(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】グラフト改質ポリプロピレン材料およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08F 255/02 20060101AFI20230531BHJP
H01B 3/44 20060101ALI20230531BHJP
H01B 9/02 20060101ALI20230531BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20230531BHJP
H01B 7/295 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C08F255/02
H01B3/44 P
H01B9/02 A
H01B3/44 G
H01B7/18 H
H01B7/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566142
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020127507
(87)【国際公開番号】W WO2021218104
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010357817.X
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357821.6
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357842.8
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357843.2
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357844.7
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357845.1
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357846.6
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010357848.5
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010359046.8
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010359067.X
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010359070.1
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010359073.5
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】506259634
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Qinghuayuan,Haidian District,Beijing 100084,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】袁浩
(72)【発明者】
【氏名】宋文波
(72)【発明者】
【氏名】何金良
(72)【発明者】
【氏名】邵清
(72)【発明者】
【氏名】李▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】張▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】施紅偉
(72)【発明者】
【氏名】李娟
(72)【発明者】
【氏名】王宇韜
(72)【発明者】
【氏名】胡軍
(72)【発明者】
【氏名】張暁萌
(72)【発明者】
【氏名】周▲ヤオ▼
【テーマコード(参考)】
4J026
5G305
5G313
5G315
【Fターム(参考)】
4J026AA12
4J026AA13
4J026AC29
4J026AC33
4J026AC36
4J026BA05
4J026BA43
4J026BB01
4J026DB07
4J026DB15
4J026DB23
4J026GA01
5G305AA02
5G305AB02
5G305AB06
5G305AB15
5G305AB16
5G305AB24
5G305AB27
5G305BA15
5G305CA01
5G305CA53
5G305CB13
5G305CD01
5G305CD09
5G305CD13
5G305CD20
5G305DA23
5G313AB02
5G313AC02
5G313AC07
5G313AD03
5G313AE02
5G315CA03
5G315CB02
5G315CC08
5G315CD02
(57)【要約】
本発明は重合体の分野に属し、絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料およびその調製方法に関する。グラフト改質ポリプロピレン材料は、ポリプロピレン共重合体に由来する構造単位と、アルケニル含有重合性モノマーに由来する構造単位と、を含み、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、0.1~14重量%であり、ポリプロピレン共重合体は、以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が0.5~40モル%である;キシレン可溶物の含有量が2~80重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が10~70重量%である;ポリプロピレン共重合体に対する、キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5である。本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料は、より高い使用温度で機械的特性および電気的特性の両方を考慮することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料であって、
ポリプロピレン共重合体由来の構造単位と、アルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位とを含み、
前記グラフト改質ポリプロピレン材料における、前記アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、前記グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、
前記ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する、グラフト改質ポリプロピレン材料:
コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;
キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;
前記キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;
前記ポリプロピレン共重合体に対する前記キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【請求項2】
前記ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
230℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが、0.01~60g/10分、好ましくは0.05~35g/10分、より好ましくは0.5~15g/10分である;
融点Tmが、100℃以上、好ましくは110~180℃、より好ましくは110~170℃、さらに好ましくは120~170℃、さらにより好ましくは120~166℃である;
重量平均分子量が好ましくは20×10
4~60×10
4g/molである。
【請求項3】
前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、プロピレン以外のC
2-C
8のα-オレフィンから選択される少なくとも1つであり;
好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択される少なくとも1つであり;
さらに好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、エチレンおよび/または1-ブテンであり;
さらにより好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体がプロピレンおよびエチレンからなる、請求項1または2に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項4】
ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーの固相グラフト反応によって調製される、請求項1~3のいずれか1項に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項5】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;
曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;
破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。
【請求項6】
以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度E
gが180kV/mm以上、好ましくは180~800kV/mmである;
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度E
gと前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、0.7%を超え、好ましくは0.8~50%、より好ましくは2~35%、さらに好ましくは5~25%である;
90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρ
vgが6×10
12Ω.m以上、好ましくは6×10
12Ω.m~1.0×10
20Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での前記ポリプロピレン共重合体の直流体積抵抗率ρ
vに対する、90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρ
vgの割合(ρ
vg/ρ
v)が1を超え、好ましくは1.1~50、より好ましくは1.15~20、さらに好ましくは1.2~10である。
【請求項7】
前記アルケニル含有重合性モノマーが式1で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つである、請求項1~6のいずれか1項に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
【化1】
式1中、
R
b、R
c、R
dはそれぞれ独立して、H、置換または非置換アルキルから選択され;R
aは置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換エステル基、置換または非置換カルボキシル、置換または非置換シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換シリルから選択される。
【請求項8】
R
b、R
c、R
dがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
aが置換または非置換C
1-C
20アルキル、置換または非置換C
1-C
20アルコキシ、置換または非置換C
6-C
20アリール、置換または非置換C
1-C
20エステル基、置換または非置換C
1-C
20カルボキシル、置換または非置換C
3-C
20シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換C
3-C
20シリルから選択され、その置換基がハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
12アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12アシルオキシである、請求項7に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項9】
R
b、R
c、R
dがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
aが、式2で表される基、式3で表される基、式4で表される基、式5で表される基、式6で表される基、式6で表される基と式7で表される基との組合せ、複素環基から選択され:
【化2】
式2中、
R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され、
好ましくは、R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化3】
式3中、
R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され、
好ましくは、R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化4】
式4中、
R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され、
好ましくは、R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化5】
式5中、
R’、R’’、R’’’はそれぞれ独立して、C
1-C
12直鎖アルキル、C
3-C
12分岐アルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12アシルオキシから選択され、
好ましくは、R
1は、C
2-C
6アルケニル、好ましくは一価不飽和アルケニルであり、
R
2、R
3、R
4はそれぞれ独立して、C
1-C
6直鎖アルキル、C
3-C
6分岐アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシ、置換または非置換C
1-C
6アシルオキシから選択され;
【化6】
【化7】
式6中、
R
mは、置換または非置換であり、C
1-C
20直鎖アルキル、C
3-C
20分岐アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
12エポキシアルキル、C
3-C
12エポキシアルキルアルキルのうちの基から選択され、その置換基がハロゲン、アミノおよびヒドロキシから選択される少なくとも1つであり;
前記複素環基は、イミダゾリル、ピラゾリル、カルバゾリル、ピロリジノニル、ピリジル、ピペリジニル、カプロラクタム基、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、モルホリニル、オキサゾリニルから選択される、請求項7に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項10】
前記グラフト改質ポリプロピレン材料が芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料であり、
前記アルケニル含有重合性モノマーがスチレンモノマーであり、
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料における、前記スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~14重量%、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~5重量%であり;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、式8で表される構造を有するモノマー、式9で表される構造を有するモノマーおよび式10で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【化8】
式8中、
R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され、
好ましくは、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化9】
式9中、
R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され;
好ましくは、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化10】
式10中、
R
1’、R
2’、R
3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され;
好ましくは、R
1’、R
2’、R
3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、一置換または多置換スチレン、一置換または多置換α-メチルスチレン、一置換または多置換1-ビニルナフタレン、および、一置換または多置換2-ビニルナフタレンから選択される少なくとも1つであり;その置換基が好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
8直鎖アルキル、C
3-C
8分岐アルキルまたはシクロアルキル、C
1-C
6直鎖アルコキシ、C
3-C
8分岐アルコキシまたはシクロアルコキシ、C
1-C
8直鎖エステル基、C
3-C
8分岐エステル基または環状エステル基、C
1-C
8直鎖アミン基、および、C
3-C
8分岐アミン基または環状アミン基から選択される少なくとも1つであり;
より好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-メチルスチレンから選択される少なくとも1つである、請求項7に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項11】
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項10に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;
曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;
破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。
【請求項12】
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項10に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料:
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度E
gが200kV/mm以上、好ましくは200~800kV/mmである;
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度E
gと前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、1.5%を超え、好ましくは1.6~40%、より好ましくは5~30%、さらに好ましくは10~20%である;
90℃および15kV/mm電界強度での前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρ
vgが1.0×10
13Ω.m以上、好ましくは1.5×10
13Ω.m~1.0×10
20Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρ
vに対する、90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρ
vgの割合(ρ
vg/ρ
v)が1を超え、好ましくは1.5~50、より好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10である。
【請求項13】
絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料の調製方法であって、
ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーを含む反応混合物を不活性ガスの存在下でグラフト反応させて、前記グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程を含み、
前記グラフト反応の条件は以下の条件である、方法:
前記グラフト改質ポリプロピレン材料における、前記アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、前記グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、
前記ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する:
コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;
キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;
前記キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;
前記ポリプロピレン共重合体に対する前記キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【請求項14】
前記ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つを有する、請求項13に記載の方法:
230℃における2.16kg荷重下のフローレートが、0.01~60g/10分、好ましくは0.05~35g/10分、より好ましくは0.5~15g/10分である;
融点Tmが、100℃以上、好ましくは110~180℃、より好ましくは110~170℃、さらに好ましくは120~170℃、さらにより好ましくは120~166℃であり;
重量平均分子量が好ましくは20×10
4~60×10
4g/molである。
【請求項15】
前記反応混合物がフリーラジカル開始剤をさらに含み;
好ましくは、前記フリーラジカル開始剤が、過酸化物系フリーラジカル開始剤および/またはアゾ系フリーラジカル開始剤から選択され;
前記過酸化物系フリーラジカル開始剤が好ましくは、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、過酸化ラウロイル、過酸化ドデシル、tert-ブチルペルオキシ安息香酸、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)およびジシクロヘキシルペルオキシジカーボネートから選択される少なくとも1つであり;
前記アゾ系フリーラジカル開始剤が好ましくは、アゾビスイソブチロニトリルおよび/またはアゾビスイソヘプトニトリルである、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応混合物が分散剤、界面剤、および有機溶媒のうちの少なくとも1つをさらに含み、
前記分散剤の質量含有量が、前記ポリプロピレン共重合体の質量の50~300%であり、
前記界面剤の質量含有量が、前記ポリプロピレン共重合体の質量の1~30%であり、
前記有機溶媒の質量含有量が、前記ポリプロピレン共重合体の質量の1~35%である、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記調製方法が以下の工程を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)フリーラジカル開始剤およびアルケニル含有重合性モノマーを前記密閉反応器に添加し、撹拌しながら混合する工程;
(c)界面剤を任意に添加し、反応系を任意に膨潤させる工程;
(d)分散剤を任意に添加し、前記反応系をグラフト反応温度に加熱して、グラフト反応を実施する工程;
(e)前記反応終了後、任意に濾過し、乾燥させて、前記グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【請求項18】
前記調製方法が以下の工程を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)有機溶媒とフリーラジカル開始剤とを混合し、混合物を密閉反応器に添加する工程;
(c)前記有機溶媒を除去する工程;
(d)アルケニル含有重合性モノマーを添加し、界面剤を任意に添加し、反応系を任意に膨潤させる工程;
(e)分散剤を任意に添加し、前記反応系をグラフト反応温度に加熱して、グラフト反応を実施する工程;
