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特表2023-523826再使用可能なトロカールのための平衡化特徴部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】再使用可能なトロカールのための平衡化特徴部
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566395
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2021061437
(87)【国際公開番号】W WO2021219862
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,558
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/213,437
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160MM32
(57)【要約】
外科用アクセスデバイスアセンブリは、カニューレハブ及びカニューレチューブを含む。カニューレチューブは、長手方向軸に沿ってカニューレハブから遠位に延在する。カニューレチューブは、作業チャネルを画定する。カニューレチューブは、組織係合特徴部及び平衡化特徴部を含む。平衡化特徴部は、患者の体腔壁に対するカニューレチューブ及びカニューレハブの横方向安定性を促進するように構成されている。平衡化特徴部は、第1の壁厚を有する、カニューレチューブの近位部分を含む。平衡化特徴部はまた、第1の壁厚よりも大きい第2の壁厚を有する、カニューレチューブの遠位部分を含む。近位部分の少なくとも一部分は、組織係合特徴部に対して近位である。遠位部分の少なくとも一部分は、組織係合特徴部に対して遠位である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)前記カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、前記組織係合特徴部が、前記カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、
(ii)前記患者の前記体腔壁に対する前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブの横方向安定性を促進するように構成された平衡化特徴部と、を備え、前記平衡化特徴部が、
(A)第1の壁厚を有する、前記カニューレチューブの近位部分であって、前記近位部分の少なくとも一部分が、前記組織係合特徴部の近位に配設されている、近位部分、及び
(B)第2の壁厚を有する、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きく、前記遠位部分の少なくとも一部分が、前記組織係合特徴部に対して遠位に配設されている、遠位部分を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項2】
前記カニューレチューブが、前記作業チャネルを画定する内面を備え、前記内面が、前記近位部分から前記遠位部分まで延在し、前記内面が、前記近位部分と前記遠位部分との間に延在する均一な内径を備える、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項3】
前記平衡化特徴部が、前記近位部分と前記遠位部分との間に位置する遷移部分を備え、前記遷移部分が、前記組織係合特徴部の近位端部と一致する、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項4】
前記組織係合特徴部が、外縁で互いに結合された肩部分及び先細部分を備える組織係合リブを含む、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項5】
前記近位部分が、近位外面を備え、前記遠位部分が、遠位外面を備え、前記近位外面が、前記遠位外面と比較して前記作業チャネルにより近い、請求項4に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項6】
前記遠位外面が、前記組織係合リブの前記外縁よりも前記作業チャネルに近い、請求項5に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項7】
カニューレハブが、使い捨てシールアセンブリを受容するように寸法決めされたベル形状本体を備える、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項8】
前記カニューレハブが、前記カニューレチューブの前記近位部分に結合された遠位ステムを更に備える、請求項7に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項9】
前記外科用アクセスデバイスが、外科用鋼から形成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項10】
前記カニューレチューブが、角度付きカニューレ先端内に終端する、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項11】
前記組織係合特徴部が、前記遠位部分のセグメントに沿って延在する複数の組織係合リブを含む、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項12】
前記複数の組織係合リブが、前記カニューレチューブの前記近位部分に対して遠位に終端する、請求項11に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項13】
閉塞具を更に備え、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記長手方向軸に沿って前記カニューレチューブと取り外し可能に結合するように構成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項14】
前記カニューレハブが、シールアセンブリと選択的に結合するように構成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項15】
前記近位部分及び前記遠位部分が、1:2の壁厚比を画定している、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項16】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)第1の壁厚を有する、前記カニューレチューブの近位部分と、
(ii)前記カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、前記組織係合特徴部が、前記カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、
(iii)第2の壁厚を有する、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記組織係合特徴部が、前記近位部分と前記遠位部分との間に介在し、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項17】
