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特表2023-523797周波数ノイズが低減された外部共振器レーザー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】周波数ノイズが低減された外部共振器レーザー
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0683 20060101AFI20230531BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20230531BHJP
   H01S 5/14 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H01S5/0683
G02F1/01 C
H01S5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566199
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2021053549
(87)【国際公開番号】W WO2021220201
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/016,921
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521040466
【氏名又は名称】ファイバー センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨッフェ、ギデオン
【テーマコード(参考)】
2K102
5F173
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102AA28
2K102AA29
2K102BA01
2K102BA16
2K102BB04
2K102BC04
2K102BC06
2K102BC10
2K102BD09
2K102CA11
2K102DA04
2K102DB02
2K102DB04
2K102DD03
2K102EA05
2K102EA25
2K102EB06
2K102EB08
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB23
2K102EB25
2K102EB29
5F173AB34
5F173AB44
5F173AB46
5F173AR69
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC30
5F173MF02
5F173MF13
5F173MF26
5F173MF28
5F173MF40
5F173SA08
5F173SA09
5F173SA26
5F173SC10
(57)【要約】
分散型ファイバ感知システムのためのレーザーは、レーザーと一体化された周波数弁別器を有することができる。レーザーは外部共振器レーザーであってもよく、レーザー共振器の少なくとも一部は、周波数弁別器も含む平面光波回路上にあってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型ファイバ感知システムのための周波数弁別器を備えたレーザー装置であって、
光を発生するレーザー素子と、
前記レーザー素子からの光を受光するように前記レーザー素子に光学的に結合された平面光波回路(PLC)と、を備え、
前記PLCは周波数弁別器コンポーネントを含む、
レーザー装置。
【請求項2】
前記周波数弁別器コンポーネントは、非対称アーム長を有するマッハツェンダ干渉計と、少なくとも1つのアーム内の位相シフタとを備える、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項3】
前記レーザー素子は外部共振器レーザーの一部であり、
前記PLCは前記レーザー素子に波長選択的フィードバックを提供するように、前記レーザー素子に光学的に結合された波長選択的コンポーネントを含む、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項4】
前記レーザー素子は、反射型半導体光増幅器(RSOA:reflective semiconductor optical amplifier)を含む、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項5】
前記波長選択的コンポーネントは、ブラッググレーティングを含むことを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
