(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】マルチビーム・メタサーフェスアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 25/00 20060101AFI20230601BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H01Q25/00
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566342
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021030240
(87)【国際公開番号】W WO2021222792
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】エスファーラニ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】モハマド アミン モメニ ハサン アバディ セイエド
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】アイランダー クリス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン ライアン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021AB05
5J021CA02
5J021HA02
(57)【要約】
マルチビームアンテナ及びこれを使用する方法が記載される。1つの実施形態では、アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備える。RF放射アンテナ素子は、複数のRF放射アンテナ素子に適用されるホログラフィックビームフォーミング用の第1の変調パターンに応答して複数のビームを異なる方向に同時に発生させ、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように複数のビームの全てのビームを確立する。アンテナはまた、第1の変調パターンを生成するためにアパーチャに結合されたコントローラを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
複数の無線周波(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャであって、前記複数のRF放射アンテナ素子に適用されるビームフォーミングのための第1の変調パターンに応答して異なる方向に複数のビームを同時に生成し、前記複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が前記複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように前記複数のビームの全てのビームを確立する、アパーチャと、
前記アパーチャに結合されて、前記第1の変調パターンを生成するコントローラと、
を備える、アンテナ。
【請求項2】
前記第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、前記複数の変調パターンにおける各変調パターンは、前記複数のビームのうちの異なるビームのためのものである、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記複数のビームの各ビームのための各変調パターンを別個のビームフォーミングパターンとして生成し、前記複数のビームのための別個のホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせ、前記第1の変調パターンを前記アパーチャに送るように動作可能である、請求項2記載のアンテナ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する前記複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することにより、前記複数のビームのためのビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能である、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する前記複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化し、
次いで、1つの変調パターンに基づくユークリッド変調パターンを前記第1の変調パターンとして選択する、
ことにより、前記複数のビームのためのビームフォーミングパターンを1つの変調パターンに組み合わせるように動作可能である、
請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記複数のビームのうちの第1のビーム及び第2のビームのための各ビームフォーミングパターンについて複数のユークリッド変調マッピングを計算し、
前記第1のビームのためのユークリッド変調マッピングの各々のパターンを、前記第2のビームのための対応するユークリッド変調マッピングの各々のパターンに加えることによって、複数の和を生成し、
次いで、前記複数の和から最小和を有する前記ユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを前記第1の変調パターンとして選択する、
ことにより、前記複数のビームのためのビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能である、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記複数のビームのためのビームフォーミングパターンの各々について最も近いユークリッド変調マッピングに関連するユークリッド変調パターンを選択し、
前記複数のビームフォーミングパターンの前記最も近いユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを平均化する、
ことにより、前記複数のビームのためのビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能である、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記コントローラは、前記別個のビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるとき、異なるビームフォーミングパターンに異なる重み付けを適用するように動作可能である、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項9】
ビームフォーミングのための前記第1の変調パターンは、ホログラフィックビームフォーミングのための第1の変調パターンを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記アパーチャは、メタサーフェスを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記メタサーフェスは、前記複数のRF放射アンテナ素子に給電波を提供するための単一の給電ポートを備える、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記メタサーフェスは、前記複数のRF放射アンテナ素子に複数の給電波を同時に提供するための複数の給電ポートを備える、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項13】
アンテナであって、
メタサーフェスを備え、前記メタサーフェスは、
給電波を提供するための単一の給電ポートと、
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子であって、前記複数のRF放射アンテナ素子は、前記複数のRF放射アンテナ素子に適用されるホログラフィックビームフォーミングのための第1の変調パターンに応答して異なる方向に同時に複数のビームを給電波に応答して生成し、前記複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように前記複数のビームの全てのビームを確立する、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、
を有し、
前記アンテナは、
前記第1の変調パターンを生成するためにアパーチャに結合されたコントローラを備え、前記第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、前記複数の変調パターンにおける各変調パターンは、前記複数のビームのうちの異なるビームのためのものであり、前記コントローラは、前記複数のビームの各ビームのための各変調パターンを固有のホログラフィックビームフォーミングパターンとして生成し、前記複数のビームのための前記固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせ、前記第1の変調パターンを前記アパーチャに送る、ように動作可能である、
アンテナ。
【請求項14】
前記コントローラは、前記複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する前記複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することによって、前記複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能である、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記コントローラは、
前記複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子についての前記複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化し、
次いで、1つの変調パターンに基づくユークリッド変調パターンを前記第1の変調パターンとして選択すること、
又は
前記複数のビームのうちの第1のビーム及び第2のビームのための各ホログラフィックビームフォーミングパターンについて複数のユークリッド変調マッピングを計算し、
前記第1のビームのためのユークリッド変調マッピングの各々のパターンを、前記第2のビームのための対応するユークリッド変調マッピングの各々のパターンに加えることによって、複数の和を生成し、
次いで、前記複数の和から最小和を有する前記ユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを前記第1の変調パターンとして選択すること、
又は
前記複数のビームのための前記ホログラフィックビームフォーミングパターンの各々について最も近いユークリッド変調マッピングに関連するユークリッド変調パターンを選択し、
前記複数のホログラフィックビームフォーミングパターンの前記最も近いユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを平均化すること、
のうちの1又は2以上によって、前記複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを1つの変調パターンに組み合わせるように動作可能である、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項16】
複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を備えたアパーチャを有するアンテナを制御するための方法であって、
複数のRF放射アンテナ素子に適用されるビームフォーミングのための第1の変調パターンを生成して、異なる方向に複数のビームを同時に生成することであって、前記複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が前記複数のビームの全てのビームに同時に寄与する、生成することと、
