(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】大規模資本プロジェクトのモデル、コストおよびスケジュールのマッピングシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20230601BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20230601BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566086
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021021350
(87)【国際公開番号】W WO2021221793
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512287436
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hexagon Technology Center GmbH
【住所又は居所原語表記】Heinrich-Wild-Strasse 201, CH-9435 Heerbrugg, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーデル ジーン ウィルソン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン エレイン ヘイズ
(72)【発明者】
【氏名】アラン ムヤル
(72)【発明者】
【氏名】スハス サヘブラオ ヤドハール
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
5L049CC07
(57)【要約】
システムは、資本プロジェクト構成要素を表すモデル項目を含むように構成されているモデルデータベースを含んでいる。各モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している。このシステムは、建設工事スケジュールの一部を表すスケジュール項目を含むように構成されているスケジュールデータベースを含んでいる。各スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有している。このシステムは付加的に、建設工事スケジュールおよび/または資本プロジェクト構成要素の一部に対するコストを表すコスト項目を含むように構成されているコストデータベースを含んでいる。各コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有している。ルールエンジンは、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングするためのルールを受け取るように構成されている。ルールは、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目に関連するコードシーケンスを含んでいる。マッピングエンジンは、モデルと、スケジュールと、コストとをこのルールに基づいてマッピングするためにモデルデータベース、スケジュールデータベースおよびコストデータベースと通信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
資本プロジェクトの5Dマッピングのためのシステムであって、
前記システムは、
資本プロジェクト構成要素を表すモデルからのモデル項目を含むように構成されているモデルデータベースであって、各前記モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している、モデルデータベースと、
資本プロジェクト建設工事スケジュールの一部を表すスケジュール項目を含むように構成されているスケジュールデータベースであって、各前記スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有している、スケジュールデータベースと、
資本プロジェクト建設工事スケジュールおよび/または資本プロジェクト構成要素に対する予算の一部を表すコスト項目を含むように構成されているコストデータベースであって、各前記コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有している、コストデータベースと、
1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および/または1つ以上のコスト項目をマッピングするためのルールを受け取るように構成されているルールエンジンであって、前記ルールは、少なくとも1つの前記モデル項目、少なくとも1つの前記スケジュール項目および/または少なくとも1つの前記コスト項目に関連するコードシーケンスに基づく条件を含んでいる、ルールエンジンと、
前記モデルデータベース、前記スケジュールデータベースおよび前記コストデータベースと通信するように構成されているマッピングエンジンであって、前記マッピングエンジンはさらに、1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および/または1つ以上のコスト項目を前記ルールに基づいてマッピングするように構成されている、マッピングエンジンと、
を含む、システム。
【請求項2】
第1のルールはモデル項目をスケジュール項目とマッピングし、第2のルールはスケジュール項目をコスト項目とマッピングし、前記システムは、最初の2つの前記マッピングに基づいて、モデル項目をコスト項目と自動的にマッピングするように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
第1のルールはモデル項目をコスト項目とマッピングし、第2のルールはコスト項目をスケジュール項目とマッピングし、前記システムは、最初の2つの前記マッピングに基づいて、モデル項目をスケジュール項目と自動的にマッピングするように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
第1のルールはスケジュール項目をモデル項目とマッピングし、第2のルールはモデル項目をコスト項目とマッピングし、前記システムは、最初の2つの前記マッピングに基づいて、スケジュール項目をコスト項目と自動的にマッピングするように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記モデル項目コード、前記スケジュール項目コードおよび前記コスト項目コードはそれぞれ、少なくとも、同一の文字の一部を有しており、前記ルールは、前記モデル項目、前記コスト項目および前記スケジュール項目をマッピングするために、前記モデル項目コード、前記コスト項目コードおよび前記スケジュール項目コードの部分文字列の一致を要求する、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記モデルを受け取り、前記モデル項目の量を決定するように構成されている定量化モジュールをさらに含んでおり、前記システムはさらに、モデル項目の決定された前記量をプロジェクト管理コストプラットフォームに出力するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、新規のモデル項目および/またはスケジュール項目、削除されたモデル項目および/またはスケジュール項目ならびに/または改訂されたモデル項目および/またはスケジュール項目を識別するために、前記モデルおよび/またはスケジュールの更新されたバージョンを、前記モデルおよび/またはスケジュールの既存のバージョンと比較するように構成されている自動化された比較器をさらに含んでいる、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記定量化モジュールは、改訂された前記モデル項目の量を決定し、前記自動化された比較器は、改訂された前記モデル項目の前記量に基づいて前記コスト項目を更新する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記ルールは、次の3つのタイプの項目、すなわち前記モデル項目コード、前記コスト項目コードおよび前記スケジュール項目コードのうちの2つの正確な一致を要求し、
前記マッピングエンジンは、1つ以上のドキュメントを、1つ以上の前記モデル項目、1つ以上の前記スケジュール項目および/または1つ以上の前記コスト項目と、前記ルールに基づいてマッピングするようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
大規模資本プロジェクトに対して、コスト項目、モデル項目およびスケジュール項目をマッピングする方法であって、
前記方法は、
モデルから、資本プロジェクト構成要素を表す複数のモデル項目を受け取るステップであって、各前記モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している、ステップと、
資本プロジェクト建設工事スケジュールの一部を表す複数のスケジュール項目を受け取るステップであって、各前記スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有している、ステップと、
前記資本プロジェクト建設工事スケジュールおよび/または前記資本プロジェクト構成要素の前記一部に対する予算を表す複数のコスト項目を受け取るステップであって、各前記コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有している、ステップと、
1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および1つ以上のコスト項目をマッピングするためのルールを提供するステップであって、前記ルールは、少なくとも1つの前記モデル項目、少なくとも1つの前記スケジュール項目および/または少なくとも1つの前記コスト項目に関連するコードシーケンスを含んでいる、ステップと、
1つ以上の前記モデル項目、1つ以上の前記スケジュール項目および/または1つ以上の前記コスト項目を前記ルールに基づいてマッピングするステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
ルールは、前記モデル項目、前記コスト項目および/または前記スケジュール項目をマッピングするために、前記モデル項目コード、前記コスト項目コードおよび/または前記スケジュール項目コードの部分文字列の一致を要求する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ルールは複数のコードシーケンスを含んでいる、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記ルールは、前記モデル項目、前記コスト項目および前記スケジュール項目をマッピングするために前記モデル項目コード、前記コスト項目コードおよび/または前記スケジュール項目コードの正確な一致を要求する、請求項10記載の方法。
【請求項14】
モデル項目の量を決定するためのモデルの定量化をさらに含んでいる、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、新規のモデル項目および/またはスケジュール項目、削除されたモデル項目および/またはスケジュール項目ならびに/または改訂されたモデル項目および/またはスケジュール項目を識別するために、前記モデルおよび/またはスケジュールの更新されたバージョンを、前記モデルおよび/またはスケジュールの既存のバージョンと比較するステップをさらに含み、前記方法は、改訂された前記モデル項目の量を決定するステップと、改訂された前記モデル項目の前記量に基づいて前記コスト項目を更新するステップとをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
コスト項目、モデル項目およびスケジュール項目をマッピングするためのコンピュータシステムで使用されるコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを有している、有形、非一時的なコンピュータ可用媒体を含んでおり、
前記コンピュータ可読プログラムコードは、
資本プロジェクト構成要素を表す複数のモデル項目を受け取るためのプログラムコードであって、各前記モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している、プログラムコードと、
建設工事スケジュールの一部を表す複数のスケジュール項目を受け取るためのプログラムコードであって、各前記スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有している、プログラムコードと、
前記建設工事スケジュールおよび/または前記資本プロジェクト構成要素の前記一部に対するコストを表す複数のコスト項目を受け取るためのプログラムコードであって、各前記コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有している、プログラムコードと、
1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および1つ以上のコスト項目をマッピングするためのルールを作成するためのプログラムコードであって、前記ルールは、少なくとも1つの前記モデル項目、少なくとも1つの前記スケジュール項目および/または少なくとも1つの前記コスト項目に関連するコードシーケンスを含んでいる、プログラムコードと、
1つ以上の前記モデル項目、1つ以上の前記スケジュール項目および/または1つ以上の前記コスト項目を前記ルールに基づいてマッピングするためのプログラムコードと、
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記ルールは複数のコードシーケンスを含んでいる、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記モデル項目コード、前記スケジュール項目コードおよび前記コスト項目コードはそれぞれ、少なくとも、同一の文字の一部を有している、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
第1のタイプの項目と第2のタイプの項目とが、第3のタイプの項目とマッピングされた後、前記第1のタイプの項目を前記第2のタイプの項目と自動的にマッピングするためのプログラムコードをさらに含む、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
モデル項目の量を決定するためのモデルの定量化のためのコードをさらに含む、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
新規のモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目、削除されたモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目ならびに/または改訂されたモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目を識別するために、前記モデル、予算および/またはスケジュールの更新されたバージョンを、前記モデル、予算および/またはスケジュールの既存のバージョンと比較するためのコードをさらに含む、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年4月30日に出願された、「SYSTEM FOR MAPPING MODEL,COST,AND SCHEDULE OF LARGE-SCALE CAPITAL PROJECTS」との名称を有する米国特許出願第16/863,666号明細書の優先権を主張し、その開示の全体は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本発明の種々の実施形態は概して大規模資本プロジェクトに関し、より具体的には、種々の実施形態は、大規模資本プロジェクトのモデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングするシステムに関する。
【0003】
背景技術
空港、病院、高層ビル、橋およびトンネル、道路プロジェクトなどの大規模建築プロジェクトおよび公共インフラストラクチャ資本プロジェクトの設計、建設および管理。大規模資本プロジェクトは、小規模で一般的なプロジェクト(たとえば、10部屋を有する家の建築および販売)の規模よりも桁違いに大きい規模でのプロセスおよび構成データの調整を必要とする。したがって、大規模資本プロジェクトは、実質的により包括的な生産および管理ソリューションを必要とすることが多い。
【0004】
このようなニーズに応えて、当業者は、このような大規模資本プロジェクトの厳格さに合わせて特別に構成された包括的な建築および公共インフラストラクチャ設計プログラムを開発してきた。とりわけ、このタイプの建築および公共インフラストラクチャ設計プログラムは、大規模資本プロジェクトの大部分の段階またはすべての段階を最初の構想から設計、建設、引き渡し、メインテナンス、管理および廃止に至るまで管理する、幅広いアプリケーション群として実行されてよい。
