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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-07
(54)【発明の名称】電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230531BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20230531BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230531BHJP
【FI】
H02M3/28 U
H02M3/28 W
H02M3/155 F
H02M3/155 W
H02M7/48 U
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567158
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2021061592
(87)【国際公開番号】W WO2021224192
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】2025504
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521460608
【氏名又は名称】プロドライヴ・テクノロジーズ・イノヴェーション・サービシーズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ・エバーツ
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AA18
5H730AS04
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB14
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB82
5H730BB86
5H730CC02
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE08
5H730EE12
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FG05
5H770AA09
5H770BA11
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA03Y
(57)【要約】
3つの相電圧を含むAC信号とガルバニック絶縁されたDC信号との間の変換を行うための電気変換器(100)は、3つの相端子(A、B、C)および2つのDC端子(P、N)と、3つの相端子において供給される3つの相電圧と第1の中間ノード(T)および第2の中間ノード(B)における第1の信号との間の変換を行うための、ならびに3つの相端子(A、B、C)を第3の中間ノード(I)に選択的に接続するように構成された第1のアクティブスイッチ(Ss,a、Ss,b、Ss,c)を含む相セレクタ(25)を備える、第1の変換器段(11)と、第4の中間ノード(r)および第5の中間ノード(t)における第2の信号と第6の中間ノード(P')および第7の中間ノード(N')における第3の信号との間の変換を行うように構成された第2の変換器段(12)と、第1の中間ノード(T)を第4の中間ノードに、および第2の中間ノード(B)を第5の中間ノードに接続するリンクと、第6の中間ノード(P')、第1のコモンノード(t)、および第7の中間ノード(N')に接続されている第1の側を含むガルバニック絶縁型DC/DC変換器段(141、142、140)とを備える。DC端子(P、N)は、第1の側からガルバニック絶縁されたDC/DC変換器段の第2の側に接続されている。第1のコモンノード(t)は、第3の中間ノード(I)に動作可能に接続されている。DC/DC変換器段は、第6の中間ノード(P')におけるDC/DC変換器(141)に印加される第1の電流(iP’)と第7の中間ノード(N')におけるDC/DC変換器に印加される第2の電流(iN’)との差が第3の中間ノード(I)において供給されるように、動作するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの相電圧を含むAC信号とガルバニック絶縁されたDC信号との間の変換を行うための電気変換器(100)であって、
3つの相端子(A、B、C)および2つのDC端子(P、N)と、
前記3つの相端子における前記3つの相電圧と第1の中間ノード(T)および第2の中間ノード(B)における第1の信号との間の変換を行うように構成された変換回路機構(24)、ならびに前記3つの相端子(A、B、C)を第3の中間ノード(I)に選択的に接続するように構成された第1のアクティブスイッチ(Ss,a、Ss,b、Ss,c)を含む相セレクタ(25)を備える第1の変換器段(11)と、
第4の中間ノード(r)および第5の中間ノード(t)における第2の信号と第6の中間ノード(P')および第7の中間ノード(N')における第3の信号との間の変換を行うように構成された第2の変換器段(12)であって、前記第6のおよび前記第7の中間ノード(P'、N')に動作可能に結合された昇圧回路(19、20)を備える、第2の変換器段(12)と、
前記第1の中間ノード(T)を前記第4の中間ノードに、および前記第2の中間ノード(B)を前記第5の中間ノードに接続するリンク(13)と、
前記第6の中間ノード(P')、第1のコモンノード(t)、および前記第7の中間ノード(N')に接続されている第1の側を含むガルバニック絶縁型DC/DC変換器段(141、142、140)を含む第3の変換器段(14)であって、前記DC端子(P、N)が、前記第1の側からガルバニック絶縁された前記DC/DC変換器段の第2の側に接続され、前記第1のコモンノード(t)が、前記第3の中間ノード(I)に動作可能に接続され、前記DC/DC変換器段が、前記第6の中間ノード(P')における前記DC/DC変換器段に印加される第1の電流(iP’)と前記第7の中間ノード(N')における前記DC/DC変換器段に印加される第2の電流(iN’)との差が前記第3の中間ノード(I)において供給されるように、動作するように構成されている、第3の変換器段(14)と
