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特表2023-523586気道の開通性を維持するための気管内チューブシステム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】気道の開通性を維持するための気管内チューブシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/04 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564290
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021028628
(87)【国際公開番号】W WO2021216862
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】16/856,205
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィーン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】マドセン、エドワード・ビー
(57)【要約】
気管内チューブの気道開通性システム及びその方法が提供される。システムは、近位端、遠位端、内面、前記チューブ本体の遠位端に配置された遠位開口部、前記チューブ本体の前記近位端に配置された近位開口部、及び、前記チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有するチューブ本体を備えた気管内チューブを含む。気流展開面は、チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む。システムは、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールをさらに含む。ツールは、近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、細長い本体部の近位端に配置されたハンドルと、細長い本体部の遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含む。少なくとも1つの拡張部材は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すために、入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内チューブから入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールであって、
近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、
前記細長い本体部の前記近位端に配置されたハンドルと、
前記細長い本体部の前記遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含み、
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記気管内チューブから前記入れ子式の内側スリーブを取り外すために、前記気管内チューブの前記入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている、ツール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの拡張部材は3つの拡張部材を含む、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記ハンドルは、回転するように構成されたダイヤルを備え、
前記ダイヤルが第1方向に回転することにより前記少なくとも1つの拡張部材が開位置に移動し、
前記ダイヤルが第2方向に回転することにより前記少なくとも1つの拡張部材が閉位置に移動する、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記開位置において、前記入れ子式の内側スリーブへの結合を開始するように構成されている、請求項3に記載のツール。
【請求項5】
前記ダイヤルが前記開位置から前記閉位置まで回転されると、前記少なくとも1つの拡張部材は、前記気管内チューブから前記入れ子式の内側スリーブを格納するために前記入れ子式の内側スリーブを保持するように構成されている、請求項3に記載のツール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記少なくとも1つの拡張部材の前記遠位端から延びるフックを備えている、請求項1に記載のツール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの拡張部材の前記遠位端から延びる突出部をさらに備え、
前記フックは前記突出部から延びている、請求項6に記載のツール。
【請求項8】
前記フックは、前記入れ子式の内側スリーブの受容タブに結合するように構成されている、請求項6に記載のツール。
【請求項9】
前記フックは磁気フックを含む、請求項6に記載のツール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記少なくとも1つの拡張部材の遠位端に配置されたカプラーを備えている、請求項1に記載のツール。
【請求項11】
