(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】シリンダーポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20230531BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20230531BHJP
A61M 5/38 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/168 500
A61M5/168 540
A61M5/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554932
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 KR2020015624
(87)【国際公開番号】W WO2021182710
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0029717
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512164584
【氏名又は名称】メインテック カンパニー リミティッド
【氏名又は名称原語表記】MEINNTECH CO. LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】522360736
【氏名又は名称】イ,コン ヒョン
(71)【出願人】
【識別番号】512164595
【氏名又は名称】イ サンビン
(71)【出願人】
【識別番号】522360954
【氏名又は名称】イ,ジ ウン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,コン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン ビン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジ ウン
(72)【発明者】
【氏名】オム,ゾン ヒョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066EE18
4C066HH02
4C066HH13
4C066LL09
4C066QQ25
4C066QQ46
4C066QQ47
4C066QQ48
4C066QQ56
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
【課題】1つのポンプのみで薬液容器又はシリンジに保存された薬液や血液パック内に保存された血液を奔注させなくても患者に注入できるシリンダーポンプを提供する。
【解決手段】本発明によるシリンダーポンプは、カートリッジを着脱するための結合溝を有するメインボディ、及び前記メインボディとヒンジ結合する前面ボディとを含むボディ部と、前記メインボディ内に位置してカートリッジを駆動させる駆動部と、前記前面ボディに位置してシリンダーポンプの駆動に必要なインタフェースを提供するディスプレイ部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、前記制御部に使用者の操作信号又は入力情報を伝達する操作部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジを着脱するための結合溝を有するメインボディ、及び前記メインボディにヒンジ結合された前面ボディを含むボディ部と、
前記メインボディ内に位置して前記カートリッジを駆動させる駆動部と、
前記前面ボディに位置してシリンダーポンプの駆動に必要なインタフェースを提供するディスプレイ部と、
前記駆動部の駆動を制御する制御部と、
前記制御部に使用者の操作信号又は入力情報を伝達する操作部と、
を備えることを特徴とするシリンダーポンプ。
【請求項2】
前記カートリッジは、
内部に上部回転部材が挿入される上部ハウジングと、
前記上部ハウジングに結合され、内部に下部回転部材が挿入される下部ハウジングと、を備え、
前記上部回転部材には上部回転部材穴が形成され、前記下部回転部材には下部回転部材穴が形成され、
前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの内周面と、前記上部回転部材及び前記下部回転部材の外周面とによってチューブ状のシリンダーが形成され、
前記シリンダーには、薬液又は血液が流入する流入管と、前記シリンダー内の薬液又は血液が外部に流出する流出管とが形成され、
前記シリンダーには、前記シリンダー内を回転する第1ピストン及び第2ピストンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダーポンプ。
【請求項3】
前記駆動部は、
駆動部ボディと、
前記駆動部ボディに位置する第1駆動モータ及び第2駆動モータと、
前記第1駆動モータ及び前記第2駆動モータによりそれぞれ駆動される第1ウォーム及び第2ウォームと、
前記第1ウォーム及び第2ウォームにそれぞれ噛み合って回転する第1ウォームギア及び第2ウォームギアと、
前記第1ウォームギアにより回転する内側駆動ギアと、
前記第2ウォームギアにより回転する外側駆動ギアと、を備えることを特徴とする請求項2に記載のシリンダーポンプ。
【請求項4】
前記上部回転部材穴は、幅の異なる十字状であり、
前記下部回転部材穴は、T字状であることを特徴とする請求項3に記載のシリンダーポンプ。
【請求項5】
前記外側駆動ギアは、
幅の異なる十字状に構成されて前記上部回転部材に結合され、
前記内側駆動ギアは、
T字状に構成されて前記下部回転部材に結合されることを特徴とする請求項4に記載のシリンダーポンプ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記カートリッジの内部に位置している前記第1ピストン及び前記第2ピストンの座標を取得し、前記座標を前記ディスプレイ部に表示することを特徴とする請求項2に記載のシリンダーポンプ。
【請求項7】
前記制御部は、
薬液又は血液を前記カートリッジにおいてフリーフローさせるために、
前記カートリッジ内の前記第1ピストンと前記第2ピストンが前記流入管の外側と前記流出管の外側に位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載のシリンダーポンプ。
【請求項8】
前記制御部は、
薬液又は血液を前記カートリッジにおいてフリーフローさせないために、
前記カートリッジ内の前記第1ピストンが前記流入管と前記流出管との間に位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載のシリンダーポンプ。
【請求項9】
前記流入管及び前記流出管の少なくとも一方には、
薬液から空気を除去するためのメンブレンフィルターが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のシリンダーポンプ。
