IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 北京京▲東▼方▲伝▼感技▲術▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-マイクロ流体チップ 図1
  • 特表-マイクロ流体チップ 図2
  • 特表-マイクロ流体チップ 図3
  • 特表-マイクロ流体チップ 図4
  • 特表-マイクロ流体チップ 図5
  • 特表-マイクロ流体チップ 図6
  • 特表-マイクロ流体チップ 図7
  • 特表-マイクロ流体チップ 図8
  • 特表-マイクロ流体チップ 図9
  • 特表-マイクロ流体チップ 図10
  • 特表-マイクロ流体チップ 図11
  • 特表-マイクロ流体チップ 図12
  • 特表-マイクロ流体チップ 図13
  • 特表-マイクロ流体チップ 図14
  • 特表-マイクロ流体チップ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】マイクロ流体チップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20230602BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514564
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2021074457
(87)【国際公開番号】W WO2021227567
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/090005
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】520177079
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲伝▼感技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE SENSOR TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room C-301,C-302,Floor3,Area C,Building 2, No.8 Xihuanzhong Rd.,BDA,Beijing 100176, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】古 ▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲瑩▼▲瑩▼
(72)【発明者】
【氏名】姚 文▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】樊 博麟
(72)【発明者】
【氏名】高 涌佳
(72)【発明者】
【氏名】魏 秋旭
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058EA14
(57)【要約】
本発明はマイクロ流体チップを提供し、生物検出技術分野に属する。マイクロ流体チップは、液体貯蔵ゾーンと検出ゾーンとを有する中間領域と周辺領域とに分けられ、第1、第2の基板を備え、第1の基板が第1のベースと第1の電極層とを含み、第2の基板が第2のベースと第2の電極層とを含み、第1のベースの第2の基板の側に、液体貯蔵ゾーンに位置する液体貯蔵タンクと液体流入孔とが形成され、液体貯蔵タンクは、第1の基板厚さ方向に沿って液体貯蔵ゾーンの検出ゾーンを向く断面と平行に検出ゾーンに接近する第1の側辺を有し、第1の側辺は第1、第2のエンドポイントを有し、第1のエンドポイントは第2のエンドポイントより第2の基板から離れ、これらエンドポイントを結ぶ線の延在方向は液体流入孔の軸方向に傾斜して設けられ、第1のエンドポイントから液体流入孔の軸線までの距離は第2のエンドポイントから液体流入孔の軸線までの距離よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯蔵ゾーンと検出ゾーンとを有する中間領域と、前記中間領域を取り囲む周辺領域とに分けられ、対向して設けられた第1の基板と第2の基板とを備え、前記第1の基板が第1のベースと、前記第1のベースの前記第2の基板を向いた一側に設けられた第1の電極層とを含み、前記第2の基板が第2のベースと、前記第2のベースの前記第1の基板を向いた一側に設けられた第2の電極層とを含むマイクロ流体チップであって、
前記第1のベースの前記第2の基板を向いた一側には、液体貯蔵タンクと、前記液体貯蔵タンクの底面を貫通する液体流入孔とが形成され、前記液体貯蔵タンクと前記液体流入孔とはいずれも前記液体貯蔵ゾーンに位置し、
前記液体貯蔵タンクは、前記第1の基板の厚さ方向に沿い、かつ、前記液体貯蔵ゾーンの前記検出ゾーンを指向する方向の断面と平行になるように、前記検出ゾーンに接近する第1の側辺を有し、前記第1の側辺は第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとを有し、前記第1のエンドポイントは前記第2のエンドポイントよりも前記第2の基板から離れ、前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向は前記液体流入孔の軸方向に対して傾斜して設けられ、かつ、前記第1のエンドポイントから前記液体流入孔の軸線までの距離は前記第2のエンドポイントから前記液体流入孔の軸線までの距離よりも小さい、マイクロ流体チップ。
【請求項2】
前記第1の側辺は直線形側辺である、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項3】
