(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(54)【発明の名称】キャリッジ輸送システム
(51)【国際特許分類】
B60P 3/07 20060101AFI20230530BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20230530BHJP
B61D 47/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B60P3/07 Z
B61B13/00 A
B61D47/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509876
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 FR2021050743
(87)【国際公開番号】W WO2021224567
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522430198
【氏名又は名称】スタンリー ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コール,オレリアン
(72)【発明者】
【氏名】リプ,マチュ
(72)【発明者】
【氏名】ブサール,クレモン
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BB34
(57)【要約】
本発明は、物品または荷物を輸送するためのシステムに関する。本システムは、車輪を支持する少なくとも二つの車軸を備えたプラットフォームから構成される少なくとも1つのキャリッジと、運搬車両とによって形成されている。運搬車両は、キャリッジのうちの1つの下にスライド可能なプラットフォームを備える自走式車両であり、プラットフォームは、前記車輪が地面に接触するのを防止するのに十分な高さに、キャリッジを持ち上げる手段を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(102,103)を支持する少なくとも二つの車軸を備えたプラットフォーム(101)から構成される少なくとも1つのキャリッジ(100)と、運搬車両(200)とによって形成された、物品または荷物を輸送するためのシステムであって、
前記運搬車両(200)は、前記キャリッジ(100)のうちの1つの下にスライド可能なプラットフォーム(240)を備える自走式車両であり、
前記プラットフォーム(240)は、前記車輪(102,103)が地面に接触するのを防止するのに十分な高さに、前記キャリッジ(100)を持ち上げる手段を備える、ことを特徴とする、物品または荷物を輸送するためのシステム。
【請求項2】
前記キャリッジ(100)を持ち上げる前記手段は、前記キャリッジ(100)の下面と相互作用する少なくとも1つのアクチュエータ(260,270)から構成される、ことを特徴とする、請求項1に記載の物品または荷物を輸送するためのシステム。
【請求項3】
前記運搬車両(200)は、フレーム(240)によって延伸される推進ユニット(250)から構成され、
前記フレーム(240)は、引込位置と、前記キャリッジ(100)の前記車輪(102,103)と接触する位置との間に、前記キャリッジ(100)の車輪(102,103)を押し込むアーム(210,220;211,221;212,222;213,223)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の物品または荷物を輸送するためのシステム。
【請求項4】
前記推進ユニット(250)は、フロントフレームから構成され、
前記フロントフレームには、2つの横方向サブアセンブリが固定され、
前記2つの横方向サブアセンブリはそれぞれ、互いに独立して操縦される電動式で、かつ方向を規定する車輪(214,215)と、前記フレームを前記フロントフレームと連結する手段とを備える、ことを特徴とする、請求項3に記載の物品または荷物を輸送するためのシステム。
【請求項5】
前記フレームは、厚さ100ミリメートル未満の構造によって形成され、前記構造は、リフトパッドによって垂直に100ミリメートル未満の操作が可能なセクションを備えた車輪を備える、ことを特徴とする、請求項4に記載の物品または荷物を輸送するためのシステム。
【請求項6】
