(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】病院用ガウン
(51)【国際特許分類】
A41D 13/12 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A41D13/12 136
A41D13/12 109
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566442
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021029799
(87)【国際公開番号】W WO2021222502
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522423640
【氏名又は名称】ルーカス,クリスティ マリー
【氏名又は名称原語表記】LUCAS,Christy Marie
【住所又は居所原語表記】144 Hazelwood Drive,Cranberry Twp.,Pennsylvania 16066 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,クリスティ マリー
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AB06
3B011AB08
3B011AC12
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、医療現場における患者と医療提供者の要請に対応するため、調節可能な重なり前身頃及び後身頃と、オープントップの袖と、丈の調節など有するようにデザインされた病院用ガウンである。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり合う2つの前身頃パネルで構成される調節可能ラップフロントであって、各前身頃パネルが、留め側、継ぎ側、及び下側前身頃縁を備えており、各前身頃パネルは、隣接する後身頃パネルに前記継ぎ側にて縫い付けられてサイドシームを作り、留め具を用いて前記留め側にて前記ガウンへと固定されている、ラップフロントと、
重なり合う2つの後身頃パネルと調節可能なネックラインとを備える後身頃であって、各後身頃パネルは下側後身頃縁を有する、後身頃と、
前記2つの前身頃パネルの各々の下側前身頃縁付近に配置された少なくとも1つの留め具を含む第1の留め具セットと、
第2の留め具セットであって、前記ガウンの前身頃水平方向中線付近にて前記2つの前身頃パネルの各々に配置されており、前記第1の留め具セットに対応する少なくとも1つの留め具を含んでおり、前記第1の留め具セットと前記第2の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの前身頃縁が上がって、前記ガウンの前身頃が短くなる、第2の留め具セットと、
前記2つの後身頃パネルの各々の下側後身頃縁付近に配置された少なくとも1つの留め具を含む第3の留め具セットと、
第4の留め具セットであって、前記ガウンの後身頃水平方向中線付近にて前記2つの後身頃パネルの各々に配置されており、前記第3の留め具セットに対応する少なくとも1つの留め具を含んでおり、前記第3の留め具セットと前記第4の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの下側後身頃縁が上がって、前記ガウンの後身頃が短くなる、第4の留め具セットと、
2つの袖であって、各袖はその袖の長さに沿った袖開口部を有する、2つの袖と、
を備える病院用ガウン。
【請求項2】
前記後身頃の調節可能ネックラインのサイズを調整するために、前記後身頃の調節可能ネックラインに沿って配置された少なくとも1つの留め具を更に備える、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項3】
少なくとも1つの前身頃パネルの上部に少なくとも1つの遠隔計測用ポケットを備えている、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項4】
各袖開口部に沿って配置されており、その袖開口部を閉じた状態に保持する少なくとも1つの留め具を備える、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項5】
前記サイドシームにて少なくとも1つのサイドシーム開口部を有する、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項6】
パンツを更に備える、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項7】
前記パンツは、
開いたゴム入りウエストバンドと、
前記ウエストバンドに通された引き紐と、
前記ウエストバンドを閉じるための留め具と、
前立てと、
を備える、請求項6に記載の病院用ガウン。
【請求項8】
前記留め具は、ベルクロ、スナップ、ボタン及びボタンホール、ホック及び穴、並びに紐及びジッパーを備える群から選択される、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項9】
前記留め具の少なくとも1つが取り付けられる少なくとも1つのタブを更に備えており、前記タブは前記ガウンに取り付けられている、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項10】
第5の留め具セットであって、前記ガウンの前身頃水平方向中線の下方にて前記2つの前身頃パネルの各々に配置されており、前記第1の留め具セットに対応する少なくとも1つの留め具を含んでおり、前記第1の留め具セットと前記第5の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの下側前身頃縁が上がって前記ガウンの前身頃が短くなる、第5の留め具セットと、
第6の留め具セットであって、前記ガウンの後身頃水平方向中線下方にて前記2つの後身頃パネルの各々に配置されており、前記第3の留め具セットに対応する少なくとも1つの留め具を含んでおり、前記第3の留め具セットと前記第6の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの下側後身頃縁が上がって前記ガウンの後身頃が短くなる、第6の留め具セットと、
を更に備える、請求項1に記載の病院用ガウン。
【請求項11】
病院用ガウンにおいて、
ネックライン、前側中線、及び下側前身頃縁を有するワンピース型前身頃と、
前記ネックラインから前記前身頃の中線まで垂直に並ぶ複数の留め具と、
前記ワンピース型前身頃に接続された少なくとも1つの後身頃パネルで構成されており、後身頃中線及び下側後身頃縁を有する後身頃と、
2つの袖と、
前記下側前身頃縁付近にて前記前身頃に配置された少なくとも2つの留め具を含む第1の留め具セットと、
前記前身頃水平方向中線付近に配置されており、前記第1の留め具セットに対応する第2の留め具セットであって、前記第1の留め具セットと第2の留め具セットとを接続することにより、前記下側前身頃縁が上がって、前記ガウンの前身頃が短くなる、第2の留め具セットと、
前記下側後身頃縁付近に配置された少なくとも2つの留め具を含む第3の留め具セットと、
前記ガウンの後身頃水平方向中線付近に配置されており、前記第3の留め具セットに対応する第4の留め具セットであって、前記第3の留め具セットと前記第4の留め具セットとを接続すると、前記下側後身頃縁が上がって、前記ガウンの後身頃が短くなる、第4の留め具セットと、
を備える、病院用ガウン。
【請求項12】
前記前身頃の上部にある少なくとも1つの遠隔計測用ポケットを更に備える、請求項11に記載の病院用ガウン。
【請求項13】
各袖は、その袖の長さに沿った袖開口部と、各袖開口部に沿って配置され、その袖開口部を閉じた状態に保持する少なくとも1つの留め具とを備える、請求項11に記載の病院用ガウン。
【請求項14】
前記ガウンの前身頃水平方向中線の下方にて前記ガウンの前身頃に配置されており、前記第1の留め具セットに対応する第5の留め具セットであって、前記第1の留め具セットと第5の留め具セットとを接続すると、前記下側前身頃縁が上がって、前記ガウンの前身頃が短くなる、第5の留め具セットと、
