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特表2023-523829手持ち式注射器のための用量捕捉アドオンデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】手持ち式注射器のための用量捕捉アドオンデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
A61M5/315
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566407
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2020000387
(87)【国際公開番号】W WO2021220024
(87)【国際公開日】2021-11-04
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519266638
【氏名又は名称】バイオコープ プロダクション ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコス、アラン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066LL30
4C066QQ48
4C066QQ54
4C066QQ82
(57)【要約】
手持ち式注射器に着脱式に取付け可能であるように構成及び適合されている手持ち式用量捕捉デバイスは、それの中央長手方向軸線に平行に整列する注射器の細長い本体と着脱式に係合するように適合及び構成されている支持本体と、長手方向軸線に平行な注射器プランジャの並進運動を模写するように適合及び構成されている変位レプリケータシステムと、プランジャの近位端を変位レプリケータシステムの近位端と結合するように適合及び構成されている結合手段と、を有し、用量捕捉デバイスは、少なくとも1つのセンサ及び処理システムを有し、これらは、変位レプリケータシステムの並進運動を、長手方向軸線に沿ったプランジャの並進運動を介して使用者によって操作されている注射可能物質の用量の選択及び/又は排出と相関させるように適合及び構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式注射器に着脱式に取付け可能に構成及び適合された手持ち式用量捕捉デバイスであって、前記手持ち式注射器は、中央長手方向軸線を規定する長手方向ボアを有する細長い本体であって、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、前記ボア内に位置し且つ前記ボアの前記中央長手方向軸線に沿って移動可能な注射器プランジャであって、前記近位端を越えて延びる注射器プランジャとを有し、
前記着脱式に取付け可能な用量捕捉デバイスは、
前記細長い本体の前記中央長手方向軸線に平行に整列して、前記手持ち式注射器の前記細長い本体の少なくとも外側表面と着脱式に係合するように適合及び構成された支持本体と、
前記長手方向軸線に平行な前記プランジャの並進運動を模写するように適合及び構成された変位レプリケータシステムと、
前記プランジャの近位端を前記変位レプリケータシステムの近位端と結合するように適合及び構成された結合手段と
を有し、
前記手持ち式用量捕捉デバイスは、少なくとも1つのセンサ及び処理システムを有し、前記少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、前記変位レプリケータシステムの前記並進運動を、前記長手方向軸線に沿った前記プランジャの前記並進運動を通じて使用者によって操作される注射可能物質の用量の選択及び/又は排出と関連付けるように適合及び構成されている、手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項2】
前記支持本体は、前記手持ち式注射器の前記細長い本体の長さに沿った少なくとも1つの、又は複数の場所で着脱式に取付け可能である、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項3】
前記支持本体は、前記用量捕捉デバイスが前記手持ち式注射器に実装されているときに前記注射器の前記細長い本体の前記長手方向軸線と平行に位置する長手方向軸線を規定する長手方向中央ボアを有する管状本体を有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項4】
前記支持本体は、前記手持ち式注射器の前記細長い本体の長さの少なくとも一部に沿って延びる管状本体を有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項5】
前記支持本体は、前記手持ち式注射器の前記細長い本体の少なくとも外側表面に着脱式に接触するためのクレードルを有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項6】
前記支持本体は、前記変位レプリケータシステムの少なくとも一部を受容するように適合及び構成されたマウントを有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項7】
前記マウントは、雌ねじ付きボアを有する固定ナットである、請求項6に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項8】
前記変位レプリケータシステムはシャフトを有し、前記シャフトは、前記シャフトの外側表面に位置する雄ねじを有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項9】
前記変位レプリケータシステムの前記シャフトは、前記支持本体の前記管状本体の前記中央ボア内に少なくとも部分的に収容される、請求項3及び請求項8に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項10】
前記変位レプリケータシステムは、磁場生成手段を更に有する、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項11】
前記磁場生成手段は、前記シャフトと同時回転式に固定されて実装される、請求項8から10までのいずれか一項に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項12】
前記磁場生成手段は、環状双極子磁石、ディスク形状双極子磁石、又は少なくとも一対の直径方向に位置するN-S双極子磁石のうちの少なくとも1つを有する、請求項8から11までのいずれか一項に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサは、磁力計である、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサは、磁力計であり、また前記センサは、前記支持本体の前記中央長手方向軸線に沿って位置する、請求項3及び13に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサ及び処理手段は、前記結合手段内に収容されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサ及び処理手段は、前記支持本体内に収容されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項17】
前記処理システム及び少なくとも1つのセンサは、一方が他方と通信し、また前記処理システムは、前記少なくとも1つのセンサから受信した信号を処理するように構成されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項18】
前記処理システムは、少なくとも1つのマイクロコントローラを有し、メモリ、自律型電源、及び通信ユニットのうちの少なくとも1つと電気通信を行う、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項19】
前記結合手段は、第1の受容部分を有し、前記第1の受容部分は、前記プランジャの前記近位端に位置するプランジャヘッドの少なくとも一部を受容するように構成及び適合されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項20】
前記結合手段は、第2の受容部分を有し、前記第2の受容部分は、前記変位手段の近位端の少なくとも一部を受容するように構成及び適合されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項21】
前記結合手段の前記第2の受容部分は、前記変位レプリケータシステムの磁場生成手段を受容するように構成されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項22】
前記第2の受容部分は、前記第2の受容部分内で、前記支持本体の前記長手方向軸線を中心とした前記変位レプリケータシステムの前記磁場生成手段の自由回転を可能にするように構成されている、請求項21に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項23】
前記結合手段は、
近位方向又は遠位方向の前記手持ち式注射器の前記プランジャの並進運動を前記変位レプリケータ手段に結合するように、且つ
前記細長い本体の前記中央長手方向軸線に平行に整列する前記変位レプリケータ手段の自由回転を可能にするように
構成されている、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つのセンサは、加速度計である、請求項1に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項25】
前記加速度計は、前記用量捕捉デバイスが上に実装された前記シリンジの位置配向を検出するように構成されており、前記位置配向は、注射プライミング位置、シリンジパージ位置、及び注射排出位置のうちの少なくとも1つ又は複数から選ばれる、請求項24に記載の手持ち式用量捕捉デバイス。
【請求項26】
