(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】反射光学メタ表面フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 1/02 20060101AFI20230531BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20230531BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20230531BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230531BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230531BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230531BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
G02B1/02
G02B5/26
G02B5/28
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/00 B
B32B27/00 N
G02B5/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565989
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2021052955
(87)【国際公開番号】W WO2021220089
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウォーク,マーティン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ブロット,ロバート エル.
(72)【発明者】
【氏名】ステンズヴァッド,カール ケー.
(72)【発明者】
【氏名】サヴァティーヴ,ヴァディム エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】レイス,ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H149
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
光学メタ表面フィルムは、第1の主表面を有する可撓性ポリマーフィルムと、可撓性ポリマーフィルムの第1の主表面に近接する第1の表面を有し、第1の表面の反対側に第2のナノ構造表面を有するパターン化ポリマー層と、ナノ構造境界面を有するナノ構造二重層を形成するパターン化ポリマー層のナノ構造表面に隣接する屈折率コントラスト材料を含む屈折率コントラスト層と、を含む。ナノ構造二重層は、可撓性ポリマーフィルム上に配置された複数のナノ構造を含む。ナノ構造二重層は、可撓性ポリマーフィルム上のナノ構造二重層の位置の関数として変化する光相シフトを付与する。ナノ構造二重層の光相シフトは、光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルを定義する。光反射層は、ナノ構造二重層と光学的に連通する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学メタ表面フィルムであって、
第1の主表面を有する可撓性ポリマーフィルムと、
前記可撓性ポリマーフィルムの前記第1の主表面に近接する第1の表面を有し、前記第1の表面の反対側に第2のナノ構造表面を有する、パターン化ポリマー層と、
ナノ構造境界面を有するナノ構造二重層を形成する前記パターン化ポリマー層の前記ナノ構造表面に隣接する屈折率コントラスト材料を含む屈折率コントラスト層であって、前記ナノ構造二重層は、前記可撓性ポリマーフィルム上に配置された複数のナノ構造を含み、前記ナノ構造二重層は、光の振幅、位相、若しくは偏光、又はそれらの組み合わせに局所的に作用し、前記可撓性ポリマーフィルム上の前記ナノ構造二重層の位置の関数として変化する光相シフトを付与し、前記ナノ構造二重層の前記光相シフトは、前記光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルを定義する、屈折率コントラスト層と、
前記ナノ構造二重層と光学的に連通する光反射層と、
を備える、光学メタ表面フィルム。
【請求項2】
前記光反射層が、前記可撓性ポリマーフィルムを前記ナノ構造二重層から分離する、請求項1に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項3】
前記ナノ構造二重層が、前記光反射層を前記可撓性ポリマーフィルムから分離する、請求項1に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項4】
第2の光反射層を更に備え、前記ナノ構造二重層は、前記光反射層を前記第2の光反射層から分離する、請求項1に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項5】
第2のナノ構造二重層を更に備え、前記光反射層は、前記ナノ構造二重層を前記第2のナノ構造二重層から分離する、請求項1に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項6】
前記光反射層から反射された光が、前記ナノ構造二重層によって変更される、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項7】
前記光反射層を透過した光が、前記ナノ構造二重層によって変更される、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項8】
反射された前記光が、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する、請求項6に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項9】
透過した前記光が、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する、請求項7に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項10】
前記光反射層が、多層光学フィルムを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項11】
前記光反射層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項12】
前記光反射層が、偏光子を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項13】
前記ナノ構造二重層が、中実材料によって画定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項14】
前記屈折率コントラスト材料が、第1の屈折率値を有し、前記パターン化ポリマー層が、前記第1の屈折率値とは少なくとも0.25異なる、又は0.5異なる、又は0.75異なる、又は1.0異なる、又は1.4異なる第2の屈折率値を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項15】
前記ナノ構造二重層が、前記屈折率コントラスト層に埋め込まれた複数のナノ構造によって画定される、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項16】
前記屈折率コントラスト材料が、金属酸化物又は金属窒化物を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項17】
前記屈折率コントラスト材料が、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウム;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの酸化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの窒化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの硫化物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項18】
前記パターン化ポリマー層が、フルオロポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、又はシリカ含有ポリマーを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項19】
前記パターン化ポリマー層が、フルオロアクリレートを含み、前記屈折率コントラスト材料が、二酸化チタンを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項20】
前記パターン化ポリマー層が、(メタ)アクリレートを含み、前記屈折率コントラスト材料が、二酸化チタンを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項21】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、又は15:1のアスペクト比を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項22】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約1~10度、2~10度、3~10度、4~10度、1~6度、2~6度、又は3~6度の範囲の角度を有する先細の側壁を画定する、請求項1~21のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項23】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約0~10度、0~6度、0~3度、0~2度、0~1度の範囲、又は0度の角度を有する先細の側壁を画定する、請求項1~22のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項24】
前記可撓性ポリマーフィルムが、約5マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項25】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、5マイクロメートル以下、又は約100ナノメートル~約3000ナノメートル、若しくは約500ナノメートル~約1500ナノメートルの範囲の高さを有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項26】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、600ナノメートル以下、又は500ナノメートル以下、又は400ナノメートル以下の公称ピッチを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項27】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、各々、400マイクロメートル以下、若しくは約20ナノメートル~約400ナノメートルで、又は約50ナノメートル~約300ナノメートルの範囲で互いに分離されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項28】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約600ナノメートル以下の、又は約10ナノメートル~約400ナノメートル、若しくは約50ナノメートル~約350ナノメートルの範囲のナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項29】
前記光相シフトが、可視光波長範囲内で生じる、請求項1~28のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項30】
