(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】機械の旋回システム用油圧回路
(51)【国際特許分類】
F15B 11/04 20060101AFI20230531BHJP
F15B 11/028 20060101ALI20230531BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20230531BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F15B11/04 B
F15B11/028 G
F15B11/00 F
E02F9/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564080
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 US2021022040
(87)【国際公開番号】W WO2021216214
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー、ラスティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ナッカーズ、アダム エム.
(72)【発明者】
【氏名】フォッサム、ジョシュア エー.
(72)【発明者】
【氏名】リューメリン、クリストファー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーマン、コリー エル.
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003FA02
3H089AA02
3H089AA20
3H089AA50
3H089BB01
3H089BB28
3H089CC08
3H089CC12
3H089DA03
3H089DA13
3H089DB03
3H089EE05
3H089EE22
3H089EE36
3H089FF08
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
油圧回路が開示される。油圧回路は、静水圧ポンプが変位を有し、油圧モータが旋回要素を駆動する、流量で、油圧モータへ流体を提供する静水圧ポンプと、油圧回路の回路圧力を感知するための旋回回路圧力センサと、供給圧力に基づいて、静水圧ポンプの変位を制御するパイロット圧力アクチュエータと、供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁と、感知された信号に基づき、パイロット圧力オーバーライド弁を用いて、供給圧力を調整するように構成されたコントローラであって、感知された信号が、旋回回路圧力センサによって感知された回路圧力に基づく回路圧力信号と、一つ以上の機械センサによって感知された旋回要素の旋回速度に基づく、感知された旋回速度信号とを含む、コントローラと、を含みうる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧回路(300)であって、
流量で、流体を油圧モータ(306、308)に提供する静水圧ポンプ(302)であって、
前記静水圧ポンプ(302)が変位を有し、
前記油圧モータ(306、308)が旋回要素(110、130、135、140)を駆動する、静水圧ポンプ(302)と、
前記油圧回路(300)の回路圧力を感知するための旋回回路圧力センサ(316、318)と、
供給圧力に基づいて、前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を制御するパイロット圧力アクチュエータ(314)と、
前記供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁(312)と、
感知された信号に基づいて、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整するように構成されたコントローラ(145)であって、
前記感知された信号が、
前記旋回回路圧力センサ(316、318)によって感知された前記回路圧力に基づく回路圧力信号と、
一つ以上の機械センサ(160、316、318)によって感知された前記旋回要素(110、130、135、140)の旋回速度に基づく感知された旋回速度信号と、を含む、コントローラ(145)と、を備える、油圧回路(300)。
【請求項2】
前記コントローラ(145)が、前記回路圧力信号に基づいて、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整して、前記パイロット圧力アクチュエータ(314)に前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を調整させるように構成される、請求項1に記載の油圧回路(300)。
【請求項3】
前記コントローラ(145)が、前記感知された旋回速度信号に基づいて、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整して、前記パイロット圧力アクチュエータ(314)に前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を調整させるように構成される、請求項1~2のいずれか一項に記載の油圧回路(300)。
【請求項4】
前記コントローラ(145)が、前記旋回速度を増加するためのコマンド信号に基づいて、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整して、前記パイロット圧力アクチュエータ(314)に前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を調整させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧回路(300)。
【請求項5】
