IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オンコア ファーマ,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-524051サイトカインストーム症候群(CSS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための負帯電粒子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】サイトカインストーム症候群(CSS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための負帯電粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230601BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/765 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/745 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/722 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 33/242 20190101ALI20230601BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20230601BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00
A61P11/00
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/04
A61K31/765
A61K31/745
A61K31/722
A61K31/715
A61K33/00
A61K33/242
A61K33/26
A61K33/24
A61P31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566156
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021029893
(87)【国際公開番号】W WO2021222565
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,210
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/018,214
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/128,386
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】521029416
【氏名又は名称】オンコア ファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プイシス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ジム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC541
4C084ZC542
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086EA23
4C086FA01
4C086FA02
4C086HA01
4C086HA03
4C086HA06
4C086HA09
4C086HA11
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB31
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC54
(57)【要約】
負帯電粒子を含む組成物、ならびにその作製および使用方法をここに提供する。また、サイトカインストーム症候群(CSS)または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を軽減または治療する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の負帯電粒子を対象に投与することを含む、対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)またはサイトカインストーム症候群(CSS)を治療する方法であって、負帯電粒子が他の治療有効薬を含まない方法。
【請求項2】
ARDSまたはCSSが直接的肺傷害または間接的肺傷害の結果である、請求項1
に記載の方法。
【請求項3】
ARDSまたはCSSが、肺炎、肺炎症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、日和見感染、敗血症、胃内容物の誤嚥、外傷、火傷、膵臓炎、肺挫傷、出血性ショック、溺水、輸血、気道傷害、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度炎症反応症候群(SIRS)、高サイトカイン血症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、外傷、またはそれらの組合せの結果である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ARDSまたはCSSがウイルス感染の結果であり、ウイルス感染が、DNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスによるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
DNAウイルスが一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスが二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルスまたは環状ssRNAウイルスである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
DNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスが呼吸器系ウイルスである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
DNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、コロナウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスおよびジカウイルスからなる群から選択される、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ARDSまたはCSSが細菌感染の結果であり、細菌感染が、ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコバクテリア、バシラス、サルモネラ、ビブリオ、スピロヘータ、ナイセリア、双球菌、シュードモナス、クロストリジウム、トレポネーマ、スピリルム、またはそれらの組合せによるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
ARDSまたはCSSが1つまたは複数の免疫標的療法によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数の免疫標的療法が、抗体、タンパク質療法、ペプチド、サイトカイン、免疫シグナル伝達モジュレーター、mRNA、腫瘍溶解性ウイルス、または細胞ベースの療法である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つまたは複数の免疫標的療法が抗体を含み、抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体または二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗体が、CD2、CD3、CD20、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD137、OX-40、GITR、LIGHT、DR3、SLAM、ICOS、LILRB2、LILRB3、LILRB4、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-12もしくはIL-15、RTK、EGFR、VEGF、VEGFR、PDGF、PDGFR、HER2/Neu、ER、PR、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、SIRP-α、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD3、CD25、CD19、CD20、CD39、CD47、CD73、FAP、IL-1β、IL-2R、IL-12、IL-15、IL-15R、IL-23、IL-33、IL-2R,IL-4Rα、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、単球または好中球を標的とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数の免疫標的療法がサイトカインを含み、サイトカインが、IFN-α、INF-γ、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-15/IL-15Ra、IL-18、IL-21、GM-CSFまたはそれらの変異体から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
1つまたは複数の免疫標的療法が免疫シグナル伝達モジュレーターを含み、免疫シグナル伝達モジュレーターが、IL-1R、IL-2Ra、IL-2Rα、IL-2Ry、IL-3Ra、CSF2RB、IL-4R、IL-5Ra、CSF2RB、IL-6Ra、gp130、IL-7Ra、IL-9R、IL-10Rα、IL-10Rα、IL-12Rα1、IL-12Rα2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Ra、OSMR、CSF-1R、GM-CSF-R、細胞表面IL-15、IL-10Ra、IL-10Rα、IL-20Rα、IL-20Rα、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rα、IL-28RA、TLR、JAK、BTK、TYK、SYK、MAPK、PI3K、NFKB、NFAT、STATまたはキナーゼの1つまたは複数数を標的とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の免疫標的療法が細胞ベースの療法を含み、細胞ベースの療法が同種異系、自己またはiPSC由来細胞を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数の免疫標的療法が細胞ベースの療法を含み、細胞ベースの療法が、T細胞、NK細胞、赤血球、幹細胞、抗原提示細胞、マクロファージまたは樹状細胞の1つまたは複数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
負帯電粒子が1つまたは複数の生分解性重合体を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
負帯電粒子が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、キトサン、多糖、脂質、ダイアモンド、鉄、亜鉛、カドミウム、金または銀の1つまたは複数を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
負帯電粒子がPLGAを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
PLGAを含む負帯電粒子が、約90:10から約10:90まで、約50:50から約90:10まで、約50:50から約80:20まで、約90:10から約50:50まで、または約80:20から約50:50までの範囲のポリ乳酸:ポリグリコール酸の比率を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
PLGAを含む負帯電粒子が、約50:50の範囲のポリ乳酸:ポリグリコール酸の比率を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
負帯電粒子が、表面にカルボキシル基をさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
負のゼータ電位が、約-100mVから約-1mVまでの範囲である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
負のゼータ電位が、約-80mVから約-30mVまでの範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
負帯電粒子が、約0.1μmから約10μmまでの範囲の中間径を有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
負帯電粒子の中間径が、約300nmから約800nmまでの範囲である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
負帯電粒子を対象に投与することにより、ARDSまたはCSSに関連する1つまたは複数の症状を向上させる、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ARDSまたはCSSに関連する1つまたは複数の症状が、肺炎症、無気肺、窮迫性呼吸、疲労、低血圧、発熱、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、多臓器機能障害、脳損傷、肺損傷、肝臓損傷、腎臓損傷、心臓損傷、浮腫、脳浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、呼吸窮迫、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高トリグリセリド血症、白血球減少症、血球減少症および炎症マーカーレベルの上昇からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
炎症マーカーが、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、IP-10、MIP-1β、MCP-1、GM-CSF、c反応性タンパク質、d-ダイマー、フェリチン、好中球細胞外トラップ(NET)、およびそれらの組合せからなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
負帯電粒子の投与により、循環系または炎症部位における炎症性メディエーターの蓄積を低減する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
負帯電粒子が静脈内投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
その治療を必要とする対象における呼吸器系ウイルス感染に関連する全身性感染、敗血症または肺炎の入院成人患者の急性炎症を治療する方法であって、薬物が結合または封入されていない負帯電粒子を投与することを含み、負帯電粒子が1つまたは複数の生分解性の医薬として許容し得る重合体を含み、1mg/kgから10mg/kgまでの用量で投与される方法。
【請求項33】
呼吸器系ウイルス感染が、インフルエンザおよびSARS-CoV-2に関連する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
負帯電粒子が、1mg/kgから6mg/kgまでの用量レベルで投与される、請求項32または33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
負帯電粒子が、5mg/kgの用量レベルで投与される、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
負帯電粒子が、50mgから400mgまでの用量レベルで投与される、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
負帯電粒子が、1つまたは複数の生分解性重合体を含む、請求項32~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
負帯電粒子が、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)またはポリスチレンを含む、請求項32~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
負帯電粒子がPLGAを含む、請求項32~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
負帯電粒子が、約-30mVから-80mVまでのゼータ電位を有する、請求項32~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
負帯電粒子が、0.3μmから3μmまたは0.3μmから1μmまでの平均径を有する、請求項32~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清c反応性タンパク質レベルをベースラインより低下させる、請求項32~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
血清c反応性タンパク質レベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清フェリチンレベルをベースラインより低下させる、請求項32~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
血清フェリチンレベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清d-ダイマーレベルをベースラインより低下させる、請求項32~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
血清d-ダイマータンパク質レベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血液中の好中球の数をベースラインより低下させる、請求項32~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
血液中の好中球の数が、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血液中のリンパ球の数をベースラインより増加させる、請求項32~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
血液中のリンパ球の数が、ベースラインと比較して、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100倍増加する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、好中球対リンパ球比(NLR)をベースラインより低下させる、請求項32~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、NLRを4以下とする、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、SpO/FiO比をベースラインより増加させる、請求項32~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
SpO/FiO比が300mmHg以上である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより入院日数を減少させる、請求項32~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、呼吸器を使用しない日数を増加させる、請求項32~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより死亡のリスクを低下させる、請求項32~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、ベースラインと比較して肺機能を向上させる、請求項32~58のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/018,210号、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/018,214号、および2020年12月21日に出願された米国仮出願第63/128,386号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002] サイトカインストーム症候群(CSS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、重篤な全身性炎症、多臓器不全、さらには死をもたらす、一連の炎症事象によって引き起こされる、潜在的に末期的な臨床状態である。CSSおよびARDSは、臨床所見および誘発事象にいくらかの相違があるものの、多臓器不全および死をもたらす全身性炎症を引き起こす、自然免疫細胞(例えば、単球、好中球およびマクロファージ)の無秩序の活性化、増加および機能化、過剰なサイトカイン、ケモカインおよび炎症促進性メディエーターの分泌などの共通の炎症過程を伴うことにより一括りにされる1~5。さらに、多くの対象において、CSSはARDSをもたらし、ARDSはCSSをもたらし得るため、これらの状態の間には著しい重複が存在する。
【0003】
[0003] CSSは、ウイルス感染、細菌感染、病原体、外傷、および免疫指向性療法(例えば、CAR-T、抗体およびサイトカイン)などの様々な異なる誘因により生じ得る。CSSは、自己免疫性およびリウマチ性状態(例えば関節炎および狼瘡)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、および二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)にも関連する。単球、マクロファージおよび好中球は、CSSの主たる要因である。CSSを誘発する初期事象は、サイトカイン、ケモカインおよび増殖因子シグナル伝達を介する炎症性単球、マクロファージおよび好中球の活性化および増加をもたらす。これらの細胞は、それらが炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(例えば、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IP-10、TNF-αおよびMCP-1、CCL-2、CXCL-1、CXCL-2、CXCL-5)、酸化性種(例えばROS)、タンパク質(例えばc反応性タンパク質)、プロテアーゼおよび代謝産物を生成することによって炎症促進性環境に反応する持続的炎症の部位に盛んに取り込まれる。これらの細胞の炎症促進活性は、長期的な過度の全身性炎症および致死的病状を引き起こす炎症性免疫反応をさらにエスカレートさせる無制御のフィードバックループを加速させる5~8
【0004】
[0004] ARDSは、直接的または間接的肺傷害によって誘発され得る。直接的肺傷害に起因するARDSの例としては、細菌、ウイルス、真菌または日和見感染、肺挫傷、外傷、化学物質、微粒子または他の刺激物質による気道傷害、胃内容物の誤嚥および溺水による肺炎が挙げられる。間接的肺傷害に起因するARDSの例としては、出血性ショック、膵臓炎、重度の火傷、薬物過剰摂取、血液製剤の輸血、心肺バイパス、敗血症および再かん流傷害が挙げられる。直接的肺傷害によるものか間接的肺傷害によるものかに関わらず、ARDSを誘発させる初期損傷は、強固で亢進された免疫反応を引き出す肺損傷を引き起こす。この免疫反応は、初期傷害から24~48時間以内に、炎症促進性サイトカインおよびケモカインを生成する常在免疫細胞(例えば気管支肺胞マクロファージ)を活性化し、その直後に炎症性単球および好中球を迅速に肺に流入させることを含む。肺に達すると、末梢由来の炎症性単球および好中球が局所的な炎症性環境に反応し、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-6、IL-β、IFN-γ、IP-10、TNF-αおよびMCP-1)、ケモカイン(例えば、CCL-2、CXCL- 1、CXCL-2およびCXCL-5)、酸化剤(例えばROS)、タンパク質(例えばc反応性タンパク質)、好中球細胞外トラップ(NET)およびプロテアーゼ(例えばMMP-9)の生成を介して炎症をさらに促進する。肺傷害の消散にはある程度の炎症が重要であるが、過剰かつ長期的炎症は、特にARDSの場合は、著しい呼吸器損傷をもたらし、致死的な病状に関連する1、2、4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] CSSおよびARDSの治療のための現行の手法は、感染、さらには死亡のリスクを高める有害副作用を引き起こす広範的免疫抑制剤(例えば抗IL1β、抗IL-6、抗TNFαおよびステロイド)に依存している。広範的免疫抑制を引き起こさずに、CSSおよびARDS時に病理学的過剰炎症を消散させるための標的療法の必要性に迫られている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本開示は、負のゼータ電位を有する負帯電粒子を対象に投与することを含む、対象におけるサイトカインストーム症候群(CSS)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療する方法であって、負帯電粒子が別の療法薬を含まない方法に関する。本明細書に開示されている方法の一実施形態において、被験者は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、日和見感染、敗血症、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度炎症反応症候群(SIRS)、高サイトカイン血症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、胃内容物の誤嚥、外傷、火傷、膵臓炎、肺挫傷、出血性ショック、溺水、輸血、気道傷害、またはそれらの組合せから選択される1つまたは複数の状態に起因するCSSおよび/またはARDSに罹患している。