前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向と、前記液体流入孔の軸方向が交差する夾角はθであり、前記θの取り得る値は30°~60°である、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項4】
前記第2の電極層の前記第2のベースから離れた側の層には層間誘電体層が設けられ、前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向と、前記液体流入孔の軸方向が交差する夾角はθであり、
tanθ>2d(F-G)/ε0・εr・V2であって、そのうち、ε0は真空誘電率を表し、εrは層間誘電体層比誘電率を表し、dは前記層間誘電体層の厚さであり、Fは、検出される液滴に前記層間誘電体層が与える支持力を表し、Gは検出される液滴の重力を表し、Vは第2の電極層によって印加される電圧値を表す、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項5】
前記液体流入孔は第1のポートと第2のポートとを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影と、前記第2のベース上での前記第2の電極層の正投影とが、少なくとも部分的に重複する、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項6】
前記第2のベース上での前記第2の電極層のエッジの正投影が前記第2のベース上での第1のポートの正投影の中心を貫通するか、または
前記第2のベース上での前記第2の電極層のエッジの正投影と、前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影のエッジとが相接する、請求項4に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項7】
前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記第2のベース上での前記第2のポートの正投影が前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影を覆う、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項8】
前記液体流入孔と同軸に設けられた液体流入柱をさらに備え、前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記液体流入柱は、対向して設けられた第3のポートと第4のポートを含み、前記液体流入柱の第3のポートは前記液体流入孔の第2のポートと接続する、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項9】
前記液体流入孔と同軸に設けられた液体流入柱をさらに備え、前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記液体流入柱は、対向して設けられた第3のポートと第4のポートを含み、前記第2のベース上での前記液体流入柱の第3のポートの正投影は第2のベース上での前記第4のポートの正投影内に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項10】
前記液体流入孔の第1のポートと第2のポートの孔径が同一である、請求項8または9に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項11】
前記第1の基板と前記第2の基板との間には、前記周辺領域に位置し、かつ、前記中間領域を取り囲むシーラントが設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項12】
前記第1のベースの前記第2の基板に接近する一側には第1の収容溝が形成され、前記シーラントは第1の収容溝内に形成される、請求項11に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項13】
前記第1の基板と前記第2の基板との間には、周辺領域に位置し、第1の電極層と前記第2の基板上の接続用パッドを電気的接続するための導電性部材が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項14】
前記第1のベースの前記第2の基板に接近する一側には第2の収容溝が形成され、前記導電性部材は第2の収容溝内に設けられている、請求項13に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項15】
前記第1の基板と第2の基板との間には、第1の基板と第2の基板との間の箱厚を維持するための支持構造が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項16】
前記第1のベース上には、厚さ方向に沿って前記第1のベースを貫通する排気口が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項17】
前記第1の電極層の前記第2の基板に接近する一側には第1の疏液層が設けられ、
前記第2の電極層の前記第1の基板に接近する一側には第2の疏液層が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物検出技術分野に属し、具体的には、マイクロ流体チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体制御技術は、微小液滴の精密な制御および操作を実現できる。誘電体湿潤技術に基づくデジタル微小流体制御は、電気信号駆動を採用し、強力な駆動力、簡便な操作、簡単なチップ構造、高度な自動化などの利点を有し、ラボオンチップシステムの重要な構成要素である。
【0003】