を備え、
前記昇圧回路が、前記第6の中間ノードと前記第7の中間ノードとの間に積層された第1の昇圧回路(19)および第2の昇圧回路(20)を備え、前記第1のおよび前記第2の昇圧回路が、前記第1のコモンノード(t)および前記第3の中間ノード(I)への直接リンクから自由である第2のコモンノード(m)を有する、電気変換器。
【請求項2】
前記相セレクタ(25)が、誘導貯蔵要素がない電流経路に沿って、前記3つの相端子(A、B、C)を前記第1のコモンノード(t)に選択的に接続するように構成されている、請求項1に記載の電気変換器。
【請求項3】
出力フィルタ(15)をさらに備え、前記出力フィルタが、前記第6の中間ノード(P')および前記第7の中間ノード(N')にわたって接続されている2つの直列接続された出力フィルタコンデンサ(C)を含み、前記出力フィルタコンデンサ(C)間の中点ノード(q)が、前記第2のコモンノード(m)に接続されている、請求項1または2に記載の電気変換器。
【請求項4】
前記リンク(13)が、前記第1の中間ノード(T)および前記第2の中間ノード(B)を少なくとも1つのコンデンサ(CT、CB)を通して接続する容量性部分を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気変換器。
【請求項5】
前記容量性部分が、前記第2のコモンノード(m)に接続されている第3のコモンノード(k)を含む、請求項4に記載の電気変換器。
【請求項6】
前記AC信号の中性相を担持する中性導体に接続するための中性端子を備え、前記中性端子が、前記第2のコモンノード(m)に接続されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気変換器。
【請求項7】
前記リンク(13)が、前記第2の変換器段に動作可能に結合されている、第1の誘導貯蔵要素(LT)および好ましくは第2の誘導貯蔵要素(LB)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気変換器。
【請求項8】
制御ユニット(30)を備え、前記制御ユニットが、前記第1のアクティブスイッチ(Ss,a、Ss,b、Ss,c)を動作させて、前記3つの相電圧の最低瞬時絶対電圧値を有する相端子(A、B、C)を前記第3の中間ノード(I)に接続するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気変換器。
【請求項9】
前記第3の信号、および前記制御ユニット(30)に動作可能に結合されている前記第3の中間ノード(I)における信号のパラメータを測定するための測定手段を備える、請求項8に記載の電気変換器。
【請求項10】
前記ガルバニック絶縁型DC/DC変換器段が、前記第6の中間ノード(P')および前記第1のコモンノード(t)に接続されている第1の側を含む第1のガルバニック絶縁型DC/DC変換器(141)と、前記第1のコモンノード(t)および前記第7の中間ノード(N')に接続されている第1の側を含む第2のガルバニック絶縁型DC/DC変換器(142)とを含み、前記DC端子(P、N)が、前記第1のおよび前記第2のDC/DC変換器の第2の側に接続されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気変換器。
【請求項11】
前記第1のおよび前記第2の絶縁型DC/DC変換器(141、142)の前記第2の側が、前記DC端子(P、N)にわたって並列で、または直列で接続されている、請求項10に記載の電気変換器。
【請求項12】
特に電気車両のバッテリを充電するためのバッテリ充電システムであって、電源ユニットを備え、前記電源ユニットが、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気変換器(100)を備える、バッテリ充電システム。
【請求項13】
電気モータ駆動システムであって、電源ユニットを備え、前記電源ユニットが、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気変換器(100)を備える、電気モータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換の分野に関する。詳細には、本発明は、ガルバニック絶縁により三相ACとDCとの間の変換を行うための電気変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ駆動の電気車両に充電するのに使用されるものなど、通常の三相ガルバニック絶縁型電源は、力率補正(power factor correction、PFC)ユニットが絶縁型DC/DC変換器ユニットに結合されている三相整流器を備える。絶縁型DC/DC変換器ユニットは、通常の電圧レベルが700~800Vの範囲の三相整流器ユニットのDC出力部と、通常の電圧レベルが250~450Vの範囲の車両のバッテリのDC出力部との間で電力を変換する。DC/DC変換器ユニットの入力電圧(たとえば、700~800V)が、DC/DC変換器ユニットの出力電圧(たとえば、250~450V)よりも著しく高いような場合には、絶縁型DC/DC変換器ユニットは、2つの直列入力並列出力(series-in, parallel-out)結合された絶縁型DC/DC変換器を備えることが多い。
【0003】
Barbosa P.ら、「Analysis and evaluation of the two-switch three-level boost rectifier」、第32回IEEE Power Electronics Specialists Conference 2001年次会議の議事録、第3巻、2001年6月17日、頁1659~1664には、図3(a)との関連で、昇圧式整流器ユニットと、昇圧式整流器の出力コンデンサにわたって接続された2つの絶縁型DC/DC変換器とを備える三相電源について記載されている。整流器ユニットは、インダクタが相入力部のそれぞれに結合されている入力フィルタと、パッシブ三相ブリッジ整流器と、昇圧回路と、DCバス電圧を共有する2つの出力コンデンサとを備える。
