(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】3D筋肉組織用のオールインワンマイクロチャンバ
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20230531BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230531BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20230531BHJP
C12M 1/42 20060101ALN20230531BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12Q1/02
C12N5/077
C12M1/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022566126
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 NL2021050201
(87)【国際公開番号】W WO2021221495
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522422193
【氏名又は名称】ビオンド・ソリューションズ・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】BIOND SOLUTIONS B.V.
【住所又は居所原語表記】Molengraaffsingel 10, 2629 JD Delft, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ガイオ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】キロス・ソラノ、ウィリアム・ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】オスマン、アムル・アブデルハメード・モハメド
(72)【発明者】
【氏名】シルベストリ、シンツィア
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029AA08
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC01
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4B029FA15
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4B063QA05
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4B063QQ08
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4B063QS40
4B063QX04
4B065AA90X
4B065BC42
4B065BC43
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの3D微小環境が存在する3D筋肉組織用のオールインワンマイクロチャンバ、シリコンベースの技術を使用して前記デバイスを製作する方法、さまざまな用途、代表的には細胞又は臓器オンチップ実験及びラブオンチップ実験といった生物学的細胞実験における前記デバイスの使用、並びに微小反応器としての前記デバイスの使用、の分野にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底(11)と少なくとも1つの壁(12)を有する第1のマイクロチャンバ(10a)であって、好ましくは外部から直接アクセスできる開口を含む、第1のマイクロチャンバ(10a)を少なくとも1つ、
前記第1のマイクロチャンバ(10a)内で、前記底(11)から上方へ延びる、細胞又は組織を支持するためのピラー(20)であって、好ましくは高さが1~5000μmで、好ましくは幅が1~2000μmである、ピラー(20)を少なくとも1つ、及び
前記底(11)に埋め込まれ、前記少なくとも1つのマイクロチャンバ(10a)と流体接触する第1のチャネル(30)であって、前記少なくとも1つの第1のチャネル(30)と前記少なくとも1つのマイクロチャンバ(10a)との間の流体接触を提供する選択的バリアを具体化するように、前記底(11)が多孔膜(13)を含むことを特徴とする第1のチャネル(30)を少なくとも1つ、
有する、マイクロ流体デバイス(100)。
【請求項2】
少なくとも1つの、刺激装置(40)、例えば、電気的刺激装置(41)(例.電極)、化学的刺激装置、光学的刺激装置及び機械的刺激装置(42)(例.ポンプ)、並びに/又は組織モニター(例.電極)、を更に有する、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記多孔膜(13)は、少なくとも1つの開口(穴)(11a)、好ましくは開口(11a)のアレイ、例えば1~100開口/μm
2を有する、並びに/又は、
前記アレイはn×m(n>10かつm>10)の開口を有する、
開口の密度が0.001~250/100μm
2である、並びに/又は、
平均開口面積が0.05~500μm
2である、並びに/又は、
前記少なくとも1つのピラーは、好ましくは前記少なくとも1つの開口の近傍及び/若しくは上に設けられる、
