(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物を含む固体組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20230601BHJP
A01N 33/04 20060101ALI20230601BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230601BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230601BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230601BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20230601BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230601BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20230601BHJP
D06M 13/463 20060101ALI20230601BHJP
D06M 13/328 20060101ALI20230601BHJP
D06M 15/03 20060101ALI20230601BHJP
D06M 13/192 20060101ALI20230601BHJP
D06M 13/432 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61K8/41
A01N33/04
A01P3/00
A61Q5/12
A61K8/73
A61K8/365
A61K8/19
A61K8/40
D06M13/463
D06M13/328
D06M15/03
D06M13/192
D06M13/432
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566018
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021029112
(87)【国際公開番号】W WO2021222079
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,デニス・エス
(72)【発明者】
【氏名】マーウィン,キャスリン・イー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーメイン,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】サンダース,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ガングリー-ミンク,サンギータ
【テーマコード(参考)】
4C083
4H011
4L033
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB361
4C083AC121
4C083AC241
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC531
4C083AC681
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC771
4C083AC851
4C083AD151
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB04
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB34
4C083CC33
4C083DD21
4C083EE07
4C083FF01
4H011AA02
4H011BA04
4H011BB04
4H011BC19
4H011DA02
4H011DC05
4H011DG16
4H011DH10
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA18
4L033BA46
4L033BA79
4L033BA86
4L033CA02
(57)【要約】
少なくとも一つの水溶性多糖類、および多糖類によって吸収される活性成分として少なくとも一つの第四級アンモニウム化合物、アミン、またはプロトン化アミン化合物を含む、水分散性固体組成物が開示されている。組成物は、柔軟剤組成物、ヘアケア組成物、消毒組成物、および坑井処理組成物などの多種多様な用途に有用である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体組成物であって、
(a)約5重量%~約70重量%の少なくとも一つの第四級アンモニウム化合物、アミンもしくはプロトン化アミン、またはそれらの混合物、
(b)150g/L~600g/Lの範囲の通気かさ密度を有する約30重量%~約95%重量%の水溶性多糖類、および
(c)任意で、最大30重量%の可溶化剤、を含み、
前記第四級アンモニウム化合物、アミンまたはプロトン化アミンは、10炭素以上の少なくとも一つのアルキル鎖を有し、前記多糖類によって吸収され、ただし、前記水溶性多糖類が凝集されない場合、前記固体組成物中の前記第四級アンモニウム化合物、アミン、またはプロトン化アミンの量は、20重量%以下であり、および、前記水溶性多糖類が凝集され、250g/L~600g/Lの範囲の通気かさ密度を有する場合、前記固体組成物中の前記第四級アンモニウム化合物、アミン、またはプロトン化アミンの量は、35重量%以下である、固体組成物。
【請求項2】
前記水溶性多糖類が、マルトデキストリン、好ましくは凝集マルトデキストリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が、少なくとも一つのエステルアミンまたはエステルクォートである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも一つのエステルアミンまたはエステルクォートが、脂肪酸源と反応したアルカノールアミンの反応生成物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸源が、ヒマワリ油、キャノーラ油、低エルカ酸菜種(LEAR)油、またはそれらの組み合わせに由来する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸源が、キャノーラ脂肪酸、LEAR菜種脂肪酸、またはそれらの組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルカノールアミンが、トリエタノールアミン(TEA)またはメチルジエタノールアミン(MDEA)である、請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルカノールアミンがTEAであり、かつ前記脂肪アルキル鎖とアルカノールアミンとの比が約1.3:1~約2.2:1である、請求項4~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルカノールアミンがMDEAであり、前記脂肪アルキル鎖とアルカノールアミンとの比が約1.0:1~約2.0:1である、請求項4~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第四級アンモニウム化合物が、約5より大きいハンセン極性パラメータを有するエステルクォートである、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が、少なくとも一つのアミドアミン、アミドアミン塩、またはアミドアミンクォートである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも一つの第四級アンモニウム化合物が、以下の化学式を有し、
【化1】
式中、R
1は、6~22個、好ましくは8~18個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、
R
2は、1~16個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、
R
3は、メチル、エチル、ベンジル、またはエチルベンジルであり、
R
4はメチルまたはエチルであり、および
X
-は、
【化2】
である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項13】
前記可溶化剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸カリウム、尿素、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記固体組成物が水分散性である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記固体組成物が粉末の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記固体組成物が、約2.0を超える流動性パラメータ値および約2.0未満の凝集性パラメータ値を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記固体組成物が、ポッド、パケット、パウチ、またはカプセルの形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記固体組成物が、錠剤、スティック、パック、トローチ、またはペレットの形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載の固体組成物を含む、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか一項に記載の固体組成物を含む、柔軟剤組成物。
