するように回転する。カム12は開口11内に挿入されている。この移動中、カム12は開口11内で、第1の軸Aに対して実質的に垂直な方向に進む。開口11内でのカム12の移動によって、クランクホイール2の回転移動はリンク10の平行移動に変換され、その結果、第1のピストン8及び第2のピストン9はそれぞれ第1の軸A及び第2の軸Bに沿って平行移動する。このようにして第1のピストン8及び第2のピストン9は、クランクホイール2によって、完全に係合した位置(例えば図6に示されている)から部分的に係合した位置(例えば図7に示されている)を介して完全に後退した位置(例えば図8に示されている)まで連続的に往復運動する。クランクホイール2の係合位置すなわち延出位置は、第1及び第2のピストンの延出位置に相当する。クランクホイール2の後退位置すなわち係合解除位置は、第1及び第2のピストンの後退位置に相当する。クランクホイール2の部分的に係合した位置すなわち部分的に延出した位置は、第1及び第2のピストンの部分的に延出した位置に相当する(例えば、ピストンは一方向又は他方向に平行移動している途中である)。
【0049】
[0079] クランクホイール2の移動はモータ37によって駆動される。モータ37は、例えば電気18VDCモータ、12VDCモータ、21VDCモータ、又は24VDCモータとすればよい。当業者には認められるであろうが、他のモータが適している場合もある。モータ37は電池38によって動力が供給される。電池は、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、又はニッケルカドミウム電池とすればよい。好ましくは、電池は再充電可能なものである。当業者には認められるであろうが、他の電池が適している場合もある。
【0050】
[0080] 第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7は相互に流体的に接続され、また、共通グリース流路13を介して油筒4に流体的に接続されている。第1のピストン8及び第2のピストン9は、後退位置にある場合、それぞれ第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内で、油筒4から共通グリース流路13を介した第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7へのグリースの流れを阻止しないように位置付けられる。第1のピストン8及び第2のピストン9は、後退位置から中間位置へ移動すると、それぞれ第1のチャンバ6内で第1の軸Aに沿って、また第2のチャンバ7内で第2の軸Bに沿って前進することで、共通グリース流路13を徐々に遮り、最終的にはこれを閉鎖する。
【0051】
[0081] 図6から図8に示されている上下構成では、共通グリース流路13は2つのピストンの下方に位置し、その中央部が同一垂直面上にある。このため、油筒4からのグリースは第2のチャンバ7より前に第1のチャンバ6に到達してこれに供給される。図2から図5に示されている横並び構成では、共通グリース流路13は2つのピストンの下方で対称的に配置され、油筒4からのグリースが第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7に同時に到達してこれらに供給されるようになっている。
【0052】
[0082] 第1のピストン8にはポジティブシール(positive seal)8Aが取り付けられ、第1のチャンバ6と液密係合を形成する。第2のピストン9にはポジティブシール9Aが取り付けられ、第2のチャンバ7と液密係合を形成する。いくつかの形態では、これらのポジティブシールはOリングの形態であるが、例えば、予備リング付きのOリング、Xリング、ロッドシール、リップシール等、他の形態をとってもよい。
【0053】
[0083] 図2及び図3で示されているように、本体3は第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15を含む。第3のチャンバ14は、第1のグリース流路16を介して第1のチャンバ6と流体的に接続されている。第1のグリース流路16は、詳細な実施形態においてばね式逆流防止弁17として示されている逆流防止弁を含む。逆流防止弁17は、デフォルトでは閉鎖しており、第1のチャンバ6内のグリースがばねの付勢力を克服するのに充分な圧力を逆流防止弁17に加えた場合にのみ開く。第1のピストン8が第1のチャンバ6内で第1の軸Aに沿って更に移動し、容積が小さくなった結果として第1のチャンバ6内のグリースに加わる圧力が増大すると、逆流防止弁17が開き、グリースは第1のチャンバ6から第3のチャンバ14内へ移動することができる。逆流防止弁17は、第1のチャンバ6から第1のグリース流路16を介した第3のチャンバ14内へのグリースの流入を可能とするが、第3のチャンバ14から第1のチャンバ6内へのグリースの逆流を制限する。詳細な実施形態では、逆流防止弁17は第3のチャンバ14から第1のチャンバ6内へのグリースの逆流を防止する。
【0054】
[0084] 第4のチャンバ15は、第2のグリース流路18を介して第2のチャンバ7と流体的に接続されている。第2のグリース流路18は、詳細な実施形態においてばね式逆流防止弁19として示されている逆流防止弁を含む。逆流防止弁19は、デフォルトでは閉鎖しており、第2のチャンバ7内のグリースがばねの付勢力を克服するのに充分な圧力を逆流防止弁19に加えた場合にのみ開く。第2のピストン9が第2のチャンバ7内で第2の軸Bに沿って更に移動し、容積が小さくなった結果として第2のチャンバ7内のグリースに加わる圧力が増大すると、逆流防止弁19が開き、グリースは第2のチャンバ7から第4のチャンバ15内へ移動することができる。逆流防止弁19は、第2のチャンバ7から第2のグリース流路18を介した第4のチャンバ15内へのグリースの流入を可能とするが、第4のチャンバ15から第2のチャンバ7内へのグリースの逆流を制限する。詳細な実施形態では、逆流防止弁19は第4のチャンバ15から第2のチャンバ7内へのグリースの逆流を防止する。
【0055】
[0085] 第3のチャンバ14は、第1のピストン8から遠い側の第1のチャンバ6の端部に位置付けられている。詳細な実施形態では、第3のチャンバ14は第1の軸Aに沿って配置されている。
【0056】
[0086] 第4のチャンバ15は、第2のピストン9から遠い側の第2のチャンバ7の端部に位置付けられている。詳細な実施形態では、第4のチャンバ15は第2の軸Bに沿って配置されている。
【0057】
[0087] 使用中、グリースは共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内へ流入する。第1のピストン8及び第2のピストン9が第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内でそれぞれ前進すると、第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内の圧力が増大する。第1及び第2のチャンバ内の圧力が逆流防止弁17及び19に対する圧力よりも大きくなると、逆流防止弁が開き、グリースは第1のチャンバ6から第3のチャンバ14内へ、また第2のチャンバ7から第4のチャンバ15内へ流入する。ピストンが前進するたびに、更にグリースが第3のチャンバ14内及び第4のチャンバ15内へ流入し、これらのチャンバ内の圧力が増大する。第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15の各々は出口チャンバ20に流体的に接続されている。上下構成では、出口チャンバ20は第4のチャンバ15を貫通して第3のチャンバ14内へ延出している。横並び構成では、出口チャンバ20は第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15の上方に位置し、これらに接続されている。第3のチャンバ14と第4のチャンバ15との間の流体接続によって、第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15内のグリースは出口チャンバ20内へ流入し、グリース出口21を経由してグリースガン1から出ることができる。次いでこのグリースは、特定位置の潤滑を必要とする車両又は他の機械又は同様のものの関連エリアに塗布することができる。好ましくは、グリース出口を、端部に管継手を備えたグリース管に接続して、グリースガンを車両又は他の機械に流体的に接続することを可能とする。
【0058】
高流量/高圧スイッチ
[0088] 詳細な実施形態において、本体3は、グリースガン1を高流量モードと高圧モードとの間で自動的に切り替えるための手段を含む。高流量モードでは、グリースガンは最大のグリース出力を提供する。電池式グリースガンで使用するのに適した電池が限られているので、高流量モードのグリースは比較的低い圧力でしか提供できない。車両又は同様のものへのグリース流が閉塞した場合、高流量モードの圧力はこの閉塞を除去することができない。この状況で、グリースガンは自動的に高圧モードに切り替わることができる。高圧モードでは、グリース出口21から流出するグリースの量は高流量モードでグリース出口から流出するグリースの量よりも少ないが、グリースの圧力は高いので、閉塞を除去するための高い圧力が提供される。
【0059】
[0089] 本明細書に開示されているグリースガンは、3つの異なる高流量/高圧スイッチを想定している。これらについて以下で順番に説明する。
【0060】
圧力駆動スプール
[0090] 図9から図14は本開示の高圧/高流量スイッチの第1の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、圧力駆動スプールによるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0061】
[0091] 図9から図14で示されているように、グリースガン1の本体3は、第3の軸Cに沿って延出しているスプール流路22を更に含む。スプール流路22は壁23によって画定されている。図9から図14において、第3の軸Cは第1の軸A及び第2の軸Bと平行であるが、これらの軸と平行であることは必須ではない。第3の軸Cは、第1の軸A及び第2の軸Bに対して平行から垂直までの間の任意の角度を形成し得る。スプール流路22内でスプール24は移動可能である。スプール24は、開放位置と閉鎖位置との間で移動する(例えば平行移動する)ように構成されている。
【0062】
[0092] スプール流路22の第1の端部22Aに、第3のチャンバ14と流体連通している圧力流路25がある。第3のチャンバ14内にグリースが存在する場合、このグリースの一部は圧力流路25に沿って移動する。
【0063】
[0093] スプール24は、第1の環状リング27及び第2の環状リング28(図11を参照のこと)によって画定される中央部26を有する。中央部26の直径は、スプール流路22の直径、第1の環状リング27の直径、及び第2の環状リング28の直径に比べて小さい。第1の環状リング27及び第2の環状リング28は、高圧シールが取り付けられ、スプール流路22の周囲の壁23と液密係合を形成することで、グリースが圧力流路25から中央部26内へ流入することを第1の環状リング27によって防止すると共に、グリースが中央部26外へ流出することを第1の環状リング27及び第2の環状リング28によって防止するようになっている。中央部26、第1の環状リング27、第2の環状リング28、及び壁23の間のエリアは、連通流路29を形成する。
【0064】
[0094] スプール24が開放位置(図11及び図12に示されている)にあるか、又は閉鎖位置(図9及び図10に示されている)にあるかにかかわらず、スプール24の第1の端部24Aはスプール流路22の第1の端部22Aからずれているので、圧力流路25からのグリースがスプール24の第1の端部24Aに隣接したスプール流路22の部分に流入するようになっている。
【0065】
[0095] スプール流路22の第2の端部22Bには、付勢ばね30の形態で示されている付勢手段があるが、他の付勢手段も想定される。付勢ばね30はスプール24の第2の端部24Bに隣接し、スプール24を閉鎖位置に付勢する。
【0066】
[0096] 第1のチャンバ6と油筒4との間に、一次バイパス流路31A及び二次バイパス流路31Bから構成されたバイパス流路31がある。一次バイパス流路31Aは、第1のチャンバ6とスプール流路22との間に延出して、第1のチャンバ6内にグリースが存在する場合に一次バイパス流路31Aを通って連通流路29内に流入するようになっている。二次バイパス流路31Bは、スプール流路22と油筒4との間に延出している。詳細な実施形態では、一次バイパス流路軸D及び二次バイパス流路軸Eは相互に実質的に垂直であり、スプール流路22に対して相互にずれている。グリースガン1が直立位置にある場合、一次バイパス流路軸Dは水平軸になり、二次バイパス流路軸Eは垂直軸になる。一次バイパス流路31Aに接続するスプール流路22の部分は、二次バイパス流路31Bに接続するスプール流路22の第2の部分から離隔している(例えば、ずれている)。従って、スプール流路22内へ流入する一次バイパス流路31Aからのグリースは、二次バイパス流路31B内へ流入する前にスプール流路22の長さの少なくとも一部に沿って進むはずである。
【0067】
[0097] 図10で示されているように、スプール24が閉鎖位置にある場合、連通流路29は二次バイパス流路31Bに隣接した位置にない。これは、連通流路29が二次バイパス流路31Bから離隔され、従って連通流路29と流体連通していないことを意味する。この結果、閉鎖位置では、連通流路29内のグリースは二次バイパス流路31B内へ流入しない。
【0068】
[0098] 図12で示されているように、スプール24が開放位置にある場合、連通流路29は二次バイパス流路31Bに隣接して位置付けられる。これは、連通流路29が二次バイパス流路31Bと流体連通し、連通流路29内のグリースが二次バイパス流路31B内へ、次いで油筒4内へ流入することを意味する。
【0069】
[0099] また、中央部26は空洞32を含み得る。図13及び図14で示されているように、グリースは一次バイパス流路31Aから空洞32を介して連通流路29内へ流入する。好適な実施形態において、空洞32は、一次バイパス流路31Aと同じ向きで、かつ二次バイパス流路31Bの向きと実質的に垂直に、中央部26を貫通している。図10及び図13で示されているように、スプール24が閉鎖位置にある場合、グリースは一次バイパス流路31Aに沿って流れて空洞32を介して連通流路29内へ流入できるが、二次バイパス流路31B内への流入は二次環状リング28によって妨げられる。
