(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】ガラスセラミック物品を製造するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C03C 10/12 20060101AFI20230601BHJP
C03C 3/097 20060101ALI20230601BHJP
C03C 3/087 20060101ALI20230601BHJP
C03C 3/085 20060101ALI20230601BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20230601BHJP
C03B 32/02 20060101ALI20230601BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20230601BHJP
【FI】
C03C10/12
C03C3/097
C03C3/087
C03C3/085
C03C3/091
C03B32/02
G02F1/1335
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566098
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021027235
(87)【国際公開番号】W WO2021221909
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】ククセンコフ,ドミトリ ウラディスラヴォヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ホイッティア,アラナ マリー
【テーマコード(参考)】
2H291
4G015
4G062
【Fターム(参考)】
2H291FA42Z
2H291FA46Z
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4G062NN29
4G062NN34
4G062QQ10
(57)【要約】
光拡散器は、非晶相、および二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相を含み得る。この結晶相は、この光拡散器の体積中に分散され得る。この光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、60~75モル%のSiO2、2~9モル%のAl2O3、17~25モル%のLi2O、および0.5~6モル%のNa2O+K2Oを含み得る。光拡散器を製造する方法は、酸化物基準のモル%で表して、60~75モル%のSiO2、2~9モル%のAl2O3、17~25モル%のLi2O、および0.5~6モル%のNa2O+K2Oを一緒に溶融することによって、混合物を形成する工程を含み得る。この方法は、その混合物からリボンを形成する工程を含み得る。この方法は、そのリボンを約0.5時間から約6時間に亘り約850℃から約900℃に加熱する工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光拡散器において、
非晶相、および
二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相であって、前記光拡散器の体積中に分散されている結晶相、
を含み、
前記光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、
60~75モル%のSiO
2、
2~9モル%のAl
2O
3、
17~25モル%のLi
2O、および
0.5~6モル%のNa
2O+K
2O、
を含む、光拡散器。
【請求項2】
酸化物基準のモル%で表して、
0.5~2モル%のP
2O
5、
0.2~8モル%のZrO
2、
0~5モル%のB
2O
3、
0~5モル%のMgO+CaO+SrO、
0~2モル%のZnO、および
0~2モル%のSnO
2、
をさらに含む、請求項1記載の光拡散器。
【請求項3】
前記光拡散器が、酸化物基準のモル%で表して、
67~70モル%のSiO
2、
2.5~4.5モル%のAl
2O
3、
21~24モル%のLi
2O、
0.5~2モル%のNa
2O、
0~1モル%のK
2O、
1~2モル%のP
2O
5、
1.5~4モル%のZrO
2、および
0.1モル%のSnO
2、
を含む、請求項2記載の光拡散器。
【請求項4】
前記光拡散器が、約40%から約70%に及ぶ光透過率を有する、請求項1記載の光拡散器。
【請求項5】
前記光拡散器が、約95%以上のヘイズを有する、請求項1記載の光拡散器。
【請求項6】
前記光拡散器が、約40%以上の積分光透過率を有する、請求項1記載の光拡散器。
【請求項7】
前記光拡散器が、約20ミリメートル以下の隠蔽力を有する、請求項1記載の光拡散器。
【請求項8】
前記光拡散器が、約0.2以下の色ずれを有する、請求項1記載の光拡散器。
【請求項9】
表示装置であって、
光源、
請求項1から8いずれか1項記載の光拡散器、および
複数の画素を有する画像表示装置、
を備え、
前記光拡散器は、前記光源と前記画像表示装置との間に位置付けられている、表示装置。
【請求項10】
光拡散器を製造する方法であって、
酸化物基準のモル%で表して、
60~75モル%のSiO
2、
2~9モル%のAl
2O
3、
17~25モル%のLi
2O、および
0.5~6モル%のNa
2O+K
2O、
を一緒に溶融することによって、混合物を形成する工程、
前記混合物から、第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有するリボンを形成する工程、および
前記リボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ結晶化時間に亘り約850℃から約900℃に及ぶ結晶化温度に加熱する工程、
を有してなり、
前記リボンを前記結晶化温度に加熱した結果として、二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相が形成され、該結晶相は、前記光拡散器の体積中に分散されている、方法。
【請求項11】
前記リボンを前記結晶化温度に加熱する前に、該リボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ核形成時間に亘り約550℃から約800℃に及ぶ核形成温度に加熱する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記混合物が、約1000℃から約1250℃に及ぶ液相温度を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記混合物が、約800パスカル・秒(Pa・s)から約1,000Pa・sに及ぶ液相粘度を有する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記混合物が、酸化物基準のモル%で表して、
0.5~2モル%のP
2O
5、
0.2~8モル%のZrO
2、
0~5モル%のB
2O
3、
0~5モル%のMgO+CaO+SrO、
0~2モル%のZnO、および
0~2モル%のSnO
2、
をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記混合物が、酸化物基準のモル%で表して、
67~70モル%のSiO
2、
2.5~4.5モル%のAl
2O
3、
21~24モル%のLi
2O、
0.5~2モル%のNa
2O、
0~1モル%のK
2O、
1~2モル%のP
2O
5、
1.5~4モル%のZrO
2、および
0.1モル%のSnO
2、
を含む、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、ここに全て引用される、2020年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/017326号からの米国法典第35編第119条(e)項の下で優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、ガラスセラミック物品を製造するための組成物および方法に関し、より詳しくは、リチウム・アルミニウム・シリカガラスセラミック物品を含むガラスセラミック物品を製造するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
表示装置には、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)などがある。表示装置は、携帯型電子機器、例えば、消費者向け電気製品、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、またはラップトップ型コンピュータの一部であり得る。
【0004】
表示装置は、多くの場合、照明光源、例えば、発光ダイオード(LED)を備える。LEDは、直接見ると、強すぎて不快に見えることがある、および/またはグレアを生じることがある、非常に明るい点光源を生じ得る。例えば、光学的欠点を隠すために、および/または照明光源からの輝度均一性を改善するために、表示装置に拡散器を備えることが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高分子材料、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、および/またはポリ(メチル)メタクリレートから拡散器を製造することが公知である。しかしながら、高分子材料は、時間の経過とともに黄変し得る、熱安定性が不十分であり得る、および/または寸法安定性が不十分であり得る。
【0006】
その結果、高い透明度、高いヘイズ、および良好な隠蔽力を有する拡散器として使用できる材料を開発する必要がある。さらに、熱および/または寸法安定性が良好であり、時間の経過と共に黄変しないかかる材料を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ガラスセラミック物品を製造するための組成物および方法がここに述べられている。本開示の組成物は、高い光透過率(例えば、約40%以上、約40%から約70%)および高いヘイズ(例えば、約95%以上、約100%から約105%)を同時に提供することができる。高い光透過率および高いヘイズを有するガラスセラミック物品を提供することは、例えば、光を効率的に透過させつつ、輝度均一性を増加させる拡散器として機能することができる。光を効率的に透過させると、表示装置からの照明を増加させ、熱として失われる照明光源からのエネルギーの量を減少させることができ、これによって、表示装置の安定性をさらに増すことができる。
【0008】
本開示の実施の形態の組成物は、二ケイ酸リチウム結晶を含むガラスセラミック物品を製造することができる。二ケイ酸リチウム結晶を提供することにより、そのガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度を高めることができる。二ケイ酸リチウム結晶を実質的に連結させる(interlocking)ことにより、そのガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度をさらに高めることができる。
【0009】
本開示の実施の形態の組成物は、βスポジュメンまたはβ石英の1つ以上をさらに含むガラスセラミック物品を製造することができる。理論で束縛する意図はないが、βスポジュメン結晶またはβ石英結晶は、ガラスセラミック物品の光散乱を増加させることができ、これにより、ガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。さらに、約500ナノメートルから約1,000ナノメートル(例えば、600ナノメートルから約800ナノメートル)に及ぶ中央粒径を提供することにより、可視光(例えば、約380ナノメートルから約740ナノメートル、約400ナノメートルから約700ナノメートル)の散乱を増加させることができ、これにより、可視光に関するガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。
【0010】
アルカリ含有アルミノケイ酸塩および/またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩組成物から作られたガラスセラミック物品を提供することにより、二ケイ酸リチウム、βスポジュメン、および/またはβ石英の結晶の形成を促進することができ、これらの結晶は固溶体であり得る。アルカリ含有アルミノケイ酸塩および/またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩組成物は、良好な熱および/または寸法安定性を提供することができる。さらに、酸化物基準で高いモルパーセント(モル%)のリチウム(例えば、約17%以上、約20%から約25%)および低いアルミニウム(例えば、約10%以下、約3%から約9%)を含む組成物は、上記結晶の形成を推進することができる。リン(例えば、酸化物基準で約1モル%から約2モル%)を含む組成物を提供することにより、そのような結晶の核形成を促進することができる。
【0011】
