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特表2023-523800原料処理システム、並びにフィッシャー・トロプシュ液体及び輸送燃料を生成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】原料処理システム、並びにフィッシャー・トロプシュ液体及び輸送燃料を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 2/00 20060101AFI20230531BHJP
   C10J 3/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C10G2/00
C10J3/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566224
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021030287
(87)【国際公開番号】W WO2021222823
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】16/864,124
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518012722
【氏名又は名称】フルクラム・バイオエナジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジー・ティベリオス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・イー・マシアス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エイチ・ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・エル・リッチ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・エー・トムソン
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129BC45
4H129KA15
4H129NA21
4H129NA43
(57)【要約】
流入する原料を処理して、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収することを特徴とする、原料を処理する方法が記載されている。いくつかの実施形態において、流入する原料は、都市固形廃棄物(MSW)等の混合固形廃棄物で構成される。他の実施形態において、流入する原料は、木質バイオマスで構成される。場合によっては、流入する原料は、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収し、生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体への転化により適した、50%以上の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように処理される。高生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体は、アップグレードして生物起源炭素液体燃料にすることができる。或いは、流入する原料は、流入する原料からプラスチック材料を選択的に回収し、50%以下の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように処理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入する原料を処理して、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収することを特徴とする、原料を処理する方法。
【請求項2】
流入する原料が、混合固形廃棄物で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流入する原料が、木質バイオマスで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合固形廃棄物が、都市固形廃棄物(MSW)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
混合固形廃棄物が、混じり合った、湿った有機廃棄物、乾いた有機廃棄物及び無機廃棄物で構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
流入する原料が、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収するように処理されて、生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体への転化に適した、50%以上の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体をアップグレードして生物起源炭素液体燃料にする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
混じり合った混合固形廃棄物を、所定のサイズ以上である混合固形廃棄物質を含有する第1の流れ、及び所定のサイズ以下である混合固形廃棄物質を含有する第2の流れに分離する工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第1の流れを粉砕して、所定のサイズ以下である混合固形廃棄物を含有する出力流を生成する工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
出力流と第2の流れとを組み合わせ、複合流を生成する工程、及び
複合流をサイズによって分画し、炭素高含量物質から、2インチ以下のサイズを有する、小サイズ炭素低含量物質を除去する工程
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
炭素高含量物質(オーバー(overs))を更に分画して不活性物質を除去し、炭素質物質流を生成する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
炭素質物質流を粉砕し、1インチ以下のサイズを有する炭素質物質を含有する出力流を生成する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
出力流を乾燥させて、炭素質物質を含有し、8%~15%の範囲の含水率を有する処理された原料を生成する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
流入する原料が、流入する原料からプラスチック材料を選択的に回収するように処理されて、50%以下の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
処理された原料が、50%~100%の範囲の生物起源炭素含量を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
処理された原料が、51%以上の生物起源炭素含量を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
混じり合った混合固形廃棄物を分離する工程が、トロンメルを使用して実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
粉砕する工程が、6~15インチの範囲のシュレッダー開口部を有するシュレッダーを使用して実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
複合流を分画する工程が、振動スクリーンにより実施され、不活性低生物起源炭素物質と高生物起源含量物質とに更に分画するために、2インチ以下の画分が除去される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
更なる分画工程が、重質画分が密度差によって軽質画分から分離される空気分離器により実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
空気分離器からの重質画分が、密度差によって重質画分を中質画分と重-重質画分とに更に分離する別の空気分離器において更に分画される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
重-重質画分を不活性低生物起源物質として除去する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
軽質画分を中質画分と組み合わせ、その複合流を磁石の上に通して、複合流から鉄物質を除去する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
重質画分を振動スクリーンで更に分画して、1インチ以下のサイズを有する非炭素質(すなわち不活性)物質を除去する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
軽質画分、中質画分及び重質画分を組み合わせて複合画分流を生成し、次いで渦電流を通過させて非鉄物質を除去する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
複合画分流に光学選別機を通過させ、複合画分流中におけるプラスチック含量の少なくとも一部を除去し、処理された原料を生成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が最大で95%までの生物起源炭素含量を有するようにする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が最大で50%までの生物起源炭素含量を有するようにする、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が51%以上の生物起源炭素含量を有するようにする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が50%~95%の生物起源炭素含量を有するようにする、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
流入する原料を処理して、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収するためのシステムであって、
流入する原料を、所定のサイズ以上である混合固形廃棄物質を含有する第1の流れ、及び所定のサイズ以下である混合固形廃棄物質を含有する第2の流れに分離するように構成された選別ステーション;
選別ステーションと連通し、第1の流れを粉砕して、所定のサイズ以下である混合固形廃棄物を含有する出力流を生成し、出力流と第2の流れとを組み合わせて複合流を生成するように構成された、第1の粉砕ユニット;
粉砕ユニットと連通し、複合流をサイズによって分画して、炭素高含量物質から、2インチ以下のサイズを有する小サイズ炭素低含量物質を除去するように構成された、分画ユニット;
分画ユニットと連通し、炭素高含量物質を更に分画し、不活性物質を除去して炭素質物質流を生成するように構成された、微細分画密度ユニット;
微細分画密度ユニットと連通し、炭素質物質流から鉄物質を除去するように構成された、鉄除去ユニット;
鉄除去ユニットと連通し、炭素質物質流から非鉄物質を除去するように構成された、非鉄除去ユニット;
非鉄除去ユニットと連通し、炭素質物質流からプラスチック材料を除去するように構成された、プラスチック除去ユニット;
プラスチック除去ユニットと連通し、炭素質物質流を粉砕して、1インチ以下のサイズを有する炭素質物質を含有する出力流を生成するように構成された、第2の粉砕ユニット;並びに
第2の粉砕ユニットと連通し、出力流を乾燥させて、炭素質物質を含有し、8%~15%の範囲の含水率を有する処理された原料を生成するように構成された、乾燥ユニットを含む、システム。
【請求項32】
流入する原料が、混合固形廃棄物で構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
流入する原料が、木質バイオマスで構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
混合固形廃棄物が、都市固形廃棄物(MSW)である、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