【0004】
上記の電源に関連する1つの欠点は、それらの電源は、嵩張り、高価になる傾向があることである。
【0005】
Silva M.ら、「Isolated Swiss-Forward Three-Phase Rectifier with Resonant Reset」、IEEE Transactions on Power Electronics、第31巻、第7号、2016年、頁4795~4808には、修正型スイス式整流器について記載されている。スイス整流器のPFC動作は、基本的に、2つの積層されたDC/DC降圧変換器と、DC/DC降圧変換器のコモンノードに接続されて、アクティブな第三高調波電流注入を可能にするための3つの双方向スイッチを備えるアクティブセレクタ回路との組合せによって達成される。それらの修正型整流器においては、2つのDC/DC降圧変換器は、2つの絶縁型DC/DC変換器に置き換えられる。これにより、二次絶縁型段を設ける必要性がなくなる。上記の変換器の1つの欠点は、絶縁型DC/DC変換器に印加される入力電圧が、AC入力相電圧の交差においてゼロになることであり、結果的に、これらの交差における絶縁型DC/DC変換器の制御性が低くなり、それにより、AC入力電流の全高調波歪みがより高くなることにつながる。また、絶縁型DC/DC変換器は、絶縁型DC/DC変換器の非効率な動作をもたらすことになる幅広い入力電圧範囲を受け、それにより、絶縁型DC/DC変換器を過寸法設定する(over dimensioning)必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Barbosa P.ら、「Analysis and evaluation of the two-switch three-level boost rectifier」、第32回IEEE Power Electronics Specialists Conference 2001年次会議の議事録、第3巻、2001年6月17日、頁1659~1664
【非特許文献2】Silva M.ら、「Isolated Swiss-Forward Three-Phase Rectifier with Resonant Reset」、IEEE Transactions on Power Electronics、第31巻、第7号、2016年、頁4795~4808
【非特許文献3】Krismer Florian、「Modeling and Optimization of Bidirectional Dual Active Bridge DC-DC Converter Topologies」、Dissertation ETH Zurich、第19177号、2010年、オンラインhttps://www.pes-publications.ee.ethz.ch/uploads/tx_ethpublications/Krismer_2011_03_17_Modeling_and_Optimization_of_Bidirectional_Dual_Active_Bridge_DC-DC_Converter_Topologies.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野においては、改良されたガルバニック絶縁された三相AC/DC電源を提供する必要性がある。具体的には、本発明の一目的は、より小型で、より経済的なそのような電源を提供することである。一目的は、上記種類の従来技術の電源と類似する性能特性、またはそれらに対してさらに改良された性能特性を有するそのような電源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載されているように、少なくとも3つの相を有するAC信号をガルバニック絶縁されたDC信号に変換する、またはその逆を行うための電気変換器が提供される。
【0009】
本発明による電気変換器は、(少なくとも)3つの相端子および2つのDC端子と、第1の変換器段と、第2の変換器段と、第3の変換器段とを備える。第1の変換器段は、3つの相端子において供給される3つの相電圧と、第1の中間ノードおよび第2の中間ノードにおいて供給される第1の信号との間の変換を行うように構成されている変換回路機構を備える。この変換回路機構は、具体的には少なくとも3つの相端子のそれぞれについてブリッジレッグを備えるブリッジ変換器とすることができる。第1の変換器段は、3つの相端子を第3の中間ノードに選択的に接続するように構成された第1のアクティブスイッチを含む相セレクタをさらに備える。
【0010】
第2の変換器段は、第4の中間ノードおよび第5の中間ノードにおける第2の信号と、第6の中間ノードおよび第7の中間ノードにおける第3の信号との間の変換を行うように構成されている。第2の変換器段は、第6の中間ノードと第7の中間ノードとの間に直列積層された第1の昇圧回路および第2の昇圧回路から構成されている、昇圧回路を備える、または昇圧回路からなる。
【0011】
リンク、具体的には、DCリンクは、第1の中間ノードを第4の中間ノードに接続し、第2の中間ノードを第5の中間ノードに接続する。リンクは、第2の変換器段に特に動作可能に結合されている差動モードフィルタを備えることができる。
【0012】
第3の変換器段は、互いにガルバニック絶縁されている第1の側および第2の側を含む、ガルバニック絶縁型DC/DC変換器段を備える、またはガルバニック絶縁型DC/DC変換器段からなる。第1の側は、第6の中間ノード、第1のコモンノード、および第7の中間ノードに接続される。DC端子は、DC/DC変換器段の第2の側に接続される。第1のコモンノードは、第3の中間ノードに動作可能に接続され、DC/DC変換器段は、第6の中間ノードにおいてDC/DC変換器に印加される第1の電流と第7の中間ノードにおいてDC/DC変換器に印加される第2の電流との差が第3の中間ノードにおいて供給されるように、動作するように構成されている。DC/DC変換器段は、第1の側における3つのポートを有するマルチポートDC/DC変換器として構築されても、または代替としては、第1の側が、第6の中間ノードと第7の中間ノードとの間に積層され、コモンノードとして第1のコモンノードを有する2つのDC/DC変換器として構築されてもよい。