前記光相シフトが、近赤外線波長範囲内で生じる、請求項1~29のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項31】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、前記可撓性ポリマーフィルム上の前記個々のナノ構造の場所に依存する変化する配向を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項32】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、前記可撓性ポリマーフィルム上の前記個々のナノ構造の場所に依存する変化する空間配置を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項33】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、前記可撓性ポリマーフィルム上の前記個々のナノ構造の場所に依存する変化する形状を有する、請求項1~32のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項34】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、前記可撓性ポリマーフィルム上の前記個々のナノ構造の場所に依存する変化するアスペクト比を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項35】
前記光学メタ表面フィルムが、可視光又は近赤外光を透過する、請求項1~34のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項36】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、平面方向において幾何学的に異方性である、請求項1~35のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項37】
前記ナノ構造表面を形成するナノ構造が、平面方向において幾何学的に等方性である、請求項1~36のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項38】
前記光学メタ表面フィルムが、約300mm超、又は約400mm超、又は約500mm超である少なくとも1つの横方向寸法を有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項39】
前記光反射層が、20層未満、好ましくは4~14層を有する多層光学フィルムを含み、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストが、1以上である、請求項1~38のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項40】
前記光反射層が、0.5~2マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、請求項39に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項41】
前記光反射層が、20~1000層を有するポリマー多層光学フィルムを含み、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストが、0.1以上、又は0.01以上である、請求項1~40のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項42】
前記光反射層が、5~100マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、請求項41に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項43】
特定の偏光状態及び伝播角度を有する光のみが透過し、前記ナノ構造二重層と相互作用するように、前記光反射層が、偏光及び角度選択フィルタとして作用する、請求項1~42のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【請求項44】
前記光反射層が、10~1000ナノメートル、又は10~500ナノメートル、又は10~100ナノメートルの範囲の公称厚さを有する金属層を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メタ材料は、少なくとも1つの表面上にナノスケールの特徴を有する合成複合材料である。少なくとも1つの寸法が表面に衝突する光の波長よりも短くなるように、ナノスケールの特徴が選択されると、メタ材料は、従来の材料及び技術では容易に得られない特性を示し得る。メタ材料は、単一又は少数のパターン化層などの単純な表面構造を有する場合もあれば、スタックされたパターン化層などのより複雑な表面構造を有する場合もあり、多くの場合、個々のナノスケールの特徴が、その設計に従って衝突放射線と電磁的に相互作用するように、互いに位置合わせされている。単一又は少数のパターン化層を有するメタ材料は、メタ表面と呼ばれる。ナノスケールの表面特徴を有するメタ表面は、最近、光学、バイオセンシング、半導体、及び他の電子デバイスでの用途を見出した。
【0002】
メタ表面は、例えば、電子ビームリソグラフィ及び原子層堆積を使用して、剛性表面に形成されている。これらの材料は、限定された表面積を有する基材上に形成されている。これらの材料は、直径300mm以下のウェーハ基材上に形成されている。
【発明の概要】
【0003】
光学メタ表面ポリマーフィルムについて記載されている。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、可撓性基材上に形成され、多層光学フィルムなどの光反射層を含み得る。可撓性基材は、例えば、横方向寸法が300mm超である大型基材であり得る。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、忠実度の高いロールツーロール処理を利用して形成され得る。
【0004】
光学メタ表面フィルムは、第1の主表面を有する可撓性ポリマーフィルムと、可撓性ポリマーフィルムの第1の主表面に近接する第1の表面を有し、第1の表面の反対側に第2のナノ構造表面を有するパターン化ポリマー層と、ナノ構造境界面を有するナノ構造二重層を形成するパターン化ポリマー層のナノ構造表面に隣接する屈折率コントラスト材料を含む屈折率コントラスト層と、を含む。ナノ構造二重層は、可撓性ポリマーフィルム上に配置された複数のナノ構造を含む。ナノ構造二重層は、光の振幅、位相、若しくは偏光、又はそれらの組み合わせに局所的に作用し、可撓性ポリマーフィルム上のナノ構造二重層の位置の関数として変化する光相シフトを付与する。ナノ構造二重層の光相シフトは、光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルを定義する。光反射層は、ナノ構造二重層と光学的に連通する。
【0005】
光反射層は、可撓性ポリマーフィルムをナノ構造二重層から分離し得る。ナノ構造二重層は、光反射層を可撓性ポリマーフィルムから分離し得る。
【0006】
光学メタ表面フィルムは、第2の光反射層を更に含み得る。ナノ構造二重層は、光反射層を第2の光反射層から分離し得る。
【0007】
光反射層から反射された光は、ナノ構造二重層によって変更され得る。反射された光は、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する。
【0008】
光反射層を透過した光は、ナノ構造二重層によって変更され得る。透過した光は、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する。
【0009】
光反射層は、多層光学フィルムを含み得る。光反射層は、ポリマー多層光学フィルムを含み得る。光反射層は、偏光子を備え得る。
【0010】
ナノ構造二重層は、光の振幅に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の位相に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の偏光に局所的に作用し得る。
【0011】
ナノ構造二重層は、中実材料(solid material)によって画定され得る。ナノ構造二重層は、中実材料で形成され得る。ナノ構造二重層は、ポリマー材料で形成され得る。
【0012】
ナノ構造二重層は、パターン化ポリマー層を可撓性ポリマーフィルムの第1の主表面から分離するエッチング停止層を更に含み得る。
【0013】
屈折率コントラスト材料は、第1の屈折率値を有し得、パターン化ポリマー層は、第1の屈折率値とは少なくとも0.25異なる、又は0.5異なる、又は0.75異なる、又は1.0異なる、又は1.4異なる第2の屈折率値を有する。
【0014】
ナノ構造二重層は、屈折率コントラスト層に埋め込まれた複数のナノ構造によって画定され得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、又は15:1のアスペクト比を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、好ましくは、約2:1~約20:1、又は約4:1~約15:1の範囲のアスペクト比を有し得る。
【0015】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約1~10度、2~10度、3~10度、4~10度、1~6度、2~6度、又は3~6度、又は2~4度の範囲の角度を有する先細の側壁を画定し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約0~10度、0~6度、0~3度、0~2度、0~1度の範囲、又は0度の角度を有する先細の側壁を画定し得る。
【0016】
屈折率コントラスト材料は、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。屈折率コントラスト材料は、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウム;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの酸化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの窒化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの硫化物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0017】
パターン化ポリマー層は、フルオロポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、又はシリカ含有ポリマーを含み得る。パターン化ポリマー層は、フルオロアクリレートを含み得、屈折率コントラスト材料は、二酸化チタンを含み得る。パターン化ポリマー層は、(メタ)アクリレートを含み得、屈折率コントラスト材料は、二酸化チタンを含み得る。
【0018】
可撓性ポリマーフィルムは、約5マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲の公称厚さを有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、5マイクロメートル以下、又は約100ナノメートル~約3000ナノメートル、若しくは約500ナノメートル~約1500ナノメートルの範囲の高さを有し得る。
【0019】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、呼掛け(interrogating)電磁放射線に含まれる最短波長に対してサブ波長である公称ピッチ(隣接するナノ構造間の中心間距離)を有する。可視スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、600ナノメートル以下、又は500ナノメートル以下、又は400ナノメートル以下の公称ピッチを有し得る。可視スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、好ましくは、50ナノメートル~600ナノメートル、又は100ナノメートル~500ナノメートル、又は200ナノメートル~400ナノメートルの公称ピッチを有し得る。