請求項1~2のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記多孔膜(13)が、0.05~100μmの薄いポリマー上層(13a)を含み、好ましくは前記ポリマー上層はその中に穴(11a)のマトリックスを有し、
前記ポリマー上層(13a)と接触する50~5000μmの薄いポリマー下層(13b)であり、場合によっては、前記ポリマー下層(13b)に少なくとも部分的に埋め込まれた、少なくとも1つの第2のマイクロチャネル(31)及び/若しくは少なくとも1つの第2のマイクロチャンバ(10b)を含み、
好ましくは、前記少なくとも1つのピラー(20)は、前記少なくとも1つの第1若しくは第2のマイクロチャンバ(10a、10b)の近傍及び/若しくは上に設けられており、好ましくは、前記少なくとも1つのピラー(20)は、前記少なくとも1つの第1若しくは第2のマイクロチャネル(30、31)の近傍及び/若しくは上に設けられており、並びに/又は、
ポリマーフィルム(13)のポリマーが、ガラス、酸化ケイ素、窒化ケイ素、若しくは、生体適合性ポリマー、例えば、ポリシロキサン(例.ポリジメチルシロキサン(PDMS))、ポリイミド、ポリウレタン、ブチルゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、及び、生分解性ポリマー(例.バイオラバー(ポリ(セバシン酸グリセロール)(PGS)及びポリ(1,8-オクタンジオール-co-シトレート)(POC))、並びにこれらの組合せから独立して選択されたものであり、並びに/又は、
前記薄いポリマー上層(13a)は、その少なくとも1つの側に、少なくとも1つの、凹み、溝、トポグラフィカル構造体のような微小特徴、好ましくは少なくとも1つの配向した微小溝、好ましくはx×y方向の微小溝のアレイを含み、ここで微小溝の密度は1~25個/100μm
2であり、並びに/又は、
平均溝面積が0.1~10
6μm
2であり、並びに/又は、
前記少なくとも1つの微小特徴が前記デバイスに対して整列しており、並びに/又は、
前記ポリマー層(13a、13b)が少なくとも1つのアクセスを提供し、前記少なくとも1つのアクセスは、金属パッド、IC、センサー(例.光学センサー)及びヒーターの少なくとも1つへのアクセスであり、並びに/又は、
堅い基板(例.シリコン基板)が前記マイクロチャンバ壁(12)を形成し、並びに/又は、
前記少なくとも1つの第1のマイクロチャンバ(10a)の形状は受容される生体組織又は器官と似ている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記底(11)内に少なくとも1つの電極(41)を含み、好ましくは前記電極(41)は底の上層(11a)に設けられ、
電極の一端は少なくとも1つのピラー(20)と電気的に接触し、前記電極はその別の端にパッドのようなコンタクト(41a)を有し、場合によっては前記電極(41)は絶縁材料(41b)中に組み込まれており、
場合によっては、前記コンタクト(41a)は別の絶縁材料(41c)によって前記壁(12)から電気的に分離されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記多孔膜(13)及び/又は前記少なくとも1つのピラー(2)が、堅い構造体と柔軟な構造体から選択されたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記底は、金属層(13c)を、好ましくは上層(13a)と下層(13b)の間に有し、好ましくは前記金属層にパターンが形成されており、前記金属層は前記少なくとも1つのピラーの変形を検出するように適合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのピラー(20)の断面は、正方形、長方形、長円形、楕円形、円形、三角形、多角形及びこれらの組合せから選択され、並びに/又は、
断面は、前記底(11)から上方に実質的に一定であるか、前記底(11)から上方に徐々に面積が増大し、並びに/又は、
少なくとも1つのピラーが、その頂部に、ポインタ(例.三角形のポインタ)のような光学ガイダ(23)を有し、場合によっては、向かい合ったピラーの光学ガイダは同じ方向若しくは反対方向を指してもよく、及びこれらの組合せであってもよく、並びに/又は、
少なくとも1つのピラー(20)は中空で、好ましくは、前記ピラー(20)の前記中空部分が、第1のチャネル(30)、第2のチャネル(31)、又は、第1若しくは第2のマイクロチャンバ(10a、10b)とマイクロ流体接続している、
請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記デバイスに埋め込まれたポンプの少なくとも1つを更に含み、又は、前記デバイスは、前記底(11)のその堅い部分などに埋め込まれた、ポンプ、弁、歪ゲージ、アクチュエータ、ヒーター、クーラー、フローセンサー、温度センサー、pHセンサー、IC回路、増幅器、アクチュエータ、ホットプレート、微小電極アレイ、イオンセンサー、圧力調整器、さらなるマイクロ流体要素、マイクロチップの少なくとも1つ、集積センサー及び出力(18)から、流体を受け取るように適合されており、並びに/又は、前記デバイスの濡れた/湿ったセクションと乾いたセクションと物理的に分離されており、前記乾いたセクションが電子部品を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記底(11)が、1MPaを超える引張強さ(ISO 527)を有する伸張可能な、及び/若しくは、3GPa未満のヤング率(ISO 527)を有する柔軟な、ポリマーフィルム(13)を有し、又は、前記ポリマーフィルムは堅く、10GPaを超えるヤング率(ISO 527)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
