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特表2023-524200コロナウイルス中和抗体の検出アッセイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】コロナウイルス中和抗体の検出アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/47 20060101AFI20230602BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230602BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20230602BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230602BHJP
   C12Q 1/6897 20180101ALI20230602BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230602BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230602BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
C12N15/47
C12Q1/04 ZNA
C12Q1/34
C12N7/01
C12Q1/6897 Z
G01N33/53 V
G01N33/569 L
G01N33/536 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562981
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021027909
(87)【国際公開番号】W WO2021212096
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/012,074
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/012,066
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/020,445
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/029,267
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/078,214
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/151,623
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522403893
【氏名又は名称】ヴィリアド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VYRIAD, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,スティーヴン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パン,カー ホワイエ
(72)【発明者】
【氏名】レッヒ,パトリツィア
(72)【発明者】
【氏名】ファンデルガスト,リアーナ
(72)【発明者】
【氏名】キャリー,ティモシー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ10
4B063QR16
4B063QR48
4B063QS28
4B063QS36
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
(57)【要約】
本開示は、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法、並びに関連する組成物及びキットを提供する。本開示の方法は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子を使用し、ここでVSV糖タンパク質(G)は、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体に置き換えられている。ある具体的実施形態では、上記S糖タンパク質は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来し、上記方法は、SARS-CoV-2中和抗体の存在を決定するために使用される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法であって、前記方法は:
a)前記試料を組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップであって、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、前記組換えラブドウイルス粒子を、レポータータンパク質の第1の部分を発現する前記第1の標的細胞、及び前記レポータータンパク質の第2の部分を発現する前記第2の標的細胞と接触させて、前記レポータータンパク質の前記第1の部分及び前記第2の部分両方を含みかつ検出可能なレポーターシグナルを生成する合胞体を形成するステップであって、ここで前記第1の標的細胞及び前記第2の標的細胞は、前記組換えラブドウイルス粒子との接触時に互いに融合できる、ステップ;
c)ステップ(b)の後で、前記細胞内の前記レポーターシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された前記レポーターシグナルを対照と比較するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の標的細胞及び/又は前記第2の標的細胞の両方は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の標的細胞はVero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)であり、前記第2の標的細胞はVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~229を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸230~311を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~155を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸156~311を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸1~155を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸156~311を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein:GFP)又はその変異体のアミノ酸1~156を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、GFP又はその変異体のアミノ酸157~231を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(YFP)のアミノ酸1~154を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法であって、前記方法は:
a)前記試料を組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップであって、ここで(i)ラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、(ii)前記ラブドウイルス粒子は、レポータータンパク質、及び/又は前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、前記組換えラブドウイルス粒子を前記標的細胞と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、前記細胞内の前記レポーターシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された前記レポーターシグナルを対照と比較するステップ
を含む、方法。
【請求項11】
前記組換えラブドウイルス粒子は、前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、前記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記標的細胞は、Vero細胞、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、又はVero-E6細胞である、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記標的細胞はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、機能性ラブドウイルスG遺伝子を欠いており、前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体をコードする、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、ラブドウイルスG遺伝子を欠いており、前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体をコードする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ルシフェラーゼは、ウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの断片又は誘導体から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レポータータンパク質は蛍光タンパク質を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP);赤色蛍光タンパク質、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レポーターシグナルを得るために、レポータータンパク質基質を添加するステップを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含み、前記レポータータンパク質基質は、ルシフェリン、セレンテラジン、又はEnduRenルシフェラーゼ基質を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号44のアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(a)は、前記試料を2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップを含み、ここで前記2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子は、異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、その断片又は誘導体を含む、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記2つ以上の異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、その断片又は誘導体のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号3、及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/若しくは置換を含み、ここで前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法であって、前記方法は:
a)前記試料を、複製可能な組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、前記組換えVSV粒子のゲノムは、機能性VSV糖タンパク質(G)遺伝子を欠いており、また、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片をコードする、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、前記組換えVSV粒子を、Vero-DSP1細胞とVero-DSP2細胞との混合物と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、前記細胞のルシフェラーゼシグナル及び/又はGFPシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された前記シグナルを対照と比較するステップ
を含む、方法。
【請求項44】
試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法であって、前記方法は:
a)前記試料を、複製可能な組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、(i)前記組換えVSV粒子のゲノムは、機能性VSV糖タンパク質(G)遺伝子を欠いており、また、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片をコードし、(ii)前記組換えVSV粒子の前記ゲノムは更に、ルシフェラーゼタンパク質をコードする、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、前記組換えVSV粒子を、Vero細胞、Vero-Ace-2細胞、及びVero-E6細胞から選択される細胞と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、前記細胞のルシフェラーゼシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された前記シグナルを対照と比較するステップ
を含む、方法。
【請求項45】
前記全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
19個のC末端アミノ酸を欠いた前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項47】
19個のC末端アミノ酸を欠いた前記全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項48】
19個のC末端アミノ酸を欠いた前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号44のアミノ酸配列からなる、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(a)は、前記試料を2つ以上の異なる組換えVSV粒子と接触させるステップを含み、ここで前記2つ以上の異なる組換えVSV粒子は、19個のC末端アミノ酸を欠いた異なる全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片を含む、請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
19個のC末端アミノ酸を欠いた前記2つ以上の異なるSARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号3、及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/若しくは置換を含み、ここで前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、細胞はトリプシンに曝露される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記組換えラブドウイルス粒子は、変異型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型ラブドウイルスMタンパク質をコードする、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
メチオニン51における前記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記試料は血清又は血漿である、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記試料は唾液である、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記試料は乾燥血斑である、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法は更に、前記試料を約1:10~約1:320に希釈するステップを含む、請求項62~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記方法は更に、前記試料を約1:100に希釈するステップを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記方法は更に、前記試料を約1:20に希釈するステップを含む、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項68】
前記方法は更に、前記組換えラブドウイルス粒子を約200~800pfu/ウェルに希釈するステップを含む、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記試料は熱不活化されている、請求項62~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記試料は熱不活化されていない、請求項62~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記方法は更に、細菌汚染を防止するために、前記試料を抗生物質で処理する、及び/又は前記試料をろ過するステップを含む、請求項62~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記対照は、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料を用いて得られたレポーターシグナルであり、前記方法は、ステップ(c)で得られた前記レポーターシグナルが前記対照に比べて低減されている場合に、試験された前記試料がコロナウイルス中和抗体を含むと結論づけるステップを含む、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記方法は、ステップ(c)で得られた前記レポーターシグナルが前記対照に比べて50%を超えて低減されている場合に、試験された前記試料がコロナウイルス中和抗体を含むと結論づけるステップを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
ステップ(c)で得られた前記レポーターシグナルを:コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が前記標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む対照試料を用いて得られたレポーターシグナルと、比較するステップを更に含む、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法は、前記レポーターシグナルを、コロナウイルス中和抗体、又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が前記標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子、又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む対照試料の連続希釈物から決定された検量線と、比較することによって、試験された前記試料中のコロナウイルス中和抗体の濃度を決定するステップを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記レポーターシグナルを補正することによって、前記組換えラブドウイルス粒子と接触していない対照試料から測定されるバックグラウンドシグナルを除去する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記レポーターシグナルは、ステップ(b)の約18~30時間後に測定される、請求項1~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記レポーターシグナルは、ステップ(b)の約24~30時間後に測定される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ステップ(a)において、前記試料は前記組換えラブドウイルス粒子と、室温で約30分間接触させられる、請求項1~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記方法は高スループットフォーマットで実施される、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記方法は96ウェルプレートで実施される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記第1の標的細胞及び前記第2の標的細胞の密度は約6×10細胞/ウェルである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
組換えラブドウイルス粒子であって、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる、組換えラブドウイルス粒子。
【請求項84】
前記ラブドウイルス粒子は更に、レポータータンパク質、及び/又は前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項83に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項85】
前記ラブドウイルス粒子は、前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項84に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項86】
前記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、前記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される、請求項85に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項87】
前記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である、請求項83~86のいずれか1項に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項88】
前記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である、請求項83~87のいずれか1項に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項89】
前記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である、請求項88に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項90】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する、請求項83~89のいずれか1項に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項91】
前記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項92】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項91に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項93】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項92に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項94】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項95】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項94に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項96】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項95に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項97】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項98】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項99】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項100】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項101】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項102】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項103】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項104】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列を含む、請求項90に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項105】
前記組換えラブドウイルス粒子は、変異型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項83~104のいずれか1項に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項106】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型VSV Mタンパク質をコードする、請求項105に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項107】
前記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項105又は106に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項108】
メチオニン51における前記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである、請求項107に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項109】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項108に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項110】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる、請求項100に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項111】
前記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項83~104のいずれか1項に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項112】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする、請求項111に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項113】
前記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項111又は112に記載の組換えラブドウイルス粒子。
【請求項114】
前記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる、請求項113に記載の組換えVSV粒子。
【請求項115】
組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項116】
前記ポリヌクレオチドは更に、レポータータンパク質をコードする、請求項115に記載のポリヌクレオチド。
【請求項117】
前記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、前記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される、請求項116に記載のポリヌクレオチド。
【請求項118】
前記組換えラブドウイルス粒子は複製可能なラブドウイルス粒子である、請求項115~117のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項119】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する、請求項115~118のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項120】
前記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項121】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項120に記載のポリヌクレオチド。
【請求項122】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項121に記載のポリヌクレオチド。
【請求項123】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項121に記載のポリヌクレオチド。
【請求項124】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項125】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項124に記載のポリヌクレオチド。
【請求項126】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項125に記載のポリヌクレオチド。
【請求項127】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む、請求項126に記載のポリヌクレオチド。
【請求項128】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項129】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項130】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項131】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項132】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項133】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項134】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、ここで前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項135】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列を含む、請求項119に記載のポリヌクレオチド。
【請求項136】
前記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である、請求項115~135のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項137】
前記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である、請求項136に記載のポリヌクレオチド。
【請求項138】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットであって、前記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子であって、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、組換えラブドウイルス粒子;
b)(i)レポータータンパク質の第1の部分を発現する前記第1の標的細胞、及び(ii)前記レポータータンパク質の第2の部分を発現する前記第2の細胞であって、前記第1の標的細胞及び前記第2の標的細胞は、前記組換えラブドウイルス粒子と接触したときに互いに融合でき、前記融合は、検出可能なレポーターシグナルの生成をもたらす、前記第1の標的細胞及び前記第2の細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又は標的細胞の融合を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、前記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む、キット。
【請求項139】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットであって、前記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチドであって、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、ポリヌクレオチド;
b)(i)レポータータンパク質の第1の部分を発現する前記第1の標的細胞、及び(ii)前記レポータータンパク質の第2の部分を発現する前記第2の細胞であって、前記第1の標的細胞及び前記第2の標的細胞は、前記組換えラブドウイルス粒子と接触した場合に互いに融合でき、前記融合は、検出可能なレポーターシグナルの生成をもたらす、前記第1の標的細胞及び前記第2の細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又は標的細胞の融合を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、前記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む、キット。
【請求項140】
前記第1の標的細胞及び/又は前記第2の標的細胞の両方は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む、請求項138又は139に記載のキット。
【請求項141】
前記第1の標的細胞はVero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)であり、前記第2の標的細胞はVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)である、請求項138又は139に記載のキット。
【請求項142】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~229を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸230~311を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のキット。
【請求項143】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~155を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸156~311を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のキット。
【請求項144】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸1~155を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸156~311を含む、請求項143に記載のキット。
【請求項145】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体のアミノ酸1~156を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、GFP又はその変異体のアミノ酸157~231を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のキット。
【請求項146】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のキット。
【請求項147】
前記レポータータンパク質の前記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(YFP)のアミノ酸1~154を含み、前記レポータータンパク質の前記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のキット。
【請求項148】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットであって、前記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子であって、ここで(i)ラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、(ii)前記組換えラブドウイルス粒子は、レポータータンパク質、及び/又は前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、組換えラブドウイルス;
b)前記標的細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、前記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む、キット。
【請求項149】
前記組換えラブドウイルス粒子は、前記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項148に記載のキット。
【請求項150】
試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットであって、前記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更にレポータータンパク質及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチドであって、前記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる、ポリヌクレオチド;
b)前記標的細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、前記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、前記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む、キット。
【請求項151】
前記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、前記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される、請求項148~150のいずれか1項に記載のキット。
【請求項152】
前記標的細胞は、Vero細胞、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、又はVero-E6細胞である、請求項148~151のいずれか1項に記載のキット。
【請求項153】
前記標的細胞はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む、請求項148~151のいずれか1項に記載のキット。
【請求項154】
前記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である、請求項138、140~149、及び151~153のいずれか1項に記載のキット。
【請求項155】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する、請求項138~154のいずれか1項に記載のキット。
【請求項156】
前記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である、請求項155に記載のキット。
【請求項157】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項156に記載のキット。
【請求項158】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、請求項157に記載のキット。
【請求項159】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項157に記載のキット。
【請求項160】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である、請求項155に記載のキット。
【請求項161】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項160に記載のキット。
【請求項162】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項161に記載のキット。
【請求項163】
前記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む、請求項161に記載のキット。
【請求項164】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項155に記載のキット。
【請求項165】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項155に記載のキット。
【請求項166】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項155に記載のキット。
【請求項167】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項155に記載のキット。
【請求項168】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項155に記載のキット。
【請求項169】
前記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす、請求項155に記載のキット。
【請求項170】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、前記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される、請求項155に記載のキット。
【請求項171】
前記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列を含む、請求項155に記載のキット。
【請求項172】
前記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である、請求項138~171のいずれか1項に記載のキット。
【請求項173】
前記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である、請求項172に記載のキット。
【請求項174】
前記組換えラブドウイルス粒子は、変異型VSVマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項138、140~149、及び151~173のいずれか1項に記載のキット。
【請求項175】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型VSV Mタンパク質をコードする、請求項174に記載のキット。
【請求項176】
前記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項174又は175に記載のキット。
【請求項177】
メチオニン51における前記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである、請求項176に記載のキット。
【請求項178】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項177に記載のキット。
【請求項179】
前記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる、請求項177に記載のキット。
【請求項180】
前記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む、請求項138、140~149、及び151~173のいずれか1項に記載のキット。
【請求項181】
前記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする、請求項180に記載のキット。
【請求項182】
前記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である、請求項180又は181に記載のキット。
【請求項183】
前記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる、請求項182に記載のキット。
【請求項184】
前記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含む、請求項138~183のいずれか1項に記載のキット。
【請求項185】
前記ルシフェラーゼは、ウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの断片又は誘導体から選択される、請求項184に記載のキット。
【請求項186】
前記レポータータンパク質は蛍光タンパク質を含む、請求項138~185のいずれか1項に記載のキット。
【請求項187】
前記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP);赤色蛍光タンパク質、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体から選択される、請求項186に記載のキット。
【請求項188】
前記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含み、前記レポータータンパク質のための前記基質は、ルシフェリン、セレンテラジン、又はEnduRenルシフェラーゼ基質を含む、請求項138~185のいずれか1項に記載のキット。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2021年2月19日出願の米国仮特許出願第63/151,623号、2020年9月14日出願の米国仮特許出願第63/078,214号、2020年5月22日出願の米国仮特許出願第63/029,267号、2020年5月5日出願の米国仮特許出願第63/020,445号、2020年4月17日出願の米国仮特許出願第63/012,066号、及び2020年4月17日出願の米国仮特許出願第63/012,074号に対する優先権を主張するものであり、以上の仮特許出願それぞれの開示は、その全体が参照により本出願に援用される。
【0002】
本出願は、ASCIIフォーマットで電子提出された、その全体が参照により本出願に援用される配列表を含む。2021年4月15日に作成された上記ASCIIコピーは、名称が250298_000213_SL.txtであり、サイズが147,568バイトである。
【技術分野】
【0003】
本明細書に記載されるのは、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法、並びに関連する組成物及びキットである。本開示の方法は、組換え水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus:VSV)粒子を使用し、上記VSV粒子では、VSV糖タンパク質(G)がコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられる。ある具体的実施形態では、上記S糖タンパク質は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(Severe Acute Respiratory Syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)に由来し、上記方法は、SARS-CoV-2中和抗体の存在を決定するために使用される。
【背景技術】
【0004】
以下の3つのコロナウイルスが、ヒトにおいて重篤な肺炎を引き起こすことが知られている:重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome coronavirus:SARS-CoV又はSARS-CoV-1)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome coronavirus:MERS-CoV)、及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)。SARS-CoV-1は中華人民共和国で2002年に出現し、5大陸に拡散して8,000人以上が感染し、774人が死亡した。MERS-CoVはアラビア半島で2012年に出現し、27か国で約2,500人以上が感染し、858人が死亡した。2019年12月、新たなコロナウイルスが中華人民共和国の武漢で出現し、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)として知られる急性呼吸器症候群を引き起こした(非特許文献1、2020年2月3日にオンライン公開、doi.org/10.1038/s41586-020-2012-7にて入手可能;非特許文献2)。COVID-19の症状としては、発熱、咳、息切れ、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)、急性肺症候群、嗅覚の喪失、味覚の喪失、喉の痛み、鼻汁、胃腸症状(例えば下痢)、臓器不全(例えば腎不全及び腎機能障害)、敗血症性ショック、そして重症例では死亡が挙げられる。COVID-19を引き起こすウイルスはSARS-CoV-1と関連することが特定され、従ってSARS-CoV-2と命名された(nCov-2019、武漢コロナウイルス、又はSARS nCoV19と呼ばれることもある)。無症状の個体、又はごく軽症の個体もいるものの、多くは重症であり、入院が必要である。SARS-CoV-2は世界中に急速に広がり、2020年3月11日には世界保健機関によって世界的なパンデミックと宣言された。2020年5月20日の時点でこのウイルスは世界中で約500万人に感染し、328,000人を超える死者を発生させた。COVID-19を発症する患者の多くは軽度の上気道症状を示すが、一部(特に高齢者、及び慢性肺疾患、喘息、心臓病、糖尿病、免疫不全患者等といった基礎疾患を有する人)は、非定型肺炎及びこれに関連する合併症を発症する(非特許文献3、2020年4月1日にオンライン公開、doi.org/10.1038/s41586-020-2196-xにて入手可能)。SARS-CoV-2は伝染性が極めて高く、無症候性キャリアによって拡散される可能性がある。
【0005】
アクティブなSARS-CoV-2感染を検出するPCRアッセイが、疾患の広がりを追跡する上で重要な役割を果たしており、その一方で、SARS-CoV-2に対する抗体を検出する血清学的試験が、過去の感染の検出及び測定、SARS-CoV-2に対する免疫を有する可能性がある個体の特定、並びにワクチン及び治療法の有効性の評価に使用されている。利用可能な血清学的試験が抗体介在性免疫をどの程度正確に反映しているかは、依然としてよく分かっていない。
【0006】
ウイルス中和抗体の生成は、後続のウイルス感染を遮断するために重要であり、中和抗体の存在は、ワクチン接種後の防御免疫と相関している(非特許文献4)。しかしながら典型的には、ウイルス特異性抗体のわずかなサブセットしか中和していない。SARS-CoV-2に関して、合計抗体レベルが中和抗体レベルとどのように関連しているかは現在のところ分かっておらず、SARS-CoV-2中和抗体の応答の試験の改良が緊急に必要とされている。回復期の血漿療法試験からの早期データは有望な結果を示した(非特許文献5)ものの、受け入れ基準が抗SARS2-CoV-2抗体の合計レベルに基づくものであり、中和抗体レベルに特に基づくものではない場合、血漿ドナーのスクリーニングは不十分である。同様に、新規のSARS-CoV-2ワクチンの有効性の研究は、総抗体応答だけでなく中和抗体の応答も考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Zhou et al., Nature(https://doi.org/10.1038/s41586-020-2012-7)
【非特許文献2】Zhu et al., New Engl J Med, 2020, 382:727-733
【非特許文献3】Woelfel et al., Nature(https://doi.org/10.1038/s41586-020-2196-x)
【非特許文献4】Koff WC et al., Science. 2013;340(6136)
【非特許文献5】Casadevall A et al., 379 J Clin Invest 2020 Mar 13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、SARS-CoV-2及び他のコロナウイルスに関する強力かつ効率的なセロポジティビティ(seropositivity)アッセイ、特にウイルス中和抗体を評価するアッセイに対して、当該技術分野において高い需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上の「背景技術」のセクションで明記したように、SARS-CoV-2及び他のコロナウイルスに関する効果的なセロポジティビティアッセイ、特にウイルス中和抗体を評価するアッセイの開発に対して、高い需要が存在する。本開示は、これらの需要、及びその他の需要に対処する。本開示は、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのアッセイ、並びに関連する組成物及びキットを提供する。本開示のセロポジティビティアッセイは、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子を使用し、上記VSV粒子では、VSV糖タンパク質(G)がコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられている。ある具体的実施形態では、上記S糖タンパク質は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来し、上記方法は、SARS-CoV-2中和抗体の存在を決定するために使用される。
【0010】
ある態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は:
a)上記試料を組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップであって、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えラブドウイルス粒子を、レポータータンパク質の第1の部分を発現する上記第1の標的細胞、及び上記レポータータンパク質の第2の部分を発現する上記第2の標的細胞と接触させて、上記レポータータンパク質の上記第1の部分及び上記第2の部分両方を含みかつ検出可能なレポーターシグナルを生成する合胞体を形成するステップであって、ここで上記第1の標的細胞及び上記第2の標的細胞は、上記組換えラブドウイルス粒子との接触時に互いに融合できる、ステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞内の上記レポーターシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記レポーターシグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0011】
一実施形態では、上記第1の標的細胞及び/又は上記第2の標的細胞の両方は、アンジオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2:ACE2)を含む。
【0012】
一実施形態では、上記第1の標的細胞はVero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)であり、上記第2の標的細胞はVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)である。
【0013】
一実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~229を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸230~311を含む。別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~155を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸156~311を含む。ある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸1~155を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸156~311を含む。
【0014】
一実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein:GFP)又はその変異体のアミノ酸1~156を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、GFP又はその変異体のアミノ酸157~231を含む。別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含む。更に別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein:YFP)のアミノ酸1~154を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含む。
【0015】
別の態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は:
a)上記試料を組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップであって、ここで(i)ラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、(ii)上記ラブドウイルス粒子は、レポータータンパク質、及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えラブドウイルス粒子を上記標的細胞と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞内の上記レポーターシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記レポーターシグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0016】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む。ある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、上記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される。一実施形態では、上記標的細胞は、Vero細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、又はVero-E6細胞である。一実施形態では、上記標的細胞はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、機能性ラブドウイルスG遺伝子を欠いており、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体をコードする。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、ラブドウイルスG遺伝子を欠いており、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体をコードする。
【0017】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である。上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である。
【0018】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含む。使用可能なルシフェラーゼの非限定的な例としては、例えばウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの断片又は誘導体が挙げられる。
【0019】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記レポータータンパク質は蛍光タンパク質を含む。使用可能な蛍光タンパク質の非限定的な例としては、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein:EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型黄色蛍光タンパク質(enhanced yellow fluorescent protein:EYFP)、青色蛍光タンパク質(blue fluorescent protein:BFP)、強化型青色蛍光タンパク質(enhanced blue fluorescent protein:EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(cyan fluorescent protein:CFP)、強化型青緑色蛍光タンパク質(enhanced cyan fluorescent protein:ECFP);赤色蛍光タンパク質、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色(emerald)蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体が挙げられる。
【0020】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記方法は、上記レポーターシグナルを得るために、レポータータンパク質基質を添加するステップを含む。ルシフェラーゼに対して使用可能なレポータータンパク質基質の非限定的な例としては、例えばルシフェリン(例えばd-ルシフェリン)、EnduRen、及びセレンテラジンルシフェラーゼ基質が挙げられる。
【0021】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である。
【0022】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。別の実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルスと比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、又は39個の残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含んでよく、あるいは上記挿入、欠失、及び/又は置換からなってよい。発生し得る欠失のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば145位のチロシン、679位のアスパラギン、680位のセリン、681位のプロリン、682位のアルギニン、683位のアルギニン、684位のアラニン、及び/又は685位のアルギニン(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。発生し得る置換のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば5位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、28位においてアスパラギンへと変化するチロシン、29位においてイソロイシンへと変化するスレオニン、49位においてチロシンへと変化するヒスチジン、54位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、74位においてリシンへと変化するアスパラギン、96位においてアスパラギン酸へと変化するグルタミン酸、111位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、157位においてロイシンへと変化するフェニルアラニン、181位においてバリンへと変化するグリシン、221位においてトリプトファンへと変化するセリン、247位においてアルギニンへと変化するセリン、348位においてスレオニンへと変化するアラニン、408位においてイソロイシンへと変化するアルギニン、476位においてセリンへと変化するグリシン、483位においてアラニンへと変化するバリン、519位においてグルタミンへと変化するヒスチジン、520位においてセリンへと変化するアラニン、614位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、614位においてグリシンへと変化するアスパラギン酸、679位においてイソロイシンへと変化するアスパラギン、680位においてロイシンへと変化するセリン、682位においてグリシンへと変化するアルギニン、683位においてセリンへと変化するアルギニン、685位においてグルタミンへと変化するアルギニン、685位においてセリンへと変化するアルギニン、797位においてシステインへと変化するフェニルアラニン、930位においてバリンへと変化するアラニン、936位においてチロシンへと変化するアスパラギン酸、1078位においてバリンへと変化するアラニン、1168位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸、及び/又は1259位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。Becerra-Flores and Cardozo, “SARS-CoV-2 viral spike G614 mutation exhibits higher case fatality rate,” The International Journal of Clinical Practice, published online May 6, 2020; Eaaswarkhanth et al., “Could the D614G substitution in the SARS-CoV-2 spike (S) protein be associated with higher COVID-19 mortality?” International Journal of Infectious Diseases, 96: July 2020, Pages 459-460; Tang et al., “The SARS-CoV-2 Spike Protein D614G Mutation Shows Increasing Dominance and May Confer a Structural Advantage to the Furin Cleavage Domain,” Preprints 2020, 2020050407 (doi: 10.20944/preprints202005.0407.v1); Hansen et. al., “Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science, published online June 15, 2020; Lokman et al., “Exploring the genomic and proteomic variations of SARS-CoV-2 spike glycoprotein: A computational biology approach”, Infection, Genetics and Evolution: Journal of Molecular Epidemiology and Evolutionary Genetics in Infectious Diseases, 2020 Jun;84:104389. DOI: 10.1016/j.meegid.2020.104389を参照。これらの文献はそれぞれ、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。挿入、欠失、及び/又は置換のためのアミノ酸残基の更なる非限定的な例としては、表8及び9に列挙されているものが挙げられる(アミノ酸残基の位置は配列番号1を参照配列として用いて示されており、これは、(上記と同じ)いずれのSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の特定のための参照として使用できる;表8中の参考文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。表8に列挙された残基の修飾はそれぞれ、単独で、又は他のものと組み合わせて個別に使用することによって、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子のバリアントを生成できる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び/又は685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、溶解性がより高い表現型をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、コドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされてよい。様々な実施形態において、SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号43のポリヌクレオチド配列、又は配列番号43に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列によってコードされてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列、又は配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び/若しくは484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び/若しくは614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、並びに/又は残基
69~70の欠失(配列番号1に示されている位置)によって、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の変化又は欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記スパイクタンパク質内のフリン切断部位を不活化することによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、配列番号1に示されているQ677TNSPRRARSV687(配列番号65)、又は変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を、QTILRSV(配列番号66)又はQTNSPGSASSV(配列番号67)へと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、S1/S2境界の一塩基フリン切断部位(QTILRSV(配列番号66))、又はフリン切断部位(QTNSPGSASSV(配列番号67))表現型の欠失をもたらす。特定の実施形態では、フリン切断部位に対する変更は、スパイク安定化擬似粒子をもたらすことができる。Hansen et. al.,“Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science(2020年6月15日オンライン公開)を参照。上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。
【0023】
上述の方法のうちのいずれかの特定の実施形態では、ステップ(a)は、上記試料を2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子と(例えば同時に又は順次)接触させるステップを含み、ここで上記2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子は、異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、その断片又は誘導体を含む。特定の実施形態では、上記2つ以上の異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、その断片又は誘導体のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号3、及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/若しくは置換を含み、ここで上記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される。上記ラブドウイルス粒子がレポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、上記方法の特定の実施形態では、上記2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子は、異なるレポータータンパク質、及び/又は上記異なるレポータータンパク質をコードする異なる核酸分子を含む。上記ラブドウイルス粒子がレポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、上記方法の特定の実施形態では、上記2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子は、同一のレポータータンパク質、及び/又は上記レポータータンパク質をコードする同一の核酸分子を含む。
【0024】
一実施形態では、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は:
a)上記試料を、複製可能な組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、上記組換えVSV粒子のゲノムは、機能性VSV糖タンパク質(G)遺伝子を欠いており、また、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片をコードする、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えVSV粒子を、Vero-DSP1細胞とVero-DSP2細胞との混合物と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞のルシフェラーゼシグナル及び/又はGFPシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記シグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0025】
別の実施形態では、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は:
a)上記試料を、複製可能な組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、(i)上記組換えVSV粒子のゲノムは、機能性VSV糖タンパク質(G)遺伝子を欠いており、また、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片をコードし、(ii)上記組換えVSV粒子の上記ゲノムは更に、ルシフェラーゼタンパク質をコードする、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えVSV粒子を、Vero細胞、Vero-Ace-2細胞、及びVero-E6細胞から選択される細胞と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞のルシフェラーゼシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記シグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0026】
上述の2つの方法の一実施形態では、上記全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。上述の2つの方法の一実施形態では、19個のC末端アミノ酸を欠いた上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。
【0027】
上述の2つの方法の特定の実施形態では、ステップ(a)は、上記試料を2つ以上の異なる組換えVSV粒子と(例えば同時に又は順次)接触させるステップを含み、ここで上記2つ以上の異なる組換えVSV粒子は、19個のC末端アミノ酸を欠いた異なる全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片を含む。特定の実施形態では、19個のC末端アミノ酸を欠いた上記2つ以上の異なるSARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号3、及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/若しくは置換を含み、ここで上記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される。上記VSV粒子がレポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、上記方法の特定の実施形態では、上記2つ以上の異なる組換えVSV粒子は、異なるレポータータンパク質、及び/又は上記異なるレポータータンパク質をコードする異なる核酸分子を含む。上記VSV粒子がレポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、上記方法の特定の実施形態では、上記2つ以上の異なる組換えVSV粒子は、同一のレポータータンパク質、及び/又は上記レポータータンパク質をコードする同一の核酸分子を含む。
【0028】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、ステップ(b)の後及びステップ(c)の前に、細胞はトリプシンに曝露される。
【0029】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、変異型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型ラブドウイルスMタンパク質をコードする。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、メチオニン51における上記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0030】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、上記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる。
【0031】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記試料は血清又は血漿である。上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記試料は唾液である。上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記試料は乾燥血斑である。一実施形態では、上記方法は更に、上記試料を約1:10~約1:320に希釈するステップを含む。例えば上記試料を、約1:10、約1:16、約1:20、約1:32、約1:64、約1:80、約1:100、約1:128、又は約1:160に希釈してよい。一実施形態では、上記方法は更に、上記試料を約1:100に希釈するステップを含む。一実施形態では、上記方法は更に、上記試料を約1:20に希釈するステップを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は更に、上記組換えラブドウイルス粒子を約200~800pfu/ウェルに希釈するステップを含む。例えば上記組換えラブドウイルス粒子を、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約720、又は約800pfu/ウェルに希釈してよい。一実施形態では、上記試料は熱不活化されている。別の実施形態では、上記試料は熱不活化されていない。一実施形態では、上記方法は更に、細菌汚染を防止するために、上記試料を抗生物質で処理する、及び/又は上記試料をろ過するステップを含む。
【0032】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記対照は、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料を用いて得られたレポーターシグナルであり、上記方法は、ステップ(c)で得られた上記レポーターシグナルが上記対照に比べて低減されている場合に、試験された上記試料がコロナウイルス中和抗体を含むと結論づけるステップを含む。一実施形態では、上記方法は、ステップ(c)で得られた上記レポーターシグナルが上記対照に比べて50%を超えて低減されている場合に、試験された上記試料がコロナウイルス中和抗体を含むと結論づけるステップを含む。一実施形態では、上記方法は更に、ステップ(c)で得られた上記レポーターシグナルを:コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が上記標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又は上記標的細胞の融合を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む対照試料を用いて得られたレポーターシグナルと、比較するステップを含む。一実施形態では、上記方法は、上記レポーターシグナルを、コロナウイルス中和抗体、又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が上記標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子、又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む対照試料の連続希釈物から決定された検量線と、比較することによって、試験された上記試料中のコロナウイルス中和抗体の濃度を決定するステップを含む。ある具体的実施形態では、上記対照試料はmAb10914を含む。ある具体的実施形態では、上記対照試料の上記連続希釈物は、約0.01μg/mL~約3μg/mLのmAb10914を含む。ある具体的実施形態では、上記対照試料はmAb10922を含む。ある具体的実施形態では、上記対照試料の上記連続希釈物は、約0.01μg/mL~約3μg/mLのmAb10922を含む。
【0033】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記レポーターシグナルを補正することによって、上記組換えラブドウイルス粒子と接触していない対照試料から測定されるバックグラウンドシグナルを除去する。
【0034】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記レポーターシグナルは、ステップ(b)の約18~30時間後に測定される。上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記レポーターシグナルは、ステップ(b)の約24~30時間後に測定される。
【0035】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、ステップ(a)において、上記試料は上記組換えラブドウイルス粒子と、室温で約30分間接触させられる。
【0036】
上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、上記方法は高スループットフォーマットで実施される。ある具体的実施形態では、上記方法は96ウェルプレートで実施される。ある具体的実施形態では、上記方法を96ウェルプレートで実施する場合、上記第1の標的細胞及び上記第2の標的細胞の密度は約6×10細胞/ウェルである。
【0037】
別の態様では、組換えラブドウイルス粒子が提供され、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる。
【0038】
一実施形態では、上記ラブドウイルス粒子は更に、レポータータンパク質、及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む。一実施形態では、上記ラブドウイルス粒子は、上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む。ある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、上記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される。
【0039】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である。
【0040】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である。一実施形態では、上記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である。
【0041】
一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルスと比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、又は39個の残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含んでよく、あるいは上記挿入、欠失、及び/又は置換からなってよい。発生し得る欠失のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば145位のチロシン、679位のアスパラギン、680位のセリン、681位のプロリン、682位のアルギニン、683位のアルギニン、684位のアラニン、及び/又は685位のアルギニン(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。発生し得る置換のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば5位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、28位においてアスパラギンへと変化するチロシン、29位においてイソロイシンへと変化するスレオニン、49位においてチロシンへと変化するヒスチジン、54位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、74位においてリシンへと変化するアスパラギン、96位においてアスパラギン酸へと変化するグルタミン酸、111位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、157位においてロイシンへと変化するフェニルアラニン、181位においてバリンへと変化するグリシン、221位においてトリプトファンへと変化するセリン、247位においてアルギニンへと変化するセリン、348位においてスレオニンへと変化するアラニン、408位においてイソロイシンへと変化するアルギニン、476位においてセリンへと変化するグリシン、483位においてアラニンへと変化するバリン、519位においてグルタミンへと変化するヒスチジン、520位においてセリンへと変化するアラニン、614位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、614位においてグリシンへと変化するアスパラギン酸、679位においてイソロイシンへと変化するアスパラギン、680位においてロイシンへと変化するセリン、682位においてグリシンへと変化するアルギニン、683位においてセリンへと変化するアルギニン、685位においてグルタミンへと変化するアルギニン、685位においてセリンへと変化するアルギニン、797位においてシステインへと変化するフェニルアラニン、930位においてバリンへと変化するアラニン、936位においてチロシンへと変化するアスパラギン酸、1078位においてバリンへと変化するアラニン、1168位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸、及び/又は1259位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。Becerra-Flores and Cardozo, “SARS-CoV-2 viral spike G614 mutation exhibits higher case fatality rate,” The International Journal of Clinical Practice, published online May 6, 2020; Eaaswarkhanth et al., “Could the D614G substitution in the SARS-CoV-2 spike (S) protein be associated with higher COVID-19 mortality?” International Journal of Infectious Diseases, 96: July 2020, Pages 459-460; Tang et al., “The SARS-CoV-2 Spike Protein D614G Mutation Shows Increasing Dominance and May Confer a Structural Advantage to the Furin Cleavage Domain,” Preprints 2020, 2020050407 (doi: 10.20944/preprints202005.0407.v1); Hansen et. al., “Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science, published online June 15, 2020; Lokman et al., “Exploring the genomic and proteomic variations of SARS-CoV-2 spike glycoprotein: A computational biology approach”, Infection, Genetics and Evolution : Journal of Molecular Epidemiology and Evolutionary Genetics in Infectious Diseases, 2020 Jun;84:104389. DOI: 10.1016/j.meegid.2020.104389を参照。これらの文献はそれぞれ、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。挿入、欠失、及び/又は置換のためのアミノ酸残基の更なる非限定的な例としては、表8及び9に列挙されているものが挙げられる(アミノ酸残基の位置は配列番号1を参照配列として用いて示されており、これは、(上記と同じ)いずれのSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の特定のための参照として使用できる;表8中の参考文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。表8に列挙された残基の修飾はそれぞれ、単独で、又は他のものと組み合わせて個別に使用することによって、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子のバリアントを生成できる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び/又は685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、溶解性がより高い表現型をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、コドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされてよい。様々な実施形態において、SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号43のポリヌクレオチド配列、又は配列番号43に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列によってコードされてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列、又は配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び/若しくは484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び/若しくは614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、並びに/又は残基69~70の欠失(配列番号
1に示されている位置)によって、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の変化又は欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記スパイクタンパク質内のフリン切断部位を不活化することによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、配列番号1に示されているQ677TNSPRRARSV687(配列番号65)、又は変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を、QTILRSV(配列番号66)又はQTNSPGSASSV(配列番号67)へと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、S1/S2境界の一塩基フリン切断部位(QTILRSV(配列番号66))、又はフリン切断部位(QTNSPGSASSV(配列番号67))表現型の欠失をもたらす。特定の実施形態では、フリン切断部位に対する変更は、スパイク安定化擬似粒子をもたらすことができる。Hansen et. al.,“Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science(2020年6月15日オンライン公開)を参照。上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。
【0042】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、変異型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型VSV Mタンパク質をコードする。ある具体的実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、メチオニン51における上記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0043】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする。ある具体的実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、上記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる。
【0044】
別の態様では、組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチドが提供される。
【0045】
一実施形態では、上記ポリヌクレオチドは更に、レポータータンパク質をコードする。ある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、上記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される。
【0046】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は複製可能なラブドウイルス粒子である。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードする上記ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルスと比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質、断片、又は誘導体は、表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含み、ここで上記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される。一実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号44のアミノ酸配列を含む。上述の方法のうちのいずれかの一実施形態では、ステップ(a)は、上記試料を2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子と接触させるステップを含み、ここで上記2つ以上の異なる組換えラブドウイルス粒子は、異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、断片、又はその誘導体を含む。上記2つ以上の異なるコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、断片、又はその誘導体のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号3、及び配列番号44から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は表8及び9に列挙された1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/若しくは置換を含み、ここで上記挿入、欠失、及び/又は置換の位置は、配列番号1に関連して特定される。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、又は39個の残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含んでよく、あるいは上記挿入、欠失、及び/又は置換からなってよい。発生し得る欠失のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば145位のチロシン、679位のアスパラギン、680位のセリン、681位のプロリン、682位のアルギニン、683位のアルギニン、684位のアラニン、及び/又は685位のアルギニン(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。発生し得る置換のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば5位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、28位においてアスパラギンへと変化するチロシン、29位においてイソロイシンへと変化するスレオニン、49位においてチロシンへと変化するヒスチジン、54位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、74位においてリシンへと変化するアスパラギン、96位においてアスパラギン酸へと変化するグルタミン酸、111位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、157位においてロイシンへと変化するフェニルアラニン、181位においてバリンへと変化するグリシン、221位においてトリプトファンへと変化するセリン、247位においてアルギニンへと変化するセリン、348位においてスレオニンへと変化するアラニン、408位においてイソロイシンへと変化するアルギニン、476位においてセリンへと変化するグリシン、483位においてアラニンへと変化するバリン、519位においてグルタミンへと変化するヒスチジン、520位においてセリンへと変化するアラニン、614位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、614位においてグリシンへと変化するアスパラギン酸、679位においてイソロイシンへと変化するアスパラギン、680位においてロイシンへと変化するセリン、682位においてグリシンへと変化するアルギニン、683位においてセリンへと変化するアルギニン、685位においてグルタミンへと変化するアルギニン、685位においてセリンへと変化するアルギニン、797位においてシステインへと変化するフェニルアラニン、930位においてバリンへと変化するアラニン、936位においてチロシンへと変化するアスパラギン酸、1078位においてバリンへと変化するアラニン、1168位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸、及び/又は1259位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。Becerra-Flores and Cardozo, “SARS-CoV-2 viral spike G614 mutation exhibits higher case fatality rate,” The International Journal of Clinical Practice, published online May 6, 2020; Eaaswarkhanth et al., “Could the D614G substitution in the SARS-CoV-2 spike (S) protein be associated with higher COVID-19 mortality?” International Journal of Infectious Diseases, 96: July 2020, Pages 459-460; Tang et al., “The SARS-CoV-2 Spike Protein D614G Mutation Shows Increasing Dominance and May Confer a Structural Advantage to the Furin Cleavage Domain,” Preprints 2020, 2020050407 (doi: 10.20944/preprints202005.0407.v1); Hansen et. al., “Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science, published online June 15, 2020; Lokman et al., “Exploring the genomic and proteomic variations of SARS-CoV-2 spike glycoprotein: A computational biology approach”, Infection, Genetics and Evolution : Journal of Molecular Epidemiology and Evolutionary Genetics in Infectious Diseases, 2020 Jun;84:104389. DOI: 10.1016/j.meegid.2020.104389を参照。これらの文献はそれぞれ、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。挿入、欠失、及び/又は置換のためのアミノ酸残基の更なる非限定的な例としては、表8及び9に列挙されているものが挙げられる(アミノ酸残基の位置は配列番号1を参照配列として用いて示されており、これは、(上記と同じ)いずれのSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の特定のための参照として使用できる;表8中の参考文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。表8に列挙された残基の修飾はそれぞれ、単独で、又は他のものと組み合わせて個別に使用することによって、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子のバリアントを生成できる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び/又は685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、溶解性がより高い表現型をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2
S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、コドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされてよい。様々な実施形態において、SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号43のポリヌクレオチド配列、又は配列番号43に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列によってコードされてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列、又は配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び/若しくは484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び/若しくは614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、並びに/又は残基69~70の欠失(配列番号1に示されている位置)によって、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の変化又は欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記スパイクタンパク質内のフリン切断部位を不活化することによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、配列番号1に示されているQ677TNSPRRARSV687(配列番号65)、又は変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を、QTILRSV(配列番号66)又はQTNSPGSASSV(配列番号67)へと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、S1/S2境界の一塩基フリン切断部位(QTILRSV(配列番号66))、又はフリン切断部位(QTNSPGSASSV(配列番号67))表現型の欠失をもたらす。特定の実施形態では、フリン切断部位に対する変更は、スパイク安定化擬似粒子をもたらすことができる。Hansen et. al.,“Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science(2020年6月15日オンライン公開)を参照。上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。
【0047】
一実施形態では、上記ポリヌクレオチドは更に、SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする配列の3’側にコザック配列を含む。一実施形態では、上記コザック配列は野生型コザック配列である。ある具体的実施形態では、上記野生型コザック配列は、配列番号11又はその誘導体を含む。一実施形態では、上記コザック配列は最適化コザック配列である。ある具体的実施形態では、上記最適化コザック配列は、配列番号12又はその誘導体を含む。
【0048】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である。一実施形態では、上記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である。
【0049】
更なる態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットが提供され、上記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子であって、ここでラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、組換えラブドウイルス粒子;
b)(i)レポータータンパク質の第1の部分を発現する上記第1の標的細胞、及び(ii)上記レポータータンパク質の第2の部分を発現する上記第2の細胞であって、上記第1の標的細胞及び上記第2の標的細胞は、上記組換えラブドウイルス粒子と接触したときに互いに融合でき、上記融合は、検出可能なレポーターシグナルの生成をもたらす、上記第1の標的細胞及び上記第2の細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又は標的細胞の融合を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む。
【0050】
更に別の態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットが提供され、上記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチドであって、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、第1の標的細胞及び第2の標的細胞の感染を仲介できる、ポリヌクレオチド;
b)(i)レポータータンパク質の第1の部分を発現する上記第1の標的細胞、及び(ii)上記レポータータンパク質の第2の部分を発現する上記第2の細胞であって、上記第1の標的細胞及び上記第2の標的細胞は、上記組換えラブドウイルス粒子と接触した場合に互いに融合でき、上記融合は、検出可能なレポーターシグナルの生成をもたらす、上記第1の標的細胞及び上記第2の細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又は標的細胞の融合を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む。
【0051】
一実施形態では、上記第1の標的細胞及び/又は上記第2の標的細胞の両方は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む。一実施形態では、上記第1の標的細胞はVero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)であり、上記第2の標的細胞はVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)である。
【0052】
一実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~229を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸230~311を含む。別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~155を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸156~311を含む。ある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸1~155を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ変異体RLuc8のアミノ酸156~311を含む。
【0053】
一実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体のアミノ酸1~156を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、GFP又はその変異体のアミノ酸157~231を含む。別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含む。更に別の実施形態では、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(YFP)のアミノ酸1~154を含み、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含む。
【0054】
別の態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットが提供され、上記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子であって、ここで(i)ラブドウイルス糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、(ii)上記組換えラブドウイルス粒子は、レポータータンパク質、及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、組換えラブドウイルス;
b)上記標的細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む。
【0055】
一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む。
【0056】
更なる態様では、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するためのキットが提供され、上記キットは:
a)組換えラブドウイルス粒子のウイルスエンベロープでの発現のために、ラブドウイルス核タンパク質(N)、ラブドウイルスリンタンパク質(P)、及びラブドウイルス巨大タンパク質(L)、又はこれらの機能性断片若しくは誘導体をコードし、更にレポータータンパク質及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする、ポリヌクレオチドであって、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる、ポリヌクレオチド;
b)上記標的細胞;
c)任意に、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料;
d)任意に、コロナウイルス中和抗体;又はコロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子;又はこれらのいずれの組み合わせ、を含む、対照試料;
e)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
f)任意に、使用説明書
を含む。
【0057】
一実施形態では、上記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、上記コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸配列と、ラブドウイルス巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に挿入される。
【0058】
一実施形態では、上記標的細胞は、Vero細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、又はVero-E6細胞である。一実施形態では、上記標的細胞はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む。
【0059】
組換えラブドウイルス粒子を含む上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、複製可能なラブドウイルス粒子である。
【0060】