手持ち式注射器の使用者によって選択又は排出される用量を捕捉するための方法であって、前記手持ち式注射器は、中央長手方向軸線を規定する長手方向ボアを有する細長い本体であって、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、前記ボア内に位置し且つ前記中央長手方向軸線に沿って移動可能な注射器プランジャであって、前記近位端を越えて延びる注射器プランジャとを有し、前記方法は、
請求項1から23までのいずれか一項に記載の手持ち式用量捕捉デバイスを前記手持ち式注射器に取付けるステップであって、前記用量捕捉デバイスの前記結合手段は、前記プランジャの前記近位端に位置するプランジャヘッドの少なくとも一部を、前記結合手段の第1の受容部分内に受容する、ステップと、
遠位方向及び/又は近位方向に前記手持ち式注射器の前記プランジャヘッドを移動させるステップと、
前記変位レプリケータシステムを介して前記プランジャヘッドの前記運動を模写するステップ
前記結合手段及び/又は前記支持本体内に位置する少なくとも1つのセンサを介して前記変位レプリケータシステムの前記模写運動を検出するステップと、
前記使用者によって設定される用量及び/又は放出される用量に対応する捕捉用量を提供するために、前記少なくとも1つのセンサに接続された処理手段を介して、前記検出された模写変位運動を関連付けるステップと、
用量ロギング、遠隔レシーバへの通信、及び前記捕捉用量の表示のうちの1つのために、前記捕捉用量を前記処理手段内に記憶するステップと
を含む、方法。
【請求項27】
前記模写運動の前記検出は、前記変位レプリケータシステムによって提供される磁場生成手段の回転によって生成される磁場変化を検知するステップと、前記磁場変化をプランジャによる移動距離と関連付けるステップとを含み、
前記関連付けられた移動距離から、前記手持ち式注射器の前記使用者によって設定及び/又は排出された用量を計算する、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、手持ち式注射器と、それを用いてそのような注射器の使用者によって設定される注射可能物質の用量を捕捉(capture;把握)するため、及び/又はそのような手持ち式注射器から実際に排出及び/又は投与された注射可能物質の用量を決定するための手段及び機器との分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような手持ち式注射器によって投与又は排出される用量を捕捉するシステム及びデバイスの実例は、WO2018136901A1として公開されたPCT特許出願に説明されている。この文献は、注射をどのように実施するかを人々に教授するための教授又は訓練システムで使用するための手持ち式注射器を開示している。システムは、針及びプランジャを備えた皮下注射器を含み、プランジャシャフトは、プランジャシャフトの長手方向軸線に沿って螺旋状若しくは実質的に螺旋状の溝を有する。螺旋状の溝は、約270度、約50mm~約100mmの長さに沿って、換言すれば、360度当たり約76mm、回転するように構成されている。信号処理システムは、注射器本体の近位端部でフィンガラグに実装され、中空軸型センサなどのキー付き回転センサ又はポテンショメータを含む。回転センサは、固定ハウジング及び軸受を有する。軸受は、略D形状の開口を有し、開口は、D形状のプランジャシャフトを摺動可能に受け入れるように構成され、軸受は、プランジャシャフトの直線的前進中にプランジャシャフトの螺旋状の溝に沿って回転し、その間、ハウジングは静止したままである。プランジャが薬剤を送達するために直線移動において針先端に向けて遠位に前進するとき、回転センサは、ハウジングに対する軸受の角度位置をモニタする。回転センサは、回転センサによって測定される螺旋状の溝の回転量に基づいて直線移動の距離を計算する。螺旋状の溝の回転量、即ち、軸受の角度位置は、軸受の回転に起因する回転センサの抵抗の変化に基づいて決定される。
【0003】
本出願人が注目したことは、上で述べられた1つのものなどの既存の技術的解決策のどれもが、例えば、僅かに数~数10ミリリットルの注射可能物質の特に少容量が包含される手持ち式注射器において、使用者によって設定及び/又は排出及び/又は投与される用量を決定することになるときに、十分に使用容易でも、及び/又は、正確でも、及び/又は、単純構成でもないことである。これが著しいのは、例えば、手持ち式皮下注射器の場合であり、これには最大30ミリリットルまでの注射可能物質が包含される。例えば、既に説明された上の技術的解決策は、そのような小容量の手持ち式注射器に対して機能的であると仮定しても、プランジャの形状及び機能の大幅な修正を要求し、デバイスの全体的機能を著しくより複雑にし、プランジャの必要な変更を有効にする目的で全体的に別個の生産及び組立ラインを設けることを要求する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2018/136901(A1)号
【発明の概要】
【0005】
従って本発明の1つの目的は、手持ち式注射器からの注射可能物質の、使用者によって注射用に設定される用量、並びに/或いは、排出及び/又は投与される用量、を捕捉するためのデバイスを提供することであり、既に存する商業的に入手可能な手持ち式注射器の修正を要求しない。
【0006】
従って、本発明の別の目的は、手持ち式注射器からの注射可能物質の、使用者によって設定される、或いは/並びに、前記使用者によって排出及び/又は投与される、そのような用量を捕捉するためのシステム及び/又は方法を提供することである。
【0007】
これら及び他の目的は、本出願の明細書、図面、及び請求の範囲から明らかになるであろう。
【0008】
1つの目的によれば、それ故に提供されるのは、
中央長手方向軸線を規定する長手方向ボアを有し、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、
ボア内に位置して中央長手方向軸線に沿って移動可能であり、近位端を越えて延びる注射器プランジャと、
を有する手持ち式注射器に着脱式に取付け可能であるように構成及び適合されている手持ち式用量捕捉デバイスであり、
着脱式に取付け可能な用量捕捉デバイスは、
細長い本体の中央長手方向軸線に平行に整列する手持ち式注射器の細長い本体の少なくとも外側表面と着脱式に係合するように適合及び構成されている支持本体と、
長手方向軸線に平行なプランジャの並進運動を模写(複製)するように適合及び構成されている変位レプリケータシステムと、
プランジャの近位端を変位レプリケータシステムの近位端と結合するように適合及び構成されている結合手段と、
を有し、
手持ち式用量捕捉デバイスは、少なくとも1つのセンサ及び処理システムを有し、
少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、前記変位レプリケータシステムの前記並進運動を、長手方向軸線に沿ったプランジャの並進運動を通じて使用者によって操作されている注射可能物質の用量の選択及び/又は排出と関連付ける(相関させる)ように適合及び構成されている。
【0009】
上で説明されたような手持ち式注射器は、一般に通商・貿易に見い出され、構造はそれ自体知られている。注目されるべきことは、本出願の本明細書で想定されるようなアドオンデバイスが、そのような商業的に入手可能な手持ち式注射器、例えば、皮下注射器の構造や機能を修正しない、ということである。手持ち式シリンジは、一般にシリンジの本体の中央ボア内に注射可能物質を包含する。しかしながら、本出願によって同じく想定される可能性は、非包装のシリンジが注射可能物質を包含しないこと、そして、使用者がその後にそのような物質を中央長手方向ボアの中に引っ込めること、例えば、プランジャを近位方向に動かすことによってであり、そのとき、注射器本体の遠位端が注射可能物質の供給容器、例えば、バイアル、に接続されているか、或いは、例えば、別個の収納部及び/又は再構成デバイスへの再構成の後である、ということである。この種類の使用は、手持ち式注射器に関連して非常に一般的でもある。
【0010】
手持ち式用量捕捉デバイスは、手持ち式注射器に着脱式に取付け可能であるように構成及び適合される。本出願で見い出され得るような「着脱式に取付け可能」、「着脱式に取着され」、「着脱式に実装され」や他の類似表現によって、理解されるべきことは、意味されることが用量捕捉デバイスが何らかの臨時の仕方で手持ち式注射器に接続してそれの容易な除去を可能にすることであり、いったんそれがそれの目的を充足したとき、或いは例えば、使用者が注射器に包含された注射可能物質を放出したか、そうでなければ消尽したときである、ということである。そのような程度でそれ故に、用量捕捉デバイスは、手持ち式注射器から着脱式及びそれに取付け可能の両方である。
【0011】
着脱式に取付け可能な用量捕捉デバイスは、支持本体を有しており、前記細長い本体の中央長手方向軸線に平行に整列する手持ち式注射器の細長い本体の少なくとも外側表面に着脱式に接続、クリップオン、そうでなければ係合するように適合及び構成されている。
【0012】
1つの目的によれば、用量捕捉デバイスの支持本体は、シリンジの細長い本体の長さに沿った少なくとも1つ又は複数の場所で手持ち式注射器に着脱式に取付け可能である。例えば、支持本体は、1つ又は複数の取り外し可能か、そうでなければ賦活化されたクリップを具備でき、それらは注射器本体の長さに沿った幾つかの場所でシリンジの細長い本体の外側表面のまわりに延び且つそれと係合する。例えば、1つ、2つ、又はそれ以上のクリップは、設けられる場合があり、支持本体から外方に延び、また、注射器本体の外側表面の周辺まわりに延びる。
【0013】
