(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】マルチドロップ通信バスにおけるバスノードのシーケンスの判定
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0853 20220101AFI20230601BHJP
H04L 43/0864 20220101ALI20230601BHJP
H04L 12/40 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04L41/0853
H04L43/0864
H04L12/40 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565643
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 FI2021050306
(87)【国際公開番号】W WO2021219931
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591159044
【氏名又は名称】コネ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】フスザク、 ゲオルゲリー
(72)【発明者】
【氏名】カッタイネン、 アリ
(72)【発明者】
【氏名】バスケラ、 ミッコ
【テーマコード(参考)】
5K032
【Fターム(参考)】
5K032AA07
5K032DB28
5K032EA07
(57)【要約】
一態様によれば、マルチドロップ通信バスにおけるバスノード(102、104、106)のシーケンスの判定方法が提供される。本方法は、各バスノード(102、104、106)に関しては、バスノード物理識別子を使用してバスノード(102、104、106)にリクエストを送信(200)してバスノード(102、104、106)をループバックモードに設定し、少なくとも1つの信号をマルチドロップ通信バス(108)を介してバスノードに送信(202)し、バスノード(102、104、106)から少なくとも1つの信号によって発生したループバック信号を受信(204)し、少なくとも1つの信号とループバック応答信号との間の往復遅延を測定(206)する。本方法はさらに、往復遅延に基づいてマルチドロップ通信バス(108)におけるバスノード(102、104、106)の物理順序を解明する(208)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチドロップ通信バス(108)におけるバスノード(102、104、106)のシーケンスの判定方法であって、該方法は、
各バスノード(102、104、106)に関しては、
バスノード物理識別子を使用して前記バスノード(102、104、106)にリクエストを送信(200)して、前記バスノード(102、104、106)をループバックモードに設定し、
少なくとも1つの信号を、前記マルチドロップ通信バス(108)を介して前記バスノード(102、104、106)に送信(202)し、
前記バスノード(102、104、106)から、前記少なくとも1つの信号によって発生したループバック応答信号を受信(204)し、および、
前記少なくとも1つの信号と前記ループバック応答信号との間の往復遅延を測定(206)し、ならびに該方法は、
前記往復遅延に基づいて、前記マルチドロップ通信バス(108)における前記バスノード(102、104、106)の物理順序を解明(208)する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記バスノード(102、104、106)は定遅延ループバック回路を有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記定遅延ループバック回路は、エコーキャンセラおよび再送信器を有する方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1つの信号は単一パルスまたはパルスパターンである方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1つの信号はアナログ信号である方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記リクエストは前記ループバックモードに関連するタイミング情報を含み、該タイミング情報とは該ループバックモードの継続時間のことを示す方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、該方法はさらに、
セグメントコーディネータが専用の物理識別子を使用し、使用状態を検出するバスノードが特定の物理識別子を使用し、該特定の物理識別子は送信機会と関連付けられているものである物理識別子割当戦略を適用し、
前記セグメントコーディネータにより、すべてのバスノード(102、104、106)を応答状態に設定して、それらに対して後続の検出要求メッセージに返信するよう命令し、
前記セグメントコーディネータにより、少なくとも1つの検出要求メッセージを用いて前記バスノード(102、104、106)の媒体アクセス制御アドレスを解明し、
前記セグメントコーディネータにより、前記バスノード(102、104、106)の物理識別子を該バスノードの前記媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会し、
前記セグメントコーディネータにより、固有の物理識別子を各バスノード(102、104、106)に付与して、前記バスノード物理識別子を解明することを含む方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の方法において、前記マルチドロップ通信バス(108)はマルチドロップイーサネットバスを含む方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている集積回路。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている装置。
【請求項11】
マルチドロップ通信バス(108)と、
該マルチドロップ通信バス(108)と通信可能に接続された少なくとも1つのバスノード(102、104、106)と、
