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特表2023-523570全血を扱うための自動サンプリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】全血を扱うための自動サンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230530BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20230530BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20230530BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
G01N35/10 A
G01N1/38
G01N1/28 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562535
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021059425
(87)【国際公開番号】W WO2021209378
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】20170158.8
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】304043936
【氏名又は名称】ビオメリュー
【氏名又は名称原語表記】BIOMERIEUX
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラスコ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シアルパリーニ, レディ
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】デュプレ-カルエル, ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ, ヴェロニカ
(72)【発明者】
【氏名】サネージ, アントニオ
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AB18
2G052AD06
2G052AD26
2G052BA14
2G052CA18
2G052CA28
2G052CA33
2G052FB02
2G052FB09
2G052HA08
2G052HA18
2G052HC07
2G052HC33
2G058CC01
2G058EA02
2G058EA04
2G058ED35
2G058FA04
2G058GB03
2G058GB05
2G058GB06
2G058GE10
(57)【要約】
本発明の目的は、試験のために全血を扱うことを可能にする方法を提供することであり、前記全血は、前処理なしで患者から直接採取されて、さらなる分析のために採血管または使用準備済の他の容器に入れられる。この方法の目的は、白血球を損傷することなく、いかなる凝塊または凝集物も防止する、再現性があって自動化が可能な、全血の簡単な処理を可能にすることである。その上、本発明の目的は、検査されるいくつかのウェルの内部で、全血細胞の自動で再現性のあるピペット操作を可能にする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血管などの容器(2)の中に含有されている不均質な生体サンプル(3)の自動サンプリング方法(100)であって、
- チップ(62)を有する少なくとも1つのピペット(61)が備わっている少なくとも1つのピペット操作ユニット(6)と、前記ピペット操作ユニット(6)と協働し、これを制御する制御ユニット(7)とを備える装置(1)を用意するステップ(ステップ101)と、
- 前記装置(1)の内部に、前記不均質な生体サンプルを含有している容器(2)を装填するステップ(ステップ103)と、
- 前記装置(1)の内部で、前記不均質な生体サンプル(3)の自動均質化を開始するステップ(ステップ104)であって、前記均質化(104)が、
・前記ピペット(61)の前記チップ(62)を、前記容器(2)の中へ、前記不均質な生体サンプル(3)の表面の下の第1の所定の深さに沈めるサブステップ(104.1)と、
・前記ピペットに、前記不均質な生体サンプル(3)を吸引して前記容器(2)の中に分配するサイクルを複数回行わせるサブステップ(104.2)であって、各サイクルにおいて、前記ピペット(61)が、前記第1の所定の深さにおいて、前記不均質な生体サンプル(3)を前記チップ(62)の容積容量の全体に優先的に吸引し、次いで前記容器(2)の中に分配して戻し、前記ピペット(61)の前記チップ(62)の端が、複数の前記サイクルを通じて、前記不均質な生体サンプル(3)の前記表面の下の前記第1の所定の深さに保たれている、吸引して分配するサイクルを複数回行わせるサブステップ(104.2)と、
を含む、自動均質化を開始するステップ(ステップ104)と、
- 一旦、複数の前記サイクルが終了したら、所定の容量の不均質な生体サンプル(3)を、
・前記容器(2)から前記所定の容量の不均質な生体サンプル(3)を吸引する第1段階(106.1)であって、前記チップ(62)が前記第1の所定の深さに沈められている、第1段階(106.1)と、
・前記不均質な生体サンプル(3)を含有している前記容器(2)とは異なるウェル(5)の中に、以前に吸引された前記所定の容量を分配する第2段階(106.2)と、
によってサンプリングするステップ(ステップ106)と、
を含む、自動サンプリング方法(100)。
【請求項2】
均質化ステップ(104)中に、前記吸引が第1の所定の速度で実行され、前記分配が前記第1の所定の速度とは異なる第2の所定の速度で実行される、請求項1に記載の自動サンプリング方法。
【請求項3】
液位を追跡する少なくとも1つのステップ(105)であって、
- センサ(8)によって前記容器の中の前記サンプルの液体高さを検知すること(105.1)と、
- 前記制御ユニット(7)によって、前記液体高さ、吸引/分配される不均質な生体サンプル(3)の前記容量、ならびに/あるいは前記容器(2)の容量およびサイズを基に、前記チップ(62)の端を沈めるべき深さを理論的に判定し(105.2)、不均質な生体サンプル(3)を吸引して前記容器(2)の中へ分配することと、
- 均質化ステップ(104)および/またはサンプリングステップ(106)中に、前記容器(2)の中の前記チップ(62)の端の動きを監視して(105.3)、前記管の中の前記液体高さの変化を追うことと、
に存する、液位を追跡する少なくとも1つのステップ(105)を含む、請求項1または2に記載の自動サンプリング方法。
【請求項4】