前記ガウンの後身頃水平方向中線の下方にて前記ガウンの後身頃に配置されており、前記第3の留め具セットに対応する第6の留め具セットであって、前記第3の留め具セットと前記第6の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの下側後身頃縁が上がって前記ガウンの後身頃が短くなる、第6の留め具セットと、
を更に備える、請求項11に記載の病院用ガウン。
【請求項15】
病院用ガウンであって、
前身頃中線及び下側前身頃縁を有する前身頃と、
後身頃中線及び下側後身頃縁を有する後身頃と、
2つの袖と、
前記下側前身頃縁付近にて前記前身頃に配置された少なくとも2つの留め具を含む第1の留め具セットと、
前記第1の留め具セットの上方にて前記前身頃に配置されており、前記第1の留め具セットに対応する第2の留め具セットであって、前記第1の留め具セットと第2の留め具セットとを接続すると、前記下側前身頃縁が上がって前記ガウンの前身頃が短くなる、第2の留め具セットと、
前記後身頃縁付近にて前記後身頃に配置された少なくとも2つの留め具を含む第3の留め具セットと、
前記第3の留め具セットの上方にて前記後身頃に配置されており、前記第3の留め具セットに対応する第4の留め具セットであって、前記第3の留め具セットと前記第4の留め具セットとを接続すると、前記ガウンの下側後身頃縁が上がって前記ガウンの後身頃が短くなる、第4の留め具セットと、
を備える、病院用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/017,847の優先権を主張するPCT国際出願であって、当該仮出願の全体は参照により本明細書の一部となる。
【0002】
<発明の属する技術分野>
本発明は病院用ガウンに関する。
【背景技術】
【0003】
病院用ガウンのデザインにはほとんど進歩がなく、また、ガウンのデザインの現状が維持されていることで、背中が開いているなど、病院用ガウンの望ましくない特徴が維持されている。現代の病院用ガウンは、14世紀のナイトガウンや、麻酔をかけられた又は寝たきりの患者のために20世紀にデザインされた「ジョニー」ガウンに酷似し続けている。病院用ガウンのこのデザインを正当化するデータは、感染対策や蘇生のための緊急アクセスといった理由以外にほとんど存在していない。しかしながら、現在のガウンのデザインが患者、看護師、医師に及ぼす身体的及び感情的な悪影響を示唆するデータが数多く存在している。加えて、患者用衣服のデザインには、最低限の基準や品質管理は存在していない。
【0004】
「ガウンで落ち込ませるな(Don’t let the gown get you down[.])」は、白血病の26歳の紳士が、病院用ガウンが患者と医療提供者に与える心理社会的影響を調査した研究で提示したアドバイスであった。「Lucas C,Dellasega C.,Smith C.”Don’t Let the Gown Get You Down:How Patients and Providers Perceive Hospital Gowns”」(Hospital Medicine 2019(3月24~27日、メリーランド州、ナショナル ハーバー)で発表されたアブストラクト)を参照のこと。この研究では、患者は、「不快な」「悪夢のような」「制服を」「露出する」ことに諦めており、医療提供者に気難しく思われることや治療関係を損なうことを恐れて、もっと威厳のある服装をすることを頼むことさえできないことがわかった。ある64歳の末期がんの女性は、「私は家に自分のパジャマを持っていますが、ここでは着ることができないので持って来ない...[ガウンを着ること]は本当に楽しいことではありませんが、これは[医療提供者]がしなければならないこと、あなたがしなければならないことです。」と詳しく語った。「Lucas et al.”Don’t Let the Gown Get You Down:How Patients and Providers Perceive Hospital Gowns”」と「Lucas C and Dellasega C.”You don’t have to be dying to do comfort measures”」とを大まかに参照のこと。「Patients and Physicians Perceptions of Inpatient Attire」(ACP Internal Medicine Meeting 2019(4月11~13日、ペンシルベニア州、フィラデルフィア)で発表されたアブストラクト)と、「Lucas C and Dellasega C. Finding common threads:How patients,physicians,and nurses perceive the patient gown.(Patient Experience Journal.2020;7(1):51-64.doi:10.35680/2372-0247.1387)」とを大まかに参照のこと。調査によると、患者は、病院で人間性を奪われてアイデンティティを失ったりしやすく、標準的な病院用ガウンを着用することで悪化することがよく起こる。適切な例として、Cogan,Morgan,and Georgiadisによる混合型研究(mixed-methods study)は、病院用ガウンは、医療行為を受けている間に潜在的な無防備さの期間中、患者の露出、不快感、無力感、及び恥ずかしさの増加につながる可能性があることを明らかにした。「Cogan N,Morton L,and Georgiadis, E.”Mixed methods study exploring the impact of the hospital gown on recovery and wellbeing:implications for policy and practice.”(The Lancet.2019;394(Suppl.).doi:10.1016/S0140-6736(19)32829-6)」を参照のこと
【0005】
病院用ガウンは、医療援助を求める個人から自律性を奪う。ガウンは、「人間」から「患者」への非人間的な進行を開始させる移行の要となっている。病院用ガウンの主な問題の1つは、その露出性であり、しばしば冗談「Do you know who invented the hospital gown?...See-more Hiney!」で軽視される。このジョークは、ペンシルベニア州の大規模学術医療システム及び保険会社のスーパーボウルLIIIの2つのコマーシャルでも続き、病院用ガウンを着た建設労働者とビジネスマンとが、あまり満足していない同僚に挨拶をして、患者に保険の適用範囲が拡大したこと、つまり、「完全に守られている」ことを知らせている様子が描かれている。病院用ガウンは、シットコムのネタにもなっている。
【0006】
病院用ガウンに欠陥があることはよく知られているが、それらを変更するために行われたことはほとんどない。病院用ガウンの起源についてはほとんど知られていない。白黒の時代から現代に至るまで、テレビのシットコム、ドラマや映画における患者の描写を見て、時代を超えて描かれた病院の芸術的描写を眺めることが、時代を超えて病院用ガウンを理解する最も良い方法であるかもしれない。例えば、14世紀の病棟の描写は、全ての患者がナイトシャツを着用しており、また、その下にある種の下着を着用していたことを示している。1800年代末から1900年代初めにかけて、男性用のパジャマが病院用服装として一般化した。誰が最初に伝統的な病院用ガウンを発明したかは不明であるが、最初のガウンは約1世紀前にデザインされ、手術の前夜に入院しており、鎮静状態にされて、半分眠っている間に麻酔室に移動する前の患者に使用するために背中が開いていた。一般に、病院が患者に衣類を提供、要求、又は提供し始めた最も一般的な理由は、感染を減らし、衛生を改善することであった。これは、様々な検査、治療や手順からの体液の漏れによって衣類が台無しになる可能性があるからである。加えて、除細動器などの機器を患者に接続できるようにするために救命手段が裸体へのアクセスを必要とする特定の状況では、ガウンは(理屈としては)迅速に取り外しできる。20世紀初頭の背中の開いたシンプルな「ジョニー」ガウンは、治療の標準になっており、過去100年間において意味のある変更は最小限度である。「ジョニー」ガウンの持続性について考えられる説明の一つは、医学の過去の時代には、ガウンを着た患者は、むき出しの臀部を包み込まれたまま、回復のために寝たきりになることが期待され、この様式が現状になったということである。今日、静脈血栓塞栓症(「VTE」)予防の一環として患者の歩行が奨励されているが、ガウンのデザインは医療標準に遅れを取っている。