【0013】
第1のおよび第2の昇圧回路は、第2のコモンノードを有する。本開示の1つの有利な態様によれば、(第3の変換器段の)第1のコモンノードと(第2の変換器段の)第2のコモンノードは、接続されておらず、すなわち、それらは、2つのノード間の直接または等電位のリンクから自由である。同様に、第2のコモンノードは、有利には、第3の中間ノードに接続されていない(すなわち、直接または等電位のリンクもしくは接続部を介して接続されていない)。しかしながら、第1のコモンノードおよび第3の中間ノードは、有利には、(すなわち、直接または等電位のリンクを介して)接続されている。
【0014】
本発明による電気変換器の1つの利点は、絶縁型DC/DC変換器段が電流注入回路として働き、したがって、全高調波歪みが低く、および/または力率が単一である正弦波電源電流を得るのに、追加の第三高調波電流注入回路が必要でないことである。にもかかわらず、第三高調波電流注入回路としてDC/DC(第3の)変換器段を動作させることによって、DC/DC変換器段の(第6の中間ノードと第1のコモンノードとの間、および第1のコモンノードと第7の中間ノードとの間)の第1の側における電圧が、具体的には、AC相電圧の交差において、正であり、ゼロとは異なったままであることが得られるので有利である。これは、第1のコモンノードを第2のコモンノードから分離させることによって可能にすることができ、その結果として、第3の変換器段の制御性はより良くなる。さらには、電流注入回路が動作するのに要求される電気エネルギー貯蔵要素は、絶縁型DC/DC変換器段内にすでに存在する構成要素に引き継がれるので、それらを省略してもよい。したがって、本発明による電気変換器は、より小型であり、要求される構成要素がより少なく、そのため、より経済的である。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、たとえば、電気車両のバッテリに充電するためのバッテリ充電システム、または本明細書に説明する電気変換器を備える電源を含む電気モータ駆動システムが提供される。
【0016】
次に、本発明の態様について、添付の図面を参照してより詳細に説明し、ただし、同じ参照数字は、同じ特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による電力変換器を概略的に示す図である。
図2】AC三相グリッド電圧および電流を表すグラフである。
図3】上部中間ノードにおける電圧および電流を表すグラフである。
図4】下部中間ノードにおける電圧および電流を表すグラフである。
図5】中央部中間ノードにおける電圧および電流を表すグラフである。
図6】ACグリッド電圧の全周期中(360°)の上部昇圧ノードおよび下部昇圧ノードにおける昇圧電圧とともに、1つの図に図3図5の電圧を表したグラフである。
図7】ACグリッド電圧の全周期中(360°)の絶縁型DC/DC変換器への入力電圧を表したグラフである。
図8】ACグリッド電圧の全周期中(360°)の絶縁型DC/DC変換器への入力電流を表したグラフである。
図9】ACグリッド電圧の全周期中(360°)の絶縁型DC/DC変換器の出力電力を表したグラフである。
図10】本発明による電気変換器において使用するためのガルバニック絶縁型DC/DC変換器のトポロジーを表す図である。
図11】本発明による電気変換器において第3の変換器段として使用するためのマルチポートガルバニック絶縁型DC/DC変換器のトポロジーを表す図である。
図12】本発明の態様によるバッテリ充電システムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、電力変換器100の例示的な実施形態が、第1の変換器段11、第2の変換器段12、入力フィルタ13、および出力フィルタ15を備える。電気変換器100は、第3の変換器段14をさらに備える。
【0019】
電気変換器100は、三相ACグリッド21の三相電圧に接続されている3つの相入力端子A、B、Cと、たとえば、電気自動車の高電圧(たとえば、250~450V)バッテリなどのDC負荷22に接続され得る2つのDC端子P、Nとを有するAC/DC変換器である。
【0020】
第1の変換器段11は、3つの相入力端子A、B、Cに接続されている3つの相ノードa、b、cと、3つの出力ノードT、I、Bとを備える。これらの出力ノードは、上部中間ノードT、下部中間ノードB、および中央部中間ノードIと見ることができる。
【0021】
第1の変換器段11は、3つの相ノードa、b、cにおいて供給される3つの相電圧を伴う三相AC信号と、上部中間ノードTと下部中間ノードBとの間の中間(DC)信号との間の変換を行うための変換回路機構24を備える。変換がACからDCである場合、変換回路機構24は、整流器として機能し、変換がDCからACである場合、変換回路機構は、インバータとして機能する。変換回路機構24は、有利には、3つのブリッジレッグ16、17、18からなる三相ブリッジ回路機構を備え、各ブリッジレッグは、ハーフブリッジ構成の形態で接続されている2つのアクティブ(双方向)半導体スイッチング素子またはパッシブ半導体スイッチング素子を備えることができる。図1の例においては、ブリッジ回路機構24は、各ブリッジレッグにおいて一対のアクティブスイッチング素子、すなわち、レッグ16の場合、SR,a1とSR,a2、レッグ17の場合、SR,b1とSR,b2、およびレッグ18の場合、SR,c1とSR,c2を含む三相ブリッジ整流器として働く。代替としては、アクティブスイッチング素子ではなく、ダイオードを使用して、パッシブ単方向三相ブリッジ整流器を得ることもできる。
【0022】
第1の変換器段11は、電流の双方向遮断および電圧の双方向阻止を可能にする3つの電圧双方向半導体スイッチング素子(Ss,a、Ss,b、およびSs,c)を含む相セレクタ25をさらに備える。これらの電流双方向スイッチング素子はそれぞれ、2つの逆直列接続されたアクティブ半導体スイッチング素子を備えることができる。
【0023】