前記カプラーは、前記入れ子式の内側スリーブの磁気受容タブに結合するように構成された磁気アタッチメントを備えている、請求項10に記載のツール。
【請求項12】
前記カプラーは接着性アタッチメントを備えている、請求項10に記載のツール。
【請求項13】
気管内チューブの気道開通性システムであって、
チューブ本体を備えた気管内チューブであって、前記チューブ本体は、近位端、遠位端、内面、前記チューブ本体の前記遠位端に配置された遠位開口部、前記チューブ本体の前記近位端に配置された近位開口部、及び、前記チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有し、前記気流展開面は、前記チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む、該気管内チューブと、
前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールであって、
近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、
前記細長い本体部の前記近位端に配置されたハンドルと、
前記細長い本体部の前記遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含み、
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを取り外すために、前記入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている、該ツールと、を有する、システム。
【請求項14】
前記入れ子式の内側スリーブは、前記チューブ本体から独立して取り外し可能な1以上の層を有している、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記入れ子式の内側スリーブは、前記ツールの前記少なくとも1つの拡張部材と結合するように構成された少なくとも1つの受容タブを備えている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記入れ子式の内側スリーブは折り畳み可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記入れ子式の内側スリーブは、前記チューブ本体の前記内面に隣接または接触して配置されることにより、前記気管内チューブの開通性を維持する、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記入れ子式の内側スリーブを取り外すことにより、前記チューブ本体の前記内面に無菌の面が露出する、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
気管内チューブにおいて、開通性を維持し、付着物を取り除く方法であって、
チューブ本体を備えた気管内チューブであって、前記チューブ本体は、近位端、遠位端、内面、前記チューブ本体の前記遠位端に配置された遠位開口部、前記チューブ本体の前記近位端に配置された近位開口部、及び、前記チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有し、前記気流展開面は、前記チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む、該気管内チューブを提供する気管内チューブ提供ステップと、
前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールであって、
近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、
前記細長い本体部の前記近位端に配置されたハンドルと、
前記細長い本体部の前記遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含み、
前記少なくとも1つの拡張部材は、前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを取り外すために、前記入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている、該ツールを提供するツール提供ステップと、
前記ツールを前記チューブ本体に挿入する挿入ステップと、
前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを引き出して取り外すべく、前記ツールを使用する使用ステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記ツールを前記チューブ本体に挿入する挿入ステップ、及び、前記チューブ本体から前記入れ子式の内側スリーブを引き出して取り外すべく、前記ツールを使用する使用ステップは、アクティブな人工呼吸回路を中断することなく実行される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年4月23日に出願された米国特許出願第16/856,205号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の主題は、一般に、挿管された患者のための呼吸管理システムに関し、より具体的には、入れ子式の内側スリーブと、内側スリーブを取り外すためのツールとを有する気管内チューブに関する。
【背景技術】
【0003】
