(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】沸騰水型原子炉用のチャネルボックス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G21C 3/324 20060101AFI20230601BHJP
G21C 5/00 20060101ALI20230601BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20230601BHJP
B32B 15/14 20060101ALI20230601BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
G21C3/324
G21C5/00 C
G21C5/00 A
B32B1/08 Z
B32B15/14
B32B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566352
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021030458
(87)【国際公開番号】W WO2021222889
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】シヴァク、マイケル、アール
(72)【発明者】
【氏名】シュウ、ペン
(72)【発明者】
【氏名】ラホーダ、エドワード、ジェイ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA16
4F100AA16A
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4F100AB01B
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4F100YY00B
4F100YY00D
(57)【要約】
沸騰水型原子炉用のチャネルボックス及びその製造方法が提供される。チャネルボックスは、基材と、第1の層とを備える。基材は、管状形状を備える。基材は、炭化ケイ素繊維を含む。第1の層は、基材の第1の表面上に付着され、第1の層は、耐食性金属組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉用のチャネルボックスであって、
管状形状を備え、炭化ケイ素繊維を含む基材と、
前記基材の第1の表面上に付着され、耐食性金属組成物を含む第1の層と
を備える、チャネルボックス。
【請求項2】
化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせによって、前記炭化ケイ素繊維に炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させている、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項3】
前記炭化ケイ素繊維と、その中に浸透させた前記炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせとの中間に中間層を更に備える、請求項2に記載のチャネルボックス。
【請求項4】
前記中間層が炭素系である、請求項3に記載のチャネルボックス。
【請求項5】
前記耐食性金属組成物が、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、イットリウム、イットリウム合金、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項6】
前記耐食性金属組成物が、ニオブを含むジルコニウム合金を含む、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項7】
前記第1の層の厚さが、1ミクロン~20ミクロンの範囲内である、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項8】
前記基材の前記第1の表面とは反対側の前記基材の第2の表面上に付着された第2の層を更に含み、前記第2の層が第2の耐食性金属組成物を含む、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項9】
前記チャネルボックスの前記第1及び第2の層の量が、前記チャネルボックスの総重量の0%超~10%の範囲内である、請求項8に記載のチャネルボックス。
【請求項10】
前記チャネルボックスの前記第1及び第2の層の量が、前記チャネルボックスの総重量の1%~2%の範囲内である、請求項8に記載のチャネルボックス。
【請求項11】
前記チャネルボックスの壁厚が、1ミリメートル~4ミリメートルの範囲内である、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項12】
前記第1の層上に配置された第3の層を更に備え、前記第3の層がクロム又はクロム合金を含む、請求項1に記載のチャネルボックス。
【請求項13】
前記第3の層の厚さが、0.1ミクロン~5ミクロンの範囲内である、請求項12に記載のチャネルボックス。
【請求項14】
請求項1に記載のチャネルボックスを備える、沸騰水型原子炉。
【請求項15】