(f)前記反応終了後、任意に濾過し、乾燥させて、前記グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【請求項19】
前記グラフト反応の温度が30~130℃、好ましくは60~120℃であり、その時間が0.5~10時間、好ましくは1~5時間である、請求項13~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記アルケニル含有重合性モノマーが式1で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つである、請求項13~19のいずれか1項に記載の方法:
【化11】
式1中、
R
b、R
c、R
dはそれぞれ独立して、H、置換または非置換アルキルから選択され;R
aは置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換エステル基、置換または非置換カルボキシル、置換または非置換シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換シリルから選択される。
【請求項21】
前記グラフト改質ポリプロピレン材料が芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料であり、
前記アルケニル含有重合性モノマーがスチレンモノマーであり、
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料における、前記スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~14重量%、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~5重量%であり;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、式8で表される構造を有するモノマー、式9で表される構造を有するモノマーおよび式10で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【化12】
式8中、
R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され、
好ましくは、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4-R
8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化13】
式9中、
R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され;
好ましくは、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4-R
10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
【化14】
式10中、
R
1’、R
2’、R
3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
6アルキルから選択され;
R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C
1-C
12アルキル、置換または非置換C
3-C
12シクロアルキル、置換または非置換C
1-C
12アルコキシ、置換または非置換C
1-C
12エステル基、置換または非置換C
1-C
12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
12アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、C
1-C
12エステル基、C
1-C
12アミン基から選択され;
好ましくは、R
1’、R
2’、R
3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C
1-C
3アルキルから選択され、R
4’-R
10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C
1-C
6アルキル、置換または非置換C
1-C
6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシから選択され;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、一置換または多置換スチレン、一置換または多置換α-メチルスチレン、一置換または多置換1-ビニルナフタレン、および、一置換または多置換2-ビニルナフタレンから選択される少なくとも1つであり;その置換基が好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C
1-C
8直鎖アルキル、C
3-C
8分岐アルキルまたはシクロアルキル、C
1-C
6直鎖アルコキシ、C
3-C
8分岐アルコキシまたはシクロアルコキシ、C
1-C
8直鎖エステル基、C
3-C
8分岐エステル基または環状エステル基、C
1-C
8直鎖アミン基、および、C
3-C
8分岐アミン基または環状アミン基から選択される少なくとも1つであり;
より好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-メチルスチレンから選択される少なくとも1つである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フリーラジカル開始剤と前記スチレンモノマーとの質量比が、0.1~10:100、好ましくは0.5~5:100である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記スチレンモノマーと前記ポリプロピレン共重合体との質量比が、0.5~16:100、好ましくは1~12:100、より好ましくは2~10:100である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項13~23のいずれか1項に記載の方法により得られる、絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料。
【請求項25】
請求項1~12のいずれか1項に記載のグラフト改質ポリプロピレン材料、または、請求項13~23のいずれか1項に記載の方法によって得られるグラフト改質ポリプロピレン材料の、絶縁材料としての使用。
【請求項26】
前記絶縁材料がケーブル絶縁材料、好ましくは直流ケーブル絶縁材料である、請求項1~12および24のいずれか1項に記載の絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料、または、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記絶縁材料がケーブル絶縁層材料である、請求項1~12および24のいずれか1項に記載の絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料、または、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
少なくとも1つの導体と、前記導体を取り囲む少なくとも1つの電気絶縁層とを含み、
前記電気絶縁層の材料が請求項1~12および24のいずれか1項に記載の少なくとも1つのグラフト改質ポリプロピレン材料である、ケーブル。
【請求項29】
前記ケーブルが少なくとも1つのケーブル芯を有し、
各ケーブル芯が、内側から外側に向かって、導体、任意の導体遮蔽層、電気絶縁層、任意の電気絶縁遮蔽層、任意の金属遮蔽層を含む、請求項28に記載のケーブル。
【請求項30】
前記ケーブルが、外装および/またはシース層をさらに含む、請求項29に記載のケーブル。
【請求項31】
前記ケーブルが、充填層および/または包装層をさらに含む、請求項29に記載のケーブル。
【請求項32】
前記ケーブルが直流ケーブルまたは交流ケーブルであり、好ましくは前記ケーブルが直流ケーブルである、請求項28に記載のケーブル。
【請求項33】
請求項1~12および24のいずれか1項に記載の少なくとも1つのグラフト改質ポリプロピレン材料を含む、絶縁材料。
【請求項34】
前記少なくとも1つのグラフト改質ポリプロピレン材料の含有量が、前記絶縁材料の重量に対して、20~100重量%、好ましくは40~100重量%、より好ましくは60~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、よりさらに好ましくは90~100重量%である、請求項33に記載の絶縁材料。
【請求項35】
酸化防止剤、安定剤、加工助剤、難燃剤、水トリー遅延添加剤、酸またはイオン捕捉剤、無機充填剤、電圧安定剤、および銅阻害剤から選択される1つ以上をさらに含む、請求項33または34に記載の絶縁材料。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は重合体の分野に属し、特に、グラフト改質ポリプロピレン材料、グラフト改質ポリプロピレン材料を調製する方法、該方法によって得られるグラフト改質ポリプロピレン材料、並びに該グラフト改質ポリプロピレン材料およびケーブルの使用に関する。
【0002】
[背景技術]
電気絶縁特性に優れ、製造コストが低いことから、高分子重合体材料は、電気工学分野および電力産業における電気機器の絶縁材料として広く使用されている。中でも、ポリエチレンに代表される単純な構造を有する重合体プラスチック絶縁材料は特に用途が広く、これに基づいて開発された架橋ポリエチレン、共重合ポリオレフィン、ゴム材料は、発動機および変圧器の絶縁、回路の絶縁、ならびに遮断器の絶縁に広く応用されている。エチレン系重合体絶縁材料は、より良好な機械的特性および熱特性、優れた電気絶縁特性およびより低い価格を有し、工学において開発された比較的成熟した絶縁材料である。
【0003】
電力産業の急速な発展に伴い、電力網システムは、より高い電圧レベルおよびより大きな電気エネルギー伝送容量に近づき、絶縁材料の性能に対するより高い要求が提起されている。この傾向において、従来のポリエチレン系絶縁材料は、より高い長期使用温度および電界の要件を満たさない(現在利用可能な架橋ポリエチレン絶縁材料の最大長期使用温度は70℃である)。したがって、高い使用温度および電界強度の要件を満たすための電気機器のための新しい絶縁材料の開発が緊急に必要とされている。
【0004】
ポリプロピレン材料は、単純な構造を有する重合体プラスチックとして、ポリエチレン材料の全ての利点を有する。ポリエチレンと比較して、ポリプロピレンは、より良好な電気絶縁性能およびより高い融点を有し、絶縁材料としてより厳しい使用環境に適合することが期待される。しかしながら、ポリプロピレンは、ポリエチレンに比べて機械的特性がやや劣り、特に低温で脆く、絶縁材料として直接使用することができない。そのため、高温・高電界下での絶縁性能を維持するためには、ポリプロピレン材料を改質して、電気、機械、および熱特性の総合的な制御を達成する必要がある。
【0005】
多くの文献およびデータは、改質のためにポリプロピレン材料中にナノ粒子をドープすることが、その電気絶縁性能を改善するための有効な方法であることを示している。しかしながら、実際の製造においては、ナノ粒子のドープ挙動を制御することが難しいことに起因するナノ粒子の凝集が容易であるために、材料の絶縁性能が逆に低下するという問題点があり、実際の工学におけるその広範な用途を制限している。
【0006】
したがって、明らかな絶縁性能制御能力を有し、機械的特性と熱特性との両方を考慮することができ、安定した性能と簡便な調製とを有し、工学における実用化に適した新規な改質ポリプロピレン材料を探索する必要がある。
【0007】
[発明の内容]
本発明は、従来技術の上記の欠点を克服することを目的とし、より高い使用温度で機械的特性および電気的特性の両方を考慮することができ、高温および高い作動電界強度の使用条件に適した、新規なグラフト改質ポリプロピレン材料を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様は、絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料であって、グラフト改質ポリプロピレン材料が、ポリプロピレン共重合体に由来する構造単位と、アルケニル含有重合性モノマーに由来する構造単位と、を含み、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;ポリプロピレン共重合体に対する、キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である、グラフト改質ポリプロピレン材料を提供することである。
【0009】
本発明の第2の態様は、絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料の調製方法であって、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーを含む反応混合物を不活性ガスの存在下でグラフト反応させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程を含み、グラフト反応の条件は以下の条件である、方法を提供することである:グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;ポリプロピレン共重合体に対する、キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記の調製方法により得られた絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料を提供することである。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記グラフト改質ポリプロピレン材料の、絶縁材料としての使用を提供することである。
【0012】
本発明の第5の態様は、ケーブルであって、少なくとも1つの導体と、前記導体を取り囲む少なくとも1つの電気絶縁層とを含み、前記電気絶縁層の材料が、上記のグラフト改質ポリプロピレン材料であることを特徴とする、ケーブルを提供することである。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記のグラフト改質ポリプロピレン材料を含むことを特徴とする、絶縁材料を提供することである。
【0014】
[図面の簡単な説明]
図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルの概略断面図である。
【0015】
(符号の説明)
1-導体、2-導体層、3-電気絶縁層、4-電気絶縁遮蔽層、5-金属遮蔽層、6-内側シース層、7-外装、8-外側シース層。
【0016】
[発明の詳細な説明]
本発明の第1の態様は、絶縁材料用のグラフト改質ポリプロピレン材料であって、ポリプロピレン共重合体由来の構造単位と、アルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位とを含み、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%である、グラフト改質ポリプロピレン材料を提供するものである。
【0017】
ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【0018】
本発明において、用語「構造単位」は、グラフト改質ポリプロピレン材料の一部であることを意味し、その形態は限定されない。具体的には、用語「ポリプロピレン共重合体由来の構造単位」は、「ラジカル」形態のものだけでなく、「重合体」形態のものも含む、ポリプロピレン共重合体から形成される生成物を指す。用語「アルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位」は、「ラジカル」形態のものだけでなく、「モノマー」形態のもの、ならびに「重合体」形態のものも含む、アルケニル含有重合性モノマーから形成される生成物を指す。前記「構造単位」は、繰り返し単位であってもよく、繰り返しでない独立単位であってもよい。
【0019】
「グラフト化された状態である」アルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位は、ポリプロピレン共重合体との共有結合(グラフト)を形成するアルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位を指す。
【0020】
本発明において、ポリプロピレン共重合体の「コモノマー」という用語は、当業者に公知であり、プロピレンと共重合されたモノマーを意味する。
【0021】
本発明によれば、好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料は、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーのグラフト反応、好ましくは固相グラフト反応によって調製される。本発明のグラフト反応はラジカル重合反応であり、したがって「グラフト化された状態である」とは、反応物がラジカル重合に供された後、別の反応物との結合を形成している状態を意味する。結合は、直接的な結合および間接的な結合の両方を含む。
【0022】
グラフト反応中、アルケニル含有重合性モノマーは、それ自体で、または互いに重合して、ある量の非グラフト重合体を形成してもよい。本発明において用語「グラフト改質ポリプロピレン材料」は、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーのグラフト反応によって直接得られる生成物(粗生成物)だけでなく、生成物をさらに精製することによって得られるグラフト改質ポリプロピレン純生成物も含む。
【0023】
本発明によれば、ポリプロピレン共重合体(本発明における基礎ポリプロピレン)は、エチレングリコールもしくはより高級なα-オレフィンまたはそれらの混合物を含むプロピレン共重合体である。具体的には、ポリプロピレン共重合体のコモノマーは、プロピレン以外のC2-C8のα-オレフィンから選択される少なくとも1つである。プロピレン以外のC2-C8のα-オレフィンは:エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択される少なくとも1つ、好ましくはエチレンおよび/または1-ブテンを含むが、これらに限定されず、さらに好ましくは、ポリプロピレン共重合体はプロピレンおよびエチレンからなる。
【0024】
本発明のポリプロピレン共重合体は、異相プロピレン共重合体であってもよい。異相プロピレン共重合体は、プロピレン単独重合体またはプロピレンランダム共重合体マトリックス構成要素(1)と、その中に分散された別のプロピレン共重合体構成要素(2)とを含有し得る。プロピレンランダム共重合体において、コモノマーは、プロピレン重合体の主鎖中にランダムに分布している。好ましくは、本発明のポリプロピレン共重合体は、既存の処理によって、反応器においてインサイチュで調製される異相プロピレン共重合体である。
【0025】
好ましい実施形態によれば、異相プロピレン共重合体は、プロピレン単独重合体マトリックスまたはランダム共重合体マトリックス(1)と、その中に分散された1つ以上のエチレンまたはより高級なα-オレフィンコモノマーを含むプロピレン共重合体構成要素(2)とを含む。異相プロピレン共重合体は、海島構造または共連続構造であってもよい。
【0026】
2つの異相プロピレン共重合体、すなわち、マトリックス相としてプロピレンのランダム共重合体を含有する異相プロピレン共重合体、またはマトリックス相としてプロピレンの単独重合体を含有する異相プロピレン共重合体は、当技術分野において公知である。ランダム共重合体マトリックス(1)は、コモノマー部分が重合体鎖上にランダムに分布している共重合体であり、言い換えれば、交互配列のランダム長(単一分子を含む)の2つのモノマー単位からなる。好ましくは、マトリックス(1)中のコモノマーは、エチレンまたはブテンから選択される。マトリックス(1)中のコモノマーは、エチレンであることが特に好ましい。
【0027】
好ましくは、異相プロピレン共重合体の単独または共重合体マトリックス(1)中に分散されたプロピレン共重合体(2)は、実質的に非晶質である。用語「実質的に非晶質」は、本明細書において、プロピレン共重合体(2)が、単独または共重合体マトリックス(1)よりも低い結晶化度を有することを意味する。
【0028】
本発明によれば、上記組成的特徴に加えて、ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【0029】
本発明によれば、好ましくは、ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つをさらに有する:230℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが、0.01~60g/10分、好ましくは0.05~35g/10分、より好ましくは0.5~15g/10分である。融点Tmが、100℃以上、好ましくは110~180℃、より好ましくは110~170℃、さらに好ましくは120~170℃、さらにより好ましくは120~166℃である。重量平均分子量が好ましくは20×104~60×104g/molである。高いTmを有する基礎ポリプロピレンは、低温および高温の両方で十分な衝撃強度および可撓性を有し、加えて、高いTmを有する基礎ポリプロピレンを使用する場合、本発明のグラフト改質ポリプロピレンは、より高い使用温度に耐えることができるという利点を有する。本発明のポリプロピレン共重合体は、好ましくは多孔質の顆粒状または粉末状の樹脂である。
【0030】
本発明によれば、好ましくは、ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つをさらに有する:曲げ弾性率が10~1000MPa、好ましくは50~600MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%である。好ましくは、ポリプロピレン共重合体の引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0031】
本発明のポリプロピレン共重合体は、例えば、Sinopec Wuhan Petrochemicalが提供しているNS06、Sinopec Qilu Petrochemicalが提供しているSPF179などの、本発明に適切な任意の市販のポリプロピレン粉末を含むことができるが、これらに限定されない。また、中国特許CN1081683、CN1108315、CN1228096、CN1281380、CN1132865C、CN102020733Aなどに記録されている重合プロセスによっても製造することができる。一般的な重合プロセスとしては、Basellが提供しているSpheripol法、Mitsui oil chemicalが提供しているHypol法、Borealisが提供しているBorstar PP法、DOW chemicalが提供しているUnipol法、INEOS(元のBP-Amoco)が提供しているInnovene気相法などが挙げられる。
【0032】
本発明によれば、好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料の引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0033】
本発明によれば、好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:
グラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが180kV/mm以上、好ましくは180~800kV/mmである;
グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egとポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、0.7%を超え、好ましくは0.8~50%、より好ましくは2~35%、さらに好ましくは5~25%である;
90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが6×1012Ω.m以上、好ましくは6×1012Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度でのポリプロピレン共重合体の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.1~50、より好ましくは1.15~20、さらに好ましくは1.2~10である。
【0034】
好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃および50Hzにおける誘電率が2.0を超え、好ましくは2.1~2.5である。
【0035】
本発明によれば、アルケニル含有重合性モノマーが式1で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つである。
【0036】
【0037】