前記複数のRF放射アンテナ素子に複数のビームを同時に生成させるために、前記第1の変調パターンをアパーチャに送ることと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、前記複数の変調パターンにおける各変調パターンは、前記複数のビームのうちの異なるビームのためのものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のビームの各ビームのための各変調パターンを固有のホログラフィックビームフォーミングパターンとして生成し、前記複数のビームのための固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせることは、前記複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する前記複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせることは、前記固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを前記第1の変調パターンに組み合わせるとき、異なるホログラフィックビームフォーミングパターンに対して異なる重み付けを適用することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連アプリケーション)
本出願は、2020年5月1日に出願された米国仮特許出願第63/019,151号及び2020年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/048,581号に関する米国特許法第119(e)条の利益を主張し、これらの両方は、その全体が引用により組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明の実施形態は、無線通信に関するものであり、より詳細には、本発明の実施形態は、1つのビームフォーミング変調によって制御される単一のアパーチャで複数のビームを生成するアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
再構成可能アンテナは、その特性を動的事項で変更することができる。これらの特性は、典型的には、周波数、放射パターン、及び偏波特性を含む。再構成可能アンテナの1つのタイプは、無線周波数(RF)メタマテリアルアンテナである。これらのRFメタマテリアルアンテナの幾つかは、Ku及びKaの周波数帯のような複数のバンド及び/又は高周波数で動作する。あるタイプのメタマテリアルアンテナは、液晶(LC)ベースのRF放射メタマテリアルアンテナ素子を使用し、別のタイプは、バラクタベースのRF放射素子に依存している。
【0004】
現在の幾つかの再構成可能アンテナでは、衛星とエンドユーザとの間の単一の無線リンクしか生成することができない。従って、メイクビフォーブレーク状況などのように、場合によっては複数の無線リンクが望ましい場合、これらの再構成可能アンテナは、2つの無線リンクを提供できず、衛星アンテナは、新しい無線リンクを設定するために既存の無線リンクを中断しなければならず、これによって、潜在的に貴重なデータ及び/又は顧客満足を失うことになる。
【0005】
幾つかのメタマテリアルアンテナは、そのRF放射アンテナ素子(RF radiating antenna elements)で複数のビームを生成する1つのアパーチャ(aperture)を有する。このような場合、アンテナは、2つの異なる周波数で2つのビームを生成し、異なるビームの各々に対して異なるアンテナ素子が使用される。このように、1つのビームが、アパーチャのアンテナ素子の一部で1つの周波数にて発生され、一方では、別のビームが、アパーチャの異なるアンテナ素子で異なる周波数で発生されている。これらの技術では、同じ周波数で動作する2つのビーム及びチャネルを生成することはできない。
【0006】
更に、他の技術として、複数の給電ポートを用いて2つの異なる周波数で2つのビームを生成するアパーチャを含むものが存在する。これにより、信号を互いに分離しておくことができ、これらの信号をRFチェーンの別個のセットに接続することができる。しかしながら、これらの事例では、アパーチャは、同じアパーチャを共用する2つの端末として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願番号第16/991,924号明細書
【特許文献2】米国特許第10,686,636号明細書
【特許文献3】米国特許出願第14/550,178号明細書
【特許文献4】米国特許出願第14/610,502号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2015/0236412号明細書
【発明の概要】
【0008】
マルチビームアンテナ及びこれを使用する方法が記載される。1つの実施形態では、アンテナは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備える。RF放射アンテナ素子は、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与する(contribute)ように複数のビームの全てのビームを確立する(establish)ために複数のRF放射アンテナ素子に適用されるホログラフィックビームフォーミング用の第1の変調パターンに応答して複数のビームを異なる方向に同時に発生させる。アンテナはまた、第1の変調パターンを生成するためにアパーチャに結合されたコントローラを含む。
【0009】
記載された実施形態及びその利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載された実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して当業者が行い得る形態及び詳細の変更をどのようにも制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】マルチ給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図1B】マルチ給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図1C】マルチ給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図2A】2つのポートを介して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンを示す図である。
【
図2B】2つのポートを介して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンを示す図である。
【
図2C】2つのポートを介して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンを示す図である。
【
図3A】単一給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図3B】単一給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図3C】単一給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
【
図3D】単一ポートを介して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンの一例を示す図である。
【
図4A】マルチ給電を有するマルチビームアンテナを設計するための設計プロセスのフロー図の1つの実施形態を示す図である。
【
図4B】単一給電部を有するマルチビームアンテナを設計するための設計プロセスのフロー図の1つの実施形態を示す図である。
【
図4C】マルチ給電を有するマルチビームアンテナのビームフォーミング手法の1つの実施形態を示す図である。
【
図4D】単一給電部を有するマルチビームアンテナのためのビームフォーミング手法の1つの実施形態を示す図である。
【
図5A】複数のビームを生成するためにアパーチャ全体に対する変調を生成するための複数のプロセスを示す図である。
【
図5B】複数のビームを生成するためにアパーチャ全体に対する変調を生成するための複数のプロセスを示す図である。
【
図5C】複数のビームを生成するためにアパーチャ全体に対する変調を生成するための複数のプロセスを示す図である。
【
図5D】複数のビームを生成するためにアパーチャ全体に対する変調を生成するための複数のプロセスを示す図である。
【
図5E】アンテナアパーチャで複数のビームを生成するためのプロセスの1つの実施形態のフロー図である。
【
図6】円筒状給電アンテナの入力給電の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアパーチャを示す図である。
【
図7】グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
【
図8A】可変波長共振器/スロットの1つの実施形態を示す図である。
【
図8B】物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態を示す断面図である。
【
図9A】スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示す図である。
【
図9B】スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示す図である。
【
図9C】第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示す図である。
【
図9D】スロット付きアレイの一部を示す上面図である。
【
図10】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態を示す側面図である。
【
図11】外向き波を有するアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図12】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
【
図13】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
【
図14】同時送受信経路を有する通信システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、本発明のより完全な説明を提供するために、多くの詳細が記載されている。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。場合によっては、本発明を不明瞭にしないために、周知の構造及び装置を詳細ではなくブロック図の形態で示される。
【0012】
本明細書では、アンテナ及びそのようなアンテナの設計方法について説明する。1つの実施形態では、アンテナは、衛星通信システムのネットワーク端末で使用するための衛星アンテナである。1つの実施形態では、アンテナは、放射状スロットアンテナ(radial slot antenna)である。1つの実施形態では、アンテナは、無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するメタサーフェスアンテナである。1つの実施形態では、メタサーフェスアンテナは、放射状スロットアンテナである。1つの実施形態では、RF放射アンテナ素子は、メタマテリアル表面散乱アンテナ素子である。1つの実施形態では、メタマテリアル表面散乱アンテナ素子は、液晶(LC)ベースのアンテナ素子である。このようなアンテナ素子及びアンテナの例が、以下に記載される。代替の実施形態では、メタマテリアル表面散乱アンテナ素子は、例えば、2020年8月12日に出願された、名称「マストランスファー技術で製造されたメタサーフェスアンテナ(Metasurface Antennas Manufactured with Mass Transfer Technologies)」の米国特許出願番号第16/991,924号に記載されているものなど、LCとは対照的にバラクタダイオード又は他の同調機構を使用するアンテナ素子である。なお、この技術は、非衛星アンテナでも使用することができる。
【0013】
