(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】回転電気機械変調器を備えた一種の磁気抵抗磁場プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20230530BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566044
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 CN2021087772
(87)【国際公開番号】W WO2021218668
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010366572.7
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲーザ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーミン
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD55
2G017BA05
2G017CB02
2G017CB11
2G017CB20
(57)【要約】
回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブ(1)は、空洞構造を有し、バルク円筒形基部(11)の中心軸が円筒座標系のz軸と重なり合うバルク円筒形基部(11)と、バルク円筒形基部(11)の外側壁に取り付けられた第1の磁性タイル(12)および第2の磁性タイル(13)と、バルク円筒形基部(11)の中心軸上に位置する磁気抵抗センサ(14)および参照信号発生器(15)とを備える。動作中、バルク円筒形基部(11)は、周波数fでz軸を中心として回転し、第1の磁性タイル(12)および第2の磁性タイル(13)は、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号が、磁気抵抗センサ(14)によって出力される。参照信号発生器(15)は、周波数2fを有する参照信号を出力する。外部処理回路(4)が、参照信号および測定信号を変調して優れた信号対雑音比を有する外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する。着脱可能な回転スリーブを磁気抵抗センサ(14)に加えることによって、外部磁場の優れた信号対雑音比の測定を実現することができる。本発明は、簡単な構造でサイズが小さく、プロセスの複雑さも大いに減少し、より低コストを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブであって、
空洞構造を有するとともに、円筒座標(r(r=R
0),α[0,360°],z[L
0,L
0+L])を有し、バルク円筒形基部の中心軸が円筒座標系のz軸と重なり合うバルク円筒形基部と、
該バルク円筒形基部の外側壁に取り付けられた第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルであって、該第1の磁性タイルは、円筒座標(r[R
0,R
0+H
S],α[Φ,180°-Φ],z[L
0+L
1,L
0+L
1+L
S])を有し、該第2の磁性タイルは、円筒座標(r[R
0,R
0+H
S],α[180°+Φ,360°-Φ],z[L
0+L
1,L
0+L
1+L
S])、0<Φ<90°を有する、第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルと、
該バルク円筒形基部の該中心軸上に位置する磁気抵抗センサおよび参照信号発生器であって、該磁気抵抗センサは、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=L
m))、L
0+L
1<L
m<L
0+L
1+L
Sを有する、磁気抵抗センサおよび参照信号発生器と、を備え、
動作中、該バルク円筒形基部は、周波数fで該z軸を中心として回転し、該第1の磁性タイルおよび該第2の磁性タイルは、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号が、該磁気抵抗センサによって出力され、該参照信号発生器は、周波数2fを有する参照信号を出力し、外部処理回路が、該参照信号および該測定信号を復調して優れた信号対雑音比を有する該外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する、磁気抵抗磁場プローブ。
【請求項2】
前記バルク円筒形基部の側壁は、4つの光入射穴を有し、該4つの光入射穴は、(r(r=R
0),α(α=θ,θ+90°,θ+180°,θ+270°),z(z=L
e1またはz=L
e2))である異なる円筒座標を有し、ただし、L
0<L
e1<L
0+L
1、L
0+L
1+L
S<L
e2<L
0+L、0<θ<90°であり、
前記参照信号発生器は、前記バルク円筒形基部の前記外側壁の外側に位置し、円筒座標(r(r=R
0+h
S+h
e),α(α=θまたはθ+90°またはθ+180°またはθ+270°),z(z=L
e1またはz=L
e2)))を有する発光素子と、前記バルク円筒形基部の前記中心軸上に位置する光検出器および論理トリガ回路であって、該光検出器は、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=L
e1またはz=L
e2))を有する、光検出器および論理トリガ回路と、を備え、
動作中、前記バルク円筒形基部は、前記周波数fで前記z軸を中心として回転し、該発光素子から発せられる光が順に該4つの光入射穴に入射するとき、該光検出器は、該発光素子からの入射光を検出し、該論理トリガ回路をトリガして前記周波数2fを有する前記参照信号を出力する、請求項1に記載の回転磁場プローブ。