式1中、Rb、Rc、Rdはそれぞれ独立して、H、置換または非置換アルキルから選択され;Raは置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換エステル基、置換または非置換カルボキシル、置換または非置換シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換シリルから選択される。
【0038】
本発明によれば、好ましくは、Rb、Rc、Rdがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;Raが置換または非置換C1-C20アルキル、置換または非置換C1-C20アルコキシ、置換または非置換C6-C20アリール、置換または非置換C1-C20エステル基、置換または非置換C1-C20カルボキシル、置換または非置換C3-C20シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換C3-C20シリルから選択され、その置換基がハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C12アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12アシルオキシである。
【0039】
本発明によれば、好ましくは、Rb、Rc、Rdがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
Raが、式2で表される基、式3で表される基、式4で表される基、式5で表される基、式6で表される基、式6で表される基と式7で表される基との組合せ、複素環基から選択され:
【0040】
【0041】
式2中、R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、好ましくは、R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され;
【0042】
【0043】
式3中、R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、好ましくは、R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0044】
【0045】
式4中、R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、好ましくは、R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0046】
【0047】
式5中、R’、R’’、R’’’はそれぞれ独立して、C1-C12直鎖アルキル、C3-C12分岐アルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12アシルオキシから選択され、好ましくは、R1は、C2-C6アルケニル、好ましくは一価不飽和アルケニルであり、R2、R3、R4はそれぞれ独立して、C1-C6直鎖アルキル、C3-C6分岐アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシ、置換または非置換C1-C6アシルオキシから選択され;
【0048】
【0049】
【0050】
式6中、Rmは、置換または非置換であり、C1-C20直鎖アルキル、C3-C20分岐アルキル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12エポキシアルキル、C3-C12エポキシアルキルアルキルのうちの基から選択され、その置換基がハロゲン、アミノおよびヒドロキシから選択される少なくとも1つであり;
複素環基は、イミダゾリル、ピラゾリル、カルバゾリル、ピロリジノニル、ピリジル、ピペリジニル、カプロラクタム基、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、モルホリニル、オキサゾリニルから選択される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、グラフト改質ポリプロピレン材料が芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料であり、アルケニル含有重合性モノマーがスチレンモノマーであり、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料における、スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~14重量%、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~5重量%であり;
好ましくは、スチレンモノマーが、式8で表される構造を有するモノマー、式9で表される構造を有するモノマーおよび式10で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【0052】
【0053】
式8中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され;
【0054】
【0055】
式9中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され;好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0056】
【0057】
式10中、R1’、R2’、R3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され;好ましくは、R1’、R2’、R3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
好ましくは、スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、一置換または多置換スチレン、一置換または多置換α-メチルスチレン、一置換または多置換1-ビニルナフタレン、および、一置換または多置換2-ビニルナフタレンから選択される少なくとも1つであり;その置換基が好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C8直鎖アルキル、C3-C8分岐アルキルまたはシクロアルキル、C1-C6直鎖アルコキシ、C3-C8分岐アルコキシまたはシクロアルコキシ、C1-C8直鎖エステル基、C3-C8分岐エステル基または環状エステル基、C1-C8直鎖アミン基、および、C3-C8分岐アミン基または環状アミン基から選択される少なくとも1つである。
【0058】
より好ましくは、スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-メチルスチレンから選択される少なくとも1つである。
【0059】
本発明によれば、好ましくは、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。好ましくは、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0060】
本発明によれば、好ましくは、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:
芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが200kV/mm以上、好ましくは200~800kV/mmである;
芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egとポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、1.5%を超え、好ましくは1.6~40%、より好ましくは5~30%、さらに好ましくは10~20%である;
90℃および15kV/mm電界強度での芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが1.0×1013Ω.m以上、好ましくは1.5×1013Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.5~50、より好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10である。
【0061】
本発明の具体的な実施形態によれば、グラフト改質ポリプロピレン材料がシラン改質ポリプロピレングラフトであり、アルケニル含有重合性モノマーがアルケニル含有シランモノマーであり、シラン改質ポリプロピレングラフトにおける、アルケニル含有シランモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、シラン改質ポリプロピレングラフトの重量に対して、0.2~6重量%、好ましくは0.2~2.5重量%であり;
好ましくは、アルケニル含有シランモノマーが、式11で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり
【0062】
【0063】
式11中、R1は、C2-C12アルケニル、好ましくは一価不飽和アルケニルであり;R2、R3、R4はそれぞれ独立して、置換または非置換C1-C12直鎖アルキル、置換または非置換C3-C12分岐アルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12アシルオキシから選択され;好ましくは、R1は、C2-C6アルケニル、好ましくは一価不飽和アルケニルであり;R2、R3、R4はそれぞれ独立して、置換または非置換C1-C6直鎖アルキル、置換または非置換C3-C6分岐アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシ、置換または非置換C1-C6アシルオキシから選択され;
より好ましくは、アルケニル含有シランモノマーは、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-tert-ブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリ-tert-ブトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、メチルアリルジメトキシシランおよびエチルアリルジエトキシシランから選択される少なくとも1つである。
【0064】
本発明によれば、好ましくは、シラン改質ポリプロピレングラフトが以下の特徴の少なくとも1つを有する:230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;曲げ弾性率が10~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。好ましくは、シラン改質ポリプロピレングラフトの引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0065】
本発明によれば、好ましくは、シラン改質ポリプロピレングラフトが以下の特徴の少なくとも1つを有する:
シラン改質ポリプロピレングラフトの使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
シラン改質ポリプロピレングラフトの90℃における破壊電界強度Egが200kV/mm以上、好ましくは200~800kV/mmである;
シラン改質ポリプロピレングラフトの90℃における破壊電界強度Egとポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、0.7%を超え、好ましくは0.8~40%、より好ましくは2~20%、さらに好ましくは6~15%である;
90℃および15kV/mm電界強度でのシラン改質ポリプロピレングラフトの直流体積抵抗率ρvgが6×1012Ω.m以上、好ましくは6×1012Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度でのポリプロピレン共重合体の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度でのシラン改質ポリプロピレングラフトの直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.1~8.0、より好ましくは1.15~3、さらに好ましくは1.2~1.8である。
【0066】
本発明の具体的な実施形態によれば、アルケニル含有重合性モノマーがアクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーであり、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.3~7重量%、好ましくは0.8~5重量%であり;
好ましくは、アクリレートモノマーが、式12で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【0067】
【0068】
式12中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、C1-C6直鎖アルキル、C3-C6分岐アルキルから選択され;R4は、置換または非置換である、C1-C20直鎖アルキル、C3-C20分岐アルキル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12エポキシアルキル、C3-C12エポキシアルキルアルキルから選択され:その置換基はハロゲン、アミノおよびヒドロキシから選択される少なくとも1つであり;
より好ましくは、アクリレートモノマーが、メチル(メチル)アクリレート、sec-ブチル(メチル)アクリレート、エチル(メチル)アクリレート、n-ブチル(メチル)アクリレート、イソブチル(メチル)アクリレート、tert-ブチル(メチル)アクリレート、イソオクチル(メチル)アクリレート、ドデシル(メチル)アクリレート、コシニン(cocinin)(メチル)アクリレート、オクタデシル(メチル)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メチル)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メチル)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メチル)アクリレート、およびグリシジル(メチル)アクリレートから選択される少なくとも1つであり;
好ましくは、アクリルモノマーが、式13で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【0069】
【0070】
式13中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、C1-C6直鎖アルキル、C3-C6分岐アルキルから選択され;
より好ましくは、アクリルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸および2-エチルアクリル酸から選択される少なくとも1つである。
【0071】
本明細書において、C3-C12エポキシアルキルアルキルとは、3~12個の炭素原子を有するエポキシアルキル置換アルキルを指し、例えばオキシラニルメチルを指す。
【0072】
本発明によれば、好ましくは、アクリレートモノマー由来の構造単位の、アクリルモノマー由来の構造単位に対するモル比は、1:0~2、好ましくは1:0.125~1である。
【0073】
本発明によれば、好ましくは、アルケニル含有重合性モノマーがアクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーであり、グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;曲げ弾性率が10~1100MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である
好ましくは、グラフト改質ポリプロピレン材料の引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0074】
本発明によれば、好ましくは、アルケニル含有重合性モノマーがアクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーであり、グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:
グラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが180kV/mm以上、好ましくは180~800kV/mmである;
グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egとポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、2%を超え、好ましくは2.5~50%、より好ましくは4~35%、さらに好ましくは5~25%である;
90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが1.0×1013Ω.m以上、好ましくは1.5×1013Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度でのポリプロピレン共重合体の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1.5を超え、好ましくは1.8~30、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2.5~6である。
【0075】
本発明の具体的な実施態様によれば、グラフト改質ポリプロピレン材料が複素環グラフト改質ポリプロピレン材料であり、アルケニル含有重合性モノマーがアルケニル含有複素環モノマーであり、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有複素環モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~6重量%、好ましくは0.5~4重量%であり;
好ましくは、アルケニル含有複素環モノマーが、アルケニル含有イミダゾール、アルケニル含有ピラゾール、アルケニル含有カルバゾール、アルケニル含有ピロリドン、アルケニル含有ピリジンまたはピリジニウム、アルケニル含有ピペリジン、アルケニル含有カプロラクタム、アルケニル含有ピラジン、アルケニル含有チアゾール、アルケニル含有プリン、アルケニル含有モルホリンおよびアルケニル含有オキサゾリンから選択される少なくとも1つであり;好ましくは、アルケニル含有複素環モノマーがモノアルケニル含有複素環モノマーである。
【0076】
好ましくは、アルケニル含有複素環モノマーが、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N-アリルイミダゾール、1-ビニルピラゾール、3-メチル-1-ビニルピラゾール、ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、ビニルピリジンN酸化物、ビニルピリジニウム、ビニルピペリジン、N-ビニルカプロラクタム、2-ビニルピラジン、N-ビニルピペラジン、4-メチル-5-ビニルチアゾール、N-ビニルプリン、ビニルモルホリンおよびビニルオキサゾリンから選択される少なくとも1つである。
【0077】
本発明によれば、好ましくは、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは50~500MPaである;破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。好ましくは、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の引張強度が5MPaより大きく、好ましくは10~40MPaである。
【0078】
本発明によれば、好ましくは、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する:
複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが190kV/mm以上、好ましくは190~800kV/mmである;
複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egとポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、1%を超え、好ましくは1.5~50%、より好ましくは2~35%、さらに好ましくは5~25%である;
90℃および15kV/mm電界強度での複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが7×1012Ω.m以上、好ましくは7×1012Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度でのグラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.1~20、より好ましくは1.2~10、さらに好ましくは1.3~4である。
【0079】
本発明のポリプロピレングラフトは、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーを含む反応混合物を不活性ガスの存在下で固相グラフト反応させて、ポリプロピレングラフトを得る工程を含む方法によって製造することができる。
【0080】
本発明の第2の態様は、絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料の調製方法であって、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーを含む反応混合物を不活性ガスの存在下でグラフト反応させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程を含み、グラフト反応の条件は以下の条件である、方法を提供するものである:
グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、
ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する:コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【0081】
本発明のグラフト反応は、当技術分野で慣用の種々の方法を参照して実施することができ、好ましくは固相グラフト反応、例えば、グラフト化のためにアルケニル含有重合性モノマーの存在下でポリプロピレン共重合体上に活性グラフト化部位を形成する方法、または、まずポリプロピレン共重合体上に活性グラフト化部位を形成し、続いてグラフト化のためにモノマーで処理する方法を参照して実施することができる。グラフト部位は、フリーラジカル開始剤での処理によって、または高エネルギー電離放射線もしくはマイクロ波での処理によって、形成することができる。化学処理または放射線処理の結果として重合体中で生成されるフリーラジカルは、重合体上にグラフト部位を形成し、これらの部位でモノマーの重合を開始する。
【0082】
好ましくは、グラフト部位は、フリーラジカル開始剤によって開始され、グラフト反応がさらに進行する。この場合、反応混合物は、フリーラジカル開始剤を含み、さらに好ましくは、フリーラジカル開始剤が、過酸化物系フリーラジカル開始剤および/またはアゾ系フリーラジカル開始剤から選択される。
【0083】
過酸化物系フリーラジカル開始剤は、好ましくは、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、過酸化ラウロイル、過酸化ドデシル、tert-ブチルペルオキシ安息香酸、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)およびジシクロヘキシルペルオキシジカーボネートから選択される少なくとも1つであり;アゾ系フリーラジカル開始剤は、好ましくは、アゾビスイソブチロニトリルおよび/またはアゾビスイソヘプトニトリルである。
【0084】
より好ましくは、グラフト部位は、過酸化物系のフリーラジカル開始剤によって開始され、グラフト反応がさらに進行する。
【0085】
さらに、本発明のグラフト反応は、CN106543369A、CN104499281A、CN102108112A、CN109251270A、CN1884326AおよびCN101492517Bに記載の方法に従って実施することもできる。
【0086】
また、本発明は、グラフト反応の技術的条件に特に制限を持たず、具体的には、グラフト反応の温度が30~130℃、好ましくは60~120℃であってもよく;その時間が0.5~10時間、好ましくは1~5時間であってもよい。
【0087】
本発明のグラフト反応において使用される各成分の量は、上記の生成物の特徴を満たすことを前提として、具体的には特に限定されない。
【0088】
スチレンモノマーの場合、スチレンモノマーに対する、フリーラジカル開始剤の質量比が、0.1~10:100、好ましくは0.5~5:100である。ポリプロピレン共重合体に対する、スチレンモノマーの質量比が、0.5~16:100、好ましくは1~12:100、より好ましくは2~10:100である。グラフト反応の条件としては、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料における、スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~14重量%、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~5重量%である。