【請求項6】
前記周波数弁別器コンポーネントは、非対称アーム長を有するマッハツェンダ干渉計と、少なくとも1つのアーム内の位相シフタとを備える、請求項5に記載のレーザー装置。
【請求項7】
マッハツェンダ干渉計が前記ブラッググレーティングを含む導波路の一部に光学的に結合され、前記ブラッググレーティングは前記RSOAと前記マッハツェンダ干渉計との間に光学的にある、請求項5に記載のレーザー装置。
【請求項8】
前記波長選択的コンポーネントは導波路を備え、前記導波路の長さの少なくとも一部に沿って摂動を有する、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項9】
前記導波路の前記長さの少なくとも一部に沿った前記摂動が、前記導波路の前記長さの前記少なくとも一部に沿って、前記導波路の一方の側から前記導波路の他方の側に交互になる、請求項8に記載のレーザー装置。
【請求項10】
前記波長選択的コンポーネントは導波路を備え、前記導波路の長さの少なくとも一部に沿って前記導波路の少なくとも片側に導波路材料のアイランドを有する、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項11】
前記導波路材料の島が、前記導波路の前記長さの前記少なくとも一部に沿って、前記導波路の一方の側から他方の側に交互に配置される、請求項10に記載のレーザー装置。
【請求項12】
前記波長選択的コンポーネントは、リング共振器とブラッググレーティングとを直列に含むことを特徴とする、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項13】
前記ブラッググレーティングは、前記リング共振器のドロップ導波路に結合される、請求項12に記載のレーザー装置。
【請求項14】
前記ブラッググレーティングの出力は、前記レーザー装置の光出力を提供する、請求項13に記載のレーザー装置。
【請求項15】
前記リング共振器の送信共振を修正するために、前記リング共振器のためのヒータをさらに備える、請求項12に記載のレーザー装置。
【請求項16】
前記レーザー素子に隣接する一体型のヒータをさらに備え、前記一体型のヒータは、前記周波数弁別器からの信号に基づいて調整可能である、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項17】
前記レーザー素子から離れた前記ヒータの側に配置された、エッチングされたトレンチをさらに備える、請求項16に記載のレーザー装置。
【請求項18】
前記レーザー素子と一体化された位相変調器をさらに備え、前記位相変調器は、前記周波数弁別器からの信号に基づいて調整可能である、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項19】
前記周波数弁別器の出力信号は、前記分散型ファイバ感知システムのデジタル信号プロセッサ(DSP)に結合される、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項20】
前記出力信号は、前記レーザー素子からの光の波長変動を補正する際に前記DSPが使用するためのものである、請求項19に記載のレーザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、分散型ファイバ感知に関し、より詳細には、分散型音響感知(DAS)システムのためのレーザーに関する。
【背景技術】
【0002】
光分散ファイバーセンシング(DFS)システムはファイバ故障の位置を特定するため、または温度、歪み、または振動を測定するために、数十年間使用されてきた。DFSシステムは、ファイバ自体がセンサのアレイを形成するという点で、離散分散センサを使用するシステムとは区別される。このシステムは、ガラス不均一性(レイリー)、音波(ブリルアン)または光フォノン(ラマン)に起因し得る、ファイバ内の光散乱に依存する。典型的なシステムでは、光パルスがファイバの一端から発射され、反射された後方散乱が発射端で受信される。飛行時間測定値がファイバ内のどこで特定の散乱事象が発生したかを決定するために使用され、受信信号の分析は測定値を評価するために使用される。
【0003】
後方散乱のコヒーレント検出は、分散型音響センシング(DAS)として知られることが多い分散型振動センシング(DVS)に一般に使用される。光ファイバに沿った点における歪みの変化は、光路長の変化、したがって後方散乱光の位相の変化を引き起こす。
【0004】
