IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 南海仁術国際皮膚医院(海南)有限公司の特許一覧

特表2023-523514毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法
<>
  • 特表-毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/36 20150101AFI20230530BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230530BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61K35/36
C12N5/071
A61P17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550671
(86)(22)【出願日】2021-01-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2021072340
(87)【国際公開番号】W WO2022151450
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522330968
【氏名又は名称】南海仁術国際皮膚医院(海南)有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANHAI RENSHU INTERNATIONAL SKIN HOSPITAL (HAINAN) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, Shop 3, Jinghai Garden, Haidian Sandong Road, Meilan District Haikou, Hainan 570208 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】劉 景衛
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA04
4C087BB48
4C087CA04
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
(57)【要約】
本発明は、毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法を開示し、該方法は、毛包を抽出するステップと、毛包を分離に供するステップと、毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養するステップと、毛包を不活性化するステップと、毛包メラノサイト幹細胞を移植するステップとを含む。本発明は、高精度の抽出及び分離方法によって毛包メラノサイト幹細胞を含む毛包外毛根鞘を取得し、インビトロ分離・培養及び毛包不活性化の技術によって、術後白斑が黒くなるが、毛が生えず、高精度移植により、複数の毛包口での点状の復色を実現し、これにより、元の色を効率よく取り戻すことが図られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法であって、
毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ製造方法であり、
毛包を抽出し、すなわち、本社により発明された白斑毛包抽出器を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは有色毛の単一毛包について1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取して遠心分離し、所望の血清を取得して準備するステップS1と、
毛包を分離に供し、すなわち、2~15倍の拡大鏡又は電子顕微鏡下で、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な表皮付き毛包外毛根鞘であって、抽出毛包の全てのメラノサイト幹細胞及び成熟メラノサイトを含む外毛根鞘1本を前記毛包から分離するステップS2と、
毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を分離された抽出単一毛包を、本社により発明された毛包保存アイスボックスに入れて培養し、毛包メラノサイト幹細胞の活性を増強し、その分化増殖及び成熟メラノサイトへの転化を促進するステップS3と、
毛包を不活性化し、すなわち、皮膚鏡及び新型白斑毛包不活性化針を利用して、移植前の毛包を不活性化するステップS4と、を含む、ことを特徴とする白斑治療方法。
【請求項2】
毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ製造方法の前記ステップS1では、
