(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】リボン状食品、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向に切断する装置および方法
(51)【国際特許分類】
B26D 1/24 20060101AFI20230530BHJP
B26D 11/00 20060101ALI20230530BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20230530BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20230530BHJP
A01J 25/12 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B26D1/24 A
B26D11/00
B26D3/26 605A
B26D1/24 E
B26D7/06 D
A01J25/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561497
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021056608
(87)【国際公開番号】W WO2021204497
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020109919.3
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020126159.4
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515002333
【氏名又は名称】ホーホラント ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】HOCHLAND SE
【住所又は居所原語表記】Kemptener Str. 17, D-88178 Heimenkirch, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュミット
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021DB05
3C027UU01
3C027WW01
3C027WW06
3C027WW19
(57)【要約】
本発明は、リボン状食品を細断する、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向切断する装置、システムならびに方法に関し、当該装置、システムならびに方法は、リボン状食品(50)が所定の搬送方向において所定の搬送速度で接近する長手方向切断装置(45)を有しており、長手方向切断装置(45)は、搬送方向に対して横切る方向に配置された溝付きシャフト軸(10)を備えた溝付きシャフト(1)であって、複数の溝(5)が、リボン状食品(50)の搬送方向において溝付きシャフト(1)を取り囲んでおり、溝付きシャフト(1)は、接近してくるリボン状食品(50)を引き取るように構成されている、溝付きシャフト(1)と、搬送方向に対して横切る方向に配置された切断シャフト軸(25)を備えた切断シャフト(20)であって、複数の切断カッタ(30)が、リボン状食品(50)の搬送方向において切断シャフトを取り囲んでいる、切断シャフト(20)とを有しており、切断シャフト(20)は、溝付きシャフト(1)に対向して配置されており、リボン状食品(50)は、切断シャフト(20)と溝付きシャフト(1)との間に案内されるようになっており、切断カッタ(30)がそれぞれ、対向して位置する溝(5)に僅かに係合することにより、リボン状食品(50)が搬送方向に沿ってストリップ状に切断されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボン状食品、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向切断する装置であって、当該装置は、
前記リボン状食品(50)が所定の搬送方向において所定の搬送速度で接近する長手方向切断装置(45)を有しており、
該長手方向切断装置(45)は、
前記搬送方向に対して横切る方向に配置された溝付きシャフト軸(10)を備えた溝付きシャフト(1)であって、複数の溝(5)が、前記リボン状食品(50)の搬送方向において前記溝付きシャフト(1)を取り囲んでおり、該溝付きシャフト(1)は、接近してくる前記リボン状食品(50)を引き取るように構成されている、溝付きシャフト(1)と、
前記搬送方向に対して横切る方向に配置された切断シャフト軸(25)を備えた切断シャフト(20)であって、複数の切断カッタ(30)が、前記リボン状食品(50)の搬送方向において前記切断シャフトを取り囲んでいる、切断シャフト(20)と
を有しており、
該切断シャフト(20)は、前記溝付きシャフト(1)に対向して配置されており、前記リボン状食品(50)は、前記切断シャフト(20)と前記溝付きシャフト(1)との間に案内されるようになっており、
前記切断カッタ(30)がそれぞれ、対向して位置する溝(5)に僅かに係合することにより、前記リボン状食品(50)が前記搬送方向に沿ってストリップ状に切断されるようになっており、
前記切断シャフト(20)はその切断シャフト軸(25)に沿って、かつ前記溝付きシャフト(1)はその溝付きシャフト軸(10)に沿って、それぞれ少なくとも600mmの長さを有している、
装置。
【請求項2】
前記溝の幅は、前記カッタの厚さの少なくとも1.5倍、特に好適には2倍である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
