(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】分枝状有機シラノール化合物並びにその調製方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/08 20060101AFI20230601BHJP
C08G 85/00 20060101ALI20230601BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230601BHJP
【FI】
C07F7/08 X CSP
C08G85/00
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558386
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021023851
(87)【国際公開番号】W WO2021221832
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョフル、エリック
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、シアオユアン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ジョン
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
4J031
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H039CD10
4H049VN01
4H049VP05
4H049VP06
4H049VQ79
4H049VR11
4H049VR21
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR42
4H049VR43
4H049VS79
4H049VT17
4H049VT30
4H049VW01
4H049VW02
4J031CD26
(57)【要約】
分枝状有機シラノール化合物及びその調製のための方法が提供される。分枝状有機シラノール化合物は、官能化ポリマーを調製するための方法において、原料として用いられ得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分枝状有機シラノール化合物であって、
【化1】
並びに(IV)(I)、(II)、及び(III)のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を含み、式中、各R、各R’、及び各R’’は、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各R’’’は、R及びOR’’からなる群から独立して選択され、各Dは、独立して選択された二価ヒドロカルビル基である、分枝状有機シラノール化合物。
【請求項2】
各Rは、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基であり、各R’は、1~18個の炭素原子のアルキル基であり、各R’’は、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、1分子あたり少なくとも2つのR’’’は、OR’’である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各R’’’は、OR’’である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
各Rは、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各R’は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択され、各R’’は、メチル及びエチルからなる群から選択され、各R’’’は、メトキシ及びエトキシからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は、式(I)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は、式(I-1):
【化2】
を有し、式中、Meは、メチルを表し、Prは、プロピルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物は、式(II)及び式(III)の組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(II)の前記化合物は、
【化3】
(II-1)であり、式(III)の前記化合物は、
【化4】
(III-1)であり、式中、Meは、メチルを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の分枝状有機シラノール化合物を調製する方法であって、前記方法は、
(A)初期有機ケイ素化合物と(B)水とを、(C)(C-1)[(C
8H
12)IrX]
2[式中、各Xは、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択される]及び(C-2)Pd/Cから選択される触媒の存在下で反応させ、それによって、前記有機シラノール化合物を調製することを含み、
前記初期有機ケイ素化合物(A)は、
【化5】
並びに(A-4)(A-1)、(A-2)、及び(A-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を有し、式中、R、R’、R’’、及びR’’’は、上記のように定義される、方法。
【請求項10】
(A-1)は、式:
【化6】