【0005】
多くの大規模資本プロジェクトは、予算の超過およびスケジュールの遅延を伴って進行する。その一因は、プロジェクトの種々のチーム間の調整の難しさにある。
【0006】
種々の実施形態の概要
本発明の一実施形態によれば、資本プロジェクトの5Dマッピングのためのシステムは、資本プロジェクト構成要素を表すモデルからのモデル項目を含むように構成されているモデルデータベースを含んでいる。各モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している。このシステムはまた、建設工事スケジュールの一部を表すスケジュール項目を含むように構成されているスケジュールデータベースを含んでいる。各スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有している。このシステムはさらに、建設工事スケジュールおよび/または資本プロジェクト構成要素の一部に対する予算を表すコスト項目を含むように構成されているコストデータベースを含んでいる。各コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有している。システムのルールエンジンは、1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および1つ以上のコスト項目をマッピングするためのルールを受け取るように構成されている。このルールは、少なくとも1つのモデル項目、少なくとも1つのスケジュール項目および少なくとも1つのコスト項目に関連するコードシーケンスを含んでいる。マッピングエンジンは、モデルデータベース、スケジュールデータベースおよびコストデータベースと通信するように構成されている。マッピングエンジンはさらに、1つ以上のモデル項目と、1つ以上のスケジュール項目と、1つ以上のコスト項目とをこのルールに基づいてマッピングするように構成されている。
【0007】
このルールは、次の3つのうちの2つが正確に一致することを要求し得る:モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目をマッピングするための、モデル項目コード、コスト項目コードおよびスケジュール項目コード。たとえば、第1のルールはモデル項目をスケジュール項目とマッピングしてよく、第2のルールはスケジュール項目をコスト項目とマッピングしてよい。システムは、最初の2つのマッピングに基づいて、モデル項目をコスト項目と自動的にマッピングするように構成されていてよい。択一的に、第1のルールはモデル項目をコスト項目とマッピングしてよく、第2のルールはコスト項目をスケジュール項目とマッピングしてよい。
【0008】
システムは、最初の2つのマッピングに基づいて、モデル項目をスケジュール項目と自動的にマッピングするように構成されていてよい。別の実施形態では、第1のルールはスケジュール項目をモデル項目とマッピングしてよく、第2のルールはモデル項目をコスト項目とマッピングしてよい。システムは、最初の2つのマッピングに基づいて、スケジュール項目をコスト項目と自動的にマッピングするように構成されていてよい。マッピングエンジンはさらに、1つ以上のドキュメントを、1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および/または1つ以上のコスト項目と、このルールに基づいてマッピングするように構成されていてよい。
【0009】
幾つかの実施形態では、ルールは、次の3つのタイプの項目のうち2つのタイプの項目の部分文字列の一致を要求し得る:モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目をマッピングするための、モデル項目コード、コスト項目コードおよびスケジュール項目コード。このために、モデル項目コード、スケジュール項目コードおよびコスト項目コードはそれぞれ、少なくとも、同一の文字の一部を有している。さらに、幾つかの実施形態は、ルール内で複数のコードシーケンスを指定してよい。さらに、ルールのコードシーケンスは、ワイルドカード変更子(たとえば、任意の英数字を表す*文字)を含んでいてよい。
【0010】
とりわけ、システムは、モデルを受け取り、モデル項目の量を決定するように構成されている定量化モジュールを含んでいてもよい。システムはさらに、モデル項目の決定された量をプロジェクト管理コストプラットフォームに出力するように構成されていてよい。システムは、モデル、予算および/またはスケジュールの更新されたバージョンを、モデル、予算および/またはスケジュールの既存のバージョンと比較するように構成されている自動化された比較器を含んでいてもよい。したがって自動化された比較器は、新規のモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目、削除されたモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目ならびに/または改訂されたモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目を識別してよい。定量化モジュールは、改訂されたモデル項目の量を決定してよく、自動化された比較器は、改訂されたモデル項目の量に基づいてコスト項目を更新してよい。
【0011】
さらに別の実施形態では、方法は、大規模資本プロジェクトに対して、コスト項目、モデル項目およびスケジュール項目をマッピングする。この方法は、資本プロジェクト構成要素を表す複数のモデル項目を受け取る。各モデル項目は、少なくとも1つのモデル項目コードを有している。同様にこの方法は、建設工事スケジュールの一部を表す複数のスケジュール項目も受け取る。各スケジュール項目は、少なくとも1つのスケジュール項目コードを有していてよい。さらに、この方法は、建設工事スケジュールの一部および/または資本プロジェクト構成要素に対するコストを表す複数のコスト項目を受け取る。各コスト項目は、少なくとも1つのコスト項目コードを有していてよい。この方法は、1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および1つ以上のコスト項目をマッピングするためのルールも受け取る。このルールは、少なくとも1つのモデル項目、少なくとも1つのスケジュール項目および少なくとも1つのコスト項目に関連するコードシーケンスを含んでいる。このルールに基づき、この方法は1つ以上のモデル項目、1つ以上のスケジュール項目および1つ以上のコスト項目をマッピングする。とりわけ、スケジュール項目は作業分解構成図(a work breakdown structure)の一部であってよく、コスト項目はコスト分解構成図(a cost breakdown structure)の一部であってよい。
【0012】
本発明の例示的な実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードを含んでいるコンピュータ使用可能媒体を備えたコンピュータプログラム製品として実現される。コンピュータ可読コードは、コンピュータシステムによって、従来のプロセスにしたがって読み取られ、利用され得る。
【0013】
当業者であれば、この直後に簡単に説明する図面を参照しながら述べる、以降の「例示的な実施形態の説明」から、本発明の種々の実施形態の利点をより完全に理解するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明の例示的な実施形態を使用し得る大規模資本プロジェクトの一部を概略的に示す図である。
【
図1B】本発明の例示的な実施形態による大規模資本作業プロジェクトの一部を概略的に示す図である。
【
図1C】大規模資本プロジェクトの択一的な例を概略的に示す図である。
【
図1D】本発明の例示的な実施形態による大規模資本プロジェクトの作業プロセスの一部を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態にしたがって構成されているマッピングシステムを概略的に示す図である。
【
図3】上述の技術的な問題の一部またはすべてを軽減する様式で、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングするマッピングシステムによって使用される好適なプロセスを示す図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態によるモデル項目に対する、予め規定されている分類構造を示す図である。
【
図5】モデル項目の分類構造コードを作成するためのビルディング情報モデリングプラットフォームのインターフェースからのスクリーンショットを示す図である。
【
図6】
図5のインポートされたモデル項目に対するシステムのユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態にしたがってコスト項目に対する分類構造コードを作成するためのエンタープライズプロジェクト管理コストプラットフォームのインターフェースからのスクリーンショットを示す図である。
【
図8】
図7のインポートされたコスト項目に対するシステムのユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態にしたがってスケジュール項目に対する分類構造コードを作成するためのプロジェクト管理スケジューリングプラットフォームのインターフェースからのスクリーンショットを示す図である。
【
図10】
図9のインポートされたスケジュール項目に対するシステムのユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【
図11A】本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コードを使用して、スケジュール項目をモデル項目にマッピングするためのルールを作成するためのインターフェースを示す図である。
【
図11C】本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コードを使用して、スケジュール項目をコスト項目にマッピングするためのルールを作成するためのインターフェースを示す図である。
【
図12A】本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コードを使用して、スケジュール項目をモデル項目にマッピングするためのルールを示す図である。
【
図12C】本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コードを使用して、
図12A~
図12Bのスケジュール項目をコスト項目にマッピングするためのルールを示す図である。
【
図12D】
図12Cのルールによって規定されるようなマッピングの結果を示す図である。
【
図13】本発明の例示的な実施形態にしたがって、モデル項目が変化したときにルールベースのマッピングを更新するプロセスを示す図である。
【
図14】本発明の例示的な実施形態にしたがって、マッピングされたスケジュール項目を更新するプロセスを示す図である。
【
図15】本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動化された比較器によって、強調表示されている予算の変更に対するユーザインターフェーススクリーンを概略的に示す図である。
【
図16】本発明の例示的な実施形態にしたがって、モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目の変更管理がマッピングにどのように影響を及ぼすかについてのプロセスを示す図である。
【
図17A】例示的な実施形態による定量化モジュールのアウトプットのスクリーンショットを示す図である。
【
図17B】本発明の例示的な実施形態にしたがって拾われた詳細な量のモデルビューを示す図である。
【
図18A】本発明の例示的な実施形態による5Dマッピングの表現を概略的に示す図である。
【
図18B】本発明の例示的な実施形態にしたがった、先行してマッピングされた2つのリンクに基づく項目タイプ間の第3のリンクの黙示的マッピング(implicit mapping)を示す図である。
【
図18C】本発明の例示的な実施形態にしたがった、先行してマッピングされた2つのリンクに基づく項目タイプ間の第3のリンクの黙示的マッピングを示す図である。
【
図18D】本発明の例示的な実施形態にしたがった、定量化を使用する5Dマッピングの表現を概略的に示す図である。
【
図19A】本発明の例示的な実施形態による、スケジュール項目とモデル項目とをマッピングするためのインターフェースのスクリーンショットを示す図である。
【
図19B】本発明の例示的な実施形態による、スケジュール項目とモデル項目とをマッピングするためのインターフェースのスクリーンショットを示す図である。
【
図20A】コスト、スケジュールおよびモデル間のマッピングを表示する5D視覚化を示す図である。
【
図20B】本発明の例示的な実施形態にしたがって建設工事スケジュール項目の進捗状況を更新するためにプロジェクト管理コストプラットフォームと通信するためのユーザインターフェースの使用を概略的に示す図である。
【
図20C】コストプラットフォームがコストインターフェースから進捗状況の更新を受け取った後のコストプラットフォームのスクリーンショットを示す図である。
【
図21A】例示的な実施形態にしたがった、コスト項目とマッピングされたスケジュール項目を示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図21B】選択されたコスト項目を有している
図21Aのインターフェースを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図22A】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図22B】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図22C】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図22D】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図23A】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図23B】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【
図23C】改良された多次元視覚化の種々のビューを示しているスクリーンショットを示す図である。
【0015】
例示的な実施形態の説明
例示的な実施形態は、大規模資本プロジェクトにおいて3次元のモデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をルールに基づいてマッピングするシステムを提供する。モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目は、各自のネイティブプログラムにおいて、それらに割り当てられたコードを有している。割り当てられたコードは、概して項目の各タイプ(たとえば、概して椅子のモデル項目のタイプ)に適用されるタイプコードと、項目の特定のインスタンス(たとえば、北棟の40階の椅子)に適用されるインスタンスコードとを含んでいてよい。システムは、上述した各項目のネイティブプログラムと相互作用し、コードを抽出する。ルールエンジンは、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングする1つ以上のコード条件を受け取る。ルールエンジンは、これらの項目にルールを適用し、これらの項目を、それらがコード条件を満たしていることに基づいてマッピングする。ルールは、モデル、スケジュールまたは予算に変更が生じるたびに自動的に再適用を行ってよく、これによって変更が自動的にマッピングおよび比較される。以降では、例示的な実施形態の詳細について説明する。
【0016】
図1Aは概して、本発明の例示的な実施形態を実施することができる大規模資本プロジェクト10(「資本プロジェクト10」とも称される)の一例を示している。より具体的には、当業者に知られているように、資本プロジェクト10は概して、高度に資本が集約されたプロジェクトの構築、増強、追加または向上のために行われる長期投資であり、これは、著しい量の金融資本と労働資本との両方を必要とし、完了するまでに何年もかかることが多い。資本プロジェクト10は、多くの場合、比較的わずかな計画およびリソースを必要とする他の投資(たとえば、住宅またはトラックの構築)と比較して、そのコストが大規模であることを特徴とする。資本プロジェクト10においては、民間セクタおよび公共セクタの双方が関与することがある。資本プロジェクト10の幾つかの例は、空港、病院、高層ビル、橋およびトンネル、道路プロジェクトの開発および維持を含んでいる。付加的または択一的に、例示的な実施形態が、石油精製所、発電プラント、船舶、海洋石油プラットフォーム、ダムおよび工場と共に使用されてよい。
