(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】リン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるい、これを含有する分解助剤および分解触媒、その製造方法、並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/54 20060101AFI20230530BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20230530BHJP
B01J 29/80 20060101ALI20230530BHJP
C01B 39/24 20060101ALI20230530BHJP
C01B 39/38 20060101ALI20230530BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230530BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C01B39/54
B01J29/85 M
B01J29/80 M
C01B39/24
C01B39/38
B01J37/08
B01J37/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562488
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2021086821
(87)【国際公開番号】W WO2021208884
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】202010283413.0
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010283400.3
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011169155.X
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011175727.5
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011169072.0
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011178052.X
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】王成強
(72)【発明者】
【氏名】欧陽穎
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼恩会
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA70
4G073CZ05
4G073CZ13
4G073CZ59
4G073DZ01
4G073FB23
4G073FB30
4G073FC03
4G073FD21
4G073FD23
4G073FD24
4G073UA01
4G073UA04
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA10A
4G169BA10B
4G169BB14A
4G169BB14B
4G169BB14C
4G169CC07
4G169DA06
4G169FB57
4G169FB63
4G169FC05
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZA41A
4G169ZA41B
4G169ZD03
4G169ZD07
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF07A
4G169ZF07B
(57)【要約】
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいが提供される、その27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり;又はその表面XPS元素分析において、n1/n2の値が≦0.1であり、ここで、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す。また、リン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるいを含む熱分解添加物又は熱分解触媒、その製造方法及びその用途が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
27AlMAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり、例えば≧5又は≧8であり、さらに例えば≧10又は≧12であり、またさらに例えば12~25又は14~25であることを特徴とする、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい。
【請求項2】
表面XPS元素分析において、n1/n2の値が≦0.1又は≦0.08であり、例えば≦0.09又は≦0.07であり、さらに例えばn1/n2≦0.08又は≦0.06であり、またさらに例えば0.04~0.07又は0.02~0.05であり;
式中、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す、ことを特徴とする、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい。
【請求項3】
前記リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいがリン含有階層的ZSM-5分子ふるいであり、例えば、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合が10%を超え、平均細孔径が2~20nmであるリン含有階層的ZSM-5分子ふるいである、請求項1又は2に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるい。
【請求項4】
表面XPS元素分析において、n1/n2の値が≦0.1又は≦0.08であり、例えば≦0.09又は≦0.07であり、さらに例えばn1/n2≦0.08又は≦0.06であり、またさらに例えば0.04~0.07又は0.02~0.05であり;
式中、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるい。
【請求項5】
800℃及び100%の水蒸気で17時間の条件での水熱エージングを経た後に、NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の比率が≧40%又は≧45%である;例えば≧42%又は≧50%である;さらに例えば≧45%又は≧60%である;またさらに例えば48~85%又は60~80%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるい。
【請求項6】
リン及びアルミニウムの両方がモル基準であるとき、両者の比率は0.01-2である;例えば0.1~1.5である;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるい。
【請求項7】
リン含有化合物を接触させることによってZSM-5分子ふるいを処理すること、処理された前記ZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させた前記ZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、得られた生成物を回収することを含み;
前記接触させることは、0~150℃の前記リン含有化合物の水溶液と、0~150℃の前記ZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、
前記接触させることは、前記リン含有化合物、前記ZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合撹拌し、その後、混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;
前記雰囲気条件に関しては、ゲージ圧が0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有し;
前記ZSM-5分子ふるいは、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるいであり、例えば、水素型階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合は10%を超え、平均細孔径は2~20nmである、ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの、製造方法。
【請求項8】
前記リン含有化合物が有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択され;
例えば、有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され;及び/又は、
例えば、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸ホウ素から選択される、ことを特徴とする、請求項7に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【請求項9】
前記ZSM-5分子ふるいにおいて、Na2O<0.1重量%であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【請求項10】
前記リン含有化合物(リンとして)と前記ZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)のモル比率が0.01~2;例えば0.1~1.5;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3であることを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【請求項11】
前記接触させることに関して、水/分子ふるいの重量比率が0.5~1であり、及び前記接触させることは、50~150℃で、例えば70~130℃で、0.5~40時間行われることを特徴とする、請求項7~10のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【請求項12】
前記雰囲気条件に関して、ゲージ圧は0.1~0.8MPa、例えば0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気、例えば60~100%の水蒸気を含有し;
水熱焼成処理は200~800℃、例えば300~500℃で行うことを特徴とする、請求項7~11のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【請求項13】
接触分解助剤であって、
前記接触分解助剤の乾燥基準で、請求項1~6のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいを5~75重量%含有することを特徴とする、接触分解助剤。
【請求項14】
前記接触分解助剤の乾燥基準で、1~40重量%の結合剤及び0~65重量%の第2の粘土をさらに含有することを特徴とする、請求項13に記載の接触分解助剤。
【請求項15】
前記結合剤がリン-アルミニウム無機結合剤を含有するか、又はリン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の接触分解助剤。
【請求項16】
前記リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の接触分解助剤。
【請求項17】
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい、結合剤、及び任意で第2の粘土を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥して前記接触分解助剤を製造することを含み、
前記リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいは、請求項1~6のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるいであるか、又は、請求項7~12のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法で製造されることを特徴とする、請求項13~16のいずれか1項に記載の接触分解助剤の、製造方法。
【請求項18】
前記結合剤が、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有することを特徴とする、請求項17に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項19】
前記リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり;
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づくと、前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は10~40重量%の、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分を含有し、45~90重量%の、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有し、第1の粘土を乾燥基準で0重量%超かつ40重量%以下含有し、
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%であり;
前記第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つを含有し;
前記他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項17又は18に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項20】
前記第2の粘土が、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト、及び珪藻土から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項17~19のいずれか1項に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項21】
前記接触分解助剤の総重量に基づくと、前記結合剤は、乾燥重量に基づく3~39重量%の前記リン-アルミニウム無機結合剤、乾燥重量に基づく1~30重量%の前記他の無機結合剤を含有し、前記他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項17~20のいずれか1項に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項22】
噴霧乾燥された前記生成物を第1の焼成に供し、次いで洗浄し、任意で乾燥させて前記接触分解助剤を製造することをさらに含み;前記第1の焼成について、焼成温度は300~650℃、焼成時間は0.5~8時間、乾燥温度は100~200℃、乾燥時間は0.5~24時間であることを特徴とする、請求項17~21のいずれか1項に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項23】
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程で製造される:アルミナ源、前記第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;前記アルミナ源は、10~40重量部、例えばアルミナ源(Al2O3として)15~40重量部に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく前記第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸を前記スラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である、ことをさらに含むことを特徴とする、請求項17~22のいずれか1項に記載の接触分解助剤の製造方法。
【請求項24】
接触分解触媒であって、
前記接触分解触媒の乾燥基準に基づいて、前記接触分解触媒が、乾燥基準で1~25重量%のYゼオライト、乾燥基準で5~50重量%の請求項1~6のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい、乾燥基準で1~60重量%の無機結合剤、及び、任意で乾燥基準で0~60重量%の第2の粘土を含有し、無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有することを特徴とする、接触分解触媒。
【請求項25】
前記Yゼオライトが、PSRY-Sゼオライト、希土類含有PSRY-Sゼオライト、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有し、例えば、Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項24に記載の接触分解触媒。
【請求項26】
前記Yゼオライト、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい及び無機結合剤を含有する反応材料を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥し、任意で焼成して、接触分解触媒を製造することを含み、;第2の粘土が任意で前記反応材料に加えられ;乾燥基準における、前記Yゼオライト:前記リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい:前記無機結合剤:前記第2の粘土の使用重量比は(1~25):(5~50):(1~60):(0~60)であり;
前記無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含み、
前記リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいは、請求項1~6のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるいであるか、又は、請求項7~12のいずれか1項に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法で製造されることを特徴とする、請求項24又は25に記載の接触分解触媒の、製造方法。
【請求項27】
前記リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり;
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づき、前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、10-40重量%の、例えば15-40重量%の、Al2O3としてのアルミニウム成分、45-90重量%の、例えば45-80重量%の、P2O5としてのリン成分、及び乾燥基準で0重量%超かつ40重量%以下の第1の粘土を含有し、
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%であり;
前記第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つを含有し;
前記他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項26に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項28】
前記第2の粘土が、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト、及び珪藻土から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項26又は27に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項29】
前記接触分解触媒の乾燥基準に基づくと、前記触媒は、乾燥重量に基づき、3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤、又は3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤及び1~30%の他の無機結合剤を含有し、前記他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項26~28のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項30】
前記Yゼオライトが、PSRY-Sゼオライト、希土類含有PSRY-Sゼオライト、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含み;例えば、前記Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項26~29のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項31】
前記焼成生成物を洗浄し、任意で乾燥して接触分解触媒を製造する;ここで、第1の焼成に関して、焼成温度が300~650℃で、焼成時間が0.5~12時間であることをさらに含むことを特徴とする、請求項26~30のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項32】
前記第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程で製造される:アルミナ源、前記第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;前記アルミナ源は、10~40重量部、例えば15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく前記第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸を前記スラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である、ことをさらに含むことを特徴とする、請求項26~31のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項33】
請求項17~23のいずれか1項に記載の接触分解助剤の製造方法で製造された、接触分解助剤。
【請求項34】
請求項26~32のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法で製造された、接触分解触媒。
【請求項35】
接触分解条件下で、炭化水素油を、請求項13~16のいずれか1項に記載の接触分解助剤と接触させて反応させることを含むことを特徴とする、炭化水素油の接触分解方法。
【請求項36】
接触分解条件下で、前記炭化水素油を、前記接触分解助剤及び接触分解触媒を含有する触媒混合物を接触させて反応させることを含み、前記触媒混合物中、前記触媒分解助剤の含有量が0.1~30重量%であることを特徴とする、請求項35に記載の炭化水素油の接触分解方法。
【請求項37】
前記接触分解条件は、反応温度が500~800℃であり;前記炭化水素油は、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択される1以上である、請求項35又は36に記載の炭化水素油の接触分解方法。
【請求項38】
請求項24又は25に記載の接触分解触媒の、応用方法。
【請求項39】
接触分解反応条件下で、炭化水素油を接触分解触媒と接触させて反応させることを含み、前記接触分解反応条件は、反応温度が500~900℃であることを含む、請求項38に記載の応用方法。
【請求項40】
前記炭化水素油は、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択される1以上である、請求項38又は39に記載の応用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2020年4月13日に出願された出願番号202010283413.0の中国特許出願、2020年4月13日に出願された出願番号202010283400.3の中国特許出願、2020年10月28日に出願された出願番号202011169155.Xの中国特許出願、2020年10月29日に出願された出願番号202011175727.5の中国特許出願、2020年10月28日に出願された出願番号202011169072.0の中国特許出願、2020年10月29日に出願された出願番号202011178052.Xの中国特許出願に対する優先権を主張する。前述の出願は、あらゆる目的のためにその全てが参照の形で本明細書に組み込まれる。
〔技術分野〕
本発明は、分子ふるいの技術分野に関するものである。より具体的には、本発明はリン含有/リン変性ZSM-5分子ふるい及びその製造方法に関するものである。本発明はまた、前記リン含有/リン変性ZSM-5分子ふるいを含有する分解助剤、及びその製造方法、及びその使用方法に関するものである。本発明はまた、前記リン含有/リン変性ZSM-5分子ふるい及びYゼオライトを含有する分解触媒、並びその製造方法、並びにその使用方法に関するものである。本発明は、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法に関するものである。本発明はまた、前記リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを含有する分解助剤、及びその製造方法、及びその使用方法に関するものである。本発明はまた、前記リン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びYゼオライトを含有する分解触媒、並びにその製造方法、並びにその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ZSM-5分子ふるいはMFI構造を伴う分子ふるいである。MFI構造を伴う分子ふるいは、1972年に米国モービル社で開発され、ゼオライト/分子ふるい触媒物材料として広く使用されている。ZSM-5分子ふるいは3次元交差チャネルの構造を持つ。a軸に沿ったチャネルは直線形のチャネルで、0.54×0.56nmの横断面を持ち、ほぼ円形である。b軸に沿ったチャネルはジグザグなチャネルで、0.51×0.56nmの横断面を持ち、楕円形である。ZSM-5分子ふるいは10員環からなる開口部を有し、開口部のサイズにおいて小細孔ゼオライトと大細孔ゼオライトとの間にあるため、独特の形状選択的触媒効果を有する。ZSM-5分子ふるいは独特の細孔構造、良好な形状選択的触媒作用、及び異性化能、高温及び熱水に対する安定性、高い比表面積、広いシリカ-アルミナ比変動範囲、独特の表面酸性度、及び比較的低い炭素構成を有する。ZSM-5分子ふるいは、触媒及び触媒担体として広く使用されており、アルキル化、異性化、不均化、接触分解、メタノールからのガソリンの製造、及びメタノールからのオレフィンの製造などの製造工程に上手く使用されている。ZSM-5分子ふるいは接触分解及びC4炭化水素接触分解に導入され、優れた触媒挙動を示し、その分子形状選択性の利用は低炭素オレフィンの収率を大幅に改善することができる。
【0003】
1983年以来、接触分解ガソリンのオクタン価及び軽質オレフィンの選択性を改善すること目的として、接触分解プロセスにおける接触分解オクタン価補助剤/触媒としてZSM-5分子ふるいが使用されてきた。US3758403は、プロピレン生産を増加させるための有効成分としてのZSM-5分子ふるいの使用を最初に報告した。そこでは、ZSM-5分子ふるいは、FCC触媒の有効成分としてREYと一緒に使用されるか、又はFCC触媒を形成するためにREYとともに製造されるとした。US5997728では、プロピレン生成を増加させるための助剤としていかなる修飾も伴わずにZSM-5分子ふるいを使用することが開示された。しかし、上記2つの技術のプロピレン収率は高くない。
【0004】
HZSM-5分子ふるいは良好な形状選択的性能及び異性化性能を有するが、その欠点としては熱水安定性に乏しい。また、厳しい高温熱水条件下で不活性化されやすく、これにより触媒性能が低下する。
【0005】
1980年代に、モービル社はリンがHZSM-5分子ふるいの熱水安定性を改善できることを発見した。また同時に、リンによるHZSM-5分子ふるいの修飾が、低炭素オレフィンの収率を増加させることも発見した。通常、リン活性化ZSM-5を含有する従来の添加剤は一次分解生成物(例えば、ガソリンオレフィン)をC3及びC4オレフィンに選択的に変換する。従来の添加剤は通常、リン活性化ZSM-5を含有し、これは、一次分解生成物(例えば、ガソリンオレフィン)をC3及びC4オレフィンに選択的に変換する。ZSM-5分子ふるいは合成後に適量の無機リン化合物を導入することで修飾され、これは厳しい熱水条件下でアルミニウム骨格を安定化させることができる。
【0006】
CN106994364Aはリン修飾ZSM-5のための方法を開示している。本方法はまず、リン酸、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、及びリン酸アンモニウムから選択される1つ以上のリン含有化合物を高アルカリ金属イオン量のZSM-5分子ふるいと混合し、リン負荷(P2O5として)が少なくとも0.1重量%である混合物を得て、混合物を乾燥及び焼成した後、アルカリ金属イオン量が0.10重量%以下になるようにアンモニウム交換工程及び水洗工程をおこない、その後、100%水蒸気下、400~1000℃で乾燥及び熱水熟成の工程をおこなう。この処理により得られるリン含有ZSM-5分子ふるいは、高い全酸含量、優れた分解転化率、プロピレン選択性、及び比較的高い液化ガス収率を有する。
【0007】
US5171921はZSM-5分子ふるいを修飾する処理を開示している。本方法は、従来の工程に従ってHZSM-5分子ふるいを製造することを含む。すなわち、合成→濾過→アンモニウム交換→乾燥→焼成、次いでZSM-5分子ふるいをリン酸で修飾し、乾燥、焼成を経て、リン修飾HZSM-5分子ふるいを得る。ここで、P2O5負荷は、通常、1~7重量%の範囲である。
【0008】
しかしながら、リン酸又はリン酸アンモニウム塩は、自己凝集して、焼成処理中に異なる凝集状態でリン種を形成する。熱水処理工程では、細孔に入るリン酸基のみがアルミニウム骨格と相互作用してB酸中心を保持し、リン種の分布を減少させる。
【0009】
階層的ZSM-5分子ふるいは、微小細孔及びメソ細孔の両方を含有するZSM-5分子ふるいである。通常、硬質テンプレート法、軟質テンプレート法、酸塩基後処理法などにより、メソ細孔チャネルを有する様々な種類の階層的ZSM-5分子ふるいが製造される。
【0010】
適量の無機リン化合物を有する(階層的)ZSM-5分子ふるいの修飾はアルミニウム骨格の脱アルミニウム化を遅らせ、熱水安定性を改善することができる。また、リン原子は歪んだ4配位アルミニウム骨格と結合して、弱いB酸中心を形成し、長鎖アルカン分解のより高い転化率及び軽質オレフィンに対するより高い選択性を達成する。しかし、(階層的)ZSM-5分子ふるいの過剰な無機リン化合物による修飾は分子ふるいのチャネルをブロックし、細孔容積及び比表面積を減少させ、大量の強力なB酸中心を占める。さらに、従来技術では、焼成処理中にリン酸又はリン酸アンモニウム塩が自己重合して、異なる凝集状態でリン種を形成し、リンとアルミニウム骨格の配位が不十分となって、リンの利用効率が低くなり、リンの修飾が必ずしも満足のいく熱水安定性の改善結果を達成しない。したがって、リンとアルミニウム骨格の配位を促進し、リン修飾(階層的)ZSM-5分子ふるいの熱水安定性を改善し、さらに分解活性を増加させるための新技術が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明者らは、特定の条件下でのリン修飾処理及び加圧水熱焼成により得られるリン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるい(例えば、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい)が、従来のリン含有(階層的)ZSM-5分子ふるいとは異なる物理化学的特徴を持ち、分子ふるいにおけるリンの利用効率が向上し、分子ふるいの熱水安定性が向上することを多数の実験に基づいて見出した。
【0012】
したがって、従来技術に存在する不十分な熱水安定性などの問題点を考慮すると、本発明の目的は、より良好な熱水安定性を有するリン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるい(リン含有階層的ZSM-5分子ふるいなど)及びその製造方法を提供することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、有効成分としてより良好な水熱安定性を有するリン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるい(例えば、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい)に基づく接触分解助剤、及びその製造方法、及びその使用方法を提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、石油系炭化水素の接触分解反応において、有効成分の1つとして、より良好な水熱安定性を有するリン含有/リン修飾ZSM-5分子ふるい(例えば、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい)に基づく接触分解助剤、及びその製造方法、及びその使用方法を提供することである。本発明の接触分解触媒は優れた分解転化率を提供でき、低炭素オレフィンの優れた収率及び液化ガスのより高い収率を有する。
【0015】
本発明における以上の目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する:
第1の局面においては、本発明は、27AlMAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり、例えば≧5又は≧8であり、さらに例えば≧10又は≧12であり、またさらに例えば12~25又は14~25であることを特徴とする、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいを提供する。
【0016】
第2の局面においては、本発明は、表面XPS元素分析において、n1/n2の値が≦0.1又は≦0.08であり、例えば≦0.09又は≦0.07であり、さらに例えばn1/n2≦0.08又は≦0.06であり、またさらに例えば0.04~0.07又は0.02~0.05であることを特徴とする、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいを提供し;
式中、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す。
【0017】
第3の局面においては、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいがリン含有階層的ZSM-5分子ふるいであり、例えば、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合が10%を超え、平均細孔径が2~20nmであるリン含有階層的ZSM-5分子ふるいである、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい。
【0018】
第4の局面においては、表面XPS元素分析において、n1/n2の値が≦0.1又は≦0.08であり、例えば≦0.09又は≦0.07であり、さらに例えばn1/n2≦0.08又は≦0.06であり、またさらに例えば0.04~0.07又は0.02~0.05であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい;
式中、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す。
【0019】
第5の局面においては、800℃及び100%の水蒸気で17時間の条件での水熱エージングを経た後に、NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の比率が≧40%又は≧45%である;例えば≧42%又は≧50%である;さらに例えば≧45%又は≧60%である;またさらに例えば48~85%又は60~80%であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい。
【0020】
第6の局面においては、リン及びアルミニウムの両方がモル基準であるとき、両者の比率は0.01~2である;例えば0.1~1.5である;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい。
【0021】
第7の局面においては、本発明は、リン含有化合物を接触させることによってZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させたZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、得られた生成物を回収すること;を含むことを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法を提供し;
前記接触させることは、0~150℃のリン含有化合物の水溶液と、0~150℃のZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、
前記接触させることは、リン含有化合物、ZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合撹拌し、その後、混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;
雰囲気条件に関しては、ゲージ圧は0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有し;
ZSM-5分子ふるいは、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるいであり、例えば、水素型階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合は10%を超え、平均細孔径は2~20nmである。
【0022】
第8の局面においては、リン含有化合物が有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択されることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法;
例えば、有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され;及び/又は、例えば、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸ホウ素から選択される。
【0023】
第9の局面においては、ZSM-5分子ふるいにおいて、Na2O<0.1重量%であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【0024】
第10の局面においては、リン含有化合物(リンとして)とZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)のモル比率が0.01~2;例えば0.1~1.5;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【0025】
第11の局面においては、接触に関して、水/分子ふるいの重量比率が0.5~1であり、及び接触は、50~150℃で、例えば70~130℃で、0.5~40時間行われることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法。
【0026】
第12の局面においては、雰囲気条件に関して、ゲージ圧は0.1~0.8MPa、例えば0.3~0.6MPaであり、また30~100%の水蒸気、例えば60~100%の水蒸気を含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法;
