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特表2023-523963電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/579 20210101AFI20230601BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230601BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20230601BHJP
【FI】
H01M50/579
H01M50/342 201
H01M50/35 201
H01M50/35 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565611
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2021142950
(87)【国際公開番号】W WO2022166490
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110169096.4
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】高雄▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼小波
【テーマコード(参考)】
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H012BB08
5H012CC03
5H012DD05
5H012FF01
5H043AA04
5H043GA13
5H043JA02
5H043LA00
5H043LA22
(57)【要約】
本出願の実施形態は電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置を提供する。電池は、電池単体と、電池単体を収容するためのケーシングであって、圧力解放部を含み、圧力解放部は電池単体の熱暴走時に発生した排出物をケーシング外部に排出させるように構成されるケーシングと、電池単体に電気的に接続されるように構成される充電コネクタとを含み、充電コネクタは本体部を含み、本体部はケーシングの電池単体から離れる側に配置され圧力解放部を被覆するように構成され、電池単体の熱暴走時に発生した排出物は圧力解放部を通過して本体部に作用し、本体部の少なくとも一部を電池単体から離れる方向に作動させ充電コネクタと電池単体の電気的接続を切断する。本出願の電池は、熱暴走時に引き起こされる可能性のある爆発または火災などの安全上問題を解決するために設計される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池単体、
前記電池単体を収容するためのケーシングであって、前記ケーシングは圧力解放部を含み、前記圧力解放部は前記電池単体の熱暴走時に発生した排出物を前記ケーシングの外部に排出させるように構成されるケーシング、および
前記電池単体に電気的に接続されるように構成される充電コネクタ、を含み、前記充電コネクタは本体部を含み、前記本体部は前記ケーシングの前記電池単体から離れる側に配置され前記圧力解放部を被覆すように構成され、前記電池単体の熱暴走時に発生した排出物は前記圧力解放部を通過して前記本体部に作用し、前記本体部の少なくとも一部を前記電池単体から離れる方向に作動させて、前記充電コネクタと前記電池単体の電気的接続を切断する、電池。
【請求項2】
前記ケーシングは案内通路をさらに含み、前記案内通路は前記ケーシングの内側に位置し、前記案内通路は、前記電池単体の熱暴走時に発生した排出物を前記圧力解放部に案内するように構成される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記案内通路は合流チャンバーと分岐通路を含み、前記分岐通路は前記合流チャンバーに連通し、前記圧力解放部は前記合流チャンバーに対向して設けられる、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池単体は複数であり、各前記電池単体は防爆弁を含み、複数の前記防爆弁の少なくとも1つの前記防爆弁は前記案内通路に対向して設置される、請求項2または3に記載の電池。
【請求項5】
前記電池はアクチュエータをさらに含み、前記アクチュエータは前記ケーシングに接続され、前記アクチュエータは前記充電コネクタに前記電池単体から離れる作用力を加えるように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記アクチュエータは弾性部材を含み、前記弾性部材の一端は前記本体部に接続され、他端は前記ケーシングに接続され、前記弾性部材は、前記充電コネクタに前記電池単体から離れる作用力を加えるように構成される、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記アクチュエータはロッド部材と弾性部材を含み、前記ロッド部材は前記本体部に接続され、前記弾性部材の一端は前記ロッド部材に接続され、他端は前記ケーシングに接続され、前記弾性部材は、前記ロッド部材に前記電池単体から離れる作用力を加えるように構成される、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
前記アクチュエータはカバーを含み、前記ロッド部材と前記弾性部材は前記本体部の前記電池単体に向かう側に設けられ、前記カバーは前記ロッド部材と前記弾性部材を収容するように構成される、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記弾性部材は前記ロッド部材の外周に嵌合される、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記充電コネクタは前記ケーシングに着脱可能に接続される、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記ケーシングは弱領域を有し、前記弱領域は前記圧力解放部を形成し、前記弱領域の強度が前記ケーシングの他の部位の強度よりも小さい、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記ケーシングは貫通穴を有し、前記貫通穴は前記圧力解放部を形成し、前記電池は封止部材をさらに含み、前記封止部材は前記圧力解放部の周りに設けられ、前記封止部材は前記ケーシングの内部空間と外部空間を隔離するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記本体部は凹部を含み、前記凹部は前記圧力解放部に向かって設けられる、請求項1~12のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は電気エネルギーを供給するために使用される、電力使用装置。