本開示の実施の形態の組成物を、約850℃から約900℃に及ぶ結晶化温度に加熱することにより、結晶形成および制御された結晶成長を促進することができる。さらに、組成物を結晶化温度に加熱する前に、組成物を、約550℃から約800℃に及ぶ核形成温度に加熱することにより、結晶の密度を増加させることができる、および/または結晶成長における制御を向上させることができる。約80パスカル・秒以上の液相粘度、および/または約1000℃以上の液相温度を有する組成物を提供することにより、ガラスセラミック物品およびその前駆体の加工を容易にすることができる。
【0012】
本開示のいくつかの例示の実施の形態は、様々な実施の形態の特徴のいずれも、単独で、または互いとの組合せで使用してよいという了解の下で、下記に記載されている。
【0013】
いくつかの実施の形態において、光拡散器は、非晶相および結晶相を含み得る。結晶相は、二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含み得る。結晶相は、この光拡散器の体積中に分散され得る。光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、60~75モル%のSiO2、2~9モル%のAl2O3、17~25モル%のLi2O、および0.5~6モル%のNa2O+K2Oを含み得る。
【0014】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、0.5~2モル%のP2O5、0.2~8モル%のZrO2、0~5モル%のB2O3、0~5モル%のMgO+CaO+SrO、0~2モル%のZnO、および0~2モル%のSnO2をさらに含み得る。
【0015】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、67~70モル%のSiO2、2.5~4.5モル%のAl2O3、21~24モル%のLi2O、0.5~2モル%のNa2O、0~1モル%のK2O、1~2モル%のP2O5、1.5~4モル%のZrO2、および0.1モル%のSnO2を含み得る。
【0016】
さらなる実施の形態において、βスポジュメンは、主要であり得る。
【0017】
さらなる実施の形態において、β石英は、主要であり得る。
【0018】
さらなる実施の形態において、中央粒径は、約600ナノメートルから約800ナノメートルに及び得る。
【0019】
さらなる実施の形態において、二ケイ酸リチウム結晶は、実質的に連結され得る。
【0020】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、第1の主面およびこの第1の主面と反対にある第2の主面をさらに有し得る。この第1の主面と第2の主面との間に規定される厚さは、約0.5ミリメートルから約5ミリメートルに及び得る。
【0021】
またさらなる実施の形態において、光拡散器の厚さは、約0.8ミリメートルから約1.5ミリメートルに及び得る。
【0022】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、約40%から約70%に及ぶ光透過率を有し得る。
【0023】
またさらなる実施の形態において、光拡散器の光透過率は、約50%から約60%に及び得る。
【0024】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、約95%以上のヘイズを有し得る。
【0025】
またさらなる実施の形態において、光拡散器のヘイズは、約100%から約105%に及び得る。
【0026】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、約40%以上の積分光透過率を有し得る。
【0027】
またさらなる実施の形態において、光拡散器の積分光透過率は、約50%から約70%に及び得る。
【0028】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、約20ミリメートル以下の隠蔽力を有し得る。
【0029】
またさらなる実施の形態において、光拡散器の隠蔽力は、約1ミリメートルから約10ミリメートルに及び得る。
【0030】
またさらなる実施の形態において、光拡散器は、約0.2以下の色ずれを有し得る。
【0031】
またさらなる実施の形態において、光拡散器の色ずれは、約-0.1から約0.1に及び得る。
【0032】
さらなる実施の形態において、表示装置は、光源を含み得る。表示装置は、光拡散器を含み得る。表示装置は、複数の画素を有する画像表示装置を含み得る。光拡散器は、光源と画像表示装置との間に位置付けることができる。
【0033】
いくつかの実施の形態において、光拡散器を製造する方法は、酸化物基準のモル%で表して、60~75モル%のSiO2、2~9モル%のAl2O3、17~25モル%のLi2O、および0.5~6モル%のNa2O+K2Oを一緒に溶融することによって、混合物を形成する工程を含み得る。この方法は、混合物からリボンを形成する工程を含み得る。このリボンは、第1の主面およびこの第1の主面と反対にある第2の主面を有し得る。この方法は、そのリボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ結晶化時間に亘り約850℃から約900℃に及ぶ結晶化温度に加熱する工程を含み得、リボンを結晶化温度に加熱した結果として、二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相が形成される。この結晶相は、この光拡散器の体積中に分散され得る。
【0034】
さらなる実施の形態において、この方法は、リボンを結晶化温度に加熱する前に、リボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ核形成時間に亘り約550℃から約800℃に及ぶ核形成温度に加熱する工程をさらに含み得る。
【0035】
さらなる実施の形態において、リボンを形成する工程は、混合物を圧延する、スロットドローする、またはフロートドローする工程を含み得る。
【0036】
さらなる実施の形態において、混合物は、約1000℃から約1250℃に及ぶ液相温度を有し得る。
【0037】
さらなる実施の形態において、混合物は、約800パスカル・秒(Pa・s)から約1,000Pa・sに及ぶ液相粘度を有し得る。
【0038】
またさらなる実施の形態において、液相粘度は、約140Pa・sから約600Pa・sに及び得る。
【0039】
さらなる実施の形態において、混合物は、酸化物基準のモル%で表して、0.5~2モル%のP2O5、0.2~8モル%のZrO2、0~5モル%のB2O3、0~5モル%のMgO+CaO+SrO、0~2モル%のZnO、および0~2モル%のSnO2をさらに含み得る。
【0040】
またさらなる実施の形態において、混合物は、酸化物基準のモル%で表して、67~70モル%のSiO2、2.5~4.5モル%のAl2O3、21~24モル%のLi2O、0.5~2モル%のNa2O、0~1モル%のK2O、1~2モル%のP2O5、1.5~4モル%のZrO2、および0.1モル%のSnO2を含み得る。
【0041】
さらなる実施の形態において、βスポジュメンは、主要であり得る。
【0042】
さらなる実施の形態において、β石英は、主要であり得る。
【0043】
さらなる実施の形態において、中央粒径は、約600ナノメートルから約800ナノメートルに及び得る。
【0044】
さらなる実施の形態において、二ケイ酸リチウム結晶は、実質的に連結され得る。
【0045】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、約40%から約70%に及ぶ光透過率を有し得る。
【0046】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、約95%以上のヘイズを有し得る。
【0047】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、約40%以上の積分光透過率を有し得る。
【0048】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、約20ミリメートル以下の隠蔽力を有し得る。
【0049】
さらなる実施の形態において、光拡散器は、約0.2以下の色ずれを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示の実施の形態の上記と他の特徴および利点は、添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読んだときに、よりよく理解される。
【
図1】本開示の実施の形態による、光拡散器および表示装置の例示の実施の形態を示す説明図
【
図2】本開示のいくつかの実施の形態の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の略図を示す、
図1の拡大
図2
【
図3】本開示のいくつかの実施の形態の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の略図を示す、
図1の拡大
図2
【
図4】本開示のいくつかの実施の形態のX線回折(XRD)画像の略図
【
図5】本開示のいくつかの実施の形態の累積結晶粒径の略図
【
図6】本開示のいくつかの実施の形態による隠蔽力試験装置の説明図
【
図7】本開示の実施の形態の例示の方法を示す流れ図 本開示を通じて、図面が、特定の態様を強調するために使用されている。それゆえ、図面に示された異なる領域、部分、および基板の相対的サイズは、特に明記のない限り、実際の相対的サイズに比例していると考えるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
ここで、例示の実施の形態が示されている添付図面を参照して、実施の形態を以下により詳しく説明する。できるときはいつでも、図面に亘り、同じまたは同様の部品を称するために、同じ参照番号が使用される。しかしながら、請求項は、様々な実施の形態の多くの異なる態様を包含することができ、ここに述べられた実施の形態に限定されると考えるべきではない。
【0052】
特に明記のない限り、いくつかの実施の形態の特徴の議論は、本開示の実施の形態のいずれの対応する特徴にも同等に適用できる。例えば、本開示を通じた同一の部品番号は、いくつかの実施の形態において、特定されたの複数の特徴が互いに同一であること、および1つの実施の形態の特定された特徴の議論は、特に明記のない限り、本開示の他の実施の形態のいずれの特定された特徴にも同等に適用できることを示すことができる。
【0053】
ここに用いられているように、「ガラスセラミック」は、1種類以上の結晶相および非晶質の残留ガラス相を含む。非晶質材料およびガラスセラミックは、強化されることがある。ここに用いられているように、「強化された」という用語は、例えば、下記に述べられるように、基板の表面内のより小さいイオンをより大きいイオンとイオン交換することによって、化学的に強化された材料を称することがある。しかしながら、当該技術分野で公知の他の強化方法、例えば、熱強化、または基板の複数の部分の間の熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域と中央張力領域を作ることを利用して、強化基板を形成してもよい。
【0054】
「ガラスセラミック」は、ガラスの制御された結晶化により生成された材料を含む。いくつかの実施の形態において、ガラスセラミックは、約1%から約99%の結晶化度を有する。本開示の実施の形態の適切なガラスセラミックの実施の形態としては、Li2O・Al2O3・SiO2系(すなわち、LAS系)ガラスセラミック、および/またはβ-石英固溶体、β-スポジュメン、コージエライト、葉長石、および/または二ケイ酸リチウムを含む主結晶相を有するガラスセラミックが挙げられるであろう。いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック材料は、ガラス系材料を加熱して、セラミック(例えば、結晶質)部分を形成することによって、形成することができる。さらなる実施の形態において、ガラスセラミック材料は、結晶相の形成を促進させることができる核形成剤を1種類以上含むことがある。
【0055】
ここに用いられているように、「酸化物基準」は、成分が、化合物中の非酸素成分が特定の酸化物形態か、または特定の酸化物形態が特定されない場合には、完全に酸化された酸化物に変換されたかのように測定されることを意味する。例えば、酸化物基準のナトリウム(Na)は、酸化ナトリウム(Na2O)に関する量を称し、一方で、酸化物基準のケイ素、シリカ、ケイ酸塩は、二酸化ケイ素(SiO2)に関する量を称する。それゆえ、成分は、その成分が「酸化物基準」の量で計数されるために、実際に、特定の酸化物形態または完全に酸化された酸化物形態にある必要はない。ここに用いられているように、モルパーセント(モル%)は、特定成分を含む混合物、組成物、またはガラスセラミック物品中の総モル数の割合を称する。それゆえ、特定成分に関する「酸化物基準のモルパーセント(モル%)」の測定は、その混合物、組成物、またはガラスセラミック物品中の酸化物基準の総モル数の割合を計算する前に、特定成分の非酸素元素を含む材料を特定の酸化物形態、または特定の酸化物形態が特定されない場合には、完全に酸化された酸化物に概念的に変換する工程を含む。ここに用いられているように、酸化物基準のモル%で表される成分の量は、例えば、光拡散器として使用できる混合物、組成物、およびガラスセラミック物品に同等に適用可能である。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化物(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するその酸化物(例えば、初期配合成分、または、特定の酸化物に変換できる初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。