非生物起源炭素及び非炭素質物質の少なくとも一部が、土、ガラス、湿った有機物、及び他の不活性成分を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
流入する原料が、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収するように処理されて、高生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体への転化に適した、高い生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成する、請求項31に記載のシステム。
【請求項37】
高生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体をアップグレードして高生物起源炭素液体燃料にする、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
鉄除去ユニットが磁気分離器を備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項39】
嫌気性濾床又は上向流汚泥床消化装置における下水バイオソリッド、低固形物又はスクリーニング済み動物糞尿、及び低懸濁固形物又は高溶解性固形物を消化するために使用される、1つ又は複数の嫌気性消化装置を含む嫌気性消化装置ステーションを更に含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項40】
処理された原料が、最大で50%までの生物起源炭素含量を含有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項41】
処理された原料が、50%~100%の範囲の生物起源炭素含量を含有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項42】
処理された原料が、51%以上の生物起源炭素含量を含有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
選別ステーションがトロンメルを備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項44】
第1の粉砕ユニットが、6~15インチの範囲のシュレッダー開口部を有するシュレッダーを備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項45】
分画ユニットが振動スクリーンを備え、不活性低生物起源炭素物質と高生物起源含量物質とに更に分画するために、2インチ以下の画分が除去される、請求項31に記載のシステム。
【請求項46】
分画ユニットが空気分離器を更に備え、重質画分が密度差によって軽質画分から分離される、請求項31に記載のシステム。
【請求項47】
空気分離器からの重質画分が、密度差によって重質画分を中質画分と重-重質画分とに更に分離する別の空気分離器において更に分画される、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
重-重質画分を不活性低生物起源物質として除去する、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
軽質画分を中質画分と組み合わせ、複合流が鉄除去ユニットに送られる、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
微細分画密度ユニットが、振動スクリーンにより重質画分を分画して、1インチ未満のサイズを有する非炭素質(すなわち、不活性)物質を除去するように構成された、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
軽質画分、中質画分、及び重質画分が組み合わされて複合画分流を生成し、次いで非鉄除去ユニットに送られ、非鉄除去ユニットは、渦電流を含み、非鉄物質を除去するように構成されている、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
複合画分流は、プラスチック除去ユニットに送られ、プラスチック除去ユニットは、複合画分流中のプラスチック含量の少なくとも一部を除去するように構成された光学選別機を備えており、処理された原料が生成する、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が最大で95%までの生物起源炭素含量を有するようにする、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が最大で50%までの生物起源炭素含量を有するようにする、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が51%以上の生物起源炭素含量を有するようにする、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
複合画分流中のプラスチック含量を選択的に除去して、処理された原料が50%~100%の生物起源炭素含量を有するようにする、請求項52に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月30日に出願された米国特許出願第16/864,124号の優先権の利益を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は更に、以下の米国特許出願に関する:2011年2月8日に出願された、「Processes For Recovering Waste Heat From Gasification Systems For Converting Municipal Solid Waste Into Ethanol」と題された米国特許出願第13/023,497号(2013年12月10日に米国特許第8,604,088号として登録)、及び2011年2月8日に出願された、「Gas Recycle Loops in Process For Converting Municipal Solid Waste Into Ethanol」と題された米国特許出願第13/023,510号(2013年12月10日に米国特許第8,604,089号として登録)。これらの出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
主題は、一般に、原料を処理し、これらに限定されないが、都市固形廃棄物(MSW)等の有機又は炭素質物質を含む処理された原料を燃料に転化するためのプロセス、システム、及び設備に関する。
【背景技術】
【0004】
都市固形廃棄物(MSW)には、自治体によって処分されたすべての固形物が含まれる。この廃棄物の一部はリサイクルされるが、その大部分は典型的に、埋立地に投棄され、そこで何十年か何世紀にもわたって分解される。都市固形廃棄物は、エネルギー含量を有する有機物質を含有することが認識されている。MSWを未処理のまま埋立地に放置すると、細菌によるプロセスによって埋立地からエネルギー含量が徐々に排出され得、それにより、濃縮されたエネルギーが消散するだけでなく、強い温室効果ガスであるメタンも生成される。いくつかの埋立地では、燃料に使用され得るメタンを収集しようとしている。しかしながら、メタンへの転化は長い時間スケールで行われ、MSWの内部エネルギーの多くを浪費し、MSWの利用可能なエネルギー含量の多くを回収するにはむしろ非効率的である。
【0005】
MSWからエネルギーを回収する最古の、そして最も一般的な方法は、焼却である。焼却には、MSW又はごみ固形燃料(RDF)を燃焼させて熱を生成することが含まれ、典型的に、熱によりタービンを駆動して電気を生成する。焼却の副生成物には、フライアッシュ、ボトムアッシュ、及び硫黄化合物を含む危険な汚染物質、温室効果ガスであるCO2、酸性ガス、並びに金属、金属化合物及び微粒子を含有する煙道ガスが含まれる。フライアッシュ及びボトムアッシュは、典型的に埋立地で捨てられる。有害な煙道ガス及び微粒子の一部は、大気中に排出される前に焼却による排煙からスクラビングすることができる。
【0006】
MSWからエネルギーを回収する別の方法は熱分解である。熱分解は、熱的に不安定な化合物が化学的に分解されて他の化合物になるように、MSWの有機部分を加熱することを伴う。それらの化合物は他の揮発性成分と混合して、典型的にタール、アルケン、芳香族炭化水素、硫黄化合物、蒸気、及び二酸化炭素を含む熱分解ガスを形成する。熱分解プロセスからの固形残留物には、コークス(残留炭素)が含まれ、コークスは次いで燃焼させるか、又はガス化原料として使用することができる。
【0007】
MSWからエネルギーを回収する関連する方法は、ガス化である。ガス化は、MSWの少なくとも一部を、主に一酸化炭素、二酸化炭素及び水素からなる合成ガス(「シンガス」)に転化することを伴う。ガス化技術は、何世紀も前から存在していた。例えば19世紀には、石炭及び泥炭は多くの場合ガス化して一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)及び水素(H2)の可燃混合物を供給する「都市ガス」にされ、料理、暖房及び照明に使用された。第一次及び第二次世界大戦の間は、バイオマス及び石炭ガス化炉を使用してCO及びH2を生成し、輸送における必要性を満たしていた。場合によっては、フィッシャー・トロプシュプロセスを使用して、シンガスの一部を液体輸送燃料に直接転化することもあった。第二次世界大戦後、国内の石油及び天然ガスが大量に発見されると、石炭及びバイオマスのガス化はコスト競争力を失い、ほとんど姿を消した。
【0008】
ガス化はMSWに直接適用されてきたが、他の場合には、MSWは最初に熱分解され、次いで二次ガス化プロセスを受ける。MSWのガス化には、一般に、リサイクル可能物質及びエネルギー含量の低い又はエネルギー含量を有さない他の物質を除去する機械的処理工程が含まれる。次いで、処理された原料は、(少なくとも若干の酸素及び場合によっては蒸気を含む)ガス化剤の存在下で、ガス化炉で加熱される。ガス化炉は、多くの構成を有してもよい。例えば、固定床ガス化炉は、原料を固定床に置き、次いで該原料を向流(「アップドラフト」)又は並流(「ダウンドラフト」)のいずれかの方法でガス化剤の流れと接触させる。ガス化炉はまた、流動床反応器を使用してもよい。
【0009】
MSWをガス化する別の方法は、酸素の存在下での高温プラズマによる処理である。このようなシステムにより、MSWがシンガスに転化し、ガラス化した廃棄物及び金属が副生成物として残ることがある。
【0010】
合成燃料としての炭化水素を作製するための、シンガスを合成燃料に転化する公知の方法は、触媒的フィッシャー・トロプシュ(F-T)プロセスである。このプロセスは、液体輸送燃料を生成するために更に精製され得る炭化水素の混合物を生成する。
【0011】
温室効果ガスの多くの有害な影響がますます実証されるにつれ、化石燃料、特に石油及び石炭由来の燃料源からのエネルギー生産を削減する必要性は明らかである。化石燃料の使用の削減を促進するために、政府は化石燃料源ではなく再生可能な有機資源に由来する燃料の使用を促進している。
【0012】
米国環境保護庁(EPA)は、再生可能燃料基準(「RFS」)を命じており、その下でセルロース系燃料は、義務付けられた団体(例えばリファイナリー等)のコンプライアンスクレジットの一形態であるセルロースRIN(再生可能識別番号)を生成する。RFSの下では、義務付けられた団体は、セルロース燃料を化石由来の燃料に混ぜる必要があり、そのセルロース燃料の量は増加し続けている。
【0013】
燃料の生物起源含有率を決定するために、EPAは、放射性炭素年代測定法を使用する試験を義務付ける。より詳細には、現在のUSEPA規則は、セクション8.1426(f)(9)で、燃料の再生可能画分を決定するための放射性炭素年代測定を行うために、団体にASTM D 6866の方法B又は方法Cを使用するよう義務付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第13/023,497号
【特許文献2】米国特許第8,604,088号
【特許文献3】米国特許出願第13/023,510号
【特許文献4】米国特許第8,604,089号
