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特表2023-523930冷却性能と香り持続性が増進されたエアロゾル発生物品およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】冷却性能と香り持続性が増進されたエアロゾル発生物品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20230601BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20230601BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564302
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2021016511
(87)【国際公開番号】W WO2022203148
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0038507
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、ミン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イック ジューン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゴン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウン、ウン ミ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB16
4B045BC15
4B045BC16
4B045BC22
(57)【要約】
冷却性能と香り持続性が増進されたエアロゾル発生物品およびその製造方法が提供される。本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材部と、エアロゾル形成基材部の下流に位置し、エアロゾル形成基材部で形成されたエアロゾルを冷却させる冷却部と、を含み、冷却部の内壁には、シート状物質が配置されてもよい。ここで、シート状物質は、香料を含む物質であり、発香素材および冷却素材として機能することによって、エアロゾル発生物品の冷却性能と香り持続性を増進させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基材部と、
前記エアロゾル形成基材部の下流に位置し、前記エアロゾル形成基材部で形成されたエアロゾルを冷却させる冷却部と、を含み、
前記冷却部の内壁にシート状物質が配置され、
前記シート状物質は、多糖類物質および香料を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記シート状物質は、長さ方向にシワになったり、折れ曲がったものである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記冷却部の吸引抵抗は、0.1mmH0/mm~1.5mmH0/mmである、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記冷却部の上流に位置し、中空が形成された第1フィルター部と、
前記冷却部の下流に位置し、中空が形成されていない第2フィルター部と、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記冷却部の下流に位置し、中空が形成された第1フィルター部と、
前記第1フィルター部の下流に位置し、中空が形成されていない第2フィルター部と、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記冷却部の下流に位置し、中空が形成された第1フィルター部と、
前記冷却部と前記第1フィルター部との間に位置し、中空が形成されていない第2フィルター部と、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記多糖類物質は、セルロース系物質である、請求項1から6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記シート状物質は、
20~60重量部の前記多糖類物質と、
10~50重量部の前記香料と、を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記シート状物質は、
1~10重量部の可塑剤をさらに含む、請求項8に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記シート状物質の厚さは、0.1mm~1.5mmである、請求項1から9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記香料の融点は、80℃以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記シート状物質には、複数個のホール(hole)が形成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却性能と香り持続性が増進されたエアロゾル発生物品およびその製造方法に関する。より詳細には、冷却部を具備するエアロゾル発生物品において、冷却部のエアロゾル冷却性能を向上させると同時に、物品の香り持続性まで増進させることによって、高い喫煙満足度を保障できるエアロゾル発生物品およびその物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統シガレットの短所を克服する代替物品に関する需要が増加している。例えば、専用デバイスにより電気的に加熱されることによってエアロゾルを発生させる加熱型シガレットに関する需要が増加している。
【0003】
加熱型シガレットの喫煙満足度を大きく左右する2つの要因は、エアロゾル冷却性能と香り持続性である。
【0004】
通常、加熱型シガレットは、適正な温度のエアロゾルをユーザが吸入することができるように冷却部を具備しているが、冷却部の性能が落ちる場合、高温のエアロゾルがそのまま排出されて、ユーザの喫煙満足度が落ちることができる。
【0005】
また、通常、加熱型シガレットの加香処理は、タバコ物質やフィルタープラグに香液を直接添加(例えば、噴射)する方式で行われる。しかしながら、このような加香方式は、喫煙序盤に大部分の香りが発現することによって、喫煙後半に行くほど香り発現性が急激に低下する問題があり、そのため、ユーザの喫煙満足度が落ちることができる。それだけでなく、香液が過量添加されると、タバコ物質またはフィルタープラグを包んでいるラッパー(wrapper)がぬれて、汚染される問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、冷却性能と香り持続性が増進されたエアロゾル発生物品およびその物品の製造方法を提供することにある。
