(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】神経治療薬の塩及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07C 63/08 20060101AFI20230531BHJP
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C07D 471/04 20060101ALI20230531BHJP
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A61K 31/195 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C07C63/08
C07D243/10
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C07D471/04 117A
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A61K31/554
A61K31/519
A61K31/496
A61K31/195
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567113
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2021053814
(87)【国際公開番号】W WO2021224830
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518343246
【氏名又は名称】シニュークス インターナショナル(タイワン)コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】クオチョアン エミル ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】シー ティエン-ラン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン イー-フォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シン-シン
(72)【発明者】
【氏名】チエン ミン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】シー ハン-イー
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイ-ホア
【テーマコード(参考)】
4C065
4C071
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4C206
4H006
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
神経治療薬が、置換ベンゾジアゼピン、置換ベンゾチアゼピン、置換ピリドピリミジン、又は置換アミノ-シクロヘキサン酢酸であり、酸が、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、及びタンニン酸である、神経治療薬の塩及び酸の塩。塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、約6:1~約1:5の範囲である。中枢神経系(CNS)障害又はCNS障害に関連する代謝障害を治療するための、神経治療薬塩を含む組成物、及びその治療的使用も、本明細書に開示される。
【選択図】
図76
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経治療薬及び酸の塩であって、
(a)前記神経治療薬が、置換ベンゾジアゼピン、置換ベンゾチアゼピン、置換ピリドピリミジン、及び置換アミノ-シクロヘキサン酢酸からなる群から選択され、
(b)前記酸が、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、及びタンニン酸からなる群から選択され、
前記塩中の前記神経治療薬及び前記酸のモル比が、約6:1~約1:5の範囲である、塩。
【請求項2】
前記神経治療薬が、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、パリペリドン、ルラシドン、及びガバペンチンからなる群から選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記塩中の前記神経治療薬及び前記酸の前記モル比が、1:1である、請求項1又は2に記載の塩。
【請求項4】
(a)前記酸が、安息香酸であり、前記神経治療薬が、クロザピン、パリペリドン、若しくはルラシドンであるか、(b)前記酸が、ニコチン酸であり、前記神経治療薬が、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、若しくはリスペリドンであるか、又は(c)前記酸が、タンニン酸であり、前記神経治療薬が、ガバペンチンである、請求項3に記載の塩。
【請求項5】
前記塩が、
(a)クロザピンの安息香酸塩であって、前記塩が、およそ7.6、12.4、13.6、15.3、15.7、16.0、19.5、19.9、23.1、24.9、25.1、及び28.4度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、安息香酸塩、
(b)クロザピンのニコチン酸塩であって、前記クロザピンのニコチン酸塩が、およそ7.7、8.2、10.9、12.6、13.8、16.0、17.9、18.2、18.8、19.5、21.9、22.2、22.4、23.3、24.1、25.2、31.2、31.5、35.0、及び44.2度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、ニコチン酸塩、
(c)オランザピンのニコチン酸塩であって、前記オランザピンのニコチン酸塩が、およそ7.9、8.1、9.6、13.7、15.8、16.4、17.2、17.9、19.3、24.3、29.4、33.1、34.6、39.4、及び42.7度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、ニコチン酸塩、
(d)クエチアピンのニコチン酸塩であって、前記クエチアピンのニコチン酸塩が、およそ6.2、9.2、10.3、11.4、12.4、12.9、16.2、16.5、17.0、17.2、17.3、17.5、19.4、19.9、21.1、21.3、22.1、27.1、32.9、及び35.6度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、ニコチン酸塩、
(e)リスペリドンのニコチン酸塩であって、前記リスペリドンのニコチン酸塩が、およそ9.7、10.9、12.0、12.4、14.4、17.1、17.4、24.4、36.8、42.8、及び44.1度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、ニコチン酸塩、並びに
(f)パリペリドンの安息香酸塩であって、前記パリペリドンの安息香酸塩が、およそ6.8、9.0、10.9、11.4、11.8、16.6、18.3、18.6、20.8、22.2、22.8、27.5、29.0、30.3、及び32.3度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、安息香酸塩からなる群から選択される、請求項4に記載の塩。
【請求項6】
前記塩中の前記神経治療薬及び前記酸の前記モル比が、1:2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項7】
(a)前記酸が、タンニン酸であり、前記神経治療薬が、クロザピン若しくはガバペンチンであるか、又は
(b)前記酸が、ニコチン酸であり、前記神経治療薬が、パリペリドンである、請求項6に記載の塩。
【請求項8】
前記塩が、パリペリドンのニコチン酸塩であり、前記パリペリドンのニコチン酸塩が、およそ6.7、8.9、11.0、11.2、11.7、16.1、16.4、17.6、18.4、22.8、27.2、及び29.9度の反射角2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、請求項7に記載の塩。
【請求項9】
前記塩中の前記神経治療薬及び酸の前記モル比が、1:3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項10】
前記塩が、ガバペンチンのタンニン酸塩である、請求項9に記載の塩。
【請求項11】
前記塩中の前記神経治療薬及び酸の前記モル比が、2:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項12】
前記酸が、タンニン酸であり、前記神経治療薬が、クロザピン、オランザピン、又はガバペンチンである、請求項11に記載の塩。
【請求項13】
前記塩中の前記神経治療薬及び酸の前記モル比が、3:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項14】
前記塩が、ガバペンチンのタンニン酸塩である、請求項13に記載の塩。
【請求項15】
前記塩中の前記神経治療薬及び酸の前記モル比が、4:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項16】
前記塩が、クロザピンのタンニン酸塩である、請求項15に記載の塩。
【請求項17】
前記塩中の前記モル比及び酸が、5:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩。
【請求項18】
前記塩が、オランザピンのパントテン酸塩であり、前記パントテン酸塩が、およそ7.7、8.1、8.7、11.2、11.7、13.5、15.4、16.0、16.2、16.4、19.0、20.3、22.2、22.4、23.1、24.4、25.7、25.8、26.7、27.7、29.4、33.6、34.3、34.6、及び37.7度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む、請求項17に記載の塩。
【請求項19】
前記タンニン酸が、5~12個のガロイル部分を有する少なくとも95%のタンニン酸を有するタンニン酸混合物である、請求項1~6、9~11及び13~17のいずれか一項に記載の塩。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項21】
前記組成物が、前記塩中の前記神経治療薬とは異なる追加の治療薬剤を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記追加の治療薬剤が、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗けいれん薬、又は神経変性薬である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記追加の治療薬剤が、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミンパーシャルアゴニスト、ラモトリギン、メマンチン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、クロルプロマジン、ブロナンセリン、ブロムペリドール、カルピプラミン、クロカプラミン、クロチアピン、シアメマジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、モリンドン、モサプラミン、ネモナプリド、オキシペルチン、ペンフルリドール、ピラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピパンペロン、ピポチアジン、プロチペンジル、セルチンドール、スピペロン、スルトプリド、チアプリド、チミペロン、ゾテピン、デカン酸ハロペリドール、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、リスパダールコンスタ、アセトフェナジン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リルゾール、リバスチグミン、タクリン、ブプロピオン、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードチロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、エスシタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、ミルナシプラン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フルオキセチン、パロキセチン、サルコシン、セルトラリンフルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシン、ミルナシプラン及びデュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、セレギリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ジアゼパム、ブロマゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、ラマトロギン、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポラート、マプロチリン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、フィゾスチグミン、ニコチン、フペルジンアルファ、ビタミンc、ビタミン、カロテノイド、イチョウ、スタチンサムフェタミン(statinsamphetamine)、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、ジメシル酸リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、混合塩アンフェタミン、アトモキセチン、クロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、ペモリン、アセトアミノフェン、アスピリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ネパフェナク、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、リドカイン、ネフォパム、オルフェナドリン、シクロベンザプリン、ヒヨスチン(hyoscine)、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、タペンタドール、トラマドール、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、アセタゾラミド、ジバルプロエクスナトリウム、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラコサミド、レベチラセタム、メフェニトイン、メタルビタール、メトスクシミド、メタゾラミド、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、フェンスクシミド、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、ビガバトリン、ゾニサミド、キセナジン(xenazine)、テレアベナジン(tereabenazine)、バクロフェン、オーステド(austedo)、リオレサール、ケムストロ(kemstro)、デューテトラベナジン、エダラボン、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、レボドパ、並びにモノアミンオキシダーゼ-B阻害剤からなる群から選択される、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
中枢神経系(CNS)障害又は中枢神経系(CNS)障害に関連する代謝障害を治療する方法であって、前記方法が、それを必要とするヒト対象に、有効量の請求項1~19のいずれか一項に記載の塩、又は請求項20~23のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記ヒト対象に、前記塩中の前記神経治療薬とは異なる追加の治療薬剤を投与することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記塩が、ニコチン酸塩であり、前記塩の前記量が、前記ヒト対象における1つ以上の代謝症状を軽減するのに十分なものである、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト対象が、精神神経障害を有するか、又は有することが疑われる、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記精神神経障害が、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、老年期認知症、軽度認知障害、良性健忘、閉鎖性頭部損傷、自閉スペクトラム症、アスペルガー障害、脆弱X症候群、注意欠如多動症、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、子供の学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、アンヘドニア、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度予測不能ストレス、摂食障害、嗜癖障害、パーソナリティ障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、卒中、慢性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚過敏、アロディニア、糖尿病性多発神経障害、発作、及びてんかんからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒト対象が、1日4回から3ヶ月に1回の頻度で、前記塩又は前記塩を含む前記組成物を投与される、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ヒト対象が、CNS障害のための1つ以上の追加の治療薬剤を受けたか、又はそれと同時に治療され、前記1つ以上の治療薬剤が、前記塩中の前記神経治療薬とは異なる、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の治療薬剤が、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗けいれん薬、又は神経変性薬である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記CNS障害が、神経変性疾患であり、筋萎縮性側索硬化症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項33】
前記追加の治療薬剤が、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミンパーシャルアゴニスト、ラモトリギン、メマンチン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、クロルプロマジン、ブロナンセリン、ブロムペリドール、カルピプラミン、クロカプラミン、クロチアピン、シアメマジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、モリンドン、モサプラミン、ネモナプリド、オキシペルチン、ペンフルリドール、ピラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピパンペロン、ピポチアジン、プロチペンジル、セルチンドール、スピペロン、スルトプリド、チアプリド、チミペロン、ゾテピン、デカン酸ハロペリドール、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、リスパダールコンスタ、アセトフェナジン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リルゾール、リバスチグミン、タクリン、ブプロピオン、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードチロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、エスシタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、ミルナシプラン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フルオキセチン、パロキセチン、サルコシン、セルトラリンフルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシン、ミルナシプラン及びデュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、セレギリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ジアゼパム、ブロマゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、ラマトロギン、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポラート、マプロチリン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、フィゾスチグミン、ニコチン、フペルジンアルファ、ビタミンc、ビタミン、カロテノイド、イチョウ、スタチンサムフェタミン(statinsamphetamine)、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、ジメシル酸リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、混合塩アンフェタミン、アトモキセチン、クロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、ペモリン、アセトアミノフェン、アスピリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ネパフェナク、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、リドカイン、ネフォパム、オルフェナドリン、シクロベンザプリン、ヒヨスチン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、タペンタドール、トラマドール、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、アセタゾラミド、ジバルプロエクスナトリウム、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラコサミド、レベチラセタム、メフェニトイン、メタルビタール、メトスクシミド、メタゾラミド、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、フェンスクシミド、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、ビガバトリン、ゾニサミド、キセナジン、テレアベナジン、バクロフェン、オーステド、リオレサール、ケムストロ、デューテトラベナジン、エダラボン、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、レボドパ、並びにモノアミンオキシダーゼ-B阻害剤からなる群から選択される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月5日に出願された米国仮特許出願第63/020,223号の出願日の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系(CNS)には、脳及び脊髄が含まれ、外傷、感染、変性、構造的欠陥及び/又は損傷、腫瘍、血流途絶、及び自己免疫障害を含む様々な因子によって引き起こされ得る障害に対して脆弱である。CNS障害の症状は、その障害に関与し、その障害の原因である神経系の領域によって異なる。
【0003】
CNS障害の複雑さ、及び血液脳関門を介して治療薬剤を送達することに関連する困難さに起因して、CNS障害に効果的な療法の開発は、他の治療分野に遅れをとっている。更に、CNS障害を治療するために承認された多くの神経治療薬は、代謝障害又は疾患等の望ましくない副作用を伴っている。
【0004】
治療用化合物の異なる結晶形態及び/又は塩形態は、異なる物理化学的特性又は生物薬学的特性を有し得る。これらの異なる特性には、異なる化学的安定性、溶解性、バイオアベイラビリティ(例えば、血液脳関門を通る改善された通過を含む)、及び/又は低減された副作用が含まれ得る。したがって、改善された特性を有する治療薬剤の新しい形態を開発し、特に、新しい形態が、低下した副作用を示すか、又は副作用を示さない場合に、これらの新しい形態を使用してCNS障害を治療することは非常に興味深いことである。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、特定のCNS薬物のいくつかの酸付加塩が、改善された水溶性、流動性等の改善された物理的特徴、増加したバイオアベイラビリティ、緩和された副作用(神経治療薬による治療によって誘発される代謝症候群等)、改善された薬力学的効果、増強された治療効果(例えば、精神神経障害及び/又は代謝障害を治療するための)、又はそれらの組み合わせ等の改善された特性を示したという、予想外の発見に基づいている。塩を調製するために使用される酸としては、例えば、ニコチン酸、安息香酸、パントテン酸、及びタンニン酸が挙げられる。
【0006】
したがって、本開示のいくつかの態様は、神経治療薬及び酸の塩を特徴とする。いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ベンゾジアゼピン、置換ベンゾチアゼピン、置換ピリドピリミジン、又は置換アミノ-シクロヘキサン酢酸であり、酸は、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、又はタンニン酸であり得る。塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、約6:1~約1:5の範囲であり得る。いくつかの例では、神経治療薬は、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、パリペリドン、ルラシドン、又はガバペンチンである。
【0007】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、1:1である。例えば、(a)酸は、安息香酸であり、神経治療薬は、クロザピン、パリペリドン、若しくはルラシドンであるか、(b)酸は、ニコチン酸であり、神経治療薬は、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、若しくはリスペリドンであるか、又は(c)酸は、タンニン酸であり、神経治療薬は、ガバペンチンである。特定の例では、
-塩は、クロザピンの安息香酸塩であり、塩が、およそ7.6、12.4、13.6、15.3、15.7、16.0、19.5、19.9、23.1、24.9、25.1、及び28.4度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含み、
-塩は、クロザピンのニコチン酸塩であり、クロザピンのニコチン酸塩が、およそ7.7、8.2、10.9、12.6、13.8、16.0、17.9、18.2、18.8、19.5、21.9、22.2、22.4、23.3、24.1、25.2、31.2、31.5、35.0、及び44.2度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含み、
-塩は、オランザピンのニコチン酸塩であり、オランザピンのニコチン酸塩が、およそ7.9、8.1、9.6、13.7、15.8、16.4、17.2、17.9、19.3、24.3、29.4、33.1、34.6、39.4、及び42.7度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含み、
-塩は、クエチアピンのニコチン酸塩であり、クエチアピンのニコチン酸塩が、およそ6.2、9.2、10.3、11.4、12.4、12.9、16.2、16.5、17.0、17.2、17.3、17.5、19.4、19.9、21.1、21.3、22.1、27.1、32.9、及び35.6度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含み、
-塩は、リスペリドンのニコチン酸塩であり、リスペリドンのニコチン酸塩が、およそ9.7、10.9、12.0、12.4、14.4、17.1、17.4、24.4、36.8、42.8、及び44.1度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含むか、又は
