(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(54)【発明の名称】少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/103 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A61B3/103
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022578751
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021067113
(87)【国際公開番号】W WO2021259982
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507062222
【氏名又は名称】カール ツァイス ヴィジョン インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100229264
【氏名又は名称】清水 正一
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ サチコフ
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート ヴァール
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA06
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA15
4C316AB09
4C316AB16
4C316FA04
4C316FB21
4C316FY04
4C316FY05
4C316FY07
(57)【要約】
本発明は、ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)及び方法(210)に関し、装置(110)は、少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、少なくとも1つの光波面から決定される、波面検出ユニット(128)と、複数の回折次数(168)が波面検出ユニット(128)上で及びユーザの少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビーム(118)における複数の回折次数(168)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子とを含む。本装置(110)及び方法(210)は、特に、ユーザの少なくとも一方の眼(112)の2つの経線における異なる偏心度に関する眼球収差の自動測定を用いることにより、1回のみの評価で眼球焦点ずれマップ(220)をリアルタイムで生成することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)であって、
少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記波面検出ユニット(128)
を含み、
複数の回折次数(168)が前記波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(168)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子
により特徴付けられる、装置(110)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回折素子は、
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を前記2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、前記少なくとも1つの単一の回折素子、
少なくとも2つの個別の回折素子であって、各個別の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記少なくとも2つの経線は、互いに対して直交して配置される、前記少なくとも2つの個別の回折素子、又は
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(168)が前記2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、前記少なくとも1つの単一の回折素子
の少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回折素子は、光学格子(132)、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の装置(110)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学格子(132)は、透過型光学格子(134)又は反射型光学格子(136)の少なくとも一方から選択される、請求項3に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)
の少なくとも一方を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記ビームスプリッタ(122)は、
前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で、又は
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に近接して
配置され、
前記装置(110)は、前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定された更なる光学リレー系(164)を更に含む、
請求項6に記載の装置(110)。
【請求項8】
前記波面検出ユニット(128)は、シャックハルトマン波面センサ(130)、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、請求項1~7のいずれか1つに記載の装置(110)。
【請求項9】
少なくとも1つの追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項10】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)であって、
a)少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
を含み、
b)複数の回折次数(168)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(168)を2つの経線に生成するステップ
により特徴付けられる、方法(210)。
【請求項11】
2次元格子を提供する単一の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を前記2つの経線に生成しており、又は
少なくとも2つの個別の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を1つの経線に生成しており、前記少なくとも2つの個別の経線は、互いに直交して配置され、又は
1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、前記複数の回折次数(168)を1つの経線に生成しており、前記複数の回折次数(168)が前記2つの経線に提供される方式で回転されている、
請求項10に記載の方法(210)。
【請求項12】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られる、請求項10又は11に記載の方法(210)。
【請求項13】
前記複数の回折次数(168)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び少なくとも2つの1次回折次数を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項14】
各回折次数(168)の個別の回折効率(170)に応じて、少なくとも9つの光点(176)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される、請求項13に記載の方法(210)。
【請求項15】
前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)の間で補間された値を含む、請求項14に記載の方法(210)。
【請求項16】
焦点調整可能な固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの追加の光路(176、176’)上に配置され、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記固視標(180)に対する前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の遠近調節中に測定される、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項17】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)を、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記方法(210)は、
a)前記少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
を含み、
b)複数の回折次数(168)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(1118)における前記複数の回折次数(168)を2つの経線に生成するステップ
により特徴付けられる、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、前記眼鏡レンズの前記製造は、レンズブランクを加工することを含み、前記レンズブランクの前記加工は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、請求項9~13のいずれか一項に記載の、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差を決定するための前記方法(210)により決定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置、方法、及びコンピュータプログラム製品、並びにユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置、方法、及びコンピュータプログラム製品が知られている。一般に使用される場合、「眼球収差」という用語は、理想的な光波面の表面と、ユーザの少なくとも一方の眼に対して決定される実際の光波面の表面との相違を指す。本明細書では、「光波面」という用語は、光が沿って伝搬するビームに垂直な面に関する。典型的な人間母集団において、眼球収差は通常、「屈折異常」としても表される、少なくとも1つの2次球面円柱焦点誤差を含むが、少なくとも1つのより高次の収差も発生し得る。
【0003】
X.Wei&L.Thibos(2010),Design and validation of a scanning Shack Hartmann aberrometer for measurements of the eye over a wide field of view,Optics Express,18(2),1134,https://doi.org/10.1364/oe.18.001134によると、周辺視覚及び軸外収差は、日常の視作業に重要な役割を果たすだけでなく、眼の成長と視力発達にも影響を及ぼし得る。したがって、著者らは、人間の眼の軸外波面収差を客観的に測定することが重要であることを示している。効率的な測定を実現するために、著者らは、二重通過型走査系をシャックハルトマン波面センサ(SHWS)に組み込んで、走査型シャックハルトマン収差分析器(SSHA)を得た。本明細書では、±15°の視野にわたる軸外波面収差を7秒以内に測定するために、プロトタイプのSSHAをうまく用いることができる。広角模型眼を用いた2回の検証実験で、プロトタイプは、焦点ずれ収差の変化を正確に(<0.02μm、瞳孔4mm)及び高い精度で(<0.03μm、瞳孔4mm)測定した。
【0004】
特に、二重通過型走査系をSHWSに組み込むために、SHWSのレンズレット面及びX-Y走査ミラーの走査軸は、被検眼の入射瞳と共役な平面上に光学的に互いに位置合わせされる。この目的で、3つの光学リレーテレスコープは、入射光路において、走査ミラーの走査軸が、光学リレーテレスコープの更なる光学リレーテレスコープを介して更に眼の入射瞳中心と共役される、走査中心を光学リレーテレスコープの1つを介して形成する様式で使用される。空間フィルタリングされ且つコリメートされた細いレーザビームは、走査ミラーの走査軸及び眼の入射瞳中心と交差する、ビームスプリッタを介して導入される。走査ミラーが回転すると、レーザビームは、眼の入射瞳の中心に位置する基点を中心に回転し、それにより、物体空間内の角度寸法で指定される異なる視線に沿ってレーザビームを射出する。眼の像空間では、レーザビームは、網膜を走査して、一連の網膜スポットを形成し、走査は、短時間(50ミリ秒)一時停止して、光波面測定値を取得する。したがって、走査ミラーの各位置に対して、網膜スポットから生じる光波面は、眼球構造、特に水晶体及び角膜により変調され、入射瞳に現れる。現れた光波面は、後方に伝搬すると、走査ミラーによりデスキャンされ、その後、SHWS内のマイクロレンズのアレイによりサンプリングされる。
【0005】
ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための既存の装置、方法、及びコンピュータプログラム製品の利点にもかかわらず、まだ改善の余地がある。特に、大抵の既存の装置及び方法では、2つの経線における異なる偏心度の眼球収差の自動測定が可能ではない。走査経線が1つのみのシステムの場合、特定の経線における偏心度を連続して選択するために、ユーザの眼を動かさなければならないので、少なくとも1つの視標の更なる固視が必要となる。この目的で、遠近調節を防止するために、少なくとも1つの視標を5メートル以上の距離に配置しなければならならず、これにより、装置及び方法を使用できる環境に制約が課される。その上、複数回の固視は通常、長時間の測定をもたらし、それにより、特に、少なくとも1つのレンズを装着しているユーザが時間の経過とともに移動する可能性があるので、測定に不確実性を与え、結果的に、眼球収差が、概して、視野全体にわたって修正される。結果として、既存の装置及び方法は、訓練を受けたアイケアの専門家のみが使用することができる。
【0006】
ユーザの少なくとも一方の瞳孔の周囲の回転系、少なくとも1つの走査型ガルバノミラーを含む走査系、又は上で説明した走査型シャックハルトマン収差分析器などの、複雑な及び/又は高価な光学系を必要とする走査系が存在するが、これらの走査系は、1回のみの測定の可能性を提供しない。
【0007】