【請求項10】
前記メンブレンフィルターは、
薬液を通過させ空気を通過させない親水性メンブレンフィルターと、前記親水性メンブレンフィルターを通過していない空気を外部に排出する疎水性メンブレンフィルターと、を備えてなることを特徴とする請求項9に記載のシリンダーポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダーポンプに関し、より詳しくは、医薬品注入ポンプであるシリンジポンプとインフュージョンポンプとを区別して使用せずに、薬液容器や血液パックの位置に関係なく患者に薬液又は血液を安定的に、高精度で注入可能なシリンダーポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
疾病または事故や手術時に過剰な出血が発生したり、感染や免疫力低下などで疾病が発生したり、体内の水分、電解質または栄養が不足したりした場合には、その治療のために、補充療法、欠乏補正、治療療法の一種として、患者の体内に血液やリンゲル液、アミノ酸液、ブドウ糖液、または医薬品を注入することが一般的である。
【0003】
従来、輸液容器又は血液パックから薬液又は血液を高精度かつ必要量を一定に制御しながら患者に注入するために、シリンジポンプ(Syringe pump)又はインフュージョンポンプ(Infusion pump)や機械式が主に用いられてきた。
【0004】
このとき、シリンジポンプは、注射器のプランジャーを押して薬液又は血液を注入する方式のものであり、インフュージョンポンプは、患者に投与される薬液又は血液の量を精密に調節するために薬液容器を一定の高さに吊り下げ、重力を用いてポンプ内の端子を連動で押さえて輸液セットのチューブを絞り出す方式のものであって、機器を同じ位置に固定設置した状態で使用してこそ精度を保ちながら注入できるという問題があった。
【0005】
特に、インフュージョンポンプは、機械の端子がチューブを押したり絞ったりして患者に薬液又は血液を注入する方式のものであり、機械の端子が押したり絞ったりするPVCチューブは、製造会社ごとに弾性が異なり,外部温度からの影響を多く受け、精密な制御ができないため、性能を一定に保つことが難しいという問題があった。
【0006】
また、シリンジポンプを使用する場合、投入される薬液又は血液の容量を精密に制御することはできるが、シリンジで注入する量を調節しているので、大量の薬液又は血液を注入するには限界があり、このため、大量の薬液又は血液を注入する場合は、シリンジを頻繁に交換しなければならないという問題があり、微量注入が不可能なため注入前に多数の薬剤を混合しなければならず、ポンプ駆動を繰り返す過程で感染と汚染の問題があった。
【0007】
多量のシリンジは、医療用廃棄物処理と焼却過程で発がん物質であるダイオキシンが噴出するため、使用後も徹底した管理が必要であり、シリンジポンプの場合、機械を動作させて薬液が注入されるまでにかかる時間が長く、閉塞などの医療事故や副作用が発生するおそれがあるという問題があった。
【0008】
とりわけ、従来のシリンジポンプ又はインフュージョンポンプは、血液又は薬液を患者に注入する際に機械的連動方式やプランジャーを用いる間接制御方式をとるため、不注意や偶発的な医療事故や故障が発生する可能性が高く、且つ、管理のために人員(看護師など)を周期的に投入しなければならないという問題があるため、上記のようなシリンジポンプ又はインフュージョンポンプを使用する際に起こりうる問題を解決できる、新たな直接制御方式の医薬品注入装置が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0948632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の、シリンジポンプ又はインフュージョンポンプを用いて患者に血液又は薬液を注入する際に生じた問題を解決するためになされたものであり、シリンダーカートリッジを活用したシリンダー方式のポンプを用いて、薬液容器や血液パックの位置や大きさにかかわらず、血液又は薬液を患者にリアルタイムで一定に精密注入することができ、別途の装置を設けることなく、1つのポンプのみで薬液容器又はシリンジに保存された薬液や血液パック内に保存された血液を奔注させなくても患者に注入できるポンプを提供することを目的とする。
【0011】
本発明が成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の一態様によるシリンダーポンプは、
カートリッジを着脱するための結合溝を有するメインボディ、及び前記メインボディにヒンジ結合された前面ボディを含むボディ部と、前記メインボディ内に位置して前記カートリッジを駆動させる駆動部と、前記前面ボディに位置してシリンダーポンプの駆動に必要なインタフェースを提供するディスプレイ部と、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、前記制御部に使用者の操作信号又は入力情報を伝達する操作部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記カートリッジは、内部に上部回転部材が挿入される上部ハウジングと、前記上部ハウジングに結合され、内部に下部回転部材が挿入される下部ハウジングと、を備え、前記上部回転部材には上部回転部材穴が形成され、前記下部回転部材には下部回転部材穴が形成され、前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの内周面と、前記上部回転部材及び前記下部回転部材の外周面とによってチューブ状のシリンダーが形成され、前記シリンダーには、薬液又は血液が流入する流入管と、前記シリンダー内の薬液又は血液が外部に流出する流出管とが形成され、前記シリンダーには、前記シリンダー内を回転する第1ピストン及び第2ピストンが設けられてもよい。
【0014】
前記駆動部は、駆動部ボディと、前記駆動部ボディに位置する第1駆動モータ及び第2駆動モータと、前記第1駆動モータ及び前記第2駆動モータによりそれぞれ駆動される第1ウォーム及び第2ウォームと、前記第1ウォーム及び第2ウォームにそれぞれ噛み合って回転する第1ウォームギア及び第2ウォームギアと、前記第1ウォームギアにより回転する内側駆動ギアと、前記第2ウォームギアにより回転する外側駆動ギアと、を備えていてもよい。
【0015】
前記上部回転部材穴は、幅の異なる十字状であり、前記下部回転部材穴は、T字状であることが好ましい。
【0016】
前記外側駆動ギアは、幅の異なる十字状に構成されて前記上部回転部材に結合され、前記内側駆動ギアは、T字状に構成されて前記下部回転部材に結合されることが好ましい。
【0017】
前記制御部は、前記カートリッジの内部に位置している前記第1ピストン及び前記第2ピストンの座標を取得し、前記座標を前記ディスプレイ部に表示し得る。
【0018】