【0017】
図1Bに示されている資本プロジェクト10は発電プラントであり、これは、当業者に知られているように、発電の機能を得るために協働する、極めて多くの種々異なる構成要素を備えている。たとえば、とりわけ、この図の発電プラントは、複数の大小の建物、煙突、パイプ、弁、燃料タンク、はしごおよび電気システムを有している。
【0018】
図1Cには、択一的な大規模建設プロジェクト10の階層図が示されている。
図1Aおよび
図1Bと同様に、プロジェクト10は多数のリソースおよび材料を必要とし、複数の建物を含んでいてよい。大規模資本プロジェクト10の設計、構築および保守には、膨大な量の計画および調整が必要になる。多数の構成要素が、計画されたスケジュールと予算とにしたがって、適切に配置され、方向付けられ、他の構成要素と接続されなければならない。慎重な計画および調整がされない場合には、大規模資本プロジェクト10が構築され、動かされることは決してないだろう。
【0019】
このために、当業者は、
図1A~
図1Cに示したような資本プロジェクト10の計画/設計、開発、維持および廃止を支援するプラント設計プログラム/製品(「プラント設計プログラム」)を開発してきた。広く使用されている建物およびインフラストラクチャ設計プログラムの例には、BricsCAD(登録商標)および/またはアラバマ州ハンツビルのHexagon PPM社によって販売されているSmartPlant(登録商標)エンタープライズ製品(以降では「SmartPlant(登録商標)製品」)として知られているプラント設計プログラムが含まれる。他のそのような製品と同様に、上述したモデリング製品は、少なくとも、相互に関連する以降の機能および構成要素を有している:
・3Dモデリングおよび視覚化、
・エンジニアリングおよび図式化、
・情報管理、
・調達、製造および建設、
・他のプロプライエタリシステムおよびオープンシステムとのオープンインテグレーション。
【0020】
したがって、建築家、設計者、エンジニア、開発者、マネージャおよび他の関係者は、SmartBuild(登録商標)およびSmartPlant(登録商標)製品などの設計プログラムのこれらの機能および他の機能を使用して、
図1A~
図1Cに示された建物10などの資本プロジェクト10を、設計、構築、更新、管理および廃止する。当業者に知られているように、このような3Dまたは2D設計プログラムはしばしば、複数のソフトウェアツールと共に、自身のプロジェクトを設計および管理するための主要なメカニズムとして機能するテンプレートを作成する。付加的に、これらの設計項目は、ドキュメント、物流項目、メタデータおよび他の情報などの多次元情報を含んでいてよい。とりわけ、テンプレートは、典型的に、ユーザが自身のプロジェクトをより正確かつ効率的に開発できるようにする複数のオプション、構成およびレイアウトを含んでいる。
【0021】
種々の実施形態が過度に簡素化されるリスクがあるが、大規模資本プロジェクトコンテキストにおいて使用されるテンプレートを、ユーザがワード処理プログラムを開いたときに表示されるワード処理テンプレートに例えることができる。とりわけ、ユーザが複数のフォント、色、形状、行間隔およびフォーマットから選択することを可能にするために、ワード処理テンプレートが構成されていてよい。この場合にユーザは、テンプレートを提供する種々異なるオプションを使用して、自身のドキュメントの準備を開始する。実際には、ワード処理を行うユーザは、文字、メモ、表計算シート、ブックなどの多種多様な異なるドキュメントのいずれかを作成することができる。同様に、資本プロジェクト10に使用されるテンプレートを、上述の資本プロジェクト10のような、著しく異なるタイプの他の資本プロジェクトと共に使用することもできる。
【0022】
しかし、テンプレートの構成データは、多くの場合、資本プロジェクト10のライフサイクルにわたって変化する。特に、
図1Bの発電プラント、石油精製所または船舶などの資本プロジェクト10のライフサイクルに必要なテンプレート構成は、発注者のニーズ、産業の特性および種々のプロジェクトサイト16で使用されているソフトウェアシステムによって提供される利用可能な構成オプションを含む、多くの要因に関連する。このような資本プロジェクト10の構成には、典型的には、カスタムプロパティ、シンボル、図面テンプレート、ルールなどの数千のタイプの項目が含まれる。さらに、構成要件は、典型的には、概念的な設計、詳細な設計、コミッショニング、建設、運用、保守、廃止など、設備の種々のライフサイクルステージ間で異なる。
【0023】
別のレベルの複雑性は、各プロジェクトサイトで使用される種々のソフトウェアアプリケーションに関する。特に、プロジェクトサイトで実行される各ソフトウェアアプリケーションは、独自の一連の構成タイプと、オプションと、構成データならびに既存の設計データを比較および更新するための特定の手法とを有していてよい。さらに、これらのオプションおよび手法は、ソフトウェアアプリケーションの特定のバージョンに応じて変化してよい、またはこれらに関連していてよい。さらに別のレベルの複雑性は、アプリケーションの統合されたシステムを伴い、構成タイプとソフトウェアアプリケーションとの間の相互関連性を伴う。
【0024】
このような複雑性を考慮すると、建物の発注者、プラントの発注者またはエンジニアリングカンパニは、自身の設計プログラムと共に使用される、完全な一連のテンプレート構成を開発するために、たやすく数年を費やし得る。実際、発明者らは、このような複雑性が、プロジェクト完了までの遅延が長引くこと、および大規模なコスト超過に対する主要な原因であると考えている。2016年6月のMcKinsey analysis on Capital Projects and Infrastructureからのデータは、大規模資本プロジェクトが平均で20カ月遅れており、80%のコスト超過を伴っていることを示している。
【0025】
大規模資本プロジェクト10を完了するための固有の難しさに加えて、プロジェクトの種々のステークホルダが原因で、複雑性が加わる。たとえば、プロジェクト10のプランナは、作業分解構成図を管理するために第1のプログラムを使用することがあり、管理/財務チームは、コスト分解構成図を管理するために第2の異なるプログラムを使用することがある。
【0026】
図1Dは、本発明の例示的な実施形態による資本プロジェクト10の作業プロセスを概略的に示している。高いレベルでは、ステップ101において、プロジェクトの発注者は、入札への募集を公開することができる。入札要請(invitation to bid)(これは入札案内または封入入札案内とも称される)は、建設請負業者に対する、プロジェクトについての提案の提出を求める呼び出しである。ITBはRFP(提案依頼書(request for proposal))に極めて似ているが、ITBはプロジェクトの概念的構想よりも価格を重視している。したがって、幾つかの実施形態では、モデルは実質的に入札要請の時点で準備されてよい。したがって、モデル項目がこの時点ですでに準備されていてよい。択一的に、発注者が提案依頼書を出すことができる。この募集によって、ステップ102において、提案依頼書に対する応答を準備および提出する複数の総合建設請負業者から入札が集まる。このケースでは、建設請負業者がモデル項目を準備する。1つ以上の総合建設請負業者からの種々の応答を検討した後、発注者はステップ103において契約を締結する。
【0027】
次に、プロセスはステップ104に進み、ここでは総合建設請負業者が詳細な数量拾いおよびコスト見積を準備する。詳細な数量拾いは、各モデル項目の量のリスト化である。たとえば、同じアセンブリコードを共有しているが、異なるタイプコードを有しているすべての土台に対して詳細な数量拾いが存在する。
【0028】
数量拾いおよびコスト見積が準備された後、ステップ105で、総合建設請負業者が下請け業者からの入札を募集する。ステップ106では、1つ以上の下請け業者がこの募集に応答し、次にステップ107では、総合建設請負業者が下請け業者に対して取引契約を締結する。例示的な実施形態では、この契約は、下請け業者が支払を受けるために達成されなければならない種々の作業分解構成図を詳述する支払マイルストーンを含んでいる。
【0029】
ステップ108では、下請け業者の確定後に詳細なプロジェクトスケジュールが作成される。プロジェクトスケジュールは、1つ以上のワークパッケージを含んでいる少なくとも1つの作業分解構成図(WBS)を含んでいる。スケジュール項目とも称されるワークパッケージ(WP)は、他の必要な建設情報、たとえばドキュメンテーション、日付、相互関係性および作業ステップなどによって強化された、スケジュールされたアクティビティである。スケジュール項目は、4D(スケジュール・モデル)および5D(スケジュール・モデル・コスト)アニメーションに対して割り当てられているモデル項目およびコスト項目を有することができる。
【0030】
同様に、ステップ109において、詳細なプロジェクト予算が作成される。プロジェクト予算は、1つ以上のコスト項目を含んでいる少なくとも1つのコスト分解構成図(CBS)を含んでいる。
【0031】
ステップ110で、スケジュール作業分解構成図および予算コスト分解構成図またはその一部がマッピングされる。マッピングは、ルールを使用して、モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目をインテリジェントにリンクさせて、リアルタイムのプロジェクト状態およびコスト予測のオンデマンドの更新および継続的な更新を提供する。コスト分解構成図および作業分解構成図は、プロジェクトチームの種々の目的に応じて異なる。幾つかの実施形態では、コスト分解構成図と作業分解構成図とは、正確な予測のために作業分解構成図およびコスト分解構成図の日付および進捗状況を渡すことができるように、Microsoft Excelなどのソフトウェアにおいて手動で相関付けされる。コスト分解構成図および作業分解構成図をマッピングすることによって、例示的な実施形態では、(たとえばスケジュール遅延および/またはコスト超過が存在しているか否かを調べるために)コストに対するスケジュールの視覚化が可能になる。
【0032】
大規模資本プロジェクト10では、コスト分解構成図および作業分解構成図の手動マッピングは困難である。典型的に、大規模資本プロジェクト10には40以上のストーリがあり、スケジュール項目は10,000以上、コスト項目は2,000以上ある。作業分解構成図とのコスト分解構成図の最初のマッピングには、非常に時間がかかり、また大きな労力がかかる。最初のマッピングは極めて困難であるが、資本プロジェクト10の開始後にマッピングを更新し続けることは、さらに困難であり得る。たとえば、プロジェクト10が自身の元来のスケジュール、コストまたはモデルから変化するたびに、マッピングを更新する必要がある。更新されたマッピングは、新たな項目の追加、項目の削除、項目間の新たなリンクの作成および/または項目間のリンクの削除を含み得る。
【0033】
さらに、例示的な実施形態では、5Dマッピングが実行され、この5Dマッピングは、作業分解構成図およびコスト分解構成図を有する3Dモデルをマッピングする。コスト分解構成図における多数のコスト項目および作業分解構成図における多数の作業項目に加えて、モデルは1つのプロジェクト10につき、100,000を超えるモデル項目を有し得る。
【0034】
したがって、以降でさらに説明するように、例示的な実施形態は、上述の多くの問題を解決するために、作業分解構成図、コスト分解構成図、見積、モデルおよびドキュメントなどの種々の構造のルールベースの自動マッピングを提供するために、特別に構成されているルールエンジンを使用する。
【0035】
その後、プロセスは同時にステップ111と113とに進み、これらのステップにおいて、下請け業者および/または総合建設請負業者によってそれぞれ、スケジュールされた作業が実行される。次いで、これらの両当事者は、ステップ112および116においてそれぞれ、完了した作業についての進捗状況請求書(progress invoices)を提出し得る。例示的な実施形態では、1つの下請け業者に言及されているが、使用時に、複数の下請け業者が、同じスケジュール項目または異なるスケジュール項目において(たとえば並行して)作業の種々の部分を実行し得ることを理解されたい。
【0036】
ステップ111において、作業が満足に行われた場合、プロセスはステップ112に進み、これによって、総合建設請負業者は、ステップ110において実行されたマッピングを使用して、スケジュールおよびコストを分析することができる。次いで、総合建設請負業者は、ステップ115において、作業を検証し、各下請け業者に支払を行ってよい。進捗状況請求書が発注者に提出されてよく、発注者は次に、ステップ117において、作業を検証し、総合建設請負業者の支払を承認する。ステップ118で、総合建設請負業者は、発注者から支払を受け取り、下請け業者に支払を行う。ステップ119で、下請け業者は、支払を受け取る。
【0037】
ステップ112に戻って、プロジェクト10が目標から外れた場合(たとえば予算オーバー、遅延、モデルの変更)、プロセスはステップ124に進み、ここでは提案された変更が変更指示要求の形で提出される。変更指示は、元来の建設契約に対する修正を記録するために用いられる。たとえば、変更指示要求の1つの目的は、追加されたサービスの記録を作成することである。下請け業者および/または建設請負業者が変更指示を使用しない場合、これらの追加のサービスに対する支払を受けられなくなる可能性がある。したがって、プロジェクト10を円滑に実行し続けるためには、予算、スケジュールおよび/またはモデルに対する変更指示の影響を迅速に視覚化することが重要である。プロセスはステップ125に進み、ここでは総合建設請負業者が問題に応答して変更指示を承認するまたは拒否する。特定のタイプの単純な作業指示の変更の場合には、建設請負業者が変更指示を承認することができ、プロセスはステップ126に進む。より複雑な変更(すなわち、スケジュール項目、モデル項目および/またはコスト項目に対する変更)を含んでいる変更指示の場合、プロセスはステップ123に進む。
【0038】
現在のプロジェクト10の財務状況および/またはスケジュールの分析および予測を、自動的に実行することができる。なぜなら、スケジュール項目、モデル項目およびコスト項目がステップ110において事前にマッピングされているからである。したがって、総合建設請負業者および/または下請け業者は、変更指示および実際のコスト(たとえば、1つのコスト項目への変更)を入力することができ、ステップ110からの他のすべてのリンクされた項目(たとえば、他のコスト項目、スケジュール項目および/またはモデル項目)への影響が自動的に決定される(たとえば、
図2に示されている自動比較器を使用して)。したがって、総合建設請負業者は、この変更の影響を迅速に認識して、リンクされた項目に対する変更指示の影響を示す分析と共に、問題および変更指示を発注者に提出するステップ121に進むことができる。これによって発注者は、ステップ122において、自身のプロジェクト10における変更指示の最終的な影響(すなわちコストおよびスケジュールへの最終的な影響)について、より深く理解することができ、変更指示を迅速に承認することができる。したがって、すべての当事者、すなわち発注者、総合建設請負業者および下請け業者は、変更指示の実際の結果を迅速に決定して承認を受け取ることができ、これは、プロジェクト10がスケジュールから顕著に逸脱するのを防ぐのに役立つ。
【0039】
マッピングシステム17(以降で
図2に示されている)の種々の実施形態を導入する以前では、モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目を、これらの項目のプロパティコードを用いて自動的にマッピングすることは不可能であった。その代わりに、1人以上の技術者が、ソフトウェアを使用して手動で項目を選択し、接続していた。発明者らは、種々の項目からのコードを使用することが、マッピングの自動化の効率的かつ反復可能な様式であることを発見した。これらの項目を使用することによって、マッピングの自動化の有益な結果が可能となる。
図1Dには1つの変更指示しか示されていないが、変更指示の要求のプロセスおよびマッピングされた項目に対する変更の影響の分析のプロセスを、1つのプロジェクト10の経過中に複数回繰り返すことができることを理解されたい。
【0040】
次いで、プロセスはステップ126に進み、ここでは作業が総合建設請負業者によって検討され、終了となる。総合建設請負業者は、ステップ128においてプロジェクトを発注者に引き渡し、その時点で発注者は総合建設請負業者に支払を行う(ステップ129)。ステップ130~ステップ131において、総合建設請負業者は、支払を受け取り、下請け業者に支払を行う。プロセスは終了する。
【0041】
ある時点で、典型的にはプロジェクト10の建設工事中に、発注者、総合建設請負業者および/または下請け業者は、(たとえば変更指示に応答して)幾つかの新規な、または改訂されたモデル項目、コスト項目およびスケジュール項目を採用するために、能動的なプロジェクトサイト10の構成を更新する必要があり得る。これは、例示的な実施形態の技術的な解決手段によって解決される種々の技術的な問題を提示する。特に、これらの技術的な問題は、以下のもののうちの1つまたは複数を含んでいてよい:
【0042】
1.建設アクティビティのシーケンスをシミュレーションすることによって建設工事開始前に問題を明らかにし、それをプロジェクトチームに提示すること。
【0043】
2.(たとえば、建設工事開始後の変更指示による)予想可能な時間遅延を減らし、再作業のコストを節約すること。たとえば、自動マッピングが行われない場合には、ステップ114およびステップ123に対する結果は、非効率で、決定的でない。
【0044】
3.迅速に予測および報告すること。従来技術には、極めて多くの労働力のかかる手動の予測が含まれる。
【0045】
4.予測されたコストを伴う4Dアニメーションを作成すること(5D)。これによって、執行部は、プロジェクト期間にわたるシミュレートされた物理モデルの進捗状況と、その時間の間の予期されるコストを閲覧することができる。プロジェクトの応札段階/入札段階中、物理モデルはプロジェクトの詳細を展示するのに役立ち、他の建設請負業者にまさって作業を獲得することを支援する。また、プロジェクトの実行中に、5Dアニメーションは、プロジェクトの進捗状況およびコストを追跡するのに役立ち、潜在的なリスクを事前に強調表示することもできる。この情報が利用可能になるのが早いほど、遅延およびコスト超過を減じるための判断をより早く下すことができる。
【0046】
5.ドキュメントのリンク付けをすること。項目のマッピングに加えて、同じコードを使用して、関連するドキュメントが自動的にリンク付けされてよい。この業界では現場チームが正しい図面または更新された図面、リソース情報、承認または作業許可を待つために、生産性の低下に悩まされている。マッピングエンジンの例示的な実施形態は、作業分解構成図およびコスト分解構成図へのodドキュメントのマッピングを自動化し、これによって、建設チームが適切なドキュメントを迅速かつ容易に見つけ出すことができる。
【0047】
例示的な実施形態は、マッピングを自動化するためのルールと組み合わせて項目コードを使用することによって、プロジェクトを分析する、より迅速かつより正確な様式を提供する。たとえば、プロジェクト予測は、現在利用可能なソフトウェアを使用して、建設チームが手動のプロジェクト予測を分析および準備するために2~4週間以上にわたって待つのではなく、直ちに利用可能である。
【0048】
6.モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目のための異種ソフトウェアアプリケーションからのコードの抽出を自動化すること。各ソフトウェアアプリケーションは、構成、依存関係および構成データ/ファイルを比較および更新するための手法の独自のセットを有している。
【0049】
7.改訂されたモデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目の比較を完了し、マッピングを更新する時間の長さは、好ましくは、プロジェクトのダウンタイムを短縮するために最小限に抑えられる。複数のソフトウェアアプリケーションにわたって、テンプレートとアクティブプロジェクトとの間で何千もの項目のうちのすべての各項目の何十ものプロパティを手動でマッピングするのには極めて長い時間がかかり、また間違いが起こりやすい。
【0050】
種々の実施形態は、これらの技術的なリスクの一部またはすべてを軽減し、統合されたテンプレートシステムの更新された構成データを、統合されたアクティブプロジェクトの構成と比較するためのロバストかつ効率的な手法を提供する。
【0051】
したがって、例示的な実施形態は、これらの技術的な問題の一部または好ましくはすべてを解決するために、特別に構成された技術、たとえば予め構成されているマッピングシステム17(
図2)を使用してよい。特に、当業者に知られているように、システムの完全性を維持するために、マッピングシステム17は、時間の経過に伴うコンピュータシステムまたはネットワークに対する構成変更を体系的に管理する。したがって、マッピングシステム17は、構成および構成オプションにおける変更を管理および評価するために、コンピュータシステムまたはネットワークにおける技術、ポリシー、ツールおよびプロシージャを実行することができる。このために、
図2は、
図1A~
図1Dの資本プロジェクト10のような大規模資本プロジェクトに使用されるモデル、コストおよびスケジュールのマッピングを、より効率的にマッピングかつ更新するように構成され得るマッピングシステム17の例示的な実施形態を概略的に示している。
【0052】
図2のマッピングシステム17は、大規模資本プロジェクト10のモデル、コストおよびスケジュールを効率的にマッピングするために協働する複数の構成要素を含んでいる。これらの構成要素の各々は、従来の相互接続機構によって、動作するように接続されている。
図2には単に、各構成要素と通じているバス19が示されている。当業者であれば理解できるように、この一般化された表現を、他の従来の直接的または間接的な接続を含むように修正することが可能である。したがって、バス19の説明は、種々の実施形態を制限するものではない。
【0053】
これらの構成要素は、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目からコード(たとえば、タイプコードおよび/またはインスタンスコード)を抽出するように構成されているコード抽出エンジン30を含んでいる。当業者に知られているように、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目は、自身の各データ構造の最も低いレベルである。たとえば、モデル項目は典型的には、3Dジオメトリと他の必要なプロパティコードとを有している。スケジュール項目は典型的には、開始日および終了日、期間および他の必要なプロパティコードを有している。コスト項目は典型的には、コスト値、測定単位および他の必要なプロパティコードを有している。
【0054】
コード抽出エンジン30は、3Dモデルインターフェース32と、スケジュールインターフェース34と、建設コストインターフェース36とを有している。インターフェース32~36はそれぞれ、各サードパーティプログラムと通信し、そこから項目コードを抽出するように構成されている。たとえば3Dモデルインターフェース32は、建築家および/またはエンジニアが、関連するプロパティおよびコードを有する3Dモデル項目を作成したビルディング情報モデリングプラットフォーム54(たとえばRevit)と通信することができる。付加的に、スケジュールインターフェース34は、総合建設請負業者が、関連するプロパティおよびコードを有するスケジュール項目を準備することができるプロジェクト管理スケジュールプラットフォーム56(たとえば、Oracle社によるPrimavera P6 EPPM)と通信することができる。さらに、建設コストインターフェース36は、関連するプロパティおよびコードを有する予算項目を作成するために財務チームが使用することができるエンタープライズプロジェクト管理コストプラットフォーム58(たとえばEcoSys)と通信する。コード抽出エンジン30は、種々の項目からコードを抽出し、必要に応じてモデル項目データベース38、スケジュール項目データベース40およびコスト項目データベース42内にこれらを格納することができる。
【0055】
これらの項目の幾つかは、プロパティコードを伴わずに、タイプコードのみを伴って、かつ/または不正確なインスタンスコードを伴って、システム17へ入力され得る。したがって、システム17は、システム17内に存在する項目コードの修正を可能にするコード生成器および修正器モジュール44(CCMモジュール44)を含んでいる。項目コードの修正を可能にするために、システム17はユーザインターフェース46を含んでいてよく、ユーザインターフェース46は、ユーザから(たとえばユーザによってコントロールされるキーボードおよびマウスから)入力を受け取る。モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目のインポート後、コード抽出エンジン30は、(たとえば、最初にコードが適用されなかったことが原因で、またはインポートプロセス中のエラーが原因で)、いかなるコードも伴わずにインポートされた項目を識別してよい。したがってユーザは、項目を見て、CCMモジュール44を使用してこの項目に1つ以上のコードを適用してよい。付加的または択一的に、項目がタイプコード(これらのタイプコードはたとえばプロジェクトにかかわらず項目のタイプに対して汎用的であるが、目下のプロジェクト10に対して固有のものではない)のみを伴ってインポートされることがある。したがって、特定のインスタンスコードを所与の項目に入力するために、CCMモジュール44が使用されてよい。さらに、幾つかの項目が、不正確なインスタンスコード(たとえば、異なるプロジェクトからのキャリーオーバかつ/または誤って入力されたキャリーオーバ)を伴ってインポートされることがある。CCMモジュール44は、適切なインスタンスコードを追加するために、かつ/または不正確なインスタンスコードを修正するために使用されてよい。修正されたコードは、それらの各データベース38~42に格納されてよい。
【0056】
ルールエンジン48は、1つ以上のコードベースの条件を受け取り、マッピングエンジン50によって使用されるルールを作成するように構成されている。1つ以上のルールは、プロジェクトに基づいて(たとえばユーザインターフェース46を介して)カスタム定義されてよい。付加的または択一的に、(たとえば先行するプロジェクトからの)予め規定されているルールがインポートされて、現在のプロジェクト10の特定のモデル項目、コスト項目およびスケジュール項目に適用されてよい。以降でさらに述べるように、異なるコードベースの条件の多様性が使用されてよい。幾つかの実施形態では、この条件は、モデル項目、スケジュール項目および/またはコスト項目のコード間の正確な一致を要求し得る。付加的または択一的に、この条件は、コードの一部のみが一致することを要求し得る、かつ/またはワイルドカード演算子を含んでいてよい。
【0057】
マッピングエンジン50は、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングするように構成されている。マッピングエンジン50は、モデル項目、コード項目およびスケジュール項目に対するコードを取得するために、コード抽出エンジン30および/またはデータベース38~42と通信する。マッピングエンジン50は、ルールエンジン48とも通信し、マッピングされる項目を規定する1つ以上の条件を有するルールを取得する。マッピングエンジン50は、このルールを適用することによって、モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目をマッピングする。
【0058】
マッピングエンジン50は、人間による比較を伴わずに、更新されたデータを迅速かつ自動化された様式で自動的に比較する自動化された比較器52と、更新されたデータを格納する、データベース(たとえばデータベース40~42または他のデータベースのいずれか)の形態であるようなメモリとを含んでいてよい。特に、比較器52は、(たとえば変更指示に起因する)モデル項目、コスト項目および/またはスケジュール項目の更新に関するデータを比較する。たとえば建築家は、3Dモデルがすでにマッピングされている後に3Dモデルを変更し得る。自動化された比較器52は、この変更/更新を検出し、ルールを再適用して、他の項目に関連する、改訂された項目を自動的にマッピングするように、マッピングエンジン50に指示する。
【0059】
図2のマッピングシステム17は、種々の様式で実装可能である。1つの実装では、マッピングシステム17は、異なるプロジェクトサイトにおいて、局所的なバージョン、独立したバージョン、協働するバージョンを有していてよい。たとえばマッピングシステム17は、建設工事が行われている中央サイトに1つのスケジュールインターフェースを配置し、異なるプロジェクトサイト10に建設コストインターフェースを配置することができる。別の例として、スケジュールインターフェース34は、中央サイト、(たとえば、少なくとも部分的に入力ポートまたは出力ポートとして機能する)プロジェクトサイトおよび/または中央サイトとプロジェクトサイトとの両方から離れた幾つかの他の場所に存在することができる。同様に、マッピングシステム17は、ネットワーク全体にわたって分散していてよい。後者の実施形態では、
図2の構成要素は、中央サイトと種々のプロジェクトサイトとの両方で動作する。
【0060】
図2はこれらの構成要素の各々を概略的に示しているだけであることに留意されたい。当業者であれば理解できるように、これらの構成要素の各々を、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用することなどによって、1つ以上の他の機能的構成要素にわたって、種々の従来の様式で実装することができる。たとえば、マッピングエンジン50は、ファームウェアを実行する複数のマイクロプロセッサを用いて実装され得る。別の例として、マッピングエンジン50を、1つ以上の特定用途向け集積回路(すなわち「ASIC」)および関連するソフトウェア、またはASICと個別電子構成要素(たとえばトランジスタ)とマイクロプロセッサとの組み合わせを用いて、実装することができる。したがって、
図2の1つのブロックにおけるマッピングエンジン50および他の構成要素の表現は、単に簡素化するためのものである。実際には、上述したように、
図2の構成要素は、複数の異なる機械にわたって分散されていてよく、必ずしも同じハウジングまたは枠組み内にあるわけではない。
【0061】
繰り返し述べておくと、
図2の表現は、実際のマッピングシステム17の顕著に簡略化された表現である。当業者であれば理解できるように、このようなシステムは典型的には、中央処理ユニット、種々のユーティリティ、コントローラ、短期メモリなどといった他の多くの物理的構成要素および機能的構成要素を有していてよい。したがって、この説明は、
図2がマッピングシステムのすべての要素を表していることを示唆するためのものではない。
【0062】
図3には、上述の技術的な問題の一部またはすべてを軽減する様式で、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目をマッピングするマッピングシステム17によって使用される好適なプロセスが示されている。このプロセスが、通常、テンプレート構成データを更新するために用いられる比較的長いプロセスから簡略化されたものと考えられ得ることに留意されたい。したがって、テンプレート構成データを更新するプロセスは、当業者がおそらく使用し得る多くの他のステップを有していてよい。さらに、幾つかのステップは、示されている順序とは異なる順序で実行され得る、または同時に実施され得る。したがって、当業者は、必要に応じてプロセスを修正することができる。
【0063】
図3のプロセスはステップ302で始まり、このステップにおいて、資本プロジェクト10のスケジュール、3Dモデルおよび予算がシステム17にインポートされる。上述したように、プロジェクトは大規模資本プロジェクトであり、多くの場合、複数の作業現場にまたがっており、多数の当事者が関係する。この当事者には、限定されるものではないが、総合建設請負業者、複数の下請け業者、建築家、エンジニア、財務チームおよび計画委員会が含まれる。これらの当事者の各々は、各自の目標の達成の支援のために異なるソフトウェアを使用し得る。たとえば、エンジニアはRevitなどのビルディング情報モデリングプラットフォーム54を使用してモデル項目を設計することがあり、財務チームはEcoSysなどのエンタープライズプロジェクト管理コストプラットフォーム58を使用して、プロジェクト10の予算を作成することがあり、プランナはPrimavera P6などのプロジェクト管理スケジュールプラットフォーム56を使用することがある。
【0064】
これらの種々の項目はすべて、システム17にインポートされる。このために、3Dモデルインターフェース32、スケジュールインターフェース34および建設コストインターフェース36は特に、種々のタイプのプラットフォームと相互作用し、マッピングエンジン50による使用のために、これらの項目からコードを抽出するように構成されている。幾つかのプロジェクトは、1つのプロジェクト10につき、10,000を超えるスケジュール項目、2,000を超えるコスト項目および100,000を超えるモデル項目を有していてよい。インターフェース32~36は、各項目から所望のすべてのコードを抽出するように構成されている。
【0065】
プロセスは、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目にコードを割り当てるステップ304~ステップ308に進む。システム17内のこれらの項目の各々に割り当てられているコードは、コード抽出エンジン30によって抽出されたコードであってよい。したがって、幾つかのコードは、先行するプロジェクトからのもであってよい、または各管理プラットフォーム(たとえばEcoSys、Primaveraなど)の適切なユーザによって以前に入力されたものであってよい。このために、コード抽出エンジン30は、予め規定されたコード分類構造を自動的に検索するように構成されていてよい。