前記コントローラ(145)が、前記旋回要素(110、130、135、140)を駆動するトルクを増加するためのコマンド信号に基づいて、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整して、前記パイロット圧力アクチュエータ(314)に前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を増加させるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の油圧回路(300)。
【請求項6】
ショベル(100)であって、
旋回要素(110、130、135、140)と、
前記旋回要素(110、130、135、140)を制御するコマンド信号を生成するように構成された一つ以上の入力構成要素(124)と、
感知された旋回速度信号を生成するように構成された旋回速度センサ(160)と、
前記旋回要素(110、130、135、140)を駆動するように構成された油圧モータ(306、308)と、
流量で、流体を前記油圧モータ(306、308)に提供するための静水圧ポンプ(302)であって、
前記静水圧ポンプ(302)が変位を有する、静水圧ポンプ(302)と、
前記油圧モータ(306、308)および前記静水圧ポンプ(302)を含む油圧回路(300)の回路圧力を感知するための旋回回路圧力センサ(316、318)と、
供給圧力に基づいて、前記静水圧ポンプ(302)の前記変位を制御するパイロット圧力アクチュエータ(314)と、
前記供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁(312)と、
前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記感知された旋回速度信号および前記回路圧力に基づいて、前記供給圧力を調整するように構成されたコントローラ(145)と、を備える、ショベル(100)。
【請求項7】
前記旋回速度センサ(160)が、前記旋回要素の旋回速度を感知し、前記旋回要素の前記旋回速度に基づいて、前記感知された旋回速度信号を生成するように構成されるように構成された一つ以上の装置を備える、請求項6に記載のショベル(100)。
【請求項8】
前記油圧モータ(306、308)が、前記旋回要素(110、130、135、140)上の駆動機構と係合するように構成された第一の油圧モータ(306)であり、
前記ショベル(100)が、前記旋回要素(110、130、135、140)上の前記駆動機構と係合するように構成された第二の油圧モータ(308)をさらに備え、
前記旋回回路圧力センサ(316、318)が第一の旋回回路圧力センサ(316)であり、
前記油圧回路(300)が、前記第二の油圧モータ(308)をさらに含み、
前記回路圧力が、第一の方向に前記油圧回路(300)を流れる流体の第一の回路圧力であり、
前記ショベル(100)が、前記第一の方向と反対の第二の方向で前記油圧回路(300)を流れる流体の第二の回路圧力を感知するための第二の旋回回路圧力センサ(318)を備え、
前記コントローラ(145)が、前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記感知された旋回速度信号、前記第一の回路圧力、または前記第二の回路圧力のうちの少なくとも一つに基づいて、前記供給圧力を調整するように構成される、請求項6~7のいずれか一項に記載のショベル(100)。
【請求項9】
前記静水圧ポンプ(302)を駆動するように構成されたエンジン(304)をさらに備える、請求項6~8のいずれか一項に記載のショベル(100)。
【請求項10】
前記コントローラ(145)が、前記感知された旋回速度信号、前記回路圧力、前記一つ以上の入力構成要素(124)からの指令された旋回速度信号、および前記一つ以上の入力構成要素(124)からのトルク信号に基づいて、
前記パイロット圧力オーバーライド弁(312)を用いて、前記供給圧力を調整して、前記パイロット圧力アクチュエータに前記静水圧ポンプの前記変位を調整させるように構成される、請求項6~9のいずれか一項に記載のショベル(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、油圧回路に関し、例えば、機械の旋回システム用の油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベルおよびフロントショベルなどの旋回式採掘機械は、採掘場所からダンプ場所への材料の移動に使用されうる。これらの機械は、通常、油圧および流れを必要とする場合がある一つ以上のシステム(例えば、旋回システム、実装システム、および/または類似のもの)を利用して、活動を実行する。例えば、旋回システムは、旋回モータを通して加圧流体を提供する電源駆動ポンプを含んで、機械の足回りに対して機械の上部キャリッジを回転させることができる。こうした機械は、オペレータの指令を受信する一つ以上の入力構成要素からの信号に基づいて、ポンプが、オペレータによって指令されたように上部キャリッジを回転させるために、旋回モータに加圧流体を提供するように、ポンプを駆動するための電源(例えば、エンジンおよび/または類似のもの)を制御するコントローラを含みうる。
【0003】
オペレータが上部キャリッジに回転速度を増加させるよう指令すると、コントローラは、ポンプを駆動して旋回モータへの流体の流れを増加させるように電源に指令してもよく、これはポンプおよび旋回モータを含む油圧回路の圧力を増加させる。油圧回路(例えば、ポンプ、旋回モータ、および/または類似のもの)の構成要素の損傷を防止するために、リリーフ弁は、油圧回路内の圧力が閾値を満たすとき、圧力リリーフ弁が開き、流体を分流し、油圧回路内の圧力を減少させるように、油圧回路に含まれてもよい。
【0004】
上部キャリッジの回転速度を増加させるためのオペレータ指令に応答するのに十分な圧力および流れを油圧回路内で生成するために、コントローラは、ポンプを駆動して、油圧回路の圧力を増加させ、圧力リリーフ弁を開かせる旋回モータへの流体の流れを増加させるように、電源に指令してもよい。同様に、オペレータが、上部キャリッジの回転速度を低減する、および/または回転を停止するコマンドを提供する場合、上部キャリッジの運動量は、旋回モータを駆動してもよく、これは油圧回路の圧力を増加させ、圧力リリーフ弁を開かせる。しかしながら、圧力リリーフ弁が開くたびに、流体の流れの少なくとも一部分が無駄になる。したがって、上部キャリッジの回転速度を増加および減少させることは、機械の効率を減少させるおそれがある(例えば、流体の流れが無駄になるため、流体の流れを生成するためにポンプを駆動する電源によって消費されるエネルギーが無駄になるため、および/または類似のこと)。