上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質、その断片又は誘導体は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に由来する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 S糖タンパク質断片である。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質をコードする上記ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルスと比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。一実施形態では、上記コロナウイルスS糖タンパク質断片又は誘導体は、ラブドウイルスゲノムの同じ位置に挿入された全長野生型SARS-CoV-2 S糖タンパク質を発現するラブドウイルスゲノムを含む同等の組換えラブドウイルス粒子と比較して、より融合誘導性が高い組換えラブドウイルス粒子をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、又は39個の残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含んでよく、あるいは上記挿入、欠失、及び/又は置換からなってよい。発生し得る欠失のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば145位のチロシン、679位のアスパラギン、680位のセリン、681位のプロリン、682位のアルギニン、683位のアルギニン、684位のアラニン、及び/又は685位のアルギニン(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。発生し得る置換のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば5位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、28位においてアスパラギンへと変化するチロシン、29位においてイソロイシンへと変化するスレオニン、49位においてチロシンへと変化するヒスチジン、54位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、74位においてリシンへと変化するアスパラギン、96位においてアスパラギン酸へと変化するグルタミン酸、111位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、157位においてロイシンへと変化するフェニルアラニン、181位においてバリンへと変化するグリシン、221位においてトリプトファンへと変化するセリン、247位においてアルギニンへと変化するセリン、348位においてスレオニンへと変化するアラニン、408位においてイソロイシンへと変化するアルギニン、476位においてセリンへと変化するグリシン、483位においてアラニンへと変化するバリン、519位においてグルタミンへと変化するヒスチジン、520位においてセリンへと変化するアラニン、614位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、614位においてグリシンへと変化するアスパラギン酸、679位においてイソロイシンへと変化するアスパラギン、680位においてロイシンへと変化するセリン、682位においてグリシンへと変化するアルギニン、683位においてセリンへと変化するアルギニン、685位においてグルタミンへと変化するアルギニン、685位においてセリンへと変化するアルギニン、797位においてシステインへと変化するフェニルアラニン、930位においてバリンへと変化するアラニン、936位においてチロシンへと変化するアスパラギン酸、1078位においてバリンへと変化するアラニン、1168位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸、及び/又は1259位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。Becerra-Flores and Cardozo, “SARS-CoV-2 viral spike G614 mutation exhibits higher case fatality rate,” The International Journal of Clinical Practice, published online May 6, 2020; Eaaswarkhanth et al., “Could the D614G substitution in the SARS-CoV-2 spike (S) protein be associated with higher COVID-19 mortality?” International Journal of Infectious Diseases, 96: July 2020, Pages 459-460; Tang et al., “The SARS-CoV-2 Spike Protein D614G Mutation Shows Increasing Dominance and May Confer a Structural Advantage to the Furin Cleavage Domain,” Preprints 2020, 2020050407 (doi: 10.20944/preprints202005.0407.v1); Hansen et. al., “Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science, published online June 15, 2020; Lokman et al., “Exploring the genomic and proteomic variations of SARS-CoV-2 spike glycoprotein: A computational biology approach”, Infection, Genetics and Evolution : Journal of Molecular Epidemiology and Evolutionary Genetics in Infectious Diseases, 2020 Jun;84:104389. DOI: 10.1016/j.meegid.2020.104389を参照。これらの文献はそれぞれ、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。挿入、欠失、及び/又は置換のためのアミノ酸残基の更なる非限定的な例としては、表8及び9に列挙されているものが挙げられる(アミノ酸残基の位置は配列番号1を参照配列として用いて示されており、これは、(上記と同じ)いずれのSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の特定のための参照として使用できる;表8中の参考文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。表8に列挙された残基の修飾はそれぞれ、単独で、又は他のものと組み合わせて個別に使用することによって、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子のバリアントを生成できる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び/又は685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、溶解性がより高い表現型をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、コドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされてよい。様々な実施形態において、SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号43のポリヌクレオチド配列、又は配列番号43に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列によってコードされてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列
、又は配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び/若しくは484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び/若しくは614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、並びに/又は残基69~70の欠失(配列番号1に示されている位置)によって、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の変化又は欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記スパイクタンパク質内のフリン切断部位を不活化することによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、配列番号1に示されているQ677TNSPRRARSV687(配列番号65)、又は変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を、QTILRSV(配列番号66)又はQTNSPGSASSV(配列番号67)へと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、S1/S2境界の一塩基フリン切断部位(QTILRSV(配列番号66))、又はフリン切断部位(QTNSPGSASSV(配列番号67))表現型の欠失をもたらす。特定の実施形態では、フリン切断部位に対する変更は、スパイク安定化擬似粒子をもたらすことができる。Hansen et. al.,“Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science(2020年6月15日オンライン公開)を参照。上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。
【0061】
上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は組換えベシクロウイルス粒子である。一実施形態では、上記組換えベシクロウイルス粒子は組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子である。
【0062】
組換えラブドウイルス粒子を含む上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、変異型VSVマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、変異型VSV Mタンパク質をコードする。ある具体的実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、メチオニン51における変異を含む変異型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、メチオニン51における上記変異は、メチオニン(M)からアルギニン(R)へのものである。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある具体的実施形態では、上記変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0063】
組換えラブドウイルス粒子を含む上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、野生型ラブドウイルスマトリックス(M)タンパク質を含む。一実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子のゲノムは、野生型ラブドウイルスMタンパク質をコードする。ある具体的実施形態では、上記組換えラブドウイルス粒子は、配列番号9のアミノ酸配列を含む野生型VSV Mタンパク質を含む、組換えVSV粒子である。ある具体的実施形態では、上記野生型VSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列からなる。
【0064】
上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含む。使用可能なルシフェラーゼの非限定的な例としては、例えばウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0065】
上述のキットのうちのいずれかの一実施形態では、上記レポータータンパク質は蛍光タンパク質を含む。使用可能な蛍光タンパク質の非限定的な例としては、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP);赤色蛍光タンパク質、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0066】
上述のキットのうちのいずれかのある具体的実施形態では、上記レポータータンパク質はルシフェラーゼを含み、上記レポータータンパク質のための上記基質は、ルシフェリン(例えばd-ルシフェリン)、セレンテラジン、又はEnduRenルシフェラーゼ基質を含む。
【0067】
上述のキットのうちのいずれかのある具体的実施形態では、コロナウイルス中和抗体を含む上記対照試料は、mAb10914を含む対照試料である。上述のキットのうちのいずれかのある具体的実施形態では、コロナウイルス中和抗体を含む上記対照試料は、mAb10922を含む対照試料である。
【0068】
本明細書に記載のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図面において、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、実施例において試験されるVSV SARS-CoV-2構築物(バリアント1~4)を示す。これらの構築物では、VSV G糖タンパク質が:(1)全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質配列(バリアント1;VSV SARS-CoV-2 dG=VSV-SARS-CoV-2-S;配列番号1のアミノ酸配列;配列番号2のコドン最適化ヌクレオチド配列)、(2)細胞質尾部の19個のアミノ酸KFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号20)が欠失したSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント2;VSV SARS-CoV-2 Δ19CT dG=VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT;配列番号3のアミノ酸配列;配列番号4のコドン最適化ヌクレオチド配列)、(3)S細胞質尾部がVSV G糖タンパク質細胞質尾部配列KLKHTKKRQIYTDIEMNRLGK(配列番号21)に置き換えられたSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント3;VSV SARS-CoV-2 VSV-G CT dG;配列番号5のアミノ酸配列;配列番号6のコドン最適化ヌクレオチド配列)、又は(4)全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列ではあるものの、他の3つの構築物で使用されている最適化コザック配列(caccATG;配列番号12)の代わりに野生型VSVコザック配列(cActATG;配列番号11)が使用された、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント4;VSV-SARS-CoV-2-S;配列番号1のアミノ酸配列;配列番号2のコドン最適化ヌクレオチド配列)によって、置換された。野生型Mタンパク質(配列番号9のアミノ酸配列;配列番号10のヌクレオチド配列)をコードする、バリアント1~4の構築物の1つ目のセットを調製した。ウイルスの弱毒化をもたらす置換M51Rを有するMタンパク質(配列番号7のアミノ酸配列;配列番号8のヌクレオチド配列)をコードする、バリアント1~4の構築物の第2のセットを調製した。
図2図2は、本発明のDSP Veroルシフェラーゼアッセイの概要を示す。SARS-CoV-2スパイクを発現するVSV(例えばVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT又はVSV-SARS-CoV-2-S)を、試験用血清試料と共にインキュベートする。SARS-CoV-2中和抗体の不在下(上側)では、ウイルスは感染性を保持し、Vero-DSP1/Vero-DSP2単層に感染する。試験用試料がSARS-CoV-2中和抗体を含有する場合(下側)、抗体はスパイクタンパク質に結合し、細胞侵入を遮断することによってウイルスの中和を引き起こす。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTは、Vero-DSP1/Vero-DSP2単層での合胞体形成を誘導し、これによって、完全に機能するルシフェラーゼレポーターが再構成され、これは、ウイルス誘導型合胞体形成を定量化するために使用される。高いルシフェラーゼシグナルは、試験用試料がウイルスを中和しなかったことを示し、ルシフェラーゼの減少は、試験用試料中にSARS-CoV-2-中和抗体が存在することを示す。
図3】(A)本アッセイで使用されたVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTゲノムの概略図。VSV N、P、M、及びL遺伝子の位置が示されている。VSV-Gは、19個のアミノ酸C末端(CT)の欠失(Δ19CT)を伴うコドン最適化SARS-CoV-2スパイク遺伝子に置き換えられている。TMは膜貫通ドメインであり、CTはC末端ドメインである。描画の縮尺は正確ではない。(B)VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTは、Vero細胞単層での合胞体の形成を誘導する。Vero単層を、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染、又は偽感染させた。4時間後、接種材料を除去し、新鮮な培地±0.4μg/mLのトリプシンと交換した。感染の20時間後に100倍の倍率で画像を撮影した。(C)免疫ブロット分析。VSV-GFP(VSV-Gをコードする)若しくはVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染した、若しくは偽感染したVero細胞から調製したウイルス上清を、抗SARS-CoV-2-スパイク抗体(左)及びウサギ抗VSV抗血清(右)を用いた免疫ブロット分析に供した。矢印は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の全長S1/S2バリアント及びタンパク質分解的に切断されたS2バリアント、並びにVSV-G、VSV-N、及びVSV-Mタンパク質を示す。(D及びE)フローサイトメトリー。Vero-DSP1細胞の単層をVerseneで除去し、(TMPRSS2染色のみについて)透過処理し、アイソタイプ対照(灰色)、抗ACE2(D、黒色)、又は抗TMPRSS2(E、黒色)抗体で染色し、固定し、フローサイトメトリー分析に供した。(F)VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTはルシフェラーゼ活性を誘導した。Vero-DSP1、Vero-DSP2、又は混合Vero-DSP1/Vero-DSP2細胞の単層を、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染(10,000 TCID50単位/ウェル)、又は偽感染させた。ルシフェラーゼ活性を、感染の24時間後の細胞融合のマーカーとして測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。
図4図4A~Bは、アッセイのルシフェラーゼシグナルの最適化を示す。(A)VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT誘導型ルシフェラーゼ活性の動態。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT(2360 TCID50単位/ウェル)又はOptiMEMのみ(モック)を、Vero-DSP1/Vero-DSP2細胞の単層上に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、その後、指示された時点(単位:時間)で、ルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(B)Vero-DSP1/Vero-DSP2細胞の密度の最適化。指示された個数のVero-DSP1/Vero-DSP2細胞を96ウェルプレートに播種した。翌日、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを指示された希釈率となるまでOptiMEM中で希釈し、細胞単層上に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の28時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に実施した2つの別個の実験からの平均RLU±標準偏差を表す。
図5図5A~Bは、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT誘導型ルシフェラーゼ活性の中和を示す。(A)精製された分子による阻害。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを、培地のみ、又は指示された濃度のポリクローナル抗SARS-CoV-2-スパイク抗体、モノクローナル抗ACE2抗体、若しくは組換えACE2と共に、インキュベートした。37℃で1時間後、ウイルス混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。対照ウェルは培地のみ(ウイルスなし)を受け入れた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(B)COVID-19回復期血漿による阻害。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTをCOVID-19回復期の個体からの血漿(NL1)、又は3人のSARS-CoV-2セロネガティブ(seronegative)と推定される個体からのプールされた血漿の、指示された希釈物と共に、インキュベートした。血漿希釈率は、ウイルス添加後の最終的な希釈率を表す。37℃で1時間後、ウイルス混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の28時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。
図6図6A~Eは、アッセイの中和条件の最適化を示す。(A)ウイルスのインキュベーションによって、合胞体の形成が減少する。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを解凍し、指示されたTCID50単位/100μLまで、OptiMEM中で希釈した。試料は二重に調製され、一方のセットはVero-DSP1/Vero-DSP2単層にすぐに重ねられ、もう一方は37℃で1時間インキュベートした後でVero-DSP1/Vero-DSP2単層に重ねられた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の27時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(B)異なる複数の条件下でのNL1の阻害。NL1回復期血漿の希釈物を調製し、指示された時間にわたって、指示された温度で、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと共にインキュベートした後、Vero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。希釈率は、最終的なウイルス/血漿混合物中のNL1希釈率を表す。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の25時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(C及びD)陰性血清に対する熱不活化の影響。陰性と推定される血清試料A、B、C、D、E、F、G、及び市販のSARS-CoV-2セロネガティブのプールされた血清(プール)を、二重のアリコートとして調製した。一方のアリコートは氷上で保管され、もう一方は56℃で30分間インキュベートされた。次に各アリコートをOptiMEM中で希釈し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと混合して、最終希釈率を1:100(C)又は指示された希釈率(D)とした。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の23時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(E)COIVD-19回復期血清に対する熱不活化の影響。SARS-CoV-2セロポジティブと推定される試料を解凍し、パネルDに記載されているようにアッセイに供した。
図7図7A~Dは、人工(contrived)陽性対照の開発を示す。(A)推奨される最低希釈率。SARS-CoV-2セロネガティブと推定される個体からの39個の血清を連続希釈し、1つずつVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと混合した。希釈率は、ウイルス/血清混合物中の血清希釈率を表す。室温で30分後、ウイルス/血清混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の22時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、非線形回帰曲線に当てはめた平均RLU±標準偏差を表す。(B及びC)mAb10914によるVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和。mAb10914又はアイソタイプ対照抗体を、OptiMEM(B)、又はプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(C)中で希釈し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと共にインキュベートした。濃度は、ウイルス/抗体混合物中での濃度を表し、血清濃度は1:100であった。室温で30分後、ウイルスをVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。値は、二重に測定されたウェルからの平均RLU±標準偏差を表す。(D)人工陽性対照の値の確立。mAb10914を、パネルCに記載されているように、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清中で希釈し、3人の異なる操作者が三重に実施した、パネルCと同様のアッセイに供した。プールされていた陰性血清を希釈したものを、対照として用いた(0μg/mLのmAb10914)。対照に対する%シグナルを各試料について決定した。値は、非線形回帰曲線に当てはめた、二重に実施された3つの独立した実験からの平均%シグナル±標準偏差を表す。%ルシフェラーゼシグナル:陰性対照(プールされていた陰性血清)のルシフェラーゼシグナルに対する試験用試料からのルシフェラーゼシグナル:50%超=陰性試料;50%未満=陽性又はボーダーライン。ウイルス中和単位(virus neutralizing unit:VNU):同等の%ルシフェラーゼシグナルをもたらすmAb10914の濃度の100倍に等しい任意単位。陽性であるためには、試料は30のVNUを有する必要がある。
図8-1】図8A~Dは、ウイルス中和単位の、PRNTEC50及びVNTEC50に対する相関を示す。SARS-CoV-2セロポジティブ血清試料をOptiMEM中で連続希釈し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと混合した。室温で30分後、ウイルス/血清混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層に重ねた。ルシフェラーゼ基質EnduRen(商標)をウェルに加え、感染の23時間後及び27時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。各アッセイプレートは検量線も含んでおり、この検量線では、mAb10914を、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清中にスパイクしてウイルスと混合した。検量線のためのウイルス混合物中のmAb10914の濃度は、3、1、0.33、0.11、及び0.037μg/mLであった。各試験試料及び検量線のポイントに関する%シグナルを決定した。続いて、各試料について、検量線に対するその%シグナルに基づいてウイルス中和単位(VNU)を決定した。ここでVNUは、与えられた%シグナルに対するmAb10914の濃度を100倍したものに等しい。陽性であるためには、試料は30のVNUを有する必要がある。(A)PRNTEC50との比較。試験された陽性試料のうち15個の血清試料を、SARS-CoV-2の臨床単離株を用いたプラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization 試験:PRNT)に供した。試料の2倍連続希釈物を、PRNT50アッセイで1:20から1:40960まで試験した。各試料について、各希釈率におけるプラークの数をプロットし、これを用いて、各試料についてのPRNTEC50値を決定した。PRNTEC50に対するVNUの統計的比較を実施した。データは非正規分布(p<0.0001)であるため変換された。(B)VNTEC50との比較。各試料希釈物に関する%シグナルをプロットし、これを用いてVNTEC50を決定した。VNTEC50に対するVNUの統計的比較を実施した。データは非正規分布(p<0.0001)であるため変換された。
図8-2】図8-1の続き。(C)PCR陽性コホートにおけるVNUの代表的な分布。(D)臨床症状が自己報告された31個の陽性試料における、VNU値と症状の重篤度との間の相関。
図9図9は、DSP Veroルシフェラーゼアッセイのためのアッセイプレートのレイアウトの例を示す。例示的なアッセイプレートのレイアウト。全ての対照及び試料は二重にアッセイに供された。合計41個の試料(S1~S41)を、各試料について単一の希釈物を用いて、単一のプレート上で分析できる。BC(background control:バックグラウンド対照)は、ウイルスを含まない、1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清からなる。NC(negative control:陰性対照)は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを含む、1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清からなる。NCは、アッセイにおける100%のルシフェラーゼシグナルを決定するために使用される。St1~St5は、検量線のための標準である。全ての標準は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT及びmAb10914を含む、1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清であり、上記mAb10914は、各標準に異なる濃度でスパイクされている:Std1は3μg/mLであり、Std2は1μg/mLであり、Std3は0.33μg/mLであり、Std4は0.11μg/mLであり、Std5は0.037μg/mLである。
図10図10は、DSP Veroルシフェラーゼアッセイのワークフローの概略図である。
図11-1】図11A~Cは、異なる希釈率の3人の対象の血漿及び血清におけるルシフェラーゼ活性を示す。3人のCOVID-19回復期の個体からの血漿及び血清を、56℃で30分間熱不活化した。続いて連続希釈物を調製し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと共に室温で30分間インキュベートした後、Vero-DSP1/DPS2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。
図11-2】図11-1の続き。図11Dは、VSV-SARS-CoV2 v1.0(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)ウイルスと混合された段階的な濃度の抗SARS-CoV-2スパイク抗体mAb10914を含有する、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血漿における、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で30分のインキュベーションの後、血漿/ウイルス混合物をVero-DSP1/DSP2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。図11Eは、VSV-SARS-CoV2 v.1.0(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)ウイルスと混合された、COVID-19回復期の個体(NL1)からの、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血漿又は血漿の希釈物における、ルシフェラーゼ活性を示す。37℃で1時間のインキュベーションの後、血漿/ウイルス混合物をVero-DSP1/DSP2細胞単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。図11Fは、血漿試料に対する熱不活化の影響を示す。一方のアリコートは氷上で保管され、もう一方は56℃で30分間インキュベートされた。次に各アリコートをOptiMEM中で希釈し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと混合して、グラフ中に示されている最終希釈率とした。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血漿混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。
図12図12は、1:100の希釈率のVSV-SARS-CoV2 v.1.0(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)ウイルスと混合された段階的な濃度(2μg/mL(QC-High)、0.6μg/mL(QC-Mid)、及び0.4μg/mL(QC-Low))のmAb10914がスパイクされた、COVIDパンデミック前の個体から調製された、プールされていた唾液における、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で30分のインキュベーションの後、唾液/ウイルス混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。スパイクなし、QC-Low、QC-Mid、QC-Highを用いて生成されたデータに対応するバーを、試験された各希釈率について上述の順(左から右)に示す。
図13図13Aは、VSV-SARS-CoV-2-Fluc及びVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLucの概略図である。VSV-SARS-CoV-2-Flucは、ホタルルシフェラーゼの変異型Luc2バリアント(GenBank受託番号AY738222)をコードする。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLucは、分泌型ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)をコードする。図13Bは、IMMUNO-COVアッセイのバージョン2のワークフローを示す。
図14図14Aは、ホタルルシフェラーゼの変異型Luc2バリアントをコードするVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucを、プールされていた陰性血清(希釈率1:80)、COVID-19回復期血清(希釈率1:80)、又はプールされていた陰性血清(希釈率1:80)を、10、2、若しくは0.2μg/mLのmAb10914と混合したものと共にインキュベートした場合の、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で45分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物をVero細胞単層上に重ねた。更に18時間後、d-ルシフェリン基質をウェルに加え、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性(RLU)を測定した。図14Bは、分泌型ガウシアルシフェラーゼをコードするVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLuc(ウイルスストックの1:48希釈物)を、単独の、又は0.2若しくは2μg/mLのmAb10914がスパイクされた、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(希釈率1:80)と共にインキュベートした場合の、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物をVero-Ace-2単層上に重ねた。更に24時間後、セレンテラジン(5μMのストック、20μL)を加え、ルシフェラーゼ活性を測定した。
図15図15A~Bは、Vero-Ace-2細胞がIMMUNO-COVアッセイv.2において特に有効であることを実証している。図15Aは、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Fluc又は培地のみ(ウイルスなしの対照)を、2又は0.2μg/mLのmAb10914と混合された、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(希釈率1:80)と共にインキュベートした場合の、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物を細胞(Vero-αHis、Vero-E6、又はVero-Ace-2)の単層上に重ねた。更に26時間後、d-ルシフェリン基質をウェルに加え、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性(RLU)を測定した。図15Bは、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(希釈率1:80)を、単独の、又は0.2μg/mLのmAb10914がスパイクされた、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLuc(4800 TCID50/ウェル)と共にインキュベートした場合の、ルシフェラーゼ活性を示す。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物を、前日に黒色透明底96ウェルプレートに1e4細胞/ウェルで播種されたVero-αHis、Vero-Ace-2、又はVero-Ace-2/TMPRSS2細胞単層上に重ねた。更に24時間後、d-ルシフェリンを加えてから、ウェル内のルシフェラーゼ活性を測定した。
図16図16A~Bは、細胞をウイルスと同時にプレーティングした場合に、ルシフェラーゼシグナルが(細胞を事前にプレーティングした場合に比べて)大幅に低くなるものの、4時間の回復時間を与えると大幅に回復することを示している。(A)ウイルスを、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(1:80)と共に室温で30分間インキュベートした後、Vero細胞単層上に重ねるか、又は同等の密度でVero細胞と混合した。細胞に重ねてから指定された時間だけ後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。(B)ウイルスを、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(1:80)と共に室温で30分間インキュベートした後、4時間又は24時間前にプレーティングされたVero細胞単層上に重ねた。更に24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。
図17図17A~Bは、ルシフェラーゼ活性が、細胞密度(A)及びウイルス量/ウェル(B)の上昇と共に上昇することを示している。ウイルスをOptiMEM中で希釈して、1ウェルあたり指定されたTCID50とし、前日に指定された細胞/ウェルでプレーティングされたVero細胞単層上に重ねた。更に16、20、及び24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。パネルAのデータは24時間からのものである。パネルAでは、7000細胞/ウェル、10000細胞/ウェル、15000細胞/ウェル、及び20000細胞/ウェルを用いて生成されたデータに対応するバーを、試験されたウイルスTCID50条件それぞれについて、上述の順(左から右)に示す。パネルBでは、2400Pfu/ウェル、1600PFU/ウェル、800PFU/ウェル、及び400PFU/ウェルを用いて生成されたデータに対応するバーを、試験された各時点について、上述の順(左から右)に示す。
図18図18は、IMMUNO-COVアッセイv.2が高感度であり、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucの用量依存性阻害を示すことを示している。ウイルスを、段階的な濃度のmAb10914を含有するプールされていた陰性血清と共に、室温で30分間インキュベートした。続いてウイルス/血清混合物をVero細胞単層上に重ねた。更に24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。
図19図19は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucに感染したVero-Ace-2細胞の、d-ルシフェリン添加後のFluc活性の動態曲線を示す。Vero-Ace-2細胞単層(感染の前日に1e4細胞/ウェルで播種)に、4800 TCID50単位のVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucを感染させた。24時間後に、インジェクターを取り付けたTECAN機器(発光プレートリーダー)にプレートを装入した。インジェクターを、所望量の基質(d-ルシフェリンの3.75mg/mL溶液、20μL)を各ウェルに注入するようにプログラムし、0.5秒後に発光を読み取った(1000msの積分時間)。更なるルシフェラーゼの読み取りを5秒ごとに3分間にわたって実施して、ルシフェラーゼ活性の動態曲線を生成した(2回の読み取りを実施、9秒(矢印)にd-ルシフェリンを添加(ウェル中での最終濃度0.44mg/mL)、更なる読み取りは3分間実施された)。
図20図20は、例示的な乾燥血斑(DBS)収集カードの記載を示す。血液の滴を、5つの円が印刷されたろ紙に落とす。
図21図21は、様々な試料希釈率にわたるOptiMEMを用いて血斑を抽出することによって生成された、%相対ルシフェラーゼ応答データの概要のグラフを示す。OptiMEM A及びBは、OptiMEMの独立した試料である。
図22図22A~Bは、血斑マトリックスの例示的な顕微鏡写真を示す。(A)B7 Opti-20x陽性マトリックスA、及び(B)A7 Opti-20x陰性マトリックスA。血斑マトリックスは、マトリックスの1:20での希釈において、適合性を有していた。試験された血斑試料では、細胞の健康状態又はウイルス感染性について問題は見られなかった。
図23図23は、96ウェルのUウェル(又はU底)プレートに関する例示的なレイアウトマップを示す。
図24図24は、96ウェルアッセイプレートに関する例示的なレイアウトマップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
定義
本明細書中で使用される技術用語及び科学用語は、それ以外の定義がなされていない限り、本開示が属する分野の当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。
【0071】
単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、文脈によってそうでないことが規定されている場合を除いて、複数の指示対象を含む。従って例えば、「ある方法(a method)」に関する言及は、本明細書に記載されているタイプの、及び/又は本開示を読めば当業者には明らかになる、1つ以上の方法及び/又はステップを含む。
【0072】
用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」は、ある値の、統計的に有意な範囲内にあることを含む。このような範囲は、所与の値又は範囲の1桁以内、好ましくは50%以内、より好ましくは20%以内、更に好ましくは10%以内、また更に好ましくは5%以内とすることができる。用語「約」又は「およそ」が包含する許容可能なばらつきは、研究中の特定の系に依存し、これは当業者には容易に理解され得る。
【0073】
用語「…を備える、含む(comprise(s))」、「…を含む(include(s))」、「…を有する(having、has)」、及び「…を含有する(contain(s))」は、追加の行為又は構造の可能性を排除することのない、非制限的な意味の移行句、用語、又は単語であることが意図されている。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「アッセイ(assay)」又は「試験(test)」は、用語「方法(method)」と交換可能なものとして使用され得る。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「抗体(antibody)」は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を包含し、クラスIgA(例えばIgA1若しくはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、若しくはIgMの免疫グロブリン分子、又はFab、F(ab’)2、Fd、一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二重官能性抗体、ヒト化抗体、及びこれらの様々な誘導体を含むがこれらに限定されないその断片若しくは誘導体を指す。
【0076】
本開示の文脈において、用語「中和抗体(neutralizing antibody)」は、病原体(例えばウイルス)に結合して、上記病原体の、細胞に感染する能力に干渉する、抗体を指す。中和抗体の非限定的な例としては、ウイルス粒子に結合して、良好な形質導入、例えば結合、侵入、核への輸送、及びウイルスゲノムの転写から選択される1つ以上のステップを阻害する、抗体が挙げられる。一部の中和抗体は、侵入後のステップにおいてウイルスを遮断できる。
【0077】
用語「免疫応答(immune response)」は、免疫系の細胞(例えばB細胞、T細胞、マクロファージ、又は多形核球)の、抗原(例えばウイルス抗原)等の刺激に対する応答を指す。能動免疫応答は、免疫担当細胞の分化及び増殖を伴うことができ、これは抗体の合成、又は細胞仲介型反応性の発現、又はこれら両方につながる。能動免疫応答は、(例えば感染又はワクチン接種による)抗原への曝露後に宿主によって開始され得る。能動免疫応答は受動免疫と対比でき、受動免疫は、例えば抗体、伝達因子、胸腺移植片、及び/又はサイトカイン等の物質の、能動免疫された宿主から非免疫宿主への伝達によって獲得できる。
【0078】
本明細書中でウイルス感染及びワクチン接種に関連して使用される場合、用語「防御免疫応答(protective immune response)」又は「防御免疫(protective immunity)」は、感染を予防若しくは軽減する、又は感染に関連する疾患の発症を予防若しくは軽減するという点で、対象に何らかの利益をもたらす免疫応答を指す。理論によって束縛されることを望むものではないが、対象の体内にSARS-CoV-2中和抗体が存在することは、この対象の体内に防御免疫応答が存在することを示す可能性がある。
【0079】
用語「免疫原性組成物(immunogenic composition)」、「ワクチン組成物(vaccine composition)」、又は「ワクチン(vaccine)」は、交換可能なものとして使用され、対象の体内で免疫応答(例えば体液性及び/又は細胞性応答)を誘導する少なくとも1つの免疫原性及び/又は抗原成分を含む組成物を指す。特定の実施形態では、上記免疫応答は防御免疫応答である。ワクチンは、感染症等の疾患の予防又は治療のために投与できる。ワクチン組成物としては、例えば生きた又は死滅した感染性病原体、組換え感染性病原体(例えば、免疫原性及び/又は抗原性成分を発現する、組換えウイルス粒子、ウイルス様粒子、ナノ粒子、リポソーム、又は細胞)、抗原性タンパク質又はペプチド、核酸等が挙げられる。免疫応答を増強するために、ワクチンをアジュバントと共に投与することもできる。
【0080】
用語「作動可能に連結される(operably linked)」は、機能的関係での複数の核酸エレメントの連結を含む。核酸配列は、別の核酸配列と機能的な関係となるように配置されると、「作動可能に連結される」。例えば、プロモーター若しくはエンハンサー、又はプロモーター若しくはエンハンサーを含有する5’調節領域は、コード配列の転写に影響を与える場合、このコード配列に対して作動可能に連結される。
【0081】
本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター(promoter)」は、一般にある遺伝子のシス側にあり、かつ上流に位置し、該遺伝子の転写を促進する、遺伝子配列を意味する。プロモーターは、(発生的、組織特異的、若しくは(化学的、温度)誘導的に)調節できるか、又は構成的に活性を有するものとすることができる。特定の実施形態では、プロモーターは、ユビキチンCプロモーター(Schorpp et al., Nucl. Acids Res. 24(9): 1787-1788, 1996;Byun et al., Biochem. Biophys. Res. Comm 332(2): 518-523, 2005を参照)、又はCMV-IEプロモーター(Addison et al., J. Gen. Virol. 78(7): 1653-1661, 1997;Hunninghake et al., J. Virol. 63(7): 3026-3033, 1989を参照)、又はhCMV-IEプロモーター(ヒトサイトメガロウイルス最初期遺伝子プロモーター)(Stinski & Roehr, J. Virol. 55(2): 431-441, 1985; Hunninghake et al., J. Virol. 63(7): 3026-3033, 1989を参照)といった、構成的哺乳類プロモーターである。プロモーターは、発現を更に強化する、並びに/又はその空間的発現及び/若しくは時間的発現を変化させるための、1つ以上の特定の転写調節配列を含むことができる。プロモーターはまた、遠位エンハンサー又はリプレッサーエレメントを含むことができ、これは転写の開始部位から数千個もの塩基対の位置に存在できる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含むソースに由来するものであり得る。プロモーターは、発現が起こる細胞、組織、若しくは器官に対して、又は発現が起こる発生段階に対して、又は生理学的ストレス、病原体、金属イオン、若しくは誘導剤といった外部刺激に応答して、遺伝子成分の発現を構成的又は差次的に調節できる。プロモーターの非限定的な代表例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0082】
「シグナルペプチド(signal peptide)」及び「リーダー配列(leader sequence)」は、本明細書では交換可能なものとして使用され、ポリペプチドの局在化を指示できるアミノ酸配列を指す。シグナルペプチドは、ポリペプチドを細胞の分泌経路に向かわせることができる。シグナルペプチドは多くの場合、ポリペプチドのN末端に位置し、また多くの場合、細胞からの分泌時にポリペプチドの残りの部分(「成熟タンパク質(mature protein)」と呼ばれることが多い)から切断される。
【0083】
用語「誘導体(derivative)」及び「バリアント(variant)」は、本明細書では交換可能なものとして使用され、参照実体との相当な構造的同一性を有するものの、参照実体と比較した場合の1つ以上の化学的部分の存在又はレベルにおいて、参照実体とは構造的に異なる、実体を指す。多くの実施形態では、誘導体はその参照実体とは機能的にも異なる。一般に、ある特定の実体が参照実体の「誘導体」であると適切にみなされるかどうかは、この特定の実体の、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者には理解されるように、いかなる生物学的又は化学的参照実体も、特定の特徴的な構造的要素を有する。誘導体はその定義上、1つ以上のこのような特徴的な構造的要素を共有する別個の実体である。ほんの数例を挙げると、ある小分子は、特徴的なコア構造要素(例えば大環状分子コア)及び/又は1つ以上の特徴的なペンダント部分を有することができ、従ってこの小分子の誘導体は、上記コア構造要素及び上記特徴的なペンダント部分を共有するものの、他のペンダント部分、及び/又はコア内に存在する結合のタイプ(単結合か二重結合か、EかZか等)が異なるものとなる。核酸及びポリペプチド/タンパク質である誘導体は、変異体を包含する。誘導体核酸は、直線又は3次元空間において互いに対して指定された位置を有する複数のヌクレオチド残基で構成された、特徴的な配列要素を有することができる。いくつかの実施形態では、誘導体の核酸配列は、参照配列又はその断片の全長にわたって、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージで、同一であってよい。誘導体ペプチド又はポリペプチドは、直線若しくは3次元空間において互いに対して指定された位置を有する複数のアミノ酸で構成された、及び/又はある特定の生物学的機能に寄与する、特徴的な配列要素を有することができる。誘導体ペプチド及びポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換によって参照ペプチド又はポリペプチドとはアミノ酸配列が異なるものの、上記参照ペプチド又はポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性(例えばウイルスによる細胞感染を仲介する能力、膜融合を仲介する能力、特異的抗体によって結合される又は免疫応答を促進する能力等)を保持する、ペプチド及びポリペプチドを含む。いくつかの非限定的な実施形態では、誘導体ペプチド又はポリペプチドは、全長にわたって、参照ペプチド又はポリペプチド(又はその断片)との少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージの同一性を示す。あるいは、又は更に、誘導体ペプチド又はポリペプチドは、(例えばグリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、パルミトイル化、酸化、ホルミル化、アミド化、ポリグルタミル化、ADP-リボシル化、ペグ化、ビオチン化等において)ポリペプチド主鎖に付着した1つ以上の化学部分、及び/又は1つ以上の化学部分の1つ以上の差異の結果として、参照ペプチド又はポリペプチドとは異なるものとなり得る。いくつかの実施形態では、誘導体ペプチド又はポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物学的活性のうちの1つ以上を欠いているか、又は参照ポリペプチドと比較して1つ以上の生物学的活性のレベルが低下若しくは上昇している。ある特定のペプチド又はポリペプチドの複数の誘導体が、天然のものとして見られる場合があり、又は合成若しくは組換えによって産生され得る。本明細書中で使用される場合、用語「誘導体」又は「バリアント」は、様々なキメラ、融合タンパク質、及びコンジュゲートも包含し、これは、検出タグ(例えばHAタグ、ヒスチジンタグ、ビオチン、蛍光又は発光ドメインとの融合等)、二量体化/多量体化配列、Fc、シグナル伝達配列等との融合物又はコンジュゲートを含む。
【0084】
本明細書中で使用される場合、用語「コロナウイルス(coronavirus)」は、ニドウイルス目内のコロナウイルス科内のコロナウイルス亜科を指す。系統的関係及びゲノム構造に基づくと、この亜科は4つの属:αコロナウイルス、βコロナウイルス、γコロナウイルス、及びδコロナウイルスからなる。αコロナウイルス及びβコロナウイルスは、哺乳類にしか感染しない。γコロナウイルス及びδコロナウイルスは鳥類に感染するが、一部は哺乳類にも感染する。αコロナウイルス及びβコロナウイルスは通常、ヒトの呼吸器系疾患及び動物の胃腸炎を引き起こす。3つの高病原性ウイルス、即ちSARS-CoV-2、SARS-CoV-1、及びMERS-CoVは、ヒトの重症呼吸器症候群を引き起こす。他の4つのヒトコロナウイルス、即ちHCoV-NL63、HCoV-229E、HCoV-OC43、及びHKU1は、免疫能を有する宿主の体内で軽度の上気道疾患しか誘発しないものの、一部は乳児、幼児、及び高齢の個体の体内で重篤な感染を引き起こす場合がある。商業的に重要なコロナウイルスの更なる非限定的な例としては、伝染性胃腸炎コロナウイルス(transmissible gastroenteritis coronavirus:TGEV)、ブタ呼吸器コロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ腸コロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎コロナウイルス、ウサギコロナウイルス、マウス肝炎ウイルス、唾液腺炎ウイルス、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ウシコロナウイルス、鳥類伝染性気管支炎ウイルス、及びシチメンチョウコロナウイルスが挙げられる。Cui et al., Nature Reviews Microbiology, 2019, 17:181-192;Fung et al., Annu. Rev. Microbiol., 2019, 73:529-557で報告されている。
【0085】
コロナウイルスは、直径80~160nmの、エンベロープを有する球状粒子を形成する。上記粒子は、サイズが27~32kbの、ポジティブセンスの、セグメント化されていない一本鎖RNA(ssRNA)ゲノムを含有する。このゲノムの5’末端の2/3は、ポリタンパク質pp1a及びpp1abをコードする。3’末端は、エンベロープ糖タンパク質スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、及びヌクレオカプシド(N)を含む構造タンパク質をコードする。ゲノムRNAは5’がキャップされ、3’がポリアデニル化され、複数のオープンリーディングフレーム(open reading frame:ORF)を含有する。不変の遺伝子順序は、5’-レプリカーゼ-S-E-M-N-3’であり、(アクセサリータンパク質をコードする)多数の小さなORFが構造遺伝子の間に散乱している。コロナウイルスのレプリカーゼは、ゲノムの約2/3を占める2つの大きな重複するORF(ORF1a及びORF1b)によってコードされ、ゲノムRNA(genomic RNA:gRNA)から直接翻訳される。しかしながら、構造遺伝子及びアクセサリー遺伝子は、ゲノムの転写/複製中に生成されるサブゲノムRNA(subgenomic RNA:sgRNA)から翻訳される。感染は、コロナウイルスが同種の細胞受容体に付着することで開始され、これはエンドサイトーシスを誘導する。膜融合が典型的にはエンドソームで発生し、ウイルスのヌクレオカプシドを細胞質に放出する。ゲノムRNA(gRNA)は、ポリタンパク質pp1a及びpp1abの翻訳のテンプレートとして機能し、上記ポリタンパク質は切断されて、非構造タンパク質(nonstructural protein:nsp)を形成する。nspは、細胞膜の再編成を誘導して、二重膜小胞(double-membrane vesicle:DMV)を形成し、そこにウイルスの複製転写複合体(replication transcription complex:RTC)が固定される。全長gRNAは、ネガティブセンス中間体を介して複製され、ネスト化されたサブゲノムRNA(sgRNA)種のセットが、不連続転写によって合成される。これらのsgRNAは、ウイルスの構造タンパク質及びアクセサリータンパク質をコードする。粒子の集合は、ER-ゴルジ中間体複合体(ER-Golgi intermediate complex:ERGIC)で発生し、成熟したビリオンが分泌経路を介して、滑らかな壁面の小胞に放出される。
【0086】
宿主細胞へのコロナウイルスの侵入は、膜貫通スパイク(S)糖タンパク質(これと交換可能なものとして、「スパイク糖タンパク質」、「S糖タンパク質」、「Sタンパク質」、又は「スパイクタンパク質」とも呼ばれる)によって仲介され、これは抗ウイルス中和抗体の主要な標的であり、治療及びワクチン設計の焦点である。S糖タンパク質は、ウイルスの表面から突出したホモ三量体を形成する。S糖タンパク質は2つの機能性サブユニットを含み、これらは、宿主細胞受容体への結合(S1サブユニット)、及びウイルス膜と細胞膜との融合(S2サブユニット)に関与する。SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2を含む多くのコロナウイルスに関して、S糖タンパク質はS1サブユニットとS2サブユニットとの境界で切断され、これらは融合前のコンフォメーションで非共有結合状態のままである。遠位のS1サブユニットは、1つ以上の受容体結合ドメイン(receptor-binding domain:RBD)を含み、融合機構を含有する膜固定S2サブユニットの融合前状態の安定化に寄与する。Sは更に、融合ペプチドのすぐ上流に位置するS2’部位において、宿主プロテアーゼによって切断される。この切断は、コンフォメーションの変更によって膜融合のためにタンパク質を活性化することが提案されている。Walls et al., Cell(2020年3月9日オンライン公開、doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.058にて入手可能)。
