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特表2023-523821外科用シャフト又はカニューレ用のジャイロスタビライザ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】外科用シャフト又はカニューレ用のジャイロスタビライザ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230531BHJP
   A61B 90/10 20160101ALI20230531BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B90/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566382
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021061425
(87)【国際公開番号】W WO2021219855
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,664
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/213,518
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ディミートリアス・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゼイナー・マーク・エス
(72)【発明者】
【氏名】イソサキ・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】パーデュー・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】モルガン・ニコラス・エム
(72)【発明者】
【氏名】モーガン・ジョシュア・ピー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160MM22
(57)【要約】
患者に対して外科用器具を安定化するように構成されたジャイロスタビライザは、中心軸と、外科用器具と着脱可能に結合するように構成されたハブと、を有する、フレームを含む。第1のジャイロアセンブリは、第1のフレーム部分と結合されており、第2のジャイロアセンブリは、第2のフレーム部分と結合されている。各ジャイロアセンブリは、歳差運動軸を中心としてそれぞれのフレーム部分と枢動可能に結合されたジンバルと、モータと、それぞれの歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心としてモータと回転可能に結合されたロータと、を含む。各ジャイロアセンブリは、それぞれのスピン軸及びそれぞれの歳差運動軸を含むトルク平面内にトルクを発生させるように動作可能である。トルクは、中心軸及び互いに対して垂直であるそれぞれのデバイス軸を中心として患者に対するジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して外科用器具を安定化するように構成されたジャイロスタビライザであって、
(a)フレームであって、中心軸を中心として延在し、かつ外科用器具と着脱可能に結合するように構成されているハブを含み、その結果、前記ジャイロスタビライザが患者の上で前記外科用器具によって支持されるように構成されている、フレームと、
(b)前記フレームの第1のフレーム部分と結合された第1のジャイロアセンブリであって、
(i)第1の歳差運動軸を中心として前記第1のフレーム部分と枢動可能に結合された第1のジンバルと、
(ii)第1のモータと、
(iii)前記第1の歳差運動軸に対して垂直な第1のスピン軸を中心として前記第1のモータと回転可能に結合された第1のロータと、を含む、第1のジャイロアセンブリと、
(c)前記フレームの第2のフレーム部分と結合された第2のジャイロアセンブリであって、
(i)第2の歳差運動軸を中心として前記第2のフレーム部分と枢動可能に結合された第2のジンバルと、
(ii)第2のモータと、
(iii)前記第2の歳差運動軸に対して垂直な第2のスピン軸を中心として前記第2のモータと回転可能に結合された第2のロータと、を含む、第2のジャイロアセンブリと、を備え、
前記第1のジャイロアセンブリが、前記第1のスピン軸を中心として前記第1のモータで前記第1のロータを回転させて、前記第1のスピン軸及び前記第1の歳差運動軸を含む第1のトルク平面内に第1のトルクを発生させるように動作可能であり、前記第1のトルクが、前記中心軸に対して垂直な第1のデバイス軸を中心とした前記患者に対する前記ジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されており、
前記第2のジャイロアセンブリが、前記第2のスピン軸を中心として前記第2のモータで前記第2のロータを回転させて、前記第2のスピン軸及び前記第2の歳差運動軸を含む第2のトルク平面内に第2のトルクを発生させるように動作可能であり、前記第2のトルクが、前記中心軸及び前記第1のデバイス軸に対して垂直な第2のデバイス軸を中心とした前記患者に対する前記ジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されている、ジャイロスタビライザ。
【請求項2】
前記第1のジャイロアセンブリが、前記中心軸の第1の側に配設されており、前記第2のジャイロアセンブリが、前記中心軸の第2の側に配設されている、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項3】
前記第1のジャイロアセンブリ及び前記第2のジャイロアセンブリが、前記中心軸を中心として互いに等距離に離間されている、請求項2に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項4】
前記第1の歳差運動軸及び前記第2の歳差運動軸が、互いに対して角度付けされている、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項5】
前記第1の歳差運動軸及び前記第2の歳差運動軸が、互いに対して90度角度付けされている、請求項4に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項6】
前記第1のフレーム部分が、第1の閉鎖空間を画定する第1のリング部材を備え、前記第2のフレーム部分が、第2の閉鎖空間を画定する第2のリング部材を備え、前記第1のジンバルが、前記第1のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ前記第1の閉鎖空間内で前記第1の歳差運動軸を中心として枢動可能であり、前記第2のジンバルが、前記第2のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ前記第2の閉鎖空間内で前記第2の歳差運動軸を中心として枢動可能である、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項7】
前記第1のモータが、前記第1のジンバルによって支持されており、前記第2のモータが、前記第2のジンバルによって支持されている、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項8】
前記フレームによって支持された少なくとも1つの電池を更に備え、前記少なくとも1つの電池が、前記第1のモータ及び前記第2のモータに給電するように構成されている、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項9】
前記第1のロータ及び前記第2のロータの各々が、内部空洞を含み、前記第1のモータ及び前記第2のモータの各々は、各ロータがそれぞれのモータを中心として回転可能であるように、それぞれのロータの前記内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項10】
前記第1のジャイロアセンブリ及び前記第2のジャイロアセンブリの各々が、前記それぞれのモータに給電するように構成された電池を更に含み、各電池が、前記それぞれのロータの前記内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、請求項9に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項11】
前記外科用器具が、外科用カニューレを備え、前記ハブが、前記中心軸に沿って中央通路を通して第2の外科用器具のシャフトを摺動可能に受容するように構成された前記中央通路を含む、請求項1に記載のジャイロスタビライザ。
【請求項12】
ジャイロ安定化システムであって、
(a)請求項1に記載のジャイロスタビライザと、
(b)前記ジャイロスタビライザと通信するコントローラであって、前記ジャイロスタビライザとは別個に配置されている、コントローラと、を備える、ジャイロ安定化システム。
【請求項13】
前記コントローラが、プロセッサと無線で通信するように構成されている、請求項12に記載のジャイロ安定化システム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記第1のモータ又は前記第2のモータのうちの少なくとも1つの回転速度を制御するように動作可能である、請求項12に記載のジャイロ安定化システム。
【請求項15】
前記第1のジャイロアセンブリ又は前記第2のジャイロアセンブリのうちの少なくとも1つが、前記コントローラによって制御可能な歳差運動制御機構を含み、前記歳差運動制御機構が、
(i)それぞれの歳差運動軸を中心としたそれぞれのフレーム部分に対するそれぞれのジンバルの枢動運動の速度、又は、
(ii)前記それぞれの歳差運動軸を中心とした前記それぞれのフレーム部分に対する前記それぞれのジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを変化させるように動作可能である、請求項12に記載のジャイロ安定化システム。
【請求項16】
ジャイロ外科用器具アセンブリであって、
(a)外科用器具と、
(b)前記外科用器具と結合されたジャイロスタビライザであって、
(i)フレームと、
(ii)歳差運動軸を中心として前記フレームと枢動可能に結合されたジンバルと、
(iii)モータと、
(iv)前記歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心として前記モータと回転可能に結合されたロータと、を含む、ジャイロスタビライザと、を備え、
前記ロータが、前記スピン軸及び前記歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させるように、前記スピン軸を中心として前記モータによって回転可能であり、
前記ジャイロスタビライザが、前記外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する前記外科用器具の選択された角度向きを維持するのに十分な前記トルク平面内の安定化トルクを発生させるように動作可能である、ジャイロ外科用器具アセンブリ。
【請求項17】
前記外科用器具が、長手方向軸を画定する細長い部分を含み、ジャイロスタビライザは、前記ジャイロスタビライザの中心軸が前記長手方向軸と同軸で位置合わせされるように、前記外科用器具と結合されている、請求項16に記載のジャイロ外科用器具アセンブリ。
【請求項18】
フレームと、歳差運動軸を中心として前記フレームと枢動可能に結合されたジンバルと、前記歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心として前記ジンバルに対して回転可能なロータと、を含む、ジャイロスタビライザを有する外科用器具を安定化する方法であって、
(a)前記外科用器具の一部分を前記ジャイロスタビライザと係合させて、それらの間の相対移動を阻止することと、
(b)前記ロータを前記スピン軸を中心として回転させ、それによって、前記スピン軸及び前記歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させることと、
(c)前記安定化トルクを介して、前記外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する前記外科用器具の選択された角度向きを維持することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記ジャイロスタビライザが、モータを更に含み、前記ロータを前記スピン軸を中心として回転させることが、前記モータで前記ロータを回転させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(i)前記スピン軸を中心とした前記ロータの回転速度、
(ii)前記歳差運動軸を中心とした前記フレームに対する前記ジンバルの枢動運動の速度、又は
(iii)前記歳差運動軸を中心とした前記フレームに対する前記ジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを選択的に変化させることによって、前記安定化トルクを調整することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日に出願された「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題する米国仮特許出願第63/018,664号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術は、臨床医が患者の腹腔を介して手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術では(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に称されるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の手術アクセスデバイスは、2011年7月19日に発行された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に発行された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に発行された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に発行された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に発行された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に発行された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に発行された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