【特許文献5】米国特許出願第14/138,635号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、一般に、MSWに含有されるような有機物質を燃料に転化するプロセス及び方法に関する。より詳細には、本開示は、比較的高濃度の(植物に由来する)生物起源炭素及び比較的低濃度の他の非炭素質物質を伴う(化石資源に由来する)非生物起源炭素を含有する都市固形廃棄物(MSW)原料の有機画分に由来する高生物起源濃度のフィッシャー・トロプシュ液体、並びにそれぞれのアップグレードされた燃料生成物を生成するプロセスに関する。実際には、比較的高濃度の生物起源炭素は、最大で約80%までの生物起源炭素である。特に注目すべきは、高生物起源濃度のフィッシャー・トロプシュ液体が、MSW由来の原料と同じ比較的高濃度の生物起源炭素を含有することである。
【0016】
別の態様において、本開示の実施形態は、分離された又は処理された原料を生成するための原料処理システム及び方法に関する。いくつかの実施形態において、原料処理システムは、非生物起源炭素物質よりも高い濃度で生物起源炭素物質を含有する処理された原料を生成するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、処理された原料は、50質量%~100質量%、又は51質量%~95質量%の範囲の生物起源炭素含量を有する。他の実施形態において、原料処理システムは、MSW原料流、木質バイオマス又は他のバイオマス原料流、プラスチック原料流、及び上述したいずれかの流れの混合物等の(ただし、これらに限定されない)、複数の原料流を処理するように構成される。プラスチックが原料流に含まれる別の実施形態において、処理された原料は、50質量%以下の生物起源炭素含量を有してもよい。
【0017】
別の実施形態において、本開示は、流入する原料を処理して、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収することを特徴とする、原料を処理する方法を提供する。いくつかの実施形態において、流入する原料は、混合固形廃棄物で構成される。他の実施形態において、流入する原料は、木質バイオマスで構成される。いくつかの実施形態において、混合固形廃棄物は、都市固形廃棄物(MSW)である。場合によっては、流入する原料は、流入する原料から生物起源炭素物質を選択的に回収し、生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体への転化により適した、50%以上の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように処理される。高生物起源炭素フィッシャー・トロプシュ液体は、アップグレードして生物起源炭素液体燃料にすることができる。代替実施形態において、流入する原料は、流入する原料からプラスチック材料を選択的に回収し、50%以下の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように処理される。
【0018】
本明細書に組み込まれる添付の図面は、本明細書に開示された発明の1つ又は複数の例示的な実施形態を図示し、発明を実施するための形態とともに、これらの発明の原理及び例示的な実施態様を説明する役割を果たす。当業者は、図面が例示的なものに過ぎず、描写されている内容を、本開示に基づいて、この分野の一般的な知識に照らして適合させることができることを理解するであろう。
【0019】
図示された実施形態への追加及び変更を含む、本発明の多様な実施形態は、本明細書では、MSW廃棄物由来の原料を燃料に転化するという文脈で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】比較的高濃度の生物起源炭素及び比較的低濃度の他の非炭素質物質を伴う非生物起源炭素を含有する都市固形廃棄物(MSW)原料に由来する高生物起源濃度のフィッシャー・トロプシュ液体を生成するためのシステム全体の一実施形態を示す図である。
図2】ガス化アイランドの一実施形態の一例を示す図である。
図3A】シンガス調整システムの一実施形態の一例を示す図である。
図3B】シンガス調整システムの一実施形態の一例を示す図である(図3Aの続き)。
図4A】CO2/H2S除去システムの一実施形態の一例を示す図である。
図4B】CO2/H2S除去システムの別の実施形態の一例を示す図である。
図5】F-T液体を生成するためのシステムの一実施形態の一例を示す図である。
図6A図5のシステムから精製されたF-T液体を生成するためのシステムの一実施形態の一例を示す図である。
図6B図5のシステムから精製されたF-T液体を生成するためのシステムの一実施形態の一例を示す図である(図6Aの続き)。
図7】原料処理システム及び方法の一実施形態を示す概略図である。
図8】原料処理システム及び方法の、別の実施形態を示す概略図である。
図9】原料処理システム及び方法の、別の例示的な実施形態を描写する概略図である。
図10】原料処理システム及び方法の、別の例示的な実施形態を示す概略図である。
図11】原料処理システム及び方法の、別の実施形態を示す概略図である。
図12】原料処理システム及び方法の、別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者であれば、以下の発明を実施するための形態は例示的なものに過ぎず、いかなる方法でも限定することを意図するものではないことを理解するであろう。本発明の他の実施形態は、関連技術、そのような使用のための情報システムの提供及び操作、並びに他の関連分野で知られていることに照らして、本開示の恩恵を受けるそのような当業者には容易に示唆されるであろう。次に、添付の図面に示されるような本発明の例示的な実施態様を詳細に参照する。
【0022】
明瞭化のために、本明細書に記載された例示的な実施態様における所定の特徴のすべてが示され、説明されるわけではない。当然のことながら、任意のそのような実際の実施態様の開発では、規制、安全、社会、環境、健康、及びビジネスに関連する制約への準拠等の、開発者の特定の目標を達成するために、実施態様固有の様々な決定を行う必要があり、これらの特定の目標は、実施態様毎に、また開発者毎に変化することが理解されよう。更に、このような開発努力は複雑で時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとって工学の日常的な仕事であろうことが理解されよう。
【0023】
本開示を通じて、関連する用語は、関連技術において確立された典型的な意味と一致して理解されるべきである。しかしながら、本開示の範囲を限定することなく、以下に示すように、関連する用語及び概念のために更なる明確化及び説明が提供される。
【0024】
本明細書で使用される用語「都市固形廃棄物(MSW)」は、その用語が当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。MSWの一例は、商業及び家庭ごみの収集から得られる固形廃棄物である。随伴若しくは吸収された液体、又は容器若しくは他の閉鎖空間内の液体を含有し得るため、未加工の形態において、MSWは完全に固形である必要はない。当業者は、MSWが広範囲の組成を有し、MSWの供給源は必ずしも自治体からである必要はないことを理解するであろう。本開示の目的上、他の有機廃棄物質、及び植物片等の多様なバイオマス物質は、MSWと同等であり得る。
【0025】
本明細書で使用される用語「流れ」は、ある場所から別の場所まで直接的若しくは間接的に移動するか、又はその途中である任意の流体又は固体を意味する。流れは、一時的に静止していても依然として流れである。
【0026】
流れ又は物質の「部分」への言及は、流れ又は物質全体を含む、流れ又は物質の任意の部分を指す。流れ又は物質の部分は、他の組成物と混合されてもよく、その混合物は、元の流れ又は物質の部分を含むと考えられるであろう。
【0027】
本明細書で使用される用語「流体連通状態」には、これらに限定されないが、直接的、及び、例えば中間処理ユニットを介する等、間接的な流体連通の両方が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される用語「ユニット」は、システムの一部を意味し、例えば、ユニット動作、ユニット動作のシステム又はグループ、プラント等を含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用される用語「シンガス(合成ガス)」は、その用語が当業者によって使用されるのと同じ意味を有する。例えば、シンガスは、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、及び場合によっては、これらに限定されないが、水蒸気、硫黄含有又は窒素含有化合物、メタン及び他のアルカン、炭化水素、酸性ガス、ハロゲン及び微粒子等の他の成分の組み合わせを含んでもよい。
【0030】
本明細書で使用される用語「分離器」は、分離プロセスを行うための、当技術分野で公知である任意の処理ユニットを指す。状況に応じて、分離器は、蒸留塔、膜分離システム、イオン交換吸着システム、熱吸着、圧力変動吸着、モレキュラーシーブ、フラッシュドラム、吸収若しくは吸着塔、湿式スクラバ、ベンチュリスクラバ、遠心分離機、クロマトグラフ、又は晶析装置を含んでもよい。分離器は、液体から蒸気を、液体から液体を、固体からの液体から蒸気を、固体から固体を、又は固体から流体を分離することができる。
【0031】
本明細書で使用される用語「熱交換器」は、これらに限定されないが、当技術分野で公知である任意の熱交換器又は熱交換装置を含み、より広義には、第1の組成物のエンタルピー又は内部エネルギーを上昇させ、第2の組成物のエンタルピー又は内部エネルギーを低下させ、第2の組成物から第1の組成物に熱を移動させる任意の装置を含む。多様な熱交換手段が本明細書に開示されており、これらのすべてがこの用語に包含される。この用語はまた、複数の熱交換手段の組み合わせ又は一連の複数の熱交換手段を含む。熱交換手段には、これらに限定されないが、シェルアンドチューブ熱交換器、エア又は「フィンファン」クーラー、冷却(refrigeration)ユニット、冷却装置(chiller)、冷却塔(cooling tower)、蒸気発生器、ボイラー、プレート熱交換器、断熱ホイール熱交換器、プレートフィン熱交換器、流体熱交換器、任意の種類の廃熱回収ユニット、又は任意の種類の相変化熱交換器が含まれる。それらの熱交換手段は、向流、並行、逆流構成、又は任意の他の流れ構成で作動してもよく、1種の流体から別の流体に熱を移動させるために、2種の流体の分離若しくは2種の流体間の直接的な接触、又は中間流体(水、高温油、溶融塩等)の使用を伴ってもよい。
【0032】
本明細書で使用される用語「圧縮機」は、その用語の通常の意味において圧縮機として理解されるものすべてを含む。ただし、一般に、この用語は、流体を断熱的に又は非断熱的に第1の圧力から第2のより高い圧力に上昇させる任意の装置を含む。圧縮機は、遠心若しくは軸流、又は容積形(往復動、ダイヤフラム若しくはロータリーギア等)を含むがこれらに限定されない、任意の種類の圧縮機又はポンプを含んでもよい。この用語はまた、1つ又は複数の段階を有する多段階式圧縮機を含んでもよい。単数形で使用される用語「圧縮機」はまた、直列及び/又は並列に配置された複数の圧縮機を指すこともある。
【0033】
図1において、符号11は、比較的高濃度の生物起源炭素及び比較的低濃度の他の非炭素質物質を伴う非生物起源炭素を含有する都市固形廃棄物(MSW)原料に由来する高生物起源濃度のフィッシャー・トロプシュ液体を生成するためのシステム全体を示す。
【0034】
システム11の上部には、非生物起源由来の炭素質物質及び非炭素質物質をMSWから除去して、MSWに見られる比較的高濃度の生物起源炭素及び比較的低濃度の他の非炭素質物質を伴う非生物起源炭素を含有する分離された原料を生成するためのMSW原料生成設備(全体的に符号13で示す)が設けられている。
【0035】
好ましい実施形態において、原料処理設備13は入ってくるMSWを処理し、物質を以下のカテゴリーに分ける:
・燃料に転化するために使用される、MSW流から選別された原料物質;
・鉄及び非鉄金属、厚紙、プラスチック、紙、並びに選別され商品市場に出荷され得る他のリサイクル可能物質を含むがこれらに限定されない、回収可能物質;並びに
・リサイクルされないか、又は原料として使用されない物質の残りであり、埋立地に送られ得る残留物質。
【0036】
特に高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックを回収することにより、化石ベースのプラスチックの割合が低減されるので、原料中の非生物起源炭素の割合が低減される。したがって、原料処理設備は、ガス化してシンガスにすることができる高生物起源原料物質を提供するように機能する。上述の理由から、原料の生物起源含有率は、セルロース系燃料の経済的価値に重大な影響を及ぼす。
【0037】