毛包を抽出し、すなわち、本社により発明された白斑毛包抽出器を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは分離し易さから有色毛の単一又は複合毛包について1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取し、所望の血清を分離して毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ培養に供する、ことを特徴とする請求項1に記載の毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法。
【請求項3】
毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ製造方法の前記ステップS2では、
毛包を分離に供し、しなわち、2~15倍拡大鏡又は電子顕微鏡下で、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な表皮付き毛包外毛根鞘1本を前記毛包から分離し、これにより、毛包メラノサイト幹細胞の移動チャンネルを長くし、成熟メラノサイトがより多くの毛包口の周囲に至るようにする、ことを特徴とする請求項2に記載の毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法。
【請求項4】
毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ製造方法の前記ステップS3では、
毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を分離された抽出単一毛包を、本社により発明された毛包保存アイスボックスに入れて培養し、毛包メラノサイト幹細胞の活性を増強し、その分化増殖及び成熟メラノサイトへの転化を促進し、特殊な培養液に、0~4℃で60分間培養し、波長308NMのエキシマレーザーを5~50秒照射して準備し、
前記特殊な培養液の主成分は、ホッコシ注射液、デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、自家血清、低分子ヘパリンナトリウム及び生理食塩水である、ことを特徴とする請求項3に記載の毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法。
【請求項5】
毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ製造方法の前記ステップS4では、
毛包を不活性化し、特殊な培養液で培養された毛包に対する不活性化方法は、具体的には、毛包抽出ピンセットで毛包の尾部を把持し、顕微鏡下で新型白斑毛包不活性化針を用いて毛包を不活性化し、拡大した毛乳頭に合わせて、「パチッ」との音が発生し、液体が流れ切るように毛乳頭の中央部まで突き刺すことで、毛包が次の毛周期に入られず、「植物人間」のような状態になるようにすることにより、毛包を不活性化し、このように術後白斑が黒くなるが、毛が生えない、ことを特徴とする請求項4に記載の毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛包移植の技術分野に関し、具体的には、毛包メラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘移植術による白斑治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1、白斑の疫学調査
白斑(vitiligo)は原発性、限局性又は汎発性の皮膚粘膜色素脱失症であり、中国の古医学書では白斑は「白反論風」と呼ばれている。一般的に肌の色が濃い人ほど発症率が高く、黄色人種は白人と黒人の間である。中国の人口における罹患率は0.1%~2.7%であり、約2000万人であり、全世界に約1億人の白斑患者がいる。白斑はよく見られる後天性限局性又は汎発性の皮膚色素脱失症であり、主に皮膚のメラノサイト機能喪失によるものである。この疾患は患者の身体健康と生理活動に影響しないが、容貌に影響し、患者に大きな精神的圧力と心理的負担をもたらし、患者の生活、学習や仕事などにマイナスの影響をもたらし、それによって患者の生活の質に影響し、深刻な場合、患者の社会交流と就職の邪魔になる。従って、安全、有効、迅速な白斑症治療方法を探すことは重要な社会的及び経済的意義がある。
【0003】
2、中国国内外の白斑の治療技術