当該装置は、第1の駆動ユニット(100)を有しており、該第1の駆動ユニット(100)は、前記溝付きシャフト(1)を少なくとも搬送速度で駆動するように構成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記切断カッタ(30)の外周面に複数の切断歯(35)が形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
対向して位置する各前記切断カッタはそれぞれ回動させられてずらされて配置されているため、各前記切断歯は、前記切断シャフト軸の方向において、それぞれずらされて配置されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
当該装置は、第2の駆動ユニット(110)を有しており、該第2の駆動ユニット(110)は、前記切断シャフトを駆動するように構成されており、該切断シャフトの回転速度は、複数の前記切断歯が前記リボン状食品(50)に連続的な切断を生じるように調整されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
各前記切断カッタの間隔は、各前記溝の間隔の複数倍に相当する、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記切断シャフトは、前記溝付きシャフト(1)の、前記リボン状食品(50)が供給される部分の周面の中心に対向して配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置によりリボン状食品(50)を細断する、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向切断する方法であって、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
リボン状食品(50)を所定の搬送速度で長手方向切断装置(45)に接近させるステップと、
前記リボン状食品(50)を前記切断装置の溝付きシャフト(1)に引き渡し、このとき前記溝付きシャフト(1)の周面が、少なくとも前記搬送速度で搬送方向に回転し、かつ前記溝付きシャフト(1)はその表面上で、前記リボン状食品を切断シャフトの方向に案内し、前記切断シャフトは前記溝付きシャフト(1)に対向して配置されていることに基づき、前記リボン状食品(50)を、前記溝付きシャフト(1)と前記切断シャフトとの間に通して案内するステップと、
を含んでおり、
前記切断シャフトの切断カッタがそれぞれ、対向して位置する溝に僅かに係合し、これにより前記リボン状食品(50)を、前記搬送方向に沿ってストリップ状に切断する、方法。
【請求項10】
リボン状食品(50)を細断するために最適化された、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置を見つけ出す試験方法であって、
溝付きシャフト(1)は、その溝付きシャフト軸の方向に複数のゾーンを有しており、これらのゾーン(15)のうちの1つのゾーン内の溝(5)の寸法は、別のゾーン(15)のうちの1つのゾーン内の溝(5)の寸法と異なっていることを特徴とする、試験方法。
【請求項11】
リボン状食品、特にリボン状チーズを断片状に長手方向に切断しかつ横方向に切断するシステムであって、当該システムは、
前記リボン状食品(50)が所定の搬送方向において所定の搬送速度で接近する長手方向切断装置(45)であって、
該長手方向切断装置(45)は、
前記搬送方向に対して横切る方向に配置された溝付きシャフト軸(10)を備えた溝付きシャフト(1)であって、複数の溝(5)が、前記リボン状食品(50)の搬送方向において前記溝付きシャフト(1)を取り囲んでおり、該溝付きシャフト(1)は、接近してくる前記リボン状食品(50)を引き取るように構成されている、溝付きシャフト(1)と、
前記搬送方向に対して横切る方向に配置された切断シャフト軸(25)を備えた切断シャフト(20)であって、複数の切断カッタ(30)が、前記リボン状食品(50)の搬送方向において前記切断シャフトを取り囲んでいる、切断シャフト(20)と、
を有しており、
該切断シャフト(20)は、前記溝付きシャフト(1)に対向して配置されており、前記リボン状食品(50)は、前記切断シャフト(20)と前記溝付きシャフト(1)との間に案内されるようになっており、各前記切断カッタ(30)がそれぞれ、対向して位置する溝(5)に僅かに係合することにより、前記リボン状食品(50)が前記搬送方向に沿ってストリップ状に切断されるようになっている、長手方向切断装置(45)と、
ストリップ状に切断された前記リボン状食品が、断片状、特に立方体状の断片に横方向切断されるために引き渡される横方向切断ユニット(60)であって、
前記長手方向切断装置(45)は、
横方向切断ユニット軸(70)を備えた横方向切断シャフトであって、該横方向切断シャフトには、少なくとも1つのカッタナイフ(65)が取り付けられていて、前記横方向切断ユニット軸(70)を中心として回転するようになっており、前記横方向切断ユニット(60)は、少なくとも1つの前記カッタナイフ(65)の回転運動により、長手方向ストリップを横方向に断片状に切断するように形成されている、横方向切断シャフト
を有している、横方向切断ユニット(60)と
を有している、システムにおいて、
前記横方向切断ユニット軸(70)は、鉛直方向において前記溝付きシャフト軸(10)の下と前記切断シャフト軸(25)の下とに配置されており、前記横方向切断ユニット軸(70)は、水平方向において前記溝付きシャフト軸(10)と前記切断シャフト軸(25)との間に配置されていることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工の技術分野、特に所望の寸法のストリップを製造するためのチーズ加工に関する。リボン状チーズからストリップ状チーズを製造することを可能にする装置および方法を示す。当業者に認識されるように、本発明は、溶融される、成形可能な、または軟化される別の食品生産物、例えば麺類またはソーセージ類等にも適している。よって当該装置は、先行プロセスにおいてプロセスチーズから1つのエンドレスリボン、特にエンドレスの板状のリボンに成形された食品生産物を、複数のストリップに切断する。特にこれは、独国特許出願公開第10328905号明細書の教示に基づく装置により生産される食品であってよい。本願において「チーズ」という用語を使用する場合、これは原則としてあらゆる種類のチーズ、例えばナチュラルチーズの例としてのパスタフィラータ、プロセスチーズ等の加工チーズ、チーズ食品生産物およびイミテーションチーズ等を象徴するものであるが、しかしまた、植物を基礎としたチーズ代替製品をも象徴している。
