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特表2023-523859埋め込み可能デバイスの頭部、前記頭部を製造する方法、および前記頭部内に嵌合可能なプラグ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】埋め込み可能デバイスの頭部、前記頭部を製造する方法、および前記頭部内に嵌合可能なプラグ組立体
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/375 20060101AFI20230531BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20230531BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20230531BHJP
   A61N 1/05 20060101ALN20230531BHJP
【FI】
A61N1/375
H01R31/06 Z
H01R13/52 301A
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567095
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021061682
(87)【国際公開番号】W WO2021224231
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】102020112084.2
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517119556
【氏名又は名称】ニューロループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キミヒ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボレティウス,ティム
【テーマコード(参考)】
4C053
5E087
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053BB22
4C053CC05
4C053KK05
5E087EE11
5E087FF06
5E087LL02
5E087LL12
5E087QQ06
5E087RR12
(57)【要約】
埋め込み可能デバイスの頭部、その製造方法および当該頭部内へと嵌合可能なプラグ組立体が記載される。頭部は、頭部ハウジングを備える。頭部ハウジングは、ソケット開口と、ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有する少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットを備える。これに沿って少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、これらは凝固済流延材料によって囲まれる。本発明は、前記頭部内に、少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットが配置され、前記少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有し、それに沿って、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、前記少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとは、前記凝固済流延材料によって囲まれることを特徴とし、双方のプラグ接触ソケットの前記ソケット基部は、それぞれ、前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれる接続手段によって制限されることを特徴とし、前記接続手段は貫通チャネルを含み、前記貫通チャネルは両端において各前記止まり穴型プラグ接触ソケットへと開口することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスの頭部であって、
頭部ハウジングを備え、前記頭部ハウジングは、少なくとも1つの第1止まり穴型プラグ接触ソケットを備え、
前記少なくとも1つの第1止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有し、
それに沿って、凝固済流延材料によって囲まれる、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合される、