該マルチドロップ通信バス(108)と通信可能に接続された請求項10に記載の装置とを有する通信システム。
【請求項12】
請求項11に記載の通信システムにおいて、該通信システムはエレベータ通信システムを含む通信システム。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されているエレベータシステムノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、通信システムの分野に関するものである。より具体的には、本願は、マルチドロップ通信バスにおけるバスノードのシーケンスの判定に関する。
【背景】
【0002】
通信網、例えばマルチドロップネットワークを利用するネットワークを設定する場合、適切に機能するようにネットワークを構成しなければならない。このようなネットワークは一般に、正確に構成できるよう外部手段および/または情報を必要とする。例えば、同種の複数のネットワークノードは、ネットワークにおいてノードの役割またはタスクを識別できるセットアップもしくは設定および/またはハードウェア要素(ジャンパ、ロータリースイッチなど)を作製するのに時間を要するであろう。これを手作業で行わなければならない場合、困難で面倒な作業となり、複数のネットワークノードを有するネットワークの構成に時間がかかってしまう。さらに、ネットワークノードの構成を自動的に確立したとしても、ネットワークノードがネットワーク内でどのように配置されるのかは不明である。
【0003】
そのため、このような問題点の少なくとも1つを改善する手法があると有益であろう。
【概要】
【0004】
第1の態様によれば、マルチドロップ通信バスにおけるバスノードのシーケンスの判定方法が供される。本方法は、各バスノードに関しては、バスノード物理識別子を使用してバスノードにリクエストを送信してバスノードをループバックモードに設定し、少なくとも1つの信号をマルチドロップ通信バスを介してバスノードに送信し、バスノードから少なくとも1つの信号により発生したループバック応答信号を受信し、少なくとも1つの信号とループバック応答信号との間の往復遅延を測定することを含む。本方法はさらに、往復遅延に基づいて、マルチドロップ通信バスにおけるバスノードの物理順序を解明することを含む。
【0005】
第1の態様の一実施例において、バスノードは定遅延ループバック回路を有する。当該回路は、ジッタまたは変動が非常に少なく、遅延の予想が可能な回路のことを指してもよく、これにより、各バスノードについて、測定ノードとバスノードの間の距離を往復遅延に基づいて確実な手法で割り出すことができる。レイテンシについては、遅延が既知である限りそれ自体は問題にはならない。
【0006】
第1の態様の一実施例において、定遅延ループバック回路は、エコーキャンセラおよび再送信器を有する。エコーキャンセラを使用することで、バスノードからの信号反射を防止できる。
【0007】
第1の態様の一実施例において、少なくとも1つの信号は、単一パルスまたはパルスパターンでもよい。パルスパターンは、エラー検出信号もしくはコードを含んでいてもよく、および/または、符号化もしくは変調されていてもよい。これによれば、信号伝送の確実性が向上する。
【0008】
第1の態様の一実施例において、少なくとも1つの信号はアナログ信号でもよく、測定ノードおよびバスノードはアナログ/デジタル信号変換を行う変換インタフェースを有していてもよい。
【0009】
第1の態様の一実施例において、リクエストはループバックモードに関連するタイミング情報を含み、タイミング情報とはループバックモードの継続時間のことを示す。
【0010】
第1の態様の一実施例において、上述の方法はさらに、バスノードの物理識別子を以下のとおりに解明することを含む。すなわち、セグメントコーディネータが専用の物理識別子を使用し、使用状態を検出するバスノードが特定の物理識別子を使用し、特定の物理識別子は送信機会と関連づけられているものである物理識別子割当戦略を適用し、セグメントコーディネータによりすべてのバスノードを応答状態に設定して、それらに対して後続の検出要求メッセージに返信するよう命令し、セグメントコーディネータにより少なくとも1つの検出要求メッセージを用いてバスノードの媒体アクセス制御アドレスを解明し、セグメントコーディネータによりバスノードの物理識別子をバスノードの媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会し、セグメントコーディネータにより固有の物理識別子を各バスノードに付与する。
【0011】
第1の態様の一実施例において、マルチドロップ通信バスはマルチドロップイーサネットバスを含む。
【0012】
第2の態様によれば、第1の態様による方法を実行するように構成された集積回路が供される。
【0013】
第3の態様によれば、第1の態様による方法を実行するように構成された装置が供される。
【0014】
第4の態様によれば、第1の態様による方法を実行するように構成されたエレベータシステムノードが供される。
【0015】
第5の態様によれば、バスノード物理識別子を解明する方法が供される。本方法は、セグメントコーディネータが専用の物理識別子を使用し、使用状態を検出するバスノードが特定の物理識別子を使用し、特定の物理識別子は送信機会と関連付けられているものである物理識別子割当戦略を適用し、セグメントコーディネータによりすべてのバスノードを応答状態に設定してそれらに対して後続の検出要求メッセージに返信するよう命令し、セグメントコーディネータにより少なくとも1つの検出要求メッセージを用いてバスノードの媒体アクセス制御アドレスを解明し、セグメントコーディネータによりバスノードの物理識別子をバスノードの媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会し、セグメントコーディネータにより固有の物理識別子を各バスノードに付与することを含む。
【0016】
第6の態様によれば、第5の態様による方法を実行するように構成された集積回路が供される。
【0017】
第7の態様によれば、第5の態様による方法を実行するように構成された装置が供される。
【0018】
第8の態様によれば、第5の態様による方法を実行するように構成されたエレベータシステムノードが供される。
【0019】
