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特表2023-523676エアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20230531BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230531BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20230531BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/51
H05B3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550120
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2021016504
(87)【国際公開番号】W WO2022211207
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040345
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン セオン
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、 ジン チュル
【テーマコード(参考)】
3K034
4B162
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034BB08
3K034BB13
3K034DA03
3K034HA06
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
【要約】
エアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置が提供される。本開示の幾つかの実施例によるヒーターは、加熱機能を行う第1電気伝導性パターンと、第1電気伝導性パターンより抵抗温度計数の大きい素材からなり、ヒーターに対する温度測定機能を行う第2電気伝導性パターンと、を含んでもよい。この場合、第2電気伝導性パターンを通じてヒーターの加熱面の温度が正確に測定されるため、ヒーターの制御精密性が向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターにおいて、
加熱機能を行う第1電気伝導性パターンと、
前記第1電気伝導性パターンより抵抗温度計数が大きい素材からなり、前記ヒーターに対する温度測定機能を行う第2電気伝導性パターンと、を含む、ヒーター。
【請求項2】
前記第1電気伝導性パターンと前記第2電気伝導性パターンは、同じレイヤに配置される、請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
前記第1電気伝導性パターンと前記第2電気伝導性パターンは、互いに異なるレイヤに配置される、請求項1に記載のヒーター。
【請求項4】
前記第2電気伝導性パターンの抵抗値は、前記第1電気伝導性パターンより大きい、請求項1に記載のヒーター。
【請求項5】
前記第2電気伝導性パターンに供給される電力は、前記第1電気伝導性パターンに供給される電力より小さい、請求項1に記載のヒーター。
【請求項6】
前記第2電気伝導性パターンは、前記第1電気伝導性パターンが配置された加熱面の中心領域の温度を測定するように配置され、
前記加熱面の中心から前記中心領域の外郭線までの距離は、前記中心から前記加熱面の外郭線までの距離の0.15倍~0.5倍である、請求項1に記載のヒーター。
【請求項7】
前記第1電気伝導性パターンと並列構造で配置され、加熱機能を行う第3電気伝導性パターンを含み、
前記第1電気伝導性パターンは、抵抗温度計数が1000ppm/℃以下の素材からなる、請求項1に記載のヒーター。
【請求項8】
前記第1電気伝導性パターンは、比抵抗(resistivity)が3.0×10-8Ωm以上の素材からなる、請求項7に記載のヒーター。
【請求項9】
前記第3電気伝導性パターンは、前記第1電気伝導性パターンより外郭に配置され、
前記第3電気伝導性パターンの抵抗値は、前記第1電気伝導性パターンより小さいか、同一である、請求項7に記載のヒーター。
【請求項10】
前記第3電気伝導性パターンは、前記第1電気伝導性パターンより外郭に配置され、
前記第3電気伝導性パターンより外郭に配置された第4電気伝導性パターンをさらに含み、かつ、
前記第4電気伝導性パターンと前記第3電気伝導性パターンの間隔は、前記第3電気伝導性パターンと前記第1電気伝導性パターンの間隔より広い、請求項7に記載のヒーター。
【請求項11】
前記第3電気伝導性パターンは、前記第1電気伝導性パターンより外郭に配置され、
前記第3電気伝導性パターンの厚さは、前記第1電気伝導性パターンより厚くて、
前記第3電気伝導性パターンの厚さは、100μm以下である、請求項7に記載のヒーター。
【請求項12】
前記第1電気伝導性パターンは、コンスタンタン(constantan)、マンガニン(mangnanin)および洋銀(nickel silver)のうち少なくとも一つの素材からなる、請求項1に記載のヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置に関する。より詳しくは、加熱温度の測定誤差を減少させることによって、制御精密性を向上させることができるエアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統シガレットの短所を克服する代替喫煙物品に関する需要が増加している。例えば、シガレットを電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させる装置(e.g.シガレット型電子タバコ)に関する需要が増加していて、これによって、電気加熱式エアロゾル発生装置に対する研究が活発に進行している。
【0003】
最近では、電気伝導性パターンが形成されている薄いフィルム形態のヒーターを通じてシガレットを外部で加熱してエアロゾルを発生させる装置が提案されたことがある。そして、提案された装置も、他のエアロゾル発生装置と同様に、ヒーターの近くに付着した別途の温度センサーを通じてヒーターの温度を制御している。
【0004】
ところが、別途の温度センサーでヒーターの温度を測定することになると、温度センサーの付着位置または付着状態によって測定誤差が発生することになる。しかも、このような測定誤差は、ヒーター制御の精密性を低下させることによって、ユーザの喫煙体験に否定的な影響(e.g.タバコ味の減少、霧化量の減少など)を及ぼすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする技術的課題は、温度測定誤差の減少を通じて制御精密性を向上させることができるエアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0006】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする他の技術的課題は、均一な発熱分布を保障できるエアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0007】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、高速昇温を保障できるエアロゾル発生装置用ヒーターおよびこれを含むエアロゾル発生装置を提供することにある。