を有し、式中、Meは、メチルを表し、Prは、プロピルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(A-2)は、式
【化7】
を有し、式中、Meは、メチルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
(A-3)は、式
【化8】
を有し、式中、Meは、メチルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)とを反応させて、前記分枝状有機シラノール化合物を含む反応生成物を形成する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、前記反応生成物から前記分枝状有機シラノール化合物を分離することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載の有機シラノール化合物の、ポリマーを官能化するための使用。
【請求項15】
官能化ポリマーを調製するための方法において、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機シラノール化合物を、前記有機シラノール化合物のシラノール部分と反応することが可能な基を有するポリオルガノシロキサン及び/又はシリコーン-有機ハイブリッドコポリマーを調製するための1つ以上の原料からなる群から選択される原料と反応させることを含む改質法であって、前記1つ以上の原料は、前記有機シラノール化合物の前記シラノール部分と反応することが可能な基を有する、改質法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年4月30日出願の米国特許仮出願63/017689号の利益を主張するものである。米国特許仮出願第63/017689号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、全般的に、有機ケイ素化合物に関する。より具体的には、本発明は、分枝状有機シラノール化合物を調製するための方法及び当該方法によって調製される分枝状有機シラノール化合物に関する。更に、本発明は、分枝状有機シラノール化合物の使用の方法に関する。より具体的には、本発明は、分枝状有機シラノールを原料として使用する、官能化ポリオルガノシロキサン及び/又はシリコーン-有機ハイブリッドコポリマーなどの官能化ポリマーを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機ケイ素化合物は、当該技術分野において既知であり、多種多様の最終用途及び環境において利用されている。例えば、ポリオルガノシロキサンは、多くの工業、ホームケア、及びパーソナルケア用配合物で使用される。シリコーン及び有機官能性の両方を有するハイブリッド材料のそのような配合物における利用が増加しており、その結果、そのようなハイブリッド材料は、従来はシリコーン材料又は有機材料のみに関連付けられていた利益の組み合わせを呈し得る。しかしながら、ハイブリッド材料を調製する多くの方法は、官能性有機ケイ素化合物を必要とし、大抵の場合、その合成及び/又は使用が困難である。具体的には、特定の官能性有機ケイ素化合物を調製する従来の方法は、多くの場合、多くのシリコーン材料と(例えば、シリコーン再配列の促進、非選択反応、分解、官能基の加水分解などを介して)不適合であり、結果として、収率及び純度が低下し、そのような方法の一般的な適用性を制限する。
【発明の概要】
【0004】
分枝状有機シラノール化合物が提供される。分枝状有機シラノール化合物は、
【0005】
【化1】
並びに(IV)(I)、(II)、及び(III)のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を含んでもよく、式中、各R、各R’、及び各R’’は、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各R’’’は、R及びOR’’からなる群から独立して選択され、各Dは、独立して選択された二価ヒドロカルビル基である。
【0006】
上述の分枝状有機シラノール化合物の調製方法も提供される。本方法は、
(A)初期有機ケイ素化合物と(B)水とを、(C)(C-1)[(C8H12)IrX]2[式中、各Xは、独立して選択されたハロゲン原子である]及び(C-2)Pd/Cからなる群から選択される触媒の存在下で反応させ、それによって、有機シラノール化合物を調製することを含んでもよく、
初期有機ケイ素化合物(A)は、
【0007】
【化2】
並びに(A-4)(A-1)、(A-2)、及び(A-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を有し、式中、R、R’、R’’、及びR’’’は、上記のように定義される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】PrT EHMコンバータ及びPrT EHMシラノールのガスクロマトグラフィの図である。
【
図2】PrT EHMシラノールの
1H NMRスペクトルである。
【
図3】PrT EHMシラノールの
29Si NMRスペクトルである。
【
図4】
1H NMRにおけるPrT EHMコンバータとPrT EHMシラノールとの比較の図である。
【
図5】
29Si NMRにおけるPrT EHMコンバータとPrT EHMシラノールとの比較の図である。
【
図6】PrT EHMシラノールの
1H NMRスペクトルである。
【
図7】PrT EHMシラノールの
29Si NMRスペクトルである。
【
図8】
1H NMRにおけるPrT EHMコンバータとPrT EHMシラノールとの比較の図である。
【