水熱焼成処理は200~800℃、例えば300~500℃で行う。
【0027】
第13の局面においては、本発明は、接触分解助剤の乾燥基準で、接触分解助剤が、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいを5~75重量%含有することを特徴とする、接触分解助剤を提供する。
【0028】
第14の局面においては、接触分解助剤が乾燥基準で更に、1~40重量%の結合剤と0~65重量%の第2の粘土を含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤。
【0029】
第15の局面においては、結合剤がリン-アルミニウム無機結合剤を含有するか、又はリン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤。
【0030】
第16の局面においては、リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤。
【0031】
第17の局面においては、本発明は、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい、結合剤、及び任意で第2の粘土を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥して接触分解助剤を製造することを含むことを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法を提供し、
ここで、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいは、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるいであるか、又は、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法で製造される。
【0032】
第18の局面においては、結合剤が、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法。
【0033】
第19の局面においては、リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法;
第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づくと、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は10~40重量%の、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分を含有し、45~90重量%の、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有し、第1の粘土を乾燥基準で0重量%超かつ40重量%以下含有し、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%であり;
第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つを含有し;
他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有する。
【0034】
第20の局面においては、第2の粘土が、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つから選択されることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法。
【0035】
第21の局面においては、接触分解助剤の総重量に基づくと、結合剤は、乾燥重量に基づく3~39重量%のリン-アルミニウム無機結合剤、乾燥重量に基づく1~30重量%の他の無機結合剤を含有し、他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法。
【0036】
第22の局面においては、噴霧乾燥された生成物を第1の焼成に供し、次いで洗浄し、任意で乾燥させて接触分解助剤を製造することをさらに含み;第1の焼成について、焼成温度は300~650℃、焼成時間は0.5~8時間、乾燥温度は100~200℃、乾燥時間は0.5~24時間であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法。
【0037】
第23の局面においては、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程で製造される:アルミナ源、第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;アルミナ源は、10~40重量部、例えばアルミナ源(Al2O3として)15~40重量部に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸をスラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である、ことをさらに含むことを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法。
【0038】
第24の局面においては、本発明は、接触分解触媒の乾燥基準に基づくと、接触分解触媒が、乾燥基準で1~25重量%のYゼオライト、乾燥基準で5~50重量%の、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい、乾燥基準で1~60重量%の無機結合剤、及び、任意で乾燥基準で0~60重量%の第2の粘土を含有し、無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有することを特徴とする、接触分解触媒を提供する。
【0039】
第25の局面においては、Yゼオライトが、PSRY-Sゼオライト、希土類含有PSRY-Sゼオライト、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒;例えば、Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有する。
【0040】
第26の局面においては、本発明は、Yゼオライト、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい及び無機結合剤を含有する反応物質を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥し、任意で焼成して、接触分解触媒を製造することを含み、;ここで、第2の粘土が任意で反応物質に加えられ;乾燥基準における、Yゼオライト:リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい:無機結合剤:第2の粘土の使用重量比は(1~25):(5~50):(1~60):(0~60)であることを特徴とする、接触分解触媒の製造方法を提供し;
ここで、無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有し、
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいは、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾分子ふるいであるか、又は、前記局面のいずれか1に記載のリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法で製造される。
【0041】
第27の局面においては、リン-アルミニウム無機結合剤が、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であることを特徴とする、前記局面のいずれか1項に記載の接触分解触媒の製造方法;第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づくと、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、10~40重量%の、例えば15~40重量%の、Al2O3としてのアルミニウム成分、45~90重量%の、例えば45~80重量%の、P2O5としてのリン成分、及び第1の粘土を、乾燥基準で0重量%超かつ40重量%以下含有し、
第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%であり;
第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つを含有し;
他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有する。
【0042】
第28の局面においては、第2の粘土が、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト、及び珪藻土から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法。
【0043】
第29の局面においては、接触分解触媒の乾燥基準に基づくと、触媒は、乾燥重量に基づき、3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤、又は3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤及び1~30%の他の無機結合剤を含有し、他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法。
【0044】
第30の局面においては、Yゼオライトが、PSRY-Sゼオライト、希土類含有PSRY-Sゼオライト、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法;例えば、Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有する。
【0045】
第31の局面においては、焼成生成物を洗浄し、任意で乾燥して接触分解触媒を製造する;ここで、第1の焼成に関して、焼成温度が300~650℃で、焼成時間が0.5~12時間であることをさらに含むことを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法。
【0046】
第32の局面においては、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程で製造される:アルミナ源、第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;アルミナ源は、10~40重量部、例えば15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸をスラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である、ことをさらに含むことを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法。
【0047】
第33の局面においては、本発明は、前記局面のいずれか1に記載の接触分解助剤の製造方法で製造された、接触分解助剤を提供する。
【0048】
第34の局面においては、本発明は、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の製造方法で製造された、接触分解触媒を提供する。
【0049】
第35の局面においては、本発明は、接触分解条件下で前記局面のいずれか1に記載の、接触分解助剤と接触させることにより炭化水素油を反応させる方法を含有することを特徴とする、炭化水素油を接触分解する方法を提供する。
【0050】
第36の局面においては、接触分解条件下で接触分解助剤及び接触分解触媒を含有する触媒混合物を接触させることにより炭化水素油を反応させる方法を含み、触媒混合物中、触媒分解助剤の含有量が0.1~30重量%であることを特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の、炭化水素油を接触的に分解する方法。
【0051】
第37の局面において、接触分解条件が、反応温度が500~800℃であり;炭化水素油は、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択された1つ又はそれ以上ものであること、を特徴とする、前記局面のいずれか1に記載の、炭化水素油を接触的に分解する方法。
【0052】
第38の局面においては、本発明は、前記局面のいずれか1に記載の接触分解触媒の応用方法を提供する。
【0053】
第39の局面においては、前記局面のいずれか1に記載の応用方法で、接触分解反応条件下で接触分解触媒を接触させることにより、炭化水素油を反応させることを含み、ここで、接触分解反応条件は、反応温度が500~900℃であることを含む。
【0054】
第40の局面においては、前記局面のいずれか1に記載の応用方法、ここで、炭化水素油は、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択された1つ又はそれ以上ものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、PZ-1A試料の27Al MAS-NMRスペクトルである。
【
図2】
図2は、800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理後の、PZ-1A試料のNH3-TPDスペクトルである。
【
図3】
図3は、PZ-1B試料の27Al MAS-NMRのスペクトルである。
【
図4】
図4は、DZ-1A比較試料の27Al MAS-NMRスペクトルである。
【
図5】
図5は、800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理後の、DZ-1A比較試料のNH3-TPDスペクトルである。
【
図6】
図6は、PZ-1C試料の27Al MAS-NMRスペクトルである。
【
図7】
図7は、800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理後の、PZ-1C試料のNH3-TPDスペクトルである。
【
図8】
図8は、DZ-1C比較試料の27Al MAS-NMRスペクトルである。
【
図9】
図9は、800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理後の、DZ-1C比較試料のNH3-TPDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の具体的な実施形態について、以下詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施形態は、本発明を例示及び説明するためにのみ使用され、本発明に限定することは意図されないことを理解されたい。
【0057】
本発明では、2nm未満の孔径を有する細孔はミクロ細孔と呼ばれ;50nmを超える孔径を有する細孔はマクロ細孔と呼ばれ;2~50nmの孔径を有する細孔はメソ細孔と呼ばれる。
【0058】
本発明は、第1の粘土がリン-アルミニウム無機結合剤に含まれる粘土を指し、第2の粘土が第1の粘土以外の粘土を指し、「第1」及び「第2」は、粘土がリン-アルミニウム無機結合剤内にあるか否かを区別するためだけのものである。第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土を含むが、これらに限定されない。第2の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土、並びにメタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、及びベントナイトを含むが、これらに限定されない。
【0059】
本発明では、結合剤と無機結合剤は同義である。
【0060】
本発明の結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を含む。
【0061】
本発明によれば、他の無機結合剤はリン及びアルミニウム元素の両方を含まない結合剤を指し、リン-アルミニウム無機結合剤は、リン-アルミニウム接着剤、及び第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤を含む。
【0062】
本発明によれば、他の無機結合剤の例として、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスを含むが、これらに限定されない。
【0063】
本発明によれば、リン-アルミニウム接着剤中の有効成分はリン酸二水素アルミニウムであり、その理論比はP2O5/Al2O3=3:1(モル比)である。リン-アルミニウム接着剤は、優れた強度で触媒を製造するための結合剤として使用することができる。本発明では、リン-アルミニウム接着剤中のP2O5/Al2O3の実際の比率は、3:1以上、例えば、3:1~10:1であり、3:1より大きく5:1より小さい場合などである。例えば、リン-アルミニウム接着剤は、アルミナ源を水と激しく混合及び撹拌して、スラリーに分散させる;撹拌下で濃リン酸をスラリーに加え、混合スラリーを一定時間(例えば50~99℃で15~90分)反応させることにより得られる;アルミナ源は、ρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイア、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択された少なくとも1つとすることができ、濃リン酸の濃度は60~98重量%であり、さらに例えば75~90重量%であり、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源であり、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0064】
本発明によれば、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、乾燥基準重量に基づくと、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤が、10~40重量%の、例えば15~40重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)、45~90重量%の、例えば45~80重量%のリン成分(P2O5として)、第1の粘土を乾燥基準で0重量%超かつ40重量%以下含有する結合剤を指し、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%である。
【0065】
本発明によれば、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の方法により製造可能である:アルミナ源、第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;アルミナ源は、10~40重量部、例えば15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸をスラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である。アルミナ源は、ρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイ、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択された少なくとも1つとすることができる。濃リン酸の濃度は60~98重量%であり、さらに例えば75~90重量%であり、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源であり、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0066】
本発明では、圧力は、別のことが示されていない限り、ゲージ圧を指す。
【0067】
本発明では、見かけの圧力とゲージ圧力は同義である。
【0068】
本発明では、分解と接触分解は同義である。
【0069】
本発明によれば、分子ふるいの27Al MAS-NMRにおいて、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号はリンを配位したアルミニウム骨格種(リン安定化骨格アルミニウム、すなわち歪んだ4配位骨格アルミニウム)を表し;54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号は4配位骨格アルミニウム種を表す。本発明において、Bruker AVANCE III600 WB分光計を用いて、27Al MAS-NMRスペクトルを解析及び測定した。ここで、ここで、ロータ直径は4mm、共鳴周波数は156.4MHz、パルス幅は0.4μs(15°の転倒角に相当)、マジック角回転周波数は12kHz、遅延時間は1sであり;それぞれのピーク面積は、ガウス-ローレンツ関数により特徴的なピークをフィッティングした後、積分法により計算した。
【0070】
本発明によれば、分子ふるいの表面XPS元素分析において、n1はリンのモル数を表し;n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す。特徴化パラメータn1/n2の低下は分子ふるい中の表面リン種含有量の低下を示し、それはまた、表面リン種が分子ふるいのバルク相により多く移動することを示す。すなわち、n1/n2の値は、分子ふるい表面におけるリン種の分散効果、及びZSM-5分子ふるいの表面から結晶内部への移動度を表す。値が小さいほど、表面上のリン種の含有量が低くなり、リン種の分散が良好となり、内部への移動度が高くなり、分子ふるいの水熱安定性が良好となる。本発明において、Thermo Fisher-VG社のESCAREB 250型X線光電子分光計を用いて分子ふるい表面のXPS解析を行い、励起源は150Wの出力を有する単色AlKα X線であり、電荷シフトは汚染炭素からのC1sピーク(284.8 eV)で較正し;XPS PeakAvantage 4.15ソフトウェアを用いて、Shirley backgroundを差し引いた後の積分によりピークのパラメータを計算する。本発明において、XPS法で測定される分子ふるいの表面は結晶表面から0~2nmの垂直深度の範囲を指し、すなわち、n1及びn2は、表面から0~2nmの範囲内の物質のモルである。
【0071】
本発明によれば、分子ふるいを800℃及び100%水蒸気で17時間水熱エージングした後、そのNH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度で、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合は、800℃及び100%水蒸気で17時間の水熱エージング後の強酸中心の保持を反映する。比率値が高い場合、分子ふるいは高い分解活性を有し、逆もまた同様である。本発明において、MicromeriticsのAutoChen II温度プログラム吸着装置を用いて温度プログラム脱離分析(NH3-TPD、NH3-Temperature-Programmed Desorption)を行い、ここで試料0.1~0.2gを秤量して石英吸着管に入れ、キャリアガス(高純度He、流速50mL/min)を導入し、20℃/minの速度で600℃まで昇温し、2時間一定温度に保ち、試料に吸着した水及び空気を除去し;20℃/minの速度で100℃まで減温し、30分間一定温度に保ち;キャリアガスをNH3-He混合ガスに切替え、30分間一定温度に保ち、試料にアンモニアを吸着させて飽和させ;NH3-He混合ガスを高純度Heキャリアガスに切り替え、1時間パージして物理的に吸着させたアンモニアを脱離させ;それから10℃/minの速度で600℃まで昇温し、温度プログラム脱離曲線を得る。脱離アンモニアは、熱伝導度セルを用いて検出する。温度プログラム脱離曲線をNH3脱離速度-温度曲線に変換した後、ガウス-ローレンツ関数を用いたピーク形状のスペクトル解析により酸中心密度データが得られる。
【0072】
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法
本発明はリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいを提供し、これは、以下の特徴の1つ以上を有する:
(1)27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率は≧1であり、例えば≧5又は≧8であり、さらに例えば≧10又は≧12であり、またさらに例えば12~25又は14~25である。
(2)表面XPS元素分析において、n1/n2の値は≦0.1又は≦0.08であり、例えば≦0.09又は≦0.07であり、さらに例えばn1/n2≦0.08又は≦0.06であり、またさらに例えば0.04~0.07又は0.02~0.05である;ここで、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す;
(3)分子ふるいが800℃及び100%水蒸気で17時間水熱エージングを受けた後、NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度で、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合が≧40%又は≧45%であり、例えば≧42%又は≧50%であり、さらに例えば≧45%又は≧60%であり、またさらに例えば48%~85%又は60%~80%である。
【0073】
本発明のリン含有又はリン修飾分子ふるいによれば、リン含有又はリン修飾分子ふるいはリン含有階層的ZSM-5分子ふるいとすることが可能である;例えば、全細孔容積に対するメソ細孔の割合が10%を超え、平均細孔直径が2~20nmである。
【0074】
本発明のリン含有又はリン修飾分子ふるいによれば、リン及びアルミニウムの両方がモル基準である場合、2つの比率は0.01~2;例えば0.1~1.5;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3とすることが可能である。
【0075】
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいは、以下の方法で製造され、製造方法は、リン含有化合物を接触させることによってZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させたZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、得られた生成物を回収することを含む;
前記接触させることは、0~150℃のリン含有化合物の水溶液と、0~150℃のZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、
前記接触させることは、リン含有化合物、ZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合撹拌し、それから混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;
雰囲気条件に関しては、ゲージ圧は0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有し;
ZSM-5分子ふるいは、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるいであり、例えば、水素型階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合は10%を超え、平均細孔直径は2~20nmである。
【0076】
リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、リン含有化合物が有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択される;例えば、有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され;及び/又は、例えば、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸ホウ素から選択される。
【0077】
本発明におけるリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、ZSM-5分子ふるい中、Na2O<0.1重量%である。
【0078】
本発明におけるリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、リン含有化合物(リンとして)のZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)に対するモル比率は、0.01~2であり;例えば0.1~1.5であり;さらに例えば0.2~1.5又は0.3~1.3である。
【0079】
本発明におけるリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、接触させることに関し、水/分子ふるいの重量比は0.5~1であり、接触させることは50~150℃、例えば、70~130℃で0.5~40時間行う。
【0080】
本発明におけるリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、雰囲気条件に関し、ゲージ圧は0.1~0.8MPaであり、例えば0.3~0.6MPaであり、30~100%の水蒸気を、例えば60~100%の水蒸気を含んでいる;
水熱焼成処理は200~800℃で、例えば300~500℃で行う。
【0081】
本発明によれば、HZSM-5分子ふるいはミクロ細孔ZSM-5のアンモニウム交換によって得られ、ナトリウム含有量をNa2O<0.1重量%に低減し、≧10の範囲、通常10~200の範囲のシリカ-アルミナ比(酸化ケイ素対酸化アルミニウムのモル比)を有する。
【0082】
本発明によれば、水素型階層的ZSM-5分子ふるいは以下を満たす:Na2O<0.1重量%、全細孔容積に対するメソ細孔(2nm~50nm)の比率が10%超、通常10%~90%であり、平均細孔直径が2~20nmである。シリカ-アルミナ比(酸化ケイ素対酸化アルミニウムのモル比)は、≧10の範囲、通常は10~200の範囲である。本発明によれば、「階層的」という語は、ミクロ細孔及びメソ細孔の両方が含まれることを意味する。
【0083】
本発明におけるリン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるいの製造方法によれば、第1の接触の方法は、30~150℃の温度でリン含有化合物の水溶液、及び30~150℃の温度でZSM-5分子ふるい(HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)を、少なくとも0.1時間、浸漬法により、実質的に同じ温度で接触させることである。接触は、例えば、40℃以上の高温で、例えば50~150℃で、さらに例えば70~130℃で行うと、より良好な結果を生み出すことができる。すなわち、リン種のより良好な分散、及び骨格アルミニウムとの結合のためのZSM-5分子ふるい(例えば、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)結晶内部へのリンのより容易な移動を生じさせ、またそのことがリン及び骨格アルミニウムの配位度をさらに向上させ、最終的に分子ふるいの水熱安定性の向上に寄与する。
【0084】
実質的に同じ温度とは、リン含有化合物の水溶液の温度とZSM-5分子ふるい(例えば、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)の温度との差が±5℃以内であることを意味する。例えば、リン含有化合物の水溶液の温度は80℃であり、ZSM-5分子ふるい(例えば、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)は75~85℃に加熱する必要がある。
【0085】
本発明の製造方法において、第2の接触の方法は、リン含有化合物、ZSM-5分子ふるい(例えば、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)及び水を混合し、30~150℃で少なくとも0.1時間維持することである。例えば、より良好な成果、すなわち、リン種がより良好に分散し、骨格アルミニウムと結合するための分子ふるいの結晶内部へのリンの移動がより容易になるために、リンと骨格アルミニウムとの配位度をさらに改善し、最終的に分子ふるいの水熱安定性を改善するために、リン含有化合物、ZSM-5分子ふるい(例えば、HZSM-5分子ふるい又は水素型階層的ZSM-5分子ふるい)及び水を混合し、それから、40℃を超えるより高温側の温度範囲で0.1時間、例えば50~150℃の温度範囲、さらに例えば70~130℃の温度範囲で維持する。
【0086】
外部から加えられる圧力は材料を水熱焼成する処理中に、外部から特定の圧力を加えることを指す。例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することにより実施することができる。
【0087】
外部から適用される/加えられる水の量は、雰囲気が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たすものである。
【0088】
本発明によって提供される製造方法は、(階層的)ZSM-5分子ふるいのバルク相への表面リン種の移動を促進する。
【0089】
本発明によって提供される、リン修飾ZSM-5分子ふるい/リン含有階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、リン及び骨格アルミニウムは完全に配位され、骨格アルミニウムは完全に保護される。分子ふるいは、優れた水熱安定性を有する。例えば、800℃、100%水蒸気で17hの水熱エージング処理後、分子ふるいはより高い結晶化度を保っている。n-テトラデカンの分解において、主な指標は、コントロール試料と比較して改善されている。例えば、転化率及び液化ガス収率は比較的高く、同時に3種のオレフィン(エチレン、プロピレン及びブテン)の収率は大幅に改善されている。n-テトラデカンの分解において、本発明のリン含有階層的ZSM‐5分子ふるいはn-テトラデカンの接触分解において優れた活性を有し、転化率、液化ガス収率、プロピレン収率及び総ブテン収率などの主要な技術指標が改善された。より低炭素のオレフィンの収率を増加させながら、より高い液化ガス収率を得ることができ、高い付加価値を有するより多くの製品を製造することができる。
【0090】
発明により製造されるリン修飾ZSM-5分子ふるい/リン含有階層的ZSM-5分子ふるいは、Y型ゼオライトと共に触媒の有効成分として使用することができ、炭化水素油の接触分解反応において、高分解転化率、高低炭素オレフィン収率、高液化ガス収率、及び他の特徴を達成することができる。
【0091】
階層的分子ふるいベースの分解助剤並びに製造方法及び使用
本発明は接触分解助剤を提供し、ここで、接触分解助剤の乾燥基準で、接触分解助剤が、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを5~75重量%含有する;ここで、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいの表面XPS元素分析において、n1/n2≦0.08であり、ここで、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表す。
【0092】
本発明の分解助剤において、リン含有階層的ZSM‐5分子ふるいの表面XPS元素分析において、n1/n2≦0.07であり、例えばn1/n2≦0.06であり、さらに例えばn1/n2は0.02~0.05である。特徴化パラメータは分子ふるい中の表面リン種含有量の低下を示し、それはまた、表面リン種が分子ふるいのバルク相により多く移動することを示す。すなわち、n1/n2の値は、分子ふるい表面におけるリン種の分散効果、及びZSM-5分子ふるいの表面から結晶内部への移動度を表す。値が小さいほど、表面上のリン種の含有量が低く、リン種の分散が良好であり、内部への移動の程度が高く、分子ふるいの水熱安定性が良好である。
【0093】
本発明の分解助剤において、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり、例えば≧8であり、さらに例えば≧12であり、またさらに例えば14~25である。27Al MAS-NMRでは、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号がリンと配位した骨格アルミニウム種(リン安定化骨格アルミニウム、すなわち歪んだ4配位骨格アルミニウム)を表し、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号は4配位骨格アルミニウム種を表す。
【0094】
本発明の分解助剤において、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを800℃、100%水蒸気で17時間水熱エージング処理した後、そのNH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度で、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合が≧45%であり、好ましくは≧50%であり、さらに例えば≧60%であり、またさらに例えば60%~80%である。本発明のリン含有階層的ZSM‐5分子ふるいは、800℃、100%水蒸気で17hの水熱エージング処理後に、強酸中心のより高い保持率を有し、従ってより高い分解活性を有する。
【0095】
本発明の分解助剤において、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい中のリンの含有量に関して、リンとアルミニウムの両方がモル基準である場合、その2つの比率0.01~2であり、例えば0.1~1.5であり、さらに例えば0.2~1.5である。
【0096】
本発明の分解助剤において、分解助剤の乾燥基準に基づくと、5~75重量%、好ましくは8~60重量%のリン含有階層的ZSM-5分子ふるいを含有してもよく、1~40重量%の結合剤及び0~65重量%の第2の粘土を含有することもできる。
【0097】
結合剤は当業者によく知られており、かつ助剤又は触媒の結合剤成分として従来用いられている無機酸化物結合剤とすることが可能で、例えば、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの1つ以上とすることが可能である。例えば、結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤、すなわち、リン-アルミニウム無機結合剤又はリン-アルミニウム無機結合剤と他の無機結合剤との混合物を含有する。リン-アルミニウム無機結合剤は、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤である。第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づくと、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は10~40重量%の、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分を含有し、45~90重量%の、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有し、乾燥重量に基づくと第1の粘土を0重量%超かつ40重量%以下含有し、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%である。
【0098】
リン-アルミニウム無機結合剤の一実施形態において、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥重量に基づくと、リン-アルミニウム無機結合剤は、10~40重量%の、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分を含有してもよく、45~90重量%の、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有してもよく、乾燥重量に基づくと第1の粘土を0~40重量%含有してもよく、P/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%である;例えば、10~40重量%の、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分を含有してもよく、45~90重量%の、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有してもよく、乾燥重量に基づくと第1の粘土を1~40重量%含有してもよい;好ましくは、15~35重量%の(Al2O3としての)アルミニウム成分を含有してもよく、50~75重量%の(P2O5としての)リン成分を含有してもよく、乾燥重量に基づくと第1の粘土を8~35重量%含有してもよく、P/Al重量比が例えば1.2~6.0、さらに例えば2.0~5.0、pH値が例えば2.0~3.0である。