米国特許出願公開第2005/105044号明細書では、眼鏡レンズ及び眼の位相収差を検出する際に用いられ得る波面測定システム及び方法が開示されている。様々な実施形態は、眼鏡レンズ又は眼からの戻りビームの経路に変調パターンを配置し、検出器を用いて変調パターンに対する自己結像面において回折パターンを結像することを含む。回折パターンが解析され、その結果が、測定対象の水晶体又は眼球の収差を表す波面位相特性の表現を生成するために使用される。測定結果を改善するための照明及び処理技術が開示されている。様々な実施形態は、眼鏡レンズの収差と患者の眼の収差とを両方とも測定するために適用できるシステムを含む。
【0008】
米国特許出願公開第2003/214647号明細書では、物体からの戻りビームの経路にレチクルを配置し、レチクルに対する回折パターンの自己結像面に検出器を配置することを含む、例えば、光学系、人間の眼などの、測定されることが求められる物体から反射されるか、物体を通して透過されるか、又は物体の中で内部反射される波面の位相収差を検出するための波面測定システム及び方法が開示されている。回折パターンが解析され、その結果、波面位相特性のモデルが得られる。測定対象の物体又は波面源の収差を表す多項式係数を得るために、一連の既知の多項式を波面位相勾配に適合させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特にX.Wei&L.Thibosの開示(上記を参照)に対して、本発明の目的は、したがって、上述した最新技術の問題を少なくとも部分的に克服する、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法、装置及びコンピュータプログラム製品、並びにユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための関連方法を提供することである。
【0010】
本発明の特定の目的は、特に、ユーザの少なくとも一方の眼の2つの経線における異なる偏心度に関する眼球収差の自動測定を用いることにより、具体的には、ユーザの少なくとも一方の眼の1回のみの測定で全体の眼球焦点ずれマップを得ることができるように、周辺焦点ずれの効率的な評価を可能にすることである。
【0011】
したがって、より詳細には、ユーザの少なくとも一方の眼の周辺焦点ずれの1回の高速測定に基づいて及び/又はユーザの少なくとも一方の眼の遠近調節若しくはユーザが装着した少なくとも1つのレンズの動きにより誘発される変化を連続的に監視して、多焦点コンタクトレンズ又は累進眼鏡又は、特に、周辺焦点ずれ管理用の近視進行管理(MPM)レンズ又はdefocus incorporated multiple lens segment lenses(DIMS)などの、パーソナライズされた光学レンズを提供できるように、近視の進行を評価するための、特に近視抑制治療をパーソナライズするための診断ツールを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、ユーザの少なくとも一方の眼の屈折異常を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラム製品、並びにユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための関連方法により解決される。単独の様式で又は任意の組み合わせで実現され得る、好ましい実施形態は、従属請求項に列挙される。
【0013】
以下で使用される場合、「有する」、「備える」若しくは「含む」という用語、又はそのあらゆる文法上の変化形は、非排他的な意味で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によりもたらされる特徴以外に、これに関連して説明された実体に更なる特徴が存在しない状況と、1つ又は複数の更なる特徴が存在する状況とを両方とも指すことがある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aに他の要素が存在しない状況(すなわち、Aが唯一及び排他的にBからなる状況)と、B以外に、実体Aに1つ若しくは複数の更なる要素、例えば要素C、要素CとD、又は更には更なる要素が存在する状況とを両方とも指すことがある。
【0014】
更に、以下で使用される場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「詳細には」、「より詳細には」という用語、又は同様の用語は、別の可能性を制限することなく、任意選択の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によりもたらされる特徴は任意選択の特徴であり、特許請求の範囲を制限することを意図したものでは決してない。本発明は、当業者であれば認識するように、代替的な特徴を用いることによっても実行され得る。同様に、「本発明の実施形態では」又は同様の表現によりもたらされる特徴は、本発明の代替実施形態に関するいかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関するいかなる制限も伴わず、そのようにもたらされる特徴と本発明の他の特徴とを組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わずに、任意選択の特徴であるように意図されている。
【0015】
第1の態様では、本発明は、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置に関する。既に上述したように、「眼球収差」という用語は、理想的な光波面の表面と、ユーザの少なくとも一方の眼に対して決定される実際の光波面の表面との相違を指す。本明細書では、「光波面」という用語は、光が沿って伝搬するビームに垂直な面に関する。「ユーザ」という用語の代わりに、「対象者」、「人」、「被験者」又は「眼鏡の着用者」などの、異なる用語も適用され得る。
【0016】
本発明によれば、本装置は、少なくとも1つの光ビームが有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニットであって、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、少なくとも1つの光波面から決定される、波面検出ユニットと、複数の回折次数が波面検出ユニット上で及びユーザの少なくとも一方の眼内で空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子とを少なくとも含む。
【0017】
ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための本装置は、好ましくは、以下で詳細に説明する、ユーザの少なくとも一方の眼用の眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの少なくとも一方を製造するための方法で使用することができる。本明細書では「規格」とも称される、規格ISO13666:2019のセクション3.5.2に基づいて、「眼鏡レンズ」及び「コンタクトレンズ」という用語の各々は、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定及び/又は補正するための本発明の枠組みの範囲内で使用される光学レンズに関し、眼鏡レンズは、コンタクトレンズがユーザの眼に直接接触する一方で、ユーザの眼の前で支持される。更に、「眼鏡」という用語は、2つの個別の眼鏡レンズと眼鏡フレームとを含む任意の要素を指し、各眼鏡レンズは、ユーザが選択した眼鏡フレームに受け入れられるように準備される。
【0018】
更に既に上述したように、典型的な人間母集団における眼球収差は通常、「屈折異常」としても表される、少なくとも1つの2次球面円柱焦点誤差を含む。球面円柱焦点誤差を補正するように設計された球面円柱レンズを説明するために、様々な手法が可能である。規格のセクション3.6.6で定義されているように、「球面円柱レンズ」という用語は、球面と円柱面とを有する眼鏡レンズを指す。更に、球面円柱レンズは、セクション3.13.1によれば、2つの個別の相互に直交する焦線において近軸平行光ビームを結合する眼鏡レンズであって、これにより、眼鏡レンズが2つの経線のみに頂点屈折力を有する、眼鏡レンズとして定義される。更に、「頂点屈折力」という用語は、セクション3.10.7によれば、近軸セクションの幅の逆数として定義される。セクション3.2.12及び3.13.2で更に定義されているように、「経線」という用語は、2つの焦線に平行な、非点収差作用を有する眼鏡レンズの2つの垂直平面のうちの一方に関する。本明細書では、「非点収差作用」という用語は、第2の経線における頂点屈折力の値と第1の経線における頂点屈折力の値との差としてセクション3.13.6で定義されている「非点隔差」に相当する。更に、「円柱度数」とは、セクション3.13.7によれば、基準として使用される特定の経線の屈折値が他の経線の屈折値から差し引かれる、経線の屈折値間の代数的差を指し、その一方で、「円柱軸」とは、セクション3.13.8によれば、頂点屈折率が基準として使用される眼鏡レンズの経線の方向を示す。
【0019】
代替案として、L.N.Thibos,W.Wheeler und D.Horner(1997),Power Vectors:An Application of Fourier Analysis to the Description and Statistical Analysis of Refractive Error,Optometry and Vision Science 74(6),S.367-375では、度数プロファイルのフーリエ解析の観点から球面円柱レンズを説明することに取り組むことが提案されている。著者らは、よく知られた正弦二乗の法則により、薄レンズの固有のパラメータを表す、正確に3つのフーリエ係数を有するフーリエ級数表現が必然的に得られることを示している。ここでは、定数項は、平均等価球面(MSE)度数に対応し、その一方で、高調波の振幅及び位相は、ジャクソンクロスシリンダ(JCC)レンズの度数及び軸に対応する。フーリエ級数を直交形式で表現することにより、球面レンズと2つのクロスシリンダ(一方は軸0°、他方は軸45°)との和として任意の球面円柱レンズの表現が得られる。これらの3つの構成レンズの度数は、度数プロファイルのベクトル表現の(x、y、z)座標として解釈され得る。球面円柱レンズの度数ベクトル表現は、レンズの組み合わせと、異なるレンズの比較と、屈折異常の統計的分布とに関する問題についての検眼データの数値解析及びグラフ解析のために使用することができる。
【0020】
好ましくは、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための現在提示されている装置は、光源を含み得る。一般に使用される場合、「光源」という用語は、少なくとも1つの光ビームを生成するように設定されたユニットであって、光源により提供される少なくとも1つの光ビームが少なくとも1つの光路に沿って導かれる、ユニットを指す。本明細書で使用される場合、「光」という用語は、可視スペクトル領域又は赤外スペクトル領域の少なくとも一方の領域の電磁放射を指す。一般に使用される場合、「可視スペクトル領域」という用語は、380nm~780nmの波長を有する電磁放射を指し、その一方で、「赤外スペクトル領域」という用語は、780nm超~1000μmの波長を有する電磁放射に関し、可視スペクトル領域又は、780nm超~1.5μmの波長を有する電磁放射を指す、「近赤外スペクトル領域」が、特に好ましい場合がある。更に、「光ビーム」という用語は、少なくとも1つの光線の形態での光の伝搬に関し、少なくとも1つの光線の伝搬方向は、概して、本明細書では「光路」という用語により表され、光路は、特にミラー、ビームスプリッタ、又は光学格子などの回折素子から選択される、少なくとも1つの光学素子により修正され得る。更に、上述したように、「光波面」という用語は、少なくとも1つの光ビームの伝搬方向に垂直な面を指す。
【0021】
本明細書では、光源は、概して、任意の既知の単色光源から選択することができる。一般に使用される場合、「単色」という用語は、上述のスペクトル領域のうちの一方のスペクトル領域から選択された単一の波長又は狭い帯域幅の波長を指す。この目的で、レーザダイオードは、好ましくは、特に、その簡単さ、入手しやすさ、及び安い費用のために使用することができる。代替案として、有利には、多色光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせ、又はスーパーコンティニウム光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせを使用することもでき、「スーパーコンティニウム」という用語は、非線形光学媒質を通過した後に、拡張された帯域幅を示す、狭い帯域幅を有するレーザ光を指し、その狭い帯域幅の所望の波長を、可変帯域フィルタを用いて選択することができ、これにより、以下でより詳細に説明するように、回折角度と周辺ビームの効率とを変化させることを可能にする。
【0022】
更に、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置は、好ましくは、少なくとも1つの光ビームをユーザの少なくとも一方の眼と波面検出ユニットとに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を含み得る。本明細書では、少なくとも1つの光学素子は、好ましくは、以下でより詳細に説明する少なくとも1つの光学リレー系とビームスプリッタとの組み合わせであり得るか、又はそれらの組み合わせを含み得る。一般に使用される場合、「ビームスプリッタ」という用語は、光ビームを少なくとも2つの、好ましくは正確に2つの部分光ビームに分割するように設定された特定の種類の光学素子に関する。本明細書では、ビームスプリッタは、概して、任意の既知のビームスプリッタ、特に、誘電体コーティングを有するガラス板、ダイクロイックミラー、ペリクルビームスプリッタ、ビームスプリッタプレート、若しくは、ウォラストンプリズムなどの、偏光ビームスプリッタ、又は偏光格子から選択することができる。しかしながら、別の種類のビームスプリッタも実現可能であり得る。本発明の目的で、ビームスプリッタは、光源により提供される少なくとも1つの光ビームを少なくとも2つの部分光ビームに分割し得る様式で、少なくとも1つの光路上に配置することができ、少なくとも1つの部分光ビームは、ユーザの少なくとも一方の眼に導かれ、ユーザの少なくとも一方の眼に反射された後に、ユーザの少なくとも一方の眼から受け取られ、特に、以下でより詳細に説明するように、波面検出ユニットに向けて導かれ得る。
【0023】
本発明によれば、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置は、波面検出ユニットを含む。一般に使用される場合、「波面検出ユニット」という用語は、光波面の収差を測定するように設定された光センサを指し、この用語は通常、収差のない基準ビームとの干渉を必要としない光センサに適用される。本明細書では、波面検出ユニットは、好ましくは、シャックハルトマン波面センサ、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、別の種類の波面検出ユニットも実現可能であり得る。
【0024】
