(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】マイクロニードルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230601BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230601BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230601BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/215 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/235 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/15 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/205 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/23 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/125 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/275 20060101ALI20230601BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20230601BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230601BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230601BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61M37/00 505
A61M37/00 520
A61M37/00 514
A61K9/70 401
A61K47/34
A61K47/04
A61K39/215
A61K39/235
A61K39/12
A61K39/245
A61K39/155
A61K39/21
A61K39/15
A61K39/205
A61K39/23
A61K39/125
A61K39/275
A61K39/145
A61P37/04
A61K45/00
A61K47/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564561
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021028361
(87)【国際公開番号】W WO2021221973
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
(72)【発明者】
【氏名】カノ,カミロ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA73
4C076BB31
4C076CC06
4C076DD27
4C076EE05
4C076EE24
4C076FF68
4C084AA17
4C084NA10
4C084ZA362
4C084ZB322
4C084ZC032
4C085AA03
4C085BA51
4C085BA52
4C085BA55
4C085BA56
4C085BA57
4C085BA61
4C085BA64
4C085BA65
4C085BA71
4C085BA74
4C085BA75
4C085BA77
4C085BA78
4C085EE01
4C085GG10
4C267AA72
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB24
4C267BB40
4C267CC05
4C267EE08
4C267GG04
(57)【要約】
対象(例えば、ヒト)の皮膚バリアにわたる薬剤化合物、例えば、ワクチン(例えば、ワクチン)の経皮送達、および/または対象における分析物の存在を検出することが可能なマイクロニードルアセンブリが提供される。マイクロニードルアセンブリは、先端および底部をそれぞれ含有する支持体であって、その一方または両方が液晶ポリマーを含むポリマー組成物から形成される、支持体上に配置された、複数のマイクロニードルを含む。ポリマー組成物の特異な成分およびその相対的な濃度を選択的に制御することによって、得られたマイクロニードルは、高度の物理的アライメントを示すことができ、それは、マイクロニードルアセンブリの使用中のより良好な性能を確実にするのに役立ち得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、少なくとも1種の所定の幾何学的パターンで配置されたマイクロニードルのアレイを含む、マイクロニードルアセンブリであって、前記マイクロニードルが、前記支持体に近接して位置する下位部、および長手方向において前記下位部から延びる、反対側の上位部を含む底部を含有し、先端が、前記長手方向において、前記底部の前記上位部から延び、端部で終端となり、前記先端、前記底部、またはその組み合わせが、液晶ポリマーを含有するポリマー組成物を含み、中心線が、前記長手方向において前記底部を通って延び、さらに前記マイクロニードルが、以下の式に従って決定される約20以下のオフセット因子k:
k=O/((L
1+L
2)/D)
(式中、
Oは、前記先端の前記端部が、前記長手方向に垂直な横方向の前記中心線からオフセットされる距離であり;
L
1は前記先端の長さであり;
L
2は前記底部の長さであり;かつ
Dは前記底部の幅である)
を示す、マイクロニードルアセンブリ。
【請求項2】
前記距離Oが、約100マイクロメートル以下である、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項3】
前記先端が、長さ約5~約500ナノメートルを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項4】
前記先端が、幅約0.5~約5マイクロメートルを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項5】
前記底部が、長さ約10~約1,000ナノメートルを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項6】
前記底部が、幅約5~約100マイクロメートルを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項7】
前記マイクロニードルが、長さ約10~約1,200ナノメートルを有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項8】
前記先端が、前記所定の幾何学的パターンから距離約100マイクロメートル以下だけオフセットされる、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項9】
前記所定の幾何学的パターンが、第1の方向に延びる第1の列であり、前記第1の列の前記マイクロニードルの前記先端が、前記第1の方向に垂直な第2の方向において、前記第1の列から距離約100マイクロメートル以下だけオフセットされる、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項10】
前記アレイが、前記第2の方向において延びる第2の列を含み、前記第2の列の前記マイクロニードルの前記先端が、前記第1の方向において、前記第2の列から距離約100マイクロメートル以下だけオフセットされる、請求項9に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項11】
前記先端の前記端部が、前記中心線に対して角度約15度以下で配向する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項12】
前記ポリマー組成物が、せん断速度1,000秒
-1で、前記融点を約30℃超える温度で、ISO試験11443:2014に準拠して測定された溶融粘度約100Pa・s以下を示す、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項13】
前記液晶ポリマーが、融点約280℃以上を有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項14】
前記ポリマー組成物が、温度約23℃で、ISO試験527:2012に準拠して測定された引張伸び約5%以下を示す、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項15】
前記ポリマー組成物が、荷重1.8メガパスカルでISO試験75-2:2013に準拠して測定された荷重たわみ温度約160℃以上を示す、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項16】
前記荷重たわみ温度の前記融点に対する比が約0.5~約1.00である、請求項15に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が、温度約23℃でISO試験527:2012に準拠して測定された引張弾性率約7,000MPa以上を示す、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項18】
前記液晶ポリマーが、1種もしくは複数の芳香族ジカルボン酸、1種もしくは複数の芳香族ヒドロキシカルボン酸、またはその組み合わせから誘導された繰り返し単位を含有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項19】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはその組み合わせを含む、請求項18に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項20】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、またはその組み合わせを含む、請求項18に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項21】
前記液晶ポリマーが、1種または複数の芳香族ジオールから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、請求項20に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項22】
前記芳香族ジオールが、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、またはその組み合わせを含む、請求項21に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項23】
前記液晶ポリマーが、全芳香族性である、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項24】
前記液晶ポリマーが、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはナフテン系ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位を約10mol.%以上の量で含有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項25】
前記液晶ポリマーが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された繰り返し単位を約30mol.%以上の量で含有する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項26】
液晶ポリマーが、前記ポリマー組成物の約30wt.%~約99wt.%を構成する、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項27】
前記ポリマー組成物が、無機充填剤をさらに含む、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項28】
前記無機充填剤が、粒子の形態である、請求項27に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項29】