代替的に、更に別の目的によれば、支持本体は、手持ち式注射器の細長い本体の少なくとも外側表面に着脱式に接触するためのクレードル(受け台)を有利に有する。クレードルは、実質的に少なくとも一部、又は実質的に注射器本体の全長に沿って延びてもよいが、一般に注射器本体の長さの一部に沿ってだけ延びるものであり、フィンガラグ及び注射器本体の近位端の位置付けを可能にし、ラグは、注射器本体から外方に突出し、そのような注射器本体の近位端は、注射器本体の残部よりも大きめの直径を一般に有し、それ故に、適切に寸法決めされた曲率半径を有する種々に相応にサイズ決めされたクレードルフォークを要求し、注射器本体の近位端の外側表面の曲率半径を許容するためである。一般に、クレードルは、外方に突出する凹状湾曲壁を備えて構成されており、例えば、注射器本体の外側表面の曲率半径に実質的に一致するか、又は代替的に注射器本体の外側表面よりも僅かに狭めの曲率半径のいずれかであり、クレードル壁は、長手配向の凹み又は溝を形成しており、シリンジの使用期間の間、シリンジの本体を受容及び保持するように形状付けされている。支持本体のクレードル壁は、弾性変形可能材料で有利に作られ、従って、注射器本体がクレードルに対して押圧されると、クレードル壁の弾性変形を介して長手形成溝にスナップ係合又はプッシュ係合する。いったん注射器本体が長手溝内に着座すると、クレードル壁材料の弾性回復は、クレードル壁を強制して、注射器本体の外側表面に係合及び確実保持させる。同様に、シリンジが使われるとき、注射器本体は、再び注射器本体から緩和又は牽引させて支持本体からそれを自由にするために、クレードルの壁を弾性変形させることによって、クレードルから取り外すことができる。
【0014】
更に別の目的によれば、支持本体は、管状本体を有しており、用量捕捉デバイスが手持ち式注射器に実装されているときに、注射器の細長い本体の長手方向軸線と平行に位置する長手方向軸線を規定する長手方向中央ボアを有する。管状本体及びクレードル壁は、任意の適切な手段によって、一方が他方に取着されるが、好ましくは都合よく、クレードル及び管状本体は、全く同じ材料、例えば、射出成形及び/又はブロー成形によって製造される、例えば、適切なプラスチック又はポリマ材料で作られている。そのような適切なポリマ材料は、ポリカーボネート(PC)/アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂混合物にすることができ、そのような樹脂混合物は、ABSコポリマについて知られている高度な変形可能特性を、ポリカーボネートについて知られている優れた機械特性、耐衝撃特性及び耐熱特性と組み合わせている。
【0015】
更に別の目的によれば、管状本体は、手持ち式注射器の細長い本体の長さの少なくとも一部に沿って延びている。好ましくは都合よく、しかるに、管状本体は、注射器本体への実装時には平行に、例えば、クレードルを介して、注射器本体の全長に沿って延び、従って、支持本体及び注射器本体は、同じ長さ、又は実質的に同じ長さを有する。注射器本体が用量捕捉デバイスの支持本体に実装されるとき、注射器本体の長手方向軸線と、支持本体のボアの長手方向軸線とは、平行に整列され、更には互いに離隔される。
【0016】
更なる目的によれば、支持本体は、変位レプリケータシステムの少なくとも一部を受容するように適合及び構成されているマウントを有する。マウントは、以降より詳細に説明されるであろうように、変位レプリケータシステムの少なくとも一部を収容するように寸法決め及び形状付けされる。マウントは、マウント内でのそれを貫く、支持本体の中央長手方向軸線に沿った変位レプリケータの少なくとも一部の運動を可能にするように同じく構成される。そういうことで、マウントは、支持本体のボア内に有利に位置する。
【0017】
この目的のために、更に別の目的によれば、マウントは、固定ナットであり、雌ねじ付きボアを有する。ナットは、管状支持本体のボア内に固定されており、例えば、圧入、接着、付着、又は超音波溶接、或いは、任意の他の適切な固定手段によってであり、回転によるか又は管状支持本体のボアの長さに沿って並進することによるかのいずれかでナットがボア内で動くのを防止する。そういうことで、ナットは、移動ができない。ナットは、内向きの、即ち、ボアの中への対面する表面を有するボアを有し、変位レプリケータシステムとの係合のために構成されたねじ山を具備する。
【0018】
ナットは、低い又は比較的低い摩擦係数を有する材料で有利に作られ、その目的は、変位レプリケータシステムとの摩擦を出来る限り低減することであり、以降より詳細に説明されるとおりであろう。一般に、ナットは、低い摩擦係数と組み合わされた比較的高い程度の硬度を有するプラスチック又はポリマ材料で作られている。ナットについての適切な程度の硬度と摩擦係数の選択は、当業者の一般的な知識の範囲内に入ると考えられる。しかしながら、非限定の例証の実例として、ナット用の適切な材料のうちで、引用され得るものは、Iglidur(登録商標)の名称の下で会社IGUS(フランス)を通して、例えば、それらの範囲のスリーブ軸受から、参照J350の下で識別される、商業的に入手可能に作られたそれらである。
【0019】
上で言及されているように、用量捕捉デバイスは、注射器本体の長手方向軸線と平行なプランジャの並進運動を模写するように適合及び構成されている変位レプリケータシステムを同じく有する。そのようなシステムは、近位方向であろうと遠位方向であろうと、シリンジのプランジャによってもたらされる任意の並進変位を模写するように設計されている。
【0020】
従って、更なる目的では、変位レプリケータシステムは、シャフトの外側表面に位置する雄ねじを有するシャフトを有する。シャフトの雄ねじは、支持本体に設けられたナットの雌ねじと係合及び協働するように構成及び寸法決めされている。シャフトは、任意の適切な材料、例えば、金属又は適切な抵抗性のプラスチック材料で作ることができるが、有利には、シャフトは、金属、好ましくは、ステンレス鋼で作られる。例証の非限定な実例の適切なねじ山付きシャフトは、会社IGUS(フランス)を通して、例えば、dryspin(登録商標)リードスクリュ製品参照の下で、商業的に入手可能である。上のことから理解されるであろうことは、変位レプリケータシステムが、支持本体の長手方向軸線に沿った並進運動と同時に、支持本体の前記軸線のまわりに回転するように同じく構成される、ということである。
【0021】
上のことの結果として、更に別の目的によれば、変位レプリケータシステムのシャフトは、支持本体の管状本体の中央ボア内に少なくとも部分的に収容されている。例えば、用量捕捉デバイスが使用されてシリンジが非充填であるとき、変位レプリケータシステムは、そう構成されており、従って、用量捕捉デバイスが注射器本体に対して又はその逆に最初に実装されると、シャフトは、管状本体のボア内に実質的に又は殆ど完全に収容される。変位レプリケータシステムのシャフトの近位端は、しかるに、管状支持本体の近位端を越えて延びる。代替的に、例えば、用量捕捉デバイスが使用されてシリンジが事前充填されているとき、シャフトは、当初は支持本体の管状本体の中央ボア内に単に部分的に収容されるであろうし、とりわけ、遠位端を含むシャフトの単なる遠位部分は、支持本体の管状本体に収容されるであろう。
【0022】
本発明の別の目的によれば、変位レプリケータシステムは、磁場生成手段を更に有する。磁場を生成するための種々の手段は、知られており、例えば、古典的な磁石、電磁石、及び、混合材料磁石である。そのような磁石は、磁化可能な材料から典型的に作られて、磁気特性又は常磁性特性を有しており、生来的か或いは電気や他のエネルギの流れが前記材料を横断又は影響するかにかかわらず、前記材料に磁場を生成又は誘導する。
適切な材料は、
・フェライト磁石(特に、焼結フェライト磁石であって、例えば、鉄、酸素、及びストロンチウムの結晶性化合物を含む)
・複合材料(熱可塑性樹脂マトリックスと等方性ネオジム-鉄-ボロン粉末からなる)
・複合材料(熱可塑性樹脂マトリックスとストロンチウム系ハードフェライト粉末で作られ、それによって、得られる磁石は等方性、即ち、非配向の、又は、異方性、即ち、配向されたフェライト粒子を包含することがある)
・複合材料(熱硬化性樹脂マトリックスと等方性ネオジム-鉄-ボロン粉末で作られる)
・磁性エラストマ(例えば、高度充填ストロンチウムフェライト粉末を合成ゴム又はPVCと混合し、その後に所望の形状に押出加工又は微細シートにカレンダ加工のいずれかで製造される)
・可撓性カレンダ加工複合材(一般に茶色シートの外観を有し、それの厚さとそれの組成に応じて可撓性が多少ある。これらの複合材は、ゴムのような弾性が決して無く、ショア硬度を有し、範囲が60~65ショアD(ANSI)の傾向がある。そのような複合材は、一般にストロンチウムフェライト粒を充填した合成エラストマから形成される。得られる磁石は、異方性や等方性であることがあり、多様なシートは、一般にカレンダ加工に起因した磁性粒子アライメントを有する)
・積層複合材(一般に軟質鉄-極板を相互積層した上記のような可撓性複合材を含む)
・ネオジム-鉄-ボロン磁石
・アルミニウム-ニッケル-コバルト合金で作られて磁化された鋼
・サマリウムとコバルトの合金、から適切に選択することができる。
【0023】
本発明での使用に適した磁場生成手段の上記リストのうちで、好ましいものは、ネオジム-鉄-ボロン永久磁石、磁性エラストマ、熱可塑性樹脂マトリックスとストロンチウム系ハードフェライト粉末で作られた複合材料、及び、熱硬化性樹脂マトリックスと等方性ネオジム-鉄-ボロン粉末で作られた複合材料、からなるグループから選択されたそれらである。そのような磁石が知られているのは、それらの性能からであって、比較的小さいサイズで寸法決めされ、同時に、比較的高い磁場強度を維持する。
【0024】
磁場生成手段は、任意の適切な一般形状、例えば、円、楕円、又は任意の他の適切な多角形状を含むディスク形状にできるが、単一の磁石は、単一の双極子のみを有利に有する。磁場生成手段は、実質的にディスク形状にできるが、そのようなディスク形状は、磁石を含むこともでき、実質的にディスク中心にオリフィスを有し、リング状又は環状の磁石を形成する。
【0025】
それ故に本発明の別の目的によれば、磁場生成手段は、環状双極子磁石、ディスク形状双極子磁石、又は、少なくとも一対の直径方向に位置するN-S双極子磁石、のうちの少なくとも1つを有する。
【0026】