【0007】
[0007] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象における負帯電粒子の投与により、CSSおよび/またはARDSの1つまたは複数の症状が軽減される。ある実施形態において、症状は、多臓器不全、脳損傷、肺損傷、肝臓損傷、腎臓損傷、心臓損傷、浮腫、脳浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、呼吸窮迫、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高トリグリセリド血症、白血球減少症、血球減少症、または炎症マーカーレベルの上昇の1つまたは複数から選択される。本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、本開示は、CSSおよび/またはARDSに関連する1つまたは複数の症状を改善することであって、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与する、改善することに関する。ある実施形態において、ARDSに関連する症状には、息切れ、呼吸促迫(頻呼吸)、呼吸困難、人工呼吸の必要性、筋肉疲労、全身疲労、低血圧、低血中酸素レベル(低酸素血症)、皮膚の変色、爪の変色、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、空咳、発熱、胸痛、頭痛、肺の炎症、肺の水分蓄積、無気肺、肺の亀裂若しくは水泡音、高脈拍数、目眩、精神錯乱、浮腫、肺浮腫、および/または肺胞浮腫が含まれる。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSに関連する症状には、肺炎症、無気肺、窮迫性呼吸、疲労、低血圧、発熱、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫または肺胞浮腫から選択される1つまたは複数が含まれる。ある実施形態において、炎症マーカーは、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、TNF-α、IFN-γ、MCP-1、c反応性タンパク質またはフェリチンである。
【0008】
[0008] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、ウイルス感染の結果である。ある実施形態において、ウイルス感染は、DNAウイルス、RNAウイルスおよび/またはレトロウイルスによるものである。ある実施形態において、DNAウイルスは、一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスは、二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルスまたは循環ssRNAウイルスである。ある実施形態において、ウイルスは呼吸器系ウイルスである。ある実施形態において、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、コロナウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスまたはジカウイルスからなる群から選択される。
【0009】
[0009] 本明細書に開示されている方法のいずれかにおいて、CSSおよび/またはARDSは、細菌感染の結果である。ある実施形態において、細菌感染は、ブドウ球菌(Staphylococcus)、レンサ球菌(Streptococcus)、マイコバクテリア(Mycobacterium)、バシラス(Bacillus)、サルモネラ(Salmonella)、ビブリオ(Vibrio)、スピロヘータ(Spirochete)、ナイセリア(Neisseria)、双球菌(Diplococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、クロストリジウム(Clostridium)、トレポネーマ(Treponaema)、スピリルム(Spirillum)、またはそれらの組合せによるものである。
【0010】
[0010] 本明細書に開示されている方法のいずれかにおいて、CSSおよび/またはARDSは、1つまたは複数の免疫標的療法によるものである。ある実施形態において、免疫標的療法は、抗体、タンパク質療法、ペプチド、サイトカイン、免疫シグナル伝達モジュレーター、mRNA、腫瘍溶解性ウイルスまたは細胞ベースの療法を含む。ある実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体または二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である。ある実施形態において、抗体は、CD2、CD3、CD20、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD137、OX-40、GITR、LIGHT、DR3、SLAMまたはICOSの1つまたは複数を標的とする。ある実施形態において、サイトカインは、IFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-15/IL-15Rα、IL-18、IL-21、GM-CSF、またはそれらの変異体から選択される。ある実施形態において、免疫シグナル伝達モジュレーターは、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、GM-CSF-R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、TLR、JAK、BTK、TYK、SYK、MAPK、PI3K、NFκB、NFAT、STATまたはキナーゼの1つまたは複数を標的とする。ある実施形態において、細胞ベースの療法は、同種異系、自己またはiPSC由来細胞を含む。ある実施形態において、細胞ベースの療法は、T細胞、NK細胞、赤血球、幹細胞、抗原提示細胞、マクロファージまたは樹状細胞の1つまたは複数を含む。
【0011】
[0011] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、キトサン、多糖、脂質、ダイアモンド、鉄、亜鉛、カドミウム、金または銀の1つまたは複数を含む。ある実施形態において、負帯電粒子は、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子である。ある実施形態において、PLGA粒子は、約90:10から約10:90まで、約50:50から約90:10まで、約50:50から約80:20まで、約90:10から約50:50まで、または約80:20から約50:50までの範囲のポリ乳酸:ポリグリコール酸の比率を含む。ある実施形態において、負帯電粒子は、ポリ乳酸:ポリグリコール酸を50:50で含む。
【0012】
[0012] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、1つまたは複数のカルボキシル基を粒子の表面に添加することにより表面機能化されている。
【0013】
[0013] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、約-100mVから約-1mVまでのゼータ電位を有する。ある実施形態において、負帯電粒子は、約-80mVから約-30mVまでのゼータ電位を有する。
【0014】
[0014] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、約0.1μmから約10μmまでの範囲の平均径を有する。ある実施形態において、負帯電粒子は、約300nmから約800nmまでの範囲の平均径を有する。
【0015】
[0015] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、静脈内投与される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016] 一次LCMV感染後の体重減少に対するONP-302の影響を示す図である。C57BL/6マウスを静脈内尾静脈注射により2×10のプラーク形成単位(pfu)LCMV(クローン13)で感染させた。感染後5日目に、マウスを3つの処置群の1つに無作為に分け、尾静脈注射により指定の処置剤を投与した。マウスを体重減少について観察した。(1処置群当たりのn=5)(=p<0.05、**=p<0.005、***=p<0.0005、****=p<0.00005)。
図2A】[0017] LCMVで感染させたマウスの脾臓における免疫細胞に対するONP-302の影響を示す図である。C57BL/6マウスを静脈内尾静脈注射により2×10のプラーク形成単位(pfu)LCMV(クローン13)で感染させた。感染後5日目から、連続5日間にわたって(5~9日目)静脈内尾静脈注射によりマウスを食塩水またはONP-302(マウス1匹当たり1mg)で処置した。マウスを体重減少について毎日観察した。12日目に、感染後マウスを屠殺し、それらの脾臓および血液を採取した。
図2B】アッセイした脾細胞および白血球のフローサイトメトリデータを示す図である。
図2C】アッセイした脾細胞および白血球のフローサイトメトリデータを示す図である。
図2D】アッセイした脾細胞および白血球のフローサイトメトリデータを示す図である。
図2E】アッセイした脾細胞および白血球のフローサイトメトリデータを示す図である。
図2F】アッセイした脾細胞および白血球のフローサイトメトリデータを示す図である。(=p<0.05、**=p<0.005、***=p<0.0005、****=p<0.00005)。
図3】[0018] LCMVで感染させたマウスの脾臓における免疫細胞およびウイルス力価に対するONP-302の影響を示す図である。C57BL/6マウスを静脈内尾静脈注射により2×10のプラーク形成単位(pfu)LCMV(クローン13)で感染させた。感染後5日目から、連続5日間にわたって(5~9日目)静脈内尾静脈注射によりマウスを食塩水またはONP-302(マウス1匹当たり1mg)で処置した。各群のマウスのサブセットを感染後12および35日目に屠殺した。脾臓および血液をマウスから採取した。脾細胞および血液の白血球をフローサイトメトリによってアッセイした。脾臓におけるLCMVウイルス力価をプラークアッセイにより測定した。(=p<0.05、**=p<0.005、***=p<0.0005、****=p<0.00005)。
図4A】[0019] H1N1インフルエンザ感染症に感染させた高齢マウスにおける肺機能に対するONP-302の影響を示す図である。雌のC57BL/6マウスに麻酔し、600pfuのH1N1インフルエンザウイルスに経鼻感染させた。感染後3日目からマウスを食塩水またはONP-302で処置した。処置剤を連続5日間にわたって(3~7日目)1日1回投与した。
図4B】パルスオキシメータ(MouseStar Jr.)を使用して血液中の酸素飽和度を毎日測定することによってアッセイした肺機能を示す図である(n≧22)。感染後9日目にマウスを屠殺し、単球(CD45+/CD11b+)、炎症性単球(CD45+/CD11b+/Ly6C+)および好中球(CD45+/Ly6G+)のレベルを気管支肺胞洗浄(BAL)によりアッセイした。
図4C】フローサイトメトリによる脾臓データを示す図である(n≧9)を示す図である。
図4D】炎症性タンパク質のレベルを示す図である。
図4E】MPO、およびIL-6を示す図である。
図4F】ELISAを使用して感染後9日目にBALを試験したCXCL-5を示す図である(n≧12)。
図4G】BALによる損傷マーカーアルブミンのアッセイにより評価した肺損傷を示す図である。
図4H】感染後9日目にマウスから回収し、免疫浸潤のレベルを評価するために病理組織分析した肺組織を示す図である。(=p<0.05、**=p<0.005、***=p<0.0005、****=p<0.00005)。
図5A】[0020] 生体外でLPSにより刺激されたヒトPBMCからの炎症促進性サイトカインの生成を阻害する負帯電粒子ONP-302の効果を示す図である。新たに単離したヒトPBMCを指定濃度のONP-302とともに30分間培養した後、0.1ng/mLのLPSとともに24時間コインキュベートした。細胞培養上澄みをLPSの添加後6時間、12時間および24時間目に採取し、IL-1βのレベルを測定した。
図5B】MCP-1のレベルを示す図である。
図5C】ELISAにより測定したTNF-αのレベルを示す図である。
図6】[0021] 実験室内で加熱死菌(HK菌)(黄色ブドウ球菌)により刺激された単球による炎症促進性IL-6の生成に対する負帯電粒子ONP-302の影響を示す図である。Mono-Mac-06細胞を100μg/mLのCNP-301および加熱死菌(HK菌)(黄色ブドウ球菌)とともに24時間コインキュベートした。非刺激細胞および食塩水を陰性対照として使用した。インキュベートの24時間後に、細胞培養上澄みを採取し、IL-6のレベルをELISAによりアッセイした。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0022] サイトカインストーム症候群(CSS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、治療しなければ、重篤な全身性炎症、多臓器不全、さらには死をもたらす、一連の炎症事象によって引き起こされる重度の臨床状態である。CSSおよびARDSは、無制御のフィードフォワード免疫活性化および増幅をもたらす炎症促進性骨髄由来細胞(例えば、単球、好中球およびマクロファージ)の無秩序の活性化および増加ならびに過剰な炎症促進性メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカインおよび他のタンパク質)の生成による病理学的過剰炎症によって引き起こされる。この無秩序の炎症性免疫反応は、全身性炎症を生じさせて、多臓器不全、さらには死をもたらす。
【0018】
[0023] 本開示は、CSSおよびARDSを治療するための本明細書に記載の負帯電粒子、および該負帯電粒子を含む組成物に関する。本開示の負帯電粒子は、CSSおよびARDSの症状を緩和または軽減することができる。本開示の負帯電粒子は、CSSおよびARDSの発病に重要な役割を果たす炎症促進性骨髄由来細胞(例えば、単球、好中球およびマクロファージ)に優先的に吸収される。粒子を吸収すると、これらの細胞は肝臓および脾臓で非炎症的に隔離される。その結果、CSSおよびARDS時に病理学的過剰炎症を引き起こす陽性フィードバックループに関与可能な炎症促進性骨髄由来細胞が少なくなり、炎症の消散をもたらす。炎症促進性骨髄由来細胞を優先的に標的とすると、他の免疫調節性および有益性組織修復機能が影響を受けないため、広範的免疫抑制を生じることなく病理学的炎症が消散すること確実にし、向上した回復をもたらす。
【0019】
[0024] あらゆる図面およびそれらに含まれる付属書を含むすべての刊行物、特許および特許出願は、各々の個別の刊行物、特許もしくは特許出願、図面または付属書が、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれていることを具体的および個別に示唆されるのと同様の程度に、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれている。
【0020】
定義
[0025] 以下の用語は、当業者によく理解されていると考えられるが、
【0021】
[0026] ここに開示されている主題の説明を容易にするために以下の定義を明記する。
【0022】
[0027] 本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられている単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上そうでないことが明記されている場合を除いて複数形を含むことに留意する。
【0023】
[0028] 本明細書に用いられている「粒子」とは、主題の任意の非組織由来組成物を指し、球体もしくは球状物体、ビーズまたはリポソームであってもよい。「粒子」という用語、「免疫修飾粒子」という用語、および「ビーズ」という用語は、文脈に応じて、同じ意味で用いられてもよい。また、「粒子」という用語は、ビーズおよび球体を包含するように用いられてもよい。
【0024】
[0029] 本明細書に用いられている「負帯電粒子」は、0より小さい正味表面電荷(本明細書ではゼータ電位とも称する)を保有する粒子を指す。ゼータ電位とは、固体表面とその液体媒体との界面に発生する電荷である。「負のゼータ電位」とは、ミリボルト(mV)で表され、ゼータ電位を産出する当該分野で公知の測定装置、例えば、NanoBrook ZetaPlusゼータ電位分析装置またはMalvern Zetasizerにより測定される、0より小さい粒子の正味表面電荷を有する粒子を指す。ある実施形態において、負のゼータ電位は、粒子の表面に存在する陰性基によって与えられてもよい。
【0025】
[0030] ある実施形態において、「負帯電粒子」は、その表面が、負電荷を与えるように機能化された粒子(本明細書では「表面機能化粒子(SEP)」と称する)であってもよい。ある実施形態において、表面機能化は、1つまたは複数の官能基を粒子の表面に導入することによって行われる。ある実施形態において、負電荷は、カルボキシル化(すなわち、粒子表面に対する1つまたは複数のカルボキシル基の添加)、または他の陰性基(生理的pHにおいて負電荷を担持する基)、例えば、限定することなくスルホン酸もしくはリン酸の添加によって与えられてもよい。ある実施形態において、官能基は、粒子の表面、芯(例えばビーズ)の表面に配置された上層の成分、または粒子を構成する材料の成分に化学的に結合されてもよく、本明細書に記載のゼータ電位を与えるために十分な量の官能基が粒子表面に提供される。例えば、酸末端封止PLGA重合体はカルボキシル基を含み、これらのカルボキシル基は、本明細書に記載のゼータ電位を有する負帯電粒子を与えるために粒子の表面に提供されてもよい。特定の実施形態において、負帯電粒子は、粒子の表面にカルボキシル基を含む。例えば、それぞれあらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれている、Froimowiczら、Curr Org.Chem 17:900~912頁、2013年、または米国第2020/0093753号には、負帯電粒子の作製方法が記載されている。ある実施形態において、負帯電粒子は、療法薬を含まない、例えばペプチドもしくは抗原部分または他の生物活性剤が結合されないことを想定する。いくつかの実施形態において、ポリペプチド、抗体、核酸、脂質、小分子、炭水化物および界面活性剤などの標的化剤を添加することにより、負帯電粒子をさらに修飾することができる。本開示により当該さらなる修飾が想定されるが、本明細書に記載の負帯電粒子は、当該修飾を行うことなくARDSまたはCSSを治療することが可能である。
【0026】
[0031] 本明細書に用いられている「対象」という用語は、本明細書に記載の粒子が投与されるヒト、または哺乳動物もしくは霊長類を含む非ヒト動物を指す。対象としては、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ならびにヒトおよび他の霊長類などの動物を挙げることができる。
【0027】
[0032] 「療法薬」という用語は、治療有効量を投与すると、治療している疾患または障害の1つまたは複数の症状または兆候を緩和または軽減することが可能である部分を指す。療法薬の非限定的な例としては、ペプチド、タンパク質または小分子療法薬を含む他の療法が挙げられる。誤解を避けるために、本開示の負帯電粒子は、それ自体が、治療効果があるため療法薬剤であり、ペプチド、タンパク質または小分子療法薬などのさらなる従来の療法薬の非存在下で本明細書に記載の状態を治療できる。
【0028】
[0033] 「治療有効量」という用語は、治療している疾患または障害の1つまたは複数の症状または兆候を緩和または軽減するのに有効である本開示の標的特異的組成物の量を示唆するように本明細書において用いられている。
【0029】
[0034] 本明細書において方法に関して用いられている「治療する(treat)」、「治療された(treated)」、「治療している(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、事象、疾患または状態の1つまたは複数の症状、所見または進行を一時的または永久的のいずれかに、部分的または完全のいずれかに排除、軽減、抑制または緩和することを指す。当該治療は、完全に有用である必要がない。
【0030】
[0035] 以下の説明には、本開示を理解する上で有用であると考えられる情報が含まれる。本明細書に提示されている情報のいずれかが先行技術である、もしくはここに特許請求された開示内容に該当する、または参照されているいずれかの刊行物が具体的または暗示的に先行技術であることを認めるものではない。
【0031】
負帯電粒子
[0036] 本開示は、負帯電粒子、および負帯電粒子を含む組成物に関する。本開示は、ARDSおよび/またはCSSを含む様々な疾患または状態を治療または緩和するための負帯電粒子の使用にも関する。本開示の負帯電粒子は、免疫調節性を示す。明確に述べると、本開示の負帯電粒子は、治療有効薬剤であり、1つの有効薬剤としてARDSおよび/またはCSSを治療することが可能である。
【0032】
[0037] 負帯電粒子は、幅広い材料から形成できる。ある実施形態において、粒子は、生物学的使用に好適な材料から構成されている。ある実施形態において、粒子は、医薬として許容し得る材料から構成されている。ある実施形態において、粒子は、重合体、共重合体、デンドリマー、ダイアモンドナノ粒子、ポリスチレンナノ粒子または金属を含む。例えば、粒子は、ダイアモンド、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ酸無水物、またはヒドロキシカルボン酸とジカルボン酸の共重合体、および生体適合性金属から構成されていてもよい。ある実施形態において、粒子は、直鎖状もしくは分枝状、置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、線状もしくは架橋アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリールもしくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、または直鎖状もしくは分枝状、置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、線状もしくは架橋アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリールもしくはアルコキシジカルボン酸のポリ酸無水物から構成されていてもよい。また、粒子は、量子ドット、または量子ドットポリスチレン粒子(Joumaaら、(2006年)Langmuir 22: 1810~6頁)などの量子ドットから構成されるものであり得る。エステルと無水物結合の混合物(例えば、グリコール酸とセバシン酸の共重合体)を含む粒子も採用できる。例えば、粒子は、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリセバシン酸重合体(PSA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、[rho]oly(乳酸・セバシン酸)共重合体(PLSA)、ポリ(グリコール酸・セバシン酸)共重合体(PGSA)、硫酸ポリプロピレン重合体、ポリ(カプロラクトン)(PLC)、キトサン、多糖、糖、ヒアルロン酸、1つまたは複数の脂質、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロデキストリン等を含む材料を含んでいてもよい。
【0033】