前記粒子が、約10マイクロメートル以下のメジアン径を有する、請求項28に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項30】
前記粒子が、約0.6~約2.5マイクロメートルのメジアン径を有する、請求項28に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項31】
前記粒子がタルクを含む、請求項28に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項32】
前記ポリマー組成物が、トライボロジー添加材をさらに含む、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項33】
前記トライボロジー添加材が、フルオロポリマーを含む、請求項32に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項34】
前記底部が、前記ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項35】
前記先端が、ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項36】
前記アセンブリが、薬剤化合物を送達するように構成される、請求項1に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項37】
前記薬剤化合物が、タンパク質系化合物、ポリヌクレオチド剤、ワクチン、小分子薬、感染防止剤、ホルモン、心筋活動または血流を調節する薬剤、またはその組み合わせを含む、請求項36に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項38】
前記薬剤化合物が、分子量約1kDa以上を有する、請求項36に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項39】
前記薬剤化合物が、ウイルスワクチン抗原を含む、請求項36に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項40】
前記ワクチン抗原が、コロナウイルスワクチン抗原である、請求項39に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項41】
前記ワクチン抗原が、ウイルスベクター、弱毒生ウイルス、または不活性化ウイルスである、請求項39に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項42】
前記ウイルスワクチン抗原が、mRNA-1273、BNT162、Ad5-nCoV、ChAdOx1、bacTRL-スパイク、BCG、AdCovid、NVX-CoV2373、LV-SMENP、SARS組み換えスパイクタンパク質プラスデルタイヌリン、SARS VLPs Sタンパク質およびインフルエンザM1タンパク質、DNAワクチンVRC-SRSDNA015-00-VP、SARS-CoV Sを発現するVEEVレプリコン粒子、不活性化SARS-CoV-2のウイルスもしくはウイルスベクター、弱毒生SARS-CoV-2ウイルス、またはその組み合わせを含む、請求項39に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項43】
前記ウイルスワクチン抗原が、アデノウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス、フラビウイルス、ハンタウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、パラミクソウイルス、パルボウィルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、オルトミクソウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、ロタウイルス、海綿状ウイルス、トガウイルス、またはその組み合わせから誘導される、および/またはそれらに対する予防に使用される、請求項39に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項44】
前記薬剤化合物が、前記マイクロニードルの表面上に塗布される、請求項36に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項45】
前記マイクロニードルが中実である、請求項44に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項46】
前記マイクロニードルが、少なくとも1種のチャンネルであって、それを通って前記薬剤化合物が流れることが可能である前記チャンネルを含有する、請求項36に記載のマイクロニードルアセンブリ。
【請求項47】
薬剤化合物を対象に送達する方法であって、前記方法が:
請求項36に記載の経皮送達デバイスを対象の皮膚に隣接して設置するステップ;
前記マイクロニードルで皮膚の角質層を貫通するステップ;および
前記マイクロニードルから、かつ前記角質層にわたって前記薬剤化合物を輸送するステップ
を含む、方法。
【請求項48】
対象において分析物を検出する方法であって、前記方法が:
請求項1に記載の経皮送達デバイスを対象の皮膚に隣接して設置するステップ;
前記マイクロニードルで前記皮膚の角質層を貫通して、前記マイクロニードルが、前記対象の体液に接触するステップ;および
前記体液内の分析物の存在を検出するステップ
を含む、方法。
【請求項49】
前記体液が血液である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記分析物が、前記マイクロニードルの表面上で検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記マイクロニードルが中実である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記分析物がグルコースである、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記体液が、前記マイクロニードルを通して、前記対象から抜き出される、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、出願日2020年4月28日の米国特許仮出願第63/016560号、出願日2020年6月4日の米国特許仮出願第63/034429号、および出願日2020年8月25日の米国特許仮出願第63/069891号の出願された利益を請求するものであり、その全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]その相対的に高い分子量および粘度ゆえに、大部分のワクチンは、経口送達、注射、または点滴による対象への送達を要求する。残念ながら、これらの方法は、多様な理由で問題がある。例えば、注射は、大抵、痛みを与える、小さいゲージの針を使用し、ワクチンの送達のための長時間にわたって極めて高い圧力を要求することがある。経口送達は、同様に、消化管の上皮層によるワクチンの順調な吸収および消化物質による分解の回避を要求する。注射と経口送達との両方は、好ましい定常状態の送達よりも、ワクチンのバーストおよび系の濃度における大きな変動をもたらす傾向もある。点滴治療を使用して、血管、筋肉、または皮下結合組織にワクチンを直接送達することもできる。しかし、点滴治療は、侵襲的であり、点滴部位の感染リスクを増し、ポンプ、経皮管などの使用を必要とする。これらの課題の結果として、経皮送達デバイスによってワクチンを送達することも試されてきた。残念ながら、その相対的に小さいサイズゆえに、大抵、一貫したサイズおよび形状のマイクロニードルを製造することは複雑である。さらに、マイクロニードルは、大抵、互いに適切に配列されておらず、それにより、ワクチン投与量の一貫性のない送達が引き起こされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]したがって、現在、改善された経皮送達デバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一態様によれば、支持体に、少なくとも1種の所定の幾何学的パターンで配置されたマイクロニードルのアレイを含むマイクロニードルアセンブリが開示される。マイクロニードルはそれぞれ、支持体に近接して位置する下位部、および長手方向において下位部から延びる、反対側の上位部を含む底部を含有する。先端は、長手方向において、底部の上位部から延び、端部で終端となる。先端、底部、またはその組み合わせは、液晶ポリマーを含有するポリマー組成物を含む。さらに、中心線は、長手方向において底部を通って延び、マイクロニードルは、以下の式に従って決定される約20以下のオフセット因子k:
k=O/((L1+L2)/D)
(式中、
Oは、先端の端部が、長手方向に垂直な横方向の中心線からオフセットされる距離であり;
L1は先端の長さであり;
L2は底部の長さであり;かつ
Dは底部の幅である)
を示す。
【0005】
[0005]本発明の他の特質および側面は、以下にさらにより詳細に示される。
[0006]当業者への、本発明の最良の様式を含む、本発明の完全な開示および可能な開示は、添付の図を参照することを含め、本明細書の残りの部分でより詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0007]
図1は、本発明に従って形成され得るマイクロニードルアセンブリの模式的前面図である。
【
図2】[0008]
図2は、
図1のマイクロニードルアセンブリの模式的平面図である。
【
図3】[0009]
図3は、本発明のマイクロニードルアセンブリで用いられ得るマイクロニードルの一態様の模式図である。
【
図4】[0010]
図4は、本発明に従って形成され得るマイクロニードルアセンブリの別の態様の模式的前面図である。
【
図5】[0011]
図5は、説明の目的で、先端がオフセット位置に示される、
図3のマイクロニードルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0012]一当業者によって、本発明の議論が、例示的な態様のみの記載であり、本発明のより広義な側面を制限するものとして意図されないと理解されるべきである。
[0013]一般に、本発明は、対象(例えば、ヒト)の皮膚バリアにわたる薬剤化合物、例えば、ワクチン(例えば、ワクチン)の経皮送達、および/または対象における分析物の存在を検出することが可能なマイクロニードルアセンブリを対象とする。マイクロニードルアセンブリは、先端および底部をそれぞれ含有する支持体であって、その一方または両方が液晶ポリマーを含むポリマー組成物から形成される、支持体に配置された、複数のマイクロニードルを含む。本発明者は、ポリマー組成物の特異な成分およびその相対的な濃度を選択的に制御することによって、得られたマイクロニードルが、高度の物理的アライメントを示すことができ、それは、マイクロニードルアセンブリの使用中のより良好な性能を確実にするのに役立ち得ることを見出した。
【0008】
[0014]本発明の様々な態様はより詳細に説明される。
I ポリマー組成物
A 液晶ポリマー
[0015]液晶ポリマーは、一般に、ロッド状構造を保有することができる範囲で「サーモトロピック」に分類され、その溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)において結晶性挙動を示す。こうしたポリマーは、典型的には、融点約280℃以上、一部の態様において約300℃以上、一部の態様において約320℃以上、一部の態様において約330℃~約450℃を有する。当分野で知られているように、ポリマーは、1種または複数の種類の繰り返し単位から形成され得る。液晶ポリマーは、例えば、以下の式(I)で一般に表される、1種または複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有することができる:
【0009】
【0010】
(式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンもしくは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の、5員もしくは6員のアリール基に融合された、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の、5員もしくは6員のアリール基に結合した、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり;かつ