【請求項21】
請求項12~14のいずれか一項に記載の固体組成物を含む、抗菌性組成物。
【請求項22】
請求項1~14のいずれか一項に記載の固体組成物を含む、油田用途で使用するための腐食抑制剤。
【請求項23】
水分散性固体組成物を作製する方法であって、
前記固体組成物の総重量に基づいて、約30重量%~約95%の量で水溶性多糖類を提供する工程、
約5重量%~約70重量%の少なくとも一つの液体もしくは溶融アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物、またはその混合物を、前記水溶性多糖類に添加する工程であって、ただし、前記水溶性多糖類が凝集されない場合、前記水溶性多糖類に添加される前記アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物の量は、前記固体組成物の20重量%以下であり、および、前記水溶性多糖類が凝集され、かつ250g/L~600g/Lの範囲の通気かさ密度を有する場合、前記凝集した多糖類に添加される前記アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物の量は、前記固体組成物の35重量%以下である、添加する工程、および
前記水溶性多糖類と、前記アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物とを、前記アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が前記水溶性多糖類によって吸収されて、前記水分散性固体組成物を形成するまで混合する工程、を含む、方法。
【請求項24】
前記プロトン化アミンまたは第四級アンモニウム化合物の前記添加の前、最中、または後に、約0.5重量%~約50重量%の可溶化剤を添加する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水溶性多糖類が、マルトデキストリン、好ましくは凝集マルトデキストリンを含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が、少なくとも一つのエステルアミンまたはエステルクォートである、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一つのエステルアミンまたはエステルクォートが、脂肪酸源と反応したアルカノールアミンの反応生成物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記脂肪酸源が、ヒマワリ油、キャノーラ油、LEAR菜種油、またはそれらの組み合わせに由来する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記脂肪酸源が、キャノーラ脂肪酸、LEAR菜種脂肪酸、またはそれらの組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記アルカノールアミンが、トリエタノールアミン(TEA)またはメチルジエタノールアミン(MDEA)である、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記アルカノールアミンがTEAであり、前記脂肪アルキル鎖とアルカノールアミンとの比が約1.3:1~約2.2:1である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アルカノールアミンがMDEAであり、前記脂肪アルキル鎖とアルカノールアミンとの比が約1.0:1~約2.0:1である、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第四級アンモニウム化合物が、約5より大きいハンセン極性パラメータを有するエステルクォートである、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が、少なくとも一つのアミドアミン、アミドアミン塩、またはアミドアミンクォートである、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも一つの第四級アンモニウム化合物が、以下の化学式を有し、
【化3】
式中、R
1は、6~22個、好ましくは8~18個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、
R
2は、1~16個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、
R
3は、メチル、エチル、ベンジル、またはエチルベンジルであり、
R
4はメチルまたはエチルであり、および
X
-は、
【化4】
である、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記可溶化剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸カリウム、尿素、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記固体組成物が粉末の形態である、請求項23~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記粉末が、水溶性または水破裂性のフィルムまたはコーティング内に封入される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記固体組成物が、錠剤、スティック、パック、トローチ、またはペレットに形成される、請求項23~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記固体組成物が、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両面界面活性剤、イミダゾリン、メルカプタン、グリセリド、グリセリン、シリコーン、カチオン性ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上の追加成分を、前記固体組成物の30重量%までの量で含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物、請求項22に記載の腐食抑制剤、または請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、少なくとも一つの水溶性多糖類、および多糖類によって吸収される活性成分として少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物を含む、水分散性固体組成物に関する。組成物は、柔軟剤組成物、ヘアケア組成物、消毒組成物、および油田坑井処理組成物などの多種多様な用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
最近では、より環境に配慮した生態系に優しい製品への関心が高まっている。活性成分の濃度が高く、水の含有がより少ない製品は、通常、包装が少なくて済むため望ましく、したがって、例えば、輸送コストの低減および廃棄物の発生がより少ないなどにより、環境への影響が小さい。また、化石燃料ではなく、植物や動物由来の再生可能資源を原料として製品を作る傾向もある。こうした原料は、再生可能および/または持続可能な供給源に由来するため、「緑」または「天然」とみなされる。その結果、それらは、化石燃料由来の原料よりも環境に優しい。80超など、高いバイオ再生可能炭素指数(BCI)を有する原料は、その原料が、主に植物、動物、または海洋をベースとする供給源に由来する炭素を含有することを示す。
【0003】
エステルアミンまたはアミドアミンなどのアミン、および第四級アンモニウム化合物は、布地処理、ヘアコンディショニング、パーソナルケア(例えば、液体浄化製品)、抗菌組成物、農業用途、および油田用途を含む、多種多様な最終用途のための貴重な構成要素である。こうした化合物は、環境的見地から望ましい、バイオ再生可能な供給源から少なくとも部分的にもたらされ得る。しかしながら、そのような化合物を濃縮された液体組成物に製剤化することは、特に高温または凍結温度で保存する場合、保存時に安定的ではない製品をもたらし得る。不安定性は、保管の際に、もはや製品を注ぐことができないほどの製品の粘性の増加として現れることがある。
【0004】
濃縮された液体組成物に関する別の問題は、それらの組成物は、許容可能な濃縮された水分散体を達成するために、典型的には溶媒を必要とすることである。融解状態で充分に低い粘性を有し、従来的な装置でポンプ注入することが可能な製品を得るためにも、通常、溶媒の添加が必要とされる。添加される溶媒は、通常、例えばイソプロパノールまたはエタノールなどの揮発性有機化合物(VOC)であり、環境の観点からは望ましくない。それに加えて、VOCを制限する厳格な規制が提案されており、VOCの原因となる溶媒を制限または排除することが重要となっている。
【0005】
多くのアルキル第四級化合物は疎水性であるため、多くの場合、それ自体は水に不溶性である。水分散性濃縮固体第四級またはアミン製剤を作製する以前の試みには、欠点がある。例えば、EP111074は、シリカを使用してクォートを運ぶが、これは、シリカは水不溶性であるため、生成物を増大させ、残留物を残し得るという不利な点がある。