【0056】
本開示の実施の形態のガラスセラミックは、アルカリ含有アルミノケイ酸塩および/またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩組成物から作られる。ここに用いられているように、R2Oは、アルカリ金属酸化物、例えば、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oを称することができる。ここに用いられているように、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOを称することができる。いくつかの実施の形態において、ガラス系基板は、必要に応じて、Na2SO4、NaCl、NaF、NaBr、K2SO4、KCl、KF、KBr、As2O3、Sb2O3、SnO2、Fe2O3、MnO、MnO2、MnO3、Mn2O3、Mn3O4、Mn2O7の各々を0モル%から約2モル%の範囲でさらに含むことがある。いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック材料は、1種類以上の酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、ホウ化物、ケイ酸塩、および/またはケイ化物を含み得る。酸化物の例示の実施の形態としては、シリカ(SiO2)、ジルコニアネシウム(MgO))、チタニア(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化鉄、酸化ベリリウム、酸化バナジウム(VO2)、溶融石英、ムライト(酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の組合せを含む鉱物)、およびスピネル(Mg
(ZrO2)、ジルコン(ZrSiO4)、アルミナ(Al2O3)、アルカリ金属酸化物(例えば、酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化リチウム(Li2O))、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO))、チタニア(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、五酸化リン(P2O5)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化鉄、酸化ベリリウム、酸化バナジウム(VO2)、溶融石英、ムライト(酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の組合せを含む鉱物)、およびスピネル(MgAl2O4)が挙げられる。セラミック窒化物の例示の実施の形態としては、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化ベリリウム(Be3N2)、窒化ホウ素(BN)、窒化タングステン(WN)、窒化バナジウム、アルカリ土類金属窒化物(例えば、窒化マグネシウム(Mg3N2))、窒化ニッケル、および窒化タンタルが挙げられる。酸窒化物の例示の実施の形態としては、酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウム、およびSiAlON(アルミナと窒化ケイ素の組合せであり、化学式、例えば、Si12-m-nAlm+nOnN16-n、Si6-nAlnOnN8-n、またはSi2-nAlnO1+nN2-nを有し得、式中、m、n、および結果としての下付文字は全て、自然数である)。炭化物および炭素ガラスセラミックの例示の実施の形態としては、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化鉄、炭化ホウ素(B4C)、アルカリ金属炭化物(例えば、炭化リチウム(Li4C3))、アルカリ土類金属炭化物(例えば、炭化マグネシウム(Mg2C3))、およびグラファイトが挙げられる。ホウ化物の例示の実施の形態としては、ホウ化クロム(CrB2)、ホウ化モリブデン(Mo2B5)、ホウ化タングステン(W2B5)、ホウ化鉄、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、ホウ化ハフニウム(HfB2)、ホウ化バナジウム(VB2)、ホウ化ニオブ(NbB2)、およびホウ化ランタン(LaB6)が挙げられる。ケイ化物の例示の実施の形態としては、二ケイ化モリブデン(MoSi2)、二ケイ化タングステン(WSi2)、二ケイ化チタン(TiSi2)、ケイ化ニッケル(NiSi)、アルカリ金属ケイ化物(例えば、ケイ化ナトリウム(NaSi))、アルカリ土類金属ケイ化物(例えば、ケイ化マグネシウム(Mg2Si))、二ケイ化ハフニウム(HfSi2)、およびケイ化白金(PtSi)が挙げられる。
【0057】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、シリカ(SiO2)を含み得る。シリカは、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品中の酸化物基準で最高のモル%を占め得る。シリカは、ガラス相および1つ以上の結晶相の両方の一部であり得る。理論で束縛する意図はないが、シリカは、二ケイ酸リチウム、βスポジュメン、およびβ石英の結晶の成分であることがある。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、シリカまたはシリカに転化できるケイ素含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するシリカ(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。その結果、シリカ含有量は、結晶の形成とガラス相の安定化を可能にするように十分に高い(例えば、酸化物基準のモル%で約60%以上)べきである。それに加え、理論で束縛する意図はないが、シリカ含有量を増加させると、結果として得られる混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相粘度を低下させることができる。その結果、シリカ含有量は、適切な液相粘度(例えば、約80パスカル・秒以上)での加工を容易にするために制限され得る(例えば、約75%以下)。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのシリカの量は、約60%以上、約65%以上、約67%以上、約68%以上、約70%以上、約72%以上、約75%以下、約72%以下、約71%以下、約70%以下、または約68%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのシリカの量は、約60%から約75%、約65%から約72%、約65%から約71%、約65%から約70%、約67%から約70%、約68%から約70%、約60%から約72%、約65%から約71%、約67%から約71%、約68%から約71%、約65%から約75%、約68%から約72%、約70%から約72%、約71%から約72%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0058】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、アルミナ(Al2O3)を含み得る。理論で束縛する意図はないが、アルミナは、βスポジュメン結晶の成分であることがある。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、アルミナまたはアルミナに転化できるアルミニウム含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するアルミナ(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。しかしながら、アルミナ含有量は、大きく成長させすぎずに下記に記載された粒径を有するβスポジュメン結晶を可能にし、二ケイ酸リチウム結晶を実質的に連結させるように、制限され得る(例えば、酸化物基準のモル%で約7%以下)。それに加え、アルミナ含有量を増加させると、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相粘度を増加させ得る。アルミナ含有量を制限すると、約1,000パスカル・秒以下の液相粘度を維持することによって、加工が可能になる。それに加え、アルミナ含有量を増加させると、結果として得られるガラスセラミック物品の機械的性質を向上させることができる。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのアルミナの量は、約2%以上、約2.5%以上、約3%以上、約3.5%以上、約4%以上、約5%以上、約9%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、または約3%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのアルミナの量は、約2%から9%、約2%から約7%、約2%から約6%、約2%から約5%、約2%から約4%、約2.5%から約4.5%、約2.5%から約4%、約2.5%から約3.5%、約2.5%から約3%、約2.5%から約9%、約2.5%から約7%、約2.5%から約6%、約2.5%から約5%、約3%から約5%、約3%から約4.5%、約3%から約4%、約3%から約9%、約3%から約7%、約3.5%から約7%、約3.5%から約6%、約3.5%から約5%、約3.5%から約4.5%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0059】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、酸化リチウム(Li2O)を含み得る。理論で束縛する意図はないが、酸化リチウムは、βスポジュメン結晶の成分であることがある。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化リチウムまたは酸化リチウムに転化できるリチウム含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するリチウム酸化物(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。十分な酸化リチウム含有量(例えば、酸化物基準のモル%で約17%以上)を提供すると、βスポジュメンを、結果として得られるガラスセラミック物品中の主結晶相にすることができる。酸化リチウム含有量を増加させると、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相粘度が低下し得る。しかしながら、酸化リチウム含有量は、組成物(例えば、約80パスカル・秒以上の液相粘度)の加工を容易にし、大きく成長させすぎずに下記に記載された粒径を有するβスポジュメン結晶を可能にするために、制限され得る(例えば、酸化物基準のモル%で約25%以下)。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化リチウムの量は、約17%以上、約19%以上、約20%以上、約21%以上、約22%以上、約25%以下、約24%以下、約23%以下、または約22%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化リチウムの量は、約17%から約25%、約17%から約24%、約17%から約23%、約19%から約23%、約20%から約23%、約21%から約23%、約22%から約23%、約19%から約25%、約21%から約25%、約21%から約24%、約22%から約24%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0060】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、Li2O以外のアルカリ金属酸化物を含み得る。一般に、アルカリ金属酸化物含有量を増加させると、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相温度を低下させることができる。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%で、Li2Oを除くアルカリ金属酸化物の総量は、約0.5%以上、約1%以上、約1.5%以上、約2%以上、約6%以下、約4%以下、約3%以下、約2.5%以下、または約2%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%で、Li2Oを除くアルカリ金属酸化物の総量は、約0.5%から約6%、約0.5%から約4%、約0.5%から約3%、約0.5%から約2.5%、約1%から約6%、約1%から約4%、約1%から約3%、約1.5%から約3%、約1.5%から約2.5%、約1.5%から約2%、約2%から約3%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0061】