前記組織係合特徴部が、複数の組織係合リブを含む、請求項16に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項18】
前記組織係合リブの最大壁厚が、前記遠位部分の前記第2の壁厚よりも大きい、請求項16に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項19】
前記カニューレハブが、ベル形状本体を備える、請求項16に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項20】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブの内面が、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)前記内面及び近位外面によって画定された第1の壁厚を含む、前記カニューレチューブの近位部分と、
(ii)前記内面及び遠位外面によって画定された第2の壁厚を含む、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記遠位部分が、開いた遠位端部内に終端し、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日出願の「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題された米国仮特許出願第63/018,558号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術は、臨床医が患者の腹腔を介して外科手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術では(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に呼ばれるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、外科手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の手術アクセスデバイスは、2011年7月19日に開示された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に交付された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に交付された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に交付された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に交付された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に交付された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に交付された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
図2】分解状態の図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている図1のトロカールの側面断面図を示す。
図3B図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
図3C図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
図3D図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
図4】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの別の斜視図を示す。
図5】互いに分離された再使用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
図6図4の線6-6に沿った、図4のカニューレアセンブリの断面図を図示する。
図7A】臨床医がカニューレアセンブリを保持している状態で、カニューレアセンブリが標的エリアと好適に位置合わせされている、患者の腹壁内に位置付けられた図4のカニューレアセンブリの断面図を図示する。
図7B】臨床医がカニューレアセンブリを解放しており、それにより、カニューレアセンブリが傾いており、図7Aの標的エリアともはや好適に位置合わせされていない、患者の腹壁内に位置付けられた図4のカニューレアセンブリの断面図を図示する。
図8】例示的なカニューレの斜視図を図示する。
図9図8の線9-9に沿った、図8のカニューレの断面図を図示する。
図10図8のカニューレの近位部分の拡大断面図を図示する。
図11図8のカニューレの遠位部分の拡大断面図を図示する。
図12A図8のカニューレ及び図5の使い捨てシールアセンブリから形成されたカニューレアセンブリの断面図を図示し、カニューレアセンブリが患者の腹壁内に位置付けられ、臨床医がカニューレアセンブリを保持している状態で、カニューレアセンブリが標的エリアと好適に位置合わせされている。
図12B】カニューレアセンブリが臨床医によって解放されており、標的エリア内に好適に位置合わせされたままである、図12Aの腹壁内に位置付けられた図12Aのカニューレアセンブリの断面図を図示する。
図13】例示的なカニューレの断面図を図示する。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れ手配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再使用可能なトロカール
図1図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再使用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術において外科手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、図3A図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1図2に示すように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。特に、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科手術部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒チューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。結果として生じるリブ(26)の構成は、遠位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術中に患者の腹壁からのカニューレチューブ(22)の意図しない引き抜きから保護する。