【0006】
WO92/18593は、非イオン性柔軟剤および単一の長アルキル鎖カチオン性材料を含む、顆粒状の柔軟剤組成物を記述する。しかしながら、本明細書は、顆粒形態で使用される場合、効果的なカチオン性柔軟剤組成物が、乏しい分散特性を呈することを教示する。
【0007】
固体のパックタイプの柔軟剤組成物は、産業および制度上の用途(例えば、US2014/0115794)での使用で知られている。これらの組成物は、比較的多量の水をパック上に流すことによって投与され、少量の材料が可溶化される。組成物は、意図的にかなり水に不溶性である傾向がある(このため、過大な量の材料は、単一の軟化サイクルでは溶解しない)。こうした固体組成物は、高性能洗濯機の自動ディスペンサー引き出し、または従来的な非高性能の機械の柔軟剤ディスペンサーのセンターポスト(水が固体と一緒に加えられたとしても)に加えられるとき、適切な軟化のために家庭用洗濯機に十分な柔軟剤が入るのを許容しない。類似の様式では、十分なアミン、プロトン化アミン、またはクォートは、ヘアコンディショニングまたは油田などの他の用途において、これらのパックタイプの組成物から有効となるほど可溶化しないであろう。組成物が本質的に低い水溶性を有するため、それらを粉末に粉砕しても溶解性は増大しない。
【0008】
固体殺菌性第四級組成物は、産業用途および制度用途での使用のために知られている。これらの組成物の調製は、典型的には、エネルギー集約的である。多くの場合、尿素は、殺菌性第四級のための担体として、フレーク状または小粒状であり得る、固体形態を形成するために用いられる。これらの形態はさらに、錠剤、トローチ、パック、またはスティックに作製される。細菌制御のための水処理で使用される場合、これらの尿素含有組成物は、不快なアミンまたはアンモニア臭をもたらし得る。
【0009】
水中で容易に分散され、所望の用途で使用された後、残留物が残らない、固体、濃縮アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム含有組成物に対する当技術分野のニーズがある。流動性がある固体組成物を有することも利点となる。
【発明の概要】
【0010】
本技術の一つの態様は、(a)約30重量%~約95重量%の少なくとも一つの多糖類、(b)約5重量%~約70重量%の少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物、および(c)任意で、0~約30重量%の可溶化剤、を含む水分散性固体組成物を対象とし、アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物は、少なくとも一つの10炭素以上のアルキル鎖を有し、かつ多糖類によって吸収されている。ただし、水溶性多糖類が凝集されない場合、固体組成物中の第四級アンモニウム化合物、アミン、またはプロトン化アミンの量は、20重量%以下であり、および、水溶性多糖類が凝集され、250g/L~600g/Lの範囲の通気かさ密度を有する場合、固体組成物中の第四級アンモニウム化合物、アミン、またはプロトン化アミンの量は、35重量%以下である。
【0011】
別の態様では、本技術は、ヘアケア修復およびコンディショニング組成物、布地ケア組成物、抗菌性組成物、および油田組成物を含む、固体組成物で製剤化され得る最終用途製品を対象とする。
【0012】
さらなる態様では、本技術は、固体水分散性組成物を作製する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本技術の固体組成物の腐食速度プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、一つ以上の好ましい実施形態に関連して記述されるが、当業者は、本技術は、それらの特定の実施形態のみに限定されるものではないことを理解するであろう。逆に、本明細書に記述される技術は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれ得る全ての代替物、改変物、および等価物を含む。
【0015】
「バイオ再生可能炭素指数」(BCI)は、バイオ再生可能な供給源に由来する炭素の割合の計算を指し、バイオ再生可能炭素の数を分子全体中の炭素の総数で割ることに基づいて算出される。
【0016】
「バイオ再生可能」は、本明細書では、動物、植物、または海洋材料に由来するものとして定義される。
【0017】
「VOC」は、揮発性有機化合物を指す。そのような化合物は、25℃で2mmHg超の蒸気圧、7炭素原子未満、および120℃未満の大気圧での沸点を有する。
【0018】
本技術の組成物は、一つ以上の多糖類、および多糖類によって吸収される少なくとも一つのアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物を含む固体組成物である。一部の実施形態では、本技術の組成物は、一つ以上の可溶化剤をさらに含む。組成物は、粉末の形態であってもよく、または錠剤もしくは他の固体形態に押し込まれてもよい。驚くべきことに、組成物は、30重量%以上ものアミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物の濃度であっても、水中で容易に分散可能である。
【0019】
アミン
本技術で使用され得るアミンには、エステルアミンおよびアミドアミンなどの第二級アミンおよび第三級アミンが含まれる。第三級アミンが特に好ましい。アミンが組成物中で使用される場合、アミンがプロトン化される値で、組成物が所与の用途に対して導入される(水性)系のpHを有することが望ましい。典型的には、pHは、9未満、好ましくは8未満、さらにより好ましくは7未満であるべきである。
エステルアミン
【0020】
本技術のエステルアミンは、天然油または他の脂肪酸源およびアルカノールアミンを組み合わせることによって調製することができ、典型的には、天然油または脂肪酸源が液体または溶融である開始温度で、任意で触媒を加え、次いで、酸価およびアルカリ価によって検証される所望のエステルアミンに到達するまで反応混合物を加熱する。本明細書で使用される場合、「エステルアミン」は、文脈が別段のことを明示しない限り、中和(プロトン化)された、カチオン塩形態の、非中和エステルアミンおよびエステルアミンを包含することが意図される。
【0021】
エステルアミンを調製するための脂肪酸源は、遊離脂肪酸、脂肪酸エステル、または脂肪酸に対応する酸塩化物などの様々な出発材料であってもよい。遊離脂肪酸は、例えば単一の精製脂肪酸などの別個のものであってもよく、または天然油中のグリセリドエステルの脂肪酸成分に特徴的な脂肪酸混合物などの組み合わせであってもよい。脂肪酸エステルは、例えばモノ-、ジ-および/またはトリグリセリドなどのグリセリドであってもよく、または例えば脂肪酸のメチルエステルまたはエチルエステルなどの脂肪酸のアルキルエステルであってもよい。脂肪酸エステルは、単一の脂肪酸に由来してもよく、または天然脂肪酸供給原料または天然油に由来する脂肪酸などの脂肪酸の混合物に由来してもよい。
【0022】
一部の実施形態では、脂肪酸、またはそのアルキルエステル誘導体は、脂肪酸源として天然油よりも好ましい。脂肪酸源にかかわらず、得られたエステルアミンは、10炭素原子以上を有する少なくとも一つのアルキル鎖を有するべきである。
【0023】
エステルアミンは、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、または飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物であるC8~32脂肪酸またはそのアルキルエステル誘導体から調製され得る。一部の実施形態では、好ましい脂肪酸は、16~20個の炭素原子の炭素鎖長を有する脂肪酸である。脂肪酸は、例えば、ヒマワリ、キャノーラ、ココナッツ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、落花生、落花生、メドウフォーム、ダイズ、クルミ、ホホバ、ヤシ、ルリジサ、ベニバナ、菜種、トールオイル、またはそれらの混合物などの様々な供給源に由来し得る。一部の実施形態では、脂肪酸は、ヒマワリ油、キャノーラ油、または低エルカ酸菜種油(LEAR)に由来する。一部の実施形態では、脂肪酸は、少なくとも50重量%、あるいは、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する少なくとも60重量%の不飽和脂肪酸基を含み、40~130、好ましくは50~130、より好ましくは60~130の範囲のヨウ素値を有する。
【0024】
ヨウ素値は、存在するすべてのエステルクォート材料の親脂肪アシル化合物または脂肪酸の平均ヨウ素値を表す。本技術の文脈において、ヨウ素値は、100グラムの親化合物と反応するヨウ素のグラム数として定義される。親脂肪アシル化合物/酸のヨウ素値を計算する方法は、当技術分野で公知であり、規定量(0.1~3g)を約15mlのクロロホルムに溶解することを含む。次いで、溶解された親脂肪酸アシル化合物/脂肪酸を、酢酸溶液(0.1M)中で25mlの一塩化ヨウ素と反応させる。これに、20mlの10%ヨウ化カリウム溶液と約150mlの脱イオン水が添加される。ハロゲン添加が行われた後、青デンプン指標粉末の存在下でチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)を用いて滴定することにより、一塩化ヨウ素の超過が決定される。同時に、同じ量の試薬を用いて、同じ条件下でブランクが決定される。ブランクで使用されたチオ硫酸ナトリウムの体積と、親脂肪酸アシル化合物または脂肪酸との反応で使用されたチオ硫酸ナトリウムの体積との間の差によって、ヨウ素値を計算することができる。
