(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】Mas関連Gタンパク質受容体X4のモジュレーター、関連製品及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4035 20060101AFI20230530BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230530BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230530BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20230530BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230530BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230530BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230530BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230530BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230530BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20230530BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230530BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230530BHJP
A61P 5/16 20060101ALI20230530BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20230530BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230530BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230530BHJP
A61P 33/12 20060101ALI20230530BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230530BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230530BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230530BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230530BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230530BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230530BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230530BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230530BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230530BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20230530BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230530BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230530BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230530BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230530BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230530BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230530BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20230530BHJP
A61K 31/4704 20060101ALI20230530BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20230530BHJP
A61K 31/4725 20060101ALI20230530BHJP
C07D 217/24 20060101ALI20230530BHJP
A61P 31/10 20060101ALN20230530BHJP
C07D 209/46 20060101ALN20230530BHJP
C07D 209/34 20060101ALN20230530BHJP
C07D 215/227 20060101ALN20230530BHJP
C07D 413/12 20060101ALN20230530BHJP
【FI】
A61K31/4035
A61P43/00 111
A61P17/04
A61P29/02
A61P37/06
A61P17/00
A61P27/14
A61P7/06
A61P29/00
A61P37/08
A61P15/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P3/10
A61P17/16
A61P17/00 101
A61P31/22
A61P31/18
A61P5/16
A61P35/02
A61P35/00
A61P33/14
A61P7/00
A61P25/22
A61P1/04
A61P33/12
A61P5/14
A61P17/06
A61P3/06
A61P43/00 121
A61P19/02
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P19/08
A61P1/02
A61P1/18
A61P25/02
A61P25/14
A61P21/00
A61P29/00 101
A61P15/02
A61P13/10
A61P9/00
A61P11/02
A61P19/04
A61P11/04
A61P17/10
A61P27/16
A61P13/08
A61P9/10
A61K45/00
A61K31/472
A61K31/4704
A61K31/404
A61K31/4725
C07D217/24
A61P31/10
C07D209/46 CSP
C07D209/34
C07D215/227
C07D413/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562471
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2021027477
(87)【国際公開番号】W WO2021211839
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440127
【氏名又は名称】エサイエント ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】マルコス センツ
(72)【発明者】
【氏名】アダム イェーガー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン セルフリッジ
(72)【発明者】
【氏名】エスター マーティンボロー
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ベーム
(72)【発明者】
【氏名】リミング ホアン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC58
4C063DD15
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA051
4C084ZA071
4C084ZA081
4C084ZA201
4C084ZA211
4C084ZA221
4C084ZA331
4C084ZA341
4C084ZA361
4C084ZA511
4C084ZA551
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA901
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB131
4C084ZB151
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZB331
4C084ZB351
4C084ZB371
4C084ZC061
4C084ZC331
4C084ZC351
4C084ZC421
4C084ZC551
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC10
4C086BC13
4C086BC28
4C086BC30
4C086BC71
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA20
4C086ZA21
4C086ZA22
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA90
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4C086ZC06
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC42
4C086ZC55
4C086ZC75
(57)【要約】
概して、MRGPR X4を調節するため、又はMRGPR X4依存性状態を治療するために、より具体的には、MRGPRX4を、すなわち、式(I):
(式中、m、n、p、t、A、B、Z、R
1、R
2及びR
3は、本明細書に定義されるとおりである。)の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩、の有効量と接触させ、又はそれを必要とする対象に投与する方法が提供される。このような化合物を含む医薬組成物だけでなく化合物自体も又提供される。Mas関連Gタンパク質受容体(MRGPR)X4のモジュレーターは特に、炭素環上にあるイソインドリン及びイソインドリン置換体である。本化合物は掻痒関連状態、疼痛関連状態、炎症関連状態、又は自己免疫疾患を治療する上で有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mas関連G.タンパク質受容体(MRGPR)X4を、式(I):
【化1】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、の有効量と接触させることにより、MRGPR X4を調節する方法であって、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又は、2つのR
2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は、独立してH又はアルキルであり;
各R’’は、独立してH又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である、前記方法。
【請求項2】
式(I):
【化2】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、の有効量を、それを必要とする対象に投与することによる、MRGPR X4依存性状態を治療する方法であって、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又は、2つのR
2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は、独立してH又はアルキルであり;
各R’’は、独立して、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;。
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である、前記方法。
【請求項3】
前記MRGPR X4依存性状態が、掻痒関連状態、疼痛関連状態、又は自己免疫疾患である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記掻痒関連状態が、慢性掻痒、胆汁うっ滞性掻痒症、接触性皮膚炎、アレルギー性眼瞼炎、貧血、アトピー性皮膚炎、水疱性類天疱瘡、カンジダ症、水痘、胆のう炎、末期腎不全、血液透析、接触性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、糖尿病、薬剤アレルギー、乾燥肌、異汗性皮膚炎、異所性湿疹、湿疹、紅皮症、毛のう炎、真菌性皮膚感染症、痔疾、ヘルペスHIV感染症、ホジキン病、甲状腺機能亢進症、鉄欠乏性貧血、腎臓病、白血病、肝臓病、リンパ腫、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、神経皮膚炎、オンコセルカ症、パジェット病、シラミ寄生症、真性赤血球増加症、肛門掻痒症、狂犬病恐怖症、直腸脱、疥癬、住血吸虫症、強皮症、重篤なストレス、うっ血性皮膚炎、泳者痒疹、甲状腺疾患、下腿白癬、尿毒症性掻痒痒症、又は蕁麻疹である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記掻痒関連状態が、胆汁うっ滞性掻痒症、尿毒症性掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、乾癬、接触性皮膚炎、又は湿疹である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記掻痒関連状態が、肝臓疾患であり、前記肝臓疾患が、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症、妊娠性肝内胆汁うっ滞症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、胆道閉鎖症、慢性B型肝炎、薬剤性慢性ウイルス性肝炎、誘導性肝障害(DILI)、肝線維症、胆汁うっ滞性肝疾患、アルコール性肝障害である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記対象に、薬剤的に有効な量の第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記MRGPR X4依存性状態が、肝臓疾患であり、前記第2の治療剤が、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ノルウルソデオキシコール酸、コレスチラミン、スタノゾロール、ナルトレキソン、リファンピシン、アリソールB23-アセテート(AB23A)、クルクミン、ジヒドロアルテミシニン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、メトロニダゾール、メトトレキサート、コルヒチン、メトホルミン、ベタイン、グルカゴン、ナルトレキソン、ファルネソイドx受容体(FXR)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)アゴニスト又はそれらの組み合わせである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記FXRアゴニストが、オベチコール酸、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、3-(2,6-ジクロロフェニル)-4-(3’-カルボキシ-2-クロロスチルベン-4-イル)オキシメチル-5-イソプロピルイソキサゾール(GW4064)、PX20606(PX-102)、PX-101、INT-767、INT-787、TERN-101、アルテヌシン、トロフェニソル(LJN452)、nidufexor、ツロフェキソラートイソプロピル、フェキサラミン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、カフェストール、シロフェキソール(GS-9674又はPx-104)、EDP-305、BAR704、BAR502、EYP-001、RDX-023、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、AGN-242256、EP-024297、IOT-022、M-480、INV-33、RDX023-02、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記PPARアゴニストが、PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、PPARγ/δデュアルアゴニスト、又はPPARα/γ/δパンアゴニスト、であり;
任意選択で、前記PPARαアゴニストは、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ペマフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート又はSRI0171であり;
前記PPARγアゴニストは、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、重水素安定化R-ピオグリタゾン、エファツタゾン、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、又はALL-4であり;
前記PPARδアゴニストは、GW501516(エンデュラボル又は({4-[(4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-l,3-チアゾール-5-イル)メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキサ}酢酸)、MBX8025(セルデルパー又は{2-メチル-4-[5-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H]-[l,2,3]トリアゾール-4-イルメチルシルファニル}-フェノキシ)-酢酸)、GW0742([4-[[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキ]-酢酸)、L165041、HPP-593又はNCP-1046であり;
前記PPARα/γアゴニストは、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザル、テサグリタザル、又はDSP-8658であり;
前記PPARα/δアゴニストは、エラフィブラノル又はT913659であり;
前記PPARγ/δアゴニストは、共役リノール酸(CLA)又はT3d-959であり;そして
