(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】全二重アンテナシステムのためのアイソレーション方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/525 20150101AFI20230601BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20230601BHJP
H01Q 3/36 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04B1/525
H01Q1/52
H01Q3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566621
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021030010
(87)【国際公開番号】W WO2021222657
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522292415
【氏名又は名称】ユーティベイト コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ツルコフスキ,ステファン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レダ,アミン
(72)【発明者】
【氏名】エバディ,シマック
(72)【発明者】
【氏名】オソリオ,アンドレス フェリペ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021DB03
5J021EA02
5J021FA06
5J021FA26
5J021HA07
5J046AA03
5J046AB13
5J046UA02
5K011BA01
5K011DA01
5K011DA12
5K011DA27
5K011GA05
5K011GA06
5K011KA05
(57)【要約】
本開示の実施形態は、全二重通信のためのアイソレーション方法に関するものである。一例においては、全二重アンテナシステムは、それぞれパワー増幅器、1以上のフィルタ、及び衛星に送出信号を送信するためにTx周波数帯で動作するTxパッチアンテナのTxポートを意味する1以上の要素を含むTx(送信)信号経路を備え、上記1以上の要素は、それぞれ衛星から到来信号を受信するためにRx周波数帯で動作するRxパッチアンテナのRxポートにより駆動される低雑音増幅器を含むRx(受信)信号経路をさらに含み、Rx周波数帯は、保護帯域によりTx周波数帯から分離され、フィルタは、Tx信号経路とRx信号経路との間の物理的分離とともに、Tx信号経路とRx信号経路との間のカップリングを低減するのに十分なアイソレーションを提供し、全二重アンテナシステムが全二重で動作することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信(Tx)信号経路であって、
Tx分配ネットワークと、
それぞれ1以上のパワー増幅器を含む1以上の要素と、
1以上のフィルタリング構造の第1のグループと、
1以上のTxポートを有するTxパッチアンテナであって、衛星に送出信号を送信するためにTx周波数帯で動作可能なTxパッチアンテナと
を含むTx信号経路と、
受信(Rx)信号経路であって、
Rx分配ネットワークと、
それぞれ1以上の低雑音増幅器を含む1以上の要素と、
1以上のフィルタリング構造の第2のグループと、
1以上のRxポートを有するRxパッチアンテナであって、前記衛星から到来信号を受信するためにRx周波数帯で動作可能なRxパッチアンテナと、
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間で相互接続される1以上のアイソレーション構造と
を含むRx信号経路と
を備え、
前記Rx周波数帯は、保護帯域により前記Tx周波数帯から分離され、
前記フィルタリング構造の前記第1のグループ及び前記第2のグループは、前記1以上のアイソレーション構造と連係して、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間の信号パワーのカップリング量を低減するためのアイソレーションを提供する、
全二重アンテナシステム。
【請求項2】
前記1以上のフィルタリング構造の第1のグループは、ユーザデバイスのモデムからアナログ入力を受信するTxポートと前記Tx分配ネットワークとの間に配置されるフィルタを含む、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項3】
前記1以上のフィルタリング構造の第1のグループは、前記1以上のパワー増幅器と前記TxパッチアンテナのTxポートとの間に配置される1以上のフィルタを含む、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項4】
前記1以上のフィルタリング構造の第2のグループは、前記RxパッチアンテナのRxポートと前記1以上の低雑音増幅器との間に配置される1以上のフィルタを含む、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項5】
前記1以上のフィルタリング構造の第2のグループは、前記Rx分配ネットワークとユーザデバイスのモデムにアナログ出力を供給するRxポートとの間に配置される1以上のフィルタを含む、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項6】
一体化アンテナ構成要素となる前記Txパッチアンテナ、前記Rxパッチアンテナ及びグランド層を含む基板と、
前記Txパッチアンテナの前記1以上のTxポートへの出力を有するビーム形成Tx高周波集積回路(RFIC)であって、前記1以上のパワー増幅器及び位相制御回路の第1のグループを含むTx RFICと、
前記Rxパッチアンテナの前記1以上のRxポートへの出力を有するビーム形成Rx RFICであって、前記1以上の低雑音増幅器及び位相制御回路の第2のグループを含むRx RFICと
をさらに備える、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項7】
前記Tx RFICは、前記1以上のフィルタリング構造の第1のグループのうちの1つのフィルタリング構造をさらに有し、
前記Rx RFICは、前記1以上のフィルタリング構造の第2のグループのうち1つのフィルタリング構造をさらに有する、
請求項6に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項8】
前記一体化アンテナ構成要素は、前記Rxパッチアンテナの上方に構成される前記Txパッチアンテナと、前記グランド層の上方に構成される前記Rxパッチアンテナとを有し、これにより前記Txパッチアンテナの前記信号が前記Rxパッチアンテナを通過することを除外する、請求項6に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項9】
前記一体化アンテナ構成要素は、前記Rxパッチアンテナと前記Txパッチアンテナとの間に配置される1以上の内部寄生構造を含む、請求項6に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項10】
隣接する前記一体化アンテナ構成要素の間に配置される1以上の外部寄生構造をさらに備える、請求項6に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項11】
前記Tx分配ネットワーク及び前記Rx分配ネットワークは、多層プリント回路基板(PCB)内に配置され、前記Tx分配ネットワーク及び前記Rx分配ネットワークは、前記多層PCBの異なる層上に配置され、前記Tx分配ネットワーク及び前記Rx分配ネットワークは、互いに垂直となるように構成される、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項12】
前記Txパッチアンテナは、前記Txパッチアンテナからエッチングされたパターンとして構成される内部フィルタをさらに有する、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項13】
前記Tx信号経路に送信されるTx信号を前記Rx信号経路から受信するRx信号に結合するダイプレクサであって、ユーザデバイスのポートに接続するように構成されるダイプレクサをさらに備える、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項14】
前記Tx信号経路及び前記Rx信号経路は、所定の物理的分離を有しつつ水平に配置され、前記所定の物理的分離が、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間でアイソレーションレベルを提供する、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項15】
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路とを組み合わせる基板
をさらに備える、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項16】
前記1以上のパワー増幅器のうちの1つのパワー増幅器は、前記Tx信号経路から受信するTx信号の位相を修正するように構成される位相制御回路を含み、前記1以上の低雑音増幅器のうちの1つの低雑音増幅器は、前記Rx信号経路から受信するRx信号の位相を修正するように構成される位相制御回路を含む、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項17】
前記1以上のフィルタの第1のグループのうちの1つのフィルタ及び前記1以上のフィルタの第2のグループのうちの1つのフィルタは、PCBトレースから構成され、前記PCBトレースは、多層PCB内に配置される、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項18】
前記パワー増幅器及び前記低雑音増幅器は、前記1以上のパワー増幅器のうちの1つのパワー増幅器及び前記1以上の低雑音増幅器のうちの1つの低雑音増幅器に相互接続されるアクティブキャンセレーション回路をさらに有する、請求項1に記載の全二重アンテナシステム。
【請求項19】
全二重アンテナシステムにおけるアイソレーションを増加させるための方法であって、
送信(Tx)信号経路であって、
Tx分配ネットワークと、
Txパッチアンテナの1以上のTxポートへの出力を有するビーム形成Tx高周波集積回路(RFIC)であって、第1の振幅制御回路及び第1の位相制御回路を含むTx RFICと、
1以上のフィルタリング構造の第1のグループであって、前記Txパッチアンテナは、衛星に送出信号を送信するためにTx周波数帯で動作可能である、1以上のフィルタリング構造の第1のグループとを含むTx信号経路と、
受信(Rx)信号経路であって、
Rxパッチアンテナの1以上のRxポートへの出力を有するビーム形成Rx高周波周波数(RFIC)であって、第2の振幅制御回路及び第2の位相制御回路を含むRx RFICと、
1以上のフィルタリング構造の第2のグループであって、前記Rxパッチアンテナは、前記衛星から到来信号を受信するためにRx周波数帯で動作可能である、1以上のフィルタリング構造の第2のグループと、
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間に相互接続される1以上のアイソレーション構造と
を含む全二重アンテナシステムを用意し、
前記Rx周波数帯は、保護帯域により前記Tx周波数帯から分離され、
前記全二重アンテナシステムを全二重モードで動作させ、このとき、
前記1以上のフィルタリング構造の第1のグループを用いて前記Tx信号経路上にフィルタリングアイソレーションを提供し、
前記1以上のフィルタリング構造の第2のグループを用いて前記Rx信号経路上にフィルタリングアイソレーションを提供し、
前記1以上のアイソレーション構造を用いて前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間にアイソレーションを提供する、
方法。
【請求項20】