【0008】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、複数の電気伝導性パターンを含むエアロゾル発生装置用ヒーターの制御方法を提供することにある。
【0009】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるヒーターは、加熱機能を行う第1電気伝導性パターンと、前記第1電気伝導性パターンより抵抗温度計数の大きい素材からなり、前記ヒーターに対する温度測定機能を行う第2電気伝導性パターンと、を含んでもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記第1電気伝導性パターンと前記第2電気伝導性パターンは、同じレイヤに配置されてもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記第1電気伝導性パターンと前記第2電気伝導性パターンは、互いに異なるレイヤに配置されてもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記第2電気伝導性パターンの抵抗値は、前記第1電気伝導性パターンより大きくもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記第2電気伝導性パターンに供給される電力は、前記第1電気伝導性パターンに供給される電力より小さくてもよい。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記第2電気伝導性パターンは、前記第1電気伝導性パターンが配置された加熱面の中心領域温度を測定するように配置され、前記加熱面の中心から前記中心領域の外側の線までの距離は、前記中心から前記加熱面の外郭線までの距離の0.15倍~0.5倍でありうる。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記第1電気伝導性パターンと並列構造に配置され、加熱機能を行う第3電気伝導性パターンを含み、前記第1電気伝導性パターンは、抵抗温度計数が1000ppm/℃以下の素材からなり得る。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記第1電気伝導性パターンは、コンスタンタン(constantan)、マンガニン(mangnanin)および洋銀(nickel silver)のうち少なくとも一つの素材からなり得る。
【発明の効果】
【0018】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、加熱機能を行う第1電気伝導性パターン(「加熱パターン」)と、温度測定機能を行う第2電気伝導性パターン(「センサーパターン」)とが一体化したヒーターを製造することができる。この場合、センサーパターンを通じて加熱パターンが配置された加熱面の温度を直接的に測定することができ、ヒーターの温度測定誤差を最小化することができる。また、これによって、ヒーターに対する制御精密性が改善されて、ユーザにさらに向上した喫煙体験を提供することができる。ひいては、エアロゾル発生装置の製造時に別途の温度センサーを組立(付着)する工程が行われる必要がないところ、エアロゾル発生装置の製造工程を簡素化することができる。
【0019】
また、抵抗温度計数の小さい素材からなる電気伝導性パターンが加熱パターンとして機能することができる。この場合、高速の昇温が保障されることによって、エアロゾル発生装置の予熱時間が短縮され、喫煙序盤の喫味感が大きく向上することができる。
【0020】
また、複数の電気伝導性パターンが並列構造に配置されてもよく、外郭側パターンの抵抗値が中心側パターンの抵抗値より大きくないように設計されてもよい。これによって、ヒーターの加熱面全体にわたって均一に熱が発生することができ、エアロゾル発生装置の加熱効率が向上することができる。
【0021】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターを概念的に示す例示図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターを説明するための例示図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターを説明するための例示図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターを説明するための例示図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターのレイヤ構造を説明するための図である。
図6】本開示の他の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターのレイヤ構造を説明するための図である。
図7】本開示の第1実施形態によるフィルム型ヒーターの加熱パターン構造を説明するための例示図である。
図8】本開示の第1実施形態によるフィルム型ヒーターの加熱パターン構造を説明するための例示図である。
図9】本開示の第2実施形態によるフィルム型ヒーターの加熱パターン構造を説明するための例示図である。
図10】本開示の第2実施形態によるフィルム型ヒーターの加熱パターン構造を説明するための例示図である。
図11】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターが適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を示す例示的なブロック図である。
図12】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターが適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を示す例示的なブロック図である。
図13】本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターが適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を示す例示的なブロック図である。
図14】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置用で製造されたフィルム型ヒーターの制御方法を示す例示的な流れ図である。
図15】実施形態および比較例によるフィルム型ヒーターの昇温速度に対する比較実験結果を示す図である。
図16】実施形態によるフィルム型ヒーターのパターン構造を示す例示図である。