前記運搬車両は、自動運転手段を備えることを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の物品または荷物を輸送するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、産業用キャリッジトラクタの分野に関する。これらの産業用キャリッジトラックは、四輪キャリッジから構成される一つまたは複数のワゴンを牽引し、その数は荷積みまたは荷下ろしする材料の性質および量に応じて変化する。これらのキャリッジ、特にキャリッジの車列において先行するキャリッジは、キャリッジの前部に設けられたドローバーとトラクタの後部に設けられたフックとによって形成された連結装置を備え、ドローバーとフックとは互いに協働可能である。時には、ドローバーは、操作性を改善するために、前輪を支持する操縦可能な車軸を駆動する。通常、このようなキャリッジは2つの操縦可能な前輪と2つの後輪とを備える。後輪は、操縦可能であってもなくてよい。文献US-A-2,454,641に開示されているような既知の産業用キャリッジでは、ドローバーは、長手方向の部材の形態で製造され、キャリッジの横軸の周りにヒンジ結合され、トラクタのフックと協働可能なリングを前部に備える。用語「トラクタ」は、キャリッジを確実に牽引できる電動または非電動の機械、及び、キャリッジの車列のすぐ上流に位置する別のキャリッジの両方を表す。
【0002】
本発明に関係する搬送車両(train, trains)は、荷物の供給及び/又は輸送が必須であり、かつ、利用可能性及び積荷能力のモジュール性の両方の観点から非常に柔軟でなければならない搬送区域において使用される。例えば、上記搬送車両は、空港、列車の駅、製造工場、加工工場、製造ラインなどにおいて使用される。例えば、空港及び列車の駅において、荷物の輸送及び/又は輸送時のその他の荷物を確実に輸送するために使用される。また例えば、製造工場、加工工場、製造ラインにおいて、原料、部品及び構成要素を作業場に確実に供給するために、また同様に、製造品、及び/又は、組立品もしくは仮組立品(サブアセンブリ)を他の作業場に確実に移動するために使用される。このタイプの搬送車両は、荷物を、箱、コンテナ、パレット、または、その他の同等物に入れた状態で、いくつかの領域の間において輸送することを可能にする。当該領域としては、荷下ろし、保管、製造、取り付け、組み立て、荷積み等を行う領域が挙げられる。上記搬送車両は、所定のトラック(軌道)に従っても、従わなくてもよく、搬送車両を元の位置に戻す(例えばその出発点に戻す)閉ループトラック上を移動してもよい。また、上記搬送車両は、標準的なルートを移動するようにプログラムされていてもよく、及び/又は、自動モードで移動し、障害物を回避するための対物センサを備えてもよい。
【0003】
産業用キャリッジトラクタは通常、電気モータによって駆動され、電気モータはバッテリなどの電気エネルギー蓄積装置によって電力供給される。バッテリは中央空港ハブで充電されるが、特に重い貨物が輸送されている場合、動作中にバッテリが消耗することは珍しくない。バッテリが枯渇した場合、産業用キャリッジトラクタは、他の車両または電源コンセントによって再充電されるべく、車両に牽引されなければならない。
【0004】
[従来技術]
最新技術として知られている文献としては、キャスタを備えたトレーラを輸送することを目的としたトレーラを記載するフランス特許FR2979609が挙げられる。キャスタには「オーダー準備キャリッジ」が置かれている。トレーラは、電動式ではなく、トラクタの車両によって駆動されるトレーラの車列を形成するように互いに結合される。
【0005】
その出願人による特許出願WO2016/189233には、車両の自動駐車または製造中の自動車の移動のために、四輪車両を移動することを目的としたモバイルコンベヤが記載されている。モバイルコンベヤは、アームを備えたフレームから構成されている。アームは、車両の下にフレームを移動させることが可能な位置と、車輪のトレッドが接触する位置との間で移動可能である。フレームが、伸縮自在であり、かつ、1対のアームをそれぞれ支持する2つのセグメントを備えることを特徴としている。
【0006】
この文献は、複数の荷積みキャリッジを用いて物品又は荷物を輸送するためのシステムに関するものではない。
【0007】
特許出願DE102017209791には、自動車を輸送するために使用される自律輸送装置が記載されている。この自律輸送装置は、自動車の移動を可能にするいくつかの車輪と、この自動車が自律輸送装置によって輸送されるように、自動車を受け取るように設計された受け取り装置と、車輪のうちの少なくとも1つを駆動するように設計されたモータと、車輪のうちの少なくとも1つを操縦するように設計された操縦装置と、モータおよび操縦装置をコントロールするように設計された自律コントロール装置と、を備える。この自律コントロール装置は、自律輸送装置が自律的に移動することを可能にするように設計されている。
【0008】
この文献は、自動車を輸送するために使用される自律輸送装置であって、荷積みキャリッジを輸送するために使用されるものではない。
【0009】