前記フィルタリング構造の第1及び第2のグループは、前記アイソレーション構造とともに、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間のアイソレーションを形成し、前記アイソレーションは、前記全二重アンテナシステムが前記全二重モードで動作することを可能にする閾値以上である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記受信(Rx)信号経路は1以上の低雑音増幅器を有し、前記閾値は、前記Rx周波数帯における決定された最高周波数で前記全二重アンテナシステムから前記衛星に送信されるパワーレベルから、前記Rx周波数帯における決定された最高周波数での前記1以上の低雑音増幅器のノイズフロアのパワーレベルを引いたものに等しい、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、
前記Tx分配ネットワークを介してユーザデバイスから第1の信号を受信し、
前記ビーム形成Tx RFICにより前記第1の信号を処理し、複数の処理済み出力信号の第1のグループを前記Txパッチアンテナに供給し、
前記ビーム形成Rx RFICにより前記1以上のRxパッチアンテナからの複数の信号の第2のグループを受信及び処理し、
前記Rx分配ネットワークを介して、前記複数の信号の第2のグループを単一の第2の信号に結合し、前記第2の信号を前記ユーザデバイスに供給する、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間にアイソレーションを提供する際に、
前記Txパッチアンテナにより生成された第1の電場の振幅及び位相を調整することにより、前記Tx RFICを介して、前記Txパッチアンテナの偏波を制御し、
前記Rxパッチアンテナにより生成された第2の電場の振幅及び位相を調整することにより、前記Rx RFICを介して、前記Rxパッチアンテナの偏波を制御する、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の電場及び前記第2の電場は、前記Txパッチアンテナ及び前記Rxパッチアンテナの電場の間で直交偏波で調整され、前記直交偏波は、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間でアイソレーションを提供する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間で前記アイソレーションを提供する際に、
前記Rx信号経路に結合するTx信号を決定し、
前記Rx信号経路に結合する前記Tx信号と振幅が等しく、位相が逆の矯正信号を導入する、
請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記全二重アンテナシステムは、
前記RxパッチアンテナのRxパッチアンテナ層の上方に配置された前記TxパッチアンテナのTxパッチアンテナ層を含む一体化アンテナ構成要素と、
前記Txパッチアンテナ層と前記Rxパッチアンテナ層との間に配置される1以上の内部寄生構造と
をさらに備え、
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間で前記アイソレーションを提供する際に、
前記1以上の内部寄生構造を介して、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間の信号パワーのカップリング量を低減する、
請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記全二重アンテナシステムは、
一体化アンテナ構成要素の第1のグループ及び第2のグループであって、それぞれ
前記Rxパッチアンテナの上方に配置される前記Txパッチアンテナを含む1以上の一体化アンテナ構成要素と、
前記一体化アンテナ構成要素の第1のグループと第2のグループとの間に配置される1以上の外部寄生構造と
を含む第1のグループ及び第2のグループと
をさらに備え、
前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間で前記アイソレーションを提供する際に、
前記1以上の外部寄生構造を介して、前記Tx信号経路と前記Rx信号経路との間の信号パワーのカップリング量を低減する、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月11日に提出された米国特許出願第17/120,021号及び2020年5月1日に提出された米国仮特許出願第63/019,228号の利益を主張するものであり、これらの出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、本出願は、2020年8月2日に提出された米国仮特許出願第63/060,101号の利益を主張するものであり、この出願もその全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、本出願は、2020年8月31日に提出された米国仮特許出願第63/072,447号の利益を主張するものであり、この出願もその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の態様は、全二重ビーム走査型アンテナシステムの分野に関するものであり、より詳細には、全二重通信用のアイソレーション方法及びビーム走査型アンテナシステムに関するものである。
【背景】
【0003】
ワイヤレス革命により、制限された無線スペクトルに対する要求が絶えず増加し続けている。全二重衛星通信を可能とすることにより、半二重に比べて、無線スペクトルの利用を改善し、同じアンテナフットプリントを維持しつつ、衛星通信のスループットを増加させることが約束される。本明細書で使用される場合には、全二重という用語は、単一のアンテナからの同時データ送受信を意味している。換言すれば、全二重アンテナシステムは、同時双方向データ伝送が可能なものである。半二重デバイスは、一時に1方向にのみ送信することができ、データが2方向に移動し得る場合には、同時には送信することができない。不運なことに、送信信号のパワーの少なくとも一部は、放射した後に受信部の回路に戻ってくることがある。送信信号は、典型的には、かなり高いパワーレベルで送信される。しかしながら、受信信号は、典型的には、非常に低いパワーレベルで受信される。Tx信号からフィードバックされる信号エネルギーは、Rx信号のノイズフロアよりも大きくなり得るか、より悪い場合には、Rx信号自体のパワーよりも大きくなり得ることにより、確実に受信されるRx信号に干渉し得る。そのようなカップリングを低減することにより、全二重動作中の受信信号の信頼性を改善することができる。
【概要】
【0004】
本明細書で述べられている1以上の実施形態は、他の利点もある中で特に、送信信号経路から受信信号経路へのカップリングを減少させ、これにより最大許容データ転送速度で全二重通信を可能にするための全二重アンテナシステム及びアイソレーション方法を提供することにより、当該技術分野における上記の問題のうち1つ以上を解決するものである。一実施形態においては、全二重アンテナシステムは、コントローラと、分配ネットワーク及びそれぞれパワー増幅器、1以上のフィルタ、及び衛星に送出信号を送信するために送信周波数帯域幅で動作する送信パッチアンテナの送信ポートを含む1以上の要素を含む送信信号経路とを含んでいる。全二重アンテナシステム例は、1以上の要素を有する受信信号経路であって、上記衛星から到来信号を受信するために受信周波数帯域幅で動作する受信パッチアンテナの受信ポートにより駆動される低雑音増幅器及び分配ネットワークを含む受信信号経路をさらに含んでいる。上記受信周波数帯域幅は、保護周波数帯により上記送信周波数帯域幅から分離され、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間のトータルアイソレーションItotalは、フィルタリングアイソレーションIfilteredとカップリングアイソレーションIcoupledとの結合により得られる。Itotalは、送信信号経路と受信信号経路との間のカップリングを低減するのに十分なアイソレーションを提供し、2つの十分に絶縁された半二重パネルであるときと同じ電気的性能でアンテナシステムが全二重モードで動作するのを可能にする。
【0005】
本出願の追加の特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部は以下の説明から自明であるか、そのような例示の実施形態の実施によって修得され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
上述した利点と特徴及び他の利点と特徴を得ることができる方法を説明するために、さらに詳しい説明が述べられ、これは添付図面に示されている具体例を参照することによってなされる。これらの図面は、典型的な例のみを示すものであって、したがって、その範囲を限定するものではないと考えられることを理解した上で、実施例が添付図面を使用することによりさらなる具体性と詳細とともに述べられ説明される。
【0007】
【
図1】
図1は、ある実施例による様々な全二重モジュラアンテナアレイシステムを含む衛星通信システム例の概要及びアーキテクチャを示すブロック図を示している。
【0008】
【
図2A】
図2Aは、ある実施形態による、2つの半二重パネルを用いて全二重通信を行うアンテナシステムを示している。
【0009】
【
図2B】
図2Bは、ある実施形態による、全二重通信において用いられる単一のアンテナシステムを示している。
【0010】
【
図2C】
図2Cは、ある実施形態による、全二重通信において用いられる単一のアンテナシステムを示している。
【0011】
【
図3A】
図3Aは、ある実施例による、ビーム走査型アンテナシステムにおいて用いられる、コントローラボードに接続されたモジュールボード上に実装されたいくつかのアンテナボードの断面図を示している。
【0012】
【
図3B】
図3Bは、ある実施例による、ビーム走査型アンテナシステムにおいて用いられる、モジュールボード上に実装されたいくつかのアンテナボードの平面図及び斜視図を示している。
【0013】
【
図4A】
図4Aは、ある実施形態による、全二重通信において用いられるアンテナシステムのブロック図である。
【0014】
【
図4B】
図4Bは、ある実施形態による、全二重通信において用いられるアンテナ素子の断面図である。
【0015】
【
図4C】
図4Cは、ある実施形態による、全二重通信を行う複数のアンテナ素子を含むアンテナモジュールを示している。
【0016】
【
図5A】
図5Aは、ある実施形態による、周波数に対するTxパワーout及びRxパワーの理想的なスペクトルを示すグラフである。
【0017】
【
図5B】
図5Bは、ある実施形態による、周波数に対するTxパワーout及びRxパワーの実際のスペクトルを示すグラフである。
【0018】
【
図5C】
図5Cは、ある実施形態による、送信信号経路から受信信号経路上への信号パワーのカップリングを示すグラフである。
【0019】
【
図6A】
図6Aは、ある実施形態による、複数のアンテナモジュールを有するアンテナパネルのモジュール型アーキテクチャ例を示すブロック図を示している。
【0020】
【
図6B】
図6Bは、ある実施形態による、全二重で衛星電波信号を送受信するビーム走査型アンテナシステムのシステム例を示すブロック図を示している。
【0021】
【
図7】
図7は、ある実施形態による、全二重モードで衛星と通信する全二重アンテナシステムを用いる方法を示している。
【0022】
【
図8A】
図8Aは、ある実施形態による全二重アンテナ素子を示している。
【0023】
【
図8B】
図8Bは、ある実施形態による全二重アンテナ素子の上面図を示している。
【0024】
【
図8C】
図8Cは、ある実施形態による、2つの異なる相対位置でTxアンテナ及びRxアンテナを有する2つのTx-Rxアンテナの断面図を示している。
【0025】
【
図9A】
図9Aは、ある実施形態による、内部寄生構造を有するアンテナ素子の断面図を示している。
【0026】
【
図9B】
図9Bは、ある実施形態において使用される内部寄生構造層の等価回路を示している。
【0027】
【
図9C】
図9Cは、ある実施形態において使用される内部寄生構造層の別の等価回路を示している。
【0028】
【
図10A】
図10Aは、ある実施形態による、内部寄生構造及び外部寄生構造を有する2つのアンテナ素子の側面図を示している。
【0029】
【
図10B】
図10Bは、ある実施形態による、外部寄生構造を有するアンテナ素子に関する簡略化等価回路を示している。
【0030】
【
図10C】
図10Cは、ある実施形態による2つのアンテナ素子の上面図を示している。
【0031】
【
図11A】