デジタルマイクロマイクロ流体チップ(Digital Microfluidics、DMF)は、疎水性の表面上での液滴のエレクトロウェッティング原理を利用し、電極アレイに制御信号を印加することによって、液滴の接触角を変化させ、液滴に対する精密な制御を実現する。従来の流路型マイクロ流体チップと比較して、デジタルマイクロ流体チップの電力源は電気信号に由来し、マイクロポンプ、マイクロバルブ、及びその他の可動部品を必要とせず、チップ構造及び制御が簡単であり、複雑なマイクロチャネルがなく、液滴移動経路をタイミング制御することにより、複数の微小液滴を並行操作してスループットを向上させることができ、また、試薬の消費がより少なく、デジタルマイクロ流体チップは、分析スケール、応答速度、及び高スループットなどの方面の大きな利点を以て、生物学、化学、医学等の分野において、広く研究及び応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存在する技術課題の1つを少なくとも解決し、マイクロ流体チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例は、液体貯蔵ゾーンと検出ゾーンとを有する中間領域と、中間領域を取り囲む周辺領域とに分けられ、対向して設けられた第1の基板と第2の基板とを備え、前記第1の基板が、第1のベースと、第1のベースの前記第2の基板を向いた一側に設けられた第1の電極層と、第1の疏液層を含み、前記第2の基板が、第2のベースと、前記第2のベースの前記第1の基板を向いた一側に設けられた第2の電極層と、第2の疏液層とを含むマイクロ流体チップであって、
前記第1のベースの前記第2の基板を向いた一側には、液体貯蔵タンクと、前記液体貯蔵タンクの底面を貫通する液体流入孔とが形成され、前記液体貯蔵タンクと前記液体流入孔はいずれも前記液体貯蔵ゾーンに位置し、
前記液体貯蔵タンクは、前記第1の基板厚さ方向に沿い、かつ、前記液体貯蔵ゾーンの前記検出ゾーンを指向する方向の断面と平行になるように、前記検出ゾーンに接近する第1の側辺を有し、前記第1の側辺は第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとを有し、前記第1のエンドポイントは前記第2のエンドポイントよりも前記第2の基板から離れ、前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向は前記液体流入孔の軸方向に対して傾斜して設けられ、かつ、前記第1のエンドポイントから前記液体流入孔の軸線までの距離は前記第2のエンドポイントから前記液体流入孔の軸線までの距離よりも小さいマイクロ流体チップを提供する
【0006】
そのうち、前記第1の側辺は直線形側辺である。
【0007】
そのうち、前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向と、前記液体流入孔の軸方向が交差する夾角はθであり、θの取り得る値は30°~60°である。
【0008】
そのうち、前記第2の電極層の前記第2のベースから離れた側の層には層間誘電体層が設けられ、前記第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントとを結ぶ線の延在方向と、前記液体流入孔の軸方向が交差する夾角はθであり、
tanθ>2d(F-G)/ε0・εr・V2であり、そのうち、ε0は真空誘電率を表し、εrは層間誘電体層比誘電率を表し、dは前記層間誘電体層の厚さであり、Fは、検出される液滴に前記層間誘電体層が与える支持力を表し、Gは検出される液滴の重力を表し、Vは第2の電極層によって印加される電圧値を表す。
【0009】
そのうち、前記液体流入孔は第1のポートと第2のポートとを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影と、前記第2のベース上での前記第2の電極層の正投影とは、少なくとも部分的に重複する。
【0010】
そのうち、前記第2のベース上での前記第2の電極層のエッジの正投影が前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影の中心を貫通するか、または
前記第2のベース上での前記第2の電極層のエッジの正投影と、前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影のエッジとが接触する。
【0011】
そのうち、前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記第2のベース上での前記第2のポートの正投影が前記第2のベース上での前記第1のポートの正投影を覆う。
【0012】
そのうち、前記液体流入孔と同軸に設けられた液体流入柱をさらに備え、前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記液体流入柱は、対向して設けられた第3のポートと第4のポートを含み、前記液体流入柱の第3のポートは前記液体流入孔の第2のポートと接続する。
【0013】
そのうち、前記液体流入孔と同軸に設けられた液体流入柱をさらに備え、前記液体流入孔は、対向して設けられた第1のポートと第2のポートを含み、かつ、前記液体流入孔は前記第1のポートを介して前記液体貯蔵タンクと連通し、前記液体流入柱は、対向して設けられた第3のポートと第4のポートを含み、前記第2のベース上での前記液体流入柱の第3のポートの正投影は第2のベース上での前記第4のポートの正投影内に位置する。
【0014】
そのうち、前記液体流入孔の第1のポートと第2のポートの孔径が同一である。
【0015】
そのうち、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、前記周辺領域に位置し、かつ、前記中間領域を取り囲むシーラントが設けられている。
【0016】
