IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ステッドラー マルス ゲーエムーベーハー ウント コー カーゲーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】成形用コンパウンドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/18 20060101AFI20230601BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20230601BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20230601BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20230601BHJP
   C08J 3/21 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
C08J3/18 CEV
C08L27/06
C08K5/12
C08K5/11
C08J3/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567438
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2021025151
(87)【国際公開番号】W WO2021223907
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】102020002693.1
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314006226
【氏名又は名称】ステッドラー マルス ゲーエムーベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】STAEDTLER Mars GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Moosaeckerstrasse 3, D-90427 Nuernberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルツナー
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA22
4F070AC43
4F070AE02
4F070AE03
4F070EA01
4F070FA05
4F070FB08
4F070FB09
4J002BD031
4J002EG076
4J002EH096
4J002EH126
4J002EH146
4J002FD010
4J002FD026
4J002GB01
4J002GC00
4J002GN00
(57)【要約】
少なくともバインダーと可塑剤とからなる成形用コンパウンドの製造方法であって、バインダーおよび可塑剤は、プラスチゾルとして形成されており、プラスチゾルは、実質的にPVCと可塑剤とから構成されている方法において、製造方法を、第1のステップで、PVC粉末と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに混合工程に供し、混合工程を約55~70℃の混合温度で行うというステップで行うことを特徴とする、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバインダーと可塑剤とからなる成形用コンパウンドの製造方法であって、前記バインダーおよび前記可塑剤は、プラスチゾルとして形成されており、前記プラスチゾルは、実質的にPVCと可塑剤とから構成されている方法であって、前記製造方法を、
PVC粉末と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに混合工程に供し、前記混合工程を55~70℃の混合温度で行う
ことにより行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記可塑剤の含有量が、32~60重量%、好ましくは35~55重量%、特に好ましくは38~53重量%であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記可塑剤が、フタレート不含および/またはフタレート含有可塑剤として形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記フタレート不含の可塑剤が、クエン酸をベースとして、アジピン酸をベースとしておよび/または安息香酸エステルをベースとして構成されていることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
好ましく使用される前記フタレート不含の可塑剤が、クエン酸アセチルトリブチル、アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、モノグリセリドの酢酸エステル、安息香酸塩、または前記物質の少なくとも2つの混合物であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記成形用コンパウンドが、少なくとも
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