いくつかの実施の形態において、本開示の実施の形態は、酸化ナトリウム(Na2O)および/または酸化カリウム(K2O)を含むアルカリ金属酸化物を含み得る。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化ナトリウムまたは酸化ナトリウムに転化できるナトリウム含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するナトリウム酸化物(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。酸化ナトリウムおよび/または酸化カリウムの含有量を増加させると、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相粘度を低下させることができ、これにより、核形成および/または結晶化を含む熱処理過程中の組成物に対する損傷を減少させることができる。それに加え、酸化ナトリウム含有量は、結果として得られるガラスセラミック物品のその後のイオン交換(例えば、化学的強化)を促進させることができる。さらなる実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化ナトリウムの量は、約0.5%以上、約1%以上、約1.5%以上、約6%以下、約4%以下、約2%以下、または約1.5%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%で、酸化ナトリウムの量は、約0.5%から約6%、約0.5%から約4%、約0.5%から約2%、約0.5%から約1.5%、約1%から約1.5%、約1%から約6%、約1%から約4%、約1%から約2%、約1.5%から約2%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。さらなる実施の形態において、酸化物基準のモル%で、酸化カリウムの量は、0%以上、約0.5%以上、約5.5%以下、約4%以下、約2%以下、または約1%以下であり得る。さらなる実施の形態において、酸化物基準のモル%で、酸化カリウムの量は、0%から約5.5%、0%から約4%、0%から約2%、0%から約1%、約0.5%から約5.5%、約0.5%から約4%、約0.5%から約2%、約0.5%から約1%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0062】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、五酸化リン(P2O5)を含み得る。五酸化リンは、核形成剤として働き、結晶形成を促進させることができる。最小量の五酸化リン(例えば、酸化物基準のモル%で約0.5%)を提供すると、結晶形成を促進させることができる。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、五酸化リンまたは五酸化リンに転化できるリン含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対する五酸化リン(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。その結果、五酸化リン含有量を増加させると、ガラスセラミック物品中の結晶の密度を増加させることができる。五酸化リン含有量を制限する(例えば、酸化物基準のモル%で約5%以下)と、下記に記載された透明度およびヘイズの値を得るために、結晶密度を制御することができる。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での五酸化リンの量は、約0.5%以上、約1%以上、約2%以下、または約1.5%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での五酸化リンの量は、約0.5%から約2%、約0.5%から約1.5%、約1%から約2%、約1%から約1.5%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0063】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、ジルコニア(ZrO2)を含み得る。ジルコニア含有量を増加させると、失透させずに(例えば、液相温度を低下させることにより)、前記組成物および/またはガラスセラミック物品の加工を容易にすることができる。ジルコニア含有量を制限することにより、他の結晶相の形成を防ぐことができる。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、ジルコニアまたはジルコニアに転化できるジルコニウム含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対するジルコニア(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのジルコニアの量は、約1%以上、約1.5%以上、約2%以上、約2.5%以上、約3%以上、約3.5%以上、約5%以下、約4%以下、約3.5%以下、または約3%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのジルコニアの量は、約1%から約5%、約1.5%から約4%、約1.5%から約3.5%、約1.5%から約3%、約1.5%から約5%、約2%から約5%、約2%から約4%、約2.5%から約4%、約3%から約4%、約3.5%から約4%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0064】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、酸化ホウ素(B2O3)を含み得る。酸化ホウ素含有量を増加させると、結果として得られるガラスセラミック物品が、破損せずに屈曲と変形に耐える、および/または亀裂伝搬に抵抗できるようにすることができる。それに加え、酸化ホウ素含有量を増加させると、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品の液相温度を低下させることができる。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化ホウ素または酸化ホウ素に転化できるホウ素含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対する酸化ホウ素(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化ホウ素の量は、0%以上、約0.5%以上、約1%以上、約5%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化ホウ素の量は、0%から約5%、0%から約3%、0%から約2%、0%から約1%、約0.5%から約5%、約0.5%から約3%、約0.5%から約2%、約0.5%から約1%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0065】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、アルカリ土類金属酸化物を含み得る。アルカリ土類金属酸化物は、結晶相および/または固溶体を安定化させるのに役立つことができる。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのアルカリ土類金属酸化物の総量は、0%以上、約0.5%以上、約1%以上、約5%以下、約3%以下、または約2%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%でのアルカリ土類金属酸化物の総量は、0%から約5%、0%から約3%、0%から約2%、約0.5%から約5%、約0.5%から約3%、約0.5%から約2%、約1%から約5%、約1%から約3%、約1%から約5%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0066】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、酸化亜鉛(ZnO)を含み得る。酸化亜鉛は、結晶相および/または固溶体を安定化させるのに役立つことができる。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化亜鉛または酸化亜鉛に転化できる亜鉛含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対する酸化亜鉛(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化亜鉛の量は、0%以上、約0.5%以上、約1%以上、約2%以下、約1.5%以下、または約1%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化亜鉛の量は、0%から約2%、0%から約1.5%、0%から約1%、0.5%から約1%、約0.5%から約2%、約0.5%から約1%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0067】
本開示の実施の形態は、酸化物基準で、酸化スズ(SnO2)を含み得る。理論で束縛する意図はないが、酸化スズは、結果として得られるガラスセラミック物品を不透明にし得る。少量の酸化スズ(例えば、酸化物基準のモル%で約1%)を提供すると、光透過率に著しく影響を与えずに、ガラスセラミック物品のヘイズを増加させることができる。したがって、光拡散器が、非晶相および/または結晶相を含むとここに記載され、酸化スズまたは酸化スズに転化できるスズ含有成分(例えば、「酸化物基準」)のモル%(またはモル%範囲)を列挙している場合、そのようなモル%(またはモル%範囲)は、光拡散器中の非晶質および/または結晶質種の全てに対する酸化スズ(例えば、初期配合成分として)の全相対モル寄与を称する。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化スズの量は、約0%以上、約0.1%以上、約0.5%以上、約2%以上、約1%以下、約0.5%以下、または約0.2%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、酸化物基準のモル%での酸化スズの量は、0%から約2%、0%から約1%、0%から約0.5%、0%から約0.2%、0%から約0.1%、約0.1%から約5%、約0.1%から約2%、約0.1%から約1%、約0.1%から約0.5%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0068】
ここに用いられているように、ある成分を「実質的に含まない」組成物とは、その成分が、その組成物に意図的に添加されていないこと、および/またはその組成物が、その成分を微量でしか、例えば、酸化物基準で約0.01モル%でしか含有しないことを意味する。いくつかの実施の形態において、混合物、組成物、またはガラスセラミック物品は、光増感剤を実質的に含まないことがあり得る。理論で束縛する意図はないが、光増感剤は、可視光の1つ以上の波長の吸収を増加させ、これにより、透明度を減少させ得る、および/またはその混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品に色を与え得る。いくつかの実施の形態において、その混合物、組成物、またはガラスセラミック物品は、酸化物基準で、以下の1つ以上を含む光増感剤を実質的に含まないことがあり得る:チタン(TiO2)、鉄(Fe2O3)、鉛(PbO)、ヒ素(As2O3)、ビスマス(Bi2O3)、モリブデン(MoO3)、タンタル(Ta2O5)、ニオブ(Nb2O5)、イットリウム(Y2O3)、カドミウム(CdO)、および/またはセリウム(CeO2)。いくつかの実施の形態において、混合物、組成物、またはガラスセラミック物品は、貴金属を実質的に含まないことがあり得る。理論で束縛する意図はないが、貴金属は反射率を増加させることができ、これにより、光透過率を低下させ得る、および/または望ましくない輝度の変化(例えば、輝点、灰色点)を生じ得る。いくつかの実施の形態において、混合物、組成物、またはガラスセラミック物品は、酸化物基準で以下の1つ以上を含む貴金属を実質的に含まないことがあり得る:銀(Ag2O)、金(Au2O3)、白金(PtO2)、パラジウム(PdO)、および/またはレニウム(Rh2O3)。いくつかの実施の形態において、その混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品は、フッ素(F)および/またはフッ素含有成分を実質的に含まないことがあり得る。理論で束縛する意図はないが、フッ素および/またはフッ素含有成分は、結果として得られるガラスセラミック物品の光学的性質を低下させ得る、および/または他の結晶相と競合し得る、二ケイ酸リチウム、βスポジュメン、およびβ石英以外の結晶相(例えば、Fカナサイト(canasite)、Fリン灰石)の形成を促進させ得る。
