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特表2023-523766生物反応に関する電磁界の提供及び使用のための装置、キット及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】生物反応に関する電磁界の提供及び使用のための装置、キット及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/42 20060101AFI20230531BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C12M1/42
C12M1/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565990
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 GB2021051037
(87)【国際公開番号】W WO2021220004
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】2006419.2
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2018710.0
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522376380
【氏名又は名称】セントアンドルーズ ファーマシューティカル テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー、ウィリアム ジョン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029BB02
4B029BB04
4B029BB06
4B029BB11
4B029BB12
4B029CC01
4B029DB01
4B029DB11
4B029DG10
4B029GA02
4B029GB09
4B029HA05
(57)【要約】
本発明は、生物反応混合物の生物反応の質を改善し、その変化を促進し、及び/又はそこからの収率を向上させる、装置、キット及び方法に関する。生物反応混合物は、典型的には、生物反応混合物の運動のための手段とともに、バイオマニュファクチャリング容器等の容器の内部空間に保持され、生物反応混合物がある期間にわたって暴露される1つ以上の電磁界を放射するように、1つ以上のモジュールが設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させる装置であって、該装置は、
少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器と、
前記生物反応混合物の運動を引き起こす手段と、
1つ以上のモジュールであって、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、1つ以上のモジュールと、
を備え、
前記1つ以上のモジュールは、前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも1つの部分に近接しており、及び/又は、前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間に配設されている、装置。
【請求項2】
前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間内の前記生物反応混合物中に配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側筐体は、プラスチック材から作製された液密なカバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の壁は前記容器の蓋を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記蓋は、前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された部分を含み、前記1つ以上のモジュールは、前記部分に近接して位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記少なくとも1つの部分は、非金属である材料から作製されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
運動を引き起こす前記手段は、電気的及び/又は機械的な運動手段である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
運動を引き起こす前記手段は、前記容器の前記内部空間内の攪拌器、前記容器内部空間の外部の攪拌器、前記容器及び/又は生物反応混合物に振動を付与する手段、波発生器、前記内部空間への物質の入力流れ、及び/又は前記内部空間からの物質の出力流れのうちの任意もの又は任意の組合せを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記内部空間内の前記攪拌器は、スターラー、プロペラ、インペラ又はガススパージャーである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ又はモジュールは、前記内部空間に位置付けられた前記生物反応混合物の運動のための前記手段に位置付けられる、請求項の1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
運動を引き起こす前記手段は、前記生物反応混合物の1つ以上の構成要素である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
運動を引き起こす前記手段は、前記1つ以上のモジュールから放射された前記1つ以上の電磁界に前記生物反応混合物の実質的に全てを周期的に暴露するように、及び/又は前記生物反応混合物中の細胞を前記生物反応混合物中の実質的に懸濁状態で保持するように、前記生物反応混合物を移動させる、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は枠をさらに備え、前記容器は、可撓性があり、弾力性のあるプラスチック材から作製された袋であり、前記枠によって支持されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上のモジュールは、前記枠に取り付けられている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記送信器によって放射された前記電磁界は、一連のパルス状電磁界である、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上のモジュールから放射された前記1つ以上の電磁界の形態を制御する制御手段をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記生物反応混合物は水を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の電磁界は、前記生物反応混合物に含まれる水の分子双極子の回転を引き起こすような周波数で放射される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記制御手段は、2.4GHz~2.5GHzの範囲の1つの周波数又は複数の周波数で、前記1つ以上の電磁界の放射を制御する、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記1つ以上の電磁界は、前記期間中にランダムシーケンスで複数の異なる周波数で放射される、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