図11Aは、ある実施形態による、モジュールPCB用の分配ネットワークの例を示している。
【0032】
【
図11B】
図11Bは、ある実施形態による、Tx-Rxアンテナ積み重ねの側面図を示している。
【0033】
【
図12A】
図12Aは、ある実施形態による、アンテナに埋め込まれたフィルタ4を示している。
【0034】
【
図12B】
図12Bは、ある実施形態による、フィルタ4を埋め込む実施例を示している。
【0035】
【
図12C】
図12Cは、フィルタ4が埋め込まれたTxアンテナの応答の実施形態を示している。
【0036】
【
図13】
図13は、ある実施形態による高密度集積PCBフィルタ2の実施例を示している。
【0037】
【
図14A】
図14Aは、ある実施形態による、Tx信号のアクティブキャンセレーション機能を有する全二重アンテナシステムを示すブロック図である。
【0038】
【
図14B】
図14Bは、ある実施形態による、Tx信号のアクティブキャンセレーション機能を有する全二重アンテナ素子を示している。
【0039】
【
図15】
図15は、ある実施形態による、全二重通信において使用される、ダイプレクサを有する全二重アンテナシステムを示すブロック図である。
【0040】
図面は、必ずしも縮尺通りには図示されていない。同様に、一部の構成要素及び/又は動作は、本技術の実施形態の一部を説明するために、異なるブロックに分離されるか、あるいは単一のブロックに組み込まれることがある。また、本技術は、様々な改良及び別の形態に変更することができるが、特定の実施形態が例として図面に示されており、以下に詳細に述べられる。しかしながら、述べられている特定の実施形態に本技術を限定しないことを意図するものである。反対に、本技術は、添付された特許請求の範囲により定義される技術の範囲に属するすべての変形例、均等物、及び代替物をカバーすることを意図している。
【詳細な説明】
【0041】
以下、例を詳細に述べる。特定の実施例が述べられているが、これは説明のためだけになされていることは理解すべきである。関連する技術分野における当業者であれば、本開示の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の構成要素及び構成が使用され得ることを理解するであろう。実施例は、システム、プロセス、装置、機械により実現される方法、コンピューティングデバイス、又はコンピュータ読取可能媒体を含み得る。
【0042】
本明細書で使用される場合には、Txパネル及びRxパネルは、Txアンテナ開口及びRxアンテナ開口とも呼ばれる場合がある。さらに、アンテナの単一のTx層又はRx層は、パッチ、又はアンテナ、又はパッチアンテナ、又はマイクロストリップパッチアンテナ、又は層、又は開口と呼ばれることがある。また、一部の例における全二重パッチアンテナは、Tx層、Rx層、及びグランド層を含んでおり、これらの層は、プリント回路基板(PCB)のような誘電材料からなる平面基板内で互いに平行であり互いに離間している。パッチ層同士はビアを用いて接続され得る。
【0043】
上述したように、全二重衛星通信のシナリオにおいては、送信信号のパワーの少なくとも一部は、不運なことに放射した後に回路の受信部に戻ってくることがある。送信信号は、型的には、かなり高いパワーレベルで送信される。しかしながら、受信信号は、典型的には、非常に低いパワーレベルで受信される。Tx信号からフィードバックされる信号エネルギーは、Rx信号のノイズフロアよりも大きくなり得ることがあり、これにより確実に受信されるRx信号に干渉し得る。そのようなカップリングを低減することにより、全二重動作中の受信信号の信頼性を改善することができる。本明細書で述べられている1以上の実施形態は、他の利点もある中で特に、送信信号経路から受信信号経路へのカップリングを減少させ、これにより全二重通信を可能にするための全二重アンテナシステム及びアイソレーション方法を提供することにより、当該技術分野における上述の問題のうち1つ以上を解決するものである。一実施形態においては、全二重アンテナシステムは、コントローラ及び、分配ネットワークと、パワー増幅器と、1以上のフィルタと、衛星に送出信号を送信するために送信周波数帯で動作する送信パッチアンテナの送信ポートとをそれぞれ含む1以上の要素を含む送信信号経路を含んでいる。全二重アンテナシステム例は、上記1以上の要素内に受信信号経路をさらに含んでおり、上記受信信号経路は、分配ネットワークと、上記衛星からの到来信号を受信するために受信周波数帯で動作する受信パッチアンテナの受信ポートにより駆動される低雑音増幅器とを含む。上記受信周波数帯は、保護周波数帯により上記送信周波数帯から分離され、アイソレーション構造を有する上記フィルタ、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間の物理的分離が、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間のカップリングを低減するのに十分なアイソレーションを提供し、上記衛星アンテナが全二重で動作するのを可能にする。
【0044】
アイソレーション構造とは、カップリングアイソレーションを改善するアンテナモジュール内の実施形態を意味している。
【0045】
さらに、ある実施形態においては保護帯域幅と呼ばれる保護周波数帯は、Tx周波数帯とRx周波数帯との周波数差であることに留意すべきである。他の実施形態においては、アンテナシステムは、M個のTx/Rxユーザ端末要素(UTE)を含んでいる。それぞれのUTEは、アプリケーションアグノスティックであり、入射衛星電波に応答して到来信号を生成し、同時に送出信号を送信するTx/Rxアンテナを含んでいる。それぞれのTx/Rx UTEは、上記到来信号及び上記送出信号を処理する能動回路と、M個の能動回路により行われる処理を制御する制御回路とを含んでいる。上記アンテナシステムは、M個の能動回路のうちのO個からなるデイジーチェーンをそれぞれ含むN個のユーザ端末モジュール(UTM)をさらに含んでいる。それぞれのUTMは、デイジーチェーン内で生じた劣化を補正するために、P個の能動回路ごとの後に置かれるバッファをさらに含む。アンテナ面積及び対応するスループット及びアプリケーションに対して利用可能な帯域幅が調整可能及びスケーリング可能となるようにMを調整することができる。さらに、複数の異なる用途において同一のTx-Rx UTEを使用することができるので、アプリケーションアグノスティックTx/Rx UTEを比較的低コストで大量に製造することができる。別の下位アイソレーション手段を試みているが、本発明の恩恵を享受することはできない。例えば、別のアプローチにおいては、全二重フェイズドアレイシステムは、別個のTxパネルとRxパネルとを含んでおり、これらはアイソレーションが十分となるまで分離される。しかしながら、そのようなアプローチは、パネル間に大きな空間を必要とし、本開示の実施形態により提供されるような小開口アンテナを提供するものではない限りにおいて継続できるものではない。本明細書に開示される実施形態とは対照的なそのような別のアプローチは、小さな表面積で高いデータ速度を必要とする用途をサポートすることができない。他の下位アプローチにおいては、Txビーム及びRxビームに対して異なる特定の偏波を用いることにより送信信号経路と受信信号経路との間の余分なアイソレーションが得られる。これに対して、本開示の実施形態は、任意の偏波を有するシステム、変化する要件を満足するように偏波を変更することができるようなものさえ必要とする。
【0046】
動作においては、本開示の実施形態は、低雑音増幅器(LNA)入力438(
図4A)により分かるように以下に示す次式1が満たされるので、Tx信号経路をRx信号経路にカップリングさせるにもかかわらず、全二重モードで動作することができる。
【0047】
式1 Pout-Itotal≦fcriticalでのNoise Floor
【0048】
ここで、Poutは、システムから衛星に送信される周波数fcriticalにおけるパワーレベルである。
【0049】
Itotalは、fcriticalにおけるトータルアイソレーションである。
【0050】
Noise Floorは、低雑音増幅器のノイズフロアである。
【0051】
fcriticalは、Txパワーカップリングが最も高くなると思われるRx帯における最高周波数である。
【0052】
式1の応用が以下でさらに示され述べられる。
【0053】
以下にさらに述べるように、本開示の実施形態による全二重アンテナシステムは、パワー増幅器を用いて送信アンテナパッチを駆動する送信信号経路と、受信アンテナパッチから低雑音増幅器への信号を受信する受信信号経路とを含んでいる。上記送信信号経路及び上記受信信号経路は、保護帯域により分離された送信周波数帯と受信周波数帯とで同時に動作する。以下に述べるように、本開示の実施形態は、表1に列挙されているフィルタのうち1つ以上を含んでいる。表1に列挙されているのは、考えられる8個のフィルタであり、これらのうち1つ以上が、本開示の全二重アンテナシステムに含まれるものである。また、表1は、それぞれのフィルタについての1以上の利点を示している。動作中は、列挙されたフィルタのうち1つ以上又は全部さえも送信信号経路と受信信号経路との間のアイソレーションを増加させるために使用することができる。
【表1】
【0054】
フィルタ1からフィルタ8は、パワーの取り扱い及び保護帯域の要件という意味においてそれらの機能に適切なフィルタリング技術を用いて実現される。使用可能なフィルタ技術の一部の例を列挙すると、導波路フィルタ、同軸フィルタ、誘電体フィルタ、及びPCB内の埋込フィルタが挙げられる。PCB内の埋込フィルタは、ストリップ線路及びマイクロストリップフィルタと、表面弾性波(SAW)フィルタとを含むが、これに限定されるわけではない。加えて、これらのフィルタのいずれもチューナブルフィルタであり得る。このチューナブルフィルタにおいては、信号処理を介して共振周波数及び保護帯域を制御することができる。さらに、フィルタは、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、又はノッチフィルタとして実現され得る。
【0055】
有利なことに、アイソレーション構造とともにフィルタは、送信信号経路と受信信号経路との間に十分なトータルアイソレーションを提供してカップリングを低減し、全二重アンテナシステムが全二重で動作することを可能とする。
【0056】
図1は、衛星通信システム100の概要及びアーキテクチャを示すブロック図を示している。図示されるように、衛星通信システム100は、衛星通信パネル112を用いてモジュール型ゲートウェイアンテナシステム115の衛星通信パネル116と通信する衛星110を含んでいる。モジュール型ゲートウェイアンテナシステム115は、インフラストラクチャ120と通信し、次にインターネット125と通信する。衛星110は、さらに衛星通信パネル114を用いてモジュール型衛星ユーザ端末アンテナシステム130の衛星通信パネル(UTP)132及びモジュール型衛星ユーザ端末アンテナシステム170のUTP172と通信する。様々な付加的な衛星通信機器が衛星110と通信するために含められ、図示されるように接続される。そのような付加的な機器は、UTM134、142、152、及び157、モジュール形無線アンテナシステム140、150及び160、及びユーザ機器135、145、155、165、及び175を含む。ユーザ機器145はUTE144を用いる。
【0057】
図2Aは、ある実施形態による、全二重通信を行うためのアンテナシステムを示している。図示されているように、UTP210は、Txパネル202とRxパネル204とを含んでおり、これらのパネルは、これらの間の距離によってのみ生じるトータルアイソレーションI
total209を有している。
【0058】
図2Bは、ある実施形態による、全二重通信において使用されるTx-Rxアンテナパネルを示している。図示されるように、UTP210は、Rxパネル204の上方に配置されるTxパネル202を含んでいる。また、TxパネルとRxパネルとの間のトータルアイソレーションI
total209が示されている。パネルが互いに非常に近いので、I
total209はこれらのパネルの間の距離によるものとはならない。
【0059】
図2Cは、ある実施形態による、全二重通信において使用されるTx-Rxアンテナシステムを示している。図示されるように、UTP210は、Rxパネル204の下方に配置されるTxパネル202を含んでいる。また、TxパネルとRxパネルとの間のトータルアイソレーションI
total209が示されている。パネルが互いに非常に近いので、I
total209はこれらのパネルの間の距離によるものとはならない。
【0060】