近年、分子生物学などの基礎学科の高速な発展に伴い、西洋医学はこの疾患の病因、発症機序及び診療の研究において進歩を遂げたが、白斑の発症機序は今も完全には解明されていない。白斑は、局所的な表皮メラノサイトの減少によって白斑が形成されることを特徴とする後天性の色素減退性皮膚疾患である。その発症機序はまだ解明されていないが、遺伝や免疫因子が発症に重要な役割を果たしている。現在、白斑が自己免疫疾患であることをサポートする証拠には、免疫機能又は自己免疫疾患と密接に関連する感受性遺伝子と候補遺伝子、例えばSLEV1、AIS1、HLAなどの遺伝子が発見されていること、体液免疫と細胞免疫機序は全て白斑の発症に関与すること、白斑患者では他の自己免疫性疾患が合併することが多いこと、臨床では免疫調節療法による白斑症治療は良い治療効果を得たが、再発しやすいことが含まれている。治療では、光化学療法、コルチコステロイドホルモンの使用、自己表皮移植、皮膚剥離術、308mnエキシマレーザーなどの新しい治療法が次々に出現しているが、ほとんどの治療効果は不確実であったり、副作用が大きかったり、費用が高かったりする。22年前に単一毛包移植術による白斑症治療の臨床報告があり、すなわち、Naらは単一毛包移植を採用して21例の白斑患者に対して治療を行った(実際は外毛根鞘の微小断片を移植した)が、単一毛包移植による治療では、速度が遅いという欠点があり、しかもドナー毛包の発生源が限られているため、大面積白斑の移植治療の需要を満たすことができない。最近、表皮メラノサイト懸濁液の培養による安定期白斑患者の治療報告があったが、皺と五官部位への懸濁液の固定が困難であるため、治療効果が不確定であったり、まだ試験段階にあって副作用が大きすぎたりするため、患者に受け入れられない。現在、人工組織工学による白斑症治療も報告されており、大面積白斑症患者の治療に適用できるが、手術は皮膚を剥離する必要があり、術後の復色が不均一で、再発しやすいため、あまり採用されていない。懸濁液方法であっても、組織工学方法であっても、移植領域について表皮を剥離する必要があり、患者に苦痛を与え、術後表皮壊死のリスクを加重するため、臨床に広く応用できない。ある研究によれば、白斑症患者の各種治療法に対する無効率は50%以上に達することを示した。近年の研究により、外毛根鞘に無色メラノサイト(AMMC:amelanotic melanocyte)が含まれ、メラノサイト幹細胞とプレメラノサイトは総称してAMMCと呼ばれ、プレメラノサイトはメラノサイト幹細胞からメラノサイトへの遷移状態である。毛包メラノサイト幹細胞(McSCs:melanocytestem cells)は毛包の一定部位(毛包の上部1/3)の最下端の隆起領域に位置し、多くは静息状態にあり、遅い周期性を持ち、自己更新を維持する能力を有し、典型的な再生型幹細胞の代表である。2002年にNishimuraらはメラニン芽細胞の増殖の研究を行った結果、表皮に発現した幹細胞因子が外毛根鞘と表皮の間にチャネルを作り、メラニン芽細胞がこのチャネルに沿って毛包から表皮に移行することを発見した。したがって、外毛根鞘内の毛包メラノサイト幹細胞を外毛根鞘から遊離させる方法が本発明の核心である。当社の海口仁術皮膚科外来診察部有限公司の特許技術「毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法(中国発明特許番号:ZL201910769979.1、証書番号第4201136号)」によれば、皮膚を剥離することなく、白斑の復色、さらには毛包の復色を実現し、最終的に白斑を治癒することができる。本願は、既に権利を付与された中国特許に対して適切な補正、有益な補充や完備を行っている。
【0004】
本発明で製造されたメラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘は、メラノサイト幹細胞の増殖に適した特定の層に局在化して移植され、白斑のメラノサイト幹細胞の発生源の問題を完全に解決する。この技術は少量の毛包を抽出することにより、大面積白斑症の治療目的を実現した。手術は、白斑の表皮を取り除く必要はなく、白斑患者の苦痛を大幅に軽減させ、1回の手術の治癒率は90%以上に達することができ、現在治癒率が最も高い白斑治療法である。従来の白斑治療方法と異なり、白斑治療が幹細胞移植の時代に入ったことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、毛包メラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘を提供し、低侵襲手術の方法により白斑を治療することにある。本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いてメラノサイト幹細胞を含む毛包を抽出して、完全な外毛根鞘を分離して培養することで、毛包メラノサイト幹細胞の分化と増殖を促進し、培養することで毛包メラノサイト幹細胞の活性を活性化して向上させ、メラノサイト幹細胞の成熟メラノサイトへの転化を加速させ、次に、機能状態の毛包メラノサイト幹細胞及び外毛根鞘を白斑の表皮の特定層に正確に移植することにより、白斑領域でのメラノサイトの欠如を完全に解決し、上記の背景技術に記載の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成させるために、本発明は下記技術案を提供する。
【0007】
毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法及びステップは以下のとおりである。
【0008】
毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法であって、