【0099】
リン-アルミニウム無機結合剤の別の実施形態において、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づくと、リン-アルミニウム無機結合剤は20~40重量%の(Al2O3としての)アルミニウム成分を含有し、60~80重量%の(P2O5としての)リン成分を含有する。
【0100】
第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、及び珪藻土のうち少なくとも1つから選択可能である;他の無機結合剤は、リン-アルミニウム接着剤及びリン-アルミニウム無機結合剤の他に、接触分解助剤又は触媒の結合剤成分に従来使用されている無機酸化物結合剤のうちの1つ以上から選択することができ、好ましくは、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうち少なくとも1つから選択され、さらに例えば、擬ベーマイト、アルミナゾルのうち少なくとも1つから選択される。
【0101】
本発明の分解助剤において、分解助剤の乾燥基準に基づくと、0~65重量%、好ましくは5重量%~55重量%の第2の粘土をさらに含有する。第2の粘土もまた、当業者に周知であり、例えば、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト及び珪藻土のうちの少なくとも1つから選択される。
【0102】
本発明の分解助剤の一実施形態において、接触分解助剤の乾燥基準に基づくと、20~60重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるい、5~35重量%の結合剤及び5~55重量%の第2の粘土を含有する。
【0103】
本発明はまた分解助剤の製造方法も提供し、リン含有又はリン修飾ZSM-5分子ふるい、結合剤、及び任意で第2の粘土を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥して接触分解助剤を製造する方法を含み、ここで、リン含有化合物の溶液を接触させることによって水素型階層的ZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させたZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、及び得られた生成物を回収することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいが得られる;ここで、水素型階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、全細孔容積に対するメソ細孔容積の割合は10%を超え、平均細孔直径は2~20nmである;前記接触させることは、0~150℃のリン含有化合物の水溶液と、0~150℃のHZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、前記接触させることは、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合及び撹拌し、その後、混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;雰囲気条件に関しては、ゲージ圧は0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有する。
【0104】
本発明の製造方法において、水素型階層的ZSM-5分子ふるいはNa2O<0.1重量%を満たし、全細孔容積に対するメソ細孔(2nm~50nm)容積の比率は10%超で、通常10%~90%であり、平均孔径は2~20nmである。シリカ-アルミナ比(酸化ケイ素対酸化アルミニウムのモル比)は≧10の範囲であり、通常は10~200の範囲である。
【0105】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいの製造に使用される工程は、表面リン種の階層的ZSM-5分子ふるいのバルク相への移動を促進する;その結果、リンと骨格アルミニウムが完全に配位され、骨格アルミニウムが完全に保護され、分子ふるいが優れた水熱安定性を有する。
【0106】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、水素型ZSM-5分子ふるいは、微小細孔ZSM-5分子ふるいのアンモニウム交換により、ナトリウム含有量をNa2O<0.1重量%まで減少させることによって得られ、≧10の範囲の、通常10~200の範囲のシリカ-アルミナ比(酸化アルミニウムに対する酸化ケイ素のモル比、以下同じ)を有する。
【0107】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、リン含有化合物は、有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択される。有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、及び1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸ホウ素から選択される。
【0108】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造する製造工程において、第1の接触の方法は、リン含有化合物の水溶液を0~150℃の温度で、水素型階層的ZSM-5分子ふるいを0~150℃の温度で、少なくとも0.1時間、浸漬法により、実質的に同じ温度で、接触させることである。例えば、0~30℃の常温域での接触が可能であるが、又は、例えば、40℃以上の高温域、例えば50~150℃、さらに例えば70~130℃で接触させると、より良好な結果を生み出す。すなわち、リン種のより良好な分散、骨格アルミニウムと結合するために水素型階層的ZSM-5分子ふるいの結晶内部へリンの移動がより容易になること、それらによりさらにリンと骨格アルミニウムの配位度が向上し、最終的に分子ふるいの水熱安定性の向上に寄与する。実質的に同じ温度は、リン含有化合物の水溶液の温度と水素型階層的ZSM-5分子ふるいの温度との間の温度差が±5℃以内であることを意味する。例えば、リン含有化合物の水溶液は80℃であり、水素型階層的ZSM-5分子ふるいは75~85℃に加熱する必要がある。
【0109】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、接触の第2の方法はリン含有化合物、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を混合し、0~150℃で少なくとも0.1時間維持することである。例えば、混合後、0~30℃の常温域で0.1時間以上保持する。例えば、より良好な結果を生み出すために、すなわち、リン種のより良好な分散、骨格アルミニウムと結合するための分子ふるい内部へのリンの移動がより容易になること、さらにリンと骨格アルミニウムとの配位度を向上させ、最終的に分子ふるいの水熱安定性を向上させるために、リン含有化合物、水素型階層的ZSM-5分子ふるい、及び水を混合し、その後、40℃以上の温度範囲で、例えば50~150℃の温度範囲で、さらに例えば、70~130℃の温度範囲で、0.1時間維持する。
【0110】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、リン含有化合物(リンとして)と水素型階層的ZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)とのモル比は0.01~2であり;例えば、2つのモル比は0.1~1.5であり;さらに例えば、2つのモル比は0.2~1.5である。接触に関しては、水/分子ふるいの重量比は0.5~1であり、例えば接触時間は0.5~40時間である。
【0111】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいの製造工程において、水熱焼成の処理は、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件で行われる。雰囲気条件は、外部から圧力を加え、また外部から水を加えることにより得られ、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPaで、さらに例えばゲージ圧が0.3~0.6MPaであり、好ましくは雰囲気が30~100%の水蒸気を含み、さらに例えば60~100%の水蒸気を含む。外部から加えられた圧力は、材料を水熱焼成する処理中に、外部から特定の圧力を加えることを指す。例えば、外部から不活性気体を導入して一定の背圧を維持することにより実施可能である。外部から適用された/加えられた水の量は、大気条件が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たすものである。水熱焼成の工程は、200~800℃、好ましくは300~500℃で行われる。
【0112】
分解助剤の製造方法において、結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を含有し、乾燥基準で、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい:リン-アルミニウム無機結合剤:他の無機結合剤の重量比率は(10~75):(3~39):(1~30)、例えば、(10~75):(8~35):(5~25)とすることが可能である;ここで、リン-アルミニウム無機結合剤は、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤とすることが可能である;他の無機結合剤が擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。製造方法は、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を「混合する」又は「(水と)激しく混合及び撹拌する」ことを含んでもよい。投入順序に特別な要件は課されない。例えば、リン-アルミニウム無機結合剤、他の無機結合剤、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい、及び第2の粘土(第2の粘土がない場合は該当する工程を省略することができる)を混合し、水と激しく混合及び撹拌することが可能である。あるいは、第2の粘土、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい、及び他の無機結合剤を水と激しく混合及び撹拌し、それから、リン-アルミニウム無機結合剤を添加することが可能であり、これは助剤の活性及び選択性を向上させるのに役立ち得る。
【0113】
接触分解助剤の製造方法において、「水と激しく混合及び撹拌する」工程から得られたスラリーを噴霧乾燥する工程をさらに含む。噴霧乾燥法は当業者に周知であり、本発明に特段の要求はない。場合によっては、製造方法が噴霧乾燥生成物を第1の焼成に供し、それから洗浄し、任意で乾燥させて、分解助剤を生成することをさらに含んでいてもよい。ここで、第1の焼成の場合、焼成温度は300~650℃、例えば400~600℃、好ましくは450~550℃、焼成時間は0.5~8時間とすることが可能である;洗浄の場合、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムのうちの1つを用いることが可能で、洗浄温度は40~70℃、乾燥温度は100~200℃、例えば、100~150℃、乾燥時間は0.5~24時間、例えば、1~12時間とすることが可能である。
【0114】
分解助剤を製造する方法の実施形態において、結合剤、第2の粘土及び水(例えば、脱カチオン化水及び/又は脱イオン水)を混合して、10~50重量%の固形分を有するスラリーを形成する。スラリーをよく攪拌し、塩酸、硝酸、リン酸又は硫酸のような無機酸でpH1~4に調整し、このpHで維持し、20~80℃で0~2時間(0.3~2時間など)エージングさせる。それから、アルミナゾル及び/又はシリカゾルなどの無機結合剤を加え、混合物を0.5~1.5時間撹拌してゲルを形成する。それから、分子ふるい(リン含有階層的ZSM-5分子ふるいを含む)を添加して、例えば、20~45重量%の固形分を有する助剤スラリーを生成する。助剤スラリーを撹拌し続け、噴霧乾燥して、助剤マイクロスフェアを形成した。それから、助剤マイクロスフェアを、例えば350~650℃又は400~600℃、好ましくは450~550℃での0.5~6時間又は0.5~2時間にわたる第1の水熱焼成に供し、それから硫酸アンモニウムで洗浄して(ここで洗浄温度は40~70℃、硫酸アンモニウム:助剤マイクロスフェア:水=0.2~0.8:1:5~15(重量比))、酸化ナトリウム含量が0.25重量%未満となるようにし、水で洗浄し、ろ過し、それから乾燥させた。
【0115】
分解助剤の製造方法において、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程によっても製造可能である:アルミナ源、第1の粘土、及び水を激しく混合及び撹拌し、5~48重量%の固形分を含有するスラリーに分散させ;アルミナ源は、10~40重量部、例えば15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比に従って、撹拌しながら、濃リン酸をスラリーに加え、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分反応させ;P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源の単体としてのアルミニウムの重量である。アルミナ源は、ρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイ、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択された少なくとも1つとすることができる。第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの1つ以上を含んでよく、例えば、レクトライトを含んでよい。濃リン酸の濃度は60~98重量%であり、さらに例えば75~90重量%であり、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源であり、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0116】
上記実施形態において、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤への粘土の導入が製造工程における材料間の物質移動及び熱移動を改善するだけでなく、不均一な材料による局所的で即時の激しい反応からの熱放出によって引き起こされる過温度による、結合剤の凝固も回避し;かつ得られた結合剤の結合性能は、粘土の導入なしの方法によって製造されたリン-アルミニウム結合剤の結合性能と同等である。さらに、粘土、とりわけ層状構造を有するレクトライトの製法における導入は、触媒組成物の重油転化能を向上させ、得られる助剤がより良好な選択性を有するようにする。
【0117】
本発明はさらに、分解助剤の使用、すなわち、炭化水素油を接触分解するための方法を提供し、この方法は、接触分解条件下で、本発明による分解助剤を接触させることによって炭化水素油を反応させることを含む。
【0118】
本発明の炭化水素油を接触分解する方法は、接触分解条件下で、分解助剤及び接触分解触媒を含む触媒混合物を接触させることによって、炭化水素油を反応させることを含み;触媒混合物中、分解助剤の含有量は0.1~30重量%である。
【0119】
任意で、接触分解条件は、反応温度が500~800℃であり;炭化水素油が原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択される1つ以上であることを含む。
【0120】
階層的分子ふるいベースの分解触媒ならびに製造方法及び使用
本発明はまた、分解触媒の乾燥基準で、乾燥基準で1~25重量%のYゼオライト、乾燥基準で5~50重量%のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい、乾燥基準で1~60重量%の無機結合剤、及び任意で乾燥基準で0~60重量%の第2の粘土を含有し、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいの表面XPS元素分析において、n1/n2≦0.08、例えばn1/n2≦0.07、さらに例えばn1/n2≦0.06、またさらに例えばn1/n2は0.02~0.05であり、ここで、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表し、無機結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含むことを特徴とする分解触媒を提供する。
【0121】
本発明によって提供される分解触媒(又は以下で「触媒」と呼ぶ)中の前記Yゼオライトは例えば、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうちの少なくとも1つを含む。
【0122】
本発明の分解触媒において、リン含有ZSM-5分子ふるいの表面XPS元素分析において、n1/n2≦0.7、例えばn1/n2≦0.06、さらに例えばn1/n2は0.02~0.05である。特徴付けパラメータは、分子ふるい中の表面リン種含有量の減少を示し、また、表面リン種が分子ふるいのバルク相により多く移動することを示す。すなわち、n1/n2の値は、分子ふるい表面におけるリン種の分散効果、及びZSM-5分子ふるいの表面から結晶内部への移動度を表す。値が小さいほど、表面上のリン種の含有量が低く、リン種の分散が良好であり、内部への移動の程度が高く、分子ふるいの水熱安定性が良好である。
【0123】
本発明の分解触媒において、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1、例えば≧8、さらに例えば≧12、またさらに例えば14~25である。分子ふるいの27Al MAS-NMRにおいて、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号は、リンと配位した骨格アルミニウム種(リン安定化骨格アルミニウム、すなわち歪んだ4配位骨格アルミニウム)を表し;54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号は、4配位骨格アルミニウム種を表す。
【0124】
本発明の分解触媒では、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいに800℃、100%水蒸気中での17hの水熱エージング処理を施した後、そのNH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合は≧45%、好ましくは≧50%、さらに例えば≧60%、またさらに例えば60%~80%である。本発明のリン含有階層的ZSM‐5分子ふるいは、800℃、100%水蒸気中での17hの水熱エージング処理後に、強酸中心のより高い保持率を有し、従ってより高い分解活性を有することを示した。
【0125】
本発明の分解触媒において、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい中のリン含量に関して、リン及びアルミニウムの両方がモル基準であるとき、両者の比率は0.01~2、例えば0.1~1.5、さらに例えば0.3~1.3である。
【0126】
本発明の分解触媒において、粘度は当業者に周知であり、第2の粘土が、カオリン、メタカオリン、珪藻土、セピオライト、アタパルジャイト、スメクタイト及びレクトライトから選択される少なくとも1つであり得、例えば、カオリン、メタカオリン、レクトライトのうちの1つであり得る。触媒の総重量を基準とし、本発明の触媒は、好ましくは、10~50重量%の第2の粘度、例えば12~28重量%、又は15~40重量%の第2の粘度を含有する。
【0127】
本発明の分解触媒の一実施形態において、乾燥基準で、触媒は、5~35重量%のリン-アルミニウム無機結合剤、1.5~20重量%のYゼオライト、10~45重量%のリン含有ZSM-5分子ふるい、10~50重量%の第2の粘度及び5~28重量%の他の無機結合剤を含む。
【0128】
本発明は、触媒の製造方法も提供する。本方法は、Yゼオライト、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい及び無機結合剤を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥し、任意で焼成して、分解触媒を製造することを含む。ここで、第2の粘土が任意で混合の際に加えられ;乾燥基準における、Yゼオライト、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい、無機結合剤及び第2の粘土の使用重量比は(1~25):(5~50):(1~60):(0~60)であり;無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有し、;ここで、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいは、リン含有化合物の溶液を接触させることによって水素型の階層的ZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させたZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、及び得られた生成物を回収することによって得られ;水素型の階層的ZSM-5分子ふるいにおいて、総細孔容積に対するメソ細孔容積の比率は10%を超え、平均細孔直径は2~20nmであり;接触させることは、0~150℃におけるリン含有化合物の水溶液と、0~150℃における水素型の階層的ZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、接触させることは、リン含有化合物、水素型の階層的ZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合及び撹拌し、その後、混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;雰囲気条件に関しては、ゲージ圧は0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有する。
【0129】
本発明の製造方法において、水素型階層的ZSM-5分子ふるいは、Na2O<0.1重量%であり、メソ細孔(2nm~50nm)容積の総細孔容積に対する比率が10%を超え、通常は10%~90%であり、平均細孔直径は2~20nmであることを満たす。シリカ-アルミナ比(酸化アルミニウムに対する酸化ケイ素のモル比)は≧10、通常は10~200の範囲である。
【0130】
本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造する製造工程において、リン含有化合物は、有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択される。有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、及び1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、及びリン酸ホウ素から選択される。
【0131】
リン含有ZSM-5分子ふるいを製造する製造工程において、接触させることは、浸漬法により、0~150℃の温度におけるリン含有化合物の水溶液と、0~150℃の温度における水素型の階層的ZSM-5分子ふるいとを、少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で接触させることである。例えば、接触させることは0~30℃の常温域で行うことができ、又は接触させることは、例えば40℃を超えるより高温側の温度範囲、例えば50~150℃、さらに例えば70~130℃で行われ、これにより、より良好な結果、すなわち、リン種のより良好な分散と、骨格アルミニウムとの結合のための分子ふるいの結晶内部へのリンのより容易な移動とを生じさせることでき、リンと骨格アルミニウムとの配位度がさらに向上し、最終的に分子ふるいの水熱安定性の向上に寄与する。実質的に同じ温度とは、リン含有化合物の水溶液の温度と水素型階層的ZSM-5分子ふるいの温度との温度差が±5℃以内であることを意味する。例えば、リン含有化合物の水溶液が80℃であり、水素型階層的ZSM-5分子ふるいは75~85℃に加熱する必要がある。
【0132】
本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、接触させることは、リン含有化合物、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を混合し、0~150℃で少なくとも0.1時間維持することであってもよい。例えば、混合後、0~30℃の常温域で少なくとも0.1時間保持する。例えば、より良好な成果、すなわち、リン種のより良好な分散と、骨格アルミニウムとの結合のための分子ふるいの結晶内部へのリンのより容易な移動とを生じさせるため、リンと骨格アルミニウムとの配位度をさらに向上させるため、及び最終的に分子ふるいの水熱安定性を向上させるために、混合後、40℃を超えるより高温側の温度範囲で0.1時間、例えば50~150℃の温度範囲、さらに実施例には70~130℃の温度範囲に維持する。
【0133】
本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、リン含有化合物(リンとして)の水素型階層的ZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)に対するモル比は0.01~2であり;例えば、2つのモル比は0.1~1.5であり;さらに例えば、2つのモル比は0.3~1.3である。接触させることについては、水/分子ふるいの重量比率は0.5~1であり、例えば、接触時間は0.5~40時間である。
【0134】
本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるいを製造するための製造工程において、水熱焼成の処理は、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で行われる。雰囲気条件は外部から圧力を加え、外部から水を加えることにより得られ、好ましくはゲージ圧は0.1~0.8MPaであり、さらに例えばゲージ圧は0.3~0.6MPaであり、好ましくは雰囲気は30~100%の水蒸気を含み、さらに例えば60~100%の水蒸気を含む。外部から加えられる圧力は、材料を水熱焼成する処理中に、外部から特定の圧力を加えることを指す。例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することにより行うことができる。外部から投入される/加えられる水の量は、雰囲気が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たすものである。水熱焼成の工程は、200~800℃、好ましくは300~500℃で行われる。
【0135】
本発明の分解触媒は、触媒の乾燥基準に基づき、例えば、乾燥体重に基づいて、3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤を含有するか、又は3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤及び1~30重量%の他の無機結合剤を含有する。
【0136】
リン-アルミニウム無機結合剤はリン-アルミニウム接着剤及び/又は第一の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり、第一の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づいて、第一の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、10~40重量%、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分、45~90重量%、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分を含有し、乾燥基準で第一の粘土を0重量%超40重量%以下含有し、第一の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、P/Al重量比率が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分が15~60重量%であり、第一の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの少なくとも1つを含む。
【0137】
他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含む。第2の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト及び珪藻土から選択される少なくとも1種である。
【0138】
Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうちの少なくとも1つを含む。
【0139】
製造方法はさらに以下のことを含んでもよい:噴霧乾燥生成物を第1の焼成に供し、次いで洗浄し、任意で乾燥させて触媒を生成し;ここで、第1の焼成について、焼成温度は300~650℃であり、焼成時間は0。5~8hであり;乾燥温度は100~200℃であり、乾燥時間は0.5~24hである。
【0140】
製造方法はさらに以下のことを含んでもよい:第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程を用いることにより製造される:アルミナ源、第1の粘土及び水を激しく混合し、攪拌して、固形分5~48重量%のスラリーに分散させる工程;ここで、アルミナ源は、アルミナ源(Al2O3として)10~40重量部、例えば15~40重量部に対して、酸により解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比率に従って、攪拌下でスラリーに濃リン酸を添加し、得られた混合スラリーを50~99℃で15~90分間反応させる工程;ここで、P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源中の単体としてのアルミニウムの重量である。
【0141】
本発明のリン-アルミニウム無機結合剤の一実施形態では、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準体重に基づいて、好ましくは15~35重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)、50~75重量%のリン成分(P2O5として)、及び乾燥体重に基づいて8~35重量%の第1の粘土を含有し、例えばP/Al重量比率が1.2~6.0、さらに例えば2.0~5.0、及び例えばpH値が2.0~3.0である。本発明のリン-アルミニウム無機結合剤の別の実施形態では、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づいて、リン-アルミニウム無機結合剤は20~40重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)及び60~80重量%のリン成分(P2O5として)を含む。
【0142】
本発明によって提供される製造方法はまた以下のことを含んでもよい:触媒分解触媒を生成するために、焼成生成物を洗浄し、任意で乾燥させることができる;ここで、焼成については、焼成温度が300~650℃、例えば400~600℃、好ましくは450~550℃であり得、焼成時間は0.5~12時間であり得;洗浄については、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸アンモニウムのうちの1つを使用することができ、洗浄温度は40~80℃であり得;乾燥温度は例えば110~200℃、例えば120~150℃であり得、乾燥時間は0.5~18h、例えば2~12hであり得る。
【0143】
本発明によって提供される製造方法の一実施形態では、無機結合剤(例えば、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカゾル、シリカ-アルミナゲル、又はそれらの2つ以上の混合物)及び第2の粘土(例えば、カオリン)及び水(例えば、脱カチオン水及び/又は脱イオン水)を混合して、10~50重量%の固形分を有するスラリーを形成することができる。スラリーをよく攪拌し、塩酸、硝酸、リン酸又は硫酸などの無機酸でpH1~4に調整し、このpHに維持し、20~80℃で0~2時間(0.3~2時間など)エージングさせる。次いで、アルミナゾル及び/又はシリカゾルを加え、混合物を0.5~1.5時間撹拌してゲルを形成する。次に、分子ふるい(リン修飾ZSM-5分子ふるい及びYゼオライトを含む)を添加して、例えば20~45重量%の固形分を有する触媒スラリーを形成する。触媒スラリーを撹拌し続け、噴霧乾燥させて、触媒マイクロスフェアを形成した。次に、触媒マイクロスフェアを、例えば350~650℃又は400~600℃、例えば450~550℃で0.5~6時間又は0.5~2時間、焼成した後、硫酸アンモニウム(ここで、洗浄温度は40~70℃とすることができ、硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.2~0.8:1:5~15(重量比)である)で酸化ナトリウム含量0.25重量%未満になるまで洗浄し、水で洗浄して濾過したのち、乾燥する。
【0144】
本発明によって提供される製造方法の別の実施形態において、Yゼオライト、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤、ならびに任意で第2の粘土が、水と激しく混合及び撹拌され、噴霧乾燥され得る。
【0145】
無機結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を含み、リン-アルミニウム無機結合剤の他の無機結合剤に対する体重による比率は(3~40):(1~30)、例えば(5~35):(5~28)、さらに例えば(10~30):(5~25)であり得;リン-アルミニウム無機結合剤はリン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり得、他の無機結合剤は擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0146】
本発明の分解触媒を製造する方法は、リン修飾分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を「混合する」又は「(水と)激しく混合及び攪拌する」ことを含むことができる。投入順序に特別な要件は課されない。例えば、リン-アルミニウム無機結合剤、他の無機結合剤、分子ふるい、及び第2の粘土(第2の粘土がない場合は該当する投入工程を省略することができる)を混合し、水と激しく混合及び撹拌することができる。あるいは第2の粘土、分子ふるい、及び他の無機結合剤を水と激しく混合及び撹拌し、次いで、リン-アルミニウム無機結合剤を添加することができ、これにより触媒の活性及び選択性を向上させるのに役立ち得る。
【0147】
本発明の接触分解触媒を製造する方法は、「水と激しく混合及び攪拌する」工程から得られたスラリーを噴霧乾燥する工程をさらに含む。噴霧乾燥の方法は当業者に周知であり、本開示において特別な要件はない。
【0148】
さらに本発明の製造方法は以下をふくんでいてもよい:第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程によって製造される:アルミナ源、第1の粘土及び水を激しく混合し、撹拌して、5~48重量%の固形分を有するスラリーに分散させる工程;ここで、アルミナ源は、10~40重量部、例えば、15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下である;濃リン酸を、P/Al=1~6の重量比率に従って撹拌しながらスラリーに添加し、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分間反応させる工程;ここで、P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源中の単体としてのアルミニウムの重量である。
【0149】
アルミナ源はρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイト、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択される少なくとも1つであり得、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤中のアルミニウム成分はアルミナ源から由来である。第1の粘土はカオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの1つ以上を含んでもよく、例えば、レクトライトを含んでもよい。濃リン酸の濃度は60~98重量%、さらに例えば75~90重量%とすることができ、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0150】
上記実施形態では、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤への粘土の導入が、製造プロセス中の材料間の物質移動及び熱伝達を向上させるだけでなく、不均一な材料による局所的で即時の激しい反応からの熱放出によって引き起こされる過温度による結合剤凝固も回避し;かつ得られる結合剤の結合性能は粘土の導入なしの方法によって製造されたリン-アルミニウムバインダの結合性能と同等である。また、粘土、とりわけ層状構造を有するレクトライトの導入は、触媒の重油変換能を向上させ、これにより得られる触媒はより良好な選択性を有するようになる。
【0151】
また、本発明は、上記の方法で製造された分解触媒を提供する。
【0152】
本発明はさらに、炭化水素油を接触分解する処理を提供する。接触分解処理において使用される場合、一実施形態は、例えば、接触分解の条件下で、分解反応器に分解触媒を単独で添加することができ、本発明の分解触媒を接触させることによって炭化水素油を反応させ;接触分解処理において使用される場合、別の実施形態では、触媒を他の接触分解触媒と混合することができ、例えば、本発明の分解触媒及び他の接触分解触媒を含む触媒混合物と接触させることによって炭化水素油を反応させることができる。本発明によって提供される触媒は、上記の混合物の総量の30重量%以下、例えば1~25重量%、さらに例えば3~15重量%含むことができる。
【0153】
本発明によって提供される分解触媒は、様々な炭化水素油の接触分解に使用することができる。炭化水素油は、原油、ナフサ、キャットガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物のうちの1つ以上などの様々な石油留分から選択することができる。炭化水素油は、ニッケル及びバナジウムなどの重金属不純物、ならびに硫黄及び窒素不純物を含有し得る。例えば、炭化水素油中のイオウの含有量は3.0wt%の高さであり得、窒素の含有量は2.0wt%の高さであり得、バナジウム及びニッケルなどの金属不純物の含有量は3000ppmの高さであり得る。接触分解の条件は、当該技術分野において慣用的ものであり得、例えば、反応温度500~800℃、例えば550~680℃を含む。
【0154】
ミクロ細孔分子ふるいベースの分解助剤ならびに製造方法及び使用
本発明は接触分解助剤を提供し、接触分解助剤の乾燥基準重量に基づいて、接触分解助剤は、乾燥基準に基づき5~75重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるいを含有し、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1である。