図2】分解状態の図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている図1のトロカールの側面断面図を示す。
図3B図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
図3C図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
図3D図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
図4】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの別の斜視図を示す。
図5】互いに分離された再利用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
図6図4のカニューレアセンブリの形態の外科用器具と着脱可能に結合されたジャイロスタビライザを含む、例示的なジャイロ外科用器具アセンブリの斜視図を示す。
図7】フレームと、第1のフレーム部分と結合された第1のジャイロアセンブリと、第2のフレーム部分と結合された第2のジャイロアセンブリと、を有して図示される、図6のジャイロスタビライザの斜視図を示す。
図8】第1のフレーム部分から分離された第1のジャイロアセンブリ、及び第2のフレーム部分から分離された第2のジャイロアセンブリを示す、図6のジャイロスタビライザの部分分解斜視図を示す。
図9図8の切断線9-9に沿った図6のジャイロスタビライザのハブカラー部分の上面断面図を示す。
図10】ジャイロアセンブリの追加の詳細を示す、図6のジャイロスタビライザのジャイロアセンブリの部分分解斜視図を示す。
図11】ジャイロアセンブリのスピン軸及び歳差運動軸によって画定された平面に沿った、第1のジャイロアセンブリ及び図6のジャイロスタビライザの第1のフレーム部分の上面断面図を示す。
図12図10のジャイロアセンブリのロータとモータとの間の例示的な代替の駆動結合の分解斜視図を示す。
図13A】カニューレアセンブリと位置合わせ及び結合されているジャイロスタビライザを示す、分解状態にある図6のジャイロの外科用器具アセンブリの斜視図を示す。
図13B】ジャイロスタビライザ及びカニューレアセンブリを通して遠位に挿入するためにアセンブリの中心軸と位置合わせされている例示的な第2の外科用器具の遠位部分を示し、また、ジャイロスタビライザが、カニューレアセンブリ及び第2の外科用器具を患者に対して安定化するための安定化トルクを発生するように構成されている、例示的な第1のトルク平面及び第2のトルク平面を示す、組み立てられた状態にある図6のジャイロの外科用器具アセンブリの斜視図を示す。
図14図4のカニューレアセンブリのない、図13Bの第2の外科用器具のシャフトに結合された図6のジャイロスタビライザの斜視図を示す。
図15】例示的なジャイロ外科用器具安定化システムの概略図を示す。
図16図6のジャイロスタビライザを図15のジャイロ外科用器具安定化システムの構成要素として制御する、例示的な方法の略線図を示す。
図17図6のジャイロスタビライザを図15のジャイロ外科用器具安定化システムの構成要素として制御する、別の例示的な方法の略線図を示す。
図18図6のジャイロスタビライザを図15のジャイロ外科用器具安定化システムの構成要素として制御する、別の例示的な方法の略線図を示す。
図19】ジャイロスタビライザの外科用器具検出センサアセンブリを想像線で示す、図13Bの第2の外科用器具と組み合わせた別の例示的なジャイロスタビライザの斜視図を示す。
図20図19の外科用器具検出センサの経時的に測定した電気インピーダンスを示す、例示的な折れ線グラフを示す。
図21】外科医検出機構を有して図示される、図15のジャイロ外科用器具安定化システムの例示的な変形例の概略斜視図を示す。
図22図6のジャイロスタビライザを図15のジャイロ外科用器具安定化システムの構成要素として制御する、別の例示的な方法の略線図を示す。
図23図6のジャイロスタビライザを図15のジャイロ外科用器具安定化システムの構成要素として制御する、別の例示的な方法の略線図を示す。
図24図22の方法の例示的な変形例による、図6のジャイロスタビライザの性能を示す、例示的な線グラフを示す。
図25図22の方法の別の例示的な変形例による、図6のジャイロスタビライザの性能を示す、例示的な線グラフを示す。
図26】第1の歳差運動制御機構及び第2の歳差運動制御機構を有する別の例示的なジャイロスタビライザの概略上面図を示す。
図27】電動手術台を含む別の例示的なジャイロ外科用器具安定化システムの概略図を示す。
図28図27のシステムの電動手術台を制御する例示的な方法の略線図を示す。
図29】複数の位置センサを含む別の例示的なジャイロ外科用器具安定化システムの概略斜視図を示す。
図30図29のシステムの手術台に対するジャイロ外科用器具アセンブリの角度向きを監視及び調整する例示的な方法の略線図を示す。
図31A】フレームハブに取り付けられたジャイロ支持部材を示す、フレームハブから分離可能である第1のジャイロ支持部材及び第2のジャイロ支持部材を備えたフレームを有する、別の例示的なジャイロスタビライザの概略斜視図を示す。
図31B】フレームハブから外向きに取り出された第1のジャイロ支持部材及び第2のジャイロ支持部材を示す、図31Aのジャイロスタビライザの概略斜視図を示す。
図32A】低慣性状態を画定する例示的な小半径を有するロータを示す、選択的に調整可能な半径及び結果として生じる慣性モーメントを有するロータを有する例示的なジャイロアセンブリの一部分の斜視側面図を示す。
図32B】高慣性状態を画定する例示的な大半径を有するロータを示す、図32Aのジャイロアセンブリの一部分の斜視図を示す。
図33図32Aの低慣性状態と図32Bの高慣性状態との間のロータの移行として図32Aのロータの回転速度の例示的な進行を示す、線グラフを示す。
図34】内側ステータを有する電気モータと、ジャイロロータとして機能する外側ロータと、を有する、別の例示的なジャイロアセンブリの一部分の概略断面図を示す
図35】互いに分離された第1のシュラウド及び第2のシュラウドの半分を示す、フレームを完全にカプセル化するために気密封止によってともに嵌合する第1のシュラウド及び第2のシュラウドの半分を備えた滅菌可能な外側シュラウドと、スタビライザの第1のジャイロアセンブリ及び第2のジャイロアセンブリと、を有する、例示的なジャイロスタビライザの概略側面図を示す。
図36】ジャイロアセンブリのロータ、モータ、及び電池を想像線で示す、滅菌可能かつ気密封止可能な外側シュラウド内に収容された構成要素を有する、例示的なジャイロアセンブリの概略斜視図を示す。
図37】ジャイロアセンブリのロータを想像線で示す、第1のシュラウド部分及び第2のシュラウド部分を有する滅菌可能かつ気密封止可能な外側シュラウドを有する、例示的なジャイロアセンブリの概略斜視図を示す。
図38】滅菌可能で気密封止された外側シュラウドを有する、別の例示的なジャイロアセンブリの概略断面図を示す。
図39】ジャイロスタビライザフレームから分離されて、充電デバイスのそれぞれの充電ポート内に着座しているジャイロアセンブリを示す、図38の構成による2つのジャイロアセンブリの概略斜視図を示す。
図40】2つを超えるジャイロアセンブリを有する、例示的なジャイロスタビライザの概略斜視図を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、図示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れて配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再利用可能なトロカール
図1図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再利用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術において手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、図3A図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って腹腔内に遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1図2に示すように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。具体的には、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒チューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。結果として生じるリブ(26)の構成は、遠位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術中に患者の腹壁からのカニューレチューブ(22)の意図しない引き抜きから保護する。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップされ得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、近位ヘッド(36)と、ともに固定された遠位ベース(38)と、を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して向けられた腹腔鏡外科手術器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科手術器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び図2に示すように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、近位ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(62)と、先細遠位先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(図示せず)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロットからラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在する中央通路(76)を更に含み、その中に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通してトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者との単回使用後に処分されるように構成され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、図4図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数回の再使用に耐えるように好適に構成され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内のトロカールの例示的な展開
図3A図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、線維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示すように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。図3Bに示すように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、このステップは、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き出す。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術を行うために、それを通って遠位に外科手術器具を受容可能にするようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織係合リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術の完了時に、臨床医は、図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再利用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術のために滅菌及び再利用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各手術の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。図4図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状のハブ(122)、ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒チューブ(124)を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構成されている。図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、カニューレハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された様式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、2019年3月28日に公開された「Trocar Seal Assemblies」と題する米国特許公開第2019/0090905号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2019年12月19日に公開された「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許公開第2019/0380742号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位ヘッド(150)と、ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成されており、その結果、それらは、複数の外科手術のために滅菌及び再利用され得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各手術の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構成されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、シールアセンブリ(130)が、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を単回使用後に処分するのに好適にする価格で容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構成され得る。
【0027】
II.外科用器具のジャイロ安定化