前記PPARα/γ/δアゴニストは、IVA337(ラニフィブラノル)、TTA(テトラデシルチオ酢酸)、ババキニン、GW4148、GW9135、ベザフィブラート、ロベグリタゾン、2-(4-(5,6-メチレンジオキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-メチルフェノキ)-2-メチルプロパン酸(MHY2013)、又はCS038である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記TRβアゴニストが、ソベチローム、エプロチローム、GC-24、MGL-3196、MGL-3745、VK-2809、KB141[3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸]、MB07811 (2R,4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル]-2-オキシド[1,3,2]-ジオキサホスホナン)、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記疼痛関連状態が、急性疼痛、進行性前立腺癌、エイズ関連疼痛、強直性脊椎炎、くも膜炎、関節炎、関節線維症、運動失調性脳性麻痺、自己免疫萎縮性胃炎、虚血性壊死、腰痛、ベーチェット病(症候群)、口内炎症候群、滑液包炎、癌性疼痛、手根管、馬尾症候群、中枢性疼痛症候群、脳性麻痺、頸部狭窄症、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)病、慢性疲労症候群(CFS)、慢性機能性腹痛(CFAP)、慢性疼痛、慢性膵炎、肺虚脱(気胸)、複合性局所疼痛症候群(RSD)、角膜神経障害性疼痛、クローン病、椎間板変性症、ダーカム病、皮膚筋炎、糖尿病性末梢神経障害(DPN)、ジストニア、エーラスダンロス症候群(EDS)、子宮内膜症、好酸球性筋痛症候群(EMS)、赤血球減少症、線維筋痛症、痛風、頭痛、椎間板ヘルニア、水頭症、肋間神経痛、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群(IBS)、若年性皮膚炎、膝痛、脚気、腰痛血尿症候群、狼瘡、ライム病、髄質海綿腎(MSK)、知覚異常、中皮腫、片頭痛、筋骨格系疼痛、筋膜性疼痛、筋炎、首痛、神経障害性疼痛、後頭神経痛、骨関節炎、パジェット病、パーソネージターナー症候群、骨盤内疼痛、末梢神経障害、幻肢痛、神経圧迫症、多のう胞性腎臓病、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、ポルフィリン症、ヘルニア手術後疼痛症候群、乳房切除後疼痛症候群、脳卒中後疼痛、胸郭切開後疼痛症候群、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹)、ポリオ後症候群、原発性側索硬化症、乾癬性関節炎、陰茎神経痛、神経根障害、レイノー病、関節リウマチ(RA)、仙腸関節機能障害、サルコイドーシス、ショイエルマン脊柱後彎症、坐骨神経痛、脊柱側湾症、帯状疱疹(帯状疱疹ウイルス)、シェーグレン症候群、痙攣性斜頸、乳頭括約筋機能異常、脊髄小脳失調症(SCA失調症)、脊髄損傷、脊柱管狭窄症、脊髄空洞症、脊髄のう胞性病変、横紋筋炎、三叉神経痛、神経障害性疼痛、潰瘍性大腸炎、血管痛、又は外陰部痛である、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記自己免疫疾患が、慢性炎症、多発性硬化症、スティーブン・ジョンソン症候群、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、反射性交感神経性ジストロフィー/複合性局所疼痛症候群(rsd/crps)、鼻炎、腱炎、扁桃炎、尋常性座瘡、反応性気道障害、喘息、気道感染症、自己炎症疾患、セリアック病、慢性前立腺炎、憩室炎、糸球体腎炎、化膿性汗腺炎、過敏症、腸疾患、上皮性腸疾患、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、大腸炎、間質性膀胱炎、中耳炎、骨盤内炎症性疾患、子宮内膜痛、再灌流障害、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、移植拒絶、又は血管炎である、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、表Aに記載の化合物の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(I):
【化3】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩、及び薬剤的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物であって、又は薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩、であって、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又は2つのR
2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である、
前記医薬組成物。
【請求項16】
前記化合物が、式(II):
【化4】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であって、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又、2つのR
2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である、
請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
Aが5員又は6員の炭素環である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15又は16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
Aが5員又は6員の複素環である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15又は16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記化合物が、式(III):
【化5】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であって、式中、
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり、
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、又は18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記化合物が、式(IV):
【化6】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であって、式中、
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり、
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、又は18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
Bが複素環である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
Bがピリジン、ピリミジン、ピラゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、テトラヒドロ-2H-ピラン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又は2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシンである、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩を含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
Bが炭素環である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
Bがシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフタレン、又はテトラヒドロナフタレンである、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩を含む、請求項15~20又は23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
Bがフェニルである、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~20又は23及び24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記化合物が、式(V):
【化7】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり、
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、19、又は23~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記化合物が、式(VI):
【化8】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
Zは、-O-、-CH
2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)
2-、-S(O)
2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R
1は、独立に、H又はアルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり、
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、又は23~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
Zが-O-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記化合物が、式(VII):
【化9】
の構造を有する化合物か、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、19、23~26、又は28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記化合物が、式(VIII):
【化10】
の構造を有する化合物か、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは1~2であり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
Zが-N(R’)-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記化合物が、式(IX):
【化11】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
Zが-N(R’)SO
2-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記化合物が、式(X):
【化12】
の構造を有する化合物か、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
Zが-N(R’)C(O)-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記化合物が、式(XI):
【化13】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’は独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
Zが-SO
2N(R’)-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記化合物が、式(XII):
【化14】
の構造を有する化合物か、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
Zが-C(O)N(R’)-である、化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記化合物が、式(XIII):
【化15】
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩であって、式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である、
請求項15、16、18、20、23~25、27、又は39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
表Aに記載の化合物の構造を有する医薬組成物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩、及び薬剤的に許容可能な賦形剤、
を含む医薬組成物。
【請求項42】
第2の治療剤をさらに含む、請求項15~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
第2の治療剤が、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ノルウルソデオキシコール酸、コレスチラミン、スタノゾロール、ナルトレキソン、リファンピシン、アリソールB23-アセテート(AB23A)、クルクミン、ジヒドロアルテミシニン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、メトロニダゾール、メトトレキサート、コルヒチン、メトホルミン、ベタイン、グルカゴン、ナルトレキソン、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)アゴニスト又はそれらの任意の組合せである、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
(a)前記FXRアゴニストが、オベチコール酸、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、3-(2,6-ジクロロフェニル)-4-(3’-カルボキシ-2-クロロスチルベン-4-イル)オキシメチル-5-イソプロピルイソオキサゾール(GW4064)、PX20606(PX-102)、PX-101、INT-767、INT-787、TERN-101、アルテヌシン、トロピフェキソル(LJN452)、nidufexor、ツロフェキソラートイソプロピル、フェキサラミン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、カフェストール、シロフェキソール(GS-9674又はPx-104)、EDP-305、BAR704、BAR502、EYP-001、RDX-023、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、AGN-242256、EP-024297、IOT-022、M-480、INV-33、RDX023-02、又はそれらの任意の組み合わせであり;
(b)前記PPARアゴニストが、PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、PPARα/Δデュアルアゴニスト、PPARγ/Δデュアルアゴニスト、又はPPARα/γ/Δパンアゴニストであって、任意選択で、
前記PPARαアゴニストは、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ペマフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート又はSRI0171であり;
前記PPARγアゴニストは、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、重水素安定化R-ピオグリタゾン、エファツタゾン、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、又はALL-4であり;
前記PPARδアゴニストは、GW501516(エンデュラボル又は({4-[(4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-l,3-チアゾール-5-イル}メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキサ)酢酸))、MBX8025(セラデルパー又は{2-メチル-4-[5-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H]-[l,2,3]トリアゾール-4-イルメチルシルファニル]-フェノキシ}-酢酸)、GW0742([4-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸)、L165041、HPP-593、又はNCP-1046であり;
前記PPARα/γアゴニストは、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザル、テサグリタザル、又はDSP-8658であり;
前記PPARα/δアゴニストは、エラフィブラノル又はT913659であり;
前記PPARγ/δアゴニストは、共役リノール酸(CLA)又はT3d-959であり;そして
前記PPARα/γ/δアゴニストは、IVA337(ラニフィブラノル)、TTA(テトラデシルチオ酢酸)、ババキニン、GW4148、GW9135、ベザフィブラート、ロベグリタゾン、2-(4-(5,6-メチレンジオキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-メチルフェノキ)-2-メチルプロパン酸(MHY2013)、又は、CS038であり;又は
(c)前記TRβアゴニストが、ソベチローム、エプロチローム、GC-24、MGL-3196、MGL-3745、VK-2809、KB141[3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸]、MB07811(2R,4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル]-2-オキシド[1,3,2]-ジオキサフォフォナン)、又はそれらの任意の組合せである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
式(IX):
【化16】
(式中、
R
2aは、アルキルであり;
R
2cは、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である。)、
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩。
【請求項46】
式(X):
【化17】
(式中、
R
2aは、アルキルであり;
R
2cは、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である。)、
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩。
【請求項47】
式(XII):
【化18】
(式中、
R
2a及びR
2cは、それぞれ独立に、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキル、pは、0~3であり;そして
qは、0~6である。)、
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩。
【請求項48】
式(XIII):
【化19】
(式中、
R
2aは、H、ハロ、アルキル、ハロアルキルであり;
R
2cは、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルであり;
各R
3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH
2)
qC(O)OR
4、-(CH
2)
qNHR
5、-(CH
2)
qOR
6、-C(O)NR
7R
8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R
4、R
5、R
6、及びR
7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R
8は、独立して、H、-SO
2CH
3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R
8は独立して0、1、2、又は3個のR
9で置換され;
各R
9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO
2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
pは、0~3であり;そして
qは、0~6である。)、
の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩。
【請求項49】
表Aに記載の構造のいずれかを有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Mas関連Gタンパク質共役型受容体X4のモジュレーター、それを含む製品、並びにそれらの使用及び調製の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Mas関連Gタンパク質受容体(MRGPR)は、非常に特殊な組織において限定的に発現するオーファン受容体のグループである。これらの受容体の大部分の機能については、ほとんど知られていない。このクラスでは、ヒトで発現する8つの関連受容体があり、そのうちの4つだけが、他の種において容易に同定可能なオーソログを有する(すなわち、MRGPR D、E、F及びG)。他の4つのレセプター(MRGPR X1、X2、X3及びX4)は、ヒト以外の種における相同性に基づく片われがない。
【0003】