図3Aは、ある実施例による、ビーム走査型アンテナにおいて使用されるコントローラボードに接続されるモジュールボード上に実装されるアンテナボードの断面図を示している。図示されるように、モジュールアセンブリ300は、Rx層304の上にTx層302を含むアンテナPCB301を含んでいる。UTアンテナ構造は、Tx層302及びRx層304上にエッチングされる。
【0061】
また、モジュールアセンブリ300は、その上に能動回路要素が置かれるモジュールPCB306を含んでいる。また、リボンケーブルを用いてモジュールポートに接続しているコントローラPCB308が示されている。
【0062】
図3Bは、ある実施例による、ビーム走査型アンテナシステムにおいて使用されるモジュールボード上に実装される16個のアンテナボードの平面及び斜視図を示している。モジュールアセンブリ350は、複数のアンテナ素子352が見えている平面図と、アンテナPCB351及びモジュールPCB356の両方が見えている斜視図の両方において示されている。ある実施形態においては、ここに示されているように、アンテナPCB351は、多層ボードであり、
図3Aに関して示されているようにRxアンテナパッチの上にTxアンテナパッチを含んでいる。これらのパッチは、1以上の他の層によって分離されていてもよく、これらの間のトータルアイソレーションI
totalを増加させてもよい。ある実施形態においては、Txアンテナパッチ及びRxアンテナパッチは別個のPCBから構成されているが、他の実施形態においては、これらは同一のPCBの異なる層上にまとめて配置されている。
【0063】
図4Aは、ある実施形態による、全二重通信において用いられるアンテナ素子に繋がるTx信号チェーン及びRx信号チェーンを示すブロック図である。
【0064】
送信/受信信号経路:図示されるように、アンテナ素子ブロック
図400は、送信信号経路を含んでいる。この送信信号経路は、順番に接続される、(ユーザデバイスのモデムからアナログ入力を受信する)Txポートと、フィルタ1 404と、スプリッタ406(スプリッタは、本明細書ではTx分配ネットワークとも呼ばれる)と、パワー増幅器 408と、フィルタ2 410と、フィルタ3 412と、フィルタ4 416とを含み、送信ポート414を介して送信アンテナパッチ418に接続されている。また、受信信号経路も示されており、この受信信号経路は、順番に接続される、ポート422を介してフィルタ5 424に接続される受信アンテナパッチ420と、フィルタ5 424が駆動するフィルタ6 426と、フィルタ6 426が駆動するフィルタ7 428と、フィルタ7 428が駆動する低雑音増幅器430と、低雑音増幅器430が駆動するRFコンバイナ(コンバイナは、本明細書ではRx分配ネットワークとも呼ばれる)432と、RFコンバイナ432が駆動するフィルタ8 434と、フィルタ8 434が駆動するRxポート(ユーザデバイスのモデムにアナログ出力を供給する)とを含んでいる。また、PA408の出力でのP
outが436で、LNA430の入力でのP
inが438で示されている。
【0065】
ある実施形態においては、送信信号経路における1以上のRFスプリッタは、分配ネットワーク又は合体ネットワークとも呼ばれる。他の実施形態においては、受信信号経路における1以上のRFコンバイナは、分配ネットワーク又は合体ネットワークとも呼ばれる。
【0066】
カップリングチャネル
図4Aは、2つの回路位置の間の6個の異なるカップリングチャネルを示している。これらのカップリングチャネルでは、相当なカップリングが生じ得る。表2は、
図4Aに示される6個のルーティングチャネルを示しており、全二重動作中にカップリングを解決する又は最小限にするために本開示の実施形態により行われる方策を示している。
【表2】
【0067】
フィルタ配置:
図4Aは、Tx信号経路とRx信号経路との間の5個の異なるカップリング機会と、隣接するアンテナ素子のTx信号経路に対するカップリング機会とを示している。フィルタリング構造の種類とフィルタの位置を選択することは、全二重通信を実施することの一部である。フィルタが配置される場所がアイソレーションの有効性に影響を与え得るので、フィルタ位置が問題となることに留意すべきである。例えば、フィルタ2 410は、パワー増幅器408の後に置かれているので、I
coupled4、I
coupled5、及びI
coupled6を改善する。
【0068】
フィルタ設計:表3は、表1にも列挙された、
図4Aに示される8個のフィルタを列挙しており、それぞれのフィルタの種類、バンドパスフィルタ(BPF)又はノッチフィルタを記載している。また、表2は、I
totalに対するフィルタの寄与度を示している。
【0069】
フィルタ選択:
図4Aのフィルタのそれぞれは、境界が点線で示されており、これによりこれらが任意的なものであることを示している。あるアンテナ実施形態は8個すべてのフィルタを含んでいるが、他の実施形態は1個のフィルタしか含んでいない。
【表3】
【0070】
定義
本明細書で使用される場合には、本開示の実施形態を説明するためにいくつかの用語が使用され、これらの用語のうちいくつかは以下のように定義される。
【0071】
Poutは、システムから衛星に送信される(周波数fcriticalでの)パワーレベルである。
【0072】
Pinは、衛星から来る意図された受信信号のパワーレベルであり、ノイズフロアを上回ると仮定される。
【0073】
fcriticalは、そのバンド内でTxパワーが最も高いと考えられるRxバンドにおける最高周波数であり、上記臨界計算に反する可能性を生じるものである。
【0074】
Skirtは、Tx周波数帯でのPoutとfcriticalでのPoutとの間の相違(dB)である。Skirtは、Tx瞬間帯域幅、周波数分割多重スキーム及び変調スキームにより決定される。この分析においては、Skirtは、40dBの範囲内で一定の定数であると考えられる。
【0075】
Noise Floorは、低雑音増幅器のノイズフロアである。
【0076】
Itotalは、fcriticalにおけるシステム入力からシステム出力への合計実効アイソレーションである。
【0077】
この分析を通して、アイソレーションの値(Itotal、Ieffective2、及びIfiltered4のような用語を含む)は、正の数として記載されている。しかしながら、同じ値は、S11と反射減衰量との関係と同様に、スペクトル分析器又はネットワーク分析器上では負のSパラメータとして測定される。
【0078】
Itotalは、最も効率のよくないアイソレーションIeffectiveを有するカップリングチャネルにほぼ等しい。したがって、すべてのIeffective#sの値がItotalに対する目標値よりも高くなるまでIeffective#sを改善することが重要である。
【0079】
Ieffective1=Ifiltered1+Icoupled1
【0080】
Ieffective2=Ifiltered1+Icoupled2
【0081】
Ieffective3=Icoupled3(必要であれば、遮蔽によりこれを小さくすることができる)
【0082】
Ieffective4=Ifiltered2+Ifiltered3+Icoupled4
【0083】
Ieffective5=Ifiltered2+Ifiltered3+Ifiltered4+Icoupled5
【0084】
Ieffective6=Ifiltered2+Ifiltered3+Ifiltered4+Icoupled6
【0085】
本開示のフィルタの利点
表1及び表3に列挙されている8個のフィルタのうち1つ以上を用いて絶縁された、本開示の全二重アンテナシステムは、上述した別の下位アプローチに対していくつかの利点を有する。
【0086】
第一に、本開示の全二重アンテナシステムは、アンテナ表面積が限られた状態で高速データ速度を必要とする用途において有用であり得る。例えば、本開示の全二重アンテナシステムは、アンテナのサイズは限られているものの(例えば、インターネットのブラウジングやリアルタイムストリーミングのために)多くのデータトラフィックを必要とするハンドヘルドデバイスのような小さなデバイスにおいて使用され得る。単に半二重受信パッチアンテナと半二重送信パッチアンテナとの間の距離を大きくすることにより自己干渉を解決する別の下位解決策は、そのような小さな開口が必要とされる場合に機能しない。
【0087】
第二に、本開示の全二重アンテナシステムは、アンテナ素子の間のアイソレーションを改善するためにアンテナ素子の偏波を固定しなくてもよいという利点を有する。本開示の全二重アンテナシステムは、任意の偏波に対して動作可能であり、必要に応じて偏波を動的に調整することさえも可能である。
【0088】
図4Bは、ある実施形態による、全二重通信において用いられるアンテナ素子の断面図である。図示されるように、アンテナ素子であるUTE450は、Rxパッチ454の上方にRxパッチ454からわずかに離れて配置されるTxパッチ452を含んでいる。Rxアンテナ及びTxアンテナは、時として開口と呼ばれる。また、Tx給電路とRx給電路との間のカップリングI
coupled4及びTxパッチ452とRxパッチ454との間のカップリングI
coupled5が示されている。Txパッチ452はTxコネクタ456に接続されている。同様に、Rxパッチ454はRxコネクタ458に接続されている。また、PA408の出力でのP
outが436で、LNA430の入力でのP
inが438で示されている。
【0089】
図4Cは、ある実施形態による、全二重通信を行う複数のアンテナ素子を含むアンテナモジュールを示している。図示されているように、アンテナモジュール480(ユーザ端末モジュール、すなわちUTM)は、アンテナ素子470(UTE)の配列を含んでいる。ここで、アンテナ素子470(UTE)は、アンテナ素子であり、Rxアンテナ開口の上に位置するTxアンテナ開口を含んでいる。しかしながら、上から見ると、Txアンテナ開口だけが見えるようになっている。アンテナ素子のうちの1つ、UTE490は、隣接するUTEに対して強いカップリングを有し、より遠くのUTEに対して弱いカップリングを有するものとして示されている。
【0090】
他の実施形態(図示せず)においては、全二重アンテナシステムは、Txアンテナの上に位置するRxアンテナを含んでいる。
【0091】
図5Aは、ある実施形態による、周波数に対するTxパワーP
out504と低雑音増幅器パワー入力P
in502の理想的なスペクトル500を示すグラフである。図示されるように、グラフ500は、LNA438の入力(
図4A)でのRx信号のパワースペクトルを示している。グラフ500は、PA436の出力(
図4A)でのTx信号のパワースペクトルを示している。
【0092】
意図的に、P
inの最大レベル524は、LNA入力438(
図4A)でのP
inを示すRx帯域幅512にわたって生じるようになっている。P
outの最大レベル522は、PA436の出力(
図4A)でのP
outを示すTx帯域幅518にわたって生じるようになっている。Tx帯域幅518は、保護帯域516によってRx帯域幅512から離間されている。理解できるように、これは、f
critical514でTxパワーP
outがゼロであり、ゼロであるパワーがノイズフロア526よりも低い理想的な状態である。
【0093】
図5Bは、Tx信号パワーとRx信号パワーの実際のスペクトル530を示すグラフである。図示されるように、グラフ532は、LNA438の入力(
図4A)でのRx信号を示しており、グラフ534は、LNA438の出力(
図4A)でのTx信号を示している。意図的に、P
inの最大レベルは、Rx帯域幅542にわたって生じ、P
outの最大レベルは、Tx帯域幅548にわたって生じるようになっている。Tx帯域幅548は、保護帯域546によってRx帯域幅542から離間されている。f
critical544は、Tx信号経路からRx信号経路に対して悪影響があるリスクが最も高い周波数である。また、Tx周波数帯におけるP
outとf
criticalにおけるP
outとの差(dB)であるスカート538が示されている。スカートは、Tx瞬間帯域幅、周波数分割多重スキーム、変調スキーム、及び出力パワーによって決定される。この分析においては、スカートは、システムの制御外の定数であると考えられる。理解できるように、本開示の実施形態のフィルタ及びアイソレーション手法がない状態では、f
criticalでのP
out552は、f
criticalでのP
in554よりも高い。信頼性の高い全二重動作のためには、f
criticalでのLNA前のTx信号経路へのP