ヘテロダインコヒーレント受信機を有する典型的な位相感応DASシステムの概略図を図1に示す。連続波(CW)レーザー111からの光はソースレーザーとしての役割を果たし、典型的には1550nm付近の電気通信帯域で動作するが、例えばスプリッター113によって2つの経路に分割される。第1の経路は光アイソレータ117を通過し、音響光学変調器(AOM)119によって、典型的には10~100nsの長さの光パルスに形成される。AOMはまた、光の光周波数を、典型的には80~300MHzだけシフトさせる。パルスは、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)121によって増幅され、光サーキュレータ123を介して被試験ファイバ125に発射される。試験中のファイバからの後方散乱光は、サーキュレータによってコヒーレント受信器の信号入力に向けられる。CWレーザーからの第2の経路115は、コヒーレント受信機への局部発振器(LO)入力を形成する。第2の経路の光は、光アイソレータ151および可変光減衰器153を通過する。後方散乱光信号の偏光は被試験ファイバの長さが数十kmであり、したがって、偏光ダイバーシティが受信機において一般に必要とされるので、透過光の偏光とは十分に異なり得る。信号およびLO光は、それぞれ偏光ビームスプリッタ129および155によって2つの偏光のための経路に分割され、3dB光カプラ131a、bで混合される。カプラの出力は可変光減衰器133a~dを通過し、平衡光検出器135a、bに取り込まれる。光検出器の電気出力は、トランスインピーダンス増幅器(TIA)137a、bによって増幅され、アナログ-デジタル変換器(ADC)139a、bによってデジタル信号に変換され、デジタル信号プロセッサ(DSP)141によって分析される。信号およびLOの光周波数は、AOM周波数によって異なる。対象となる振動周波数は0~数十kHzの範囲であり、したがって、信号の全位相情報を電気的に測定することができる。
【0005】
DASシステムの感度は様々なノイズ源に依存し、最も重要なものの1つは、レーザーの周波数ノイズまたは位相ノイズである。システムの目的はゼロ周波数から数十kHzまでの比較的遅い位相変動を測定することであるので、DASシステムではレーザー源がこの範囲の低周波数ノイズを示すことが一般に好ましい。
【0006】
2つの異なるタイプのレーザーが、DASシステムにおけるソースとして一般に使用される。
i.ファイバレーザーは、ドープされた光ファイバが光の生成及び増幅に使用され、ファイバ・ブラッグ・グレーティングのような光フィードバックの何らかの手段を有する。
ii.拡張光キャビティが自由空間、光ファイバ、または平面光波回路(PLC)に形成される外部キャビティ半導体レーザー(ECL)。
【0007】
両方のタイプのレーザーにおいて、長い光キャビティの設計は、分布帰還(DFB)レーザーなどの単一周波数半導体レーザーと比較して、周波数ノイズの実質的な低減を提供する。周波数雑音の便利な測定基準は、周波数雑音スペクトルの高周波部分に密接に関連する光線幅である。DFBレーザーの線幅は典型的には0.5~5MHzの範囲であり、一方、DASシステムのためのファイバレーザーまたはECLの線幅は、典型的には0.1~10kHzである。
【0008】
図2に示すように、レーザーのノイズ低減技術を示す半概略図であるフィードバック技術を用いて、レーザーの周波数ノイズを低減することができる。図2において、連続波レーザー111の光出力の一部は、タップ213によって取り出され、周波数弁別器215に送られ、周波数または波長変動を光パワー変動に変換する。周波数弁別器の典型的な例は、不均等なアーム長を有するファブリペロー(Fabry-Perot)干渉計およびマッハツェンダ(Mach-Zehnder)干渉計である。弁別器の光出力は光検出器219に落ち、その電気出力は増幅器219によって増幅され、周波数ノイズの電気的測定値を形成する。制御回路221を有するフィードバックループは、周波数(または波長)偏差を打ち消す信号をレーザー内のアクチュエータ(図2には図示せず)に提供する。この技術は周知である。図3は、nktphotonics.comで入手可能なデータシートから得られた、NKT Photonicsによって製造されたファイバレーザーからの周波数ノイズスペクトルを示すグラフである。モデルE15およびX15は本質的に同じレーザーキャビティを有し、モデルX15は、低周波数ノイズを低減するためのフィードバックループを含む。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施形態は、PLCに統合された周波数弁別器を提供する。いくつかの実施形態では、周波数弁別器が半導体レーザーのより低い周波数ノイズにフィードバック信号を提供するためのものである。