【0002】
一連の切断過程を介して、より大きなリボン状チーズから切断された、より小さな部分を製造する機械は、専門分野ではよく知られている。本来のチーズ塊の製造後に、このチーズ塊はリボン状チーズに成形され、リボン状チーズは通常、搬送ベルト上で引き続く加工ステップへ案内される。実地においてこのようなリボン状チーズは、リボン状チーズが引き続き搬送ベルト上で案内される間に切断ローラがリボン状チーズに作用することにより、ストリップ状に切断される。この場合、切断ローラのカッタが搬送ベルトにも同様に作用し、このことは、望ましくない付随現象をもたらす場合がある。つまり、搬送ベルトがプラスチック材料から製造されていると、このことは、プラスチックの少なくとも小さな粒子がチーズに接触し、チーズに吸収される恐れがある、ということにつながる。搬送ベルトが金属から製造されていると、このことは、切断ローラのカッタが急速に鈍くなる恐れがある、ということにつながる。さらに、このような搬送ベルトは、能動的なベルトのフィードバック制御を必要としており、調整を誤ると、製品の滞留を招き易くなる恐れがあり、時折、手間のかかる支持構造を必要とする。
【0003】
独国特許第69630243号明細書(DE 696 30 243 T2)に記載の、搬送ベルトを使用せずにチーズを細かく刻む装置では、チーズが2つの溝付きシャフトの間を通って案内されることにより生じる剪断力により、チーズが細分され、この場合、溝付きシャフトは、これらが整合して互いに係合するようにずらされて配置されている。この場合の欠点は、溝付きシャフトの互いに整合した係合が、極めて高度で正確な調整手間を前提条件としたものであり、この調整手間により同様に、洗浄用の取外しにも極めて手間がかかる、という点にある。さらに不都合には、剪断力に基づき、平滑な切断縁を生じさせることができず、チーズは極めて不格好にしか細分されず、溝に押し込まれたチーズ製品は、溝付きシャフトに巻き付き、そこに張り付いて汚れを生じさせる。
【0004】
米国特許第5129299号明細書には、生のまたは凍結された肉をサイコロ片に切断する機械が示されている。この機械は、供給ベルトおよびばねにより荷重が加えられた付属の供給ローラから成る搬送ユニットと、円形カッタの第1のカッタローラおよび付属の送りドラムから成るストリップ切断ユニットと、を有している。送りドラムが、肉を強力に変形させてストリップ切断ユニットに押し込み、肉がストリップ状に切断された後に、肉は、細長いカッタと付属の掻取り板とを備えた第2のカッタローラから成る横方向切断ユニットに供給される。前記掻取り板は、相応する剪断エッジを備えており、この場合、横方向切断時に円形カッタの縁部が掻取り板の櫛状のスリットに係合し、これにより、横方向切断ユニットを可能な限り、長手方向切断ユニットの近くに設置することができる。不都合にも、櫛状のスリットを備える掻取り板は高い剛性を有していないため、特に大きな幅において細かい切断幅を達成することは不可能である。さらに、掻取り板における櫛状のスリットは、衛生上の理由から望ましくない。それというのも、比較的小さな残留肉がスリット内に絡まることを避けるため、したがって後で定期的に洗浄する必要がある。
【0005】
つまり目下の状況は、所定の形状のピースを得るために、切断を、搬送ベルトを用いて実施する必要があるか、または搬送ベルトを省くことができるようにはなっているが、この場合、チーズ片はきれいな切断縁を有しておらず、むしろ不格好に見えてしまう。
【0006】
したがって本発明の目的は、長手方向切断装置、コンパクトな長手方向(縦方向)・横方向切断システムおよび方法を提供し、リボン状チーズの長手方向ストリップ状および/または立方体状への改良された切断を可能にし、ひいては冒頭で述べた従来技術の欠点を少なくとも部分的に解消することにある。
【0007】
この目的は、独立請求項に記載の特徴により達成される。
【0008】
本発明の第1の態様では、リボン状食品を細断する、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向に切断する装置が示されており、当該装置は、
リボン状食品が所定の搬送方向において所定の搬送速度で接近する長手方向切断装置を有しており、
長手方向切断装置は、
搬送方向に対して横切る方向(横方向)に配置された溝付きシャフト軸を備えた溝付きシャフトであって、複数の溝が、リボン状食品の搬送方向において溝付きシャフトを取り囲んでおり、溝付きシャフトは、接近してくるリボン状食品を引き取るように構成されている、溝付きシャフトと、
搬送方向に対して横切る方向に配置された切断シャフト軸を備えた切断シャフトであって、複数の切断カッタが、リボン状食品の搬送方向において切断シャフトを取り囲んでいる、切断シャフトと
を有している。
【0009】
この場合、本発明の核心は、切断シャフトが、溝付きシャフトに対向して配置されており、リボン状食品が、切断シャフトと溝付きシャフトとの間に案内され、切断カッタがそれぞれ、対向して位置する溝に僅かに係合することにより、リボン状食品が搬送方向に沿ってストリップ状に切断される、という点にある。
【0010】