図17】実施形態によるフィルム型ヒーターの発熱分布に対する比較実験結果を示す図である。
図18】実施形態によるフィルム型ヒーターの発熱分布に対する比較実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0024】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0025】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0026】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0027】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0028】
本開示の多様な実施形態に対する説明に先立って、以下の実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0029】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状でありうる。
【0030】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎にする液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。
【0031】
より具体的な例として、液状のエアロゾル形成基材は、プロピレングリコール(PG)およびグリセリン(GLY)のうち少なくとも一つを含んでもよいし、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。他の例として、エアロゾル形成基材は、ニコチン、水分および加香物質のうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。さらに他の例として、エアロゾル形成基材は、ケイヒ、カプサイシンなどの多様な添加物質をさらに含んでもよい。エアロゾル形成基材は、流動性の大きい液体物質だけでなく、ゲルまたは固形分形態の物質を含んでもよい。このように、エアロゾル形成基材の組成成分は、実施形態によって多様に選択することができ、その組成比率も、実施形態によって変わることができる。本明細書において、液状は、液状のエアロゾル形成基材を指すことができる。
【0032】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。エアロゾル発生装置の幾つかの例示については、図11図13を参照する。
【0033】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよい。エアロゾル発生物品の代表的な例としては、シガレットが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるねのではない。
【0034】
以下の実施形態において、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0035】
以下では、本開示の多様な実施形態について説明する。
【0036】
本開示の幾つかの実施形態によれば、加熱機能を行う第1電気伝導性パターン(以下、「加熱パターン」という)と、温度測定機能を行う第2電気伝導性パターン(以下、「センサーパターン」という)と、を含むフィルム型ヒーターを提供することができる。より正確には、図1に示されたように、加熱パターン40とセンサーパターン50が一体型で含まれたフィルム型ヒーター30を提供することができる。ただし、本開示の範囲がこれに限定されるものではなく、本実施形態に内包された技術的思想は、フィルム型でなく、他の形態のヒーターにも適用可能である。図1に示されたようなフィルム型ヒーター30は、センサーパターンが加熱パターンが配置された加熱面の温度を直接的に測定することによって測定誤差を最小化することができ、このようなヒーター30がエアロゾル発生装置に適用されると、ヒーターの温度制御が非常に精密に行われ得る。以下では、理解の便宜を提供するために、フィルム型ヒーター30がエアロゾル発生装置の用途に用いられることを仮定して説明を継続することとする。ただし、だからといって、実施形態によるフィルム型ヒーター30の用途がエアロゾル発生装置に限定されるものではない。
【0037】
以下では、上述した実施形態によるフィルム型ヒーター30に関して図2以降の図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
図2は、本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーター30を説明するための例示図である。
【0039】
図2に示されたように、フィルム型ヒーター30は、ベースフィルム31、加熱パターン32、センサーパターン33および端子34を含んでもよい。ただし、図2には、本開示の実施形態と関連する構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、図2に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。以下、フィルム型ヒーター30の各構成要素について説明するが、説明の便宜上、フィルム型ヒーター30を「ヒーター30」と略称する。
【0040】
ベースフィルム31は、ヒーター10のベースを構成する耐熱性または絶縁性フィルムでありうる。例えば、ポリイミド(polyimide;以下「PI」という)フィルムなどのような耐熱性または絶縁性フィルムがベースフィルム31に用いられ得る。ベースフィルム31上には、一つ以上の電気伝導性パターン32、33が形成されていてもよい。ここで、電気伝導性パターン32、33は、印刷、塗布などのように多様な方式で形成されてもよい。したがって、本開示の範囲が特定のパターン形成方式に限定されるものではない。
【0041】
図示されていないが、ヒーター30は、ベースフィルム31の他に、ヒーター30の上面を覆うカバーフィルム(不図示)をさらに含んでもよい。カバーフィルム(不図示)も、PIフィルムのような耐熱性または絶縁性フィルムからなり得る。
【0042】
次に、加熱パターン32は、端子34を通じて電力(または電圧)が印加されるにつれ加熱機能を行うことができる。換言すれば、加熱パターン32は、電気伝導性素材からなり、電力が印加されるにつれて発熱することによって、対象体(e.g.エアロゾル発生物品)を加熱することができる。
【0043】
加熱パターン32は、多様な種類の電気伝導性素材からなり得るが、抵抗温度計数(temperature coefficient of resistance;以下「TCR」)の小さい素材からなることが好ましい。TCRの小さい素材は、昇温時に抵抗値の増加が極めて少なくて、電流量がほとんど減少せず、そのため、速い昇温が可能なためである。このような加熱パターン32を含むヒーター30がエアロゾル発生装置に適用されると、高速昇温に起因して装置の予熱時間が短縮され、喫煙序盤の喫味感が大きく向上する効果を達成することができる。
【0044】