1つの実施形態では、メタサーフェスアンテナは、RF放射アンテナ素子に1又は2以上の給電波を供給するための1又は2以上の給電ポート(feed ports)を有し、これらの1又は2以上の給電波に応答して2又は3以上の再構成可能な放射ビーム(reconfigurable radiating beams)を発生させる。1つの実施形態では、これらの2又は3以上の放射ビームは、アンテナと衛星との間で独立して制御されるビームであり、空間的に分離されている。すなわち、アンテナは、互いに独立した複数の単一チャネルを同時に生成する。このような通信は、一度に2以上の再構成可能なリンクを生成することが極めて重要であるユースケースにおいて有用である。1つの実施形態では、本明細書に開示されるメタサーフェスアンテナは、アンテナに対する衛星の位置及び偏波に基づいて各ビーム又はチャネルをリアルタイムで再構成することができる一度に2つのLEO衛星と2つの独立した給電及びチャネル(ビーム)を介して通信することができる。例えば、LEOコンステレーション(LEO constellation)における衛星への通信は、ある衛星から次に来る衛星にビームを切り替える必要があり、マルチビーム機能が提供されていない場合には、移行時間の間にデータが失われることになる。独立した複数のビームを使えば、既存のリンクが中断される前に新しいリンクを設定することができる(メイクビフォーブレーク)。他の使用例では、2つのビームを同時に動作させることで、2又は3以上のチャネルでより多くのデータを転送できるので、アンテナのスループットが向上する。このように、このマルチビームの新しい発明は、一度に複数の衛星と通信するのに使用できるより多くの通信チャネルを増やすことで、アンテナの性能を向上させる。
【0014】
1つの実施形態では、単一の給電ポートを有するメタサーフェスアンテナは、給電部が何れかの任意の方向及び偏波の異なる放射ビームから受信及び/又はこれを介して送信する間、1又は2以上の給電ポート及び2又は3以上の異なる放射パターンを有するように修正することが可能である。言い換えれば、本明細書に記載された技術を使用して、1つの給電ポートを通じて通信する単一の再構成可能ビームのみを生成できるアンテナを修正し、1又は複数の給電ポートを通じて通信できる一度に2又は3以上の再構成可能ビームを有することができるアンテナになることができる。
【0015】
このように、本明細書に開示された技術を用いると、1つのアンテナユニットを用いて一度に2又は3以上の再構成可能な無線チャネルを有するという問題が解決される。1つの実施形態では、アンテナの現在の状態における僅かなハードウェア修正(マルチ給電の場合においては追加の給電ポートを追加する)及び新しいビームフォーミングアルゴリズムを用いることによって、アンテナがマルチビーム能力を有することができる。この機能により、アンテナは、最初のリンクが維持されたまま、追加のビームを確立して別の衛星に接続することができる。
【0016】
マルチビームアンテナの構成の実施例
本明細書に記載されるマルチビームアンテナは、マルチ給電マルチビームアンテナ構成と、単一給電マルチビームアンテナ構成という2つの構成のうちの1つを有する。マルチ給電マルチビーム構成では、アンテナは、通信チャネルに追加の修正を加えることなく、複数の独立した通信リンク(送信/受信)を生成する。単一給電マルチビームアンテナでは、アンテナはまた、アンテナから2又は3以上の局にデータを転送するために一度に複数の送信チャネルを確立するのに使用することができる。1つの実施形態では、単一給電マルチビームアンテナは、通信リンクを生成するために時分割二重化が使用されるネットワークのための受信モードで使用することができる。1つの実施形態では、時分割は、単一給電を通して複数の独立した受信チャネルを生成するのに使用できる。単一の給電を通して受信された信号を2又は3以上の空間的に分離されたチャネルから分離するための手段を提供できる直交通信技術(例えば、スペクトラム拡散など)何れかのセットは、このタイプのアンテナ構成を実装するときに受信モードに使用することができる。
【0017】
1つの実施形態では、本明細書に記載のアンテナは、異なる方向に複数のビームを同時に生成するため、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを備える。ビームの数は、2又は3以上とすることができる。1つの実施形態では、これらのビームは、複数のRF放射アンテナ素子に適用されるホログラフィックビームフォーミング用の変調パターンに応答して生成され、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように複数のビームの全てのビームを確立する。アパーチャに結合されたコントローラは、複数のビームを生成するためにアパーチャのアンテナ素子に適用される変調パターンを生成する。
【0018】
上述したように、アンテナは、複数のビームを提供するために、1又は2以上の給電、又はポート(例えば、2ポート、3ポート等)で構成することができる。マルチ給電構成の場合、1つの実施形態では、アンテナ(例えば、放射状スロットアンテナ)は、2つの異なる独立ポートを介して給電されるアパーチャを有し、ここで各ポートは、特定の方向にビームを生成し、これらのビームは、両方のビーム、すなわちポート1に対するビーム1及びポート2に対するビーム2の生成を満足する固有のビームフォーミング変調によって定義される。言い換えれば、ビームフォーミング変調は、ポート1及び2に給電波が供給されたときにアパーチャのアンテナ素子が両方のビームに寄与するように、2つのビームを生成するようにアパーチャのアンテナ素子に設計及び適用される。1つの実施形態では、ビームフォーミング変調は、ポート1及び2からの給電波によって給電されたときに両方のビーム1及び2を生成するためにアンテナアパーチャのアンテナ素子に適用される変調パターンを含む。
【0019】
受信モード(receive mode)では、ビーム1上で受信された信号が給電ポート1に優位に到着し、ビーム2上で受信されたビームがポート2に優位に到着する。2つのビームは、正確に同じ周波数とすることができる。1つの実施形態では、信号間の分割は、変調と給電ポートの空間的位置とによって行われる。送信モードでは、2つのビームは、受信モードについて説明したのと同じ様態で動作する。受信及び送信は、1つのビームのみに対して現在のアンテナにおいて提供されるのと同じ様態で同時に発生することができる。従って、1つの実施形態では、この構成において、マルチビームアンテナは、2又は3以上の全二重ビームを有することになる。
【0020】
2つのビームの周波数は、同じであっても異なっていてもよい。これは、受信及び送信に適用され、例えば、受信ビームの周波数は同じとすることができ、送信ビームは、同じ又は異なる周波数であり、又はその逆も可能である。
【0021】
図1A~1Cは、マルチ給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示している。
図1A~1Cを参照すると、アンテナ100は、アンテナ素子102を有するアンテナアパーチャ101を含む。1つの実施形態において、アパーチャ101は、メタサーフェスを含み、アンテナ素子102は、メタマテリアル表面散乱アンテナ素子(例えば、液晶(LC)ベースのアンテナ素子、バラクタダイオードベースのアンテナ素子など)を含む。アンテナアパーチャ101は、2つのポート、すなわちポート1及びポート2を含み、ビーム1及びビーム2を生成する。
【0022】
図2A~2Cは、2つのポートを通して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンを示す図である。変調パターンを適用して、
【数1】
及び
【数2】
の方向に2つのビームを確立しており、ここで、これらの各々は、給電番号1及び2(feed number one and two)をそれぞれ介して通信を行う。
【0023】
図2Aは、放射特性
【数3】
で
図1A~1Cのポート1を通じて給電されたときのメタサーフェスアンテナの放射パターンを示している。
図2Bは、放射特性
【数4】
でポート2と通じて給電されたときのメタサーフェスアンテナの放射パターンを示す図である。
図2Cは、放射特性
【数5】
及び
【数6】
で両ポートを通して同時に給電されたときの放射パターンを示す図である。
【0024】
単一給電構成(single-feed configuration)において、1つの実施形態では、メタサーフェスアンテナは、1つのポートを通じて給電され、2つの異なる方向のビームを生成し、各ビームは、1つのポートに関して、ビーム1及びビーム2の両方の生成を満足する固有のビームフォーミング変調によって定義される。言い換えると、ビームフォーミング変調は、1つのポートから給電波によって給電されたときに、アンテナアパーチャのアンテナ素子に適用されてビーム1及びビーム2の両方を生成する。1つの実施形態では、ビームフォーミング変調は、アンテナアパーチャのアンテナ素子に適用される変調パターンの形態である。
【0025】
送信モード(transmit mode)では、ポート1から送信される信号は、ビーム1及びビーム2を通過する。受信モードでは、2つのビームの各々から単一のポートを介して全く同じ周波数で信号を受信する。1つの実施形態では、信号間の分割は、このタイプのアンテナが特定の通信変調を有する通信リンクにおいて受信するような時分割二重化によって達成される。
【0026】
1つの実施形態では、マルチ給電構成又は単一給電構成の何れかにおいて、アンテナ素子に適用されるビームフォーミング変調は、両方のビーム(例えば、
図1A~1C及び
図3A~3Cのビーム1及び2)を確立することが可能である。1つの実施形態では、ビームフォーミング変調は、アンテナアパーチャに送られ又は他の方法で提供されるビームパターンを生成するアンテナコントローラによって提供される。1つの実施形態では、ビームパターンは、各アンテナ素子に対して複素数を含むホログラフィックビームパターンであり、各素子に対する複素数は、両ビームに対する個々のアンテナ素子の寄与に基づいて選択される。言い換えれば、1つの実施形態では、個々のアンテナ素子は、ビームフォーミング変調パターンからの複素数を介して制御され、当該数は、個々のアンテナ素子が両方のビームを提供するように選択される。
【0027】
図3A~3Cは、単一給電マルチビーム構成を有するアンテナの1つの実施形態を示す図である。
図3A~3Cを参照すると、アンテナ300は、アンテナアパーチャ301を含む。アンテナアパーチャ301は、アンテナ素子302を含む。1つの実施形態では、アパーチャ301は、メタサーフェスを含み、アンテナ素子302は、メタマテリアル表面散乱アンテナ素子(例えば、液晶(LC)ベースのアンテナ素子、バラクタダイオードベースのアンテナ素子等)を含む。アンテナアパーチャ301は、ビーム1及びビーム2を生成する単一のポートであるポート303を含む。
【0028】
図3Dは、単一のポートを介して同じ周波数で給電されるメタサーフェスアンテナの放射パターンの一例を示す図である。
図3Dを参照すると、固有の変調パターンが適用されて、
【数7】
及び
【数8】
の方向(例えば。放射特性)で2つのビームを確立し、ここでこれらの各々は1つの給電を通して通信する。
【0029】
1つの実施形態では、マルチ給電構成又は単一給電構成の何れかにおいて、アンテナ素子に適用されるビームフォーミング変調は、両方のビーム(例えば、
図1A~1C及び
図3A~3Cのビーム1及び2)を確立することが可能である。1つの実施形態では、ビームフォーミング変調は、アンテナアパーチャに送られるか又は他の方法で提供されるビームパターンを生成するアンテナコントローラによって提供される。1つの実施形態では、ビームパターンは、各アンテナ素子に対する複素数を含むホログラフィックビームパターンであり、各素子に対する複素数は、両ビームに対する個々のアンテナ素子の寄与に基づいて選択される。言い換えれば、1つの実施形態では、個々のアンテナ素子は、ビームフォーミング変調パターンからの複素数を介して制御され、当該複素数は、個々のアンテナ素子が両方のビームを提供するように選択される。
【0030】
マルチ給電構成(multi-feed configuration)において、アンテナに第2のポート(給電)を追加し、ビーム1及びビーム2の両方の生成を満たす適切なビームフォーミングを適用することにより、アンテナを使用して、空間的に分離された複数の衛星と通信するための2つの独立したリンクを確立することが可能である。本明細書に開示されたビームフォーミング変調を用いることにより、再構成可能な信号ビーム、すなわち単一給電アンテナをマルチビーム-マルチ給電アンテナに変換することができる。
【0031】
1つの実施形態では、単一給電マルチビーム構成について、マルチビームを実現するために、特定の変調(ビームフォーミング)がソフトウェアレベルでアンテナに適用され、追加のハードウェア修正は不要である。
【0032】