気管内チューブは、患者の虚弱性と独立した健康的な生活との間のギャップを埋めるための、重要な管理器具の不可欠な要素である。しかし、皮肉なことに、複数の現象が使用中の気管内チューブに影響を与え、患者の人工呼吸器への依存を長引かせ、病気を悪化させる可能性があるので、この救命器の使用をできるだけ早く中止することは、患者にとって最善の利益となる。特に、病原性微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物の堆積は、気管内チューブを閉塞する可能性があり、それによって患者の呼吸仕事量が増加し、既に虚弱状態にある患者に対してより多くのストレスがかかり、その結果、人工呼吸の期間が潜在的に延長する。気管内チューブ内の微生物またはバイオフィルムの存在によって引き起こされる第2の可能性は、人工呼吸器を使用している患者において発生する肺感染症である人工呼吸器関連肺炎の発生である。人工呼吸器関連肺炎の死亡率は最大40%である。したがって、分泌物及び微生物またはバイオフィルムの堆積物から使用中の気管内チューブをできるだけ清潔に保つことが最も重要である。
【0004】
使用中の気管内チューブの使用中の開通性を維持または回復するために、現在、いくつかの方法論が利用可能である。気管内チューブの内部から遊離した分泌物を除去するためには、閉鎖式吸引法及び開放式吸引法が効果的であるが、バルーンを使用することにより気管内チューブの内側の気流遮断層をワイピングまたはスクラビングする機械的なワイピング法またはスクラビング法は、気管内チューブに物理的に付着した粘着性を有する分泌物及び微生物またはバイオフィルムの堆積物を除去するために、理論的には有用である。しかしながら、吸引だけでは気管内チューブの適切な機能を適切に維持できず、代わりに、生理的患者マーカー、特に心肺機能の患者マーカーを悪化させ得る、等のこれらの技術の様々な落とし穴が査読付きの研究論文によって明らかにされている(すなわち、開放式吸引)。同様に、ワイピング法では、気管内チューブ内の閉塞物質をすべて除去することはできない。さらに、機械的なワイピング法の操作により、チューブを通る気流の一部または全部を遮ることによって呼吸回路が遮断されるので、そのような方法は、患者の心肺機能に悪影響を与え得る。気管内チューブのルーメンの直径の非常にわずかな変化(例えば、ルーメンの内部の非常に小さな閉塞)によって、気流抵抗が大幅に増加し、それによって患者の呼吸仕事量が増加する。これは、ポアズイユの法則で予測されるように、気流の変化が、孔の半径の4乗によって直接変化することに起因する。したがって、例えば、ルーメンの直径が50%(半分、すなわち1/2)減少すると、気管内チューブの気流抵抗は16倍に増加する。さらに、ワイピング法またはスクラビング法によってバイオフィルムが機械的に破壊されると、バイオフィルムが破片となり、バイオフィルムの一部が塞栓を形成する可能性がある。すなわち、吸引及び/またはワイピング法で捕捉されずに、肺に入り込んで感染を引き起こす可能性がある。これらの気管内チューブの堆積物除去技術の利益対リスク比率が小さいことは、人工呼吸を促進するために気管内チューブが使用されている間に、気管内チューブを可能な限り清潔に保つ、より安全な代替戦略の必要性を示唆している。
【0005】
したがって、気管内チューブの開通性を維持し、かつ使用中の気管内チューブから微生物またはバイオフィルムの分泌物を取り除くための解決策が必要である。特に、チューブを通る気流への影響を最小限に抑えながら、使用中の気管内チューブの気道の汚れを取り除くための解決策も有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、気管内チューブから入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールに関する。ツールは、近位端及び遠位端を有する細長い本体部を含む。ツールはまた、細長い本体部の近位端に配置されたハンドルを含む。ツールは、細長い本体部の遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材をさらに含む。少なくとも1つの拡張部材は、気管内チューブから入れ子式の内側スリーブを取り外すために、気管内チューブの入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている。
【0007】
ツールの特定の一実施形態では、少なくとも1つの拡張部材は、3つの拡張部材を含み得る。
【0008】
ツールの別の実施形態では、ハンドルは、回転するように構成されたダイヤルを備え得る。ダイヤルが第1方向に回転することにより、少なくとも1つの拡張部材が開位置に移動し、ダイヤルが第2方向に回転することにより、少なくとも1つの拡張部材が閉位置に移動する。さらに、少なくとも1つの拡張部材は、開位置において、入れ子式の内側スリーブへの結合を開始するように構成され得る。さらに、ダイヤルが開位置から閉位置まで回転されると、少なくとも1つの拡張部材は、気管内チューブから入れ子式の内側スリーブを格納するために入れ子式の内側スリーブを保持するように構成され得る。
【0009】
追加の実施形態では、少なくとも1つの拡張部材は、少なくとも1つの拡張部材の遠位端から延びるフックを備え得る。さらに、ツールは、少なくとも1つの拡張部材の遠位端から延びる突出部をさらに備え、フックは突出部から延びている。さらに、フックは、入れ子式の内側スリーブの受容タブに結合するように構成され得る。追加的に、あるいは代替的に、フックは磁気フックを含み得る。
【0010】