【請求項15】
圧力解放部が設けられたケーシングに電池単体を配置し、前記圧力解放部は前記電池単体の熱暴走時に発生した排出物を前記ケーシング外部に排出させるように構成されるステップと、
前記ケーシングに本体部を含む充電コネクタを取り付け、前記本体部が前記ケーシングの前記電池単体から離れる側に位置し前記圧力解放部を被覆するステップと、
前記充電コネクタを前記電池単体に電気的に接続させるステップと、を含む電池の製造方法。
【請求項16】
圧力解放部が設けられたケーシングに電池単体を配置し、前記圧力解放部は前記電池単体の熱暴走時に発生した排出物を前記ケーシング外部に排出させるように構成される第1装置と、
前記ケーシングに本体部を含む充電コネクタを取り付けるように構成される第2装置と、
前記充電コネクタを前記電池単体に電気的に接続させ、前記本体部が前記ケーシングの前記電池単体から離れる側に位置し前記圧力解放部を被覆するように構成される第3装置と、を含む電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2021年02月07日に出願された発明名称「電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置」の中国特許出願202110169096.4の優先権を主張し、この出願のすべての内容が参照により本出願に取り込まれる。
【0002】
本出願は、電池分野に関し、特に電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、高エネルギー密度、高出力密度、高サイクル数、長期間保存などの利点を有するため、電気車両、モバイル機器または電動工具に広く普及されている。電池は外部電源で充電する必要がある。充電方法は低速充電と高速充電がある。しかしながら、充電過程中、電池は熱暴走する恐れがあり、爆発または火災などの安全上問題が発生しやすい。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、熱暴走のとき発生しやすい爆発または火災などの安全上問題を解決することができる電池、電力使用装置、電池の製造方法および製造装置を提供する。
【0005】
本発明の一側面によれば、本出願によって提供される電池は、
電池単体、
電池単体の熱暴走時発生した排出物ケーシング外部に排出するように構成され圧力解放部を含み、電池単体を収容するためのケーシング、
電池単体に電気的に接続された充電コネクタ、を含み、充電コネクタは本体部を含み、本体部はケーシングの電池単体から離れる側に設けられ圧力解放部を被覆するように構成され、電池単体の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部を通過して本体部に作用し、本体部の少なくとも一部を電池単体から離れる方向に作動されて充電コネクタを電池単体から電気的に切断させる。
【0006】
本出願の実施例による電池は、電池単体、ケーシングおよび充電コネクタを含む。電池単体はケーシング内に配置される。ケーシングは、内部圧力を解放するための圧力解放部を含む。充電コネクタはケーシングに設けられて電池単体に電気的に接続され、充電装置は充電コネクタを介して電池単体を充電することができる。充電コネクタは本体部を含む。充電コネクタの本体部はケーシングの圧力解放部を被覆する。電池単体が熱暴走した時、電池単体の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部を通過して充電コネクタの本体部に作用し、本体部に衝撃力を加えて、本体部の少なくとも一部を電池単体から離れる方向に作動させることができる。本体部が作動すると、充電コネクタとケーシングの相対位置を変化させ、充電コネクタを電池単体から離れて移動させ、充電コネクタを電池単体から電気的に切断させ、充電装置の電池単体への充電を停止することができる。したがって、電池単体が熱暴走するとき、充電コネクタは電池単体から電気的に切断し、電池単体への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低減し、火災や爆発の可能性を低減して、電池の使用安全性を向上させることができる。
【0007】
本出願の一実施例によれば、ケーシングは案内通路をさらに含み、案内通路はケーシングの内側に位置し、案内通路は、電池単体の熱暴走時に発生した排出物を圧力解放部に案内するように構成される。
【0008】
案内通路は、熱暴走時に発生した排出物を集中して熱暴走時に発生した排出物を圧力解放部に速く案内することにより、熱暴走時に発生した排出物が本体部に作用する時間を短縮し、充電コネクタと電池単体の電気的切断をより速く実現することに有利である。
【0009】
本出願の一実施例によれば、案内通路は合流チャンバーと分岐通路を有し、分岐通路は合流チャンバーに連通し、圧力解放部は合流チャンバーに対向して設けられる。
【0010】
電池単体の熱暴走時に発生した排出物は各分岐通路に沿って合流チャンバーに高速に合流し、排出物の無方向の広がりによって充電コネクタと電池単体の電気的切断速度が比較的遅くなる可能性を低減することができる。
【0011】
本出願の一実施例によれば、電池単体数量は複数であり、各電池単体は防爆弁を含み、複数の防爆弁の少なくとも1つの防爆弁は案内通路に面して設けられる。
【0012】
熱暴走時に、案内通路に面して設けられた防爆弁から排出された排出物が案内通路の案内作用下でより速く圧力解放部と充電コネクタの本体部に作用し、充電コネクタと電池単体の電気的切断をより速く実現する。
【0013】
本出願の一実施例によれば、電池はアクチュエータをさらに含み、アクチュエータはケーシングに接続され、アクチュエータは充電コネクタを電池単体から離れる作用力を印可するように構成される。
【0014】
アクチュエータは、本体部に補助作用力を提供するために使用される。熱暴走時に発生した排出物は充電コネクタの本体部に衝撃力を加えるときに、本体部が受けた作用力は、熱暴走時に発生した排出物の衝撃力とアクチュエータの作用力の和であり、本体部をより容易に作動させ、電池単体の熱暴走時に、充電コネクタが移動せずに充電コネクタが電池単体から電気的切断されない可能性を低減することができる。
