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特表2023-523840増強された抗ウイルス及び抗微生物効果、並びに低減された毒性を有する、亜塩素酸ナトリウム組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】増強された抗ウイルス及び抗微生物効果、並びに低減された毒性を有する、亜塩素酸ナトリウム組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/20 20060101AFI20230531BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230531BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230531BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230531BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230531BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230531BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61K33/20
A61P27/02
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566449
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021029580
(87)【国際公開番号】W WO2021222368
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,057
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519447330
【氏名又は名称】アイレニックス メディカル,インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】スミス,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャルバーグ,ジュニア.,トーマス ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB24
4C076CC03
4C076DD01
4C076DD26
4C076DD42
4C076FF11
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA24
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
(57)【要約】
微生物性の眼の病状について被験者を処置する方法が提供される。本方法の態様は、被験者に活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を投与することを含み、この組成物は、亜塩素酸ナトリウムと、リン酸ナトリウム一塩基一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む。また、提供される方法は、アデノウイルス又はコロナウイルスなど、組織に関連するウイルスを阻害する方法である。加えて、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を組織に投与するための送達デバイスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物性の眼の病状について被験者を処置する方法であって、
前記微生物性の眼の病状について前記被験者を処置するために、前記被験者に、
(a)亜塩素酸ナトリウムと、
(b)リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を投与すること
を含んでおり、
前記組成物が、3~6の範囲のpHを有し、かつ重金属を実質的に含有しない、
方法。
【請求項2】
前記亜塩素酸ナトリウムが、100~10,000ppmの範囲の量において存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記亜塩素酸ナトリウムが、4,000~6,000ppmの範囲の量において存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、3.3~7.5の範囲のpHを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、3.0~4.5のpHを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、4.5~5.5のpHを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記緩衝液成分が、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、クエン酸、及び水酸化ナトリウムから調製される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記緩衝液成分が、0.05w/v~0.95w/vの範囲の量におけるリン酸ナトリウム一塩基性一水和物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記緩衝液成分が、0.05%w/v~1.5%w/vの範囲の量におけるクエン酸を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物中の重金属の量が、存在する場合、2.0ppm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、400ppm以下の塩素酸イオンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記被験者の眼に前記組成物を投与することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記被験者が、ヒトである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記微生物性の眼の病状が、結膜炎である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記結膜炎が、ウイルス性結膜炎である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ウイルス性結膜炎が、アデノウイルス性結膜炎である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ウイルス性結膜炎が、コロナウイルス性結膜炎である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記結膜炎が、細菌性結膜炎である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記微生物性の眼の病状が、角膜炎である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記角膜炎が、ウイルス性角膜炎である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ウイルス性角膜炎が、ヘルペス性角膜炎である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記角膜炎が、アカントアメーバ性角膜炎である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記角膜炎が、細菌性角膜炎である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記角膜炎が、ブドウ球菌辺縁角膜炎である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記角膜炎が、真菌性角膜炎である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記微生物性の眼の病状が、角結膜炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記微生物性の眼の病状が、眼瞼炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
前記眼瞼炎が、ブドウ球菌性眼瞼炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記眼瞼炎が、モラクセラ眼瞼炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記眼瞼炎が、毛嚢虫眼瞼炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記微生物性の眼の病状が、新生児結膜炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項33】
前記微生物性の眼の病状が、任意の微生物性の眼の病状によって悪化したドライアイ症候群である、請求項14に記載の方法。
【請求項34】
生体被験者の組織に関連するアデノウイルスを阻害する方法であって、
前記組織に関連するアデノウイルスを阻害するために、前記組織を、
(a)亜塩素酸ナトリウムと、
(b)リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物と接触させること
を含んでおり、
前記組成物が、3~6の範囲のpHを有し、かつ重金属を実質的に含有しない、
方法。
【請求項35】
前記亜塩素酸ナトリウムが、100~10,000ppmの範囲の量において存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記亜塩素酸ナトリウムが、4,000~6,000ppmの範囲の量において存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、3.0~7.5の範囲のpHを有する、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、3.3~4.5のpHを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、4.5~5.5のpHを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記緩衝液成分が、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、クエン酸、及び水酸化ナトリウムから調製される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記緩衝液成分が、0.05w/v~0.95w/vの範囲の量におけるリン酸ナトリウム一塩基性一水和物を含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記緩衝液成分が、0.05%w/v~1.5%w/vの範囲の量におけるクエン酸を含む、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物中の重金属の量が、存在する場合、2.0ppm以下である、請求項34~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、400ppm以下の塩素酸イオンを含む、請求項34~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記組織が、眼組織であり、前記方法が、前記被験者の眼に前記組成物を投与することを含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、アデノウイルス関連病状について前記被験者を処置する方法である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記アデノウイルス関連病状が、アデノウイルス結膜炎である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アデノウイルス関連病状が、流行性角結膜炎である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記被験者が、ヒトである、請求項34~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が、アデノウイルス感染症の発症を防止するために予防的に使用される、請求項34~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
生体被験者の組織に関連するコロナウイルスを阻害する方法であって、
前記組織に関連するコロナウイルスを阻害するために、前記組織を、
(a)亜塩素酸ナトリウムと、
(b)リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物と接触させること
を含んでおり、
前記組成物が、3~6の範囲のpHを有し、かつ重金属を実質的に含有しない、
方法。
【請求項53】
前記亜塩素酸ナトリウムが、50~10,000ppmの範囲の量において存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記亜塩素酸ナトリウムが、4,000~6,000ppmの範囲の量において存在する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が、3.0~7.5の範囲のpHを有する、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が、3.3~4.5のpHを有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が、4.5~5.5のpHを有する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記緩衝液成分が、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、クエン酸、及び水酸化ナトリウムから調製される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記緩衝液成分が、0.05w/v~0.95w/vの範囲の量のリン酸ナトリウム一塩基性一水和物を含む、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記緩衝液成分が、0.05%w/v~1.5%w/vの範囲の量のクエン酸を含む、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物中の重金属の量が、存在する場合、2.0ppm以下である、請求項52~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物が、400ppm以下の塩素酸イオンを含む、請求項52~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項52~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項52~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、コロナウイルス関連病状について前記被験者を処置する方法である、請求項52~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、コロナウイルス関連病状について防止する方法である、請求項52~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記組織が、眼組織であり、前記方法が、前記被験者の眼に前記組成物を投与することを含む、請求項52~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、コロナウイルス性結膜炎について被験者を処置する方法である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記組織が、肺組織であり、前記方法が、前記組成物の肺投与を含む、請求項52~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記方法が、COVID19について被験者を処置する方法である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記被験者が、ヒトである、請求項52~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