ブリッジ回路機構24および/または相セレクタ25の各アクティブ半導体スイッチング素子は、有利には、逆並列ダイオードを備える。例として、金属酸化物電界効果トランジスタ(Metal Oxide Field Effect Transistors、MOSFET)が、アクティブ半導体スイッチング素子に使用され、それぞれ、外部逆並列ダイオードに置き換えてもよい内部逆並列ボディーダイオードを含むことができる。
【0024】
第2の変換器段12は、2つの積層された昇圧回路19、20を備える、または昇圧回路19、20からなる。有利には、各昇圧回路19、20は、ハーフブリッジ構成で接続されている第1の昇圧スイッチ(上部昇圧回路19の場合、ST2、および下部昇圧回路20の場合、SB1)と、第2の昇圧スイッチ(上部昇圧回路19の場合、ST1、および下部昇圧回路20の場合、SB2)とを備える。第1のおよび第2の昇圧スイッチは、アクティブ双方向スイッチとすることができ、それにより、双方向の電流フローを可能にするが、一方向にのみ、たとえば、逆並列(ボディー)ダイオードを含むMOSFETスイッチング素子においては、電流遮断を可能にする。代替としては、第2の昇圧スイッチST1およびSB2は、ダイオードに置き換えてもよい。上部昇圧回路19の中央部ノード(スイッチノード)rは、上部昇圧インダクタLTを介して上部中間電圧ノードTに接続される。下部昇圧回路20の中央部ノード(スイッチノード)sは、下部昇圧インダクタLBを介して下部中間電圧ノードBに接続される。上部および下部昇圧回路19、20の第1のスイッチは、上部および下部昇圧回路19、20のコモンノードmにおいて互いに接続される。上部昇圧回路19の第2の昇圧スイッチST1は、中央部ノードrと上部昇圧ノードP'との間に接続される。下部昇圧回路20の第2の昇圧スイッチSB2は、中央部ノードSと下部昇圧ノードN'との間に接続される。
【0025】
上部昇圧インダクタLTおよび下部昇圧インダクタLBは、入力フィルタ13の誘導性部分を形成する。入力フィルタ13の容量性部分は、有利には、2つの高周波(HF)フィルタコンデンサCT、CBによって形成され、これらの高周波フィルタコンデンサCT、CBはそれぞれ、それぞれの上部中間ノードTおよび下部中間ノードBとコモンノードとの間に接続されており、さらには、昇圧回路19と20との間のコモンノードmに接続されていてもよい。概して、2つのコンデンサCT、CBが実質的に等しい静電容量を有して、ACグリッドに対称的に負荷をかけることが有利である。
【0026】
出力フィルタ15は、上部および下部昇圧回路19、20の出力部P'およびN'にそれぞれわたって接続されている、有利には等しい静電容量の2つの直列接続された出力フィルタコンデンサCを備える。本明細書においては以降、P'およびN'をそれぞれ上部昇圧ノードおよび下部昇圧ノードと称す。出力フィルタコンデンサC間の中点ノードqは、有利には、上部昇圧回路19と下部昇圧回路20との間のコモンノードmに接続される。代替としては、上部および下部昇圧ノードP'およびN'にわたって接続される単一の出力フィルタコンデンサを設けることも可能である。
【0027】
上部昇圧回路19は、上部昇圧ノードP'とコモンノードmとの間に(有利には、上部出力フィルタコンデンサと並列で)接続されており、スイッチST2が開いている(導通していない、オフ状態である)とき、スイッチST1を介して上部中間ノードTから上部昇圧ノードP'に(またはその逆に)電流が流れることができるような形で、およびスイッチST2が閉じている(導通している、オン状態である)とき、スイッチST2を介して上部中間ノードTからコモンノードmに(またはその逆に)電流が流れることができるような形で構成されている。昇圧回路19の少なくとも昇圧スイッチST2は、パルス幅変調によって動作可能な、アクティブに制御された半導体スイッチング素子、たとえば、MOSFETである。スイッチST1がダイオードDT1に置き換えられる場合、スイッチST2が開いている(導通していない、オフ状態である)とき、ダイオードDT1を介して上部中間ノードTから上部昇圧ノードP'に電流が流れることができるが、上部昇圧ノードP'から上部中間ノードTには電流は流れることができない。
【0028】
下部昇圧回路20は、コモンノードmと下部昇圧ノードN'との間に(有利には、下部出力フィルタコンデンサと並列で)接続されており、スイッチSB1が開いている(導通していない、オフ状態である)とき、スイッチSB2を介して下部昇圧ノードN'から下部中間ノードBに(またはその逆に)電流が流れることができるような形で、およびスイッチSB1が閉じている(導通している、オン状態である)とき、スイッチSB1を介してコモンノードmから下部中間ノードBに(またはその逆に)電流が流れることができるような形で構成されている。昇圧回路20の少なくとも昇圧スイッチSB1は、パルス幅変調によって動作可能な、アクティブに制御された半導体スイッチング素子、たとえば、MOSFETである。スイッチSB2がダイオードDB2に置き換えられる場合、スイッチSB1が開いている(導通していない、オフ状態である)とき、ダイオードDB2を介して下部昇圧ノードN'から下部中間ノードBに電流が流れることができるが、下部中間ノードBから下部昇圧ノードN'には電流は流れることができない。
【0029】
電気変換器は、オプションで、グリッドの中性導体に接続するための中性端子(図示せず)を備える。中性端子は、高周波(HF)フィルタコンデンサCT、CBのコモンノードkに、および/または第1のおよび第2の昇圧回路19、20のコモンノードmに接続され得る。図1を参照すると、コモンノードmは、高周波(HF)フィルタコンデンサCT、CBのコモンノードkに接続されている。
【0030】
第3の変換器段14は、2つのガルバニック絶縁型DC/DC変換器141、142によって形成され、その入力部は、上部および下部昇圧ノードP'とN'にわたって直列で接続され、その出力部は、変換器100の出力端子P、Nに、図1に示されているように並列接続か、または直列接続かのいずれかにより接続されている。出力端子P、Nにわたって並列接続と直列接続との間の絶縁型DC/DC変換器141、142の出力の転流(commutating)を可能にするスイッチング素子を設けることが可能である。絶縁型DC/DC変換器141、142の入力部間のコモンノードtは、有利には、中央部中間ノードIとtとの間の経路にインダクタが存在せずに、中央部中間ノードIに直接接続される。