沸騰水型原子炉のコアの第1の位置で請求項1に記載のチャネルボックスを予備照射することを含む方法であって、前記第1の位置では前記沸騰水型原子炉内の第2の位置よりも中性子束勾配が低いことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記チャネルボックスを予備照射することが、原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスを放射線に曝露することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
沸騰水型原子炉用の予備照射されたチャネルボックスであって、
管状形状を備え、炭化ケイ素繊維を含む基材と、
前記基材の表面上に付着され、耐食性金属組成物を含む第1の層とを備え、
原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスの各側面が放射線に曝露されている、チャネルボックス。
【請求項18】
沸騰水型原子炉用のチャネルボックスを作製するための方法であって、
型を包むように炭化ケイ素繊維の層を設け、炭化ケイ素繊維のプリフォームを作成することと、
前記炭化ケイ素繊維上に中間層を付着させることと、
前記プリフォームから、管状形状を備える基材を作成することと、
前記型から前記基材を取り外すことと、
前記基材の第1の表面上に耐食性金属組成物を含む第1の層を付着させて前記チャネルボックスを形成すること
を含む、方法。
【請求項19】
前記基材を作成することが、化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせを用いて、前記プリフォームに、炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させることにより、前記基材を作成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスを放射線に曝露することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容がその全体で参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月1日に出願された米国仮出願第63/018,561号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉(BWR)を備える原子力発電所は、コア内の原子燃料棒束を包囲するチャネルボックスを含むことができる。チャネルボックスは、BWRのコア内で適切な冷却を維持するために、原子燃料棒束の周囲に冷却液流を方向付け、原子燃料棒束からチャネルボックス間の低圧バイパス領域への蒸気ドリフトを阻止する。典型的には、制御ブレードが、コア内の中性子束を制御するために、チャネルボックスの外側の周囲で摺動する。
【0003】
典型的には、BWR内のチャネルボックスは、ジルコニウム又はジルコニウム合金を含む。放射場では、ジルコニウム合金は、異方的に成長する(例えば、成長の方向に応じて異なる長さで成長する)。加えて、ジルコニウムチャネルボックスは、BWR内で腐食及び水素ピックアップを受けやすい。水素ピックアップにより水素化ジルコニウムが生成され、チャネルボックスの比較的軟質のジルコニウム合金で第2の硬質相を形成することがあり、亀裂の起点となったり、チャネルボックス内の放射線誘導成長の方向を変化させたりする可能性がある。これは、制御ブレードの動作を妨害する、チャネルボックスの長さに沿った歪みにつながり得る。BWR内の制御ボックスの歪み、放射線誘導成長、及び腐食を阻止することが課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、沸騰水型原子炉(BWR)用のチャネルボックスを提供する。チャネルボックスは、基材と、第1の層とを備える。基材は、管状形状を備える。基材は、炭化ケイ素を浸透させた炭化ケイ素繊維を含む。第1の層は、基材の第1の表面上に付着され、第1の層は、耐食性金属組成物を含む。
【0005】
本開示はまた、BWR用の予備照射されたチャネルボックスも提供する。チャネルボックスは、管状形状を備える基材を備える。基材は、炭化ケイ素繊維を含む。第1の層は、基材の表面上に付着され、第1の層は、耐食性金属組成物を含む。チャネルボックスの各側面は、原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1の放射線に曝露されている。
【0006】
本開示はまた、沸騰水型原子炉用のチャネルボックスを作製するための方法も提供する。方法は、型を包むように炭化ケイ素繊維の層を設け、炭化ケイ素繊維のプリフォームを作成することを含む。中間層が炭化ケイ素繊維上に付着される。基材がプリフォームから作成され、基材は管状形状を備える。基材は、型から取り外される。第1の層が基材の第1の表面上に付着され、それによって、チャネルボックスが形成される。第1の層は耐食性金属組成物を含む。
【0007】
本明細書に記載される本発明は、この発明の概要に要約される実施例に限定されるものではないことが理解される。本明細書において様々な他の態様を記載及び例示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例の特徴及び利点、並びにそれらを達成する様式が、より明白となり、実施例は、添付の図面と併せて用いられる実施例の以下の説明を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【0009】