-塩は、パリペリドンの安息香酸塩であり、パリペリドンの安息香酸塩が、およそ6.8、9.0、10.9、11.4、11.8、16.6、18.3、18.6、20.8、22.2、22.8、27.5、29.0、30.3、及び32.3度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、1:2である。例えば、(a)酸は、タンニン酸であり、神経治療薬は、クロザピン若しくはガバペンチンであるか、又は(b)酸は、ニコチン酸であり、神経治療薬は、パリペリドンである。特定の例では、塩は、パリペリドンのニコチン酸塩であり、パリペリドンのニコチン酸塩は、およそ6.7、8.9、11.0、11.2、11.7、16.1、16.4、17.6、18.4、22.8、27.2、及び29.9度の反射角2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、1:3である。例えば、塩は、ガバペンチンのタンニン酸塩である。
【0010】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、2:1である。例えば、酸は、タンニン酸であり、神経治療薬は、クロザピン、オランザピン、又はガバペンチンである。
【0011】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、3:1である。例えば、塩は、ガバペンチンのタンニン酸塩である。
【0012】
いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、4:1である。例えば、塩は、クロザピンのタンニン酸塩である。
【0013】
いくつかの実施形態では、塩中のモル比及び酸は、5:1である。例えば、塩は、オランザピンのパントテン酸塩であり、パントテン酸塩は、およそ7.7、8.1、8.7、11.2、11.7、13.5、15.4、16.0、16.2、16.4、19.0、20.3、22.2、22.4、23.1、24.4、25.7、25.8、26.7、27.7、29.4、33.6、34.3、34.6、及び37.7度の反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する固体形態を含む。
【0014】
別の態様では、本明細書に開示される塩のうちのいずれかと、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物が本明細書で提供される。いくつかの場合に、組成物は、塩中の神経治療薬とは異なる追加の治療薬剤を更に含む。例えば、追加の治療薬剤は、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗けいれん薬、又は神経変性薬である。追加の治療薬剤の例としては、限定されないが、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミンパーシャルアゴニスト、ラモトリギン、メマンチン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、クロルプロマジン、ブロナンセリン、ブロムペリドール、カルピプラミン、クロカプラミン、クロチアピン、シアメマジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、モリンドン、モサプラミン、ネモナプリド、オキシペルチン、ペンフルリドール、ピラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピパンペロン、ピポチアジン、プロチペンジル、セルチンドール、スピペロン、スルトプリド、チアプリド、チミペロン、ゾテピン、デカン酸ハロペリドール、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、リスパダールコンスタ、アセトフェナジン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リルゾール、リバスチグミン、タクリン、ブプロピオン、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードチロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、エスシタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、ミルナシプラン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フルオキセチン、パロキセチン、サルコシン、セルトラリンフルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシン、ミルナシプラン及びデュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、セレギリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ジアゼパム、ブロマゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、ラマトロギン、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポラート、マプロチリン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、フィゾスチグミン、ニコチン、フペルジンアルファ、ビタミンc、ビタミン、カロテノイド、イチョウ、スタチンサムフェタミン(statinsamphetamine)、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、ジメシル酸リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、混合塩アンフェタミン、アトモキセチン、クロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、ペモリン、アセトアミノフェン、アスピリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ネパフェナク、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、リドカイン、ネフォパム、オルフェナドリン、シクロベンザプリン、ヒヨスチン(hyoscine)、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、タペンタドール、トラマドール、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、アセタゾラミド、ジバルプロエクスナトリウム、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラコサミド、レベチラセタム、メフェニトイン、メタルビタール、メトスクシミド、メタゾラミド、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、フェンスクシミド、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、ビガバトリン、ゾニサミド、キセナジン(xenazine)、テレアベナジン(tereabenazine)、バクロフェン、オーステド(austedo)、リオレサール、ケムストロ(kemstro)、デューテトラベナジン、エダラボン、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、レボドパ、並びにモノアミンオキシダーゼ-B阻害剤が挙げられる。
【0015】
なお別の態様では、本開示は、中枢神経系(CNS)障害又は中枢神経系(CNS)障害に関連する代謝障害を治療する方法であって、本方法が、それを必要とするヒト対象に、有効量の本明細書に開示される塩、又は同様に本明細書に開示される塩を含む組成物のうちのいずれかを投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの場合に、本方法は、ヒト対象に、塩中の神経治療薬とは異なる追加の治療薬剤(例えば、本明細書に開示されるもの)を投与することを更に含み得る。いくつかの例では、塩は、ニコチン酸塩であり、塩の量は、ヒト対象における1つ以上の代謝症状を軽減するのに十分なものである。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、精神神経障害を有し得るか、又は有することが疑われ得る。例としては、限定されないが、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、老年期認知症、軽度認知障害、良性健忘、閉鎖性頭部損傷、自閉スペクトラム症、アスペルガー障害、脆弱X症候群、注意欠如多動症、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、子供の学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、アンヘドニア、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度予測不能ストレス、摂食障害、嗜癖障害、パーソナリティ障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、卒中、慢性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚過敏、アロディニア、糖尿病性多発神経障害、発作、及びてんかんが挙げられる。いくつかの例では、CNS障害は、神経変性疾患、例えば、筋萎縮性側索硬化症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病である。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、1日4回から3ヶ月に1回の頻度で、塩又は塩を含む組成物を投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、CNS障害のための1つ以上の追加の治療薬剤を受けたか、又はそれと同時に治療される。1つ以上の治療薬剤は、塩中の神経治療薬とは異なり得る。いくつかの例では、追加の治療薬剤は、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗けいれん薬、又は神経変性薬である。例は、本明細書で提供される。
【0018】
標的CNS障害のうちのいずれかを治療する際に使用するための、又はこのような治療的用途の医薬を製造する際に使用するための、本明細書に開示される塩、又は塩を含む組成物のうちのいずれかも、本開示の範囲内である。
【0019】
「神経変性」という用語は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造又は機能の進行性の喪失である。神経変性疾患としては、限定されないが、筋萎縮性側索硬化症、認知症、及びハンチントン病が挙げられる。
【0020】
「認知症」という用語は、人々の日常的な機能に影響を及ぼすのに十分なほど重篤な、思考し、記憶する能力が長期間にわたり、多くは徐々に低下する脳疾患の一カテゴリーである。他の一般的な症状としては、情緒面の問題、言語の困難さ、及びやる気の低下が含まれる。一般的な認知症疾患としては、限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、血管性認知症、レビー小体型認知症、及び前頭側頭型認知症が挙げられる。
【0021】
「精神神経障害」という用語は、神経学的疾患又は精神障害又はCNS障害のいずれかを含むか、又は器質性脳障害によって引き起こされる精神症状若しくは症候群のいずれかを伴う障害を指す。精神神経症候群の主な特徴としては、様々な精神症状の発生、認知障害、神経症状、又は初期の脳発達症状の可能性が含まれる。例えば、精神神経障害としては、限定されないが、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、老年期認知症、軽度認知障害、良性健忘、閉鎖性頭部損傷、自閉スペクトラム症、アスペルガー障害、脆弱X症候群、注意欠如多動症、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、子供の学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、アンヘドニア、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度予測不能ストレス、躁状態、摂食障害、嗜癖障害、パーソナリティ障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、卒中、慢性疼痛、痛覚過敏及びアロディニアを含む神経障害性疼痛、糖尿病性多発神経障害、慢性疼痛症候群、発作、及びてんかんが挙げられ得る。
【0022】
「代謝」は、ミネラル及びビタミンによって補助される酵素反応を含み、それによって、身体はエネルギーを導き出し、食物として摂取される脂肪、炭水化物、及びタンパク質から必要な他の分子を合成する。
【0023】
代謝症候群は、血圧の上昇、高血糖、腰の周りの過剰な体脂肪、異常なコレステロール又はトリグリセリドレベル、高血糖及び神経治療薬の非塩形態の摂取から生じる糖不耐症のうちの2つ以上等の状態の一群である。代謝症候群は、同時に、又は本質的に同時に発生し、心臓疾患、卒中、及び/又は糖尿病のリスクの増加につながる可能性がある。
【0024】
「代謝障害」の種類には、限定されないが、酸塩基不均衡、代謝性脳疾患、カルシウム代謝の障害、DNA修復不全障害、糖代謝障害、高乳酸血症、鉄代謝障害、脂質代謝障害、吸収不全症候群、代謝シンドロームX、代謝の先天性異常、ミトコンドリア病、リン代謝障害、ポルフィリン症、タンパク質恒常性欠損症、プロテオスタシス欠損、代謝性皮膚疾患、消耗症候群、及び水電解質不均衡が含まれる。
【0025】
「代謝疾患」には、限定されないが、副腎白質ジストロフィー、1型糖尿病、ゴーシェ病、グルコースガラクトース吸収不全症、遺伝性ヘモクロマトーシス、レッシュ・ナイハン症候群、メープルシロップ尿症、メンケス病、ニーマン・ピック病、肥満、膵臓がん、フェニルケトン尿症、プラダー・ウィリ症候群、ポルフィリン症、レフサム病、タンジール病、テイ・サックス病、ウィルソン病、及びツェルウェガー症候群が挙げられる。
【0026】
「健康食品」又は「健康食品製品」という用語は、基本的な行動機能、多動性、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/若しくは認知機能、体重のうちの1つ以上を緩和又は改善しつつ、ヒト及び動物に栄養を与えるために使用される、又は本明細書に記載される標的疾患のいずれかの治療を容易にするための、任意の種類の液体及び固体/半固体の材料を指す。
【0027】
「栄養補助組成物」という用語は、食品源からの構成要素を含有し、食品中に見出される基本的な栄養価に加えて、追加の健康上の利益を与える組成物を指す。
【0028】
「医療用食品」又は「医療用食品製品」という用語は、本明細書に記載されるような標的疾患の特定の食事管理のために医師の監督下で通常使用される食品製品を含め、経腸的に消費されるか、又は投与されるように製剤化される食品製品を指す。
【0029】
「医療用食品製品」組成物は、治療を必要とする患者(例えば、疾病に罹患するヒト患者、又は特定の食事管理を介して疾患若しくは状態を緩和するための主要な活性薬剤としての製品の使用を必要とするヒト患者)のために特別に製剤化され、処理される(天然状態で使用される天然に存在する食料とは対照的である)組成物を指し得る。
【0030】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴又は利点は、以下の図面及びいくつかの実施形態の詳細な説明から、並びに添付の特許請求の範囲からも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様を更に示すために含まれており、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによって、よりよく理解することができる。
【0032】
【
図1】クロザピン:安息香酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図2】クロザピン:安息香酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、7.6、8.1、10.5、12.4、12.6、13.6、15.3、15.7、16.0、16.1、16.4、17.6、18.1、19.3、19.5、19.9、20.9、21.2、21.6、21.8、22.2、22.7、23.1、23.3、23.8、24.2、24.4、24.5、24.9、25.1、26.4、27.3、27.6、27.9、28.4、29.8、30.4、30.6、30.9、31.0、31.3、31.5、31.6、31.7、32.2、32.5、32.6、33.2、33.3、33.5、33.8、34.1、34.2、35.1、35.6、36.1、36.9、37.7、37.9、38.3、38.8、39.8、40.2、40.4、40.9、41.7、42.6、43.1、43.3、及び44.0を含む。
【
図3】クロザピン:安息香酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図4】クロザピン:安息香酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図5】クロザピン:ニコチン酸1:1塩(シード)の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図6】クロザピン:ニコチン酸1:1塩(シード)のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、7.7、8.2、10.4、10.9、12.6、12.9、13.8、14.1、15.1、15.5、16.0、16.5、17.3、17.9、18.2、18.5、18.8、19.5、19.7、20.0、20.2、20.7、21.0、21.4、21.7、21.9、22.2、22.4、22.7、23.0、23.3、23.5、24.0、24.1、24.4、25.2、25.4、25.6、25.9、26.2、27.0、27.8、28.2、28.4、28.8、29.0、29.7、30.1、30.2、30.4、30.5、31.2、31.5、31.6、31.9、32.0、32.2、32.8、33.0、33.2、34.4、35.0、35.6、36.3、36.6、37.0、37.1、37.6、37.7、37.9、38.1、38.2、38.9、39.0、39.3、39.8、40.2、40.7、41.3、41.8、42.1、42.5、43.2、44.1、及び44.2を含む。
【
図7】クロザピン:ニコチン酸1:1塩(シード)のTGAスペクトルを示す。
【
図8】クロザピン:ニコチン酸1:1塩(シード)のDSCスペクトルを示す。
【
図9】クロザピン:ニコチン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図10】クロザピン:ニコチン酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、7.7、8.2、10.9、12.6、12.9、13.8、14.1、15.1、15.5、16.0、16.5、17.9、18.2、18.5、18.8、19.5、19.7、20.0、20.2、20.7、21.0、21.4、21.7、21.9、22.2、22.4、22.7、23.0、23.3、23.5、24.0、24.1、24.4、25.2、25.4、25.6、25.9、26.2、27.0、27.8、28.2、28.4、28.8、29.0、29.7、30.1、30.2、30.4、30.5、31.2、31.5、31.6、31.9、32.0、32.2、32.8、33.0、33.2、34.4、35.0、35.6、36.3、36.6、37.0、37.1、37.6、37.7、37.9、38.1、38.2、38.9、39.0、39.3、39.8、40.2、40.7、41.3、41.8、42.1、42.5、43.2、44.1、及び44.2を含む。
【
図11】クロザピン:ニコチン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図12】クロザピン:ニコチン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図13】オランザピン:ニコチン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図14】オランザピン:ニコチン酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、7.9、8.1、8.8、9.6、12.5、13.7、14.4、14.7、15.8、16.4、16.6、16.9、17.2、17.6、17.7、17.9、19.3、20.5、21.1、21.2、21.9、22.6、23.0、23.6、23.9、24.2、24.3、24.9、25.2、25.2、26.7、27.0、27.1、27.5、29.4、29.9、30.2、31.1、31.6、32.8、33.1、34.1、34.6、35.4、35.9、36.5、38.7、39.4、40.5、及び42.7を含む。
【
図15】オランザピン:ニコチン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図16】オランザピン:ニコチン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図17】クエチアピン:ニコチン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図18】クエチアピン:ニコチン酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、5.0、6.2、9.0、9.2、10.0、10.3、10.7、11.0、11.4、11.6、12.4、12.9、13.3、13.5、13.8、14.1、14.7、15.3、15.9、16.2、16.5、17.0、17.2、17.3、17.5、17.7、18.3、18.5、18.7、19.2、19.4、19.7、19.9、20.2、20.6、21.1、21.3、21.9、22.1、22.3、23.0、23.1、23.3、23.7、24.0、24.3、24.7、24.9、25.9、26.0、26.5、26.8、27.1、27.5、27.7、27.8、28.1、28.5、29.0、29.4、29.7、30.0、30.2、30.5、30.9、31.6、32.2、32.9、33.4、33.9、34.2、34.4、34.7、35.0、35.6、36.0、36.6、37.0、37.6、38.1、38.7、39.2、39.7、40.2、41.2、41.7、42.6、42.9、43.5、43.7、43.9、及び44.9を含む。
【
図19】クエチアピン:ニコチン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図20】クエチアピン:ニコチン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図21】リスペリドン:ニコチン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図22】リスペリドン:ニコチン酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、6.9、9.7、10.3、10.9、11.5、12.0、12.4、13.9、14.4、14.7、15.4、16.0、16.3、17.1、17.4、18.2、18.6、19.6、19.9、20.3、21.1、21.7、21.9、22.4、23.1、23.4、24.4、24.7、25.1、25.8、26.5、26.8、27.3、27.9、28.5、28.9、29.6、31.0、32.2、33.0、33.5、34.1、34.4、34.8、35.4、35.6、36.8、37.7、38.1、39.0、39.7、40.9、41.3、42.8、44.1、及び44.9を含む。
【
図23】リスペリドン:ニコチン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図24】リスペリドン:ニコチン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図25】パリペリドン:安息香酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図26】パリペリドン:安息香酸1:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、6.8、9.0、10.9、11.2、11.4、11.8、12.4、13.7、14.7、16.1、16.3、16.6、17.5、18.0、18.3、18.6、19.1、19.4、20.1、20.8、22.2、22.4、22.8、23.3、23.6、25.1、25.9、26.2、27.5、27.8、29.0、30.3、32.3、33.5、34.1、35.3、36.3、37.2、38.0、38.7、39.8、42.0、42.6、43.1、及び44.9を含む。
【
図27】パリペリドン:安息香酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図28】パリペリドン:安息香酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図29】パリペリドン:ニコチン酸1:2塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図30】パリペリドン:ニコチン酸1:2塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、6.7、8.9、11.0、11.2、11.7、13.5、14.7、15.4、16.1、16.4、16.9、17.6、18.4、18.7、20.2、20.4、21.0、22.1、22.8、23.5、23.9、24.7、25.2、25.9、26.1、26.8、27.2、27.7、29.0、29.9、30.4、32.0、32.5、33.1、33.9、34.5、35.5、36.5、38.1、38.8、39.7、40.0、40.9、41.2、42.0、42.5、及び44.3を含む。
【
図31】パリペリドン:ニコチン酸1:2塩のTGAスペクトルを示す。
【
図32】パリペリドン:ニコチン酸1:2塩のDSCスペクトルを示す。
【
図33】オランザピン:パントテン酸5:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図34】オランザピン:パントテン酸5:1塩のXRPDスペクトルを示す。角度(2θ)ピークは、7.7、7.8、8.1、8.7、11.2、11.7、12.1、13.5、15.2、15.4、16.0、16.2、16.4、17.5、18.0、19.0、19.7、20.3、20.6、21.0、21.4、22.2、22.4、23.1、23.7、24.1、24.4、24.8、25.1、25.7、25.8、26.2、26.7、27.4、27.7、28.4、28.8、29.4、30.1、30.3、30.7、31.0、31.2、31.4、32.3、32.6、33.2、33.6、33.9、34.3、34.6、35.3、37.1、37.7、38.3、38.6、39.4、40.1、41.2、42.0、42.7、43.0、44.1、及び44.5を含む。
【
図35】オランザピン:パントテン酸5:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図36】オランザピン:パントテン酸5:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図37】クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図38】クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図39】クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図40】クロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図41】クロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図42】クロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図43】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図44】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図45】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図46】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:2塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図47】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:2塩のTGAスペクトルを示す。
【
図48】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:2塩のDSCスペクトルを示す。
【
図49】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:3塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図50】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:3塩のTGAスペクトルを示す。