【0155】
本発明の接触分解助剤において、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1、好ましくは≧5、さらに例えば≧10、またさらに例えば12~25である。
【0156】
本発明の接触分解助剤において、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、表面XPS元素分析において、n1/n2≦0.1、ここでn1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表し、例えばn1/n2≦0.09、さらに例えばn1/n2≦0.08、またさらに例えばn1/n2は0.04~0.07であり;特徴付けパラメータは分子ふるい中の表面リン種含有量の減少を示し、また、表面リン種が分子ふるいのバルク相により多く移動することを示す。すなわち、n1/n2の値は、分子ふるい表面におけるリン種の分散効果、及びZSM-5分子ふるいの表面から結晶内部への移動度を表す。値が小さいほど、表面上のリン種の含有量が低く、リン種の分散が良好であり、内部への移動の程度が高く、分子ふるいの水熱安定性が良好である。
【0157】
本発明の接触分解助剤では、リン修飾ZSM-5分子ふるいを800℃、100%水蒸気で17時間水熱エージングした後、NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度で、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合が≧40%であり、800℃、100%水蒸気で17時間の水熱エージング後の強酸中心の保持率を反映している。これにより、分子ふるいは、高い分解活性を有する。例えば、この比率は≧42%、さらに例えば≧45%、さらに例えば48%~85%である。
【0158】
本発明の接触分解助剤において、リン修飾ZSM-5分子ふるい中のリンの含有量に関して、リン及びアルミニウムの両方がモル基準である場合、その2つの比率は、0.01~2、例えば0.1~1.5、さらに例えば0.2~1.5である。
【0159】
本発明の接触分解助剤において、接触分解助剤の乾燥基準に基づいて、接触分解助剤は5~75重量%、好ましくは8~60重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるいを含有し、1~40重量%の結合剤及び0~65重量%の第2の粘土を含有することもできる。結合剤は、当業者によく知られており、助剤又は触媒の結合剤成分として従来使用されている無機酸化物結合剤、例えば、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル及び水ガラスのうちの1つ以上、好ましくは擬ベーマイト及びアルミナゾルのうちの少なくとも1つであり得る。例えば、結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤、すなわち、リン-アルミニウム無機結合剤又はリン-アルミニウム無機結合剤と他の無機結合剤との混合物を含む。
【0160】
リン-アルミニウム無機結合剤は、リン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤である。第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準に基づいて、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、10~40重量%、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分、45~80重量%のリン成分(P2O5として)及び0重量%超40重量%以下の乾燥基準に基づく第1の粘土を含み、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、1.0~6.0のP/Al重量比、1~3.5のpH、及び15~60重量%の固形分を有する。
【0161】
リン-アルミニウム無機結合剤の一実施形態において、リン-アルミニウム無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥重量に基づいて、10~40重量%、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分、45~90重量%、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分、乾燥重量に基づいて0~40重量%の第1の粘土を含み、P/Al重量比1.0~6.0、pH値1~3.5、及び固形分15~60重量%を有しており、例えば、10~40重量%、例えば15~40重量%のAl2O3としてのアルミニウム成分、45~90重量%、例えば45~80重量%のP2O5としてのリン成分、乾燥重量に基づいて1~40重量%の第1の粘土を含み、好ましくは15~35重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)、50~75重量%のリン成分(P2O5として)、乾燥重量に基づいて8~35重量%の第1の粘土を含み、例えば1.2~6.0、さらに例えば2.0~5.0のP/Al重量比であり、例えば、2.0~3.0のpH値を有する。
【0162】
リン-アルミニウム無機結合剤の別の実施形態では、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準に基づいて、リン-アルミニウム無機結合剤は20~40重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)及び60~80重量%のリン成分(P2O5として)を含む。第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルガイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土から選択される少なくとも1種であってよい。
【0163】
本発明の接触分解助剤において、接触分解助剤の乾燥基準で、0~65重量%、好ましくは5重量%~55重量%の第2の粘土をさらに含有する。第2の粘土はまた、当業者に周知であり、例えば、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト及び珪藻土のうちの少なくとも1つから選択される。
【0164】
本発明の接触分解助剤の一実施形態では、接触分解助剤の乾燥基準に基づいて、20~60重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるい、5~35重量%の結合剤及び5~55重量%の第2の粘土を含むことができる。
【0165】
本発明はまた、接触分解助剤を製造する方法であって、リン修飾ZSM-5分子ふるい、結合剤及び任意で第2の粘度を水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥して、接触分解助剤を生成することを含み;リン修飾ZSM-5分子ふるいは、リン含有化合物の溶液を接触させることによりHZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたHZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥されたHZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から加えられる雰囲気条件下で熱水焼成すること、及び得られた生成物を回収することによって得られ;接触させることは、0~150℃の温度でのリン含有化合物の水溶液と、0~150℃の温度でのHZSM-5分子ふるいとを、浸漬法により、少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で、(混合により)接触させることであるか、あるいは接触させることは、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合及び撹拌し、0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;雰囲気条件に関しては、ゲージ圧が0.01~1.0MPaで、1~100%水蒸気を含む。
【0166】
リン修飾ZSM-5分子ふるいの製造に使用される工程は、ZSM-5分子ふるいのバルク相への表面リン種の移動を促進し、その結果、リンと骨格アルミニウムとが完全に配位し、骨格アルミニウムが完全に保護され、分子ふるいが優れた水熱安定性を有する。
【0167】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、HZSM-5分子ふるいは、ミクロ細孔ZSM-5分子ふるいのアンモニウム交換により、ナトリウム含有量をNa2O<0.1重量%に減少させることによって得られ、シリカ-アルミナ比(酸化アルミニウムに対する酸化ケイ素のモル比、以下と同じ)が≧10、通常は10~200の範囲である。
【0168】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、リン含有化合物は、有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択される。有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、及び1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され、無機リン化合物は、リン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、及びリン酸ホウ素から選択される。
【0169】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、接触させることの第1の方法は、浸漬法により、0~150℃の温度におけるリン含有化合物の水溶液と、0~150℃の温度におけるHZSM-5分子ふるいとを、少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で接触させることである。例えば、接触させることは0~30℃の常温域で行うことができ、又は接触させることは、例えば40℃超のより高温の温度範囲、例えば50~150℃、さらに例えば70~130℃で行われ、これにより、より良好な結果、すなわち、リン種のより良好な分散と、骨格アルミニウムとの結合のためのHZSM-5分子ふるいの結晶内部へのリンのより容易な移動とを生じさせることでき、リンと骨格アルミニウムとの配位度がさらに向上し、最終的に分子ふるいの水熱安定性の向上に寄与する。実質的に同じ温度とは、リン含有化合物の水溶液の温度とHZSM-5分子ふるいの温度との温度差が±5℃以内であることを意味する。例えば、リン含有化合物の水溶液が80℃であり、HZSM-5分子ふるいは75~85℃に加熱する必要がある。
【0170】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、接触させることの第2の方法は、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい及び水を混合し、0~150℃で少なくとも0.1時間維持することである。例えば、混合後、0~30℃の常温域で少なくとも0.1時間保持する。例えば、より良好な結果、すなわち、リン種のより良好な分散と、骨格アルミニウムとの結合のための分子ふるいの結晶内部へのリンのより容易な移動とを生じさせるため、リンと骨格アルミニウムとの配位度をさらに向上させるため、及び最終的に分子ふるいの水熱安定性を向上させるために、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい及び水を混合し、次いで、40℃を超えるより高温側の温度範囲で0.1時間、例えば、50~150℃の温度範囲で、さらに例えば70~130℃の温度範囲で維持する。
【0171】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、リン含有化合物(リンとして)のHZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)に対するモル比は0.01~2であり;例えば、2つのモル比は0.1~1.5であり;さらに例えば、2つのモル比は0.2~1.5である。接触させることに関しては、水/分子ふるいの重量比は0.5~1であり、例えば接触時間は0.5~40時間である。
【0172】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程では、外圧を加えて水を外部から加える雰囲気条件で水熱焼成処理を行う。雰囲気条件は外部から圧力を加え、かつ外部から水を加え、好ましくはゲージ圧が0.1~0.8MPa、さらに例えばゲージ圧が0.3~0.6MPa、好ましくは雰囲気が30~100%の水蒸気を含み、さらに例えば60~100%の水蒸気を含む。外部から加えられる圧力とは、材料を水熱焼成する処理中に、外部から特定の圧力を加えることを指す。例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することにより行うことができる。外部から投入される/加えられる水の量は、雰囲気条件が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たすものである。水熱焼成の工程は、200~800℃、好ましくは300~500℃、さらに例えば350~450℃で行われる。
【0173】
接触分解助剤の製造方法において、結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を含んでおり、乾燥基準で、リン修飾ZSM-5分子ふるい:リン-アルミニウム無機結合剤:他の無機結合剤の重量比率が(10~75):(3~39):(1~30)、例えば、(10~75):(8~35):(5~25)であり得;ここで、リン-アルミニウム無機結合剤はリン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり得;他の無機結合剤は擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含み得る。本製造方法は、リン修飾ZSM-5分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を「混合する」又は「(水と)激しく混合及び撹拌する」ことを含んでもよい。投入順序に特別な要件は課されない。例えば、リン-アルミニウム無機結合剤、他の無機結合剤、リン修飾ZSM-5分子ふるい、及び第2の粘土(第2の粘土がない場合、該当する投入工程を省略することができる)を混合し、水と激しく混合及び撹拌することができる。あるいは第2の粘土、リン修飾ZSM-5分子ふるい、及び他の無機結合剤を、水と激しく混合及び撹拌し、次いで、リン-アルミニウム無機結合剤を添加することができ、これにより助剤の活性及び選択性を向上させるのに役立ち得る。
【0174】
接触分解助剤の製造方法において、「水と激しく混合及び攪拌する」工程から得られたスラリーを噴霧乾燥する工程をさらに含む。噴霧乾燥の方法は当業者に周知であり、本発明に特段の要件はない。任意で、製造方法が、噴霧乾燥生成物を第1の焼成に供し、次いで洗浄し、任意で乾燥させて接触分解助剤を生成することをさらに含んでもよい。ここで、第1の焼成について、焼成温度は300~650℃、例えば400~600℃、好ましくは450~550℃であり得、焼成時間は0.5~8時間であり得;洗浄について、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び硝酸アンモニウムのうちの1つを用いることができ、洗浄温度は40~70℃とすることができ、乾燥温度は100~200℃、例えば100~150℃とすることができ、乾燥時間は0.5~24時間、例えば1~12時間とすることができる。
【0175】
接触分解助剤を製造する方法の一実施形態では、結合剤、第2の粘土及び水(例えば、脱カチオン水及び/又は脱イオン水)を混合して、10~50重量%の固形分を有するスラリーを形成する。スラリーをよく攪拌し、塩酸、硝酸、リン酸又は硫酸などの無機酸でpH1~4に調整し、このpHに維持し、20~80℃で0~2時間(0.3~2時間など)エージングさせる。次いで、アルミナゾル及び/又はシリカゾルなどの無機結合剤を加え、混合物を0.5~1.5時間撹拌してゲルを形成する。次に、分子ふるい(リン修飾ZSM-5分子ふるいを含む)を添加して、固形分、例えば20~45重量%の固形分、を有する助剤スラリーを形成する。助剤スラリーを撹拌し続け、噴霧乾燥して、助剤マイクロスフェアを形成した。次いで、助剤マイクロスフェアを、例えば350~650℃又は400~600℃、好ましくは450~550℃で、0.5~6時間又は0.5~2時間にわたる第1の焼成に供し、次いで硫酸アンモニウム(洗浄温度は40~70℃、硫酸アンモニウム:助剤マイクロスフェア:水=0.2~0.8:1:5~15(重量比))を用いて酸化ナトリウム含量が0.25重量%未満になるまで洗浄し、水で洗浄して濾過し、乾燥させる。
【0176】
接触分解助剤の製造方法において、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は以下の工程によって製造されてもよい:アルミナ源、第1の粘土及び水を激しく混合し、撹拌して、5~48重量%の固形分を有するスラリーに分散させる工程;ここで、アルミナ源は、10~40重量部、例えば、15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下である;濃リン酸を、P/Al=1~6の重量比率に従って撹拌しながらスラリーに添加し、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分間反応させる工程;ここで、P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源中の単体としてのアルミニウムの重量である。アルミナ源はρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイト、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択される少なくとも1つであり得、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤中のアルミニウム成分はアルミナ源由来である。第1の粘土はカオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの1つ以上を含んでもよく、例えば、レクトライトを含んでもよい。濃リン酸の濃度は60~98重量%、さらに例えば75~90重量%であり得、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0177】
上記実施形態では、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤への粘土の導入は、製造プロセス中の材料間の物質移動及び熱伝達を向上させるだけでなく、不均一な材料による局所的で即時の激しい反応からの熱放出によって引き起こされる過温度による結合剤凝固も回避し;かつ得られる結合剤の結合性能は粘土の導入なしの方法によって製造されたリン-アルミニウム結合剤の結合性能と同等である。また、粘土、とりわけ層状構造を有するレクトライトの導入は、触媒組成物の重油変換能を向上させ、これにより得られる助剤がより良好な選択性を有するようにする。
【0178】
さらに、本発明は、接触分解助剤の使用、すなわち炭化水素油を接触分解する方法であって、接触分解条件下で、発明の接触分解助剤を接触させることによって炭化水素油を反応させることを含む方法を提供する。
【0179】
本発明の炭化水素油を接触分解する方法は、接触分解条件下で、接触分解助剤及び接触分解触媒を含む触媒混合物を接触させることによって炭化水素油を反応させることを含み、触媒混合物中の接触分解助剤の含有量は、0.1~30重量%である。
【0180】
接触分解条件は、反応温度が500~800℃であること、炭化水素油が、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物から選択される1以上であることを含む。
【0181】
ミクロ細孔分子ふるいをベースとした分解触媒及び製造方法及び使用
本発明は、接触分解触媒もまた提供し、接触分解触媒の乾燥基準に基づいて、接触分解触媒は、乾燥基準で1~25重量%のYゼオライト、乾燥基準で5~50重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるい、乾燥基準で1~60重量%の無機結合剤、及び、任意で乾燥基準で0~60重量%の第2の粘土を含有する。ここでリン修飾ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり、無機結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含む。
【0182】
例えば本発明により提供される接触分解触媒(あるいは、以下では「触媒」と呼ばれる)における前記Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうち少なくとも1つを含有する。
【0183】
本発明の触媒において、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、27Al MAS-NMRにおいて、54ppm±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積に対する、39±3ppmの化学シフトを有する共鳴信号のピーク面積の比率が≧1であり、好ましくは≧5であり、さらに例えば≧10であり、またさらに例えば12~25である。
【0184】
本発明の触媒において、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、表面XPS元素分析において、n1/n2が≦0.1であり、ここで、n1はリンのモル数を表し、n2はケイ素及びアルミニウムの総モル数を表し、例えば、n1/n2は≦0.09であり、さらに例えばn1/n2≦0.08であり、またさらに例えばn1/n2は0.04~0.07であることを満たし;特徴付けパラメータは分子ふるい中の表面リン種含有量の低下を示し、また、表面リン種がより多く分子ふるいのバルク相に移動することを示す。すなわち、n1/n2の値は、分子ふるい表面におけるリン種の分散効果、及びZSM-5分子ふるいの表面から結晶内部への移動度を表す。値が小さいほど、表面上のリン種の含有量が低く、リン種の分散が良好であり、内部への移動の程度が高く、分子ふるいの水熱安定性が良好である。
【0185】
本発明の触媒において、リン修飾ZSM-5分子ふるいを800℃及び100%の水蒸気で17時間水熱エージングさせた後に、NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の比率が≧40%であり、これは800℃、100%水蒸気で17時間の水熱エージング後の強酸中心の保持を反映している。これにより、分子ふるいは、高い分解活性を有する。例えば、この比率は≧42%、さらに例えば≧45%、またさらに例えば48%~85%である。
【0186】
本発明の触媒において、リン修飾ZSM-5分子ふるい中のリン含量に関して、リン及びアルミニウムの両方がモル基準であるとき、両者の比率は0.01~2、例えば0.1~1.5、さらに例えば0.2~1.5である。
【0187】
本発明の接触分解触媒において、粘度は当業者に周知であり、第2の粘土が、カオリン、メタカオリン、珪藻土、セピオライト、アタパルジャイト、スメクタイト及びレクトライトから選択される少なくとも1つであり得、例えば、カオリン、メタカオリン、レクトライトのうちの1つであり得る。触媒の総重量を基準とし、本発明の触媒は、好ましくは、10~50重量%の第2の粘度、例えば12~28重量%、又は15~40重量%の第2の粘度を含有する。
【0188】
本発明の触媒の一実施形態において、乾燥基準で、触媒は、5~35重量%のリン-アルミニウム無機結合剤、1.5~20重量%のYゼオライト、10~45重量%のリン修飾ZSM-5分子ふるい、10~50重量%の第2の粘度及び5~28重量%の他の無機結合剤を含む。
【0189】
本発明は、触媒の製造方法も提供する。本方法は、Yゼオライト、リン修飾ZSM-5分子ふるい及び無機結合剤を、水と激しく混合及び撹拌し、噴霧乾燥し、任意で焼成して、接触分解触媒を製造することを含む。ここで、第2の粘土が任意で混合の際に加えられ;乾燥基準における、Yゼオライト、リン修飾ZSM-5分子ふるい、無機結合剤及び第2の粘土の使用重量比は(1~25):(5~50):(1~60):(0~60)であり;無機結合剤は、リン-アルミニウム無機結合剤及び/又は他の無機結合剤を含有し、;ここで、リン修飾ZSM-5分子ふるいは、リン含有化合物の溶液を接触させることによってHZSM-5分子ふるいを処理すること、処理されたHZSM-5分子ふるいを乾燥させること、乾燥させたHZSM-5分子ふるいを、外圧が加えられ、水が外部から添加される雰囲気条件下で水熱焼成すること、及び得られた生成物を回収することによって得られ;接触させることは、0~150℃のリン含有化合物の水溶液と、0~150℃のHZSM-5分子ふるいとを、浸漬法で少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で(混合により)接触させることであるか、又は、接触させることは、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい、及び水を激しく混合撹拌し、その後、混合物を0~150℃で少なくとも0.1時間保持することであり;雰囲気条件に関しては、ゲージ圧は0.01~1.0MPaであり、1~100%の水蒸気を含有する。
【0190】
リン修飾ZSM-5分子ふるいの製造に使用される工程は、ZSM-5分子ふるいのバルク相への表面リン種の移動を促進し、その結果、リンと骨格アルミニウムが完全に配位し、骨格アルミニウムが完全に保護され、分子ふるいが優れた水熱安定性を有する。
【0191】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、HZSM-5分子ふるいは、ナトリウム含有量をNa2O<0.1重量%に減少させるミクロ細孔ZSM-5分子ふるいのアンモニウム交換によって得られ、シリカ-アルミナ比(酸化アルミニウムに対する酸化ケイ素のモル比、以下と同じ)が≧10の範囲である、通常は10~200の範囲である。
【0192】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、リン含有化合物は、有機リン化合物及び/又は無機リン化合物から選択される。有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、トリフェニルブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジベンジルジエチルホスホラミダイト、及び1,3-ビス((トリエチル-ホスファニル)メチル)ベンゼンから選択され、無機リン化合物はリン酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、及びリン酸ホウ素から選択される。
【0193】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、接触の第1の方法は、浸漬法により、0~150℃の温度でリン含有化合物の水溶液、及び0~150℃の温度でHZSM-5分子ふるいを、少なくとも0.1時間、実質的に同じ温度で接触させることである。例えば、接触は0~30℃の常温域で実施されるか、又は接触は例えば40℃を超える高温域、例えば50~150℃、さらに例えば70~130℃で実施され得、これにより、より良好な結果、すなわち良好なリン種の分散が得られ、HZSM-5分子ふるいの結晶内部へのリンの移動がより容易になり、骨格アルミニウムと結合し、リン及び骨格アルミニウムの配位度がさらに向上し、最終的に分子ふるいの水熱安定性の向上に寄与する。実質的に同じ温度は、リン含有化合物の水溶液の温度とHZSM-5分子ふるいの温度との間の温度差が±5℃以内であることを意味する。例えば、リン含有化合物の水溶液は80℃であり、HZSM-5分子ふるいは75~85℃に加熱する必要がある。
【0194】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、接触の第2の方法はリン含有化合物、HZSM-5分子ふるい及び水を混合し、0~150℃で少なくとも0。1時間維持することである。例えば、混合後、0~30℃の常温域で0.1時間以上保持する。例えば、より良好な成果、すなわち、リン種のより良好な分散、及び分子ふるいの結晶内部へのリンのより容易な移動を生じさせて骨格アルミニウムと結合させ、リン及び骨格アルミニウムの配位度をさらに向上させ、最終的に分子ふるいの水熱安定性を向上させるために、リン含有化合物、HZSM-5分子ふるい及び水を混合し、次いで、40℃より高温側の温度範囲で0.1時間、例えば50~150℃の温度範囲で、さらに例えば、70~130℃の温度範囲で維持する。
【0195】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程において、リン含有化合物(リンとして)のHZSM-5分子ふるい(アルミニウムとして)に対するモル比は0.01-2であり;例えば、2つのモル比は0.1~1.5であり;さらに例えば、2つのモル比は0.2~1.5である。接触については、水/分子ふるいの重量比は0.5~1であり、例えば接触時間は0.5~40時間である。
【0196】
リン修飾ZSM-5分子ふるいを製造する工程では、水熱焼成処理は、外圧を加えて水を外部から加える雰囲気条件で行われる。雰囲気条件は、外圧を加えて外部から水を加えることにより得られ、好ましくはゲージ圧は0.1~0.8MPa、さらに好ましくはゲージ圧は0.3~0.6MPa、好ましくは雰囲気は30~100%の水蒸気を含み、さらに例えば60~100%の水蒸気を含む。外部から加えられる圧力は材料を水熱焼成する処理中に、外部から特定の圧力を加えることを指す。例えば、外部から不活性ガスを導入して一定の背圧を維持することにより行うことができる。外部から投入される/加えられる水の量は、雰囲気条件が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たすものである。水熱焼成の工程は、200~800℃、好ましくは300~500℃で行われる。
【0197】
本発明の触媒において、触媒の乾燥基準に基づき、例えば、乾燥重量基準で3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤又は3~40重量%のリン-アルミニウム無機結合剤及び1~30重量%の他の無機結合剤を含んでいてもよい。
【0198】
リン-アルミニウム無機結合剤はリン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づいて、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤は、Al2O3としてアルミニウム成分を10~40重量%、例えば15~40重量%を含有し、P2O5としてリン成分を45~95重量%、例えば45~80重量%含有し、乾燥基準で第1の粘土を0重量%超40重量%以下含有し、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤はP/Al重量比が1.0~6.0、pHが1~3.5、固形分含量が15~60重量%であり;第1の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの少なくとも1つを含む。他の無機結合剤は、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含む。第2の粘土は、カオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト、メタハロイサイト、ハロイサイト、ヒドロタルサイト、ベントナイト及び珪藻土のうちの少なくとも1つから選択される。
【0199】
Yゼオライトは、PSRYゼオライト、希土類含有PSRYゼオライト、USYゼオライト、希土類含有USYゼオライト、REYゼオライト、REHYゼオライト、及びHYゼオライトのうちの少なくとも1つを含む。
【0200】
接触分解触媒を製造する方法は、噴霧乾燥生成物を第1の焼成に供し、次いで洗浄し、任意で乾燥させて触媒を生成することをさらに含み、第1の焼成について、焼成温度は300~650℃であり、焼成時間は0。5~8hであり、乾燥温度は100~200℃であり、乾燥時間は0.5~24hである。
【0201】
接触分解触媒を製造する方法はさらに、以下の工程を用いて、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤を製造することができる:アルミナ源、第1の粘土及び水を激しく混合し、撹拌して、5~48重量%の固形分を有するスラリーに分散させる;アルミナ源は10~40重量部、例えば、15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下であり;P/Al=1~6の重量比率に従って、撹拌下でスラリーに濃縮リン酸を添加し、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分間反応させ;ここで、P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源中の単体としてのアルミニウムの重量である。
【0202】
本発明によるリン-アルミニウム無機結合剤の一実施形態では、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準体重に基づいて、好ましくは15~35重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)、50~75重量%のリン成分(P2O5として)、及び乾燥重量に基づいて8~35重量%の第1の粘土を含有し、例えばP/Al重量比が1.2~6.0、さらに例えば2.0~5.0であり、及びpH値が例えば2.0~3.0を有する。本発明によるリン-アルミニウム無機結合剤の別の実施形態では、リン-アルミニウム無機結合剤の乾燥基準重量に基づいて、リン-アルミニウム無機結合剤は20~40重量%のアルミニウム成分(Al2O3として)及び60~80重量%のリン成分(P2O5として)を含む。
【0203】
接触分解触媒を製造する方法はまた、焼成生成物を洗浄し、任意で乾燥して接触分解触媒を生成することを含んでいてもよく;ここで、焼成について、焼成温度は300~650℃、例えば400~600℃、好ましくは450~550℃であり、焼成時間は0.5~12時間であり得;洗浄について、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸アンモニウムのうちの1つを使用することができ、洗浄温度は、40~80℃であり得;乾燥温度は110~200℃、例えば120~150℃であり得、乾燥時間は0.5~18時間、例えば、2~12時間であり得る。
【0204】
本発明によって提供される製造方法の一実施形態では、無機結合剤(例えば、擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカゾル、シリカ-アルミナゲル、又はそれらの2つ以上の混合物)及び第2の粘土(例えば、カオリン)及び水(例えば、脱カチオン水及び/又は脱イオン水)を混合して、10~50重量%の固形分を有するスラリーを形成することができる。スラリーをよく攪拌し、塩酸、硝酸、リン酸又は硫酸などの無機酸でpH1~4に調整し、このpHに維持し、20~80℃で0~2時間(0.3~2時間など)エージングさせる。次いで、アルミナゾル及び/又はシリカゾルを加え、混合物を0.5~1.5時間撹拌してゲルを形成する。次に、分子ふるい(リン修飾ZSM-5分子ふるい及びYゼオライトを含む)を添加して、例えば20~45重量%の固形分を有する触媒スラリーを形成する。触媒スラリーを撹拌し続け、噴霧乾燥させて、触媒マイクロスフェアを形成した。次に、触媒マイクロスフェアを、例えば、350~650℃又は400~600℃、例えば450~550℃、0.5~6時間又は0.5~2時間焼成した後、硫酸アンモニウム(ここで、洗浄温度は40~70℃、硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.2~0.8:1:5~15(体重比))で、酸化ナトリウム含量が0.25重量%未満になるまで洗浄し、水で洗浄して濾過し、乾燥する。
【0205】
本発明により提供される製造方法の別の実施形態において、Yゼオライト、リン修飾ZSM-5分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤、ならびに任意で第2の粘土を、激しく混合し、水と撹拌し、噴霧乾燥することができる。
【0206】
無機結合剤はリン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を含み、リン-アルミニウム無機結合剤の他の無機結合剤に対する重量比は(3~40):(1~30)、例えば、(5~35):(5~28)、さらに例えば、(10~30):(5~25)であり得;リン-アルミニウム無機結合剤はリン-アルミニウム接着剤及び/又は第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤であり得;他の無機結合剤は擬ベーマイト、アルミナゾル、シリカ-アルミナゾル、及び水ガラスのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0207】
本発明の接触分解触媒を製造する方法は、リン修飾分子ふるい、リン-アルミニウム無機結合剤及び他の無機結合剤を「混合する」又は「(水と)激しく混合及び攪拌する」ことを含んでもよい。投入する順序に特別な要件は課されない。例えば、リン-アルミニウム無機結合剤、他の無機結合剤、分子ふるい、及び第2の粘土(第2の粘土がない場合は該当する投入工程を省略できる)を混合し、激しく混合し、水と撹拌することができる。あるいは第2の粘土、分子ふるい、及び他の無機結合剤を激しく混合し、水と撹拌し、次いで、リン-アルミニウム無機結合剤を添加することができ、これは触媒の活性及び選択性を向上させるのに役立ち得る。
【0208】
本発明の接触分解触媒を製造する方法は「水と激しく混合及び撹拌する」工程から得られたスラリーを噴霧乾燥する工程をさらに含んでもよい。噴霧乾燥の方法は当業者に周知であり、本開示において特別な要件はない。
【0209】
本発明の方法はまた、以下の工程ことを含んでもよい:第1の粘度含有リン-アルミニウム無機結合剤が以下の工程によって製造される:アルミナ源、第1の粘土及び水を激しく混合及び撹拌して、5~48重量%の固形分を有するスラリーに分散させる工程;ここで、アルミナ源は10~40重量部、例えば、15~40重量部のアルミナ源(Al2O3として)に対して、酸によって解膠することができる水酸化アルミニウム及び/又はアルミナであり、乾燥重量に基づく第1の粘土の使用量は0重量部超40重量部以下である;P/Al=1~6の重量比率に従って、撹拌下でスラリーに濃リン酸を添加し、得られた混合スラリーを、50~99℃で15~90分間反応させる工程;ここで、P/Al中のPはリン酸中の単体としてのリンの重量であり、Alはアルミナ源中の単体としてのアルミニウムの重量である。アルミナ源は、ρ-アルミナ、x-アルミナ、η-アルミナ、γ-アルミナ、κ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ、ギブサイト、バイエライト、ノルドシャンダイト、ダイアスポア、ベーマイト及び擬ベーマイトから選択される少なくとも1つであることができ、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤中のアルミニウム成分はアルミナ源由来である。第1の粘土はカオリン、セピオライト、アタパルジャイト、レクトライト、スメクタイト及び珪藻土のうちの1つ以上を含んでもよく、例えば、レクトライトを含んでもよい。濃リン酸の濃度は60~98重量%、さらに例えば75~90重量%とすることができ、リン酸の供給速度は、例えば0.01~0.10kgリン酸/分/kgアルミナ源、さらに例えば0.03~0.07kgリン酸/分/kgアルミナ源である。
【0210】
