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特表2023-523711摩耗ゾーン上に突起を有するコーナーセグメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】摩耗ゾーン上に突起を有するコーナーセグメント
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
E02F3/40 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563480
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 US2021022289
(87)【国際公開番号】W WO2021221803
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】16/861,664
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンドン、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ビェルケ、ネイサン
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012GB00
(57)【要約】
一態様において、作業器具(100)に取り付けられるように構成されたコーナーセグメント(102)は、裏面(148)と、上面(116)と、前面(118)と、底面(136)と、外側面(122)と、内側面(150)と、前面、外側面、上面、及び底面それぞれに隣接するコーナー面(120)と、を含む複数の表面を有する本体(104)を含み得る。底面の一部分は、底面摩耗ゾーン(160、162)を形成し、前面の一部分は、前面摩耗ゾーン(154)を形成する。コーナーセグメントはまた、摩耗ゾーン上に設けられた複数の突起(154)を含み得、摩耗ゾーンは、底面摩耗ゾーン及び前面摩耗ゾーンを含む。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業器具(100)に取り付けられるように構成されたコーナーセグメント(102)であって、前記コーナーセグメントは、
複数の表面を有する本体(104)であって、
裏面(148);
上面(116);
前面(118);
底面(136、138);
外側面(122);
内側面(150);を含む本体(104)と、
前記前面、前記外側面、前記上面、及び前記底面それぞれに隣接するコーナー面(120)であって、
前記底面の一部分は、底面摩耗ゾーン(160、162)を形成し、前記前面の一部分は、前面摩耗ゾーン(154)を形成する、コーナー面(120)と、
摩耗ゾーン上に設けられた複数の突起(134)であって、前記摩耗ゾーンは、前記底面摩耗ゾーン及び前記前面摩耗ゾーンを含む、複数の突起(134)と、を備える、コーナーセグメント(102)。
【請求項2】
前記底面は、平面部分(136)と、前記平面部分に隣接する稜部分(144)と、前記稜部分及び前記前面に隣接し、前記平面部分に対して角度をなす傾斜部分(138)と、を含み、前記稜部分及び前記傾斜部分は、突起を有する前記底面摩耗ゾーンを有する、請求項1に記載のコーナーセグメント。
【請求項3】
前記底面摩耗ゾーンは、前記コーナー面に隣接する前記底面の外側半分にのみ形成される、請求項1に記載のコーナーセグメント。
【請求項4】
前記前面摩耗ゾーンは、前記コーナー面に隣接する前記前面の外側半分にのみ形成される、請求項1に記載のコーナーセグメント。
【請求項5】
前記コーナー面は、コーナー面摩耗ゾーン(156)を形成し、前記外側面の一部分は、側面摩耗ゾーン(158)を形成し、前記複数の摩耗ゾーンは、前記コーナー面摩耗ゾーン及び前記側面摩耗ゾーンを含む、請求項1に記載のコーナーセグメント。
【請求項6】
前記側面摩耗ゾーンは、前記コーナー面に隣接する前記側面のエッジにのみ形成される、請求項5に記載のコーナーセグメント。
【請求項7】
前記複数の突起のうち前面突起は、前記前面摩耗ゾーン上に設けられ、前記前面の幅に沿って位置合わせされる、請求項5に記載のコーナーセグメント。
【請求項8】
前記複数の突起のうち底面突起は、前記底面摩耗ゾーン上に設けられ、前記底面にわたって延びる少なくとも1つの円弧(E-E又はF-F)に沿って位置決めされ、
前記複数の突起のうち側面突起は、前記側面摩耗ゾーン上に設けられ、前記側面にわたって延びる少なくとも1つの円弧(C-C又はD-D)に沿って位置決めされ、