前記制御部は、薬液又は血液を前記カートリッジにおいてフリーフローさせるために、前記カートリッジ内の前記第1ピストンと前記第2ピストンが前記流入管の外側と前記流出管の外側に位置するように前記駆動部を制御し得る。
【0019】
前記制御部は、薬液又は血液を前記カートリッジにおいてフリーフローさせないために、前記カートリッジ内の前記第1ピストンが前記流入管と前記流出管との間に位置するように前記駆動部を制御し得る。
【0020】
前記流入管及び前記流出管の少なくとも一方には、薬液から空気を除去するためのメンブレンフィルターが取り付けられることが好ましい。
【0021】
前記メンブレンフィルターは、薬液を通過させ空気を通過させない親水性メンブレンフィルターと、前記親水性メンブレンフィルターを通過していない空気を外部に排出する疎水性メンブレンフィルターと、を備えてなってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のシリンダーポンプは、輸液容器や血液パックの設置位置に関係なく患者に薬液又は血液を注入することができるので、シリンダーポンプの配置位置を自由に設定することができる。
【0023】
また、本発明のシリンダーポンプは、輸液容器(血液パック)に保存されている薬液と、シリンジに保存されている薬液を、別の装備を用意することなく1つの装備のみで患者に注入することができるので、従来の様々な種類の薬液注入装置を代替することができる。
【0024】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるシリンダーポンプを示す斜視図である。
【
図2】本発明のシリンダーポンプの開放されたボディ部を示す斜視図である。
【
図3】本発明のシリンダーポンプのメインボディと、メインボディに結合されたカートリッジとを示す図である。
【
図4】本発明のシリンダーポンプに結合されたカートリッジを示す分解斜視図である。
【
図5】本発明のカートリッジを構成する上部ケースの底面図である。
【
図6】本発明のカートリッジを構成する下部ケースの平面図である。
【
図7】本発明のカートリッジを駆動させる駆動部を示す斜視図である。
【
図8】本発明のカートリッジを駆動させる駆動部を示す分解図である。
【
図9】本発明のシリンダーポンプにカートリッジが結合されるときに自動ロックされる過程を示す図である。
【
図10】本発明のシリンダーポンプがクランプに結合された状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明のシリンダーポンプにシリンジホルダーとシリンジが結合された状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明のカートリッジ内部の第1ピストン、第2ピストンの駆動過程を示す図である。
【
図13】本発明のシリンダーポンプがシリンジモードで駆動する際に薬液又は血液をプライミングするために第1ピストンと第2ピストンが駆動される過程を示す図である。
【
図14】本発明のメンブレンフィルターを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき、本発明についてさらに詳しく説明する。各図面における同一の構成要素に対しては、可能な限り同じ符号を付してある。なお、本発明の要旨を不必要に曖昧にする可能性がある公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0027】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」か、または「接続されている」と言及されている場合は、その他の構成要素に直接的に連結または接続され得るが、その間に他の構成要素が存在し得ると理解されるべきであろう。また、本明細書全体にわたって、ある部材が他の部材「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間に他の部材が存在する場合も含む。
【0028】
本明細書において、「含む/備える」または「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しない。
【0029】
まず、
図1ないし
図3を参照して、本発明の一実施形態によるシリンダーポンプについて説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるシリンダーポンプを示す斜視図であり、
図2は、本発明のシリンダーポンプの開放されたボディ部を示す斜視図であり、
図3は、本発明のシリンダーポンプのメインボディと、メインボディに結合されたカートリッジとを示す図である。
【0031】
従来、患者への薬液又は血液の注入には、インフュージョンポンプ又はシリンジポンプが主に使用されていたが、インフュージョンポンプやシリンジポンプは、チューブを絞り出す機械やプランジャーを水平移動させる装置が故障する可能性が高いという問題があり、輸液容器に保存された薬液を患者に注入するためにはインフュージョンポンプを使用しなければならず、シリンジに保存された薬液を患者に注入するためにはシリンジポンプを使用しなければならないため、薬液又は血液が保存された形態に応じて(輸液容器に保存されているか、またはシリンジに保存されているかに応じて)それぞれ異なる薬液注入装置を用意しなければならないという問題があった。
【0032】
したがって、本発明は、一実施形態による従来とは異なるシリンダー型ポンプを提供することにより、従来のシリンジポンプ又はインフュージョンポンプが有する問題を解決しようとするものである。
【0033】
本発明の一実施形態によるシリンダーポンプは、メインボディ110と前面ボディ120とからなるボディ部100と、ボディ部100内に着脱自在なカートリッジ200と、カートリッジ200を駆動させて薬液又は血液をカートリッジ200内に流入させたり、カートリッジ200内の薬液又は血液をカートリッジ200の外部に排出させたりする駆動部300と、駆動部300の駆動を制御する制御部(図示せず)とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の一実施形態によるシリンダーポンプの構成要素について具体的に説明すると、まず、ボディ部100は、カートリッジ200が着脱可能な結合溝111を有するメインボディ110と、メインボディ110にヒンジ結合されて、
図2のようにドアとして機能する前面ボディ120と、を備えてなる。
【0035】
メインボディ110の内部には後述の駆動部300が配置され、駆動部300の一部の構成要素が、メインボディ110の前面に形成された結合溝111を通じてメインボディ110の外部に露出され、カートリッジ200が、
図3に示すように結合溝111に着脱でき、上記のようにメインボディ110に結合溝111が形成されることにより、カートリッジ200が前面ボディ120及びメインボディ110によって保護される。
【0036】