【0015】
本出願の一実施例によれば、アクチュエータは弾性部材を含み、弾性部材の一端は本体部に接続され、他端はケーシングに接続され、弾性部材は充電コネクタを電池単体から離れる作用力を加えるように構成される。
【0016】
熱暴走時に、弾性部材は弾性位置エネルギーを放出することにより、本体部に作用力を加える。
【0017】
本出願の一実施例によれば、アクチュエータは、ロッド部材と弾性部材を含み、ロッド部材は本体部に接続され、弾性部材の一端はロッド部材に接続され、他端はケーシングに接続され、弾性部材はロッド部材を電池単体から離れる作用力を加えるように構成される。
【0018】
熱暴走時に、弾性部材は弾性位置エネルギーを放出することにより、ロッド部材と本体部を同時に上方に移動させる。
【0019】
本出願の一実施例によれば、弾性部材はロッド部材の外周に嵌合される。
【0020】
ロッド部材は弾性部材の圧縮と伸張をガイドし、弾性部材によるロッド部材またはケーシングに作用した力をより集中する。
【0021】
本出願の一実施例によれば、アクチュエータはカバーをさらに含み、ロッド部材と弾性部材は本体部の電池単体に面する側に設けられ、カバーはロッド部材と弾性部材を収容するように構成される。
【0022】
カバーはロッド部材と弾性部材の組立過程中に発生した破片を収集して、破片が電池内部に侵入して電池の性能故障を引き起こす可能性を低減することができる。
【0023】
本出願の一実施例によれば、充電コネクタはケーシングに着脱可能に接続される。
【0024】
本出願の一実施例によれば、ケーシングは弱領域を有し、弱領域は圧力解放部を形成し、弱領域の強度がケーシングの他の部位の強度よりも低い。
【0025】
本出願の一実施例によれば、ケーシングは貫通穴を有し、貫通穴は圧力解放部を形成し、電池は封止部材をさらに含み、封止部材は圧力解放部の周りに設けられ、封止部材はケーシングの内部空間と外部空間を隔離するように構成される。
【0026】
本出願の一実施例によれば、本体部は凹部を有し、凹部は圧力解放部に向かって設けられる。
【0027】
充電コネクタの本体部に設けられた凹部により、熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部を通過して、凹部内に迅速に集中して本体部により大きな衝撃力を加えることができる。
【0028】
別の側面によれば、本出願は電力使用装置を提供し、上記の電池を含み、電池は電気エネルギーに電力を供給するために使用される。
【0029】
別の側面によれば、本出願は電池の製造方法を提供し、この方法は、
圧力解放部を有するケーシング内に電池単体を配置し、圧力解放部は電池単体の熱暴走時に発生した排出物をケーシング外に排出するように構成されるステップと、
本体部がケーシング電池単体から離れる側に位置し圧力解放部を被覆するように、ケーシングに本体部を有する充電コネクタ配置するステップと、
充電コネクタを電池単体に電気的に接続させるステップとを含む。
【0030】
本出願の実施例の電池の製造方法によれば、上記の電池を製造することができる。電池の製造方法により製造された電池は、充電コネクタの本体部がケーシングの圧力解放部を被覆する。電池単体の熱暴走時に、電池単体の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部を通過してコネクタの本体部に作用し、本体部に衝撃力を加え、本体部の少なくとも一部を電池単体から離れる方向に作動させる。本体部の作動の結果、充電コネクタとケーシングの相対位置が変化し、充電コネクタが電池単体から離れて移動し、充電コネクタを電池単体の電気的接続を切断し、充電装置の電池単体への充電を停止する。したがって、電池単体の熱暴走時に、充電コネクタを電池単体から即時に切断し、電池単体への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低下し、火災や爆発の可能性を低減して電池の使用安全性を向上させることができる。
【0031】
もう1つの側面によれば、本出願は電池の製造装置を提供し、この装置は、
圧力解放部を有するケーシング内に電池単体を配置し、圧力解放部は電池単体の熱暴走時に発生した排出物をケーシング外に排出するように構成される第1装置と、
ケーシングに本体部を有する充電コネクタを取り付けるように構成される第2装置と、
充電コネクタと電池単体を電気的に接続するように構成され、本体部がケーシング電池単体から離れる側に位置し圧力解放部を被覆する第3装置とを含む。
【0032】
本出願の実施例の電池の製造装置は、上記の電池の製造方法を実行して上記の電池を製造する。電池の製造装置で製造された電池は、充電コネクタの本体部がケーシングの圧力解放部を被覆する。電池単体の熱暴走時に、電池単体の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部を通過して充電コネクタの本体部に作用し、本体部に衝撃力を加え、本体部の少なくとも一部を電池単体から離れる方向に作動させることができる。本体部の作動の結果、充電コネクタとケーシングの相対位置が変化し、充電コネクタが電池単体から離れて移動し、充電コネクタと電池単体の電気的接続を切断し、充電装置の電池単体への充電を停止する。したがって、電池単体の熱暴走時に、充電コネクタと電池単体の接続を即時に切断し、電池単体への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低減し、火災や爆発の可能性を低減して電池の使用安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、添付図面を参照して本出願の例示的実施例の特徴、利点および技術的効果を説明する。添付図面では、図面は必ずしも実際の縮尺で描かれていない。
図1】本出願の一実施例の車両の構造概略図である。
図2】本出願の一実施例の電池の構造概略図である。
図3】本出願の一実施例の電池の分解構造概略図である。
図4】本出願の一実施例の電池の一部分解構造の概略図である。
図5】本出願の一実施例通常使用状態の電池の一部断面構造の概略図である。
図6図5のAの拡大図である。
図7図6に示す実施例の電池熱暴走時の一部断面構造の概略図である。
図8図6に示す実施例の電池熱暴走時の一部断面構造の概略図である。
図9図8のBの拡大図である。
図10】本出願の別の実施例の通常使用状態の電池の一部断面構造の概略図である。
図11図10に示す実施例の電池熱暴走時の一部断面構造の概略図である。