【0007】
現代の医療は、根拠に基づく医療、患者中心のケア、質の高いケアを強調し、価値を認め、宣伝さえしているが、病院用ガウンは、変化の導き手として前進するというこの約束とは、全く対照的である。病院用ガウンは、根拠に基づく研究の対象から外れている。ガウンが現代医学から何十年も遅れている理由を尋ねる人もいるかもしれない。この無関心は、(1)医療の伝統を受け入れて現在の病院用ガウンの欠点を見過ごすこと、(2)病院用ガウンを変えるにはお金がかかると信じていることとに起因していると思われる。それでも、Cynthia Rowley及びNicole Millerと提携しているハッケンサック大学医療センター(1999年)、Diane von Furstenbergと提携しているクリーブランド・クリニック(2010年)、デトロイトの「モデルG」ガウンのヘンリー・フォード・ヘルス・システム(2016年)など、幾つかの機関が変化を試みている。大学病院では病院用ガウンを改良するこれらの取り組みが行われているものの、変化は長続きせず、広く普及することもなかった。ノースカロライナ州立大学テキスタイルカレッジの教授は、以下のように推論した。「病院を取り巻く環境には、何をいつ購入するかに影響を与える多くのプレッシャーがある。コスト管理、在庫管理、保管スペース…病院環境で使用される他の用品を置換又は強化するものにもなれば、アパレルアイテムの価値が高まる。血圧を見たり、心拍数を測ったりもできるガウンのようなものである。」「Limbong A. “Can A Patient Gown Makeover Move Hospitals To Embrace Change?”(NPR.https://www.npr.org/sections/health-shots/2018/02/11/582830491/can-a-patient-gown-makeover-move-hospitals-to-embrace-change.2018年2月11日)」を参照のこと。
【0008】
最後に、現在の病院用ガウンは、小柄な患者がガウンの大きさに圧倒されて転倒する危険性があり、更に心肺停止患者に除細動パッドを装着するために胸部に素早くアクセスできないなど、意図せず患者を危険な状態に追い込んでしまう可能性がある。そのため、現在の医療ケアと病院環境に適応しながら、患者の尊厳に対する現在の期待及び基準を満たす病院用ガウンが必要とされている。本発明は、特にこの要請に対処するものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、2つの前身頃パネルを備えており、調節可能な重なりラップフロント(wrap front)を有する病院用ガウンであり、各前身頃パネルは留め側と継ぎ側とを有しており、各前身頃パネルは隣接する後身頃パネルに継ぎ側で縫い付けられて、サイドシームが形成されており、各前身頃パネルは留め具を用いて留め側でガウンに固定されており、各前身頃パネルは下側前身頃縁を有する。このガウンには、2つの後身頃パネルと調節可能ネックラインとで構成された重なり後身頃があり、各後身頃パネルには下側後身頃縁が付いている。2つの前身頃パネルの各々の下側前身頃縁付近にて2つの前身頃パネルの各々に配置された少なくとも1つの留め具を含む第1の留め具セットと、ガウンの前身頃水平方向中線付近にて2つの前身頃パネルの各々に配置された少なくとも1つの対応する留め具を含む少なくとも第2の留め具セットと、2つの後身頃パネルの各々の下側後身頃縁付近にて2つの後身頃パネルの各々に配置された少なくとも1つの留め具を含む第3の留め具セットと、ガウンの後身頃水平方向中線付近にて2つの後身頃パネルの各々に配置された少なくとも1つの対応する留め具を含む第4の留め具セットとがある。ガウンはまた、2つの袖を有しており、各袖は、袖の長さに沿った袖開口部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の理解を容易にする目的で、添付の図面及び説明はその好ましい実施形態を示しており、それらから、本発明、その構造、構成及び操作方法の種々の実施形態と、多くの利点とを理解して認識することができる。添付の図面は、参照することにより本明細書の一部となる。
【0011】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、本発明に基づくフルレングスのガウンの一実施形態を示す。
【0012】
【0013】
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本発明に基づくフルレングスのガウンの代替的実施形態を示している。
【0014】
【
図4】
図4は、本発明に基づくガウンの一実施形態の斜視図であって、スナップ又は留め具の可能な場所を示している。
【0015】
【
図5】
図5は、本発明に基づくガウンの前身頃の一実施形態のデザインの原型(pattern)を示す図である。
【0016】
【
図6】
図6は、本発明に基づくフルレングスガウンの一実施形態である。
【0017】
【
図7】
図7は、
図6のガウンをチュニック(tunic)丈に調整したものである。
【0018】
【
図8】
図8は、チュニック丈に調整された、本発明に基づくガウンの代替的実施形態である。
【0019】
【
図9A】
図9Aは、病院用ガウンの改善に関する患者及び医療提供者の提案を示す表である。
【
図9B】
図9Bは、病院用ガウンの改善に関する患者及び医療提供者の提案を示す表である。
【0020】
【
図10】
図10は、本発明に基づくガウンの一実施形態の前身頃の原型を示す図である。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【
図15A】
図15Aは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15B】
図15Bは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15C】
図15Cは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15D】
図15Dは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15E】
図15Eは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15F】
図15Fは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15G】
図15Gは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15H】
図15Hは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15I】
図15Iは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15J】
図15Jは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15K】
図15Kは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15L】
図15Lは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15M】
図15Mは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15N】
図15Nは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15O】
図15Oは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15P】