【0070】
[00100] 上述のように、付勢ばね30はスプール24を閉鎖位置へ付勢する。グリース閉塞箇所が存在する場合、クランクホイール2を回転させるたびに出口チャンバ20内のグリース圧力が増大する。逆流防止弁17によって、第3のチャンバ14からのグリースが第1のチャンバ6に戻ることは制限される。しかしながら、グリースが圧力流路25に沿ってスプール流路22内へ流入することは制限されない。このため、スプール流路22の第1の端部22Aとスプール24の第1の端部24Aとの間に位置するグリースには、増大した圧力が加わる。所定の圧力レベル(例えば、1000psi~3000psi、好ましくは1500psi~2500psi、最も好ましくは2000psiの量に設定されたレベル)では、この圧力による力は付勢ばね30が加える力よりも大きいので、スプール24は付勢ばね30に反して閉鎖位置から開放位置へ移動する。出口チャンバ20内のグリースからの圧力はスプール24を開放位置に維持するが、グリース出口21は閉塞したままである。
【0071】
[00101] スプール24が閉鎖位置にある場合、グリースガンは「高流量モード」で動作していると考えられる。高流量モードでは、第1のチャンバ6内に収容された全てのグリースが第3のチャンバ14へ誘導され、出口流路20内へ、次いでグリース出口21へ送出される。このモードでは、第1のピストン8及び第2のピストン9は同一の背圧を受けており、電池38によってリンク10を作動させるには、これら2つのピストンを背圧に反して前進させるのに充分な力が必要である。
【0072】
[00102] スプール24が開放位置にある場合、グリースガンは「高圧モード」で動作していると考えられる。高圧モードでは、一次バイパス流路31A及び二次バイパス流路31Bは連通流路29を介して接続され、共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6内へ流入する比較的大量のグリースは、第1のチャンバ6からバイパス流路31を経由して油筒4内へ逆流する。この量は、チャンバの背圧、グリース粘度、温度等、多数のパラメータに応じて変動する。
【0073】
[00103] バイパス流路31が開放位置にある場合、第1のチャンバ6内のグリースは、バイパス流路31を通って油筒4内まで最小抵抗経路を進む。しかしながら、第1のピストン8が前進する間、ある量の背圧が第1のチャンバ6内で生じる。これは、第1の流路6内への入口流路(共通グリース流路13)のサイズに比べて、第1の流路6外への出口流路(バイパス流路31)のサイズが小さいことに起因する。第1のチャンバ6内の背圧レベルに応じて、また、これが逆流防止弁17を開くのに充分であるか否かに応じて、第1のチャンバ6内のグリースは、一部が逆流防止弁17を通って第3のチャンバ14内へ流入するか、又は全くそのように流入しない。第1のチャンバ6からのグリースの少なくとも大部分はバイパス流路31を通って流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これによってシステム内の閉塞が除去され得る。
【0074】
[00104] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって圧力流路25の圧力が低減し、結果としてスプール24の第1の端部24Aの圧力が低減する。一度圧力が低減して、第1の端部24Aに加わる力が付勢ばね30から24Bに加わる力よりも小さくなったら、付勢ばね30はスプール24を閉鎖位置へ押す。
【0075】
圧力除去バイパス弁
[00105] 図2から図8は、本開示の高圧/高流量スイッチの第2の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、圧力除去バイパス弁によるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0076】
[00106] この第2の態様において、本体3は二次グリース流路35を更に備える。二次グリース流路35は、第1のチャンバ6と油筒4との間に延出し、これらを流体的に接続している。これは、共通グリース流路13の前方で第1のピストン8の係合位置の近くに位置付けられている。二次グリース流路35は逆流防止弁を含み、これは好ましくは油圧切り替え機構として動作するばね式逆流防止弁36である。逆流防止弁36が開いている場合、これは、第1のチャンバ6から二次グリース流路35を介した油筒4内へのグリースの流れを可能とするが、油筒4から二次グリース流路35を介した第1のチャンバ6内へのグリースの流れを制限する。逆流防止弁36は、デフォルトでは閉鎖しており、第1のチャンバ6内のグリースが逆流防止弁36のばねによる付勢力を上回る所定の圧力レベルに達した場合にのみ開く。
【0077】
[00107] 逆流防止弁36が開くと、グリースガンは高流量モードから高圧モードに切り替わる。逆流防止弁36は開いているので、共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6内に流入するグリースの大部分は、二次グリース流路35を経由して油筒4内へ逆流する。油筒4内へ逆流するグリースの量は、システムのライン背圧及びグリースの粘度を含む多数のファクタに依存する。高圧モードでは、第1のピストン8が往復運動するたびに、第1のチャンバ6内でピストン自体が発生する圧力に反応して、逆流防止弁36は開いたり閉じたりする。
【0078】
[00108] 第1のチャンバ6からのグリースの少なくとも大部分は二次グリース流路35を通って流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池38に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、モータ37に動力を供給するため、従ってクランクホイール2を回転させるため電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これはシステム内の閉塞の除去に役立つ。
【0079】
[00109] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって第3のチャンバ14の圧力が低減し、結果として第1のチャンバ6の圧力が低減する。一度圧力が所定レベル未満に低減したら、逆流防止弁36は閉鎖し、第1のチャンバ6からの全てのグリースは第3のチャンバ14内へ流入する。
【0080】
ギャップに基づくバイパス
[00110] 図15から図17は、本開示の高圧/高流量スイッチの第3の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、ギャップに基づくバイパスによるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0081】
[00111] 上記で概説したグリースガンでは、第1のチャンバ6と第1のピストン8との間、及び第2のチャンバ7と第2のピストン9との間に液密係合が存在し、各ピストンがそのチャンバ内で前進する場合にグリースが各チャンバに沿って戻らないようになっている。例えばこれは、第1のピストン8上のポジティブシール8A及び第2のピストン9上のポジティブシール9Aを用いることにより実行できる。しかしながら、本開示のこの態様では、グリースが第1のチャンバ6に沿って共通グリース流路16内へ逆流できるように第1のピストン8と第1のチャンバ6との間に空間を設けることが有利である。
【0082】
[00112] 第1のピストン8の直径は第1のチャンバ6の直径よりも小さいので、第1のピストン8と第1のチャンバ6との間に半径方向ギャップ48が形成されるようになっている。
【0083】
[00113] 第1のチャンバ6内の圧力が所定量よりも小さい場合、第1のピストン8が後退位置から係合位置へ往復運動すると、第1のチャンバ6内のグリースは第3のチャンバ14内へ押し込まれる。しかしながら、第1のチャンバ6内の圧力が所定量よりも大きい場合、グリースガンは高圧モードになり、第1のピストンが後退位置から係合位置へ更に往復運動すると、その結果生じる圧力によって、第1のチャンバ6内の半径方向ギャップ48に沿ったグリースは共通グリース流路13内へ押し込まれる。
【0084】
[00114] 詳細な形態では、第2のピストン9と第2のチャンバ7との間には対応するギャップは存在しない。
【0085】
[00115] 第1のチャンバ6からのグリースの大部分は第1のチャンバ6の半径方向ギャップ48に沿って共通グリース流路13へ流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池38に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、モータ37に動力を供給するため、従ってクランクホイール2を回転させるため電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これはシステム内の閉塞の除去に役立つ。
【0086】
[00116] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって第3のチャンバ14の圧力が低減し、結果として第1のチャンバ6の圧力が低減する。一度圧力が所定レベル未満に低減したら、第1のチャンバ6からの全てのグリースが第3のチャンバ14内へ流入するような圧力になる。
【0087】
筒の簡易着脱
[00117] 図19から図24に示されている本開示の実施形態では、グリースガン1の本体3上に係合手段が更に提供されている。これは、油筒4上の対応する係合手段に取り付けるためのものである。本体3上の係合手段は、外側環39及び内側環40の形態をとっている。外側環39は内側環40を取り囲み、内側環40上で軸方向に移動可能であり、係止位置(図19から図21に示されている)と係止解除位置(図22から図24に示されている)との間で移動できるようになっている。
【0088】
[00118] 係止位置では、内側環40は油筒4を本体3に固定することができる。係止解除位置では、内側環40は油筒4を本体3から解放する。
【0089】
[00119] 内側環40は、内側環40の円周方向に延出している環ボール溝41を含む。環ボール溝41内に、1つ以上の(好ましくは2つ以上の)環係止ボール42がある。環係止ボール42は、環ボール溝41のポケット43内に位置付けられ、ポケット43内の位置によってそれぞれの円周方向位置に保持される。しかしながら、ポケット43は環ボール溝41の各側で開口し、環係止ボール42よりも幅が狭いので、環係止ボール42は、内側環40の内側へ突出する環ボール溝41内の係合位置と、内側環40の外側へ突出する係合解除位置とを有する。
【0090】
[00120] 外側環39は、内側環40上でタブ45によって軸方向に移動可能である。タブ45は、外側環39の表面から半径方向に延出しているので、ユーザはこれを用いて外側環39を係止位置と係止解除位置との間で移動させることができる。タブ45の内側は内側環40上のらせん形経路46と係合可能であり、タブ45を移動させると外側環39は内側環40に対して軸方向と横方向の双方に移動するようになっている。
【0091】
[00121] 係止位置では、外側環39は内側環40上で環ボール溝41に隣接した位置に配置されている。外側環39を環ボール溝41に隣接した位置へ移動させると、ポケット43内の環係止ボール42は係合解除位置から係合位置へ移動する。
【0092】
[00122] 係止解除位置では、外側環39は内側環40上で環ボール溝41から離れた位置にある。この位置では、環係止ボール42は係合解除位置にある。
【0093】
[00123] 油筒4は、環ボール溝41の環係止ボール42と係合可能である外周溝44を有する。溝44の位置は、内側環40に挿入される油筒4の部分の端部付近であるが、端部ではない。油筒4を内側環40に挿入する場合、外側環39が係止解除位置であり、従って環係止ボール42が係合解除位置であるならば、環ボール溝41が溝44に隣接した位置になるまで油筒4を内側環40内に挿入することができる。タブ45を動かして外側環39を係止解除位置から係止位置へ移動させると、環係止ボール42は係合位置へ移動し、溝45内へ延出して溝45と係合する。溝44内に環係止ボール42が延出することで、油筒4は本体3に固定される。
【0094】
[00124] タブ45を更に動かして外側環39を係止位置から係止解除位置へ移動させると、環係止ボール42が環ボール溝41のポケット43内で後退し、溝44に対して後退するので、油筒4を本体3から取り外すことが可能となる。
【0095】
電子的に監視された圧力除去バイパス弁
[00125] これより、図25から図30に関連付けて、本明細書に開示されているグリースガンの別の実施形態について記載する。この実施形態は、逆流防止弁の形態で示されている油圧スイッチ(圧力除去弁)50を含む。スイッチ50によって、図2から図8に関連付けて上述した油圧スイッチと同様に、高圧モードと高流量モードとの間でガンを切り替えることができる。図2から図8に関連付けて記載した実施形態と同様、油圧スイッチ50は、第1のチャンバ6内の圧力が約3000psiより高い場合、大きいピストンが発生したグリースの流れを筒内へ迂回して戻すように構成されている。当業者には明らかであろうが、この圧力の選択は特定の用途に合うように行えばよい。
【0096】
[00126] この実施形態において、油圧スイッチ50は、これが開いているか又は閉じているかをユーザが判定できるように電子的に監視される。この実施形態は、グリースガンの出口を油筒4に流体的に接続する別の油圧スイッチ(圧力除去弁)52を含む。この油圧スイッチは最終安全弁であり、出口の圧力がガンの最大定格圧力(例えば10,000psi)に達した時に開くよう構成されている。従ってこのスイッチは、ガンが発生する圧力を最大安全レベル(例えば10,000psi)で遮断することができる。
【0097】