本発明は、部分的には、マウスにおいて、MRGPR A1が機能上、ヒトMRGPR X4に少なくとも部分的に対応するのを見出したことに基づいている。これらの受容体は、慢性掻痒(例えば、掻痒症)、炎症障害、自己免疫、皮膚障害、心血管疾患、肺炎症/COPD、及び薬物に対する有害皮膚反応などの障害を媒介する。より具体的には、MRGPR A1及びMRGPR X4の両方は、感覚ニューロン、皮膚メラノサイト、樹状細胞、多形核細胞、マクロファージ、気管支上皮細胞、肺平滑筋及び後根神経節において発現している。現在、MRGPR A1とMRGPR X4は、ともに循環ビリルビン及びその代謝物の受容体であり(あるいは活性化に敏感であり)、胆汁うっ滞性掻痒症のようなビリルビンが上昇した状態での掻痒感覚に重要であることが分かっている。又、MRGPR X4は、胆汁酸及びその代謝物、ビリルビンやウロビリンなどのヘム代謝物など、胆汁の複数の追加成分によって活性化される。胆汁酸やビリルビンは、胆汁うっ滞性掻痒症で高度に増える一方、マウスモデルで、掻痒誘発の強力なメディエーターであることが分かっているウロビリンは、尿毒症性掻痒症の時のようにウロビリンが上昇した条件での掻痒感覚に対しては重要かもしれない。さらにマウスモデルで、掻痒誘発の強力なメディエーターであることが分かっているウロビリンの受容体である、MRGPR X4は、よって尿毒症性掻痒症の時のようにウロビリンが上昇している条件での掻痒感覚に対して重要かもしれない。したがって、MRGPR X4を調節することにより、以下に詳細に説明するように、乾癬、多発性硬化症、スティーブン・ジョンソン症候群などの自己免疫疾患や慢性的な掻痒の治療を行うことができる。
【0004】
したがって、実施形態において、MRGPR X4を、式(I)
【0005】
【0006】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、の有効量と接触させることにより、MRGPR X4を調節する方法が提供され、ここで、式中、n、m、p、t、A、B、Z、R1、R2及びR3は以下に定義する通りである。
【0007】
別の実施形態では、式(I)の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩の有効量を、それを必要としている対象に投与することによって、MRGPR X4依存性状態を治療する方法が提供される。
【0008】
より具体的な実施形態では、MRGPR X4依存性状態は、掻痒関連状態、疼痛関連状態、炎症関連状態、又は自己免疫疾患のうちの1つ以上である。
【0009】
別の実施形態では、式(I)の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を、薬剤的に許容可能な賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物が提供される。
【0010】
別の実施形態では、本明細書に開示された構造の1つ以上、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩を有する医薬組成物が提供される。
【0011】
さらに具体的な実施形態では、第2の治療剤をさらに含む医薬組成物が提供され、ここで第2の治療剤は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ノルウルソデオキシコール酸、コレスチラミン、スタノゾロール、ナルトレキソン、リファンピシン、アリソールB23-アセテート(AB23A)、クルクミン、ジヒドロアルテミシニン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、メトロニダゾール、メトトレキサート、コルヒチン、メトホルミン、ベタイン、グルカゴン、ナルトレキソン、ファルネソイドx受容体(FXR)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)アゴニスト又はこれらの組み合わせである。
【0012】
別の実施形態では、式(IX):
【0013】
【0014】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩が提供され、ここで、式中、p、R2a、R2c及びR3は以下に定義される通りである。
【0015】
さらに、別の実施形態では、式(X):
【0016】
【0017】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩が提供され、ここで、式中、p、R2a、R2c及びR3は以下に定義される通りである。
【0018】
さらに、別の実施形態では、式(XII):
【0019】
【0020】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩が提供され、ここで、式中、p、R2a、R2c及びR3は以下に定義される通りである。
【0021】
別の実施形態では、式(XIII):
【0022】
【0023】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩が提供され、ここで、式中、p、R2a、R2c及びR3は以下に定義される通りである。
【0024】
別の実施形態では、本明細書に開示される1つ以上の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩が提供される。
【発明の概要】
【0025】
上記のように、本発明は、MRGPR X4のモジュレーター、それを含む製品、並びにそれらの使用及び調製の方法に関する。本発明は、部分的には、マウスにおいてMRGPR A1が、ヒトMRGPR X4に機能的に対応することを見出したことに基づいている。これらの受容体は、慢性及び断続的な掻痒(例えば、掻痒症)、炎症障害、自己免疫、皮膚障害、並びに薬物及び感染症に対する皮膚の有害反応などの障害を媒介する。より具体的には、MRGPR A1とMRGPR X4の両方が、感覚神経細胞と後根神経節に発現する。現在、MRGPR A1とMRGPR X4は、ともに循環ビリルビン及びその代謝物の受容体(あるいは活性化に対する感受性)であり、胆汁うっ滞性掻痒症や末期腎不全などでビリルビン(量)が上昇した状態での掻痒感覚に対して重要であることがわかってきた。又、MRGPR X4は、胆汁酸によっても活性化され、胆汁酸も胆汁うっ滞性掻痒症では上昇する。さらに、腎臓から排泄されるヘム代謝物ウロビリノーゲンの酸化産物であるウロビリンは、MRGPR X4及びプリトーゲンの強力なアゴニストであり、尿毒症性掻痒症、腎疾患、末期腎不全などでウロビリン量が上昇した状態では、掻痒感覚に対して重要である可能性が考えられる。したがって、MRGPR X4を調節することにより、以下に詳細に説明するように、乾癬、多発性硬化症、スティーブン・ジョンソン症候群などの自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎などのアトピー疾患及び他の慢性掻痒状態の治療が可能である。
【0026】
MRGPRは、外来又は内因性のシグナル/化学物質に対して、その外部環境を認識する感覚受容体であると思われる。これらの受容体は、おそらく複数の化学的リガンド/アゴニストに応答する。例えば、MRGPR X4は、アゴニストシグナルとしてビリルビン、胆汁酸、及びウロビリンを認識する。特定の実施形態では、本発明の分子は、複数の化学的実体をブロックすることができる逆アゴニストとして、及び/又は個々のリガンドを特異的にブロックすることができる競合アンタゴニストとして機能することによって、MRGPR X4を調節する。一実施形態では、そのような調節は、MRGPR X1、X2及び/又はX3など、他のMRGPRに対して選択的である。
【0027】
したがって、実施形態において、MRGPR X4を、式(I):
【0028】
【0029】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、の有効量と接触させることにより、MRGPR X4を調節する方法が提供され、ここで、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)2-、-S(O)2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又、2つのR2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH2)qC(O)OR4、-(CH2)qNHR5、-(CH2)qOR6、-C(O)NR7R8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R4、R5、R6、及びR7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R8は、独立して、H、-SO2CH3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R8は独立して0、1、2、又は3個のR9で置換され;
各R9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である。
【0030】
MRGPR X4を「調節する」とは、前記化合物を、受容体に対する逆アゴニストとして、及び/又は受容体に対する競合的アンタゴニストとして機能するような方法で、MRGPR X4と相互作用させることを意味する。一実施形態では、そのような調節を行うことは、他のMRGPR、例えばMRGPR X1、X2及び/又はX3に対して部分的又は完全に選択的である。
【0031】
「MRGPR」は、非常に特殊な組織(例えば、感覚ニューロン及び後根神経節)及びバリア組織において限定的に発現する、オーファン受容体のグループであるMas関連Gタンパク質共役受容体の1つ又は複数を意味する。このクラスには、ヒトで発現している8つの関連受容体があり、そのうち4つだけが他の種において容易に特定できるオーソログを持っている(すなわち、MRGPR D、E、F及びG)。他の4つの受容体(MRGPR X1、X2、X3及びX4)は、ヒト以外の種において、相同性に基づく片割れがない。
【0032】
「有効量」とは、その薬剤で治療されている対象において、所望の効果を達成するのに充分な、特定の薬剤の量を指す。理想的には、薬剤の有効量は、対象において実質的に毒性を引き起こすことなく、疾患を阻害又は治療するのに充分な量である。薬剤の有効量は、治療される対象、苦悩の激しさ、及び医薬組成物の投与方法に依存するであろう。対象において所望の効果を達成するのに充分な、開示化合物の有効量を決定する方法については、当業者であれば本開示を参照することによって理解するであろう。
【0033】
「アルキル」とは、1~8個の炭素原子、一部の実施形態では、1~6個の炭素原子、一部の実施形態では、1~4個の炭素原子、一部の実施形態では、1~3個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和直鎖又は分枝アルキル基を意味する。飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチル基が挙げられるが、これらに限定されない。分岐アルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、2,2-ジメチルプロピル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不飽和アルキルには、以下に定義するアルケニル及びアルキニルが含まれる。
【0034】
「アルケニル」は、2~8個の炭素原子、一部の実施形態では、2~6個の炭素原子、一部の実施形態では、2~4個の炭素原子、一部の実施形態では、2~3個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝アルケニル基を意味する。アルケニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む不飽和炭化水素である。低級アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
「アルキニル」は、2~8個の炭素原子、一部実施形態では2~6個の炭素原子、一部の実施形態では、2~4個の炭素原子、一部の実施形態では、2又は3個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝状のアルキニル基を意味する。アルキニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む不飽和炭化水素である。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0037】
「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0038】
「シアノ」とは、-CNを指す。
【0039】
アミノは、-NH2、-NHアルキル又はN(アルキル)2を指し、ここでアルキルは上記で定義した通りである。アミノの例には、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2などが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
「ハロアルキル」は、1つ以上の水素原子がハロゲンで置換された、上記で定義された通りのアルキルを指す。低級ハロアルキル基の例には、-CF3、-CHF2などが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
「アルコキシ」は、酸素原子を介して結合した上記定義のアルキルを指す(すなわち、-O-アルキル)。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して結合した上記定義のハロアルキルを指す(すなわち、-O-ハロアルキル)。低級ハロアルコキシ基の例としては、-OCF3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
「シクロアルキル」とは、環構造を形成するアルキル基を指し、置換されていてもいなくてもよく、環は完全飽和、部分不飽和、完全不飽和のいずれかであり、不飽和である場合、環内のπ電子の共役は芳香族性を帯びていないものである。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環員を有するが、他の実施形態では、環状炭素原子の数は3~5、3~6、又は3~7である。シクロアルキル基はさらに、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、及びカレニル基などの多環式シクロアルキル基、並びにデカリニルなどの縮合環を含むが、これらに限定されるものではない。
【0044】
「アリール」基は、ヘテロ原子を含まない環状芳香族炭化水素である。代表的なアリール基としては、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナンスレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、及びナフチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。一部の実施形態において、アリール基は、基の環部分に6~14個の炭素を含む。用語「アリール」及び「アリール基」は、縮合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチル等)などの、少なくとも1つの環(必ずしも全ての環である必要はない)が芳香族である縮合環を含む。一実施形態では、アリールはフェニル又はナフチルであり、別の実施形態では、アリールはフェニルである。
【0045】
「炭素環」は、環構造を形成するアルキル基を指し、これは置換されていてもいなくてもよく、環は完全飽和、部分不飽和、又は完全不飽和のいずれかであり、不飽和である場合、環内のπ電子の共役は芳香性を帯びでもよい。一実施形態において、炭素環は、上記で定義されたようなシクロアルキルを含む。別の実施形態では、炭素環は、上記で定義されたようなアリールを含む。
【0046】
「複素環」は、3個以上の環員を含む芳香族及び非芳香族環状部分を指し、そのうちの1個以上は、N、O、S、又はPなどのヘテロ原子であるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、複素環は3~20個の環員を含み、一方、他のこの種の基は3~15の環員を有する。少なくとも1つの環はヘテロ原子を含むが、多環系におけるすべての環がヘテロ原子を含む必要はない。例えば、ジオキソラニル環及びベンズジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)は、本明細書中、いずれも複素環基である。
【0047】
複素環基には、縮合した芳香族基及び非芳香族基を有するものを含む、縮合環種も含まれる。複素環基には、キヌクリジルなどのヘテロ原子を含む多環式環系も含まれ、又、アルキル基、ハロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基などの置換基が、その環員の1つに結合しているが、これに限定されない複素環基も含まれる。本明細書で定義される複素環基は、ヘテロアリール基又は少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む、部分的若しくは完全に飽和した環状基であってよい。複素環基としては、ピロリジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、アザベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリンチル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリン、キナゾリジル基、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0048】
「ヘテロアリール」とは、5個以上の環員を含む芳香環部分を指し、そのうち、1個以上は、N、O、Sなどのヘテロ原子であるが、これらに限定されるものではない。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリミジニル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チアゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、アザベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニン、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル及びキナゾリニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロアリール基」としては、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、及び2,3-ジヒドロインドリルなどの縮合環式化合物が挙げられ、ここで、少なくとも一つの環(必ずしも全ての環でなくてもよい)は、芳香族である。
【0049】
本明細書中の「異性体」は、特定の立体化学又は異性体形態が具体的に示されていない限り、すべてのキラル、ジアステレオマー構造又はラセミ体を包含する。そのような化合物は、描写された場合に明らかなように、あらゆる濃縮度において、いずれか又は全ての非対称原子を光学異性体として濃縮又は分解することができる。ラセミ体及びジアステレオマー混合物の両方、並びに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマー又はジアステレオマー相手を実質的に含まないように合成することができ、これらはすべて、本発明の特定の実施形態の範囲内である。キラル中心が存在することになった異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる、重ね合わせることができない一対の異性体を含む。純粋な化合物の単一エナンチオマーは、光学活性(すなわち、平面偏光の面を回転させることができ、R又はSと指定される)である。
【0050】
「単離された光学異性体」とは、同じ式で表される対応する光学異性体(複数可)から実質的に精製された化合物を意味する。例えば、単離された異性体は、少なくとも約80重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%の純度であってよい。他の実施形態では、単離された異性体は、少なくとも90重量%の純度、又は少なくとも98重量%の純度、又は少なくとも99重量%の純度を持つ。
【0051】
「実質的にエナンチオマー的に又はジアステレオマー的に」純粋とは、他のエナンチオマー又はジアステレオマーに対する、一方のエナンチオマー又はジアステレオマーの濃縮度が、少なくとも約80%、及びより具体的には80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.5%又は99.9%を超える濃度であることを意味する。