本発明の1つの有利な目的によれば、磁場生成手段は、2つの直径方向に整列された単一の双極子磁石を有しており、磁石は、前記直径の反対位置で直径を横切って整列される。用語「整列」又は「整列され」は、本明細書で使用されるとき、各磁石の長手方向軸線に沿って整列されている磁石の極を参照している。そのような構成は、例えば、例えば、第1及び第2の端部を有する小ディスク形状、ロッド形状又はシリンダ状磁石の使用を通じて達成でき、第1の極は、実質的に第1の端部に位置し、第2の反対極は、実質的に磁石の第2の端部に位置する。各磁石は、その後に直径の円周上の向かい合う位置に位置され、従って、磁石の極は、磁石の前記長手方向軸線に沿って一方が他方と整列する。各磁石の磁極は、例えば、N-S/S-N配列又はS-N/N-S配列で一方が他方に対して逆転してそれぞれ位置付けすることができるが、好ましくは都合よく、磁極は、反復構成で位置付けされ、磁極は、磁石の長手方向軸線に沿ってN-S/N-S配列又はS-N/S-N配列で整列される。
【0027】
更にまた別の目的によれば、磁場生成手段は、シャフトと同時回転式に固定されて実装されている。換言すると、磁場生成手段は、シャフトが回転するときのそのシャフトと同じ回転方向と同じ程度の回転で、回転する。有利には、磁場生成手段は、シャフトの近位端に又はそれに隣接して、とりわけ、管状支持本体の近位端を越えて近位方向に突出するシャフトの近位端に隣接して、実装される。シャフトの長さは、注射器のプランジャヘッドの最大可能な軸方向運行距離に関して対応して機能的に有効のままであるように寸法決めされ、しかるに、シャフトの短めの長さは、用量捕捉デバイスが近位方向又は遠位方向のプランジャヘッドのより制限的な程度の並進的軸方向運行を測定することを単に意図されるという偶然性のために、予見することもできる。
【0028】
上で言及されているように、磁場生成手段は、シャフトに実装される。シャフトの一部又は全部の磁化の可能性を回避及び/又は制限する目的で、例えば、シャフトが金属で作られているときに、本発明の更に別の目的によれば、磁場生成手段は、本明細書で説明されるように、例えば、ポリカーボネート(PC)/アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂混合物などの適切なプラスチック又はポリマ材料で作られる磁石ホルダ本体を有利に更に有し、磁石ホルダ本体は、少なくとも受容部分を具備しており、1つ又は複数の磁石をシャフトに関する正確な空間配向に受容及び配向するように構成されている。代替的に、シャフトが非金属材料で作られている場合、そのときは1つ又は複数の磁石は、シャフトに直接実装でき、或いは、代替的に、磁石ホルダ本体内に位置させてもよい。好ましくは都合よく、磁石ホルダ本体は、スリーブであり、ボアは、それを貫くシャフトの挿入を可能にするように寸法決めされ、例えば、磁石ホルダ本体の圧入挿入、或いは、接着、付着、又は任意の適切な固定手段、例えば、超音波溶接などの溶接による取着を介してであり、磁石ホルダ本体及びシャフトそれぞれの材料次第である。とりわけ、1つの想定される構成では、磁石ホルダ本体は、2つの直径方向に対向する凹所を有し、個々が単一双極子磁石を受容するように寸法決めされ、磁石は、凹所に位置付けされ、従って、磁極は、磁石ホルダ本体及びシャフトの直径を横切る磁石の磁極軸線を介して整列され、例えば、N-S/N-S又はS-N/S-Nである。代替的に、第1の双極子磁石は、磁石ホルダ本体の第1の凹所に第1の磁極配向で位置付けされ、第2の双極子磁石は、第1の凹所に直径方向に対向する第2の凹所に第2の磁極配向で位置付けされ、第2の磁極配向は、第1の磁極配向の逆であり、例えば、N-S/S-N、又は、S-N/N-Sである。
【0029】
上記から理解されるであろうことは、シャフトが、ナットのねじ山付き表面に対するシャフトのねじ山付き表面の協働を介して、相応に管状本体の外に又は中に、近位方向又は遠位方向のいずれかに動くので、シャフトが管状本体の長手方向軸線まわりの回転を引き起こされるであろう、ということである。シャフトの回転中に、1つ又は複数の磁石と磁石ホルダ本体(有る場合)を含む磁場生成手段は、磁場生成手段及びシャフト間の固定された回転関係に起因して、シャフトと同じ程度に回転するのを同じく引き起こされる。このようにして、1つ又は複数の磁場は、注射器の細長い本体の長手方向軸線に平行に、管状本体の長手方向軸線まわりに生成される。
【0030】
更に別の目的によれば、少なくとも1つのセンサは、磁力計である。そのような磁力計は、GMR、AMR又はTMRセンサとは異なっており、それが磁場強度を直接測定するという点からである。磁力計は、主に2つの方法で磁場を測定し、ベクトル磁力計は、磁場のベクトル成分を測定し、総磁場又はスカラ磁力計は、ベクトル磁場の大きさを測定する。別のタイプの磁力計は、絶対磁力計であり、絶対的な大きさ又はベクトル磁場を測定し、内部較正や磁気センサの知られた物理定数を用いる。相対磁力計は、固定であるが未較正のベースラインに対する大きさ又はベクトル磁場を測定し、バリオメータとも呼ばれ、磁場の変化を測定するために使用される。本発明に係る用量捕捉デバイスでの使用のためのそれ故の好適な磁力計は、超低電力高性能3軸ホール効果磁力計である。磁力計は、2つ又は3つの相互に垂直な又は直交する軸について磁場を測定するように相応に構成される。
【0031】
本発明の別の目的によれば、センサ、例えば、磁力計は、支持本体の中央長手方向軸線に沿って位置する。このようにして、センサは、磁場生成手段によって提供される回転磁場に関して中央に整列されており、多次元、好ましくは、少なくとも2次元、なお更より好ましくは、管状本体の前記中央長手方向軸線まわりの3次元の磁場を形成する。
【0032】
更に別の目的によれば、少なくとも1つのセンサは、加速度計である。そのようなセンサは、当技術分野においてそれ自体知られており、単一や多軸の加速度計を有する。市場に多くの異なったタイプの加速度計が存在するが、本明細書で想定されるような適切な加速度計は、低いgの3軸加速度計である。加速度計は、相対運動の変化を検出及び/又は測定することに責任があり、用量捕捉デバイスの実装されている薬剤送達デバイスの加速度に起因しており、使用者によって保持されるような水平位置から垂直位置、或いは、事前決定及び事前プログラムされた基準位置のセットに関して、合間の任意の位置、のそれである。加速度の相対運動の強度及び周波数は、加速度計から処理システムに伝達されており、使用者が行った操作のタイプを判定するために使用される。とりわけ、加速度計は、用量捕捉デバイスが上に実装されたシリンジの位置配向を検出するように構成されており、注射プライミング位置、シリンジパージ位置、及び、注射排出位置、のうちの少なくとも1つ又は複数から選ばれる。注射プライミング位置は、シリンジが注射のためにプライミングされる位置であり、一般に実質的に水平な位置であり、注射のための注射可能物質の用量は、使用者によって選択されている。注射パージ位置は、注射器本体が任意の残留空気のパージ準備の整っている又はパージ済みである位置であり、一般に実質的に垂直な位置であり、針又は注射器本体の遠位端が上方を指しており、とはいえ、許可は、多くの場合、処理システムによってパージ位置として依然として考えられている垂直から最大角度、例えば、約30度から45度の垂直から最大角度、について行われる。注射排出位置は、注射器本体が実質的に下方配向で指している位置であり、シリンジの遠位端、及び/又は針は、注射可能物質の注射及び/又は排出の部位に向けて下方に面しており、対象者の中又は上への注射可能物質の注射を可能にする。
【0033】
上で言及されているように、用量捕捉デバイスは、少なくとも1つのセンサ、例えば、磁力計及び加速度計を有するが、処理システムも、である。更に別の目的によれば、処理システム及び少なくとも1つのセンサは、一方が他方と通信を行い、処理システムは、少なくとも1つのセンサから受信した信号を処理するように構成されている。本明細書で説明されるような磁気センサのケースでは、磁気センサは、磁場生成手段によって生成された磁場を検出し、測定された磁場変化を処理システムに中継し、その際、磁場生成手段は、管状支持本体の中央長手方向軸線まわりに回転し、それに沿って近位又は遠位のいずれかに移動する。処理システムは、磁場センサから受信した情報を処理するために磁場センサに電気的に接続された少なくとも1つのマイクロコントローラなどの統合制御及びデータ処理ユニットを有する。処理システム及び少なくとも1つのセンサは、電子部品基板に統合されてもよく、例えば、用量捕捉デバイス内の電子部品基板の所望位置に応じて変わるであろう相応の適切な寸法の印刷回路基板などである。統合制御及びデータ処理ユニットは、少なくとも1つのマイクロコントローラを有しており、処理システムの種々の電子部品と磁場センサとの間の全ての電気通信及びシグナリングを取り扱う。少なくとも1つのマイクロコントローラは、メモリ、自律型電源、及び、通信ユニット、のうちの少なくとも1つと電気通信を行う。
【0034】
処理システムは、そのうえ計算の実行に責任があり、磁場生成手段の正確な位置的場所を計算及び決定すること、並びに、自律型電源及び通信手段からの信号を取り扱うこと、を可能にし、後者は、別のローカル又は遠隔データ処理システム、例えば、スマートフォンと任意選択的に通信するように構成される。処理システムは、少なくとも1つのマイクロコントローラを介して、最初の使用時に遠隔的にプログラムでき、或いは、統合制御及びデータ処理ユニットを現在包含する他の電子デバイスと同じように、情報を受信して更新できる。そのような統合制御及びデータ処理ユニットは、それ自体知られており、多くの場合、中央処理ユニット、リアルタイムクロック、1つ又は複数のメモリ記憶システム、及び、任意選択の同様の通信システム若しくはサブシステム、それらに加えて他の所望の構成要素、を統合する。
【0035】
処理システムは、自律型電源、例えば、取り外し可能及び/又は充電可能な電源によって電気的に動力供給される。そのような取り外し可能な自律型電源は、有用に、例えば、リチウムイオン電池にすることができ、それは消耗時に容易に交換でき、或いは、代替的に、充電可能な電池にでき、それは消耗時に充電でき、例えば、用量捕捉デバイスに設けられて充電可能な電池に接続されるUSB充電ポートなどの対応充電ポートを介し、両タイプの電池は、一般に当業者に知られている。
【0036】
通信ユニットは、例えば、Bluetooth通信ユニット、有利には、Bluetooth Low Energy(BLE)回路などの任意の適切な無線周波数送信ユニットにすることができ、データが、適切に装備されたスマートフォンなどの遠隔ターミナルデバイス、遠隔計算システム、又は分散型計算システムへの、及び、そこからの、処理システムから/によってそれぞれ送信/受信されるのを可能にする。