【0007】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材部と、前記エアロゾル形成基材部の下流に位置し、前記エアロゾル形成基材部で形成されたエアロゾルを冷却させる冷却部と、を含み、前記冷却部の内壁にシート状物質が配置され、前記シート状物質は、多糖類物質および香料を含んでもよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記シート状物質は、長さ方向にシワになったり、折れ曲がったものであってもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記冷却部の吸引抵抗は、0.1mmH0/mm~1.5mmH0/mmであってもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記多糖類物質は、セルロース系物質であってもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記シート状物質は、全体100重量部を基準として、20~60重量部の前記多糖類物質および10~50重量部の前記香料を含んでもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記シート状物質の厚さは、0.1mm~1.5mmであってもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記香料の融点は、80℃以下であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、多糖類物質および香料を含むシート状物質がエアロゾル発生物品の冷却部に配置(適用)されてもよい。このようなシート状物質は、高温の気流と接触時に多糖類物質が相変化して多量の熱気を吸収することができ、同時に多糖類物質により被覆された香料をゆっくり排出することができる。これによって、エアロゾル発生物品の冷却性能および香り持続性を増進させることができ、ユーザの喫煙満足度が大きく向上することができる。
【0016】
また、シート状物質が冷却部の内壁に配置(例えば、付着)されてもよい。この場合、シート状物質が冷却部を通過する気流の妨害要因として作用しないため、円滑な気流フローと適切な吸引抵抗を保障することができる。
【0017】
また、シート状物質に融点が80℃以下の香料が含まれ得る。この場合、シート状物質が80℃以上の気流と接触時に香料が相変化して熱気をさらに吸収できるので、冷却部の性能がさらに向上することができる。一般的な加熱型シガレット製品のエアロゾル加熱温度が80℃以上である点を考慮すると、上記のような香料の使用は、多数のエアロゾル発生物品のエアロゾル冷却性能を効果的に増進させることができる。それだけでなく、相変化した香料が容易に揮散されることによって、エアロゾル発生物品の香り発現性を増進させることができる。
【0018】
また、冷却部の性能が向上するにつれて、冷却部を従来に比べて短い長さに設計することができ、これによって、エアロゾル発生物品の設計自由度が向上することができる。
【0019】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品を概略的に示す例示図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態によるシート状物質の適用方式を説明するための例示図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態によるシート状物質の加工形態を説明するための例示図である。
図4】本開示の第1変形例によるエアロゾル発生物品を示す例示図である。
図5】本開示の第2変形例によるエアロゾル発生物品を示す例示図である。
図6】本開示の第3変形例によるエアロゾル発生物品を示す例示図である。
図7】本開示の幾つかの実施形態によるシート状物質の他の適用方式を説明するための例示図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態によるシート状物質の他の加工形態を説明するための例示図である。
図9】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品が適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する。
図10】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品が適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する。
図11】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品が適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0022】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0023】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0024】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0025】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0026】
本開示の多様な実施形態に対する説明に先立って、以下の実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0027】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状でありうる。
【0028】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎にする液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。
【0029】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。エアロゾル発生装置の幾つかの例示については、図9図11を参照する。
【0030】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよい。エアロゾル発生物品の代表的な例としては、シガレットが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0031】
