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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】カテーテルの湿潤機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A61M25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564333
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 GB2021050979
(87)【国際公開番号】W WO2021214476
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2006059.6
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508080986
【氏名又は名称】コンバテック リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ケンドリック,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ランブレスセン,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】プフレガー,オリバー ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ヴロブレフスキ,ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァク,マリアン
(72)【発明者】
【氏名】カンドラーチュ,ルカーシュ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267HH16
(57)【要約】
本発明は、カテーテル10のチューブ12を湿潤させるための湿潤機構20に関する。湿潤機構20はカテーテルチューブ12の先端13またはその近位に配置されるハウジング16を含み、ハウジング16は保持チャンバ22および湿潤チャンバ23を含む。湿潤機構20は、保持チャンバ22内の流体の湿潤チャンバ23への放出を制御するための流体放出制御部品26を含む。カテーテルチューブ12の少なくとも一部は湿潤チャンバ23に導入可能および湿潤チャンバ23を通過可能であり、使用時にカテーテルチューブ12を湿潤させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構であって、
前記カテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において配置されるように構成されたハウジングを備え、
前記ハウジングは、
内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、
使用時に、前記カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、前記カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバと
を備え、
前記湿潤機構は、前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備える、湿潤機構。
【請求項2】
前記流体放出制御部品は、前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成を含む、請求項1に記載の湿潤機構。
【請求項3】
前記流体放出制御部品は、前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成を含む、請求項2に記載の湿潤機構。
【請求項4】
前記流体放出制御部品は、前記第1構成と前記第2構成との間で移動可能である、請求項3に記載の湿潤機構。
【請求項5】
前記流体放出制御部品は、前記第1構成と前記第2構成との間で直線的に移動可能および/または回転可能である、請求項4に記載の湿潤機構。
【請求項6】
前記流体放出制御部品は、前記流体放出制御部品の前記第1構成および前記第2構成に対応する第1位置および第2位置の間で前記湿潤機構内において直線的に移動可能であるプラグを含む、請求項5に記載の湿潤機構。
【請求項7】
前記プラグは、前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすように、前記湿潤機構から少なくとも部分的に引き出されるように構成されている、請求項6に記載の湿潤機構。
【請求項8】
前記プラグは、少なくとも初期状態において前記湿潤機構の前記湿潤チャンバ内に配置され、前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすために前記湿潤チャンバから少なくとも部分的に引き出されるように構成されている、請求項7に記載の湿潤機構。
【請求項9】
前記プラグは、前記湿潤機構から完全には引き出すことができないように構成されている、請求項6から8のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項10】
前記流体放出制御部品は、前記保持チャンバ内に配置された流体の収容部を含む、請求項1から9のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項11】
前記流体放出制御部品の前記第1構成は前記収容部がそのままその中に流体を収容している構成に対応し、前記流体放出制御部品の前記第2構成は前記収容部が破裂しているか、または前記収容部から流体を放出するために開かれている構成に対応する、請求項3に従属する場合の請求項10に記載の湿潤機構。
【請求項12】
前記湿潤機構は、使用時に、前記ハウジングに対するユーザの動作によって、前記収容部を破裂させるか、またはその他の方法で開くことができるように構成されている、請求項10または請求項11に記載の湿潤機構。
【請求項13】
前記ハウジングは、可撓性、圧縮性、および/または弾力性のある材料から少なくとも部分的に形成され、前記湿潤機構は、ユーザが前記ハウジングを圧縮、曲げ、および/または撓ませることによって、前記収容部を破裂させるか、またはその他の方法で開くことができるように構成されている、請求項12に記載の湿潤機構。
【請求項14】
前記カテーテルチューブの先端は少なくとも初期状態において前記湿潤チャンバの外に配置され、前記湿潤機構は使用時に前記カテーテルチューブの先端が前記湿潤チャンバに導入され、その中を移動できるように構成されている、請求項1から13のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項15】
前記湿潤機構は、使用時に、前記湿潤チャンバ内を移動する前記カテーテルチューブを湿潤させるために前記保持チャンバから前記湿潤チャンバに放出される流体が前記保持チャンバ内に保持されるように構成されている、請求項1から14のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項16】
前記湿潤チャンバに収容された流体を保持するように前記湿潤チャンバの入口および/または出口に設けられた弁装置を備える、請求項15に記載の湿潤機構。
【請求項17】
スリーブに結合されるように構成され、前記湿潤チャンバに放出された流体が使用時に結合された前記スリーブに流入して前記スリーブに沿って前記カテーテルチューブを湿潤させることができるように構成されている、請求項1から16のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項18】
前記流体放出制御部品は、前記第1構成において前記カテーテルチューブの前記湿潤チャンバ内へのおよび/または前記湿潤チャンバを通る挿入を防止するように構成され、前記第2構成において前記カテーテルチューブの前記湿潤チャンバ内へのおよび/または前記湿潤チャンバを通る挿入を可能にするように構成されている、請求項3または請求項3に従属する場合の請求項4から17のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項19】