図9】
29Si NMRにおけるPrT EHMコンバータとPrT EHMシラノールとの比較の図である。
【
図10】PrT EHMコンバータ、及び[Ru(p-シメン)Cl
2]
2の存在下での水との反応生成物のガスクロマトグラフィの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
分枝状有機シラノール化合物を調製するための方法は、(A)初期有機ケイ素化合物と(B)水とを、(C)触媒の存在下で反応させることを含む。触媒(C)は、(C1)[(C8H12)IrX]2[式中、各Xは、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択される]及び(C2)Pd/Cからなる群から選択される。
【0010】
初期有機ケイ素化合物(A)
初期有機ケイ素化合物(A)は、
【0011】
【化3】
並びに(A-4)(A-1)、(A-2)及び(A-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を有してもよく、式中、各R、各R’、及び各R’’は、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各R’’’は、R及びOR’’からなる群から独立して選択され、各Dは、独立して選択された二価ヒドロカルビル基である。R、R’、及びR’’に好適な一価ヒドロカルビル基の例として、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基が挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6~18個の炭素原子を有する分枝状飽和炭化水素基が挙げられる。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。あるいは、各Rは、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基であってもよい。あるいは、各R’は、1~18個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、各R’’は、1~6個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、各Rは、メチル、エチル、又はプロピルなどのアルキル基であってもよいか、あるいは、メチルであってもよい。あるいは、各R’は、メチル、エチル、又はプロピルであってもよいか、あるいは、プロピルであってもよい。あるいは、各R’’は、メチル又はエチルであってもよいか、あるいは、メチルであってもよい。あるいは、1分子あたり少なくとも2つのR’’’は、OR’’であってもよく、あるいは、各R’’’は、OR’’であってもよい。あるいは、各R’’’は、メトキシ又はエトキシであってもよい。
【0012】
Dに好適な二価炭化水素基としては、エチレン(-CH2-CH2-)、-CH2-CH2-CH2-若しくは-CH(CH3)CH2-)などのプロピレン、ブチレン、又はヘキシレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0013】
【化4】
などのアルカリーレン基が挙げられる。あるいは、Dは、エチレン又はプロピレンなどの2~6個の炭素原子のアルキレン基であってもよい。
【0014】
あるいは、初期有機ケイ素化合物(A-1)は、式:
【0015】
【化5】
を有してもよく、その略称をPrT EHMコンバータとしてもよい。
【0016】
あるいは、初期有機ケイ素化合物(A-2)は、式
【0017】
【0018】
あるいは、初期有機ケイ素化合物(A-3)は、式
【0019】
【0020】
初期有機ケイ素化合物(A)は、任意の形態、例えば、ニート(すなわち、溶媒及び/又は希釈剤などの担体ビヒクルを含まない)で利用され得るか、又は溶媒若しくは希釈剤などの担体ビヒクル中に配置され得る。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、及び/又はキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、及び/又はオクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、及び/又はクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル及び/又はテトラヒドロフランなどのエーテル)、シリコーン流体、又はこれらの組み合わせを含み得る。あるいは、本方法は、エーテル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又はこれらの組み合わせなどの極性成分を含む、担体ビヒクルの存在下で実施されてもよい。あるいは、担体ビヒクルは、上記のものなどのハロゲン化炭化水素を含んでもよい。全般的に、担体ビヒクル及び/又は特にハロゲン化炭化水素は、それに由来するあらゆる塩酸(hydrochloric acid、HCl)を低減するか、あるいは除去するために精製及び/又は処理されてもよい。初期有機ケイ素化合物(A)は、水(B)と触媒(C)との組み合わせ前、組み合わせ中、又は組み合わせ後に、担体ビヒクルと組み合わされ得ることが理解される。
【0021】
あるいは、上述の分枝状有機シラノール化合物を作製するための方法は、初期有機ケイ素化合物(A)及び/又は触媒(C)と反応性の担体ビヒクルの非存在下で実施されてもよい。例えば、本方法は、初期有機ケイ素化合物(A)と、揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水及び/又は反応性溶媒)との混合物をストリッピングすることを含み得る。初期有機ケイ素化合物(A)をストリッピングするための技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの利用、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0022】