このことは、リボン状チーズがその上で切断される搬送ベルトを省くことができ、それでもなお、リボン状チーズは所定のストリップ状に切断される、という利点を有している。それというのも、切断カッタが鋭利な刃を有しており、リボン状チーズを、従来技術におけるように「剪断力」により押しつぶさずに切断するからである。別の利点は、切断カッタは、対向して位置する溝に僅かに係合するだけに過ぎない、ということにより生じる。これにより一方では、チーズ塊が対応する溝に不必要に深くは押し込まれないため、溝付きシャフトの汚れが防止される、ということが達成され、この場合、やや曲げられたカッタは依然として、各溝が形成する壁から離れている、ということにより、別の利点も生じている。つまり、切断カッタの寸法が最適化されて選択されるため、切断カッタが曲がった場合でも依然として、リボン状チーズが完全に細断され、かつ他方では、切断カッタがこのように曲がっても対応する溝の壁には当接しないことが保証されている。この場合、切断カッタの寸法を、各切断カッタが対向して位置する溝に1mmまたは好適には0.5mm侵入するように、つまり溝に係合するように選択することが有利であると判った。切断カッタが対向して位置する溝に侵入する距離は、前記値の間で無段階に調節可能である。さらに当該装置は、携帯して運ぶこともできる極めてコンパクトな構成形式を可能にする。洗浄方法に基づき、溝は、深くなっているよりも広幅である方が有利である。
【0011】
好適には、切断シャフトはその切断シャフト軸に沿って、かつ溝付きシャフトはその溝付きシャフト軸に沿って、それぞれ少なくとも600mmの長さを有している。このことは、チーズ製品の総処理量を高めるために、大きな幅を有するリボン状チーズを極めて効率的に加工することができる、という利点を有している。さらに、600mmの値は、このようなリボン状チーズを好適にはエンドレスに提供することもできる汎用の機械に適合させられている。この場合は特に、フリースライス800に適合させられている。特に好適には、切断シャフトはその切断シャフト軸に沿って、かつ溝付きシャフトはその溝付きシャフト軸に沿って、それぞれ少なくとも1100mmの長さを有している。これにより、総売上高をさらに高めることができ、この場合、1100mmの値は、いわゆるフリースライス1500に適合させられている。リボン状チーズのこのように大きな幅は、切断過程においてチーズを掻き取る櫛を有する汎用の切断システムにより加工することはできない。それというのも、この長さの櫛は材料技術的に、リボン状チーズを多数の細いストリップ状に切断することができるようにするために必要な剛性を有してはいないからである。
【0012】
好適には、溝幅は、カッタ厚さの少なくとも2倍である。溝幅およびカッタ厚さは、対応する軸、つまり溝付きシャフト軸もしくは切断シャフト軸の方向におけるそれぞれの延在長さを意味する。つまり、カッタ厚さが溝幅よりも大幅に薄く形成されていることにより、リボン状チーズに鋭利な切断、特に長手方向切断を生じさせることが可能である。好適には、1.5mm~2mmの溝幅が用いられる。さらに、1.25mmの溝の高さが有利である、ということが判った。
【0013】
好適には、溝は互いに少なくとも3.6mmの間隔を有している。このことから、溝の相互間隔は、溝幅に比べて約2倍の大きさになっている。この比率により、リボン状チーズは溝付きシャフトにおいて一様に支持され得る、ということが保証されている。好適には、切断カッタは0.3mm~0.8mmの厚さを有している。
【0014】
これらの寸法においてやはり有利には、切断カッタは、やや曲がっている場合でも、溝の壁に当接したり、これにより鈍くなったり、または装置をロックしたりはしない、ということも保証されている。さらにこれにより、調整用にある程度の許容範囲が達成される。つまり、例えば全ての切断カッタが要求されたよりも少し厚く寸法設定されていると、このことが累積して、もしくはこのことにより、調整時に切断カッタが溝に導入された場合に不規則性が生じる。しかし、この実施形態の溝付きシャフトの溝幅が、説明したようにカッタ厚さの少なくとも2倍の大きさに形成されていると、これにより、前記不規則性は阻止され得る。これらの不規則性を補償する別の手段は、切断カッタの間に補償リングを取り付けることである。これらの補償リングも同様に、切断シャフトに被せ嵌められてよく、好適には特殊鋼体から成っており、かつ封止用にシリコーンでコーティングされていてよい。
【0015】
1つの実施形態において、当該装置は第1の駆動ユニットを有しており、この場合、第1の駆動ユニットは、溝付きシャフトを少なくとも搬送速度で駆動するように構成されている。つまりこのことは、玉軸受式の溝付きシャフトの回転速度は、溝付きシャフトの外周面、つまり溝付きシャフトの表面が搬送速度で搬送方向に動くように調整される、ということを意味する。このことは、リボン状チーズが溝付きシャフトに引き取られるときに、リボン状チーズは滞留しない、という利点をもたらす。溝付きシャフトが、リボン状チーズの搬送速度よりも高い搬送速度で駆動されると、これにより、リボン状チーズは容易に引き伸ばされて張力が加えられることになり、このことは、後続の長手方向切断過程にとって有利であるということを証明し得る。この場合、駆動ユニットは、溝付きシャフトが1.01~1.05倍の搬送速度で回転するように調整され得る。チーズの種類またはリボン状チーズの厚さによっては異なる倍率が特に有利であるということが判っている。
【0016】
1つの有利な構成では、切断カッタの外周面に複数の切断歯が形成されている。この場合、切断カッタは、実際の切断過程を実行するものでありかつ溝に係合する部材でもある。切断カッタの外周に形成されていてよい切断歯の数はフレキシブルであり、この場合、3つの切断歯の数が特に有利である、ということが判った。このことは、切断歯を使用した場合には、リボン状チーズの、切断カッタとの接触面積が減らされ、これにより、リボン状チーズと切断カッタとの間の望ましくない付着作用が低減される、という利点を有している。
【0017】