他の要因もまた、上記で開示したマルチ給電及び単一給電の構成の性能に影響する可能性がある。アンテナのこれらの態様を調整することによって、性能を改善することができる。以下のソフトウェア及びハードウェアの態様は、全てのビームについて一定の性能を達成するように調整することができる。1)マルチ給電構成におけるポートの位置を含むポート位置は、ビーム間の分離の品質に影響を与える。変調パターンの観点からは、ポート間の間隔が広がれば、変調パターン間の相関が低下し、その分、複数のビーム間の分離が向上する。例えば、線形構成では、リニアアレイの両端にポートが配置すされた場合に、最良の分離が得られる。この概念は、放射状構成のアレイにも拡張することができる。2)アパーチャ上のアンテナ素子の密度、3)各アンテナ素子と変調のセットに対する変調の重み付け、4)各変調の互いに対する位相、5)及び互いに対する入力波の位相。
【0033】
図4Aは、マルチ給電部を有するマルチビームアンテナを設計するための設計プロセスのフロー図の1つの実施形態を示す図である。
図4Aを参照すると、設計プロセスは、単一の放射アンテナ素子を設計するステップ(401)、アレイ構成(例えば、マルチ給電等)を定義するステップ(402)、次いで、アンテナ素子の設計及びアレイ構成を考慮してメタサーフェスアンテナを設計するステップ(403)で始まる。設計プロセスは、2つのポート位置を定義するステップを含む(404)。
【0034】
2つのポートの位置によって、設計プロセスは、2つのビームの特性を定義するステップ(405)に進む。1つの実施形態では、これらの特性は、2つのビームの各々についての周波数、ポインティング角、及び偏波を含む。これらの特性に基づいて、プロセスは、各ビームを生成するためのホログラフィックビームフォーミング変調を定義する(406)。
【0035】
各ビームのホログラフィックビームフォーミング変調を使用して、プロセスは、2つのホログラフィックビームフォーミング変調に基づき、固有のビームフォーミング変調を定義する(407)。1つの実施形態では、固有ビームフォーミング変調は、2つのホログラフィックビームフォーミング変調を組み合わせることによって生成される。1つの実施形態では、組み合わせ動作は、2つのホログラフィックビームフォーミング変調の変調パターンを平均化する平均化動作を含む。変調パターンの平均化は、2つのホログラフィックビームフォーミング変調における対応するアンテナ素子に対する複素数を平均化し、固有のビームフォーミング変調に対する変調パターンにおけるそのアンテナ素子に対する1つの複素数に到達することによって行うことができる。固有のビームフォーミング変調を生成する他の方法については、以下でより詳細に説明する。固有のビームフォーミング変調が生成されると、プロセスは、2つのビームの生成に使用するために、固有のビームフォーミング変調(例えば、ビームフォーミングパターン)をアンテナアパーチャに送る(408)。
【0036】
図4Bは、単一給電部を有するマルチビームアンテナを設計するための設計プロセスのフロー図の1つの実施形態を示す。
図4Bを参照すると、設計プロセスは、単一の放射アンテナ素子を設計するステップ(411)、アレイ構成(例えば、マルチ給電等)を定義するステップ(412)、次いでアンテナ素子の設計及びアレイ構成を考慮してメタサーフェスアンテナを設計するステップ(413)から始まる。設計プロセスでは、信号ポートの位置を定義するステップ(414)を含む。
【0037】
ポートの位置によって、設計プロセスは、2つのビームの特性を定義するステップ(415)に進む。1つの実施形態では、これらの特性は、2つのビームの各々についての周波数、ポインティング角、及び偏波を含む。これらの特性に基づいて、プロセスは、各ビームを生成するためのホログラフィックビームフォーミング変調を定義する(416)。
【0038】
各ビームのホログラフィックビームフォーミング変調を使用して、プロセスは、2つのホログラフィックビームフォーミング変調に基づき、固有のビームフォーミング変調を定義する(417)。1つの実施形態では、固有ビームフォーミング変調は、2つのホログラフィックビームフォーミング変調を組み合わせることによって生成される。1つの実施形態では、組み合わ動作は、
図4Aに関連して上述したように、又は本明細書でより詳細に説明するように、2つのホログラフィックビームフォーミング変調に対する変調パターンを平均化する平均化動作を含む。固有のビームフォーミング変調が生成されると、プロセスは、2つのビームの生成に使用するために固有のビームフォーミング変調(例えば、ビームフォーミングパターン)をアンテナアパーチャに送る(418)。
【0039】
図4Cは、マルチ給電を有するマルチビームアンテナのためのビームフォーミングプロセスの1つの実施形態を示す図である。このプロセスは、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用機上で実行されるものなど)、ファームウェア(例えば、読み取り専用メモリにプログラムされたソフトウェア)、又はこれらの組み合わせを含むことができる処理ロジックによって実行することができる。1つの実施形態では、プロセスは、RF放射アンテナ素子のアンテナアパーチャを制御するアンテナコントローラによって実行される。
【0040】
図4Cを参照すると、プロセスは、処理ロジックが、ビーム1~Nを得るためにホログラフィックビームフォーミングを定義することで開始される(処理ブロック4201~N)。次に、処理ロジックは、アンテナがポート1~Nそれぞれから給電されるときに、ビーム1~Nを生成する固有のビームフォーミングを計算する(処理ブロック421)。
1つの実施形態では、これは、最良の位相近似、より小さいユークリッド距離、又は別の数学的スキームに基づいて行うことができる。ビーム1~Nを生成する固有のビームフォーミングを計算した後、処理ロジックは、ビームフォーミングに利用可能な状態を定義する(処理ブロック422)。
【0041】
図4Dは、単一給電部を有するマルチビームアンテナのためのビームフォーミングプロセスの1つの実施形態を示す図である。プロセスは、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(例えば、汎用コンピュータシステム又は専用機上で実行するような)、ファームウェア(例えば、読み取り専用メモリにプログラムされたソフトウェア)、又はこれらの組み合わせを含むことができる処理ロジックによって実行することができる。1つの実施形態では、プロセスは、RF放射アンテナ素子のアンテナアパーチャを制御するアンテナコントローラによって実行される。
【0042】
図4Dを参照すると、プロセスは、処理ロジックが、ビーム1~Nを得るためにホログラフィックビームフォーミングを定義することで開始される(処理ブロック4301~N)。次に、処理ロジックは、アンテナが単一ポートから給電されるときに、ビーム1~Nを生成する固有のビームフォーミングを計算する(処理ブロック431)。1つの実施形態では、これは、最良の位相近似、より小さいユークリッド距離、又は別の数学的スキームに基づいて行うことができる。ビーム1~Nを生成する固有のビームフォーミングを計算した後、処理ロジックは、ビームフォーミングに利用可能な状態を定義する(処理ブロック432)。
【0043】
1つの実施形態では、
図4C及び4Dにおいて、異なるホログラム変調に対して異なる重み付けが加えられ、最終的な変調は、各特定ビームの生成に重みを与える重み付けホログラムに基づき生成される。以下の式は、異なる重み付けで変調をまとめており、ここでmodiはポートiに関してビーム番号iを生成するための理想変調、aiは変調iの重み付けであり、EUCは利用可能な(実行可能な)変調からの理想変調のユークリッド距離、及びγは利用可能な状態の集合である。
【数9】
【数10】
ここでγは利用可能な状態の集合である。
【数11】
ここでγは利用可能な状態の集合である。
【数12】
例えば、限定ではないが、遺伝的アルゴリズム、凸型最適化、粒子群などの異なる最適化技術に基づく何れかの潜在的変調パターン。これらの最適化は、所望のマルチビーム性能を達成するために、アパーチャの全てのRF放射素子に対して実行される。
【0044】
ユークリッド変調、ユークリッド距離、及び利用可能な状態の更なる情報については、当技術分野でよく知られた、2020年6月16日に出願された「制限付きユークリッド変調(Restricted Euclidean Modulation)」と題する米国特許第10,686,636号を参照されたい。
【0045】
図5A~5Dは、複数のビームを生成するためにアパーチャ全体に対する変調を生成するための複数のプロセスを示す図である。これらのプロセスは、ビームの各々に対する個々のホログラフィックビームフォーミング変調を組み合わせることによって、固有のビームフォーミング変調を導出する技術の一例である。
図5A~5Dを参照すると、星501及び502は、それぞれビーム1及びビーム2を生成するための理想変調である。
図5A~5Dの実線は、最小ユークリッドマッピングを示す。
【0046】
図5Aを参照すると、理想変調501及び502が、2つの理想変調501及び502の平均を表す星510と共に図示されている。1つの実施形態では、アンテナコントローラは、ビームの各々についてホログラフィックビームフォーミングパターンを取り、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射アンテナ素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することによって、アパーチャ全体に適用される固有のビームフォーミングを生成する。言い換えると、各素子の各変調パターンにおける変調パターン値(例えば、複素数)を平均化し、その平均値は、アパーチャ全体に適用される固有のビームフォーミング変調に関連する変調パターンにおけるそのアンテナ素子の変調パターン値である。
【0047】
図5Bを参照すると、理想変調501及び502は、2つの変調の平均を表す星510と共に示されている。しかしながら、この事例では、アンテナコントローラは、RF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する理想変調501及び502に関連する変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することによって、複数のビームに対するホログラフィックビームフォーミングパターンを1つの変調パターンに組み合わせて、平均化したパターン値に基づくユークリッド変調パターン(Euclidean modulation pattern)を、アパーチャ全体に適用される固有のビームフォーミング変調のための変調パターンとして選択する。
【0048】
図5Cを参照すると、理想変調501及び502が図示されている。アパーチャ全体に適用される固有のビームフォーミング変調を決定するために、アンテナコントローラは、第1の及び第2のビームについての理想変調501及び502に関連するホログラフィックビームフォーミングパターンの各々について複数のユークリッド変調マッピング(Euclidean modulation mappings)を計算することによって、ビームについてのホログラフィックビームフォーミングパターンを組み合わせ、第1のビームについてのユークリッド変調マッピングの各々のパターンを、前記第2のビームについての対応するユークリッド変調マッピングの各々のパターンに加えることにより複数の和を生成し、次いで、アパーチャ全体に適用される固有のビームフォーミング変調として、最小和を有するユークリッド変調マッピングの複数の和を形成する変調パターンを選択する。
【0049】
1つの実施形態では、この方法は、ハードウェアとソフトウェアの2つの部分に分けられる。ソフトウェア部分では、ポート1及び2からそれぞれビーム1及び2を生成するために2つの変調が計算され、実現可能な変調パターンを生成するために適切なユークリッドマッピングが実行される。
図5Dは、提案された変調方式を表している。しかしながら、ハードウェア側では、アパーチャは、ペアを形成する素子から構成され、ビーム1を生成するための第1の変調は、第1のセットの素子に適用され、ビーム2を生成するための第2の変調は、第2のセットの素子に適用されることになる。
【0050】
図5Eは、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャを有するアンテナアパーチャで複数のビームを生成するプロセスの1つの実施形態のフロー図である。プロセスは、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用機で実行されるような)、ファームウェア(例えば、読み取り専用メモリにプログラムされたソフトウェア)、又はこれらの組み合わせを含むことができる処理ロジックによって実行することができる。1つの実施形態では、プロセスは、RF放射アンテナ素子のアンテナアパーチャを制御するアンテナコントローラによって実行される。