頭部において、
前記頭部内に、少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットが配置され、
前記少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有し、
それに沿って、前記凝固済流延材料によって囲まれる、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、
前記少なくとも2つのプラグ接触ソケットの前記ソケット基部は、それぞれ、前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれる接続手段によって制限され、
前記接続手段は貫通チャネルを含み、前記貫通チャネルは両端において各前記止まり穴型プラグ接触ソケットへと開口する、
ことを特徴とする、頭部。
【請求項2】
貫通チャネルは中空チャネルであることを特徴とする、請求項1に記載の頭部。
【請求項3】
前記貫通チャネルは部分的に光ガイド媒体で充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の頭部。
【請求項4】
前記貫通チャネルは導電媒体で充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の頭部。
【請求項5】
前記貫通チャネルに沿って流体ポンプが配置されることを特徴とする、請求項2に記載の頭部。
【請求項6】
前記貫通チャネルに沿って、以下の種類の1つの光ユニット:
光増幅器、光フィルタまたはスイッチ、光結合入力および/または結合出力要素、
が配置されることを特徴とする、請求項3に記載の頭部。
【請求項7】
前記貫通チャネルに沿って、以下の種類の1つの電気的構成要素:
調整可能電気抵抗、電気的増幅器、
が配置されることを特徴とする、請求項4に記載の頭部。
【請求項8】
前記接続手段上に、少なくとも部分的に前記凝固済流延材料によって囲まれた少なくとも1つのセンサが、その内部に含まれる媒体または前記貫通チャネル内に存在する電流のセンサベースの検出のために配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つの導電性の接触リング要素に、電気的および/または機械的に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサは、
超音波センサ、光センサ、圧力センサ、ホール効果センサ、フローセンサ
からなるセンサのグループから選択可能であることを特徴とする、請求項8または9に記載の頭部。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサは、評価および制御ユニットに接続されることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項12】
前記接続手段は、両側に、それぞれ前記ソケット基部に対向して、前記貫通チャネルを囲む接合外形を備え、それは、前記プラグ接触ソケット内にそれぞれ配置される1つの媒体チャネルが前記貫通チャネルに無損失な態様で結合するように設計され配置されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項13】
前記頭部ハウジングは、パルス生成器として設計される埋め込み可能医療デバイスに、機械的かつ電気的に接続されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項14】
前記第1止まり穴型プラグ接触ソケットおよび前記第2止まり穴型プラグ接触ソケットの各長手方向軸は、互いに平行に向けられ、それらのソケット開口は、前記頭部ハウジングの同じ側または互いに反対側に開口することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の頭部内の止まり穴接触ソケットの1つへと挿入するために設計され適合される埋め込み可能プラグ組立体であって、
前記プラグ組立体は、少なくとも1つの内部中空チャネルを有するプラグ本体を備え、前記少なくとも1つの内部中空チャネルは、一端において遠位プラグ本体端において開口することを特徴とし、
前記遠位プラグ本体端は接合外形を有し、
前記プラグ組立体が前記プラグ接触ソケット内に嵌合すると、前記接合外形は、前記貫通チャネルに対する前記中空チャネルの前記接続要素内での面一の接合を確実にする、
ことを特徴とする、埋め込み可能プラグ組立体。