【0031】
当技術分野において知られている任意の適しているガルバニック絶縁型DC/DC変換器は、変換器141および142に使用することができる。変換器141および142の1つの可能なDC/DC変換器トポロジーは、双方向フルブリッジDC/DC変換器として図10に表されている。そのような変換器は、ノードF1、G1および第1のフルブリッジ変換器回路411を含む第1の側、ならびにノードF2、G2および第2のフルブリッジ変換器回路412を含む第2の側を備える。第1のおよび第2のフルブリッジ変換器回路411、412は、他の任意の適切な巻線比が使用されることもあるが、たとえば巻線比が1:1であるトランス410を通して結合され、ガルバニック絶縁を行う。第1のフルブリッジ変換器回路411のブリッジレッグにおけるスイッチは、アクティブ半導体スイッチング素子である。第2のフルブリッジ変換器回路412のブリッジレッグにおけるスイッチは、アクティブ半導体スイッチング素子であっても、またはパッシブ半導体スイッチング素子であってもよい。アクティブスイッチが第2のフルブリッジ変換器回路412に使用される場合には、絶縁型DC/DC変換器が、双方向電力フローに使用され得る。
【0032】
第1の側ノードF1、G1は、上部絶縁型DC/DC変換器141についてはノードP'およびtにそれぞれ接続され、下部絶縁型DC/DC変換器142についてはノードtおよびN'にそれぞれ接続される。第2の側ノードF2、G2は、変換器141と142との間の直列接続か、または並列接続かのいずれかにより、変換器100のDC端子P、Nに接続される。
【0033】
図10のトポロジーは、DC/DC変換器141および142に使用され得る可能な変換器トポロジーの例示的な実施形態にすぎない。例として、第1の側におけるインダクタおよび第2の側におけるインダクタのうちのいずれか一方は、除外してもよい。
【0034】
図11を参照すると、マルチポートガルバニック絶縁型DC/DC変換器140の一例示的実施形態は、DC/DC変換器141および142を置き換えて、第3の変換器段14として働くことができる。この変換器は、第1の側421を備え、この第1の側421は、図11に示されているようにノードがノードP'、t、およびN'に接続されており、2つの積層されたアクティブフルブリッジと同様に機能する。第2の側422は、アクティブまたはパッシブの半導体スイッチを含むフルブリッジ変換器回路を備えることができる。
【0035】
第3の変換器段14におけるDC/DC変換器のさらなる適切なトポロジーについては、Krismer Florian、「Modeling and Optimization of Bidirectional Dual Active Bridge DC-DC Converter Topologies」、Dissertation ETH Zurich、第19177号、2010年に記載されており、これは、オンラインhttps://www.pes-publications.ee.ethz.ch/uploads/tx_ethpublications/Krismer_2011_03_17_Modeling_and_Optimization_of_Bidirectional_Dual_Active_Bridge_DC-DC_Converter_Topologies.pdfで入手できる。
【0036】
再度、図1を参照すると、電力変換器100は、制御ユニット30を備えることができ、この制御ユニット30は、有利には電気変換器100のアクティブ半導体スイッチング素子をすべて制御し、通信インターフェース31を介して各スイッチに制御信号を送信する。具体的には、ブリッジ回路機構24の半導体スイッチング素子SR,a1、SR,a2、SR,b1、SR,b2、SR,cl、SR,c2、相セレクタ25のスイッチング素子Ss,a、Ss,b、およびSs,c、ならびに昇圧スイッチST2、SB1、ST1、およびSB2は、インターフェース31を通してコントローラ30によってアクティブに制御される。昇圧スイッチST2、SB1、ST1、およびSB2、ならびに可能性として他のアクティブスイッチング素子も同様に、具体的には、パルス幅変調に基づいて制御される。さらには、制御ユニットは、次のうちの1つまたは複数の測定値を受け取るための1つまたは複数の測定値入力ポート(32、33、34、35、37、38、39)を備えることができる。
- 32:ACグリッド相電圧νa、νb、νc
- 33:中間電流iT、iB、iI
- 34:DCバス電圧VPN
- 35:ノードqにおける出力フィルタコンデンサの中点電圧VCM
- 37:出力フィルタ15のDCバス電圧νP'q、νqN'
- 38:絶縁型DC/DC変換器の入力電圧νP't、νtN'
- 39:絶縁型DC/DC変換器の入力電流iP'、iN'
および要求されたDC出力電圧
【0037】
【数1】
【0038】
とすることができる設定値を受け取るための入力ポート36。
【0039】
加えて、制御ユニット30は、有利には、絶縁型DC/DC変換器141、142、または140の少なくとも第1の側411、421のアクティブスイッチを制御する。
【0040】
電気変換器100は、基本的には、第1の変換器段11、入力フィルタ13、第2の電力(昇圧)段12、および出力フィルタ15によって形成される昇圧式三相整流器と、2つの直列入力接続された絶縁型DC/DC変換器とを組み合わせている。本発明によれば、相セレクタ25とともに絶縁型DC/DC変換器段は、第三高調波電流注入回路として働き、それにより、従来の昇降圧回路および昇圧インダクタを追加する必要性がなくなり、結果として、より小型の設計になる。
【0041】