【0052】
「ラセミ体」及び「ラセミ混合物」という用語は、2つのエナンチオマーが同濃度である混合物を指す。ラセミ体は、光学活性がない(すなわち、その構成エナンチオマーが互いに打ち消し合うので、平面偏光をいずれの方向にも回転させない)ので、「(±)」と表示される。第三級又は第四級炭素に隣接するアスタリスク(*)の付いた化合物は、すべて光学活性異性体であり、それぞれのラセミ体から精製し、及び/又は適切なキラル合成によって合成することができる。
【0053】
「水和物」は、水分子と結合して存在する化合物である。この組み合わせは、一水和物又は二水和物のような化学量論的量でもって水を含む得るか、又はランダム量で水を含むことができる。本明細書中、「水和物」という用語は、固体形態のものを意味し、よって、水和している場合で、水溶液中の化合物は、本明細書中で使用する用語としての水和物ではない。
【0054】
「溶媒和物」は、水以外の溶媒が存在することを除いて、水和物に類似している。例えば、メタノール又はエタノールは、「アルコレート」を形成することができ、これは再び化学量論的又は非化学量論的であるとすることができる。本明細書中、「溶媒和物」という用語は固体形態を指す;すなわち、溶媒溶液中の化合物は、溶媒和されている場合があるが、本明細書で使用される用語としての、溶媒和物ではない。
【0055】
「同位体」とは、同じ数の陽子を有するが、異なる数の中性子を有する原子を指し、式(I)の化合物の同位体は、1つ以上の原子が、その原子の同位体で置換されている、任意のそのような化合物を含む。例えば、炭素の最も一般的な形態である炭素12は、6個の陽子と6個の中性子を有するが、炭素13は6個の陽子と7個の中性子を有し、炭素14は、6個の陽子と8個の中性子を有している。水素には、重水素(陽子1個、中性子1個)とトリチウム(陽子1個、中性子2個)の2つの安定同位体がある。フッ素には多くの同位体があるが、フッ素-19が最も長寿命である。したがって、式(I)の構造を有する化合物の同位体としては、1つ以上の炭素12原子が、炭素13及び/又は炭素14原子で置換され、1つ以上の水素原子が、重水素及び/又はトリチウムで置換され、及び/又は1つ以上のフッ素原子が、フッ素-19で置換されている、式(I)の化合物が挙げられるが、これに限定はされない。
【0056】
「塩」とは、一般に、イオン形態のカルボン酸又はアミンをその対イオンと組み合わせたような有機化合物を指す。例えば、アニオン形態の酸と、カチオンとの間で形成される塩は、「酸付加塩」と呼ばれる。逆に、カチオン形態の塩基と、アニオンとの間で形成される塩を「塩基付加塩」と呼ぶ。
【0057】
用語「薬剤的に許容可能な」とは、ヒトに対して消費されることが承認されており、一般に無毒である薬剤を指す。例えば、用語「薬剤的に許容可能な塩」は、無毒な、無機若しくは有機酸及び/又は塩基付加塩を指す(例えば、Litら、Salt Selection for Basic Drugs、Int.J.Pharm、33、201-217、1986)(参照により本明細書に援用される)。
【0058】
本発明の化合物である、薬剤的に許容可能な塩基付加塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛塩などの遷移金属塩を含む金属塩が挙げられる。薬剤的に許容可能な塩基付加塩には、例えば、N,N’ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカインなどの塩基性アミンからなる有機酸塩も含まれる。
【0059】
薬剤的に許容可能な酸付加塩は、無機酸から調製してもよいし、有機酸から調製してもよい。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸のクラスの有機酸から選択されてもよく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール、グルコン酸、乳酸、リンゴ、酒石酸、クエン酸、アスコルビン、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、馬尿酸、マロン酸、シュウ酸、エンボス酸(パモイ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、βヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸が挙げられる。
【0060】
薬剤的に許容できない塩は、一般に医薬品として有用ではないが、このような塩は、例えば、式Iの構造を有する化合物の合成における中間体として、例えば再結晶による精製において有用であり得る。
【0061】
別の実施形態では、MRGPR X4依存性状態を有する対象を治療する方法が提供され、この方法では、式(I):
【0062】
【0063】
の構造を有する化合物、又は
その薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体もしくは塩、の薬剤的に許容可能な量を、対象に投与することが含まれ、式中、
Aは、5員若しくは6員の炭素環又は5員若しくは6員の複素環であり;
Bは、炭素環又は複素環であり;
Zは、-O-、-CH2-O-、-S-、-N(R’)-、-N(R’)S(O)2-、-S(O)2N(R’)-、-N(R’)C(O)-、又は-C(O)N(R’)-であり;
各R1は、独立に、H又はアルキルであり;
各R2は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、若しくはアラルキルであり、又、2つのR2が一緒になって、=O若しくは=Sを形成し;
各R3は、独立して、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、炭素環若しくは複素環、-CN、-(CH2)qC(O)OR4、-(CH2)qNHR5、-(CH2)qOR6、-C(O)NR7R8、又はカルボン酸アイソステアであり;
各R4、R5、R6、及びR7は、独立に、H又はアルキルであり;
各R8は、独立して、H、-SO2CH3、炭素環、複素環、又はアルキルであり、各R8は独立して0、1、2、又は3個のR9で置換され;
各R9は、-OH、-CN、-NR’R’’、-C(O)OH、-C(O)NR’R’’、-SO2OH、アルコキシ、炭素環、又は複素環であり;
各R’は独立に、H又はアルキルであり;
各R’’、独立に、H又はアルキルであり;
mは0~2であり;
nは0~3であり;
pは、0~3であり;
qは、0~6であり;そして
tは0~6である。
【0064】
本明細書中、「MRGPR X4依存性状態」という用語は、天然又は合成リガンドによるMRGPR X4の活性化、過剰感作又は脱感作により、病的状態を、開始、媒介、持続又は増大させるという状態を意味する。例えば、掻痒症、アトピー性疾患、その他の自己免疫疾患や炎症性疾患に罹患している患者において、ビリルビンやその代謝物、胆汁酸濃度の上昇によって、掻痒や疼痛といった感覚が引き起こされることが知られている。MRGPR X4は、ビリルビン及びウロビリンを含むその代謝物、又は胆汁酸に対して、感受性がある(又は活性化される)ことが判明している。理論によって限定されるものではないが、MRGPR X4を調節することによって、掻痒又は疼痛の感覚を緩和することができると理解される。
【0065】
一部の実施形態では、MRGPR X4依存性状態は、胆汁酸によるMRGPR X4の活性化によって引き起こされる状態である。本明細書中、用語「胆汁酸」としては、一次胆汁酸(例えば、コール酸、ケオデオキシコール酸)、胆汁酸塩とも呼ばれる共役胆汁酸(例えば、タウロコール酸、グリココール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸)、二次胆汁酸(例えば、デオキシコール酸、リトコール酸)及び胆汁酸類似物が挙げられる。一部の実施形態では、胆汁酸アナログは、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストである。したがって、本開示の化合物は、胆汁酸によるMRGPRX4の活性化によって引き起こされ、この化合物を、MRGPR X4を調節することで恩恵を受けるであろうMRGPR X4依存性状態の治療に使用することができる。
【0066】
一部の実施形態では、MRGPR X4依存性状態とは、掻痒関連状態、疼痛関連状態、自己免疫状態、又は自己免疫若しくは炎症性障害のことである。
【0067】
本明細書中、用語「掻痒関連状態」とは、任意の状態に関連する掻痒(急性及び慢性掻痒を含む)を意味する。掻痒の感覚は、例えば、末梢神経系(例えば、皮膚性掻痒又は神経障害性掻痒)又は中枢神経系(例えば、神経障害性、神経原性又は心因性掻痒)に由来し得る。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、掻痒関連状態、例えば、慢性掻痒;胆汁うっ滞性掻痒症;接触性皮膚炎;アレルギー性眼瞼炎;貧血;アトピー性皮膚炎;水疱性類天疱瘡;カンジダ症;水痘;胆のう炎;末期腎不全;血液透析;接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎;糖尿病;薬物アレルギー、乾燥肌;異汗性皮膚炎;異所性湿疹;紅皮症;毛のう炎;真菌皮膚感染症;痔疾;ヘルペスHIV感染症;ホジキン病;甲状腺機能亢進症;鉄欠乏性貧血;腎臓病;白血病、ポルフィリン症;肝疾患(原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症、妊娠性肝内胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝症(NAFLD)、胆道閉鎖症、慢性B型肝炎、薬剤性慢性ウイルス肝炎、誘発肝損害(DILI)、肝繊維化、胆汁うっ滞性肝疾患及びアルコール性肝疾患を含む);リンパ腫;悪性腫瘍;多発性骨髄腫;神経皮膚炎;オンコセルカ症;パジェット病;シラミ寄生症;真性赤血球増加症;扁平苔癬;紅斑性多血症;肛門掻痒症;狂犬病恐怖症、直腸脱、疥癬、住血吸虫症、強皮症、重篤なストレス、うっ血性皮膚炎;泳者痒疹;甲状腺疾患;下腿白癬;尿毒症性掻痒症、酒さ;皮膚アミロイドーシス;強皮症;にきび;創傷治癒;眼痒;及び蕁麻疹、などを治療するために提供される。
【0068】
本明細書中、「疼痛関連状態」という語句は、医学的状態に起因する任意の疼痛を意味する。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、例えば、
急性疼痛、進行性前立腺癌、AIDS関連疼痛、強直性脊椎炎、くも膜炎、関節炎、関節線維症、運動失調性脳性麻痺、自己免疫萎縮性胃炎、虚血性壊死、腰痛、ベーチェット病(症候群)、口内炎症候群、滑液包炎、癌性疼痛、手根管、馬尾症候群、中枢性疼痛症候群、脳性麻痺、頚部狭窄症、シャルコー・マリー・トゥース(CMT)病、慢性疲労症候群(CFS)、慢性機能性腹痛(CFAP)、慢性疼痛、慢性膵炎、肺虚脱(気胸)、複合性局所疼痛症候群(RSD)、角膜神経障害性疼痛、クローン病、椎間板変性症、ダーカム病、皮膚筋炎、糖尿病性末梢神経障害(DPN)、ジストニア、エーラスダンロス症候群(EDS)、子宮内膜症、好酸球性筋痛症候群(EMS)、赤血球減少症、線維筋痛症、痛風、頭痛、椎間板ヘルニア、水頭症、肋間神経痛、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群(IBS)、若年性皮膚炎(皮膚筋炎)、膝痛、脚気、腰痛血尿症症候群、狼瘡、ライム病、髄質海綿腎(MSK)、知覚異常、中皮腫、片頭痛、筋骨格系疼痛、筋膜性疼痛、筋炎、首痛、神経障害性疼痛、後頭神経痛、骨関節炎、パジェット病、パーソネージターナー症候群、骨盤内疼痛、末梢神経障害、幻肢痛、圧迫神経症、多のう胞性腎臓病、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、ポルフィリン症、ヘルニア手術後疼痛症候群、乳房切除後疼痛症候群、脳卒中後疼痛、胸部切開後疼痛症候群、帯状疱疹後神経痛、ポリオ後症候群、原発性側索硬化症、乾癬性関節炎、陰茎神経痛、橈骨神経痛、レイノー病、関節リウマチ(RA)、仙腸関節機能障害、サルコイドーシス、ショイエルマン脊柱後彎症、坐骨神経痛、脊柱側弯症、帯状疱疹(帯状疱疹ウイルス)、シェーグレン症候群、痙攣性斜頸、乳頭括約筋機能異常、脊髄小脳失調症(SCA失調症)、脊髄損傷、脊柱管狭窄症、脊髄空洞症、脊髄嚢胞性病変、横紋筋炎、三叉神経痛、神経障害性疼痛、潰瘍性大腸炎、血管痛、外陰部痛などの、疼痛関連状態を治療するために提供される。
【0069】
本明細書中、用語「自己免疫疾患」、又は「炎症性疾患」は、個体自身の組織若しくは器官、又は共凝集体若しくはそれらの兆候から生じる、及び/又はそれらに特定の疾患若しくは障害、又はそれらから生じる状態を意味する。典型的には、高ガンマグロブリン血症、高レベルの自己抗体、組織における抗原抗体複合体沈着、コルチコステロイド又は免疫抑制治療からの臨床的有用率、及び罹患組織におけるリンパ球凝集体を含むが、これらに限定されない、自己免疫疾患の種々の臨床及びラボマーカーが存在し得る。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、自己免疫疾患、例えば、慢性炎症、多発性硬化症、スティーブン・ジョンソン症候群、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、反射性交感神経性ジストロフィー/複合性局所疼痛症候群(rsd/crps)、鼻炎、腱炎、扁桃炎、尋常性座瘡、反応性気道障害、喘息、気道感染症、自己炎症性疾患、セリアック病、慢性前立腺炎、憩室炎、糸球体腎炎、化膿性汗腺炎、過敏症、腸疾患、上皮性腸疾患、炎症性腸症候群、過敏性腸症候群、大腸炎、間質性膀胱炎、外耳炎 骨盤内炎症疾患、子宮内膜痛、再灌流障害、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、移植拒絶、乾癬、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、心血管疾患及び血管炎、を治療するために提供される。
【0070】
本明細書中、用語「投与」とは、本明細書に記載の化合物、又は化合物を含む医薬組成物が提供されることを意味する。この化合物又は組成物を、別の人が対象に投与することができ、又は対象自身が自己投与することができる。投与経路の非限定的な例は、経口、非経口(例えば、静脈内)、又は局所である。
【0071】
本明細書中、用語「治療」とは、疾患又は病的状態の徴候又は症状を改善する上での介入を指す。本明細書中、疾患、病的状態又は症状に関する用語「治療」、「治療する」及び「治療している」は、治療における、任意の観察でき得る有益な効果も指す。有益な効果の証明は、例えば、感受性の高い対象の疾患における、臨床症状の発症遅延、疾患の一部又は全ての臨床症状の重症度の低下、疾患の進行遅延、疾患の再発回数の減少、対象の全体的な健康又は幸福度の改善、又は特定の疾患に特有の、当該技術分野で周知の他のパラメータ、によってなられ得る。予防的治療とは、疾患の兆候を示さないか、又は初期兆候のみを示す対象に、病理学的発症のリスクを減少させる目的で行われる治療法である。治療的治療とは、疾患の徴候及び症状を発現した後に、被験者に投与される治療である。
【0072】
本明細書中、用語「対象」とは、動物(例えば、ヒトなどの哺乳類)を指す。本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、掻痒関連状態、疼痛関連状態、又は自己免疫疾患などの、MRGPR X4依存性状態にあると診断された者であってよい。診断は、当技術分野で既知の任意の方法又は技術によって実施されてもよい。当業者であれば、本開示に従って治療される対象は、標準的な検査を受けた後、又は検査しないでも、疾患又は状態に関連する1つ又は複数の危険因子が存在するので危険な状態にある、と特定されてもよいことを理解するであろう。
【0073】
別の実施形態では、本明細書に記載のMRGPR X4依存性状態(例えば、掻痒関連状態、疼痛関連状態、自己免疫状態、又は自己免疫疾患)を有する対象を治療する方法には、対象に薬剤的有効量の第2の治療剤を投与することがさらに含まれる。一実施形態では、掻痒関連状態は、肝臓疾患である。一実施形態では、第2の治療剤としては、肝疾患治療剤である。一実施形態では、肝臓疾患治療剤は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ノルウルソデオキシコール酸、コレスチラミン、スタノゾロール、ナルトレキソン、リファンピシン、アリソールB23-アセテート(AB23A)、クルクミン、ジヒドロアルテミシニン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、メトロニダゾール、メトトレキサート、コルヒチン、メトホルミン、ベタイン、グルカゴン、ナルトレキソン、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)アゴニスト又はそれらの任意の組合せ、が挙げられる。
【0074】
本明細書に記載の方法で使用することができるFXRアゴニストの例としては、オベチコール酸、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、3-(2,6-ジクロロフェニル)-4-(3’-カルボキシ-2-クロロスチルベン4-イル)オキシメチル-5-イソプロピルイソキサゾール(GW4064)、PX20606(PX-102)、PX-101、INT-767、INT-787、TERN-101、アルテヌシン、トロピフェキソル(LJN452)、nidufexor、ツロフェキソラートイソプロピル、フェキサラミン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、カフェストール、シロフェキソール(GS-9674又はPx-104)、EDP-305、BAR704、BAR502、EYP-001、RDX-023、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、AGN-242256、EP-024297、IOT-022、M-480、INV-33、RDX023-02、又はそれらの任意の組合せである。一実施形態では、FXRアゴニストは、胆汁酸又はそのアナログ(例えば、オベチコール酸、INT-767、INT-787、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、BAR502、ヘドラゴン酸又はBAR704)又は非胆汁酸アゴニスト(例えば、EDP-305、トロピフェキソル、nidufexor、シロフェキソ-ル、GW4064、ツロフェキソラートイソプロピル、フェキサラミン、PX20606(PX-102)、TERN-101、アルテヌシン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、BAR502、EYP-001、RDX023-2、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、EP-024297、M-480又はカフェストール)である。一実施形態では、PPARアゴニストは、PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、PPARα/δデュアルアゴニスト、PPARγ/δデュアルアゴニスト、又はPPARα/γ/δパンアゴニストである。
【0075】
本明細書に記載の方法で使用することができるPPARαアゴニストの例としては、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ペマフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート及びSRI 0171が挙げられる。
【0076】
本明細書に記載の方法で使用することができるPPARγアゴニストの例としては、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、重水素安定化R-ピオグリタゾン、エファツタゾン、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、及びALL-4が挙げられる。
【0077】
本明細書に記載の方法で使用することができるPPARδアゴニストの例としては、GW501516(エンデュラボル又は({4-[(4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-l,3-チアゾール-5-イル}メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキシ}酢酸))が挙げられる。MBX8025(セラデルパー又は{2-メチル-4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H-[l,2,3]トリアゾール-4-イルメチルシルファニル]-フェノキシ}-酢酸)、GW0742([4-[[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸)、L165041、HPP-593及びNCP-1046が挙げられる。