初期有機ケイ素化合物(A)は、当業者によって選択される任意の量で、様々な因子、例えば、選択される特定の触媒(C)、採用される反応パラメータ、及び反応の規模(例えば、変換される初期有機ケイ素化合物(A)及び/又は調製される有機シラノール化合物の総量)に応じて利用され得る。初期有機ケイ素化合物(A)は、米国特許第6,265,518号及び欧州特許第1013653(A2)号に開示されている方法などの、既知の方法を利用して合成してもよい。
【0023】
水(B)
水(B)は一般に限定されず、ニート(すなわち、担体ビヒクル/溶媒を含まない)及び/又は高純度(すなわち、鉱物質及び/又は他の不純物を含まないか、又は実質的に含まない)が利用され得る。例えば、水(B)は、初期有機ケイ素化合物(A)との反応前に処理されてもよいか、又は処理されなくてもよい。水を精製するために使用し得る処理の例として、蒸留、濾過、脱イオン化、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられ、そのように、水(B)は、脱イオン化、蒸留、及び/又は、濾過されてもよい。あるいは、水(B)は、未処理であってもよい(例えば、更なる精製を実施することなく利用される、水道水、すなわち、用水システムから供給される水、又は井戸水であってもよい)。あるいは、水(B)は、初期有機ケイ素化合物(A)との反応前に精製されてもよい。あるいは、水(B)は、初期有機ケイ素化合物(A)に関して上に列挙されたもののうちのいずれかなどの担体ビヒクル/溶媒を含む混合物(例えば、溶液又は懸濁液)として利用されてもよい。
【0024】
水(B)は、当業者によって選択される任意の量で、様々な因子、例えば、選択される特定の触媒(C)、採用される反応パラメータ、及び反応の規模(例えば、変換される初期有機ケイ素化合物(A)及び/又は調製される有機シラノール化合物の総量)に応じて利用され得る。
【0025】
利用される初期有機ケイ素化合物(A)及び水(B)の相対量は、例えば、選択される特定の初期有機ケイ素化合物(A)、選択される特定の触媒(C)、及び採用される反応パラメータに基づいて変動してもよい。当業者であれば理解されるように、初期有機ケイ素化合物(A)の水(B)による加水分解は、モル比(A):((B)が、1:1~1:1.5で起こる。しかしながら、これらのうちの1つを過剰に利用して、初期有機ケイ素化合物(A)又は水(B)のうちの1つを完全に消費し、例えば、形成される反応生成物の精製を単純化してもよい。例えば、特定の実施形態では、水(B)は、初期有機ケイ素化合物(A)の有機シラノール化合物への変換率を最大化するために、比較的過剰に利用される。
【0026】
触媒(C)
上記で触れた通り、触媒(C)は、(C-1)[(C8H12)IrX]2[式中、各Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)からなる群から独立して選択される]及び(C2)Pd/Cから選択される。あるいは、各Xは、Clであってもよい。あるいは、触媒(C2)Pd/Cを利用してもよい。
【0027】
触媒(C1)及び(C2)を調製する方法は、当該技術分野で周知であり、触媒及び/又はそれを調製するために使用される化合物は、様々な供給業者から市販されている。したがって、触媒(C)は、方法の一部として調製されてもよく、又はそうでなければ、入手されてもよい(すなわち、調製された化合物として)。触媒(C)の調製物は、初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)との反応の前、又はその場で(すなわち、(A)と(B)との反応中に)形成され得る。
【0028】
触媒(C)は、任意の形態、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤が存在しない)で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤(例えば、初期有機ケイ素化合物(A)に関して上に列挙したもののうちのいずれか)などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。あるいは、触媒(C)は、水、並びに/又は、初期有機ケイ素化合物(A)及び/若しくは触媒(C)自体と反応する担体ビヒクル/揮発性物質を含まない形態で(すなわち、初期有機ケイ素化合物(A)及び/又は水(B)と組み合わされるまで、利用されてもよい。例えば、本方法は、触媒(C)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水及び/又は有機溶媒)をストリッピングすることを含んでもよい。触媒(C)をストリッピングするための技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の印加、溶媒との共沸、モレキュラーシーブなどの吸着剤の利用、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0029】