一般に使用される場合、「シャックハルトマン波面センサ」という用語は、通常は「レンズレット」という用語により表される、個別の小型レンズのアレイと、CCDアレイ、CMOSアレイ、又はクワッドセルなどの、2次元光検出器とを含む特定のタイプの波面検出ユニットを指し、レンズレットへの均一な照射時に、各レンズレットを横切る入射光波面の積分勾配は、各個別のレンズレットにより生じる変位に比例する。換言すれば、入射光波面の位相収差を、個別のレンズレットに対応する一連の局所的傾斜で近似することができ、レンズレットに対応する傾斜は、「偏心度」という用語によっても表すことができる。このようなレンズレットのアレイによる入射光波面のサンプリングにより、レンズレットのアレイにおける各個別のレンズレットの局所的偏心度を測定することで、入射光波面を少なくとも部分的に、好ましくは完全に再構成することができる。
【0025】
本発明によれば、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、波面検出ユニットにより、好ましくはシャックハルトマン波面センサにより測定される少なくとも1つの光波面から決定される。本明細書では、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、好ましくは、少なくとも一方の眼の焦点ずれ又は少なくとも一方の眼の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され得る。好ましくは、眼球収差は、以下でより詳細に説明するように、波面検出ユニット、好ましくはシャックハルトマン波面センサの表面上に生成される少なくとも9つの光点の全てにおいて測定され得る。結果として、最終的に、少なくとも一方の眼内の網膜野の眼球収差を表す眼球焦点ずれマップを得ることができる。しかしながら、眼球焦点ずれマップが、2つの経線における網膜野にわたる少なくとも9つの光点に対して生成された値の補間を含み得ることが更により好ましい。一般に使用される場合、「マップ」という用語は、物体の2次元表現を指し、「眼球焦点ずれマップ」という用語は、ユーザの少なくとも一方の眼の網膜野にわたる眼球収差の局所値の2次元表現であって、2次元表現の2つの軸が2つの経線により提供される、2次元表現に関する。
【0026】
特に本発明によれば、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置は、少なくとも1つの回折素子を含む。一般に使用される場合、「回折素子」という用語は、入射光ビームを回折するように設定された光学素子であって、これにより、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数が発生する、光学素子を指す。特に、少なくとも1つの回折素子は、光学格子、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択され得るが、別の種類の回折素子も実現可能であり得る。一般に使用される場合、「光学格子」という用語は、入射光ビームを分割し回折するように設定された周期構造を有する光学素子であって、これにより、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数が発生する、光学素子に関する。更に一般に使用される場合、「ホログラム」又は「体積ホログラム」という用語は、物理媒体に干渉パターンが記録された光学素子を指す。特に、ホログラムは、少なくとも2つの波面をデジタル形式でモデル化して重ね合わせることによりコンピュータで生成することができ、これにより、結果として得られたデジタル画像が、その後、物理媒体にインプリントされる。
【0027】
更に本明細書で使用される場合、「デジタル光変調素子」という用語は、入射光ビームを変調するように設計された個別に制御可能な複数の光学素子を有する光学装置を指す。好ましくは、デジタル光変調素子は、空間光変調器又はデジタルマイクロミラーユニットの少なくとも一方から選択され得る。一般に使用される場合、「空間光変調器」又は「SLM」という用語は、電子的及び/又は光学的に強度パターンを入射光ビームにインプリントするように構成された光学装置に関する。結果として、空間光変調器は典型的には、少なくとも1つの光学格子を生成するために使用することができる。更に、「デジタルマイクロミラーデバイス」又は「DMD」という用語は、デジタル画像を光ビームに変調するように構成された光学装置を指す。この目的で、デジタルマイクロミラーデバイスは、マイクロメートルの範囲内の縁長さを有する、マトリクス状に配置された複数の傾斜マイクロミラーを含む配置を有し、各マイクロミラーは、静電場を用いて個別にアドレス指定可能である。このようにして、入射光ビームを個別の画素に分割し、続いて画素ごとに反射させることができる。しかしながら、他のタイプのデジタル光変調素子も実現可能である。
【0028】
更に、一般に使用される場合、「複数の回折次数」という用語は、入射光ビームを複数の回折光ビームにする一種の分割を指し、各回折光ビームは、単一の0次回折次数、2つの1次回折次数のうちの1つ、2つの2次回折次数のうちの1つ、又はより高次の回折次数のうちの1つから選択される特定の回折次数に属し、特定の回折次数の測定可能な強度は、各回折次数の個別の回折効率に依存する。実際には、光ビームの複数の回折次数は通常、好ましくは2次回折次数により補完される、0次回折次数及び1次回折次数のみを含み得る。しかしながら、追加的に3次回折次数又は4次回折次数を含み得る光ビームも実現可能であり得る。したがって、特に好ましい実施形態では、複数の回折次数は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び2つの1次回折次数を含み得、これにより、複数の回折次数の個別の回折効率に応じて、少なくとも9つの光点、9~25個の光点が、2つの経線において波面検出ユニットの表面にわたって生成され得る。
【0029】
好ましくは、光学格子は、透過型光学格子又は反射型光学格子の少なくとも一方から選択することができる。本明細書では、透過型光学格子は、光学格子を少なくとも1つの光路上に配置する際により多くの自由度を与えることができるので、有利であり得る。更に、少なくとも1つの光学格子は、好ましくは、回折格子又は偏光格子の少なくとも一方から選択することができる。上で説明した一般的な光学格子を指す「回折格子」という用語とは対照的に、「偏光格子」という用語は、透過光の偏光状態を周期的に変化させるように設定された偏光非解消偏光素子を含み、これにより、透過光の偏光依存回折が得られる、特定のタイプの光学格子に関する。連続する2つの偏光格子を使用できるようにするために、少なくとも1つの減偏光子又は直線偏光子が、連続する2つの偏光格子の間に配置される。
【0030】
本発明の目的で、少なくとも1つの回折素子は、複数の回折次数が、少なくとも一方の眼内の、特にユーザの少なくとも一方の眼の網膜上の及び光波面検出ユニットの表面上の個別の光点として空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビームにおける所望の複数の回折次数が2つの経線に生成される様式で、少なくとも1つの光路上に配置される。上で既に定義したように、「経線」という用語は、2つの焦線に平行な、非点収差作用を有するレンズの2つの垂直平面のうちの一方に関する。更に、一般に使用される場合、「光点」という用語は、空間的に限られた領域が生成される方式での、表面への光ビームの衝突を指す。その結果として、少なくとも1つの光ビームの複数の回折次数は、対応する光点の位置により、具体的にはシャックハルトマン波面センサの個別のレンズレットにより、互いに容易に区別することができる。更なる詳細については、以下の例示的な実施形態の説明を参照することができる。
【0031】
波面検出ユニットの表面上の光点間、特にシャックハルトマン波面センサ内の個別のレンズレットに対応する光点間のクロストークを最小限に抑える、好ましくは完全に防止するために、それに応じて、波面検出ユニットのパラメータ、特にシャックハルトマン波面センサ内のレンズレットのパラメータを調整することが好ましい。概して、個別のレンズレットの焦点距離fの高い値は、測定可能な最大角度を表す式(1)
【数1】
により高い偏心度をサンプリングするのに有利であり、ここで、dはレンズレットの直径であり、ρは、回折限界のスポットサイズ(エアリーディスク)の直径であり、fはレンズレットの焦点距離である。本明細書では、パラメータの正確な値は、シャックハルトマン波面センサ自体、対応する2次元光検出器(CCDアレイ、CMOSアレイ、又はクワッドセルなど)、及びレンズレットに依存する。シャックハルトマン波面センサは、特に、偏心度の高い値を測定するように適合され得るので、高いダイナミックレンジを示し得るシャックハルトマン波面センサが好ましい場合があるが、低い精度をもたらす可能性があり、低い精度は、画素サイズのより小さい光検出器を選択することにより、かなりの程度相殺することができる。シャックハルトマン波面センサについてのパラメータの好ましい例については、以下の例示的な実施形態の説明を参照することができる。
【0032】
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの光ビームにおける所望の複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された、少なくとも1つの回折素子、特に少なくとも1つの光学格子は、少なくとも1つの単一の回折素子、特に少なくとも1つの単一の光学格子を含み得、少なくとも1つの回折素子、特に単一の光学格子は、2つの経線に複数の回折次数を生成するように設定された2次元格子を提供する。この目的で、単一の回折素子、特に単一の光学格子の2次元格子は、nが0を含む自然数である、角度≠n・180°で、好ましくは直交して互いに重なり合う2つの個別の1次元構造の形態で提供されることがあり、これにより、ビームの矩形パターンを得ることができ、2次元格子の回折効率は、2つの1次元回折効率の積に等しい。本明細書で使用される場合、「直交する」という用語は、90°±45°、好ましくは90°±15°、より好ましくは90°±5°、特に90°±1°、とりわけ90°±0.1°の角度に関する。しかしながら、更に別の角度も実現可能であり得る。
【0033】
好ましい代替実施形態では、少なくとも1つの光ビームにおける所望の複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された、少なくとも1つの回折素子、特に少なくとも1つの光学格子は、少なくとも2つの個別の回折素子、特に少なくとも2つの個別の光学格子を含み得、各個別の回折素子、特に各個別の光学格子は、ここでも、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を有し、少なくとも2つの個別の回折素子、特に少なくとも2つの個別の光学格子は、2つの経線が互いに直交して配置される様式で配置され得る。「直交する」という用語に関しては、この用語の上記の定義を参照することができる。
【0034】
更に好ましい代替実施形態では、少なくとも1つの光ビームにおける所望の複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された、少なくとも1つの回折素子、特に少なくとも1つの光学格子は、少なくとも1つの単一の回折素子、特に少なくとも1つの単一の光学格子を含み得、しかしながら、単一の光学格子は、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、単一の光学格子は、複数の回折次数が2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される。回折素子のタイプに応じて、単一の光学格子は、回転軸を中心に、機械的、電子的又は光学的に回転させることができる。回転軸を中心に単一の光学格子を機械的に回転させる目的で、既知の回転ユニットを使用することができる。
【0035】
本発明の特定の実施形態では、装置は、具体的には波面検出ユニットに2つ以上の光波面を生成するための、少なくとも2つの回折素子、特に少なくとも2つの光学格子、とりわけ少なくとも2つの2次元格子又は少なくとも3つの1次元格子を含み得、この波面検出ユニットは、有利には、ユーザの少なくとも一方の眼の網膜野に関する値のサンプリングに使用することができる。
【0036】
本発明の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの回折素子、特に少なくとも1つの光学格子は、入射瞳面に配置され得る。一般に使用される場合、「入射瞳」という用語は、少なくとも1つのレンズの前面を通して見たときの、物理的な開口絞りの光学像を指し、その一方で、「入射瞳面」は、入射瞳の光軸に垂直な平面に関する。この特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの光ビームをユーザの少なくとも一方の眼と波面検出ユニットとに導くように設定された少なくとも1つの光学素子は、好ましくは、特に入射瞳面をユーザの眼の瞳孔上にリレーするように設定され得る光学リレー系を含み得る。本明細書では、「光学リレー系」という用語は、光学面を異なる反対側に移すように設定された少なくとも2つの光学素子の組み合わせを指す。したがって、一例として、入射瞳面に表示された情報は、ユーザの眼の瞳孔上に表示されるように転送され得る。好ましくは、リレー光学系は、固定され、同軸に取り付けられた1対の広角テレセントリックを含み得、レンズの少なくとも1つは、球面ミラーなどの、異なる光学素子に置き換えることができる。より詳細には、光学リレー系は、本明細書では「テレスコープ」という用語のみによっても表される、光学リレーテレスコープを含み得、テレスコープは、
少なくとも2つの個別の光学レンズ、若しくは少なくとも2つの個別の光学レンズを含む少なくとも1つのアセンブリ、又は
少なくとも1つの球面ミラー、及び
少なくとも1つの光学レンズ、若しくは
少なくとも2つの個別の光学レンズを含む少なくとも1つのアセンブリ、又は
少なくとも2つの球面ミラー
を有し得る。
【0037】
更なる代替案として、瞳面を波面検出ユニットの表面にリレーするように設定された光学リレー系は、好ましくはテレスコープの中間像面に配置できるアキシコン素子を含み得る。一般に使用される場合、「アキシコン素子」という用語は、円錐面を有する光学レンズであって、この円錐面により、光ビーム、特にレーザビームをリング状の配光に変換できる、光学レンズを指す。結果的に、アキシコン素子は、周辺ビームに対応するように瞳孔を横方向にずらす。その結果、少なくとも9つの別個の領域が波面検出ユニットの表面上に生成され、したがって、各別個の領域は、各レンズレットの下に複数の光点を有することなく別々に処理できる1つの個別の光点を含む。
【0038】
好ましい実施形態では、ビームスプリッタは、入射瞳面をユーザの眼の瞳孔上にリレーするために使用される同じ光学リレー系が、入射瞳面を波面検出ユニットの表面にもリレーするように設定される方式で配置することができ、これにより、特に簡単で安価な装置がもたらされる。本明細書で用いられる場合、「同じ」という用語は、少なくとも2つの異なる目的で、具体的には上述した2つの異なる目的で使用されるように設定される単一の光学リレー系を指す。入射瞳面をユーザの眼の瞳孔上にリレーするため及び入射瞳面を波面検出ユニットの表面にリレーするための同じ光学リレー系の使用は、入射瞳面をユーザの少なくとも一方の眼の瞳面上にリレーするように設定された第1の光学リレー系と、ユーザの少なくとも一方の眼の瞳面を波面検出ユニットの表面平面にリレーするように設定された別個の第2の光学リレー系とを開示する、米国特許出願公開第2005/105044号明細書とは特に対照的である。代替案として、ビームスプリッタを眼に近接して配置することもできるが、この目的で、装置は、入射瞳面を波面検出ユニットの表面にリレーするように設定された別の光学リレー系を含む。