【0078】
本明細書に記載の方法に使用することができるPPARα/γアゴニストの例として、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザル、テサグリタザル、及びDSP-8658が挙げられる。
【0079】
本明細書に記載の方法に使用することができるPPARα/δアゴニストの例としては、エラフィブラノル及びT913659が挙げられる。
【0080】
本明細書に記載の方法に使用することができるPPARγ/δアゴニストの例には、共役リノール酸(CLA)及びT3D-959が挙げられる。
【0081】
本明細書に記載の方法に使用することができるPPARα/γ/δアゴニストの例としては、IVA337(ラニフィブラノル)、TTA(テトラデシルチオ酢酸)、ババキニン、GW4148、GW9135、ベザフィブラート、ロベグリタゾン、2-(4-(5,6-メチレンジオキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-メチルフェノキキシ)-2-メチルプロパン酸(MHY2013)、及びCS038を挙げることができる。
【0082】
本明細書に記載の方法に使用することができる甲状腺ホルモン受容体βアゴニストの例としては、ソベチローム、エプロチローム、GC-24、MGL-3196、MGL-3745、VK-2809、KB141[3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸]、及びMB07811(2R,4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル]-2-オキシド[1,3,2]-ジオキサホスホナン)が挙げられる。
【0083】
第2の治療剤は、本開示の化合物と同時に、別々に、又は順次投与することができる。同時に投与される場合、第2の治療剤及び本開示の化合物は、別々の剤形で投与されてもよいし、同じ剤形で投与されてもよい。
【0084】
別の実施形態では、掻痒関連状態を有する対象を治療する方法が提供され、この方法には、式(I)の構造を有する化合物、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩、又はその医薬組成物、の薬剤的有効量を、対象に投与することが含まれる。一実施形態では、掻痒関連状態は、胆汁うっ滞性掻痒症、尿毒症性掻痒症、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、乾癬、接触皮膚炎、又は湿疹である。
【0085】
式(I)の一実施形態において、本化合物は、式(II):
【0086】
【0087】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、m、n、p、A、B、Z、R1、R2及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0088】
式(I)の一実施形態において、Aは、5員又は6員炭素環である。
【0089】
式(I)のさらに別の実施形態において、Aは、5員又は6員の複素環である。
【0090】
式(I)の一実施形態において、Aは5員複素環であり、本化合物は式(III):
【0091】
【0092】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、m、p、B、Z、R1及びR3は、上記で定義されたとおりであり、そしてここで、R2a、R2b、R2c、及びR2dは、それぞれ独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、又はアラルキルである。
【0093】
式(I)の一実施態様において、Aは6員複素環であり、本化合物は式(IV):
【0094】
【0095】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、m、p、B、Z、R1、R2a、R2b、R2c、R2d及びR3は上記で定義したとおりである。
【0096】
式(I)の一実施形態において、Bは複素環である。
【0097】
式(I)の一実施形態において、Bは、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、テトラヒドロ-2H-ピラン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、又は2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシンである。
【0098】
式(I)の別の実施形態において、Bは、炭素環である。
【0099】
式(I)の別の実施形態において、Bは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフタレン、又はテトラヒドロナフタレンである。
【0100】
式(I)の別の実施態様において、Bはフェニルである。
【0101】
式(I)の一実施形態において、Aは5員複素環であり、Bはフェニルであり、本化合物は式(V):
【0102】
【0103】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、m、p、B、Z、R1、R2a、R2b、R2c、R2d及びR3は上記で定義したとおりである。
【0104】
式(I)の一実施形態において、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、本化合物は式(VI):
【0105】
【0106】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、m、p、B、Z、R1、R2a、R2b、R2c、R2d及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0107】
式(I)の一実施形態において、Zは-O-である。
【0108】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは5員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-O-であり、本化合物は式(VII):
【0109】
【0110】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0111】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-O-であり、本化合物は式(VIII):
【0112】
【0113】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0114】
式(I)の一実施形態において、Zは、-N(R’)-である。
【0115】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-N(R’)-で、R’はHであり、そして本化合物は式(IX):
【0116】
【0117】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0118】
式(I)の一実施形態において、Zは、-N(R’)SO2-である。
【0119】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-N(R’)SO2-であり、R’はHであり、本化合物は式(X):
【0120】
【0121】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0122】
式(I)の一実施形態において、Zは、-N(R’)C(O)-である。
【0123】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-N(R’)C(O)-であり、R’はHであり、本化合物は式(XI):
【0124】
【0125】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0126】
式(I)の一実施形態において、Zは、-SO2N(R’)-である。
【0127】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-SO2N(R’)-であり、R’はHであり、本化合物は式(XII):
【0128】
【0129】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、式中、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0130】
式(I)の一実施形態において、Zは、-C(O)N(R’)-である。
【0131】
式(I)の一実施形態において、mは1であり、R1はHであり、Aは6員複素環であり、Bはフェニルであり、Zは-c(O)N(R’)-であり、R’はH)であり、本化合物は式(XIII):
【0132】
【0133】
の構造を有する化合物、
又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体、若しくは塩、であり、ここで、p、R2a、R2c、及びR3は、上記で定義したとおりである。
【0134】
式(I)及び該当する式(II)~(XIII)の代表的な化合物としては、以下の表Aに記載された化合物のいずれか1つ、並びにその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体又は塩を挙げることができる。このため、本明細書では、代表的な化合物を、それぞれの「化合物番号」で特定し、これを「化合物番号」又は「Cpd.No」と略記することがある。
【0135】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0136】
他の実施形態において、式(I)、並びに式(II)~(XIII)の化合物のプロドラッグ及び/又は代謝物が提供される。
【0137】
したがって、一実施形態において、本発明の化合物のプロドラッグが提供され、これは、対象への投与時に、代謝又は他の生理学的プロセスによる化学変換を受けて、活性薬理学的物質となる。代謝又は他の生理学的プロセスによる変換とは、限定されるものではないが、プロドラッグの活性薬理物質への酵素的(例えば、特定の酵素触媒)及び非酵素的(例えば、一般的又は特定の酸又は塩基誘導)化学変換を含む。一般に、このようなプロドラッグは、生体内で本発明の化合物に容易に変換される、本発明の化合物の機能的誘導体となる。適切なプロドラッグ誘導体を選択及び調製する従来の手順については、例えば、Design of Prodrugs、H.Bundgaard編、Elsevier、1985に記載されている。
【0138】
したがって、「プロドラッグ」とは、対象に投与された場合に、酵素などの、対象の体内の生化学物質の作用により、生体内で医薬活性成分に変換される物質のことである。プロドラッグの例として、ヒト及び他の哺乳類の血流中に見出されるような内因性エステラーゼによって加水分解され得る、カルボン酸基のエステルが挙げられる。一実施形態では、式(I)、又は式(II)~(XIII)のいずれかの構造を有する化合物を提供するために、対象の体内で変換され、対象に投与することができる物質が提供される。
【0139】
本明細書中、「代謝物」とは、対象への投与後、対象の体内で変換されて活性物質をもたらす化合物のことである。このような変換には、しばしば加水分解、リン酸化及び/又は酸化/還元過程が含まれ、任意の数の酵素(例えば、エステラーゼ、ホスファターゼ、シトクロムP450等)により、又体内の異なる環境(例えば、pHの変化)により媒介され得る。
【0140】
特定の実施形態においては、本発明では、式(I)~(XIV)のいずれか1つの化合物を、少なくとも1つの薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を一緒に含む、医薬組成物が提供される。例えば、活性化合物を、通常は担体と混合するか、担体で希釈するか、又はアンプル、カプセル、サシェ、紙、又は他の容器の形態をとり得る担体内に封入する。活性化合物を担体と混合する場合、又は担体を希釈剤として機能させる場合、それらは、活性化合物用のビヒクル、賦形剤、又は媒体として機能する固体、半固体、又は液体の材料とすることができる。活性化合物は、例えば小袋に含まれるような粒状の固体担体に吸着させることができる。適切な担体のいくつかの例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシル化ヒマシ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ゼラチン、乳糖、白土、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、砂糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸、又はセルロースの低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンである。同様に、担体又は希釈剤としては、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような、当該技術分野で知られている徐放性材料のいずれかが挙げられ、これらは単独又はワックスと混合して用いられる。
【0141】
本明細書中、用語「医薬組成物」は、本明細書に記載の化合物の1つ以上、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩を含む組成物を指し、他の添加物も含むことができ、哺乳類の疾患を治療するための治療レジメンの一部として、政府規制機関の承認を受けて製造又は販売される、薬剤的に許容可能な担体と配合することができる。医薬組成物は、例えば、単位投与形態(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、又はシロップ)での経口投与用;局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、又は軟膏として);静脈内投与用(例えば、粒子状塞栓を含まない無菌溶液として、及び静脈内使用に適した溶剤系で);又は本明細書に記載の任意のその他の製剤として、処方することが可能である。適切な製剤を選択及び調製するための従来の手順及び成分については、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Gennaro編、Lippencott Williams&Wilkins(2005)及びThe United States Pharmacopeia:The National Formulary (USP 36 NF31)、2013年発行、に記載されている。
【0142】
一部の実施形態では、式(I)~(XIII)のいずれか1つの化合物と、少なくとも1つの薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と含む医薬組成物は、第2の治療剤をさらに含む。一実施形態では、第2の治療剤は、肝疾患治療剤である。一実施形態において、肝疾患治療剤は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ノルウルソデオキシコール酸、コレスチラミン、スタノゾロール、ナルトレキソン、リファンピシン、アリソールB23-アセテート(AB23A)、クルクミン、ジヒドロアルテミシニン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、メトロニダゾール、メトトレキサート、コルヒチン、メトホルミン、ベタイン、グルカゴン、ナルトレキソン、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アゴニスト、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)アゴニスト又はそれらの任意の組合せ、である。
【0143】
本明細書に記載の医薬組成物に使用され得るFXRアゴニストの例としては、オベチコール酸、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、3-(2,6-ジクロロフェニル)-4-(3’-カルボキシ-2-クロロスチルベン-4-イル)オキシメチル-5-イソプロピルイソキサゾール(GW4064)、PX20606(PX-102)、PX-101、INT-767、INT-787、TERN-101、アルテヌシン、トロピフェキソル(LJN452)、nidufexor、ツロフェキソラートイソプロピル、フェキサラミン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、カフェストール、シロフェキソール(GS-9674又はPx-104)、EDP-305、BAR704、BAR502、EYP-001、RDX-023、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、AGN-242256、EP-024297、IOT-022、M-480、INV-33、RDX023-02、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。一実施形態では、FXRアゴニストは、胆汁酸又はそのアナログ(例えば、オベチコール酸、INT-767、INT-787、ツロフェキソラートイソプロピル(WAY-362450)、BAR502、ヘドラゴン酸又はBAR704)又は非胆汁酸アゴニスト(例えば、EDP-305、トロピフェキソル、nidufexor、シロフェキソール、GW4064、ツロフェキラートイソプロピル、フェキサラミン、PX20606(PX-102)、TERN-101、アルテニュシン、シリマリン、シリビン、ヘドラゴン酸、BAR502、EYP-001、RDX023-2、AGN-242266、HPG-1860、MET-409、EP-024297、M-480又はカフェストール)である。一実施形態では、PPARアゴニストは、PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARδアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、PPARγ/δデュアルアゴニスト、PPARα/γ/δパンアゴニスト、又はそれらの任意の組合せである。
【0144】
本明細書に記載の医薬組成物に使用され得るPPARαアゴニストとしては、例えば、フェノフィブラート、シプロフィブラート、ペマフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート及びSRI0171が挙げられる。
【0145】
本明細書に記載の医薬組成物に使用され得るPPARγアゴニストとしては、たとえば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、重水素安定化R-ピオグリタゾン、エファツタゾン、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、及びALL-4がある。
【0146】
本明細書に記載の医薬組成物において使用され得るPPARδアゴニストとしては、例えば、GW501516(エンデュラボル又は({4-[(4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-l,3-チアゾール-5-イル}メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキシアン))酢酸)、MBX8025(セラデルパー又は{2-メチル-4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H-[l,2,3]トリアゾール-4-イルメチルシルファニル]-フェノキシ}-酢酸)、GW0742([4-[[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸)、L165041、HPP-593及びNCP-1046が挙げられる。
【0147】
本明細書に記載の医薬組成物において使用され得るPPARα/γアゴニストとしては、例えば、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザル、テサグリタザル、及びDSP-8658が挙げられる。
【0148】
本明細書に記載の医薬組成物において使用され得るPPARα/δアゴニストとしては、例えば、エラフィブラノル及びT913659が挙げられる。
【0149】
本明細書に記載される医薬組成物において使用され得るPPARγ/δアゴニストとしては、例えば、共役リノール酸(CLA)及びT3D-959が挙げられる。
【0150】