[0038] 限定することなく、カプロラクトン、カーボネート、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレートおよび分解性ウレタンの重合体または共重合体、ならびにこれらと直鎖状もしくは分枝状、置換もしくは無置換のアルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、または芳香族ヒドロキシもしくはジカルボン酸との共重合体を含む生体適合性の生分解性重合体を使用して負帯電粒子を形成することもできる。また、反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸、例えば、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシンおよびシステイン、またはそれらの光学異性体を上記材料のいずれかとともに含めることができる。ある実施形態において、粒子は、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(ガンマグルタミン酸)またはポリ(グルタミン酸)などのアスパラギン酸またはグルタミン酸の重合体を含む。本開示に好適な生分解性材料としては、PLA、PGA、硫酸ポリプロピレンおよびPLGA重合体、ならびに鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、金(Au)または銀(Ag)などの金属が挙げられる。生体適合性を有する非生分解性材料を本明細書に記載の粒子に使用することもできる。例えば、アクリレート、エチレン-酢酸ビニル、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、酸化エチレン、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(Dupont、デラウエア州Wilmington)およびナイロンの非生分解性重合体を採用することができる。本明細書に用いられている「生分解性」とは、例えば、官能基が溶液中の水と反応することにより、分解し得る重合体を含む粒子を指す。本明細書に用いられている「分解」という用語は、分子量の低減または疎水性基の親水性基への変換のいずれかにより可溶性になることを指す。生分解性粒子は、体内に長時間存続せず、完全に分解する時間を制御できる。
【0034】
[0039] ある実施形態において、本開示の負帯電粒子は、哺乳動物の体内で生分解可能である。ある実施形態において、本開示の粒子は、ヒトの体内で生分解可能である。ある実施形態において、本開示の粒子は、水の存在下で加水分解して、安全な副産物を生成する。ある実施形態において、本開示の粒子は、生体内で加水分解して、安全な副産物を生成する。
【0035】
[0040] ある実施形態において、粒子は、PGA、PLG、PLA、ポリスチレン、PLGA、PEG、キトサン、脂質、糖、ヒアルロン酸、PCL、ダイアモンド、Fe、Zn、Cd、AuまたはAgから選択される1つまたは複数を含む。
【0036】
[0041] ある実施形態において、粒子は、PGA、PLA、ポリスチレンまたはPLGAを含む。ある実施形態において、粒子は、PGA、PLAまたはPLGAを含む。
【0037】
[0042] 特定の実施形態において、粒子は、PLGAを含む。PLGAは安全であり、本質的にヒトの体内で生分解可能である。PLGAは、水の存在下でエステル結合の加水分解し、本明細書に開示されている粒子の想定される投与量ではともに安全である乳酸およびグリコール酸を生成することができる。
【0038】
[0043] ある実施形態において、負帯電粒子は、2つの単量体のモル比が、約99:1から約1:99まで、例えば、約99:1、約95:5、約90:10、約85:15、約80:20、約75:25、約70:30、約65:35、約60:40、約55:45、約50:50、約45:55、約40:60、約35:65、約30:70、約25:75、約20:80、約15:85、約10:90、約5:95および約1:99の範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲の共重合体である。ある実施形態において、粒子は、2つの単量体のモル比が約50:50から約99:1まで、約60:40から約95:5まで、約70:30から約90:10まで、もしくはその中のいずれかの値の範囲、またはその中のいずれかの部分範囲の共重合体である。
【0039】
[0044] ある実施形態において、ポリ乳酸:ポリグリコール酸のモル比が、約99:1、約95:5、約90:10、約85:15、約80:20、約75:25、約70:30、約65:35、約60:40、約55:45、約50:50、約45:55、約40:60、約35:65、約30:70、約25:75、約20:80、約15:85、約10:90、約5:95、約1:99、ならびにこれらの値の間にあるすべての値および範囲を含む約99:1から約1:99までの範囲のPLGAを含む。ある実施形態において、粒子は、ポリグリコール酸:ポリ乳酸のモル比が約50:50から約90:10まで、約50:50から約80:20まで、約10:90から約50:50まで、約20:80から約50:50まで、またはその中のいずれかの値もしくはその中のいずれかの部分範囲を含む約10:90から約90:10までの範囲のPLGA(PLGとPLAの共重合体)である。特定の実施形態において、粒子は、ポリ乳酸:ポリグリコール酸を50:50で含む。ある実施形態において、粒子は、ポリ乳酸:ポリグリコール酸のモル比が50:50のPLGAである。
【0040】
[0045] 本開示の粒子は、当該技術分野で公知の任意の手段によって製造できる。粒子を製造する例示的な方法としては、マイクロエマルジョン重合、界面重合、沈殿重合、エマルジョン蒸発、エマルジョン拡散、溶媒置換、および塩析(Astete and Sabliov、J. Biomater. Sci. Polymer Edn.、17: 247~289(2006年))が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で想定される粒子の作製方法は、米国特許第9,616,113号およびWO/2017/143346に開示されている。それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている米国第2015/0010631号および米国第2015/0174155号をも参照されたい。
【0041】
[0046] PLGA粒子の製造工程の操作により、粒子特性(例えば、サイズ、サイズ分布、ゼータ電位、形態、疎水性/親水性、ポリペプチドの取り込み等)を制御できる。粒子のサイズは、限定することなく、重合体、例えばPLGAの濃度、粒子の製造に使用する溶媒、有機相の性質、製造に使用する界面活性剤、連続および不連続相の粘度、使用する溶媒の性質、使用する水の温度、超音波処理、蒸発速度、添加剤、剪断応力、滅菌、および任意の封入抗原またはポリペプチドの性質を含む多くの要因に影響される。
【0042】
[0047] 粒子は、界面活性剤をさらに含んでいてもよいことが想定される。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性であり得る。界面活性剤は、疎水性または親水性であり得る。粒子合成では、ポロクサマーおよびポロキサミン系の界面活性剤が広く使用されている。使用できる界面活性剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、プルロニックL-63、メチルセルロース、レシチン、DMAB、PEMA、またはそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。また、限定することなく、ビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート)およびアミノ酸の重合体(例えば、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシンおよびシステイン、またはそれらの光学異性体)を含む生分解性および生体適合性界面活性剤。ある実施形態において、プロセス界面活性剤は、ポリビニルアルコールもしくはポリアクリル酸、またはそれらの組合せから選択される。特定の実施形態において、2つの界面活性剤が使用される。例えば、粒子がダブルエマルジョン法によって生成される場合は、2つの界面活性剤が、第1のエマルジョンに対する疎水性界面活性剤、および第2のエマルジョンに対する疎水性界面活性剤を含むことができる。ある実施形態において、ナノ沈殿、共沈殿、不活性ガス濃縮、スパッタリング、マイクロエマルジョン、ゾルゲル法、交互積層法またはイオン性ゲル化法によって製造される。ナノ粒子を製造するためのいくつかの方法が、文献に記載されており、参照により本明細書に組み込まれている9、10
【0043】
[0048] ある実施形態において、本開示の粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、粒子のゼータ電位は、約-100mVから約-1mVまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲にある。ある実施形態において、粒子のゼータ電位は、約-80mVから約-30mVまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲にある。ある実施形態において、粒子のゼータ電位は、約-100mVから約-40mVまで、約-80mVから約-30mVまで、約-75mVから約-40mVまで、約-70mVから約-30mVまで、約-60mVから約-45mVまで、約-60mVから約-35mVまで、約-50mVから約-40mVまで、約-55mVから約-30mVまで、約-50mVから約-35mVまでであって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む。様々な実施形態において、ゼータ電位は、約-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mVまたは-100mVであって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む。
【0044】
[0049] ある実施形態において、粒子は、約0.05μmから約15μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.1μmから約10μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.2μmから約2μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.3μmから約5μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.3μmから約3μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.3μmから約1μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.3μmから約0.8μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約0.5μmから約1μmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約100nmから約1500nmまで、約200nmから約2000nmまで、約100nmから約1000nmまで、約300nmから約1000nmまで、約300nmから約900nmまで、約350nmから約850nmまで、約350nmから約850nmまで、約350nmから約750nmまで、約375nmから約825nmまで、約400nmから約800nmまで、または約200nmから約700nmまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nmまたは2000nmであって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む平均または中間径を有する。ある実施形態において、粒子は、約300nmから約800nmまでの範囲の平均または中間径を有する。
【0045】
[0050] ある実施形態において、粒子を形成するのに使用される重合体(例えばPLGA)は、約500から約1,000,000Daまで、例えば500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1,000Da、2,000Da、3,000Da、4,000Da、5,000Da、6,000Da、7,000Da、8,000Da、9,000Da、10,000Da、11,000Da、12,000Da、13,000Da、14,000Da、15,000Da、16,000Da、17,000Da、18,000Da、19,000Da、20,000Da、21,000Da、22,000Da、23,000Da、24,000Da、25,000Da、26,000Da、27,000Da、28,000Da、29,000Da、30,000Da、31,000Da、32,000Da、33,000Da、34,000Da、35,000Da、36,000Da、37,000Da、38,000Da、39,000Da、40,000Da、41,000Da、42,000Da、43,000Da、44,000Da、45,000Da、46,000Da、47,000Da、48,000Da、49,000Da、50,000Da、51,000Da、52,000Da、53,000Da、54,000Da、55,000Da、56,000Da、57,000Da、58,000Da、59,000Da、60,000Da、61,000Da、62,000Da、63,000Da、64,000Da、65,000Da、66,000Da、67,000Da、68,000Da、69,000Da、70,000Da、71,000Da、72,000Da、73,000Da、74,000Da、75,000Da、76,000Da、77,000Da、78,000Da、79,000Da、80,000Da、81,000Da、82,000Da、83,000Da、84,000Da、85,000Da、86,000Da、87,000Da、88,000Da、89,000Da、90,000Da、91,000Da、92,000Da、93,000Da、94,000Da、95,000Da、96,000Da、97,000Da、98,000Da、99,000Daまたは100,000Daの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む範囲の分子量を有する。
【0046】
[0051] ある実施形態において、粒子は、(i)生分解性重合体(例えばPGA、PLAまたはPLGA)、(ii)-100mVから-30mVまでの(例えば、-100mV、-90mV、-80mV、-70mV、-60mV、-50mV、-40mV、-30mVであって、これらの値の間にあるすべての値および部分範囲を含む)範囲のゼータ電位、および(iii)約0.3μmから約5μmまでの範囲(例えば0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1.0μm、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2.0μm、2.1μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm、2.9μm、3.0μm、3.1μm、3.2μm、3.3μm、3.4μm、3.5μm、3.6μm、3.7μm、3.8μm、3.9μm、4.0μm、4.1μm、4.2μm、4.3μm、4.4μm、4.5μm、4.6μm、4.7μm、4.8μm、4.9μmまたは約5.0μm)の平均粒径を含む。
【0047】
[0052] 粒子のサイズは、重合体濃度に影響され得る。概して、重合体濃度が高いとより大きな粒子が形成される。例えば、プロピレンカーボネート溶媒を使用する場合は、PLGA濃度が1%から4%(w/v)に上昇すると、中間粒子サイズが約205nmから約290nmに増大し得る。あるいは、酢酸エチルおよび5%プルロニックF-127中では、PLGA濃度が1%から5%(w/v)に上昇すると、中間粒子サイズが120nmから230nmに増大する。
【0048】
[0053] 連続および不連続相の粘度は、より小さい粒子を形成する上での要の工程である拡散プロセスに影響を与える重要なパラメータでもある。分散相の粘度の上昇に伴って粒子のサイズが大きくなるのに対して、粘性連続相の拡大に伴って粒子のサイズが小さくなる。概して、水性溶媒に対する有機溶媒の相比が低くなるほど、粒子サイズが小さくなる。
【0049】
[0054] ホモジナイザの速度および撹拌も粒子サイズに影響する。概して、速度が大きくなり撹拌が強くなると、粒子サイズが小さくなるが、速度および撹拌がさらに増大しても粒子サイズが小さくならないポイントがある。高圧ホモジナイザを用いてエマルジョンをホモジナイズすると、単に高速に撹き混ぜた場合と比較して、サイズの低減に好ましい影響がもたらされる。例えば、5%PVAの相割当量が20%であると、撹き混ぜ撹拌による中間粒子サイズが288nmであり、(300バールの高圧)ホモジナイズによる中間粒子サイズが231nmである。
【0050】
[0055] 溶媒の拡散を向上させるために添加される水の温度を変更することによって粒子サイズの低減を達成することもできる。概して、中間粒子サイズは、水の温度の上昇に伴って小さくなる。
【0051】
[0056] PLGAの分子質量も最終的な中間粒子サイズに影響し得る。概して、分子質量が大きくなると、中間粒子サイズが大きくなる。例えば、PLGAの組成および分子質量が(例えば、50:50のPLGAでは12から48kDa、75:25PLGAでは12から98kDaに)変化すると、中間粒子サイズが(それぞれ約102nmから154nm、約132nmから152nmに)変化する。粒子が同じ分子質量であっても、それらの組成が平均粒子サイズに影響し、例えば、50:50の比率の粒子は、一般に、75:25の比率の粒子より小さい粒子を形成し得る。重合体の末端基も粒子サイズに影響する。例えば、エステル末端基で調製された粒子は、平均サイズが740nm(PI=0.394)の粒子を形成するのに対して、酸PLGA末端基での中間サイズは240nm(PI=0.225)である。
【0052】
[0057] 使用される溶媒も粒子サイズに影響し得る。概して、溶液の表面張力を低減する溶媒は、粒子サイズを低減する。負帯電粒子の調製時に、真空下での蒸発により有機溶媒を除去して、重合体およびポリペプチドの損傷を回避するとともに、最終的な粒子サイズの低減を促進することができる。概して、真空下での有機溶媒の蒸発は、より小さな粒子を形成する上でより効率的である。例えば、真空下での蒸発は、通常速度の蒸発によりもたらされる中間粒子サイズと比較しておよそ30%小さな中間粒子サイズをもたらす。本開示の粒子の生成に使用できる有機溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレンカーボネートおよびベンジルアルコールが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の粒子の生成に使用できる他の溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、および塩素系のメンバー、塩化メチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
[0058] ある実施形態において、粒子の負電荷は、粒子の表面にカルボキシル基が存在することによって達成される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のカルボキシル基が粒子の表面上に結合している。カルボキシル化により、そうでなければ中性の粒子上に負電荷を生成する、または負帯電粒子の負電荷を増加することができる。ある実施形態において、粒子のカルボキシル化は、限定することなく、ポリ(エチレン・マレイン酸無水物)(PEMA)、ポリアクリル酸(PAA)、ヒアルロン酸、ポリアミノ酸を含む、カルボキシル基を添加する任意の化合物を使用して達成できる。理論に縛られるものではないが、カルボキシル化により負帯電表面が生成され、この負電荷は、コラーゲン性(MARCO)構造単球を有するマクロファージ受容体を含む食細胞および単球による負帯電粒子の吸収を促すことによって治療反応を生じさせる。理論に縛られるものではないが、本開示の負帯電粒子は、単球およびマクロファージに発現したスカベンジャー受容体に結合することができると考えられる。本開示の負帯電粒子は、他の調節免疫プロセスに概ね影響を与えることなく、肺への炎症促進性単球の取り込みを抑制することができると考えられる。ある実施形態において、炎症促進性単球および好中球に吸収された負帯電粒子は、単球および好中球を脾臓および肝臓へとリダイレクトすることができ、そこで炎症促進性単球および好中球を隔離し、かつ/またはアポトーシスさせることができる。この単球および好中球のリダイレクトは、単球が大量の炎症促進性タンパク質を患部に放出すること、例えば肺に放出して急性呼吸窮迫症候群(ARDS)をもたらし得ること、ならびに/または肝臓、腎臓などの臓器およびCNSに放出してARDSおよびCSSに関連する多臓器不全および死亡をもたらすことを防止すると考えられる。ある実施形態において、負帯電粒子の吸収は、炎症促進性単球、好中球およびマクロファージによる。
【0054】
[0059] ウイルス感染(例えばWNV)を含む急性過剰炎症のモデルにおいて、炎症性単球は、あらゆる他の細胞型と比較して有意に多くの負帯電粒子を吸収することが見いだされた。急性炎症時の負帯電粒子による処置により、炎症性単球が肝臓および脾臓で隔離された。例えば、負帯電粒子が標識されたFITC(フルオレセインイソチオシアネート)で処置されたWNV感染マウスの脾臓は、中性粒子(負に帯電していない)またはビヒクル対照で処置されたものと比較して有意に多くの炎症性単球を有しており、これらのWNV感染マウスにおける末梢血液中の循環炎症性単球の減少に対応していた。その結果、脳内に浸潤する炎症性単球が減少して、炎症の消散がもたらされた。さらに、感染後6日目にWNV感染マウスの骨髄からLy6Chi単球を選別し、PKH26を標識し、感染後6日目に偽感染またはWNV感染レシピエントに移し、その直後に負帯電粒子、中性粒子またはビヒクルのみを注射した。偽感染およびWNV感染マウスにおけるPKH26標識細胞の脾臓内への移動を観察したが、負帯電粒子処置では、WNV感染マウスの脾臓におけるLy6chi単球の蓄積が有意に大きかった。これらの試験によるデータは、注入された負帯電粒子が炎症性単球に吸収され、脾臓に送られると、炎症部位に移動する血液中の炎症性単球の数が減少することを示唆するものである。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国第9,913,883号およびGettsら(Sci. Trans. Med、2014年)を参照されたい。
【0055】
[0060] 別の試験において、MARCOは、WNV感染マウスの脾臓から単離されたLy6Chi/CD11b+/CD11c-ФIMの上方制御が見られたが、偽感染マウスでは見られなかった。チオグリコール酸を使用して腹膜炎症を誘導したWTマウスにおける負帯電粒子処置注入により、腹膜におけるLy6Chi/CD11b+ФIMの減少がもたらされた。しかし、同じくチオグリコール酸で誘導したMARCO-/-(MARCO欠乏)マウスでは、Ly6Chi/CD11bマクロファージが減少しておらず、負帯電粒子の吸収および有効性におけるMARCOの役割について直接示唆するものであった。興味深いことに、負帯電粒子は、負帯電粒子の注入の2時間後に、WTマウスの脾臓において、アポトーシスマーカー、アネキシンVおよびカスパーゼ-3陽性炎症性単球の数を有意に増加させたが、MARCO-/-マウスにおいては増加させなかった。このデータは、負帯電粒子が、MARCOスカベンジャー受容体を介して吸収されて、下流のシグナル伝達経路を媒介することで、炎症性単球の移動、蓄積およびその後の脾臓でのアポトーシスをもたらし得る可能性が高いことを示唆するものである。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国第9,913,883号を参照されたい。
【0056】
[0061] したがって、これらの試験は、本明細書に記載の負帯電粒子が炎症性骨髄由来細胞(例えば単球)に吸収され、CSSおよび/またはARDSに罹患している患者の処置に有用であることを示している。
【0057】
[0062] いくつかの実施形態において、主題の粒子の負帯電は、標的化剤の添加によって達成される。いくつかの実施形態において、標的化剤は、ペプチド、ポリペプチド、抗体、炭水化物、核酸、脂質、小分子および界面活性剤を含む。
【0058】
[0063] ある実施形態において、負帯電粒子は、単球、好中球、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、NK T細胞、線維芽細胞、内皮細胞、含脂肪細胞、周皮細胞、内皮、血管系、リンパ管、間葉系間質細胞、間葉系幹細胞、および/または細胞外基質を優先的に標的とする。
【0059】