毛包を抽出し、すなわち、本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは単一又は複合毛包について1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取して遠心分離し、所望の血清を取得して準備するステップS1と、
毛包を分離し、すなわち、2~15倍拡大鏡又は電子顕微鏡下で、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な表皮付き毛包外毛根鞘1本を前記毛包単位から分離するステップS2と、
毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を分離された抽出された毛包を、本社により発明された毛包保存アイスボックス(中国特許証書番号第10098918号)に入れて培養し、毛包メラノサイト幹細胞の活性を増強し、その分化増殖及び成熟メラノサイトへの転化を促進するステップS3と、
毛包を不活性化し、すなわち、顕微鏡又は拡大鏡下で、新型白斑毛包不活性化針(中国特許証書番号第10979242)を利用して、移植前の毛包を不活性化するステップS4と、
毛包メラノサイト幹細胞を移植し、すなわち、毛包を不活性化した後、白斑治療用移植針(中国特許証書番号第11440332)を用いて、毛包メラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘を白斑の特定層に正確に移植し、メラノサイトの増殖与分化及び組織の形成を促進し、複数の毛包口での点状の復色を促進し、元の色を効率よく取り戻すことを図るステップS5と、を含む。
【0009】
さらに、前記ステップS1の具体的な方法としては、本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは有色毛の単一毛包について1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取して遠心分離し、所望の血清を取得して準備する。
【0010】
さらに、前記ステップS2では、特許を受けた白斑毛包抽出器を用いて毛包を抽出した後、拡大鏡又は電子顕微鏡下で毛包を分離に供し、2~15倍拡大した状態で分離することにより、正確率は100%に達し、これにより、分離過程で毛包メラノサイト幹細胞や外毛根鞘が損傷を受けることを回避する。
【0011】
さらに、前記ステップS3では、毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を分離された抽出単一毛包を、本社により発明された毛包保存アイスボックス(中国特許証書番号第10098918号)に入れて培養し、毛包メラノサイト幹細胞の活性を増強し、その分化増殖及び成熟メラノサイトへの転化を促進する。特殊な培養液に入れて培養し、0~4℃で60分間培養し、波長308NMエキシマレーザーを5~50秒間照射して準備する。
【0012】
さらに、前記特殊な培養液の主成分は、ホッコシ注射液、デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、自家血清、低分子ヘパリンナトリウム及び生理食塩水である。
【0013】
さらに、前記ステップS4では、特殊な培養液で培養された毛包に対する不活性化方法は、具体的には、毛包抽出ピンセットで毛包の尾部を把持し、顕微鏡下で新型白斑毛包不活性化針(中国特許証書番号第10979242)を用いて毛包を不活性化し、「パチッ」との音が発生し、液体が流れきるまで毛乳頭に突き出すことで、毛包を不活性化し、このように術後白斑が黒くなるが、毛が生えない。
【0014】
さらに、前記ステップS5では、毛包メラノサイト幹細胞を移植し、すなわち、毛包を基にしてメラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘を移植し、本社により発明された毛包移植用の移植位置決め針(中国特許証書番号第11438879号)により位置を特定しながら、本社により発明された白斑治療用移植針(中国特許証書番号第11440332号)を用いて、上記の外毛根鞘を白斑領域の特定層に移植し、これにより、白斑のメラノサイト幹細胞の発生源の問題を完全に解決し、白斑を治癒することを図る。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
1、本発明では、革新な外毛根鞘のインビトロ分離技術によって、毛包メラノサイト幹細胞を含む毛包外毛根鞘を取得して移植手術を通じて白斑を治療する。
2、本発明では、毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ培養技術が発明されており、取得した毛包メラノサイト幹細胞を専用培養液を用いてインビトロで培養することにより、多くの非機能状態のメラノサイト幹細胞を機能状態のメラノサイト幹細胞に転化し、毛包メラノサイト幹細胞の成熟メラノサイトへの転化を加速させる。
3、本発明では、毛包不活性化技術によって、拡大鏡又は顕微鏡及び毛包不活性化針を利用して、移植前の毛包を不活性化することで、毛包を不活性化し、このように、術後白斑が黒くなるが、毛が生えない。
