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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ワイヤレス可変間隙被覆デバイス
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/14 20060101AFI20230531BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230531BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230531BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
B05C1/14
B05C11/00
B05D7/00 A
B05D1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564022
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2021050389
(87)【国際公開番号】W WO2021220064
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】62/704,213
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519016549
【氏名又は名称】アイオー テック グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】ゼノウ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジラン ジブ
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC29
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC95
4D075AC96
4D075BB56Y
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA04
4D075EA05
4D075EA07
4D075EA14
4D075EA35
4F040AA22
4F040AC01
4F040BA10
4F040BA23
4F040DA12
4F040DA14
4F040DB18
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA25
4F042CB03
4F042CC09
4F042DD22
4F042DF23
4F042DH09
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】液体、ペースト、又は粘着剤等の粘性材料を用いた薄膜の望ましい厚みの被覆のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本システムでは、2つの膜が、互いに隣接して、任意選択的に反対方向に、被覆厚を定義する既知の間隙によって分離された2つのローラー上で移動し、この場合、材料は、一方の膜からもう一方へと移し替えられる。これらのローラーは、ばね及び/又はリニアアクチュエータによって相対位置に維持することができ、リニアエンコーダを用いて位置決めされる。代替構成では、被覆される材料をポリマー溶液等の低粘度材料とすることができると考えられる。被覆中に膜の境界の外側への低粘度材料の自由な流れを防止するのを助ける空気流を生み出すために、間隙の近くに空気ナイフを設けることができる。
【選択図】図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの膜(112、114、512、514)を備えるシステム(100、500、600)であって、前記膜(112、114、512、514)は、前記膜(112、114、512、514)の間に間隙(20、520)を定め、それによって前記膜(112、114、512、514)のうちの一方の上に被覆される材料の層(18、512)に関する厚みを定めるように互いに対して位置決めされた、それぞれのローラー(102、104、502、504)の外面上で互いに隣接して移動するように配置されており、前記ローラーのうちの第1のローラー(104、504)は、第1の対の平行なばね(118)によって付勢されたベアリング(144)によって前記ローラーのうちの第2のローラー(102、502)に対して位置決めされ、前記第1の対の平行なばね(118)を支持するそれぞれのアーム(106a、106b)を平行移動させるように構成された一対のリニアアクチュエータ(124a、124b)によって、前記ローラーのうちの前記第2のローラー(102、502)に対して位置が調節可能である、システム(100、500、600)。
【請求項2】
前記アーム(106a、106b)を前記ローラーのうちの前記第1のローラー(104、504)から遠ざかるように付勢するように配置された第2の対の平行なばね(116)を更に備える、請求項1に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項3】