【0066】
図4は、本発明の例示的な実施形態による構築項目に対する、予め規定されている分類構造を示している。建設業界には、建設仕様研究所(CSI)、国際建設測定基準連合(ICMSC)、ビルディング・コスト・インフォメーション・サービス(BCIS)、マスターフォーマット(MasterFormat)、ユニフォーマット(Uniformat)および英国王立勅許鑑定士協会(Royale Institute of Charted Surveyors)(RICS)などの複数の組織があり、これらはすべての関連するプロジェクトプロパティおよび性能データを一貫して編成するためのコードを維持および公開している。
【0067】
すべての分類構造は、CSIによるUniformat-IIのように、異なる目的のために開発されており、これは主にプロジェクト10の初期において組織情報に使用される。Uniformat-II分類構造は、BIM(Building Information Modeling)の組織によく似ている。これは、モデル項目と、それが建物において使用される場所との間に直接的な関係を構築するのに役立つ。
【0068】
図4は、コードを有する複数のグループ要素を示し、次にコードを有する特定の個々の要素を示している。たとえば、標準的な基礎のコードはA1010であり、特別な基礎のコードはA1020である。しかし、これらの項目の両方は、基本的なコードA10を共有していてよい。これらの項目の各々は、建築モデル(たとえばCADモデル)内の実世界の項目を表す3D構成要素を有している。例示的な実施形態では、コード抽出エンジン30は、種々の分類構造システムによって提供されるモデル項目コードを抽出する。通常、これらのコードは、ビルディング情報モデリングプラットフォーム54(たとえばRevit)において、モデル項目テンプレートにおいて提供されるので、建築家は各モデル項目の作りなおしに時間を費やす必要はない。
【0069】
ステップ304において、プロセスは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、モデル項目にコードを割り当てる。
【0070】
図5は、モデル項目の分類構造コード60を作成するためのビルディング情報モデリングプラットフォーム54のインターフェースからのスクリーンショットである。
図5のスクリーンショットは、Autodesk社によるRevitまたはTrimble社によるTeklaなどのモデルオーサリングツール54を示している。Revitは、建築家、設計者、建築業者および建設の専門家が協力して作業を行うのを支援する、Autodesk社のソフトウェア製品および包括的なワークフローである。このソフトウェアは、実世界の建物および構造のモデルを作成する洗練された様式である。これは主にbuilding information modeling(BIM)において用いられる。モデルオーサリングツールを用いて、ユーザはコード60またはプロパティをモデル項目62に付加することができる。付加的または択一的に、モデル項目62には、1つ以上のコード60が予めセットされていてよい。
【0071】
図5に示されているように、タイプFt2.5X8の矩形の土台(Footing)のモデル項目62は、Assembly Code60:A1010100およびOmniClass Number 23.25.05.17を有している。これらは、資本プロジェクト10の開始以前にすでに存在し得るモデル項目のコード/プロパティである。したがって、(たとえば、ユニフォーマットおよび/またはマスターフォーマット16分類構造を使用して)予め規定されているコードを特異的に抽出するように、コード抽出エンジン30が構成されていてよい。付加的にユーザは、現在のプロジェクトに特に関連するモデルに対し、新たなコード60(たとえばIdentity Data Code:「North」)を追加することができる。例示的な実施形態では、新たなコード60が、(たとえば、Revitを使用する建築家またはエンジニアによって)モデルオーサリングツール54を使用して追加されてよい。付加的または択一的に、新たなコードは、CCMモジュール44を用いてシステム17にインポートした後に追加されてよい。
【0072】
図6は、
図5の選択されたモデル項目62に対するシステム17のユーザインターフェーススクリーンを示している。
図6に示されているように、多数の他のモデル項目のうち、選択されたモデル項目62は3Dモデルインターフェース32を介してシステム17にインポートされている。コード抽出エンジン30は、モデルからコードを抽出し(ビルディング情報モデリングプラットフォーム54のアウトプット)、モデル項目62を、モデル項目コード60および他の関連するプロパティと共にモデル項目データベース38に格納することができる。
【0073】
ステップ306において、プロセスは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、コード60をコスト項目66に割り当てる。
図7は、コスト項目66に対する分類構造コード60を作成するためのエンタープライズプロジェクト管理コストプラットフォーム58のインターフェースからのスクリーンショットである。分類構造コード60をコスト項目66に追加するために、ユーザは、(たとえば
図5~
図6に示されている)モデルオーサリングツール54に対するコード60と同様の手法で、予め規定されている分類構造を使用することができる、またはシステム17において分類構造を作成することができる。ユーザは、コストコントロールシステム58(たとえばEcoSys)をイネーブル化するために分類構造を公開する。例示的な実施形態は、このような分類構造をコスト項目データベース42に格納し、この分類構造をコスト項目に割り当てる。
【0074】
図7のスクリーンショットに示されているように、ユーザは、1つまたは複数の分類構造を既存のコスト分解構成図に割り当てることができる。ユーザは、1つまたは複数の分類構造コード60を1つのコスト項目66に割り当てることができる。見積/予算がコストインターフェース36を介してシステム17にインポートされると、コード60が抽出され、各コスト項目66に割り当てられる。したがって、コストプラットフォーム58を用いることによって、コスト項目66を、コード抽出エンジン30を用いて抽出された1つ以上のコード60と予めセットすることができる。付加的または択一的に、ユーザはCCMモジュール44を使用してコスト項目66にコード60またはプロパティを付加することができる。
【0075】
図8に示されているように、矩形の土台のコスト項目66(1.1.1)は、同じ構成要素に対するモデル項目62と同じコード(A1010100およびNorth)を有している。付加的に、ユーザは、CCMモジュール44を使用して、現在のプロジェクトのインスタンスと関連するモデルに対するインスタンスコード60を追加することができる。例示的な実施形態においては、(たとえばEcoSysを使用する財務チームによって)コスト管理プラットフォーム58を使用して、新たなコード60が追加されてよい。コード抽出エンジン30はコストプラットフォーム58からコード60を抽出した後、コスト項目を、コード60を、コスト項目コードおよび他の関連するプロパティと共にコスト項目データベース42に格納することができる。
【0076】
ステップ308において、プロセスは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、コード60をスケジュール項目に割り当てる。
図9は、スケジュール項目64に対する分類構造コード60を作成するためのプロジェクト管理スケジューリングプラットフォーム56のインターフェースからのスクリーンショットである。
図9のスクリーンショットは、Oracle社によるPrimavera P6 EPPMまたはMicrosoft Project XMLのようなスケジュール管理ツール56を示している。スケジュール管理ツール56を使用して、コード60またはプロパティをスケジュール項目64に付加することができる。付加的または択一的に、スケジュール項目64は、1つ以上のコード60と予めセットされていてよい。
【0077】
図9は、Assembly Code:A1010100およびCode-Zone「North」を有しているタイプの矩形の土台に対するスケジュール項目64を示している。上述のように、これらは、資本プロジェクト10の開始以前にすでに存在し得るモデル項目62のプロパティである。これらのコード60は、コード抽出エンジン30によって直接的に抽出されてよい、かつ/または(たとえばスケジュールプラットフォーム56および/またはCCMモジュール44を使用して)ユーザによって入力されてよい。
【0078】
図10は、
図9のスケジュール項目64に対するシステム17のユーザインターフェーススクリーンを概略的に示している。
図10に示されているように、多数の他のスケジュール項目のうち、選択されたスケジュール項目64が、スケジュールインターフェース34を介してシステム17にインポートされている。コード抽出エンジン30は、スケジュールプラットフォーム56からコードを抽出し、スケジュール項目コード60および他の関連するプロパティと共にスケジュール項目64をスケジュール項目データベース40に格納することができる。
【0079】
任意のステップ304~ステップ308において、1つ以上のコード60が、CCMモジュール44によってシステム17に入力され得ることを理解されたい。CCMモジュール44は、現在のプロジェクト10のインスタンスに関連する各項目62~66にインスタンスコード60を付けることができる。したがって、CCMモジュール44は、(これらがまだ存在していない範囲で)プロジェクト固有のコードが入力されることを可能とし、システム17にさらなる汎用性を提供する。
【0080】
次いでプロセスは、モデル項目62、スケジュール項目および/またはコスト項目をマッピングするためのルールを作成するステップ310に進む。ステップ302~ステップ308のプロセスを通して、例示的な実施形態では、1つのプロジェクトにつき、10,000を超えるスケジュール項目および2,000を超えるコスト項目がインポートされ得る。これらの項目を一緒に(たとえば、コスト項目1、2および3はスケジュール項目64に関連付けられている)手動でマッピングすることは極めて困難である。さらに、各項目が1つ以上のコードを有していてよい。これらのコードの各々の手動での抽出には、さらに時間がかかり、かつコストがかかる。しかし、発明者らは、これらのコードを抽出し、これらのコードに基づいてルールを適用することが、最終的に、(たとえば項目名および/またはドラッグ&ドロッププロセスに基づいた)項目の直接的なマッピングより効率的に複数の項目を一緒にマッピングするために使用され得ることを認識している。
【0081】
したがって、ステップ310において、ルールエンジン48は、抽出されたコード(たとえば分類構造コード)を使用して、モデル項目62、スケジュール項目および/またはコスト項目をマッピングするための1つ以上のコードベースのルールを作成する。ルールは、種々異なるプロジェクトから使用される予め規定されたルールであってよい。択一的に、ルールは、ユーザインターフェース46を通じてユーザによって規定されてよい。
【0082】
図11Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コード60を使用して、スケジュール項目64をモデル項目62にマッピングするためのルールを作成するためのインターフェースを概略的に示している。図示されている例において、マッピングされるモデル項目は、建設工事の特定の段階での土台である。スケジュール項目およびモデル項目は、1つ以上の条件を有するルールを使用してマッピングされる。条件は、1つであってよい、または複数であってよく、演算子(たとえば同等(Equals)、含有(Contains))および段階修飾子(たとえば初期、設計、詳細設計、施工完了など)を伴う。
【0083】
マッピングされる項目のタイプを選択することができる(たとえばコストに対してスケジュール)。さらに、第1の条件70がセットされてよい。図示されているように、スケジュール項目64をモデル項目62に自動的にマッピングするために、両項目のアセンブリコード60が正確に一致していなければならない。付加的に、この例において、マッピングを行うために、第2の条件70が満たされていなければならない。このケースでは、スケジュール項目64とモデル項目62との両方が「North」コード60を有していなければならない。2つのコード条件70だけが図面に示されているが、スケジュール項目64およびモデル項目62をマッピングする目的で、多数のコード条件70がルールによって規定され得ることを理解されたい。択一的に、幾つかの実施形態は、ルールに対して1つの条件70だけを有していてよい。
【0084】
ルールが作成された後、プロセスは、モデル項目62、スケジュール項目64および/またはコスト項目66をマッピングするステップ312に進む。具体的には、マッピングエンジン50が、ルールエンジン48によって規定されたルールを受け取り、コード抽出エンジン30、CCMモジュール44および/またはデータベース38~42から受け取ったコードに基づいて、これらの項目をマッピングする。モデル項目62、コスト項目66およびスケジュール項目64のマッピングは、5Dマッピングと称される。当業者に知られているように、マッピングによって5D視覚化が作成されてよく、この場合にはこの5Dマッピングの結果がユーザインターフェース46に表示される。幾つかの実施形態では、5Dアニメーションは、日付と資本プロジェクト10の3D視覚化とを伴う任意のワークパッケージに対する計画されたコスト曲線を予測し得る。
【0085】
図11Bは、
図11Aのマッピングの結果を示している。予め規定されている2つの条件70を用いてルールを実行した結果、マッピングエンジン50は、35個のモデル要素62がルールの条件70を満たし、1つのスケジュール項目64(00_N_footings F/R/P)がルールの条件70を満たしていると判定した。したがって、35個のモデル項目62が、1つのスケジュール項目64にマッピングされる。
図11Bに示されているように、幾つかの実施形態では、ワークパッケージ64はスーツケースのアイコン94によって表され、包括的な作業分解構成図はツリー
図96によって表されてよい。
【0086】
次いで、プロセスは、マッピングの精度を確認するためにユーザがマッピングを検討し得るステップ314に進む。マッピングが不正確である場合、ユーザはルールの条件70を変更してよい。択一的に、マッピングが許容可能である場合、このマッピングがグローバルレベルで格納され、複数のプロジェクト10のために使用されてよく、これによってユーザの付加的な時間が節約される。
【0087】
次いで、プロセスは、マッピングのためにさらなるルールが必要であるか否かを尋ねるステップ316に進む。答えが「はい」であり、さらなる項目がマッピングされる必要がある場合、プロセスは、モデル項目62、スケジュール項目64および/またはコスト項目66をマッピングするためのルールを作成するステップ310に戻る。
図11A~
図11Bに示されている例では、スケジュール項目64がモデル項目62にマッピングされているが、これらの項目のいずれもコスト項目66とはマッピングされていない。したがって、プロセスはステップ310に戻る。
【0088】
ステップ310に戻ると、スケジュール項目64がコスト項目66とマッピングされる。
図11Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コードを使用して、スケジュール項目をコスト項目にマッピングするためのルールを作成するためのインターフェースを概略的に示している。図示されている例において、マッピングされるスケジュール項目64は、建設工事の特定の段階での土台に関連する。スケジュール項目64およびコスト項目66は、1つ以上の条件70を有する、スケジュール項目対コスト項目ルールを使用してマッピングされる。上述したルールに類似して、条件70は、複数の演算子(たとえば同等(Equals)、含有(Contains))および段階修飾子(たとえば初期、設計、詳細設計、施工完了など)を含んでいてよい。
【0089】
第1のルールと同様に、マッピングされる項目のタイプを選択することができ(たとえばコストに対してスケジュール)、第1の条件70がセットされてよい。スケジュール項目64をコスト項目66と自動的にマッピングするためには、両項目のアセンブリコード60が条件70を満たしていなければならない。この例では、条件は、アセンブリコード60(たとえばA1010100)の正確な一致が必要となる。図示のように、スケジュールに対するコストのマッピングは、先行する図面に示された「North」コード条件70を必要としない。したがって、例示的な実施形態は、同じアセンブリコードを有する任意のスケジュール項目64へのコスト項目66のマッピングである。したがって、コストを、北側の建設工事領域におけるアセンブリ項目だけでなく、すべてのアセンブリ項目にマッピングすることができる。
【0090】
次いでプロセスは再び、モデル項目62、スケジュール項目64および/またはコスト項目66をマッピングするステップ312に進む。
図11Dは、