4、本発明では、抽出された毛包メラノサイト幹細胞は、生体内の分泌及びホルモンによる影響を受けない特性を持ち、培養して活性化したものとして白斑の病変領域に正確に移植した場合は病変領域による影響を受けず、これにより、術後の治療効果が確保され、メラノサイトの増殖と分化及び組織の形成が促進され、複数の毛包口での点状の復色が実現され、元の色を効率よく取り戻すことが図られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面は本発明をさらに理解するために提供されるものであり、明細書の一部となり、本発明の具体的な実施形態とともに本発明を解釈するが、本発明を制限ものではない。
図1】本発明の毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明するが、ここで説明される好適な実施例は本発明の説明及び解釈にのみ使用され、本発明を限定するものではないことが理解される。
【0018】
本発明の技術のカギは以下のとおりである。1、毛包メラノサイト幹細胞のインビトロ培養技術であって、取得した毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、ホッコシ注射液、デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、自家血清及び生理食塩水を主成分として、0~4℃で60分間培養し、波長308NMエキシマレーザーを5~50秒間照射して準備する。2、毛包不活性化技術であって、皮膚鏡及び毛包不活性化針を利用して、移植前の毛包を不活性化し、その方法は以下のとおりである、毛包抽出ピンセットで毛包の尾部を把持し、「パチッ」との音が発生し、液体が流出するまで毛包不活性化針で毛乳頭を突き刺すことで、毛包を不活性化し、このように術後白斑が黒くなるが、毛が生えない。
【0019】
(実施例1)
図1に示すように、本発明は、1つの技術案として、毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法を提供しており、該方法は、
毛包を抽出し、すなわち、本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは有色毛の単一毛包について1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取して遠心分離し、所望の血清を取得して準備するステップS1と、
毛包を分離し、すなわち、2~15倍拡大鏡又は電子顕微鏡下で、メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を前記毛包単位から分離するステップS2と、
毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、抽出・分離を受けた単一毛包を、特殊な培養液に入れて培養して準備し、培養することでメラノサイト幹細胞の活性、成熟メラノサイト幹細胞への転化を増強するステップS3と、
毛包を不活性化し、すなわち、皮膚鏡及び毛包不活性化針を利用して、移植前の毛包を不活性化するステップS4と、
毛包メラノサイト幹細胞を移植し、すなわち、毛包を不活性化したものを、特製の移植針を用いて白斑の特定領域に移植し、メラノサイトの増殖と分化及び組織の形成を促進し、複数の毛包口での点状の復色を実現し、元の色を効率よく取り戻すことを図るステップS5と、を含む。
【0020】
本実施例では、前記ステップS1の具体的な方法としては、本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いて、白毛の毛包以外のもの、好ましくは有色毛の単一毛包について、1つの毛包単位を抽出するとともに、患者から血液5~60mlを採取して遠心分離し、所望の血清を取得して準備する。
【0021】
本実施例では、前記ステップS2では、2~15倍拡大鏡又は電子顕微鏡下で、表皮の毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な外毛根鞘を前記毛包単位から分離する。
【0022】
本実施例では、前記ステップS3では、毛包メラノサイト幹細胞をインビトロ培養し、すなわち、抽出・分離を受けた単一毛包を特殊な培養液に入れて培養し、0~4℃で60分間培養し、波長308NMエキシマレーザーを5~50秒間照射して準備し、ここで、前記特殊な培養液の主成分はホッコシ注射液、デキサメタゾンリン酸ナトリウム注射液、自家血清及び生理食塩水である。特殊な培養液に入れて培養して準備し、培養することでメラノサイト幹細胞活性、成熟メラノサイト幹細胞への転化を増強する。
【0023】
本実施例では、前記ステップS4では、特殊な培養液で培養された毛包に対する不活性化方法は、具体的には、毛包抽出ピンセットで毛包の尾部を把持し、顕微鏡下で新型白斑毛包不活性化針(中国特許証明書番号第10979242)を用いて、毛包を不活性化し「パチッ」という音が発生し、液体が流れ切るように毛乳頭を突き出すことで、毛包を不活性化し、このように術後白斑が黒くなるが、毛が生えない。