触媒(C)は、当業者によって選択される任意の量で、様々な因子、例えば、選択される特定の触媒(C)、採用される反応パラメータ、及び反応の規模(例えば、初期有機ケイ素化合物(A)及び水(B)の総量)に応じて利用され得る。触媒(C)の、反応に利用される初期有機ケイ素化合物(A)及び/又は水(B)に対するモル比は、有機シラノール化合物を調製する際の加水分解の速度及び/又は量に影響し得る。したがって、(A)及び/又は(B)と比較した触媒(C)の量、並びにこれらの間のモル比は、変動し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、初期有機ケイ素化合物(A)の有機シラノール化合物への加水分解を最大化すると同時に、触媒(C)の配合量を最小化するように選択される(例えば、反応の経済効率の向上、及び/又は形成される反応生成物の精製の容易さの向上のため)。
【0030】
あるいは、触媒(C)は、利用される初期有機ケイ素化合物(A)の総量に基づいて、0.001~10mol%の量で反応に利用され得る。例えば、触媒(C)は、利用される初期有機ケイ素化合物(A)の総量に基づいて、0.005~10、あるいは、0.005~5、あるいは、0.01~5mol%の量で使用され得る。
【0031】
有機シラノール化合物を調製するための初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)との反応は、容器内又は反応器内で実施される。以下に記載されるように、反応が高温又は低温で実施されるとき、容器又は反応器は、例えば、ジャケット、マントル、交換器、浴、及び/又はコイルを介して、任意の好適な様式で加熱又は冷却されてもよい。
【0032】
原料(A)、(B)、及び(C)、並びに任意に選択される担体ビヒクルは、容器に一緒に若しくは別々に供給されてもよく、又は任意の添加の順序で、及び任意の組み合わせで容器内に配置されてもよい。例えば、(B)及び(C)を含む原料は、(A)及び任意に選択された担体ビヒクルを含む原料が入った容器に添加されてもよい。このような実施形態では、(B)及び(C)を含む原料は、添加前に最初に組み合わされてもよく、又は容器に順次添加されてもよい(例えば、(C)の後に(B))。一般に、本明細書における「反応混合物」の言及は、一般に、(例えば、上記のような原料を組み合わせることによって得られるような)原料(A)、(B)、及び(C)を含む混合物を指す。もちろん、利用される場合、担体ビヒクルも反応混合物に含まれ得る。
【0033】
本方法は、反応混合物を撹拌することを更に含み得る。撹拌は、原料(A)、(B)、及び(C)が、例えば、反応混合物において組み合わされたときに、より一層一緒に混合させ、かつ接触させることができる。このような接触は独立して、撹拌を伴って(例えば、並行して又は順次)、又は撹拌を伴わずに(すなわち、独立して、あるいはその代わりに)、他の条件を使用することもできる。他の条件は、初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)との接触、したがって反応(すなわち、加水分解)を促進して、有機シラノール化合物を形成するように適応され得る。他の条件は、反応収率を高めるため、又は有機シラノール化合物とともに反応生成物内に含まれる特定の反応副生成物の量を最小化するための結果に有効な条件であり得る。
【0034】
あるいは、初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)との反応は、上記のもののうちの1つ以上などの担体ビヒクル又は溶媒の存在下で実施され得る。例えば、担体ビヒクル又は溶媒の一部は、初期有機ケイ素化合物(A)、水(B)、及び/又は触媒(C)(すなわち、存在する場合)に、個別に、原料(A)、(B)、及び/若しくは(C)の混合物とまとめて、又は反応混合物全体として、添加され得るか、又は別様に組み合わされ得る。反応混合物中に存在する担体ビヒクル/溶媒の総量は、例えば、選択される特定の初期有機ケイ素化合物(A)、選択される特定の触媒(C)、採用される反応パラメータ)に基づいて、当業者によって選択される。
【0035】
反応は、低温で行われてもよい。低温は、選択される特定の有機ケイ素化合物(A)、選択される特定の触媒(C)、調製中の特定の有機シラノール化合物、及びこれらの組み合わせに応じて選択され、かつ制御される。したがって、低温は、選択される反応条件及びパラメータ、並びに本明細書の記載を考慮して、当業者によって容易に選択される。低温は、-78℃~周囲温度未満、例えば、-30℃~25℃、あるいは、-15℃~25℃、あるいは、-10℃~25℃、あるいは、-10℃~20℃、あるいは、-5℃~20℃であってもよい。あるいは、反応は、約0℃±5℃の温度で実施されてもよい(例えば、氷及び/又は0℃の設定点を使用するサーキュレータ又はチラーの使用による)。あるいは、反応は、RTで実施されてもよい。
【0036】
反応温度もまた、上記の範囲とは異なり得ることを理解されたい。同様に、初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)との反応中に、反応パラメータが修正され得ることも理解されたい。例えば、温度、圧力、及び他のパラメータは、反応中に独立して選択又は修正され得る。これらのパラメータはいずれも、独立して、周囲パラメータ(例えば、RT及び/又は大気圧)及び/又は非周囲パラメータ(例えば、低温若しくは高温及び/又は減圧若しくは高圧)であってもよい。任意のパラメータはまた、動的に修正されてもよく、リアルタイムで、すなわち、方法中に変更されてもよく、又は静的(例えば、反応の持続時間中又はその任意の部分にわたって)であってもよい。
【0037】