原料処理ユニット13において、廃棄物質は、プロセスにおいて有用でないか、又はその効率を低下させる可能性がある物質を除去するために、サイズにより分類され、分離され、且つ処理され得る。例えば、システムは、金属、無機物質、及び食品廃棄物又は農産物等の湿った物質を除去する。そのような物質は、例えば、リサイクルされてもよいし、又は埋立地に送られてもよい。生物起源含量が高い食品廃棄物及び農産物の一部は、乾燥され、他の物質とともに供給流に再び加えられてもよい。
【0038】
この図に示すように、原料処理設備13は、図1に示すシステムの他の部分と物理的に別個の設備とすることができる。一例として、原料処理設備13は、同時係属中の米国特許出願第14/138,635号(Product Recycle Loops in Process for Converting Municipal Solid Waste into Ethanol)に記載されている通りであってもよく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。別の例では、原料処理設備13は、以下に説明し、本明細書の図7図12に示す通りであってもよい。原料処理設備は、図1に示すシステムの他の部分と同じ位置に又は別個に配置することができる。
【0039】
原料は組成が大きく異なる場合があるが、1つの例示的な実施形態において、原材料、最初の物質又は原料とも呼ばれる、流入する物質(図7図12の参照符号1200)は、多様且つ異質なMSWの混合物である。MSWの組成は、典型的には、広範囲に及ぶ。本開示の目的上、特に断らない限り、本明細書に記載されるすべてのパーセント(%)値は質量パーセント(wt%)である。例えば、いくつかの実施形態において、これらに限定されないが、プラスチック含量は10%~30%の範囲、混合紙含量は10%~40%の範囲、木材含量は5%~20%の範囲、織物及び織物は1%~15%の範囲、食品及び庭ごみは5%~20%の範囲、鉄金属は1%~10%の範囲、非鉄金属は0.1%~1.5%の範囲、サイズが2インチを超える不活性物質は1%~15%、サイズが2インチ未満の残留物質は5%~40%の範囲であり得る。流入するMSWの含水率は、5%~50%の範囲であり得る。
【0040】
原料を再循環して選別した後に残存する物質の公称元素組成の一例を以下のTable 1(表1)に列挙する。
【0041】
【表1】
【0042】
好ましくは処理、保管及び取り扱いプロセスによって除外される残留物質は、例えば、金属、岩石、土、ガラス、コンクリート、及びPVCを含んでもよい。好ましくは、通常の条件下において、排除率は、材料処理ユニットへの総供給率の約10%~約55%の間で実行される。好ましくは、該物質は原料から個別に分離され、容器に入れられ、埋立地若しくはコンポスト化作業に輸送されるか、又は適用される政府規制に従ってリサイクル若しくは現地外処分のために送られる。図7図12は、様々な原材料、最初の原料又は流入する原料から、生物起源炭素及び非生物起源炭素を選択的な濃度で含有する、処理された又は分離された原料を生成するための原料処理システムの、更なる実施形態を図示する。図7図12は、後に以下で詳細に説明する。
【0043】
重要なポイントは、全体的に符号17で示されるバイオリファイナリーに、都市固形廃棄物からの比較的高濃度の生物起源炭素及び比較的低濃度の他の非炭素質物質を伴う非生物起源炭素を含有する流れ15を供給することである。実際には、比較的高濃度の生物起源炭素は、最大で約80%の生物起源炭素である。
【0044】
図1に描写されるシステムの残りの部分は、処理された原料流15をフィッシャー・トロプシュ液体流19に転化するバイオリファイナリー17である。特に注目すべきは、高生物起源濃度のフィッシャー・トロプシュ液体が、投入流15と同じ比較的高濃度の生物起源炭素を含有することである。換言すれば、割合で見れば、非生物起源炭素は製造システムにおいてフィッシャー・トロプシュ液体に加えられず、実際には、若干量が取り除かれ得る。
【0045】
図示された実施形態において、バイオリファイナリー17は、全体的に符号21で示され、場合によっては本明細書においてガス化アイランド(GI)と呼ばれる、MSW由来の原料をシンガスに転化し、更にそのシンガスを以下で説明するような炭化水素改質器(HR)により処理し、高生物起源含量のシンガスを生成するガス化システムを含む。ガス化システム21は、再循環された炭化水素生成物及び中間生成物をそれぞれHRに運ぶ流れ231及び235を受け取ることに留意されたい。また、GI 21は、再循環されたCO2を以下で詳細に説明されるGI 21の段階1及び段階2に運ぶ流れ27を受け取る。また、以下でも更に説明するように、再循環されたCO2は、GI 21の水蒸気改質器内の水性ガスシフト反応を緩和するために、また機器、機器システム及びMSW供給器システム用のパージガスとして使用される。更に、GI 21は、酸素流273及びF-T排ガス流25を受け取る。
【0046】
ガス化アイランド21では、一般的に言えば、生物起源炭素は、水蒸気改質、準化学量論的炭素酸化及び炭化水素改質の組み合わせによって、生物起源シンガスに転化される。CO、H2及びCO2を含むシンガス生成物は、図示された実施形態において、流れ29によって運ばれる。GI 21で起こるガス化反応については、以下で更に説明する。
【0047】
シンガス流29は、以下でより詳細に説明するように、シンガス供給流31をF-T反応器システム33に供給するため、シンガス調整システム41で処理される。シンガス調整システム41は、CO2をGI 21に再循環し戻すためのCO2再循環流27を提供することに留意されたい。
【0048】
F-T反応器システム33からの出力は、ともにF-T炭化水素である中質フィッシャー・トロプシュ液体(MFTL)流520及び重質フィッシャー・トロプシュ液体(HFTL)流540を含有するF-T流体を含む。以下に説明するように、任意の未反応のシンガスはF-T反応器33で再循環され得る。更に、F-T反応器システム33の出力は、前述のF-T排ガス流25を含む。
【0049】
バイオリファイナリーには、アップグレーディングに必要な水素を調整されたシンガスから除去するための水素回収システムが含まれる。調整されたシンガスの一部は、膜/PSA組み合わせユニットを通って流れ、アップグレーディングユニット用の高純度水素流を生み出す。膜からの回収された水素(透過物)はPSAユニットに供給され、残余物はバイパスシンガスと組み合わされ、FT反応器へと供給される。回収された水素は、比較的高純度の水素流(>99.5%H2)が生成されるPSAユニットに供給され、PSA排除流は、排除シンガスを回収するために、シンガス圧縮機の吸入口に送られる。
【0050】
図1のバイオリファイナリー17は、F-Tシステム33からF-T流体を受け取るためのアップグレーディングシステム54を更に含む。図示された実施形態において、重質フィッシャー・トロプシュ液体(HFTL)流540及び中質フィッシャー・トロプシュ液体(MFTL)流520の両方が、アップグレーディングシステム54に供給される。アップグレーディングシステム54からのF-T液体の出力液体は、図示された実施形態において、流れ58によって運ばれる。実際には、F-T液体は、ナフサ、ディーゼル、合成パラフィンケロシン(SPK)、イソアルカン、酸素化物及びオレフィンを伴う重質アルカン、又はこれらの全成分の組み合わせを含んでもよい。アップグレーディングシステム54からの他の出力は、上述したナフサ流231及びオフガス流233である。
【0051】
ガス化アイランドシステム21は、図2に詳細に示すように、3段階ガス化プロセスを実施する。好ましい実施形態において、3段階ガス化プロセスは以下を含む:
a.段階1-水蒸気改質;
b.段階2-水蒸気改質後の未反応炭素をガス化するための準化学量論的炭素酸化;及び
c.段階3-炭化水素改質。
【0052】
図示された実施形態において、全体的に符号211で示されるガス化ユニットは、全体的にそれぞれ符号251及び271で示される段階1及び2のユニットを含む。ユニット251はガス化が達成される水蒸気改質器であることが理解できる。更に、ユニット271は、段階1のガス化による未反応の炭素が準化学量論的にシンガスに転化される炭素酸化システムであることが理解できる。また、ガス化アイランド21において、炭化水素改質は、全体的に符号215で示される炭化水素改質システムによって第3の段階で提供される。
【0053】
水蒸気改質器251は、処理された原料流15を選択的に受け取り、シンガス流219を生成する。また、ガス化ユニット211は、再循環されたCO2流27を受け取る。ガス化ユニット211では、流れ27中の回収された高生物起源CO2は、準化学量論的炭素酸化ユニット271及び炭化水素改質器215において、流動媒体の流動化を助け、水性ガスシフト反応を緩和し、水蒸気改質器251内の機器をパージするために使用され得る。また、流れ27中の回収された高生物起源CO2は、図のように、処理された原料流15に加えられてもよい。
【0054】
上述したように、図2の実施形態におけるガス化ユニット211は、水蒸気改質器251及び準化学量論的炭素酸化ユニット271を含む。処理された原料の蒸気15を最初に受け取るのは水蒸気改質器251である。また、酸素の蒸気273を最初に受け取るのも水蒸気改質器251である。好ましくは、水蒸気改質器251は、間接熱源253を含む。水蒸気改質器251からの出力流は、シンガス流254及び固体流256を含む。シンガス流254は、流れ219とともに炭化水素改質ユニット215に運ばれる。主として灰分及び微細チャーで構成される固体流256は、準化学量論的炭素酸化ユニット271に運ばれる。
【0055】
好ましい実施形態において、水蒸気改質器251は、流動床媒体として過熱蒸気、CO2及びO2を利用する流動床システムである。別の実施形態において、蒸気及びO2のみが流動床媒体として使用される。好ましくは、外部燃焼間接ヒーター253は、改質器の床温度を維持し、ガス化プロセスで必要とされる吸熱反応を支援するためのエネルギーの大部分を供給する。プロセスガス流は、一連のサイクロンにより水蒸気改質器251を出ることができる。好ましくは、内部サイクロンが任意の随伴床媒体の大部分を分離して改質器の流動床に戻し、準化学量論的炭素酸化ユニット271においてシンガスに更に転化するために、第2の外部サイクロンが未反応チャーを集める。好ましくは、水蒸気改質器の間接ヒーターからの煙道ガスは、煙管ボイラーで使用され、プラントで使用するための蒸気を生成する。
【0056】
図示された炭化水素改質器ユニット215は、シンガス流219を受け取り、微量成分とともにCO、H2及びCO2を含有する上述の一次シンガス流29を生成する。更に、炭化水素改質器ユニット215は、酸素流273及びF-T排ガス流25を受け取る。最後に、炭化水素改質器ユニット215は、上述したナフサ流231及びオフガス流233を受け取る。
【0057】
炭化水素改質器ユニット215は、2200°Fを超える温度で炭化水素を熱解離させることによって生物起源炭素を回収するように作動する。炭化水素改質器のための熱は、一酸化炭素及び水素の酸化によって提供される。これらの反応は発熱性であることに留意されたい。
【0058】
図2の実施形態における炭化水素改質器ユニット215は、シンガス冷却セクション225を含む。シンガス冷却セクションは、例えば、放射スラッギング冷却器又は再循環シンガススラッギングクエンチャーを含んでもよい。
【0059】
好ましい実施では、炭化水素改質ユニット215は、1800°F~3000°Fの範囲で作動する酸素ガスバーナー/ミキサーを有する耐火物内張容器であり、ガス流中の、タールを含むすべての炭化水素化合物をシンガスに転化し、硫黄化合物をH2Sに転化し、水性ガスシフト反応が平衡に近づくことを確実にする。炭化水素改質ユニット215では、F-T排ガスが、F-T反応ループからパージされ、精製システムのオフガス及び蒸発したナフサ流231をCO及びH2に再び転化する。
【0060】
準化学量論的炭素酸化ユニット271は、固体流256を受け取ることに加えて、再循環されたCO2流の流れ27及び酸素流273を受け取る。炭素準化学量論的酸化ユニット271における加熱は、未反応炭素の準化学量論的酸化によって提供される。低圧蒸気流275は、準化学量論的炭素酸化ユニット内で過熱され、段階1及び段階2の両方におけるガス化のための流動化蒸気として使用される。準化学量論的炭素酸化ユニット271の出力は、シンガス流277であり、図示された実施形態において、水蒸気改質器251からのシンガス流254と合流して、炭化水素改質器ユニット215に供給されるシンガス流219を形成する。
【0061】