好適には、対向して位置する各切断カッタはそれぞれ回動させられてずらされて配置されているため、各切断歯は、切断シャフト軸の方向において、それぞれずらされて配置されている。つまり、隣り合う切断カッタの切断歯が、切断シャフト軸の方向において互いに隠れることはない。つまりこのことは、1つの特定の箇所がリボン状チーズに沿って同時に2つの側から長手方向切断されるのではなく、常にその左側の切断歯またはその右側の切断歯と接触しているだけに過ぎない、ということを意味する。このこともやはり、リボン状チーズと切断カッタとの間の望ましくない付着作用が低減される、という利点を有している。
【0018】
当該装置は、第2の駆動ユニットを有していてよく、この場合、第2の駆動ユニットは、切断シャフトを駆動するように構成されている。この場合、切断シャフトの回転速度は、複数の切断歯がリボン状食品に連続的な切断を生じるように調整されている。つまり換言すると、後続の切断歯は、先行の切断歯によりリボン状チーズに形成されたスリットに係合する。この場合、切断シャフトが所定の回転速度で回転し、これにより切断歯の回転速度は搬送速度の7~10倍に相当すると有利である、ということが判った。有利には、これによりリボン状チーズに平滑で連続的な切断縁を生じさせることができる。
【0019】
当該装置の1つの実施形態において、各切断カッタの間隔は、各溝の間隔の複数倍に相当する。上で既に説明したように、各溝中心点の相互間隔は、3.6mmであってよい。既に上述したように、この場合はとりわけ、溝中心点:溝幅の正しい比が重要である。いずれにせよ、各切断カッタの間隔は、各溝の間隔の複数倍に相当する、という特徴により、有利には、異なる幅の長手方向ストリップを生じさせることができる、ということが可能になる。つまり、隣り合う切断カッタの間隔が3.6mmであり、溝の相互間隔もやはり3.6mmである場合には、やはり約3.6mmの幅の長手方向ストリップが生じる。ただし、隣り合う切断カッタの間隔が7.2mmの場合には、カッタは溝に1つおきにしか係合せず、リボン状チーズの、約7.2mmの幅の長手方向ストリップが生じる。つまり、これにより、ただ一度の長手方向切断過程においてさえ、異なる幅の複数の長手方向ストリップをフレキシブルに生じさせることができる、ということが可能になる。唯一の前提条件は、切断カッタが相応に配置されている、ということである。この場合、溝付きシャフトは変更されないままであってよく、このことは、チーズ片の形状をフレキシブルに構成する効率的な手段を提供する。
【0020】
好適には切断シャフトは、溝付きシャフトの、リボン状食品が供給される部分の周面の中心に対向して配置されている。換言すると、溝付きシャフト軸から垂線が、リボン状チーズの搬送方向に対して平行に出発することを想定した場合、切断シャフトは、切断シャフトが垂線に対して-45°の角度で方向付けられているように、溝付きシャフトに対向して配置されている。試験は、この位置においてリボン状チーズは、有利には溝付きシャフトに支持されており、例えば既に切断されて垂れ下がっているリボン状チーズのストリップによりリボン状チーズに相応する張力が加えられているため、最良の切断結果が得られたことを示した。前記角度の最大15°までの差は、依然として許容可能な切断結果をもたらす。
【0021】
本発明の第2の態様では、先行請求項のうちのいずれか1項記載の装置によりリボン状食品を細断する、特にリボン状チーズをストリップ状に長手方向に切断する方法が示されており、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
リボン状食品を所定の搬送速度で長手方向切断装置に接近させるステップと、
リボン状食品を切断装置の溝付きシャフトに引き渡し、このとき溝付きシャフトの周面が、少なくとも搬送速度で搬送方向に回転し、かつ溝付きシャフトはその表面上で、リボン状食品を切断シャフトの方向に案内し、切断シャフトは溝付きシャフトに対向して配置されていることに基づき、リボン状食品を、溝付きシャフトと切断シャフトとの間に通して案内するステップと、
を含んでおり、
切断シャフトの切断カッタがそれぞれ、対向して位置する溝に僅かに係合し、これによりリボン状食品を、搬送方向に沿ってストリップ状に切断する。
【0022】
本発明の第3の態様では、リボン状食品、特にリボン状チーズを細断するために最適化された上述の装置を見つけ出す試験方法が示されており、溝付きシャフトは、その溝付きシャフト軸の方向に複数のゾーンを有しており、これらのゾーンのうちの1つのゾーン内の溝の寸法は、別のゾーンのうちの1つのゾーン内の溝の寸法と異なっている。
【0023】
リボン状チーズもしくはリボン状食品は、(「生もの」はその品質が場合により大幅に変化し得るという理由から既に)変化する特性を備えた製品であるため、溝の最適な幅もしくは最適な間隔を見つけ出す様々な試験の進行に際して、リボン状チーズが毎回同じ特性を有しているということは保証され得ない。例えば、リボン状チーズが別の回よりも多い水分含有量を有していることがあり得る。このことは、溝のどの寸法が最も有利であるかを確定する測定結果を改ざんする恐れがある。本発明による方法では、溝のそれぞれ異なる寸法を、1つのリボン状チーズにおいていわば同時に検査することにより、評価におけるこれらの不確実性を低減させることができ、溝の最適な間隔もしくは最適な寸法は何であるのかを確実に推量することができる。
【0024】
本発明の第4の態様では、リボン状食品、特にリボン状チーズを断片状に長手方向に切断しかつ横方向切断するシステムが示されている。当該システムは、
リボン状食品が所定の搬送方向において所定の搬送速度で接近する長手方向切断装置であって、
長手方向切断装置は、
搬送方向に対して横切る方向に配置された溝付きシャフト軸を備えた溝付きシャフトであって、複数の溝が、リボン状食品の搬送方向において溝付きシャフトを取り囲んでおり、溝付きシャフトは、接近してくるリボン状食品を引き取るように構成されている、溝付きシャフトと、
搬送方向に対して横切る方向に配置された切断シャフト軸を備えた切断シャフトであって、複数の切断カッタが、リボン状食品の搬送方向において切断シャフトを取り囲んでいる、切断シャフトと