液位を追跡する前記少なくとも1つのステップ(105)が、均質化ステップ(104)の吸引すること(104.2)および/または分配すること(104.2)の間に、ならびに/あるいはサンプリングステップ(106)の吸引段階(106.1)中に実行され得る、請求項3に記載の自動サンプリング方法。
【請求項5】
少なくとも1つの監視するステップ(107)であって、
- 少なくとも1つのセンサ(8)が、前記均質化ステップ(104)および/または前記サンプリングステップ(106)中に前記ピペット(61)の前記チップ(62)の端の中に生じる圧力または真空を検知するように構成され、および制御ユニット(7)に、検知された圧力または真空に対応する、少なくとも1つの圧力値を送る、好ましくはいくつかの圧力値を送るように構成される、検知するサブステップ(107.1)と、
- 前記制御ユニット(7)が、送られてきた前記少なくとも1つの圧力値と、特徴のあるサンプリング欠損を表す少なくとも1つの特徴的な圧力指標に対応する、前記制御ユニット(7)によってあらかじめ定められて前記制御ユニット(7)に組み込まれた圧力閾値とを比較する、比較するサブステップ(107.2)と、
- 前記制御ユニット(7)が、前記比較するサブステップ(107.2)を基に、前記均質化ステップ(104)または前記サンプリングステップ(106)に障害があるかどうかを判定するサブステップ(107.3)と、
を含む、少なくとも1つの監視するステップ(107)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法。
【請求項6】
それぞれの特徴的な圧力指標に対して、少なくとも1つの圧力閾値が対応する、請求項5に記載の自動サンプリング方法。
【請求項7】
前記検知するサブステップ(107.1)中に、前記制御ユニット(7)が、選択された特徴的な前記圧力指標を監視するアルゴリズムを実行する、請求項5または6に記載の自動サンプリング方法。
【請求項8】
前記監視するステップ(107)と並行して実行される前記吸引するステップ(104.2、106.1)または分配するステップ(104.2、106.2)によれば、選択されるいくつかの特徴的な圧力指標は吸引(104.2、106.1)中に生じるサンプリング欠損の特性と見なされ、他のいくつかは分配(104.2、106.2)中に生じるサンプリング欠損の特性と見なされ、他のいくつかは両方に関するものであり、監視するべき最善の特徴的な圧力指標は前記制御ユニット(7)が選択する、請求項5から7のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法。
【請求項9】
前記制御ユニット(7)は、サンプリングステップ(106)中に前記センサ(8)によって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値を超えたと判定すると、警報をトリガして、サンプリングステップ(106)を自動的に停止し(ステップ108)、また、サンプリングステップ(106)中に前記センサ(8)によって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値以下であると判定すると、前記自動サンプリング方法(100)が完了して達成された(ステップ109)と見なすまで前記サンプリングステップ(106)を継続する、請求項5から8のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法。
【請求項10】
前記監視するステップ(107)が、均質化ステップ(104)の吸引(104.2)中および/または均質化ステップ(104)の分配(104.2)中ならびに/あるいはサンプリングステップ(106)の吸引段階(106.1)中および/またはサンプリングステップ(106)の分配段階(106.2)中に実行される、請求項5から9のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法。
【請求項11】
前記制御ユニット(7)が、前記自動サンプリング方法(100)の識別されたステップ(104、106)を再試行することに存する再試行モード(200)を命令するように構成されており、前記ステップ(104、106)が、測定された圧力値が少なくとも1つの判定された圧力閾値と一致することを理由として、前記制御ユニット(7)によって障害を起こしたと判定されると、前記制御ユニット(7)によって識別される、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法。
【請求項12】
前記再試行モードにおいて吸引ステップ(104.2、106.1)が再試行される場合には、ピペット(61)の前記チップ(62)が、前記不均質な生体サンプル(3)の中へ、第2の判定された深さに沈められ、前記チップ(62)が前記均質化ステップ(104)の吸引(104.2)または前記サンプリングステップ(106)の吸引段階(106.1)のために沈められる前記第1の所定の深さよりも、前記第2の所定の深さの方が深い、請求項11に記載の自動サンプリング方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法(100)を実行するように構成された装置(1)であって、少なくとも、
- たとえば、たとえば全血サンプルといった不均質な生体サンプル(3)を含有している採血管といった容器(2)を装填された第1のワークステーション(11)と、
- 所定の容量の前記不均質な生体サンプル(3)を受け入れるように構成され、前記容器(2)とは異なる少なくとも1つのウェル(5)を装填された、第2のワークステーション(12)と、
- チップ(62)が装備されているピペット(61)を備える少なくとも1つのピペット操作ユニット(6)であって、前記ピペット(61)が、前記装置(1)の内部で前記少なくとも2つのワークステーション(11、12)の間を移動するように構成されている、少なくとも1つのピペット操作ユニット(6)と、
- 前記ピペット操作ユニット(6)と協働し、これを制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(7)と、
を備える装置(1)。
【請求項14】
たとえば全血サンプルといった不均質な生体サンプル(3)の中の検体を検知し、かつ/または定量化するための方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法(100)が実施され、前記検知および/または定量化の方法は、前記自動サンプリング方法(100)を実行するように構成された請求項13に記載の装置(1)によって実行される、検体を検知し、かつ/または定量化するための方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法における結核インターフェロンγ遊離試験においてインターフェロン(IFN-y)を定量化することを可能にするための、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動サンプリング方法(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全血などの不均質な生体サンプルを扱うための自動サンプリング方法に関する。より詳細には、本発明の自動サンプリング方法は、不均質な生体サンプルをサンプリングすることと、前記生体サンプルをさらなる分析のために均質化した後に、再現性のあるやり方で分配することとを可能にし、したがって、自動装置で処理する前のサンプルの状況および状態を標準化するものである。