前記複数の突起のうちコーナー面突起は、前記コーナー面摩耗ゾーン上に設けられ、前記コーナー面にわたって延びる少なくとも1つの円弧(B-B)に沿って位置決めされる、請求項5に記載のコーナーセグメント。
【請求項9】
前記複数の突起は、互いに均等に離間する、請求項1に記載のコーナーセグメント。
【請求項10】
前記複数の突起は、前記コーナーセグメントの本体を形成する物質より大きい硬度を有する物質で形成される、請求項1に記載のコーナーセグメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ホイールローダのバケットなど地面係合工具に取り付け可能なコーナーセグメントに関し、より具体的にはコーナーセグメントの摩耗ゾーン上に設けられた突起を有するコーナーセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
バケットなどの作業器具は機械に取り付けられ、砂、砂利、石、土、又は破片などの物質を掘り下げ、移動させるために使用される。バケットは、バケットのエッジに取り付けられる地面係合工具(GET)を有し得る。GETは、物質とかみ合ってバケットのエッジを摩耗から保護し、それゆえバケットの寿命を延ばす。ウオッシュアウト(wash-out)、又は加速される摩耗は、GETのコーナーなどGETの幾つかの部分にのみ発生し得る。その結果、GETの寿命は、摩耗の加速されている部分の寿命にまで低下する。GETの交換は、新しいGETの費用、交換中のダウンタイム、並びに交換プロセスに紐付けられた作業及び費用のゆえに、費用がかさむ。
【0003】
作業器具を交換する頻度を低下減少させるためには、摩耗プレートが使用され得る。例えば、米国特許第10,066,371号に記載のように、バケットの端部壁の外面に沿って長方形の摩耗プレートを仮止め溶接し得る。摩耗プレートに穿孔された複数の穴に充填すること又は一杯に充填することで、カーバイドマトリックスのデポジット又はプラグが摩耗プレート上に形成される。プラグは、摩耗プレートの表面全体にわたって格子状に配置される。
【0004】
摩耗プレート(’317特許に記載されたものなど)がバケットの端部壁に取り付けられた場合、摩耗プレートは、摩耗プレートの厚さに等しい量だけ端部壁の表面から突出する。つまり摩耗プレートは、バケットの端部壁の表面とは同一平面上にない。さらに、平坦で長方形の摩耗プレートは、コーナーセグメント又はバケットの縁など、バケットの平らでない表面に取り付けるのに好適ではない場合がある。摩耗プレートの交換は、焼却、切断、及び溶接を必要とし得、これは、時間及び費用がかかり得、追加の工具又は機械類を必要とし、手作業を必要とする。
【0005】
本開示のコーナーセグメントは、上述の問題のうち1つ以上及び/又は本分野における他の問題を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、添付の請求項によって定義され、任意の特定の問題を解決する能力によって定義されるものではない。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、作業器具に取り付けられるように構成されたコーナーセグメントは、裏面と、上面と、前面と、底面と、外側面と、内側面と、前面、外側面、上面、及び底面それぞれに隣接するコーナー面と、を含む複数の表面を有する本体を含み得る。底面の一部分は、底面摩耗ゾーンを形成し、前面の一部分は、前面摩耗ゾーンを形成する。コーナーセグメントはまた、摩耗ゾーン上に設けられた複数の突起を含み得、摩耗ゾーンは、底面摩耗ゾーン及び前面摩耗ゾーンを含む。
【0007】
別の態様において、作業器具に取り付けられるように構成されたコーナーセグメントは、ホイールローダのバケットに取り付けるための取り付け部分を含む本体を含み得、取り付け部分は、取り付け部分外側面と、取り付け部分と一体的に形成された縁部分と、を有する。縁部分は、縁部分前面と、縁部分上面と、縁部分底面と、縁部分前面、縁部分上面、縁部分底面、及び取り付け部分外側面それぞれに隣接する縁部分外側コーナー面と、を有する。縁部分底面の一部分は、底面摩耗ゾーンを形成し、縁部分前面の一部分は、前面摩耗ゾーンを形成する。コーナーセグメントはまた、摩耗ゾーン上に設けられた複数の突起を含み得、摩耗ゾーンは、底面摩耗ゾーン及び前面摩耗ゾーンを含む。
【0008】