【0069】
上述した成分の上記範囲のいずれを、本発明のいくつかの実施の形態において組み合わせても差し支えないことを理解すべきである。本開示のいくつかの実施の形態の例示の範囲が、表1に提示されている。R1は、表1の範囲の中で一番幅広く、一方で、R2およびR9は、表1の範囲の中で最も狭い範囲である。R3~R8およびR10は、中間の範囲を示す。重ねて、これらの成分について上述した他の範囲または部分的範囲は、表1に提示された範囲のいずれと組み合わせて使用しても差し支えないことを理解すべきである。
【0070】
【0071】
前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミック物品は、液相温度および/または液相粘度を有し得る。ここに用いられているように、「液相温度」とは、それより高いと、材料内に結晶が存在できない(例えば、材料が完全に液体である)最低温度を意味する。言い換えると、液相温度は、結晶が、熱力学的平衡で材料の液(例えば、融液、溶融)相と共存できる最高温度である。いくつかの実施の形態において、液相温度は、約1000℃以上、約1030℃以上、約1050℃以上、約1075℃以上、約1250℃以下、約1220℃以下、約1100℃以下、または約1085℃以下であり得る。いくつかの実施の形態において、液相温度は、約1000℃から約1250℃、約1000℃から約1220℃、約1000℃から約1100℃、約1000℃から約1085℃、約1030℃から約1085℃、約1050℃から約1080℃、約1030℃から約1250℃、約1030℃から約1220℃、約1050℃から約1220℃、約1075℃から約1220℃、約1075℃から約1100℃、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0072】
ここに用いられているように、「液相粘度」とは、材料が液相温度であるときの材料の粘度を意味する。液相温度での粘度は、ASTM C965-96(2017)を使用して測定される。いくつかの実施の形態において、液相粘度は、約80パスカル・秒(Pa・s)以上、約100Pa・s以上、約140Pa・s以上、約200Pa・s以上、約300Pa・s以上、約1,000Pa・s以下、約600Pa・s以下、約500Pa・s以下、または約300Pa・s以下であり得る。いくつかの実施の形態において、液相粘度は、約80パスカル・秒(Pa・s)から約1,000Pa・s、約80Pa・sから約600Pa・s、約100Pa・sから約600Pa・s、約140Pa・sから約600Pa・s、約140Pa・sから約500Pa・s、約140Pa・sから約300Pa・s、約200Pa・sから約300Pa・s、約140Pa・sから約1,000Pa・s、約200Pa・sから約1,000Pa・s、約200Pa・sから約600Pa・s、約200Pa・sから約500Pa・s、約300Pa・sから約500Pa・s、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0073】
図1は、ガラスセラミック物品から作られた光拡散器103の例示の実施の形態を示している。この光拡散器は、第1の主面111およびこの第1の主面111と反対にある第2の主面113を有し得る。図示されたような、いくつかの実施の形態において、第1の主面111は平面を構成することができる。図示されたような、いくつかの実施の形態において、第2の主面113は平面を構成することができる。図示されたような、いくつかの実施の形態において、第1の主面111は、第2の主面113と実質的に平行であり得る。いくつかの実施の形態において、光拡散器は、第1の主面111と第2の主面113との間に延在する1つ以上の縁を有し得る。光拡散器の厚さ115は、第1の主面111に亘って平均化された第1の主面111と第2の主面113との間の距離と定義することができる。いくつかの実施の形態において、光拡散器103の厚さ115は、約0.1ミリメートル(mm)以上、約0.5mm以上、約0.8mm以上、約1mm以上、約10mm以下、約8mm以下、約5mm以下、約3mm以下、または約2mm以下であり得る。いくつかの実施の形態において、光拡散器103の厚さ115は、約0.1mmから約10mm、約0.1mmから約8mm、約0.5mmから約8mm、約0.5mmから約5mm、約0.5mmから約3mm、約0.5mmから約2mm、約1mmから約2mm、約0.5mmから約10mm、約1mmから約10mm、約1mmから約8mm、約1mmから約5mm、約1mmから約3mm、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0074】
前記ガラスセラミック物品は、1つ以上の結晶相を含み得る。結晶相および結晶サイズは、X線回折(XRD)を使用して決定できる。例えば、
図4に示されるように、検出された強度403に対して散乱角の倍角401をプロットした場合、独特の一連のピーク405が、所定の結晶相に関連付けられる。図から分かるように、ピーク405を、β石英407(白い正方形)、βスポジュメン409(菱形)、二ケイ酸リチウム411(丸)、および微量のリチオホスフェート413(三角形)に関連付けることができる。
【0075】
1つ以上の結晶相および/または結晶の粒径分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像の画像解析を使用して決定できる。例えば、
図2~3は、本開示のいくつかの実施の形態のSEM画像の略図を示している。いくつかの実施の形態において、このSEM画像の試料面積は、約25μm
2から約100μm
2、例えば、約49μm
2から約81μm
2に及び得る。いくつかの実施の形態において、粒径分布を決定するための結晶の粒径測定値は、結晶の平均寸法を表す。さらなる実施の形態において、β石英および/またはβスポジュメンの粒径測定値は、SEM画像における実質的に円形の断面を有する結晶の近似半径を含み得る。例えば、
図5は、約600ナノメートル(nm)の中央507(50パーセンタイル)粒径を有する実質的に円形の断面を有する結晶に関する粒径の累積分布505を示している。
図5において、横軸(例えば、x軸)501は粒径測定値を表し、縦軸(例えば、y軸)503は結晶の累積百分率を表す。いくつかの実施の形態において、中央粒径は、約500nm以上、約550nm以上、約600nm以上、約650nm以上、約700nm以上、約1,000nm以下、約900nm以下、約800nm以下、約750nm以下、または約700nm以下であり得る。いくつかの実施の形態において、中央粒径は、約500nmから約1,000nm、約500nmから約900nm、約500nmから約800nm、約550nmから約800nm、約600nmから約800nm、約650nmから約800nm、約700nmから約800nm、約500nmから約800nm、約500nmから約700nm、約550nmから約700nm、約600nmから約700nm、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。約500ナノメートルから約1,000ナノメートル(例えば、約600ナノメートルから約800ナノメートル)に及ぶ中央粒径を有する結晶を提供することにより、可視光(例えば、380ナノメートルから約740ナノメートル、約400ナノメートルから約700ナノメートル)の散乱を増加させることができ、これにより、可視光に関するガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。
【0076】
いくつかの実施の形態において、1つ以上の結晶相および/または結晶は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の体積中に分散され得る。ここに用いられているように、結晶相および/または結晶は、1つ以上の結晶相または結晶がガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の主面とも縁とも交差しない場合、ガラスセラミック物品の「体積中に分散」されている。さらなる実施の形態において、1つ以上の結晶相は、光拡散器の体積中に実質的に均一に分散され得る。
【0077】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品は、二ケイ酸リチウム結晶を含み得る。さらなる実施の形態において、二ケイ酸リチウム結晶は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の体積中に分散され得る。さらなる実施の形態において、二ケイ酸リチウム結晶は、実質的に連結され得る。ここに用いられているように、「連結された」結晶とは、ある結晶タイプの結晶が、同じ結晶タイプの別の結晶の中央粒径内にあることを意味する。二ケイ酸リチウム結晶を提供することにより、ガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度を高めることができる。実質的に連結している二ケイ酸リチウム結晶を提供することにより、ガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度をさらに高めることができる。理論で束縛する意図はないが、例えば、実質的に連結された二ケイ酸リチウム結晶は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)を伝搬する亀裂に、結晶を避ける蛇行経路をとらせるので、この実質的に連結された二ケイ酸リチウム結晶は、機械的安定性および機械的強度を高めることができる。
【0078】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品は、βスポジュメン結晶を含み得る。さらなる実施の形態において、βスポジュメンは、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)中の主結晶相を構成し得る。ここに用いられているように、ある結晶タイプは、その結晶タイプの全ての結晶の全体積が、他の結晶タイプ(例えば、複数の、大半の)のいずれよりも大きい体積を占める場合、結晶相において主要である。さらなる実施の形態において、βスポジュメン結晶は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の体積中に分散され得る。さらなる実施の形態において、ガラスセラミック物品は、二ケイ酸リチウム結晶とβスポジュメン結晶の両方を含み得る。理論で束縛する意図はないが、βスポジュメン結晶は、ガラスセラミック物品の光散乱を増加させることができ、これにより、ガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。いくつかの実施の形態において、中央結晶粒径分布は、βスポジュメン結晶について測定することができる。さらなる実施の形態において、中央結晶粒径分布は、実質的に円形の断面を有するβスポジュメン結晶について測定することができる。さらなる実施の形態において、βスポジュメン結晶について測定された中央結晶粒径分布は、上述した範囲の1つ以上(例えば、約500nmから約1,000nm、約600nmから約800nm)に含まれ得る。
【0079】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品は、β石英結晶を含み得る。さらなる実施の形態において、β石英は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)中の主結晶相を構成し得る。さらなる実施の形態において、β石英結晶は、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の体積中に分散され得る。さらなる実施の形態において、ガラスセラミック物品は、二ケイ酸リチウム結晶およびβ石英結晶の両方を含み得る。またさらなる実施の形態において、ガラスセラミック物品は、二ケイ酸リチウム結晶、βスポジュメン結晶、およびβ石英結晶を含み得る。理論で束縛する意図はないが、β石英結晶は、ガラスセラミック物品の光散乱を増加させることができ、これにより、ガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。いくつかの実施の形態において、中央結晶粒径分布は、β石英結晶について測定することができる。さらなる実施の形態において、中央結晶粒径分布は、実質的に円形の断面を有するβ石英結晶について測定することができる。さらなる実施の形態において、β石英結晶について測定された中央結晶粒径分布は、上述した範囲の1つ以上(例えば、約500nmから約1,000nm、約600nmから約800nm)に含まれ得る。