【
図51】ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:3塩のDSCスペクトルを示す。
【
図52】ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図53】ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図54】ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図55】ガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図56】ガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図57】ガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図58】サルコシン:濃縮タンニン酸1:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図59】サルコシン:濃縮タンニン酸1:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図60】サルコシン:濃縮タンニン酸1:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図61】サルコシン:濃縮タンニン酸1:2塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図62】サルコシン:濃縮タンニン酸1:2塩のTGAスペクトルを示す。
【
図63】サルコシン:濃縮タンニン酸1:2塩のDSCスペクトルを示す。
【
図64】クロザピン:タンニン酸6:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図65】クロザピン:タンニン酸6:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図66】クロザピン:タンニン酸6:1塩のDSCスペクトルを示す。
【
図67】ストレス試験前のクロザピンのHPLC分析を示す。
【
図68】ストレス試験前の安息香酸と混合したクロザピンのHPLC分析を示す。
【
図69】ストレス試験前の安息香酸と混合したクロザピン安息香酸1:1塩形態のHPLC分析を示す。
【
図70】40℃/75%RH(相対湿度)で30日間保持したクロザピンのHPLC分析を示す。
【
図71】40℃/75%RHで30日間保持した安息香酸と混合したクロザピンのHPLC分析を示す。
【
図72】40℃/75%RHで30日間保持した安息香酸と混合したクロザピン安息香酸1:1塩形態のHPLC分析を示す。
【
図73】ラットにおけるクロザピン及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の血漿濃度-時間曲線の折れ線グラフを示す図である。
【
図74】MK-801治療マウスにおける歩行活動に対するクロザピン(Clz)及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、###P<0.001;MK-801群と比較して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
【
図75】マウスにおける血糖試験を説明する実験プロトコルの概略図である。
【
図76】(A)腹腔内(i.p.)注射及び(B)経口強制摂取による、ニコチン酸(NA、3.77mg/kg)、クロザピン(Clz、10mg/kg)及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩、13.77mg/kg)の急性投与を受けたマウスにおける空腹時血糖値を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、##P<0.01;###P<0.001、Clz_10mg/kgと比較して、*P<0.05。
【
図77】3日間にわたる経口投与による、空腹時血糖値に対するクロザピン(Clz)及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、##P<0.01;###P<0.001、クロザピン_3mg/kgと比較して、*P<0.05。
【
図78】マウスにおける耐糖能試験(GTT)を説明する実験プロトコルの概略図である。
【
図79】経口投与による、ニコチン酸(NA、3.77mg/kg)、クロザピン(Clz、10mg/kg)、クロザピン(Clz、10mg/kg)+ニコチン酸(3.77mg/kg)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩、13.77mg/kg)が、マウスにおける糖代謝に及ぼす影響を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
【
図80】19日間にわたる経口投与の後の糖代謝におけるクロザピン(Clz、10mg/kg)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩、13.77mg/kg)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、**P<0.01。
【
図81】36日間にわたる経口投与の後の糖代謝に対するクロザピン(Clz、3mg/kg)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩、4.13mg/kg)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、*P<0.05。
【
図82】8日間にわたる経口投与による、マウスにおける(A)空腹時インスリンレベル及び(B)恒常性モデル評価-インスリン耐性(HOMA-IR)指数に対するクロザピン(Clz、10mg/kg)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA1:1塩、13.77mg/kg)の効果を示す図である。
【
図83】ビヒクル、クロザピン(Clz、10mg/kg)、クロザピン(Clz、10mg/kg)+濃縮タンニン酸(TA、22.5mg/kg)、クロザピン(Clz、10mg/kg)+濃縮タンニン酸(TA、11.3mg/kg)、クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩(Clz:TA 2:1塩、32.5mg/kg)、及びクロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩(Clz:TA 4:1塩、21.3mg/kg)群における、時間経過に伴う血糖値の変化を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、*P<0.05、**P<0.01。
【
図84】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するクロザピン(1mg/kg)、及びクロザピン:安息香酸(1:1)塩(1.37mg/kg)の効果を示す図である。
【
図85】MK-801治療マウスにおける歩行活動に対するオランザピン及びオランザピン塩の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;MK-801群と比較して、*P<0.05。
【
図86】(A)腹腔内(i.p.)注射及び(B)経口強制摂取による、ニコチン酸(NA、3.94mg/kg)、オランザピン(Olz、10mg/kg)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩、13.94mg/kg)の急性投与を受けたマウスにおける空腹時血糖値を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
【
図87】腹腔内(i.p.)注射による、マウスにおける糖代謝に対するオランザピン(Olz、5mg/kg)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩、6.97mg/kg)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;オランザピン:ニコチン酸1:1_6.97mg/kgと比較して、**P<0.01、***P<0.001。
【
図88】腹腔内(i.p.)注射による、マウスにおける糖代謝に対するオランザピン(10mg/kg)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(13.94mg/kg)の効果を示す図である。ビヒクル対照群と比較して、#P<0.05、###P<0.001。
【
図89】経口強制摂取による、マウスにおける糖代謝に対するニコチン酸(NA、3.94mg/kg)、オランザピン(Olz、10mg/kg)、オランザピン(Olz、10mg/kg)+ニコチン酸(NA、3.94mg/kg)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩、13.94mg/kg)の効果を示す図である。
【
図90】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するオランザピン(0.5mg/kg)、及びオランザピン:パントイン酸5:1塩(0.547mg/kg)の効果を示す図である。
【
図91】ビヒクル、濃縮タンニン酸(TA、200mg/kg)、ガバペンチン(GBP、20mg/kg)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩(GBP:TA 1:1塩、192mg/kg)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩(GBP:TA 2:1塩、106.02mg/kg)、又はガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩(GBP:TA 3:1塩、77.34mg/kg)を経口投与されたマウスにおける、時間経過に伴う足引っ込め疼痛閾値を示す図である。データを平均±SEMとして提示し、二元配置ANOVA Dunnet検定を用いて分析した。統計的有意性を、以下のように記した。ビヒクル対照群と比較して、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001。
【
図92】von Frey試験からのビヒクル対照、濃縮タンニン酸(TA、200mg/kg)、ガバペンチン(GBP、20mg/kg)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩(GBP:TA 1:1塩、192mg/kg)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩(GBP:TA 2:1塩、106.02mg/kg)、又はガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩(GBP:TA 3:1塩、77.34mg/kg)の曲線下の面積(AUC)を示す図である。データを平均±SDとして提示し、一元配置ANOVA Dunnett検定を用いて分析した。統計的有意性を、以下のように記した。ビヒクル対照群と比較して、**P<0.01及び***P<0.001。
【
図93】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するクエチアピン(0.06mg/kg)及びクエチアピン:ニコチン酸1:1塩(0.076mg/kg)の効果を示す図である。スチューデントのT検定によって、クエチアピン群と比較して、*P<0.05。
【
図94】グルコースチャレンジ(2g/kg、腹腔内注射)後のビヒクル、クエチアピン(20mg/kg)、及びクエチアピン:ニコチン酸1:1塩(25.64mg/kg)の血糖曲線(A)及び曲線下の面積(B)を示す図である。
【
図95】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するリスペリドン(0.06mg/kg)及びリスペリドン:ニコチン酸1:1塩(0.078mg/kg)の効果を示す図である。
【
図96】グルコースチャレンジ(2g/kg、腹腔内注射)後のビヒクル、リスペリドン(12mg/kg)、及びリスペリドン:ニコチン酸1:1塩(15.6mg/kg)の血糖曲線(A)及び曲線下の面積(B)を示す図である。スチューデントのT検定によって、リスペリドン:ニコチン酸1:1塩群と比較して、*P<0.05。
【
図97】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するパリペリドン(0.06mg/kg)及びオランザピン:安息香酸1:1塩(0.076mg/kg)の効果を示す図である。スチューデントのT検定によって、パリペリドン群と比較して、*P<0.05。
【
図98】MK-801(0.2mg/kg、腹腔内注射)治療マウスにおける歩行活動に対するパリペリドン(0.06mg/kg)及びパリペリドン:ニコチン酸1:2塩(0.094mg/kg)の効果を示す図である。スチューデントのT検定によって、パリペリドン群と比較して、*P<0.05。
【
図99】オランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩の1H-NMRスペクトルを示す。
【
図100】オランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩のTGAスペクトルを示す。
【
図101】オランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩のDSCスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、特定の構造及び特定の酸、例えば、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸及びタンニン酸を有する、神経治療薬の塩の開発に基づく。本明細書で報告されるそのような塩の例は、例えば、改善された水溶性、流動性等の改善された物理的特徴、増加したバイオアベイラビリティ、改善された薬力学的効果、及び/又は増強された治療効果(例えば、精神神経障害及び/若しくは代謝障害を治療するための)を含む、1つ以上の予想外の優れた特徴を示した。更に、本明細書に開示される例示的な塩は、非塩形態又は異なる塩形態での対応する神経治療薬による治療によって誘発される副作用(例えば、異常な糖代謝)を緩和した。以下の例を参照されたい。
【0034】
非定型抗精神病薬等のいくつかの神経治療薬は、代謝障害又は代謝疾患を引き起こすことが知られているか、又はそれらを引き起こすことに寄与する。驚くべきことに、本明細書に開示される神経治療薬の特定の塩が、神経治療薬の非塩形態の投与に関連するこのような代謝疾患及び障害を緩和及び/又は予防することが見出された。
【0035】
したがって、本開示の一態様は、神経治療薬の塩及び酸の塩を特徴とする。本明細書に開示される神経治療薬の塩のうちのいずれかを含む組成物、及びその治療的使用もまた、本明細書で提供される。
【0036】
I.神経治療薬の塩
本明細書に開示される塩は、神経治療薬及び酸で構成され得る。いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ベンゾジアゼピン、置換ベンゾチアゼピン、置換ピリドピリミジン、又は置換アミノ-シクロヘキサン酢酸であり得る。いくつかの実施形態では、酸は、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、又はタンニン酸であり得る。列挙される神経治療薬及び酸の任意の組み合わせは、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、塩中の神経治療薬及び酸のモル比は、約6:1~約1:5の範囲である。
【0037】
(i)神経治療薬
本明細書に開示される神経治療薬は、神経障害又は精神障害等のCNS障害の症状を治療又は緩和するのに治療上有効である薬物又は薬物候補(低分子)を指す。例示的な神経治療薬としては、限定されないが、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミンパーシャルアゴニスト、ラモトリギン、メマンチン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、テトラベナジン、クロルプロマジン、ブロナンセリン、ブロムペリドール、カルピプラミン、クロカプラミン、クロチアピン、シアメマジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、モリンドン、モサプラミン、ネモナプリド、オキシペルチン、ペンフルリドール、ピラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピパンペロン、ピポチアジン、プロチペンジル、セルチンドール、スピペロン、スルトプリド、チアプリド、チミペロン、ゾテピン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リルゾール、リバスチグミン、タクリン、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードチロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、ジアゼパム、ブロマゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、ロキサピン、モリンドン、デカン酸ハロペリドール、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、リスパダールコンスタ、アセトフェナジン、クロルプロチキセン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオンsr、シタロプラム、s-シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、ミルナシプラン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フルオキセチン、パロキセチン、サルコシンセルトラリンフルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシンxr、ミルナシプラン及びデュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、セレギリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロギン、リチウム、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポラート、マプロチリン、ミルタザピン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、フィゾスチグミン、ニコチン、フペルジンアルファ、ビタミンc、ビタミン、カロテノイド、イチョウ、スタチンサムフェタミン、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、ジメシル酸リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、混合塩アンフェタミン、アトモキセチン、クロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、ペモリン、ラモトリギン、アカンプロサート、テトラベナジン、リルゾール、アセトアミノフェン、アスピリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ネパフェナク、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、リドカイン、ネフォパム、オルフェナドリン、シクロベンザプリン、ヒヨスチン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、タペンタドール、トラマドール、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ジバルプロエクスナトリウム、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタム、メフェニトイン、メタルビタール、メトスクシミド、メタゾラミド、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、フェンスクシミド、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、リメタジオン(rimethadione)、バルプロ酸、ビガバトリン、ゾニサミド、キセナジン、テレアベナジン、バクロフェン、オーステド、リオレサール、ケムストロ、デューテトラベナジン、エダラボン、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、レボドパ、モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ベンゾジアゼピンであり得る。いくつかの例では、置換化合物は、1~6個の置換基を有し得る。いくつかの例では、置換基の各々は、独立して、以下に列挙される置換基の群のうちの1つであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ベンゾチアゼピンであり得る。いくつかの例では、置換化合物は、1~6個の置換基を有し得る。いくつかの例では、置換基の各々は、独立して、以下に列挙される置換基のうちの1つであり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ピリドピリミジンであり得る。いくつかの例では、置換化合物は、1~6個の置換基を有し得る。いくつかの例では、置換基の各々は、独立して、以下に列挙される置換基のうちの1つであり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換アミノ-シクロヘキサン酢酸であり得る。いくつかの例では、置換化合物は、1~6個の置換基を有し得る。いくつかの例では、置換基の各々は、独立して、以下に列挙される置換基のうちの1つであり得る。
【0042】
一般に、「置換」という用語は、本明細書で使用される場合、ある基(例えば、炭素原子若しくは窒素原子)上に存在する少なくとも1個の水素が、許容される置換基(例えば、置換すると安定な化合物(例えば、転位、環化、脱離、又は他の反応等によって自発的に変換を受けない化合物)を生じる置換基)で置き換えられることを意味する。特に明記しない限り、「置換」基は、その基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造の1つより多い位置が置換される場合、置換基は、各位置で同じであるか、又は異なっているかのいずれかである。「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかによる置換を含むことを企図する。本開示は、安定な化合物に到達するために、そのような任意及び全ての組み合わせを企図している。本開示の目的のために、窒素等のヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たし、安定な部分の形成をもたらす、本明細書に記載の水素置換基及び/又は任意の好適な置換基を有し得る。特定の実施形態では、置換基は、炭素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は、窒素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は、酸素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は、硫黄原子置換基である。
【0043】
例示的な置換基としては、限定されないが、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORaa、-ON(Rbb)2、-N(Rbb)2、-N(Rbb)3+X-、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-CO2H、-CHO、-C(ORcc)2、-CO2Raa、-OC(=O)Raa、-OCO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-OC(=O)N(Rbb)2、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCO2Raa、-NRbbC(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-OC(=NRbb)N(Rbb)2、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-NRbbSO2Raa、-SO2N(Rbb)2、-SO2Raa、-SO2ORaa、-OSO2Raa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa)3、-OSi(Raa)3-C(=S)N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa,-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-OP(=O)(Raa)2、-OP(=O)(ORcc)2、-P(=O)(N(Rbb)¬2)2、-OP(=O)(N(Rbb¬¬)2)2、-NRbbP(=O)(Raa)2、-NRbbP(=O)(ORcc)2、-NRbbP(=O)(N(Rbb)2)2、-P(Rcc)2、-P(ORcc)2、-P(Rcc)3+X-、-P(ORcc)3+X-、-P(Rcc)4、-P(ORcc)4、-OP(Rcc)2、-OP(Rcc)3+X-、-OP(ORcc)2、-OP(ORcc)3+X-、-OP(Rcc)4、-OP(ORcc)4、-B(Raa)2、-B(ORcc)2、-BRaa(ORcc)、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員環ヘテロシクリル、C6~14アリール、及び5~14員環ヘテロアリールが挙げられ、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換され、X-は、対イオンであるか、
又は炭素原子上の2個のジェミナル水素は、基=O、=S、=NN(Rbb)2、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)2Raa、=NRbb、又は=NORccと置き換えられており、
Raaの各々の場合は、独立して、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員環ヘテロシクリル、C6~14アリール、及び5~14員環ヘテロアリールから選択されるか、又は2個のRaa基が接続して、3~14員環ヘテロシクリル又は5~14員環ヘテロアリール環を形成し、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換され、
Rbbの各々の場合は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2,-P(=O)(N(Rcc¬)2)2、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員環ヘテロシクリル、C6~14アリール、及び5~14員環ヘテロアリールから選択されるか、又は2個のRbb基が接続して、3~14員環ヘテロシクリル又は5~14員環ヘテロアリール環を形成し、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換され、X-は、対イオンであり、
Rccの各々の場合は、独立して、水素、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員環ヘテロシクリル、C6~14アリール、及び5~14員環ヘテロアリールから選択されるか、又は2個のRcc基が接続して、3~14員環ヘテロシクリル又は5~14員環ヘテロアリール環を形成し、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRdd基で置換され、
Rddの各々の場合は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORee、-ON(Rff)2、-N(Rff)2、-N(Rff)3+X-、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-CO2H、-CO2Ree、-OC(=O)Ree、-OCO2Ree、-C(=O)N(Rff)2、-OC(=O)N(Rff)2、-NRffC(=O)Ree、-NRffCO2Ree、-NRffC(=O)N(Rff)2、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff)2、-OC(=NRff)N(Rff)2、-NRffC(=NRff)N(Rff)2,-NRffSO2Ree、-SO2N(Rff)2、-SO2Ree、-SO2ORee、-OSO2Ree、-S(=O)Ree、-Si(Ree)3、-OSi(Ree)3、-C(=S)N(Rff)2、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)(ORee)2、-P(=O)(Ree)2、-OP(=O)(Ree)2、-OP(=O)(ORee)2、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、5~10員環ヘテロアリールから選択され、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換されるか、又は2個のジェミナルRdd置換基が接続して、=O又は=Sを形成することができ、X-は、対イオンであり、