さらに別の態様において、作業器具に取り付け可能なコーナーセグメントは、バケットに取り付けるように構成された取り付け部分と、取り付け部分と一体的に形成された作業面部分と、を含み得る。作業面部分は、前面と、上面と、底面と、前面、上面、及び底面それぞれに隣接する外側コーナー面と、を含み得る。底面の一部分は、底面摩耗ゾーンを形成し、前面の一部分は、前面摩耗ゾーンを形成し、コーナー面は、コーナー面摩耗ゾーンを形成する。コーナーセグメントはまた、摩耗ゾーン上に設けられた複数の突起を含み得、摩耗ゾーンは、底面摩耗ゾーン、側面摩耗ゾーン、前面摩耗ゾーン、及びコーナー面摩耗ゾーンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に従ってGETとしてのコーナーセグメントを有する、作業器具の例としてのバケットの概要図を示す。
図2】コーナーセグメントの少なくとも上面、前面、コーナー面、及び外側面を含む、図1に示されたコーナーセグメントの等角概略図を示す。
図3】コーナーセグメントの少なくとも底面、外側面、コーナー面、及び前面を含む、図2に示されたコーナーセグメントの等角概略図を示す。
図4図2及び図3に示されたコーナーセグメントの上面概略図を示す。
図5】コーナーセグメント上の摩耗ゾーンを含む、図2図4に示されたコーナーセグメントの等角概略図を示す。
図6】突起の配置を含む、図2図5に示されたコーナーセグメントの正面概略図を示す。
図7】突起の配置を含む、図2図6に示されたコーナーセグメントの側面概略図を示す。
図8】突起の配置を含む、図2図7に示されたコーナーセグメントの底面概略図を示す。
図9図2図8に示されたコーナーセグメントの突起の等角概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、単に例示的且つ説明的なものであり、特許請求されている特徴を限定するものではない。本明細書で使用されているように、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、又はその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それによって要素のリストを含む工程、方法、物品、又は装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、又は装置に明示的に列挙されていないか、又は内在していない他の要素を含んでもよい。さらに、本開示において、例えば、「約」、「概して」、「実質的に」、及び「およそ」などの相対的な用語は、言及された値の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0011】
図1は、バケット100に取り付けられる地面係合工具(GET)として、2つのコーナーセグメント102を有する、作業器具の例としてのホイールローダのバケット100の概要図を示す。コーナーセグメント102は、以下に詳細に記述されるように、例えば砂、砂利、石、土、破片、又はそれらの組み合わせなどの物質にさらされ、それらとかみ合うコーナーセグメント102の表面を有する、バケット100の前面のコーナーに取り付けられる。コーナーセグメント102は、例えば鋼で形成され得る。ただし、コーナーセグメント102を形成する物質は、鋼に限定されず、他の物質が使用され得る。
【0012】
図2は、本開示に従ってコーナーセグメント102の等角概略図を示す。図2に示されるように、コーナーセグメント102は、バケット100に取り付けされ得る凹状取り付け部分106を含む本体104と、凹状取り付け部分106と一体的に形成される縁部分108と、を有する。凹状取り付け部分106は、取り付け部分上面110と、コーナーセグメント102をバケット100に取り付けし、固定するための1つ以上の貫通穴112と、を有する。取り付け部分上面110は、平面であり得る。1つ以上の貫通穴112は、取り付け部分上面110から取り付け部分下面114まで、凹状取り付け部分106を通って延び得る(図3参照)。貫通穴112の形状は、コーナーセグメント102をバケット100に固定するために使用されるボルト(図示せず)又は別の構成要素など、ファスナーの形状に対応し得る。
【0013】
図2に示されるように、縁部分108は、縁部分上面116、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外側面122を含む。縁部分上面116は、概して平らであり得、搬送中にコーナーセグメント102を移動させ保持するため、及びコーナーセグメント102の取り付け又はバケット100からの取り外しため、リング部分124を含み得る。リング部分114は、縁部分上面116の突出部分126から延び得る。縁部分上面116は、取り付け部分上面110から縁部分前面118に向かって下向きに傾斜するように、取り付け部分上面110に対して角度をなし得る。
【0014】