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップされ得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、近位ヘッド(36)と、ともに固定された遠位ベース(38)と、を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術処置中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して向けられた腹腔鏡外科用器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科用器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び図2に示すように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、近位ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(62)と、先細遠位先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(図示せず)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロットからラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在する中央通路(76)を更に含み、その中に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通るトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者との単回使用後に処分されるように構築され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、図4図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数の再使用に耐えるように好適に構築され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内のトロカールの例示的な展開
図3A図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、繊維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示すように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。図3Bに示すように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、このステップは、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き出す。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術を行うために、内部を通して遠位に外科用器具を自由に受容するようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織係合リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術の完了時に、臨床医は、図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再使用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各手順の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。図4図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状のハブ(122)、ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒チューブ(124)を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構築されている。図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、カニューレハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された方式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に公開された、米国特許出願公開第2019/0090905号、発明の名称「Trocar Seal Assemblies」、及び/又はその開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月19日に公開され、「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許出願公開第2019/0380742号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位ヘッド(150)と、ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構築されており、その結果、それらは、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各手順の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構築されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、シールアセンブリ(130)が、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を処分するのに好適にする価格で容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構築され得る。
【0027】
II.再使用可能なトロカールのための例示的な平衡化特徴部
図6に最良に示されるように、カニューレアセンブリ(112)の重心(CG1)は、細長い円筒チューブ(124)の近位端部及びベル形状ハブ(122)の近くに位置する。更に、細長い円筒チューブ(124)の断面厚さは、細長い円筒チューブ(124)の近位端部及び遠位端部で実質的に均一であり得、環状リブ(128)に適応するために断面厚さにわずかな偏差を有する。言い換えると、円筒チューブ(124)の近位部分及び遠位部分の内径及び外径は、実質的に同じであり得る。
【0028】
カニューレ(120)及び閉塞具(116)は、堅牢な材料から構築されているため、カニューレ(120)及び閉塞具(116)は、上記に説明された単回使用トロカール(10)のカニューレ(12)及び閉塞具(16)と比較して、より大きい質量及び結果として生じる重量を有し得る。以下でより詳細に説明されるように、カニューレ(120)のより大きい質量及び重量は、横断(すなわち、半径、又は横)方向における腹壁(2)に対するカニューレ(120)の平衡の不安定性及び/又は不足を引き起こし得、それにより、カニューレ(120)は、側部に傾くか、又は傾斜し得、したがって、作業チャネル(114)が、本明細書の説明に従う例示的な使用中に、標的化された手術エリア(T)と位置がずれるようになる。
【0029】