そのうち、前記第1のベースの前記第2の基板に接近する一側には第1の収容溝が形成され、前記シーラントは第1の収容溝内に形成される。
【0017】
そのうち、前記第1の基板と前記第2の基板との間には、周辺領域に位置し、第1の電極層と前記第2の基板上の接続用パッドを電気的接続するための導電性部材が設けられている。
【0018】
そのうち、前記第1のベースの前記第2の基板に接近する一側には第2の収容溝が形成され、前記導電性部材は第2の収容溝内に設けられている。
【0019】
そのうち、前記第1の基板と第2の基板との間には、第1の基板と第2の基板との間の箱厚を維持するための支持構造が設けられている。
【0020】
そのうち、前記第1のベース上には、厚さ方向に沿って前記第1のベースを貫通する排気口が設けられている。
【0021】
そのうち、前記第1の電極層の前記第2の基板に接近する一側には第1の疏液層が設けられ、前記第2の電極層の前記第2の基板に接近する一側には第2の疏液層が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの平面図である。
図2図2は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの断面図である。
図3図3は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。
図4図4は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。
図5図5は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの平面図である。
図6図6は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。
図7図7は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップにおける第2の電極層と液体流入孔の位置関係図である。
図8図8は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップにおける第2の電極層と液体流入孔の位置関係図である。
図9図9は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップにおける第2の電極層と液体流入孔の位置関係図である。
図10図10は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
図11図11は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
図12図12は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
図13図13は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
図14図14は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
図15図15は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップが液滴を分割する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者が本発明の技術案をよりよく理解するために、以下に、図面および具体的な実施の形態を組み合わせて本発明についてさらに詳細に説明する。
【0024】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語または科学用語は、当業者が理解できる通常の意味であるべきである。本開示で使用される「第1の」、「第2の」および類似する用語は、任意の順序、量、または重要性を意味せず、異なる組成部分を区別するためだけに使用される。同様に、「1つの」、「1つ」、または「当該」などの類似用語も、数量の限定を意味せず、少なくとも1つ存在することを意味する。「備える」または「含む」などの類似用語は、この用語の前の要素または部品が、この用語の後の要素または部品およびその等価物を包含し、他の要素または部品を排除しないということを意味する。「接続される」または「連通する」などの用語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接または間接的なものに関わらず、電気的接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対的な位置関係を示すだけに使用され、記述される対象の絶対的位置が変化した後、それに応じて相対的な位置関係も変化する場合がある。
【0025】
図1は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの平面図であり、図2は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの模式図である。図1と2に示すように、本開示の実施例は、中間領域Q1と中間領域Q1を取り囲む周辺領域Q2とに分けられ、中間領域Q1が複数のテストユニット10を含み、各テストユニット10が液体貯蔵ゾーンQ11と検出ゾーンQ12を含むマイクロ流体チップを提供し、そのうち、マイクロ流体チップにおける複数のテストユニット10はアレイ状に配置されてよいが、これに限定されない。本開示の実施例によるマイクロ流体チップは、対向して設けられた第1の基板と第2の基板を含み、そのうち、第1の基板は第1のベース11と、第1のベース11の第2の基板を向いた一側に設けられた第1の電極層12と、第1の疏液層とを含み、第1の電極層12と第1の疏液層は中間領域Q1と周辺領域Q2を覆い、第2の基板は、第2のベース21と、第2のベース21の第1の基板を向いた一側に設けられた第2の電極層22と、第2の疏液層とを含む。