縁部分前面118は、概して平らであり、取り付け部分上面110に垂直であり得、縁部分上面116に対して角度をなし得る。縁部分上面116と縁部分前面118との間のエッジ128は、フィレットエッジであり得る。縁部分外側面122は、概して平らであり、取り付け部分上面110及び縁部分前面118に垂直であり得る。縁部分外側面122と縁部分上面116との間のエッジ130は、フィレットエッジであり得る。縁部分コーナー面120は、平らな縁部分上面116、平らな縁部分前面118、及び平らな縁部分外側面122に隣接する湾曲面又は湾曲部分である。縁部分コーナー面120の湾曲により、縁部分コーナー面120は、縁部分前面118及び縁部分外側面122と連続的であり、つまりエッジで中断し得ない。縁部分コーナー面120と縁部分上面116との間のエッジ132は、縁部分上面116の斜面又は角度に追従し、フィレットエッジであり得る。
【0015】
複数の突起又はインサート134は、コーナーセグメント102の縁部分108の1つ以上の表面上に設けられ得る。例えば図2に示されるように、突起134は、縁部分前面118の少なくとも一部分の上及び縁部分コーナー面120上に設けられ得る。突起134は、コーナーセグメント102と一体的に形成され得るか、又はインサートとして別に形成され、コーナーセグメント102に取り付けられ得る。
【0016】
図3は、コーナーセグメント102の別の等角概略図を示す。取り付け部分下面114及び縁部分下面136は、概して平らであり得、互いに連続し得る。上述のように、貫通穴112は、取り付け部分上面110から取り付け部分下面114を通って延びる。縁部分108はまた、縁部分前面118及び縁部分コーナー面120に隣接する角度付き縁部138を有し得る。角度付き縁部138と縁部分前面118との間のエッジ140は、フィレットエッジであり得る。加えて、角度付き縁部138と縁部分コーナー面120との間のエッジ142は、フィレットエッジであり得る。角度付き縁部138は、概して平らであり得、縁部分底面136に対して、且つ取り付け部分底面114に対して斜めに延び得る。縁部分下面136はまた、コーナーセグメント102の幅全域に広がる、つまり縁部分前面118に平行な、複数の稜部146を有する稜部分144を含み得る。稜部分144は、角度付き縁部138に隣接する。加えて、図3に示されるように、突起134は、角度付き縁部138の少なくとも一部分上及び稜部分144上に設けられ得る。
【0017】
図4は、コーナーセグメント102の上面概略図を示す。コーナーセグメント102は、凹状取り付け部分106及び縁部分108にわたって連続する後面148と、凹状取り付け部分106及び縁部分108にわたって連続する内側面150と、を有する。図3及び図4に示されるように、コーナーセグメント102をバケット100に固定するため、4つの貫通穴112が、凹状取り付け部分106に設けられる。図4はまた、縁部分前面118及び縁部分コーナー面120から突出する突起134を示す。
【0018】
図5は、コーナーセグメント102の等角概略図を示し、具体的には、複数の突起134が配置されている摩耗ゾーン152を示す。摩耗ゾーン152は、例えば、縁部分前面118の一部分、稜部分144の一部分、角度付き縁部138の一部分、外側面122の一部分、及び縁部分湾曲面120、を包含し得る。ただし、摩耗ゾーン152は、このような表面、又はそれらの部分に限定されず、コーナーセグメント102上の他の表面又は表面の部分を包含し得る。突起134は、摩耗ゾーン152内で離間する。例として、各インサート134は、隣接するインサート134から10mm~100mmの間隔をあけて離間し得る。
【0019】
図5に示されるように、縁部分前面118の幅W118に関して、摩耗ゾーン152は、幅W118の外側半分に、つまり縁部分外側面122に最近接する幅W118の半分に限定され得る。角度付き縁部138の幅W138に関して、摩耗ゾーン152は、幅W138の外側半分に、つまり縁部分外側面122に最近接する幅W138の半分に限定され得る。縁部分外側面122の深さD122に関して、摩耗ゾーン152は、例えば縁部分外側面122の前半分に、つまり縁部分前面118に最近接する縁部分外側面122の半分に限定され得る。縁部分コーナー面120に関して、摩耗ゾーン152は、縁部分コーナー面120の全体を包含し得る。そして、稜部分144の幅W144に関して、摩耗ゾーン150は、稜部分144の幅W144の外側半分に限定され得る。
【0020】
摩耗ゾーン152は、単一の摩耗ゾーンとして図5に示されているが、摩耗ゾーン152は、それぞれがコーナーセグメント102の異なる表面上にある複数の摩耗ゾーンからなり得る。例えば、摩耗ゾーン152は、前面摩耗ゾーン154、コーナー面摩耗ゾーン156、外側面摩耗ゾーン158、角度付き縁部摩耗ゾーン160、及び稜部分摩耗ゾーン162によって画定され得る。