[00127] これより、図26から図28に関連付けて、油圧スイッチ50(逆流防止弁50とも称する)について更に詳しく説明する。図26から図28は、ピストンに垂直な方向で油圧スイッチ50を切り取ったガンの断面図である。詳細な実施形態において、圧力除去弁50は、例えば3000psiで開くように構成され、次いで第1のチャンバ6からグリースを受容する。圧力除去弁50が内部に配置されたチャンバ58の隣に位置決めされたスプールチャンバ56内に、あらかじめ搭載された(例えば金属)スプール54が配置されている。スプールチャンバは軸Xに沿って延出している。チャンバ58は軸Yに沿って延出している。軸Xは軸Yから離隔し、軸Yに対して実質的に平行である。スプール54は閉鎖位置の方へ付勢されているので、チャンバ56は、油筒(図示せず)から分離されているが、本体3によって画定されてチャンバ56と58を接続する流路61を介してチャンバ58と永続的に連通している。流路61は、チャンバ56、58の下端に配置され、軸X及びYに対して実質的に平行に延出している。スプール54は、チャンバ56内で軸Xに沿って平行移動するよう構成されている。
【0098】
[00128] スプール54は磁石60を含む。磁石60はスプール54に搭載されて、スプール54の閉鎖位置(図26及び図27に示されている)に相当する静止位置から図28で示されている変位位置へ変位するよう構成されている。詳細な実施形態では、磁石60はスプール54の上端に搭載される。スプール54は、グリースが弁50を通って流れることにより変位するよう構成されている。「開いた」圧力除去弁50からのグリースがチャンバ62を充填し、従ってスプール54を付勢ばねに対して上方に押し上げることで引き起こされる変位位置では、スプール54及び磁石60は油筒から離れて(使用中に上方へ)位置決めされるので、フランジ64とグリースガンの本体3との間に流路62が形成される。このため、逆流防止弁50が開いている場合、グリースはチャンバ58の下部から流路62を介して油筒内へ逆流することができる。磁石60の上方に近接センサ66が配置されている。近接センサ66は磁石60の位置を検出するように構成されており、従ってスプール54の移動を検出することができる。
【0099】
[00129] 近接センサ66からの信号は、コントローラ(例えばプロセス制御ブロック(PCB))によって受信される。この信号は、油圧スイッチの位置に関する情報を提供する(例えば、油圧スイッチが高圧モードに相当する位置にあるか又は高流量モードに相当する位置にあるかを示す情報)。例えば、信号が存在しないことは、弁50が閉じており、従ってグリースガンが高流量モードで動作していることを表すのに対し、正の信号は、弁50が開いており、従ってグリースガンが高圧モードで動作していることを表し得る。近接センサ66からの情報をPCBが用いることで、グリースが実際にグリースガンの出口へ流れているのか、又はライン内で圧縮されているのかを判定できる(例えば、弁50が開いていて弁52が閉じている場合、ガンは、閉塞に対してグリースを圧縮すること(ダミーのグリース注入)によって圧力を増大している最中であり、これは最大圧力に到達して最終的に弁52が開くまで行われる)。また、この情報をグリースガンの電気システムが用いることで、グリース出力計測(例えば高流量モードでのみ計測し、高圧モードでは計測を行わない)等のグリースガンに関する情報を提供することや、グリースガン上のLCDディスプレイを通してユーザに閉塞を知らせることも可能である。
【0100】
[00130] これより、図29及び図30に関連付けて、油圧スイッチ52(逆流防止弁52とも称する)について更に詳しく説明する。図29及び図30は、ピストンに垂直な方向で油圧スイッチ52を切り取ったガンの断面図である。詳細な実施形態において、圧力除去弁52は、グリースガンの出口68を油筒に流体的に接続する。このため、弁52は第1のピストンチャンバ6及び第2のピストンチャンバ7に流体的に接続されている。弁52は安全弁として動作し、出口の圧力がガンの最大定格圧力(例えば10,000psi)に達した時に開くよう構成されている。弁52は、グリースガンが発生することができる最大圧力を制限するように構成され得る。
【0101】
[00131] 弁52は弁50と同様に動作する。圧力除去弁52が内部に配置されているチャンバ74の隣に位置決めされたスプールチャンバ72内に、あらかじめ搭載された(例えば金属)スプール70が配置されている。スプールチャンバ72は軸XXに沿って延出している。チャンバ74は軸YYに沿って延出している。軸XXは軸YYから離隔し、軸YYに対して実質的に平行である。スプール70は閉鎖位置の方へ付勢されているので、チャンバ72は、油筒(図示せず)から分離されているが、本体3によって画定されてチャンバ72と74を接続する流路76を介してチャンバ74と永続的に連通している。流路76は、チャンバ72、74の下端に配置され、軸XX及びYYに対して実質的に平行に延出している。スプール70は、チャンバ72内で軸XXに沿って平行移動するよう構成されている。
【0102】
[00132] スプール70は磁石78を含む。磁石78はスプール70に搭載されて、スプール70が流路72内で油筒から離れる方へ(例えば使用中に上方へ)平行移動した場合に静止位置(スプール70の閉鎖位置に相当する)から変位位置へ変位するよう構成されている。スプール70は、グリースが弁52を通って流れることにより変位するよう構成されている。詳細な実施形態では、磁石78はスプール70の上端に搭載される。「開いた」圧力除去弁52からのグリースがチャンバ72を充填し、従ってスプール70を付勢ばねに対して上方に押し上げることで引き起こされる変位位置では、スプール70及び磁石78は油筒から離れて(使用中に上方へ)位置決めされるので、フランジ80とグリースガンの本体3との間に流路76が形成される。このため、逆流防止弁52が開いている場合、グリースはチャンバ72の下部から流路76を介して油筒内へ逆流することができる。磁石78の上方に近接センサ82が配置されている。近接センサ82は磁石78の位置を検出するように構成されており、従ってスプール72の移動を検出することができる。
【0103】
[00133] 近接センサ82からの信号は、プロセス制御ブロック(PCB)によって受信される。この信号は、油圧スイッチの位置に関する情報を提供する。例えば、信号が存在しないことは弁52が閉じていることを表すのに対し、正の信号は弁52が開いていることを表し得る。近接センサ82からの情報をPCBが用いることで、例えば、最大圧力に到達したこと及び閉塞を除去できない可能性があることを、LCDディスプレイを通してユーザに知らせることができる。一例として、PCBは、最大圧力で5秒間動作した後にグリースガンパワーを遮断し、LCDディスプレイに警告(例えば「ダミーのグリース注入」)を表示するように構成され得る。
【0104】
[00134] 図31で示されているように、グリースガンの本体3は2つの別個の部分3A、3Bから形成され得る。部分3Aは、使用中はアクチュエータ2の上方に配置され、部分3Bは、使用中は筒4の上方に配置される。ガン本体を2つの別個の部分に分割すると、高精度の特徴部(例えばピストンチャンバ)を製造すること、及び、必要な機械的応力レベルに最も適した様々な構成材料を使用することが容易になる(例えば、ピストン往復運動による高いグリース圧力と摩耗を受ける可能性のある「前方」筐体3Bは鋼鉄で作製され、モータ、ギアボックス、及びクランクホイールを支持する「後方」筐体3Aはアルミニウムで作製され得る)。また、鋼鉄の前方筐体3Bを設けることで、出口逆止め弁の耐久性が高くなるという利点が得られる(例えば、損傷しやすいアルミニウムではなく、鋼鉄封止エッジ上に鋼鉄ボールを載せる)。
【0105】
[00135] 本記載及び特許請求の範囲で用いられている単語「備える(comprising)」、及び単語「comprising(備える)」の複数の形態(form)は、特許請求される本発明を、いかなる変形も追加も排除するよう限定するものではない。
【0106】
[00136] 本発明に対する変更及び改良は当業者には容易に認められよう。そのような変更及び改良は本発明の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリースを貯蔵するよう構成された容器に接続することができ、内部に第1及び第2の細長いチャンバを画定する本体であって、前記第1のチャンバは第1の軸に沿って延出し、前記第2のチャンバは第2の軸に沿って延出し、前記第1の軸は前記第2の軸から離隔し、前記第2のチャンバは前記第1のチャンバよりも小さい断面積を有する、本体と、
第1及び第2のピストンであって、前記第1のピストンは前記第1のチャンバ内で前記第1の軸に沿って往復運動するよう構成され、前記第2のピストンは前記第2のチャンバ内で前記第2の軸に沿って往復運動するよう構成され、前記第2のピストンは前記第1のピストンよりも小さい断面積を有する、第1及び第2のピストンと、
前記グリースが前記容器から前記第1及び第2のチャンバ内へ流入できるように、前記容器と前記第1及び第2のチャンバとの間に配置された共通グリース流路と、
前記本体に接続されたアクチュエータであって、グリースが前記共通グリース流路を通って流れることができる後退位置と、グリースが前記共通グリース流路を通って流れることが制限される係合位置との間で移動することができ、前記係合位置と前記後退位置との間で移動した場合に前記第1のピストン及び前記第2のピストンの往復運動を発生させるよう構成されている、アクチュエータと、
前記第1及び第2のチャンバに流体的に接続され、グリースを前記グリースガンから放出することを可能とするグリース出口と、
前記第1のチャンバを前記容器に流体的に接続する第1の圧力除去流路と、
前記第1の圧力除去流路内に配置された第1の圧力除去弁であって、前記第1のチャンバ内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって前記第1のチャンバから前記容器へグリースが流れることを可能とするよう構成された第1の圧力除去弁と、
前記第1の圧力除去流路から離隔された第1の監視流路と、
前記第1の監視流路を前記第1の圧力除去流路に流体的に接続する接続流路と、
前記第1の監視流路内に配置され、前記第1の監視流路内で前記第1の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第1の監視スプールであって、前記第1の監視スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記第1のチャンバから前記接続流路を介して前記容器へ流れることができる、第1の監視スプールと、
を備える、電池式グリースガン。
【請求項2】
前記グリース出口は、前記第1のチャンバに接続された第3のチャンバ及び前記第2のチャンバに接続された第4のチャンバを介して前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに流体的に接続されている、請求項1に記載のグリースガン。
【請求項3】
前記第1のチャンバは、第1のグリース流路を介して前記第3のチャンバに接続されている、請求項2に記載のグリースガン。
【請求項4】
前記第1のチャンバから前記第1のグリース流路を介した前記第3のチャンバ内へのグリースの流れを可能とする、前記第1のグリース流路内に配置された第1の逆流防止弁を更に備える、請求項3に記載のグリースガン。
【請求項5】
前記第2のチャンバは、第2のグリース流路を介して前記第4のチャンバに接続されている、請求項2から4の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項6】
前記第2のチャンバから前記第2のグリース流路を介した前記第4のチャンバ内へのグリースの流れを可能とする、前記第2のグリース流路内に配置された第2の逆流防止弁を更に備える、請求項5に記載のグリースガン。
【請求項7】
前記第3のチャンバ及び前記第4のチャンバ及び前記グリース出口の間に出口空洞を更に備える、請求項2から6の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項8】
前記本体に接続され、前記共通グリース流路と流体連通している前記容器を更に備える、請求項1から7の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記係合位置と前記後退位置との間で移動した場合に前記第1及び第2のピストンを同位相で往復運動させるように構成されている、請求項1から8の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項10】
前記第1及び第2のピストンに接続されて前記第1及び第2のピストンを同位相に維持するリンクを更に備える、請求項1から9の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記第1の軸に垂直である中心軸を中心とした回転移動のため前記本体に接続されている、請求項10に記載のグリースガン。
【請求項12】
前記アクチュエータは、更にカム部材を備える、請求項11に記載のグリースガン。
【請求項13】
前記アクチュエータの回転移動によって前記リンクの往復運動が生じるように、前記リンクは、前記カム部材と係合可能であるカム表面を有する開口を含む、請求項10に記載のグリースガン。
【請求項14】
前記アクチュエータは、モータによって動作可能である、請求項1から13の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項15】
前記モータは、電池駆動式である、請求項14に記載のグリースガン。
【請求項16】
前記出口は、ノズルを含む、請求項1から15の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項17】
前記ノズルは、中心軸を有し、
前記ノズルの前記中心軸は、前記第1及び第2の軸に対して垂直である、請求項16に記載のグリースガン。
【請求項18】
前記本体は更に、
第3の軸に沿って延出する第1のスプール流路と、
前記第1のスプール流路内で開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるスプールと、
前記第1のスプール流路を介して前記第1のチャンバ及び前記容器と流体連通しているバイパス流路と、を備え、
前記スプールは、前記開放位置にある場合に前記第1のチャンバからのグリースの流出を可能とし、前記閉鎖位置にある場合に前記第1のチャンバからのグリースの流出を制限する、請求項1から17の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項19】