【0039】
更なる好ましい実施形態では、本発明による装置は、追加の光路を更に含み得、ユーザの少なくとも一方の眼に対する固視標は、追加の光路上に配置され得、固視標の焦点は、好ましくは、調節可能レンズ、位相変調器、又はBadalレンズの少なくとも1つを用いて調整され得る。一般に使用される場合、「Badalレンズ」という用語は、同じ角度寸法で視標を表示するように設定された少なくとも1つのレンズを含む光学素子を指す。この更なる好ましい実施形態では、眼球焦点ずれマップは、ユーザの少なくとも一方の眼の遠近調節段階で決定することができる。結果として、眼球焦点ずれマップの決定は、したがって、好ましくは、リアルタイムで実行することができ、これは、測定中の時間遅延に寄与する少なくとも1つの走査系が使用される、X.Wei&L.Thibos(上記を参照)と比較して有利である。
【0040】
代替的又は追加的に、本発明による装置に関する更なる実施形態が考えられる。
【0041】
更なる態様では、本発明は、好ましくは、本明細書の別の箇所に開示する、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置により、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法に関する。特に、本方法は、ユーザの両眼の眼球収差を個別に連続して決定するために使用することができる。本発明による方法は、好ましくはステップb)及びステップa)の順序で実行される、以下のステップa)及びb)を含み、これらのステップは、少なくとも一部を同時に実行することができる。加えて、本明細書に開示されているかどうかにかかわらず、更なるステップを追加的に実行することができる。本方法のステップは、以下の通り、すなわち、a)少なくとも1つの光ビームが有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、測定するステップにより、少なくとも1つの光波面から決定される、測定するステップ、及びb)複数の回折次数が波面検出ユニット上で及びユーザの少なくとも一方の眼内で空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数を2つの経線に生成するステップである。
【0042】
概して、本発明による方法は、訓練を受けたアイケアの専門家が、適切な装置、好ましくは、本明細書の別の箇所で説明する、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置を用いて指定のステップを実行し得る手作業で実行することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、本発明による方法は、コンピュータ実装方法であり得る。一般に使用される場合、「コンピュータ実装方法」という用語は、方法の少なくとも1つのステップ、特にステップd)が、少なくとも1つのコンピュータプログラムを用いて実行される、プログラマブル装置、具体的にはコンピュータ、コンピュータネットワーク、又はコンピュータプログラムを担持する可読媒体を伴う方法を指す。この目的で、コンピュータプログラムコードは、データ記憶媒体上又は光学記憶媒体などの別個の装置上に、例えば、コンパクトディスク上に、コンピュータ若しくはデータ処理ユニット、特に移動体通信機器、具体的にはスマートフォン若しくはタブレット上に直接、又は構内ネットワーク若しくはインターネットなどの、ネットワークを介して提供することができる。したがって、本方法は、特定のコンピュータプログラムを提供することなどにより、この目的のために構成されたプログラマブルユニット上で実行することができる。
【0043】
本明細書では、少なくとも1つの光ビームは、好ましくは、上で説明した又は以下でより詳細に説明する光源を用いて、少なくとも1つの光路に沿って提供することができる。
【0044】
更に、少なくとも1つの光ビームは、ユーザの少なくとも一方の眼と波面検出ユニットとに導くことができる。この目的で、少なくとも1つの光ビームは、好ましくは、特に上記で説明した又は以下でより詳細に説明するビームスプリッタを用いて、少なくとも2つの部分光ビームに分割することができ、少なくとも1つの部分光ビームは、ユーザの眼に導かれ、ユーザの眼から受け取られる。しかしながら、本発明による装置はビームスプリッタなしに機能できるので、実際にはビームスプリッタを使用する必要はない。一例として、波面検出ユニットが眼の軸上収差をサンプリングしない限り、光ビームは、軸上で又は光軸に対して非常に小さな角度でユーザの少なくとも一方の眼に入射し得る。
【0045】
ステップa)によれば、ユーザの眼により提供される光ビームが有する少なくとも1つの光波面は、上で説明した又は以下でより詳細に説明するように、好ましくは波面検出ユニット、好ましくはシャックハルトマン波面センサを用いて測定され、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、少なくとも1つの光波面から決定される。
【0046】
ステップb)によれば、2つの経線における少なくとも1つの光ビームの複数の回折次数は、複数の回折次数が、波面検出ユニット上、特に波面検出ユニットの表面上で及びユーザの少なくとも一方の眼内で空間的に分離される方式で生成される。この目的で、上で説明した又は以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定される、少なくとも1つの回折素子、特に少なくとも1つの光学格子が、好ましくは、使用され得る。
【0047】
更なる態様では、本発明は、本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法のステップを、本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。この目的で、コンピュータプログラムは、本明細書の別の箇所で説明する、方法のステップのいずれか又は全て、特にステップa)を実行し、これにより、コンピュータ又はデータ処理ユニット上で実行されたときに、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差の決定を達成することが可能である、コンピュータプログラムコードにより提供される命令を含み得る。本明細書では、コンピュータプログラムコードは、データ記憶媒体上又は光学記憶媒体などの別個の装置上に、例えば、コンパクトディスク上に、コンピュータ若しくはデータ処理ユニット、特に移動体通信機器、具体的にはスマートフォン若しくはタブレット上に直接、又は構内ネットワーク若しくはインターネットなどの、ネットワークを介して提供され得る。
【0048】
更なる態様では、本発明は、ユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、眼鏡レンズの製造は、レンズブランクを加工することを含み、レンズブランクの加工は、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差の決定は、本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法のステップを含む、方法に関する。
【0049】
ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法、コンピュータプログラム製品、又はユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法に関する更なる詳細については、本明細書の別の箇所で開示する、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置を参照することができる。
【0050】
ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定する場合に、本発明による装置、コンピュータプログラム製品、及び方法は、従来技術に対して様々な利点を示す。特に、本装置及び方法は、特に、検眼医又は眼科医などの、訓練を受けたアイケアの専門家を必要とせずに、簡単で使いやすい手法を用いて1回のみの評価でユーザの少なくとも一方の眼の全体の眼球焦点ずれマップを生成することを可能にする。結果的に、本装置及び方法は、特に、適用しやすさと短い検査期間とを取り入れた、2つの経線における異なる偏心度に関する眼球収差の自動測定を用いることにより、具体的には、1回のみの測定でユーザの少なくとも一方の眼の全体の眼球焦点ずれマップを得るために、ユーザの少なくとも一方の眼の周辺の焦点ずれの効率的な評価のための強力なツールを提供する。本明細書では、装置の実装及びソフトウェアの組み込みは、訓練を受けていないユーザ又は人員にもツールを利用可能にするように設計される。
【0051】
結果的に、本装置及び方法は、ユーザの少なくとも一方の眼の周辺焦点ずれの1回の高速測定に基づいて及び/又はユーザの少なくとも一方の眼の遠近調節若しくはユーザが装着した少なくとも1つのレンズの動きにより誘発される変化を連続的に監視して、多焦点コンタクトレンズ又は累進眼鏡又は、特に、周辺焦点ずれ管理用の近視進行管理(MPM)レンズ又はdefocus incorporated multiple lens segment lenses(DIMS)などの、パーソナライズされた光学レンズを提供するために、近視の進行を評価するための、特に近視抑制治療をパーソナライズするための診断ツールを提供する。
【0052】
要約すると、以下の実施形態が、本発明の範囲内において特に好ましい。
【0053】
実施形態1.ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差を決定するための装置であって、
少なくとも1つの光ビームが有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニットであって、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、少なくとも1つの光波面から決定される、波面検出ユニットと、
複数の回折次数が波面検出ユニット上で及びユーザの少なくとも一方の眼内で空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子と
を含む、装置。
【0054】
実施形態2.少なくとも1つの回折素子は、少なくとも1つの単一の回折素子から選択される、実施形態1に記載の装置。
【0055】
実施形態3.単一の回折素子は、複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、実施形態2に記載の装置。
【0056】
実施形態4.単一の回折素子は、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供する、実施形態2又は3に記載の装置。
【0057】
実施形態5.単一の回折素子は、複数の回折次数が2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、実施形態4に記載の装置。
【0058】
実施形態6.少なくとも1つの回折素子は、少なくとも2つの個別の光学格子を提供する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の装置。
【0059】
実施形態7.各個別の光学格子は、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供する、実施形態6に記載の装置。
【0060】
実施形態8.2つの経線は、互いに直交して配置される、実施形態7に記載の装置。
【0061】
実施形態9.「直交する」という用語は、90°±45°、好ましくは90°±15°、より好ましくは90°±5°、特に90°±1°、とりわけ90°±0.1°の角度に関する、実施形態8に記載の装置。
【0062】
実施形態10.少なくとも2つの回折素子を含み、少なくとも2つの回折素子は、ユーザの眼内及び波面検出ユニット上に2つ以上の光波面を生成するように設定される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の装置。
【0063】
実施形態11.少なくとも1つの回折素子は、光学格子、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、実施形態10に記載の装置。
【0064】
実施形態12.少なくとも1つの光学格子は、回折格子又は偏光格子の少なくとも一方から選択される、実施形態11に記載の装置。
【0065】
実施形態13.少なくとも1つの減偏光子又は直線偏光子は、2つの偏光格子の間に配置される、実施形態12に記載の装置。
【0066】
実施形態14.少なくとも1つの光学格子は、透過型光学格子又は反射型光学格子の少なくとも一方から選択される、実施形態11~13のいずれか1つに記載の装置。
【0067】
実施形態15.少なくとも1つのホログラムは、体積ホログラムである、実施形態11~14のいずれか1つに記載の装置。
【0068】
実施形態16.少なくとも1つのデジタル光変調素子は、空間光変調器又はデジタルマイクロミラーユニットの少なくとも一方から選択される、実施形態11~15のいずれか1つに記載の装置。
【0069】
実施形態17.少なくとも1つの光ビームをユーザの少なくとも一方の眼と波面検出ユニットとに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の装置。
【0070】
実施形態18.少なくとも1つの光学素子は、少なくとも1つの光ビームを少なくとも2つの部分光ビームに分割するように設定されたビームスプリッタを含み、部分光ビームの少なくとも1つは、ユーザの少なくとも一方の眼に導かれる、実施形態17に記載の装置。
【0071】
実施形態19.少なくとも1つの回折素子は、入射瞳面に配置される、実施形態17又は18に記載の装置。
【0072】
実施形態20.少なくとも1つの光学素子は、入射瞳面をユーザの少なくとも一方の眼の瞳面上にリレーするように設定された光学リレー系を含む、実施形態19に記載の装置。
【0073】
実施形態21.前記光学リレー系は、少なくとも2つの個別の光学レンズを有するテレスコープ、又は少なくとも2つの個別の光学レンズを含むか若しくは少なくとも1つの球面ミラーと少なくとも1つの光学レンズとを有する少なくとも1つのアセンブリ、又は少なくとも2つの個別の光学レンズを含むか若しくは少なくとも2つの球面ミラーを有する少なくとも1つのアセンブリの少なくとも1つを含む、実施形態20に記載の装置。
【0074】
実施形態22.ユーザの少なくとも一方の眼の瞳面を波面検出ユニットにリレーするように設定されたアキシコン素子を更に含む、実施形態21に記載の装置。
【0075】
実施形態23.アキシコン素子は、好ましくは、テレスコープの中間像面に配置される、実施形態22に記載の装置。
【0076】
実施形態24.ビームスプリッタは、同じ光学リレー系が入射瞳面を波面検出ユニットの表面にリレーするように設定される方式で配置される、実施形態21~23のいずれか1つに記載の装置。
【0077】