から構成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用コンパウンドの製造方法に関する。
【0002】
物品を造形するための可塑性の成形用コンパウンドおよびその製造方法は、原理的には知られている。ここで、物品の造形は、手作業で、または工業的利用では機械により行うことができる。
【0003】
成形用コンパウンドとは、いわゆるクレイ、あるいはポリマー含有コンパウンドの場合にはいわゆるポリマークレイとも理解される。このような成形用コンパウンドは、今日の日常生活において非常に幅広い用途で用いられている。
【0004】
例えば、先行技術から、造形用コンパウンドの形態の成形用コンパウンドが挙げられる。例えば独国特許発明第2515757号明細書から、可塑性であり、手で変形させることができ、かつ加熱により硬化させることができるコンパウンドが知られている。このようなコンパウンドは実質的に、ポリ塩化ビニル(PVC)と、充填剤と、フタレート含有可塑剤とからなる。
【0005】
さらに、独国特許出願公開第102005059143号明細書から、フタレート含有可塑剤を使用していない造形用コンパウンドが知られている。
【0006】
選択された先行技術によるこのようなコンパウンドの欠点は、このようなコンパウンドにはエージングに対する耐久性がなく、また例えば造形用コンパウンドのブロックが、包装未開封の場合であっても長期保存時に硬度の増加を示すことである。それにより、使用者が造形用コンパウンドを混練することが困難となる。この問題は、まだエージングの理想的な事例である。なぜならば、長期保存により、手で混練することができなくなり、造形ブロック、さらには成形用コンパウンド全般が使用できなくなることさえあるためである。これは、コンパウンド中の可塑剤が室温ですでに相互作用を示すことに起因し得る。これは、未硬化状態のPVC含有造形用コンパウンドのエージングプロセスと称される。前述の先行技術による造形用コンパウンドの場合、粉末状の原料が20~30℃の温度で可塑剤と混合される。この場合、25~30重量%の可塑剤吸収量が達成される。時間の経過とともに、例えば長期保存時に個々のPVCアグロメレートが崩壊するとPVC粒子の表面積が増加するため、これによりまた可塑剤が必要となる。初めにPVC粒子間の間隙に蓄積されていた可塑剤は、造形用コンパウンドのソフトな混練/練り込み挙動に大きく関与するが、こうした可塑剤は、この場合もはや存在しない。その代わり、可塑剤は、崩壊したアグロメレートの新たに生成された表面に蓄積される。その結果、この現象により、未硬化の造形用コンパウンドの硬度が時間の経過とともに増加する。
【0007】
したがって本発明の課題は、冒頭で挙げられた欠点を有しない成形用コンパウンドの製造方法を創作するとともに、特に未硬化状態のPVC含有成形用コンパウンドの保存時のエージングプロセスを最小限に抑え、ひいてはより高い保存安定性を保証することであり、これは、特別な消費者利益を表す。
【0008】
この課題は、請求項1に包含される特徴によって解決される。本発明による方法の有利な実施形態および発展形態は、他の請求項に包含される。
【0009】
驚くべきことに、本発明による成形用コンパウンドの製造方法を用いて、バインダー(PVC粉末)と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに混合工程に供し、この混合工程を、55~70℃、好ましくは58~65℃の混合温度で行うことによってこの課題を解決できることが判明した。
【0010】
本発明による方法における成形用コンパウンドは、成分として
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤、および
0~20重量% 他の添加物
を含む。
【0011】
本方法における成形用コンパウンドの好ましい一実施形態は、
40~68重量% バインダー
35~55重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤、および
0~20重量% 他の添加物
を含む。
【0012】
成形用コンパウンドの特に好ましい一実施形態は、
45~63重量% バインダー
38~52重量% 可塑剤
0~17重量% 充填剤
0~15重量% 他の添加物
を含む。
【0013】
驚くべきことに、より多くの量の可塑剤を成形用コンパウンドのPVC系に添加/導入することで、コンパウンドの硬度の経時的な増加が抑えられ、ひいては保存安定性が大幅に向上することが判明した。
【0014】
さらに驚くべきことに、PVC粉末に添加される可塑剤の量が多いほど、硬化プロセス後に得られるコンパウンドの柔軟性が高くなることが判明した。この可塑剤の含有量が多いと、硬化コンパウンドの柔軟性が著しく向上する。
【0015】
また驚くべきことに、本発明による方法によって、硬化プロセス後に、より高い透明性も達成できることが判明した。
【0016】