図7Aは、本明細書の教示に従って、作業チャネル(114)を介して患者の腔(1)への好適なアクセスを提供するカニューレアセンブリ(112)を示す。それゆえに、図7Aに示される位置にアクセスする前に、閉塞具(116)及びカニューレアセンブリ(112)は、閉塞具先端(154)及びカニューレ先端(126)が、腔(1)にアクセスするために、皮膚(3)、脂肪(4)及び筋膜(5)の層を通って遠位に付勢されるように、互いに組み合わせて使用されていてもよい。アクセスが提供されると、臨床医は、本明細書の説明に従って閉塞具(116)を取り外し得る。次に、図7Aに示されるように、臨床医は、中心軸(A1)が標的化された手術エリア(T)と位置合わせされるように、患者に対して所望の場所にカニューレアセンブリ(112)を配置し得る。上記に説明された組織係合リブ(26)と同様、カニューレチューブ(124)上に設けられた組織係合リブ(128)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して軸方向及び横断方向に少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(112)を提供する。
【0030】
例示的な使用中、本明細書の説明に従って、作業チャネル(114)を介して腔(1)にアクセスするために、臨床医がカニューレアセンブリ(112)を解放した後に、中心軸(A1)が標的化された手術エリア(T)との適切な位置合わせを維持することが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかの事例では、図7A及び図7Bに示されるように、臨床医がカニューレアセンブリ(112)を解放するとき、カニューレアセンブリ(112)は、不平衡化され、かつ「傾く」ようになり得、それにより、作業チャネル(114)は標的化された手術エリア(T)と位置がずれるようになる。
【0031】
重心(CG1)が、腹壁(2)と係合する組織係合リブ(128)の部分から横方向に離間配置されている場合、支点力及び結果的にトルクが生じ得る。カニューレアセンブリ(112)の重量によって生じ、重心(CG1)で作用する支点力は、腹壁(2)と係合するリブ(128)の部分上のトルクとして付与され、過剰に大きくなり得、それにより、カニューレアセンブリ(112)は、傾き、それによって、標的化された手術エリア(T)から作業チャネル(114)の位置がずれる。カニューレアセンブリ(112)は、カニューレアセンブリ(112)の増加した重量に部分的に起因して、上記に説明されたカニューレアセンブリ(12)と比較して、より傾き易くなり得、これは、結果的に、重心に作用するより大きい支点力を生じさせ、したがって、腹壁(2)内に位置付けられたカニューレアセンブリ(112)の部分の周囲により大きい傾いたトルクを生じさせる。それゆえに、軽量の単回使用カニューレ(20)に許容可能であった重心の場所は、複数回の外科手術のための滅菌及び再使用を促進するために堅牢な材料から形成されたより重いカニューレ(120)に対して許容されない場合がある。
【0032】
上述のように、カニューレアセンブリ(112)は、不平衡化され、「傾く」ことになり得、それにより、作業チャネル(114)は、標的化された手術エリア(T)と望ましくなく位置がずれることになる。それゆえに、カニューレアセンブリ(112)は、(A)作業チャネル(114)が、本明細書の説明に従う例示的な使用中に、標的化された手術エリア(T)と好適に位置合わせされたままであり得るように、かつ(B)カニューレ(120)が、滅菌及び再使用の目的で堅牢な材料で形成され得るように、腹壁(2)に対してカニューレアセンブリ(112)の望ましい配置を促進することを助け得る平衡化特徴部を有することが望ましい場合がある。
【0033】
図8図11は、上記に説明されたカニューレ(120)の代わりに使用され得る例示的なカニューレ(220)を示す。図12A及び図12Bは、カニューレ(220)及びシールハウジング(130)から形成されたカニューレアセンブリ(212)の例示的な使用を示す。カニューレアセンブリ(220)は、その近位端部にベル形状ハブ(222)と、ハブ(222)から遠位に延在し、かつ角度付きカニューレ先端(226)で終端する、細長い円筒チューブ(224)と、を含み、それらの全ては、作業チャネル(214)を画定する。カニューレチューブ(224)の外面は、カニューレチューブ(224)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(228)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。ベル形状ハブ(222)、細長い円筒チューブ(224)、角度付きカニューレ先端(226)、作業チャネル(214)、及び環状リブ(228)は、上記に説明されたベル形状ハブ(122)、細長い円筒チューブ(124)、角度付きカニューレ先端(126)、作業チャネル(114)、及び環状リブ(128)と実質的に同様であり得、相違点が以下に詳述される。
【0034】
カニューレ(220)はまた、カニューレチューブ(224)に組み込まれている平衡化特徴部(235)を含む。以下でより詳細に説明されるように、平衡化特徴部(235)は、臨床医がカニューレアセンブリ(212)を解放するときに、カニューレアセンブリ(212)が傾くことを抑制するように構成されており、それにより、作業チャネル(214)は、標的化された手術エリア(T)と位置合わせされたままであり得る。
【0035】
平衡化特徴部(235)は、比較的薄い壁厚を有する近位の薄い区分(230)と、比較的厚い壁厚を有する遠位の厚い区分(232)と、近位及び遠位区分(230、232)の間の遷移区分(234)と、を含む。近位の薄い区分(230)は、ベル形状ハブ(222)から細長い円筒チューブ(224)の近位部分まで延在し得るが、遠位の厚い区分(232)は、細長い円筒チューブ(224)の遠位部分に沿って延在し得る。
【0036】
ベル形状ハブ(222)は、細長い円筒チューブ(224)の近位端部を受容するように寸法決めされた遠位に存在するステム(225)を含む。ベル形状ハブ(222)は、結合(236)を介して遠位に存在するステム(225)を介して円筒チューブ(224)に固定される。本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の好適な結合(236)が使用され得る。例えば、結合(236)は、溶接、接着剤、及び締まり嵌めなどを含み得る。
【0037】
図9に最良に示されるように、近位の薄い区分(230)は、遠位の厚い区分(232)と比較して、より小さい壁厚を有するように寸法決めされ得る。近位の薄い区分(230)の低減された壁厚は、上記に説明されたカニューレ(120)の対応する部分と比較して、カニューレ(220)の近位部分がより少ない材料で形成されることを可能にし得る。それゆえに、近位の薄い区分(230)の重量は、上記に説明されたカニューレ(120)の対応する部分と比較してより小さくてもよい。
【0038】
本例では、ベル形状ハブ(222)、及び近位の薄い区分(230)を画定する円筒チューブ(224)の部分は、同様の壁厚を有する。ただし、これは単に任意選択的である。いくつかの事例では、ベル形状ハブ(222)は、近位の薄い区分(230)を画定する円筒チューブ(224)の部分と比較して、異なる壁厚を有し得る。いくつかの事例では、ベル形状ハブ(222)は、より少ない材料から形成されるように先端が切断され得る。いくつかの事例では、ベル形状ハブ(222)は、シールハウジング(130)が、完全なベル形状ハブ(222)の必要性なしで、細長いチューブ(224)の近位端部と動作可能に結合するように構成されるように、完全に任意選択であり得る。