TCRが小さい素材の例としては、コンスタンタン(constantan)、マンガニン(mangnanin)、洋銀(nickel silver)などが挙げられる。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。コンスタンタン、銅、アルミニウムなどのような電気伝導性素材のTCRに関しては、下記の表1を参照する。
【0045】
【表1】
【0046】
幾つかの実施形態において、加熱ヒーターにTCRが約1500ppm/℃以下の電気伝導性素材が用いられ得、好ましくは、約1000ppm/℃、700ppm/℃、500ppm/℃、300ppm/℃または約100ppm/℃以下である素材が用いられ得、より好ましくは、約50ppm/℃、30ppm/℃または約20ppm/℃以下の素材が用いられ得る。この場合、ヒーターの高速昇温をより確実に保障することができる。
【0047】
一方、図2は、複数個の加熱パターン32が並列構造に配置されたことを例示しているが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。加熱パターン32の構造に関しては、図7以降の図面を参照して詳細に後述する。
【0048】
次に、センサーパターン33は、加熱パターン32に対する温度測定機能を行うことができる。温度の測定は、センサーパターン33のTCRに基づいて行われ得るが、当該技術分野における従事者なら、TCRを用いた温度測定技法に関してすでに十分に熟知しているところ、これに関する説明は省略する。
【0049】
センサーパターン33は、加熱パターン32とは異なって、TCRの大きい素材からなることが好ましい。TCRが大きいというのは、素材の抵抗値が温度に敏感に反応することを意味し、これは、温度測定がより精密に行われ得ることを意味するためである。TCRの大きい素材の例としては、銅、アルミニウムなどが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0050】
幾つかの実施形態において、センサーパターン33は、加熱パターン32よりTCRの大きい素材からなり得る。例えば、加熱パターン32がコンスタンタンのような素材からなる場合、センサーパターン33は、銅素材からなり得る。かくして、センサーパターン33を通じて加熱パターン32の発熱温度を正確に測定することができる。
【0051】
一方、センサーパターン33の個数、配置位置などは、多様に設計可能である。
【0052】
幾つかの実施形態において、センサーパターン33がヒーター30加熱面(すなわち、加熱パターン32が配置された面)の中心領域の温度を測定(感知)するように配置されてもよい。かくして、ヒーター30の制御精密性が向上することができるが、以下、理解の便宜を提供するために、本実施形態について図3および図4を参照して付加説明する。
【0053】
フィルム型ヒーターの場合、加熱面の中心に発熱(量)が集中する現象がたびたび発生することができる。例えば、図3に例示されたように、複数個の加熱パターン32が並列構造に配置される場合、ヒーター30の加熱面の中心領域35が最も高温で発熱し、外郭領域36、37、38に行くほど発熱温度が落ちる現象が発生することができる。このような現象が発生する理由は、外郭側の加熱パターンの長さが中心側の加熱パターンより増加するにつれて抵抗値も共に増加したためと理解することができる。
【0054】
上記のような発熱集中現象が発生する場合、外郭領域36~38よりは、中心領域35の温度を基準としてヒーター30を制御することが、制御精密性を向上させることができる。中心領域35の発熱量が最も多いため、中心領域35が加熱対象体(e.g.エアロゾル発生物品)に及ぼす影響も最も大きいためである。したがって、センサーパターン33は、ヒーター30の加熱面の中心領域(e.g.35)の温度を測定(感知)するように配置されることが好ましい。例えば、図4に示されたように、センサーパターン33の少なくとも一部分が中心領域35内に配置されてもよい。
【0055】
前述した実施形態において、ヒーター30の加熱面の中心Cから中心領域35の外郭線までの距離D1は、中心Cから加熱面の外郭線までの距離D2の約0.15倍~0.5倍であってもよく、好ましくは、約0.2倍~0.5倍、約0.15倍~0.4倍、約0.2倍~0.4倍または約0.2倍~0.3倍でありうる。通常、このような数値範囲内で形成された領域35に発熱が集中するので、当該領域35内にセンサーパターン33が配置されることが、ヒーター30の制御精密性の向上に効果的でありうる。
【0056】
加熱パターン32とセンサーパターン33を具現する具体的な方式は多様である
【0057】
幾つかの実施形態において、センサーパターン33が加熱パターン32より大きい抵抗値を有するように製造することができる。例えば、センサーパターン33の抵抗値は、加熱パターン32の約5倍、6倍、7倍または約10倍以上になり得る。このような抵抗の差異は、比抵抗が高い素材を用いたり、薄い厚さまたは長い長さでセンサーパターン33を製造することによって達成することができる。この場合、ヒーター30に電力が印加されても、センサーパターン33にほとんど電流が流れなくなるので、センサーパターン33が温度測定機能のみを正確に行うことができる。
【0058】
他の幾つかの実施形態において、センサーパターン33が加熱パターン32と同一または同様の抵抗値を有することができるが、センサーパターン33に印加される電力(または電圧)が加熱パターン32より非常に小さいように設計可能である。例えば、センサーパターン33は、第1端子と連結され、加熱パターン32は、第2端子と連結されるように構成された場合、制御部(不図示)が第1端子に相対的に小さい電力を印加することによって、パターン33がセンサーパターンとして動作することができる。この場合、制御部(不図示)は、各端子の印加電力を制御することによって、特定パターン32をセンサーパターンとして動作させることもでき、加熱パターンとして動作させることもできる。他の例としては、電圧降下を発生させる回路要素を通じて回路的にセンサーパターン33に印加される電力が減少するように構成されることもできる。
【0059】
一方、図2などの図面は、加熱パターン32とセンサーパターン33が全部ベースフィルム31(すなわち、同一レイヤ)上に配置されたもののように示しているが、センサーパターン33と加熱パターン32は、互いに異なるレイヤに配置されることもでき、これは、実施形態によって変わることができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、図5に示されたように、加熱パターン32とセンサーパターン33が同じレイヤに配置されてもよい。具体的に、ヒーター30が第1レイヤ311、第2レイヤ312および第3レイヤ313で構成され、かつ、第2レイヤ312に加熱パターン32とセンサーパターン33が共に配置されてもよい。ここで、第1レイヤ311には、ベースフィルム31が配置され、第3レイヤ313には、カバーフィルム(不図示)が配置されてもよい。また、図示してはいないが、レイヤ311~333の間には、接着フィルムが配置されてもよい。本実施形態によれば、センサーパターン33と加熱パターン32が同じレイヤに配置されるところ、温度測定誤差をさらに最小化することができる。