以下の実施形態において、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0032】
以下の実施形態において、「長さ方向(longitudinal direction)」は、エアロゾル発生物品の長さ方向軸に相当する方向を意味し得る。
【0033】
以下の実施形態において、「シート(sheet)」は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層要素を意味し得る。当該技術分野において、シートという用語は、ウェブ(web)、フィルム(film)などの用語と混用されて使用されることもできる。
【0034】
以下では、本開示の多様な実施形態について説明する。
【0035】
図1は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品100を概略的に示す例示図である。
【0036】
図1に示されたように、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル形成基材部110、冷却部120、フィルター部130およびラッパー140を含んでもよい。ただし、図1には、本開示の実施形態と関連する構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、図1に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。また、図1は、本開示の多様な実施形態によるエアロゾル発生物品の一部の例示を概略的に示しているだけであり、エアロゾル発生物品の詳細構造は、図1に示されたものと異なっていてもよい。他の構造を有するエアロゾル発生物品の例示に関しては、図4図6などを参照する。以下、エアロゾル発生物品100の各構成要素について説明する。
【0037】
エアロゾル形成基材部110は、エアロゾルに対する形成機能を行うことができる。具体的に、エアロゾル形成基材部110は、エアロゾル形成基材を含んでもよいし、エアロゾル形成基材を通じてエアロゾルを形成することができる。例えば、エアロゾル形成基材部110は、エアロゾル発生装置(例えば、図9の1000)により加熱されることによってエアロゾルを形成することができる。形成されたエアロゾルは、パフにより冷却部120およびフィルター部130を経てユーザの口部に伝達されることができる。
【0038】
図示のように、エアロゾル形成基材部110は、冷却部120の上流に位置し、冷却部120の上流末端と当接してもよい。エアロゾル形成基材部110は、エアロゾル形成基材を包んでいるラッパー140をさらに含むものであってもよい。
【0039】
エアロゾル形成基材部110は、ロッド(rod)の形態で製造されるので、場合によって「エアロゾル形成ロッド110」または「タバコロッド110」と称されることがある。または場合によって「媒質部110」と称されることがある。
【0040】
次に、冷却部120は、エアロゾル形成基材部110で形成されたエアロゾルに対する冷却機能を行うことができる。冷却部120は、適正な温度のエアロゾルがユーザに伝達されるようにすることによって、ユーザの喫煙満足度を向上させることができる。冷却部120は、冷却構造物を包んでいるラッパー140をさらに含むものであってもよい。
【0041】
本開示の多様な実施形態によれば、図示のように、シート状物質10が冷却部120に配置(適用)されてもよい。ここで、シート状物質10は、多糖類物質および香料を含有するシート形態の物質であり、相変化して多量の熱気を吸収する多糖類物質の性質を用いて冷却部120の性能を向上させることができる。それだけでなく、多糖類物質が相変化するにつれて、被覆されていた香料がゆっくり発現することによって、エアロゾル発生物品100の香り持続性も向上させることができる。すなわち、シート状物質10は、冷却部120内で発香素材および冷却素材として機能することができる。シート状物質10の構成物質と製造方法などに関しては、詳細に後述することとし、以下では、説明の便宜上、シート状物質10を「香料シート10」と称する。ただし、場合によって、シート状物質10は、「冷却シート10」と称されることがある。
【0042】
幾つかの実施形態において、香料シート10が冷却部120の内壁に配置(例えば、付着)されてもよい。例えば、図2に示されたように、冷却部120が中空またはキャビティ(cavity)が形成されたチューブ型構造物からなる場合、香料シート10は、構造物の内壁(すなわち、中空の内壁)に配置されてもよい。この場合、香料シート10が冷却部120を通過する気流の妨害要因として作用しないため、円滑な気流フローと適切な吸引抵抗を保障することができる。他の幾つかの実施形態において、香料シート10が他の形態で配置されるが、これと関連しては、図6図8を参照して後述することとする。
【0043】
一方、香料シート10の具体的な加工形態は、実施形態によって変わることができる。
【0044】
幾つかの実施形態において、図3に示されたように、香料シート10がエアロゾル発生物品100の長さ方向(すなわち、MD方向)にシワになったり折れ曲がるように加工されたものであってもよい。例えば、香料シート10は、クリンピング(crimping、捲縮)工程、プリーツ加工(pleating、シワ)工程、フォールディング(folding、折り畳み)およびギャザリング(gathering、集結)工程のうち少なくとも一つによりシワになったり、折れ曲がっていてもよい。具体的に、クリンピング工程は、クリンピング機器のローラー圧力と速度の差異を通じてシート表面にシワ(creep)が付与される工程であり、湿式工程と乾式工程とに分けられる。湿式工程は、原紙を水に濡らした後、やわらかくして、クリンピングを行った後、再乾燥過程を経る工程を意味する。乾式工程は、互いに温度が異なる2つのドライヤーによる乾燥工程を意味する。当該技術分野における従事者なら、プリーツ加工工程、フォールディング工程およびギャザリング工程についてすでに熟知しているところ、これに関するさらなる説明は省略する。本実施形態によれば、例示された工程のうち少なくとも一つを通じて香料シート10に長さ方向に多数のチャネルが形成されてもよく、形成されたチャネルを通じて円滑な気流フローと適切な吸引抵抗を保障することができる。それだけでなく、香料シート10と高温の気流との接触面積が増大して、冷却性能も向上することができる。
【0045】
また、幾つかの実施形態において、香料シート10に複数個のホール(hole)が形成されてもよい(図8参照)。例えば、パンチング(punching)工程を通じて香料シート10に複数個のホールが形成されてもよい。この場合、香料シート10と気流との接触面積が極大化されて、冷却性能がさらに向上することができる。