プレートのような支持体(60)を更に含み、好ましくは前記マイクロ流体デバイスは前記支持体(60)に脱着可能に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分を含み、前記少なくとも1つの生きている生物は、未分化細胞、分化細胞、成熟細胞、付着又は浮遊初代細胞のような幹細胞、内皮細胞、トランスフェクション又は非トランスフェクション細胞系、成人細胞、胚性又は人工多能性幹細胞、組織、組織インサート、及び、筋肉や心臓の微小組織などの3D微小組織、スフェロイドやオルガノイドなどの3D培養物、並びにこれらの組合せから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記第1のマイクロチャンバ(10a)に、必要に応じて、筋芽細胞/線維芽細胞/内皮細胞とともに、初代又は人工多能性幹細胞の骨格筋細胞又は心筋細胞を播種し、前記ピラーに固定された筋束の成長を可能にすること、並びに、前記チャネル(30)に、初代、トランスフェクション又は人工多能性幹細胞に由来する内皮細胞を播種し、3D灌流可能な培養物を生み出す、及び/又は前記多孔膜を介して前記筋束を血管化することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイスの使用方法。
【請求項14】
少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分に刺激を与える方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載された少なくとも1つのマイクロ流体デバイス(100)を提供すること、
それぞれが個別に少なくとも1つの細胞を含む、前記少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分を提供すること、
少なくとも1つの刺激を提供すること、及び
試験結果を得ること
を含む方法。
【請求項15】
前記刺激は、例えば、薬物及び生体異物の毒性試験のため、有効性試験のため、in vitroでバリア組織をモデル化するため、完全性の評価及び薬物輸送アッセイのため、薬物代謝研究のため、薬物の薬物動態学及び毒物動態学の研究のため、臓器の代謝及び薬理学的器官の標的化のため、疾病のモデル化のため、疾病の診断のため、疾病の機序を研究するため、予測のため、個別化された正確な医療のため、ドーピングのため、宇宙飛行士のため、薬物相互作用のため、細胞成熟のため、並びに細胞分化のための、化学的刺激、機械的刺激、電気的刺激又は光学的刺激である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分が、未分化細胞、分化細胞、成熟細胞、付着又は浮遊初代細胞のような幹細胞、内皮細胞、トランスフェクション又は非トランスフェクション細胞系、成人細胞、胚性及び人工多能性幹細胞、組織、組織インサート、クラスタ化された細胞、印刷された細胞、オルガノイド、組織生検、腫瘍組織、切除された組織材料、器官外植片、胚様体、及び、筋肉や心臓の微小組織などの3D微小組織、スフェロイドやオルガノイドなどの3D培養物、並びにこれらの組合せから選択される、請求項14~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、少なくとも1つの3D微小環境が存在する3D筋肉組織用のオールインワンマイクロチャンバ、シリコンベースの技術を使用して前記デバイスを製作する方法、さまざまな用途、代表的には細胞又は臓器オンチップ実験及びラボオンチップ(lab-on-a-chip)実験といった生物学的細胞実験における前記デバイスの使用、並びに微小反応器としての前記デバイスの使用、である。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスは、人間によって製作されたマイクロシステム内で少なくとも1つの小さな流体(液体又は気体)を操作することを目的とする技術に関する。このデバイス内には細胞培養物又は個別の細胞などが存在することがある。前記細胞培養物に対する実験は、よく制御された環境内での細胞の維持及び成長に関する。この環境は、自然界で生じる状況に似ていることがある。そのため、自然界で生じる細胞の周囲微小環境内に存在しうる多数の信号のうちの少なくとも1つの信号の適用下で、その細胞を同様に研究できる。
【0003】
マイクロ流体細胞培養は、例えばマイクロ流体中で細胞を培養し、維持し、成長させ、定性的及び定量的に実験及び分析することによって、細胞の操作を試みることである。このようなマイクロ流体細胞培養は、幹細胞培養のような細胞培養、分裂しない細胞又はゆっくりと分裂する細胞を、例えば細胞培養パラメータとマイクロ流体デバイスによって生み出された微小環境条件との間の相互作用に関して、理解する試みに関係している可能性がある。マイクロ流体要素(microfluidics)例えばチャンバ及びチャネルの寸法は、生物学的細胞の物理スケール及び他の用途によく適していると考えられる。
【0004】