【0061】
他の幾つかの実施形態において、図6に示されたように、加熱パターン32とセンサーパターン33が互いに異なるレイヤに配置されてもよい。具体的に、ヒーター30が第1~第5レイヤ321~325で構成され、かつ、第2レイヤ322に加熱パターン32が配置され、第4レイヤ324には、センサーパターン33が配置されてもよい。ここで、第1レイヤ321には、ベースフィルム31が配置され、第5レイヤ325には、カバーフィルム(不図示)が配置されてもよく、第3レイヤ323には、パターン32、33間のショート防止のために絶縁性フィルム(e.g.PIフィルム)が配置されてもよい。また、図示してはいないが、レイヤ321~325の間には、接着フィルムが配置されてもよい。本実施形態によれば、前述した実施形態よりは、温度測定誤差が大きくなり得るが、電気伝導性パターン32、33が互いに異なるレイヤに配置されるところ、製造工程の難易度を大きく減少することができ、電気伝導性パターン間の干渉問題を大きく緩和することができる。
【0062】
さらに図2を参照して説明する。
【0063】
次に、端子34は、一つ以上の電気伝導性パターン32、33に電力(または電圧)を印加するための回路要素でありうる。当該技術分野における従事者なら、端子34の構成および機能について十分に熟知しているところ、これに関する説明は省略する。
【0064】
以上では、図2図6を参照して本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーター30について説明した。上述したことによれば、加熱パターン32とセンサーパターン33が一体化した形態でヒーター30を製造することができる。この場合、センサーパターン33を通じて加熱パターン32が配置された加熱面の温度を直接的に測定することができ、ヒーター30の温度測定誤差を最小化することができる。また、これによって、ヒーター30に対する制御精密性が改善されて、ユーザにより向上した喫煙体験を提供することができる。ひいては、エアロゾル発生装置の製造時に、別途の温度センサーを組立(付着)する工程が行われる必要がないところ、エアロゾル発生装置の製造工程を簡素化することができる。
【0065】
以下では、図7図10を参照してフィルム型ヒーターの加熱パターン構造について詳細に説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0066】
図7は、本開示の第1実施形態によるフィルム型ヒーター10の加熱パターン構造を説明するための例示図である。図7などの図面は、理解の便宜のためにセンサーパターン(e.g.33)を除いて示している。
【0067】
図7に示されたように、ヒーター10は、ベースフィルム11、複数の加熱パターン12-1~12-3および端子13を含んでもよい。以下では、任意の加熱パターン12-1、12-2または12-3を指したり、複数の加熱パターン12-1~12-3を総称する場合には、参照番号「12」を使用する。
【0068】
図示のように、本実施形態によるヒーター10は、並列構造で配置(形成)された複数の加熱パターン12を含んでもよい。並列配置構造を通じて比抵抗(resistivity)の高い素材が用いられても、ヒーター10の目標抵抗値を満足することができる。図7は、3個の加熱パターン12-1~12-3が並列構造に配置されたことを例示しているが、加熱パターン12の個数は、多様に設計可能である。例えば、加熱パターン12の個数は、ヒーター10の加熱面積と目標抵抗(すなわち、ヒーター10全体の目標抵抗)に基づいて決定することができる。より具体的に、目標抵抗が同じ場合、加熱面積が小さいほど加熱パターン12の個数が増加することができる。狭い面積内で同一目標抵抗値を満足させるためには、加熱パターン12の長さが短くならなければならないためである。
【0069】
参考として、加熱パターン12の個数および/または配置構造は、ヒーター10の加熱面積と目標抵抗とも関連があるが、素材の比抵抗とも密接な関連がありえる。比抵抗の高い素材は、加熱パターン12の抵抗を増加させて、ヒーター10の全体抵抗を増加させるためである。したがって、加熱パターン12が比抵抗の高い素材からなる場合には、目標抵抗を満足させるために、複数の加熱パターン12を並列構造で配置することが好ましい。例えば、コンスタンタンは、TCRが小さいが、銅などに比べて比抵抗が大きいので、コンスタンタンを加熱パターン12の素材に使用する場合には、全体抵抗を低減するために、複数の加熱パターン12を並列構造で配置することが好ましい。
【0070】
幾つかの実施形態において、並列構造で配置された複数の加熱パターン12のうち少なくとも一つは、比抵抗が約1.0×10-8Ωm、3.0×10-8Ωm、5.0×10-8Ωmまたは7.0×10-8Ωm以上の素材からなり得る。このような比抵抗値を有する素材が用いられても、並列構造を通じて加熱性能が十分に発揮されるための目標抵抗値を満足させることができる。
【0071】
次に、端子13は、複数の加熱パターン12に一括的に電力を印加するように設計することができ、各加熱パターン12に独立して、電力を印加するように設計することもできる。例えば、図8に示されたように、複数の端子13-1~13-3それぞれが各加熱パターン12-1~12-3に独立して電力を印加するように連結されてもよい。この場合、第1端子13-1を通じて第1加熱パターン12-1の動作が独立して制御され、第2端子13-3を通じて第2加熱パターン12-2の動作が独立して制御されることができるので、ヒーター10に対する制御精密性がさらに向上することができる。このような制御方法に関しては、図14を参照して詳細に後述する。
【0072】
以上では、図7および図8を参照して本開示の第1実施形態によるヒーター10の加熱パターン構造について説明した。上述したことによれば、加熱パターン12が比抵抗の大きい素材からなっても、並列構造を通じてヒーター10の目標抵抗値を満足させることができる。また、TCRの小さい素材の大部分は、比抵抗が大きいので、TCRの小さい素材で加熱パターン12が構成されても、ヒーター10の目標抵抗値を十分に満足することができる。すなわち、上述した並列配置構造を通じてTCRの小さい素材からなる加熱パターンを含むフィルム型ヒーター10を容易に製造することができる。このようなヒーター10は、高速の昇温を保障することによって、エアロゾル発生装置の予熱時間を短縮させ、喫煙序盤の喫味感を大きく向上させることができる。ヒーター10の昇温速度と関連しては、実験例1をさらに参照する。
【0073】
以下では、図9および図10を参照して本開示の第2実施形態によるヒーター20の加熱パターン構造について説明する。第2実施形態は、発熱集中現象を緩和して均一な発熱分布を保障できる加熱パターン構造に関する。
【0074】
図9は、本開示の第2実施形態によるヒーター20を説明するための例示図である。
【0075】