【
図1】本開示によるチャネルボックスの例を示す断面図である。
【
図2】本開示によるチャネルボックスを作製するための方法の例を示すプロセス図である。
【0010】
対応する参照文字は、いくつかの図の全体を通して対応する部分を示す。本明細書に記載される例示は、1つの形態で特定の実施例を示し、そのような例示は、いかなる様式によっても実施例の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本開示の特定の例示的な態様を説明して、本明細書に開示される組成物、物品、及び方法の組成物、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供する。これらの態様の実施例を、添付の図面において図示する。当業者であれば、本明細書に具体的に記載され、添付の図面で図示される、組成物、物品、及び方法が、非限定的な例示的態様であり、本発明の様々な実施例の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な態様に関連して図示又は記載される特徴は、他の態様の特徴と組み合わされ得る。そのような修正及び変形例は、本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0012】
本明細書の全体を通して、「様々な実施例」、「いくつかの実施例」、「1つの実施例」、「一実施例」、又は同等物の言及は、実施例に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、一実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通してところどころに現れる語句「様々な実施例では」、「いくつかの実施例では」、「1つの実施例では」、「一実施例では」、又は同等物の出現は、必ずしも全て同じ実施例を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。したがって、1つの実施例に関連して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、限定されることなく、別の実施例又は他の実施例の特徴、構造、又は特性と全体的若しくは部分的に組み合わせられ得る。そのような修正及び変形例は、本実施例の範囲内に含まれることを意図している。
【0013】
本明細書で使用される場合、特に層に関連して、「の上(on)」、「の上に(onto)」、「上に(over)」という用語、及びそれらの変形例(例えば、「上に適用される」、「上に形成される」、「上に付着される」、「上に提供される」、「上に配置される」、「上に電気めっきされる」、及び同等物)は、基材の表面の上に適用される、形成される、付着される、提供される、又はその他の態様で配置されるが、必ずしも基材の表面と接触しているわけではないことを意味する。例えば、基材の「上に適用される」層は、適用されたコーティング層と基材との間に配置される、同じ又は異なる組成物の別のコーティング層又は他のコーティング層の存在を除外するものではない。同様に、第1の層「上に適用される」第2の層は、適用された第2の層と適用された第1の層との間に配置される、同じ又は異なる組成物の別の層又は他の層の存在を除外するものではない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「中間」とは、参照される要素が2つの要素の間に配置されているが、必ずしもこれらの要素と接触しているわけではないことを意味する。したがって、本明細書に別段の記載がない限り、第1の要素と第2の要素との「中間」にある要素は、第1の要素及び/又は第2の要素に隣接若しくは接触している場合とそうではない場合があり、他の要素が、中間要素と第1の要素及び/又は第2の要素との間に配置され得る。
【0015】
BWR内のチャネルボックスが歪む場合に、チャネルボックス間に制御ブレードを挿入すると、制御ブレードとチャネルボックスとの間の摩擦の増加により、問題が起こり得る。更に、BWRのコア内のジルコニウム又はジルコニウム合金は蒸気に曝露されると水素ガス及び熱を生成するので、福島の事故時のような爆発につながり得る。典型的なジルコニウム又はジルコニウム合金チャネルボックスは、BWRのコア内のジルコニウム材料の40%を占めることがある。したがって、本発明者らは、歪みに耐え、腐食に耐えることができ、BWRのコア内のジルコニウム又はジルコニウム合金の存在を最小限に抑え、BWRの事故耐性を改善し得る、チャネルボックス及びその作製方法を提供する。
【0016】
図1を参照すると、沸騰水型原子炉用のチャネルボックス100の断面が提供されている。チャネルボックス100は、原子燃料棒束及び/又は所望に応じて他の原子炉構成要素を受容するように構成された空洞110を備える、管状形状を備えることができる。様々な実施例では、チャネルボックス100は、
図1に示される長方形の管状形状を備えることができる。様々な他の実施例では、チャネルボックス100は、異なる形状であり得る。チャネルボックス100の寸法は、所望の原子炉タイプに適するように選択され得る。例えば、チャネルボックス100は、沸騰水型原子炉については1メートル(m)~4mの範囲内の長さを備えることができる。特定の実施例では、チャネルボックスは、同一であるか、又は異なり得る、第1の寸法d