各それぞれのアーム(106a、106b)の位置を測定するように装着された一対のリニアエンコーダ(120)を更に備え、前記リニアアクチュエータ(124a、124b)が前記ローラーのうちの前記第1のローラー(104、504)の前記位置を調節する前記アーム(106a、106b)を移動させた時に、前記リニアエンコーダ(120)によって最初に動きが検出される位置として前記システム(100、500、600)に対する初期位置が設定される、請求項1に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項4】
前記間隙(20、520)の幅は、前記リニアエンコーダ(120)が前記アーム(106a、106b)の移動によって測定する距離として決定される、請求項3に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項5】
前記アーム(106a、106b)の定位置を識別するように構成されたリミットスイッチ(122a、122b)を更に備え、前記リミットスイッチ(122a、122b)は、光学的、電気的、又は機械的なリミットスイッチである、請求項3に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項6】
前記材料は、粘性材料、液体、ペースト、粘着剤、低粘度材料、又はポリマー溶液のうちの1つである、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項7】
前記ローラー(102、104、502、504)は、金属、セラミック、プラスチック、又はゴムである、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム(100、500、600)。
【請求項8】
第1の膜(114、514)を材料の層(18、518)で被覆する段階を含む方法であって、互いに隣接する前記第1の膜(114、514)及び第2の膜(112、512)を、それぞれのローラー(102、104、502、504)上で、前記それぞれのローラー(102、104、502、504)の間の間隙(20、520)を通して動かし、前記間隙(20、520)は、前記第1の膜(114、514)上の前記材料の前記層(18、518)の厚みを定め、前記第1及び第2の膜(112、114、512、514)の移動方向に関して前記間隙(20、520)から上流に堆積された所定量の前記材料が前記間隙を(20、520)通して引き込まれるようになっており、
さらに、前記それぞれのローラーのうちの第1のローラー(104、504)を支持するベアリング(144)を第1の対の平行なばね(118)によって付勢することによって、前記それぞれのローラーのうちの第1のローラー(104、504)を前記それぞれのローラーのうちの第2のローラー(102、502)の反対側に位置決めする段階と、前記第1の対の平行なばね(118)を支持するそれぞれのアーム(106a、106b)を平行移動させるように結合された一対のリニアアクチュエータ(124a、124b)を用いて、前記それぞれのローラーのうちの第1のローラー(104、504)を前記それぞれのローラーのうちの第2のローラー(102、502)に対して移動させることで、前記ローラー(102、104、502、504)の間の前記間隙(20、520)を広げる段階を含み、前記第1の膜(114、514)は、前記それぞれのローラーのうちの第1のローラー(104、504)の上を通過し、前記第2の膜(112、512)は、前記第1の膜(114、514)と反対側で前記それぞれのローラーのうちの第2のローラー(102、502)の上を通過する、方法。
【請求項9】
前記第2の膜(112、512)は、前回の被覆からの何らかの残余物を除去するため、又は前記材料の未使用量を回収するために、前記第1の膜(114、514)と一緒に前進する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リニアアクチュエータ(124a、124b)が前記アーム(106a、106b)を平行移動させる時のバックラッシュを防ぐために前記アーム(106a、106b)を前記それぞれのローラーのうちの前記第1のローラー(104、504)から遠ざかるように第2の対のばね(114)によって付勢する段階を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記アーム(106a、106b)の移動中にリニアエンコーダ(120)を用いて前記アーム(106a、106b)の位置を測定する段階と、ゼロ位置を、前記リニアアクチュエータ(124a、124b)が前記アーム(106a、106b)を移動させる時に前記リニアエンコーダ(120)によって最初に動きが検出される位置として定める段階と、リミットスイッチ(122a、122b)を用いて前記アーム(106a、106b)が定位置に到達した時を識別する段階と、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性物質を用いた薄膜被覆の形成に関し、より具体的には制御された可変間隙を用いて薄膜又は被覆を得るための設備に関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2020年4月28に出願された米国仮出願第62/704,213号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の湿潤膜塗布器が従来技術から公知である。被覆の幾つかの特殊性質の適正な決定には、塗布されるこれらの被覆が事前に決定された厚みを有することを保証にすることが必要である。加えて、塗布器デバイスが、様々な物理的性質を有する様々な物質から望ましい厚みの膜を得るように調節可能であるのが望ましい。