[0064] ある実施形態において、負帯電粒子は、単球、好中球およびマクロファージを標的とする(に吸収される)。ある実施形態において、負帯電粒子は、炎症促進性単球、好中球およびマクロファージを標的とする。ある実施形態において、負帯電粒子は、ウイルス感染、細菌感染、組織傷害、病原体、免疫指向性療法(例えば、CAR-T、抗体およびサイトカイン)、自己免疫性およびリウマチ性状態(例えば関節炎および狼瘡)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、日和見感染、肺挫傷、外傷、化学物質、微粒子または他の刺激物質による気道傷害、胃内容物の誤嚥、および溺水により誘発されるCSSおよびARDS時の免疫シグナル伝達によって取り込まれる炎症促進性単球、好中球およびマクロファージを標的とする。間接的肺傷害に起因するARDSの例としては、出血性ショック、膵臓炎、重度の火傷、薬物過剰摂取、血液製剤の輸血、心肺バイパス、敗血症および再かん流傷害が挙げられる。ある実施形態において、負帯電粒子は、活性化され、呼吸器感染に反応して病理学的過剰炎症に寄与する炎症促進性単球、好中球およびマクロファージを標的とする。
【0060】
[0065] ある実施形態において、負帯電粒子は、別の治療有効薬剤を含まない(例えば、唯一の治療有効薬剤が負帯電粒子自体である)。ある実施形態において、負帯電粒子は、別の治療有効薬剤を有さない(すなわち含まない)。
【0061】
負帯電粒子を含む組成物
[0066] ヒトまたは他の哺乳動物に本明細書に記載の粒子を投与するために、粒子は、
【0062】
[0067] 1つまたは複数の医薬として許容し得る担体を含む組成物に配合されてもよい。「医薬として、または薬理学的に許容し得る」という語句は、以下の記載される、当該技術分野で周知の経路を用いて投与された場合にアレルギー反応または他の有害な反応を生じない分子実体および組成物を指す。「医薬として許容し得る担体」としては、任意およびすべての臨床的に有用な溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤等が挙げられる。ある実施形態において、本明細書に開示されている粒子を含む組成物は、無菌組成物である。
【0063】
[0068] 本明細書に開示されている粒子を含む本開示の医薬組成物は、投与の経路に応じて医薬として許容し得る担体または添加物を含んでいてもよい。医薬組成物は、経口投与、経鼻投与、経皮投与、経肺投与、吸入投与、口腔投与、舌下投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、直腸内投与、胸膜内投与、鞘内投与、門脈内投与または非経口投与に好適であり得る。ある実施形態において、本明細書に開示されている負帯電粒子を含む医薬組成物は静脈内投与用である。ある実施形態において、医薬組成物は注射用溶液である。ある実施形態において、医薬組成物は、静脈内投与用の即使用可能配合物である。ある実施形態において、医薬組成物は固形配合物である。ある実施形態において、医薬組成物は、使用に際して復元される凍結乾燥組成物である。
【0064】
[0069] ある実施形態において、医薬として許容し得る担体または添加物は、結着剤、滑剤、不活性希釈剤、抗凍結剤、緩衝剤、香料、防腐剤、崩壊剤、または分散剤の1つまたは複数から選択される。
【0065】
[0070] 当該担体または添加剤の非限定的な例としては、水、医薬として許容し得る有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニル重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬として許容し得る界面活性剤等が挙げられる。使用される添加剤は、本開示の剤形に応じて、限定することなく、上述のものまたはそれらの組合せから適宜選択される。溶液またはエマルジョンについては、好適な担体としては、例えば、食塩水および緩衝媒体を含む水溶液またはアルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは固定油を挙げることができる。静脈内ビヒクルとしては、様々な添加剤、防腐剤、または流体、栄養もしくは電解質補給物を挙げることができる。多種多様な水性担体、例えば、無菌リン酸緩衝食塩水、静菌水、水、緩衝水、0.4%食塩水および0.3%グリシン等が好適であり、軽度の化学修飾等が施された安定性向上のための他のタンパク質、例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等を含むことができる。
【0066】
[0071] 所望の純度を有する粒子を任意選択の生理的に許容し得る担体、賦形剤または安定剤と混合することにより、保存用に粒子を含む医薬組成物を調製することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編(1980年)参照)。ある実施形態において、粒子を含む医薬組成物は、凍結乾燥配合物または水溶液の形態である。許容し得る担体、賦形剤または安定剤は、採用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム二水和物)、コハク酸塩および他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズエトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール)、(10残基未満の)低分子量ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンもしくはイムノグロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成性対イオン、または金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体)を含む。ある実施形態において、糖を抗凍結剤として使用することができる。
【0067】
[0072] 粒子の調製物を凍結乾燥によって安定化させることができる。トレハロース、スクロースおよび/またはマンニトール(例えばD-マンニトール)などの抗凍結剤を添加することにより、凍結乾燥による粒子の凝集を低下させることができる。ある実施形態において、本明細書に開示されている粒子を含む凍結乾燥組成物は、1つまたは複数の抗凍結剤および緩衝剤をも含む。
【0068】
[0073] 任意の好適な凍結乾燥技術および復元技術を採用することができる。粒子を含む凍結乾燥組成物を静脈内注射用無菌注射液で復元することができる。ある実施形態において、医薬組成物は、無菌注射液に凍結乾燥粒子を含む。ある実施形態において、医薬組成物は、注射用無菌水に凍結乾燥粒子を含む。
【0069】
[0074] ある実施形態において、本開示の組成物は、キットの形態であり得る。ある実施形態において、キットは、負帯電粒子を含む固形組成物、および注射に好適な溶液を含む個別組成物を含む。注射に好適な溶液は無菌液である。ある実施形態において、注射用無菌液は、水、グルコース溶液、デキストロース溶液、スクロース溶液および食塩水から選択される。ある実施形態において、キットは、負帯電粒子を含む凍結乾燥組成物、および注射に好適な溶液を含む個別組成物を含む。
【0070】
[0075] 本明細書に開示されているキットのいずれか1つにおいて、キットは、シリンジ、フィルター、および/または使用説明書をさらに含むことができる。
【0071】
負帯電粒子の治療上の使用
[0076] 本開示は、サイトカインストーム症候群(CSS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための本明細書に開示されている負帯電粒子の使用に関する。ある実施形態において、負帯電粒子は、CSSおよびARDSの症状を治療するのに有用である。CSSおよびARDSは、重篤な全身性炎症、多臓器不全、さらには死をもたらす、一連の炎症事象によって引き起こされる重度の臨床状態である。CSSおよびARDSは、無制御のフィードフォワード免疫活性化および増幅をもたらす炎症促進性骨髄由来細胞(例えば、単球、好中球およびマクロファージ)の無秩序の活性化および増加ならびに過剰な炎症促進性メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカインおよび他のタンパク質)の生成による病理学的過剰炎症によって引き起こされる。この無秩序の炎症性免疫反応は、全身性炎症を生じさせて、多臓器不全、さらには死をもたらす。
【0072】
[0077] 一態様において、負帯電粒子は、スカベンジャー機構により食細胞(例えば、単球、好中球およびマクロファージ)に吸収されることが推定される。いずれの理論にも縛られるものではないが、負帯電粒子が炎症促進性単球、マクロファージおよび好中球に吸収されると、粒子は、細胞を脾臓または肝臓へとリダイレクトすることができ、そこでそれらを隔離し、かつ/またはアポトーシスさせることができる。ある実施形態において、本開示の粒子は、炎症促進性単球、好中球およびマクロファージをリダイレクトする。ある実施形態において、本開示の粒子は、炎症促進性単球をリダイレクトする。ある実施形態において、本開示の粒子は、炎症促進性好中球をリダイレクトする。ある実施形態において、本開示の粒子は、炎症促進性単球、好中球を肺からリダイレクトする。ある実施形態において、炎症促進性単球および好中球を炎症部位(例えば肺)からリダイレクトすることにより、CSSおよびARDSに発展し得る炎症性タンパク質の放出を防止または緩和することができる。ある実施形態において、炎症促進性単球、マクロファージおよび好中球を炎症部位からリダイレクトすることにより、ARDSに進行し得るCSSまたはCSSに進行し得るARDSを防止または緩和することができる。ある実施形態において、本開示の負帯電粒子は、他の調節性免疫プロセスに概ね影響または混乱を及ぼすことなく、炎症促進性単球、好中球およびマクロファージの炎症部位への取り込みを抑制することができる。ある実施形態において、本開示の負帯電粒子は、広範な免疫抑制を引き起こさない。
【0073】
[0078] ある実施形態において、本開示の粒子は、単球、好中球およびマクロファージに吸収される。ある実施形態において、粒子の吸収は、単球、好中球およびマクロファージの再プログラム化をもたらす。ある実施形態において、粒子の吸収は、単球、好中球およびマクロファージの炎症促進型から抗炎症型への再プログラム化をもたらす。ある実施形態において、粒子の吸収は、単球およびマクロファージの炎症促進M1型から抗炎症M2型への再プログラム化をもたらす。ある実施形態において、粒子の吸収は、好中球の炎症N1型から抗炎症N2型への再プログラム化をもたらす。
【0074】
[0079] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSに罹患している対象は、ウイルス感染症、細菌感染症、敗血症、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度炎症反応症候群(SIRS)、高サイトカイン血症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、全身性若年性特発性関節炎関連マクロファージ活性化症候群(全身性JIA-MAS)、非全身性JIA-MAS、NLRC4-MAS、全身性JIA、悪性腫瘍随伴過剰炎症(MASH)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、家族性血球貪食性リンパ組織症(FHLH)、エプスタイン・バーウイルス随伴血球貪食性リンパ組織症(EBV-HLH)、外傷、成人スティル病、全身性エリテマトーデス、川崎病、またはそれらの組合せに罹患している。
【0075】
[0080] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、肺傷害の結果である。ある実施形態において、肺傷害は、直接的肺傷害または間接的肺傷害である。直接的肺傷害に起因するCSSおよび/またはARDSの非限定的な例としては、細菌、ウイルス、真菌または日和見感染、肺挫傷、外傷、化学物質、微粒子または他の刺激物質による気道傷害、胃内容物の誤嚥および溺水による肺炎が挙げられる。間接的肺傷害に起因するCSSおよび/またはARDSの非限定的な例としては、出血性ショック、膵臓炎、重度の火傷、薬物過剰摂取、血液製剤の輸血、心肺バイパス、敗血症および再かん流傷害が挙げられる。ある実施形態において、肺傷害は、敗血症、肺炎、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、日和見感染、肺挫傷、外傷、化学物質、微粒子または他の刺激物質による気道傷害、胃内容物の誤嚥、溺水、出血性ショック、膵臓炎、重度の火傷、薬物過剰摂取、血液製剤の輸血、心肺バイパス、および再かん流傷害の結果である。
【0076】
[0081] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、肺炎、肺炎症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、日和見感染、敗血症、胃内容物の誤嚥、外傷、火傷、膵臓炎、肺挫傷、出血性ショック、溺水、輸血、気道傷害、またはそれらの組合せの結果である。
【0077】
[0082] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、ウイルス感染または細菌感染の結果である。患者におけるウイルスまたは細菌感染に起因するCSSおよび/またはARDSは、感染自体によるものでなく、感染に対する病理学的過剰炎症反応によるものであるため、CSSまたはARDSは、感染に反応する過剰炎症を発症させる患者においてのみ発症する。呼吸器感染の場合は、単球および関連免疫細胞が肺を占拠して大量の炎症促進性タンパク質が放出されるときに患者にCSSおよび/またはARDSが発症し得る。例えば、2019年12月に発見されたSARSコロナウイルス2は、特に、糖尿病、慢性心臓血管疾患、慢性肺疾患、慢性腎疾患、がん、および/または免疫不全症を含む併発状態を有する高齢患者でCSSおよび/またはARDSを発症するリスクがより大きいことが実証された。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSは、ウイルス感染の結果である。
【0078】
[0083] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、ARDSは、DNAウイルス、RNAウイルスおよび/またはレトロウイルスによって引き起こされるウイルス感染の結果である。ある実施形態において、DNAウイルスは、一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスは、二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルス、または環状ssRNAウイルスである。
【0079】
[0084] ある実施形態において、ssDNAウイルスは、アネロウイルス、サーコウイルス、ゲノモウイルスまたはパルボウイルスから選択される。ある実施形態において、アネロウイルスは、アルファトルクウイルス、ベータトルクウイルスまたはガンマトルクウイルスである。ある実施形態において、サーコウイルスはシクロウイルスである。ある実施形態において、ゲノモウイルスは、ゲミサークラウイルス、ゲミキビウイルスまたはゲミボングウイルスである。ある実施形態において、パルボウイルスは、エリスロウイルス、デペンドウイルスまたはボカウイルスである。ある実施形態において、dsDNAウイルスは、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルスまたはポックスウイルスから選択される。ある実施形態において、ヘルペスウイルスは、シンプレックスウイルス、Vエリセロウイルス、Vイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、リンホクリプトウイルスまたはラジノウイルスである。ある実施形態において、アデノウイルスは、マストアデノウイルスである。ある実施形態において、パピローマウイルスは、アルファパピローマウイルス、ベータパピローマウイルス、ガンマパピローマウイルス、ミューパピローマウイルスまたはヌパピローマウイルスである。ある実施形態において、ポリオーマウイルスは、アルファポリオーマウイルス、ベータポリオーマウイルス、ガンマポリオーマウイルスまたはデルタポリオーマウイルスである。ある実施形態において、ポックスウイルスは、モルシポックスウイルス、オルトポックスウイルスまたはパラポックスウイルスである。
【0080】
[0085] ある実施形態において、レトロウイルスは、ヘパドナウイルス、オルトヘパドナウイルス、ガンマレトロウイルス、デルタレトロウイルス、レンチウイルスまたはシムリスプルナウイルスである。ある実施形態において、dSRNAウイルスは、ピコビルナウイルスまたはレオウイルスである。ある実施形態において、レオウイルスは、ボルチウイルス、ロタウイルスまたはセアドーマウイルスである。
【0081】
[0086] ある実施形態において、ssRNA(+)ウイルスは、コロナウイルス、アストロウイルス、カリシウイルス、フラビウイルス、ヘペウイルス、マトナウイルス、ピコルナウイルスまたはトガウイルスである。ある実施形態において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルスまたはトロウイルスである。ある実施形態において、アストロウイルスはママストロウイルスである。ある実施形態において、カリシウイルスは、ノロウイルスまたはサポウイルスである。ある実施形態において、フラビウイルスハ、ヘパシウイルスまたはペギウイルスである。ある実施形態において、ヘペウイルスはオルトヘペウイルスである。ある実施形態において、マトナウイルスはルビウイルスである。ある実施形態において、ピコルナウイルスは、カルジオウイルス、コサウイルス、エンテロウイルス、ヘパトウイルス、コブウイルス、パレコウイルス、ロザウイルスまたはサリウイルスである。トガウイルスはアルファウイルスである。ある実施形態において、ssRNA(-)ウイルスは、フィロウイルス、パラミクソウイルス、ニューモウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、ヘンタウイルス、ナイロウイルス、ペリブニアウイルス、フェヌウイルスまたはオルトミクソウイルスである。ある実施形態において、フィロウイルスは、エボラウイルスまたはマールブルグウイルスである。ある実施形態において、パラミクソウイルスは、ヘニパウイルス、モルビリウイルス、レピロウイルスまたはルブラウイルスである。ある実施形態において、ニューモウイルスは、メタニューモウイルスまたはオルトニューモウイルスである。ある実施形態において、ラブドウイルスは、レダンテウイルス、リッサウイルスまたはベシクロウイルスである。ある実施形態において、アレナウイルスはマンマレナウイルスである。ある実施形態において、ハンタウイルスはオルトハンタウイルスである。ある実施形態において、ナイロウイルスはオルトナイロウイルスである。ある実施形態において、ペリブニアウイルスはオルトブニアウイルスである。ある実施形態において、フェヌウイルスはフレボウイルスである。ある実施形態において、オルトミクソウイルスは、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、ガンマインフルエンザウイルス、クアランジャウイルスまたはソゴトウイルスである。
【0082】
[0087] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、呼吸器系ウイルスによって引き起こされるウイルス感染の結果である。ある実施形態において、ウイルス感染は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスまたはジカウイルスから選択されるウイルスによって引き起こされる。ある実施形態において、ウイルス感染はコロナウイルスである。ある実施形態において、ウイルス感染はヒトコロナウイルスである。ある実施形態において、ウイルス感染は、ヒトSARSコロナウイルスまたはSARSコロナウイルス2である。
【0083】
[0088] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、細菌感染の結果である。ある実施形態において、細菌感染は、ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコバクテリア、バシラス、サルモネラ、ビブリオ、スピロヘータ、ナイセリア、双球菌、シュードモナス、クロストリジウム、トレポネーマ、スピリルム、またはそれらの組合せによるものである。
【0084】
[0089] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象は、1つまたは複数の免疫標的療法によるCRSおよび/またはARDSに罹患している。ある実施形態において、免疫標的療法は、抗体、タンパク質療法、ペプチド、サイトカイン、免疫シグナル伝達モジュレーター、mRNA、腫瘍溶解性ウイルスまたは細胞ベースの療法である。
【0085】
[0090] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象は、1つまたは複数の抗体療法によるCSSおよび/またはARDSに罹患している。ある実施形態において、抗体療法に使用される抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体または二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である。ある実施形態において、抗体療法に使用される抗体は、CD2、CD3、CD20、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD137、OX-40、GITR、LIGHT、DR3、SLAM、ICOS、LILRB2、LILRB3、LILRB4、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-12またはIL-15の1つまたは複数を標的とする。ある実施形態において、抗体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、EGFR、VEGF、VEGFR、PDGF、PDGFR、HER2/Neu、ER、PR、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、SIRP-α、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD3、CD25、CD19、CD20、CD39、CD47、CD73、FAP、IL-1β、IL-2R、IL-12、IL-15、IL-15R、IL-23、IL-33、IL-2R,IL-4Rα、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、単球および/または好中球を標的とする。
【0086】
[0091] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象は、1つまたは複数のサイトカイン療法によるCRSおよび/またはARDSに罹患している。ある実施形態において、サイトカイン療法に使用されるサイトカインは、IFN-α、INF-γ、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-15/IL-15Rα、IL-18、IL-21、GM-CSFまたはそれらの変異体から選択される。
【0087】
[0092] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象は、1つまたは複数の免疫シグナル伝達モジュレーター療法によるCRSおよび/またはARDSに罹患している。ある実施形態において、免疫シグナル伝達モジュレーターに使用される免疫シグナル伝達モジュレーターは、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、GM-CSF-R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、TLR、JAK、BTK、TYK、SYK、MAPK、PI3K、NFκB、NFAT、STATまたはキナーゼの1つまたは複数を標的とする。
【0088】
[0093] ある実施形態において、対象は、1つまたは複数の細胞ベースの療法によるCRSに罹患している。ある実施形態において、細胞ベースの療法は、同種異系、自己またはiPSC由来細胞を含む。ある実施形態において、細胞ベースの療法は、T細胞、NK細胞、赤血球、幹細胞、抗原提示細胞、マクロファージまたは樹状細胞の1つまたは複数を含む。
【0089】
