(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】共通シャフトを駆動するための磁気的に結合解除された別個に制御されている複数電気機械組立体
(51)【国際特許分類】
H02K 16/00 20060101AFI20230601BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H02K16/00
H02P5/46 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562952
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021025361
(87)【国際公開番号】W WO2021221852
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520347203
【氏名又は名称】トゥラ イーテクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イスラム,ザキール
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA02
5H572BB02
5H572CC02
5H572DD03
5H572DD05
5H572DD09
5H572DD10
5H572EE03
5H572HA07
5H572HB07
5H572HC07
5H572JJ17
5H572LL34
(57)【要約】
単一のシャフトに機械的に結合された且つ単一のシャフトを直接的に駆動するように構成されたローターをそれぞれが有する1つの半径方向電気機械及び1つ又は複数の軸方向電気機械を含む磁気的に結合解除された別個に制御されている電気機械組立体である。電気機械のそれぞれは、独立的に、但し、協働的に、2つの(或いは、2つより多くの)インバータによってそれぞれ制御されている。軸方向及び半径方向電気機械は、単一ハウジング内において収容されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械組立体において、
シャフトと、
前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第1ローターを有する軸方向磁束電気機械と、
前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第2ローターを有する半径方向磁束電気機械と、
前記軸方向磁束電気機械と前記半径方向磁束電気機械の間において提供された第1空隙であって、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械を互いから事実上磁気的に結合解除するために十分に大きい第1空隙と、
前記軸方向電気機械及び前記半径方向電気機械の両方及び前記シャフトの少なくとも一部分を収容するためのハウジングと、
前記軸方向磁束電気機械を個々に制御するように構成された第1インバータ及び前記半径方向磁束電気機械を個々に制御するように構成された第2インバータと、
を有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械組立体において、前記第1インバータ及び前記第2インバータは、所与の速度において要求されている需要を充足するために、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械を個々に、但し、協働的に、制御していることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機械組立体において、前記第1インバータ及び前記第2インバータは、それぞれ、所与の速度において要求されている需要に基づいて前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械を独立的に且つ選択的に起動又は起動停止していることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記第1インバータ及び前記第2インバータは、
(a)前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械の1つのみが第1動作状態において起動されるように、
(b)前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械の第2のもののみが第2動作状態において起動されるように、且つ、
(c)前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械の両方が第3動作状態において起動されるように、
それぞれ、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械を独立的に且つ選択的に起動又は起動停止していることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記第1インバータ及び前記第2インバータは、
(a)速度が相対的に小さく且つ前記トルク需要が相対的に小さい際に、前記軸方向電気機械のみが動作させられ、
(b)前記速度が相対的に大きい際に、且つ、前記トルク需要とは無関係に、前記半径方向電気機械のみが動作させられ、且つ、
(c)前記トルク需要が大きく且つ速度が小さい際に、前記軸方向電気機械及び半径方向電気機械の両方が動作させられる、
という方式の1つが使用されるように、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械を個々に、但し、協働的に、動作させていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記軸方向磁束電気機械は、低速度範囲にわたって前記半径方向磁束電気機械よりも大きな動作効率を有し、
前記半径方向磁束電気機械は、高速度範囲にわたって前記軸方向磁束電気機械よりも大きな動作効率を有し、
前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械を一緒に協働的に動作させることは、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械が個別に動作させられる場合との比較において、相対的に幅広の速度範囲にわたって相対的に大きな動作効率を結果的にもたらす、
ことを更に特徴とする電気機械組立体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記半径方向磁束電気機械は、
(a)前記第1ローターを取り囲む第1ステーターと、
(b)前記第1ローターを取り囲む前記第1ステーターを円周方向において分離している第2空隙であって、前記半径方向磁束は、前記第2空隙内において前記シャフトとの関係において半径方向において入る及び出る方向において延在している、第2空隙と、
を含み、且つ、
前記軸方向磁束電気機械は、
(c)前記第2ローターとは反対側の第2ステーターと、
(d)前記第2ローターと前記第2ステーターの間において提供された第3空隙であって、軸方向磁束は、前記シャフトと平行に、且つ、前記第2ローターと前記第2ステーターの間の前記第3空隙内において、軸方向に延在している、第3空隙と、
を含むことを特徴とする電気機械組立体。
【請求項8】
請求項7に記載の電気機械組立体において、前記第1ステーターの周りにおいて円周方向において構成された、且つ、前記第1ステーターから外向きに延在する、複数の巻線を更に有し、
前記軸方向磁束電気機械の前記第2ローターは、
(a)前記第1ステーターの周りにおいて円周方向において構成された、且つ、前記第1ステーターから外向きに延在する、前記複数の巻線内においてネストされるように、且つ、
(b)前記半径方向磁束電気機械の前記第1ステーターに隣接するように、但し、前記第1ステーターから分離されるように、