2つ以上のモジュールがある場合、前記制御手段は、前記モジュールから放射された前記1つ以上の電磁界は同期した様式で放射される、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記制御手段は、前記モジュール、容器及び/又は前記枠に一体である、請求項16~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記装置はホルダーを含み、前記1つ以上のモジュールは前記ホルダー上に位置付けられ、前記ホルダーは前記容器に対して位置付け可能である、請求項1~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのモジュールは、再充電可能な電源を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記送信器は、前記1つ以上の電磁界の無線短距離通信を提供する、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記1つ以上のモジュールを前記容器に近接して又は前記容器内に位置付ける1つ以上の位置付け器を備える、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記1つ以上の位置付け器は、フック、面ファスナ、接着パッチ、ネジ付き位置付け器、磁石又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間に配設され、前記生物反応混合物が液体を含む場合、前記1つ以上のモジュールを前記生物反応混合物中のある深さで保持する少なくとも1つの浮力部分をさらに備える、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
2つ以上のモジュールがあり、前記モジュールのうちの少なくとも1つは、前記生物反応混合物が液体を含む場合、前記少なくとも1つのモジュールを前記生物反応混合物中の別の1つのモジュール又は複数のモジュールとは異なる深さで保持するように選択された形態の浮力部分を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
モジュール群における前記2つ以上のモジュールの各々に、前記生物反応混合物が液体を含む場合、前記生物反応混合物中の異なるそれぞれの深さで前記モジュールを保持するように選択された形態の浮力部分が設けられている、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記容器は1つ以上の中空の長尺部材を含み、前記1つ以上の長尺部材は、前記1つ以上の長尺部材が前記内部空間と流体連通しないように、少なくとも1つの壁、前記ベース及び/又は前記蓋から延在し、前記1つ以上の中空の長尺部材のうちの少なくとも1つは、電磁界を透過させる材料から作製された前記少なくとも1つの部分を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記1つ以上のモジュールは2つ以上のモジュールであり、前記2つ以上のモジュールの各々は、別のモジュールのノードに位置付けられる、請求項1~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記1つ以上のモジュールは、配列で位置付けられた2つ以上のモジュールである、請求項1~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記配列は、前記容器の前記ベースから上方に延在する、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記配列は、単一の軸に沿って延在するか、又は複数の軸に沿って延在するように提供される、請求項33~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記モジュールは、前記配列内の隣接するモジュール間に5~10cmの範囲内の間隔を空けて前記配列に位置付けられる、請求項33~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記1つ以上のモジュールは、無線受信器を含み、前記無線受信器は、無線で送信され前記無線受信器よって受信される、前記モジュールの少なくとも1つの動作パラメータの変化を引き起こす信号の受信を可能にし、前記変化は実行される、請求項1~36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記装置は、充電及び/又は制御ユニットを含み、前記1つ以上のモジュールは、使用されていないとき、前記充電及び/又は制御ユニットに、充電及び/又はアクティブ化の制御を可能にするように電気的に接続され及び/又はデータ接続される、請求項1~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記生物反応混合物は、バイオ燃料、遺伝子改変細胞及び生物の培養物、インスリン、モノクローナル抗体、成長ホルモン、インターフェロン、インターロイキン、血液因子VIIa、血液因子VIII、血液因子IX、エリスロポエチン、ゴナドトロピン、グルカゴン、ワクチン抗原配列、哺乳類細胞培養物のうちの任意のもの又は任意の組合せである、請求項1~38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させるキットであって、
少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器と、
前記生物反応混合物を移動させる手段と、
1つ以上のモジュールであって、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、1つ以上のモジュールと、
を備え、
前記1つ以上のモジュールが前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも一部分に近接して位置するのを可能にする位置付け手段が設けられ、及び/又は前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間に配設される、キット。
【請求項41】
前記容器は、枠と、前記内部空間を形成するように前記枠上に支持されたシート材とによって形成されている、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させる方法であって、該方法は、
少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器を提供するステップと、
前記内部空間内で前記生物反応混合物を移動させるステップと、
1つ以上のモジュールを提供するステップであって、前記モジュールは、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、ステップと、
前記1つ以上のモジュールから前記1つ以上の電磁界を前記内部空間の少なくとも一部に放射するステップと、
を含み、
前記1つ以上のモジュールは、前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも一部分に近接し、及び/又は、前記1つ以上のモジュールは前記内部空間に配設される、方法。
【請求項43】
前記容器の前記内部空間に細胞培養培地を導入し、生物反応混合物を形成するために前記細胞培養培地に1つ以上の細胞を導入するステップを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記生物反応混合物は水を含む、請求項42及び43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上の電磁界は、前記水分子を回転させるとともに前記水分子を調節する周波数で放射される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の電磁界の電磁波の電界成分は、水素結合が切断される時間が放射周波数の半周期に実質的に対応するように、前記1つ以上の電磁界の周波数範囲の整合によって調節される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記生物反応混合物は、前記1つ以上の電磁界の適用中に動かされる、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