上記実施形態では、第1の粘土含有リン-アルミニウム無機結合剤への粘土の導入は、製造プロセス中の材料間の物質移動及び熱伝達を向上させるだけでなく、不均一な材料による局所的で即時の激しい反応からの熱放出によって引き起こされる過温度による結合剤凝固も回避し;かつ、得られる結合剤の結合性能は粘土の導入なしの方法によって製造されたリン-アルミニウム結合剤の結合性能と同等である。さらに、このプロセスにおいて粘土、特に層状構造を有するレクトライトを導入することにより、触媒の重油変換能が向上し、その結果、得られる触媒はより良好な選択性を有する。
【0211】
本発明はまた、上述のプロセスで製造された接触分解触媒を提供する。
【0212】
本発明はさらに、炭化水素油を接触分解する方法を提供する。接触分解処理において使用される場合、一実施形態は接触分解触媒を接触分解反応器に単独で添加することができ、例えば、接触分解条件下で、本発明の接触分解触媒を接触させることによって炭化水素油を反応させ;接触分解処理において使用される場合、別の実施形態は触媒を他の接触分解触媒と混合することができ、例えば、本発明の接触分解触媒及び他の接触分解触媒を含む触媒混合物を接触させることによって炭化水素油を反応させることができる。本発明によって提供される触媒は、上記の混合物の総量の30重量%以下、例えば1~25重量%、さらに例えば3~15重量%を含むことができる。本発明によって提供される接触分解触媒は、様々な炭化水素油の接触分解に使用することができる。炭化水素油は、原油、ナフサ、キャットガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油及び石炭液化生成物のうちの1つ以上などの様々な石油留分から選択することができる。炭化水素油は、ニッケル及びバナジウムなどの重金属不純物、ならびに硫黄及び窒素不純物を含有し得る。例えば、炭化水素油中の硫黄の含有量は3.0wt%と同じくらいの高さであり得、窒素の含有量は2.0wt%と同じくらいの高さであり得、バナジウム及びニッケルなどの金属不純物の含有量は3000ppmと同じくらいの高さであり得る。
【0213】
本発明による炭化水素油を接触分解する方法において、接触分解条件は当該技術分野における慣習的なものであり得、例えば、反応温度500~800℃、例えば、550~680℃を含み得る。使用される炭化水素油は、原油、ナフサ、ガソリン、雰囲気残油、真空残油、雰囲気ロウ油、真空ロウ油、直留ロウ油、プロパン軽/重脱アスファルト油、コーカーロウ油、及び石炭液化生成物から選択される1つ以上であり得る。
【0214】
〔実施例〕
本発明は具体的実施例とともに以下でさらに説明されるが、本発明はそれによって限定されるものではない。
【0215】
X線回折(XRD)スペクトルは、Rigaku TTR-3粉末X線回折計で測定した。機器パラメータ:銅ターゲット(管電圧40kV、管電流250mA)、シンチレーションカウンター、ステップ幅0.02°、走査速度0.4(°)/min。CN1056818Cの実施例1の方法により合成されたZSM-5分子ふるいを標準試料とし、その結晶性を100%とした。得られた生成物のX線回折スペクトルの22.5~25.0°の範囲の2θにおける5つの特徴的な回折ピークのピーク面積の合計の、標準試料におけるこれらピーク面積の合計に対する比率として、相対結晶化度を百分率で表した。
【0216】
27Al MAS-NMRスペクトルを測定し、Bruker AVANCE III 600 WB分析計で分析した。機器パラメータは以下の通りである。ロータ直径:4mm、共鳴周波数:156.4MHz、パルス幅:0.4μs(15°の倒れ角に対応する)、マジックアングルスピニング周波数:12kHz、遅延時間:1s。27Al MAS-NMRスペクトルの特徴は、4配位骨格アルミニウム種に起因する54ppm±3ppmの特徴的なピーク1、及びリン安定化骨格アルミニウム(歪んだ4配位骨格アルミニウム)に起因する39±3ppmの特徴的なピーク1を含んでいた。各ピーク面積は、ガウス-ローレンツ関数によって特徴的なピークをフィッティングした後、積分法によって計算した。
【0217】
Thermo Fisher-VG CompanyのESCAREB 250 Type X線光電子分光計を用いて、分子ふるい表面のX線光電子分光(XPS)分析を行って、リン化合物のイミグレーション状態を調査した。機器パラメータは以下の通りである。励起源は150Wの電力の単色AlKαX線であり、電荷シフトは、汚染炭素からのC1sピーク(284.8eV)で較正した。XPS PeakAvantage 4.15ソフトウェアを使用して、Shirleyバックグラウンドを差し引いた後の積分によってピークのパラメータを計算した。
【0218】
MicromeriticsのAutoChen II昇温脱離装置を用い、昇温脱離分析(NH3-TPD)を行った。試料0.1~0.2gを秤量し、石英吸着管に入れ、キャリアガス(高純度He、流量50mL/min)を導入し、20℃/minの速度で600℃まで昇温し、試料に吸着した水及び空気を除去するために2時間一定温度に保ち;20℃/minの速度で100℃まで降温し、30分間一定温度に保ち;キャリアガスをNH3-He混合ガスに切り替え、アンモニアが飽和するように試料に吸着させるために30分間一定温度に保ち;NH3-He混合ガスを高純度Heキャリアガスに切り替え、パージを1時間行って物理的に吸収されたアンモニアを脱離させ;次いで、10°C/minの速度で60℃まで昇温し、昇温脱離曲線を得た。脱離したアンモニアは、熱伝導度セルを用いて検出される。昇温脱離曲線をNH3脱離速度-温度曲線に変換した後、酸中心密度データをピーク形状のスペクトル解析(ガウス-ローレンツ関数を使用)により得た。
【0219】
窒素吸着及び脱離曲線は、MicromeriticsのASAP2420吸着装置で測定した。試料は、100℃及び300℃、それぞれ0.5h及び6hで真空中に脱気し、N2吸着及び脱離試験を77.4Kの温度で実施した。N2吸着-脱離等温曲線は、異なる比圧下で、精製した試料の窒素吸着及び脱離容量を測定することによって得た。BET比表面積はBET式により算出し、ミクロ細孔面積はt-プロットにより算出し、細孔径分布はBJHにより算出した。
【0220】
石油系炭化水素の接触分解における低炭素オレフィンの収率に及ぼす本発明の接触分解助剤の影響を評価するために、マイクロ反応装置を使用した。製造した接触分解助剤試料を固定床エージング装置で800℃、100%水蒸気で17時間、エージング処理し、マイクロ反応装置で評価した。評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2であった。マイクロ反応度は、ASTM D5154-2010標準法によって測定した。
【0221】
本発明で述べられているRIPP標準法は、Yang Cuidingらによって編集された「Analysis Method of Petrochemical Industry」1990年版を参照することができる。
【0222】
実施例で使用した一部の原料の特性は以下の通りである:
擬ベーマイトはShandong Aluminum Company製の工業製品であり、固形分は60重量%であった。
【0223】
アルミナゾルはSinopec Catalyst Qilu Branch製の工業製品であり、Al2O3含有量は21.5重量%であった。
【0224】
シリカゾルはSinopec Catalyst Qilu Branch製の工業製品であり、SiO2含有量は28.9重量%、及びNa2O含有量は8.9%であった。
【0225】
カオリンはSuzhou Kaolin Company製の接触分解触媒専用のカオリンであり、固形分は78重量%であった。
【0226】
レクトライトはHubei Zhongxiang Mingliu Rectorite Development CoLtd製で、石英砂含有量は<3.5重量%、Al2O3含有量は39.0重量%、Na2O含有量は0.03重量%、及び固形分は77重量%であった。
【0227】
SB:Al2O3含有量が75重量%である、Condex Corporation(ドイツ)製の水酸化アルミニウム粉末。
【0228】
Al2O3含有量が95重量%である、Condex Corporation(ドイツ)製造のガンマ-アルミナ。
【0229】
36~38重量%濃度である、化学的に純粋な、Beijing Chemical Plant製の塩酸。
【0230】
PSRY分子ふるいはSinopec Catalyst Changling Branch製の工業製品であり、Na2O含有量は<1.5重量%、P2O5含有量は0.8~1.2重量%、単位セル定数は<2.456nm、結晶化度は≧64%以上であった。
【0231】
HRY-1市販分子ふるいはSinopec Catalyst Changling Branch製の工業製品であり、La2O3含有量は11~13重量%、単位セル定数<2.464nm、及び結晶化度は≧40%であった。
【0232】
本発明の実施例に使用される器具及び試薬はすべて、特に断らない限り、当業者によって一般的に使用されるものである。
【0233】
実施例1A
実施例1Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。実施例1Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例1Aは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0234】
リン酸水素二アンモニウム18.5gを脱イオン水60gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい(Sinopec Catalyst CompanyのQilu Branchより提供、相対結晶化度88.6%、シリカ/アルミナモル比は20.8、Na2O含有量は0.017重量%、比表面積は373m2/g、全細孔容積は0.256ml/g、メソ細孔容積は0.119ml/g、平均細孔直径は5.8nm、以下同様)108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、450℃、0.4MPa、60%水蒸気で0.5時間処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-1Aと表記される。
【0235】
実施例1B
実施例1Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例1Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例1Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0236】
リン酸水素二アンモニウム、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例1Aと同じであった。スラリーを100℃に加熱し、2h維持して、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-1Bと表記される。
【0237】
比較例1A
比較例1Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0238】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で3h焼成を行ったこと以外は実施例1Aと同一であった。得られた試料はDZ-1Aと表記される。
【0239】
比較例1B
比較例1Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例1Aと同一であった。得られた試料はDZ-1Bと表記される。
【0240】
PZ-1A、PZ-1B、DZ-1A及びDZ-1Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0241】
PZ-1A、PZ-1B、DZ-1A及びDZ-1Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0242】
PZ-1A、PZ-1B及びDZ-1Aの27Al MAS-NMRスペクトルを、それぞれ
図1、
図3及び
図4に示した。DZ-1Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じの特性を有していた。各図から、異なる処理条件がリン及び骨格アルミニウムの配位度に大きな影響を及ぼし、54ppmでの化学シフトは4配位骨格アルミニウムに起因し、39ppmでの特徴的なピークは、リン安定化され、リン及びアルミニウムの組み合わせを有する4配位骨格アルミニウムに起因することが分かった。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0243】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-1A及びDZ-1AのNH3-TPDスペクトルを、それぞれ
図2及び
図5に示しており、また、PZ-1B及びDZ-1BのNH3-TPDスペクトルは、それぞれ
図2及び
図5のそれと同じ特徴を有しており;200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合を表4に示した。
【0244】
実施例2A
実施例2Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例2Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例2Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0245】
リン酸水素二アンモニウム18.5gを脱イオン水120gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、600℃、0.4MPa、50%水蒸気で2時間処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-2Aと表記される。
【0246】
実施例2B
実施例2Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例2Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例2Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0247】
リン酸水素二アンモニウム、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例2Aと同じであった。スラリーを70℃に加熱し、2h維持して、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-2Bと表記される。
【0248】
比較例2A
比較例2Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0249】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例2Aと同一であった。得られた試料はDZ-2Aと表記される。
【0250】
比較例2B
比較例2Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0251】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例2Aと同一であった。得られた試料はDZ-2Bと表記される。
【0252】
PZ-2A、PZ-2B、DZ-2A及びDZ-2Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0253】
PZ-2A、PZ-2B、DZ-2A及びDZ-2Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0254】
PZ-2A及びPZ-2Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-2A及びDZ-2Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0255】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-2A及びPZ-2BのNH3-TPDスペクトルは、
図2のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-2A及びDZ-2BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合を表4に示した。
【0256】
実施例3A
実施例3Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例3Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例3Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0257】
リン酸11.8gを常温で脱イオン水60gに溶解し、2h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で4時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、430℃、0.4MPa、100%水蒸気で2h処理することにより、リン修飾階層的ZSM-5分子ふるいが得られた。これはPZ-3Aと表記される。
【0258】
実施例3B
実施例3Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例3Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例3Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0259】
リンを含む水溶液と80℃に加熱した水素型の階層的ZSM-5分子ふるいとを80℃で4時間混合することによる接触により階層的ZSM-5分子ふるいを製造した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例3Aと同じであった。当該分子ふるいはPZ-3Bと表記される。
【0260】
比較例3A
比較例3Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0261】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例3Aと同一であった。得られた試料はDZ-3Aと表記される。
【0262】
比較例3B
比較例3Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0263】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例3Aと同一であった。得られた試料はDZ-3Bと表記される。
【0264】
PZ-3A、PZ-3B、DZ-3A及びDZ-3Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0265】
PZ-3A、PZ-3B、DZ-3A及びDZ-3Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0266】
PZ-3A及びPZ-3Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-3A及びDZ-3Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0267】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-3A及びPZ-3BのNH3-TPDスペクトルは、
図3のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-3A及びDZ-3BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0268】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-3A、PZ-3B、DZ-3A及びDZ-3BのNH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合を表4に示した。
【0269】
実施例4A
実施例4Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例4Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例4Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0270】
リン酸水素二アンモニウム9.3gを常温で脱イオン水120gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、350℃、0.2MPa、100%水蒸気で2h処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-4Aと表記される。
【0271】
実施例4B
実施例4Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例4Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例4Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0272】
リン酸水素二アンモニウム、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料及び組成は実施例4Aと同じであった。スラリーを70℃に加熱し、2h維持して、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-4Bと表記される。
【0273】
比較例4A
比較例4Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0274】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例1Aと同一であった。得られた試料はDZ-4Aと表記される。
【0275】
比較例4B
比較例4Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0276】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例1Aと同一であった。得られた試料はDZ-4Bと表記される。
【0277】
PZ-4A、PZ-4B、DZ-4A及びDZ-4Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0278】
PZ-4A、PZ-4B、DZ-4A及びDZ-4Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0279】
PZ-4A及びPZ-4Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-4A及びDZ-4Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0280】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-4A及びPZ-4BのNH3-TPDスペクトルは、
図2のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-4A及びDZ-4BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表4に示した。
【0281】
実施例5A
実施例5Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例5Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例5Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0282】
リン酸トリメチル9.7gを90℃で脱イオン水90gに溶解し、1h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で8時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、500℃、0.6MPa、40%水蒸気で4h加圧水熱焼成処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-5Aと表記される。
【0283】
実施例5B
実施例5Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例5Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例5Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0284】
リン酸トリメチル、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例5Aと同じであった。スラリーを120℃に加熱し、8h維持して、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-5Bと表記される。
【0285】
比較例5A
比較例5Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0286】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例5Aと同一であった。得られた試料はDZ-5Aと表記される。
【0287】
比較例5B
比較例5Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0288】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例5Aと同一であった。得られた試料はDZ-5Bと表記される。
【0289】
PZ-5A、PZ-5B、DZ-5A及びDZ-5Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0290】
PZ-5A、PZ-5B、DZ-5A及びDZ-5Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0291】
PZ-5A及びPZ-5Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-5A及びDZ-5Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0292】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-5A及びPZ-5BのNH3-TPDスペクトルは、
図2のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-5A及びDZ-5BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表4に示した。
【0293】
実施例6A
実施例6Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例6Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例6Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0294】
リン酸ホウ素13.2gを100℃で脱イオン水100gに溶解し、3h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、350℃、0.4MPa、60%水蒸気で4h加圧水熱焼成処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-6Aと表記される。
【0295】
実施例6B
実施例6Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例6Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例6Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0296】
リン酸ホウ素、水素型階層的ZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料及び組成は実施例6Aと同じであった。スラリーを150℃に加熱し、2h維持して、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-6Bと表記される。
【0297】
比較例6A
比較例6Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0298】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例6Aと同一であった。得られた試料はDZ-6Aと表記される。
【0299】
比較例6B
比較例6Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0300】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例6Aと同一であった。得られた試料はDZ-6Bと表記される。
【0301】
PZ-6A、PZ-6B、DZ-6A及びDZ-6Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0302】
PZ-6A、PZ-6B、DZ-6A及びDZ-6Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0303】
PZ-6A及びPZ-6Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-6A及びDZ-6Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0304】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-6A及びPZ-6BのNH3-TPDスペクトルは、
図2のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-6A及びDZ-6BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表4に示した。
【0305】
実施例7A
実施例7Aは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例7Aは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例7Aはまた、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示することができる。
【0306】
トリフェニルホスフィン16.3gを脱イオン水80gに溶解し、2h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そして水素型階層的ZSM-5分子ふるい108gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で4時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、600℃、1.0MPa、50%水蒸気で2h加圧水熱焼成処理することにより、リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-7Aと表記される。
【0307】
実施例7B
実施例7Bは、本発明のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例7Bは、本発明の分解助剤中のリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。実施例7Bは、本発明の分解触媒に使用されるリン含有階層的ZSM-5分子ふるい及びその製造方法もまた例示することができる。
【0308】
リンを含む水溶液と80℃に加熱した水素型の階層的ZSM-5分子ふるいとを80℃で4時間混合することによる接触により階層的ZSM-5分子ふるい試料を製造した以外は、材料及び組成は実施例7Aと同じであった。当該分子ふるいはPZ-7Bと表記される。
【0309】
比較例7A
比較例7Aは、現行の工業従来法及び得られるリン含有階層的ZSM-5比較試料を例示した。
【0310】
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で2h焼成を行ったこと以外は実施例7Aと同一であった。得られた試料はDZ-7Aと表記される。
【0311】
比較例7B
比較例7Bは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン含有階層的ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0312】
リン含有ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例7Aと同一であった。得られた試料はDZ-7Bと表記される。
【0313】
PZ-7A、PZ-7B、DZ-7A及びDZ-7Bの表面XPS元素分析データを表1に示した。
【0314】
PZ-7A、PZ-7B、DZ-7A及びDZ-7Bの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度及びBET細孔パラメータを表2に示した。
【0315】
PZ-7A及びPZ-7Bの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図1及び
図3のそれと同じ特徴を有していた。DZ-7A及びDZ-7Bの27Al MAS-NMRスペクトルは
図4のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表3に示した。
【0316】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-7A及びPZ-7BのNH3-TPDスペクトルは、
図2のそれと同じ特徴を有しており、また、DZ-7A及びDZ-7BのNH3-TPDスペクトルは、
図5のそれと同じ特徴を有しており、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表4に示した。
【0317】
マイクロ反応評価
マイクロ反応評価条件:分子ふるい負荷量は2g、原料油はn-テトラデカン、原料油量は1.56g、反応温度は550℃、再生温度は600℃であった(以下同様)。
【0318】
PZ-1A、PZ-1B、DZ-1A、及びDZ-1Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0319】
PZ-2A、PZ-2B、DZ-2A、及びDZ-2Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0320】
PZ-3A、PZ-3B、DZ-3A、及びDZ-3Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0321】
PZ-4A、PZ-4B、DZ-4A、及びDZ-4Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0322】
PZ-5A、PZ-5B、DZ-5A、及びDZ-5Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0323】
PZ-6A、PZ-6B、DZ-6A、及びDZ-6Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0324】
PZ-7A、PZ-7B、DZ-7A、及びDZ-7Bを、800℃、100%水蒸気での17時間の水熱エージング処理に供し、n-テトラデカンの分解を評価した。評価データを表5に示す。
【0325】
本発明のリン含有階層的ZSM‐5分子ふるいは、800℃、100%水蒸気での17hの水熱エージング処理した後、依然としてより高い結晶化度保持率を有することが、表2から分かった。本発明の結晶化度保持率は比較試料のそれより著しく高かった。結晶化保持率は6%、9%、11%、15%、14%、8%及び12%の高さ増加させることができ、水熱安定性が著しく改善されたことを示している。
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
実施例1C
実施例1Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例1Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例1Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0332】
リン酸水素二アンモニウム(Tianjin Guangfu Technology Development Co.,Ltd、分析純度、以下同じ)16.2gを脱イオン水60gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい(Qilu Branch of Sinopec Catalyst Companyより提供、相対結晶化度は91.1%、シリカ/アルミナモル比は24.1、NA2O含有量は0.039重量%、比表面積は353m2/g、全細孔容積は0.177ml/gであった。以下同じ)113gを添加した。浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、500℃、0.5MPa、50%水蒸気で0.5h処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-1Cと表記される。
【0333】
実施例1D
実施例1Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例1Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例1Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0334】
リン酸水素二アンモニウム、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例1Cと同じであった。スラリーを100℃に加熱し、2h維持して、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-1Dと表記される。
【0335】
比較例1C
比較例1Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0336】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例1Cと同一であった。得られた試料はDZ-1Cと表記される。
【0337】
比較例1D
比較例1Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0338】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例1Cと同一であった。得られた試料はDZ-1Dと表記される。
【0339】
PZ-1C、PZ-1D、DZ-1C及びDZ-1Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0340】
PZ-1C及びDZ-1Cの27Al MAS-NMRスペクトルを、それぞれ
図6及び
図8に示した。
【0341】
PZ-1D及びDZ-1Dの27Al MAS-NMRスペクトルを、それぞれ
図6及び
図8に示した。
【0342】
各図から、54ppmでの化学シフトは4配位骨格アルミニウムに起因し、39ppmでの化学シフトは、リン及びアルミニウムの組み合わせを有する4配位骨格アルミニウム(リン安定化アルミニウム骨格)に起因することが分かった。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0343】
PZ-1C、PZ-1D、DZ-1C及びDZ-1Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。
【0344】
800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後のPZ-1CのNH3-TPDスペクトルを
図7に示した。800℃、水蒸気100%での17hの水熱エージング処理後の比較試料DZ-1CのNH3-TPDスペクトルを