実施形態25.ビームスプリッタは、ユーザの少なくとも一方の眼に近接して配置され、装置は、入射瞳面を波面検出ユニットの表面にリレーするように設定された更なる光学リレー系を含む、実施形態21~24のいずれか1つに記載の装置。
【0078】
実施形態26.波面検出ユニットは、シャックハルトマン波面センサ、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の装置。
【0079】
実施形態27.少なくとも1つの光ビームを提供するように設定された光源を更に含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の装置。
【0080】
実施形態28.光源は、単色光源、又は多色光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせ、又はスーパーコンティニウム光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせであるか、或いは単色光源、又は多色光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせ、又はスーパーコンティニウム光源と可変帯域若しくは固定帯域フィルタとの組み合わせを含む、実施形態27に記載の装置。
【0081】
実施形態29.単色光源は、レーザダイオードであるか、又はレーザダイオードを含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の装置。
【0082】
実施形態30.少なくとも1つの追加の光路を更に含み、固視標及び瞳孔カメラの少なくとも一方は、追加の光路上に配置される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の装置。
【0083】
実施形態31.固視標の焦点は、調節可能レンズ、位相変調器、又はBadalレンズの少なくとも1つを用いて調整される、実施形態30に記載の装置。
【0084】
実施形態32.ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差を決定するための方法であって、
a)少なくとも1つの光ビームが有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、測定するステップにより、少なくとも1つの光波面から決定される、測定するステップと、
b)複数の回折次数が波面検出ユニット上で及びユーザの少なくとも一方の眼内で空間的に分離される方式で、少なくとも1つの光ビームにおける複数の回折次数を2つの経線に生成するステップと
を含む、方法。
【0085】
実施形態33.2次元格子を提供する単一の回折素子は、複数の回折次数を2つの経線に生成している、実施形態32に記載の方法。
【0086】
実施形態34.1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、複数の回折次数を1つの経線に生成しており、複数の回折次数が2つの経線に提供される方式で回転されている、実施形態32又は33に記載の方法。
【0087】
実施形態35.少なくとも2つの個別の光学回折素子は、複数の回折次数を1つの経線に生成しており、少なくとも2つの経線は、互いに直交して配置される、実施形態32~34のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態36.「直交する」という用語は、90°±45°、好ましくは90°±15°、より好ましくは90°±5°、特に90°±1°、とりわけ90°±0.1°の角度に関する、実施形態35に記載の方法。
【0089】
実施形態37.少なくとも2つの回折素子は、2つ以上の光波面を生成している、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態38.ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差は、ユーザの少なくとも一方の眼の焦点ずれ又はユーザの少なくとも一方の眼の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、ユーザの少なくとも一方の眼内の網膜野の眼球収差を表す眼球焦点ずれマップが得られる、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態39.複数の回折次数は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び少なくとも2つの1次回折次数を含み、これにより、少なくとも9つの光点が、2つの経線において波面検出ユニットにわたって生成される、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態40.複数の回折次数の個別の回折効率に応じて、9~25個の光点が、2つの経線において波面検出ユニットにわたって生成される、実施形態39に記載の方法。
【0093】
実施形態41.眼球焦点ずれマップは、2つの経線において波面検出ユニットにわたって生成された少なくとも9つの光点に関する値又は波面検出ユニットにわたって生成された少なくとも9つの光点の間で補間された値の一方を含む、実施形態38~40のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態42.少なくとも1つの光ビームをユーザの少なくとも一方の眼と波面検出ユニットとに導くステップを更に含む、実施形態32~41のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態43.少なくとも1つの光ビームを少なくとも1つの光路に沿って提供するステップを更に含む、実施形態32~42の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態44.追加の光路を更に含み、固視標及び瞳孔カメラの少なくとも一方は、追加の光路上に配置される、実施形態32~43の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態45.固視標の焦点は、調節可能レンズ、位相変調器、又はBadalレンズの少なくとも1つを用いて調整される、実施形態44に記載の方法。
【0098】
実施形態46.眼球焦点ずれマップは、ユーザの少なくとも一方の眼の遠近調節中に測定される、実施形態44又は45に記載の方法。
【0099】
実施形態47.眼球焦点ずれマップは、リアルタイムで測定される、実施形態46に記載の方法。
【0100】
実施形態48.方法に関する前述の実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも2つの経線におけるユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差を決定するための方法のステップを、装置に関する前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品。
【0101】
実施形態49.ユーザの少なくとも一方の眼用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、眼鏡レンズの製造は、レンズブランクを加工することを含み、レンズブランクの加工は、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差を決定するための方法は、ユーザの少なくとも一方の眼の眼球収差を決定するための方法に関する前述の実施形態のいずれか1つに記載のステップを含む、方法。
【0102】
本発明の更なる任意選択の特徴及び実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、後続の好ましい実施形態の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意選択の特徴は、当業者であれば理解するように、単独の様式で又は任意の組み合わせで実現され得る。ここでは、好ましい実施形態により本発明の範囲が制限されないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つ眼球収差を決定するための装置の好ましい実施形態を図示する。
【
図2】本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つ眼球収差を決定するための装置の更なる好ましい実施形態を図示する。
【
図3】本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つ眼球収差を決定するための装置の更なる好ましい実施形態を図示する。
【
図4】本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つ眼球収差を決定するための装置の更なる好ましい実施形態を図示する。
【
図5】異なる回折次数にわたるエネルギーの広がりを示す図を図示する。
【
図6】シャックハルトマン波面センサ上の複数の回折次数の空間的分離を示す図を図示する。
【
図7】本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つ眼球収差を決定するための方法の好ましい実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0104】
図1は、ユーザの少なくとも一方の眼112の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置110の好ましい実施形態を図示しており、眼112は網膜114を有する。しかしながら、以下では、図及び説明は、簡略化のために、ユーザの一方の眼112のみに言及する。そこに概略的に示すように、装置110は、特に、その簡単さ、入手しやすさ、及びかなり安い費用のために、光源116、好ましくは単色光源、最も好ましくはレーザダイオードを含み得る。しかしながら、既に上述したように、異なるタイプの光源も実現可能であり得る。本明細書では、光は、好ましくは、可視スペクトル領域又は近赤外スペクトル領域の少なくとも一方の領域の、したがって、380nm~1.5μmの波長を有する、電磁放射を含む。よって、光源116は、光路120に沿って導かれる、光ビーム118を生成するように設定される。本明細書では、光ビーム118は、光線の形態での光の伝搬を表し、光線の伝搬方向は、概して、光路120として表される。更に、光線の伝搬方向に垂直な面は、光波面(ここでは図示せず)として表される。
【0105】
更に
図1に図示するように、装置110は、任意の既知のビームスプリッタから、特に、誘電体コーティングを有するガラス板、ダイクロイックミラー、ペリクルビームスプリッタ、ビームスプリッタプレート、若しくは、ウォラストンプリズムなどの、偏光ビームスプリッタ、又は偏光格子から選択できる、ビームスプリッタ122を更に含み得る。しかしながら、異なるタイプのビームスプリッタも実現可能であり得る。
図1に概略的に示すように、ビームスプリッタ122は、好ましくは、光源116により提供される光ビーム118を2つの部分光ビーム124、126に分割し得る様式で、光路120上に配置することができる。その結果として、第1の部分光ビーム124は、ユーザの眼112に導かれ、ユーザの眼112に反射された後に、特に第2の部分光ビーム126により波面検出ユニット128に向けて導かれるように、ユーザの眼112から受け取られ得る。しかしながら、上記でより詳細に説明したように、装置110は、ビームスプリッタ122がない更なる実施形態を含み得る。
【0106】
更に
図1に図示するように、装置110は、波面検出ユニット128、特にシャックハルトマン波面センサ130を更に含む。しかしながら、別の種類の波面検出ユニット、特に、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、又は光線追跡収差測定器もまた実現可能であり得る。本明細書では、波面検出ユニット128、特にシャックハルトマン波面センサ130は、収差のない基準ビームとの干渉を必要とせずに光波面の収差を測定するように設定される。特に、シャックハルトマン波面センサ130は、個別のレンズレットのアレイ(ここでは図示せず)、2次元光検出器(
図6に示すCCDアレイ、CMOSアレイ、又はクワッドセルなど)を有する。よって、ユーザの眼112の眼球収差は、波面検出ユニット128、特にシャックハルトマン波面センサ130により測定された光波面から決定される。
【0107】
更に
図1に図示するように、装置110は、回折素子を更に含む。本明細書で使用される例示的な実施形態では、回折素子は光学格子132であるが、代替的又は追加的に、体積ホログラムなどの、ホログラム及び/又は空間光変調器(SLM)若しくはデジタルマイクロミラーユニット(DMD)などの、デジタル光変調素子を使用することも、本発明の目的のために実現可能であり得る。
【0108】
図1、
図2及び
図4の例示的な実施形態では、光学格子は、透過型光学格子134であるので、光ビーム118が光学格子132を横切ることを可能にする。しかしながら、
図3に概略的に示すように、反射型光学格子136も実現可能であり得る。上で説明したように、光学格子132は、更に、回折格子又は偏光格子の少なくとも一方から選択することができる。透過型光学格子134を横切ったか又は、その代わりに、反射型光学格子136に反射された結果として、
図5及び
図6に概略的に示す、複数の回折次数が、光ビーム118において生成される。本明細書では、光学格子132は、複数の回折次数が、更に
図5及び
図6に図示するように、ユーザの眼112内の、特に網膜114上の及び光波面検出ユニット上の個別の光点として空間的に分離される方式で、光ビーム118における所望の複数の回折次数が2つの経線に生成される様式で、少なくとも1つの光路118上に配置される。
【0109】
更に
図1に図示するように、1つの光ビーム118における少なくとも所望の複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された光学格子132は、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を各々が有する2つの個別の光学格子138、138’を含み、2つの個別の光学格子138、138’は、少なくとも1つの光ビーム118における所望の複数の回折次数を2つの経線に生成するために、互いに対して直交して配置される。「直交する」という用語に関しては、この用語の上記の定義を参照することができる。代替案として、単一の光学格子(ここでは図示せず)を使用することもでき、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を有する単一の光学格子は、複数の回折次数が2つの経線に提供される様式で回転させることができる。更なる代替案として、単一の光学格子は、複数の回折次数を2つの経線に生成するように設定された2次元格子とすることができる。
図1に概略的に示すように、光学格子132は、好ましくは、入射瞳面140に配置され得る。
【0110】
更に
図1に図示するように、装置110は、少なくとも1つの光ビーム118をユーザの少なくとも一方の眼112と波面検出ユニット128とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含み得る。この目的で、少なくとも1つの光学素子は、好ましくは、特に入射瞳面140をユーザの眼112の瞳孔144上にリレーするように設定された光学リレー系142と、更に、上でより詳細に説明したように、光ビーム118、特に部分光ビーム126を波面検出ユニット128上に導くように設定されたビームスプリッタ122とを含み得る。