送達デバイスであって、
(a)亜塩素酸ナトリウム原液を含む第1の容器と、
(b)活性化緩衝液を含む第2の容器と
を備えており、
活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を生成するために前記亜塩素酸ナトリウム原液及び活性化緩衝液を組み合わせて、前記活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を被験者に投与するように構成されている、
送達デバイス。
【請求項73】
前記亜塩素酸ナトリウム原液が、1~3%の亜塩素酸ナトリウムを含む、請求項72に記載の送達デバイス。
【請求項74】
前記亜塩素酸ナトリウム原液が、2%の亜塩素酸ナトリウムを含む、請求項73に記載の送達デバイス。
【請求項75】
前記亜塩素酸ナトリウム原液が、重金属を実質的に含有しない、請求項72~74のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項76】
前記亜塩素酸ナトリウム原液における前記重金属の量が、存在する場合、2.0ppm以下である、請求項75に記載の送達デバイス。
【請求項77】
活性化緩衝液が、リン酸ナトリウム一塩基一水和物及びクエン酸から調製されている、請求項72~76のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項78】
前記活性化緩衝液が、0.05w/v~0.95w/vの範囲の量におけるリン酸ナトリウム一塩基性一水和物を含む、請求項77に記載の送達デバイス。
【請求項79】
前記活性化緩衝液が、0.05w/v~1.5w/v%の範囲の量におけるクエン酸を含む、請求項77及び78のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項80】
前記活性化緩衝液が、リン酸ナトリウム一塩基一水和物、クエン酸、及び水酸化ナトリウムから調製される、請求項77~79のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項81】
前記亜塩素酸ナトリウム原液及び活性化緩衝液のうちの少なくとも1つが、界面活性剤を更に含む、請求項72~80のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項82】
前記亜塩素酸ナトリウム原液及び活性化緩衝液が、それぞれ、前記第1及び第2の容器内に無菌的に導入される、請求項72~81のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項83】
前記亜塩素酸ナトリウム原液及び活性化緩衝液が、それぞれ、前記第1及び第2の容器内に無菌的に導入されず、前記第1及び第2の容器が、最終的に滅菌される、請求項72~81のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項84】
前記第1及び第2の容器が、電子線最終滅菌で最終的に滅菌される、請求項83に記載の送達デバイス。
【請求項85】
前記第1及び第2の容器が、2~70kGyの範囲の線量で電子線最終滅菌で最終的に滅菌される、請求項84に記載の送達デバイス。
【請求項86】
前記亜塩素酸ナトリウム原液が、不透明なバリアによってUV分解から保護される、請求項72~85のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【請求項87】
前記亜塩素酸ナトリウム原液が、二次箔包装によってUV分解から保護される、請求項72~86のいずれか一項に記載の送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
眼感染症は、世界的に罹患率及び死亡率の重要な原因である。特に、ウイルス性結膜炎は、非常に一般的であり、極めて伝染性がある。米国におけるプライマリケア受診者の最大1~2%がウイルス性結膜炎の二次的なものであると推定されており、この感染症の診断及び処置の費用は、4億ドルを超えると推定されている。
【0002】
しかしながら、これらの感染症の更に大きなコストは、生産性の低下に反映される。ウイルス性結膜炎は、頻繁に子どもを冒し、彼らを保育所又は学校から引き出す必要があり、その結果、両親又は介護者に休暇を取らせる必要がある。
【0003】
今日までのところ、ウイルス性結膜炎に対する有効な処置はなく、これは、依然として眼科における満たされていない重要なニーズである。加えて、眼及び非眼感染症をもたらす他の多数の病原体が存在する。これらの処置は、狭いスペクトル処置、及び既知の処置に耐性であるか、又は耐性となる新興株によって頻繁に制限されている。
【0004】
国内及び国際的に重要な別の問題は、2019年に中国で発生し、その後2020年に世界中に広がったSARS-CoV-2感染を含む、世界規模で国民に感染する可能性がある新たな感染症である。
【0005】
既存の感染症及びまだ生じていない感染症に対する効果的な処置戦略を開発することは、最優先であり、本明細書に開示される組成物は、優れた安全性データと結合した抗ウイルスの特性を含む極めて広範な抗菌剤を有する。
【発明の概要】
【0006】
微生物性の眼の病状について被験者を処置する方法が提供される。本方法の態様は、被験者に活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を投与することを含み、この組成物は、亜塩素酸ナトリウムと、リン酸ナトリウム一塩基一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む。また、アデノウイルス又はコロナウイルスなど、組織に関連するウイルスを阻害する方法も提供される。加えて、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を組織に投与するための送達デバイスが提供される。
【0007】
本明細書に開示される実施態様は、組織を消毒するための消毒薬組成物を含み、本組成物は、亜塩素酸ナトリウムを含む。亜塩素酸ナトリウムは、約5ppm~約20,000ppm、例えば、100ppm~10,000ppm、例えば、4,000ppm~6,000ppmの量とすることができる。亜塩素酸ナトリウムは、5以下又は最大約10のpHを有する緩衝液において活性化することができる。組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。界面活性剤は、0.015w/v%~約1.0w/v%の量の非イオン性界面活性剤とすることができる。非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、又はポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)のうちの1つ以上とすることができる。組成物は、抗菌剤、抗真菌、抗ウイルス、及び抗寄生虫活性を有することができる。組成物は、水溶液、乳剤(水中油又は油中水)、ローション、クリーム、軟膏、膏薬、ゲル、滴下剤、泡沫、粉末、チンキ剤、及び固形物を含む形態とすることができる。組成物は、点眼剤、洗眼剤、拭眼剤、又は眼浴の形態とすることができる。組成物は、皮膚適用のための溶液、懸濁液、ゲル、綿棒、又は浴の形態とすることができる。消毒された組織は、皮膚、眼、創傷、又は切開を含むことができる。消毒された組織は、皮膚、皮膚粘膜、粘膜、鼻咽頭、肺、瞼、眉毛、頬、角膜、結膜、又は眼瞼窩を含むことができる。
【0008】
相互に関連する態様では、開示されることは、組織の消毒のための医薬品の調製のための組成物の使用である。組成物は、緩衝液において活性化された亜塩素酸ナトリウムを含む。亜塩素酸ナトリウムは、約5ppm~約20,000ppm、例えば、100ppm~10,000ppm、例えば、4,000ppm~6,000ppmの量とすることができる。亜塩素酸ナトリウムは、PURITE(登録商標)2%亜塩素酸ナトリウム原液を含み得る。緩衝液は、5以下又は最大約10以下であるpHを有することができる。緩衝液は、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物0.25%w/v、クエン酸一水和物0.35%w/v、及び水を含むことができる。組み合わされた亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液組成物は、3.2~4.4、又は約4など、3.0~4.5の間のpHを有することができる。緩衝液は、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物0.83%w/v、クエン酸一水和物0.17%w/v、水酸化ナトリウム1N0.092%w/v、及び水を含むことができる。組み合わされた亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液組成物は、4.2~5.5、又は約5のpHを有することができる。そのため、組み合わされた亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液組成物、すなわち、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物は、3.3~7.5の間、例えば、3.0~4.5、3.2~4.4、若しくは約4、又は他の実施例では、4.5~5.5、若しくは約5のpHを有することができる。組成物は、抗菌、抗真菌、抗ウイルス、及び抗寄生虫活性を有することができる。組成物は、水溶液、乳剤(水中油又は油中水)、ローション、クリーム、軟膏、膏薬、ゲル、滴下剤、泡沫、粉末、チンキ剤、及び固形物を含む形態とすることができる。組成物は、点眼剤、洗眼剤、拭眼剤、又は眼浴の形態とすることができる。組成物は、皮膚適用のための溶液、懸濁液、ゲル、綿棒、又は浴の形態とすることができる。消毒された組織は、皮膚、眼、創傷、又は切開を含むことができる。消毒された組織は、皮膚、皮膚粘膜、粘膜、鼻咽頭、肺、瞼、眉毛、頬、角膜、結膜、又は眼瞼窩を含むことができる。
【0009】
相互に関連する態様では、開示されることは、緩衝液において活性化された亜塩素酸ナトリウムを含む消毒薬組成物を局所的に適用することを含む組織を処置する方法である。亜塩素酸ナトリウムは、約5ppm~約20,000ppm、例えば、100ppm~10,000ppm、及び4,000~6,000ppmを含む量とすることができる。亜塩素酸ナトリウムは、5以下であるpHを有する緩衝液において活性化することができる。亜塩素酸ナトリウムは、最大約10であるpHを有する緩衝液において活性化することができる。消毒薬組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。界面活性剤は、0.015w/v%~約1.0w/v%の量の非イオン性界面活性剤とすることができる。非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、又はポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)のうちの1つ以上を含むことができる。組成物は、抗菌剤、抗真菌、抗ウイルス、及び抗寄生虫活性を有することができる。消毒薬組成物は、水溶液、乳剤(水中油又は油中水)、ローション、クリーム、軟膏、膏薬、ゲル、滴下剤、泡沫、粉末、チンキ剤、及び固形物の形態とすることができる。組成物は、点眼剤、洗眼剤、拭眼剤、又は眼浴の形態とすることができる。組成物は、皮膚適用のための溶液、懸濁液、ゲル、綿棒、又は浴の形態とすることができる。消毒された組織は、皮膚、眼、創傷、又は切開を含むことができる。消毒された組織は、皮膚、皮膚粘膜、粘膜、鼻咽頭、肺、瞼、眉毛、頬、角膜、結膜、又は眼瞼窩を含むことができる。
【0010】
相互に関連する態様では、開示されことは、眼組織を消毒するための眼科的に許容される局所組成物である。組成物は、約5ppm~約20,000ppm、例えば、100ppm~10,000ppm、及び4,000ppm~6,000ppmを含む量の亜塩素酸ナトリウムと、約0.015w/v~約1.0w/vの量の界面活性剤と、少なくとも1つの緩衝液とを含む。界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとすることができる。組成物は、約8000ppmの亜塩素酸ナトリウムと、約0.5w/vのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートと、約0.83w/vのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物と、約0.17w/vのクエン酸一水和物と、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムと、水とを含むことができ、組成物は、約5のpHを有することができる。組成物は、約8000ppmの亜塩素酸ナトリウムと、約0.5%w/vのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートと、約0.25%w/vのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物と、約0.35%w/vのクエン酸一水和物と、水とを含むことができ、組成物は、約4のpHを有することができる。組成物は、約8000ppmの亜塩素酸ナトリウムと、約0.5w/vのポリオキシエチレンラウリルエーテルと、約0.83w/vのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物と、約0.17w/vのクエン酸一水和物と、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムと、水とを含むことができ、組成物は、約5のpHを有することができる。組成物は、約8000ppmの亜塩素酸ナトリウムと、約0.5%w/vのポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)と、約0.83%w/vのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物と、約0.17%w/vのクエン酸一水和物と、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムと、水とを含むことができ、組成物は、約5のpHを有することができる。少なくとも1つの緩衝液は、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、又はホウ酸塩緩衝液とすることができる。組成物は、7以下のpHを有することができる。