一般に、マイクロ流体要素は、良好な程度の制御、例えば細胞培養条件の良好な程度の制御を提供すると考えられる。通常、マイクロ流体要素内の流体の移動は層状であると考えられ;流体の体積は通常10-6~10-12L程度であり、この体積は10~60秒で流れることがあり;例えばチップ内に弁を提供することによって、流量が、体積及びタイミングに関して正確に制御されることがあり;さらに、微小環境の正確な化学的及び物理的制御が可能であり;代表的な先行技術は、制御が不十分になると考えられる手動の手順に依拠しているにもかかわらず、個別に制御可能な複数の細胞培養チャンバを単一のデバイス上に製作することが考えられている。
【0005】
いくつかの先行技術がマイクロ流体デバイスを記載している。国際公開第2016/049363号、国際公開第2016/049365号、国際公開第2016/010861号、国際公開第2016/004394号及び米国特許出願公開第2015/2955534号明細書は比較的に単純な臓器オンチップを記載しており、これらのデバイスは複雑な感知/刺激要素を含むことができず;したがって、これらのデバイスは大部分の用途に対して不適切ではない。
【0006】
本発明の発明者は、このようなマイクロ流体デバイスの基礎的発想を含む、国際出願である国際公開第2018/021906号を出願した。
【0007】
さらなる開発は、先進の機能を有するマイクロチャンバのある複数の側面を目的としているが、通常は1度に1つの側面を目的とする。例えば、ゲルマトリックス用の支持体を提供できる。又は、細胞などを捕獲することを目的とする、流れの経路を提供する先進のマイクロ流体チャネルを有する反応チャンバが提供される。又は細胞を支持するためのカンチレバーが、又は細胞成熟を支援するための培地が提供される。
【0008】
本発明は、機能及び利点を危うくすることなく上記の欠点又はさらなる欠点のうちの1つ以上を解決する汎用性の高い先進のデバイスを製作するデバイス及び方法に関する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1の側面において、底11と少なくとも1つの壁12を有する少なくとも1つの第1のマイクロチャンバ10aであり、好ましくは、第1のマイクロチャンバが、第1のマイクロチャンバに外部から直接アクセスできる開口を含む、第1のマイクロチャンバ10a、マイクロチャンバ内で、底11から上方へ延びる、細胞又は組織を支持するための少なくとも1つのピラー20であり、すなわちピラーは底に載っており、好ましくは、少なくとも1つのピラーの高さは1~2000μmで、好ましくは、少なくとも1つのピラーの幅は1~2000μmの幅である、少なくとも1つのピラー20、及び、底11に埋め込まれ、少なくとも1つのマイクロチャンバ10aと流体接触する少なくとも1つの第1のチャネル30であり、少なくとも1つの第1のチャネル30と少なくとも1つのマイクロチャンバ10aとの間の流体接触を提供する選択的バリアを具現化するように、底11が多孔膜13を含む、少なくとも1つの第1のチャネル30、を有するマイクロ流体デバイス100に関する。多孔膜は、マイクロ流体チャネルを選択的に分離して、(細胞がマイクロチャンバに入ることなく)チャネルの内側に細胞を注入することを可能にし、チャネルの4つの壁をカバーして、組織に非常に近い血管に似た構造体をマイクロチャンバ内に生み出すことを可能にする。膜の孔は、いくつかの細胞は孔を通り抜けないが、栄養分は通り抜けるように設計できる。さらに、それらの孔を、マイクロ流体チャネルから始まる脈管形成及び血管新生を可能にするように設計することもできる。
【0010】
さらに、請求項1に記載のデバイスは、スループットが高く、安価に製作でき、信頼性及び汎用性が高く、良好なハンドリング、例えば細胞の良好なハンドリングを提供し、はるかに幅広い機能を提供するという利点を有する。
【0011】
第1及び第2のマイクロチャンバは、通常5~1000μm程度、好ましくは10~500μm程度、例えば100~300μm程度の寸法(例.断面)を有する。第1及び第2のマイクロチャネルは、通常50~1000μm程度、好ましくは100~700μm程度、例えば400~500μm程度の寸法(例.断面)を有する。
【0012】
本発明のデバイスは、マイクロ流体及びナノ/マイクロスケール要素などがその中に提供される少なくとも2つの別個の層を含む。2つの層は、通常ポリマーでできているが、通常は両者の層とも同じポリマーである必要はなく;第1のポリマー層13aは、基板上、通常はシリコン又はガラスウェーハ上に提供されており、相対的に薄く;本発明の目的上、用語「基板」、「シリコン」及び「ガラス」は相互に交換可能であるとみなされ;上層は、膜に関係しているとみなしてもよく、膜は、選択的バリアに関係しているとみなされ;上層は、好ましくは、その中に開口(又は穴)11aのマトリックスを有し、少なくとも1つの穴は、通過、例えば特定の用途に適合したものとすることができる流体、気体、種(species)、微小粒子、イオンなどの通過を可能にし;上層は、薄く、0.05~30μm、好ましくは0.1~25μm、より好ましくは0.2~20μm、さらにより好ましくは0.5~10μm、例えば1~8μm又は2~6μmの厚さで;相対的に薄いポリマー層13aと接触してより厚いポリマー下層13bがあり;下層は、ポリマー下層に少なくとも部分的に埋め込まれた、少なくとも1つの第2のマイクロチャネル31及び/又は少なくとも1つの第2のマイクロチャンバ10bを含んでいてもよく;これらのマイクロ流体要素の、数、レイアウト、サイズ及びさらなる特性を特定の用途に適合でき;マイクロ流体要素は、例えばウェルの場合に、下層13bに完全に埋め込まれていてもよく、