いくつかの実施形態では、半導体レーザーおよび周波数弁別器はDASシステムの一部である。いくつかの実施形態では、高速熱調整要素が電気フィードバックループ内のアクチュエータとして使用される。熱同調素子は、集積抵抗器またはダミーダイオードとすることができる。いくつかの実施形態では、熱効率を改善するために、導波路に隣接する側とは反対側の熱調整要素の側にトレンチをエッチングすることができる。いくつかの実施形態ではレーザーが反射半導体光増幅器(RSOA)を含み、位相変調器は電気フィードバックループ内のアクチュエータとしてRSOAと一体化される。いくつかの実施形態では、高速熱調整要素または位相変調器がフィードバックループ内のアクチュエータとして外部空洞上に統合される。いくつかの実施形態では、周波数弁別器がレーザーキャビティ内の光学フィードバック要素と一体化される。いくつかの実施形態では、周波数弁別器がRSOAと統合される。いくつかの実施形態では、導波路の幅に摂動を形成することによって、または導波路材料のアイランドを導波路の片側または両側にパターニングすることによって、1つまたは複数の格子が導波路内に作製される。いくつかの実施形態では、幅摂動またはアイランドが導波路の側面の長さに沿って交互に配置される。いくつかの実施形態では、光学フィードバック要素が少なくとも1つのブラッググレーティング(ブラッグ回折格子)に結合された少なくとも1つのリング共振器を含むPLCを含む。
【0010】
いくつかの実施形態は光を生成するためのレーザー素子と、レーザー素子からの光を受け取るようにレーザー素子に光学的に結合された平面光波回路(PLC)とを備え、PLCは周波数弁別器コンポーネント(component)を含む、分布ファイバ感知システムのための周波数弁別器を有するレーザー装置を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、周波数弁別器コンポーネントが非対称アーム長を有するマッハツェンダ干渉計と、少なくとも1つのアーム内の位相シフタとを備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、レーザー素子が外部共振器レーザーの一部であり、PLCはレーザー素子に波長選択的フィードバックを提供するように、レーザー素子に光学的に結合された波長選択的(wavelength selective)コンポーネントを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、レーザー素子が反射型半導体光増幅器(RSOA)を備える。いくつかのそのような実施形態では、波長選択性成分はブラッググレーティングを含む。いくつかのそのような実施形態では、周波数弁別器コンポーネントが非対称アーム長を有するマッハツェンダ干渉計と、少なくとも1つのアーム内の位相シフタとを備える。いくつかのそのような実施形態ではマッハツェンダ干渉計がブラッググレーティングを含む導波路の一部に光学的に結合され、ブラッググレーティングはRSOAとマッハツェンダ干渉計との間に光学的にある。
【0014】
いくつかの実施形態では、波長選択的コンポーネントが導波路の長さの少なくとも一部に沿って摂動を有する導波路を備える。いくつかのそのような実施形態では、導波路の長さの少なくとも一部に沿った摂動が導波路の長さの少なくとも一部に沿って、導波路の一方の側から導波路の他方の側に交互になる。
【0015】
いくつかの実施形態では、波長選択的コンポーネントが導波路の長さの少なくとも一部に沿って導波路の少なくとも1つの側に導波路材料のアイランドを有する導波路を備える。いくつかのそのような実施形態では、導波路材料のアイランドが導波路の長さの少なくとも一部に沿って、導波路の一方の側から他方の側に交互に配置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、波長選択性コンポーネントが直列のリング共振器およびブラッググレーティングを備える。いくつかのそのような実施形態では、ブラッググレーティングがリング共振器のドロップ導波路に結合される。いくつかのそのような実施形態では、ブラッググレーティングの出力がレーザー装置の光出力を提供する。いくつかのそのような実施形態は、リング共振器の送信共振を修正するためにリング共振器のためのヒータをさらに備える。
【0017】
前述の実施形態のいずれかのいくつかはレーザー素子に隣接する集積ヒータをさらに備え、集積ヒータは周波数弁別器からの信号に基づいて調整可能である。いくつかのそのような実施形態は、レーザー素子から離れたヒータの側に配置されたエッチングされたトレンチをさらに備える。