本発明による方法によって製造される成形用コンパウンドは、バインダーからなり、バインダーは、プラスチゾルとして存在し、プラスチゾルは実質的に、PVCと、可塑剤と、任意に他の添加物質および/または添加剤とから構成される。成形用コンパウンドは、他の添加物質および/または添加剤として、例えば少なくとも1つの充填剤を含むことができる。混合物中の可塑剤の含有量が、可塑剤が一方ではPVC粒子の表面に蓄積され、他方では固体粒子間の間隙に蓄積されて「混練可能な抵抗」が形成されるように調整されると、本発明による成形用コンパウンドが生じる。可塑剤の含有量が少なすぎる場合、すなわち、可塑剤が固体粒子の表面にのみ蓄積されており、追加で間隙には存在していない場合には、成形用コンパウンドが手で加工されるか機械で加工されるかにかかわらず、コンパウンドが硬すぎるか、あるいは非常に成形しにくいものとなる。一方で、固体粒子の表面も固体粒子間の間隙も完全に可塑剤で覆われているか、あるいはさらには可塑剤の過飽和状態である場合には、得られる成形用コンパウンドの流動性が高すぎるため、もはや制御下に成形することができなくなる。
【0017】
本方法の本発明による原理を例示するため、造形用コンパウンドに言及する先行技術と比較して本発明を明確に説明すべく、造形用コンパウンドを用いて説明した。
【0018】
成形/造形された物品および物体を永続的に固体である状態に移行させるには、熱を供給することが必要である。これは、例えば造形用コンパウンドの場合にはいわゆるオーブン硬化と呼ばれるものである。ここで硬化工程を担うのが可塑剤あるいは可塑剤分であり、これはPVCとの相互作用によりコンパウンドを硬化させる。
【0019】
しかし、可塑剤は、室温保存ですでにPVC粒子またはPVC固体粒子に対してある程度の親和性を示し、一部がアグロメレートからなるPVC粒子を崩壊させ、その結果、新たな表面/表面領域を生成することが判明している。間隙に蓄積されていた可塑剤は、この新たに生成された表面を通って、この新たに生成された表面に移行する。その結果、間隙に液状の可塑剤成分がなく成形性が低下するため、成形用コンパウンドの硬度が増加する。
【0020】
特別な利点は、本発明による方法により、より高温で、より多量の可塑剤を用いて混合することにより、アグロメレートの崩壊(=エージングプロセス)を製造プロセスに前倒しできることである。これにより、結果的に、例えば「製造プロセス時のエージングプロセス」の開始後にさらに可塑剤を狙いどおりに添加することによって、未硬化コンパウンドの保存安定性あるいは経時的な硬度増加が改善される。さらなる利点として、成形用コンパウンド中の可塑剤の割合/含有量の増加によって、硬化プロセス時に系内でゲル化する能力が向上し、ひいては硬化後により大きな弾性が生じることが判明した。驚くべきことに、より高い温度とそれに伴う可塑剤含有量で混合し、充填剤および/または添加剤の使用を低減することによって、オーブン硬化後の透明性を著しく高めることができることが判明した。
【0021】
使用されるバインダーは、実質的にPVCとして存在しており、このバインダーと、添加された可塑剤とが、プラスチゾルを形成する。ここで、PVCは、特に乳化剤含有または乳化剤不含の乳化PVC、懸濁PVCおよびマイクロビーズ懸濁PVC、または個々のPVCタイプの混合物として存在することができる。
【0022】
可塑剤としては、フタレート不含および/またはフタレート含有可塑剤を使用することができる。可塑剤の全含有量は、32~60重量%、好ましい一実施形態では35~55重量%、特に好ましい一実施形態では38~53重量%である。
【0023】
フタレート不含の可塑剤は、クエン酸をベースとして、アジピン酸をベースとしておよび/または安息香酸エステルをベースとして構成されている。フタレート不含の可塑剤は、例えば、クエン酸アセチルトリブチル、アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、モノグリセリドの酢酸エステル、安息香酸塩、または前記物質の少なくとも2つの混合物である。可塑剤は、さらに安息香酸塩または安息香酸エステルの群に属することができる。例として、2,2,4-トリエチル-1,3-ペンタンジイルジベンゾエートおよびその誘導体、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノベンゾエートおよび/またはプロピレングリコールジベンゾエートが挙げられる。前述のすべての可塑剤の任意の混合物が可能である。
【0024】
フタレート含有可塑剤としては、例示的に、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレートおよびジブチルフタレートが挙げられる。フタレート含有可塑剤の任意の混合物が可能である。また、フタレート不含の可塑剤とフタレート含有可塑剤とからなる可塑剤混合物を使用することも可能である。
【0025】
本発明による方法の好ましい一実施形態は、フタレート含有可塑剤を含まない成形用コンパウンドの製造である。
【0026】
安定剤は、PVCの安定性を向上させ、すなわち、特に塩化水素の脱離を防ぐ。この目的で、特に金属カルシウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウムの無機塩および有機塩、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸スズおよび/または金属塩の混合物が使用される。
【0027】