【0089】
アルケニル含有シランモノマーの場合、アルケニル含有シランモノマーに対する、フリーラジカル開始剤の質量比が、0.1~10:100、好ましくは0.5~6:100である。ポリプロピレン共重合体に対する、アルケニル含有シランモノマーの質量比が、0.5~12:100、好ましくは0.8~9:100、より好ましくは1~6:100である。グラフト反応の条件としては、シラン改質ポリプロピレングラフトにおける、アルケニル含有シランモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、シラン改質ポリプロピレングラフトの重量に対して、0.2~6重量%、好ましくは0.2~2.5重量%である。
【0090】
アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーの場合、アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーの総質量に対する、フリーラジカル開始剤の質量比が、0.1~10:100、好ましくは0.5~5:100である。ポリプロピレン共重合体の質量に対する、アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーの総質量の比率は、0.1~10:100、好ましくは0.5~8:100、より好ましくは0.8~7:100である。グラフト反応の条件としては、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.3~7重量%、好ましくは0.8~5重量%である。
【0091】
アルケニル含有複素環モノマーの場合、アルケニル含有複素環モノマーに対する、フリーラジカル開始剤の質量比が、0.1~10:100、好ましくは0.5~5:100である。ポリプロピレン共重合体に対する、アルケニル含有複素環モノマーの質量比は、0.3~12:100、好ましくは0.5~10:100である。グラフト反応の条件としては、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有複素環モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~6重量%、好ましくは0.5~4重量%である。
【0092】
本発明において、用語「反応混合物」は、グラフト反応系に添加される全ての材料を含み、材料は、一度で、または反応の異なる段階で添加されてもよい。
【0093】
本発明の反応混合物はまた、分散剤を含んでもよく、分散剤は、好ましくは水または塩化ナトリウムの水溶液である。分散剤の質量含有量は、好ましくは、ポリプロピレン共重合体の質量の50~300%である。
【0094】
本発明の反応混合物は、界面剤をさらに含んでもよく、界面剤は、ポリオレフィンに対して膨潤効果を有する有機溶媒であり、好ましくは、ポリプロピレン共重合体に対して膨潤効果を有する以下の有機溶媒から選択される少なくとも1つである:エーテル溶媒、ケトン溶媒、芳香族炭化水素溶媒、アルカン溶媒;より好ましくは、以下の有機溶媒から選択される少なくとも1つである:クロロベンゼン、ポリ塩化ベンゼン、アルカンまたはC6以上のシクロアルカン、ベンゼン、C1-C4アルキル置換ベンゼン、C2-C6脂肪エーテル、C3-C6脂肪ケトンおよびデカリン;さらに好ましくは、以下の有機溶媒から選択される少なくとも1つである:ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリン、ヘプタン。界面剤の質量含有量は、好ましくは、ポリプロピレン共重合体の質量の1~30%であり、より好ましくは10~25%である。
【0095】
また、本発明の反応混合物は、固形フリーラジカル開始剤を溶解するための溶媒としての有機溶媒をさらに含んでもよい。有機溶媒は、好ましくは、C2-C5アルコール、C2-C4エーテルおよびC3-C5ケトンから選択される少なくとも1つ、より好ましくは、C2-C4アルコール、C2-C3エーテルおよびC3-C5ケトンから選択される少なくとも1つ、最も好ましくは、エタノール、ジエチルエーテルおよびアセトンから選択される少なくとも1つを含む。有機溶媒の質量含有量は、好ましくは、ポリプロピレン共重合体の質量の1~35%である。
【0096】
本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料の調製方法において、アルケニル含有重合性モノマーおよびポリプロピレン共重合体の定義は上述したものと同一であり、ここでは再度の説明はしない。
【0097】
本発明によれば、グラフト改質ポリプロピレン材料の製造方法は、以下の中から選択することができる:
方法I、調製方法が以下の工程を含む:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)フリーラジカル開始剤およびアルケニル含有重合性モノマーを密閉反応器に添加し、撹拌しながら混合する工程;
(c)界面剤を任意に添加し、反応系を任意に膨潤させる工程;
(d)分散剤を任意に添加し、反応系をグラフト反応温度に加熱して、グラフト反応を実施する工程;
(e)反応終了後、(水相分散剤を使用する場合)任意に濾過し、乾燥させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【0098】
より具体的には、調製方法が以下の工程を含む:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)フリーラジカル開始剤をアルケニル含有重合性モノマーに溶解させて溶液を得て、この溶液を、ポリプロピレン共重合体を含む密閉反応器に添加し、撹拌しながら混合する工程;
(c)界面剤を0~30部添加し、反応系を任意に20~60℃で0~24時間膨潤させる工程;
(d)分散剤を0~300部添加し、反応系をグラフト重合温度30~130℃に加熱し、0.5~10時間反応させる工程;
(e)反応終了後、(水相分散剤を使用する場合)任意に濾過し、乾燥させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【0099】
方法II、調製方法が以下の工程を含む:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)有機溶媒およびフリーラジカル開始剤を混合し、混合物を密閉反応器に添加する工程;
(c)有機溶媒を除去する工程;
(d)アルケニル含有重合性モノマーを添加し、界面剤を任意に添加し、反応系を任意に膨潤させる工程;
(e)分散剤を任意に添加し、反応系をグラフト反応温度に加熱して、グラフト反応を実施する工程;
(f)反応終了後、(水相分散剤を使用する場合)任意に濾過し、乾燥させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【0100】
より具体的には、調製方法が以下の工程を含む:
(a)ポリプロピレン共重合体を密閉反応器に入れた後、不活性ガスで置換する工程;
(b)有機溶媒およびフリーラジカル開始剤を混合して溶液を得て、ポリプロピレン共重合体を含む密閉反応器に溶液を添加する工程;
(c)不活性ガスパージまたは減圧によって有機溶媒を除去する工程;
(d)アルケニル含有重合性モノマーを添加し、界面剤を0~30部添加し、反応系を任意に20~60℃で0~24時間膨潤させる工程;
(e)分散剤を0~300部添加し、系をグラフト重合温度30~130℃に加熱して、0.5~10時間反応させる工程;
(f)反応終了後、(水相分散剤を使用する場合)任意に濾過し、乾燥させて、グラフト改質ポリプロピレン材料を得る工程。
【0101】
本発明の方法によれば、反応終了後に系中に揮発性成分が存在する場合、本発明の方法は好ましくは脱揮する工程を含む。当該工程は、真空抽出またはグラフト反応終了時にストリップ剤を使用することを含む任意の従来の方法によって、実施することができる。好適なストリップ剤は、不活性ガスを含むが、これに限定されない。
【0102】
以上のように、本発明における用語「グラフト改質ポリプロピレン材料」は、ポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーのグラフト反応により直接得られる生成物(粗生成物)だけでなく、生成物をさらに精製することによって得られるグラフト改質ポリプロピレン純生成物も含む。したがって、本発明の調製方法は、粗生成物を精製する工程を任意に含む。精製は、抽出などの当技術分野で慣用の種々の方法によって行うことができる。
【0103】
本発明は、グラフト反応のグラフト効率に特に制限を持たないが、1工程のグラフト反応により所望の特性を有するポリプロピレングラフトを得るためには、グラフト効率が高いほど有利である。したがって、グラフト反応のグラフト効率は、5~100%に制御することが好ましく、5~80%に制御することがより好ましい。用語「グラフト効率」は当業者に公知であり、反応に投入されたアルケニル含有重合性モノマーの総量当たりの、グラフト上のアルケニル含有重合性モノマーの総量を指す。
【0104】
好ましくは、スチレンモノマーの場合、グラフト反応のグラフト効率を30~100%に制御することが好ましく、35~80%に制御することがより好ましい。アルケニル含有シランモノマーの場合、グラフト反応のグラフト効率を5~100%に制御することが好ましく、5~60%に制御することがより好ましい。アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーの場合、グラフト反応のグラフト効率を30~100%に制御することが好ましく、35~80%に制御することがより好ましい。アルケニル含有複素環モノマーの場合、グラフト反応のグラフト効率を30~100%に制御することが好ましく、35~80%に制御することがより好ましい。
【0105】
本発明の不活性ガスは、窒素、アルゴンを含むがこれらに限定されない、当技術分野で一般に使用される種々の不活性ガスであり得る。
【0106】
本発明の第3の態様は、上記の調製方法により得られる、絶縁材料用グラフト改質ポリプロピレン材料を提供するものである。
【0107】
本発明の第4の態様は、上記グラフト改質ポリプロピレン材料の、絶縁材料としての使用を提供するものである。
【0108】
さらに好ましくは、絶縁材料がケーブル絶縁材料であり、好ましくは直流ケーブル絶縁材料である。
【0109】
より好ましくは、絶縁材料がケーブル絶縁層材料である。
【0110】
本発明において使用されるグラフト改質ポリプロピレンは、他の重合体を配合することなく、絶縁材料の基材として直接使用することができる。
【0111】
本発明の第5の態様は、ケーブルが少なくとも1つの導体と、導体を取り囲む少なくとも1つの電気絶縁層とを含み、電気絶縁層の材料がグラフト改質ポリプロピレン材料であることを特徴とするケーブルを提供するものである。
【0112】
本発明の芯は、ケーブルの電気絶縁層として新規な材料を用いるものであり、したがって、本発明におけるケーブルの形態および具体的な構造に特に制限はなく、当該技術分野における従来の様々なケーブル形態(直流または交流、単芯または多芯)およびそれに対応する様々な構造を用いることができる。本発明のケーブルにおいて、電気絶縁層における新規なグラフト改質ポリプロピレン材料の使用を除いて、他の層構造および他の層材料は、当技術分野において従来通りに選択され得る。
【0113】
本発明のケーブルは、直流ケーブルまたは交流ケーブル、好ましくは直流ケーブルであり得、より好ましくは、ケーブルは、中高電圧直流ケーブルまたは超高電圧直流ケーブルである。本発明において、低電圧(LV)は、1kV未満の電圧を示し、中電圧(MV)は1kV~40kVの範囲の電圧を示し、高電圧(HV)は40kVを超える電圧、好ましくは50kVを超える電圧を示し、超高電圧(EHV)は少なくとも230kVの電圧を示す。
【0114】
本発明の好ましい実施形態によれば、ケーブルは、少なくとも1つのケーブル芯を有し、各ケーブル芯は、内側から外側に向かって、導体、任意の導体遮蔽層、電気絶縁層、任意の電気絶縁遮蔽層、任意の金属遮蔽層を含む。導体遮蔽層、電気絶縁遮蔽層および金属遮蔽層は、必要に応じて配置することができ、一般に、6kVを超えるケーブルに使用される。
【0115】
上記の構造に加えて、ケーブルは、外装および/またはシース層をさらに含んでもよい。
【0116】
本発明のケーブルは、単芯または多芯であり得る。多芯ケーブルの場合、ケーブルは、充填層および/または包装層をさらに含んでもよい。充填層は、ワイヤ芯の間に充填された材料を充填することによって形成される。包装層は、全てのワイヤ芯の外側を被覆し、ワイヤ芯および充填層が円形であることを保証し、ワイヤ芯が外装によって引っかかれることを防止し、難燃効果を果たす。
【0117】
本発明のケーブルでは、導体が、一般に金属材料、好ましくはアルミニウム、銅または1つ以上の金属ワイヤを含む他の合金で作られた導体素子である。導体の直流抵抗およびモノフィラメントの数は、GB/T3956の要件を満たす必要がある。好ましくは、導体は、800mm2以下の公称の断面積を有する撚り丸構造を有するか、または1000mm2以上の公称の断面積を有する分割導体構造を有し、導体の個数は、170個以上である。
【0118】
本発明のケーブルにおいて、導体遮蔽層は、ポリプロピレン、ポリオレフィンエラストマー、カーボンブラックおよび他の材料から作られているカバー層であり得、23℃における体積抵抗率が1.0Ω.m未満であり、90℃における体積抵抗率が3.5Ω.m未満であり、230℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが通常0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、より好ましくは0.1~10g/10分、さらに好ましくは0.2~8g/10分であり;引張強さが12.5MPa以上であり、破断点伸びが150%以上である。導体遮蔽層の最薄点の厚さは、0.5mm以上であり、平均厚さは1.0mm以上である。
【0119】
本発明のケーブルにおいて、電気絶縁層の材料は少なくとも1つのグラフト改質ポリプロピレン材料であり、これは、電気絶縁層を構成する基材がグラフト改質ポリプロピレン材料であり、追加成分、例えば、高分子成分または添加剤、好ましくは添加剤、例えば酸化防止剤、安定剤、加工助剤、難燃剤、水トリー遅延添加剤、酸またはイオン捕捉剤、無機充填剤、電圧安定剤および銅阻害剤から選択される任意の1つ以上が、グラフト改質ポリプロピレン材料に加えて含まれ得ることを意味する。使用される添加剤の種類および量は、従来のものであり、当業者に公知である。
【0120】
また、本発明の電気絶縁層の製造方法は、ケーブル製造の分野における従来の方法のであってもよく、例えば、グラフト改質ポリプロピレン材料を種々の任意の添加剤と混合し、二軸押出機で造粒した後、得られた顆粒を押出機で押し出して、電気絶縁層を得る方法であってもよい。一般に、導体遮蔽材料をグラフト改質ポリプロピレン材料の顆粒と共押し出しして、導体遮蔽層+電気絶縁層の構造を形成するか、または導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層の構造を形成することができる。具体的な操作は、当技術分野における従来の方法および処理条件を使用して、実施することができる。
【0121】
グラフト改質ポリプロピレン材料の使用に起因して、電気絶縁層の厚さは、GB/T12706におけるXLPE絶縁層の公称厚さ値のわずか50%~95%であってもよく、好ましくは電気絶縁層の厚さは、GB/T12706におけるXLPE絶縁層の公称厚さ値の70%~90%であり;離心率は10%以下である。
【0122】
本発明のケーブルにおいて、電気絶縁層は、ポリプロピレン、ポリオレフィンエラストマー、カーボンブラックおよび他の材料製の、23℃における体積抵抗率が1.0Ω.m未満であり、90℃における体積抵抗率が3.5Ω.m未満であり、230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが通常0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分であり;引張強さが12.5MPa以上であり;破断点伸びが150%以上である、被覆層であり得る。電気絶縁層の最薄点の厚さは0.5mm以上であり、平均厚さは1.0mm以上である。
【0123】
本発明のケーブルにおいて、金属遮蔽層は、銅ストリップ遮蔽層であってもよく、銅線遮蔽層であってもよい。
【0124】
本発明のケーブルにおいて、充填層は、PE/PP/PVCまたはリサイクルゴム材料などの高分子材料製であってもよい。
【0125】
本発明のケーブルにおいて、包装層/外装は、通常、銅線金属ケージ、鉛またはアルミニウム金属スリーブ等からなり、電気絶縁性遮蔽層の外面を包む金属カバー層であり、室温における直流体積抵抗率が1000Ω・m以下であることを特徴とする。
【0126】
本発明のケーブルにおいて、シース層の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、低発煙ハロゲンフリー材料から選択されるいずれか1つであってもよい。シース層は、内側シース層だけでなく、外側シース層も含む。
【0127】
各層の上記構造は、当該技術分野における従来の方法によって形成することができる。例えば、導電体遮蔽層、電気絶縁層およびシース層は、押出機による押出コーティングにより形成することができ、金属遮蔽層および外装は、巻回により形成することができる。
【0128】
本発明のケーブルは、当該技術分野において慣用の様々な調製方法によって調製することができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0129】
本発明の具体的な実施形態によれば、ケーブルの調製方法は、以下の通りである:
導体の調製:多数のモノフィラメント導体(例えば、アルミ製)を圧密撚り線加工し、導体内芯を得るか、あるいは配線束加工し、次いで、束ねたモノフィラメント導体を撚り線加工し、導体内芯を得る。
【0130】
改質ポリプロピレン粒子の調製:改質ポリプロピレン材料を任意の添加剤と混合し、二軸押出機によって造粒する。
【0131】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:押出機により導体内芯の外側に導体遮蔽材料および変性ポリプロピレン粒子を共押し出しコーティングし、導体遮蔽層+電気絶縁層または導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。
【0132】
金属遮蔽層の調製:電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅ストリップまたは銅線を巻回して、金属遮蔽層を形成する。
【0133】
内側シース層の調製:押出機によって金属遮蔽層の外側にシース層顆粒を押し出し、内側シース層を形成する。
【0134】
外装の調製:亜鉛めっき鋼/ステンレス鋼/アルミニウム合金を用いて鋼線または鋼ストリップ外装を調製し、鋼線または鋼ストリップ外装が密であり、隣接する鋼線/鋼ストリップ間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回するか、あるいは右方向に二層外装内側層を、左方向に外側層を巻回する。
【0135】
外側シース層の調製:押出機によって外装の外側にシース層顆粒を押し出して、外側シース層を形成する。最後に、ケーブルを調製する。
【0136】
本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料は、より高い使用温度で機械的特性および電気的特性の両方を考慮することができ、高温および高い運転場強度の使用条件に適している。加えて、本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料は、小分子添加剤を添加した材料と比較して、小分子の移動により生じる性能低下を回避し、そのためより優れた安定性を有する。
【0137】
本発明のケーブルは、従来のケーブルと比較して、より高い体積抵抗率およびより強い破壊抵抗力を依然として保持しながら、なおいっそう有することができる。一方、ケーブルの機械的特性もまたケーブル使用の要件を満たすことができる。同一の電圧グレードおよび絶縁レベルを保証する条件下では、グラフト改質ポリプロピレン材製の電気絶縁層は、従来のケーブルの電気絶縁層と比較して、厚さが薄く、放熱性が優れ、重量が小さい等の利点を有する。したがって、ケーブルの用途範囲はより広い。
【0138】
本発明の第6の態様は、当該絶縁材料が少なくとも1つの上記グラフト改質ポリプロピレン材料を含むことを特徴とする、絶縁材料を提供するものである。
【0139】
好ましくは、少なくとも1つのグラフト改質ポリプロピレン材料の含有量が、絶縁材料の重量に対して、20~100重量%、好ましくは40~100重量%、より好ましくは60~100重量%、さらに好ましくは80~100重量%、よりさらに好ましくは90~100重量%である。
【0140】
好ましくは、絶縁材料が、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、難燃剤、水トリー遅延添加剤、酸またはイオン捕捉剤、無機充填剤、電圧安定剤、および銅阻害剤から選択される1つ以上などの添加剤をさらに含む。使用される添加剤の種類および量は、従来のものであり、当業者に公知である。
【0141】
さらに、本発明は、以下の項目に記載される実施形態も含む。
【0142】
(項目1)
グラフト改質ポリプロピレン材料を用いて絶縁材料を製造する方法であって、グラフト改質ポリプロピレン材料が、ポリプロピレン共重合体由来の構造単位と、アルケニル含有重合性モノマー由来の構造単位とを含み、前記グラフト改質ポリプロピレン材料における、前記アルケニル含有重合性モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量は、前記グラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.1~14重量%、好ましくは0.2~7.5重量%であり、
前記ポリプロピレン共重合体は以下の特徴の少なくとも1つを有する、方法:
コモノマーの含有量が、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%、より好ましくは4~25重量%、さらに好ましくは4~22重量%である;キシレン可溶物の含有量が、2~80重量%、好ましくは18~75重量%、より好ましくは30~70重量%、さらに好ましくは30~67重量%である;前記キシレン可溶物中のコモノマーの含有量が、10~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~35重量%である;前記ポリプロピレン共重合体に対する前記キシレン可溶物の固有粘度比が、0.3~5、好ましくは0.5~3、より好ましくは0.8~1.3である。
【0143】
(項目2)
前記ポリプロピレン共重合体が以下の特徴の少なくとも1つを有する、項目1に記載の方法:230℃における2.16kg荷重下のメルトフローレートが、0.01~60g/10分、好ましくは0.05~35g/10分、より好ましくは0.5~15g/10分である。融点Tmが、100℃以上、好ましくは110~180℃、より好ましくは110~170℃、さらに好ましくは120~170℃、さらにより好ましくは120~166℃である。重量平均分子量が好ましくは20×104~60×104g/molである。
【0144】
(項目3)
前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、プロピレン以外のC2-C8のα-オレフィンから選択される少なくとも1つであり;好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンから選択される少なくとも1つであり;さらに好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体のコモノマーが、エチレンおよび/または1-ブテンであり;さらにより好ましくは、前記ポリプロピレン共重合体がプロピレンおよびエチレンからなる、項目1または2に記載の方法。
【0145】
(項目4)
グラフト改質ポリプロピレン材料がポリプロピレン共重合体およびアルケニル含有重合性モノマーの固相グラフト反応によって調製される、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0146】
(項目5)
グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、項目1~4のいずれか1項に記載の方法:
230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;
曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;
破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。