【0051】
図5Eを参照すると、プロセスは、複数のビームの各ビームのための変調パターンを、固有のホログラフィックビームフォーミングパターンとして生成することによって開始される(処理ブロック551)。
【0052】
全てのビームに対して変調パターンを使用して、処理ロジックは、アパーチャの全てのアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与して異なる方向に複数のビームを同時に生成するために、複数のRF放射アンテナ素子に適用するホログラフィックビームフォーミングのための第1の変調パターンを生成する(処理ブロック552)。1つの実施形態では、第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、複数の変調パターンにおける各変調パターンは、複数のビームのうちの異なるビームのためのものである。
【0053】
1つの実施形態では、処理ロジックは、複数のビームのための固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせることによって、第1の変調パターンを生成する。1つの実施形態では、処理ロジックは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することによって、複数のビームに対するホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせる。
【0054】
別の実施形態では、処理ロジックは、固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせる際に、異なるホログラフィックビームフォーミングパターンに対して異なる重み付けを適用することによって、複数のビームに対するホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせる。
【0055】
別の実施形態では、処理ロジックは、以下のうちの1又は2以上によって、複数のビームのホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせる。
【0056】
1)複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化し、その後、1つの変調パターンに基づくユークリッド変調パターンを第1の変調パターンとして選択するステップ。
【0057】
2)複数のビームのうちの第1の及び第2のビームについてのホログラフィックビームフォーミングパターンそれぞれについて複数のユークリッド変調マッピングを計算し、第1のビームについてのユークリッド変調マッピングそれぞれのパターンを、対応する第2のビームについてのユークリッド変調マッピングそれぞれのパターンに加算して複数の総和を生成し、次いで、最小和を有する複数のユークリッド変調マッピング和から変調パターンを、固有変調パターンとして選択するステップ。
【0058】
3)2つの変調をそれぞれポート1及びポート2からビーム1及び2を生成することであるとして計算し、適切なユークリッドマッピングを実行して実現可能な変調パターンを生成し、更に、ビーム1を生成するための第1の変調を第1の要素の集合に適用してビーム1を生成し、第2の変調を第2のセットの要素に適用してビーム2を生成するステップ。
【0059】
次に、処理ロジックは、第1の変調パターンをアパーチャに送信して、複数のRF放射アンテナ素子に複数のビームを同時に生成させる(処理ブロック552)。
【0060】
異なる重み付けは、アンテナ性能に影響を与える可能性があることに留意されたい。例えば、ビームの一方に高い重みが与えられた場合、そのビームに対するアパーチャ効率及び指向性は高くなる。両方のビームに所与の重みが与えられ、両方のビームについて同様のアパーチャ効率を得ることができる場合。これらの重みは、異なっていてもよい。
【0061】
以上、技術は、給電部がアンテナに組み込まれた能動放射体としてのメタサーフェスアンテナと組み合わせて説明したが、当該技術はこのような方法で使用することに限定されない。或いは、提案された技術はまた、2つの独立した給電アンテナ(例えば、ホーンアンテナ)がメタサーフェスを照射し、2つの異なるビームが生成される一方で、メタサーフェスが単に反射器であるパッシブメタサーフェスアンテナを対象とすることができる。
【0062】
アンテナの実施形態例
上述の技術は、平面アンテナと共に用いることができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は液晶セルを含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意にアドレス指定して駆動するマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、リング状に配置される。
【0063】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、互いに結合された複数のセグメントから構成される。互いに結合された時に、セグメントの組み合わせは、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電に対して同心である。
【0064】
アンテナシステムの実施例
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信のためのKa帯域周波数又はKu帯域周波数の何れかを用いて動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上など)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態は、モバイルプラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定又は可搬型地上局)でも用いることができる点に留意されたい。
【0065】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を用いて、別個のアンテナを介した送信及び受信ビームを形成しステアリングする。
【0066】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち(1)円筒波給電アーキテクチャから構成される導波構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単セルのアレイ、及び(3)ホログラフィック原理を用いたメタマテリアル散乱素子から調節可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0067】
アンテナ素子
図6は、円筒状給電ホログラフィック半径アパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図である。
図6を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電602の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子603の1又は2以上のアレイ601を有する。1つの実施形態では、アンテナ素子603は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態では、アンテナ素子603は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブされ分布されたRx及びTxアイリスの両方を含む。このようなアンテナ素子の例について、以下で詳細に記載される。本明細書に記載されるRF共振器は、円筒状給電を含まないアンテナにも用いることができる点に留意されたい。
【0068】
1つの実施形態では、アンテナは、入力給電602を介して円筒波給電を提供するのに用いられる同軸給電を含む。1つの実施形態では、円筒波給電アーキテクチャは給電ポイントから円筒状に外向きに拡がる励起を中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心給電波を生成する。それでも、円筒状給電の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態では、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、給電波は円形構造から生じるのが最も自然である。
【0069】
1つの実施形態では、アンテナ素子603はアイリスを含み、
図6のアパーチャアンテナは、可変波長液晶(LC)材料を介してアイリスに放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形成される主ビームを生成するのに用いられる。1つの実施形態では、アンテナを励起して、所望の走査角度の水平又は垂直分極電界を放射することができる。
【0070】
1つの実施形態では、アンテナ素子は、1つのグループのパッチアンテナを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。1つの実施形態では、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単セルの一部であり、上部導体は、上部導体にエッチング加工され又は堆積される相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者であれば理解されるであろうが、CELCの関連におけるLCは、液晶とは異なり、インダクタンス・キャパシタンスを意味する。
【0071】
1つの実施形態において、液晶(LC)は、散乱素子の周りのギャップに配置される。このLCは、上述の直接駆動の実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単セルに封入されて、スロットに関連する下部導体をスロットのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。1つの実施形態において、液晶は、この特性を利用して、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためにオン/オフスイッチを組み込む。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されるものではない。
【0072】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0073】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、直交の目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0074】
各単セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチへのトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、キャパシタンス及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビームフォーミングを実現するのに使用される。必要な電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それ以上に電圧を高めても液晶での大きな同調が生じなくなる飽和電圧とによって、主として説明される。これらの2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物については変化することができる。
【0075】
1つの実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチに電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0076】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用のアンテナアレイコントローラ(駆動電子機器を含む)は、波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整し、商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0077】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部でないものとすることができる。