図11Cのマッピングの結果を概略的に示している。予め規定されている1つの条件70を用いてルールを実行した結果、マッピングエンジン50は、2つのスケジュール項目64(00_N_Footings F/R/Pおよび00_S_Footings F/R/P)を、Strip Footing(布基礎)コスト項目66(11111)とマッピングした。コスト項目66は、コスト分解構成
図98における最も低い構造である。
【0091】
ユーザがスケジュール項目64Aを選択すると、このスケジュールに関連するモデル項目62Aも表示/選択される。同様に、ユーザがスケジュール項目64Bを選択すると、このスケジュールに関連するモデル項目62Bも表示/選択される。
【0092】
したがって、土台モデル項目62をスケジュール項目64(たとえば
図11A~
図11B)とマッピングし、次にスケジュール項目64をコスト項目66(たとえば
図11C~
図11D)とマッピングすることによって、モデル項目62、スケジュール項目64およびコスト項目66がマッピングされる。択一的な実施形態によれば、モデル項目62がスケジュール項目64とマッピングされてよく、次いで、モデル項目62がコスト項目66とマッピングされてよい。別の実施形態では、コスト項目66がスケジュール項目64とマッピングされてよく、次いで、コスト項目66がモデル項目62とマッピングされてよい。しかし例示的な実施形態では、3つの項目のうちの2つの項目をマッピングした後に、第3の項目は、リンクさせられることによって自動的にマッピングされる。たとえば、モデルがコストとマッピングされ、コストがスケジュールとマッピングされる場合、スケジュールは自動的にコストのリンクを通じて、モデルとマッピングされることになる。
【0093】
プロセスは、マッピングのためにさらなるルールが必要であるか否かを尋ねるステップ316に戻る。上述したように、大規模資本プロジェクト10は、マッピングされる必要がある数千の項目を有していることが多いので、すべての所望のモデル項目62、コスト項目66およびスケジュール項目64がマッピングされるまで、このプロセスが繰り返されてよい。
【0094】
次いで、プロセスは、変更指示を受け取ったか否かを尋ねるステップ318に進む。上述したように、資本プロジェクトのスケジュール、予算およびモデルは、プロジェクト10の経過中に頻繁に変わる。したがって、スケジュール、予算および/またはモデルに関連付けられた項目のいずれかを改訂する変更指示を有することが一般的である。
【0095】
システム17が変更指示を受け取ると、プロセスは、マッピングのためのルールを作成するかつ/または改訂するステップ310に戻る。簡略化のために、変更指示が、スラブなどの新たなモデル項目62を導入する例を取り上げる。たとえば、この変更は、建築家またはエンジニアによって行われてもよい。
【0096】
図12Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コード60を使用して、スケジュール項目64をモデル項目62にマッピングするためのインターフェースを概略的に示している。図示されている例において、マッピングされるモデル項目62は、建設工事の特定の段階でのスラブである。
【0097】
図11Aのインターフェースと同様に、マッピングされる項目のタイプを選択することができる(たとえばモデルに対してスケジュール)。さらに、第1の条件70がセットされてよい。図示されているように、スケジュール項目64をモデル項目62に自動的にマッピングするために、両項目のアセンブリコード60が正確に一致していなければならない(たとえばB1010)。付加的に、この例において、マッピングを行うために、第2の条件70が満たされていなければならない。このケースでは、スケジュール項目64とモデル項目62との両方が「North」コードを有していなければならない。この例ではさらに、スケジュール項目64およびモデル項目62のレベルコード60が同じシーケンス(たとえばLevel:00)で始まる、第3の条件70が要求される。
【0098】
図12Bは
図12Aのマッピングの結果を概略的に示している。予め規定されている3つの条件70を使用してルールを実行した結果、システム17は、6つのモデル要素62(Floor Concrete Slab-5’888548からFloor 2’0’ Thick Footing 213097まで)が、スケジュール項目64(00_N_Slab Systems F/R/P)とマッピングされたことを判定した。
【0099】
ステップ310の後、プロセスは、ステップ312~ステップ318を再び実行してよい。たとえば、スラブモデル項目62またはスケジュール項目64が、コスト項目66とマッピングされる必要があり得る。
【0100】
図12Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、分類構造コード60を使用して、
図12A~
図12Bのスケジュール項目64をコスト項目66にマッピングするためのルールを示している。図示されている例において、マッピングされるスケジュール項目64は、建設工事の特定での段階のスラブモデル項目62に関連する。スケジュール項目64およびコスト項目66は、1つ以上の条件70を有するスケジュール項目対コスト項目ルールを使用してマッピングされる。上述したルールに類似して、条件は、複数の演算子(たとえば同等(Equals)、含有(Contains))および段階修飾子(たとえば初期、設計、詳細設計、施工完了など)を含んでいてよい。
【0101】
マッピングされる項目のタイプを選択することができる(たとえばコストに対してスケジュール)。さらに、第1の条件70がセットされてよい。この例では、スケジュール項目64をコスト項目と自動的にマッピングするために、両項目のアセンブリコード60が正確に一致していなければならない(たとえばB1010)。図示のように、スケジュールへのコストのマッピングは、「North」コード条件70を必要としない。しかし、この例では、第2の条件は、スケジュール項目64とコスト項目66とが、マッピングされる同じシーケンス(たとえばLevel:00)で始まらなければならないことを要求する。
【0102】
図12Dは、
図12Cのルールによって規定されたマッピングの結果を概略的に示している。予め規定されている2つの条件70を用いてルールを実行した結果、マッピングエンジン50は、2つのスケジュール項目64(00_S_Slab System F/R/Pおよび00_N_Slab System F/R/P)がCast in place Slabs(現場打ちスラブ)コスト項目66(12111)とマッピングされることを判定する。したがって、ルール内の種々の条件70を使用して、スケジュール項目64が、全体的な00レベルのコスト項目66にマッピングされる。
【0103】
上述の実施形態は簡略化されて記載されているが、これは単に説明を容易にするためのものである。マッピングが比較的複雑になる場合があり、これが多数のルールおよびこれらの簡略化された例に示されている項目よりも多くの項目のマッピングを必要とすること理解されたい。
【0104】
したがってシステム17は有利には、予め確立されているコードベースのルールにしたがって、(たとえば変更指示からの)モデル項目62に対する変更を迅速に識別し、マッピングする。このために、マッピングエンジン50は、元来の項目を変更指示における項目と比較する自動化された比較器52を有している。
【0105】
図13は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、モデル項目62が変化したときにルールベースのマッピングを更新するプロセスを概略的に示している。プロセス全体を示すために、プロセスは初期モデルを作成するステップ1301で始まる。初期モデルはステップ1302で公開され、ステップ1306においてモデルインターフェース32を通じてシステム17にインポートされる。
【0106】
ステップ1303において、ユーザが、これらのモデル項目のうちの1つまたは複数のモデル項目を作成かつ/または更新することを希望し得る。ステップ1304において、モデル項目62がIFCファイルとして保存されてよい。IFCは建築業界におけるデータ交換の世界標準である。IFCは、共通のデータモデルであると同時に、オープンファイルフォーマットでもある。建築業界の専門家は、自分の仕事を行うために使用しているソフトウェアアプリケーションに関係なく、データを共有するために、IFCを使用することができる。同様に、建物のライフサイクルの1つの段階からのデータを、データの再入力、カスタムインポートインターフェースまたはプロプライエタリプラグインの必要なしに、後の段階で利用することができる。
【0107】
IFCモデルには、幾何学データと非幾何学データ(たとえば、モデル項目のコード化されたプロパティを含んでいる)との構造化された組み合わせが含まれている。このデータを、システムによって種々異なる様式で表示、分析および修正することができる。上述のようにモデル項目62は、幾何学データ(3Dおよび2D)と非幾何学データ(たとえばコード)との双方を含んでいる。例として、土台モデル項目について考える。
【0108】
種々の土台モデル項目62が、システム17における土台として規定されている。これらの土台は、建物領域においてすでに分類されていてよく、これらの土台に関する情報は、モデル項目データベース38に格納されていてよい。同じプロジェクト10において、さらには異なるプロジェクト10間でも、類似の土台に共通する共有されたプロパティが存在する。タイプとインスタンスとの両方が、自身に付加されている属性およびプロパティを有することができる。保守指示、モデル番号、サイズなどの共通の情報がタイプに付加されてよい。しかし、シリアル番号、設置日、条件などの特定のプロパティは、特定のインスタンスに割り当てられてよい。
【0109】
したがって、これらのプロパティが特定のモデル項目62に割り当てられている場合には、モデル項目インターフェース32はこれらのプロパティを、更新されたモデル項目62がシステム17にインポートされるときに抽出する。幾つかの実施形態では、モデルがIFCファイルとして保存されてよい。しかし、他の幾つかの実施形態では、モデルは種々異なるファイルタイプを有してよい。
【0110】
ステップ1307においてシステムは、新たに追加された項目、修正された項目、削除された項目および修正されていない項目を識別するために、新たなモデル項目62の比較を行う。さらに、モデル項目に付加された種々の分類構造コードを閲覧することができる。ステップ1310で、モデルの変更、追加、改訂または削除がプレビューされ得る。したがって、システム17によって有利には、ユーザは、削除された項目、新たに追加された項目、修正された項目および修正されていない項目を識別することができる。さらに、ユーザは、モデル項目に付加された種々の分類構造コードを閲覧することができる。ステップ1311で、プロセスは、このモデルを承認するか否かを尋ねる。ユーザがモデル項目に対するこの改訂を承認しない場合、更新されたモデル項目はマッピングされない。しかし、ユーザがこの改訂を承認する場合、プロセスはステップ1312に進み、既存のモデル項目が新たなファイルによって置き換えられ、予め規定されているルールにしたがって自動的にマッピングされる。新たなモデル/改訂されたモデルであるので、例示的な実施形態では、このモデルがスケジュールおよびコストとマッピングされて、モデル項目62とコスト項目66との間の関係またはモデル項目62とスケジュール項目64との間の関係が更新される。
【0111】
有利には、新たなモデル全体を再マッピングする必要はない。以前は、ユーザは、各モデル項目62の変更を調整しなければならなかった。モデル項目が削除、追加または改訂される可能性があるため、これは非常に面倒で、時間がかかり得る。さらに、各モデル項目62が、多数のスケジュール項目および/またはコスト項目と結び付けられることがある。これらの改訂を手動で行うと、誤りが生じやすく、かつ時間がかかる。例示的な実施形態では、予め規定されているコードベースのルールを、改訂されたモデル項目に適用することによって、これらの変更が自動的にマッピングされる。したがって、システムは、モデル項目をマッピングするためにルールを実行し、新たに追加されたデータは、それ以降の使用に対して迅速に利用可能になる。
【0112】
資本プロジェクトの間、建設工事の進捗状況の更新によって、スケジュールが週1回、週2回または月1回の頻度で改訂される。たとえば、プロジェクト10のアクティビティが遅延している場合、改訂されたプログラムによって日付の変更が生じる。したがって、スケジュールプランナは、キャッチアップスケジュールまたは新たなスケジュールのいずれかの形態で、新たなスケジュールを建設チームにリリースすることができる。
【0113】
例示的な実施形態では、スケジュールインターフェース34が、新たなスケジュールを受け取り、新たなスケジュールのアクティビティを既存のスケジュールと比較する。システム17は、ユーザが新たなアクティビティ、修正されたアクティビティまたは削除されたアクティビティを閲覧できるようにするために、スケジュールの比較を出力してよい。
【0114】
図14は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、スケジュール項目64、モデル項目62およびコスト項目66をマッピングするプロセスを概略的に示している。このプロセスによって、建設工事の進捗状況をより効率的に監視することができ、従来の手動の施工に比べて、詳細な洞察が提供される。このプロセスが、スケジュール項目64、モデル項目62およびコスト項目66のマッピングの、より複雑なプロセスの簡略化されたバージョンであり得ることに留意されたい。したがって、このプロセスは、説明されていない付加的なステップを有していてよい。さらに、幾つかのステップは、任意選択的であってよく、異なる順序で行われてよい、または互いに並行して行われてよい。したがって、このプロセスの説明は例示的なものであり、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。最後に、このプロセスは、1つのマッピングの実行に関して説明されているが、
図14のプロセスを、通常、大規模資本プロジェクト10に関連付けられる多数のものを含んでいる、複数のモデル項目、スケジュール項目およびコスト項目のマッピングをカバーするように拡張することができる。
【0115】
プロセスは、使用される労働力、材料、設備および下請け業者などのリソースを規定するステップ1401~ステップ1404において始まる。ステップ1404~ステップ1408は、(分類構造を使用して)スケジュール項目64、モデル項目62およびコスト項目66に追加されるコードを作成するステップを表す。スケジュールはステップ1409において作成され、ステップ1410においてシステム17にインポートされ、ここではWP(ワークパッケージ)がスケジュール項目64から作成される。コスト見積および予算は、ステップ1411~ステップ1413において作成される(2つの択一的なアプリケーションが、下の2つのスイムレーンに示されている。見積り専用ツールが使用される場合にはステップ1412、コスト管理プラットフォームが見積および予算の両方に使用される場合にはステップ1411およびステップ1413)。次いで、プロジェクトコスト見積がシステム17にインポートされる。システム17が3つのすべての項目、すなわちスケジュール項目64、モデル項目62およびコスト項目66を得た後、ステップ1415は、モデル項目62、スケジュール項目64およびコスト項目66をマッピングする実施形態を表す。このプロセスは概して上述されており、したがって、ここでは再び説明されない。ステップ1416において、ワークパッケージがさらに、作業現場で実行可能な作業ステップによって規定される。次いで、プロセスはステップ1417に進み、このステップ1417において、前もって計画された日付を入力することによって作業ステップが(たとえばカレンダービューで)閲覧される。ステップ1418は、この計画が許容可能か否かおよびワークパッケージを実行する(すなわち、スケジュールされた建設工事を実行する)準備ができているか否かを尋ねる。そうでない場合には、プロセスはステップ1419に進み、ステップ1419は、WP/WSに対するリソースおよび日付をチェックして調整する。そうである場合には、建設請負業者が作業現場で作業を実行する。
【0116】
ユーザは、システム17を使用して、たとえばインターネット接続されているコンピューティングデバイスを使用して、完了したWP/WSの%を入力することができる。択一的に、プロセスは、設置された量によって進捗状況を更新する2つの異なる手法を提供するステップ1422または1423に進むことができる。ステップ1422において、ユーザは計画された量に対して使用された実際の量を手動で入力する。ステップ1423において、ユーザは、モデルの3Dビューにおいて完成された対象物を選択することによって、グラフィック手法を使用する。
【0117】