【0025】
エステルアミンの調製に有用なアルカノールアミンは、以下の一般式に対応する:
【化1】
式中、R
1、R
2、およびR
3は独立してC
1~6アルキル基またはヒドロキシアルキル基から選択される。アルカノールアミンの例としては、トリエタノールアミン(TEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノ-N-(2,3-プロパンジオール)、ジエチルアミノ-N-(2,3-プロパンジオール)、メチルアミノ-N,-N,-ビス(2,3-プロパンジオール)、エチルアミノ-N,N-ビス(2,3-プロパンジオール)、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、アルカノールアミンはMDEAを含む。他の実施形態では、アルカノールアミンはTEAを含む。脂肪酸基とアルカノールアミンとのモル比は約1.0:1~約2.2:1である。一部の実施形態では、アルカノールアミンは、トリエタノールアミン(TEA)であり、脂肪酸基とTEAとのモル比は、約1.3:1~約2.2:1、あるいは約1.3:1~1.8:1である。他の実施形態では、アルカノールアミンはMDEAであり、脂肪酸基とMDEAとのモル比は約1.0:1~2.0:1である。
【0026】
一部の実施形態では、エステルアミンを酸でプロトン化し、それを多糖類に吸収する前に、それによってエステルアミンを中和し、エステルアミン塩を形成することが望ましい場合がある。エステルアミン塩は、対応するエステルアミンを、エステルアミンを中和して塩を形成するのに十分な量の酸と反応させることによって、in-situで生成することができる。エステルアミン塩は、約2~約9の範囲のpH、あるいは約3~約7、あるいは約3~7未満、あるいは約3~約6、あるいは約4~約6のpHを有し得る。一部の実施形態では、中和のために化学量論的な量の酸を使用できる。あるいは、過剰な酸または化学量論的量未満の酸のいずれかを使用し、次いで、より少ないまたはより多くの酸を製品製剤に添加して、最終製品のpHを所望のレベルに調整することができる。有機酸および無機酸の両方が、対応する塩を生成するためのエステルアミンとのin-situ反応に適している。酸の例としては、限定されないが、乳酸、クエン酸、マレイン酸、アジピン酸、ホウ酸、グルタミン酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、尿酸、シュウ酸、アスパラギン酸、ブチル酸、ラウリン酸、グリシン、ギ酸、エタンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0027】
アミドアミン
本技術で使用されるアミドアミンは、アミンを脂肪酸源と反応させることによって調製することができる。脂肪酸源と反応するための好ましいアミンの一つは、ジエチレントリアミンである。エステルアミンを調製するための上述の脂肪酸源のいずれかを使用して、アミドアミンを調製することができる。脂肪酸源にかかわらず、得られたアミドアミンは、少なくとも10炭素原子以上を有する少なくとも一つのアルキル鎖を有するべきである。
【0028】
一部の実施形態では、脂肪酸は、16~20個の炭素原子の炭素差鎖長を有し、少なくとも50重量%、あるいは、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する少なくとも60重量%の不飽和脂肪酸基を含み、40~130、好ましくは50~130、より好ましくは60~130の範囲のヨウ素値を有する。一部の実施形態では、脂肪酸は、ヒマワリ油、キャノーラ油、または低エルカ酸菜種油(LEAR)に由来する。
【0029】
アミドアミンとしては、限定されるものではないが、アルキルアミドプロピルアミン、アルキルアミドエチルアミン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。使用され得るアミドアミンの例としては、アミドプロピルジメチルアミン、アミドエチルジメチルアミン、アミドプロピルジエチルアミン、ジアミドプロピルメチルアミン、ジアミドプロピルエチルアミン、およびジアミドエチルメチルアミンが挙げられる。好ましいアミドアミンは、室温で、好ましくは溶媒なしで、特に好ましくはVOC溶媒なしで、液体であるアミドアミンである。
【0030】
一部の実施形態では、アミドアミンのアミン部分を酸でプロトン化または中和し、アミドアミン塩を形成することが望ましい場合がある。塩を形成するためにアミドアミンを中和するのに有用な酸としては、乳酸、クエン酸、マレイン酸、アジピン酸、ホウ酸、グルタミン酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、尿酸、シュウ酸、アスパラギン酸、ブチル酸、ラウリン酸、グリシン、ギ酸、エタンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、またはそれらの組合せなどの、エステルアミンを中和するための上述の任意の酸が挙げられる。典型的には化学量論的または過剰な量の酸である、十分な量の酸を使用して、アミドアミンをプロトン化する。アミドアミン塩は、約2~約9の範囲のpH、あるいは約3~約7、あるいは約3~7未満、あるいは約3~約6、あるいは約4~約6のpHを有し得る。
【0031】
第四級アンモニウム化合物
本技術において使用され得る第四級アンモニウム化合物には、上述のいずれかのエステルアミンを四級化することによって作製されるエステルクォート、上述のアミドアミンのいずれかを四級化することによって作製される四級化アミドアミン、およびアルキル置換基、アルケニル置換基、またはアリール置換基を有する第四級アンモニウム化合物が含まれ、アルキル基およびアルケニル基は、窒素原子に結合された、直鎖状、分岐状、またはそれらの組み合わせであり得る。アルキル基、アルケニル基、またはアリール基は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの組み合わせなどによるアルコール基およびアルコキシ化で、さらに誘導体化されてもよい。
【0032】
エステルクォート
第三級エステルアミンを四級化してエステルクォートを形成する方法は、当技術分野で周知である。エステルアミンの四級化は、エステルアミンを、例えば、硫酸ジメチル、塩化メチル、硫酸ジエチル、塩化ベンジル、塩化エチルベンジル、臭化メチル、またはエピクロロヒドリンなどのアルキル化剤と反応させることによって達成される。本技術で使用されるエステルクォートは、10炭素原子以上を有する少なくとも一つのアルキル鎖を有する。一実施形態では、エステルクォートは、以下の化学構造を有するTEAベースのエステルクォートである:
【化2】
各Rは独立して、C5~31アルキルまたはアルケニル基、あるいはC7~21アルキルまたはアルケニル基、あるいはC19~21アルキルまたはアルケニル基、あるいは少なくとも主にC13~17アルキルまたはアルケニル基から選択され、直鎖状または分岐状であってもよい。一部の実施形態では、式Iの化合物は、60~130の平均ヨウ素値を有する脂肪酸材料に由来する異なるR基を含む。R1は、C1~4アルキルもしくはヒドロキシアルキル基またはC2~4アルケニル基を表し、
Tは、
【化3】
(すなわち、前方または後方のエステル結合)であり;nは、0~4から選択される整数、あるいは2~4から選択される整数であり、mは、モノエステルクォートに対しては1、ジエステルクォートに対しては2、またはトリエステルクォートに対しては3であり、mは、N原子から直接釣り下がる部分の数を示し、Xは、例えば、ハロゲン化物、またはC1~4の硫酸アルキルもしくは硫酸ヒドロキシアルキル、またはC2~4の硫酸アルケニルなどの硫酸アルキルなどのイオン基である。具体的に企図されるアニオン基には、塩化物、硫酸メチル、または硫酸エチルが含まれる。
【0033】
四級化アミドアミン
本技術で使用される四級化アミドアミンは、適切なアルキル化剤を用いて上述のアミドアミンのいずれかを四級化することによって作製される。第三級アミドアミンを四級化する方法は、当技術分野で公知である。四級化のためのアルキル化剤も公知であり、エステルアミンの四級化について上述したアルキル化剤のいずれかであり得る。本技術で使用される四級化アミドアミンは、10炭素原子以上を有する少なくとも一つのアルキル鎖を有する。四級化アミドアミンも、いくつかの供給源から市販されている。適切な四級化アミドアミンの一つの特定の例は、Stepan Company、Northfield、ILから入手可能なメチルビス(キャノーラアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートであるACCOSOFT(登録商標)780PGである。
【0034】
一部の実施形態では、エステルアミン、アミドアミン、エステルクォート、または四級化アミドアミン中の不飽和脂肪酸基の量は、固体最終生成物の水中で分散する能力に影響を与え得る。エステルアミン、約40未満の平均ヨウ素値を有する脂肪酸供給原料から作製されたアミドアミン、エステルクォート、および四級化アミドアミンは、水中で容易に分散しない固体組成物をもたらし得る。
その他の第四級アンモニウム化合物
【0035】
本技術の固体組成物中の第四級アンモニウム化合物として使用され得る他の第四級アンモニウム化合物は、一般式を有する:
【化4】
式中、R