【0039】
遠位の厚い区分(232)は、近位の薄い区分(230)と比較してより大きい壁厚を有するように形成され得る。遠位の厚い区分(232)の増大した壁厚は、上記に説明されたカニューレ(120)の対応する部分と比較して、カニューレ(220)の遠位部分が、より多くの材料で形成されることを可能にし得る。それゆえに、遠位の厚い区分(232)の重量は、上記に説明されたカニューレ(120)の対応する部分と比較してより大きくなり得る。
【0040】
遷移部分(234)は、近位の薄い区分(230)と遠位の厚い区分(232)との間に位置する。本例では、図10に示されるように、遷移部分(234)は、環状リブ(228)の近位端部のすぐ近位に位置する。本例では、遷移部分(234)は、環状リブ(228)の近位端部に隣接して位置し、遷移部分(234)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであるように、任意の好適な場所に配置され得る。
【0041】
図10にも示されるように、チューブ(224)によって画定されるより薄い区分(230)の壁厚は、チューブ(224)の内面(240)とチューブ(224)の近位外面(242)との間の距離によって決定される。本例では、表面(240、242)間の距離は、近位区分(230)の長さに沿って実質的に均一である。言い換えると、内面(240)によって画定される内径及び近位外面(242)によって画定される外径は、近位区分(230)の長さに沿って実質的に均一である。ただし、これは単に任意選択的である。いくつかの事例では、表面(240、242)間の距離は、近位区分(230)の長さに沿って偏向し得る。
【0042】
図11に最良に示されるように、より厚い区分(232)の壁厚は、チューブ(224)の内面(240)と、(A)チューブ(224)の遠位外面(244)又は(B)環状リブ(228)の一部分のいずれかとの間の距離によって決定される。各環状リブ(228)は、肩部分(250)及び先細部分(252)から形成され、肩部分(250)及び先細部分(252)は、外縁で接続する。遠位外面(244)は、環状リブ(228)の肩部分(250)よりも遠くに作業チャネル(214)から横方向に離れて突出しなくてもよい。これは、例示的な使用中のカニューレ(220)の安定性を促進するために、環状リブ(228)が依然として組織を適切に把持することを確保するのを助け得る。
【0043】
本例では、表面(240、244)間の距離は、遠位外面(244)を含むチューブ(224)の長さに沿って実質的に均一である。言い換えると、内面(240)によって画定される内径及び遠位外面(244)によって画定される外径は、遠位外面(244)を有する遠位区分(232)の長さに沿って実質的に均一である。ただし、これは単に任意選択的である。いくつかの事例では、表面(240、244)間の距離は、遠位区分(232)の長さに沿って偏向し得る。
【0044】
加えて、本例では、内面(240)の寸法は、チューブ(224)の長さに沿って実質的に均一である。言い換えると、内面(240)によって画定される内径は、チューブ(224)の長さに沿って実質的に均一である。しかしながら、これは、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであるように、内面(240)によって画定される作業チャネル(214)の寸法が、任意の好適な幾何学的形状を有し得るため、単に任意選択的である。例えば、内面(240)は、先細幾何学的形状、起伏幾何学的形状などを有し得る。
【0045】
近位の薄い区分(230)及び遠位の厚い区分(232)の寸法の変化によって引き起こされる重量分布のシフトは、上記に説明されたカニューレ(120)の重心(CG1)と比較して、カニューレ(220)の重心(CG2)を遠位にシフトさせ得る。以下でより詳細に説明されるように、これは、平衡化特徴部(235)が、例示的な使用中にカニューレアセンブリ(220)の偶発的な傾きを防止することを可能にし得る。
【0046】
図12Aは、本明細書の教示に従って、作業チャネル(214)を介して患者の腔(1)への好適なアクセスを提供するカニューレアセンブリ(212)を示す。それゆえに、図12Aに示される位置にアクセスする前に、閉塞具(116)及びカニューレアセンブリ(212)は、閉塞具先端(154)及びカニューレ先端(226)が、腔(1)にアクセスするために、皮膚(3)、脂肪(4)及び筋膜(5)の層を通って遠位に付勢されるように、互いに組み合わせて使用されていてもよい。アクセスが提供されると、臨床医は、本明細書の説明に従って閉塞具(116)を取り外し得る。次に、図12Aに示されるように、臨床医は、中心軸(A2)が標的化された手術エリア(T)と位置合わせされるように、患者に対して所望の場所にカニューレアセンブリ(212)を配置し得る。上記に説明された組織係合リブ(26)と同様、カニューレチューブ(224)上に設けられた組織係合リブ(228)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して軸方向及び横断方向に少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(212)を提供する。
【0047】
例示的な使用中、本明細書の説明に従って、作業チャネル(214)を介して腔(1)にアクセスするために、臨床医がカニューレアセンブリ(212)を解放した後に、中心軸(A2)が標的化された手術エリア(T)との適切な位置合わせを維持することが望ましい場合がある。図12A及び図12Bに示されるように、臨床医がカニューレアセンブリ(212)を解放したとき、カニューレ(220)の平衡化特徴部(235)は、カニューレアセンブリ(212)が傾くことを防止し、それによって、作業チャネル(214)を標的化された手術エリア(T)と位置合わせされたままに保ち得る。
【0048】
腹壁(2)と係合するように設計された細長い円筒チューブ(224)の部分に向かってより近い重心(CG2)の配置は、上記に説明されたカニューレ(120)の重心(CG1)によって付与される支点力及びトルクと比較して、カニューレ(220)の重量に起因して、腹壁(2)と係合する組織係合リブ(228)の部分に付与される支点力及び結果的に生じるトルクを低減し得る。支点力のこの低減は、少なくとも部分的に、重心(CG2)と、腹壁(2)と係合する組織係合リブ(228)の部分との間の横方向距離の低減に起因し得る。それゆえに、腹壁(2)と係合するチューブ(224)の部分に向かってより近くに重心(CG2)をシフトさせることは、臨床医が、患者の腹壁(2)に対してカニューレ(220)をより容易に平衡化して、作業チャネル(214)を標的化された手術エリア(T)と位置合わせされた状態に保つことを可能にし得る。
【0049】
言い換えると、堅牢、滅菌可能、かつ再使用可能な材料から形成されたカニューレ(220)の総重量は、顕著に減少することができない場合があるが、カニューレ(220)の幾何学的形状は、腹壁(2)と係合するように構成されたチューブ(224)の部分により近くに重心(CG2)を効果的にシフトさせて、結果的に、カニューレ(220)のチューブ(224)と患者の腹壁(2)との間の係合に付与される支点力及び結果的に生じるトルクを低減するように、修正され得る。それゆえに、修正された重心(CG2)は、使用中にカニューレアセンブリ(212)が傾く機会を低減するのを助け得る。