及び/又は部分的に埋め込まれていてもよく;ポリマー下層は上層よりも厚く、好ましくは50~2000μmの厚さで、したがって上層よりも少なくとも1桁厚く、通常は2~3桁厚く;厚さは、好ましくは150~1000μm、より好ましくは200~500μm、さらにより好ましくは250~400μmであり;デバイスは、ポリマーベースのマイクロ流体要素である上層13aとマイクロ流体接触したシリコンベースのマイクロ流体要素を更に含み、シリコンベースのマイクロ流体要素は、デバイスの使用のためにアクセス可能であり、及び/又はアクセス可能にでき;基板、例えばシリコンベースのマイクロ流体要素は、少なくとも部分的にシリコンに埋め込まれた(上を参照されたい)、少なくとも1つの第1のマイクロチャネル30及び/又は少なくとも1つの第1のマイクロチャンバ10aを含み、少なくとも1つの入力16を含んでいてもよく、入力16は、例えば機能上定義されたとき又は必要なときに、ポリマー下層に埋め込まれた、少なくとも1つの第2のマイクロチャネル31及び/又は少なくとも1つの第2のマイクロチャンバ10bとマイクロ流体接触し;支持体又は基板10は、シリコン半導体プロセスで通常使用されるウェーハ、例えばケイ素又はガラスに関連するウェーハであってもよく;この点に関してシリコンに言及されている場合にはいつでも、支持体又は基板10は他の適当な基板に関係するものであってもよく;ポリマー上層13aは、ポリマー上層13aの穴11aのマトリックスによって、基板(シリコン)に埋め込まれた、第1のマイクロチャネル30の少なくとも1つ及び/又は第1のマイクロチャンバ10aの少なくとも1つ(の中の流体要素(fluidic))を、ポリマー下層に埋め込まれた、第2のマイクロチャネル31の少なくとも1つ及び/又は第2のマイクロチャンバ10bの少なくとも1つ(の中の流体要素)から、好ましくは少なくとも部分的に分離するためのものであり;ポリマー及びシリコンのマイクロ流体要素は直接に又は間接的に互いにマイクロ流体接触している。本発明のポリマーは、生体適合性ポリマー、例えば、ポリシロキサン(例.ポリジメチルシロキサン(PDMS))、ポリイミド、ポリウレタン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、及び、ブチルゴム、並びに生分解性ポリマー(例.バイオラバー(ポリ(セバシン酸グリセロールPGS)及びポリ(1,8-オクタンジオール-co-シトレート)(POC))、並びにこれらの組合せから独立して選択される。
【0013】
用語「流体要素」は、気体、液体;及びこれらの組合せに関係していることがあり;「マイクロ流体要素」は、デバイスの境界条件下の流体に関係しているとみなされる。
【0014】
通常はポリマーフィルムを形成するポリマー層、少なくとも1つのマイクロチャネル、例えば2~10個のマイクロチャネル、少なくとも1つのマイクロチャンバ、例えば2~10個のマイクロチャンバ、及び第1のマイクロチャンバ(「マクロチャンバ」とも呼ばれる)によって構成された構成体を、顕微鏡及び/又はカメラ、例えばデバイスの背面/前面に配置された顕微鏡及び/又はカメラを用いて、オフラインで光学的にモニターできる。これらの例の多くで、1つのマクロチャンバ10aだけが存在する。微小環境及び/又はマクロチャンバ内に配置された、微小電極アレイ及び/又は微小製造されたセンサー(例.フロー/温度/pHセンサー)によって、この構成体をオンラインでモニターできる。さらに、マイクロチャンバ/チャネル及びマクロチャンバを通って流れる液体フローによって;同様に、マイクロチャンバ/チャネル及びマクロチャンバを通って流れる気体フローによって;マイクロチャンバ内、マイクロチャネル内及びポリマーフィルムの背面及び前面に与えられた圧力差によって;微小電極アレイによって提供された電気的刺激によって;デバイスの背面/前面に配置された光学システムによって提供された光学的刺激によって;膜に配置された液体フロー又は液体リザーバによって提供された化学的刺激によって;マイクロチャネル/チャンバの内側に配置された他の微小製造されたアクチュエータによって;並びにこれらの組合せによって、この構成体を改変/刺激できる。したがって、このデバイスは汎用性が高いと考えられる。
【0015】
第2の側面において、本発明は、少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分に刺激を与える方法であって、本発明による少なくとも1つのマイクロ流体デバイス(100)を提供すること、それぞれが個別に少なくとも1つの細胞を含む、少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分を、例えばマイクロチャンバ10a内又はチャネル30内に提供すること、少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分に少なくとも1つの刺激を提供すること、及び試験結果を得ることを含む方法に関する。
【0016】
用語「少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分」は、例えば本出願及び請求項の全体を通して識別される、実際の生物、その部分、例えば細胞系、組織など、生きている生物又はその部分に似た生物学的材料、及び他の同様の形態の生物学的材料に関係しているとみなされる。
【0017】
それによって、本発明は、上述の課題の1つ以上に対する解決策を提供する。
【0018】