【0020】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、各々、サブ波長の横方向距離だけ互いに(端から端まで)分離されている。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、各々、400マイクロメートル以下、若しくは約20ナノメートル~約400ナノメートル、又は約50ナノメートル~約300ナノメートルの範囲で互いに分離され得る。
【0021】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、サブ波長であるナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有する。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約600ナノメートル以下の、又は約10ナノメートル~約400ナノメートル、若しくは約50ナノメートル~約350ナノメートルの範囲のナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有し得る。
【0022】
光相シフトは、可視光波長範囲内で生じ得る。光相シフトは、近赤外線波長範囲内で生じ得る。光学メタ表面フィルムは、可視光又は近赤外光を透過し得る。
【0023】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する配向を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する空間配置を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化するアスペクト比を有し得る。
【0024】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、平面方向において幾何学的に異方性であり得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、平面方向において幾何学的に等方性であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】例示的な光学メタ表面フィルムの断面概略図である。
【
図2】別の例示的な光学メタ表面フィルムの断面概略図である。
【
図3】光パネル上の別の例示的な光学メタ表面フィルムの断面概略図である。
【
図4】別の例示的な光学メタ表面フィルムの断面概略図である。
【
図4A】別の例示的な光学メタ表面フィルムの断面概略図である。
【
図5】4つの代表的な光学メタ表面フィルムの上面概略図を示す。
【
図6】例示的な光学メタ表面フィルムを形成する例示的な方法の断面概略図を示す。
【
図7A】反射動作モード及び偏光子動作モードを示す、
図4の例示的な光学メタ表面フィルム構造の断面概略図である。
【
図7B】反射動作モード及び偏光子動作モードを示す、
図4の例示的な光学メタ表面フィルム構造の断面概略図である。
【
図8A】偏光子動作モード及びコリメート動作モードを示す、
図3の例示的な光学メタ表面フィルム構造の断面概略図である。
【
図8B】偏光子動作モード及びコリメート動作モードを示す、
図3の例示的な光学メタ表面フィルム構造の断面概略図である。
【
図9】実施例2の10層MOFスタックの層厚プロファイルのグラフである。
【
図10】実施例2の10層MOFスタックの入射角の関数としての光透過率のグラフである。
【
図11】実施例2の
図3の例示的な光学メタ表面フィルム構造の入射角の関数としての光透過率のグラフである。
【
図12】実施例2の
図4の例示的な光学メタ表面フィルム構造の入射角の関数としての光透過率のグラフである。
【0026】
概略図は、必ずしも縮尺どおりではなく、限定ではなく例示を目的として提示される。図面は、本開示に記載される1つ以上の態様を示す。しかしながら、図面に示されていない他の態様は、本開示の範囲及び精神に含まれることが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
光学メタ表面ポリマーフィルムについて記載されている。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、可撓性基材上に形成され、多層光学フィルムなどの光反射層を含み得る。可撓性基材は、例えば、横方向寸法が300mm超である大型基材であり得る。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、忠実度の高いロールツーロール処理を利用して形成され得る。
【0028】
パーセンテージとして報告される全ての値は、総重量に基づく重量パーセントであると推定される。
【0029】
本明細書で使用される全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で通常使用される意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0030】
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に別段の規定をしない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0031】
本明細書で用いる場合、「又は」は、内容が明確に別段の規定をしない限り、概して「及び/又は」を含む意味で用いられている。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0032】
本明細書で用いる場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。
【0033】
用語「メタ表面」は、1つ以上の光学機能を実行する、フォトニック共振器又は短縮型導波管の2次元サブ波長間隔又はアレイを指す。各アレイは、光の1つ以上の物理的特性、特に、振幅、位相、又は偏光に局所的に作用する。フォトニック共振器又は短縮型導波管のナノ特徴形状としては、長方形、三角形、台形のプリズム;フィン、円筒形及び円錐台形の柱などが含まれるが、これらに限定されない。特徴は、用途の機能及び決定された物品の設計に応じて、規則的、決定論的、又はランダム化されたピッチ、配向、及び形状で定置され得る。
【0034】
用語「ナノ構造」は、1マイクロメートル未満の少なくとも1つの寸法を有する特徴を指す。
【0035】
用語「アスペクト比」は、特徴の高さ対特徴の幅の比を指す。
【0036】
用語「屈折率」とは、材料の絶対屈折率を指し、自由空間中の電磁放射線の速度とその材料中の電磁放射線の速度の比であると理解され、放射線は、波長が約532ナノメートル(nm)の緑色光である。屈折率は、公知の方法を使用して測定することができ、一般に、アッベ屈折計を使用して測定される。
【0037】
用語「可撓性ポリマーフィルム」は、52mm以下の曲率半径まで弾性的に湾曲することができるポリマーフィルムを指す。
【0038】
用語「多層光学フィルム」又は「MOF」は、望ましい透過特性又は反射特性を提供するために異なる屈折率を有するミクロ層のポリマー又は誘電スタックを指す。
【0039】
用語「動作位相プロファイル」は、入射電磁放射線上のメタ表面によって付与される位相プロファイルを指す。それは、特定の光学機能を実行するように設計される。
【0040】
語句「ランド領域の厚さ」は、構造化された表面層の底面と表面特徴の底面によって定義された平面との間の高さを指す。残留層又は残留領域とも呼ばれる。
【0041】
用語「精密ランド」は、決定論的で制御されたランドの厚さを有する構造化された表面層を指す。2つの例は、後続のエッチングステップを可能にする最小化されたランド、及び最終フィルムにおける特徴の高さを定義するランドである。理想的には、構造化された表面が後続のエッチングステップを可能にする場合、残留層厚の厚さは特徴の高さよりも小さくなる。ランド厚が最終フィルムにおける特徴の高さを定義する場合、ランド層厚は、理想的には、層厚の<25%、より好ましくは<10%、最も好ましくは<5%の変動性を有する。
【0042】
用語「非制御ランド」は、任意のランド厚を有する構造化された表面層を指す。層厚変動性は、>25%であり得る。
【0043】
別段の指示がある場合を除き、本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、量、分量、パーセンテージなどを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、その中の任意の中間範囲を含み、それらは本明細書に具体的に列挙されていてもされていなくてもよい。したがって、本文脈中、数Aは、AのA±2%として理解される。本文脈内で、数Aは、数Aが変更する特性の測定の一般的な標準誤差内にある数値を含むと見なすことができる。場合によっては、添付の特許請求の範囲で使用される数Aは、Aが逸脱する量が特許請求される発明の基本的かつ新規な特徴(単数又は複数)に実質的に影響を及ぼさない限り、上に列挙したパーセンテージだけ逸脱してもよい。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、その中の任意の中間範囲を含み、それらは本明細書に具体的に列挙されていてもされていなくてもよい。
【0044】
反射層は、多層光学フィルム又は金属層のうちの1つ以上であり得る。反射金属層は、銀、アルミニウム、金、銅、クロム、チタン、又はジルコニウムなどの任意の有用な金属で形成され得る。反射金属層は、光を反射するのに有用な任意の厚さを有し得る。反射金属層は、10ナノメートル~10マイクロメートル、又は10ナノメートル~1マイクロメートル、又は20ナノメートル~500ナノメートル、又は20ナノメートル~100ナノメートルの範囲の厚さを有し得る。
【0045】
光反射層は、多層光学フィルムであり得る。多層光学フィルムは、有機層又は無機層で形成され得る。多層光学フィルムは、無機層で形成され得る。無機多層光学フィルムは、0.5~2マイクロメートル、又は0.5~1マイクロメートルの範囲の厚さを有し得る。無機光反射層は、20層未満、又は4~14層を有し得、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストは、1以上である。
【0046】
多層光学フィルムは、有機層又はポリマー層で形成され得る。ポリマー多層光学フィルムは、5~150マイクロメートル、又は20~100マイクロメートルの範囲の合計厚を有し得る。ポリマー多層光学フィルムは、20~1000層を有し得、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストは、0.1以上、又は0.01以上である。
【0047】
多層光学フィルムは、交互ポリマー層を共押し出しすることによって実証された。例えば、米国特許第3,610,729号(Rogers)、同第4,446,305号(Rogersら)、同第4,540,623号(Imら)、同第5,448,404号(Schrenkら)、及び同第5,882,774号(Jonzaら)を参照されたい。これらのポリマー多層光学フィルムにおいて、個々の層の作製には、ほとんど又は専ら、ポリマー材料が使用される。これらは、熱可塑性多層光学フィルムと呼ばれることがある。そのようなフィルムは、大量生産プロセスと適合性があり、大型のシート及びロール物品として作製され得る。下記の説明及び実施例は、熱可塑性多層光学フィルムに関する。
【0048】