有機シラノール化合物を調製するために、初期有機ケイ素(A)と水(B)との反応を実施する時間は、規模、反応パラメータ及び反応条件、並びに特定の原料の選択を含む様々な因子の関数である。反応を実施する時間は、0超~48時間、例えば、1分~48時間であってもよい。比較的大規模(例えば、>1、あるいは>5、あるいは>10、あるいは>50、あるいは>100kg)では、反応は、当業者によって容易に決定されるように(例えば、初期有機ケイ素化合物(A)の変換及び/又は有機シラノール化合物の生成を、クロマトグラフィ及び/又は分光法を介してなどで、監視することによって)、1~48、あるいは、2~36、あるいは、4~24、あるいは、6、12、18、24、36、又は48時間などの時間実施され得る。比較的小規模(例えば、グラム規模、又は<10、あるいは<5、あるいは<1kg)では、反応は、1分~4時間、例えば、1分~1時間、5~30分、又は10、15、若しくは20分の時間実施され得る。
【0038】
初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)とを反応させることで、分枝状有機シラノール化合物を含む反応生成物を形成する。反応の過程において、初期有機ケイ素化合物(A)、水(B)、触媒(C)、及び担体ビヒクル(存在する場合)を含む反応混合物では、有機シラノール化合物の量が増加し、(A)及び(B)の量が減少する。反応が完了すると(例えば、初期有機ケイ素化合物(A)又は水(B)のうちの1つが消費される、又は追加の有機シラノール化合物が調製されない)、反応混合物は、有機シラノール化合物を含む反応生成物と称され得る。このように、反応生成物は、典型的には、任意の残りの量の原料(A)、(B)、及び(C)、及び溶媒(存在する場合)、並びにその分解及び/又は反応生成物(例えば、蒸留、ストリッピングなどによって以前に除去されなかった材料)を含む。
【0039】
上述の方法は、有機シラノール化合物を反応生成物から回収(例えば、単離及び/又は精製)することを更に含んでもよい。本明細書で使用される場合、有機シラノール化合物を回収することは、典型的には、有機シラノール化合物の相対濃度を、(例えば、反応生成物又はその精製されたバージョンにおいて)それと組み合わせた他の化合物と比較して高めることと定義される。したがって、当該技術分野で理解されるように、回収は、他の化合物をそのような組み合わせから除去すること(すなわち、例えば、反応生成物中の有機シラノール化合物と組み合わされた不純物の量を減少させること)、及び/又は有機シラノール化合物自体を、組み合わせから取り出すことを含み得る。単離のための任意の好適な技術及び/又はプロトコルが利用され得る。好適な単離技術の例としては、蒸留、ストリッピング/蒸発、抽出、濾過、洗浄、分配、相分離、クロマトグラフィ、及びそれらのうち2つ以上の組み合わせが挙げられる。当業者によって理解されるように、これらの技術のいずれかは、任意の別の技術と組み合わせて(例えば、順次に)使用されて、有機シラノール化合物を回収し得る。
【0040】
あるいは、有機シラノール化合物を単離することは、揮発性物質を反応生成物から蒸留及び/又はストリッピングすることを含み得る。担体ビヒクルが利用される場合、揮発性物質は、有機シラノール化合物を含む反応混合物から蒸留及び/又はストリッピングされ得る。有機シラノール化合物を単離することは、反応生成物を濾過して、触媒(C)の残留量及び/又はそれから形成された固体を除去することを含み得る。いずれの場合(例えば、ストリッピング/蒸留及び/又は濾過を介して揮発性物質及び/又は固体を除去した後)であっても、反応生成物は、回収された有機シラノール化合物と称され得る。
【0041】
本方法は、有機シラノール化合物を精製することを更に含み得る。精製のための任意の好適な技術を利用してもよい。有機シラノール化合物の精製は、有機シラノール化合物を取り出す(例えば、留出物として)か、又はそこから他の化合物/成分をストリッピングする(すなわち、有機シラノール化合物を、反応混合物又は精製された反応混合物の高沸点成分としてポット内に残す)かいずれかのための蒸留を含み得る。当業者によって理解されるように、有機シラノール化合物を精製及び/又は単離するための反応生成物又は精製された反応生成物の蒸留は、高温及び減圧で実施され得る。高温及び減圧は、様々な因子、例えば、使用される特定の原料、調製される特定の有機シラノール化合物、利用される他の単離/精製技術などに応じて独立して選択され、当業者によって容易に決定される。あるいは、有機シラノール化合物を精製することは、回収された有機シラノール化合物を精製することとして定義され得る(例えば、精製は、有機シラノール化合物の単離に続いて実施される)。
【0042】
上述の方法により、分枝状有機シラノール化合物が生成される。分枝状有機シラノール化合物は、
【0043】
【化8】
並びに(IV)(I)、(II)、及び(III)のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を含んでもよく、式中、R、R’、R’’、R’’’、及びDは、上記のように定義される。
【0044】
あるいは、分枝状有機シラノール化合物は、式(I)を有してもよい。あるいは、分枝状有機シラノール化合物は、式(I-1):
【0045】
【化9】
[式中、Meは、メチル、Prは、プロピルを表す]を有してもよく、その略称をPrT EHM-OH(又はPrT EHMシラノール)としてもよい。
【0046】
あるいは、分枝状有機シラノール化合物は、式(II)及び式(III)の組み合わせを含んでもよい。式(II)の化合物は、(II-1):
【0047】
【化10】
であってもよく、式(III)の化合物は、(III-1)
【0048】
【化11】
であってもよく、式中、Meは、メチルを表す。
【0049】
使用方法
上述の有機シラノール化合物を、ポリマーの官能化に使用してもよい。例えば、シリコーンハイブリッドコポリマーを調製するための方法において、改質法は、上述の有機シラノール化合物を利用して有機化合物を官能化し、その後、官能化有機ポリマーを、例えば、縮合反応により、ポリオルガノシロキサンと反応させることを含んでもよい。あるいは、上述の有機シラノール化合物は、ポリオルガノシロキサンの官能化に用いられてもよく、その後、官能化シリコーン化合物を、例えば、縮合反応により、有機ポリマーと反応させてもよい。