本明細書に記載の医薬組成物において使用され得るPPARα/γ/δアゴニストとしては、例えば、IVA337(ラニフィブラノル)、TTA(テトラデシルチオ酢酸)、ババキニン、GW4148、GW9135、ベザフィブラート、ロベグリタゾン、2-(4-(5,6-メチレンジオキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-2-メチルフェノキシ)-2-メチルプロパン酸(MHY2013)、及びCS038が挙げられる。
【0151】
本明細書に記載の医薬組成物において使用され得る甲状腺ホルモン受容体βアゴニストとしては、例えば、ソベチローム、エプロチローム、GC-24、MGL-3196、MGL-3745、VK-2809、KB141[3,5-ジクロロ-4-(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル酢酸]、及びMB07811(2R,4S)-4-(3-クロロフェニル)-2-[(3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)フェノキシ)メチル]-2-オキシド-[1,3,2]ジオキサホスホナン)が挙げられる。
【0152】
本明細書中、「薬剤的に許容可能な担体」という用語は、開示された化合物以外の任意の成分、又はその薬剤的に許容可能な異性体、ラセミ体、水和物、溶媒和物、同位体若しくは塩(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解することができる担体)、及び対象において非毒性及び非炎症であるという性質を有するものをいう。賦形剤としては、例えば、付着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(色)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤又はコーティング剤、香料、グリアント(流動促進剤)、滑剤、保存剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤又は分散剤、甘味料又は水和剤が挙げられる。例示的な賦形剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ゼラチン化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(コーン)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、キシリトールが挙げられる。
【0153】
本製剤は、活性化合物と劇的に反応しない補助剤と混合することができる。このような添加剤としては、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤及び/又は着色物質、保存剤、甘味料、又は香料を挙げることができる。組成物は又、所望により滅菌することができる。
【0154】
投与経路は、本発明の活性化合物を適切な又は所望の作用部位に効果的に輸送する任意の経路、例えば、経口、鼻腔、肺、頬、皮下、皮内、経皮、又は非経口(静脈内、皮下及び/又は筋肉内を含む)とすることが可能である。一実施形態では、投与経路は経口である。別の実施形態では、投与経路は局所的である。
【0155】
本剤形は、1日1回、又は1日2回若しくは3回など、1日1回以上投与することができる。あるいは、投与形態は、処方する医師又は薬剤の処方情報によって望ましいと認められる場合、1日おき、又は毎週など、1日よりも少ない頻度で投与することができる。投与レジメンには、例えば、治療すべき適応症に必要又は有用な範囲での用量漸増が含まれ、したがって、患者の体が治療に適応し、治療に伴う望ましくない副作用を最小化又は回避し、及び/又は本化合物の治療効果を最大化できるようにする。他の投与形態には、遅延放出又は制御放出形態が含まれる。適切な投与法及び/又は形態としては、例えば、参照により本明細書に援用されるPhysicians’ Desk Referenceの最新版に記載されているものが挙げられる。
【0156】
本発明の一実施形態において、式(I)~(XIII)のいずれか1つの化合物を、少なくとも1つの薬剤的に許容可能な経口担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、経口医薬組成物が提供される。本発明の別の実施形態では、式(I)~(XIII)のいずれか1つの化合物を、少なくとも1つの薬剤的に許容可能な局所用担体、希釈剤、又は賦形剤と一緒に含む局所用医薬組成物が提供される。例えば、経口医薬組成物は、胆汁うっ滞性掻痒症を治療するのに提供され、投与レジメンは、例えば、1日1回である。一実施形態では、局所用医薬組成物は、アトピー性皮膚炎を治療するために提供される。
【0157】
別の実施形態では、本発明の化合物を薬剤的に許容可能な担体又は希釈剤と配合することを含む、本明細書に記載の化合物の組成物を製造する方法が提供される。一部の実施形態では、薬剤的に許容可能な担体又は希釈剤は、経口投与に適している。一部のそのような実施形態では、この方法には、組成物を、錠剤又はカプセルに製剤化することがさらに含まれ得る。他の実施形態では、薬剤的に許容可能な担体又は希釈剤は、非経口投与に適している。一部のそのような実施形態では、この方法には、組成物を凍結乾燥させて凍結乾燥製剤を形成する工程がさらに含まれる。
【0158】
本発明の特定の実施形態において、式(I)~(XIII)のいずれか1つの構造を有する化合物が提供される。このような化合物は、当業者に知られている標準的な合成技術を使用して合成することができる。例えば、本発明の化合物は、以下の実施例及び反応スキームに記載されたごとくの、変更が適切になされた合成手順を用いて合成することができる。
【0159】
このため、本明細書に記載される反応、プロセス、及び合成方法は、以下の実験の項に記載される特定の条件に限定されるものではなく、むしろこの分野に合った技術を有する者への指針として使われることを意図するものである。例えば、反応を、任意の適切な溶媒中で、又は必要な変換を行うために他の試薬中で行うことができる。概して、適切な溶媒とは、反応が実施される温度(すなわち、凝固温度から沸騰温度の範囲であり得る温度)において反応物、中間体又は生成物と実質的に非反応性の、プロトン性又は非プロトン性溶媒のことである。所定の反応は、1種の溶媒又は2種以上の溶媒の混合物で行うことができる。特定の反応に応じて、反応後の特定の操作に適した溶媒が採用され得る。
【0160】
試薬の中でその合成方法が実験項目に記載されていないものについては、すべて市販品であるか、既知の化合物であるか、又は当業者により既知の方法によって既知の化合物から形成することができる。本発明の方法に従って製造される化合物及び中間体は、精製が必要な場合がある。有機化合物の精製については当業者であれば熟知しており、又、同じ化合物を精製する方法が複数存在する場合もある。場合によっては、精製が必要でない場合もある。場合によっては、化合物を結晶化により精製してもよい。場合によっては、適切な溶媒を用いて不純物を攪拌除去してもよい。場合によっては、化合物を、目的に応じて調製した又はプレパックされたシリカゲルカートリッジ、及びヘプタン、エーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、エタノールなどの溶媒のグラジェント溶離剤を使用して、クロマトグラフィー、特にフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製してもよい。場合によっては、化合物を、記載したような方法を用いて分取HPLCにより精製してもよい。
【0161】
明細書に記載の精製方法によれば、強塩基性又は強酸性の官能基を塩の形で有する、本発明の化合物、例えば、強塩基性である本発明の化合物の場合には、トリフルオロ酢酸塩又はギ酸塩、又は強酸性である本発明の化合物の場合には、アンモニウム塩が提供され得る。この種の塩を、当業者にとって既知の様々な方法によって、それぞれその遊離塩基又は遊離酸の形態に変換するか、又はその後の生物学的アッセイにおいて塩として使用することができる。本明細書中の、単離後の本発明の化合物の特定の形態は、当該化合物を、特定の生物学的活性の定量のために生物学的アッセイに適用することができる唯一の形態であるとは限らないことが理解される。
【0162】
化学名は、PerkinElmer Informatics,Inc.製のChemDraw命名ソフトウェア(バージョン17.0.0.206)を用いて命名された名称を使った。市販の試薬の名称については、場合によっては、命名ソフトウェアによる名称の代わりに、一般に認められている名称を使用した。
【実施例】
【0163】
一般的な方法
1H NMR(400MHz)スペクトルは、重水素クロロホルム(CDCl3)、重水素メタノール(CD3OD)又はジメチルスルホキシド-d6(DMSO)の溶液にして得た。HPLCの保持時間、純度及びマススペクトル(LCMS)は、以下のいずれかの方法を用いて得た。
【0164】
方法1:Agilent Poroshell 120 EC-18、2.7μm、4.6×100mmのカラムを備えた、Agilent 1260 Infinity IIシステムを使用し、移動相Aとして0.1%ギ酸を含むH2O、移動相Bとして、0.1%ギ酸を含むMeCNを用いた。ポジティブモードのESI検出を使用した。グラジエントは、5分かけて移動相Bを20~95%にして行い、95%で3.8分保持し、20%移動相Bに0.2分かけて戻すことにより行った。流速は1mL/分であった。
【0165】
方法2:Agilent Poroshell 120 EC-18、2.7μm、4.6×100mmのカラムを備えた、Agilent 1260 Infinity IIシステムを使用し、移動相Aとして、0.1%ギ酸を含むH2O、移動相Bとして、0.1%ギ酸を含むMeCNを用いた。ポジティブモードでのESI検出器を使用した。グラジエントは、12分かけて10~95%の移動相Bにして行い、95%で2分保持した後、10%の移動相Bに1分かけて戻すことにより行った。流速は1mL/分であった。
【0166】
方法3:Agilent Eclipse XDB-C18、3.5μm、4.6×150mmのカラムと、PE Sciex API 150 EX を備えた島津製SCL-10Aシステムを使用し、移動相Aとして、0.1%トリフルオロ酢酸を含むH2O、移動相Bとして、0.1%トリフルオロ酢酸を含むメタノールを用い、グラデーションは、12分かけて5~95%の移動相Bにして行い、95%移動相Bで3分間保持し、そして5%の移動相Bへ1分間で戻すことにより行った。流速は1mL/分であった。
【0167】
方法4:Acquity UPLC BEH C18 1.7μm、 2.1×50mmのカラムを備えたWaters Acquityシステムを使用し、移動相Aとして、0.1%ギ酸アンモニウムを用いpHを3.8に調整したH2O、移動相Bとしてアセトニトリルを用い、5~100%のグラジェントを9分かけて行い、100%の移動相Bで1分間保持した。流速は0.7mL/分であった。
【0168】
方法5:EVO C18(5μm、3.0×50mm)を備えたWaters Acquityシステムを使用し、H2O中のMeCN(0.1%HCOOH)を、5%~100%にする低pHバッファグラジェントを、2.2mL/分の流速で2.5分かけて行い、100%に保持し、合計時間3.5分のグラジェントを行った。
【0169】
上記の手順で使用したピリジン、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、及びトルエンは、窒素(N2)下で保管したAldrich製のSure-Sealボトル品を使用した。すべての反応においては磁気攪拌を採用し、温度は外部反応温度である。クロマトグラフィーは、通常、Redisep(Teledyne Isco社製)Rf Gold 順層シリカゲル(SiO2)カラムを備えたCombiflash(登録商標) Rfフラッシュ精製システム(Teledyne Isco)を使用して、又は類似のシステムを使用して実施した。
【0170】
分取HPLC精製は、通常、以下のシステムのうちの1つを使用して行った。1)Waters 2489 uv/vis検出器、Aquity QDA検出器、Waters xBridge Prep C185μm OBD、30×150mmのカラムを備えたWaters Systemを使用し、H2O/MeCN(0.1%ギ酸)を種々のグラジェントをかけ、30mL/分の流速で溶出、2)Waters xBridge Prep C185μm OBD、30×150mmのカラムを備えたTeledyne Isco ACCQPrep(登録商標) HP150 UVシステムを使用し、H2O/MeCN(0.1%ギ酸)を42.5mL/分の流速で種々のグラジエントにて溶出、又は3)Phenomenex Synergi C18 150×30mm-4μmのカラムを使用し;移動相:「H2O(0.225%ギ酸)-MeCN];B%:55%-85%、12分)を用い、Genevac EZ-2を用いて通常濃縮した。
【0171】
以下の追加的な略語を使用する。酢酸エチル(EA)、トリエチルアミン(TEA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シリカゲル(SiO2)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)、トリフルオロ酢酸(TFA)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP),ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、過酸化ベンゾイル(BPO)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf),ビス(ピノコラト)ジボロン(B2pin2)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(二酸化硫黄)付加物(DABSO)、ヘキサフルオロリン酸アザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-メチルモルホリン(NMM)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、2-[2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェニル]-N-メチルインドール(CM-Phos)、トリフリックアシッド(TfOH)、l-エチエチル-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、イソプロパノール(IPA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、アセトニトリル(MeCN又はACN)、1,1’-チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)、石油エーテル(PE)、未測定(ND)、保持時間(RT)、分子量(mw)、室温(rt)、時間(h)、及び該当なし(N/A)。
【0172】
実施例1
化合物1-1、化合物1-5及び化合物の合成並びにその他の代表的な化合物
【0173】
【0174】
【0175】
試薬:(i)K2CO3、溶媒(MeCN又はDMF);ii)NaH又はKOtBu、溶媒(THF又はDMF)
【0176】
工程1-1.7-((4-クロロベンジル)オキシ)イソインドリン-1-オン(化合物1-1)の合成
【0177】
【0178】
DMF(4mL)中の塩化4-クロロベンジル(108mg、1.0当量、670μmol)及び7-ヒドロキシイソインドリン-1-オン(100mg、1.0当量、670μmol)の撹拌溶液に、K2CO3(120mg、1.3当量、872μmol)を投入した。得られた黄色い懸濁液を80℃で14時間加熱攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾液をprep HPLCで精製し、7-((4-クロロベンジル)オキシ)イソインドリン-1-オン(化合物1-1)63.4mg(34.5%)を白色針状体として得た。LCMS-ESI(m/z) C15H12ClNO2の計算値:273.06;実測値274.1「M+H」+、tR=7.86分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.26(s,1H)、7.56-7.43(m,5H)、7.10(d,J=7.6Hz,1H)、7.04(d,J=8.3Hz,1H)、5.24(s,2H)、4.29(s,2H)。
【0179】
表1Aに示す化合物を、スキーム1の手順で製造した。
【0180】
【0181】
工程1-2.7-((4-クロロベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物1-5)の合成
【0182】
【0183】
DMF(2mL)中の化合物1-1(57.7mg、1.0当量、211μmol)の撹拌溶液に、NaH(鉱油中60%分散液、8.4mg、1.0当量、211μmol)を一度に投入した。この懸濁液を室温で15分間撹拌し、続いてヨードメタン(29.9mg、13.1μL、1.0当量、211μmol)を投入した。得られた混合物を室温で14時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液をprep HPLCで精製して、7-((4-クロロベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物1-5)23.3mg(38.4%)を白色の固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C16H14ClNO2の計算値:287.07;実測値288.1「M+H」+、tR=8.66分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.57-7.43(m,5H)、7.11(d,J=7.4Hz,1H)、7.05(d,J=8.2Hz,1H)、5.25(s,2H),4.38(s,2H),3.01(s,3H)。
【0184】
表1Bに示す化合物を、スキーム1の手順で製造した。
【0185】
【0186】
実施例2
化合物2-1の合成とその他の代表的な化合物
【0187】
【0188】
【0189】
試薬:(i)4-ニトロフェニルクロロホルメート、Et3N、DMF;(ii)TfOH、DCE;(iii)BBr3、DCM;(iv)K2CO3、溶媒(MeCN又はDMF)
【0190】
工程2-1.4-ニトロフェニル(2-メトキシフェネチル)(メチル)カルバメート(INT 2-A)の合成
【0191】
【0192】
DMF(6mL)中の2-(2-メトキシフェニル)-N-メチルエタン-1-アミン(302mg、1.0当量、1.83mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(580mg、0.80mL、3.2当量、5.80mmol)を加え、室温で10分間撹拌させた。次に、反応混合物に固体4-ニトロフェニルクロロホルメート(450mg、1.2当量、2.23mmol) を一度に投入し、得られたオレンジ色の懸濁液を室温で3時間攪拌した。続いて、反応混合物をEA相と水相間で分配し、有機層を回収した。水層をEAで2倍逆抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~50%EA/ヘキサン)で精製して、4-ニトロフェニル(2-メトキシフェネチル)(メチル)カルバメート(INT 2-A)を淡黄色シロップとして、363mg(60.1%)得、これを次の工程で直接使用した。LCMS-ESI(m/z) C17H18lN2O5の計算値:330.12;実測値331.2「M+H」+、tR=5.88分(方法1)。
【0193】
工程2-2.5-メトキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT2-B)の合成
【0194】
【0195】
DCE(5mL)中のINT-2A(356mg、1.0当量、1.08mmol)の氷冷溶液に、トリフリックアシッド(1.67g、986μL、10.3当量、11.10mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間、次いで70℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応物を注意深く氷水中に注ぎ、数分間攪拌した。二相性混合物をDCMで2回抽出した。合わせた有機抽出物を2MNa2CO3で洗浄し、水相をDCMで逆抽出した。DCM層を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(10~100%EA/ヘキサン)により精製して、136mg(66%)の5-メトキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT2-B)を淡黄色油状物として得た。LCMS-ESI(m/z) C11H13NO2の計算値:191.09;実測値192.2「M+H」+、tR=5.86分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.48(d,J=7.8Hz,1H)、7.30(t,J=8.0Hz,1H)、7.13(d,J=8.2Hz,1H)、3.82(s,3H),3.50(t,J=6.8Hz,2H)、3.00(s,3H)、2.87(t,J=6.8Hz,2H)。