【0050】
図13は、上記に説明されたカニューレ(120、220)の代わりに使用され得る別の例示的なカニューレ(270)を示す。カニューレ(270)は、平衡化特徴部(285)が、近位の薄い区分(280)と遠位の厚い区分(282)との間の質量及び結果として生じる重量に大きな差を含み、それにより、重心(CG3)が更に遠位にシフトされることを除いて、上記に説明されたカニューレ(220)と実質的に同様である。
【0051】
カニューレ(270)は、その近位端部にベル形状ハブ(272)と、ハブ(272)から遠位に延在し、かつ角度付きカニューレ先端(276)で終端する、細長い円筒チューブ(274)と、を含み、それらの全ては、作業チャネル(264)を画定する。カニューレチューブ(274)の外面は、カニューレチューブ(274)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(278)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。ベル形状ハブ(272)、細長い円筒チューブ(274)、角度付きカニューレ先端(276)、作業チャネル(264)、及び環状リブ(278)は、上記に説明されたベル形状ハブ(222)、細長い円筒チューブ(224)、角度付きカニューレ先端(226)、作業チャネル(214)、及び環状リブ(228)と実質的に同様であり得、相違点が以下に詳述される。
【0052】
平衡化特徴部(285)は、近位の薄い区分(280)、遠位の厚い区分(282)、及び遷移区分(284)を含み、これらは、上記に説明された近位の薄い区分(230)、遠位の厚い区分(232)、及び遷移区分(234)と実質的に同様であり得、本明細書で相違点が詳述される。それゆえに、ベル形状ハブ(272)は、結合(286)を介してチューブ(274)に結合されるが、一方で、チューブ(274)によって画定されるより薄い区分(280)の厚さは、チューブ(274)の内面(290)とチューブ(274)の近位外面(292)との間の距離によって決定される。加えて、より厚い区分(282)の壁厚は、チューブ(274)の内面(290)と、(A)チューブ(274)の遠位外面(294)又は(B)環状リブ(278)の一部分のいずれかとの間の距離によって決定される。
【0053】
上述のように、平衡化特徴部(285)は、近位の薄い区分(280)と遠位の厚い区分(282)との間の質量及び結果として生じる重量に大きな差を含み、それにより、重心(CG3)が更に遠位にシフトされる。本例では、これは、近位の薄い区分(280)と比較して、長さ及び壁厚の両方で、より大きい遠位の厚い区分(282)を有することによって達成される。それゆえに、カニューレ(270)の幾何学的形状は、カニューレ(270)の重量に起因して、腹壁(3)と係合するチューブ(274)の部分に付与される支点力及び結果的に生じるトルクを最小化することによって、カニューレ(270)の最適な平衡化を提供するために、重心(CG3)をチューブ(274)に沿った所望の場所に調整するために修正され得ることを理解されたい。
【0054】
近位の薄い区分(230、280)及び遠位の厚い区分(232、282)は、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであるように、任意の好適な寸法を有し得る。加えて、近位の薄い区分(230、280)及び遠位の厚い区分(232、282)は、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであるように、任意の好適な壁厚比を形成し得る。例えば、近位の薄い区分(230、280)は、0.020インチの壁厚を有し得るが、一方で、遠位の厚い区分(232、282)は、0.042インチの壁厚を有し得、0.47619の壁厚比を生じる。別の例として、近位の薄い区分(230、280)は、0.010インチの壁厚を有し得るが、一方で、遠位の厚い区分(232、282)は、0.045インチの壁厚を有し得、0.2222の壁厚比を生じる。他の好適な壁厚比としては、限定されるものではないが、1:2、1:4、1:5などが挙げられる。
【0055】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例1】
【0056】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、(a)カニューレハブと、(b)長手方向軸に沿ってカニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、カニューレチューブが、カニューレチューブの長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、カニューレチューブが、(i)カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、組織係合特徴部が、カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに体腔壁に対してカニューレチューブ及びカニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、(ii)患者の体腔壁に対するカニューレチューブ及びカニューレハブの横方向安定性を促進するように構成された平衡化特徴部と、を備え、平衡化特徴部が、(A)第1の壁厚を有する、カニューレチューブの近位部分であって、近位部分の少なくとも一部分が、組織係合特徴部の近位に配設されている、近位部分、及び(B)第2の壁厚を有する、カニューレチューブの遠位部分であって、遠位部分の第2の壁厚が、近位部分の第1の壁厚よりも大きく、遠位部分の少なくとも一部分が、組織係合特徴部に対して遠位に配設されている、遠位部分を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例2】
【0057】
カニューレチューブが、作業チャネルを画定する内面を備え、内面が、近位部分から遠位部分まで延在し、内面が、近位部分と遠位部分との間に延在する均一な内径を備える、実施例1に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例3】
【0058】
平衡化特徴部が、近位部分と遠位部分との間に位置する遷移部分を備え、遷移部分が、組織係合特徴部の近位端部と一致する、実施例1又は2に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例4】
【0059】
組織係合特徴部が、外縁で互いに結合された肩部分及び先細部分を備える組織係合リブを含む、実施例1~3のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例5】
【0060】
近位部分が、近位外面を備え、遠位部分が、遠位外面を備え、近位外面が、遠位外面と比較して作業チャネルにより近い、実施例4に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例6】
【0061】
遠位外面が、組織係合リブの外縁よりも作業チャネルに近い、実施例5に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例7】