多層光学フィルムは、異なる屈折率特質を有する個々のミクロ層を含み得、それにより、一部の光は、隣接するミクロ層間の境界面で反射される。ミクロ層は十分に薄いため、複数の境界面で反射された光は強め合う干渉又は弱め合う干渉を受けて、多層光学フィルムに所望の反射特性又は透過特性を与える。紫外線波長、可視波長、又は近赤外線波長の光を反射するように設計された多層光学フィルムでは、各ミクロ層は、一般に、約1μm未満の光学的厚さ(物理的厚さに屈折率を乗じたもの)を有する。層は一般に、最も薄いものから最も厚いものへと配置することができる。いくつかの実施形態において、光学層を交互にする配置は、層数の関数として実質的に線形に変化することがある。これらの層プロファイルは、線形の層プロファイルと呼ばれることがある。多層光学フィルムの外側表面のスキン層、又は、多層光学フィルム内に配置され、ミクロ層のひとまとまりの群(本明細書においては「パケット」と呼ぶ)を分離する保護境界層(protective boundary layer、PBL)などの、より厚い層を含めることもできる。場合によっては、保護境界層は、多層光学フィルムの交互層のうちの少なくとも1つと同じ材料であってもよい。他の場合では、保護境界層は、物理的特性又はレオロジー特性のために選択される、異なる材料であってよい。保護境界層は、光学パケットの片側又は両側にあってもよい。単一パケットの多層光学フィルムの場合、保護境界層は、多層光学フィルムの外側表面の一方又は両方にあってよい。
【0049】
スキン層が加えられることがあり、これはフィードブロックの後方であるが、溶融物がフィルムダイを出る手前で行われる。多層溶融物は次いで、ポリエステルフィルムに関する従来の方式でフィルムダイを介してチルロール上にキャスティングされ、その際に急冷される。次いで、キャストウェブが異なる方法で延伸されて、光学層のうちの少なくとも1つにおいて複屈折性を達成し、多くの場合、例えば、米国特許出願公開第2007/047080(A1)号、米国特許出願公開第2011/0102891(A1)号、及び米国特許第7,104,776号(Merrillら)に記載されているように、反射型偏光子又はミラーフィルムのいずれかが製造される。複屈折性を有するフィルムは、熱可塑性複屈折多層光学フィルムと呼ばれることがある。
【0050】
これらのフィルムは、フィルムが他のフィルム構造(例えば、吸収性偏光子、ポリカーボネート、又はポリエステルシート)及び/又は物品(例えば、LCDディスプレイ)にラミネート(laminate)される様々な用途を有する。各製造プロセスのある時点で、通常、MOF又はラミネートされたMOFが任意の様々なプロセス、例えば、剪断、回転ダイ、ダイプレス、レーザーなどによって切断される変換ステップがある。メタ表面特徴は、多層光学フィルムの上又は中に直接形成され得る。メタ表面特徴は、多層光学フィルムのスキン層の上又は中に直接形成され得る。
【0051】
メタ表面ポリマーフィルムは、任意の有用なナノ複製技術によって形成され得る。ナノ複製は、円筒形ツールと、熱可塑性(熱)又はUV硬化樹脂(光化学)層を有するポリマー支持フィルムのロールと、を使用して、ナノ構造表面層を作成するための連続的な熱又は光化学プロセスを指す。1つの例示的なナノ複製技術は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)である。
【0052】
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、は、高精密かつ低コストでポリマーナノ構造をパターニングするためのハイスループット技術である。レジスト層の光子ビーム又は電子ビームの曝露によってレジストの化学的特性及び物理的特性を変更することによってパターン定義を達成する従来のリソグラフィ手法とは異なり、NILは、レジスト材料の直接的な機械的変形におけるスタンプの使用に依存する。スタンプはマスターウェーハから作製され、元のパターンの多くのコピーを生成するために迅速なプロセスで再利用され得る。
【0053】
直視型電子ディスプレイ(特に高解像度フルカラーディスプレイ用のディスプレイ光制御フィルム)の光学用途は、例えば、基材の透明性、低リターダンス、高い光学効率、及び単位面積当たりの低コストを利用する。標準的なウェーハ基材(通常、NILで利用される)はサイズが制限されていること、及びユニットコストが高いことから、光増強素子、ディフューザ、偏光子などの直視型消費者向けディスプレイでの使用には一般的に不適切である。ウェーハレベル光学系は、通常、マイクロレンズアレイ、回折格子、及び導波管光学系など、寸法が制限されたマイクロ光学部品に委ねられる。
【0054】
ディスプレイ裏面の作製には、大きな寸法(>1m×1m)のディスプレイガラスパネルが使用されるが、パターニング技術及び機器(通常、光学リソグラフィステッパ)は解像度が限定されており、ナノ構造の特徴を作製するために使用することはできない。工学加工された(engineered)ナノ構造表面を有するポリマーフィルム基材を使用すると、実際には直径300mm以下に制限される、半導体ウェーハの寸法を超える寸法を有するナノパターン化部品を可能にする。ナノパターン化ポリマーフィルムは、幅1m×長さ1km程度、又は不定の長さの寸法を有し得る。ポリマーフィルムは、多くの用途に必要な可視スペクトル及び近赤外スペクトルにわたって透明性を提供し得る。
【0055】
光学メタ表面ポリマーフィルムは、サブ波長構造及び周囲の媒体の境界面に急激な位相シフトを付与するサブ波長構造又は特徴の設計を利用する。これらのサブ波長構造又は特徴をポリマーフィルム上に配置することにより、光学メタ表面フィルムの動作位相プロファイルが提供する。したがって、光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルをモデル化して、これらのサブ波長構造又は特徴のポリマーフィルム上の配置を決定することができる。
【0056】
光学メタ表面ポリマーフィルムについて記載されている。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、可撓性基材上に形成され得る。可撓性基材は、例えば、横方向寸法が300mm超、又は約400mm超、又は約500mm超である大型基材であり得る。可撓性基材は、不定の長さのウェブを形成し得る。これらの光学メタ表面ポリマーフィルムは、忠実度の高いロールツーロール処理を利用して形成され得る。
【0057】
メタ表面は、境界面に急激な位相シフトを付与することができるサブ波長構造の設計を利用し得る。特に、境界面
【数1】
上のパスに沿った位相勾配(dφ/dx)は、一般化されたスネルの屈折の法則につながる。
n
tsin(θ
t)-n
isin(θ
i)=(λ
0/2π)(dφ/dx),
ここで、n
i及びn
tは、それぞれ、入射光及び透過光の屈折率、θ
i及び θ
tは、入射角及び屈折角、λ
0は、真空中の入射波長である(Yuら,「Flat Optics with Designer Metasurfaces」Nature Materials,Vol.13,2014年2月,頁139~150を参照)。したがって、このような位相の不連続性を境界面に実装すると、異常屈折の作製を可能にする。
【0058】
機能的なメタ表面に位相の不連続性を付与することができる要素を設計する方法は多くあるが、ここでは、メタ表面を設計するための例として、Pancharatnam-Berry位相(又は幾何学的位相)アプローチを利用する。これにより、異なる配向角度を有する単一の要素を使用することができ、最適化パラメータの数が大幅に低減される。更に、生成された位相は主に基本的なナノ構造の回転角度に依存するため、回転角度は通常、構造寸法と比較して作製において適切に制御されたパラメータであるため、このアプローチは作製エラーに対して非常に堅牢である。
【0059】
Pancharatnam-Berry位相メタ表面を実現するために、幅(W)、長さ(L)、及び高さ(H)が異なる長方形のTiO2ナノフィンがモデル化される。通常、Hは、メタ表面全体にわたって一定であり、これにより、作製が容易になる。しかしながら、これは必須条件ではない。
【0060】
光がナノフィンを介して+z方向に伝搬すると、W方向及びL方向に沿ってそれぞれ異なる実効屈折率を経験する。特定のW及びLサイズでは、ナノフィンは半波長板(HWP)として機能し、すなわち、一方の主軸に沿って伝搬する直線偏光は、他方の主軸に沿って伝搬する直線偏光に対して位相シフトを経験する。
【0061】
したがって、ナノフィンは、右円偏光(RCP)(相対+π/2位相差を有する2つの直交直線偏光状態に分解できる)を左円偏光(LCP)(相対-π/2位相差を有する2つの直交直線偏光状態に分解できる)に、及び左円偏光を右円偏光に変換する。ナノフィン寸法がそれを半波長板にする理想的なパラメータから逸脱した場合、円偏光は、部分的にのみ左右反対に変換される。
【0062】
このメタ表面を実現するために、効率的なHWPの構造寸法を見つけるために、TiO2ナノフィン寸法のパラメータスイープが実行され得る。スイープは、ナノフィンが空気又は様々な埋め込みポリマー又は材料のいずれかに取り囲まれている様々な誘電環境に対して実行され得る。垂直側壁を有するナノフィンに加えて、変化する側壁ドラフト角度(テーパー角度)を有するナノフィンを利用して、直接複製作製ルートによって決定される作製上の制約を反映することができる。
【0063】
Lumerical Inc.による市販の有限差分時間領域(FDTD)ソルバーを利用して、ナノフィンの特性をシミュレート及び分析し、作製上の制約を満たし、HWPとして作用する最適なナノフィン形状を決定することができる。FDTDソルバーは、ユーザが指定した境界条件を使用して、マクスウェルの方程式の時間ステップの解を提供する。結果は、時間領域の解をフーリエ変換した後、周波数領域で分析され得る。
【0064】
測定は、532nmの波長で実行され得、これは、可視スペクトルのほぼ中心にあり、広く利用可能な緑色レーザーを使用したその後の測定を容易にする。
【0065】
シミュレーションメッシュのサイズ(マクスウェルの方程式が時間ステップごとに解かれる離散位置間の間隔)は、x次元、y次元、及びz次元で10nmに設定されて、FDTD法で使用されるデカルト格子によって導入される階段効果を最小限に抑えることができる。記載されたシミュレーション設定は、可視スペクトルで動作するPancharatnam-Berry位相TiO2ナノフィンメタ表面を実証し得る。
【0066】
様々な埋め込み材料において最適なナノフィン寸法を見つけるために、様々なナノフィン寸法及び側壁のテーパー角度のパラメータスイープが実行され得る。ナノフィンは、光学樹脂に埋め込まれていると想定される。入射光は、基材側から来るように設定され得、RCP偏光で、ナノフィンに向かって伝搬する。透過光の電場データ及び磁場データは、ナノフィンの上部から約1波長離れて収集され得る。次いで、遠視野変換により、透過光の振幅及び偏光情報が得られる。遠視野での透過光のx偏光及びy偏光の相対位相及び振幅を、ナノフィンのない石英基材のみを含む参照形状と比較することにより、各ナノフィンのRCPからLCPへの変換効率及びその透過振幅が測定され得る。埋め込み材料及び側壁のテーパー角度の組み合わせごとに、HWPの挙動を最も厳密に生成し、したがって、円偏光の変換効率が最も高くなるナノフィン寸法が決定され得る。
【0067】
図示された図及び要素の相対寸法は、縮尺どおりではない場合があり、容易にするため又は例示のために相対的に等しいサイズで示されている。
図1~
図4及び
図4Aは、例示的な光学メタ表面フィルム100、200、300、400の断面概略図である。
図5は、4つの代表的な光学メタ表面フィルムの上面概略図を示す。光学メタ表面フィルムは、
図5に示される代表的な光学メタ表面フィルムの1つ以上の態様を含み得る。
図5に示される光学メタ表面フィルムは、非限定的な例示的なナノ構造トポグラフィである。
【0068】
光学メタ表面フィルム100、200、300、400、500は、光反射層102に隣接するナノ構造二重層106によって画定されるメタ表面特徴を含む。光反射層102は、ナノ構造二重層106と光学的に連通する。メタ表面特徴は、光反射層102の1つ以上の光学特性を変更、強化、又は改善し得る。
【0069】
ナノ構造二重層106は、約50~5000ナノメートル、又は100~3000ナノメートルの範囲の公称高さ又は公称厚さを有し得る。光反射層(例えば、MOF)102は、1~150マイクロメートル、又は5~150マイクロメートル、又は20~100マイクロメートルの厚さを有し得る。したがって、光学メタ表面フィルム100、200、300、400は、1~155マイクロメートル、又は1~105マイクロメートルの厚さを有し得る。したがって、光学メタ表面フィルム500は、1~310マイクロメートル、又は10~210マイクロメートルの厚さを有し得る。