図12】本出願の別の実施例の通常使用状態の電池の一部断面構造の概略図である。
図13図12に示す実施例の電池熱暴走時の一部断面構造の概略図である。
図14】本出願の別の実施例の電池の一部分解構造の概略図である。
図15】本出願の別の実施例の通常使用状態の電池の一部断面構造の概略図である。
図16図15に示す実施例の電池熱暴走時の一部断面構造の概略図である。
図17】本出願の一実施例のアクチュエータを含む電池の一部断面構造の概略図である。
図18図17に示す実施例のアクチュエータによって充電コネクタを押す場合の一部断面構造の概略図である。
図19】本出願の別の実施例のアクチュエータを含む電池の一部断面構造の概略図である。
図20】本出願の別の実施例のアクチュエータを含む電池の一部断面構造の概略図である。
図21図20に示す実施例のアクチュエータによって充電コネクタを押す場合の一部断面構造の概略図である。
図22】本出願の一実施例の案内通路を含む電池の部分構造概略図である。
図23】本出願の一実施例の案内通路と防爆弁の位置関係を示す概略図である。
図24】本出願の一実施例の電池の製造方法の概略フローチャートである。
図25】本出願の一実施例の電池の製造装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面および実施例を併せて本出願の実施形態をより詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明および図面は本出願の原理を例示的に説明するために使用されるが、本出願の範囲を限定するものではなく、つまり、本出願は説明される実施例に限定されない。
【0035】
本出願の説明において、特に明記しない限り、「複数」とは2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって示される方位または位置関係は、本出願を説明するか、説明を簡略化するために使用され、かかる装置またはデバイスは必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作されるのを指示または暗示するものではないため、本出願の制限として解釈されない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は目的を説明するのみ使用され、相対的な重要性を指示または暗示するものではない。「垂直」とは厳密に垂直ではなく、許容誤差の範囲内の垂直を意味する。「平行」とは厳密に平行ではなく、許容誤差の範囲内の平行を意味する。
【0036】
本出願で言及される「実施例」とは、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例に言及しているわけではなく、他の実施例と相互に排他的である別個のまたは代替の実施例に言及しているわけでもない。本出願に記載された実施例は、他の実施例と組み合わせることができることは、明示的にも暗黙的にも、当業者には理解されたい。
【0037】
以下の説明に現れる方位用語は図面に示された方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の説明において、特に明示的に規定され限定されない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は広義に理解されるべきであることに留意すべきであり、例えば、固定接続であってもよい、着脱接続であってもよい、一体接続でもよい、直接接続でも中間媒体を介して間接接続でもよい、二つの構成要素の内部通信であってもよい、などが挙げられる。当業者にとって、本出願における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて理解することができる。
【0038】
本出願者は、充電過程中に、電池の熱暴走リスクがあり、爆発または火災などの安全上問題を容易に引き起こすことを発見し、電池の構造と充電装置を分析および研究した。出願者は、電池の充電過程中に、過充電の場合熱暴走が起こることを発見した。同時に、熱暴走の初期に、充電装置と電池が切り離されず接続されたままであるため、熱暴走の程度がより激しくなり、さらに爆発または火災などの安全上問題を引き起こす。
【0039】
電池単体が過熱、短絡、過充電、衝突などの現象が発生すると、電池単体の内部で短時間に大量のガスが発生し、電池単体の内部温度が急激に上昇し、最終的に電池単体の爆発や火災などに至ることがあり、このような現象は電池単体の熱暴走と呼ばれる。
【0040】
電池単体の熱暴走時、電池単体から排出された大量の排出物が電池の箱体内に入り、箱体内に大量のガスが溜まって、温度が上昇し、最終的に電池の爆発や火災に至る可能性がある。
【0041】
本出願で言及された電池単体からの排出物には、電解液、溶解または分割した正負極片、セパレータの破片、反応により発生された高温高圧ガス(例えばH、COなどの可燃性ガス)、火炎などが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
出願者が発見した上記問題に基づいて、出願者は電池の構造を改良し、以下、本出願の実施例をさらに説明する。
【0043】
本出願をより良く理解するために、以下図1図23を参照して本出願の実施例を説明する。
【0044】
図1に示すように、本出願の実施例は電池20を電源として使用する電力使用装置を提供する。この電力使用装置は、車両、船舶または航行器などであり得るが、これらに限定されない。図1に示すように、本出願の一実施例は車両10を提供する。車両10は燃油車両、ガス車両または新エネルギー車両であり得る。新エネルギー車両は純電気車両、混合動力車両または長距離車両などであり得る。本出願の一実施例では、車両10は電池20を含む。電池20は車両10の駆動電源として、燃油またはガスを代替または一部代替して車両10に駆動力を提供する。一例では、車両10の底部、前部または後部に電池20を設けてもよい。電池20は車両10に電極を供給する。一例では、電池20は車両10の操作電源として、車両10の回路システムに使用され得る。例示的に、電池20は車両10の起動、ナビゲーションおよび走行時の作業電力要件を満たす。
【0045】
いくつかの実施例では、車両10はモータ10aおよびコントローラー10bをさらに含み得る。コントローラー10bは電池20を制御してモータ10aに電極を供給する。モータ10aは伝達機構を介して車輪に接続されて車両10の走行を駆動する。
【0046】