【0005】
機械の効率を高め、無駄な流体の流れを低減するための一つの試みは、日立建機株式会社が出願し、2017年3月2日に公開された、特許公開第2017044262号(以下、「‘262公開」)に開示されている。特に、‘262公開は、油圧ポンプの吐出回路が、リリーフ弁の設定圧として複数の設定圧を有する場合、リリーフ弁から圧油を吐出する際に、タンクに排出されたエネルギーを効率的かつ確実に回収することが可能であることを開示している。‘262公開は、油圧ポンプの吐出回路が、リリーフ弁の設定圧として複数の設定圧を有し、複数のアキュムレータが回収油通路およびリリーフ弁を遮断/開放する第一の回収弁および第二の回収弁の設定圧に従って、油圧ポンプの最小動作圧力の異なる設定値を有することを開示する。
【0006】
‘262公開は、回収油通路およびリリーフ弁を遮断/開放する第一の回収弁および第二の回収弁の設定圧に従って、油圧ポンプの最小動作圧力の異なる設定値を有する複数のアキュムレータを有する油圧ポンプの吐出回路を開示することができるが、‘262公開は、上述の低減された効率の問題に対処しない。
【0007】
本開示の旋回システムの油圧回路は、上述の問題および/または当技術分野における他の問題のうちの一つ以上を解決する。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実装形態によれば、油圧回路は、静水圧ポンプが変位を有し、油圧モータが、旋回要素を駆動する、流量で、油圧モータへ流体を提供する静水圧ポンプと、油圧回路の回路圧力を感知するための旋回回路圧力センサと、供給圧力に基づいて、静水圧ポンプの変位を制御するパイロット圧力アクチュエータと、供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁と、感知された信号に基づき、パイロット圧力オーバーライド弁を用いて、供給圧力を調整するように構成されたコントローラであって、感知された信号が、旋回回路圧力センサによって感知された回路圧力に基づく回路圧力信号と、一つ以上の機械センサによって感知された旋回要素の旋回速度に基づく、感知された旋回速度信号とを含む、コントローラと、を備えうる。
【0009】
いくつかの実装形態によれば、ショベルは、旋回要素と、旋回要素を制御するコマンド信号を生成するように構成された一つ以上の入力構成要素と、感知された旋回速度信号を生成するように構成された旋回速度センサと、旋回要素を駆動するように構成された油圧モータと、静水圧ポンプが変位を有する、流量で、油圧モータへ流体を提供する静水圧ポンプと、油圧モータおよび静水圧ポンプを含む油圧回路の回路圧力を感知する旋回回路圧力センサと、供給圧力に基づいて、静水圧ポンプの変位を制御するパイロット圧力アクチュエータと、供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁と、パイロット圧力オーバーライド弁を用いて、感知された旋回速度信号および回路圧力に基づいて、供給圧力を調整するように構成されたコントローラと、を備えうる。
【0010】
いくつかの実装形態によれば、ショベルは、旋回要素と、旋回要素の旋回速度に基づいて、感知された旋回速度信号を生成する用に構成された旋回速度センサと、旋回要素を駆動するように構成された油圧モータと、静水圧ポンプが変位を有する、流量で、油圧モータへ流体を提供する静水圧ポンプと、油圧モータおよび静水圧ポンプを含む油圧回路の回路圧力を感知する旋回回路圧力センサと、供給圧力に基づいて、静水圧ポンプの変位を制御するパイロット圧力アクチュエータと、供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁と、静水圧ポンプを駆動するように構成されたエンジンと、コントローラであって、パイロット圧力オーバーライド弁を用いて、感知された旋回速度信号および回路圧力に基づいて、供給圧力を調整することと、エンジンを制御して、静水圧ポンプが流体を提供する流量を調整することと、旋回速度を減少させるコマンド信号に基づいて、流量をゼロに調整するエンジンを制御することと、を行うように構成され、旋回速度が低減されると、油圧モータが流体を静水圧ポンプに供給し、油圧モータが流体を静水圧ポンプに供給する場合、流体が、静水圧ポンプを駆動して、エンジンまたはエネルギー貯蔵システムのうちの少なくとも一方にエネルギーを提供する、コントローラと、を備えうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械の図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の
図1の機械の動作を制御するための例示的なシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、旋回システム用の油圧回路に関する。油圧回路は、旋回システムを利用する機械に汎用性を有する。「機械」という用語は、例えば、鉱業、建設、農業、輸送、または別の産業などの産業に関連付けられた動作を実行する任意の機械を指しうる。さらに、一つ以上の器具が、機械に接続されてもよい。
【0013】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械100の図である。
図1に示すように、機械100は、ショベルなどの土移動機械として具体化される。別の方法として、機械100は、運搬トラック、ドーザ、ローダ、バックホー、モータグレーダ、ホイールトラクタースクレーパ、別の土移動機械、および/または類似のものであってもよい。
【0014】
図1に示すように、機械100は、機械100を前進させるための、トラック(