上述のように、トロカールカニューレ(20、120)は、各々が、環状リブ(26、128)の形態の組織把持安定特徴部を含む。リブ(26、128)(安定ねじ山とも称される)は、患者の腹壁(2)の様々な組織層を把持し、それによって、外科手術中に、患者に対する対応するカニューレアセンブリ(12、112)のユーザ定義の角度を維持するのを支援するように構成されている。しかしながら、場合によっては、リブ(26、128)は、特に外科医がカニューレアセンブリ(12、112)を自分の把持から解放して別のタスクを実行するときに、カニューレアセンブリ(12、112)の重力誘導先端(傾斜とも称される)が腹壁(2)に向かうこと、及びユーザ定義の向きから離れることを阻止するのを無効にし得る。したがって、カニューレアセンブリ(12、112)を、患者に対するカニューレアセンブリ(12、112)のユーザ定義の向きを維持するのを支援するように構成されたデバイスと結合することが望ましい場合がある。
【0028】
図6は、例示的なジャイロスタビライザ(210)と組み合わせた、上述したトロカール(110)のカニューレアセンブリ(112)含む、例示的なジャイロ外科用器具アセンブリ(200)を示す。以下でより詳細に説明されるように、ジャイロスタビライザ(210)は、外科医がカニューレアセンブリ(112)を自分の把持又は制御から解放するときに、患者に対するカニューレアセンブリ(112)のユーザ定義の角度向き(すなわち、傾斜角)を維持するように動作可能であり、したがって、外科医が、カニューレアセンブリ(112)の角度向きを手動で維持すること、又はそうでなければ監視することを必要とせずに、他の外科的タスクを安全に実行することを可能にする。より具体的には、ジャイロスタビライザ(210)は、例えば、重力、組織の反力、及び意図しないユーザが入力した力による、外部から印加されたトルクに対抗するために、角運動量保存の法則を利用する。場合によっては、ジャイロスタビライザ(210)は、カニューレアセンブリ(112)を通して方向付けられた腹腔鏡外科用器具を介して、外科医によってカニューレアセンブリ(112)に印加される外科的運動を検出し、容易にするように制御され得る。
【0029】
ジャイロスタビライザ(210)は、カニューレアセンブリ(112)の形態の第1の外科用器具及びカニューレアセンブリ(112)を通して遠位に方向付けられた腹腔鏡器具(290)の形態の第2の外科用器具を安定化することに関連して、特に図13Aを参照しながら本明細書に図示及び記載される。しかしながら、本明細書に開示されるジャイロスタビライザ(210)及びその変形例はまた、様々な他のタイプのトロカールカニューレアセンブリ、並びにトロカールカニューレアセンブリと組み合わせた、又はそれとは独立の様々なタイプの細長い非トロカール外科用器具を安定化するためにも使用され得ることが理解されるであろう。例えば、図14に関連して以下で説明されるように、ジャイロスタビライザ(210)は、カニューレアセンブリ(112)とは独立して腹腔鏡器具(290)と結合して、安定化するように構成され得る。したがって、ジャイロスタビライザ(210)は、本明細書に具体的に開示されたもの以外の外科分野における様々な好適な使用及び用途を有し得ることが理解されるであろう。
【0030】
A.例示的なジャイロスタビライザの構造概要
図7及び図8に最もよく示されるように、本変形例のジャイロスタビライザ(210)は、フレーム(212)と、フレーム(212)の第1の部分と移動可能に結合された第1のジャイロアセンブリ(240)と、フレーム(212)の第2の部分と移動可能に結合された第2のジャイロアセンブリ(242)と、を含む。
【0031】
本変形例のフレーム(212)は、フレーム(212)の中心軸(central axis、CA)を画定し、かつ中心軸(CA)に沿ってハブ(214)を通って遠位に延在する円筒形の中央通路(216)を含む中央ハブ(214)を有する、一体構造体として形成される。略円筒形のカラー(218)は、中心軸(CA)に沿って中央ハブ(214)の下側から遠位に延在し、かつ作動可能なラッチ部材(220)の形態の器具結合機構を収容する。ラッチ部材(220)は、一対のボタン(222)と、対応する1対の下向きに垂下するラッチアーム(224)と、を含む。ラッチボタン(222)は、例えば図13Aに関連して以下に図示及び記載されるように、ラッチアーム(224)をカニューレアセンブリ(112)の近位端部と結合及び結合解除するように、ユーザによって選択的に作動可能である。このようにして、カラー(218)は、ジャイロスタビライザ(210)をカニューレアセンブリ(112)に解放可能に取り付け、並びに干渉を防止するためにジャイロアセンブリ(240、242)をカニューレアセンブリ(112)の近位端部の上方に上昇させる役割を果たす。ジャイロスタビライザ(210)をカニューレアセンブリ(112)及び/又は他のタイプの外科用器具と結合するように構成された様々な他のタイプの器具結合機構が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0032】
一時的に図9を参照すると、カラー(218)は、中心軸(CA)に沿ってハブ(214)の中央通路(216)と同軸に位置合わせされた中央ボア(226)を含む。本実施例の中央ボア(226)は、中央通路(216)より小さい直径を有し、例えば外科用ステープラ又は電気外科用器具の形態の腹腔鏡器具などの外科用器具のシャフトを摺動可能に受容するようにサイズ決定される。いくつかの変形例では、中央ボア(226)は、所定の摩擦度を有する、又は摩擦のない、そのような外科用器具の外側シャフト表面に係合するようにサイズ決定され得る。
【0033】
図7及び図8に示されるように、スタビライザフレーム(212)は、中央ハブ(214)の第1の側の半径方向外向きに配設された第1のリング部材(230)の形態の第1のジャイロ支持部材と、中央ハブ(214)の対向する第2の側の半径方向外向きに配設された第2のリング部材(232)の形態の第2のジャイロ支持部材と、を更に含む。第1のリング部材(230)及び第2のリング部材(232)は、中心軸(CA)を中心として直径方向に互いに対向する。第1のリング部材(230)は、第1のリング部材(230)が、中心軸(CA)と平行でありかつその半径方向外向きに延在する第1のリング部材軸(RA1)を中心として円周方向に延在するように、略水平に配向され、中央ハブ(214)と同一平面上にある。これとは逆に、第2のリング部材(232)は、第2のリング部材(232)が中心軸(CA)及び第1のリング部材軸(RA1)と垂直に交差する第2のリング部材軸(RA2)を中心として円周方向に延在するように、略垂直に配向され、かつ中央ハブ(214)に対して垂直である。したがって、本実施例の第1のリング部材(230)及び第2のリング部材(232)は、互いに対して90度角度付けされる。更に、第1のリング部材(230)及び第2のリング部材(232)は、第2のリング部材軸(RA2)が第1のリング部材(230)の水平中間面内にあるように、互いに位置合わせされる。
【0034】
第1のジャイロアセンブリ(240)は、本明細書で第1の歳差運動軸(PA1)と称される第1の枢動軸中心として、スタビライザフレーム(212)の第1のリング部材(230)によって取り囲まれ、かつ枢動可能に結合される。同様に、第2のジャイロアセンブリ(242)は、本明細書で第2の歳差運動軸(PA2)と称される第2の枢動軸を中心として、スタビライザフレーム(212)の第2のリング部材(232)によって取り囲まれ、かつ枢動可能に結合される。したがって、第1のジャイロアセンブリ(240)及び第2のジャイロアセンブリ(242)は、中心軸(CA)を中心として互いに直径方向に対向し、かつ互いに等距離に離間される。図13Bに関連して以下でより詳細に説明されるように、各ジャイロアセンブリ(240、242)は、そのそれぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)を中心としてそれぞれのリング部材(230、232)に対して枢動又は「歳差運動」するように構成されている。各ジャイロアセンブリ(240、242)とそのそれぞれのリング部材(230、232)との間の枢動可能な結合は、それぞれのリング部材軸(RA1、RA2)に向かって、リング部材(230、232)の直径方向に対向する側を通って半径方向内向きに延在する、一対の枢動ポスト要素(234)によって提供される。各枢動ポスト要素(234)の内端部は、それぞれのジャイロアセンブリ(240、242)のそれぞれの軸受によって受容される。
【0035】
本実施例では、第1の歳差運動軸(PA1)は、第1のリング部材(230)の直径に沿って水平に延在し、したがって、第1のリング部材軸(RA1)と垂直に交差する。第2の歳差運動軸(PA2)は、第2のリング部材(232)の直径に沿って垂直方向に延在し、したがって、第2のリング部材軸(RA2)と垂直に交差する。追加的に、第1の歳差運動軸(PA1)は、第2のリング部材(232)の垂直中間面に平行に延在し、第2の歳差運動軸(PA2)は、第1のリング部材(230)の水平中間面に平行に延在する。したがって、本実施例の第1の歳差運動軸及び第2の歳差運動軸(PA1、PA2)は、互いに対して90度角度付けされる。
【0036】
ジャイロスタビライザ(210)の本変形例では、各ジャイロアセンブリ(240、242)は、同じ様式で構成されている。図10及び図11に最もよく示されるように、各ジャイロアセンブリ(240、242)は、ジンバル(244)と、ジンバル(244)に装着されたモータ(246)と、モータ(246)を中心として円周方向に配置された複数の電池(248)の形態の電源と、モータ(246)と回転可能に結合されたロータ(250)(「フライホイール」とも称される)と、を含む。
【0037】
本変形例のジンバル(244)は、干渉することなくそれぞれのフレームリング部材(230、232)に対するジンバル(244)の枢動(又は「歳差運動」)を容易にする、環状形状で凸状の外面を有する。ジンバル(244)は、枢動ポスト要素(234)の内端部と枢動可能に結合して、ジンバル(244)がリング部材(230、232)に対して枢動することを可能にするように構成された一対の枢動軸受(252)と、ロータ(250)と枢動可能に結合するように構成された単一のスピン軸受(254)と、を更に含む。スピン軸受(254)は、ロータ(250)がそれを中心に回転するように構成されているスピン軸(SA1、SA2)に沿って、枢動軸受(252)の間に等距離に離間される。ジンバル(244)は、スピン軸受(254)から直径方向に対向され、かつモータ装着キャップ(260)を確実に受容するように構成された開口部(258)を有する、モータ支持フランジ(256)を更に含む。モータ装着キャップ(260)は、モータ(246)及び電池をジンバル(244)に対して確実に受容及び支持するように構成され、また、モータ(246)と電池(248)との間にルーティングされた電気コネクタ(図示せず)を収容するように構成された内部通路(262)を含む。
【0038】
本実施例のモータ(246)は、ブラシ付き又はブラシレスの直流(direct-current、DC)モータの形態であり得、ピニオン歯車(266)の形態の第1の駆動結合特徴部と嵌合した出力シャフト(264)を含む。ピニオン歯車(266)は、以下で説明されるロータ(250)の第2の駆動結合特徴と嵌合するように構成されている。各電池(248)は、例えば、再充電可能又は再充電不可能であり得、約3ボルトの出力電圧を有し得る。本変形例では、各ジャイロアセンブリ(240、242)は、互いに直列に接続された4つの3ボルトの電池(248)を含み、したがって、それぞれのモータ(246)に給電するための12ボルトの合計出力電圧を提供する。他の変形例では、様々な他のタイプ及び構成の電池が、モータ(246)の給電に利用され得ることが理解されるであろう。例えば、ジャイロスタビライザ(210)は、両方のモータ(246)に給電するように動作可能な単一の電源を含み得る。追加的に、図示されていないが、各ジャイロアセンブリ(240、242)は、ユーザによって作動されて、それぞれの電池(248)でそれぞれのモータ(246)に選択的に給電し、それによって安定化を作動させるように構成されたスイッチを更に含み得る。いくつかの変形例では、ジャイロスタビライザ(210)は、両方のモータ(246)に向けられる電力を制御するように構成された単一のスイッチ(図示せず)を含み得る。
【0039】
図10及び図11に示されるように、本変形例のロータ(250)(又は「フライホイール」)は、ボウル状又は切頭カップ状の形状を有し、かつ本明細書ではスピン軸(SA1、SA2)と称される中央回転軸を中心とした放射対称性を有する、一体構造体として形成される。具体的には、ロータ(250)は、ドーム形の本体部分(270)と、ロータ(250)の内部空洞(274)への円形開口部を画定するリング部分(272)と、それぞれのスピン軸(SA1、SA2)に沿って内部空洞(274)の中へ軸方向に突出する駆動結合ポスト(276)と、スピン軸(SA1、SA2)に沿ってドーム形の本体部分(270)から軸方向に離れて突出するスピンポスト(278)と、を有する。スピンポスト(278)は、ジンバル(244)のスピン軸受(254)によって受容されて回転可能に結合して、ロータ(250)がスピン軸(SA1、SA2)を中心としてジンバル(244)に対して回転することを可能にするように構成されている。駆動結合ポスト(276)は、複数の内部歯車の歯(277)を有するボアを含み、また、モータ出力シャフト(264)のピニオン歯車(266)を受容して嵌合し、それによって、モータ(246)とロータ(250)との間の確実な駆動接続を確立するように構成されている。例えば図12に関連して以下で説明するような、モータ(246)とロータ(250)との間の様々な他の好適なタイプの駆動接続が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0040】
図11に最もよく示されるように、モータ(246)及び電池(248)は、モータ(246)及び電池(248)がそれぞれのスピン軸(SA1、SA2)に沿ってロータ(250)の内部空洞(274)内に少なくとも部分的に位置決めされるように、モータ装着キャップ(260)によって支持されるように構成され、その結果、ロータ(250)のリング部分(272)が、モータ(246)及び電池(248)を中心として回転する。この配置は、ジャイロアセンブリ(240、242)のコンパクトな構成を有利に促進する。図11に示されるように、ロータ(250)のリング部分(272)は、歳差運動軸(PA1、PA2)と略位置合わせされ、ドーム形の本体部分(270)よりも厚い側壁で形成され、それによって、ロータ(250)の質量を歳差運動軸(PA1、PA2)に沿って集中させ得る。ロータ(250)は、以下に記載する様式で安定化トルクを発生させるための好適な質量及び結果として生じる慣性モーメント(「回転慣性」とも称される)を有するロータ(250)を提供するように選択された、1つ又は2つ以上の材料で形成され得る。いくつかの変形例では、ロータ(250)は、アルミニウム又は鋼などの、全体的に単一の金属で形成され得る。他の変形例では、ドーム形の本体部分(270)は、第1の密度を有する第1の材料で形成され、リング部分(272)は、第1の密度よりも大きい第2の密度を有する第2の材料で形成され得る。単に例として、ドーム形の本体部分(270)は、ポリマーで構成され得、リング部分(272)は、金属で構成され得る。