【0078】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0079】
送信については、コントローラが、RFパッチに電圧信号のアレイを供給し、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に変化する。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する。可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0080】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象よって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔を置いて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0081】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単セル(unit cells)をオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0082】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビーム(steerable beam)と、ダウンリンクアンテナの用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0083】
図7は、グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、可変波長スロット(tunable slots)1210のアレイを含む。可変波長スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。可変波長スロットの各々は、液晶の両端の電圧を変化させることによって同調/調整することができる。
【0084】
制御モジュール1280は、再構成可能共振器層1230に結合され、
図8Aにおける液晶の両端の電圧を変化させることによって可変波長スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、可変波長スロット1210のアレイを駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、可変波長スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール1280と同様の制御モジュールは、本開示の図に記載された可変波長スロットの各アレイを駆動することができる。
【0085】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1205などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「ステアリング(steering)」されるように、可変波長共振器/スロット1210のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのWin及び射出波上の波動方程式として、次式によって計算される。
【数1】
【0086】
図8Aは、可変波長共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。可変波長共振器/スロット1210は、アイリス/スロット1212、放射パッチ1211、及びアイリス1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213を含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0087】
図8Bは、物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示している。アンテナアパーチャは、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1233内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aの複数の可変波長共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236の開口部(openings)によって定められる。
図7の給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルに適合するマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0088】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1233及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1233は、パッチ層1231及びアイリス層1232の間に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1233と置き換えることができることに留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1232は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(「PCB」)である。1つの実施形態において、アイリス層1232はガラスである。アイリス層1232は、他のタイプの基板とすることができる。
【0089】
開口部は、銅層内でエッチングされて、アイリス/スロット1212を形成する。1つの実施形態において、アイリス層1232は、導電性接合層によって、
図8Bにおける別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されるものではなく、その代わりに、非導電性接合層と相互連結することに留意されたい。
【0090】
また、パッチ層1231は、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施形態において、ガスケット層1233は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を定める機械的離隔部をもたらすスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば3~200mm)が使用できる。上述したように、1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aのパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む可変波長共振器/スロット1210などの複数の可変波長共振器/スロットを備える。液晶1213用のチャンバは、スペーサ1239、アイリス層1232、及び金属層1236によって定められる。チャンバが、液晶で充填された場合には、パッチ層1231は、スペーサ1239上に積層されて、共振器層1230内に液晶をシールすることができる。
【0091】
パッチ層1231とアイリス層1232との間の電圧は、パッチとスロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)との間のギャップ内の液晶を同調するように変調することができる。液晶1213の両端の電圧を調整すると、スロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)のキャパシタンスが変化する。従って、スロット(例えば、可変波長共振器/スロット1210)のリアクタンスは、キャパシタンスを変化させることによって変えることができる。また、可変波長共振器/スロット1210の共振周波数は、次式:
【数4】
に従って変化し、ここで、fは、スロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロット1210のインダクタンス及びキャパシタンスである。スロット1210の共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合には、スロット1210の共振周波数は、17GHzに調整(キャパシタンスを調整することによって)されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1210の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいてはスロット1210の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各可変波長共振器/ススロット1210から放射されるエネルギーを精密に制御して、可変波長スロット(例えば、可変波長共振器/スロット)のアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0092】
1つの実施形態において、行における可変波長スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各可変波長スロットは、隣接する行における最も近い可変波長スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された可変波長スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各可変波長スロットは、隣接する行における最も近い可変波長スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0093】
本発明の実施形態は、2014年11月21日に出願された「操縦可能な円筒状給電ホログラフィックアンテナによる動的な偏波・結合制御(Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna)」という名称の米国特許出願14/550,178号、及び2015年1月30日に出願された「再構成可能なアンテナのためのリッジ導波路給電構造(Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna)」という名称の米国特許出願第14/610,502号に記載されているような再構成可能なメタマテリアル技術を使用する。
【0094】
図9A-Dは、スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、
図6に示されている例示的なリングのようなリング状に位置決めされたアンテナ素子を含む。この実施例では、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有することに留意されたい。
【0095】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示している。
図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の空き領域/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用される訳ではない点に留意されたい。
図9Bは、スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示している。
図9Cは、第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示している。
図9Dは、スロット付きアレイの一部の上面図を示している。
【0096】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向きの進行構造を用いることができる。1つの実施形態では、
図10のアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「操縦可能な円筒状給電ホログラフィックアンテナによる動的な偏波・結合制御(Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna)」という名称の米国特許公開第2015/0236412号に記載されるような同軸給電を含む。
【0097】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0098】