前記保持チャンバから前記湿潤チャンバに放出された流体を保持するように構成されるとともに前記湿潤チャンバ内に配置された湿潤適用部を含む、請求項1から18のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項20】
前記湿潤適用部は、使用時に、前記カテーテルチューブが前記湿潤チャンバを通過する際に前記カテーテルチューブへの流体の適用を制御するように構成される、請求項19に記載の湿潤機構。
【請求項21】
前記湿潤適用部が使用時に前記カテーテルチューブが通って移動できる前記湿潤チャンバ内のチャネルを規定し、前記湿潤適用部が前記チャネルを通る前記カテーテルチューブの移動の際に前記湿潤適用部内に保持された流体が前記湿潤適用部から放出可能であるように構成されている、請求項20に記載の湿潤機構。
【請求項22】
前記ハウジングは、前記カテーテルのための把持要素を形成する、請求項1から22のいずれかに記載の湿潤機構。
【請求項23】
先端および末端を有するカテーテルチューブと、
使用時に、前記カテーテルチューブを湿潤させるために、前記カテーテルチューブの先端またはその近位に動作可能に結合された、請求項1から22のいずれかに記載の湿潤機構と
を備える、カテーテル。
【請求項24】
男性用導尿カテーテルである、請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
密封パッケージされたカテーテルであって、
前記湿潤機構が、密封パッケージ内の前記カテーテルチューブの先端またはその近位に動作可能に結合されている、請求項23または請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
請求項1から22のいずれかに記載の湿潤機構を用いてカテーテルチューブを湿潤させる方法であって、
前記方法は、
前記流体放出制御部品を動作させて前記保持チャンバから前記湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こし、
前記カテーテルチューブの先端を前記湿潤チャンバに導入して通過させることにより、前記カテーテルチューブの外面の少なくとも一部を湿潤させる
ことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時にカテーテルチューブを湿潤させるためのカテーテル(例えば尿道カテーテル)の湿潤機構に関するものである。本発明は、当該湿潤機構を備えるカテーテルと、カテーテルチューブを湿潤させるための方法とに及ぶものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、管路、血管、通路、または体腔に挿入して、液体や物質の注入、排出、取り出しを可能とするように、あるいは管路、血管、または通路などが開いたままとするように設計された中空のカテーテルチューブを含む医療機器である。尿道カテーテルは、尿道を通してユーザの膀胱に挿入する用途で設計され、膀胱から尿を排出する。
【0003】
快適さを最大化するとともに外傷および/または感染のリスクを最小化するために、カテーテルチューブの外面は、通常、ユーザによる挿入前に湿潤流体を用いて湿潤される。さらなる発展では、カテーテルチューブ自体が、湿潤流体の適用時に摩擦をさらに低減させる役割を果たす親水性部品(例えば親水性ポリマー)で構成されるか、親水性部品と一体化されるか、または親水性部品でコーティングされる。
【0004】
例えば、一部のカテーテルは、パッケージ内で湿潤流体に少なくとも部分的に浸漬されるようなパッケージで予め湿潤された状態で供給される。しかし、このような配置では、把持要素やファンネル(funnel)などのカテーテルチューブ以外のカテーテルの構成要素も濡れる可能性があるという点で問題がある。これによりユーザの経験に有害な影響が生じ、カテーテルチューブを必要に応じて保持したり方向付けたりすることが困難になる。これは、ユーザが自己カテーテルを行っている場合に特に問題となる。さらに、カテーテルが浸漬されていると、カテーテルの構成部品が長期にわたって湿気にさらされるため、カテーテルの保存寿命が事実上短くなる可能性がある。
【0005】
従って、使用時またはその直前に湿潤させることができるカテーテルを提供することが有利であると考えられる。
【0006】
これに対する試みとして、一部のカテーテルは、パッケージ内に破裂可能な収容部または小袋を含み、ユーザが破裂させて湿潤流体を放出できるパッケージで提供される。一般に、この場合、ユーザはパッケージを圧迫して収容部/小袋を破裂させる。しかし、このような配置では、湿潤流体がカテーテルの他の構成部品と接触することが許容される場合に、上述したものと同様の問題が発生する。
【0007】
従って、ユーザ経験を向上させるために、カテーテルチューブにのみ湿潤流体を供給する手段を含むカテーテルを提供することが有利であることがわかる。
【0008】
本発明の実施形態の目的は、先行技術による1つ以上の問題を克服するか、または少なくとも部分的に軽減することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構は内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバとカテーテルチューブの少なくとも一部が導入されてその中を移動させることができる湿潤チャンバとを有するハウジングを備え、湿潤機構は保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備える。
【0010】
本発明の一態様によれば、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において配置されるように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構は保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備える。
【0011】
有利なことには、保持チャンバからの流体の放出を制御してカテーテルシステムの他の構成部品と接触しないように流体を保持することで、特にカテーテルが使用前に不利に湿潤流体に浸漬され得る先行技術の問題を克服する。また、使用時点まで(または可能な限りその時点まで)カテーテルの構成部品の大部分が湿気にさらされるのを軽減することによってカテーテルの保存寿命を改善できる。さらに、カテーテルチューブが移動し得る湿潤チャンバへの湿潤流体の放出を制御することにより、カテーテルチューブの外面への湿潤流体の適用に対するより良好な制御が行われる。これにより、ユーザによる使用前のカテーテルチューブの表面全体の十分な湿潤を保証できる。
【0012】
以下に示す任意の特徴は、本発明の任意の態様に適宜適用できる。
【0013】
流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成を含んでもよい。流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を許容する第2構成を含んでもよい。流体放出制御部品は、第1構成と第2構成との間で移動可能であってもよい。例えば、一部の実施形態では、流体放出制御部品は、第1構成と第2構成との間で直線的に移動可能であってもよい。他の実施形態では、流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の流れを制御するために第1構成と第2構成との間で回転するように動作可能であってもよい。
【0014】
一部の実施形態では、流体放出制御部品は、プラグを含んでいる。プラグは、第1位置と第2位置との間で湿潤機構内において直線的に移動可能であってもよい。プラグは、第1角度位置と第2角度位置との間で回転可能であってもよい。例えば、プラグはネジ式であってもよく、湿潤機構の相補的なネジ面との相互作用を介して湿潤機構内に設けられてもよい。プラグの第1位置および第2位置(あるいは角度位置)は、流体放出制御部品の第1構成および第2構成に対応してもよい。
【0015】