【0037】
上で説明されたような少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、用量捕捉デバイス内に位置する。有利には、センサは、磁場センサであり、磁場生成手段は、変位レプリケータシステムのシャフトまわりに位置し、そのときは少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、管状支持本体の長手方向軸線に沿ってどこかに、有利には、それのいずれかの端部に、位置し、その目的は、処理システムから最も正確な結果を得るためである。従って、少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、1つの有利な構成において、結合手段内に収容できる。代替的な目的に応じて、少なくとも1つのセンサ及び処理手段は、支持本体内に収容できる。
【0038】
結合手段は、以降より詳細に説明されるであろう。結合手段は、注射器プランジャを変位レプリケータシステムに結合するのに役立つ。理想的にはそれ故に、結合手段は、第1の受容部分を有しており、プランジャの近位端に位置するプランジャヘッドの少なくとも一部を受容するように構成及び適合されている。結合手段の受容部分は、プランジャヘッドの少なくとも一部がそれの中に挿入されて受容されるのを可能にするように、にもかかわらず、同時にプランジャヘッドの前記少なくとも一部を取り囲むように、寸法決めされ、従って、結合手段が遠位方向に押圧されるか又は近位方向に牽引されるとき、結合手段は、プランジャヘッドの少なくとも一部を直接移動させる。その程度で、結合手段の受容部分は、係合表面を有しており、プランジャヘッドの前記少なくとも一部にぴったりと囲んで係合して、プランジャヘッドに結合手段の任意の近位又は遠位の動きを伝達する。
【0039】
別の更なる目的によれば、結合手段は、第2の受容部分も有しており、変位手段の近位端の少なくとも一部を受容するように構成及び適合されている。第1の受容部分と同様に、第2の受容部分は、シャフトの近位端を受容及び係合するように寸法決めされ、従って、プランジャヘッドの任意の近位又は遠位の移動は、変位レプリケータシステムのシャフトの近位端に結合手段を介して伝達される。こんな具合に、変位レプリケータシステムの近位端は、プランジャの対応する移動方向に従って近位方向又は遠位方向に動く。本出願の他所で言及されているように、シャフトの遠位又は近位の移動は、磁場生成手段が変位レプリケータシャフトの回転と同じ程度に管状支持本体の中央長手方向軸線まわりに回転するのを引き起こす。
【0040】
追加的に、代替実施例では、磁場センサは、例えば、支持本体の上又は中に、そして、支持本体の長手方向軸線に沿って又はその上に、位置しており、磁場センサに向けた磁石の任意の移動は、測定磁場の強度増加を示すことになり、磁場センサから遠ざかる移動は、測定磁場の強度減少を示すことになろう。
【0041】
有利には、好適実施例では、センサは、任意の所与の回転角度に関して磁場測定を報告するように構成されており、それが意味することは、たとえ磁場生成手段及び磁気センサが一方から他方の一定の長さ距離を維持しても、例えば、センサが結合手段内に位置するとき、そのときは管状支持本体の軸線まわりの磁石の回転数が依然として検出される、ということである。
【0042】
上の相対的な測定値の全ては、こうして処理システムによって処理されており、変位レプリケータシステムによって運行される距離を、プランジャ、プランジャヘッドそれぞれによって運行される距離と相関させるために使用される。プランジャによって運行されるその相関距離は、その後に、処理システムによって、使用者によって選択及び/又は排出される用量に変換される。
【0043】
更に別の目的によれば、結合手段の第2の受容部分は、変位レプリケータシステムの磁場生成手段を受容するように更に構成される。この特徴は、磁場生成手段が第2の受容部分内に受容されるのを可能にする。第2の受容部分は、それ故に、変位レプリケータシャフトの近位端を受容及び係合するためだけでなく、更に別の目的に応じて、磁場生成手段のための十分な空間を提供するように、寸法決めされ、前記第2の受容部分内の支持本体の長手方向軸線まわりの磁場生成手段の自由回転を可能にする。表現「自由回転」が本明細書で意味すると理解されるべきことは、受容部分がサイズ決め、形状付け、及び寸法決めされ、最小の摩擦での前記第2の受容部分内の可能な限り自由な磁場生成手段の回転を可能にする、ということである。磁場生成手段及び結合手段の受容部分の双方のために使用される材料の適切な選択は、所望の結果をもたらすであろう。例えば、本出願の他所で言及されているように、磁場生成手段は、磁石ホルダ本体を有し、その本体は、PC/ABSで作られており、そのときは結合手段の第2の受容部分は、PC/ABSで同様に作られてもよい。
【0044】
従って、上記から理解されるであろうように、更なる目的は、前記結合手段が、
近位方向又は遠位方向の手持ち式注射器のプランジャの並進運動を変位レプリケータ手段に結合する、及び
細長い本体の中央長手方向軸線に平行に整列する変位レプリケータ手段の自由回転を可能にする、
ように構成されていることである。
【0045】
結合手段は、対応する第1及び第2の受容部分を具備する、材料の近位本体、例えば、適切にモールド成形されたPC/ABS材料、として一般に代表されることがある。例えば、結合手段の第1の受容部分は、プランジャヘッドを受容する本体の適切にサイズ決め及び配向されたスロットを貫いて設けられることがあり、前記スロットは、プランジャヘッドの対応する係合表面と協働及び係合する少なくとも1つの係合表面を有する。同様に、結合手段の近位本体は、第2の受容部分を規定する凹所を具備することがあり、前記凹所は、注射器の軸線から離隔され、更にはそれと平行に整列され、従って、変位レプリケータ手段の近位端が前記第2の受容部分に導入されるとき、注射器本体の軸線と、管状支持本体の軸線とは、平行で離隔された整列にある。結合手段本体は、適切な任意選択の分離壁及び突起を具備でき、それらはプランジャヘッド及び磁場生成手段の個々をそれらの第1及び第2の受容部分それぞれ内に包含することが望まれることがある。
【0046】
更にまた、本出願の他所で言及されているように、少なくとも1つのセンサ及び処理システムは、結合手段内に収容される。その目的のために、結合手段は、第3の受容部分を有しており、前記少なくとも1つのセンサ及び処理システムを受容するように構成及び寸法決めされている。第3の受容部分は、典型的には、結合手段の本体の一部として形成されており、例えば、ウエルとしてであり、ベースから近位方向に延びる対応する側壁によって規定され、ウエルは、少なくとも1つのセンサ及びプロセッサシステムを受容し、少なくとも1つのセンサは、管状支持本体の中央長手方向軸線と軸方向に整列して位置付けされる。一般に、第3の受容部分は、第2の受容部分の軸方向及び近位に位置付けされ、従って、磁場生成手段は、回転軸線上で近位及び軸方向に相応に位置する磁場センサのまわりを変位ロケータシャフトと共に回転する。このようにして、たとえ磁場生成手段が磁気センサに対して一定の軸方向距離を維持しても、プランジャヘッドの軸方向近位又は遠位の移動の変化は、磁気センサまわりの磁場生成手段の回転として依然登録できる。
【0047】
本発明の更なる目的では、方法は、手持ち式注射器の使用者によって選択又は排出される用量を捕捉するために提供されており、
中央長手方向軸線を規定する長手方向ボアを有し、近位端及び遠位端を有する細長い本体と、
前記ボア内に位置して前記中央長手方向軸線に沿って移動可能であり、前記近位端を越えて延びる注射器プランジャと、を有し、方法は、
本明細書で説明されるような手持ち式用量捕捉デバイスを手持ち式注射器に取着することであって、前記用量捕捉デバイスの結合手段が、前記結合手段の第1の受容部分においてプランジャの近位端に位置するプランジャヘッドの少なくとも一部を受容する、取着することと、
遠位方向及び/又は近位方向に手持ち式注射器のプランジャヘッドを移動させることと、
変位レプリケータシステムを介してプランジャヘッドの移動を模写することと、
結合手段及び/又は支持本体に位置する少なくとも1つのセンサを介して変位レプリケータシステムの模写移動を検出することと、
使用者によって設定される用量及び/又は放出される用量に対応する捕捉用量を提供するために、少なくとも1つのセンサに接続された処理手段を介して前記検出された模写変位移動を相関させることと、
用量ロギング、遠隔レシーバへの通信、及び、捕捉用量の表示、のうちの1つのために、前記捕捉用量を処理手段内に記憶することと、
を有する。
【0048】
本発明の別の更なる目的によれば、方法は、更に規定されており、
模写移動の検出は、
変位レプリケータシステムによって提供される磁場生成手段の回転によって生成される磁場変化を検知することと、前記磁場変化をプランジャによる移動距離と相関させることと、を有し;
前記相関移動距離から、手持ち式注射器の使用者によって設定及び/又は排出される用量を計算する。
【0049】
本発明は、今から更に詳細に、図面に関連して、1つ又は複数の実施例の例証目的のために、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】手持ち式注射器のための手持ち式用量捕捉デバイスの概略分解斜視図である。
図2】針を備えた注射器に実装された図1の手持ち式用量捕捉デバイスの概略断面図である。
図3図1の用量捕捉デバイスの変位レプリケータシステムの概略断面図である。
図4図1の手持ち式用量捕捉デバイスの結合手段の概略断面図である。
図5A】注射器への実装時の異なった使用段階での図1の手持ち式用量捕捉デバイスの様々な構成要素の相対位置を例証している概略断面図である。
図5B】注射器への実装時の異なった使用段階での図1の手持ち式用量捕捉デバイスの様々な構成要素の相対位置を例証している概略断面図である。
図5C】注射器への実装時の異なった使用段階での図1の手持ち式用量捕捉デバイスの様々な構成要素の相対位置を例証している概略断面図である。