【0087】
SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と直接相互作用して標的細胞に侵入し、細胞セリンプロテアーゼ、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(transmembrane protease, serine 2:TMPRSS2)をSタンパク質のプライミングに使用できる(Hoffmann et al., Cell, 2020, 181:1-10;doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.052にて入手可能)。SARS-CoV-S及びSARS-CoV-2-Sは、76%のアミノ酸同一性を共有する。S糖タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)は、ACE2受容体への結合に関与する。6個のRBDアミノ酸が、ACE2受容体への結合、及びSARS-CoV-likeウイルスの宿主範囲の決定にとって重要であることが示されている。これらは、SARS-CoVにおいてはY442、L472、N479、D480、T487、及びY4911であり、これらはSARS-CoV-2のL455、F486、Q493、S494、N501、及びY505に対応する(Andersen et al., Nature Medicine, 2020;doi.org/10.1038/s41591-020-0820-9にて入手可能)。
【0088】
本明細書中で使用される場合、用語「ラブドウイルス(rhabdovirus)」は、脊椎動物、無脊椎動物、及び植物の150を超えるウイルスを包含する、モノネガウイルス目ラブドウイルス科のウイルスを指す。ラブドウイルスの例としては、リッサウイルス属の狂犬病ウイルス(rabies virus:RABV)、ベシクロウイルス属のベシクロウイルス、ノビラブドウイルス属のウイルス性出血性敗血症ウイルス(viral hemorrhagic septicemia virus:VHSV)及び伝染性造血器壊死症ウイルスが挙げられる。ラブドウイルスは、長さ11~15kbのネガティブセンスの一本鎖RNAゲノムを有する、弾丸型のエンベロープウイルスである。ラブドウイルスのゲノムは最大10個の遺伝子を含み、そのうち5個だけが、科の全てのメンバーに共通している。これらの遺伝子は、核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、糖タンパク質(G)、及び巨大タンパク質(L)をコードする。ゲノムはN、L及びPと会合してヌクレオカプシドを形成し、これはMタンパク質によって、密なコイル状のらせん構造へと凝縮される。この凝縮されたヌクレオカプシドは、ウイルスの表面から突出するスパイクを構成するウイルス糖タンパク質Gを含有する脂質二重層によって、取り囲まれている。ラブドウイルスは、エンドサイトーシス経路を介して細胞に侵入した後、エンドソームの酸性環境内において細胞膜と融合する。受容体認識、及び膜融合はいずれも、単一の膜貫通型ウイルス糖タンパク質(G)によって仲介される。ウイルスのエンベロープとエンドソーム膜との間の融合は、(エンドソーム内の)低pHによって誘導されるGの構造的再編成によって誘発され、ウイルスゲノム及び関連タンパク質の、標的細胞の細胞質中への放出をもたらす。
【0089】
本明細書中で使用される場合、用語「ベシクロウイルス(vesiculovirus)」は、ベシクロウイルス属のいずれのウイルスを指す。ベシクロウイルスの非限定的な例としては、例えば水疱性口内炎ウイルス(VSV)(例えばVSV-New Jersey、VSV-Indiana)、Alagoasベシクロウイルス、Cocalベシクロウイルス、Juronaベシクロウイルス、Carajasベシクロウイルス、Marabaベシクロウイルス、Piryベシクロウイルス、Calchaquiベシクロウイルス、Yug Bogdanovacベシクロウイルス、Isfahanベシクロウイルス、Chandipuraベシクロウイルス、Perinctベシクロウイルス、Porton-Sベシクロウイルスが挙げられる。ベシクロウイルス属の水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、プロトタイプのラブドウイルスである。本開示では一例としてVSVを使用するが、本開示は他のベシクロウイルス及び他のラブドウイルスにも使用できる。VSVにはNew Jersey型及びIndiana型の2つの主要な血清型があり、これらはいずれも昆虫及び哺乳類に感染し、ウシ、ウマ、及びブタにおいて経済的に重要な病気を引き起こす。VSVゲノムは、11~12kBの一本鎖のネガティブセンスRNAで構成され、これは5つのウイルスタンパク質:核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、糖タンパク質(G)、及び巨大タンパク質(L)をコードする。複数のGモノマーが会合して、ウイルス膜に固定される三量体スパイクを形成する。例えばSun et al., Future Virol., 2010, 5(1):85-96、及びAurelie et al., Viruses 2012, 4:117-139で報告されている。
【0090】
本明細書中で使用される場合、句「組換えVSVゲノムの非必須部分(non-essential portion(s) of the recombinant VSV genome)」は、インビトロ及び/又はインビボでのウイルスの発達及び/又は成長に影響を及ぼすことなく、また免疫原性組成物又はワクチンとして機能するために必要なウイルスの機能に影響を及ぼすことなく修飾できる、VSVゲノムの領域を指す。
【0091】
様々な組換えエンベロープウイルス粒子に関連して本明細書中で使用される場合、用語「シュードタイプ化された(pseudotyped)」は、ウイルス粒子であって、その脂質エンベロープ分子中に、例えば、上記粒子が由来するウイルス(即ち「参照ウイルス(reference virus)」)の表面に典型的に見られる分子に比べて変異しており、及び/又は異種であり、かつ参照ウイルスに比べて上記ウイルス粒子の向性に影響を及ぼす、向性に寄与する、向性の方向を決定する、向性を方向転換する、及び/又は向性を完全に変化させることができる、タンパク質、糖タンパク質等を含む、ウイルス粒子を指す。いくつかの実施形態では、ウイルス粒子は、参照ウイルスとは異なる標的(リガンド又は細胞)を認識する、これに結合する、及び/又はこれに感染するように、シュードタイプ化される。いくつかの実施形態では、ウイルス粒子は、参照ウイルスとは異なる標的(リガンド又は細胞)を認識しない、これに結合しない、及び/又はこれに感染しないように、シュードタイプ化される。
【0092】
用語「フソゲン(fusogen)」又は「融合誘導性の分子(fusogenic molecule)」は、本明細書中で使用される場合、ウイルス粒子の表面上に存在する場合に膜融合を引き起こすことができるいずれの分子を指す。フソゲンは例えば、タンパク質(例えばウイルス糖タンパク質)、又はその断片若しくは誘導体であり得る。
【0093】
用語「複製可能な(replication-competent)」は、感受性細胞内で感染及び増殖できるウイルス(野生型及び組換えウイルス粒子を含む)を指す。
【0094】
用語「コードする(encoding)」は、ウイルス粒子での発現のためにポリヌクレオチドの(+)又は(-)センス鎖のいずれかからコードすることを指すことができる。
【0095】
用語「特異的に結合する(specifically binds)」、「特異的に付着する(specifically adheres)」、「特異的に標的化する(specifically targets)」、「選択的に結合する(selectively binds)」、又は「選択特異性(binding specificity)」は、スパイク(S)糖タンパク質、組換えウイルス粒子、ワクチン、中和抗体、又は本明細書に記載の他の分子の、標的に結合する能力を指す。特定の実施形態では、特異的結合は、非標的に対する親和性より少なくとも10倍、50倍、100倍、250倍、500倍、又は1000倍の親和性での標的への結合を指す。特定の実施形態では、この親和性は、親和性ELISAアッセイによって決定される。特定の実施形態では、親和性はBIAcoreアッセイによって決定される。特定の実施形態では、親和性は速度論的方法によって決定される。特定の実施形態では、親和性は平衡/溶液法によって決定される。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「レポータータンパク質(reporter protein)」は、細胞内に存在するときに検出可能な定量化可能なシグナルを生成する、いずれのタンパク質を指す。本開示のアッセイで使用可能なレポータータンパク質の非限定的な例としては、例えばルシフェラーぜ(限定するものではないが、ウミシイタケルシフェラーゼ、変異型ウミシイタケルシフェラーゼRLuc8、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの誘導体を含む)、並びに蛍光タンパク質(限定するものではないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)[例えばAequoria victoria GFP、Renilla muelleri GFP、Renilla reniformis GFP、Renilla ptilosarcus GFP]、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)[例えばTopaz、Venus、mCitrine、YPet、TagYFP、PhiYFP、ZsYellow1、mBanana]、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)[例えばEBFP2、Azurite、GFP2、GFP10、及びmTagBFP]、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)[例えばmECFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori-Ishi Cyan、TagCFP、mCFPmm、mTFP1(Teal)]、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP)、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質[例えばKusabira Orange、Kusabira Orange2、mOrange、mOrange2、dTomato、dTomato-Tandem、TagRFP、TagRFP-T、DsRed、DsRed2、DsRed-Express(T1)、DsRed-Monomer、mTangerine]、赤色蛍光タンパク質[例えばmRuby、mApple、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、dKeima-Tandem、HcRed-Tandem、mPlum、tdTomato、AQ143]、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体を含む)、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-geo等が挙げられる。
【0097】
用量又は量に適用される用語「有効な(effective)」は、それを必要とする対象に投与した場合に所望の活性をもたらすために十分な、化合物(例えば組換えウイルス)又は組成物(例えば医薬品、ワクチン、若しくは免疫原性組成物)の量を指す。なお、複数の有効成分の組み合わせを投与する場合、上記組み合わせの有効量は、個別に投与した場合に有効であった各成分の量が含まれる場合と含まれない場合があることに留意されたい。必要である正確な量は、対象の種、年齢、及び全身状態、治療される状態の重篤度、採用される1つ以上の特定の薬物、投与の様式等に応じて、対象ごとに変化することになる。
【0098】
本開示の文脈において、本明細書で列挙される病状のいずれかに関連する限り、用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」等は、上記病状に関連する少なくとも1つの症状を緩和若しくは軽減すること、又は上記病状の進行を遅延若しくは反転させることを意味する。本開示の意味の範囲内において、用語「治療する」は、疾患を阻止すること、疾患の発病(即ち疾患の臨床所見前の期間)を遅延させること、及び/又は疾患の進展若しくは悪化のリスクを低減することも指す。状態、障害、又は病状に関する用語「治療する」、「治療」等は、(1)該状態、障害、若しくは病状に罹患している若しくはその素因を有する可能性があるものの、該状態、障害、若しくは病状の臨床的若しくは潜在的症状を依然として経験していない若しくは呈していない対象において発生している該状態、障害、若しくは病状の少なくとも1つの臨床的若しくは潜在的症状の出現の、予防若しくは遅延;又は(2)該状態、障害、若しくは病状の阻害、即ち疾患、若しくはその再発(維持療法の場合)、若しくはその少なくとも1つの臨床的若しくは潜在的症状の、発生の阻止、低減、若しくは遅延;又は(3)疾患の緩和、即ち該状態、障害、若しくは病状、又はその臨床的若しくは潜在的症状のうちの少なくとも一方の退行を引き起こすことを含む場合もある。COVID-19疾患の症状の非限定的な例としては、限定するものではないが、発熱、咳、息切れ、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺症候群、嗅覚の喪失、味覚の喪失、喉の痛み、鼻汁、胃腸症状(例えば下痢)、臓器不全(例えば腎不全及び腎機能障害)、敗血症性ショック、及び死亡が挙げられる。ウイルス感染(例えばSARS-CoV-2感染)によって引き起こされる疾患に関連して使用される場合、用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、又は「予防(prevention)」は、ウイルスに曝露された対象の感染の拡大の防止、例えば対象の細胞へのウイルスの侵入の防止を指す。
【0099】
用語「個体(individual)」、「対象(subject)」、又は「患者(patient)」若しくは「動物(animal)」は、ヒト、家畜類(例えばネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等)、家禽種、及び疾患の実験動物モデル(例えばマウス、ラット、フェレット、サル等)を指す。ある好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0100】
用語「核酸(nucleic acid)」、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」、及び「ヌクレオチド(nucleotide)」は、交換可能なものとして使用され、DNA及びRNAの両方を含み、上記DNA及びRNAは、特段の指定がない限り、プラス鎖及びマイナス鎖、一本鎖及び二本鎖を含む。
【0101】
本明細書に記載の組成物に関連して使用される場合、句「薬学的に許容可能な(pharmaceutically acceptable)」は、生理学的に忍容性があり、対象(例えばヒト)に投与したときに有害な反応を典型的には生成しない、このような組成物の分子実体及び他の成分を指す。好ましくは、用語「薬学的に許容可能な」は、哺乳類、より詳細にはヒトでの使用に関して、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されているか、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認められている薬局方に記載されていることを意味する。
【0102】
本開示の実施は、特段の指示がない限り、統計分析、分子生物学(組換え技法を含む)、ウイルス学、微生物学、細胞生物学、化学、及び生化学の従来の技法を採用し、これらは当該技術分野の技能の範囲内である。このようなツール及び技法は、例えばSambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition. Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989(本明細書では「Sambrook et al., 1989」);DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D.N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization [B.D. Hames & S.J. Higgins eds. (1985)];Transcription And Translation [B.D. Hames & S.J. Higgins, eds. (1984)];Animal Cell Culture [R.I. Freshney, ed. (1986)];Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press, (1986)];B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);Ausubel, F.M. et al. (eds.). Current Protocols in Molecular Biology. John Wiley & Sons, Inc., 1994に詳細に記載されている。これらの技法は、Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-492 (1985)、米国特許第5,071,743号、Fukuoka et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 263: 357-360 (1999);Kim and Maas, BioTech. 28: 196-198 (2000);Parikh and Guengerich, BioTech. 24: 4 28-431 (1998);Ray and Nickoloff, BioTech. 13: 342-346 (1992);Wang et al., BioTech. 19: 556-559 (1995);Wang and Malcolm, BioTech. 26: 680-682 (1999);Xu and Gong, BioTech. 26: 639-641 (1999)、米国特許第5,789,166号及び5,932,419号、Hogrefe, Strategies l4. 3: 74-75 (2001)、米国特許第5,702,931号、5,780,270号及び6,242,222号、Angag and Schutz, Biotech. 30: 486-488 (2001)、Wang and Wilkinson, Biotech. 29: 976-978 (2000)、Kang et al., Biotech. 20: 44-46 (1996)、Ogel and McPherson, Protein Engineer. 5: 467-468 (1992)、Kirsch and Joly, Nucl. Acids. Res. 26: 1848-1850 (1998)、Rhem and Hancock, J. Bacteriol. 178: 3346-3349 (1996)、Boles and Miogsa, Curr. Genet. 28: 197-198 (1995)、Barrenttino et al., Nuc. Acids. Res. 22: 541-542 (1993)、Tessier and Thomas, Meths. Molec. Biol. 57: 229-237、及びPons et al., Meth. Molec. Biol. 67: 209-218に記載されているような部位特異的変異誘発が含まれる。
【0103】
ウイルス粒子
本開示の一態様は、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子を提供する。VSVは、高力価で生産でき、またヒトの体内で深刻な病状を引き起こさないため、組換えウイルス粒子の生産に関して魅力的なウイルスである。特定の実施形態では、本開示の組換えVSV粒子では、VSV糖タンパク質(G)がコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体に置き換えられている。
【0104】
本開示の組換えVSV粒子は、当該技術分野で公知の方法を用いて、例えば適切な宿主細胞に:(a)(VSVゲノムに対して相補的な)VSVアンチゲノム(+)RNAをコードするように転写できるDNA、(b)VSV核タンパク質(N)の組換えソース、(c)VSVリンタンパク質(P)の組換えソース、(d)VSV巨大タンパク質(L)の組換えソース、及び(e)外来DNAを、上記DNAが転写されてアンチゲノムRNAが生成されるような条件下で提供することによって、生成でき、これにより、生成されたアンチゲノムRNAに対して相補的なゲノムRNAと、上記DNA由来の、天然ではVSVゲノムの一部ではない外来RNAとを含有する、VSVが生成される。組換えVSVの粒子の生成に使用できる方法及び組成物は、例えば米国特許第7,153,510号、9,861,668号、8,012,489号、9,630,996号、8,287,878号、9,248,178号、米国特許出願公開第2014/0271564号、2012/0121650号、Fukishi et al., J. Gen. Virol.l 2005, 86:2269-2274で確認でき、これらの文献は全て、その全体が参照により本出願に援用される。
【0105】
特定の実施形態では、組換えVSV粒子のゲノムに含有される外来RNAは、適切な宿主細胞内での発現時に、1つ以上の外来タンパク質を産生する。特定の実施形態では、ある外来タンパク質は、以下で更に詳細に説明されるように、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質(例えばSARS-CoV-2由来のS糖タンパク質)又はその断片若しくは誘導体である。
【0106】
特定の実施形態では、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質(例えばSARS-CoV-2由来のS糖タンパク質)はその断片若しくは誘導体をコードすることに加えて、上記組換えVSVのゲノムはレポータータンパク質をコードする。レポータータンパク質の非限定的な例としては、例えばルシフェラーぜ(限定するものではないが、ウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの誘導体を含む)、並びに蛍光タンパク質(限定するものではないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)[例えばAequoria victoria GFP、Renilla muelleri GFP、Renilla reniformis GFP、Renilla ptilosarcus GFP]、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)[例えばTopaz、Venus、mCitrine、YPet、TagYFP、PhiYFP、ZsYellow1、mBanana]、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)[例えばEBFP2、Azurite、GFP2、GFP10、及びmTagBFP]、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)[例えばmECFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori-Ishi Cyan、TagCFP、mCFPmm、mTFP1(Teal)]、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP)、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質[例えばKusabira Orange、Kusabira Orange2、mOrange、mOrange2、dTomato、dTomato-Tandem、TagRFP、TagRFP-T、DsRed、DsRed2、DsRed-Express(T1)、DsRed-Monomer、mTangerine]、赤色蛍光タンパク質[例えばmRuby、mApple、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、dKeima-Tandem、HcRed-Tandem、mPlum、tdTomato、AQ143]、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体を含む)、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-geo等が挙げられる。
【0107】
特定の代替実施形態では、上記1つ以上の外来タンパク質(例えばコロナウイルスS糖タンパク質及び/又はレポータータンパク質)は、組換えVSV粒子のゲノムによってコードされず、組換えウイルス粒子の生成時にタンパク質としてVSV粒子に組み込まれる。
【0108】
特定の実施形態では、組換えVSV粒子は複製可能なウイルス粒子である。特定の実施形態では、組換えVSV粒子は複製欠損性(replication-defective)ウイルス粒子である。
【0109】
特定の実施形態では、本開示の組換えVSV粒子は、対象由来の試料中のコロナウイルス中和抗体(例えばSARS-CoV-2中和抗体)の存在を決定するための、セロポジティビティアッセイに使用される。このようなセロポジティビティアッセイは例えば、対象が上記コロナウイルスに過去に感染したかどうか、及び上記対象を防御する中和抗体が感染によって産生されたかどうか(従って上記対象を回復させることができるかどうか)を決定するために使用できる。本開示のセロポジティビティアッセイは例えば、ワクチンの有効性を決定するため、治療用抗体の開発のため、回復期血漿療法のための最良のドナーを選択するため、患者の接触の追跡のため、ウイルスを保持した宿主を特定するため、疾患の負荷を決定するため、無症候性感染率を決定するため、家庭、地域社会及び特定の環境でのウイルスの拡散の程度を特定するため等にも使用できる。
【0110】
特定の実施形態では、本開示のセロポジティビティアッセイは、2タイプ以上の組換えVSV粒子を使用してよい。特定の実施形態では、上記アッセイは、異なる複数のコロナウイルスS糖タンパク質(例えば異なる株、バリアント、又は変異体に由来するSARS-CoV-2 S糖タンパク質)をコードする2つ以上の組換えVSV粒子の混合物を使用する。
【0111】
特定の態様では、本開示は、本開示の組換えVSV粒子の生成のための細胞を提供する。例示的な細胞としては、限定するものではないが、中でVSVが成長するいずれの細胞、例えば哺乳類細胞及び一部の昆虫(例えばショウジョウバエ)細胞が挙げられる。当該技術分野で一般的に知られている多数の初代細胞及び細胞株を宿主細胞として使用できる。例えば、使用可能な細胞株としては、限定するものではないが、BHK(baby hamster kidney:ベビーハムスター腎臓)細胞、CHO(Chinese hamster ovary:チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HeLA(ヒト)細胞、マウスL細胞、Vero(サル)細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、Vero-E6細胞、ESK-4、PK-15、EMSK細胞、MDCK(Madin-Darby canine kidney:Madin-Darby イヌ腎臓)細胞、MDBK(Madin-Darby bovine kidney:Madin-Darbyウシ腎臓)細胞、293(ヒト)細胞、Hep-2細胞、初代ニワトリ胚繊維芽細胞、初代ニワトリ胚繊維芽細胞、準初代連続細胞株(例えばAGMK:アフリカミドリザル腎臓細胞(African green monkey kidney cell))、ヒト二倍体初代細胞株(例えばWI-38及びMRC5細胞)、並びにサル二倍体細胞株(例えばFRhL:胎児アカゲザル肺細胞(Fetal Rhesus Lung cell))が挙げられる。
【0112】
VSVアンチゲノム(+)RNAを生成するための転写用VSV DNA
水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、ビリオンポリメラーゼによって、5つの構造タンパク質をコードする5つのmRNAに転写される、単一の(非分節)マイナス鎖ゲノムRNAを含む、ラブドウイルスである。上記5つの構造タンパク質は、糖タンパク質(G)、巨大タンパク質(L)、リンタンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、及び核タンパク質(N)を含む。ヌクレオカプシドタンパク質は、RNAゲノムをカプシド化する。ポリメラーゼ複合体を形成する2つのタンパク質は、ヌクレオカプシドに結合する。マトリックス(M)タンパク質はヌクレオカプシド及び膜と会合する。単一の(膜貫通)エンベロープスパイク糖タンパク質(G)が、ウイルスエンベロープから延在する。Gタンパク質は、ウイルスを細胞受容体に結合させ、ウイルス膜と細胞膜との融合を触媒して、感染サイクルを開始させるように機能する。VSVゲノムのサイズは約11キロベースである。
【0113】
VSVは様々な哺乳類宿主、一般にウシ、ウマ、ブタ、及びげっ歯類に伝染し得る。ヒトのVSV感染は稀であり、一般には無症状であるか、又は合併症を伴うことなく3~8日で回復する軽度のインフルエンザ様症状を特徴とする。VSVはヒトの病原体とはみなされず、VSVに対する既存の免疫はヒト集団では稀であり、従ってVSVはワクチン及び治療用途にとって魅力的なウイルスベクターとなっている。VSVの他の有益な特徴としては、限定するものではないが、(i)細胞培養で確実に複製できる点、(ii)宿主細胞DNAへの組み込み又は遺伝子組換えができない点、(iii)複数の血清型によってプライムブースト免疫戦略が可能となる点、及び(iv)関心対象の外来遺伝子をVSVゲノムに挿入して、ウイルス転写酵素によって豊富に発現させることができる点が挙げられる。
【0114】
ラブドウイルス(例えばVSV)の、細胞への融合及びそれに続く取り込みについては、Belot, L. et al., “Structural and cellular biology of rhabdovirus entry”, Adv. Virus Res., 2019, 104:147-183(その全体が参照により本出願に援用される)、及びAlbertini, A.A.V. et al., “Molecular and Cellular Aspects of Rhabdovirus Entry” Viruses, 2012, 4:117-139(その全体が参照により本出願に援用される)に記載されている。VSVのエンドサイトーシスに関する更なる説明は、Sun, X. et al., “Internalization and fusion mechanism of vesicular stomatitis virus and related rhabdoviruses” Future Virol., 2010, 5(1):85-96(その全体が参照により本出願に援用される)に見られる。ウイルス-細胞間融合に関する一般的な情報については、Igonet, S. et al., “SnapShot: Viral and Eukaryotic Protein Fusogens” Cell, 2012, 151:1634e1(その全体が参照により本出願に援用される)を参照。
【0115】
HIVウイルスといった他のウイルスによって仲介される細胞間融合は、Kondo, N. et al., “Conformational changes of the HIV-1 envelope protein during membrane fusion are inhibited by the replacement of its membrane-spanning domain” Journ. Biol. Chem., 2010, 285(19):14681-88(その全体が参照により本出願に援用される)に記載されている。
【0116】
当該技術分野において多数のベシクロウイルスが知られており、本明細書で開示される方法に従って組換えを実施できる。このようなベシクロウイルスの非限定的な例を以下に列挙する:
【0117】
【0118】
特定の実施形態では、VSVは、本開示の組換えウイルスの作製に使用されるベシクロウイルスである。特定の実施形態では、上記組換えVSVは、組換えVSV-New Jersey又はVSV-Indianaである。特定の実施形態では、上記組換えVSVは組換えVSV-New Jerseyである。以下の開示では一例としてVSVが使用されており、本開示は他のベシクロウイルスにも使用できる。
【0119】
(VSVゲノムに対して相補的な)VSVアンチゲノム(+)RNAを生成するように転写できるいずれのDNAが、本開示の組換えVSV粒子の生成に使用するための、異種(外来)タンパク質又はペプチドをコードする外来DNAを含有する組換えDNAの構築に使用できる。特定の実施形態では、VSVアンチゲノム(+)RNAをコードするように転写できるDNAは、少なくともVSV核タンパク質(N)、VSVリンタンパク質(P)、及びVSV巨大タンパク質(L)の遺伝子を含む。
【0120】
VSVベクターは、ゲノムに1つ以上の変異又は「変異クラス(mutation class)」を含むように、遺伝子修飾できる。「変異クラス(mutation class、mutation classes)」又は「変異のクラス(classes of mutation)」は交換可能なものとして使用され、単独で使用した場合にVSVを弱毒化することが当該技術分野で知られている変異を指す。例示的な変異クラスとしては、限定するものではないが、VSV温度感受性N遺伝子変異(これ以降では「N(ts)」)、温度感受性L遺伝子変異(これ以降では「L(ts):」)、点変異、Gステム変異(これ以降では「G(stem)」)、非細胞変性性M遺伝子変異(これ以降では「M(ncp)」)、遺伝子シャッフリング又は再配列変異、不完全な(truncated)G遺伝子変異(これ以降では「G(ct)」)、アンビセンスRNA変異、G遺伝子挿入変異、遺伝子欠失変異等が挙げられる。変異は、挿入、欠失、置換、遺伝子再配列、又はシャッフリングによる修飾とすることができる。
【0121】
本明細書で開示される方法の特定の実施形態では、組換えVSV粒子は複製可能である。他の特定の実施形態では、組換えVSV粒子は複製欠損性である。
【0122】
本明細書で開示される方法及び組成物の特定の実施形態では、組換えVSV粒子中において、VSV G糖タンパク質は、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体に置き換えられ、ここで上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる。特定の実施形態では、組換えVSV粒子のゲノムは、機能性VSV G遺伝子を欠いており、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする。また、VSV粒子であって、(i)VSV糖タンパク質(G)は、コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体に置き換えられ、ここで上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は標的細胞の感染を仲介でき、また(ii)上記VSV粒子は、レポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、VSV粒子も提供される。上記レポータータンパク質をコードする上記核酸配列は、S糖タンパク質をコードする核酸配列と、VSV巨大(L)タンパク質をコードする核酸配列との間に装入されていてよい。
【0123】
上記変異は、VSVの感染性、病毒性、又は病原性効果を弱めることができる。この弱毒化は、相加的である場合も相乗的である場合もある。相乗的弱毒化では、VSVの弱毒化のレベルは、相加的なものの場合よりも大きい。VSVの相乗的弱毒化は、同一のVSVゲノム内で少なくとも2つの変異のクラスを組み合わせることによって発生させることができ、これにより、各VSV変異クラス単独で観察される相加的な弱毒化レベルをはるかに超える、VSV病原性の低減がもたらされる。VSVの相乗的弱毒化は、少なくとも、各VSV変異クラス単独で観察される相加的な弱毒化レベル(即ち2つの変異クラスの合計)よりも高いLD50を提供でき、ここで弱毒化レベル(即ちLD50)は、小動物神経毒性モデルで決定される。
【0124】
VSV M遺伝子は、ウイルスマトリックス(M)タンパク質と、2つのより小さなフレーム内ポリペプチド(M2及びM3)とをコードする。M2及びM3ポリペプチドは、Mタンパク質と同じオープンリーディングフレーム(ORF)から翻訳でき、またそれぞれ最初の33個及び51個のアミノ酸を欠いている。非細胞変性性M遺伝子変異を含む組換えVSVベクター(即ちM2及びM3タンパク質を発現することもないVSVベクター)を生成でき、これは更に1つ以上の更なる変異を含むことができ、これにより、細胞培養物及び動物において大幅に弱毒化されたVSVベクターが得られる。
【0125】
特定の実施形態では、本開示の組換えVSV粒子は、M遺伝子の非細胞変性性変異を含む。VSV(Indiana血清型)M遺伝子は、229個のアミノ酸M(マトリックス)タンパク質をコードし、これらのうち、NH2末端の最初の30個のアミノ酸は、プロリンに富むPPPY(PY)モチーフ(配列番号68)を含む。VSV Mタンパク質のPYモチーフは、VSV Indiana(Genbank受託番号X04452)及びNew Jersey(Genbank受託番号M14553)血清型の両方の、アミノ酸位置24~27に位置する。VSVは、PYモチーフの変異(例えばAPPY(配列番号69)、AAPY(配列番号70)、PPAY(配列番号71)、APPA(配列番号72)、AAPA(配列番号73)、及びPPPA(配列番号74))を含んでよい。VSVは、Mタンパク質PSAP(PS)モチーフ(配列番号75)への様々なアミノ酸変異(例えば欠失、置換、挿入等)のうちのいずれを含むことができる。PYモチーフのこれらの変異及び他の変異は、ウイルス出芽の後期段階を遮断することによってウイルス収量を低減するために、有効であり得る。
【0126】
本開示の組換えVSV粒子は、1つ以上のM遺伝子の変異を含んでよい。Mタンパク質の変異の非限定的な例としては、例えば21位においてグルタミン酸へと変化するグリシン、111位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、51位においてアルギニンへと変化するメチオニン、22位においてグルタミン酸へと変化するグリシン、48位においてアルギニンへと変化するメチオニン、110位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、51位においてアラニンへと変化するメチオニン、及び33位においてアラニンへと変化するメチオニンが挙げられる。例えば米国特許第9,630,996号を参照。本明細書に記載の方法の様々な実施形態において、組換えVSVのゲノムは、M51R変異を含む変異型VSVマトリックス(M)タンパク質をコードする。変異M51Rは、Mタンパク質の、細胞の核-細胞質輸送を遮断する能力を排除し、これにより、VSV感染性を大幅に弱毒化させる。
【0127】
特定の実施形態では、VSVアンチゲノム(+)RNAをコードするように転写できるDNAは、VSV Mタンパク質をコードする遺伝子を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるVSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、若しくは更に高いパーセンテージで同一である配列を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチン又は方法で使用されるVSV Mタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、若しくは更に高いパーセンテージで同一である配列からなっていてよい。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチン又は方法で使用される、変異したVSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、若しくは更に高いパーセンテージで同一である配列を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチン又は方法で使用される変異型VSV Mタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、若しくは更に高いパーセンテージで同一である配列からなっていてよい。
【0128】
VSVの(例えば)アンチゲノム(+)RNAを生成するように転写できるDNA(このようなDNAは、本明細書では「VSV(-)DNA」と呼ばれる)は、当該技術分野において入手可能であり、及び/又は標準的な方法によって得ることができる。当該技術分野で公知のいずれの血清型又は株、例えばVSVのNew Jersey 又はIndiana血清型のためのVSV(-)DNAを使用できる。VSVゲノムの完全なヌクレオチド及び推定タンパク質配列は公知であり、Genbank VSVCG、受託番号J02428;NCBI Seq ID 335873として入手可能であり、またRose and Schubert, 1987, in The Viruses: The Rhabdoviruses, Plenum Press, NY, pp. 129-166で公開されている。プラスミドpVSVFL(+)に含有されるVSV(-)DNAの完全な配列の例は、例えば米国特許第7,153,510に示されており、上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。他のベシクロウイルスゲノムの配列も公開されており、当該技術分野で入手可能である。
【0129】
VSV(-)DNAがまだ入手できない場合、これを以下のような標準的な方法で調製できる:VSVゲノムRNAをウイルス調製物から精製して、v(-)DNAの生成に使用される長距離ポリメラーゼ連鎖反応を用いて逆転写できる。あるいはゲノムRNAの精製後、VSV mRNAをインビトロで合成でき、cDNAを標準的な方法で調製した後、クローニングベクターに挿入できる(例えばRose and Gallione, 1981, J. Virol. 39(2):519-528を参照)。VSV RNAの個々のcDNAクローンを、逆転写及びポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)(Mullis and Faloona, 1987, Meth. Enzymol. 155:335-350)の使用によってVSVゲノムRNAから生成される、遺伝子接合部をカバーする小さなDNA断片を用いて接合できる(後述のセクション6を参照)。VSV及び他のベシクロウイルスは、当該技術分野で入手可能である。
【0130】
特定の実施形態では、(例えばポリリンカー中の)1つ以上の、通常は固有の制限部位を、VSV(-)DNA、遺伝子間領域、又はVSVゲノムの3’末端に対して相補的な配列の5’、若しくはVSVゲノムの5’末端に対して相補的な配列の3’に導入することによって、外来DNAの挿入を容易にする。
【0131】
特定の実施形態では、VSV(-)DNAは、それに作動可能に連結されたプロモーターを有するように構築される。上記プロモーターは、組換えVSVの生成が望まれる動物又は昆虫の細胞内で(-)DNAの転写を開始させることができる必要がある。使用可能なプロモーターとしては、限定するものではないが、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長い末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., 1982, Nature 296:39-42);熱ショックプロモーター(例えばショウジョウバエS2細胞で使用するためのhsp70);ADC(alcohol dehydrogenase:アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(phosphoglycerol kinase:ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、並びに組織特異性を示し、かつトランスジェニック動物で利用されている、以下の動物転写制御領域が挙げられる:膵腺房細胞において活性を有するエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., 1984, Cell 38:639-646; Ornitz et al., 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409; MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵臓β細胞において活性を有するインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122);リンパ系細胞において活性を有する免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., 1984, Cell 38:647-658; Adames et al., 1985, Nature 318:533-538; Alexander et al., 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444);精巣、乳房、リンパ球、及び肥満細胞において活性を有するマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder et al., 1986, Cell 45:485-495);肝臓において活性を有するアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al., 1987, Genes and Devel. 1:268-276);肝臓において活性を有するα-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648; Hammer et al., 1987, Science 235:53-58)、肝臓において活性を有するα1アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., 1987, Genes and Devel. 1:161-171);骨髄細胞において活性を有するβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al., 1985, Nature 315:338-340; Kollias et al., 1986, Cell 46:89-94)、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性を有するミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., 1987, Cell 48:703-712);並びに骨格筋において活性を有するミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286)。好ましくは、プロモーターはRNAポリメラーゼプロモーター、好ましくはバクテリオファージ又はウイルス若しくは昆虫RNAポリメラーゼプロモーターであり、限定するものではないが、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、及びT3 RNAポリメラーゼのためのプロモーターが含まれる。組換えVSVの生成が望まれる宿主細胞によってRNAポリメラーゼが内因的に産生されないRNAポリメラーゼプロモーターを使用する場合、RNAの組換えソースもまた、宿主細胞に提供しなければならない。
【0132】
VSV(-)DNAは、外来DNAの挿入の前又は後に、プロモーターに作動可能に連結できる。特定の実施形態では、転写ターミネーターはVSV(-)DNAの下流に位置する。
【0133】
別の実施形態では、リボザイム配列を生成するために転写できるDNA配列が、転写終結シグナルの前のVSV(-)DNAのすぐ3’側の末端に位置し、これにより、転写時に自己切断性のリボザイム配列がアンチゲノムRNAの3’末端に生成され、このリボザイム配列はこの融合転写物を(Uの後ろで)自己消化的に切断して、VSVアンチゲノム(+)RNAの正確な3’末端を放出する。正確な配列が認識されて切断される限り、当該技術分野で公知のいずれのリボザイム配列を使用してよい。ある好ましい態様では、デルタ型肝炎ウイルス(hepatitis delta virus:HDV)リボザイムが使用される(Perrotta and Been, 1991, Nature 350:434-436;Pattnaik et al., 1992, Cell 69:1011-1020)。
【0134】
従って、外来DNAの挿入に使用するためのVSV(-)DNAの例としては、作動可能に連結される以下の成分が挙げられる:T7 RNAポリメラーゼプロモーター、VSV(-)DNA、HDVリボザイム配列を生成するために転写されるDNA配列(VSV(-)DNAのすぐ下流)、及びT7 RNAポリメラーゼ転写終結部位。
【0135】
使用できるプラスミドの例は、pVSVFL(+)又はpVSVSS1である。
【0136】
特定の実施形態では、コロナウイルススパイク(S)タンパク質は、組換えVSV粒子内の内因性VSV Gタンパク質を置き換えることができ、又は内因性VSV Gタンパク質との融合物として発現させるでき、又は内因性VSV Gタンパク質に加えて、融合タンパク質若しくは非融合タンパク質として発現させることができる。例えば、プラスミドpVSVFL(+)のVSV(-)DNA中のVSVのG遺伝子を、G遺伝子に隣接するNheI及びMluI部位の切断、並びに所望の配列の挿入によって、切除及び置換できる。他の実施形態では、コロナウイルススパイク(S)タンパク質は、VSV Gタンパク質の細胞質ドメイン(及び任意に膜貫通領域)を含む融合タンパク質として発現される。特定の実施形態では、コロナウイルススパイク(S)タンパク質は、VSVエンベロープの一部を形成し、従ってVSV粒子において表面提示される。
【0137】
特定の実施形態では、外来DNAは、遺伝子間領域に、又はVSV(-)DNAの、ウイルスmRNAの非コード領域を形成するために転写される一部分に、挿入される。特定の実施形態では、外来DNAは、ウイルスの発生、成長、及び/又はワクチンとして作用するために必要な機能にとって必須ではないVSVゲノムのコード領域に挿入される。特定の実施形態では、VSV G遺伝子は破壊される。特定の実施形態では、外来DNA挿入は、G遺伝子又はGタンパク質の機能を破壊しない。
【0138】
コロナウイルススパイク(S)糖タンパク質
宿主細胞へのコロナウイルスの侵入は、膜貫通スパイク(S)糖タンパク質(これと交換可能なものとして、「スパイク糖タンパク質」、「S糖タンパク質」、「Sタンパク質」、又は「スパイクタンパク質」とも呼ばれる)によって仲介され、これは抗ウイルス中和抗体の主要な標的であり、治療及びワクチン設計の焦点である。S糖タンパク質は、ウイルスの表面から突出したホモ三量体を形成する。S糖タンパク質は2つの機能性サブユニットを含み、これらは、宿主細胞受容体への結合(S1サブユニット)、及びウイルス膜と細胞膜との融合(S2サブユニット)に関与する。SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2を含む多くのコロナウイルスに関して、S糖タンパク質はS1サブユニットとS2サブユニットとの境界で切断され、これらは融合前のコンフォメーションで非共有結合状態のままである。遠位のS1サブユニットは、1つ以上の受容体結合ドメイン(receptor-binding domain:RBD)を含み、融合機構を含有する膜固定S2サブユニットの融合前状態の安定化に寄与する。Sは更に、融合ペプチドのすぐ上流に位置するS2’部位において、宿主プロテアーゼによって切断される。この切断は、コンフォメーションの変更によって膜融合のためにタンパク質を活性化することが提案されている。Walls et al., Cell(2020年3月9日オンライン公開、doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.058にて入手可能)。
【0139】
SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と直接相互作用して標的細胞に侵入でき、また、細胞セリンプロテアーゼ、膜貫通プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)をSタンパク質のプライミングに使用できる(Hoffmann et al., Cell, 2020, 181:1-10;doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.052にて入手可能)。SARS-CoV-S及びSARS-CoV-2-Sは、約76%のアミノ酸同一性を共有する。S糖タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)は、コロナウイルスゲノムの最も変化しやすい部分である。6個のRBDアミノ酸が、ACE2受容体への結合、及びSARS-CoV-likeウイルスの宿主範囲の決定にとって重要であることが示されている。これらは、SARS-CoVにおいてはY442、L472、N479、D480、T487、及びY4911であり、これらはSARS-CoV-2のL455、F486、Q493、S494、N501、及びY505に対応する(Andersen et al., Nature Medicine, 2020;doi.org/10.1038/s41591-020-0820-9にて入手可能)。
【0140】
本開示の特定の実施形態では、VSV粒子は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体を含み、ここで上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる。様々な実施形態において、上記S糖タンパク質は、(配列番号1を含むか又はこれからなる)全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又は配列番号1に対して少なくとも77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくは誘導体であってよい。
【0141】
野生型コロナウイルスS糖タンパク質は、細胞表面タンパク質へのコロナウイルスの結合を促進するS1サブユニットを含む。理論によって束縛されることを望むものではないが、野生型S糖タンパク質のS1サブユニットは、どの細胞がコロナウイルスに感染するかを制御する。野生型S糖タンパク質はS2サブユニットも含み、これは、ウイルス膜と細胞膜との融合を促進する膜貫通サブユニットである。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態では、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の断片又は誘導体は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のS1サブユニット、又は上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のS1サブユニットに対して少なくとも65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくは誘導体を含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸14~168に対して少なくとも65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有する配列を含むことができる。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態では、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の断片又は誘導体は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のS2サブユニット、又は上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のS2サブユニットに対して少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくは誘導体を含むことができる。
【0142】
野生型コロナウイルスS糖タンパク質は、宿主細胞上の受容体に対するコロナウイルスの結合を促進する受容体結合ドメイン(RBD)を含む。SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質のRBDは、例えばAnderson et al., Nature Medicine, 2020(doi.org/10.1038/s41591-020-0820-9において入手可能)に記載されている。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態では、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の断片又は誘導体は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のRBD、又は上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のRBDに対して少なくとも74%、75%、76%、77%、78%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有するその断片若しくは誘導体を含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の断片又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は更に高いパーセンテージのアミノ酸配列同一性を有する配列を含むことができる。
【0143】