[0094] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、CSSおよび/またはARDSは、ウイルス感染、細菌感染、組織傷害、病原体、免疫指向性療法(例えば、CAR-T、抗体およびサイトカイン)、自己免疫性およびリウマチ性状態(例えば関節炎および狼瘡)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、および二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、日和見感染、肺挫傷、化学物質、微粒子または他の刺激物質による気道傷害、胃内容物の誤嚥、および溺水の結果である。間接的肺傷害に起因するARDSの例としては、出血性ショック、膵臓炎、重度の火傷、薬物過剰摂取、血液製剤の輸血、心肺バイパス、敗血症および再かん流傷害が挙げられる。CSSおよび/またはARDSを誘発する事象に続いて、初期傷害の約24~48時間以内に、炎症促進サイトカインおよびケモカインを生成する常在免疫細胞を活性化させた後に炎症性単球および好中球を迅速に傷害部位に流入させることを含む強固で亢進された免疫反応を生じさせることができる。傷害部位に浸潤する末梢由来の炎症促進性単球、好中球およびマクロファージは、局所的な炎症性環境に反応し、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、IP-10、GM-CSF)、ケモカイン(例えば、CCL-2、CXCL-1、CXCL-2、MIP-1β、MCP-1およびCXCL-5)、酸化剤(例えばROS)、タンパク質(例えばc反応性タンパク質)、プロテアーゼ(例えばMMPおよびMPO)、および好中球細胞外トラップ(NET)の生成を介して炎症をさらに促進する。傷害の消散にはある程度の炎症が重要であるが、過剰かつ長期的炎症は、致死的になり得る著しい組織/臓器損傷をもたらし得る。
【0090】
[0095] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、肺における炎症性メディエーターの蓄積の低減に関する。いくつかの実施形態において、炎症性メディエーターは、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減される。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の全身および/または炎症部位(例えば肺)に存在する炎症性メディエーターのレベルの変更にも関する。
【0091】
[0096] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の循環系における炎症性メディエーターのレベルの低減にも関する。いくつかの実施形態において、炎症性メディエーターは、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減される。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の循環系および/または炎症部位における炎症性メディエーターのレベルの変更にも関する。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の炎症部位および/または循環系における炎症性メディエーターのレベルの調節にも関する。
【0092】
[0097] ある実施形態において、炎症性メディエーターは、免疫細胞、プロテアーゼ、酸化剤、酵素、エイコサノイド、リン脂質、タンパク質、サイトカイン、ケモカインおよび代謝産物を含む。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、免疫細胞、サイトカイン、ケモカイン、酸化剤、酵素、タンパク質またはプロテアーゼの1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、末梢細胞に損傷を与える、または末梢細胞死を誘導する。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、2型肺胞上皮細胞に損傷を与える、または2型肺胞上皮細胞死を誘導する。ある実施形態において、炎症性メディエーター濃度が異常に高い場合は、炎症性メディエーターの蓄積を低減する必要がある。ある実施形態において、本明細書に開示されている方法は、炎症性メディエーターの濃度を低減する。ある実施形態において、本明細書に開示されている方法は、炎症性メディエーターの濃度を正常レベルまで低減する。
【0093】
[0098] ある実施形態において、免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)、単球、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、T細胞、B細胞および/またはNK細胞である。ある実施形態において、サイトカインは、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、ケモカインは、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2(MCP-1)、CXCL3(MIP-1α)、CXCL4(MIP-1β)、CXCL5(RANTES)、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、またはCXCL17の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、プロテアーゼは、ADAM1、ADAM2、ADAM7、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM11、ADAM12、ADAM15、ADAM17、ADAM18、ADAM19、ADAAM20、ADAM21、ADAM22、ADAM23、ADAM28、ADAM29、ADAM30、ADAM33、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP18、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28、または好中球エラスターゼの1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、酵素は、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、5-リポオキシゲナーゼ(5-LOX)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)および好中球エラスターゼ(NE)の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、タンパク質はアポトーシス調節因子である。ある実施形態において、アポトーシス調節因子は、P53、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、CED-9、A1、BFL1、BAX、BAK、DIVA、BCL-XS、BIK、BIM、BAD、BIDまたはEGL-1の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、炎症性モジュレーターは好中球細胞外トラップ(NET)である。ある実施形態において、炎症性メディエーターはカテプシンGである。ある実施形態において、炎症性メディエーターはペプチジルアルギニンデアミナーゼ4(PADI-4)である。ある実施形態において、炎症性メディエーターは免疫グロブリン(Ig)である。ある実施形態において、免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgMまたはそれらの変異体の1つまたは複数から選択される。生体サンプルからアッセイすることができるヒト代謝産物の一覧を、(Psychogiosら、2011年)、(Wishartら、HMDB: ヒューマン・メタボローム・データベース.Nucleic Acids Res. 2007年1月、35(Database issue):D521~6、2007年)およびヒューマン・メタボローム・データベース(HMDB)を含む文献に見いだすことが可能であり、それらは参照により本明細書に組み込まれている。
【0094】
[0099] ある実施形態において、本明細書に開示されている方法は、サイトカインおよび/またはケモカイン炎症性メディエーターの蓄積を低減する。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、炎症促進性サイトカインまたはケモカインである。ある実施形態において、炎症促進性サイトカインおよびケモカインは、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、IP-10、GM-CSF、CCL-2、CXCL-1、CXCL-2、MIP-1β、MCP-1およびCXCL-5からなる群から選択される。ある実施形態において、炎症促進性サイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、またはTNF-αなどのTNFから選択される。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、IL-1β、IL-6、TNF、MCP-1、トロンビン、血管内皮増殖因子(VEGF)および/またはアラルミン(損傷関連分子パターン、DAMP)である。ある実施形態において、炎症性メディエーターは、BMP-15、CXCL16、CXCR3、IL-6、NOV/CCN3、グリピカン3、IGFBP-4、IL-5、IL-5Rα、IL-22BP、レプチン、MIP-1dまたはオレキシンBの1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、炎症性メディエーターはケモカインである。ある実施形態において、ケモカインは、CCL-2、CXCL-1、CXCL-2およびCXCL-5から選択される。ある実施形態において、炎症性メディエーターは酸化剤である。ある実施形態において、酸化剤は反応性酸素種(ROS)である。ある実施形態において、炎症性メディエーターはタンパク質である。ある実施形態において、タンパク質はc反応性タンパク質である。ある実施形態において、炎症性メディエーターはプロテアーゼである。ある実施形態において、炎症性メディエーターは好中球細胞外トラップ(NET)である。
【0095】
[0100] 患者における炎症性メディエーターのレベルは、患者の全血液、血清、血漿、PBMC、尿、脳脊髄液(CSF)、排泄物、組織生検および/または骨髄生検で測定できる。ある実施形態において、患者の血液、血清または血漿での炎症性メディエーターは、抗体マイクロアレイによって測定できる。Chenら、Cell Biol Toxicol(2016年)32:169~184頁を参照されたい。患者における炎症性メディエーターのレベルは、患者の気管支肺胞洗浄(BAL)においても測定できる。Grazioli S.ら、(2019年)PLos ONE14(11):e0225468を参照されたい。
【0096】
[0101] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における免疫細胞上の細胞表面タンパク質のレベルの変更にも関する。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDS患者における免疫細胞上の細胞表面タンパク質のレベルの調節にも関する。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における免疫細胞上の細胞表面タンパク質のレベルの低減にも関する。ある実施形態において、細胞表面タンパク質は、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減される。ある実施形態において、細胞表面タンパク質は、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207 CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、F、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1α、β、γ、δおよびε、H60a、H60b、H60c、GPR15およびST2の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、インテグリンは、α1、α1、α2、αIIb、α3、α4,α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、またはそれらの組合せの1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、TCRは、α、β、γ、δ、ε、ζ、またはそれらの組合せの1つまたは複数から選択される。フローサイトメトリおよびマスサイトメトリ(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするいくつかの方法が文献に記載されている。
【0097】
[0102] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよびARDSに関連する病理学的過剰炎症の治療にも関する。ある実施形態において、本開示の負帯電粒子は、広範な免疫抑制を引き起こすことなくARDS時の病理学的炎症を治療する。ある実施形態において、本開示の負帯電粒子は、CSSおよびARDSに関連する炎症、およびそれに関連する続発症を治療する。末梢の炎症性単球および好中球を細胞表面マーカーの発現によって特徴づけることができる。特異的な細胞表面マーカーの発現によって分化される異なる循環単球集団は、特異的なエフェクタ機能を果たすことが示された。炎症性単球は、ヒトにおけるCD14+CD16-表現型を示す(マウスにおけるCX3CRILo CCR2+Gr1+またはCX3CR1LoCCR2+Ly6CHi表現型)を示す。逆に、ヒトにおけるCD14LoCD16+表現型を有する単球、すなわち傷害部位に取り込まれるCX3CR1HiCCR2-Gr1-またはCX3CR1HiCCR2-Ly6CLo単球は、創傷の治癒を促進し、抗炎症性恒常性維持機能を発揮する成熟マクロファージ集団に分化する。同様に、炎症性好中球を細胞表面マーカー(例えばCD66bおよびCD63)の発現、タンパク質(例えば、ミエロペルオキシダーゼ、好中球エラスターゼ、ガスデルミン、カテプシン-Gおよびペプチジルアルギニンデアミナーゼ4(PADI-4))および好中球細胞外トラップ(NET)と呼ばれるタンパク質-DNA錯体の生成によって特徴づけることもできる。
【0098】
[0103] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、CD14+CD16-表現型を示す炎症性単球およびCD+15+CD66b+CD63+表現型を示す好中球のレベルが異常である対象に投与される。ある実施形態において、本明細書に開示されている方法は、CD14+CD16-表現型を示す炎症性単球およびCD15+CD66b+CD63+表現型を示す好中球の異常なレベルを低減または緩和する。
【0099】
[0104] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子は、炎症性好中球のレベルが異常である対象に投与される。ある実施形態において、異常なレベルの炎症性好中球は、細胞表面マーカーCD66bおよび/またはCD63を発現する。ある実施形態において、本明細書に開示されている方法は、炎症性好中球の異常なレベルを低減または緩和する。ある実施形態において、炎症性好中球は、ミエロペルオキシダーゼまたは好中球エラスターゼなどのタンパク質の生成によって特徴づけられる。ある実施形態において、炎症性好中球は、好中球細胞外トラップ(NET)と呼ばれるタンパク質-DNA錯体によって特徴づけられる。
【0100】
[0105] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDSまたはCSSの対象における炎症性単球および/または好中球の蓄積の低減にも関する。CSSおよびARDSの事例を含めて、炎症のいくつかの前臨床動物モデルおよびヒトにおいて、炎症性単球および好中球は、それらの炎症促進活性が致死的病状に関連する炎症部位に急速に浸潤および蓄積することを示している。
【0101】
[0106] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDSまたはCSSの患者における炎症性単球、マクロファージおよび好中球の再プログラム化にも関する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、炎症促進性単球およびマクロファージを抗炎症性単球およびマクロファージに再プログラム化する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、炎症促進性単球およびマクロファージをM1型から抗炎症性M2型に再プログラム化する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、単球およびマクロファージによる炎症促進性メディエーターの生成および/または分泌を低減する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、単球およびマクロファージによる炎症促進性メディエーターの生成および/または分泌を、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、単球およびマクロファージによる抗炎症性メディエーターの生成および/または分泌を増加させる。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、単球およびマクロファージによる抗炎症性メディエーターの生成および/または分泌を、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%増加させる。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、炎症促進性好中球を抗炎症成功中級に再プログラム化する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、炎症促進性好中球をN1型から抗炎症性N2型に再プログラム化する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、好中球による炎症促進性メディエーターの生成および/または分泌を低減する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、好中球による炎症促進性メディエーターの生成および/または分泌を、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減する。ある実施形態において、負帯電粒子を投与することにより、好中球による抗炎症性メディエーターの生成および/または分泌を、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%増加させる。
【0102】
[0107] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の組織、臓器および/または炎症部位における免疫細胞蓄積の調節にも関する。ある実施形態において、免疫細胞蓄積を調節することは、免疫細胞蓄積を低減することである。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の組織、臓器および/または炎症部位における免疫細胞活性化の調節(例えば低減)にも関する。ある実施形態において、免疫細胞蓄積は、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%低減される。ある実施形態において、免疫細胞は、単球、好中球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、T細胞、B細胞、NK細胞およびNKT細胞の1つまたは複数から選択される。
【0103】
[0108] 本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDS患者における免疫反応、異物反応、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、自食作用、細胞遊走、エンドサイトーシス、貪食、DNA障害反応、飲作用、密着結合調節、細胞接着、および/または細胞分化の変更にも関する。本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における免疫反応、異物反応、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、自食作用、細胞遊走、エンドサイトーシス、貪食、DNA障害反応、飲作用、密着結合調節、細胞接着、および/または細胞分化の調節にも関する。
【0104】
[0109] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDSに関連する1つまたは複数の症状の改善に関する。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSに関連する症状には、息切れ、呼吸促迫(頻呼吸)、呼吸困難、人工呼吸の必要性、筋肉疲労、全身疲労、低血圧、低血中酸素レベル(低酸素血症)、皮膚の変色、爪の変色、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、空咳、発熱、胸痛、頭痛、肺の炎症、肺の水分蓄積、無気肺、肺の亀裂若しくは水泡音、高脈拍数、目眩、精神錯乱、浮腫、肺浮腫、および/または肺胞浮腫が含まれる。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSに関連する症状には、肺炎症、無気肺、窮迫性呼吸、疲労、低血圧、発熱、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫または肺胞浮腫から選択される1つまたは複数が含まれる。
【0105】
[0110] ある実施形態において、本開示は、CSSおよび/またはARDSに関連する1つまたは複数の症状の改善に関し、該症状は、多臓器不全、脳損傷、肺損傷、肝臓損傷、腎臓損傷、心臓損傷、浮腫、脳浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、呼吸窮迫、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高トリグリセリド血症、白血球減少症、血球減少症、体重減少または炎症マーカーレベルの上昇の1つまたは複数から選択される。本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDSに関連する1つまたは複数の症状の改善に関する。ある実施形態において、ARDSに関連する症状には、息切れ、呼吸促迫(頻呼吸)、呼吸困難、人工呼吸の必要性、筋肉疲労、全身疲労、低血圧、低血中酸素レベル(低酸素血症)、皮膚の変色、爪の変色、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、空咳、発熱、胸痛、頭痛、肺の炎症、肺の水分蓄積、無気肺、肺の亀裂若しくは水泡音、高脈拍数、目眩、精神錯乱、浮腫、肺浮腫、体重減少および/または肺胞浮腫が含まれる。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSに関連する症状は、肺炎症、無気肺、窮迫性呼吸、疲労、低血圧、発熱、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫、体重減少、肺胞浮腫、またはそれらの任意の組合せから選択される1つまたは複数を含む。
【0106】
[0111] ある実施形態において、本開示は、CSSおよび/またはARDSに関連する1つまたは複数の症状の改善に関し、該症状は、発熱、疲労、四肢のむくみ、肝炎、脾腫、食欲不振、筋肉および関節痛、吐き気、嘔吐、下痢、発疹、頻呼吸、息切れ、ARDS、頻拍、咳、低血圧(低血圧症)、血球減少、発作、頭痛、倦怠感、反応性低下、錯乱、せん妄、幻覚、震え、調整失調、凝固障害、多系臓器機能障害、多臓器不全、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルの上昇、c反応性タンパク質レベルの上昇、フェリチンレベルの上昇、炎症促進性サイトカインレベルの上昇、アラニントランスアミラーゼ(ALT)レベルの上昇、アスパラギン酸トランスアミラーゼ(AST)レベルの上昇、低白血球レベル、低リンパ球レベル、低血小板レベル、低フィブリノゲンレベル、体重減少、低赤血球沈降速度(ESR)レベル、またはそれらの任意の組合せから選択される。
【0107】
[0112] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における血漿または血清ASTレベルの低減に関する。ある実施形態において、ASTレベルは、約60U/I未満、約59/UI未満、約58/UI未満、約57/UI未満、約56/UI未満、約55/UI未満、約54U/I未満、約53/UI未満、約52/UI未満、約51/UI未満、約50/UI未満、約49/UI未満、約48U/I未満、約47/UI未満、約46/UI未満、約45/UI未満、約44/UI未満、約43/UI未満、約42U/I未満、約41/UI未満、約40/UI未満、約39/UI未満、約38/UI未満、約37/UI未満、約36U/I未満、約35/UI未満、約34/UI未満、約33/UI未満、約32/UI未満、約31/UI未満、約30/UIに低減される。ある実施形態において、ASTレベルは、正常上限(ULN)以下に低減される。ある実施形態において、ASTレベルは、40U/I以下のULNに低減される。