特に好ましい一実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において配置されるように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構は保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備え、流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成と、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成とを含み、流体放出制御部品は流体放出制御部品の第1構成および第2構成に対応する第1位置および第2位置の間で湿潤機構内において直線的に移動可能なプラグを含む。
【0016】
実施形態では、プラグは、湿潤機構から少なくとも部分的に引き出されるように構成されてもよい。プラグは、少なくとも初期状態において、湿潤機構の湿潤チャンバ内に配置されてもよい。このような実施形態では、プラグは、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすために、湿潤チャンバから少なくとも部分的に引き出されるように構成されてもよい。プラグは、湿潤機構から一部のみ引き出されるように構成されてもよく、即ち湿潤機構から完全に引き出されないように構成されてもよい。プラグは、第1位置にあるか第2位置にあるかにかかわらず、ハウジングに取り付けられたままであるか、または他の方法で結合されたままであってもよい。他の実施形態において、プラグは、湿潤機構から完全に引き出すことができるように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態において、プラグは、初期状態において湿潤チャンバ内に配置されてもよく、使用時に保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすために湿潤チャンバから完全に引き出されてもよい。
【0017】
別の特に好ましい実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において配置されるように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構は保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備え、流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成と、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成とを含み、流体放出制御部品はその第1構成および第2構成に対応する第1位置および第2位置の間で湿潤機構内において直線的に移動可能なプラグを含み、プラグが湿潤機構から少なくとも一部引き出されて保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすように構成されている。
【0018】
別の特に好ましい実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端にまたはその近位に初期状態において位置するように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備え、流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成と、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成とを含み、流体放出制御部品はその第1構成および第2構成に対応する第1位置および第2位置の間で湿潤機構内において直線的に移動可能なプラグを含み、プラグが少なくとも初期状態において湿潤機構の湿潤チャンバ内に配置され、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすために湿潤チャンバから少なくとも一部引き出せるように構成されている。
【0019】
別の特に好ましい実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において位置するように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を備え、流体放出制御部品は、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成と、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成とを含み、流体放出制御部品はその第1構成および第2構成に対応する第1位置および第2位置の間で湿潤機構内において直線的に移動可能なプラグを含み、プラグが少なくとも初期状態において湿潤機構の湿潤チャンバ内に配置され、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすために湿潤チャンバから少なくとも一部引き出せるように構成され、プラグが湿潤機構から完全に引き出せないように構成されている。
【0020】
湿潤機構は、使用時に、湿潤機構からプラグを少なくとも部分的に引き出すと、保持チャンバ内の1つ以上の流体出口が開くように構成されていてもよい。1つ以上の流体出口は保持チャンバと湿潤チャンバとの間に流体連通を提供し、使用時に、1つ以上の流体出口を開くことによって保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にするようにしてもよい。
【0021】
湿潤機構は、プラグを第1位置および/または第2位置に保持するように構成されてもよい。
【0022】
例えば、一部の実施形態では、湿潤機構はユーザによって積極的に動作されない限りプラグを第1位置に保持し、保持チャンバからの流体の放出を防止するように構成されてもよい。有利なことには、これにより早まって流体が保持チャンバから放出される可能性および/またはカテーテルチューブが露出する可能性を防止または少なくとも低減できる。これはカテーテルチューブが使用時または使用時の可能な限り近くで湿潤されることを保証してカテーテルチューブの表面が完全に湿潤されることを保証できる。このような実施形態では、プラグは第1位置に付勢されていてもよく、ユーザはプラグを第2位置に移動させるために付勢に逆らって動作させることを要求されてもよい。プラグの少なくとも一部は、湿潤機構の他の構成部品、例えばハウジングの表面のリップまたは突起などに当接し、ユーザによって動作されない限り、プラグの第1位置からの移動を防止するようにしてもよい。このような当接部は、ユーザが力をかけて壊れるように構成されたプラグ上および/またはハウジング上の脆弱部分間に設けられてもよい。例えば、プラグと他の構成部品との間の当接部は、力の付加(例えば、ユーザがプラグをハウジングから引き抜く)が当接部を乗り越えてプラグを第2位置に移動させるのに十分であるように構成されてもよい。プラグは、当接部を超える際に「スナップ」または「クリック」してユーザに触感および/または聴覚的フィードバックを与えてもよい。
【0023】
実施形態では、湿潤機構は、プラグが第1位置に戻されるのを防止する第2位置にプラグを保持するように構成されてもよい。有利なことには、一旦動作すると、湿潤機構は「使用済み」構成として維持されるように構成されてもよく、これによりカテーテルおよび湿潤機構が未使用に見える構成、即ち、湿潤機構がまだカテーテルチューブを湿潤させるように動作可能であるように見える構成(そうでない場合もある)に戻せないようにすることができる。これにより、ユーザが(誤ってまたは意図的に)カテーテルを再使用する可能性を防止するか、または少なくとも低減できる。このような実施形態では、湿潤機構は、第2構成においてプラグの少なくとも一部が湿潤機構の他の構成部品(例えばハウジング)との当接関係をなし、プラグのさらなる移動を防止するように構成されてもよい。
【0024】
流体放出制御部品は、一部の実施形態において、収容部を含んでもよい。収容部は、保持チャンバ内に配置されてもよい。収容部は、流体を収容してもよい。収容部は、例えば、小袋、ブリスターパック、またはカプセルのうちの1つを含んでいてもよい。
【0025】
流体放出制御部品の第1構成は、収容部が無傷で、その中に流体を収容している構成に対応してもよい。流体放出制御部品の第2構成は、収容部が破裂しているか、またはその他の方法で収容部から流体を放出するように開かれている構成に対応してもよい。
【0026】