図5D】注射器への実装時の異なった使用段階での図1の手持ち式用量捕捉デバイスの様々な構成要素の相対位置を例証している概略断面図である。
図5E】注射器への実装時の異なった使用段階での図1の手持ち式用量捕捉デバイスの様々な構成要素の相対位置を例証している概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(実例)
図1及び図2、本発明に係る手持ち式用量捕捉デバイス(1)の概略分解斜視図(図1)及び断面図(図2)に転じると、皮下注射器などの手持ち式注射器(2)に着脱式に取着されるように構成されている。皮下注射器(2)は、一般に商業的に入手可能なタイプであり、中央長手方向軸線(5)を規定する長手方向ボア(4)を有する細長い注射器本体(3)であって、近位端(6)及び遠位端(7)を有する細長い本体(3)と、前記ボア(4)の中に位置してその前記中央長手方向軸線(5)に沿って可動である注射器プランジャ(8)であって、細長い本体(3)の近位端(6)を越えて延びる注射器プランジャ(8)と、を有する。プランジャ(8)は、プランジャヘッド(10)によってそれの近位端(9)で終端し、注射器本体(3)は、保護キャップ(12)によってカバーされる皮下注射針(11)又はカニューレによってそれの遠位端(7)で閉鎖される。注射器本体(3)の近位端(6)では、本体は、ラジアル方向外方に突出する環状スカート(13)を具備し、環状壁(14)は、環状スカート(13)の周辺から近位方向に延びてウエル(15)を一緒に規定する。スカート(13)及び環状壁(14)によって規定されるウエル(15)は、ウエル(15)の中にプランジャヘッド(10)を完全に受容できるように寸法決めされてもよく、或いは、代替的に、環状壁の近位端(16)がプランジャヘッドの任意の遠位方向移動のために停止当接体として役立つことができる。
【0052】
用量捕捉デバイス(1)は、前記細長い本体(3)の中央長手方向軸線(5)に平行に整列して、手持ち式注射器(2)の細長い本体(3)の少なくとも外側表面(18)に着脱式に接続、クリップ、又は別な方法で係合するように構成される支持本体(17)を有する。支持本体(17)は、それ故に、図2に例証されたように、注射器本体(3)の長さの実質的に少なくとも一部に沿って延びる手持ち式注射器の細長い本体の少なくとも外側表面に着脱式に接触するためのクレードル(19)を有し、それによって、ラジアル方向外方に突出する環状スカート(13)によって形成されるフィンガラグの位置付けを可能にする。加えて、支持本体(17)は、相応してサイズ決めされたクレードルフォーク(20)を具備しており、それは、注射器本体(3)の環状スカート(13)及び環状壁(14)によって形成される近位に突出する端部の外側表面の曲率半径を受容するために適切な寸法の曲率半径を有する。クレードル(19)は、例えば、支持本体(17)から延びる外方に突出する凹状湾曲壁(21)で構成されており、それは、注射器本体(3)の外側表面(18)の曲率半径に実質的に調和するか、或いは、代替的に、注射器本体(3)の外側表面(18)よりも僅かに狭い曲率半径であるかのいずれかである。クレードル壁(21)は、長手配向の凹み又は溝(22)を形成しており、シリンジの使用期間の間にシリンジ(2)の本体(3)を受容及び保持するために形状付けされる。支持本体(17)のクレードル壁(21)は、弾性変形可能な材料で有利に形成され、従って、注射器本体は、クレードルに対して押圧されると、クレードル壁(21)の弾性変形を介して、長手形成溝(22)の中にスナップ係合又はプッシュ係合する。いったん注射器本体が長手溝(22)内に着座すると、クレードル壁(21)材料の弾性回復は、クレードル(21)を強制して、注射器本体(3)の外側表面に係合及び確実保持させる。同様に、シリンジが使われるとき、注射器本体は、再び注射器本体(3)から緩和又は牽引させて支持本体(17)からそれを自由にするために、クレードル(19)の壁(21)を弾性変形させることによって、クレードルから取り外すことができる。
【0053】
支持本体は、管状本体(23)を更に有し、長手方向中央ボア(24)を有して長手方向軸線(25)を規定しており、それは用量捕捉デバイス(1)が手持ち式注射器(2)に実装されているときに注射器(2)の細長い本体(3)の長手方向軸線(5)に平行に位置する。管状本体(23)及びクレードル壁(21)は、任意の適切な手段によって互いに取着され、例えば、全く同じ材料、例えば、適切なプラスチック材料又はポリマ材料で作られて、例えば、射出成形及び/又はブロー成形によって得られる。クレードル(21)及び管状本体(23)のための適切なポリマ材料は、ポリカーボネート(PC)/アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂混合物であり、そのような樹脂混合物は、ABSコポリマについて知られている高度な変形可能特性を、ポリカーボネートについて知られている優れた機械特性、耐衝撃特性及び耐熱特性と組み合わせている。
【0054】
管状本体(23)は、手持ち式注射器(2)の細長い本体(3)の長さの少なくとも一部に沿って延びている。図2に例証されたように、管状本体は、注射器本体(3)への実装時には平行に、注射器本体(3)の全長に沿って延び、従って、支持本体(17)及び注射器本体(3)は、同じ長さ、又は実質的に同じ長さを有する。注射器本体(3)が用量捕捉デバイスの支持本体(17)に実装されるとき、注射器本体の長手方向軸線(5)と、支持本体(17)のボアの長手方向軸線(25)とは、斯くして平行に整列され、更には互いに離隔される。管状本体(23)のボア(24)は、好ましいのであって義務ではないが、管状本体(17)の材料の壁(27)によってそれの遠位端(26)で閉鎖される。
【0055】
管状本体(23)のボア(24)の近位端(28)は、開放されており、変位レプリケータシステム(30)の少なくとも一部を受容するように寸法決め及び構成されるマウント(29)を含む。本実例では、マウント(29)は、雌ねじ付きナットであり、ボア(24)の近位端(28)でボア(24)内の固定場所に着座する。マウント(29)は、マウント(29)内でのそれを貫く、支持本体(17)の管状本体(23)の中央長手方向軸線(25)に沿った変位レプリケータシステム(30)の少なくとも一部の移動を可能にするように同じく構成される。マウント(29)は、内側スクリュねじ山付きナットによって図面に例示されたように、変位レプリケータシステム(30)の前記一部を受容するために寸法決めされたボア(31)を同じく有する。ナット(29)は、支持本体(17)の管状本体(23)のボア(24)内に固定されており、例えば、圧入、接着、付着、又は超音波溶接、或いは、任意の他の適切な固定手段によってであり、回転によるか又は管状本体(23)のボア(24)の長さに沿って並進することによるかのいずれかでナットがボア(24)内で動くのを防止する。そういうことで、ナット(29)は、移動ができない。ナット(29)の雌ねじは、内向き、即ち、ボア内にあり、変位レプリケータシステム(30)と対応係合するように構成される面に対面している。
【0056】
変位レプリケータシステム(30)は、注射器本体(3)の長手方向軸線(5)と平行なプランジャの並進運動を模写するように適合及び構成されている。そのようなシステム(30)は、近位方向であろうと遠位方向であろうと、シリンジ(3)のプランジャ(8)によってもたらされる任意の並進変位を模写するように設計されている。図1、2及び3に例証されたように、変位レプリケータシステムは、シャフトの外側表面(34)に位置する外側スクリュねじ山(33)を有するシャフト(32)を有する。シャフト(32)の外側スクリュねじ山(33)は、支持本体(17)の管状本体(23)に設けられたナットマウント(29)の雌ねじ(31)と係合及び協働するように構成及び寸法決めされている。シャフト(32)は、任意の適切な材料、例えば、金属又は好適な抵抗性プラスチック材料で作られてもよいが、有利には、シャフトは、金属で、好ましくは、ステンレス鋼で作られる。シャフト(32)は、支持本体(17)の管状本体(23)の中央ボア(24)内に少なくとも部分的に収容される。変位レプリケータシステム(30)は、そう構成されており、従って、図2に示されたように、用量捕捉デバイス(1)が注射器本体(3)に対して又はその逆に最初に実装されると、シャフト(32)は、支持本体(17)の管状本体(23)のボア(24)内に実質的に又は殆ど完全に収容される。変位レプリケータシステム(30)のシャフト(32)の近位端(35)は、管状本体(23)の近位端(28)を越えて延び、他方、シャフト(32)の遠位端(36)は、支持本体(17)の管状本体(23)のボア(24)内に収容され、遠位壁(27)によって管状本体(23)の遠位端(26)を越えて延びるのが防止される。
【0057】
変位レプリケータシステム(30)は、磁場生成手段(37)を更に有し、図に例証されたように、磁場生成手段(37)は、シャフト(32)の近位端に又はそれに隣接して、支持本体(17)の管状本体(23)の近位端(28)を越えて近位方向に突出するシャフト(32)の近位端(35)に、とりわけ隣接して、実装される。シャフト(32)の長さは、注射器(3)のプランジャヘッド(10)の最大可能な軸方向運行距離に関して対応して機能的に有効のままであるように寸法決めされ、しかるに、シャフト(32)の短めの長さは、用量捕捉デバイス(1)が近位方向又は遠位方向のプランジャヘッド(10)のより制限的な程度の並進的軸方向運行を測定することを単に意図されるという偶然性のために、予見することもできる。
【0058】