【0050】
あるいは、上述の有機シラノール化合物は、ケイ素が結合した水素原子又はケイ素が結合したアルコキシ基を有するポリオルガノシロキサンなどのポリオルガノシロキサンの官能化に使用されてもよい。官能化ポリマーを調製するための方法において、改質法は、上述の有機シラノール化合物を、有機シラノール化合物のシラノール部分と反応することが可能な基を有するポリオルガノシロキサン及び/又はシリコーン-有機ハイブリッドコポリマーを調製するための1つ以上の原料からなる群から選択される原料と反応させることを含んでもよく、1つ以上の原料は、有機シラノール化合物のシラノール部分と反応することが可能な基を有する。
【実施例】
【0051】
これらの実施例は、本発明を例示することを意図しており、請求項に記載の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。
【0052】
実施例1では、以下のように、[Ir(COD)Cl]
2触媒を使用して、PrT EHMコンバータからPrT EHM-OHを調製した。三つ口丸底(round bottom、R.B.)フラスコにPrT EHMコンバータ(10g)及びトルエン中の[Ir(COD)Cl]
2溶液(25mM、0.57mL)を投入した。この系をN
2でパージし、40℃まで加熱しれた。撹拌しながら20分間かけて水(0.4g)を反応混合物に滴下して添加した。添加後、反応混合物を40℃で30分間撹拌してから真空下でストリッピングした。残留物をGCによって分析し、その結果を
図1に示す。残留物はまた、
29Si NMR及び
1H NMRによって分析した。結果を
図2~
図5に報告する。
【0053】
実施例2では、以下のように、Pd/C触媒を使用して、PrT EHMコンバータからPrT EHM-OHを調製した。50mLの三つ口14/20フラスコに、テトラヒドロフラン(THF)(13mL)、PrT EHMコンバータ(11.86g、20mmol)、及びPd/C(5重量%、0.1mol%、42mg、粉末状)を添加した。フラスコを、窒素下で撹拌した。次いで、水(0.47mL、26mmol)をシリンジから5分かけて添加した。バブリングが観察された。水の添加後、複数時点においてGCMSを行った。161分後、セライトの詰め物を通して濾過し、溶媒を除去し、高真空下で乾燥させることにより、反応を後処理した。結果を
図6~
図9に示す。
【0054】
実施例3では、ジクロロ(p-シメン)ルテニウムダイマー触媒を使用し、以下のように、PrT EHMコンバータからPrT EHM-OHを調製する試みがなされた。三つ口丸底フラスコにPrT EHMコンバータ(20g)及びTHF中の[Ru(p-シメン)Cl
2]
2溶液(7.5mM、3.8mL)と投入した。この系をN
2でパージし、70℃まで加熱した。撹拌しながら、水(0.79g)を反応混合物に滴下して添加した。上述した実施例1及び2における反応と比較すると、気体発生は、はるかに遅かった。2/3の水が添加された1時間後、反応混合物をGCによって分析した。Si-HとH
2Oとの間の脱水素カップリングの代わりに、Si-OMeの加水分解が主反応であるように思われた。結果を
図10に示す。
【産業上の利用可能性】
【0055】
実施例及び比較例から、本明細書に記載のIr触媒及びPd触媒を採用した方法を用いることで、新規分枝状有機シラノール化合物を調製することができることが分かる。
【0056】
用語の定義及び使用
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。表1は、本明細書で使用される略語を示す。
【0057】
【0058】
NMR。プロトン(1H)NMRスペクトルを、400MHzで動作するAgilent 400-MR NMR分光計(mi-MR-05)で記録した。ケイ素(29Si)NMRスペクトルを、16mmのケイ素を含まないAutoZプローブを備えた、Agilent 500 MHz DD2(mi-MR-06)システムで記録した。ピーク周波数は、ppmで記録する。1mLの重水素化クロロホルム(CDCl3)中の100μLのサンプルで1Hサンプルを得て、Cr(acac)3を含む3mLの重水素化クロロホルム中の2mLのサンプルで29Siサンプルを得た。
【0059】
GC。クロマトグラフィ機器は、水素炎イオン化検出器を備えたHewlett Packard 5890 Series II GC及びHewlett Packard 6890 Series Autoinjectorであった。30mのHP-5カラムを用いて、78mL/minのヘリウム流量及び1.05mL/minのカラム流量で分離を行った。1mLのジクロロメタン中100μLとしてサンプルを調製し。注入温度180℃及び検出器温度300℃で、注入量を2μLとし、データを36.33分間収集した。オーブンメソッドには、初期温度40℃で1分間維持し、その後、150℃までは5℃/minの上昇率で、275℃までは15℃/minの上昇率で、最終温度275℃で5分間維持することが含まれる。100μLの材料を1mLのジクロロメタンに希釈することにより、サンプルを調製した。
【0060】