【0147】
(項目6)
グラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、項目1~5のいずれか1項に記載の方法:
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが180kV/mm以上、好ましくは180~800kV/mmである;
前記グラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egと前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、0.7%を超え、好ましくは0.8~50%、より好ましくは2~35%、さらに好ましくは5~25%である;
90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが6×1012Ω.m以上、好ましくは6×1012Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での前記ポリプロピレン共重合体の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.1~50、より好ましくは1.15~20、さらに好ましくは1.2~10である。
2~10である。
【0148】
(項目7)
前記アルケニル含有重合性モノマーが式1で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つである、項目1~6のいずれか1項に記載の方法:
【0149】
【0150】
式1中、
Rb、Rc、Rdはそれぞれ独立して、H、置換または非置換アルキルから選択され;Raは置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリール、置換または非置換エステル基、置換または非置換カルボキシル、置換または非置換シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換シリルから選択される。
【0151】
(項目8)
Rb、Rc、Rdがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
Raが置換または非置換C1-C20アルキル、置換または非置換C1-C20アルコキシ、置換または非置換C6-C20アリール、置換または非置換C1-C20エステル基、置換または非置換C1-C20カルボキシル、置換または非置換C3-C20シクロアルキルまたはヘテロシクリル、シアノ、置換または非置換C3-C20シリルから選択され、その置換基がハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C12アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12アシルオキシである、項目7に記載の方法。
【0152】
(項目9)
Rb、Rc、Rdがそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
Raが、式2で表される基、式3で表される基、式4で表される基、式5で表される基、式6で表される基、式6で表される基と式7で表される基との組合せ、複素環基から選択され:
【0153】
【0154】
式2中、
R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、
好ましくは、R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され;
【0155】
【0156】
式3中、
R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、
好ましくは、R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0157】
【0158】
式4中、
R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、
好ましくは、R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0159】
【0160】
式5中、
R’、R’’、R’’’はそれぞれ独立して、C1-C12直鎖アルキル、C3-C12分岐アルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12アシルオキシから選択され、
好ましくは、R1は、C2-C6アルケニル、好ましくは一価不飽和アルケニルであり、
R2、R3、R4はそれぞれ独立して、C1-C6直鎖アルキル、C3-C6分岐アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシ、置換または非置換C1-C6アシルオキシから選択され;
【0161】
【0162】
【0163】
式6中、
Rmは、置換または非置換であり、C1-C20直鎖アルキル、C3-C20分岐アルキル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12エポキシアルキル、C3-C12エポキシアルキルアルキルのうちの基から選択され、その置換基がハロゲン、アミノおよびヒドロキシから選択される少なくとも1つであり;
前記複素環基は、イミダゾリル、ピラゾリル、カルバゾリル、ピロリジノニル、ピリジル、ピペリジニル、カプロラクタム基、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、モルホリニル、オキサゾリニルから選択される、項目7に記載の方法。
【0164】
(項目10)
前記グラフト改質ポリプロピレン材料が芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料であり、
前記アルケニル含有重合性モノマーがスチレンモノマーであり、
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料における、前記スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量が、前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の重量に対して、0.5~14重量%、好ましくは1~7.5重量%、より好ましくは1.5~5重量%であり;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、式8で表される構造を有するモノマー、式9で表される構造を有するモノマーおよび式10で表される構造を有するモノマーから選択される少なくとも1つであり;
【0165】
【0166】
式8中、
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基はハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され、
好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4-R8はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され;
【0167】
【0168】
式9中、
R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され;
好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4-R10はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
【0169】
【0170】
式10中、
R1’、R2’、R3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C6アルキルから選択され;
R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、置換または非置換C1-C12アルキル、置換または非置換C3-C12シクロアルキル、置換または非置換C1-C12アルコキシ、置換または非置換C1-C12エステル基、置換または非置換C1-C12アミン基から選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C1-C12アルコキシ、C1-C12エステル基、C1-C12アミン基から選択され;
好ましくは、R1’、R2’、R3’はそれぞれ独立して、H、置換または非置換C1-C3アルキルから選択され、R4’-R10’はそれぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、置換または非置換C1-C6アルキル、置換または非置換C1-C6アルコキシから選択され、その置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシから選択され;
好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、一置換または多置換スチレン、一置換または多置換α-メチルスチレン、一置換または多置換1-ビニルナフタレン、および、一置換または多置換2-ビニルナフタレンから選択される少なくとも1つであり;その置換基が好ましくはハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、リン酸基、スルホン酸基、C1-C8直鎖アルキル、C3-C8分岐アルキルまたはシクロアルキル、C1-C6直鎖アルコキシ、C3-C8分岐アルコキシまたはシクロアルコキシ、C1-C8直鎖エステル基、C3-C8分岐エステル基または環状エステル基、C1-C8直鎖アミン基、および、C3-C8分岐アミン基または環状アミン基から選択される少なくとも1つであり;
より好ましくは、前記スチレンモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-メチルスチレンから選択される少なくとも1つである、項目7に記載の方法。
【0171】
(項目11)
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、項目10に記載の方法:
230℃における2.16kg荷重下でのメルトフローレートが0.01~30g/10分、好ましくは0.05~20g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分、より好ましくは0.2~8g/10分である;
曲げ弾性率が10~1250MPa、好ましくは20~1000MPa、より好ましくは50~600MPaである;
破断点伸びが200%以上、好ましくは300%以上である。
【0172】
(項目12)
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が以下の特徴の少なくとも1つを有する、項目10に記載の方法:
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の使用温度が90℃以上、好ましくは90~160℃である;
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egが200kV/mm以上、好ましくは200~800kV/mmである;
前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の90℃における破壊電界強度Egと前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eとの差分ΔEを、前記ポリプロピレン共重合体の90℃における破壊電界強度Eで割った値である破壊電界強度変化率ΔE/Eが、1.5%を超え、好ましくは1.6~40%、より好ましくは5~30%、さらに好ましくは10~20%である;
90℃および15kV/mm電界強度での前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgが1.0×1013Ω.m以上、好ましくは1.5×1013Ω.m~1.0×1020Ω.mである;
90℃および15kV/mm電界強度での前記芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度での前記グラフト改質ポリプロピレン材料の直流体積抵抗率ρvgの割合(ρvg/ρv)が1を超え、好ましくは1.5~50、より好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10である。
【0173】
(項目13)
前記絶縁材料がケーブル絶縁材料、好ましくは直流ケーブル絶縁材料である、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
【0174】
(項目14)
前記絶縁材料がケーブル絶縁層材料である、項目13に記載の方法。
【0175】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の具体的な実施形態の詳細な説明に記載される。
【0176】
[発明を実施するための形態]
以下は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。本明細書に記載される特定の実施形態は、本発明を例示および説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0177】
以下の実施例および比較例では:
1.ポリプロピレン共重合体中のコモノマー含有量の測定:
コモノマー含有量は、定量的フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって測定した。定量的核磁気共鳴(NMR)分光法によって、測定したコモノマー含有量の相関を校正した。定量13C-NMR分光法から得られた成果に基づく校正方法は、当該技術分野における従来の方法に従って実施した。
【0178】
2.ポリプロピレン共重合体中のキシレン可溶物の含有量、キシレン可溶物中のコモノマー含有量、およびポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比の測定:
測定は、以下の方法に従って、Polymer CharのCRYST-EX器具を用いて行った:トリクロロベンゼン溶媒を用いて150℃に加熱して溶解し、90分間保温し、試料採取して試験し、その後35℃に冷却し、70分間保温し、試料採取して試験した。
【0179】
3.ポリプロピレン共重合体の重量平均分子量の測定:
試料を1,2,4-トリクロロベンゼンに1.0mg/mlの濃度で溶解し、Polymer LaboratoryのPL-GPC 220型ゲル浸透クロマトグラフを用いて高温GPCにより測定した。測定温度は150℃、溶液流速は1.0ml/分であった。ポリスチレンの分子量を内部基準として検量線をプロットし、試料の分子量および分子量分布を流出時間に応じて算出した。
【0180】
4.メルトフローレート MFRの測定:
GB/T3682-2018に規定された方法に従って、CEASTの7026タイプメルトインデックス装置を用いて、2.16kgの荷重下において、230℃で測定を行った。
【0181】
5.融点 Tmの測定:
示差走査熱量測定によって、材料の融解および結晶化プロセスを分析した。具体的な操作は、以下のように行った:窒素保護下で、5~10mgの試料を20℃~200℃の3段階昇降温測定法で測定し、材料の融解および結晶化プロセスを熱流の変化に反映させて、融点 Tmを算出した。
【0182】
6.グラフト効率 GE、パラメータM1の測定:
2~4gのグラフト生成物をソックスレー抽出器に入れ、有機溶媒(芳香族オレフィンモノマー、アクリレートモノマー、および複素環モノマーに対して酢酸エチル;シランモノマーに対してアセトン)を用いて24時間抽出し、未反応のモノマーおよび単独重合体を除去し、純粋なグラフト生成物を得て、乾燥させ、秤量した。次いで、パラメータM1およびグラフト効率 GEを算出した。
【0183】
パラメータM1は、グラフト改質ポリプロピレン材料中の、アルケニル含有重合性モノマーに由来し、且つグラフト状態の構造単位の含有量を表し、本発明におけるM1およびGEの計算式は、以下の通りである:
【0184】
【0185】
【0186】
上記式において、w0はPPマトリックスの質量を示し、w1は抽出前のグラフト生成物の質量を示し、w2は抽出後のグラフト生成物の質量を示し、w3は、添加されたアルケニル含有重合性モノマーの質量を示す。
【0187】
7.直流体積抵抗率の測定:
測定は、GB/T1410-2006に規定された方法に従って行った。
【0188】
8.破壊電界強度の測定:
測定は、GB/T1408-2006に規定された方法に従って行った。
【0189】
9.引張強度の測定:
測定は、GB/T1040.2-2006に規定された方法に従って行った。
【0190】
10.曲げ弾性率の測定:
測定は、GB/T9341-2008に規定された方法に従って行った。
【0191】
11.破断点伸びの測定:
測定は、GB/T1040-2006に規定された方法に従って行った。
【0192】
12.誘電率および誘電正接の測定:
測定は、GB/T1409-2006に規定された方法に従って行った。
【0193】
13.ケーブルの主絶縁伝導率(抵抗率)比率の測定:
測定は、TICW 7.1-2012の付録Aに規定された方法に従って行った。ケーブルの主絶縁伝導率比は、90℃でのケーブルの主絶縁伝導率を30℃でのケーブルの主絶縁伝導率で割った値に等しくなる。
【0194】
14.電界歪率の測定:
ケーブルの絶縁空間電荷注入試験は、TICW 7.1-2012の付録Bに規定された方法に従って実施した。
【0195】
15.直流耐電圧試験の測定:
ケーブルを、1.85倍の負の定格電圧にて室温で2時間、連続的に加圧した。破壊現象および放電現象は合格を意味しないか、さもなければ不合格を意味する。
【0196】
16.負荷サイクルの測定:
定格使用温度のケーブルを90℃に加熱し、最初に、定格電圧の1.85倍で8時間加圧し、その後、電圧を取り除いて16時間自然冷却した。当該サイクルを12日間実施した。破壊現象は合格を意味しない。
【0197】
実施例で使用した原料を以下の表Aに列挙する。
【0198】
【0199】
*ポリプロピレン共重合体1:実施例1A、1B、1C、1D、比較例2A、3A、2B、3B、2C、3C、2D、3Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
*ポリプロピレン共重合体2:実施例2A、2B、2C、2Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
*ポリプロピレン共重合体3:実施例3A、3B、3C、3Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
*ポリプロピレン共重合体4:実施例4A、4B、4C、4Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
*ポリプロピレン共重合体5:実施例5A、5B、5C、5Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
*ポリプロピレン共重合体6:実施例6A、6B、6C、6Dにおいて使用されたポリプロピレン共重合体
<実施例1A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2gの過酸化ジベンゾイルおよび100gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で4時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0200】
<実施例2A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が14.7重量%であり、キシレン可溶物の含有量が41.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が34.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.91であり、重量平均分子量が36.6×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.54g/10分であり、Tm=164.9℃であり、90℃での破壊電界強度が248kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が7.25E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.8gの過酸化ラウロイルおよび150gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、60℃で2時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0201】
<実施例3A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が20.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が66.1重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が29.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.23であり、重量平均分子量が53.8×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが0.51g/10分であり、Tm=142.5℃であり、90℃での破壊電界強度が176kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が5.63E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。1.5gの過酸化ラウロイルおよび50gのスチレンを添加し、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、60℃で2時間膨潤させ、85℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0202】
<実施例4A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が9.3重量%であり、キシレン可溶物の含有量が21.0重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が35.4重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.68であり、重量平均分子量が30.4×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.69g/10分であり、Tm=163.0℃であり、90℃での破壊電界強度が288kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.32E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。7.0gのtert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)および200gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、60℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A4を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0203】
<実施例5A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が4.8重量%であり、キシレン可溶物の含有量が19.2重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が17.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.04であり、重量平均分子量が29.2×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.37g/10分であり、Tm=163.3℃であり、90℃での破壊電界強度が322kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.36E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。4.0gの過酸化ジベンゾイルを100gのアセトンに溶解し、得られたアセトン溶液を反応系に添加し、反応系を40℃に加熱し、アセトンを窒素パージにより30分間除去した。次いで、100gのp-メチルスチレンを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、60℃で1時間膨潤させ、100℃に加熱し、1時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-p-メチルスチレン材料生成物A5を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0204】