図9に示した。PZ-1C、PZ-1D、DZ-1C及びDZ-1DのNH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0345】
実施例2C
実施例2Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例2Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例2Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0346】
リン酸水素二アンモニウム16.2gを50℃で脱イオン水120gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、600℃、0.5MPa、30%水蒸気で2h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-2Cと表記される。
【0347】
実施例2D
実施例2Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例2Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例2Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0348】
リン酸水素二アンモニウム、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例2Cと同じであった。スラリーを70℃に加熱し、2h維持して、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-2Dと表記される。
【0349】
比較例2C
比較例2Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0350】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例2Cと同一であった。得られた試料はDZ-2Cと表記される。
【0351】
比較例2D
比較例2Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0352】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例2Cと同一であった。得られた試料はDZ-2Dと表記される。
【0353】
PZ-2C、PZ-2D、DZ-2C及びDZ-2Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0354】
PZ-2C及びPZ-2Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-2C及びDZ-2Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0355】
PZ-2C、PZ-2D、DZ-2C及びDZ-2Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0356】
実施例3C
実施例3Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例3Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例3Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0357】
リン酸10.4gを常温で脱イオン水60gに溶解し、2h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で4時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、400℃、0.3MPa、100%水蒸気で2h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるいが得られた。これはPZ-3Cと表記される。
【0358】
実施例3D
実施例3Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例3Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例3Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0359】
リン含有化合物の水溶液と80℃に加熱したHZSM-5分子ふるいとを80℃で4時間混合することによる接触によりリン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例3Cと同じであった。当該分子ふるいはPZ-3Dと表記される。
【0360】
比較例3C
比較例3Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0361】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例3Cと同一であった。得られた試料はDZ-3Cと表記される。
【0362】
比較例3D
比較例3Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0363】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例3Cと同一であった。得られた試料はDZ-3Dと表記される。
【0364】
PZ-3C、PZ-3D、DZ-3C及びDZ-3Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0365】
PZ-3C及びPZ-3Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-3C及びDZ-3Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0366】
PZ-3C、PZ-3D、DZ-3C及びDZ-3Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0367】
実施例4C
実施例4Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例4Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例4Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0368】
リン酸水素二アンモニウム8.1gを常温で脱イオン水120gに溶解し、0.5h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、300℃、0.4MPa、100%水蒸気で2h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料が得られた。これはPZ-4Cと表記される。
【0369】
実施例4D
実施例4Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例4Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例4Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0370】
リン酸水素二アンモニウム、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例4Cと同じであった。スラリーを90℃に加熱し、2h維持して、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-4Dと表記される。
【0371】
比較例4C
比較例4Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0372】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例4Cと同一であった。得られた試料はDZ-4Cと表記される。
【0373】
比較例4D
比較例4Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0374】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例4Cと同一であった。得られた試料はDZ-4Dと表記される。
【0375】
PZ-4C、PZ-4D、DZ-4C及びDZ-4Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0376】
PZ-4C及びPZ-4Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-4C及びDZ-4Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0377】
PZ-4C、PZ-4D、DZ-4C及びDZ-4Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0378】
実施例5C
実施例5Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例5Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例5Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0379】
リン酸トリメチル8.5gを90℃で脱イオン水80gに溶解し、1h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で8時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、500℃、0.8MPa、80%水蒸気で4h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるいが得られた。これはPZ-5Cと表記される。
【0380】
実施例5D
実施例5Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例5Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例5Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0381】
リン酸トリメチル、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例5Cと同じであった。スラリーを120℃に加熱し、8h維持して、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-5Dと表記される。
【0382】
比較例5C
比較例5Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0383】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例5Cと同一であった。得られた試料はDZ-5Cと表記される。
【0384】
比較例5D
比較例5Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0385】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例5Cと同一であった。得られた試料はDZ-5Dと表記される。
【0386】
PZ-5C、PZ-5D、DZ-5C及びDZ-5Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0387】
PZ-5C及びPZ-5Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-5C及びDZ-5Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、それぞれ
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0388】
PZ-5C、PZ-5D、DZ-5C及びDZ-5Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0389】
実施例6C
実施例6Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例6Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例6Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0390】
リン酸ホウ素11.6gを100℃で脱イオン水100gに溶解し、3h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で2時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、400℃、0.3MPa、100%水蒸気で4h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるいが得られた。これはPZ-6Cと表記される。
【0391】
実施例6D
実施例6Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例6Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例6Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0392】
リン酸ホウ素、HZSM-5分子ふるい及び水を激しく混合し、攪拌してスラリーを形成した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例6Cと同じであった。スラリーを150℃に加熱し、2h維持して、リン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した。これはPZ-6Dと表記される。
【0393】
比較例6C
比較例6Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0394】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例6Cと同一であった。得られた試料はDZ-6Cと表記される。
【0395】
比較例6D
比較例6Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0396】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例6Cと同一であった。得られた試料はDZ-6Dと表記される。
【0397】
PZ-6C、PZ-6D、DZ-6C及びDZ-6Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0398】
PZ-6C及びPZ-6Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-6C及びDZ-6Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0399】
PZ-6C、PZ-6D、DZ-6C及びDZ-6Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0400】
実施例7C
実施例7Cは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。実施例7Cは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。実施例7Cは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0401】
トリフェニルホスフィン14.2gを100℃で脱イオン水80gに溶解し、2h撹拌してリンを含む水溶液を得て、そしてHZSM-5分子ふるい113gを添加した。修飾のために浸漬法が用いられた。20℃で4時間浸漬した後、110℃のオーブンで乾燥し、外圧を加えて水を加え、600℃、1.0MPa、30%水蒸気で2h加圧水熱焼成処理することにより、リン修飾ZSM-5分子ふるいが得られた。これはPZ-7Cと表記される。
【0402】
実施例7D
実施例7Dは、本発明のリン修飾ZSM-5分子ふるい及びその製造方法を例示した。
【0403】
実施例7Dは、本発明の接触分解助剤に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0404】
実施例7Dは、本発明の触媒に使用されるリン修飾ZSM-5分子ふるいを例示した。
【0405】
リン含有化合物の水溶液と80℃に加熱したHZSM-5分子ふるいとを80℃で4時間混合することによる接触によりリン修飾ZSM-5分子ふるい試料を製造した以外は、材料、組成、乾燥及び焼成は実施例7Cと同じであった。当該分子ふるいはPZ-7Dと表記される。
【0406】
比較例7C
比較例7Cは、現行の工業従来法及び得られるリン修飾ZSM-5比較試料を例示した。
【0407】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、浸漬及び乾燥後の焼成の条件が常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件で、マッフル炉内550℃の空気中で焼成を行ったこと以外は実施例7Cと同一であった。得られた試料はDZ-7Cと表記される。
【0408】
比較例7D
比較例7Dは、常圧で水熱焼成することによって得られたリン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を例示した。
【0409】
リン修飾ZSM-5分子ふるい比較試料を製造するために、浸漬及び乾燥後の焼成の条件が常圧(ゲージ圧:0MPa)を含む焼成条件としたこと以外は実施例7Cと同一であった。得られた試料はDZ-7Dと表記される。
【0410】
PZ-7C、PZ-7D、DZ-7C及びDZ-7Dの800℃、100%水蒸気下での17時間の水熱エージング処理前後のXRD結晶化度データを表6に示した。
【0411】
PSZ-7及びPZ-7Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、
図6のそれと同じ特徴を有しており、DZ-7C及びDZ-7Dの27Al MAS-NMRスペクトルは、
図8のそれと同じ特徴を有していた。27Al MAS-NMRスペクトルのピーク面積比データを表7に示した。
【0412】
PZ-7C、PZ-7D、DZ-7C及びDZ-7Dの表面XPS元素分析データを表8に示した。NH3-TPDスペクトルにおいて、200℃以上の脱離温度について、全酸中心のピーク面積に対する強酸中心のピーク面積の割合のデータを表9に示した。
【0413】
本発明の方法により製造されたリン修飾ZSM‐5分子ふるいは、800℃、100%水蒸気での17hの水熱エージング処理した後、依然としてより高い結晶化度保持率を有することが、表6から分かった。本発明の結晶化度保持率は比較試料のそれより著しく高かった。結晶化保持率は少なくとも5%、4%、10%、15%、5%、10%及び8%増加させることができた。
【0414】
【0415】
【0416】
【0417】
【0418】
マイクロ反応評価
以下のマイクロ反応評価条件のもと、PZ-1C、PZ-1D、DZ-1C、DZ-1D、PZ-2C、PZ-2D、DZ-2C、DZ-2D、PZ-3C、PZ-3D、DZ-3C、DZ-3D、PZ-4C、PZ-4D、DZ-4C、DZ-4D、PZ-5C、PZ-5D、DZ-5C、DZ-5D、PZ-6C、PZ-6D、DZ-6C、DZ-6D、PZ-7C、PZ-7D、DZ-7C及びDZ-7Dについてn-テトラデカンの分解を評価した:
分子ふるい負荷量は2g、原料油はn-テトラデカン、原料油量は1.56g、反応温度は550℃、再生温度は600℃であった。評価データを表10に示す。
【0419】
【0420】
実施例8~11は、本発明の触媒に使用されるリン-アルミニウム無機結合剤を例示することができる。実施例8~11は、本発明の接触分解補助剤に使用されるリン-アルミニウム無機結合剤も例示することができる。
【0421】
実施例8
1.91kgの擬ベーマイト(Al2O3、1.19kgを含む)、0.56kgのカオリン(乾燥基準で0.5kg)及び3.27kgの脱カチオン水を激しく混合し、30分間撹拌してスラリーを形成し、5.37kgの濃リン酸(質量濃度85%)を撹拌しながらスラリーに添加した。リン酸の添加速度は、リン酸0.04kg/分/kgアルミナ源であった。混合物を70℃に加温し、次いでこの温度で45分間反応させて、リン-アルミニウム無機結合剤を生成した。物質組成を表11に示した。試料番号は結合剤1とした。
【0422】
実施例9
実施例8に従ってリン-アルミニウム無機結合剤を製造した。物質組成を表11に示した。試料番号は結合剤2、結合剤3、結合剤4とした。
【0423】
【0424】
以下の実施例は本発明の分解助剤を例示し、以下の比較例は比較接触分解助剤を例示した。
【0425】
実施例12A
実施例1Aで製造したリン含有階層的分子ふるいPZ-1A、カオリン及び擬ベーマイトを取り、脱カチオン水及びアルミナゾルを加えた。混合物を激しく混合し、120分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。塩酸を加えてスラリーのpHを3.0に調整した後、激しく混合し、撹拌を45分間続けた。次に、リン-アルミニウム無機結合剤として、実施例8で製造した結合剤1を加え、混合物を30分間撹拌した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、マイクロスフェアを製造した。マイクロスフェアを500℃で1時間焼成して、分解補助試料を生成した。これはPA-1Aと表記され、次の組成を有していた:分子ふるい:50%、カオリン:23%、結合剤1:18%、擬ベーマイト(Al2O3として):5%、及びアルミナゾル(Al2O3として):4%。
【0426】
本開示で提供される接触分解助剤の接触分解反応作用を例示するために、固定床マイクロ反応器を用いて、100%平衡触媒、及び実施例12Aで製造した分解助剤PA-1Aが配合された平衡触媒の反応性能を評価した。
【0427】
助剤PA-1Aを、800℃、100%水蒸気雰囲気での17時間のエージング処理に供した。エージング処理したPA-1A及び工業用FCC平衡触媒(ブランド:DVR-3、63の軽油マイクロ活性(a light oil micro-activity))を10:90の比率で混合した。平衡触媒と補助剤との混合物を固定床マイクロ反応反応器に装填し、表12に示す原料油を接触分解させた。評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2であった。表13は、空試験例を含む、反応結果を提供する。
【0428】
実施例12B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例1Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-1Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-1Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0429】
比較例12A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はDA-1Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0430】
比較例12B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はDA-1Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0431】
実施例13A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例2Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-2Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-2Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0432】
実施例13B
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、実施例2Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-2Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例13Aと同じであった。得られた試料はPA-2Bと表記される。その評価は実施例13Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0433】
比較例13A
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、比較例2Aの比較試料DZ-2Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例13Aと同じであった。得られた試料はDA-2Aと表記される。その評価は実施例13Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0434】
比較例13B
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、比較例2Bの比較試料DZ-2Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例13Aと同じであった。得られた試料はDA-2Bと表記される。その評価は実施例13Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0435】
実施例14A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例3Aで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-3Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0436】
実施例14B
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、実施例3Bで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例14Aと同じであった。得られた試料はPA-3Bと表記される。その評価は実施例14Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0437】
比較例14A
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、比較例3Aの比較試料DZ-3Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例14Aと同じであった。得られた試料はDA-3Aと表記される。その評価は実施例13Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0438】
比較例14B
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、比較例3Bの比較試料DZ-3Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例14Aと同じであった。得られた試料はDA-3Bと表記される。その評価は実施例14Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0439】
実施例15A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例4Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-4Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-4Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0440】
実施例15B
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、実施例4Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-4Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例15Aと同じであった。得られた試料はPA-4Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0441】
比較例15A
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、比較例4Aの比較試料DZ-4Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例15Aと同じであった。得られた試料はDA-4Aと表記される。その評価は実施例15Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0442】
比較例15B
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、比較例4Bの比較試料DZ-4Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例15Aと同じであった。得られた試料はDA-4Bと表記される。その評価は実施例15Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0443】
実施例16A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例5Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-5Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-5Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0444】
実施例16B
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、実施例5Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-5Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例16Aと同じであった。得られた試料はPA-5Bと表記される。その評価は実施例16Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0445】
比較例16A
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、比較例5Aの比較試料DZ-5Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例16Aと同じであった。得られた試料はDA-5Aと表記される。その評価は実施例16Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0446】
比較例16B
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、比較例5Bの比較試料DZ-5Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例16Aと同じであった。得られた試料はDA-5Bと表記される。その評価は実施例16Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0447】
実施例17A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例6Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-6Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-6Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0448】
実施例17B
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、実施例6Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-6Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例17Aと同じであった。得られた試料はPA-6Bと表記される。その評価は実施例17Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0449】
比較例17A
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、比較例6Aの比較試料DZ-6Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例17Aと同じであった。得られた試料はDA-6Aと表記される。その評価は実施例17Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0450】
比較例17B
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、比較例6Bの比較試料DZ-6Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例17Aと同じであった。得られた試料はDA-6Bと表記される。その評価は実施例17Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0451】
実施例18A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例7Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-7Aに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた試料はPA-7Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0452】
実施例18B
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、実施例7Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-7Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例18Aと同じであった。得られた試料はPA-7Bと表記される。その評価は実施例18Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0453】
比較例18A
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、比較例7Aの比較試料DZ-7Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例18Aと同じであった。得られた試料はDA-7Aと表記される。その評価は実施例18Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0454】
比較例18B
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、比較例7Bの比較試料DZ-7Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例18Aと同じであった。得られた試料はDA-7Bと表記される。その評価は実施例18Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0455】
実施例19A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた助剤はPA-8Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0456】
実施例19B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Bと同じであった。得られた助剤はPA-8Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0457】
実施例20A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた助剤はPA-9Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0458】
実施例20B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Bと同じであった。得られた助剤はPA-9Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0459】
実施例21A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた助剤はPA-10Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0460】
実施例21B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例12Bと同じであった。得られた助剤はPA-10Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0461】
実施例22A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1A(45重量%)、カオリン(18重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤3(22重量%)、擬ベーマイト(10重量%)、アルミナゾル(5重量%)を用いて分解助剤を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた助剤はPA-11Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0462】
実施例22B
PZ-1AをPZ-1Bに置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例22Aと同じであった。得られた助剤はPA-11Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0463】
比較例22A
PZ-1AをDZ-1Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例22Aと同じであった。得られた試料はDA-11Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0464】
比較例22B
PZ-1Aを、DZ-1Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例22Aと同じであった。得られた試料はDA-11Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0465】
実施例23A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-2A(40重量%)、カオリン(24重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤4(20重量%)、擬ベーマイト(6重量%)、及びシリカゾル(10重量%)を用いて分解助剤を生成した以外は、実施例12Aと同じであった。得られた助剤はPA-12Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0466】
実施例23B
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-2Aを、PZ-2Bに置き換えて分解助剤を生成した以外は、実施例23Aと同じであった。得られた助剤はPA-12Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0467】