【0002】
本発明による自動サンプリング方法は、好ましくは、生体サンプルにおける少なくとも1つの検体の生体外の検知および/または定量化のための装置において実施され得る。本発明は、臨床現場における生体外の診断のために自動化された装置において使用され得る。
【0003】
たとえば、本発明は、患者の全血セルを、結核菌桿菌を模倣する刺激ペプチドと接触させることによる手動の刺激過程に存する、既知の試験(インターフェロンγ遊離試験)に適用され得るものである。病原体との予備的な接触の場合には、患者の血液の白血球が、37℃における16~24時間の潜伏期中にインターフェロンγの分泌を誘発することになる。刺激細胞の沈澱後に、試験の最後のステップは、解放されたインターフェロンγ(IFN-γ)を検査することに存する。
【0004】
それにもかかわらず、本発明は、沈殿する傾向があってさらなる分析の前に均質化が必要な全血または不均質な生体サンプルを扱わなければならない、あらゆる試験に関するあらゆる分野に適用され得るものである。
【背景技術】
【0005】
分析のために全血または不均質な生体サンプルを扱う際の主要な課題は、サンプルには沈殿する傾向があることである。血漿ならびに赤血球、白血球および血小板などの固形成分を含有している全血の沈澱中に、採血管の底に赤血球のデカンテーションがあり、白血球が血漿と赤血球との間の境界に上昇する。したがって、特に、最初の管が長い間待機して沈澱が始まる場合には、均質化しないと、いくつかの血液吸込みの間で、サンプル吸込みの深さに依拠して白血球の容量が異なるというリスクがあるので、全血をサンプリングしようとするなら、均質化が必須である。血液の沈澱は、ヘマトクリット値などの患者血液の特性に依拠して非常に速くなったり遅くなったりするので、要素の再懸濁に対応する均質化が特に大切である。なおまた、全血管理は、通常は最初の管から血漿を得ることを指すが、たとえばインターフェロンγを検査するためのいくつかの試験については、細胞の、主に白血球の損傷を避ける必要があるので、白血球の量を維持するために、均質化は念入りに行う必要があり、再現性がなければならない。最後に、全血および他の不均質な生体サンプルは、(不均質性のために)扱うのが困難な液体の範疇に属し、その上、約数百マイクロリットルと少容量であって、特に自動化されたやり方での準備/事前処理もなく以前にそのように使用されたことはない、と考えることが必須である。
【0006】
本発明によれば、「チップ」という用語が使用され、これは、ピペット上に配置され、サンプルに接して、サンプルを吸引する/分配するために使用される任意の手段として理解されるべきであり、チップは、針もしくは管または同一の機能を有するよく似た任意の要素であり得、取外し可能であってもなくてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、試験のために全血を扱うことを可能にする方法を提供することであり、前記全血は、前処理なしで患者から直接採取されて、さらなる分析のために、採血管または使用準備済の他の容器に入れられる。この方法の目的は、白血球を損傷することなく、いかなる凝塊または凝集物も防止する、再現性があって自動化が可能な、全血の簡単な処理を可能にすることである。その上、本発明の目的は、検査されるいくつかのウェルの内部で、全血細胞の自動で再現性のあるピペット操作を可能にする。
【0008】
したがって、本発明は、採血管などの容器に含有されている不均質な生体サンプルの自動サンプリング方法に関し、前記自動サンプリング方法は、
- チップを有する少なくとも1つのピペットが備わっている少なくとも1つのピペット操作ユニットと、ピペット操作ユニットと協働し、これを制御する制御ユニットとを備える装置を用意するステップと、
- 不均質な生体サンプルを含有している容器を装置の内部に装填するステップと、
- 装置の内部で、前記不均質な生体サンプルの自動均質化を開始するステップであって、前記均質化が、
・ピペットのチップを、容器の中へ、不均質な生体サンプルの表面の下の第1の所定の深さに降下させるサブステップと、
・ピペットに、前記不均質な生体サンプルを吸引して容器の中に分配するサイクルを複数回行わせるサブステップであって、各サイクルにおいて、ピペットが、第1の所定の深さにおいて、生体サンプルをチップの容積容量の全体に優先的に吸引してから容器の中に戻し、ピペットのチップ端は、複数のサイクルを通じて、不均質な生体サンプルの表面の下の第1の所定の深さに保たれている、吸引して分配するサイクルを複数回行わせるサブステップとを含む、自動均質化を開始するステップと、
- 一旦、上記の複数のサイクルが終了したら、
・容器から所定の容量の不均質な生体サンプルを吸引する第1段階であって、チップが第1の所定の深さに沈められている、第1段階と、
・以前に吸引した所定の容量を、不均質な生体サンプルを含有している容器とは異なるウェルに分配する第2段階と、
によって、所定の容量の不均質な生体サンプルをサンプリングするステップと、
を含む。
【0009】
本発明の特徴のうちの1つによれば、不均質な生体サンプルは全血である。
【0010】
本発明による方法は、
- 容器の中で、不均質な生体サンプルの表面の下の第1の所定の深さにおいて吸引する/分配するサイクルにより、凝塊、凝集物、気泡、デカンテーションの影響が軽減されるか、さらには防止される、
- ピペットのチップ端を表面の下に保つことにより、均質なサンプルのみ吸引することが可能になる、
- 均質化ステップの複数のサイクルによって容器中に乱流帯が生じて、不均質な生体サンプルに存在する細胞を再懸濁させるとともに、凝集物をわきへ退けることが可能になる、
- サンプリング中に第1の所定の深さで吸引するステップにより、空気を含まない均質なサンプルのみ吸い込むことが保証され、均質なサンプルが、さらなる分析のためにウェルに分配される、
- 均質化ステップによってチップ端が濡れているので、滑り摩擦が最小になり、分配される容量の精度が向上する、
- 容器中で実行される、最適な速度および吸引と分配との間の最適な遅延を伴う最適な回数の均質化ステップにより、前記細胞の損傷なしで血球の再現性のある量の吸込みが可能になる、
といった多くの態様において非常に有利である。
【0011】