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈により特に指示がない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、1~18の範囲の開示には、1~18の範囲だけでなく、個別に1、2、3、4、6、12、及び18、並びにその範囲に包括される任意の他の数値も含まれる。更に、例えば、1~18の範囲の開示は、例えば、1~10、1~6、1~4、1~2、6~18、6~12、及び12~18の部分集合、並びにその範囲に包含される任意の他の部分集合を含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群、Cl、Br、及びIの開示は、その要素である個々のBr、下位群であるCl及びBr、並びに任意の他の個々の要素及びその中に包含される下位群を包含する。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分枝状有機シラノール化合物であって、
【化1】
並びに(IV)(I)、(II)、及び(III)のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を含み、式中、各R、各R’、及び各R’’は、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各R’’’は、R及びOR’’からなる群から独立して選択され、各Dは、独立して選択された二価ヒドロカルビル基である、分枝状有機シラノール化合物。
【請求項2】
各Rは、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基であり、各R’は、1~18個の炭素原子のアルキル基であり、各R’’は、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、1分子あたり少なくとも2つのR’’’は、OR’’である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各R’’’は、OR’’である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
各Rは、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各R’は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択され、各R’’は、メチル及びエチルからなる群から選択され、各R’’’は、メトキシ及びエトキシからなる群から選択される、請求項1請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は、式(I)を有する、請求項1請求項1~[[4]]のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は、式(I-1):
【化2】
を有し、式中、Meは、メチルを表し、Prは、プロピルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物は、式(II)及び式(III)の組み合わせを含む、請求項1請求項1~[[4]]のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(II)の前記化合物は、
【化3】
(II-1)であり、式(III)の前記化合物は、
【化4】
(III-1)であり、式中、Meは、メチルを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の分枝状有機シラノール化合物を調製する方法であって、前記方法は、
(A)初期有機ケイ素化合物と(B)水とを、(C)(C-1)[(C
8H
12)IrX]
2[式中、各Xは、Cl、Br、及びIからなる群から独立して選択される]及び(C-2)Pd/Cから選択される触媒の存在下で反応させ、それによって、前記有機シラノール化合物を調製することを含み、
前記初期有機ケイ素化合物(A)は、
【化5】
並びに(A-4)(A-1)、(A-2)、及び(A-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される式を有し、式中、R、R’、R’’、及びR’’’は、上記のように定義される、方法。
【請求項10】
(A-1)は、式:
【化6】
を有し、式中、Meは、メチルを表し、Prは、プロピルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(A-2)は、式
【化7】
を有し、式中、Meは、メチルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
(A-3)は、式
【化8】
を有し、式中、Meは、メチルを表す、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記初期有機ケイ素化合物(A)と水(B)とを反応させて、前記分枝状有機シラノール化合物を含む反応生成物を形成する、請求項9請求項9~12のいずれか一項に記載の方法であって、前記方法は、前記反応生成物から前記分枝状有機有機シラノール化合物を分離することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載の有機シラノール化合物の、ポリマーを官能化するための使用。
【請求項15】
官能化ポリマーを調製するための方法において、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機シラノール化合物を、前記有機シラノール化合物のシラノール部分と反応することが可能な基を有するポリオルガノシロキサン及び/又はシリコーン-有機ハイブリッドコポリマーを調製するための1つ以上の原料からなる群から選択される原料と反応させることを含む改質法であって、前記1つ以上の原料は、前記有機シラノール化合物の前記シラノール部分と反応することが可能な基を有する、改質法。
【国際調査報告】