【0062】
カニューレハブが、使い捨てシールアセンブリを受容するように寸法決めされたベル形状本体を備える、実施例1~6のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例8】
【0063】
カニューレハブが、カニューレチューブの近位部分に結合された遠位ステムを更に備える、実施例7に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例9】
【0064】
外科用アクセスデバイスが、外科用鋼から形成されている、実施例1~8のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例10】
【0065】
カニューレチューブが、角度付きカニューレ先端内に終端する、実施例1~9のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例11】
【0066】
組織係合特徴部が、遠位部分のセグメントに沿って延在する複数の組織係合リブを含む、実施例1~10のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例12】
【0067】
複数の組織係合リブが、カニューレチューブの近位部分に対して遠位に終端する、実施例11に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例13】
【0068】
閉塞具を更に備え、閉塞具が、患者の体壁を通る外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、長手方向軸に沿ってカニューレチューブと取り外し可能に結合するように構成されている、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例14】
【0069】
カニューレハブが、シールアセンブリと選択的に結合するように構成されている、実施例1~13のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例15】
【0070】
近位部分及び遠位部分が、1:2の壁厚比を画定している、実施例1~14のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例16】
【0071】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、(a)カニューレハブと、(b)長手方向軸に沿ってカニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、カニューレチューブが、カニューレチューブの長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、カニューレチューブが、(i)第1の壁厚を有する、カニューレチューブの近位部分と、(ii)カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、組織係合特徴部が、カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに体腔壁に対してカニューレチューブ及びカニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、(iii)第2の壁厚を有する、カニューレチューブの遠位部分であって、組織係合特徴部が、近位部分と遠位部分との間に介在し、遠位部分の第2の壁厚が、近位部分の第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例17】
【0072】
組織係合特徴部が、複数の組織係合リブを含む、実施例16に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例18】
【0073】
組織係合リブの最大壁厚が、遠位部分の第2の壁厚よりも大きい、実施例16に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例19】
【0074】
カニューレハブが、ベル形状本体を備える、実施例16~18のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例20】
【0075】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、(a)カニューレハブと、(b)長手方向軸に沿ってカニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、カニューレチューブの内面が、カニューレチューブの長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、カニューレチューブが、(i)内面及び近位外面によって画定された第1の壁厚を含む、カニューレチューブの近位部分と、(ii)内面及び遠位外面によって画定された第2の壁厚を含む、カニューレチューブの遠位部分であって、遠位部分が、開いた遠位端部内に終端し、遠位部分の第2の壁厚が、近位部分の第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【0076】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0077】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1]号(「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2]号(「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3]号(「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4]号(「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP5]号(「Threaded Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP6]号(「Tilting Tang Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7]号(「Two Piece Separable Obturator」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP8]号(「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP10]号(「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題された)、及び/又は、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP11]号(「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題された)に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0079】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日発行の「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0080】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整施設において、又は処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0081】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0082】