【請求項16】
前記中空チャネルは、前記接続要素に含まれる前記貫通チャネルの種類の媒体チャネルを有することを特徴とする、請求項15に記載のプラグ組立体。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか一項に記載の頭部を製造する方法であって、
前記接続手段、前記少なくとも1つの接触リング要素および前記少なくとも1つのシールリングは、前記第1止まり穴型プラグ接触ソケットに沿って、第1棒状組立工具に沿って配置され、接合力の生成を介して前記第1棒状組立工具に沿って互いに積極的態様で接合されることを特徴とし、
前記接続手段、前記少なくとも1つの接触リング要素および前記少なくとも1つのシールリングは、前記第2止まり穴型プラグ接触ソケットに沿って、第2棒状組立工具に沿って配置され、接合力の生成を介して前記第2棒状組立工具に沿って互いに積極的態様で接合されることを特徴とし、
前記第1棒状組立工具および前記第2棒状組立工具に沿って配置され積極的に接合される前記接続手段と、前記第1止まり穴型プラグ接触ソケットおよび前記第2止まり穴型プラグ接触ソケットの前記少なくとも1つの接触リング要素および前記少なくとも1つのシールリングとは、流れることが可能な形態の凝固可能流延材料によって、少なくとも部分的に囲まれることを特徴とし、
前記流延材料が固体化した後に、前記第1棒状組立工具および前記第2棒状組立工具が、前記接続手段と、前記第1止まり穴型プラグ接触ソケットおよび前記第2止まり穴型プラグ接触ソケットの前記少なくとも1つの接触リング要素および前記少なくとも1つのシールリングとから解放されて除去され、前記流延材料は、前記頭部ハウジングの少なくとも一部を形成する寸法的に安定したマトリックスの形態で、前記軸方向の接合力を支持することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能デバイスの頭部、その製造方法、および前記頭部内に嵌合可能なプラグ組立体に関する。頭部は、ソケット開口を有する少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットと、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有する頭部ハウジングを備え、これに沿って、少なくとも1つの導電性の接触リング要素および電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリング(凝固済流延材料によって囲まれている)が同軸配置で軸方向に連続する順序で互いに接合されている。
【背景技術】
【0002】
局所的体内組織または神経領域の電気的刺激のための埋め込み可能医療デバイス、略して埋め込み可能パルス生成器(IPG:implantable pulse generator)(たとえばいくつかを挙げると、心臓処置、除細動、ペースメーカー、再同期適用、神経刺激手段(脊髄刺激、脳刺激または迷走神経刺激)のためのもの)は、一般的に、電気的パルス生成のための構成要素(したがって少なくとも1つの電源およびこれに接続された電気回路構造)を収容する自己収容式ハウジングを備える。加えて、ハウジングに隣接するのはいわゆる頭部であり、これは、電源および電気回路構造に接続された電気的接触配置を収容し、その内部へとソケット組立体(流体密(fluid-tight)に頭部を閉鎖する)が挿入可能であり、体内の局所的な電気的刺激信号の適用のための(さらに必要であれば、体内で局所的にピックアップされた電気信号をハウジング内に存在する電気回路構造へと供給するための)電気供給ラインおよび出口リードと接触する。
【0003】
欧州特許第2 134 418号明細書には、問題のタイプの埋め込み可能医療デバイスの頭部が記載されている。結合継ぎ目に沿って、互いに接合可能な2つの頭部ハウジング半部分(これに連続する順序で中間壁によって分離された半円筒形の凹部が導入され、導電性の接触リング要素および電気的絶縁性のシールリングが連続的に交互の順序で挿入される)を備える。頭部は、したがって、互いに関して同軸に配置される電気的に絶縁された接触リング要素の配置を備え、これの電気的接触のために、頭部内に横へのアクセスが提供され、これを介して、全周接触リング要素によって囲まれる中空空間に電気的プラグ組立体が流体密に挿入可能である。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10 2012 010 901号明細書は、医療用の埋め込み可能デバイスと電気的に接触させるために頭部内で電気的接触およびシールを位置決めし保持するための方法を開示する。生体適合性かつ電気的絶縁性の材料からなる頭部ハウジングの片側に、止まり穴型中ぐりが作製され、これに、導電性および周シール要素が交互の順序で挿入され、ピン状のプラグ組立体が挿入可能な中空空間を囲む。頭部内において、周接触リングのそれぞれは、電気的接続ラインによって、医療用埋め込み可能デバイスのハウジング内に配置された電気的構成要素へと接続される。