位置決めされていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記第1空隙は、前記半径方向磁束電気機械の前記第1ローターと前記軸方向磁束電気機械の前記第2ローターの間において提供されており、前記第1空隙は、前記半径方向磁束電気機械によって生成される半径方向磁束及び前記軸方向磁束電気機械によって生成される軸方向磁束が事実上磁気的に互いから結合解除されるように十分に大きいことを特徴とする電気機械組立体。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機械組立体において、
前記第1空隙は、
(a)2ミリメートル、
(b)2ミリメートル未満、或いは、
(c)2ミリメートル超、
のうちの1つであることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記半径方向磁束電気機械は、第1数の磁極を有し、且つ、前記軸方向磁束電気機械は、第2数の磁極を有し、且つ、前記第1数の磁極及び前記第2数の磁極は、同一であるか又は異なっていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第2軸方向磁束電気機械を更に有し、前記軸方向磁束電気機械及び前記第2軸方向磁束電気機械は、前記半径方向磁束電気機械の反対側において配置されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第2軸方向磁束電気機械を更に有し、前記軸方向磁束電気機械及び前記第2軸方向磁束電気機械は、前記半径方向磁束電気機械の同一の側において配置されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第2半径方向磁束機械を更に有し、前記軸方向磁束電気機械は、前記半径方向磁束機械と前記第2半径方向磁束機械の間において配置されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記シャフトを直接的に駆動するように構成された第2半径方向磁束機械と、
前記シャフトを直接的に駆動するようにそれぞれが構成された複数の軸方向磁束電気機械と、
を更に有し、
前記複数の軸方向磁束電気機械は、前記半径方向磁束機械と前記第2半径方向磁束機械の間において配置されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記ハウジング内において収容された前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束機械の傍らにおいて1つ又は複数の更なる電気機械を更に有し、前記1つ又は複数の更なる電気機械、前記軸方向磁束電気機械、及び前記半径方向磁束機械は、それぞれ、事実上磁気的に互いに個々に結合解除されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項17】
請求項16に記載の電気機械組立体において、前記1つ又は複数の更なる電気機械のそれぞれは、それぞれ、1つ又は複数の更なるインバータによって独立的に制御されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
M個の軸方向磁束機械及びN個の半径方向磁束機械を更に有し、M及びNは、それぞれ、1以上の整数であり、
前記M個の軸方向磁束機械のそれぞれは、前記シャフトを直接的に駆動するように構成され、且つ、前記ハウジング内において収容されており、且つ、
前記N個の半径方向磁束機械のそれぞれは、前記シャフトを直接的に駆動するように構成され、且つ、前記ハウジング内において収容されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
需要を受け取るように、
前記半径方向磁束電気機械を制御するように構成された前記第1インバータ用の第1制御信号を生成するように、且つ、
前記軸方向磁束電気機械を制御するように構成された前記第2インバータ用の第2制御信号を生成するように、
構成された電気機械コントローラを更に有し、
前記第1制御信号及び前記第2制御信号は、前記トルク需要及び速度に応答して、それぞれ、前記半径方向磁束電気機械及び前記軸方向磁束電気機械を個々に、但し、協働的に、動作させるように構成されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項20】
請求項19に記載の電気機械組立体において、一緒に、前記半径方向磁束機械及び前記軸方向磁束機械は、前記半径方向磁束機械又は前記軸方向磁束機械が個々に単独で動作させられる場合との比較において需要及び速度の幅広の範囲にわたって相対的に効率的なものになるように、協働的に動作させられていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか一項に記載の電気機械組立体において、コントローラと、需要及び速度の組合せによってインデックス付けされた複数のインバータ制御値を含む1つ又は複数の表と、を更に有し、前記コントローラは、前記1つ又は複数の表をインデックス付けするために、且つ、前記インバータ制御値の1つ又は複数を特定するために、受け取られた需要及び速度を使用していることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項22】
請求項1乃至21の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械の磁気的な結合解除を支援するために前記第1空隙内において提供された磁気シールドを更に有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項23】
請求項1乃至22の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記半径方向磁束電気機械が起動されている間に起動停止された際に前記軸方向磁束電気機械によって生成される過剰なBEMFエネルギーを保存するように構成されたストレージ装置を更に有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記ハウジングを通じて冷却流体を循環させることにより、前記軸方向磁束電気機械及び前記半径方向磁束電気機械を冷却するように構成された冷却システムを更に有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項25】
請求項24に記載の電気機械組立体において、前記冷却システムは、前記ハウジングを通じて前記冷却流体をポンピングするポンプを変調するように構成されたコントローラを有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項26】
請求項24に記載の電気機械組立体において、
前記冷却システムは、
前記ハウジング内に前記冷却流体を導入するための少なくとも1つの入口と、
前記少なくとも1つの入口に流体的に結合された2つ以上のノズルであって、それぞれ、前記半径方向磁束機械及び前記軸方向磁束機械上に前記冷却流体を選択的に供給するように個々に制御されている2つ以上のノズルと、
を含むことを特徴とする電気機械組立体。
【請求項27】
請求項1乃至26の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記軸方向磁束電気機械は、
(a)表面実装型永久(SMP)磁石電気機械、
(b)スイッチング型リラクタンス電気機械、
(c)内部永久磁石(IPM)電気機械、
(d)同期リラクタンス機械、
(e)誘導電気機械(IM)、又は、
(f)永久磁石支援型同期リラクタンス機械、
からなる群から選択されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項28】
請求項1乃至27の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記半径方向磁束電気機械は、