outのカップリングは、ノイズフロア556よりも低くなければならず、これは、本開示の実施形態のフィルタ及びアイソレーション手法により実現される。
【0094】
図5Cは、ある実施形態による、送信経路から受信信号経路への信号パワーのカップリングが示されている実際のスペクトル560を示すグラフである。この図においては、Tx信号スペクトル及びRx信号スペクトルが、
図4Aのブロック図における2つの場所で示されている。特に、グラフ564は、PA436の出力(
図4A)でのP
outスペクトルであり、グラフ574は、LNA438の入力(
図4A)で測定される、Rx信号経路に結合可能なP
outスペクトルである。さらに、グラフ562は、LNA438の入力(
図4A)でのP
inスペクトルである。P
outパワーは、主にTx帯域幅582に存在し、保護帯域580において有用な信号が位置しておらずフィルタ遷移が認められているため、この帯域の外側のパワーは、Tx信号に悪影響を与えることなく、Tx信号チェーン内でフィルタされ得ることに留意されたい。562は、アンテナにより受信されるRx信号のパワーであり、多くはRx帯域幅572に位置するパワーを有する。理解できるように、フィルタ576によるアイソレーションとカップリングチャネル566におけるアイソレーション構造によるアイソレーションとの合計により構成される、Tx信号経路とRx信号経路との間のトータルアイソレーション570は、臨界周波数f
critical578でのTxパワーP
outをノイズフロアのパワーレベルよりも低いパワーレベルに下げる。有利なことに、全二重通信中に、Tx信号経路からのカップリングによる影響を受けることなく、Rx信号経路を使用することができる。
【0095】
図6Aは、ある実施例による、複数のアンテナモジュール、UTM620により形成されるアンテナパネル600(又はユーザ端末パネル)のモジュール型アーキテクチャ例を示すブロック図である。本明細書で使用される場合には、アンテナパネル600は、時として衛星アンテナシステム又はUTP(ユーザ端末パネル)と呼ばれる。より具体的には、
図6Aの例は、複数のアンテナモジュール、UTM620により形成されるアンテナパネル600(又はユーザ端末パネル)を示している。アンテナパネル600(又はユーザ端末パネル)は、
図1を参照して図示され述べられたアンテナパネルのいずれか(例えば、衛星通信パネル112、114、又は116)であり得るが、別の構成も考えられる。さらに、UTM620は、八角形の形態ファクタを有するものとして主に示されているが、他の形態ファクタ、例えば三角形、正方形、矩形、円形なども、それらの組み合わせ及び変形も含めて考えられることは理解できよう。
【0096】
図6Bは、ある実施例による、全二重で衛星電波信号を送受信するシステム例(ビーム走査型アンテナ)を示すブロック図を示している。図示されているように、衛星アンテナシステム601は、電源605と複数のユーザ端末モジュールUTM606A、UTM606BからUTM606Nまで(Nは16に等しい)とを含む機械的シャーシ604を含んでいる。UTMのそれぞれは、16個のデイジーチェーン接続されたUTEを含んでいる。これらは、UTE144の例であり、それぞれ能動回路654とアンテナ開口652とを含んでいる(ある実施形態においては、UTEは、Rxアンテナ開口とTxアンテナ開口の両方を含んでいる)。他の実施形態においては、16個よりも多くのUTEがデイジーチェーン接続される。UTEの能動回路によりなされる処理は、UTコントロール608により制御される。
【0097】
図示されるように、それぞれのコンバイナは4個のUTMから信号を受信するので、16個のUTMは、16個のアナログ信号を分配ネットワーク610A、分配ネットワーク610Bから分配ネットワーク610Nまで(Nは4に等しい)として示されている第1レベルのRFコンバイナに供給する。第2組み合わせレベルのRFコンバイナ612は、第1レベルからの信号を結合する。他の実施形態においては、より多くのコンバイナ又はより少ないコンバイナが存在することは留意すべきである。また、コンバイナのレベル数は変化し得ることにも留意すべきである。換言すれば、
図6Bにおいては2つのレベルのコンバイナが示されているが、他の実施形態においては、より多くのレベル又はより少ないレベルが存在し得る。
【0098】
また、UTアンテナ616A、616Bから616Mまでが示されている。ここで、Mは256に等しく、Nは16に等しく、O及びUTMごとのUTEの数は16に等しい。
【0099】
動作中は、アンテナパネル600は、パーソナルコンピュータ用途のために衛星通信を提供する。その場合には、アンテナパネル600は、衛星通信パネル214を含むものとして示されている衛星110と通信する。
【0100】
ある実施形態においては、M個のUTEのM個のアンテナのそれぞれが、複数の異なる周波数域のうちの1つ以上に同調される。ある実施形態においては、UTモジュールのそれぞれのアンテナのそれぞれは同一である。図示されるように、それぞれのUTEのアンテナから受信された到来信号は、アナログ電圧であり、M個の能動回路のそれぞれは、アナログ電圧を有する出力信号を受信、処理、及び生成し、N個のUTMのそれぞれは、他のUTMからのアナログ信号と結合されるアナログ信号を生成する。受信された電波信号は、RFコンバイナ612からモデム(送受信器)614に伝送され、送受信器614は、これらの信号をTV又はインターネット受信器のようなデバイス618に供給する。
【0101】
図7は、ある実施形態による、アンテナシステムアレイを用いて全二重で衛星と通信する方法を示している。図示されるように、フロー700は702から開始する。動作704は、コントローラと、分配ネットワーク、パワー増幅器、1以上のフィルタ、及び送出信号を衛星に送信するために送信周波数帯で動作する送信パッチアンテナの1以上の送信ポートをそれぞれ含む1以上の要素を含む送信信号経路とを含む全二重アンテナシステムを用意することを要求する。1以上の要素は、それぞれ、さらに分配ネットワーク、衛星から到来信号を受信するために受信周波数帯で動作する受信パッチアンテナの受信ポートにより駆動される低雑音増幅器を含んでいる。受信周波数帯は、保護帯域により送信周波数帯から分離される。そして、動作706は、全二重モードでの動作を要求する。1以上のフィルタは、アイソレーション構造とともに送信信号経路と受信信号経路との間の実効アイソレーションを形成する。この実効アイソレーションは、送信信号経路と受信信号経路との間のカップリングを低減するための閾値量よりも大きく、アンテナシステムが全二重モードで動作することを可能にする。
【0102】
1.直交偏波Txビーム及びRxビームを維持する
本明細書で使用される場合には、能動回路は、時としてチップ、RFIC、ビーム形成器、及びビーム形成RFICとも呼ばれる。本開示のTxビーム形成RFICは、RF出力ピンにおいてパワー増幅器(PA)を有しており、Rxビーム形成RFICは、RF入力ピンにおいてLNAを有すると仮定される。
【0103】
図8Aは、ある実施形態による、全二重アンテナを示している。図示されるように、アンテナ800は、Tx水平フィード802、Rx水平フィード804、Tx垂直フィード806、Rx垂直フィード808、ビーム形成Tx RFIC810(高周波集積回路)、ビーム形成Rx RFIC812、Tx分配ネットワーク814、及びRx分配ネットワーク816を含んでいる。ここで、ビーム形成Tx RFIC810とビーム形成Rx RFIC812は、アンテナの4つのポートに接続されている。この例では、Txパッチ及びRxパッチは、同一のPCBの異なる層上にまとめて配置されており、単一の共有開口を実現している。
【0104】
アンテナ800は、2つのRFICに接続される4ポートアンテナである。ビーム形成Tx RFIC810は、単一の入力、RFパワースプリッタ、及び複数の出力を有し、それぞれの出力上で作用する位相制御PTx1及びPTx2と振幅制御ATx1及びATx2を有している。ビーム形成Rx RFIC812は、単一の入力、RFパワーコンバイナ、及び複数の入力を有し、それぞれの出力上で作用する位相制御PRx1及びPRx2と振幅制御ARx1及びARx2を有している。
【0105】
さらに、それぞれのアンテナは、Txビーム及びRxビームの水平偏波及び垂直偏波の独立制御を可能にする2つの直交するリニアポートを有している。特に、信号の位相(PTx1,PTx2,PRx1,PRx2)及び振幅(ATx1,ATx2,ARx1,ARx2)が4つのポートを通過して、任意の円形偏波及び任意の線形偏波ビームが考えられる完全な偏波アジリティを実現する。
【0106】
TxパッチとRxパッチとの間のカップリングを部分的に低減するために、換言すれば、I
coupled5を改善するために、Txビーム及びRxビームは直交偏波を有していなければならない。例えば、
図8Aにおいて、AT
x1、AR
x1をできるだけ高く設定し、振幅AT
x2、AR
x2をできるだけ低く設定することにより、ポート1のみを励起させると、Txビームは水平になり、Rxビームは垂直になる。
【0107】
図8Bは、この例で生成される電場を示している。
図8Bは、ある実施形態による、アンテナ素子の上面図を示している。図示されるように、アンテナ素子830は、2つの励起ポート834を有する4ポートアンテナ832を含んでいる。
図8Bは、ある実施形態による、全二重通信で使用される4ポートアンテナの他の例を示している。図示されるように、4ポートアンテナ832は、2つの励起ポート834を含んでいる。
【0108】
4ポートアンテナ832が図示されているが、RFICは図示されていない。2つのポート834が励起される際に、電場が広がり、カップリングを誘導する。これらのポートは、カップリングを避けるために図示されるように直交して駆動され得る。異なる偏波での直交性を維持するために、ビーム形成Tx RFIC810及びビーム形成Rx RFIC812の位相及び振幅制御を用いてTxビームとRxビームとの間の直交偏波を維持することができる。
【0109】
例えば、線形偏波を用いる実施形態は、以下の規則を用いる。
【0110】
PTx1=PTx2=PRx1=PRx2
【0111】
ATx1=ARx1
【0112】
ATx2=ARx2
【0113】
一方、円形偏波を用いる実施形態は、以下の規則を用いる。
【0114】
PTx1=PTx2±90度
【0115】
PRx1=PRx2±90度
【0116】
ATx1=ARx1=ATx2=ARx2
【0117】
図8Cは、ある実施形態による、Txパッチ及びRxパッチが2つの異なる相対位置にある2つのアンテナ素子の断面図を示している。図示されるように、アンテナ素子860は、Txパッチ862の上方かつグランド層866の上方に配置されるRxパッチ864を含んでいる。これに対して、アンテナ素子870は、Rxパッチ874の上方かつグランド層876の上方に配置されるTxパッチ872を含んでいる。
【0118】
動作においては、アンテナ素子860は、Tx放射がRxパッチ864を通過しなければならないため、Txパッチ862からRxパッチ864に対してより強いカップリング(例えばIcoupled5)を示すと予想される。一方、アンテナ素子870は、Tx放射がアンテナ874を通過する必要がないため、Txパッチ872からRxパッチ874に対して弱いカップリング(例えばIcoupled5)だけを示すと予想される。
【0119】
図8Aに示されるような4ポートアンテナを使用することには、従来の円形パッチアンテナに比べて、より広い帯域幅及びより簡単な設計をはじめとして多くの利点がある。
図8Aに示される4ポートアンテナを使用する利点の中では、2重リニアアンテナ及び少なくとも2つのポートを有するRFICを使用することにより位相及び振幅を制御し、最終的に偏波アジリティを制御することが可能になることである。そのような能力は、アンテナ内で90度の位相シフトをしようとするアンテナの円偏波(CP)フィーディングと比較すると特に有利である。
【0120】
2.I
coupled5
を改善するための寄生構造
図9Aは、ある実施形態による、アンテナ素子の断面図を示している。図示されるように、アンテナ900は、アンテナ素子870(
図8C)と同様に、Rxアンテナ層904の上方に配置され、グランド層906の上方に配置されたTxアンテナ層902を含んでいる。しかしながら、ここでは、アンテナ900は、Txアンテナ層902とRxアンテナ層904との間に配置された内部寄生構造層908をさらに含んでいる。ある実施形態においては、内部寄生構造層908は、TxアンテナとRxアンテナとの間に配置されており、その上に寄生構造をエッチングすることができる。有利なことに、内部寄生構造層908は、臨界周波数f
criticalにおいてI
coupled5(