【0041】
図12は、ロータ(250)をモータ(246)と回転可能に結合するように構成された例示的な代替の駆動結合機構(280)を示す。駆動結合機構(280)は、モータ出力シャフト(264)と結合された中央太陽歯車(282)と、太陽歯車(282)を中心として円周方向に離間されて噛合係合する複数の遊星歯車(284)と、ロータリング部分(272)の内面に一体化されたリング歯車(286)と、有する、遊星歯車アセンブリの形態である。上述したように、様々な他のタイプの駆動結合機構が、ロータ(250)をモータ(246)と回転可能に結合するように実装され得ることが理解されるであろう。
【0042】
B.例示的なジャイロスタビライザの機能概要
図6図12に関連してジャイロスタビライザ(210)の例示的な構造的特徴を上述してきたが、以下、ジャイロスタビライザ(210)の例示的な動作を、図13A図14に関連して説明する。図13Aに示されるように、ジャイロスタビライザ(210)は、ラッチ部材(220)のラッチアーム(224)を、シールアセンブリ(130)の近位端部に形成されたスロット(138)に方向付けることによって、トロカールカニューレアセンブリ(112)と結合される。これは、ジャイロスタビライザ(210)の中心軸(CA)がカニューレアセンブリ(112)の中心軸(A)と同軸に位置合わせされる、図6及び図13Bに示されるジャイロ外科用器具アセンブリ(200)をもたらす。この組み立てられた構成では、中央通路(216)及びスタビライザ(210)の中央ボア(226)は、シールアセンブリ(130)の開口近位端部を通してカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)と連通する。
【0043】
図13Bに示されるように、次いで、患者の腹腔(1)内の手術部位にアクセスするために、腹腔鏡外科用器具(290)が、同軸中心軸(A、CA)に沿って、スタビライザハブ(214)及びカニューレアセンブリ(112)を通して下向きに方向付けられ得る(例えば、図3Cを参照されたい)。本実施例の外科用器具(290)は、外科医によって把持されるように、又はロボットによって支持されるように構成された本体アセンブリ(図示せず)と、本体部分から遠位に延在する細長いシャフト(292)と、シャフト(292)の遠位端部のエンドエフェクタ(294)と、を含む。単に例として、エンドエフェクタ(294)は、組織を把持、操作、ステープル留め、切断、収集、及び/又は封止するように動作可能であり得る。それに関して、及び単に例として、腹腔鏡外科用器具(290)は、外科用ステープリング器具、超音波外科用器具、電気外科用器具、組織縫合器具、組織把持器具、クリップ適用器具、組織収集器具、又は本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなる様々な他のタイプの腹腔鏡外科用器具の形態であり得ることが理解されるであろう。例えば、外科用器具(290)は、Guaynabo(Puerto Rico)のEthicon LLCによって入手可能となる腹腔鏡外科用器具のうちのいずれかの形態であり得る。
【0044】
簡潔に上述したように、作動(すなわち、受電)状態にあるジャイロスタビライザ(210)は、外科用器具のユーザ定義の角度向きを維持するように動作可能であり、その角度向きで、例えば重力により外科用器具に印加される外部トルクに抵抗することによってスタビライザ(210)が結合される。より具体的には、図13Bに示されるスタビライザ(210)の例示的な適用に示されるように、第1のジャイロアセンブリ(240)は、第1のスピン軸(SA1)及び第1の歳差運動軸(PA1)を含む第1のトルク平面(TP1)内に第1のジャイロトルクを発生させるように動作可能である。この第1のジャイロトルクの成分は、第1の安定化トルクであり、これは、スタビライザフレーム(212)によって画定された例示されるx軸を中心とするスタビライザ(210)、したがって、カニューレアセンブリ(112)及び外科用器具(290)の回転(すなわち、傾斜)を阻止するように構成されている。第2のジャイロアセンブリ(242)は、第2のスピン軸(SA2)及び第2の歳差運動軸(PA2)を含む第2のトルク平面(TP2)内に第2のジャイロトルクを発生させるように動作可能である。この第2のジャイロトルクの成分は、第2の安定化トルクであり、これは、スタビライザフレーム(212)によって画定された例示されるy軸を中心とするスタビライザ(210)、したがってカニューレアセンブリ(112)及び外科用器具(290)の回転(すなわち、傾斜)を阻止するように構成されている。
【0045】
各ジャイロアセンブリ(240、242)は、スタビライザ(210)又はカニューレアセンブリ(112)に印加された外力(例えば、重力)に応答して、そのそれぞれのスタビライザフレームリング部材(230、232)内を、及びそれに対して枢動する(すなわち、「歳差運動する」)ように構成されている。このようにして、各トルク平面(TP1、TP2)は、そのそれぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)を中心として枢動して、発生した安定化トルクを再配向し、それによって、外部から印加された力に対抗して、患者に対するジャイロスタビライザ(210)、カニューレアセンブリ(112)、及び外科用器具(290)のユーザ定義の角度向きを維持する。以下でより詳細に説明されるように、ジャイロアセンブリ(240、242)の歳差運動は、作動させたときにジャイロアセンブリ(240、242)によって出力される安定化トルクの大きさ及び/又は方向を選択的に変化させるように制御され得る。
【0046】
当業者によって理解されるように、ジャイロスタビライザ(210)の各ジャイロアセンブリ(240、242)は、角運動量保存の法則を介して安定化トルクを発生させるように動作可能である。具体的には、各ジャイロアセンブリ(240、242)のロータ(250)は、ロータ(250)の質量及び半径によって決定される慣性モーメント(「回転慣性」とも称される)を有する。その質量の大部分をリング部分(272)内に集中させたロータ(250)の変形例の場合、ロータ(250)の慣性モーメント(I)は、次式のように、リング部分(272)の半径(R)及び質量(M)に基づいて近似され得る。
I=MR
【0047】
ロータ(250)を、スピン速度(ω)でそれぞれのスピン軸(SA1、SA2)を中心として、モータ(246)によって回転させるとき、ロータ(250)は、次式のように、角運動量(K)を有する。
K=I×ω
【0048】
ジャイロスタビライザ(210)に(例えば、重力により)印加される外部トルクは、歳差運動速度(ω)でそのそれぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)を中心として、フレーム(212)に対する各ジャイロアセンブリ(240、242)、具体的には、ジンバル(244)の歳差運動を誘発する。歳差運動速度(ω)は、ジンバル(244)、したがってそれぞれのジャイロアセンブリ(240、242)が、それぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)を中心としてフレーム(212)に対して枢動する速度を指す。歳差運動速度(ω)及び角運動量(K)は、協働して、次式のように、それぞれのトルク平面(TP1、TP2)に作用するジャイロトルク(τgyro)を発生させる。
τgyro=ω×K
【0049】
上述したように、ジャイロトルク(τgyro)の成分は、ジャイロスタビライザ(210)に印加される外部トルクに抵抗するように構成された安定化トルク(τstab)である。安定化トルク(τstab)は、完全に歳差運動した状態にあるジャイロアセンブリ(240、242)によって想定される歳差運動角度(α)の関数として定量化され得る。より具体的には、歳差運動角度(α)は、それぞれのジャイロアセンブリ(240、242)が完全に歳差運動している状態にあるときに、それぞれのスタビライザフレームリング部材(230、232)に対する、及びそれぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)を中心とするジンバル(244)の角度向きを指す。安定化トルク(τstab)は、次式のように表され得る。
τstab=τgyro×sin(α
【0050】
簡潔に上述したように、ジャイロスタビライザ(210)は、カニューレアセンブリ(12、112)と組み合わせて、又はそれとは独立に、図13Bに示される腹腔鏡外科用器具(290)などの様々なタイプの外科用器具を安定化するために用いられ得る。それに関して、及び図14に示されるように、ジャイロスタビライザ(210)は、外科用器具(290)の細長いシャフト(292)に解放可能かつ摩擦的に係合して、ジャイロスタビライザ(210)と外科用器具(290)との間の相対移動を阻止するように構成されたロック機構(294)(概略的に示す)を更に含み得る。本変形例のロック機構(294)は、カラー(218)の側面部分に配設されて示されているが、他の変形例では、ロック機構(294)が、スタビライザフレーム(212)の様々な他の部分に配設され得ることが理解されるであろう。ロック機構(294)は、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなる、1つ又は2つ以上のクランプ特徴部及び/又は様々な他の好適な摩擦係合特徴部を含み得る。
【0051】
C.集中制御並びに関連するセンサ及び制御特徴部を備えた例示的なジャイロ外科用器具安定化システム
上述のように、ジャイロスタビライザ(210)は、ジャイロアセンブリ(240、242)のモータ(246)を選択的に通電及び遮断し、それによって、ジャイロスタビライザ(210)の安定化機能を作動(すなわち、給電)及び停止させる(すなわち、遮断)ために、ユーザによって作動させることができる1つ又は2つ以上のスイッチ(図示せず)を含み得る。場合によっては、ジャイロスタビライザ(210)の機能を通じたより高度なレベルの制御を提供することが望ましい場合がある。
【0052】
図15は、中央制御システム(302)(「マントル」とも称される)、中央制御システム(302)と通信する随意の外科用器具センサ(304)、及び中央制御システム(302)と通信するジャイロスタビライザ(210)の例示的な変形例を含む、例示的なジャイロ外科用器具安定化システム(300)を示し、システム構成要素の各々は、互いに別々に配置されている。中央制御システム(302)とジャイロスタビライザ(210)との間の、及び中央制御システム(302)と器具センサ(304)との間の通信は、Bluetoothなどのそれぞれの無線接続によって提供され得る。代替的に、1つ又は2つ以上の有線接続が使用され得る。
【0053】
概略的に示されるように、ジャイロスタビライザ(210)は、ジャイロアセンブリモータ(246)と、プロセッサ(310)と、1つ又は2つ以上の歳差運動制御機構(312)と、1つ又は2つ以上のセンサ(314)と、を含む。各歳差運動制御機構(312)は、それぞれのジャイロアセンブリ(240、242)の歳差運動速度及び/又は歳差運動角度を制御するように構成されている。例えば、各歳差運動制御機構(312)は、例えば図26に関連して以下でより詳細に説明されるように、それぞれのジャイロアセンブリ(240、242)の歳差運動速度を制動するように動作可能な歳差運動軸ブレーキ、又はそれぞれのジャイロアセンブリ(240、242)のアクティブ歳差運動制御を提供するように動作可能なサーボモータの形態であり得る。単に例として、スタビライザセンサ(314)は、ジャイロスタビライザ(210)の直線加速度を感知するための加速度計と、ジャイロスタビライザ(210)の角度向きを感知するためのジャイロセンサと、を含み得る。プロセッサ(310)は、モータ(246)、歳差運動制御機構(312)、センサ(314)、及び中央制御システム(302)と通信するように動作可能である。
【0054】
中央制御システム(302)は、特定の条件に依存して、スタビライザ(210)を「クラッチ」モードと「クラッチ解除」モードとの間で選択的に切り替えるように構成され得る。「クラッチ」モードでは、スタビライザ(210)のジャイロアセンブリ(240、242)は、制限を受けることなく、歳差運動軸(PA1、PA2)を中心として自由に歳差運動することができ、したがって、スタビライザ(210)に印加される外部トルクに抵抗する最大安定化トルクを発生させる。その結果、スタビライザ(210)は、直前のユーザ定義の角度向きで患者に対して維持され、その結果、スタビライザ(210)が結合されている外科用器具は、傾くことなく、外科医によって係合解除され得る。有利には、これは、外科医が、外科用器具を手動で維持すること、又はそうでなければその角度向きを監視することを必要とすることなく、他の外科的タスクを安全に実行することを可能にする。「クラッチ解除」モードでは、ジャイロアセンブリ(240、242)は、より少ない安定化トルクを発生させるように制御され、それによって、外科医が、例えばスタビライザ(210)が取り付けられている外科用器具を操作している間に、スタビライザ(210)をより容易に再配向することを可能にする。しかしながら、ジャイロアセンブリ(240、242)は、クラッチ解除モードにおいて、そうでなければ外科医によって感知されるスタビライザ(210)の重量成分を効果的に排除するように、依然として十分に作動する状態であり得る。以下でより詳細に説明されるように、クラッチ解除モードにおいて出力される安定化トルクのそのような制限は、スタビライザフレーム(212)に対する一方又は両方のジャイロアセンブリ(240、242)の歳差運動速度を制限することによって、及び/又は一方又は両方のモータ(246)の回転速度、したがってスピン軸(SA1、SA2)を中心としたそれぞれのロータ(250)のスピン速度を制限することによって達成され得る。
【0055】
図16は、ジャイロ外科用器具安定化システム(300)の中央制御システム(302)をクラッチモードとクラッチ解除モードとの間で切り替えることを伴う、ジャイロスタビライザ(210)を制御する例示的な方法(320)を示す。ステップ(322)で、中央制御システム(302)は、センサ(314)によって測定される、モータ(246)から引き出された電気インピーダンス及び電流、並びにスタビライザ(210)の直線加速度を監視する。ステップ(324)で、中央制御システム(302)は、ステップ(322)で監視された状態のうちのいずれかにおいて所定のレベルの擾乱が検出されたかどうかを評価する。ステップ(324)で「いいえ」であった場合、制御システム(302)は、そのような擾乱を監視し続ける。ステップ(324)で「はい」であった場合、中央制御システム(302)は、ステップ(326)で、検出された擾乱が、ユーザが意図した入力をスタビライザ(210)に適用したことにより生じたものであり、その結果、スタビライザ(210)を、その現在のクラッチ状態/クラッチ解除状態から、反対のクラッチ解除状態/クラッチ状態に切り替えなければならないと決定する。単に例として、所定のレベルの擾乱は、ユーザがスタビライザ(210)の一部分若しくはスタビライザ(210)と結合された外科用器具を軽くたたく形態であるか、又はスタビライザ(210)及びスタビライザ(210)が取り付けられているトロカールカニューレアセンブリを通して外科用器具を長手方向に摺動させる形態である、ユーザが意図した運動に対応するように選択され得る。