Y1およびY2は、独立して、O、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である)。
【0011】
[0016]典型的には、Y1およびY2のうち少なくとも一方はC(O)である。こうした芳香族エステル繰り返し単位の例には、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのY1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式Iにおいて、Y1はOであり、Y2はC(O)である)、およびその様々な組み合わせが挙げられ得る。
【0012】
[0017]例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸などから誘導された芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位、ならびにそのアルキル置換基、アルコキシ置換基、アリール置換基、およびハロゲン置換基、ならびにその組み合わせを用いることができる。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。用いられる場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの、約20mol.%以上、一部の態様において約25mol.%以上、一部の態様において約30mol.%以上、一部の態様において約40mol.%以上、一部の態様において約50モル%以上、一部の態様において約55mol.%~100mol.%、一部の態様において約60mol.%~約95mol.%を構成する。
【0013】
[0018]芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなどから誘導された芳香族ジカルボン酸繰り返し単位、ならびにそのアルキル置換基、アルコキシ置換基、アリール置換基、およびハロゲン置換基、ならびにその組み合わせも用いることができる。特に好適な芳香族ジカルボン酸には、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの、約1mol.%~約40mol.%、一部の態様において約2mol.%~約30mol.%、一部の態様において約5mol.%~約25%を構成する。
【0014】
[0019]ポリマーにおいて、他の繰り返し単位を用いることもできる。ある態様において、例えば、芳香族ジオール、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなどから誘導された繰り返し単位、ならびにそのアルキル置換基、アルコキシ置換基、アリール置換基、およびハロゲン置換基、ならびにその組み合わせを用いることができる。特に好適な芳香族ジオールには、例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの、約1mol.%~約50mol.%、一部の態様において約1~約40mol.%、一部の態様において約2mol.%~約40mol.%、一部の態様において約5mol.%~約35mol.%、一部の態様において約5mol.%~約25%を構成する。
【0015】
[0020]例えば、芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)から誘導された繰り返し単位を用いることもできる。用いられる場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの、約0.1mol.%~約20mol.%、一部の態様において約0.5mol.%~約15mol.%、一部の態様において約1mol.%~約10%を構成する。様々な他のモノマー繰り返し単位がポリマーに組み込まれることがあるとも理解されたい。例えば、ある態様において、ポリマーは、非芳香族モノマー、例えば、脂肪族または脂環式のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどから誘導された、1種または複数の繰り返し単位を含有することができる。勿論、他の態様において、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーから誘導された繰り返し単位を欠如する、「全芳香族性」であってもよい。
【0016】
[0021]ある態様において、液晶ポリマーは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸、例えば、NDA、HNA、またはその組み合わせから誘導された繰り返し単位の、相対的に高い含量を含有する範囲で、「高ナフテン系」ポリマーであってもよい。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはナフテン系ジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAおよびNDAの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の全量は、典型的には、ポリマーの、約10mol.%以上、一部の態様において約12mol.%以上、一部の態様において約15mol.%以上、一部の態様において約18mol.%以上、一部の態様において約30mol.%以上、一部の態様において約40mol.%以上、一部の態様において約45mol.%以上、一部の態様において、50mol.%以上、一部の態様において約55mol.%以上、一部の態様において約55mol.%~約95mol.%である。理論によって制限されることを意図せず、こうした「高ナフテン系」ポリマーは、水を吸収する、ポリマー組成物の傾向を減らすことができ、それは、マイクロニードルの加工可能性および適切なアライメントに役立ち得ると考えられる。すなわち、こうした高ナフテン系ポリマーは、典型的には、ISO62-1:2008に準拠して水中に24時間浸漬させた後、水吸収を約0.015%以下、一部の態様において約0.01%以下、一部の態様において約0.0001%~約0.008%有する。高ナフテン系ポリマーはまた、ISO62-4:2008に準拠して、温度23℃で湿った環境(50%相対湿度)に暴露した後の水分吸収を、約0.01%以下、一部の態様において約0.008%以下、一部の態様において約0.0001%~約0.006%有することもできる。
【0017】
[0022]一態様において、例えば、HNAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの、30mol.%以上、一部の態様において約40mol.%以上、一部の態様において約45mol.%以上、一部の態様において50mol.%以上、一部の態様において約55mol.%以上、一部の態様において約55mol.%~約95mol.%を構成することができる。こうした態様において、液晶ポリマーは、様々な他のモノマー、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸(複数可)(例えば、HBA)を約1mol.%~約50mol.%、一部の態様において約1mol.%~約20mol.%、一部の態様において約2mol.%~約10mol.%の量で;芳香族ジカルボン酸(複数可)(例えば、IAおよび/またはTA)を約1mol.%~約40mol.%、一部の態様において約5mol.%~約25mol.%の量で;および/または芳香族ジオール(複数可)(例えば、BPおよび/またはHQ)を約1mol.%~約40mol.%、一部の態様において約5mol.%~約25mol.%の量で含有することができる。別の態様において、NDAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの、10mol.%以上、一部の態様において約12mol.%以上、一部の態様において約15mol.%以上、一部の態様において約18mol.%~約95mol.%を構成することができる。こうした態様において、液晶ポリマーはまた、様々な他のモノマー、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸(複数可)(例えば、HBA)を約20mol.%~約60mol.%、一部の態様において約30mol.%~約50mol.%の量で;芳香族ジカルボン酸(複数可)(例えば、IAおよび/またはTA)を約2mol.%~約30mol.%、一部の態様において約5mol.%~約25mol.%の量で;および/または芳香族ジオール(複数可)(例えば、BPおよび/またはHQ)を約2mol.%~約40mol.%、一部の態様において約5mol.%~約35mol.%の量で含有することもできる。
【0018】
[0023]勿論、組成物において、「低ナフテン系」液晶ポリマーを、単独で、または「高ナフテン系」液晶ポリマーと組み合わせて用いることもできる。こうした低ナフテン系ポリマーにおいて、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはナフテン系ジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAおよびNDAの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の全量は、典型的には、ポリマーの、10mol.%未満、一部の態様において約8mol.%以下、一部の態様において約6mol.%以下、一部の態様において約1mol.%~約5mol.%である。
【0019】
[0024]ポリマーの特定の構成要素および性質にもかかわらず、液晶ポリマーは、エステル繰り返し単位(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)および/または他の繰り返し単位(例えば、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミンなど)を形成するのに使用される芳香族モノマー(複数可)を、反応容器中に初めに導入して、重縮合反応を開始することによって調製することができる。こうした反応に用いられる、特定の条件および工程は、周知であり、Calundannの米国特許第4161470号;Linstid、IIIらの米国特許第5616680号;Linstid、IIIらの米国特許第6114492号;Shepherdらの米国特許第6514611号;およびWaggonerの国際公開第2004/058851号においてより詳細に記載される。反応に用いられる容器は、典型的には、高粘度流体の反応において通常使用されるものを用いることが望ましいが、特に限定されない。こうした反応容器の例には、多様な形状の撹拌翼、例えば、アンカー型、多段階型、螺旋状リボン型、スクリュー軸型など、またはその改変された形状を備える撹拌機を有する撹拌槽型装置が挙げられ得る。こうした反応容器のさらなる例には、樹脂混練で通常使用される混合装置、例えば、混練機、ロールミル、バンバリーミキサーなどが挙げられ得る。
【0020】
[0025]必要に応じて、反応は、当分野で公知のモノマーのアセチル化によって進行することができる。これは、アセチル化剤(例えば、無水酢酸)をモノマーに添加することによって実現され得る。アセチル化は、一般に温度約90℃で開始される。アセチル化の初期の段階の間、還流を用いて、酢酸副生成物および無水物が蒸留し始める温度よりも低い気相温度を維持することができる。アセチル化中の温度は、典型的には、90℃~150℃の範囲であり、一部の態様において約110℃~約150℃の範囲である。還流が使用される場合、気相温度は、典型的には、酢酸の沸点を超えるが、残留無水酢酸を保持するのに十分なほど低いままである。例えば、無水酢酸は、温度約140℃で蒸発する。したがって、温度約110℃~約130℃で、気相還流を備える反応器を用意することが特に望ましい。実質的に完全な反応を確実にするために、過剰な量の無水酢酸を用いることができる。過剰な無水物の量は、還流の有無を含む、用いられる特定のアセチル化条件に応じて変えることができる。存在する反応物ヒドロキシル基の全モルに基づいた、無水酢酸の約1~約10モルパーセントの過剰量の使用は、珍しいことではない。
【0021】
[0026]アセチル化は、分離反応容器内で生じてもよく、または重合反応器内でin situで生じてもよい。分離反応容器が用いられる場合、モノマーの1種または複数を、アセチル化反応器に導入することができ、その後重合反応器に移すことができる。同様に、モノマーの1種または複数はまた、事前アセチル化を受けることなく、反応容器中に直接導入され得る。