【0005】
ドイツ実用新案出願公開第20 2013 012 073号明細書は、プラグ中ぐりモジュール組立体であり、その組み立てのために、ピン状の組立工具に沿って、いくつかの接触リングおよびシール要素が交互の順序で配置される。クランプデバイスによって、組立工具に沿ったすべての接触リングおよびシール要素が、軸方向接合力の印加によって互いにクランプされる。接合力を保存するために、組立工具上にグラブねじによって軸方向に固定される態様で取り付けられるスリーブ要素が用いられ、これは、端部における組立工具頭部とともに、両側の接触リングおよびシール要素の配置を軸方向に制限する。このクランプされた状態で、配置が硬化可能な流延材料内に流延され、これが凝固した状態で接合力をテークアップする。
【0006】
ピン状の組立工具に沿って配置された接触リングおよびシールリング要素の系列に作用する軸方向接合力を保存するための端部における固定支援としてのグラブねじに代えて、国際公開第2019/115176号パンフレットでは、開口および内周ネジ山を設けた組立プレートを用いることが提案され、その内周ネジ山開口には、その端部に外周ネジ山が配置されたピン状の組立工具が挿入される。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0077190号明細書からは、同軸プラグ部の挿入のために、互いに平行かつ横方向にずれて延びる2つのプラグ接触ソケットを備える頭部が推測される。各ソケットと同軸に、ガラス繊維組立体の正面側端が、ソケット基部の端部に開口し、これはその繊維他端において光パルス生成器に接続される。
【0008】
米国特許出願公開第2011/0004279号明細書には頭部が記載され、それを介して2つの電気プラグ部が、2つの軸方向に対向するソケットチャネル開口によって共通のソケットチャネルへの同軸挿入を介して、電気的に互いに接続可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、既知の、電気的刺激信号の生成、送信および適用に加え、サイズを実質的に変更することなく、埋め込み可能パルス生成器(IPG)の機能範囲を増大させることが可能な態様で、埋め込み可能医療デバイスの頭部、その製造方法、および、頭部内に嵌合可能なプラグ組立を修正することである。
【0010】
本発明の基礎を形成するタスクに対する解決策は、請求項1に記載される。請求項15の事項は、頭部内に嵌合可能となるよう設計される埋め込み可能プラグ組立体である。請求項17では、頭部を製造する方法が記載される。発明的概念をさらに有利に発展させる特徴は、各従属項の事項を形成し、本記載から(とくに、例示される実施形態の例を参照して)収集可能である。
【0011】
本解決策による埋め込み可能医療デバイスの頭部は、
頭部ハウジングを備え、前記頭部ハウジングは、少なくとも1つの第1止まり穴型プラグ接触ソケットを備え、
前記少なくとも1つの第1止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有し、
それに沿って、凝固済流延材料によって囲まれる、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合される、
頭部において、
前記頭部ハウジング内に、少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットが配置され、
前記少なくとも1つの第2止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有し、
それに沿って、凝固済流延材料によって囲まれる、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、
前記少なくとも2つのプラグ接触ソケットの前記ソケット基部は、それぞれ、前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれる接続手段によって制限され、
前記接続手段は貫通チャネルを含み、前記貫通チャネルは両端において各前記止まり穴型プラグ接触ソケットへと開口する、
ことを特徴とする。