Reeの各々の場合は、独立して、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員環ヘテロシクリル、及び3~10員環ヘテロアリールから選択され、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換され、
Rffの各々の場合は、独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員環ヘテロシクリル、C6~10アリール、及び5~10員環ヘテロアリールから選択されるか、又は2個のRff基が接続して、3~14員環ヘテロシクリル又は5~14員環ヘテロアリール環を形成し、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、又は5個のRgg基で置換され、
Rggの各々の場合は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)3+X-、-NH(C1~6アルキル)2+X-、-NH2(C1~6アルキル)+X-、-NH3+X-、-N(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-CO2H、-CO2(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO2(C1~6アルキル)、-C(=O)NH2、-C(=O)N(C1~6アルキル)2、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO2(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH2、-C(=NH)O(C1~6アルキル),-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)2、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH2、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)2、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH2、-NHC(NH)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=NH)NH2、-NHSO2(C1~6アルキル)、-SO2N(C1~6アルキル)2、-SO2NH(C1~6アルキル)、-SO2NH2,-SO2C1~6アルキル、-SO2OC1~6アルキル、-OSO2C1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)3、-OSi(C1~6アルキル)3-C(=S)N(C1~6アルキル)2、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH2、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)2、-P(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(OC1~6アルキル)2、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員環ヘテロシクリル、5~10員環ヘテロアリールであるか、又は2個のジェミナルRgg置換基が接続して、=O又は=Sを形成することができ、X-は、対イオンである。
Rggの各々の場合は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)2、-N(C1~6アルキル)3+X-、-NH(C1~6アルキル)2+X-、-NH2(C1~6アルキル)+X-、-NH3+X-、-N(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-CO2H、-CO2(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO2(C1~6アルキル)、-C(=O)NH2、-C(=O)N(C1~6アルキル)2、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO2(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH2、-C(=NH)O(C1~6アルキル),-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)2、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH2、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)2、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH2、-NHC(NH)N(C1~6アルキル)2、-NHC(=NH)NH2、-NHSO2(C1~6アルキル)、-SO2N(C1~6アルキル)2、-SO2NH(C1~6アルキル)、-SO2NH2,-SO2C1~6アルキル、-SO2OC1~6アルキル、-OSO2C1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)3、-OSi(C1~6アルキル)3-C(=S)N(C1~6アルキル)2、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH2、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)2、-P(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(C1~6アルキル)2、-OP(=O)(OC1~6アルキル)2、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員環ヘテロシクリル、5~10員環ヘテロアリールであるか、又は2個のジェミナルRgg置換基が接続して、=O又は=Sを形成することができ、X-は、対イオンである。
【0044】
「対イオン」又は「アニオン性対イオン」は、電子的中性を維持するために正に帯電した基と会合する負に帯電した基である。アニオン性対イオンは、一価であり得る(すなわち、1つの負の形式電荷を含む)。アニオン性対イオンはまた、二価又は三価等の多価(すなわち、1つより多い負の形式電荷を含む)であり得る。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3-、ClO4-、OH-、H2PO4-、HSO4-、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10-カンファースルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホネート、エタン-1-スルホン酸-2-スルホネート等)、カルボキシレートイオン(例えば、アセテート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タータレート、グリコレート、グルコネート等)、BF4-、PF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、B[3,5-(CF3)2C6H3]4]-、BPh4-、Al(OC(CF3)3)4-、及びカルボランアニオン(例えば、CB11H12-又は(HCB11Me5Br6)-)が挙げられる。多価であってもよい例示的な対イオンとしては、CO32-、HPO42-、PO43-、B4O72-、SO42-、S2O32-、カルボキシレートアニオン(例えば、タータレート、シトレート、フマレート、マレエート、マレート、マロネート、グルコネート、スクシネート、グルタレート、アジペート、ピメレート、スベレート、アゼレート、セバケート、サリチレート、フタレート、アスパルテート、グルタメート等)、及びカルボランが挙げられる。
【0045】
特定の例では、本明細書に開示される塩中の神経治療薬は、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、パリペリドン、ルラシドン、又はガバペンチンであり得る。別の実施形態では、神経治療薬は、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、パリペリドン、ルラシドン、又はガバペンチンのうちの1つのみを含む。
【0046】
(ii)酸
本明細書に開示される神経治療薬の塩を作製する際に使用するための酸は、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、又はタンニン酸であり得る。
【0047】
安息香酸、ニコチン酸、及びパントテン酸の構造(以下の表に提供される)は、当技術分野で周知である。
【表1】
【0048】
本明細書に開示される神経治療薬の塩を作製する際に使用するための安息香酸、ニコチン酸、又はパントテン酸は、非置換であり得る。代替的には、本明細書に記載されるもの等の1つ以上の許容される置換基によって置換され得る。
【0049】
タンニン酸とは、ポリガロイル(没食子酸)部分に囲まれた中心にグルコースを含むポリフェノールの一種を指す。天然に存在するタンニン酸は、例えば、2~12個の2没食子酸単位を含むポリガロイルグルコースの混合物である。所定数の没食子酸部分を有するタンニン酸は、天然源から精製するか、又は化学合成によって調製することができる。
【0050】
例示的なタンニン酸(10個のガロイル部分を有する)の構造を、以下に提供する。
【化1】
【0051】
タンニンは、様々な植物、例えば、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var.sinica(Diels)Rehder & E.H.Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib.ex Hayata、又はMachilus thunbergii Sieb.及びZucc.等に存在する、天然に存在する化合物の一群である。タンニンには、加水分解タンニン(タンニン酸としても知られる)、縮合タンニン、及びフロロタンニンを含む、3つの主な種類のタンニンが存在し、それぞれ、塩基単位として、没食子酸、フラボン、及びフロログルシノールを含有する。タンニンは、工業用パーティクルボード接着剤の一種として、耐腐食性プライマー又は樹脂の製造に広く使用されている。タンニンが、ヒトの健康に様々な影響を及ぼす可能性も示唆された。
【0052】
いくつかの例では、組成物中のタンニン酸の混合物は、4~12個のガロイル部分(例えば、5~10個のガロイル部分、5~12個のガロイル部分、又は8~12個のガロイル部分)を有するタンニン酸を含む。いくつかの例では、タンニン酸の混合物は、組成物中の総タンニン酸含有量の少なくとも95重量%を構成する。いくつかの例では、本明細書に記載のタンニン酸は、組成物中の唯一のタンニン酸含有量である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンニン酸組成物は、1~5個のガロイル部分を有するタンニン酸を20%以下(例えば、15%未満、10%未満、又は5%未満)含み得る。代替的には、又はそれに加えて、タンニン酸組成物は、6~12個のガロイル部分(例えば、8~12個のガロイル部分)を有する少なくとも50%の(例えば、60%を超える、70%を超える、又は80%を超える)タンニン酸を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンニン酸組成物は、(i)タンニン酸又はその許容される塩の混合物と、(ii)担体と、を含み、組成物は、4個未満のガロイル部分を有するタンニン酸を実質的に含まない。いくつかの例では、組成物中のタンニン酸の98%以上は、4~12個のガロイル部分を有する。いくつかの例では、組成物中のタンニン酸の95%以上(例えば、97%以上)は、5~12個のガロイル部分を有する。いくつかの例では、組成物中のタンニン酸の90%以上は、6~12個のガロイル部分を有する。いくつかの例では、組成物中のタンニン酸の60%以上は、8~12個のガロイル部分を有する。ある特定の例では、組成物は、約4~20%の5個のガロイル部分を有するタンニン酸と、約10~35%の6~7個のガロイル部分を有するタンニン酸と、約55~85%の8~12個のガロイル部分を有するタンニン酸と、を含む。
【0055】
いくつかの例では、本明細書に開示されるタンニン酸は、β形態での中心グルコース部分を含有する。他の例では、本明細書に開示されるタンニン酸は、β形態での中心グルコース部分を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に4個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に5個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に6個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に7個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に8個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に9個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に10個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に11個の没食子酸単位を含有する。いくつかの例では、タンニン酸は、中心グルコース部分の周囲に12個、又はそれより多くの没食子酸単位を含有する。
【0056】
別の態様では、開示されるタンニン酸組成物は、(i)タンニン酸又はその許容される塩と、(ii)担体と、を含み、タンニン酸は、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個のガロイル部分を含有する。タンニン酸は、組成物中の総タンニン酸含有量の少なくとも90%(w/w)を構成し得る。いくつかの例では、タンニン酸は、組成物中の総タンニン酸含有量の少なくとも95重量%を構成する。
【0057】
(iii)神経治療薬及び酸の塩
本明細書に開示される神経治療薬の塩は、本明細書に開示される神経治療薬及び酸のうちのいずれかを含んでいてもよく、酸は、安息香酸、ニコチン酸、パントテン酸、又はタンニン酸であり得る。いくつかの実施形態では、神経治療薬は、置換ベンゾジアゼピン、置換ベンゾチアゼピン、置換ピリドピリミジン、又は置換アミノ-シクロヘキサン酢酸(例えば、本明細書に開示される例示的な化合物のうちのいずれか)であり得る。神経治療薬及び酸のモル比は、約6:1~約1:5の範囲であり得る。
【0058】
本明細書に開示される神経治療薬の例示的な塩としては、クロザピン安息香酸、クロザピンニコチン酸、クロザピンタンニン酸、オランザピンニコチン酸、オランザピンパントテン酸、オランザピンタンニン酸、クエチアピンニコチン酸、リスペリドンニコチン酸、パリペリドン安息香酸、パリペリドンニコチン酸、ガバペンチンタンニン酸、及びサルコシンタンニン酸が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、1:1のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、安息香酸であってもよく、神経治療薬は、クロザピンであってもよい。いくつかの例では、酸は、安息香酸であってもよく、神経治療薬は、パリペリドンであってもよい。いくつかの例では、酸は、安息香酸であってもよく、神経治療薬は、ルラシドンであってもよい。他の例では、酸は、ニコチン酸であってもよく、神経治療薬は、クロザピンであってもよい。代替的には、酸は、ニコチン酸であってもよく、神経治療薬は、オランザピンであってもよい。なお他の例では、酸は、ニコチン酸であってもよく、神経治療薬は、クエチアピンであってもよい。更に他の例では、酸は、ニコチン酸であってもよく、神経治療薬は、リスペリドンであってもよい。なお他の例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、ガバペンチンであってもよい。
【0060】
特定の例では、本明細書に開示される塩は、クロザピンの塩及び安息香酸の塩である(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ7.6、12.4、13.6、15.3、15.7、16.0、19.5、19.9、23.1、24.9、25.1、28.4度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0061】
別の特定の例では、本明細書に開示される塩は、クロザピン及びニコチン酸の塩である(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ7.7、8.2、10.9、12.6、13.8、16.0、17.9、18.2、18.8、19.5、21.9、22.2、22.4、23.3、24.1、25.2、31.2、31.5、35.0、44.2度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0062】
なお別の特定の例では、本明細書に開示される塩は、オランザピン及びニコチン酸の塩である(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ7.9、8.1、9.6、13.7、15.8、16.4、17.2、17.9、19.3、24.3、29.4、33.1、34.6、39.4、42.7度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0063】
更に別の特定の例では、本明細書に開示される塩は、クエチアピン及びニコチン酸の塩である(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ6.2、9.2、10.3、11.4、12.4、12.9、16.2、16.5、17.0、17.2、17.3、17.5、19.4、19.9、21.1、21.3、22.1、27.1、32.9、35.6度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0064】
加えて、本明細書に開示される塩は、リスペリドン及びニコチン酸の塩であり得る(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ9.7、10.9、12.0、12.4、14.4、17.1、17.4、24.4、36.8、42.8、44.1度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0065】
更に、本明細書に開示される塩は、パリペリドン及び安息香酸の塩である(例えば、1:1のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ6.8、9.0、10.9、11.4、11.8、16.6、18.3、18.6、20.8、22.2、22.8、27.5、29.0、30.3、32.3度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、1:2(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、神経治療薬は、クロザピンであってもよく、酸は、タンニン酸であってもよい。他の例では、神経治療薬は、オランザピンであってもよく、酸は、タンニン酸であってもよい。代替的には、神経治療薬は、ガバペンチンであってもよく、酸は、タンニン酸であってもよい。他の例では、又は神経治療薬は、サルコシンであってもよく、酸は、タンニン酸であってもよい。いくつかの例では、神経治療薬は、パリペリドンであってもよく、酸は、ニコチン酸であってもよい。
【0067】
ある特定の例では、本明細書に開示される塩は、パリペリドン及びニコチン酸を含有する(例えば、1:2のモル比で)。かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ6.7、8.9、11.0、11.2、11.7、16.1、16.4、17.6、18.4、22.8、27.2、29.9度の2θにピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、1:3(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、ガバペンチンであってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、2:1(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、クロザピンであってもよい。他の例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、オランザピンであってもよい。なお他の例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、ガバペンチンであってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、3:1(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、ガバペンチンであってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される塩は、4:1(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、タンニン酸であってもよく、神経治療薬は、クロザピンであってもよい。
【0072】
ある実施形態では、本明細書に開示される塩は、5:1(神経治療薬:酸)のモル比で神経治療薬及び酸を含有する。いくつかの例では、酸は、パントテン酸であってもよく、神経治療薬は、オランザピンであってもよい。特定の例では、塩は、5:1のモル比でオランザピン及びパントテン酸を含有し、かかる塩は、固体形態にあり得る。いくつかの場合に、固体形態は、およそ7.7、8.1、8.7、11.2、11.7、13.5、15.4、16.0、16.2、16.4、19.0、20.3、22.2、22.4、23.1、24.4、25.7、25.8、26.7、27.7、29.4、33.6、34.3、34.6、37.7度の2θの反射角2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有し得る。
【0073】
II.神経治療薬の塩を含む組成物
本明細書に記載の神経治療薬の塩は、組成物へと製剤化されてもよく、組成物は、栄養補助組成物、薬学的組成物、健康食品、健康食品製品、医療用食品、及び/又は医療用食品製品を含む、様々な異なる形態にあり得る。
【0074】
本明細書に記載の組成物、食品及び食品製品はまた、本明細書に注記される標的疾患(例えば、本明細書に記載されるものを含む、精神神経障害及び/又は細菌感染(例えば、結核))のうちのいずれかの治療を促進する。
【0075】
一実施形態では、神経治療薬の塩は、健康食品製品の形態であり、食品製品(例えば、茶ベースの飲料、ジュース、清涼飲料、コーヒー、牛乳、ゼリー、クッキー、シリアル、チョコレート、スナックバー、ハーブ抽出物、乳製品(例えば、アイスクリーム、及びヨーグルト))、食品/栄養補助食品、又は栄養補助製剤であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、健康食品製品は、栄養補助組成物である。栄養補助組成物は、良好な健康を促進し、及び/又は神経治療薬の塩の安定性及び/若しくは生体活性を向上させる、任意の追加の成分及び補助食品と組み合わせた、本明細書に記載の神経治療薬の塩のいずれかを含む。
【0077】
組成物、食品及び製品の生物学的活性は、迅速及び/又は短期間であってもよく、すなわち、組成物、食品及び製品を摂取してから数分以内にヒト若しくは動物の健康を改善し始めるか、又は本明細書に記載の長期間にわたる健康目的を達成するのに役立ってもよく、例えば、精神神経障害を発症するリスクがある対象における、基本的な行動機能、多動性、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/若しくは認知機能を改善する。組成物、食品及び製品は、例えば、栄養補助食品又は薬学的製剤として、食用材料に含有され得る。栄養補助食品として、ビタミン、ミネラル、又はアミノ酸等の追加の栄養素も含まれ得る。組成物はまた、飲料の形態にあり得る。食品製品及び飲料の例としては、茶、清涼飲料、ジュース、牛乳、コーヒー、クッキー、シリアル、チョコレート、及びスナックバーが挙げられる。所望な場合、組成物、食品及び製品は、甘味料を添加することによって甘味付けすることができる。甘味料の非限定的な例としては、ソルビトール、マルチトール、水素化グルコースシロップ及び水素化デンプン加水分解物、高フルクトーストウモロコシシロップ、サトウキビ糖、甜菜糖、ペクチン、又はスクラロース等が挙げられる。
【0078】
ある実施形態では、経口投与のための組成物、食品及び製品の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができるか、又は使用前に水若しくは他の適切なビヒクルで構築するための乾燥製品として提示することができる。一実施形態では、液体調製物は、フルーツジュースとともに投与するために製剤化され得る。
【0079】
特定の実施形態では、組成物は、医療用食品又は医療用食品製品である。いくつかの実施形態では、医療用食品は、症状を管理するため、又はある疾患若しくは状態のリスクを低減するために、全体的な食事の一部として医師によって単純に推奨される食品ではない。
【0080】
特定の実施形態では、治療有効量の神経治療薬の塩は、薬学的組成物の形態である。特定の実施形態では、有効量は、治療有効量(例えば、CNS障害(例えば、本明細書に開示されるもの)を治療するか、及び/又はそのリスクを低減するのに有効な量)である。
【0081】
本明細書に記載の薬学的組成物は、薬理学の分野で知られている任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法は、本明細書に記載の塩(すなわち、「活性成分」)を担体若しくは賦形剤、及び/又は1つ以上の他の補助成分と会合させることと、次いで、必要な場合及び/若しくは所望の場合、成形し、及び/又は製品を所望の単回用量単位若しくは複数用量単位へと包装することを含む。
【0082】
薬学的組成物は、単回単位用量として、及び/又は複数の単回単位用量として、大量に調製され、包装され、及び/又は販売され得る。「単位用量」は、所定量の活性成分を含む薬学的組成物の別個の量である。活性成分の量は、一般に、対象にと投与される活性成分の投薬量、及び/又はそのような投薬量の2分の1若しくは3分の1等の投薬量の簡便な分数に等しい。
【0083】
本明細書に記載の薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、及び/又は状態に応じて、更には組成物が投与される経路に応じて変化する。組成物は、0.1%~100%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0084】
提供される薬学的組成物の製造に使用される薬学的に許容される賦形剤としては、不活性希釈剤、分散剤及び/又は造粒剤、表面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/又は油が挙げられる。カカオバター及び坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料、及び芳香剤等の賦形剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0085】
経口及び非経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば水若しくは他の溶媒等の当技術分野において一般に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、並びに芳香剤等のアジュバントを含み得る。非経口投与のための特定の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートを、Cremophor(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、及びこれらの混合物等の可溶化剤と混合する。
【0086】