三相ACグリッド21が、ACグリッド相電圧νa、νb、νc(図2)を伴って入力端子A、B、Cに接続されているとき、三相ブリッジ回路機構24は、整流器として働き、ACグリッド相電圧νa、νb、νcの瞬時最高電圧が上部中間ノードTに印加されることを確実にし、それにより、Tにおいて図3に示される電圧νTが得られ、またACグリッド相電圧νa、νb、νcの瞬時最低電圧が下部中間ノードBに印加されることを確実にし、それにより、Bにおいて図3に示される電圧νBが得られる。これを達成するためには、対応する相接続ノードa、b、またはcは、対応するセレクタスイッチSs,a、Ss,b、またはSs,cが開いている(導通していない、オフ状態である)間、対応するブリッジレッグ16、17、18の上部または下部スイッチを介して、中間ノードTまたはBと接続される。相セレクタスイッチSs,a、Ss,b、およびSs,cは、ACグリッド相電圧νa、νb、νcの最高電圧と最低電圧との間の瞬時中間電圧が中央部中間ノードIに印加されるように、たとえばコントローラ30によって制御され、それにより、図5に示されるようにIにおいて電圧νIが得られる。セレクタスイッチ(Ss,a、Ss,b、およびSs,c)のスイッチング状態は、AC電源電圧の周期(360°)内で特定の60°セクタ全体で、連続的に「オン」または「オフ」である。また、ブリッジ回路機構24のスイッチは、AC電源電圧の周期(360°)内で、たとえば60°の特定のセクタ全体で、「導通している」かまたは「導通していない」。ブリッジ整流器および相セレクタのスイッチの状態の組合せは、三相AC入力電圧の60°セクタごとに固有であり、ACグリッド相入力部(A、B、C)の電圧値に依存する。スイッチの6個の固有の状態の配列は、AC電源電圧の周期(360°)ごとに繰り返される。
【0042】
図6を参照すると、上部および下部昇圧段19、20は、上部昇圧ノードP'における電圧νP'が上部中間ノードTにおける電圧νTに比較して高くなること、および下部昇圧ノードN'における電圧νN'が下部中間ノードBにおける電圧νBに比較して低くなることを確実にする。等しい静電容量をもつ2つの出力フィルタCが出力フィルタ15に使用され、出力フィルタコンデンサC間の中点ノードqが上部昇圧回路19と下部昇圧回路20との間のコモンノードmに、ならびに入力フィルタ13のフィルタコンデンサCTおよびCBのコモンノードに接続されているとき、ノードqにおける中点電位は、図6に示されているように、三相ACグリッド21のスター点電位(star-point potential)に等しいように、すなわち、νCM=0となるように制御され、または図6に示されるような第三高調波電圧分を有するように制御され得る。これは、昇圧回路19、20を適切に制御することによって達成することができる。具体的には、昇圧回路19および20は、コモンオフセットをスイッチST2、SB1のPWMデューティーサイクルに加えることによって、コモンオフセット電圧をノードrおよびsに注入することができる。このコモン電圧を制御されたVCMに反映する。
【0043】
図7を参照すると、第2の変換器段12(昇圧段)は、上部DC/DC変換器141(ノードP'とtとの間)の入力部におけるDC電圧νP't、および下部DC/DC変換器142(ノードtとN'との間)の入力部におけるDC電圧νtN'が、ACグリッド相電圧の交差において、つねにゼロを上回ったままであることを確実にする。このことは、すべての動作点における絶縁型DC/DC変換器の良好な制御性を確実にし、その結果として、ACグリッド電流の全高調波歪みが改善され、絶縁型DC/DC変換器の効率性が改善されることになる。
【0044】
図8を参照すると、ノードP'およびN'を通る(したがって、絶縁型DC/DC変換器段14を通る)入力電流iP'およびiN'は、つねに、ゼロとは異なるように制御され得る。入力電流iP'およびiN'は、iP'とiN'の差が、結果的に、中間ノードIを通る所望の第三高調波注入電流iI(図5)をもたらすように、たとえば、制御ユニット30によって絶縁型DC/DC変換器141、142、または140(の第1の側411、421)のアクティブスイッチを適切に(PWM)制御することにより、(独立して)制御され得る。結果として、所望の第三高調波電流iIを得るために追加の第三高調波電流注入回路の必要性がなくなり、それにより、より小型の設計がもたらされる。
【0045】
一方では、ノードTとBとの間の、他方ではrとsとの間のDCリンクにおける入力フィルタ13は、中央部中間ノードIに動作可能に結合されるインダクタが存在することなく、上部中間ノードTおよび下部中間ノードBにそれぞれ動作可能に結合される2つのインダクタLTおよびLBのみを備えることができる。言い換えれば、中央部中間ノードIと絶縁型DC/DC変換器の入力部間のコモンノードtとの間の電流注入線は、誘導エネルギー貯蔵要素がなくてよい。代替としては、第3のインダクタをノードIとtとの間に設けてもよい。
【0046】
本発明による電気変換器は、有利には、三相ACからDCへの変換、および/またはその逆への変換に使用される。具体的には、有用な用途は、バッテリ充電器の電源ユニットにおいてであり、特に電気(モータ駆動の)車両の電気バッテリを充電するためである。
【0047】
図12を参照すると、バッテリ充電システム400は、電源ユニット404を備える。電源ユニット404は、一方の側で、端子A、B、Cを通してACグリッドに、可能性として、追加的に中性導体nに結合され、他方の側で(DC端子P、Nにおいて)、たとえばスイッチ素子を備えるインターフェース402に結合され、インターフェース402は、電源ユニット404をバッテリ403に接続することができる。電源ユニット404は、本明細書において上述したように、電気変換器100を備える。電源ユニット404は、たとえば、ワイヤレス電力転送(図示せず)などの場合に、空中で誘導結合される一対のコイルをさらに備えることができる。いくつかの場合においては、インターフェース402は、たとえば、ワイヤードの電力転送において、プラグおよびソケットを備えることができる。代替としては、プラグおよびソケットは、入力部において(たとえば、ノードA、B、C、nにおいて)設けることもできる。
【0048】
本開示の態様について、次の番号付けされた項に記載する。
項1. 3つの相電圧を含むAC信号とガルバニック絶縁されたDC信号との間の変換を行うための電気変換器(100)であって、
3つの相端子(A、B、C)および2つのDC端子(P、N)と、