(a)内部永久磁石(IPM)機械、
(b)永久磁石支援型同期リラクタンス機械、
(c)内部永久磁石(IPM)電気機械、
(d)同期リラクタンス機械、
(e)スイッチング型リラクタンス電気機械、
(f)誘導機械(IM)、或いは、
(g)表面実装型永久(SMP)磁石電気機械、
からなる群から選択されていることを特徴とする電気機械組立体。
【請求項29】
請求項1乃至28の何れか一項に記載の電気機械組立体において、前記半径方向磁束機械及び前記軸方向磁束機械は、2つの機械の何れかが独立して動作する場合と比較して、一緒に動作する際に相対的に大きな出力を生成する能力を有することを特徴とする電気機械組立体。
【請求項30】
請求項1乃至29の何れか一項に記載の電気機械組立体において、
前記ハウジングは、
(a)前記軸方向磁束機械、前記半径方向磁束機械、及び少なくとも部分的に前記シャフトを少なくとも部分的にカプセル状に包む電気機械ハウジングであり、且つ、
(b)互いに付着された複数のセグメントを有する単一の一体的なハウジングであることを特徴とする電気機械組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年4月30日付で出願された米国仮特許出願第63/018,139号の優先権を主張するものであり、この特許文献は、引用により、すべての目的のために本明細書に包含される。
【0002】
本出願は、電気機械に関し、且つ、更に詳しくは、単一のシャフトに機械的に結合された且つこれを直接的に駆動するように構成されたローターをそれぞれが有する2つ以上の電気機械を有する磁気的に結合解除された別個に制御されている共通的に収容された組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
電気モーターは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換している。発電機は、電気モーターと機械的に同一であるが、逆転されたパワーフローによって動作しており、これにより、機械エネルギーを電気エネルギーに変換している。本明細書において使用されている「電気機械」という用語は、モーター及び発電機の両方として動作し得る装置を意味している。
【0004】
一般に、モーターとして動作可能である電気機械は、直流(DC)又は交流(AC)という2つの広範なカテゴリにおいて特徴付けることができる。電池又は整流器などのDC電源によって電力供給されているDC機械は、例えば、永久磁石DC機械、直列DC機械、シャントDC機械、及び複合DC機械を含む。パワーグリッド又はインバータなどの交流(AC)供給源によって電力供給されているAC機械は、誘導機械、同期機械(例えば、リラクタンス又は永久磁石同期機械)を含む。AC電気機械は、単相又は複数相を有することができる。単相又はその他の多相機械との比較において、三相AC機械がより一般的である。
【0005】
大部分の電気モーターは、ローターの磁界と巻線を通じた電流又はローターの永久磁石の間の相互作用を通じて動作している。相互作用は、力を生成し、これが、トルクの形態においてシャフトを事実上回転させている。磁界は、モーターを通じて磁束を生成している。構成に応じて、所与のモーターのローターとステーターの間において生成される磁束は、通常、半径方向又は軸方向の何れかである。半径方向磁束モーターによれば、磁束は、半径方向においてローターに入る及びローターから出る方向において延在している。従って、「半径方向」という用語で呼称されている。対照的に、軸方向磁束モーターは、シャフトの軸に沿ってシャフトに対して平行に延在する磁束を有する。
【0006】
軸方向及び半径方向磁束の両方を生成する巻線を使用したモーター設計が知られている。例えば、軸方向及び半径方向の両方におけるモーター巻線の構成を記述している米国特許第10,256,680号明細書を参照されたい。この構成によれば、巻線は、モーションの方向において最大力を生成するように一緒に機能している。換言すれば、軸方向及び半径方向磁束は、組み合わせられた力を生成するように一緒に機能している。
【0007】
また、2つの別個のモーターを一緒に協働して使用することも知られている。例えば、トランスミッション/ディファレンシャル組立体を介して電気車両の車軸を駆動するための2つの別個の且つ個別の電気モーターの使用法について記述した米国特許出願公開第2013/0241445号明細書を参照されたい。但し、それぞれのモーターは、別個に収容されており、且つ、別個のギアによって個々にトランスミッション/ディファレンシャルに別個に結合されたその独自のシャフトを含む。
【0008】
従って、単一のシャフトを直接的に駆動するために、共通的に収容された、非常に効率的である、コンパクトな、相対的に廉価である、磁気的に結合解除された、且つ、独立的に制御されている、2つの(或いは、これ超の)電気機械を含む電気機械組立体が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本出願は、単一シャフトを直接的に駆動するために磁気的に結合解除された且つ独立的に制御されている2つ(又は、2つより多い)の電気機械を含む電気機械組立体に関する。
【0010】
非限定的な一実施形態において、電気機械組立体は、単一シャフトと、シャフトを直接的に駆動するように構成されたローターを有する1つ又は複数の軸方向磁束電気機械と、シャフトを直接的に駆動するように構成されたローターを有する1つ又は複数の半径方向磁束電気機械と、を含む。複数のインバータが、個々に、但し、協働的に、それぞれ、1つ又は複数の軸方向磁束電気機械及び1つ又は複数の半径方向磁束電気機械を制御している。1つ又は複数の空隙が1つ又は複数の半径方向及び軸方向磁束機械のそれぞれの間において提供されている。それぞれのケースにおいて、1つ又は複数の空隙は、任意の2つの隣接する電気機械を事実上磁気的に結合解除するように十分に大きくなっている。
【0011】
非限定的な実施形態において、2つ以上の電気機械は、タイプ及び/又は構成とは無関係に、単一ハウジング内において収容されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明及びその利点については、以下のとおりである添付図面との関連において提供されている以下の説明を参照することにより、十分に理解することができよう。
【0013】
【
図3A】
図3Aは、本発明の非限定的な一実施形態による単一シャフトを駆動する代表的な複数電気機械組立体を示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の別の実施形態による単一シャフトを駆動する代表的な複数電気機械組立体を示す。
【
図3C】
図3Cは、本発明の非限定的な一実施形態による複数電気機械組立体の代表的な効率マップを示す。
【
図3D】
図3Dは、非限定的な一実施形態による複数電気機械組立体と共に使用され得る任意選択の磁気シールドを示す。
【
図3E】
図3Eは、本発明の非限定的な実施形態による単一シャフトを直接的に駆動する半径方向磁束及び軸方向磁束電気機械の両方を含む更なる構成を示す。
【
図3F】
図3Fは、本発明の非限定的な実施形態による単一シャフトを直接的に駆動する半径方向磁束及び軸方向磁束電気機械の両方を含む更なる構成を示す。
【
図4】
図4は、本発明の複数電気機械組立体を制御するための電気機械コントローラを示す。
【
図5】
図5は、本発明の非限定的な一実施形態による複数電気機械組立体の2つの電気機械を個々に但し協働的に制御するためのインバータのペアを示す。
【
図6】
図6は、本発明の非限定的な一実施形態による複数電気機械組立体の冷却を制御するためのシステムのブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の非限定的な一実施形態による軸方向及び半径方向磁束機械用の共通ハウジング及び複数の噴霧ノズルを有する単一冷却液入口を有する例示用の複数電気機械組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面においては、しばしば、同一の参照符号が同一の構造的要素を表記するために使用されている。また、図中の描画は、図式的であり且つ縮尺が正確ではないことを理解されたい。