【0011】
相互に関連する態様では、開示されることは、亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液を含む消毒薬組成物で眼組織を処置するための方法である。処置することは、患者の眼に組成物を局所的に適用することを含むことができる。組成物を眼に局所的に適用することは、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ性角膜炎、毛嚢虫感染、眼瞼及び眼瞼縁感染症、コロナウイルス感染症、及び辺縁ブドウ球菌を含む、眼感染症の発症前、発症中、及び/又は発症後に組成物を局所的に適用することを含むことができる。処置は、眼感染症の期間中、又は感染症の発症を防止するために、30分毎に頻繁に組成物の局所的適用を含むことができる。処置は、任意の微生物感染症(ウイルス、真菌、細菌、寄生虫、原生動物、アメーバなど)を含む眼感染症の発症に対する予防としての組成物の使用を含むことができる。
【0012】
相互に関連する態様では、開示されることは、亜塩素酸ナトリウム及び界面活性剤を含むか又は含まない緩衝液を含む組成物で、皮膚、粘膜皮膚、及び粘膜組織を処置するための方法である。皮膚を含む任意の組織型に組成物を局所的に適用することは、感染症の発生前、発生中、及び/又は発生後に組成物を適用することを含むことができる。処置は、感染症の期間中、又は感染症の発症を防止するために、30分毎に頻繁に組成物の局所的適用を含むことができる。処置は、ゲル又はクリームなどの徐放性製剤において、徐放性抗菌剤(本明細書内で定義される)を適用することができる。
【0013】
相互に関連する態様では、開示されることは、亜塩素酸ナトリウム及び界面活性剤を含む組成物の眼での使用である。亜塩素酸ナトリウムは、約800ppm~約8000ppmの量とすることができる。界面活性剤は、約0.015%w/v~約1.0%w/vの量とすることができる。組成物は、5以下のpHを有する少なくとも1つの緩衝液を更に含むことができる。組成物は、眼組織に局所的に適用することができる。組成物は、眼の外科的手技の前、中、及び/又は後に、眼組織に局所的に適用することができる。
【0014】
相互に関連する態様では、開示されることは、亜塩素酸ナトリウム及び界面活性剤を含むか又は含まない緩衝液を含む組成物で、肺組織を含む呼吸経路を処置するための方法である。呼吸経路を処置するために、組成物は、肺送達を介して、例えば、噴霧器又は吸入器を介して送達され得、処置は、離散投与で、又は持続的な期間にわたって送達され得る。いくつかの実施形態では、組成物の噴霧形態は、呼吸組織を滅菌するために使用され得る。
【0015】
他の特徴及び利点は、開示された組成物及び方法の原理を、例として例解する、様々な実施形態の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の態様は、添付の図面と併せて読むときに、以下の詳細な記載から最良に理解され得る。図面に含まれるものは、以下の図である。
【0017】
図1】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図2】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図3】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図4A】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図4B】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図4C】特定の実施形態によるシールを描写する。
図4D】特定の実施形態によるシールを描写する。
図4E】特定の実施形態による仕切りを描写する。
図4F】特定の実施形態による仕切りを描写する。
図4G】特定の実施形態による仕切りを描写する。
図5】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図6】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図7A】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図7B】特定の実施形態による送達デバイスを描写する。
図8】亜塩素酸ナトリウム電子線試験のグラフィック表現を描写する。
図9】亜塩素酸ナトリウム電子線試験のパラメータ及び結果を提供する。
図10】実験的に試験された条件の表形式で提示する。
図11】IRX-101/ビヒクルの濃度に対する未感染細胞生存率を示す。
図12】RX101又はビヒクルのいずれかを用いたAdv-5の濃度に対する細胞生存率を示す。
図13A】未感染細胞生存率について収集された生データを描写する。
図13B】感染細胞生存率について収集された生データを描写する。
図14】前処理されたヒトアデノウイルス-5に感染したHeLa細胞の代表的な画像を提供する。
図15】1XDMEMを希釈剤として用いたプラーク低減アッセイの結果を描写する。
図16】1XPBSを希釈剤として用いたプラーク低減アッセイの結果を描写する。
図17】本発明の特定の実施形態による組成物に曝露されたウイルスにおけるPFU/mLの低減率を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
眼及び全身感染症、特にウイルス性結膜炎、眼瞼炎、ドライアイ症候群、乾性角結膜炎、細菌性結膜炎、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ性角膜炎、SARS-CoV-2などの改善された処置が必要である。二酸化塩素は、強力な抗菌剤であることが知られているが、臨床での使用は、分子内の固有の不安定性によって制限されている。本明細書に開示されるものは、次いで、眼及び非眼感染症を防止及び処置するために使用することができる、安定した二酸化塩素の放出を促進する亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液の組成物である。
【0019】
微生物性の眼の病状について被験者を処置する方法が提供される。本方法の態様は、被験者に活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を投与することを含み、この組成物は、亜塩素酸ナトリウムと、リン酸ナトリウム一塩基一水和物及びクエン酸から調製される緩衝液成分とを含む。また、提供されることは、アデノウイルス又はコロナウイルスなど、組織に関連するウイルスを阻害する方法である。加えて、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物を組織に投与するための送達デバイスが提供される。
【0020】
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら様々であり得ることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0021】
値の範囲が提供される場合、文脈上特に明確な指示がない限り、下限の1/10の単位まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその記載範囲内の任意の他の記載値又は介在値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に個別に含まれ得、また、記載された範囲内で特に除外された制限を条件として、本発明の範囲に包含される。記載範囲が限界のうちの1つ又は両方を含む場合、それらの含まれた限界のいずれか又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0022】
特定の範囲は、本明細書では、「約」という用語が数値の前に付されて提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが前に付された正確な数、及びその用語が前に付された数に近い、又は近似する数に対する文言上のサポートを提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近い又は近似するか否かを判定する際に、列挙されていない近い又は近似の数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な均等物を提供する数であり得る。
【0023】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料も本発明の実施又は試験に使用することができるが、代表的な例解的な方法及び材料をここに記載する。
【0024】
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が具体的かつ個別に参照により援用することが示されているように参照により本明細書に援用し、刊行物がそれに関連して引用されている方法及び/又は材料を開示及び説明するために参照により本明細書に援用する。いかなる刊行物の引用も、出願日前のその開示のためであり、本発明が先行発明によるかかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意選択的な要素を除外するために作成される場合があることに更に留意されたい。そのため、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「唯一」、「のみ」などの排他的な専門用語の使用のため、又は「否定的」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことを意図されている。
【0026】
本開示を読めば当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例解される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、任意の他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離、又はそれと組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序で、又は論理的に可能である任意の他の順序で実施することができる。
【0027】
装置及び方法は、機能的な説明を伴う文法的流動性のために説明されているが、米国特許法第112条の下で明示的に定式化されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」又は「ステップ」の制限の構築によって必ずしも制限されているとは解釈されないが、等価物の司法学説の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を与えられ、特許請求の範囲が米国特許法第112条の下で明示的に定式化されている場合には、米国特許法第112条の下で完全な法定等価物を与えられることを明示的に理解されたい。
【0028】
上記で要約されたように、本発明の態様は、微生物性の眼の病状のために被験者を処置することを含む。様々な微生物性の眼の病状は、本明細書に開示される組成物を使用して処置され得る。そのような病状の実施例は、以下に検討されている。
【0029】
アデノウイルス性結膜炎
アデノウイルスは、ウイルス性結膜炎に頻繁に関与しているが、多くの他のウイルスタイプが結膜炎を引き起こすことが指摘されている。複数のウイルス性結膜炎の臨床試験は、いくつかの理由で失敗している。1つ目は、根本的な病因を確認するための迅速な検査が信頼できないという事実である。アデノウイルスの迅速な診断試験の陽性予測値が低いため、臨床試験の設計及び実施は、非常に困難である。具体的には、ウイルス性結膜炎の患者を正しく識別し、処置後に感染が除去されたことを示すために検査することは困難である。2つ目の難点は、ウイルス性結膜炎の発生の散発的な性質に関連しており、臨床試験の設定及び実施は、困難である。最後に、ウイルスは、悪名高く処置が困難であり、抗ウイルス薬は、現在のところ成功していない。
【0030】
アデノウイルスの血清型は、サブグループA~Fに50種類より多くある。症状は、軽度の眼充血及び濾胞性結膜炎から、結膜と角膜との両方を伴う重度の感染症(角結膜炎)まで様々である。流行性角結膜炎(EKC)は、偽膜、上皮下角膜浸潤、及び角膜びらんの存在下で、重度の眼症状をもたらす可能性がある。咽頭結膜炎は、発熱、のどの痛み、頭痛を含む全身症状を伴うアデノウイルス性結膜炎を指す。ウイルス性結膜炎は、極めて伝染性があり、呼吸器又は眼の分泌物、汚染された物体(マスカラブラシ、点眼ボトル、ドアハンドル)、更には汚染されたプールを介して伝搬される可能性がある。
【0031】
以前の研究は、ウイルス性結膜炎を処置するための様々な療法が調査されてきた。これらには、ポビドンヨード(PI)を含む様々な消毒薬の研究が含まれている。ポビドンヨードがEKCの処置に役立ち得るという逸話的な証拠があるが、この薬には非常に大きな制限、著しい眼毒性を有する。ポビドンヨードは、眼への滴下時に重度の痛みを引き起こし、角膜上皮毒性をもたらす。これを患者の処置として使用するためには、PIを適用する前に局所リドカインを適用するために患者が診察室に来る必要がある。これは、特に感染症を有する小児患者の割合が高いことを考えると、広範囲に使用することは不可能である。本明細書に記載される組成物は、最小限から眼毒性を引き起こさないという利点を有し、局所的適用後に良好な耐容性を有する。
【0032】
本明細書に開示される組成物は、アデノウイルス性結膜炎及びEKCを含むウイルス性結膜炎を効果的に処置するために使用することができる。本明細書に開示される溶液の忍容性のために、それらは、眼洗浄と同頻度の投与、又は30分毎の投与を含む、患者への投与に好適である。本明細書に開示される組成物は、精製亜塩素酸ナトリウム及び界面活性剤を伴う又は伴わない緩衝液と、緩衝液又は精製亜塩素酸ナトリウムのいずれかと共製剤化されたデキサメタゾン又はプレドニゾロンなどのステロイドなどの併用薬物を含むことができる。組成物は、単回投与、続いて残留点眼剤の廃棄に役立つ複数の無菌単回使用バイアル又はブローフィルシール容器として送達することができる。本明細書に記載される組成物は、2つの容器で提供することができ、混合の1時間以内に使用する指示と共に、使用の直前に混合することができる。
【0033】
コロナウイルス性結膜炎
2020年初頭、SARS-CoV-2患者における眼病変の報告が出始めた。3月下旬、JAMA Ophthalmologyに掲載された報告書によると、38人の被験者のコホートの31.6%の患者が眼感染の兆候を示していた。これらの兆候は、結膜過剰血症、化学症、表皮、及び分泌物の増加を含む。加えて、2名の被験者は、涙からSARS-CoV-2が単離されており、著者らは、SARS-CoV-2が眼経路を介して伝搬される可能性があると結論付けた。COVID-19に関しては、2020年1月に武漢発熱診療所で発生した感染症について、無防備な眼への曝露が原因と考えられた2-4。Colavitaらは、イタリアで最初のCOVID-19患者の所見を報告した。彼女は、結膜炎を呈し、眼綿棒は、4週間にわたってほぼ毎日取得され、SARS-CoV-2の複製を数週間にわたって実証した。眼試料は、Vero細胞に接種され、接種5日後に細胞障害性効果が認められた。興味深いことに、眼涙試料は、鼻咽頭綿棒よりも長い複製ウイルスを示し続け、ウイルス数は、眼症状が解消した約1週間後の27日目に再び検出可能であり、持続的な結膜複製を示唆した。