内部導体である間隙導体1603は、導電性グランドプレーン1602から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び間隙導体1603は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0099】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して間隙導体1603から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0100】
間隙導体1603の上部には、誘電体層1605がある。1つの実施形態において、誘電体層1605はプラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビームフォーミングに好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、誘電体層1605として、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を使用することができる。
【0101】
RFアレイ1606は誘電体層1605の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0102】
アンテナは、側面1607及び1608を含む。側面1607及び1608は、同軸ピン1601からの進行波給電が反射によって間隙導体1603の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体1603の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側面1607及び1608の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面1607及び1608は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。
図10は、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0103】
動作中、給電波が同軸ピン1601から供給されると、この給電波は、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部1607及び1608により反射され、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0104】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部1609がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0105】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。
図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610、1611は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーンの間に誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0106】
作動時には、給電波は。同軸ピン1615を介して給電され、同心状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用する。
【0107】
図10及び11の両方のアンテナにおける円筒状給電は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45°Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25°El)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何らかのビームフォーミングアンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0108】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0109】
波動散乱素子(Wave Scattering Elements)のアレイ
図10のRFアレイ1606及び
図11のRFアレイ1616は、放射体として機能する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0110】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体と、誘電体基板と、相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んだ上部導体とからなる単セルの一部であり、相補的電気誘導型容量性共振器は、上部導体にエッチング又は堆積される。
【0111】
1つの実施形態において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は各単セルにエンキャプスレートされて更にスロットに関連付けられる下部導体を、パッチに関連付けられる上部導体から分離する。液晶は、液晶を含む分子の配向の関数である誘電率を有し、更に分子の配向(及び従って誘電率)は、液晶両端のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。この特性を用いて、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギーの伝送のためのオン/オフスイッチとして作用する。スイッチオンされた時に、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのような電磁波を発生する。
【0112】
LCの厚みを制御することで、ビームスイッチング速度が上昇する。下部導体と上部導体の間のギャップ(液晶の厚み)が50パーセント(50%)低減すると、速度が4倍に増大する。別の実施形態では、液晶の厚みが、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度を結果として生じる。1つの実施形態において、LCが、7ミリ秒(7ms)要件を満たすことができるよう、応答性を改良するために当該技術で公知の方式でドープされる。
【0113】
CELC素子は、CELC素子の平面に平行に且つCELCギャップ補完材に垂直に印加される磁界に応答する。電圧がメタマテリアル散乱単セルの液晶に印加されると、誘導波の磁界成分がCELCの磁気励起を誘起し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波を生成する。
【0114】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトルのCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCに平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCが波長より小さいので、出力波は、CELCの真下を通過する場合の誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0115】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状が、CELC素子を波給電の波ベクトルに対して45度(45°)角度に位置付けられるようにする。素子のこの位置は、素子から生成されるか又は素子によって受信される自由空間波の偏波の制御を可能にする。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子がある場合、30GHz送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)になる。
【0116】
1つの実施形態において、CELCは、パッチアンテナ間に液晶を有してスロットの上方に並置されたパッチを含むパッチアンテナで実装される。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット(散乱)導波路のように作用する。スロット導波路に関しては、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0117】
セルの配置(Cell Placement)
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。
図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711、1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1711、1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0118】
単セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数が著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0119】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことは、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0120】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0121】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。
図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図13を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1801に接続された2つの入力ポートと、トレース1802に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0122】
全二重通信システムの実施例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。
図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つよりも多い受信経路を含むことができる。
【0123】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0124】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0125】
モデム1460は、アナログデジタル変換器(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1423によって復調されて、復号器1424によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0126】
モデム1460は更に、コンピューティングシステム1440から送信されたデータを符号化するエンコーダ1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0127】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1445は、伝送のため送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0128】
コントローラ1450は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0129】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正されることになる。このような場合、コンバイナ/アービターは、モデムの後で且つBUC及びLNBの前にある。
【0130】
図14に示された全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェアアップデートを含む)などを含む幾つかの用途を有する点に留意されたい。
【0131】
本明細書に記載する幾つかの例示的な実施形態が存在する。
【0132】