第9の態様によれば、マルチドロップ通信バス、マルチドロップ通信バスと通信可能に接続された少なくとも1つのバスノード、およびマルチドロップ通信バスと通信可能に接続された第7の態様による装置を有する通信システムが供される。
【0020】
第9の態様の一実施例において、通信システムはエレベータ通信システムを含む。
【0021】
第10の態様によれば、マルチドロップ通信バスにおけるバスノードのシーケンスの判定装置が供される。本装置は、各バスノードに関しては、バスノード物理識別子を用いてバスノードにリクエストを送信しバスノードをループバックモードに設定する手段、少なくとも1つの信号をマルチドロップ通信バスを介してバスノードに送信する手段、バスノードから少なくとも1つの信号によって発生したループバック応答信号を受信する手段、および、少なくとも1つの信号とループバック応答信号との間の往復遅延を測定する手段を含む。本装置はさらに、往復遅延に基づいてマルチドロップ通信バスにおけるバスノードの物理順序を解明する手段を含む。
【0022】
第10の態様の一実施例において、バスノードは定遅延ループバック回路を備える。本回路は、ジッタまたは変動が非常に少なく、遅延の予想が可能な回路を指していてもよく、これにより、各バスノードについて、測定ノードとバスノードの間の距離を往復遅延に基づいて確実な方法で割り出すことができる。レイテンシについては、遅延が既知である限りそれ自体は問題にはならない。
【0023】
第10の態様の一実施例において、定遅延ループバック回路は、エコーキャンセラおよび再送信器を有する。エコーキャンセラを使用することで、バスノードからの信号反射を防止できる。
【0024】
第10の態様の一実施例において、少なくとも1つの信号は、単一パルスまたはパルスパターンで構わない。パルスパターンは、エラー検出信号もしくはコードを含んでいてもよく、および/または、符号化もしくは変調されていてもよい。これによれば、信号伝送の確実性が向上する。
【0025】
第10の態様の一実施例において、少なくとも1つの信号はアナログ信号でもよく、測定ノードおよびバスノードはアナログ/デジタル信号変換を行う変換インタフェースを有していてもよい。
【0026】
第10の態様の一実施例において、リクエストはループバックモードに関連するタイミング情報を含み、タイミング情報とはループバックモードの継続時間を示す。
【0027】
第10の態様の一実施例において、本装置はさらに、バスノード物理識別子を以下のとおりに解明する手段を含む。すなわち、当該手段では、セグメントコーディネータが専用の物理識別子を使用し、使用状態を検出するバスノードが特定の物理識別子を使用し、特定の物理識別子は送信機会と関連付けられているものである物理識別子割当戦略を適用し、セグメントコーディネータによりすべてのバスノードを応答状態に設定して、それらに対して後続の検出要求メッセージに返信するよう命令し、セグメントコーディネータにより少なくとも1つの検出要求メッセージを用いてバスノードの媒体アクセス制御アドレスを解明し、セグメントコーディネータによりバスノード物理識別子をバスノードの媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会し、セグメントコーディネータにより固有の物理識別子を各バスノードに付与する。
【0028】
第10の態様の一実施例において、マルチドロップ通信バスはマルチドロップイーサネットバスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付図面は、本発明の理解をより深めるために供され、本明細書の一部を成すものであり、本発明の実施形態を例示して、明細書の記載と併せて本発明の原理の説明に役立つものである。
【
図2】一実施形態例に係るマルチドロップ通信バスにおけるバスノードのシーケンスの判定方法を示す。
【
図3】一実施形態例に係るバスノード物理識別子を解き明かす方法を示す。
【
図5】一実施形態例に係るエレベータ通信システムを示す。
【詳細な説明】
【0030】
図1は、一実施形態例に係る通信システムを示す。本通信システムは、マルチドロップ方式通信バス108および複数のバスノード100、102、104、106を有する。バスノード100、102、104、106は、マルチドロップ通信バス108を介して通信を行なうように構成された任意の装置またはシステム要素を備えていてもよい。バスノード100、102、104、106のうちの1つは、測定ノード100として作動してもよい。マルチドロップ通信バスは、例えば、マルチドロップ方式のイーサネットバスを有していてもよい。しかしながら、これはマルチドロップ通信バス108の実現可能な具現例の1つであり、他の具現例を用いてもよい。
【0031】
マルチドロップイーサネットバス108は、例えば、10BASE-T1S規格のマルチドロップイーサネットバスを有していてもよい。
【0032】
以下、通信システムの動作について
図2および
図3を用いてより詳細に述べる。
【0033】
図2は、一実施形態例に係る、マルチドロップ通信バス108におけるバスノード100、102、104、106のシーケンスの判定方法を示す。バスノード100、102、104、106のうちの1つは、測定ノード100として作動する。
【0034】
工程200において、測定ノード100は、選択されたバスノード、例えばバスノード102に対し、バスノードの物理識別子を用いてリクエストを送信し、そのネットワークインタフェース、例えばイーサネットであれば媒体依存インタフェース(MDI)をループバックモードに設定する。ループバックモードとは、例えば、ネットワークインタフェースのループバック回路が既知の低ジッタ遅延特性を有するモードを意味し得る。実施形態例によっては、測定ノード100からのリクエストはループバックモードに関連するタイミング情報を含んでいてもよく、タイミング情報とはループバックモードの継続時間を示す。別の実施形態例では、バスノード102は既知のパターンまたはタイミングに応じて自ら計時することができる。さらに、別の実施形態例においては、定遅延ループバック回路は、エコーキャンセラおよび再送信器を有していてもよい。さらに、インピーダンス整合を実行してバスノードからの信号反射を防止してもよい。
【0035】
さらに、測定ノード100は、バスノードから受信する信号、すなわち、ループバック応答信号に関しての検出方法を設定してもよい。測定ノード100は、事前に設定した条件が満たされていない場合でも、検出器の未起動時間が終了しないうちに初期遅延を設定してもよい。