細胞培養培地への前記1つ以上の細胞の導入の前に、1つ以上の電磁界を前記細胞培養培地に適用するステップをさらに含む、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上の電磁界を放射するステップは、前記生物反応混合物にパルス電磁界を適用するステップを含む、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ以上の電磁界は、2.4~2.5GHzの周波数を有し、及び/又は持続時間が0.5~1.5ミリ秒(ms)の範囲のパルスで放射され、及び/又は前記パルスは、40~66msの範囲である休止期間によって間隔が空けられ、及び/又は前記パルスは、1秒当たり12~20パルスの範囲内で放射される、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の細胞は酵母細胞であり、前記生物反応はバイオエタノールの産生のためのものである、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の細胞は哺乳類細胞であり、前記生物反応は核酸又はペプチドの産生のためものである、請求項42~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の細胞はハイブリドーマ細胞である、請求項42~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の細胞は昆虫細胞であり、前記生物反応は核酸又はペプチドの産生のためのものである、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
1つ以上の電磁界を放射するように提供されたモジュールであって、該モジュールは、筐体と、電源と、1つ以上の電磁界を放射する送信器と、前記1つ以上の電磁界の制御を可能にする制御手段とを含み、ある期間にわたって、所定の周波数又は所定の周波数の範囲で放射され、連続的に放射されるか、又は放射のパルス間に間隙がある一連のパルスとして放射されるように、前記1つ以上の電磁界は制御可能であり、前記モジュールは、生物反応混合物の少なくとも一部が放射された電磁界の範囲内にあるように、前記生物反応混合物の中又はそれに近接して位置付け可能である、モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願が関連する発明は、生物反応混合物の形態の物質に対して、収率の向上、及び/又は物質の状態の変化の促進、及び/又は物質の品質の向上等、物質に関連する改善を達成するために、一連のパルス電磁界(PEMF)等の1つ以上の電磁界(電磁気のデジタルシーケンスと称することもできる)を適用することである。
【背景技術】
【0002】
影響を与えることができる状態の変化、強化及び/又は促進は、生物反応混合物の生物反応に特に関連し、その例は、発酵及び細胞培養生物系等の生物系の代謝産生能である。
【0003】
1つ以上の電磁界の適用が数リットルの生物反応混合物に関して比較的大規模で有効であるためには、有益な効果が実質的に均一に達成されることと、生物反応混合物のすべてが同様の程度に放射される電磁界に暴露されることとを確実するために、1つ以上の電磁界が、信頼性が高く繰返し可能な方法で適用されることを確実にすることができることが好ましい。効果及び強化が繰返し可能で信頼性の高い方法で達成されること、及び、プロセスが好ましくは非熟練人員によって制御可能であることも必要とされ、それにより、装置及び方法が、従来の多くの生物反応技術の場合のように単に実験室ベースのプロセスではなく、比較的大規模な製造環境で使用される可能性が最大限になる。
【0004】
生物反応混合物を容器内に提供することが知られており、生物反応混合物に磁界を適用する既知のシステムがあるが、これらの既知のシステムは、最も典型的には、容器内の頂部及び/又は底部に位置付けられる1つ以上のコイルを含み、この形式の装置には、容器内の生物反応混合物の均一な処理を提供するとともに、商業的に許容可能な時間スケール内で生物反応混合物の状態の要求された変化を達成することができる能力の問題が存在することが判明している。本出願人は、自身の同時係属出願である国際公開第2019/234442号パンフレット(その内容は参照により本明細書に援用される)において、さらなる形態の装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の一つの目的は、上述した問題に対する解決策を提供することと、従来の装置及び方法と比較して、生物反応混合物の品質、収率及び/又は変化の速度を改善することができるように、信頼性が高く、生物反応混合物を比較的均一に処理することができる装置及び方法を提供することとである。さらなる目的は、信頼性が高く均一な方法で、かつバッチ生産の商業的実施に適した規模で、上述したことが達成されることを可能にすることである。
さらなる目的は、生物反応混合物の非侵襲的な装置及び方法を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、比較的容易であり確実に繰返し可能な方法で、1つ以上の電磁界を生物反応混合物に効果的に適用することができ、好ましくは、材料が保持されるバイオリアクター容器の形態の容器と組み合わせて使用することができる、装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様において、生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させる装置が提供され、本装置は、少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器と、前記生物反応混合物の運動を引き起こす手段と、1つ以上のモジュールであって、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、1つ以上のモジュールとを備え、前記1つ以上のモジュールは、前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも1つの部分に近接しており、及び/又は、前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間に配設されている。
【0008】
1つの実施形態では、1つ以上のモジュールは、内部空間内の生物反応混合物中に配設される。1つの実施形態では、筐体は、プラスチック又はガラス材から作製された液密なカバーを備える。
【0009】
1つの実施形態では、複数の壁は容器の蓋を含む。
【0010】
1つの実施形態では、蓋は、1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された部分を含み、1つ以上のモジュールは、前記部分に近接して位置する。
【0011】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された少なくとも1つの部分は、プラスチック又はガラス等、非金属である材料から作製されている。
【0012】
1つの実施形態では、運動を引き起こす手段は、電気的及び/又は機械的な運動手段である。1つの実施形態では、前記運動を引き起こす手段は、容器内部空間内の攪拌器、前記容器内部空間の外部の攪拌器、容器及び/又は生物反応混合物に振動を付与する手段、波発生器、内部空間への物質の入力流れ、及び/又は前記内部空間からの物質の出力流れのうちの任意のもの又は任意の組合せの形態である。
【0013】
1つの実施形態では、モジュールのうちの1つ以上は、攪拌器とともに含まれ、前記攪拌器に取り付けられ、又は前記攪拌器と一体である。
【0014】
1つの実施形態では、内部空間内の攪拌器は、スターラー、プロペラ、インペラ及び/又はガススパージャーである。
【0015】
1つの実施形態では、運動を引き起こす手段は、生物反応混合物の1つ以上の構成要素を含む。
【0016】