【0015】
電気機械のコンポーネントは、通常、ステーターと、ローターと、シャフトと、ベアリングと、空隙と、巻線と、ハウジングと、を含む。ステーターは、静止しており、且つ、通常は、巻線から構成されている。ローターは、通常、ステーターによって生成された磁界との間において相互作用し、これにより、ローターが回転するようにする電流を搬送する導体又は永久磁石を含む。ローターが回転するのに伴って、ローターは、機械的力又はトルクを供給するようにシャフトを直接的に駆動している。通常はハウジングによって支持されているベアリングが、ローターが軸を中心として回転することを可能にしている。シャフトは、ハウジングを超えてベアリングを通じて延在しており、そこでは、負荷が印加されている。空隙は、ローターとステーターの間の空間又は距離である。空隙は、好ましくは、可能な限り小さくなっており、その理由は、空隙が増大するのに伴って、必要とされる磁化電流も増大するからである。巻線は、ステーター上において磁気コアの周りにおいて通常は巻回されるワイヤによって製造されたコイルの組である。それぞれの巻線は、AC電流を機械内に供給する端部端子に接続されている。AC電気機械は、通常、位相端子と呼称される複数の端部端子に接続された複数の巻線を有する。モーター巻線にその位相によってシフトされたAC電流が供給された際に、モーター巻線は、磁極を形成し、且つ、ローターとステーターをリンクする磁束を生成する。
【0016】
わかりやすさを目的として、以下の説明は、主には、モーターとして動作する電気機械組立体の文脈において記述されている。本明細書において記述されている組立体は、決してモーター動作にのみ限定されるものではないことを理解されたい。逆に、本明細書において記述されている電気機械組立体は、発電機としても動作可能である。
【0017】
半径方向電気機械
図1Aを参照すれば、代表的な半径方向磁束電気機械10が長手方向の図において示されている。半径方向磁束電気機械10は、シャフト14を直接的に駆動するように構成されたローター12と、ローター12を取り囲むステーター16と、を含む。空隙18がローター12とステーター16の間において提供されている。わかりやすさを目的として、ステーター16の断面のみが示されている。実際の実施形態においては、ステーター16は、空隙18によって分離された状態において、ローター12の周囲全体に構成されている。
【0018】
特定の実施形態においては、巻線20の1つ又は複数のペア20が、ステーター16の周りにおいて構成され、且つ、これから外向きに延在している。巻線20は、磁極の数に基づいて特定のパターンにおいて構成されている。所与の電気機械設計は、様々な磁極を含み得ることを明確に理解されたい。1つ、2つ、3つ、4つ、6つ、及びこれら超の数の磁極を有する電気機械が何れも一般的である。従って、所与の電気機械10のローター16上において提供される巻線20の数は、幅広に変化し得る。
【0019】
図1Bを参照すれば、半径方向磁束電気機械10の断面端面図を示す
図22が示されている。
図22において明らかであるように、シャフト14は、組立体の中心において提供されており、且つ、ページに入る/これから出る方向において延在し、ローター12に機械的に結合され、且つ、これによって直接的に回転させられている。ステーター16は、空隙18によって分離された状態において、ローター12の周囲を完全に取り囲んでいる。図面において矢印によって表されている磁束は、シャフト16との関係において半径方向において入る及び出る方向において延在している。従って、電気機械10は、「半径方向磁束」電気機械である。
【0020】
図1Cを参照すれば、半径方向磁束モーター10の代表的な効率マップ24が示されている。マップ24において、速度は、水平方向軸に沿って提供されている一方で、トルクは、垂直方向軸に沿って提供されている。マップ24において描かれているように、半径方向磁束電気機械10は、速度が相対的に大きく且つトルク需要が相対的に低い際には、その最も効率的な領域26内において動作している。
【0021】
軸方向電気機械
図2Aを参照すれば、代表的な軸方向磁束電気機械30の断面が示されている。軸方向磁束電気機械30は、シャフト14を直接的に駆動するように構成されたローター32と、ステーター34と、を含む。ローター32及びステーター34は、互いに反対側に位置しているが、空隙36によって分離されている。図面において矢印によって表されている磁束は、ローター32とステーター34の間においては反対の方向において、且つ、シャフト14との関係においては平行に、軸方向において延在している。従って、電気機械30は、「軸方向磁束」電気機械と呼称されている。
【0022】
また、図示されてはいないが、軸方向磁束電気機械30は、いくつかの磁極を含んでもよい。ステーター34上において巻線のペアを分散させることにより、軸方向磁束電気機械30用の任意の数の磁極を定義することができる。但し、本明細書において想定されている軸方向磁束電気機械30は、任意の数の磁極を有し得ることを理解されたい。
【0023】
図2Bを参照すれば、軸方向磁束モーター30の代表的な効率マップ38が示されている。マップ38において、速度は、水平方向軸に沿って提供されている一方で、トルクは、垂直方向軸に沿って提供されている。マップ38に描かれているように、軸方向磁束電気機械30は、速度が相対的に小さい際にその最も効率的な領域40内において動作している。
【0024】
複数電気機械実施形態
図3Aを参照すれば、単一シャフト14を駆動している代表的な複数電気機械組立体50が示されている。
【0025】
複数電気機械組立体50は、1つの半径方向電気機械10と、少なくとも1つの軸方向電気機械30と、を含む。
【0026】
半径方向電気機械10は、ローター12と、ステーター16と、巻線20と、を含む。空隙18がローター12とステーター16を分離している。
【0027】
少なくとも1つの軸方向電気機械30は、ローター32と、ステーター34と、これら2つを分離する空隙36と、を含む。図面において描かれているように、ローター32は、半径方向電気機械10のステーター16の周りにおいて円周方向において構成された且つこれから外向きに延在する端部巻線20内においてネストされるように位置決めされている。ステーター34は、ローター32に隣接した状態において位置決めされているが、空隙36によってこれから分離されている。
【0028】
1つの半径方向磁束電気機械10及び1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30の上述のコンポーネントを含む複数電気機械組立体50は、そのすべてが単一ハウジング52内において含まれている。この構成によれば、2つの電気機械10、30のローター12、32が単一シャフト14を直接的に駆動している。ベアリング(わかりやすさを目的として図示されてはいない)が、ハウジング内においてシャフト14を支持しており、且つ、シャフトが回転することを許容している。また、代替実施形態においては、ベアリングは、ハウジング52内において磁気的に支持することもできる。従って、ハウジング52は、2つの電気機械10、30を収容しており、これらは、それぞれ、ハウジング52の外側において少なくとも部分的に延在する共通シャフト14を直接的に駆動しており又は回転させており、通常は、ハウジング52の外側においては、負荷(図示されてはいない)が接続されている。
【0029】