有利には、白血球の数に関する分配の再現性の実証は、いくつかのウェル間の赤血球に関するヘマトクリット値の比較測定によって実行される。ヘマトクリット値の比較測定は、吸引/分配サイクルの回数および速度、ならびに均質化ステップにおける吸引と分配との間の遅延を最適化するためにも使用される。
【0012】
本発明の特徴のうちの1つによれば、ピペットのチップは、均質化ステップ用とサンプリングステップ用とで同一のものである。
【0013】
本発明の特徴のうちの1つによれば、4mLの容器および300μLのチップ容量に関して、ピペット操作ユニットは、均質化ステップ中に吸引/分配のサイクルを好ましくは3~12回実行し、より好ましくは6~20回実行する。
【0014】
本発明の特徴のうちの1つによれば、均質化ステップは、不均質な生体サンプルの容器の前に位置するチップを有する、ピペット操作ユニットのピペットを装備するサブステップを含む。
【0015】
本発明の特徴のうちの1つによれば、均質化ステップ中に、血液細胞の損傷を防止することができる第1の所定の速度で吸引が実行される。本発明の特徴のうちの1つによれば、均質化中に、血液細胞の損傷を防止することができる第2の所定の速度で分配が実行される。好ましくは、第1の所定の速度と第2の所定の速度とは異なるものである。有利には、第1の所定の速度と第2の所定の速度とは無関係である。
【0016】
本発明の特徴のうちの1つによれば、ピペットのチップは、それぞれのサンプリングステップの後に交換または洗浄され、それによって、サンプリング条件を正確に制御して、別々のウェルにおけるいくつかのサンプリングについて外部条件を同一にすることを保証し、再現性がある正確な方法を保証することが可能になる。なおまた、チップの交換または洗浄によって、チップの汚染を防止することができる。
【0017】
あるいは、ピペットのチップは、いくつかのサンプリングステップに対して同一のものであり、次いで、満たすべき別のウェルが空であるときのみ、チップの汚染を防止するために交換または洗浄される。
【0018】
本発明の特徴のうちの1つによれば、この方法は、装置に容器を装填するステップに先立って、手動で容器を反転するステップを含む。手動の反転は、任意選択であって、均質化ステップを改善し得るものである。
【0019】
本発明の特徴のうちの1つによれば、サンプリングステップは、均質化ステップによって生成された乱流帯を利用するために、また、チップ端に向かって集中する凝集物は吸引しないように、均質化ステップの直後に実行される。
【0020】
本発明の特徴のうちの1つによれば、さらなる分析のためにウェルにおいて分配されるように吸引される不均質な生体サンプルの容量は、実行される分析のタイプの関数で変化し得、また、ピペットに装備するチップの容量の関数で変化し得る。たとえば、チップの容量は、200μL~400のμLでよく、より詳細には約300μLでよい。チップの容量および/またはサンプリングする容量が300μLを下回ると、それに応じて、サイクル数、速度および遅延を最適化して(恐らく増加して)適合させなければならないことに留意する必要がある。
【0021】
本発明の特徴のうちの1つによれば、サンプリングステップ中の吸引は、必要と判定された容量およびピペットのチップの容量に依拠して、1回または数回行われ得る。たとえば、全血のデカンテーションはかなり高速であり得、ピペット操作を1回で300μLにすれば、400μLを得るために200μLずつ2回吸い込むのと比較して、分析を開始する前に別々のピペット操作で吸い込む期間を短縮することができる。
【0022】
本発明の特徴のうちの1つによれば、自動サンプリング方法がさらに含む、液位追跡の少なくとも1つのステップは、
- 容器の中の不均質な生体サンプルの液体高さをセンサによって検知することと、
- 制御ユニットによって、前記液体高さ、吸引/分配される不均質な生体サンプルの容量、ならびに/あるいは容器の容量およびサイズを基に、第1の所定の深さを理論的に判定することと、
- 均質化ステップおよび/またはサンプリングステップ中に、容器の中のチップ端の動きを監視して、管の中の液体高さの変化を追うことと、
に存する。
【0023】
本発明の特徴のうちの1つによれば、容器の「サイズ」という用語は、直径および長さとして、主に直径として、理解されなければならない。
【0024】
本発明の特徴のうちの1つによれば、液位追跡の少なくとも1つのステップは、均質化ステップの吸引中および/または分配中に実行され得る。本発明の特徴のうちの1つによれば、不均質な生体サンプルは液体である。
【0025】
この構成によれば、均質化ステップの間、チップ端は、容器の中で、常に、不均質な液体の生体サンプルの表面の下に沈められ、生成された乱流帯をうまく利用して、均質化された液体を吸引して分配し、空気の吸引を防止する。なおまた、均質化ステップ中に、ピペットが不均質な生体サンプルの一部を吸引するとき、チップ端は、表面の下に保たれるように、前記サンプルのレベル下降/レベル上昇を追う。言い換えれば、ピペットがサンプルを吸引するとき、容器の中でサンプルのレベルが低下するので、チップ端は、容器の中の不均質な生体サンプルに、より深く沈み、ピペットが容器の中に不均質な生体サンプルを分配するとき、容器の中で不均質な生体サンプルのレベルが上昇し、チップ端は上昇して戻る。
【0026】
本発明の特徴のうちの1つによれば、液位追跡の少なくとも1つのステップは、サンプリングステップの吸引段階中に実行され得る。
【0027】
本発明の特徴のうちの1つによれば、自動サンプリング方法がさらに含む少なくとも1つの監視するステップは、
- 少なくとも1つのセンサが、均質化ステップまたはサンプリングステップ中にピペットのチップ端の中に生じる圧力または真空を検知するように構成され、および制御ユニットに、検知された圧力または真空に対応する、少なくとも1つの圧力値を送る、好ましくはいくつかの圧力値を送るように構成される、検知するサブステップと、
- 制御ユニットが、送られてきた少なくとも1つの圧力値と、特徴のあるサンプリング欠損を表す少なくとも1つの特徴的な圧力指標に対応する、制御ユニットによってあらかじめ定められて制御ユニットに組み込まれた圧力閾値とを比較する、比較するサブステップと、
- 制御ユニットが、比較するサブステップに基づいて、均質化ステップまたはサンプリングステップに障害があるかどうかを判定する、判定するサブステップと、
を含む。
【0028】
本発明の特徴のうちの1つによれば、監視するステップは、均質化ステップの吸引中、均質化ステップの分配中、サンプリングステップの吸引段階中、および/またはサンプリングステップの分配段階中に実行される。
【0029】
本発明の特徴のうちの1つによれば、好ましくは実行可能性テスト中に自動サンプル法を実行するために、圧力閾値は、あらかじめ判定されて制御ユニットに組み込まれている。
【0030】