【0012】
本発明の基礎を形成する思想は、上述の国際公開第2019/115176号パンフレットに記載される内周ネジ山を設けた組立プレート内の開口を利用し、それにおいて、開口を介して任意の種類の媒体流を向けるために、完成した頭部から組立工具を除去した後(そうでなければ機能を有しない)。組立プレート(上述の先行技術では、一種の失われた構成要素(頭部の流延材料によって凝固済流延材料内で完全に囲まれ、そうでなければ、頭部と、頭部に接続された埋め込み可能パルス生成器(IPG)とのさらなる動作のための機能を有しない)と考えられ得る)は、本解決策による修正された頭部の中央構成要素を形成し、それは、接続チャネル(これを介して、媒体流が1つの止まり穴型プラグ接触ソケットから別の止まり穴型プラグ接触ソケットへと向けられ得る)の追加的な機能を得る。これにより、インプラント(これ自体は既知である)へのいくつかの革新的な応用が広がり、その主な機能(体内の局所的組織および/または神経領域の電気的刺激)は、これによっては影響されないままである。
【0013】
本解決策による態様では、接続手段(少なくとも2つのプラグ接触ソケットのソケット基部を直接的または間接的に画定する)は、媒体結合部品としても作用し、これを介して、またはこれを通して、所定の選択の媒体が、1つのプラグ接触ソケットから別のプラグ接触ソケットの領域へと搬送され得る。本解決策に従って修正されたプラグ組立体が、2つのプラグ接触ソケットのそれぞれに離脱可能に固定された態様で挿入可能であり、これは上述の頭部の止まり穴型プラグ接触ソケットの1つへの挿入のために適切に設計され構成される。より具体的には、プラグ組立体は、少なくとも1つの内部中空チャネル(一端にて遠位プラグ本体端へと開口する)を有するプラグ本体を備える。さらに、各遠位プラグ本体端は、接合外形を有し、接合外形は、プラグ組立体がプラグ接触ソケット内に嵌合すると、接続手段内に配置されて止まり穴型プラグ接触ソケットへと開口する貫通チャネルへのプラグ側の中空チャネルの面一の遷移を確実にする。これを介して、可能な限り無損失の接続および接続手段を介して2つのプラグ組立体の間で中空チャネル内または貫通チャネル内で輸送される媒体のさらなる搬送または輸送が達成可能となるはずである。
【0014】
これとは別に、各埋め込み可能プラグ組立体は、電気信号の送信のための、それ自体既知の態様で設計され、プラグの長手方向の範囲において、プラグ接触ソケットに沿って、電気的接触リング要素およびシールリングの数および配置に応じて、プラグ接触リングおよびシールリングまたは電気的絶縁リングの連続的な系列を備える。
【0015】
頭部側に設けられるプラグ接触ソケット内に埋め込み可能プラグ組立体が接合した状態において、電気刺激信号の適用のための埋め込み可能デバイスの電気的機能は、修正された頭部および修正されたプラグ組立体にも関わらず、制約なく維持される。追加でプラグ側の媒体チャネルとして提供され設計され、接続手段内の貫通チャネルによって接続可能な各中空チャネルを介して、それぞれ選択された媒体の機能として、体内の媒体輸送および/または体内の媒体適用が、(たとえば気体または流体の輸送または適用の形態または光適用の形態で)発生し得る。
【0016】
第1の実施形態は、それぞれの場合の流体ラインとして、中空チャネルおよび貫通チャネルの構成を想定し、これに沿ってこれを介して気体または流体の媒体が搬送または輸送される。
【0017】
好適に固定的に設計された出口ラインが、頭部から突出するプラグ組立体のそれぞれに直接的に接合し、これに沿って少なくとも1つの電気的ラインが延び、これを介して電気的刺激信号および/または内生のセンサ記録電気信号が伝送可能である(媒体伝送のための少なくとも1つの中空チャネルも)。
【0018】
プラグ組立体からの出口ラインの体内の配置および位置によって、様々な体内領域が、2つの中空チャネルを互いに接続する貫通チャネルおよびプラグ組立体の双方に接続された中空チャネルを介して互いに流体的に接続され得る。
【0019】
簡単な変形例では、流体的接続は、純粋に受動的に(すなわち、流体搬送ユニットの介在なしで)発生し得る。
【0020】
接続チャネル内の貫通チャネルに沿って、実施形態の好適な形態は流体ポンプを想定し、その制御のために、流体ポンプは電気的パルス生成のための埋め込み可能デバイス内に配置される電気的構成要素に接続される。したがって、制御された態様で動作可能な流体ポンプにより、身体の一領域(2つのプラグ組立体の一方に接続された中空チャネルがそこに開口する)から、身体の別の領域(2つのプラグ組立体の他方に接続された中空チャネルがそこに開口する)へと流体を搬送する、体内の流体の流れをもたらすことが可能となる。流体ポンプの活性化と、流れの方向および流速の決定とは、埋め込み可能デバイスに含まれる電気的構成要素によって適切な態様で定義可能である。