<実施例6A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が12.6重量%であり、キシレン可溶物の含有量が30.6重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が43.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.84であり、重量平均分子量が27.1×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが8.46g/10分であり、Tm=162.0℃であり、90℃での破壊電界強度が261kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が9E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。3.0gの過酸化ジベンゾイルを100gのスチレンおよび100gの界面剤トルエンに溶解し、溶液を形成した。該溶液を撹拌しながら30分間混合し、60℃で0.5時間膨潤させ、4kgの分散剤水を加え、反応系を110℃に加熱し、0.5時間反応させた。反応終了後、反応生成物を冷却し、濾過して分散剤水を除去し、70℃で10時間減圧乾燥させて、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A6を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0205】
<実施例7A>
実施例1Aの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。0.6gの過酸化ジベンゾイルおよび30gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で4時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A7を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0206】
<実施例8A>
実施例1Aの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。4gの過酸化ジベンゾイルおよび200gのスチレンを添加し、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で4時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物A8を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0207】
<比較例1A>
40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した、2.0kgのT30S粉末(90℃での破壊電界強度が347kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗性が1.18E13Ω・m)の材料生成物を秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密封し、窒素交換により酸素を除去した。2gの過酸化ジベンゾイルおよび100gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で4時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物CA1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0208】
<比較例2A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。12gの過酸化ジベンゾイルおよび600gのスチレンを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で4時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-スチレン材料生成物CA2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0209】
<比較例3A>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、スクリュー押出機により100gのポリスチレンGPPS-123と混合し、ブレンドCA3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。その結果を表1に示す。
【0210】
<実施例1B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.5gの過酸化ラウロイルおよび50gのビニルトリエトキシシランを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、40℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却してポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物B1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0211】
<実施例2B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が14.7重量%であり、キシレン可溶物の含有量が41.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が34.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.91であり、重量平均分子量が36.6×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.54g/10分であり、Tm=164.9℃であり、90℃での破壊電界強度が248kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が7.25E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。0.9gの過酸化ジベンゾイルおよび20gのビニルトリエトキシシランを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却してポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物B2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0212】
<実施例3B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が20.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が66.1重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が29.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.23であり、重量平均分子量が53.8×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが0.51g/10分であり、Tm=142.5℃であり、90℃での破壊電界強度が176kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が5.63E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。6.0gの過酸化ラウロイルおよび100gのビニルトリエトキシシランを添加し、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、60℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却して、ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物B3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0213】
<実施例4B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が9.3重量%であり、キシレン可溶物の含有量が21.0重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が35.4重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.68であり、重量平均分子量が30.4×104g/molであり、2.16kgの荷重下における230℃でのMFRが5.69g/10分であり、Tm=163.0℃であり、90℃での破壊電界強度が288kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.32E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。4.5gのtert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)および120gのビニルトリイソプロポキシシランを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、100℃に加熱し、1.5時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却して、ポリプロピレン-g-ビニルトリイソプロポキシシラン材料生成物B4を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0214】
<実施例5B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が4.8重量%であり、キシレン可溶物の含有量が19.2重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が17.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.04であり、重量平均分子量が29.2×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.37g/10分であり、Tm=163.3℃であり、90℃での破壊電界強度が322kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.36E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。3.7gの過酸化ラウロイルを70gのアセトンに溶解し、得られたアセトン溶液を反応系に添加し、40℃に加熱し、アセトンを窒素パージにより30分間除去した。次いで、75gのビニルトリエトキシシランを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、85℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却して、ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物B5を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0215】
<実施例6B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が12.6重量%であり、キシレン可溶物の含有量が30.6重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が43.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.84であり、重量平均分子量が27.1×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが8.46g/10分であり、Tm=162.0℃であり、90℃での破壊電界強度が261kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が9E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。5.0gの過酸化ラウロイルを100gのビニルトリメトキシシランおよび50gの界面剤トルエンに溶解して溶液を形成した。当該溶液を撹拌しながら30分間混合し、95℃に加熱した後、4kgの分散剤水を95℃で加え、0.75時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を冷却し、濾過して分散剤水を除去し、70℃で10時間真空乾燥させ、ポリプロピレン-g-ビニルトリメトキシシラン材料生成物B6を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0216】
<実施例7B>
実施例1Bの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。7.5gの過酸化ラウロイルおよび175gのビニルトリエトキシシランを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、40℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却して、ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物B7を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0217】
<比較例1B>
ふるい分けにより40メッシュより小さい微粉末を除去した、T30S粉末(90℃での破壊電界強度が347kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.18E13Ω・mである)を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.5gの過酸化ラウロイルおよび50gのビニルトリエトキシシランを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を窒素でパージし、冷却して、ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物CB1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0218】
<比較例2B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。20gの過酸化ラウロイルおよび400gのビニルトリエトキシシランを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、40℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン材料生成物CB2を得た。得られた製品の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0219】
<比較例3B>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、スクリュー押出機により50gのポリビニルトリエトキシシランと混合し、ブレンドCB3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表2に示す。
【0220】
ポリビニルトリエトキシシランの調製方法:10gの過酸化ラウロイルおよび200gのビニルトリエトキシシランを800mlの純水に分散させ、撹拌しながら混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、反応系を室温に冷却し、濾過し、乾燥させ、125gのポリビニルトリエトキシシランを得た。
【0221】
<実施例1C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.5gの過酸化ジベンゾイルおよび80gのグリシジルメタクリレートを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート材料生成物C1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0222】
<実施例2C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が14.7重量%であり、キシレン可溶物の含有量が41.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が34.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.91であり、重量平均分子量が36.6×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.54g/10分であり、Tm=164.9℃であり、90℃での破壊電界強度が248kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が7.25E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。1.2gの過酸化ジベンゾイルおよび40gのグリシジルメタクリレートを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート材料生成物C2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0223】
<実施例3C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が20.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が66.1重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が29.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.23であり、重量平均分子量が53.8×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが0.51g/10分であり、Tm=142.5℃であり、90℃での破壊電界強度が176kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が5.63E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。3.5gの過酸化ジベンゾイルおよび125gのグリシジルメタクリレートを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート材料生成物C3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験し、結果を表3に示す。
【0224】
<実施例4C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が9.3重量%であり、キシレン可溶物の含有量が21.0重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が35.4重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.68であり、重量平均分子量が30.4×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.69g/10分であり、Tm=163.0℃であり、90℃での破壊電界強度が288kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.32E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.8gのtert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)および100gのメチルメタクリレートを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、95℃に加熱し、3.0kgの分散剤純水を95℃で加え、4時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を濾過して分散剤水を除去し、70℃で10時間減圧乾燥し、冷却して、ポリプロピレン-g-メチルメタクリレート材料生成物C4を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0225】
<実施例5C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が4.8重量%であり、キシレン可溶物の含有量が19.2重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が17.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.04であり、重量平均分子量が29.2×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.37g/10分であり、Tm=163.3℃であり、90℃での破壊電界強度が322kV/mmであり、90℃かつ15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.36E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。1.3gの過酸化ジベンゾイルを70gのアセトンに溶解し、得られたアセトン溶液を反応系に添加し、40℃に加熱し、アセトンを窒素パージにより30分間除去し、次いで、50gのブチルアクリレートを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、100℃に加熱し、1時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-ブチルアクリレート材料生成物C5を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0226】
<実施例6C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が12.6重量%であり、キシレン可溶物の含有量が30.6重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が43.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.84であり、重量平均分子量が27.1×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが8.46g/10分であり、Tm=162.0℃であり、90℃での破壊電界強度が261kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が9E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。0.8gの過酸化ラウロイルを30gのメチルメタクリレートおよび40gの界面剤トルエンに溶解して溶液を形成し、当該溶液を撹拌しながら30分間混合し、85℃に加熱し、4kgの分散剤水を85℃で加え、1.5時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を冷却し、濾過して分散剤水を除去し、70℃で10時間真空乾燥して、ポリプロピレン-g-メチルメタクリレート材料生成物C6を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0227】
<実施例7C>
実施例1Cの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。5.0gの過酸化ジベンゾイルおよび180gのグリシジルメタクリレートを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、40℃で1時間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート材料生成物C7を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0228】
<実施例8C>