1は、6~22個、好ましくは8~18個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、
R
2は、1~16個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖、飽和鎖または不飽和鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖であり、ただし、R
1またはR
2のうちの少なくとも一つは10個の炭素原子以上のアルキル鎖長を有し、
R
3は、メチル、エチル、ベンジル、またはエチルベンジルであり、
R
4はメチルまたはエチルであり、および
X
-は、
【化5】
である。
【0036】
これらの第四級アンモニウム化合物は、例えば、抗菌剤または布地ケア剤として有用である。一般式内の例示的な第四級アンモニウム化合物としては、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハライド、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムハライド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムハライド、およびジアルキルメチルエチルベンジルアンモニウムハライドが挙げられる。特異的な第四級アンモニウム塩としては、例えばジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、およびオクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、(C12~C18)-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(ADBAC)、(C12~C18)-アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなどの、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)が挙げられる。第四級アンモニウム化合物は、単一の実体である必要はなく、二つ以上の第四級アンモニウム化合物のブレンドであってもよい。
【0037】
本技術の固体組成物は、組成物の総重量に基づき、約5重量%~約70重量%、あるいは約5重量%~約60重量%、あるいは約5重量%~約55重量%、あるいは約10重量%~約70重量%、あるいは約10重量%~約60重量%、あるいは約10重量%~約55重量%、あるいは約15重量%~約70重量%、あるいは約15重量%~約60重量%、あるいは約15重量%~約55重量%のアミン、プロトン化アミンまたは第四級アンモニウム化合物の活性を含む。
多糖類
【0038】
本技術の固体組成物はまた、約30重量%~約95重量%、あるいは約30重量%~約80重量%の水溶性多糖類を含む。適切な多糖類は、典型的な保存および使用温度で固体状態にあり、組成物中の他の構成要素と本質的に非化学的に反応性であるべきである。多糖類はまた、例えば15重量%以上、または30重量%以上、および望ましくは最大70%重量などの、高濃度の活性物を得るのに十分な量の、液体または溶融プロトン化アミンまたは第四級アンモニウム化合物を吸収することができるはずである。多糖類はまた、固体組成物が水中に分散された時に活性物を放出することができるはずである。好適な多糖類の例としては、トウモロコシ、米、ジャガイモデンプン、オート麦、大麦、ライ麦、そば、豆類または小麦、および凝集トウモロコシシロップ固体に由来し得るマルトデキストリンが挙げられる。
【0039】
一部の実施形態では、マルトデキストリンは凝集マルトデキストリンである。理想的には、本技術で使用される凝集マルトデキストリンは、粒子サイズを有するべきであり、最小60%が20メッシュスクリーンを通過し、最大15%が200メッシュスクリーンを通過し、好ましくは最小70%が20メッシュスクリーンを通過し、最大5%が200メッシュスクリーンを通過する。凝集マルトデキストリンのその他の望ましい特性としては、3と20の間、あるいは6と15の間、あるいは8と12の間のデキストロース当量、10%未満、あるいは7.5%未満、あるいは5%未満、あるいは4%未満の水分含量、および600g/L未満、あるいは350g/L未満、あるいは250g/L未満、あるいは200g/L未満の通気かさ密度、および約100g/L超の通気かさ密度が挙げられる。一部の実施形態では、凝集マルトデキストリンは、100g/L~250g/L未満の範囲の通気かさ密度を有してもよい。他の実施形態では、凝集マルトデキストリンは、250g/L~約600g/Lの通気かさ密度を有してもよい。凝集マルトデキストリンに対する250g/L未満のかさ密度は、アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物の活性のより大きな負荷を許容する傾向がある。凝集マルトデキストリンおよび凝集トウモロコシシロップ固体は、Grain Processing Corporation、Cargill、およびTereosなどの様々な供給源から市販されている。驚くべきことに、一部の実施形態では、凝集マルトデキストリンは、固体濃縮組成物の水分散性を促進することが見出されている。
【0040】
可溶化剤
必ずしも必要ではないが、一部の実施形態では、固体組成物製剤に可溶化剤を含むことが望ましい場合がある。可溶化剤は、多糖類によって活性がより良好に吸収され得るように、液体/流動性アミン、プロトン化アミン、またはクォートの活性の溶解または流れを助けるよう作用する。本技術で使用され得る可溶化剤の例としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸カリウム、尿素、酢酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。良好な可溶化剤とは、例えば100gの脱イオン水当たり約50g超、好ましくは100gの脱イオン水当たり70g超など水中で高い溶解性を有するものである。参照により本明細書に組み込まれるWO03/060053は、望ましい可溶化剤(崩壊剤とも呼ばれる)を詳細に説明する。Noyes-Whitney方程式によれば、溶解速度は、所与の溶質(可溶化剤)の飽和濃度に正比例する。したがって、所与の溶質の飽和濃度、平衡度が高ければ高いほど、より早く溶解する。使用される場合、固体組成物中の可溶化剤の量は、組成物の約0.5重量%~約30重量%、あるいは約1重量%~約25重量%、あるいは約2重量%~約20重量%、あるいは約3重量%~約15重量%の範囲でありうる。
任意の追加成分
【0041】
水分散性固体組成物は、望ましい場合、または必要に応じて、追加成分を任意で含み得ることが予期される。追加成分としては、限定されないが、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両面界面活性剤、イミダゾリン、メルカプタン、グリセリド、グリセリン、例えば、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン、またはエトキシ化シリコーン、カチオン性ポリマーなどのシリコーン類、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。こうした追加成分は、固体組成物の総重量に基づいて、0~約30重量%の範囲であり得る。
補助成分
【0042】
補助成分は、本技術の固体組成物に添加されてもよい。「補助成分」という用語には、分散剤、安定剤、pH制御剤、消泡剤、金属イオン制御剤、着色剤、漂白剤、染料、防臭剤、プロ香水(pro-perfumes)、シクロデキストリン、香水、溶媒、防汚加工剤、保存剤、抗菌剤、塩素スカベンジャー、抗収縮剤、布地クリスプ剤、スポッティング剤、抗酸化物質、防錆剤、増粘剤、ドレープおよび形態制御剤、平滑剤、静電気帯電防止剤、しわ制御剤、消毒剤、殺菌剤、細菌制御剤、かび制御剤、白カビ制御剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、防汚剤、悪臭制御剤、布地清涼剤、塩素漂白臭防止剤、染料固着剤、移染阻害剤、色維持剤、色復元および色再生剤、色褪せ防止剤、白色強化剤、抗摩耗剤、摩耗抵抗剤、布地完全剤、抗摩耗剤、すすぎ補助剤、UV保護剤、日光色褪せ防止剤、防虫剤、抗アレルギー剤、酵素、難燃物質、防水加工剤、布地用コンフォート剤、水質調整剤、収縮抵抗剤、水和物阻害剤、スケール抑制剤、解乳化剤、酸素スカベンジャー、およびそれらの組み合わせ、が含まれる。補助成分は、組成物の0~約3重量%の量で固体組成物に添加されてもよい。
組成特性
【0043】
本技術の固体組成物は、水中で分散可能であり、例えば、粉末、錠剤、ペレット、パウチ、ポッド、パケット、またはカプセルの形態であってもよい。固体組成物の粉末形態は、100~1050g/リットル、好ましくは150~600g/Lの密度を有し、流動性がある。流動性を測定および計算するための一つの方法は、以下の参考文献で教示されている:Peschl,I.& Colijn,H.1976“New Rotational Shear Testing Technique”in Bulk Solids Handling and Processing。好ましくは、組成物は、2%未満のVOC含量、および少なくとも50の凝集体BCIを有する。
【0044】
固体組成物を作製する方法