【0196】
工程2-3.5-ヒドロキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 2-C)の合成
【0197】
【0198】
DCM(3mL)中のINT 2-B(116mg、1.0当量、607μmol)の氷冷溶液に、DCM中の1M三臭化ホウ素(456mg、1.8mL、3.0当量、1.82mmol)を添加した。0℃で数分間攪拌した後、反応物を室温で3時間攪拌した。続いて、反応物を氷水に注ぎ、EAで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空中で濃縮して、88mg(82%)の5-ヒドロキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 2-C)を褐色の固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C10H11NO2の計算値:177.08;実測値178.1「M+H」+、tR=2.18分(方法1)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ9.69(s,1H)、7.34(d,J=7.8Hz,1H)、7.12(t,J=7.8Hz,1H)、6.95(dd,J=8.0,1.3Hz,1H)、3.49(t,J=6.8Hz,2H)、3.00(s,3H),2.83(t,J=6.8Hz,2H)。
【0199】
工程2-4.5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物2-1)の合成
【0200】
【0201】
DMF(2mL)中のINT 2-C(34mg、1.0当量、0.19mmol)の溶液を、2-クロロ-1-(クロロメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(44mg、1.0当量、0.19mmol)を含むバイアルに加え、続いて炭酸カリウム(34mg、1.3当量、0.25mmol)を添加した。得られた黄色い懸濁液を80℃で4時間攪拌した。反応物を室温まで冷却し、濾過し、prep HPLCで精製して、5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物2-1)36.8mg(52%)を白色の固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C18H15ClF3NO2の計算値:369.07;実測値369.8、371.8「M+H」+、tR=11.08分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.96(s,1H)、7.87(d,J=8.1Hz,1H)、7.80(d,J=8.1Hz,1H)、7.54(d,J=7.6Hz,1H)、7.32(t,J=7.9Hz,1H)、7.26(d,J=8.3Hz,1H)、5.31(s,2H)、3.53(t,J=6.8Hz,2H)、3.02(s,3H)、2.96(t,J=6.8Hz,2H)。19FNMR(376MHz,DMSO-d6) δ-61.15。
【0202】
表2に示す化合物を、スキーム2の手順で製造した。
【0203】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【0204】
実施例3
化合物3-1の合成とその他の代表的な化合物の合成
【0205】
【0206】
【化31】
試薬:(i)NaH、DMF;(ii)BBr
3、DCM;(iii)K
2CO
3、溶媒(MeCN又はDMF)
【0207】
工程3-1.4-メトキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT 3-A)の合成
【0208】
【0209】
DMF(5mL)中の4-メトキシイソインドリン-1-オン(300mg、1.0当量、1.84mmol)の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散液、81mg、1.1当量、2.02mmol)を1回で添加した。この懸濁液を0℃で15分間撹拌し、続いてヨードメタン(313mg、137μL、1.2当量、2.21mmol)を投入した。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応物を氷水中に注ぎ、EAで4倍抽出した。有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(20~100%EA/ヘキサン)で精製して、178mg(54.6%)の4-メトキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT3-A)を白色の固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C10H11NO2の計算値:177.08;実測値178.2「M+H」+、tR=2.81分(方法1)。
【0210】
工程3-2. 4-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT 3-B)の合成
【0211】
【0212】
DCM(4mL)中のINT 3-A(168mg、1.0当量、948μmol)の氷冷溶液に、DCM中の1.0Mの三臭化ホウ素(2.84mL、3.0当量、2.84mmol)を滴下して添加した。0℃で5分間攪拌した後、反応混合物を室温で5時間攪拌した。続いて、反応物を氷水中に注ぎ、EAで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空中で濃縮して、92mg(59%)の4-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT 3-B)をオフホワイトの固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C9H9NO2の計算値:163.06;実測値164.2「M+H」+、tR=1.70分(方法1)。
【0213】
工程3-3. 4-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物3-1)の合成
【0214】
【0215】
2-クロロ-1-(クロロメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(53mg、1.0当量、0.23mmol)を含む1ドラムバイアル瓶に、DMF(2mL)中のINT 3-B(38mg、1.0当量、0.23mmol)の溶液、次に炭酸カリウム(42mg、1.3当量、0.30mmol)を投入した。得られた黄色い懸濁液を、80℃で13時間攪拌した。 反応物を室温まで冷却し、濾過した。濾液をprep HPLCで精製し、4-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物3-1)37.2mg(45%)を白色の固体として得た。LCMS-ESI(m/z) C17H13ClF3NO2の計算値:355.06;実測値355.8「M+H」+、tR=10.43分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.97(s,1H)、7.86(d,J=8.1Hz,1H),7.79(d,J=8.1Hz,1H)、7.46(t,J=7.8Hz,1H)、7.32-7.27(m,2H)、5.40(s,2H),4.45(s,2H),3.07(s,3H)。19FNMR(376MHz,DMSO-d6) δ-61.16。
【0216】
表3に示す化合物を、スキーム3の手順で製造した。
【0217】
【0218】
実施例4
化合物4-1の合成とその他の代表的化合物の合成
【0219】
【0220】
【0221】
試薬:(i)CH3I、K2CO3、DMF;(ii)NBS、AIBN、CCl4;(iii)R2cNH2、THF;(iv)K2CO3、溶媒(DMF又はMeCN)。
【0222】
工程4-1. 3-アセトキシ-2-メチル安息香酸メチル(INT 4-A)の合成
【0223】
【0224】
DMF(42mL)中の3-アセトキシ-2-メチル安息香酸(4.28g、1.0当量、22.02mmol)の撹拌溶液を含む250RBFに、炭酸カリウム(3.35g、1.1当量、24.22mmol)を、続いてヨードメタン(1.64mL、1.2当量、26.42mmol)を添加した。得られた混合物を室温で40分間攪拌した。続いて、反応混合物を水で処理し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、セライト上に乾燥担持させた。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~40%EA/ヘキサン)で精製し、3-アセトキシ-2-メチルベンゾエートメチル(INT 4-A)2.34g(50.9%)を無色オイルとして得た。LCMS-ESI(m/z) C11H12O4の計算値:208.7;実測値209.2「M+H」+、tR=4.86分(方法1)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.77(d,J=7.8Hz,1H)、7.29-7.23(m,1H)、7.17(d,J=8.0Hz,1H)、3.89(s,3H)、2.40(s,3H)、2.35(s,3H)。
【0225】
工程4-2. 3-アセトキシ-2-(ブロモメチル)安息香酸メチル(INT 4-B)の合成
【0226】
【0227】
CCl4(55mL)中のINT 4-A(2.33g、1.0当量、11.19mmol)の撹拌溶液に、NBS(2.39g、1.1当量、24.22mmol)とAIBN(183.7mg、0.1当量、1.12mmol)を添加した。フラスコに還流冷却器を取り付け、100℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残渣をEA相と水相に分配した。有機層を回収し、水層をEAでさらに2回抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、セライト上に乾燥担持させた。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~40%EA/ヘキサン)で精製し、3-アセトキシ-2-(ブロモメチル)安息香酸メチル(INT 4-B)を無色オイルとして2.88g(89.5%)得た。LCMS-ESI(m/z) C11H11BrO4の計算値:285.98;実測値286.8、288.8「M+H」+、tR=5.12分(方法1)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.86(d,J=7.8Hz,1H)、7.41(t,J=8.0Hz,1H)、7.31(d,J=8.2Hz,1H)、4.94(s,2H)、3.95(s,3H)、2.41(s,3H)。
【0228】
工程4-3. 4-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT 4-c)の合成
【0229】
【0230】
THF(28mL)中のINT 4-B(2.87g、1.0当量、11.19mmol)の撹拌溶液に、2.0MのメチルアミンのTHF溶液(25mL、5.0当量、49.95mmol)を添加した。得られた白色スラリーを室温で15時間攪拌した。続いて、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をジエチルエーテルに懸濁させて濾過した。濾過ケーキを乾燥ジエチルエーテルで洗浄して白色固体を得、これをDMSOに溶解して逆相フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、4-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(INT 4-C)540mg(33.1%)を光沢のある白色粉末として得た。LCMS-ESI(m/z) C9H9NO2の計算値:163.06;実測値164.0「M+H」+、tR=2.19分(方法1)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ10.02(s, 1H)、7.28(t,J=7.7Hz,1H)、7.11(d,J=7.3Hz,1H)、6.96(d,J=7.9Hz,1H)、4.32(s,2H)、3.05(s,3H)。
【0231】
工程4-4. 4-((2,4-ジクロロベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合者4-1)の合成
【0232】
【0233】
DMF(2mL)中のINT 4-C(50mg、1.0当量、0.31mmol)の撹拌溶液に、3,4-ジクロロベンジルブロミド(74mg、1.0当量、0.31mmol)と炭酸カリウム(55mg、1.3当量、0.40mmol)を添加した。得られた白色懸濁液を80℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。濾液をprep HPLCで精製し、4-((2,4-ジクロロベンジル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物4-1)40.3mg(41%)を白色固形物として得た。LCMS-ESI(m/z) C16H13Cl2O2の計算値:321.03;実測値322.0、324.0「M+H」+、tR=9.99分(方法2)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.76(s,1H),7.67(d,J=8.3Hz,1H)、7.50-7.41(m,2H)、7.29-7.21(m,2H)、5.27(s,2H)、4.45(s,2H)、3.06(s,3H)。
【0234】
表4に示す化合物を、スキーム4の手順で製造した。
【0235】
【0236】
実施例5
化合物5-1の合成とその他の代表的な化合物の合成
【0237】
【0238】
【化42】
試薬:(i)NaBH(OAc)
3、HCl、DCE、MeOH
【0239】
工程5-1. 5-((2,4-ジクロロベンジル)アミノ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物5-1)の合成
【0240】
【0241】
DCE(10mL)中の5-アミノ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(80mg、1.0当量、0.45mmol)の撹拌溶液に、2,4-ジクロロベンズアルデヒド(79mg、1.0当量、0.45mmol)を、続いてNaBH(OAc)3(289mg、3.0当量、1.36mmol)を添加した。得られた混合物を室温で16分間攪拌した。追加のNaBH(OAc)3(1.60g、20当量、9.00mmol)を一度に加え、反応物を室温で6時間攪拌した。次に、この反応混合物にHCl(MeOH中1.25M)を2滴、続いて2,4-ジクロロベンズアルデヒド(1.0当量)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。さらに3当量のNaBH(OAc)3を加え、3時間撹拌した後で、LCMSにより出発物質の大部分が消費されたことが示された。反応混合物を1MのNaOH水溶液でpH10に調整し、EAで抽出した。有機相を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(EA/ヘキサン)で精製し、131mg(86.3%)の5-((2,4-ジクロロベンジル)アミノ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物5-1)を固体の形で得た。LCMS-ESI(m/z) C17H16Cl2N2O計算値:334.06;実測値335.3「M+H」+、tR=13.88分(方法3)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.56(d,J=7.7Hz,1H)、7.42(s,1H)、7.28(t,J=7.4Hz,1H)、7.23-7.13(m,2H)、6.63(d,J=8.0Hz,1H)、4.44(s,2H)、4.02(br s,1H)、3.58(t,J=6.8Hz,2H)、3.14(s,3H)、2.79(t,J=6.6Hz,2H)。
【0242】
表5に示す化合物を、スキーム5の手順で製造した。
【0243】
【0244】
実施例6
化合物6-1、化合物6-2の合成とその他の代表的な化合物
【0245】
【0246】
【0247】
試薬:(i)CO、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2、溶媒(DMF、MeOH);(ii)還元剤(LiBH4又はNaBH4)、THF;(iii)DEAD又はDIAD、PPh3、THF;(iv)NaH又はKOtBu、溶媒(THF又はDMF)
【0248】
工程6-1. メチル1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-カルボキシレート(INT 6-A)の合成
【0249】
【0250】
DMF(6mL)中の5-ブロモ-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン(395mg、1.0当量、1.75mmol)及びEt3N(1.22mL、5.0当量、8.74mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl2・DCM(285mg、0.2当量、0.35mmol)を添加した。混合物を排気し、COを3サイクルで再充填した。MeOH(3.08mL、43.42当量、76.00mmol)を加え、混合物をCO雰囲気下(1atm)で16時間85℃に加熱し、混合物をEA(25mL)で希釈してセライトのパッドで濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をEA(100mL)及び水(100mL)で希釈した。水相をEA(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~100%EA/ヘキサン)で精製して、285mg(80%)のメチル1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-カルボキシレート(INT 6-A)を得た。MS-ESI C11H11NO3の計算値:205.07;実測値205.74「M」+、tR=1.82分(方法5)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ8.30(dd,J=7.7,1.5Hz,1H)、8.09(dd,J=7.8,1.5Hz,1H)、7.42(dd,J=7.8Hz,1H)、5.95(s,1H)、3.92(s,3H)、3.58-3.52(m,2H)、3.49-3.40(m,2H)。
【0251】
工程6-2. 5-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 6-B)の合成
【0252】
【0253】
窒素下、室温でTHF(5mL)中のINT 6-A(182mg、1.0当量、0.89mmol)の撹拌溶液に、LiBH4(THF中2M、2.66mL、6.0当量、5.32mmol)を添加した。得られた混合物を室温で20時間攪拌した。この混合物を飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。水溶液相をEA(3×20mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空中で濃縮して、88mg(56%)の5-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 6-B)を得た。MS-ESI(m/z) C10H11NO2の計算値:177.08;実測値178.13「M+H」+、tR=1.39分(方法5)、1HNMR(500MHz、CDCl3) δ8.07(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)、7.52(dd,J=7.6,1.4Hz,1H)、7.36(t,J=7.7Hz,1H)、5.95(s,1H)、4.75(s,2H)、3.57(td,J=6.7,2.9Hz,2H)、3.07(t,J=6.6Hz,2H)、1.72(s,1H)。