使用中、前記スプールは、前記開放位置にある場合に前記第1のチャンバから前記容器内へのグリースの流入を可能とし、前記閉鎖位置にある場合に前記第1のチャンバから前記容器内へのグリースの流入を制限する、請求項18に記載のグリースガン。
【請求項20】
前記スプール流路の第1の端部に配置され、前記第3のチャンバと流体連通している圧力流路と、
前記スプール流路の第2の端部に配置され、前記スプールを前記閉鎖位置の方へ付勢するよう構成された付勢手段と、を更に備え、
前記第3のチャンバ内の圧力が増大すると前記圧力流路内の圧力が増大し、結果として前記第1の流路の第1の端部の圧力が増大し、これによって前記スプールが前記付勢手段に対して押し付けられる、請求項18又は19に記載のグリースガン。
【請求項21】
前記第1の流路の前記第1の端部が所定の圧力レベルである場合、前記スプールは、前記開放位置の方へ移動するように構成されている、請求項18から20の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項22】
前記バイパス流路は、前記第1のチャンバと前記スプール流路との間に配置された一次バイパス流路と、前記スプール流路と前記容器との間に配置された二次バイパス流路と、を含む、請求項18から21の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項23】
前記一次バイパス流路は、一次バイパス流路軸に沿って延出し、
前記二次バイパス流路は、二次バイパス流路軸に沿って延出し、
前記一次バイパス流路軸は、前記スプール流路に対して前記二次バイパス流路軸からずれている、請求項22に記載のグリースガン。
【請求項24】
前記一次バイパス流路軸は、前記二次バイパス流路軸に対して実質的に垂直であると共に前記二次グリース流路軸から離隔している、請求項23に記載のグリースガン。
【請求項25】
前記スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記一次バイパス流路から前記スプール流路を経由して前記二次バイパス流路内へ流入できるように、前記スプール流路は、前記一次及び二次バイパス流路に接続されると共に前記一次及び二次バイパス流路間に配置されている、請求項23又は24に記載のグリースガン。
【請求項26】
前記スプールは、
第1の環状リングと、
前記第1の環状リングから離隔した第2の環状リングと、
前記第1及び第2の環状リング間に配置され、前記第1及び第2の環状リングによって画定された中央部と、を備え、
前記スプールの前記中央部は、前記スプール流路の直径並びに前記第1及び第2の環状リングの直径よりも小さい直径を有し、
前記スプールの前記中央部と前記スプール流路の壁との間に配置されたエリアは、連通流路を形成し、
前記スプールが前記開放位置にあるか又は前記閉鎖位置にあるかにかかわらず、前記連通流路は、前記一次バイパス流路と流体連通している、請求項18から25の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項27】
前記スプールが前記閉鎖位置にある場合、前記連通流路は、前記二次バイパス流路に隣接して位置しておらず、これによって前記スプール流路から前記二次バイパス流路内へのグリースの流入を制限する、請求項26に記載のグリースガン。
【請求項28】
前記スプールが前記開放位置にある場合、前記連通流路は、前記二次バイパス流路に隣接して位置しており、これによって前記二次バイパス流路内へのグリースの流入を可能とする、請求項26又は27に記載のグリースガン。
【請求項29】
前記スプールは、前記スプールを貫通する空洞を含み、
前記空洞は、前記スプールの前記中央部に配置されて、グリースが前記スプールの前記中央部を通って流れて前記連通流路を充填することを可能とする、請求項26から28の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項30】
前記第1のグリース流路内に配置され、開放構成及び閉鎖構成を有する第1のバイパス弁を更に備え、
前記第1のバイパス弁が前記開放構成である場合、グリースは、前記第1のチャンバから前記第3のチャンバ内へ流入することができ、
前記第1のバイパス弁が前記閉鎖構成である場合、グリースは、前記第1のチャンバから前記第3のチャンバ内へ流れることが制限され、
前記第1のバイパス弁は、前記第1のチャンバ内の圧力が前記第3のチャンバ内の圧力より小さい場合は前記閉鎖構成になるよう構成され、前記第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の前記圧力より大きい場合は前記開放構成になるよう構成されている、請求項1から17の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項31】
前記第1のチャンバは、第1の直径を有し、
前記第1のピストンは、第2の直径を有し、
前記第1のチャンバと前記第1のピストンとの間に半径方向ギャップが形成されるように、前記第2の直径は、前記第1の直径より小さく、
前記第1のチャンバ内の圧力が所定のレベルに達した場合、前記第1のピストンが前記後退位置から前記係合位置へ往復運動すると、グリースは、前記第1のチャンバ内の前記半径方向ギャップに沿って前記共通グリース流路内へ押し込まれる、請求項1から17の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項32】
前記第2のチャンバは、第3の直径を有し、
前記第2のピストンは、第4の直径を有し、
前記第3の直径及び前記第4の直径の大きさは、グリースが前記第2のチャンバと前記第2のピストンとの間から前記共通グリース流路内へ流入するのが制限されるように設定される、請求項31に記載のグリース。
【請求項33】
前記容器上の対応する係合手段に取り付けるための、前記グリースガンの前記本体上の係合手段を更に備える、請求項1から32の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項34】
前記係合手段は、外側環及び内側環を備え、
前記外側環は、前記内側環が前記容器を前記グリースガンの前記本体に固定することができる係止位置と、前記容器を前記本体から取り外すことができる係止解除位置と、の間で、前記内側環上で軸方向に移動可能である、請求項33に記載のグリースガン。
【請求項35】
前記内側環は、環係止ボールを収容する環ボール溝を備え、
前記環係止ボールは、前記容器上の対応する溝と係合可能である、請求項34に記載のグリースガン。
【請求項36】
前記係止位置において、前記環ボール溝の前記環係止ボールが前記容器上の前記対応する溝と係合することによって、前記容器は、前記本体に保持される、請求項35に記載のグリースガン。
【請求項37】
前記環係止ボールは、前記容器上の前記対応する溝と係合可能である前記環ボール溝内の係合位置と、前記容器上の前記対応する溝と係合可能でない前記環ボール溝内の係合解除位置と、を有する、請求項36に記載のグリースガン。
【請求項38】
前記環係止ボールは、前記外側環が前記内側環上で前記環ボール溝に隣接した位置に配置されている場合は前記係合位置であり、前記外側環が前記内側環上で前記環ボール溝に隣接していない位置に配置されている場合は前記係合解除位置である、請求項37に記載のグリースガン。
【請求項39】
前記外側環は、更にタブを含む、請求項34から38の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項40】
前記外側環は、前記タブの回転によって前記係止位置と前記係止解除位置との間で移動可能である、請求項39に記載のグリースガン。
【請求項41】
前記第1の監視スプールに搭載された第1の磁石と、
前記磁石に隣接して配置された近接センサであって、前記磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている、近接センサと、
を更に備える、請求項1に記載のグリースガン。
【請求項42】
前記出口を前記容器に流体的に接続する第2の圧力除去流路と、
前記第2の圧力除去流路内に配置された第2の圧力除去弁であって、前記出口内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって前記出口から前記容器へグリースが流れることを可能とするよう構成された、第2の圧力除去弁と、
を更に備える、請求項1から43の何れか一項に記載のグリースガン。
【請求項43】
前記第2の圧力除去流路から離隔された第2の監視流路と、
前記第2の監視流路を前記第2の圧力除去流路に流体的に接続する第2の接続流路と、
前記第2の監視流路内に配置され、前記第2の監視流路内で前記第2の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第2の監視スプールであって、前記第2の監視スプールが前記開放位置にある場合にグリースが前記出口から前記第2の接続流路を介して前記容器へ流れることができる、第2の監視スプールと、
を更に備える、請求項42に記載のグリースガン。
【請求項44】
前記第2の監視スプールに搭載された第2の磁石と、
前記第2の磁石に隣接して配置された第2の近接センサであって、前記第2の磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている、第2の近接センサと、
を更に備える、請求項43に記載のグリースガン。
【請求項45】
前記第1及び第2の近接センサによって発生した前記信号を受信するように構成されたコントローラであって、前記第1及び第2の近接センサによって発生した前記信号に応じて前記グリースガンに関する情報を決定するように構成されている、コントローラと、
前記決定された情報を表示するように構成されたLCDと、
を更に備える、請求項41に従属する場合の請求項42から44の何れか一項に記載のグリースガン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示はグリースガンに関し、特に電池式グリースガンに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] グリースガンは、様々な業界において、車両やその他の機械の潤滑のため用いられる。これらのグリースガンは一般に、(取り付けられた筒部又は外部源からの)グリース供給部と、対応する機械に塗布するため圧力下で出口からグリースを押し出すピストンと、を含む。グリースガンは、2つの主なタイプ、すなわち手動グリースガンと動力補助グリースガン(電池式、空気圧式、及び電気駆動式グリースガンを含む)に分けることができる。
【0003】
[0003] 車両又は機械にグリースを塗る場合、しばしばグリース閉塞箇所が発生して高いグリース圧力を生じることがある。高いグリース圧力の一般的な原因には、管継手の閉塞、長くて蛇行した及び/又は狭いグリース流路、スムーズに流れない濃いグリースが挙げられる。これまで、閉塞を除去するためグリースに追加の圧力を提供することができるシステムが開発されてきた。いくつかのシステムは、外部電源を用いてこの追加の圧力を提供する。しかしながら、これは費用が高く扱いにくい可能性がある。
【0004】
[0004] 高容量/低圧モードと低用量/高圧モードとの間で移動できる手動グリースガンが開発されている。こういったシステムでは、ユーザが手作業でこれら2つのモードを切り替える必要がある。更に最近では、閉塞に起因した圧力増大が検出されると自動的にグリースガンを低用量/高圧モードに切り替えることができるシステムが開発されている。
【0005】
[0005] 既存の電池式グリースガンは、それらよりも複雑でない。ほとんどは、高流量(ガンを遮断(block)せず流出量を最大化する場合に有利である)と高圧(ガンを遮断させて閉塞を除去する場合)との間の妥協点に達するよう設計された単一のプランジャポンピング機構を特徴とする。この妥協点は、システムに動力を供給するため用いられる電池の容量の固有の限界によっても決定され、この限界は高圧及び高容量システムを供給する能力を限定する。グリースガンは、この妥協点の位置に置かれることによって、最大流量と最大閉塞除去の双方に対して限定される。
【0006】
[0006] 知識の文献、行為、又は項目が言及されるか又は検討されるこの明細書において、この言及又は検討は、知識の文献、行為、又は項目、又はそれらの任意の組み合わせが、優先日において、公的に利用可能であること、一般に既知であること、一般常識の一部であること、又は、本明細書に関するいずれかの問題を解決しようとする試みに関連することが既知であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本明細書に開示されるグリースガンの目的は、従来技術のグリースガン、特に従来技術の電池式グリースガンに勝る利点を提供すること、又は少なくともその有用な代替案を提供することである。
【0008】
[0008] 本明細書に開示されるのは、電池式グリースガンである。この電池式グリースガンは、グリースを貯蔵するよう構成された容器に接続することができ、内部に第1及び第2の細長いチャンバを画定する本体であって、第1のチャンバは第1の軸に沿って延出し、第2のチャンバは第2の軸に沿って延出し、第1の軸は第2の軸から離隔し、第2のチャンバは第1のチャンバよりも小さい断面積を有する、本体と、第1及び第2のピストンであって、第1のピストンは第1のチャンバ内で第1の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第2のチャンバ内で第2の軸に沿って往復運動するよう構成され、第2のピストンは第1のピストンよりも小さい断面積を有する、第1及び第2のピストンと、グリースが容器から第1及び第2のチャンバ内へ流入できるように容器と第1及び第2のチャンバとの間に配置された共通グリース流路と、本体に接続されたアクチュエータであって、グリースが共通グリース流路を通って流れることができる後退位置と、グリースが共通グリース流路を通って流れることが制限される係合位置との間で移動することができ、係合位置と後退位置との間で移動した場合に第1のピストン及び第2のピストンの往復運動を発生させるよう構成されている、アクチュエータと、第1及び第2のチャンバに流体的に接続され、グリースをグリースガンから放出することを可能とするグリース出口と、第1のチャンバを容器に流体的に接続する第1の圧力除去流路と、第1の圧力除去流路内に配置された第1の圧力除去弁であって、第1のチャンバ内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって第1のチャンバから容器へグリースが流れることを可能とするよう構成された第1の圧力除去弁と、第1の圧力除去流路から離隔された第1の監視流路と、第1の監視流路を第1の圧力除去流路に流体的に接続する接続流路と、第1の監視流路内に配置され、第1の監視流路内で第1の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第1の監視スプールであって、第1の監視スプールが開放位置にある場合にグリースが第1のチャンバから接続流路を介して容器へ流れることができる、第1の監視スプールと、を備える。