このとき、メインボディ110には、医師や看護師などの使用者が把持可能なハンドル部112が形成され、使用者は、ハンドル部112を介して本発明のシリンダーポンプを便利に移動させることができる。
【0037】
また、ハンドル部112にシリンジを固定することができ、本発明のシリンダーポンプは、シリンジ内に保存された薬液又は血液を患者に注入することもできるが、具体的な説明は後述する。
【0038】
このとき、
図1ないし
図3は、ハンドル部112がメインボディ110の上面に設けられていることを示しているが、これに限定されず、ハンドル部112はメインボディ110の左側面又は右側面に設けられても構わない。
【0039】
また、前面ボディ120には、シリンダーポンプの駆動に必要なインタフェースを提供するディスプレイ部400と、駆動部300の駆動を制御する制御部に使用者の操作信号や入力情報を伝達する操作部500とが形成され、使用者は、ディスプレイ部400を介して提供されるインタフェースを見て操作部500を操作して駆動部300の駆動を制御することができる。
【0040】
例えば、操作部500は、パージ機能を実行するパージキー(Purge key)と、ボーラス機能を実行するボーラスキー(Bolus key)とを含み、使用者がパージキーを押すと、制御部は、カートリッジ200内に薬液又は血液が急激に流入するように駆動部300を制御して、カートリッジ200に接続されたチューブ内に形成された気泡を除去し、使用者がボーラスキーを押すと、薬液又は血液を所定の注入速度及び注入量で患者に注入する。
【0041】
上述では、操作部500がパージキーとボーラスキーとを含むと説明したが、これに限定されず、操作部500は、注入容量、注入時間、注入速度調整のための数字キー、ポンプリセットキー、操作キーなどをさらに含み得る。
【0042】
次に、
図4ないし
図6と再び
図3を参照して、ボディ部100(具体的にはメインボディ)に着脱され、輸液容器、血液パック、又はシリンジ内に保存された薬液又は輸液を内部に流入させ、内部に流入した薬液又は輸液を再び外部に流出させて、患者に薬液又は輸液を注入するカートリッジ200について説明する。
【0043】
ここで、
図4は、本発明のシリンダーポンプに結合されるカートリッジを示す分解斜視図であり、
図5は、本発明のカートリッジを構成する上部ケースの底面図であり、
図6は、本発明のカートリッジを構成する下部ケースの平面図である。
【0044】
カートリッジ200は、
図4ないし
図6に示すように、内部に上部回転部材211が挿入される上部ハウジング210と、上部ハウジング210に結合され、内部に下部回転部材221が挿入される下部ハウジング220とを含み、上部ハウジング210及び下部ハウジング220の内周面と、上部回転部材211及び下部回転部材221の外周面とによってチューブ又はドーナツ形状のシリンダー230が形成される。
【0045】
また、シリンダー230には、薬液又は血液がシリンダー230内に流入可能な流入管240と、シリンダー230内の薬液又は血液が外部に流出可能な流出管250とが形成され、流入管240及び流出管250にはチューブが結合されて、薬液又は血液がチューブに沿って移動することができる。
【0046】
また、シリンダー230は、駆動部300によってシリンダー230内を回転する第1ピストン260と第2ピストン270とをさらに含み、第1ピストン260、第2ピストン270の駆動によって、薬液又は血液を、流入管240を介してシリンダー230内に流入させたり、シリンダー230内の薬液又は血液を、流出管250を介して外部に流出させたりする。
【0047】
より具体的には、上部回転部材211には上部プッシング部材213が一体に形成され、下部回転部材221には下部プッシング部材223が一体に形成されていて、上部回転部材211の回転により上部回転部材211の上部プッシング部材213に当接した第1ピストン260が回転し、下部回転部材221の回転により下部回転部材221の下部プッシング部材223に当接した第2ピストン270が回転する。
【0048】
このとき、
図4に示すように、上部ハウジング210には上部ハウジング穴209が形成され、上部回転部材211には上部回転部材穴212が形成され、下部回転部材221には下部回転部材穴222が形成されていて、カートリッジ200と駆動部300とが結合され、駆動部300に結合されたカートリッジ200の第1ピストン260と第2ピストン270は、駆動部300内の構成要素の駆動によって、シリンダー230の内部を時計回り又は反時計回りに回転するが、これについての具体的な説明は後述する。
【0049】
再び
図2及び
図3を参照して説明すると、カートリッジ200は、メインボディ110に形成された結合溝111に着脱可能であり、カートリッジ200の流入管240と流出管250にはチューブが結合されるため、血液又は薬液がチューブ内を流れる過程でチューブが動かないように、メインボディ110に、チューブが設置される少なくとも1つのガイド部113を配置してもよい。
【0050】
一方、カートリッジ200の流入管240及び流出管250の少なくともいずれか一方には、薬液から空気(air)を除去するためのメンブレンフィルター800を装着してもよい。
【0051】
薬液は、保管中に自然に空気が発生したり注入中に人為的に空気が発生したりする可能性があり、このような薬液を患者の人体に注入するためには、事前に空気が必ず除去されなければならない。従来は看護師が手作業で薬液から空気を除去していたため、看護師の業務負担が過重であったが、本発明ではカートリッジ200の流入管240及び流出管250の少なくともいずれか一方にメンブレンフィルター800を装着して薬液から空気を自動で除去することにより、看護師の業務負担を軽減することができる。
【0052】
具体的には、カートリッジ200の流入管240及び流出管250の少なくともいずれか一方に装着されるメンブレンフィルター800は、薬液を通過させ空気を通過させない親水性メンブレンフィルターと、親水性メンブレンフィルターを通過していない空気を外部に排出する疎水性メンブレンフィルターとで構成され得る。
【0053】
このとき、メンブレンフィルター800が流入管240に装着されると、カートリッジ200に流入する薬液から空気を除去することができる。
【0054】
一方、メンブレンフィルター800が流出管250に装着されると、チューブが押圧されて生じる圧力によって押し出される空気を、疎水性メンブレンフィルターにより除去することができる。すなわち、後述のバブル感知センサ115で気泡の有無を感知するためにチューブが部分的に押圧され、流出管250に装着されたメンブレンフィルター800は、このようなチューブの押圧により生じる圧力によって押し出される空気を、疎水性メンブレンフィルターにより容易に除去することができる。
【0055】
図14は、本発明のメンブレンフィルターを示す平面図である。
図14を参照すると、本発明によるメンブレンフィルター800は、フィルターボディ810と、フィルターカバー820とを含んでなる。