【0022】
[0027]モノマーおよび任意選択のアセチル化剤に加えて、重合を容易にするのを助けるために、他の成分を反応混合物中に含むこともできる。例えば、触媒、例えば、金属塩触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、チタン酸テトラブチル、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)および有機化合物触媒(例えば、N-メチルイミダゾール)を場合により用いることができる。こうした触媒は、典型的には、反復単位前駆体の全重量に基づいて、約50~約500ppm(parts per million)の量で使用される。分離反応器が用いられる場合、決して必要条件ではないが、典型的には、重合反応器よりもむしろアセチル化反応器に触媒を適用することが望ましい。
【0023】
[0028]反応混合物は、一般に、重合反応容器内で高温まで加熱されて、反応物の溶融重縮合を開始する。重縮合は、例えば、約250℃~約380℃、一部の態様において約280℃~約380℃の温度範囲内で生じることができる。例えば、芳香族ポリエステルを形成するための、1つの好適な技術は、反応器内に前駆体モノマーおよび無水酢酸を装入するステップ、混合物を温度約90℃~約150℃まで加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化する(例えば、アセトキシを形成する)ステップ、次いで、温度を約280℃~約380℃に上げて溶融重縮合を実行するステップを含むことができる。最終重合温度に近づくと、反応の揮発性副生成物(例えば、酢酸)を除去して、所望の分子量を容易に得ることもできる。反応混合物は、重合中に撹拌され、良好な熱移動および質量移動を確実にし、次いで良好な材料均質性を確実にする。撹拌機の回転速度は、反応過程の間、様々であってもよいが、典型的には、約10~約100/分回転数(「rpm」)、一部の態様において約20~約80rpmの範囲である。溶融物中の分子量を構築するために、重合反応を、真空下で実行することもでき、その適用により、重縮合の最終段階中に生じる揮発性物質の除去が容易になる。真空は、例えば、約5~約30ポンド/平方インチ(「psi」)の範囲内、一部の態様において約10~約20psiの範囲内の吸引圧力の適用によって生じ得る。
【0024】
[0029]溶融重合の後、溶融ポリマーは、反応器から、典型的には、所望の輪郭のダイを装着した押出オリフィスを通して排出され、冷却され、回収され得る。通常、溶融物を、有孔ダイを通して排出して、水槽に取り上げてストランドを形成し、ペレット化し、乾燥させる。一部の態様において、溶融重合されたポリマーは、引き続いて固体状態重合法を施されて、その分子量をさらに増すこともできる。固体状態重合は、ガス(例えば、空気、不活性ガスなど)の存在下で実行することができる。好適な不活性ガスには、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなど、およびその組み合わせが挙げられ得る。固体状態重合反応容器は、所望の固体状態重合温度で所望の滞留時間で、ポリマーを維持することを可能にする、実質上任意のデザインのものであってもよい。こうした容器の例は、固定床、静止床、移動床、流動床などを備えるものであってもよい。固体状態重合が実施される温度は、様々であってもよいが、典型的には、約250℃~約350℃の範囲内である。重合時間は、勿論、温度および目標の分子量に基づいて変わることになる。しかし、大抵の場合、固体状態重合時間は、約2~約12時間、一部の態様において約4~約10時間になるであろう。
B 他の添加剤
[0030]一部の場合において、液晶ポリマーは、ポリマー組成物全体(例えば、100wt.%)を構成してもよい。しかし、ある態様において、目標の特性を得るのに役立つように、ポリマー組成物内に1種または複数の添加剤を含むことが望ましい場合がある。こうした態様において、ポリマー組成物は、典型的には、1種または複数の液晶ポリマーを、ポリマー組成物全体の、約30wt.%~約99wt.%、一部の態様において約40wt.%~約95wt.%、一部の態様において約50wt.%~約90wt.%の量で含有し、かつ1種または複数の添加剤を、ポリマー組成物の、約1wt.%~約70wt.%、一部の態様において約5wt.%~約60wt.%、一部の態様において約10wt.%~約50wt.%の量で含有する。
【0025】
[0031]用いられる場合、添加剤の特定の性質は様々であってもよい。例えば、ポリマー組成物は、粒子(例えば、プレートレット形状、フレーク形状など)、繊維などの形態であり得る無機充填剤を含有することができる。一態様において、例えば、無機充填剤には、粒子状無機充填剤、例えば、タルク、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、雲母、珪藻土など、およびその組み合わせが挙げられ得る。雲母および/またはタルクが特に好適であり得る。用いられる場合、本発明者は、相対的に小さいサイズの粒子状無機充填剤が、モールドキャビティの充填、および適切なマイクロニードルアライメントを確実にすることにおいてより役立つことを見出した。特定の一態様において、例えば、粒子状無機充填剤(例えば、タルク)は、約10マイクロメートル以下、一部の態様において約0.1~約8マイクロメートル、一部の態様において約0.5~約5マイクロメートル、一部の態様において約0.6~約2.5マイクロメートルのメジアン径(例えば、D50サイズ)を有することができる。珪酸塩の他に、他の好適な無機充填剤粒子には、炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(CaCO3)または炭酸水酸化銅(Cu2CO3(OH)2);フッ化物、例えば、フッ化カルシウム(CaFl2);リン酸塩、例えば、ピロリン酸カルシウム(Ca2P2O7)、無水リン酸二カルシウム(CaHPO4)、または水和リン酸アルミニウム(AlPO4・2H2O);ガラス(例えば、ガラス粉末)などが挙げられ得る。鉱物繊維(「ウィスカ」としても公知である)もまた、ポリマー組成物の無機充填剤として用いることができる。こうした鉱物繊維の例には、珪酸塩から誘導されたもの、例えば、ネオ珪酸塩(neosilicate)、ソロ珪酸塩、イノ珪酸塩(例えば、イノ珪酸カルシウム、例えば、珪灰石;イノ珪酸カルシウムマグネシウム、例えば、透角閃石;イノ珪酸カルシウムマグネシウム鉄、例えば、陽起石;イノ珪酸マグネシウム鉄、例えば、直閃石など)、フィロ珪酸塩(例えば、フィロ珪酸アルミニウム、例えば、パリゴルスカイト)、テクト珪酸塩など;硫酸塩、例えば、硫酸カルシウム(例えば、脱水または無水の石こう);鉱物ウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール);ガラスなどが挙げられる。特に好適なものは、イノ珪酸塩、例えば、商標名NYGLOS(登録商標)(例えば、NYGLOS(登録商標)4W、NYGLOS(登録商標)5、またはNYGLOS(登録商標)8)でNyco Mineralsより利用可能な珪灰石繊維である。上記のサイズ特徴を保有することに加えて、鉱物繊維は、相対的に高いアスペクト比(平均長さ割るメジアン幅)を有することもでき、機械的性質をさらに改善するのに役立つ。例えば、鉱物繊維は、約1~約50、一部の態様において約2~約20、一部の態様において約4~約15のアスペクト比を有することができる。こうした鉱物繊維の体積平均長さは、例えば、約1~約200マイクロメートル、一部の態様において約2~約150マイクロメートル、一部の態様において約5~約100マイクロメートル、一部の態様において約10~約50マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0026】
[0032]必要に応じて、マイクロニードルアセンブリで使用するために、低摩擦および良い耐水性の、良好な組み合わせを得るのに役立つように、トライボロジー添加材がポリマー組成物で用いられ得る。一態様において、例えば、トライボロジー添加材は、フッ素系添加剤を含むことができる。理論によって制限されることを意図せず、フッ素系添加剤は、とりわけ、例えば、より良好な成形充填、内部潤滑、離型などをもたらすことによって、組成物の加工性を改善することができると考えられる。ある態様において、フッ素系添加剤はフルオロポリマーを含むことができ、フルオロポリマーは、水素原子の一部または全てが、フッ素原子で置換された炭化水素骨格ポリマーを含有する。骨格ポリマーは、ポリオレフィンであってもよく、フッ素置換の不飽和オレフィンモノマーから形成されてもよい。フルオロポリマーは、こうしたフッ素置換モノマーのホモポリマー、またはフッ素置換モノマーのコポリマー、またはフッ素置換モノマーおよび非フッ素置換モノマーの混合物であってもよい。フッ素原子と共に、フルオロポリマーは、他のハロゲン原子、例えば、塩素原子および臭素原子で置換することもできる。本発明で使用される、フルオロポリマーを形成するのに好適な、代表的モノマーは、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテルなど、およびその混合物である。好適なフルオロポリマーの、特異な例には、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-パーフルオロアルキルビニルエーテル(perfluoroalkyvinylether))、フッ化エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンなど、およびその混合物が挙げられる。フッ素系添加剤は、フルオロポリマーのみを含有してもよく、または他の構成成分、例えば、ポリマー組成物内で均一に分散させる能力に役立つものを含むこともできる。一態様において、例えば、フッ素系添加剤は、複数の担体粒子と組み合わせたフルオロポリマーを含むことができる。こうした態様において、例えば、フルオロポリマーを担体粒子に被覆してもよい。珪酸塩粒子、例えば、タルク、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、雲母、珪藻土、珪灰石などは、この目的に特に好適である。雲母は、例えば、本発明で使用するのに特に好適な鉱物であり得る。担体粒子は、平均粒径約5~約50マイクロメートル、一部の態様において約10~20マイクロメートルを有することができる。必要に応じて、担体粒子はまた、その主軸の厚さに対する比が2以上である、板状粒子の形状であってもよい。
【0027】
[0033]ポリマー組成物において、多様な、他の追加の添加剤、例えば、潤滑剤、繊維充填剤(例えば、ガラス繊維)、熱伝導性充填剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、液垂れ防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、流動性改質剤、カップリング剤、抗菌剤、顔料、または他の着色剤、衝撃改質剤、および特性および加工可能性を高めるために添加される、他の材料が含まれてもよい。
II 形成
[0034]ポリマー組成物を形成するために使用される成分は、当分野で公知の多様な異なる技術のいずれかを使用して共に組み合わせることができる。特定の一態様において、例えば、液晶ポリマーおよび他の任意選択の添加剤は、ポリマー組成物を形成するために、押出成形機内で混合物として溶融加工される。混合物は、単軸または多軸の押出成形機で、温度約200℃~約450℃で溶融混練されてもよい。一態様において、混合物は、多数の温度区域を含む押出成形機で溶融加工されてもよい。個々の区域の温度は、典型的には、ポリマーの融点に対して約-60℃~約25℃以内で設定される。例として、混合物は、2軸押出成形機、例えば、Leistritz 18-mm共回転完全噛合2軸押出成形機を使用して溶融加工され得る。一般的な目的の軸設計を用いて混合物を溶融加工することができる。一態様において、成分の全てを含む混合物は、定量供給機によって第1のバレルの供給口まで供給され得る。別の態様において、知られているように、様々な成分を、押出成形機の様々な添加地点で添加することができる。例えば、ポリマーは、供給口で加えられ、ある種の添加剤(例えば、粒子状充填剤)は、それよりも下流に置かれる、同じ温度域または異なる温度域で供給され得る。しかし、得られた混合物は、溶融され、混合され、次いでダイを通して押し出され得る。次いで、押し出されたポリマー組成物は、水槽でクエンチされ、凝固およびペレタイザーで粒化され、続いて乾燥させることができる。