【0046】
また、幾つかの実施形態において、香料シート10は、上述した実施形態の組み合わせに基づいて加工されたものであってもよい。
【0047】
さらに図1を参照して説明する。
【0048】
冷却部120の吸引抵抗は、多様に設計可能である。幾つかの実施形態において、冷却部120の吸引抵抗は、約0.05mmH0/mm~3.0mmH0/mmであってもよく、好ましくは、約0.1mmH0/mm~2.5mmH0/mm、約0.1mmH0/mm~2.0mmH0/mmまたは約0.5mmH0/mm~2.0mmH0/mmまたは約1.0mmH0/mm~1.5mmH0/mmであってもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0049】
冷却部120の長さ、厚さおよび/または外周などは、多様に設計可能である。例えば、冷却部120の長さは、約5mm以上であり、外周は、約14mm~25mmであってもよい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0050】
次に、フィルター部130は、エアロゾルに対するろ過機能を行うことができる。このために、フィルター部130は、フィルター(ろ過)物質を含んでもよい。フィルター物質の例としては、セルロースアセテートファイバー、紙などが挙げられるが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0051】
フィルター部130は、冷却部120の下流に位置し、冷却部120の下流末端と当接してもよい。また、フィルター部130は、エアロゾル発生物品100の下流末端部位に位置し、ユーザの口部と接触するマウスピースとして機能することもできる。フィルター部130は、フィルター物質(プラグ)を包んでいるラッパー140をさらに含むものであってもよい。
【0052】
また、フィルター部130は、ロッドの形態で製造されるので、場合によって「フィルターロッド130」と称されることがあり、円柱型、内部に中空を含むチューブ型(例えば、チューブ形態のセルロースアセテートフィルター)、リセス型などのように多様な形態で製造することができる。またはフィルター部130は、マウスピースとして機能するので、「マウスピース部130」と称されることがある。
【0053】
次に、ラッパー140は、エアロゾル形成基材部110、冷却部120および/またはフィルター部130の少なくとも一部を包んでいるものを意味し得る。ラッパー140は、エアロゾル形成基材部110、冷却部120またはフィルター部130の個別ラッパーを指すものであってもよく、ティッピングラッパー(tipping wrapper)などのようにエアロゾル形成基材部110とフィルター部130の少なくとも一部を共に包んでいるラッパーを指すものであってもよく、エアロゾル発生物品100に用いられたすべてのラッパーを総称するものであってもよい。前記ラッパー140は、多孔性または非多孔性の紙からなり得るが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。例えば、ラッパー140は、金属ホイル(foil)または紙と金属ホイルのラミ形態からなってもよい。
【0054】
一方、図1には示されていないが、エアロゾル発生物品100は、末端に配置されたプラグ(不図示)をさらに含んでもよい。例えば、プラグは、エアロゾル発生物品100の上流末端に配置されて、エアロゾル発生物品100の全長を適切に調節する機能を行うことができる。また、エアロゾル発生物品100がエアロゾル発生装置(例えば、図9の1000)に挿入される場合、プラグは、エアロゾル形成基材部110がエアロゾル発生装置(例えば、図9の1000)内部の適切な位置に配置されるように調節する機能を行うこともできる。
【0055】
以上では、図1図3を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品100について全般的に説明した。上述したことによれば、多糖類物質および香料を含む香料シート10がエアロゾル発生物品100の冷却部120に配置(適用)されてもよい。このような香料シート10は、高温の気流と接触時に多糖類物質が相変化して多量の熱気を吸収することができ、同時に多糖類物質により被覆された香料をゆっくり排出することができる。これによって、エアロゾル発生物品100の冷却性能および香り持続性を増進させることができ、ユーザの喫煙満足度が大きく向上することができる。
【0056】
以下では、図4以降の図面を参照して上述したエアロゾル発生物品100の多様な変形例について紹介する。ただし、本開示の明瞭さのために、前述した実施形態と重複する内容に関する説明は省略する。
【0057】
図4は、本開示の第1変形例によるエアロゾル発生物品200を示す例示図である。特に、図4および図5は、冷却部(例えば、230)の内壁に香料シート10が配置されたことを例示する。また、図4以降の図面では、便宜上、ラッパー(例えば、140)の図示が省略された。
【0058】
図4に示されたように、エアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成基材部210、冷却部230、第1フィルター部220および第2フィルター部240を含んでもよい。
【0059】
エアロゾル形成基材部210および冷却部230は、それぞれ図1のエアロゾル形成基材部110および冷却部120に対応するので、これに関する説明は省略する。
【0060】
第1フィルター部220は、冷却部230の上流に位置し、エアロゾル形成基材部210と冷却部230の間に位置してもよい。図示のように、第1フィルター部220は、中空が形成されたセグメントでありうる。例えば、第1フィルター部220は、チューブ形態のセルロースアセテートフィルターまたは紙管でありうる。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。第1フィルター部220は、エアロゾルに対するろ過機能を行うことができ、中空を通過するエアロゾルに対する冷却機能を行うこともできる。
【0061】
冷却部230が中空が形成された第1フィルター部220の下流に位置する場合、エアロゾル形成基材部210で形成された高温のエアロゾルが第1フィルター部220の中空を通過する間に一次的に冷却されることができる。そして、一次的に冷却されたエアロゾルが冷却部230に流入することができ、これによって、香料シート10による冷却部230の性能を喫煙後半まで良好に保存することができ、香り発現性も良好に維持することができる。例えば、高温のエアロゾルがすぐに冷却部230に流入する場合には、香料シート10の形成剤(例えば、多糖類物質)が速く相変化して冷却性能が次第に落ちることができ、喫煙序盤に相対的に多くの香料が移行することもできる。しかしながら、図4に例示された構造では、このようなことを大きく緩和することができる。