【0056】
ステップ(328)で、中央制御システム(302)が、ジャイロスタビライザ(210)が現在クラッチモードにあるかどうかを評価する。ステップ(328)で「はい」であった場合、ステップ(330)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチ解除モードに切り替えて、ステップ(332)で、スタビライザ(210)が、ユーザが意図した入力運動を可能にする。ステップ(328)で「いいえ」であった場合、これは、スタビライザ(210)がクラッチ解除モードにあることを意味し、ステップ(336)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチモードに切り替え、ステップ(336)で、スタビライザ(210)が、その現在のユーザ定義の角度向きを維持する。
【0057】
図17は、ジャイロ外科用器具安定化システム(300)の中央制御システム(302)でジャイロスタビライザ(210)を制御する別の例示的な方法(340)を示す。ステップ(342)で、中央制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチ解除モードに設定し、その結果、スタビライザ(210)が結合されている外科用器具は、外科ステップを実行するために、外科医によって容易に操作され得る。ステップ(344)で、制御システム(302)が、スタビライザセンサ(314)及び/又は器具センサ(304)によって提供された指示値に基づいて、外科ステップが完了したどうかを評価する。ステップ(344)で「いいえ」であった場合、制御システム(302)は、スタビライザ(210)をクラッチ解除モードに維持して、外科ステップが完了したかどうかを監視し続ける。ステップ(344)で「はい」であった場合、ステップ(346)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチモードに切り替え、それによって、スタビライザ(210)が、その直前の患者に対するユーザ定義の角度向きを維持する。
【0058】
図18は、ジャイロ外科用器具安定化システム(300)の中央制御システム(302)でジャイロスタビライザ(210)を制御する、更に別の例示的な方法(350)を示す。ステップ(352)で、環境条件の検出に応答して、ジャイロアセンブリ(240、242)を、ユーザによって手動で、又は制御システム(302)によって自動的に作動させて、それにより、モータ(246)がロータ(250)を回転させて、ジャイロトルクを発生させる。ジャイロスタビライザ(210)は、作動させると、デフォルトでクラッチモードになり、患者に対するその現在の角度向きを維持し得る。ステップ(354)で、制御システム(302)が、器具センサ(304)を介して、外科医の手が、スタビライザ(210)が結合されている外科用器具に係合したかどうかを評価する。ステップ(354)で「はい」であった場合、ステップ(356)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチ解除モードにし、又はそうでなければそのままにする。ステップ(354)で「いいえ」であった場合、ステップ(358)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチモードにし、又はそうでなければそのままにする。制御システム(302)は、ステップ(356、358)のうちの1つを完了した後に、ステップ(354)に戻って、スタビライザ(210)を作動させたままにしながら、外科用器具上の外科医の手の存在を監視し、次いで、連続ループに従って動作する。
【0059】
図19は、スタビライザ(210)が、スタビライザフレーム(212)内に収容されたプリント回路基板アセンブリ(364)と結合されたワイヤコイル(362)の形態の誘導器具検出センサを有する外科用器具検出センサアセンブリ(360)を含む、ジャイロスタビライザ(210)の別の例示的な変形例を示す。より具体的には、ワイヤコイル(362)は、ワイヤコイル(362)がフレーム(212)の中心軸(CA)を取り囲むように、中央通路(216)を取り囲むハブ(214)の円筒側壁内に埋設される。センサアセンブリ(360)は、電磁誘導を介して、中央通路(216)内の外科用器具(290)の突然の存在又は不在を検出するように構成されている。例えば、図20の例示的なグラフ(366)によって例示されるように、回路基板アセンブリ(364)によって測定したしときのワイヤコイル(362)のインダクタンスは、外科用器具(290)がスタビライザ(210)の中央通路(216)を通して遠位に方向付けられたとき(X1)に増加する。このインダクタンスの変化は、信号として中央制御システム(302)に通信され、次いで、それに応じて動作し得る。例えば、制御システム(302)は、ジャイロアセンブリ(240、242)を作動若しくは停止させ得るか、又はスタビライザ(210)をクラッチモードとクラッチ解除モードとの間で切り替え得る。
【0060】
図21は、システム(300)が、第1のケーブル(372)を介して中央制御システム(302)と結合されたフットペダルデバイス(370)を更に含む、ジャイロ外科用器具安定化システム(300)の例示的な変形例を示す。ジャイロスタビライザ(210)は、外科用器具(290)への電力、並びに外科用器具(290)と制御システムとの間の通信を提供し得る第2のケーブル(374)を介して中央制御システム(302)と結合される、例示的な腹腔鏡外科用器具(290)に装着されて示されている。ジャイロスタビライザ(210)は、制御システム(302)と無線通信するように示されている。フットペダルデバイス(370)は、手術台(376)における外科医の存在を制御システム(302)に示すために、外科医(S)の足によって選択的に作動させることができる。制御システム(302)は、フットペダルデバイス(370)によって制御システム(302)に提供される信号によって示される、外科医(S)の存在又は不在に基づいて、1つ又は2つ以上の所定アルゴリズムに従って、ジャイロスタビライザ(210)を制御し得る。例えば、フットペダルデバイス(370)を介して、手術台(376)において外科医(S)の存在を検出すると、制御システム(302)がスタビライザ(210)を自動的に作動させ得る。これとは逆に、フットペダルデバイス(370)を介した手術台(376)の外科医(S)の不在を検出すると、制御システム(302)がスタビライザ(210)を自動的に停止させ得る。
【0061】
場合によっては、スタビライザ(210)への、又はスタビライザ(210)が結合されている外科用器具への(例えば、外科医による)所定の力の印加に応答して、制御システム(302)を切り替えて、ジャイロスタビライザ(210)をクラッチモードとクラッチ解除モードとの間で切り替えるのに有効な所定の力の大きさ及び/又は持続期間を変化させる能力をユーザに提供することが望ましい場合がある。図22及び図23は、そのような様式で中央制御システム(302)によってジャイロスタビライザ(210)を制御する例示的な方法(400、410)を示す。
【0062】
図22は、ステップ(402)で、ユーザが、例えば制御システム(302)と通信するグラフィカルユーザインターフェース又は他のユーザ入力特徴部(図示せず)を介して、所望の運動感度レベルを中央制御システム(302)に入力する、簡略化された方法(400)を示す。入力運動感度レベルは、例えば器具センサ(304)及び/又はスタビライザセンサ(314)によって感知されるような、スタビライザ(210)への、又は対応する外科用器具への(例えば、外科医による)所定の力の印加に応答して、制御システム(302)を切り替えて、ジャイロスタビライザ(210)をクラッチモードとクラッチ解除モードとの間で切り替えるのに有効な所定の力の最小の大きさ又は最小の持続期間のうちの少なくとも1つを示す。次いで、ステップ(404)で、制御システム(302)が、ユーザによって入力された運動感度レベルに基づいて、ジャイロスタビライザ(210)を制御するための1つ又は2つ以上の好適なパラメータを選択する。
【0063】
図23は、方法(400)の例示的な詳細な変形例の形態の方法(410)を示す。方法(410)のステップ(412)で、ユーザが、所望の運動感度レベルを中央制御システム(302)に入力する。ステップ(414)で、入力した感度レベルに基づいて、制御システム(302)は、最小の入力した力の大きさ及び/又は最小の入力した力の持続時間を選択する。次いで、ステップ(416)で、制御システム(302)が、ジャイロスタビライザ(210)を作動させる(すなわち、給電する)。ステップ(418)で、制御システム(302)が、ジャイロスタビライザ(210)に及び/又はスタビライザ(210)が結合されている外科用器具に印加された入力した力を感知する。感知した入力した力は、例えば、外科医又は患者などの様々な構造体のうちの1つ又は2つ以上との接触の結果であり得ることが理解されるであろう。
【0064】
方法(410)のステップ(420)で、制御システム(302)が、ステップ(414)で選択した最小の入力した力の大きさ及び最小の入力した力の持続時間に対する感知した入力した力を評価して、入力した力が、ユーザ意図した入力した力であったかどうかを判定し、したがって、制御システム(302)が、ジャイロスタビライザ(210)をクラッチモードで提供するべきか、又はクラッチ解除モードで提供するべきかを判定する。より具体的には、ステップ(420)で、制御システム(302)が、感知した入力した力の大きさが最小の入力した力の大きさ以上であるかどうか、及び/又は感知した入力した力の持続時間が最小の入力した力の持続時間以上であるかどうかを判定する。ステップ(420)で「はい」であった場合、ステップ(422)で、制御システム(302)は、感知した入力した力が、実際にユーザが意図した入力した力であったと判定し、したがって、制御システム(302)は、ステップ(424)に進み、スタビライザ(210)をクラッチ解除モードにし、それによって、外科医は、ジャイロスタビライザ(210)が取り付けられている外科用器具を容易に操作し得る。ステップ(420)で「いいえ」であった場合、ステップ(426)で、制御システム(302)は、感知した入力した力が、スタビライザ(210)又は対応する外科用器具を偶発的にぶつけることによって生じる意図しないユーザが入力した力などの、ユーザが意図した力ではなかったと判定する。その結果、ステップ(428)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)をクラッチモードにするか、又はそうでなければスタビライザ(210)にクラッチモードを維持するように指示し、それによって、外科医は、スタビライザ(210)が結合されている外科用器具に関与しない他の外科的タスクを実行している間、スタビライザ(210)を、患者に対するユーザ定義の角度向きに維持する。
【0065】
図24及び図25は、スタビライザ(210)及び/又はスタビライザ(210)確実に取り付けられた外科用器具(例えば、カニューレアセンブリ(112))に印加された一定の外部入力した力に応答した、及び様々な入力運動感度レベルがユーザによって指定されたときの、例示的な、患者に対するジャイロスタビライザ(210)の経時的な変位を示す線グラフ(430、440)を示す。一般に、ユーザによって指定された特定の入力運動感度レベルが、スタビライザ(210)をクラッチモードとクラッチ解除モードとの間で切り替え得る入力した力の状態を決定付け得ること、又は代替的に、ジャイロアセンブリ(240、242)がクラッチ解除モードにあるときに発生させることが可能になる安定化トルクの最大値を決定付け得ることが理解されるであろう。線グラフ(430、440)の例示的な曲線は、後者のシナリオを示す。
【0066】
図24に示されるように、グラフ(430)は、ジャイロアセンブリ(240、242)が歳差運動軸(PA1、PA2)を中心としてスタビライザフレーム(212)に対して歳差運動する(すなわち、枢動する)ことが可能になる速度を制動することを介した、クラッチ解除モードにおいてジャイロアセンブリ(240、242)によって発生させた安定化トルクの減衰中の例示的なデバイスの変位を示す。曲線(432)は、歳差運動速度の約80%の制動をもたらす、相対的に高い入力運動感度レベルを表す。曲線(434)は、歳差運動速度の約40%の制動をもたらす、より低い入力運動感度レベルを表す。曲線(436)は、歳差運動速度の約10%の制動をもたらす、更に低い入力運動感度レベルを表す。x軸は、歳差運動速度の0%の制動をもたらす、最も低い入力運動感度レベルを表す。
【0067】
図25に示されるように、グラフ(440)は、ロータ(250)(又は「フライホイール」)がスピン軸(SA1、SA2)を中心として回転する速度の制動を介した、クラッチ解除モードにおいてジャイロアセンブリ(240、242)によって発生させた安定化トルクの減衰中の例示的なデバイスの変位を示す。曲線(442)は、ロータスピン速度の約80%の制動をもたらす、相対的に高い入力運動感度レベルを表す。曲線(444)は、ロータスピン速度の約40%の制動をもたらす、より低い入力運動感度レベルを表す。曲線(446)は、ロータスピン速度の約10%の制動をもたらす、更に低い入力運動感度レベルを表す。x軸は、ロータスピン速度の0%の制動をもたらす、最も低い入力運動感度レベルを表す。
【0068】
一方又は両方のジャイロアセンブリ(240、242)がロータ(250)のスピン速度を制動するための制動機構を含む構成では、そのような制動は、摩擦制動ではなく回生制動を介して達成され得る。例えば、モータ(246)は、反対方向へ回転し、それによって、回転ロータ(250)から機械的エネルギーを吸収し、したがって、デバイス構成要素の機械的消耗を最小にし、かつモータ(246)の利用可能な実行時間を最大にし得る。
【0069】
図26は、各ジャイロアセンブリ(240、242)と結合されたアクティブ歳差運動制御機構(450)を含む、ジャイロスタビライザ(210)の例示的な変形例を示す(概略的に示す)。各アクティブ歳差運動制御機構(450)は、サーボモータ(452)と、サーボモータ(452)を、それぞれの歳差運動軸(PA1、PA2)の少なくとも一部分に沿って延在する回転可能部材(456)と結合するベルト(454)と、を含む。機構(450)は、プロセッサ(310)及びスタビライザセンサ(314)を組み込み得、中央制御システム(302)と直接通信し得る、プリント回路基板アセンブリ(458)と通信する。各サーボモータ(452)は、回路基板アセンブリ(458)又は中央制御システム(302)のいずれかによって決定付けられる歳差運動速度で、それぞれのベルト(454)を介してそれぞれの回転可能部材(456)を回転させるように動作可能である。各サーボモータ(452)は、それぞれのジャイロアセンブリ(240、242)が、回路基板アセンブリ(458)又は中央制御システム(302)のいずれかによって決定付けられる、選択された角度向きを想定し、維持するように、それぞれの回転可能部材(456)を回転させるように更に動作可能である。この構成は、ジャイロアセンブリ(240、242)によって発生させる安定化トルクの大きさ及び方向のアクティブ制御を提供する。