【0108】
[0113] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における血漿または血清フィブリノゲンレベルの上昇に関する。ある実施形態において、フィブリノゲンレベルは、その中のすべての値および範囲を含めて、約100mg/dl超、約120mg/dl超、約140mg/dl超、約160mg/dl超、約180mg/dl超、約200mg/dl超、約220mg/dl超、約240mg/dl超、約260mg/dl超、約280mg/dl超、約300mg/dl超、約320mg/dl超、約340mg/dl超、約360mg/dl超、または約340mg/dl超に上昇する。ある実施形態において、フィブリノゲンレベルは、正常下限に上昇する。ある実施形態において、フィブリノゲンレベルは、正常上限に上昇する。ある実施形態において、フィブリノゲンレベルは、200mg/dlと400mg/dlの間のレベルに上昇する。
【0109】
[0114] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、患者におけるPaO2/FiO2比の向上に関する。ある実施形態において、該方法は、PaO2/FiO2比を100mmHg超に向上させる。ある実施形態において、該方法は、PaO2/FiO2比を約200mmHg超に向上させる。ある実施形態において、該方法は、PaO2/FiO2比を約250mmHg超に向上させる。ある実施形態において、該方法は、PaO2/FiO2比を約300mmHg超に向上させる。ある実施形態において、該方法は、PaO2/FiO2比を300mmHg超に向上させる。ベルリンの定義では、軽度ARDS(200mmHg<PaO2/FiO2≦300mmHg)、中度ARDS(100mmHg<PaO2/FiO2≦200mmHg)および重度ARDS(PaO2/FiO2≦100mmHg)を区別するためにPaO2/FiO2比が用いられる。Papazian、L.ら、Ann.Intensive Care(2019年)9:69を参照されたい。
【0110】
[0115] ある実施形態において、本開示は、CSSまたはARDSを有する患者における体重減少の安定化または軽減に関する。一実施形態において、患者は、CSSまたはARDS患者における体重減少を安定化または軽減するために本開示の負帯電粒子が投与される。一実施形態において、投与は、投与を行わないこと以外は同等の方法と比較して、体重減少を防止するのに有効である。一実施形態において、投与は、投与を行わないこと以外は同等の方法と比較して、体重減少を安定化させるのに有効である。一実施形態において、投与は、負帯電粒子の投与を行わないこと以外は同等の方法と比較して、体重減少を、体重減少パーセントで少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、5~10%、10~15%、5~15%、10~20%、10~25%、5~20%、10~30%、20~40%または15~35%防止するのに有効である。一実施形態において、該方法は、本開示の負帯電粒子の投与後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40または50日間体重減少を防止するのに有効である。一実施形態において、該方法は、本開示の負帯電粒子の投与後少なくとも約5~7日間、7~14日間、5~30日間、または少なくとも約5日、7日、14日、20日、30日、1か月もしくは2か月間体重減少を防止するのに有効である。体重減少のパーセンテージは、減少した体重(例えばポンド)を初期体重で除し、その結果に100を乗ずることによって求めることが可能である。
【0111】
[0116] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者が呼吸器の使用を必要とすることの防止に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDS患者の呼吸器補助の必要性の低減に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、ARDS患者の人工呼吸器の必要性の低減に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における呼吸器の使用時間の短縮に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の生命維持補助の必要性の低減に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者の生存の向上に関する。ある実施形態において、生存を、本明細書に開示されている負帯電粒子による処置を受けていないCSSおよび/またはARDSの患者と比較して、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%向上させることができる。
【0112】
[0117] ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における臓器機能の向上に関する。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSの患者に負帯電粒子を投与することにより、肺、肝臓、腎臓、脳、胃、膵臓、肝臓、血管系、眼および心臓の機能を向上させる。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における抗炎症効果の増大に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、患者の肺、肝臓、腎臓、脳、胃、膵臓、肝臓、血管系、眼および心臓における抗炎症効果の増大に関する。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における組織損傷の軽減に関する。ある実施形態において、組織損傷は、肺、肝臓、腎臓、脳、胃、膵臓、肝臓、血管系、眼および心臓の組織損傷である。ある実施形態において、本開示は、本明細書に開示されている負帯電粒子を投与することを含む、CSSおよび/またはARDS患者における免疫治癒機構の加速化に関する。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSの被験者に負帯電粒子を投与することにより、機能回復を向上させる。ある実施形態において、CSSおよび/またはARDSの被験者に負帯電粒子を投与することにより、運動機能、視覚機能、心臓血管機能、呼吸機能、腎機能および/または認知機能を向上させる。機能回復を評価するための様々な臨床採点法が、文献に開示されており、参照により本明細書に組み込まれている(グラスゴー・コーマ・スケール、拡大グラスゴー・アウトカム・スケール(Extended Glasgow Outcomes Scale)、WHOオーディナル・アウトカム・スケール(WHO Ordinal Outcomes Scale)11、認知状態の電話インタビュー(Telephone Interview for Cognitive Status)(TICS)12、ARDSのベルリン基準(Berlin Criteria for ARDS)13、ASIA脊髄損傷評価スケール(ASIA Spinal Cord Injury Assessment Scale)14、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群のHスコア15、ARDSのAPPSアウトカムスコア16、および認知機能のBIMSスケール17)。
【0113】
投与および投薬
[0118] 本開示の方法は、限定することなく、注射、経口摂取、鼻内投与、局所投与、経皮投与、非経口投与、吸入噴霧投与、膣投与または直腸投与を含む、療法を哺乳動物に直接的または間接的に導入するための任意の医学的に許容される手段を使用して実施される。本明細書に用いられている非経口という用語は、皮下、静脈内注射、筋肉内注射、関節内注射、腹腔内注射、鞘内注射および嚢内注射、ならびにカテーテルまたは注入技術を含む。様々な実施形態において、粒子は静脈内投与されるが、限定することなく、皮内、皮下、皮膚上、経口、関節内および鞘内などの他の投与経路を介して投与されてもよい。本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、対象はヒトである。
【0114】
[0119] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、約0.1mg/kgから約10mg/kgまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲の用量で投与することができる。ある実施形態において、負帯電粒子の用量は、約1mg/kgから約8mg/kgまで、約1.5mg/kgから約7mg/kgまで、約1.5mg/kgから約6mg/kgまで、約1.5mg/kgから約5mg/kgまで、約1.5mg/kgから約4.5mg/kgまで、約2mg/kgから約4mg/kgまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲にある。
【0115】
[0120] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、約1mgから約800mgまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲の用量で投与することができる。ある実施形態において、負帯電粒子の用量は、約10mgから約700mgまで、約10mgから約650mgまで、約15mgから約650mgまで、約20mgから約650mgまで、約25mgから約650mgまで、約30mgから約650mgまで、約35mgから約650mgまで、約40mgから約650mgまで、約45mgから約650mgまで、約50mgから約650mgまでの範囲であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む範囲である。ある実施形態において、本明細書に記載の用量は1日用量である。
【0116】
[0121] 様々な実施形態において、粒子は、毎日、1日おき、1日2回、1日3回、週に7回、週に6回、週に5回、週に4回、週に3回、週に2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2か月に1回、3か月に1回、6か月に1回または1年に1回の頻度であって、それらの間にある値および範囲を含む頻度で投与される。
【0117】
[0122] 様々な実施形態において、粒子は、単一剤形として、または複数剤形として投与される。
【0118】
[0123] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、1日1回、2回または3回投与することができる。ある実施形態において、負帯電粒子は、1日1回投与される。
【0119】
[0124] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、医師が決定した期間にわたって毎日投与することができる。ある実施形態において、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、医師が決定した期間にわたって週に2回以上投与することができる。
【0120】
[0125] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、CSSおよび/またはARDSの発症前、CSSおよび/またはARDSの発症時またはCSSおよび/またはARDSの発症後に投与することができる。
【0121】
[0126] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に経口、吸入または静脈内投与することができる。ある実施形態において、負帯電粒子は、IV(静脈内)注入により投与される。ある実施形態において、IV注入物は、約30分から約5時間までの時間であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む時間にわたって投与される。ある実施形態において、IV注入物は、約30分から約4時間まで、約30分から約3時間まで、約30分から約2.5時間まで、約1時間から約2時間までの時間であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む時間にわたって投与される。
【0122】
[0127] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に一定の注入速度でIV注入により投与することができる。ある実施形態において、IV注入による投与は、投与時に注入速度を調整しながら行われる。ある実施形態において、IV注入は、約10mL/hr、約15mL/hr、約20mL/hr、約25mL/hr、約30mL/hr、約35mL/hr、約40mL/hr、約45mL/hr、約50mL/hr、約55mL/hr、約60mL/hr、約65mL/hr、約70mL/hr、約75mL/hr、約80mL/hr、約85mL/hr、約90mL/hr、約95mL/hr、約100mL/hr、約105mL/hr、約110mL/hr、約115mL/hr、約120mL/hr、約125mL/hr、約130mL/hr、約135mL/hr、約140mL/hr、約145mL/hr、または約150mL/hrの速度であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む速度の1つまたは複数の速度を含む。
【0123】
[0128] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、注入速度が1回以上変化するIV注入により投与することができる。ある実施形態において、IV注入速度は、投与時に1回、2回または3回変化する。ある実施形態において、IV注入は、最初は第1の注入速度で行われ、第2の注入速度に変化され、次いで第3の注入速度に再度変化される。ある実施形態において、第1の注入速度は、約10mL/hrから約40mL/hrまで、または約15mL/hrから約25mL/hrまでである。ある実施形態において、第1の注入速度は約20mL/hrである。ある実施形態において、第2の注入速度は、約20mL/hrから約80mL/hrまで、または約30mL/hrから約50mL/hrまでである。ある実施形態において、第2の注入速度は約40mL/hrである。ある実施形態において、第3の注入速度は、約40mL/hrから約120mL/hrまで、または約70mL/hrから約90mL/hrまでである。ある実施形態において、第3の注入速度は約80mL/hrである。ある実施形態において、第1の注入速度および第2の注入速度は、約5分から約30分まで、または約10分から約25分までの範囲の時間であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む時間保持される。ある実施形態において、第1の注入速度および第2の注入速度は約15分間保持される。ある実施形態において、第3の注入速度は、約30分から約4時間まで、約30分から約3時間まで、約45分から約150分まで、約60分から約120分まで、約75分から約105分までの範囲の時間であって、これらの値の間にあるすべての値および範囲を含む時間保持される。ある実施形態において、第3の注入速度は、注入が完了するまで保持される。ある実施形態において、第3の注入速度は約90分間保持される。
【0124】
[0129] 本明細書に開示されている方法のいずれか1つにおいて、負帯電粒子を、それを必要とする対象に、IV注入により、最初の15分間は20mL/hrの第1の注入速度で投与し、次の15分間は40mL/hrの第2の注入速度で投与し、注入が完了するまで(残りの時間)は80mL/hrの第3の注入速度で投与することができる。
【実施例
【0125】
実施例1:負帯電粒子の調製
[0130] 酸終端末端基を有する市販のPLGA(50:50)の溶液を水と混合して、一次エマルジョンを作製した。一次エマルジョンをポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸の溶液と迅速に混合して二次エマルジョンを形成した。得られたダブルエマルジョンの溶媒を除去して、負帯電粒子の懸濁液を形成した。負帯電粒子を洗浄し、濾過し、接線流濾過により濃縮した。
【0126】
[0131] 負帯電粒子を、18.2MΩの水中にて毎秒2.5×105カウントの計数速度で動的光散乱(DLS)分析およびMalvern Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments、マサチューセッツ州Westborough)により特徴づけた。平均粒子サイズは、約350から約750nmまでであった。粒子のゼータ電位は、約-32から約-50mVまでであった。
【0127】
実施例2:負帯電粒子を含む凍結乾燥組成物の調製
[0132] 実施例1で調製された負帯電粒子に、D-マンニトール、スクロース、無水クエン酸ナトリウムおよび水を添加した。無菌法を用いて凍結乾燥バイアルに充填し、部分的に密栓して凍結乾燥した。凍結乾燥後のバイアルを密封し、アルミニウムシールを圧着させた。密封後のバイアルをガンマ放射線で滅菌した。その組成物は、表1に記載された比率の成分を有する。
【0128】
【表1】
【0129】
実施例3:負帯電粒子の安全性および毒性
[0133] 平均粒子サイズが350~750nmの範囲でゼータ電位が-32mV未満の負帯電粒子を用いてラットでの安全性および毒性試験を実施した。
【0130】
[0134] ラットでの試験
【0131】
[0135] 50mg/kgから100mg/kgまでの用量(8mg/kgから16mg/kgまでのヒト相当用量レベル)では毒性効果が認められなかった。いずれの効果も有害でなく可逆的であった。
【0132】
[0136] 負帯電粒子は、アメリカ国立がん研究所ナノテクノロジー・キャラクタライゼーション・ラボラトリー(NCI-NCL)での実験室内アッセイにおいて、補体活性化、溶血、凝血、T細胞活性化または肝臓毒性の兆候を示さなかった。
【0133】
実施例4:LCMV感染に関連する病状を防止する負帯電粒子の有効性
[0137] ウイルス感染誘導全身性炎症およびそれに関連する病状を消散させる負帯電ONP-302の有効性を一次リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染のマウスモデルにて調べた。一次LCMV感染モデルにおいて、LCMVの静脈内注入により、全身性炎症および体重減少を引き起こす全身性感染をもたらす。また、マウスは、T細胞の消耗および不十分な抗ウイルスエフェクタ免疫機能により感染を排除できない。
【0134】
[0138] この試験で使用したONP-302は、平均径が350~750nmであり、ゼータ電位が-32~-50mVであった。
【0135】
[0139] 簡潔に説明すると、C57BL/6マウスを静脈内尾静脈注射により2×10のプラーク形成単位(pfu)LCMV(クローン13)で感染させた。感染後5日目に、マウスを以下の3つの処置群の1つに無作為に分けた。
a.連続5日間の食塩水
b.連続5日間のONP-302(マウス1匹当たり1mg)
c.3日毎に1回のONP-302(マウス1匹当たり1mg)(合計5回)
【0136】
[0140] いずれの処置物も尾静脈を介して静脈内投与した。図1に示されるように、連続5日間のONP-302による処置は、最適の有効性を示し、食塩水、および3日毎に1回投与したONP-302処置物(1処置群当たりn=5)と比較して体重減少を有意に低減させた。
【0137】
[0141] 次に、免疫系に対するONP-302の影響および全身性ウイルス感染を排除するその能力を調べた。C57BL/6マウスを静脈内尾静脈注射により2×10pfuのLCMV(クローン13)で感染させた。感染後5日目から、連続5日間にわたって(5~9日目)静脈内尾静脈注射によりマウスを食塩水またはONP-302(マウス1匹当たり1mg)で処置した。マウスを35日目まで体重減少について観察し、先に見られたように、ONP-302による処置は、食塩水による処置と比較して体重減少を有意に低減させた(図2A)。
【0138】
[0142] この第2の疾患過程における感染後12日目に、各処置群のマウスのサブセットを屠殺し、脾細胞をフローサイトメトリによりアッセイした。図2Bに示されるように、ONP-302による処置は、脾細胞の総数を有意に増加させた。図2Cに示されるように、ONP-302による処置は、食塩水による処置と比較して、CD8T細胞、CD8/CD44/PD1T細胞、CD8/IFN-γT細胞およびCD8/PD1T細胞の総数を有意に増加させた。尚、CD44hi/PD-1+T細胞集団は、このモデルにおいてLCMV特異的であることが既に報告されている。
【0139】
[0143] 脾臓における活性化CD8/CD44/PD1T細胞のパーセンテージを示すフローサイトメトリのプロットを図2Dに示す。図2Eおよび図2Fに示されるように、ONP-302による処置は、脾臓および血液におけるCD8T細胞または活性化CD8T細胞のパーセンテージを変化させなかった。
【0140】
[0144] 感染後12および35日目にプラークアッセイにより脾臓におけるLCMVウイルス力価を測定した。図3Aに示されるように、ONP-302による処置は、12日目にウイルス力価を変化させなかったが、食塩水による処置と比較して35日目にウイルス力価を統計的に有意に低下させた。
【0141】
[0145] 35日目に、脾細胞をフローサイトメトリによりアッセイして、この時点での免疫細胞に対するONP-302の影響を調べた。図3Bに示されるように、ONP-302による処置は、脾臓における細胞の数の増加の傾向をもたらしたが、統計的に有意性には達しなかった(p=0.071)。図3Cに示されるように、ONP-302による処置は、脾臓におけるCD8T細胞およびCD/PD-1T細胞の総数を有意に増加させた。図3Dに示されるように、ONP-302による処置は、食塩水と比較して、脾臓におけるCD8/CD44/PD1T細胞、CD8/IFN-γT細胞および全PD-1細胞集団のパーセンテージを有意に増加させた。血液においては差が観察されなかった(図3E)。
【0142】
[0146] 結論として、これらの実験の結果により以下のことが実証される。
a.ONP-302は、一次LCMV感染後の体重減少を防止するのに有効である。
b.ONP-302の最適の有効性は、感染後5日目に開始して連続5日間にわたって処置物が投与される場合に観察される。
c.ONP-302による処置は、脾臓における活性化CD8T細胞の増加によって特徴づけられる抗ウイルス免疫活性化をもたらす。この活性化CD8T細胞反応は、ウイルス排除の向上、およびさもなければ慢性的に持続するLCMVウイルス力価の低下に関連する。
【0143】
実施例5:H1N1感染に関連する病状を防止する負帯電粒子の有効性
[0147] ウイルス感染誘導急性炎症、およびそれに関連する肺免疫病を消散させる負電荷ONP-302の有効性を、高齢マウスを使用したH1N1インフルエンザ感染のマウスモデルにて調べた。この高齢マウスのモデルにおいて、H1N1感染誘導一次肺損傷は、炎症促進性骨髄由来細胞(例えば単球および好中球)を迅速に肺に流入させる免疫反応を誘導する。肺では、これらの細胞が、二次的な肺損傷をもたらし肺機能の低下に関連する過剰な炎症を引き起こす大量の炎症促進性メディエーターを生成する。
【0144】
[0148] この試験で使用したONP-302粒子は、平均径が350~750nmであり、ゼータ電位が-32~-50mVであった。
【0145】
[0149] 簡潔に説明すると、18~22月齢の雌のC57BL/6マウスに麻酔し、600pfuのH1N1インフルエンザウイルスに経鼻感染させた。感染後3日目(p.i)から、マウスを以下の2つの群の1つに無作為に分けた。
a.食塩水
b.ONP-302(マウス1匹当たり1mg)
【0146】
[0150] いずれの処置物も尾静脈注射により投与した。処置物を連続5日間にわたって(3~7日目)1日1回投与した。肺機能に対するONP-302処置物の影響を評価するために、パルス酸素測定法評価を毎日実施し、両処置群についての血液中の酸素飽和度を記録した。パルス酸素測定法により測定される血液中の酸素飽和度レベルは、肺機能の臨床的に重要な尺度であり、ヒト対象の肺機能をモニタリングするのに汎用されている。
【0147】
[0151] 図4Aに示されるように、ONP-302による処置は、食塩水(対照)と比較して、パルス酸素測定法による酸素飽和度評価によって測定された感染後5~9日目の肺機能の統計的に有意な向上をもたらす。
【0148】
[0152] 次に、肺炎症を防止するONP-302の有効性を調べた。感染後9日目に、マウスを屠殺し、炎症促進性骨髄由来細胞の浸潤、炎症促進性サイトカイン/ケモカインおよび細胞損傷のマーカーのレベルを、下呼吸器系をアッセイするための方法である気管支肺胞洗浄(BAL)のアッセイにより測定した。
【0149】