図1に示すように)、ホイール、ローラ、および/または類似のものなどの接地係合部材105を含む。接地係合部材105は、機械本体(図示せず)に取り付けられ、一つ以上のエンジンおよび/またはドライブトレイン(図示せず)によって駆動される。車体は回転フレーム(図示せず)を支持する。機械100は、機械本体110およびオペレータキャビン120をさらに含む。機械本体110は、回転フレーム上に取り付けられる。オペレータキャビン120は、機械本体110および回転フレームによって支持される。オペレータキャビン120は、統合されたディスプレイ122および例えば、統合されたジョイスティックなど、オペレータコントロール124を含む。オペレータコントロール124は、例えば、方向オペレータ入力に基づいて方向旋回信号および旋回速度オペレータ入力に基づいて指示された旋回速度信号を生成するように構成された第一の入力構成要素を含む、一つ以上の入力構成要素を含みうる。一つ以上の入力構成要素は、トルク信号を生成するように構成された第二の入力構成要素をさらに含みうる。自律型機械の場合、オペレータコントロール124は、オペレータが使用するために設計されなくてもよく、むしろ、オペレータから独立して動作するように設計されてもよい。この場合、例えば、オペレータコントロール124は、いずれのオペレータ入力もなく別の構成要素によって使用するための入力信号(例えば、方向旋回信号、トルク信号、および/または類似のもの)を提供する、一つ以上の入力構成要素を含みうる。
【0015】
図1に示すように、機械100は、旋回素子125を含む。旋回素子125は、回転フレームが回転する(または旋回する)ことを可能にする一つ以上の構成要素を含みうる。例えば、旋回素子125は、回転フレームが接地係合部材105に対して回転(または旋回)することを可能にしうる。
【0016】
図1に示すように、機械100は、ブーム130、スティック135、およびツール140を含む。ブーム130は、機械本体110の近位端に枢動可能に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ(例えば、油圧または空気シリンダ)、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によって機械本体110に対して関節接合される。スティック135は、ブーム130の遠位端に枢動可能に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によってブーム130に対して関節接合される。ツール140は、スティック135の遠位端に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によってスティック135に対して関節接合されてもよい。ツール140は、バケット(
図1に示すように)、またはスティック135上に取り付けられうる任意の他のツールであってもよい。機械本体110、ブーム130、スティック135、および/またはツール140は、機械100の旋回要素に含まれてもよく、またはその一部であってもよい。オペレータコントロール124は、旋回要素を制御するコマンド信号を生成しうる。
【0017】
図1に示すように、機械100は、コントローラ145(例えば、電子制御モジュール(ECM))、一つ以上の慣性測定ユニット(IMU)150(本明細書では、それぞれ「IMU150」と称し、総称して「IMU150」と称される)、および一つ以上のセンサを含む。コントローラ145は、機械100の動作を制御および/または監視しうる。例えば、コントローラ145は、IMU150からの信号、機械100の一つ以上のセンサからの信号、オペレータコントロール124からの信号、および/または類似のものに基づいて、機械100の動作を制御および/または監視しうる。
【0018】
図1に示すように、IMU150は、例えば、機械本体110、ブーム130、スティック135、およびツール140など、機械100の構成要素または一部分上の異なる位置に設置される。IMU150は、IMU150が設置される機械100の構成要素の位置および配向を示す信号を受信、生成、格納、処理、および/または提供することができる一つ以上の装置を含む。例えば、IMU150は、一つ以上の加速度計および/または一つ以上のジャイロスコープを含みうる。一つ以上の加速度計および/または一つ以上のジャイロスコープは、座標系に対するIMU150の位置および配向を決定するのに使用されうる信号を生成し、それに応じて、構成要素の位置および配向を提供する。
【0019】
機械100の一つ以上のセンサ(機械センサ)は、旋回速度センサ160、作業具回路圧力170、および/または旋回回路圧力センサ180を含みうる。旋回速度センサ160は、機械100の旋回要素の旋回の速度(または旋回速度)を感知し、旋回要素の感知された旋回速度を示す感知された旋回速度信号を生成することができる、一つ以上の装置(例えば、センサ装置)を含みうる。旋回速度センサ160は、旋回要素に設置された慣性センサを含みうる。追加的に、または代替的に、旋回速度センサ160は、感知された旋回速度信号を生成するように構成されたモータ速度センサを含みうる。モータ速度センサは、旋回要素を駆動するように構成される機械100の油圧モータ(図示せず)上に設けられてもよい。追加的に、または代替的に、旋回速度センサ160は、感知された旋回速度信号を生成するように構成された旋回位置センサを含みうる。旋回位置センサは、旋回素子125上に設けられてもよい。
【0020】
作業具回路圧力センサ170は、機械100の作業具回路の圧力(例えば、流体圧力)を感知し、作業具回路の圧力(例えば、流体圧力)を示す信号を生成することができる、一つ以上のセンサ装置を含みうる。作業具回路は、機械100の一つ以上の作業具を備えてもよい。作業具圧力は、一つ以上の作業具を動作するために供給される流体の圧力に対応しうる。旋回回路圧力センサ180は、機械100の油圧回路の圧力(例えば、流体圧力)を感知し、油圧回路の圧力(例えば、流体圧力)を示す信号を生成することができる、一つ以上のセンサ装置を含みうる。油圧回路は、機械100の一つ以上の油圧モータを含みうる。回路圧力は、一つ以上の油圧モータを動作(または駆動)するために供給される流体の圧力に相当しうる。油圧回路は、旋回要素を制御するために使用されうる。作業具回路圧力センサ、作業具回路、旋回回路圧力センサ、油圧モータ、および油圧回路について、以下でより詳細に論じる。
【0021】
上述のように、
図1は、一例として提供されている。他の例は、