一般に、磁場生成手段(37)は、本明細書の他所におけるように1つ又は複数の磁石、電磁石、及び/又は、混合材料磁石によって設けられるであろう。図1、2及び3に例証されたように、磁場生成手段は、単一双極子ディスク形状磁石又は棒形状磁石の対(38a、38b)によって代表される。磁石(38a、38b)は、シャフト(32)に実装され、従って、シャフト(32)の回転は、シャフト(32)がナットマウント(29)の内側スクリュねじ山(31)に対するシャフト(32)の内側スクリュねじ山(33)の相互作用を介して近位方向又は遠位方向に移動するので、磁石(38a、38b)がシャフト(32)と共に長手方向軸線(25)のまわりを回転するのを引き起こす。例えば、シャフトが金属で作られているときに、シャフトの一部又は全部の磁化の可能性を回避及び/又は制限する目的で、磁場生成手段(37)は、例えば、ポリカーボネート(PC)/アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂混合物などの適切な成形されたプラスチック又はポリマ材料で作られる磁石ホルダ本体(39)を更に有し、本明細書の他所で説明されたとおりである。磁石ホルダ本体(39)は、少なくとも受容部分(40)を具備しており、磁石又は複数の磁石(38a、38b)をシャフトに関する正確な空間配向に受容及び配向するように構成されている。シャフトが非金属材料で作られている場合、そのときは磁石又は複数の磁石(38a、38b)は、シャフトに直接実装でき、或いは、代替的に、磁石ホルダ本体(40)内に位置させてもよい。図に例証されたように、磁石ホルダ本体(39)は、スリーブであり、ボア(41)は、それを貫くシャフトの挿入を可能にするように寸法決めされ、磁石ホルダ本体(39)の圧入挿入、或いは、接着、付着、又は任意の適切な固定手段、例えば、超音波溶接などの溶接による取着を介してであり、磁石ホルダ本体(39)及びシャフト(32)それぞれの材料次第である。図に例証されたように、磁石ホルダ本体(39)は、受容部分(40)を備えて構成されており、2つの直径方向に対向する凹所(40a、40b)を有し、それらの個々は、単一双極子磁石(38a、38b)を受容するように寸法決めされ、磁石(38a、38b)は、凹所に位置付けされ、従って、磁極は、磁石ホルダ本体(39)及びシャフト(32)の直径を横切る磁石(38a、38b)の磁極軸線を介して整列され、例えば、N-S/N-S磁極整列構成又はS-N/S-N磁極整列構成である。代替的に、第1の双極子磁石(38a)は、磁石ホルダ本体の第1の凹所(40a)に第1の磁極配向で位置付けされ、第2の双極子磁石(38b)は、第1の凹所(40a)に直径方向に対向する第2の凹所(40b)に第2の磁極配向で位置付けされ、第2の磁極配向は、第1の磁極配向の逆であり、例えば、N-S/S-N、又は、S-N/N-Sである。
【0059】
上記から理解されるであろうことは、シャフト(32)が、ナットマウント(29)のねじ山付き表面(31)に対するシャフト(32)のねじ山付き表面(33)の協働を介して、相応に管状本体(23)の外に又は中に、近位方向又は遠位方向のいずれかに動くので、シャフト(32)が管状本体(23)の長手方向軸線(25)まわりの回転を引き起こされるであろう、ということである。シャフトの回転中に、磁石又は複数の磁石(38a、38b)と磁石ホルダ本体(39)を含む磁場生成手段(37)は、磁場生成手段(37)及びシャフト(32)間の固定された回転関係に起因して、シャフト(32)と同じ程度に回転するのを同じく引き起こされる。このようにして、1つ又は複数の磁場は、注射器(2)の細長い本体(3)の長手方向軸線(5)に平行に、管状本体(23)の長手方向軸線(25)まわりに生成される。
【0060】
用量捕捉デバイス(1)は、結合手段(42)を更に有しており、注射器プランジャ(8)を変位レプリケータシステム(30)に結合するのに役立つ。結合手段(42)は、第1の受容部分(43)を有しており、プランジャヘッド(10)の少なくとも一部を受容するように構成及び適合されている。結合手段(42)の第1の受容部分(43)は、プランジャヘッドの少なくとも一部がそれの中に挿入されて受容されるのを可能にするように、にもかかわらず、同時にプランジャヘッドの前記少なくとも一部を取り囲むように、寸法決めされ、従って、結合手段(42)が遠位方向に押圧されるか又は近位方向に牽引されるとき、結合手段(42)は、注射器本体(3)の長手方向軸線(5)に沿ってプランジャヘッド(10)の少なくとも一部を直接移動させる。結合手段(42)の第1の受容部分(43)は、それ故に係合表面(44、45)を有しており、プランジャヘッド(10)の前記少なくとも一部にぴったりと囲んで係合して、プランジャヘッドに結合手段の任意の近位又は遠位の移動を伝達する。例えば、図1及び2に例証されたように、結合手段(42)は、本体(46)、例えば、PC/ABS樹脂混合物などのプラスチック又はポリマ材料の成形本体によって代表されており、近位壁(44)及び遠位壁(45)を有するT形状スロットによって代表される第1の受容部分(43)を有する。近位壁及び遠位壁(44、45)は、第1の受容部分(43)の係合表面を規定し、プランジャヘッド(10)に作用するか又はそれと協働し、そのとき力は、使用者によって結合手段(42)を通して近位方向又は遠位方向のいずれかに及ぼされ、例えば、そのとき使用者は、結合手段を遠位方向又は近位方向にそれぞれ押圧又は牽引する。
【0061】
追加的に、結合手段は、第2の受容部分(46)を同じく有しており、図1、2及び4に例証されたように、シャフト(32)の近位端(35)の少なくとも一部と磁場生成手段(37)を受容するように構成及び適合されている。第2の受容部分(46)は、シャフト(32)の近位端を受容及び係合するように寸法決めされ、従って、プランジャヘッド(10)の任意の近位又は遠位の移動は、変位レプリケータシステム(30)のシャフト(32)の近位端(35)に結合手段(42)を介して伝達される。こんな具合に、変位レプリケータシステム(30)の近位端(35)は、プランジャ(8)の対応する移動方向に従って近位方向又は遠位方向に同じく動く。本出願の他所で言及されているように、シャフトの遠位又は近位の移動は、磁場生成手段(37)が変位レプリケータシャフト(32)の回転と同じ程度に支持本体(17)の管状本体(23)の中央長手方向軸線(25)まわりに回転するのを引き起こす。結合手段(42)の第2の受容部分(46)は、変位レプリケータシステム(30)の磁場生成手段(37)を受容するように更に構成される。第2の受容部分(46)は、それ故に変位レプリケータシャフト(32)の近位端(35)を受容及び係合するように寸法決めされるだけでなく、磁場生成手段(37)のために十分な空間を提供して、第2の受容部分(46)内で支持本体(17)の管状支持体(23)の長手方向軸線(25)まわりに自由に又は実質的に自由に回転させる。表現「自由に回転」又は「実質的に自由に回転」が本明細書で意味すると理解されるべきことは、第2の受容部分(46)がサイズ決め、形状付け、及び寸法決めされ、最小の摩擦での前記第2の受容部分(46)内の可能な限り自由な磁場生成手段(37)の回転を可能にする、ということである。磁場生成手段(37)及び結合手段の受容部分(46)の双方のために使用される材料の適切な選択は、許容可能な結果と機能をもたらすであろう。例えば、本出願の他所で言及されているように、磁場生成手段(37)は、磁石ホルダ本体(39)を有し、その本体は、PC/ABSで作られており、そのときは結合手段の第2の受容部分(46)は、PC/ABSで同様に作られてもよい。
【0062】
図に例証されたように、用量捕捉デバイスは、少なくとも1つのセンサ(47)及び処理システム(48)を更に有し、少なくとも1つのセンサ(47)及び処理システム(49)は、長手方向軸線(5)に沿ったプランジャ(8)の並進運動を通じて使用者によって操作される注射可能物質の選択及び/又は排出に対して、変位レプリケータシステム(30)の並進運動を相関させるように適合及び構成されている。処理システム(48)及び少なくとも1つのセンサ(47)は、例えば、電気的な接続を介して、一方を他方と通信し、処理システム(48)は、少なくとも1つのセンサ(47)から受信した信号を処理するように構成されている。磁気センサ(47)のケースでは、本明細書の他所で既に説明されたように、磁気センサ(47)は、磁場生成手段(37)によって生成された磁場を検出し、測定された磁場変化を処理システム(48)に中継し、その際、磁場生成手段は、管状本体(23)の中央長手方向軸線(25)のまわりに回転、及び/又は、それに沿って近位若しくは遠位のいずれかに移動する。処理システム(48)は、磁場センサ(47)から受信した情報を処理するために磁界センサ(47)に電気的に接続された少なくとも1つのマイクロコントローラなどの統合制御及びデータ処理ユニットを有する。処理システム(48)及び少なくとも1つのセンサ(47)は、図に例証されたように、電子部品基板(52)に統合されてもよく、例えば、用量捕捉デバイス内の電子部品基板(52)の所望位置に応じて変わるであろう相応の適切な寸法の印刷回路基板などである。統合制御及びデータ処理ユニットは、少なくとも1つのマイクロコントローラを有しており、処理システム(48)の種々の電子部品と磁場センサ(47)との間の全ての電気通信及びシグナリングを取り扱う。
【0063】
少なくとも1つのセンサ(47)は、支持本体(17)の管状本体(23)の長手方向軸線(25)に沿って位置する。図1、2、及び4に例証された実例では、センサ(47)及び処理手段(48)は、その中に設けられた第3の受容部分(49)の結合手段(42)内に収容されている。第3の受容部分(49)は、前記少なくとも1つのセンサ(47)及び処理システム(48)を受容するように構成及び寸法決めされている。第3の受容部分(49)は、典型的には、結合手段(42)の本体の一部として形成されており、例えば、ウエル(49)としてであり、例えば、ベース(51)から近位方向に延びる対応する環状側壁(50)によって規定され、ウエル(49)は、少なくとも1つのセンサ(47)及びプロセッサシステム(48)を受容し、少なくとも1つのセンサ(48)は、管状支持本体の中央長手方向軸線と軸方向に整列して位置付けされる。一般に、第3の受容部分は、第2の受容部分の軸方向及び近位に位置付けされ、従って、磁場生成手段は、回転軸線上で近位及び軸方向に相応に位置する磁場センサのまわりを変位ロケータシャフトと共に回転する。このようにして、たとえ磁場生成手段が磁気センサに対して一定の軸方向距離を維持しても、プランジャヘッドの軸方向近位又は遠位の移動の変化は、磁気センサまわりの磁場生成手段の回転として依然登録できる。
【0064】