【0004】
従来技術から公知の1つの湿潤膜塗布器は、一対の楔形要素を備え、これらの要素は互いに平行であり、被覆を形成する横断平面ブレードを支承する。ブレードの底縁部と基平面(基材)との間の間隙が、塗布される被覆の厚みを決定する。この間隙の厚みは、ブレードが楔形要素に沿って移動される時に変動される。所要の間隙厚が設定されると、デバイス内にある部品の相互配置が固定される。ブレードは、塗布方向に対して垂直に配向され、塗布器が基材表面に対して移動される時に望ましい厚みの膜を形成する。このデバイスは非常に汎用的であり、従来の塗料、ラッカー、及びその他の湿潤膜被覆の形成にとって十分なレベルの正確さを与える。この技術に伴う問題は、この機構の挟持中に締め付けねじがブレードに直接圧接してブレードに捩り運動を与え、それによって薄膜の正確さ及び品質が低減することである。
【0005】
高品質の膜の形成に向けた様々な公知の方法が存在し、従ってこれらの方法を実施する様々なデバイスが存在する。例えば、ブレード(シート)型又はシリンダ型とすることができる引き板又はワイパ(スキージ)を用いて湿潤溶液を塗布することができる。しかしながら、これらのデバイスは、再現可能な特性を有する高い異方性の膜の形成を保証せず、この膜形成法は、初期原材料の全てのバッチに対する最適塗布条件を決定するための長時間にわたる準備作業を必要とする。
【0006】
このような問題を解決することを目指す試みは、比較的複雑なデバイスの生成を招く結果となり、従来技術で公知の塗布器は、スロットダイ被覆システム型のデバイスを更に含む。
【0007】
従来技術の様々なデバイスを示す特許は、米国特許第4,869,200号、米国特許第6,174,394号、及び米国特許第8,028,647号を含む。
【0008】
既存の解決法にも関わらず、高い正確さ、簡単な調節、膜パラメータ(特に厚み)に対する制御を含む1つのデバイスにおいて必要な性質と、塗布される被覆の品質を基材の凸凹を補償することによって改善する可能性とを組み合わせることへの要求に関連する問題がなおも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,869,200号
【特許文献2】米国特許第6,174,394号
【特許文献3】米国特許第8,028,647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、2つの膜の間の間隙内での材料層の形成に関する。互いに対して移動させることができる2つの膜の存在は、これらの膜の間における均一な材料層の生成を、これらの膜が解放された時に膜の各々を単に回転させ、それによってこれらの膜の間に全く新しい間隙を作り出することによって容易な洗浄の可能性を維持しながら可能にする。本発明の実施形態によるデバイスは、原材料の低浪費で高い塗布速度で、及び低コストで膜厚に対する高精度制御で被覆を生成することができる。
【0011】
本発明の実施形態に従って構成されたシステムは、膜品質が非常に重要な状況において特別な用途を見出す。この種の用途の重要な例は、レーザー強化噴射用途(例えば米国特許第10,144,034号及び米国特許第10,099,422号を参照されたい)の系列である。このような用途では、安定で再現性が高い噴射を生み出すために非常に均一な材料層が必要とされる。この目的を果たすために、2つの膜を用いる新しい取り組みは、一対の膜を用い、これらの膜の間にあるワイヤによって間隙幅を制御し、それによって材料層厚を制御する米国特許第10,603,684号においてZenou他によって紹介されている。本発明は、ワイヤレスで間隙を維持する別の取り組みを紹介する。
【0012】
従って、本発明の実施形態は、望ましい材料を用いた薄膜の望ましい厚みの被覆を可能にする。材料は、液体又はペーストの形態にある粘性材料或いは低粘度材料とすることができる。材料は、粘着剤、金属又はセラミックのペースト、或いはいずれかのポリマー溶液とすることができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、被覆は、2つのローラーの間にある間隙内で発生するが、間隙の一方の側部にある平坦な(平面)基材を用いて被覆を生成することもできる。どちらの事例においても、間隙を作り出す/維持するために用いられるローラーは、金属ローラー、セラミックローラー、又はゴムローラー、例えば、ポリウレタンゴムローラー又は柔接触を生み出すことになる他のものとすることができる。ローラーは、自由ローラー又は固定ローラーとすることができる。ローラーの間又はローラーと平面基材との間にある間隙の幅は、材料層の厚みを直接的に又は何らかの相関関係によって決定する。同じ機械的構造を用いた圧力制御を用いて間隙を制御することもできる。
【0014】
一実施形態では、被覆される膜は、第1のローラーの上を通過し、第2の膜は、第1のローラーと反対側で第2のローラーの上を通過する。この第2の膜は、前回の被覆動作からのいずれかの残余物を除去するために、又は未使用の材料を回収するために、或いはその他の目的で第1の膜と一緒に前進することができる。このような第2の膜を用いることで、いかなる汚染もない複数の材料の順次被覆が可能になり、異なる材料を順序どおりに印刷するためのツールが生み出される。被覆中に膜の境界の外側への低粘度材料の自由な流れを防止するのを助ける空気流を生み出すために、間隙の近くに空気ナイフを設けることができる。