【0080】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)は、光透過率を有し得る。ここに用いられているように、光透過率は、1.2mmの厚さを有するガラスセラミック物品を通る約400nmから約700nmの整数波長についての光透過率の測定値を平均化することによって、400nmから700nmの可視光範囲において測定される。光透過率は、タングステンハロゲン光源およびInGaAs光源を使用して、可視光において2nm毎に測定を行う、Perkin Elmer 950 UV-Vis-NIR分光光度計を使用して測定した。いくつかの実施の形態において、光透過率は、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約70%以下、約60%以下、または約55%以下であり得る。いくつかの実施の形態において、光透過率は、約40%から約70%、約40%から約60%、約40%から約55%、約45%から約55%、約50%から約55%、約45%から約70%、約45%から約60%、約50%から約60%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。高い光透過率(例えば、約40%以上、約50%以上)を有するガラスセラミック物品を提供することにより、光の透過を効率的に増加させることができ、これにより、表示装置からの照明を増加させ、熱として失われる照明光源からのエネルギーの量を減少させることができ、これにより、表示装置の安定性をさらに増加させることができる。
【0081】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)は、ヘイズを有し得る。ここに用いられているように、ヘイズは、ASEM E430にしたがって測定された透過ヘイズを称する。ヘイズは、光源ポートの上の開口を使用して、商標名HAZE-GUARD PLUSでBYK Gardnerから供給されるヘイズメーターを使用して測定される。開口の直径は8mmである。折畳式装置を照明するための光源として、CIE D65光源が使用される。ヘイズは、1.2mmの厚さを有するガラスセラミック物品を通して測定される。さらなる実施の形態において、光拡散器103の第2の主面113に対して垂直な入射角に対して約2°から約10°の範囲に亘り測定されるヘイズは、約90%以上、約95%以上、約100%以上、約150%以下、約120%以下、約110%以下、または約105%以下であり得る。さらなる実施の形態において、光拡散器103の第2の主面113に対して垂直な入射角に対して約0°でのヘイズは、約90%から約150%、約90%から約120%、約90%から約110%、約90%から約105%、約95%から約105%、約100%から約105%、約95%から約150%、約100%から約150%、約100%から約120%、約100%から約110%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。高ヘイズのガラスセラミック物品を提供することにより、薄い光拡散器の輝度均一性を高くすることができる。
【0082】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)は、積分光透過率を有し得る。ここに用いられているように、積分光透過率は、分光光度計の入射窓の孔の上に反射率ディスクが配置された、上述した光透過率を測定するための装置を使用して測定される。幅広い角度範囲に亘り光透過率を測定するために、Spectralon SRM-99反射率ディスクを使用した。光透過率ついて先に述べたように、積分光透過率は、1.2mmの厚さを有するガラスセラミック物品を通る約400nmから約700nmの整数波長の測定値を平均化することによって、400nmから700nmの可視光範囲において測定される。さらなる実施の形態において、積分光透過率は、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以下、約70%以下、または約60%以下であり得る。さらなる実施の形態において、積分光透過率は、約40%から約80%、約40%から約70%、約40%から約60%、約50%から約60%、約50%から約80%、約50%から約70%、約60%から約80%、約60%から約70%、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。高い積分光透過率(例えば、約40%以上、約50%以上)を有するガラスセラミック物品を提供することにより、光の透過を効率的に増加させることができ、これにより、表示装置からの照明を増加させ、熱として失われる照明光源からのエネルギーの量を減少させることができ、これにより、表示装置の安定性をさらに増加させることができる。
【0083】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)は、色ずれを含み得る。ここに用いられているように、色ずれは、420nmの可視光で測定された反射率に対する600nmの可視光で測定された光透過率の比を1から除算したものとして測定される。さらなる実施の形態において、色ずれは、約-0.1以上、約0以上、約0.1以上、約0.5以下、約0.2以下、または約0.1以下であり得る。さらなる実施の形態において、色ずれは、約-0.1から約0.5、約-0.1から約0.2、約0から約0.2、約0から約0.1、約0から約0.5、約0.1から約0.5、約0.1から約0.2、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0084】
いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)は、隠蔽力を有し得る。ここに用いられているように、隠蔽力は、
図6に示された試験装置601を使用して測定される。図から分かるように、一連のLED光源603は、所定のピッチ605で間隔が空けられている。厚さ115を有する、試験すべき光拡散器103が、LED光源603から光学距離607だけ離れて配置されている。輝度の強度は、光拡散器103の第2の主面113で測定され、輝度均一性は、対応する光学距離607について決定される。輝度均一性は、ピッチ605の方向に測定された最大輝度に対する最小輝度の割合と定義される。光学距離607は、光拡散器103の第2の主面113で測定される輝度均一性が98%以上である最小光学距離を決定するために、1mmの増分で調節される。10mmのピッチ605が使用される。さらなる実施の形態において、隠蔽力は、約1mm以上、約2mm以上、約5mm以上、約10mm以上、約50mm以下、約20mm以下、または約10mm以下であり得る。さらなる実施の形態において、隠蔽力は、約1mmから約50mm、約1mmから約20mm、約1mmから約10mm、約2mmから約10mm、約5mmから約10mm、約2mmから約50mm、約5mmから約50mm、約5mmから約20mm、約10mmから約20mm、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0085】
図1に示されるような、いくつかの実施の形態において、光拡散器103を表示装置101に組み込むことができる。さらなる実施の形態において、表示装置101は、光源105を備えることができる。またさらなる実施の形態において、光源105は、導光板を含むことができる。またさらなる実施の形態において、光源105は、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザ、タングステン電球、または蛍光灯、ネオン、アルゴン、キセノン、および高エネルギーアーク放電ランプを含むガス入り放電管の内の1つ以上を含み得る。図示されたような、またさらなる実施の形態において、光拡散器103の第1の主面111は光源105に面することができ、光拡散器103の第2の主面113はユーザ109に面することができる。さらなる実施の形態において、表示装置101は、画像表示装置107を含むことができる。またさらなる実施の形態において、画像表示装置107は、複数の画素を含むことができる。またさらなる実施の形態において、画像表示装置107は、液晶ディスプレイ(LCD)を含み得る。図示されたような、またさらなる実施の形態において、光拡散器103の第2の主面は、表示装置107に面することができる。図示されたような、またさらなる実施の形態において、光拡散器103は、光源105と画像表示装置107との間に配置することができる。図から分かるように、光源105は、光拡散器に向かって光102を放射することができ、光拡散器により、放射光102の輝度均一性を増加させ、拡散光104を、ユーザ109が見ることのできる画像表示装置107に向けて透過させることができる。いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器103)は、光起電装置、フロントガラス、フォトリソグラフィー、および撮像用途に使用することができる。
【0086】
本開示の実施の形態によるガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)を製造する方法の実施の形態が、
図7の流れ図を参照して議論される。
【0087】
ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器103)を製造する方法の第1の工程701において、方法は、先と表1に述べられた範囲の1つ以上に入る上述した成分を一緒に溶融することによって、混合物を形成することから始めることができる。
【0088】
工程701の後、この方法は、工程701で作られた混合物からリボンを形成することを含む工程703に進むことができる。いくつかの実施の形態において、リボンは、第1の主面およびこの第1の主面と反対にある第2の主面を有することができる。さらなる実施の形態において、第1の主面と第2の主面との間に規定されるリボンの厚さは、先に述べられたガラスセラミック物品の厚さについての1つ以上の範囲内にあり得る。いくつかの実施の形態において、リボンは、圧延により形成することができる。いくつかの実施の形態において、リボンは、スロットドロー技術を使用して形成することができる。いくつかの実施の形態において、リボンは、フロートドロー技術を使用して形成することができる。いくつかの実施の形態において、リボンは、混合物を成形型にプレスすることによって、形成することができる。
【0089】
工程703の後、この方法は、リボンを加熱する工程に進むことができる。いくつかの実施の形態において、リボンを加熱する工程は、リボンを核形成時間に亘り核形成温度に加熱する工程を含む工程705を含み得る。理論で束縛する意図はないが、核形成温度は、結晶の核形成を可能にすることができる、および/または結果として得られたるガラスセラミックリボン(例えば、光拡散器)における結晶密度の制御を促進することができる。約80Pa・s以上の液相粘度および/または約1000℃以上の液相温度を有する混合物および/または組成物を提供することにより、前記混合物、組成物、および/またはガラスセラミックリボンの加工を容易にすることができる。さらなる実施の形態において、核形成温度は、約550℃以上、約580℃以上、約600℃以上、約650℃以上、約℃800以下、約750℃以下、または約700℃以下であり得る。さらなる実施の形態において、核形成温度は、約550℃から約800℃、約580℃から約800℃、約580℃から約750℃、約600℃から約750℃、約600℃から約700℃、約650℃から約700℃、約550℃から約750℃、約550℃から約700℃、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。さらなる実施の形態において、核形成時間は、約0.25時間以上、約0.5時間以上、約1時間以上、約2時間以上、約24時間以下、約6時間以下、約4時間以下、または約2時間以下であり得る。さらなる実施の形態において、核形成温度は、約0.25時間から約24時間、約0.25時間から約6時間、約0.5時間から約6時間、約0.5時間から約4時間、約1時間から約4時間、約2時間から約4時間、約0.5時間から約2時間、または約1時間から約2時間、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0090】