もう1つの実施形態では、少なくとも1つの拡張部材は、少なくとも1つの拡張部材の遠位端に配置されたカプラーを備え得る。さらに、カプラーは、入れ子式の内側スリーブの磁気受容タブに結合するように構成された磁気アタッチメントを備え得る。さらに、カプラーは接着性アタッチメントを備え得る。
【0011】
本発明はさらに、気管内チューブの気道開通性システムに関する。システムは、近位端、遠位端、内面、チューブ本体の遠位端に配置された遠位開口部、チューブ本体の近位端に配置された近位開口部、及び、チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有するチューブ本体を備えた気管内チューブであって、気流展開面(airflow-effacing surface)は、チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む、該気管内チューブを有する。システムは、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールをさらに有する。ツールは、近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、細長い本体部の近位端に配置されたハンドルと、細長い本体部の遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含む。少なくとも1つの拡張部材は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すために、入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている。
【0012】
気管内チューブの気道開通性システムの特定の一実施形態では、入れ子式の内側スリーブは、チューブ本体から独立して取り外し可能な1以上の層を有し得る。
【0013】
別の実施形態では、入れ子式の内側スリーブは、ツールの少なくとも1つの拡張部材と結合されるように構成された少なくとも1つの受容タブを含み得る。
【0014】
追加の実施形態では、入れ子式の内側スリーブは、折り畳み可能であり得る。
【0015】
さらなる実施形態では、入れ子式の内側スリーブは、チューブ本体の内面に隣接または接触して配置されることにより、気管内チューブの開通性を維持することができる。
【0016】
もう1つの実施形態では、入れ子式の内側スリーブを取り外すことにより、チューブ本体の内面に滅菌面を露出させることができる。
【0017】
本発明はさらに、気管内チューブにおいて、開通性を維持し、付着物を取り除く方法に関する。本方法は、近位端、遠位端、内面、チューブ本体の遠位端に配置された遠位開口部、チューブ本体の近位端に配置された近位開口部、及び、チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有するチューブ本体を備えた気管内チューブであって、気流展開面は、チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む、該気管内チューブを提供する気管内チューブ提供ステップを含む。本方法は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールを提供するツール提供ステップをさらに含む。ツールは、近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、細長い本体部の近位端に配置されたハンドルと、細長い本体部の遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含み、少なくとも1つの拡張部材は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すために、入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている。本方法は、ツールをチューブ本体に挿入する挿入ステップをさらに含む。本方法は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを引き出して取り外すべく、ツールを使用する使用ステップをさらに含む。
【0018】
本方法の特定の一実施形態では、ツールをチューブ本体に挿入する挿入ステップ、及び、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを引き出して取り外すべく、ツールを使用する使用ステップは、アクティブな人工呼吸回路を遮断することなく実行され得る。
【0019】
本発明の、これらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
当業者に向けられた、その最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な程度の開示は、添付の図面を参照し、本明細書に記載されている。
【0021】
図1】本発明の1つの特定の実施形態による、入れ子式の内側スリーブを有する気管内チューブの側面図。
図2図1の線2-2に沿って得られた図1の気管内チューブの断面図。
図3】気管内チューブから入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールの側面図。
図4A】ダイヤルが開位置に回転したときのツールの側面図。
図4B】ダイヤルが閉位置に回転したときのツールの側面図。
図5A図1の気管内チューブに挿入されている図3のツールの側面図。