【0034】
これらの研究の重要性は、明らかであり、SARS-CoV-2は、眼に感染し、症状がない場合でも眼分泌物に存在することができることを実証している。これは、疾患伝播の別の形態を提示し、感染のより広範な拡散につながることになる。これは、患者のケアには患者との密接な接触及び眼の検査が含まれる、眼科及び視力検査のような専門分野において特に重要である。実際、初期の報告では、眼科医は、救急治療室及び救急医療の医師と共に、感染症を発症する可能性が最も高い医療提供者の1人であることが示唆されている。報告書は、眼科医が眼の保護具を着用することの重要性を強調しているが、この機器は、常に利用可能であるわけではなく、多くの場合、眼科検査機器では機能しない。例えば、フェイスシールドは、前網膜を検査するための重要な器具である間接眼鏡の使用を妨げる。
【0035】
本明細書に記載される組成物は、眼の適用後に十分に耐容性があり、したがって、眼コロナウイルス感染を効果的に防止するため、又は活動性感染を処置するために使用することができる。それらは、患者を含む他者とのやり取りの前又は直後に医療提供者によって使用することができ、他者とのやり取りの直前又は直後に人々によって使用することができる。例えば、組成物は、検査の前に眼表面を効果的に滅菌するために、医師への訪問の直前に活性化され、眼に適用することができる。別の実施形態では、組成物は、眼表面の無菌性を維持し、眼分泌物の曝露に続く疾患の伝播の可能性を低減するために、既知のコロナウイルス感染症を有する患者によって使用することができる。別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、SARS-CoV-2結膜炎を含む眼の活性型コロナウイルス感染症を処置するために使用することができる。処置は、眼表面の洗浄、又は5分毎に頻繁に、若しくは単回使用としてまれに適用される点眼剤を含み得る。
【0036】
眼瞼炎処置
眼瞼炎は、最も一般的な眼疾患の1つであり、米国だけで数百万人の患者に影響を及ぼす。眼瞼炎は、多因子性障害であり、感染性の病因がこの疾患に関与している。毛嚢虫感染は、慢性眼瞼炎患者の最大30%に認められている。恥骨フソウイルスは、また、眼瞼炎を引き起こす可能性がある。ブドウ球菌種の眼瞼炎は、細菌毒素からの眼及び瞼への直接的な刺激、又は黄色ブドウ球菌及び関連種に対する細胞媒介性免疫の増強のいずれかによって引き起こされると感じられる。眼瞼縁の細菌の侵入は、多くの研究に関与している。単純ヘルペスウイルス及び伝染性軟体動物感染症は、また、眼瞼炎をもたらす可能性がある。モラクセラは、また、慢性的な角眼瞼結膜炎につながる可能性がある。連鎖球菌種、HSV、及びVZVは、また、皮膚眼瞼炎をもたらす可能性がある。
【0037】
本明細書に開示される組成物は、眼瞼炎の細菌性又は他の抗菌性の一因を効果的に処置するために使用することができる。本明細書に記載される組成物は、点眼剤、軟膏、綿棒、瞼洗浄液、膏薬などが挙げられるが、これらに限定されない、本明細書に記載される任意の形式を介して適用することができる。ブドウ球菌辺縁角膜炎は、細菌感染によっても引き起こされ、本明細書に記載される組成物は、有効な処置として使用することができる。フリクテンは、また、感染性病巣を有し、本明細書に記載される組成物によって処置することができる。本組成物は、ドライアイ及び眼瞼炎の一因となる抗菌剤及び寄生虫の侵入を低減するために、市販の眼洗浄液又は処方薬として使用するために製剤化することができる。
【0038】
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎は、非EKCウイルス性結膜炎よりも強力な臨床像をもたらす傾向がある。頻繁に関与する種は、クラミジア・トラコマチス、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌属、淋菌、インフルエンザ血友病、及びモラクセラ属を含む。
【0039】
新生児結膜炎
新生児結膜炎は、重度の結膜炎に頻繁に現れ、肺炎にもつながる可能性がある。細菌の原因は、クラミジア・トラコマチス(最も一般的)、淋菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、連鎖球菌属、クレブシエラ、プロテウス、エンテロバクター、セラチア、及びアイケ・ネラを含む。ウイルス性の原因は、単純ヘルペスウイルスを含む。本明細書に記載される組成物は、優れた安全性プロファイルを有する広範な抗菌剤特性を有し、新生児結膜感染症のリスクを低減するために、出生直後の乳児のために予防的に使用することができる。本明細書に記載される組成物は、また、新生児結膜炎を処置するために継続的に使用することができる。
【0040】
細菌性角膜炎
細菌性角膜炎、又は角膜潰瘍は、眼の罹患の頻度が高い原因である。これらは、一過性の感染症から、角膜を溶かし、視力の低下及び眼の喪失をもたらす、凶悪な疾患まで様々であり得る。多くの異なる微生物は、感染を引き起こし得、例えば、ナイセリア、コリネバクテリウム、赤痢菌、ヘモフィルス・アエギュプトゥス、リステリア・モノサイトゲネス、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸内グラム陰性桿菌及びグラム陽性桿菌、並びに偽桿菌が挙げられるが、これらに限定されない。多剤耐性微生物の発育は、これらの感染症の処置における特定の処置をもたらし、重度の感染症は、容易に入手できず、高価であり、処置の著しい遅延をもたらす複合抗生物質による処置を頻繁に必要とする。細菌性角膜炎についての広域処置は、微生物の抗生物質又は抗感染性耐性の発達が欠如しているため、部分的に有用である。
【0041】
本明細書に記載される組成物は、眼表面、瞼、瞼の縁、及びまつ毛に適用され、バイオフィルム及び皮膚をうまく浸透させ、基礎となる細菌のコロニー形成を処置することができ、健康な瞼組織の機能を改善し、より自然な涙液フィルム組成物を回復することを可能にする。本明細書に記載されるいかなる剤型も、点眼剤、膏薬、軟膏、瞼洗浄、綿先適用器などを含む、この適応症のために利用することができる。
【0042】
アカントアメーバ性角膜炎(AK)
AKは、患者について永久的な視力喪失を頻繁にもたらす、まれな、非常に強力な寄生虫感染症である。それは、コンタクトレンズ装着者に頻繁に見られ、診断が困難であり、処置が更に困難である。アカントアメーバは、嚢胞及び栄養体の両方として存在し、プール、ホットタブ、水道水、シャワー水、及びコンタクトレンズ溶液に存在することができる自由生息アメーバである。AKは、臨床検査とは比例しない痛みによって特徴付けられる。FDAが承認した処置はなく、疾患の進行を遅らせるために多種多様な療法が使用されている。ほとんどの場合、効果的な処置の欠如のため、患者は、頻繁に角膜融解に進行し、角膜移植を必要とする。場合によっては、感染は、二次性眼内炎及び眼の喪失(眼球除去)をもたらす。本明細書に記載される組成物は、AKを処置するために使用することができる。
【0043】
真菌性角膜炎
真菌性角膜炎は、視覚に破壊的な影響を及ぼす可能性がある眼の感染症である。真菌性眼感染症は、カビ(隔壁菌類及び非隔壁菌類の両方)、並びにカンジダ及びクリプトコッカスのような酵母によって引き起こされる。関係する種は、フサリウム属、アスペルギルス属、及びカンジダ・アルビカンスを含むが、これらに限定されない。現在の処置は、コスト、利用可能性、及び処置の狭い範囲によって制限される。真菌性角膜炎の広域処置を開発することは、患者にとってかなりの臨床的価値がある。本明細書に記載される組成物は、真菌性角膜炎を処置するために使用することができ、低い眼毒性で広いスペクトルであるという利点を有する。
【0044】
組成物
本明細書に記載されるものは、緩衝液中で活性化された亜塩素酸ナトリウムを含有する組成物、すなわち活性化された亜塩素酸ナトリウム組成物である。消毒薬組成物は、ポビドンヨード眼科用溶液と比較して、より少ない眼刺激及び毒性を有する抗菌剤活性、特に眼組織に抗菌剤活性を提供する。いくつかの実施態様では、活性化亜塩素酸ナトリウムを含有する組成物は、界面活性剤を含み、ポビドンヨード眼科用溶液に関連する眼刺激及び毒性を伴わない急速発症抗微生物剤として、ポビドンヨード(Betadine(登録商標))よりも最大50,000倍有効である。いくつかの実施態様では、亜塩素酸ナトリウムは、濃度≧10ppmの亜塩素酸ナトリウムで製剤化され、pH≦8の緩衝液で活性化され、0.05%~1.0%の範囲の濃度で非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート-80又はPS-80)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij-35)、又はPluronicF-127)を含む。PS-80を有する亜塩素酸ナトリウム組成物の抗微生物効果は、他の非イオン性界面活性剤を有する亜塩素酸ナトリウム組成物に対する予想外の効果を示した。
【0045】
本明細書で使用される「消毒薬」は、その抗菌剤活性のために生体組織で使用され得る物質を指すために使用され得る。本明細書で使用される「抗菌剤」は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生虫などを含むがこれらに限定されない、病原体の生殖を殺す又は阻害する物質を指すために使用され得る。
【0046】
本明細書で使用される「感染」は、病原体による生物の体組織の侵入、身体組織における侵入病原体の任意の増殖、及び/又はそのような侵入によって引き起こされる任意の毒素又は反応(免疫反応を含む)を指すために使用され得る。病原体は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生虫などを含み得る。感染は、眼、耳、鼻腔、頬、気管若しくは肺などの感染部位、手、指、足、及びつま先を含む皮膚部位、膣及び尿道を含む泌尿器生殖器、膀胱、前立腺、切開、擦過傷、裂傷、ろう管、圧力痛、潰瘍、蜂巣炎、膿疹、水虫、疣などにおいて発生し得る。
【0047】
本明細書で使用される「亜塩素酸ナトリウム」は、「安定化二酸化塩素」を指し、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の水溶液であるPurite(登録商標)(AGN-238749-Z)として市販されている。本明細書で企図される安定化された二酸化塩素を含有する様々な実施態様は、全ての形態の亜塩素酸ナトリウム塩又は溶液、並びにナトリウムを含有しない他の亜塩素酸塩及び/又は亜塩素酸塩溶液(例えば、限定されないが、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛)を含む。場合によっては、亜塩素酸ナトリウムは、実質的に重金属を含まず、例えば、2.0ppm以下の重金属を有する。場合によっては、亜塩素酸ナトリウムは、400ppm以下、例えば、200ppm以下の塩素酸イオンを含む300ppm以下など、塩素酸イオンをほとんど有さない。
【0048】
本明細書で使用される「亜塩素酸ナトリウム」又は「精製亜塩素酸ナトリウム」は、2.0ppm未満の重金属、400ppm未満の塩素酸イオン、2.10~2.30%w/vの滴定可能ClO、8.0~9.0のpH、及びD.I.水に対してブランクの400nmでの0.10A.U.未満のスペクトル分析を含むことができる。いくつかの実施形態では、重金属は、100ppm未満、例えば、0.01ppm~200ppmを含むことができる。いくつかの実施形態では、塩素酸イオンは、2000ppm未満、例えば、1ppm~200ppmを含むことができる。いくつかの実施形態では、滴定可能なClOは、0.01%~20%w/v、例えば、0.1%w/v~4.5%w/vの範囲である。いくつかの実施形態では、pHは、5.0~10.0、例えば、7.0~8.5の範囲である。
【0049】
二酸化塩素(ClO)は、緩衝液で活性化すると、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)から生成することができる。亜塩素酸ナトリウム(NaClO)からの二酸化塩素の生成は、以下の式によって表すことができる。
5NaClO+5H→[HClO]→4ClO+2HO+HCl+5Na
【0050】
亜塩素酸ナトリウムは、pH2、pH3、pH4、又はpH5などのpH5以下の緩衝液で活性化することができる。pH5.0活性化緩衝液の存在下での亜塩素酸ナトリウムは、約0.1%の二酸化塩素を提供する。pH4.0活性化緩衝液の存在下での亜塩素酸ナトリウムは、約1.0%の二酸化塩素(又は10倍のpH5.0)を提供する。亜塩素酸ナトリウム濃度は、本明細書では、ppm(百万分率)で記載され得る。亜塩素酸ナトリウムの供給源は、典型的には2.0%原液として提供されるPurite(登録商標)とすることができ、この割合は、原液中の亜塩素酸ナトリウムから生成される潜在的な二酸化塩素の割合を指す。以下の表1は、%Purite(登録商標)の変換についての説明を提供し、Purite(登録商標)の%w/v又はppmは、Purite(登録商標)に含有される亜塩素酸ナトリウムの活性化時に達成される潜在的な二酸化塩素濃度を表す。亜塩素酸ナトリウムの%w/v(ppm)は、亜塩素酸ナトリウムの二酸化塩素への化学量論的変換(収率80%)を想定する。
【0051】
【表1】
【0052】
いくつかの実施態様では、組成物は、少なくとも約0.08w/v%亜塩素酸ナトリウム又は約800ppmの亜塩素酸ナトリウム(最大約2.2w/v%亜塩素酸ナトリウム又は約22,000ppmの亜塩素酸ナトリウム)を含有する。他の実施態様では、組成物中の亜塩素酸ナトリウム濃度は、0.08%w/v、0.085%w/v、0.09%w/v、0.095%w/v、0.10%w/v、0.15%w/v、0.30%w/v、0.35%w/v、0.40%w/v、0.45%w/v、0.50%w/v、0.55%w/v、0.60%w/v、0.65%w/v、0.70%w/v、0.75%w/v、0.80%w/v、及び0.85%w/vを含み、全て、本明細書に記載される実施態様と併せて使用され得る。
【0053】
いくつかの実施態様では、組成物は、少なくとも約0.005%w/vPurite(登録商標)又は約50ppmのPurite(登録商標)~約0.5%w/vPurite(登録商標)又は約5000ppmのPurite(登録商標)を含有し、%w/v又はppmは、Purite(登録商標)中の亜塩素酸ナトリウムの活性化時の潜在的な二酸化塩素を表す。他の実施態様では、組成物中のPurite(登録商標)濃度は、0.05%w/v、0.055%w/v、0.06%w/v、0.065%w/v、0.07%w/v、0.075%w/v、0.08%w/v、0.085%w/v、0.09%w/v、0.095%w/v、0.10%w/v、0.15%w/v、0.20%w/v、0.25%w/v、0.30%w/v、0.35%w/v、0.40%w/v、0.45%w/v、0.50%w/vを含み、全て、本明細書に記載される実施態様と併せて使用され得る。
【0054】