好ましい実施形態において、準化学量論的炭素酸化ユニット271は、流動床を利用し、そこでは酸素が流動化蒸気及びCO2とともに加えられ、微細チャーを更にシンガスに転化する。準化学量論的炭素酸化ユニット271内で生成され、該ユニットを通過したガスは、外部サイクロンを通過し、主シンガス流219に再び入る。好ましくは、サイクロンで除去された灰分は、現地外処分のために冷却され、収集サイロに輸送される。準化学量論的炭素酸化ユニット271の流動床に沈められた熱交換器は、流動床水蒸気改質器251及びユニット271自体の流動床で使用するために、低圧蒸気を1100°Fに過熱することによる一部の熱を除去する。
【0062】
図2のシステムの動作では、水蒸気改質器251の流動床内で、外部燃焼ヒーターが、循環床媒体及び容器に入る原料を急速に加熱する。ほぼ直ちに、原料は乾燥及び熱分解を受け、それによってガス状及び固体(チャー)生成物を作製する。ガス状の熱分解生成物は水性ガスシフト反応を受け、同時に起こる固体チャー物質の水蒸気改質とともに、主にH2、CO、CO2、及びいくつかの炭化水素からなるシンガスを生成する。ほとんどの残留チャーは、過熱蒸気及び酸素と反応してシンガスを生成する。水蒸気改質器を出るチャーは、サイクロンにより分離され、更なるガス化及び転化のために準化学量論的炭素酸化ユニット内に落とされる。水蒸気改質器及び準化学量論的炭素酸化ユニットは、内部及び外部のサイクロンを利用して、プロセスガス流中に随伴されるようになる床媒体を分離して保持する。水蒸気改質器251及び準化学量論的炭素酸化ユニット271から、シンガスは流れ219により炭化水素改質器ユニット215に流れ、任意の残留チャー、炭化水素及びタールをシンガスに転化する。
【0063】
上述したように、炭化水素改質器ユニット215の出力はシンガス流29であり、該シンガス流は、ここで図3とともに説明されるシンガス調整システム41に供給される。
【0064】
図3に示すように、全体的に符号41で示されている例示的なシンガス調整システムは、一次シンガス流29を受け取り、その流れを調整してF-T反応器へのガス状供給流31を生成する。図示された実施形態において、シンガス調整システム41は、連続的な流体連通状態で、廃熱回収のためのシンガス熱回収蒸気発生器(HRSG)ユニット411と、シンガススクラバユニット421と、シンガス圧縮機431と、一次ガード床436と、水性ガスシフト反応器441と、アンモニア除去ユニット446と、二次ガード床451と、CO2/H2S除去システム461と、を含む。CO2/H2S除去システム461の1つの出力は、図示された実施形態において、シンガス供給流470である。CO2/H2S除去システム461の別の出力は、再循環されたCO2流27である。
【0065】
図からわかるように、蒸気はプロセス内のいくつかの供給源から生成される。HRSGは、水蒸気改質器ユニット251の間接燃焼ヒーターユニット253で生成された煙道ガスから蒸気を回収する。蒸気はまた、ガス化アイランドを離れるシンガス流29から熱を回収するHRSGユニット411で生成され、蒸気は発電ボイラーで生成される。3つすべての供給源からの蒸気を組み合わせて過熱して、シンガス圧縮機(ユニット431)蒸気タービン又は蒸気タービン発電機(図1)のいずれかにおける動力流体として使用される中圧蒸気を提供する。複合中圧蒸気は、外部ヒーターを燃焼するのに使用される天然ガスの量に応じて、MSW供給に等しい生物起源含量を有してもよい。好ましい実施形態において、生成されたシンガスの一部は、ガスタービン/蒸気タービン(複合サイクル発電プラント)に供給されて、プラントの電気需要を供給するために使用される高生物起源含量の動力を生成する。別の実施形態において、シンガスのすべてを使用して生物起源動力用の蒸気を生成し、シンガス圧縮機ユニット431を蒸気タービン駆動装置で駆動する。
【0066】
シンガススクラバユニット421は、シンガス流420及び腐食性又は他の適したアルカリ性溶液流424を受け取る従来のガススクラビング装置である。スクラバユニット421から除去された液体は、廃水処理システムに搬送され得る酸性水流426を含む。酸性水は、例えば、灰分粒子、酸、水銀、並びにシンガスから除去された塩酸(HCl)及び硫化水素(H2S)等の酸性化合物等の望ましくない汚染物質を含有し得る。したがって、シンガススクラバユニット421は、下流の設備に潜在的にダメージを与え、F-T合成触媒の性能に影響を及ぼす可能性のある汚染物質を除去するために設けられることが理解されよう。
【0067】
好ましくは、シンガススクラバユニットは、3つの主要なセクション-ベンチュリスクラバ、充填塔セクション、及び直接接触冷却器セクション、を有する。シンガスクエンチクーラーが利用される場合、シンガススクラバユニットを離れる洗浄されたシンガスの約半分は、クエンチブロワーにより炭化水素改質器クエンチクーラーに循環し戻され、一方、残りの半分は、F-T合成プロセスの要件を満たすために、シンガス圧縮機431内で圧縮される。放射スラッギング冷却器が使用される場合、リサイクルガスブロワーは必要なく、スクラバ内への流れはガス化アイランド21を離れる流れに等しい。シンガススクラビングは、同時係属中の米国特許出願第14/138,635号において更に記載され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。スクラブされたシンガスは、流れ428で搬送される。
【0068】
図示された実施形態において、シンガス圧縮機段431は、シンガス流の少なくとも一部を含む圧縮機入口流の圧力を所定のレベルに上昇させるために直列に配置された1つ又は複数の従来の圧縮機段433を含み、それにより圧縮されたシンガス流434を出力する。実際には、シンガス流434の最終圧力は、F-T合成プロセスのプロセス要件を満たすために、約400psig~約600psigの範囲であり得る。好ましくは、最終段階を除くすべての段階の後で圧縮熱を中間冷却器で除去し、すべての凝縮水を集め、回収のために廃水処理プラントに送る。圧縮機の出口流は、一次ガード床436に高温で送られ、ここで任意のCOS及びHCNがH2S及びNH3に加水分解され、次いでシフト反応器441に送られる。
【0069】
一実施形態において、シンガス圧縮機駆動装置は、プロセス要件のために低圧で抽出された蒸気の一部で過熱された高圧蒸気によって駆動される抽出/凝縮タービンである。また、F-T再循環圧縮機(図5のユニット511)は、シンガス圧縮機シャフト上にあり、シンガス圧縮機蒸気タービン駆動装置によって駆動することができる。別の実施形態において、シンガス圧縮機は、高生物起源動力を生成するためにシンガスを燃料として使用する複合サイクル発電プラントで生成される動力からエネルギーを与えられる電気モーターによって駆動される。
【0070】
図3にも示しているように、水性ガスシフト反応器441は、加圧された一次シンガス流440の一部を受け取り、出口流450の必要とされるH2/CO比が満たされるまで、水性ガスシフト反応により蒸気及びCOの一部をH2及びCO2にシフトさせる。続いて、加圧された一次シンガスの副流442は、水性ガスシフト反応器441をバイパスしてもよく、水性ガスシフト反応器441からの出口流450と再び組み合わせてもよい。水性ガスシフトユニットで高圧蒸気が生成され、反応によるシフト熱を除去する。生成された蒸気は、反応器に送られるシンガス流440内に供給し戻され、シフト反応用の水素源を提供する。任意の必要とされる追加の蒸気は、プラント蒸気システムによって供給することができる。
【0071】
図3の実施形態において、水性ガスシフト反応器441からのシンガスの出口流450は、従来のアンモニア除去ユニット446に供給される。アンモニア除去ユニット446では、シンガスは、吸収されたアンモニアとともに過剰の水が凝縮するまで冷却される。次いで、シンガスは、流れ448として凝縮器446を離れる。凝縮器446からの酸性水は、廃水処理システムに搬送することができる。流れ448は二次ガード床451の入口に搬送され、そこで任意の揮発したHgが除去される。
【0072】
図3に更に示すように、二次ガード床451からの加圧された一次シンガスは、流れ460としてCO2/H2S除去システム461に搬送される。CO2/H2S除去システム461は、図4A及び図4Bとともに更に説明される。CO2/H2S除去システム461の1つの出力は、硫黄流464である。別の出力は、硫黄が除去されたシンガス流470である。第3の出力は、CO2再循環流27である。
【0073】
図3の図示された実施形態において、シンガス供給流470はH2S及び最終ガードアルシンベッド471に搬送され、次いでH2回収ユニット481に搬送される。
【0074】
H2S/アルシンガード床からのシンガスは、水素回収ユニット481に流入する。水素回収ユニット481は、以下に説明するように、水素化分解アップグレーディングプロセスに必要とされる高純度H2の蒸気482を抽出する。H2回収ユニット481の出力は、F-T反応器33へのシンガス供給流31である。水素回収ユニット481からの第3の出力は、排除シンガス流483である。流れ483は、流れ428に合流するように再循環することができる。
【0075】
好ましい実施形態において、水素回収ユニット(HRU)481は、膜と圧力変動吸着(「PSA」)との組み合わせシステムを使用してH2を抽出する。HRU膜保持ガスは、バルクシンガス流と再混合され、F-T液体反応器に送られる。HRU PSAパージガスは、シンガス圧縮機431の吸引口に送られ、精製されたH2流482は、アップグレーディングに送られる。
【0076】
図5に示すように、F-T液体を生成するためのシステム33は、シンガス供給流31を受け取る。このシステムは、1つ又は複数のF-T反応器533を含み、上述したように、F-T液体及びF-T排ガスを含む流体出力流535を提供する。F-T反応器出力流535は、全体的に符号500で示される熱分離システムに供給され、F-T液体をその重質F-T液体(HFTL)、中質FT液体(MFTL)、水及びF-T排ガスに分離する。
【0077】
図5に示すような好ましい実施形態において、熱分離システム500は、2つの凝縮器501及び531、並びに2つの分離器503及び504を含む。HFTL分離器503は、それぞれ出口518及び520を有する。実際には、凝縮器501は、調節された熱水ループを冷却媒体として使用して作動し、F-T水及びMFTL液体画分からHFTL液体画分を凝縮及び分離する。MFTL水及びFT排ガスはともに、蒸気相のままである。HFTL流は、更なる処理のためのタンク521に保管するために、出口520から運ばれる。実際には、HFTL流520は、主として、室温で固体の重質炭化水素ワックスからなる。これらのワックスは、固化を防ぐために230°Fを超えて温かく保たれる。
【0078】
また図5に示すように、熱分離システム500は、HFTL分離器503からの流れ518によりF-T水及びMFTLを受け取る第2の凝縮器531を含む。実際には、第2の凝縮器531は、冷却水を使用して、未反応シンガス及び非凝縮性炭化水素(すなわち、メタン等)からF-T水及びMFTLを凝縮及び分離する。凝縮されたF-T水及びMFTL流相は、第2の分離器504で分離され、MFTL流は流れ540により保管ユニット522に送られ、F-T水は流れ542により廃水処理に送られる。
【0079】
図5に更に示すように、F-T排ガスは、流れ537によりF-T反応器533に再循環することができる。図示された実施形態において、F-T排ガスは、MFTL分離器504で分離され、流れ550によって圧縮機511に運ばれ、その出力はシンガス再循環ライン537に搬送される。再循環圧縮機511の前に、パージ流552が流れ550から分岐する。パージ流552は、再循環シンガス中の炭化水素含量を制御するために流れ25により炭化水素改質器215に向かい(図2)、また、再循環シンガスからの不活性ガスをパージするために発電ボイラーに向かうことができる。
【0080】
図6は、図1におけるアップグレーディングシステム54の一実施形態の例を示す。より詳細には、この図は、図5のシステムから精製F-T液体を生成するためのシステムを示す。図示されたシステムは、前述のタンク521及び522(図5)によって供給される水素化分解装填容器524から液体を受け取る水素化分解装置反応器ユニット643を含む。好ましい実施形態において、水素化分解装置反応器ユニット643は、HFTL及びMFTL炭化水素流を輸送燃料(SPK又はディーゼル)にアップグレードする高温、高圧触媒プロセスを使用する。アップグレーディングがそれほど厳密ではないため、水素化処理と水素化分解とは1つの反応器で起こる。オレフィン及びアルコールは最初に飽和化され、次いでアルカンがSPKの範囲の生成物に分解される。プロトン化されたシクロプロパン中間体を伴う水素化分解機構は、直鎖状生成物とともに異性体生成物を形成する。水素化分解装置反応器ユニット643において、供給混合物は、より短鎖の炭化水素に転化するための一連の触媒床を通過する。