薬学的組成物は、注射可能な調製物として製剤化され得る。例としては、当技術分野で知られている無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液が挙げられる。無菌の注射可能な調製物は、例えば1,3-ブタンジオール中の非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液、懸濁液、又はエマルションであり得る。一実施形態では、薬学的組成物は、1,3-ブタンジオールの溶液を形成する。他の許容されるビヒクル及び溶媒としては、水、リンガー用液、U.S.P.、及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。追加的に、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として使用され得る。固定油の例としては、合成モノグリセリド又はジグリセリドが挙げられる。オレイン酸等の脂肪酸もまた、注射可能な製剤の調製に使用され得る。
【0087】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して製剤を濾過することによって、又は固体滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができ、これを使用前に滅菌水又は他の滅菌の注射可能な媒体に溶解又は分散させることができる。
【0088】
薬物の効果を延長するために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。このことは、水溶性の低い結晶性材料又は非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。その場合、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。代替的には、非経口的に投与された剤形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成され得る。
【0089】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、及び顆粒が挙げられる。そのような固体剤形では、活性成分を、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム等の薬学的に許容される少なくとも1つの無菌の賦形剤若しくは担体、及び/又は(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸等の充填剤若しくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア等の結合剤、(c)グリセロール等の吸湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(e)パラフィン等の溶液遅延剤、(f)四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、(h)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、及び(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑沢剤、並びにこれらの混合物と混合する。カプセル、錠剤、及び丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。
【0090】
同様の種類の固体組成物を、ラクトース若しくは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、及び顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、及び薬理学の分野で周知の他のコーティング等のコーティング及びシェルで調製することができる。これらは、任意選択的に、乳白剤を含んでいてもよく、それらが活性成分のみを放出するか、又は優先的に消化管の特定の部分では、任意選択的に遅延する方法で放出する組成物のものであり得る。使用可能なカプセル化剤の例としては、ポリマー基質及びワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物を、ラクトース若しくは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いることができる。
【0091】
活性成分(本明細書に開示される塩のいずれか)は、上述のように1つ以上の賦形剤でマイクロカプセル化された形態にあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、及び顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、及び製薬学の分野で周知の他のコーティング等のコーティング及びシェルで調製することができる。そのような固体剤形では、活性成分は、スクロース、ラクトース、又はデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混和することができる。そのような剤形は、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の基質、例えば、錠剤化滑沢剤、並びにステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロース等の他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤、及び丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。これらは、任意選択的に、乳白剤を含んでいてもよく、それらが活性成分のみを放出するか、又は優先的に消化管の特定の部分では、任意選択的に遅延する方法で放出する組成物のものであり得る。使用可能なカプセル化剤の例としては、限定されないが、ポリマー基質及びワックスが挙げられる。
【0092】
本明細書で提供される薬学的組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適な薬学的組成物に向けられているが、そのような組成物は、一般に、あらゆる種類の動物への投与に好適である。様々な動物への投与に好適な組成物にするためのヒトへの投与に好適な薬学的組成物の改変は、よく理解されており、通常の熟練した獣医薬理学者は、通常の実験でそのような改変を設計し、及び/又は実施することができる。
【0093】
III.治療方法
いくつかの態様では、本開示は、同様に本明細書に開示される神経治療薬の塩のうちのいずれかを含む本明細書に開示される組成物のうちのいずれかを使用してCNS障害を治療するための方法を特徴とする。かかる方法を実施するために、有効量のを、好適な経路を介して治療を必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象は、CNS障害を有するか、又はそのリスクがあるヒト患者であり得る。
【0094】
本明細書に開示される神経治療薬組成物、食品及び製品は、経腸(例えば、経口)、非経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄質内、髄腔内、皮下、脳室内、経皮、皮中、皮下、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム、及び/又は液滴による)を含む任意の経路によって投与され得る。具体的には、企図される経路は、経口投与、静脈内投与(例えば、全身静脈内注射)、血液及び/若しくはリンパ供給を介した領域投与、並びに/又は患部への直接投与である。一般に、最も好適な投与経路は、薬剤の性質(例えば、胃腸管の環境におけるその安定性)、及び/又は対象の状態(例えば、対象が経口投与に忍容性であるかどうか)を含む様々な因子に依存するであろう。
【0095】
かかる治療を必要とするヒト又は動物に投与される神経治療薬の塩の正確な量は、例えば、対象の種、年齢、一般的な状態、副作用又は障害の重症度、特定の神経治療薬の塩の同一性、投与様式等に応じて、対象ごとに異なる。有効量は、単回用量(例えば、単一経口用量)又は複数回用量(例えば、複数経口用量)に含まれ得る。特定の実施形態では、複数回用量が、対象に投与されるか、又は生体試料(例えば、組織又は細胞)に適用される場合、複数回用量の任意の2つの用量は、異なっているか、又は実質的に同じ量の神経治療薬の塩を含み得る。特定の実施形態では、複数回用量が、対象に投与されるか、又は生体試料に適用される場合、複数回用量を投与する頻度は、典型的には、1日3回用量、1日2回用量、1日1回用量、隔日1回用量、3日に1回用量、週に1回用量、隔週に1回用量、月に1回用量、又は隔月1回用量である。特定の実施形態では、複数回用量を投与する頻度は、1日当たり1回用量である。特定の他の実施形態では、複数回用量を投与する頻度は、1日当たり2回用量である。なお他の実施形態では、複数回用量が投与される場合、複数回用量の最初の用量と最後の用量との間の持続期間は、1日間、2日間、4日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、7年間、10年間、15年間、20年間、又は対象若しくは生体試料の寿命である。特定の実施形態では、複数回用量の最初の用量と最後の用量との間の持続期間は、3ヶ月間、6ヶ月間、又は1年間である。特定の実施形態では、複数回用量の最初の用量と最後の用量との間の持続期間は、対象又は生体試料の寿命である。
【0096】
本明細書に記載される用量範囲は、提供された薬学的組成物を成体に投与するためのガイダンスを提供する。例えば、子供又は思春期に投与される量は、医師又は当業者によって決定することができ、成体に投与される量よりも少なくともよく、又は同じであってもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、組成物、食品、食品製品、又は神経治療薬の塩の有効用量は、約0.1~約1500mg/kg(体重)、又は0.5~1mg/kg、又は1~3mg/kg、又は3~5mg/kg、又は5~8mg/kg、又は8~12mg/kg、又は12~17mg/kg、又は17~22mg/kg、又は22~30mg/kg、又は30~40mg/kg、又は40~50mg/kg、又は50~100mg/kg、又は100~200mg/kg、又は200~400mg/kg、又は400~700mg/kg、又は700~1000mg/kg、又は1000~1500mg/kg、又は1500mg/kg~3g/kg、又は3g/kg~10g/kg、又は10g/kg~30g/kg、又は30g/kg~100g/kgである。
【0098】
いくつかの実施形態では、クロザピン安息香酸塩の有効用量は、約10~約1500mg、又は10~30mg、又は30~50mg、又は50~100mg、又は100~200mg、又は200~400mg、又は400~700mg、又は700~1000mg、又は1000~1500mgである。
【0099】
いくつかの実施形態では、クロザピンニコチン酸塩の有効用量は、約10~約1500mg、又は10~30mg、又は30~50mg、又は50~100mg、又は100~200mg、又は200~400mg、又は400~700mg、又は700~1000mg、又は1000~1500mgである。
【0100】
いくつかの実施形態では、クロザピンタンニン酸塩の有効用量は、約10mg~約10g、又は10mg~300mg、又は300mg~1g、又は1g~3g、又は3g~10gである。
【0101】
いくつかの実施形態では、オランザピンニコチン酸塩の有効用量は、約5~約50mg、又は5~10mg、又は10~20mg、又は20~30mg、又は30~50mgである。
【0102】
いくつかの実施形態では、オランザピンパントテン酸塩の有効用量は、約10~約150mg、又は10~20mg、又は20~30mg/kg、又は30~50mg、又は50~70mg、又は70~100mg/kg、又は100~150mgである。
【0103】
いくつかの実施形態では、オランザピンタンニン酸塩の有効用量は、約5~約500mg、又は5~30mg、又は30~100mg、又は100~300mg、又は300~500mgである。
【0104】
いくつかの実施形態では、クエチアピンニコチン酸塩の有効用量は、約50~約1500mg、又は50~100mg、又は100~200mg、又は200~400mg、又は400~700mg、又は700~1000mg、又は1000~1500gである。
【0105】
いくつかの実施形態では、リスペリドンニコチン酸塩の有効用量は、約0.5~約50mg、又は0.5~1mg、又は1~3mg、又は3~5mg、又は5~8mg、又は8~12mg、又は12~17mg、又は17~22mg、又は22~30mg、又は30~40mg、又は40~50mgである。
【0106】
いくつかの実施形態では、パリペリドン安息香酸塩の有効用量は、約2~約30mg、又は2~3mg、又は3~5mg、又は5~10mg、又は10~20mg、又は20~30mgである。
【0107】
いくつかの実施形態では、パリペリドンニコチン酸塩の有効用量は、約2~約30mg、又は2~3mg、又は3~5mg、又は5~10mg、又は10~20mg、又は20~30mgである。
【0108】
いくつかの実施形態では、ガバペンチンタンニン酸塩の有効用量は、約100mg~約100g、又は100mg~300mg、又は300mg~1g、又は1g~5g、又は5g~10g、又は10g~30g、又は30g~100gである。
【0109】
いくつかの実施形態では、サルコシンタンニン酸塩の有効用量は、約1g~約200g、又は1g~10mg、又は10g~30g、又は30g~50g、又は50g~100g、又は100g~200gである。
【0110】
いくつかの実施形態では、治療を受けている対象は、精神神経障害を有するか、有することが疑われるか、又は発症するリスクがある。
【0111】
本明細書に開示される神経治療薬の塩、又は本明細書に記載される組成物、食品、及び製品は、ヒト又は動物が精神神経障害を発症することを治療及び/又は予防するのに有用である。
【0112】
いくつかの実施形態では、精神神経障害は、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、老年期認知症、軽度認知障害、良性健忘、閉鎖性頭部損傷、自閉スペクトラム症、アスペルガー障害、脆弱X症候群、注意欠如多動症、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、子供の学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、アンヘドニア、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度予測不能ストレス、摂食障害、嗜癖障害、パーソナリティ障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、卒中、慢性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚過敏、アロディニア、糖尿病性多発神経障害、慢性疼痛症候群、発作、及びてんかんであり得る。
【0113】
特定の実施形態では、精神神経障害は、統合失調症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、精神病性障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、アルツハイマー病である。特定の実施形態では、精神神経障害は、前頭側頭型認知症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、血管性認知症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、レビー小体型認知症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、老年期認知症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、軽度認知障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、良性健忘である。特定の実施形態では、精神神経障害は、閉鎖性頭部損傷である。特定の実施形態では、精神神経障害は、アスペルガー障害を含む自閉スペクトラム症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、脆弱X症候群である。特定の実施形態では、精神神経障害は、注意欠如多動症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、注意欠陥障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、強迫性障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、チック障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、子供の学習障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、月経前症候群である。特定の実施形態では、精神神経障害は、気分変調及び死別による悲しみを含む、うつ病である。特定の実施形態では、精神神経障害は、大うつ病性障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、アンヘドニアである。特定の実施形態では、精神神経障害は、自殺念慮及び/又は行動である。特定の実施形態では、精神神経障害は、双極性I型及びII型障害を含む双極性障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、パニック障害及び恐怖症を含む不安障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、パニック障害である。いくつかの実施形態では、精神神経障害は、心的外傷後ストレス障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、慢性軽度予測不能ストレスである。特定の実施形態では、精神神経障害は、過食症及び拒食症を含む摂食障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、薬物依存症又は乱用を含む嗜癖障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、パーソナリティ障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、パーキンソン障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、ハンチントン障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、多発性硬化症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、筋萎縮性側索硬化症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、トゥレット症候群である。特定の実施形態では、精神神経障害は、夜尿症である。特定の実施形態では、精神神経障害は、非てんかん発作である。特定の実施形態では、精神神経障害は、眼瞼けいれんである。特定の実施形態では、精神神経障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。特定の実施形態では、精神神経障害は、卒中である。特定の実施形態では、精神神経障害は、慢性疼痛である。特定の実施形態では、精神神経障害は、痛覚過敏及びアロディニアを含む、神経障害性疼痛である。特定の実施形態では、精神神経障害は、糖尿病性多発神経障害である。特定の実施形態では、精神神経障害は、慢性疼痛症候群である。特定の実施形態では、精神神経障害は、発作である。特定の実施形態では、精神神経障害は、てんかんである。
【0114】
いくつかの好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。他の好ましい実施形態では、神経治療薬の塩は、1日4回から3ヶ月に1回の頻度でヒトに投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、塩中の神経治療薬とは異なる少なくとも1つの追加の治療薬剤と組み合わせて、神経治療薬の塩を含む組成物を開示する。一実施形態では、ヒト対象は、CNS障害のための1つ以上の追加の治療薬剤を受けたか、又はそれと同時に治療され、1つ以上の治療薬剤は、塩中の神経治療薬とは異なる。追加の治療薬剤は、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗けいれん薬、又は神経変性薬であり得る。いくつかの実施形態では、CNS障害は、神経変性疾患であり、筋萎縮性側索硬化症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される。
【0116】
追加の治療薬剤の例としては、限定されないが、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミンパーシャルアゴニスト、ラモトリギン、メマンチン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、テトラベナジン、クロルプロマジン、ブロナンセリン、ブロムペリドール、カルピプラミン、クロカプラミン、クロチアピン、シアメマジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、モリンドン、モサプラミン、ネモナプリド、オキシペルチン、ペンフルリドール、ピラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピパンペロン、ピポチアジン、プロチペンジル、セルチンドール、スピペロン、スルトプリド、チアプリド、チミペロン、ゾテピン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リルゾール、リバスチグミン、タクリン、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードチロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン、ジアゼパム、ブロマゼパム、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、エスタゾラム、フルラゼパム、クロナゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、ロキサピン、モリンドン、デカン酸ハロペリドール、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、リスパダールコンスタ、アセトフェナジン、クロルプロチキセン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオンsr、シタロプラム、s-シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、ミルナシプラン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フルオキセチン、パロキセチン、サルコシンセルトラリンフルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシンxr、ミルナシプラン及びデュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、セレギリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロギン、リチウム、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポラート、マプロチリン、ミルタザピン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、フィゾスチグミン、ニコチン、フペルジンアルファ、ビタミンc、ビタミン、カロテノイド、イチョウ、スタチンサムフェタミン、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、ジメシル酸リスデキサンフェタミン(ビバンセ)、混合塩アンフェタミン、アトモキセチン、クロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、ペモリン、ラモトリギン、アカンプロサート、テトラベナジン、リルゾール、アセトアミノフェン、アスピリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ネパフェナク、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、リドカイン、ネフォパム、オルフェナドリン、シクロベンザプリン、ヒヨスチン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、タペンタドール、トラマドール、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ジバルプロエクスナトリウム、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタム、メフェニトイン、メタルビタール、メトスクシミド、メタゾラミド、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、フェンスクシミド、プレガバリン、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルプロ酸、ビガバトリン、ゾニサミド、キセナジン、テレアベナジン、バクロフェン、オーステド、リオレサール、ケムストロ、デューテトラベナジン、エダラボン、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、レボドパ、モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤が挙げられる。
【0117】
更なる詳細なしに、当業者が、上記の説明に基づいて、本発明を最大限の程度まで利用することができると考えられる。したがって、以下の特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法であれ、本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用される全ての刊行物は、本明細書で参照される目的又は主題のために参照により組み込まれる。
【0118】
実施例1.神経治療薬の塩の調製
材料及び方法
(i)1H-NMR
1H核磁気共鳴(NMR)分析を、25℃で、d-メタノール等の重水素化溶媒中、Bruker Fourier 400(Bruker)で実施した。
【0119】
(ii)熱重量分析(TGA)
TGAデータを、10℃/分の加熱速度で50℃~700℃で、白金るつぼを備えたTGA Q50(TA Instruments-Waters LLC)によって測定した。
【0120】
(iii)示差走査熱量測定
塩の融点を、示差走査熱量計(DSC)法を使用して決定した。DSCデータを、10℃/分の加熱速度で、50℃~450℃の加熱範囲において、Tゼロアルミニウム低質量パンを備えたDSC 25(TA Instruments-Waters LLC)によって測定した。
【0121】
(iv)X線粉末回折法
X線回折パターンを、D8 ADVANCE(Bruker AXS Gmbh、Germany)で得た。試料を、40kV及び40mAで、CuKα放射線を用いた回転ステージ上で、0.02°のステップサイズを有し、0~45°(2θ)からの連続モードでスキャンした。入射光経路には、0.2mmの発散スリット及び0.02mmの空気散乱スクリーンが備えられていた。回折光には、Niフィルターが備えられていた。検出は、Lynxeye検出器(Bruker AXS)を用いて達成した。
【0122】
塩調製
(a)クロザピン:安息香酸1:1塩の調製
クロザピン(2.5g、7.6mmol)、安息香酸(0.9g、7.6mmol)及び10.0mLのEtOHの混合物を、全ての固体が溶解するまで50℃で撹拌した。次いで、混合物を50℃で0.5時間撹拌し、室温まで冷却し、10.0mLのヘキサンを添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、2.5gのクロザピン:安息香酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図1~4に示される。
【0123】
(b)クロザピン:ニコチン酸1:1塩の調製
クロザピン(2.0g、6.1mmol)、ニコチン酸(3.8g、7.6mmol)、並びに10.0mLのアセトニトリル及び水(94/6)の混合物を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、室温で一晩撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で6時間乾燥させて、0.8gのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図5~8に示される。この塩を使用して、以下のすぐ下で作製された塩をシードとした。クロザピン(10.0g、30.6mmol)、ニコチン酸(3.8g、30.6mmol)、並びに25.0mLのアセトニトリル及び水(94/6)の混合物を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で1時間撹拌し、RT(室温)まで冷却し、上からのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を用いてシードとした。室温で一晩撹拌した後、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、9.6gのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図9~12に示される。