【0024】
本実施例では、前記ステップS5では、毛包を不活性化した後、白斑治療用移植針(中国特許証書番号第11440332)を用いて毛包メラノサイト幹細胞を含む外毛根鞘を白斑の特定層に正確に移植することで、メラノサイトの増殖と分化及び組織の形成を促進し、複数の多毛包口での点状の復色を実現し、元の色を効率よく取り戻すことを図る。
【0025】
(実施例2)
図1に示すように、本発明による毛包メラノサイト幹細胞移植術による白斑治療方法では、実施例1に記載の方法によって、毛包メラノサイト幹細胞を白斑の特定層に移植することで、メラノサイトの増殖と分化及び組織の形成を促進し、複数の毛包口での点状の復色を実現し、元の色を効率よく取り戻すことを図る。
【0026】
本実施例では、毛包メラノサイト幹細胞移植術により白斑を治療すると、治癒率は90%以上に達する。
【0027】
本発明の技術的課題及び手術のステップは以下で説明される。
【0028】
<技術的課題>
「生存率「とは、移植後のメラノサイト幹細胞が生存できるか否かを意味し、後続の治療効果につながり、抽出された自己メラノサイト幹細胞は、生体内の分泌及びホルモンによる影響を受けない特性を持つので、培養して活性化したものとして白斑の病変領域に移植した場合にも、病変領域による影響を受けず、これによって、術後の治療効果が確保される。
【0029】
<手術のステップ>
1、本社により発明された白斑毛包抽出器(中国特許証書番号第11005086号)を用いて1つの毛包単位を抽出すことで、毛包メラノサイト幹細胞を含む毛包を抽出し、特殊な分離方法により、表皮の毛包メラノサイト幹細胞を含む完全な毛包外毛根鞘を取得し、抽出・分離を受けた毛包を、特殊な培養液に入れて培養し、0~4℃で60分間培養し、波長308NMエキシマレーザーを5~50秒間照射して準備し、次に、拡大鏡又は顕微鏡及び毛包不活性化針を利用して抽出毛包を不活性化し、このように術後白斑が黒くなるが、毛が生えない。2、「移植」は、メラノサイト幹細胞の生存に関連するもう1つの重点であり、移植の深さが小さすぎると、生存率が低く、効果が不十分であり、移植の深さが大きすぎると、メラノサイトは外毛根鞘に沿って白斑表皮の毛包口に移行できず、治療効果が低下し、白斑の特定層に正確に移植する場合にのみ、複数の毛包口での点状の復色が図られる。
【0030】
本発明の原理は以下のとおりである。本発明では、WOODランプ及び皮膚鏡を利用して正確な画像データレポートを取得し、患者のメラニン脱失のプロセス及び細胞活性を分析し、特許技術を利用して、毛包メラノサイト幹細胞を抽出し、特殊な分離と培養をして、顕微鏡下で不活性化針を利用して毛包を不活性化し、不活性化したものを特製の移植針で白斑の特定層に正確に移植することで、メラノサイトの増殖と分化及び組織の形成を促進し、複数の毛包口での点状の復色を実現し、元の色を効率よく取り戻すことを図り、該技術は、患者の白斑領域での自己免疫系を再構築し、メラノサイトが不活性化するという難問を解決し、白斑の治療の低侵襲手術の時代を開始させる。
【0031】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明は前述実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者であれば、前述の各実施例に記載の技術案について修正をしたりその技術的特徴の一部に対して同等置換を行ったりすることができる。本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる任意の修正、同等置換や改良などは本発明の特許範囲に含まれる。
【0032】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
1、本発明では、特殊な外毛根鞘(毛包メラノサイト幹細胞を含む)のインビトロ分離及び培養技術によって、毛包外毛根鞘を移植することで、白斑を治療する。
2、本発明では、特許を受けた器具を用いて、毛包メラノサイト幹細胞を表皮の特定層に移植することができ、皮膚を剥離することを必要としないので、患者の痛みを軽減し、回復時間を短縮させ、2日後に正常に入浴することができ、抽出される毛包の数を減らし、少量の毛包を抽出するだけで大面積の白斑を治療することを可能とする。毛包の完全な外毛根鞘を移植することにより、白斑メラノサイトの発生源の問題を解決する。
3、本発明では、抽出された毛包メラノサイト幹細胞は、生体内の分泌及びホルモンによる影響を受けない特性を持つので、白斑領域にメラノサイトのストック及び加工工場を植え込んだことに相当し、メラノサイトを持続的に産生し、術後の治療効果を確保する。メラノサイト幹細胞の増殖と分化を促進するだけでなく、白斑領域の非機能状態の毛包メラノサイト幹細胞の機能状態への転換を活性化し、これにより、複数の毛包口又は皮脂腺開口での復色を実現し、元の色を取り戻すことを図る。
4、本発明では、皮膚を剥離する必要がなく、全ての露出部位の白斑の治療に適しており、手術の低侵襲性を実現し、術後に創傷がなく、現在のメラノサイト移植技術より顕著に優れている。
図1
【国際調査報告】