湿潤機構は、使用時に、ハウジング自体に対するユーザの動作によって、収容部を破裂させるか、または開くことができるように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、ハウジングは、少なくとも部分的に、可撓性、圧縮性、および/または弾力性のある材料から形成されている。このような実施形態では、湿潤機構は、ユーザがハウジングを圧縮、曲げ、および/または撓ませることによって、収容部が破裂され、またはその他の方法で開かれるように構成されてもよい。
【0027】
他の実施形態において、湿潤機構は、収容部との組み合わせで、プラグの形態をなす流体放出制御部品を含んでいてもよい。このような実施形態では、湿潤機構は、使用時に、プラグの動きによって、収容部が破裂するか、または開かれるように構成されてもよい。例えば、湿潤機構は、プラグの(少なくとも部分的な)引き出しの際、またはプラグの回転の際に収容部が圧縮されるように構成されてもよい。
【0028】
カテーテルチューブの先端は、少なくとも初期状態において、湿潤チャンバの外側に配置されてもよい。このような実施形態では、湿潤機構は、使用中に、カテーテルチューブの先端が湿潤チャンバに導入され、その中を移動できるように構成されてもよい。例えば、湿潤チャンバは、カテーテルチューブを湿潤チャンバに導入可能な入口を含んでいてもよい。一部の実施形態では、湿潤チャンバは、カテーテルチューブを湿潤チャンバから導出可能な出口を含んでいてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、湿潤機構は、保持チャンバから湿潤チャンバに放出される流体が内部に保持され、使用時において、カテーテルチューブがそこを通過する際にカテーテルチューブを湿潤させるように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、湿潤機構は、弁装置を含んでいてもよい。弁装置は、内部に含まれる流体を保持するために、湿潤チャンバの入口および/または出口に設けられてもよい。弁装置は、使用時にカテーテルがそこを通過できるように構成されてもよい。
【0030】
一部の実施形態では、湿潤機構は、スリーブに結合されるように構成される。湿潤機構はスリーブに結合されるように構成されてもよく、順に当該スリーブは湿潤機構をファンネルに結合でき、例えばファンネルはカテーテルチューブの末端に設けられるか、またはカテーテルチューブと一体的に形成される。湿潤機構は、湿潤チャンバに放出された流体がスリーブに流入し、スリーブに沿って流れてカテーテルチューブを湿潤させることができるように構成されてもよい。例えば、湿潤チャンバは、湿潤チャンバ内の流体が結合されたスリーブに流入してスリーブに沿って流れることを可能にする開口部をその中に含んでいてもよい。開口部は、カテーテルチューブへの入口であってもよい。
【0031】
一部の実施形態では、流体放出制御部品は、湿潤チャンバ内へのおよび/または湿潤チャンバを通るカテーテルチューブの挿入を防止するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、流体放出制御部品は、第1構成において、即ち流体が保持チャンバから湿潤チャンバに放出される前に、カテーテルチューブの湿潤チャンバへのおよび/または湿潤チャンバを通る挿入を防止するように構成されてもよい。有利なことには、早まって、カテーテルチューブが挿入されること、および/または湿潤チャンバを通って移動されることを防止することで、カテーテルチューブが湿潤流体の適用なしでは使用できないことを保証できる。これを達成するために、流体放出制御部品は、第1構成にあるときにカテーテルチューブ用の入口を少なくとも部分的に塞ぐように構成されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、流体放出制御部品の一部は、カテーテルチューブ用の入口内に少なくとも部分的に受けられて、カテーテルチューブの湿潤チャンバへの挿入を防止してもよい。流体放出制御部品の一部は、柔軟で圧縮可能であり、かつ/または、弾力性のある材料を含んでもよく、これは第1構成の流体放出制御部品の状態でカテーテルチューブ用の入口内で圧縮されてもよい。
【0032】
流体放出制御部品は、流体放出制御部品を第2構成に切り替える(例えば、移動させる)と、第2構成においてカテーテルチューブの湿潤チャンバへのおよび/または湿潤チャンバを通る挿入が可能になるように構成されてもよい。言い換えれば、流体放出制御部品を第2構成に切り替える/移動させることで、保持チャンバ内から流体を放出する動作と、カテーテルチューブが湿潤チャンバを通して挿入および/または移動されることに対する障害を取り除く動作との両方を行ってもよい。
【0033】
一部の実施形態において、湿潤機構は、湿潤適用部を含んでいる。湿潤適用部は、湿潤チャンバ内に配置されてもよい。湿潤適用部は、保持チャンバから湿潤チャンバに放出された流体を保持するように構成されてもよい。湿潤適用部は、使用時に、カテーテルチューブが湿潤チャンバを通過する際のカテーテルチューブへの流体の適用を制御するように構成されてもよい。
【0034】
特に好ましい実施形態は、カテーテルのチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において配置されるように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を含み、湿潤機構が湿潤チャンバの中に配置されて保持チャンバの中から湿潤チャンバの中に放出された流体を保持するよう構成されている湿潤適用部を備える。
【0035】
別の特に好ましい実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において位置するように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を含み、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバに放出された流体を保持するように構成された湿潤チャンバ内に配置された湿潤適用部を含み、湿潤適用部が、使用時に、カテーテルチューブが湿潤チャンバを通過する際のカテーテルチューブへの流体の適用を制御するように構成されている。
【0036】
湿潤適用部は、吸収性材料を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、湿潤適用部は、使用時に、湿潤流体を吸収するように動作可能な、スポンジ材、発泡材、またはウィッキング材を含む。他の実施形態において、湿潤適用部は、バッフル装置を含んでいてもよい。バッフル装置は、湿潤適用部内に保持された流体の一部を保持するように構成された湿潤適用部の複数の小領域をそれぞれ画定してもよい。
【0037】
湿潤適用部は、湿潤チャンバ内にチャネルを画定してもよい。湿潤適用部は、使用時に、カテーテルチューブが通過可能な湿潤チャンバ内のチャネルを画定してもよい。湿潤機構は、カテーテルチューブが湿潤チャンバ内を移動する際(例えば、湿潤適用部によって規定されるチャネルに沿って移動する際)に、湿潤適用部と接触して移動するように構成されてもよい。実施形態において、湿潤適用部は、湿潤適用部内に保持された流体が湿潤チャンバを通るカテーテルチューブの移動時にそこから放出され得るように、好ましくは自動的に放出されるように構成されてもよい。
【0038】
別の特に好ましい実施形態は、カテーテルチューブを湿潤させるための湿潤機構を提供し、湿潤機構はカテーテルチューブの先端またはその近位に初期状態において位置するように構成されたハウジングを備え、ハウジングは内部に所定体積の流体を含むための保持チャンバと、使用時に、カテーテルチューブの少なくとも一部が導入され、その中を移動させて、カテーテルチューブの少なくとも一部を通過させることができる湿潤チャンバとを備え、湿潤機構が保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を制御するための流体放出制御部品を含み、湿潤機構が湿潤チャンバ内に配置されて保持チャンバから湿潤チャンバに放出される流体を保持するように構成された湿潤適用部を含み、湿潤適用部は使用時にカテーテルチューブが湿潤チャンバを通過する際のカテーテルチューブへの流体の適用を制御するように構成され、湿潤適用部は、使用時に、カテーテルチューブが湿潤チャンバを通過できるチャネルを規定し、湿潤適用部は湿潤適用部内に保持された流体がチャネルを通るカテーテルチューブの移動時にそこから放出され得るように構成されている。