図3Bを参照すれば、任意選択の一実施形態が示されている。この実施形態によれば、空隙36Aによって分離された第2ローター32A及びステーター34Aが半径方向磁束電気機械10の反対側において位置決めされている。類似の一構成においては、ローター32は、半径方向電気機械10の周りにおいて円周方向において構成された且つそのステーター16から外向きに延在している巻線20の1つ又は複数のペア内においてネストされている。第2ステーター34Aは、第2ローター32Aに隣接した状態において位置決めされているが、空隙36Aによってこれから分離されている。ベアリング(図示されてはいない)によって支持されたローター32Aは、共通シャフト14を直接的に駆動する又は回転させるように構成されている。第2ローター32A及びステーター34Aは、何れも、ハウジング52内において封入されている。
【0030】
更に詳細に後述するように、第2ローター32A及びステーター34Aは、単一インバータにより、ローター32及びステーター34と調和した状態において動作させることができる。このケースにおいては、ローター-ステーターペア32/34及び第2ローター-ステーターペア32A/34Aは、単一軸方向電気機械30として調和した状態において動作している。或いは、この代わりに、ローター-ステーターペア32/34及び32A/34Aのそれぞれは、それぞれ、2つのインバータにより、別個に動作させられている。このケースにおいては、2つのインバータペア32/34及び32A/34Aは、それぞれ、別個の軸方向磁束電気機械30を定義している。
【0031】
複数電気機械組立体50の上述の構成は、以下を含むいくつかの注目するべき空隙を定義している。
【0032】
ローター12とステーター16の間において提供されている第1空隙18は、半径方向磁束が半径方向磁束電気機械10のシャフト14との関係において入る/出る方向において延在する空間を定義している。
【0033】
軸方向電気機械のローター-ステーターペア32/34と任意選択のステーター-ローターペア32A/34Aの間には、1つ又は複数の第2空隙36及び恐らくは36Aが存在している。それぞれのケースにおいて、1つ又は複数の空隙36は、軸方向磁束がシャフト14との関係において平行に延在する空間を定義している。
【0034】
1つ又は複数の第3空隙54及び恐らくは54Aが、半径方向磁束電気機械10のローター12と1つ又は複数の軸方向電気機械10の1つ又は複数のローター32及び恐らくは32Aの反対表面の間において提供されている。半径方向電気機械10及び1つ又は複数の軸方向電気機械によれば、その個々の磁束は、一般に、互いに対して垂直に延在し、且つ、その個々の空隙内において維持されている。但し、小さいものではあるが、ある程度の磁束漏洩が依然として発生し得る。従って、様々な電気機械を実質的に磁気的に結合解除するように、1つ又は複数の第3空隙54/54Aが十分に大きいものであることが有益である。特定の一実施形態において、本出願人は、約2又は3ミリメートルの1つ又は複数の空隙54/54Aが半径方向磁束電気機械10と1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30を磁気的に結合解除するために十分であることを見出した。この寸法は、例示を目的としたものに過ぎないことを理解されたい。実際の実施形態においては、更に小さな又は更に大きな1つ又は複数の空隙54/54Aが組立体10の所与の実装形態用の望ましい磁気結合解除のために必要とされ得る。
【0035】
図3Cを参照すれば、複数電気機械組立体50の代表的な効率マップ60が示されている。マップ60内において、速度は、水平方向軸に沿って提供されている一方で、トルクは、垂直方向軸に沿って提供されている。マップ60内において描かれているように、最も効率的な領域62は、それぞれ、半径方向磁束電気機械10及び軸方向磁束電気機械30のマップ24及び38の同一のものとの比較において、格段に拡張されている。独立的に、但し、協働的に、複数電気機械組立体50内の1つの半径方向磁束電気機械10及び1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30を制御する能力は、特にスタンドアロン電気機械としてそれぞれが動作している場合との比較において効率を格段に改善し得るマルチプロング動作方式を許容している。例えば、以下のようなマルチプロング方式を使用することができる。
(a)1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30は、トルク需要が相対的に小さく且つ速度が相対的に小さい際に、単独で動作させられ、
(b)半径方向磁束電気機械10は、トルク需要とは無関係に、且つ、速度が相対的に大きい際に、単独で動作させられ、且つ、
(c)半径方向磁束電気機械10及び1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30は、何れも、トルク需要が大きいが速度が相対的に小さい際に、動作させられる。
【0036】
従って、上述のマルチプロング方式によれば、動作条件を効率的に充足するために、電気機械の任意の1つ又はすべてを任意の時点において動作させることができる。従って、個別の電気機械10又は30の何れかの動作との比較において、全体的な効率が改善されている。これに加えて、2つの機械は、独立的に動作する2つの機械の何れかとの比較において、組み合わせられた際に相対的に大きな合計出力(即ち、モーター動作する際のトルク、発電機として動作する際の電気エネルギー)を生成する能力を有している。
【0037】
図示の最も効率的な領域62の位置は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ、モーター駆動の設計及び制御に依存していることを理解されたい。実際の用途においては、半径方向磁束及び軸方向磁束機械10、30は、通常、特定の用途用に設計されることになる。従って、2つの電気機械は、所与の用途に必要とされるように異なる速度及びトルク領域について相対的に効率的なものとなるように、設計及び選択されることになる。更には、電気機械10、30の特性は、通常、協働的に動作させられる際に、個々に動作する場合との比較において、相対的に幅広の動作速度範囲及びトルク要求範囲にわたって相対的に良好な効率を提供するように、選択されている。ローター12、32の磁気的結合解除は、恐らくは、他方の機械が起動停止されている間に、そのそれぞれがそのピーク効率領域において個々に動作することを許容している。2つの電気機械10、30が共通シャフトをそれぞれ直接的に駆動する又は回転させるように構成され且つ単一ハウジング52内において維持されている状態において、組立体50は、コンパクトで効率的な電気機械システムを提供している。
【0038】
図3Dを参照すれば、複数電気機械組立体50と共に使用され得る任意選択の磁気シールド56が示されている。この実施形態においては、磁気シールド56は、半径方向電気機械30のローター12と軸方向電気機械30のローター32の間の空隙54内において位置決めされている。わかりやすさを目的として、上述の電気機械10及び30のその他のコンポーネントは、図示されていない。
【0039】
アルミニウムなどの非磁性材料からシールド56を製造することにより、2つの電気機械10、30の間の更なる磁気的隔離を実現することができる。第2軸方向ローター-ステーターペア32/34が使用されている実施形態においては、第2磁気シールド56(図示されてはいない)を類似の方式によって使用することができる。シールド56の使用は、多くの実施形態において必須のものではなく、且つ、アルミニウム以外のその他の磁性材料が使用され得ることを理解されたい。
【0040】
図3Eを参照すれば、共通シャフト14を直接的に駆動するために使用されている3つのモーターM1、M2、及びM3を含む別の機械組立体65が示されている。この特定の実施形態においては、M1モーターは、半径方向磁束モーターであり、且つ、ローター12、ステーター16、及びこれら2つの間の空隙18を含む。第2モーターM2は、軸方向磁束モーターであり、これは、ローター32A及びステーター34Aを含む。また、第3モーターM3も、ステーター34A及び別のローター32Bを含む軸方向磁束モーターである。この特定の構成によれば、ステーター34Aは、それぞれ、M2のローター32Aが左にあり且つローター32Bが右にある状態において、2つのモーターM2及びM3について共通している。空隙が、(i)半径方向磁束モーターM1のローター12及びM2のローター32Aと(ii)ステーター及びそれぞれモーターM2及びM3のローター32A及び32Bのそれぞれの間において提供されている。この場合にも、これらの空隙のそれぞれは、互いに電気機械M1、M2、及びM3を事実上磁気的に結合解除するように、十分に大きくなっている。