【0081】
代替実施形態において、MFTLはあらかじめ分留され、炭化水素改質器の塔頂の軽質画分を除去することができる:次いで、重質画分がHFTLとともに、アップグレーディングのために水素化分解装置に搬送される。本実施形態は、水素化分解装置に流れる流れから大部分の酸素化物を除去し、水素化分解装置の水素化処理負荷を軽減する。
【0082】
図6に更に示すように、水素化分解装置反応器ユニット643は、全体的に符号701で示される炭化水素熱分離システムに供給される出力流れ644を提供し、その分解物は、一連の熱交換器及び分離容器を使用して、冷却され、凝縮され、2つの分離した重質及び軽質分解物流に分離される。
【0083】
炭化水素熱分離システム701の図示された実施形態において、分解物は供給/流出熱交換器702で冷却され、重質分解物は重質分解物分離器703において軽質分解物から分離される。重質分解物分離器703から、重質分解合成石油が、流れ704及び750によって分留器853に送られる。更に、重質分解物の一部は、水素化分解装置643に再循環されて、始動中及び分留塔が誤作動している場合に水素化分解装置内への物質の流れを維持することができる。
【0084】
図示された実施形態において、重質分解水及び水素から軽質分解物を分離するために、軽質分解物分離器705が設けられる。分離された軽質分解物は、流れ750によって分留器853に送られる。重質分解水は、ライン706によって、処理のためにバイオリファイナリーの廃水処理プラントに送られる。分離された水素ガスは、流れ708、741及び742によって再循環するために送られる。
【0085】
ここで、図6の分留プロセスについて、より詳細に説明する。前述したように、分留器853は、重質分解液流704及び軽質分解液流750を受け取る。分留器853の目的は、重質分解物留分及びナフサ留分からSPK又はディーゼルを分離することである。側流856は、ストリッパー塔857内に供給され、SPK/ディーゼル供給から軽質分を除去し、SPK/ディーゼル生成物の最終的な洗浄及び回収をもたらす。分留器853では、流入する重質及び軽質分解物流を組み合わせ、分留塔における最初の分離のために天然ガス燃焼ヒーターによって加熱する。好ましくは、分留器853は直接蒸気注入を使用し、高温リボイラー構成を利用することなく、高沸点炭化水素から低沸点炭化水素をストリップする。
【0086】
分留器853からの出力は、再循環可能な炭化水素生成物を運ぶ塔頂流23を含む。好ましくは、塔頂流823は凝縮器ユニット860に供給され、そこで該流れは凝縮され、3つの流れ:主分留器(「MF」)水流862、前述の軽質相(ナフサ)流231、及びオフガス流233、に分離される。実際には、ナフサを分留器53内に還流し戻すことができ、且つ/又は、炭化水素改質器内に注入するためにナフサ気化器に送ることができる。オフガス流233は、再処理のために、オフガス圧縮機によって炭化水素改質器に再循環される。分留塔853からの塔底は、更なる水素化分解のために、流れ855によって水素化分解装填容器560にポンプ輸送される。MF水は処理のためにバイオリファイナリーの廃水処理プラントに送られる。
【0087】
分留器OH分離器からのナフサは、ナフサ気化器内にポンプ輸送され、そこで低圧蒸気を使用して気化される。次いで、ナフサ蒸気は、回収のために図2の炭化水素改質器215に流入する。分留塔の塔頂圧力は、オフガス圧縮機排出速度で浮動する。オフガス圧縮機は、分留器の塔頂分離器のオフガスをナフサ気化器の排出口に移動させる原動力を提供する。次いで、複合流は、炭化水素改質器に流入する。
【0088】
分留器853の上部からの流れ856によって引き出されるSPK生成物は、最終生成物を分離するために生成物ストリッパー塔857に送られる。生成物ストリッパー塔857への熱は、例えば、天然ガス燃焼の生成物ストリッパーリボイラーによって提供される。生成物ストリッパーの塔頂流は、分留器853に再循環し戻される。塔底流800は冷却され、流れ58によりSPK生成物として保管ユニット803に送られる。
【0089】
図4Aに示すように、例示的なCO2/H2S除去システム461の一実施形態は、流れ460を受け取る硫黄除去ユニット463を含む。硫黄除去ユニット463の1つの出力は、硫黄流464である。除去ユニット463の別の出力は、硫黄が除去されたシンガス流466である。
【0090】
シンガス流466は、全体的に符号491で示されるアミン溶媒システムに供給される。図示された実施形態において、アミン溶媒システム491Aは、向流関係で接続された吸収ユニット493と再生ユニット495とを含む。再生ユニット493の出力は、上述したシンガス供給流470である。吸収ユニット495の出力は、上述した再循環CO2流27である。
【0091】
図4Aの好ましい実施形態において、吸収ユニット493は、循環アミン/水溶液との接触によってCO2が除去される塔である。本実施形態において、アミン吸収器は、硫黄除去ユニットが実行されている場合に、流れ466からH2Sを除去することができる。処理されたシンガスを水洗して、任意の随伴アミン溶液を除去する。好ましい実施形態において、溶媒吸収器493を離れる清浄なシンガスは、中圧(MP)飽和蒸気を使用して加熱され、流れ470としてガード床に送られ、F-T合成プロセス内に導入される前に微量H2S及びヒ素触媒毒を除去する。
【0092】
図4Bに示すように、別の例示的なCO2/H2S除去システム461はアミンユニットを含み、そこで、シンガス流460は、全体的に符号491Bで示されるアミン溶媒システムに供給される。図示された実施形態において、アミン溶媒システム491Bは、向流関係で接続された吸収ユニット493と再生ユニット495とを含む。再生ユニット495の出力は、硫黄除去ユニット463に供給される。吸収ユニット493の出力は、上述したシンガス供給流470である。本実施形態において、吸収ユニット493は、循環アミン/水溶液との接触によってCO2及びH2Sが除去される塔である。次いで、処理されたシンガスを水洗して、任意の随伴アミン溶液を除去し、流れ470として最終ガード床471に送る。
【0093】
図4Bの実施形態において、再生器の塔頂出力流466は、硫黄除去ユニット463に供給され、そこで、H2Sが排除CO2流から除去される。硫黄除去ユニット463の1つの出力は、上述した再循環CO2流27及び硫黄流464である。硫黄除去ユニットからの塔頂CO2排除流の一部は圧縮され、ガス化アイランドに再循環し戻され、過剰分は大気に排出される。
【0094】
図4A及び図4BにおけるCO2/H2S除去システムの動作において、吸収塔からの「リッチ」アミン(すなわち、CO2吸収後のアミン)は、リーン/リッチ交換器を通過し、次いでリッチ溶媒フラッシュドラム内にフラッシュする。CO及びH2に富むフラッシュガスは、シンガス圧縮機の吸引口に流入し、プロセスで再利用される。フラッシュされたリッチ液体流は、溶媒再生塔に流入する。溶媒再生器では、リッチ溶媒を蒸気リボイラーで加熱し、吸収されたCO2/H2Sを追い出す。溶媒再生器の底部から流出する「リーン」溶媒は、リーン/リッチ交換器及び溶媒冷却器により、再利用のために吸収器に再循環し戻される。溶媒再生器からの塔頂CO2排除流の一部は圧縮され、ガス化アイランドに再循環し戻され、過剰分は大気に排出される。好ましくは、システムは、CO及びH2の損失を最小限に抑えながら、シンガス流中のCO2含量を<1mol%に、H2S含量を<5ppmvに低減させるように設計される。
【0095】
上述したシステムの全体的な動作において、MSWがガス化される際に複数の反応が起こる。主な反応は、チャー(炭素)が蒸気と反応して主に水素(H2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)及びいくつかの炭化水素からなるシンガスを生成する際に、高温において起こる:
C+H2O→H2+CO
2C+O2→2CO
C+O2→CO2
同時に、可逆的「水性ガスシフト」反応
CO+H2O⇔CO2+H2
は、ガス化炉動作温度での平衡定数に基づくCO/H2O及びCO2/H2比を有する平衡状態に近づく。ガス化システムは、少なくとも以下のガス化反応が起こるように構成され、条件が与えられてもよい:C+H2O→H2+CO。同時に、好ましくは、以下の可逆的「水性シフト」反応が主にガス化炉の温度によって決定される平衡状態に到達し、圧力が好ましくは大気圧付近であるように条件が与えられてもよい:
CO+H2O⇔CO2+H2
一次FT反応は、触媒の存在下で、シンガスをより高分子量の炭化水素及び水に転化する:
nCO+(2n+1)H2→CnH2n+2+nH2O。
【0096】
更に、システムの全体的な動作に関し、ガス化アイランド21で生成されたシンガスは、F-T液体の効果的な製造及びアップグレーディングには不十分な水素量を有することに留意されたい。酸性シフト反応器441は、更なる水素を生成し、シンガス中のH2:CO比を約0.8から約2.0に増加させる。水性ガスシフト反応は、シンガス中のCO及びH2Oの一部をH2及びCO2に転化する。この反応は発熱性であり、酸性シフト触媒上で起こる。この反応は、H2Sがシンガス流中に依然として存在するため、「酸性シフト」である。多用途の蒸気及びシフト反応器441によって生成された蒸気は、シンガスと混合され、水性ガスシフト反応のための水を提供し、反応器における温度上昇を緩和する。水素製造及びシンガスのH2:CO比は、シフト反応器周りのシンガス流の一部をバイパスすることによって制御される。シフト反応器の流出熱は、反応器流入シンガスと交換し、シフト反応器蒸気を生成し、且つボイラー給水を予熱することによって回収される。
【0097】
図7図12を参照すると、原料処理システム(原料処理設備(FPF)とも呼ばれることがある)1000の更なる実施形態が示されている。図7は、原料処理システム1000及び関連する方法の一実施形態を示す概略図である。図7及び説明は、MSW原料を使用する特定の実施例に言及しているが、このような実施例は例示のためだけのものであり、本発明はいかなる特定の実施例にも限定されるものではない。他の最初の原料又は原材料をシステム1000において使用及び処理してもよいことが、当業者には理解されよう。更に、用語「原」又は「最初の」又は「流入する」は、システム1000に投入又は供給される原料又は物質を説明するために同じ意味で用いられる。これらの用語は便宜上のものであり、システム1000に投入又は供給される原料又は物質の含量又は特性を限定するものではない。例えば、システム1000に投入される原料又は物質は、前処理を受け、次いで、更なる処理のためにシステム1000に送られてもよい。システム1000に投入される原料は、前処理なしに、自治体から直接送られてもよい。木質バイオマス原料の例において、この原料は、必須ではないが、システム1000に投入される前に細断又は切断されてもよい。当業者であれば、多くの種類の原料又は物質がシステム1000に投入されてもよく、本発明が任意の特定の種類又は配送に限定されないことを認識するであろう。
【0098】
一般に、原料処理システム1000は、原料、又は廃棄物等の他の物質を処理して、選択的な生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。原料処理システム1000は、特定の設備、用途、又は必要性に合わせて処理された原料を生成するために、1種又は複数の原料の柔軟な処理を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、原料処理システム1000は、システム1000に投入される原材料又は最初の原料から、生物起源炭素物質の回収を最適化又は最大化し、高い生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。他の実施形態において、処理された原料中の生物起源炭素含量は、特定の範囲になるように選択的に制御され、必ずしも最大化されない。例えば、生物起源炭素物質に加えて、プラスチックに由来する炭素等の(ただし、これらに限定されない)非生物起源炭素物質を一定量含有する、処理された原料を生成することが望ましい場合がある。また、更なる実施形態において、処理された原料の生物起源炭素含量が50質量%未満となるように、廃棄プラスチック等の非生物起源炭素物質をより多い含量で処理することが望ましい場合がある。上述したように、すべてのパーセント(%)値は、特に指示されない限り、質量パーセント(wt%)である。