本発明の特徴のうちの1つによれば、前記圧力閾値は、可能性のある複数の圧力指標から選択された少なくとも1つの特徴的な圧力指標に対応し、その選択はサンプリング欠損を表す前記圧力指標の感度に基づく。言い換えれば、選択された特徴的な圧力指標は、サンプリングステップ中または均質化ステップ中に生じて液体処理に影響を与える潜在的な障害であるサンプリング欠損を最もうまく表すものである。たとえば、サンプリング欠損は、凝塊、空気漏れ、凝集物、液膜、気泡、泡などであり得る。
【0031】
有利には、それぞれの特徴的な圧力指標に対して、少なくとも1つの圧力閾値が対応する。
【0032】
本発明の特徴のうちの1つによれば、均質化ステップ中に圧力測定用に使用されるセンサは、サンプリングステップ中に使用されるものと同一である。より詳細には、吸引中に圧力測定用に使用されるセンサは、分配中に使用されるものと同一である。
【0033】
本発明の特徴のうちの1つによれば、検知するサブステップ中に、制御ユニットは、選択された特徴的な圧力指標を監視するアルゴリズムを実行する。好ましくは、アルゴリズムは、選択された特徴的な圧力指標のうちいくつかのみを監視する。好ましくは、選択されたいくつかの特徴的な圧力指標は、吸引中に発生するサンプリング欠損の特性を考慮に入れたものであり、他のいくつかは分配中に発生するサンプリング欠損の特性を考慮に入れたものであり、他のいくつかは両方に関するものである。有利には、その間に監視するステップが実行される、吸引するステップまたは分配するステップによれば、制御ユニットは、監視するべき最善の特徴的な圧力指標を選択する。
【0034】
本発明の特徴の1つによれば、特徴的な圧力指標は、圧力値または制御ユニットに組み込まれたアルゴリズムによって計算された圧力値でよい。たとえば、特徴的な圧力指標は、吸引中の目詰まりに特有であり得る、吸引中に達する最大圧力である可能性があり、または、圧力値から計算されたスコアリング検算が、漏れ、空気吸込み、気泡および/または泡の特性になる可能性がある。
【0035】
本発明によれば、制御ユニットは、均質化ステップ中にセンサによって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値を超えたと判定すると警報をトリガし、均質化ステップは自動停止される。したがって、制御ユニットは、均質化ステップ中にセンサによって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値以下であると判定した場合には、均質化ステップのサイクルを最後まで継続してから、サンプリングステップをトリガする。
【0036】
本発明によれば、制御ユニットは、サンプリングステップ中にセンサによって測定された少なくとも1つの圧力値が、選択された特徴的な圧力指標のうち少なくとも1つに対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値を超えたと判定すると、警報をトリガし、サンプリングステップは自動停止される。したがって、制御ユニットは、サンプリングステップ中にセンサによって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値以下であると判定した場合には、自動サンプリング方法が完了して達成されたと見なされるまで、サンプリングステップを継続する。
【0037】
本発明の特徴のうちの1つによれば、制御ユニットは、自動サンプリング方法の識別されたステップを再試行する再試行モードを命令するように構成されており、前記ステップは、制御ユニットによって、測定された圧力値が少なくとも1つの判定された圧力閾値に対応することを理由として障害が起きたと判定された場合に識別されるものである。有利には、再試行モードは、方法のすべてを最初から実行することにおける時間損失の防止を可能にし、また、再試行モードは、実行される前にサンプルが分配して戻されるので、自動システムの生産性に関して、またサンプル容量を節約することにおいて、有利である。
【0038】
本発明では、指定された「識別されたステップ」は、均質化ステップ(吸引および/または分配)あるいはサンプリングステップの吸引段階であり得る。
【0039】
本発明の特徴のうちの1つによれば、再試行モードにおいて吸引ステップが再試行される場合には、ピペットのチップは、生体サンプルの中へ、均質化の吸引のため、またはサンプリングステップの吸引段階のためにチップが沈められる第1の所定の深さよりも深い第2の所定の深さに沈められる。この構成によって、容量の均質な吸込みを保証するように、以前のサンプルの扱いに悪影響を与える欠損が見つかったところとは異なるサンプル容器の領域においてチップを移動させることを防止することが可能になり、また、以前に吸い込まれた可能性のある凝塊/凝集物の吸引を防止することが可能になる。
【0040】
有利には、制御ユニットによって、第1の所定の深さを基に第2の所定の深さが判定される。
【0041】
本発明の特徴のうちの1つによれば、再試行モードでは、障害が起きたステップを再試行する前に、ピペットのチップが交換または洗浄される。
【0042】
本発明の特徴のうちの1つによれば、再試行モードは、監視するステップが均質化ステップおよび/またはサンプリングステップ中に使用したものと同一のサブステップを含む、少なくとも1つの監視するステップを含む。
【0043】
本発明の特徴のうちの1つによれば、再試行モードでは、サンプリングステップに障害が起きた場合には均質化ステップが繰り返され、チップ端を濡らしておくことができ、吸込みの精度を向上させることができる。あるいは、再試行モードでは、サンプリングステップに障害が起きた場合には細胞のさらなるストレスを防止するために、均質化ステップは繰り返されない。
【0044】
本発明の別の目的は、本発明による自動サンプリング方法を実行するように構成された装置であって、少なくとも、
- たとえば、たとえば全血サンプルといった不均質な生体サンプルを含有している採血管といった容器を装填された第1のワークステーションと、
- 所定の容量の不均質な生体サンプルを受け入れるように構成され、容器とは異なる少なくとも1つのウェルを装填された、第2のワークステーションと、
- チップが備わっているピペットであって、装置の内部で少なくとも2つのワークステーションの間を移動するように構成されたピペットを備える、少なくとも1つのピペット操作ユニットと、
- ピペット操作ユニットと協働し、ピペット操作ユニットを制御するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットと、
を備える装置である。
【0045】
本発明の特徴のうちの1つによれば、チップが取外し可能であるためチップを交換するのが容易であり、汚染を防止することができる。
【0046】
本発明の特徴のうちの1つによれば、チップは使い捨てであり得、自動サンプリング方法のステップ間の汚染を防止することができる。
【0047】