特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、又は39個の残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含んでよく、あるいは上記挿入、欠失、及び/又は置換からなってよい。発生し得る欠失のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば145位のチロシン、679位のアスパラギン、680位のセリン、681位のプロリン、682位のアルギニン、683位のアルギニン、684位のアラニン、及び/又は685位のアルギニン(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。発生し得る置換のためのアミノ酸の非限定的な例としては、例えば5位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、28位においてアスパラギンへと変化するチロシン、29位においてイソロイシンへと変化するスレオニン、49位においてチロシンへと変化するヒスチジン、54位においてフェニルアラニンへと変化するロイシン、74位においてリシンへと変化するアスパラギン、96位においてアスパラギン酸へと変化するグルタミン酸、111位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、157位においてロイシンへと変化するフェニルアラニン、181位においてバリンへと変化するグリシン、221位においてトリプトファンへと変化するセリン、247位においてアルギニンへと変化するセリン、348位においてスレオニンへと変化するアラニン、408位においてイソロイシンへと変化するアルギニン、476位においてセリンへと変化するグリシン、483位においてアラニンへと変化するバリン、519位においてグルタミンへと変化するヒスチジン、520位においてセリンへと変化するアラニン、614位においてアスパラギンへと変化するアスパラギン酸、614位においてグリシンへと変化するアスパラギン酸、679位においてイソロイシンへと変化するアスパラギン、680位においてロイシンへと変化するセリン、682位においてグリシンへと変化するアルギニン、683位においてセリンへと変化するアルギニン、685位においてグルタミンへと変化するアルギニン、685位においてセリンへと変化するアルギニン、797位においてシステインへと変化するフェニルアラニン、930位においてバリンへと変化するアラニン、936位においてチロシンへと変化するアスパラギン酸、1078位においてバリンへと変化するアラニン、1168位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸、及び/又は1259位においてヒスチジンへと変化するアスパラギン酸(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基が挙げられる。Becerra-Flores and Cardozo, “SARS-CoV-2 viral spike G614 mutation exhibits higher case fatality rate,” The International Journal of Clinical Practice, published online May 6, 2020; Eaaswarkhanth et al., “Could the D614G substitution in the SARS-CoV-2 spike (S) protein be associated with higher COVID-19 mortality?” International Journal of Infectious Diseases, 96: July 2020, Pages 459-460; Tang et al., “The SARS-CoV-2 Spike Protein D614G Mutation Shows Increasing Dominance and May Confer a Structural Advantage to the Furin Cleavage Domain,” Preprints 2020, 2020050407 (doi: 10.20944/preprints202005.0407.v1); Hansen et. al., “Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science, published online June 15, 2020; Lokman et al., “Exploring the genomic and proteomic variations of SARS-CoV-2 spike glycoprotein: A computational biology approach”, Infection, Genetics and Evolution : Journal of Molecular Epidemiology and Evolutionary Genetics in Infectious Diseases, 2020 Jun;84:104389. DOI: 10.1016/j.meegid.2020.104389を参照。これらの文献はそれぞれ、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。挿入、欠失、及び/又は置換のためのアミノ酸残基の更なる非限定的な例としては、表8及び9に列挙されているものが挙げられる(アミノ酸残基の位置は配列番号1を参照配列として用いて示されており、これは、(上記と同じ)いずれのSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の特定のための参照として使用できる;表8中の参考文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。表8に列挙された残基の修飾はそれぞれ、単独で、又は他のものと組み合わせて個別に使用することによって、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子のバリアントを生成できる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び/又は685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって(配列番号1に示されている位置)、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、247位においてセリンをアルギニンへと、614位においてアスパラギン酸をアスパラギンへと、及び685位においてアルギニンをグルタミンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、溶解性がより高い表現型をもたらす。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号42のアミノ酸配列、又は配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、コドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされてよい。様々な実施形態において、SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号43のポリヌクレオチド配列、又は配列番号43に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列によってコードされてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号44のアミノ酸配列、又は配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.5%同一の配列を含んでよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び/若しくは484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び/若しくは614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、並びに/又は残基69~70の欠失(配列番号1に示されている位置)によって、あるいは変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基の変化又は欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパ
ク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、614位においてアスパラギン酸をグリシンへとへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと、484位においてグルタミン酸をリシンへと、及び614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、501位においてアスパラギンをチロシンへと変化させ、484位においてグルタミン酸をリシンへと変化させ、614位においてアスパラギン酸をグリシンへと変化させること、及び残基69~70の欠失によって、参照ペプチド又はポリペプチドとアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、上記スパイクタンパク質内のフリン切断部位を不活化することによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、配列番号1に示されているQ677TNSPRRARSV687(配列番号65)、又は変異型SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列中の同等のアミノ酸残基を、QTILRSV(配列番号66)又はQTNSPGSASSV(配列番号67)へと変化させることによって、参照ペプチド又はポリペプチド(例えば野生型SARS-CoV-2スパイクタンパク質)とアミノ酸配列が異なるものとなる。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体、又はその断片は、S1/S2境界の一塩基フリン切断部位(QTILRSV(配列番号66))、又はフリン切断部位(QTNSPGSASSV(配列番号67))表現型の欠失をもたらす。特定の実施形態では、フリン切断部位に対する変更は、スパイク安定化擬似粒子をもたらすことができる。Hansen et. al.,“Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail” Science(2020年6月15日オンライン公開)を参照。上記文献は、意図されているあらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される。
【0144】
特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質の1つ以上のC末端残基を欠いている。例えば上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質のC末端残基のうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個を欠いていてよい。特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質の19個のC末端残基を欠いている。上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質断片又は誘導体は、配列番号3のアミノ酸配列、又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、若しくは更に高いパーセンテージで同一である配列からなってよい。
【0145】
特定の実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質誘導体は、SARS-CoV-2以外のウイルス由来のフソゲン配列を含む、キメラ又は融合分子である。特定の実施形態では、このようなキメラは、SARS-CoV-2 S糖タンパク質のS1又はRBD配列を含む。特定の実施形態では、上記融合タンパク質は、SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体の細胞外膜貫通配列と、非SARS-CoV-2フソゲン又はその断片若しくは誘導体の細胞質ドメインとの融合物である。特定の実施形態では、上記融合タンパク質は、SARS-CoV-2 S糖タンパク質の細胞外配列、又はその断片若しくは誘導体と、非SARS-CoV-2フソゲン又はその断片若しくは誘導体の膜貫通及び細胞質ドメインとの融合物である。上述のキメラ及び融合分子で使用できる非SARS-CoV-2フソゲンの非限定的な例としては、例えばコロナウイルスフソゲン(例えばSARS-CoV-1又はMERS-CoV由来);VSV又は他のベシクロウイルス、又はラブドウイルス科の他のウイルス、レトロウイルス科のウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)、マウス白血病ウイルス(murine leukemia virus:MLV)、鳥類肉腫白血病ウイルス(Avian sarcoma leukosis virus:ASLV)、ヤーグジークテヒツジレトロウイルス(Jaagsiekte sheep retrovirus:JSRV))、パラミクソウイルス科のウイルス(例えばパラインフルエンザウイルス5(parainfluenza virus 5:PIV5))、ヘルペスウイルス科のウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV))、トガウイルス科のウイルス(例えばセムリキ森林ウイルス(Semliki Forest virus:SFV)、風疹ウイルス)、フラビウイルス科のウイルス(例えばダニ媒介性脳炎(tick-borne encephalitis virus:TBE)、デングウイルス)、オルトミクソウイルス科のウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、アレナウイルス科のウイルス(例えばリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(lymphocytic choriomeningitis virus:LCMV)、ラッサ熱ウイルス(Lassa fever virus:LASV))、ブニヤウイルス科のウイルス(例えばウークニエミウイルス(Uukuniemi virus:UUKV))、フィロウイルス科のウイルス(例えばエボラウイルス(Ebola virus:EBOV))、ポックスウイルス科のウイルス(例えばワクシニアウイルス(Vaccinia virus:VV))、アスファウイルス科のウイルス(例えばアフリカブタ熱ウイルス(African swine fever virus:ASFV))、アルテリウイルス科のウイルス(例えばブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(porcine reproductive and respiratory syndrome virus:PRRSV))、ボルナウイルス科のウイルス(例えばボルナ病ウイルス(Borna disease virus:BDV))、ヘパドナウイルス科のウイルス(例えばB型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus:HBV))、及びハンタウイルス科のウイルス(例えばアンデスウイルス)に由来するフソゲンが挙げられる。
【0146】
特定の実施形態では、融合タンパク質は、SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体と、VSV糖タンパク質Gタンパク質、又はその断片若しくは誘導体との融合物である。特定の実施形態では、融合タンパク質は、SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体と、VSV G糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体の細胞質部分との融合物である。ある具体的実施形態では、融合タンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0147】
本開示のアッセイの特定の実施形態では、より広範囲のSARS-CoV-2中和抗体を確実に検出するために、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体は、SARS-CoV-2の2つ以上の異なる株、変異体又はバリアントに由来するコンセンサス配列を含むことができる。他の実施形態では、より広範囲のSARS-CoV-2中和抗体を確実に検出するために、本開示の方法は、SARS-CoV-2の2つ以上の異なる株、変異体又はバリアントに由来するSARS-CoV-2 S糖タンパク質(又はその断片若しくは誘導体)の混合物を使用する。
【0148】
SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードするポリヌクレオチド分子は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体の発現を改善するための、コンセンサス配列及び/又は1つ以上の修飾を含むことができる。修飾は、コドン最適化、翻訳開始の増加のためのコザック配列若しくは修飾(例えば最適化)コザック配列の追加、及び/又はシグナルペプチド/リーダー配列(例えば、例えばIgE若しくはIgGシグナルペプチド等の免疫グロブリンシグナルペプチド)の追加を含むことができる。特定の実施形態では、コザック配列又は修飾(例えば最適化)コザック配列は、外来遺伝子の3’側である。特定の実施形態では、コザック配列又は修飾(例えば最適化)コザック配列は、外来遺伝子のすぐ3’側である。特定の実施形態では、コザック配列又は修飾(例えば最適化)コザック配列は、外来遺伝子の5’側である。特定の実施形態では、コザック配列又は修飾(例えば最適化)コザック配列は、外来遺伝子のすぐ5’側である。
【0149】
いくつかの実施形態では、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体は、検出タグ(例えばHAタグ、ヒスチジンタグ、ビオチン)、レポータータンパク質又はその断片、二量体化/多量体化配列、Fc、シグナル伝達配列等との融合物又はコンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、本開示の組換えVSV粒子は、上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体に加えて、レポータータンパク質又はその断片を含み、ここで上記レポータータンパク質又はその断片は、VSV粒子ゲノムによってコードされるか、又はタンパク質としてVSV粒子ゲノムに含まれる。レポータータンパク質の非限定的な例としては、例えばルシフェラーぜ(限定するものではないが、ウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの誘導体を含む)、並びに蛍光タンパク質(限定するものではないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)[例えばAequoria victoria GFP、Renilla muelleri GFP、Renilla reniformis GFP、Renilla ptilosarcus GFP]、GFP様蛍光タンパク質、(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)[例えばTopaz、Venus、mCitrine、YPet、TagYFP、PhiYFP、ZsYellow1、mBanana]、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)[例えばEBFP2、Azurite、GFP2、GFP10、及びmTagBFP]、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)[例えばmECFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori-Ishi Cyan、TagCFP、mCFPmm、mTFP1(Teal)]、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP)、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質[例えばKusabira Orange、Kusabira Orange2、mOrange、mOrange2、dTomato、dTomato-Tandem、TagRFP、TagRFP-T、DsRed、DsRed2、DsRed-Express(T1)、DsRed-Monomer、mTangerine]、赤色蛍光タンパク質[例えばmRuby、mApple、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、dKeima-Tandem、HcRed-Tandem、mPlum、tdTomato、AQ143]、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、鮮緑色蛍光タンパク質、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphire、及びこれらの断片又は誘導体を含む)、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-geo、並びにこれらの断片が挙げられる。
【0150】
組換えVSV粒子の生成
以下の開示では組換えVSV粒子を一例として使用するが、本開示は他のベシクロウイルスに対しても使用可能である。
【0151】
本開示の組換えVSV粒子は、適切な宿主細胞:VSV(-)DNAであって、複製に必須ではない領域が、コロナウイルスS糖タンパク質若しくはその断片若しくは誘導体をコードする配列と、任意に上述の他の配列とを含む外来DNAに挿入されているか、又は上記外来DNAによって置き換えられている、VSV(-)DNA、並びにVSV Nタンパク質、Pタンパク質、Lタンパク質、並びに更なるいずれの所望のVSVタンパク質(例えばMタンパク質及び/又はG糖タンパク質)の組換えソースを提供することによって、生成される。特定の実施形態では、上記生成は好ましくはインビトロ(例えば細胞培養において)である。
【0152】
組換えVSVの生成に使用される宿主細胞は、中でVSVが成長するいずれの細胞とすることができる。宿主細胞の非限定的なソースとしては、原核細胞若しくは真核細胞、脊椎動物細胞、哺乳類細胞及び一部の昆虫(例えばショウジョウバエ)細胞、初代細胞(例えば初代ニワトリ胚線維芽細胞)、又は細胞株(例えばBHK(ベビーハムスター腎臓)細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HeLA(ヒト)細胞、マウスL細胞、Vero(サル)細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、Vero-E6細胞、ESK-4、PK-15、EMSK細胞、MDCK(Madin-Darby イヌ腎臓)細胞、MDBK(Madin-Darbyウシ腎臓)細胞、293(ヒト)細胞、Hep-2細胞、ヒト二倍体初代細胞株(例えばWI-38及びMRC5細胞)、サル二倍体細胞株(例えばFRhL:胎児アカゲザル肺細胞)、並びに準初代連続細胞株(例えばAGMK:アフリカミドリザル腎臓細胞)等)が挙げられる。
【0153】
N、P、及びLタンパク質、並びに更なるいずれの所望のVSVタンパク質(例えばMタンパク質及び/又はG糖タンパク質)のソースは、組換えVSVの生成が望まれている宿主細胞内でこれらのタンパク質をコードし、また発現させることができる、同一の組換え核酸又は異なる複数の組換え核酸とすることができる。N、P、及びLタンパク質、並びに更なるいずれの所望のVSVタンパク質(例えばMタンパク質及び/又はG糖タンパク質)をコードする核酸は、当該技術分野において利用可能ないずれの手段によって得ることができる。VSV N、P、L、M、及びGコード核酸配列は、既に開示されており、使用可能である。例えばGenbank受託番号J02428;Rose and Schubert, 1987, in The Viruses: The Rhabdoviruses, Plenum Press, NY, pp. 129-166を参照。N、P、及びL遺伝子をコードする配列もまた、例えばATCCに寄託されて受託番号97134が割り当てられたプラスミドpVSVFL(+)から、例えば所望の遺伝子のPCR増幅によって得ることができる(米国特許第4,683,202号、4,683,195号、及び4,889,818号;Gyllenstein et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7652-7656;Ochman et al., 1988, Genetics 120:621-623; Loh et al., 1989, Science 243:217-220も参照)。N、P、L、M又はG遺伝子のいずれの核酸クローンもまだ入手できない場合、このクローンを標準的な組換えDNA法を用いて得ることができる。例えば上記DNAは、VSVビリオンからのRNAの精製と、それに続く逆転写及びPCRによるもの(Mullis and Faloona, 1987, Meth. Enzymol. 155:335-350)等の、当該技術分野で公知の標準的な手順によって、得ることができる。代替例としては、限定するものではないが、遺伝子配列自体の化学的合成が挙げられる。他の方法も可能であり、本開示の範囲内である。
【0154】
VSV N、P、L、M、及び/又はG遺伝子の断片及び誘導体、並びにVSV(-)DNAの断片及び誘導体をコードする核酸も、このような断片及び誘導体が必要な機能(例えば本開示の1つ以上の方法で使用できる複製可能な又は複製可能でないVSV粒子を生成する能力)を保持する限りにおいて、本開示で使用できる。特に、誘導体は、置換、付加、又は欠失によって配列を変更することで作成できる。更に、遺伝暗号の固有の縮重により、略同一の、又は機能的に同等のアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を、本開示の方法の実施において使用してよい。アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行うことができる。
【0155】
所望のN/P/L/M/Gコード核酸を、適切な発現ベクター、即ち組換えVSV粒子の生成が望まれる宿主細胞内での、挿入されたタンパク質コード配列の転写及び翻訳に必要な要素を含有するベクターに挿入することによって、VSVタンパク質の合成を指示する機能を有するベクターを作成でき、このベクターは後に、(例えば、例えばVSV(-)DNAの転写によって生成されたアンチゲノムVSV(+)RNAから、宿主細胞内で生成される)VSVゲノムRNAとアセンブルされる。
【0156】
そのベクターが宿主細胞内で機能し、また存在する他のいずれのベクターと適合する限りにおいて、様々なベクター系を、N、P、及びLVSVタンパク質、並びに更なるいずれの所望のVSVタンパク質(例えばM及び/又はG)を発現させるため、並びに(例えば外来DNAを含む)VSV(-)DNAを転写するために、利用できる。ベクターの発現要素は、その強度及び特異性が様々である。宿主細胞内で機能する限りにおいて、多数の好適な転写及び翻訳要素のいずれを使用してよい。
【0157】
標準的な組換えDNA法を用いて、VSVタンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクター、及び適切な転写/翻訳制御シグナルを含む外来DNAを含有するVSV(-)DNAを構築できる(例えば前出のSambrook et al., 1989、及び上述の方法を参照)。発現は、当該技術分野で公知のいずれのプロモーター/エンハンサーによって制御できる。発現の制御に使用できるプロモーターは、構成的プロモーター又は誘導的プロモーターとすることができる。ある具体的実施形態では、プロモーターはRNAポリメラーゼプロモーターである。
【0158】
(遺伝子の下流の)転写終結シグナル、及び選択マーカーも、好ましくは発現ベクターに含まれる。プロモーター配列に加えて、N、P、L、及び更なるいずれの所望のVSVタンパク質、並びにいずれのコロナウイルスタンパク質のための発現ベクターは、挿入された配列、例えばリボソーム結合部位の効率的な翻訳のための、特定の開始シグナルを含んでよい。
【0159】
タンパク質コード配列の効率的な翻訳に、特定の開始シグナルが必要となる場合がある。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接する配列を含む。それ自体の開始コドン及び隣接する配列を含む、N、P、L、又は他の(例えばM及び/若しくはG)VSV遺伝子の全体を、適切なベクターに挿入する場合、更なる翻訳制御シグナルは必要ない場合がある。しかしながら、遺伝子配列の一部分のみを挿入する場合、ATG開始コドンを含む外因性の制御シグナルを提供する必要がある。開始コドンは更に、挿入物全体を確実に翻訳するために、タンパク質コード配列のリーディングフレームと一致する必要がある。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成両方の様々な起源のものであり得る。
【0160】
ある具体的実施形態では、N、P、L、並びに/又は他の(例えばM及び/又はG)タンパク質、あるいはその機能性誘導体をコードする、本明細書中で提供される組換え発現ベクターは、以下の作動可能に結合された成分を含む:タンパク質(例えばN、P、L、並びに/又は他のVSVタンパク質(例えばM及び/若しくはG)、コロナウイルスタンパク質(例えばSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質等のスパイク糖タンパク質)あるいはその断片若しくは誘導体の発現を制御するプロモーター、翻訳開始シグナル、VSVタンパク質又はその機能性断片若しくは誘導体をコードするDNA配列、並びに転写終結シグナル。実施形態では、以上の成分は、上で挙げたような5’から3’への順序で存在する。特定の実施形態では、Mタンパク質、Gタンパク質及び/若しくはコロナウイルスS糖タンパク質、又はその断片若しくは誘導体をコードする遺伝子は、N、P、及び/又はLタンパク質の間に散在している。特定の実施形態では、Mタンパク質、Gタンパク質、及び/又はコロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体に関する遺伝子は、Pタンパク質に関する遺伝子とLタンパク質に関する遺伝子との間に存在する(図1を参照)。特定の実施形態では、N、P、及びLタンパク質、又はその機能性断片又は誘導体は、上で挙げたような5’から3’への順序で存在しない。特定の実施形態では、順序は(例えば組換えVSVを弱毒化するように)変化する。
【0161】
特定の実施形態では、N、P、L、並びに他の(例えばM及び/又はG)VSVタンパク質をコードする遺伝子は、Aと共に-3位に位置する、ファージT7遺伝子10由来のT7 RNAポリメラーゼプロモーターの下流に挿入される。T7 RNAポリメラーゼターミネーター及びレプリコンも、発現ベクターに含めることができる。T7 RNAポリメラーゼを提供することにより、VSVタンパク質配列を転写できる。T7 RNAポリメラーゼは、染色体に組み込まれた配列又はエピソームベクターから生成できる。特定の実施形態では、T7 RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼをコードする組換えワクシニアウイルスベクターからの細胞内発現によって提供できる。特定の実施形態では、N、P、L、並びに/又は他の(例えばM及び/若しくはG)VSVタンパク質はそれぞれ、コードされたタンパク質の転写及び翻訳のために必要な調節シグナルを含む、発現プラスミド内のプロモーターに作動可能に連結されたDNA配列によって、コードされる。このような発現プラスミドは好ましくは、プロモーター、コード配列、及び転写終結/ポリアデニル化シグナル、並びに任意に選択マーカー(例えばβ-ガラクトシダーゼ)を含む。
【0162】
特定の実施形態では、N、P、L、並びに/又は他の(例えばM及び/又はG)タンパク質は、同一のプラスミド、又は異なるプラスミド、又はこれらの組み合わせによってコードできる。他の実施形態では、N、P、L、並びに/又は他の(例えばM及び/又はG)VSVタンパク質のうちの1つ以上は、染色体内で発現させることができる。
【0163】
外来DNAを含有するVSV(-)DNAを含むクローン配列、並びにVSV及び外来タンパク質をコードする配列を含むクローン配列を、当該技術分野で公知のいずれの方法、例えばトランスフェクション、電気穿孔法、(配列がウイルスベクターに含有される場合には)感染、、マイクロインジェクション等によって、所望の宿主細胞に導入できる。特定の実施形態では、トランスフェクション促進用試薬を加えることによって、細胞によるDNA取り込みを増大させる。これらの試薬の多くは当該技術分野において公知である(例えばその非限定的な例は、リン酸カルシウム;LipofectACE(Life Technologies(メリーランド州ゲイザースバーグ)、及びEffectene(Qiagen(カリフォルニア州バレンシア)である)。
【0164】
特定の実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーター(例えばバクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター)に作動可能に連結される、コロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードする外来DNAを含有するVSV(-)DNAを含むDNA;同じRNAポリメラーゼプロモーターに作動可能に連結される、NをコードするDNA;同じポリメラーゼプロモーターに作動可能に連結される、PをコードするDNA;及び同じポリメラーゼプロモーターに作動可能に連結される、LをコードするDNAを、全て同じ宿主細胞に(例えばトランスフェクションによって)導入し、この宿主細胞内では、RNAポリメラーゼが細胞質に提供されている。特定の実施形態では、RNAポリメラーゼは、同じ宿主細胞に(例えば感染によって)導入された、細胞質中で複製されてRNAポリメラーゼを発現する組換えウイルスベクター、最も好ましくはワクシニアウイルスベクターからの発現によって、細胞質に提供される。細胞質でのRNAポリメラーゼの提供は、これが:外来DNAを含むVSV(-)DNAの、そしてN、P、L、並びに他の(例えばM及び/又はG)VSVタンパク質の、細胞質転写及び処理;細胞核内のスプライシング機構の回避;これによる、N、P、L、並びに他の(例えばM及び/又はG)VSVタンパク質の適切な処理及び生成の最大化;並びにその結果としての組換えVSVのアセンブリをもたらすため、使用できる。ワクシニアウイルスベクターは、mRNAの処理(キャッピング及びポリアデニル化)のための酵素も細胞質に提供し、適切な翻訳を促進する。最も好ましい態様では、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを採用し、T7 RNAポリメラーゼの細胞質ソースを、T7 RNAポリメラーゼをコードする組換えワクシニアウイルスベクターも宿主細胞に導入することによって、提供する。このようなワクシニアウイルスベクターは、公知の方法で得ることができる。特定の実施形態では、vTF7-3(Fuerst et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:8122-8126)等の組換えワクシニアウイルスベクターを使用できる。
【0165】
他の実施形態では、RNAポリメラーゼ(例えばT7 RNAポリメラーゼ)は、(例えば相同組換えによって染色体に元々挿入されていた)染色体に組み込まれた配列から、T7 RNAポリメラーゼを、場合によっては構成的に発現させる、又はプラスミドからT7 RNAポリメラーゼをエピソームに発現させる、宿主細胞の使用によって、提供できる。
【0166】
他の実施形態では、プロモーターに作動可能に連結されたコロナウイルスS糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体をコードするVSV(-)DNAを、N、P、L、並びに他のいずれの(例えばM及び/又はG)VSVタンパク質を、染色体に組み込まれた配列から、安定して組換え発現させる宿主細胞に、トランスフェクトできる。
【0167】
細胞を培養し、組換えVSV粒子を、例えば標準的な方法を用いて回収できる。限定するものではないが例えば、およそ24時間後に細胞及び培地を回収し、冷凍し、融解させ。溶解物を清澄化してウイルス調製物を得ることができる。あるいは、細胞及び培地を回収し、低速栄進分離によって単純に細胞及びデブリを除去できる。
【0168】
適切な外来配列が組換えVSVのゲノム中に存在し、感染した細胞での1つ以上の所望のタンパク質の生成を指示することの、確認を実施できる。この目的のために、当該技術分野で公知の標準的な手順を使用できる。限定するものではないが例えば、ゲノムRNAを、ウイルス調製物からのSDSフェノール抽出によって、VSVから得ることができ、これを逆転写(及び/又はPCR)に供した後、それに続いて例えばシーケンシング、外来DNAに対して特異的なプローブを用いたサザンハイブリダイゼーション、又は制限酵素マッピング等に供することができる。ウイルスを用いて宿主細胞に感染させることができ、その後、タンパク質に対する抗体を使用する標準的なイムノアッセイ技法(例えばウエスタンブロッティング)によって、又はタンパク質の機能活性に基づくアッセイによって、所望のタンパク質の発現に関するアッセイを実施できる。他の技法も当該技術分野において公知であり、使用可能である。
【0169】
組換えウイルスの大規模成長及び精製
以下の開示ではVSVを一例として使用するが、本開示は他のベシクロウイルスに対しても使用可能である。
【0170】
プラーク精製後の組換えVSVウイルスの大規模生産の非限定的な例を以下に示す。単一のプラーク(約10pfu)からウイルスを回収し、これを用いて約10細胞(例えばBHK細胞)を感染させることにより、通常10~1010pfu/mlの力価で10ml、合計およそ1011pfuが得られる。次に(例えば0.1の感染多重度で)約1012細胞の感染を行い、細胞を、当該技術分野で公知の標準的な方法によって、懸濁培養、大型ディッシュ、又はローラーボトルで成長させることができる。
【0171】
次に細胞上清から、ワクチンの調製のためのウイルスを回収でき、この上清は清澄化されて細胞デブリが除去されている。必要に応じて、ウイルスの単離及び濃縮に採用できる1つの方法は、タンジェンシャルフロー膜に上清を通すことによる濃縮である。グリセロールクッションによるペレット化、及びショ糖段階勾配での濃縮によって、得られたものの体積を更に削減できる。別の濃縮方法は、アフィニティカラム精製である(Daniel et al., 1988, Int. J. Cancer 41:601-608)。しかしながら、精製のための他の方法も使用でき(例えばArthur et al., 1986, J. Cell. Biochem. Suppl. 10A:226を参照)、以上の手順の、可能ないずれの修正形態は、当業者には容易に認識されるだろう。ウイルス粒子の完全性を維持するために、精製は可能な限り穏やかなものでなければならない。
【0172】
アッセイ
ある態様では、本開示は、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法を提供する。一実施形態では、試料を組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるか、又はこれと共にインキュベートし、上記粒子では、VSV糖タンパク質(G)がコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられており、また上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、感受性標的細胞の感染を仲介できる。これと同時に、又はその後で、組換えVSV粒子を、レポータータンパク質の第1の部分を発現する第1の標的細胞、及び上記レポータータンパク質の第2の部分を発現する第2の標的細胞と接触させて、合胞体を形成し、この合胞体は、上記レポータータンパク質の上記第1の部分及び上記第2の部分の両方を含み、検出可能なレポーターシグナルを生成する。上記第1の標的細胞及び上記第2の標的細胞は、組換えVSV粒子と接触すると、互いに融合できるものである必要がある。上記レポーターシグナルを上記合胞体内で測定し、対照と比較する。
【0173】
特定の実施形態では、上記第1の細胞はVero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)であり、上記第2の細胞はVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)である。Vero-DSP1及びVero-DSP2は、Vero細胞のレンチウイルス形質導入によって生成される。Vero-DSP1細胞はRluc8 155-156 DSP 1-7ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号14)を発現し、これは、変異型ウミシイタケルシフェラーゼRLuc8の断片のアミノ酸1~155と、改変GFPの断片のアミノ酸1~156とを含む。Vero-DSP2細胞は、Rluc8 155-156 DSP 8-11ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号16)を発現し、これは、変異型ウミシイタケルシフェラーゼRLuc8の断片のアミノ酸156~311と、改変GFPの断片のアミノ酸157~231とを含む。RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼは、変異A55T、C124A、S130A、K136R、A143M、M185V、M253L、及びS287Lを含む(配列番号19を参照)。改変GFPの配列は配列番号18で提供されている。
【0174】
本開示の上述の方法のいずれかで使用される上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~229を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸230~311を含んでよい。あるいは、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸1~155を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、ウミシイタケルシフェラーゼ又はその変異体のアミノ酸156~311を含んでよい。あるいは、又は更に、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体のアミノ酸1~156を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、GFP又はその変異体のアミノ酸157~231を含んでよい。あるいは、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含んでよい。あるいは、上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(YFP)のアミノ酸1~154を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含んでよい。
【0175】
別の態様では、本開示は、試料中のコロナウイルス中和抗体の存在を決定するための方法を提供し、試料を組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるか、又はこれと共にインキュベートし、上記粒子では、VSV糖タンパク質(G)がコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられており、また上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、上記VSV粒子は、レポータータンパク質、又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む。続いて上記組換えVSV粒子を上記標的細胞と接触させる。そしてレポーターシグナルを測定し、対照と比較する。特定の実施形態では、上記レポータータンパク質は、上記組換えVSV粒子のゲノムによってコードされる。特定の実施形態では、上記レポータータンパク質は、上記ウイルス粒子のゲノムでコードされることなく、上記組換えVSV粒子に組み込まれる。上記レポータータンパク質をコードする核酸配列は、上記S糖タンパク質をコードする核酸配列と、VSV Lタンパク質をコードする核酸配列との間に挿入されていてよい。上記標的細胞は、Vero細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、Vero-E6細胞、又はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含む他のいずれの細胞であってよい。
【0176】
本開示の上述の方法では、上記組換えVSV粒子は、VSVウイルスゲノム中のコロナウイルスS糖タンパク質をコードできる。あるいは上記VSV粒子は、コロナウイルスS糖タンパク質を、ゲノム内でコードされないまま、(例えばパッケージング細胞内の別個のプラスミドを使用することによって)シュードタイプ化できる。
【0177】
本開示の上述の方法で使用される試料は、例えば血清又は血漿(例えば熱不活化された血清又は血漿)であってよい。
【0178】
上記試料を上記組換えVSV粒子と接触させる第1のステップは、約37℃で1時間にわたって実施できる。上記組換えVSV粒子を上記標的細胞と接触させる第2のステップは、約37℃で1~12、1~3、2~4、3~5、4~6、5~7、6~8、7~9、又は8~10時間にわたって実施できる。
【0179】
本開示の上述の方法の様々な実施形態において上記方法は、上記レポーターシグナルを得るために、レポータータンパク質基質を添加するステップを含む。上記レポータータンパク質はルシフェラーゼであってよく、上記レポータータンパク質基質は、ルシフェリン(例えばd-ルシフェリン)、セレンテラジン、又はEnduRenルシフェラーゼ基質であってよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、その断片又は誘導体は、SARS-CoV-2に由来する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質は、全長SARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば配列番号1のアミノ酸配列を含む、又はこれからなるタンパク質)である。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質は、19個のC末端アミノ酸を欠いたSARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば配列番号3のアミノ酸配列を含む、又はこれからなるタンパク質)である。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも77%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のS1サブユニットに対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸14~684に対して少なくとも64%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のRBDドメインに対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態では、上記コロナウイルスSタンパク質、断片、又は誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸319~541に対して少なくとも74%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態では、上記組換えVSV粒子は、変異型VSVマトリックス(M)タンパク質を含む。特定の実施形態では、上記組換えVSVのゲノムは、変異型VSVマトリックス(M)タンパク質をコードする。特定の実施形態では、上記変異型マトリックス(M)タンパク質は、メチオニン(M)51における変異(例えばメチオニン(M)からアルギニン(R)への変化)を含む。特定の実施形態では、上記変異型VSVマトリックス(M)タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、又はこれからなる。
【0181】
本開示の上述の方法の特定の実施形態では、上記対照は、コロナウイルス中和抗体を含まない対照試料を用いて得られたレポーターシグナルであり、上記方法は、上記試料で得られるレポーターシグナルが対照に比べて低下している場合に、試験された上記試料がコロナウイルス中和抗体を含むと結論づけるステップを含む。特定の実施形態では、上記対照試料は、コロナウイルスS糖タンパク質を含まないVSV粒子、又は標的細胞の感染を仲介しない変異型S糖タンパク質を含むVSV粒子を含む。本開示の上述の方法の特定の実施形態では、上記方法は更に、上記試料で得られるレポーターシグナルを、コロナウイルス中和抗体、又は上記コロナウイルスS糖タンパク質と、上記コロナウイルスS糖タンパク質が上記標的細胞上で相互作用するタンパク質との間の相互作用を遮断する分子とを含む、対照試料を用いて得られたレポーターシグナルとを、比較するステップを含む。
【0182】
本開示の上述の方法の特定の実施形態では、上記方法は高スループットフォーマットで実施される。
【0183】
ある具体的実施形態では、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法が提供される。上記方法は:
a)上記試料を、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、VSV糖タンパク質(G)が、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片によって置き換えられている、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えVSV粒子を、Vero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73細胞とVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)細胞との混合物と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞のルシフェラーゼシグナル及び/又はGFPシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記シグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0184】
別の具体的実施形態では、試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)中和抗体の存在を決定するための方法が提供され、上記方法は:
a)上記試料を、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子と接触させるステップであって、(i)VSV糖タンパク質(G)遺伝子が、19個のC末端アミノ酸を欠いた全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質又はその断片によって置き換えられており、(ii)上記VSV粒子は更に、ルシフェラーゼタンパク質及び/又は上記ルシフェラーゼタンパク質をコードする核酸分子を含む、ステップ;
b)ステップ(a)の後で、上記組換えVSV粒子を、Vero細胞、Vero-Ace-2細胞、及びVero-E6細胞から選択される細胞と接触させるステップ;
c)ステップ(b)の後で、上記細胞のルシフェラーゼシグナルを測定するステップ、並びに
d)ステップ(c)で測定された上記シグナルを対照と比較するステップ
を含む。
【0185】
本明細書で開示される方法のいずれかで使用される細胞は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を含んでよい。ACE2は、コロナウイルス、特にSARS-CoV-1及びSARS-CoV-2に対する機能性受容体である。本明細書で開示される方法のいずれかで使用される細胞は、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を更に含んでよい。本開示の方法で使用できる感受性標的細胞の非限定的な例としては、例えばVeroミドリザル腎臓上皮細胞(Vero-αHis細胞を含む)、Vero-Ace-2細胞、Vero-TRMPSS2細胞、Vero-E6細胞、鳥類赤血球、及びMadin-Darbyイヌ腎臓上皮細胞が挙げられる。
【0186】
いくつかの実施形態では、ウイルス-細胞混合物へのトリプシンの添加を用いて、ウイルス仲介性細胞融合を増大させることができる。トリプシンは、細胞内でレポーターシグナルを測定する前に添加してよい。トリプシンは、ウイルス-細胞混合物をインキュベートした後、例えばインキュベーションの開始から2~6時間後、インキュベーションの開始から3~5時間後、インキュベーションの開始から約4時間後、又はインキュベーションの開始から4時間後に、添加してよい。トリプシンを添加後にウイルス-細胞混合物から除去する必要はない。以下のデータで示されているように、トリプシンの添加によって細胞融合を促進できる。使用されるトリプシンの濃度は、培地(例えばOptiMEM)1mLあたりトリプシン0.1~4.0μL、又は培地1mLあたりトリプシン0.1~0.6μL、培地1mLあたりトリプシン0.2~0.7μL、培地1mLあたりトリプシン0.3~1.2μL、培地1mLあたりトリプシン0.5~2.0μL、培地1mLあたりトリプシン1.0~2.5μL、培地1mLあたりトリプシン1.5~3.0μL、又は培地1mLあたりトリプシン2.0~4.0μLとすることができる。融合アッセイ中に培地にトリプシンを添加することにより、アッセイの感度を高めることができる。追加のトリプシンにより、細胞融合をより短時間で発生させることができる。追加のトリプシンにより、アッセイの読み取り(例えばルシフェラーゼ活性)を、トリプシンが少ない又はトリプシンを用いない場合に比べて迅速に行うことができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、トリプシンをアッセイに使用しない。トリプシンを排除する場合、血清/ウイルス混合物、又は血漿/ウイルス混合物を除去して新鮮な血清培地、又は血漿に好適な培地に置き換える場合であっても、追加の洗浄ステップを不要とすることができる。
【0188】
レポータータンパク質
様々なスプリットレポータータンパク質を、本明細書に記載の態様及び実施形態のいずれにおいて使用できる。例えば、検出可能な産物への基質の変換を触媒する酵素。スプリットポリペプチドの再アセンブルのための複数のこのような系は、限定するものではないが、β-ガラクトシダーゼ(Rossi et al., PNAS, 1997, 94:8405-8410)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase:DHFR)(Pelletier et al, PNAS, 1998, 95:12141-12146)、TEM-1 β-ラクタマーゼ(lactamase:LAC)(Galarneau at al., Nat. Biotech. 2002; 20: 619-622)、並びにホタルルシフェラーゼ(Ray et al., PNAS, 2002, 99: 3105-3110及びPaulmurugan et al, 2002; PNAS, 99: 15608-15613)を含む。例えばスプリットβ-ラクタマーゼは、二本鎖DNAの検出に使用されている(Ooi et al., Biochemistry, 2006, 45:3620-3525を参照)。スプリットポリペプチド断片は、リアルタイムシグナル検出に使用でき、ここで上記断片は、補完時に迅速なシグナル検出を可能とする、完全に折り畳まれて成熟したコンフォメーションである。
【0189】
スプリットポリペプチド断片は、互いに近接させたときに会合してタンパク質を生成する、いずれのポリペプチドとすることができ、上記タンパク質は、集合したポリペプチド断片を認識できるが個々のポリペプチド断片を認識しないいずれの手段によって検出できる。本開示の一実施形態では、上記方法は、再構成直後に活性を有するようなスプリットポリペプチド断片の設計を包含する。
【0190】
スプリットポリペプチド断片は、近接させたときに会合して活性タンパク質を生成する、いずれのポリペプチドとすることができ、上記タンパク質は、集合した活性タンパク質を認識できるが個々の断片を認識しないいずれの手段によって検出できる。例えば、2つのポリペプチドが再会合して、酵素活性を有するタンパク質を生成でき、ルシフェラーゼ活性、発色活性若しくは蛍光発生活性を有するタンパク質を生成でき、又は抗体によって認識されるタンパク質を作成する。更にこれらは、活性状態であり、かつ活性タンパク質の再構成のためにプライミングされている(即ち準備ができた状態となっている)ように設計され、これにより、インビトロ及びインビボでのタンパク質の補完で従来観察されていたようなラグタイムが最小限に抑えられる。
【0191】
スプリットポリペプチド断片は、蛍光タンパク質又はポリペプチドとすることができる。このような実施形態では、活性化されたスプリット蛍光タンパク質断片のうちの1つは、成熟した、1つ以上の同族の活性化されたスプリット蛍光断片での補完時に、即座に蛍光を発するようにプライミングされ、準備ができた状態となっている、予備形成された成熟した発色団を含有する。例えば、このようなスプリット蛍光断片を含有する包有体を使用することは、完全に折り畳まれた蛍光タンパク質の約半分が、単独では蛍光を発しないものの、同族のペアとの会合時に蛍光を発するようにプライミングされた、正しく折り畳まれた成熟した発色団を伴うようにすることを含む。
【0192】
本明細書に記載の方法では、レポータータンパク質はルシフェラーゼであってよい。当業者に公知の様々なルシフェラーゼ酵素を使用でき、例示的なルシフェラーゼとしては、限定するものではないが、例えばウミシイタケルシフェラーゼ、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼ、(dCpG)ルシフェラーゼ、NanoLucレポーター、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ(gLuc)、MetLuc、Vibrio fischeriルマジンタンパク質、Vibrio harveyiルミナーゼ(luminaze)タンパク質、渦鞭毛藻類ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼYY5変異体、ホタルルシフェラーゼLGR変異体、ホタルルシフェラーゼ変異体E、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0193】
組換えVSV粒子が、レポータータンパク質の第1の部分を発現する第1の細胞、及びレポータータンパク質の第2の部分を発現する第2の細胞と接触して合胞体を形成する、本明細書に記載の方法では、レポータータンパク質はルシフェラーゼであってよい。ルシフェラーゼの第1の部分及び第2の部分は、スプリットポリペプチドルシフェラーゼ断片であってよい。両方のスプリットポリペプチドルシフェラーゼ断片をアッセイ系に導入すると、第1のタンパク質と第2のタンパク質とが互いに結合し、その結果としてルシフェラーゼが再構成されてルシフェラーゼ活性が回復するため、このルシフェラーゼは、適切な発光条件下で光を発することができる。このルシフェラーゼ活性は、アッセイ系が細胞である場合には、ルシフェリンを細胞培養物に加え、細胞抽出物を調製してルシフェラーゼ活性を測定することによって、測定できる。この場合、上記活性は、市販のEmerald Lucルシフェラーゼアッセイ試薬/細胞溶解剤(東洋紡株式会社)等を用いて、容易に測定できる。
【0194】
ルシフェラーゼ断片を含む融合タンパク質を検出できる。例えば、検出対象の標的タンパク質をルシフェラーゼ断片と融合させることによって作成された第1の融合タンパク質がアッセイ系内に存在する場合、上記標的タンパク質に結合する結合タンパク質をルシフェラーゼ断片と融合させることによって作成された第2の融合タンパク質を、プローブとして調製して、アッセイ系に導入する。その後、上記第2の融合タンパク質中の上記結合タンパク質は、上記第1の融合タンパク質中の上記標的タンパク質に結合することになり、これにより、上記ルシフェラーゼ断片が相互作用してルシフェラーゼ活性を獲得する。このルシフェラーゼ活性を検出することにより、ルシフェラーゼ断片を有する標的融合タンパク質を検出できる。具体的には、上記第1の融合タンパク質を発現する発現ベクターを調製して、細胞に導入できる。次に、上記第2の融合タンパク質を発現する発現ベクターを調製して、上記第1の融合タンパク質を発現する上記細胞に導入できる。そして、上述のようにしてルシフェラーゼ活性を測定することにより、ルシフェラーゼ断片を有する融合タンパク質を検出できる。
【0195】