【0021】
図6を参照すると、2つの突起134が前面摩耗ゾーン154上に設けられている。前面摩耗ゾーン154上に設けられた突起134は、特定のパターンで配置され得る。例えば、図6に示されるように、前面摩耗ゾーン154上の突起134は、x軸に平行して延びるA-A軸に沿って、又は縁部分前面118の幅W118に沿って位置合わせされ得る。
【0022】
図6及び図7に関して、コーナー面摩耗ゾーン156上には2つの突起134が設けられ得る。コーナー面摩耗ゾーン156上に設けられた突起134は、特定のパターンで配置され得る。例えば、図6及び図7に示されるように、2つの突起134は、x軸及びy軸に平行な平面における曲線に沿って、且つy軸及びz軸に平行な平面における曲線に沿って延びる円弧B-B上に配置され得る。円弧B-Bは、曲率半径125mmによって画定され得る。y軸に関して、図6及び図7に示されるように円弧B-B上に位置決めされる2つの突起134のうち1つの突起134B-1は、前面摩耗ゾーン154上に、つまり軸A-A上に設けられた突起134と位置合わせされ得る。加えて、突起134B-1は、突起134B-2より縁部分前面118及び縁部分下面136に近く、突起134B-2は、突起134B-1より縁部分上面116及び縁部分外側面122に近い。加えて、x軸方向の長さに関して、突起134B-2の長さは、突起134B-1より大きくあり得、y軸方向の高さに関して、突起134B-2は、突起134B-1より高くあり得、z軸方向の深さに関して、突起134B-2の深さは、突起134B-1より大きくあり得る。
【0023】
加えて、4つの突起134は、外側面摩耗ゾーン158上に設けられ得る。外側面摩耗ゾーン158上に設けられた突起134は、特定のパターンで配置され得る。例えば、図7に示されるように、突起134のうち2つは、y軸及びz軸に平行な平面における曲線に沿って延びる円弧C-Cに沿って位置決めされ得る。円弧C-Cは、例えば、ほぼ670mmの曲率半径によって画定され得る。そして、図7に示されるように、突起134のうち2つは、y軸及びz軸に平行な平面における別の曲線に沿って延びる円弧D-Dに沿って位置決めされ得る。円弧D-Dは、例えば、ほぼ330mmの曲率半径によって画定され得る。円弧D-Dの曲率半径は、円弧C-Cの曲率半径より小さくあり得る。加えて、円弧C-Cの曲率半径及び円弧D-Dの曲率半径は、非同心円状であり得る。つまり、中心C(ここから、円弧C-Cの曲率半径が延びる)及び中心D(ここから、円弧D-Dの曲率半径が延びる)は、y軸に関して互いにオフセットされ得る。例として、中心Cと中心Dとの間のオフセット距離は、ほぼ340mmであり得る。さらに、外側面摩耗ゾーン158上の円弧C-C上に設けられた2つの突起134のうち1つの突起134C-1は、稜部分144に最近接し得、円弧C-C上に設けられた突起134のうち別の突起134C-2は、縁部分コーナー面120及び縁部分上面116に最近接し得る。y軸方向の高さに関して、突起134C-2は、突起134C-1より高くあり得、z軸方向の深さに関して、突起134C-2の深さは、突起134C-1より大きくあり得る。そして、外側面摩耗ゾーン158上の円弧D-D上に設けられた2つの突起134のうち1つの突起134D-1は、稜部分144に最近接し得、別の突起134D-2は、縁部分コーナー面120及び縁部分上面116に最近接し得る。加えて、y軸方向の高さに関して、突起134D-2は、突起134D-1より高くあり得、z軸方向の深さに関して、突起134D-1の深さは、突起134D-2より大きくあり得る。
【0024】
図8を参照すると、2つの突起134は、角度付き縁部摩耗ゾーン160上に設けられ得、5つの突起134は、稜部分摩耗ゾーン162上に設けられ得る。稜部分摩耗ゾーン162上に設けられたインサート134は、図8に示されるように複数の稜部146の凹部に設けられ得る。他の摩耗ゾーン上に設けられた突起134と同様、角度付き縁部摩耗ゾーン160上及び稜部分摩耗ゾーン162上に設けられた突起134は、特定のパターンで配置され得る。例えば、図8に示されるように、3つの突起134は、x軸及びz軸に平行な平面における曲線に沿って延びる円弧E-Eに沿って位置決めされ得る。円弧E-Eは、例えば、ほぼ285mmの曲率半径によって画定され得、角度付き縁部摩耗ゾーン160及び稜部分摩耗ゾーン162にわたって延び得る。加えて、4つの突起134は、x軸及びz軸に平行な平面における別の曲線に沿って延びる円弧F-Fに沿って位置決めされ得る。円弧F-Fは、例えば、ほぼ290mmの曲率半径によって画定され得、角度付き縁部摩耗ゾーン160及び稜部分摩耗ゾーン162にわたって延び得る。円弧F-Fの曲率半径は、円弧E-Eの曲率半径より大きくあり得る。円弧E-Eの曲率半径及び円弧F-Fの曲率半径は、非同心円状であり得る。具体的には、中心E(ここから、円弧E-Eの曲率半径が延びる)及び中心F(ここから、円弧F-Fの曲率半径が延びる)は、示されているようにz軸及びx軸に関して互いにオフセットされ得る。例として、そして中心Eと中心Fとの間のオフセット距離は、ほぼ40mmであり得る。