【0036】
工程202において、測定ノード100は、少なくとも1つの信号を、マルチドロップ通信バス108を介してバスノード102に送信するように構成されている。少なくとも1つの信号は、単一パルスまたは特定のパルスパターンを含んでいてもよい。測定ノード100は、少なくとも1つの信号を送信するほかに、初期遅延が設定された場合には初期遅延の計時を開始するように構成してもよい。初期遅延が経過すると、測定ノード100は自動的にタイマを始動させる。初期遅延が事前に設定されなかった場合、測定ノード100はタイマを直ちに始動させる。測定ノード100は、長時間ディレイラインまたは複数の反射信号のサンプルを収集する他の比較技術を用いるように構成されてもよい。タイマが作動しているとき、長時間ディレイラインにより応答信号を捕捉する準備ができている。代替的または付加的に、測定ノード100は、信号の送受信を行なう物理層(PHY)のイーサネット送受信器を使用してもよい。
【0037】
工程204において、測定ノード100は、伝送された少なくとも1つの信号により発生する少なくとも1つのループバック応答信号をバスノード102から受信するように構成されている。実施形態例によっては、測定ノード100は、長時間ディレイラインに反射信号、すなわち応答信号の捕捉を命令する構成を採ってもよい。
【0038】
工程206において、測定ノード100は、少なくとも1つの信号とループバック応答信号の間の往復遅延を測定するように構成される。実施形態例によっては、測定ノードは、少なくとも1つの信号がノードに送信されると、タイマを始動させてもよい。ループバック応答信号を受信すると、測定ノードに割込みを発生させてもよく、割込みに基づいてタイマが停止される。これにより、計時値に基づいて往復遅延または往復時間を割り出してもよい。あるいは、ループバック応答信号を受信すると周辺ハードウェアがタイマを停止させる信号を生成してもよい。
【0039】
工程200、202、204および206は、その他のバスノード104、106のそれぞれに対しても個別に繰り返し実行される。
【0040】
工程208において、測定ノード100は、マルチドロップ通信バス108におけるバスノード102、104、106の物理順序を往復遅延に基づいて解明するように構成されている。例えば、測定ノード100は、初期遅延、タイマおよび長時間ディレイラインの往復時間量を使用するように構成することができる。ここで、測定ノード100は物理識別子のベクトルおよび時間領域における識別子間の距離を保持している。マッピングは、任意の公知の手法を用いて時間領域と空間距離をマッピングすることによって成し遂げてもよい。
【0041】
さらに、ループバック回路のジッタまたは変動が非常に少なく、遅延の予想が可能な場合、往復遅延に基づいて、確実な手法で測定ノードとバスノードの間の距離を割り出すことができる。レイテンシについては、遅延が既知である限りそれ自体は問題にはならない。さらに、実施形態例によっては、測定ノード100が送信する少なくとも1つの信号は、デジタルメッセージを含んでいてもよい。これは、照合アルゴリズムまたはバスノードからの帰還信号の相関関係などを適用すると、物理順序の判断の確実性の信頼性を高めることが可能になるであろうことを意味する。
【0042】
実施形態例によっては、反復測定に係る統計的方法を用いて、精度および/または分解能を向上させてもよい。信号に誤り訂正技術を適用することにより、さらに確実性を高めることも可能であろう。さらに、往復時間測定がマルチドロップ通信バスにわたる正確な波動伝搬速度に左右される場合、絶対距離の測定に補助工程が必要になる場合がある(例えば、較正ケーブルタイプ)。ただし、近似または相対距離については、(波動伝搬速度の平均を、例えば6ns/mと仮定することで)これまで通りに測定できるであろう。実施形態例によっては、システムパラメータを適切に選択することにより、図示例を適用して、ケーブルの接続点(スタブ、ブランチ)、ケーブルもしくはハーネスの断線、またはこれまでは良好であると認識されていたネットワーク状態の経年劣化、機械的負荷、コネクタ抵抗の上昇などによる変化を検出してもよい。さらに、IEEE 802.3 Clause 148に準拠するネットワークでは、テストを、マルチドロップ通信バスのセグメントコーディネータによるビーコン発信のスケジューリングに結び付けてもよい。これによって、通常のトラヒックとのコリジョンを回避でき、システムの信頼性が高まる。
【0043】
上述の例示手法を用いることにより、バスノードに付加ハードウェアを必要とせず、製造もしくは設置時に付加的な設定もせず、または付加的なワイヤもしくは配線を設けることもせずに、ネットワークのエニュメレーションおよびモニタリングを実行することができる。
【0044】
さらに、上述の例示手法を用いることにより、バスノードの順序を解明できるだけでなく、時間または空間領域におけるノード間の相対距離および/または絶対距離も解明できる。これにより、本発明に係る手法を用いて通信システムのレイアウトまたはトポロジーを判定することも可能である。
【0045】
図3は、一実施形態例に係るバスノードの物理識別子を解き明かす方法を示す。
【0046】
工程300において、物理識別子の割当戦略を適用する。当該割当戦略では、セグメントコーディネータ、例えば測定ノード100が専用の物理識別子を使用し、さらに、使用状態を検出するバスノード102、104、106により特定の物理識別子が使用されることとなる。特定の物理識別子は、送信機会と関連付けられている。
【0047】
工程302において、セグメントコーディネータは、すべてのバスノード102、104、106を応答状態に設定して、後続の検出要求メッセージに返信するように各ノードに命令する。
【0048】
工程304において、セグメントコーディネータは、少なくとも1つの検出要求メッセージを使用して、バスノード102、104、106の媒体アクセス制御アドレスを解き明かす。
【0049】
工程306において、セグメントコーディネータは、バスノード102、104、106の物理識別子を、バスノード102、104、106の媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会する。
【0050】
工程308において、セグメントコーディネータは、固有の物理識別子を各バスノード102、104、106に付与する。
【0051】