【請求項3】
前記バルク円筒形基部の内部に位置する回路基板をさらに備え、前記光検出器および前記磁気抵抗センサは、前記回路基板上に位置する、請求項2に記載の回転磁場プローブ。
【請求項4】
前記参照信号は、高レベル信号または低レベル信号であり、
前記光検出器が光を検出しないとき、前記論理トリガ回路によって出力される前記参照信号の前記レベルは、不変のままであり、前記光検出器が前記発光素子からの前記入射光を検出するとき、前記光検出器は、前記論理トリガ回路によって出力される前記参照信号のレベルが切り換えられるように前記論理トリガ回路をトリガする、請求項2に記載の回転磁場プローブ。
【請求項5】
前記磁気抵抗センサは、一軸リニア・センサまたは二軸リニア・センサであり、該一軸リニア・センサは、円筒座標(r,α
1(α
1=βまたはβ+90°),z(z=L
m))で磁場感受方向を有し、該二軸リニア・センサは、円筒座標(r,α
2(α
2=β)およびα
3(α
3=β+90°),z(z=L
m))、0≦β<270°で磁場感受方向を有する、請求項1に記載の回転磁場プローブ。
【請求項6】
前記外部処理回路は、コンデンサ、および位相ロック回路を備え、該位相ロック回路は、ミキサおよびローパス・フィルタを備えており、該ローパス・フィルタのカットオフ周波数は、前記バルク円筒形基部の回転周波数未満であり、
動作中、前記磁気抵抗センサによって出力される測定信号は、結合され、該コンデンサを介して該位相ロック回路へ出力される、請求項5に記載の回転磁場プローブ。
【請求項7】
前記外部処理回路は、前置増幅器をさらに備え、該前置増幅器は、前記コンデンサと前記位相ロック回路との間に設けられる、請求項6に記載の回転磁場プローブ。
【請求項8】
前記外部処理回路は、位相シフタをさらに備え、
前記一軸リニア・センサは、2つの測定信号を出力し、該測定信号の一方は、前記位相ロック回路に直接接続され、他方は、該位相シフタによって90度位相シフトされ、次いで、前記位相ロック回路に接続され、前記参照信号発生器は、1つの参照信号を発生し、該1つの参照信号および該2つの測定信号は、前記外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように前記位相ロック回路によって復調される、請求項6に記載の回転磁場プローブ。
【請求項9】
前記外部処理回路は、位相シフタをさらに備え、
前記一軸リニア・センサは1つの測定信号を出力し、前記参照信号発生器は2つの参照信号を発生し、該参照信号の一方は、前記位相ロック回路に直接接続され、他方は、該位相シフタによって90度位相シフトされ、次いで、前記位相ロック回路に接続され、該1つの測定信号および該2つの参照信号は、前記外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように前記位相ロック回路によって復調される、請求項6に記載の回転磁場プローブ。
【請求項10】
前記二軸リニア・センサから出力される2つの測定信号は、前記位相ロック回路に別々に接続され、前記参照信号発生器は、1つの参照信号を発生し、該2つの測定信号および該1つの参照信号は、前記外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように前記位相ロック回路によって復調される、請求項6に記載の回転磁場プローブ。
【請求項11】
前記バルク円筒形基部は、磁気シールド・モータによって回転するように駆動され、前記バルク円筒形基部および該磁気シールド・モータは、非磁性伝動シャフトによって互いに接続される、請求項1に記載の回転磁場プローブ。
【請求項12】
前記磁気シールド・モータは、その側面側の金属電導層、および前記バルク円筒形基部の近くの表面上の軟磁性金属層で覆われる、請求項11に記載の回転磁場プローブ。
【請求項13】
前記バルク円筒形基部は、非磁性材料で作製され、前記第1の磁性タイル、前記第2の磁性タイル、および前記軟磁性金属層は、軟磁性合金材料で全て作製される、請求項12に記載の回転磁場プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気抵抗センサ技術に関し、より詳細には、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗センサは、通常の使用中に1/f雑音を有し、磁気抵抗センサの雑音の低減および低雑音磁気抵抗センサの開発は、磁気信号の正確な測定を改善するために大変重要である。
【0003】
一般に、磁気抵抗センサは、低周波数において高い1/f雑音を有し、一方、高周波数では熱雑音が支配的であり、その雑音エネルギー密度は、低周波数において雑音エネルギー密度よりもずっと低い。したがって、大抵の場合、現在の選択は、磁気信号を高周波磁場に変調し、次いで、高周波電圧信号を出力するように磁気抵抗センサによって磁気信号を測定することであり、後で高周波電圧信号は復調され、これによって磁気信号測定を低周波領域から高周波領域へ移動する目的は、達成することができ、これにより1/f雑音エネルギー密度を低減する。
【0004】
しかしながら、既存の高周波磁気信号測定デバイスは、磁気抵抗センサの複雑さおよびサイズならびにプロセスの複雑さを大いに増加させる。
【0005】