を有しており、
切断シャフトは、溝付きシャフトに対向して配置されており、リボン状食品は、切断シャフトと溝付きシャフトとの間に案内されるようになっており、切断カッタがそれぞれ、対向して位置する溝に僅かに係合することにより、リボン状食品が搬送方向に沿ってストリップ状に切断されるようになっている、長手方向切断装置と、
ストリップ状に切断されたリボン状食品が、断片状、特に立方体状の断片に横方向切断されるために引き渡される横方向切断ユニットであって、
長手方向切断装置は、
横方向切断ユニット軸を備えた横方向切断シャフトであって、横方向切断ユニット軸は、好適には溝付きシャフト軸に対して平行に取り付けられており、横方向切断シャフトには、少なくとも1つのカッタナイフが取り付けられていて、横方向切断ユニット軸を中心として回転するようになっており、横方向切断ユニットは、少なくとも1つのカッタナイフの回転運動により、長手方向ストリップを横方向に断片状に切断するように形成されている、横方向切断シャフト
を有している、横方向切断ユニットと
を有しており、
横方向切断ユニット軸は、鉛直方向において溝付きシャフト軸の下と切断シャフト軸の下とに配置されており、横方向切断ユニット軸は、水平方向において溝付きシャフト軸と切断シャフト軸との間に配置されている。
【0025】
このことは、特にシステムの基底面に関して、極めてコンパクトな構成形式を可能にする。有利には、横方向切断ユニットと長手方向切断装置との間の追加的な搬送ベルトを省くことができる。それというのも、長手方向ストリップは、長手方向切断装置から横方向切断ユニットへ、いわば重力により「搬送」されるからである。
【0026】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【0027】
本発明の別の有利な構成の特徴は、各特許請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】リボン状チーズの搬送方向で本発明による長手方向切断装置を示す横断面図である。
【
図4】
図3に示した本発明による長手方向切断装置を示す側面図である。
【
図5】
図3および
図4に示した長手方向切断装置に横方向切断装置を補足して示す図である。
【0029】
以下に、本発明の多数の特徴を、好適な実施形態に基づき詳細に説明する。この場合、本開示は、具体的に挙げられた特徴の組合せに限定されるものではない。むしろ、本明細書に挙げられた各特徴は、以下で明確に排除されていない限り、任意に組み合わせられて、本発明による実施形態を成すことができる。
【0030】
図1には、
図3に示す本発明による長手方向切断装置45を共に形成するために
図2に示す切断シャフト20と協働する溝付きシャフトが示されている。
【0031】
溝付きシャフト1は、実質的に円筒形に形成されており、この場合、円筒外面の周囲は、複数の溝5により取り囲まれている。溝付きシャフト1は、
図3に示す長手方向切断装置45において玉軸受式に取り付けられており、第1のモータにより駆動されており、溝付きシャフト軸10を中心として回転する。本実施形態では、それぞれ異なる溝断面15a,15b,15cを有する3つの異なるゾーンを示す溝付きシャフト1が図示されている。ただし、それぞれ異なる溝断面15a,15b,15cは、
図1に示す図では区別され得ない程、類似している。このような溝付きシャフト1は、好適には、本発明による試験方法に用いられ、これにより、どの溝断面が工業的な使用に特に良好に適しているのかを確認することができる。特に、リボン状チーズは各サイクルにおいて異なる特性パラメータを有する「生きた」製品であるため、それぞれ異なる、しかし全てが同じ溝断面15を有する溝付きシャフト1を用いて様々な試験運転を実施することは、場合により、あまり意味がないと考えられる。つまり、
図1に示す溝付きシャフト1を用いて試験運転を実施することにより、リボン状チーズの様々な特性に基づき生じる不確実性を、大幅に低下させることができる。ただし、後でチーズ製造中に使用する際には、好適には単一の「同種の」溝断面15のみを有する溝付きシャフト1が使用される。まさしくこの溝断面15こそが、本発明による試験方法において、特定の種類のチーズに最も良く適している、と判明したものである。
【0032】
試験方法では、溝の幅が1mm~2mmであり、溝の深さが約1mmであり、溝がそれぞれ、3.6mmの溝中心点の間隔を有していると、大抵のリボン状チーズに有利である、ということが判った。溝断面15の底部は、平らまたは半円形に形成されていてよい。ただし優先されるのは、溝断面15の底部が半円形に形成される場合である。それというのも、これによりチーズ塊が堆積する恐れのある「縁部」があまり生じなくなるからである。「丸形構造」の方が、一般により良好に洗浄され得る。溝断面15のこのオーダにおけるパラメータにより、リボン状チーズは垂れ下がることなしに、溝付きシャフト1上で静かにかつ確実に案内され得ると同時に、良質の長手方向切断が実施され得る。
【0033】
図2には、切断シャフト20の斜視図が示されている。切断シャフト20もやはり、長手方向切断装置45において玉軸受式に取り付けられており、第2のモータにより駆動されており、その切断シャフト軸25を中心として回転する。切断シャフト20も同様に円筒形に形成されており、この場合、その切断シャフト軸25に沿って複数の切断カッタ30が取り付けられている。好適には、切断カッタはその切断ブレードに円形の切抜き部を有しており、この場合、この円形の切抜き部の内半径は、切断シャフト20の外半径に相当する。このことは、切断カッタ30を、切断シャフト軸25の方向で切断シャフト20に被せ嵌めることができ、これにより、リボン状チーズ用に想定される規定の切断幅が、切断シャフト軸25の方向に延在し得る、ということを可能にする。切断カッタ30は、例えばねじ締結により相対回動不能に、切断シャフト20に位置固定され得る。