【0015】
第1の膜が、そのローラーと第2の膜が被せられるローラーとの間にある間隙を通して前進する時に、材料は、この間隙を通る2つの膜の間の距離に等しい厚みを有する層を膜上に形成する。被覆される/被覆中の膜のローラーと反対側にあるローラーは、1つ、2つ、又は3つ以上のばね又はその他の付勢要素によって適所に維持することができる。第2のローラーを第1のローラーから遠ざかるように2つのアームによって移動させ、それによって間隙を拡大させるために、ばねと平行なリニアアクチュエータを用いることができる。リニアアクチュエータが第2のローラーを第1のローラーから引っ張り始める時のバックラッシュを防ぐために、平行に配置された第2の対(又はその他の個数)のばねは、アームを第2のローラーから遠ざかるように押し出す。
【0016】
各アームの位置を測定するために、システムの各側部にリニアエンコーダを装着することができる。リニアアクチュエータが第2のローラーを移動させる時に、システムのゼロ位置を、リニアエンコーダによって最初に動きが検出される位置として設定することができる。ゼロ位置が互いに接触する(又はほぼそうである)ローラーに相応する場合には、間隙の幅は、この点の後にリニアエンコーダが測定する動きの量によって決定される。この移動開始点は、圧力アクチュエータを用いた力によって決定することもできる。更に、システムには、アームがその定位置に到達した時(ゼロ間隙幅、全開間隙幅、又はこれら2つの間のいずれか他の間隙幅に相応することが可能な)を識別する働きをする光学的、機械的、又は電気的なリミットスイッチを装備することができる。
【0017】
本発明の上記及び更なる実施形態は、以下に説明される。
【0018】
本発明は、添付図面の図に非限定的に例示的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの一実施形態を例示する斜視図である。
図1B】本発明に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの一実施形態を例示する正面図である。
図1C】本発明に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの一実施形態を例示する背面図である。
図2図1に示すシステムの断面図である。
図3】膜上への材料の被覆中の図1に示すシステムのローラー同士間の間隙区域の詳細図である。
図4】特にアームとそのローラーとの間の接続を示す、図1に示すシステムの区域の詳細図である。
図5A】膜又はその他の基材を被覆する時の複数の材料の混合のために本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの明確に定義された間隙の使用を例示する図である。
図5B】膜又はその他の基材を被覆する時の複数の材料の混合のために本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの明確に定義された間隙の使用を例示する図である。
図5C】膜又はその他の基材を被覆する時の複数の材料の混合のために本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの明確に定義された間隙の使用を例示する図である。
図6A】本発明に従って構成され、材料の除去用の空気ナイフが含まれたワイヤレス可変間隙幅システムの更なる実施形態を例示する図である。
図6B】本発明に従って構成され、材料の除去用の空気ナイフが含まれたワイヤレス可変間隙幅システムの更なる実施形態を例示する図である。
図6C】本発明に従って構成され、材料の除去用の空気ナイフが含まれたワイヤレス可変間隙幅システムの更なる実施形態を例示する図である。
図6D】本発明に従って構成され、材料の除去用の空気ナイフが含まれたワイヤレス可変間隙幅システムの更なる実施形態を例示する図である。
図7】本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムのローラー同士間の間隙の近くへの空気ナイフの付設を更に例示する図である。
図8】本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムのローラー同士間の間隙の近くにある一対の空気ナイフの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を詳細に説明する前に、概要を提示するのが有用である。図1A図1C及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システム100は、スプール12及び巻き取りリール14を側部16a、16bの間に支持するフレーム10を含む。スプール12上に保持された膜114が、フレーム10の一方の端部で長手方向に互いに隣接するように支持された一対のローラー102、104のうちの一方のローラー104の上を通り過ぎ、巻き取りリール14上に回収される。これらの図には、巻き取りリール14及びスプール12に接続されて、後に解説する材料配置動作の前、最中、及び/又は後にフレーム10を取り出すために巻き取りリール14及びスプール12を順送させることができるモータ又はその他のアクチュエータが示されていない。ローラー102及び104は、フレーム10の中でこれらのローラーを周りで自由に回転させるピンで支持することができる。代替的に、ローラー102及び104は、膜112、114がこれらのローラー上を摺動するが、ローラー自体は移動しない状態で、このようなピンの周りに固定することができる。