米国特許出願第US/365,398号は、磁気センサによって感知される磁束を変調する磁気抵抗センサ方法およびデバイスを開示する。この出願は、基部構造に取り付けられた少なくとも1つの磁気センサと、回転部材と、この回転部材上に取り付けられた少なくとも1つの磁束コンセントレータとを備え、回転部材が回転するときに、少なくとも1つの磁束コンセントレータは、磁気センサをシールドし、それによって少なくとも1つの磁気センサの出力を変調する。この出願は、TMRセンサ・チップを使用して2軸センサを実現しており、その構造的サイズは、複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブを提供することで、複雑な測定構造の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブであって、
空洞構造を有するとともに、円筒座標(r(r=R0),α[0,360°],z[L0,L0+L])を有し、バルク円筒形基部の中心軸が円筒座標系のz軸と重なり合うバルク円筒形基部と、
バルク円筒形基部の外側壁に取り付けられた第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルであって、第1の磁性タイルは、円筒座標(r[R0,R0+HS],α[Φ,180°-Φ],z[L0+L1,L0+L1+LS])を有し、第2の磁性タイルは、円筒座標(r[R0,R0+HS],α[180°+Φ,360°-Φ],z[L0+L1,L0+L1+LS])、0<Φ<90°を有する、第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルと、
バルク円筒形基部の中心軸上に位置する磁気抵抗センサおよび参照信号発生器であって、磁気抵抗センサは、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=Lm))、L0+L1<Lm<L0+L1+LSを有する、磁気抵抗センサおよび参照信号発生器と、を備え、
動作中、バルク円筒形基部は、周波数fでz軸を中心として回転し、第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルは、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号が、磁気抵抗センサによって出力され、参照信号発生器は、周波数2fを有する参照信号を出力し、外部処理回路が、参照信号および測定信号を復調して優れた信号対雑音比を有する外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する、磁気抵抗磁場プローブを提供する。
【0008】
本発明の実施形態では、動作中、バルク円筒形基部は、周波数fでz軸を中心として回転し、第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルは、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号が、磁気抵抗センサによって出力され、参照信号発生器は、周波数2fを有する参照信号を出力し、外部処理回路が、参照信号および測定信号を復調して優れた信号対雑音比を有する外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する。
【0009】
本発明の実施形態では、バルク円筒形基部は、周波数fでz軸を中心として回転し、2つの相互に絶縁された円筒面電極の同期回転は、それらの間の定常磁場を高周波磁場に変調することができ、これは、その磁気抵抗センサに使用される雑音を大いに減少させることができる。磁場プローブは、簡単な製造構造を有し、着脱可能な回転スリーブを磁気抵抗センサに加えることによって、外部磁場の優れた信号対雑音比の測定を実現するごとができる。本発明は、簡単な構造でサイズが小さく、プロセスの複雑さも大いに減少し、より低コストを可能にする。
【0010】
本発明の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または先行技術の説明に使用される必要がある添付図面の簡単な説明が、以下に与えられる。以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの特定の実施形態であるが、当業者は、本発明の実施形態によって開示および示唆されるデバイス構造、駆動方法、および製造方法の基本概念に従って他の構造および図面に拡張および拡大することができ、これらは、本発明の特許請求の範囲内にあることに疑いの余地はないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態により与えられる回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブの概略図である。
【
図4】X方向の外部磁場の下で異なる位相角θにおける磁気抵抗センサの位置でバルク円筒形基部が発生する磁場の分布マップである。
【
図5A】磁気抵抗センサの位置における磁場Bの磁場成分の概略図である。
【
図5B】バルク円筒形基部の回転角θを有する交流成分の変化の図である。
【
図6】磁気抵抗センサの白色雑音スペクトルの図である。
【
図8】本発明の一実施形態により与えられる回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブの概略図である。
【
図9】TMR磁気抵抗回転磁場プローブと外部処理回路との間の接続の図である。
【
図13A-13C】TMR磁気抵抗回転磁場プローブの動作時系列の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策は、以下、本発明の実施形態における添付図面を参照して、実施によってより明確かつ完全に説明されることになり、説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、その全部ではないことが明らかである。本発明における実施形態によって明かされ、示唆される基本概念に基づいて、当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に入る。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態により与えられる回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブの概略図が示されており、