【0009】
[0009] いくつかの形態において、グリース出口は、第1のチャンバに接続された第3のチャンバ及び第2のチャンバに接続された第4のチャンバを介して第1のチャンバ及び第2のチャンバに流体的に接続されている。
【0010】
[0010] いくつかの形態において、第1のチャンバは第1のグリース流路を介して第3のチャンバに接続されている。
【0011】
[0011] いくつかの形態において、グリースガンは、第1のグリース流路内に配置された第1の逆流防止弁を更に備える。第1の逆流防止弁によって、グリースは第1のチャンバから第1のグリース流路を介して第3のチャンバ内へ流れることができる。好ましくは、第1の逆流防止弁はグリースが第3のチャンバから第1のチャンバへ流れることを制限する。更に好ましくは、第1の逆流防止弁はグリースが第3のチャンバから第1のチャンバへ流れることを防止する。
【0012】
[0012] いくつかの形態において、第2のチャンバは第2のグリース流路を介して第4のチャンバに接続されている。
【0013】
[0013] いくつかの形態において、グリースガンは、第2のグリース流路内に配置された第2の逆流防止弁を更に備える。第2の逆流防止弁によって、グリースは第2のチャンバから第2のグリース流路を介して第4のチャンバ内へ流れることができる。好ましくは、第2の逆流防止弁はグリースが第4のチャンバから第2のチャンバへ流れることを制限する。更に好ましくは、第2の逆流防止弁はグリースが第4のチャンバから第2のチャンバへ流れることを防止する。
【0014】
[0014] いくつかの形態において、グリースガンは、第3のチャンバ及び第4のチャンバ及びグリース出口の間に出口空洞を更に備える。
【0015】
[0015] いくつかの形態において、グリースガンは、本体に接続され、共通グリース流路と流体連通している容器を更に備える。
【0016】
[0016] いくつかの形態において、アクチュエータは、係合位置と後退位置との間で移動した場合に第1及び第2のピストンを同位相で往復運動させるように構成されている。
【0017】
[0017] いくつかの形態において、グリースガンは、第1及び第2のピストンに接続されて第1及び第2のピストンを同位相に維持するリンクを更に備える。好ましくは、アクチュエータは、第1の軸に垂直である中心軸を中心とした回転移動のため本体に接続されている。好ましくは、アクチュエータは更にカム部材を備える。好ましくは、アクチュエータの回転移動によってリンクの往復運動が生じるように、リンクは、カム部材と係合可能であるカム表面を有する開口を含む。
【0018】
[0018] いくつかの形態において、アクチュエータはモータによって動作可能である。好ましくは、モータは電池駆動式である。
【0019】
[0019] いくつかの形態において、出口はノズルを含む。好ましくは、ノズルは中心軸を有し、ノズルの中心軸は第1及び第2の軸に対して垂直である。
【0020】
[0020] また、本明細書で開示されるグリースガンは、第3の軸に沿って延出する第1のスプール流路と、第1のスプール流路内で開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるスプールと、第1のスプール流路を介して第1のチャンバ及び容器と流体連通しているバイパス流路と、を更に備え、スプールは開放位置にある場合に第1のチャンバから容器へのグリースの流出を可能とし、閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから容器へのグリースの流出を制限する。
【0021】
[0021] いくつかの形態では、使用中、スプールは開放位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を可能とし、閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を制限する。好ましくは、スプールは閉鎖位置にある場合に第1のチャンバから容器内へのグリースの流入を防止する。
【0022】
[0022] また、本明細書に開示されるグリースガンは、スプール流路の第1の端部に配置され、出口チャンバと流体連通している圧力流路と、スプール流路の第2の端部に配置され、スプールを閉鎖位置の方へ付勢するよう構成された第3の付勢手段と、を更に備え、出口チャンバ内の圧力が増大すると圧力流路内の圧力が増大し、結果として第1の流路の第1の端部の圧力が増大し、これによってスプールが第3の付勢手段に対して押し付けられる。好ましくは、第1の流路の第1の端部が所定の圧力レベルである場合、スプールは開放位置の方へ移動するように構成されている。
【0023】
[0023] いくつかの形態において、バイパス流路は、第1のチャンバとスプール流路との間に配置された一次バイパス流路、及び、スプール流路と容器との間に配置された二次バイパス流路を含む。好ましくは、一次バイパス流路は一次バイパス流路軸に沿って延出し、二次バイパス流路は二次バイパス流路軸に沿って延出し、一次バイパス流路軸はスプール流路に対して二次バイパス流路軸からずれている。更に好ましくは、一次バイパス流路軸は二次バイパス流路軸に対して実質的に垂直であると共に二次グリース流路軸から離隔している。
【0024】
[0024] いくつかの形態では、スプールが開放位置にある場合にグリースが一次バイパス流路からスプール流路を経由して二次バイパス流路内へ流入できるように、スプール流路は一次及び二次バイパス流路に接続されると共に一次及び二次バイパス流路間に配置されている。
【0025】
[0025] いくつかの形態において、スプールは、第1の環状リングと、この第1の環状リングから離隔した第2の環状リングと、第1及び第2の環状リング間に配置され、第1及び第2の環状リングによって画定された中央部と、を備え、スプールの中央部はスプール流路の直径並びに第1及び第2の環状リングの直径よりも小さい直径を有し、スプールの中央部とスプール流路の壁との間に配置されたエリアは連通流路を形成し、スプールが開放位置にあるか又は閉鎖位置にあるかにかかわらず連通流路は一次バイパス流路と流体連通している。
【0026】
[0026] いくつかの形態において、スプールはこのスプールを貫通する空洞を含み、空洞はスプールの中央部に配置されて、グリースがスプールの中央部を通って流れて連通流路を充填することを可能とする。
【0027】
[0027] いくつかの形態では、スプールが閉鎖位置にある場合、連通流路は二次バイパス流路に隣接して位置しておらず、これによってスプール流路から二次バイパス流路内へのグリースの流入を制限し、スプールが開放位置にある場合、連通流路は二次バイパス流路に隣接して位置しており、これによって二次バイパス流路内へのグリースの流入を可能とする。
【0028】
[0028] また、本明細書に開示されるグリースガンは、第1のグリース流路内に配置され、開放構成及び閉鎖構成を有する第1のバイパス弁を更に備え、第1のバイパス弁が開放構成である場合、グリースは第1のチャンバから第3のチャンバ内へ流入することができ、第1のバイパス弁が閉鎖構成である場合、グリースは第1のチャンバから第3のチャンバ内へ流れることが制限され、第1のバイパス弁は、第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の圧力より小さい場合は閉鎖構成になるよう構成され、第1のチャンバ内の圧力が第3のチャンバ内の圧力より大きい場合は開放構成になるよう構成されている。
【0029】
[0029] また、本明細書に開示されるグリースガンにおいて、第1のチャンバは第1の直径を有し、第1のピストンは第2の直径を有し、第1のチャンバと第1のピストンとの間に半径方向ギャップが形成されるように第2の直径は第1の直径より小さく、第1のチャンバ内の圧力が所定のレベルに達した場合、第1のピストンが後退位置から係合位置へ往復運動すると、グリースは第1のチャンバ内の半径方向ギャップに沿って共通グリース流路内へ押し込まれる。
【0030】
[0030] いくつかの形態において、第2のチャンバは第3の直径を有し、第2のピストンは第4の直径を有し、第3の直径及び第4の直径の大きさは、グリースが第2のチャンバと第2のピストンとの間から共通グリース流路内へ流入するのが制限されるように設定される。
【0031】
[0031] また、本明細書に開示されるグリースガンは、容器上の対応する係合手段に取り付けるための、グリースガンの本体上の係合手段を更に備える。
【0032】
[0032] いくつかの形態において、係合手段は外側環及び内側環を備え、外側環は、内側環が容器をグリースガンの本体に固定することができる係止位置と、容器を本体から取り外すことができる係止解除位置と、の間で内側環上で軸方向に移動可能である。好ましくは、内側環は環係止ボールを収容する環ボール溝を備え、環係止ボールは容器上の対応する溝と係合可能である。好ましくは、係止位置において、環ボール溝の環係止ボールが容器上の対応する溝と係合することによって容器は本体に保持される。好ましくは、環係止ボールは、容器上の対応する溝と係合可能である環ボール溝内の係合位置と、容器上の対応する溝と係合可能でない環ボール溝内の係合解除位置と、を有する。好ましくは、環係止ボールは、外側環が内側環上で環ボール溝に隣接した位置に配置されている場合は係合位置であり、外側環が内側環上で環ボール溝に隣接していない位置に配置されている場合は係合解除位置である。
【0033】
[0033] いくつかの形態において、外側環は更にタブを含む。好ましくは、外側環は、タブの回転によって係止位置と係止解除位置との間で移動可能である。
【0034】
[0034] いくつかの形態において、グリースガンは、第1の監視スプールに搭載された第1の磁石と、磁石に隣接して配置された近接センサであって、磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている近接センサと、を更に備え得る。
【0035】
[0035] いくつかの形態において、グリースガンは、出口を容器に流体的に接続する第2の圧力除去流路と、第2の圧力除去流路内に配置された第2の圧力除去弁であって、出口内の圧力が所定の圧力以上である場合に開くことによって出口から容器へグリースが流れることを可能とするよう構成された第2の圧力除去弁と、を更に備え得る。
【0036】
[0036] いくつかの形態において、グリースガンは、第2の圧力除去流路から離隔された第2の監視流路と、第2の監視流路を第2の圧力除去流路に流体的に接続する第2の接続流路と、第2の監視流路内に配置され、第2の監視流路内で第2の監視流路の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間で平行移動するよう構成された第2の監視スプールであって、第2の監視スプールが開放位置にある場合にグリースが出口から第2の接続流路を介して容器へ流れることができる、第2の監視スプールと、を更に備え得る。
【0037】
[0037] いくつかの形態において、グリースガンは、第2の監視スプールに搭載された第2の磁石と、第2の磁石に隣接して配置された第2の近接センサであって、第2の磁石の位置を示す信号を発生するよう構成されている第2の近接センサと、を更に備え得る。
【0038】
[0038] いくつかの形態において、グリースガンは、第1及び第2の近接センサによって発生した信号を受信するように構成されたコントローラであって、第1及び第2の近接センサによって発生した信号に応じてグリースガンに関する情報を決定するように構成されているコントローラと、決定された情報を表示するように構成されたLCDと、を更に備え得る。油圧スイッチのうち1つのみ(例えば、上述の第1及び第2の圧力除去弁のうち1つのみ)を含む実施形態では、コントローラは、その1つの油圧スイッチの信号を受信し、その信号に応じてグリースガンに関する情報を決定するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
[0039] これより以下の図面を参照して本開示の様々な実施形態/態様を記載する。
【0040】
図1】[0040] 本発明に従ったグリースガンの画像である。
図2】[0041] ピストンが横並び構成であり、高流量/高圧スイッチがバイパス弁の形態をとり、第1のピストンが後退位置で示されている、図1のグリースガンの第1の実施形態の側断面図である。
図3】[0042] 第2のピストンが後退位置で示されている第1の実施形態の側断面図である。
図4】[0043] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第1の実施形態の上方からの断面図である。
図5】[0044] 第1及び第2のピストンが係合位置で示されている第1の実施形態の上方からの断面図である。
図6】[0045] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチがバイパス弁の形態をとり、ピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第2の実施形態の側断面図である。
図7】[0046] 第1及び第2のピストンが部分的係合位置で示されている第2の実施形態の側断面図である。
図8】[0047] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第2の実施形態の側断面図である。
図9】[0048] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチが圧力駆動スプールの形態をとり、第1及び第2のピストンが後退位置で、スプールが閉鎖位置で示されている、図1のグリースガンの第3の実施形態の上方からの断面図である。
図10】[0049] スプールが閉鎖位置で示されている第3の実施形態の側断面図である。