図5B図3のツールを使用した図1の気管内チューブからの入れ子式の内側スリーブの取り外しを示す側面図。
図6】受容タブを備えた入れ子式の内側スリーブを有する図1の気管内チューブの断面図。
図7図3のツールの拡張部材の遠位端の一実施形態の側面図。
図8図3のツールの拡張部材の遠位端の別の実施形態の側面図。
図9図3のツールの拡張部材の遠位端の追加の実施形態の側面図。
図10図3のツールの拡張部材の遠位端のさらなる実施形態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するために提供される。事実、当業者には、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明に様々な修正及び変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態とともに使用することにより、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形を包含することが意図される。
【0023】
本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、または「略」という用語は、値を変更するために使用される場合、その値を5%増減することができ、かつ、開示された実施形態の中にとどまることを示す。さらに、複数の範囲が提供される場合、複数の範囲内に記載された最小値と最大値との任意の組み合わせが、本発明によって企図される。例えば、「約20%から約80%」及び「約30%から約70%」という範囲が記載されている場合、「約20%から約70%」という範囲または「約30%から約80%」という範囲もまた、本発明によって企図される。
【0024】
一般に、本発明は、気管内チューブの気道開通性システム及びその方法に関する。システムは、近位端、遠位端、内面、チューブ本体の遠位端に配置された遠位開口部、チューブ本体の近位端に配置された近位開口部、及び、チューブ本体の内部に配置された気流展開面を有するチューブ本体を備えた気管内チューブを含む。気流展開面は、チューブ本体から取り外されるように構成された入れ子式の内側スリーブを含む。システムは、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すためのツールをさらに含む。ツールは、近位端及び遠位端を有する細長い本体部と、細長い本体部の近位端に配置されたハンドルと、細長い本体部の遠位端に配置された少なくとも1つの拡張部材と、を含む。少なくとも1つの拡張部材は、チューブ本体から入れ子式の内側スリーブを取り外すために、入れ子式の内側スリーブに結合するように構成されている。
【0025】
気管内チューブ内の取り外し可能なスリーブの使用、及び人工呼吸回路を遮断することなく気管内チューブからスリーブを取り外すために特別に構成されたツールは、微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物の蓄積物を気管内チューブの内部から除去するための改善された方法を提供し、それによって、気管内チューブの使用中に、呼吸の気流を妨げたり中断したりすることなく、汚れておらず、乱されておらず、汚染されておらず、かつ、潜在的に無菌の気流展開面を露出させることができる。結果として、本発明の気管内チューブシステムは、感染を引き起こす可能性のある微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物による閉塞及び/またはコロニー形成によって気管内チューブが損なわれるという脅威を低減することにより、人工呼吸のためにチューブが患者内に安全に挿管されたままでいられる時間を延長することができる。同時に、本発明の気管内チューブシステムは、入れ子式の内側スリーブを取り外して未使用の内面を露出させ、ルーメンの閉塞の可能性を低減することにより、患者が呼吸試験に合格するための機会を改善することができ、したがって、使用中の気管内チューブを、一度も使用されていない(すなわち、分泌物、バイオフィルムなどの蓄積物がない)チューブと同じくらい清潔な状態を保つことができるようにすることで、人工呼吸への依存が緩和される。
【0026】
本発明の気管内チューブシステム及びその方法の特定の特徴は、図1-10を参照して、よりよく理解され得る。
【0027】
以下、図1を参照すると、本発明による気管内チューブ10の一実施形態が示されている。気管内チューブ10は、近位端18から遠位端20まで延びるチューブ本体12を含む。チューブ本体12は、遠位端20に配置された遠位開口部22を含む。チューブ本体12は、チューブ本体12の内面26によって画定されるルーメン24を含む。ルーメン24は、呼吸空気を患者に送達するために、近位端18から遠位端20の遠位開口部22までチューブ本体12の全長に及ぶ。気管内チューブ10はまた、遠位端20に隣接してチューブ本体12に取り付けられたバルーン14を含む。気管内チューブ10はまた、バルーン14を拡張させることにより患者の気道を密閉するべく、バルーン14と流体連通し、バルーン14を膨張させるために使用される膨張ライン16を含む。
【0028】