図15Pは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15Q】
図15Qは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15R】
図15Rは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15S】
図15Sは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【
図15T】
図15Tは、グループ(コミュニティ対医療)で分析された種々のデータを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明及び添付の図(これらは本開示の一部を構成し、参照により一部となる)を参照することにより、より容易に理解されるであろう。本発明は、本明細書で説明及び/又は示される特定の装置、方法、プロセス、要素又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためのものであって、単なる例示であって請求項の発明を限定することを意図したものではない。本明細書で特定されている全ての特許及びその他の刊行物は、本明細書において、完全に記載されているものとして参照により本明細書の一部となる。本明細書と参照により組み込まれた文献との間に矛盾がある場合には、組み込まれた参照文献での扱いは本明細書での扱いを補足するものと見做される。
【0027】
また、添付の特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される場合、単数形「ある」及び「それ」は複数を含み、特定の数値への言及は、文脈から明確に指示されない限りは、少なくともその特定の数値を含む。範囲は、本明細書では、ある特定の値の「約」又は「略」から、及び/又は別の特定の値の「約」又は「略」までとして表現されることがある。このような範囲を表す場合、別の実施形態では、ある特定の値から、及び/又は、他の特定の値までが含まれる。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表される場合には、特定の値は別の実施形態を構成することは理解されるであろう。
【0028】
<研究の概要> 本発明の様々な実施形態は、医療現場で現在使用されている病院用ガウンに対する医師、看護師、及び患者の意見を調査することによって情報を得たものである。本研究では、2017年12月から2018年3月にかけて、ある大学医療機関の患者及び医療提供者から30名を選んで、インタビューを行った。参加者は、少なくとも18歳で英語が流ちょうであって、医学的に安定していると判断された場合に血液腫瘍科部門から直接採用された。職務の経験が少なくとも1年あるような適格な医療提供者が募集された。参加者は、患者10名(女性5名、男性5名)、看護師10名(女性9名、男性1名)、医師10名(女性6名、男性4名)を含んでいた。以下に説明され、依拠されるデータは、
図9A及び
図9Bに示されている。そのデータは、以下の議論をサポートし、この分野での新しく改善された患者服の必要性をサポートするために参照され得る。
【0029】
<患者のテーマ> その調査により、患者は、病院用ガウンは医療提供者の利便性のために設計されていると信じていることが明らかになった。患者は、露出が多くて楽しくないガウンを着用しなければならないことに諦めを示した。2人の患者はガウンを治療的に、即ち、病気‐治療プロセスを公式化するものと見ていた。多くの患者が、ガウンが自尊心、アイデンティティや尊厳に与える悪影響を明らかにした。ガウンを着ることは病気の目印であって、患者が自分の衣服を手渡さなければならなくなったときに、アイデンティティと尊厳を奪った。
【0030】
更に、研究は、ほとんどの患者にとってガウンが問題であって、ガウンは不快で、制限があり、自分で管理するのが難しいと述べていることを明らかにした。既存のガウンは、(1)首回りが窮屈であり、(2)自分で結ぶことが難しく、(3)着心地が悪く、(4)患者の体の大部分を覆っていないことが多い、と患者参加者は指摘した。また、既存のガウンは、特に、ガウンが低すぎたり、紐がトイレに落ちたりすることで、用を足す場合に困難で恥ずかしいことが判明した。
【0031】
全ての患者がガウンを問題視しているわけではない。ある患者は、特大のガウンを好んで着ていた。また、別の患者は、衛生面を考えてガウンを好んで着ていた。
【0032】
患者たちは、現在の病院用ガウンの様々な問題を克服するための方策を立てていることを明らかにした。それらの方策には、トイレを慎重に移動する方法や、寝るとき以外は部屋のドアを閉めておくという方法があった。
【0033】
患者は、病院用ガウンにレギンスやパジャマパンツを合わせることで、個性を表現していた。自分の好きな服を選んで着ている患者もいた。最も一般的な方策は、「二重ガウン」、つまり、1つのガウンを前向きに着用し、もう1つのガウンを逆向きに着用することであった。ダブルガウンは、患者の体の前面と背面の両方が確実に隠されることから、慎ましさを可能にし、患者の自信を向上させるのに役立った。最後の患者の方策は、ガウンを着用することを受け入れることであった。
【0034】
また、患者の回答では、患者が色の力を一貫して肯定していることがわかった。患者は、明るい色は気分と見通しを改善し、直面している健康問題から目をそらすのに役立つと説明した。
【0035】
<医療提供者のテーマ> 看護師と医師は、既存のガウンを「つまらない」、「サイズが合わない(one-size-fits-none)」、「人形のよう」などと表現していた。医療提供者はまた、ガウンについて、露出度が高く、不快で、無防備さを誘発するものであると述べた。これらの否定的な認識にも拘わらず、医療提供者は、アクセスと安全を確保したガウンに有用性を見出した(例えば、緊急時に患者を簡単に特定できる)。しかしながら、インタビューが進むにつれて、医療提供者はしばしばこれらの認識に矛盾して、とりわけ既存のガウンを正しく着用していない患者がいるために、現在のガウンにおいて避け難い不便さと余分な時間を挙げた。このことは更に、患者を当惑させ、及び/又は、医療提供者を当惑させる。
【0036】
医師と看護師の両方が、素早くアクセスするためのスナップと紐が、彼らの仕事をより難しくしていることに同意した。2人の看護師は、特徴的な特大のガウンは転倒の危険性があるとさえ指摘した。ある看護師は、輸液が完了するまで、IVポールにくっついた特大のガウンを引きずってMRI検査を受けた患者を目撃したと述べた。
【0037】
入院患者の服装は偏見を引き起こし、看護師と医師からの批判的なコメントさえも引き起こした。医療提供者の両方のグループによれば、病院用ガウンを着た患者は、「より具合が悪く」、依存心が強く、患者の役割を受け入れるしかない。また、看護師はガウンを着た患者を、社会的なサポートやモチベーションに欠けていると見做していた。代わりに、自分の服装をしている患者は、「健康であり」、「頑張る意欲があり」、「自立しており」、「元通りになりつつある」と見られていた。
【0038】
医師と看護師は、自分の服装をしている患者を「本当に入院する必要がない」、「退院する途中である」、又は、おそらく鎮痛剤を求めていると見做していた。ある医師は、患者が自分の服装をしているのを見ると、その患者は入院する必要がないという印象が与えられて、考えを鈍らせる可能性があることを認めた。
【0039】
医療提供者は、患者用ガウンが誘発する無防備さと、アクセスに対する認識されている必要性が患者の好みをどのように打ち負かしたかとを鋭く認識していた。看護師は、患者のアイデンティティの一部を奪うようなものだと言って、患者に魅力のない衣服を与えることに罪悪感を示した。看護師は、謝罪すること、ガウンを手渡すこと、プロセスを通じて人々と話すことなどを含む、対処のための方策を考え出した。医師は、ガウンがアイデンティティへの脅威であり、患者の自律性を失う原因になることに同意した。加えて、(看護師ではなく)医師は、再利用されて使い古したガウンの患者が現れたときに、プライドの欠如と、更には気恥ずかしささえ感じたと述べた。
【0040】