【0041】
図3Fを参照すれば、6つのモーターM1~M6を含む別の機械組立体66が示されている。この実施形態においては、3つのモーターM1、M2、及びM3は、基本的に
図3Eの実施形態の共通ラベルが付与されているモーターと同一である。具体的には、M1は、ローター12A、ステーター16A、及びこれら2つの間の空隙18Aを含む。M2は、ローター32A及びステーター34Aを含み、且つ、M3は、ローター32B及びステーター34Aを含む。残りのモーターM4、M5、及びM6は、それぞれ、基本的にモーターM1、M2、及びM3の鏡像の構成において構成されている。具体的には、軸方向モーターM4は、ローター32B及びステーター34Bを含み、軸方向モーターM5は、ローター32C及びステーター34Bを含み、且つ、半径方向モーターM6は、ローター12B、ステーター16B、及びこれら2つの間の空隙18Bを含む。この構成によれば、すべての6つのモーターM1~M6は、共通シャフト14を直接的に駆動するように構成されている。更には、モーターM1~M6のそれぞれの間の空隙は、その隣接する1つ又は複数のモーターからそれぞれのモーターを事実上磁気的に結合解除するように、十分に大きなものになっている。
【0042】
上述の構成によれば、ステーター34Aは、M2及びM4について共通しており、且つ、ステーター34Bは、M4及びM5について共通している。隣接するモーターを事実上磁気的に結合解除するように十分に大きい空隙によれば、1つのモーターのトルクは、1つ又は複数の空隙を通じた漏洩によって低減されない。従って、それぞれのモーターM1~M6は、共通シャフト14を駆動する際に、印加されるトルクの量を偶発的に低減するモーターの間の磁気漏洩の有害な影響を伴うことなしに、トルクを組み合わせる且つ極大化させるような方式で、個々に制御することができる。
【0043】
図3E及び
図3Fの実施形態によれば、類似のマルチプロング制御方式を使用することができる。即ち、以下のとおりである。
(a)軸方向磁束電気機械M2、M3、及び/又はM2~M5は、トルク需要が相対的に小さく且つ速度が相対的に小さい際に、単独で動作させられ、
(b)1つ又は複数の半径方向磁束電気機械M1又はM1及びM6は、トルク需要とは無関係に、且つ、速度が相対的に大きい際に、単独で動作させられ、且つ、
(c)半径方向磁束電気機械M1及び/又はM6及び1つ又は複数の軸方向磁束電気機械M2、M3、及び/又はM2~M5は、何れも、トルク需要が大きいが速度が相対的に小さい際に、動作させられる。
【0044】
上述のマルチプロング方式は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ、決して限定として解釈してはならないことを理解されたい。現実世界の実施形態においては、動作条件を事実上充足するために、
図3Eの実施形態の電気機械M1~M3又は
図3Fの実施形態のM1~M6の任意の1つ、2つ以上、又は全部を任意の時点において動作させることができる。一般に、動作させるための任意の1つの電気機械又は複数の電気機械の選択は、通常、トルク需要及び/又は動作速度に依存している。個々に但し集合的に個々のモーターを制御することにより、任意の時点における任意の個々のモーターからのトルク寄与の量は、マルチ機械駆動の全体的効率が極大化されるような方式で判定される。本明細書において記述されている本発明の様々な実施形態の動作効率における改善は、(1)電気機械の個々のタイプの1つ又は複数(例えば、半径方向のみ又は軸方向のみの何れか)、或いは、(2)別個に収容された且つ/又はリンケージ、ギア、又はこれらに類似したものによって共通負荷に接続された個々のシャフトを駆動する異なるタイプ(例えば、1つ又は複数の半径方向又は1つ又は複数の軸方向)の複数の独立的電気機械を含む従来技術の構成との比較において実現されている。この結果、通常、相対的に大きな全体効率において動作しつつ、相対的に大きなトルク密度を実現することができる。或いは、この代わりに、機械が発電機として動作している際には、発電機として動作している機械の上述の従来技術の構成の任意のものとの比較において、パワーエネルギーを相対的に効率的に生成することができる。
【0045】
複数電気機械制御
図4を参照すれば、モーター動作している間に(本明細書において記述されている組立体の任意のものなどの)複数電気機械組立体を制御するためのコントローラ70が示されている。コントローラ70は、要求されている需要及び電気機械組立体の所与の速度を通知する入力を受け取るように構成されている。これに応答して、コントローラ70は、1つ又は複数の表72にアクセスし、且つ、個々のインバータを個別に制御するための制御信号を生成している。図示の特定の実施形態においては、それぞれ(n)個のモーターを個々に制御するために(n)個のインバータが存在している。数(n)は、二つ(2)の最小値から任意の数(n)まで幅広に変化し得ることを理解されたい。これに加えて、個々のモーターは、半径方向のみであることが可能であり、軸方向のみであることが可能であり、或いは、1つ又は複数の半径方向モーターと協働状態において動作する1つ又は複数の軸方向モーターの任意の組合せであり得ることを理解されたい。
【0046】
非限定的な実施形態において、表72は、所与の複数電気機械組立体の電気機械を試験することによって収集された経験的データから生成されている。このような試験の際には、それぞれの電気機械は、速度及びトルク需要の幅広の範囲にわたって稼動させられている。電気機械が動作条件の幅広の範囲にわたって試験されていることから、理想的な又は好ましいインバータ制御値がトルク需要及び速度値の組合せの幅広の範囲について定義されている。次いで、トルク需要及び速度の幅広の範囲にわたって(n)個の個々の電気機械を個別に制御するための理想的な又は好ましいインバータ制御値を表化することにより、表72が構築されている。
【0047】
モーター動作の際には、コントローラ70は、所与のトルク需要及び速度の組合せ用のn個の電気機械のそれぞれごとの理想的な又は好ましいインバータ制御値を取得するために、表72にアクセスしている。これに応答して、次いで、コントローラ70は、インバータ1~(n)のそれぞれごとに釣り合いの取れた制御信号を生成している。これに応答して、(n)個の電気機械のそれぞれは、必要とされている出力需要を充足しつつ、且つ、ノイズ、振動、及びハーシュネス(NVH)の過度な量を生成することなしに、以上において定義されているマルチプロング方式又は効率を理想的に改善するなんらかのその他の方式を実装するために、個別に、但し、協働的に、制御されている。(n)個の電気機械を協働的に一緒に動作させることにより、組立体は、しばしば、任意の1つの電気機械が同一の出力を単独で生成するように試みた場合よりも、相対的に効率的に且つ相対的に乏しいNVHを伴って、要求されている出力を生成することができる。これに加えて、共通的に収容されている且つ共通シャフトを直接的に駆動している2つ以上の電気機械を有することにより、通常、それぞれが別個のシャフトを駆動し、これが、次いで、ギヤ及び/又はその他のリンケージを使用して共通負荷を駆動している複数の別個に収容された機械を使用する場合との比較において、NVHが更に低減されている。
【0048】
以上の説明は、任意の複数電気機械組立体の文脈において提供されており、且つ、本明細書において明示的に記述されているものに対する限定として解釈してはならない。半径方向の、軸方向の、或いは、任意の数の、或いは、これらのものの組合せである任意の数(n)の個々の電気機械を含む複数機械組立体は、本明細書において記述されている類似の方式で協働的に制御され得ることを理解されたい。