【0124】
(c)オランザピン:ニコチン酸1:1塩の調製
オランザピン(20.0g、64.0mmol)、ニコチン酸(7.9g、64.0mmol)、並びに390.0mLのアセトン及び水(87/13)の混合物を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、一晩撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、17.8gのオランザピン:ニコチン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図13~16に示される。
【0125】
(d)クエチアピン:ニコチン酸1:1塩の調製
塩酸クエチアピン(2.0g、4.8mmol)、ニコチン酸ナトリウム(0.7g、4.8mmol)、及び4.0mLの水の混合物を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で16時間撹拌し、室温まで冷却し、酢酸エチル(20.0mL)で抽出した。有機層を分離し、高減圧下で濃縮した。残渣を10.0mLのジクロロメタンと合わせ、得られた溶液を150.0mLのヘキサンに添加した。室温で一晩撹拌すると、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、0.5gのクエチアピン:ニコチン酸1:1塩を得た。それぞれ
図17~20に示される、その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果。
【0126】
(e)レスペリドン(resperidone):ニコチン酸1:1塩の調製
レスペリドン(10.0g、24.4mmol)、ニコチン酸(3.0g、24.4mmol)、並びに45.0mLのアセトニトリル及び水(49/1)を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷却した。1日後、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、9.8gのレスペリドン:ニコチン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図21~24に示される。
【0127】
(f)パリペリドン:安息香酸1:1塩の調製
パリペリドン(2.0g、4.7mmol)、安息香酸(1.1g、9.4mmol)及び10.0mLのジクロロメタンの混合物を、全ての固体が溶解するまで40℃で撹拌した。次いで、混合物を40℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、50.0mLのヘキサンに注ぎ、室温で一晩撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、濾過し、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、1.9gのパリペリドン:ニコチン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図25~28に示される。
【0128】
(g)パリペリドン:ニコチン酸1:2塩の調製
パリペリドン(2.0g、4.7mmol)、ニコチン酸(1.1g、9.4mmol)、並びに8.4mLのアセトニトリル及び水(94/6)の混合物を、全ての固体が溶解するまで65℃で撹拌した。次いで、混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、室温で一晩撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、2.6gのパリペリドン:ニコチン酸1:2塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図29~32に示される。
【0129】
(h)オランザピン:パントテン酸5:1塩の調製
オランザピンHCl塩(2.0g、5.7mmol)、パントテン酸カルシウム(1.4g、2.9mmol)及び10.0mLの水の混合物を、全ての固体が溶解するまで50℃で撹拌した。次いで、混合物を50℃で更に19時間撹拌した。混合物を50℃で50.0mLのアセトンに添加し、0.5時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、5時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で24時間乾燥させて、1.0gのオランザピン:パントテン酸5:1塩を得た。その塩の1H-NMR、粉末X線回折、及び熱分析の結果は、それぞれ
図33~36に示される。
【0130】
【0131】
タンニン酸(例えば、濃縮タンニン酸混合物)を調製するための方法は、例えば、US10,105,378に見出すことができ、その関連する開示内容は、本明細書で参照される目的及び主題のために参照により組み込まれる。
【0132】
(i)クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩の調製
濃縮タンニン酸(5.0g、3.39mmol)のアセトニトリル(20.0mL)溶液を、クロザピン(1.1g、3.39mmol)のアセトニトリル(75.0mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、4.2gのクロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図37~39に示される。
【0133】
(i)クロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩の調製
濃縮タンニン酸(5.0g、3.39mmol)のアセトニトリル(20.0mL)溶液を、クロザピン(5.5g、16.97mmol)のアセトニトリル(375.0mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、4.5gのクロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩を得た。集めた塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図40~42に示される。
【0134】
(k)ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩の調製
濃縮タンニン酸(3.0g、2.04mmol)の絶対エタノール(12.0mL)溶液を、ガバペンチン(349mg、2.04mmol)の50℃の95%エタノール溶液(30.0mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌した後、ゆっくりとジクロロメタン(840.0mL)に添加した。室温で2時間撹拌した後、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、2.4gのガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図43~45に示される。
【0135】
(l)ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:2塩の調製
濃縮タンニン酸(5.0g、3.39mmol)の絶対エタノール(20.0mL)溶液を、ガバペンチン(291mg、1.70mmol)の50℃の95%エタノール(25.0mL)溶液に添加した。混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(900.0mL)にゆっくり添加し、室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、4.5gのガバペンチン:濃縮タンニン酸1:2塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図46~48に示される。
【0136】
(m)ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:3塩の調製
濃縮タンニン酸(1.0g、0.68mmol)の絶対エタノール(4.0mL)溶液を、ガバペンチン(39mg、0.23mmol)の50℃の95%エタノール(4.0mL)溶液に添加した。混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌し、次いで、ゆっくりとジクロロメタン(160.0mL)に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、776mgのガバペンチン:濃縮タンニン酸1:3塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図49~51に示される。
【0137】
(n)ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩の調製
濃縮タンニン酸(3.0g、2.04mmol)の絶対エタノール(12.0mL)溶液を、ガバペンチン(697mg、4.08mmol)の50℃の95%エタノール(70.0mL)溶液に添加した。混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌した。次いで、混合物をジクロロメタン(1.6L)にゆっくり添加し、室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、2.5gのガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩を得た。共結晶塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図52~54に示される。
【0138】
(o)ガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩の調製
濃縮タンニン酸(3.0g、2.04mmol)の絶対エタノール(12.0mL)溶液を、ガバペンチン(1.05g、6.11mmol)の50℃の95%エタノール(90.0mL)溶液に添加した。混合物を、室温まで冷却しながら2時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(2.0L)にゆっくり添加し、室温で2時間撹拌した。得られた沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、2.6gのガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図55~57に示される。
【0139】
(p)サルコシン:濃縮タンニン酸1:1塩の調製
サルコシン(181mg、2.04mmol)の水(0.6mL)溶液を、濃縮タンニン酸(3.0g、2.04mmol)の室温の絶対エタノール(12.0mL)溶液に添加した。混合物をジクロロメタン(250.0mL)にゆっくり添加し、室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、2.8gのサルコシン:濃縮タンニン酸1:1塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図58~60に示される。
【0140】
(q)サルコシン:濃縮タンニン酸1:2塩の調製
サルコシン(91mg、1.02mmol)の水(0.3mL)溶液を、濃縮タンニン酸(3.0g、2.04mmol)の室温の絶対エタノール(12.0mL)溶液に添加した。混合物をジクロロメタン(250.0mL)にゆっくり添加し、室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、2.8gのサルコシン:濃縮タンニン酸1:2塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図61~63に示される。
【0141】
(r)クロザピン:タンニン酸6:1塩の調製
タンニン酸(1.0g、0.89mmol)(Merck Millipore,Germany)の絶対エタノール溶液(4.0mL)の溶液を、クロザピン(581mg、1.78mmol)の室温のアセトニトリル(50.0mL)溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、0.4gのクロザピン:タンニン酸6:1塩を得た。その塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図64~66に示される。
【0142】
(s)オランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩の調製
濃縮タンニン酸(10.0g、6.78mmol)のアセトニトリル(40.0mL)溶液を、オランザピン(4.24g、13.58mmol)のアセトニトリル(260.0mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、沈殿物が形成された。沈殿物を集め、高減圧下、室温で4時間乾燥させて、10.5gのオランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩を得た。集めた塩の1H-NMR及び熱分析の結果は、それぞれ
図99~101に示される。
【0143】
実施例2.閉鎖系において、40℃/75%相対湿度でのクロザピン、安息香酸及びクロザピン:安息香酸1:1塩のストレス試験
200mgのクロザピン、250mgの安息香酸と混合した200mgのクロザピン、及び175.3mgの安息香酸と混合した274.7mgのクロザピン安息香酸1:1塩形態を、独立して、無色ガラス瓶に入れ、ストレス試験のために閉鎖系(すなわち、瓶のキャップを閉じた状態)において40℃/75%相対湿度(RH)に保持した。ストレス試験の前に、クロザピン、安息香酸と混合したクロザピン(機械的混合物)、及び安息香酸と混合したクロザピン安息香酸1:1塩形態(1:1の塩及び安息香酸を含有する機械的混合物)を、
図67~69に示されるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。保持時間及び面積を表2~4に示す。30日後、
図70~72に示すように、3つの試料をHPLCによって分析した。保持時間及び面積を表5~7に示す。安息香酸と混合したクロザピンのHPLC分析には、2つの新しいピークがあり、このことは、ストレス試験中に分解した安息香酸と混合したクロザピンを意味する。対照的に、安息香酸と混合したクロザピン安息香酸1:1塩のHPLC分析は、ストレス試験の前後で同一であり、このことは、クロザピン安息香酸1:1塩が、分解せず、クロザピンの非塩形態よりも安定であることを意味する。
第I群:クロザピン200mg
第II群:クロザピン200mg+安息香酸250mg
第III群:クロザピン安息香酸塩1:1(274.7mg、クロザピン200mg+安息香酸74.7mgを含む)+安息香酸175.3mg
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0144】
実施例2は、遊離安息香酸の存在下で、クロザピン:安息香酸1:1塩が、クロザピンよりも安定であることを示す。
【0145】
実施例3.ラットにおけるクロザピン及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の薬物動態試験
この試験の目的は、クロザピン及びその塩が薬物動態プロファイルに及ぼす影響を調査することであった。
【0146】
材料及び方法
動物飼育及び薬物投与:
雄のSprague-Dawleyラット(ケージ当たり1~2匹のラット)を、SyneuRxの動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ飼育した。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持した。この試験で使用した全ての動物は、成体ラットであった(少なくとも2.5ヶ月齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0147】
体重が250~300gの雄Sprague-Dawleyラットを、2つの群に無作為に割り当てた。第1群:60mg/kgのクロザピン、第2群:第1群と同じ量のクロザピンを含有する、83mg/kgのクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩。化学物質をゴマ油に懸濁させ、2ml/kgでの単回経口強制摂取によって投与した。試験組成物を経口投与する前に、全てのラットを、水を自由に摂取させつつ、一晩絶食させた。投薬日に、血液試料を、0分(投薬前)、及び投薬から0.25、0.5、1、2、4、6、8、及び24時間後に集めた。
【0148】
血漿試料調製
ラット頸静脈から血液試料を集め、ヘパリンナトリウムでコーティングされたチューブに移した。血漿を得るために、血液試料を、4℃、2,500⊆gで15分間遠心分離させ、上清を集め、分析するまで-80℃の冷凍庫で凍結させたままにした。
【0149】
クロザピン定量化:
ドネペジルの血漿濃度を、LC/MSによって決定した。クロマトグラフィー分離を、5μm EVO C8 100Å LCカラム(100⊆4.6mm、Kinetex(登録商標))で行った。移動相は、水中の0.1%ギ酸であり、勾配としてアセトニトリル:メタノール=8:2を設定した。使用した流束は、0.3mL/分であった。カラム温度を40℃に維持し、注入体積は、30μLであった。
【0150】
薬物動態パラメータを、WinNonlinを用いたノンコンパートメント分析(NCA)を使用して計算し、ラットにおけるドネペジルの全身曝露を評価した。
【0151】
結果
2つの群からクロザピンの血漿濃度-時間曲線を構築し、
図73に示す。ピーク血漿濃度(C
最大)、クロザピンのC
最大までの時間(T
最大)、終末相半減期(T
1/2)、及び血液濃度-時間曲線の下の面積(AUC)を含む薬物動態パラメータを計算し、表8に示す。クロザピン(第1群)及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩(第2群)の単回経口投与後のクロザピンの平均C
最大は、それぞれ、1.0時間で191ng/ml及び0.8時間で316ng/kgであった。AUC(血漿濃度-時間曲線の下の面積)値について、第1群について1318ng時間/mlを計算し、第2群について2132ng時間/mlを計算した。その結果は、クロザピン:ニコチン酸(1:1)塩が、クロザピンの遊離アミン形態(第1群)と比較した場合に、1.62~1.65倍高いC
最大及びAUCを伴い、クロザピンの血漿濃度を有意に増加させたことを示す。
【表9】
【0152】
実施例4.クロザピン及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、クロザピン、及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。
【0153】
試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0154】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、群で飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも2.5ヶ月齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0155】
マウスを、以下に列挙される6つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Clz(1mg/kg)+MK-801
第4群:Clz:NA 1:1塩(1.38mg/kg)+MK-801
第5群:Clz(2mg/kg)+MK-801
第6群:Clz:NA 1:1塩(2.75mg/kg)+MK-801
Clzは、クロナザピンを指し、NAは、ニコチン酸を指す。
【0156】
第2群~第6群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第6群の各マウスは、MK-801投与の15分前のクロザピン又はクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第4群及び第6群に投与されたクロザピンの量は、第3群及び5に投与されたクロザピンの量に等しかった。全てのマウスを、オープンフィールドタスクで試験した。
【0157】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、クロザピン及びそのニコチン酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0158】
図74は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するクロザピン及びクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の効果を示す。ビヒクル対照群と比較して、MK-801治療群は、オープンフィールド試験で運動亢進を示した。MK-801群と比較して、治療第3群~第6群のマウスは、有意に低いレベルの歩行活動を示した。更に、同じ含有量のクロザピンが投与されると、クロザピン:ニコチン酸(1:1)塩(第4群及び第6群)は、クロザピン群(第3群及び第5群)と比較すると、はるかに低いレベルの歩行活動を示した。この結果は、クロザピン:ニコチン酸(1:1)塩が、MK-801誘発性運動亢進の回復において、クロザピンよりも強力であることを示す。
【0159】
実施例5.代謝
異常に対するクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩の保護効果
この実験の目的は、高血糖及び糖不耐症等のクロザピン及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩誘発性代謝症症状の影響を比較することであった。血糖値を分析する前に、試験化合物を、腹腔内(i.p.)注射又は経口強制摂取のいずれかによってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0160】
薬物後の空腹時血糖値分析:
急性試験のために、マウスの2つのコホートを使用した。コホート1では、マウスは、第1群:ビヒクル対照、第2群:Clz(10mg/kg)、及び第3群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)の3つの群に無作為に割り当てられ、これらは、それぞれ、ddH2O中の35%のPEG400、10mg/kgのクロザピン、及び13.77mg/kgのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を腹腔内(i.p.)注射された。コホート2では、マウスは、第1群:ビヒクル対照、第2群:NA(3.77mg/kg)、第3群:Clz(10mg/kg)、及び第4群:Clz(10mg/kg)+NA(3.77mg/kg)、及び第5群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)の5つの群に無作為に割り当てられ、これらは、それぞれ、ddH2O中の35%のPEG400、3.77mg/kgのニコチン酸、10mg/kgのクロザピン、クロザピン(10mg/kg)及びニコチン酸(3.77mg/kg)混合物、並びに13.77mg/kgのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を経口投与された。
【0161】
反復投与試験のために、マウスを以下に列挙される5つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Clz(3mg/kg)
第3群:Clz:NA 1:1塩(4.13mg/kg)
第4群:Clz(10mg/kg)
第5群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)
【0162】
第2群~第5群の各マウスに、クロザピン(Clz)又はクロザピン:ニコチン酸(1:1)塩(Clz:NA 1:1塩、35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)を、3日間にわたって1日1回経口投与した。第3群及び第5群のクロザピンの含有量は、第2群及び4と同じであった。
【0163】
血糖値を測定する前夜に、マウスを絶食させた。血糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)で測定した。60分間待った後、上に示した治療を行った。
図75は、この試験の実験的設計を示す。
【0164】
図76のパネル(A)は、急性i.p.注射後の空腹時血糖値に対するクロザピン(Clz)及びそのニコチン酸塩(Clz:NA 1:1塩)の効果を示す。ビヒクル対照群と比較して、糖値は、クロザピン及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(第2群及び第3群)の両方で、より高かった。しかしながら、クロザピン:ニコチン酸1:1塩の投与は、クロザピンと比較すると、有意に低い血糖値を示した。同様の結果が、
図76のパネル(B)に示されるように、経口強制摂取による治療を受けたマウスにおいて観察された。ビヒクル対照群と比較した場合、クロザピン及びクロザピン-ニコチン酸混合物は両方とも、空腹時血糖を有意に上昇させ、一方で、ニコチン酸及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩は、効果を示さない程度から、中程度の効果までを示した。クロザピン及びクロザピン-ニコチン酸混合物群と比較すると、クロザピン:ニコチン酸1:1塩は、有意に低い血糖値を示した。これらの結果は、クロザピン:ニコチン酸1:1塩が、予想外なことに、マウスにおいてクロザピン誘発性高血糖を緩和することができることを示していた。
【0165】
図77は、3日間にわたる反復経口投与後の空腹時血糖値に対するクロザピン(Clz)及びそのニコチン酸塩(Clz:NA 1:1塩)の効果を示す。3mg/kg及び10mg/kgのクロザピンの投与は、ビヒクル対照群と比較した場合、高い空腹時血糖値を示した。対照的に、低用量のクロザピン:ニコチン酸1:1塩(4.13mg/kg)は、血糖値に影響を与えなかった。高用量のクロザピン:ニコチン酸1:1塩(13.77mg/kg)も、ビヒクル対照群と比較すると、より高い血糖値を示したが、その血糖値は、低用量クロザピン(3mg/kg)の値に匹敵するものであった(133.5±9.0対125.3±4.6mg/dl)。しかし、高用量のクロザピン(10mg/kg)は、低用量のクロザピン(3mg/kg)と比較して、有意に高い血糖値を示した。この結果は、クロザピン:ニコチン酸1:1塩の経口投与が、マウスにおいてクロザピン誘発性高血糖を緩和することができることを示している。
【0166】
腹腔内耐糖能試験:
急性試験のために、マウスを以下に列挙される5つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:NA(3.77mg/kg)
第3群:Clz(10mg/kg)
第4群:Clz(10mg/kg)+NA(3.77mg/kg)
第5群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)
【0167】
第1群~第5群の各マウスに、それぞれ、ddH2O中の35%のPEG400、3.77mg/kgのニコチン酸、10mg/kgのクロザピン、クロザピン(10mg/kg)及びニコチン酸(3.77mg/kg)混合物、並びにクロザピン:ニコチン酸1:1塩(13.77mg/kg)を経口投与した。
【0168】
反復用量試験のために、マウスの2つのコホートを使用した。コホート1では、マウスを以下に列挙される3つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Clz(10mg/kg)
第3群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)
【0169】
第1群~第3群の各マウスに、それぞれ、ビヒクル(ddH2O中の35%のPEG400)、10mg/kgのクロザピン、及び13.77mg/kgのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を、19日間にわたって1日1回経口投与した。同じ量のクロザピンを、第2群及び第3群のマウスに投与した。
【0170】
コホート2では、マウスを以下に列挙される3つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Clz(3mg/kg)
第3群:Clz:NA 1:1塩(4.13mg/kg)
【0171】
第1群~第3群の各マウスに、それぞれ、ビヒクル(ddH2O中の35%のPEG400)、3mg/kgのクロザピン、及び4.13mg/kgのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を、36日間にわたって1日1回経口投与した。同じ量のクロザピンを、第2群及び第3群のマウスに投与した。
【0172】
耐糖能を評価するために、マウスを、18日目(コホート1について)及び35日目(コホート2について)一晩絶食させ、グルコース(2g/kg)のi.p.投与に対する血糖応答を決定した。薬物投与の60日後に、尾の静脈から集めた全血において血糖値を評価した。この糖測定の直後に、全てのマウスに、2g/kgのグルコースの腹腔内チャレンジ注射を行うことによって耐糖能を行い、血糖値を、0、30、60、及び120分で測定した。