看護師と同様に、医師もまた、ガウンを着た患者を見たり世話したりすることに関連する否定的な感情に対処する方策を考え出した。方策の一つは、患者を患者としてではなく、一人の人間として見ることに集中するために、患者の顔より下の部分を見ないようにすることであった。多くの医師は、家庭用の服装の患者を見て喜び、服装を親密な関係を築く機会とさえ考えていた。医師は患者の自律性を高めることにも力を入れており、患者が病院で自制心を失っていると感じていることを認めており、これは衣服の選択肢を提供することで改善できる可能性がある。
【0041】
<収斂するテーマ> 参加者は、ガウンが不快で、露出度が高く、無防備さを誘発し、視覚的に魅力的ではないことに同意した。述べられた46個のコノテーション(connotations)のうち39個は否定的なものであった。患者はガウンを身体的にも心理的にも不快に感じ、慎ましさとプライバシーの欠如から無防備になっていることを感じていた。全ての参加者は、ガウンが尊厳、アイデンティティ、及び自尊心の喪失を促進していると感じていた。医療提供者のガウンに対する第一印象もまた、見た目の悪さに焦点が当てられており、患者の苦痛を確認するものであった。
【0042】
<その後の研究-デザイン> オンラインの「患者用ガウンに関する意見調査(Patient Gowns Opinions Survey)」は、2009年にノースカロライナ州立大学テキスタイルカレッジのSwetambali Jha,MSによって作成された「病院介護者への質問表(Questionnaire for Hospital Caregivers)」から幾つかの項目を採用して作成された。更に、患者用ガウンの目的、機能、快適性に加え、ガウンが患者の体験や感情的な幸福に与える影響を評価するために、11個のリッカート尺度の項目を開発した。リッカート尺度のオプションは次の通りである:(1)全くない、(2)少し、(3)幾分、(4)かなり、(5)何時も/非常に。参加者全員に、それら11項目のリッカート尺度が示された。定量的なデータに加えて定性的なデータを取得するために、自由回答欄を追加した。一連のチェックボックスを利用して、参加者全員に、出会った患者用ガウンのスタイル、出会ったガウンの状態、患者用ガウンに望む変更点などを報告するよう求めた。更に、参加者は、「選択できるならば、どの患者用ガウンを好むか?」と尋ねられて、説明付きで患者の服装の10個のオプションを表示し、ドロップダウンメニューを使用して上位3つをランク付けするように求められた。オプション1、2、4、5、6、8、9及び10の画像は、インターネットの検索エンジンで「患者用ガウン」、「病院用ガウン」、及び「患者服」というキーワードで検索して入手したものであった。オプション3とオプション7は、U Matterのデザインを反映していた。この研究の標本数は197名であった。
【0043】
<その後の研究-参加者> 参加者は、調査への参加の概要と、少なくとも18歳であり、英語に堪能であり、自分でレビューに同意できるという資格基準とを提示されて、資格を満たしており参加に同意するか否かを尋ねられた。彼らが「いいえ」を選択した場合は、調査は自動的に終了した。2020年4月から2020年5月までの4週間に250件のオンライン調査の記録が開始されて、197件(79%)が完了した。調査を完了した197人の参加者のうち、144人は女性であり(73%)、68人は非専門家のコミュニティメンバーであり(34%)、185人(94%)は、入院患者及び/又は外来患者の状況で患者用ガウンを着用した経験があった。医療関係者129名(66%)は、医師27人、APP2人、看護師10人、その他の医療関係者53人、MD、DO、又はPAプログラムに在籍する専門学校生37人であった。「その他の医療提供者」は、放射線画像診断技師(66%)、臨床薬剤師、救急救命士、チャイルドライフスペシャリスト、超音波検査士、心理学者、言語聴覚士、医療管理者などの職務を述べている。調査を完了した参加者の集まりの大部分、つまり、55%は25歳乃至34歳の年齢層に属しており、74%は少なくとも学士号を取得していた。本研究からのデータは、
図13A~13T、
図14A~14T、及び
図15A~15Tに提供されており、夫々、性別、年齢、及びグループ(コミュニティ対医療)によって分析されたデータを示している。様々な聞き手から最も肯定的なフィードバックとレビューを受けた2つのガウンは、本発明のフルレングスのガウン2(チャート/表では、オプション3=ガウンとしてのU Matter称される)と、本発明のパンツ100と共に着用される本発明のチュニック丈のガウン4(チャート/表では、オプション7=パンツ付きのチュニックバージョンとしてのU Matterと称される)とであった。
【0044】
図13Aから15Tに示すように、オプション3(U Matterのガウン)が全て参加者の回答でトップのガウンオプションとしてランク付けされ、オプション7(U Matterのチュニック+パンツ)が全体で2番目に、次にラップデザインのガウン(オプション10)が全体で3番目に続いた。コミュニティと医療関係者の比較では(
図15A=
図15T)、コミュニティはここでもU Matterをガウンとして総合1位、U Matterのチュニック+パンツバージョンを2位、オプション10(ラップガウン)を3位としている。医療関係者は、U Matterをガウンとして総合1位に、ラップガウン(オプション10)を2位に、オプション7(U Matterのチュニック+パンツ)を3位にランク付けした。全ての女性参加者(
図13A~13T)では、オプション10(ラップガウン)がトップランクのガウンで、U Matterのガウン(オプション3)とU Matterのチュニック+パンツ(オプション7)とが続いた。全ての男性参加者(
図13A~13T)では、シャツとパンツを備えた衣服オプション(オプション9)がトップのオプションとして、続いて、U Matterのチュニックとパンツのオプション(オプション7)とU Matterのガウンバージョン(オプション3)とがランク付けされた。18~24歳のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションは、オプション10(ラップガウン)、オプション3(U Matterのガウン)、及びオプション7(U Matterのチュニック+パンツ)であった。25~34歳のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションは、オプション3(U Matterのガウン)、オプション7(U Matterのチュニック+パンツ)、及びオプション10(ラップガウン)であった。34~44歳のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションはオプション3(U Matterのガウン)、オプション7(U Matterのチュニック+パンツ)、及びオプション10(ラップガウン)であった。45~54歳のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションは、オプション10(ラップガウン)、オプション4(標準的なVネックの病院用ガウン)、及びオプション7(U Matterのチュニック+パンツ)であった。55~64歳のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションはオプション3(U Matter ガウン)、オプション9(シャツとパンツ)、及びオプション7(U Matterのチュニック+パンツ)であった。65歳以上のグループ全体では(
図14A~14T)、上位3つのオプションは、オプション7(U Matterのチュニック+パンツ)、オプション10(ラップガウン)、及びオプション3(U Mattermのガウン)であった。
【0045】
<提案される改善> 最初の調査の結果、9人の医師と9人の看護師は、患者が病院では普通の服、特に重ね着のできるセパレーツを着用することを好んでいた。ガウンを選んだ唯一の医師は、「ニコールミラーのガウン」の一つを求めていた。ガウンを好んだ唯一の看護師は、衛生面を取り上げて、毎日新しいガウンを着ることで、自分自身を気にするように患者を動機付けていると感じていた。参加者は、入院患者の服装は「患者固有、患者依存」であって、可能であれば自分の服を着る機会があるべきであることに同意した。インタビューとスケッチングとを通じて、「理想的な」病院の服装は、色/パターン、生地、及びサイズを選択できるセパレーツであろうと判断された。また、ジッパーとベルクロ(登録商標)とが代替的な留め具として提案された。