一実施形態例において、工程300~308は3つの主要素を伴う。
1.セグメントコーディネータ(SC)の物理識別子(PHY-ID)割当または指定に関する戦略。SCはPHY-ID 0を使用してもよい。
2.その他の(調整された)ノードのPHY-ID使用戦略。
3.PHY-ID付与方法:このようなアルゴリズムは、SC内でまたはSCを処理して実行してもよく、これにより、現在固有のPHY-IDを有していない任意の未設定ノード(UN)をエニュメレーションして、これらのノードにPHY-IDを割り当てて付与することができる。
【0052】
物理識別子の割当または指定に関する戦略では、PHY-ID #0はSC専用に指定してもよい。SCは、別の特定のPHY-ID(SPID)を指定して任意またはすべての未設定ノード(UN)により使用されるようにしてもよい。このような特定のPHY-ID(SPID)に属する送信機会(TO)は、任意の(0-N)個のUNにより使用されてもよい。実際には、これによってSPIDを使用するすべての上述のノードは、あたかも正規の(初期設定の)イーサネットチャンネルであるかのようにチャンネルにアクセスでき、ここでは、アービトレーションは「先着順」方式で処理されるのに対し、コリジョンは一旦待機して再送信する確率論的な方式(CSMA/CD)で処理される。SPIDは一定値(例えば、#1)または変数値(例えば、既知である固有のPHY-IDの数+1)を有していてもよく、これは正規のノードによる通常の通信よりもUNの設定を優先すべきか、またはその逆であるべきかに応じて決まる。
- 方法A:PHY-ID #1が使用される場合、UNの設定は正規のパケットよりも優先順位が高くなるため、SCは#2以降の固有PHY-IDを付与し始める。
- 方法B:変数PHY-IDが使用される場合、正規のパケットの優先順位がUNの設定よりも高くなるため、SCは固有PHY-IDを#1から付与し始めるが、PLCAビーコンを発信する前では、PLCA周期ごとに1つの追加TOを割り当ててもよい。
【0053】
SCは、ローカル要求に応じて組み合わされた戦略を選択してもよく、例えば、電源投入後は、すべてのノードが固有のPHY-IDを受け取るまで方法Aを用いてもよい。その後、SCは方法Bに切り替えてもよく、あるいはPLCA周期の一部(0~100%)の期間で追加TOをオフにしてもよい。SCは実施形態例によって、複数のSPIDを保持して、優先度を基準にしたPHY-IDの割当てなどを実行できるようにしてもよい。
【0054】
PHY-IDの使用戦略において、あるバスノードが以下の状態のうちの1つを検出した場合(例えば、リセット後)、周知のSPIDを使用して通常の通信を開始する。
- バスノードが固有PHY-IDを有していない、すなわちバスノードは未設定ノード(UN)であるか、
- バスノードは固有PHY-IDを有しているものの、属しているTO中に継続的または定期的なコリジョンが当該ノードにより検出される(すなわち、PHY-IDが当該バスノード固有のものでなく、設定エラーを示している可能性がある)状態である。
【0055】
PHY-IDの付与方法において、SCは、SC自体のアルゴリズムを維持して混合セグメント上におけるすべてのノードをエニュメレーションするか、または、上位層もしくはホストのプロトコルに対して、エニュメレーションを可能にするそれぞれのアルゴリズムの処理を許可してもよい。このようなアルゴリズムは、例えば以下に挙げるものでよい。
- SCは、L2ブロードキャストまたはマルチキャストのアドレッシングサービスを使用して、すべてのバスノードを「応答可能」状態に設定し、各ノードに対して後続のあらゆる検出要求(FR)メッセージに応答するように命令してもよい。バスノードが自身のPHY-IDを記憶できる場合(例えば、ローカル設定データベースを介して)、あるいは局所的に設定されたPHY-IDを有することが可能な場合(例えば、設定用のピン、ジャンパ、ロータリスイッチを介して)、予め設定されたバスノードが応答できるようにするためには、SCは、システムにおけるPHY-IDの最大許容数(例えば、#255)までPLCAサイクルを延ばしておくことが必要であろう。
- SCは、L2ブロードキャストまたはマルチキャストのアドレッシングサービスを利用して、1つの検出要求メッセージまたは一連の検出要求メッセージを送信する。
- SCは、バスノードのMACアドレスを保持する第1の検出応答(FA)を受信する。この段階で、一部またはすべてのバスノードは固有PHY-IDを有していない場合もあるため、上述したようにSPIDを使用する。このような状態では物理的なコリジョンが発生する可能性があるが(当該SPIDに属するTOがCSMA/CDモードで動作している場合)、これは予期されることであり、標準正規確率過程によって対処することができる。
- SCは、新たに認識したノードに対し、後続の検出要求メッセージに応答しないように命令する。
- SCは、検出応答メッセージを送信するバスノードがなくなるまで、上述の各工程を繰り返す。その後、SCは、マルチドロップ方式のバスセグメント全体で使用されるMACアドレスの完全なリストを保有しているものと推定する。
- SCは、前もって収集したノードのMACアドレスに基づいて、ユニキャストアドレッシングサービスを利用するすべてのバスノードのPHY-IDの照会を反復的に行なう。
- SCは、固有PHY-IDの連続的な(欠損なしの)シーケンスを設計してノードに付与するアルゴリズムを実行してもよい。これにより、必要なPHY-IDの再設定(つまり変更)の回数が最小限になるようにしてもよい。
- SCは、新しいPHY-IDを必要とするバスノードに、ノード自身のMACアドレスに基づいて、ネットワークコマンドを送出してもよい。これらのメッセージは、バスノードが直ちに新しいPHY-IDを使い始めるように設定する。
- すべてのノードの設定が終わると、SCはコリジョンのない混合セグメントとして、PLCAを用いた動作をすることができる。
【0056】
上記手法例を使用して、任意のタイプのPHY-IDパターンをバスセグメントに割り当ててもよい。さらに、本方法は、未設定のノードを設定するだけでなく、意図しないPHY-IDのコリジョンやPHY-IDスキームにおける無用な「欠損」を排除する。これらは(それぞれに)、ネットワークパフォーマンスの悪化を引き起こしたり、あるいはネットワークパフォーマンスの低下を引き起こしたりするものである。
【0057】