実施例1Cの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。1.5gの過酸化ジベンゾイル、40gのメチルアクリレート、および10gのアクリル酸を加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-メチルアクリレート/アクリル酸材料生成物C8を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0229】
<比較例1C>
ふるい分けにより40メッシュより小さい微粉末を除去したT30S粉末(90℃での破壊電界強度が347kV/mmであり、90℃かつ15kV/mmでの直流体積抵抗性が1.18E13Ω・mである)を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加えて、反応系を密封し、窒素置換により酸素を除去した。2.5gの過酸化ジベンゾイルおよび80gのグリシジルメタクリレートを加え、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート生成物CC1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0230】
<比較例2C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。6gの過酸化ジベンゾイルおよび225gのグリシジルメタクリレートを添加し、反応混合物を撹拌しながら60分間混合し、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート材料生成物CC2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0231】
<比較例3C>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末500gを秤量し、スクリュー押出機で20gのポリ(グリシジルメタクリレート)と混合し、ブレンドCC3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表3に示す。
【0232】
<実施例1D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。1.2gの過酸化ジベンゾイルおよび40gの4-ビニルピリジンを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で30分間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物D1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0233】
<実施例2D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が14.7重量%であり、キシレン可溶物の含有量が41.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が34.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.91であり、重量平均分子量が36.6×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.54g/10分であり、Tm=164.9℃であり、90℃での破壊電界強度が248kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が7.25E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2.2gの過酸化ジベンゾイルおよび100gの4-ビニルピリジンを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で60分間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物D2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0234】
<実施例3D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が20.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が66.1重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が29.5重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.23であり、重量平均分子量が53.8×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが0.51g/10分であり、Tm=142.5℃であり、90℃での破壊電界強度が176kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が5.63E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。4.5gの過酸化ジベンゾイルおよび150gの4-ビニルピリジンを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で30分間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物D3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0235】
<実施例4D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が9.3重量%であり、キシレン可溶物の含有量が21.0重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が35.4重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.68であり、重量平均分子量が30.4×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.69g/10分であり、Tm=163.0℃であり、90℃での破壊電界強度が288kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.32E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。2gのtert-ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)および40gの1-ビニルイミダゾールを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、55℃で2時間膨潤させ、95℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-1-ビニルイミダゾール材料生成物D4を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0236】
<実施例5D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が4.8重量%であり、キシレン可溶物の含有量が19.2重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が17.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.04であり、重量平均分子量が29.2×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが5.37g/10分であり、Tm=163.3℃であり、90℃での破壊電界強度が322kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.36E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。3gの過酸化ジベンゾイルを100gのアセトンに溶解し、得られたアセトン溶液を反応系に加え、40℃に加熱し、アセトンを窒素パージにより30分間除去し、次いで、60gのpf N-ビニルピロリドン、反応混合物を30分間撹拌しながら混合し、100℃に加熱し、1時間反応させた。反応終了後、反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-N-ビニルピロリドン材料生成物D5を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0237】
<実施例6D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が12.6重量%であり、キシレン可溶物の含有量が30.6重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が43.6重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が1.84であり、重量平均分子量が27.1×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが8.46g/10分であり、Tm=162.0℃であり、90℃での破壊電界強度が261kV/mmであり、90℃および15kV/mmでの直流体積抵抗率が9E12Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。7gの過酸化ラウロイルおよび160gのN-ビニルカルバゾールを500gの界面剤トルエンに溶解して溶液を形成し、該溶液を反応釜に加え、反応混合物を30分間撹拌しながら混合し、95℃に加熱し、3kgの分散剤水を95℃で加え、3時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を冷却し、濾過して分散剤水を除去し、70℃で10時間真空乾燥して、ポリプロピレン-g-N-ビニルカルバゾール材料生成物D6を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0238】
<実施例7D>
実施例1Dの基礎ポリプロピレン共重合体粉末を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。4.5gの過酸化ジベンゾイルおよび200gの4-ビニルピリジンを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で30分間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物D7を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0239】
<比較例1D>
40メッシュより小さい微粉末をふるい分けにより除去したT30S粉末(90℃での破壊電界強度が347kV/mmであり、90℃かつ15kV/mmでの直流体積抵抗率が1.18E13Ω・mである)を2.0kg秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加えて、反応系を密封し、窒素置換により酸素を除去した。1.2gの過酸化ジベンゾイルおよび40gの4-ビニルピリジンを加え、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で30分間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物CD1を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0240】
<比較例2D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2.0kgを秤量し、メカニカルスターラー付き10L反応釜に加え、反応系を密閉し、窒素置換により酸素を除去した。7.5gの過酸化ジベンゾイルおよび300gの4-ビニルピリジンを添加し、反応混合物を撹拌しながら30分間混合し、50℃で30分間膨潤させ、90℃に加熱し、4時間反応させた。反応終了後、窒素パージにより反応生成物を冷却し、ポリプロピレン-g-4-ビニルピリジン材料生成物CD2を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0241】
<比較例3D>
以下の特徴を有する基礎ポリプロピレン共重合体粉末を選択した:コモノマーエチレン含有量が18.1重量%であり、キシレン可溶物の含有量が48.7重量%であり、キシレン可溶物中のコモノマー含有量が31.9重量%であり、ポリプロピレン共重合体に対するキシレン可溶物の固有粘度比が0.89であり、重量平均分子量が34.3×104g/molであり、230℃における2.16kg荷重下でのMFRが1.21g/10分であり、Tm=143.4℃であり、90℃における破壊電界強度が236kV/mmであり、90℃および15kV/mmにおける直流体積抵抗率が1.16E13Ω・mであり、40メッシュより小さい微粉末をふるい分けによって除去した。上記基礎ポリプロピレン共重合体粉末2000gを秤量し、スクリュー押出機で40gのポリ(4-ビニルピリジン)と混合し、ブレンドCD3を得た。得られた生成物の各種性能パラメータを試験した。結果を表4に示す。
【0242】
【0243】
備考:
M1は、グラフト改質ポリプロピレン材料における、スチレンモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量を示す。
破壊電界強度変化率ΔE/Eは、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eに対する、90℃における芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料生成物の破壊電界強度Egと、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eとの差分ΔEに100%を掛けた割合を指す。
ρvgは、90℃および15kV/mm電界強度での芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率を指し、ρvg/ρvは、90℃および15kV/mm電界強度における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度における芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率ρvgの割合を指す。
【0244】
【0245】
備考:
M1は、シラン改質ポリプロピレングラフトにおける、アルケニル含有シランモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量を示す。
破壊電界強度変化率ΔE/Eは、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eに対する、90℃におけるシラン改質ポリプロピレングラフト生成物の破壊電界強度Egと、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eとの差分ΔEに100%を掛けた割合を指す。
ρvgは、90℃および15kV/mm電界強度におけるシラン改質ポリプロピレングラフト生成物の直流体積抵抗率を指し、ρvg/ρvは、90℃および15kV/mmの電界強度における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度におけるシラン改質ポリプロピレングラフト生成物の直流体積抵抗率ρvgの比率を指す。
【0246】
【0247】
備考:
M1は、グラフト改質ポリプロピレン材料における、アクリレートモノマーおよび任意のアクリレートモノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量を示す。
破壊電界強度変化率ΔE/Eは、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eに対する、90℃におけるグラフト改質ポリプロピレン材料生成物の破壊電界強度Egと、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eとの差分ΔEに100%を掛けた割合を指す。
ρvgは、90℃および15kV/mm電界強度におけるグラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率を指し、ρvg/ρvは、90℃および15kV/mm電界強度における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mm電界強度におけるグラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率ρvgの割合を指す。
【0248】
【0249】
備考:
M1は、複素環グラフト改質ポリプロピレン材料における、アルケニル含有複素環モノマーに由来し、グラフト化された状態である構造単位の含有量を示す。
破壊電界強度変化率ΔE/Eは、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eに対する、90℃における複素環グラフト改質ポリプロピレン材料生成物の破壊電界強度Egと、90℃における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の破壊電界強度Eとの差分ΔEに100%を掛けた割合を指す。
ρvgは、90℃および15kV/mm電界強度における複素環グラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率を指し、ρvg/ρvは、90℃および15kV/mm電界強度における基礎ポリプロピレン共重合体粉末の直流体積抵抗率ρvに対する、90℃および15kV/mmの電界強度における複素環グラフト改質ポリプロピレン材料生成物の直流体積抵抗率ρvgの割合を指す。
【0250】
実施例1Aおよび比較例1Aのデータを比較すると、基粉末としてT30S粉末を使用すると、曲げ弾性率が高くなりすぎ、機械的特性が悪く、絶縁体の処理要件を満たすことができないポリプロピレン-g-スチレン材料生成物が得られることが分かる。
【0251】
実施例1Aおよび比較例2Aのデータを比較すると、スチレンモノマーの過剰な添加(M1値が高すぎる)は、得られたポリプロピレン-g-スチレン材料生成物の破断点伸びの大幅な低減をもたらし、材料の機械的特性に影響を及ぼし、材料の破壊電界強度および体積抵抗率の低減をもたらし、材料の電気的特性に影響を及ぼすことが分かる。
【0252】
実施例1Aおよび比較例3Aのデータを比較すると、ポリスチレンを配合する方法は、材料の破壊電界強度および体積抵抗率の大幅な低減をもたらし、材料の電気的特性に大きく影響することが分かる。
【0253】
結論として、表1のデータから分かるように、本発明の芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料は、曲げ弾性率の大幅な低減により良好な機械的特性を有し、グラフト生成物の破壊電界強度は、スチレンモノマーを用いた、グラフト化されていないポリプロピレン共重合体と比較して、全て改善され、同時に、本発明の芳香族オレフィングラフト改質ポリプロピレン材料が、良好な電気的特性を有することを示す。
【0254】
実施例1Bおよび比較例1Bのデータを比較することによって、基粉末としてT30S粉末を使用すると、曲げ弾性率が高くなりすぎ、機械的特性が悪く、絶縁材料の処理要件を満たすことができないポリプロピレン-g-シラン材料生成物が得られることが分かる。
【0255】
実施例1Bおよび比較例2Bのデータを比較すると、アルケニル含有シランモノマーの過剰な添加(M1値が高すぎる)は、得られたポリプロピレン-g-シラン材料生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の低下をもたらし、生成物の電気的特性に影響を及ぼすことが分かる。
【0256】
実施例1Bおよび比較例3Bのデータを比較すると、ポリビニルトリエトキシシランを配合する方法は、生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の大幅な低減をもたらし、生成物の電気的特性に大きく影響することが分かる。
【0257】
結論として、表2のデータから分かるように、本発明のシラン改質ポリプロピレングラフトは、曲げ弾性率の大幅な低減により良好な機械的特性を有し、グラフト生成物の破壊電界強度は、アルケニル含有シランモノマーを用いたグラフトされていないポリプロピレン共重合体と比較して、全て改善され、これは同時に、本発明のシラン改質ポリプロピレングラフトが良好な電気的特性を有することを示す。
【0258】
実施例1Cおよび比較例1Cのデータを比較することによって、基粉末としてT30S粉末を使用すると、曲げ弾性率が高くなりすぎ、機械的特性が悪く、絶縁材料の処理要件を満たすことができないポリプロピレン-g-アクリレート材料生成物が得られることが分かる。
【0259】
実施例1Cおよび比較例2Cのデータを比較すると、アクリレートモノマーの過剰な添加(M1値が高すぎる)は、得られたポリプロピレン-g-アクリレート材料生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の低下をもたらし、生成物の電気的特性に影響を及ぼすことが分かる。
【0260】
実施例1Cおよび比較例3Cを比較すると、アクリレート重合体を配合する方法は、生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の大幅な低減をもたらし、生成物の電気的特性に大きく影響することが分かる。
【0261】
結論として、表3のデータから分かるように、本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料は、曲げ弾性率の大幅な低減により良好な機械的特性を有し、グラフト生成物の破壊電界強度は、アクリレートモノマーおよび任意のアクリルモノマーを用いたグラフト化されていないポリプロピレン共重合体と比較して、全て改善され、これは同時に、本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料が良好な電気的特性を有することを示す。
【0262】
実施例1Dおよび比較例1Dのデータを比較することによって、基粉末としてT30S粉末を使用すると、曲げ弾性率が高くなりすぎ、機械的特性が悪く、絶縁材料の処理要件を満たすことができないポリプロピレン-g-複素環材料生成物が得られることが分かる。
【0263】
実施例1Dおよび比較例2Dのデータを比較することにより、複素環モノマーの過剰な添加(M1値が高すぎる)は、得られるポリプロピレン-g-複素環材料生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の大幅な低下をもたらし、生成物の電気的特性に影響を及ぼすことが分かる。
【0264】
実施例1Dと比較例3Dのデータを比較することにより、複素環重合体を配合する方法は、生成物の破壊電界強度および体積抵抗率の大幅な低減をもたらし、生成物の電気的特性に大きく影響することが分かる。
【0265】
結論として、表4のデータから分かるように、本発明の複素環グラフト改質ポリプロピレン材料は、曲げ弾性率の大幅な低減により良好な機械的特性を有し、グラフト生成物の破壊電界強度は、複素環モノマーを用いたグラフト化されていないポリプロピレン共重合体と比較して全て改善され、これは同時に、本発明の複素環グラフト改質ポリプロピレン材料が良好な電気的特性を有することを示す。
【0266】
さらに、誘電率および誘電損失のデータから分かるように、グラフト改質は、材料の誘電率および誘電損失に影響を及ぼさず、本発明の材料は、絶縁材に必要な条件を満た
す。
【0267】
<実施例A0>
導体の調製:多数のアルミニウムモノフィラメント導体を配線束加工し、次いで、各束ねたモノフィラメント導体を撚り線加工し、アルミニウム導体内芯を得る。
【0268】
芳香族オレフィン改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例A1、実施例A3、実施例A5、実施例A7および実施例A8で得られた芳香族オレフィン改質ポリプロピレン材料100質量部、酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部を配合し、二軸押出機により、回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0269】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)および上記芳香族オレフィン改質ポリプロピレン粒子を押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は160~220℃であった。
【0270】
金属遮蔽層の調製:T1銅を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅ストリップを巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0271】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0272】