【0111】
図1に概略的に示すように、光学リレー系142は好ましくは、簡略化の目的で単一のレンズとして
図1に示す、2つの広角テレセントリックレンズ148、148’であって、ユーザの眼142の瞳孔144上に表示されるように入射瞳面140に表示された情報を転送するように設定された広角テレセントリックレンズ148、148’を有するテレスコープ146を含み得る。別の種類の光学リレー系については、
図2と上記の説明とを参照することができる。
【0112】
更に
図1に図示するように、ビームスプリッタ122は、入射瞳面140をユーザの眼112の瞳孔144上にリレーするために使用される同じ光学リレー系142が、入射瞳面140を波面検出ユニット128の表面150にもリレーするように設定される方式で配置することができ、これにより、特に簡単で安価な装置110を得ることができる。その代替実施形態が
図3に概略的に示されている。
【0113】
図2は、ユーザの眼112の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置110の更に好ましい実施形態を図示している。そこに概略的に示す装置110の特定の実施形態は、更なる広角テレセントリックレンズ154に加えて、球面ミラー156と、更なるビームスプリッタ158と、更なるテレスコープ152の中間像面に配置されるアキシコン素子160とを有する、更なるテレスコープ152を、光学リレー系142を構成するテレスコープ146に加えて含む、
図1に表す装置110の特定の実施形態と異なる。上で説明したように、アキシコン素子160は、円錐面を有し、これにより光ビーム118をリング状の配光に変換する。その結果、アキシコン素子160は、周辺ビームに対応するように瞳孔を横方向にずらす。
図5及び
図6に概略的に示すように、アキシコン素子160は、波面検出ユニット128の表面150上に別個の領域を生成し、したがって、各別個の領域は、各レンズレットの下に複数の光点を有することなく別々に処理できる1つの個別の光点を含む。
【0114】
図2に関する更なる詳細については、
図1に関して上で説明した装置110の例示的な実施形態を参照することができる。
【0115】
図3は、ユーザの眼112の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置110の更に好ましい実施形態を図示している。そこに概略的に示す装置110の特定の実施形態は、複数の回折次数を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を有する2つの個別の光学格子138、138’の各々が、個別の追加の光路162、162’上に配置された各反射型光学格子136であり、したがって、2つの追加のビームスプリッタ164、164’を必要とするという点において、
図1に表す装置110の特定の実施形態と異なる。本明細書では、第1の個別の光学格子138は、好ましくは、
図1に関して上で説明したように、入射瞳面140に配置され得る。次いで、1つの経線における複数の回折次数が、第1の個別の光学格子138から反射される。更なる広角テレセントリックレンズ168、168’を含む更なるテレスコープ166は、ここでは、入射瞳面140を、第1の個別の光学格子138に対して直交して配向された第2の個別の光学格子138’上にリレーする。反射では、第1の個別の光学格子138により提供される各光ビーム118が再び分割され、2つの経線に複数の回折次数がもたらされる。
【0116】
更に
図3に図示するように、ビームスプリッタ122もまた、ユーザの眼112に近接して配置することができる。しかしながら、この構成では、装置110は、更なる広角テレセントリックレンズ172、172’を有する更なるテレスコープ170を更に含み、更なるテレスコープ170は、入射瞳面140を波面検出ユニット128の表面150にリレーするように設定される。本明細書では、更なる広角テレセントリックレンズ172、172’を含む更なるテレスコープ170は、次に、入射瞳面140をユーザの眼112の瞳孔144にリレーし、光ビーム118の全ての入射光の複数の回折次数は、単一の点に収束する。結果として、ユーザの眼112の網膜114にわたる点光源が生成される。広角テレセントリックレンズ148、148’を含むテレスコープ146は、入射瞳面140を波面検出ユニット128の表面150と共役させ、各偏心度によって生じる光波面がサンプリングされる。
【0117】
図3に関する更なる詳細については、
図1に関して上で説明した装置110の例示的な実施形態を参照することができる。
【0118】
図4は、ユーザの眼112の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置110の更に好ましい実施形態を図示している。この特定の実施形態では、眼球焦点ずれマップは、ユーザの眼112の遠近調節中であっても光波面から決定することができる。
図4に概略的に示すように、装置110は、この目的で、追加の光路176、176’を開く追加のビームスプリッタ174、174’を更に含む。代替案として、装置110は、ダイクロイックミラー(ここでは図示せず)を更に含み得、ダイクロイックミラーは、ロングパスミラーであり、したがって、より短い波長を反射するように設定される。特に、ダイクロイックミラーの1つは、波長の最も短い部分を反射するように設定され、その一方で、ダイクロイックミラーの別の1つは、波長の中間部分を反射するように設定される。結果として、波長の最も長い部分が波面検出ユニット128まで進むことができる。
【0119】
図4の例示的な実施形態では、第1の追加の光路176は、固視標180の焦点を調整するための調節可能レンズ178を含み、調節可能レンズ178は、位相変調器又はBadalレンズに置き換えることができる。更に、第2の追加の光路176’は、ユーザの眼112の瞳孔144の動きを測定すると同時に遠近調節中の固視標180に対するユーザの眼112の瞳孔144の位置を制御するように設定された瞳孔カメラ182を含む。その結果、ユーザの眼112の少なくとも1つの眼球収差は、このように、ユーザの少なくとも一方の眼112の遠近調節の関数として決定することができる。
【0120】
図4に関する更なる詳細については、
図1に関して上で説明した装置110の例示的な実施形態を参照することができる。
【0121】
図5は、正弦波回折格子132の位相変調深さが0.4πの値をとる、複数の回折次数184にわたるエネルギーの広がりを示す図を図示している。上で説明したように、回折次数184は、単一の0次回折次数、2つの1次回折次数のうちの1つ、2つの2次回折次数のうちの1つ、又はより高次の回折次数のうちの1つから選択することができ、回折次数184の測定可能な強度は、各回折次数184の個別の回折効率186に依存する。
図5に概略的に示す図は、1次回折次数を考慮に入れる場合には1回の中心窩測定188及び8回の周辺測定190、又は追加的に2次回折次数を考慮に入れる場合には25回の周辺測定190を実行することを可能にする。本明細書では、位相変調深さの値の増加は、典型的には、より高次の回折次数にシフトするエネルギーバランスをもたらす。光学格子132が正弦波光学格子である場合、複数の回折次数184の回折効率186は、対応する複数の回折次数184に関するベッセル関数を用いて説明することができる。
【0122】
図6は、シャックハルトマン波面センサ130上の複数の回折次数184の空間的分離を示す図を図示している。光ビーム118における複数の回折次数184が入射瞳面140で結合されたときに、シャックハルトマン波面センサ130の各レンズレットは、
図6に概略的に示すように、複数の光点192を生じさせることができる。本明細書では、レンズレットのピッチ及び焦点距離は、好ましくは、シャックハルトマン波面センサ130の表面150上の複数の光点192間のクロストークを最小限に抑えるように、好ましくは完全に防止するように選択される。
図6において、同じ回折次数184に対応する光点194、194’、194’’は、他の回折次数184から隔てられ、個別に処理される。更に、そこに示すグリッド196は、各レンズレットの下のシャックハルトマン波面センサ130の領域を分割する。
【0123】
上記の式1に基づいて、シャックハルトマン波面センサ130についてのパラメータの好ましい例を推定することができる。シャックハルトマン波面センサ130の表面150から入射瞳面140までの2.5倍の倍率を有する光学リレーを用いて、入射瞳面140における±20°の視野と、シャックハルトマン波面センサ130の表面150における±8°の視野とをカバーする2つの経線が得られる。
1mmのレンズレットピッチと、
3mmのレンズレット焦点距離と、
エアリーディスクの計算に使用される850nmの光の波長と
を考慮に入れて、
シャックハルトマン波面センサ130は、9.53°の最大角度を測定することができる。偏心ビームは、8°の傾斜に対応する。したがって、シャックハルトマン波面センサ130のダイナミックレンジは、1.53°の最大波面傾斜に対応することができる。これらのパラメータを選択することにより、レンズレットの下のセンサ領域間のクロストークが発生しない可能性がある。
【0124】
加えて、シャックハルトマン波面センサ130のダイナミックレンジは、例えば、Lundstroem,L.,&Unsbo,P.(2004),Unwrapping Hartmann-Shack images from highly aberrated eyes using an iterative B-spline based extrapolation method,Optometry and Vision Science,81(5),383-388により説明されているように、高度処理方法を用いて改善することができる。
【0125】
図7は、本発明による、ユーザの少なくとも一方の眼112の少なくとも1つの眼球収差を決定するための方法210の好ましい実施形態を概略的に図示している。
【0126】
照明ステップ212では、好ましくは光源116、特にレーザダイオードを用いることにより、光路120に沿った光ビーム118を提供することができる。
【0127】
ステップb)による回折ステップ214では、複数の回折次数168は、複数の回折168次数が、ユーザの眼112内、特に網膜114上で、及び波面検出ユニット128上で空間的に分離される方式で、光ビーム118において2つの経線に生成される。
【0128】
導くステップ216では、複数の回折次数168を含む光ビーム118は、ユーザの少なくとも一方の眼112と波面検出ユニット128とに導くことができる。この目的で、光ビーム118は、2つの部分光ビーム124、126に分割され得、第1の部分光ビーム124は、ユーザの眼112に、特に網膜114に導かれ、特に第2の部分光ビーム126により波面検出ユニット128に向けて、特にシャックハルトマン波面センサ130の表面150に導かれるように、ユーザの眼112から受け取られ得る。
【0129】
ステップa)による測定ステップ218では、光ビーム118が、特に第2の部分光ビーム126が有する光波面は、好ましくはリアルタイムで測定され、これにより、ユーザの眼112内の網膜野の眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ220が、好ましくはユーザの眼112の1回のみの測定で、光波面から決定される。本明細書では、眼球焦点ずれマップ220は、好ましくは、2つの経線において波面検出ユニット128にわたって生成される複数の光点176に関する値、又は、より好ましくは、複数の光点176の間で補間された値を含み得る。加えて、測定を更に改善するために、好ましくは機械学習又は人工知能から選択された、少なくとも1つのアルゴリズムを使用することができる。
【符号の説明】
【0130】
110 ユーザの少なくとも一方の眼の少なくとも1つの眼球収差を決定するための装置
112 眼
114 網膜
116 光源
118 光ビーム
120 光路
122 ビームスプリッタ
124 第1の部分光ビーム
126 第2の部分光ビーム
128 波面検出ユニット
130 シャックハルトマン波面センサ
132 光学格子
134 透過型光学格子
136 反射型光学格子
138、138’ 個別の光学格子
140 入射瞳面
142 光学リレー系
144 瞳孔
146 テレスコープ
148、148’ 広角テレセントリックレンズ
150 表面
152 更なるテレスコープ
154 更なる広角テレセントリックレンズ
156 球面ミラー
158 更なるビームスプリッタ
160 アキシコン素子
162、162’追加の光路
164、164’追加のビームスプリッタ
166 更なるテレスコープ
168、168’ 広角テレセントリックレンズ
170 更なるテレスコープ
170、172’ 広角テレセントリックレンズ
174、174’ 追加のビームスプリッタ
176、176’ 追加の光路
178 調節可能レンズ
180 焦点調整可能な固視標
182 瞳孔カメラ
184 回折次数
186 回折効率
188 中心窩測定
190 周辺測定
192 光点
194、194’... 光点
196 グリッド
210 方法
212 照明ステップ
214 回折ステップ
216 導くステップ
218 測定ステップ
220 眼球焦点ずれマップ
【手続補正書】
【提出日】2022-01-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)であって、
少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記少なくとも1つの光波面から決定される
、波面検出ユニット(128)
と、
複数の回折次数(
184)が前記波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子
と
を含み、
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数(184)及び少なくとも2つの1次回折次数(184)を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される
ことを特徴とする、装置(110)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回折素子は、
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、前記少なくとも1つの単一の回折素子、
少なくとも2つの個別の回折素子であって、各個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記少なくとも2つの経線は、互いに対して直交して配置される、前記少なくとも2つの個別の回折素子、又は
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、前記少なくとも1つの単一の回折素子