本発明の特徴のうちの1つによれば、ピペット操作ユニットは少なくとも1つのセンサを備え、このセンサは、ピペットのチップの中の圧力または真空を感知して監視するように構成され、ピペットの本体に優先的に配置されている。
【0048】
本発明の特徴のうちの1つによれば、少なくとも1つのセンサは圧力センサであり得る。
【0049】
本発明の特徴のうちの1つによれば、少なくとも1つのセンサはピペットの本体に配置される。
【0050】
有利には、センサは、容器の中の液体の存在および液位を検知するために、ピペット上のチップの保持を検知するように構成される。より詳細には、少なくとも1つのセンサが、凝塊、気泡、泡、膜、空気吸込みなどの点でも、吸引を制御するように構成される。
【0051】
具体的には、少なくとも1つのセンサが、突き入るステップ中に、フォイルに正確に突き入ることを検知することができる。
【0052】
本発明の特徴のうちの1つによれば、この装置は、本発明による自動サンプリング方法を含む検知および/または定量化の方法を実行するように構成される。
【0053】
本発明の特徴のうちの1つによれば、サンプル容器の内部壁はリチウムヘパリンでコーティングされている。有利には、ヘパリンは、特に臨床生化学や化学的測定の検査において一般に使用されている抗凝血剤である。ヘパリンは、そのキレート化特性が最小限であること、水との干渉が最小限であること、(および陽イオン濃度が比較的低いこと)により、血液の化学的測定または血漿検査のために推奨される抗凝血剤である。実際、抗凝血剤としても使用されるEDTA(Ethylenediaminetetraacetique)は、刺激を抑止するので、特定の試験では使用され得ない。
【0054】
本発明の別の目的は、たとえば全血サンプルといった不均質な生体サンプルの中の検体の検知および/または定量化のために、本発明による自動サンプリング方法を実施する方法であり、前記検知および/または定量化の方法は、本発明による自動サンプリング方法を実行するように構成された装置によって実行され、本発明による前記装置は、少なくとも、
- たとえば、たとえば全血サンプルといった不均質な生体サンプルを含有している採血管といった容器を装填された第1のワークステーションと、
- 所定の容量の不均質な生体サンプルを受け入れるように構成され、容器とは異なる少なくとも1つのウェルを装填された、第2のワークステーションと、
- チップが備わっているピペットであって、前記装置の中で少なくとも2つのワークステーションの間を移動するように構成されたピペットを備える、少なくとも1つのピペット操作ユニットと、
を備える。
【0055】
本発明の特徴のうちの1つによれば、検知および/または定量化の方法は、装置の内部の容器から吸引された不均質な生体サンプルの所定の容量を受け入れるように構成された少なくとも1つのウェルを備える少なくとも1つの支持体を装填する少なくとも1つのステップを含む。
【0056】
本発明の特徴のうちの1つによれば、検知および/または定量化の方法は、ピペットに第1のチップを装備する少なくとも1つのステップを含む。有利には、少なくとも1つのウェルが保護フォイルによって保護されている場合には、前記第1のチップは、少なくとも1つの支持体のウェル上に配置されている保護フォイルに突き入るように構成される。その場合、第1のチップが取外し可能であれば、均質化ステップの前に第1のチップが第2のチップで置換される。第1のチップが取外し可能でなければ、前記第1のチップは、その代わりに洗浄され得る。
【0057】
本発明の特徴のうちの1つによれば、支持体は細片であり、少なくとも1つのウェルを備え、好ましくは互いに隣接した複数のウェルを備える。
【0058】
本発明の特徴のうちの1つによれば、この方法は、装置の少なくとも1つのウェル上に配置された少なくとも1つの保護フォイルにピペットの第1のチップを突き入れる少なくとも1つのステップを含む。
【0059】
本発明の特徴のうちの1つによれば、検知および/または定量化の方法は、前記第1のチップを取り外してピペットに第2のチップを配置するステップをさらに含み、第2のチップは、自動サンプリング方法において、均質化ステップ中に使用されるように、またサンプリングステップのために使用されるように、構成されている。第1のチップは、保護フォイルへの突き入れと自動サンプリング方法との間に交換するのが有利である。実際、チップは、突き入れ中に損傷を受けたり変形したりしている可能性があり、自動サンプリング方法を通じて、吸引中に吸い込む血液または分配するサンプルの容量の精度が損なわれる恐れがある。あるいは、検知および/または定量化の方法は、自動サンプリング方法において均質化ステップ中に使用されるように、またサンプリングステップのために使用されるように構成される、前記第1のチップを洗浄するステップをさらに含む。
【0060】
本発明の特徴のうちの1つによれば、サンプリングステップの分配するサブステップは、第1のチップまたは第2のチップを交換することなく、支持体の空の専用ウェルの中へ実行される。
【0061】
本発明の特徴のうちの1つによれば、検知および/または定量化の方法は、
- ピペットから第2のチップを取り外して第3のチップを装備するか、または第1のチップを洗浄するステップと、
- 特殊なガラス瓶に含有されている刺激性試薬を吸引して、サンプリングされた不均質な生体サンプルを含有しているウェルの中へ分配するステップと、
をさらに含む。
【0062】
不均質な生体サンプルのサンプリングは、刺激性試薬のピペット操作の前に実行される。全血サンプル専用の各ウェルが第1のチップによって既に開かれていて空であり、持越しは起こっていないので、こうすると、別々の支持体のウェルの中への別々の生体サンプルの分配の間で、チップについて同一条件を用いるという利点がある。
【0063】
検知および/または定量化の方法は、TB-IGRA試験(結核インターフェロンγ遊離試験)においてインターフェロン(IFN-y)を定量化するために使用され得る。この用途では、装置の内部に、ウェルが備わっている少なくとも3つの別々の支持体が装填される。各支持体は細片の形態でよく、好ましくはプラスチック製であって複数の隣接したウェルを含み、1つのウェルは全血サンプル専用である。
【0064】
本発明の別の目的は、本発明による方法における結核インターフェロンγ遊離試験においてインターフェロン(IFN-y)の定量化を可能にするための、本発明による自動サンプリング方法の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明による自動サンプリング方法の第1の実施形態を示す図である。
図2】本発明による自動サンプリング方法の第2の実施形態を示す図である。
図3】本発明による、全血サンプルの中の検体の検知および/定量化のための方法を示す図である。