図2は、z=0に沿った
図1の断面図であり、
図3は、B-Bに沿った
図1の断面図である。本実施形態により与えられる回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブ1は、空洞構造を有するとともに、円筒座標(r(r=R
0),α[0,360°],z[L
0,L
0+L])を有し、バルク円筒形基部11の中心軸が円筒座標系のz軸と重なり合うバルク円筒形基部11と、バルク円筒形基部11の外側壁に取り付けられた第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13であって、第1の磁性タイル12は、円筒座標(r[R
0,R
0+H
S],α[Φ,180°-Φ],z[L
0+L
1,L
0+L
1+L
S])を有し、第2の磁性タイル13は、円筒座標(r[R
0,R
0+H
S],α[180°+Φ,360°-Φ],z[L
0+L
1,L
0+L
1+L
S])、0<Φ<90°を有する、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13と、バルク円筒形基部11の中心軸に位置する磁気抵抗センサ14および参照信号発生器15であって、磁気抵抗センサ14は、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=L
m))、L
0+L
1<L
m<L
0+L
1+L
Sを有する、磁気抵抗センサ14および参照信号発生器15と、を備え、動作中、バルク円筒形基部11は、周波数fでz軸を中心として回転し、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号が、磁気抵抗センサ14によって出力され、参照信号発生器15は、周波数2fを有する参照信号を出力し、外部処理回路が、参照信号および測定信号を復調して優れた信号対雑音比を有する外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する。
【0014】
本実施形態では、バルク円筒形基部11は空洞構造を有し、すなわち、バルク円筒形基部11の構造の形状は環状であり、円筒の内部は、中空構造を有する。xyz座標系は、z=0軸としてバルク円筒形基部11の中心軸を用いて確立され、座標点は、円筒座標(r,α,z)によって示され、ただし、rは、z軸からの垂直距離を示し、αは、rがx-y平面上にあるときのrとx軸との間の内角を示す。バルク円筒形基部11は、円筒座標(r(r=R0),α[0,360°],z[L0,L0+L])を有し、すなわち、r=R0の底面外円半径、およびz=L0からz=L0+Lの高さを有する環状直線バルク円筒は、中心軸としてz=0で作り出され、バルク円筒形基部11の環状側壁の厚さは、特には限定されない。適宜、バルク円筒形基部11は、非磁性材料で作製される。例えば、バルク円筒形基部11の材料は、適宜、プラスチック、セラミック、金属、またはポリマーの任意の非磁性材料であり得る。
【0015】
本実施形態では、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、バルク円筒形基部11の外側壁に取り付けられ、第1の磁性タイル12は、円筒座標(r[R0,R0+HS],α[Φ,180°-Φ],z[L0+L1,L0+L1+LS])を有し、第2の磁性タイル13は、円筒座標(r[R0,R0+HS],α[180°+Φ,360°-Φ],z[L0+L1,L0+L1+LS])、0<Φ<90°を有し、第1の磁性タイル12と第2の磁性タイル13の両方は、円筒面形状を有する。この円筒面の内半径はR0であり、これは、磁性タイルがバルク円筒形基部11の外側壁の表面に取り付けられることを示し、この円筒面の外半径はR0+HSであり、これは、磁性タイルの厚さがHSであるとして理解することができ、x-y平面上の第1の磁性タイル12の円筒面の投影は、Φから180°-Φまでの円弧であり、x-y平面上の第2の磁性タイル13の円筒面の投影は、180°+Φから360°-Φまでの円弧であり、z軸上のこの円筒面の投影は、L0+L1からL0+L1+LSまでの線分である。適宜、第1の磁性タイル12と第2の磁性タイル13の両方は、軟磁性合金材料で作製される。当然ながら、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、z=0軸に沿って対称的に設けられ、バルク円筒形基部11は、非磁性材料で作製され、したがって、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、相互に絶縁されたやり方で設けられ、2つの相互に絶縁された円筒面電極、すなわち、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、円筒面に直交する定電場を発生させ、2つの相互に絶縁された円筒面電極、すなわち、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13も、定常磁場、すなわち、外部磁場を発生させる。
【0016】
本実施形態では、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブは、バルク円筒形基部11の中心軸上に位置する磁気抵抗センサ14および参照信号発生器15をさらに含み、磁気抵抗センサ14は、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=Lm))、L0+L1<Lm<L0+L1+LSを有し、すなわち、z軸上の磁性タイルの投影は、磁気抵抗センサ14を覆う。参照信号発生器15は、バルク円筒形基部11の回転角度変位を検出し、参照信号をトリガするために使用される。