1つの実施形態では、運動を引き起こす手段は、1つ以上のモジュールから放射された1つ以上の電磁界に生物反応混合物の実質的に全てを周期的に暴露するように、及び/又は前記生物反応混合物中の細胞を前記生物反応混合物中の実質的に懸濁状態で保持するように、前記生物反応混合物を移動させる。これにより、放射される電磁界が生物反応混合物全体に及ばないとしても、生物反応混合物が電磁界放射のゾーンを通って移動し、したがって、経時的に生物反応混合物のすべての電磁界への暴露を提供することが確実になる。
【0017】
1つの実施形態では、本装置は枠を含み、容器は、可撓性があり、弾力性のあるプラスチック材から作製された袋から形成され、前記枠によって支持されている。典型的には、この実施形態では、1つ以上のモジュールは、前記枠及び/又はシート材に取り付けられている。
【0018】
1つの実施形態では、送信器によって放射された電磁界は、一連のパルス状電磁界(PEMFS)である。
【0019】
1つの実施形態では、本装置は、1つ以上のモジュールから放射された1つ以上の電磁界の形態を制御する制御手段をさらに備える。
【0020】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界は、生物反応混合物に含まれる水の分子双極子の回転を引き起こすような周波数で放射される。
【0021】
1つの実施形態では、制御手段は、2.4GHz~2.5GHzの範囲の1つの周波数又は複数の周波数で、1つ以上の電磁界の放射を制御する。
【0022】
1つの実施形態では、電磁界は、1つ以上の電磁界の放射の期間中にランダムシーケンスで複数の異なる周波数で放射される。
【0023】
1つの実施形態では、2つ以上のモジュールがある場合、モジュールから放射された1つ以上の電磁界は、同期した様式で放射される。
【0024】
典型的には、制御手段は、モジュール、容器又は枠に一体である。
【0025】
1つの実施形態では、本装置はホルダーを含み、1つ以上のモジュールはホルダー上に位置付けられ、前記ホルダーは容器に対して位置付け可能である。
【0026】
1つの実施形態では、1つ以上のモジュールは、再充電可能な電源を含む。
【0027】
1つの実施形態では、送信器は、電磁界の無線短距離通信を提供する。
【0028】
1つの実施形態では、本装置は、1つ以上のモジュールを容器に近接して、1つ以上の壁に、又は容器内に位置付ける1つ以上の位置付け器を備える。典型的には、前記1つ以上の位置付け器は、フック、面ファスナ、接着パッチ、ネジ付き位置付け器、磁石又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む。
【0029】
1つの実施形態では、1つ以上のモジュールは、内部空間に配設され、内部空間内に保持された生物反応混合物において、1つ以上のモジュールは、生物反応混合物が液体を含む場合、前記1つ以上のモジュールを生物反応混合物中のある深さで保持する少なくとも1つの浮力部分をさらに備える。
【0030】
1つの実施形態では、2つ以上のモジュールがある場合、前記モジュールのうちの少なくとも1つは、生物反応混合物が液体である場合、前記モジュールを前記生物反応混合物中の別の1つのモジュール又は複数のモジュールとは異なる深さで保持するように選択された形態の浮力部分を有する。
【0031】
1つの実施形態では、モジュール群における2つ以上のモジュールの各々に、生物反応混合物が液体を含む場合、前記生物反応混合物中の異なるそれぞれの深さで前記モジュールを保持するように選択された形態の浮力部分が設けられている。
【0032】
1つの実施形態では、容器は1つ以上の中空の長尺部材を含み、前記1つ以上の長尺部材は、前記1つ以上の長尺部材が内部空間と流体連通しないように、少なくとも1つの壁、ベース及び/又は蓋から延在し、前記1つ以上の中空の長尺部材のうちの少なくとも1つは、電磁界を透過させる材料から作製された少なくとも1つの部分を含む。
【0033】
1つの実施形態では、1つ以上のモジュールは2つ以上のモジュールであり、2つ以上のモジュールの各々は、別のモジュールのノードに位置付けられる。
【0034】
1つの実施形態では、隣接するモジュールは、放射された電磁界の周波数の波長の半分の距離で間隔が空けられる。1つの実施形態では、前記モジュールは、配列内の隣接するモジュール間に5~10cmの範囲内の間隔を空けて、配列に位置付けられる。
【0035】
1つの例では、2.45GHzの周波数の電磁界の波長は、およそ12.2cmであり、したがって、モジュールは6.1cm間隔で配置される。波長パスはモジュールの場所で交差し、モジュール間の干渉を回避し、そのため、モジュールをモジュールの配列に位置付けるときにこれらの間隔を使用することができる。
【0036】
したがって、ある期間、生物反応混合物に1つ以上の電磁界を適用する装置であって、前記生物反応混合物が位置付けられる少なくとも1つの容器と、前記容器の内部空間の1つ以上のゾーンに1つ以上の前記電磁界を放射する少なくとも1つの送信器とを使用し、前記生物反応混合物の実質的にすべてが前記1つ以上のゾーンにおいて前記電磁界に実質的に均一に暴露されるのを確実にするように、運動手段が前記生物反応混合物を前記1つ以上のゾーン内にかつ前記ゾーンを通して移動させる、装置が提供される。
【0037】
典型的には、前記送信器は、前記モジュールの一部として提供され、1つ以上のモジュールは、前記電磁界の放射中に、少なくとも部分的に前記生物反応混合物中に、及び/又は前記容器の1つ以上の壁に近接して位置付けることができ、前記モジュールは、前記期間中に、ある周波数若しくはある範囲の周波数で、連続的に、又はパルス状に、前記電磁界を放射するように制御される。
【0038】
典型的には、前記電磁界は、前記期間中にランダムシーケンスで複数の異なる周波数で放射される。1つの実施形態では、前記周波数は、2.4~2.5GHzの範囲にある。1つの実施形態では、具体的な周波数は、2402MHz、2426MHz及び2480MHzである。
【0039】
1つの実施形態では、筐体は、容器の1つ以上の壁の上の又は壁に隣接する選択された場所にモジュールが位置付けられるのを可能にする位置付け手段を含み、又は前記モジュールは、前記容器の壁と一体で、又は前記容器内の凹部若しくは開口部に設けてもよい。
【0040】
1つの実施形態では、1つのモジュール又は複数のモジュールは、キットとして容器の少なくとも一部とともに提供され、一旦前記キットが使用されると、前記1つ又はモジュールは、必要な場合は再充電され、再使用される。別法として、前記1つ以上のモジュールは、供給者に返却する等により、リサイクルのために渡してもよく、前記供給者は、その後、前記モジュールを充電し、以前の使用者又は別の使用者に前記モジュールを後に使用することができるようにすることができる。したがって、前記1つのモジュール又は複数のモジュールの最終使用者は、前記1つのモジュール又は複数のモジュールの供給者と異なる場合がある。
【0041】
1つの実施形態では、複数のモジュール用のホルダーが提供され、前記ホルダーにより、前記モジュールを容器とともに位置付け、予め規定された間隔の配列で保持することができる。
【0042】
典型的には、少なくとも所定期間動作するのに十分な電力を構成要素に提供することができるように、電源が設けられ、モジュールの選択的動作を可能にする切替え手段が設けられる。
【0043】
1つの実施形態では、電源はモジュール内に設けられた再充電可能な電源であり、充電機構への接続は、無線で又は前記モジュール上に位置付けられたソケットを介して、最も典型的には前記モジュールが使用されていないときに提供される。
【0044】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界の具体的な周波数範囲は、産業科学医療(ISM)短距離無線周波数帯域である。
【0045】
1つの実施形態では、送信器は、15メートルの距離まで電磁界を発生させることができる。
【0046】
1つの実施形態では、制御手段は、放射される電磁界の周波数及びデジタルシーケンスを、生物反応混合物内の水分子の誘電特性及び/又は他の特性に対応させることができる。