実施形態例によっては、上述した機能性は例えば、集積回路によって具現化してもよい。
【0058】
図4は、一実施形態例に係る装置400を示す。装置400は、少なくとも1つの処理部402を有していてもよい。装置400はさらに、少なくとも1つの記憶部404を有していてもよい。記憶部404はプログラムコード406を含んでいてもよく、プログラムコード406は、処理部402によって実行されると、上述の少なくとも1つの実施形態例を装置400に実行させる。典型的な実施例および発明の客体の態様は、典型的な実施例による工程を実行可能な任意の適切な装置に組み込まれてもよい。さらに、典型的な実施例では、本願に記載の様々な工程に関する情報を記憶することもできる。装置400は単一の装置として例示しているが、適用可能である限り、装置400の機能を複数の装置に分散してもよいことを理解されたい。装置400は、例えば、
図1に示す測定ノード100を有していてもよい。
【0059】
実施形態例は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションロジック、または、ソフトウェア、ハードウェアおよびアプリケーションロジックの組合せによって具現化してもよい。実施形態例は、本願に記載する様々な方法に関する情報を記憶することも可能である。当該情報は、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、RAMなど、1または複数の記憶部404に記憶できる。1または複数のデータベースは、実施形態例を実現する際に使用される情報を記憶できる。データベースは、本願で挙げた1もしくは複数のメモリまたはストレージデバイスに含まれるデータ構造(例えば、レコード、表、配列、フィールド、グラフ、ツリー、リストおよび同種のもの)を用いて系統化することができる。実施形態例に関して述べた方法は、適切なデータ構造を含み、実施形態例の各装置およびサブシステムの方法によって収集および/または生成されたデータを1つ以上の複数のデータベースに保存することができる。
【0060】
処理部402は、実施形態例の教示に従ってプログラムされた1または複数の汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラなどを含んでいてもよいことは、コンピュータおよび/またはソフトウェア技術の当業者であれば理解の及ぶことであろう。用途に適したソフトウェアは、一般的な技術を有するプログラマーが実施形態例の教示に基づいて容易く用意できることは、ソフトウェア技術の当業者であれば理解の及ぶことであろう。また、用途特化型の集積回路を設けることで、または従来のコンポーネント回路を適切なネットワークに相互接続させて実施形態例を実現してもよいことは、電気関連技術の当業者であれば理解の及ぶことであろう。このように、実施形態例はハードウェアおよび/またはソフトウェアの特定の組合せに限定されるものではない。複数のコンピュータ可読媒体のいずれか1つまたは組合せに記憶した例として、実施形態例のコンポーネントの制御、実施形態例のコンポーネントの駆動、実施形態例のコンポーネントによる人間のユーザとのやり取りなどを可能にするソフトウェアを含めることもできる。このようなコンピュータ可読媒体はさらに、実施形態例の具現化において実行されるすべての処理または処理の一部(処理が分散される場合)を行なうコンピュータプログラムを含めてもよい。実施例におけるコンピュータコードデバイスは、用途に適して解釈可能または実行可能な任意のコードメカニズムを含んでいてもよく、このメカニズムは、解釈可能なプログラム、動的リンクライブラリ(DLL)、Javaクラスおよびアプレット、完全に実行可能なプログラムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
上述の通り、実施形態例のコンポーネントは、教示に従ってプログラムされた命令を保持し、さらにデータ構造、表、履歴および/または本願で述べるその他のデータを保持するコンピュータ可読媒体または記憶部404を含んでいてもよい。実施形態例によっては、アプリケーションロジック、ソフトウェアまたは命令セットは、従来型の様々なコンピュータ可読媒体のいずれか1つに保持される。本願において、「コンピュータ可読媒体」とは、コンピュータなどの命令実行システム、装置もしくは機器によって、またはこれに接続して使用される、命令の格納、記憶、伝達、伝播または伝送が可能な任意の媒体または手段でよい。コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてもよく、可読記憶媒体は、コンピュータなどの命令実行システム、装置もしくは機器によって、またはこれに接続して使用される、命令の格納もしくは記憶が可能な媒体または手段でよい。コンピュータ可読媒体には、命令を処理部に供給して実行させることに関係する任意の適切な媒体が含まれる。このような媒体は様々な方式を取り得るものであり、不揮発性媒体、揮発性媒体、伝送媒体などでよいが、これらに限定されるものではない。
【0062】
装置400は、装置400が他の装置、サーバおよび/またはクライアントとの間で情報を送信および/または受信できるように構成された通信インタフェース408を有していてもよい。
【0063】
装置400は、本願に記載した少なくとも1つの方法を実行する手段を備えていてもよい。一例において、本手段は、少なくとも1つの処理部402と、少なくとも1つの処理部402が実行されると装置400に上述の機能を実行させるように設定されたプログラムコード406を含む少なくとも1つの記憶部404とを有していてもよい。
【0064】
図5は、実施形態例に係るマルチドロップ通信バスを適用したエレベータ用の通信システムを示す。エレベータ通信システムは、
図1ないし
図3に関連して述べた機能を採り入れてもよい。
【0065】