の少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回折素子は、光学格子(132)、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の装置(110)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学格子(132)は、透過型光学格子(134)又は反射型光学格子(136)の少なくとも一方から選択される、請求項3に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)
の少なくとも一方を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記ビームスプリッタ(122)は、
前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で、又は
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に近接して
配置され、
前記装置(110)は、前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定された更なる光学リレー系(164)を更に含む、
請求項6に記載の装置(110)。
【請求項8】
前記波面検出ユニット(128)は、シャックハルトマン波面センサ(130)、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、請求項1~7のいずれか1つに記載の装置(110)。
【請求項9】
少なくとも1つの追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項10】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)であって、
a)少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)
が前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で
及び前記波面検出ユニット(128)上で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数(184)及び少なくとも2つの1次回折次数(184)を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される
ことを特徴とする、方法(210)。
【請求項11】
2次元格子を提供する単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成しており、又は
少なくとも2つの個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記少なくとも2つの個別の経線は、互いに直交して配置され、又は
1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されている、
請求項10に記載の方法(210)。
【請求項12】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られる、請求項10又は11に記載の方法(210)。
【請求項13】
前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)の間で補間された値を含む、請求項
12に記載の方法(210)。
【請求項14】
焦点調整可能な固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの追加の光路(176、176’)上に配置され、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記固視標(180)に対する前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の遠近調節中に測定される、請求項10~
13のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項15】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)を、請求項1~
9のいずれか一項に記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記方法(210)は、
a)前記少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(
118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数(184)及び少なくとも2つの1次回折次数(184)を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される
ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、前記眼鏡レンズの前記製造は、レンズブランクを加工することを含み、前記レンズブランクの前記加工は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、請求項
10~
14のいずれか一項に記載の、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差を決定するための前記方法(210)により決定される、方法。
【請求項17】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)であって、
少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記波面検出ユニット(128)
と、
複数の回折次数(
184)が前記波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子
と
を含み、
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られ、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された少なくとも9つの光点(192)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(192)の間で補間された値の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする、装置(110)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの回折素子は、
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、前記少なくとも1つの単一の回折素子、
少なくとも2つの個別の回折素子であって、各個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記少なくとも2つの経線は、互いに対して直交して配置される、前記少なくとも2つの個別の回折素子、又は
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、前記少なくとも1つの単一の回折素子
の少なくとも1つから選択される、請求項
17に記載の装置(110)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの回折素子は、光学格子(132)、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、請求項
17又は
18に記載の装置(110)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光学格子(132)は、透過型光学格子(134)又は反射型光学格子(136)の少なくとも一方から選択される、請求項
19に記載の装置(110)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項
17~
20のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)
の少なくとも一方を含む、請求項
17~
21のいずれか
1つに記載の装置(110)。
【請求項23】
前記ビームスプリッタ(122)は、
前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で、又は
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に近接して
、配置され、
前記装置(110)は、前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定された更なる光学リレー系(164)を更に含む、
請求項
22に記載の装置(110)。
【請求項24】
前記波面検出ユニット(128)は、シャックハルトマン波面センサ(130)、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、請求項
17~
23のいずれか1つに記載の装置(110)。
【請求項25】
少なくとも1つの追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される、請求項
17~
24のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項26】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)であって、
a)少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られ、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された少なくとも9つの光点(192)に関する値又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(192)の間で補間された値の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする、方法(210)。
【請求項27】
2次元格子を提供する単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成しており、又は
少なくとも2つの個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記少なくとも2つの個別の経線は、互いに直交して配置され、又は
1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されている、
請求項
26に記載の方法(210)。
【請求項28】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られる、請求項
26又は
27に記載の方法(210)。
【請求項29】
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び少なくとも2つの1次回折次数を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項30】
焦点調整可能な固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの追加の光路(176、176’)上に配置され、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記固視標(180)に対する前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の遠近調節中に測定される、請求項
26~
29のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項31】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)を、請求項
17~
25のいずれか一項に記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記方法(210)は、
a)前記少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(
118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られ、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された少なくとも9つの光点(192)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(192)の間で補間された値の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項32】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、前記眼鏡レンズの前記製造は、レンズブランクを加工することを含み、前記レンズブランクの前記加工は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、請求項
26~
30のいずれか一項に記載の、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差を決定するための前記方法(210)により決定される、方法。
【請求項33】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)であって、
少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記波面検出ユニット(128)
と、
複数の回折次数(
184)が前記波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子
と、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子であって、前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)と
を含む、前記少なくとも1つの光学素子と
を含み、
前記ビームスプリッタ(122)は、前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で配置される
ことを特徴とする、装置(110)。
【請求項34】
前記少なくとも1つの回折素子は、
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、前記少なくとも1つの単一の回折素子、
少なくとも2つの個別の回折素子であって、各個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記少なくとも2つの経線は、互いに対して直交して配置される、前記少なくとも2つの個別の回折素子、又は
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、前記少なくとも1つの単一の回折素子
の少なくとも1つから選択される、請求項
33に記載の装置(110)。
【請求項35】
前記少なくとも1つの回折素子は、光学格子(132)、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、請求項
33又は
34に記載の装置(110)。
【請求項36】
前記少なくとも1つの光学格子(132)は、透過型光学格子(134)又は反射型光学格子(136)の少なくとも一方から選択される、請求項