図1に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0022】
図2は、
図1の機械100の動作を制御するための例示的なシステム200のブロック図である。例えば、システム200は、旋回要素の動作を制御するために使用されうる。
図2に示されるように、システム200は、オペレータコントロール124、コントローラ145、IMU150、旋回速度センサ160を含み、作業具回路圧力センサ170および旋回回路圧力センサ180を含む。システム200は、センサフュージョン230、レバープロセッサ235、次元設計データ構造240、運動学データ構造245、ペイロードプロセッサ250、旋回モータコントロール255、慣性質量プロセッサ260、および旋回ポンプ変位ノーマライザ265をさらに含む。
図2に示すように、コントローラ145は、機械100の旋回要素を制御するために使用される信号(例えば、入力信号)を受信する。信号は、オペレータコントロール124、IMU150、旋回速度センサ160、作業具回路圧力センサ170、および/または旋回回路圧力センサ180によって生成される信号を含みうる、および/またはそれらに基づいてもよい。
【0023】
図2に示すように、オペレータコントロール124は、オペレータからの入力(またはオペレータ入力)に基づいて、またはオペレータ入力なしで(自律機械の場合)、コマンド信号を生成する。コマンド信号は、旋回要素を制御するために生成されうる。例えば、コントローラ145は、コマンド信号に基づいて、機械100の油圧回路の(流体の)供給圧力を調整するように構成されてもよい。コマンド信号は、オペレータコントロール124によって提供されるトルクコマンドに基づくトルク信号を含みうる。追加的に、または代替的に、コマンド信号は、オペレータコントロール124によって提供される旋回速度コマンドに基づく、指令された旋回速度信号を含みうる。
【0024】
コマンド信号は、レバープロセッサ235に提供されてもよい。レバープロセッサ235は、オペレータコントロール124からのコマンド信号を処理することができる一つ以上の装置を含む。レバープロセッサ235は、コマンド信号を処理してコマンド信号を調整し、処理されたコマンド信号を生成してコントローラ145に提供しうる。コマンド信号は、例えば、オペレータコントロール124の感度レベルなど、オペレータコントロール124の一つ以上の特性に基づいて処理されてもよい。
【0025】
図2に示すように、処理されたコマンド信号は、旋回モータコントロール255に設けられてもよい。旋回モータコントロール255は、オペレータコントロール124のコマンド信号に基づいて、旋回要素の(例えば、旋回する)運動を駆動する油圧モータの所望の変位を決定することができる、一つ以上の装置を含む。旋回モータコントロール255は、油圧モータの所望の変位を示す所望のモータ変位信号を決定してもよい。
図2に示すように、所望のモータ変位信号は、旋回ポンプ変位ノーマライザ265に設けられてもよい。旋回ポンプ変位ノーマライザ265は、所望のモータ変位信号に基づいて、旋回ポンプ変位信号を生成することができる、一つ以上の装置を含む。旋回ポンプ変位信号は、油圧モータに流体を提供する油圧ポンプの変位を引き起こす。
【0026】
図2に示すように、旋回速度センサ160は、機械100の旋回要素の旋回速度(または旋回の速度)を示す旋回速度信号を生成する。上述のように、旋回要素は、機械本体110、ブーム130、スティック135、および/またはツール140を含む。IMU150は、旋回要素の旋回の加速を示す加速信号を生成する。加速信号および旋回速度信号は、センサフュージョン230を使用して組み合わせおよび処理されて、ジョイント角旋回速度信号を生成することができる。センサフュージョン230は、一つ以上のセンサおよび一つ以上のIMU150からの信号を組み合わせることができる一つ以上の装置を含む。ジョイント角旋回速度信号は、旋回要素のジョイントの角度の旋回速度を示しうる(例えば、ブーム130とスティック135との間の角度、スティック135とツール140との間の角度、および/または類似のもの)。
図2に示すように、ジョイント角旋回速度信号は、次元設計データ構造240からの情報および運動学データ構造245からの情報と組み合わされて、一つ以上のIMU150に関連付けられた位置信号(例えば、旋回要素と関連付けられた位置信号)を生成することができる。例えば、位置信号は、一つ以上のIMU150の位置を示してもよく、コントローラ145に提供されてもよい。次元設計データ構造240は、メモリデバイスに格納され、機械100の次元および構造を示す情報を含みうる。情報は、機械100に関連付けられた動力学および運動学を導出するために使用されうる。運動学データ構造245は、メモリデバイスに格納され、機械100に関連付けられた運動学に関する情報を含みうる。
【0027】
図2に示すように、作業具回路圧力センサ170は、作業具回路に関連付けられた感知された作業具圧力を示す、作業具圧力信号を生成しうる。上述のように、作業具圧力信号は、機械100の一つ以上の作業具を動作するために供給される流体の圧力を示す。機械100のペイロードに関連付けられた質量データを生成するために、作業具圧力信号がペイロードプロセッサ250に提供されてもよい。ペイロードは、機械100の一つ以上の作業具によって持ち上げられ、移動され、および/または作業される材料の量を含みうる。ペイロードプロセッサ250は、作業具圧力信号および位置信号を処理して、ペイロードに関連付けられた質量データを生成することができる、一つ以上の装置を含む。
図2に示すように、質量データは、機械100に関連付けられた慣性質量信号を生成するため慣性質量プロセッサ260に提供されうる。慣性質量プロセッサ260は、位置信号および慣性データを用いて質量データを処理して慣性質量信号を生成することができる、一つ以上の装置を含む。慣性質量信号は、機械100の慣性質量を示してもよく、コントローラ145に提供されてもよい。
【0028】
図2に示すように、旋回回路圧力センサ180は、油圧回路の感知された回路圧力を示す回路圧力信号(または感知された回路圧力信号)を生成することができる。回路圧力信号は、コントローラ145に提供されてもよい。上述のように、コントローラ145は、