【0021】
材料で被覆される膜112は、ローラー102と104との間で膜114に隣接し、ローラー102と104とが互いに最も近いフレーム10の横寸法に沿ってローラー102の周りを通過する。膜112の被覆は、ローラー102と104との間にある間隙20内で、又はより正確には2つのローラーの外面の周りに配置された膜112と114との間で発生する。
【0022】
図3に示すうように、膜112上に被覆される材料110は、間隙20の上方の点(又はより正確には間隙20から膜112の進行方向上流に)堆積され、ローラー102の周りの膜112の動きが、材料110の層18を膜112の外面上に引き込み、この場合、間隙20の幅が、材料層18の厚みを決定する。膜114は、膜112をローラー102の周りで前進させる時に、いずれかの残余材料110、例えば、前回の被覆動作に起因する残余物を、間隙20の区域から除去するために、材料110の未使用部分を回収するために、又はその他の目的(例えば材料110の交換に関連する)でローラー104の周りで前進させることができる。膜112上に被覆される材料110は、液体、ペースト、又は粘着剤等の粘性材料とすることができる、又はポリマー溶液等の低粘度材料とすることができる。様々な実施形態において、材料110は、連続する2つの被覆過程の間に交換することができ、この場合、間隙20は、膜112上に先に被覆された材料層を変位させないように第2の材料の被覆中に拡大される。本明細書で説明する様々なローラー及びスプールは、金属、セラミック、プラスチック、ゴム、又はこのような材料の組み合わせで作製することができ、膜112、114がこれらの上を自由に通り過ぎることを可能にするように被覆することができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、材料110は、それを中に保持するシリンジ又はその他の貯留器から間隙20の近くに堆積することができる。このようなシリンジ又はその他の貯留器は、材料110の必要性に従って圧力、温度、及び/又はその他の環境条件が保持される制御された環境に保つことができる。シリンジ又は貯留器から、材料110は、間隙20の上流に堆積されて膜112(又はその他の基材)上に被覆され、続いて、一対の円柱形ローラー102、104によって形成された間隙20を通り抜ける。間隙20を通り抜けた後に、材料110の均一な層18が膜112上に存在することになり、この被覆された膜は、材料の堆積/分注又はその他の目的のために更なるステーションに供給することができる。場合によっては、材料110の均一な層18が被覆された後に、第2の材料の均一な層で再被覆するため、又は1回目の被覆からの層18内のいずれかの空所を埋めるために、膜112の被覆された部分を、間隙20の上流の位置に戻すことができる(例えばループで又は直線平行移動によって)。例えば、様々な実施形態において、ローラー102、104の間の間隙20を開きながら膜112を位置変更し、ローラーへの汚染なしに材料110(又は別の材料)で膜112の同じ区域を再被覆することを可能にし、被覆プロセス中に浪費される膜112の量を低減させる又は排除するような制御された方式で膜112を双方向に平行移動させることができる。膜112は、金属(又はその他の)裏当てを伴う又は伴わない透明な膜又はその他の基材とすることができる。
【0024】
システム100をより詳細に検討すると、図1A図1C及び図2は、側部16a、16bの内側のフレーム10の中にアーム106a、106bを示す。2つの平行なアーム106a、106bが好ましいが、幾つかの実施形態では、単一のアームのみ又は代替的に2つよりも多くのアームが存在することができる。以下に続く説明では、単一のアーム106及びそれに関係する構成要素に言及するが、同じ説明が、存在する場合には第2のアームに及び/又は追加のアーム並びにそれに関係する構成要素に当てはまることを理解されたい。
【0025】
図4を参照すると、アーム106は、間隙20の横寸法にわたって幅の一貫性を維持するようにローラー104をその長さに沿って付勢する(ばね及びそれに付随するベアリングによって)。アーム106の一方の端部には、アーム106の先細部分132が貫通する案内組立体130が存在する。アーム106の先細部分132はノッチ付き端部134で終端し、このノッチ付き端部134は、2つの平行な外縁部136と、それによってノッチ付き端部134内に形成された陥凹部140の全長を延びない移動止めの形態の内側ばねアンカー138とを有する。
【0026】
H字形ブラケット108は、その一方の側部に形成された陥凹部142の中にアーム106のノッチ付き端部134を受け入れる。ブラケット108の反対側の側部は、ブラケット108とローラー104との間の接合部としての役割を果たすベアリング144に当接する。ベアリング108は、金属、セラミック、プラスチック、ゴム、又はこのような材料の組み合わせで作製することができ、ローラー104がその軸の周りで自由に自転することを可能にするように被覆することができる。
【0027】