外装の調製:304ステンレス鋼を用いて公称直径が1.25mmの鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0273】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0274】
最終的に、熱可塑性絶縁層を有するケーブルが得られた。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0275】
上記の方法によれば、実施例A1、実施例A3、実施例A5、実施例A7および実施例A8の材料それぞれに基づいて、6~35kVの範囲のエネルギー準位を有するケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は240~400mm2であり、導体遮蔽層の厚さは1~3mmであり、電気絶縁層の厚さは2~8mmであり、電気絶縁遮蔽層の厚さは0.5~1.5mmであり、外装の厚さは0.5~1mmであり、内側シース層の厚さは1~2mmであり、外側シース層の厚さは1.8mm以上であった。
【0276】
<試験例A0>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃における各ケーブルの伝導率比は、100未満であった。各ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:各ケーブルの電界歪率は20%未満であった。直流耐電圧試験の結果:各ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:各ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0277】
<実施例B0>
導体の調製:多数のアルミニウムモノフィラメント導体を配線束加工し、次いで、各束ねたモノフィラメント導体を撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得る。
【0278】
アルケニル含有シラン改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例B1~B4および実施例B6~B7で得られたアルケニル含有シラン改質ポリプロピレン材料100質量部および酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部を配合し、二軸押出機により回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0279】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記のアルケニル含有シラン改質ポリプロピレン粒子とを押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は160~220℃であった。
【0280】
金属遮蔽層の調製:T1銅を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅ストリップを巻回して、金属遮蔽層を形成する。
【0281】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0282】
外装の調製:304ステンレス鋼を用いて、公称直径1.25mmの鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0283】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2塩ビ顆粒PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0284】
最終的に、改質ポリプロピレン熱可塑性絶縁層を有するケーブルを得た。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0285】
上記の方法によれば、実施例B1~B4および実施例B6~B7の材料それぞれに基づいて、6~35kVの範囲のエネルギー準位を有するケーブルを調製し、ケーブルにおける導体の断面積は240~400mm2であり、導体遮蔽層の厚さは1~3mmであり、電気絶縁層の厚さは2~8mmであり、電気絶縁遮蔽層の厚さは0.5~1.5mmであり、外装の厚さは0.5~1mmであり、内側シース層の厚さは1~2mmであり、外側シース層の厚さは1.8mm以上であった。
【0286】
<試験例B0>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃における各ケーブルの伝導率比は100未満であった。各ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:各ケーブルの電界歪率は20%未満であった。直流耐電圧試験の結果:各ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:各ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0287】
<実施例C0>
導体の調製:多数のアルミニウムモノフィラメント導体配線束加工し、次いで、各束ねたモノフィラメント導体を撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得る。
【0288】
アクリレート改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例C1、実施例C3、実施例C5、実施例C7および実施例C8で得られたアクリレート改質ポリプロピレン材料100質量部、酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部および銅阻害剤MDA-5 0.05質量部を配合し、二軸押出機により、回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0289】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記アクリレート改質ポリプロピレン粒子とを押出機で共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は160~220℃であった。
【0290】
金属遮蔽層の調製:T1銅を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅ストリップを巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0291】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0292】
外装の調製:304ステンレス鋼を用いて、公称直径1.25mmの鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、単層外装を巻回する。
【0293】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0294】
最終的に、改質ポリプロピレン絶縁層を有するケーブルを得た。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0295】
上記の方法によれば、実施例C1、実施例C3、実施例C5、実施例C7、および実施例C8の材料それぞれに基づいて、6~35kVの範囲のエネルギー準位を有するケーブルを調製し、ケーブルにおける導体の断面積は240~400mm2であり、導体遮蔽層の厚さは1~3mmであり、電気絶縁層の厚さは2~8mmであり、電気絶縁遮蔽層の厚さは0.5~1.5mmであり、外装の厚さは0.5~1mmであり、内側シース層の厚さは1~2mmであり、外側シース層の厚さは1.8mm以上であった。
【0296】
<試験例C0>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃における各ケーブルの伝導率比は100未満であった。各ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:各ケーブルの電界歪率は20%未満であった。直流耐電圧試験の結果:各ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:各ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0297】
<実施例D0>
導体の調製:多数のアルミニウムモノフィラメント導体を配線束加工し、次いで、各束ねたモノフィラメント導体を撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得る。
【0298】
複素環グラフト改質ポリプロピレン材料粒子の調製:実施例D2、実施例D3、実施例D5および実施例D7で得られた複素環グラフト改質ポリプロピレン材料100質量部と、酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部とを配合し、二軸押出機により回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0299】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記複素環グラフト改質ポリプロピレン材料粒子とを押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は160~210℃であった。
【0300】
金属遮蔽層の調製:T1銅を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅ストリップを巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0301】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0302】
外装の調製:304ステンレス鋼を用いて、公称直径1.25mmの鋼線外装を調性し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0303】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0304】
最終的に、高性能ポリプロピレン熱可塑性絶縁層を有するケーブルが得られた。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0305】
上記の方法によれば、実施例D2、実施例D3、実施例D5、および実施例D7の材料それぞれに基づいて、6~35kVの範囲のエネルギー準位を有するケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は240~400mm2であり、導体遮蔽層の厚さは1~3mmであり、電気絶縁層の厚さは2~8mmであり、電気絶縁遮蔽層の厚さは0.5~1.5mmであり、外装の厚さは0.5~1mmであり、内側シース層の厚さは1~2mmであり、外側シース層の厚さは1.8mm以上であった。
【0306】
<試験例D0>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃における各ケーブルの伝導率比は100未満であった。各ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:各ケーブルの電界歪率は20%未満であった。直流耐電圧試験の結果:各ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:各ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0307】
<実施例A>
導体の調製:直径2.5mmのアルミニウムモノフィラメント76本を圧密撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得た。
【0308】
芳香族オレフィン改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例2Aで得られた芳香族オレフィン改質ポリプロピレン材料100質量部と、酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部とを配合し、二軸押出機により回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0309】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記芳香族オレフィン改質ポリプロピレン粒子とを押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は190~220℃であった。
【0310】
金属遮蔽層の調製:直径0.3mmのT1銅線25本を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅線を巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0311】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0312】
外装の調製:直径6.0mmの304ステンレス鋼線を50本使用して、鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0313】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0314】
最終的に、熱可塑性絶縁層を有するケーブルが得られた。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0315】
上記の方法によれば、実施例2Aの材料に基づいてエネルギー準位10kVのケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は400mm2であり、導体遮蔽層の平均厚さは1.04mmであり、電気絶縁層の平均厚さは2.53mmであり、電気絶縁遮蔽層の平均厚さは1.05mmであり、金属遮蔽層の平均厚さは0.92mmであり、ケーブル絶縁離心率は5.1%であり、外装の平均厚さは6.00mmであり、内側シース層の平均厚さは1.80mmであり、外側シース層の平均厚さは2.45mmであった。
【0316】
<試験例A>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃におけるケーブルの伝導率は47.5であった。ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:ケーブルの電界歪率は18.3%であった。直流耐電圧試験の結果:ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:ケーブルは破壊現象を有さず、合格を示した。
【0317】
<実施例B>
導体の調製:直径2.5mmのアルミニウムモノフィラメント76本を圧密撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得た。
【0318】
アルケニル含有シラン改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例5Bで得られたアルケニル含有シラン改質ポリプロピレン材料100質量部と、酸化防止剤1010/168/ステアリン酸カルシウム(質量比:2:2:1)0.3質量部とを配合し、二軸押出機により回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0319】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記のアルケニル含有シラン改質ポリプロピレン粒子とを押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は190~220℃であった。
【0320】
金属遮蔽層の調製:直径0.3mmのT1銅線25本を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅線を巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0321】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0322】
外装の調製:直径6.0mmの304ステンレス鋼線を50本使用して、鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0323】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0324】
最終的に、改質ポリプロピレン熱可塑性絶縁層を有するケーブルを得た。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0325】
上記の方法によれば、実施例5Bの材料に基づいて、10kVのエネルギー準位のケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は400mm2であり、導体遮蔽層の平均厚さは1.05mmであり、電気絶縁層の平均厚さは2.95mmであり、電気絶縁遮蔽層の平均厚さは1.18mmであり、金属遮蔽層の平均厚さは0.95mmであり、ケーブル絶縁離心率は5.2%であり、外装の平均厚さは5.95mmであり、内側シース層の平均厚さは2.44mmであり、外側シース層の平均厚さは2.80mmであった。
【0326】
<試験例B>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃におけるケーブルの伝導率は56.8であった。ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:ケーブルの電界歪率は17.5%であった。直流耐電圧試験の結果:ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0327】
<実施例C>
導体の調製:直径2.5mmの銅モノフィラメント76本を圧密撚り線加工し、銅導体内芯を得る。
【0328】
アクリレート改質ポリプロピレン粒子の調製:実施例2Cで得られた改質ポリプロピレン材料100質量部と、酸化防止剤1024 0.3質量部とを配合し、二軸押出機により回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0329】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記改質ポリプロピレン粒子とを押出機で導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は190~220℃であった。
【0330】
金属遮蔽層の調製:直径0.3mmのT1銅線25本を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅線を巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0331】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0332】
外装の調製:直径6.0mmの304ステンレス鋼線を50本使用して、鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に、左方向に単層外装を巻回する。
【0333】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0334】
最終的に、改質ポリプロピレン絶縁層を有するケーブルを得た。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0335】
上記の方法によれば、実施例2Cの材質に基づいてエネルギー準位が10kVのケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は400mm2であり、導体遮蔽層の平均厚さは1.19mmであり、電気絶縁層の平均厚さは2.96mmであり、電気絶縁遮蔽層の平均厚さは1.06mmであり、金属遮蔽層の平均厚さは0.94mmであり、ケーブル絶縁離心率は4.9%であり、外装の平均厚さは5.93mmであり、内側シース層の平均厚さは2.07mmであり、外側シース層の平均厚さは2.75mmであった。
【0336】
<試験例C>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃におけるケーブルの伝導率は69.4であった。ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:ケーブルの電界歪率は18.6%であった。直流耐電圧試験の結果:ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0337】
<実施例D>
導体の調製:直径2.5mmのアルミニウムモノフィラメント76本を圧密撚り線加工し、アルミニウム導体の内芯を得た。
【0338】
複素環グラフト改質ポリプロピレン材料粒子の調製:実施例1Dで得られた複素環グラフト改質ポリプロピレン材料100質量部と、酸化防止剤1035 0.3質量部とを配合し、二軸押出機により、回転速度300r/分、造粒温度210~230℃で造粒する。
【0339】
導体遮蔽層および電気絶縁層の調製:導体遮蔽材料PSD_WMP-00012(Zhejiang Wanma Co., Ltd.)と上記複素環グラフト改質ポリプロピレン材料粒子とを押出機により導体内芯の外側に共押し出しコーティングして、導体遮蔽層+電気絶縁層を形成するか、あるいは導体遮蔽層+電気絶縁層+電気絶縁遮蔽層(外側遮蔽層)を形成する。押出温度は190~210℃であった。
【0340】
金属遮蔽層の調製:直径0.3mmのT1銅線25本を用いて、電気絶縁層(電気絶縁遮蔽層)の外側に銅線を巻回し、金属遮蔽層を形成する。
【0341】
内側シース層の調製:押出機により、金属遮蔽層の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、内側シース層を形成する。
【0342】
外装の調製:直径6.0mmの304ステンレス鋼線を50本使用して、鋼線外装を調製し、外装が密閉され、隣接する鋼線間の隙間が最小となるように、内側シース層に左方向に単層外装を巻回する。
【0343】
外側シース層の調製:押出機により外装の外側にSt-2PVC顆粒(Dongguan Haichuang Electronics Co., Ltd.)を押し出し、外側シース層を形成する。
【0344】
最終的に、高性能ポリプロピレン絶縁層を有するケーブルが得られた。ケーブルの概略断面図を
図1に示す。
【0345】
上記の方法によれば、実施例1Dの材料に基づいてエネルギー準位が10kVのケーブルを調製した。ケーブルにおける導体の断面積は400mm2であり、導体遮蔽層の平均厚さは1.07mmであり、電気絶縁層の平均厚さは2.64mmであり、電気絶縁遮蔽層の平均厚さは1.00mmであり、金属遮蔽層の平均厚さは1.00mmであり、ケーブル絶縁離心率は5.4%であり、外装の平均厚さは5.94mmであり、内側シース層の平均厚さは2.25mmであり、外側シース層の平均厚さは2.40mmであった。
【0346】
<試験例D>
調製したケーブルを試験した。ケーブルの主絶縁伝導率試験の結果:90℃および30℃におけるケーブルの伝導率は52.1であった。ケーブルの絶縁空間電荷注入試験の結果:ケーブルの電界歪率は16.2%であった。直流耐電圧試験の結果:ケーブルは、破壊現象および放電現象を有さず、合格を示した。負荷サイクル試験の結果:ケーブルは、破壊現象を有さず、合格を示した。
【0347】
主絶縁層として本発明のグラフト改質ポリプロピレン材料を含むケーブルは、従来のケーブルと比較して、より高い使用温度を有し、より高い使用温度において、より高い体積抵抗率およびより強い破壊抵抗力を依然として保持しながら、なおいっそう有することができることが分かる。同等の電圧グレードおよび絶縁レベルを確保する条件下において、従来のケーブルの電気絶縁層と比較して、グラフト改質ポリプロピレン材料から作られる電気絶縁層は、厚みが薄く、放熱性に優れ、重量が小さいという利点を有する。
【0348】
以上、本発明の実施例を説明したが、上記の記載は例示であり、網羅的なものではなく、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの改善および変更が当業者には明らかである。
【0349】
本明細書に開示される範囲の端点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されるものではなく、それらの範囲または値に近い値を包含すると理解されるべきである。数値範囲については、各範囲の端点、各範囲の端点および個体点値、ならびに個体点値を互いに組み合わせて、1つ以上の新しい数値範囲を得ることができ、その数値範囲は本明細書に具体的に開示されているとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルの概略断面図である。
【国際調査報告】