【0099】
一般に、システム1000に投入される原料は、任意の種類の物質であってもよい。いくつかの実施形態において、原料は、有機廃棄物質を含む。本開示の目的上、用語「有機廃棄物質」又は「有機廃棄物」は広く理解され、これらに限定されないが、MSW、木質バイオマス、セルロース系物質、プラスチック等の、任意の有機又は炭素質物質を含むことが意図されている。
【0100】
一般に、本開示の目的上、処理された原料に関する用語「高」生物起源炭素は、少なくとも51質量%の生物起源炭素物質からなる。原料処理システム1000の実施形態は、50%~100%の範囲の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。他の実施形態において、原料処理システム1000は、51%~95%の範囲の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。或いは、原料処理システム1000は、プラスチックを処理して、50%以下の範囲の生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。
【0101】
原料処理システム1000は、1つ又は複数の原料流1200によってシステム1000に投入される多種多様な原料物質を処理するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、原料物質1200は、1つ又は複数の廃棄物流において混じり合った、湿った有機廃棄物、乾いた有機廃棄物及び無機廃棄物等の混合固形廃棄物を含んでもよい。他の実施形態において、原料物質は、木質バイオマス若しくは植物性物質等のバイオマス物質、又はそれらの混合物を含んでもよい。別の実施形態において、原料はプラスチックを含んでもよい。プラスチックは、混合固形廃棄物と混合することができ、又は(図11及び図12に示され、以下で更に説明するように)別個の廃棄物流で投入することができる。当業者であれば、システム1000に投入される原料物質は限定されることを意図するものではなく、唯一の基準は、原料物質がある程度の量の炭素質物質を含有することであることを認識するであろう。
【0102】
図7に示すように、原料又は物質1200は、原料処理設備又はシステム1000に移送されてもよい。本実施例では、原料1200は、MSWで構成される。例えば、原料1200は、搬送トラックによって配送され、フロアソート(floor sort)1210上に荷降ろしされ、選別されてもよい。例示的実施形態において、フロアソート1210では、湯沸器、冷蔵庫、プロパンタンク、大きな金属片等の大きすぎる粗大ごみ、危険物、及び残りの処理順序と適合性のない他の品目を、重残留物質保管所1290に向かう流れ1202中に除去し、流れ1205を生成してもよい。重残留物質保管ユニット1290は、単に残留物質保管所1290として、又は時として不活性物質ステーション1290として言及されることもあることに留意されたい。フロアソート1210は、より小さな物質からより大きな物質を分離する。一実施形態において、サイズが10インチ以上の物質は、より小さな物質(サイズが10インチ未満の物質)から分離され、流れ1205を生成する。大きな物質と小さな物質を区別するため、他のサイズが使用されてもよい。
【0103】
この最初の選別の後、MSW(流れ1205)は、流れ1205中における10インチ以上の物質が縮小され得るサイズ縮小ユニット1230に供給されてもよい。例えば、サイズ縮小ユニット1230は、剪断型(又は同等の)シュレッダーに送られるコンベヤ(図示せず)を含んでもよい。MSW(流れ1205)をマイナス10インチサイズに細断し、流れ1235中の物質を生成してもよい。流れ1235中のサイズ縮小/細断されたMSWは、分画ユニット1240に送られてもよい。本明細書において、任意の適した種類の分画装置を組み入れてもよい。分画ユニット1240は、流れ1235から他の非炭素質物質を伴う非生物起源炭素を除去し、流れ1245を生成するために使用されてもよい。流れ1245は、生物起源炭素物質及び他の炭素質物質を含んでもよい。分画ユニット1240からの排除流1242は、サイズが1~4インチの範囲であってもよく、非炭素質物質を高い割合で含有する。任意の適した種類の分画ユニットを組み入れてもよい。例えば、流れ1245は、2インチより小さい微細物質を除去するために、カスケードフィンガー型スクリーンユニット1240でスクリーニングされてもよい。微細物質は、土、ガラス、湿った有機物、及び他の不活性成分を含んでもよい。湿った有機物は、例えば、刈り取られた芝、及び食品廃棄物を含んでもよい。本明細書の目的上、用語「不活性物質」又は「不活性成分」は、任意の非炭素質物質を指す。
【0104】
流れ1245中の物質は、流れ1245中の軽質画分から重質/中質画分を分離するように構成された微細分画密度分離ユニット1250で更に処理される。土、砂利、ガラス、金属、庭ごみ、及び食品廃棄物等の物質を含有する重質/中質画分は、流れ1255として軽質画分から分離され(密度分離比は2:2~5:1の範囲)、残留物質ステーション1290に送られてもよい。流れ1257中の軽質又は微細画分は、典型的には、紙、プラスチック及び織物等の炭素質物質を含有する。微細分画に適したユニットの種類は、密度型(density type)空気分離ユニットであろう。
【0105】
微細分画及び密度分離ユニット1250から出力されたMSW流1257は、鉄除去ユニット1270(磁気分離器とも呼ばれることがある)において鉄物質を除去することによって更に処理することができる。鉄除去ユニット1270の磁気分離器により、鉄金属が除去され、高炭素質物質出力(流れ1277)が生成される。流れ1275で分離された鉄物質は、回収金属ステーション1278で回収され、最終的にリサイクルステーションに送られてもよい。
【0106】
鉄除去ユニット1270から出力されたMSW流1277は、非鉄除去ユニット1280で非鉄金属物質を除去することによって更に処理され、より高炭素質のMSW出力流1287を生成することができる。流れ1285で分離された非鉄金属物質は、回収非鉄金属ステーション1288で回収され、最終的にリサイクルステーションに送られてもよい。非鉄金属1288は、例えば、アルミニウム、銅、及び非磁性鋼を含んでもよい。いくつかの実施形態において、非鉄金属を除去し、高炭素質物質出力流1287を生成するために、渦電流分離器を使用してもよい。
【0107】
更に、MSW流1287は、プラスチック除去ユニット1300において流れ1287からプラスチックを除去及び回収するように更に処理され、MSW出力流1307を生成してもよい。プラスチック除去ユニット1300は、流れ1305中のプラスチックを分離するように構成された近赤外線光学選別機一式を含んでもよい。プラスチック1305は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)プラスチック流と、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)及び低密度ポリエチレン(LDPE)複合プラスチック流との混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。ポリスチレン(「PS」)及びポリプロピレン(「PP」)は、光学選別機の設定を調整することによって、HDPE/PVC流とともに回収してもよい。流れ1305中の分離されたプラスチックは、現地外出荷及び販売のために回収プラスチックステーション1308で梱包して保管されてもよい。この時点で、不活性成分、鉄金属、非鉄金属、「湿った」有機物及びプラスチックが、処理された原料流1307から除去されたので、流れ1307中の炭素質物質は、最終粉砕のために第2のサイズ縮小ユニット1310に供給される。流れ1307中の物質は、最終の処理された原料の要件に応じて、任意の所望のサイズに粉砕され得る。例えば、原料物質は、プロセス要件に応じて、0.75~1.5インチの範囲のサイズに細断されてもよい。
【0108】
所望のサイズに粉砕されると、流れ1315中におけるサイズにより分類され処理された原料物質は、典型的には、乾燥ユニット1320で原料仕様に乾燥され、流れ1325中における最終の処理された原料を生成する。最終の処理された原料流1325は、バイオリファイナリーに移送されてもよく、そこで、上述したように、F-T液体及び液体燃料に転化される。いくつかの実施形態において、最終の処理された原料は、サイズが0.75~1.25インチの範囲の物質からなっていてもよい。最終の処理された原料は、一般に約8%~15%の範囲の低い含水率を有する。詳細には、最終の処理された原料は、約10%未満の低い含水率を有していてもよい。最終の処理された原料は、低不活性物質含量を含んでもよい。例えば、低不活性物質含量は、0.5~2.5%の範囲であってもよい。或いは、低不活性物質含量は、2%未満であってもよい。炭素質物質の回収率は35~40%である。
【0109】
図8は、原料処理システム1020及び関連する方法の代替実施形態を示す概略図である。図8の実施形態は、図7に示される実施形態よりも、最初の原料からより多くの炭素質物質の回収をもたらし、更に処理された最終原料1325を生成する。
【0110】
一般に、原料処理システム1020は、廃棄物等の原材料を処理して、選択的な生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。原料処理システム1020は、特定の設備、用途、又は必要性に合わせて処理された原料を生成するために、原材料の柔軟な処理を提供する。図8の原料処理システム1020は、図7の原料処理システム1000と同様の構成要素を含むが、原料を更に処理するために以下の追加及び/又は差異を備える。
【0111】
例えば、図8に示すような原料処理システム1020は、粗分離ユニット1220を含んでもよい。最初の選別後、MSW流1205は、より小さな物質から粗分離でより大きな物質が分離される、粗分離又は最初のサイズ分離ユニット1220に供給されてもよい。一実施形態において、より大きな物質(例えば、サイズが10インチ以上の物質)は、流れ1225に分離されてもよい。より小さな物質(例えば、サイズが10インチ未満の物質)は、流れ1215に分離される。大きな物質と小さな物質を区別するため、他のサイズが使用されてもよい。
【0112】
流れ1225中のより大きな物質は、サイズ縮小ユニット1230に供給され、そこで、流れ1225中における10インチ以上の物質は、剪断型シュレッダーに送られるコンベヤ(図示せず)上に供給されることによって更に粉砕される。剪断型シュレッダーは、より大きな物質を、マイナス10インチサイズの生成物質に細断することができる。細断されたマイナス10インチサイズのMSW物質は、流れ1235中に生成される。
【0113】
流れ1215中のより小さな物質(例えば、10インチ未満の物質)は、粗分離ユニット1220から分画密度分離ユニット1260に送られ、そこで、重質/中質画分が軽質画分から分離される。重質/中質画分は、流れ1267に分離され、一般に、土、砂利、ガラス、金属、庭ごみ、及び食品廃棄物等の物質を含有する。軽質画分は、流れ1265に分離され、一般に、紙、プラスチック、織物及び他の炭素質物質を含有する。2:2~5:1の範囲の密度分離比では、重質画分からの軽質画分の分離が達成可能である。
【0114】
重質/中質画分流1267は、第1の分画密度分離ユニット1250に送られ、そこで流れ1245と組み合わされる。密度分画器1260からの軽質画分(流れ1265)は、紙、プラスチック及び織物を含有してもよく、1310での最終粉砕工程に送られてもよく、そこで原料生成物を乾燥する前に他の生成物の流れと混合される。本実施形態は、炭素質物質の回収率を44~50%に増加させる。
【0115】
図9は、原料処理システム1030及び関連する方法の代替実施形態を示す概略図である。図9の実施形態は、流れ1200からの炭素質物質の回収率を約50~55%に増加させ、図7及び図8に示される実施形態よりも多い、処理された最終原料1325を生成する。図9の原料処理システム1030は、図8の原料処理システム1020と同様の構成要素を含むが、原料を更に処理するために以下の追加及び/又は差異を備える。
【0116】