【0017】
本実施形態では、動作フェーズ中、矢印16によって示されるバルク円筒形基部11は、回転方向にz=0の中心軸を中心として回転し、バルク円筒形基部11の回転は、バルク円筒形基部11上の第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13を同期的に回転するように駆動し、そして、2つの相互に絶縁された円筒面電極、すなわち、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13は、1つの回転電極を形成し、周波数fで回転する。バルク円筒形基部11が周波数fでz=0軸を中心として回転するとき、バルク円筒形基部11に取り付けられた第1の磁性タイル12と第2の磁性タイル13との間の定常磁場は、周期的に変化し、したがって、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、磁気抵抗センサ14は、感知された磁場を検出して周波数2fを有する測定信号を取得し、周波数2fを有するこの測定信号を出力し、参照信号発生器15は、バルク円筒形基部11の回転角度変位を検出して周波数2fを有する参照信号を取得し、周波数2fを有するこの参照信号を出力し、参照信号と測定信号の両方は、外部処理回路へ出力される。外部処理回路は、受信した参照信号および測定信号を復調して磁場値を取得し、この磁場値を出力し、したがって、外部磁場の優れた信号対雑音比の測定を可能にする。
【0018】
図4は、X方向の外部磁場の下で異なる位相角θにおける磁気抵抗センサの位置でバルク円筒形基部が発生する磁場の分布マップを示す。適宜、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13についての対称軸C-Cは、バルク円筒形基部の回転の位相位置を示し、θは、X方向に対してのバルク円筒形基部の回転位置の位相角であり、これは、適宜、θ=0°、θ=10°、θ=20°、θ=30°、θ=40°、θ=50°、θ=60°、θ=70°、およびθ=80°であり得る。矢印が指し示す方向は、磁気抵抗センサの位置でバルク円筒形基部が発生する磁場の方向を示し、磁場の方向とX方向との間の内角Φは、磁場方向角を示す。反時計回り方向に沿ったバルク円筒形基部の回転方向は、正方向として定義される。例えば、第1の磁性タイル12および第2の磁性タイル13が、それぞれ+Y方向および-Y方向に位置する場合、バルク円筒形基部の回転の開始位相角θは0であり、磁気抵抗センサの位置における磁場の方向はX方向であり、磁場方向角Φは0として定義され、θが10°であるとき、磁場方向は、時計回りに回転し、磁場方向角Φは負であり、θは0°から30°まで至り、Φの値の振幅は増加し始め、次いでθが40°から80°まで至るとき、Φの値は反時計回り方向に回転し始め、その振幅は減少し、当然ながら、θが90°であるとき、Φの値は0°に戻る。
【0019】
図5Aは、磁気抵抗センサの位置における磁場Bの磁場成分の概略図を示し、
図5Bは、バルク円筒形基部の回転角θを有する交流成分の変化の図を示しており、直流外部磁場は1Gであり、
図5Bは、直流成分が完全にフィルタで除去された後の磁場の変化を示す。0から360°までのθの範囲内で、磁気抵抗センサの位置における磁場Bに対応するX方向磁場成分BxまたはY方向磁場成分Byは、2周期を含み、すなわち、その周波数は2fであり、ただし、fは2πωであり、ωはバルク円筒形基部の回転速度であり、fはバルク円筒形基部の回転周波数であることが理解できる。Byについて、その直流成分は0であり、Bxについて、その直流成分はゼロでない。直流成分の影響を除外するために、結合コンデンサは、0直流磁場へBxおよびByを一緒に変調するために、磁気抵抗センサの信号出力端に接続するように使用され得る。位相BxとByの間の差は90°であり、位相Bxは0であり、位相Byは90°であることが理解できる。バルク円筒形基部を回転させることによって、直流磁場Hは、周波数fの2倍である周波数を有する交流磁場に変調することができる。回転角θを有する一方の磁場成分Bxの変化が知られている場合、すなわち、Bxの開始位相を+90°へ単純に調整することによって、回転角θを有する他の磁場成分Byの変化を得ることができることも理解できる。逆に、回転角θを有するByの変化が知られている場合、その開始位相を-90°に調整することによって、回転角θを有するBxの変化を得ることができる。
【0020】
適宜、磁気抵抗センサは、一軸リニア・センサまたは二軸リニア・センサであり、一軸リニア・センサは、円筒座標(r,α1(α1=βまたはβ+90°),z(z=Lm))で磁場感受方向を有し、二軸リニア・センサは、円筒座標(r,α2(α2=β)およびα3(α3=β+90°),z(z=Lm))、0≦β<270°で磁場感受方向を有する。適宜、磁気抵抗センサは、トンネル磁気抵抗(TMR)センサであり、TMRセンサは、二軸リニア・センサであることができ、この場合には、BxおよびByの磁場成分は、同時に測定することができ、TMRセンサは、一軸リニア・センサとすることもでき、この場合には、一方の磁場Bxは、測定することができ、次いで、位相を90°シフトすることによって、他方の磁場成分Byを得ることができ、代替として、一方の磁場Byは、測定することができ、次いで、位相を-90°シフトすることによって、他方の磁場成分Bxを得ることができる。
【0021】