陥凹部142及び案内組立体130の中でアーム106の先細部分132の外周縁部の周りにばね118が螺旋状に巻き付けられ、案内組立体130の移動止め148とH字形ブラケット108の横断部材146との間で圧縮される。アーム106が移動すると(下記で説明するようにリニアアクチュエータの制御下で)、H字形ブラケット108の位置、従ってローラー104の位置が変化し、それに伴ってローラー104とローラー102との間の間隙20の幅が変動する。アーム106のノッチ付き端部134内にある陥凹部140の中に第2のばね116が配置されて内側ばねアンカー138の周りに螺旋状に巻き付けられる。ばね116は、アーム106をH字形ブラケット108に対して、更にローラー104に対して付勢し、ノッチ付き端部134内にある陥凹部140の内面とH字形ブラケット108の横断部材146との間で圧縮される。それに伴って、ばね116は、ローラー104から遠ざかるようにアーム106を押圧し、リニアアクチュエータがアーム106を移動させ始める時の反動を回避する。ばね116及び118は、フレーム10の反対側の側部上にアームに対する対応物を有する。
【0028】
図1A図1C及び図2に戻ると、リニアアクチュエータ124a、124b(アーム106a、106b毎に1つ)が、それぞれのアーム106a、106bをフレーム10の中で長手方向に移動させるように配置される。アーム106a、106bをこの様式に移動させることは、ローラー104をフレーム10の中で平行移動させ、それによってローラー102、104の間の間隙20の幅を調節することになる。リニアアクチュエータ124a、124bの動作は、1つの実施形態ではプロセッサベースの制御装置(図示せず)を用いて達成たされる。プロセッサベースの制御装置の一例であって、そこで又はそれを用いて本発明の方法を実施することができる一例は、一般的に、情報を通信するためのバス又は他の通信機構に通信可能に結合されたプロセッサと、情報及びプロセッサによって実行すべき命令を記憶するため、及びプロセッサによって実行すべき命令の実行中に一時変数又はその他の中間情報を記憶するためにバスに結合されたRAM又はその他の動的記憶デバイス等の主メモリと、静的情報及びプロセッサに対する命令を記憶するためにバスに結合されたROM又はその他の静的記憶デバイスと、を含むことになる。情報及び命令を記憶するために、ハードディスク又は固体ドライブ等の記憶デバイスを含み、バスに結合することもできる。対象制御装置は、幾つかの事例では、ユーザに対して情報を表示するためにバスに結合されたディスプレイを含むことができる。このような事例では、情報及びコマンド選択をプロセッサに通信するために、英数字及び/又はその他のキーを含む入力デバイスをバスに結合することもできる。方向情報及びコマンド選択をプロセッサに通信し、ディスプレイ上でのカーソル移動を制御するために、カーソル制御デバイス等の他の種類のユーザ入力デバイスを含み、バスに結合することもできる。制御装置は、プロセッサに接続されて、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)を介しての制御装置への/からの有線及び/又は無線の双方向データ通信を可能にする通信インターフェースを含むこともできる。通信インターフェースは、様々な種類の情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気信号、電磁信号、又は光信号を送受信する。例えば、ホストコンピュータ又はユーザが動作させる他の機器にデータ通信を供給するために、制御装置をリモートユニット(図示していない)とネットワーク接続することができる。従っては、制御装置は、必要に応じて誤動作をトラブルシューティングするのに役立つ診断情報を含むメッセージ及びデータをリモートユニットと交換することができる。
【0029】
このような制御装置は、アーム106a、106bを移動させて膜114を望ましい厚みの材料110の膜18で被覆するための望ましい間隙幅20を得るようにリニアアクチュエータ124a、124bを動作させるようにプログラミングすることができる。制御装置は、このような被覆プロセスに必要とされるとおりに膜112及び/又は膜114を前進させるようにプログラミングすることもできる。間隙幅20において望ましいレベルの精度を得るために、リニアアクチュエータ124a、124bは、電流の印加(例えば制御装置の制御下での)時に所定の方向に膨張する圧電セラミックを含む圧電変換器を用いることができる。このセラミックは、膨張する時(制御装置の制御下での電流の印加時)に、アクチュエータに接続されたアームが結晶の膨張方向に沿う単一の軸(例えば長手寸法)に沿って変位されるように配向することができる。一般的に、アクチュエータ毎に幾つかの圧電変換器を用いることができ、様々な圧電変換器が互いに連動するようにこれらの圧電変換器に同時に(又はほぼそのように)通電することができる。従って、圧電変換器は、同じ方向の長手方向の動きをアームに印加するように配置することができ、平行移動距離を、圧電剪断変換器に印加される電流の大きさに比例させることができる。本発明の実施形態において用いられる圧電変換器は、セラミック内の電場が分極方向に対して平行に印加される長手方向圧電アクチュエータ、セラミック内の電場が分極方向に直交するように印加される圧電剪断アクチュエータ、又は半径方向に分極され、分極に対して平行な電場が同じく半径方向に延びるようにセラミックの外面に付加される電極を有するチューブアクチュエータのうちのいずれかとすることができる。代替的に、リニアアクチュエータ124a、124bは、アーム106a、106bを長手寸法において移動させるように制御装置からの制御信号に従って前進又は後退する送りねじを用いることができる。或いはリニアアクチュエータ124a、124bは、アーム106a、106bを長手寸法において移動させるように制御装置からの制御信号に従って作動されるウォームドライブを用いることができる。本明細書における「アクチュエータ」という用語の使用は、アームを長手寸法において変位させるための様々な代替手段を包含することを意図している。