1及び第2の寸法d
2を備えることができる。寸法d
1及びd
2は、1インチ~10インチの範囲内であり得る。例えば、チャネルボックス100では、それぞれ6インチである寸法d
1及びd
2を伴う正方形の形をした断面形状を備えることができる。チャネルボックスは、BWRでの運転に好適な壁厚t
wを備える。例えば、t
wは、例えば、1ミリメートル(mm)~2mm又は2mm~3mmなどの1mm~4mmの範囲内であり得る。
【0017】
チャネルボックス100は、基材102と、第1の層104及び/又は第2の層106と、随意に第3の層108とを備えることができる。基材102は、管状形状を備えることができる。例えば、
図1で示されるように、基材102は、長方形の管状形状を備える。
【0018】
基材102は、剛性をチャネルボックス100にもたらし、例えば、中性子線、ガンマ線、又はそれらの組み合わせなどの放射線への曝露による歪みに耐えることができる、炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させた炭化ケイ素繊維を含むことができる。いくつかの実施例では、基材102は、炭化ケイ素を浸透させた炭化ケイ素繊維と、随意に中間層とから成ることができる。基材102は、剛性をもたらし、及び/又は沸騰水型原子炉(「BWR」)での運転時の歪みに耐えるために好適な厚さt0を備えることができる。例えば、基材102の厚さtoは、例えば、1ミリメートル(mm)~2mm又は2mm~3mmなどの1mm~4mmの範囲内であり得る。例えば、基材102の厚さtoは、少なくとも1mmであり得る。
【0019】
基材102の炭化ケイ素繊維は、化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせによって浸透させることができる。化学蒸気浸透法は、ガス材料を高温下で多孔性プリフォームの中に浸透させるプロセスである。例えば、炭化ケイ素繊維の化学蒸気浸透法は、原子炉内の炭化ケイ素繊維を高温(例えば、少なくとも摂氏1000度)まで加熱することと、炭化ケイ素繊維の細孔を含む原子炉にガス材料を導入することとを含むことができる。ガス材料は、炭化ケイ素前駆体(例えば、トリクロロメチルシラン)及び随意に希釈剤(例えば、窒素)を含むことができる。トリクロロメチルシランは、高温で炭化ケイ素及び塩化水素に分解する。炭化ケイ素は炭化ケイ素繊維の細孔内及び/又は表面上を含む炭化ケイ素繊維上に付着され、塩化水素は原子炉から取り除くことができる。炭化ケイ素繊維にジルコニウム又はジルコニウム合金を浸透させる実施例では、ガス材料は、ジルコニウム又はジルコニウム合金前駆体(例えば、ZrI4)を含むことができる。
【0020】
様々な実施例では、ガス材料を導入する前に炭化ケイ素繊維上に中間層を形成して、中間層が炭化ケイ素繊維とその中に浸透させた炭化ケイ素との中間にあるようにしてよい。中間層は、例えば、グラファイトなどの炭素系であり得る。原子炉内の炭化ケイ素繊維を高温まで加熱し、炭化ケイ素繊維の細孔を含む原子炉に炭素系前駆体(例えば、メタン)を流し込むことによって、中間層を付着させることができる。メタンは、高温下で元素炭素及び水素に分解し得る。基材102を扱う際の靭性及び堅牢性が強化されて疑似延性を呈するよう、中間層によって炭化ケイ素繊維とその中に浸透させた炭化ケイ素との間に潤滑を提供することができる。加えて、炭化ケイ素繊維とその中に浸透させた炭化ケイ素との間に潤滑を提供することによって、基材102内の亀裂の発生及び/又は亀裂の伝播を阻止することができる。
【0021】
化学蒸着法は、炭化ケイ素が化学蒸気浸透法では炭化ケイ素繊維の細孔内に付着するのに対し、化学蒸着法では炭化ケイ素がそこよりも炭化ケイ素繊維の表面上に付着することを除いて、化学蒸気浸透法と同様である。様々な実施例では、化学蒸気浸透法と化学蒸着法を組み合わせて基材102の炭化ケイ素繊維に浸透させることにより、基材102の所望の多孔度及び/又は厚さt0を達成することができる。
【0022】
第1の層104は、基材102の第1の表面102a上に付着させることができ、第2の層106は、基材の第2の表面102b上に付着させることができる。例えば、第1の層104は、基材102と直接接触することができ、且つ/又は第2の層106は、基材102と直接接触することができる。第1及び第2の層104及び106は、耐食性金属組成物を含むことができる。第1の層104の耐食性金属組成物は、第2の層106の耐食性金属組成物と同一であるか、又は異なり得る。第1の層104及び第2の層106の耐食性金属組成物は、BWRのコア内での様々な運転条件での腐食(例えば、溶解、酸化、化学分解)に耐えるように構成可能である。
【0023】
第1及び第2の層104及び106を基材102上に付着させてBWRでのコア内の基材102と冷却剤(例えば、水)との接触を阻止し、それによって、冷却剤によって引き起こされ得る基材102の腐食を阻止することができる。したがって、第1及び第2の層104及び106は、基材102からの炭化ケイ素が冷却剤(例えば、水中の溶存酸素)と反応して二酸化ケイ素が形成され、それが冷却剤中に溶け出してBWRのコア内の表面上に付着することを阻止することができる。特定の実施例では、第1及び第2の層104及び106は、基材102の露出表面の実質的に全部を覆う。いくつかの他の例では、第1及び第2の層104及び106が基材102のBWR内で冷却剤に浸漬されるであろう部分を選択的に覆い、BWRのコア内で冷却剤に浸漬されなくてもよい基材102の他の部分は、第1及び第2の層104及び106によって覆われない場合がある。