いくつかの実施態様では、亜塩素酸ナトリウムは、1つ以上の活性化緩衝液によって活性化される。本明細書で考慮される緩衝液の実施例は、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、乳酸塩緩衝液、NaOH/トロラミン緩衝液、又はリン酸塩及びクエン酸塩若しくはホウ酸塩及びクエン酸塩などのそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、緩衝液は、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物及びクエン酸一水和物である(表2を参照)。他の実施態様では、緩衝液は、ホウ酸ナトリウム十水和物である。酸又は塩基、例えば、HCl及びNaOHは、必要に応じてpHを調整するために使用され得る。活性化緩衝液は、pH2、pH3、pH4、pH5、pH6、又はpH7を有することができる。他の実施態様では、活性化緩衝液のpHは、pH5以下とすることができる。他の実施態様では、活性化緩衝液のpHは、最大約pH7.6とすることができる。使用される緩衝液の量は、様々であり得る。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約1nM~約100mMの範囲の濃度を有し得る。
【0055】
【表2】
【0056】
組成物は、界面活性剤などの1つ以上の共溶解剤を更に含むことができる。界面活性剤は、様々であり得、表面活性であるか、又はミセルを形成することができる任意の化合物を含み得る。界面活性剤は、賦形剤又は活性薬剤の溶解の補助、組成物中の固体又は液体の分散、湿潤の増強、点眼剤サイズの変更、乳剤の安定化、又はいくつかの他の目的のために使用され得る。界面活性剤の実施例は、アルコール、例えば、ポリビニルアルコール、アミンオキシド、ブロックポリマー、カルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレート、カルボン酸/脂肪酸、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アリールフェノール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸、脂肪酸エステル又は油(動物及び獣)、脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエトキシレート、グリセロールエステル、グリコールエステル、ラノリン系誘導体、レシチン及びレシチン誘導体、リグニン及びリグニン誘導体、メチルエステル、モノグリセリド及び誘導体、ポリエチレングリコール、Soluplus(登録商標)(BASF由来)などの高分量界面活性剤、プロポキシル化及びエトキシル化脂肪酸、アルコール、又はアルキルフェノール、界面活性剤、サルコスルビトール誘導体、サンビトール誘導体、及びグリセロース誘導体、及びサポニンを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート(CAS番号70142-34-6、BASFからSOLUTOL HS 15(登録商標)として入手可能)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(CAS番号9003-11-6、BASFからPLURONIC(登録商標)F-68として入手可能)、ポリオキシエチレン40ステアリン酸(POE40ステアリン酸)、ポリソルベート80又はポリオキシエチレンモノオレエート(80)(CAS番号9005-65-6)、ソルビタンモノステアレート(CAS番号1338-41-6、Croda International PLCからSPANTM 60として入手可能)、又はポリオキシエチレングリセロルトリシノールトリシノレエート35(CAS番号61791-12-6、BASFからCREMOPHOR EL(登録商標)として入手可能)、エトキシル化キャストール油、例えば、Cremophor EL(CAS番号61791-12-6)などを含み得る。好適な共溶解剤は、ポビドン、及びアクリレート(例えば、PEMULEN(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施態様では、界面活性剤は、Sigma-Aldrichから入手可能なTween(登録商標)80などのCAS番号9005-65-6によって表されるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート-80)を含むことができる非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施態様では、非イオン性界面活性剤は、Sigma-Aldrichから入手可能なBrij(登録商標)35などのCAS番号9002-92-0で表されるポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。いくつかの実施態様では、非イオン性界面活性剤ポリオールは、BASF SEから入手可能なPluronic(商標)F-127などのCAS番号9003-11-6によって表されるポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)を含む。他の非イオン性界面活性剤は、エトキシレート、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、特殊なエトキシル化脂肪酸エステル及び油、エトキシル化アミン及び/又は脂肪酸アミド、末端ブロックエトキシレート、ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、Tweens、スクロースの脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、アミンオキシド、スルホキシド、ホスフィンオキシドを含むが、これらに限定されず、本明細書で考慮される。
【0058】
組成物中に組み込まれる界面活性剤は、クラスによって限定されず、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない、様々なクラスの界面活性剤が組み込まれることを理解されたい。また、界面活性剤の組み合わせを含むことができることも理解されたい。
【0059】
界面活性剤の量は、様々であり得る。いくつかの実施態様では、界面活性剤は、約0.05重量/v%~約5.0重量/v%、0.05重量/v%~約0.5重量/vv%の濃度で使用することができる。いくつかの好ましい濃度の界面活性剤は、0.04%w/v、0.045%w/v、0.05%w/v、0.055%w/v、0.06%w/v、0.065%w/v、0.07%w/v、0.075%w/v、0.08%w/v、0.085%w/v、0.09%w/v、0.095%w/v、0.10%w/v、0.15%w/v、0.20%w/v、0.25%w/v、0.30%w/v、0.35%w/v、0.40%w/v、0.45%w/v、0.50%w/v、0.55%w/v、0.60%w/v、0.65%w/v、0.70%w/v、0.75%w/v、0.80%w/v、0.85%w/v、0.90%w/v、0.95%w/v、1.0%w/v、1.5%w/v、2.0%w/v、2.5%w/v、3.0%w/v、3.5%w/v、4.0%w/v、4.5%w/v、5.0%w/vを含み、本明細書に記載される全ての実施態様と併せて使用され得る。
【0060】
いくつかの実施態様では、組成物は、pH5以下を有する活性化緩衝液中で活性化された800ppm以上の亜塩素酸ナトリウムを含むことができ、約0.25%~約0.5%の濃度でポリソルベート80を添加することができる。表3は、ポリソルベート80(PS80)を含有する亜塩素酸ナトリウムの種々の組成物を提供する。
【0061】
【表3】
【0062】
いくつかの実施態様では、活性化亜塩素酸ナトリウム組成物は、溶液、例えば、生理食塩水を主要ビヒクルとして使用する溶液の形態で調製され得る。溶液は、適切な緩衝システムで快適なpHに維持され得る。製剤は、また、慣習的に、薬学的に許容される保存剤、安定剤、及び界面活性剤を含有し得る。いくつかの実施態様では、組成物は、眼科的に許容される液体又は溶液として製剤化される。
【0063】
ある特定の液体組成物は、浸透圧剤を含み得る。浸透圧剤は、様々であり得、液体の浸透圧を調節するために有用な任意の化合物又は物質を含み得る。実施例は、塩、特に塩化ナトリウム又は塩化カリウム、プロピレングリコール、マンニトール、又はグリセリンなどの有機化合物、又は任意の他の好適な浸透圧調整剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、塩化ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含み得る。浸透圧剤の量は、等張液体、高張液体、又は低張液体が所望されるか否かに応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、上に列挙されるものなどの浸透圧剤の量は、少なくとも約0.0001重量/重量%~約1%w/w、約2%w/w、又は約5%w/wであり得る。
【0064】
上記で述べられるように、亜塩素酸ナトリウムは、眼、皮膚、又は他の標的処置領域に適用される最終組成物の製剤化の前に、二酸化塩素を生成する緩衝液中で活性化することができる。いくつかの実施態様では、活性化緩衝液は、より低いpH溶液に好適と考えられるクエン酸塩又はリン酸塩緩衝液とすることができる。他の実施態様では、活性化緩衝液は、より高いpH溶液(例えば、pH7の範囲内)に好適と考えられるホウ酸塩緩衝液とすることができる。クエン酸塩及びリン酸塩活性化緩衝液は、これらの比較的低いpH溶液から最終眼科用溶液の所望の最終等張性を達成するために十分なものとすることができる。対照的に、ホウ酸塩緩衝液は、所望の最終等張性を達成するために、グリセロールなどの追加の浸透圧剤を含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、追加の共可溶化剤は、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35、シクロデキストリン、又はそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の組成物は、抗酸化物質を含み得る。抗酸化物質は、様々であり得、組成物中に存在する任意の化合物の酸化を低減するために有用な任意の化合物又は物質を含み得る。実施例は、クエン酸塩、L-カルノシン、オレイン酸、及び亜鉛を含むが、これらに限定されない。ある特定の組成物は、キレート剤を含み得る。キレート剤は、様々であり得、金属をキレート化することができる任意の化合物又は物質を含み得る。有用なキレート剤は、エデタート二ナトリウムであるが、他のキレート剤も、それと組み合わせて使用され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の粘度増強剤を含み得る。例えば、粘度増強剤は、ポリカルボフィルなどの架橋又は非架橋のいずれかのアクリル酸又はアクリレートポリマー、例えば、CARBOPOL(登録商標)(B.F.Goodrich,Cleveland,OH)及びCARBOPOL 980(登録商標)を含み得る。これらのポリマーは、水に溶解し得、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、又は他のアミン塩基などの塩基で中和すると、透明又はわずかに濁ったゲルを形成し得る。他の市販の増粘剤とは、HYPAN(登録商標)(Kingston Technologies, Dayton, NJ)、NATROSOL(登録商標)(Aqualon,Wilmington,DE)、KLUCEL(登録商標)(Aqualon,Wilmington,DE)、又はSTABILEZE(登録商標)(ISP Technologies,Wayne,NJ)を含み得る。KLUCEL(登録商標)は、水中に分散され得、完全な水和時に均一なゲルを形成し得るセルロースポリマーである。他の有用なゲル化ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースガム、MVA/MAコポリマー、MVE/MAデカジエンクロスポリマー、PVM/MAコポリマーなどを含み得る。
【0067】
いくつかの実施態様では、組成物は、点眼剤、洗浄、綿棒、又は浴として適用されるように構成された水溶液の形態を採る。他の好適な形態は、乳剤(水中油又は油中水)、ローション、クリーム、軟膏、膏薬、ゲル、滴下、発泡体、粉末、チンキ剤、固形物などである。組成物は、眼、皮膚、粘膜、切開部位、創傷位置、又は他の処置部位などの部位を含み得る体表面に局所的に投与されるように構成されている。
【0068】
いくつかの実施態様では、組成物は、最終組成物が使用前にエンドユーザーによって一緒に混合されるキットの一部として提供することができる。例えば、第1の製剤化部分(例えば、所望の濃度に混合された界面活性剤、張力剤などの1つ以上の他の賦形剤を伴うか、又は伴わない緩衝液)は、第1の容器に提供することができ、第2の製剤化部分(例えば、亜塩素酸ナトリウム原液)は、第2の容器に提供することができる。2つの製剤化部分は、最終組成物(例えば、1:1、1:2、1:3、2:3、1:5、1:4、又は他の混合)を形成するために、一緒に混合することができる。2つの部分は、分注する前に混合することができる。
【0069】
本明細書に記載される組成物は、無菌的に、又は清潔な環境で充填することができる。無菌室、ISO5標準室などで満たされていない場合は、適切に低いバイオ負荷を検証するために最終滅菌を行うことができる。任意の最終滅菌の方法は、オートクレーブ、ガンマ線、エチレンオキシド滅菌法、電子線滅菌法などを含ンで、使用することができる。最終滅菌の最中の塩素酸ナトリウムの安定性を促進するために、生成物を20℃~-80℃の範囲の温度まで冷却することができ、凍結中に電子線、ガンマ線、又は他の手段によって最終滅菌を行うことができる。1~100kGyの放射線線量は、本明細書に記載される組成物を滅菌するために使用することができる。
【0070】
本明細書に記載される組成物は、関連する眼毒性を有しないポビドンヨード(すなわち、Betadine(登録商標))と比較して、増強された殺菌効果を有することができる。したがって、本明細書に記載される組成物は、ポビドンヨードが抗微生物殺菌においてより高い効果で、眼組織に対する毒性をほとんど又はまったく伴わずに、現在使用されている方法と同様に使用することができる。本明細書に記載される組成物は、感染を引き起こすことができる病原体に曝露する前に、又は感染の確立前に、予防的に使用することができる。いくつかの実施態様では、組成物は、外科的手技のために処置部位を消毒及び調製するために十分な単一の、1回限りの適用として処置部位に投与することができる。別の実施形態では、組成物は、手技又は手術の1週間~30分前、例えば1~8時間前、及び再び手技又は手術の直前に適用することができる。本明細書に記載される組成物は、全ての眼科手技、例えば、硝子体内、角膜内、強膜下、テノン亜目、家族内、網膜下、微小侵襲性緑内障手技、縫合糸除去、又は結膜下注射、並びに白内障及びレンズ手術、小梁切除術、硝子体切除術、強膜バックル、緑内障チューブシャント手術、翼状体除去、角膜移植、眼瞼及び眼窩手術、再生及び美容顔面手術、眼科腫瘍手術、虹彩手術、脈絡膜及び網膜下手術、斜視手術、眼外傷手術などを含む全ての眼科手術を含むがこれらに限定されない、眼内注射、硝子体内、角膜内、強膜内、テノン亜目、網膜下手術、斜視手術、眼外傷手術などを含む、全ての眼科手術のための抗菌剤調製物として有用である。したがって、組成物は、瞼、眉毛、頬、角膜、結膜、腓骨窩などに使用するための点眼剤、洗眼剤、拭眼剤、又は眼浴として製剤化することができる。