比較例23A
PZ-2Aを、DZ-2Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例23Aと同じであった。得られた試料はDA-12Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0468】
比較例23B
PZ-2Aを、DZ-2Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例23Aと同じであった。得られた試料はDA-12Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0469】
実施例24A
結合剤、アルミナゾルをカオリンと混合し、脱カチオン水を加えて、固形分30重量%のスラリーを形成した。スラリーを十分に撹拌し、塩酸でpH2.8に調整した。スラリーを55℃に置き1時間エージングさせた。次に、実施例1Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを加えて、固形分35重量%の触媒スラリーを形成した。スラリーを連続的に撹拌し、噴霧乾燥して、触媒マイクロスフェアを形成した。次いで、触媒マイクロスフェアを500℃で1時間焼成し、60℃にて硫酸アンモニウムで洗浄し(硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.5:1:10)、酸化ナトリウム含量を0.25重量%未満とし、続いて脱イオン水ですすぎ、濾過し、次いで110℃で乾燥して、触媒PA-13Aを生成した。その組成は、分子ふるい50%;カオリン23%;及びアルミナゾル(Al2O3として)27%を含んでいた。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0470】
実施例24B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例1Bで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-1Bに置き換えて分解助剤試料を生成した以外は、実施例24Aと同じであった。得られた試料はPA-13Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0471】
比較例24A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例24Aと同じであった。得られた試料はDA-13Aと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0472】
比較例24B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例24Aと同じであった。得られた試料はDA-13Bと表記される。その評価は実施例12Aのそれと同一であり、結果を表13に示す。
【0473】
【0474】
【0475】
以下の実施例は、本発明の分解触媒及びその製造について例示した。
【0476】
実施例25A
実施例1Aで製造したリン含有階層的分子ふるいPZ-1A、Yゼオライト(PSRYゼオライト)、カオリン及び擬ベーマイトを取り、脱カチオン水及びアルミナゾルを添加した。混合物を激しく混合し、120分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。塩酸を加えてスラリーのpHを3.0に調整した後、激しく混合し、撹拌を45分間続けた。次に、実施例8で製造したリン-アルミニウム無機結合剤である結合剤1を加え、混合物を30分間撹拌した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、マイウロスフェアを製造した。マイウロスフェアを500℃で1時間焼成して、本発明の接触分解触媒試料を生成した。得られた試料はPC-1Aと表記される。その組成は、リン修飾ZSM‐5分子ふるい、40%;PSRYゼオライト、10%;カオリン、18%;結合剤1、18%;擬ベーマイト(Al2O3として)、5%及びアルミナゾル(Al2O3として)、9%を含んでいた。接触分解反応作用を例示するために、固定床マイクロ反応器を用いて、100%平衡触媒、及び触媒PC-1Aが組み込まれた平衡触媒の反応性能を評価した。以下同様である。
【0477】
触媒PC-1Aを、800℃、100%水蒸気雰囲気での17時間のエージング処理に供した。エージング処理したPC-1A及び工業用FCC平衡触媒(ブランド:DVR-3、63の軽油マイクロ活性)を10:90の比率で混合した。平衡触媒と触媒との混合物を固定床マイクロ反応反応器に装填し、表12に示す原料油を接触分解させた。評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2であった。反応結果を表14に示す。
【0478】
実施例25B
リン修飾分子ふるいPZ-1Aを、実施例1Bで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-1Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-1Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0479】
比較例25A
リン修飾分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はDC-1Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0480】
比較例25B
リン修飾分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はDC-1Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0481】
実施例26A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例2Aで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Aに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-2Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0482】
実施例26B
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、実施例2Bで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Bに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例26Aと同じであった。得られた試料はPC-2Bと表記される。その評価は実施例26Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0483】
比較例26A
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、比較例2Aの比較試料DZ-2Aに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例26Aと同じであった。得られた試料はDC-2Aと表記される。その評価は実施例26Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0484】
比較例26B
リン含有階層的分子ふるいPZ-2Aを、比較例2Bの比較試料DZ-2Bに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例26Aと同じであった。得られた試料はDC-2Bと表記される。その評価は実施例26Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0485】
実施例27A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例3Aで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Aに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-3Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0486】
実施例27B
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、実施例3Bで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Bに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例27Aと同じであった。得られた試料はPC-3Bと表記される。その評価は実施例27Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0487】
比較例27A
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、比較例3Aの比較試料DZ-3Aに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例27Aと同じであった。得られた試料はDC-3Aと表記される。その評価は実施例27Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0488】
比較例27B
リン含有階層的分子ふるいPZ-3Aを、比較例3Bの比較試料DZ-3Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例27Aと同じであった。得られた試料はDC-3Bと表記される。その評価は実施例27Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0489】
実施例28A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例4Aで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-4Aに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-4Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0490】
実施例28B
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、実施例4Bで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-4Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例28Aと同じであった。得られた試料はPC-4Bと表記される。その評価は実施例28Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0491】
比較例28A
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、比較例4Aの比較試料DZ-4Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例28Aと同じであった。得られた試料はDC-4Aと表記される。その評価は実施例28Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0492】
比較例28B
リン含有階層的分子ふるいPZ-4Aを、比較例4Bの比較試料DZ-4Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例28Aと同じであった。得られた試料はDC-4Bと表記される。その評価は実施例28Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0493】
実施例29A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例5Aで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-5Aに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-5Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0494】
実施例29B
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、実施例5Bで製造されたPZ-5Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例29Aと同じであった。得られた試料はPC-5Bと表記される。その評価は実施例29Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0495】
比較例29A
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、比較例5Aの比較試料DZ-5Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例29Aと同じであった。得られた試料はDC-5Aと表記される。その評価は実施例29Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0496】
比較例29B
リン含有階層的分子ふるいPZ-5Aを、比較例2Bの比較試料DZ-5Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例29Aと同じであった。得られた試料はDC-5Bと表記される。その評価は実施例29Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0497】
実施例30A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例6Aで製造されたPZ-6Aに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-6Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0498】
実施例30B
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、実施例6Bで製造されたPZ-6Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例30Aと同じであった。得られた試料はPC-6Bと表記される。その評価は実施例30Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0499】
比較例30A
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、比較例6Aの比較試料DZ-6Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例30Aと同じであった。得られた試料はDC-6Aと表記される。その評価は実施例30Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0500】
比較例30B
リン含有階層的分子ふるいPZ-6Aを、比較例6Bの比較試料DZ-6Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例30Aと同じであった。得られた試料はDC-6Bと表記される。その評価は実施例30Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0501】
実施例31A
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、実施例7Aで製造されたPZ-7Aに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-7Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0502】
実施例31B
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、実施例7Bで製造されたPZ-7Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例31Aと同じであった。得られた試料はPC-7Bと表記される。その評価は実施例31Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0503】
比較例31A
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、比較例7Aの比較試料DZ-7Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例31Aと同じであった。得られた試料はDC-7Aと表記される。その評価は実施例31Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0504】
比較例31B
リン含有階層的分子ふるいPZ-7Aを、比較例7Bの比較試料DZ-7Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例31Aと同じであった。得られた試料はDC-7Bと表記される。その評価は実施例31Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0505】
実施例32A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-8Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0506】
実施例32B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Bと同じであった。得られた触媒はPC-8Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0507】
実施例33A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-9Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0508】
実施例33B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Bと同じであった。得られた助剤はPC-9Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0509】
実施例34A
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-10Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0510】
実施例34B
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Bと同じであった。得られた触媒はPC-10Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0511】
実施例35A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1A(35重量%)、PSRY(10重量%)カオリン(18重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤3(22重量%)、擬ベーマイト(10重量%)、及びアルミナゾル(5重量%)を用いて触媒を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-11Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0512】
実施例35B
PZ-1AをPZ-1Bに置き換えて触媒を生成した以外は、実施例35Aと同じであった。得られた触媒はPC-11Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0513】
比較例35A
PZ-1AをDZ-1Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例35Aと同じであった。得られた試料はDC-11Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0514】
比較例35B
PZ-1Aを、DZ-1Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例35Aと同じであった。得られた試料はDC-11Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0515】
実施例36A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料PZ-2A(30重量%)、PSRY(16重量%)、カオリン(22重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤4(16重量%)、擬ベーマイト(6重量%)、及びシリカゾル(10重量%)を用いて触媒を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-12Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0516】
実施例36B
PZ-2Aを、PZ-2Bに置き換えて触媒を生成した以外は、実施例36Aと同じであった。得られた触媒はPC-12Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0517】
比較例36A
PZ-2Aを、DZ-2Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例36Aと同じであった。得られた試料はDC-12Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0518】
比較例36B
PZ-2Aを、DZ-2Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例36Aと同じであった。得られた試料はDC-12Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0519】
実施例37A
結合剤、アルミナゾルをカオリンと混合し、脱カチオン水を加えて、固形分30重量%のスラリーを形成した。スラリーを十分に撹拌し、塩酸でpH2.8に調整した。スラリーを55℃に置き1時間エージングさせた。次に、実施例1Aで製造されたリン含有階層的分子ふるいPZ-1A及びYゼオライト(PSRY)を加えて、固形分35重量%の触媒スラリーを形成した。スラリーを連続的に撹拌し、噴霧乾燥して、触媒マイクロスフェアを形成した。次いで、触媒マイクロスフェアを500℃で1時間焼成し、60℃にて硫酸アンモニウムで洗浄し(硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.5:1:10)、酸化ナトリウム含量を0.25重量%未満とし、続いて脱イオン水ですすぎ、濾過し、次いで110℃で乾燥して、PC-13Aと表記する触媒を生成した。触媒組成は、リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1A、40%;PSRYゼオライト、10%;カオリン、25%;及びアルミナゾル(Al2O3として)、25%を含んでいた。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0520】
実施例37B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、PZ-1Bに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例37Aと同じであった。得られた試料はPC-13Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0521】
比較例37A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例37Aと同じであった。得られた試料はDC-13Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0522】
比較例37B
リン含有階層的分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例37Aと同じであった。得られた試料はDC-13Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0523】
実施例38A
YゼオライトをHRY-1として触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた触媒はPC-14Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0524】
実施例38B
YゼオライトをHRY-1として触媒試料を生成した以外は、実施例25Bと同じであった。得られた触媒はPC-14Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0525】
比較例38A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるい試料PZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例38Aと同じであった。得られた試料はDC-14Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0526】
比較例38B
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例38Aと同じであった。得られた試料はDC-14Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0527】
実施例39A
PSRYゼオライトをUSYに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Aと同じであった。得られた試料はPC-15Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0528】
実施例39B
PSRYゼオライトをUSYに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Bと同じであった。得られた触媒はPC-15Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0529】
比較例39A
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Aの比較試料DZ-1Aに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例39Aと同じであった。得られた試料はDC-15Aと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0530】
比較例39B
リン含有階層的ZSM-5分子ふるいPZ-1Aを、比較例1Bの比較試料DZ-1Bに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例39Aと同じであった。得られた試料はDC-15Bと表記される。その評価は実施例25Aのそれと同一であり、結果を表14に示す。
【0531】
【0532】
以下の実施例は本発明の接触分解助剤を例示し、以下の比較例は比較接触分解助剤を例示した。
【0533】
実施例12C
実施例1Cで製造したリン修飾分子ふるいPZ-1C、カオリン及び擬ベーマイトを取り、脱カチオン水及びアルミナゾルを添加した。混合物を激しく混合し、120分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。塩酸を加えてスラリーのpHを3.0に調整した後、激しく混合し、撹拌を45分間続けた。次に、実施例8で製造したリン-アルミニウム無機結合剤である結合剤1を加え、混合物を30分間撹拌した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、マイウロスフェアを製造した。マイウロスフェアを500℃で1時間焼成して、接触分解助剤試料を生成した。得られた試料はPA-1Cと表記される。その組成は、分子ふるい、50%;PSRYゼオライト、23%;結合剤1、18%;擬ベーマイト(Al2O3として)、5%及びアルミナゾル(Al2O3として)、4%を含んでいた。
【0534】
本開示にて提供される接触分解助剤の接触分解反応作用を例示するために、固定床マイクロ反応器を用いて、100%平衡触媒、及び実施例12Cが組み込まれた平衡触媒の反応性能を評価した。
【0535】
助剤PA-1Cを、800℃、100%水蒸気雰囲気での17時間のエージング処理に供した。エージング処理したPA-1C及び工業用FCC平衡触媒(ブランド:DVR-3、63の軽油マイクロ活性)を10:90の比率で混合した。平衡触媒と触媒との混合物を固定床マイクロ反応反応器に装填し、表12に示す原料油を接触分解させた。評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2であった。表15は、空試験剤を含む、反応結果を提供する。
【0536】
実施例12D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例1Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-1Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-1Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0537】
比較例12C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cの比較試料DZ-1Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はDA-1Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0538】
比較例12D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dの比較試料DZ-1Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はDA-1Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0539】
実施例13C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例2Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-2Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0540】
実施例13D
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、実施例2Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例13Cと同じであった。得られた試料はPA-2Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0541】
比較例13C
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、比較例2Cの比較試料DZ-2Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例13Cと同じであった。得られた試料はDA-2Cと表記される。その評価は実施例13Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0542】
比較例13D
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、比較例2Dの比較試料DZ-2Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例13Cと同じであった。得られた試料はDA-2Dと表記される。その評価は実施例13Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0543】
実施例14C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例3Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-3Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0544】
実施例14D
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、実施例3Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例14Cと同じであった。得られた試料はPA-3Dと表記される。その評価は実施例14Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0545】
比較例14C
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、比較例3Cの比較試料DZ-3Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例14Cと同じであった。得られた試料はDA-3Cと表記される。その評価は実施例14Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0546】
比較例14D
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、比較例3Dの比較試料DZ-3Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例14Cと同じであった。得られた試料はDA-3Dと表記される。その評価は実施例14Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0547】
実施例15C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例4Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-4Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-4Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0548】
実施例15D
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、実施例4Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-4Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例15Cと同じであった。得られた試料はPA-4Dと表記される。その評価は実施例15Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0549】
比較例15C
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、比較例2Cの比較試料DZ-4Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例15Cと同じであった。得られた試料はDA-4Cと表記される。その評価は実施例15Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0550】
比較例15D
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、比較例4Dの比較試料DZ-4Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例15Cと同じであった。得られた試料はDA-4Dと表記される。その評価は実施例15Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0551】
実施例16C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例5Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-5Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-5Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0552】
実施例16D
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、実施例5Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-5Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例16Cと同じであった。得られた試料はPA-5Dと表記される。その評価は実施例16Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0553】
比較例16C
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、比較例5Cの比較試料DZ-5Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例16Cと同じであった。得られた試料はDA-5Cと表記される。その評価は実施例16Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0554】
比較例16D
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、比較例5Dの比較試料DZ-5Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例16Cと同じであった。得られた試料はDA-5Dと表記される。その評価は実施例16Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0555】
実施例17C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例6Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-6Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-6Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0556】
実施例17D
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、実施例6Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-6Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例17Cと同じであった。得られた試料はPA-6Dと表記される。その評価は実施例17Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0557】
比較例17C
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、比較例6Cの比較試料DZ-6Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例17Cと同じであった。得られた試料はDA-6Cと表記される。その評価は実施例17Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0558】