気管内チューブ10の製造に適したポリマーには、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、及び、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが含まれる。ナイロン及びポリエチレンテレフタレート(PET)材料が使用されてもよい。適切なポリマーの混合物が使用されてもよい。既知の押出技術を使用して、気管内チューブ10の部分を1つのポリマーから押し出し、気管内カテーテルの他の部分を他のポリマーから押し出すことも可能である。例えば、内面26またはルーメン24の壁がポリ塩化ビニルなどの第1のポリマーで作製され、かつ、チューブ本体12の外壁がポリウレタンなどの第2のポリマーで作製されてもよい。抗菌特性を有するように配合されたポリウレタンなどの抗菌特性を有する材料も、チューブ本体12を形成するために理想的である。
【0029】
図1及び図2に示すように、本発明の気管内チューブ10は、チューブ本体12の内部に配置された少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30をさらに含む。少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30は、ルーメン24が少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30の内部に画定されるように、チューブ本体12の内面26に隣接して軸方向に配置されるように構成されている。少なくとも1つの入れ子式内側スリーブ30は、気管内チューブ10の内部から取り外すことができる気流遮断ライナーとなるように構成される。少なくとも1つの入れ子式内側スリーブ30が取り外されると、チューブ本体12の内面26などの無菌の内面が露出され、人工呼吸が継続される。本発明のいくつかの態様では、気管内チューブ10は、互いに直列に配置され、かつルーメン24を取り囲む複数の入れ子式の内側スリーブ30を含むことができる。例えば、気管内チューブ10の中に2つの入れ子式の内側スリーブ30が存在し得る。
【0030】
少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30は、気管内チューブ10内から取り外すことができるように柔軟である一方で、図2に示すように、開いたルーメン24を維持するのに十分な剛性を有する材料から形成することができる。例えば、少なくとも1つの入れ子式内側スリーブ30は、ポリウレタンから形成することができる。ポリウレタンは、ゴムのように伸張値(伸縮性)が高く、PVCよりも優れた耐摩耗性を有している。抗菌特性を有するように配合されたポリウレタンなどの抗菌特性を有する材料も、入れ子式の内側スリーブ30を形成するために理想的である。少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30は、約0.05ミリメートルすなわち約0.002インチ程度の薄さを有することができる。少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30は、約0.75ミリメートルすなわち約0.03インチの厚さなどの、チューブ本体12の開通性を妨げない厚さを有することができる。例えば、入れ子式の内側スリーブ30の厚さは、約0.05ミリメートルから約0.75ミリメートル、すなわち、約0.002インチから約0.030インチの範囲であり得る。少なくとも1つの入れ子式の内側スリーブ30の厚さは、ルーメン24の半径を最大化してルーメン24の内部の気流抵抗の潜在的な増加を低減するために、最小化されてもよい。
【0031】
使用中、本発明の気管内チューブ10などの気管内チューブは、病原性微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物を、チューブ本体12の内部の気流展開面に蓄積させ得る。気管内チューブ10内で、少なくとも1つの取り外し可能な入れ子式の内側スリーブ30を用いることによって、それぞれの入れ子式の内側スリーブ30によって形成された使用中の気管内チューブの気流展開面の層を、連続的に取り外すことができる。それぞれの入れ子式の内側スリーブ30が取り外されると、微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物の蓄積物を有し得る入れ子式の内側スリーブ30の気流展開面が取り外され、それによって、汚れておらず、乱されておらず、汚染されておらず、かつ、潜在的に無菌の気流展開面を露出させることができる。したがって、気管内チューブ10の使用中に呼吸の気流を遮断または中断することなく、気管内チューブ10の内側の気流展開面から、微生物、バイオフィルム及び/または分泌物の蓄積物を除去することができる。その結果、本発明の気管内チューブ10は、感染を引き起こす可能性のある微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物による閉塞及び/またはコロニー形成によって気管内チューブが危険にさらされる脅威を低減することにより、人工呼吸のためにチューブが患者内に安全に挿管されたままでいられる時間を延長することができる。同時に、入れ子式の内側スリーブ30を取り外して未使用の内面26を露出させることによってルーメン24の閉塞の可能性を低減することにより、本発明の気管内チューブ10は、患者が呼吸試験を通過する機会を改善することができ、しがたって、一度も使用されていない(すなわち、分泌物、バイオフィルムなどの蓄積物がない)チューブと同じくらい清潔な状態を保つことができる使用中の気管内チューブを提供することにより、人工呼吸への依存から軽減される。
【0032】