図4Aに示されるようなTxアンテナからRxアンテナへのカップリング)を改善すると予想される。さらなる利点として、内部寄生構造層908は、アンテナパッチ又はRxアンテナパッチの性能に悪影響を与えないと予想される。
【0121】
ある実施形態においては、内部寄生構造層908は、標準的なPCB製造手法を用いてPCB(プリント回路基板)にxy平面に沿ってエッチングされ、Txアンテナ層902とRxアンテナ層904との間に置かれる。また、パッチを取り囲むように内部寄生構造層908を構成することもでき、必ずしもパッチの間に直接閉じ込めなくてもよい。
【0122】
他の実施形態においては、図示はしないが、等価RLC(抵抗、インダクタンス、キャパシタンス)共振値を実現し、有利にIcoupled5を改善するために、複数の内部寄生構造をそれぞれの上に積み上げることにより、より複雑な内部寄生構造を形成することができる。
【0123】
図9Bは、ある実施形態において使用されるような内部寄生構造層の並列等価回路を示している。図示されるように、アンテナ素子930は、Txパッチ932、Rxパッチ934、及びパッチ間に配置された内部寄生構造層(図示せず)の属性を表す等価回路938を含んでいる。等価回路938を用いて、Rxアンテナに直接行くのとは対照的に、内部寄生構造層を通じてf
criticalでカップリングされた信号をGNDに吸収可能な程度をモデル化するために並列RLC1回路を用い、したがってI
coupled5を改善することができる。RLC1等価回路は、等価回路を簡略化したものであり、付加的な抵抗損失及び放射損失のような他の等価回路は省略されていることに留意されたい。
【0124】
図9Cは、ある実施形態において使用されるような内部寄生構造層の直列等価回路を示している。図示されるように、アンテナ素子960は、Txパッチ962、Rxパッチ964、及びパッチ間に配置された内部寄生構造層(図示せず)の電子特性を表す等価回路968を含んでいる。ここで、等価回路968は、C、R、Lの直列接続を用いた内部寄生構造層の属性をモデル化している。等価回路938(
図9B)と同様の利点に対して等価回路968を用いることができる。
【0125】
図示されるように、等価回路938及び968は、Rxパッチに直接行くのとは対照的に、GNDに吸収されるべきfcritical近傍の好ましくない周波数に対する経路を提供し、したがってIcoupled5を改善するものである。
【0126】
3.I
coupled6
を改善するための寄生構造
図10Aは、ある実施形態による、2つのアンテナ素子の側面図を示している。図示されるように、アンテナパネル1000は、Txパッチ1012、Rxパッチ1014、及び内部寄生構造1018を含むアンテナ素子1010と、Txパッチ1022、Rxパッチ1024、及び内部寄生構造1028を含むTx-Rxアンテナ1020とを含んでいる。ここで、外部寄生構造1002、1004、及び1006は、Tx-Rxアンテナ1010と1020との間のこれらの周囲に配置されている。外部寄生構造1002、1004、及び1006のそれぞれは、1対のアンテナ素子の間のカップリングI
coupled6を低減する絶縁構造として作用する。ある実施例においては、隣接するアンテナ素子間にパターンがエッチングされ、これが臨界周波数f
criticalでのI
coupled6を改善するアイソレーション構造を形成する。
【0127】
図10Bは、ある実施形態による、内部寄生構造を有するアンテナ素子についての簡略化等価回路を示している。使用される周波数が何であってもそれぞれのRLCブロックを設計することができる。図示されるように、簡略化RLC等化回路は、Txパッチ1032、Rxパッチ1034、及びRLC
internal1038を含むTx-Rxアンテナ1030と、Txパッチ1042、Rxパッチ1044、及びRLC
internal1048を含むTx-Rxアンテナ1040とをモデル化したものである。また、外部寄生構造1050、1052、1054、1056、及び1058についての等価RLCモデルも含まれている。有利なことに、穿孔とエッチングの手法を組み合わせてPCB製造のパターニングを調整することにより、直列又は並列のいずれかで配置されたRLC回路をPCBに実現することができる。
【0128】
図10Cは、ある実施形態による、2つのアンテナ素子の上面図を示している。図示されるように、外部寄生構造1060は、アンテナ素子1070及び1080のそれぞれの周囲のビア1062のリングにより部分的に実現される。アンテナ素子1070及び1080は、それぞれ上層とGND底層との間で層上にエッチングされた外部寄生構造1064に接続される。ビア1066のような一部のビアは、上層(Txアンテナ層)からGNDまで延びている。ビア1062のリングは、金属ストリップ1068によりTxアンテナ層と同一層である上層で結合している。ビア間隔は、λ(ラムダ)がTx帯域における最高周波数であるF
TxMaxに対応する波長であるとして、λ/8未満である必要がある。これにより、配列中で隣接するアンテナ間のアイソレーション構造として作用する垂直ビア壁構造が形成され、アイソレーションI
coupled6が改善され、これによりI
effective6が改善される。
【0129】
4.I
coupled1
及びI
coupled2
を改善するための分配ネットワークアイソレーション
図11Aは、ある実施形態による、モジュール型PCB用の分配ネットワークの例を示している。図示されるように、Tx分配ネットワーク1102及びRx分配ネットワーク1104は、同一形状を有しているが、互いに90度回転し、異なる2つの層に配索されている。Tx分配ネットワーク1102がRx分配ネットワーク1104の上方に配置されている実施形態を表している上面
図1106も示されている。直交性及びグランド遮蔽は、I
coupled1及びI
coupled2を改善可能な有利なアイソレーションを提供する。
【0130】
説明を簡単にするために、Tx分配ネットワーク1102とRx分配ネットワーク1104とを別個に示すとともに、積み重ねたときの上面
図1106も示す。換言すれば、1106は、Tx RFICがRx RFICの上部に置かれたときに得られる上面図を示している。
【0131】
ある実施形態においては、埋め込まれたTx及びRxパワーデバイダがウィルキンソン設計を用いて実現される。ウィルキンソン設計は、信号を分割又は結合する標準的な3ポートRFデバイスである。このアンテナシステムについては、アンテナシステムの動作が、結合される2つの信号が全く同じ振幅及び位相を有することを保証することにより、反射が生じないので、PCBの外側層に終端抵抗は必要ない。これは、有利なことに、使用される周波数帯に対してシミュレーション可能な内部ストリップ線路パワーデバイダを実現し、アイソレーションIcoupled1を改善する。
【0132】
図11Bは、ある実施形態による、積層アンテナ素子1130の側面図を示している。図示されるように、Txトレース1132及びRxトレース1134とこれらの分配ネットワークが、明確に異なるPCB層上に置かれ、PCB層を分離する少なくとも1つのグランド層1136と、トレースに並んで延びるビアが存在し、ストリップ線路コプレーナ導波路を形成している。
【0133】
5.I
filtered4
を実現するための統合フィルタを有するアンテナ
図12Aは、ある実施形態による、アンテナにおいて使用されるフィルタ4を示している。1202で示されるように、フィルタ4 1204(
図4Aのフィルタ4 416の一例である)は、アンテナ1206と直列となっている。しかしながら、フィルタ4 1214を埋め込んだアンテナ1212も示されており、フィルタは、付加的な空間を占有しておらず、有利なことにアンテナ内に完全に埋め込むことができる。
【0134】
図12Bは、ある実施形態による、埋込フィルタ4の実施例を示している。1230で示されるように、Txアンテナにおけるパターンがエッチングされ、非放射形共振フィルタが生成される。図示されるように、Txアンテナ1232においては、U字状のパターン1234がエッチングされている。一方、Txアンテナ1242においては、行パターン1244がエッチングされており、フィルタ4として機能する。有利なことに、Txアンテナ1232又はTxアンテナ1242のいずれかに埋め込まれるようなフィルタ4は、Rxアンテナ、Rx素子、及びRx信号経路の近傍からある程度のTx信号のアイソレーションを提供すると予想される。
【0135】
図12Cは、フィルタ4を有するTxアンテナ(1266)とフィルタ4のないTxアンテナ(1264)の周波数応答(1260)を示している。縦軸は、反射減衰量の逆数と等価なS11測定値であり、その周波数でアンテナから放射されるエネルギー量を示しており、S11が低いほど放射されるパワーが高いことを意味している。
【0136】
図12Cにおいては、フィルタなしのTxアンテナ応答1264は、f
critical(1262)で反射減衰量-5dBを生じ、これは、この周波数で一部のパワーが放射されることを意味している。また、
図12Cは、フィルタを埋め込んだTxアンテナ応答もプロットしており、Rxアンテナ帯域幅から離れた帯域で鋭い応答1268が生じており、f
critical(1266)での反射減衰量はほぼ0dBであり、これは、f
criticalでTxアンテナによりほぼゼロのパワーが放射されていることを示している。これは、フィルタ4の存在がパワーの放射を避け、近くのRxアンテナへのカップリングを避けるのに役立つことを意味している。フィルタ4は、I
effective5及びI
effective6を改善することによりアイソレーションを改善する。他の実施形態においては、図示はしないが、エッチングのパターンは、Txアンテナ及びRxアンテナを小型化するために使用される。Txアンテナ及びRxアンテナにおけるパターンのエッチングにより、同一の設計周波数でより小さなアンテナを生成することができ、これにより、アレイにおけるアンテナの中でエネルギーのカップリングに対する物理的な面積が小さいので、I
effective5が改善される。
る。
【0137】
6.I
filtered2
及びI
filtered7
を実現するための高密度集積PCBノッチフィルタ
フィルタ2 410(
図4A)の一例であるフィルタ2を実施するためにノッチフィルタを使用することができる。ある実施形態においては、f
critical近傍の周波数をフィルタするために、スタブを用いることができる。フィルタ2は、PAの非線形的な性質によって(
図4Aのパワー増幅器 408のような)PAにより生成される周波数スカートをフィルタする限りにおいて、本開示の実施形態の利点を提供する。フィルタ2は、PAの後に位置しているため、カップリングチャネルI
coupled3、I
coupled4、I
coupled5、及びI
coupled6でのアイソレーションを改善することができる。本開示の実施形態の埋込構成の利点は、素子レベルでは使用に際して大きすぎ、非常に高価なものである既製のフィルタ3を設置する必要がなくなることである。加えて、コンポーネントフィルタよりもRFICの近くに統合フィルタを配置することができ、これにより、カップリングチャネルI
coupled3でのアイソレーションを改善することが予測される。
【0138】
ノッチフィルタ構成は、コンパクトで単純であるため、本開示の実施形態の利点を提供し得る。ある実施形態においては、これは、(
図5A~
図5CのRx帯域幅512、542、及び572のようなRx周波数帯全体をフィルタするための)バンドパスフィルタであるが、f
criticalに配置されるノッチフィルタは、f
critical近傍で十分なアイソレーションを提供することができ、Rx周波数帯内でのTx信号の降下周波数スカートは、ノイズフロアの下方まで下がるため、システムの性能が弱まらない。
【0139】
ある実施形態においては、フィルタ2は、PCBの1つの平面にのみ位置しており、したがって、PCBの外側層上で多くの空間を占める。PCBの外側層では、当該技術の要素空間条件のためにすでにRFIC用の空間が制限されている。このため、全二重アンテナシステムを構築することができない場合がある。
【0140】
図13は、ある実施形態による、フィルタ2の実施例を示している。フィルタ2の上面
図1330が示されており、これは、Txピン1332、RFIC1334、GNDピン1336、GNDビア1338、Tx出力1340、及びスタブ1342のビアを示している。また、フィルタ2の側面
図1360が示されており、これは、Txピン1362、RFIC1364、GNDビア1368、Tx出力1370、及びスタブ1372の全長を示している。図示されるように、フィルタ2 1330は、PCBの多くの層を使用する高密度集積PCBノッチフィルタである。