図6は、磁気抵抗センサの白色雑音スペクトルの図を示す。白色雑音は、1/fの特徴を有し、すなわち、その雑音は、低周波数01で大きく、一方、その雑音は、高周波数02でかなり大きく減少するので、周波数2fへの測定された磁場の変調は、回転磁性円筒の高周波数fの回転を導入することによって実現することができ、したがって、白色雑音を低減し、信号対雑音比を改善する目的を達成する。
【0022】
本発明の実施形態では、動作中、バルク円筒形基部は、周波数fでz軸を中心として回転し、第1の磁性タイルおよび第2の磁性タイルは、外部磁場を周波数2fを有する感知された磁場に変調し、周波数2fを有する測定信号は、磁気抵抗センサによって出力され、参照信号発生器は、周波数2fを有する参照信号を出力し、外部処理回路が、参照信号および測定信号を復調して優れた信号対雑音比を有する外部磁場の測定値を与えるように磁場値を出力する。本発明の実施形態では、バルク円筒形基部は、周波数fでz軸を中心として回転し、2つの相互に絶縁された円筒面電極の同期回転は、それらの間の定常磁場を高周波磁場に変調することができ、これは、その磁気抵抗センサに使用される雑音を大いに減少させることができる。磁場プローブは、簡単な製造構造を有し、着脱可能な回転スリーブを磁気抵抗センサに加えることによって、外部磁場の優れた信号対雑音比の測定を実現することができる。本発明は、簡単な構造でサイズが小さく、プロセスの複雑さも大いに減少し、より低コストを可能にする。
【0023】
例示として、上記の技術的解決策に基づいて、
図7に示されるように、適宜、バルク円筒形基部11の側壁は、4つの光入射穴11aから11dを有し、4つの光入射穴11aから11dは、(r(r=R
0),α(α=θ,θ+90°,θ+180°,θ+270°),z(z=L
e1またはz=L
e2))である異なる円筒座標を有し、ただし、L
0<L
e1<L
0+L
1、L
0+L
1+L
S<L
e2<L
0+L、0<θ<90°であり、参照信号発生器15は、バルク円筒形基部11の外側壁の外側に位置し、円筒座標(r(r=R
0+h
S+h
e),α(α=θまたはθ+90°またはθ+180°またはθ+270°),z(z=L
e1またはz=L
e2))を有する発光素子151と、バルク円筒形基部11の中心軸上に位置する光検出器152および論理トリガ回路(図示せず)であって、光検出器152は、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=L
e1またはz=L
e2))を有する、光検出器152および論理トリガ回路と、を備え、動作中、バルク円筒形基部11は、周波数fでz軸を中心として回転し、発光素子151から発せられる光が順に4つの光入射穴11aから11dに入射するとき、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出し、論理トリガ回路をトリガして周波数2fを有する参照信号を出力する。ここで、
図7は、A-Aに沿った
図1の断面図である。
【0024】
本実施形態では、4つの光入射穴11aから11dは、バルク円筒形基部11の側壁を貫く貫通穴である。適宜、光入射穴11aは、円筒座標(r(r=R0),α(α=θ),z(z=Le1))を有し、光入射穴11bは、円筒座標(r(r=R0),α(α=θ+90°),z(z=Le1))を有し、光入射穴11cは、円筒座標(r(r=R0),α(α=θ+180°),z(z=Le1))を有し、光入射穴11dは、円筒座標(r(r=R0),α(α=θ+270°)),z(z=Le1))を有し、適宜、発光素子151は、円筒座標(r(r=R0+hS+he),α(α=θ),z(z=Le1))を有し、適宜、光検出器152は、円筒座標(r(r=0),α(α=0),z(z=Le1))を有する。他の実施形態では、z=Le2であることも任意選択することができ、発光素子は、適宜、円筒座標(r(r=R0+hS+he)、α(α=θ+90°またはθ+180°またはθ+270°))を有してもよい。適宜、発光素子は、LEDなどであり、他の実施形態では、発光素子は、適宜、量子ドット発光素子などの他の発光素子とすることもでき、このことは、この点に限定されない。
【0025】
適宜、初期状態において、発光素子151から発せられる光は、光入射穴11aを介して光検出器152へ入射する。動作中、バルク円筒形基部11は、周波数fでz軸を中心として回転し、発光素子151は、順に4個の発光穴11aから11dのそれぞれに面して設けられ、ここで、互いに面して設けられることは、発光素子151から発せられる光が、発光素子151が面している光入射穴を通過し、次いで光検出器152へ入射し、発光素子151からの入射光を検出すると、光検出器152が、論理トリガ回路をトリガして周波数2fを有する参照信号を出力することができるように、発光素子151、発光穴の1つ、および光検出器152が同じ直線上に位置することを意味する。
【0026】
図8に示されるように、適宜、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブは、バルク円筒形基部11の内部に位置する回路基板3をさらに含み、検出器152および磁気抵抗センサ14は、回路基板3上に位置する。磁気抵抗センサ14、論理トリガ回路153、および光検出器152は、全て同じ回路基板3上に位置し、論理トリガ回路153は、光検出器152に電気的に接続されるが、論理トリガ回路153の円筒座標は、特に限定されないと理解することができる。
【0027】
適宜、参照信号は、高レベル信号または低レベル信号であり、光検出器が光を検出しないとき、論理トリガ回路によって出力される参照信号のレベルは、不変のままであり、光検出器が発光素子からの入射光を検出するとき、光検出器は、論理トリガ回路によって出力される参照信号のレベルが切り換えられるように論理トリガ回路をトリガする。
【0028】