US4310271Aには、複数の車両を輸送するためのコンテナ輸送システムが記載されている。コンテナ輸送システムは、貨物コンテナと、コンテナ内部の少なくとも1つの傾斜路(ramp)と、を備えている。傾斜路は使い捨てであり、段ボールで作られている。
【0010】
[従来技術の解決策の欠点]
従来技術の解決策は、多くの欠点を有する。
【0011】
第1に、産業用キャリッジ「車両(trains)」の場合、安全上の欠点がある。ドローバーは一般に、キャリッジの回転半径を小さくすることを可能にし、それにより、キャリッジが小さい空間においてUターンできるようにするために、かなりの長さを要する。トラクタのドライバは、時にはいくつかのキャリッジを牽引するが、特にトラクタから離れている場合には、キャリッジの視認性、及び、2つの連続したキャリッジ間の空間の視認性は、わずかなほどに限られる。したがって、ドライバは、連続するキャリッジによって掃引される領域に人がいるかどうかを見ることができず、人または物体は、時々、キャリッジの車列の小回り中に2つのキャリッジの間に押し込められる。
【0012】
第2の欠点は、柔軟性に関係する。輸送される荷物は、必ずしも同じ目的地に輸送されるわけではなく、通常、フォークリフトなどのハンドリング装置を使用して、キャリッジから荷積み及び荷下ろしされる。このためには、荷物を所望位置に運搬する作業を行う1人以上のフォークリフトのオペレータが恒久的に利用されることが必要である。荷物の取扱いを制限し、物流を単純化するために、いくつかのキャリッジを連結解除してもよい。これにより、荷物をそのキャリッジと共に所望位置に直接運搬することができるので、取扱器具を移動させる無駄を省ける。しかし、キャリッジを連結解除することは、比較的長く、退屈な介入時間を必要とする。これは、搬送車両の著しい停止時間を発生させる。搬送車両を継続して走らせるためには、残りのキャリッジが連結されなければならない。この介入は、操縦を実行するために搬送車両のドライバを必要とし、また、長くて退屈な介入を必要とする。
【0013】
第3の欠点は、荷積みおよび荷下ろし手段の最適な利用性を確保するために必要とされる投資の量に関する。一般に、トラクタは、荷積み、輸送および荷下ろしのサイクルの間中、キャリッジの車列に取り付けられ、また、荷下ろしされ、戻ってきたキャリッジの車列に取り付けられる。しかしながら、トラクタは、輸送段階中にのみ必要となるものである。他の段階の間、トラクタは不必要に固定化される。
【0014】
本発明の目的は、荷積みされたキャリッジの移動段階のためだけに自走式車両を動かすことによって、より大きな柔軟性を提供することである。
【0015】
[本発明が提案する解決策]
前述の欠点に対処するために、本発明は、その最も一般的な意味において、車輪を支持する少なくとも二つの車軸を備えたプラットフォームから構成される少なくとも1つの産業用キャリッジと、運搬車両とによって形成された、物品または荷物を輸送するためのシステムに関する。前記運搬車両は、キャリッジの下にスライド可能なプラットフォームを備える自走式車両であり、前記プラットフォームは、前記車輪が地面に接触するのを防止するのに十分な高さに、前記キャリッジを持ち上げる手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第1の変形例によれば、前記キャリッジを持ち上げる前記手段は、前記キャリッジの下面と相互作用する少なくとも1つのアクチュエータから構成される。
【0017】
第2の変形例によれば、前記運搬車両は、フレームによって延伸される推進ユニットから構成され、前記フレームは、引込位置と、前記キャリッジの前記車輪と接触する位置との間に、前記キャリッジの車輪を押し込むアームを備える。
【0018】
有利な点として、前記推進ユニットは、フロントフレームから構成され、前記フロントフレームには、2つの横方向サブアセンブリが固定され、前記2つの横方向サブアセンブリはそれぞれ、互いに独立して操縦される電動式で、かつ方向を規定する車輪と、前記フレームを前記フロントフレームと連結する手段とを備える。
【0019】
特定の実施形態によれば、前記フレームは、厚さ100ミリメートル未満の構造によって形成され、前記構造は、リフトパッドによって垂直に100ミリメートル未満の操作が可能なセクションを備えた車輪を備える。
【0020】
好ましくは、前記運搬車両は、自動運転手段を備える。
【0021】
[非限定的な実施形態の詳細な説明]
本発明は、添付の図面によって示される非限定的な実施形態に関連して、以下の説明を読むことによってより良く理解されるのであろう。
【0022】
[
図1]
図1は、本発明の第1の実施形態の変形例に従ったシステムの概略側面図を示す。
【0023】
[
図2]
図2は、本発明の第1の実施形態の変形例に従ったシステムの概略底面図を示す。
【0024】
[
図3]