【0018】
前述の実施形態のいずれかのいくつかはレーザー素子と一体化された位相変調器をさらに備え、位相変調器は周波数弁別器からの信号に基づいて調整可能である。
【0019】
前述の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、周波数弁別器の出力信号は、分散型ファイバ感知システムのデジタル信号プロセッサ(DSP)に結合される。いくつかのそのような実施形態では、出力信号がレーザー素子からの光の波長変動を補正する際にDSPによって使用されるためのものである。
【0020】
本発明のこれらおよび他の態様は本開示を検討することにより、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ヘテロダインコヒーレント受信機を有する典型的な位相感応DASシステムの半概略図である。
図2図2は、レーザーのノイズ低減技術を示す半概略図である。
図3図3は、ファイバレーザーからの周波数ノイズスペクトルを示すグラフである。
図4図4は、DFSシステムのためのソースとして使用され得る外部キャビティ半導体レーザーの半概略図である。
図5図5は、DASシステムのための光源レーザーと共に使用するための平面光波回路(PLC)周波数弁別器の半概略図である。
図6図6は、周波数同調のための一体型ヒータを有する反射型光半導体増幅器(RSOA)の半概略図である。
図7図7は、周波数同調のための統合位相変調器を有するRSOAの半概略図である。
図8図8は、光フィードバック要素と一体化された周波数弁別器を有するRSOAの半概略図である。
図9a図9aは、エッチングされた格子を有する2つの例示的な導波路の上面図を示す。
図9b図9bは、エッチングされた格子を有する2つの代替の例示的な導波路の上面図を示す。
図10図10は、外部空洞内にリング共振器および格子の両方を有するRSOAの半概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のいくつかの態様は、DASシステムのいくつかの実施形態において、外部共振器半導体レーザーの低周波ノイズ特性を改善するための技術に関する。いくつかの実施形態では、外部共振器半導体レーザーの周波数ノイズがフィードバックループを使用して低減される。いくつかの実施形態では、DASシステムが周波数ノイズが低減される外部キャビティ半導体レーザーを含む。いくつかの実施形態では、周波数弁別器がPLC内に製造される。フィードバックループ内のアクチュエータの様々な実施形態、および単一の基板上に複数の機能を統合するための様々なオプションについても、以下で説明する。
【0023】
図4は、いくつかの実施形態におけるDFSシステムのためのソースとして使用され得る外部キャビティ半導体レーザーの半概略図である。このようなレーザーは多くの形態をとることができ、この説明は非常に一般的である。いくつかの実施形態では、図4に示されるように、反射型半導体光増幅器(RSOA)411が光を生成および増幅するために使用される。RSOAの後部ファセット413は、反射ミラーを形成するようにコーティングされる。前面ファセット415は、反射防止コーティングされ、光はこのファセットから、RSOAに波長選択性フィードバックを提供する外部光学システム417に結合される。外部光学システムはまた、レーザーのための光学出力419を提供する。例えば、前端面への波長選択的フィードバックの代わりに、またはそれに加えて、後端面における外部波長選択的フィードバックを用いて、代替的な幾何学的形状が可能である。波長選択性フィードバックは例えば、様々な実施形態において、自由空間に結合された光フィルタ、光ファイバブラッググレーティング、グレーティングまたはリング共振器回路を含むPLC、またはシリカ平面導波路にエッチングされたブラッググレーティングを使用して、多くの方法で生成することができる。
【0024】
DASシステムのための光源レーザーと共に使用するための平面光波回路(PLC)周波数弁別器の実施形態が、図5に半概略的に示されている。PLC周波数弁別器は例えば、図4の外部共振器型半導体レーザーから光を受け取ることができる。PLC周波数弁別器は、1つのアームに導波路遅延線515を有するマッハツェンダ干渉計を含む。図5では、マッハツェンダ干渉計が第1の3dB結合511によって2つのアームに分割された信号入力を有するものとして示されており、アームの端部に第2の3dB結合517からの2つの出力を有する。第2の3dB結合からの2つの出力は光検出器(図5には図示せず)に提供され得、光検出器の出力は周波数弁別器の電気出力信号として使用される。