図3に関連して以下に記載されるように、本明細書で言及した信号の一つ以上を使用して、機械100の動作を制御しうる。
【0029】
上述のように、
図2は、一例として提供されている。他の例は、
図2に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0030】
図3は、
図1の機械100の例示的な油圧回路300の図である。
図3に示すように、油圧回路300は、静水圧ポンプ302、エンジン304、油圧モータ306(または第一の油圧モータ306)、油圧モータ308(または第二の油圧モータ308)、パイロット供給部310、パイロット圧力オーバーライド弁312、パイロット圧力アクチュエータ314、旋回回路圧力センサ316(または第一の旋回回路圧力センサ316)、旋回回路圧力センサ318(または第二の旋回回路圧力センサ318)、リリーフ弁320、およびリリーフ弁322を含む。一部の実装形態では、油圧回路300は、エネルギー貯蔵システム324を含みうる。
【0031】
静水圧ポンプ302は、可変である変位(または可変変位)を有するポンプを含む。静水圧ポンプ302は、流量で、流体を油圧モータ306および/または油圧モータ308(例えば、旋回要素を駆動するため)に提供するように構成される。静水圧ポンプ302は、コントローラ145と併せて、オペレータコントロール124によって生成されるコマンド信号に基づいて流量を調整するように構成される。例えば、コントローラ145は、旋回要素の旋回速度を調整するコマンド信号に基づいて、静水圧ポンプ302に流量を調整させるように構成される。静水圧ポンプ302は、流体を閉鎖ループ系で油圧モータ306および/または油圧モータ308に供給するように構成される。
【0032】
静水圧ポンプ302は、旋回要素の最適な旋回作動のためのトルク制御ならびに速度制御に基づいて、流体を供給するように作動されるように構成される。例えば、静水圧ポンプ302は、旋回要素を制御するために(オペレータコントロール124によって)生成されたコマンド信号に基づいて作動されるように構成される。例えば、静水圧ポンプ302は、例えば、方向旋回信号、トルク信号、および/または旋回速度信号を含む、一つ以上のコマンド信号に基づいて作動されるように構成される。
【0033】
より具体的には、静水圧ポンプ302は、変位制御ポンプとして構成され、静水圧ポンプ302の変位は、オペレータコントロール124によって生成されたコマンド信号の結果として、パイロット圧力アクチュエータ314に適用される(例えば、パイロット供給部310からの)供給圧力の付与に基づいて制御される。パイロット圧力アクチュエータ314は、供給圧力が増加するにつれて、静水圧ポンプ302の変位を増加(または上向きに)するように構成される。
【0034】
例えば、(オペレータコントロール124によって生成されたコマンド信号に基づく)旋回要素の(例えば、旋回する)運動の減速の間、静水圧ポンプ302の変位は、増加した(または上向きの)ままである。このようにして、静水圧ポンプ302は、減速によって生成された増加した流体圧力を、エンジン304のシャフトトルク(またはエンジン304のエンジンシャフトのトルク)に変換するためのモータとして作用しうる。したがって、静水圧ポンプ302は、(流体圧力によって静水圧ポンプ302に加えられる)油圧エネルギーを機械的エネルギーに変換し、このような機械的エネルギーをエンジン304および/または静水圧ポンプ302に接続された一つ以上の他の電源に提供するように構成されうる。一つ以上の電源は、機械100に関連付けられた他のシステムに、または貯蔵のためフライホイールに、機械的エネルギーを提供しうる。例えば、静水圧ポンプ302は、例えば、機械100のフロントリンケージなど、機械100のリンケージに電力として機械エネルギーを提供しうる。
【0035】
言い換えれば、旋回要素の減速中、および/または機械100のブレーキイベント中、静水圧ポンプ302は、エネルギーを回収するように構成される。これに関して、コントローラ145(例えば、オペレータコントロール124によって生成されたコマンド信号に基づく)は、静水圧ポンプ302が変位/トルク制御モードで動作するように、フィードバック制御(例えば、コマンド信号を使用する)を実行する。例えば、コントローラ145は、旋回速度を減少させるコマンド信号に基づいて、静水圧ポンプ302および油圧モータ308を制御して、制動トルク(例えば、最大制動トルク)を提供(または達成)してもよい。静水圧ポンプ302は、制動トルクが提供されている間(または達成される間)、エネルギーを回収しうる。制動トルクは、旋回要素の減速(例えば、旋回要素の運動の減速)および/または機械100の制動イベントを引き起こしうる。
【0036】
エンジン304は、静水圧ポンプ302を駆動するように構成されるエンジンである。エンジン304は、内燃エンジン、電気モータ、ハイブリッドエンジン、および/または類似のものを含みうる。
【0037】
油圧モータ306は、旋回要素(例えば、静水圧ポンプ302によって提供される流体に基づく)を駆動するように構成される油圧モータである。例えば、油圧モータ306は、旋回要素上の駆動機構(図示せず)と係合するように構成される。旋回要素の旋回速度を低減させるためにコマンド信号が(オペレータコントロール124によって)生成されるとき、油圧モータ306は流体を静水圧ポンプ302に供給しうる。油圧モータ306が流体を静水圧ポンプ302に供給する時、流体は静水圧ポンプ302を駆動して、エンジン304および/またはエネルギー貯蔵システム324にエネルギーを供給する。油圧モータ306は、固定変位モータまたは可変変位モータであってもよい。エネルギー貯蔵システム324は、エネルギーを貯蔵するように構成された一つ以上のエネルギー貯蔵装置を含みうる。
【0038】
油圧モータ308は、油圧モータ306と同じであってもよく、またはそれに類似してもよい。一部の実装形態では、油圧モータ308は、油圧モータ306のバックアップとして動作してもよく、油圧モータ306は、油圧モータ308のバックアップとして動作してもよい。
【0039】