本発明の様々な実施形態を示し記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0083】
〔実施の態様〕
(1) 外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)前記カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、前記組織係合特徴部が、前記カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、
(ii)前記患者の前記体腔壁に対する前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブの横方向安定性を促進するように構成された平衡化特徴部と、を備え、前記平衡化特徴部が、
(A)第1の壁厚を有する、前記カニューレチューブの近位部分であって、前記近位部分の少なくとも一部分が、前記組織係合特徴部の近位に配設されている、近位部分、及び
(B)第2の壁厚を有する、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きく、前記遠位部分の少なくとも一部分が、前記組織係合特徴部に対して遠位に配設されている、遠位部分を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(2) 前記カニューレチューブが、前記作業チャネルを画定する内面を備え、前記内面が、前記近位部分から前記遠位部分まで延在し、前記内面が、前記近位部分と前記遠位部分との間に延在する均一な内径を備える、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(3) 前記平衡化特徴部が、前記近位部分と前記遠位部分との間に位置する遷移部分を備え、前記遷移部分が、前記組織係合特徴部の近位端部と一致する、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(4) 前記組織係合特徴部が、外縁で互いに結合された肩部分及び先細部分を備える組織係合リブを含む、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(5) 前記近位部分が、近位外面を備え、前記遠位部分が、遠位外面を備え、前記近位外面が、前記遠位外面と比較して前記作業チャネルにより近い、実施態様4に記載の外科用アクセスデバイス。
【0084】
(6) 前記遠位外面が、前記組織係合リブの前記外縁よりも前記作業チャネルに近い、実施態様5に記載の外科用アクセスデバイス。
(7) カニューレハブが、使い捨てシールアセンブリを受容するように寸法決めされたベル形状本体を備える、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(8) 前記カニューレハブが、前記カニューレチューブの前記近位部分に結合された遠位ステムを更に備える、実施態様7に記載の外科用アクセスデバイス。
(9) 前記外科用アクセスデバイスが、外科用鋼から形成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(10) 前記カニューレチューブが、角度付きカニューレ先端内に終端する、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
【0085】
(11) 前記組織係合特徴部が、前記遠位部分のセグメントに沿って延在する複数の組織係合リブを含む、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(12) 前記複数の組織係合リブが、前記カニューレチューブの前記近位部分に対して遠位に終端する、実施態様11に記載の外科用アクセスデバイス。
(13) 閉塞具を更に備え、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記長手方向軸に沿って前記カニューレチューブと取り外し可能に結合するように構成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(14) 前記カニューレハブが、シールアセンブリと選択的に結合するように構成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(15) 前記近位部分及び前記遠位部分が、1:2の壁厚比を画定している、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
【0086】
(16) 外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)第1の壁厚を有する、前記カニューレチューブの近位部分と、
(ii)前記カニューレチューブの外面に沿って配設された組織係合特徴部であって、前記組織係合特徴部が、前記カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブ及び前記カニューレハブを安定化するように構成されている、組織係合特徴部と、
(iii)第2の壁厚を有する、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記組織係合特徴部が、前記近位部分と前記遠位部分との間に介在し、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(17) 前記組織係合特徴部が、複数の組織係合リブを含む、実施態様16に記載の外科用アクセスデバイス。
(18) 前記組織係合リブの最大壁厚が、前記遠位部分の前記第2の壁厚よりも大きい、実施態様16に記載の外科用アクセスデバイス。
(19) 前記カニューレハブが、ベル形状本体を備える、実施態様16に記載の外科用アクセスデバイス。
(20) 外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレハブと、
(b)長手方向軸に沿って前記カニューレハブから遠位に延在するカニューレチューブであって、前記カニューレチューブの内面が、前記カニューレチューブの前記長手方向軸に沿って外科用器具をガイドするように構成された作業チャネルを画定している、カニューレチューブと、を備え、前記カニューレチューブが、
(i)前記内面及び近位外面によって画定された第1の壁厚を含む、前記カニューレチューブの近位部分と、
(ii)前記内面及び遠位外面によって画定された第2の壁厚を含む、前記カニューレチューブの遠位部分であって、前記遠位部分が、開いた遠位端部内に終端し、前記遠位部分の前記第2の壁厚が、前記近位部分の前記第1の壁厚よりも大きい、遠位部分と、を備える、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
【国際調査報告】