【0141】
フィルタ2 1360の一部の実施例は、いくつかの利点を提供する。第一に、例えば、フィルタ2 1360は、PCBの外側層上でほとんど空間を占有しないため、マルチ出力RFICのピンの非常に近い場所でフィルタリングをする必要がある用途に適合する。第二に、スタブが、スタブの全長を実現するために蛇行パターンでPCBの垂直方向に配索される。第三に、所望の性能を実現するために信号ビア及びトレースの長さ及び幅を調整することができる。第四に、この構造の周囲に置かれたGNDビアが、他のデリケートなトレースからのカップリングを防止する。
【0142】
7.I
coupled3
、I
coupled4
及びI
coupled5
を改善するためのアクティブキャンセレーション
図14Aは、ある実施形態による、Tx信号のアクティブキャンセレーションを用いるTx-Rxアンテナを示している。図示されるように、アンテナ素子1400は、順番に接続される、(ユーザデバイスのモデムからアナログ入力を受信するための)Txポート、フィルタ1 1404、スプリッタ1406、パワー増幅器1408、フィルタ2 1410、フィルタ3 1412、送信ポート1414を介して送信パッチアンテナ1418に接続されるフィルタ4 1416を含む送信信号経路を含んでいる。また、受信信号経路も示されており、この受信信号経路は、以下の順番で接続される以下の要素を含んでいる。受信パッチアンテナ1420はポート1422を介してフィルタ5 1424に接続されている。フィルタ5 1424はフィルタ6 1426を駆動し、フィルタ6 1426はフィルタ7 1428を駆動し、フィルタ7 1428は低雑音増幅器1430を駆動し、低雑音増幅器1430はRFコンバイナ1432を駆動し、RFコンバイナ1432はフィルタ8 1434を駆動し、フィルタ8 1434は(ユーザデバイスのモデムにアナログ出力を供給するための)Rxポートを駆動する。フィルタは、これらが任意的なものであることを強調するためにそれぞれ点線の境界線で示されており、それぞれは必要に応じて含められることに留意すべきである。
【0143】
また、PA1408の出力でのPoutの位置1436と、LNA1430の入力でのPinの位置1438とに印が付けられている。また、Tx信号経路の位置1436から信号を受信し、Rx信号経路の位置1438に矯正手段を提供するアクティブキャンセレーション1437も示されている。
【0144】
図14Bは、ある実施形態による、Tx信号のアクティブキャンセレーションを用いるアンテナ素子を示している。図示されるように、4ポートアンテナ1450は、垂直及び水平Tx及びRxポートを含んでおり、Tx分配ネットワークから受信した信号を処理するためのビーム形成Tx RFIC1452と、Rxパッチアンテナにより受信された信号を処理するためのRx RFIC1454とに接続されている。両方のRFICは、Tx RFIC1452からRx1454に水平矯正手段1456及び垂直矯正手段1458を接続するための2倍のポートを有している。有利なことに、本開示の実施形態は、
図14Bに示されるように、Tx信号(矯正信号)の逆コピーをRx信号チェーンに加えることにより、I
coupled5を介してRx信号経路に結合するTx信号を能動的にキャンセルすることができる。本開示のRx RFIC1454のアクティブキャンセレーション回路においては、矯正信号がRx信号経路に結合するTx信号と同じ振幅で反対の位相となるように調整される。
【0145】
アクティブキャンセレーションは、
図14Bに示されるような位相及び振幅処理チップのさらなるチャネルを用いることにより実現され得る。P
Tx1、P
Tx2はTx水平及び垂直偏波の位相であり、A
Tx1、A
Tx2は振幅である。これらの制御により、Txビームの偏波を直線偏波又は円形偏波に構成することができる。同様のことはP
Rx1、P
Rx2、A
Rx1、及びA
Rx2を変えることによりRx偏波に当てはまる。
【0146】
TxからRxに矯正信号を注入するためにそれぞれのRFIC上の他の2つの位相及び振幅チャネルが使用される。固定減衰器により適切な振幅が設定され、正確な振幅及び位相C1、C2、C3、及びC4は、特定のモジュールに対して要素ごとに較正されなければならない。Rx RFICの位相及び振幅の制御が必ずしも使用されなければならないことではない。
【0147】
較正後、このアクティブキャンセレーション方法を使用する実施形態においては、Rx RFICに入る信号がIcoupled5及びIcoupled6により誘導される信号の同一の振幅で反対の位相となるように、矯正信号の位相及び振幅の制御がTx信号の位相及び振幅の制御に関連付けられ、この結果、2つ信号が破壊的に干渉する。
【0148】
これは、受動的ではなく能動的であるので、他のアイソレーションメカニズムに比べて特有な方法によりItotalを改善する。
【0149】
8.単一パネル用のダイプレクサ
図15は、ある実施形態による、全二重通信において使用されるアンテナシステムを示すブロック図である。
図15は、1つだけのチャネルを要求するシステムに流れるRx/Tx結合信号を有利に生成する単一のダイプレクサ1536を含んでいる。ダイプレクサは、2つの信号チェーンを絶縁するRx BPF1538(バンドパスフィルタ)及びTx BPF1540を用いてTx及びRxを受信する。Rx BPF1538及びTx BPF1540は、Rx信号及びTx信号が望ましくない周波数成分を通過及び除去することを可能にするだけである。ダイプレクサがダイプレクサが接続されるアンテナシステム以上のアイソレーションを提供する場合には、全二重の性能が弱まらない。
【0150】
送信/受信信号経路:図示されるように、アンテナ素子1500は、順番に接続される、(ユーザデバイスのモデルからアナログ入力を受信するための)Txポート、フィルタ1 1504、スプリッタ1506、パワー増幅器1508、フィルタ2 1510、フィルタ3 1512、送信ポート1514を介して送信パッチアンテナ1518に接続されるフィルタ4 1516を含む送信信号経路を含んでいる。また、受信信号経路も示されており、この受信信号経路は、以下の順番で接続される以下の要素を含んでいる。受信パッチアンテナ1520は、ポート1522を介してフィルタ5 1524に接続されている。フィルタ5 1524はフィルタ6 1526を駆動し、フィルタ6 1526はフィルタ7 1528を駆動し、フィルタ7 1528は低雑音増幅器1530を駆動し、低雑音増幅器1530はRFコンバイナ1532を駆動し、RFコンバイナ1532はフィルタ8 1534を駆動し、フィルタ8 1534は(ユーザデバイスのモデムにアナログ出力を提供するための)Rxポートを駆動する。また、PA1508の出力でのPoutの位置1536と、LNA1530の入力でのPintの位置1538とに印が付けられている。
【0151】
さらなる実施例
以下の実施例は、上述したような本開示の発明の構成及び実施形態の様々な例について述べている。
【0152】
実施例1は、コントローラと、分配ネットワーク及びそれぞれパワー増幅器、1以上のフィルタリング構造、及び衛星に送出信号を送信するために送信周波数帯域幅で動作する送信パッチアンテナの送信ポートを含む1以上の要素を含む送信信号経路と、それぞれ受信パッチアンテナの受信ポートにより駆動される低雑音増幅器、1以上のフィルタリング構造、及び上記衛星から到来信号を受信するために受信周波数帯で動作する1以上のアイソレーション構造を含む1以上の要素に接続される他の分配ネットワークを含む受信信号経路とを含む例示的な全二重アンテナシステムを提供する。上記受信周波数帯は、保護帯域により上記送信周波数帯から分離され、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間のアイソレーション構造とともに上記1以上のフィルタは、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間のカップリング量を低減して上記全二重アンテナシステムが最大許容データ速度で全二重モードで動作するのを可能にするために十分なアイソレーションを提供する。
【0153】
実施例2は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信信号経路は、順番に接続される、第1のフィルタ、上記分配ネットワーク、上記パワー増幅器、及び上記送信パッチアンテナの上記送信ポートを含む。
【0154】
実施例3は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信信号経路は、順番に接続される、上記パワー増幅器、第2のフィルタ、及び上記送信パッチアンテナの上記送信ポートを含む。
【0155】
実施例4は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信信号経路は、順番に接続される、上記パワー増幅器、第2のフィルタ、及び上記送信パッチアンテナの上記送信ポートを含み、さらに、上記第2のフィルタと上記送信パッチアンテナの上記送信ポートとの間に第3のフィルタを含み、上記第3のフィルタは、上記第2のフィルタが上記送信信号経路と上記受信信号経路との間で十分なアイソレーションを提供しない場合のバックアップフィルタとして含められる。
【0156】
実施例5は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信信号経路は、順番に接続される、上記パワー増幅器、第4のフィルタ、及び上記送信パッチアンテナの上記送信ポートを含み、上記第4のフィルタは、上記送信ポートのできるだけ近くに配置される。
【0157】
実施例6は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信信号経路は、順番に接続される、上記受信パッチアンテナの上記受信ポート、第5のフィルタ、及び上記低雑音増幅器を含み、上記第5のフィルタは、上記受信ポートのできるだけ近くに配置される。
【0158】
実施例7は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信信号経路は、順番に接続される、上記受信パッチアンテナの上記受信ポート、第6のフィルタ、及び上記低雑音増幅器を含む。
【0159】
実施例8は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信信号経路は、順番に接続される、上記受信パッチアンテナの上記受信ポート、第6のフィルタ、及び上記低雑音増幅器を含み、さらに、上記第6のフィルタと上記低雑音増幅器との間に第7のフィルタを含み、上記第7のフィルタは、上記第6のフィルタが上記アンテナの上記受信ポートと上記低雑音増幅器との間で十分なアイソレーションを提供しない場合のバックアップフィルタとして含められる。
【0160】
実施例9は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信信号経路は、順番に接続される、上記受信パッチアンテナの上記受信ポート、上記低雑音増幅器、及び第8のフィルタを含む。
【0161】
実施例10は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記送信周波数帯は、少なくとも1Hzの保護帯域により上記受信周波数帯から分離される。
【0162】
実施例11は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信パッチアンテナは、上記要素の上記受信パッチアンテナの上方に配置される。
【0163】
実施例12は、実施例1の例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信パッチアンテナは、上記要素の上記送信パッチアンテナの上方に配置される。
【0164】
実施例13は、実施例1の例示的な全二重アンテナの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれは、さらに、上記コントローラにより制御される、到来信号及び送出信号を処理する能動回路を含む。
【0165】
実施例14は、実施例1の例示的な全二重アンテナの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれは、さらに、上記コントローラにより制御される、到来信号及び送出信号を処理する能動回路を含み、上記能動回路の要素は、コネクタの必要性をなくすようにモジュール型PCB上に実装される。
【0166】