いくつかの実施の形態において、リボンを加熱する工程は、リボンを結晶化時間に亘り結晶化温度に加熱する工程を含む工程707を含み得る。さらなる実施の形態において、この方法は、工程705から工程707に進むことができる。さらなる実施の形態において、この方法は、工程703から工程707に直接進むことができる。理論で束縛する意図はないが、結晶化温度は、結晶成長を促進させることができる、および/または結晶化時間は、結果として得られるガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)中の結晶の粒径分布(例えば、中央粒径)の制御を可能にすることができる。さらなる実施の形態において、結晶化温度は、約825℃以上、約850℃以上、約860℃以上、約900℃以下、約875℃以下、または約850℃以下であり得る。さらなる実施の形態において、結晶化温度は、約825℃から約900℃、約825℃から約875℃、約850℃から約875℃、約850℃から約900℃、約850℃から約875℃、約860℃から約900℃、約860℃から約875℃、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。さらなる実施の形態において、結晶化時間は、約0.25時間以上、約0.5時間以上、約1時間以上、約2時間以上、約24時間以下、約6時間以下、約4時間以下、または約2時間以下であり得る。さらなる実施の形態において、結晶化時間は、約0.25時間から約24時間、約0.25時間から約6時間、約0.5時間から約6時間、約0.5時間から約4時間、約1時間から約4時間、約2時間から約4時間、約0.5時間から約2時間、または約1時間から約2時間、もしくはそれらの間の任意の範囲または部分的範囲に及び得る。
【0091】
いくつかの実施の形態において、前記方法は、この方法に終わりを含む工程709に進むことができる。さらなる実施の形態において、この方法の結果は、ガラスセラミック物品であり得る。またさらなる実施の形態において、このガラスセラミック物品は、上述した光透過率、ヘイズ、積分光透過率、隠蔽力、色ずれ、および/または中央粒径を有する光拡散器を含み得る。さらなる実施の形態において、工程709は、このガラスセラミック物品、光源、および画像表示装置を含む表示装置(例えば、
図1)を組み立てる工程を含み得る。いくつかの実施の形態において、ガラスセラミック物品(例えば、光拡散器、表示装置)を製造する方法は、先に記載したような工程701、703、707、および709に沿って連続的に進むことができ、これは、リボンを核形成時間に亘り核形成温度に加熱せずに、リボンを結晶化時間に亘り結晶化温度に加熱する工程を含む。いくつかの実施の形態において、リボンを結晶化時間に亘り結晶化温度に加熱する工程に導く矢印704にしたがう前に、工程703から、リボンを核形成時間に亘り核形成温度に加熱する工程を含む工程705に進むために、矢印702にしたがうことができる。いくつかの実施の形態において、工程707を省いて、工程709に進む矢印706にしたがう前に、工程703から、リボンを核形成時間に亘り核形成温度に加熱する工程を含む工程705に進むために、矢印702にしたがうことができる。いくつかの実施の形態において、上記バリエーションを組み合わせられることを理解すべきである。
【実施例】
【0092】
以下の実施例によって、様々な実施の形態をさらに明白にする。表2は、酸化物基準のモル%で表された実施例A~Kに関する組成情報を含んでいるのに対し、表3は、実施例A~Kの光学的性質を含んでいる。表4は、実施例C~Kに関する熱処理条件を含んでいる。表5は、酸化物基準のモル%で表された実施例1~13の組成情報を含んでいるのに対し、表6は、実施例1~13の性質を含んでいる。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
表2の組成は、本開示の実施の形態について先に述べた範囲内の組成(表1)をそれらの範囲外の組成と比較している。実施例C~Kは、本開示の実施の形態について先に述べた1つ以上の範囲(表1)内にある。実施例A~Bは、先に述べた範囲の1つ以上の範囲内にない。例えば、実施例Aにおいて、アルミナおよび五酸化リンの含有量は高すぎ、酸化リチウム、酸化ナトリウム、およびジルコニアの含有量は、低すぎ、二酸化チタンが含まれている。例えば、実施例Bにおいて、酸化リチウムとジルコニアの含有量は高すぎ、アルミナの含有量は低すぎ、酸化イットリウムが含まれている。
【0099】
実施例A~Kの光学的性質が表3に示されている。実施例Aは、高いヘイズ(99.6%)を有するが、光透過率は低い(0.06%)。同様に、実施例Bは、高いヘイズ(100%)を有するが、光透過率は低い(6.04%)。その結果、実施例A~Bは、ごくわずかな光しか透過されないので、光拡散器として極めて非効率的であろう。対照的に、実施例E~Kは、高いヘイズ(100%超、例えば、101%から103%)および高い光透過率(50%超、例えば、53%から59%)を有する。その結果、実施例E~Kは、良好な隠蔽力および高い照明効率と良好に相関すると予測されるヘイズおよび光透過率の特性を有する。実施例A~Bと比べると、実施例E~Kは、組成の違いにより、実施例A~Bにより容易に達成されない、もしくは類似の組成に予測されない、高いヘイズと高い光透過率の両方が生じるという点で予期せぬ結果をもたらす。
【0100】
下記に論じられるように、実施例C~Dと比べた実施例E~Kの熱処理の違いにより、光学的性質の違いが説明される。実施例C~Dは実施例E~Kと酸化物基準で同じ組成を有するにもかかわらず、実施例Cは非常に低いヘイズ(0.1%)を有し、実施例Dは実施例E~Kのいずれよりも低い光透過率(45%)を有する。
【0101】
表4は、実施例C~Kの熱処理を示している。先に述べたように、実施例E~Kは、100%以上のヘイズ値および50%の光透過率値を有する。実施例E~Kは、約0.5時間以上の結晶化時間に亘り約850℃以上の結晶化温度で処理された。対照的に、実施例Cの結晶化温度は740℃であり、これにより、低いヘイズ値がもたらされた。理論で束縛する意図はないが、十分に高い結晶化温度を用いると、高いヘイズを可能にできる結晶成長を促進させることができる。
【0102】
いくつかの実施の形態において、組成物を核形成時間に亘り核形成温度に加熱すると、その熱処理が省かれた場合よりも、高いヘイズおよび高い光透過率を同時に可能にすることができる。他の実施の形態において、実施例J~Kに示されるように、組成物を核形成時間に亘り核形成温度に加熱する工程を省くことができる。実施例Hは、最高のヘイズ値(103%)および最高の光透過率(58.9%)を有し、これは、4時間の核形成時間に亘り580℃の核形成温度で処理された。実施例Iは、核形成温度が実施例Iで700℃であり、実施例Hでは580℃であったことを除いて、実施例Hと同じように処理され、実施例Hのほうが光透過率が高かった。その結果、700℃から580℃に核形成温度を低下させると、結果として得られるガラスセラミック物品(例えば、光拡散器)の光透過率を増加させることができる。
【0103】
表5は、本開示の実施の形態による組成を示している。表2~4の実施例C~Jは、表5の実施例1と同じであり、表2~4の実施例Kは表5の実施例2と同じである。実施例3~13について、光学的性質は報告されていないが、実施例C~Kと類似の光学的性質が、対応する熱処理により得られるだろうと予測される。表6は、実施例1~13の液相特性、すなわち、液相温度および液相粘度を示している。液相温度は、1030℃(実施例2)から1220℃(実施例13)に及ぶ。液相粘度は、88Pa・s(実施例13)から980Pa・s(実施例10)に及ぶ。先に述べたように、特定の成分が液相粘度に影響するのに対し、他の成分が失透および液相温度に影響する。
【0104】
図2のSEM画像の略図は、表5の実施例1に対応し、熱処理は、組成物を1時間の核形成時間に亘り700℃の核形成温度に加熱し、その後、4時間の結晶化時間に亘り860℃の結晶化温度に加熱することを含む。
図2に示されるように、結晶203(例えば、β石英および/またはβスポジュメン結晶)は、非晶質ガラス相201により取り囲まれ得る。図から分かるように、結晶は、円形断面を有し得るが、いくつかの結晶は、
図2に示された解像度で、互いに近接する、互いに直接隣接する、および/または連続結晶に見える。
図2に示された試料から測定された結晶粒分布が
図5に示されている。図から分かるように、
図5に示された中央粒径は、約600nmである。
【0105】
図3のSEM画像の略図は、表5の実施例2に対応し、熱処理は、組成物を0.33時間の結晶化時間に亘り850℃の結晶化温度に加熱することを含む。
図3に示されるように、結晶303(例えば、β石英および/またはβスポジュメン結晶)は、非晶質ガラス相301により取り囲まれ得る。
図2に示された試料に関するように、
図3の結晶303は、円形断面を有し得るが、いくつかの結晶は、
図3に示された解像度で、互いに近接する、互いに直接隣接する、および/または連続結晶に見える。
図2の結晶203と比べると、
図3の結晶303は、密度がより高く、それらの結晶は、概してより小さく、それに対応して、粒径分布および中央粒径がより小さい。このことは、熱処理が、結果として得られる結晶構造にどのように影響し得るか、例えば、核形成温度/時間を省くと、より小さい結晶が生じ得ることを示している。
【0106】
図3に対応する実施例のX線回折(XRD)解析が、
図4に示されている。
図4に示されるように、最大強度のピーク405は、β石英407(白い正方形)を含む。
図4において、より小さいピーク405は、βスポジュメン409(菱形)および二ケイ酸リチウム411(丸)に対応する。
図4において、微量のリチオホスフェート413(三角形)でさえ検出可能である。
図2を
図3と比べると、
図3の結晶の粒径は
図2におけるよりも小さく、これは、可視波長のより少ない光散乱と、その結果、より低いヘイズに対応する。
【0107】
先の開示は、高照度、高い輝度均一性、熱的な寸法安定性、機械的安定性、および薄い光拡散器を提供できる組成物、並びに結果として得られるガラスセラミック物品を提供する。本開示の組成物は、高い光透過率(例えば、約40%以上、約40%から約70%)および高いヘイズ(例えば、95%以上、約100%から約105%)を同時に提供できる。高い光透過率および高いヘイズを有するガラスセラミック物品を提供することは、例えば、光を効率的に透過させつつ、輝度均一性を増加させ、それによって、表示装置からの照明を増加させ、熱として失われる照明光源からのエネルギーの量を減少させることができ、表示装置の安定性をさらに向上させる拡散器の機能を果たすことができる。二ケイ酸リチウム結晶を提供することにより、ガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度を高めることができる。さらに、実質的に連結している二ケイ酸リチウム結晶を提供することにより、ガラスセラミック物品の機械的安定性および機械的強度をさらに高めることができる。βスポジュメン結晶またはβ石英結晶を提供することにより、ガラスセラミック物品の光散乱を増加させることができ、これにより、ガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。さらに、約500ナノメートルから約1,000ナノメートル(例えば、600ナノメートルから約800ナノメートル)に及ぶ中央粒径を有する結晶を提供することにより、可視光(例えば、約380ナノメートルから約740ナノメートル、約400ナノメートルから約700ナノメートル)の散乱を増加させることができ、これにより、可視光に関するガラスセラミック物品のヘイズおよび隠蔽力を増加させることができる。上述した結晶の形成は、酸化物基準で高いモルパーセント(モル%)のリチウム(例えば、約17%以上、約20%から約25%)および低アルミニウム(例えば、約10%以下、約3%から約9%)を含むアルカリ含有アルミノケイ酸塩および/またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩組成物を提供することによって、促進させることができる。リン(例えば、酸化物基準で約1%から約2%)を含む組成物を提供することにより、そのような結晶の核形成を促進させることができる。本開示の実施の形態の組成物を約850℃から約900℃に及ぶ結晶化温度に加熱することにより、結晶の形成および制御された結晶成長を促進させることができる。さらに、組成物を結晶化温度に加熱する工程の前に、組成物を約550℃から約800℃に及ぶ核形成温度に加熱することにより、結晶の密度を増加させる、および/または結晶成長における制御を向上させることができる。約80パスカル・秒以上の液相粘度および/または約1000℃以上の液相温度を有する組成物を提供することにより、ガラスセラミック物品および前駆体の加工を容易にすることができる。
【0108】
ここに用いられている方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれた図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0109】
様々な開示された実施の形態は、その実施の形態に関して記載された特徴、要素、または工程を含むことがあることが認識されよう。また、特徴、要素、または工程は、ある実施の形態に関して記載されているけれども、様々な説明されていない組合せまたは順列で、代わりの実施の形態と交換されても、または組み合わされてもよいことも認識されよう。
【0110】
ここに用いられているように、名詞は、「少なくとも1つ」の対象を指し、特に明記のない限り、「ただ1つ」の対象に限定されるべきではないことも理解すべきである。例えば、「成分」に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような成分を2つ以上有する実施の形態を含む。同様に、「複数」は、「1つより大きい」を示す意図がある。
【0111】