原料から炭素質物質の更なる回収をもたらすために、システム1030は、更なる微細分画ユニットを含む。示された実施例では、3つの分画密度分離ユニット(2つの一次ユニット及び1つの二次ユニット)が使用される。一次ユニット1250及び1260は、原料処理システム1020で説明したように構成される。二次分画密度分離ユニット1244は、分画ユニット1240の排除流1242からの、炭素質物質の回収を増加させるように構成される。本実施形態において、基本分画ユニット1240は、サイズが異なる2つの出力流1242及び1245を生成する。一般に、出力流1242は、より小さな微細物質(<2インチ)を含有し、該物質は、二次分画密度分離ユニット1244に送られ、そこで該物質が密度に基づいて分類され、分画ユニット1240においてスクリーニングで不活性画分とともに除去された炭素質物質の一部が、流れ1242から回収される。ユニット1240で除去された流れ1242中の物質は、土、ガラス、湿った有機物、及び他の不活性成分に加えて、紙、織物を含んでもよい。湿った有機物は、例えば、刈り取られた芝、及び食品廃棄物を含んでもよい。ユニット1244からの重質/中質画分である流れ1246は、残留物質に送られ、軽質画分である流れ1248は、ユニット1250からの軽質画分と組み合わされ、鉄除去ユニット1270に送られる。二次密度分画器1244からの軽質画分(流れ1248)は、紙、プラスチック、及び織物を含有してもよい。本明細書の目的上、用語「不活性物質」1202、1246及び1255、又は「不活性成分」は、任意の非炭素質物質を指す。不活性物質1202、1246及び1255は、不活性物質ステーション1290に送られる。不活性成分を除去し、高炭素質物質出力(流れ1248及び1257)を生成してもよい。流れ1248及び1257は、鉄除去ステーション1270に送られ、図7及び図8に関して上述したように更に処理される。
【0117】
図10は、原料処理システム1040及び関連する方法の代替実施形態を示す概略図である。図10の実施形態は、図7図8及び図9に示す実施形態よりも、最初の原料からより多くの炭素質物質を回収し、更に処理された最終原料1325を生成する。図10の実施形態は、図7図8及び図9に示す実施形態よりも多い、処理された最終原料1325(回収率55~60%)を生成する。追加の処理工程を加えることによって、元の原料流1200から炭素質物質のより多くの回収が達成され得る。図10の原料処理システム1030は、図9の原料処理システム1030と同様の構成要素を含むが、原料を更に処理するために以下の追加及び/又は差異を備える。
【0118】
原料処理システム1040は、一次分画密度分離ユニット1260のうちの1つからの下流に、1つの追加の二次分画密度分離ユニット1090を含む。一次分画密度分離ユニット1260からの不活性流1267は、更なる炭素質物質を回収するために二次分画密度分離ユニット1090に送られる。達成可能な密度範囲がより広いため、2つの分画密度分離装置を直列に動作させると、より多くの炭素質物質が回収される。不活性物質911は、残留物質ステーション1290に送られ、炭素質物質流912は、第1の分画密度分離ユニット1250に送られ、流れ1245と組み合わされる。ユニット1260の下流での動作は、上で図8及び図9に示したように説明される。
【0119】
本発明の更なる態様において、炭素質物質を含有する複数の最初の原料流を処理するように構成された原料処理システムを提供する。図11は、原料処理システム1050及び関連する方法の代替実施形態を示す概略図である。図11は、複数の原料流、及び異なる種類の原料流を処理するように構成された原料処理システムの一例である。
【0120】
一般に、原料処理システム1050は、1つ又は複数の、最初の原料又は原料流を処理して、選択的な生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成される。原料処理システム1050は、特定の設備、用途、又は必要性に合わせて処理された原料を生成するために、複数の原料の柔軟な処理を提供する。図11の原料処理システム1050は、図10の原料処理システム1040と同様の構成要素をいくつか含むが、以下の差異及び/又は追加を備える。
【0121】
原料処理システム1050は、MSW等の他の炭素質原料1200に加えて、回収プラスチック1201(前もって回収若しくはリサイクルされたプラスチック等)及び/又は木質バイオマス1202を受け取り、処理するように構成される。回収プラスチック1201は、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)プラスチック流と、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)及び低密度ポリエチレン(「LDPE)複合プラスチック流との混合物を含んでもよい。木質バイオマス1202は、これらに限定されないが、木材バイオマス、わら、スイッチグラス、建設及び解体廃棄物、並びに他の同様のバイオマス物質を含んでもよい。プラスチック1201及び木質バイオマス1202の流れは、図11に示すように、システム1050に別々に投入されてもよく、又は流れは混合され、次いで1つの供給流でシステムに投入されてもよい。例示的実施形態において、プラスチック1201及び木質バイオマス1202の流れは、サイズ縮小ユニット1203に送られ、プラスチック1201及び木質バイオマス1202中における10インチ以上の物質は、剪断型(又は同様の)シュレッダーに送られるコンベヤ(図示せず)上に供給されることによって粉砕される。剪断型シュレッダーは、より大きな物質を、マイナス10インチサイズの生成物質に細断することができる。細断されたマイナス10インチサイズのMSW物質は、流れ992中に生成される。
【0122】
細断された物質は、軽質/中質画分が重質物質から分離される分画密度分離ユニット1150に送られてもよい。重質物質は、土、ガラス、湿った有機物、及び他の不活性成分を含んでもよい。湿った有機物は、例えば、刈り取られた芝、及び食品廃棄物を含んでもよい。不活性物質996は、任意の非炭素質物質を含んでもよい。不活性物質996は、残留物質ステーション1290に送られてもよい。多くの不活性成分が除去された後、流れ994が生成される。軽質/中質画分(流れ994)は、鉄除去ユニット1270(磁気分離器とも呼ばれることがある)に送られ、流れ1248、1257及び1265から鉄物質を除去するために他の流れと混合し、次いで、上述したプロセス工程が継続されてもよい。したがって、本実施形態において、更なる炭素質廃棄物原料が処理され、後にF-T液体及び輸送燃料を作製するために使用される、処理された原料1325が提供される。
【0123】
図12は、原料処理システム1060及び関連する方法の代替実施形態を示す概略図である。図12は、複数の原料流、及び異なる種類の原料流を処理するように構成された原料処理システムの一例であり、システム1060からメタンを回収する嫌気性消化装置を更に提供する。
【0124】
一般に、原料処理システム1060は、廃棄物等の原料を処理して、選択的な生物起源炭素含量を有する処理された原料を生成するように構成されてもよい。原料処理システム1060は、特定の設備、用途、又は必要性に合わせて処理された原料を生成するために、原料の柔軟な処理を提供する。図12の原料処理システム1060は、図11の原料処理システム1050と同様の構成要素を含むが、残留物質ユニット1290において排除物質からメタンを回収するように構成された嫌気性消化装置が以下に追加されている。
【0125】
図12に示すように、残留物質ステーション1290に供給される多様な流れ996、1246、911及び1255からの排除物質は、流れ1295中に出力され、嫌気性消化装置ステーション1296に送られる。嫌気性消化は、酸素の非存在下で微生物が生体物質を分解するプロセスを含んでもよい。嫌気性消化装置ステーション1296は、嫌気性濾床又は上向流汚泥床消化装置における下水バイオソリッド、低固形物又はスクリーニング済み動物糞尿、及び低懸濁固形物又は高溶解性固形物を消化するために使用される、1つ又は複数の嫌気性消化装置を含んでもよい。消化装置はまた、粒子状有機廃棄物、特に、脂肪、油脂、グリース、食品加工廃棄物、庭ごみ、葉、紙、及び残留物質ステーション1290からの他の不活性成分等の、消費前及び消費後の食品廃棄物を含む固形廃棄物(都市廃棄物の可消化画分)の消化に使用することも可能である。嫌気性消化装置ステーション1296は、バイオガス(メタン)副生成物1297を生成し、該副生成物は回収されてプロセス加熱のためのエネルギー源として使用される。
【0126】
バイオガス(メタン)副生成物を生成する嫌気性消化の4つの基本的な段階は、以下の通りである。(1)大きな粒子状固体を加水分解すること;(2)大きなポリマーを発酵して、中間体、すなわち、酸及びアルコールにすること;(3)これらの酸及びアルコールを二酸化炭素、水素、及び短鎖脂肪酸(例えば、酢酸塩)に転化すること;並びに(4)二酸化炭素、水素及び酢酸塩を還元してメタンにすること。すべての多様な固体をより小さな粒子に分解し、次いで二酸化炭素及び水素を発酵液中に放出する液体を生成するための酵素を生成する消化性バイオマスとして、加水分解細菌を使用してもよい。加水分解細菌により生成された酵素は、セルロース、タンパク質、及び脂肪の大きなポリマーを切断することができる。
【0127】
したがって、本実施形態において、残留物質ユニット1290内の物質の炭素質部分が処理されてバイオガス(メタン)が生成される。該バイオガスはプロセスヒーターのエネルギー源として使用する、又はガス化アイランドに再循環し戻され、改質してシンガスにすることができ、該シンガスは、後にF-T液体及び輸送燃料を作製するために使用される。埋立地において残留物質から生成されるメタンは低減され、炭素回収率は最大化される。
【0128】
上述したシステムによりMSW、木質バイオマス、プラスチック及び他の炭素質原料から燃料を作製することは、大きな利点を有する。該システムは、非常に低い排出プロファイルを有するエネルギー効率に優れたシステムを提供し、埋立地に入るMSW、プラスチック及び他の物質を低減し(したがって、埋立地からの有害なメタンガス排出を劇的に低減し、且つ新しい又は拡大した埋立地の必要性を軽減し)、石油及び石炭由来の燃焼生成物の使用に伴う温室効果ガスを置換によって低減する。該システムは、セルロース系燃料の生物起源含量を増加させ、したがって、このような燃料の価値を実質的に増加させる。
【0129】
例示的な実施形態は、特定の構成を参照して記載されたものである。特定の実施形態及び実施例の前述の記載は、例示及び説明のみの目的で提示されており、本発明は先の特定の実施例によって例示されているが、それによって本発明を限定することは意図していない。
【符号の説明】
【0130】
13 原料処理(現地外)
21 ガス化アイランド 図2
25 FT排ガス
27 CO2再循環
29 シンガス
31 シンガス(F-T反応器へ)
33 F-Tプロセス 図5
41 シンガス調整 図3
54 アップグレーディング 図6
58 生成物
150 PSIG蒸気
211 ユニット
215 ガス化段階3 炭化水素改質
215 ユニット
225 シンガス冷却
231 ナフサ
233 オフガス
251 ガス化段階1 水蒸気改質器
253 間接燃焼ヒーター
271 ガス化段階2 炭素酸化
273 酸素
275 低圧蒸気
277 シンガス
421 シンガススクラバ
424 アルカリ溶液
426 酸性水(廃水処理へ)
428 シンガス
431 シンガス圧縮機
436 ガード床
441 水性ガスシフト反応器
446 アンモニア除去
451 ガード床
461 CO2/H2S除去
461 CO2/H2S除去システム 実施形態1
461 CO2/H2S除去システム 実施形態2
464 硫黄
471 ガード床
481 H2回収
482 H2(アップグレーディングへ)
483 排除シンガス
493 吸収器
495 再生装置
511 F-T再循環圧縮機
520 水素
521 HFTL液体貯蔵
522 MFTL液体貯蔵
533 FT反応器
537 再循環シンガス
542 FT水(廃水処理へ)
643 水素化分解装置
704 重質分解物
803 生成物貯蔵
853 分留器
857 ストリッパー
1090 分画密度分離
1150 分画密度分離
1201 回収プラスチック
1202 木質バイオマス
1203 サイズ縮小
1210 フロアソート
1220 最初のサイズ分離
1230 サイズ縮小
1230 粉砕
1240 分画
1244 分画密度分離
1250 分画密度分離
1260 分画密度分離
1270 鉄除去
1278 回収金属
1280 非鉄除去
1288 回収非鉄金属
1290 重残留物質
1296 嫌気性消化装置
1297 バイオガス
1300 プラスチック除去
1308 回収プラスチック
1310 最終サイズ縮小
1320 乾燥
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】