【0071】
組成物は、眼適用のために構成されているとして本明細書に記載されているが、そのように限定されるべきではない。本明細書に記載される組成物は、眼、耳、皮膚、爪、粘膜、又は粘膜を含む様々な身体表面に局所的に適用することができる。本明細書に記載される組成物は、滅菌外科部位の調製を必要とする全ての非眼科外科的手技を含む全ての外科的手技のための術前部位滅菌準備として使用することができる。組成物は、溶液、膏薬、軟膏、又は適用スティックとして適用することができ、乾燥の前又は直後に使用されるように設計され、適用後24時間まで残留効果がある。組成物は、堅牢な殺菌が所望される手術の前にバイオフィルムが細菌を提示することができる適用、例えば、インプラントを位置付ける前に消毒薬で洗い流される組織内にポケットを作成することによって特徴付けられるインプラント手術(例えば、乳房インプラント手術、インプラントを用いた整形外科手術、婦人科外科インプラント手術、インプラントを用いた脳神経外科手術又は脊椎手術)を含む、非眼皮膚適用に有用であり得る。
【0072】
本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、防止剤として好適であり得るが、実施態様は、そのように限定されないことに留意されたい。組成物は、本出願の他の箇所で記載されているような蜂巣炎のような活動性皮膚感染症を含む、活動性眼及び非眼感染症の処置として具体的に想定されている。組成物は、既存の感染又は非感染の創傷又は外科的切開部位(例えば、眼又は非眼部位)の処置(例えば、浄化)のために使用することができる。組成物は、処置部位に少なくとも1日1回投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、噴霧の投与形態として、連続的に送達され得る。他の実施形態では、組成物は、1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回、処置部位に適用され得る。他の実施形態では、組成物は、1日に最大100回適用され得る。別の実施形態では、組成物は、四六時中15分毎に、又は15分毎と24時間毎との間の間隔で適用され得る。本明細書に記載される実施態様は、ヒトの処置についてだけでなく、獣医学的な状況でも使用可能であり得る。
【0073】
以下の表4~表7は、眼組織のための眼科的に許容される局所消毒薬であり、皮膚組織のためにも許容される、本明細書で考慮される組成物の様々な実施例を列挙する。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
以下の表8は、眼組織のための眼科的に許容される局所消毒薬である、本明細書で考慮される組成物の様々な実施例を列挙する。
【0079】
【表8-1】
【0080】
【表8-2】
【0081】
【表8-3】
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物のいずれかは、例えば、肺投与を介して鼻咽頭組織、気管組織及び肺組織に送達するために製剤化することができる。この送達は、噴霧器又は吸入器の使用を介して促進することができる。本明細書に記載されるように、組成物は、肺及び関連組織を含む粘膜への毒性を回避するように設計されている。そのため、そのような実施形態は、安全な線量の二酸化塩素を肺に送達し、その後の常在ウイルス及び他の微生物を殺菌しながら、肺組織の相対的な保存をすることを可能にするように設計されている。ウイルス性肺炎の場合では、この製剤は、ウイルス負荷を低減し、感染症を正常に処置するために、使用される。これは、COVID-19の原因となるインフルエンザ及びコロナウイルスSARS-CoV-2を含む、本明細書に記載されているいずれかの微生物によって引き起こされる肺炎又は肺膿瘍を処置するために使用することができる。別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、感染個体との曝露又は潜在的曝露後の肺を予防的に処置するために使用することができる。別の実施形態では、噴霧された組成物は、挿管された患者など、機械的換気で患者に送達することができる。別の実施形態では、標準又はスマート吸入器は、薬物を肺に送達するために患者によって使用することができる。投与は、噴霧された組成物を調整することによって、又は噴霧された溶液の流量を変化することによって変化され得る。
【0083】
本発明の態様は、眼又は肺における炭疽菌胞子を含む炭疽菌を処置するための亜塩素酸ナトリウムを含む、本発明による組成物の使用を更に含む。本発明の態様は、眼又は肺におけるコクシジオイド菌症を処置するための亜塩素酸ナトリウムを含む、本発明による組成物の使用を更に含む。本発明の態様は、眼又は肺における西ナイルウイルスを処置するための亜塩素酸ナトリウムを含む、本発明による組成物の使用を更に含む。本発明の態様は、眼又は肺における結核を処置するための亜塩素酸ナトリウムを含む、本発明による組成物の使用を更に含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム又は精製亜塩素酸ナトリウムは、ステロイドと組み合わせられる。いくつかの実施形態では、ステロイド成分は、緩衝液と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、ステロイド成分は、緩衝液及び界面活性剤と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、以下のリスト、プレドニゾロン酢酸塩、フルオロメトロン酢酸塩、デキサメタゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロンリン酸塩、デキサメタゾンリン酸塩、ジフルプレドネート、ロテプレドノールエタボネート、ロテプレドノールエタボネート、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、コルチゾンから選択される。複合薬は、眼瞼炎及びドライアイ症候群、又はウイルス性結膜炎、EKC、SARS-CoV-2感染症、アカントエメバ結膜炎、細菌性角膜炎、並びに真菌性角膜炎を含む、本明細書に列挙される感染症のいずれかを処置するために使用することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム又は精製亜塩素酸ナトリウムは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、NSAIDは、緩衝液と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、NSAIDは、緩衝液及び界面活性剤と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、NSAIDは、以下のリスト、アセチルサリチル酸、ジフルニサール、サリチルアミド、インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ネパフェナク、ブロムフェナク、イブプロフェン、スプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプレフェン、及びセレブレックスから選択される。複合薬は、眼瞼炎及びドライアイ症候群、又はウイルス性結膜炎、EKC、SARS-CoV-2感染症、アカントエメバ結膜炎、細菌性角膜炎、並びに真菌性角膜炎を含む、本明細書に列挙される感染症のいずれかを処置するために使用することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、ナファゾリン塩酸塩/フェニラミン及びナファゾリン塩酸塩/アンタゾリンリンリン酸塩を含む抗ヒスタミン薬と組み合わされるか、又は共製剤化される。いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、クロモリン又はロドキサミドを含む肥満細胞安定剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、レボカバスチン、エメダスチン(H1ブロッカー)、ネドクロミル、ペミロラスト、ケトチフェン、オロパタジン、アゼラスチン、エピナスチンベポタスチン、アルカフタジン(肥満細胞安定剤及びH1ブロッカー)と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0087】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、眼瞼炎及びドライアイ症候群のための標的療法を作成するために、シクロスポリンと組み合わされるか、又は共製剤化される。いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム又は精製亜塩素酸ナトリウムは、乾性角結膜炎、ドライアイ症候群、及び/又は眼瞼炎のための標的療法を作成するために、生体芽細胞と組み合わされる。
【0088】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、眼瞼炎及びドライアイ症候群のための標的療法を作成するために、シクロスポリンと組み合わされるか、又は共製剤化される。いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、乾性角結膜炎、ドライアイ症候群、及び/又は眼瞼炎のための標的療法を作成するために、ライフイトグラストと組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0089】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、イドクスウリジン、ビダラビン、トリフルオロチミジン、ガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、又はホスカルネットを含むが、これらに限定されない、抗ウイルス剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0090】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、β-ラクタム(ペニシリン、β-ラクタマーゼ阻害剤の有無にかかわらず)、セファロスポリン(セファゾリン、セフロキシム、セフタジジム、セフトリアキソン)、モノバクタム、カルバペネム、ポリマイキシンb、バシトラシン、バンコマイシン、アミノグリコシド(ゲナトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、パロマイシン、カナマイシン、スペクチノマイシン)、テトラサイクリン(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メクロサイクリン)、マクロリド(エリスロマイシン、アズロマイシン、クラリスロマイシン、チャンプロロヘノール、クリンダマイシン、フルオキノキソロフィン(クロロキソキシン、ノルアクラシンクロファクシン、レバクシン、グロファクシン、メキシファクシン、メキシファクシン、ブレキサクシン)を含むが、又はこれらに限定されない、抗生物質剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0091】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、以下の、アムホテリシンB、ナタマイシン、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、フルシトシンを含むが、これらに限定されない、抗真菌剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0092】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、以下の、ブグアニド(PHMB、クロルヘキシジン)、ジアミジン(プロパミジン、ヘキサミジン)を含むが、これらに限定されない、抗アメーバ剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0093】
いくつかの実施形態では、亜塩素酸ナトリウム、精製亜塩素酸ナトリウム、又は活性化緩衝液は、ビダラビン、トリフルリジン、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、アジスロマイシンを含むが、これらに限定されない、抗ウイルス薬又は抗感染特性を有する薬剤と組み合わされるか、又は共製剤化される。
【0094】
いくつかの実施形態では、使用される賦形剤は、角膜乾燥の処置にも役立つことができる、最大限に快適な製剤を開発するためのRefresh(登録商標)及びBlink(登録商標)を含む、市販の人工涙液に見られるものと同様の賦形剤を含む。
【0095】
ウイルス結膜炎及びウイルス眼感染症は、アデノウイルス(非エンベロープの二本鎖DNAウイルスからなるアデノウイルス科の一部)、ヘルペスウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス、ピコルナウイルス、コロナウイルス、麻疹、伝染性軟体動物ウイルス(ポックスウイルス)、エプスタイン-バールウイルス、コキサッキーウイルス、ムンプス、風疹、天然痘、パポバウイルス、トガウイルス、インフルエンザウイルス、ワクシニア、サイトメガロウイルス及びHIVを含むオルトミクソウイルスを含むが、これらに限定されない、多くの異なる種類のウイルスによって引き起こされ得る。任意のウイルスが結膜炎を引き起こし得、全てのウイルスタイプが本組成物の潜在的な標的として本明細書に開示されることを理解されたい。また、列挙されるウイルスのうちのいくつかは、角膜炎、ブドウ膜炎、網膜炎、及び眼内炎を含む他の眼の徴候を引き起こし得、これらの全ては、局所、腔内、間質内、網膜下、腱、又は硝子体内経路のいずれかによって開示される組成物を介して処置され得ることが理解されるべきである。
【0096】
単純ヘルペスウイルスによって引き起こされるヘルペス性角膜炎は、外傷に次いで米国で角膜失明の2番目に一般的な原因である。それは、ぶどう膜炎及び壊死性潰瘍を伴う結膜炎及び角膜炎を引き起こす可能性がある。本明細書に開示される組成物は、眼毒性を引き起こすことなく、極めて広いスペクトルのウイルス殺菌を提供し、広いスペクトルのウイルス殺菌を提供するために開発されている。帯状疱疹は、結膜炎、角膜炎、及びぶどう膜炎を伴う顕著な眼の罹患の別の原因である。本明細書に開示される組成物は、HZO及びその眼合併症を処置するために使用することができる。
【0097】
包接結膜炎は、クラミジア・トラコマチスによって引き起こされる。それは、トラコーマ及び両側性角結膜炎につながり、防止可能な失明につながる可能性がある。本明細書に開示される組成物は、包含性結膜炎を処置するために使用することができる。
【0098】
送達デバイス