【0025】
加えて、円弧E-Eに沿って位置決めされた3つの突起134のうち1つの突起134E-1は、縁部分前面118に最近接し得、内側面150に最近接し得、1つの突起134E-2は、縁部分外側面122に最近接し得、別の突起134E-3は、突起134E-1と134E-2との間に位置決めされ得る。つまり、z軸方向の深さに関して、突起134E-2の深さは、突起134E-3より大きくあり得、突起134E-3の深さは、突起134E-1より大きくあり得る。加えて、x軸方向の長さに関して、突起134E-2の長さは、突起134E-3より大きくあり得、突起134E-3の長さは、突起134E-1より大きくあり得る。他の突起134E-3は、突起134E-1より突起134E-2に近くあり得る。加えて、突起134E-2及び突起134E-3は、稜部分144の稜部146内に位置決めされ得る。
【0026】
円弧F-Fに沿って位置決めされた4つの突起134のうち1つの突起134F-1は、縁部分前面118に最近接し得、内側面150に最近接し得、1つの突起134F-2は、縁部分外側面122に最近接し得、後面148に最近接し得る。他の2つの突起134F-3及び突起134F-4は、円弧F-Fに沿って突起134F-1と突起134F-2との間に位置決めされる。突起134F-2、134F-3、及び134F-4は、稜部分144の稜部146内に位置決めされ得る。x軸方向の長さに関して、突起134F-2の長さは、突起134F-3より大きくあり得、突起134F-3の長さは、突起134F-4より大きくあり得、突起134F-4の長さは、突起134F-1より大きくあり得る。そして、z軸方向の深さに関して、突起134F-2の深さは、突起134F-3より大きくあり得、突起134F-3の深さは、突起134F-4より大きくあり得、突起134F-4の深さは、突起134F-1より大きくあり得る。
【0027】
図9は、インサート134の等角概要図を示す。インサート134は、面取りされた底部エッジ166及び底面168を有する円筒状のベース部分164を有し得る。ベース部分164は、ほぼ16mmの高さであり得る。ベース部分164は、コーナーセグメント120の縁部分前面118、縁部分コーナー面120、縁部分外側面122、縁部分下面136、及び角度付き縁部138内の穴内に挿入及び固定されるように構成される。ベース部分164の直径は、ほぼ18mmであり得る。ベース部分164の直径は、コーナーセグメント102内の、突起134が挿入される穴の直径に対応し得る。ベース部分164の直径はまた、インサート134とコーナーセグメント102内の穴との間に締りばめを形成するため、コーナーセグメント102内の穴の直径より、例えば0.055mmだけ大きくあり得る。ただし、ベース部分164の直径とコーナーセグメント102内の穴の直径との間の差は、0.055mmに限定されず、例えば0.050~0.060mmの範囲であり得る。
【0028】
インサート134はまた、半球状又はドーム状の頂部分170を有し得る。頂部分170は、ほぼ9mmの高さを有し得る。頂部分170は、インサート134が挿入されている縁部分108の表面から突出するように構成される。つまり、コーナーセグメント102の表面に形成された穴に設置又は挿入された場合、突起134は、ほぼ9mmだけそれぞれの表面から突出する。コーナーセグメント102の表面上に形成された穴は、例えば鋳造又は切削で作成され得る。
【0029】
突起134は、コーナーセグメント102を形成する物質より大きい硬度を有する物質で形成され得る。例えば、突起134は、タングステンカーバイド、セラミック、工業用ダイヤモンド、又はそれらの組み合わせのうち1つで形成され得る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本開示のコーナーセグメント102、とりわけ摩耗ゾーン152上に設けられた突起134を有するコーナーセグメント102は、バケット100などの作業器具向けに簡単に交換可能なGETを提供し、これは、不均等な摩耗を減少させ、それによってGET全体の寿命を延ばす。加えて、本開示のコーナーセグメント102の摩耗ゾーン上に特定の方式で突起134を配置することは、コーナーセグメント102の湾曲面沿い及び角度付き面沿いの摩耗を減少させる。