図9に示されたように、本実施形態によるヒーター20は、また、ベースフィルム21、複数の加熱パターン22-1~22-3および端子23を含んでもよい。ただし、均一な発熱分布を保障するために、外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)が中心側の加熱パターン(e.g.22-1)より小さいか、同じ抵抗値を有するように設計可能である。かくして、加熱面の発熱量が中心領域に集中する現象を緩和することができる。
【0076】
外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)と中心側の加熱パターン(e.g.22-1)の抵抗値を具現する方式は多様であり、これは、実施形態によって変わることができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、加熱パターン間の間隔差異を通じて抵抗値を具現することができる。例えば、図示のように、複数の加熱パターン22-1~22-3が配置され、かつ、第3加熱パターン22-3と第2加熱パターン22-2の間隔I2が第2加熱パターン22-2と第1加熱パターン22-1の間隔I1より広いように配置されてもよい。この場合、外郭に位置する加熱パターン(e.g.22-3、22-2)の面積が広くなるにつれて抵抗値が減少することができる。すなわち、外郭側の加熱パターン(e.g.22-3、22-2)の長さが長くなることに比べて占める面積がさらに広くなるにつれて抵抗値がかえって減少することができる。これによって、外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)の抵抗値が中心側の加熱パターン(e.g.22-1)より大きくない形態で抵抗値が具現されてもよい。
【0078】
幾つかの実施形態において、加熱パターンの素材差異を通じて抵抗値を具現することができる。具体的に、第1加熱パターン(e.g.22-1)より外郭に配置された第2加熱パターン(e.g.22-3)が第1加熱パターン(e.g.22-1)より比抵抗が低い素材からなり得る。例えば、第1加熱パターンは、コンスタンタン素材からなり、第2加熱パターンは、銅素材からなり得る。この場合にも、外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)の抵抗値が中心側の加熱パターン(e.g.22-1)より大きくない形態で抵抗値を具現することができる。
【0079】
幾つかの実施形態において、加熱パターンの厚さの差異を通じて抵抗値を具現することができる。例えば、図10に示されたように、第1加熱パターン22-2より外郭に配置された第2加熱パターン22-3の厚さT2が第1加熱パターン22-2の厚さT1より厚く加工することができる。この場合、加熱パターンの厚さの増加によって外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)の抵抗値が中心側の加熱パターン(e.g.22-2)より大きくない形態で抵抗値を具現することができる。
【0080】
ただし、加熱パターン(e.g.22-3)の厚さが過度に厚くなると、ヒーター20の柔軟性が劣り、フィルム型ヒーター20としての機能性を喪失できるので、加熱パターン(e.g.22-3)は、適切な厚さ(e.g.T2)に加工する必要がある。幾つかの実施形態において、加熱パターン(e.g.22-3)の厚さ(e.g.T2)が約150μm以下であってもよく、好ましくは、約130μm、120μm、110μmまたは100μm以下であってもよく、より好ましくは、約90μm、70μm、50μm、30μmまたは10μm以下であってもよい。このような数値範囲内でフィルム型ヒーター20の柔軟性が保障されることができる。また、加熱パターン(e.g.22-3)の厚さ(e.g.T2)は、約5μmまたは約10μm以上であってもよいが、これは、加熱パターン形成工程の難易度の増加と抵抗値の急激な増加を防止するためのものと理解できる。
【0081】
以上では、図9および図10を参照して本開示の第2実施形態によるヒーター20について説明した。上述したことによれば、複数の加熱パターン22-1~22-3が並列構造で配置されてもよく、外郭側の加熱パターン(e.g.22-3)の抵抗値が中心側の加熱パターン(e.g.22-1)より大きくないように設計可能である。これによって、ヒーター20の加熱面全体にわたって均一に発熱が行われ得る。ヒーター20の発熱分布と関連しては、実験例2をさらに参照する。
【0082】
以下では、図11図13を参照して実施形態によるフィルム型ヒーター10、20、30が適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置100-1~100-3について説明する。
【0083】
図11図13は、エアロゾル発生装置100-1~100-3を示す例示的なブロック図である。具体的に、図11は、シガレット型エアロゾル発生装置100-1を例示し、図12および図13は、液状とシガレットを共に利用するハイブリッド型エアロゾル発生装置100-2、100-3を例示している。以下、各エアロゾル発生装置100-1~100-3について説明する。
【0084】
図11に示されたように、エアロゾル発生装置100-1は、ヒーター140、バッテリー130および制御部120を含んでもよい。ただし、これは、ただ本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部の構成要素が追加されたり省略されてもよいことはもちろんである。また、図11に示されたエアロゾル発生装置100-1のそれぞれの構成要素は、機能的に区分される機能要素を示したものであって、複数の構成要素が実際物理的環境では互いに統合される形態で具現されたり、単一構成要素が複数の細部機能要素に分離される形態で具現されてもよい。以下、エアロゾル発生装置100-1の各構成要素について説明する。
【0085】
ヒーター140は、内部に挿入されたシガレット150を加熱するように配置されてもよい。シガレット150は、固体エアロゾル形成基材を含み、加熱するにつれてエアロゾルを発生させることができる。発生したエアロゾルは、ユーザの口部を通じて吸入されることができる。ヒーター140の動作、加熱温度などは、制御部120により制御されることができる。
【0086】
ヒーター140は、上記で説明したヒーター10、20、30で具現することができるが、この場合、高速昇温を通じてエアロゾル発生装置100-1の予熱時間が短縮され、喫煙序盤の喫味感が向上することができる。また、温度測定の誤差が大きく減少して、ヒーター140に対する制御精密性が向上することができる。
【0087】
次に、バッテリー130は、エアロゾル発生装置100-1が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー130は、ヒーター140がシガレット150に含まれたエアロゾル形成基材を加熱できるように電力を供給することができ、制御部120が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0088】