【0039】
保持チャンバは、例えば、最大0.25ml、または最大0.5ml、または最大0.75ml、または最大1.0ml、または最大1.5ml、または最大2.0ml、または最大2.5ml、または最大3.0ml、または最大4.0ml、または最大5.0ml、または最大7.5ml、または最大10mlの湿潤流体を保持できるよう構成されてもよい。
【0040】
実施形態では、ハウジングは、カテーテルの把持要素を形成してもよい。使用中、把持要素は、カテーテルの適用を制御するためにユーザによって使用されてもよい。例えば、把持要素は、カテーテルチューブを尿道の近くに保持して、ユーザがチューブそのものに触れることなくカテーテルチューブを誘導するのを補助するために使用できる。実施形態では、ハウジングは円錐外形からなる場合がある。円錐外形は、そこでハウジングがカテーテルの把持要素を形成する場合には有利となる場合がある。
【0041】
流体放出制御部品がプラグを含む実施形態では、プラグは円錐外形を構成してもよい。プラグは、中空または実質的に中空の内部を含んでいてもよい。円錐外形と組み合わされる場合、このようなプラグは、使用時にカテーテルチューブの位置を特定するのに役立つカップ形状の要素を形成してもよい。このカップは、例えば、湿潤直後にカテーテルチューブを尿道に容易に挿入できるように、ハウジングを陰茎の先端に位置付けるために使用できる。
【0042】
一部の実施形態において、ハウジングおよびプラグは、両方とも円錐外形を構成する。そのような実施形態では、湿潤機構は、ハウジングとプラグとが一緒になって実質的に砂時計型の外形を形成するように構成されてもよい。砂時計型の形状は、ユーザが湿潤機構を動かすこと、即ち、片手だけでプラグをハウジングから取り外す(または少なくとも部分的に取り外す)ことを可能にするという点で特に有利となる場合がある。
【0043】
本発明の一態様によれば、先端および末端を有するカテーテルチューブと、使用時に、カテーテルチューブを湿潤させるためにカテーテルチューブの先端またはその近位に動作可能に結合された任意の前述の態様の湿潤機構とを備えるカテーテルを提供する。
【0044】
カテーテルは、ファンネルを含んでいてもよい。ファンネルは、カテーテルチューブの末端またはその近位に設けられていてもよい。ファンネルは、カテーテルチューブ内から流体を排出するための流体排出口を含んでいてもよい。
【0045】
実施形態では、カテーテルは、スリーブを含んでいる。スリーブは、カテーテルチューブのまわりに配置されてもよい。実施形態では、スリーブは、カテーテルチューブの少なくとも一部のまわりに内部容積を画定してもよい。スリーブは、可撓性材料を含んでもよい。スリーブは、薄くてもよく、容易にくしゃくしゃにされてもよい。例えば、スリーブは、プラスチック材料のフィルムで形成されてもよく、例えば低密度ポリエチレンであってもよい。
【0046】
スリーブは、湿潤機構に結合されてもよい。例えば、スリーブは、第1の端で湿潤機構に結合されてもよい。このような実施形態では、スリーブは第2の反対端でカテーテルチューブの末端またはその近位にあるファンネルに結合されてもよい。このように、スリーブは、カテーテルチューブの先端またはその近位にある湿潤機構と、カテーテルチューブの末端またはその近位にあるファンネルとの間でカテーテルチューブまわりの内部容積を画定してもよい。
【0047】
カテーテルは、湿潤機構の湿潤チャンバ内に放出された流体が、使用時に、スリーブに流入し、スリーブに沿って流れてカテーテルチューブを湿潤させることができるように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、湿潤機構のハウジングは、湿潤チャンバ内の流体がスリーブに流入することを可能にする穴または開口部をその中に含む。
【0048】
カテーテルは、尿道カテーテルであってもよい。カテーテルは、女性用尿道カテーテルであってもよいが、好ましくは男性用尿道カテーテルである。カテーテルは、単回使用カテーテルであってもよい。カテーテルは、間欠式尿道カテーテルであってもよい。
【0049】
カテーテルチューブは、最大で35cmの(場合によってはそれ以上の)長さを有していてもよい。カテーテルチューブは、例えば、最大もしくは最小で20cm、最大もしくは最小で25cm、最大もしくは最小で30cm、最大もしくは最小で35cm、または、最大もしくは最小で40cmの長さであってもよい。実施形態では、カテーテルチューブは40cm以上の長さであってもよい。好ましい実施形態では、カテーテルチューブは25-35cmの長さの間である。男性用カテーテルは、通常、このような長さのカテーテルチューブを有し、流体がチューブの全長を十分にカバーしない可能性があるため、末端(本発明のように先端とは反対)からカテーテルチューブを湿潤させる機構にはあまり適さないであろう。このため、先端が最後に濡れる(あるいは液体が不十分な場合は全く濡れない)可能性があり、これは先端が最初に尿道に導入されるため好ましくなく、使用前に十分に濡れていないと負傷させる可能性が高い。従って、本発明は、特に男性用カテーテルに適している。
【0050】
カテーテルチューブは、親水性部品を含んでもよいし、親水性部品と一体化されていても、親水性部品でコーティングされていてもよい。親水性部品は、湿潤流体の適用に際してカテーテルチューブの低摩擦面(例えば外面)を提供するように構成されてもよい。親水性部品は、例えば親水性ポリマーを含んでもよい。
【0051】
本発明の一態様によれば、湿潤機構が密封パッケージ内のカテーテルチューブの先端またはその近位に動作可能に結合されている、本発明の前述の態様の密封パッケージされたカテーテルを提供する。
【0052】
本発明の一態様によれば、ここで記載の任意の態様の湿潤機構を用いてカテーテルのチューブを湿潤させる方法を提供し、当該方法は、流体放出制御部品を動作させて保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすステップと、カテーテルチューブの先端を湿潤チャンバに導入してその中を移動させ、それによってカテーテルチューブの外面の少なくとも一部を湿潤させるステップとを含む。
【0053】
流体放出制御部品を動作させることは、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を防止する第1構成から、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を可能にする第2構成まで流体放出制御部品を動かすことを含んでいてもよい。
【0054】
一部の実施形態では、流体放出制御部品はプラグを含み、方法は流体放出制御部品を動作させるために湿潤機構からプラグを少なくとも部分的に引き出すことを含んでいてもよい。この方法は、プラグを湿潤チャンバから少なくとも部分的に引き出して、保持チャンバから湿潤チャンバへの流体の放出を引き起こすことを含んでいてもよい。この方法は、プラグを湿潤機構から完全に引き出して、流体を保持チャンバから湿潤チャンバに放出させることを含んでいてもよい。
【0055】
流体放出制御部品は、例えば、小袋、ブリスターパック、またはカプセルなどの収容部を含んでいてもよく、方法は、そこから流体を放出するために収容部を破裂させることまたは開くことを含んでもよい。この方法は、ハウジングを圧縮、曲げ、および/または撓ませて収容部を破裂させるか、またはその他の方法で開くことを含んでいてもよい。
【0056】
他の実施形態では、湿潤機構は、収容部と組み合わせで、プラグの形態をなす流体放出制御部品を含んでもよく、方法は湿潤機構からプラグを少なくとも部分的に引き出して収容部を破裂させるか、または開くことを含んでいてもよい。例えば、この方法は、湿潤機構からのプラグの少なくとも部分的な引き出しの際に、保持チャンバ内で収容部を圧縮することを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の第1実施形態の概略図。
図2図1におけるA部の概略側断面図。
図3A】先の図の実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図3B】先の図の実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図3C】先の図の実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図4A】先の図に示された実施形態の他の使用動作を示す一連の他の概略断面図。