いくつかの実施例では、電池20はケーシング30を含み得る。ケーシング30は箱体(図未しない)とカバー(図未しない)を含み得る。箱体は空洞(図未しない)と開口(図未しない)を有し、カバーは開口を閉鎖してケーシングを形成する。
【0047】
図2および図3に示すように、電池20はケーシング30を含み得る。一例では、ケーシング30は筒体31、第1カバー32と第2カバー33を含む。第1カバー32と第2カバー33はそれぞれ第1方向Xに沿って筒体31の両端にそれぞれ設けられる。第1方向Xは筒体31の軸方向と同じである。第1カバー32と第2カバー33はそれぞれ筒体31に着脱可能に接続される。例えば、第1カバー32と第2カバー33はそれぞれ筒体31に係合されるか、またはネジで接続される。筒体31、第1カバー32と第2カバー33を組み立て収容空間を形成する。異なる使用電力需求を満たすために、電池20のケーシング30内に1つまたは複数の電池単体30が含み得る。複数の電池単体30は直列、並列または混在して接続され得る。混在とは直列と並列の混合を意味する。電池単体30はリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本出願の実施例のケーシング30は圧力解放部35を含む。圧力解放部35は電池単体50の熱暴走時に発生した排出物をケーシング30外部に排出させ、ケーシング30内の圧力を下げるように構成される。本出願の実施例では、圧力解放部35が第1カバー32に設けられる場合を例にして技術的解決手段を説明する。
【0049】
本出願の実施例の電池単体50は電極端子51と防爆弁52を含む。各電池単体50は電極端子51に電気的に接続される。電池単体50の熱暴走時に、電池単体50の防爆弁52が破裂して、電池単体50の内部圧力を解放する。
【0050】
図4および図5に示すように、本出願の実施例の電池は充電コネクタ40をさらに含む。充電コネクタ40は電池単体50に電気的に接続されるように構成される。充電装置(図未しない)は充電コネクタ40を介して電池20の外部から電池20の内部の各電池単体50を充電することができる。充電コネクタ40は本体部41を含む。本体部41はケーシング30の電池単体50から離れる側に配置されて圧力解放部35を被覆する。つまり、第1方向Xにおいて、本体部41の正方向投影が圧力解放部35の正方向投影を覆う。例示的に、充電コネクタ40は環状フランジを有する。環状フランジは本体部41を形成する。電池単体50の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過して本体部41に作用し、本体部41の少なくとも一部を電池単体50から離れる方向に作動させて充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続を切断し、充電装置の電池単体50への充電を停止する。なお、電池単体50から離れる方向は第1方向Xと同じである。作動とは構造部材の少なくとも一部が外力の作用下で所定方向に移動または変形することを指す。
【0051】
本出願の実施例の電池20は電池単体50、ケーシング30および充電コネクタ40を含む。電池単体50はケーシング30内に設けられる。ケーシング30は内部圧力を排出するための圧力解放部35を含む。充電コネクタ40はケーシング30に設けられて電池単体50に電気的に接続され、充電装置は充電コネクタ40を介して電池単体50を充電することができる。充電コネクタ40は本体部41を含む。充電コネクタ40の本体部41はケーシング30の圧力解放部35を被覆する。電池単体50の熱暴走時に、電池単体50の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過して充電コネクタ40の本体部41に作用し、本体部41に衝撃力を加え、本体部41の少なくとも一部を電池単体50から離れる方向に作動させる。本体部41の作動の結果、充電コネクタ40とケーシング30の相対位置を変化させ、充電コネクタ40が電池単体50から離れて移動し、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続を切断し、充電装置の電池単体50への充電を停止する。したがって、電池単体50の熱暴走時に、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続状態を切断し、電池単体50への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低減し、火災または爆発の可能性を低減して電池20の使用安全性を向上させることができる。
【0052】
いくつかの実施例では、充電コネクタ40は配線ユニット42をさらに含む。充電コネクタ40は配線ユニット42を介して電極端子51に電気的に接続される。ケーシング30に取付穴34が設けられる。充電コネクタ40の一部がケーシング30の取付穴34に挿入され得る。取付穴34の径方向においてケーシング30の取付穴34が形成された部分によって充電コネクタ40を制限することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、充電コネクタ40は全体的にケーシング30の外側に位置する。充電コネクタ40はケーシング30の取付穴34を被覆する。
【0054】
いくつかの実施例では、図6に示すように、ケーシング30は弱領域を有する。弱領域は圧力解放部35を形成する。
【0055】
弱領域の強度がケーシング30の他の部位の強度よりも小さく、弱領域が容易に破壊され、電池単体50の熱暴走時に発生した排出物をケーシング30外部に排出しやすい。例示的に、ケーシング30の一部領域の厚さを薄くして弱領域を形成する。または、ケーシング30の一部領域の材料を、電池単体50の内部から噴出した高温高圧排出物によって破壊可能な材料としてもよい。
【0056】
図7に示すように、電池単体50の熱暴走時、熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35の電池単体50に面する表面に作用し、圧力解放部35に衝撃力を加え、圧力解放部35の少なくとも一部が破壊および損傷する。熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過した後本体部41の圧力解放部35に面する表面に作用し、本体部41に衝撃力を加える。
【0057】