図11】[0050] 第1及び第2のピストンが後退位置で、スプールが開放位置で示されている、第3の実施形態の上方からの断面図である。
図12】[0051] スプールが開放位置で示されている第3の実施形態の側断面図である。
図13】[0052] スプールが閉鎖位置で示されている第3の実施形態のスプールの側断面図である。
図14】[0053] スプールが開放位置で示されている第3の実施形態のスプールの側断面図である。
図15】[0054] ピストンが上下構成であり、高流量/高圧スイッチがギャップに基づくバイパスの形態をとり、第1及び第2のピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第4の実施形態の側断面図である。
図16】[0055] 第1及び第2のピストンが後退位置で示されている第4の実施形態の側断面図である。
図17】[0056] ピストンが横並び構成であり、高流量/高圧スイッチがギャップに基づくバイパスの形態をとり、第1及び第2のピストンが係合位置で示されている、図1のグリースガンの第5の実施形態の水平断面図である。
図18】[0057] 図1のグリースガンの側断面図である。
図19】[0058] 係止位置にある簡易着脱筒機構を示す、請求項1のグリースガンの断面図である。
図20】[0059] 係止位置にある図19の簡易着脱筒機構の側面図である。
図21】[0060] 図20の簡易着脱筒機構の断面図である。
図22】[0061] 係止解除位置にある簡易着脱筒機構を示す、請求項1のグリースガンの断面図である。
図23】[0062] 係止解除位置にある図22の簡易着脱筒機構の側面図である。
図24】[0063] 図23の簡易着脱筒機構の断面図である。
図25】[0064] グリースガンの別の実施形態の断面図である。
図26】[0065] 第1の油圧スイッチ及び第1の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの断面図である。
図27】[0066] 第1の油圧スイッチ及び第1の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図28】[0067] 第1の油圧切り替え機構及び第1の近接センサの拡大図を示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図29】[0068] 第2の油圧スイッチ及び第2の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図30】[0069] 第2の油圧スイッチ及び第2の近接センサを示す、図25に示されたグリースガンの別の断面図である。
図31】[0070] グリースガンの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0071] これより図1から図30を参照してグリースガンについて記載する。
【0042】
[0072] 本明細書に開示されるのは、図1で示されているような電池式グリースガン1である。図2で示されているように、グリースガン1は、クランクホイール2の形態であるアクチュエータ、及び本体3を含む。使用中、本体3は、油筒4の形態である容器に接続されている。油筒4は、標準的なグリースカートリッジ又はグリース源からの大量充填(bulk filled)によって充填するよう設計されている。グリースカートリッジを使用している場合に油筒4が空になったら、油筒4を本体3から外してカートリッジにアクセスしてこれを取り替える。あるいは、大量充填の場合に油筒4が空になったら、補充用の充填器/ブリーダ(bleeder)5を介してグリース源に接続することができる(例えば図2及び図4を参照のこと)。
【0043】
[0073] 本体3は、第1の細長いチャンバ6(図2に示されている)及び第2の細長いチャンバ7(図3に示されている)を含む。第2のチャンバ7は、第1のチャンバ6の断面積に比べて小さい断面積を有し、従って第1のチャンバ6よりも少ない容量のグリースを保持するよう構成されている。詳細な実施形態において、第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7は断面積が円形であり、第2のチャンバ7の直径は第1のチャンバ6の直径よりも小さい。第1のチャンバ6は第1の軸Aに沿って延出し、第2のチャンバ7は第2の軸Bに沿って延出し、これらの軸は離隔している。図4に示されている実施形態では、第1の軸A及び第2の軸Bは相互に対して実質的に平行である。第1のチャンバ6内で、第1のピストン8は第1の軸Aに沿って移動する(例えば平行移動する、往復運動する)ように移動可能である。第2のチャンバ7内で、第2のピストン9は第2の軸Bに沿って移動する(例えば平行移動する、往復運動する)ように移動可能である。当業者には認められるであろうが、これらのピストンをクランクホイール2によって同位相で作動できるならば、代替的な実施形態(図示せず)では軸1及びBは相互に平行でなくてもよい。
【0044】
[0074] 第1のピストン8及び第2のピストン9は、図4及び図5で示されているように横並び構成において同一水平面内に配置されるか、又は図6から図8で示されているように上下構成において同一垂直面内に配置され得る。これらの構成は、システムの動作に異なる利点を与える。例えば、図4及び図5で示されている横並び構成は、ガン本体の小型化に関してコンパクトで費用対効果の高い設計を提供する。図6から図8で示されている上下構成は、例えば、クランク及びピストンの側方負荷のバランスを改善することで、この機構の長寿命を保証する。
【0045】
[0075] 第1のピストン8及び第2のピストン9は一端がリンク10に固定されている。第1のピストン8及び第2のピストン9をリンク10に固定することで、各ピストンを相互に固定された関係に保持して、各ピストンが同位相で往復運動するようになっている。図4及び図5に示されている位置では、第1のピストン8及び第2のピストン9は横並び構成でリンク10に固定されている。図6から図8に示されている位置では、第1のピストン8は第2のピストン9の下方でリンク10に固定されている。リンクの両側に側方ガイド47が配置されて、側方負荷を受けると共に、リンクが2つのピストン上の完全に軸方向の負荷を解放することを可能とする。詳細な実施形態において、側方ガイド47は耐摩耗性の高い材料で作製される。
【0046】
[0076] リンク10は開口11を含む。クランクホイール2にはカム12が取り付けられている。クランクホイール2が移動すると、カム12はクランクホイール2のエッジに沿って円形移動するように回転する。カム12は開口11内に挿入されている。この移動中、カム12は開口11内で、第1の軸Aに対して実質的に垂直な方向に進む。開口11内でのカム12の移動によって、クランクホイール2の回転移動はリンク10の平行移動に変換され、その結果、第1のピストン8及び第2のピストン9はそれぞれ第1の軸A及び第2の軸Bに沿って平行移動する。このようにして第1のピストン8及び第2のピストン9は、クランクホイール2によって、完全に係合した位置(例えば図6に示されている)から部分的に係合した位置(例えば図7に示されている)を介して完全に後退した位置(例えば図8に示されている)まで連続的に往復運動する。クランクホイール2の係合位置すなわち延出位置は、第1及び第2のピストンの延出位置に相当する。クランクホイール2の後退位置すなわち係合解除位置は、第1及び第2のピストンの後退位置に相当する。クランクホイール2の部分的に係合した位置すなわち部分的に延出した位置は、第1及び第2のピストンの部分的に延出した位置に相当する(例えば、ピストンは一方向又は他方向に平行移動している途中である)。
【0047】
[0077] クランクホイール2の移動はモータ37によって駆動される。モータ37は、例えば電気18VDCモータ、12VDCモータ、21VDCモータ、又は24VDCモータとすればよい。当業者には認められるであろうが、他のモータが適している場合もある。モータ37は電池38によって動力が供給される。電池は、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、又はニッケルカドミウム電池とすればよい。好ましくは、電池は再充電可能なものである。当業者には認められるであろうが、他の電池が適している場合もある。
【0048】
[0078] 第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7は相互に流体的に接続され、また、共通グリース流路13を介して油筒4に流体的に接続されている。第1のピストン8及び第2のピストン9は、後退位置にある場合、それぞれ第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内で、油筒4から共通グリース流路13を介した第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7へのグリースの流れを阻止しないように位置付けられる。第1のピストン8及び第2のピストン9は、後退位置から中間位置へ移動すると、それぞれ第1のチャンバ6内で第1の軸Aに沿って、また第2のチャンバ7内で第2の軸Bに沿って前進することで、共通グリース流路13を徐々に遮り、最終的にはこれを閉鎖する。
【0049】
[0079] 図6から図8に示されている上下構成では、共通グリース流路13は2つのピストンの下方に位置し、その中央部が同一垂直面上にある。このため、油筒4からのグリースは第2のチャンバ7より前に第1のチャンバ6に到達してこれに供給される。図2から図5に示されている横並び構成では、共通グリース流路13は2つのピストンの下方で対称的に配置され、油筒4からのグリースが第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7に同時に到達してこれらに供給されるようになっている。
【0050】
[0080] 第1のピストン8にはポジティブシール(positive seal)8Aが取り付けられ、第1のチャンバ6と液密係合を形成する。第2のピストン9にはポジティブシール9Aが取り付けられ、第2のチャンバ7と液密係合を形成する。いくつかの形態では、これらのポジティブシールはOリングの形態であるが、例えば、予備リング付きのOリング、Xリング、ロッドシール、リップシール等、他の形態をとってもよい。
【0051】
[0081] 図2及び図3で示されているように、本体3は第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15を含む。第3のチャンバ14は、第1のグリース流路16を介して第1のチャンバ6と流体的に接続されている。第1のグリース流路16は、詳細な実施形態においてばね式逆流防止弁17として示されている逆流防止弁を含む。逆流防止弁17は、デフォルトでは閉鎖しており、第1のチャンバ6内のグリースがばねの付勢力を克服するのに充分な圧力を逆流防止弁17に加えた場合にのみ開く。第1のピストン8が第1のチャンバ6内で第1の軸Aに沿って更に移動し、容積が小さくなった結果として第1のチャンバ6内のグリースに加わる圧力が増大すると、逆流防止弁17が開き、グリースは第1のチャンバ6から第3のチャンバ14内へ移動することができる。逆流防止弁17は、第1のチャンバ6から第1のグリース流路16を介した第3のチャンバ14内へのグリースの流入を可能とするが、第3のチャンバ14から第1のチャンバ6内へのグリースの逆流を制限する。詳細な実施形態では、逆流防止弁17は第3のチャンバ14から第1のチャンバ6内へのグリースの逆流を防止する。
【0052】
[0082] 第4のチャンバ15は、第2のグリース流路18を介して第2のチャンバ7と流体的に接続されている。第2のグリース流路18は、詳細な実施形態においてばね式逆流防止弁19として示されている逆流防止弁を含む。逆流防止弁19は、デフォルトでは閉鎖しており、第2のチャンバ7内のグリースがばねの付勢力を克服するのに充分な圧力を逆流防止弁19に加えた場合にのみ開く。第2のピストン9が第2のチャンバ7内で第2の軸Bに沿って更に移動し、容積が小さくなった結果として第2のチャンバ7内のグリースに加わる圧力が増大すると、逆流防止弁19が開き、グリースは第2のチャンバ7から第4のチャンバ15内へ移動することができる。逆流防止弁19は、第2のチャンバ7から第2のグリース流路18を介した第4のチャンバ15内へのグリースの流入を可能とするが、第4のチャンバ15から第2のチャンバ7内へのグリースの逆流を制限する。詳細な実施形態では、逆流防止弁19は第4のチャンバ15から第2のチャンバ7内へのグリースの逆流を防止する。
【0053】
[0083] 第3のチャンバ14は、第1のピストン8から遠い側の第1のチャンバ6の端部に位置付けられている。詳細な実施形態では、第3のチャンバ14は第1の軸Aに沿って配置されている。
【0054】
[0084] 第4のチャンバ15は、第2のピストン9から遠い側の第2のチャンバ7の端部に位置付けられている。詳細な実施形態では、第4のチャンバ15は第2の軸Bに沿って配置されている。
【0055】
[0085] 使用中、グリースは共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内へ流入する。第1のピストン8及び第2のピストン9が第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内でそれぞれ前進すると、第1のチャンバ6及び第2のチャンバ7内の圧力が増大する。第1及び第2のチャンバ内の圧力が逆流防止弁17及び19に対する圧力よりも大きくなると、逆流防止弁が開き、グリースは第1のチャンバ6から第3のチャンバ14内へ、また第2のチャンバ7から第4のチャンバ15内へ流入する。ピストンが前進するたびに、更にグリースが第3のチャンバ14内及び第4のチャンバ15内へ流入し、これらのチャンバ内の圧力が増大する。第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15の各々は出口チャンバ20に流体的に接続されている。上下構成では、出口チャンバ20は第4のチャンバ15を貫通して第3のチャンバ14内へ延出している。横並び構成では、出口チャンバ20は第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15の上方に位置し、これらに接続されている。第3のチャンバ14と第4のチャンバ15との間の流体接続によって、第3のチャンバ14及び第4のチャンバ15内のグリースは出口チャンバ20内へ流入し、グリース出口21を経由してグリースガン1から出ることができる。次いでこのグリースは、特定位置の潤滑を必要とする車両又は他の機械又は同様のものの関連エリアに塗布することができる。好ましくは、グリース出口を、端部に管継手を備えたグリース管に接続して、グリースガンを車両又は他の機械に流体的に接続することを可能とする。