【0046】
<調査の結論> 文献では、患者が病院で尊厳を失うことが多く、伝統的な患者用ガウンが、大抵の場合、誘発的な要因であることがよく報告されている。ガウンは人を物理的に「患者」に変えてしまい、アイデンティティと主体性を否定して、画一的な(one-size-fits-all)ガウンによる同一性を患者に強要してしまう。この研究において、患者の参加者は、陰気で露出度の高いガウンが彼らの自尊心、アイデンティティ、及びモチベーションにどのように悪影響を及ぼすかを述べた。患者用ガウンが医療提供者のやる気を削ぐ効果は驚くべきものであった。医療提供者は、ガウンを着るという変換的な行為によって病院の人間性を奪う漏斗(funnel)を開始する点において、受動的及び能動的の両方の役割を果たしていることを認めて、不満を表明した。看護師はガウンについて謝罪し、医師は患者にガウンを着用させることに罪悪感を示した。
【0047】
図9A及び
図9Bに示されている表には、患者のガウンの再設計に関する参加者の繰り返された提案が示されている。インタビューを受けた患者の間では、患者ガウンの改善に関する上位3つの提案は、慎ましさ、パンツのセパレーツ/オプション、及び色であった。看護師からの上位3つの提案は、色のオプション、パンツのセパレーツ/オプション、及びより柔らかい生地であった。医師からの上位3つの提案は、パンツのセパレーツ/オプション、色のオプション、アクセスの容易さであった。
【0048】
この研究で、患者と医療提供者は、患者中心のエビデンスに基づいた治療を真に提供するために、アイデンティティ、個性、人間性を治療において復活させるのに役立つような入院患者の服装を改善する多くの機会について述べていた。一つの方法は、ある内科医の言葉を借りれば、「患者固有の、患者に依存した」方法で、患者が可能な限り病院で自分の服を着用するように奨励することである。また、医療提供者と患者は、「理想的な」病院の服装についてセパレーツを好むことを示した。参加者が理想とする入院患者の服装は、慎ましさ、暖かさを加えたカラーオプションのセパレーツであった。色、生地、又はデザインの選択は、自律性を再構築し、患者の全体的な身体的及び感情的な健康に不可欠である。参加者は、患者が自分の衣服やセパレーツを安全に着用できない場合が常にあることから、患者用ガウンは「必要悪」であることを認めており、医療提供者はICUを主な証拠として挙げている。それでも、医療提供者は、患者と医療提供者の両方の士気を高める改善が待ち望まれていると感じていた。
【0049】
注目すべきは、患者と医療提供者の認識の間に顕著な断絶があったことである。患者は、ガウンについて、議論の余地のない「通常の手順」であり、入院時に予想されると述べていた。医療提供者はまた、「ポリシー」が個人的な服装を禁止していると感じていたが、実際には、患者のガウンに対する制度上の義務はなかった。ガウンを受け取る際に、患者はガウンを着ることを覚悟しており、大半の患者が選択の余地はないと感じていた。医療提供者は、ガウンを着用することで、何人かの患者は、病気が悪化し、依存しており、「病気を演じており」、回復に力が注がれていないと見られることを示唆した。医療提供者は、仮に自分が患者であるならば、病院では自分の服装をしたいと思うことに同意しており、それは、彼らが服を着ている患者をより健康的でやる気があると見做した理由かもしれない。インタビューを受けた患者は、病院で自分の服装をしたかったが、そうすることは「許可されていない」ものと信じていた。
【0050】
患者の自律性を維持することに専念しているこの現代の医療環境において、何世紀にもわたっている背中が開いた患者用ガウンの現状に挑戦し、患者の固有のニーズに医療を集中させて、客観的な証拠に基づいたケアプランを発展させる時が来ている。現在の入院患者の服装は、医療制度を改善する大きな機会を提供する:明るい色を追加したり、スクラブパンツのボトムを提供するような小さな変更でさえ、病院が個人としての患者の声に耳を傾け、世話をしていることを示すことで、「ユニフォーム」に諦めていた患者に希望をもたらすことができるであろう。
【0051】
服装の変更は、医療提供者の目から見て、患者を人間らしくして、尊厳を持たせることにも役立つ。医療提供者は、ケアを求める人々に、彼らが嫌悪感を抱く、みすぼらしく、冷たくて、単調なむき出しのガウンを提供することに苦痛を示している。本発明は、このような長年感じていた患者や医療提供者の要請と要望に対処するものである。
【0052】
<解決策> この研究結果を受けて、本発明の病院用ガウン1の様々な実施形態は、以下を含むがこれらに限定されない幾つかの新規な要素及び設計の詳細の新規な組合せを利用する:中央ライン/ポート用のアクセスポイントを伴ったオプションのフォウカラー(faux collar)74;ガウン1の着脱において患者の独立性を可能にするペタル袖(petal sleeve)60;二重バック構造;検査へのアクセスを改善し、且つ露出を最小限に抑えるための、ガウン1の前身頃10に沿ったオプションのスナップライン;ガウン1をフルレングス2からチュニック丈4に変換する機能;ラップフロント10;スナップ、紐、ベルクロ54のような様々な固定オプション。
【0053】
本発明の病院用ガウン1の好ましい実施形態は、
図1(
図6、
図7、
図11A及び
図11Bでは人の上に示されている)、
図2及び
図3に示されている。本明細書でより詳細に説明される新規な病院用ガウン1の一実施形態は、2つの前身頃パネル12(その非限定的な例が
図5及び
図10に示されている)から作られた調節可能な重なりラップフロント10を備えている。各前身頃パネル12は留め側14及び継ぎ側16を有する。更に、各前身頃パネル12は、後身頃パネルの継ぎ側36にて隣接する後身頃パネル32に継ぎ側16にて縫われてサイドシーム22を作り、各前身頃パネル12は、ガウン1へと留め具50を用いて留め側14で固定されている。また、各前身頃パネル12は、下側前身頃縁18を有している。また、この病院用ガウン1は、2つの後身頃パネル30を備える重なり後身頃30と、調整可能ネックライン42とを備えている。各後身頃パネル30は、下側後身頃縁38を有している。大半の実施形態では、後身頃パネル30及び前身頃パネル12は、後身頃縁38及び前身頃縁18がほぼ同じ長さに下がるように、同じような長さにされる。
【0054】
病院用ガウン1の様々な実施形態はまた、ガウン1の長さを調節可能にするために配置された複数の留め具セット50を有している。第1の留め具セット50は、2つの前身頃パネル12の各々の下側前身頃縁18付近にて2つの前身頃パネル12の各々に配置された少なくとも1つの留め具50によって構成されている。第2の留め具セット59は、少なくとも1つの対応する留め具50を含んでおり、当該留め具50は、ガウン1の前身頃水平方向中線20付近にて2つの前身頃パネル12の各々に配置されている。これらの2つの留め具セット50は、フルレングスのガウン2から、シャツ丈のガウン6又はチュニック丈のガウン4に似た短いものへと、ガウン1の前身頃10を短縮することを可能にする。
【0055】
この実施形態の病院用ガウン1はまた、2つの後身頃パネル30の各々の下側後身頃縁38付近にて2つの後身頃パネル30の各々に配置された少なくとも1つの留め具50を含む第3の留め具セット50を備えている。第4の留め具セット50は、少なくとも1つの対応する留め具50を含んでおり、当該留め具50は、ガウン1の後身頃水平方向中線40付近にて2つの後身頃パネル30の各々に配置されている。これらの2つの留め具セット50は、フルレングスのガウン2から、シャツ丈のガウン6又はチュニック丈のガウン4に似た短いものへとガウン1の後身頃30を短縮することを可能にする。
【0056】