【0021】
さらなる実施形態では、埋め込み可能デバイスは流体容器を備え、流体容器は接続ラインを介して接続手段内の貫通チャネルへと接続可能であり、これによって、好ましくは接続ラインにそって制御可能なバルブユニットを介して、追加の流体(気体または流体活性物質の形態)が、貫通チャネルを通って流れる流体の流れに混合可能である。
【0022】
流体ラインとしての中空チャネルおよび貫通チャネルを作製することに代えて、またはこれと組み合わせて、さらなる実施形態は、中空チャネルおよび貫通チャネルに沿って光ガイド媒体の提供を想定する。このようにすると、互いに空間的に分離されて配置された2つの体内領域が、光学的に互いに接続可能となる。このために、プラグ組立体に接続された中空チャネルのそれぞれに沿って、少なくとも1つの光ガイドが嵌合し、その光ガイド端は、プラグ組立体のプラグ本体端へと開口し、頭部内に挿入された状態にあるときには、貫通チャネル内に配置された光ガイドに、可能な限り無損失な態様で結合される。接続手段内の貫通チャネルに沿って、好適には、各光ガイドに沿って伝送される光に影響を及ぼすことができる光ユニットも配置される。たとえば、貫通チャネルに沿って、光結合入力および/または結合出力要素が提供され、それによって、埋め込み可能デバイス内で提供される光源の光が、光ガイドに沿って結合入力可能であり、および/または、それによって、埋め込み可能デバイス内に設けられる光検出器の伝送のための光が、光ガイドから結合出力可能である。
【0023】
光結合入力および/または結合出力要素の提供に代えて、またはこれに加えて、接続手段の貫通チャネルに沿って、光増幅器および光フィルタまたはスイッチが配置可能であり、それらは埋め込み可能デバイス内に配置される対応する電気的制御構成要素に接続される。
【0024】
中空チャネルおよび貫通チャネルに沿った媒体伝送のための上述の構成要素に代えて、またはこれと組み合わせて、導電媒体(たとえば少なくとも1つの電気的接続リードの形態)の提供もまた適切であり、これに沿って、組織/神経刺激のための電気的接触リング要素へとどのようにかして接続される電気的リードに加えて、身体の2つの空間的に分離した領域の間で電気信号の追加の伝送が可能となる。有利には、この場合には、このようにして中空チャネルに沿って電流に影響を与えるために、貫通チャネルに沿って接続手段内に電気的構成要素(たとえば、調整可能電気抵抗、電気的増幅器、または等価な電気的構成要素)を配置することが好ましい。
【0025】
さらなる好適な実施形態では、頭部内に、とくに接続手段上または接続手段内に、搬送体積、搬送レートまたは光強度に関して少なくとも定量的に貫通チャネル内で搬送されてる媒体をセンサベースの態様で検出または記録可能な少なくとも1つのセンサが配置される。この少なくとも1つのセンサの種類および設計によっては、それは頭部内に適切に配置されるべきであり、たとえば、当該少なくとも1つのセンサを、頭部内に適用される導電性の接触リング要素の1つに直接的または間接的に電気的および/または機械的に接続することは有益である。可能なセンサとして、以下のグループからのセンサが考慮され得る:超音波センサ、光センサ、圧力センサ、ホール効果センサ、フローセンサ、触針センサ、蛍光センサ、圧力センサ、等。
【0026】
この少なくとも1つのセンサは、好適には、医療デバイス内でパルス生成器に電気エネルギーを供給する電気エネルギー源に接続される。さらに、少なくとも1つのセンサは、評価および制御ユニット(貫通チャネルを介して通過する流体の流れに影響を与えるために貫通チャネルに沿って接続手段内に配置される追加のメモリユニットおよび/または構成要素に接続される)に接続される。こうすると、貫通チャネルに沿って流れまたは搬送される媒体のセンサ検出の実際の状態を記録し、目標と実際との比較の関数として流体の流れに影響を与えるために、貫通チャネルに沿って配置される少なくとも1つの構成要素を制御または調整することが可能となる。
【0027】
本解決策によって組み立てられる頭部と、流体、光束または電流の形態の媒体の伝送のための機能的に修正されたプラグ組立体とは、問題の種類の既知の医療インプラントの形状およびサイズを、大まかには変えずに、その機能性およびそれに関連する比較可能なインプラントの動作の治療的モードを、実質的に拡張する。こうすると、体内の局所的組織および/または神経領域の電気的刺激に加え、流体、光または電圧を適用することができる。