【0047】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界の送信は、デューティサイクルが典型的には1~2%の範囲であるように、10~20Hzの間の低いパルス周波数で2.4~2.5GHzの範囲における1ミリ秒パルスによる。
【0048】
1つの実施形態では、装置は、容器の内部空間における生物反応混合物に関連して使用され及び/又は前記生物反応混合物に添加されるように要求される栄養素用の位置付け手段を含む。
【0049】
典型的には、1つ以上のモジュールは、前記生物反応混合物への及びその中への電磁界の実質的に均一な強度の放射をもたらすように位置付けられかつ制御される。
【0050】
1つの実施形態では、モジュールの数、モジュールの配列の構成、及び/又はモジュールから放射された電磁界の強度は、特定の使用時に容器内に位置付けられた前記モジュール及び/又は生物反応混合物の特定の使用法に適合するように選択される。
【0051】
別の実施形態では、容器の壁の上のモジュールの場所は、例えば、栄養素又は生物反応混合物の場所に対向する壁の外面に前記モジュールを位置付けることにより、前記モジュールを栄養素及び/又は生物反応混合物に密接に近接して位置付けることができるように、容器内部空間内の前記生物反応混合物及び/又は前記栄養素の場所に関して選択される。
【0052】
1つの実施形態では、配列は、容器のベースから上方に、生物反応混合物が容器の内部空間に存在することができる充填レベルまで延在する。
【0053】
1つの実施形態では、配列は、列又は行等の単一の軸に沿って延在するか、又は複数の軸に沿って延在するように提供される。
典型的には、モジュールは、放射される1つの電磁界周波数又は複数の電磁界周波数の特定の周波数に関して、典型的には所定のパルス周波数に関してもまた、予め設定されている。
【0054】
1つの実施形態では、モジュールは封止されたユニットとして提供され、筐体内の内部構成要素へのアクセスは、前記モジュールの電源用の充電接続部の接続を可能にするためにのみ提供される。代替実施形態では、充電接続は提供されず、電源の充電は無線で実施される。
【0055】
1つの実施形態では、モジュールに対する動作制御パラメータの変更が、モジュールに設けられた無線受信器によって受信される。
【0056】
1つの実施形態では、各モジュールは、一意の識別コードを有する。
【0057】
1つの実施形態では、モジュールの使用は、モジュール提供者への支払いが行われるまで不可であり、前記支払いは顧客によって行われ、その後、前記支払いにより、前記モジュールが、典型的にはスイッチオン/オフ機能の回数、又は具体的な期間、使用することができるようになる。
【0058】
1つの実施形態では、モジュール制御手段は、放射される1つ以上の電磁界信号の周波数及びデジタルシーケンスを、その時点で容器内に保持されている生物反応混合物の誘電特性及び/他の特性に対応するように、及び/又は関連するように、制御する。
【0059】
1つの実施形態では、制御手段は、筐体内に設けられ、電磁界を放射することができる送信器を含む、集積回路の形態で提供される。
【0060】
1つの実施形態では、装置は、充電及び/又は制御ユニットを含み、1つ以上のモジュールは、使用されていないとき、前記充電及び/又は制御ユニットに、アクティブ化及び/又は充電を可能にするように電気的に接続され及び/又はデータ接続されて提供される。1つの実施形態では、モジュールの使用者は、遠隔支払い方式を介して、所有しているモジュールを選択的にアクティブにすることができ、支払いが行われたとき、制御ユニットは、行われた支払いのレベルに応じて、前記モジュールのうちの1つ、いくつか又はすべての状態を、そこから電磁界を放射することができるアクティブモードに変更する。
【0061】
典型的には、攪拌手段と組み合わせた、配列におけるモジュールの選択的な位置付けにより、生物反応混合物のタイプ、容器の寸法、生物反応混合物の量、及びモジュールの配列の構成がそれに応じて選択される場合、所定の期間にわたってモジュールから送信された電磁界への実質的に均一な暴露が可能になる。
【0062】
典型的には、複数のモジュールが配列で提供される場合、モジュールは、組み合わせて、単体の電磁界信号放射手段として作用する。1つの実施形態では、制御手段は、パルス電磁界(PEMFS)の同期した連続的な放射を可能にする。
【0063】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界信号は、容器の内部空間内に保持された生物反応混合物の処理のすべて又は一部のために、モジュールの配列から放射される。
【0064】
1つの実施形態では、電磁界は、特定の生物反応混合物及び/又は生物反応混合物の量に関して決定される所定期間放射される。
【0065】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界の適用の持続時間は、30分~2時間の範囲であり、これは、必要な場合は、生物反応混合物の冷蔵等、別の機能と同時に実施することができる。パルス電磁界の適用の持続時間は、処理されている生物反応混合物及び/又は所望の最終生成物のタイプ及び/又は量によって決まることも理解されるべきである。
【0066】
電磁界がパルス状である場合、パルス間の休止期間の提供により、生物反応混合物の微生物が電磁エネルギーによって圧倒されず、代わりに代謝プロセスを増加させ成長速度を上昇させるよう促進されることが確実になる。この結果、代謝産物の発現の増加と栄養素のより効率的な変換とが可能となり、そのため、収率が上昇し、及び/又は所望の結果を達成するために必要な産生時間が短縮されることが分かった。さらに、パルス間の休止期間により、混合物中のクラスターがばらばらになり、生物反応混合物の熱力学的に好都合な開放構造が自然に形成されるため、生物反応混合物に発生した活性を緩和させ、生物反応混合物の均質性を促進することができる。
【0067】
1つの実施形態において、本発明による装置の使用は、バイオ燃料、遺伝子改変細胞及び生物の培養物、インスリン、モノクローナル抗体、成長ホルモン、インターフェロン、インターロイキン、血液因子VIIa、血液因子VIII、血液因子IX、エリスロポエチン、ゴナドトロピン、グルカゴン、ワクチン抗原配列、哺乳類細胞培養物の産生における産生能の向上の任意のもの又は任意の組合せを提供する。
【0068】
典型的には、生物反応混合物中の微生物は電磁気的な系であり、電磁気の変化に反応する。1つの実施形態では、電磁界の発生を検出するために、装置の付近において電子磁界検出器を利用することができる。
【0069】
1つの実施形態では、電磁界の使用は、好気性条件下で使用されるように制御され、1つの実施形態では、好気性環境における生物反応混合物への電磁界の適用が提供される。唯一の使用ではないが、好気性条件での装置及び方法の使用が特に有益であることが想定される。
【0070】
本発明のさらなる態様では、生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させるキットが提供され、本キットは、少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器と、前記生物反応混合物を移動させる手段と、1つ以上のモジュールであって、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、1つ以上のモジュールとを備え、前記1つ以上のモジュールが前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも一部分に近接して位置するのを可能にする位置付け手段が設けられ、及び/又は前記1つ以上のモジュールは、前記内部空間に配設される。
【0071】
1つの実施形態では、容器は、枠と、内部空間を形成するように枠上に支持されたシート材とによって形成されている。
【0072】
1つの実施形態では、キットは複数のモジュールを含み、前記モジュールは、前記モジュールが生物反応混合物に対して、間隔が空けられた配列で位置付けられるのを可能にするように適合され及び/又は位置付け可能である。