本技術の固体組成物は、所望の量の液体または溶融アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物を適切な量の多糖類に添加し、アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が多糖類によって吸収されるまで混合することによって調製することができる。可溶化剤を使用する場合、可溶化剤は、アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウム化合物が多糖類と混合される前、と共に、または後に添加することができる。任意の原料および補助成分はいつでも追加し得る。
【0045】
製品の使用
本技術の固体組成物は、様々な用途を有する。例えば、一部の実施形態では、固体組成物は、例えば、家庭用洗濯機のすすぎサイクルで使用することができる固体柔軟剤組成物であってもよい。固体組成物は、希釈することなく、例えば、ディスペンサー引き出しを通して、またはトップローディング式洗濯機のために、ドラム内に直接添加することができる。組成物はまた、例えば、ヘアコンディショニングまたは毛髪修復用途、殺菌または消毒用途、またはオイルおよびガス輸送、製造、刺激、および貯蔵部適合を含む油田用途に使用することができる。一部の実施形態では、固体組成物は、製品容器から粉末をすくうか振ることによって分注できる粉末形態である。あるいは、固体組成物は、水溶性または水破裂性のコーティングまたはフィルム内に封入され、例えば、ポッド、パケット、パウチ、またはカプセルなどを形成することができる。他の実施形態では、固体組成物は、錠剤またはペレット、トローチ、スティック、またはパックなどの他の形態に押し込むことができる。プレスされた形態またはカプセルは、固体組成物の単位用量を含み得る。本明細書で使用される場合、「単位用量」という用語は、液体中での分散または希釈の際に特定の結果をもたらすために送達されるべき、予め計量された量の固体組成物を指す。水溶性または水破裂性のコーティングまたはフィルムは、当技術分野で公知である。コーティングまたはフィルムに適した材料には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、部分的に加水分解された酢酸ビニル、ゼラチン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
あるいは、固体組成物は、所望の結果を達成するために、使用前に、好ましくは水を用いて、アミン、プロトン化アミン、または第四級アンモニウムの活性の適切な濃度に希釈することができる。例えば、固体組成物が柔軟剤として製剤化される場合、固体組成物は、希釈された組成物の総量に基づいて、約2%~約22%の活性重量、好ましくは約3%~約8%の活性重量の濃度まで、水中で希釈され得る。固体組成物の実施形態は、水中に容易に分散されるため、希釈は消費者によって行われ得ることが企図される。こうした使用は、包装の必要性の低減(濃縮された製品による)および輸送のためのエネルギーの必要性の低減、ならびに輸送コストの低減などのいくつかの利点を提供するが、これは輸送される水が少ないことに起因する。
【0047】
本技術の組成物は、様々な最終用途を有し、様々な最終用途製品に製剤化することができる。固体組成物が有利に使用され得る特定の最終用途製品の例には、ヘアコンディショナー、毛髪修復組成物、柔軟剤、布地コンディショナー、プール消毒剤、硬質表面殺菌剤、および腐食抑制剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
固体組成物を含む最終用途製品製剤は、界面活性剤または他の添加剤などの使用に適した他の任意の原料、および水などの希釈剤を含んでもよい。界面活性剤の例としては、非イオン性、カチオン性、および両面界面活性剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。非イオン界面活性剤の例としては、限定されないが、脂肪アルコールアルコキシレート、ポリアルキレングリコール、モノおよび/またはジアルキルスルホサクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸グルタミネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。カチオン性の例としては、限定されないが、ベヘントリモニウムクロリド(BTAC)、セトリモニウムクロリド(CETAC)、およびポリクオタニウム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。両面界面活性剤の例としては、限定されないが、ベタイン、アミドプロピルベタイン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。製品製剤中の界面活性剤量は、最終製品製剤の約0.01重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0049】
添加剤の例としては、レオロジー調整剤、皮膚軟化剤、皮膚コンディショニング剤、乳化剤/懸濁剤、芳香剤、染料、ハーブ抽出物、ビタミン、ビルダー、酵素、保存剤、抗菌剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一部の製品製剤については、pH調整剤を加えて、製剤のpHを、約1.5~約8.0、あるいは約2.0~約6.5の範囲のpHに調節することができる。使用され得るpH調整剤の例としては、エステルアミンまたはアミドアミンをプロトン化するために上述された酸のいずれかが挙げられる。製品製剤中の総添加物は、最終製品製剤の約0.01重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0050】
本技術の固体組成物は、いくつかの利点を提供する。組成物は、水を全く含まないか、または最小限の水を含むため、保存剤は、組成物中に含まれる必要はないか、またはより少量での使用が可能である。特にアミンまたは第四級アンモニウム化合物がエステル結合を有する場合、加水分解は水の非存在下では発生しないため、少ないまたは最小限の量の水もまた、生成物の安定性の向上に寄与する。少ないまたは最小限の水を有することは、包装の要求を低減するだけでなく、水の重量がより少ないため、輸送コストも低減する。固体組成物のための包装は、リサイクル可能かつ生分解性であり、プラスチックよりも軽量であり、潜在的に環境に導入されるマイクロプラスチックの量を減少さる、ボール紙であってもよく、これは固体製品をより環境に優しくする。固体組成物はまた、不燃性であり、2重量パーセント超などの高レベルの香水を組み込む能力をもたらした。
【実施例】
【0051】
本明細書に記述された技術およびその利点は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解されるであろう。これらの実施例は、本技術の特定の実施形態を説明するために提供される。これらの実施例を提供することによって、発明者は、本技術の範囲および精神を限定しない。
【0052】
実施例1
エステルクォートを以下の通り作製した:キャノーラ脂肪酸(283g/mol、2876.0g、10.2mol)および抗酸化剤1010(1178g/mol、3.7g、0.003mol)を、機械攪拌、窒素スパージおよび蒸留能力を備えた5Lのリアクターに添加した。攪拌を開始し、内容物を35℃に加熱して、トリエタノールアミン(149g/mol、977.03g、6.5mol)を添加した。反応温度を190℃に上昇させ、3.5時間保持した。3.5時間後、リアクターを冷却し、エステルアミン中間体を移して四級化を行い、試験した(遊離アミン=1.77meq/g、総酸性度=0.06meq/g)。
【0053】
エステルアミン中間体(564g/mol、3650.3g、6.5mol)を、機械攪拌、窒素ヘッドスペーススイープおよび還流能力を備えた5Lのリアクターに加えた。攪拌および窒素スイープを開始した。反応温度を50℃に調整し、硫酸ジメチル(126g/mol、774.8g、6.1mol)を一時間かけて滴加した。添加中、温度を最大85℃に制御した。反応物を85℃で1時間混合した。亜塩素酸ナトリウム、25%(重量)(90.4g/mol、9.8g、0.03mol)を加え、30分間混合した。生成物を回収し、試験した(遊離アミン=0.08meq/g、カチオン活性=1.17meq/g、総酸性度=0.10meq/g、ガードナー色数=4.6)。わずかに黄色のペーストを得た。このエステルクォートは、EQ1と指定される。
【0054】
実施例2
キャノーラ脂肪酸(283g/mol、647.8g、2.3mol)、トリエタノールアミン(149g/mol、171.0g、1.1mol)、および抗酸化剤1010(1178g/mol、0.82g、0.001mol)を、機械攪拌、窒素表面下スパージおよび蒸留能力を備えた2Lのリアクターに添加した。攪拌を開始し、内容物を75℃に加熱した。窒素スパージを開始した。次いで反応温度を190℃に上昇させ、4.5時間保持した。4.5時間後、リアクターを冷却し、エステルアミン中間体を移して四級化を行い、試験した(遊離アミン=1.48meq/g、総酸性度=0.05meq/g)。
【0055】
エステルアミン中間体(675g/mol、753.7g、1.1mol)を、機械攪拌、窒素ヘッドスペーススイープおよび還流能力を備えた2Lのリアクターに加えた。攪拌および窒素スイープを開始した。反応温度を45℃に調整した。硫酸ジメチル(126g/mol、130.5g、1.0mol)を一時間かけて滴加した。添加中、温度を最大85℃に制御した。反応物を85℃で1時間混合した。生成物を回収し、試験した(遊離アミン=0.09meq/g、カチオン活性=1.16meq/g、総酸性度=0.01meq/g)。わずかに黄色のペーストを得た。このエステルクォートは、EQ2と指定される。