【0254】
工程6-3. 5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物6-1)の合成
【0255】
【0256】
THF(5mL)中のINT 6-B(88mg、1.0当量、0.50mmol)、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノール(69.7μL、1.04当量、0.52mmol)及びPPh3(143mg、1.1当量、0.55mmol)の氷冷した混合物に、DIAD(108μL、1.1当量、0.55mmol)を添加した。得られた混合物を室温で18時間撹拌した後、真空下で濃縮した。この材料の一部は、次の工程でさらに精製することなく使用した。残りの材料を逆相クロマトグラフィー(0.1%ギ酸を含むMeCN/H2O)によりさらに精製して、5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物6-1)32.7mg(19%)を固体として得た。MS-ESI (m/z) C17H13ClF3NOの計算値:355.06;実測値356.07「M+H」+、tR=4.69分(方法4)、1HNMR(500MHz、DMSO―d6) δ8.00(s,1H)、7.90(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)、7.88-7.85(m,1H)、7.73(ddd,J=8.7,2.3,0.9Hz,1H)、7.68(dd,J=7.6,1.4Hz,1H)、7.52(d,J=8.6Hz,1H)、7.40(dd,J=7.6Hz,1H)、5.38(s,2H)、3.38(td,J=6.6,2.8Hz,2H)、2.96(t,J=6.6Hz,2H)。
【0257】
工程6-4. 5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H))-オン(化合物6-2)の合成
【0258】
【0259】
THF(5mL)中の化合物6-1(154mg、純度50%、1.0当量、0.22 mmol)の氷冷溶液に、NaH(24.9mg、5.0当量、1.08mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30分間攪拌した。ヨードメタン(67.4μL、5.0当量、1.08mmol)を添加し、混合物を70℃で1時間撹拌した。混合物をMeOH(10mL)で希釈し、真空下で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(0.1%ギ酸含有CH3CN/H2O)で精製し、5-((2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)メチル)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物6-2)60.4mg(76%)を固相として得た。MS-ESI (m/z) C18H15ClF3NO2の計算値:369.07;実測値370.08「M+H」+、tR=5.08分(方法4)、1HNMR(400MHz、DMSO―d6) δ7.92(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)、7.86(dd,J=2.3,0.7Hz,1H)、7.73(ddd,J=8.7,2.3,0.8Hz,1H)、7.66(dd,J=7.6,1.4Hz,1H)、7.52(d,J=8.7Hz,1H)、7.39(dd,J=7.7Hz,1H)、5.38(s,2H)、3.56(t,J=6.7Hz,2H)、3.07-2.99(m,5H)。
【0260】
表6に示す化合物を、スキーム6の手順で製造した。
【0261】
【0262】
実施例7
化合物7-1及びその他の代表的化合物
【0263】
【0264】
【0265】
試薬:(i)NBS、H2SO4;(ii)NaH、THF;(iii)(Bpin)2、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2、KOAc、THF;(iv)Oxone(登録商標)、アセトン、H2O;(v)K2CO3、溶剤(DMF又はTHF)
【0266】
工程7-1. 5-ブロモ-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-A)の合成
【0267】
【0268】
窒素下、室温でH2SO4(20mL)中の7-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン(550mg、1.0当量、3.33mmol)の撹拌溶液に、NBS(711mg、1.2当量、4.00mmol)を添加した。混合物を室温で22時間攪拌した。反応物を氷水(40mL)で希釈し、濾過し、水(40mL)で洗浄し、乾燥して、5-ブロモ-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7A)を得、これを次の工程で直ちに使用した。
【0269】
工程7-2. 5-ブロモ-7-フルオロ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-B)
【0270】
【0271】
窒素下、室温でTHF(40mL)中のINT 7-A及びNaH(鉱油中60%分散液、319mg、2.5当量、8.33mmol)の混合物に、ヨードメタン(415μL、2.0当量、6.66mmol)を追加した。得られた混合物を室温で18時間攪拌した。反応物を1MHCl(40mL)で希釈し、水相をEA(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~50%EA/ヘキサン)で精製し、5-ブロモ-7-フルオロ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-B)を固体として585mg(2段階にわたって55%)得た。MS-ESI C10H9BrFNOの[M+]の計算値:256.99;実測値258.13「M+H」+、tR=2.34分(方法5)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.80(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)、7.41(dd,J=7.8,2.7Hz,1H)、3.57(t,J=6.8Hz,2H)、3.16(s,3H)、3.08-3.02(m,2H)。
【0272】
工程7-3. 7-フルオロ-2-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-c)の合成
【0273】
【0274】
THF(30mL)中の、INT 7-B(585mg、1.0当量、2.27mmol)、B2pin2(1.44g、2.5当量、5.67mmol)、KOAc(667mg、3.0当量、6.80mmol)及びPd(dppf)Cl2(332mg、0.2当量、0.45mmol)の混合物を、70℃で18時間撹拌した。混合物をEA(20mL)で希釈し、セライトで濾過した。フィルターケーキをEA(100mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~75%EA/ヘキサン)により精製して、7-フルオロ-2-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-C)を得、これを次の工程で直ちに使用した。
【0275】
工程7-4. 7-フルオロ-5-ヒドロキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-D)の合成
【0276】
【0277】
アセトン(50mL)中のINT 7-Cの混合物に、水(10mL)中のOxone(登録商標)(1.53g、1.1当量、2.49mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を水性NaHSO3(60mL)で希釈した。水相をEA(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、そして真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~100%EA/ヘキサン)により精製して、218mg(2段階にわたって47%)の7-フルオロ-5-ヒドロキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 7-D)を固体で得た。MS-ESI(m/z) C10H10FNO2の計算値:195.07;実測値194.20「M-H」-、tR=1.92分(方法5)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ10.26(s,1H)、7.04(dd,J=9.4,2.7Hz,1H)、6.74(dd,J=10.5,2.7Hz,1H)、3.50(t,J=6.8Hz,2H)、3.00(s,3H)、2.79(t,J=6.5Hz,2H)。
【0278】
工程7-5. 5-((4-クロロベンジル)オキシ)-7-フルオロ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物7-1)の合成
【0279】
【0280】
DMF(2mL)中のINT 7-D(46mg、1.0当量、0.24mmol)、1-(ブロモメチル)-4-クロロ-ベンゼン(53.3mg、1.1当量、0.26mmol)及びK2CO3(97.7mg、3.0当量、0.71mmol)の混合物を70℃で5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣を分取HPLC(5~100%ACN/NH4OAcを10mM、pH4)で精製し、5-((4-クロロベンジル)オキシ)-7-フルオロ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物7-1)49mg(58%)を固体の状態で得た。MS-ESI(m/z) C17H15ClFNO2の計算値:319.08;実測値319.08「M」+、tR=4.90分(方法4)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.52-7.46(m,4H)、7.21-7.15(m,2H)、5.18(s,2H)、3.52(t,J=6.8Hz,2H)、3.01(s,3H)、2.87(t,J=7.3Hz,2H)。19F-NMR(376MHz、DMSO-d6) δ-113.00(dd,J=10.6,9.5Hz)。
【0281】
表7に示す化合物をスキーム7の手順で製造した。
【0282】
【0283】
実施例8
化合物8-1の合成とその他の代表的化合物の合成
【0284】
【0285】
【0286】
試薬:(i)NaH、CH3I、THF;(ii)(Bpin)2、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2、 KOAc、THF;(iii)Oxone(登録商標)、アセトン、H2O;(iv)K2CO3、溶媒(DMF又はTHF)
【0287】
工程8-1. 5-ブロモ-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1-オン(INT 8-A)の合成
【0288】
【0289】
窒素下、THF(4mL)中の5-ブロモ-7-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン(100mg、1.0当量、0.42mmol)の氷冷溶液に、NaH(油中60%、31.9mg、2.0当量、0.84mmol)を加え、得られた混合物を0℃で30分間攪拌した。ヨードメタン(38.9μL、1.5当量、0.625mmol)を加え、その混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、室温で30分間攪拌した。水相をEA(3×25mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和水性Na2S2O3(5mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空中で濃縮して、106mg(99%)の5-ブロモ-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 8-A)を固体で得た。MS-ESI(m/z) C11H12BrNOの計算値:253.01;実測値255.35「M+H」+、tR=2.27分(方法5)、1HNMR(400MHz、CDCl3) δ7.92-7.82(m,1H)、7.48(dd,J=1.8,0.8Hz,1H)、3.55(dd,J=7.1,6.5Hz,2H)、3.15(s,3H)、3.05(t,J=6.8Hz,2H)、2.35(t,J=0.7Hz,3H)。
【0290】
工程8-2.2,7-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 8-B)
【0291】
【0292】
THF(4mL)中のINT 8-A(106mg、1.0当量、0.42mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(127mg、1.2当量、0.50mmol)、KOAc(123mg、3.0当量、1.25mmol)及びPd(dppf)Cl2(15.3mg、0.05当量、0.021mmol)の混合物を70℃で72時間攪拌した。混合物をEA(20mL)で希釈し、EtOAc(40mL)でセライトのパッドを通して濾過し、真空下で濃縮した。残渣を(0~60%EA/ヘキサン)を用いたフラッシュSiO2クロマトグラフィーにより精製して、2,7-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 8-B)を固体として得て、これをさらなる精製なしに次の工程で使用した。
【0293】
工程8-3. 5-ヒドロキシ-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 8-c)の合成
【0294】
【0295】
Oxone(登録商標)(282mg、0.459mmol、4mLの水中)の溶液を、アセトン(20mL)中のINT 8-Bの混合物に加え、この混合物を室温で2時間撹拌した。続いて、この混合物を飽和水性NaHSO3(40mL)で希釈し、HCl水溶液(pH4)で酸性化した。水相をEA(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュSiO2クロマトグラフィー(0~10%CH2Cl2/MeOH)で精製して、52mg(2段階にわたって47%)の5-ヒドロキシ-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(INT 8-c)を固形物として得た。MS-ESI(m/z) C11H13NO2の計算値:191.09;実測値190.46「M-H」-、tR=1.76分(方法5)、1HNMR(500MHz、CDCl3) δ7.52(d,J=1.6Hz,1H)、6.73(dd,J=1.6,0.8Hz,1H)、5.08(s,1H)、3.54(t,J=6.9Hz,2H)、3.14(s,3H)、2.93(t,J=6.8Hz,2H)、2.31(t,J=0.7Hz,3H)。
【0296】
工程8-4. 5-((4-クロロベンジル)オキシ)-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物8-1)の合成
【0297】
【0298】
DMF(2mL)中の、INT 8-C(50mg、1.0当量、0.26mmol)、1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼン(80.6mg、1.5当量、0.39mmol)及びK2CO3(108mg、3.0当量、0.78mmol)の混合物を70℃で24時間攪拌した。混合物を水(25mL)及びDCM(25mL)で希釈した。水相をDCM(3×25mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を水(+10mMのNH4OAc)及びMeCN(0~80%)を用いた逆相クロマトグラフィーにより精製し、51.8mg(63%)の5-((4-クロロベンジル)オキシ)-2,7-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(化合物8-1)を固体で得た。MS-ESI(m/z) C18H18ClNO2の計算値:315.10;実測値315.10「M」+、tR=4.98分(方法4)、1HNMR(400MHz、DMSO-d6) δ7.53-7.44(m,4H)、7.33(dd,J=1.6,0.8Hz,1H)、7.07(d,J=1.6Hz,1H)、5.13(s,2H)、3.49(t,J=6.8Hz,2H)、3.00(s,3H)、2.86(t,J=6.8Hz,2H)、2.32(s,3H)。
【0299】
表8に示す化合物を、スキーム8の手順で製造した。
【0300】
【0301】
実施例9
【0302】
MRGPR X4活性
ヒトMRGPR X4を発現するように安定的にトランスフェクトしたHEK細胞を、37℃、5%CO2のインキュベーターに維持し、10%ウシ胎児血清(FBS)並びにピルビン酸ナトリウム、Glutamax、ペニシリン/ストレプトマイシン、及びゲニチン各1%を含むDMEM培地中で生育させた。マウスMRGPR A1を発現するように安定的にトランスフェクトしたHEK細胞を同じインキュベーターで維持し、10%FBS、1%ずつのピルビン酸ナトリウム、Glutamax、ペニシリン/ストレプトマイシン、ジェネティシン、及び2.2mg/mLのハイグロマイシンを有するDMEM培地で増殖させた。
【0303】
細胞を12μLのOpti-MEM中に1ウェル当たり20,000個で384ウェルアッセイプレートにプレーティングし、インキュベーターで一晩静置した。アッセイ当日、DMSOに10mMに溶解した化合物を、Tecan D300Eデジタルディスペンサーを用いて、10点曲線(1:3連続希釈で最終トップ濃度10uM)として添加した。アゴニストは、アッセイバッファー(最終濃度5.7mMのトリス塩酸、43mMのNaCl、50mMのLiCl、pH=8)で希釈し、適切なアゴニスト2μLを各ウェルに添加する。アゴニストの最終濃度は、10μMビリルビン、20μMデオキシコール酸、又は100μM共役ビリルビン(Lee Biosolutions社製、カタログ番号910-12から入手)であった。DMSOの最終濃度は、プレート全体で一定に保たれた。プレートは暗所で37℃、1時間、その後室温で30分間インキュベートした。IP-1標準物質とHTRF検出試薬を、Cisbio社から購入したIP-One-Gq Kit(パーツ番号62IPAPEJ)に従って添加し、室温下、1時間暗所でインキュベートした。このプレートをMolecular Devices社製SpectraMax iD5プレートリーダーで読み取った。生データからHTRF比を算出し、GraphPad Prismを用いてグラフ化し、各化合物のIC50値を算出した。
【0304】
選択されたMRGPR X4アンタゴニストの活性データ(対20μMデオキシコール酸アゴニスト)を表9に表示する。活性範囲は以下のように示される。「+++++」はアンタゴニスト活性<100nMを示し;「++++」は100~500nMのアンタゴニスト活性を示し;「+++」は501~1000nMの活性を示し;「++」は1001~2500nMの活性を示し;及び「+」は2500nM以上の活性を示す。
【0305】
【0306】
上述した様々な実施形態は、組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及され、及び/又は出願データシートに記載された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献の全ては、参照により、その全体が本明細書に援用される。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び出版物の概念を採用するように修正され、さらにさらなる実施形態を提供することができる。
【0307】
本出願は、2020年4月17日に出願された米国仮出願第63/011,964号の優先権の利益を主張し、この出願は、参照によりその全体が本出願に援用される。
【0308】
これら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の請求項において、当該請求項は、使用する用語により明細書及び請求項に開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、そのような請求項は、権利を有する等価物の全範囲と合わせて、すべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されるものではない。
【国際調査報告】