【0030】
上述したように、ばね118は、ローラー104をローラー102に向かって付勢し、それによってローラーの長手寸法にわたって一定の間隙幅を維持する役割を果たす。それぞれのばね116は、関係するリニアアクチュエータ124a、124bがローラー104をローラー102から遠ざかるように引っ張り始めて間隙20を拡大させる時のバックラッシュを防ぐために、アーム106a、106bをローラー104から遠ざかるように付勢する役割を果たす。フレーム10上には、各それぞれのアーム106a、106bの位置を測定するためのリニアエンコーダ120が装着される。リニアアクチュエータ124a、124bがローラー104を移動させる時に、システムの「ゼロ」位置を、このような動きがリニアエンコーダ120によって最初に検出される位置として設定することができる。続いて、リニアエンコーダ120がこの点の後に測定する動きの量によって間隙20の幅が決定される。システム100は、2つの光学的な又はその他のリミットスイッチ122a、122bを更に備える。リミットスイッチ122a、122bは、各それぞれのアーム106a、106bがその定位置に到達した時を識別する働きをする。定位置は、ローラー102、104の間の最小、最大、又はその他の間隙幅を定めることができる。
【0031】
上記で示したように、膜112上への材料110の層18の被覆は、ローラー102と104との間の間隙20内で発生する。この間隙20の幅は、材料層18の厚みを決定し、リニアアクチュエータ124を用いてローラー104をローラー102からの望ましい距離のところに位置決めすることによって設定される。リニアアクチュエータ124a、124bは、アーム106a、106bの位置を調節し、更にこれらの位置は、それぞれのばね118の付勢によってアーム毎の互いに対して平行なローラー104の位置(例えばローラー102に対する)を設定する。間隙20の上流でその近くに堆積された量の材料110と一緒に膜112はローラー102の上を通り過ぎ、膜114は、膜112の反対側でローラー104の上を通り過ぎる(例えば、前回の被覆からのいずれかの材料残余物を除去するため、未使用の材料110を回収するため、又はその他の目的で)。膜112がローラー102、104の間の間隙20を通して前進される時に、材料110は、膜112上に間隙幅に等しい厚みを有する層18を形成する。
【0032】
幾つかの実施形態では、膜112上に被覆される材料の層は、2又は3以上の別個の材料の混合物とすることができる。図5A図5Cは、膜518又はその他の基材を被覆する時の複数の材料510a、510bのこのような混合に関して、本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システム500のローラー502、504の間の明確に定められた間隙520の1つの使用を示す。このようなシステム内で印刷の直前に2又は3以上の材料を混合するために間隙を用いる能力は、様々な材料が互いに反応し、これらの材料を一緒に共通の分注器(例えばシリンジ)から膜上に分注することによって、分注器の動作を妨害することになる、さもなければ損なうことになる可能性がある時に特に重要な場合がある。間隙を混合点として用いることによって、各材料は、それ自体の分注器から膜上に分配され、これらの材料の間の反応は(もしあれば)、印刷の直前に膜上で初めて発生する。実際には、このような技術は、上記で説明したワイヤレス可変間隙幅システムの他の態様を利用しない他の間隙式被覆システムにおいて用いることができ、従って、間隙式混合構成の実現が、このようなシステムに限定されていると解釈すべきではない。
【0033】
図5Aに示されるように、システム500は、各々が一対のローラー502、504のそれぞれの一方の上で転動して既知の間隙530を間に作り出す2つの膜512、514を含む。システムの膜及びローラーは、本明細書で説明するこのような物品に対する材料のうちのいずれかで作製することができる。材料層がその上に被覆されることになる膜512は、この例では一対の給送ローラーを有する構成550によって分注されるが、この分注は単なる例示目的であり、分注構成の詳細は本発明にとって重要ではない。
【0034】
図5Bに示されるように、間隙520の上流(膜512の進行方向の観点から)で、ある量の材料510a及び510bが膜512上に分注される。膜112上に被覆される材料510aと510bとは、例えば共通分注器の中でのこれらの材料の間の反応を防ぐために別個に分注することができ、図5Cを参照すると、ローラー502の周りの膜512の動きが、2つの材料を引き合わせて単一の混合物510cにし、続いてこの混合物510cが、膜112上に層518を形成し、この場合、間隙520の幅が層518の厚みを決定する。膜514は、膜512がローラー502の周りで前進する時に、例えば間隙の閉塞を防止するために間隙520の区域から混合物510sのいずれかの残余量を除去するためにローラー502の周りで前進する。混合物510cを形成するために用いられる材料510a、510bは、上記で説明したもののうちのいずれかとすることができ、これらの材料のうちの1又は2以上は、連続する被覆過程の間に補充及び/又は交換することができ、この場合、間隙520は、このような2回目の被覆中に膜512上に先に被覆された材料層518を変位させないように拡大される。