【0034】
切断カッタ30は、一定の外半径の切断面または
図2に示すように複数の切断歯35を備えた丸形カッタとして形成されていてよい。これらの切断歯35は、切断カッタ30の円形の周面に沿って切断カッタ30から突出しており、リボン状チーズに切り込む。切断歯35を備えた変化形は、チーズ塊と切断カッタ30との間の摩擦が減らされるべき場合に有利である。それというのも、この場合はリボン状チーズと切断カッタ30との間の接触面積が、より小さくなるからである。この場合、隣接する、つまり切断シャフト軸25の方向に連続して位置する各切断カッタ30は、切断シャフト20上にそれぞれ回動させられてずらされて配置されているため、各切断歯35が隠れることはない。換言すると、切断シャフト軸25に対して平行な直線が1つの切断歯35を通って引かれた場合、この直線は、隣接する切断カッタ30の1つの切断歯35に当たってはならない。この回動は、リボン状チーズが切断カッタ30に接触する特定の位置の接触面積も、同様に減少させる。
【0035】
リボン状チーズ50の好適な寸法は、少なくとも2mの長さ、少なくとも650mmの幅および最大15mmの厚さである。これらの寸法を有するリボン状チーズ50は、極めて敏感に力の供給に反応するため、このことを、搬送の方法ステップも、長手方向・横方向切断の方法ステップも、特に考慮する必要がある。択一的に、いわゆる「エンドレス」のリボン状チーズ50も使用され得、これにより、生産がより一層効率的になる。
【0036】
切断カッタ30あるいは鋭利な刃95を備えた切断カッタの部分の高さは、チーズの厚さに適合させられており、切断カッタの高さは、好適にはリボン状チーズの厚さよりも僅かに高くなっているため、リボン状チーズを完全に切断することができるが、他方ではカッタの曲げを防ぎ、材料費を低く保ち、かつ設備を可能な限りコンパクトに構成することができるようにするために、可能な限り低くなってもいる。リボン状チーズ50の厚さが最大15mmの場合、切断カッタの高さは、好適には最大25mmである。リボン状チーズの厚さが最大10mmの場合、切断カッタの高さは、好適には最大20mmである。
【0037】
図3には、リボン状チーズ50の搬送方向における、本発明による長手方向切断装置45の横断面が示されており、この場合、リボン状チーズ50は、切断シャフト20と溝付きシャフト1との間を通って案内される。長手方向切断装置45には、切断シャフト20と溝付きシャフト1とが含まれており、切断シャフト20と溝付きシャフト1とは互いに対向して配置されており、この場合、溝付きシャフト軸10と切断シャフト軸25とは、互いに平行に配置されている。この場合、リボン状チーズ50は、溝付きシャフト1上に載置されており、重力により、溝付きシャフト1に保持される。このことから、切断シャフト20は、溝付きシャフトに対して上側にあるいは斜めに設けられている。
図3は、切断カッタ30を完備していない切断シャフト20を例示するものであり、単に原理を明示しているだけに過ぎない。
【0038】
切断カッタ30は、切断シャフト20に相対回動不能に配置されており、この場合、相応して構成された複数のスペーサ33が各切断カッタの間に設けられており、これにより、各切断歯35が溝付きシャフト1の溝5に係合することができる。つまり、スペーサ33の大きさは、溝付きシャフト軸10に沿った溝5の間隔から生じる。特に有利なのは、切断歯35が
図3に示すように、切断歯35に対向して位置する溝5に僅かに係合するだけに過ぎない場合である。切断歯35の僅かな係合は、一方では、リボン状チーズ50を完全に分断することを保証し、かつ同時に、切断歯35が溝5の壁に接触する確率を低下させる、ということを保証する。このような接触状態になることは、切断歯35が急速に鈍くなるということを招く恐れがある。切断歯35が、切断歯35用に設けられた溝5に約0.5mmの深さで係合すると有利である、ということが判った。
【0039】
さらに、切断カッタ30あるいは切断歯35は、1.5mm~2mmの溝の幅に比べて小さな、0.3mm~0.8mmの厚さを備えて構成されている。このことは、きれいな細い切断を保証すると共に、他方では、製造誤差に基づき例えばスペーサ33、切断カッタ30またはその他の構成部材の厚さに差が生じた場合でも、切断歯35はなお確実に、対応する溝5に係合する、ということを保証する。切断歯35の厚さが、溝の幅と僅かにしか異なっていない場合には、やや厚すぎるスペーサ33により、切断歯35が溝付きシャフト1の表面上で各溝5の間に支持される、ということがもたらされると考えられる。このことは、切断歯35を即座に曲げ、場合により破壊し、機械をロックすると考えられる。
【0040】
図4には、
図3に示した本発明による長手方向切断装置の側面図が示されている。溝付きシャフト1と切断シャフト20とが対向して取り付けられており、これにより、溝付きシャフト軸10と切断シャフト軸25とが互いに平行に方向付けられている。切断シャフト20は、溝付きシャフト1の上に斜めに、好適には45°の角度で配置されている。この配置に基づき、長手方向切断が切断歯35によりリボン状チーズ50の所定の位置で行われ、この位置においてリボン状チーズ50は、搬送方向に既に垂れ下がっているストリップ状チーズに基づき、やや引き伸ばされる。この軽微な引き伸ばしは、改良された長手方向切断結果をもたらす。ただし切断シャフト20は、チーズの搬送方向の平面に対して0~45度の角度で旋回可能でありかつ/または-3mm~20mmまで高さ調節可能である(つまりこのユニットは約20度だけ、反時計回りもしくは時計回りに回動可能であることが望ましい)。このことは一方では、切断シャフト20を洗浄のために、リボン状チーズから上方に向かって容易に旋回させることができる、ということを可能にし、かつ他方では、リボン状チーズ50の最適化された長手方向切断のためにチーズの種類に適合させた切断歯35の調整を可能にする。
【0041】