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、および他の数量と特徴が、正確ではなく、正確である必要はないが、必要に応じて、許容差、変換係数、丸め、測定誤差など、並びに当業者に公知の他の要因を反映して、近似であるおよび/またはそれより大きいか小さいことがあることを意味する。範囲が、「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値まで、とここに記載することができる。そのような範囲が表された場合、実施の形態は、そのある特定値から、および/または他方の特定値まで、を含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用して、近似として表されている場合、その特定値は、別の実施の形態を形成することが理解されよう。明細書において数値または範囲の端点に「約」が付いていようとなかろうと、その数値または範囲の端点は、「約」により修飾されたものと、「約」により修飾されていないものの2つの実施の形態を含むことが意図されている。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点とは関係なくの両方において有意であることがさらに理解されよう。
【0112】
ここに用いられているように、「実質的」、「実質的に」という用語、およびその変形は、特に明記のない限り、記載された特徴が、ある値または記載と等しいか、またはほぼ等しいことを示す意図がある。例えば、「実質的に平らな」表面は、平らか、または実質的に平らな表面を示す意図がある。さらに、先に定義されたように、「実質的に類似」は、2つの値が、等しいか、またはほぼ等しいことを示す意図がある。いくつかの実施の形態において、「実質的に類似」は、互いの約10%以内、例えば、互いの約5%以内、または互いの約2%以内の値を示すことがある。
【0113】
特に明記のない限り、ここに記載されたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない場合、もしくは請求項または説明に、工程が特定の順序に限定されるべきことが他の具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されることは、決して意図されていない。
【0114】
特定の実施の形態の様々な特徴、要素または工程が、移行句「含む」を使用して開示されることがあるが、移行句「からなる」または「から実質的になる」を使用して記載されることのあるものを含む代わりの実施の形態が暗示されることを理解すべきである。それゆえ、例えば、A+B+Cを含む装置に対して暗示される代わりの実施の形態は、装置がA+B+Cからなる実施の形態、および装置がA+B+Cから実質的になる実施の形態を含む。ここに用いられているように、「含む」および「含んでいる」という用語、並びにその変形は、特に明記のない限り、同意語であり、制約がないと解釈されるものとする。
【0115】
上記実施の形態、およびそれらの実施の形態の特徴は、例示であり、単独で提供されても、本開示の範囲から逸脱せずに、ここに与えられた他の実施の形態の任意の1つ以上の特徴と任意の組合せで提供されても差し支えない。
【0116】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本開示は、この中の実施の形態の改変および変更を、それらが付随の請求項およびその同等物に含まれるという条件で、包含することが意図されている。
【0117】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0118】
実施形態1
光拡散器において、
非晶相、および
二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相であって、前記光拡散器の体積中に分散されている結晶相、
を含み、
前記光拡散器は、酸化物基準のモル%で表して、
60~75モル%のSiO2、
2~9モル%のAl2O3、
17~25モル%のLi2O、および
0.5~6モル%のNa2O+K2O、
を含む、光拡散器。
【0119】
実施形態2
酸化物基準のモル%で表して、
0.5~2モル%のP2O5、
0.2~8モル%のZrO2、
0~5モル%のB2O3、
0~5モル%のMgO+CaO+SrO、
0~2モル%のZnO、および
0~2モル%のSnO2、
をさらに含む、実施形態1に記載の光拡散器。
【0120】
実施形態3
前記光拡散器が、酸化物基準のモル%で表して、
67~70モル%のSiO2、
2.5~4.5モル%のAl2O3、
21~24モル%のLi2O、
0.5~2モル%のNa2O、
0~1モル%のK2O、
1~2モル%のP2O5、
1.5~4モル%のZrO2、および
0.1モル%のSnO2、
を含む、実施形態2に記載の光拡散器。
【0121】
実施形態4
βスポジュメンが主要である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0122】
実施形態5
β石英が主要である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0123】
実施形態6
前記結晶の1つ以上の結晶タイプの中央粒径が、約600ナノメートルから約800ナノメートルに及ぶ、実施形態1から5のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0124】
実施形態7
前記二ケイ酸リチウム結晶が実質的に連結されている、実施形態1から5のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0125】
実施形態8
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面をさらに有し、該第1の主面と該第2の主面との間に規定される厚さは、約0.5ミリメートルから約5ミリメートルに及ぶ、実施形態1から7のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0126】
実施形態9
前記光拡散器の厚さが、約0.8ミリメートルから約1.5ミリメートルに及ぶ、実施形態8に記載の光拡散器。
【0127】
実施形態10
前記光拡散器が、約40%から約70%に及ぶ光透過率を有する、実施形態1から9のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0128】
実施形態11
前記光拡散器の光透過率が約50%から約60%に及ぶ、実施形態10に記載の光拡散器。
【0129】
実施形態12
前記光拡散器が、約95%以上のヘイズを有する、実施形態1から11のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0130】
実施形態13
前記光拡散器のヘイズが約100%から約105%に及ぶ、実施形態12に記載の光拡散器。
【0131】
実施形態14
前記光拡散器が、約40%以上の積分光透過率を有する、実施形態1から13のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0132】
実施形態15
前記光拡散器の積分光透過率が約50%から約70%に及ぶ、実施形態14に記載の光拡散器。
【0133】
実施形態16
前記光拡散器が、約20ミリメートル以下の隠蔽力を有する、実施形態1から15のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0134】
実施形態17
前記光拡散器の隠蔽力が、約1ミリメートルから約10ミリメートルに及ぶ、実施形態16に記載の光拡散器。
【0135】
実施形態18
前記光拡散器が、約0.2以下の色ずれを有する、実施形態1から17のいずれか1つに記載の光拡散器。
【0136】
実施形態19
前記光拡散器の色ずれが、約-0.1から約0.1に及ぶ、実施形態18に記載の光拡散器。
【0137】
実施形態20
表示装置であって、
光源、
実施形態1から19のいずれか1つに記載の光拡散器、および
複数の画素を有する画像表示装置、
を備え、
前記光拡散器は、前記光源と前記画像表示装置との間に位置付けられている、表示装置。
【0138】
実施形態21
光拡散器を製造する方法であって、
酸化物基準のモル%で表して、
60~75モル%のSiO2、
2~9モル%のAl2O3、
17~25モル%のLi2O、および
0.5~6モル%のNa2O+K2O、
を一緒に溶融することによって、混合物を形成する工程、
前記混合物から、第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有するリボンを形成する工程、および
前記リボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ結晶化時間に亘り約850℃から約900℃に及ぶ結晶化温度に加熱する工程、
を有してなり、
前記リボンを前記結晶化温度に加熱した結果として、二ケイ酸リチウムと、約500ナノメートルから約1,000ナノメートルに及ぶ中央粒径を有するβスポジュメンまたはβ石英の1つ以上とを含む結晶相が形成され、該結晶相は、前記光拡散器の体積中に分散されている、方法。
【0139】
実施形態22
前記リボンを前記結晶化温度に加熱する前に、該リボンを約0.5時間から約6時間に及ぶ核形成時間に亘り約550℃から約800℃に及ぶ核形成温度に加熱する工程をさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0140】
実施形態23
前記リボンを形成する工程が、前記混合物を圧延する、スロットドローする、またはフロートドローする工程を含む、実施形態21または22に記載の方法。
【0141】
実施形態24
前記混合物が、約1000℃から約1250℃に及ぶ液相温度を有する、実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態25
前記混合物が、約800パスカル・秒(Pa・s)から約1,000Pa・sに及ぶ液相粘度を有する、実施形態21から24のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態26
前記液相粘度が、約140Pa・sから約600Pa・sに及ぶ、実施形態25に記載の方法。
【0144】
実施形態27
前記混合物が、酸化物基準のモル%で表して、
0.5~2モル%のP2O5、
0.2~8モル%のZrO2、
0~5モル%のB2O3、
0~5モル%のMgO+CaO+SrO、
0~2モル%のZnO、および
0~2モル%のSnO2、
をさらに含む、実施形態21から26のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態28
前記混合物が、酸化物基準のモル%で表して、
67~70モル%のSiO2、
2.5~4.5モル%のAl2O3、
21~24モル%のLi2O、
0.5~2モル%のNa2O、
0~1モル%のK2O、
1~2モル%のP2O5、
1.5~4モル%のZrO2、および
0.1モル%のSnO2、
を含む、実施形態21から27のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態29
βスポジュメンが主要である、実施形態21から28のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態30
β石英が主要である、実施形態21から28のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態31
前記中央粒径が、約600ナノメートルから約800ナノメートルに及ぶ、実施形態21から30のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態32
前記二ケイ酸リチウム結晶が、実質的に連結されている、実施形態21から31のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態33
前記光拡散器が、約40%から約70%の範囲の光透過率を有する、実施形態21から32のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態34
前記光拡散器が、約95%以上のヘイズを有する、実施形態21から33のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態35
前記光拡散器が、約40%以上の積分光透過率を有する、実施形態21から34のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態36
前記光拡散器が、約20ミリメートル以下の隠蔽力を有する、実施形態21から35のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態37
前記光拡散器が、約0.2以下の色ずれを有する、実施形態21から36のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0155】
101 表示装置
103 光拡散器
105 光源
107 画像表示装置
109 ユーザ
111 第1の主面
113 第2の主面
115 厚さ
201、301 非晶質ガラス相
203、303 結晶
【国際調査報告】