本明細書に開示されるように、亜塩素酸ナトリウムの組成物は、使用直前に混合される2つの部分を含む。これを達成するために、いくつかのデュアルチャンバ送達システムが、開発されており、例えば、亜塩素酸ナトリウム原液用の第1の容器、及び活性化緩衝液用の第2の容器という、第1及び第2の容器からなる。容器は、使用前の2つの製品の容易な組み合わせ及び混合を促進する雄/雌ルアー継手又は雄/雌の摩擦継手構成を含む、様々な取り付けヘッド構成を有することができる。複数の容量は、眼科臨床手技のための小容量を含んで採用され得、Aは、1.5~3.0mLを含む0.3~10.0mLの範囲であり、Bは、0.3~0.7mLを含む0.1mL~3.0mLの範囲である。別の実施形態では、Aは、10mL~50mL、又は20mL~40mLを含む、10.0mL~1000mLの範囲であり得る。より大きな構成では、Bは、5.0mL~20mLを含む、3.0mL~30mLの範囲であり得る。A及びBは、0.3mL~1,000mLの任意の容量とすることができ、Aは、亜塩素酸ナトリウム原液容器を指し、Bは、活性化緩衝液容器を指すことを理解されたい。A及びBは、また、取り付け機構/分注先端を除いて、同一又はほぼ同一の形状を有することができる。分注先端は、10μL~150μLの容量を変化させる点眼剤の分注を可能にし得る。プラスチック(LDPE、HDPE、ポリプロピレンなど)、ガラス、及びCOP、COCなどを含む、任意の材料を、容器閉鎖システムのために使用することができる。
【0099】
亜塩素酸ナトリウム及び精製塩素酸ナトリウムは、UV照射に敏感である。したがって、亜塩素酸ナトリウムを収容する容器は、不透明な材料を利用することができる。不透明な材料は、容器内の全ての溶液がその容器から容器保持緩衝液に注入されることを検証することを困難にする可能性があるため、透明な材料を使用することができる。その場合、箔の二次包装は、UV光保護を提供し、長期的な薬物の安定性及び蒸発に影響を与える可能性がある空気への曝露を制限するために、想定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態は、以下に記載され、添付の図面において例解される。図1は、本発明の実施形態による送達デバイス100を描写する。図1では、射出成形容器101は、箔で覆われたバイアル102及び箔で覆われたバイアル103を含む。射出成形容器101は、バイアルを破裂機構に押し込んで、流体をデバイスの首部に流入するためのボタン104を更に含む。ルアーキャップ105は、分注するまで容器内に流体を固定する。
【0101】
図2は、本発明の実施形態による送達デバイス200を例解する。図2では、透明な容器202を有する射出成形容器201は、ボタン203に隣接している。ランス機構204は、透明な容器202上で箔を破裂させ、流体を容器の下部部分に放出するように位置付けられている。容器202の首部は、第2の流体又は粉末を収容する。
【0102】
図3は、本発明による送達デバイスの別の実施形態の例解図を提供する。図3では、ブローフィルシール容器300は、部分301aと部分301bとの間に破裂可能シール302を具備する。
【0103】
図4A図4Dは、本発明による送達デバイス400の別の実施形態の例解図を提供する。図4Aは、容器401a及び401bを分離する破裂可能シール402を有する射出成形容器を例解する。ルアーキャップ404は、眼科用分注先端403から切り離されている。中央の破裂可能シール402は、圧搾することによって破壊される。図4Bは、流体又は物質が仕切り405によって分離された容器401a及び401b内に位置する送達デバイス400の代替的な描写を提供する。送達デバイスは、眼科用分注先端403を覆うルアーロックキャップ404によって閉じられている。図4C及び図4Dは、シール402の代替的な描写を提供する。図4Cは、無傷のシール402aを例解し、図4Dは、圧搾された後に破裂されたシール402bを描写する。図4E図4Gは、代替的な仕切り構成を示す。図4Eは、シール402の容易な破裂を促進するバタフライ仕切り設計を有する仕切り405aを描写する。図4Fは、破裂シール402の容易さを促進するシェブロン仕切り設計を有する仕切り405bを描写する。図4Gは、標準的な仕切りの概念を有する仕切り405cを例解する。
【0104】
図5は、本発明の一実施形態による送達デバイス500の例解図を提供する。図5では、射出成形容器501は、容器502bの内部に配置された密閉容器502aを含む。容器501aは、圧搾することによって破裂され、それによって薄膜503を穿孔する。次に、容器502a及び502b内の流体は、その後、混合されることが可能となる。先端504は、流体を分注する前にポキンと折られ得る。
【0105】
図6は、本発明の一実施形態による送達デバイス600の例解図を提供する。図6では、射出成形容器601は、部分602a及び602bを含む。圧搾すること及び曲げることは、部分602aの破裂、並びに部分602a及び部分602b内の流体の混合をもたらす。
【0106】
図7A及び図7Bは、本発明の一実施形態による送達デバイスの例解図を提供する。図7Aに示されるように、送達デバイスは、容器701a及び容器701bを含む。容器キャップを取り外した後、容器701bからの流体は、容器701aに注入され、容易な混合を可能にする(図7B)。流体は、次いで、容器701aから患者の眼若しくは皮膚、又は異なる容器に分注することができる。容器は、ブローフィルシール(BFS)を含む、任意の利用可能な技術を介して流体で充填することができる。BFSの場合、容器は、同じ又は異なるBFSマシンで、横に並んで満たされるか、又は個別に充填することができる。
【0107】
以下の実施例は、例解として提供されるものであり、限定として提供されるものではない。
【実施例
【0108】
以下の実施例は、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、発明者がそれらの発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が実施される全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するために努力されてきたが、いくつかの実験誤差及び逸脱を考慮する必要がある。別段の指示がない限り、部分は、重量による部分であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は。摂氏度であり、圧力は、大気圧又はそれに近い。
【0109】
I.電子線最終滅菌試験結果
電子線最終滅菌への曝露に続く精製亜塩素酸ナトリウムの安定性は、試験された。亜塩素酸ナトリウムは、低密度ポリプロピレン容器(LDPE)に配置され、10~55キログレイの範囲の線量に曝露された。これらの結果は、亜塩素酸ナトリウムの濃度が凍結により最大25kGyの線量で安定したままであることが示された(試料12006)。
【0110】
試験された多数の電子線線量での安定性を実証する亜塩素酸ナトリウム電子線試験結果のグラフ表示は、図8に示される。図9は、亜塩素酸ナトリウム電子線試験のパラメータ及び結果を提供する。およそ2.10~2.30の範囲の濃度は、本明細書内で考慮されている。
【0111】
II.アデノウイルス殺菌研究
本研究の目的は、抗ウイルスアッセイ及び比色MTTアッセイを使用して、HeLa細胞におけるIRX-101(リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、クエン酸一水和物、及び水緩衝液と組み合わせた精製亜塩素酸ナトリウム)の抗ウイルス効果を評価することであった。
【0112】
感染後72時間の感染細胞における各病状の代表的な画像が示された。細胞生存率は、ビヒクルを処置し、未感染の対照細胞の割合として表された。
【0113】
試験化合物(IRX-101)の調製
緩衝液は、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物(0.25%w/v)及びクエン酸(0.35%w/v)を水に溶解させることによって調製された(測定されたpH=2.69)。10mLの活性溶液は、緩衝液30mLに添加し、2分間混合された。pHは、3.41で測定された。図10は、試験された条件の表形式を示す。全ての条件は3連で試験された。試験化合物及びビヒクルは、ヒトアデノウイルス5の有無にかかわらず試験された。
【0114】
ビヒクルの調製(IRX-101がない緩衝液)
10mLのDPBSは、30mLの緩衝液に添加され、pHは、約2.9で測定された。1MのNaOHは、pHを試験化合物と一致させるように調整するために、使用された(3.39で測定)。
【0115】
抗ウイルスアッセイ
HeLa細胞は、Charles River SOPに従って試験プレートに培養され、約90%の密集度まで増殖された。ヒトアデノウイルス5(Adv-5;ATCCVR-5)の原料は、室温で2分間、試験化合物又はビヒクルのいずれかと1:1で培養された。2分間の培養後、ウイルス/化合物の混合物は、8濃度の1/2対数希釈スキームで希釈された。得られた希釈液は、96ウェル試験プレートにおけるHeLa細胞に感染させるために使用された。別個の希釈は、化合物の毒性のみからの細胞障害性効果を試験するために、Adv-5を用いずに作製された。
【0116】
細胞は、ウイルスが吸着することを可能にするために、上層(overlay)を添加する前に、37℃/5%COで1時間培養された。1時間後、ウイルス混合物は、除去され、細胞は、合計96時間培養され、対照ウェルにおけるCPEの出現のために監視された。CPEが感染細胞/未処理細胞において広範囲にわたって行われると、MTTアッセイは、感染細胞及び未感染細胞の両方における細胞生存率を定量化するために実行された。
【0117】
結果
未感染細胞への影響
図11は、IRX-101/ビヒクル(対数希釈として表される)の濃度に対する細胞生存率を示す。示された希釈は、ブランク感染培地での初期培養後である。平均細胞生存率は、±SD(n=3)でプロットされる。図13Aは、未感染細胞生存率のために収集された生データを描写する。
【0118】
感染細胞への影響
図12は、RX101又はビヒクルのいずれかを組み合わせて用いたAdv-5の濃度に対する細胞生存率を示す(対数希釈として表される)。示された希釈は、ウイルスでの初期培養後である。平均細胞生存率は、±SD(n=3)でプロットされる。ビヒクルTCID50は、2.527である。IRX-101処置群についてのTCID50は、感染がないため計算されなかった。図13Bは、感染細胞生存率のために収集された生データを描写する。
【0119】
図14は、前処理されたヒトアデノウイルス-5に感染したHeLa細胞の代表的な画像を提供する。画像は、感染96時間後(hpi)に撮影された。IRX-101処置群の画像は、感染細胞及び未感染細胞の両方について類似している。IRX-101処置細胞は、Adv-5感染に典型的な特徴的な腫脹及びクラスター化を欠く。
【0120】
要約すると、細胞は、全ての希釈でビヒクルを良好に耐えた。細胞は、その後の全ての希釈で化合物を十分に耐え抜き、IRX-101の0.5及び1対数希釈で細胞生存率のいくらかの損失が観察された。ヒトアデノウイルス-5感染の範囲は、細胞障害性効果(CPE)及びウイルスで1:1000希釈まで記録された細胞生存率の喪失で良好であった。ビヒクル処置は、感染の進行に影響を及ぼさなかった。IRX-101での処置は、CC50値を下回る濃度でウイルスを不活性化するように見えた。IRX-101処置群の感染細胞は、ビヒクル処置された感染細胞と比較して、典型的なアデノウイルス関連CPE(細胞の腫脹及びクラスター化)のいずれも示さなかった。細胞生存率曲線は、IRX-101で処理した後の未感染及び感染病状において非常に類似していた。IRX-101は、ビヒクル処置された感染細胞と比較して、ヒトアデノウイルス-5ウイルスのHeLa細胞への感染を防ぐことに成功した。同じpHに調整されたビヒクルでの処置は、ウイルスの感染性に影響を及ぼさなかった。これらのアッセイは、アデノウイルスを殺菌するためのIRX-101の効果を実証し、眼表面に感染するアデノウイルスを殺菌するためのこの化合物の臨床的価値の証拠を提供する。これらのデータは、試験した亜塩素酸ナトリウム及び緩衝化合物の優れた眼の安全性データと組み合わせて、この化合物及び本明細書に記載される誘導体が、アデノウイルス性結膜炎を含むウイルス性結膜炎の処置に使用され得ることを示唆する。
【0121】
III.SARS-CoV-2殺菌研究
目的
この研究の目的は、プラーク低減アッセイによって決定されるSARS-CoV2感染VeroE6細胞に対して、洗眼として化学的製剤を試験することであった。
【0122】
材料及び方法
緩衝液調製
部分1緩衝液を調製するために(Irenixプロトコルに従って)、0.25gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び0.35gのクエン酸一水和物は、100mLの蒸留水に溶解され、濾過滅菌された(最終pH=2.72、濾過滅菌(0.22μm))。部分2の緩衝液は、Irenix(溶液中のNaClO、溶媒dH2O、貯蔵RT)によって提供される活性溶液が含まれた。部分1及び2の緩衝液は、3:1の比率(部分1:2、pH=3.3)及び1:1の比率(部分1:2、pH=3.3)で組み合わされた。部分3緩衝液(Irenixプロトコル毎のコントロール緩衝液)は、部分1と同じプロトコルを使用して作製された。しかしながら、この緩衝液は、そのpHを4.0に増加させるために、1M水酸化ナトリウムで滴定された。最終pHは、3.4であった。溶液は、濾過滅菌された(0.22μm)。
【0123】
部分1及び2の緩衝液、並びに活性溶液(Purite、iRenix提供)は、暗所において周囲温度で保管された。活性溶液及び緩衝液(水酸化ナトリウム滴定)は、3:1希釈で混合された。溶液は、4時間安定しており、したがって、希釈は、アッセイを実行する前に新たに行われた。部分4の緩衝液は、対照として2%DMEMを含んだ(正常な感染病状を表すために)。
【0124】
細胞調製
プラーク低減アッセイのために利用される細胞株は、VeroE6細胞(ATCC(登録商標)CRL-1586)であった。これらの細胞は、実験室作業細胞株の凍結アリコートから増殖される。継代回数は、元のアリコートから50継代までに制限されている。細胞は、2mMのL-グルタミン(Hycloneカタログ番号H30034.01)、非必須アミノ酸(Hycloneカタログ番号S.SH30238.01)、及び10%熱不活化胎児ウシ血清(FBS)(Atlas Biologicalsカタログ番号EF-0500-A)を補充した1×DMEM(ThermoFisherカタログ番号12500062)におけるT150フラスコにおいて増殖される。
【0125】
アッセイを実行する前日に、VeroE6細胞は、トリプシン化(0.25%トリプシン、Corningカタログ番号25-053-Cl)によってT150フラスコから除去され、トリパンブルーの血球測定器によってカウント及び生存率について測定された。細胞は、1×DMEM(上記に示されるように補充された)において1mL当たり6×10個の細胞に再懸濁され、1ウェル当たり1mL(600,000個/ウェル)で12ウェルプレートに播種された。次いで、プレートは、細胞接着を37℃、5%COで可能にするために、約24時間培養された。
【0126】
細胞染色
ウイルス感染及びプラークアッセイの48時間後、細胞は、12ウェルプレート(1mL/ウェル)当たり11.5mLの1XPBS及び0.5mLのNRSの比率で、1XPBS及び中性赤色溶液(NRS)(0.33%NRS、Sigma Aldrichカタログ番号N2889)で染色された。染色は、一晩実行された(約12時間)。
【0127】
ウイルス調製
アッセイについて使用されたウイルス株は、SARS-CoV2、USAWA01/2020、CSUV203/17/202継代3であった。ウイルス原料は、BEI Resourcesから取得され、VeroE6細胞において3.4×10PFU/mLの力価で継代3(P3)に増幅された。原料は、-80℃で保管された。以下の表9にプレート形式を示す。
【0128】
【表9】
【0129】