【0049】
パワーインバータ回路
三相ACタイプ電気機械用の代表的なパワーインバータは、スイッチングネットワークを含む。スイッチングネットワークは、通常、2つの電圧バス(+VBUS)及び(-VBUS)の間において直列に結合された状態において、位相A用のスイッチS1及びS2の第1のペア、位相B用のスイッチS3及びS4、並びに、位相C用のスイッチS5及びS6を含む。モーターとして動作している際には、DC供給源からの電力は、スイッチS1~S6のスイッチングネットワークを介して提供されている。そして、スイッチングネットワークは、上述のように、位相エネルギーを電気機械のステーター巻線の3つの位相に提供している。或いは、この代わりに、発電機として動作している際には、エネルギーフローは、電気機械から電池などのストレージ装置へとなっている。
【0050】
永久磁石、BEMF、及び弱め界磁
ハイブリッドを含む電池によって電力供給されている車両を含む特定の用途の場合には、永久磁石を使用したローター設計を有する電気機械が一般的である。このような電気機械は、限定を伴うことなしに、永久磁石支援型同期リラクタンスモーター及び内部永久磁石(IPM)モーターを含む。このような電気機械は、一般に、効率的であり、且つ、相対的に廉価であり、且つ、従って、電気車両用途において有利に使用されているが、これらは、理想には及ばないいくつかの課題を有する。
【0051】
永久磁石を使用したローター設計を有する電気機械にエネルギーが供給された際に、そのローターは、ステーター磁界との同期状態において回転を開始する。そして、ローターの回転する永久磁石は、一般には逆EMF又は「BEMF」と呼称される電磁力又は「EMF」をステーター巻線内において誘発する。BEMFは、ステーター電流が流れるようにする印加電圧に抗して機能し、且つ、従って、ローターが第1場所において回転するようにする。この結果、BEMFが、電気機械に対する印加電圧に接近するのに伴って、ステーター内を流れる電流がゼロに降下し、これにより、自然にシャフト速度を制限する。
【0052】
インバータによって駆動される電気機械の最大BEMFは、モーターとして動作する際には、インバータDC電源によって制限されている。発電機として動作している際には、このような制限は存在しておらず、且つ、制御されていない再生ステーター電流が流れる可能性がある。この電流は、シャフト上において制御されていない且つ望ましくない負のトルクを誘発することになる。
【0053】
弱め界磁は、BEMFの負の影響を低減するために使用されている既知の技法である。磁界を低減又は弱化することより、BEMFが低減される。BEMFをインバータ供給電圧未満に低減することにより、制御された電流が、弱め界磁を伴うことなしにBEMFが電池電圧超である速度においてモーターに流れることが許容される。
【0054】
インバータが起動停止された際に所与の電気機械のBEMFがインバータ供給電圧を超過している場合には、制御されていない整流された電流がDC供給源に戻される。この結果、電気機械は、制動トルクを生成することになる。電気機械が起動停止される際には、潜在的に3つの選択肢が使用され得る。これらは、以下を含む。
(1)制御されていない整流された電流がDC供給に戻るようにし、これにより、トルクを犠牲にして更なる保存エネルギーを生成し、
(2)上述のように、BEMFのこの負の影響は、弱め界磁用の入力電流の費用をかけることにより、弱め界磁によって軽減することができる。従って、弱め界磁を適用する際に、起動された状態においてインバータを維持し、ゼロトルクを要求することにより、電気機械の制動トルク出力が除去又は低減され、且つ、
(3)予測BEMFが決して複数電気機械組立体の全体動作速度用のDC供給電圧超にならないように、電気機械を設計する。
【0055】
増強されたインバータ回路
図5を参照すれば、インバータ74~74nは、個々に、但し、協働的に、それぞれ、機械M1~Mnを制御している。インバータ74~74nのそれぞれは、当技術分野において周知のように、DC電源(例えば、DC電池、コンデンサ、又はその他のDC電源)によって電力供給されており、且つ、位相エネルギーをそれぞれ電気機械M1~Mnのステーター巻線に提供するためにスイッチングネットワーク(図示されてはいない)を含む。様々な実施形態において、機械M1~Mnは、それぞれ、ローターを含んでいてもよく又は含んでいなくてもよい半径方向、軸方向、又はこれらの任意の組合せを含む任意のタイプの機械、永久磁石に依存する機械、などであってよい。永久磁石に依存していない実装形態によれば、逆電磁力(「BEMF」)は、通常、課題ではない。
【0056】
永久磁石ローター設計を使用した特定の実装形態によれば、BEMFは、半径方向電気機械(例えば、M1)が起動された際には、課題となり得るが、軸方向電気機械(例えば、Mn)が起動停止された際には、そうではない。この状況が発生した際には、共通シャフト14は、半径方向電気機械M1によって直接的に駆動又は回転され、そして、これが、軸方向電気機械Mnのローターを回転させる。軸方向電気機械のローターが回転するのに伴って、BEMFが生成され得る。BEMFの量がDC電池によって提供されている供給電圧を超過した場合に、軸方向電気機械Mnは、発電機としての動作を開始し、これにより、シャフトに印加される制御されていない且つ/又は望ましくない負のトルクを生成し得る。
【0057】
図5に示されているように、この例における軸方向電気機械Mn用の増強されたインバータ回路74nが提供されており、これは、DCリンクコンデンサを含む。半径方向電気機械M1が起動された、但し、軸方向電気機械Mnがそうではない際の状況においては、DCリンクコンデンサは、過剰なBEMFに起因して軸方向電気機械Mnによって生成される過剰なエネルギーを保存するために使用されている。この結果、DC電池供給源は、まったく超過されないか、或いは、低減された程度にのみ超過される。また、これに加えて、インバータ74nは、弱め界磁を印加することもできる。この結果、軸方向電気機械Mnは、発電機として機能することが完全に防止されるか、或いは、軸方向電気機械Mnが発電機として機能する程度が低減される。従って、共通シャフト14に印加される任意の負のトルクが回避されるか又は軽減される。代替実施形態においては、DCリンクコンデンサは、別個のコンデンサであることが可能であり、或いは、DC電源又は電池内において含まれ得る。
【0058】
その一方で、半径方向電気機械M1及び軸方向電気機械Mnの両方が能動的に動作している際には、BEMFは、一般に、課題ではない。このケースにおいては、DCリンクコンデンサは、過剰なエネルギーを保存するために使用されず、且つ、2つのインバータ74、74nは、通常、2つの電気機械を独立的に但し協働的に制御するように動作している。
【0059】
コア損失は、磁石に基づいた設計を有する電気機械設計に伴う別の懸念事項である。電気機械が起動停止され、且つ、電流が存在していない場合にも、ローター設計の永久磁石に起因したコア損失が依然として存在する場合があり、これが、ステーターコア内の変化する磁界を結果的にもたらし得る。この結果、鉄損失が発生し得る。この課題に対処するために、電気機械は、コア損失を極小化するように設計することができる。例えば、永久磁石に基づいたモーターが、スロットなし構成を有する場合には、それは、スロットを有する通常構成との比較において、格段に小さなBEMF及びコア損失を生成することになる。別の例は、動作状態にあるモーター内においてコア損失が存在することにならないように、マルチモーター内のすべてのその他のモーターが磁石を有しておらず、すべての動作ポイントにおいて(或いは、少なくとも動作ポイントの大部分において)起動されることになる1つのモーター内においてのみ磁石を使用するというものであり得る。
【0060】
機械組立体の冷却