【0056】
高流量/高圧スイッチ
[0086] 詳細な実施形態において、本体3は、グリースガン1を高流量モードと高圧モードとの間で自動的に切り替えるための手段を含む。高流量モードでは、グリースガンは最大のグリース出力を提供する。電池式グリースガンで使用するのに適した電池が限られているので、高流量モードのグリースは比較的低い圧力でしか提供できない。車両又は同様のものへのグリース流が閉塞した場合、高流量モードの圧力はこの閉塞を除去することができない。この状況で、グリースガンは自動的に高圧モードに切り替わることができる。高圧モードでは、グリース出口21から流出するグリースの量は高流量モードでグリース出口から流出するグリースの量よりも少ないが、グリースの圧力は高いので、閉塞を除去するための高い圧力が提供される。
【0057】
[0087] 本明細書に開示されているグリースガンは、3つの異なる高流量/高圧スイッチを想定している。これらについて以下で順番に説明する。
【0058】
圧力駆動スプール
[0088] 図9から図14は本開示の高圧/高流量スイッチの第1の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、圧力駆動スプールによるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0059】
[0089] 図9から図14で示されているように、グリースガン1の本体3は、第3の軸Cに沿って延出しているスプール流路22を更に含む。スプール流路22は壁23によって画定されている。図9から図14において、第3の軸Cは第1の軸A及び第2の軸Bと平行であるが、これらの軸と平行であることは必須ではない。第3の軸Cは、第1の軸A及び第2の軸Bに対して平行から垂直までの間の任意の角度を形成し得る。スプール流路22内でスプール24は移動可能である。スプール24は、開放位置と閉鎖位置との間で移動する(例えば平行移動する)ように構成されている。
【0060】
[0090] スプール流路22の第1の端部22Aに、第3のチャンバ14と流体連通している圧力流路25がある。第3のチャンバ14内にグリースが存在する場合、このグリースの一部は圧力流路25に沿って移動する。
【0061】
[0091] スプール24は、第1の環状リング27及び第2の環状リング28(図11を参照のこと)によって画定される中央部26を有する。中央部26の直径は、スプール流路22の直径、第1の環状リング27の直径、及び第2の環状リング28の直径に比べて小さい。第1の環状リング27及び第2の環状リング28は、高圧シールが取り付けられ、スプール流路22の周囲の壁23と液密係合を形成することで、グリースが圧力流路25から中央部26内へ流入することを第1の環状リング27によって防止すると共に、グリースが中央部26外へ流出することを第1の環状リング27及び第2の環状リング28によって防止するようになっている。中央部26、第1の環状リング27、第2の環状リング28、及び壁23の間のエリアは、連通流路29を形成する。
【0062】
[0092] スプール24が開放位置(図11及び図12に示されている)にあるか、又は閉鎖位置(図9及び図10に示されている)にあるかにかかわらず、スプール24の第1の端部24Aはスプール流路22の第1の端部22Aからずれているので、圧力流路25からのグリースがスプール24の第1の端部24Aに隣接したスプール流路22の部分に流入するようになっている。
【0063】
[0093] スプール流路22の第2の端部22Bには、付勢ばね30の形態で示されている付勢手段があるが、他の付勢手段も想定される。付勢ばね30はスプール24の第2の端部24Bに隣接し、スプール24を閉鎖位置に付勢する。
【0064】
[0094] 第1のチャンバ6と油筒4との間に、一次バイパス流路31A及び二次バイパス流路31Bから構成されたバイパス流路31がある。一次バイパス流路31Aは、第1のチャンバ6とスプール流路22との間に延出して、第1のチャンバ6内にグリースが存在する場合に一次バイパス流路31Aを通って連通流路29内に流入するようになっている。二次バイパス流路31Bは、スプール流路22と油筒4との間に延出している。詳細な実施形態では、一次バイパス流路軸D及び二次バイパス流路軸Eは相互に実質的に垂直であり、スプール流路22に対して相互にずれている。グリースガン1が直立位置にある場合、一次バイパス流路軸Dは水平軸になり、二次バイパス流路軸Eは垂直軸になる。一次バイパス流路31Aに接続するスプール流路22の部分は、二次バイパス流路31Bに接続するスプール流路22の第2の部分から離隔している(例えば、ずれている)。従って、スプール流路22内へ流入する一次バイパス流路31Aからのグリースは、二次バイパス流路31B内へ流入する前にスプール流路22の長さの少なくとも一部に沿って進むはずである。
【0065】
[0095] 図10で示されているように、スプール24が閉鎖位置にある場合、連通流路29は二次バイパス流路31Bに隣接した位置にない。これは、連通流路29が二次バイパス流路31Bから離隔され、従って連通流路29と流体連通していないことを意味する。この結果、閉鎖位置では、連通流路29内のグリースは二次バイパス流路31B内へ流入しない。
【0066】
[0096] 図12で示されているように、スプール24が開放位置にある場合、連通流路29は二次バイパス流路31Bに隣接して位置付けられる。これは、連通流路29が二次バイパス流路31Bと流体連通し、連通流路29内のグリースが二次バイパス流路31B内へ、次いで油筒4内へ流入することを意味する。
【0067】
[0097] また、中央部26は空洞32を含み得る。図13及び図14で示されているように、グリースは一次バイパス流路31Aから空洞32を介して連通流路29内へ流入する。好適な実施形態において、空洞32は、一次バイパス流路31Aと同じ向きで、かつ二次バイパス流路31Bの向きと実質的に垂直に、中央部26を貫通している。図10及び図13で示されているように、スプール24が閉鎖位置にある場合、グリースは一次バイパス流路31Aに沿って流れて空洞32を介して連通流路29内へ流入できるが、二次バイパス流路31B内への流入は二次環状リング28によって妨げられる。
【0068】
[0098] 上述のように、付勢ばね30はスプール24を閉鎖位置へ付勢する。グリース閉塞箇所が存在する場合、クランクホイール2を回転させるたびに出口チャンバ20内のグリース圧力が増大する。逆流防止弁17によって、第3のチャンバ14からのグリースが第1のチャンバ6に戻ることは制限される。しかしながら、グリースが圧力流路25に沿ってスプール流路22内へ流入することは制限されない。このため、スプール流路22の第1の端部22Aとスプール24の第1の端部24Aとの間に位置するグリースには、増大した圧力が加わる。所定の圧力レベル(例えば、1000psi~3000psi、好ましくは1500psi~2500psi、最も好ましくは2000psiの量に設定されたレベル)では、この圧力による力は付勢ばね30が加える力よりも大きいので、スプール24は付勢ばね30に反して閉鎖位置から開放位置へ移動する。出口チャンバ20内のグリースからの圧力はスプール24を開放位置に維持するが、グリース出口21は閉塞したままである。
【0069】
[0099] スプール24が閉鎖位置にある場合、グリースガンは「高流量モード」で動作していると考えられる。高流量モードでは、第1のチャンバ6内に収容された全てのグリースが第3のチャンバ14へ誘導され、出口流路20内へ、次いでグリース出口21へ送出される。このモードでは、第1のピストン8及び第2のピストン9は同一の背圧を受けており、電池38によってリンク10を作動させるには、これら2つのピストンを背圧に反して前進させるのに充分な力が必要である。
【0070】
[00100] スプール24が開放位置にある場合、グリースガンは「高圧モード」で動作していると考えられる。高圧モードでは、一次バイパス流路31A及び二次バイパス流路31Bは連通流路29を介して接続され、共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6内へ流入する比較的大量のグリースは、第1のチャンバ6からバイパス流路31を経由して油筒4内へ逆流する。この量は、チャンバの背圧、グリース粘度、温度等、多数のパラメータに応じて変動する。
【0071】
[00101] バイパス流路31が開放位置にある場合、第1のチャンバ6内のグリースは、バイパス流路31を通って油筒4内まで最小抵抗経路を進む。しかしながら、第1のピストン8が前進する間、ある量の背圧が第1のチャンバ6内で生じる。これは、第1の流路6内への入口流路(共通グリース流路13)のサイズに比べて、第1の流路6外への出口流路(バイパス流路31)のサイズが小さいことに起因する。第1のチャンバ6内の背圧レベルに応じて、また、これが逆流防止弁17を開くのに充分であるか否かに応じて、第1のチャンバ6内のグリースは、一部が逆流防止弁17を通って第3のチャンバ14内へ流入するか、又は全くそのように流入しない。第1のチャンバ6からのグリースの少なくとも大部分はバイパス流路31を通って流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これによってシステム内の閉塞が除去され得る。
【0072】
[00102] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって圧力流路25の圧力が低減し、結果としてスプール24の第1の端部24Aの圧力が低減する。一度圧力が低減して、第1の端部24Aに加わる力が付勢ばね30から24Bに加わる力よりも小さくなったら、付勢ばね30はスプール24を閉鎖位置へ押す。
【0073】
圧力除去バイパス弁
[00103] 図2から図8は、本開示の高圧/高流量スイッチの第2の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、圧力除去バイパス弁によるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0074】
[00104] この第2の態様において、本体3は二次グリース流路35を更に備える。二次グリース流路35は、第1のチャンバ6と油筒4との間に延出し、これらを流体的に接続している。これは、共通グリース流路13の前方で第1のピストン8の係合位置の近くに位置付けられている。二次グリース流路35は逆流防止弁を含み、これは好ましくは油圧切り替え機構として動作するばね式逆流防止弁36である。逆流防止弁36が開いている場合、これは、第1のチャンバ6から二次グリース流路35を介した油筒4内へのグリースの流れを可能とするが、油筒4から二次グリース流路35を介した第1のチャンバ6内へのグリースの流れを制限する。逆流防止弁36は、デフォルトでは閉鎖しており、第1のチャンバ6内のグリースが逆流防止弁36のばねによる付勢力を上回る所定の圧力レベルに達した場合にのみ開く。
【0075】
[00105] 逆流防止弁36が開くと、グリースガンは高流量モードから高圧モードに切り替わる。逆流防止弁36は開いているので、共通グリース流路13を介して第1のチャンバ6内に流入するグリースの大部分は、二次グリース流路35を経由して油筒4内へ逆流する。油筒4内へ逆流するグリースの量は、システムのライン背圧及びグリースの粘度を含む多数のファクタに依存する。高圧モードでは、第1のピストン8が往復運動するたびに、第1のチャンバ6内でピストン自体が発生する圧力に反応して、逆流防止弁36は開いたり閉じたりする。
【0076】
[00106] 第1のチャンバ6からのグリースの少なくとも大部分は二次グリース流路35を通って流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池38に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、モータ37に動力を供給するため、従ってクランクホイール2を回転させるため電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これはシステム内の閉塞の除去に役立つ。
【0077】
[00107] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって第3のチャンバ14の圧力が低減し、結果として第1のチャンバ6の圧力が低減する。一度圧力が所定レベル未満に低減したら、逆流防止弁36は閉鎖し、第1のチャンバ6からの全てのグリースは第3のチャンバ14内へ流入する。
【0078】
ギャップに基づくバイパス
[00108] 図15から図17は、本開示の高圧/高流量スイッチの第3の態様を示す。この高圧/高流量スイッチは、ギャップに基づくバイパスによるものである。高圧/高流量スイッチのこの形態は、グリースガン1の横並び及び上下構成の双方で用いることができる。
【0079】
[00109] 上記で概説したグリースガンでは、第1のチャンバ6と第1のピストン8との間、及び第2のチャンバ7と第2のピストン9との間に液密係合が存在し、各ピストンがそのチャンバ内で前進する場合にグリースが各チャンバに沿って戻らないようになっている。例えばこれは、第1のピストン8上のポジティブシール8A及び第2のピストン9上のポジティブシール9Aを用いることにより実行できる。しかしながら、本開示のこの態様では、グリースが第1のチャンバ6に沿って共通グリース流路16内へ逆流できるように第1のピストン8と第1のチャンバ6との間に空間を設けることが有利である。
【0080】
[00110] 第1のピストン8の直径は第1のチャンバ6の直径よりも小さいので、第1のピストン8と第1のチャンバ6との間に半径方向ギャップ48が形成されるようになっている。
【0081】
[00111] 第1のチャンバ6内の圧力が所定量よりも小さい場合、第1のピストン8が後退位置から係合位置へ往復運動すると、第1のチャンバ6内のグリースは第3のチャンバ14内へ押し込まれる。しかしながら、第1のチャンバ6内の圧力が所定量よりも大きい場合、グリースガンは高圧モードになり、第1のピストンが後退位置から係合位置へ更に往復運動すると、その結果生じる圧力によって、第1のチャンバ6内の半径方向ギャップ48に沿ったグリースは共通グリース流路13内へ押し込まれる。