【0026】
図2は、図1に示すマイクロ流体チップを、その厚さ方向に沿い、かつ、液体貯蔵ゾーンQ11の検出ゾーンQ12を指向する方向と平行に切断した断面である。図2を参照すると、第1のベース11上には、第2の基板を向いた液体貯蔵タンク112と、液体貯蔵タンク112と連通する液体流入孔111とを含み、かつ、当該液体貯蔵タンク112と液体流入孔111はいずれも液体貯蔵ゾーンQ11に位置する。図2に示すように、液体貯蔵タンク112の断面は、対向して設けられた第1の側辺L1と、第2の側辺と、底辺とを有し、そのうち、第1の側辺L1は第2の側辺よりも検出ゾーンQ12に接近し、かつ、第1の側辺L1は底辺に対して傾斜して設けられている。具体的に、第1の側辺L1は、対向して設けられた第1のエンドポイントと第2のエンドポイントを有し、第1のエンドポイントは第2のエンドポイントよりも第2の基板から離れている。例えば、第1のエンドポイントは第1の側辺L1と底辺を接続するノードであり、第2のエンドポイントは、第1の側辺の別のエンドポイントである。第1のエンドポイントから液体流入孔111軸線までの距離は第2のエンドポイントから液体流入孔111軸線までの距離よりも小さい。言い換えれば、第1の側辺L1の第1のエンドポイントと第2のエンドポイントを結ぶ線の延在方向(第1の側辺L1の向き)は液体貯蔵ゾーンQ11から検出ゾーンQ12へ傾斜して移行するものである。
【0027】
図2に示す、液体貯蔵タンク112の断面の第1の側辺L1の向きが液体貯蔵ゾーンQ11から検出ゾーンQ12へ移行するものであるため、つまり、液体貯蔵タンク112の側壁の検出ゾーンQ12に接近する一側のルーティングは傾斜するものであり、液体貯蔵タンク112の底面に対して垂直に設けられるものではない。これによって、反応液体が液体流入孔111を介して液体貯蔵ゾーンQ11に流入した後、検出ゾーンQ12へ液滴が移行する運動抵抗を低減することができる。
【0028】
いくつかの例では、図2に示す液体貯蔵タンク112の断面の第1の側辺L1の向き(つまり、第1のエンドポイントと第2のエンドポイントを結ぶ線)と液体流入孔111の軸方向とが交差する夾角はθであり、θは30°~60°、好ましくは45°であり、液体貯蔵タンク112の側壁傾角を合理的に設定することによって、液滴が移動する際の運動抵抗を有効に低減することができる。
【0029】
いくつかの例において、マイクロ流体チップは、第2の電極層22の第2のベース21から背離した一側に設けられた層間誘電体層23をさらに含み、第1の側辺L1の第1のエンドポイントと前記第2のエンドポイントを結ぶ線の延在方向と液体流入孔111の軸方向とが交差する夾角はθであり、tanθ>2d(F-G)/ε0・εr・V2となる。そのうち、ε0は真空誘電率を表し、εrは層間誘電体層比誘電率を表し、dは層間誘電体層23の厚さであり、Fは、検出される液滴に層間誘電体層23が与える支持力を表し、Gは検出される液滴の重力を表し、Vは第2の電極層によって印加された電圧値を表す。そのうち、層間誘電体層は、単層フィルム層、例えば、ポリイミドフィルム層であってよい。もちろん、層間誘電体層は、ポリイミドフィルム層と疏液層の複合フィルム層であってもよい。
【0030】
いくつかの例において、第1のベース11上の液体貯蔵タンク112は、4つの側壁と1つの底壁を有する矩形溝に近似するものであってよく、1つの側壁と1つの底壁だけを有する円柱形溝に近似するものであってもよい。本実施例では、液体貯蔵タンク112が4つの側壁と1つの底壁を有することを例として説明する。例えば、液体貯蔵ゾーンQ11の検出ゾーンQ12を指向する方向に対向して設けられた2つの側壁をそれぞれ第1の側壁と第2の側壁とし、対向して設けられたもう一つのペアの側壁を第3の側壁と第4の側壁とし、そのうち、第2の側壁、第3の側壁、第4の側壁と底壁との間の二面角はいずれも90°であるか、または略90°であり、第1の側壁と底壁との間の二面角は鈍角であり、好ましい範囲は120°~150°である。例えば、第1の側壁と底壁との間の二面角は135°である。なお、前記二面角はいずれも液体貯蔵タンク112の内角を指す。もちろん、本開示の実施例において第2の側壁、第3の側壁、第4の側壁は底壁に対していずれも傾斜して設けられてよく、いくつかの実施例において、第2の側壁、第3の側壁、第4の側壁と底壁との二面角はいずれも第1の側壁と底壁との間の二面角と等しくてもよい。
【0031】
図2参照すると、いくつかの例において、液体貯蔵タンク112の側壁は滑らかな表面を有し、この時、液体貯蔵タンク112の断面の第1の側辺L1は直線形側辺である。当然ながら、液体貯蔵タンク112の側壁の表面は、液体貯蔵タンク112の断面の第1の側辺L1の向きが液体貯蔵ゾーンQ11から検出ゾーンQ12へ移行することが保証されれば、例えば、側壁上に段差構造を有するというように、滑らかに形成されていなくてもよい。
【0032】
いくつかの例において、液体貯蔵タンク112の深さは約200μm~500μmであり、体積は5μl~1000μlである。液体貯蔵タンク112の深さを合理的に設計することにより反応液の蓄積量を増やし、検出ゾーンQ12への試薬の取り込み量を増大させるとともに、手動による試料投入の回数を効果的に減少させることができる。
【0033】
本開示の実施例において液体流入孔111は液体貯蔵タンク112の底壁を貫通し、液体流入孔111は円筒状、円錐状、円筒状と円錐状の組み合わせなどであってよい。当然ながら、反応液体を液体貯蔵タンク112に滴下しやすいように、液体流入孔111の形状を反応液体のガンヘッド形状にさらに合わせる必要がある。以下では、本開示の実施例における液体流入孔111について具体的に説明する。
【0034】