【0056】
実施例3
蒸留された獣脂脂肪酸(272g/mol、1067.05g、3.9mol)および水素化獣脂脂肪酸(272g/mol、409.89g、1.5mol)を、機械的攪拌、窒素表面下スパージおよび蒸留能力を備えた3Lのリアクターに添加した。この脂肪酸混合物のヨウ素値は、約34である。攪拌を開始し、内容物を75℃に加熱した。トリエタノールアミン(149g/mol、521.3g、3.5mol)、抗酸化剤1010(1178g/mol、2.0g、0.002mol)および亜リン酸(82g/mol、1.0g、0.01mol)を添加した。窒素スパージを開始した。次いで反応温度を190℃に上昇させ、4時間保持した。4時間後、リアクターを冷却し、エステルアミン中間体を移して四級化を行い、試験した(遊離アミン=1.81meq/g、総酸性度=0.06meq/g)。
【0057】
エステルアミン中間体(552g/mol、1836.0g、3.3mol)を、機械攪拌、窒素ヘッドスペーススイープおよび還流能力を備えた3Lのリアクターに加えた。攪拌および窒素スイープを開始した。反応温度を45℃に調整した。硫酸ジメチル(126g/mol、381.8g、3.0mol)を30分かけて滴加した。添加中、温度を最大85℃に制御した。反応物を85℃で1時間混合した。硫酸ジメチル(126g/mol、20.0g、0.2mol)を滴加した。添加中、温度を最大85℃に制御した。反応物を85℃で1時間混合した。生成物を回収し、試験した(遊離アミン=0.08meq/g、カチオン活性=1.16meq/g、総酸性度=0.17meq/g)。ワックス状の固形物を得た。このエステルクォートは、EQ3と指定される。
【0058】
製剤一般手順
凝集マルトデキストリンで作製された例示的な製剤を、以下の一般的な方法で処理した。所望の量の凝集マルトデキストリンを混合容器に添加し、液体第四級アンモニウム化合物またはプロトン化アミンを、すべての液体が添加されるまで穏やかに混合しながら容器に添加し、次いで任意で可溶化剤を添加する。液体が完全に吸収され、生成物が均質になると、混合は停止される。
柔軟剤の例
【0059】
実施例4
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、47.5重量%のEQ1、47.5重量%の凝集マルトデキストリン(AMD)、(Grain Processing CorporationのMaltrin M700)、および5重量%の無水クエン酸を含む。この組成物の密度は、160g/Lであると測定された。
【0060】
実施例5
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、55重量%のEQ1、35重量%のAMD、および10重量%の無水クエン酸を含む。
【0061】
実施例6
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、47.5重量%のEQ2、47.5重量%のAMD、および5重量%の無水クエン酸を含む。EQ2は、脂肪酸とTEAの比率が2.00:1であるのに対し、EQ1は、脂肪酸とTEAの比率が1.55:1の比率である点で、EQ2は実施例4および5で使われたEQ1と異なっている。
【0062】
実施例7
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、47.5重量%のEQ3、47.5重量%のAMD、および5重量%の無水クエン酸を含む。EQ3は、EQ1作製に使用されたキャノーラ脂肪酸供給原料ではなく、ヨウ素値34の獣脂脂肪酸供給原料から作製されるという点で、EQ3は実施例4および5で使われたEQ1と異なっている。
【0063】
実施例8
この例では、実施例4~7の固体濃縮組成物を、以下の試験を使用して、水中の固体組成物の分散性について評価した。約0.5グラムの製剤を、120mlの水を含有する8オンスの瓶に加え、次いで、周囲温度で10秒間、溶液を手で舌圧子を用いて混合した。混合後に目に見える目立たない粒子がない場合、製剤は容易に分散可能であるとみなされた。結果を表1に示す。
【表1】
【0064】
表1の結果は、EQ2を用いて作製された実施例6の組成物が、水中で容易に分散せず、一方でEQ1を用いて作製された実施例4および5の組成物が分散性であることを示す。EQ1の脂肪酸とTEAの比は1.55:1であり、EQ2の比は2.00:1である。これらの結果は、水中の固体組成物の分散性が、エステルクォートの作製に使用される脂肪酸のTEA比によって影響され得ることを示す。結果は、固体濃縮組成物にキャノーラ脂肪酸系エステルクォート(TEA/DMS)を使用した場合、分散性組成物を得るためには、TEAに対する脂肪酸基の比率が2.0:1未満でなければならないことを示す。表1の結果はまた、EQ3で作製された実施例7の組成物が容易に分散しないことも示す。これらの結果は、水中の固体組成物の分散性が、エステルクォートの作製に使用される脂肪酸供給原料のヨウ素値によって影響され得ることを示す。これらの結果は、エステルクォートを作るために使用される脂肪酸供給原料のヨウ素値が、分散性固体組成物を得るために34を超えるべきであることを示す。
【0065】
実施例9
本実施例は、本技術による固体組成物の軟化能力を評価する。軟化試験は、ASTM D-5237に基づく以下の方法を使用して実施された。86/14の綿/ポリエステルブレンドから作られた白いハンドタオルは、まず、工場仕上げを除去するために予洗いプロセスに供された。各試験について、160枚のタオルを従来的な家庭用洗濯機で洗浄した。実験用柔軟剤サンプルを、すすぎサイクル中に洗濯機に投与した。次いで、タオルをタンブル乾燥させ、室温に一晩平衡化させた。次いでパネリストは、一対比較パネル試験を介して、一対のタオルを盲検評価した。各サンプルについて、投票数を集計した。片側方向性差分検定(Meilgaard,M.C.,Civille,G.V.,Carr,B.T.,Sensory Evaluation Techniques,3rd Ed.,CRC Press,1999,pp.277-278,355,371)を使用した、160票の観察試験において、95%の信頼レベルで他よりも統計的に優れているとみなされるためには、一つ製品が最低でも91回選択される必要がある。
【0066】
この検定方法を使用して、実施例4の組成物は、同じエステルクォートから作製され、同じ量の活性で洗濯機のすすぎサイクルに投与された、5%の従来の液体柔軟剤と同等の軟化を有した。実施例5の組成物は、同じエステルクォートから作製され、同じ量の活性で洗濯機のすすぎサイクルに投与される、5%の従来の液体柔軟剤の組成物と比較して、優れた軟化をもたらした。
【0067】
実施例10
マルトデキストリンが前凝集される必要があるかどうかを判断するために、以下の実験を実施した:マルトデキストリン100g(前凝集ではない)および無水クエン酸10.5gを、八カップの消費者グレードの食品プロセッサのボウルに加えた。フードプロセッサを低で稼働し、混合中にEQ1を加えた。速度は、粒子を凝集させる試みで、一度に10秒間、断続的に高に設定した。約45gのEQ1を添加した後、バッチは非常に粘着性が高く、かつ塊状となったので、実験を中止した。本実施例は、活性カチオン材料の濃度が組成物中で約25%より大きい場合に、マルトデキストリンが前凝集される必要があることを実証する。実験を繰り返し、より少ない量のEQ1を加えることにより、非凝集マルトデキストリン上の15重量%のEQ1が、水中に分散する自由流動組成物をもたらすと決定された。非凝集マルトデキストリン上に20重量%のEQ1を使用すると、流れはするが、水中では分散しない組成物が生じる。段ボール箱などの容器が転倒すると、すべての小さな粒子が容器から容易外に出て、一緒に固着したり塊を形成したりしない個別の小さな粒子のままであり、容器の底部に残留物が残らない場合、組成物は流動性があるとみなされる。この流動性テストを実行のために、任意のタイプの容器を使用してもよい。
【0068】
実施例11
参照によって本明細書に組み入れられるSolubility Science,Principles and Practice,Steven Abbott,2017,Creative Common NY-BDという本に記載される方法に従い一連の異なる溶媒を使用して、EQ1のハンセン極性パラメータは10.9であると測定され、一方でEQ3のハンセン極性パラメータは、4.4であると測定された。これは、組成物が水中で分散するために、EQのハンセン極性パラメータが約5を上回るべきであることを示す。
【0069】
実施例12
固体組成物は、一般的手順に従って作製され、60重量%のAMDおよび40重量%のEQ1を含む。組成物は流動性を有し、分散性試験は、組成物が水中で分散することを示した。
【0070】
実施例13
固体組成物は、一般的手順に従って作製され、55重量%のメチルビス(キャノーラアミドエチル)-2-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、キャノーラ油およびジエチレントリアミン(Stepan Companyから入手可能なACCOSOFT(登録商標)780 PG)を使用して作製されたアミドアミン系軟化クォート、35重量%のAMD、および10%の無水クエン酸を含む。組成物は流動性を有し、分散性試験は、組成物が水中で分散することを示した。組成物はまた、上述の試験手順を使用して軟化能力について評価された。試験は、組成物は、同じアミドアミン系のクォートから作製され、同じ量の活性で洗濯機のすすぎサイクルに投与された、5%の従来の液体柔軟剤と同等の軟化を提供することを示した。