チューブの使用中、すなわち、チューブが患者に挿管されて人工呼吸をアクティブに提供している間に気管内チューブ10から入れ子式の内側スリーブ30を取り外すためには、スリーブ30は呼吸回路を遮断することなく取り外されなければならない。いくつかの態様では、気管内チューブ10は、気管内チューブのための閉鎖式吸引システムを容易にするマルチアクセスポート(図示せず)などのマルチアクセスポートと組み合わせて使用され、これにより、入れ子式の内側スリーブ30を取り外すために、入れ子式の内側スリーブ30を取り外すためのツールを気管内チューブ10へ導入することができる。しかしながら、呼吸回路を遮断することなく入れ子式の内側スリーブ30を取り外すことができる任意の機構を使用してもよい。
【0033】
入れ子式の内側スリーブ30は、内側スリーブ30を引き出すことができる1以上の受容機能を有し得る。例えば、図6に示すように、内側スリーブ30は、1以上の受容部40を有し得る。それぞれの受容部40は、フックなどの引き出しツールを受容するための開口部42を有し得る。スリーブ30は、1つの単一の受容部40、あるいは、図6に示されるような3つの受容部40などの2以上の受容部40を有し得る。いくつかの態様では、スリーブ30上の受容部40の数は、スリーブ30を引き出し、かつ気管内チューブ10からスリーブ30を取り外すように構成されたフック及び/または他の引き出しツールの数に対応し得る。他の態様では、少なくとも1つの受容部40は、開口部42を有していなくてもよい。追加的に、あるいは代替的に、少なくとも1つの受容部40は、気管内チューブ10からスリーブ30を引き出し、かつ取り除くように構成されたツールと結合するように構成された1以上の機能を備え得る。例えば、1以上の結合機能は、1以上の磁石、接着部、クリップ、ファスナ、またはスリーブ30を取り外すために受容部40をツールに結合させることができる任意の他の適切な機能を含む。
【0034】
受容部40は、スリーブ30の長さに沿って任意の場所に配置されていてよい。例えば、図5Bに示すように、受容部40は、気管内チューブ10の近位端18に隣接して配置されていてよい。他の態様では、受容部40は、気管内チューブ10の遠位端20に隣接して配置されていてよい。受容部40が気管内チューブ10の遠位端20に配置されると、受容部40とルーメン24内のスリーブ30の端部とを引っ張ることによって、スリーブ30は、スリーブ30がそれ自体の中で本質的に裏返しになるように、気管内チューブ10から取り外される。このように、スリーブ30上の破片や分泌物が患者の気道に流れたり、吸引されたりすることはない。
【0035】
図3に示すように、本発明はさらに、気管内チューブから入れ子式の内側スリーブ30を取り外すように構成されたツール100に関する。ツール100は、近位端104から遠位端106まで延びる細長い本体部102を含む。ツール100は、細長い本体部の遠位端106に配置された少なくとも1つの拡張部材120をさらに含む。少なくとも1つの拡張部材120は、気管内チューブ10から入れ子式の内側スリーブ30を取り外すために、気管内チューブ10の入れ子式の内側スリーブ30に結合するように構成されている。ツール100は、少なくとも1つの拡張部材120の動きを制御するように構成されたハンドル110をさらに含む。本発明のいくつかの態様では、少なくとも1つの拡張部材120は、図3及び4A-Bに示すように、第1の拡張部材120a、第2の拡張部材120b、及び第3の拡張部材120cなどの複数の拡張部材を含む。拡張部材120a、120b、120cのそれぞれなどの、少なくとも1つの拡張部材120は、それぞれの拡張部材の遠位端に配置された結合部130をさらに含む。
【0036】
図3は、拡張部材120a、120b、120cが閉位置、未使用位置、すなわち静止位置にあるツール100を示しており、拡張部材120a、120b、120cは、それらの結合部130が位置する遠位端122において、内向きに引き出されている(図7を参照)。ハンドル110は、拡張部材120a、120b、120cを開位置、すなわちスリーブ把持位置に展開するように作動される。例えば、ハンドル110は、第1方向に回転することにより拡張部材120a、120b、120cを図4Aに示される開位置に展開するダイヤルを備える。同様に、ハンドル110のダイヤルを反対の第2方向に回転させることにより、拡張部材120a、120b、120cを閉位置、すなわちスリーブ格納位置に格納することができる。例えば、ツール100は、図3に示される閉位置において気管内チューブ10内に挿入された後、図5Aに示されるように結合部130がチューブ本体12の近位端18の近傍にあるときに、拡張部材120a、120b、120cを開位置に展開するように作動される。拡張部材120a、120b、120cは、その後、図5Bに示されるようにチューブ本体12からの入れ子式の内側スリーブ30の取り外しを開始するために入れ子式の内側スリーブ30に結合されたときに、閉位置に格納され得る。
【0037】
図7は、フック126を備えた結合部130を有する拡張部材120aの一実施形態を示すが、特に、拡張部材120のそれぞれが、図7に示されるように結合部130を有している。結合部130は、拡張部材120aの遠位端122に配置されている。フック126は、遠位端122から、遠位端122から離れるように延びる第1方向に延びた後、角度アルファ(α)をもって曲がり、拡張部材120aの遠位端122に向かって戻る第2方向に延びる。角度アルファ(α)は、約90度より大きく、約180度より小さくてもよい。例えば、角度アルファ(α)は、約120度から約150度などの、約100度から約160度の範囲にある。フック126はさらに、フック126の遠位端129に把持機能を形成する窪み128を有する。フック126は、スリーブタブ(受容部40)を把持してスリーブを取り外すために、受容部40の開口部42を通して挿入されるように構成される。いくつかの態様では、フック126は磁性材料から形成されてもよく、受容部40は、フック126と受容部40との間の接続を容易にするために磁性材料から形成されてもよい。