[0153] 図4Bに示されるように、ONP-302による処置は、食塩水と比較して、全(CD45+/CD11b+)および炎症性単球(CD45+/CD11b+/Ly6C+)のレベルの統計的に有意な減少、ならびに気管支肺胞洗浄(BAL)における好中球の減少の傾向(p=0.06)をもたらした。むしろ、これらの細胞は、脾臓において隔離され(図4C)、公知のONP-302の作用機構に合致していることが認められた。図4Dおよび4Eに示されるように、ONP-302による処置は、BALにおける炎症促進性タンパク質MPOおよびCXCL-5のレベルの統計的に有意な減少をもたらした。図4D、4Eおよび4Fに示されるように、ONP-302による処置は、BALにおける炎症促進性タンパク質MPO、IL-6およびCXCL-5のレベルの統計的に有意な減少をもたらした。図4Gに示されるように、ONP-302による処置は、肺損傷マーカーのアルブミンのレベルの統計的に有意な減少によって示される肺損傷の軽減をもたらした。
【0150】
[0154] 肺炎症の抑制により肺損傷が防止されたかどうかを判断するために、感染後9日目に、食塩水またはONP-302で処置したマウスから肺組織を採取し、組織病理学的評価を実施した。図4Hに示されるように、食塩水(対照)処理マウスでは有意な肺損傷が観察されたが、ONP-302処置マウスでは、肺組織が維持され、観察された損傷が小さいようであった。
【0151】
[0155] 結論として、この試験の結果により、ONP-302による処置は、高齢マウスにおけるH1N1感染後に肺免疫病理を軽減し、肺機能の向上に有効であることが実証される。
【0152】
実施例6:生体外にてLPSに刺激されたPBMCによる炎症促進性サイトカインの生成を阻害する負帯電粒子の有効性
[0156] リポ多糖体(LPS)は、細菌細胞壁成分であり、敗血症誘導サイトカインストームを生じさせる内毒素である。健康なヒト対象から単離したヒト末梢血単核球(PBMC)による炎症促進性サイトカインの生成を阻害する負帯電粒子ONP-302の有効性を、LPSとのインキュベート後に生体外で調べた。
【0153】
[0157] 新たに単離したPBMCを異なる濃度のCNP-301と30分間インキュベートした後、生体外培養物にて0.1ng/mLのLPSで6、12または24時間刺激した。インキュベート後、細胞培養物の上澄みを回収し、炎症促進性サイトカインおよびケモカイン(IL-1β、TNF-αおよびMCP-1)のレベルをELISAによりアッセイした。非刺激PBMCを対照として使用した。
【0154】
[0158] 図5Aに示されるように、50μg/mLのCNP-301をLPS刺激PBMCと6および24時間インキュベートすることにより、IL-1β濃度レベルがそれぞれ統計的に有意な46%および54%の低下を示した。
【0155】
[0159] 図5Bに示されるように、50μg/mLのCNP-301をLPS刺激PBMCと24時間インキュベートすることにより、細胞培養物上澄みにおけるMCP-1のレベルが統計的に有意な42%の低下を示した。
【0156】
[0160] 図5Cに示されるように、50μg/mLのCNP-301をLPS刺激PBMCと6、12または24時間インキュベートすることにより、TNF-αのレベルがそれぞれ統計的に有意な50%、55%および62%の低下を示した。
【0157】
[0161] 結論として、これらのデータにより、生体外でのLPSとのインキュベート後のPBMCによる炎症促進性サイトカイン/ケモカインの生成を阻害する負帯電粒子の有効性が実証され、敗血症および生体内の細菌感染に起因するCSSおよび/またはARDSを治療する可能性が示唆される。
【0158】
実施例7:実験室内で加熱死菌に刺激された単球による炎症促進性サイトカインの生成を阻害する負帯電粒子の有効性
[0162] 細菌感染は、CSSおよび/またはARDSに発展し得る、TLR2シグナル伝達を介する自然免疫細胞(例えば単球)による炎症促進反応の誘導に関連する。負帯電粒子が、細菌との接触後に単球による炎症促進性サイトカインの生成を防止し得るかどうかを判断するために、加熱死菌に刺激された単球による炎症促進性サイトカインIL-6の生成を阻害するCNP-301粒子の有効性を実験室内で調べた。ヒト単球細胞株Mono-Mac-06およびPyroMAT(登録商標)アッセイキット(Millipore Sigma)をこのアッセイに使用した。
【0159】
[0163] 簡潔に説明すると、メーカーの説明書に従って、Mono-Mac-06細胞を100μg/mLのCNP-301および加熱死黄色ブドウ球菌(HKSA)と24時間コインキュベートした。非刺激細胞および食塩水を陰性対照として使用した。インキュベートの24時間後に、細胞培養物上澄みを採取し、メーカーの説明書に従って、IL-6のレベルをELISAによりアッセイした。
【0160】
[0164] 図6に示されるように、CNP-301の非存在下で細胞をHKSAとインキュベートすることにより、非刺激細胞と比較して強いIL-6生成の誘導がもたらされた。対照的に、CNP-301による処置により、HKSAとインキュベートした細胞によるIL-6の生成が50%未満に阻害された。
【0161】
[0165] 結論として、この試験の結果により、負帯電粒子は、実験室内での細菌による刺激後の単球による炎症促進性IL-6の生成を阻害し、細菌感染後の生体内でのCSSおよび/またはARDSの防止に有益であり得ることが示唆される。
【0162】
実施例8:負帯電ONP-302粒子の安全性および許容性を評価するための二部フェーズ1b/2a試験
[0166] 本開示では、パートAの非盲検センチネルコホートにおける負帯電ONP-302粒子の安全性および許容性を評価するための二部フェーズ1b/2a試験、ならびにそれに続く全身性炎症、敗血症、および/または呼吸器系ウイルス感染(例えばインフルエンザおよびSARS-Cov-2)に関連する肺炎の入院成人患者における安全性、許容性および有効性を評価するためのランダム化プラセボ対照パートBについて説明する。
【0163】
[0167] パートAは、最少で3つの対象のセンチネルコホートにおけるONP-302の非盲検反復投与試験を含む。パートAで決定されたONP-302の最大許容用量(MTD)を用いてランダム化二重盲検反復投与試験としてのパートBが続く。
【0164】
[0168] この試験に参加する資格のある対象は、以下の特徴を有する。
a.呼吸器系ウイルス感染(例えばインフルエンザおよびSARS-Cov-2)に対する試験結果が陽性であることが確認された。
b.6L/分未満(WHO COVIDスコア3または4)の低流量酸素治療を受けている、または受けていない公知の呼吸器系ウイルス感染で入院している。
c.血清c反応性タンパク質レベルが40mg/L以上であり、血清フェリチンレベルが300ng/mLであるか、または血清D-ダイマーが0.75μg/mLのいずれかであることによって特徴づけられるスクリーニングでの炎症の兆候がある。
【0165】
[0169] パートAにおいて、有資格対象は、ONP-302の第1の用量の投与(1日目)の直前にセンチネルコホートに登録される。最少で3つの対象をセンチネルコホートに登録する。各対象のセンチネルコホートへの登録は、安全性委員会が、前の被験者から投与後24時間を経て入手可能なすべての安全性データを受領し、投与の継続を推奨されてから進める。センチネルコホートにおける対象は、ONP-302の投与を5回受ける。対象は、1日目に、体重に基づいて最大で400mg(最大で5mg/kgまで)のONP-302の投薬を受ける。対象に対するONP-302の用量レベルは、1日目に、以下の表に従って、対象の重量に基づいて選択される。
【0166】
【表2】
【0167】
[0170] 対象は、静脈内注入により連続5日間(1~5日目)にわたってONP-302が投与される。試験薬物は、安全上の懸念により対象での早期停止が求められなければ、およそ3~4時間かけて静脈内注入により投与される。注入されるONP-302の最大濃度は、2.0mg/mLを超えない。対象は、1~5日目に、注入後2時間までは注入反応(IR)を含む急性有害事象(AE)について観察される。
【0168】
[0171] パートBにおいて、有資格対象は無作為に分けられて、パートAにより決定されたONP-302のMTDレベルでONP-302が投与されるか、または同様の治療設計で偽薬が投与されるかのいずれかである。およそ40の対象がパートBに登録される。対象は、連続5日間(1~5日目)にわたってONP-302または偽薬(標準食塩水)を5回投与される。試験薬物は、安全上の懸念により対象での早期停止が求められなければ、およそ3~4時間かけて静脈内注入により投与される。注入されるONP-302の最大濃度は、2.0mg/mLを超えない。対象は、1~5日目に、注入後2時間まではIRを含む急性AEについて観察される。
【0169】
[0172] ONP-302は、以下の段階的注入量を用いておよそ3~4時間持続する静脈内(IV)注入により連続5日間にわたって1日1回投与される。
a.最初の15分間は20mL/hr
b.次の15分間は40mL/hr
c.残りの注入は80mL/hr
【0170】
[0173] 試験の終点として以下を用いる。
【0171】
[0174] 安全上の終点
a.有害事象(AE)および重度有害事象(SAE)の頻度
b.実験的安全評価(血液学、血清化学、凝血審査、尿検査)
c.生命兆候を含む検診(血圧、心拍数、体温)およびO飽和度
d.12誘導心電図(ECG)
e.補体およびサイトカイン/ケモカイン(補体およびサイトカイン/ケモカインの関与が想定される注入反応または他の関連注入反応有害事象の場合は回収したサンプルを分析する)
【0172】
[0175] 薬力学的終点(ベースラインとして用いられる1日目投与前評価)
a.血清C反応性タンパク質(CRP)
b.血液中のリンパ球絶対数
c.臨床的有効性終点(ベースラインとして用いられる1日目投与前評価)
d.以下で定義されるCOVIDオーディナル・アウトカム・スケールの組合せ
e.入院日数
f.死亡率
【0173】
[0176] 探索的終点(ベースラインとして用いられる1日目投与前評価)
a.血清d-ダイマー
b.血清フェリチン
c.炎症性サイトカインおよびケモカイン(IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、IP-10、MIP-1β、MCP-1およびGM-CSF)
d.リンパ球に対する好中球の比率
e.呼吸器離脱期間
f.SpO/FiO
g.CTスキャンによって測定される肺機能
【0174】
[0177] 探索的PK終点:投与前、ならびに1日目のONP-302の静脈内投与の0.5、1、2、3、4および8時間後のONP-302PDサイトカインバイオマーカーIL-8の血漿濃度を測定する。
【0175】
番号付き実施形態
[0178] 特許請求の範囲が添付されているが、以下の番号付き実施形態も本開示の一部を形成する。
【0176】
[0179] 1.負のゼータ電位を有する治療有効量の表面機能化粒子を対象に投与することを含む、対象における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療する方法であって、表面機能化粒子が他の治療有効薬を含まない方法。
【0177】
[0180] 2.ARDSが直接的肺傷害または間接的肺傷害の結果である、実施形態1に記載の方法。
【0178】
[0181] 3.ARDSが肺炎、肺炎症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、日和見感染、敗血症、胃内容物の誤嚥、外傷、火傷、膵臓炎、肺挫傷、出血性ショック、溺水、輸血、気道傷害、またはそれらの組合せの結果である、実施形態1に記載の方法。
【0179】
[0182] 4.ウイルス感染がDNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスによるものである、実施形態3に記載の方法。
【0180】
[0183] 5.DNAウイルスが一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスが二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルスまたは環状ssRNAウイルスである、実施形態4に記載の方法。
【0181】
[0184] 6.ウイルスが呼吸器系ウイルスである、実施形態3または4に記載の方法。
【0182】
[0185] 7.ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、コロナウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスまたはジカウイルスからなる群から選択される、実施形態3または4に記載の方法。
【0183】
[0186] 8.細菌感染が、ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコバクテリア、バシラス、サルモネラ、ビブリオ、スピロヘータ、ナイセリア、双球菌、シュードモナス、クロストリジウム、トレポネーマ、スピリルム、またはそれらの組合せによるものである、実施形態3に記載の方法。
【0184】
[0187] 9.表面機能化粒子が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、キトサン、多糖、脂質、ダイアモンド、鉄、亜鉛、カドミウム、金または銀の1つまたは複数を含む、実施形態1に記載の方法。
【0185】
[0188] 10.表面機能化粒子が乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子である、実施形態8に記載の方法。
【0186】
[0189] 11.PLGA粒子が、約90:10から約10:90まで、約50:50から約90:10まで、約50:50から約80:20まで、約90:10から約50:50まで、または約80:20から約50:50までの範囲のポリ乳酸:ポリグリコール酸の比率を含む、実施形態9に記載の方法。
【0187】
[0190] 12.表面機能化粒子が50:50のポリ乳酸:ポリグリコール酸を含む、実施形態9に記載の方法。
【0188】
[0191] 13.表面機能化粒子が、粒子の表面にカルボキシル基を含む、実施形態1に記載の方法。
【0189】
[0192] 14.表面機能化粒子が、約-100mVから-1mVまでの範囲のゼータ電位を有する、実施形態1に記載の方法。
【0190】
[0193] 15.表面機能化粒子が、約-80mVから-30mVまでの範囲のゼータ電位を有する、実施形態13に記載の方法。
【0191】
[0194] 16.表面機能化粒子が、約0.1μmから約10μmまでの範囲の中間径を有する、実施形態1に記載の方法。
【0192】
[0195] 17.表面機能化粒子の径が約400nmから約800nmまでの範囲である、実施形態16に記載の方法。
【0193】
[0196] 18.対象における表面機能化粒子を投与することにより、ARDSに関連する1つまたは複数の症状を改善する、実施形態1に記載の方法。
【0194】
[0197] 19.ARDSに関連する1つまたは複数の症状が、肺炎症、無気肺、窮迫性呼吸、疲労、低血圧、発熱、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫および肺胞浮腫から選択される、実施形態18に記載の方法。
【0195】
[0198] 20.表面機能化粒子を投与することにより、肺における炎症性メディエーターの蓄積を低減する、実施形態18に記載の方法。
【0196】
[0199] 21.表面機能化粒子が静脈内投与される、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
【0197】
[0200] 22.薬物が結合または封入されていない負帯電粒子を投与することを含む、対象における急性炎症を治療する方法であって、粒子を0.1mg/kgから10mg/kgまでの用量で投与する方法。
【0198】
[0201] 23.薬物が結合または封入されていない負帯電粒子を投与することを含む、対象における急性炎症を治療する方法であって、粒子を10mgから1000mgまでの用量で投与する方法。
【0199】
[0202] 24.負帯電粒子が、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻内または経口投与される、実施形態22または23に記載の方法。
【0200】
[0203] 25.負帯電粒子が単一用量として投与される、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
[0204] 26.負帯電粒子が複数用量で投与される、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
[0205] 27.負帯電粒子が、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリスチレン、キトサン、多糖、1つもしくは複数の脂質、ダイアモンド、鉄、亜鉛、カドミウム、金または銀を含む、実施形態22~26のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
[0206] 28.負帯電粒子が1つまたは複数の生分解性重合体を含む、実施形態22~27のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
[0207] 29.負帯電粒子がPLGAを含む、実施形態22~28のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
[0208] 30.負帯電粒子が負のゼータ電位を有する、実施形態22~29のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
[0209] 31.負帯電粒子が、約0mVから-100mVまでのゼータ電位を有する、実施形態22~30のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
[0210] 32.負帯電粒子が、約-30mVから-80mVまでのゼータ電位を有する、実施形態22~31のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
[0211] 33.表面機能化粒子が、0.3μmから3μmまでの平均径を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
[0212] 34.負帯電粒子は、0.5、1、2、3、4、5、6、7または8時間の時間にわたって静脈内注入により投与される、実施形態24に記載の方法。
【0210】
[0213] 35.負帯電粒子は、4時間未満の時間にわたって静脈内注入により投与される、実施形態24に記載の方法。
【0211】
[0214] 36.負帯電粒子は、3~4時間の時間にわたって静脈内注入により投与される、実施形態24に記載の方法。
【0212】
[0215] 37.複数用量の負帯電粒子が、連続する日数にわたって1日1回投与される、実施形態26に記載の方法。
【0213】
[0216] 38.複数用量の負帯電粒子が、連続2、3、4、5、6、7、8、9または10日間にわたって1日1回投与される、実施形態37に記載の方法。
【0214】
[0217] 39.IMPが、12.5mg/mL未満の濃度で投与される、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
[0218] 40.負帯電粒子が、0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mLまたは50mg/mLの濃度で投与される、実施形態39に記載の方法。
【0216】
[0219] 41.負帯電粒子が、急性炎症の発症の0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、12、24、48、72または96時間後から投与される、実施形態22~40のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
[0220] 42.対象が、1つもしくは複数の感染、外傷性脳傷害、震とう、脊髄傷害、火傷、虚血傷害、再かん流傷害、敗血症、サイトカイン放出症候群、膵臓炎、肺挫傷、急性呼吸窮迫症候群、出血性ショック、吸入、肺炎、傷害、マクロファージ活性化症候群、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)、重度炎症反応症候群(SIRS)細胞療法、重症急性呼吸器症候群(SARS)、またはそれらの組合せに起因する急性炎症を有する、実施形態22に記載の方法。
【0218】
[0221] 43.炎症が、1つまたは複数のウイルス感染、細菌感染、真菌感染、プリオン感染または日和見感染を含む、実施形態42に記載の方法。
【0219】
[0222] 44.ウイルスが、DNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスである、実施形態43に記載の方法。
【0220】
[0223] 45.DNAウイルスが一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスが二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルスまたは環状ssRNAウイルスである、実施形態44に記載の方法。
【0221】
[0224] 46.ウイルスが呼吸器系ウイルスである、実施形態43~45に記載の方法。
【0222】
[0225] 47.ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、コロナウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスまたはジカウイルスから選択される、実施形態43~46のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
[0226] 48.細菌感染が、ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコバクテリア、バシラス、サルモネラ、ビブリオ、スピロヘータ、ナイセリア、双球菌、シュードモナス、クロストリジウム、トレポネーマ、スピリルム、肺炎球菌、またはそれらの組合せによるものである、実施形態43に記載の方法。
【0224】
[0227] 49.サイトカイン放出症候群が1つまたは複数の免疫標的療法によるものである、実施形態42~48のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
[0228] 50.免疫標的療法が、抗体、タンパク質、ペプチド、サイトカイン、免疫シグナル伝達モジュレーター、mRNA、腫瘍溶解性ウイルス、または細胞ベースの療法である、実施形態49に記載の方法。
【0226】
[0229] 51.抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体または二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である、実施形態50に記載の方法。
【0227】
[0230] 52.抗体が、CD2、CD3、CD20、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD137、OX-40、GITR、LIGHT、DR3、SLAMまたはICOSを標的とする、実施形態50または51に記載の方法。
【0228】
[0231] 53.サイトカインがIFN-α、IFN-y、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-15/IL-15Rα、IL-18、IL-21、GM-CSFまたはそれらの変異体である、実施形態50に記載の方法。
【0229】
[0232] 54.免疫シグナル伝達モジュレーターが、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、GM-CSF-R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、TLR、JAK、BTK、TYK、SYK、MAPK、PI3K、NFκB、NFAT、STATまたはキナーゼである、実施形態50に記載の方法。
【0230】
[0233] 55.細胞ベースの療法が、同種異系、自己もしくはiPSC由来T細胞、NK細胞、赤血球、幹細胞、抗原提示細胞、マクロファージまたは樹状細胞を含む、実施形態50に記載の方法。
【0231】
[0234] 56.対象における負帯電粒子の投与により、急性炎症の1つまたは複数の症状を軽減する、実施形態22~55のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
[0235] 57.急性炎症の1つまたは複数の症状が、呼吸窮迫、低血圧、頭痛、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高炭酸症、浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、肺損傷、肝臓損傷、腎臓損傷、異常肝機能、肝機能障害、肝酵素増加、多臓器機能障害、単球増加、好中球増加、フェリチン増加、リンパ球増加、好中球対リンパ球比(NLR)の増加、肝酵素増加、汎血球減少症、凝固障害、d-ダイマーレベルの上昇、PaO2/FiO2の減少、SpO2/FiO2の減少、または炎症促進性分子レベルの上昇からなる群から選択される、実施形態56に記載の方法。
【0233】
[0236] 58.炎症促進性分子が、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-33、TNF-α、IFN-γ、IP-10、MIP-1β、MCP-1、GM-CSF、c反応性タンパク質(CRP)およびsSTからなる群から選択される、実施形態57に記載の方法。