【0024】
第1の層104及び第2の層106は、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、イットリウム、イットリウム合金、又はそれらの組み合わせを含むことができる。様々な実施例では、ジルコニウム合金は、ニオブを含む二元ジルコニウム合金、又はニオブを含む非二元ジルコニウム合金などのニオブを更に含むことができる。ジルコニウム合金は、原子炉級ジルコニウム合金を含むことができる。原子炉級ジルコニウム合金は、Zircalloy-2(商標)、Zircalloy-4(商標)、ZIRLO(商標)、最適化されたZIRLO(商標)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、原子炉級ジルコニウム合金は、全て原子炉級ジルコニウム合金の総重量に対してであるが、0.5%~2.0%のニオブ、0.7%~1.5%のスズ、0.07%~0.14%の鉄、最大0.03%の炭素、最大0.2%の酸素、並びにジルコニウム残余及び付随的不純物を含む、組成物を含むことができる。
【0025】
第1の層104は、基材102の腐食を阻止するために好適な厚さt1を備えることができ、第2の層106は、基材102の腐食を阻止するために好適な厚さt2を備えることができる。例えば、第1の層104の厚さt1は、例えば、5ミクロン~10ミクロン、10ミクロン~20ミクロン、又は5ミクロン~15ミクロンなどの1ミクロン~20ミクロンの範囲内であり得る。第2の層106の厚さt2は、例えば、5ミクロン~10ミクロン、10ミクロン~20ミクロン、又は5~15ミクロンなどの1ミクロン~20ミクロンの範囲内であり得る。炭化ケイ素がもたらす中性子吸収は、第1の層104及び第2の層106の耐食性金属組成物によるものよりも小さいことが通常であるので、運転時のBWRの効率を高めるために、厚さt1及びt2を最小化することが望ましい場合がある。同様に、第1の層104及び第2の層106がジルコニウム又はジルコニウム合金を含む実施例では、BWRの事故耐性を高めるために、厚さt1及びt2を最小化することが望ましい場合がある。
【0026】
チャネルボックス100は、第1及び第2の層104及び106の量を、全てチャネルボックス100の総重量に対してであるが、例えば0.1重量%~10重量%、0.5重量%~5重量%、又は1重量%~2重量%など、チャネルボックスの総重量に対して0重量%超~10重量%の範囲内とすることができる。例えば、チャネルボックス100は、チャネルボックス100の総重量に対して0重量%超~10重量%の範囲内の量である第1及び第2の層104及び106と、残余の基材102、第3の層106、及び随意の他の層とを含むことができる。
【0027】
第3の層108は、第1の層104と基材102との中間、第1の層104上、第2の層106と基材102との中間、第2の層106上、又はそれらの組み合わせに対して付着させることができる。様々な実施例では、第1の層104と第2の層106の上に第3の層108を付着させることが望ましい場合がある。第3の層108は、クロム又はクロム合金を含むことができる。第3の層108は、例えば、0.5ミクロン~2ミクロン、0.5ミクロン~1.5ミクロン、又は1~2ミクロンなどの0.1ミクロン~5ミクロンの範囲内の厚さt3を備えることができる。第3の層108は、第1の層104又は第2の層106よりも耐食性とすることができる。しかしながら、第3の層108の中性子断面積が、第1の層104又は第2の層106のものよりも大きくなり得る。したがって、厚さt3は、十分な耐食性を維持しながら、チャネルボックス100の全体的な中性子断面積を最小化するようにサイジングされるべきである。
【0028】
様々な実施例では、BWRは、チャネルボックス100を備えることができる。例えば、原子燃料棒束を空洞110内に配置して、沸騰水型原子炉を運転することができる。チャネルボックス100は、原子当たりの弾き出し回数(dpa、displacements per atom)が少なくとも100のフルエンスを受けた後でもチャネルボックス100が歪まないように、BWR内での腐食及び/又は歪みに耐えることができる。
【0029】
炭化ケイ素は、放射線曝露時に均一に膨張することができる。加えて、炭化ケイ素の膨張は抑制できるが、そうでなくても所定の1dpaのレベルの放射線曝露後には停止する。しかしながら、チャネルボックス100などの炭化ケイ素を含むチャネルボックスに、BWRのコアの中心に存在するような不均一な高レベルの放射線を受けさせると、チャネルボックス100が不均一に膨張し、歪む可能性がある。したがって、本開示は、チャネルボックス100を予備照射して、不均一な膨張及び歪みを阻止する方法を提供する。方法は、チャネルボックス100を、BWRのコアの第1の位置で放射線に曝露することを含み、第1の位置の中性子勾配は、BWRのコア内の第2の位置での中性子束勾配よりも低い中性子束勾配を有する。例えば、第1の位置はBWRのコアの縁(例えば、側面及び/又は隅部)の近傍とすることができ、第2の位置はBWRのコアの中心の近傍とすることができる。チャネルボックス100を予備照射することは、例えば少なくとも2dpa又は少なくとも5dpaなど、少なくとも1dpaのフルエンスに達するまで、チャネルボックスを放射線に曝露することを含むことができる。様々な実施例では、チャネルボックス100を予備照射することは、1dpa~2dpaの範囲内のフルエンスに達するまで、チャネルボックス100を放射線に曝露することを含むことができる。予備照射はまた、チャネルボックス100の均一な膨張が得られるように、少なくとも1dpaのフルエンスに達するまで、チャネルボックス100の各側面を放射線に均一に曝露することを含むことができる。チャネルボックス100が長方形である実施例では、4つの側面112a、112b、112c、及び112dの全てを放射線に均一に曝露することができる。