【0062】
一方、幾つかの実施形態において、第1フィルター部220が冷却部230の下流に位置し、冷却部230がエアロゾル形成基材部210と第1フィルター部220の間に位置するようにエアロゾル発生物品200が設計されてもよい。
【0063】
また、幾つかの実施形態において、第1フィルター部220にも香料シート10が適用されてもよい。この場合、エアロゾル発生物品200の冷却性能、香り持続性および香り発現性がさらに向上することができる。
【0064】
また、幾つかの実施形態において、冷却部230の中空の平均断面積が第1フィルター部220の中空の平均断面積より大きく、約1.5倍以上でありうる。好ましくは、約2倍または3倍以上で、より好ましくは、約4倍、5倍または6倍以上でありうる。この場合、第1フィルター部220の中空から冷却部230の中空に移動する気流(例えば、主流煙)が急激に拡散されて外部空気(例えば、冷却部230に形成された穿孔を通じて流入する空気)との接触面積および時間が増加するので、エアロゾル冷却性能がさらに向上することができる。
【0065】
また、幾つかの実施形態において、第1フィルター部220と冷却部230の内径比は、約1:1.~1:3.5になり得、好ましくは、約1:1.5~1:3.5または1:1.5~1:3になり得る。具体的な例として、第1フィルター部220の内径が2.5mmである場合、冷却部230の内径は、3.75mm~7.5mm、好ましくは、5mm~7.5mm、より好ましくは、6mm~7mmであってもよい。このような数値範囲内で、エアロゾル冷却性能が大きく向上することができる。
【0066】
次に、第2フィルター部240は、冷却部230の下流に位置し、冷却されたエアロゾルに対するろ過機能を行うことができる。図示のように、第2フィルター部240は、中空が形成されていないセグメントでありうる。第2フィルター部240は、図1のフィルター部130に対応するところ、これに関するさらなる説明は省略する。
【0067】
以下では、理解の便宜を提供するために、フィルター部の配置順序に関係なく、中空が形成されたフィルター部(例えば、220)を継続して「第1フィルター部」と称し、中空が形成されていないフィルター部(例えば、240)を「第2フィルター部」と称する。
【0068】
図5は、本開示の第2変形例によるエアロゾル発生物品300を示す例示図である。
【0069】
図5に示されたように、上述した第1変形例と同様に、エアロゾル発生物品300も、エアロゾル形成基材部310、冷却部320、第1フィルター部340および第2フィルター部330を含んでもよい。ただし、上述した第1変形例とは異なって、第2フィルター部330が冷却部320と第1フィルター部340の間に位置し、第1フィルター部340が第2フィルター部330の下流に位置していて、マウスピースとして機能している。
【0070】
図6は、本開示の第3変形例によるエアロゾル発生物品400を示す例示図である。
【0071】
図6に示されたように、図1に例示された構造と同様に、エアロゾル発生物品400は、エアロゾル形成基材部410、冷却部420およびフィルター部430を含んでもよい。
【0072】
エアロゾル形成基材部410およびフィルター部430は、それぞれ図1のエアロゾル形成基材部110およびフィルター部130に対応するので、これに関する説明は省略する。
【0073】
本変形例では、図示のように、香料シート10が冷却部420の内壁に配置されるものではなく、冷却部420の内部にローリング(rolling)された形態で配置(適用)されてもよい。または、香料シート10が冷却部420の内部にフォールディング(folding)された形態で配置されてもよい。例えば、図7に示されたように、香料シート10は、不規則的なパターンでローリングまたはフォールディングされて配置されてもよく(10-1参照)、うず巻き形態(10-2参照)または同心円形態(10-3参照)でローリングされて配置されてもよく、複数回フォールディングされた形態(例えば、長さ方向に気流パスが確保されるようにフォールディングされた形態;10-4参照)で配置されてもよい。香料シート10が例示された形態で配置されると、長さ方向に気流パスが確保されて、円滑な気流フローと適切な吸引抵抗を保障することができる。また、香料シート10と高温の気流との接触面積が増大して、エアロゾル冷却性能も向上することができる。
【0074】
幾つかの実施形態において、図7に例示された香料シート10(すなわち、ローリングまたはフォールディングされる前のシート)は、図3に例示されたように、シワになったり、折れ曲がったシートでありうる。この場合、ローリングまたはフォールディング工程が容易に行われ得るので、作業性が向上することができる。
【0075】
また、幾つかの実施形態において、図7に例示された香料シート10は、図8に例示されたように、複数個のホール101が形成されるように加工されたものであってもよい。例えば、パンチング工程を通じて香料シート10に複数個のホール101が形成されてもよい。この場合、香料シート10と気流の接触面積が極大化されて、冷却性能がさらに向上することができる。
【0076】
上述した実施形態において、ホール101の直径は、約0.05mm~5mmであってもよく、好ましくは、約0.1mm~3mmまたは約0.2mm~2.5mm、約0.3mm~2.1mmまたは約0.4mm~1.8mmであってもよい。このような数値範囲内で、円滑な気流フローと適切な吸引抵抗を保障することができる。それだけでなく、香料シート10と高温の気流との接触面積が大きく増大して、冷却性能がさらに向上することができる。
【0077】
以上では、図4図8を参照して本開示の幾つかの変形例によるエアロゾル発生物品200~400について説明した。以下では、本開示の幾つかの実施形態による香料シート10とその製造方法について説明する。
【0078】
香料シート10は、液状(例えば、スラリー状態)のシート組成物を製造する段階および製造されたシート組成物を乾燥する段階を通じて製造することができる。ここで、液状は、液体状態だけでなく、液体と固体が混合された状態(例えば、スラリー状態)を含むものであってもよい。例えば、香料シート10は、シート組成物を所定の基材上に伸張(キャスティング)し、乾燥させることによって製造することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、具体的な製造方式は変わることもできる。
【0079】
香料シート10の厚さは、多様に設計可能である。
【0080】