スプリットルシフェラーゼアッセイは、例えばSaw, W.T. et al., “Using a split luciferase assay (SLA) to measure the kinetics of cell-cell fusion mediated by herpes simplex virus glycoproteins” Methods, 2015, 90:68-75(その全体が参照により本出願に援用される)において更に説明されている。本明細書に記載の方法は、ルシフェラーゼ及び蛍光タンパク質の両方がレポータータンパク質として一体に融合される場合に、実施できる。
【0196】
上記スプリットポリペプチド断片は、酵素活性アッセイを用いて検出できる活性酵素の断片を含むことができる。このような実施形態では、上記酵素活性は、発色又は蛍光発生反応によって検出される。一実施形態では、上記酵素は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ又はβ-ラクタマーゼである。
【0197】
上記酵素は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)とすることができる。例えばMichnick et al.は、単独ではいずれの酵素活性も欠いているものの、近接させると機能性酵素を形成する、DHFRのN末端断片及びC末端断片からなる、「タンパク質補完アッセイ」を開発している。例えば米国特許第6,428,951号、第6,294,330号、及び第6,270,964号(その全体が参照により本出願に援用される)を参照。発色及び蛍光発生法を含む、DHFR活性を検出する方法は、当該技術分野で公知である。
【0198】
本明細書に記載の方法及び組成物のうちのいずれにおいて、様々な蛍光タンパク質を使用してよい。本明細書で開示される方法では、レポータータンパク質は蛍光タンパク質を含んでよい。
【0199】
上記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP様蛍光タンパク質(GFP-like)、強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)であってよい。代替実施形態では、上記蛍光タンパク質は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、強化型青色蛍光タンパク質(EBFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、強化型青緑色蛍光タンパク質(ECFP)、赤色蛍光タンパク質(dsRED)、スーパーフォルダーGFP、スーパーフォルダーYFP、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、dsRed、qFP611、Dronpa、TagRFP、KFP、EosFP、IrisFP、Dendra、Kaede、KikGr1、及びこれらの誘導体、又は他のいずれの天然タンパク質、若しくは以上の蛍光タンパク質を遺伝子改変した他のいずれの蛍光タンパク質である。また更なる実施形態では、再構成された蛍光タンパク質は、以上の蛍光タンパク質のうちのいずれか、又はその組み合わせからの断片の混合物で構成されていてよい。
【0200】
緑色蛍光タンパク質(GFP)は、クラゲAequorea Victoria由来の、長さが238アミノ酸のタンパク質である。本開示のスプリット構築物で使用される改変GFPは、長さが231アミノ酸であり、配列番号18からなる。蛍光タンパク質は、腔腸動物の他のメンバーからも単離されており、例えばDiscosoma種由来の赤色蛍光タンパク質(Matz, M. V. et al. 1999, Nature Biotechnology 17: 969-973)、Renilla reniformis由来のGFP、Renilla Muelleri由来のGFP、又は他の動物、真菌、若しくは植物由来の蛍光タンパク質がある。GFPには様々な修飾形態が存在する。GFPの青色蛍光バリアント(BFP)は、Heim et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 91:26, 1994, pp 12501-12504によって記述されており、これは野生型GFPのY66Hバリアントである。GFPの黄色蛍光バリアント(YFP)は、S65G、S72A、及びT203Y変異を含み、これは国際公開特許第98/06737号で開示されている。GFPの青緑色蛍光バリアント(CFP)は、Y66W色変異、及び任意にF64L、S65T、N1461、M153T、V163A折り畳み/可溶性変異を含む。CFPはHeim, R., Tsien, R. Y., Curr. Biol. 6, 1996, 178-182に記載されている。EGFPバリアントは、GFPのF64L及びS65T変異、並びに最初のメチオニンの後への1つのバリン残基の挿入を含む。EGFPは、国際公開特許第97/11094号及び96/23810号に記載されている。F64L変異は、発色団の1つ上流の位置のアミノ酸である。この折り畳み変異を含有するGFP又はGFPバリアントは、上記GFP又はGFPバリアントが約30℃を超える温度で細胞内で発現されたときに、蛍光強度の増大を提供する(国際公開特許第97/11094号)。
【0201】
GFPの非限定的な例としては:Aequoria victoria GFP、Renilla muelleri GFP、Renilla reniformis GFP、Renilla ptilosarcus GFP、Emerald、スーパーフォルダーGFP、Azami Green、mWasabi、TagGFP、TurboGFP、AcGFP、ZsGreen、T-Sapphireが挙げられる。
【0202】
BFPの非限定的な例としては:EBFP2、Azurite、GFP2、GFP10、及びmTagBFPが挙げられる。
【0203】
CFPの非限定的な例としては:mECFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori-Ishi Cyan、TagCFP、mCFPmm、及びmTFP1(Teal)が挙げられる。
【0204】
YFPの非限定的な例としては:Topaz、Venus、mCitrine、YPet、TagYFP、PhiYFP、ZsYellow1、及びmBananaが挙げられる。
【0205】
橙色蛍光タンパク質の非限定的な例としては:Kusabira Orange、Kusabira Orange2、mOrange、mOrange2、dTomato、dTomato-Tandem、TagRFP、TagRFP-T、DsRed、DsRed2、DsRed-Express(T1)、DsRed-Monomer、及びmTangerineが挙げられる。
【0206】
赤色蛍光タンパク質の非限定的な例としては:mRuby、mApple、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、dKeima-Tandem、HcRed-Tandem、mPlum、tdTomato、及びAQ143が挙げられる。
【0207】
また、上述のレポータータンパク質の断片及び誘導体も包含される。
【0208】
上記蛍光タンパク質は、活性化させることができる2つ以上のポリペプチド又はタンパク質断片に分割できる。これらの活性化されたスプリット蛍光タンパク質断片のうちの1つ以上は、成熟した、1つ以上の同族の活性化されたスプリット蛍光断片での補完時に、即座に蛍光を発するようにプライミングされ、準備ができた状態となっている、予備形成された成熟した発色団を含んでよい。例えば、このようなスプリット蛍光断片を含有する包有体を使用することは、完全に折り畳まれた蛍光タンパク質の約半分が、単独では蛍光を発しないものの、同族のペアとの会合時に蛍光を発するようにプライミングされた、正しく折り畳まれた成熟した発色団を伴うようにすることを含む。
【0209】
上記活性化されたスプリット蛍光タンパク質断片のうちの1つ以上は、活性を有するものの非蛍光状態である、予備形成された成熟した発色団を含んでよい。成熟しているが依然として不活性の状態での発色団の単離により、対応する断片での補完時に即座に蛍光を検出できる。
【0210】
上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、緑色蛍光タンパク質(GFP)のアミノ酸1~157を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、GFPのアミノ酸158~231を含んでよい。GFPが不完全である場合、これに伴ってアミノ酸の番号を調整しなければならない。C末端システインを上記第1の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。N末端システインを上記第2の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。上記第1の部分は、成熟した発色団を含有するα断片を含み、これは単独では蛍光を発しないものの、β断片を含む上記第2の部分とペアリングされると蛍光を発するようにプライミングされる。理論によって束縛されることを望むものではないが、発色団が予備形成されていることにより、これは即座に蛍光を発することができる。上記α断片及び上記β断片は、会合が促進されない限り、再会合できず、又は蛍光を発することができない。
【0211】
上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸1~213を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーGFPのアミノ酸214~230を含んでよい。スーパーフォルダーGFPが不完全である場合、これに伴ってアミノ酸の番号を調整しなければならない。C末端システインを上記第1の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。N末端システインを上記第2の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。上記第1の部分は、成熟した発色団を含有するα断片を含み、これは単独では蛍光を発しないものの、β断片を含む上記第2の部分とペアリングされると蛍光を発するようにプライミングされる。
【0212】
上記レポータータンパク質の上記第1の部分は、スーパーフォルダー黄色蛍光タンパク質(YFP)のアミノ酸1~154を含んでよく、上記レポータータンパク質の上記第2の部分は、スーパーフォルダーYFPのアミノ酸155~262を含んでよい。スーパーフォルダーYFPが不完全である場合、これに伴ってアミノ酸の番号を調整しなければならない。C末端システインを上記第1の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。N末端システインを上記第2の部分に加えることによって、発現前の様々な核酸結合モチーフのコンジュゲートを支援できる。上記第1の部分は、成熟した発色団を含有するα断片を含み、これは単独では蛍光を発しないものの、β断片を含む上記第2の部分とペアリングされると蛍光を発するようにプライミングされる。
【0213】
蛍光タンパク質は、フローサイトメトリー、蛍光プレートリーダー、蛍光光度計、顕微鏡法、蛍光共鳴エネルギ転移(fluorescence resonance energy transfer:FRET)、肉眼、又は当業者に公知の他の方法のうちの1つ以上によって、検出できる。フローサイトメトリーを使用する場合、蛍光活性化セルソーター(florescence activated cell sorter:FACS)又はタイムラプス顕微鏡を使用して蛍光を検出できる。
【0214】
本開示の別の実施形態では、活性化されたスプリットポリペプチド断片の会合により、不連続なエピトープを含有する集合タンパク質を形成でき、上記不連続なエピトープは、上記集合タンパク質上の上記不連続なエピトープを特異的に認識するものの、個々のポリペプチド上に存在していた部分的なエピトープは認識しない抗体によって、検出できる。これらの誘導体、及びこのような他の誘導体は、当業者が公知の方法に基づいて容易に作成でき、また、いずれのタンパク質断片自体によっても上記集合タンパク質を認識しない抗体に関してスクリーニングできる。
【0215】
スプリットポリペプチドは、スプリット蛍光分子であってよい。上記分子は、GFP、GFP様蛍光タンパク質、蛍光タンパク質、及びこれらのバリアントからなる群から選択される、少なくとも2つの活性化されたスプリット蛍光断片を含むことができる。上記スプリット蛍光断片のうちの1つは、予備形成された成熟した発色団を含むことができ、これは、解離した状態の断片において、非蛍光状態で活性を有する。活性化された蛍光断片は、互いに会合したときに、蛍光に必要なβ鎖の完全な補完を含むことができるが、それ自体では蛍光を発しない。上記分子の活性化されたスプリット蛍光断片はそれぞれ、核酸結合モチーフを更に含む。標的核酸に対する核酸結合モチーフの結合は、少なくとも2つの活性を有するスプリット蛍光断片の会合と、活性を有する蛍光タンパク質及び蛍光表現型のリアルタイムでの再構築とを促進できる。
【0216】
スプリット蛍光タンパク質アッセイはまた、2010年6月17日公開の国際公開特許第2010/066113号(その全体が参照により本出願に援用される)、及び米国特許出願公開第2009/0220942号(その全体が参照により本出願に援用される)に記載されている。
【0217】
併用スプリットルシフェラーゼ-スプリット蛍光タンパク質アッセイが、Nakane, S. et al., “Dual Split Protein (DSP) Assay to Monitor Cell-Cell Membrane Fusion”, Methods Mol. Biol., 2015, 1313:229-36(その全体が参照により本出願に援用される)に更に記載されている。
【0218】
様々な実施形態において、蛍光は、フローサイトメーター又はビーズアレイリーダーを用いて測定できる。例えば、BioPlex-100、BioPlex-200、Luminex-100、又はLuminex-200ビーズアレイリーダーを使用してよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、VSV粒子を細胞に加える前に、プレーティング用培地を除去して、血清培地(例えば50μL/ウェルのOptiMEM)で置き換える。他の実施形態では、ウイルス/血清混合物を細胞に加える前、プレーティング用培地を変更しない。
【0220】
VSV粒子は血清中に、ウイルス/血清混合物として存在してよい。他の実施形態では、ウイルス/血清混合物を細胞に加える前、プレーティング用培地を変更しない。VSV粒子は血漿中に、ウイルス/血漿混合物として存在してよい。他の実施形態では、ウイルス/血漿混合物を細胞に加える前、プレーティング用培地を変更しない。
【0221】
細胞内のレポーターシグナルを測定して、対照と比較する。
【0222】
組換えVSV粒子をウイルス/血清混合物又はウイルス/血漿混合物と共にインキュベートする期間は、例えば約30分~3日、又は約30分~75分、45分~90分、60分~2時間、又は90分~3時間等の、このようなインキュベーションに適した期間として設定してよい。例示的な期間は、約1時間であってよい。
【0223】
いくつかの実施形態では、(例えば血清又は血漿との混合物中の)組換えVSV粒子を標的細胞に加えた後、ウイルスを伴う上記細胞を、更に2~6時間、約4時間、又は4時間にわたってインキュベートする。インキュベーション後に血清又は血漿が存在する場合、細胞の融合又はルシフェラーゼ活性を強化するために、この血清又は血漿を除去できる。
【0224】
試料(例えば血清又は血漿)は、対照から、例えばSARS-CoV-2感染に曝露された、又はSARS-CoV-2ワクチン若しくは別の免疫原性組成物でワクチン接種されたヒトから、得ることができる。試料は、ある程度のレベルのSARS-CoV-2中和抗体を含有する場合も、含有しない場合もある。COVID-19患者の体内での抗体応答は、例えばOkba, N.M.A. et al., “SARS-CoV-2 specific antibody responses in COVID-19 patients” Emerg. Infect. Dis., 2020, 26(7)(doi.org/10.3201/eid2607.200841にて入手可能)に記載されている。患者試料中での中和抗体のレベルを迅速に決定することが求められており、本明細書に記載の方法は、SARS-CoV-2中和抗体の存在及び/又はレベルの迅速な評価を可能にするものである。
【0225】
Montefiori, D.C., “Evaluating neutralizing antibodies against HIV, SIV, and SHIV in luciferase reporter gene assays.” Curr. Protoc. Immunol., 2005, Chapter 12, Unit 12.11(その全体が参照により本出願に援用される)に記載の方法も、本明細書に記載の方法の一部として使用される場合がある。
【0226】
キット
本開示はまた、本明細書で開示される様々な方法に関連するキットも提供する。特定の実施形態では、上記キットは、1つ以上のコンテナ(例えば別個のコンテナ)内に:(a)外来RNA配列が挿入されたVSVアンチゲノム(+)RNAを生成するために、好適な宿主細胞内で転写できる、第1の組換えDNA;(b)VSV Nタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、第2の組換えDNA;(c)VSV Lタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、第3の組換えDNA;及び(d)VSV Pタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、第4の組換えDNA;及び任意に(e)VSV Mタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、第5の組換えDNA;及び任意に(f)VSV Gタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、第6の組換えDNAを含む。第2、第3、第4、並びに任意に第5及び/又は第6の組換えDNAは、同一のDNA分子の一部であっても、異なるDNA分子の一部であってもよい。ある好ましい実施形態では、N、L、P、及び他のタンパク質をコードする上記配列はそれぞれ、好適な宿主細胞内でのN、L、P、及び他のタンパク質の発現を制御するプロモーターに、作動可能に連結される。様々な実施形態において、上記キットは、組換えVSV粒子の生成における使用に関して上述されている、様々な核酸、例えばプラスミド発現ベクターを含有できる。
【0227】
別の実施形態では、本開示のキットは、(a)RNAの一部分が外来RNA配列に挿入された、又は外来RNA配列によって置き換えられた、VSVアンチゲノムDNAを生成するために、好適な宿主細胞内で転写できる、第1の組換えDNA;並びに(b)VSV N、P及びLタンパク質、並びに任意にM及び/又はGタンパク質を組換え発現する、宿主細胞を含む。特定の実施形態では、上記外来RNA配列は、組換えVSVゲノムの非必須部分に挿入される。特定の実施形態では、上記外来RNA配列は、VSVのGタンパク質を置き換える。
【0228】
特定の実施形態では、本開示のキットは、別個のコンテナ内に:
(a)以下の作動可能に連結された成分:(i)バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSVアンチゲノムRNAを含むRNA分子を生成するために、好適な宿主細胞内で転写できる配列を含むDNAであって、上記VSVアンチゲノムRNA内では、VSVのRNAの一部分が外来RNA配列に挿入された、又は外来RNA配列によって置き換えられ、かつアンチゲノムRNAの3’末端がアンチゲノムRNAの3’末端を切断するリボザイム配列のすぐ隣にある、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第1のプラスミド;
(b)以下の作動可能に連結された成分:(i)上記バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSV Nタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第2のプラスミド;
(c)以下の作動可能に連結された成分:(i)上記バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSV Pタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第3のプラスミド;
(d)以下の作動可能に連結された成分:(i)上記バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSV Lタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第4のプラスミド;
任意に(e)以下の作動可能に連結された成分:(i)上記バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSV Mタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第5のプラスミド;並びに
任意に(f)以下の作動可能に連結された成分:(i)上記バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、(ii)VSV Gタンパク質、又はその機能性断片若しくは誘導体をコードする配列を含む、DNA、及び(iii)バクテリオファージRNAポリメラーゼのための転写終結シグナル、を含む、第6のプラスミド
を含む。特定の実施形態では、上記外来RNA配列は、組換えVSVゲノムの非必須部分に挿入される。特定の実施形態では、上記外来RNA配列は、VSVのGタンパク質を置き換える。
【0229】
別の実施形態では、本開示のキットは、別個のコンテナ内に、バクテリオファージRNAポリメラーゼをコードし、またバクテリオファージRNAポリメラーゼを発現させることができる、組換えワクシニアウイルスを更に含む。
【0230】
特定の実施形態では、コンテナ内の成分は精製された形態である。
【0231】
本開示は更に、試料中のコロナウイルス中和抗体(例えば上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質を標的とする中和抗体)を検出するためのキットを提供する。上記キットは:
a)組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子であって、ここでVSV糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介できる、組換えラブドウイルス粒子;
b)レポータータンパク質の第1の部分を発現する第1の細胞、及び上記レポータータンパク質の第2の部分を発現する第2の細胞であって、上記第1の細胞及び上記第2の細胞は、上記組換えVSV粒子と接触したときに互いに融合でき、上記融合は、検出可能なレポーターシグナルの生成をもたらす、第1の細胞及び第2の細胞;
c)任意に、陽性対照及び/又は陰性対照;
d)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
e)任意に、使用説明書
を含んでよい。
【0232】
上記レポータータンパク質は、本明細書に記載の酵素(例えばルシフェラーゼ)又は蛍光タンパク質(例えばGFP)のうちのいずれであってよい。様々な実施形態において、上記レポータータンパク質は、VSV粒子中のゲノムによってコードされることなく、VSV粒子に組み込むことができる。様々な実施形態において、上記レポータータンパク質は、VSV粒子のゲノムによってコードされる。
【0233】
いくつかの実施形態では、上記陽性対照は、中和抗体(例えばSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質に対する抗体)を含んでよい。上記SARS-CoV-2 S糖タンパク質に対する中和抗体の非限定的な例は、mAb10914又はmAb10922である(mAb10914及びmAb10922のアミノ酸及びヌクレオチド配列は、以下の配列のセクションで提供されている)。既知の量の中和抗体を、上記中和抗体を含まない血清又は血漿に加えることにより、陽性対照を生成できる。いくつかの実施形態では、上記陽性対照は、SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質と、これが細胞表面上で相互作用するタンパク質、例えばACE2又はTMPRSS2との間の相互作用を遮断する分子を含んでよい。このような分子の非限定的な例としては、例えば抗ACE2抗体(例えばCL4013、AC18F、881CT16.4.4、MA5-31395、及びOTI1D2抗体)、(例えばその全体が参照により本出願に援用されるFukuski et al., Journal of General Virology, 2005, 86:2269-74で開示されているような)可溶性ACE2タンパク質、及び抗TMPRSS2抗体(例えば、その全体が参照により本出願に援用される国際公開特許出願第2019/147831号に記載されている、H1H7017N抗体)が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記陽性対照は、細胞間融合を遮断する分子(例えば抗体)を含んでよい。このような分子の非限定的な例としては、例えばSaw, W.T. et al., Methods, 2015, 90:68-75(その全体が参照により本出願に援用される)に記載されているMC5及びDL11抗体が挙げられる。
【0234】
上記陰性対照は、上記中和抗体を含まない血清又は血漿を含むことができる。上記陰性対照は、上記中和抗体を含まないものの、VSV糖タンパク質(G)を特異的に標的とする抗体、VSVマトリックスタンパク質(M)を特異的に標的とする抗体、本方法で試験されるものとは異なる別のコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質を特異的に標的とする抗体(例えばSARS-CoV-1スパイク(S)糖タンパク質を特異的に標的とするものの、SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質には結合しない抗体)、又はHIV抗原に対して特異的なモノクローナル抗体(例えば、その全体が参照により本出願に援用されるMontefiori, D.C., Current Protocols in Immunology, 2004, Chapter 12: Unit 12.11.1に記載されているような、IgG1b12、2G12、X5、2F5、4E10)、又はいずれのアイソタイプ対照抗体といった他の抗体を含む、血清又は血漿を含むことができる。
【0235】
更に別の実施形態では、上記キットは:
a)組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)粒子であって、ここで(i)VSV糖タンパク質(G)はコロナウイルススパイク(S)糖タンパク質又はその断片若しくは誘導体によって置き換えられ、上記S糖タンパク質、断片、又は誘導体は、標的細胞の感染を仲介でき、(ii)VSV粒子は、レポータータンパク質及び/又は上記レポータータンパク質をコードする核酸分子を含む、組換えラブドウイルス粒子;
b)コロナウイルスS糖タンパク質によって仲介される感染に対して感受性を有する細胞;
c)任意に、陽性対照及び/又は陰性対照;
d)任意に、上記レポータータンパク質のための基質、並びに
e)任意に、使用説明書
を含んでよい。
【0236】
上記キットのうちのいずれに、細胞成長培地及び/又は固定剤を任意に含めてもよい。
【実施例
【0237】
本開示を、以下の実施例によっても説明及び実証する。しかしながら、この実施例及び本明細書中のいずれの箇所の他の実施例の使用は、単なる例示であり、本開示の又は例示されているいずれの用語の範囲及び意味を一切限定しない。同様に、本開示は、本明細書に記載のいずれの特定の好ましい実施形態に限定されない。実際には、本開示の多数の修正形態及び変形形態は、本明細書を読めば当業者には明らかになり得るものであり、これらの変形例は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく実施できる。従って本開示は、添付の請求項の用語と、これらの請求項が権利を有する均等物の全範囲とによってのみ限定されるものとする。
【0238】
実施例1:スパイク(S)糖タンパク質構築物を発現するVSVの調製
Indiana株のVSVの感染性クローンを用いて、4つの組換えVSV構築物を生成した。上記4つの組換えVSV構築物では、VSV(G)糖タンパク質が欠失して、コドン最適化配列によって置き換えられ、上記コドン最適化配列は、ヒト細胞内での発現に好適であり、また:(1)全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質配列(NCBI参照配列:NC_045512.2;タンパク質_ID:YP_009724390.1)(バリアント1;VSV SARS-CoV-2 dG=VSV-SARS-CoV-2-S;配列番号1のアミノ酸配列;配列番号2の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)、(2)C末端の19個のアミノ酸KFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号20)が欠失したSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント2;VSV SARS-CoV-2 Δ19CT dG=VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT;配列番号3のアミノ酸配列;配列番号4の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)、(3)S糖タンパク質細胞質尾部が、VSV G細胞質尾部KLKHTKKRQIYTDIEMNRLGK(配列番号21)に置き換えられたSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント3;VSV SARS-CoV-2 VSV-G CT dG;配列番号5のアミノ酸配列;配列番号6の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)、又は(4)他の3つの構築物で使用されている最適化コザック配列(caccATG;配列番号12)の代わりに野生型VSVコザック配列(cActATG;配列番号11)を伴う、バリアント4-全長SARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(VSV-SARS-CoV-2-S;配列番号1のアミノ酸配列;配列番号2の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)、をコードする。野生型VSV Mタンパク質(配列番号9のアミノ酸配列;配列番号10のヌクレオチド配列)をコードする、バリアント1~4の構築物の1つ目のセット(構築物1~4)を調製した。ウイルスの弱毒化をもたらす置換M51Rを有するMタンパク質(配列番号7のアミノ酸配列;配列番号8のヌクレオチド配列)をコードする、バリアント1~4の構築物の第2のセット(構築物5~8)を調製した。図1を参照。
【0239】
バリアント1~4組換えウイルス粒子を、(T7ポリメラーゼを発現する)ワクシニア-T7ウイルスによるトランスフェクション、並びに(T7プロモーターの制御下にある各遺伝子を有する)N、P及びL発現プラスミドと、ウイルスゲノムプラスミドとによる同時トランスフェクションを用いる、公開されている標準的なプロトコルを使用して、生成した。レスキューを促進するために、VSV Gを発現するプラスミドも細胞にトランスフェクトした。ウイルスをVero細胞内で増幅及び増殖させた。増幅された組換えウイルスはVSV(G)糖タンパク質を有さず、侵入及び感染をSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質に依存する。
【0240】
VSV G、N及びMタンパク質、並びにSARS-CoV-2 S糖タンパク質の、組換えバリアント2 VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT構築物6(VSV-M51R-nCoV19-S Δ19CT)ビリオンへの正確な組み込みを、ウエスタンブロッティングで分析した。結果を図3Cに示す。VSV-GFP(VSV-Gをコードする)若しくはVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染した、若しくは偽感染したVero細胞から調製したウイルス上清を、抗SARS-CoV-2-スパイク抗体(左)及びウサギ抗VSV抗血清(右)を用いた免疫ブロット分析に供した。SARS-CoV-2-S-Δ19CT S糖タンパク質は、全長S1/S2バリアント(180kDa)、及びタンパク質分解で切断されたS2バリアント(75kDa)糖タンパク質に対応する、2つの帯域を生成した。ウエスタンブロットは、VSV-GFPウイルス中のVSV N、M、及びGタンパク質の存在、並びにバリアント2 VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTウイルス中のVSV N及びMタンパク質(ただしVSV G糖タンパク質ではない)の存在を示す。バリアント2VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTウイルスのウエスタンブロットはまた、VSV G糖タンパク質に代わるVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT S糖タンパク質の効率的な組み込みも示す。
【0241】
実施例2:SARS-CoV-2を中和する抗体を検出するための高スループットIMMUNO-COV v.1アッセイの開発
導入
SARS-CoV-2中和抗体を検出するための実験室アッセイを、SARS-CoV-2の臨床単離株、シュードタイプ化されたレンチウイルスベクター、及びシュードタイプ化された水疱性口内炎ウイルス(VSV)を用いて開発した。ここで説明されるのは、SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質をVSV-G糖タンパク質の代わりに発現するよう改変された組換えVSVを用いた、SARS-CoV-2-中和抗体の検出及び定量化のための、高スループットでスケーラブルな臨床アッセイである。SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質は、細胞表面上のアンジオテンシン変換酵素-2(ACE2)に結合して、細胞へのウイルスの侵入を開始させる(Hoffman 2020、Walls 2020、Wan 2020)。主要な表面露出ウイルスタンパク質として、コロナウイルススパイクは、宿主免疫系の主要な標的である(Corman 2016、Liu 2006、Nie 2004、Zhao 2017)。ACE2とのスパイクの相互作用を遮断することにより、ウイルスの侵入を防止し、スパイクを中和抗体の主要な標的にする(Walls 2020、Wu 2020)。従って本発明者らは、スパイク(S)糖タンパク質を発現するVSVを中和できる抗体の検出は、試料中に存在するSARS-CoV-2中和抗体のレベルを直接反映するはずであると仮説を立てた。重要なことには、SARS-CoV-2の代わりにスパイク発現性VSVを用いることにより、アッセイの安全性及びスケーラビリティが大幅に向上する。
【0242】
本発明のアッセイ(IMMUNO-COV v.1)は、デュアルスプリットタンパク質(dual split protein:DSP)ルシフェラーゼレポーター系を用いて、SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質発現性VSVの融合表現型を利用し、ウイルス誘導型細胞融合、及びこれに伴ってウイルス中和のレベルを定量化する(図2)。本実施形態のDSP系は、キメラスプリット改変緑色蛍光タンパク質(GFP)、及びスプリットウミシイタケルシフェラーゼ変異体Rluc8を使用する。相補的なスプリットレポーターを発現する2つの細胞株の間の融合は、完全に機能するGFPとRluc8ルシフェラーゼとの再会合を促進する。従って、ルシフェラーゼ活性を用いて、高スループット96ウェルプレートフォーマットにおいて、ウイルス誘導型細胞融合を測定できる。ここで説明されるのは、アッセイ条件の最適化及び最終的な臨床アッセイの検証を含む、アッセイの開発である。このアッセイの結果と、臨床症状と、他の血清学的試験からの結果との間には、優れた相関が観察された。特に、SARS-CoV-2中和抗体レベルの定量化は、SARS-CoV-2の臨床単離株を用いたアッセイからの、プラーク減少中和IC50値と密接に相関していた。従って本発明のアッセイはSARS-CoV-2中和抗体を正確に定量化するため、血漿療法、及びSARS-CoV-2ワクチンに対する免疫応答を評価するための、貴重なツールとなる。
【0243】
このIMMUNO-COV v.1アッセイは、検証試験において100%の特異性を示し、全ての試験にわたって偽陽性は検出されなかった。盲検分析では、アッセイの結果は、利用可能な臨床データ、及びqRT-PCR又は他の血清学的試験(市販のELISA)の結果との、略完璧な相関(196/197)を示した。抗ウイルス応答の強度を定量化するために、SARS-CoV-2セロネガティブ血清又は血漿マトリックスにスパイクされた、異なる複数の濃度の抗SARS-CoV-2-スパイクモノクローナル抗体からなる、検量線を作成した。この検量線を用いて、最小推奨希釈率であると決定された単一の1:100血清試験用希釈物から、上記アッセイで中和抗体レベルを定量化した。高レベルのSARS-CoV-2-中和抗体を含む試料に関して、第2の希釈物は、より正確な定量化を促進した。このキャリブレーター法を用いて計算されたウイルス中和単位(virus neutralization unit:VNU)は、SARS-CoV-2の臨床単離株に対するプラーク減少中和試験によって決定されたプラーク減少中和力価EC50(PRNTEC50)値と密接に相関していた(p<0.0001)。これらの結果を合わせると、本IMMUNO-COV v.1アッセイが、試料(例えば血清又は血漿)中のSARS-CoV-2中和抗体を、バイオセーフティーレベル2(biosafety level 2:BSL2)の高スループットフォーマットで正確に定量化し、例えば回復期血漿療法プログラムへのドナーの適格性、及び様々な臨床試験への参加者の適格性の評価、並びに候補SARS-CoV-2ワクチンに対する免疫応答の評価のための、重要な情報を提供できることが実証される。
【0244】
結果
ルシフェラーゼアッセイによるVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT融合の測定
SARS-CoV-2を利用した中和アッセイを安全に実施するためには、バイオセーフティーレベル3(biosafety level 3:BSL3)の汚染物質及び実践が必要であるため、これらのアッセイを用いた患者試料の広範な試験は非現実的である。従って本発明者らは、血液試料中のSARS-CoV-2中和抗体を検出するために使用できる、より安全でスケーラブルなアッセイを開発しようとした。本発明者らは、SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質発現性VSVによる感染によって誘導される、Vero細胞内での合胞体形成を、デュアルスプリットタンパク質(DSP)ルシフェラーゼレポーターを用いて検出するアッセイを設計した(図2)。逆遺伝学(reverse genetics)を用いて、VSV糖タンパク質(G)がSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質に置き換えられた組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)を生成した(図1及び3A)。SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質のC末端(細胞質)ドメインの最後の19個のアミノ酸の欠失によって、ウイルスのレスキュー及び増幅が改善された。得られたウイルス(バリアント2 VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)は、Vero細胞単層での合胞体形成を誘導し、これは0.4μg/mLのトリプシンの存在下で強化された(図3B)。SARS-CoV-2-Δ19CTスパイク糖タンパク質のビリオンへの組み込みは、ウイルス上清において、免疫ブロット分析によって確認された(図3C)。SARS-CoV-2-Δ19CTスパイク糖タンパク質が検出されたものの、VSV-Gは検出されず、組換えウイルス中でVSV-GがSARS-CoV-2-S-Δ19CTによって効率的に置き換えられていることが確認された。
【0245】
Vero細胞はVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染しており、ACE2及びTMPRSS2の両方を発現する(図3D及びE)ため、Vero細胞がこのアッセイのためのレポーター細胞株として選択された。親Vero細胞に、脾臓病巣形成ウイルス(spleen focus forming virus:SFFV)プロモーターの制御下で、Rluc8 155-156DSP1-7及びRluc8 155-156DSP8-11をそれぞれ発現する自己不活化レンチウイルスベクターSFFV-DSP1-7-P2A-Puro又はSFFV-DSP8-11-P2A-Puroを形質導入し、P2A切断ペプチドを介してピュロマイシン耐性遺伝子に連結した。Vero-DSP1細胞はRluc8 155-156 DSP 1-7ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号14)を発現し、これは、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼの断片のアミノ酸1~155と、改変GFPの断片のアミノ酸1~156とを含む。Vero-DSP2細胞は、Rluc8 155-156 DSP 8-11ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号16)を発現し、これは、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼの断片のアミノ酸157~311と、改変GFPの断片のアミノ酸157~231とを含む。RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼは、変異A55T、C124A、S130A、K136R、A143M、M185V、M253L、及びS287Lを含む(配列番号19を参照)。改変GFPの配列は配列番号18で提供されている。
【0246】
1:1の比率で播種されたVero-DSP1細胞及びVero-DSP2細胞の混合された単層を、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染させると、合胞体の形成が観察され、感染の24時間後にルシフェラーゼ活性が容易に検出された(図3F)。対照的に、Vero-DSP1のみ若しくはVero-DSP2のみの感染した単層、又は偽感染したVero-DSP1/Vero-DSP2単層では、ルシフェラーゼ活性は検出されなかった。よって、ルシフェラーゼ活性は、混合Vero-DSP1/Vero-DSP2単層のウイルス誘導型細胞融合に特異的なものであった。
【0247】
VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT融合の最適化
合胞体の形成は、本発明のアッセイで機能的なルシフェラーゼを生成するために必要である。しかしながら、合胞体形成に続く細胞単層の完全な破壊は、細胞生存率の喪失によってルシフェラーゼ活性を低下させる。従って本発明者らは、ルシフェラーゼを測定するための、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT感染後の最適な時点を決定した。EnduRen(商標)生細胞基質(EnduRen(商標))は、改変された「前基質(pro-substrate)」であり、ルシフェラーゼ基質であるセレンテラジンを生成するためには、これを細胞エステラーゼで切断しなければならない。この前基質は極めて安定しているため、EnduRen(商標)を細胞に添加してから2時間後~24時間後のいずれの時点において、ルシフェラーゼ活性を繰り返し測定できる。感染の15時間後までは、感染したVero-DSP1/Vero-DSP2単層のルシフェラーゼ活性は、偽感染した細胞のバックグラウンドシグナルから容易に区別された(図4A)。ルシフェラーゼ活性は上昇を続け、感染の約26時間後にピークレベルに達した。よって、このアッセイでの最適なルシフェラーゼの読み取りは、感染の24時間後~30時間後であった。
【0248】
細胞融合及びルシフェラーゼ活性を強化し、これによってアッセイの感度を向上させるために、最適な細胞密度及びウイルス濃度も決定した。Vero-DSP1/Vero-DSP2細胞を、細胞密度を増大させて播種し、24時間後に単層を、濃度を上昇させたVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染させた。全てのウイルス希釈物において、細胞密度の増大はルシフェラーゼシグナルを改善した(図4B)。予想された通り、合胞体の形成、及びルシフェラーゼ活性は、単層の接種により多くのウイルスを使用した場合にも向上した。このアッセイには6×10細胞/ウェルを使用するべきであると結論づけられた。また、最良の結果のためには、「コンフルエントに達していない(under-confluent)」フラスコから細胞を播種するべきであること、及び回復のために2日が与えられている場合、細胞を冷凍保存ストックから直接播種できることも指摘された。
【0249】
当然のことながら、多数の実験にわたる更なる研究によって、異なるロットのVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTが、融合の誘導に関して異なる効能を示すことが示された。従って、アッセイに適したウイルスの濃度は、一連の人工対照(以下を参照)に対するパフォーマンスに基づいて、ウイルスの各ロットについて決定された。
【0250】
Vero-DSPレポーターアッセイを用いたVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和の検出
本発明のアッセイを用いてウイルスの中和を検出できることを実証するために、まず、いくつかの精製されたタンパク質の、ウイルス誘導型融合を阻害する能力を試験した。アフィニティ精製されたポリクローナル抗SARS-CoV-スパイク抗体、及び可溶性組換えAce2タンパク質は、ウイルス表面上のスパイクに結合して、細胞への侵入を遮断する。同様に、モノクローナル抗Ace2抗体は、細胞受容体を遮断してウイルスの侵入を制限する。3つの阻害剤全てが、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT誘導型の融合を用量依存的に良好に遮断した(図5A)。これは、本発明のアッセイがVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT感染の阻害を検出できることを実証している。重要なことには、SARS-CoV-2回復期の個体から得られた血漿(NL1)によるVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和も検出された。SARS-CoV-2セロネガティブと推定された3人の個体からの、プールされていた血漿と比較して、熱不活化されたNL1血漿は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを用量依存的に中和した(図5B)。従って本発明のアッセイは、回復期血漿中のVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-中和抗体を検出できた。
【0251】
VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT中和時間の最適化
初期の実験では、いずれの中和血清又は阻害剤の不在下であっても、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを37℃で1時間インキュベートすることによって、ルシフェラーゼ活性の喪失がもたらされることが観察された(図6A)。この活性の喪失は、ウイルスの濃度が比較的高い場合には部分的に無効化される。それにもかかわらず本発明者らは、室温でのより短いインキュベーション時間によって、効率的なウイルスの中和を促進できるかどうかを調査した。中和NL1血漿の2倍連続希釈物を調製し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと共に37℃で60分、又は室温で15、30、若しくは60分にわたってインキュベートした。他の条件に対して、ルシフェラーゼ活性は、室温で15分間インキュベートされた試料の1:160希釈物において、わずかに高く(図6B)これは、この条件が完全な中和に十分なものではない可能性があることを示唆している。しかしながらNL1は、室温で30又は60分間インキュベートされた場合も、37℃で1時間の場合に比べて効率的ではないものの、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを中和した。室温で30分間のインキュベーションは、ウイルスの中和に十分なものであると結論づけられた。
【0252】
熱不活化は、アッセイの適合性ためには必要ではない
アッセイのワークフローを更に合理化するために、信頼できる結果の達成には試料の熱不活化が必要なのかどうかを決定した。血清試料は血漿試料に比べて入手しやすいため、これを試験に使用した。本発明者らはまず、SARS-CoV-2セロネガティブと推定された3つの試料と、(2019年秋までに生成された)市販の血清プールとを、1:100の希釈率で試験した。上記血清プール、及び上記3つの陰性血清のうちの2つでは、熱不活化により、ルシフェラーゼ活性が若干低下している(図6C)が、これは恐らく、補体によるウイルスの不活化のレベルが低いためである。それでも全体としては、熱不活化は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT誘導型細胞融合及びルシフェラーゼ活性にほとんど影響を及ぼさなかった。陰性と推定される3つの更なる血清を複数の希釈率で試験した場合でも、熱不活化された試料と熱不活化されていない試料との間には、ルシフェラーゼ活性の違いはほとんど存在しなかった(図6D)。対照的に、熱不活化は、SARS-CoV-2回復期血清の、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTを中和する能力を低下させた(図6E)。従って、熱不活化されていない試料を使用すると、アッセイのワークフローが合理化され、またアッセイの感度が向上するため好ましいと結論づけられた。
【0253】
最小推奨希釈率の決定
試料の干渉は、高い試料濃度での血清学的アッセイでは一般的である。従って本発明者らは、試料の干渉による偽陽性が略排除される、アッセイの試料に関する最小推奨希釈率を画定した。この目的のために、SARS-CoV-2セロネガティブであると推定される39個の試料を、1:10~1:320の2倍連続希釈率でのアッセイに供した。予想された通り、ウイルスの融合及びルシフェラーゼ活性との干渉は、比較的高い血清濃度において観察された(図7A)ものの、試料を更に希釈すると消失した。統計的分析により、最小推奨希釈率はおよそ1:100であることが示された。この希釈率では、陰性血清試料からのルシフェラーゼシグナルが50%以上となることの信頼度が、95%を超える。従ってこれ以降の全ての研究では、試験用の血清試料、及びプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清対照の両方に関する希釈率として、1:100を使用した。
【0254】
人工陽性対照の開発
大量の適格なSARS-CoV-2セロポジティブ血清の入手可能性は限られているため、本発明者らは、アッセイのための人工陽性対照の開発を試みた。この目的のために、様々な濃度のmAb10914(SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質に結合するモノクローナル抗体)を、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清、又は培地のみにスパイクした。対照として、アイソタイプ抗体も使用した。予想された通り、mAb10914は、培地、及びプールされていた陰性血清の両方において、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの用量依存性の中和を引き起こした(図7B及びC)。対照的に、アイソタイプ対照抗体は、ウイルス誘導型ルシフェラーゼ活性を有意には変化させず、これは、mAb10914による中和がスパイク結合に特異的であることを示している。検証研究において人工対照のために使用するべき適切な濃度を確立するために、合計9個のmAb10914の3倍連続希釈物(10μg/mL~0.0015μg/mL)を、3人の別個の分析者によって実施された3つの別個の試験で、二重に試験した。生RLU(relative light unit:相対光単位)のプレートごとのばらつきのため、結果を、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清を含有する対照ウェルにおけるルシフェラーゼシグナルに対する%ルシフェラーゼシグナルとして、正規化した。各濃度での平均%ルシフェラーゼシグナルをプロットし、非線形回帰曲線を生成した(図7D)。アッセイの直線範囲は、シグナルのおよそ10%から80%まで、又はmAb10914の0.01μg/mLから0.6μg/mLまでであった。2μg/mLのmAb10914を、シグナルを20%未満に一貫して減少させる、人工陽性対照:高(CPC High)として選択した。応答曲線の95%信頼度に基づいて、50%未満のシグナルを誘発するはずのmAb10914の濃度は0.18μg/mLと計算され、従ってこれはアッセイの検出のおおよその限界を表す。
【0255】
アッセイの特異性及び感度の検査
CPC High値を用いて、アッセイの特異性及び感度を画定した。特異性の測定のために、SARS-CoV-2セロネガティブであると推定される30個の試料を、単独で、又は2μg/mL(CPC High)のmAb10914でスパイクして、試験した。この評価を実施することにより、最適化された1:100の血清希釈率において、偽陽性が観察されないこと、及び全ての人工陽性対照がウイルスの中和を示すことを検証した。異なる分析者が実施した2つの別個の分析において、偽陽性又は偽陰性は観察されなかった(表1)。1つの陰性試料は、1つの複製が50%未満のシグナルを有していたため、第1のアッセイにおいて不確定として認定された。しかしながら第2のアッセイでは、この試料は陰性として正確に識別された。従ってこの検証では、IMMUNO-COV v.1アッセイの感度及び特異性は100%であった。検出限界付近でのアッセイの特異性を測定するために、SARS-CoV-2セロネガティブであると推定される30個の試料(1:100の血清希釈率)を単独で試験し、上記試料のうちの19個を、0.35μg/mLのmAb10914でスパイクした後にも測定した。上記試験のうち11個は、検出限界付近ではない2μg/mLのmAb10914でスパイクした。この実験により、検出限界付近において68%の感度が実証された(表2)。
【0256】
アッセイの感度を評価するために、上記と同じ、SARS-CoV-2セロネガティブであると推定される30個の試料を用いて、同様の単盲検分析を実施した。二重に準備した試料を、1:100でアッセイに供し、ここで一方の複製試料を、2μg/mL(CPC High)又は0.35μg/mL(阻害のボーダーライン)のmAb10914でスパイクし、その後、盲検化されたIDを割り当てた。30個の陰性試料のうち、26個は陰性として識別され、4個は不確定として識別された(表2)。11個のCPC High試料のうち10個が検出され、識別されなかった1つの陽性のものについては、試料の調製エラーが疑われた。19個のボーダーラインの試料からは、13個が陽性、4個が陰性、2個が不確定として識別され、これは低レベルの中和抗体のみを含有する試料と一致し、0.35μg/mLは、以前に推定されたアッセイの検出限界に近いものであった。
【0257】
アッセイの特異性を更に評価するために、2019年12月以前の4つの一般的なコロナウイルス(HCoV-NL63、HCoV-229E、HCoV-OC43、及びHKU1)による感染が記録されてそこから回復した患者からの試料を、試験した。これらの一般的なコロナウイルスによる交差反応性は観察されなかった。これは、SARS-CoV-2に対するIMMUNO-COV v.1アッセイの強い特異性を実証している。
【0258】
臨床的一致の実証
本発明のアッセイが人工対照で良好に機能したことを考慮して、本発明者らは盲検研究を進め、結果が臨床症状と良好に相関するかどうかを決定した。血清試料を、陰性ドナー(無症状、PCRでSARS-CoV-2について陰性、又はELISAでSARS-CoV-2セロネガティブ)、陽性ドナー(PCRでSARS-CoV-2について陽性、又はELISAでSARS-CoV-2セロポジティブ)、及び接触陽性ドナー(試験されていないものの、PCRでSARS-CoV-2について陽性である者と直接接触している)から取得した。合計230個の試料が得られ、これらは、アッセイ分析者に対しては試験完了後まで盲検化された。得られた125個の陰性試料のうち、125個全てがアッセイにおいて陰性と分析され(表3)、これは、アッセイの優れた特異性の更なるエビデンスを提供した。既知のSARS-CoV-2セロポジティブ試料のうち、ここでも38個全てが、アッセイにおいて陽性と分析された。PCRでSARS-CoV-2に関して過去に陽性と分析されたドナーから得られた34個の試料からは、31個の試料で中和抗体が識別された。より詳細な検査では、1つの試料が、陽性PCR試験のわずか8日後(これは強力な抗体応答が発生するには十分な時間ではない)に採取されたため、陰性と予測された。SARS-CoV-2陽性者と接触したドナーからは、33個の試料のうち13個(39.4%)が、中和抗体について陽性として識別された。以上を合わせると、本データは、アッセイが優れた臨床的一致を有することを示している。
【0259】
VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和とSARS-CoV-2の中和との間の相関
このアッセイに関して観察された優れた臨床的一致は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和がSARS-CoV-2の中和を正確に反映しているという本発明者らの前提を支持するものであった。この相関を直接実証するために、上述の血清試料のうち20個を、BSL-3プラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization test:PRNT)において、SARS-CoV-2の臨床単離株についても試験した(PRNTは例えば、Wang et al., Nat Commun 11, 2251 (2020) doi.org/10.1038/s41467-020-16256-y;Okba et al., Emerg Infect Dis. 2020 Jul. doi.org/10.3201/eid2607.200841;Ranawaka et al., Euro Surveill. 2020;25(16):pii=2000421. doi.org/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.16.2000421で説明されている)。本発明のアッセイで陰性と判定された5個の試料はそれぞれ、PRNTアッセイの検出の限界未満でもあった(表4)。同様に、本発明のアッセイで陽性と判定された15個の試料は、PRNTアッセイでも陽性であった。更に、本発明のアッセイで決定された定量的なウイルス中和単位(VNU)は、PRNT50%及びPRNTEC50の値と密接に相関していた(表4~5、及び図8A)。VNUを計算するために、各アッセイプレートに対する、1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清中のmAb10914の5点希釈系列からなる検量線を含めた。%ルシフェラーゼシグナルに基づいて、各試料に関して同等のmAb10914濃度を決定し、これを100倍して、当該試料のVNUを得た。VNUとPRNTEC50値との間には強い相関(ピアソンρ=0.8902、p<0.0001)が観察された。VNUとウイルス中和力価(virus neutralization titer:VNT)EC50値との間の関係も検査した。44個のSARS-CoV-2陽性試料の、5つの2倍連続希釈物を調製して、アッセイで試験した。各希釈物に関する%ルシフェラーゼシグナルをプロットし、得られた曲線を用いてVNTEC50値を決定した。VNUとVNTEC50との統計的比較により、これら2つの値の間に優れた相関(スピアマンρ=0.8327、p<0.0001)が示され(図8B)、これはVNU値の正確性の更なる実証を提供した。VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの中和は、SARS-CoV-2の中和を厳密に複製し、またVNUは、抗SARS-CoV-2抗体応答の強度を定量化するための正確な方法を提供する、と結論づけられた。図8Cは、PCR陽性試料からの代表的なVNUを示し、これは、回復期の試料が様々なVNUを呈することを示す。