比較例17D
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、比較例6Dの比較試料DZ-6Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例17Cと同じであった。得られた試料はDA-6Dと表記される。その評価は実施例17Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0559】
実施例18C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例7Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-7Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた試料はPA-7Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0560】
実施例18D
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、実施例7Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-7Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例18Cと同じであった。得られた試料はPA-7Dと表記される。その評価は実施例18Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0561】
比較例18C
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、比較例7Cの比較試料DZ-7Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例18Cと同じであった。得られた試料はDA-7Cと表記される。その評価は実施例18Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0562】
比較例18D
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、比較例7Dの比較試料DZ-7Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例18Cと同じであった。得られた試料はDA-7Dと表記される。その評価は実施例18Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0563】
実施例19C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた助剤はPA-8Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0564】
実施例19D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Dと同じであった。得られた試料はPA-8Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0565】
実施例20C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた助剤はPA-9Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0566】
実施例20D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Dと同じであった。得られた助剤はPA-9Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0567】
実施例21C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた助剤はPA-10Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0568】
実施例21D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Dと同じであった。得られた助剤はPA-10Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0569】
実施例22C
リン修飾ZSM-5分子ふるい試料PZ-1C(45重量%)、カオリン(18重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤3(22重量%)、擬ベーマイト(10重量%)、及びアルミナゾル(5重量%)を用いて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた助剤はPA-11Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0570】
実施例22D
PZ-1Cを、PZ-1Dに置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例22Cと同じであった。得られた助剤はPA-11Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0571】
比較例22C
PZ-1Cを、DZ-1Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例22Cと同じであった。得られた試料はDA-11Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0572】
比較例22D
PZ-1Cを、DZ-1Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例22Cと同じであった。得られた試料はDA-11Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0573】
実施例23C
リン修飾ZSM-5分子ふるい試料PZ-2C(40重量%)、カオリン(24重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤4(20重量%)、擬ベーマイト(6重量%)、及びシリカゾル(10重量%)を用いて接触分解助剤を生成した以外は、実施例12Cと同じであった。得られた助剤はPA-12Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0574】
実施例23D
PZ-2Cを、PZ-2Dに置き換えて接触分解助剤を生成した以外は、実施例23Cと同じであった。得られた助剤はPA-12Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0575】
比較例23C
PZ-2Cを、DZ-2Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例23Cと同じであった。得られた試料はDA-12Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0576】
比較例23D
PZ-2Cを、DZ-2Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例23Cと同じであった。得られた試料はDA-12Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0577】
実施例24C
結合剤、アルミナゾルをカオリンと混合し、脱カチオン水を加えて、固形分30重量%のスラリーを形成した。スラリーを十分に撹拌し、塩酸でpH2.8に調整した。スラリーを55℃に置き1時間エージングさせた。次に、実施例1Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-1Cを加えて、固形分35重量%の触媒スラリーを形成した。スラリーを連続的に撹拌し、噴霧乾燥して、触媒マイクロスフェアを形成した。次いで、触媒マイクロスフェアを500℃で1時間焼成し、60℃にて硫酸アンモニウムで洗浄し(硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.5:1:10)、酸化ナトリウム含量を0.25重量%未満とし、続いて脱イオン水ですすぎ、濾過し、次いで110℃で乾燥して、触媒PA-13Cを生成した。その組成は、分子ふるい、50%;カオリン、23%;及びアルミナゾル(Al2O3として)、27%を含んでいた。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0578】
実施例24D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例1Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-1Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例24Cと同じであった。得られた試料はPA-13Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0579】
比較例24C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cの比較試料DZ-1Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例24Cと同じであった。得られた試料はDA-13Cと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0580】
比較例24D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dの比較試料DZ-1Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例24Cと同じであった。得られた試料はDA-13Dと表記される。その評価は実施例12Cのそれと同一であり、結果を表15に示す。
【0581】
【0582】
以下の実施例は本発明の接触分解触媒を例示した。
【0583】
実施例25C
実施例1Cで製造したリン修飾分子ふるいPZ-1C、Yゼオライト(PSRYゼオライト)、カオリン及び擬ベーマイトを取り、脱カチオン水及びアルミナゾルを添加した。混合物を激しく混合し、120分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。塩酸を加えてスラリーのpHを3.0に調整した後、激しく混合し、撹拌を45分間続けた。次に、実施例8で製造したリン-アルミニウム無機結合剤である結合剤1を加え、混合物を30分間撹拌した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、マイウロスフェアを製造した。マイウロスフェアを500℃で1時間焼成して、本発明の接触分解助剤試料を生成した。得られた試料はPC-1Cと表記される。その組成は、リン修飾ZSM-5分子ふるい、40%;PSRYゼオライト、10%;カオリン、18%;結合剤1、18%;擬ベーマイト(Al2O3として)、5%及びアルミナゾル(Al2O3として)、9%を含んでいた。接触分解反応作用を例示するために、固定床マイクロ反応器を用いて、100%平衡触媒、及び触媒PC-1Cが組み込まれた平衡触媒の反応性能を評価した。
【0584】
触媒PC-1Cを、800℃、100%水蒸気雰囲気での17時間のエージング処理に供した。エージング処理したPC-1C及び工業用FCC平衡触媒(ブランド:DVR-3、63の軽油マイクロ活性)をそれぞれ10%及び90%の重量比率で混合した。平衡触媒と触媒との混合物を固定床マイクロ反応反応器に装填し、表12に示す原料油を接触分解させた。評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2であった。反応結果を表16に示す。
【0585】
実施例25D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例1Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-1Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-1Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0586】
比較例25C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cの比較試料DZ-1Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はDC-1Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0587】
比較例25D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dの比較試料DZ-1Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はDC-1Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0588】
実施例26C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例2Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-2Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0589】
実施例26D
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、実施例2Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-2Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例26Cと同じであった。得られた試料はPC-2Dと表記される。その評価は実施例26Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0590】
比較例26C
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、比較例2Cの比較試料DZ-2Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例26Cと同じであった。得られた試料はDC-2Cと表記される。その評価は実施例26Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0591】
比較例26D
リン修飾分子ふるいPZ-2Cを、比較例2Dの比較試料DZ-2Dに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例26Cと同じであった。得られた試料はDC-2Dと表記される。その評価は実施例26Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0592】
実施例27C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例3Cで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Cに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-3Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0593】
実施例27D
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、実施例3Dで製造されたリン修飾分子ふるいPZ-3Dに置き換えて接触分解助剤試料を生成した以外は、実施例27Cと同じであった。得られた試料はPC-3Dと表記される。その評価は実施例27Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0594】
比較例27C
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、比較例3Cの比較試料DZ-3Cに置き換えて接触分解助剤比較試料を生成した以外は、実施例27Cと同じであった。得られた試料はDC-3Cと表記される。その評価は実施例27Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0595】
比較例27D
リン修飾分子ふるいPZ-3Cを、比較例3Dの比較試料DZ-3Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例27Cと同じであった。得られた試料はDC-3Dと表記される。その評価は実施例27Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0596】
実施例28C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例4Cのリン修飾分子ふるいPZ-4Cに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-4Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0597】
実施例28D
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、実施例4Dのリン修飾分子ふるいPZ-4Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例28Cと同じであった。得られた試料はPC-4Dと表記される。その評価は実施例28Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0598】
比較例28C
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、比較例4Cの比較試料DZ-4Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例28Cと同じであった。得られた試料はDC-4Cと表記される。その評価は実施例28Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0599】
比較例28D
リン修飾分子ふるいPZ-4Cを、比較例4Dの比較試料DZ-4Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例28Cと同じであった。得られた試料はDC-4Dと表記される。その評価は実施例28Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0600】
実施例29C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例5Cのリン修飾分子ふるいPZ-5Cに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-5Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0601】
実施例29D
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、実施例5Dのリン修飾分子ふるいPZ-5Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例29Cと同じであった。得られた試料はPC-5Dと表記される。その評価は実施例29Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0602】
比較例29C
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、比較例5Cで製造された比較試料DZ-5Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例29Cと同じであった。得られた試料はDC-5Cと表記される。その評価は実施例29Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0603】
比較例29D
リン修飾分子ふるいPZ-5Cを、比較例5Dで製造された比較試料DZ-5Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例29Cと同じであった。得られた試料はDC-5Dと表記される。その評価は実施例29Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0604】
実施例30C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例6Cのリン修飾分子ふるいPZ-6Cに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-6Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0605】
実施例30D
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、実施例6Dのリン修飾分子ふるいPZ-6Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例30Cと同じであった。得られた試料はPC-6Dと表記される。その評価は実施例30Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0606】
比較例30C
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、比較例6Cで製造された比較試料DZ-6Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例30Cと同じであった。得られた試料はDC-6Cと表記される。その評価は実施例30Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0607】
比較例30D
リン修飾分子ふるいPZ-6Cを、比較例6Dで製造された比較試料DZ-6Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例30Cと同じであった。得られた試料はDC-6Dと表記される。その評価は実施例30Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0608】
実施例31C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例7Cのリン修飾分子ふるいPZ-7Cに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-7Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0609】
実施例31D
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、実施例7Dのリン修飾分子ふるいPZ-7Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例31Cと同じであった。得られた試料はPC-7Dと表記される。その評価は実施例31Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0610】
比較例31C
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、比較例7Cで製造された比較試料DZ-7Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例31Cと同じであった。得られた試料はDC-7Cと表記される。その評価は実施例31Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0611】
比較例31D
リン修飾分子ふるいPZ-7Cを、比較例7Dで製造された比較試料DZ-7Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例31Cと同じであった。得られた試料はDC-7Dと表記される。その評価は実施例31Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0612】
実施例32C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-8Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0613】
実施例32D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例9で製造された結合剤2に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Dと同じであった。得られた試料はPC-8Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0614】
実施例33C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-9Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0615】
実施例33D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例10で製造された結合剤3に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Dと同じであった。得られた試料はPC-9Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0616】
実施例34C
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-10Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0617】
実施例34D
リン-アルミニウム無機結合剤を、実施例11で製造された結合剤4に置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Dと同じであった。得られた試料はPC-10Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0618】
実施例35C
リン修飾ZSM-5分子ふるい試料PZ-1C(35重量%)、PSRY(10重量%)、カオリン(18重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤3(22重量%)、擬ベーマイト(10重量%)、及びアルミナゾル(5重量%)を用いて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-11Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0619】
実施例35D
PZ-1Cを、PZ-1Dに置き換えて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-11Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0620】
比較例35C
PZ-1Cを、DZ-1Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例35Cと同じであった。得られた試料はDC-11Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0621】
比較例35D
PZ-1Cを、DZ-1Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例35Cと同じであった。得られた試料はDC-11Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0622】
実施例36C
リン修飾ZSM-5分子ふるい試料PZ-2C(30重量%)、PSRY(16重量%)、カオリン(22重量%)、リン-アルミニウム無機結合剤である結合剤4(16重量%)、擬ベーマイト(6重量%)、及びシリカゾル(10重量%)を用いて触媒を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた触媒はPC-12Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0623】
実施例36D
PZ-2Cを、PZ-2Dに置き換えて触媒を生成した以外は、実施例36Cと同じであった。得られた触媒はPC-12Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0624】
比較例36C
PZ-2Cを、DZ-2Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例36Cと同じであった。得られた試料はDC-12Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0625】
比較例36D
PZ-2Cを、DZ-2Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例36Cと同じであった。得られた試料はDC-12Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0626】
実施例37C
結合剤、アルミナゾルをカオリンと混合し、脱カチオン水を加えて、固形分30重量%のスラリーを形成した。スラリーを十分に撹拌し、塩酸でpH2.8に調整した。スラリーを55℃に置き1時間エージングさせた。次に、実施例1Cで製造されたリン修飾ZSM-5分子ふるいPZ-1C及びYゼオライト(PSRY)を加えて、固形分35重量%の触媒スラリーを形成した。スラリーを連続的に撹拌し、噴霧乾燥して、触媒マイクロスフェアを形成した。次いで、触媒マイクロスフェアを500℃で1時間焼成し、60℃にて硫酸アンモニウムで洗浄し(硫酸アンモニウム:触媒マイクロスフェア:水=0.5:1:10)、酸化ナトリウム含量を0.25重量%未満とし、続いて脱イオン水ですすぎ、濾過し、次いで110℃で乾燥して、PC-13Cと表記される触媒を生成した。触媒組成は、リン修飾ZSM-5分子ふるいPZ-1C、40%;PSRYゼオライト、10%;カオリン、25%;及びアルミナゾル(Al2O3として)、25%を含んでいた。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0627】
実施例37D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、実施例1Dでのリン修飾分子ふるいPZ-1Dに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例37Cと同じであった。得られた試料はPC-13Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0628】
比較例37C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cで製造された比較試料DZ-1Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例37Cと同じであった。得られた試料はDC-13Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0629】
比較例37D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dで製造されたDZ-1Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例37Cと同じであった。得られた試料はDC-13Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0630】
実施例38C
Yゼオライト(PSRY)を、HRY-1に置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-14Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0631】
実施例38D
Yゼオライト(PSRY)を、HRY-1に置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Dと同じであった。得られた試料はPC-14Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0632】
比較例38C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cで製造された比較試料DZ-1Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例38Cと同じであった。得られた試料はDC-14Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0633】
比較例38D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dで製造された比較試料DZ-1Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例38Cと同じであった。得られた試料はDC-14Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0634】
実施例39C
Yゼオライト(PSRY)を、USYに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Cと同じであった。得られた試料はPC-15Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0635】
実施例39D
Yゼオライト(PSRY)を、USYに置き換えて触媒試料を生成した以外は、実施例25Dと同じであった。得られた試料はPC-15Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0636】
比較例39C
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Cで製造された比較試料DZ-1Cに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例39Cと同じであった。得られた試料はDC-15Cと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0637】
比較例39D
リン修飾分子ふるいPZ-1Cを、比較例1Dで製造された比較試料DZ-1Dに置き換えて触媒比較試料を生成した以外は、実施例39Cと同じであった。得られた試料はDC-15Dと表記される。その評価は実施例25Cのそれと同一であり、結果を表16に示す。
【0638】
【0639】
【0640】
実施例40A及び実施例40B
実施例40A及び実施例40Bにおいて、それぞれ実施例12A及び実施例12Bの分解助剤PA-1A及びPA-1Bが使用された。接触分解のための原料油は、表17に示されるナフサであった。
【0641】
評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2を含んでいた。
【0642】
接触分解助剤を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表18に示した。
【0643】
比較例40A及び比較例40B
それぞれ比較例12A及び比較例12Bの比較接触分解助剤DA-1A及びDA-1Bを使用した以外は実施例40Aと同じであった。
【0644】
接触分解助剤比較試料を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表18に示した。
【0645】
【0646】
実施例41A及び実施例41B
実施例41A及び実施例41Bにおいて、それぞれ実施例25A及び実施例25Bの触媒PC-1A及びPC-1Bが使用された。接触分解のための原料油は、表17に示されるナフサであった。
【0647】
評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2を含んでいた。
【0648】
接触分解助剤を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表19に示した。
【0649】
比較例41A及び比較例41B
それぞれ比較例25A及び比較例25Bの比較触媒DC-1A及びDC-1Bを使用した以外は実施例41Aと同じであった。
【0650】
接触分解助剤比較試料を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表19に示した。
【0651】
【0652】
表19の評価結果は、異なる原料油の接触分解が行われたこと、及び、実施例における浸漬法で修飾されたリン修飾ZSM-5分子ふるいを含む触媒は、より多くの液化ガスを生成し、同時により低炭素のオレフィンを豊富に生成する優れた性能を示し、一方、比較例における浸漬法で修飾された分子ふるいを含む触媒は、液化ガス及びより低炭素のオレフィンにおける著しく低い収率を示したことを示した。
【0653】
実施例40C及び実施例40D
実施例40C及び実施例40Dにおいて、それぞれ実施例12C及び実施例12Dの接触分解助剤PA-1C及びPA-1Dが使用された。接触分解のための原料油は、表17に示されるナフサであった。
【0654】
評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2を含んでいた。
【0655】
接触分解助剤を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表20に示した。
【0656】
比較例40C及び比較例40D
それぞれ比較例12C及び比較例12Dの比較接触分解助剤DA-1C及びDA-1Dを使用した以外は実施例40Cと同じであった。
【0657】
接触分解助剤比較試料を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表20に示した。
【0658】
【0659】
実施例41C及び実施例41D
実施例41C及び実施例41Dにおいて、それぞれ実施例25C及び実施例25Dの触媒PC-1C及びPC-1Dが使用された。接触分解のための原料油は、表17に示されるナフサであった。
【0660】
評価条件は、反応温度620℃、再生温度620℃、触媒-油比3.2を含んでいた。
【0661】
接触分解助剤を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表19に示した。
【0662】
比較例41C及び比較例41D
それぞれ比較例25C及び比較例25Dの比較触媒DC-1C及びDC-1Dを使用した以外は実施例41Cと同じであった。
【0663】
接触分解助剤比較試料を含む各触媒混合物の重量組成及び反応結果を表21に示した。
【0664】
【0665】
表21の評価結果は、異なる原料油の接触分解が行われたこと、及び、実施例における浸漬法で修飾されたリン修飾ZSM-5分子ふるいを含む触媒は、より多くの液化ガスを生成し、同時により低炭素のオレフィンを豊富に生成する優れた性能を示し、一方、比較例における浸漬法で修飾された分子ふるいを含む触媒は、液化ガス及びより低炭素のオレフィンにおける著しく低い収率を示したことを示した。
【0666】
以上、本発明の実施形態について図面を用いて詳述した。しかしながら、本発明の実施形態は、上述の実施形態の具体的な詳細に限定されない。本発明の実施形態の技術的思想の範囲内で、様々な単純な変更が、本発明の実施形態の技術的解決手段に対してなされ得、これらの単純な修正はすべて、本発明の保護範囲に属する。
【0667】
また、上記の特定の実施形態に記載された種々の具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の好適な態様で組み合わせることができ、不必要な繰り返しを避けるために、本開示は、種々の可能な組み合わせを別個に記載していないことに留意すべきである。
【0668】
加えて、本発明の様々な実施形態の任意の組合せを行うことができ、本発明の思想に背かない限り、それは本発明の開示とみなされるべきである。
【国際調査報告】