実施例15は、実施例1の例示的な全二重アンテナの内容を含み、上記送信信号経路の上記1以上の要素のそれぞれは、上記受信信号経路から3ミリメートル以下に配置される。
【0167】
実施例16は、実施例1の例示的な全二重アンテナの内容を含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記送信信号経路は、順番に接続される、第1のフィルタ、上記分配ネットワーク、上記パワー増幅器、及び上記送信パッチアンテナの上記送信ポートを含み、上記1以上の要素のそれぞれの上記受信信号経路は、順番に接続される、上記受信パッチアンテナの上記受信ポート、上記低雑音増幅器、及び第8のフィルタを含み、
【0168】
さらに、単一のTx-Rx信号を用いてホストデバイスと通信するために上記第8のフィルタから受信したRx信号と上記第1のフィルタに入力されるTx信号とを結合するダイプレクサを含む。
【0169】
実施例17は、コントローラと、それぞれパワー増幅器、1以上のフィルタ、及び衛星に送出信号を送信するために送信周波数帯で動作する送信パッチアンテナの送信ポートを含む1以上の要素を含む送信信号経路とを含む全二重アンテナを用意し、上記例示的な1以上の要素の内容を含み、それぞれさらに、上記衛星から到来信号を受信するために受信周波数帯で動作する受信パッチアンテナの受信ポートによって駆動される低雑音増幅器を含む受信信号経路を含み、上記受信周波数帯は、保護帯域により上記送信周波数帯から分離され、全二重モードで動作し、上記1以上のフィルタは、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間の物理的分離とともに、上記送信信号経路と上記受信信号経路との間のカップリング量を低減して上記全二重アンテナが全二重モードで動作することを可能にするために十分なアイソレーションを提供する、例示的な方法を提供する。
【0170】
実施例18は、第1及び第2のTxポート、第1及び第2のRxポート、衛星に送出信号を送信するためにTx帯域幅で動作するTxパッチを含む基板、及び上記衛星から到来信号を受信するためにRx帯域幅で同時に動作するRxパッチを含む4ポート(送信-受信)アンテナ素子であって、保護帯域により上記Rx帯域幅から分離される上記例示的なTx帯域幅の内容を含むアンテナ素子と、上記第1及び第2のTxポートへの第1及び第2の供給信号の位相及び振幅を制御するためのビーム形成Tx RFIC(高周波集積回路)と、上記第1及び第2のRxポートへの第1及び第2の供給信号の位相及び振幅を制御するためのビーム形成Rx RFICとを含み、上記第1のTx RFICに供給された第1のビームは、上記Rx RFICポートに供給される第2のビームに直交する偏波を有し、上記直交偏波は、上記Txポートから上記Rxポートへのカップリング量を低減する、例示的な全二重アンテナシステムを提供する。
【0171】
実施例19は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記ビーム形成Tx RFICは、上記第1及び第2の供給信号に対して偏波アジリティを提供し、上記アンテナが90度位相シフトを内部的に生じさせようとする必要性をなくす。
【0172】
実施例20は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記ビーム形成Tx RFICは、Tx分配ネットワークから信号を受信し、複数の対応する出力を上記4ポートアンテナ素子に供給するように構成される。
【0173】
実施例21は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、受信した信号の位相及び振幅を処理するためのビーム形成Rx RFICをさらに含む。
【0174】
実施例22は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Txパッチは、上記基板内で上記Rxパッチの上方に配置される。
【0175】
実施例23は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記基板内で上記Txパッチ及び上記Rxパッチの下方に配置されるグランド層をさらに含む。
【0176】
実施例24は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Txパッチは、上記Rxパッチの上方に配置され、上記衛星に送信される上記送出信号は、上記Rxパッチを通過せずに、上記Rxパッチへの上記Txパッチのカップリングを低減する。
【0177】
実施例25は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Rxパッチと上記Txパッチとの間のプリント回路基板(PCB)内に内部寄生構造層をさらに含む。
【0178】
実施例26は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記4ポートTx-Rxアンテナと1以上の隣接するアンテナとの間に配置される1以上の外部寄生構造をさらに含む。
【0179】
実施例27は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記ビーム形成Tx RFICは、Tx分配ネットワークから受信した信号を用いて上記第1及び第2のTxポートへの上記供給信号を生成し、上記システムは、上記4ポートアンテナの第1及び第2のRxポートから受信した信号を処理し、Rx分配ネットワークに供給する信号を生成するように構成されるビーム形成Rx RFICをさらに備える。
【0180】
実施例28は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記4ポートアンテナ素子は、周縁にビア壁構造をさらに含み、上記ビア壁構造は、上記Txパッチから1以上の隣接するアンテナへのカップリングを低減する外部寄生構造を実現する。
【0181】
実施例29は、実施例18の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記ビーム形成Tx RFICは、Tx分配ネットワークから受信した信号を用いて上記第1及び第2のTxポートへの上記供給信号を生成し、上記システムは、上記4ポートアンテナの第1及び第2のRxポートから受信した信号を処理し、Rx分配ネットワークに供給する信号を生成するように構成されるビーム形成Rx RFICをさらに含み、上記ビーム形成Tx RFICは、さらに、上記第1及び第2のTx供給信号の減衰版を含む水平矯正手段及び垂直矯正手段を生成し、上記垂直及び水平矯正手段をそれぞれ垂直及び水平Rx信号から減じられるように上記ビーム形成Rx RFICに供給する。
【0182】
実施例30は、順番に接続された、Tx分配ネットワーク、Tx RFIC(高周波集積回路)、第1のフィルタ、パワー増幅器、第2のフィルタ、第3のフィルタ、第4のフィルタを含む送信(Tx)信号経路と、衛星に送出信号を送信するように構成されたTxアンテナのTxポートと、上記衛星から到来信号を受信するRxアンテナ、上記RxアンテナのRxポート、第5のフィルタ、第6のフィルタ、第7のフィルタ、低雑音増幅器、第8のフィルタ、及びRx RFICを含む受信(Rx)信号経路とを含み、上記Txアンテナ及び上記Rxアンテナは、保護帯域により分離された異なる周波数帯域幅で同時に動作し、6個のカップリングチャネルは、Rxトレースと分配ネットワークトレースとの間のIcoupled1、Tx信号経路トレースとRx信号経路構成要素との間のIcoupled2、Tx信号経路構成要素とRx信号経路要素との間のIcoupled3、TxアンテナフィードとRxアンテナフィードとの間のIcoupled4、上記Rxアンテナと上記Txアンテナとの間のIcoupled5、及び隣接するアンテナ間のIcoupled6を含む、例示的な全二重アンテナシステムを提供する。
【0183】
実施例31は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Tx RFIC及びRx RFICは、直交偏波を有するTxビーム及びRxビームを確保するように構成される。
【0184】
実施例32は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記衛星に送信される送出信号が上記Rxアンテナを通過せずに、これによりIcoupled5.を改善するように、上記Txアンテナは上記Rxアンテナの上方に配置される。
【0185】
実施例33は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Tx信号経路と上記Rx信号経路との間に配置される内部寄生構造をさらに含み、上記内部寄生構造はIcoupled5の改善をもたらす。
【0186】
実施例34は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Tx分配ネットワークは、上記Rx分配ネットワークから分離され、これによりIcoupled1及びIcoupled2が改善される。
【0187】
実施例35は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記Tx信号経路及び上記Rx信号経路の信号トレースは、Icoupled1を改善するためにグランド層により分離される。
【0188】
実施例36は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタは、上記パワー増幅器の後であって上記Txポートの前に配置され、Icoupled3を改善する。
【0189】
実施例37は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタは、上記パワー増幅器の後であって上記Txポートの前に配置され、Icoupled4を改善する。
【0190】
実施例38は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタは、上記パワー増幅器の後であって上記Txポートの前に配置され、Icoupled4を改善する。
【0191】
実施例39は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタは、上記パワー増幅器の後であって上記Txポートの前に配置され、Icoupled4を改善する。
【0192】
実施例40は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタの直前で上記Tx信号経路から信号を受信し、上記信号を処理し、上記低雑音増幅器の直前で上記Rx信号経路に矯正手段を提供するように構成されるアクティブキャンセレーション回路をさらに含み、アクティブキャンセレーション回路はIcoupled4を改善する。
【0193】
実施例41は、実施例30の上記例示的な全二重アンテナシステムの内容を含み、上記第2のフィルタの直前で上記Tx信号経路から信号を受信し、上記信号を処理し、上記低雑音増幅器の直前で上記Rx信号経路に矯正手段を提供するように構成されるアクティブキャンセレーション回路をさらに含み、アクティブキャンセレーション回路はIcoupled5を改善する。
【0194】
当該技術分野における当業者により理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具体化され得る。したがって、本発明の態様は、全体としてハードウェアの実施形態、全体としてソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形を取り得る。本明細書では、これらすべてを包括的に「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼ぶことがある。さらに、本発明の態様は、コンピュータ読取可能プログラムコードが具体化された1以上のコンピュータ読取可能媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形を取り得る。
【0195】
本明細書に含められている説明及び図は、当業者に最良の形態の製造及び使用する方法を教示するための特定の実施形態を示している。本発明の原理を教示するために、一部の従来の態様は簡略され又は省略されている。当業者であれば、これらの実施形態から本開示の範囲に属する変形例を理解するであろう。また、当業者であれば、上記で述べた特徴を様々な方法で組み合わせて複数の実施形態を形成し得ることを理解するであろう。この結果、本発明は、上記で述べた特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定されるものである。
【国際調査報告】