【0071】
実施例14
実施例4の組成物を、約0.5gの粉末製剤を錠剤プレスに加え、レバーで10秒間材料を圧縮し、次いで錠剤を慎重に除去することによって、錠剤に作製した。このプロセスを用いて、多くの錠剤が作製できる。
【0072】
実施例15
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、30重量%のEQ1、65重量%の凝集マルトデキストリン2(AMD2;Grain Processing CorporationのMaltrin M500)、および5重量%の無水クエン酸を含む。この組成物の密度は、490g/Lと測定された。
【0073】
実施例16
固体濃縮組成物は、一般的手順に従って作製され、40重量%のEQ1、55重量%の凝集マルトデキストリン2、および5重量%の無水クエン酸を含む。この製剤は非常に粘着性が高く/流動性が十分でなく、この凝集マルトデキストリンがEQ1のすべてを吸収できなかったことが観察された。凝集マルトデキストリン2は、約500g/Lの通気かさ密度を有するのに対し、実施例4~9および12~13で使用される凝集マルトデキストリンは、約150g/Lの通気かさ密度を有する。本実施例は、凝集多糖類の密度が、多糖類によって吸収され得るクォートまたはアミンの量に影響を与え得ることを示す。クォートまたはアミンのより高い負荷、すなわち、固体組成物の約35重量%以上については、凝集多糖類の通気かさ密度は、約100g/L~約250g/L未満の範囲内にあるべきである。固体組成物が、250g/L以上の通気かさ密度を有する凝集多糖類を含む場合、組成物で使用されるクォートまたはアミンの量は、多糖類による適切な吸収を保証するために約35重量%未満であるべきである。
【0074】
本実施例の組成物および実施例15のそれを、せん断セル設定を利用したFreeman Technology FT4パウダーレオメータを用いて比較した。この評価で使用した方法論については、Freeman Technologyのウェブサイトhttp://www.freemantech.co.ukに、詳細な説明がある。評価は、85mLのサンプルの各組成物を、9kPaの通常応力で前せん断し、その後、7、6、5、4、および3kPaの通常応力でせん断試験を実施した。各組成物の流動性、REL(p)、および凝集性(kPa)を測定し、流動性を測定し、以下の参照で教示されるように計算した。これは参照により本明細書に組み込まれる:Peschl,I.& Colijn,H.1976“New Rotational Shear Testing Technique”in Bulk Solids Handling and Processing。結果を表2に示す。
【表2】
【0075】
結果に基づいて、組成物が適切に流れ、固着しすぎないように、約2.0を超える流動性パラメータおよび約2.0未満の凝集性パラメータを有することが望ましい。
【0076】
ヘアコンディショナーの例
実施例17
固体組成物は、一般的手順に従って作製され、30重量%のエステルクォート/グリセリド混合物および70重量%のAMDを含む。エステルクォート/グリセリド混合物は、TEAと反応したヒマワリ油由来の約70重量%のエステルクォートと、約30重量%のグリセリドとを含む。組成物は流動性を有し、分散性試験は、組成物が水中で分散することを示した。
【0077】
実施例18
固体組成物は、一般的手順に従って、BTAC(ClariantのGenamin BTLF)を溶解し、溶融BTACをAMDと混合することによって作製された。組成物は、30重量%のBTACおよび70重量%のAMDを含み、流動性を有した。分散性試験は、組成物が水中で分散することを示した。
【0078】
実施例19
固体組成物は、15重量%のエステルクォート/グリセリド混合物(70%エステルクォート/30%グリセリド)および85重量%の非凝集マルトデキストリンを、エステルクォート/グリセリド混合物が完全に吸収されるまで混合することによって作製された。得られた固体組成物は、自由流動粉末であるが、それは、濡らされ、手の間でこすられた場合、水中で容易に分散せず、溶解するのに時間を要する、小さなゲル状のボールを形成した。本実施例の結果と実施例17の結果との比較は、凝集マルトデキストリンを多糖類として使用することによって、固体組成物の分散性を改善できることを示す。また、本実施例の結果と、エステルクォート/グリセリド混合物ではなく15重量%のEQ1を使用した実施例10の結果との比較は、本実施例の固体組成物中のグリセリドの存在が、固体組成物の分散性に影響を与え得ることを示す。
【0079】
油田組成物
実施例20
腐食抑制剤として使用する固体組成物を、周囲温度で5.05gの凝集マルトデキストリン(Maltrin M700)を20mlのシンチレーションバイアルに添加し、続いて5.01gの一般的な腐食抑制組成物を添加することによって調製した。一般的な腐食抑制剤は、等量の水とメタノールによって構成される20重量%の溶媒中に、47重量%のイミダゾリン(高油脂肪酸/ジエチレントリアミン酢酸塩)、20重量%のADBAC、および13重量%のメルカプトエタノールの80活性重量%の組み合わせを含む。バイアルに蓋をし、内容物を手で20秒間激しく振った。この組成物は、40%活性腐食抑制剤を有する流動粉末をもたらした。次に、この試料を、腐食抑制評価のために脱イオン水中の20%活性溶液にさらに希釈した。
【0080】
回転シリンダ電極(RCE)試験を利用して、腐食抑制適用について、マルトデキストリンを含む一般的な腐食抑制剤の性能を評価した。この試験では、腐食速度は、作業電極、白金対電極、および標準カロメル参照電極を有する直線分極抵抗(LPR)と呼ばれる電気化学技術によって測定される。実験は、低せん断速度、気圧、80℃までの温度、および塩分を含まない(sweet)、二酸化炭素、条件下で実行される。腐食データは、Gamryポテンショスタットによって測定および監視され、Gamryフレームワークソフトウェアが分析に使用される。
【0081】
試験のために、ガラスセルに700gのブライン溶液(3.5%のNaCl、0.11%のCaCl2
*2H2O、0.07%のMgCl2
*6H2O)を装填し、二酸化炭素スパージング下で二時間、80℃に加温した。金属クーポン(C1018)を3000rpmで回転させた。ベースラインの腐食速度を4時間確立した後、20%活性腐食抑制剤溶液を25ppmの用量(18μL)で注入し、総試験時間20時間にわたって腐食速度プロファイルを監視した。
【0082】
図1は、一般的な腐食抑制剤単独およびマルトデキストリンと組み合わせた腐食速度プロファイルを示す。マルトデキストリンの添加は、腐食抑制剤の腐食速度に影響を与えないことが見て取れる。
【0083】
実施例21
固体組成物は、周囲温度で凝集マルトデキストリンにTEAベースのココジブチルエステルクォートを添加し、エステルクォートが吸収されるまで混合することによって調製される。固体組成物は、自由流動粉末である。固体組成物は、油田用途における水和物阻害剤として使用され得る。
【0084】
抗菌性組成物
実施例22
抗菌性組成物として使用するための固体組成物を、第四級アンモニウム化合物が吸収されるまで、周囲温度で、等量の凝集マルトデキストリン(Grain Processing CorporationからのMALTRIN M700)およびn-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(Stepan Company、Northfield、IllinoisからのBTC(登録商標)8358)を混合することによって調製した。結果として得られる組成物は、組成物がBTC(登録商標)8358製品からの10%の水を含むにもかかわらず、自由流動粉末である。固体組成物は、40%の活性重量の殺菌性第四級アンモニウム化合物を含む。
【0085】
実施例23
抗菌性組成物として使用するための固体組成物を、第四級アンモニウム化合物が吸収されるまで、周囲温度で、異なる第四級アンモニウム化合物を凝集マルトデキストリンと混合することによって調製した。調製された組成物および各組成物の物理的特徴を表3に示す。
【表3】
【0086】
表3の結果は、50重量%の活性BTC(登録商標)2125クォートを含む組成物1が、粘着性混合物であり、組成物2が、同じクォートを使用するも、40%活性クォートにおいて、粉末であることを示す。同様に、50重量%の活性BTC(登録商標)1010を含む組成物3はスラリーであるが、組成物4は、32活性重量%において、粉末である。これらの結果は、最大50活性重量%の殺菌性クォートを含む固体粉末組成物を調製することができることを示す。乾燥自由流動粉末が好ましいが、より高い活性塊状材料は、水分散性錠剤、トローチ、スティックまたはパックへの圧縮のために許容される。
【0087】
組成物は、抗菌有効性について評価され、マルトデキストリンの添加は、殺菌性第四級アンモニウム化合物の抗菌有効性に悪影響を及ぼさないと決定された。
【0088】
本技術は本明細書において、本技術が関連する当業者が、本技術を実施することができるように、完全、明確かつ簡潔な用語で記述される。上記は、本技術の好ましい実施形態を記述するものであり、添付の特許請求の範囲に記載される本技術の趣旨または範囲から逸脱することなく改変が行われ得ることを理解されたい。さらに、本実施例は、特許請求の範囲内にあるいくつかの実施形態を網羅的ではなく例示のために提供するものである。
【国際調査報告】