IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チョ,ミョン ソプの特許一覧

<>
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図1a
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図1b
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図1c
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図2
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図3
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図4
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図5a
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図5b
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図5c
  • 特表-木管楽器音孔用キーパッド構造体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】木管楽器音孔用キーパッド構造体
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/00 20200101AFI20230601BHJP
   G10D 7/08 20060101ALI20230601BHJP
   G10D 9/08 20200101ALI20230601BHJP
【FI】
G10D9/00
G10D7/08
G10D9/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555172
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2021008815
(87)【国際公開番号】W WO2022014970
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087887
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522355134
【氏名又は名称】チョ,ミョン ソプ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ミョン ソプ
(57)【要約】
本発明は木管楽器音孔用キーパッド構造体に関するものであり、より詳細に説明すれば、木管楽器の音孔が形成された音孔管に結合されるキーパッドの密着度を向上させて音孔管及びパッドを通して外部に音が漏洩することを防止することにより、前記閉鎖したキーパッドによって所望の音の響き現象を一様に発生するように優れた共鳴を発生することができる木管楽器音孔用キーパッド構造体に関するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木管楽器(B)上に、音孔(1a)が形成された多数の音孔管(1)と、前記音孔管(1)に着脱されるパッド(2)と、前記パッド(2)が内側面に付着され、前記パッド(2)を稼働させるキー(3)とを含む木管楽器音孔用キーパッド構造体(A)であって、
前記木管楽器音孔用キーパッド構造体(A)は、前記キー(3)の後面(3b)に分離されたパッド(2)が配置され、前記分離されたパッド(2)とキー(3)の内側面(3a)との間に固形体(7)を挿入し、熱風で加熱することで、固形体(7)が溶けながら前記パッド(2)とキー(3)の内側面(3a)の間の内側空間(S1)に充填され、その固形体(7)が常温で硬化することにより、キー(3)とパッド(2)との間の接着部分には内側空間(S1)がなくなり、パッド(2)、固形体(7)及びキー(3)の3部分が存在することを特徴とする、木管楽器音孔用キーパッド構造体。
【請求項2】
前記固形体(7)は、固体シリコン、セラック、薄紙または薄ビニルのうちで選択されることを特徴とする、請求項1に記載の木管楽器音孔用キーパッド構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木管楽器音孔用キーパッド構造体に関するものであり、より詳細に説明すれば、木管楽器の音孔が形成された音孔管に結合されるキーパッドの密着度を向上させて音孔管及びパッドを通して外部に音が漏洩することを防止することにより、前記閉鎖したキーパッドによって所望の音の響き現象を一様に発生するように優れた共鳴を発生することができる木管楽器音孔用キーパッド構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、木管楽器を介して伝達される音は空気の振動を用いるものである。
【0003】
木管楽器の内部には多数のキャップホルダーが形成され、前記キャップホルダーの内側にパッドが結合される。前記パッドを振動させることにより、前記木管楽器が共鳴によって音を発生するものである。
【0004】
前記のように、空気の伝達を用いる音による音楽は音の芸術であり、音楽的な音及びすべての音は空気の振動によるものである。木管楽器は空気の流れを調節する調節体であり、振動の効果を用いて音楽的な音に変換させる道具である。
【0005】
すなわち、演奏音楽も空気の振動現象を用いたものであり、演奏は楽器による振動現象を空気という媒質を介して聴覚器官で聞く物理的現象である。
【0006】
前記のように振動を音に変換させ、演奏として表現するものであり、音楽的な音の根源及び演奏の根源は呼吸による振動から出発するものであり、前記振動を調節する技術が音楽的道具や楽器を調節する核心原理であると言える。
【0007】
楽器の演奏は振動を調節して芸術的な音に変換させ、この振動を芸術的な音で表現して感情を表現するものであり、音は振動を強化させれば響きが良くなり、この響きを芸術的に用いることが立派な演奏である。