図6を参照すれば、複数電気機械組立体の冷却を制御するためのシステム100のブロック図が示されている。システム100は、コントローラ102、共通シャフト(図示されてはいない)を直接的に駆動するための機械組立体(例えば、本明細書において記述されている実施形態3A~3Hの任意のもの)を収容するための共通ハウジング104、熱交換器106、ポンプ108、及びハウジング104内において又はこれに隣接した状態において維持されている温度センサ110を含む。
【0061】
動作の際に、温度センサ110は、ハウジング104内において温度を計測し、且つ、温度サンプル読取りをコントローラ102に提供している。ハウジング104内の温度が増大するのに伴って、コントローラは、ポンプ108を起動及び制御し、ポンプ108が冷却流体をハウジング内にポンピングしている。この結果、冷却流体がハウジング104を通過し、これにより、複数電気機械組立体によって生成された熱が除去されている。次いで、加熱された流体は、ハウジング104を離脱し、且つ、次いで、熱交換器106を通過し、これにより、冷却流体から熱が除去されている。冷却された流体は、この後に、ポンプ108によるハウジング104内に戻るための再循環のための準備完了状態にある。
【0062】
センサ100による温度読取りに応じて、コントローラ102は、冷却流体がハウジング104を通じてポンピングされるレートを制御又は変調することができる。複数電気機械組立体が過剰な熱を生成している際には、冷却流体がポンプ108によってポンプされるレートが増大させられる。温度読取りが受け入れ可能な温度の下方に変化した際には、ポンピングレートを低減することができる。従って、ポンプ108のポンピングレートを制御又は変調することにより、コントローラ102は、望ましい温度又は温度範囲においてハウジング104内の機械組立体の個々の機械の温度を維持することができる。
【0063】
電気車両(EV)などの用途においては、高パワー密度が非常に重要であり、冷却システムの冷却液が、しばしば、ステーター巻線の周りにおいて循環させられているか又は端部巻線上において降り注がれている。このマルチモーター構成によれば、1つのモーターの端部巻線は、その他のモーターの端部巻線に近接することになる。従って、軸方向磁束モーター及び半径方向磁束モーターの端部巻線上において冷却液の噴霧を導き且つ制御するために、同一の冷却液入口パイプを複数のノズルと共に使用することができる。この結果、冷却液経路を相対的に小さくすることが可能であり、これにより、システム費用が引き下げられることになる。
【0064】
図7を参照すれば、例示用の複数の電気機械組立体120が示されている。この特定の非限定的な実施形態においては、電気機械組立体120は、共通シャフト14を直接的に駆動するようにそれぞれが構成された1つの半径方向磁束モーターM1及び2つの軸方向磁束モーターM2及びM3を含む。機械組立体は、ハウジング122内において収容されている。様々な実施形態において、ハウジング122は、任意の形状(例えば、ボックス、円筒形、丸い、など)を有することが可能であり、単一の一体的構造を有することが可能であり、或いは、互いに付着された複数の外部セグメントを含んでいてもよく、且つ/又は、すべての電気機械M1~M3を収容するための単一の内部チャンバ又は電気機械M1~M3の1つ又は複数を収容するための複数の内部チャンバを含むこともできる。また、機械組立体は、単一の冷却液入口124及び複数の噴霧ノズル126A及び126Bを含む。図示の特定の実施形態においては、ノズル126Aは、軸方向磁束モーターM3上において冷却液を噴霧するように構成され、且つ、ノズル126Bは、軸方向磁束モーターM2及びM3上において冷却液を噴霧するように構成されている。
【0065】
図7に示されている実施形態は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ、決して限定として解釈してはならないことを理解されたい。具体的には、ハウジングは、限定を伴うことなしに、本明細書において記述されているものなどの複数の軸方向及び/又は半径方向モーターの任意の数、タイプ、又は組合せを収容するために使用することができる。これに加えて、冷却液入口の数も、必ずしも1つのみに限定されるものではない。逆に、多数の機械を有する電気機械組立体によれば、それぞれが1つ又は複数の噴霧ノズルに供給している状態において、複数の冷却液入口を同様に有することが有利であり得る。この結果、冷却液を機械組立体内において必要とされている場所に容易に分配することができる。更には、複数のノズルによれば、それぞれを個々の電気機械使用法及び熱生成に基づいて個々に制御することができる。
【0066】
利点
本明細書において記述されている電気機械組立体は、いくつかの利益及び利点を提供している。第1に、組立体は、一般に、1つの電気機械又は2つの別個の且つ個別の電気機械を有する以前の設計よりも、相対的に幅広の動作範囲にわたって相対的に大きな効率において動作する能力を有する。第2に、単一のハウジング内において収容されている機械組立体は、共通の負荷に通常はギア及び/又はリンケージを通じて接続されている別個のシャフトを独立的に駆動する2つの類似の但し別個に収容されたモーターと比較された場合に、負荷に接続された共通シャフトを駆動するための増大された出力パワー密度を提供している。従って、個々の制御された但し共通ハウジング内において収容された且つ共通シャフトを直接的に駆動又は回転させている2つ(或いは、これ超の数)のモーターを有することは、非常にコンパクトなパッケージ内においてハイレベルの出力パワーを提供している。同一のサイズの、別個に収容された、半径方向及び軸方向磁束電気機械から同一レベルの出力パワーを取得するためには、2つのハウジングの「フットプリント」は、本出願の単一ハウジング設計を有するものよりも格段に大きくなる。第3に、半径方向及び軸方向電気機械10、30を協働的に動作させる能力は、NVHの低減を支援している。例えば、半径方向磁束機械30及び1つ又は複数の軸方向磁束機械30のそれぞれは、動作状態が、それぞれ、それぞれのものの「スイートスポット」効率領域内にある際に、個々に使用することができる。即ち、半径方向磁束電気機械10は、トルク需要とは無関係に、且つ、速度が相対的に大きい際に、単独で動作させられ、且つ、1つ又は複数の軸方向磁束電気機械30は、トルク需要が相対的に小さく且つ速度が相対的に小さい際に、単独で動作させられている。その一方で、トルク需要が大きいが速度が相対的に小さい際には、両方の機械が動作させられている。両方の電気機械が使用されていることから、需要を充足するために独立的に軸方向又は半径方向電気機械を動作させている場合との比較において、NVHを低減することができる。
【0067】
代替実施形態
上述の非限定的な実施形態においては、半径方向磁束電気機械は、同期リラクタンス機械であり、且つ、軸方向磁束電気機械は、表面永久磁石電気機械である。但し、この特定の実施形態は、限定的なものではなく、多くのその他の実施形態を使用することができる。
【0068】
例えば、軸方向磁束電気機械は、限定を伴うことなしに、(a)表面実装型永久(SMP)磁石電気機械、(b)スイッチング型リラクタンス電気機械、又は(c)内部永久磁石(IPM)モーターを含む群から選択することができる。同様に、半径方向磁束電気機械も、限定を伴うことなしに、(d)IPMモーター、(e)永久磁石支援型同期リラクタンスモーター、(f)同期リラクタンスモーター、(g)永久磁石支援型同期リラクタンス機械、又は(h)誘導モーター(IM)を含む群から選択することができる。
【0069】
以下の表1は、実装され得るいくつかの可能な実施形態を含む。それぞれのケースにおいて、それぞれの組合せに対する利点としてコメントが提供されている。
【0070】
本実施形態は、限定ではなく、例示を目的としたものとして見なすことを要し、且つ、本発明は、本明細書において付与されている詳細に限定されるものではなく、且つ、添付の請求項の範囲及び均等物内において変更することができる。
【国際調査報告】