パイロット供給部310は、静水圧ポンプ302の変位を引き起こす(流体の)供給圧力を提供する一つ以上の構成要素を含みうる。パイロット圧力オーバーライド弁312は、パイロット供給部310によって提供される(流体の)供給圧力を制御するように構成される弁である。例えば、パイロット圧力オーバーライド弁312は、コントローラ145と併せて、供給圧力を制御してもよい。例えば、コントローラ145は、感知された信号に基づいて、およびパイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を調整するように構成されうる。感知された信号は、(
図2に関して上述された)回路圧力信号および旋回速度信号を含む。例えば、感知された信号が旋回要素の(例えば、旋回する)運動の加速を示す場合、感知された信号はフィードバックとして使用されて、パイロット圧力オーバーライド弁312に、圧力/速度制御モードで静水圧ポンプ302を動作させる。結果として、油圧回路300は、旋回要素の制御された増加した加速を応答良く達成するため静水圧ポンプ302の速度および圧力を制御しながら、静水圧ポンプ302の変位およびトルクの増加を維持する。この制御された増加した旋回要素の加速は、流体の過剰な加圧流を生成することなく達成され、これは典型的には、旋回要素の加速中にリリーフ弁(例えば、リリーフ弁320またはリリーフ弁322)を介して排出および放出される。
【0040】
コントローラ145はさらに、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、感知された信号に基づく供給圧力、オペレータコントロール124からの指令された旋回速度信号、およびオペレータコントロール124からのトルク信号を調整するように構成されうる。以下で説明する通り、パイロット圧力オーバーライド弁312は、供給圧力を調整して、静水圧ポンプ302の変位の調整を引き起こすことによって、静水圧ポンプ302の動作を制御しうる。
【0041】
パイロット圧力アクチュエータ314は、供給圧力に基づいて、静水圧ポンプ302の変位を制御するように構成されるアクチュエータである。パイロット圧力アクチュエータ314は、コントローラ145およびパイロット圧力オーバーライド弁312と併せて、静水圧ポンプ302の変位を制御してもよい。例えば、コントローラ145は、パイロット圧力オーバーライド弁312を用いて、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314に静水圧ポンプ302の変位を調整するように構成されてもよい。供給圧力は、機械センサからの感知信号、および/またはオペレータコントロール124からの一つ以上のコマンド信号のうちの一つ以上に基づいて調整されうる。例えば、コントローラ145は、回路圧力信号に基づいて、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314に静水圧ポンプ302の変位を調整するように構成されてもよい。例えば、コントローラ145は、回路圧力信号に関連付けられた圧力と、コマンド信号に関連付けられた圧力を比較してもよく、供給圧力を調整して、比較の結果に基づいて静水圧ポンプの変位を調整してもよい。例として、コントローラ145は、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を増加して、回路圧力信号と関連付けられた圧力がコマンド信号と関連付けられた圧力よりも小さい時に、パイロット圧力アクチュエータ314に、静水圧ポンプ302の変位を増加させるように構成されてもよい。逆に、コントローラ145は、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を減少して、回路圧力信号と関連付けられた圧力がコマンド信号と関連付けられた圧力を超える時に、パイロット圧力アクチュエータ314に、静水圧ポンプ302の変位を減少させるように構成されてもよい。
【0042】
追加的に、または代替的に、コントローラ145は、旋回速度の増加を示す感知された旋回速度信号に基づいて、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314に、静水圧ポンプ302の変位を調整するように構成されうる。例えば、コントローラ145は、旋回速度の増加を示す感知された旋回速度信号に基づいて、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を増加して、パイロット圧力アクチュエータ314に、静水圧ポンプ302の変位を増加させるように構成されてもよい。追加的に、または代替的に、コントローラ145は、旋回速度を増加させるためのコマンド信号に基づいて、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314に、静水圧ポンプ302の変位を増加させるように構成されてもよい。追加的に、または代替的に、コントローラ145は、旋回要素を駆動するトルクを増加させるためのコマンド信号に基づいて、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314に静水圧ポンプ302の変位を増加させるように構成されうる。したがって、感知された旋回速度信号、感知された回路圧力、指令された旋回速度信号、および/または指令されたトルク信号に基づいて、コントローラ145は、パイロット圧力オーバーライド弁312を用いて、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314を用いて、静水圧ポンプ302の変位を調整する、および/または油圧モータ308の変位を調整する(例えば、油圧モータ308が可変変位モータである場合)ように構成されてもよい。
【0043】
旋回回路圧力センサ316および旋回回路圧力センサ318は、上述の旋回回路圧力センサ180に具現化され、および/または旋回回路圧力センサ180を含む。旋回回路圧力センサ316は、油圧回路300の一部に含まれてもよく、流体が油圧回路300を通って第一の方向に流れるとき、油圧回路300内の流体の回路圧力(または第一の回路圧力)を感知するように構成されてもよい。旋回回路圧力センサ318は、油圧回路300の別の部分に含まれてもよく、流体が油圧回路300を通って第二の方向に(第一の方向に反対の)流れる時に、油圧回路300内の流体の回路圧力(または第二の回路圧力)を感知するように構成されてもよい。第一の方向は時計回り方向であってもよく、第二の方向は反時計回り方向であってもよい。別の方法として、第一の方向は反時計回りの方向であってもよく、第二の方向は時計回りの方向であってもよい。これに関して、コントローラ145は、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用して、感知された旋回速度信号、第一の回路圧力、および/または第二の回路圧力に基づいて供給圧力を調整するように構成されうる。