ステップ1424では、スケジュール項目-コスト項目ロジックを使用して全体的な進捗状況が更新される。このロジックは、(たとえば、インターネット接続されたモバイルデバイスおよびアプリケーションを使用するプロジェクトマネージャによる)スケジュールWBS(Work Breakdown Structure)への進捗状況の入力を可能にし、事前に確立された5Dマッピングを介して、進捗状況を、プロジェクト管理コストプラットフォーム58においてCBS(Cost Breakdown Structure:コスト分解構成図)に変換する。プロセスは、コスト項目66の進捗状況および計画された日付/実際の日付を公開するステップ1425に進む。ステップ1426において、実際のコスト項目の進捗状況が、コストプラットフォーム58などのサードパーティコスト見積りツールにおいて更新されてよい。コストは、(ステップ1401~ステップ1415において)スケジュールおよびモデルにマッピングされているので、ステップ1427では、スケジュールおよびモデルに対するコストの関係を使用して、迅速な予測および報告を作成することができる。
【0118】
ステップ1426または1428では、コスト分解構成図において進捗状況および実際の日付が更新される。ステップ1429において、実際のコストが、コスト管理プラットフォーム58に、または直接的にシステム17に入力される。コストが管理プラットフォーム58において更新される場合、コストは、コストインターフェース36によって抽出されてよい。ステップ1430~ステップ1431において、システムはアーンドバリューを作成し、コストKPI(たとえば、CPI-コストパフォーマンス指数)を更新することができる。
【0119】
ステップ1432~ステップ1433において、たとえば5D視覚化を示すビジュアルレポートが作成される。5D視覚化によって、3Dモデルの進捗状況を、スケジュールおよびコスト/予算の進捗状況とグラフィックを用いて比較することが可能になる。ユーザは、目標通りの予算の状態にあるのか、予算を超過している状態にあるのかまたは予算を下回っている状態にあるのか判定することができる。付加的に、システムは、スケジュールが軌道に乗っているのか、スケジュールが遅れているのか、またはスケジュールが前倒しされているのかを表示することができる。視覚化は、更新スケジュールの進捗状況および/または更新コストの進捗状況に基づく色表示を有していてよい(たとえば、赤色は、スケジュールが遅れていることおよび/または予算を超過していること、緑色は、スケジュール通りであることおよび/または予算通りであること)。最後に、ステップ1434~ステップ1435において、プロジェクトスケジュールKPIウィジェットおよびプロジェクト予算KPIウィジェットがユーザインターフェース46において更新されてよい。
【0120】
例示的な実施形態の付加的な利点は、自動比較器52を用いた、モデル項目62、スケジュール項目64および/または予算項目64のバージョン間の変更の容易な識別を含んでいる。
図15は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動化された比較器52によって、強調表示されている予算に対する変更に関するユーザインターフェーススクリーンを概略的に示している。この例では、自動化された比較器52は、追加、削除および/または変更されたコスト項目66の情報を強調表示し、コストを拒否または受諾(すなわちインポート)するオプションを提示する。コスト変更が受諾された後、マッピングエンジン50は、新たなコスト項目を、スケジュール項目64またはモデル項目62と接続するためのルールを再実行しなければならない。したがって、システム17は、変更後にWBS(スケジュール項目)および予算(コスト項目)がリンクされた状態に維持することができ、リアルタイムで、プロジェクト10のために準備される正確なコスト予測を可能にする。同様に、スケジュール項目64および/またはモデル項目62に対する変更が、比較器52によって識別され、ユーザインターフェース46に表示されてよい。
【0121】
図16は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、モデル項目、コスト項目およびスケジュール項目の変更管理がマッピングにどのように影響を及ぼすかについてのプロセスを示している。このプロセスが、スケジュール項目64、モデル項目62およびコスト項目66の、より複雑なプロセスの簡略化されたバージョンであり得ることに留意されたい。したがって、このプロセスは、説明されていない付加的なステップを有していてよい。たとえば、例示的な実施形態は、このプロセスに組み込まれた
図14からのステップを有していてよい。さらに、幾つかのステップは、任意選択的であってよく、異なる順序で行われてよい、または互いに並行して行われてよい。したがって、このプロセスの説明は例示的なものであり、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。最後に、このプロセスは、1つ変更指示の実行に関して説明されているが、
図16のプロセスを、複数の変更指示をカバーするように拡張することができる。
【0122】
ステップ1601では、スケジュールは、スケジュールインターフェース34を介してスケジューリングプラットフォーム56からシステム17にインポートされる。プロセスはステップ1602において、インポートされたスケジュールが改訂されたスケジュールであるか否かを尋ねる。そうでない場合(たとえば、スケジュールがインポートされたのが初めてである場合)、プロセスは、スケジュール項目64が自動的に作成され、マッピングのために送信されるステップ1603に進む。そうである場合、ワークパッケージおよびその分類構造コード60が自動的に更新される。
【0123】
ステップ1605では、モデルインターフェース32を介して、モデルがモデリングプラットフォーム54からシステム17にインポートされる。プロセスは、インポートされたモデルが改訂されたモデルであるか否かを尋ねる。そうでない場合(たとえば、モデルがインポートされたのが初めてである場合)、モデル項目62がマッピングのために自動的に送信される。そうである場合、モデル項目およびその分類構造コード60が自動的に更新される。ステップ1608において、3Dモデルが定量化モジュール31に送信され、これによって3D項目の定量化が決定されてよい。システムの定量化モジュール31によって、定量化が実行されてよい。定量化モジュール31は、モデルを分析して、各モデル項目62の数量を決定する。各項目の合計は、定量化のアウトプットである。定量化モジュール31は、コード抽出エンジン30の一部であってよい。しかし、幾つかの実施形態では、定量化モジュール31は完全に別個のモジュールであってよい。
【0124】
図17Aは、例示的な実施形態による定量化モジュール31のアウトプットのスクリーンショットを示している。この例では、このアウトプットは、詳細な数量拾いである。定量化モジュール31は、ルールベースの定量化式を使用して、モデル項目62A…62Nのそれぞれについて量を計算することができる。この図では土台だけが示されているが、すべてのプロジェクト10モデル項目62が定量化されてよいことを理解されたい。土台のこの特定のセットは、考察を目的として示されているにすぎず、本発明の例示的な実施形態を限定することを意図したものではない。コンクリートビームおよびスラブなどのその他のモデル項目62も定量化され得る。インターフェーススクリーンに、各設計数量(BOQ)ライン項目に対する分類コードの種々のプロパティを表示することもできる。ユーザインターフェースは、BOQにおいて、計算されたサイズおよび形状に基づいて、土台タイプの種々のグループ化を表示することができる。
【0125】
図17Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって拾われた詳細な量のモデルビューを示している。ユーザは、
図17Aに示されているテーブルビューから
図17Bに示されているモデルビューに切り替え可能である。モデルビューは、BOQ量および接続されたモデル項目62を表示することによって、視覚化を改良することができる。BOQ項目をクリックすることによって、システム17は、接続されているモデル項目62を強調表示する。
【0126】
ステップ1608からの定量化を、サードパーティ見積りツール(たとえばコストプラットフォーム58)に提供することができる。サードパーティ見積りツールは、予算(またはその一部)を作成し、かつ/または予算を更新するために定量化を使用することができる。したがって、幾つかの実施形態では、予算を作成するための定量化の送信は、コスト項目66をモデル項目62とマッピングする別の手法である。ステップ1610において、予算が(たとえば建設コストインターフェース36を介して)システム17へ伝えられる。
【0127】
次いで、プロセスは、モデル項目62またはスケジュール項目64の分類構造コード60がすでにシステム17に(たとえばデータベース38~42に)存在しているか否かを尋ねるステップ1612に進む。そうでない場合、マッピングプロセスがステップ1613~ステップ1618で実行される。
図18Aは、本発明の例示的な実施形態による5Dマッピング100の表現を概略的に示している。上述したように、5Dマッピングの間、モデル項目62と、スケジュール項目64と、コスト項目66とは共にマッピングされる。したがって、3つの汎用リンク、すなわちスケジュール・モデルリンク102(モデル・スケジュールリンク102とも称される)、スケジュール・コストリンク104(コスト・スケジュールリンク104とも称される)およびモデル・コストリンク106(コスト・モデルリンク106とも称される)が存在する。
【0128】
例示的な実施形態では、これら3つのリンク102、104および106のうちの2つのリンクをマッピングすることによって、システム17が、第3のリンクを自動的にマッピングすることが可能になる。これらのリンクは、上述したコードベースのルールを使用して作成される。
【0129】
図18B~
図18Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがった、2つのリンクのマッピングに基づく、第3のリンクの自動マッピングを示している。
図18Bでは、システム17がスケジュール項目64とモデル項目62との間の関係(リンク102)ならびにコスト項目66とモデル項目62との間の関係(リンク106)をすでにマッピングしているため、スケジュール項目64は、コスト項目66と自動的にマッピングされる(
図18Aのリンク104)。
図18Cでは、システム17がコスト項目66とスケジュール項目64との間の関係(リンク104)およびモデル項目62とスケジュール項目64との間の関係(リンク102)をすでにマッピングしているため、コスト項目66は、モデル項目62に自動的にマッピングされる(リンク106)。
【0130】
幾つかの実施形態では、モデル項目62が、定量化を用いてコスト項目66とリンクされてよい。
図18Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがった、定量化を使用する5Dマッピング100の表現を概略的に示している。しかし、幾つかの他の実施形態では、モデル項目62およびコスト項目66が、コードベースのルールを使用してマッピングされてよい。
【0131】
ステップ1613~ステップ1618は、最初にスケジュール項目64およびモデル項目62のマッピングに言及しているが、マッピングの順序が変更され得ることを理解されたい。たとえば、モデル項目62が最初にコスト項目66とマッピングされてよい。択一的に、コスト項目66およびスケジュール項目64が最初にマッピングされてよい。したがって、幾つかの実施形態では、ステップ1614が存在していなくてよい、またはプロセスのより早い段階で行われてよい。付加的に、幾つかの実施形態は、ステップ1616の相応のバリエーションを有していてよく、ここにおいて、5Dマッピングに必要なリンクが完了するように、マッピングの順序が相応に変更される。
【0132】
図19Aは、スケジュール項目64とモデル項目62とをマッピングするステップ1613のスクリーンショットを示している。特に、
図19Aは、マッピングルールを作成するためのインターフェースを示している。この例において、ユーザは、対応するモデル項目62を有する土台に関連するスケジュール項目64をマッピングする。そのために、ユーザは、マッピングのための条件70Aおよび70Bを有するルール80を規定する。この例における条件は、(70A)スケジュール項目64とモデル項目62との間で一致するアセンブリコード60と、(70B)スケジュール項目64とモデル項目62との間で一致するゾーンコード60とを含んでいる。アセンブリ一致条件70Aは、コード60間の「完全一致(Exact Match)」を要求する。一例として、アセンブリコード「A1010」を有するスケジュール項目64は、全く同じアセンブリコード(すなわち「A1010」)を有するモデル項目62とマッピングされる。付加的に、アセンブリコード「A1010」を有するスケジュール項目64は、全く同じアセンブリコード(すなわち「A1010」)を有するモデル項目62とマッピングされる。このプロセスは、すべてのアセンブリコード60に対して繰り返されてよい。たとえば、N個のアセンブリコードが存在する場合には、全体で、N個のマッピングされたセットが存在する(各セットは、1つ以上のスケジュール項目64と1つ以上のモデル項目62とを含んでいる)。これは、N個のアセンブリコードのそれぞれを有する少なくとも1つのモデル項目62と1つのスケジュール項目64とが存在することを想定している。
【0133】
ルールエンジン48は、ゾーンコード間の「完全一致」を要求する第2のゾーン一致条件も規定する。ゾーンコード「North」を有するスケジュール項目64は、全く同じゾーンコード(すなわち「North」)を有するモデル項目62とマッピングされる。付加的に、ゾーンコード「South」を有するスケジュール項目64は、全く同じゾーンコード(すなわち「South」)を有するモデル項目62とマッピングされる。上述したのと同様に、第2の条件70Bは、M個のマッピングセットをマッピングするためといわれてよく、ここでMは、スケジュール項目64およびモデル項目62内に存在するゾーンコードの総数である。これは、スケジュール項目64およびモデル項目62のそれぞれに少なくとも1つのゾーンコードが存在することを想定している。
【0134】
このルールが実行された後、システム17は、条件70A、70B(マッピングされたセットと称される)を満たす、相応するモデル項目62と相応するスケジュール項目64とをリンク付けする。このルールは2つの「完全一致」条件を指定しているので、マッピングセットの総数はM×Nである(たとえば、マッピング1=ゾーンNorth、アセンブリコードA1010、マッピング2=ゾーンNorth、アセンブリコードA1020、マッピング3=ゾーンSouth、アセンブリコードA1010、マッピング4=ゾーンSouth、アセンブリコードA1020)。これは極めて単純な例であるが、大規模プロジェクト10の手動マッピングは非常に困難で、時間がかかり、誤りが生じやすいこと、および例示的な実施形態がこれらの問題の多くを軽減することを理解されたい。
【0135】
図19Bは、
図19Aのマッピングの結果を示すインターフェースのスクリーンショットを示している。
図19Bでは、マッピングされたスケジュール項目64のうちの1つが選択されている。特に、
図19Bに示されているように、「North」ゾーンコード60Aと「A1010100」アセンブリコード60Bとの両方を有する土台モデル項目62が、「North」ゾーンコード60Aと「A1010100」アセンブリコード60Bとを有するスケジュール項目64とマッピングされている。この例では、示されているマッピングされたセットは、33個のモデル項目62と、1個のスケジュール項目64とを含んでいる。ルールは、(たとえば「South」ゾーンコード60Aと「A1010100」アセンブリコード60Bとを有している項目を伴う)スケジュール項目64とモデル項目62との付加的にマッピングされた複数のセットを作成していてよいが、現在のビューでは1つのマッピングされたセットのみが選択されている。付加的に、インターフェースにおける表示/選択のためにより多くのモデル項目62が利用可能であるが、このスクリーンショットは、これらの項目の一部をリストビューにおいて捕捉したにすぎないことを理解されたい。ユーザは、モデル項目62の残りの部分をリストビューで閲覧するためにスクロールダウンすることができる。ユーザは、スクリーンからのマッピングを検討し、承認することができる。
【0136】
ステップ1613の5Dマッピングは多数の利点を提供し、これらの利点は、次のものを含んでいる:
・情報交換の改良およびより簡単な通信のためのコストリンクを視覚化する能力の提供
・異種データのリンク付けの簡略化、コストおよびスケジュールに関するプロジェクトの洞察の提供
・建設工事順序付けに対する設計のテスト、困難なシーケンス問題の排除または低減(4D BIM)による、設計ドキュメントの質の向上
・サイト使用計画および継続的な運用との調整、施工性および安全性問題の特定の向上
・複雑性、人的エラーの低減、プランナ/コストマネージャに対する、モデル項目、スケジュール項目およびコスト項目間の迅速かつ正確なリンクのイネーブル化
【0137】