バルク円筒形基部11が、発光素子151、光入射穴の1つ、および光検出器152が互いに面して設けられるケースに回転する場合、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出すると、論理トリガ回路153をトリガし、それによって、論理トリガ回路153は、参照信号のレベルを切り換え、バルク円筒形基部11が光入射穴および光検出器152が交差するケースへ回転する場合、光検出器152は、光を検出せず、そして、論理トリガ回路153は、出力レベルを不変に維持することが理解できる。
【0029】
具体的には、動作中、バルク円筒形基部11は、周波数fでz軸を中心として回転し、発光素子151から発せられる光が、光入射穴11aに入射し、次いで、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出し、光信号を電気信号に変換し、それによって光検出器152は、バルク円筒形基部11の角度変位を検出することができ、周波数2fを有する参照信号の出力を維持するために論理トリガ回路153をトリガし、適宜、この参照信号は高レベル信号であり、続いて、回転後の発光素子151から発せられる光が、光入射穴11bに入射し、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出し、連続的な出力のために周波数2fを有する低レベル参照信号の出力へ切り換えるために論理トリガ回路153をトリガし、続いて、回転後の発光素子151から発せられる光が、光入射穴11cに入射し、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出し、連続的な出力のために周波数2fを有する高レベル参照信号の出力へ切り換えるために論理トリガ回路153をトリガし、続いて、回転後の発光素子151から発せられる光が、光入射穴11dに入射し、光検出器152は、発光素子151からの入射光を検出し、連続的な出力のために周波数2fを有する低レベル参照信号の出力へ切り換えるために論理トリガ回路153をトリガする。
【0030】
当然ながら、論理トリガ回路153が一旦トリガされるとその度に、論理トリガ回路153によって出力される参照信号のレベルは、一旦切り換えられ、2つのトリガの間の期間中、論理トリガ回路153は、先のトリガのレベルで信号の出力を維持する。参照信号発生器15は、高レベルおよび低レベルからなる周波数2fを有する参照信号を出力することがそこから理解できる。
【0031】
例示として、上記の技術的解決策に基づいて、
図9および
図10に示されるように、外部処理回路4は、コンデンサ41、および位相ロック回路42を備え、位相ロック回路42は、ミキサ421、およびローパス・フィルタ422を備えており、ローパス・フィルタ422のカットオフ周波数は、バルク円筒形基部11の回転周波数未満であり、動作中、磁気抵抗センサ14によって出力される測定信号は、結合され、コンデンサ41を介して位相ロック回路42へ出力される。
【0032】
図9に示されるように、回転電気機械変調器を備えた磁気抵抗磁場プローブ1は、外部処理回路4に電気的に接続される。プローブ1は、A-A断面上に4つの光入射穴11aから11dを有し、PD光検出器152は、それらの共通軸の位置に設けられる。参照信号発生器15内のLEDランプ151から発せられる光は、光入射穴を通って光検出器152に入り、次いで、光検出器152は、磁束回転の周波数fをこの周波数の2倍である周波数を有する電気信号に変換し、次いで、これは、回路基板3上の論理トリガ回路を介してフェーズ・ロック増幅器42の参照信号入力端に入力される。B-B断面内の2つの磁性タイル12および13の共通軸上に位置するプローブ1の二軸磁気抵抗センサ14は、周波数2fを有する誘導磁場信号を出力し、この誘導磁場信号は、フェーズ・ロック増幅器42の測定信号入力端へコンデンサ41を介して測定信号として入力される。このようにして、フェーズ・ロック増幅器42の信号出力端において、X(0°位相出力信号)磁場成分出力信号、およびY(90°位相出力信号)磁場成分出力信号が得られ、それによって、最終的に、外部磁場Hのベクトル値が得られる。
【0033】
適宜、外部処理回路は、前置増幅器をさらに備え、前置増幅器は、コンデンサと位相ロック回路との間に設けられる。
図10に示されるように、測定される物理量43、すなわち、測定信号は、周波数fを有する信号を形成するために高周波キャリア信号源Vacおよびその対応するセンサ441を含む変調センサ44を通過する。位相ロック回路42は、適宜、ミキサ421およびローパス・フィルタ422を含むフェーズ・ロック増幅器とすることができる。信号増幅は、信号周波数fを有する信号を得るために、変調センサ44によって出力された変調信号に対して雑音増幅器45によって実行されるものであり、雑音増幅器45は、前置増幅器である。次いで、高周波キャリア信号源Vacは、周波数fと同じ周波数を有する参照信号を直接出力し、参照信号は、ミキサ421に入力され、混合された後、高周波数信号および低周波数信号が得られ、低周波部分は、ローパス・フィルタ422によって取り除かれる。雑音信号については周波数シフトが生じないので、増幅器45の雑音も、フィルタで除去され、それによって、最後には、増幅器雑音のない高周波出力信号46が得られる。
【0034】
適宜、外部処理回路は、位相シフタをさらに備え、一軸リニア・センサは、2つの測定信号を出力し、測定信号の一方は、位相ロック回路に直接接続され、他方は、位相シフタによって90度位相シフトされ、次いで、位相ロック回路に接続され、参照信号発生器は、1つの参照信号を発生し、1つの参照信号および2つの測定信号は、外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように位相ロック回路によって復調される。