前記3つの相端子における前記3つの相電圧と第1の中間ノード(T)および第2の中間ノード(B)における第1の信号との間の変換を行うように構成された変換回路機構(24)、ならびに前記3つの相端子(A、B、C)を第3の中間ノード(I)に選択的に接続するように構成された第1のアクティブスイッチ(Ss,a、Ss,b、Ss,c)を含む相セレクタ(25)を備える第1の変換器段(11)と、
第4の中間ノード(r)および第5の中間ノード(t)における第2の信号と第6の中間ノード(P')および第7の中間ノード(N')における第3の信号との間の変換を行うように構成された第2の変換器段(12)であって、前記第6のおよび前記第7の中間ノード(P'、N')に動作可能に結合された昇圧回路(19、20)を備える、第2の変換器段(12)と、
前記第1の中間ノード(T)を前記第4の中間ノードに、および前記第2の中間ノード(B)を前記第5の中間ノードに接続するリンク(13)と、
前記第6の中間ノード(P')、第1のコモンノード(t)、および前記第7の中間ノード(N')に接続されている第1の側を含むガルバニック絶縁型DC/DC変換器段(141、142、140)を含む第3の変換器段(14)であって、前記DC端子(P、N)が、前記第1の側からガルバニック絶縁された前記DC/DC変換器段の第2の側に接続され、前記第1のコモンノード(t)が、前記第3の中間ノード(I)に動作可能に接続され、前記DC/DC変換器段が、前記第6の中間ノード(P')における前記DC/DC変換器(141)に印加される第1の電流(iP’)と前記第7の中間ノード(N')における前記DC/DC変換器に印加される第2の電流(iN’)との差が前記第3の中間ノード(I)において供給されるように、動作するように構成されている、第3の変換器段(14)と
を備える、電気変換器。
項2. 前記相セレクタ(25)が、誘導貯蔵要素がない電流経路に沿って、前記3つの相端子(A、B、C)を前記第1のコモンノード(t)に選択的に接続するように構成されている、項1に記載の電気変換器。
項3. 前記昇圧回路が、前記第6の中間ノードと前記第7の中間ノードとの間に積層された第1の昇圧回路(19)および第2の昇圧回路(20)を備え、前記第1のおよび前記第2の昇圧回路が、第2のコモンノード(m)を有する、項1または2に記載の電気変換器。
項4. 前記AC信号の中性相を担持する中性導体に接続するための中性端子を備え、前記中性端子が、前記第2のコモンノード(m)に接続されている、項3に記載の電気変換器。
項5. 前記リンク(13)が、前記第1の中間ノード(T)および前記第2の中間ノード(B)を少なくとも1つのコンデンサ(CT、CB)を通して接続する容量性部分を含む、項1から4のいずれか一項に記載の電気変換器。
項6. 容量性部分が、第3のコモンノードを含み、前記中性端子が、前記第3のコモンノードに接続されている、項4または5に記載の電気変換器。
項7. 前記リンク(13)が、前記第2の変換器段に動作可能に結合されている、第1の誘導貯蔵要素(LT)および好ましくは第2の誘導貯蔵要素(LB)を含む、項1から6のいずれか一項に記載の電気変換器。
項8. 制御ユニット(30)を備え、前記制御ユニットが、前記第1のアクティブスイッチ(Ss,a、Ss,b、Ss,c)を動作させて、前記3つの相電圧の最低瞬時絶対電圧値を有する相端子(A、B、C)を前記第3の中間ノード(I)に接続するように構成されている、項1から7のいずれか一項に記載の電気変換器。
項9. 前記第3の信号、および前記制御ユニット(30)に動作可能に結合されている前記第3の中間ノード(I)における信号のパラメータを測定するための測定手段を備える、項8に記載の電気変換器。
項10. 前記ガルバニック絶縁型DC/DC変換器段が、前記第6の中間ノード(P')および前記第1のコモンノード(t)に接続されている第1の側を含む第1のガルバニック絶縁型DC/DC変換器(141)と、前記第1のコモンノード(t)および前記第7の中間ノード(N')に接続されている第1の側を含む第2のガルバニック絶縁型DC/DC変換器(142)とを含み、前記DC端子(P、N)が、前記第1のおよび前記第2のDC/DC変換器の第2の側に接続されている、項1から9のいずれか一項に記載の電気変換器。
項11. 前記第1のおよび前記第2の絶縁型DC/DC変換器(141、142)の前記第2の側が、前記DC端子(P、N)にわたって並列で、または直列で接続されている、項10に記載の電気変換器。
項12. 特に電気車両のバッテリを充電するためのバッテリ充電システムであって、電源ユニットを備え、前記電源ユニットが、項1から11のいずれか一項に記載の電気変換器(100)を備える、バッテリ充電システム。
項13. 電気モータ駆動システムであって、電源ユニットを備え、前記電源ユニットが、項1から11のいずれか一項に記載の電気変換器(100)を備える、電気モータ駆動システム。
【符号の説明】
【0049】
11 第1の変換器段
12 第2の変換器段
13 入力フィルタ、リンク
14 第3の変換器段
15 出力フィルタ
16、17、18 ブリッジレッグ
19、20 昇圧回路
21 三相ACグリッド
22 DC負荷
24 変換回路機構、ブリッジ回路機構
25 相セレクタ
30 制御ユニット、コントローラ
31 通信インターフェース
32、33、34、35、36,37、38、39 入力ポート
100 電力変換器、電気変換器
140 マルチポートガルバニック絶縁型DC/DC変換器
141、142 ガルバニック絶縁型DC/DC変換器
400 バッテリ充電システム
402 インターフェース
403 バッテリ
404 電源ユニット
410 トランス
411、412 フルブリッジ変換器回路
421 第1の側
422 第2の側
A、B、C 相入力端子、ノード
C、CT、CB フィルタコンデンサ
DT1、DB2 ダイオード
LT、LB 昇圧インダクタ、誘導貯蔵要素
P、N DC端子
SR,a1、SR,a2、SR,b1、SR,b2、SR,c1、SR,c2 アクティブスイッチング素子
Ss,a、Ss,b、Ss,c 電圧双方向半導体スイッチング素子
ST2、SB1、ST1、SB2 昇圧スイッチ
T、I、B、F1、G1、F2、G2、N'、P'、S、a、b、c、k、m、q、r、s、t ノード
n 中性導体、ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】