【0044】
リリーフ弁320は、回路圧力が閾値を満たす時に回路圧力(例えば、第一の回路圧力)を減少させるように構成される弁である。例えば、リリーフ弁320は、油圧回路300の流体を放出して、回路圧力(例えば、第一の回路圧力)を閾値を満たす圧力に減少させてもよい。同様に、リリーフ弁322は、回路圧力が閾値を満たす時に回路圧力(例えば、第二の回路圧力)を減少させるように構成される弁である。例えば、リリーフ弁322は、油圧回路300の流体を放出して、回路圧力(例えば、第二の回路圧力)を閾値を満たす圧力に減少させてもよい。これに関して、コントローラ145は、供給圧力を調整して、回路圧力(例えば、第一の回路圧力または第二の回路圧力)が閾値を満たすことを防止するように構成される。エネルギー貯蔵システム324は、エネルギーを貯蔵するように構成された一つ以上のエネルギー貯蔵構成要素(例えば、装置)を含みうる。
【0045】
一部の例では、油圧回路300は、パイロット圧力オーバーライド弁312なしで実装されてもよい。したがって、油圧回路300は、パイロット圧力オーバーライド弁312を使用することなく、静水圧ポンプ302の変位を調整する閉ループ制御システムとして実装されうる。こうした閉ループ制御システムは、静水圧ポンプ302の変位を調節するために使用される指令された信号(例えば、指令された旋回速度信号、および/または指令されたトルク信号)のフィードバック信号として、感知された回路圧力を使用しうる(パイロット圧力オーバーライド弁312を使用せずに)。例えば、指令された信号および感知された回路圧力に基づいて、コントローラ145は、供給圧力を調整して、パイロット圧力アクチュエータ314を用いて、静水圧ポンプ302の変位を調整するように構成されてもよい(パイロット圧力オーバーライド弁312を使用せずに)。
【0046】
上述のように、
図3は、一例として提供されている。他の例は、
図3に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示の油圧回路は、旋回システムを利用する機械と共に使用されうる。本開示の油圧回路は、可変変位を有する静水圧ポンプを含む。本開示の油圧回路はまた、供給圧力を制御するパイロット圧力オーバーライド弁と、制御された供給圧力に基づいて静水圧ポンプの可変変位を制御するパイロット圧力アクチュエータとを含む。本開示の油圧回路は、油圧モータに油圧流体の流れを提供するように静水圧ポンプを駆動するエンジンをさらに含む。
【0048】
いくつかの利点は、開示された油圧回路と関連付けられうる。例えば、機械の旋回要素の減速中、および/または機械の制動イベント中、静水圧ポンプは、エネルギーを回収するように構成される。例えば、減速および/または制動イベントの間、静水圧ポンプの変位は、流体圧力の増加に基づいて増加し続ける。このようにして、静水圧ポンプは、減速によって生成される増加した流体圧力をエンジンのシャフトトルクに変換するモータとして作用しうる。したがって、静水圧ポンプは、油圧エネルギー(流体圧力によって静水圧ポンプに適用される)を機械的エネルギーに変換してもよく、このような機械的エネルギーをエンジンに提供してもよい。
【0049】
別の例として、旋回要素の運動(例えば、旋回する)の加速が感知されると、パイロット圧力オーバーライド弁は、静水圧ポンプを圧力/速度制御モードで動作させる。結果として、油圧回路は、静水圧ポンプの速度および圧力を制御しながら、静水圧ポンプの変位およびトルクの増加を維持して、旋回要素の制御された増加した加速を応答良く達成する。この制御された増加した旋回要素の加速は、流体の過剰な加圧流を生成することなく達成され、これは典型的には、リリーフ弁を介して排出および放出される。したがって、減速中のエネルギー回収を可能にし、加速中の過剰な流体の生成を防止することによって、開示された油圧回路は、機械の効率を改善する(例えば、流体の流れが無駄にならないため、流体の流れを生成するために静水圧ポンプを駆動するエンジンによって消費されるエネルギーが無駄にならないため、および/または類似のもののため)。
【0050】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は一つ以上の品目を含むことが意図されており、「一つ以上」と交換可能に使用されうる。また、本明細書で使用される場合、「有する」、「有する」、「有している」またはこれに類する用語は制約のない用語であることが意図されている。さらに、「に基づく」という語句は、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
【0051】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であることを意図しておらず、または当該実装形態を開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。修正および変形は、上記開示に照らして行われ得、実装態様の実施から取得されうる。本明細書は一例としてのみ考慮されることが意図され、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示される。特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、かつ/または本明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、様々な実装形態の開示を限定することを意図しない。以下に列挙される各従属請求項は、一つの請求項のみに直接従属しうるが、様々な実装形態の開示は、一連の請求項内の他のすべての請求項と組み合わせて、各従属請求項を含む。
【国際調査報告】