本発明の利点は、本明細書の全体で詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、第1の側面において、請求項1に記載のデバイスに関する。
【0020】
代表的な態様では、本発明のデバイスが、刺激装置(stimulator)40、例えば電気的刺激装置41(例.電極)、化学的刺激装置、光学的刺激装置及び機械的刺激装置42(例.ポンプ、空気圧/力)、並びに/又は組織モニター(例.電極)、を少なくとも1つ、更に有していてもよい。前記刺激装置を用いることによって、その効果を、生きている生物又はその部分でモニター又は研究できる。
【0021】
本発明のデバイスの代表的な態様では、底11が、少なくとも1つの開口11a、好ましくは開口11aのアレイ、例えば1~100開口/μm2を有していてもよい。
【0022】
本発明のデバイスの代表的な態様では、アレイはn×m(n>10かつm>10)の開口を有する。
【0023】
本発明のデバイスの代表的な態様では、穴の密度は0.001~250/100μm2であってもよい。
【0024】
本発明のデバイスの代表的な態様では、平均穴面積は0.05~500μm2であってもよい。
【0025】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが、好ましくは、少なくとも1つの開口の近傍及び/又は上に設けられてもよい。
【0026】
本発明のデバイスの代表的な態様では、底11が、ポリマーフィルム13を含んでいてもよく、好ましくは、ポリマーフィルムが、0.05~100μmの薄いポリマー上層13aを含み、ポリマー上層は、好ましくは、穴11aのマトリックスをその中に有する。
【0027】
本発明のデバイスの代表的な態様では、底11は、ポリマー上層と接触する50~5000μmのポリマー下層13b、場合によっては、ポリマー下層に少なくとも部分的に埋め込まれた、少なくとも1つの第2のマイクロチャネル31及び/又は少なくとも1つの第2のマイクロチャンバ10bを含んでいてもよい。
【0028】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが、好ましくは、少なくとも1つの第1又は第2のマイクロチャンバの近傍及び/又は上に設けられる。
【0029】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが、好ましくは、少なくとも1つの第1又は第2のマイクロチャネルの近傍及び/又は上に設けられる。
【0030】
代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが、堅い構造のもの又は柔軟な構造のものであるように選択可能である。この側面の利点は、(例えば3D電極として使用することによって)ピラーの機能を増大できることである。さらに、柔軟なものと堅いもののいずれにもすることができるピラーを用いることによって、2つのピラーに固定された組織が受ける力を調整できる。
【0031】
本発明のデバイスの代表的な態様では、ポリマーが、生体適合性ポリマー、例えば、ポリシロキサン(例.ポリジメチルシロキサン(PDMS))、ポリイミド、ポリウレタン、ブチルゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、及び、生分解性ポリマー(例.バイオラバー(PGS)及びポリ1,8-オクタンジオール-co-シトレート(POC))、並びにこれらの組合せから独立して選択されたものであってもよい。
【0032】
本発明のデバイスの代表的な態様では、薄いポリマー上層13aは、その少なくとも1つの側に、少なくとも1つの、凹み、溝、トポグラフィカル構造体(topographical structure)、のような微小特徴(micro-feature)、好ましくは少なくとも1つの配向した微小溝、好ましくはx×y方向の微小溝のアレイを含んでいてもよく、微小溝の密度は1~25個/100μm2である。
【0033】
本発明のデバイスの代表的な態様では、平均溝面積は0.1~106μm2であってもよい。
【0034】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つの微小特徴がデバイスに対して整列していてもよい。
【0035】
本発明のデバイスの代表的な態様では、ポリマー層13a、13bが少なくとも1つのアクセスを提供し、少なくとも1つのアクセスが、金属パッド、IC、センサー(例.光学センサー)及びヒーターのうちの少なくとも1つへのアクセスを提供する。
【0036】
本発明のデバイスの代表的な態様では、堅い基板、例えばシリコン基板がマイクロチャンバ壁12を形成していてもよい。
【0037】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つの第1のマイクロチャンバ10aは、受容される生物学的組織又は生物に似た形状を有していてもよい。
【0038】
代表的な態様では、本発明のデバイスは、底内に少なくとも1つの電極41を含んでいてもよい。
【0039】
本発明のデバイスの代表的な態様では、電極が、好ましくは、底の上層11aに設けられている。
【0040】
本発明のデバイスの代表的な態様では、電極がマイクロチャネル30内に提供されている。
【0041】
本発明のデバイスの代表的な態様では、電極が層13a上に提供されている。
【0042】
本発明のデバイスの代表的な態様では、電極の一端が、少なくとも1つのピラー20と電気的に接触していてもよい。
【0043】