【0073】
1つの実施形態では、キットは、1つ以上の電磁界の送信中に生物反応混合物を移動させる攪拌手段を含む。
【0074】
本発明のさらなる態様では、1つ以上の電磁界を放射するモジュールが提供され、前記モジュールは、筐体と、電源と、前記1つ以上の電磁界を放射する送信器と、前記1つ以上の電磁界の制御を可能にする制御手段とを含み、ある期間にわたって、所定の周波数又は所定の周波数の範囲で放射され、連続的に放射されるか、又は放射のパルス間に間隙がある一連のパルスとして放射されるように、前記1つ以上の電磁界は制御可能であり、前記モジュールは、生物反応混合物の少なくとも一部が放射された前記1つ以上の電磁界の範囲内にあるように、前記生物反応混合物の中又はそれに近接して位置付け可能である。
【0075】
本発明のさらなる態様では、生物反応の収率及び/又は促進及び/又は質を向上させる方法が提供され、本方法は、少なくとも1つの側壁とベースとを含む複数の壁から形成されて生物反応混合物を保持する内部空間を形成する容器を提供するステップと、前記内部空間内で前記生物反応混合物を移動させるステップと、1つ以上のモジュールを提供するステップであって、前記モジュールは、筐体と、前記筐体内に配設された送信器とを備え、前記送信器は、1つ以上の電磁界を放射することができる、ステップと、前記1つ以上のモジュールから前記1つ以上の電磁界を前記内部空間の少なくとも一部に放射するステップとを含み、前記1つ以上のモジュールは、前記1つ以上の電磁界を実質的に透過させる材料から作製された前記壁の少なくとも一部分に近接し、及び/又は、前記1つ以上のモジュールは前記内部空間に配設される。
【0076】
1つの実施形態では、本方法は、容器の内部空間に細胞培養培地を導入し、生物反応混合物を形成するために前記細胞培養培地に1つ以上の細胞を導入するステップを含む。1つの実施形態では、前記細胞培養培地は水分子を含む。典型的には、1つ以上の電磁界は、前記水分子を回転させるとともに前記水分子を調節する周波数で放射される。
【0077】
1つの実施形態では、生物反応混合物は、1つ以上の電磁界の適用中に動かされる。
【0078】
1つの実施形態では、本方法は、細胞培養培地への1つ以上の細胞の導入の前に、1つ以上の電磁界を前記細胞培養培地に適用するさらなるステップを含む。
【0079】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界を放射するステップは、生物反応混合物にパルス電磁界を適用するステップを含む。
【0080】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界は、2.4~2.5GHzの周波数を有し、及び/又は持続時間が0.5~1.5ミリ秒(ms)の範囲のパルスで放射され、及び/又は前記パルスは、40~66msの範囲である休止期間によって間隔が空けられ、及び/又は前記パルスは、1秒当たり12~20パルスの範囲内で放射される。
【0081】
1つの実施形態では、1つ以上の細胞は酵母細胞であり、生物反応はバイオエタノールの産生のためのものである。
【0082】
1つの実施形態では、1つ以上の細胞は哺乳類細胞であり、生物反応は核酸又はペプチドの産生のためものである。
【0083】
1つの実施形態では、1つ以上の細胞はハイブリドーマ細胞である。
【0084】
1つの実施形態では、1つ以上の細胞は昆虫細胞であり、生物反応は核酸又はペプチドの産生のためのものである。
【0085】
1つの実施形態では、複数のモジュールが提供され、配列で位置付けられる。
【0086】
1つの実施形態では、少なくとも1つのモジュールの使用は、モジュールの提案された使用者によってモジュール提供者に対して支払いが行われるまで不可である。
【0087】
1つの実施形態では、行われる支払いは、モジュールのスイッチオン/オフ機能の回数に、及び/又は前記モジュールの具体的な使用期間に対して同等にされる。
【0088】
1つの実施形態では、モジュールの使用者は、遠隔支払い方式を介して前記モジュールを選択的にアクティブにし、支払いが行われたとき、制御手段は、行われた支払いのレベルに応じて、モジュールの状態を、そこから1つ以上の電磁界を放射することができるアクティブモードに変更する。
【0089】
1つの実施形態では、1つ以上の電磁界の放射の期間は、生物反応混合物が内部空間に保持される時間の全て又は一部に相当する。
【0090】
1つの実施形態では、電磁界はパルスで放射される。
【0091】
ここで、本発明の具体的な実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1a】本発明の1つの実施形態によるモジュールの一実施形態を示す。
図1b】本発明の1つの実施形態によるモジュールの一実施形態を示す。
図1c】本発明の1つの実施形態によるモジュールの一実施形態を示す。
図1d】本発明の1つの実施形態によるモジュールの一実施形態を示す。
図1e】本発明の1つの実施形態によるモジュールの一実施形態を示す。
図2】本発明の1つの実施形態による充電及び/又は制御ステーション又はバンクを示す。
図3a】バイオリアクター容器とともに図1a~図1eのモジュールの使用の実施形態を示す。
図3b】バイオリアクター容器とともに図1a~図1eのモジュールの使用の実施形態を示す。
図3c】バイオリアクター容器とともに図1a~図1eのモジュールの使用の実施形態を示す。
図4】本発明による放射された電磁界に暴露されたときの水の双極子の回転を示す。
図5】本発明による放射された電磁界に暴露されたときの水の双極子の回転を示す。
図6a】チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を利用しIgG産生に関する、本発明に従って実施された実験からの装置及び結果を示す。
図6b】チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を利用しIgG産生に関する、本発明に従って実施された実験からの装置及び結果を示す。
図6c】チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を利用しIgG産生に関する、本発明に従って実施された実験からの装置及び結果を示す。
図6d】チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を利用しIgG産生に関する、本発明に従って実施された実験からの装置及び結果を示す。
図7a】本発明のさらなる実施形態を示す。
図7b】本発明のさらなる実施形態を示す。
図8a】マウスハイブリドーマ細胞(MHC)株を用いたIgG産生に関する実験のさらなるセットから得られた結果をグラフで示す。
図8b】マウスハイブリドーマ細胞(MHC)株を用いたIgG産生に関する実験のさらなるセットから得られた結果をグラフで示す。
図8c】マウスハイブリドーマ細胞(MHC)株を用いたIgG産生に関する実験のさらなるセットから得られた結果をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
最初に図1a~図1eを参照すると、本発明の1つの実施形態よるモジュール2が示されている。この実施形態では、モジュール2は、第1部分4及び第2部分6を含み、それらは、図1dの矢印8によって示すように合わせて取り付けられると、典型的には防水及び防塵シールを有する外側筐体10を形成する。筐体に、その特定の形式及びその意図された用途に応じて好適な封止手段を設けることができる。図示する実施形態において、部分4には、モジュールをアクティブ又は非アクティブにするようにオン/オフスイッチ16を操作するために押し下げることができるボタン14の位置付けのための開口部12がある。電磁界の放射の場所を示すために、及び/又は筐体の内部のプリント回路基板18に設けられたモジュール送信器20からの電磁界の放射を改善することができるように、さらなる開口部又はゾーン22を設けることができる。典型的には、筐体及びモジュールごとに1つの送信器が設けられるが、他の実施形態では、1つの筐体がその中に位置付けられる一連の送信器を有してもよいことが理解されるべきである。