【0028】
元々は支持構造としておよび接続フランジの一種として組立体プレートとして作用する接続手段の組み合わせた使用により、そのような頭部の革新的な製造方法が可能となる。したがって、第1処理ステップにおいて、接続手段は、従来の意味での支持プレートとして機能し、すなわち、接続手段は、第1棒状組立工具に沿って、少なくとも1つの接触リング要素および少なくとも1つのシールリングとともに配置され、軸方向のクランプ力を生成する機械的カウンターベアリングとして機能する。このために、接続手段は、内周ネジ山を持つ第1開口を想定し、その内部に組立工具の端部に適用される外周ネジ山が嵌合可能である。接続手段に対して組立工具をねじることによって、組立工具に沿って配置された接触リング要素およびシールリングは、互いに関して張力を受ける。同様にして、接続手段は、第2組立工具上に配置されたシールリングおよび接触リング要素に沿ってクランプ力を生成するための機械的カウンターベアリングおよび支持構造として機能する。このために、接続手段は、貫通チャネルによって第1開口に接続される内周ネジ山を持つ第2開口を想定する。
【0029】
次のステップにおいて、頭部を作製するために、接続手段(2つの組立工具が取り付けられ、少なくとも1つの接触リング要素および少なくとも1つのシールリング要素の軸方向連続物が搭載されている)が、流体の形態で存在する凝固可能流延材料で覆われる。流延材料の凝固後、棒状の各組立工具は接続手段から解放され除去される。各組立工具を除去することにより、接続手段を通る貫通チャネルは、両端において、各組立工具を除去することによって形成された頭部の各止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する。
【0030】
[発明の簡単な説明]
本発明は、以下に、添付図面を参照して、実施形態の例によって一般的発明概念を限定することなく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】コネクタ変形例としての電気的パルス生成のための埋め込み可能デバイスを有する頭部を示す。
図2】媒体流に影響を与える接続手段内の構成要素で電気的刺激信号を生成するための埋め込み可能デバイスを有する頭部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[本発明を実施する方法、産業用途]
図1は、構成要素を形成するためのパルス生成器として設計される埋め込み可能医療デバイス2と組み合わされる頭部1の概略図を示す。複数の、電気的に絶縁性の、電気的に変形可能なシールリング3と、導電性の接触リング要素4とが、それぞれ交互の順序で、軸方向に連続する順序で、凝固可能な流延材料からなる頭部1内に配置される。シールリング3と、電気的接触リング要素4とは、頭部1の外壁上でアクセス可能なソケット開口61,62を有する止まり穴型プラグ接触ソケット51,52を取り囲む。ソケット開口71,72の反対側のソケット基部72,73は、組立目的で用いられる2つの組立工具のための機械的カウンターベアリングの役割を(頭部1の製造のために、また、とくに、複数のシールリング3および電気的接触リング要素4を軸方向に整列させるために)果たす共通の接続手段8によって制限される。このために、接続手段8は、接続手段8を完全に通過する貫通チャネル9を想定し、貫通チャネル9に沿って、その貫通チャネル開口上に、少なくとも部分的に、内周ネジ山10が組み込まれる。
【0033】
止まり穴型プラグ接触ソケット51,52内には、プラグ接触ソケット51,52の寸法および形状に適合したプラグ本体をそれぞれ備える本発明に従って完成されるプラグ組立体12,13も嵌合し、その外周上には、電気的接触リング要素4の配置に対応して、対応する対向接触要素15が配置される。対向接触要素15同士の間には、電気的に絶縁性のプラグ本体領域が設けられる。頭部の止まり穴状プラグ接触ソケット51,52それぞれの内部のプラグ接触組立体12,13の電気的接触に関して、図1に示すデバイスは、問題の種類の比較可能なプラグ組立体と変わらない。
【0034】
本解決策によれば、プラグ接触組立体12,13は、中空チャネル17,18の形状の媒体チャネルを想定し、媒体チャネルはプラグ本体を介して中央的に突出し、ソケット基部71,72の領域において、止まり穴型プラグ接触ソケット51,52内へと開口する媒体チャネル9に当接接合の形態で面一に隣接する。中空チャネル17,18および貫通チャネル9の種類および設計によっては、貫通チャネル9とプラグ側の各中空チャネル17,18の間の接続は、各中空チャネルを通過する媒体の低損失または無損失の接続および伝送のために設計され実施されるべきである。これのために、中空チャネル17,18と貫通チャネル9との間のシームレスな遷移のために、接続手段8内に、追加のシールおよび/または接合外形19が任意選択で導入される。