【0028】
[0035]得られたポリマー組成物は、全体的に、マイクロニードルに要求される小さい寸法中に容易に成形することが可能なほど十分に低い溶融粘度を有するように形成される。例えば、ポリマー組成物は、せん断速度1,000秒-1で、融点を約30℃超える温度(例えば、約380℃)で、ISO試験11443:2014に準拠して測定された溶融粘度約100Pa・s以下、一部の態様において約80Pa・s以下、一部の態様において約1Pa・s~約60Pa・s、一部の態様において約2~約50Pa・sを有することができる。ポリマー組成物はまた、せん断速度400秒-1で、融点を約30℃超える温度(例えば、約380℃)で、ISO試験11443:2014に準拠して測定された溶融粘度約150Pa・s以下、一部の態様において約100Pa・s以下、一部の態様において約5Pa・s~約90Pa・s、一部の態様において約10~約70Pa・sを有することができる。
【0029】
[0036]従来、こうした低い溶融粘度を示すポリマー組成物はやはり、実質的なアライメントにあるマイクロニードルの形成における使用のための、良好な物理的一体性を可能にし、一貫した形状およびサイズを有するのに十分に良好な熱的性質および機械的性質を保有しないと考えられた。しかし、従来の考えに反して、本発明者は、用いられる、特定の液晶ポリマー(複数可)および/または他の任意選択の材料を慎重に制御することによって、得られたポリマー組成物が、優れた熱的性質および機械的性質の両方を保有することも可能であると見出した。より詳細には、ポリマー組成物は、典型的には、ISO11357-2:2013に準拠して測定された融点約280℃以上、一部の態様において約300℃以上、一部の態様において約320℃以上、一部の態様において約330℃~約450℃を有する。こうした融点でさえも、荷重たわみ温度(「DTUL」)、短距離耐熱性の測定値の融点に対する比は、依然として、相対的に高くあることができ、それにより、とりわけ、マイクロニードルを形成するための高速加工の使用が可能になり得る。例えば、比は、約0.5~約1.00、一部の態様において約0.65~約0.95、一部の態様において約0.75~約0.85の範囲であってもよい。例えば、荷重1.8メガパスカルで、ISO試験75-2:2013(ASTM D648-07と技術的に同等)に準拠して測定された、特異なDTUL値は、例えば、約160℃以上、一部の態様において約200℃~約350℃、一部の態様において約220℃~約320℃、一部の態様において約250℃~約300℃であってもよい。
【0030】
[0037]ポリマー組成物は、一般に、本来硬くあることができ、したがって、マイクロニードルの形成中に所望される、物理的一体性の程度を維持することができる。こうした硬さは、一般に、低い引張伸びおよび/または高い引張弾性率によって特徴づけることができる。例えば、温度約23℃でISO試験527:2012に準拠して測定された引張伸びは、約5%以下、一部の態様において約4%以下、一部の態様において約0.1~約3.5%、一部の態様において約0.2%~約3%、および一部の態様において約0.5%~約2.5%であってもよい。例えば、温度23℃でISO試験527:2012に準拠して測定された引張弾性率は、同様に、約7,000MPa以上、一部の態様において約7500MPa以上、一部の態様において約8,000MPa~約25,000MPa、一部の態様において約8,500MPa~約20,000MPa、一部の態様において約9,000MPa~約15,000MPaであってもよい。ポリマー組成物はまた、他の良好な機械的性質も示すことができる。例えば、ポリマー組成物は、例えば、温度23℃でISO試験527:2012に準拠して測定された引張強度約10MPa以上、一部の態様において約50MPa以上、一部の態様において約70MPa~約300MPa、一部の態様において約80MPa~約200MPaを示すことができる。
【0031】
[0038]ポリマー組成物は、曲げ強度約40~約500MPa、一部の態様において約50~約300MPa、一部の態様において約100~約200MPa;曲げ破断ひずみ約0.5%~約15%、一部の態様において約0.6%~約10%、一部の態様において約1%~約5%;および/または曲げ弾性率約5,000MPa~約20,000MPa、一部の態様において約6,000MPa~約15,000MPa、一部の態様において約80,00MPa~約12,000MPaも示すことができる。曲げ特性は、23℃でのISO試験178:2010(ASTM D790-10と技術的に同等)に準拠して測定され得る。組成物は、23℃で、ISO試験179-1:2010(ASTM D256-10e1と技術的に同等)に準拠して測定された、ノッチなしおよび/またはノッチ付きのシャルピー衝撃強さ約1kJ/m2以上、一部の態様において約1.5~約30kJ/m2、一部の態様において約2~約20kJ/m2も示すことができる。
III マイクロニードルアセンブリ
[0039]マイクロニードルアセンブリは、典型的には、支持体から外側へ延びる、1種または複数のマイクロニードルを含む。例えば、エンボス加工(例えば、熱エンボス加工、ロール・ツー・ロール成形など);成形、例えば、微細成形、射出成形(例えば、低圧射出成形、ガス射出成形、発泡射出成形など)、圧縮成形(例えば、押出圧縮成形)、押出成形;印刷(例えば、三次元印刷)などの多様な技術のいずれかを用いて、マイクロニードルを形成することができる。例えば、その中にポリマー組成物を射出することができるモールドを備える射出成形装置を用いることができる。射出機内部の時間は、制御し、最適化することができ、ゆえにポリマーマトリックスは予め凝固されない。サイクル時間に到達し、バレルが満杯で排出される場合、ピストンを用いて組成物をモールドキャビティへ射出することができる。圧縮成形装置もまた用いることができる。射出成形と同様に、ポリマー組成物の所望の成形品への造形もまたモールド内で起こる。任意の公知の技術を使用して、例えば、自動ロボットアームで取り上げることによって、組成物を圧縮モールド中に設置することができる。モールドの温度を、ポリマーマトリックスの凝固温度以上で、所望の時間維持して、凝固を可能にする。成形生成物は、融点よりも低い温度まで下げることによって、凝固することができる。得られた生成物を離型することができる。それぞれの成形工程のサイクル時間は、ポリマーマトリックスに適するように、十分な接合を得るように、かつ全体の工程生産性を高めるように、調節することができる。
【0032】
[0040]
図1~4を参照すると、例えば、支持体120の表面121から外側へ延びる、複数のマイクロニードル110(例えば、マイクロニードルのアレイ)を含有する、マイクロニードルアセンブリ100の特定の一態様がより詳細に示される。支持体120はまた、ポリマー組成物から、および金属、セラミック、プラスチック、または他の材料の硬質シートまたは軟質シートから形成されてもよい。支持体120は、特定の用途の要求を満たすように、厚さにおいて様々であってもよく、例えば、約1,000マイクロメートル以下、一部の態様において約1~約500マイクロメートル、一部の態様において約10~約200マイクロメートルである。
【0033】
[0041]マイクロニードル110は、支持体120に多様なパターンで配置され得る。
図1~2に示すように、例えば、マイクロニードル110は、1種または複数の所定の幾何学的パターンを含むアレイに配置され得る。所定のパターン(複数可)は、必要に応じて、例えば、列、円形矩形、正方形、放物線など様々であり得る。アレイはまた、こうしたパターンの組み合わせ、例えば、グリッド、同心円などに配置された多数の列を含有してもよい。
図2において、例えば、アレイは、第1の方向「B」に延びる列102、および第1の方向「B」に全体的に垂直な、第2の方向「W」に延びる列104を含有するグリッドである。所与のパターン内のマイクロニードル110の間隔は、マイクロニードル110の高さおよび幅、ならびにマイクロニードルを通して移動させることが意図される、構成物質の量および種類などの、数多くの因子に応じて決まり得る。例えば、マイクロニードル110の先端間の間隔(
図1のS)は、約20マイクロメートル以上、一部の態様において約60~約800マイクロメートル、一部の態様において約100~約600マイクロメートルであってもよい。マイクロニードル110の底部間の間隔は、先端間の間隔と同じであっても、異なっていてもよい。ある態様において、例えば、マイクロニードルの底部間の間隔は、約50マイクロメートル以上、一部の態様において約100~約1,000マイクロメートル、一部の態様において約200~約800マイクロメートルであってもよい。アレイ内のマイクロニードル110の密度は、例えば、約2,000マイクロニードル/平方センチメートル(cm
2)以上、一部の態様において約3,000~約25,000マイクロニードル/cm
2、一部の態様において約5,000~約20,000マイクロニードル/cm
2など様々であってもよい。アセンブリ100で使用されるマイクロニードル110の数は、例えば、約500~約10,000、一部の態様において約2,000~約8,000、一部の態様において約4,000~約6,000の範囲であってもよい。
【0034】
[0042]マイクロニードルは、全体的に底部および先端を含有する。当分野で知られているように、これらの部分の特定のジオメトリー(例えば、形状およびサイズ)は様々であってもよい。
図3~4を参照すると、例えば、長手方向「y」に延び、底部113および先端112を含有するマイクロニードル110の一態様が示される。底部113は、横方向「x」(全体的に長手方向「y」に垂直)に延び、2つの、実質的に平行な側面の間で画定される、幅または直径「D」を有する。底部113は、全体的に、支持体120に近接して位置する下位部115、および長手方向「y」において下位部115から延び、先端112に近接して位置する、反対側の上位部117を含有することができる。ある態様において、
図3に示すように、上位部117は、上方端部114を画定するが、先端112は、上位部117との一体構造として形成されることがあり、したがって分離された端部は存在しない。マイクロニードルの先端112は、長手方向「y」において底部113の上位部117から延び、端部111で終端となる。
【0035】
[0043]先端112は、全体的に、幅または直径「D1」および長さ「L1」を有し、それらは、特定の用途に応じて様々であってもよい。例えば、先端112の長さは、約5~約500ナノメートル、一部の態様において約10~約200ナノメートル、一部の態様において約20~約100ナノメートルの範囲であってもよく、その一方で先端の幅は、約0.5~約5マイクロメートル、一部の態様において約0.6~約4マイクロメートル、一部の態様において約1~約3.5マイクロメートルの範囲であってもよい。同様に、底部113は、幅または直径「D」および長さ「L2」を有する。典型的には、底部の長さは、先端の長さよりも長い。底部113の幅は、先端112の幅と同じであっても、それよりも長くてもよい。例えば、マイクロニードルの底部は、長さ約10~約1,000ナノメートル、一部の態様において約20~約500ナノメートル、一部の態様において約30~約100ナノメートルを有することができ、その一方で、底部の幅は、約5~約100ナノメートル、一部の態様において約10~約80ナノメートル、一部の態様において約20~約70ナノメートルであってもよい。底部の断面長さ:幅のアスペクト比は、同様に相対的に高く、例えば、約2:1以上、一部の態様において約2:1~約20:1、一部の態様において約3:1~約10:1であってもよい。
【0036】
[0044]ある態様において、マイクロニードルは、全体的に凸形状を保有することができる。凸形状は、マイクロニードル全体または単にマイクロニードルの一部だけに拡がり得る。
図1において、例えば、凸形状は、先端112の端部111から底部113の下位部まで漸進的に先細る。しかし、他の態様において、凸形状は、マイクロニードルの長さ全体にわたって存在する必要はない。
図3~4において、例えば、凸形状は、先端112の端部111から底部113の上位部117までだけ拡がる。特定の幾何学的構成にもかかわらず、凸形状の程度は、様々であることができ、円錐角「α」によって特徴づけることができ、円錐角「α」は、先端112の外部表面と、長手方向「y」において底部113を通って延びる中心線「C」との間で測定される角度である。純粋な円錐形状を有するマイクロニードルについて、円錐角αは、突起110の長さに沿って全体的に一定である。しかし、他の場合において、円錐角αは、突起110の長さに沿って様々であってもよい。円錐角αは、例えば、約0~20度、一部の態様において約0~15度、一部の態様において約1~約15度、一部の態様において約2~約10度の範囲であってもよい。必要に応じて、マイクロニードルはまた、より一貫した、貫通深さを確実にするのに役立つ段差部分も含有することができる。段差部分は、全体的に、先端の外部表面および底部の外部表面からのオフセット距離をもたらす。再び