【0056】
フィルターボディ810には、薬液が流動可能なボディ溝811が形成され、フィルターボディ810の中間部には薬液のみが通過できる親水性メンブレンフィルターが融着される。
【0057】
また、フィルターカバー820には、疎水性メンブレンフィルターが融着されたカバー穴821が形成される。すなわち、フィルターカバー820はフィルターボディ810の親水性メンブレンフィルターを通過していない空気を、カバー穴821を介して外部に排出することができる。フィルターカバー820のカバー穴821は、薬液から空気を円滑に除去するために適切な数で少なくとも1つ形成される。
【0058】
結果として、本発明によるメンブレンフィルター800は、フィルターボディ810とフィルターカバー820とが結合され、フィルターボディ810の親水性メンブレンフィルターを通過していない空気を、フィルターカバー820の疎水性メンブレンフィルターを介して外部に排出することによって、薬液から空気を除去することができる。
【0059】
一方、メインボディ110には、カートリッジ200の流出管250に結合されたチューブ内に気泡が発生したか否かを感知するバブル感知センサ115が設けられてもよい。
【0060】
バブル感知センサ115は、超音波センサ又は赤外線センサで構成されており、チューブ内に空気が発生したときに超音波又は赤外線の透過率が変化することを感知することにより、チューブ内の空気の発生の有無を感知することができる。
【0061】
したがって、本発明は、カートリッジ200の流入管240に装着されたメンブレンフィルターにより薬液又は血液から空気を一次的に除去した後、バブル感知センサ115により空気が完全に除去されたか否かを二次的に確認することができる。
【0062】
一方、メインボディ110には、カートリッジ200内の輸液又は血液の詰まりが発生したか否かを感知する閉塞感知センサ114が設けられてもよい。
【0063】
このとき、閉塞感知センサ114は、圧力センサの一種であり、カートリッジ200に結合されたチューブ内の圧力変化を感知することができ、チューブ内の圧力が急激に上昇すると詰まりが発生したことを感知する。
【0064】
次に、
図7ないし
図8を参照して、メインボディ110の内部に位置し、カートリッジ200内の第1ピストン260と第2ピストン270とを別々に駆動させる駆動部300について説明する。
【0065】
ここで、
図7は、本発明のカートリッジを駆動させる駆動部を示す斜視図であり、
図8は、本発明のカートリッジを駆動させる駆動部を示す分解図である。
【0066】
本発明の駆動部300は、駆動部ボディ301と、駆動部ボディ301に結合されて動力を発生させる、第1駆動モータ310と第2駆動モータ320とを備える。
【0067】
また、本発明の駆動部300は、駆動部ボディ301に結合される第1ウォーム311、第2ウォーム321、第1ウォームギア312、及び第2ウォームギア322をさらに含み、第1駆動モータ310の回転軸には第1ウォーム311が結合されて、第1駆動モータ310の回転により第1ウォーム311が回転し、第1ウォーム311の回転により、第1ウォーム311と噛み合っている第1ウォームギア312が回転する。
【0068】
同様に、第2駆動モータ320の回転軸には第2ウォーム321が結合されて、第2駆動モータ320の回転により第2ウォーム321が回転し、第2ウォーム321の回転により、第2ウォーム321と噛み合っている第2ウォームギア322が回転する。このとき、第1ウォームギア312が結合された回転軸には内側駆動ギア330が結合されて、第1ウォームギア312の回転により内側駆動ギア330が回転し、第2ウォームギア322が結合された回転軸には外側駆動ギア340が結合されて、第2ウォームギア322の回転により外側駆動ギア340が回転する。
【0069】
上記のような構成により、本発明の駆動部300は、第1駆動モータ310により内側駆動ギア330を回転させ、第2駆動モータ320により外側駆動ギア340を回転させ、外側駆動ギア340は、カートリッジ200の上部回転部材穴212を介して上部回転部材211に結合され、第1駆動モータ310の回転により上部回転部材211を回転させ、内側駆動ギア330は、下部回転部材穴222を介して下部回転部材221に結合され、第2駆動モータ320の回転により下部回転部材221を回転させる。
【0070】
また、上部回転部材211が回転すると、上部プッシング部材213により第1ピストン260が時計回り又は反時計回りに回転し、下部回転部材221が回転すると、下部プッシング部材223により第2ピストン270が時計回り又は反時計回りに回転することになり、結果として、駆動部300の第1駆動モータ310、第2駆動モータ320の駆動によりカートリッジ200内の第1ピストン260と第2ピストン270とが別々に駆動される。
【0071】
このとき、本発明の駆動部ボディ301は、
図8に示すように、1駆動モータ310と第2駆動モータ320によって回転する第1ウォーム311と第2ウォーム321の損傷を防止するために、少なくとも1つの軸受302をさらに含んでいてもよい。
【0072】
一方、カートリッジ200は、後述する最初の駆動時の注入サイクル(Infusion Cycle)制御のために製造段階で第1ピストン260及び第2ピストン270の位置が固定されて製造される。ところで、従来のカートリッジ200の上部回転部材穴212及び下部回転部材穴222はいずれも十字状であったため、カートリッジを結合溝111に誤装着する可能性があった。
【0073】
カートリッジを結合溝111に誤装着した場合、第1ピストン260及び第2ピストン270が制御部の最初の駆動方式とは一致しない位置に位置するため、シリンダーポンプの誤作動によるピストンの衝突及び破損が発生する問題があった。
【0074】
これを解決するために、本発明によるシリンダーポンプでは、下部回転部材穴222をT字状に構成してカートリッジ200の誤装着の可能性を一次的に低減し、これに加えて上部回転部材穴212を幅の異なる十字状に構成してカートリッジ200の誤装着の可能性を二次的に低減した。
【0075】
一方、下部回転部材221に結合される内側駆動ギア330も下部回転部材穴222と同様にT字状に構成し、上部回転部材211に結合される外側駆動ギア340も上部回転部材穴212と同様に幅の異なる十字状に構成する。
【0076】
駆動部300の内側駆動ギア330と外側駆動ギア340が、カートリッジ200に結合される(具体的には、下部回転部材と上部回転部材にそれぞれ結合される)ので、内側駆動ギア330と外側駆動ギア340の回転により、上部回転部材211と下部回転部材221だけでなくカートリッジ200全体が時計回り又は反時計回りに回転する。特にメインボディ110の結合溝111に結合されたカートリッジ200は、薬液又は血液をカートリッジ200内に流入させるか、カートリッジ200内の薬液又は血液を外部に排出する過程で回転する。
【0077】