幾つかの実施形態において、香料シート10の厚さは、約2.0mm以下であってもよく、好ましくは、約0.05mm~1.8mm、約0.1mm~1.5mmまたは約0.1mm~1.0mmであってもよい。このような数値範囲内で、香料シート10が適切な耐久性と柔軟性を有し、作業性が保障されることが確認された。例えば、香料シート10の厚さがあまり薄いと、耐久性が弱くて、香料シート10を加工(例えば、クリンピング、ローリング、フォールディングなど)または配置する過程中に香料シート10が容易に破損する恐れがある。反対に、香料シート10の厚さがあまり厚いと、柔軟性が劣り、ローリング、フォールディングなどの加工中に香料シート10が折れてしまうことがある。または、香料シート10が冷却部(例えば、120)の内壁によく付着されないことがある。
【0081】
一方、シート組成物の詳細組成は、多様に設計可能である。
【0082】
幾つかの実施形態において、シート組成物は、蒸留水(water)、エタノールなどの溶媒、多糖類物質および香料を含んでもよい。このようなシート組成物から製造された香料シート10は、香り保有量および香り保留性に優れていて、エアロゾル発生物品(例えば、100)の香り持続性と香り持続性を大きく増進させることができる。以下、シート組成物の各構成物質について説明する。
【0083】
蒸留水、エタノールなどの溶媒は、スラリー型シート組成物の粘度を調節するための要素でありうる。
【0084】
次に、多糖類物質は、香料を被覆して固定する物質であり、シートを形成するシート形成剤でありうる。多糖類物質の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、寒天などのセルロース系物質が挙げられる。このようなセルロース系物質は、高温のエアロゾルと接触時に相変化を通じて熱気をよく吸収する性質を有するので、香料シート10が発香素材だけでなく、冷却素材として活用されるようにすることができる。
【0085】
幾つかの実施形態において、シート組成物は、多様な多糖類物質のうち改質されたセルロースを含んでもよい。ここで、「改質されたセルロース」は、分子構造内で特定の官能基が置換されたセルロースを意味し得る。改質されたセルロースの例としては、HPMC、MC、CMC、ECが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、HPMCは、ヒドロキシプロピル基およびメチル基(またはメトキシ基)が置換された比率および分子量によって約4~40000の範囲内の等級(grade)を有することができる。等級によって、改質されたセルロースの粘度が決定される。より具体的に、HPMCの物理化学的特性は、メトキシ基の比率、ヒドロキシプロピル基の比率および分子量と関係があるが、米国薬典(USP)によれば、HPMCの種類は、メトキシ基およびヒドロキシプロピル基の比率によってHPMC1828、HPMC2208、HPMC2906、およびHPMC2910などに分類される。ここで、前方の2つの数字は、メトキシ基の比率であり、後方の2つの数字は、ヒドロキシプロピル基の比率を意味し得る。本発明者らの持続的な実験結果、改質されたセルロースを含むシート組成物から製造された香料シート10は、シート物理性および香り保有量に優れていることが確認された。
【0086】
次に、香料の例としては、メントール、ニコチン、ニコチン塩、葉タバコ抽出物、ニコチンが含有された葉タバコ抽出物、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、枯れ草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、丁香、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイヒ、キャラウェイ、ジャスミン、ショウガ、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カッシア、コーヒー、セロリ、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、桃エキスなど)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、キャラメルなど)、ココア類(パウダー、エキスなど)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリルなど)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマトールなど)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノールなど)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなど)、ラクトン類(例えば、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトンなど)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウムなど)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネンなど)が挙げられる。香料は、固体として使用されてもよく、適切な溶媒、例えばプロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに溶解または分散して使用できる。また、乳化剤の添加によって溶媒中に分散状態が形成されやすい香料、例えば疎水性香料や油溶性香料などが用いられ得る。これらの香料は、単独で用いられてもよく、混合物として用いられてもよい。ただし、本開示の範囲が前述した例示によって限定されるものではない。
【0087】
幾つかの実施形態において、融点が約80℃以下の香料が用いられ得る。この場合、シート状物質が80℃以上の気流と接触時に香料が相変化して熱気をさらに吸収するので、冷却部(例えば、120)の性能がさらに向上することができる。一般的に、加熱したエアロゾルの温度が80℃以上である点を考慮すると、上記のような香料の使用は、多数のエアロゾル発生物品(例えば、100)の冷却性能を効果的に増進させることができる。それだけでなく、相変化した香料が容易に揮散されることによって、エアロゾル発生物品(例えば、100)の香り発現性を増進させることができる。融点が約80℃以下の香料の例としては、メントールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0088】