35に記載の装置(110)。
【請求項37】
前記波面検出ユニット(128)は、シャックハルトマン波面センサ(130)、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、請求項
33~
36のいずれか1つに記載の装置(110)。
【請求項38】
少なくとも1つの追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される、請求項
33~
37のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項39】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)であって、
a)少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と、
c)前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも1つの光学素子により前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くステップであって、前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)と
を含む、前記導くステップと
を含み、
前記ビームスプリッタ(122)は、前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で配置される
ことを特徴とする、方法(210)。
【請求項40】
2次元格子を提供する単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成しており、又は
少なくとも2つの個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記少なくとも2つの個別の経線は、互いに直交して配置され、又は
1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されている、
請求項
39に記載の方法(210)。
【請求項41】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られる、請求項
39又は
40に記載の方法(210)。
【請求項42】
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び少なくとも2つの1次回折次数を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項43】
前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)の間で補間された値を含む、請求項
42に記載の方法(210)。
【請求項44】
焦点調整可能な固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの追加の光路(176、176’)上に配置され、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記固視標(180)に対する前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の遠近調節中に測定される、請求項
39~
43のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項45】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)を、請求項
33~
38のいずれか一項に記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記方法(210)は、
a)前記少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(
118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と、
c)前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも1つの光学素子により前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くステップであって、前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144)面上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)と
を含む、前記導くステップと
を含み、
前記ビームスプリッタ(122)は、前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で配置される
ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項46】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、前記眼鏡レンズの前記製造は、レンズブランクを加工することを含み、前記レンズブランクの前記加工は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、請求項
39~
44のいずれか一項に記載の、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差を決定するための前記方法(210)により決定される、方法。
【請求項47】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための装置(110)であって、
少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するように設定された波面検出ユニット(128)であって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記波面検出ユニット(128)
と、
複数の回折次数(
184)が前記波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するように設定された少なくとも1つの回折素子
と
を含み、
前記装置は、少なくとも1つの追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される
ことを特徴とする、装
置。
【請求項48】
前記少なくとも1つの回折素子は、
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成するように設定された2次元格子を提供する、前記少なくとも1つの単一の回折素子、
少なくとも2つの個別の回折素子であって、各個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記少なくとも2つの経線は、互いに対して直交して配置される、前記少なくとも2つの個別の回折素子、又は
少なくとも1つの単一の回折素子であって、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成するように設定された1次元格子を提供し、前記単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されるように設定される、前記少なくとも1つの単一の回折素子
の少なくとも1つから選択される、請求項
47に記載の装置(110)。
【請求項49】
前記少なくとも1つの回折素子は、光学格子(
134)、ホログラム、又はデジタル光変調素子の少なくとも1つから選択される、請求項
47又は
48に記載の装置(110)。
【請求項50】
前記少なくとも1つの光学格子(132)は、透過型光学格子(134)又は反射型光学格子(136)の少なくとも一方から選択される、請求項
49に記載の装置(110)。
【請求項51】
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)と波面検出ユニット(128)とに導くように設定された少なくとも1つの光学素子を更に含む、請求項
47~
50のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項52】
前記少なくとも1つの光学素子は、
前記少なくとも1つの光ビーム(118)を少なくとも2つの部分光ビーム(124、126)に分割するように設定されたビームスプリッタ(122)であって、前記部分光ビーム(124)の少なくとも1つは、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に導かれる、前記ビームスプリッタ(122)と、
入射瞳面(140)を前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の瞳孔(144
)上にリレーするように設定された光学リレー系(142)であって、前記少なくとも1つの回折素子は、前記入射瞳面(140)に配置される、前記光学リレー系(142)
の少なくとも一方を含む、請求項
47~
51のいずれか
1つに記載の装置(110)。
【請求項53】
前記ビームスプリッタ(122)は、
前記同じ光学リレー系(142)が前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定される方式で、又は
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)に近接して、配置され、
前記装置(110)は、前記入射瞳面(140)を前記波面検出ユニット(128)の表面(150)平面にリレーするように設定された更なる光学リレー系(164)を更に含む、
請求項
52に記載の装置(110)。
【請求項54】
前記波面検出ユニット(128)は、シャックハルトマン波面センサ(130)、偏心波面の少なくとも1つの点広がり関数を測定するように設定されたカメラ、円形レンズレットアレイ収差測定器、ピラミッド波面センサ、位相素子に基づく波面センサ、光線追跡収差測定器の少なくとも1つから選択される、請求項
47~
53のいずれか1つに記載の装置(110)。
【請求項55】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)であって、
a)少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される
ことを特徴とする、方法(210)。
【請求項56】
2次元格子を提供する単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を前記2つの経線に生成しており、又は
少なくとも2つの個別の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記少なくとも2つの個別の経線は、互いに直交して配置され、又は
1次元格子を提供する少なくとも1つの単一の回折素子は、前記複数の回折次数(
184)を1つの経線に生成しており、前記複数の回折次数(
184)が前記2つの経線に提供される方式で回転されている、
請求項
55に記載の方法(210)。
【請求項57】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の焦点ずれ又は前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の網膜野にわたる等価球面の少なくとも一方を測定することにより決定され、これにより、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内の前記網膜野の前記眼球収差を表す眼球焦点ずれマップ(220)が得られる、請求項
55又は
56に記載の方法(210)。
【請求項58】
前記複数の回折次数(184)は、各経線において少なくとも1つの0次回折次数及び少なくとも2つの1次回折次数を含み、これにより、少なくとも9つの光点(192)が、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成される、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項59】
前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記2つの経線において前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)に関する値、又は前記波面検出ユニット(128)にわたって生成された前記少なくとも9つの光点(176)の間で補間された値を含む、請求項
58に記載の方法(210)。
【請求項60】
焦点調整可能な固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの追加の光路(176、176’)上に配置され、前記眼球焦点ずれマップ(220)は、前記固視標(180)に対する前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の遠近調節中に測定される、請求項
55~
59のいずれか一項に記載の方法(210)。
【請求項61】
ユーザの少なくとも一方の眼(112)の眼球収差を決定するための方法(210)を、請求項
47~
54のいずれか一項に記載の装置に実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記方法(210)は、
a)前記少なくとも1つの光ビーム(118)が有する少なくとも1つの光波面を測定するステップであって、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の眼球収差は、前記測定するステップにより、前記少なくとも1つの光波面から決定される、前記測定するステップ
と、
b)複数の回折次数(
184)が波面検出ユニット(128)上で及び前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)内で空間的に分離される方式で、前記少なくとも1つの光ビーム(
118)における前記複数の回折次数(
184)を2つの経線に生成するステップ
と
を含み、
追加の光路(176、176’)を更に含み、固視標(180)及び瞳孔カメラ(182)の少なくとも一方は、前記追加の光路(176、176’)上に配置される
ことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【請求項62】
前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)用の少なくとも1つの眼鏡レンズを製造するための方法であって、前記眼鏡レンズの前記製造は、レンズブランクを加工することを含み、前記レンズブランクの前記加工は、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の少なくとも1つの眼球収差を補償するように構成された命令に基づき、前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差は、請求項
55~
60のいずれか一項に記載の、前記ユーザの前記少なくとも一方の眼(112)の前記眼球収差を決定するための前記方法(210)により決定される、方法。
【国際調査報告】