処理システムは、メモリ、自律型電源(53)、及び通信ユニットのうちの少なくとも1つを更に有し、それによって、少なくとも1つのマイクロコントローラは、これらの構成要素と電気通信を行い、その目的は、一方では自律型電源から電力を受容すること、及び、スマートフォンなどの遠隔レシーバや、他の電気通信ネットワーク、例えば、電話ネットワークを通じて、処理システムから又は処理システムに、データを通信できることである。処理システム(48)は、そのうえ計算の実行に責任があり、磁場生成手段(37)の正確な位置的場所を計算及び決定すること、並びに、自律型電源(53)及び通信手段からの信号を取り扱うこと、を可能にする。処理システム(48)は、少なくとも1つのマイクロコントローラを介して、最初の使用時に遠隔的にプログラムでき、或いは、統合制御及びデータ処理ユニットを現在包含する他の電子デバイスと同じように、情報を受信して更新できる。そのような統合制御及びデータ処理ユニットは、それ自体知られており、多くの場合、中央処理ユニット、リアルタイムクロック、1つ又は複数のメモリ記憶システム、及び、任意選択の同様の通信システム若しくはサブシステム、それらに加えて他の所望の構成要素、を統合する。
【0065】
上で言及されているように、処理システム(48)は、自律型電源(53)、例えば、取り外し可能及び/又は充電可能な電源によって電気的に動力供給される。そのような取り外し可能な自律型電源は、有用に、例えば、リチウムイオン電池にすることができ、それは消耗時に容易に交換でき、或いは、代替的に、充電可能な電池にでき、それは消耗時に充電でき、例えば、用量捕捉デバイス(1)に設けられて充電可能な電池に接続されるUSB充電ポート(54)などの対応充電ポートを介し、両タイプの電池は、一般に当業者に知られている。自律型電源(53)は、図1、2及び4に例証されたように、適切に第3の受容部分(49)のウエルの中に収容又はそれに隣接でき、例えば、電子部品基板の近位の上方に位置する。
【0066】
通信ユニットは、例えば、Bluetooth通信ユニット、有利には、Bluetooth Low Energy(BLE)回路などの任意の適切な無線周波数送信ユニットにすることができ、データが、適切に装備されたスマートフォンなどの遠隔ターミナルデバイス、遠隔計算システム、又は分散型計算システムへの、及び、そこからの、処理システムから/によってそれぞれ送信/受信されるのを可能にし、例えば、電気通信ネットワーク又は任意の他の適切な通信ネットワークインフラストラクチャを介してである。
【0067】
処理システムは、1つの或いは可視又は音声の発生シグナリング手段を更に有していてもよく、それはマイクロコントローラによって制御され、用量捕捉デバイスの外部で聴取及び/又は視察のいずれも可能なアウトプットを有する。例えば、センサ及び処理システムが結合手段(42)に収容されるとき、前記可視又は音声の発生シグナリング手段は、結合手段(42)の本体の出口を具備できる。図4に例証されたように、そのような可視信号出口手段は、ライトガイド(55)によって提供され、例えば、処理システムに含まれる発光ダイオードからの光を用量捕捉デバイス(1)の外部に伝達するためである。ライトガイド(54)は、ウエル(49)の周辺壁(50)又は代替的にウエルキャップ(56)の壁のいずれかに便利に位置でき、それはウエル(49)の近位開口をカバーし、寸法決め及び構成されて、近位ウエル開口を閉鎖し、自律型電源(53)、処理システム(48)及び磁気センサ(47)を囲む。
【0068】
センサ(47)は、管状本体(23)の長手方向軸線(25)と整列されており、磁場生成手段(37)の任意の所与の回転角度に関して磁場測定を報告し、それが意味することは、たとえ磁場生成手段(37)及び磁気センサ(47)が、図に例証されたように、一方から他方の一定の長さ距離を維持しても、そのときは管状支持本体の軸線まわりの磁石の回転数が依然として検出できる、ということである。これらの測定値の全ては、処理システム(48)によって処理されており、変位レプリケータシステムによって運行される距離を、プランジャ、プランジャヘッドそれぞれによって運行される距離と相関させるために使用される。シャフト(32)のねじ山ピッチが、予め知られ、処理システム(48)のメモリに含まれ、処理システム(48)によって実行される対応プログラミングを介して含まれ、変位レプリケータシステム(30)によって運行される並進距離が、近位方向又は遠位方向のいずれかでプランジャヘッド(10)の運行距離に直接相関し、プランジャヘッド(10)によって運行されるその相関距離が、その後に、処理システムによって、使用者によって選択及び/又は排出される用量に変換されるので、毎度、プランジャヘッド(10)は、遠位又は近位のいずれかで移動する。同様に、シリンジが注射可能物質を既に包含していないケースでは、注射可能物質を物質容器、例えば、バイアルから引き出すために、プランジャヘッド(10)を近位方向に移動させることは、変位レプリケータシステムが前記近位移動を模写するのを引き起こして、磁石が長手方向軸線(25)まわりに回転するのを引き起こすであろうし、結合手段(42)に包含される磁気センサによって検出される磁場の変化は、バイアルからシリンジの中に引き出される物質の用量を計算するために、処理システム(48)によって使用されるであろう。プランジャが、注射可能物質を放出するために、反対方向、即ち、遠位方向で賦活化されるとき、磁場の変化は、同じように検出されて、処理システム(48)によって注射可能物質の放出又は排出された用量を計算するために使用されるであろう。計算されたセット、引き出され、又は排出された用量は、その後にデバイスの外部で、通信ユニットを介して、例えば、Bluetooth通信プロトコルを介して、例えば、適切に装備されたスマートフォン又はモバイルデバイスに、或いは、使用者に対して前記捕捉された用量を取り扱う及び/又は表示するためのプログラムコードを実行するリモートサーバに、通信できる。
【0069】
上のことに鑑みて、デバイスの機能の簡単な説明は、図5A~5Eに例証されたように、以下に与えられるであろう。図5Aは、本発明に係る用量捕捉デバイス(1)の描写を概略的に示しており、容量30mlの皮下注射器(2)にクレードル(18)を介して実装されて使用準備が整っている。そのような実例では、シリンジ(2)は、薬剤などの注射可能物質、例えば、糖尿病処置用の注射可能なインスリン生成物を既に包含している。この図では、プランジャヘッド(10)は、結合手段(42)の第1の受容部分(43)の係合表面(44、45)によって保持されている。図5Bでは、シリンジの使用者は、プランジャヘッドを引く、又は動かすことによって、例えば、結合手段(42)を近位方向に引くことによって、プランジャを引き出すことを開始している。図5Bから理解できることは、変位レプリケータシステム(30)、とりわけシャフト(32)が注射器プランジャ(8)の下に今見える、ということである。同じく理解できることは、変位システム(30)のシャフト(32)がシリンジの長手方向軸線(5)と平行に整列している、ということである。使用者は、近位方向に、即ち、概ね結合手段(42)を操縦する手の方に、プランジャヘッド(10)を移動させ続け、或る位置に到達するまでであり、そこでは使用者が、適切な用量の注射可能物質が選択されたことに満足し、例えば、図5Cに例証されたとおりであり、プランジャヘッド(10)の運行の最大近位範囲までである。その間、シャフト(32)は、長手方向軸線(25)まわりに回転するのを引き起こされ、その結果として、磁場生成手段(図示せず)が結合手段(42)の第2の受容部分内で回転するのを引き起こす。磁場生成手段(37)の回転が、磁気センサ(47)によって測定される磁場の変化を引き起こすにつれて、これらの変化は、処理システム(48)に伝えられて、前記変化を、プランジャによって運行される距離と相関させ、それによって、選択された用量を計算できる。所望の体積、即ち、選択された用量の注射可能物質が選択された現在、使用者は、排出及び/又は注射を始めることができる。このステップは、図5Dに例証されており、そこで理解できるのは、或る位置の結合手段(42)及びプランジャヘッド(10)であり、図5Cにおけるそれらのそれぞれの位置に対して遠位にある。結合手段(42)を遠位方向に動かすことは、図5Dに例証されたように、結合手段がプランジャヘッド(10)とシャフト(32)の近位端の双方を同等程度まで押圧するのを引き起こす。シャフト(32)の遠位方向移動は、シャフト(32)が回転することを、それによって、磁場生成手段(37)が長手方向軸線(25)まわりに回転するのを引き起こし、それによって、磁場生成手段は、結合手段の第2の受容部分内で回転する。磁場生成手段(37)の回転は、磁気センサ(47)で測定される磁場の変化を引き起こし、たとえ2つの間の軸方向距離が維持されて一定でもそうである。プランジャヘッドの更なる遠位方向移動は、使用者による結合手段(42)への遠位方向の押圧を介してであり、プランジャヘッド(10)がプランジャを移動させるのを引き起こして、注射可能物質を注射器本体(3)から排出又は放出させる。いったん注射可能物質が放出されたら、図5Eは、本発明の用量捕捉デバイスの更なる位置を示しており、結合手段は、デバイスの使用前におけるそれぞれの構成要素の初期位置に復帰している。プランジャヘッドは、或る種の距離を運行し、それは変位レプリケータシステム(30)によって模写されており、シャフトが支持本体(17)の管状本体(23)内に再収容されるのを引き起こしている。レプリケータシステム(30)では、シャフト(32)は、磁場生成手段(37)が長手方向軸線(25)まわりに回転するのを引き起こし、長手軸方向並進運動が停止するまでであり、それによって、磁場生成手段(37)の軸線(25)まわりの回転移動を停止させる。結果として、プロセッサは、磁気センサ(47)からの情報を処理でき、もはや磁場の変化を検出していない。これから、処理システムがプログラムされてできることは、注射が完了したことを決定すること、そこから注射可能物質の排出された用量を計算すること、放出された捕捉用量をスマートフォンなどの外部レシーバシステムに報告すること、であり、それは処理システムと共に含まれる通信ユニットを介してそのような情報を表示するために対応アプリケーション又はプログラムを実行している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
【国際調査報告】