長手方向ストリップに切断されたリボン状チーズ50のこのような管理された導出は、長手方向(縦方向)切断過程の後に、追加的に、
図5に側面図で示すように横方向切断ユニット60が設けられている場合に特に有利であり、この場合、長手方向切断装置と横方向切断ユニット60とは、この特別な配置に基づき、共に1つの極めてコンパクトな長手方向・横方向切断システムを形成している。
図5には、長手方向ストリップが溝付きシャフト1から垂れ下がり、横方向切断ユニット60内に吊り下がり、横方向切断ユニット60により立方体状チーズに切断される様子が示されている。長手方向ストリップが溝付きシャフト1から垂れ下がり、いわば重力により自動的に横方向切断ユニット60に供給されることで、特に長手方向・横方向切断システムの基底面に関してコンパクトな構成形式が可能になる。基底面に関するコンパクトな寸法は、このようなシステムにとって特に有利である。それというのも、制限要因を成すのは少なくとも基底面であって、製造建屋の高さではないからである。つまり、横方向切断ユニット60が長手方向切断装置の下に配置されていることで、長手方向ストリップを横方向切断ユニット60に供給する搬送ベルトを省くことができる。
【0042】
横方向切断ユニット60は、水平方向に配置されており、これによりその軸、すなわち横方向切断ユニット軸70は、切断シャフト軸25と溝付きシャフト軸10との間に配置されている。鉛直方向において、横方向切断ユニット軸70は、溝付きシャフト軸10の下に設けられている。
【0043】
システムを可能な限りフレキシブルに設けかつ迅速に調整することができるようにするために、溝付きシャフト1は第1の駆動ユニット100により駆動され、切断シャフト20は第2の駆動ユニット110により駆動され、横方向切断ユニットは第3の駆動ユニット120により駆動される。第3の駆動ユニット120により規定される、横方向切断ユニット60の反応速度は、実質的に横方向切断後のストリップ状チーズの最終的な長さを規定する。横方向切断ユニット60が急速に回転する程、最終的なストリップ状チーズは、より短くなる。リボン状チーズの搬送速度と、横方向切断ユニット60の回転速度との適切な協働に基づき、原則として任意の長さのストリップ状チーズが生産され得る。
【0044】
横方向切断ユニット60は、長手方向ストリップを横方向切断するために、対応カッタ98の切断エッジ99に、搬送方向に対して垂直に配置された好適には4つのカッタナイフ65を有しており、カッタナイフ65は、横方向切断ユニット軸70を中心として回転し、この場合、横方向切断ユニット軸70は、リボン状チーズ50の、下がっている長手方向ストリップにより張設される平面に沿って配置されている。原則として、リボン状チーズの搬送速度に応じて1~8のカッタナイフを設けることが可能である。この場合の目的は、リボン状チーズの搬送速度に応じて切断速度をほぼ一定に保つことである。極度に低い切断速度では、長手方向ストリップが完全に分断されないという問題が生じ、このことは、「羽形成」につながる。極度に高い切断速度では、高い回転数が軸受の耐用年数を減らし、設備全体をより剛性にもしくはより強固に設計しなければならない、という問題が生じる。
【0045】
鉛直方向の寸法に関して、対応カッタ98が溝付きシャフト1の直下に設けられており、特に対応カッタ98の、長手方向ストリップに面した切断エッジ99を備えた部分が少なくとも部分的に、その溝付きシャフト1に面した側において溝付きシャフト1の外形を模倣していることにより、システムは、よりコンパクトになる。つまり、対応カッタ98の切断エッジ99を備えた部分が溝付きシャフト1をいわば包囲することにより、一方ではコンパクトな鉛直方向構成形式になり、かつ他方では、垂れ下がっている長手方向ストリップを安定させて案内することができる。カッタが長手方向ストリップを切り離す所である切断エッジ99は、対応カッタ98の、溝付きシャフト1とは反対の側に設けられている。好適には、長手方向ストリップは、切断エッジ99の所でしかカッタ98に接触しない。溝付きシャフト1に対して垂直方向の接線を引いた場合、切断エッジはこの接線に沿って設けられている。
【0046】
図5にはさらに、溝付きシャフト1の回転方向90と、横方向切断ユニット60の回転方向91とは反対方向である、ということが示されている。このことは、
図5に示すシステムの配置において、長手方向ストリップを横方向切断過程に際して可能な限り振動無しで「横方向」に切断することができる、ということを可能にする。本実施形態において、溝付きシャフト1の回転方向90は反時計回りであり、横方向切断ユニット60の回転方向91は時計回りである。
【0047】
溝付きシャフト1の直径は、長手方向ストリップが横方向切断ユニット60のカッタナイフ65に接触するまでに溝付きシャフト1から垂れ下がる距離を特徴付ける間隔d75に影響を及ぼす。溝付きシャフト1の直径は、リボン状チーズ50の幅に左右される。リボン状チーズがより広幅に形成されている程、溝付きシャフト1の直径は、溝付きシャフト1の曲げを防止するためにより大きく選択される。間隔dが極度に大きいと、これにより長手方向ストリップが極めて大幅に「揺れる」ことで、横方向切断過程を最適に実施することができない恐れがある。原則として、溝付きシャフト1がより小さく形成される程、間隔d75はより小さく選択され得る、ということが言える。さらにこのことは、装置全体のよりコンパクトな構成形式も可能にする。試験測定では、溝付きシャフト1の直径は、有利には40mm~300mmである、ということが判った。
【0048】
つまり本発明は、リボン状チーズを立方体状チーズに切断しようとする場合に、長手方向切断シャフトおよび横方向切断シャフトのコンパクトな配置を可能にする。対応カッタの上流側の、カッタエッジ変向部を含む従来周知の搬送ベルトは省かれてよい。さらに、説明した装置は、CIP(Clean in Place)洗浄に極めて良好に適している。従来の切断過程におけるような、製品と共に搬送ベルトを通る汚れが防止される。
【国際調査報告】