【0030】
図2を参照すると、BWR用のチャネルボックスを作製するための方法が提供される。図示されるように、方法は、型を包むようにケイ素繊維の層を設け、炭化ケイ素繊維のプリフォームを作成することを含むことができる(202)。型(フォーム)は、管、(例えば、正方形管)、マンドレル、又は類似物体であり得る。層を設けることは、付着、巻回(ラッピング)、編上、巻付(ワインディング)、又はそれらの組み合わせにより行うことができる。中間層を炭化ケイ素繊維上に付着させることができる(204)。
【0031】
基材が、炭化ケイ素繊維のプリフォームから作成される(206)。例えば、化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせを用いて、炭化ケイ素繊維のプリフォームに炭化ケイ素を浸透させて、管状形状を備える基材を形成することができる。プリフォームに、炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させることにより、炭化ケイ素プリフォームの多孔度が減少し、プリフォームの剛性を増加させることができる。様々な実施例では、浸透のプロセスは、化学蒸気浸透法と、その後の化学蒸着法とを含むことができる。特定の実施例では、浸透のプロセスは、化学蒸着法と、化学蒸気浸透法と、その後の化学蒸着法とを含むことができる。様々な実施例では、型を包むように炭化ケイ素繊維の層を設ける前に、型の上で化学蒸着法を実施する。
【0032】
基材は、型から取り外すことができる(208)。第1の層を基材の第1の表面上に付着させることができ、第1の層は耐食性金属組成物を含む(210)。随意に第2の層を基材の第2の表面上に付着させることができ、第2の層は耐食性金属組成物を含む。様々な実施例では、クロム又はクロム合金を含む第3の層を基材上に付着させることができる。第1、第2、及び/又は第3の層は、物理蒸着法、コールドスプレー法、溶射法、又はそれらの組み合わせによって付着させることができる。
【0033】
本開示による本発明の様々な態様は、以下の番号付けされた条項に列挙される態様を含むが、これらに限定されるものではない。
1.沸騰水型原子炉用のチャネルボックスであって、
管状形状を備え、炭化ケイ素繊維を含む基材と、
前記基材の第1の表面上に付着され、耐食性金属組成物を含む第1の層と
を備える、チャネルボックス。
2.化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせによって、前記炭化ケイ素繊維に炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させている、条項1に記載のチャネルボックス。
3.前記炭化ケイ素繊維と、その中に浸透させた前記炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせとの中間に中間層を更に備える、条項2に記載のチャネルボックス。
4.前記中間層が炭素系である、条項3に記載のチャネルボックス。
5.前記耐食性金属組成物が、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、イットリウム、イットリウム合金、又はそれらの組み合わせを含む、条項1~4のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
6.前記耐食性金属組成物が、ニオブを含むジルコニウム合金を含む、条項1~5のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
7.前記第1の層の厚さが、1ミクロン~20ミクロンの範囲内である、条項1~6のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
8.前記基材の前記第1の表面とは反対側の前記基材の第2の表面上に付着された第2の層を更に含み、前記第2の層が第2の耐食性金属組成物を含む、条項1~7のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
9.前記チャネルボックスの前記第1及び第2の層の量が、前記チャネルボックスの総重量の0%超~10%の範囲内である、条項8に記載のチャネルボックス。
10.前記チャネルボックスの前記第1及び第2の層の量が、前記チャネルボックスの総重量の1%~2%の範囲内である、条項8に記載のチャネルボックス。
11.前記チャネルボックスの壁厚が、1ミリメートル~4ミリメートルの範囲内である、条項1~10のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