【0008】
アナログ状態のライブ演奏音楽の質を高めるためには、楽器自体の性能を高めることが根本的に重要であり、このような理由で専門演奏家が演奏会で音質の良い高価の名器を使うことを好んで選択するものであり、このように名器と言う楽器は音質及び音色が良く、音量が豊かであり、余響や共鳴が良い楽器を言うものであり、また、響きの良い楽器は振動の周期性が規則的な楽器を言い、すなわち振動の周期性が規則的で良い楽器を名器と言うものである。
【0009】
楽器から音が発生する原理は、図1に示すように、通常、音孔1aが形成された音孔管1の上側周縁部1bと、前記上側周縁部1bに着脱され、上側周縁部を閉鎖するパッド2との間に空間sが発生し、前記空間sを通して振動音が漏れるから、元の所望の音が発生しなくなるので、このような振動の周期性のために共鳴を強化する方法は、前記音孔管1の上側周縁部1bにパッド2が密着する場合に隙間である空間sを除去する方法を使い、このような隙間である空間sを除去するために一番広く使われる方法は、音孔管1の上側周縁部1bとパッド2との間に金属板Mを挿入し、パッド2が内部に付着されたキー3の表面を押して隙間である空間sを強制的に変形させる方法を使っているが、このような強制変形方法はキー3の表面のアーム4を変形させるので、楽器の変形によって正しい音が発生しなく、楽器の耐久性が弱くなり、一時的な方便であるだけで、一定の期間が経つと、再び隙間である空間sが生じすることになって再び修理を遂行しなければならない問題点があった。また、前記パッド2が使用中に破れるか長期間の使用によって摩耗される場合にもパッド2を交換しなければならなく、交換されたパッド2も前記のような一定の期間が経つと、隙間である空間sが再び生じる問題点があった。
【0010】
他の音色変化方法として、韓国特許登録第10-1005847号に「共鳴強化機能を有する木管楽器製造方法及びその木管楽器」という名称の発明が提案されたことがある。前記発明の木管楽器の共鳴強化方法は、内側にキャップホルダーが形成され、前記キャップホルダーにパッドが結合された木管楽器の共鳴強化方法であって、白金、金、銀、銅、ニッケル、青銅、黄銅、及び燐青銅のいずれか1種以上を含む通電媒体と固体シリコンを混合した混合物を撹拌する撹拌段階と、前記撹拌された混合物を80℃で10分~15分間加熱する混合物加熱段階と、前記加熱された混合物を自然冷却させて固体に凝固させる凝固段階と、前記混合物を粉砕する混合物粉砕段階と、前記キャップホルダー内に混合物を塗布する混合物塗布段階と、前記混合物塗布段階の後、前記キャップホルダーの内部にパッドを結合するパッド結合段階とからなる方法である。前記方法ではパッド2とキー3の内側面との間の空間を完全に充填することができないので、やはり前述した隙間である空間sが発生し、さらにこの方法では高価の通電媒体を使われなければならないから、その製造コストや修理コストが高くかかるので、実質的には広く使われていない方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許登録第第10-1005847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的はこのような問題点を解決するためのものであり、木管楽器の音孔が形成された音孔管に結合されるキーパッドの密着度を向上させることで、音孔管とパッドとの間の空間を通して音が外部に漏洩することを防止するとともに前記キーパッドによって所望の音の響き現象が一様に発生するように優れた共鳴を発生させることができる木管楽器音孔用キーパッド構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のこのような目的は、木管楽器の音孔が形成された音孔管と、前記音孔管の音孔を着脱可能に閉鎖するパッドと、前記パッドが内部に接着されるキーとを含む音孔用キーパッド構造体であって、前記パッドとキーとの間の内部空間に前記パッドとキーとの接着成分と同一または類似の成分を有するセラック、シリコン、紙またはビニルのような充填剤を挿入し、これを加熱して前記パッドとキーとの間の内部空間を除去した本発明による木管楽器音孔用キーパッド構造体によって達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明による木管楽器音孔用キーパッド構造体は、木管楽器の音孔が形成された音孔管と、前記音孔管の音孔を着脱可能に閉鎖するパッドと、前記パッドが内部に接着されるキーとを含み、前記パッドと前記キーとの間の内部空間に前記パッドとキーとの間の接着成分と同一または類似の成分を有するセラック、シリコン、ビニルまたは紙のような充填剤を挿入し、これを加熱して前記パッドとキーとの間の内部空間が除去することで、木管楽器の音孔が形成された音孔管に結合されるキーパッドの密着度を向上させることにより、音孔管及びパッドを通して外部に音が漏洩することを防止するとともに、前記キーパッドによって所望の音の響き現象が一様に発生するように優れた共鳴が発生することができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】従来の不良な音孔管とパッドとの間の空間を示す写真である。
図1b】従来の不良な音孔管とパッドとの間の空間を修理する方法を示す写真である。
図1c】従来のキーとパッドとが接合されたキーパッドの断面図である。
図2】木管楽器の一種であるサクソフォンの概略斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体の成形方法のブロック図である。
図5a】本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体の概略縦断面図である。
図5b】変形時の隙間空間の縦断面図である。
図5c】充填時の縦断面図である。