また、バッテリー130は、エアロゾル発生装置100-1に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0089】
次に、制御部120は、エアロゾル発生装置100-1の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部120は、ヒーター140およびバッテリー130の動作を制御することができ、また、エアロゾル発生装置100-1に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部120は、バッテリー130が供給する電力、ヒーター140の加熱温度などを制御することができる。また、制御部120は、エアロゾル発生装置100-1の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置100-1が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0090】
幾つかの実施形態において、制御部120は、ヒーター140を構成する複数の電気伝導性パターンの動作をあらかじめ設定された条件によって動的に制御できるが、本実施形態に関しては、図14を参照して詳細に後述する。
【0091】
制御部120は、少なくとも一つのプロセッサ(processor)により具現されてもよい。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサと該マイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部120が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを自明に理解できる。
【0092】
以下では、図12および図13を参照してハイブリッド型エアロゾル発生装置100-2、100-3について簡略に説明する。
【0093】
図12は、気化器1とシガレット150が並列に配置されたエアロゾル発生装置100-2を例示し、図13は、気化器1とシガレット150が直列に配置されたエアロゾル発生装置100-3を例示している。しかしながら、エアロゾル生成装置の内部構造は、図12および図13に例示されたものに限定されず、設計方式によって構成要素の配置は変更可能である。
【0094】
図12および図13で、気化器1は、液状のエアロゾル形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽、エアロゾル形成基材を吸収するウィク(wick)および吸収されたエアロゾル形成基材を気化させてエアロゾルを発生させる気化要素を含んでもよい。気化要素は、加熱要素、振動要素などのように多様な形態で具現されてもよい。また、幾つかの実施形態において、気化器1は、ウィクを含まない構造で設計されることもできる。気化器1で発生したエアロゾルは、シガレット150を通過してユーザの口部を通じて吸入されることができる。気化器1の気化要素も、制御部120により制御することができる。
【0095】
以上では、図11図13を参照して本開示の幾つかの実施形態によるヒーター10、20、30が適用可能な例示的なエアロゾル発生装置100-1~100-3について説明した。以下では、図14を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置用フィルムヒーターの制御方法について説明する。
【0096】
以下、前記制御方法を記述するにあたって、前記フィルム型ヒーター(e.g.10、20、30参照)は、第1電気伝導性パターンと第2電気伝導性パターンを含む複数のパターンを含み、各パターンの機能、動作および/または加熱温度などは、独立して制御することができるものと仮定する。また、前記制御方法は、制御部120またはプロセッサによって実行される一つ以上のインストラクション(instructions)で具現されることができ、特定動作の主語が省略された場合、制御部120により行われるものと理解できる。以下では、説明の便宜上、「電気伝導性パターン」を「パターン」と略称する。
【0097】
図14は、本開示の幾つかの実施形態によるフィルム型ヒーターの制御方法を概略的に示す例示的なフロチャートである。
【0098】
図14に示されたように、前記制御方法は、喫煙状態をモニタリングする段階S10から始まることができる。ここで、喫煙状態は、例えば喫煙進行段階、パフ状態、ヒーターの温度などのように喫煙中に測定可能なすべての種類の状態情報を含んでもよい。
【0099】
段階S20およびS30で、第1条件が満足されるという判断に応答して、第1パターンおよび第2パターンが全部加熱パターンとして動作することができる。例えば、制御部120は、第1パターンおよび第2パターンに十分な電力を印加することによって、各パターンが加熱機能を行うように制御することができる。
【0100】
前記第1条件は、多様に定義され、設定されることができる。例えば、第1条件は、予熱時間(e.g.初期5秒など)を示す条件でありうる。この場合、予熱時間の間複数のパターンが加熱パターンとして動作することによって、高速で昇温が行われ得る。他の例として、第1条件は、パフ状態(e.g.パフ間隔、パフ強度)に基づいて定義された条件であり、例えば、パフ間隔が基準値以下であるか、パフ強度が基準値以上である場合を示す条件でありうる。この場合、パフ間隔が短くなったり、パフ強度が強くなるにつれて、複数のパターンが加熱パターンとして動作することによって、ユーザにさらに強い喫味感を提供することができる。その他にも、前記第1条件は、喫煙時間、パフ回数、ヒーターの加熱温度などのように多様な要素に基づいて定義されることもできる。
【0101】
幾つかの実施形態において、複数のパターンのうち加熱パターンの個数(すなわち、加熱パターンとして動作するパターンの個数)が調節される制御が行われることもできる。例えば、制御部120は、パフ状態(e.g.パフ間隔、パフ強度)によって加熱パターンの個数を増加または減少させることができる(e.g.パフ強度が基準値以上なら、個数増加、以下なら、個数減少)。他の例として、制御部120は、喫煙進行段階によって加熱パターンの個数を増加または減少させることができる(e.g.喫煙序盤に個数増加、喫煙中盤には個数減少、喫味補完のために喫煙後半にはさらに個数増加など)。さらに他の例として、制御部120は、ヒーターの加熱温度によって加熱パターンの個数を増減させることによってフィードバック制御を行うこともできる。
【0102】
段階S40およびS50で、第2条件が満足されるという判断に応答して、特定パターンがセンサーパターンとして動作することができる。例えば、制御部120は、第1パターンに印加される電力を減少させることによって第1パターンが発熱することを防止し、第1パターンのTCRと抵抗値の変化に基づいてヒーターの温度を測定することができる。
【0103】
前記第2条件は、多様に設定されることができる。例えば、第2条件は、予熱時間の経過を示す条件でありうる。この場合、予熱が完了した後には、ヒーターの温度測定結果によるフィードバック制御が行われ得る。他の例として、第2条件は、パフ状態(e.g.