一例において、図2に示すように、当該マイクロ流体チップは、上記構造のみならず、液体流入柱100をさらに備え、図7に示すように、液体流入孔111は対向して設けられた第1のポート1111と第2のポート1112を含み、液体流入柱100は対向して設けられた第3のポート1001と第4のポート1002を含む。そのうち、液体流入孔111はその第1のポート1111を介して液体貯蔵タンク112と連通し、第2のポート1112を介して液体流入柱100と連通し、かつ、液体流入孔111の第2のポート1112と、液体流入柱100の第3のポート1001とはポートが共通である。例えば、液体流入孔111と液体流入柱100は一体構造である。さらなる一体構造となっている液体流入孔111と液体流入柱100は反応液体のガンヘッドに適合する。具体的に、液体流入孔111はガンヘッドのドリップ端に適合し、液体流入柱100はガンヘッドの本体部に適合する。例えば、液体流入孔111は円柱形であり、液体流入柱100は逆円錐形であり、つまり、第2のベース21上での液体流入孔111の第4のポート1002の正投影は、第2のベース21上での、その第3のポート1001の正投影を覆う。いくつかの例では、ガンヘッドのドリップ端と合わせるために、液体流入孔111の孔径を約0.9mmとする。いくつかの例において、液体流入柱100は第1のベース11と一体構造とすることができ、例えば、射出成形の方法で第1のベース11と液体流入柱100が形成される。
【0035】
別の例において、図3は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。図3に示すように、当該マイクロ流体チップは、対向して設けられた第3のポート1001と第4のポート1002を含む液体流入柱100をさらに備え、液体流入孔111は対向して設けられた第1のポート1111と第2のポート1112を含む。そのうち、液体流入孔111は、その第1のポート1111を介して液体貯蔵タンク112と連通し、第2のポート1112を介して液体流入柱100と連通する。例えば、液体流入孔111と液体流入柱100はいずれも円柱形構造が採用され、かつ、液体流入孔111の孔径は液体流入柱100の孔径よりも小さく、つまり、第2のベース21上での液体流入柱100の第3のポート1001の正投影は、第2のベース21上での液体流入孔111の第2のポート1112の正投影を覆い、これによって、反応液体は大孔径の液体流入柱100を介して小孔径の液体流入孔111に流入し、そして液体貯蔵タンク112に流入し、反応液体は小孔径の液体流入孔111を経由することで反応液体の滴下速度を緩和することができ、これによって、液体貯蔵タンク112における反応液体が堆積して効率的に移動できないという問題が生じるのを回避することができる。いくつかの例において、液体流入柱100は第1のベース11と一体構造としてよく、例えば、射出成形の方法で第1のベース11と液体流入柱100とが形成される。
【0036】
別の例において、図4は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。図4に示すように、第1のベース11上での液体流入孔111は対向して設けられた第1のポート1111と第2のポート1112を有し、そのうち、液体流入孔111の第1のポート1111は液体貯蔵タンク112と連通し、かつ、第2のポート1112の第1のポート1111を指向する方向において、液体流入孔111の第1のポート1111に接近する孔径は第2のポート1112に接近する孔径以下である。例えば、液体流入孔111は、同軸上に設けられた、円柱形である第1のサブスルーホールと、逆円錐形である第2のサブスルーホールとを含み、第1のサブスルーホールは、一端が液体貯蔵タンク112と連通し、他端が第2のサブスルーホールと連通する。また、第1のサブスルーホールと第2のサブスルーホールは一体構造となっており、かつ、ガンヘッドのドリップ端に適合する。
【0037】
いくつかの例において、図5は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの平面図であり、図6は本開示の実施例による別のマイクロ流体チップの断面図である。図5と6に示すように、図1、2に記載のマイクロ流体チップとの相違点は、マイクロ流体チップの第1の基板と第2の基板との間には、第1の基板と第2の基板との間の箱の厚さを維持するために支持構造40がさらに設けられるということだけであり、その残りの構造は図1と2に示すマイクロ流体チップ構造とほぼ同一であるため、ここでは、詳細に説明しない。そのうち、支持構造40の数は複数であってよく、複数の支持構造40は間隔をおいて設けられている。例えば、複数の支持構造40は、第1の基板と第2の基板との間の箱の厚さを均一にさせるために、アレイ状に配置されている。支持構造40の厚さは約100μm~500μmであってよく、当然ながら、具体的に、第1の基板と第2の基板との間の箱の厚さの要求に応じて設定することができる。支持構造40の形状は、円筒形、楕円形などであってよい。本開示の実施例では支持構造40の形状について限定しない。
【0038】
いくつかの例では、第1のベース11上の液体流入孔111に上記のどの構造が採用されるかに関わらず、第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影と第2のベース21上での第2の電極層22の正投影は少なくとも部分的に重複し、言い換えれば、第2の電極層22に電圧が印加された後に反応液体の移動を牽引できることを確保するために、液体流入孔111を介して液体貯蔵タンク112に流入した反応液体は第2の電極層22と接触することができる。例えば、第2のベース21上での第2の電極層22のエッジの正投影は第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影の中心を貫通するか、または第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影は第2のベース21上での第2の電極層22の正投影のエッジと接触する。