【0094】
プリント回路基板18、24、26は、形成されたときにすべて筐体内に位置付けられ、この実施形態では、図1eに示すように、部分6に設けられた手段によって場所が保持される。主PCB 24は、パワーセル28の使用と、必要な期間の電磁界の1つの周波数又は複数の周波数及び連続的な又はパルス状の放射を制御する、モジュール2の動作のための制御手段構成要素を含む。周波数及び/又は連続的な若しくはパルス状の電磁界に関して放射される電磁界は、ある瞬間のモジュールの特定の所望の使用に応じて変化する可能性がある。1つの実施形態では、モジュールは、モジュールの動作を更新及び/又は変更し、及び/又はモジュール2を充電するための制御信号の受信を可能にする受信器を含むことができる。
【0095】
1つの実施形態において、筐体内に位置付けられる1つ以上のパワーセルの充電は、モジュールが使用後に戻される集中化した場所で実施してもよく、又は別法として、図2に例を示すステーション31を介して最終使用者の場所等の遠隔場所で実施することができる。この実施形態では、2つの位置付けユニット30、32を示し、これらは支持脚34を介して積重ね可能である。
【0096】
この実施形態では、各ユニットは、それに対するモジュールの位置付けのための、複数、この場合1~6の場所を有し、2つのモジュール2、2’が適所に示されている。各ユニットは、電源への接続36のために設けられ、各場所1~6には、無線充電機構が設けられ、モジュールがそれに対して適所にあるとき、モジュール内の電源28が無線で充電されるようになっている。さらに、場所の各々には、モジュール用の制御手段が更新されるのを可能にするために、モジュール内の制御手段構成要素とのデータ接続を可能にする手段を設けることができる。1つの実施形態では、更新は、制御ソフトウェアの新たなバージョンに関して、及び/又は、モジュールが使用可能になるのを可能にするように、行うことができる。この後者の場合、アクティブ化は、使用者が、恐らくはインターネット若しくはアプリケーションを介して、又は別の手段によって、支払いを行うことにより達成することができ、支払いにより、モジュールのうちの1つ、いくつか又はすべてが、所定の時間又は使用回数だけアクティブかつ使用可能となるように、ユニットに信号を送信することができる。
【0097】
図3a及び図3bは、使用中の装置の2つの実施形態を示す。両方の実施形態において、バイオリアクター容器38が概略的に示されており、バイオリアクター容器38は、これらの実施形態では、破線で示す支持枠40を含み、容器の内部空間内で生物反応混合物を移動させる手段を含み、この実施形態において、移動させる手段は、モータ46を介してシャフト44の周りで回転するように設けられている、同様に破線で示す、撹拌スターラー42である。枠によって支持される、典型的にはシングルユースの、プラスチックシート材の袋48による容器の壁の形成も示されており、袋は、生物反応混合物が保持される内部空間50を画定する、側壁52及びベース54を含む複数の壁を有する。内部空間50内には生物反応混合物56が提供され、生物反応混合物56は、レベル58まで提供され、スターラー42によって内部空間内を移動させることができる。プロセス中、生物反応混合物56に、追加の栄養素及び/又は他の物質を選択的に添加することができる。
【0098】
本発明に従って、複数のモジュール2も提供され、図示する2つの実施形態では、複数のモジュール2が提供されており、それにより、それらのモジュール2はともに、1つ以上の電磁界60を、少なくとも1つの壁、図示する実施形態では袋48の側壁52を通して、生物反応混合物56に放射して、電磁界のゾーンを少なくとも形成することができ、そこを通して、生物反応混合物を移動させ、生物反応混合物の処理時間全体の少なくとも一部である期間移動させることができる。図3cに示すように、モジュール2が、この実施形態では、側壁52の外面64に接着剤(粘着剤)層62によって位置付けられているように示されている。別法として又はさらに、機械的位置付け手段を使用して、モジュールが適所に位置付けられる。
【0099】
容器の壁に直接モジュールを位置付けることの代替形態として、モジュールを、壁から距離を置いて、ただし、モジュールから放射された1つ以上の電磁界が壁を通過して内部空間に入り、電磁界に生物反応混合物を曝すことができるように、十分に近接して位置付けてもよい。
【0100】
図3aにおいて、モジュール2は、軸64に沿った柱の形態で、典型的には内部空間50内の生物反応混合物56の最上レベル58に一致する高さまで、配列構成で提供される。図3bにおいて、配列構成は、水平軸66及び垂直軸68に沿って位置付けられる一連のモジュールを提供し、モジュールの数、モジュールの配列の構成、及びモジュールの動作パラメータは、典型的には、処理すべき生物反応混合物、生物反応混合物の量、リアクター容器のサイズ、及び/又は実施するように要求される必要な処理に関して、予め決定されることが理解される。
【0101】
いずれの実施形態においても、処理が完了すると、モジュールを取り出して、その後、即座に再使用するか、又は適宜リサイクル及び/又は再充電及び/又は再プログラミングのために渡すことができる。
【0102】
典型的には、電磁界は、2.4~2.5GHzの範囲で放射され、これは、図4に示すように正51及び負53の分子双極子を有する、水H2Oを含む生物反応混合液に放射されると、図5に示すように双極子51、53を回転させる、電子周波数である。水分子の少なくとも一部が、典型的には2.4~2.5GHz周期(サイクル)で1回転、回転する(57)と、水素H結合が切断及び再形成されて、細胞膜等、処理されている生物反応混合物の水和表面の周囲に撹乱の波が発生するようになる。これにより、他の効果もあるが、とりわけ、膜の周囲の流動性が向上するとともに水性媒体との界面が改善され、そのためプロセスの質及び/又は収率及び/又は促進が改善される。前記周波数範囲の電磁界の放射により、水素結合が切断される時間が水分子の2.4~2.5GHzの範囲の周波数の半周期に対応するように、電磁波55の電界成分の変調と1つ以上の電磁界の周波数範囲の整合とがもたらされる。変化率は、生物反応混合物の温度によっても影響を受ける可能性がある。
【0103】
試験では、装置及び方法は、酵母からのエタノールの発現の使用に適用され、酵母細胞(真核細胞)に対する根本的な有益な効果を有する。圧力変換器は、CO2の発生をエタノールの相対的な量に変換し、そこから、本明細書に定義するようなモジュールを用いた電磁界の放射により、エタノール産生の速度が2倍になるだけでなく、プロセスが終了したときにエタノールの総量もまた増加することが明らかである。
【0104】
他の用途としては、核酸トランスフェクション効率の向上、哺乳類細胞株におけるIgG抗体収率の向上、(プラスチックシート材のライナーは電磁界を透過させるという有益な性質を使用する)シングルユースバイオリアクターへの産業応用、酵母からの治療タンパク質産生の強化、及び従来のバイオリアクターにモジュールを使用した応用が挙げられる。
【0105】
図1a~図1eに示すタイプのモジュールを利用して行った試験において、Sigma Aldrich,USAから提供された125mL容積を有する使い捨てスピナーフラスコ、P/N:CLS3152の形態の「Corning(登録商標)」からのバイオリアクター容器を使用した。図6aに容器70を示し、容器70は、内部に攪拌スターラー74がある内部空間72と、ベース76と、頂部又は蓋78及び側壁80と、連結通路82、84とを有する。実験では、生物反応混合物は細胞培養物を含んでおり、内部空間72内に位置付けた。より具体的には、この一組の実験の材料は、モノクローナルIgG産生CHO細胞株であり、実験では、1つのモジュールの使用とそのモジュールからの電磁界の放射とが、生物反応混合物からの抗体産生に及ぼす影響を研究した。
【0106】
図6bに示すように、容器の側壁80の外面に、本発明によるモジュール2を位置付け、内部空間の側壁の内部で処理すべき生物反応混合物に対して位置付けた。
【0107】
モジュール2には、電磁界用の送信器を1つ入れた。
【0108】