図8および図9に示すように、本体部41が衝撃力を受けると、本体部41はケーシング30から離れ、両者が分離し、充電コネクタ40が第1方向Xに沿って変位する。充電コネクタ40が変位した後、充電コネクタ40と電池単体50の電極端子51の電気的接続が切断され、熱暴走時に発生した排出物が本体部41とケーシング30間の間隙から排出され、電池20の内部圧力を解放する。充電コネクタ40とケーシング30の組み合わせにより電池20の圧力解放機能および充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続の切断機能を実現することができる。
【0058】
例示的に、所定長さのワイヤを使用して充電コネクタ40と電極端子51を電気的に接続させる。充電コネクタ40が変位した後、このワイヤが破断され、電極端子51との電気的接続が切断される。または、充電コネクタ40はパッドに接続され、電極端子51もパッドに接続されてもよい。充電コネクタ40が変位した後、充電コネクタ40がパッドから分離し、電極端子51との電気的接続が切断される。
【0059】
いくつかの例では、ケーシング30上の圧力解放部35は環状構造である。ケーシング30上の圧力解放部35は開放リングまたは閉鎖リングであってもよい。または、ケーシング30上の圧力解放部35の数が2つ以上であってもよい。各圧力解放部35が間隔を空けて配置され環状に分布している。
【0060】
いくつかの実施例では、充電コネクタ40はケーシング30に着脱可能に接続され、充電コネクタ40とケーシング30の生産製造および組立に便利である。例示的に、充電コネクタ40とケーシング30が互いに係合される。充電コネクタ40の本体部41とケーシング30の一方に係合穴が設けられ、他方に係合穴に係合される係合突起が設けられる。充電コネクタ40が衝撃力を受けると、係合突起が係合穴から外れ、本体部41とケーシング30の接続状態が切断される。
【0061】
いくつかの実施例では、充電コネクタ40とケーシング30が互いに接着される。接着剤で充電コネクタ40とケーシング30を接続して、充電コネクタ40が衝撃力を受けると、充電コネクタ40とケーシング30の少なくとも一方が接着剤から脱離して、本体部41とケーシング30の接続状態が切断される。
【0062】
いくつかの実施例では、図9に示すように、ケーシング30に凹部36が設けられる。凹部36はケーシング30の外面から内面に向かって窪んで形成される。凹部36の開口が電池単体50から離間する。充電コネクタ40の本体部41の少なくとも一部がこの凹部36に陥没し、第1方向Xにおいて電池20のサイズを小さくすることができ、電池20のエネルギー密度を高める。充電コネクタ40の本体部41のケーシング30に近い側壁はケーシング30に接続される。
【0063】
いくつかの実施例では、図6図9に示すように、充電コネクタ40の本体部41に凹部411が設けられる。本体部41のケーシング30に面する表面は、本体部41の圧力解放部35に向かう位置に凹部411を形成するように段差が付けられる。凹部411は圧力解放部35に向かって配置され、本体部41の圧力解放部35に向かう表面と圧力解放部35間に間隙がある。一側面によれば、圧力解放部35が衝撃力を受けると、破壊損傷を起こすために圧力解放部35の一部が外側に曲がる必要がある。本体部41の凹部411によって退避構造を形成し、電池単体50の熱暴走時に、圧力解放部35の一部がスムーズに外側に曲がって破壊損傷を発生し、圧力解放部35が衝撃力を受けたとき、圧力解放部35が本体部41によって制限されスムーズに外側に曲がって圧力解放部35の破壊損傷が発生しない可能性がある。別の側面によれば、充電コネクタ40の本体部41に設けられた凹部411により、熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過した後、凹部411に速やかに集まり、本体部41により大きな衝撃力を加える。
【0064】
いくつかの実施例では、図10および図11に示すように、ケーシング30は外側に突出する環状フランジを有する。本体部41は環状フランジに接続される。例示的に、充電コネクタ40の本体部41と環状フランジの一方に係合穴が設けられ、他方に係合穴に係合された係合突起が設けられる。または、充電コネクタ40は環状フランジに接着されてもよい。例えば、接着剤で充電コネクタ40と環状フランジを接続する。充電コネクタ40が衝撃力を受けると、本体部41と環状フランジの接続状態が切断される。充電コネクタ40は第1方向Xに沿って変位した後、熱暴走時に発生した排出物は環状フランジと本体部41間の間隙から排出される。
【0065】
いくつかの実施例では、図12および図13に示すように、充電コネクタ40の本体部41はケーシング30に固定的に接続される。圧力解放部35が破壊損傷した後、熱暴走時に発生した排出物が本体部41に作用して本体部41に衝撃力を加える。本体部41が衝撃を受けると、圧力解放部35から離れる方向に膨らんで変形する同時に、充電コネクタ40全体は第1方向Xに沿って変位して電池単体50との電気的接続が切断される。しかしながら、本体部41がケーシング30に接続されたままであり、両者が分離することがない。例示的に、本体部41の材料は、電池単体50の内部から噴出された高温高圧排出物によって作用しても跳ね返りにくい材料であり得、熱暴走時に発生した排出物が高温高圧物質であり、本体部41が変形すると跳ね返ることがなく、充電コネクタ40が電池単体50に移動して電池単体50に再び電気的に接続される可能性を低減することができる。例えば、本体部41の材料はポリエチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンなどのプラスチックであり得る。一例では、充電コネクタ40の本体部41はケーシング30に溶接されてもよい。
【0066】
いくつかの実施例では、図12に示すように、ケーシング30は弱領域を有する。ケーシング30の一部領域の厚さを薄くして弱領域を形成し、弱領域は圧力解放部35を形成する。電池20は封止部材60をさらに含む。圧力解放部35は封止部材60の周りに設けられる。封止部材60は充電コネクタ40とケーシング30を封止して、外部の水分が充電コネクタ40とケーシング30間の隙間から電池20の内部に侵入して電池20に悪影響を与える可能性を防止することができる。例示的に、封止部材60は環状シールリングまたは環状封止剤であり得る。封止部材60の材料はゴムまたはシリコーンであり得る。
【0067】
いくつかの実施例では、図14および図15に示すように、ケーシング30に貫通穴が設けられる。貫通穴はケーシング30の外面と内面を貫通する。貫通穴の軸方向は第1方向Xと同じである。貫通穴は圧力解放部35を形成する。熱暴走時に発生した排出物は貫通穴を速やかに通過して充電コネクタ40の本体部41に作用する。