図6】本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体の音孔管の上部に密着したパッドを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体Aは、図2に示すように、木管楽器B上に、音孔1aが形成された多数の音孔管1と、前記音孔管1に着脱されるパッド2と、前記パッド2が内側面に付着され、前記パッド2を稼働させるキー3とを含む。
【0017】
本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体Aは、音孔1aが形成された多数の音孔管1と、前記音孔管1の前記音孔1aを着脱可能に閉鎖する多数のパッド2とを含む。
【0018】
本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体Aにおいて、前記パッド2は、一側は前記音孔管1の上部の周縁部1bに密着し、他側は前記パッド2を着脱可能に稼働させるキー3の内側面に接着されている。
【0019】
前記キー3の外側にはアーム4の一端部が付着され、前記アーム4の他端部はキーロッド5に連結され、キーボタン6が配置された構造である。本発明の第1実施例による木管楽器音孔用キーパッド構造体Aにおいて重視する部分は前記音孔管1、前記パッド2及び前記キー3の構造であるので、他の部分についての説明は省略しても構わないと思われ、以下でその説明は省略する。
【0020】
従来の技術で既に説明したように、音孔管1の上側周縁部1bに着脱可能に設けられて上側周縁部を閉鎖するパッド2との間に空間sが発生し、前記空間sを通して振動音が漏れるので、元の音が発生しなくなる。
【0021】
その理由は、キー3の内側面3aに接着固定された前記パッド2との間が完全に充填されず、部分的に内側空間S1が発生し、前記内側空間S1によって、前記音孔管1の上側周縁部1bに着脱可能に設けられるパッド2が上側周縁部を閉鎖しても、前記内側空間S1が不規則に押されることによって目針の空間sが発生するようになる。
【0022】
前記パッド2は、前記音孔管1の上側周縁部1bに接触する接触皮部2aと、前記接触皮部2aの内側に配置される多数の薄紙が重畳した中間重畳部2bと、前記接触皮部2aの縁部が前記中間重畳部2bの縁部に接着された内側皮部2cとを含む。すべての木管楽器の前記音孔用キーパッド構造体Aにおいて、前記パッド2の内側皮部2cとキー3の内側面3aとの間には内側空間S1が形成される。
【0023】
前記パッド2の構造をより詳細に調べると、前記パッド2の中間重畳部2bは合成繊維織物、薄紙集積体などから構成され、前記中間重畳部2bの上下面に薄紙が付着され、中間重畳部2bの上下面に接触皮部2a及び内側皮部2cが接着され、中間に接触皮部2a、中間重畳部2b、及び紙2dを貫いて固定板2eが固定された構造を有する。
【0024】
前記音孔用キーパッド構造体Aのいずれも、前記パッド2の内側皮部2cとキー3の内側面3aとの間には内側空間S1が形成されるので、一部の前記音孔用キーパッド構造体Aは前記空の内側空間S1が形成されたままで使われても構わないが、大部分の前記音孔用キーパッド構造体Aは前記内側空間S1が不規則に形成されているので、このように不規則に形成された内側空間S1によって、図5bに示すように、使用中に前記内側空間S1のうち大きな空間S2上に荷重が集中し、前記内側空間S1のうち大きな空間S2が変形されるので、音孔管1の上側周縁部1bに着脱可能に設けられて上側周縁部1bを閉鎖するパッド2が密着しても空間sが発生し、前記空間sに音が漏洩して所望の音の振動を妨げる。
【0025】
このように、音孔管1の上側周縁部1bに着脱可能に設けられて上側周縁部1bを閉鎖するパッド2が密着しても空間sが発生することを防止するために、図4に示すように、まず修理対象のキー3の後面3bを約60~95℃、好ましくは80℃に熱風加熱して、キー3の内側面3aに付着されたパッド2の接着部7aを分離し、分離されたパッド2とキー3の内側面3aとの間に前記接着部7aの成分と同じ成分の固形体7を挿入し、パッド2を前記キー3の内側面3aに挿入した後、熱風で再加熱することで、固形体7が溶けて前記内側空間S1全体を充填して前記内側空間S1をなくす。そして、このように固形体7で内側空間S1を充填した後、熱風を除去すれば、内側空間S1に充填された固形体7が常温で硬化するので、修理が完成されたキー3とパッド2との接着部分には空間がなくなり、パッド2、固形体7及びキー3の3部分のみが存在する。
【0026】
前記固形体7は、パッドが大きなサクソフォンのパッド2には接着剤として使われる固体シリコン、セラックのように、熱風によって溶融することができ、常温で固体状態を維持する物体を使い、またはパッドが小さなフルートのようなパッド2には薄紙または薄ビニルを使うこともできる。
【0027】
このように、内側空間S1の全体に充填された固形体7は内側空間S1のうち収縮した空間S2も充填してすべての空間S1、S1をなくすので、図5cに示すように、修理の完成したキー3とパッド2との接着部分には空間がなくなり、パッド2、固形体7及びキー3の3部分のみが存在する。このような状態では、木管楽器を使っても、キーパッド構造体Aのキー3とパッド2との間には固形体7が充填されているので、変形が発生しなく、長期間の使用にもかかわらず、音孔管1の上側周縁部1bに着脱可能に設けられて上側周縁部を閉鎖するパッド2が前記音孔管1の上側周縁部1bを空間sなしに完全に遮断することができる。
【0028】
以上のように、発明による木管楽器音孔用キーパッド構造体Aは、パッドとキーとの間の内部空間が除去され、木管楽器の音孔が形成された音孔管に結合されるキーパッドの密着度が向上することにより、音孔管及びパッドを通して外部に音が漏洩することを防止するとともに、前記キーパッドによって所望の音の響き現象が一様に発生するように優れた共鳴が発生する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明による木管楽器音孔用キーパッド構造体は、一般の木管楽器を製造する木管楽器産業分野で同種の製品を繰り返し製造することができると言えるので、産業上利用可能性がある発明であると言える。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
【国際調査報告】