【0039】
以下に、液体流入孔111と第2の電極層22との位置関係模式図を例示的に3つ示す。そのうち、図では、液体流入孔111の第1のポート1111が円形ポートであることのみを例として説明し、もちろん、液体流入孔111の第1のポート1111はその他の形状、例えば、矩形、楕円形などであってもよいと理解されるべきである。
【0040】
一例において、図7は、本開示の実施例によるマイクロ流体チップにおける第2の電極層22と液体流入孔111の位置関係図である。図7に示すように、第2の電極層22は液体貯蔵ゾーンQ11に位置する第1の電極群と、検出ゾーンQ12に位置する第2の電極群とを含んでもよく、第1の電極群は複数の第1のサブ電極221を含み、第2の電極群は複数の第2のサブ電極222と複数の第3のサブ電極223とを含む。そのうち、複数の第1のサブ電極221は、液体貯蔵ゾーンQ11の検出ゾーンQ12を指向する方向に並び、かつ、間隔を空けて設けられ、第1のサブ電極221はストライプ状(矩形状)の電極を含むが、これに限定されない。複数の第2のサブ電極222は、液体貯蔵ゾーンQ11の検出ゾーンQ12を指向する方向に並び、かつ、間隔を空けて設けられ、第2のサブ電極222はブロック状(正方形状)の電極を含むが、これに限定されない。複数の第3のサブ電極223は、液体貯蔵ゾーンQ11の検出ゾーンQ12を指向する方向に垂直な方向に第2のサブ電極222と間隔を空けて設けられ、かつ、第3のサブ電極223は検出ゾーンQ12の液体貯蔵ゾーンQ11に接近する一側に位置し、第3のサブ電極223はストライプ状(矩形状)の電極を含むが、これに限定されない。なお、図6では、第2の電極層22における各サブ電極の形状及び配置方式を例示したが、実際の製品における各サブ電極の形状はこれに限定されず、他の任意の形状を採用することもできる。図7を引き続き参照すると、第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影は、第2のベース21上での、第1の電極群のうち第2の電極群から最も離れた第1のサブ電極221の正投影に内接し、この場合に、液体流入孔111から滴下された反応液体は第2の電極層22上に直接滴下させることができ、これによって、第1のサブ電極221に電圧を印加すると、反応液体の移動を効果的に牽引することができる。いくつかの例において、液体貯蔵タンク112の第1の側辺L1の第2のエンドポイントは、液体貯蔵ゾーンQ11の第1の電極群と、検出ゾーンQ12に位置する第2の電極群との間に位置し、第1の側辺L1の反対側の側辺の延長線は液体流入孔111の孔壁を貫通する。
【0041】
別の例において、図8は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップにおける第2の電極層22と液体流入孔111との位置関係図である。図8に示すように、当該マイクロ流体チップにおける第2の電極層22の構造は図5と同一の構造が採用され、相違点は、第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影の中心は、第2のベース21上での、第1の電極群のうち第2の電極群から最も離れた第1のサブ電極221の正投影のエッジに位置するということである。この場合、液体流入孔111から滴下された反応液体における少なくとも一部は第2の電極層22上に直接滴下させることができ、これによって、第1のサブ電極221に電圧を印加すると、反応液体の移動を効果的に牽引することができる。
【0042】
別の例において、図9は、本開示の実施例による別のマイクロ流体チップにおける第2の電極層22と液体流入孔111の位置関係図である。図9に示すように、当該マイクロ流体チップにおける第2の電極層22の構造は図5と同一の構造が採用され、相違点は、第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影は、第2のベース21上の、第1の電極群のうち第2の電極群から最も離れた第1のサブ電極221の正投影に外接するということであり、この場合、液体流入孔111から滴下された反応液体は第2の電極層22のエッジに接触し、これによって、第1のサブ電極221に電圧を印加すると、反応液体の移動を効果的に牽引することができる。
【0043】
なお、上記において液体流入孔111と第2の電極層22との位置関係模式図を例示的に3つのみ示したが、実際の適用では第2のベース21上での液体流入孔111の第1のポート1111の正投影と、第2の電極層22のエッジとの間には一定の距離があってよいが、この距離は、第2の電極層22への電圧の印加によって生成される電場力が、液体流入孔111を介して滴下された反応液体を検出ゾーンQ12に向けて移動させることができるものでなければならない。
【0044】
いくつかの例において、マイクロ流体チップの第1の基板と第2の基板との間には、マイクロ流体チップを封止するのに使用され、周辺領域Q2に位置するシーラント200が設けられている。そのうち、シーラント200はUV接着剤または両面テープを含むが、これに限定されない。また、第1の基板と第2の基板は、反応液の微液滴の生成、分裂等を行うための空間を提供するために、箱に対して一定の箱厚を有し、反応液の揮発の回避および駆動電圧の低下のために、第1の基板と第2の基板との間にシリコーンオイルとフッ素化液が充填されるのが一般的である。いくつかの例では、シーラント200がシリコーンオイルおよびフッ素化液と反応することを回避するために、第1のベース11の周辺領域Q2には中間領域Q1を取り囲む第1の収容溝20が形成され、シーラント200は第1の収容溝20に形成されている。例えば、第1の収容溝20と第1のベース11は一体成型構造であり、両者は射出成形で形成されてよい。いくつかの例において、第1の収容溝20の深さは約50μm~2mmであり、当然ながら、第1の収容溝20の深さはシーラント200の厚さに応じて設定され、また、第1の基板と第2の基板との間の箱の厚さの要求を考慮して設定しなくてはならない。