【0260】
VNU値と重症度との間の相関を、臨床症状が自己報告された31個の陽性試料について調査した(図8D)。3人の患者が、無症候性であると報告し:2人は最低のVNU象限にあり、1人は2番目に低いVNU象限にあった。悪寒しか経験しなかった1人の患者は、1000VNUを超える中和抗体を生成した。従って、重篤な疾患を有する個体が強力な中和抗体応答を発する可能性が高いものの、強力な中和抗体応答には重篤な疾患が必要とされるわけではない。
【0261】
アッセイのための96ウェルプレートのレイアウトの例
アッセイのための96ウェルプレートのレイアウトの非限定的な例を図9に示す。各試料及び対照を、Uウェルプレート又はチューブ内で1つずつ調製して、黒色透明底96ウェルプレート内の、二重に作成したVero-DSP1/DSP2混合細胞のウェルに移す。試料S1~S41が示されている。各試料を、OptiMEM中において1:100でアッセイに供する。試料及び対照のプレートの位置は変更できる。重要なのは、全ての対照を各プレート上に確実に含めることである。対照は、BC、NC、及び標準(Standard:St)1~5を含む。
・BCは、1:100の希釈率のプールされていた陰性(マトリックス)血清であり、ウイルスを含まない
・NCは、1:100の希釈率のプールされていた陰性(マトリックス)血清+VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTである
・各標準は、以下の3つの成分を含有する:
1:100の希釈率のプールされていた陰性(マトリックス)血清
VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT
指定された濃度の陽性対照(例えばmAb10914)抗体
各標準のmAb10914の最終濃度は現在:St1=3μg/mL、St2=1μg/mL、St3=0.3333μg/mL、St4=0.1111μg/mL、St5=0.0370μg/mLである(代替的な標準曲線は6個の標準を含むことができ、その範囲は:St1=2μg/mL、St2=1μg/mL、St3=0.5μg/mL、St4=0.25μg/mL、St5=0.125μg/mL、St6=0.0625μg/mLとなる)
【0262】
結果を決定するために、以下のステップを実施する:
1.ルシフェラーゼ活性を測定し(1ウェルあたりの積分時間2000ms、ウェル間の整定時間200ms)、出力の単位は相対光単位(RLU)である。
2.BCウェルからの平均RLUを決定し、互いに差し引きして、バックグラウンド補正済みRLU値を得る。
3.NCウェルからの平均補正済みRLUを決定する。
4.明らかな外れ値について対照を検査し、外れ値を平均値から除去する。
5.各試料及び標準について%ルシフェラーゼシグナルを決定する(複製ウェルそれぞれについて個別に計算)。%ルシフェラーゼシグナルは:
【数1】
である。
6.定性的な結果を決定するために、各試料複製の%シグナルを検査し、以下のように結果を出す:
・陰性:両方の試料複製の%ルシフェラーゼシグナルが50%以上である
・陽性:両方の試料複製の%ルシフェラーゼシグナルが50%未満である
・不確定:一方の試料複製の%ルシフェラーゼシグナルが50%以上であり、他方が50%未満である。
7.陽性試料に関する定量的なウイルス中和単位(VNU)を計算するために、ルシフェラーゼシグナルの読み取りに続いて、Magellanソフトウェア内で以下のステップが自動的に実施される:
a.標準を、その値を100倍することによって任意のVNUに変換する(例えば3μg/mLのmAb10914は300VNUとなり、0.33μg/mLは33VNUとなる)。
b.VNUを、バックグラウンド補正済みRLU値に対してプロットし、標準からの4パラメータの当てはめ曲線を生成する。
c.上記標準曲線を用いて、各試料複製、及び二重の試料の平均に関するVNU値を決定する。
d.300を超えるVNUは、定量化の限界を超えている。これらは300超のVNUとして報告でき、又は試料をより高い希釈率で再びアッセイに供することにより、試料を標準曲線の直線範囲内に収めることができる。アッセイの後、VNUに、上昇させた希釈率を乗算する(例えば、1:1000の希釈率でアッセイに供された試料が180VNUとして読み取られると、1:1000の希釈率が1:100の希釈率よりも10倍希釈されているため、10倍することによって1800VNUとなる)。非公式の並列処理試験を実施し、アッセイでの使用のために希釈を1:3200まで実施した(希釈係数32)。
【0263】
議論
抗SARS-CoV-2抗体の検出のための血清学的試験に対する高い需要は、過去の感染率を理解し、ワクチン及び血漿療法の有効性を評価する必要性によって刺激されている。多数のELISA及び迅速な診断試験が、抗SARS-CoV-2抗体の検出のために開発され、いくつかは様々な国で診断試験のために承認されている。しかしながら、SARS-CoV-2を中和できる抗体の検出のための、容易に拡張可能な血清学的アッセイは、はっきりしないままである。本明細書で説明されるのは、SARS-CoV-2中和抗体の検出のためのIMMUNO-COV v.1アッセイであり、これは高スループットであり、比較的低いバイオセーフティー(BSL2)条件下で実施され、スケーラブルであり、また定量的である。このアッセイは、SARS-CoV-2血漿療法試験のための、ドナーからの試料のスクリーニング、候補ワクチンに対する免疫応答の評価、及び抗体応答がSARS-CoV-2免疫にどのように関係するかの更なる理解に役立つ。
【0264】
本発明のアッセイは、組換えVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT(又はVSV-SARS-CoV-2-S等の、他の類似の構築物)の融合表現型を利用して、定量的なルシフェラーゼシグナルを96ウェルプレートフォーマットで生成する(図2、3、9、及び10)。そして、試験される血清試料によるウイルスの中和を、ルシフェラーゼ活性の低下として検出する。重要なことには、本発明のアッセイからの結果は、SARS-CoV-2の臨床単離株を用いて決定されるウイルス中和力価と密接に相関している(ρ=0.8987)(図8)。興味深いことに、陽性対照抗体mAb10914をSARS-CoV-2プラーク減少中和試験で試験すると、そのPRNT50%力価は40960であった。これは0.026μg/mLの濃度に対応する。本発明のアッセイでは、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの50%超を阻害できるmAb10914の最低濃度は、およそ0.18μg/mLであることが決定された(図8)。このデータは、発明のアッセイが異なるウイルス(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)を使用していても、上記アッセイが抗SARS-CoV-2中和抗体を正確に測定し、またSARS-CoV-2を阻害できない陽性を検出する可能性は低いことを示している。本発明のアッセイはまた、EUROIMMUNアッセイとの完璧な相関関係も実証した。
【0265】
試験中、PCR試験でSARS-CoV-2について陽性だったドナーから採取された3つの試料は、本発明のアッセイを用いると陰性であった(表4)。これらの試料のうちの1つは、強力な免疫応答が期待されるよりも早い、陽性PCR試験のわずか8日後に得られたものであるため、真陰性であると思われ、また上記試料はSARS-CoV-2 PRNT50アッセイでも陰性と判定された。他の2つの試料が偽陰性であるか真陰性であるかは、まだ決定されていない。恐らくこれらの試料は実際には有意なレベルの中和抗体を欠いており、これは、陽性のPCR試験結果だけでは防御抗体応答が保証されないという仮説を裏付けている。あるいは、上記試料は、本発明のアッセイでは見逃された、低いレベルの中和抗体しか有していない可能性がある。プールされていた陰性血清に低いレベルでスパイクされた人工対照を用いて実施された研究は、検出アッセイの感度の限界付近が68%であることを示唆した(表2)。しかしながら、人工対照をより高い濃度(2μg/mL)でスパイクすると、感度は90.9%であった。試験された臨床試料の半分超が、少なくとも2μg/mLの中和抗体に相当するウイルス中和単位(VNU)を呈した。従って、盲検試験に基づいて感度を計算した場合に、はるかに高い程度の感度(97.2%)が観察されることは、驚くべきことではない。50%未満のシグナルはカットオフされる。ばらつきは許容範囲内であった。
【0266】
スパイクのRBDが中和抗体の主要な標的である可能性が高いものの、RBD-ACE2結合の破壊のみを測定するアッセイが、SARS-CoV-2中和抗体の合計を正確に定量化するかどうかを決定するために、更なる研究が必要である。特に、コロナウイルスのRBDドメインは、立ち上がった(standing-up)位置と横になった(lying-down)位置とを常に切り替えており(Yuan 2017 and Gui 2017)、これは、一部の中和抗体の標的化が状況に依存している可能性があることを示唆している。スパイクのタンパク質分解活性化も、膜融合及び細胞へのウイルスの侵入に必要であるため、S1/S2切断境界も中和抗体の標的となり得る。近年開発されたいくつかのアッセイは、SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質で偽型化されたウイルスベクターを使用する。しかしながら、偽型ウイルスのスケーラビリティは、(本発明のアッセイで使用されるような)生きた複製ウイルスよりも困難であり、本発明のアッセイは幅広い診断試験に利点を提供する。
【0267】
本発明のアッセイの別の利点は、SARS-CoV-2中和抗体のレベルが、試験用試料の希釈系列全体を必要とすることなく定量化される点である。上記アッセイについて、最小推奨希釈率は1:100であることが決定された。この希釈率では、試料の約16.9%が検量線の直線範囲を超えた。高いレベルのSARS-CoV-2中和抗体を含有する試料については、第2の希釈率(例えば1:1000)によって、抗体レベルのより正確な定量化を促進できる。
【0268】
更なる試験により、Vero-DSP1及びVero-DSP2細胞株を、アッセイのパフォーマンスに影響を及ぼすことなく、少なくとも3週間継代できること、並びにこのアッセイを用いて検出されるSARS-CoV-2中和抗体は、最長1周間の冷蔵や複数回の冷凍-解凍サイクルを含む多数の他の条件下で安定していることが示された。NL1、及びSARS-CoV-2セロネガティブであると推定される血漿の小さなプールを用いた実験(図5B及び6B)は、上記アッセイが血清試料とも適合性を有することを示唆している。
【0269】
MERS及びSARS-CoVを用いた研究により、インビトロでの感染の抗体依存的な強化が実証されている(Yip、Wang、Wan、及びJaume)。NHPの研究では、SARS-CoVに対する抗体レベルの上昇に伴う疾患の増強の可能性が示唆されている(Liu et al. 2019)。いくつかのエビデンスにより、SARSの臨床例における抗体依存的な強化が裏付けられている(Ho 2005, Peiris 2003)。COVID-19の重症例を治療するための、COVID-19回復期血漿を用いたまだ初期の研究は、大きな期待を示している。研究者は、回復期血漿療法を更に改良し、モノクローナル抗体療法を開発し、強力な抗SARS-CoV-2免疫応答を生成する効果的なワクチンを設計することに取り組んでいるため、SARS-CoV-2と免疫系との間の相互作用に関して解明すべきことは明らかに多い。抗SARS-CoV-2抗体レベル全体が中和抗体レベルとどのように関係しているかが、このパズルの重要なピースであり、これは、その答えを提供するために本発明のアッセイが役立つことができるピースである。
【0270】
材料及び方法
細胞。アフリカミドリザルVero細胞、Vero-αHis、及びベビーハムスター腎臓BHK-21細胞を、37℃/5%COで、5%ウシ胎児血清及び1×ペニシリン/ストレプトマイシンが補充された高グルコースDMEM(完全培地)中に維持した。
【0271】
Vero-DSP1(Vero-DSP-1-Puro;CLR-73)及びVero-DSP2(Vero-DSP-2-Puro;CLR-74)細胞は、Vero細胞(アフリカミドリザル由来の腎臓上皮細胞)に、脾臓病巣形成ウイルス(SFFV)プロモーターの制御下で、Rluc8 155-156DSP1-7及びRluc8 155-156DSP8-11をそれぞれ発現する自己不活化レンチウイルスベクターSFFV-DSP1-7-P2A-Puro又はSFFV-DSP8-11-P2A-Puroを形質導入し、P2A切断ペプチドを介してピュロマイシン耐性遺伝子に連結することによって生成された。形質導入された細胞を、10μg/mLのピュロマイシンを用いて選択した。選択後、Vero-DSP細胞を、5μg/mLのピュロマイシンが補充された完全培地中に保持した。ピュロマイシンは、細胞をアッセイのために播種する際に除去された。
【0272】
Vero-DSP1細胞はRluc8 155-156 DSP 1-7ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号14)を発現し、これは、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼの断片のアミノ酸1~155と、改変GFPの断片のアミノ酸1~156とを含む。Vero-DSP2細胞は、Rluc8 155-156 DSP 8-11ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号16)を発現し、これは、RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼの断片のアミノ酸157~311と、改変GFPの断片のアミノ酸157~231とを含む。RLuc8変異型ウミシイタケルシフェラーゼは、変異A55T、C124A、S130A、K136R、A143M、M185V、M253L、及びS287Lを含む(配列番号19を参照)。改変GFPの配列は配列番号18で提供されている。
【0273】
VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTの生成。上の実施例1に記載されているように、全長SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質配列(NCBI参照配列:NC_045512.2;タンパク質_ID:YP_009724390.1)(バリアント1;VSV SARS-CoV-2 dG=VSV-SARS-CoV-2-S;配列番号1のアミノ酸配列;配列番号2の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)、(2)C末端の19個のアミノ酸KFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号20)が欠失したSARS-CoV-2 S糖タンパク質配列(バリアント2;VSV SARS-CoV-2 Δ19CT dG=VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT;配列番号3のアミノ酸配列;配列番号4の、コドン最適化されたコーディングヌクレオチド配列)。全長ヒトコドン最適化SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質(NC_045512.2)を、pUC57にクローニングした。このプラスミドをPCRテンプレートとして用いて、C末端の19個のアミノ酸をコードするヌクレオチドの欠失(S-Δ19CT)、並びに5’MluI及び3’NheI制限部位を含む、SARS-CoV-2-SをコードするcDNAを生成した。ウイルスゲノムを生成するために、S-Δ19CTを含有する増幅された上記PCR産物を、MluI及びNheI制限部位を用いて、VSV-Gの代わりにpVSV-M51Rにクローニングした(図1及び3A)。プラスミドを上述のように配列検証し、BHK-21細胞での感染性ウイルスのレスキューに使用した。VSV-Gは、レスキューを促進するためにBHK-21細胞に同時にトランスフェクトされたが、ウイルスの後続の継代には存在しなかった。10cmプレートの80%コンフルエントな単層に1mLのウイルスを接種することによって、ウイルスをVero-αHis細胞内で増殖させた。接種の48時間後にウイルスを採取し、アリコート化し、使用するまで-80℃で保管した。アリコートは、Vero-αHis細胞での組織培養細胞感染率50(tissur culture infectious dose 50:TCID50)アッセイのために使用された。
【0274】
感染。6ウェルプレートのVero単層に、OptiMEM中の継代3 VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT、又はOptiMEMのみ(モック)を、2mL接種した。37℃/5%COで4時間後、接種材料を除去し、細胞をOptiMEMで1回すすいだ。新鮮なOptiMEMのみ、又は4μg/mLのトリプシンを含有するOptiMEMをウェルに加えた。感染後20時間まで、細胞を37℃/5%COのインキュベーターに戻し、この時に、倒立顕微鏡を用いて100倍の倍率で写真を撮影した。
【0275】
試薬。EnduRen(商標)生細胞基質を、製造元の指示に従って調製した(Promega #E6482)。阻害研究のために、マウス抗SARS-CoV-2スパイク抗体(GeneTex #GTX632604)、アフィニティ精製済みポリクローナル抗ヒトACE2抗体(R&D Systems #AF933)、及び組換えヒトACE2(R&D Systems #933-ZN-010)を、OptiMEM中で所望の濃度まで希釈した。
【0276】
ルシフェラーゼアッセイ。アッセイを、黒色透明底96ウェルプレートで実施した。EnduRen(商標)基質を、Tecan Infinity又はTecan M Plex機器(積分時間2000ms、整定時間200ms)でバイオルミネッセンスを読み取る少なくとも2時間前の、感染後の様々な時点で、ウェルに加えた(最終濃度7.5μM)。動態実験のために、バイオルミネッセンスを繰り返し読み取ったが、最初のEnduRen(商標)の添加から24時間後まではそれ以上のEnduRen(商標)を加えず、更に後の時点において、バイオルミネッセンスを読み取る少なくとも2時間前に更なるEnduRen(商標)をウェルに加えた。
【0277】
血漿及び血清試料の回収。アッセイの検証のために血液試料を回収するための臨床プロトコルは、Western IRBによって審査及び認可された(研究ID:VYR-COV-001)。血清及び血漿試料を、PCR試験でSARS-CoV-2感染について陽性であると過去に判定された患者、SARS-CoV-2に感染した個体への曝露及びCOVID-19の症状が分かっていた患者、並びに抗体に対して陰性であると推定される患者、即ちCOVID-19疾患の症状が全くなく、曝露もされていない可能性が高い個体のコホートから、回収した。合計150人の成人が、ニュージャージー州ニューアークを拠点とするBioTrial、及びミネソタ州ロチェスターのOlmsted Medical Centerに登録された。EUROIMMUNアッセイを用いて試験された試料からの、80個の追加の血清アリコート。
【0278】
盲検試料試験。アッセイ試験のために分析者に渡される前に、血清試料にランダムIDを割り当てた。試料を複数のバッチでアッセイに供し、ここで各バッチで予想される陽性試料及び陰性試料の個数は不明であった。各試料を1:100の希釈率でアッセイに供し、全ての陽性試料及び一部の陰性試料を、1:100、1:200、1:400、1:800、及び1:1600を含む希釈系列で更にアッセイに供した。
【0279】
PRNTアッセイ。血清を56℃で30分にわたって熱不活化し、Xで連続希釈した。SARS-CoV-2を800PFU/mLまで希釈し、同体積の希釈された血清と混合した(ウイルスを含む血清の最終希釈率1:20、1:40、1:80、1:160、1:320、1:640、1:1280、1:2560、1:5120、1:10240、1:20480、1:40960)。同体積の培地のみと混合されたウイルスを、対照として使用した。37℃で1時間のインキュベーションの後、250μLのウイルス/血清混合物又はウイルス/培地混合物を用いて、6ウェルプレートのVero-E6単層に接種した。接種を37℃で1時間、時折揺り動かしながら進行させた後、単層に、2%ウシ胎児血清及び1×ペニシリン/ストレプトマイシンを補充された最小必須培地(Minimal Essential Media)中の、3mLの0.4%低融点アガロースを重ねた。プラークが出現するまでプレートを37℃でインキュベートし、その後、10%のホルムアルデヒドで固定し、0.25%のクリスタルバイオレットで染色した。プラークを計数し、各希釈率でのプラークの個数をプロットし、これを用いて、非線形回帰モデルによって、各試料についてのPRNTEC50値を決定した。30個を超えるプラークの個数は多すぎて数えられず、ウイルス/培地対照と同等とみなされた。PRNT50%力価を、ウイルス/培地対照のウェルと比較してプラークを50%阻害した血清の最高希釈率(逆数として表される)として、決定した。
【0280】
フローサイトメトリー。Vero-DSP1細胞を、Verseneを用いて除去し、計数し、微量遠心分離チューブに移した(5×10細胞/チューブをACE2染色に使用し、1.5×10細胞/チューブをTMPRSS2染色に使用した)。ACE2染色のために、細胞をペレット化して、0.2μgヤギ抗ヒトACE2(R&D Systems #AF933)を含有する100μLのFACS緩衝液(DPBS中の2%のFBS)中に再懸濁した。氷上で30分置いた後、細胞を1mLのFACS緩衝液ですすぎ、5μLのロバ抗ヤギIgG-PE2次抗体を含有する100μLのFACS緩衝液中に再懸濁した。氷上で30分置いた後、細胞を1mLのFACS緩衝液ですすぎ、氷上で15分間にわたって1%のパラホルムアルデヒドで固定した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、500μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、CYTOFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter)で分析した。TMPRSS2染色のために、細胞をDPBS中の1mLの氷冷70%エタノール中に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートした。細胞を遠心分離し、1mLのFACS緩衝液で1回洗浄し、4μgのウサギ抗TMPRSS2(Invitrogen #PA5-14264)を含有する100μLの0.5%サポニン溶液中に再懸濁した。氷上で30分置いた後、試料を1mLのFACS緩衝液で2回洗浄し、2μLのヤギ抗ウサギIgG-AF6472次抗体を含有する100μLの0.5%サポニン溶液中に再懸濁した。氷上で30分置いた後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、氷上で15分間にわたって1%のパラホルムアルデヒドで固定した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、500μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、CYTOFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter)で分析した。ACE2染色及びTMPRSS2染色の両方について、2次抗体のみの対照をアイソタイプに使用した。
【0281】
免疫ブロット。VSV-GFP若しくはVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTに感染した、又は偽感染のVero細胞の、全細胞及び培養上清を、感染の48時間後に回収した。凍結-解凍によってウイルスを細胞から放出させ、細胞デブリを遠心分離で除去した。試料を、製造元の指示に従ってLDS試料緩衝液(Invitrogen #B0007)及び還元剤(Invitrogen #B0009)で2つずつ希釈し、70℃で10分間インキュベートし、40μLの各試料を、プレシジョンPlusプロテインデュアルカラースタンダード(Bio-Rad #161-0374)を加えた4~12%のBis-Tris15ウェルゲル(Invitrogen #NW04125Box)で、二重に処理した。Power Blotter XLを用いて、タンパク質をニトロセルロース膜に転写した。膜を、TBST中の5%の脱脂粉乳中でブロックし、TBSTで3回洗浄し、1次抗体であるマウス抗SARS-CoV-2スパイク(1:1000、GeneTex #GTX632604)、又はウサギポリクローナル抗VSV(1:5000、Imanis Life Sciences #REA005)と共に、室温で1時間インキュベートした。膜をTBSTで3回洗浄し、1:20,000の2次抗体であるヤギ抗マウスIgG-HRP(Prometheus #20-304)又はヤギ抗ウサギIgG-HRP(Prometheus #20-303)と共に、室温で1時間インキュベートした。膜をTBSTで3回洗浄し、ProSignal(登録商標)Dura ECL Reagent(Prometheus #20-301)を用いて、タンパク質バンドを室温で2分間展開させた。タンパク質バンドを、BioRad ChemiDoc Imaging Systemを用いて画像化した。
【0282】
%応答及びウイルス中和単位の決定。各ウェルの生の相対光単位(RLU)値を、1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清を含むもののウイルスは含まないバックグラウンドウェルからの平均RLU値を用いて、ブランク補正した。%応答を各試料ウェルについて、補正済みRLU値を、ウイルスと1:100のプールされていたSARS-CoV-2セロネガティブの血清とを含む陰性対照ウェルからの平均補正済みRLU値で除算し、これに100%を乗算したものとして決定した。両方の試料複製で%応答が50%未満である試料を、陽性として分類した。両方の試料複製で%応答が50%以上である試料を、陰性として分類した。一方の複製が陽性応答を呈し、他方が陰性応答を呈した場合、試料を不確定として分類し、アッセイを繰り返した。陽性試料について、ウイルス中和抗体価(Virus neutralizing titers)(VNU)を検量線に基づいて決定した。検量線は各プレートに対して作成され、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清に3、1、0.33、0.11、及び0.037μg/mLでスパイクされたmAb10914で構成されていた。検量線から、所与の%応答に対する中和抗体の当量濃度を決定した。VNUに変換するために、抗体の当量濃度を100倍した。
【0283】
統計的分析。記述統計、比較、及び回帰分析を、Graph Pad Prism、v8.4.0(カリフォルニア州サンディエゴ)で実施した。分散の正規性に関する検定が実施され、可能な場合は常にパラメトリック比較を使用した。非正規データセットについては、非パラメトリックアプローチを使用した。アッセイ内のウイルス中和単位の検量線には、4パラメータの非線形回帰を使用した。相関分析のために、スピアマンの順位相関分析を実施した。
【0284】
【表1】
【0285】
【表2】
【0286】
【表3】
【0287】
【表4】
【0288】
【表5】
【0289】
コアの検証
コアの特異性を以下のように試験する。SARS-CoV-2セロネガティブと推定される個体からの少なくとも30個の血清試料を、アッセイでこれらのMRDで二重に分析する。更に、分析された各血清試料について、対応するCPCH試料を、最適化された試料希釈率に関する上述のセクションで決定された濃度で各試料にスパイクすることによって調製し、二重に分析する。この評価は、2人の別個の分析者による少なくとも2回のアッセイで完了する必要がある。各複製希釈率の平均応答及び%CVを報告する。
【0290】
偽陽性率を、50%未満の応答を生成する対照マトリックス試料のパーセンテージによって決定する。偽陽性率の許容基準は5%未満である。
【0291】
偽陰性率を、50%を超える応答を生成するCPCH試料のパーセンテージによって決定する。偽陰性率は、最終的なアッセイの検証の概要で報告されるが、許容基準はない。
【0292】
臨床的一致を以下のように決定する。分子診断試験若しくは別の血清学的方法によってSARS-CoV-2について陽性であると過去に判定された、又は症状の発症を理由として医療専門家に推定陽性と宣言された、回復期患者からの、少なくとも3個の血清試料を、アッセイで試験する。推定陽性患者からの情報は自己報告である。この評価は、1人の分析者が実施する少なくとも1つのアッセイで、希釈された試料を二重にプレーティングすることによって、完了される。可能であれば、入手可能な試料の体積を理由として、この分析は少なくとも2人の分析者による3回のアッセイで完了される。試料の提出は、推定陽性試料と推定陰性試料とを混合して、1人以上の分析者に対して単盲検で実施される。推定陽性試料は、精度評価を可能にするための別の血清学的方法で分析される。
【0293】
各複製希釈率について平均応答及び%CVを報告する。臨床的一致は、試験された全ての推定陽性試料について、MRDで50%未満の応答が観察された場合に報告される。最初のスクリーンに続いて、試料をMRDで始まる希釈系列で分析し、希釈力価の結果を決定できる。希釈力価の結果の取得は任意であり、アッセイの検証に必須ではない。代替の血清学的方法によって得られた結果と比較して、試料の陽性対陰性の決定には90%の一致がなければならない。
【0294】
アッセイ内での精度を以下のように決定する。操作者内及び-アッセイ内での精度を、CPCH、CPCL、及び品質管理(quality control:QC)試料として使用される未処理の血清マトリックスプールを調製することによって、試験する。各QC試料の20個の複製を単一のアッセイ内で1人の操作者によって試験する。1回のアッセイは、試料の容量を理由として、複数の試料プレートからなる場合がある。各QC試料の20個の複製全てを同一のアッセイプレートで分析してよいが、これは必須ではない。
【0295】
平均応答、SD、及び%CVを報告する。各QC試料について、許容は%CVに基づくものであり、許容レベルは20%である。各CPCH試料については、30%CV、又は平均応答±3SDの参照範囲内という許容基準が、許容される。この尺度は、高い%CVが低い応答出力で予想されるため、選択される。最高10%のエラー率が許容される。
【0296】
アッセイ間での精度及び分析者間での精度を、以下のように決定する。CPCH、CPCL、及び未処理の血清マトリックスプールを調製し、複数日にまたがる、少なくとも2人の分析者による少なくとも3回のアッセイについて、二重に分析する。
【0297】
平均応答、SD、及び%CVを報告する。各QC試料について、許容は%CVに基づくものであり、許容レベルは20%である。各CPCH試料については、30%CV、又は平均応答±3SDの参照範囲内という許容基準が、許容される。この尺度は、高い%CVが低い応答出力で予想されるため、選択された。最高10%のエラー率が許容される。
【0298】
実験室間での精度を、以下のように決定する。CPCH、CPCL、及び未処理の血清マトリックスプールを、試験施設で調製する。試料レベルは単盲検化されて、別の試験場所でのアッセイを完了するために、試薬と共に送られる。少なくとも1つのアッセイを、試料を二重に分析して完了する必要がある。上記別の試験場所、及びこの別の試験場所の責任者は、最終的なアッセイ検証レポートで特定される。
【0299】
平均応答、SD、及び%CVを報告する。各QC試料について、許容は%CVに基づくものであり、許容レベルは520%である。各CPCH試料については、530%CV、又は平均応答±3SDの参照範囲内という許容基準が、許容される。この尺度は、高い%CVが低い応答出力で予想されるため、選択された。最高10%のエラー率が許容される。
【0300】
第1の細胞株の安定性のロバスト性を、以下のように決定する。Vero-DSP1及びVero-DSP2細胞株でのACE-2発現の分析を、フローサイトメトリーによって決定する。予想される細胞の使用に基づいて、各細胞株を複数の間隔で試験して、予想される細胞の使用全体にわたって一貫した受容体発現を決定する。細胞をまず、最初の継代の冷凍ストックを解凍してプレーティングした後48時間以内に試験する。反復分析を、最低6回の継代まで、又は解凍から最短で3週間までの、複数の継代で実施する。試験された特定の間隔、及び許容可能な安定性について決定された間隔を、最終的なアッセイ検証レポートで報告する。抗ACE-2染色済み試料及び適切なフローサイトメトリー陰性対照試料からなる単一の分析を、試験された各間隔において得る。
【0301】
蛍光強度中央値(median fluorescence intensity:MFI)、及び半ピーク%CVを、ACE-2染色済み細胞、及びネガティブ染色対照の両方について報告する。染色指数を各間隔に計算し、最終的なアッセイ検証レポートで報告する。フローサイトメトリーの評価の許容基準は以下の通りである。
【0302】
蛍光強度中央値(MFI)、及びハーフピーク%CVを、ACE-2染色済み細胞、及びネガティブ染色対照の両方について報告する。許容範囲は、細胞の解凍から48時間以内の最初の細胞継代において収集されたデータから計算される。許容可能なMFI範囲は、以下のように計算される:
【数2】
【0303】
ここで%CVhpは、フローサイトメーター機器からの半ピーク%CVとして定義される。他の間隔で実施された全ての分析が、ACE-2染色済み細胞、及びネガティブ染色対照の両方について、この計算から確立されるMFI範囲内に収まる必要がある。
【0304】
第2の細胞株の安定性のロバスト性を、以下のように決定する。Vero-DSP1及びVero-DSP2細胞株での機能性DSPの分析を、CPCH、CPCL、及びCMの存在下で生成される発光のレベルによって決定する。クライオバイアルのアリコートから解凍され、2日間増殖させた後、アッセイでの使用のために継代した細胞に対して、アッセイを実行する。細胞の解凍からアッセイプレートの読み取りまでの時間は、合計4日である。上記アッセイは、二重に調製及び分析されるCPCH、CPCL、及び未処理のマトリックスプールを含む必要がある。細胞の連続的な分割ごとにアッセイプレートを調製し、二重に調製及び分析されるCPCH、CPCL、及び未処理のマトリックスプールを含むアッセイを完了する。継代及びアッセイの具体的な数は不明であるが、細胞は、細胞が最初に解凍されたときから少なくとも3週間保持され、各分割において、アッセイを実行するためにアッセイプレートをプレーティングし、翌日にセットアップし、プレーティングの2日後に読み取る。
【0305】
平均応答、SD、及び%CVを報告する。各レベルでのパフォーマンスを、細胞に対する最初のアッセイから得られた平均応答と比較する(細胞の解凍の4日後に読み取る)。細胞に対する最初のアッセイからの%相対誤差(Percent Relative Error:%RE)を計算する。許容基準は、CPCL試料から得られた±30%REとして定義される。CPCL試料は、CPCL応答がアッセイの直線範囲内にあると疑われる場合の安定性を評価するために選択された。
【0306】
ウイルスストックの安定性のロバスト性を、以下のように決定する。ウイルスストックのチューブをアッセイで使用するために解凍した後、湿った氷上又は冷蔵条件(2~8℃)で、最長で24時間にわたって保管する。少なくとも3回のアッセイを、この単一のチューブから複数の間隔で準備する。各アッセイは、二重にプレーティングされたCPCH、CPCL、及び未処理のマトリックスプールを含む。試験される特定の、時間が設定された間隔としては、解凍の1時間以内に調製されるアッセイプレート(「新鮮なウイルス(fresh virus)」)、解凍後22~24時間で調製されるアッセイプレート、及び少なくとも1つの中間の時間間隔(即ち解凍後12時間以内)が挙げられる。
【0307】
平均応答、SD、及び%CVを報告する。各レベルでのパフォーマンスを、1時間未満の間隔から得られた平均応答と比較する)。1時間未満の間隔からの%相対誤差(%RE)を計算する。許容基準は、CPCL試料から得られた±30%REとして定義される。CPCL試料は、CPCL応答がアッセイの直線範囲内にあると疑われる際の安定性を評価するために選択された。
【0308】
試料マトリックスの安定性のロバスト性を、以下のように決定する。上で得られた最小で3個の試料から、回収後可能な限り迅速に分析を実施する。回収から分析までの期間を報告する。分析手順中に、安定性評価に使用するための追加のマトリックスアリコートを調製する。安定性は、-20℃の温度を維持するように設定された冷凍庫内、及び記載されている他の条件で保管された試料について実施される。
【0309】
時間/温度:試料の体積にばらつきがあるため、調製可能なアリコートの具体的な個数は不明であるが、これを検証アッセイレポートで報告する。最小安定性評価は、以下の表6に示されているような間隔で準備される。
【0310】
【表6】
【0311】
冷凍-解凍(freeze-thaw:FT)サイクルは、冷凍された試料を完全に解凍し(冷凍庫からの15分以上の取り出し、及び試料の外見が完全に液体状態であることを目視で判断)、続いて試料を冷凍庫に6時間戻し、その後再び解凍して分析を実施することとして定義される。3回のFTサイクルを実施する。
【0312】
試料を、上述の間隔それぞれにおいて二重に分析する。平均応答、SD、及び%CVを報告する。各レベルでのパフォーマンスを、最初の分析の結果から得られた平均応答と比較する。最初の分析からの%相対誤差(%RE)を計算する。許容基準は±30%REとして定義される。
【0313】
統計的分析
負の閾値の決定を以下のように実施する。生物学的外れ値を、Tukeyの箱ひげ図1を用いて特定する。第1四分位、第3四分位、四分位範囲又はIQR(第3四分位-第1四分位)、上部フェンス(第3四分位+k*IQR)、及び下部フェンス(第1四分位-k*IQR)を計算する。定数kは3に等しいものとして定義される。生物学的外れ値を、負の閾値の決定の更なる計算から除外する。
【0314】
全ての結果からの、排除されなかったデータをプールする。正規性の分散を、Shapiro-Wilk試験又はAnderson-Darling試験といった適切な統計検定を用いて分析する。John W. Tukey, Journal of Computational and Graphical Statistics, 1993, 2:1-33 and Shapiro, S.S. and Wilk, M.B., Biometrika, 1965, 52(3-4): 591-611を参照、Anderson, T.W. and Darling, D.A., A Test of Goodness of Fit. Journal of the American Statistical Association, 1954, 49(268):765-769を参照。
【0315】
データ分布が正規分布である場合、α=0.05のパラメトリックアプローチを使用する:
負の閾値の決定=平均正規化応答+1.646×SD
【0316】
データ分布が非正規分布である場合、ノンパラメトリックアプローチを使用する:
負の閾値の決定=データの95パーセンタイル
【0317】
フローサイトメトリー細胞分析の許容基準は、以下の通りである。蛍光強度中央値(MFI)、及びハーフピーク%CVを、ACE-2染色済み細胞、及びネガティブ染色対照の両方について報告する。許容範囲は、細胞の解凍から48時間以内の最初の細胞継代において収集されたデータから計算される。許容可能なMFI範囲は、以下のように計算される:
【数3】
【0318】
ここで%CVhpは、フローサイトメーター機器からの半ピーク%CVとして定義される。他の間隔で実施された全ての分析が、ACE-2染色済み細胞、及びネガティブ染色対照の両方について、この計算から確立されるMFI範囲内に収まる必要がある。
【0319】
実施例3:血漿中のSRS-CoV-2中和抗体を検出するための、IMMUNO-COV v.1アッセイの使用
この実施例は、血漿と本発明のIMMUNO-COV v.1アッセイとの適合性を実証する。
【0320】
図11A~Cは、異なる希釈率の3人の対象の血漿及び血清におけるルシフェラーゼ活性を示す。3人のCOVID-19回復期の個体からの血漿及び血清を、56℃で30分間熱不活化した。続いて連続希釈物を調製し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと共に室温で30分間インキュベートした後、Vero-DSP1/DPS2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。これらの図は、血漿と血清との間でウイルス中和力価が同等であることを示す。
【0321】
段階的な濃度の抗SARS-CoV-2スパイク抗体mAb10914を含有する、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血漿(熱不活化されていない)を、VSV-SARS-CoV2 v1.0(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)と混合した。室温で30分のインキュベーションの後、血漿/ウイルス混合物をVero-DSP1/DSP2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。図11Dに示されているように、段階的濃度の抗SARS-CoV-2スパイク抗体mAb10914の、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血漿への添加は、このアッセイで使用されるVSV-SARS-CoV2 v.1.0ウイルス(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)をブロックする、用量依存的な能力を示した。
【0322】
別の実験では、COVID-19回復期の個体(NL1)からの、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血漿又は血漿の希釈物を、VSV-SARS-CoV2 v.1.0ウイルス(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)と混合した。37℃で1時間のインキュベーションの後、血漿/ウイルス混合物をVero-DSP1/DSP2細胞単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。図11Eに示されているように、COVID-19回復期血漿は、このアッセイにおいてウイルス及びルシフェラーゼ活性をブロックできた。熱不活化(56℃、30分)された血漿試料、及び-熱不活化されていない血漿試料の両方を試験し、これらはアッセイへの適合性を示したものの、熱不活化されていない試料はより高いバックグラウンドを示した。
【0323】
血漿試料に対する熱不活化の影響も調査した。一方のアリコートは氷上で保管され、もう一方は56℃で30分間インキュベートされた。血漿は熱凝集するため、試料をアッセイで使用する前に遠心分離によって清澄化した。次に各アリコートをOptiMEM中で希釈し、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CTと混合して、最終希釈率を1:80、1:160、1:320、1:640、1:1280、及び1:2560とした。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血漿混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。結果を図11Fに示す。熱不活化が血漿試料の中和能力に及ぼす影響は、血清試料に比べて少ないようである。一部の血漿試料では、熱不活化は、ボーダーライン試料の感度の低下につながる。
【0324】
実施例4:唾液中のSRS-CoV-2中和抗体を検出するための、IMMUNO-COV v.1アッセイの使用
プールされていたヒト唾液に抗SARS-CoV-2スパイク抗体mAb10914をスパイクすることによって、唾液とIMMUNO-COV v.1アッセイとの適合性を実証した。具体的には、COVIDパンデミックの前の個体から調製された、プールされていた唾液に、段階的濃度(QC-High、Mid、及びLow)のmAb10914をスパイクした。唾液の使用に関連する細菌汚染を防止するために、全ての唾液試料に、抗生物質/抗真菌剤(Antibiotic/Antimycotic:Ab/Am)混合物をスパイクし、OptiMEM中で最終濃度1:6.25まで希釈し、Ab/Amを含有するOptiMEMで事前に湿潤させた0.22μmフィルタを通してろ過した。唾液中のAb/Am成分の最終濃度は、以下の通りであった:アンピシリン 0.2mg/mL、ゲンタマイシン硫酸塩 0.1mg/mL、アムホテリシンB 4μg/mL。ろ過によって阻害性抗体が唾液試料から除去されないことを保証するために、Ab/Amの添加又はろ過の前にmAb10914を加えることによって、様々な濃度のmAb10914を伴う人工陽性対照試料を調製した。
【0325】
ろ過された試料をOptiMEM中で更に連続希釈した後、VSV-SARS-CoV2 v.1.0ウイルス(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT)と混合した。室温で30分のインキュベーションの後、唾液/ウイルス混合物をVero-DSP1/Vero-DSP2単層上に重ねた。およそ24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。ここで示された、希釈率1:100のウイルスとの混合後の試料中のmAb10914の濃度は:2μg/mL(QC-High)、0.6μg/mL(QC-Mid)、及び0.4μg/mL(QC-Low)であった。高い唾液濃度では、試料の干渉が観察された。
【0326】
図12で実証されているように、IMMUNO-COV v.1アッセイは、唾液試料を用いた場合に良好に機能する。
【0327】
実施例5:IMMUNO-COVアッセイv.2の開発
図13Aに示されているように、IMMUNO-COVアッセイのバージョン2(v.2)は、VSV-G糖タンパク質の代わりにSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質をコードする組換えVSV(例えばVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT、又はVSV-SARS-CoV-2-S)を、レポーター遺伝子(例えばホタルルシフェラーゼ(Luc2/Fluc)遺伝子又はガウシアルシフェラーゼ(gLuc)遺伝子)に加えて使用する。ウイルス自体がレポーターをコードするため、Vero-DSP細胞はこのアッセイではもはや使用されない。このアッセイの原理は、以下の通りである:組換えウイルス(VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-luc又はVSV-SARS-CoV-2-S-luc)はVero細胞に感染し、ルシフェラーゼ遺伝子を送達し、これが細胞にルシフェラーゼタンパク質を作成させる。ルシフェラーゼの存在は、例えばFlucのためのd-ルシフェリン(Gold Biotechnology www.goldbio.comで入手可能)又はgLucのためのセレンテラジン(Cat.#3031、NanoLight Technology; nanolight.com/product/coelenterazine-in-vivo/)といった基質を用いて検出できる。ガウシアルシフェラーゼは、ATP非依存性反応の基質としてセレンテラジンを使用する、分泌型のルシフェラーゼである。
【0328】
IMMUNO-COVアッセイv.2では、血清又は血漿試料をウイルス(例えばVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-luc又はVSV-SARS-CoV-2-S-luc)と共にインキュベートし、次にこの混合物を、Vero細胞(若しくは他の感受性細胞)と組み合わせるか、又はその上に重ねる。SARS-CoV-2-中和抗体の不在下では、ウイルスは細胞に感染し、レポーター(例えばルシフェラーゼ)活性が検出される。試験用試料がSARS-CoV-2-中和抗体を含有する場合、ウイルス感染は阻害され、レポーター(例えばルシフェラーゼ)活性が低下する。プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清/血漿、又は単独の血清/血漿、又は段階的濃度の抗SARS-CoV-2スパイクモノクローナル抗体mAb10914と混合された血清/血漿といった対照を用いて、中和応答のレベルを定量化する。IMMUNO-COVアッセイv.2のワークフローを図13Bに示す。
【0329】
図14Aに示されている実験は、ホタルルシフェラーゼの変異型Luc2バリアント(GenBank受託番号AY738222)をコードするVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucを、プールされていた陰性血清(希釈率1:80)、COVID-19回復期血清(希釈率1:80)、又はプールされていた陰性血清(希釈率1:80)を、10、2、若しくは0.2μg/mLのmAb10914と混合したものと共にインキュベートした。室温で45分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物をVero細胞単層上に重ねた(別のインキュベーション時間は30分であってもよい)。更に18時間(より強いシグナルについては24時間以上であってもよい)後、d-ルシフェリン基質をウェルに加え、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性(RLU)を測定した。図14Aに示されているように、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucウイルスは、Vero細胞でルシフェラーゼの発現及び活性を誘導し、これはCOVID-19回復期血清及びmAb10914によって用量依存的にブロックできる。
【0330】
図14Bに示されている実験では、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(希釈率1:80)を、培地のみ(ウイルスなし)、又は単独の若しくは0.2若しくは2μg/mLのmAb10914がスパイクされたVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLuc(ウイルスストックの1:48希釈物)と共に、インキュベートした。室温で30分置いた後、ウイルス/血清混合物を、前日に黒色透明底96ウェルプレート内に1e4細胞/ウェルで播種したVero-Ace-2単層(Vero-Ace-2細胞の生成については以下を参照)上に重ねた。更に24時間後、ウェル内のルシフェラーゼ活性を測定した。TECAN(発光プレートリーダー)のインジェクターを用いて、セレンテラジン(5μMストックを20μL)を各ウェルに加え、TECAN(発光プレートリーダー)は基質を添加して、迅速に発光の測定へと進んだ。図14Bに示されている結果は、プールされたSARS-CoV-2セロネガティブ血清の存在下で(24時間前に)VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLucに感染したVero-Ace-2細胞で、ルシフェラーゼ活性を検出できることを示している。ルシフェラーゼ活性は、プールされていた血清にmAb10914を加えることによって低減できる。mAb10914はルシフェラーゼ活性を阻害できたが、阻害のレベルは、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucを用いて観察されたものよりもわずかに低かった。しかしながら、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLucの主な利点は、gLuc遺伝子がFluc遺伝子よりも大幅に小さいため、gLuc含有ウイルスの安定性及び製造性の向上をもたらすことができる点である。
【0331】
更なる実験は、IMMUNO-COVアッセイv.2の条件を最適化することを目的としたものであり、これは、Vero-αHis、Vero-E6、又はAce-2及び/若しくはTRMPSS2を過剰発現する改変Vero細胞のいずれがアッセイで最も良好に機能するかを決定するステップを含んでいた。
【0332】
Vero-Ace-2及びVero-TRMPSS2細胞の生成のために、Ace-2(GenBank受託番号BC039902)及び/又はTMPRSS2(GenBank受託番号BC051839)を含むプラスミドをABMから購入した(Cat.#1116701;abmgood.com/ACE2-ORF-Vector-1116701.html#Ace2、及びCat.#471480110000;abmgood.com/TMPRSS2-ORF-Vector-4714801.html#471480110000)。Ace-2及びTMPRSS2を、レンチウイルスベクターにサブクローニングした。続いてVero細胞に1つ以上のレンチウイルスベクターを形質導入し、Vero細胞を適切な選択用抗生物質で選択した。
【0333】
図15A~Bは、Vero-Ace-2細胞がIMMUNO-COVアッセイv.2において特に有効であることを実証している。図15Aに示されている実験では、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Fluc又は培地のみ(ウイルスなしの対照)を、2又は0.2μg/mLのmAb10914と混合された、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブの血清(希釈率1:80)と共にインキュベートした。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物を細胞(Vero-αHis、Vero-E6、又はVero-Ace-2)の単層上に重ねた。更に26時間後、d-ルシフェリン基質をウェルに加え、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性(RLU)を測定した。図15Aに示されているように、Vero-Ace-2及びVero-αHisはいずれもアッセイで良好に機能し、Vero-Ace-2は、SARS-CoV-2-中和抗体の不在下において、より高いルシフェラーゼシグナルを生成した。
【0334】
図15Bに示されている実験では、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(希釈率1:80)を、単独の、又は0.2μg/mLのmAb10914がスパイクされた、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-gLuc(4800 TCID50/ウェル)と共にインキュベートした。室温で30分間のインキュベーションの後、ウイルス/血清混合物を、前日に黒色透明底96ウェルプレートに1e4細胞/ウェルで播種されたVero-αHis、Vero-Ace-2、又はVero-Ace-2/TMPRSS2細胞単層上に重ねた。更に24時間後、d-ルシフェリンを加えてから、ウェル内のルシフェラーゼ活性を測定した。Vero-Ace-2細胞及びVero-Ace2/TMPRSS2細胞はいずれも、同様に高いレベルのルシフェラーゼ活性を示したが、ルシフェラーゼシグナル、従ってウイルスは、Vero-Ace2細胞株のみにおいてmAb10914によって効果的に阻害された。
【0335】
図16A~Bに示されているように、細胞をウイルスと同時にプレーティングした場合、ルシフェラーゼシグナルは(細胞を事前にプレーティングした場合に比べて)大幅に低くなるものの、4時間の回復時間を与えると大幅に回復する。図16Aでは、ウイルスを、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(1:80)と共に室温で30分間インキュベートした後、Vero細胞単層上に重ねるか、又は同等の密度でVero細胞と混合した。細胞に重ねてから指定された時間だけ後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。図16Bでは、ウイルスを、プールされていたSARS-CoV-2セロネガティブ血清(1:80)と共に室温で30分間インキュベートした後、4時間又は24時間前にプレーティングされたVero細胞単層上に重ねた。更に24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。
【0336】
図17A~Bに示されている実験は、ルシフェラーゼ活性に対する細胞密度及びウイルスTCID50の影響を試験した。ウイルスをOptiMEM中で希釈して、1ウェルあたり指定されたTCID50とし、前日に指定された細胞/ウェルでプレーティングされたVero細胞単層上に重ねた。更に16、20、及び24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。図17Aのデータは、24時間からのものである。図17Aは、ルシフェラーゼ活性が細胞密度の上昇と共に上昇することを示している。図17Bは、ルシフェラーゼ活性がウイルス量/ウェルの増大と共に上昇することを示している。
【0337】
図18に示されているように、IMMUNO-COVアッセイv.2は高感度であるため、弱い中和抗体応答の検出が可能であり、またVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucの用量依存性阻害を示す。ウイルスを、段階的な濃度のmAb10914を含有するプールされていた陰性血清と共に、室温で30分間インキュベートした。続いてウイルス/血清混合物をVero細胞単層上に重ねた。更に24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0338】
【表7】
【0339】
図19は、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucに感染したVero-Ace-2細胞の、d-ルシフェリン添加後のFluc活性の動態曲線を示す。Flucは瞬間的な動態を示すため、予想ピーク発光シグナルは、ウェルへのd-ルシフェリンの添加の0.5秒後であると予想される。これは図19に示されているように、VSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Fluc感染Vero-Ace-2細胞について、真であると確認された。この実験のために、Vero-Ace-2細胞単層(感染の前日に1e4細胞/ウェルで播種)に、4800 TCID50単位のVSV-SARS-CoV-2-S-Δ19CT-Flucを感染させた。24時間後に、インジェクターを取り付けたTECAN機器(発光プレートリーダー)にプレートを装入した。インジェクターを、所望量の基質(d-ルシフェリンの3.75mg/mL溶液、この実験では20μL)を各ウェルに注入するようにプログラムし、0.5秒後に発光を読み取った(1000msの積分時間)。更なるルシフェラーゼの読み取りを5秒ごとに3分間にわたって実施して、ルシフェラーゼ活性の動態曲線を生成した(2回の読み取りを実施、9秒(矢印)にd-ルシフェリンを添加(ウェル中での最終濃度0.44mg/mL)、更なる読み取りは3分間実施された)。予想されたように、活性はd-ルシフェリンの添加後すぐ(0.5秒後)にピークに達した。
【0340】
参考文献
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Zhao J et al Recovery from the Middle East respiratory syndrome is associated with antibody and T-cell responses (2017). Sci Immunol 2:5393.