本発明のデバイスの代表的な態様では、電極が、その別の端部にコンタクト41a、例えばパッドを含んでいてもよく、場合によっては、電極は絶縁材料41bに組み込まれており、場合によっては、コンタクト41aがさらなる絶縁材料41cによって壁12から電気的に分離されている。中間金属線によって電極をコンタクト41aと接触させることが可能であり、中間金属線は、まっすぐなものでも、曲がりくねったものでもよく、又は他の適当な経路をたどるものであってもよい。
【0044】
本発明のデバイスの代表的な態様では、底が金属層13cを、好ましくは上層13aと下層13bとの間に有していてもよく、金属層に、好ましくはパターンが形成されており、金属層が少なくとも1つのピラーの変形を検出するように適合されており、例えば、ピラーの曲りを測定する歪ゲージが、ピラーに取り付けられた細胞束の収縮を検出するように適合されている。
【0045】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラー20の断面は、正方形、長方形、長円形、楕円形、円形、三角形、多角形及びこれらの組合せから選択されてもよい。
【0046】
第1のマイクロチャンバの形状を調整して、電極及び中間金属線に加わる応力を低減できる。可能な選択肢は、例えば、
図10b及び10cに示した断面形状を適用することであり、この断面形状は、楕円の相対的に長い仮想の軸の両端に3つの突出部が配置された本質的に楕円の形状である。
【0047】
本発明のデバイスの代表的な態様では、断面は、底から上方へ実質的に一定であってもよく、又は、断面の面積が、底から上方へ徐々に増大していてもよい。
【0048】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが、その頂部に、光学ガイダ23、例えばポインタ、例えば三角形のポインタを備えていてもよく、向かい合ったピラーの光学ガイダが、同じ方向又は反対方向を指してもよく、及びこれらの組合せであってもよい。
【0049】
本発明のデバイスの代表的な態様では、少なくとも1つのピラーが中空であってもよく、好ましくは、ピラーの中空部分が、チャネル30、チャネル31又はマイクロチャンバ10a若しくは10bとマイクロ流体接続している。
【0050】
代表的な態様では、本発明のデバイスが、デバイスに埋め込まれたポンプの少なくとも1つを更に含んでいてもよく、又はポンプ、弁、歪ゲージ、アクチュエータ、ヒーター、クーラー、フローセンサー、温度センサー、pHセンサー、IC回路、増幅器、アクチュエータ、ホットプレート、微小電極アレイ、イオンセンサー、圧力調整器、さらなるマイクロ流体要素から、並びに、マイクロチップ、集積センサー及び出力18、好ましくは、底11例えばその堅い部分に埋め込まれたマイクロチップ、集積センサー及び出力18から、流体を受け取るように適合されていてもよい。
【0051】
本発明のデバイスの代表的な態様では、デバイスの、濡れた/湿ったセクションと乾いたセクションとが物理的に分離されていてもよく、乾いたセクションは電子部品を含む。
【0052】
本発明のデバイスの代表的な態様では、底は、1MPaを超える引張強さ(ISO 527)を有する伸張可能な、及び/又は、3GPa未満のヤング率(ISO 527)を有する柔軟なポリマーフィルムを含んでいてもよい。
【0053】
本発明のデバイスの代表的な態様では、ポリマーフィルムが堅くてもよく、10GPaを超えるヤング率(ISO 527)を有していてもよい。
【0054】
代表的な態様では、本発明のデバイスが、支持体60、例えばプレートを更に含んでいてもよく、マイクロ流体デバイスが、好ましくは、前記支持体に脱着可能に取り付けられている。
【0055】
代表的な態様では、本発明のデバイスが、少なくとも1つの生きている生物又はその生きている部分を含んでいてもよく、少なくとも1つの生きている生物が、未分化細胞、分化細胞、成熟細胞、幹細胞例えば付着又は浮遊初代細胞、トランスフェクション又は非トランスフェクション細胞系、成人、胚性又は人工多能性幹細胞、組織、組織インサート、及び、3D微小組織、例えば筋肉及び心臓微小組織、3D培養物、例えばスフェロイド及びオルガノイド、並びにこれらの組合せから選択される。
【0056】
本発明の方法の代表的な態様では、刺激が、例えば、薬物及び生体異物の毒性試験のため、有効性試験のため、in vitroでバリア組織をモデル化するため、完全性の評価及び薬物輸送アッセイのため、薬物代謝研究のため、薬物の薬物動態学及び毒物動態学の研究のため、臓器の代謝及び薬理学的器官の標的化のため、疾病のモデル化のため、疾病の診断のため、疾病の機序を研究するため、予測のため、個別化された正確な医療のため、ドーピングのため、微小重力研究のため、薬物相互作用のため、細胞成熟のため、並びに細胞分化のための、化学的刺激、機械的刺激、電気的刺激又は光学的刺激であってもよい。
【0057】
本発明の方法の代表的な態様では、方法はin vitroで実行される。
【0058】
本発明の方法の代表的な態様では、少なくとも1つの生きている生物が、未分化細胞、分化細胞、成熟細胞、幹細胞例えば付着又は浮遊初代細胞、トランスフェクション又は非トランスフェクション細胞系、成人細胞、胚性及び人工多能性幹細胞、組織、組織インサート、クラスタ化された細胞、印刷された細胞、オルガノイド、組織生検、腫瘍組織、切除された組織材料、器官外植片、胚様体、及び3D微小組織(例.筋肉及び心臓の微小組織)、3D培養物(例.スフェロイド及びオルガノイド)、並びにこれらの組合せから選択されてもよい。
【0059】