12.前記第1の層上に配置された第3の層を更に備え、前記第3の層がクロム又はクロム合金を含む、条項1~11のいずれか1つに記載のチャネルボックス。
13.前記第3の層の厚さが、0.1ミクロン~5ミクロンの範囲内である、条項12に記載のチャネルボックス。
14.条項1~13のいずれか1つに記載のチャネルボックスを備える、沸騰水型原子炉。
15.沸騰水型原子炉のコアの第1の位置で条項1~13のいずれか1つに記載のチャネルボックスを予備照射することを含む方法であって、前記第1の位置では前記沸騰水型原子炉内の第2の位置よりも中性子束勾配が低いことを特徴とする、方法。
16.前記チャネルボックスを予備照射することが、原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスを放射線に曝露することを含む、条項15に記載の方法。
17.沸騰水型原子炉用の予備照射されたチャネルボックスであって、
管状形状を備え、炭化ケイ素繊維を含む基材と、
前記基材の表面上に付着され、耐食性金属組成物を含む第1の層とを備え、
原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスの各側面が放射線に曝露されている、チャネルボックス。
18.沸騰水型原子炉用のチャネルボックスを作製するための方法であって、
型を包むようにケイ素繊維の層を設け、炭化ケイ素繊維のプリフォームを作成することと、
前記炭化ケイ素繊維上に中間層を付着させることと、
前記プリフォームから、管状形状を備える基材を作成することと、
前記型から前記基材を取り外すことと、
前記基材の第1の表面上に耐食性金属組成物を含む第1の層を付着させて前記チャネルボックスを形成すること
を含む、方法。
19.前記基材を作成することが、化学蒸気浸透法、化学蒸着法、又はそれらの組み合わせを用いて、前記プリフォームに、炭化ケイ素、ジルコニウム、ジルコニウム合金、又はそれらの組み合わせを浸透させることにより、前記基材を作成することを含む、条項18に記載の方法。
20.原子当たりの弾き出し回数が少なくとも1のフルエンスに達するまで、前記チャネルボックスを放射線に曝露することを更に含む、条項18又は19に記載の方法。
【0034】
当業者であれば、本明細書に記載の組成物、物品、方法、及びこれらに付随する考察が、概念を明確にするための実施例として使用されること、並びに様々な構成の修正が企図されることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載される特定の例及び付随する考察は、それらのより一般的なクラスを代表することを意図している。一般的に、任意の特定の例の使用は、そのクラスを代表することを意図し、特定の構成要素(例えば、動作)、デバイス、及び物体の非包含は、限定的とはみなされない。
【0035】
開示される組成物、コーティング、及び方法を含む、本発明の組成物、構造、生産、機能、及び/又は動作の理解を提供するために、様々な特徴及び特性が本明細書に説明されている。本明細書に記載される本発明の様々な特徴及び特性は、そのような特徴及び特性が本明細書において組み合わせて明示的に記載されているかどうかにかかわらず、任意の好適な様式で組み合わせられ得ることが理解される。発明者ら及び出願人は、そのような特徴及び特性の組み合わせが、本明細書に記載される本発明の範囲内に含まれることを明示的に意図する。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に明示的若しくは本質的に記載されているか、又は別の方法で明示的若しくは本質的に支持されている任意の特徴及び特性を任意の組み合わせで列挙するように補正され得る。更に、出願人は、これらの特徴及び特性が本明細書に明示的に記載されていない場合であっても、先行技術に存在し得る特徴及び特性を積極的に権利放棄するように特許請求の範囲を補正する権利を留保する。したがって、任意のそのような補正は、本明細書又は特許請求の範囲に新たな事項を追加せず、記載の説明、説明の十分性、及び追加事項の要件に従うことになる。
【0036】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、その中に列挙された動作が概して任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作フローが、ある順序で提示されているが、様々な動作が、例証されているもの以外の順序で実施され得るか、又は同時に実施され得ることが理解されるべきである。そのような代替的な順序付けの例としては、文脈が別途指示しない限り、重複、交互配置、中断、再順序付け、増分、予備、補足、同時、逆、又は他の様々な順序付けが挙げられ得る。更に、文脈が別途指示しない限り、「に応答する」、「に関連する」、又は他の過去形の形容詞のような用語は、概して、そのような変形を除外することを意図していない。
【0037】