図78は、この試験の実験的設計を示す。
【0173】
図79は、単回の経口投与された用量の後に、マウスの血糖代謝に対するニコチン酸(NA)、クロザピン(Clz)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(Clz:NA 1:1塩)の効果を示す。ビヒクル対照と比較した場合、グルコースの代謝プロファイルは、ニコチン酸治療によって変化しなかった。クロザピン及びクロザピン-ニコチン酸混合物で治療されたマウスの血糖値は、IGTT(耐糖能異常試験)の試験中の事実上全ての時間点で、ビヒクル対照群よりも有意に高いままであり、一方で、クロザピン:ニコチン酸1:1塩は、60分後にのみ、高い糖値を示したが、グルコースチャレンジから120分後には、正常な糖値に戻った。この結果は、クロザピン:ニコチン酸1:1塩が、グルコースチャレンジの後に、糖値を正常範囲に回復する能力を有していることを示している。
【0174】
図80は、19日間にわたってビヒクル、クロザピン(Clz、10mg/kg)、及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(13.77mg/kg)を経口投与されたマウスにおける血糖値の変化を示す。その結果は、血糖値が、グルコースチャレンジから60分後及び120分後に、ビヒクル対照及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(13.77mg/kg)群の両方と比較した場合に、クロザピン(10mg/kg)群について有意に高かったことを示している。クロザピン:ニコチン酸1:1塩(13.77mg/kg)を受けたマウスは、ビヒクル対照群と同様の糖代謝プロファイルを示し、このことは、マウスが、グルコースチャレンジ後に糖値を正常範囲に回復する能力を保持していたことを示している。
【0175】
同様の結果が、コホート2で観察された(
図81)。血糖値は、ビヒクル対照及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩(4.13mg/kg)群の両方と比較した場合に、クロザピン(3mg/kg)群について有意に高かった。グルコースチャレンジから120分後に、クロザピン:ニコチン酸1:1塩(4.13mg/kg)群は、ビヒクル対照群と同様の糖値を示し、このことは、マウスが、グルコースチャレンジ後に糖値を正常範囲に回復する能力を保持していたことを示している。
【0176】
薬物後の空腹時血糖値分析及び恒常性モデル評価-インスリン耐性(HOMA-IR)分析:
【0177】
マウスを、以下に列挙される3つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Clz(10mg/kg)
第3群:Clz:NA 1:1塩(13.77mg/kg)
【0178】
第1群~第3群の各マウスに、それぞれ、ビヒクル(ddH2O中の35%のPEG400)、10mg/kgのクロザピン、又は13.77mg/kgのクロザピン:ニコチン酸1:1塩を、8日間にわたって1日1回経口投与した。同じ量のクロザピンを、第2群及び第3群に投与した。
【0179】
血清インスリンレベル及びHOMA-IR検出のために、マウスを、試験の1日前に一晩絶食させた。血糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)で測定した。薬物投与から90分後に、マウスの顔面静脈からおよそ100μlの血液試料を集めた。全血試料を、室温で30分間インキュベートし、その後に3500rpm、4℃で15分間遠心分離して、血清を得た。市販のイムノアッセイキット(Mouse Insulin Elizaキット、ALPCO、NH,USA)を使用して、血清インスリンレベルを決定した。恒常性モデル評価-インスリン耐性(HOMA-IR)の指数も、インスリン-グルコース調節系の機能を評価するために使用され、以下の式に基づいて計算された。[空腹時グルコース(mmole/L)×空腹時インスリン(mIU/L)]/22.5。
【0180】
図82のパネル(A)は、ビヒクル、クロザピン(Clz)、及びそのニコチン酸塩(Clz:NA 1:1塩)群における空腹時インスリンレベルの変化を示す。8日間の反復治療の後、空腹時インスリンレベルは、ビヒクル及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩群の両方と比較して、クロザピン群において上昇した。クロザピン群の平均インスリンレベルは、10.52±3.56であり、ビヒクル及びクロザピン:ニコチン酸1:1塩群と比較して、それぞれ1.57倍及び1.96倍の増加である。HOMA-IR指数でも一貫した結果が観察された(
図82B)。クロザピン治療群は、3つの群の中で最も高いHOMA-IR指数を示し(2.97±0.62)、一方で、クロザピン:ニコチン酸1:1塩は、ビヒクル対照群と同様のHOMA-IR指数を示した(1.61±0.54対1.93±0.29)。これらの結果は、8日間のクロザピン治療の後のインスリン感受性の低下を示しており、一方で、クロザピン:ニコチン酸1:1塩は、この影響を回復することができる。
【0181】
実施例6.クロザピン:ニコチン酸1:1塩の特性決定
25℃でのクロザピン:ニコチン酸1:1塩の水溶性は、1639.68mg/mLであると決定され、一方で、同じ温度でのクロザピンの非塩形態の水溶性は、0.18mg/mLであると決定された。
【0182】
USP1174を使用して、1:1塩及びクロザピンのCarr指数を決定した。1:1塩は、Carr指数が18%であり、一方で、クロザピンのCarr指数は25%であった。したがって、1:1塩は、より良好な流動性を有していた。
【0183】
上述の塩の薬物動態(PK)は、クロザピンの薬物動態(PK)よりも大きかった。AUCは、1.6:1であった。
【0184】
上述の塩及びクロザピンに対してMK801モデル試験を実施することで、この塩が、クロザピンよりも高い回復率を有することを示した。
【表10】
【0185】
(a)高速糖アッセイ
高血糖に対するクロザピン及びクロザピンのNA塩の効果を、10mg/kg(のクロザピン)でのクロザピン又はクロザピンのNA塩の急性i.p.によって、又は3日間の経口投与によって、調査した。その結果は、クロザピンが、高血糖を誘発し、クロザピンのNA塩(急性i.p.注射)が、クロザピン誘発性高血糖を46.8%まで低減したことを示している。同様の結果が、3日間の経口投与及び急性経口投与において観察された。以下の表10及び11を参照されたい。
【表11】
【表12】
【0186】
1:1塩は、クロザピン及びニコチン酸の1:1の物理的混合物と比較して、クロザピン誘発性高血糖を低減した。
【0187】
(b)耐糖能試験
1:1塩及びクロザピンの反復投与後の耐糖能試験は、120分後のビヒクルと比較した場合、この塩が、より低い血糖値を与えることを示した。結果を表12に提供する。
【表13】
【0188】
1:1塩、クロザピンの非塩形態、並びにクロザピン及びニコチン酸の物理的な1:1混合物の急性の経口投薬の後の耐糖能試験は、塩が、最も低い血糖値をもたらすことを示していた。表13を参照されたい。
【表14】
【0189】
1:1塩及びクロザピンを空腹のラットに投与すると、ビヒクルと比較すると、塩が、クロザピンよりも低い血清インスリンレベルを与えることが示された。ラットにおけるインスリン耐性試験の恒常性モデル評価は、塩が、ビヒクルと比較して、クロザピンよりも低いインスリン耐性を与えることも示していた。表14を参照されたい。
【表15】
【0190】
実施例7.クロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩及び4:1塩の特性決定
2:1塩、4:1塩及びクロザピンのCarr指数を測定し、結果を以下の表15に示す。
【表16】
【0191】
このデータは、4:1塩が、クロザピンよりも大きな流動性を有し、クロザピンが、2:1塩よりも大きな流動性を有することを示す。
【0192】
ラットにおけるクロザピン:濃縮タンニン酸塩、クロザピン、並びにクロザピン及び濃縮タンニン酸の物理的混合物の急性経口投薬は、ビヒクルと比較して、120分後に、その塩がグルコースAUCを低下させる能力を示している。以下の表16に示されるように、濃縮タンニン酸及びクロザピンの物理的混合物を投与すると、120分後に、ビヒクルよりも高いAUCをもたらした。
【表17】
【0193】
マウスに対する塩、クロザピン、並びにクロザピン及び濃縮タンニン酸の物理的混合物の治療効果(抗多動性)を、急性の1mg/kg用量後のオープンフィールド試験で測定した。表17のデータは、クロザピン及び物理的混合物と比較すると、塩が優れた影響を有していたことを示している。
【表18】
【0194】
実施例8.代謝
異常に対するクロザピン:濃縮タンニン酸塩の保護効果
この実験の目的は、高血糖及び糖不耐症等の誘発性代謝症状に対するクロザピン(Clz)、並びにクロザピン:濃縮タンニン酸(TA)塩(2:1及び4:1)の影響を比較することであった。血糖値を分析する前に、試験化合物を、経口強制摂取によってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0195】
この試験で使用したマウスを、以下の6つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Clz(10mg/kg)
第3群:Clz(10mg/kg)+濃縮TA(22.5mg/kg)
第4群:Clz(10mg/kg)+濃縮TA(11.3mg/kg)
第5群:Clz:濃縮TA2:1塩(32.5mg/kg)
第6群:Clz:濃縮TA4:1塩(21.3mg/kg)
【0196】
第1群~第6群の各マウスに、血糖検出の60分前に、ddH2O中の35%のPEG400、10mg/kgのクロザピン、クロザピン(10mg/kg)及び濃縮タンニン酸(22.5mg/kg)の混合物、クロザピン(10mg/kg)及び濃縮タンニン酸(11.3mg/kg)の混合物、32.5mg/kgのクロザピン:濃縮タンニン酸2:1塩、又は13.94mg/kgのクロザピン:濃縮タンニン酸4:1塩の単回用量をそれぞれ経口投与した。第2群、第3群、第4群、第5群、及び第6群のマウスに同じ量のクロザピンを投与し、第3群及び第4群のマウスに投与された濃縮タンニン酸の量は、第5群及び第6群のマウスに投与された量に等しかった。
【0197】
耐糖能試験の前日に、マウスを一晩絶食させ、尾の静脈から集めた全血において血糖値を測定した。上に示した治療を鋭く行ってから60分後に、糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)を使用して測定した。この糖測定の直後に、全てのマウスに、2g/kgのグルコースの腹腔内チャレンジ注射を行うことによって耐糖能を行った。血糖値を、30、60、及び120分で測定した。
【0198】
図83は、ビヒクル、クロザピン、クロザピン及び濃縮タンニン酸の混合物、並びにクロザピン:濃縮タンニン酸塩の投与時の血糖値の変化を示す。ビヒクル対照と比較した場合、クロザピン群の血糖値は、グルコースチャレンジから30、60、及び120分後に有意に高かった。クロザピン群(第2群)と比較した場合、クロザピン及び濃縮タンニン酸の混合物(第3群及び第4群)は、血糖値を中程度に低下させたが、一方で、クロザピン:濃縮タンニン酸塩(2:1及び4:1)は、糖代謝におけるクロザピン誘発性障害を有意に回復させた。
【0199】
実施例9.クロザピン:安息香酸1:1塩の安定性及び溶解性
クロザピン:安息香酸1:1塩、並びに等モル量の固体クロザピン及び固体安息香酸を混合することによって作製された、クロザピン及び安息香酸1:1の物理的混合物に対し、40℃、75%RH(相対湿度)で30分間、加速安定性試験を行った。塩は、安定であった(不純物*が生じない)が、一方で、物理的混合物は、2%が不純物であった。したがって、塩は、物理的混合物よりも安定であった。
【0200】
25℃での塩の水溶性は、1.58mg/mLであると決定され、一方で、同じ温度でのクロザピンの水溶性は、0.18mg/mLであると決定された。このことは、1:1塩が、クロザピンの非塩形態よりも溶解性が高いことを示している。
【0201】
実施例10.クロザピン及びクロザピン:安息香酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、クロザピン、及びクロザピン:安息香酸(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0202】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0203】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照n=7
第2群:MK-801 n=7
第3群:クロザピン(1mg/kg)+MK-801 n=8
第4群:Clz:BA塩(1.37mg/kg)+MK-801 n=8
*Clzは、オランザピンを指し、Clz:BAは、クロザピン:安息香酸(1:1)塩を指す。
【0204】
第2群~第4群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のクロザピン又はクロザピン:安息香酸(1:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたクロザピンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるMK801誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0205】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、クロザピン及びその安息香酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0206】
図84は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するクロザピン及びクロザピン:安息香酸(1:1)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。クロザピン及びクロザピン:安息香酸(1:1)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、クロザピン:安息香酸(1:1)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、クロザピン:安息香酸(1:1)塩治療マウス(第3群)は、クロザピン群と比較して、歩行活動の低下を示した。この結果は、クロザピン:安息香酸(1:1)塩が、クロザピンよりも強力であり、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表19】
【0207】
実施例11.オランザピン及びオランザピン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、オランザピン(Olz)、及びオランザピン:ニコチン酸(Olz:NA)(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。
【0208】
オープンフィールド試験の前に、試験化合物を、経口強制摂取によってマウスに投与し、一方で、MK-801を、腹腔内(i.p.)注射によって投与した。
【0209】
C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Olz(0.1mg/kg)+MK-801
第4群:Olz:NA1:1塩(0.14mg/kg)+MK-801
【0210】
第2群~第4群のマウスは、オープンフィールド試験の開始より30分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性投与を受けた。第3群及び第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前に、0.1mg/kgのオランザピン(第3群)又は0.14mg/kgのオランザピン:ニコチン酸(1:1)塩(65%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)(第4群)の急性投与を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたオランザピンの量は、同じであった。全てのマウスを、オープンフィールドタスクで試験した。
【0211】
オープンフィールドタスクを使用して、MK-801誘導性運動亢進を減弱させることに対するオランザピン及びそのニコチン酸塩の有効性を比較した。オープンフィールドの装置及び記録方法は、実施例3で上述したとおりであった。
【0212】
図85は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するオランザピン(Olz)及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩の効果を示す。ビヒクル対照群と比較して、MK-801治療群は、オープンフィールド試験で運動亢進を示した。MK-801群と比較した場合、オランザピン投与群(第3群)は、減弱した運動亢進を示し、一方で、オランザピン:ニコチン酸1:1塩投与群(第4群)は、MK-801誘導性運動亢進の有意な低下を示した。これらの結果は、オランザピン:ニコチン酸1:1塩が、MK-801誘発性運動亢進の回復において、オランザピンよりも強力であることを示す。
【0213】
実施例12.代謝
異常に対するオランザピン:ニコチン酸1:1塩の保護効果
この実験の目的は、高血糖及び糖不耐症等の誘発性代謝症症状に対するオランザピン及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩の影響を比較することであった。血糖値を分析する前に、試験化合物を、腹腔内(i.p.)注射によってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0214】
腹腔内耐糖能試験:
マウスの2つのコホートをこの試験で使用した。コホート1では、マウスを以下に列挙される5つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:NA(3.94mg/kg)
第3群:Olz(10mg/kg)
第4群:Olz(10mg/kg)+NA(3.94mg/kg)
第5群:Olz:NA 1:1塩(13.94mg/kg)
【0215】
第1群~第5群の各マウスに、それぞれ、ddH2O中の35%のPEG400、3.94mg/kgのニコチン酸、10mg/kgのオランザピン、オランザピン(10mg/kg)及びニコチン酸(3.94mg/kg)混合物、並びに13.94mg/kgのオランザピン:ニコチン酸1:1塩の単回用量を経口投与した。血糖値を測定する60分前に投薬を行った。
【0216】
コホート2では、マウスを以下に列挙される5つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:Olz(5mg/kg)
第3群:Olz:NA 1:1塩(6.97mg/kg)
第4群:Olz(10mg/kg)
第5群:Olz:NA 1:1塩(13.94mg/kg)
【0217】
第2群~第5群の各マウスに、血糖値を測定する60分前に、オランザピン、又はオランザピン:ニコチン酸1:1塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の単回用量をi.p.注射した。第3群及び第5群のオランザピンの量は、それぞれ第2群及び第4群に等しかった。
【0218】
耐糖能試験の前夜に、マウスを絶食させた。マウスの尾の静脈から集めた全血において血糖値を測定した。糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)を用いて測定し、上に示した治療をマウスに投与してから60分後に測定を行う。糖測定の直後に、全てのマウスに、1g/kgのグルコースの腹腔内チャレンジ注射を伴う耐糖能試験を行い、その後に、血糖値を、0、30、60、及び120分で測定した。
【0219】
図86のパネル(A)は、急性i.p.注射後の空腹時血糖値における、オランザピン(Olz)及びそのニコチン酸塩(Olz:NA 1:1塩)の効果を示す。ビヒクル対照群と比較して、両方のオランザピン群(第2群及び第4群)は、空腹時血糖の有意な上昇を示した。しかしながら、オランザピン:ニコチン酸1:1塩の投与(第3群及び第5群)は、ビヒクル対照群に匹敵する血糖値を示した。同様の結果が、
図85のパネル(B)に示されるように、異なる治療を経口投与されたマウスにおいて観察された。ビヒクル対照群と比較して、オランザピン、並びにオランザピン及びニコチン酸の混合物は、両方とも、空腹時血糖を有意に上昇させたが、一方で、ニコチン酸、並びにオランザピン:ニコチン酸1:1塩は、空腹時血糖値に影響を示さないか、又は中程度の影響を示した。これらの結果は、オランザピン:ニコチン酸1:1塩が、i.p.注射によって、又は経口送達によって投与される場合、マウスにおいてオランザピン誘発性高血糖を緩和することができることを示している。
【0220】
図87は、ビヒクル、オランザピン(Olz、5mg/kg)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩、6.97mg/kg)が投与された場合の血糖値の変化を示す。その結果は、オランザピン(5mg/kg)群の血糖値が、IGTT試験中の事実上全ての時間点でビヒクル対照群よりも有意に高いままであることを明らかにした。逆に、オランザピン:ニコチン酸1:1塩(6.97mg/kg)群の糖値は、グルコースチャレンジから120分後にビヒクル対照群よりも有意に高かった。同様の結果は、
図88に示されるように、高用量のオランザピン(10mg/kg)及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(13.94mg/kg)が投与されたときに観察された。ビヒクル対照群と比較した場合、オランザピン(10mg/kg)は、グルコースチャレンジから60及び120分後に、有意に高い血糖値を誘発した。オランザピン:ニコチン酸1:1塩(13.94mg/kg)群からの血糖値は、グルコースチャレンジから120分後にビヒクル対照群よりも有意に高く、IGTT試験中の全ての時間点でオランザピン(10mg/kg)群よりも低いままであった。これらの結果は、オランザピン:ニコチン酸1:1塩が、グルコースチャレンジの後に、マウスがその糖値を正常範囲に減弱させる能力を有していることを示している。
【0221】
図89は、経口投与の後に、マウスの血糖代謝に対するニコチン酸(NA)、オランザピン(Olz)、及びオランザピン:ニコチン酸1:1塩(Olz:NA 1:1塩)の効果を示す。ビヒクル及びニコチン酸群における血糖代謝レベルは、事実上同一であった。オランザピン及びオランザピン-ニコチン酸混合物で治療されたマウスの血糖値は、IGTT試験中の事実上全ての時間点でビヒクル対照群よりも有意に高かった。対照的に、オランザピン:ニコチン酸1:1塩群は、60分後にのみ、高い糖値を示し、その後に、グルコースチャレンジから120分後に、正常な糖値に戻った。これらの結果は、オランザピン:ニコチン酸1:1塩が、グルコースチャレンジの後に、糖値を正常範囲に回復する能力を有していることを示している。
【0222】
実施例13.オランザピン:ニコチン酸塩1:1の特性決定
水中のオランザピン:ニコチン酸塩1:1塩の溶解性は、25℃で2.3mg/mLであると決定され、一方で、オランザピンの非塩形態は、同じ温度で0.033mg/mL未満の水溶解性を有していた。
【0223】
以下の表19に示されるように、上述の塩及びオランザピンに対してMK801モデル試験を実施することで、この塩が、クロザピンよりも高い回復率を有することを示した。
【表20】
【0224】
マウスモデルにおいて観察されるように、オランザピンの急性の腹腔内投与は、高血糖を誘発した。以下の表20に示されるように、オランザピンのNA塩(1:1)は、オランザピン誘発性高血糖を低減した。
【表21】
【0225】
1:1ニコチン酸塩の急性の経口投与は、オランザピン及びニコチン酸の1:1の物理的混合物と比較して、オランザピン誘発性高血糖を低減した。以下の表21を参照されたい。
【表22】
【0226】
1:1塩、オランザピン、並びにオランザピン及びニコチン酸(NA)の1:1物理的混合物の急性の経口投薬の後の耐糖能試験は、120分後にビヒクルと比較すると、塩が、最も低い血糖値を与えることを示していた。以下の表22を参照されたい。
【表23】
【0227】
1:1塩及びオランザピンを10mg/kg及び5mg/kg投与した後の耐糖能試験は、120分後のビヒクルと比較した場合、この塩が、オランザピンより低い血糖値を与えることを示した。以下の表23を参照されたい。
【表24】
【0228】
実施例14.オランザピン:濃縮タンニン酸2:1塩の特性決定
マウスに対する塩、オランザピン、並びにオランザピン及び濃縮タンニン酸の物理的混合物の治療効果(抗多動性)を、急性の1mg/kg用量後のオープンフィールド試験で測定した。データ(表24中の)は、クロザピン及び物理的混合物と比較すると、塩が優れた影響を有していたことを示している。
【表25】
【0229】
実施例15.オランザピン:パントテン酸5:1塩の特性決定
25℃での水中のオランザピン:パントテン酸塩の溶解性は、128mg/mLであると決定された。同じ温度でのオランザピンの水溶解性は、0.033mg/mL未満であった。
【0230】
実施例16.オランザピン及びオランザピン:パントイン酸(5:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、オランザピン、及びオランザピン:パントイン酸(5:1)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0231】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0232】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Olz(0.5mg/kg)+MK-801
第4群:Olz:PA塩(0.547mg/kg)+MK-801
*Olzは、オランザピンを指し、Olz:PAは、オランザピン:パントイン酸(5:1)塩を指す。
【0233】
第2群~第6群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のオランザピン又はオランザピン:パントイン酸(5:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたオランザピンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるMK801誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0234】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、オランザピン及びそのパントイン酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0235】
図90は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するオランザピン又はオランザピン:パントイン酸(5:1)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。オランザピン及びオランザピン:パントイン酸(5:1)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、オランザピン:パントイン酸(5:1)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、オランザピン:パントイン酸(5:1)塩治療マウス(第3群)は、オランザピン群と比較して、歩行活動の低下を示した。この結果は、オランザピン:パントイン酸(5:1)塩が、オランザピンよりも強力であり(表25を参照されたい)、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表26】
【0236】
実施例17.マウスにおけるガバペンチン:濃縮タンニン酸塩の鎮痛効果
この実験の目的は、マウスにおけるガバペンチン:濃縮タンニン酸塩の鎮痛効果を評価することであった。試験化合物を、von Frey試験(疼痛感覚の典型的なアッセイ)の前に経口強制摂取によってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0237】
この試験で使用したマウスを、6つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:濃縮TA(200mg/kg)
第3群:GBP(20mg/kg)
第4群:GBP:濃縮TA1:1塩(192mg/kg)
第5群:GBP:濃縮TA2:1塩(106.02mg/kg)
第6群:GBP:濃縮TA3:1塩(77.34mg/kg)
【0238】
第1群~第6群の各マウスは、ddH2O中の65%のPEG400、200mg/kgの濃縮タンニン酸、20mg/kgのガバペンチン、ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩(192mg/kg)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩(106.02mg/kg)、及びガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩(77.34mg/kg)の単回経口用量を受けた。第3群~第6群のマウスに投与されたガバペンチンの量は、同じであった。