【0070】
図27は、中央制御システム(302)と、ジャイロスタビライザ(210)と、電動手術台(462)と、を有する、別の例示的なジャイロ外科用器具安定化システム(460)を示す。概略的に示されるように、手術台(462)は、コントローラ(464)と、複数の位置の間で手術台(462)を作動させるように動作可能な1つ又は2つ以上のモータ(466)と、1つ又は2つ以上のセンサ(468)と、を含み得る。手術台コントローラ(464)は、無線接続又は有線接続を介して中央制御システム(302)と通信する。
【0071】
図28は、中央制御システム(302)によって電動手術台(462)を制御する例示的な方法(470)を示す。ステップ(472)で、制御システム(302)は、ジャイロスタビライザ(210)が現在手術台(462)上に位置する患者に関連して作動しているかどうかを評価する。ステップ(472)で「いいえ」であった場合、ステップ(474)で、制御システム(302)は、手術台(462)が新しい位置まで作動することを可能にする。ステップ(472)で「はい」であった場合、ステップ(476)で、制御システム(302)が、手術台(462)の作動を阻止する。したがって、ステップ(478)で、ユーザが台作動コマンドを提供したときに、ステップ(479)で、制御システム(302)は、ジャイロスタビライザ(210)が現在作動している旨の警告をユーザに提供する。この手術台(462)を制御する様式は、手術台(462)が、ジャイロスタビライザ(210)によって提供された外科用器具の安定化に干渉しないことを確実にする。
【0072】
図29は、ジャイロ外科用器具アセンブリ(200)と、中央制御システム(302)と、Bluetoothなどの無線接続を介して中央制御システム(302)と通信する送受信機(482)と、を含む、別の例示的なジャイロ外科用器具安定化システム(480)を示す。システム(480)は、手術台(484)に対するジャイロ外科用器具アセンブリ(200)の角度向き(すなわち、傾斜)を監視及び調整して、手術台(484)が再位置決めされるときにそれらの間の相対的な向きを維持するように構成されている。手術台(484)は、上述の手術台(462)と同様であり得る。本実施例では、少なくとも3つの複数の追跡可能な要素(486)(概略的に示す)が、ジャイロスタビライザ(210)に、及びカニューレアセンブリ(112)に結合される。具体的には、本変形例では、第1の追跡可能な要素(486)が、スタビライザフレーム(212)の第1のリング部材(230)に結合され、第2の追跡可能な要素(486)が、スタビライザフレーム(212)の第2のリング部材(232)に結合され、第3の追跡可能な要素(486)が、カニューレアセンブリ(112)の遠位端部に結合される。追跡可能な要素(486)は、手術台(484)に配置された対応する少なくとも3つの送受信機パッド(488)と無線で通信するように構成されている。送受信機パッド(448)は、制御システム(302)が、手術台(484)に対するジャイロ外科用器具アセンブリ(200)の三次元角度向き(すなわち、姿勢)を監視し得るように、送受信機(482)に結合され、通信する。言い換えれば、追跡可能な要素(486)及び送受信機パッド(488)の例示的な配置は、中央制御システム(302)が、三角測量を介して、ジャイロ外科用器具アセンブリ(200)の角度傾斜を決定することを可能にする。
【0073】
図30は、手術台(462)に対するジャイロ外科用器具アセンブリ(200)の角度向きを維持するために、中央制御システム(302)によってジャイロスタビライザ(210)を制御する例示的な方法(490)を示す。ステップ(492)で、制御システム(302)が、送受信機パッド(488)を介した送受信機(482)による追跡可能な要素(486)の位置検出に基づいて、ジャイロ外科用器具アセンブリ(200)と手術台(484)との間の相対的な角度向きを監視する。ステップ(494)で、制御システム(302)が、送受信機(482)によって提供された位置データに基づいて、この相対的な角度向きに変化があったかどうかを評価する。ステップ(494)で「いいえ」であった場合、ステップ(496)で、制御システム(302)が、手術台(484)に対するジャイロ外科用器具アセンブリ(200)の現在の角度向きを維持するようにジャイロスタビライザ(210)を制御する。ステップ(494)で「はい」であった場合、ステップ(498)で、制御システム(302)が、スタビライザ(210)のアクティブ歳差運動制御機構(450)に、ジャイロアセンブリ(240、242)の歳差運動を変化させ、それによって、ジャイロ外科用器具アセンブリ(200)を能動的に再配向して、手術台(484)に対する元の角度向きを再想定し、維持するように指示する。
【0074】
D.ジャイロスタビライザの安全かつコンパクトな形のための例示的な代替の特徴部
上述の様々な例示的な制御機能に加えて、安全な動作及びコンパクトな構成を促進する追加又は代替の特徴部を備えたジャイロスタビライザ(210)を提供することが望ましい場合がある。
【0075】
図31A図31Bは、別の例示的なジャイロスタビライザ(500)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のジャイロスタビライザ(210)と同様である。スタビライザ(500)は、中央ハブ(504)と、第1のジャイロ支持部材(506)と、第1のジャイロ支持部材(506)から直径方向に対向する第2のジャイロ支持部材(508)と、を有する、フレーム(502)を含む。第1のジャイロアセンブリ(510)は、第1のジャイロ支持部材(506)によって枢動可能に支持され、第2のジャイロアセンブリ(512)は、第2のジャイロ支持部材(508)によって枢動可能に支持される。
【0076】
各ジャイロ支持部材(506、508)は、接続特徴部(514)によってハブ(504)に解放可能に取り付けられる。接続特徴部(514)は、スタビライザ(500)の通常動作条件下で、各ジャイロ支持部材(506、508)とハブ(504)との間の安全な接続を維持するように構成されている。非常停止状況では、接続特徴部(514)は、ジャイロアセンブリ(510、512)が床に落下して外科医及び患者から安全に離れるように、ハブ(504)からジャイロ支持部材(506、508)を自動的に解放するように構成されている。本変形例の各接続特徴部(514)は、凹部(516)及び嵌合突起部(518)を含んで示されているが、他の変形例では、接続特徴部(514)は、ラッチ、磁石、及び当業者には明らかな他の機能的に同様な要素などの、様々な他の好適な形態を取り得る。
【0077】
図32A及び図32Bは、調整可能な慣性モーメントを有し、本明細書に記載される例示的なジャイロスタビライザのいずれかとともに使用するように構成されている、例示的な代替のジャイロアセンブリ(520)の一部分を概略的に示す。ジャイロアセンブリ(520)は、モータ(522)と、モータ(522)と結合されたロータアセンブリ(524)と、を含む。ロータアセンブリ(524)は、中央シャフト(526)と、それぞれの1対のテザー(530)によって中央シャフト(526)の第1の端部及び第2の端部と結合された一対の質量要素(528)と、含み、このテザーは、剛性又は可撓性であり得、各質量要素(528)が、内側位置(図32A)と外側位置(図32B)との間で中央シャフト(526)に対して半径方向に移動することを可能にし得る。
【0078】
図32Aは、質量要素(528)が半径方向内向きの位置にある、開始段階にあるジャイロアセンブリ(520)を示す。モータ(522)によるロータアセンブリ(524)の回転は、質量要素(528)の慣性モーメントの関数である角運動量を発生させる。上で詳細に記載したように、この質量要素(528)の慣性モーメントは、固定されている質量要素の組み合わせた質量、及び調整可能である中央シャフト(526)に画定されたスピン軸に対する質量要素の有効半径によって決定される。したがって、図32Aの半径方向内向きの位置では、質量要素(528)は、相対的に少ない量の回転慣性を発生させ、その結果、モータ(522)は、ロータアセンブリ(524)が十分な大きさのジャイロトルクを発生させるために、ロータアセンブリ(524)を相対的に高い角速度で回転させなければならない。
【0079】
図32Bは、動作段階にあるジャイロアセンブリ(520)を示し、動作段階では、質量要素(528)がテザー(530)によって質量要素の半径方向外向きの位置へと作動させられ、したがって、中央シャフト(526)によって画定されたスピン軸に対する質量要素の有効半径を増加させる。したがって、モータ(522)の角速度が図32Aの開始段階から維持された場合、質量要素(528)は、より大きい慣性モーメントを発生し、したがって、より大きい角運動量及びジャイロトルクをもたらす。その結果、次いで、動作段階にあるモータ(522)の角速度が減少し得るが、それでも、外側位置にある質量要素(528)によって画定されるより大きい有効半径によって、図32Aの開始段階にあるときと同じ角運動量及びジャイロトルク出力を維持する。モータ(522)は、開始段階中に、一時的により高い角速度を維持することしか必要としないので、モータ(522)のサイズが相対的に小さく保たれ得、したがって、有利にコンパクトな構成を有するジャイロアセンブリ(520)を提供し、かつ依然として高速スピン時間を達成しながら大型モータに対する必要性を回避する。
【0080】
図33は、ジャイロアセンブリ(520)が図32Aの開始段階から図32Bの動作段階に移行したときの、1分間当たりの回転数(revolutions per minute、RPM)でのモータ(522)の角速度を示す、例示的なグラフ(532)を示す。ポイント(X1)は、開始段階中に最大角速度が達成される時間を示す。これは、ジャイロアセンブリ(520)の動作段階への移行を起動させ、動作段階では、角速度が減少し、ポイント(X2)から始まる安定期に到達するが、依然としてポイント(X1)と同じ角運動量及びジャイロトルク出力を維持する。
【0081】
図34は、コンパクトな構成を促進し、上述のジャイロアセンブリ(240、242)の代わりに使用され得る特徴部を有する、別の例示的なジャイロアセンブリ(540)を示す。ジャイロアセンブリ(540)は、球形シェルとして成形された外側ステータ(542)を有し、ステータワイヤ巻線(544)を含む、電気モータの形態で示されている。外側ステータ(542)は、上述のジャイロアセンブリ(240、242)と同様の様式でスタビライザフレーム(212)と枢動可能に結合するように構成され得る。ジャイロアセンブリ(540)は、外側ステータ(542)内に封入され、かつロータワイヤ巻線(548)を有する、内側ロータ(546)を更に含む。内側ロータ(546)は、ジャイロアセンブリ(540)が電源(図示せず)によって給電されることに応答して、スピン軸(SA)を中心として外側ステータ(542)と結合され、外側ステータ(542)に対して回転するように構成されている。外側ステータ(542)内の内側ロータ(546)の回転は、角運動量及び結果として生じるジャイロトルクを発生させる。
【0082】
E.滅菌可能かつ気密封止可能な外側シェルを有する例示的なジャイロアセンブリ
場合によっては、患者に対する安全な動作状態を促進するために滅菌され得る外側シュラウド(シェルとも称される)内に、ジャイロスタビライザ(210)の全てを、又はその1つ又は2つ以上の部分を除去可能に収納することが望ましい場合がある。図35図39は、各々が2つ又は3つ以上の分離可能なシュラウド部分と、それらの間の1つの気密封止と、を有し得る、様々な例示的なそのような構成を示す。これらの例示的な構成のいずれかが、本明細書で開示される例示的なジャイロスタビライザのいずれかに関連して実装され得ることが理解されるであろう。
【0083】
図35は、滅菌可能な外側シュラウド(552)と組み合わせた、上述のジャイロスタビライザ(212)と同様であり得る、例示的なジャイロスタビライザ(550)を概略的に示す。外側シュラウド(552)は、上部シュラウドの半分(554)と、下部シュラウド半分(556)と、を含み、これらは、ともに嵌合し、それによって、ジャイロスタビライザ(550)をカプセル化して、シュラウドの半分(554、556)の嵌合部分の間に気密封止を形成するように構成されている。図示されていないが、各シュラウドの半分(554、556)は、各々が中央開口部を含み得、この中央開口部は、ジャイロスタビライザ(550)の中心軸と位置合わせされて、外科用器具のシャフト部分がそれを通過することを可能にするように構成されている。
【0084】
図36は、滅菌可能な外側シュラウド(562)と、クラムシェル外側シュラウド(562)内に完全にカプセル化されるように構成された球形アセンブリ(570)と、を有する、例示的なジャイロアセンブリ(560)を示す。外側シュラウド(562)は、ヒンジ的にともに結合された第1のシュラウドの半分(564)及び第2のシュラウドの半分(566)と、ジャイロスタビライザフレーム(212)のリング部材(230、232)と枢動可能に結合するように構成された一対の枢動ポスト(568)と、を有する、クラムシェルとして構成されている。それに関して、クラムシェル外側シュラウド(562)は、ジャイロアセンブリ(240、242)のジンバル(244)と同様に機能するように構成されている。
【0085】
球形アセンブリ(570)は、外側構造(572)と、外側構造(572)に装着されたモータ(574)と、モータ(574)に回転可能に結合され、かつ外側構造(572)によって回転可能に支持されたロータ(576)と、複数の電池(578)と、を含む。これらの構成要素の各々は、上述のジャイロアセンブリ(240、242)の対応する構成要素と同様であり得る。外側構造(572)は、外側シュラウド(562)内に着座し、それに対して静止したままであるように構成されている。それに関して、図示されていないが、外側シュラウド(562)に対して外側構造(572)を固定するために、1つ又は2つ以上の結合特徴部が提供され得、それによって、ロータ(576)によって発生させた歳差運動力が外側シュラウド(562)に付与され、その結果、球形アセンブリ(570)の全体が、ジャイロスタビライザフレーム(212)に対して歳差運動し得る。外側構造(572)は、図示されるような略球形状、又は当業者には容易に明らかとなる様々な他の好適な形状を有し得る。外側シュラウド(562)は、滅菌され、その第1のシュラウドの半分(564)と第2のシュラウドの半分(566)との間に気密封止を形成し得る。外科手術の合間に、外側シュラウド(562)が別の新しい滅菌された外側シュラウド(562)と交換され得、球形アセンブリ(570)は、再使用され得る。