図11に示されるように、TMR一軸リニア・センサが採用され、その信号出力端51は、2つの分岐に分けられており、2つの分岐のうちの一方は、位相ロック回路42に直接出力され、他方は、位相シフタ52を介して位相ロック回路42へ出力され、α
2-α
1の位相シフトがもたらされる。X方向一軸リニア・センサが採用され、位相シフトが90°であると仮定すると、参照信号53は一定であり、次いで、位相ロック回路42は、2つの信号54および55、すなわち、VxおよびVy信号を出力し、そして、外部磁場Hの2つの成分をそれぞれ得ることができる。
【0035】
適宜、外部処理回路は、位相シフタをさらに備え、一軸リニア・センサは1つの測定信号を出力し、参照信号発生器は2つの参照信号を発生し、参照信号の一方は、位相ロック回路に直接接続され、他方は、位相シフタによって90度位相シフトされ、次いで、位相ロック回路に接続され、1つの測定信号および2つの参照信号は、外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように位相ロック回路によって復調される。
図12に示されるように、参照信号53は、2つのチャンネルに分けられ、それらの一方は、位相ロック回路42に直接出力され、他方は、位相シフタ52へ通る。X方向一軸リニア・センサが採用され、位相シフトが90°であると仮定すると、2つの信号は、一軸リニア・センサからの出力信号56と別々に混合され、2つの信号54および55、すなわち、VxおよびVyは、外部磁場Hの2つの成分を得るように位相ロック回路42を通じて出力される。
【0036】
適宜、二軸リニア・センサから出力される2つの測定信号は、位相ロック回路に別々に接続され、参照信号発生器は、1つの参照信号を発生し、2つの測定信号および1つの参照信号は、外部磁場の磁場成分に対応する2つの出力信号を出力するように位相ロック回路によって復調される。
【0037】
図13Aから
図13Cは、電気機械的変調式のTMRセンサ回転プローブの動作時系列の図を示す。光検出器からの信号は、パルスの形態であり、光検出器によって受信された信号を使用して論理トリガ回路をトリガし、それによって、論理トリガ回路は、高レベルおよび低レベルを出力する。光検出器がLED入射光を受信するごとに、論理トリガ回路が、高/低レベルの逆転のためにトリガされる。例えば、論理トリガ回路は、始めに低レベルを出力し、光検出器がLED入射光を受信するまで低レベルを出力するように保ち、光検出器がLED入射光を受信するときに、光検出器は、高レベルへ切り換えて維持するために論理トリガ回路をトリガし、光検出器が次のLED入射光に受信するまで、次いで、論理トリガ回路は、高レベルから低レベルへ再び切り換える。
図13Aは、参照信号発生器から出力される高レベル信号および低レベル信号を示し、
図13Bは、外部磁場のX方向磁場成分Vxを示し、
図13Cは、外部磁場のY方向の磁場成分Vyを示す。回転角座標から、4つの入射穴がある場合、磁束は360°回転するとき、3つの信号は180°の周期を有し、すなわち、周波数は2倍増加し、Vx信号の位相は0°であり、一方、Vy信号の位相は90°であり、したがって、TMR動作周波数を高い周波数へうまくシフトし、VxおよびVyの振幅に基づいて、実際の外部磁場の磁場成分を解くことができ、最後には、外部磁場Hの大きさおよび方向を得ることができることが理解できる。
【0038】
例示として、上記の技術的解決策に基づいて、
図1に示されるように、適宜、バルク円筒形基部11は磁気シールド・モータ2によって回転するように駆動され、バルク円筒形基部11および磁気シールド・モータ2は、非磁性伝動シャフト21によって互いに接続される。他の実施形態では、参照信号発生器が、磁気シールド・モータの角度変位の測定に使用するために、磁気シールド・モータの外側に直接設けられることも任意選択であり、これは、本明細書に示されていない。磁気シールド・モータは、軸z=0を中心として回転するようにバルク円筒形基部を駆動するために使用され、参照信号発生器は、磁気シールド・モータの回転角度変位を直接検出し、参照信号をトリガする。
【0039】
適宜、磁気シールド・モータは、その側面側の金属電導層およびバルク円筒形基部の近くの表面上の軟磁性金属層で覆われる。
図14に示されるように、磁気シールド・モータ2は、モータ22と、モータ22およびバルク円筒形基部11を接続する非磁性の長いシャフト21と、モータ22の周りに巻かれた金属電導層23と、非磁性の長いシャフト21の端に位置する軟磁性シールド層24と、を含み、軟磁性シールド層24は、モータ22の回転磁場がバルク円筒形基部11に影響を及ぼすのをシールドするために使用される。バルク円筒形基部は、プラスチック、セラミック、金属、またはポリマーなどを含む非磁性材料で作製され、磁性タイルおよび軟磁性金属層24は、軟磁性合金材料、すなわち、Co、Fe、NiおよびB、Si、C、ならびに遷移金属Nb、Cu、Zr元素を含有する高透磁性軟磁性材料で作製される。
【0040】
上記のものは、本発明の好ましい実施形態および用いられる技術的原理に過ぎないことに留意されたい。本発明が、本明細書中に記載された特定の実施形態に限定されず、様々な自明の変形、再調整、組合せ、および置換が、本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが当業者によって理解されよう。したがって、本発明は、上記の実施形態によっていくらか詳細に説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の概念から逸脱することなくより多くの他の均等な実施形態を含むことができ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】