【0070】
光学メタ表面フィルムは、第1の主表面を有する可撓性ポリマーフィルム101と、可撓性ポリマーフィルム101の第1の主表面に近接する第1の表面を有し、第1の表面の反対側に第2のナノ構造表面を有するパターン化ポリマー層104と、を含む。屈折率コントラスト材料を含む屈折率コントラスト層105は、ナノ構造境界面107を有するナノ構造二重層106を形成するパターン化ポリマー層104のナノ構造表面に隣接する。ナノ構造二重層106は、可撓性ポリマーフィルム101上に配置された複数のナノ構造を含む。ナノ構造二重層106は、光の振幅、位相、若しくは偏光、又はそれらの組み合わせに局所的に作用し、可撓性ポリマーフィルム101上のナノ構造二重層106の位置の関数として変化する光相シフトを付与し、ナノ構造二重層106の光相シフトは、光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルを定義する。光反射層102は、ナノ構造二重層106と光学的に連通する。
【0071】
光反射層102は、可撓性ポリマーフィルム101を含み得る。可撓性ポリマーフィルム101は、光反射層102をナノ構造二重層106から分離し得る。
【0072】
ナノ構造二重層106は、パターン化ポリマー層104を可撓性ポリマーフィルム101の第1の主表面から分離するエッチング停止層103を更に含み得る。エッチング停止層は、湿式エッチングプロセス又は乾式エッチングプロセス中に共通のエッチング深さを画定するために使用される耐エッチング層であり得る。エッチング停止層は、2nm超、及び最大約25nmの厚さを有し得る。エッチング停止層は、Si、Al、Ti、Zr、Ta、Hf、Nb、Ce、及びそれらの混合物の酸化物又は窒化物を含む、金属並びにそれらの酸化物及び窒化物で形成され得る。
【0073】
図1の例示的な光学メタ表面フィルム100は、可撓性ポリマーフィルム101をナノ構造二重層106から分離する光反射層102を含む。
【0074】
図2の例示的な光学メタ表面フィルム200は、光反射層102を可撓性ポリマーフィルム101から分離するナノ構造二重層106を含む。
【0075】
図3の例示的な光学メタ表面フィルム300は、光パネル120をナノ構造二重層106から分離する光反射層102を含む。
【0076】
図4の例示的な光学メタ表面フィルム400は、第2のナノ構造二重層106を更に含む。光反射層102は、第1のナノ構造二重層106を第2のナノ構造二重層106から分離する。
【0077】
図4Aの例示的な光学メタ表面フィルム500は、第2の光反射層102を更に含む。ナノ構造二重層106は、第1の光反射層102を第2の光反射層102から分離する。
【0078】
光反射層から反射された光は、ナノ構造二重層によって変更され得る。光反射層を透過した光は、ナノ構造二重層によって変更され得る。
【0079】
ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約380~約1600nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約380~約750nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約750~約1600nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約1600~約3000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約3000~約8000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約8000~15000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって反射及び変更された光は、約15~1000マイクロメートルの波長範囲であり得る。
【0080】
ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約380~約1600nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約750~約1600nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約1600~約3000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約3000~約8000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約8000~15000nmの波長範囲であり得る。ナノ構造二重層によって透過及び変更された光は、約15~1000マイクロメートルの波長範囲であり得る。
【0081】
光反射層は、ミラー素子として動作し得る。光反射層は、偏光素子として動作し得る。光反射層は、反射偏光素子として動作し得る。
【0082】
光反射層は、多層光学フィルムを含み得る。光反射層は、ポリマー多層光学フィルムを含み得る。ポリマー多層光学フィルムは、ミラー素子として動作し得る。ポリマー多層光学フィルムは、偏光素子として動作し得る。ポリマー多層光学フィルムは、反射偏光素子として動作し得る。ポリマー多層光学フィルムは、スペクトルフィルタとして動作し得る。
【0083】
ナノ構造二重層は、光の振幅に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の位相に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の偏光に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の振幅及び光の位相の両方に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の振幅及び光の偏光の両方に局所的に作用し得る。ナノ構造二重層は、光の位相及び光の偏光の両方に局所的に作用し得る。
【0084】
可撓性ポリマーフィルムは、熱可塑性材料で形成され得る。可撓性ポリマーフィルムは、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、好ましいポリエステル及びポリカーボネートで形成され得る。可撓性ポリマーフィルムは、均一の厚さを有し得る。可撓性ポリマーフィルムは、約5マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲の公称厚さを有し得る。可撓性ポリマーフィルムは、10マイクロメートル~250マイクロメートル、又は25マイクロメートル~125マイクロメートルの範囲の均一の厚さを有し得る。可撓性フィルムは、光学リターダンスを呈し得る。
【0085】
ナノ構造二重層は、中実材料によって画定され得る。ナノ構造二重層は、中実材料で形成され得る。ナノ構造二重層は、ポリマー材料で形成され得る。
【0086】
パターン化ポリマー層は、熱可塑性材料で形成され得る。パターン化ポリマー層は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミドで形成され得る。パターン化ポリマー層は、アクリレート成分又はメタクリレート成分を含む重合性組成物で形成され得る。パターン化ポリマー層は、フルオロポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、又はシリカ含有ポリマーを含み得る。
【0087】
屈折率コントラスト材料は、第1の屈折率値を有し得、パターン化ポリマー層は、第1の屈折率値とは少なくとも0.25異なる、又は0.5異なる、又は0.75異なる、又は1.0異なる、又は1.4異なる第2の屈折率値を有する。
【0088】
屈折率コントラスト材料は、1.7~2.5の範囲の第1の屈折率値を有し得る。パターン化ポリマー層は、1.2~1.7の範囲の第2の屈折率値を有する。
【0089】
屈折率コントラスト材料は、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。屈折率コントラスト材料は、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウム;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの酸化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの窒化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの硫化物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0090】
パターン化ポリマー層は、フルオロアクリレートを含み得、屈折率コントラスト材料は、二酸化チタンを含み得る。パターン化ポリマー層は、(メタ)アクリレートを含み得、屈折率コントラスト材料は、二酸化チタンを含み得る。
【0091】
ナノ構造二重層は、屈折率コントラスト層に埋め込まれた複数のナノ構造によって画定され得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、又は15:1のアスペクト比を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、好ましくは、約2:1~約20:1、又は約4:1~約15:1の範囲のアスペクト比を有し得る。
【0092】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約1~10度、2~10度、3~10度、4~10度、1~6度、2~6度、又は3~6度、又は2~4度の範囲の角度を有する先細の側壁を画定し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約0~10度、0~6度、0~3度、0~2度、0~1度の範囲、又は0度の角度を有する先細の側壁を画定し得る。
【0093】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、5マイクロメートル以下、又は約50~約5000ナノメートル、若しくは約100ナノメートル~約3000ナノメートル、若しくは約500ナノメートル~約1500ナノメートルの範囲の高さを有し得る。
【0094】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、呼掛け電磁放射線に含まれる最短波長に対してサブ波長である公称ピッチ(隣接するナノ構造間の中心間距離)を有する。
【0095】
可視スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、600ナノメートル以下、又は500ナノメートル以下、又は400ナノメートル以下の公称ピッチ(中心間)を有し得る。可視スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、好ましくは、50ナノメートル~600ナノメートル、又は100ナノメートル~500ナノメートル、又は200ナノメートル~400ナノメートルの公称ピッチを有し得る。
【0096】
赤外線スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、1200ナノメートル以下、又は1000ナノメートル以下、若しくは800ナノメートル以下の公称ピッチ(中心間)を有し得る。赤外線スペクトル範囲で動作する光学メタ表面の場合、ナノ構造表面を形成するナノ構造は、好ましくは、100ナノメートル~1200ナノメートル、又は200ナノメートル~1000ナノメートル、又は400ナノメートル~800ナノメートルの公称ピッチを有し得る。
【0097】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、各々、サブ波長の横方向距離だけ互いに(端から端まで)分離されている。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、各々、400マイクロメートル以下、若しくは約20ナノメートル~約400ナノメートルで、又は約50ナノメートル~約300ナノメートルの範囲で互いに分離されている。