【0082】
[00112] 詳細な形態では、第2のピストン9と第2のチャンバ7との間には対応するギャップは存在しない。
【0083】
[00113] 第1のチャンバ6からのグリースの大部分は第1のチャンバ6の半径方向ギャップ48に沿って共通グリース流路13へ流れるので、第1のチャンバ6内の第1のピストン8に対する背圧は最小限であり、電池38に必要なのは、第2のチャンバ7の背圧に反して第2のピストン9を前進させる力だけである。このため、特にグリース閉塞に起因してシステム内の圧力が増大している場合、第1のピストン8及び第2のピストン9の双方を共に前進させる力に比べて、第2のピストン9を前進させるのに必要な力は比較的小さいので、モータ37に動力を供給するため、従ってクランクホイール2を回転させるため電池38に必要なパワーが低減する。グリースガンが高圧モードである場合に第2のチャンバ7に提供することができる追加の圧力は、グリース出口21から出るグリースの圧力を極めて高いレベル(例えば最大で10,000psi)に増大させることができ、これはシステム内の閉塞の除去に役立つ。
【0084】
[00114] 一度閉塞が除去されたら、出口流路20及びグリース出口21の圧力は低減し、これによって第3のチャンバ14の圧力が低減し、結果として第1のチャンバ6の圧力が低減する。一度圧力が所定レベル未満に低減したら、第1のチャンバ6からの全てのグリースが第3のチャンバ14内へ流入するような圧力になる。
【0085】
筒の簡易着脱
[00115] 図19から図24に示されている本開示の実施形態では、グリースガン1の本体3上に係合手段が更に提供されている。これは、油筒4上の対応する係合手段に取り付けるためのものである。本体3上の係合手段は、外側環39及び内側環40の形態をとっている。外側環39は内側環40を取り囲み、内側環40上で軸方向に移動可能であり、係止位置(図19から図21に示されている)と係止解除位置(図22から図24に示されている)との間で移動できるようになっている。
【0086】
[00116] 係止位置では、内側環40は油筒4を本体3に固定することができる。係止解除位置では、内側環40は油筒4を本体3から解放する。
【0087】
[00117] 内側環40は、内側環40の円周方向に延出している環ボール溝41を含む。環ボール溝41内に、1つ以上の(好ましくは2つ以上の)環係止ボール42がある。環係止ボール42は、環ボール溝41のポケット43内に位置付けられ、ポケット43内の位置によってそれぞれの円周方向位置に保持される。しかしながら、ポケット43は環ボール溝41の各側で開口し、環係止ボール42よりも幅が狭いので、環係止ボール42は、内側環40の内側へ突出する環ボール溝41内の係合位置と、内側環40の外側へ突出する係合解除位置とを有する。
【0088】
[00118] 外側環39は、内側環40上でタブ45によって軸方向に移動可能である。タブ45は、外側環39の表面から半径方向に延出しているので、ユーザはこれを用いて外側環39を係止位置と係止解除位置との間で移動させることができる。タブ45の内側は内側環40上のらせん形経路46と係合可能であり、タブ45を移動させると外側環39は内側環40に対して軸方向と横方向の双方に移動するようになっている。
【0089】
[00119] 係止位置では、外側環39は内側環40上で環ボール溝41に隣接した位置に配置されている。外側環39を環ボール溝41に隣接した位置へ移動させると、ポケット43内の環係止ボール42は係合解除位置から係合位置へ移動する。
【0090】
[00120] 係止解除位置では、外側環39は内側環40上で環ボール溝41から離れた位置にある。この位置では、環係止ボール42は係合解除位置にある。
【0091】
[00121] 油筒4は、環ボール溝41の環係止ボール42と係合可能である外周溝44を有する。溝44の位置は、内側環40に挿入される油筒4の部分の端部付近であるが、端部ではない。油筒4を内側環40に挿入する場合、外側環39が係止解除位置であり、従って環係止ボール42が係合解除位置であるならば、環ボール溝41が溝44に隣接した位置になるまで油筒4を内側環40内に挿入することができる。タブ45を動かして外側環39を係止解除位置から係止位置へ移動させると、環係止ボール42は係合位置へ移動し、溝45内へ延出して溝45と係合する。溝44内に環係止ボール42が延出することで、油筒4は本体3に固定される。
【0092】
[00122] タブ45を更に動かして外側環39を係止位置から係止解除位置へ移動させると、環係止ボール42が環ボール溝41のポケット43内で後退し、溝44に対して後退するので、油筒4を本体3から取り外すことが可能となる。
【0093】
電子的に監視された圧力除去バイパス弁
[00123] これより、図25から図30に関連付けて、本明細書に開示されているグリースガンの別の実施形態について記載する。この実施形態は、逆流防止弁の形態で示されている油圧スイッチ(圧力除去弁)50を含む。スイッチ50によって、図2から図8に関連付けて上述した油圧スイッチと同様に、高圧モードと高流量モードとの間でガンを切り替えることができる。図2から図8に関連付けて記載した実施形態と同様、油圧スイッチ50は、第1のチャンバ6内の圧力が約3000psiより高い場合、大きいピストンが発生したグリースの流れを筒内へ迂回して戻すように構成されている。当業者には明らかであろうが、この圧力の選択は特定の用途に合うように行えばよい。
【0094】
[00124] この実施形態において、油圧スイッチ50は、これが開いているか又は閉じているかをユーザが判定できるように電子的に監視される。この実施形態は、グリースガンの出口を油筒4に流体的に接続する別の油圧スイッチ(圧力除去弁)52を含む。この油圧スイッチは最終安全弁であり、出口の圧力がガンの最大定格圧力(例えば10,000psi)に達した時に開くよう構成されている。従ってこのスイッチは、ガンが発生する圧力を最大安全レベル(例えば10,000psi)で遮断することができる。
【0095】
[00125] これより、図26から図28に関連付けて、油圧スイッチ50(逆流防止弁50とも称する)について更に詳しく説明する。図26から図28は、ピストンに垂直な方向で油圧スイッチ50を切り取ったガンの断面図である。詳細な実施形態において、圧力除去弁50は、例えば3000psiで開くように構成され、次いで第1のチャンバ6からグリースを受容する。圧力除去弁50が内部に配置されたチャンバ58の隣に位置決めされたスプールチャンバ56内に、あらかじめ搭載された(例えば金属)スプール54が配置されている。スプールチャンバは軸Xに沿って延出している。チャンバ58は軸Yに沿って延出している。軸Xは軸Yから離隔し、軸Yに対して実質的に平行である。スプール54は閉鎖位置の方へ付勢されているので、チャンバ56は、油筒(図示せず)から分離されているが、本体3によって画定されてチャンバ56と58を接続する流路61を介してチャンバ58と永続的に連通している。流路61は、チャンバ56、58の下端に配置され、軸X及びYに対して実質的に平行に延出している。スプール54は、チャンバ56内で軸Xに沿って平行移動するよう構成されている。
【0096】
[00126] スプール54は磁石60を含む。磁石60はスプール54に搭載されて、スプール54の閉鎖位置(図26及び図27に示されている)に相当する静止位置から図28で示されている変位位置へ変位するよう構成されている。詳細な実施形態では、磁石60はスプール54の上端に搭載される。スプール54は、グリースが弁50を通って流れることにより変位するよう構成されている。「開いた」圧力除去弁50からのグリースがチャンバ62を充填し、従ってスプール54を付勢ばねに対して上方に押し上げることで引き起こされる変位位置では、スプール54及び磁石60は油筒から離れて(使用中に上方へ)位置決めされるので、フランジ64とグリースガンの本体3との間に流路62が形成される。このため、逆流防止弁50が開いている場合、グリースはチャンバ58の下部から流路62を介して油筒内へ逆流することができる。磁石60の上方に近接センサ66が配置されている。近接センサ66は磁石60の位置を検出するように構成されており、従ってスプール54の移動を検出することができる。
【0097】
[00127] 近接センサ66からの信号は、コントローラ(例えばプロセス制御ブロック(PCB))によって受信される。この信号は、油圧スイッチの位置に関する情報を提供する(例えば、油圧スイッチが高圧モードに相当する位置にあるか又は高流量モードに相当する位置にあるかを示す情報)。例えば、信号が存在しないことは、弁50が閉じており、従ってグリースガンが高流量モードで動作していることを表すのに対し、正の信号は、弁50が開いており、従ってグリースガンが高圧モードで動作していることを表し得る。近接センサ66からの情報をPCBが用いることで、グリースが実際にグリースガンの出口へ流れているのか、又はライン内で圧縮されているのかを判定できる(例えば、弁50が開いていて弁52が閉じている場合、ガンは、閉塞に対してグリースを圧縮すること(ダミーのグリース注入)によって圧力を増大している最中であり、これは最大圧力に到達して最終的に弁52が開くまで行われる)。また、この情報をグリースガンの電気システムが用いることで、グリース出力計測(例えば高流量モードでのみ計測し、高圧モードでは計測を行わない)等のグリースガンに関する情報を提供することや、グリースガン上のLCDディスプレイを通してユーザに閉塞を知らせることも可能である。
【0098】
[00128] これより、図29及び図30に関連付けて、油圧スイッチ52(逆流防止弁52とも称する)について更に詳しく説明する。図29及び図30は、ピストンに垂直な方向で油圧スイッチ52を切り取ったガンの断面図である。詳細な実施形態において、圧力除去弁52は、グリースガンの出口68を油筒に流体的に接続する。このため、弁52は第1のピストンチャンバ6及び第2のピストンチャンバ7に流体的に接続されている。弁52は安全弁として動作し、出口の圧力がガンの最大定格圧力(例えば10,000psi)に達した時に開くよう構成されている。弁52は、グリースガンが発生することができる最大圧力を制限するように構成され得る。
【0099】
[00129] 弁52は弁50と同様に動作する。圧力除去弁52が内部に配置されているチャンバ74の隣に位置決めされたスプールチャンバ72内に、あらかじめ搭載された(例えば金属)スプール70が配置されている。スプールチャンバ72は軸XXに沿って延出している。チャンバ74は軸YYに沿って延出している。軸XXは軸YYから離隔し、軸YYに対して実質的に平行である。スプール70は閉鎖位置の方へ付勢されているので、チャンバ72は、油筒(図示せず)から分離されているが、本体3によって画定されてチャンバ72と74を接続する流路76を介してチャンバ74と永続的に連通している。流路76は、チャンバ72、74の下端に配置され、軸XX及びYYに対して実質的に平行に延出している。スプール70は、チャンバ72内で軸XXに沿って平行移動するよう構成されている。
【0100】
[00130] スプール70は磁石78を含む。磁石78はスプール70に搭載されて、スプール70が流路72内で油筒から離れる方へ(例えば使用中に上方へ)平行移動した場合に静止位置(スプール70の閉鎖位置に相当する)から変位位置へ変位するよう構成されている。スプール70は、グリースが弁52を通って流れることにより変位するよう構成されている。詳細な実施形態では、磁石78はスプール70の上端に搭載される。「開いた」圧力除去弁52からのグリースがチャンバ72を充填し、従ってスプール70を付勢ばねに対して上方に押し上げることで引き起こされる変位位置では、スプール70及び磁石78は油筒から離れて(使用中に上方へ)位置決めされるので、フランジ80とグリースガンの本体3との間に流路76が形成される。このため、逆流防止弁52が開いている場合、グリースはチャンバ72の下部から流路76を介して油筒内へ逆流することができる。磁石78の上方に近接センサ82が配置されている。近接センサ82は磁石78の位置を検出するように構成されており、従ってスプール72の移動を検出することができる。
【0101】
[00131] 近接センサ82からの信号は、プロセス制御ブロック(PCB)によって受信される。この信号は、油圧スイッチの位置に関する情報を提供する。例えば、信号が存在しないことは弁52が閉じていることを表すのに対し、正の信号は弁52が開いていることを表し得る。近接センサ82からの情報をPCBが用いることで、例えば、最大圧力に到達したこと及び閉塞を除去できない可能性があることを、LCDディスプレイを通してユーザに知らせることができる。一例として、PCBは、最大圧力で5秒間動作した後にグリースガンパワーを遮断し、LCDディスプレイに警告(例えば「ダミーのグリース注入」)を表示するように構成され得る。
【0102】
[00132] 図31で示されているように、グリースガンの本体3は2つの別個の部分3A、3Bから形成され得る。部分3Aは、使用中はアクチュエータ2の上方に配置され、部分3Bは、使用中は筒4の上方に配置される。ガン本体を2つの別個の部分に分割すると、高精度の特徴部(例えばピストンチャンバ)を製造すること、及び、必要な機械的応力レベルに最も適した様々な構成材料を使用することが容易になる(例えば、ピストン往復運動による高いグリース圧力と摩耗を受ける可能性のある「前方」筐体3Bは鋼鉄で作製され、モータ、ギアボックス、及びクランクホイールを支持する「後方」筐体3Aはアルミニウムで作製され得る)。また、鋼鉄の前方筐体3Bを設けることで、出口逆止め弁の耐久性が高くなるという利点が得られる(例えば、損傷しやすいアルミニウムではなく、鋼鉄封止エッジ上に鋼鉄ボールを載せる)。
【0103】
[00133] 本記載及び特許請求の範囲で用いられている単語「備える(comprising)」、及び単語「comprising(備える)」の複数の形態(form)は、特許請求される本発明を、いかなる変形も追加も排除するよう限定するものではない。
【0104】
[00134] 本発明に対する変更及び改良は当業者には容易に認められよう。そのような変更及び改良は本発明の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】