【0068】
図16に示すように、充電コネクタ40の本体部41が衝撃を受けると、充電コネクタ40は第1方向Xに沿って変位し電池単体50との電気的接続が切断される。ケーシング30に設けられた貫通穴によって圧力解放部35を形成することは、熱暴走時に発生した排出物が高速かつ直接に充電コネクタ40の本体部41に作用して本体部41に衝撃力を加えることに有利である。
【0069】
例示的に、貫通穴の数は2つ以上である。2つ以上の貫通穴は環状に分布している。2つ以上の貫通穴は均一に分布すると、本体部41全体にかかる力のバランスが取られ、本体部41が傾斜して本体部41がケーシング30から分離しにくい可能性を低減することができる。充電コネクタ40は第1方向Xに沿って変位した後、熱暴走時に発生した排出物は貫通穴およびケーシング30と本体部41間の間隙から排出される。
【0070】
いくつかの例では、ケーシング30に凹部36が設けられる。貫通穴は凹部36の底壁を貫通する。
【0071】
いくつかの実施例では、図15に示すように、ケーシング30に貫通穴が設けられる。貫通穴は圧力解放部35を形成する。充電コネクタ40とケーシング30間に封止部材60が設けられる。封止部材60は圧力解放部35の周りに配置される。封止部材60はケーシング30の内部空間と外部空間を隔離するように構成され、外部の水分が充電コネクタ40とケーシング30間の隙間を介して電池20の内部に侵入して電池20に悪影響を与える可能性を低減する一方、熱暴走時に発生した排出物が本体部41とケーシング30間の隙間から漏れて本体部41に対する衝撃力が小さくなり、本体部41が作動しない可能性を低減することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、ケーシング30に貫通穴が設けられる。貫通穴は圧力解放部35を形成する。充電コネクタ40とケーシング30間に2組の封止部材60が設けられる。各組の封止部材60は少なくとも1つの封止部材60を含む。圧力解放部35は2組の封止部材60間に位置する。圧力解放部35の内側に位置する1組の封止部材60はケーシング30の内部空間と外部空間を隔離するように構成される。圧力解放部35の外側に位置する1組の封止部材60はケーシング30の内部空間と外部空間を隔離して、圧力解放部35から排出された排出物が本体部41とケーシング30間の隙間を介してケーシング30の外部空間に漏れることを防止し、排出物が漏れて本体部41に対する衝撃力が小さくなりケーシング30から分離しにくい可能性を低減することができる。なお、圧力解放部35の内側とは、第1方向Xに垂直する方向に沿って、圧力解放部35の配線ユニット42に面する側を指し、圧力解放部35の外側とは第1方向Xに垂直する方向に沿って、圧力解放部35の配線ユニット42から離れる側を指し、図15に示す封止部材60は圧力解放部35の外側に位置する。
【0073】
いくつかの実施例では、図17および図18に示すように、電池20はアクチュエータ70をさらに含む。アクチュエータ70はケーシング30に接続され、充電コネクタ40に電池単体50から離れる作用力を加えるように構成される。アクチュエータ70は本体部41に補助作用力を提供する。熱暴走時に発生した排出物が充電コネクタ40の本体部41に衝撃力を加えると、本体部41に受けた作用力は熱暴走時に発生した排出物の衝撃力とアクチュエータ70の作用力の和であり、本体部41はより容易に作動し、電池単体50の熱暴走時に、充電コネクタ40が移動せずに充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続が切断されない可能性を低減することができる。例示的に、アクチュエータ70の数は2つ以上である。2つ以上のアクチュエータ70は環状かつ均一に分布し、本体部41にかかる力のバランスに有利である。
【0074】
いくつかの例では、図17に示すように、アクチュエータ70は弾性部材71とロッド部材72を含む。ロッド部材72は本体部41に接続される。弾性部材71の一端はロッド部材72に接続され、他端はケーシング30に接続される。弾性部材71は、ロッド部材72に電池単体50から離れる作用力を加えるように構成される。ケーシング30に第1貫通穴30bが設けられ、ロッド部材72は第1貫通穴30bを通過する。ロッド部材72は第1貫通穴30bの軸方向に沿ってケーシング30に対して移動することができる。第1貫通穴30bの軸方向は第1方向Xと同じである。
【0075】
本体部41とケーシング30は接続状態である場合、弾性部材71を引張状態にするために、ロッド部材72とケーシング30はともに弾性部材71を引っ張る。
【0076】
または、図19に示すように、ロッド部材72の本体部41から離れた端部は、阻止部721を有する。弾性部材71の一端は阻止部721に接続され、他端はケーシング30に接続される。弾性部材71を圧縮状態にするためにロッド部材72とケーシング30はともに弾性部材71を圧縮する。熱暴走時に、弾性部材71は弾性位置エネルギーを放出し、ロッド部材72と本体部41を同時に上方に移動させる。例示的に、弾性部材71はばねまたは弾性ゴムブロックであってもよい。
【0077】
いくつかの例では、図17に示すように、弾性部材71はロッド部材72の外周に嵌合される。ロッド部材72は弾性部材71の圧縮過程または引張過程を安定する。
【0078】
いくつかの例では、アクチュエータ70はカバー73をさらに含む。ロッド部材72と弾性部材71は本体部41の電池単体50に面する側に設けられる。カバー73はロッド部材72と弾性部材71を収容するように構成される。カバー73はケーシング30の内部に設けられる。カバー73はケーシング30に着脱可能に接続される。カバー73はロッド部材72と弾性部材71の組立中生成された破片を収集して、破片が電池20の内部に侵入して電池20の性能故障が起こる可能性を低減することができる。
【0079】
いくつかの例では、図20および図21に示すように、アクチュエータ70は弾性部材71を含む。弾性部材71は本体部41とケーシング30間に設けられ、本体部41とケーシング30は接続状態である場合、弾性部材71が圧縮状態である。弾性部材71の一端は本体部41に接続され、他端はケーシング30に接続される。熱暴走時に、弾性部材71は弾性位置エネルギーを放出し、本体部41に作用力を加える。例示的に、弾性部材71はコイルばね、ねじりばねまたは弾性ゴムブロックであってもよい。
【0080】