図4B】先の図に示された実施形態の他の使用動作を示す一連の他の概略断面図。
図4C】先の図に示された実施形態の他の使用動作を示す一連の他の概略断面図。
図5A】本発明の第2実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図5B】本発明の第2実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図5C】本発明の第2実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図6A】本発明の第3実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図6B】本発明の第3実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図6C】本発明の第3実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図7A】本発明の第4実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図7B】本発明の第4実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図7C】本発明の第4実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図8A】本発明の第5実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図8B】本発明の第5実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図8C】本発明の第5実施形態の使用動作を示す一連の概略断面図。
図9】本発明の第6実施形態を示す斜視図。
図10A図9に示す実施形態の使用動作を示す一対の側面図。
図10B図9に示す実施形態の使用動作を示す一対の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
次に、本発明をより明確に理解するために添付図面を参照しながら単に例として1つ以上の実施形態を説明する。
【0059】
概して、本発明は、カテーテル10,310に関し、具体的には使用時にカテーテル10,310のチューブ12,312を湿潤させる用途で構成された湿潤機構20,20’,120,220,220’,320に関するものである。
【0060】
図面には、本発明の一連の実施形態を示している。実施形態間で同等の構成要素が存在する場合、同様の参照符号を使用する。
【0061】
図1~4Cは、カテーテル10のチューブ12を湿潤させるのに用いる湿潤機構20の第1実施形態を示している。
【0062】
カテーテル10はカテーテルチューブ12を含み、カテーテルチューブ12の先端(その近位)13には湿潤機構20が設けられ、カテーテルチューブ12の末端14にはファンネル(funnel)30が設けられている。湿潤機構20とファンネル30との間には、カテーテルチューブ12を囲むようにスリーブ18が設けられている。ここで、スリーブ18は、可撓性材料で形成され、第1端部で湿潤機構20のハウジング16に結合され、第2端部でファンネル30に結合されている。このようにして、スリーブ18は、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させるために流体が導入され得るカテーテルチューブ12まわりの内部容積を画定する。
【0063】
上述したように、カテーテルチューブ12は、先端13と末端14とを有する。先端13は、カテーテルチューブ12を、管路、血管、通路、または体腔等に挿入して、そこから流体を除去するための先端部を含む。ここでは、カテーテル10は、先端が男性患者の膀胱に挿入されるように構成された男性用尿道カテーテル10である。カテーテルチューブの先端13は、カテーテルチューブ12の内部に流体を入れるための穴34をその中に含んでいる。カテーテルチューブ12の末端14は、ファンネル30内に設けられている。具体的には、カテーテルチューブ12の末端14は、ファンネル30内に位置し、ファンネル30内に開口しており、ファンネル30はカテーテルチューブ12内から流体を排出するための出口として機能する流体出口32を画定している。カテーテルチューブ12自体は親水性コーティングを含み、親水性コーティングは湿潤流体の適用によりカテーテルチューブ12の低摩擦外面をもたらすように作用する。
【0064】
湿潤機構20は、カテーテルチューブ12の先端13に(少なくとも初期状態において)配置された管状のハウジング16を含んでいる。このハウジング16は保持チャンバ22を含み、保持チャンバ22はカテーテルチューブ12を湿潤させるための所定体積の流体24をその中に含んでいる。使用時には、ここで説明するように、流体24は、保持チャンバ22からハウジング16内の開口部27を通じてハウジングの湿潤チャンバ23に放出されることがある。湿潤チャンバ23は、ハウジング16の別個の管状部を画定しており、管状部の中にカテーテルチューブ12の少なくとも一部を導入して移動させることができる。従って、流体24を湿潤チャンバ23内に放出し、その後、湿潤チャンバ23を通してカテーテルチューブ12を移動させることによって、カテーテルチューブ12の外面を流体24によって湿潤させることができる。
【0065】
湿潤機構20は、プラグ26の形態の流体放出制御部品を含んでいる。ここで記載するように、プラグ26は、保持チャンバ22から湿潤チャンバ23への流体24の放出を制御するように構成されている。図示の実施形態では、プラグ26は、実質的に円筒形であり、使用時にカテーテルチューブ12を移動可能なハウジング16の出口28を画定しているが、他の形状も同様に適用可能である。図1~3Aに示すように、プラグ26は、その一部が開口部27を塞ぐようにして湿潤チャンバ23内に初期配置される。これは、ここでは、プラグ26の第1位置または第1構成と呼ばれ、流体24の湿潤チャンバ23からの放出を防止する位置に対応する。リップ29は、ユーザのための作用点を規定するプラグ26の端部に設けられ、具体的には、ユーザがリップ29を掴んでプラグ26を動かすための梃子装置(leverage)を提供するためのものである。
【0066】
図3A~3Bは、水平方向における湿潤機構20の使用動作を示す。上述したように、初期状態において、湿潤機構20は、プラグ26が開口部27を塞ぐ第1位置にある第1構成で提供される(図3A)。湿潤機構20を動作させるために、プラグ26を湿潤チャンバ23から第2位置へと部分的に変位させる(即ち、そこから引き出す)(図3B)。そうすることで、プラグ26は、開口部27がもはや塞がれない位置まで移動し、流体24の保持チャンバ22から湿潤チャンバ23への放出が可能となる。ハウジング16の出口28からの流体の流出(または少なくとも大きな流出)は、供給される湿潤流体24が比較的少量(約2.5ml)であること、および流体24自体の表面張力のために防止される。プラグ26の外周面には、プラグ26を湿潤チャンバ23から取り外すことができる範囲を規定するためのノッチ36が設けられている。具体的には、ノッチ36は、プラグ26と、ハウジング16の端部に設けられた周方向内側に延びるフランジ38との間に接触点を提供する。
【0067】
そして、カテーテルチューブ12が湿潤チャンバ23を通過し、カテーテルチューブ12が湿潤流体24と接触する。従って、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させることができる。カテーテルチューブ12の先端13がプラグ26のリップ29を越えて移動してハウジング16の出口28を通って外に出ると、先端13はユーザによる挿入のために露出した状態になる。その後、ハウジング16は、ユーザが使用時にカテーテルチューブ12を方向付けるための把持要素として機能する。その後、ユーザは、チューブ12に直接接触せずに、ハウジング16を使用してカテーテルチューブ12の露出した先端13を容易に方向付けることができる。
【0068】