特に、カートリッジ200が回転している間に遠心力によって駆動部300から脱落してしまう可能性があるので、本発明のシリンダーポンプは、カートリッジ200が結合溝111に結合されるとき、カートリッジ200をメインボディ110に自動的にロックすることにより、カートリッジ200の脱落を防止できることが特徴である。
【0078】
図9を参照して、ロッキング工程についてより具体的に説明すると、結合溝111は、カートリッジ200が結合できるようにカートリッジ200よりも大きな外周面を有し、カートリッジ200が結合溝111に最初に結合するときは、
図9の(a)に示すようにカートリッジ200が結合溝111の内壁に接触しないので、このようにカートリッジ200が結合溝111の内壁に接触しないと、カートリッジ200が回転する過程で遠心力によってメインボディ110から脱落してしまうおそれがある。
【0079】
上記問題を解決するために、本発明のシリンダーポンプは、カートリッジ200が結合溝111に最初に結合するとき、
図9の(b)に示すようにカートリッジ200と結合溝111の内壁とが当接するように駆動部300の駆動によりカートリッジ200を時計回り又は反時計回りに回転させるが、このようにカートリッジ200が結合溝111の内壁に当接する過程を本発明では「自動ロック」と呼ぶ。
【0080】
自動ロックによりカートリッジ200が結合溝111の内壁に当接すると、結合溝111の内壁とカートリッジ200との間に生じる摩擦力により、回転過程での遠心力によるカートリッジ200の脱落を防止できるので、結果として、本発明のシリンダーポンプは、駆動中にカートリッジ200がメインボディ110から脱落して損傷することを防止することができる。
【0081】
カートリッジ200が自動ロックされた後は、カートリッジ200自体は回転しないが、カートリッジ200内の上部回転部材211、下部回転部材221などが回転し続けるのは当然である。カートリッジ200の内部構成要素の回転によって薬液又は血液がカートリッジ200に出入りする過程についての具体的な説明は後述する。
【0082】
さらに、メインボディ110は、
図9の(a)及び
図9の(b)に示すように係止段116をさらに含み、カートリッジ200が結合溝111に結合されて自動的にロックされたとしても、モータ駆動による回転過程で遠心力によって脱落したり、使用者によって任意に脱落したりするが、係止段116は、
図9の(b)に示すようにこのカートリッジ200の一部を覆うことにより、カートリッジ200が結合溝111から脱落することを防止する。
【0083】
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明のシリンダーポンプの各種薬液又は血液を注入する実施形態について説明する。
【0084】
図10は、本発明のシリンダーポンプがクランプに結合された状態を示す斜視図であり、
図11は、本発明のシリンダーポンプにシリンジが結合された状態を示す斜視図である。
【0085】
本発明のシリンダーポンプは、薬液又は血液を保存する容器に応じてインフュージョンモード(Infusion mode)とシリンジモード(Syringe mode)に分けて作動する。薬液又は血液が輸液容器や血液パックなどに保存される場合には、本発明のシリンダーポンプはインフュージョンモードで駆動され、薬液又は血液がシリンジ内に保存される場合には、本発明のシリンダーポンプはシリンジモードで駆動される。
【0086】
上述したように、従来技術では、輸液容器や血液パックに保存された薬液又は血液を患者に注入するためにインフュージョンポンプを使用しなければならず、シリンジに保存された薬液又は血液を注入するためにシリンジポンプを使用しなければならないなど、薬液又は血液を保存する形態に応じてそれぞれ異なる装置を用意しなければならないという問題があった。
【0087】
しかし、本発明のシリンダーポンプは、輸液容器や血液パックに保存された薬液又は血液、シリンジに保存された薬液又は血液を区別することなく、一つの装置で高い精度を維持しつつ、患者に薬液又は血液を注入することができるという点で従来の薬液注入装置との差別性を有する。
【0088】
具体的には、本発明のシリンダーポンプは、一実施形態では、
図10の(a)に示すように、ボディ部100の下端に結合されてシリンダーポンプをスタンドに固定可能なクランプ600をさらに含み、クランプ600によって
図10の(b)の如くスタンドに固定されたシリンダーポンプでは、スタンドの上端に取り付けられた輸液容器又は血液パック内の薬液又は血液を患者に注入することができる。
【0089】
本発明のシリンダーポンプは、他の実施形態では、
図11の(a)に示すように、固定板710とバンド720とで構成され、メインボディ110のハンドル部112の上端にシリンジを固定するシリンジホルダー700をさらに含み、
図11の(b)に示すように、バンド720によりハンドル部112の上端にシリンジを固設した後、シリンジ内の薬液又は血液を患者に注入することができる。
【0090】
このとき、制御部は、操作部500から薬剤情報、薬剤注入速度、薬剤注入時間、薬剤注入量、患者の体重、及び駆動モードのうちの少なくとも1つの情報を収集し、収集された情報に基づいて駆動部300を駆動してカートリッジ200を駆動させるが、特に、制御部は、操作部500から伝達される駆動モード情報に応じて、駆動部300をインフュージョンモード又はシリンジモードに分類して制御する。
【0091】
具体的には、シリンダーポンプがクランプ600によりスタンドに固定されている場合には、使用者の操作部500の操作により、シリンダーポンプが現在インフュージョンモードで駆動するという情報が入力され、制御部は、インフュージョンモードで駆動部300を駆動させて、輸液容器又は血液パック内に保存されていた血液又は薬液をカートリッジ200内に流入させたり、カートリッジ200内の血液又は薬液をカートリッジ200の外部に流出させたりする。
【0092】
また、シリンジホルダー700によりシリンジをシリンダーポンプの上端に固設した場合には、使用者の操作部500の操作により、シリンダーポンプが現在シリンジモードで駆動するという情報が入力され、制御部は、シリンジモードで駆動部300を駆動させて、シリンジ内に保存されていた血液又は薬液をカートリッジ200内に流入させたり、カートリッジ200内の血液又は薬液をカートリッジ200の外部に流出させたりする。
【0093】
このとき、制御部の駆動部300の駆動制御により、血液又は薬液がカートリッジ200の内部に流入したり、カートリッジ200内の血液又は薬液がカートリッジ200の外部に流出したりする過程については、
図12及び
図13を参照して具体的に説明する。
【0094】
図12は、本発明のカートリッジ内部の第1ピストン、第2ピストンの駆動過程を示す図であり、
図13は、本発明のシリンダーポンプがシリンジモードで駆動する際に薬液又は血液をプライミングするために第1ピストンと第2ピストンが駆動される過程を示す図である。
【0095】
特に、
図12及び