本発明の代替的実施形態は、ガウン1が調整され得る異なる多数の長さを作り出すために、留め具50の更なるセットを組み込んでいる。例えば、第5の留め具セット50を、ガウン1の前身頃水平方向中線20の下側にて2つの前身頃パネル12の各々に配置することで、ガウン1の下部をフルレングス2とシャツ丈6の間の長さ、例えばチュニック丈4まで短くすることを可能にできる。更に、ガウン1の後身頃30で同じことを達成するために、ガウン1の後身頃水平方向中線40の下側にて2つの後身頃パネル30の各々に、第6の留め具セット50を配置することができる。留め具50の任意の数のセットが、ガウン1の長さを任意の長さに調節できるようにガウン1の前身頃及び後身頃に沿って配置されてよい。
【0057】
第一の実施形態の病院用ガウン1はまた、2つの袖60を有している。好ましい実施形態では、各袖60は、袖60の長さに沿った袖開口部62を有する。ガウン1の好ましい実施形態はまた、後身頃調節可能ネックライン40のサイズを調節するために、重なり後身頃30の後身頃調節可能ネックライン40に沿って少なくとも1つの留め具50を有している。ある実施形態では、この留め具50は、1つ又は複数のプラスチック製スナップ52である。様々な実施形態はまた、少なくとも1つの前身頃パネル12の上側部分13に少なくとも1つの遠隔計測用ポケット70を有する。
【0058】
様々な異なる特徴のうちの1つ以上を組み込んだ病院用ガウン1の様々な代替的実施形態が存在する。病院用ガウン1のある一つの代替的実施形態はまた、袖開口部62を閉じた状態に保持するために各袖開口部62に沿って配置された少なくとも1つの留め具50を備えている。病院用ガウン1はまた、少なくとも1つのサイドシーム開口部24を有する少なくとも1つのサイドシーム22を有してよい。これらのサイドシーム開口部24は、チューブやワイヤーなどの医療器具がガウン1の脇を貫いて通ることができるようにする。
【0059】
本発明に基づく病院用ガウン1の何れの実施形態も、本発明に基づいて設計された病院用パンツ100と共に使用することができる。この病院用パンツ100の好ましい実施形態は、ゴム入り開きウエストバンド102と、ウエストバンド102に通された引き紐104と、ウエストバンド102を閉じるための留め具50と、前立て106とを備えている。
【0060】
本発明の留め具50は、本明細書においてより詳細に説明するように、多種多様な留め具50の何れかであってよい。これらの留め具50は、(留め具50の種類に適した任意の方法で縫付、接着、又は付着されることによって)ガウン1に直接接続されてよく、又は、ガウン1に取り付けられている材料のタブ80に接続されてよい。本発明の様々な実施形態と共に使用するための留め具50の幾つかの例は、限定されないが、紐、ベルクロ54、スナップ、ホック及び穴、ボタン及びボタンホール、ジッパー等を含む。ガウン1の様々な部分について適切な留め具50を選択する際には、留め具50の目的、留め具50の迅速な医療上の解放の必要性、留め具50がX線等の撮像技術を妨害しないという要望、留め具50の強度、耐久性、コストや製造特性などを考慮すべきである。本発明の実施形態の何れかにおいてスナップを使用する場合、スナップの理想的なスタイルは、鉛フリー及び/又は金属フリーという特徴と高熱に耐えることができると言う特性とを含む。これらの特性は、X線アーチファクトを排除し、スナップの耐久性を高め、スナップが衛生又は洗濯に耐えられるようにするのに役立つ。
【0061】
縫い目を有することを避けるために、隣接する前身頃及び後身頃パネル30を一枚の材料から構成することは可能であるが、病院用ガウン1の大半の実施形態では、前身頃パネル及び後身頃パネル30は材料の異なる片から切断されている。そして、各前身頃パネル12の継ぎ側16は、隣接する後身頃パネル30に(後身頃パネルの継ぎ側36で)縫い付けられて、サイドシーム22が形成されている(これらの部分の様々の図を
図1乃至8、
図10、
図11A及び
図11Bに示す)。任意のデザインの袖60は、各袖60の長さに沿った袖開口部62を有してよい。本発明の一実施形態では、袖開口部62は、袖60の上側、即ち肩側に向かう。袖開口部62は、プラスチック製スナップ52又はベルクロ54(或いは、他の適切な留め具50又は閉鎖機構)を使用して閉じられてよい。任意の実施形態は、患者の胸の領域において前身頃パネル12の少なくとも1つにて少なくとも1つの遠隔計測用ポケット70を有してよい。ガウン1の後身頃30のデザインは、
図1にも示されており、2つの後身頃パネル30が重なり合って構成されており、それら後身頃パネル30はサイドシーム22にて前身頃パネル12に固定される。本発明の一実施形態は、ガウン1の後身頃30に沿った調整可能ネックライン40を備えている。後身頃ネックライン40に沿ったプラスチック製スナップ52は、ガウン1の調整可能ネックライン40を固定し、快適さとアクセスのために調整することを可能にする。この好ましい実施形態のサイドシーム22は、チューブ、ドレインやライン用に、患者の腹部の近くに1又は複数のスリットを有してよい。
【0062】
図1及び
図2に示すように、本発明の好ましい実施形態は、チュニック丈の病院用ガウン4(又はシャツ丈のガウン6)に変更することができるフルレングスの病院用ガウン2である。この変換機能には、限定ではないが、以下を含む幾つかの利点がある:様々な身長の患者に対応するためにガウン1の長さを調節できるようにする;長すぎるガウン1によるつまずきの危険をできるだけ小さくする;パンツ100の上に着用されるガウン1の余分な長さを排除する;患者が病院の衣服を管理して選択できるようにする。この長さの変更を達成するために、ガウン1の前身頃10及びガウン1の後身頃30の両方は、各側(前身頃10及び後身頃30)に少なくとも4つの留め具50を有するように設計される。これらの留め具50は、ベルクロ54、スナップ、及び紐を含むが、これらに限定されない任意の適切な機構であってよい。ガウン1の各側(前身頃10及び後身頃30)には、ガウン1の下側縁の近く(理想的には縁から5インチから9インチ)に少なくとも2つの留め具50があり、それらは、ガウン1のウエスト又は水平方向中線20、40付近の少なくとも2つの留め具50に対応している。より具体的には、各パネルの下側縁付近にて4つのパネルの各々に少なくとも1つの留め具50が配置され、また、各パネルの水平方向中線20、40付近にて4つのパネルの各々に少なくとも1つの留め具50が配置される。ガウン1の縁付近の対応する少なくとも2つの留め具50を、ガウン1のウエスト付近の少なくとも2つの留め具50に接続又は接合して、前身頃10及び/又は後身頃30に折り目を作って固定することで、これらのパネルの長さが短くなり、ガウン1がフルレングスのガウン2からチュニック丈のガウン4に変わる。
図2は、
図1のフルレングスのガウン2が、対応する留め具50を固定することによってシャツ丈のガウン6に短縮された状態を示している。
【0063】
最も一般的な長さの変更は、フルレングスのガウン2からチュニック丈のガウン4への変更であると予想されるが、本発明の病院用ガウン1は、様々な長さからより短い様々な長さに変換可能であるように(及び、単一のガウン1が複数の長さに調整可能であるように)設計することが可能である。本発明の好ましい実施形態に含まれるのは、ガウンの長さを短くし、その短い長さでガウン1を固定する能力である。元の長さと最終的な長さとは変更可能である。医療機関では、状況によっては、フルレングス2からシャツ丈6、又は、チュニック丈4からシャツ丈6に変換されるガウン1が好まれることが考えられる。同様に、各パネルの長さに沿って一連のスナップ(又は他の留め具50)を配置することによって複数の短い長さに変換できるように本発明に基づくガウン1を設計することが可能であり、これにより、下側のスナップを対応する上側のスナップの何れかに固定することで、長さのカスタマイズのための更なるオプションを作り出すことができる。
【0064】
最後に、本発明の様々なガウン1の実施形態は、患者の快適さ、慎ましさ及び自尊心を高めるためにパンツ100と組み合わせることができる(その例を
図1及び
図2に示す)。好ましい実施形態では、パンツ100は、引き紐104と、ベルクロ54で固定される開放ゴム入りウエストとを備えたプルオン(pull-on)となる。代替的実施形態では、パンツ100は、引き紐104で固定される開放ウエストを有していてもよい。更に、本実施形態のパンツ100は前立て106を有しており、前立て106は、任意選択的にベルクロ54又は他の留め具50で固定されるであろう。或いは、パンツ100のウエストは、プルオンの伸縮ウエストバンド102を有するように設計されてよく、任意選択的に引き紐104と組み合わせられてよい。パンツ100は、患者が使用するために、そして、パンツ100をストリートウェアのように見せ、施設の衣服のようには見せないようにするために、オプションの(