アッセイ設定
希釈試料当たり3回の複製があった。各ウェルは、200μLの最終希釈溶液を含有した。300μLのウイルス原料は、10-1のウイルス希釈における結果がもたらされる、2.7mLの1XPBS又は1XDMEMに希釈された。10-1のウイルス希釈の600μL又は200μLは、3:1又は1:1のウイルス製剤希釈を有するか否かに応じて、200μLのそれぞれの製剤(部分1+2、部分3、1XPBS又は1XDMEM)に移された。3:1希釈(ウイルス:活性溶液)は、600μL(10-1希釈)+200μLの活性溶液又は対照が含まれた。1:1希釈(ウイルス:活性溶液)は、200μL(10-1希釈)+200μLの活性溶液又は対照が含まれた。試料は、周囲温度で2分間培養された。連続希釈は、120μLの溶液をステップ2からIXDMEMの1080μLに移すことによって行われた。このステップは、10-4希釈に達するまで繰り返された。200μLの対応する溶液は、対応するウェルに分注された。プレートは、ウイルスが吸着することを可能にするために、ロッカー上の周囲温度で1時間培養された。1時間後、ウェルは、2%アガロース及び2XDMEM(10%FBSで補充)で上層された。上層を添加した48時間後、ウェルは、1XPBS中の中性赤色溶液で染色され、プラークをカウントする前に37℃/5%COで12時間培養された。
【0130】
結果
全ての図は、Graph Prism Ver.8.3.1を使用してグラフ化された。各図について、複数の比較試験を伴う一元配置ANOVは、対照群及び1XDMEM群と比較して、全ての処置で実施された。
【0131】
ウイルス力価は、感染48時間後に評価され、1XDMEM対照と比較された。ウイルスが10-1原料を取得するために1XPBS対1XDMEMで希釈されたときに、試料においてより高いプラーク低減効果があった。これらのデータは、1XDMEMにおける構成要素が活性溶液によるウイルスの不活性化効果を妨げ得ることを示唆する。ウイルスの完全な不活性化は、希釈剤が1XPBSであったときに、全ての実験について活性溶液での培養に続いて観察された。
【0132】
図15A,Bは、1XDMEMを希釈剤として用いたプラーク低減アッセイの結果を描写する。処置効果は、プラーク低減アッセイを介して感染の48時間後に測定された。ウイルスは、1XDMEMにおいて希釈された。3:1(図15A)及び1:1(図15B)は、ウイルスを処置するために使用される溶液を指す。対照は、1XDMEM及び部分3である。活性溶液は、部分1+2である。倍率変化は、一元配置ANOVA多重比較試験(ns=有意ではなく、***=p<0.0002、****=p<0.0001)を使用して、1XDMEM対照と比較して計算された。
【0133】
図16A,Bは、1XPBSを希釈剤として用いたプラーク低減アッセイの結果を描写する。処置効果は、プラーク低減アッセイを介して感染の48時間後に測定された。ウイルスは、1XPBSにおいて希釈された。3:1(図16A)及び1:1(図16B)は、ウイルスを処置するために使用される溶液を指す。対照は、1XDMEM及び部分3である。活性溶液は、部分1+2である。倍率変化は、一元配置ANOVA多重比較試験(ns=有意ではなく、=p<0.0275、***=p<0.0002、****=p<0.0001)を使用して、1XDMEM対照と比較して計算された。
【0134】
図17A~Dは、部分1+2(亜塩素酸ナトリウム組成物)、部分3(緩衝液対照、pH調整)、及びDMEMウイルス培養培地に曝露されたウイルスにおけるPFU/mLの低減率を示す。3:1及び1:1は、ウイルスを処置するために使用される溶液を指す。部分1+2は、第4の条件(DMEM希釈剤、3:1希釈)においておよそ90%の低減を有する、4つの試験シナリオのうちの3つで完全なPFU低減を示した。
【0135】
結論
これらの結果は、使用直前に混合された、精製亜塩素酸ナトリウム及び緩衝液の製剤に対するSARS-CoV-2の堅牢な抗ウイルス応答を示す。結論として、部分1+2製剤は、SARS-CoV-2を殺菌するために非常に効果的であり、かつ、以前のGLP毒性試験で実証されているように、その優れた眼の安全性プロファイルと組み合わせられて、結膜炎及び化学反応、注射、涙、眼の痛み、角膜関与、上強膜、強膜関与、並びに涙のSARS-CoV-2ウイルス及びウイルス粒子を含む、感染の他の副作用を含む、眼のSARS-CoV-2を処置することに有望であると結論付けられた。この完全な殺菌は、3対1のウイルスの化合物希釈に直面してさえも実証され、ウイルス殺菌の強さを示した。本明細書に開示される化合物は、眼SARS-CoV-2感染を防止又は処置するために、ヒトの眼に適用するための点眼剤、噴霧、膏薬、ゲル、又は軟膏として使用することができる。本明細書に開示される化学的化合物は、今後数ヶ月及び数年に発生し得るSARS-CoV-2ウイルスの変異形態を含む、その類似の構造を考慮して、全てのタイプのコロナウイルスを殺菌する同様の効果を有すると予想される。この製剤は、潜在的に感染された個体への曝露の直前又は直後など、症状が存在する前に、SARS-CoV-2感染を防止又は処置するために使用することができる。
【0136】
参考文献:
1.Wu P、Duan F、 Luo C、他、Characteristics of Ocular Findings of Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in Hubei Province, China、JAMA Ophthalmol 2020
2.Seah I、Agrawal R、Can the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Affect the Eyes? A Review of Coronaviruses and Ocular Implications in Humans and Animals、Ocul Immunol Inflamm 2020;28(3):391-5
3.Lu CW、Liu XF、Jia ZF、2019-nCoV transmission through the ocular surface must not be ignored、Lancet 2020;395(10224):e39
4.Colavita F、Lapa D、Carletti F、他、SARS-CoV-2 Isolation From Ocular Secretions of a Patient With COVID-19 in Italy With Prolonged Viral RNA Detection、Ann Intern Med 2020
5.Li JO、Lam DSC、Chen Y、Ting DSW、 Novel Coronavirus disease 2019 (COVID-19): The importance of recognising possible early ocular manifestation and using protective eyewear、Br J Ophthalmol 2020;104(3):297-8
【0137】
先に記載される実施形態のうちの少なくともいくつかでは、実施形態で使用される1つ以上の要素は、そのような置換が技術的に実行可能でない場合を除き、別の実施形態で交換可能に使用することができる。特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、様々な他の省略、追加、及び修正が先に記載される方法及び構造に対して行われ得ることは、当業者によって理解される。全てのそのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入ることが意図される。
【0138】
概して、本明細書で使用される、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、「開いた」用語として意図されることが当業者によって理解される(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである、など)。導入された特許請求の範囲の特定の数の列挙が意図される場合、そのような意図が特許請求の範囲で明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、無制限の物品「a」又は「an」による特許請求の範囲の列挙の導入が、同じ特許請求の範囲が導入句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」並びに「a」又は「an」などの無制限の物品を含むときでさえ、そのような導入された特許請求の範囲を含む任意の特定の特許請求の範囲を、1つのそのような列挙のみを含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、特許請求の範囲の列挙を導入するために使用される確実な物品の使用についても同様である。加えて、特定の数の導入された特許請求の範囲の列挙が明示的に列挙されている場合でさえ、当業者は、そのような列挙が少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語を伴わない「2つの列挙」の裸の列挙は、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣習が使用されるこれらの例では、概して、そのような構築は、当業者が該慣習を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを共に有するシステム、A及びCを共にするシステム、B及びCを共にするシステム、及び/又はA、B、及びCを共にするシステムなどを含むが、これらに限定されない)。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣習が使用されるこれらの例では、概して、そのような構築は、当業者が該慣習を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを共に有するシステム、A及びCを共にするシステム、B及びCを共にするシステム、及び/又はA、B、及びCを共にするシステムなどを含むが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、又は図面に含まれるか否かにかかわらず、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の離散的な語及び/又は句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方を含む可能性を考慮するように理解されるべきであることが、当技術分野内の者によって更に理解される。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0139】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループの観点からも記載されることを認識する。
【0140】
当業者によって理解されるように、書面による記載の提供などのあらゆる目的のために、本明細書に開示されるあらゆる範囲は、また、そのサブ範囲のあらゆる可能なサブ範囲及び組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解することを十分に記載し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な実施例として、本明細書で考察される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に分解することができる。当業者によっても理解されるように、「最大(up to)」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などの全ての文言は、列挙された数を含み、上述したようにサブ範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有するグループは、1、2、又は3個の物品を有するグループを指す。同様に、1~5個の物品を有するグループは、1、2、3、4、5個の物品を有するグループなどを指す。
【0141】
前述の発明は、理解を明確にすることを目的として、例解及び例として、ある程度詳細に記載されたが、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び修正がそれに対してなされ得ることは、本発明の教示に照らして、当業者には容易に明らかである。
【0142】
したがって、前述したことは、本発明の原理を例解するに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解される。更に、本明細書に列挙される全ての実施例及び条件付き文言は、主に、本発明の原理及び発明者が当技術分野を促進するために寄与する概念を読者が理解することを助ける点を意図しており、そのような具体的に列挙される実施例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらの構造的及び機能的等価物の両方を包含することが意図されている。更に、そのような等価物は、現在知られている等価物及び将来開発された等価物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する任意の要素を含むことが意図されている。更に、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲で明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に特化することを意図されていない。
【0143】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される例示的な実施形態に限定されることが意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化されている。特許請求の範囲では、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲のそのような限定の最初における「のための手段」という正確な句、又は「のためのステップ」という正確な句が列挙されているときにのみ、特許請求の範囲の限定のために援用されると明示的に定義され、そのような正確なフレーズが特許請求の範囲の限定で使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、援用されない。
【0144】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2020年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/018,057号の出願日に対する優先権を主張し、その出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
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図6
図7A
図7B
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図10
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図12
図13A
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図16
図17
【国際調査報告】