図3は、本発明の第2の実施形態の変形例に従ったシステムの概略底面図を示す。
【0025】
[一般原則]
本発明に従ったシステムは、キャリッジ(100)および運搬車両(200)を備える。運搬車両(200)は、ドライバによって操縦されてよい。この場合、キャビンを備えてよい。または、運搬車両(200)は、ドライバなしで自動走行するために自律的であってもよい。
【0026】
キャリッジ(100)は、「スタンダード」キャリッジ、特に、例えば、空港で手荷物または貨物コンテナ(110)を荷積みおよび積み下ろしするために使用されるキャリッジであり得る。キャリッジ(100)は、フロント軸およびリア軸を支持するフレーム(101)から構成され、概して、ドローバーまたはヒッチングボールにヒンジ連結されている。また、キャリッジ(100)は、車輪(102、103)を備える。
【0027】
運搬車両(200)は、ガイド軸(216、217)に対して独立して旋回する一対の電動式の車輪(215)を備えた自走式ユニット(250)から構成される。この自走式ユニット(250)は、プラットフォーム(240)によって延伸される。プラットフォーム(240)の寸法は、フレーム(101)の下を通るキャリッジ(100)の車輪(102、103)の間にスライド可能なように調整されている。
【0028】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態の変形例では、運搬車両(200)のプラットフォーム(240)は、アーム(210,220;211,221;212,222;213,223)を備える。この第1の変形例では、これらのアームはそれぞれ、車輪(102,103)のトレッドに位置することが可能なようにヒンジ連結されている。これにより、キャリッジを持ち上げることができる。または、プラットフォーム(240)がキャリッジの下に位置することが可能なように引き込むことができる。
【0029】
プラットフォーム(240)は、膨張可能なパッド(231,232)に取り付けられた少なくとも1つの車輪(230)をさらに備え、プラットフォーム(240)を持ち上げるまたは下げることを可能にする。
【0030】
自走式ユニットに最も近い2つのアーム(210,212)は、固定されている。アーム(210、212)は、プラットフォーム(240)がキャリッジフレームの下にスライドされるとき、キャリッジタイヤのトレッドに当接する。キャリッジ(101)の下にプラットフォーム(240)を位置決めするこの工程の間、他のアームは傾斜して見えない。アーム(210,212)が当接すると、アクチュエータは、他のアーム(220、222)を旋回させて、キャリッジ(100)の前輪(102)をブロックし、また、後方アーム(211,221;213,223)を傾斜させて、キャリッジ(100)の後輪(103)をブロックする。
【0031】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態では、運搬車両(200)のプラットフォーム(240)は、キャリッジ(100)のフレーム(101)の下にスライドすることを可能にする寸法(幅、高さ)を有する。また、プラットフォーム(240)は、フレーム(101)の下面と接触する2つのアクチュエータ(260,270)によって持ち上げることを可能にする寸法(幅、高さ)を有し、車輪がもはや地面と接触しないように十分に高くフレーム(101)を持ち上げる。
【0032】
[使用]
この解決策は、荷物の供給および/または輸送のための荷積みおよび荷下ろしの構造を最適化することを可能にする。キャリッジは、保管場所および/または回収場所に配置され、荷積み領域または荷下ろし領域の周囲内で、従来のトラクタによって手動で移動または牽引することができる。キャリッジが輸送される準備が整うと、運搬車両はいずれも、キャリッジの下に入り込み、キャリッジの列全体が荷積みされるのを待つことなく、キャリッジを動かすことができる。輸送後、運搬車両はキャリッジから取り外され、運搬車両はさらなる移動のために利用可能である。
【0033】
したがって、これは、荷積み領域または荷下ろし領域においてトラクタを固定すること、および、ドローバーによって接続されたキャリッジの車列であり、取扱いが繊細であり、事故を引き起こす可能性があるキャリッジの車列を寄せ集めることを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1の実施形態の変形例に従ったシステムの概略側面図を示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態の変形例に従ったシステムの概略底面図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態の変形例に従ったシステムの概略底面図を示す。
【国際調査報告】