いくつかの実施例では、図22に示すように、ケーシング30は案内通路37をさらに含む。案内通路37はケーシング30の内側に位置する。案内通路37は電池単体50の熱暴走時に発生した排出物を圧力解放部35に案内するように構成される。案内通路37は、熱暴走時に発生した排出物を集まって熱暴走時に発生した排出物をより迅速に圧力解放部35に案内し、熱暴走時に発生した排出物が本体部41に作用する時間を短縮し、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続を速やかに切断することに有利である。
【0081】
いくつかの例では、図22に示すように、案内通路37は合流チャンバー371と分岐通路372を含む。分岐通路372は合流チャンバー371に連通する。電池単体50の暴走によって発生した排出物は合流チャンバー371で合流して圧力解放部35に作用する。第1方向Xにおいて、圧力解放部35は合流チャンバー371に対向して設けられる。圧力解放部35は合流チャンバー371に対向して設けられることは、第1方向Xにおいて、圧力解放部35の投影が合流チャンバー371の投影の少なくとも一部に重なることを指す。電池単体50の熱暴走時に発生した排出物は各分岐通路372に沿って高速に合流チャンバー371に合流することができ、熱暴走時に発生した排出物が無方向に広がり充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続の切断速度が比較的に遅くなる可能性を低減することができる。
【0082】
例示的に、ケーシング30の内側にリブ30aが設けられる。リブ30aは案内通路37を形成するように囲む。第1方向Xにおいて、リブ30aと電池単体50間に間隙がある。
【0083】
または、ケーシング30の内側に窪み(図未しない)が形成される。窪みはケーシング30の内面から外面に向かって窪む。窪みの開口が電池単体50に向かう。窪みは案内通路37を形成する。
【0084】
いくつかの例では、図23に示すように、電池単体50は複数である。各電池単体50は防爆弁52を含む。複数の防爆弁52の少なくとも1つの防爆弁52が案内通路37に対向して設けられる。熱暴走時に、案内通路37に対向して設けられた防爆弁52から排出された排出物は案内通路37の案内作用下で圧力解放部35と充電コネクタ40の本体部41により速やかに作用し、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続をより速く切断することに有利である。
【0085】
図24に示すように、本出願の実施例は、電池20の製造方法をさらに提供し、この方法は、
圧力解放部35が設けられたケーシング30に電池単体50を配置し、圧力解放部35は、電池単体50の熱暴走時に発生した排出物をケーシング30外部に排出させるように構成されるステップと、
ケーシング30に本体部41を含む充電コネクタ40を取り付けて、本体部41がケーシング30の電池単体50から離れる側に位置し圧力解放部35を被覆するステップと、
充電コネクタ40を電池単体50に電気的に接続するステップと、を含む。
【0086】
本出願の実施例の電池20の製造方法は上記の電池20を製造することができる。電池20の製造方法で製造された電池20は、充電コネクタ40の本体部41がケーシング30の圧力解放部35を被覆する。電池単体50の熱暴走時に、電池単体50の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過して充電コネクタ40の本体部41に作用し、本体部41に衝撃力を加え、本体部41の少なくとも一部を電池単体50から離れる方向に作動させる。本体部41が作動するため、充電コネクタ40とケーシング30の相対位置が変化し、充電コネクタ40が電池単体50から離れて移動し、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続が切断され、充電装置の電池単体50への充電を停止する。したがって、電池単体50の熱暴走時に、充電コネクタ40は電池単体50から即時に脱離でき、電池単体50への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低減させ、火災または爆発の可能性を低減させて電池20の使用安全性を向上させることができる。
【0087】
図25に示すように、本出願の実施例は、電池20の製造装置をさらに提供し、この装置は、
圧力解放部35が設けられたケーシング30に電池単体50を配置し、圧力解放部35は電池単体50の熱暴走時に発生した排出物をケーシング30外部に排出させるように構成される第1装置100と、
ケーシング30に本体部41を含む充電コネクタ40を取り付けるように構成される第2装置200と、
充電コネクタ40と電池単体50を電気的に接続し、本体部41がケーシング30の電池単体50から離れる側に位置し圧力解放部35を被覆するように構成される第3装置300と、を含む。
【0088】
本出願の実施例の電池20の製造装置は上記の電池20の製造方法を実行して上記の電池20を製造することができる。電池20の製造装置で製造した電池20は、充電コネクタ40の本体部41がケーシング30の圧力解放部35を被覆する。電池単体50の熱暴走時に、電池単体50の熱暴走時に発生した排出物が圧力解放部35を通過して充電コネクタ40の本体部41に作用し、本体部41に衝撃力を加え、本体部41の少なくとも一部を電池単体50から離れる方向に作動させる。本体部41が作動するため、充電コネクタ40とケーシング30の相対位置が変化し、充電コネクタ40が電池単体50から離れて移動し、充電コネクタ40と電池単体50の電気的接続が切断され、充電装置の電池単体50への充電を停止する。したがって、電池単体50の熱暴走時に、充電コネクタ40は電池単体50から即時に脱離でき、電池単体50への充電を停止し、熱暴走の程度を効果的に低減させ、火災または爆発の可能性を低減させて電池20の使用安全性を向上させることができる。
【0089】
好まし実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲を逸脱しない限り、様々な改良をおこなうことができ、その部材を等価物と置き換えることができ、特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で述べた各技術特徴を任意に組み合わせることができる。本出願は明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含むべきである。
図1
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【国際調査報告】