一方、幾つかの実施形態において、シート組成物がLM-ペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含んでもよい。LM-ペクチンは、エステル化が比較的に少なく行われた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであり、具体的に、分子構造の内部にカルボキシ基(carboxyl group)が約50%未満で含有されたペクチンを意味し得る。LM-ペクチンは、カラギナンとは異なって、放令時にゲル化しない特性を有するので、スラリー型シート組成物の粘度を低減することができる(例えば、約600cp~800cp程度)。しかも、乳化剤なくとも、スラリー型シート組成物の製造が可能であるから、乳化剤による安全性の問題から自由になりえる。
【0089】
LM-ペクチンは、分子構造の内部にカルボキシ基を約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満で含有することができる。LM-ペクチンの分子構造の内部にカルボキシ基の含有量が少なくなるほど、LM-ペクチンを含むスラリーの粘度が低くなる。
【0090】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、バルキング剤(bulking agent)をさらに含んでもよい。バルキング剤は、蒸留水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾燥物の質量)を増加させて、製造される香料シート10の体積を増加させるものの、香料シート10の本来の機能に影響を及ぼさない物質でありうる。具体的に、バルキング剤は、香料シート10の体積を増加させるものの、スラリーの粘度を実質的に上昇させないと同時に、香料シート10の香料保留の機能に悪影響を及ぼさない特性を有することができる。好ましくは、バルキング剤は、デンプン類、変性デンプン、またはデンプン加水分解物でありうる。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0091】
変性デンプンは、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸二デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸ジデンプン、リン酸モノデンプン、リン酸化リン酸ジデンプンなどを示す。
【0092】
デンプン加水分解物とは、デンプンを加水分解する工程を含むプロセスにより得られる物質を示す。デンプン加水分解物は、例えば、デンプンを直接加水分解して得られる物質(すなわち、デキストリン)、またはデンプンを加熱処理した後に加水分解して得られる物質(すなわち、難消化性デキストリン)を含んでもよい。バルキング剤は、例えば、デキストリン(dextrin)であってもよく、さらに具体的に、シクロデキストリン(cyclodextrin)であってもよい。
【0093】
デンプン加水分解物は、一般的に、約2~約40の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物、好ましくは、約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物でありうる。約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物として、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))、パインファイバー(松谷化学工業(株))、TK-16(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0094】
ここで、「DE」は、dextrose equivalentの略語であり、DE値は、デンプンの加水分解の程度、すなわちデンプンの糖化率を示す。本開示においてDE値は、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法により測定された値でありうる。加水分解されたデンプン(デンプン加水分解物)の特性、例えば、デンプン加水分解物の分子量やデンプン加水分解物を構成する糖分子の配列などの特性は、デンプン加水分解物の分子ごとに一定でなく、任意の分布またはバリエー ション(variation)を持って存在している。デンプン加水分解物の特性の分布やバリエーション、またはカットされる区間の差異などによって、デンプン加水分解物は、その分子ごとに異なる物性特徴(例えばDE値)が発現する。このように、デンプン加水分解物は、異なる物性特徴を示す分子の集合であるが、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法を用いた測定結果(すなわちDE値)は、デンプンの加水分解の程度を示す代表値として扱われている。
【0095】
好ましくは、デンプン加水分解物は、約2~約5のDE値を有するデキストリン、約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。約2~約5のDE値を有するデキストリンとして、例えばパインデックス#100(松谷化学工業(株))が用いられ得る。約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンとして、例えばパインファイバー(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0096】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤は、香料シート10に適切な柔軟性を付与することによって、シートの物理性を向上させることができる。可塑剤は、例えばグリセリンおよびプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0097】
また、幾つかの実施形態において、シート組成物は、乳化剤をさらに含んでもよい。乳化剤は、脂溶性の強い香料と水溶性の多糖類物質がよく混合されるようにして、香料シート10の香り保有量を増大させることができる。乳化剤の例としては、レシチンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0098】
一方、上述したシート組成物から製造された香料シート10は、多様な含有量比(組成比)を有することができる。
【0099】
幾つかの実施形態において、香料シート10は、全体100重量部を基準として、約20~60重量部の多糖類物質と約10~50重量部の香料を含んでもよい。もちろん、香料シート10は、適切な量の水分をさらに含んでもよい。このように構成された香料シート10がエアロゾル発生物品(例えば、100)の香り持続性と冷却性能を大きく増進させることが確認された。
【0100】
幾つかの実施形態において、香料シート10は、全体100重量部を基準として、約2~約15重量部の水分、約25~約90重量部の改質されたセルロースおよび約0.1内紙約60重量部の香料を含んでもよい。