図3~4を参照すると、例えば、段差部分は、底部113の上部表面114に設けられ得る。これらの部分のそれぞれのオフセット距離は、様々であってもよいが、典型的には、0.1~約100マイクロメートル、一部の態様において約0.2~約50マイクロメートル、一部の態様において約0.5~約25マイクロメートルである。
【0037】
[0045]それぞれのマイクロニードルは、表皮の少なくとも最外層(すなわち、角質層)を貫通するのに十分なサイズのものである、全体の長さ「L」を有し得るが、場合により、真皮を通過するほどは長くない。例えば、長さは、約10~約1,200ナノメートル、一部の態様において約20~約600ナノメートル、一部の態様において約30~約200ナノメートルであってもよい。上記の図は、単一の部分のみを含有する、底部および先端を示すが、これらの構成部分のそれぞれは、多数のセクションから形成されてもよいことに留意されたい。例えば、ある態様において、底部は、支持体に近接して位置する第1のセクション、および第1のセクションの上に重なる第2のセクションから形成されてもよい。先端は、全体的に、第2のセクションの上に重なり、第2のセクションは、第1のセクションと同じサイズおよび/もしくは形状、または第1のセクションとは異なるサイズおよび/もしくは形状を有してもよい。
【0038】
[0046]用いられる特定の幾何学的構成にもかかわらず、本発明者は、マイクロニードルで用いられるポリマー組成物の特異な成分を選択的に制御することによって、得られたマイクロニードルが、高度の物理的アライメントを示し得ることを見出した。マイクロニードルの物理的アライメントは、多様な方法で特徴づけることができる。例えば、マイクロニードルの物理的アライメントを決定するための一方法は、以下の式に従って決定される「オフセット因子」k:
k=O/((L
1+L
2)/D)
(式中、
Oは、先端(例えば、先端端部)が、全体的に長手方向「y」に垂直である横方向「x」の中心線「C」からオフセットされる距離であり(
図3および
図5);
L
1は先端の長さであり(
図3);
L
2は底部の長さであり(
図3);かつ
Dはマイクロニードルの幅または直径である(
図3))
によるものである。
【0039】
[0047]
図5は、オフセット距離をより詳細に説明する。すなわち、説明の目的で、先端112の端部111は、横方向「x」の中心線「C」から距離「O」だけオフセットされたものとして示される。本発明で得られる高度のアライメントゆえに、オフセット因子は相対的に小さく、例えば、約20以下、一部の態様において約15以下、一部の態様において約10以下、一部の態様において約5以下、一部の態様において0~約4である。オフセット距離「O」の実際の値は、様々であってもよいが、典型的には、約100マイクロメートル以下、一部の態様において約80マイクロメートル以下、一部の態様において約50マイクロメートル以下、一部の態様において約25マイクロメートル以下、一部の態様において約15マイクロメートル以下、一部の態様において約10マイクロメートル以下、一部の態様において約5マイクロメートル以下、一部の態様において約1マイクロメートル以下、一部の態様において約0.5マイクロメートル以下である。同様に、
図5に示された説明において、先端112の端部111は、中心線「C」に対して、約15度以下、一部の態様において約10度以下、一部の態様において約5度以下の角度βで配向する。
【0040】
[0048]多数のマイクロニードルの物理的アライメントを決定するための、別の方法は、先端(例えば、先端端部)が、マイクロニードルが配置されるアレイの、望ましい所定の幾何学的パターン(例えば、列)から間隔を空ける距離を測定することによるものである。再び
図2を参照すると、例えば、所定の列102内のマイクロニードル110は、全体的に、先端111のそれぞれが、列102が延びる方向「B」に全体的に垂直である「W」方向において、列102からオフセットされ得るように配置される。オフセット因子「k」と同様に、所定の幾何学的パターンに対する、マイクロニードルの物理的アライメントの程度は、以下の式に従って決定されるオフセット因子「p」:
p=G/((L
1+L
2)/D)
(式中、
Gは、先端(例えば、先端端部)が、所定の幾何学的(geomatic)パターン(例えば、
図2の列102および/または列104)からオフセットされる距離であり;
L
1は先端の長さであり(
図3);
L
2は底部の長さであり(
図3);かつ
Dはマイクロニードルの幅または直径である(
図3))
によって特徴づけることができる。
【0041】
[0049]再度、本発明で得られる高度のアライメントゆえに、オフセット因子「p」は、相対的に小さくてもよく、例えば、約20以下、一部の態様において約15以下、一部の態様において約10以下、一部の態様において約5以下、一部の態様において0~約4であってもよい。オフセット距離「G」の実際の値は様々であってもよいが、典型的には、約100マイクロメートル以下、一部の態様において約80マイクロメートル以下、一部の態様において約50マイクロメートル以下、一部の態様において約25マイクロメートル以下、一部の態様において約15マイクロメートル以下、一部の態様において約10マイクロメートル以下、一部の態様において約5マイクロメートル以下、一部の態様において約1マイクロメートル以下、一部の態様において約0.5マイクロメートル以下である。同様に、所定の列104内のマイクロニードル110は、全体的に、先端111のそれぞれが、「B」方向において、第2の列104から、約5マイクロメートル以下だけ、一部の態様において約1マイクロメートル以下だけ、一部の態様において約0.5マイクロメートル以下だけオフセットされるように配置される。
【0042】
[0050]当分野で知られているように、マイクロニードルアセンブリが薬剤化合物を送達する方式は、様々であってもよい。ある態様において、例えば、薬剤化合物は、マイクロニードルの表面上に塗布されてもよい。多様な塗布技術、例えば、浸漬、噴霧、印刷(例えば、インクジェット印刷、スポッティング、非接触印刷、ドロップオンデマンド圧電式マイクロ分配など)を用いることができる。例えば、マイクロニードルを、マイクロニードルアレイに従って間隔を空けた浸漬孔を通して、薬剤化合物貯蔵器中に浸漬することができる。マイクロニードルはまた、薬剤化合物で噴霧塗布され、次いでガスで乾燥させることができる。さらに別の態様において、マイクロニードルは、印刷技術によって、薬剤化合物で塗布されてもよい。多様な好適な印刷技術は、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれた、Wangらの米国特許出願公開第2018/0326726号に記載される。例えば、ノズルの二次元アレイを通してポンプ室から流体薬剤化合物(または化合物を含有する流体)を分配する圧電式スタックアクチュエータを駆動部品として用いることができる。ノズルは、マイクロニードルと共に配列し、ゆえに分配された流体はその表面上に塗布される。
【0043】
[0051]例えば、上記のように、薬剤化合物が、マイクロニードルの表面上に塗布される態様において、マイクロニードルは、本質的に中実であってもよく、ゆえに流体送達用の中空チャンネルおよび/または孔を含まなくてもよい。こうした態様において、マイクロニードルアセンブリは、薬剤化合物の送達を駆動するための、従来の部品(例えば、薬剤貯蔵器、放出部材など)を必要としない。こうした中実マイクロニードルの例は、例えば、Meligaらの米国特許出願公開第2018/0264244号に記載され、その全体は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0044】
[0052]勿論、別の態様において、1種または複数のマイクロニードルは、受動的毛細管流れが、薬剤化合物の送達を駆動することができるように、ある寸法の1種または複数のチャンネルを含有することができる。例えば、マイクロニードルは、例えば、支持体の開口部を通して、薬剤化合物と流体連通する、少なくとも1種のチャンネルを画定することができる。こうしたチャンネルを、マイクロニードルの外部表面上および/または内部表面上に置くことができる。チャンネルの寸法は、薬剤化合物の毛細管流れを引き起こすように本発明において厳密に選択される。毛細管流れは、一般に、チャンネル壁に対する流体の付着力が液体分子間の凝集力よりも大きい場合に生じる。厳密には、毛細管圧は、チャンネルの断面寸法に反比例し、チャンネルを形成する材料に接触する流体の接触角の余弦を乗じた、液体の表面張力に正比例する。ゆえに、毛細管流れを容易にするために、より小さい寸法を有する、チャンネルの断面寸法(例えば、幅、直径など)は、選択的に制御することができ、より小さい寸法は、一般により高い毛細管圧をもたらす。例えば、一部の態様において、チャンネルの断面寸法は、約1マイクロメートル~約100マイクロメートル、一部の態様において約5マイクロメートル~約50マイクロメートル、一部の態様において約10マイクロメートル~約30マイクロメートルの範囲であってもよい。寸法は、一定であることができ、またはチャンネルの長さの関数として変化させることができる。チャンネルの長さはまた、薬剤化合物の、様々な分量、流量、および滞留時間を収めるように様々であり得る。例えば、チャンネルの長さは、約10マイクロメートル~約800マイクロメートル、一部の態様において約50マイクロメートル~約500マイクロメートル、一部の態様において約100マイクロメートル~約300マイクロメートルであってもよい。チャンネルの断面積もまた、様々であり得る。例えば、断面積は、約50平方マイクロメートル~約1,000平方マイクロメートル、一部の態様において約100平方マイクロメートル~約500平方マイクロメートル、一部の態様において約150平方マイクロメートル~約350平方マイクロメートルであってもよい。さらに、チャンネルのアスペクト比(長さ/断面寸法)は、約1~約50、一部の態様において約5~約40、一部の態様において約10~約20の範囲であってもよい。断面寸法(例えば、幅、直径など)および/または長さが、長さの関数として変化する場合、アスペクト比は平均の寸法から決定される。
【0045】
[0053]用いられる種類にかかわらず、マイクロニードルアセンブリは、皮膚を通して、薬剤化合物の制御された分量を送達することができる。例えば、マイクロニードルアセンブリを、対象(例えば、ヒト)の皮膚に隣接して設置することができ、それに圧力を加えて、マイクロニードルが、表皮の、少なくとも角質層を貫通する。
【0046】
[0054]必要に応じて、特に、1種または複数のチャンネルが用いられる態様において、マイクロニードルアセンブリは、薬剤化合物を初めに保持することが可能な貯蔵器と流体連通して設置され得る。用語「貯蔵器」は、一般に、流体の薬剤化合物を保持するように構成された、指定の範囲またはチャンバを指す。貯蔵器は、空き体積空間、ゲル、中実構造などであってもよい。しかし、多くの態様において、貯蔵器は、薬剤化合物が通流することが可能な中実マトリックスである。マトリックスに望ましい材料の選択は、典型的には、標的の薬剤化合物の溶解性および拡散性、ならびに放出が求められる間の時間に応じて決まる。一態様において、例えば、中実マトリックスは、一般に、薬剤化合物に対して不浸透性であり、マトリックスを形成するために使用される材料は、薬剤化合物がそれを通して拡散することができるように選択される。しかし、他の態様において、中実マトリックスは、薬剤化合物に対して浸透性または準浸透性であってもよく、したがって、その孔を簡単に通流することができる。こうした中実マトリックスの例には、多孔質繊維ウェブ(例えば、織物または不織)、有孔薄膜、発泡体、スポンジなどが挙げられる。その特定の形態にもかかわらず、例えば、シリコーン、アクリル樹脂、オレフィンポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル)、可塑化ポリ酢酸ビニル樹脂/可塑化ポリ塩化ビニル樹脂、可塑化加水分解ポリビニルアルコール、ゴム系接着剤(例えば、鉱物油などの溶媒で引きのばしたポリイソブチレン)、可塑化ポリ塩化ビニル、様々な分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、セルロースエステルなどのポリマー材料が、大抵、中実マトリックスを形成するために使用される。