遅延線による非対称性は、波長がおおよそ周期的な透過スペクトルを生成する。1つのアーム、典型的にはヒータ内の位相シフタ513は、レーザーの波長に対する干渉計の正確な調整を可能にする。いくつかの実施形態では図5に示すように、ヒータは遅延線以外のアーム用である。弁別器を安定させるために、PLC520は例えば、PLCに取り付けられたサーミスタ521などの感温素子を使用して制御される熱電冷却器(TEC)519に取り付けられてもよい。PLCはシリコン、シリコン、または窒化シリコンなどの導波路プラットフォーム内に製作され、これらのすべては低い光損失を提供する。光遅延線は、螺旋として設計されてもよく、強い識別を生成する1ナノ秒を超える遅延を提供してもよい。例えば、1つのアームに5nsの遅延を有する窒化ケイ素の実装は、1550ナノメートルの波長で動作するレーザーについて、約1.5ピコメートルの透過ピーク間の波長間隔を与える。弁別器からの信号は、レーザー波長の測定された変化に対抗して作用する外部共振器レーザー内のいくつかのアクチュエータにフィードバックを提供するために使用され得る。基本的な機構は、物理的長さの変化によるか、または1つ以上のコンポーネントの屈折率の変化によるかのいずれかによる、光キャビティの光学的長さの調整である。いくつかの実施形態では、周波数弁別器からの出力信号がデジタル信号プロセッサ(DSP)、例えば、図1のDASシステムのDSPに提供されるか、または信号をデジタル信号プロセッサ(DSP)に提供する際に使用される。そのような実施形態では、DSPがレーザーによって生成される光の波長変動を決定および/または説明する際に信号を使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、周波数弁別器の出力がレーザーのアクチュエータにフィードバックを提供するために使用される周波数弁別器の出力の代わりに、またはそれに加えて、レーザーにおける波長変動を補正するためにDSPによって使用され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、フィードバックはRSOAへの駆動電流を調整することによる。電流の変化はRSOAの屈折率の変化を引き起こし、したがって、キャビティの光学的長さを変化させる。このアプローチは屈折率の変化を引き起こす2つの異なる反対の機構のために、欠点を有する。駆動電流の増加を考慮すると、ナノ秒範囲の時間スケールで屈折率の減少を引き起こす、半導体接合内の電気キャリアの数の増加がある。電気駆動の増加はまた、加熱を引き起こし、これは、いくつかの時定数、あるものは1ミリ秒未満、他のものは1秒を超える屈折率を増加させる。したがって、制御回路は複雑であり得る。別の欠点は、電流の変化が必然的に光強度の変化を引き起こすので、この機構が強度ノイズを増加させる可能性があることである。
【0026】
いくつかの実施形態はRSOAの温度を変化させることができ、それによって駆動電流を変化させることなくRSOAの屈折率を変化させることができ、それによって上述の欠点のいくつかを軽減する、RSOAチップ上の別個のヒータを有する。このヒータは最も効率的な熱結合のために、導波路に隣接して、または導波路の上部にさえ配置することができる。一般的なスキームが図6に示されており、これは、周波数同調のための一体化されたヒータを有するROSAの半概略図である。図4と同様に、RSOA611は、後方反射ファセット613と、前方反射防止コーティングファセット615とを有する。RSOAは、RSOAに駆動電流を供給するための電気接点619を有する。RSOAの光出力は外部波長選択フィードバック装置625に提供され、外部波長選択フィードバック装置はレーザーの光出力を提供する。ヒータはRSOAの熱調整のためにRSOAの導波路に隣接し、ヒータは、第1および第2の電気接点623a、bを有する。ヒータは例えば、抵抗器またはダイオードであってもよい。追加の製造ステップなしに導波路に隣接してヒータを統合する便利な方法はダミーアクティブ導波路セクションを追加し、それをアクチュエータ、この場合はヒータとして使用することである。能動導波路へのヒータの密接な熱結合は、サブミリ秒時間スケールでの応答を可能にする。ヒータが能動導波路の隣に配置される場合、いくつかの実施形態では、熱効率が導波路に隣接していないヒータの側面上のトレンチ617をエッチングすることによって改善することができる。RSOAは典型的には外部キャビティPLCよりもはるかに小さいので、熱応答はしたがって、RSOAに対してより速い。これにより、PLCの温度を制御するよりも、RSOAの温度を制御する方が、より容易に高速変動に対処することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、位相変調器が例えば、図7に示されるように、RSOAチップ上に統合される。