【0101】
また、幾つかの実施形態において、香料シート10は、全体100重量部を基準として、約2~約15重量部の水分、約1~約60重量部の多糖類物質、約1~約60重量部のLM-ペクチンおよび約0.1~約60重量部の香料を含んでもよい。
【0102】
幾つかの実施形態において、可塑剤は、香料シート10全体100重量部を基準として、約0.1~約15重量部で含まれてもよく、好ましくは、約1~10重量部で含まれてもよい。例えば、香料シート10は、全体100重量部を基準として、約20~60重量部の多糖類物質、約10~50重量部の香料および約1~10重量部の可塑剤を含んでもよい。このような数値範囲内で適切な柔軟性(物理性)を有するシートを形成することができ、香料シート10に対する加工(例えば、クリンピング、ローリング、フォールディングなど)が容易で、作業性が向上することができる。例えば、可塑剤があまり少なく添加される場合には、シートの柔軟性が落ちて、工程中に容易に破損する恐れがあり、可塑剤があまり多く添加される場合には、シートが良好に形成されないことがある。
【0103】
以上では、本開示の幾つかの実施形態による香料シート10とその製造方法について説明した。以下では、図9図11を参照して上述したエアロゾル発生物品(例えば、100)が適用可能な多様な類型のエアロゾル発生装置1000について説明する。
【0104】
図9図11は、エアロゾル発生装置1000を示す例示的なブロック図である。具体的に、図9は、シガレット型エアロゾル発生装置1000を例示し、図10および図11は、液状とシガレットを共に利用するハイブリッド型エアロゾル発生装置1000を例示する。以下、各エアロゾル発生装置1000について説明する。
【0105】
図9に示されたように、エアロゾル発生装置1000は、ヒーター1300、バッテリー1100および制御部1200を含んでもよい。ただし、これは、本開示の目的を達成するための好ましい実施形態であり、必要に応じて一部の構成要素が追加されたり省略されてもよいことはもちろんである。また、図9に示されたエアロゾル発生装置1000のそれぞれの構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであり、複数の構成要素が実際の物理的環境では互いに統合される形態で具現されたり、単一の構成要素が複数の細部機能要素に分離される形態で具現されてもよい。以下、エアロゾル発生装置1000の各構成要素について説明する。
【0106】
ヒーター1300は、内部に挿入されたシガレット2000を加熱するように配置されてもよい。シガレット2000は、固体エアロゾル形成基材を含み、加熱されることによってエアロゾルを発生させることができる。発生したエアロゾルは、ユーザの口部を通じて吸入されることができる。ヒーター1300の動作、加熱温度などは、制御部1200により制御することができる。
【0107】
次に、バッテリー1100は、エアロゾル発生装置1000が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー1100は、ヒーター1300がシガレット2000に含まれたエアロゾル形成基材を加熱することができるように電力を供給することができ、制御部1200が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0108】
また、バッテリー1100は、エアロゾル発生装置1000に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)などの電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0109】
次に、制御部1200は、エアロゾル発生装置1000の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部1200は、ヒーター1300およびバッテリー1100の動作を制御することができ、また、エアロゾル発生装置1000に含まれた他の構成要素の動作を制御することができる。制御部1200は、バッテリー1100が供給する電力、ヒーター1300の加熱温度などを制御することができる。また、制御部1200は、エアロゾル発生装置1000の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置1000が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0110】
制御部1200は、少なくとも一つのプロセッサ(processor)により具現されてもよい。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサとこのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部1200が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを自明に理解することができる。
【0111】
以下では、図10および図11を参照してハイブリッド型エアロゾル発生装置1000について簡略に説明する。
【0112】
図10は、気化器1400とシガレット2000が並列に配置されたエアロゾル発生装置1000を例示し、図11は、気化器1400とシガレット2000が直列に配置されたエアロゾル発生装置1000を例示する。しかしながら、エアロゾル発生装置1000の内部構造は、図10および図11に例示されたものに限定されるものではなく、設計方式によって構成要素の配置が変更可能である。
【0113】
図10および図11で、気化器1400は、液状のエアロゾル形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽と、エアロゾル形成基材を吸収するウィク(wick)と、吸収されたエアロゾル形成基材を気化させてエアロゾルを発生させる気化要素と、を含んでもよい。気化要素は、加熱要素、振動要素などのように多様な形態で具現されてもよい。また、幾つかの実施形態において、気化器1400は、ウィクを含まない構造に設計されてもよい。
【0114】
気化器1400で発生したエアロゾルは、シガレット2000を通過してユーザの口部を通じて吸入されることができる。気化器1400の気化要素は、また、制御部1200により制御することができる。
【0115】
以上では、図9図11を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品(例えば、100)が適用可能な例示的なエアロゾル発生装置1000について説明した。
【0116】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】