エレベータ通信システムは、エレベータ制御部500を有していてもよい。エレベータ通信システムはさらに、エレベータ制御部500によるアクセスが可能な1または複数のマルチドロップ方式バスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518C、およびマルチドロップバスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cを介して通信を行なうように構成された複数のエレベータ用のシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、515A、514B、514C、516A~516Fを有していてもよい。エレベータ制御部500には、エレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fがマルチドロップバスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cを介してアクセス可能である。実施形態例によっては、マルチドロップバスセグメントはマルチドロップ方式のイーサネットバスセグメントを有する。
【0066】
実施形態例によっては、エレベータ通信システムは、ポイントツーポイントイーサネットバス502および少なくとも1つの接続部504A、504B、504Cを有し、これらの接続部は、マルチドロップ方式のバスセグメント508A、508Bに接続された第1のポートおよびポイントツーポイントイーサネットバス502に接続された第2のポートを有していてもよい。これにより、接続部504A、504B、504Cを使用して、1または複数のマルチドロップ方式バスセグメント508A、508Bをポイントツーポイントイーサネットバス502に接続することができる。接続部504A、504B、504Cは、例えばスイッチであってもよい。さらに、ポイントツーポイントイーサネットバス502は、エレベータ制御部500に接続されていてもよい。ポイントツーポイントイーサネットバス502は、例えば100BASE-TXまたは10BASET1L型ポイントツーポイントイーサネットバスで構わない。マルチドロップバスセグメント508A、508B、512A、512B、512C、518A、518B、518Cは、例えば10BASE-T1S型マルチドロップイーサネットバスを有していてもよい。
【0067】
実施形態例によっては、エレベータシステムノード510A~510F、516A~516Fは、少なくとも1つのエレベータの備品、エレベータセンサ、エレベータ安全装置およびエレベータ制御装置とインタフェース接続するように構成されている。さらに、実施形態例によっては、各ノードへの電力は同一の配線から供給することができる。
【0068】
エレベータ通信システムは、エレベータ用の安全制御部を備えていてもよい。エレベータ用安全制御部は、接続部を介してポイントツーポイントイーサネットバス502に接続してもよい。すなわち、エレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fは、共通のポイントツーポイントイーサネットバス502を介して、エレベータ用安全制御部と情報の送受信を行なってもよい。一例を挙げれば、エレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fは、例えばセンサまたは備品からエレベータ制御部500またはエレベータ用安全制御部に情報を送信したり、これらから情報を受信したりすることで、例えば、備品を構成するアクチュエータやその他のものを制御することができる。エレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fの少なくとも一部はIEC61508 SIL level 3に準拠する安全ノードでもよく、これらのノードは、安全処理ユニットおよび独立した通信制御部を有する。安全処理ユニットのデータは、エレベータ用安全制御部だけに送信してもよい。安全ノードは、安全センサまたはエレベータの安全性を知らせる安全接触子などのエレベータ用安全装置とインタフェースで接続するように構成してもよい。安全接触子とは、乗り場ドア接触子、ドアロック接触子、過速度調速機の接触子、緩衝器接触子などのことである。安全ノードは、エレベータ用安全制御部と通信を行なうように構成してもよい。安全な通信を確立するために、チェックサム、エラー検出および/または補正アルゴリズムなど、様々なデータチェック手法を通信に用いてもよい。
【0069】
少なくとも1つのポイントツーポイントイーサネットバスおよび少なくとも1つのマルチドロップイーサネットバスセグメントを使用してエレベータ通信システム内で通信を行なうことにより、種々のセグメントをエレベータ通信システム内に形成できる。例えば、エレベータシステムノード510A、510Bは第1の乗り場セグメントを形成してもよく、エレベータシステムノード510C、510Dは第2の乗り場セグメントを形成してもよく、エレベータシステムノード510E、510Fは第3の乗り場セグメントを形成してもよく、昇降路用のノード506A、506B、506Cは第1の昇降路セグメントを形成してもよく、昇降路用のノード514A、514B、514Cは第2の昇降路セグメントを形成してもよい。各セグメントは、別々のマルチドロップバスを使用して具現化され得る。
【0070】
図5に示すように、昇降路ノード506A、506B、506C、514A、514B、514Cは、昇降路ノード506A、506B、506C、514A、514B、514Cに接続された昇降路セグメント508A、508Bを、乗り場セグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cと相互に接続させる。言い換えると、昇降路ノード506A、506B、506C、514A、514B、514Cは、乗り場セグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cに対するスイッチを有していてもよく、または、これらに対するスイッチとして作動してもよい。これにより、新たなエレベータシステムノードをエレベータ通信システムに追加するための簡易な手法を使用できるようにしてもよい。さらに、これにより単一のエレベータシステムノードを他のマルチドロップイーサネットバスセグメントに対するスイッチまたは中継器として機能させる手法を使用できるようにしてもよい。他のマルチドロップイーサネットバスセグメントには、例えば、1つ以上の呼びボタン、1台以上のディスプレイ、1つ以上の目的階操作パネル、1台以上のカメラ、内部音声通話装置など、周辺のエレベータシステム要素が関わる。
【0071】
複数のエレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fのうちの1つ以上のノードは、前述した測定ノード100として作動してもよい。
【0072】