充填剤としては、粒子径が250μm未満、好ましくは100μm未満である無機および有機充填剤、例えば、カオリン、チョーク、シリカ、タルク、水酸化アルミニウムおよび/または粉末クレイが実質的に使用される。さらなる充填剤として、金属光輝材、光輝性粉末および光輝性フレークまたは前記物質の混合物が存在してもよく、これにより、例えば特別な光学効果が達成される。充填剤として、いわゆる軽量充填剤を使用してもよく、また言及した他の充填剤をブレンドしてもよい。軽量充填剤の例は、例えば3M社またはLehmann & Voss社製の中空球体、特に中空微小ガラス球である。軽量充填剤の含有量に応じて、所望の密度を設定することができ、これは有利には0.3~1.1g/mlの範囲である。また、市販の軽量充填剤のサイズも自由に選択でき、そのサイズは、好ましくは10~400μmの範囲である。さらに、ポリマー系充填剤を使用することも可能である。この群の例として、PAMA、PMMAおよび/またはポリエチレンが挙げられる。
【0028】
着色剤として、顔料が、純粋な形態で、粉末顔料として、好ましくはアゾ不含着色顔料、エフェクト顔料および/またはアゾ不含被覆染料として存在することができる。多数の可能な着色顔料の選択肢として、ピグメントイエロー14(C.I.21095)、ピグメントレッド254(C.I.56110)、ピグメントオレンジ34(C.I.21110)、ピグメントレッド122(C.I.73915)、ピグメントグリーン7(C.I.74260)、ピグメントホワイト6(C.I.77891)、ピグメントブラック7(C.I.77266)、ピグメントレッド101(C.I.77491)、ピグメントバイオレット23(C.I.51319)、ピグメントブルー29(C.I.77007)、ピグメントイエロー185(C.I.56290)、ピグメントイエロー1(C.I.11680)、ピグメントレッド48:2(C.I.15865:2)、ピグメントレッド53:1(C.I.15585:1)、ピグメントオレンジ34(C.I.21115)、ピグメントイエロー83(C.I.21108)およびピグメントブルー15(C.I.74160)が挙げられる。これらの着色剤の添加により、成形用コンパウンドに鮮やかな外観が付与される。さらなる着色剤として、真珠光沢顔料、マイカ・鉄金属光沢顔料、ポリエステル光輝性顔料および発光顔料が提示される。
【0029】
ここで、様々に着色された成形用コンパウンドを、さらに任意に互いにブレンド、混合または混練して、マーブリング効果を得ることもできることが判明している。
【0030】
以下、本発明を、構成例およびいくつかの配合例を用いて成形用コンパウンドについてより詳細に説明する。
【0031】
成形用コンパウンドの構成例1
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
【0032】
構成例2 好ましい組成
40~68重量% バインダー
35~55重量% 可塑剤
0~20重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
【0033】
構成例3 特に好ましい組成
45~63重量% バインダー
38~53重量% 可塑剤
0~17重量% 充填剤
0~15重量% 他の添加物
【0034】
安定剤、補助安定剤、着色剤および/または充填剤は、必要に応じて使用可能な他の添加物質の例である。
【0035】
配合例1 黄色の成形用コンパウンド
51重量% E-PVCおよびS-PVC
42重量% ATBCをベースとする可塑剤
6重量% 安定剤
0.5重量% 充填剤
0.5重量% ピグメントイエロー83
【0036】
配合例 2 硬化後に透明である成形用コンパウンド
48重量% E-PVCおよびS-PVC
52重量% ATBCをベースとする可塑剤
【0037】
先行技術 独国特許出願公開第102005059143号明細書に記載の比較配合
59重量% PVC
24重量% クエン酸をベースとする可塑剤
1重量% 安定剤
7重量% 補助安定剤
4重量% 充填剤
1重量% ピグメントレッド254
【0038】
好ましく使用されるフタレート不含の可塑剤は、クエン酸および/またはアジピン酸をベースとして構成されている。
【0039】
コンパウンドの所望のコンシステンシーは、バインダー含有量および/または可塑剤含有量を変えることによって容易に調整することができる。
【0040】
本発明を、以下の表を用いて造形用コンパウンドについてより詳細に説明する。
【0041】
【表1】
【0042】
先行技術と比較して、オーブンでまだ硬化させていない本願明細書に記載のコンパウンドは、40℃で経時保存(30日または90日)した場合、表1に示すように硬度の増加が著しく少ないことが判明した。
【0043】
【表2】
【0044】
これらの高い破断強度は、「テクスチャアナライザー」を用いて求め、確認することができた。長さ10cm、直径1cmの丸棒破断片を試験体として製造する。
【0045】
本発明により製造された成形用コンパウンドは、自動車製造、家庭用品、医療機器、玩具および食品工業において使用され、また前述の用途の付属物にも使用される。
【0046】
本発明により製造された成形用コンパウンドを用いて形成された物品および物体は、成形後に熱の作用により硬化される。
【0047】
少なくともバインダーと可塑剤とからなる成形用コンパウンドの製造方法であって、バインダーおよび可塑剤は、プラスチゾルとして形成されており、プラスチゾルは、実質的にPVCと可塑剤とから構成されている方法は、PVC粉末と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに混合工程に供し、混合工程を55~70℃の混合温度で行うことにより行われる。
【国際調査報告】