【0086】
図37は、滅菌可能な外側シュラウド(582)と、その中に収容されるジャイロアセンブリ構成要素と、を有する、別の例示的なジャイロアセンブリ(580)を示す。本変形例の外側シュラウド(582)は、平坦側面(586)と、平坦側面(586)内に形成された開口部(588)と、を含む、球形主本体部分(584)を有する。外側シュラウド(582)は、球面(592)と、平坦面(594)と、平坦面(594)から外方に突出するカラー(596)と、を有する、キャップ部分(590)を更に含む。カラー(596)は、上述のモータ(246)及び電池(248)と同様であり得るモータ(600)及び電池(602)を支持するように構成されている。ロータ(604)は、球形主本体部分(584)内に回転可能に収容され、かつキャップ部分(590)が球形主本体部分(584)と嵌合されたときに開口部(588)を通してモータ(600)と結合するように構成されている。単に例として、ロータ(604)は、ロータ(250)と同様であり得、また、図10図12に関連して上述したものと同様の様式でモータ(600)と結合するように構成され得る。キャップ部分(590)は、電池(602)を再充電するために、外科手術の合間に主本体部分(584)から分離され得る。
【0087】
球形主本体部分(584)の平坦側面(586)は、キャップ部分(590)の平坦面(594)と嵌合して気密封止を形成するように構成されている。図示されていないが、外側シュラウド(582)は、ジャイロスタビライザフレーム(212)と枢動可能に結合するために、外側シュラウド(562)の枢動ポスト(568)と同様の一対の外向きに突出した枢動ポストを更に含み得る。代替的に、例えば、外側シュラウド(582)は、外側シュラウド(562)などの、ジャイロスタビライザフレーム(212)と枢動可能に結合するように構成された別の構造体内に着座され得る。
【0088】
図38は、各々がジャイロアセンブリ(240、242)の対応する構成要素と同様であり得るモータ(616)、ロータ(618)、及び複数の再充電可能電池(620)を含む内部ジャイロ構成要素を収容する滅菌可能な外側シュラウド(612)を有する、更に別の例示的なジャイロアセンブリ(610)を示す。ジャイロアセンブリ(610)は、外側シュラウド(612)内の電池(620)と電気的に結合された誘導充電回路(622)を更に含む。図39で概略的に示されるように、外側シュラウド(612)は、ジャイロスタビライザフレーム(212)と枢動可能に結合するように構成された一対の枢動ポスト(614)を含む。追加的に、外側シュラウド(612)は、示されるような一体構造体として形成され得るか、又は代替的に、互いに気密封止する2つ又は3つ以上の分離可能部分で形成され得る。
【0089】
外側シュラウド(612)を伴わずに収容された誘導充電回路(622)は、外側シュラウド(612)から電池(620)を取り外すことなく、又はそうでなければ、例えば図39に示されるように、電池(620)にアクセスするために外側シュラウド(612)を分解することなく、電池(620)を再充電することを可能にする。より具体的には、図39は、例示的なジャイロスタビライザフレーム(624)から分離されて、電池(620)を再充電するための例示的な誘導充電デバイス(626)のそれぞれの充電ポート(628)内に着座されているジャイロアセンブリ(610)を示す。充電デバイス(626)は、本明細書の教示を考慮することによる当業者には容易に明らかとなる、様々な他の様式で構成され得る。
【0090】
F.複数のジャイロアセンブリを備えた例示的なジャイロスタビライザ
図6図39に関連して図示及び上述した例示的なジャイロスタビライザは、互いに直径方向に対向する第1のジャイロアセンブリ及び第2のジャイロアセンブリのみを含む。しかしながら、他の変形例では、ジャイロスタビライザのいずれかは、対応するスタビライザハブを中心として均一な円周方向間隔で円周方向に配置された3つ又は4つ以上のジャイロアセンブリを備え得ることが理解されるであろう。そのような構成では、各ジャイロアセンブリは、サイズが相対的により小さくなり得る。
【0091】
例えば、図40は、中央ハブ(634)を有するフレーム(632)と、ハブ(634)を中心として均一な円周方向間隔で円周方向に配置された6つのジャイロ支持部材(636)と、を有する、例示的なジャイロスタビライザ(630)を示す。各ジャイロ支持部材(636)は、上述の例示的なジャイロアセンブリのいずれかと同様であり得るそれぞれのジャイロアセンブリ(638)を枢動可能に支持する。いくつかの変形例では、ジャイロアセンブリ(638)のうちの1つ又は2つ以上は、例えば上述の図26のモータ付きベルト駆動機構(450)と同様なアクティブ歳差運動制御機構を備え得る。そのようないくつかの変形例では、ジャイロアセンブリ(638)の第1の群は、そのようなアクティブ歳差運動制御機構を含み得、ジャイロアセンブリ(638)の第2の群は、そのようなジャイロアセンブリ(638)が自然な歳差運動速度で自由に歳差運動するように構成される「パッシブ」歳差運動から抜けるように、アクティブ歳差運動制御を省略する。
【0092】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄は意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方式で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例1】
【0093】
患者に対して外科用器具を安定化するように構成されたジャイロスタビライザであって、(a)フレームであって、中心軸を中心として延在し、かつ外科用器具と着脱可能に結合するように構成されているハブを含み、その結果、ジャイロスタビライザが患者の上で外科用器具によって支持されるように構成されている、フレームと、(b)フレームの第1のフレーム部分と結合された第1のジャイロアセンブリであって、(i)第1の歳差運動軸を中心として第1のフレーム部分と枢動可能に結合された第1のジンバルと、(ii)第1のモータと、(iii)第1の歳差運動軸に対して垂直な軸第1のスピンを中心として第1のモータと回転可能に結合された第1のロータと、を含む、第1のジャイロアセンブリと、(c)フレームの第2のフレーム部分と結合された第2のジャイロアセンブリであって、(i)第2の歳差運動軸を中心として第2のフレーム部分と枢動可能に結合された第2のジンバルと、(ii)第2のモータと、(iii)第2の歳差運動軸に対して垂直な第2のスピン軸を中心として第2のモータと回転可能に結合された第2のロータと、を含む、第2のジャイロアセンブリと、を備え、第1のジャイロアセンブリが、第1のスピン軸を中心として第1のモータで第1のロータを回転させて、第1のスピン軸及び第1の歳差運動軸を含む第1のトルク平面内に第1のトルクを発生させるように動作可能であり、第1のトルクが、中心軸に対して垂直な第1のデバイス軸を中心とした患者に対するジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されており、第2のジャイロアセンブリが、第2のスピン軸を中心として第2のモータで第2のロータを回転させて、第2のスピン軸及び第2の歳差運動軸を含む第2のトルク平面内に第2のトルクを発生させるように動作可能であり、第2のトルクが、中心軸及び第1のデバイス軸に対して垂直な第2のデバイス軸を中心としたジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されている、ジャイロスタビライザ。
【実施例2】
【0094】
第1のジャイロアセンブリが、中心軸の第1の側に配設されており、第2のジャイロアセンブリが、中心軸の第2の側に配設されている、実施例1に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例3】
【0095】
第1のジャイロアセンブリ及び第2のジャイロアセンブリが、中心軸を中心として互いに等距離に離間されている、実施例2に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例4】
【0096】
第1の歳差運動軸及び第2の歳差運動軸が、互いに対して角度付けされている、実施例1~3のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例5】
【0097】
第1の歳差運動軸及び第2の歳差運動軸が、互いに対して90度角度付けされている、実施例4に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例6】
【0098】
第1のフレーム部分が、第1の閉鎖空間を画定する第1のリング部材を備え、第2のフレーム部分が、第2の閉鎖空間を画定する第2のリング部材を備え、第1のジンバルが、第1のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ第1の閉鎖空間内で第1の歳差運動軸を中心として枢動可能であり、第2のジンバルが、第2のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ第2の閉鎖空間内で第2の歳差運動軸を中心として枢動可能である、実施例1~5のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例7】
【0099】
第1のモータが、第1のジンバルによって支持されており、第2のモータが、第2のジンバルによって支持されている、実施例1~6のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例8】
【0100】
フレームによって支持された少なくとも1つの電池を更に備え、少なくとも1つの電池が、第1のモータ及び第2のモータに給電するように構成されている、実施例1~7のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例9】
【0101】
第1のロータの及び第2のロータの各々が、内部空洞を含み、第1のモータ及び第2のモータの各々は、各ロータがそれぞれのモータを中心として回転可能であるように、それぞれのロータの内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、実施例1~8のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例10】
【0102】
第1のジャイロアセンブリ及び第2のジャイロアセンブリの各々が、それぞれのモータに給電するように構成された電池を更に含み、各電池が、それぞれのロータの内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、実施例9に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例11】
【0103】
外科用器具が、外科用カニューレを備え、ハブが、中心軸に沿って中央通路を通して第2の外科用器具のシャフトを摺動可能に受容するように構成された中央通路を含む、実施例1~10のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例12】
【0104】
ジャイロ安定化システムであって、(a)実施例1~11のいずれかに記載のジャイロスタビライザと、(b)ジャイロスタビライザと連通するコントローラであって、ジャイロスタビライザとは別個に配置されている、コントローラと、を備えている、ジャイロ安定化システム。
【実施例13】
【0105】
コントローラが、プロセッサと無線で連通するように構成されている、実施例12に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例14】
【0106】
コントローラが、第1のモータ又は第2のモータのうちの少なくとも1つの回転速度を制御するように動作可能である、実施例12又は13に記載のジャイロスタビライザ。
【実施例15】
【0107】
第1のジャイロアセンブリ又は第2のジャイロアセンブリのうちの少なくとも1つが、コントローラによって制御可能な歳差運動制御機構を含み、歳差運動制御機構が、(i)それぞれの歳差運動軸を中心としたそれぞれのフレーム部分に対するそれぞれのジンバルの枢動運動の速度、又は、(ii)それぞれの歳差運動軸を中心としたそれぞれのフレーム部分に対するそれぞれのジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを変化させるように動作可能である、実施例12~14のいずれか1つに記載のジャイロスタビライザ。
【実施例16】
【0108】
ジャイロ外科用器具アセンブリであって、(a)外科用器具と、(b)外科用器具と結合されたジャイロスタビライザであって、(i)フレームと、(ii)歳差運動軸を中心としてフレームと枢動可能に結合されたジンバルと、(iii)モータと、(iv)歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心としてモータと回転可能に結合されたロータと、を含む、ジャイロスタビライザと、を備え、ロータが、スピン軸及び歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させるように、スピン軸を中心としてモータによって回転可能であり、ジャイロスタビライザが、外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する外科用器具の選択された角度向きを維持するのに十分なトルク平面内の安定化トルクを発生させるように動作可能である、ジャイロ外科用器具アセンブリ。
【実施例17】
【0109】
外科用器具が、長手方向軸を画定する細長い部分を含み、ジャイロスタビライザは、ジャイロスタビライザの中心軸が長手方向軸と同軸で位置合わせされるように、外科用器具と結合されている、実施例16に記載のジャイロ外科用器具アセンブリ。
【実施例18】
【0110】
フレームと、歳差運動軸を中心としてフレームと枢動可能に結合されたジンバルと、歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心としてジンバルに対して回転可能なロータと、を含む、ジャイロスタビライザを有する外科用器具を安定化する方法であって、(a)外科用器具の一部分をジャイロスタビライザと係合させて、それらの間の相対移動を阻止することと、(b)ロータをスピン軸を中心として回転させ、それによって、スピン軸及び歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させることと、(c)安定化トルクを介して、外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する外科用器具の選択された角度向きを維持することと、を含む、方法。
【実施例19】
【0111】
ジャイロスタビライザが、モータを更に含み、ロータをスピン軸を中心として回転させることが、モータでロータを回転させることを含む、実施例18に記載の方法。