ステップ1614において、プロセスは、定量化を介してコスト項目がすでにモデル項目にマッピングされているか否かを尋ねる。そうでない場合、スケジュール項目およびコスト項目がマッピングされる。その後、プロセスは、マッピングが承認されて表示されるステップ1617~ステップ1618に進む。
【0138】
図20Aは、ステップ1618のコスト、スケジュールおよびモデル間のマッピングを表示する5D視覚化を示している。これは5D視覚化である。この例では、ユーザは、コスト項目66Sを選択する。コスト項目66Sは、3つのワークパッケージ64S1、64S2および64S3とマッピングされている。コスト項目66Sにマッピングされた3つのワークパッケージ64S1~64S3のそれぞれは、コスト項目の%量(合計100%)を占めるように予算が立てられている。重み付けされているパーセンテージが、複数の建設請負業者および/または複数の下請け業者のうちの1つによって(たとえば、類似のプロジェクトに関する彼らの経験に基づいて)入力されてよい。このコスト%分解は、とりわけ、材料、労働力および設備のコストを要因として含め得る。
図20Aにも示されているように、選択されたコスト項目66Sは、2つのモデル項目62S1および62S2とマッピングされている。
【0139】
マッピングは逆でも機能する。複数のスケジュール項目64のうちの1つのスケジュール項目が選択されると(64S1)、リンク付けされたコスト項目66Sおよびモデル項目62Sが表示される。付加的に、モデル項目62S1または62S2のうちの1つのモデル項目が選択されると、関連するスケジュール項目64S1、64S2および/または64S3ならびに関連するコスト項目66Sが選択/表示される。
図16に戻ると、ステップ1612において、モデル項目62またはスケジュール項目64の分類構造コード60のコードがすでにシステム17内に存在している場合、プロセスはステップ1619~ステップ1624に進み、ここで、マッピングは上述のように更新される。したがって、プロセスが終了する。
【0140】
図14および
図16は、本発明の例示的な実施形態にしたがった、2つの異なる可能なプロセスの例を示している。これらのプロセスのいずれかのプロセスからのステップを、適宜、他方のプロセスに組み込むことができるが、便宜上、再度の言及は行われない。付加的に、例示的な実施形態は、幾つかのステップを取り出し、これらを異なる順序で置くことができる、かつ/または本明細書に記載された他の接続ステップを必要としないことがある。
【0141】
種々の実施形態を通じて、システム17は、自身の分類構造を(コードと共に)スケジューリングプラトフォームおよび/またはコスト管理プラットフォームなどのサードパーティシステムに公開することができる。システムがサードパーティプラットフォーム(たとえば54~58)からコード60および/または分類構造を抽出する場合、システム17は、コード抽出エンジン30の適切なインターフェースを使用して情報を検索し得る。したがって、例示的な実施形態によって、分類構造が整合され、孤立した分類構造コードが存在しないことが保証される。
【0142】
システム17は、モデル項目データベース38、スケジュール項目データベース40またはコスト項目データベース42内の既存のコード60と比較した場合に、新たなコード60、修正されたコード60または削除されたコード60が存在するか否かを識別することができる。
【0143】
本明細書に記載した例示的な実施形態が多数の利点をもたらすことは明らかなはずである。システム17は、特定のコードおよびルールに基づいて自動化されたマッピングを提供する。コードベースのルールは、コスト、スケジュールおよびモデルのリアルタイムマッピングを実現可能にする。択一的に、CBS(コスト)をWBS(スケジュール)に手動でマッピングするプロセスは、完了までに数日を要し、結果として、例示的な実施形態の直接的な結果を提供することができない。
【0144】
幾つかの他のアプローチは、モデル項目62のグループを作成することおよび項目をフィルタリングして選択されたセットを作成することを含んでいる。しかし、モデル項目62のフィルタリングには、個々の各モデル項目62を、フィルタリングのためのカテゴリに手動で割り当てることが必要となる。したがって、フィルタだけでは、WBS、CBSおよびモデル項目の自動化されたマッピングを提供するのに十分ではなく、手動でのマッピング(たとえば、ドラッグ&ドロップ)に依存することから免れない。
【0145】
例示的な実施形態はさらに、マッピングに基づく5D視覚化の利点を提供する。5D視覚化によって、3Dモデルの進捗状況を、スケジュールおよびコスト/予算の進捗状況と、グラフィックを用いて比較することが可能になる。ユーザは、目標通りの予算の状態にあるのか、予算を超過している状態にあるのかまたは予算を下回っている状態にあるのか判定することができる。付加的に、システムは、スケジュールが軌道に乗っているのか、スケジュールが遅れているのか、またはスケジュールが前倒しされているのかを表示することができる。
【0146】
図20Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって建設工事スケジュール項目64の進捗状況を更新するためにプロジェクト管理コストプラットフォーム58と通信するためのユーザインターフェース46の使用を概略的に示している。ユーザ(たとえばプロジェクトマネージャ)は、モバイルデバイスを用いてまたはウェブクライアントに直接的に、完了した%を入力すること90によって、スケジュール項目64の進捗状況を更新する。システム17は、スケジュール項目64からマッピングされたコスト項目66へと進捗状況を自動的に変換する。
【0147】
図20Cは、コストプラットフォーム58がコストインターフェース36から進捗状況の更新を受け取った後のコストプラットフォーム58のスクリーンショットを示している。
図20Cでは、建設コストインターフェース36を介してコスト管理プラットフォーム58においてアーンドバリューが自動的に作成されてよい。コスト効率指数(CPI)値は、入力された90、実際のコストに基づいて、コスト項目の見積もられたコストに対して作成される。例示的な実施形態では、システム17は、CPI<0.8の場合にコスト項目66を色(たとえば赤色)で強調表示する。CPI<0.8の場合、建設請負業者は、計画よりも多くの金額を費やしている(すなわち、そのコスト項目66の予算を超過している)。システム17は、個々の社内規格にしたがって、CPI指数(1より小さいまたは1より大きい)に基づいて種々の色を表示することができる。
【0148】
図20Dは、
図20Cからの進捗状況の更新を用いた予測を示している。予測によって、ユーザは、種々の情報、たとえば元来の予算対最新の予算対新たに更新された予算を、グラフィックを用いて表示することができる。したがって、プロジェクトマネージャは、予算に対する更新された予測を明確かつ迅速に取得することができる。これによって、変更が発生した場合に変更処置を実行し、プロジェクトのコスト超過を削減する能力が追加される。スケジュール項目についても同様の予測が行われてよい。
【0149】
例示的な実施形態では、Revit、Primavera P6およびEstimation solutionなどのツールにおいて事前に割り当てられている分類構造コードが使用されることを理解されたい。このルールでは、部分文字列および他の数学的な演算(たとえば、starts with、in between、containなど)が可能であり、これによって、ユーザに、項目を適切にマッピングするための柔軟性が提供される。さらに、ルールベースのマッピングは、データが特定の様式で編成またはフィルタリングされることを必要としない。
【0150】
上述した5Dマッピングシステムによって、多数の利点が提供され、これらの利点には、上述したコードベースのルールを用いてリンク付けされたデータへのアクセスの容易さが含まされている。
図21Aは、例示的な実施形態にしたがった、2つの異なるマッピングされたセットにおける、2つのコスト項目66Aおよび66Bとマッピングされた4つのスケジュール項目64A、64B、64Cおよび64Dを示している。
図21Bは、コスト項目66Aが選択されていることを示すスクリーンショットである。コスト項目66Aを選択することによって、関連するスケジュール項目64Aおよび64Bが選択される。付加的に、関連するモデル項目62A、62Bおよび62Cが自動的に入力される。
【0151】
例示的な実施形態によって実現される別の利点には、改良された視覚化が含まれる。
図22A~
図22Dは、改良された視覚化の種々のビューを示すスクリーンショットである。
【0152】
図22Aは、本発明の例示的な実施形態による、作業分解構成図の視点から見た5D視覚化である。この作業分解構成図は、計画されたプロジェクト10のスケジュールの経過にまたがる多数のスケジュール項目64を含んでいる。したがって、スケジュールタイムライン82が示されている。タイムライン82の経過にわたるモデル項目62の進捗状況を、画像および/または動画で表示することができる。動画による進捗状況の場合には、アニメーションの速度85がコントロールされてよい(たとえば、1建設工事日/秒)。
図22Aは、(開始日/終了日を含んでいる)スケジュール項目64の、モデル項目62とのマッピングに基づいて、選択された5月初めの日付84における建設工事の進捗状況を示している。選択された5月初めの日付84において、視覚化から多数の洞察を決定することができる。視覚化を支援するために、各モデル項目62の進捗状況が、色分けされた凡例86にしたがって色分けされてよい。このスクリーンショットには示されていないが、関連するモデル項目62および/またはスケジュール項目64を選択することによって、マッピングされた関連するコスト項目66が閲覧されてもよい。
【0153】
図22Aでは、多数のモデル項目62Cが完了しており、多数のモデル項目62Pおよび62Bが進行中であり、多数の今後のモデル項目62Fはまだ設置されていない、または作業現場に搬送さえされていない。視覚化をさらに改良するために、色の深度を使用して進行状況を示すことができる。たとえば、モデル項目62Pは濃い緑色であり、これはそれらがほぼ完了していることを表す。これに対してモデル項目62Bは薄緑であり、これはモデル項目62Bが建設工事の初期段階にあり、完了間近ではないことを表す。異なるモデル項目62Pおよび62Bは、(たとえば、日付においてわずかな重複を有する)異なるスケジュール項目64とマッピングされ得る。したがって、モデル項目62Pにおける建設工事は、モデル項目62Bにおける建設工事より前に開始されたとはいえ、これらはオーバラップする期間を有し得る。
【0154】
図22Bでは、
図22Aのモデルが示されているが、選択された日付84が異なっている。ここでは、日付は5月終わりとして示されている。見て取れるように、先のモデル項目62P、62Cおよび62Bはすべて完了している。したがって、完了したモデル項目62Cの色が、タイムライン82におけるその状態を反映するように変化していてよい。今後のモデル項目62Fはまだ建設されていない。
【0155】
図22Cでは、
図22A~
図22Bのモデルが示されているが、選択された日付84が異なっている。ここでは、日付は7月初めとして示されている。7月初めまでに、
図22Bにおける今後のモデル項目62Fが、進行中のモデル項目62Pになったことが示されている。
【0156】
図22Dは、
図22A~
図22Cのモデルを詳細なタイムライン82と共に示している。詳細なタイムライン82は、特定の日付および所与の日付によるパーセンテージの内訳を示している。タイムライン82は、スケジュール項目64および完了したパーセンテージの内訳も示すことができる。この完了したパーセンテージの内訳は、所与の日付による完成した、見積もられたパーセンテージおよび/または実際の完了したパーセンテージを含んでいてよく、これは
図20Bに即して説明されたようにユーザによって入力されてよい。
【0157】
図23Aは、スケジュール項目64によって編成された詳細なタイムライン82を示している。
図23Bには、所与のスケジュール項目64Sが選択されているときの関連するモデル項目62Sが示されている。例示的な実施形態は5Dマッピングを引き合いに出しているが、種々の実施形態において、5Dマッピングシステム17がN次元をマッピングし得ることを理解されたい。本明細書で使用されるコンテキストでは、各項目タイプ(たとえばスケジュール項目64、コスト項目66など)は、3次元を有すると言及されるモデル項目62タイプを除いて、1つの次元を有すると言及される。
【0158】
幾つかの実施形態は、2次元(たとえばコスト・スケジュール)をマッピングし得る。幾つかの他の実施形態は、4次元(たとえばモデル・スケジュールまたはモデル・コスト)をマッピングし得る。他の実施形態は、5つより多くの次元をマッピングし得る。付加的な次元は、5Dマッピング(たとえばコードベースの条件を有するルール)を参照して説明したのと同様の様式でマッピングされてよい。したがって付加的な例として、6Dマッピングを作成するために、スケジュール項目64、コスト項目66およびモデル項目62がさらに、
図23Cに示されているように、関連するドキュメント88とマッピングされてよい。したがって、例示的な実施形態では、5Dマッピングは、少なくともスケジュール項目、モデル項目およびコスト項目を含んでいるが、依然として5Dマッピングシステム17とみなされている間は、付加的な次元を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、5Dマッピングシステム17を用いて、5次元より少ない次元をマッピングすることもできる(すなわちコスト、モデルおよびスケジュールのすべてではない)。さらに、例示的な実施形態は、モデル、コストおよびスケジュールに対して付加的に、またはモデル、コストおよびスケジュールから択一的に、ドキュメント、物流項目、メタデータおよび他の情報をマッピングすることによって、多次元マッピングを含んでいてよい。したがって、5Dという用語は、例示的な実施形態を用いてマッピング可能な項目の量および/または種類の多様性を制限することを意図したものではない。
【0159】
本発明の種々の実施形態は、少なくとも部分的に、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実現可能である。たとえば幾つかの実施形態は、手続き型プログラミング言語(たとえば「C」言語)で、ビジュアルプログラミングプロセスとして、またはオブジェクト指向プログラミング言語(たとえば「C++」言語)で実装され得る。本発明の他の実施形態を、予め構成されているスタンドアローン型のハードウェア素子および/または事前プログラミングされたハードウェア素子(たとえば、特定用途向け集積回路、FPGAおよびディジタル信号プロセッサ)、または他の関連部品として実装することができる。
【0160】
択一的な実施形態では、開示された装置および方法(たとえば、上述の方法を参照)は、コンピュータシステムと共に使用されるコンピュータプログラム製品として実装可能である。このような実装は、有形、非一時的、非一時的な媒体、たとえばコンピュータ可読媒体(たとえばディスケット、CD-ROM、ROMまたは固定ディスク)のいずれかに固定された、一連のコンピュータ命令を含んでいてよい。一連のコンピュータ命令によって、システムに関して本明細書において上述されている機能の全部または一部を具現化することができる。
【0161】
当業者であれば明らかであるように、数多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムと共に使用するために、このようなコンピュータ命令を複数のプログラミング言語で記述することができる。さらに、このような命令は、任意のメモリデバイス、たとえば半導体、磁気メモリデバイス、光学メモリデバイスまたは他のメモリデバイスに格納されてよく、また任意の通信技術、たとえば光学伝送技術、赤外線伝送技術、マイクロ波伝送技術または他の伝送技術を使用して伝送されてよい。
【0162】
とりわけ、そのようなコンピュータプログラム製品は、付随する印刷されたドキュメントまたは電子ドキュメントと共にリムーバブル媒体として配布されてよい(たとえば市販ソフトウェア)、またはコンピュータシステムが(たとえばシステムROMまたは固定ディスク上に)予めロードされてよい、またはネットワーク(たとえばインターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバまたは電子掲示板から配布されてよい。実際には、幾つかの実施形態を、Software as a Serviceモデル(「SAAS」)またはクラウドコンピューティングモデルとして実装することができる。当然、本発明の幾つかの実施形態を、ソフトウェア(たとえばコンピュータプログラム製品)およびハードウェアの両方の組み合わせとして実装することができる。本発明のさらに他の実施形態は、その全部がハードウェアとして、またはその全部がソフトウェアとして実装される。
【0163】
上記の説明は本発明の種々の例示的な実施形態を開示しているが、当業者が、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点の幾つかを達成する種々の修正を行い得ることは明らかである。
【国際調査報告】