図4】本発明による装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は、主に、不均質な生体サンプルの中の検体の検知および/定量化のための方法において実施されるように意図された、不均質な生体サンプルの自動サンプリング方法に関するものである。これらの方法のために、商標VIDAS(登録商標)の下で本出願人によって商品化されたものなどの装置が使用され得る。
【0067】
自動サンプリング方法は、血液収集の直後に実行され得、または先送りされ得、方法のステップにおけるわずかな差が実行されることになり、発明を実施するための形態において識別される。
【0068】
次に、図1および図2を参照しながら自動サンプリング方法を詳述する。
【0069】
本発明による自動サンプリング方法は、遠心分離または濾過などの前処理なしで不均質な生体サンプルを直接扱うために考えられたものである。
【0070】
この説明では、不均質な生体サンプルは全血サンプルである。
【0071】
自動サンプリング方法100は、少なくとも、図4において概略的に示された装置1を用意するステップ101を含む。前記装置1は、少なくとも、たとえば全血サンプルが優先する生体サンプル3を含有している採血管といった容器2を装填された第1のワークステーション11と、所定の容量のサンプル3を受け入れるように構成され、容器2とは異なる、少なくとも1つのウェル5を装填された、第2のワークステーション12と、を備える。本発明による装置1は、チップ62が装備されたピペット61を備える少なくとも1つのピペット操作ユニット6をさらに備え、ピペット6は、装置1の内部で、少なくとも2つのワークステーション11と12との間を移動するように構成されている。本発明によれば、装置1は、図4に示されるように、ピペット操作ユニット6を制御するように構成された制御ユニット7も備える。装置1には、ピペット61のチップ62の中の圧力または真空を感知して監視するように構成された、好ましくは圧力センサである少なくとも1つのセンサ8が、ピペット61の本体上にさらに配置されている。
【0072】
自動サンプリング方法100は、少なくとも、装置1の中に容器2を装填するステップ103を含む。装填するステップ103の前に、容器2の内側に塗布され得るコーティングされたリチウムヘパリンが全血サンプル3と効果的に接触することを少なくとも保証するために、手動の反転ステップ102を実行することが推奨される。別の実施形態では手動の反転を実行することができなかったので、手動の反転ステップ102は、図1および図2では点線で示されている。
【0073】
容器2を装填した(ステップ103)後に、均質化ステップ104が自動的に開始される。均質化ステップ104は、チップ62を、容器2の中の生体サンプル3へ、第1の所定の深さ(以下で説明される、液位を監視するステップ105の間に判定される)に沈めることに存する少なくとも第1のサブステップ104.1を含む。たとえば、第1の所定の深さは、300μLのチップの最大容量に関して第1の判定された深さの下で1.6mmm~15mmの間に含まれる。均質化ステップ104中に、チップ62の端が生体サンプル3の中に常に沈んでいることを保証するために、液位を追跡するステップ105が並行して実行される。
【0074】
均質化ステップ104の第1のサブステップ104.1中に、容器2の中の生体サンプル3の液体の高さをセンサ8によって検知することに存する、液位を追跡するステップ105のサブステップ105.1が実行される。
【0075】
チップ62が第1の所定の深さに達すると、制御ユニット7は、ピペット操作ユニット6に、容器2の中の生体サンプル3を吸引して分配するいくつかのサイクル(均質化ステップ104のサブステップ104.2)を開始するように命じる。吸引および分配のサイクル104.2中に、液位を追跡するステップ105のサブステップ105.2およびサブステップ105.3が実行され、サブステップ105.2は、制御ユニット7によって、少なくとも液体高さを基に、第1の所定の深さを理論的に判定することに存し、サブステップ105.3は、チップ62が、生体サンプル3の液位を追って移動して沈んだままであることを保証するために、制御ユニット7によって、容器2の中のチップ62の端の動きを監視することに存する。
【0076】
図1および図2に示されるように、液位を追跡するステップ105のうち少なくとも1つのステップは、均質化ステップ104のうちの吸引および/または分配104.2中に実行される。任意選択で、液位を追跡するステップ105のうち少なくとも1つは、サンプリングステップ106の吸引段階106.1中に実行される(図に点線で示されている)。
【0077】
サイクルが終了すると、制御ユニット7は、自動的に、ピペット操作ユニット6に対してサンプリングステップ106を直接命じる。サンプリングステップ106は、ピペット操作ユニット6が容器2から生体サンプル3の所定の容量を吸引する第1段階106.1と、以前に吸引した所定の容量を、容器2とは異なるウェル5の中に分配する第2段階106.2とに存し、ピペット61のチップ62は、均質化ステップ104のものやサンプリングステップ106のものと同一である。TB-IGRA試験の枠組みでは、生体サンプルは全血サンプルであって、吸引される前記全血サンプルの容量は各ウェル5につき約300μLであり、たとえば、この試験では、3つの別々の支持体(たとえば細片)に、300μLの全血サンプルを含有するように意図された3つのウェルがある。
【0078】
図1および図2に示されるように、自動サンプリング方法100がさらに含む少なくとも1つの監視するステップ107は、
- 少なくとも1つのセンサ8が、均質化ステップ104(点線を参照されたい)またはサンプリングステップ106中にピペット61のチップ62の端の中に生じる圧力または真空を検知するように構成され、および制御ユニット7に、検知された圧力または真空に対応する、少なくとも1つの圧力値を送る、好ましくはいくつかの圧力値を送るように構成される、検知するサブステップ107.1と、
- 自動サンプリング方法に先立って、制御ユニット7が、送られてきた少なくとも圧力値と、特徴のあるサンプリング欠損を表す少なくとも1つの特徴的な圧力指標に対応する、制御ユニット7によってあらかじめ定められて制御ユニット7に組み込まれた圧力閾値とを比較する、比較するサブステップ107.2と、
- 制御ユニットが、比較するサブステップ107.2に基づいて、均質化ステップ104またはサンプリングステップ106に障害があるかどうかを判定する、判定するサブステップ107.3と、
を含む。
【0079】
図1および図2では、監視するステップはサンプリングステップ106に対してのみ示されているが、均質化ステップ104にも同様に、また特にチップ62に全体的な目詰まりが起こっているかどうかの監視用に適用され得る。
【0080】