図13は、説明の便宜上、下部ハウジング220を基準として第1ピストン260及び第2ピストン270の駆動を示すものに過ぎず、下部ハウジング220が上部ハウジング210と組み合わせてカートリッジ200を形成することは言うまでもない。
【0096】
本発明のシリンダーポンプは、駆動部300によりカートリッジ200の第1ピストン260と第2ピストン270を回転させて、血液又は薬液をカートリッジ200内に流入させたり、カートリッジ200内部の血液又は薬液を外部に流出させたりすることができ、このような過程は注入サイクル(Infusion Cycle)と交互サイクル(Alternation Cycle)とからなる。
【0097】
例えば、シリンダーポンプの最初の駆動時には、制御部は、注入サイクル制御のために、
図12の(a)の如く、流入管240と流出管250との間に第2ピストン270を静止状態に固定し、流入管240の方に位置していた第1ピストン260を反時計回りに回転させて、第1ピストン260と第2ピストン270との間のシリンダー230の空間に負圧を形成させることで、血液又は薬液を、流入管240を介してカートリッジ200の内部に流入させる。
【0098】
また、第1ピストン260が
図12の(b)及び(c)のように連続的に反時計回りに回転することにより、血液又は薬液が流入管240を介してシリンダー230の内部に流入し、シリンダー230内の血液又は薬液が流出管250を介してカートリッジ200の外部に流出する血液又は薬液の移動(流入及び流出)が起こる。
【0099】
このとき、第1ピストン260が回転して
図12の(d)のように流出管250に位置すると、シリンダー230内の血液又は薬液が外部に流出しなくなり、この場合、制御部は、第1ピストン260と第2ピストン270を同時に駆動させて、
図12の(e)のように第1ピストン260を、既存の第2ピストン270が位置していた流入管240と流出管250との間に位置させ、第2ピストン270を反時計回りに回転させることで、第1ピストン260と第2ピストン270の役割を変える交互サイクル制御を行う。
【0100】
上記のような交互サイクル制御を行った後、制御部は、第1ピストン260が固定された状態で第2ピストン270を
図12の(f)及び(g)のように反時計回りに回転させる注入サイクル制御を行い、第2ピストン270が反時計回りに回転することにより、血液又は薬液が流入管240を介してシリンダー230の内部に流入し、シリンダー230内の血液又は薬液が流出管250を介してカートリッジ200の外部に流出する。
【0101】
また、制御部は、
図12の(h)のように第2ピストン270が流出管250まで回転すると、再び交互サイクル制御を行い、第1ピストン260と第2ピストン270を同時に回転させて、
図12の(a)のように第1ピストン260を反時計回りに回転させ、第2ピストン270を既存の第1ピストン260が位置していた流入管240と流出管250との間に位置するように制御することで、血液又は薬液の移動を繰り返すことができる。
【0102】
特に、制御部は、薬剤情報、薬剤注入速度、薬剤注入時間、薬剤注入量などの情報に基づいて注入サイクル制御と交互サイクル制御を行うが、注入サイクル制御の際には、第1駆動モータ310、第2駆動モータ320の回転速度を調節して使用者が所望する薬液又は血液の注入量、注入速度を満たすことができ、注入サイクルが完全に完了していなくても目標の薬液又は血液注入量に達した場合には、第1駆動モータ310、第2駆動モータ320の駆動を停止して注入サイクルを終了させる。
【0103】
また、制御部は、交互サイクル制御の際には、第1駆動モータ310と第2駆動モータ320を同時に回転させて、第1ピストン260と第2ピストン270を目標位置に位置させる。
【0104】
このとき、
図12に示す第1ピストン260、第2ピストン270、流入管240、流出管250の位置は本発明の一実施形態に過ぎないもので、実施形態によって、第1ピストン260と第2ピストン270の位置が変わってもよいし、流入管240と流出管250の位置が変わってもよく、第1ピストン260または第2ピストン270が反時計回りではなく時計回りに回転しても構わない。
【0105】
本発明のシリンダーポンプがシリンジモードで駆動される場合には、上記のような第1ピストン260と第2ピストン270の駆動によりカートリッジ200内部のシリンダー230に負圧が発生し、負圧により、シリンジプランジャーを水平に移動させることなく、シリンジ内部の血液又は薬液をカートリッジ200の内部に投入することができる。
【0106】
ただし、本発明のシリンダーポンプがインフュージョンモードで駆動される場合には、輸液容器又は血液パックの設置位置に関係なく患者に血液又は薬液を注入させるため、上記のような注入サイクル、交互サイクルを行う前に、血液又は薬液を予め充填するプライミング過程を先に行う。
【0107】
プライミング過程は、流入管240と流出管250に接続されたチューブに血液又は薬液を予め充填する過程を意味し、チューブに血液又は薬液を予め充填するために、制御部は、第1駆動モータ310と第2駆動モータ320をそれぞれ駆動させて、
図13の(a)に示すように、カートリッジ200内の第1ピストン260を流入管240の外側に位置させ、第2ピストン270を流出管250の外側に位置させて、流入管240と流出管250との間にピストンが位置しないように制御する。
【0108】
上記のように第1ピストン260と第2ピストン270がそれぞれ流入管240の外側と流出管250の外側に位置すると、シリンダー230内部に負圧が形成され、
図13の(b)のように血液又は薬液が流入管240を介してシリンダー230の内部に流入することになり、上述した交互サイクル制御時とは異なり、流入管240と流出管250との間にピストンが固定されていないので、流入管240を介して流入した血液又は薬液は、
図13の(c)のように直ちに流出管250を介してカートリッジ200の外部に流出し、流出管250に接続されたチューブ内の空気を除去するとともに血液又は薬液を充填することができる。
【0109】
また、上記の過程を経てチューブ内に血液又は薬液が充填されると、第1駆動モータ310は、第1ピストン260が流入管240と流出管250との間に位置するまでのみ駆動された後停止するので、従来のインフュージョンポンプやシリンジポンプを使用時に発生していた不注意による医療事故を防止することもできる。
【0110】
上記のようにカートリッジ200の流入管240と流出管250とに接続されたチューブに血液又は薬液を予め充填しておくと、本発明のシリンダーポンプがインフュージョンモードで駆動されている間に、輸液容器又は血液パックの設置位置が変わっても、チューブに充填された血液又は薬液を患者に注入することができる。
【0111】
一方、上述したプライミング過程において制御部がカートリッジ200内の第1ピストン260を流入管240の外側に位置させ、第2ピストン270を流出管250の外側に位置させて、流入管240と流出管250との間にピストンが位置しないように制御する過程は、制御部が、薬液又は血液がカートリッジ200においてフリーフロー(free flow)できるように制御する過程である。