実験の2つのバージョン、すなわち、容器70上の図6bに示す場所に、本発明によるモジュール2を位置付けた第1バージョン(1)と、容器70とともに、バージョン1のモジュール2と同じ場所に、モジュール筐体4のみを備え、電磁界を送信する能力がないようにいかなる構成要素もないダミーデバイスを準備した、第2、対照バージョン(2)とを行った。モジュール2は、各実験の開始時(0日目)にスイッチをオンにし、前記場所に配置した。モジュールのスイッチをオンにしてから、4、6、8及び10日後に、実験の実験バージョン1及び2から達成された抗体収率のサンプリングを行った。
【0109】
実験のキャンペーン(n=6)の平均結果を、以下の表1に示すとともに図6cにグラフで示す。
【表1】
【0110】
モジュール2を使用する実験バージョン1の各サンプリング日において、対照実験バージョン2と比較してより高い抗体収率が観察され、4、6、8及び10日目についてそれぞれ29%、35%、20%及び16%のデルタがあった。10日間を通してモジュール(1)実験バージョンと対照(2)実験バージョンとの間で計算された0.003というp値により、収率の上昇が統計的に有意であり、したがって、電磁界を放射するモジュール2の使用により、抗体の収率が上昇することが統計的にかつ実験的に検証されることが分かった。
【0111】
この実験では、モジュール2から電磁界をパルス状に放射し、放射した1つ以上の電磁界の周波数を、所定期間にわたるモジュールの動作中に変更した。実験では、電磁界はランダムシーケンスで3つの異なる周波数で放射し、これらは、図6dに示すように、ブルートゥース放射プロトコルチャンネル37、38及び39に相当する2402MHz、2426Mhz及び2480MHzであった。
【0112】
異なる周波数の放射の具体的なシーケンスは、0~10ミリ秒のランダムな遅延で、モジュールの動作の期間にわたってランダムであった。
【0113】
マウスハイブリドーマ細胞(MHC)株を用いてさらなる実験を行い、それに関連するIgG産生に対する本発明の効果について調べた。本発明(バージョン1)を使用する3回のランの各々について、細胞数、生存率及び収率に関して得られた結果の平均値を、同一の培養物に対して、ただし本発明によるモジュールを使用せずに、図6a及び図6bに関連して記載した実験に関して示したものと同じ装置を使用して同じ様式及び場所で実施した対照試験ラン(バージョン2)と比較して、以下の表に提供するとともに、図8a~cにグラフで提供する。
【表2】
【0114】
結果において、モジュールを使用した細胞の生存率の上昇及び細胞成長の減速があり、これにより、細胞による産生のレベルが向上し、それにより、累積収率が上昇することになる。3回の対照実験にわたる平均で、モジュール2の使用により、従来の対照結果と比較して、IgG抗体収率が30%上昇した。
【0115】
この産生率の上昇は、8日目の収率を10日目の収率と比較することによって例証することができ、モジュールの使用により、より高い収率が達成された。
【0116】
実験を通してすべての時点において、本発明の装備によるバージョン1の結果における抗体の測定収率は、対照バージョン2よりも一貫して高く、抗体生産率の上昇を指す。さらに、この上昇した率は、一貫して低い総細胞数で達成され、観察された産生能が、本発明におけるより高い持続的生存率及びより高い産生能の結果であることを示す。
【0117】
1つの実施形態では、モジュールは、所定の期間中に連続的に動作させることができ、又は代替的に、モジュールは、モジュールの動作時間の全期間が4時間である場合、モジュールがその時間の25%にわたって1つ以上の電磁界を放射しているように、例えば1時間オン及び3時間オフ等、前記所定の期間の一定の割合にわたって動作するように制御される。
【0118】
典型的には、1つ以上の電磁界を放射するモジュールの動作は、予めプログラムされており、1つの実施形態では、制御システムへの変更の手動入力を通して、又は可能性として無線で新たな制御システムデータの送信を介して、更新することができる。
【0119】
いずれの場合も、電磁界の周波数、及び/又は連続若しくはパルス状電磁界の放射の選択対象は、処理し、放射された1つ以上の電磁界に暴露すべき特定のタイプの生物反応混合物に応じて、選択され、変更され得る。
【0120】
本発明のさらなる実施形態では、図7a及び図7bに関して記載するように、モジュールが破線で示した容器86の壁に近接して位置付けられる代わりに、複数のモジュール2、2’、2’’、2’’’又はモジュール2、2’、2’’、2’’’群が容器の内部空間内に、かつ1つ以上の電磁界に暴露すべき生物反応混合物の中又は部分的に中に位置する。この配置は、生物反応混合物88が比較的低い乱流状態にある場合、すなわち、例えば、生物反応混合物の発酵がプロセスである場合等、生物反応混合物の撹拌等による運動がまったく又はほとんどないことが要求される場合に、特に有用である。この実施形態では、モジュール2に、上述したような構成要素が設けられ、筐体4に、処理されている生物反応混合物88がモジュールの内部空洞に入るのを阻止するように、液密シールが設けられる。モジュール2、2’、2’’、2’’’は、モジュールが異なる中間浮力特性又は値を有するために、図7bに示すように、生物反応混合物88内に配置されたとき、それらが生物反応混合物内で異なる深さまで移動するように適合される。異なる特性又は値は、典型的には、異なる量のある重量の物質、又は同じ量の異なる重量の異なるタイプの物質を、モジュール内に又はモジュール上に配置することによって達成される。したがって、異なる中間浮力レベルを使用することで、モジュール群が生物反応混合物内に配置されるとき、それらが生物反応混合物内の異なる深さに留まり、それにより、そこから放射される電磁界が、電磁界への生物反応混合物の実質的に均一な暴露が確実に達成されるように生物反応混合物内の異なる場所で放射されることが確実になる。
【0121】
これは、さらに、モジュール群の使用者が、単に、すべてのモジュール、又は処理されている生物反応混合物の深さに応じて選択された数のモジュールを、生物反応混合物内に配置し、適切なモジュールを生物反応混合物内に配置することにより、電磁界への実質的に均一な暴露が頂面から底部までの生物反応混合物の全体に及ぶことを確認することができることを意味する。
【0122】
1つの実施形態では、モジュールは、図7aに示すように、モジュール及び群内のモジュールの浮力の等級付けを特定するように、典型的には筐体の外面上に、表示手段90を含む。
【0123】
モジュールが容器の外面に配置される場合、放射される1つ以上の電磁界に対する内部空間内の生物反応混合物の実質的に均一な暴露を確実にするように、モジュールが容器の1つ以上の側壁に沿って配置されることが好ましい可能性があるが、さらに又は別法として、モジュールは、内部空間のベース及び/又は頂壁若しくは蓋に、及び/又はそれらに若しくはそれらから通じるチャネル若しくは通路に位置してもよい。
【0124】
異なる実施形態では、モジュールは、所定の期間中に連続的に動作させることができ、又は別法として、モジュールは、モジュールの動作時間の全期間が4時間である場合、モジュールがその時間の25%にわたって1つの電磁界又は複数の電磁界を放射しているように、例えば1時間オン及び3時間オフ等、前記所定の期間の一定の割合にわたって動作するように制御される。
【0125】
典型的には、電磁界を放射するモジュールの動作は、予めプログラムされており、1つの実施形態では、制御システムへの変更の手動入力を通して、又は可能性として無線で新たな制御システムデータの送信を介して、更新することができる。
【0126】
いずれの場合も、電磁界の周波数、及び/又は連続若しくはパルス状電磁界の放射の選択対象は、処理し放射された電磁界に暴露すべき生物反応混合物の特定のタイプに応じて、選択され、変更され得る。
【0127】
本発明の重要な利点の1つは、モジュールが、容器の形状及び/又はその時点で処理すべき生物反応混合物に最も適した位置に選択的に位置付けられるように提供されることである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
【国際調査報告】