【0098】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、サブ波長であるナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有する。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、約600ナノメートル以下の、又は約10ナノメートル~約400ナノメートル、若しくは約50ナノメートル~約350ナノメートルの範囲のナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有し得る。
【0099】
光相シフトは、可視光波長範囲内で生じ得る。光相シフトは、近赤外線波長範囲内で生じ得る。光学メタ表面フィルムは、可視光又は近赤外光を透過し得る。
【0100】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する配向を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する空間配置を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する形状を有し得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化するアスペクト比を有し得る。
【0101】
ナノ構造表面を形成するナノ構造は、平面方向において幾何学的に異方性であり得る。ナノ構造表面を形成するナノ構造は、平面方向において幾何学的に等方性であり得る。
【0102】
図6は、例示的な光学メタ表面フィルムを形成する例示的な方法の断面概略図を示す。
【0103】
この作製ルートは、第2のエッチング停止層としても機能するハードマスク層を利用する。ハードマスク層を含めることには、4つの有益な効果がある。第1に、薄いハードマスク層のエッチングは、高アスペクト比のレジスト特徴を必要としないため、ほぼゼロのランドレジスト複製プロセスに対する要件を低減又は排除する。第2に、ナノ複製されたレジスト材料は、シリコンリッチハイブリッド材料ではなく、アクリル樹脂配合物であり得る。第3に、ハードマスクエッチングプロセスにより、(光学メタ表面用途にとって重要である)垂直側壁を有する深いビアの形成を可能にする。最後に、ハードマスク層の蒸着ステップにより、ナノ複製された樹脂層に対して良好な湿潤性を有する良好な接着層無機層が形成されるため、構造は低屈折率のパターン転写層(例えば、フルオロアクリレート)の使用を可能にする。
【0104】
これは、ポリマー支持フィルム、及びエッチング停止層、精密パターン転写層、及びハードマスク層を含むナノ複製プロセス用の入力ロールを利用する。第1のプロセスステップでほぼゼロのランド構造のエッチングレジスト層を形成するには、ロールツーロールナノインプリントリソグラフィ(R2R NIL)などのプロセスが必要であるが、ランド制御を緩和することができる。構造はパターン転写層の厚さ全体にわたってエッチングされるため、層厚は、最終的に最終製品の特徴高さを画定する。プロセスは、最終製品の表面特徴の特徴の高さの均一性及び絶対特徴高さの両方が重要であり(例えば、光学メタ表面用途の場合)、低屈折率有機層及び高屈折率金属酸化物バックフィル層を有する埋め込み光学素子である場合、有用である。
【0105】
パターン転写層に使用される材料は、埋め込み光学素子内の低屈折率材料又は高屈折率材料のいずれかとして利用することができる。
【0106】
ポリマー支持フィルム、エッチング停止層、精密パターン転写層、及びハードマスク層410を含むフィルムは、R2R NIL又は連続鋳造及び硬化(プロセス4A、「R2R NIL」)の入力ロールとして利用される。ナノ複製されたフィルム420は、ハードマスク層の上面が露出するまで反応性イオンエッチング(RIE)プロセスでエッチングされ(プロセス4B、「ブレイクスルーエッチング」)、中間体430を生成する。このステップの後にいくらかの樹脂残留物が残る場合があり、任意の追加のRIEステップ(プロセス4C)で除去することができる。ハードマスクでパターン化された中間体440は、パターン転写層がエッチング停止層までエッチングされるまで、第2のエッチング化学物質を使用する第2のRIEプロセスで更にエッチングされる(プロセス4D)。ハードマスク残留物450を有するエッチングされたナノパターン化フィルムは、高屈折率バックフィルで平坦化されて、埋め込みナノパターン化光学フィルム460を形成する(プロセス4E)ことができるか、あるいは異なるエッチング条件に供されて、ハードマスク残留物を除去して、非充填のナノパターン化光学フィルム470を形成する(プロセス4F)ことができる。最後に、非充填のナノパターン化光学フィルム470を高屈折率バックフィルで平坦化して、埋め込みナノパターン化光学フィルム370を形成することができる。
【0107】
偏光状態(偏光子)に基づく光のフィルタリングは、LCDなどの多くの光学デバイスで広く使用される。一方、マイクロルーバーを使用してプライバシー用途向けに高い軸上透過率及び低い軸外透過率を実現するなど、光の角度選択も実現されてきた。しかしながら、コンパクトな平面フィルムで偏光選択性及び角度選択性の両方を組み合わせることが望まれる。
【0108】
図7A及び
図7Bは、反射動作モード及び偏光子動作モードを示す、
図4の例示的な光学メタ表面フィルム構造の断面概略図である。
図7A及び
図7Bは、その偏光状態及び伝播角度に同時に基づいて、光をフィルタリングできるようにする光学フィルムの設計である。フィルムの物理的原理は、(1)多層光学フィルム(MOF)内の光のブリュースター角(θ
B)と、(2)例えば、空気などの低屈折率環境からの光をブリュースター角に結合する平面光学メタ表面に依存する。メタ表面が必要なのは、ほとんどの誘電体材料では、ブリュースター角が全反射の臨界角を超えている(θ
B>θ
cr)ため、空気からアクセスできず、屈折率が一致した環境が必要になるためである(Shen,Y.ら,Optical Broadband Angular Selectivity.Science,343(6178),1499~1501,米国特許第10,073,191号を参照)。比較すると、
図4のフィルムは、両側が空気中で動作することができる(2つのメタ表面が各側に1つずつある)、又は片側で発光パネルにラミネートすることができる(1つのメタ表面が、空気に面する側にある、
図3)。空気中のブリュースター角効果を利用する能力は、提案されたアプローチの実用性を大幅に広げる。
【0109】
空気中で動作する場合、提案されたフィルムは、2つのモードで角度選択性及び偏光選択性を実現し得る。第1に、
図7Aに示すように、このフィルムは、p偏光がメタ表面によってMOFのブリュースター角に結合される1つの例外角度(θ
e)を除いて全ての入射角で、s偏光及びp偏光の両方を(鏡のように)反射する。この特殊な角度では、p偏光は、ほぼ100%透過し得、s偏光は、反射される。したがって、フィルムは、θ
eで偏光子のように挙動する。第2の動作モードが、
図7Bに示される。第1のケースとは異なり、このモードでは、フィルムは、例外角度θ
eを除いて全ての角度で、s偏光が透過され、p偏光が反射される典型的な反射偏光子として動作する。θ
eでは、s偏光及びp偏光の両方が透過し、フィルムは透明材料のように挙動する。
【0110】
フィルムの第3の動作モードは、フィルムが発光パネルにラミネートされる場合である(
図8A及び
図8B)。この構成では、フィルムは、偏光のリサイクル(典型的な反射偏光子と同様)及び光のコリメーションの両方を実現し得る。ブリュースター角θ
Bを除いて、s偏光及びp偏光の両方の光がMOFによってパネルに向けて反射され、キャビティ効果によるリサイクルを実現する。θ
Bでは、p偏光は、MOFを透過し、メタ表面によって空気中への例外角度θ
eに結合される。このようにして、一般的な非偏光ランバート光源から効率的な偏光及びコリメート光源を作製した。
【0111】
ここで強調する最後のポイントは、メタ表面及びMOFの設計を微調整することで、例外角度θeの値を自由に変更できることである。近法線から斜入射までの広い角度範囲は、メタ表面及びMOF設計のファミリーでカバーされ得る。このようにして、様々な用途に合わせて柔軟なプラットフォームを作製することができる。
【0112】
本発明は、特許請求の範囲で定義される。しかしながら、以下に、非限定的な実施形態の非網羅的なリストを提供する。これらの実施形態の任意の1つ以上の特徴は、本明細書に記載の別の実施形態、実施例、又は態様の任意の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0113】
実施形態1.光学メタ表面フィルムであって、第1の主表面を有する可撓性ポリマーフィルムと、可撓性ポリマーフィルムの第1の主表面に近接する第1の表面を有し、第1の表面の反対側に第2のナノ構造表面を有する、パターン化ポリマー層と、ナノ構造境界面を有するナノ構造二重層を形成するパターン化ポリマー層のナノ構造表面に隣接する屈折率コントラスト材料を含む屈折率コントラスト層であって、ナノ構造二重層は、可撓性ポリマーフィルム上に配置された複数のナノ構造を含み、ナノ構造二重層は、光の振幅、位相、若しくは偏光、又はそれらの組み合わせに局所的に作用し、可撓性ポリマーフィルム上のナノ構造二重層の位置の関数として変化する光相シフトを付与し、ナノ構造二重層の光相シフトは、光学メタ表面フィルムの所定の動作位相プロファイルを定義する、屈折率コントラスト層と、ナノ構造二重層と光学的に連通する光反射層と、を備える、光学メタ表面フィルム。
【0114】
実施形態2.光反射層が、可撓性ポリマーフィルムをナノ構造二重層から分離する、実施形態1に記載の光学メタ表面フィルム。
【0115】
実施形態3.ナノ構造二重層が、光反射層を可撓性ポリマーフィルムから分離する、実施形態1に記載の光学メタ表面フィルム。
【0116】
実施形態4.第2の光反射層を更に備え、ナノ構造二重層は、光反射層を第2の光反射層から分離する、実施形態1に記載の光学メタ表面フィルム。
【0117】
実施形態5.第2のナノ構造二重層を更に備え、光反射層は、ナノ構造二重層を第2のナノ構造二重層から分離する、実施形態1に記載の光学メタ表面フィルム。
【0118】
実施形態6.光反射層から反射された光が、ナノ構造二重層によって変更される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0119】
実施形態7.光反射層を透過した光が、ナノ構造二重層によって変更される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0120】
実施形態8.反射された光が、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する、実施形態6に記載の光学メタ表面フィルム。
【0121】
実施形態9.透過した光が、380~1600nm、又は280~750nm、又は750~1600nmの範囲の波長値を有する、実施形態7に記載の光学メタ表面フィルム。
【0122】
実施形態10.光反射層が、多層光学フィルムを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0123】
実施形態11.光反射層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0124】
実施形態12.光反射層が、偏光子を備える、実施形態1~11のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0125】
実施形態13.ナノ構造二重層が、中実材料によって画定される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0126】
実施形態14.屈折率コントラスト材料が、第1の屈折率値を有し、パターン化ポリマー層が、第1の屈折率値とは少なくとも0.25異なる、又は0.5異なる、又は0.75異なる、又は1.0異なる、又は1.4異なる第2の屈折率値を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0127】