【0112】
制御部による薬液又は血液のカートリッジ200におけるフリーフローは、上述したプライミング過程はもとよりカートリッジ200の他の用途にも利用され得る。
【0113】
まず、本発明は、フリーフローを利用することにより、本発明によるシリンダーポンプだけでなく、他の機種のインフュージョンポンプに対するカートリッジ200の互換性を確保することができる。すなわち、インフュージョンポンプの場合、チューブを圧搾することによって薬液又は血液の注入を制御する方式を採用しているため、チューブが接続されたカートリッジ200がフリーフロー状態であれば、他の機種のインフュージョンポンプに対するカートリッジ200の互換性を確保することができる。
【0114】
また、本発明のシリンダーポンプを用いて薬液又は血液を注入されている患者が、本発明のシリンダーポンプを含むあらゆる種類の電子機器の搬入が禁止されるMRIまたはCTを撮影しなければならない場合が発生することがある。このとき、本発明のシリンダーポンプでは、薬液又は血液がカートリッジ200においてフリーフローできるようにピストンを位置させることができる。患者は、フリーフロー状態のカートリッジ200をシリンダーポンプから取り外し、チューブにレギュレータを取り付けることにより、MRIまたはCTを撮影する場合でも薬液又は血液注入の連続性を確保することができる。
【0115】
一方、使用者は、操作部500を操作して制御部により第1駆動モータ310を駆動させて、第1ピストン260が流入管240と流出管250との間に位置するように制御することにより、薬液又は血液をフリーフローしないようにすることもできる。すなわち、本発明では、メインボディ110と前面ボディ120との間の結合が解除された場合(すなわち、前面ボディが開いた場合)に患者に薬液又は血液が偶発的に注入されることを防止し、患者の安全を確保することができる。
【0116】
すなわち、上述した薬液又は血液のカートリッジ200におけるフリーフローの場合、ややもすると患者に薬液又は血液が偶発的に注入されて患者の安全を損なうおそれがあるので、使用者の操作部500の操作によって選択的に行われる過程であることを理解しなければならない。
【0117】
最後に、以上おいて本発明は、フリーフローを利用して、他の機種のインフュージョンポンプに対してもカートリッジ200の互換性を確保できることを説明したが、本発明は、ピストンの座標を用いて、本発明と同一機種のシリンダーポンプに対してもカートリッジ200の互換性を確保することができる。
【0118】
すなわち、本発明のシリンダーポンプを用いて血液又は薬液を注入されている患者が、同一機種の他のシリンダーポンプを用いて血液又は薬液を注入されなければならない場合が生じることがある。
【0119】
例えば、大規模病院では、各病棟に医療機器を個別に具備・管理することが一般的であるため、病棟を移動する患者は、既存の病棟で使用していたシリンダーポンプをそのまま使用することはできず、新しい病棟に所属する同一機種の他のシリンダーポンプを使用する必要がある場合がある。
【0120】
このとき、患者は、カートリッジ200を新しいカートリッジ200に交換することなく、使用していたカートリッジ200を同一機種の他のシリンダーポンプにそのまま使用することができる。
【0121】
同一機種のシリンダーポンプに対するカートリッジ200の互換性は、シリンダーポンプ間のピストンの座標を共有することによって達成することができる。
【0122】
シリンダーポンプ間の座標の共有過程は以下の通りである。まず、シリンダーポンプの制御部は、血液又は薬液の注入のために注入サイクル制御または交互サイクル制御中であるカートリッジ200内部の第1ピストン及び第2ピストンの座標を、駆動部を介して入力し、入力された座標をディスプレイ部400に表示する。次に、使用者は、カートリッジ200をシリンダーポンプから取り外した後、ディスプレイ部400に表示されたピストンの座標を確認し、カートリッジ200を新たに取り付ける他のシリンダーポンプに上記座標を入力する。カートリッジ200が新たに取り付けられるシリンダーポンプの制御部は、使用者から入力されたピストンの座標に応じて、結合溝111の位置を、取り外されたカートリッジ200の上部回転部材穴212と下部回転部材穴212の位置と同様に調整する。
【0123】
使用者は、取り外されたカートリッジ200の上部回転部材穴212と下部回転部材穴212の位置と同様に調整された、新しいシリンダーポンプの結合溝111にカートリッジ200を取り付けることにより、従前に使用していたシリンダーポンプで中断された薬液又は血液の注入過程を、新しいシリンダーポンプで続けて行うことができる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施形態及び応用例について図示及び説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態及び応用例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により様々な変形実施が可能なのはいうまでもなく、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【0125】
また、本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0126】
本発明の技術範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の技術範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0127】
100 ボディ部
110 メインボディ
111 結合溝
112 ハンドル部
113 ガイド部
114 閉塞感知センサ
115 バブル感知センサ
116 係止段
120 前面ボディ
200 カートリッジ
209 上部ハウジング穴
210 上部ハウジング
211 上部回転部材
212 上部回転部材穴
213 上部プッシング部材
220 下部ハウジング
221 下部回転部材
222 下部回転部材穴
223 下部プッシング部材
230 シリンダー
240 流入管
250 流出管
260 第1ピストン
270 第2ピストン
300 駆動部
301 駆動部ボディ
302 軸受
310 第1駆動モータ
311 第1ウォーム
312 第1ウォームギア
320 第2駆動モータ
321 第2ウォーム
322 第2ウォームギア
330 内側駆動ギア
340 外側駆動ギア
400 ディスプレイ部
500 操作部
600 クランプ
700 シリンジホルダー
710 固定板
720 バンド
800 メンブレンフィルター
810 フィルターボディ
820 フィルターカバー
811 ボディ溝
821 カバー穴
【国際調査報告】