本明細書に記載される本発明は、本明細書に記載される様々な特徴及び特性を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなることができる。「備える、含む(comprise)」(及び「comprises」や「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(及び「has」や「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(及び「includes」や「including」などのincludeの任意の形態)、「含有する(contain)」(及び「contains」や「containing」などのcontainの任意の形態)という用語は、制約のないリンクとなる動詞である。したがって、1つ若しくは複数の特徴及び/又は特性を「備える」、「有する」、「含む」、又は「含有する」組成物、原子燃料アセンブリ、又は方法は、その特徴若しくはそれらの特徴及び/又は特性を保有するが、その特徴若しくはそれらの特徴及び/又は特性のみを保有することに限定されない。同様に、その特徴若しくはそれらの特徴及び/又は特性を「備える」、「有する」、「含む」、又は「含有する」組成物、コーティング、又はプロセスの要素は、その特徴若しくはそれらの特徴及び/又は特性を保有するが、その特徴若しくはそれらの特徴及び/又は特性のみを保有することに限定されず、追加の特徴及び/又は特性を保有し得る。
【0038】
特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合の「a」、「an」、及び「the」という文法上の冠詞は、別段の記載がない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことを意図している。したがって、冠詞は、冠詞の文法上の目的語のうちの1つ又は2つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために本明細書で使用される。一例として、「構成要素(a component)」とは、1つ以上の構成要素を意味し、したがって、場合によっては、2つ以上の構成要素が企図され、記載される組成物、コーティング、及びプロセスの実装で採用又は使用され得る。それにもかかわらず、いくつかの事例では「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という用語を使用し、その他の事例では使用しない場合、これらの用語を使用しないと、文法上の冠詞「a」、「an」、及び「the」の目的語が1つだけに限定されるという解釈にはならないことになることが理解される。更に、使用される文脈において別段の要求がない限り、単数形名詞の使用には複数形が含まれ、複数形名詞の使用には単数形が含まれる。
【0039】
本明細書では、別段の指示がない限り、全ての数値パラメータは、全ての事例において、数値パラメータが、パラメータの数値を判断するために使用される基礎となる測定技法の固有の変動特性を保有する、「約」という用語によって、前書き及び修飾されるものとして理解されるべきである。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記載される各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。
【0040】
本明細書に列挙される任意の数値範囲は、列挙される範囲内に包含される全ての部分範囲を含む。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間(境界値を含む)の全ての部分範囲、すなわち、最小値が1以上、及び最大値が10以下の全ての部分範囲を含む。また、本明細書で列挙される全ての範囲は、列挙された範囲の端点を含む。例えば、「1~10」の範囲とは、端点1及び10を含む。本明細書に列挙される任意の最大数値限定は、その中に包含される全てのより低い数値限定を含むことを意図しており、本明細書に列挙される任意の最小数値限定は、その中に包含される全てのより高い数値限定を含むことを意図している。したがって、出願人は、明示的に列挙される範囲内に包含される任意の部分範囲を明示的に列挙するように、特許請求の範囲を含む、本明細書を補正する権利を留保する。全てのそのような範囲は、本質的に本明細書に記載されている。
【0041】
本明細書で識別される任意の特許、刊行物、又は他の文献は、別段の指示がない限り、参照によりその全体で本明細書に組み込まれるが、組み込まれた資料が、本明細書に明示的に記載される既存の説明、定義、記述、例証、又は他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ組み込まれる。したがって、かつ必要な範囲で、本明細書に記載される明示的な開示は、参照により組み込まれる任意の矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれるが、既存の定義、記述、又は本明細書に記載される他の開示資料と矛盾する、任意の資料又はその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾がない範囲でのみ組み込まれる。出願人は、参照により組み込まれる任意の主題又はその一部を明示的に列挙するように、本明細書を補正する権利を留保する。そのような組み込まれた主題を追加するための本明細書の補正は、記載の説明、説明の十分性、及び追加事項の要件に従うことになる。
【0042】
本発明の特定の実施例が、例証の目的で上記に記載されているが、本発明の詳細の多数の変形例が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく行われ得ることが当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】