実施形態15.ナノ構造二重層が、屈折率コントラスト層に埋め込まれた複数のナノ構造によって画定される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0128】
実施形態16.屈折率コントラスト材料が、金属酸化物又は金属窒化物を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0129】
実施形態17.屈折率コントラスト材料が、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウム;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの酸化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの窒化物;チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、亜鉛、若しくはセリウムの硫化物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0130】
実施形態18.パターン化ポリマー層が、フルオロポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、又はシリカ含有ポリマーを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0131】
実施形態19.パターン化ポリマー層が、フルオロアクリレートを含み、屈折率コントラスト材料が、二酸化チタンを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0132】
実施形態20.パターン化ポリマー層が、(メタ)アクリレートを含み、屈折率コントラスト材料が、二酸化チタンを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0133】
実施形態21.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、又は15:1のアスペクト比を有する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0134】
実施形態22.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約1~10度、2~10度、3~10度、4~10度、1~6度、2~6度、又は3~6度の範囲の角度を有する先細の側壁を画定する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0135】
実施形態23.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約0~10度、0~6度、0~3度、0~2度、0~1度の範囲、又は0度の角度を有する先細の側壁を画定する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0136】
実施形態24.可撓性ポリマーフィルムが、約5マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0137】
実施形態25.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、5マイクロメートル以下、又は約100ナノメートル~約3000ナノメートル、若しくは約500ナノメートル~約1500ナノメートルの範囲の高さを有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0138】
実施形態26.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、600ナノメートル以下、又は500ナノメートル以下、又は400ナノメートル以下の公称ピッチを有する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0139】
実施形態27.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、各々、400マイクロメートル以下、若しくは約20ナノメートル~約400ナノメートルで、又は約50ナノメートル~約300ナノメートルの範囲で互いに分離されている、実施形態1~26のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0140】
実施形態28.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、約600ナノメートル以下の、又は約10ナノメートル~約400ナノメートル、若しくは約50ナノメートル~約350ナノメートルの範囲のナノ構造特徴の高さに直交する横方向寸法を有する、実施形態1~27のいずれか一項に記載の光学メタ表面フィルム。
【0141】
実施形態29.光相シフトが、可視光波長範囲内で生じる、実施形態1~28のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0142】
実施形態30.光相シフトが、近赤外線波長範囲内で生じる、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0143】
実施形態31.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する配向を有する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0144】
実施形態32.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する空間配置を有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0145】
実施形態33.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化する形状を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0146】
実施形態34.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、可撓性ポリマーフィルム上の個々のナノ構造の場所に依存する変化するアスペクト比を有する、実施形態1~33のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0147】
実施形態35.光学メタ表面フィルムが、可視光又は近赤外光を透過する、実施形態1~34のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0148】
実施形態36.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、平面方向において幾何学的に異方性である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0149】
実施形態37.ナノ構造表面を形成するナノ構造が、平面方向において幾何学的に等方性である、実施形態1~36のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0150】
実施形態38.光学メタ表面フィルムが、約300mm超、又は約400mm超、又は約500mm超である少なくとも1つの横方向寸法を有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0151】
実施形態39.光反射層が、20層未満を有する多層光学フィルムを含み、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストが、1以上である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0152】
実施形態40.光反射層が、0.5~2マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、実施形態39に記載の光学メタ表面フィルム。
【0153】
実施形態41.光反射層が、20~1000層を有するポリマー多層光学フィルムを含み、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折コントラストが、0.1以上、又は0.01以上である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0154】
実施形態42.光反射層が、5~100マイクロメートルの範囲の公称厚さを有する、実施形態41に記載の光学メタ表面フィルム。
【0155】
実施形態43.特定の偏光状態及び伝播角度を有する光のみが透過し、ナノ構造二重層と相互作用するように、光反射層が、偏光及び角度選択フィルタとして作用する、実施形態1~42のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【0156】
実施形態44.光反射層が、10~1000ナノメートル、又は10~500ナノメートル、又は10~100ナノメートルの範囲の公称厚さを有する金属層を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の光学メタ表面フィルム。
【実施例】
【0157】
【0158】
実施例1.MOF上に転写残留物の少ない4層法によって作製される機能性メタ表面
全ての濃度は重量パーセントである
ステップa:ナノ特徴テンプレートフィルムの複製
化合物01を0.5%AEBPとブレンドして混合物を形成した。混合物をローラーミキサーで、約50℃で12時間ブレンドした。この混合物を、蠕動ポンプを通してダイに供給し、125マイクロメートルのポリカーボネートフィルム上に供給した。樹脂でコーティングされたフィルムを、ナノスケールのパターンが溶接された、60℃に制御された円形ニッケルスリーブに挟んだ。特徴は、一辺が100nm~350nmの範囲で、高さが200nmであった。名目上、垂直方向のドラフトはゼロである。ニッケルスリーブと接触させながら、樹脂でコーティングされたフィルムを、142W/cmで動作する2つのフュージョンランプからの放射線に曝露する。次いで、ナノ構造フィルムを円形ニッケルスリーブから剥離した。プロセスを、7.5m/分で300m超にわたって連続して実行する。
【0159】
ステップb:ナノ特徴テンプレートフィルムのリリース処理
ステップ(a)からのツーリングフィルムを、PECVDを使用してリリース処理した。最初に、9m/分で2000Wのプラズマ電力で14.2m3/分でチャンバにO2を流すことによってフィルムをプライム処理した。次いで、フィルムをHMDSOで1000ワット、9m/分で処理した。
【0160】
ステップc:テンプレートフィルムへのアクリレートのコーティング
リリース処理されたツーリングフィルム(b)を、13%の化合物2、1%の化合物05、43%のMEK、及び43%のDowanol PMの溶液で3m/分でダイコーティングした。コーティングを、コーティング後30秒以内に0.2Aで実行されるUV-LEDシステムで予備硬化する。非常に薄い残留層が望まれていたため、残留層厚を、事前計量コーティング法を使用してジグの精度でゼロから500nmの間に制御し得る。このコーティング法は、少なくとも50%の溶媒である溶液を使用する。
【0161】
ステップd:ツーリングフィルム上でのアクリレートの乾燥
フィルム(c)から12mのフリースパンで溶媒を蒸発させることを可能にした。湿潤フィルムの乱れを防止するために、熱又は対流を使用せずに溶媒を乾燥させた。
【0162】
ステップe:(アクリレートコーティングされたテンプレートフィルムにラミネートする)3層フィルムの作製
このフィルムは最終構造の一部であるため、その光学的「反射」特性に起因して、複数層からなるフィルムを選択する。このフィルムを以下の手順で形成する。
【0163】
多層光学薄フィルムスタックのロールツーロールコーティングを、ACスパッタリングプロセスによって行い、高屈折率(約n4.0)の材料と低屈折率(約n1.5)の材料との交互層を、それぞれが所定の厚さ目標に精密に制御し、移動フィルム基材上に堆積させる。In-situの光学分光計を処理中に使用して、層ごとの堆積順序を監視するため。