実施例1は、アンテナであって、複数の無線周波(RF)放射アンテナ素子を有するアパーチャであって、複数のRF放射アンテナ素子に適用されるビームフォーミングのための第1の変調パターンに応答して異なる方向に複数のビームを同時に生成し、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように複数のビームの全てのビームを確立する、アパーチャと、アパーチャに結合されて、第1の変調パターンを生成するコントローラと、を備える、アンテナである。
【0133】
実施例2は、第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、複数の変調パターンにおける各変調パターンは、複数のビームのうちの異なる(distinct)ビームのためのものであることを任意選択に含むことができる実施例1に記載のアンテナである。
【0134】
実施例3は、コントローラは、複数のビームの各ビームのための各変調パターンを別個のビームフォーミングパターンとして生成し、複数のビームのための別個のホログラフィックビームフォーミングパターン(separate holographic beamforming patterns for the plurality of beams)を第1の変調パターンに組み合わせ、第1の変調パターンをアパーチャに送るように動作可能であることを任意選択に含むことができる実施例2に記載のアンテナである。
【0135】
実施例4は、コントローラは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することにより、複数のビームのためのビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択に含むことができる実施例3に記載のアンテナである。
【0136】
実施例5は、コントローラは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化し、次いで、1つの変調パターンに基づくユークリッド変調パターンを第1の変調パターンとして選択する、ことにより、複数のビームのためのビームフォーミングパターンを1つの変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択的に含むことができる実施例3に記載のアンテナである。
【0137】
実施例6は、コントローラは、複数のビームのうちの第1のビーム及び第2のビームのための各ビームフォーミングパターンについて複数のユークリッド変調マッピングを計算し、第1のビームのためのユークリッド変調マッピングの各々のパターンを、第2のビームのための対応するユークリッド変調マッピングの各々のパターンに加えることによって、複数の和を生成し、次いで、複数の和から最小和を有するユークリッド変調マッピングについてのユークリッド変調パターンを第1の変調パターンとして選択する、ことにより、複数のビームのためのビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択に含むことができる実施例3に記載のアンテナである。
【0138】
実施例7は、コントローラは、複数のビームのためのビームフォーミングパターンの各々について最も近いユークリッド変調マッピングに関連するユークリッド変調パターンを選択し、複数のビームフォーミングパターンについての最も近いユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを平均化する、ことにより、複数のビームのためのビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択的に含むことができる実施例3に記載のアンテナである。
【0139】
実施例8は、コントローラは、別個のビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるとき、異なるビームフォーミングパターンに異なる重み付けを適用するように動作可能であることを任意選択に含むことができる実施例3に記載のアンテナである。
【0140】
実施例9は、ビームフォーミングのための第1の変調パターンは、ホログラフィックビームフォーミングのための第1の変調パターンを含むことを任意選択に含むことができる実施例1に記載のアンテナである。
【0141】
実施例10は、アパーチャがメタサーフェスを含むことを任意選択的に含むことができる実施例1に記載のアンテナである。
【0142】
実施例11は、メタサーフェスは、複数のRF放射アンテナ素子に給電波を提供するための単一の給電ポートを備えることを任意選択的に含むことができる実施例10に記載のアンテナである。
【0143】
実施例12は、メタサーフェスは、複数のRF放射アンテナ素子に複数の給電波を同時に提供するための複数の給電ポートを備えることを任意選択的に含むことができる実施例10に記載のアンテナである。
【0144】
実施例13は、アンテナであって、メタサーフェスを備え、メタサーフェスは、給電波を提供するための単一の給電ポートと、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子であって、複数のRF放射アンテナ素子は、複数のRF放射アンテナ素子に適用されるホログラフィックビームフォーミング用の第1の変調パターンに応答して異なる方向に同時に複数のビームを給電波に応答して生成し、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与するように複数のビームの全てのビームを確立する、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子と、を有し、アンテナは、第1の変調パターンを生成するためにアパーチャに結合されたコントローラを備え、第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、複数の変調パターンにおける各変調パターンは、複数のビームのうちの異なるビームのためのものであり、コントローラは、複数のビームの各ビームのための各変調パターンを固有のホログラフィックビームフォーミングパターンとして生成し、複数のビームのための固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせ、第1の変調パターンをアパーチャに送る、ように動作可能である、アンテナである。
【0145】
実施例14は、コントローラは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することによって、複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択に含むことができる実施例13に記載のアンテナである。
【0146】
実施例15は、コントローラは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子についての複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化し、次いで、1つの変調パターンに基づくユークリッド変調パターンを第1の変調パターンとして選択すること、又は複数のビームのうちの第1のビーム及び第2のビームのための各ホログラフィックビームフォーミングパターンについて複数のユークリッド変調マッピングを計算し、第1のビームのためのユークリッド変調マッピングの各々のパターンを、第2のビームのための対応するユークリッド変調マッピングの各々のパターンに加えることによって、複数の和を生成し、次いで、複数の和から最小和を有するユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを第1の変調パターンとして選択すること、又は複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンの各々について最も近いユークリッド変調マッピングに関連するユークリッド変調パターンを選択し、複数のホログラフィックビームフォーミングパターンの最も近いユークリッド変調マッピングのユークリッド変調パターンを平均化すること、のうちの1又は2以上によって、複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを1つの変調パターンに組み合わせるように動作可能であることを任意選択的に含むことができる実施例13に記載のアンテナである。
【0147】
実施例16は、複数の無線周波数(RF)放射アンテナ素子を備えたアパーチャを有するアンテナを制御するための方法であって、複数のRF放射アンテナ素子に適用されるビームフォーミングのための第1の変調パターンを生成して、異なる方向に複数のビームを同時に生成することであって、複数のRF放射アンテナ素子のアンテナ素子が複数のビームの全てのビームに同時に寄与する、生成することと、複数のRF放射アンテナ素子に複数のビームを同時に生成させるために、第1の変調パターンをアパーチャに送ることと、を含む、方法である。
【0148】
実施例17は、第1の変調パターンは、複数の変調パターンの組み合わせであり、複数の変調パターンにおける各変調パターンは、複数のビームのうちの異なるビームのためのものであることを任意選択に含むことができる実施例16に記載の方法である。
【0149】
実施例18は、複数のビームの各ビームのための各変調パターンを固有のホログラフィックビームフォーミングパターンとして生成し、複数のビームのための固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせることを更に含むことを任意選択的に含むことができる実施例17の方法である。
【0150】
実施例19は、複数のビームのためのホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせることは、複数のRF放射アンテナ素子の個々のRF放射素子に対する複数の変調パターンにおける対応するパターン値を平均化することを含むことを任意選択的に含むことができる実施例16に記載の方法である。
【0151】
実施例20は、固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせることは、固有のホログラフィックビームフォーミングパターンを第1の変調パターンに組み合わせるとき、異なるホログラフィックビームフォーミングパターンに対して異なる重み付けを適用することを含むことを任意選択的に含むことができる実施例16に記載の方法である。
【0152】
以上の詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常は、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などと言及することは、主として共通使用という理由で時に好都合であることが判明している。
【0153】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、且つこれらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことに注意されたい。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及び処理を指すことが認められる。
【0154】
本発明はまた、本明細書の作動を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを有することができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0155】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、何れの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが有利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、何れの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0156】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形態の情報を格納又は送信するための何れかの機構を含む。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0157】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0158】
100 アンテナ
101 アンテナアパーチャ
102 アンテナ素子
【国際調査報告】