【0035】
更に、層518を構成するこれらの材料の完全な混合を保証するために、固定の間隙幅を維持しながら、その上に層518を有する被覆された膜を、間隙520を通して引き戻し、次に元の方向で間隙520を通過させるように、被覆された膜の進行方向を制御することができる。最適レベルのこのような混合を得るために、及び膜512上の均一な層厚を保証するために、このようなプロセスを複数回繰り返すことができる。代替的に、間隙520を通しての膜512のこのような双方向平行移動は、間隙520の幅を縮小しながら、例えば、上記で説明したように、リニアアクチュエータによって制御される付勢アームを用いて望ましい厚みの層518を生成するようにローラー502に対してローラー504を位置決めしながら行うことができる。
【0036】
間隙内で材料を混合し、膜又はその他の基材上に被覆される高品質の材料層を実現する確実で高い再現性を有する印刷プロセスを保証にするこの能力は、上記の方法を印刷プロセスに用いることによる直接的な結果である。インクジェット又はスクリーン印刷等の他の印刷技術は、このような保証を与えることができない。更に、本プロセスは、エポキシペーストの2つの成分等の材料同士が印刷の前に分注器内で互いに反応することにならないことも保証し、それによって成分材料のポット有効期限を延長する。本システムの場合のように間隙で成分を混合することは、いずれかの汚染物質を除去するために、間隙を通して被覆されていない膜を移動させるだけで間隙を復元することができることから、他の技術よりも目詰まりし難い。
【0037】
次に図6A図6D図7、及び図8を参照すると、本発明の別の実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムの更なる実施形態600が示されている。これらの図では、ワイヤレス可変間隙幅システム100に関して上記で説明したものと同じ構成要素には同様の参照番号が付与されており、材料の除去のためにワイヤレス可変間隙幅システム600内に含まれる空気ナイフ602a、602bに関連するものを除いて、これらの構成要素は詳細に説明されない。上述したように、膜112を被覆する時には、間隙20が未使用材料110によって汚染状態になる可能性がある。汚染物質のうちの幾つかは、第2の膜114を用いて除去することができ、比較的高い粘性の材料の場合には、この技術は良好に機能する。しかしながら、低粘度の材料は、間隙20の上流に堆積された時に、特に膜112がこのような材料を間隙20に引き込み、更にそこを通して引っ張る時に自由に流れ、従って低粘度材料が、間隙を通り抜ける間に、膜を、例えば膜の進行方向に直交する方向に超過するのを阻止するために、空気ナイフ602a、602bを用いることができる。すなわち、空気ナイフ602a、602bから押し出される空気が、膜112の境界の外側への低粘度材料の流出に対する物理的障害としての役割を果たすことができ、この場合、材料は、例えば間隙20に対向する側でローラー102、104を汚染する可能性がある。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態に従って構成されたワイヤレス可変間隙幅システムのローラー102、104の間の間隙20の近くへの空気ナイフ602a、602bの付設を更に示しており、図8は、このような間隙20の近くにある一対の空気ナイフ602a、602bの断面図である。各空気ナイフ602a、602bは、材料分配膜112のそれぞれの側部から0~180度の角度、好ましくはこのような側部から70~110度の角度の空気流を生み出す。すなわち、空気流の角度は、フレーム10に対して空気ナイフを回転させること、及び/又は空気ナイフの中の空気流チャネルの設計のどちらかによって膜のそれぞれの側部から0度から180度までに向けることができるが、70~90度の角度が、低粘度材料の自由な流れを防止する上で最も有効になることが明らかになっている。
【0039】
空気ナイフ602a、602bは各々、空気ホースを取り付けることができるねじ式結合器604を含む。例えば、ねじ式結合器604は、1つの方向にのみ空気流を許す逆止弁とすることができる。幾つかの実施形態では、ねじ式結合器604は、シュレーダー弁又はプレスタ弁とすることができ、そのいずれかは、空気を空気ホース又はその他の給気手段から、膜112の縁部が間隙20の近くを通過することになる区域に向かって方向付けられた出口108に向かわせるための関連するバルブ軸(valve stem)606を有することができる。空気ナイフは、本明細書で説明する実施形態のあらゆるものと併用することができる。
【0040】
従って、本発明は、様々な実施形態において、粘性又はその他の材料を用いた望ましい厚みの薄膜の被覆を低コスト及び高品質で可能にするシステム及び方法を実現する。
【符号の説明】
【0041】
500 ワイヤレス可変間隙幅システム
502、504 ローラー
510c 材料混合物
512、514 膜
518 材料層
520 間隙
550 一対の給送ローラー構成
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
【国際調査報告】