【0047】
[0055]ある態様において、送達用の多数の物質を貯蔵するために、複数の貯蔵器を用いることもできる。貯蔵器は、垂直または水平の関係のいずれかで、互いに隣接して位置することができる。例えば、第1の貯蔵器は、薬剤化合物を含有することができ、第2の貯蔵器は、賦形剤(例えば、送達ビヒクル、例えば、アルコール、水など;緩衝剤など)を含有することができる。特定の一態様において、例えば、第1の貯蔵器は、薬剤化合物の凍結乾燥粉末を含有することができ、第2の貯蔵器は、粉末を再構築するための水溶液を含有することができる。あるいは、薬剤化合物をそれぞれ含有する、多数の貯蔵器を用いることができる。送達前に、様々な物質を混合することができる。
【0048】
[0056]ある態様において、マイクロニードルアセンブリおよび薬剤貯蔵器(複数可)は、経皮送達デバイス(例えば、パッチ)の形態で一体化することができる。経路は、薬剤化合物の所望の流れを維持するのに役立つ、他の要素も含有することができる。例えば、薬剤貯蔵器は、貯蔵器から下流への、その圧力を調整することによって、薬剤化合物の流量を制御するのに役立つ速度制御膜と流体連通することができる。速度制御膜は、放出で薬剤化合物の流量を低減するのに役立ち得る。具体的には、薬剤貯蔵器からマイクロニードルアセンブリへ通過する、流体の薬剤化合物は、流量の低減をもたらす、圧力の低下を受けることがある。この差が大きすぎる場合、化合物の流れを妨げ、可能性として、マイクロ流体チャンネルを通した流体の毛細管圧を克服することがある、ある程度の背圧を生じることがある。ゆえに、速度制御膜の使用により、この圧力差を改善することができ、より制御された流量で、薬剤化合物をマイクロニードル中に導入することが可能になる。速度制御膜の、特定の材料、厚さなどは、例えば、薬剤化合物の粘度、所望の送達時間などの多数の因子に基づいて様々であり得る。速度制御膜は、例えば、浸透性、準浸透性、または微孔性の材料を含むことができる。好適な膜材料には、例えば、繊維ウェブ(例えば、織物または不織)、有孔薄膜、発泡体、スポンジなどが挙げられ、それらは、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアセテートとエチレン酢酸ビニルアセテートとのコポリマーから形成される。
【0049】
[0057]必要に応じて、経皮送達デバイスは、様々な利点をもたらす、追加の層または材料を含有することができる。例えば、アセンブリは、使用中に、使用者の皮膚への送達デバイスの取り付けを容易にするのに役立つ接着剤層を含むことができる。要求されないものの、接着剤層はしばしば、貯蔵器で割り当てられる。接着剤層は、典型的には、裏打ち材に被覆された接着剤を用いる。裏打ちは、薬剤化合物に対して実質的に非浸透性である材料、例えば、ポリマー、金属箔などで製作することができる。好適なポリマーには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられ得る。接着剤は、当分野で公知の感圧性接着剤であってもよい。好適な接着剤には、例えば、溶媒系アクリル接着剤、溶媒系ゴム接着剤、シリコーン接着剤が挙げられ得る。
【0050】
[0058]放出部材をマイクロニードルアセンブリに隣接して位置することもでき、ゆえに、放出部材は、マイクロニードルアセンブリの支持体および任意選択の速度制御膜に隣接する。しかし、放出層は、こうした層に接触する必要はなく、他の層は、実際に放出部材と、支持体および/または速度制御膜との間に位置することもあると理解されたい。しかし、放出部材は、薬剤化合物に対して実質的に非浸透性である材料、例えば、ポリマー材料、金属などを含有することができる。材料はまた、望ましくは疎水性である。好適なポリマー材料には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、金属箔などが挙げられ得る。放出部材は、全体的に非浸透性であるゆえに、支持体の開口部を初めに密封し、ゆえにそれを通した薬剤化合物の流れを制限することができる。このように、放出部材は、薬剤化合物の流れに対する障壁として作用することができ、ゆえに早期の漏れを阻害する。送達デバイスを使用することが望まれる場合、放出部材を少なくとも部分的に分離し、それによって密封を破るための力は、使用者によって加えられ得る。放出部材の分離は、多様な方法で実現され得る。例えば、放出部材の一部分を単純に分離してもよい(例えば、取り外す、切り裂くなど)。したがって、薬剤化合物の流れは、「受動的に」、すなわち、従来の能動的浸出装置、例えば、液体ポンプ、アクチュエータ、プランジャー、指圧などの必要なく引き起こすことができる。これにより、作動前に、送達デバイスを皮膚に設置することができ、それによって、可能性のある、薬剤化合物の漏出が制限される。薬剤化合物の受動的送達はまた、使用するのに単純かつ容易であり、それによって、医療専門家だけでなく、多様な消費者によって使用されることが可能になる。
【0051】
[0059]本発明のマイクロニードルアセンブリを使用して送達され得る薬剤化合物は特に限定されない。好適な化合物には、例えば、タンパク質系化合物、例えば、インスリン、免疫グロブリン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE)、TNF-α、抗ウイルス薬など;ポリヌクレオチド剤、例えば、プラスミド、siRNA、RNAi、抗腫瘍性ヌクレオシド薬剤、ワクチンなど;小分子薬、例えば、アルカロイド、グリコシド、フェノールなど;感染防止剤、ホルモン、心筋活動または血流を調節する薬剤、疼痛管理;ワクチンなどが挙げられ得る。作用剤の非限定的な例には、血管新生阻害剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、ブトルファノール、カルシトニンおよび類似体、COX-II阻害剤、皮膚用薬、ドパミン作動薬およびドパミン拮抗薬、エンケファリン、および他のオピオイドペプチド、上皮成長因子、エリスロポエチンおよび類似体、卵胞刺激ホルモン、グルカゴン、成長ホルモンおよび類似体(成長ホルモン放出ホルモンを含む)、成長ホルモン拮抗薬、ヘパリン、ヒルジンおよびヒルジン類似体、例えばヒルログ、IgE抑制剤および他のタンパク質阻害剤、免疫抑制剤、インスリン、インスリノトロピンおよび類似体、インターフェロン、インターロイキン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモンおよび類似体、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、乗り物酔い防止薬、筋弛緩薬、麻薬性鎮痛薬、ニコチン、非ステロイド系抗炎症剤、オリゴ糖、副甲状腺ホルモンおよび類似体、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、プロスタグランジン、スコポラミン、鎮痛剤、セロトニン作動薬およびセロトニン拮抗薬、性的機能低下、組織プラスミノーゲン活性化因子、精神安定剤、担体/アジュバントを含むワクチンまたは担体/アジュバントを含まないワクチン、血管拡張薬、ツベルクリン剤および他の過敏症剤などの主要診断薬が挙げられる。
【0052】
[0060]マイクロニードルアセンブリは、高分子量の薬剤化合物の送達において特に有益であり得る。用語「高分子量」は、一般に、約1キロダルトン(kiliDalton)(「kDa」)以上、一部の態様において約10kDa以上、一部の態様において約20kDa~約250kDa、一部の態様において約40kDaより高く約150kDaまでの分子量を有する化合物を指す。こうした高分子量化合物の例には、タンパク質治療薬が挙げられ、それは、限定されないが、天然化合物、合成化合物、および組み換え化合物、融合タンパク質、ペプチド、キメラなど、ならびに20標準アミノ酸および/または合成アミノ酸を含む化合物を含む、生物学的に活性なタンパク質系化合物を指す。
【0053】
[0061]特定の一態様において、薬剤化合物は、ワクチン抗原を含むことができ、それは、体に導入される場合、免疫応答、例えば、ウイルスに対する予防のためのT-細胞活性化および/または抗体産生を刺激する物質である。ワクチン抗原は、天然インタクト病原菌(例えば、バクテリアもしくはウイルス)、弱毒生ウイルス、または病原菌の部分および/もしくはサブユニット、例えば、単独ウイルスもしくはバクテリアタンパク質を含むことができる。ワクチン抗原は、ガン抗原またはそのフラグメントを含むこともできる。特定の一態様において、例えば、ワクチン抗原は、コロナウイルスに対する予防に使用されるコロナウイルスワクチン抗原、例えば、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2、MERS-CoVなどであってもよい。こうしたワクチン抗原は、コロナウイルスまたは他の種類のウイルスから誘導されてもよい。こうしたコロナウイルスワクチン抗原の、特異な例には、例えば、mRNA-1273(新規の脂質ナノ粒子(LNP)-カプセル化mRNAベースワクチン)、BNT162(LNP-カプセル化mRNAベースワクチン)、Ad5-nCoV(組み換えアデノウイルス5型ベクター)、ChAdOx1(SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を産生可能なアデノウイルスウイルスベクター)、bacTRL-スパイク(SARS-CoV-2からのスパイクタンパク質をコードする合成DNAを含有するプラスミドを送達するように開発された生ビフィドバクテリウムロンガムバクテリア)、BCG(弱毒化(毒性を低減した)生ウシ型結核菌(bovine tuberculosis bacillus)、結核菌群(Mycobacterium bovis)の株から調製される)、AdCovid(経鼻投与ワクチン)、NVX-CoV2373(組み換えスパイクタンパク質ナノ粒子)、SARS組み換えスパイクタンパク質プラスデルタイヌリン(タンパク質サブユニット)、SARS VLPs Sタンパク質およびインフルエンザM1タンパク質、DNAワクチンVRC-SRSDNA015-00-VP(DNA)、SARS-CoV Sを発現する、複製ウイルスベクターおよび/または非複製ウイルスベクター(例えば、SARS-CoV SもしくはLV-SMENPを発現するVEEVレプリコン粒子(CoV-19ミニ遺伝子SMENPおよび免疫調節遺伝子を発現するレンチウイルスベクターで修飾された樹状細胞))、不活性化SARS-CoV-2のウイルスまたはウイルスベクター、弱毒生SARS-CoV-2ウイルスなどが挙げられ得る。
【0054】
[0062]他の好適なウイルスワクチン抗原は、アデノウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス、フラビウイルス(flavirviruses)、ハンタウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、パラミクソウイルス、パルボウィルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、オルトミクソウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、ロタウイルス、海綿状ウイルス、またはトガウイルスから誘導され得るか、および/またはそれらに対する予防に使用され得る。こうしたワクチン抗原の例には、CMV、EBV、流感ウイルス、肝炎A、肝炎B、もしくは肝炎C、単純ヘルペス、HIV、インフルエンザ、日本脳炎、はしか、ポリオ、狂犬病、呼吸器合胞体、風疹、天然痘、水疱帯状ヘルペス、ウエストナイル、および/またはジカなどのウイルスによって発現されるペプチドが挙げられ得る。CMVワクチン抗原は、エンベロープ糖タンパク質BおよびCMVpp65を含み;EBVワクチン抗原は、EBV EBNAI、EBVP18、およびEBVP23を含み;肝炎ワクチン抗原は、肝炎Bウイルスの、Sタンパク質、Mタンパク質、およびLタンパク質、肝炎Bウイルスのpre-S抗原、HBCAG DELTA、HBV HBE、肝炎CウイルスRNA、HCV NS3、およびHCV NS4を含み;単純ヘルペスワクチン抗原は、前初期タンパク質および糖タンパク質Dを含み;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ワクチン抗原は、gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子の遺伝子産物、例えばHIV gp32、HIV gp41、HIV gp120、HIV gp160、HIV P17/24、HIV P24、HIV P55 GAG、HIV P66 POL、HIV TAT、HIV GP36、Nefタンパク質、および逆転写酵素を含み;ヒトパピローマウイルス(HPV)ウイルス抗原は、L1タンパク質を含み;インフルエンザワクチン抗原は、ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼを含み;日本脳炎ワクチン抗原は、タンパク質E、タンパク質M-E、タンパク質M-E-NS1、タンパク質NS1、タンパク質NS1-NS2A、およびタンパク質80%Eを含み;マラリアワクチン抗原は、マラリア原虫スポロゾイト表面タンパク質(CSP)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびフルクトース-ビスホスフェートアルドラーゼを含み;はしかワクチン抗原は、はしかウイルス融合タンパク質を含み;狂犬病ワクチン抗原は、狂犬病糖タンパク質および狂犬病核タンパク質を含み;呼吸器合胞体ワクチン抗原は、RSV融合タンパク質およびM2タンパク質を含み;ロタウイルスワクチン抗原は、VP7scを含み;風疹ワクチン抗原は、タンパク質E1およびタンパク質E2を含み;水疱帯状ヘルペスワクチン抗原は、gpIおよびgpIIを含み;ジカワクチン抗原は、Eタンパク質のプレメンブレン、エンベロープ(E)、ドメインIII、および非構造タンパク質1~5を含む。