【0035】
プラグ接触組立体12,13は、それぞれ出口ライン20,21に接続され、それは、電気的刺激信号伝送のために少なくとも1つの電気的ライン(図示せず)に加え、中空チャネル17,18を含む。
【0036】
第1例において図1に示す頭部1は、2つのプラグ組立体12,13の間のコネクタまたは接続部として作用し、それらの中空チャネル17,18は、可能な媒体伝送のために面一かつ無損失な態様で、貫通チャネル19を介して互いに接続する。
【0037】
図1に示す実施形態の例は、2つの平行かつ軸方向に向いたプラグ接触ソケット51,52を示し、それらの開口61,62が、頭部1のハウジングの互いに径方向反対側で開口する。同様に、頭部内で互いに隣り合って平行に向いて配置される2つのプラグ接触ソケットを提供することも可能である(それらの開口は、頭部1の同じ片側で開口する)。この場合には、接続手段内を通過する貫通チャネル9は、プラグ側の各媒体チャネル(これらはそれぞれ対応するソケット基部で互いに対して面一な態様で開口する)を接続するために半弧になっている。
【0038】
また、頭部内に3つ以上のプラグ接触ソケットを提供することも考えられる。これらは、3回以上分岐する貫通チャネルで互いに接続される。
【0039】
中空チャネル17,18を通過中の媒体(たとえば気体または液体の流体、光または電流)を検出するために、実施形態の好適な変形例は、頭部1内に少なくとも1つのセンサ23を設けることを想定する。センサ23の種類および設計に応じて、それは、接続手段8上に直接、またはこれに一体化されて配置され、および/または、シールリング3の少なくとも1つに配置され、または、電気的接触リング要素4の少なくとも1つに配置される。少なくとも1つのセンサ23の種類および用途は、中空チャネル17,18に沿って伝送されている媒体によってガイドされる。センサ23は、以下のセンサ種類のうちから適切に選択され得る:ホール効果センサ、光センサ、フローセンサ、超音波センサ、温度センサ、圧力センサ、等。
【0040】
図2において、図1に示す頭部1とは異なり、接続手段8内に追加の構成要素24が貫通チャネル9に沿って配置され、これは、中空チャネル17,18および貫通チャネル9を通過する媒体に影響を及ぼす。図2において、図1に示す実施形態の例に関してすでに説明した構造的および機能的に等価な構成要素は、同じ参照番号を付して提供される。
【0041】
流体ラインとして設計された中空チャネル17,18の場合には、貫通チャネル9に沿って配置される構成要素は、好適には流体ポンプである。流体ポンプを用いて、たとえば、体内流体を、身体のある領域Aから身体の別の領域Bへと搬送することができる。加えて、構成要素24は、貫通チャネル9を追加する流体を浄化するためのフィルタを含んでもよい。
【0042】
中空チャネル17,18および貫通チャネル9に光ガイドを設けることも可能である。この場合には、構成要素24は、光ユニットとして(たとえば、光増幅器、光フィルタまたはスイッチまたは光結合入力および/または結合出力要素の形態で)設計可能である。このコンテキストで、インプラントによってもたらされる電気的刺激に加え、体内領域A,Bに、光による光学的刺激が考えられる。このために、埋め込み可能デバイス2内において、ユニット24に光学的に結合される少なくとも1つの光源を提供することによる。同様に、光ガイドを介して伝送可能な体内光信号を検出可能な光検出器が、埋め込み可能デバイス2内に含まれてもよい。
【0043】
最後に、中空チャネル17,18および貫通チャネル9に沿った電気的リードの場合には、構成要素24は、調整可能電気抵抗または電気的増幅器の形態で設計可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 頭部
2 埋め込み可能デバイス、IPG
3 シールリング
4 接触リング要素
51,52 プラグ接触ソケット
61,62 開口
71,72 ソケット基部
8 接続手段
9 貫通チャネル
10 内周ネジ山
12,13 プラグ組立体
14 N.N.
15 対向接触要素
16 プラグ本体領域
17,18 中空チャネル
19 シールおよび/または接合外形
20,21 出口ライン
23 センサ
24 流体、光学的または電気的構成要素
図1
図2
【国際調査報告】