【0031】
コーナーセグメント102の縁部分上面116、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、縁部分外側面122、縁部分底面136、及び角度付き縁部138は、作業面である。つまり、コーナーセグメント102がバケット100に取り付けられ、バケット100が使用中の場合、縁部分108のこのような表面は、バケット100によって移動する物質に係合する。
【0032】
摩耗ゾーン152上に突起134を配置することは、物質に係合するコーナーセグメント102の表面上で加速される摩耗を減少させるために役立つ。より具体的には、図6に示されるように前面摩耗ゾーン154、図7に示されるようにコーナー面摩耗ゾーン156及び外側面摩耗ゾーン158、図8に示されるように角度付き縁部摩耗ゾーン160、並びに図8に示されるように稜部分摩耗ゾーン162それぞれに突起134を配置することは、それぞれ、コーナーセグメント102の縁部分108の縁部分前面118、縁部分コーナー面120、縁部分外側面122、角度付き縁部138、及び稜部分144の摩耗率を減少させる。突起134の配置は、コーナーセグメント102のこのような表面に限定され得、つまり突起134は、コーナーセグメント102の他の表面に配置され得ない。つまり、突起134の配置は、摩耗ゾーンにおいてコーナーセグメント102を形成する物質の加速される摩耗を減少させるため、摩耗ゾーンに限定され得る。
【0033】
突起134を角度付き縁部138上及び稜部分144上に設け、突起134を縁部分底面136又は取り付け部分底面114の他の部分上に設けないことで、コーナーセグメント102の縁部分底面136及び取り付け部分底面114を含むコーナーセグメント102の底面は、バケット100の底面及び作業面に関して、平らな地面などの平面上に残り得る。加えて、突起134を縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外側面122上に設け、縁部分上面116上に設けないことで、縁部分上面116は、バケット100によって移動する物質に食い込むために、平らのまま及び鋭いままである。
【0034】
さらに、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外側面122上に突起134を設けることは、角度付き縁部部分138上及び稜部分144上の穴内の突起134を保持する縁部分108の物質のウオッシュアウトを防止する。つまり、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外側面122上に突起134がないと、縁部分108を形成する物質は、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外側面122上で摩耗しやすくなる。例えば、縁部分前面118で物質が摩耗すると、角度付き縁部138内及び稜部分144内に形成された穴は露出し得る。つまり、縁部分前面118は、摩耗により物質を喪失し、その結果、角度付き縁部138内及び稜部分144内に形成された穴は露出するか、又は広くなる。その結果、突起134をこれらの穴に維持する締りばめは、喪失し得、突起134は脱落し得る。このため、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、及び縁部分外面122上に突起134を追加することで、縁部分108のこのような表面上で摩耗を減少させ、バケット100全体の寿命を延ばすことに加えて、角度付き縁部138上及び稜部分144上で突起134の喪失を防止することの追加的利益が与えられる。
【0035】
コーナーセグメント102に突起134を設置するため、縁部分前面118、縁部分コーナー面120、縁部分外側面122、角度付き縁部138、及び稜部分144内に複数の穴が鋳造されるか、切削されるか、穿孔されるか、又は他の方式で形成され得る。コーナーセグメント102の表面上のドリル穴の位置は、図5図8に示された配置などの、突起134の配置に対応する。ドリル穴それぞれの直径は、インサート134のベース部分164の直径よりわずかに小さくあり得る。次に、突起134は、ドリル穴の内に圧入され、それによってコーナーセグメント102に固定される。代替として、ドリル穴それぞれの直径は、インサート134の直径に等しくあり得、鑞付けによって、又はインサート134の底面168とドリル穴との間に接着剤又はエポキシを使用することによって、各インサート134は、ドリル穴のうち1つ内に固定され得る。