【0055】
[0063]上記の態様において、本発明のマイクロニードルアセンブリは、一般に、対象に薬剤化合物を送達するために使用される。薬剤送達に加えて、および/またはその代わりに、マイクロニードルアセンブリは、センサーとして用いることもできる。例えば、マイクロニードルアセンブリは、センサーとしてのみ使用することができ、または他の場合において、送達する薬剤化合物の投与量を決定するためのセンサーとして使用することができる。しかし、マイクロニードルは、対象の皮膚と接触して設置することができ、目的の分析物を含有する、対象からの体液(例えば、血液)と接触するのに十分な時間残留することができる。流体は抜き出され、試験され得る。あるいは、検出装置は、例えば、マイクロニードル(例えば、中実マイクロニードル)の外部表面上で、またはマイクロニードル(例えば、中空チャンネルを有するマイクロニードル)内部中に組み込まれて、マイクロニードルアセンブリと連結することができ、ゆえに流体を、試験のために、マイクロニードルと容易に接触させることができる。こうしたセンサーの多様な例は、当分野で公知であり、例えば、Chickeringらの米国特許出願公開第2020/0015751号およびHuangらの米国特許出願公開第2013/0225956号に記載され、その全体は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0056】
[0064]センサーを使用して検出することができる、標的の分析物の例には、それに限定されないが、pHまたは金属イオン、タンパク質、核酸(例えば、DNA、RNAなど)、薬剤、糖(例えば、グルコース)、ホルモン(例えば、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、プロゲスチン、テストステロン、アンドロステンジオンなど)、炭水化物、または目的の他の分析物が挙げられる。決定され得る他の条件は、疾病、イースト菌感染症、粘膜面での歯周病を示唆し得るpH変化、肺機能不全を示唆する、酸素レベルまたは一酸化炭素レベル、および薬剤レベル、例えば、クマディンなどの薬剤、ニコチンなどの他の薬剤、またはコカインなどの非合法的薬剤の法的処方レベルを含むことができる。分析物のさらなる例には、疾病の指標、例えば、ガン特異的マーカー、例えばCEAおよびPSA、ウイルス抗原およびバクテリア抗原、ならびに自己免疫指標、例えば、二重らせんDNAに対する抗体が挙げられる。さらに他の条件は、外因からの、または睡眠時無呼吸ゆえにあり得る、高まった一酸化炭素への暴露、過剰な熱(内部温度制御が完全には自己調整されない乳児の場合に重要である)または発熱を含む。可能性のある好適な、他の分析物には、様々な病原菌、例えば、バクテリアもしくはウイルス、および/またはこうした病原菌から生成されるマーカーが挙げられる。追加の非限定的な例として、センサーは、疾病状態のマーカーと相互作用することができる抗体、グルコースなどを検出することが可能な酵素、例えば、グルコースオキシダーゼまたはグルコース1-デヒドロゲナーゼを含有することができる。分析物は、定量的または定性的に測定されてもよく、および/または抜き出された流体中の分析物の有無は、ある種の場合において測定されてもよい。
【0057】
[0065]分析物を検出するために、マイクロニードルアセンブリと組み合わせて使用される、特定の検出装置は、当業者に理解されるように様々であってもよい。例えば、センサー技術の、様々な非限定的な例には、圧力測定または温度測定、赤外、吸収、蛍光、UV/可視、FTIR(「フーリエ変換赤外分光法」)、またはラマンなどの分光法;圧電測定;免疫測定;電気測定、電気化学的測定(例えば、イオン選択性電極);磁気測定、光学測定、例えば光学密度測定;円偏光二色性;光散乱測定、例えば、準電気的光散乱;偏光分析法;屈折率測定法;染料等の化学指標;または比濁法を含む濁度測定が挙げられる。特定の一態様において、例えば、センサーは、検出用の電気化学的インピーダンスに依拠することができ、ゆえに少なくとも1種の作用電極を含み、作用電極は、典型的には、第1のマイクロニードル上に、第1のマイクロニードルの中に、または第1のマイクロニードルと流体接触して位置する。例えば、作用電極は、マイクロニードルの表面に蒸着させた金属(例えば、金)であってもよい。センサーはまた、第2のマイクロニードル上に、第2のマイクロニードルの中に、もしくは第2のマイクロニードルと流体接触して置かれた、少なくとも1種の参照電極、および/または第3のマイクロニードル上に、第3のマイクロニードルの中に、もしくは第3のマイクロニードルと流体接触して置かれた、少なくとも1種の対電極も含むことができる。例えば、参照電極および対電極もまた、それぞれのマイクロニードルの表面に蒸着させた金属(例えば、金)で製作され得る。インピーダンス値を検出して、分析物の濃度を評価することができる。必要に応じて、検出装置の選択性は、電極での、微量の標的の分子の蓄積によって高められ得る。特異性のために、マイクロニードル(例えば、作用電極)は、例えば、酵素、抗体、アプタマー、単鎖可変領域フラグメント(ScFv)、炭水化物、およびその組み合わせで、表面修飾を施され得る。一態様において、例えば、作用電極は、グルコース検出のために、グルコースオキシダーゼ(GOx)で修飾され得る。
【0058】
[0066]本発明は、以下の実施例を参照して、より良く理解され得る。
【実施例】
【0059】
試験方法
[0067]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、ISO試験11443:2005に準拠して、せん断速度400秒-1または1,000秒-1および融点より15℃高い温度(例えば、約350℃)でDynisco LCR7001細管式レオメータを使用して測定することができる。レオメータオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および進入角度180°を有した。バレルの直径は、9.55mm+0.005mmであり、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0060】
[0068]融点:融点(「Tm」)は、当分野で公知の示差走査熱量測定(「DSC」)によって測定することができる。融点は、ISO試験11357-2:2013によって決定される、示差走査熱量測定(DSC)ピーク融点である。DSC手順の下、TA Q2000装置で実行されるDSC測定を使用して、ISO標準10350で示したように、試料を20℃/分で加熱し、冷却した。
【0061】
[0069]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重温度下でのたわみは、ISO試験75-2:2013(ASTM D648-07と技術的に同等)に準拠して測定することができる。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有する試験片試料にエッジワイズ3点曲げ試験を施すことができ、特異な荷重(最大外繊維応力)は1.8メガパスカルであった。試験片は、0.25mm(ISO試験75-2:2013では0.32mm)曲げるまで、温度を2℃/分で上昇させたシリコーン油槽中に下げてもよい。
【0062】
[0070]引張弾性率、引張応力、および引張伸び:引張特性は、ISO試験527:2012(ASTM D638-14と技術的に同等)に準拠して試験され得る。弾性率測定および強度測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有する、同じ試験片試料で行うことができる。試験温度は、23℃であってもよく、試験速度は、1mm/分または5mm/分であってもよい。
【0063】
[0071]曲げ弾性率、曲げ応力、および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験178:2010(ASTM D790-10に技術的に同等)に準拠して試験され得る。この試験は、64mm支持スパンで実施することができる。試験は、切断されていないISO3167マルチパーパスバーの中心部分で実行され得る。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0064】
[0072]ノッチなしおよびノッチ付きのシャルピー衝撃強さ:シャルピー特性は、ISO試験ISO179-1:2010(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等)に準拠して試験され得る。この試験は、1型試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して実行され得る。ノッチ付き衝撃強さを試験する場合、ノッチは、A型ノッチ(底部半径0.25mm)であってもよい。試験片は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切断され得る。試験温度は23℃であってもよい。
【0065】
実施例1
[0073]試料1~5および対照試料は、マイクロニードルアセンブリにおける使用のために形成される。試料は、液晶ポリマー(LCP1もしくはLCP2)、タルク(TALC1もしくはTALC2)、および/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の様々な組み合わせを含有した。LCP1は、HBA60%、HNA4%、BP18%、およびTA18%から形成される。LCP2は、HNA48%、HBA2%、BP25%、およびTA25%から形成される。TALC1は、メジアン粒径4マイクロメートルを有し、TALC2は、メジアン粒径1マイクロメートルを有した。調合は、18mm単軸押出成形機を使用して実施された。試料をプラーク(60mm×60mm)中に射出成形する。配合を以下に示す。
【0066】
【0067】
[0074]試料1~5を熱的性質および機械的性質について試験した。結果を以下に示す。
【0068】
【0069】
実施例2
[0075]試料6~10は、マイクロニードルアセンブリにおける使用のために形成される。試料は、液晶ポリマー(LCP2)、タルク(TALC1もしくはTALC2)、および/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の様々な組み合わせを含有した。LCPは、HNA48%、HBA2%、BP25%、およびTA25%から形成される。調合は、18mm単軸押出成形機を使用して実施された。試料をプラーク(60mm×60mm)中に射出成形する。配合を以下に示す。
【0070】
【0071】
[0076]試料6~10を熱的性質および機械的性質について試験した。結果を以下に示す。
【0072】
【0073】
[0077]これらの本発明の改変および変更、ならびに他の本発明の改変および変更は、当業者によって、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく実践され得る。加えて、様々な態様の側面は、全体において、または部分において、置き換えられ得ると理解されるべきである。さらに、当業者は、前述の記載が、単なる例示であり、添付の特許請求の範囲にさらに記載される本発明を制限しようと意図するものではないと認識するであろう。
【国際調査報告】