【0164】
本出願では、10層の光学設計を使用し、次の表に示す。
【0165】
【0166】
高屈折率材料については、屈折率が4.0に近く、可視波長域での吸収率が低いシリコンが好ましい。低屈折率材料については、屈折率が1.5に近く、可視波長範囲での吸収率が低い二酸化ケイ素(SiO2)が好ましい。また、より高い処理速度及び精密なプロセス制御のために、中周波数(20~70kHz)ACスパッタリング法をそれぞれに使用する。
【0167】
ロールツーロール真空コータのレイアウト、特に利用可能なスパッタリング源の数に応じて、コーティング順序は変化し得る。本実施例では、コータには、[1~2=シリコン、3~4=SiO2、5~6=シリコン、7~8=SiO2]の順序で4つのスパッタリングターゲット対があり、各々、ACスパッタリング技術によって電力供給される。これにより、スパッタリング源の表面を帯電させずに絶縁材料をスパッタリングすることができる。また、2つの材料の処理速度の「速度マッチング」により、このマシンレイアウトの例では、マシンパス1で層1~4、マシンパス2で層5~7、及びマシンパス3で層8~10をコーティングすることができる。
【0168】
まず、フィルムロールをコーティングチャンバに取り付け、フィルム(ウェブ)パスを通してねじ込み、その後、チャンバを大気圧から高真空圧力領域(通常</=10-5Torr)まで真空排気する。アルゴンを主要なスパッタリングガスとして使用して、スパッタリング装置へ流量制御して、3mTorrの圧力領域で定常状態の圧力を生成する。フィルムの移動を開始し、スパッタリング電力を40kHzのAC周波数でスパッタリングターゲット対1、2に適用し、その後、所定の電力密度(W/cm2)までゆっくりと増加させ、これは、シリコンスパッタリング源に熱応力を誘発することなく、又はコーティングされるフィルムの過度のスパッタリングプラズマ加熱を引き起こすことなく、使用可能なスパッタリング速度を生成するのに十分である。所定の予備スパッタリング期間及び定常状態条件の達成後、層1(シリコン)の目標厚さ、この例では57.38nmを精密にコーティングするために、フィルム速度を調整する。
【0169】
続いて、同様のプロセス順序を使用して、層2、SiO2のスパッタ源対(3.4)を開始し、1つの追加の態様では、スパッタリング圧力に対するアルゴンの流量制御、並びに定常状態のスパッタリング電力の開始及び確立に続いて、追加の「分圧」を追加するために酸素を流量制御し、AC電力を所定の設定に調整し、AC電源、反応性一次スパッタリングガス圧力、及び堆積時間(フィルム速度)の相互作用により、透明なSiO2層を所望の厚さ(この例では、147.67nm)で生成する。
【0170】
シリコン(層1)用のスパッタリングターゲット対1、2、及びSiO2(層2)用のスパッタリングターゲット対3、4と同様に、シリコン(層3)用のスパッタリングターゲット対5、6及びSiO2(層4)用のスパッタリングターゲット対7、8も同様に開始し、定常状態の処理条件になる。これにより、層1~4をマシンパス1でコーティングすることができる。
【0171】
スパッタリング条件(スパッタリング電力、主ガス及び反応性ガスの圧力、並びにフィルム処理速度(フィート/分、又はスパッタリング時間))は事前決定されているが、インライン光学分光計を使用して、追加のプロセス制御精度を適用する。これらを、各スパッタリング対の後に置き、スペクトル透過率及び反射率の両方を測定し、色座標L*、a*、及びb*の時間値に変換する。光学設計によると、「仕様内」の色座標値の最小値及び最大値は、層ごとに事前に確立されており、製造プロセス管理チャートと同様に、プロセス全体を制限限界内に維持するためにスパッタリング条件を調整することができる。
【0172】
マシンパス1及び層1~4が完成すると、フィルムロールを、マシンパス2及び層5~7のために逆にする。ただし、ここでは、ACスパッタ対7、8(SiO2)がオフにされ、次に、層5(スパッタリングターゲット対5、6-シリコン)をコーティングし、続いて、層6(スパッタリングターゲット対3、4-SiO2)及び層7(スパッタリングターゲット対1、2-シリコン)をコーティングする。マシンパス1と同様に、プロセス制御限界を維持するためにインライン光学分光法を使用する。
【0173】
マシンパス2及び層5~7が完成すると、フィルムロールを、マシンパス3のために再び逆にする。ただし、ここでは、スパッタリングターゲット対1、2(シリコン)がオフにされ、スパッタリングターゲット対7、8(SiO2)を再開して、層8~10を完成させる。マシンパス1及び2と同様に、プロセス制御限界を維持するためにインライン光学分光法を使用する。
【0174】
層10が完成すると、スパッタリング源を遮断し、スパッタリングガスを取り除き、フィルムロールを最後まで巻き取る。真空チャンバのポンピングを閉じ、窒素又は空気のチャンバ通気を適用し、チャンバ圧力を大気圧まで上昇させ、フィルムロールを除去する。
【0175】
多層光学フィルム(MOF)を、共押出(米国特許第6,667,095号)によるポリマー材料から、又は(上記のような)堆積技術による無機材料から作製し得る。ポリマーMOFは通常、屈折率コントラスト(Δn)が小さいため、同じレベルの反射率を達成するには、無機MOFよりも多くの層が必要になる。しかしながら、ポリマーMOFは、堆積によって作製された無機MOFよりも費用対効果の高い大規模なポリマープロセスによって作製することができる。ここでは、ポリマーMOF及び無機MOFの両方を、基材としてメタ表面フィルムと統合することができる。ポリマーMOFか無機MOFかの選択は、特定の用途に基づいて行われる。
【0176】
ステップf:(低ランドのパターン化アクリレートへの3層サンドイッチの接着を促進するための)SiAlOx上の接着促進剤
7.5nmの化合物06を、SiAlOx上にMEKから6m/分でダイコーティングした。溶媒を蒸発させ、フィルムを93℃で1.5分間アニールした。次いで、化合物06を、フュージョンEバルブを使用して硬化させた。
【0177】
ステップg:ラミネーション
コーティングされたツーリングフィルムを、90デュロメータニップ及び77℃で3m/分に設定された水加熱ロールを使用して、SiAlOx+化合物06フィルムにラミネートした。次いで、フィルムを600WのフュージョンHバルブで硬化させた。
【0178】
ステップh:剥離
構造化されたアクリレートを、水加熱ロールの直後に構造化されたHMDSOフィルムからSiAlOxフィルム上に剥離した(歪みを低減するためにウェブのねじれは最小限に抑えられた)。全てのフィルムを約18kg/mで引っ張り、依然として3m/分で実行した。
【0179】
ステップi及びj:エッチング残留層及びブレイクスルーSiAlOxマスク
これらのステップは、酸素エッチングとそれに続くフッ素エッチングのように別々に行う、又は単一のフッ素エッチング中に行うことができる。ここでは後者のパスを選択した。この場合、反応性イオンエッチングを、7500ワット、3.75m/分、圧力0.4Paで100sccmのNF3を使用して実行した。
【0180】
ステップk:ブレイクスルーエッチング
0.04Paのベース圧力、7500ワット、4.5m/分、圧力0.7Paで700sccmのO2を使用した第2の反応性イオンエッチングにより、マスクが除去された部分の転写層を除去した。
【0181】
ステップl:高屈折率バックフィル
エッチングされた高アスペクト比の特徴を、空間ロータリーALDマシンで処理した。TiO2を、133PaのN2及び40PaのO2の環境で、65℃に加熱されたチタンテトライソプロポキシド(TTIP)(受動的送達)、及びDCプラズマ放電(350mA)を使用して堆積させた。チャンバ及び基材を80℃に加熱した。基材を30RPMで回転するプラテンに固定し、1回転あたり1つの前駆体及びプラズマに暴露し、合計4688ALDサイクルで厚さ217nm、波長632nmで測定した屈折率2.33を有するTiO2層を生成した。
【0182】
実施例2:シミュレーション結果(
図9~
図12)
原理を検証するために、MOF及びメタ表面の両方で構成される光学フィルムの数値シミュレーションを実行した。メタ表面設計は、光を高伝搬角度に回折させてMOFのブリュースター角に結合させることを可能にする、Shiら(T.Shiら,「All-Dielectric Kissing-Dimer Metagratings for Asymmetric High Diffraction」Adv.Opt.Mater.,vol.1901389,頁1901389,2019)によって公開された研究から採用される。
【0183】
Si(n約4)及びSiO2(n約1.5)の10層が交互に配置された例示的な無機MOFは、ブリュースター角効果を示すように設計される。この具体例は無機材料で作製されているが、PEN(ポリエチレンナフタレート、n=1.65、非配向)及びPMMA(ポリ(メチルメタクリレート)、n=1.49)などの低屈折率コントラスト材料対の数百層のポリマーMOFと同様の挙動が予想される。ポリマーMOFの更なる例は、米国特許第6,667,095号に見出すことができる。一般に、ポリマー材料対を有する多層光学フィルムは、同じ層数の場合、屈折率のコントラストが小さいため、反射率が低くなる。したがって、ポリマーMOFが無機対応物と同じレベルの反射率を達成するには、より多くの層が必要である。更に、屈折率のコントラストが低いと、ブリュースター角が小さくなり(約50°対約70°)、角度透過ウィンドウが別の場所にシフトする。しかしながら、MOFが無機材料対で作製されているか、又はポリマー材料対で作製されているかにかかわらず、MOFがメタ表面と相互作用する方法及び結果として生じる光学機能の一般原理は変化しないままである。層数の少ない無機MOFを使用することで、計算時間が低減され、ポリマーMOFに拡張することができる同様の結果を得る。
【0184】
10層MOFの設計を
図9及び
図10に示す。
図9は、10層MOFスタックの層厚プロファイルを示す。屈折率は、低屈折率材料及び高屈折率材料でそれぞれ1.5及び4である。
図10は、透過率をMOFの入射角の関数として示す。入射媒体は、低屈折率材料と同じ屈折率を有する(1.5)。MOFのブリュースター角は69°であり、ブリュースターウィンドウの角度幅は18.4°である。この挙動は、低屈折率コントラストの層が多いポリマーMOFと同等である。
【0185】
メタ表面とMOFとの間の結合を実証するために、厳密結合波解析(RCWA)を使用して構造と光との相互作用をシミュレートした。シミュレーションはオープンソースのRCWAパッケージS4(V.Liu及びS.Fan,「S4:A free electromagnetic solver for layered periodic structures」Comput.Phys.Commun.,vol.183,no.10,頁2233~2244,2012)を使用して実行され、結果はまた商用のFDTDパッケージ(Lumerical)を使用して検証される。表1に要約されている
図8及び
図7に対応する2つのケースについて研究する。
【0186】
【0187】
ケース1では、メタ表面及びMOFフィルムは、MOFの低屈折率材料の屈折率が一致する光ガイド上にラミネートされる(
図8)。635nmで発光する光源は、シミュレーションドメイン内の光ガイド領域に埋め込まれる。入射角の関数としての透過率を
図11に示す。予想どおり、フィルムはブリュースター角(この場合、約69°)に近いp偏光のみを透過し、全ての角度でs偏光を反射する。有意な電磁エネルギーは、p偏光のブリュースター角付近でのみフィルムを透過し、提案された動作原理を検証する。
【0188】
ケース2では、MOFの両側に2つの同一のメタ表面層を含む
図7の構造が研究される。この構造により、空気からの光入射による動作が可能である。入射角の関数としての透過率を
図12に示す。この構造は、約26°でp偏光のみを透過し、全ての他の角度の光を反射する。
【0189】
本明細書に提示されるシミュレーションは、同じ原理を使用して実現できる幅広い例のサブセットである。透過角(MOFのブリュースター角)、動作波長、及びスペクトル帯域幅を、用途の特定の要件に応じて変更及び最適化することができる。
【国際調査報告】