図4A~4Cは、先の図に示された湿潤機構20の他の使用動作を示すものである。具体的には、まず図4Aを参照して、ハウジング16は、プラグ26が保持チャンバ22からの湿潤流体24の放出を防止する第1位置にある状態で、鉛直方向に保持される。次に、プラグ26は、上述したのと同じ方法で湿潤チャンバ23から引き出され、開口部27の閉塞を解除し、それによって湿潤流体24を放出する(図4B)。ハウジング16がこの方向に保持された状態で、湿潤流体24は湿潤チャンバ23内に放出され、その後スリーブ18内およびカテーテルチューブ12の外面のまわりに放出される。このようにして、湿潤流体24はスリーブ18に沿って流れるようになり、それによってカテーテルチューブ12を湿潤させることができる。その後、カテーテルチューブ12は、湿潤チャンバ23内を移動し、プラグ26のリップ29を越えて、ユーザによる挿入のために先端13を露出させることができる。この場合でも、ハウジング16は、使用時に、カテーテルチューブ12がハウジング16を通って導出されて尿道に導入される際に、ユーザがカテーテルチューブ12を方向付けるための把持要素として機能する。
【0069】
図5A-5Cは、湿潤機構20の変形例を示している。具体的には、これらの図は、先の図に示された湿潤機構20と実質的に同様に構成された湿潤機構20’を示している。湿潤機構20’は、湿潤チャンバ23’内に配置された発泡導管40’の形態の湿潤適用部をさらに含む点で相違している。ここで詳細に説明するように、発泡導管は、保持チャンバ22’から湿潤チャンバ23’に放出された流体を保持するように構成され、使用時に、カテーテルチューブ12が湿潤チャンバ23’を通過する際のカテーテルチューブ12への流体の適用を制御するように構成されている。
【0070】
湿潤機構20’は、湿潤機構20と基本的に同様に機能し、保持チャンバ22’からの湿潤流体24’の放出を制御するように、2つの位置の間で移動可能なプラグ26’の形態で設けられた流体放出制御部品を有する。ここで、プラグ26’が第2位置に移動し、それによって開口部27’が解除されると、保持チャンバ22’内に含まれる流体24’は発泡導管40’に放出される。発泡導管40’は、その後にカテーテルチューブ12に適用するためにそこに放出された流体24’を保持する。具体的には、発泡導管40’は、湿潤チャンバ23’内にてチャネルを画定し、このチャネルを通じてカテーテルチューブ12が移動でき、発泡導管40’に接触できる。発泡導管40’は、カテーテルチューブ12が発泡導管40’と接触してそれに圧力を加えることによって、画定されたチャネルを通るカテーテルチューブ12の移動の際に、そこに保持された流体が放出されるように構成されている。このタイプの湿潤適用部は、湿潤流体24’がカテーテルチューブ12の外面全体に均一に適用されることを保証し、こぼれる可能性を低減するのに有利に構成されている。
【0071】
図6A図6Cは、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させるための本発明に係る湿潤機構120の他の実施形態を示す。
【0072】
湿潤機構20と同様に、湿潤機構120は、カテーテルチューブ12の先端13に(少なくとも初期状態において)配置されたハウジング116を含んでいる。ハウジング116は、この場合でも、カテーテルチューブ12を湿潤させるための所定体積の流体124をその中に含む保持チャンバ122と、流体124が(具体的にはハウジング116内の開口127を通して)放出され得る湿潤チャンバ123とを含んでいる。この場合でも、湿潤チャンバ123は、ハウジング116の別個の部分を画定し、当該部分を通じてカテーテルチューブ12の少なくとも一部を導入してそこを通過させることができる。
【0073】
湿潤機構120は、本実施形態における流体放出制御部品が流体124を放出してカテーテルチューブ12がチャンバ123を通過できるようにするためにチャンバ123から完全に取り外されなければならないプラグ126の形態で設けられている点で異なる。特に、プラグ126は、初期状態において図6Aに示される位置に設けられ、ハウジング116の湿潤チャンバ123内に概ね完全に設けられている。この位置では、ハウジング116の開口部127が閉塞され、保持チャンバ122からの流体123の放出が防止される。ここでは、これをプラグ126の第1位置または第1構成という。使用時には、プラグ126は湿潤チャンバ123から取り外されて、流体124が湿潤チャンバ123に放出される。これは、ユーザがプラグ126の作用部129を把持し、湿潤チャンバ123からプラグ126を引き出すことによって実行される(図6B参照)。プラグ126を取り外すと、使用時にカテーテルチューブ12を露出させることができるハウジング116の出口128が開く。湿潤機構20の場合と同様に、カテーテルチューブ12を、出口128を通して湿潤チャンバ123を通過させ、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させ、ユーザによる挿入のために先端13を露出させる。この場合も、ハウジング116は、使用時にユーザがカテーテルチューブ12を方向付けるための把持要素として機能する。
【0074】
図7A図7Cは、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させるための本発明に係る湿潤機構220の他の実施形態を示している。
【0075】
湿潤機構20,120と同様に、湿潤機構220は、カテーテルチューブ12の先端13に(少なくとも初期状態において)配置されたハウジング216を含んでいる。ハウジング216は、この場合でも、カテーテルチューブ12を湿潤させるための所定体積の流体224をその中に含む保持チャンバ222と、流体124が(具体的にはハウジング216内の開口227を通して)放出され得る湿潤チャンバ223とを含んでいる。湿潤チャンバ223は、この場合でも、ハウジング216の別個の部分を画定し、当該部分を通じてカテーテルチューブ12の少なくとも一部を導入して通過させることができる。
【0076】
湿潤機構220は、本実施形態における流体放出制御部品が、流体のプラグ収容部の形態で、具体的には、そこから湿潤チャンバ223に流体224を放出するために破裂させなければならない小袋226の形態で設けられている点で異なっている。具体的には、小袋226は、初期状態において図7Aに示す構成で、即ち流体がその中に含まれた状態で無傷で提供される。使用時には、ユーザがハウジング216に外力を加えることによって、即ち(図7Bに比喩的に示すように)ハウジング216を絞ることによって小袋226を破裂させる。小袋226は、変形可能な材料で形成されてもよいし、絞ることができる変形可能な部分を有してもよい。小袋226の破裂により、そこに含まれる流体が、ハウジング216内に設けられた開口部227を介して湿潤チャンバ223内に放出される。湿潤機構20,120と同様に、カテーテルチューブ12は、その後、ハウジング216の末端にある出口128を通って湿潤チャンバ223を通過し、カテーテルチューブ12の外面を湿潤させ、ユーザによる挿入のために先端13を露出させることができる。この場合でも、ハウジング216が、使用時に、カテーテルチューブ12を方向付けるためのユーザの把持要素として機能する。
【0077】
図8A-8Cは、湿潤機構220の変形例を示している。湿潤機構220’は、発泡導管240’の形態の湿潤適用部を追加的に含む点で異なる。発泡導管40’と同様に、発泡導管240’は、保持チャンバ222’から放出される流体を保持するように構成され、使用中にカテーテルチューブ12がハウジング216’を通過する際のカテーテルチューブ12への流体の適用を制御するように構成されている。湿潤機構220’は、湿潤機構220と本質的に同様に機能し、湿潤流体224’の放出を制御する破裂可能な小袋226’の形態で設けられた流体放出制御部品を有している。使用中、小袋226’を破裂させると、小袋226’に含まれる流体224’が、その後のカテーテルチューブ12への適用のために流体224’を保持する発泡導管240’に放出されることになる。ここで、小袋226’は保持チャンバ222’を画定し、発泡導管240’は使用時にカテーテルチューブ12が通過し得る湿潤チャンバ223’を画定している。
【0078】
図9~10Bは、カテーテル310と、使用時に、カテーテル310のチューブ312を湿潤させるように動作可能な湿潤機構320とに関する他の実施形態を示す。
【0079】