再び、図4と同様に、RSOA711は、後方反射ファセット713と、前方反射防止コーティングファセット715とを有する。RSOAは、RSOAに駆動電流を供給するための電気接点717を有する。RSOAの光出力は、レーザーの光出力も提供する外部波長選択フィードバックデバイス723に提供される。位相変調器719はRSOAの前部に組み込まれ、位相変調器は制御信号を印加するための電気接点721を有する。変調器は、屈折率が順方向バイアスまたは逆方向バイアスのいずれかによって電気的に調整され得る導波路の部分である。変調器セクションは図7に示されるように、前面に向かって、または後面に配置することができる。電気信号を屈折率変化に変換することができるいくつかの物理的効果があり、この文献は、それらを一緒に電気光学効果と呼ぶ。このような位相変調器は一般に、半導体マッハツェンダ変調器およびモノリシックチューナブル半導体レーザーにおいて使用される。通常、変調器の導波路コアは吸収損失を最小限に抑えるために、増幅部とは異なる組成の半導体層で形成される。光導波路は、チップ全体を通して本質的に連続している。集積チップは、典型的には増幅器および変調器部が高抵抗によって電気的に絶縁されるように設計される。そのような電気光学効果は一般に、熱効果よりもはるかに速く、したがって、より高い周波数までの波長変動の補償を可能にする。
【0028】
いくつかの実施形態では、アクチュエータが外部空洞コンポーネントに組み込まれる。熱および電気光学機構に加えて、圧電アクチュエータを通る迅速な機械的移動を使用して、光学キャビティ長を変更し、したがって波長を調整することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、周波数弁別器機能が波長選択フィードバックを提供する同じPLCに統合される。そのような統合は、レーザーのサイズおよびコストの低減を可能にし得る。1つの例示的な配置が図8に示されている。図8では、RSOA811がPLCにバット結合されているものとして示されている。RSOAは、反射後部ファセット813と、反射防止コーティングされた前部ファセット815とを有する。波長選択フィードバックは、PLCの導波路内のブラッググレーティング819によって提供される。波長選択性フィードバックがリング共振器または他のコンポーネントによって提供される場合、同じ概念が同様に適用され得る。図8はまた、マッハツェンダ干渉計の形態の周波数弁別器を含むものとしてPLCを示す。ブラッググレーティングを通過する光タップ821は導波路からの光の一部を受け取り、第1の3dB結合823によってマッハツェンダ干渉計の2つのアームに光を提供する。第2の3dBカップリング829は2つのアームの端部で光を混合し、第2の3dBからの2つの出力が光検出器831に供給される。光検出器の出力は、周波数弁別器の電気出力信号として使用することができる。導波路遅延線827は一方のアームにあり、他方のアームには、位相シフタ825としてヒータを有する。いくつかの実施形態では、周波数弁別器機能が代わりに、外部空洞と一体化されるのではなく、RSOA上に一体化され得る。弁別器からの信号は、レーザー波長の測定された変化に対抗して作用する外部共振器レーザー内のアクチュエータにフィードバックを提供するために使用されてもよい。加えて、図5の実施形態と同様に、いくつかの実施形態では、周波数弁別器からの出力信号がデジタル信号プロセッサ(DSP)、例えば、図1のDASシステムのDSPに提供されるか、または信号をデジタル信号プロセッサ(DSP)に提供する際に使用される。そのような実施形態では、DSPがレーザーによって生成される光の波長変動を決定および/または説明する際に信号を使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、周波数弁別器の出力がレーザーのアクチュエータにフィードバックを提供するために使用される周波数弁別器の出力の代わりに、またはそれに加えて、レーザーにおける波長変動を補正するためにDSPによって使用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、フィードバックおよび任意の周波数弁別器が従来のシリカ導波路によって提供されるものよりも高い屈折率のコントラストを有する材料プラットフォーム内に製造される。高コントラストプラットフォームの一例は、二酸化ケイ素クラッドを有する窒化ケイ素導波路である。そのようなプラットフォームでは、回折格子が導波路の横方向寸法を変化させることによって都合よく製造することができる。