パフ間隔、パフ強度)に基づいて定義された条件であり、例えば、パフ間隔が基準値以上であるか、パフ強度が基準値以下である場合を示す条件でありうる。この場合、パフ間隔が長くなったり、パフ強度が弱くなるにつれて、センサーパターンの温度測定結果によるフィードバック制御が行われ得る。
【0104】
幾つかの実施形態において、複数のセンサーパターンを用いてヒーター加熱面の発熱分布を測定することができる。例えば、制御部120は、中心側のセンサーパターンと外郭側のセンサーパターンの温度測定結果を比較して、発熱分布の均一性を判断することができる。また、制御部120は、中心領域に発熱が集中した場合、外郭側の加熱パターンに電力をさらに供給したり、中心側の加熱パターンに電力を少なく供給するなどの制御を行うことができる。このような制御によって、ヒーター加熱面全体にわたって均一に発熱が行われ得る。
【0105】
一方、図14は、第1条件が満足されない場合に段階S40が行われるもののように示しているが、これは、理解の便宜を提供するための例示に過ぎず、段階S20と段階S40は、互いに独立して行われることもできる。
【0106】
以上では、図14を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置用ヒーターの制御方法について説明した。上述した方法によれば、複数のパターンの機能および動作などを既定の条件によって動的に制御することによって、喫煙中にヒーターが効率的に活用されることができる。
【0107】
以上では、図14を参照して説明された本開示の技術的思想は、コンピュータが読み取り可能な媒体上にコンピュータが読み取り可能なコードで具現されてもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば移動型記録媒体(CD、DVD、ブルーレイディスク、USB保存装置、移動式ハードディスク)であるか、固定式記録媒体(ROM、RAM、コンピュータ具備型ハードディスク)でありうる。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された前記コンピュータプログラムは、インターネットなどのネットワークを通じて他のコンピューティング装置に転送されて前記他のコンピューティング装置に設置されることができ、これによって、前記他のコンピューティング装置で使用可能である。
【0108】
以下では、実施例と比較例を通じて上記で説明したヒーター10、20、30の構成および効果についてより詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、前述したヒーター10、20、30の一部の例示に過ぎないので、本開示の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。
【0109】
実施例1
コンスタンタン素材のパターンが並列に配置されたヒーターを製造した。具体的に、図7に例示されたような3列並列構造でパターンを配置し、パターン間の間隔は、0.5mmで均等に設計し、パターンの厚さも20μmで均等に設計した。また、PIフィルムがヒーターのベースフィルムに用いられた。
【0110】
比較例1
銅素材のパターンが直列に配置されたことを除いて、実施例1と同じヒーターを製造した。
【0111】
実験例1:昇温速度の比較
実施例1および比較例1によるヒーターに対して昇温速度を比較する実験を進めた。具体的に、時間によるヒーターの温度変化を測定する実験を進め、実験結果は、図15に示されている。
【0112】
図15を参照すると、実施例1によるヒーターの昇温速度が比較例1に比べて格別に速いことを確認することができる。例えば、目標温度が300℃と仮定するとき、実施例1によるヒーターは、約1.6秒ぶりに目標温度に到達するのに対し、比較例1によるヒーターは、約2.7秒以後にはじめて目標温度に到達することを確認することができる。これは、コンスタンタン素材の低いTCRに起因して昇温時に抵抗値の増加がほとんどなく、そのため、昇温時にパターンに流れる電流がほとんど減少しないためであると判断される。このような実験結果によれば、上述した実施例によるヒーター(e.g.10)がエアロゾル発生装置(e.g.100-1~100-3)の予熱時間を短縮させることができ、喫煙序盤の喫味感を向上させることができることが分かる。
【0113】
実施例2および3
図16に示されたように、コンスタンタン素材のパターンを5列並列で配置して実施例2および3によるヒーターを製造した。実施例2によるヒーターは、外郭に行くほどパターンの間の間隔が広くなるように配置し、実施例3によるヒーターは、ほぼ均等な間隔でパターンを配置した。パターンの厚さ、長さおよび間隔に対する詳細数値は、下記の表2および3を参照する。表2は、実施例2に関するものであり、表3は、実施例3に関するものである。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
実験例2:発熱分布の比較
実施例2および3によるヒーターの加熱面の発熱分布を測定する実験を進め、これに対する実験結果は、図17および図18に示されている。図17および図18は、それぞれ実施例2および3によるヒーターの加熱面をヒートマップ形態で示す図である。
【0117】
図17および図18を比較してみると、図18の集中発熱領域(中心領域を参照)が図17よりさらに小さいサイズで形成されていることを確認できるが、これは、実施例3によるヒーターに発熱集中現象がさらに強く現れることを意味する。また、これは、パターン上の間隔が外郭に行くほど広くなるように設計することによって、外郭パターンの抵抗値を減少させることができ、究極的に発熱集中現象を緩和させることができることを意味するものと理解できる。
【0118】
以上では、実施例と比較例を通じて上述したヒーター10、20、30の構成および効果についてより詳細に説明した。
【0119】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。
図1
図2
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【国際調査報告】