カテーテル10と同様に、カテーテル310は、カテーテルチューブ312を含み、カテーテルチューブ312の先端313に湿潤機構320が設けられ、カテーテルチューブ312の末端314にファンネル330が設けられている。湿潤機構320とファンネル330との間には、カテーテルチューブ12を囲むようにスリーブ318が設けられている。
【0080】
カテーテル310の先端313は、カテーテルチューブ312を管路、血管、通路、または体腔などに挿入してそこから流体を除去するための先端を含んでいる。ここでは、カテーテル310は、先端が男性患者の膀胱に挿入するために構成された男性用導尿カテーテル310である。カテーテルチューブ312の末端314は、ファンネル330内に設けられる。具体的には、カテーテルチューブ312の末端314は、ファンネル330内に位置し、カテーテルチューブ312内から流体を排出するための出口として機能する流体出口332を画定するファンネル330内へ開口する。ファンネル330は、カテーテルチューブ312からの流体の排出方向に対するユーザの制御を補助する形状である。カテーテルチューブ312自体は親水性コーティングを含み、親水性コーティングは湿潤流体の適用によりカテーテルチューブ12の低摩擦外面をもたらすように作用する。
【0081】
湿潤機構320は、ここで記載された湿潤機構20と同様の構成であり、図1~5Cまたは図7A~8Cのいずれかの実施形態の性質と同じ特徴を有するものであってもよい。湿潤機構320は、カテーテルチューブ312の先端313に(少なくとも初期状態において)配置されたハウジング316を含んでいる。ハウジング316は、カテーテルチューブ312を湿潤させるための所定体積の流体をその中に含む保持チャンバ(図示せず)を含んでいる。使用中、ここで記載されているように、流体は、プラグ326の動作下でハウジング316の保持チャンバから湿潤チャンバ(図示せず)に放出されてもよい。ここで記載される他の実施形態と同様に、流体を湿潤チャンバに放出し、その後、湿潤チャンバを通るようにカテーテルチューブ312を動かすことによって、カテーテルチューブ312の外面を流体で湿潤させることができる。プラグ326は、保持チャンバから流体を放出するために、図10Aに示す位置(第1位置)から図10Bに示す位置(第2位置)に移動可能である。具体的には、これらの位置間のプラグ326の移動によって、例えば、ハウジング316内の開口部の閉塞を解除するか、または小袋を破裂させて、流体の保持チャンバからの放出が可能となる。
【0082】
本実施形態では、プラグ326は円錐形の断面を有し、隆起した外面がユーザのための作用面を画定する。ハウジング316もまた、実質的に円錐形の外形であり、ハウジング316およびプラグ326の砂時計型の構成を画定するように配置されている。この配置は、図10Aおよび10Bに示されるように、片手のみを使用してプラグ326を操作することを可能にするので、特に有益である。具体的には、これらの図に示すように、ユーザは、親指と人差し指との間でハウジング316とプラグ326を握ってから、親指を使ってプラグ326を(図に示す方向で)上に押すか「ポップ(pop)」して流体を放出させることができる。さらに、円錐形のプラグ326はカップのような端部を有し、これは使用時のカテーテルチューブ312の尿道への挿入を助けるために、陰茎の先端上にハウジング316を配置することを容易にする。
【0083】
変形例では、流体放出制御部品(例えばプラグ26,126,326)は、湿潤流体の放出を制御するために、第1位置と第2位置との間(第1構成と第2構成との間)で代替的に回転可能であってもよい。例えば、プラグ26,126,326の回転(直線運動ではない)によってプラグ内の開口部を整列させ、ハウジング16,116,316内の開口部27,127または弁の閉塞を解除し、湿潤流体の放出を可能にしてもよい。
【0084】
変形例では、湿潤機構(例えば機構20)は、プラグ26を第1位置および/または第2位置に保持するように構成されてもよい。例えば、湿潤機構20は、プラグ26を第1位置に保持し、ユーザによって積極的に動作させない限り保持チャンバ22からの流体の放出を防止するように構成されてもよい。これは、例えば、ユーザが力をかけることによって壊れるように構成されたプラグ26および/またはハウジング16の脆弱部分間の当接部の形態で提供されてもよい。このようにして、プラグ26は、上記当接部を乗り越える際に「スナップ(snap)」または「クリック(click)」して、ユーザに触覚および/または聴覚的フィードバックを提供してもよい。湿潤機構20は、第2位置において、プラグ26の少なくとも一部が湿潤機構の他部品(例えば、ハウジング16)と当接関係に設けられ、プラグ26のさらなる移動を防止し、それによってプラグ26が第1位置に戻されないように構成されてもよい。
【0085】
変形例では、本発明の湿潤機構20,20’,120,220,320は、プラグ(例えばプラグ26)および破裂可能な収容部(例えば小袋226)の両方を含んでもよい。ここで、湿潤機構は、プラグの(少なくとも部分的な)引き出しの際に、またはプラグの回転の際に、収容部に対する圧縮を通じて収容部を破裂させることができるように構成されてもよい。
【0086】
変形例では、ハウジング(例えば、ハウジング16)は、湿潤流体がハウジングから放出されるのを防止する弁装置等を含んでもよい。例えば、ハウジングは、入口および/または出口において弁装置を有してもよい。弁装置は、カテーテルチューブ12,312がそこを通過することを可能にするように構成されてもよい。
【0087】
変形例では、流体放出制御部品(例えばプラグ26,126,326)は、第1位置にあるとき、即ち流体が保持チャンバから湿潤チャンバに放出される前に、湿潤チャンバへのおよび/または湿潤チャンバを通るカテーテルチューブの挿入を防ぐように構成され得る。これは、例えば、流体放出制御部品が、カテーテルチューブ12,312のための入口を少なくとも部分的に閉塞することを含んでもよい。
【0088】
変形例では、湿潤適用部は、使用時に、湿潤流体を吸収するように動作可能なスポンジまたはウィッキング材料を含み、またはバッフル装置を含む。
【0089】
「できる」、「し得る」、「ことがある」、または「してもよい」などの条件付き言語は、特に断りがない限り、または使用される文脈内で理解される限り、一般に、特定の実施形態が特定の機能、要素、および/またはステップを含み、他の実施形態がこれらを含まないことを伝えることを意図している。従って、このような条件付き言語は、特徴、要素、および/またはステップが1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされること、または、1つ以上の実施形態がユーザの入力または促進の有無にかかわらずこれらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるかどうか、または実行されるかどうかについて決定する論理を必ず含むことを意味すること、を概して意図しているわけでない。
【0090】
1つまたは複数の実施形態は、例としてのみ上記されている。添付の特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 カテーテル
12 カテーテルチューブ(チューブ)
13 先端
14 末端
16 ハウジング
18 スリーブ
20,20’ 湿潤機構
22,22’ 保持チャンバ
23,23’ 湿潤チャンバ
24,24’ 湿潤流体
26 流体放出制御部品
26,26’ プラグ
27,27’ 開口部
28 出口
29 リップ
30 ファンネル
32 流体出口
34 穴
36 ノッチ
38 フランジ
40’ 発泡導管
116 ハウジング
120 湿潤機構
122 保持チャンバ
123 湿潤チャンバ
124 流体
126 プラグ
127 開口部
128 出口
129 作用部
216 ハウジング,216’ ハウジング
220,220’ 湿潤機構
222,222’ 保持チャンバ
223,223’ 湿潤チャンバ
224,224’ 流体
226,226’ 小袋
227 開口部
240’ 発泡導管
310 カテーテル
312 カテーテルチューブ
313 先端
314 末端
316 ハウジング
318 スリーブ
320 湿潤機構
326 プラグ
330 ファンネル
332 流体出口
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
【国際調査報告】