この形態の格子は、導波路自体と同じリソグラフィ工程で製造することができる。そのような格子の概略上面図の例が図9aに示されており、図9aは、導波路の長さに沿った導波路の幅の摂動によって格子が形成される第1の例示的な導波路911を示している。図9aでは、第1の例の導波路について、導波路の幅は例えば摂動912a、bによって示されるように、導波路の側面上の対向する摂動によって周期的に増加される。図9aはまた、第2の例示的な導波路913を示し、格子は、導波路の側面への導波路材料の小さな島915aa~an、915ba~bnの存在によって形成される。これらの摂動または島は図9aに示されるように、両側に、または片側のみに配置することができる。
【0031】
いくつかのウェーハ鋳造工場では、フィーチャ(feature)のサイズが小さく、フィーチャ間の間隔が小さいため、従来の光リソグラフィを使用してそのような構造を製作することは困難であり得る。この困難性は、幅の摂動または島を導波路の交互の側面に配置することによって軽減することができる。図9bは図9aのものと同様であるが、導波路の長さに沿って交互に離間された摂動または島を有する2つの代替導波路を示す。第1の代替導波路951の場合、導波路の幅は導波路の一方の側から他方の側へ交互になる摂動によって、導波路の長さに沿って周期的に増加され、例えば、導波路の端部付近の一方の側に摂動952aがあり、導波路の端部から遠い方の導波路の他方の側に摂動952がある。第2の代替導波路953の場合、島955aa~anは導波路の第1の側にあり、島955ba~bmは導波路の第2の対向する側にある。導波路の両側のアイランドは、導波路の長さに沿って交互に離間している。
【0032】
いくつかの実施形態では、外部空洞を形成するPLCが少なくとも1つのリング共振器と少なくとも1つの格子の両方を含む。そのような実施形態は、両方の要素の好ましい特性を利用することができる。このタイプの実施形態はグレーティングの反射スペクトルに対するレーザーの動作点の正確な同調を可能にすることができ、リング共振器の狭帯域通過フィルタは、レーザー性能を低下させ得るサイドモードを抑制するのに役立つ。1つの例示的な配置が図10に示されている。図10では、RSOA1011が反射後部ファセット1013と、反射防止コーティングされた前部ファセット1015とを有する。電気接点1017は、RSOAに駆動電流を供給する。光は、RSOAチップからPLC上の導波路に結合される。導波路内の光は、PLC上のリング共振器1031に結合する。光の一部は、「貫通」導波路1021内に留まる。特定の波長の光について、有限波長帯域におけるパワーのかなりの部分が、「ドロップ」導波路1027に結合される。「ドロップ」導波路に結合された光の光パワースペクトルは、低透過の波長帯域によって分離された高透過のいくつかのピークを含む。「ドロップ」導波路内の光は、次いで、導波路に沿って、導波路内に形成されたブラッググレーティング1029に進む。リング共振器の透過スペクトルは、導波路の屈折率または長さを変化させる機構によって調整することができる。図10の例では、リング共振器の透過共振のうちの1つがブラッググレーティングによって部分的に反射される波長で生じるようにスペクトルを調整するために、リング共振器のためのヒータ1025が使用される。RSOAによって放射される光は、格子に結合され、格子から結合される。光出力1031は再び、RSOAチップから最も遠いブラッググレーティングの端部から取り出される。あるいは、光出力がRSOAの反射ファセットから取り出すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、周波数弁別器をPLC上に統合することもできる。いくつかの実施形態では、周波数弁別器が例えば、図5または図8に関して説明したように、先に説明したようなものであってもよい。いくつかの実施形態では、周波数弁別器への入力がブラッググレーティングの出力からのタップ、または光出力1031を提供するPLCの導波管であってもよい。
【0033】
レーザーに対する全ての言及は、外部共振器レーザーに対するものであった。同じ機能性は、リン化インジウムウェハにモノリシックに構築された単一の基板上で、またはRSOAのハイブリッド集積を有するシリコンフォトニクスなどのプラットフォーム上で達成することができる。
【0034】
本発明は様々な実施形態に関して議論されてきたが、本発明は本開示によって支持される新規かつ非自明の特許請求の範囲を含むことを認識されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
【国際調査報告】