【0239】
試験前に30分間、マウスを、ワイヤーメッシュ床の上の個々の透明アクリルボックス中で慣れさせた。電子von Frey装置(Bioseb-EVF4S)を使用して、薬物投与前(ベースライン)、並びに薬物投与から15、30、60、120、及び180分後に各マウスの足引っ込め閾値(g)を測定した。
【0240】
図91は、マウスにおける濃縮タンニン酸(TA)、ガバペンチン(GBP)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸1:1塩(GBP:TA 1:1塩)、ガバペンチン:濃縮タンニン酸2:1塩(GBP:TA 2:1塩)、及びガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩(GBP:TA 3:1塩)の鎮痛効果を示す。ベースラインでは、両群間に差は見られなかった。結果を比較すると、以下のことが分かるだろう。ビヒクル対照群と比較した場合、GBP:TA 1:1塩群(第4群)の閾値は、投与から60分後及び120分後で有意に高く、GBP:TA 2:1塩群(第5群)は、投与から30分後で有意に高く、GBP:TA 3:1塩群(第6群)は、投与から30、60及び120分後に有意に高かった。200mg/kgの濃縮タンニン酸(第2群)及び20mg/kgのガバペンチン(第3群)は、調べた任意の時間点で、対照群との差を示さなかった。
【0241】
図92は、von Frey疼痛閾値の曲線下の面積(AUC)値を示す。鎮痛効果のAUC値は、ビヒクル対照群と比較した場合、GBP:TA 1:1塩群及び3:1塩群で有意に高かった。濃縮タンニン酸又はガバペンチン単独では、効果はほとんど誘発されなかった。GBP:TA 1:1塩群及び3:1塩群のAUC値は、ガバペンチン群の約2倍高く、濃縮タンニン酸群の約3~4倍高かった。これらの結果は、GBP:TA(濃縮)塩を使用した場合の相乗効果の結果を示す。
【0242】
実施例18.ガバペンチン:濃縮タンニン酸3:1塩の特性決定
塩の治療効果(機械的鎮痛効果)を、マウスモデルにおけるガバペンチンの非塩形態と比較した。120分後の時間AUCまでの疼痛閾値は、塩の方が非塩よりも高かった。以下の表26を参照されたい。
【表27】
【0243】
上の実施例のデータは、特許請求の範囲に記載される塩を使用した場合に得られる、驚くべき、かつ予期しない結果を示す。
【0244】
実施例19.クエチアピン:ニコチン酸1:1塩の特性決定
水中のクエチアピン:ニコチン酸1:1塩の溶解性は、25℃で262mg/mLであると決定され、一方で、市販のクエチアピン:フマル酸1:1塩の水溶解性は、同じ温度で0.62mg/mLであると決定された。したがって、このニコチン酸塩は、市販のフマル酸塩よりも有意に可溶性が高い。
【0245】
クエチアピン:ニコチン酸1:1塩のCarr指数は20%であり、市販のクエチアピン:フマル酸1:1塩を試験したときに得られた33%の値よりも低い。
【0246】
実施例20:クエチアピン及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、クエチアピン、及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0247】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0248】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Que(10mg/kg)+MK-801
第4群:Que:NA塩(12.8mg/kg)+MK-801
*Queは、クエチアピンを指し、Que:NAは、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩を指す。
【0249】
第2群~第4群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のクエチアピン又はクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたクエチアピンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるNMDA低機能誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0250】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、クエチアピン及びそのニコチン酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0251】
図93は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するクエチアピン及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。クエチアピン及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩治療マウス(第3群)は、クエチアピン群と比較して、歩行活動の有意な低下を示した。この結果は、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩が、クエチアピンよりも強力であり、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表28】
【0252】
実施例21:代謝異常に対するクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩の保護効果
この実験の目的は、高血糖及び糖不耐症を含むクエチアピン誘発性代謝症症状に対するクエチアピン及びクエチアピン:ニコチン酸塩の影響を評価することであった。血糖値を分析する前に、試験化合物を、経口強制摂取によってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0253】
この試験で使用したマウスを、以下の3つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照n=6
第2群:クエチアピン(20mg/kg)n=3
第3群:クエチアピン:ニコチン酸1:1塩(25.64mg/kg)n=3
【0254】
第1群~第3群の各マウスに、耐糖能試験(GTT)の30分前に、対照ビヒクル(ddH2Oを含む35%のPEG)、20mg/kgのクエチアピン、又は25.64mg/kgのクエチアピン:ニコチン酸1:1塩の単回用量をそれぞれ経口投与した。第2群及び第3群に投与されたクエチアピンの量は、等しかった。耐糖能試験の前日に、マウスを一晩絶食させた。治療されたマウスの血糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)によって、尾の静脈から集めた血液試料から測定した。試験化合物治療から30分後に、全てのマウスに、2g/kgのグルコースの腹腔内チャレンジ注射を行うことによってGTTを行った。血糖値を、30、60、及び120分で測定した。クエチアピン誘発性高血糖を、クエチアピンとクエチアピン:ニコチン酸1:1塩群との間で比較するために、曲線下の面積(AUC)を、GTTの血糖-時間曲線から導出した。
【0255】
図94は、GTT試験中のビヒクル、クエチアピン、及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩の投与時の血糖値の変化を示す。クエチアピン治療マウスの血糖値は、グルコースチャレンジから30、60、及び120分後を含む、測定したほとんどの時間点で、ビヒクル及びクエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩群と比較して、上昇する。クエチアピン群のAUCは、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩及びビヒクル群よりも顕著に高く、この知見は、クエチアピン治療マウスにおける有意な高血糖を示し、この高血糖は、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩及びビヒクル群では観察されない。これらの結果は、クエチアピン:ニコチン酸塩が、ビヒクル対照群と同様の血糖応答を有し、クエチアピン誘発性代謝効果を回復させることができることを示唆している。要約すると、クエチアピン:ニコチン酸(1:1)塩は、クエチアピン誘発性高血糖の有意な保護効果を示し、代謝の副作用が非常に低い、新規の精神医薬の有望な候補である。
【表29】
【0256】
実施例22.リスペリドン:ニコチン酸1:1塩の特性決定
水中の塩の溶解性は、25℃で2170.77mg/mLであると決定され、一方で、リスペリドンの非塩形態の溶解性は、同じ温度で0.005mg/mL未満であると決定された。
【0257】
実施例23.リスペリドン及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、リスペリドン、及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0258】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0259】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Ris(0.06mg/kg)+MK-801
第4群:Ris:NA塩(0.078mg/kg)+MK-801
*Risは、リスペリドンを指し、Ris:NAは、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩を指す。
【0260】
第2群~第6群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のリスペリドン又はリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたリスペリドンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるMK801誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0261】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、リスペリドン及びそのニコチン酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0262】
図95は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するリスペリドン及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。リスペリドン及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩治療マウス(第3群)は、リスペリドン群と比較して、歩行活動の低下を示した。この結果は、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩が、リスペリドンよりも強力であり、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表30】
【0263】
実施例24.代謝異常に対するリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩の保護効果
この実験の目的は、高血糖及び糖不耐症を含む誘発性代謝症症状に対するリスペリドン及びリスペリドン:ニコチン酸塩の影響を評価することであった。血糖値を分析する前に、試験化合物を、経口強制摂取によってマウスに投与した。C57BL/6J雄マウスを、実施例4に記載したのと同じ条件下で集団飼育した。
【0264】
この試験で使用したマウスを、以下の3つの群のうちの1つに無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照n=6
第2群:リスペリドン(12mg/kg)n=7
第3群:リスペリドン:ニコチン酸1:1塩(15.6mg/kg)n=8
【0265】
第1群~3群の各マウスに、耐糖能試験(GTT)の30分前に、対照ビヒクル(ddH2Oを含む35%のPEG)、12mg/kgのリスペリドン、又は15.6mg/kgのリスペリドン:ニコチン酸1:1塩の単回用量をそれぞれ経口投与した。第2群及び第3群に投与されたリスペリドンの量は、等しかった。耐糖能試験の前日に、マウスを一晩絶食させた。治療されたマウスの血糖値を、携帯型グルコースメーター(Contour(登録商標)Plus、Bayer AG、Leverkusen,Germany)によって、尾の静脈から集めた血液試料によって測定した。試験化合物治療から30分後に、全てのマウスに、2g/kgのグルコースの腹腔内チャレンジ注射を行うことによってGTTを行った。血糖値を、30、60、及び120分で測定した。リスペリドン誘発性高血糖を、リスペリドンとリスペリドン:ニコチン酸1:1塩群との間で比較するために、曲線下の面積(AUC)を、GTTの血糖-時間曲線から導出した。
【0266】
図96は、時間経過に伴うビヒクル、リスペリドン、及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩の投与時の血糖値の変化を示す。リスペリドン治療マウスの血糖値は、全てが200mg/dl未満であるビヒクル及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩群とは異なり、グルコースチャレンジから120分後に有意に上昇する。リスペリドン群のAUCは、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩及びビヒクル群よりも顕著に高く、この知見は、リスペリドン治療マウスにおける有意な高血糖を示し、この高血糖は、ビヒクル及びリスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩群では観察されない。これらの結果は、リスペリドン:ニコチン酸塩が、ビヒクル対照群と同様の血糖応答を有し、リスペリドン誘発性代謝効果を回復させることができることを示している。要約すると、リスペリドン:ニコチン酸(1:1)塩は、リスペリドン誘発性高血糖の有意な保護効果を示し、代謝の副作用が非常に低い、新規の精神医薬の有望な候補である。
【表31】
【0267】
実施例25.パリペリドン:安息香酸1:1塩の特性決定
水中の塩の溶解性は、25℃で10.4mg/mLであると決定され、一方で、パリペリドンの非塩形態の溶解性は、同じ温度で0.29mg/mLであると決定された。したがって、この安息香酸塩は、非塩形態よりも有意に可溶性が高い。
【0268】
1:1塩のCarr指数は13%であり、非塩形態を試験したときに得られた29%の値よりも低い。
【0269】
実施例26.パリペリドン及びパリペリドン:安息香酸(1:1)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、パリペリドン、及びパリペリドン:安息香酸(1:1)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0270】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルに従って実施された。
【0271】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Pal(0.06mg/kg)+MK-801
第4群:Pal:BA塩(0.076mg/kg)+MK-801
*Palは、パリペリドンを指し、Pal:NAは、パリペリドン:安息香酸(1:1)塩を指す。
【0272】
第2群~第4群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のパリペリドン又はパリペリドン:安息香酸(1:1)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたパリペリドンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるMK801誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0273】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、パリペリドン及びその安息香酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0274】
図97は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するパリペリドン及びパリペリドン:安息香酸(1:1)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。パリペリドン及びパリペリドン:安息香酸(1:1)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、パリペリドン:安息香酸(1:1)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、パリペリドン:安息香酸(1:1)塩治療マウス(第3群)は、パリペリドン群と比較して、歩行活動の有意な低下を示した。この結果は、パリペリドン:安息香酸(1:1)塩が、パリペリドンよりも強力であり、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表32】
【0275】
実施例27.パリペリドン:ニコチン酸1:2塩の特性決定
水中の塩の溶解性は、25℃で137.3mg/mLであると決定され、一方で、パリペリドンの非塩形態の溶解性は、同じ温度で0.29mg/mLであると決定された。したがって、このニコチン酸塩は、非塩形態よりも有意に可溶性が高い。
【0276】
その塩のCarr指数は29%であり、パリペリドンの非塩形態と同じであった。
【0277】
実施例28.パリペリドン及びパリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩の治療有効性
この実験の目的は、MK-801によって誘発されるこのような症状を有するマウスモデルを使用して、統合失調症の精神症状を緩和する際に、パリペリドン、及びパリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩の治療有効性を比較することであった。試験化合物及びMK-801を、行動試験(すなわち、オープンフィールド試験)の前に、経口強制摂取及び腹腔内(i.p.)注射によって、それぞれマウスに投与した。
【0278】
材料及び方法
動物及び飼育条件:
C57BL/6J雄マウスを、動物室中のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design、AR,USA)において、自由に餌及び水を与えつつ、集団飼育した(ケージ当たり3~5匹のマウス)。コロニーを、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持し、全ての行動試験を、暗サイクル中に実施する。この試験で使用した全ての動物は、成体マウスであった(少なくとも8週齢)。全ての動物の手順は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトゾコル(protzocol)に従って実施された。
【0279】
マウスを、以下に列挙される4つの群に無作為に割り当てた。
第1群:ビヒクル対照
第2群:MK-801
第3群:Pal(0.06mg/kg)+MK-801
第4群:Pal:NA塩(0.094mg/kg)+MK-801
*Palは、パリペリドンを指し、Pal:NAは、パリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩を指す。
【0280】
第2群~4群のマウスは、オープンフィールド試験の20分前のi.p.注射によって、0.2mg/kgで通常の生理食塩水に溶解したNMDA受容体アンタゴニストであるMK-801(Sigma-Aldrich USA)の急性用量を受けた。第3群~第4群の各マウスは、MK-801投与の15分前のパリペリドン又はパリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩(35%のPEG400を含むddH2Oに溶解した)の急性用量を経口で受けた。第3群及び第4群に投与されたパリペリドンの量は、等しかった。統合失調症様の行動であるNMDA低機能誘発性の多動性をオープンフィールドタスクによって試験した。
【0281】
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方における新規性により誘発される探索行動及び一般的活動の一般的な測定値である。この実験の目的は、パリペリドン及びそのニコチン酸塩がMK-801誘導性運動亢進を減弱させる有効性を比較することであった。この試験では、マウスを、50~65ルクスの光度下でPlexiglasケージ(37.5cm×21.5cm×18cm)に入れた。それらの自発的な歩行活動を、Photobeam Activity System(PAS)-オープンフィールド(San Diego Instruments、San Diego,CA,USA)を使用して、60分間測定した。各マウスの光ビーム遮りの総数を、歩行活動の指数として測定した。
【0282】
図98は、MK-801治療マウスにおける歩行に対するパリペリドン及びパリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩の効果を示す。MK801侵襲(0.2mg/kg)は、オープンフィールド試験において運動亢進を誘発した。パリペリドン及びパリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩(第3群及び第4群)は両方とも、MK-801誘発性の多動性を緩和することができた。しかしながら、パリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩は、MK-801誘発性の多動性に対して、より高い効力を示し、パリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩治療マウス(第3群)は、パリペリドン群と比較して、歩行活動の有意な低下を示した。この結果は、パリペリドン:ニコチン酸(1:2)塩が、パリペリドンよりも強力であり、新規な抗精神病医薬として大きな可能性を有することを示している。
【表33】
【0283】
他の実施形態
本明細書に開示されている全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本明細書で開示されている各特徴は、同じ目的、同等の目的、又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられ得る。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴の一例にすぎない。
【0284】
上の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、発明を様々な使用法及び条件に適合させるために様々な変更及び改変を行うことができる。したがって、他の実施形態も、特許請求の範囲内にある。
【0285】
等価物
いくつかの本発明の実施形態が、本明細書に記載され、図示されているが、当業者は、機能を発揮するため、及び/又は本明細書に記載の結果及び/若しくは利点のうちのいずれか1つを得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定し、そのような変形及び/又は改変の各々は、本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が用いられる特定の適用又は複数の適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の特定の本発明の実施形態と等価なものを日常的な実験を超えない実験で多く認識し、又は確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲及びそれに対する等価物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載され、請求される以外の方法で実施可能であることを理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の各々を対象とする。これに加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0286】
本明細書で定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を制御するように理解されるべきである。
【0287】
本明細書に開示される全ての参考文献、特許、及び特許出願は、各々が引用される主題に関して参照により組み込まれ、いくつかの場合では、文書全体を包含する場合がある。
【0288】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、矛盾することが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0289】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される「及び/又は」という句は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」とともに列挙される複数の要素は、同じ方法で、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」であると解釈されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、具体的に特定されるこれらの要素に関連するか、又は無関係であるかにかかわらず、任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」との言及は、「含む(comprising)」等の包括的な言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を指すことができ、なお別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)等を指すことができる。
【0290】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、「又は」は、上に定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、あるリスト内の項目を区切る場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、要素の数又はリスト少なくとも1つを含むが、1つより多くも含み、任意選択的に追加の列挙されていない項目を含むと解釈されるべきである。「のうちの1つのみ」、若しくは「のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲に使用される場合、「からなる」等の矛盾する内容が明確に示される用語のみが、要素の数又はリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指すだろう。一般に、本明細書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」等の排他性を有する用語が前に付く場合、排他的な選択肢(すなわち、「どちらか一方であるが、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0291】
本明細書の明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストを参照して、「少なくとも1つの」という句は、要素のリスト内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が言及する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるこれらの要素に関連するか、又は無関係であるかにかかわらず、任意選択的に存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、同等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、同等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に1つより多いAを含み、Bが存在しない(任意選択的にB以外の要素を含む)ことを指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に1つより多いBを含み、Aが存在せず(任意選択的にA以外の要素を含む)を指すことができ、なお別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に1つより多いAと、少なくとも1つ、任意選択的に1つより多いBを含み(任意選択的に他の要素を含む)等を指すことができる。
【0292】
矛盾することが明確に示されない限り、1つより多いステップ又は行為を含む本明細書に記載の任意の方法において、その方法のそのステップ又は行為の順序は、その方法のそのステップ又は行為が列挙される順序に必ずしも限定されないことも理解されたい。
【国際調査報告】