【0234】
[0237] 59.異常肝機能が、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル、アラニントランスフェラーゼ(ALT)レベル、アルカリホスファターゼ(ALP)レベル、アルブミンおよび全タンパク質レベル、ビリルビンレベル、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルまたは乳酸脱水素酵素(LD)レベルを評価することによって判断される、実施形態57に記載の方法。
【0235】
[0238] 60.急性炎症に罹患している対象における負帯電粒子の投与により死亡のリスクを低減する、実施形態22~59のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
[0239] 61.急性炎症に罹患している対象における負帯電粒子の投与により回復を向上させる、実施形態22~60のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
[0240] 62.負帯電粒子を投与することにより、血液中の炎症促進性サイトカインおよびケモカイン、c反応性タンパク質、d-ダイマー、肝酵素、フェリチン、単球、好中球、マクロファージ、リンパ球、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルブミンおよび全タンパク質、ビリルビン、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)および乳酸脱水素酵素(LD)レベルを正常化する、実施形態22~61のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
[0241] 63.負帯電粒子を投与することにより肺機能を正常化する、実施形態22~62に記載の方法。
【0239】
[0242] 64.肺機能が、PaO2/FiO2、SpO2/FiO2、CT、X線、気管支鏡検査法、PETおよびMRIを用いて評価される、実施形態63に記載の方法。
【0240】
[0243] 65.負帯電粒子を投与することにより、酸素補給療法、高流量酸素、人工呼吸器、CPAP、臓器補助、昇圧、RRT、ECMOおよびステロイドの使用を軽減する、実施形態63または64に記載の方法。
【0241】
[0244] 66.負帯電粒子を投与することにより、入院日数を減少させる、実施形態22~65のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
[0245] 67.薬物が結合または封入されていない負帯電粒子を投与することを含む、呼吸器系ウイルス感染に関連する全身性感染、敗血症または肺炎の入院成人患者の急性炎症を、その治療を必要とする対象において治療する方法であって、負帯電粒子が1つまたは複数の生分解性の医薬として許容し得る重合体を含み、粒子が、1mg/kgから10mg/kgまでの用量で投与される方法。
【0243】
[0246] 68.呼吸器系ウイルス感染が、インフルエンザまたはSARS-CoV-2に関連する、実施形態67に記載の方法。
【0244】
[0247] 69.負帯電粒子が、1mg/kgから6mg/kgまでの用量レベルで投与される、実施形態67または68に記載の方法。
【0245】
[0248] 70.負帯電粒子が、5mg/kgの用量レベルで投与される、実施形態67~69のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
[0249] 71.負帯電粒子が、50mgから400mgまでの用量レベルで投与される、実施形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
[0250] 72.負帯電粒子が1つまたは複数の生分解性重合体を含む、実施形態67~71のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
[0251] 73.負帯電粒子が、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)またはポリスチレンを含む、実施形態67~72のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
[0252] 74.負帯電粒子がPLGAを含む、実施形態67~73のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
[0253] 75.負帯電粒子が、約-30mVから-80mVまでのゼータ電位を有する、実施形態67~74のいずれか1つに記載の方法。
【0251】
[0254] 76.負帯電粒子が、0.3μmから3μmまたは0.3μmから1μmまでの平均径を有する、実施形態67~75のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
[0255] 77.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清c反応性タンパク質レベルをベースラインより低下させる、実施形態67~76のいずれか1つに記載の方法。
【0253】
[0256] 78.血清c反応性タンパク質レベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、実施形態77に記載の方法。
【0254】
[0257] 79.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清フェリチンレベルをベースラインより低下させる、実施形態67~78のいずれか1つに記載の方法。
【0255】
[0258] 80.血清フェリチンレベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、実施形態79に記載の方法。
【0256】
[0259] 81.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血清d-ダイマーレベルをベースラインより低下させる、実施形態67~80のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
[0260] 82.血清d-ダイマーレベルが、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、実施形態81に記載の方法。
【0258】
[0261] 83.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血液中の好中球の数をベースラインより低下させる、実施形態67~82のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
[0262] 84.血液中の好中球の数が、ベースラインと比較して、2分の1、5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、55分の1、60分の1、65分の1、70分の1、75分の1、80分の1、85分の1、90分の1、95分の1または100分の1に低下する、実施形態83に記載の方法。
【0260】
[0263] 85.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、血液中のリンパ球の数をベースラインより増加させる、実施形態67~84のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
[0264] 86.血液中のリンパ球の数が、ベースラインと比較して、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100倍増加する、実施形態85に記載の方法。
【0262】
[0265] 87.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、好中球対リンパ球比(NLR)をベースラインより低下させる、実施形態67~86のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
[0266] 88.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、NLRを4未満とする、実施形態87に記載の方法。
【0264】
[0267] 89.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、SpO2/FiO2比をベースラインより増加させる、実施形態67~88のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
[0268] 90.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、SpO2/FiO2比を300mmHg超とする、実施形態89に記載の方法。
【0266】
[0269] 91.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより入院日数を減少させる、実施形態67~90のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
[0270] 92.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、呼吸器を使用しない日数を増加させる、実施形態67~91のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
[0271] 93.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより死亡のリスクを低下させる、実施形態67~92のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
[0272] 94.負帯電粒子を、それを必要とする対象に投与することにより、ベースラインと比較して肺機能を向上させる、実施形態67~93のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
[0273] 95.負のゼータ電位を有する表面機能化粒子を対象に投与することを含む、対象におけるサイトカインストーム症候群(CSS)を治療する方法であって、表面機能化粒子が別の療法薬を含まない方法。
【0271】
[0274] 96.対象が、ウイルス感染、細菌感染、敗血症、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度炎症反応症候群(SIRS)、高サイトカイン血症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、反応性血球貪食性リンパ組織球症候群、二次血球貪食性リンパ組織症(sHLH)または外傷から選択される1つまたは複数の状態に罹患している、実施形態95に記載の方法。
【0272】
[0275] 97.表面機能化粒子を対象に投与することによりCSSの1つまたは複数の症状を軽減する、実施形態95または96に記載の方法。
【0273】
[0276] 98.症状が、多臓器機能障害、脳損傷、肺損傷、肝臓損傷、腎臓損傷、心臓損傷、浮腫、脳浮腫、肺浮腫、肺胞浮腫、呼吸窮迫、低酸素血症、呼吸性アシドーシス、高トリグリセリド血症、白血球減少症、血球減少症、または炎症マーカーレベルの上昇の1つまたは複数から選択される、実施形態97に記載の方法。
【0274】
[0277] 99.炎症マーカーが、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、TNF-α、IFN-γ、MCP-1、c反応性タンパク質またはフェリチンである、実施形態98に記載の方法。
【0275】
[0278] 100.ウイルス感染がDNAウイルス、RNAウイルスまたはレトロウイルスの1つまたは複数によるものである、実施形態96に記載の方法。
【0276】
[0279] 101.DNAウイルスが一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスまたは二本鎖(dsDNA)ウイルスであり、RNAウイルスが二本鎖RNAウイルス、一本鎖RNA(ssRNA)(+)ウイルス、ssRNA(-)ウイルスまたは環状ssRNAウイルスである、実施形態100に記載の方法。
【0277】
[0280] 102.ウイルスが呼吸器系ウイルスである、実施形態100または101に記載の方法。
【0278】
[0281] 103.ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリカコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマ森林ウイルス、カンジキウサギブニアウイルス、セルコピテシンヘルペスウイルス、チャンデプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、コロナウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、デゥベンヘイジウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス68、70、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス1、ヒトパピローマウイルス2、ヒトパピローマウイルス16、18、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ヴィクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、ルーピングイルウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、Orfウイルス、オロポーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、サギヤマ、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、SARSコロナウイルス2、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ類似疾患ウイルス、黄熱ウイルスまたはジカウイルスから選択される、実施形態100~102のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
[0282] 104.細菌感染が、ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコバクテリア、バシラス、サルモネラ、ビブリオ、スピロヘータ、ナイセリア、双球菌、シュードモナス、クロストリジウム、トレポネーマ、スピリルム、またはそれらの組合せによるものである、実施形態96~103に記載の方法。
【0280】
[0283] 105.CRSが、1つまたは複数の免疫標的療法によるものである、実施形態96~104のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
[0284] 106.免疫標的療法が、抗体、タンパク質療法、ペプチド、サイトカイン、免疫シグナル伝達モジュレーター、mRNA、腫瘍溶解性ウイルス、または細胞ベースの療法である、実施形態105に記載の方法。
【0282】
[0285] 107.抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体または二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体である、実施形態106に記載の方法。
【0283】
[0286] 108.抗体が、CD2、CD3、CD20、CD27、CD28、CD30、CD40L、CD137、OX-40、GITR、LIGHT、DR3、SLAMまたはICOSの1つまたは複数を標的とする、実施形態106または107に記載の方法。
【0284】
[0287] 109.サイトカインがIFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-10、IL-12、IL-15、IL-15/IL-15Rα、IL-18、IL-21、GM-CSFまたはそれらの変異体である、実施形態106~108のいずれか1つに記載の方法。
【0285】
[0288] 110.免疫シグナル伝達モジュレーターが、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、GM-CSF-R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、TLR、JAK、BTK、TYK、SYK、MAPK、PI3K、NFκB、NFAT、STATまたはキナーゼの1つまたは複数を標的とする、実施形態106~109のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
[0289] 111.細胞ベースの療法が、同種異系、自己またはiPSC由来細胞を含む、実施形態106~110のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
[0290] 112.細胞ベースの療法が、T細胞、NK細胞、赤血球、幹細胞、抗原提示細胞、マクロファージまたは樹状細胞の1つまたは複数を含む、実施形態106~111のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
[0291] 113.表面機能化粒子が、1つまたは複数のカルボキシル基を粒子の表面に添加することにより表面機能化されている。実施形態95~112のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
[0292] 114.表面機能化粒子が、約-100mVから約-1mVまでのゼータ電位を有する、実施形態95~113のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
[0293] 115.表面機能化粒子が、約-80mVから約-30mVまでのゼータ電位を有する、実施形態114に記載の方法。
【0291】
[0294] 116.表面機能化粒子の平均径が約0.1μmから約10μmまでである、実施形態95~115のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
[0295] 117.表面機能化粒子の平均径が約400nmから約800nmまでである、実施形態116に記載の方法。
【0293】
[0296] 118.粒子が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、キトサン、多糖、脂質、ダイアモンド、鉄、亜鉛、カドミウム、金または銀の1つまたは複数を含む、実施形態95~117のいずれか1つに記載の方法。
【0294】
[0297] 119.表面機能化粒子が乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子である、実施形態118に記載の方法。
【0295】
[0298] 120.PLGA粒子が、約90:10から約10:90まで、約50:50から約90:10まで、約50:50から約80:20まで、約90:10から約50:50まで、または約80:20から約50:50までの範囲のポリ乳酸:ポリグリコール酸の比率を含む、実施形態119に記載の方法。
【0296】
[0299] 121.粒子が、ポリ乳酸:ポリグリコール酸を50:50で含む、実施形態120に記載の方法。
【0297】
[0300] 122.表面機能化粒子が静脈内投与される、実施形態95~121のいずれかに記載の方法。
【0298】
参考文献
1. Thompson BT、Chambers RC、Liu KD. Acute Respiratory Distress Syndrome. N Engl J Med. 2017;377(6):562-572.
2. Han S、Mallampalli RK. The acute respiratory distress syndrome: from mechanism to translation. J Immunol. 2015;194(3):855-860.
3. Matthay MA、Zemans RL、Zimmerman GA、et al. Acute respiratory distress syndrome. Nature Reviews Disease Primers. 2019;5(1):18.
4. Fajgenbaum DC、June CH. Cytokine Storm. New England Journal of Medicine. 2020;383(23):2255-2273.
5. Behrens EM、Koretzky GA. Review: Cytokine Storm Syndrome: Looking Toward the Precision Medicine Era. Arthritis Rheumatol. 2017;69(6):1135-1143.
6. Schulert GS、Grom AA. Macrophage activation syndrome and cytokine-directed therapies. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2014;28(2):277-292.
7. Tisoncik JR、Korth MJ、Simmons CP、Farrar J、Martin TR、Katze MG. Into the eye of the cytokine storm. Microbiol Mol Biol Rev. 2012;76(1):16-32.
8. Norelli M、Camisa B、Barbiera G、et al. Monocyte-derived IL-1 and IL-6 are differentially required for cytokine-release syndrome and neurotoxicity due to CAR T cells. Nat Med. 2018;24(6):739-748.
9. Sanchez A、Mejia SP、Orozco J. Recent Advances in Polymeric Nanoparticle-Encapsulated Drugs against Intracellular Infections. Molecules. 2020;25(16).
10. Zielinska A、Carreiro F、Oliveira AM、et al. Polymeric Nanoparticles: Production、Characterization、Toxicology and Ecotoxicology. Molecules. 2020;25(16).
11. A minimal common outcome measure set for COVID-19 clinical research. Lancet Infect Dis. 2020;20(8):e192-e197.
12. Fong TG、Fearing MA、Jones RN、et al. Telephone interview for cognitive status: Creating a crosswalk with the Mini-Mental State Examination. Alzheimers Dement. 2009;5(6):492-497.
13. Force* TADT. Acute Respiratory Distress Syndrome: The Berlin Definition. JAMA. 2012;307(23):2526-2533.
14. The 2019 revision of the International Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury (ISNCSCI)-What's new? Spinal Cord. 2019;57(10):815-817.
15. Fardet L、Galicier L、Lambotte O、et al. Development and validation of the HScore、a score for the diagnosis of reactive hemophagocytic syndrome. Arthritis Rheumatol. 2014;66(9):2613-2620.
16. Villar J、Kacmarek RM. The APPS: an outcome score for the acute respiratory distress syndrome. J Thorac Dis. 2016;8(10):E1343-e1347.
17. Thomas KS、Dosa D、Wysocki A、Mor V. The Minimum Data Set 3.0 Cognitive Function Scale. Med Care. 2017;55(9):e68-e72.
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図6
【国際調査報告】