【0038】
図8は、フック226を備えた結合部230を有する拡張部材220aの変形例を示す。結合部230は、拡張部材220aの遠位端222から延び、角度ベータ(β)をもって遠位端222から延びる突出部224を含む。例えば、突出部223は、拡張部材220aに対して略垂直に、例えば約90度の角度βで延びる。しかしながら、角度βは、約45度から約135度、または約60度から約120度などの、約20度から約150度までの任意の角度であってもよい。図7のフック126と同様に、フック226は、突出部224から概ね離れるように延びる第1の方向に延びた後、突出部224及び拡張部材220aの遠位端222に向かって戻る第2方向に角度αをもって曲がる。フック226はまた、フック226の遠位端229に把持機能を形成する窪み228を有する。
【0039】
図9-10に示されるように、さらなる実施形態では、拡張部材は、フック機能なしで拡張部材の遠位端に配置された結合部を有していてもよい。例えば、図10に示される拡張部材320aは、拡張部材320aの遠位端322に配置された結合部330を有している。同様に、図11に示される拡張部材420aは、拡張部材420aの遠位端422を取り囲む及び/または覆う結合部430を有している。結合部330、430は、結合部330及び/または結合部430を受容部40と結合させる任意の適切な取り付け機構から形成される。例えば、結合部330及び/または結合部430は磁性材料から形成されてもよく、受容部40は、結合部330及び/または結合部430と受容部40との間の接続を容易にするために、磁性材料から形成されてもよい。追加的に、あるいは代替的に、結合部130、230、330、430は、受容部40に接触及び接着するように構成された接着剤によって形成されてもよい。
【0040】
取り外し可能な入れ子式のスリーブ30を有する気管内チューブ10と、気管内チューブ10からスリーブ30を取り外すためのツール100とは、全体として、気道開通性を維持するためのシステムを形成する。ツール100を使用することにより、気管内チューブ10から取り外し可能な入れ子式のスリーブ30を取り外すことができ、それによって、微生物、バイオフィルム、及び/または分泌物の蓄積物を除去し、汚れておらず、乱されておらず、汚染されておらず、かつ、潜在的に無菌の気流展開面を露出させることができる。したがって、気管内チューブ10が使用されるときに、呼吸の気流を遮断または中断することなく、気道開通性を維持することができる。
【0041】
本発明はさらに、開通性を維持し、気管内チューブ10などの気管内チューブから付着物を除去する方法に関する。ツール100は、例えば、気管内チューブ10に接続され、呼吸回路を遮断したり中断したりしないように構成されたマルチポート(図示せず)を通して気管内チューブアセンブリに挿入される。ツール100が気管内チューブアセンブリに挿入されると、拡張部材120a、120b、120cなどの拡張部材は、ツール100が流線型の外形を維持するように、図3に示される閉位置をとる。図4Bに示されるように、ツール100が気管内チューブ10、具体的には気管内チューブ10の内部のスリーブ30の受容部40に到達すると、使用者は、ツール100を作動させることにより拡張部材120a、120b、120cを開位置すなわち把持位置に展開させることができる。この作動は、ツール100のハンドル110上のダイヤルの回転によって、または、拡張部材120a、120b、120cを把持位置に拡張することができる任意の他の手段によって、生じる。次に、それぞれの拡張部材の結合部、例えば、結合部130、230、330、430を、受容部40と結合させる。拡張部材120a、120b、120cを受容部40のそれぞれと結合させた後、例えばハンドル110上のダイヤルを反対の回転方向に回転させることによって、図4B及び5Bに示されるように、拡張部材120a、120b、120cは閉位置に格納される。最後に、図5Bに示すように、気管内チューブアセンブリからツール100を引き出すことによって、気管内チューブ10からスリーブ30が引き抜かれる。気管内チューブ10からスリーブ30を引き抜くことにより、スリーブ30上の分泌物または堆積物は呼吸回路から除去され、それによって、気管内チューブ10が開かれ、気道開通性が維持される。
【0042】
この書面による説明は、最良の形態を含む本発明を開示するための実施例を使用し、また、当業者による、任意のデバイスまたはシステムの作製及び使用、並びに、任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実施を可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含む。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは、特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない均等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】