好適な実施形態に適用した基盤新規構成を提示し、説明し、指摘してきたが、ここに記載した方式ならびに装置および方法の細部は、本開示の意図を逸脱しない範囲で、当業者が様々に省略、置換および変更可能であると理解されたい。例えば、特に、上述の要素のあらゆる組合せ、および/または実質的に同一の方法で実質的に同一の機能を実行して同一の結果を達成する方法の工程は、本開示の範囲内であることを意図している。さらに、開示したいかなる方式もしくは実施形態に関連して図示ならびに/または記載した構造体および/もしくは構成要素および/もしくは方法工程は、一般的に選択し得る設計的事項として、その他の開示、記載もしくは示唆した方式または実施形態に組込み可能であると理解されたい。
【0073】
出願人は、本願では、上述した個々の構成および2つ以上のこのような構成の任意の組合せについて、このような特徴または組合せが本明細書全体に基づいて実行できる範囲において、当業者の一般常識に照らして、このような構成もしくはこれらの構成の組合せによって上述したいずれかの問題を解消できるか否かに関係なく、または特許請求の範囲に限定することなく、それぞれを分けて開示している。出願人は、開示した方式または実施形態がこのような特有の構成またはこれらの構成の組合せのいずれかから成るものであってもよいことを示している。上述の説明を考慮して開示の範囲において様々な変形が可能であることは、当業者にとっては明白であろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチドロップ通信バ
スにおけるバスノー
ドのシーケンスの判定方法であって、該方法は、
各バスノー
ドに関しては、
バスノード物理識別子を使用して前記バスノー
ドにリクエストを送
信して、前記バスノー
ドをループバックモードに設定し、
少なくとも1つの信号を、前記マルチドロップ通信バ
スを介して前記バスノー
ドに送
信し、
前記バスノー
ドから、前記少なくとも1つの信号によって発生したループバック応答信号を受
信し、および、
前記少なくとも1つの信号と前記ループバック応答信号との間の往復遅延を測
定し、ならびに該方法は、
前記往復遅延に基づいて、前記マルチドロップ通信バ
スにおける前記バスノー
ドの物理順序を解
明する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記バスノー
ドは定遅延ループバック回路を有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記定遅延ループバック回路は、エコーキャンセラおよび再送信器を有する方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1つの信号は単一パルスまたはパルスパターンである方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1つの信号はアナログ信号である方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記リクエストは前記ループバックモードに関連するタイミング情報を含み、該タイミング情報とは該ループバックモードの継続時間のことを示す方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、該方法はさらに、
セグメントコーディネータが専用の物理識別子を使用し、使用状態を検出するバスノードが特定の物理識別子を使用し、該特定の物理識別子は送信機会と関連付けられているものである物理識別子割当戦略を適用し、
前記セグメントコーディネータにより、すべてのバスノー
ドを応答状態に設定して、それらに対して後続の検出要求メッセージに返信するよう命令し、
前記セグメントコーディネータにより、少なくとも1つの検出要求メッセージを用いて前記バスノー
ドの媒体アクセス制御アドレスを解明し、
前記セグメントコーディネータにより、前記バスノー
ドの物理識別子を該バスノードの前記媒体アクセス制御アドレスに基づいて照会し、
前記セグメントコーディネータにより、固有の物理識別子を各バスノー
ドに付与して、前記バスノード物理識別子を解明することを含む方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の方法において、前記マルチドロップ通信バ
スはマルチドロップイーサネットバスを含む方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている集積回路。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている装置。
【請求項11】
マルチドロップ通信バ
スと、
該マルチドロップ通信バ
スと通信可能に接続された少なくとも1つのバスノー
ドと、
該マルチドロップ通信バ
スと通信可能に接続された請求項10に記載の装置とを有する通信システム。
【請求項12】
請求項11に記載の通信システムにおいて、該通信システムはエレベータ通信システムを含む通信システム。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を実行するように構成されているエレベータシステムノード。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
エレベータ通信システムは、エレベータ制御部500を有していてもよい。エレベータ通信システムはさらに、エレベータ制御部500によるアクセスが可能な1または複数のマルチドロップ方式バスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518C、およびマルチドロップバスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cを介して通信を行なうように構成された複数のエレベータ用のシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fを有していてもよい。エレベータ制御部500には、エレベータシステムノード506A、506B、506C、510A~510F、514A、514B、514C、516A~516Fがマルチドロップバスセグメント512A、512B、512C、518A、518B、518Cを介してアクセス可能である。実施形態例によっては、マルチドロップバスセグメントはマルチドロップ方式のイーサネットバスセグメントを有する。
【国際調査報告】