【実施例20】
【0112】
(i)スピン軸を中心としたロータの回転速度、(ii)歳差運動軸を中心としたフレームに対するジンバルの枢動運動の速度、又は(iii)歳差運動軸を中心としたフレームに対するジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを選択的に変化させることによって、安定化トルクを調整することを更に含む、実施例18又は19に記載の方法。
【0113】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方式が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0114】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、本出願と同日に出願された「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1]、本出願と同日に出願された「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2]、本出願と同日に出願された「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3]、本出願と同日に出願された「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4]、本出願と同日に出願された「Tilting Tang Cannula Depth Limiter」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP5]、本出願と同日に出願された「Two Piece Separable Obturator」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP6]、本出願と同日に出願された「Two Piece Separable Obturator」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7]、本出願と同日に出願された「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP8]、本出願と同日に出願された「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP9]、及び/又は本出願と同日に出願された「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題する米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP10]に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
参照により本明細書に組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0116】
上記のデバイスの変形例は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:1998年8月11日に発行された「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)、2014年7月22日に発行された「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)、2013年7月9日に発行された「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行された「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行された「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0117】
上述のデバイスの変形例は、単回使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解ステップ、それに続く特定の部品の洗浄又は交換ステップ、及びその後の再組立ステップの任意の組み合わせを含み得る。具体的には、デバイスのいくつかの変形例は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形例を、再調整施設において、又は手術の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。そのような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0118】
単に例として、本明細書に記載される変形例は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次いで、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌することができる。
【0119】
本発明の様々な実施形態を示し記載してきたが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べてきたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0120】
〔実施の態様〕
(1) 患者に対して外科用器具を安定化するように構成されたジャイロスタビライザであって、
(a)フレームであって、中心軸を中心として延在し、かつ外科用器具と着脱可能に結合するように構成されているハブを含み、その結果、前記ジャイロスタビライザが患者の上で前記外科用器具によって支持されるように構成されている、フレームと、
(b)前記フレームの第1のフレーム部分と結合された第1のジャイロアセンブリであって、
(i)第1の歳差運動軸を中心として前記第1のフレーム部分と枢動可能に結合された第1のジンバルと、
(ii)第1のモータと、
(iii)前記第1の歳差運動軸に対して垂直な第1のスピン軸を中心として前記第1のモータと回転可能に結合された第1のロータと、を含む、第1のジャイロアセンブリと、
(c)前記フレームの第2のフレーム部分と結合された第2のジャイロアセンブリであって、
(i)第2の歳差運動軸を中心として前記第2のフレーム部分と枢動可能に結合された第2のジンバルと、
(ii)第2のモータと、
(iii)前記第2の歳差運動軸に対して垂直な第2のスピン軸を中心として前記第2のモータと回転可能に結合された第2のロータと、を含む、第2のジャイロアセンブリと、を備え、
前記第1のジャイロアセンブリが、前記第1のスピン軸を中心として前記第1のモータで前記第1のロータを回転させて、前記第1のスピン軸及び前記第1の歳差運動軸を含む第1のトルク平面内に第1のトルクを発生させるように動作可能であり、前記第1のトルクが、前記中心軸に対して垂直な第1のデバイス軸を中心とした前記患者に対する前記ジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されており、
前記第2のジャイロアセンブリが、前記第2のスピン軸を中心として前記第2のモータで前記第2のロータを回転させて、前記第2のスピン軸及び前記第2の歳差運動軸を含む第2のトルク平面内に第2のトルクを発生させるように動作可能であり、前記第2のトルクが、前記中心軸及び前記第1のデバイス軸に対して垂直な第2のデバイス軸を中心とした前記患者に対する前記ジャイロスタビライザの回転に抵抗するように構成されている、ジャイロスタビライザ。
(2) 前記第1のジャイロアセンブリが、前記中心軸の第1の側に配設されており、前記第2のジャイロアセンブリが、前記中心軸の第2の側に配設されている、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(3) 前記第1のジャイロアセンブリ及び前記第2のジャイロアセンブリが、前記中心軸を中心として互いに等距離に離間されている、実施態様2に記載のジャイロスタビライザ。
(4) 前記第1の歳差運動軸及び前記第2の歳差運動軸が、互いに対して角度付けされている、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(5) 前記第1の歳差運動軸及び前記第2の歳差運動軸が、互いに対して90度角度付けされている、実施態様4に記載のジャイロスタビライザ。
【0121】
(6) 前記第1のフレーム部分が、第1の閉鎖空間を画定する第1のリング部材を備え、前記第2のフレーム部分が、第2の閉鎖空間を画定する第2のリング部材を備え、前記第1のジンバルが、前記第1のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ前記第1の閉鎖空間内で前記第1の歳差運動軸を中心として枢動可能であり、前記第2のジンバルが、前記第2のリング部材と枢動可能に結合されており、かつ前記第2の閉鎖空間内で前記第2の歳差運動軸を中心として枢動可能である、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(7) 前記第1のモータが、前記第1のジンバルによって支持されており、前記第2のモータが、前記第2のジンバルによって支持されている、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(8) 前記フレームによって支持された少なくとも1つの電池を更に備え、前記少なくとも1つの電池が、前記第1のモータ及び前記第2のモータに給電するように構成されている、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(9) 前記第1のロータ及び前記第2のロータの各々が、内部空洞を含み、前記第1のモータ及び前記第2のモータの各々は、各ロータがそれぞれのモータを中心として回転可能であるように、それぞれのロータの前記内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(10) 前記第1のジャイロアセンブリ及び前記第2のジャイロアセンブリの各々が、前記それぞれのモータに給電するように構成された電池を更に含み、各電池が、前記それぞれのロータの前記内部空洞内に少なくとも部分的に配設されている、実施態様9に記載のジャイロスタビライザ。
【0122】
(11) 前記外科用器具が、外科用カニューレを備え、前記ハブが、前記中心軸に沿って中央通路を通して第2の外科用器具のシャフトを摺動可能に受容するように構成された前記中央通路を含む、実施態様1に記載のジャイロスタビライザ。
(12) ジャイロ安定化システムであって、
(a)実施態様1に記載のジャイロスタビライザと、
(b)前記ジャイロスタビライザと通信するコントローラであって、前記ジャイロスタビライザとは別個に配置されている、コントローラと、を備える、ジャイロ安定化システム。
(13) 前記コントローラが、プロセッサと無線で通信するように構成されている、実施態様12に記載のジャイロ安定化システム。
(14) 前記コントローラが、前記第1のモータ又は前記第2のモータのうちの少なくとも1つの回転速度を制御するように動作可能である、実施態様12に記載のジャイロ安定化システム。
(15) 前記第1のジャイロアセンブリ又は前記第2のジャイロアセンブリのうちの少なくとも1つが、前記コントローラによって制御可能な歳差運動制御機構を含み、前記歳差運動制御機構が、
(i)それぞれの歳差運動軸を中心としたそれぞれのフレーム部分に対するそれぞれのジンバルの枢動運動の速度、又は、
(ii)前記それぞれの歳差運動軸を中心とした前記それぞれのフレーム部分に対する前記それぞれのジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを変化させるように動作可能である、実施態様12に記載のジャイロ安定化システム。
【0123】
(16) ジャイロ外科用器具アセンブリであって、
(a)外科用器具と、
(b)前記外科用器具と結合されたジャイロスタビライザであって、
(i)フレームと、
(ii)歳差運動軸を中心として前記フレームと枢動可能に結合されたジンバルと、
(iii)モータと、
(iv)前記歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心として前記モータと回転可能に結合されたロータと、を含む、ジャイロスタビライザと、を備え、
前記ロータが、前記スピン軸及び前記歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させるように、前記スピン軸を中心として前記モータによって回転可能であり、
前記ジャイロスタビライザが、前記外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する前記外科用器具の選択された角度向きを維持するのに十分な前記トルク平面内の安定化トルクを発生させるように動作可能である、ジャイロ外科用器具アセンブリ。
(17) 前記外科用器具が、長手方向軸を画定する細長い部分を含み、ジャイロスタビライザは、前記ジャイロスタビライザの中心軸が前記長手方向軸と同軸で位置合わせされるように、前記外科用器具と結合されている、実施態様16に記載のジャイロ外科用器具アセンブリ。
(18) フレームと、歳差運動軸を中心として前記フレームと枢動可能に結合されたジンバルと、前記歳差運動軸に対して垂直なスピン軸を中心として前記ジンバルに対して回転可能なロータと、を含む、ジャイロスタビライザを有する外科用器具を安定化する方法であって、
(a)前記外科用器具の一部分を前記ジャイロスタビライザと係合させて、それらの間の相対移動を阻止することと、
(b)前記ロータを前記スピン軸を中心として回転させ、それによって、前記スピン軸及び前記歳差運動軸を含むトルク平面内に安定化トルクを発生させることと、
(c)前記安定化トルクを介して、前記外科用器具に及ぼされた重力による外部トルクに対抗し、それによって、患者に対する前記外科用器具の選択された角度向きを維持することと、を含む、方法。
(19) 前記ジャイロスタビライザが、モータを更に含み、前記ロータを前記スピン軸を中心として回転させることが、前記モータで前記ロータを回転させることを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) (i)前記スピン軸を中心とした前記ロータの回転速度、
(ii)前記歳差運動軸を中心とした前記フレームに対する前記ジンバルの枢動運動の速度、又は
(iii)前記歳差運動軸を中心とした前記フレームに対する前記ジンバルの角度向き、のうちの少なくとも1つを選択的に変化させることによって、前記安定化トルクを調整することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
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図31B
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図32B
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【国際調査報告】