添付した図及び実施例によって本発明を更に詳細に説明する。添付した図及び実施例は、性質を例示及び説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の請求項によって定義された保護の範囲に含まれる明らかな又は明らかでない多くの変形態様を想像できることが当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1a~d、2a~c、3a~f、4a~d、5a~e、6a~d、7~8及び9a~dは、本発明のデバイス及び方法の代表的な態様の詳細を示す。
図10は、デバイスのマイクロチャンバの可能な形状を示す。
【0061】
【
図1】
図1a~dは、2つのピラーと、入口及び出口を通してアクセス可能な1つのチャネルと、チャネル内の貫通穴マトリックスとを含む1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
図1a:側面図。
図1b:上面図。
【
図2】
図2a~cは、長円形のウェルを有し、2つのピラー及びマイクロ流体チャネルを備える1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
図2aは、筋束の収縮によって生じたピラーの変位を識別するための光学ガイダとして使用できるポインタを有する1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
図2cは、デバイスに存在する開口のアレイの拡大図を示す。
【
図3】
図3a~fは、チップの内側のマイクロ流体チャネルの詳細を示す。
図3b~cは
図3aの断面図であり、
図3e~fは
図3dの断面図である。
【
図4】
図4a~dは、デバイスに存在する2つのピラーによって支持された筋束を含む本発明のデバイス(
図4a、b)、及び筋束を含まない本発明のデバイス(
図4c、d)の詳細の画像を示す。矢印は流れの経路を示す。
【
図5】
図5a~eは、本発明の断面の詳細を示す。
図5a~eは、筋束あり及びなしで弛緩した状態にあるとき、マイクロチャンバと厚いポリマー層の背面との間に圧力差を与えることによってポリマー層が伸張しているときの、1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
図5eは、チップに挿入された組織及び細胞を刺激及びモニターするためにコンタクトパッドを介して電気的にアクセス可能なピラーを有する1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。この図は、底内に少なくとも1つの電極(41)を更に含むマイクロ流体デバイスを示し、電極は、好ましくは、底の上層(11a)に提供されており、電極の一端は、少なくとも1つのピラー(20)と電気的に接触しており、電極は、その別の端部にコンタクト(41a)、例えばパッドを含み、場合によっては、電極は絶縁材料(41b)に組み込まれており、場合によっては、コンタクト(41a)はさらなる絶縁材料(41c)によって壁(12)から電気的に分離されている。
図5eは、コンタクトパッド41a、及びコンタクトパッド41aを介して電気的にアクセス可能なピラー20を示す。
【
図6】
図6a~bは、ピラーの断面の面積が底から上方へ徐々に増大している1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
図6c~dは、筋束の収縮によって生じたピラーの変位を識別するための光学ガイダとして使用できるポインタを備えた1つのデバイスの代表的な態様の詳細を示す。
【
図7】
図7は、少なくとも1つのピラー(20)が中空であり、好ましくは、ピラー(20)の中空部分が、第1のチャネル(30)、又は第2のチャネル(31)、又は第1若しくは第2のマイクロチャンバ(10a、10b)とマイクロ流体接続している、1つのデバイスの代表的な態様のさらなる断面を示す。矢印は流れの経路を示す。
【
図8】
図8は、支持体(60)、例えばプレートを含み、マイクロ流体デバイスが、好ましくは、前記支持体(60)に脱着可能に取り付けられている、デバイスを示す。
【
図9】
図9は、デバイスの内側で培養されている細胞を含まない(a)及び含む(b、c、d)、1つのデバイスの代表的な態様のさらなる断面を示す。ピラー(20)を使用して筋束(50)を支持できる(
図9b)。細胞は、マイクロ流体チャネルの内側で(
図9c)、又はマクロチャンバの底で(
図9d)培養することもできる。
図9b、c、dに示した細胞培養を組み合わせることができる。
【
図10】
図10は、本発明のデバイスのマイクロチャンバのいくつかの可能な形状を示す。
【0062】
実施例/実験
詳細な説明の文脈で説明したが、本発明は、添付の例及び図とともに検討することで最もよく理解されることがある。
【符号の説明】
【0063】
図では、以下の数字が、数字の後に記載された特徴を示す。
100 マイクロ流体デバイス
10a 第1のマイクロチャンバ
10b 第2のマイクロチャンバ
11 第1のマイクロチャンバの底
11a 開口
12 第1のマイクロチャンバの壁
13 ポリマーフィルム
13a 薄いポリマー上層
13b ポリマー下層
13c 金属下層
18 出力
20 ピラー
23 光学ガイダ
30 第1のマイクロチャネル
31 第2のマイクロチャネル
40 刺激装置
41 電気的刺激装置
41a 電極コンタクト
41b 電極絶縁体材料
41c 電極/壁絶縁体
42 機械的刺激装置
43 シリコン
50 組織(例.筋束)
60 支持体
【国際調査報告】