【0045】
いくつかの実施例において、マイクロ流体チップの第1の基板と第2の基板との間には、第1の電極層12を第2の基板上の導電性パッドに接続して第1の電極層12に電気信号を提供するために、周辺領域Q2に位置する導電性部材300が設けられている。例えば、第1の電極層12は接地電極であってよく、この時、接地電極は周辺領域Q2まで延びて導電性部材300と接続され、導電性部材300は第2の基板上の接地パッドと接続され、これによって、接地電極と接地パッドとの接続が実現される。いくつかの例において、導電性部材300は、導電性銀ペーストまたは導電性発泡体を含むが、これらに限定されない。いくつかの例において、導電性部材300は、中間領域Q1から離れたシーラント200の一側に位置してよい。例えば、マイクロ流体チップは四角形であり、導電性部材300は、第1のベース11の4つの角部に位置し、つまり、1つの角部に1つの導電性部材300が設けられている。いくつかの例において、第1のベース11の第2の基板に接近する一側には、導電性部材300が設けられた第2の収容溝30がさらに設けられている。例えば、第2の収容溝30と第1のベース11は一体成型構造であり、両者は射出成形で形成されてよい。いくつかの例において、第2の収容溝30の深さは約50μm~2mmであり、当然ながら、第2の収容溝30の深さは導電性部材300の厚さに応じて設定し、また、第1の基板と第2の基板との間の箱の厚さを考慮して設定しなくてはならない。いくつかの実施例において、第2の収容溝30の形状は長方形、正方形、円形、多角形を含むが、これらに限定されず、第2の収容溝30の数は約1~4個である。
【0046】
いくつかの例において、第1の基板は上記第1の電極層12を含むのみならず、第1の電極層12の第2の基板に接近する一側に第1の疏液層がさらに設けられ、この時、液体流入孔111を介してマイクロ流体チップに反応液体を添加し、反応液体が液体貯蔵タンク112に流入した後、反応液体は第1の基板の下面に接触する。第1の基板の下面は疏液性を示す第1の疏液層であるため、反応液体は第1疏液層の下面に残りにくく、液体貯蔵タンク112内部により容易に流入する。同様に、第2の基板は上記の第2の電極層22を含むのみならず、第2の電極層22の第1の基板に接近する一側に第2の疏液層がさらに設けられており、この時、第1の電極層12と第2の電極層22に電圧が印加し、液体貯蔵タンク112に流入した反応液体を移動させる場合、第2の基板の上面は疏液性を示す第2の疏液層であるため、反応液体をより容易に移動させ、反応液体の運動抵抗を効果的に低減できる。そのうち、第1の疏液層と第2の疏液層はいずれも疏液層を含むが、これに限定されず、その材料は複数の種類の材料(例えば、テフロン(登録商標)、サイトップ(CYTOP)などのフッ素重合体)を含んでよく、ここでは限定しない。
【0047】
液滴がチャンバ内に入りやすくするために、いくつかの例では、図1に示すように、第1のベース11上には、第1の基板110を厚さ方向に貫通する排気口60が設けられている。
【0048】
いくつかの例では、第1の基板の第1のベース11上に液体流入孔111、液体貯蔵タンク112、第1の収容溝20、第2の収容溝30が微細加工(例えば、射出成形、レーザー彫刻、サンドブラストなど)によって形成される。
【0049】
以下では、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの動作原理をより明確にするために、第2の電極層22が図7に示す構造を採用したものを例として、本開示の実施例によるマイクロ流体チップの作動過程について説明する。
【0050】
まず、図10に示すように、反応液体をガンヘッドを介して液体流入孔111から液体貯蔵タンク112に添加する。次に、第1の電極層12に基準電圧、例えば、接地電圧が印加され、液体貯蔵ゾーンQ11の第1のサブ電極221に、液体貯蔵ゾーンQ11から反応ゾーンQ12方向に向けて電圧が順次印加され、これによって液体貯蔵ゾーンQ11における反応液体を図11に示すように矩形にする。なお、次の第1のサブ電極221に電圧が印加される場合、その前の第1のサブ電極221上の電圧が解除される。その後、検出ゾーンQ12の第2のサブ電極222に順次電圧が印加され、これによって、反応液体が図12~14に示すように柱状に引き延ばされる。最後に、図15に示すように、液体貯蔵ゾーンQ11に近い第2のサブ電極222に印加された電圧を解除し、液体貯蔵ゾーンQ11から離れた第2のサブ電極222の電圧と第1のサブ電極221の電圧をそのまま残し、これによって1つの液滴を形成する。
【0051】
なお、上記実施形態は本発明の原理を説明するための例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。当業者にとって、本発明の精神および本質から逸脱することなく様々な変形および改善を行うことができ、これらの変形および改善も本発明の保護範囲とも見なされる。
【符号の説明】
【0052】
10 テストユニット
11 第1のベース
12 第1の電極層
20 第1の収容溝
21 第2のベース
22 第2の電極層
23 層間誘電体層
30 第2の収容溝
40 支持構造
60 排気口
100 液体流入柱
110 第1の基板
111 液体流入孔
112 液体貯蔵タンク
200 シーラント
221 第1のサブ電極
222 第2のサブ電極
223 第3のサブ電極
300 導電性部材
1001 第3のポート
1002 第4のポート
1111 第1のポート
1112 第2のポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】