図3に示すような)後身頃ポケット72を有してよい。
【0065】
図3は、本発明の第2の実施形態を示しており、当該実施形態は、
図1及び
図2に示すガウン1の本質的特性の多くを共有するが、患者及び/又は医療提供者にとって望ましいオプションとなり得る幾つかの代替的設計要素を有する。
図3に示すガウン1は、フォウカラー74を有しており、これにより、ガウン1は、従来の病院用ガウン1よりもストリートウェアのように見え、ここでも、患者の自尊心を向上させる。本実施形態のフォウカラー74は、ライン、チューブ及び/又はドレイン用の少なくとも1つの開口部を露出させるように持ち上がっている。更に、このカラー74の好ましいデザインは、前身頃10に沿った控えめなVネックライン40と、後身頃30に沿ったリラックスしたクルーネックライン40であり、患者に更なる快適さと動きの自由とを提供する。快適さと動きの自由とはまた、カラー74の後身頃に沿ったスナップによって強化され、様々な首囲に合うように、患者の好みに合わせて、及び/又は医療行為に対応できるように調整することが可能とされる。
【0066】
図3に示す本発明の実施形態では、ガウン1の前身頃10は、カラー74から少なくとも患者の胸部の中線20まで続くスナップを有する前身頃プラケットを有するワンピースである。また、本実施形態の前身頃10は、患者の胸部付近又は胸部上に位置する少なくとも1つの遠隔計測用ポケット70を有している。遠隔計測用ポケット70のデザインは一般に、特に女性患者の場合、えぐれた又は垂れ下がるような広い開口をできるだけ小さくするか排除することによって、患者の胸部が誤って露出することを最小限度にすることが望ましい。
図1及び
図2に示す実施形態のガウン1と同様に、本実施形態のガウン1は袖60を有しており、袖60は、袖60の上端付近にてそれらの長さ方向に沿って開口している。しかしながら、この実施形態のガウン1(
図3に示す)の場合、袖60はペタル袖60としてデザインされている。服飾デザインにおいて、ペタル袖60は半袖60であり、袖60は腕の上で素材が重なるようにアームホールに縫い付けられている(
図12に図示)。ペタル袖60は、腕の頂部付近にて端が合わさる箇所を固定しないままにしておいてよく、又は、限定ではないがスナップやベルクロ54を含む様々な留め具50の何れかを使って端同士を固定してもよい。本発明の好ましい実施形態は、ペタル袖60を使用しない。その代わりに、好ましい実施形態の袖60は、標準的な形状の袖60としてデザインされており、袖60の頂部の長さに沿った開放スリットを固定するベルクロ54(又は他の留め具50)のストリップを有する。しかしながら、ペタル袖60のデザインは、好ましい実施形態のオープントップの従来の袖60と同じ目的を達成する、可能な代替的デザインである。
【0067】
図1及び
図2に示すガウン1と同様に、
図3に示すガウン1の実施形態は、ライン、チューブ及び/又はドレインを収容するために、少なくとも1つのサイドシーム22に沿った少なくとも1つのスリット又は開口部24を有する。また、2つの重なり合うパネルを利用して設計された重なり後身頃30を備えており、患者の身体へのアクセスを提供しながら、患者の背中を慎ましく覆うことができる。これらの重なり後身頃パネル30は、患者の腰部の紐を含む様々な機構を用いて固定されてよい。
【0068】
図1及び
図2に示したガウン1と同様に、
図3に示したガウン1の実施形態は、ガウン1の丈を短くできるようにデザインされている。しかしながら、
図3に示されるガウン1は、図示されているようにフルレングス2からチュニック丈4に変更される
図1及び
図2に示されているガウン1とは異なり、3つ以上の異なる長さを提供するようにデザインされている。
図3に示すガウン1は、留め具50をガウン1の縁付近に配置することに加えて、ガウン1の長さ方向に複数箇所配置することで、フルレングス2からチュニック丈4又はシャツ丈6(
図8では、より短い丈を人に着せた状態を示す)に変更できる。留め具50の数並びにガウン1の前身頃10及び後身頃30の長さに沿った留め具50の配置がほぼ無限の個数の長さを作り出すために固定可能なガウン1を作り出すことは、当業者には明らかであるだろう。
【0069】
図3はまた、本発明の病院用ガウン1の何れかの実施形態における別のオプションのデザイン、即ち、ガウン1の前身頃の下側シーム付近のポケット72を示している。少なくとも1つのポケット72をガウン1の下側前身頃シームの近くに配置することによって、ガウン1の長さを短くすると、ガウン1は患者の腰付近に前ポケット72を有することになる。このオプションのデザインの特徴は、患者にとって有用なポケット72へのアクセスを与え、短縮されたガウン1のスタイル態様を作り出すことによって、病院用ガウンというよりもストリートウェアのように感じられるガウン1を作り出す。
【0070】
図4及び
図5は、本発明に基づくガウン1の前身頃10に関する様々な代替的なデザインを示す。
図4に示される代替的実施形態は、
図3に図示されるガウン1よりも少ないスナップを使用することで、製造コスト及びX線アーチファクトを低減させる。
図5は、本発明の一実施形態に係るガウン1の前身頃パネル12の幅と長さの比率と、任意選択的な留め具50の配置とを示している。
【0071】
本発明の何れか及び/又は全ての実施形態について、ガウン1を正しく着用、調整、及び/又は固定する方法を患者がより良く理解できるように、様々なスナップ、紐又は他の留め具50が色分けされてよい。更に、本発明の好ましい実施形態では、スナップ(又は留め具50)の下に裏打ちがあって、ガウン1の材料を引き裂くことをより良く防止する。これを達成するには様々な方法があり、限定ではないが、ガウン1の材料が、ガウン1の材料の下にある芯地と、ガウン1の材料の反対側又は外側にあるスナップとの間に挟まれるようにガウン1を組み合わせることを含むことは、当業者には明らかであろう。
【0072】
本発明の様々な実施形態は、特定の布地又は布地のカテゴリーに限定されない。生地の選択は、コスト、快適性、耐久性、洗濯性、殺菌能力、肌触り、通気性など、様々な要因によって決まる。しかしながら、前述のように、この分野の研究は、患者と医療提供者の両方が、気分にポジティブな影響を与える明るい色と楽しいパターン(
図3にその例を示す)を好むことを明らかにした。従って、本発明の好ましい実施形態は、様々な色やパターンを使用して、気分に対するポジティブな影響を利用して、患者が患者ではなく一個の人間のように感じることをより良く支援することを含んでいる。本発明のガウン1の繊維含有量は、上記の要因のすべてによって決定され得るが、本発明の好ましい実施形態は、170°Fもの高温での洗濯に耐える綿-ポリエステル混紡で作られる。
【0073】
本発明のデザインは、患者に対するMRIの使用と互換性があるが、本発明の幾つかの実施形態でのスナップラインの使用は、X線に重大なアーチファクトを生じる。故に、
図1及び
図2に示す好ましい実施形態は、このX線アーチファクトを避けるために、二重バック(double-backed)のリアフラップを有するスナップフリーのフロントクロージャーを有する。
【0074】
本発明の大量生産を容易にするために、好ましいデザインの原型は、4つの片と最小数のスナップとを用いる(
図1、
図2、及び
図10を参照)フォウカラー74は、特定の状況において潜在的な障害となるならば、本発明の幾つかの実施形態において排除されてよく、前側開口は、ポートアクセスというその意図する目的に資するレベルで存在するように調整されてよい。最後に、パンツの好ましい実施形態は、着脱を容易にしてカテーテルを収容するために、閉じ引き紐ウエスト104から、ベルクロ54クロージャーを備えた開き引き紐ウエスト104に変更された。
【0075】
本発明の様々な属性は様々な方法で組み合わせることができ、そのような組合せは全て本発明の範囲内にあることは、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】