検知するサブステップ107.1中に、制御ユニット7は、選択された特徴的な圧力指標を監視するアルゴリズムを実行する。制御ユニットが、サンプリングステップ106中にセンサ8によって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値を超えた(Y)と判定すると、制御ユニット7は警報をトリガし、サンプリングステップ106は108で自動停止される。したがって、制御ユニット7は、サンプリングステップ106中にセンサ8によって測定された少なくとも1つの圧力値が、少なくとも1つの圧力指標に対応する少なくとも1つの判定された圧力閾値以下であると(N)判定した場合には、自動サンプリング方法100が完了して達成された(109)と見なされるまで、サンプリングステップ106を継続する。監視するステップは、図1および図2に見られるように、サンプリングステップの吸引段階106.1中ならびにサンプリングステップ106の分配する段階106.2中に実行される。
【0081】
図2には、再試行モード200を伴う自動サンプリング方法100が示されている。したがって、制御ユニット7は、測定された圧力値が少なくとも1つの特徴的な圧力指標と一致して、前記ステップ(104、106)に障害が起きたと判定した場合には、自動サンプリング方法100のステップ(104、106)を再試行することに存する再試行モード200を命令するように構成されている。
【0082】
図2に示されるように、再試行モード200では、障害を起こしたステップを再試行する(ステップ202)前に、ピペット61のチップ62が交換または洗浄される(ステップ201)。図2に示されるように、再試行モード200中に、液位を追跡するステップ105および液位を監視するステップ107も実行される。その上、再試行モード200中にサンプリングステップ106の吸引段階106.1を再試行する場合には、ピペット61のチップ62を、生体サンプルの中へ、第2の判定された深さに沈め、チップ62が、均質化ステップ104の吸引104.2のため、または障害が起きサンプリングステップ106の吸引段階106.1のために沈められた第1の所定の深さよりも、第2の所定の深さの方が深い。
【0083】
なおまた、再試行するステップ202の監視するステップ107中に、制御ユニット7が、まだ障害がある(Y)と見なす(ステップ107.3)と、自動サンプリング方法100は、もちろん停止されて、障害が起きたと見なされ(ステップ110)、次いで、図2に示されるように、必要に応じて最初に(任意選択の)手動の反転ステップ102、または均質化ステップ104を用いて再開される。再試行するステップ202の監視するステップ107中に、制御ユニット7が、それ以上の障害はない(N)と見なす(ステップ107.3)と、自動サンプリング方法100は次のステップ(図2では点線である)へと続く。
【0084】
次に、本発明による検知/定量化の方法が、図3を参照しながら、本発明の詳細な自動サンプリング方法100に従って説明される。本発明の方法300は、細胞刺激の後に全血サンプルの中の検体を検知および/または定量化するための方法であり、これにおいて本発明による自動サンプリング方法100が実施される。
【0085】
本発明によれば、検知および/または定量化の方法300は、装置1の内部の容器2から吸引された全血サンプル3の所定の容量を受け入れるように構成された少なくとも1つのウェル5を備える少なくとも1つの支持体4を装填する少なくとも1つのステップ301を含む。
【0086】
装填するステップ301の後に、ピペット61に第1のチップ62を装備するステップ302が実行され、第1のチップ62は、支持体4の少なくとも1つのウェル5を覆っている少なくとも1つの密閉保護フォイル41に突き入る(ステップ303)ように構成されている。いくつかの試験ではウェルにそのような保護フォイルがなく、完全に開かれているので、保護フォイルに突き入るステップ303は任意選択であることに留意されたい。そこで、ステップ303は任意選択と見なされ、図3では点線で表されている。その上、検知および/または定量化の方法の300は、前記第1のチップ62を取り外すステップ304と、ピペット61上に第2のチップ62を配置するステップ305とをさらに含み、第2のチップ62は、自動サンプリング方法100において、均質化ステップ104中に使用されるように、またサンプリングステップ106のために使用されるように、構成されている。
【0087】
自動サンプリング方法100の後に、第2のチップ62を取り外すステップ306と、ピペット61に第3のチップを装備するステップ307と、特殊なガラス瓶に含有されている刺激性試薬を吸引するステップ308と、サンプリングされた3つの全血サンプル3を含有しているウェル5の中に刺激性試薬を分配するステップ309と、第3のチップ62を取り出すステップ310と、が実行される。
【0088】
あるいは、たとえばチップ62が針であって取り外すことができない別の実施形態(図示せず)では、装填するステップ301の後に、ピペット61に第1のチップ62を装備するステップ302が実行され、第1のチップ62は、支持体4の少なくとも1つのウェル5を覆っている少なくとも1つの保護フォイル41に突き入る(ステップ303)ように構成されている。その上、検知および/または定量化の方法300は、第1のチップ62が自動サンプリング方法100において均質化ステップ104中に使用され得ること、およびサンプリングステップ106のために使用され得ることを保証するために、前記第1のチップ62を洗浄するステップ(図示せず)をさらに含む。
【0089】
自動サンプリング方法100の後に、第1のチップ62を洗浄して、特殊なガラス瓶の中に含有されている刺激性試薬を吸引するステップ308と、サンプリングされた全血サンプル3を含有しているウェル5の中に刺激性試薬を分配するステップ309と、が実行される。
【0090】
あるいは、ウェル(複数可)が保護フォイルで保護されていない別の実施形態(図示せず)では、装填するステップ301の後に、ピペット61に第1のチップ62を装備するステップ302が実行され、前記第1のチップ62は、自動サンプリング方法100において、均質化ステップ104中に使用されるように、またサンプリングステップ106のために使用されるように、構成されている。
【0091】
自動サンプリング方法100の後に、第1のチップ62を取り外すステップ306と、ピペット61に第2のチップを装備するステップ307または第1のチップ62を洗浄するステップと、次いで、特殊なガラス瓶に含有されている刺激性試薬を吸引するステップ308と、サンプリングされた全血サンプル3を含有しているウェル5の中に刺激性試薬を分配するステップ309と、第2のチップ62を取り出すステップ310または第1のチップ62を維持するステップと、が実行される。
【0092】
もちろん、本発明が、添付図に示されて説明された実施形態に制限されることはない。特に様々な要素の構造の観点からすれば、または技術的等価物の代替により、修正形態は、特許請求の範囲によって定義された本発明の保護の範囲から逸脱することなく、依然として可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】