【0036】
本開示の突起134を有するコーナーセグメント102はGETを提供し、このGETは、GETの幾つかの表面上又は表面の一部分上で加速される摩耗を減少させるか、又は突起134を1つ以上の摩耗ゾーンに配置することによって、構成要素の表面の全域で摩耗の均等なバランスを取る。その結果、突起134を有するコーナーセグメント102は、従来のGETと比較して頻繁な交換を必要とし得ない。加えて、突起134を有するコーナーセグメント102はまた、バケットなどの作業器具の平らな表面、角度付き面、及び/又は湾曲面上で使用され得る構成要素を提供する。さらに、例えば溶接された摩耗プレートと比較して焼却、切断、溶接を必要とし得ない点において、且つ機械類及び手作業を比較的必要とし得ない点において、突起134を有するコーナーセグメント102の設置又は交換は、比較的簡単である。さらに、突起134を有するコーナーセグメント102の交換は、溶接された摩耗プレートの交換又は作業器具の交換と比較して、ダウンタイムをあまり発生させ得ない。その結果、本開示の突起134を有する交換可能なコーナーセグメント102は、GET及び/又はその構成要素を交換するために必要な時間、費用、機械類、及び/又は手作業を減少させる。
【0037】
コーナーセグメント102の、並びに突起134の部分及びエッジの、表面、エッジ、及び貫通穴の幾何学的形状、幾何学的関係、及び寸法は、上記のように例であり、他の幾何学的形状、幾何学的関係、及び寸法が使用され得る。前述のコーナーセグメント102及び突起134を形成する物質は例であり、他の物質も使用され得る。
【0038】
本開示で記載された摩耗ゾーン、コーナーセグメント102の表面に対するその関係は例であり、他の摩耗ゾーン、又は摩耗ゾーンの表面に対する関係も使用され得る。例えば、前面摩耗ゾーン154は、縁部分前面118の幅W118の外側1/3上にのみあり得、つまり縁部分外側面122に最近接する幅W118の1/3上にのみあり得る。同様に、角度付き縁部摩耗ゾーン160は、角度付き縁部138の幅W138の外側1/3上にのみあり得、つまり縁部分外側面122に最近接する幅W138の1/3上にのみあり得る。さらに、稜部分摩耗ゾーン162は、稜部分144の幅W144の外側1/3上にのみあり得、つまり縁部分外側面122に最近接する幅W144の1/3上にのみあり得る。
【0039】
加えて、各摩耗ゾーン上での突起134の配置及びパターンは例であり、他の配置又はパターンも使用され得る。例えば、円弧(これに沿って突起134が配置される)の曲率半径は、上記の値とは異なり得る。加えて、曲率半径間の関係は、前述の関係とは異なり得る。さらに、中心Cと中心Dとの間のオフセット距離、及び中心Eと中心Fとの間のオフセット距離は、上記の距離とは異なり得る。代替として、中心C及び中心Dは、同心円状であり得、中心E及び中心Fは同心円状であり得る。そして、例えば、図7に関して、コーナー面摩耗ゾーン154及び外側面摩耗ゾーン156上に設けられた突起134の一部分又は全体は、互い違いのパターンで配置され得る。互い違いのパターンは、例えばy軸及びz軸上の平面に対して等間隔に離間している突起134が交互に表れるパターンであり得る。突起134は、等間隔に離間し得るが、突起134間の間隔は、変化し得る。さらに、本開示に記載され図2図8に示された実施形態は、摩耗ゾーンそれぞれに特定の数の突起134を含むが、各摩耗ゾーン上の突起134の数は限定されず、記述され示されたインサートの数より多くてもよく少なくてもよい。
【0040】
さらに、1つ以上の摩耗ゾーンに設けられた突起134を有するコーナーセグメント102は、任意の種類、サイズ、又は構成の作業器具に使用され得る。つまり、コーナーセグメントの形状、幾何学的関係、及び寸法、摩耗ゾーンの特定の場所及びサイズ、並びに摩耗ゾーン内のインサートの配置は、作業器具の種類、サイズ、又は構成に基づいて変更されやすくあり得る。
【0041】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたコーナーセグメントに様々な修正及び変形を加え得ることは、当業者に明らかであろう。コーナーセグメントの他の実施形態は、本明細書及び添付された図面の考慮から、当業者には明らかになるであろう。本明細書、特に本明細書に提供された例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって示されることが意図されている。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】