【0341】
実施例6:SARS-CoV-2のバリアントの生成
SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質変異体を、C末端の19個のアミノ酸をコードするヌクレオチドの欠失(S-Δ19CT)によって、ヒトコドン最適化及び合成した。SARS-CoV-2のこれらのバリアントを、制限部位MluI及びNheIを用いて、VSVゲノムをコードするプラスミドにクローニングした。プラスミドを配列検証し、BHK-21細胞での感染性ウイルスのレスキューに使用した。VSV-Gは、レスキューを促進するためにBHK-21細胞に同時にトランスフェクトされたが、ウイルスの後続の継代には存在しなかった。
【0342】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【0343】
【表9】
【0344】
実施例7:乾燥血斑(DBS)サンプリングのための試料収集キット
標準的な乾燥血斑(DBS)収集手順の非限定的な例を、以下に記載されているように実施した。DBSサンプリングのための試料収集キットは、試料の収集を実施するために必要な全ての構成要素を内包している。
【0345】
DBS収集手順のために、以下のステップを実施した:
1.血斑収集カードを収集のために準備した:
a.血斑収集カードは、Whatman 903(商標)ろ紙を含んでおり、ペーパーカバーで保護されていた。
b.カードのろ紙部分を露出したまま保持するために、カバーを折り曲げて折り目を付けた。
c.収集を自分で実施する場合、露出したろ紙がテーブルから突き出した状態で、カードをテーブルの縁にテープで留めた。
2.試料収集部位をアルコールプレップパッドで拭き、皮膚を約30秒間乾燥させた。
a.推奨される収集部位は、好ましい指の指先付近の腹であった。
3.接触作動式ランセット(BD Microtainer(登録商標)、Ref#:366594)を、推奨されるランセットとして提供した。
a.青色接触作動式ランセットは「高流量」とみなされ、14ゲージの針、又は1.5mm幅の刃を備え、穿刺深さは2.0mmであった。
b.青色の、ねじって外すタイプのカバーがあり、これを取り外すことでランセットを作動させた。
c.カバーを取り外して、ランセットの作動エリアを収集部位にしっかりと押し付け、小さな穿刺を得た。
4.(キットに含まれている)正方形のガーゼを用いて、血液の最初の1滴を拭き取った。
5.その後、指先の血液の滴を、5つの円が印刷されたろ紙に落とした。印刷された5つの円を含むDBS収集カードの説明は、図20で提供される。
6.可能な場合、5つの円全てを試料で完全に満たした。指はカードに直接触れなかったが、大きな血液の滴が自然にカードに落下しなかった場合には、滴が紙に触れた(ただし指で紙に触れることは回避された)。
7.カードの円が満たされた後、ガーゼパッドを用いて収集部位を圧迫して出血を遅延/停止させ、その後、付属のバンドエイドを貼り付けた。
8.収集カードを開いたまま乾燥させた。乾燥後、試料を分析実験室へと出荷した。
a.乾燥血斑収集に関するCDCの推奨事項は、出荷前に試料を3時間乾燥させることである。
b.収集カードは、乾燥後、室温(75°F以下、24℃以下)で、又は冷蔵条件(34~46°F、2~8℃)で保管してよい。極端な高温条件又は直射日光下での保管は避けること。
c.試料は収集から3日以内に出荷され、収集日から2週間以内に受領された。
【0346】
実施例8:IMMUNO-COV V2血斑アッセイ試料分析プロトコル
本実施例は、IMMUNO-COV V2血斑アッセイのセットアップ及び血斑アッセイのマップを提供し、これらは乾燥血斑アッセイ試料分析のプロトコルを説明するものである。具体的には、この手順は、1:4から始まって1:128の希釈率まで連続して2倍に希釈する6個の希釈率を用いた、6つの血斑試料のアッセイを説明する。様々な血斑試料希釈率を示す例示的な血斑アッセイマップを、Uウェル(又はU底)プレート(図23)及びアッセイプレート(図24)について説明する。
【0347】
以下は、本手順の実施に必要であった試薬のリストである:
VSV-SARS2-Fluc
OptiMEM
mAb10914
mAb10922
プールされていた陰性血清
D-ルシフェリン
【0348】
IMMUNO-COV V2血斑アッセイのセットアップのために、以下のステップを実施した:
細胞を、本開示のIMMUNO-COV V2細胞準備手順に従って播種した。アッセイに使用する16~24時間前に細胞を播種した。
1.乾燥血斑(DBS)試料の処理を、アッセイのプレーティングの開始のおよそ1.5時間前に開始した。
2.各DBS試料について、1/4インチ(6mm)孔のパンチを用いて、適切なラベルを付けられた1.7mL微量遠心分離チューブに1つのパンチ/スポットを打ち込んだ。打ち込む際には、打ち抜き位置が、サンプリングされるろ紙の全領域に毛細血管全血が飽和している場所から取られていることを確実にするために、血斑収集カードを裏から見た。
3.全ての試料のパンチをチューブに入れた後、400μLのOptiMEMを各試料チューブに加えた。DBSサンプリングの明確化のために、6mmのスポットそれぞれに対して使用されるアッセイ推奨最小体積である200μLを用いて、抽出を実施した。本発明の抽出では400μLを使用したため、これは1:2希釈とみなされ、ウイルスとの混合後に1:4の開始時希釈率が得られた。これにより、後のステップでU底プレートに240μLの溶離液を移すために十分な体積が提供された。
4.チューブを、450rpmで振盪する設定のプレートシェーカー上で、室温で1時間インキュベートした。
5.1時間のインキュベーションの後、マイクロピペットを用いて上清を新たなチューブに移した。ろ紙パンチをピペット先端で側方に押し、抽出された全血溶離液を簡単に回収した。
6.血斑溶離液をサンプリングする前に短時間の遠心分離ステップ(1000×g、約30秒)を実施することにより、アッセイのセットアップ中にU底プレートに小さなろ紙の破片が移される頻度を低減した。
7.120μLのOptiMEMを、図23に示されているようなプレートレイアウトマップに従って灰色の網掛けで示されているU底懸濁液96ウェル培養プレートに入れた。
8.10μLのmAb10914ストックを98μLのOptiMEM中で希釈することによって、mAb10914抗体のワーキングストックを0.μg/μLで調製した。このワーキングストックをピペッティングによって混合した。
9.ST1(標準)を、以下のようにして1.6μg/mLのmAb10914(ウイルス添加後に0.8μg/mL)で調製した:
2つのプレートについて:9.6μLのmAb10914のワーキングストックを590.4μLのOptiMEMと組み合わせた。
10.5μLのmAb10922ストックを245μLのOptiMEM中で希釈することによって、mAb10922抗体のワーキングストックを、0.01μg/μLで調製した。このワーキングストックをピペッティングによって混合した。
11.アッセイ対照(NC、陰性対照;PC、陽性対照)を以下のように調製し、ピペッティングによって混合した:
【0349】
【0350】
12.120μLの対照を、プレートレイアウトマップ(図23)に従ってU底プレートに加えた。
13.240μLのST1を、プレートレイアウトマップ(図23)の、ST1とラベルが付けられたウェルに加えた。
14.240μLの血斑試料溶離液を、プレートレイアウトマップ(図23)に従って試料ウェルA1、B1、C1、及びA7、B7、C7に加えた。
15.6点2倍連続希釈を以下のように実施した:
120μLをカラム1ウェルからカラム2ウェルに移し、ピペッティングによって混合した。
120μLをカラム2ウェルからカラム3ウェルに移し、ピペッティングによって混合した。
120μLをカラム3ウェルからカラム4ウェルに移し、ピペッティングによって混合した。
120μLをカラム4ウェルからカラム5ウェルに移し、ピペッティングによって混合した。
120μLをカラム5ウェルからカラム6ウェルに移し、ピペッティングによって混合した。
カラム6ウェルから120μLを廃棄した。
全プロセスを、プレートの右側の試料S4、S5、S6(カラム7~12;NC、POS、又は培地対照は希釈されていなかった)について繰り返した。
16.ウイルスを解凍した。完全に解凍された後、ウイルスを氷上で保管した。
17.ウイルスを6000pfu/mLまで希釈した。
希釈に必要な実際のOptiMEMの体積は、ウイルスのロット及び力価に基づいて、以下の表を用いて計算できる:
【0351】
【0352】
18.120μLの調製されたウイルスを、Uウェルプレートの全てのウェルに加え、ピペッティングによって混合した。
19.プレートを室温で30~45分間インキュベートした。
20.100μLの試料をU底プレートに移し、アッセイプレートレイアウトマップ(図24)に従って細胞を二重にプレーティングした。細胞を、37℃/5%COインキュベーター内に入れた。
21.試料を細胞に重ねてから24~28時間時間後に、ルシフェラーゼ活性を以下のように読み取った:
a.15mg/mLのd-ルシフェリンをDPBS中で1:10に(1.5mg/mLまで)希釈した。非限定的な例として、15mg/mLのd-ルシフェリン1mLを9mLのDPBSと組み合わせた。混合は倒置によって実施した。複数のプレート/アッセイからルシフェラーゼを同時に読み取る場合、希釈された(1.5mg/mLの)d-ルシフェリンをより多量に調製することが許容されていた。
b.12チャンネルの電子ピペット又は手動ピペットを用いて、1.5mg/mLのd-ルシフェリンを50μL、アッセイプレートの各ウェルに加えた。d-ルシフェリンは、行の順番(即ちA、B、C、D、E、F、G、H)で加えられた。d-ルシフェリンを行に加えるタイミングは、各行の間が4~8秒となるものであった。
c.プレートをTECANに1枚ずつ入れ、適切なプログラムを用いて読み取った。プレート読み取りの開始は、d-ルシフェリンを細胞プレートの最後の行に加えてから1分以内に発生した。
アッセイを報告し、報告者の詳細及び日付を記録した。
【0353】
非限定的な例として、血斑の抽出は、OptiMEM又はPBSTを用いて実施された。OptiMEM条件の場合、OptiMEMはアッセイにおいて、最初は1:2の希釈率であり(適切な溶出、ウイルスでの希釈時に1:2)、PBSTは最初は1:10の希釈率であった(ウイルス添加後に1:10)。図21は、上述の方法に従って様々な試料希釈率にわたってOptiMEMを用いて血斑を抽出することで生成された、%相対ルシフェラーゼ応答の例の、概要のグラフを示す。
【0354】
概念実証実験により、血斑マトリックスが、マトリックスの1;20の希釈率において、完全な適合性を有することが実証された(図22A~B)。試験された血斑試料において、細胞の健康状態又はウイルス感染性に関して大きな問題は見られなかった。
【0355】
配列
SARS-CoV-2全長S糖タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1;バリアント1及びバリアント4;NCBI参照配列:YP_009724390.1;S1サブユニットには下線が付されている;RBD部位は太字で示されている)
【0356】
SARS-CoV-2全長S糖タンパク質のコドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号2;バリアント1及びバリアント4)
atgttcgtcttcctggtcctgctgcctctggtctcctcacagtgcgtcaatctgacaactcggactcagctgccacctgcttatactaatagcttcaccagaggcgtgtactatcctgacaaggtgtttagaagctccgtgctgcactctacacaggatctgtttctgccattctttagcaacgtgacctggttccacgccatccacgtgagcggcaccaatggcacaaagcggttcgacaatcccgtgctgccttttaacgatggcgtgtacttcgcctctaccgagaagagcaacatcatcagaggctggatctttggcaccacactggactccaagacacagtctctgctgatcgtgaacaatgccaccaacgtggtcatcaaggtgtgcgagttccagttttgtaatgatcccttcctgggcgtgtactatcacaagaacaataagagctggatggagtccgagtttagagtgtattctagcgccaacaactgcacatttgagtacgtgagccagcctttcctgatggacctggagggcaagcagggcaatttcaagaacctgagggagttcgtgtttaagaatatcgacggctacttcaaaatctactctaagcacacccccatcaacctggtgcgcgacctgcctcagggcttcagcgccctggagcccctggtggatctgcctatcggcatcaacatcacccggtttcagacactgctggccctgcacagaagctacctgacacccggcgactcctctagcggatggaccgccggcgctgccgcctactatgtgggctacctccagccccggaccttcctgctgaagtacaacgagaatggcaccatcacagacgcagtggattgcgccctggaccccctgagcgagacaaagtgtacactgaagtcctttaccgtggagaagggcatctatcagacatccaatttcagggtgcagccaaccgagtctatcgtgcgctttcctaatatcacaaacctgtgcccatttggcgaggtgttcaacgcaacccgcttcgccagcgtgtacgcctggaataggaagcggatcagcaactgcgtggccgactatagcgtgctgtacaactccgcctctttcagcacctttaagtgctatggcgtgtcccccacaaagctgaatgacctgtgctttaccaacgtctacgccgattctttcgtgatcaggggcgacgaggtgcgccagatcgcccccggccagacaggcaagatcgcagactacaattataagctgccagacgatttcaccggctgcgtgatcgcctggaacagcaacaatctggattccaaagtgggcggcaactacaattatctgtaccggctgtttagaaagagcaatctgaagcccttcgagagggacatctctacagaaatctaccaggccggcagcaccccttgcaatggcgtggagggctttaactgttatttcccactccagtcctacggcttccagcccacaaacggcgtgggctatcagccttaccgcgtggtggtgctgagctttgagctgctgcacgccccagcaacagtgtgcggccccaagaagtccaccaatctggtgaagaacaagtgcgtgaacttcaacttcaacggcctgaccggcacaggcgtgctgaccgagtccaacaagaagttcctgccatttcagcagttcggcagggacatcgcagataccacagacgccgtgcgcgacccacagaccctggagatcctggacatcacaccctgctctttcggcggcgtgagcgtgatcacacccggcaccaatacaagcaaccaggtggccgtgctgtatcaggacgtgaattgtaccgaggtgcccgtggctatccacgccgatcagctgaccccaacatggcgggtgtacagcaccggctccaacgtcttccagacaagagccggatgcctgatcggagcagagcacgtgaacaattcctatgagtgcgacatcccaatcggcgccggcatctgtgcctcttaccagacccagacaaactctcccagaagagcccggagcgtggcctcccagtctatcatcgcctataccatgtccctgggcgccgagaacagcgtggcctactctaacaatagcatcgccatcccaaccaacttcacaatctctgtgaccacagagatcctgcccgtgtccatgaccaagacatctgtggactgcacaatgtatatctgtggcgattctaccgagtgcagcaacctgctgctccagtacggcagcttttgtacccagctgaatagagccctgacaggcatcgccgtggagcaggataagaacacacaggaggtgttcgcccaggtgaagcaaatctacaagaccccccctatcaaggactttggcggcttcaatttttcccagatcctgcctgatccatccaagccttctaagcggagctttatcgaggacctgctgttcaacaaggtgaccctggccgatgccggcttcatcaagcagtatggcgattgcctgggcgacatcgcagccagggacctgatctgcgcccagaagtttaatggcctgaccgtgctgccacccctgctgacagatgagatgatcgcacagtacacaagcgccctgctggccggcaccatcacatccggatggaccttcggcgcaggagccgccctccagatcccctttgccatgcagatggcctataggttcaacggcatcggcgtgacccagaatgtgctgtacgagaaccagaagctgatcgccaatcagtttaactccgccatcggcaagatccaggacagcctgtcctctacagccagcgccctgggcaagctccaggatgtggtgaatcagaacgcccaggccctgaataccctggtgaagcagctgagcagcaacttcggcgccatctctagcgtgctgaatgacatcctgagccggctggacaaggtggaggcagaggtgcagatcgaccggctgatcaccggccggctccagagcctccagacctatgtgacacagcagctgatcagggccgccgagatcagggccagcgccaatctggcagcaaccaagatgtccgagtgcgtgctgggccagtctaagagagtggacttttgtggcaagggctatcacctgatgtccttccctcagtctgccccacacggcgtggtgtttctgcacgtgacctacgtgcccgcccaggagaagaacttcaccacagcccctgccatctgccacgatggcaaggcccactttccaagggagggcgtgttcgtgtccaacggcacccactggtttgtgacacagcgcaatttctacgagccccagatcatcaccacagacaacaccttcgtgagcggcaactgtgacgtggtcatcggcatcgtgaacaataccgtgtatgatccactccagcccgagctggacagctttaaggaggagctggataagtatttcaagaatcacacctcccctgacgtggatctgggcgacatcagcggcatcaatgcctccgtggtgaacatccagaaggagatcgaccgcctgaacgaggtggctaagaatctgaacgagagcctgatcgacctccaggagctgggcaagtatgagcagtacatcaagtggccctggtacatctggctgggcttcatcgccggcctgatcgccatcgtgatggtgaccatcatgctgtgctgtatgacatcctgctgttcttgcctgaagggctgctgtagctgtggctcctgctgtaagtttgacgaggatgactctgaacctgtgctgaagggcgtgaagctgcattacacctaa
【0357】
SARS-CoV-2 Δ19CT S糖タンパク質のアミノ酸配列(配列番号3;バリアント2;S1サブユニットには下線が付されている;RBD部位は太字で示されている)
【0358】
SARS-CoV-2 Δ19CT S糖タンパク質のコドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号4;バリアント2)
atgttcgtcttcctggtcctgctgcctctggtctcctcacagtgcgtcaatctgacaactcggactcagctgccacctgcttatactaatagcttcaccagaggcgtgtactatcctgacaaggtgtttagaagctccgtgctgcactctacacaggatctgtttctgccattctttagcaacgtgacctggttccacgccatccacgtgagcggcaccaatggcacaaagcggttcgacaatcccgtgctgccttttaacgatggcgtgtacttcgcctctaccgagaagagcaacatcatcagaggctggatctttggcaccacactggactccaagacacagtctctgctgatcgtgaacaatgccaccaacgtggtcatcaaggtgtgcgagttccagttttgtaatgatcccttcctgggcgtgtactatcacaagaacaataagagctggatggagtccgagtttagagtgtattctagcgccaacaactgcacatttgagtacgtgagccagcctttcctgatggacctggagggcaagcagggcaatttcaagaacctgagggagttcgtgtttaagaatatcgacggctacttcaaaatctactctaagcacacccccatcaacctggtgcgcgacctgcctcagggcttcagcgccctggagcccctggtggatctgcctatcggcatcaacatcacccggtttcagacactgctggccctgcacagaagctacctgacacccggcgactcctctagcggatggaccgccggcgctgccgcctactatgtgggctacctccagccccggaccttcctgctgaagtacaacgagaatggcaccatcacagacgcagtggattgcgccctggaccccctgagcgagacaaagtgtacactgaagtcctttaccgtggagaagggcatctatcagacatccaatttcagggtgcagccaaccgagtctatcgtgcgctttcctaatatcacaaacctgtgcccatttggcgaggtgttcaacgcaacccgcttcgccagcgtgtacgcctggaataggaagcggatcagcaactgcgtggccgactatagcgtgctgtacaactccgcctctttcagcacctttaagtgctatggcgtgtcccccacaaagctgaatgacctgtgctttaccaacgtctacgccgattctttcgtgatcaggggcgacgaggtgcgccagatcgcccccggccagacaggcaagatcgcagactacaattataagctgccagacgatttcaccggctgcgtgatcgcctggaacagcaacaatctggattccaaagtgggcggcaactacaattatctgtaccggctgtttagaaagagcaatctgaagcccttcgagagggacatctctacagaaatctaccaggccggcagcaccccttgcaatggcgtggagggctttaactgttatttcccactccagtcctacggcttccagcccacaaacggcgtgggctatcagccttaccgcgtggtggtgctgagctttgagctgctgcacgccccagcaacagtgtgcggccccaagaagtccaccaatctggtgaagaacaagtgcgtgaacttcaacttcaacggcctgaccggcacaggcgtgctgaccgagtccaacaagaagttcctgccatttcagcagttcggcagggacatcgcagataccacagacgccgtgcgcgacccacagaccctggagatcctggacatcacaccctgctctttcggcggcgtgagcgtgatcacacccggcaccaatacaagcaaccaggtggccgtgctgtatcaggacgtgaattgtaccgaggtgcccgtggctatccacgccgatcagctgaccccaacatggcgggtgtacagcaccggctccaacgtcttccagacaagagccggatgcctgatcggagcagagcacgtgaacaattcctatgagtgcgacatcccaatcggcgccggcatctgtgcctcttaccagacccagacaaactctcccagaagagcccggagcgtggcctcccagtctatcatcgcctataccatgtccctgggcgccgagaacagcgtggcctactctaacaatagcatcgccatcccaaccaacttcacaatctctgtgaccacagagatcctgcccgtgtccatgaccaagacatctgtggactgcacaatgtatatctgtggcgattctaccgagtgcagcaacctgctgctccagtacggcagcttttgtacccagctgaatagagccctgacaggcatcgccgtggagcaggataagaacacacaggaggtgttcgcccaggtgaagcaaatctacaagaccccccctatcaaggactttggcggcttcaatttttcccagatcctgcctgatccatccaagccttctaagcggagctttatcgaggacctgctgttcaacaaggtgaccctggccgatgccggcttcatcaagcagtatggcgattgcctgggcgacatcgcagccagggacctgatctgcgcccagaagtttaatggcctgaccgtgctgccacccctgctgacagatgagatgatcgcacagtacacaagcgccctgctggccggcaccatcacatccggatggaccttcggcgcaggagccgccctccagatcccctttgccatgcagatggcctataggttcaacggcatcggcgtgacccagaatgtgctgtacgagaaccagaagctgatcgccaatcagtttaactccgccatcggcaagatccaggacagcctgtcctctacagccagcgccctgggcaagctccaggatgtggtgaatcagaacgcccaggccctgaataccctggtgaagcagctgagcagcaacttcggcgccatctctagcgtgctgaatgacatcctgagccggctggacaaggtggaggcagaggtgcagatcgaccggctgatcaccggccggctccagagcctccagacctatgtgacacagcagctgatcagggccgccgagatcagggccagcgccaatctggcagcaaccaagatgtccgagtgcgtgctgggccagtctaagagagtggacttttgtggcaagggctatcacctgatgtccttccctcagtctgccccacacggcgtggtgtttctgcacgtgacctacgtgcccgcccaggagaagaacttcaccacagcccctgccatctgccacgatggcaaggcccactttccaagggagggcgtgttcgtgtccaacggcacccactggtttgtgacacagcgcaatttctacgagccccagatcatcaccacagacaacaccttcgtgagcggcaactgtgacgtggtcatcggcatcgtgaacaataccgtgtatgatccactccagcccgagctggacagctttaaggaggagctggataagtatttcaagaatcacacctcccctgacgtggatctgggcgacatcagcggcatcaatgcctccgtggtgaacatccagaaggagatcgaccgcctgaacgaggtggctaagaatctgaacgagagcctgatcgacctccaggagctgggcaagtatgagcagtacatcaagtggccctggtacatctggctgggcttcatcgccggcctgatcgccatcgtgatggtgaccatcatgctgtgctgtatgacatcctgctgttcttgcctgaagggctgctgtagctgtggctcctgctgttaa
【0359】
SARS-CoV-2 VSV G CT糖タンパク質のアミノ酸配列(配列番号5;バリアント3;VSV G細胞質尾部の配列は太字で下線を付して示されている)
【0360】
SARS-CoV-2 VSV G CT糖タンパク質のコドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号6;バリアント3;VSV G細胞質尾部をコードする配列は大文字で示されている)
atgttcgtcttcctggtcctgctgcctctggtctcctcacagtgcgtcaatctgacaactcggactcagctgccacctgcttatactaatagcttcaccagaggcgtgtactatcctgacaaggtgtttagaagctccgtgctgcactctacacaggatctgtttctgccattctttagcaacgtgacctggttccacgccatccacgtgagcggcaccaatggcacaaagcggttcgacaatcccgtgctgccttttaacgatggcgtgtacttcgcctctaccgagaagagcaacatcatcagaggctggatctttggcaccacactggactccaagacacagtctctgctgatcgtgaacaatgccaccaacgtggtcatcaaggtgtgcgagttccagttttgtaatgatcccttcctgggcgtgtactatcacaagaacaataagagctggatggagtccgagtttagagtgtattctagcgccaacaactgcacatttgagtacgtgagccagcctttcctgatggacctggagggcaagcagggcaatttcaagaacctgagggagttcgtgtttaagaatatcgacggctacttcaaaatctactctaagcacacccccatcaacctggtgcgcgacctgcctcagggcttcagcgccctggagcccctggtggatctgcctatcggcatcaacatcacccggtttcagacactgctggccctgcacagaagctacctgacacccggcgactcctctagcggatggaccgccggcgctgccgcctactatgtgggctacctccagccccggaccttcctgctgaagtacaacgagaatggcaccatcacagacgcagtggattgcgccctggaccccctgagcgagacaaagtgtacactgaagtcctttaccgtggagaagggcatctatcagacatccaatttcagggtgcagccaaccgagtctatcgtgcgctttcctaatatcacaaacctgtgcccatttggcgaggtgttcaacgcaacccgcttcgccagcgtgtacgcctggaataggaagcggatcagcaactgcgtggccgactatagcgtgctgtacaactccgcctctttcagcacctttaagtgctatggcgtgtcccccacaaagctgaatgacctgtgctttaccaacgtctacgccgattctttcgtgatcaggggcgacgaggtgcgccagatcgcccccggccagacaggcaagatcgcagactacaattataagctgccagacgatttcaccggctgcgtgatcgcctggaacagcaacaatctggattccaaagtgggcggcaactacaattatctgtaccggctgtttagaaagagcaatctgaagcccttcgagagggacatctctacagaaatctaccaggccggcagcaccccttgcaatggcgtggagggctttaactgttatttcccactccagtcctacggcttccagcccacaaacggcgtgggctatcagccttaccgcgtggtggtgctgagctttgagctgctgcacgccccagcaacagtgtgcggccccaagaagtccaccaatctggtgaagaacaagtgcgtgaacttcaacttcaacggcctgaccggcacaggcgtgctgaccgagtccaacaagaagttcctgccatttcagcagttcggcagggacatcgcagataccacagacgccgtgcgcgacccacagaccctggagatcctggacatcacaccctgctctttcggcggcgtgagcgtgatcacacccggcaccaatacaagcaaccaggtggccgtgctgtatcaggacgtgaattgtaccgaggtgcccgtggctatccacgccgatcagctgaccccaacatggcgggtgtacagcaccggctccaacgtcttccagacaagagccggatgcctgatcggagcagagcacgtgaacaattcctatgagtgcgacatcccaatcggcgccggcatctgtgcctcttaccagacccagacaaactctcccagaagagcccggagcgtggcctcccagtctatcatcgcctataccatgtccctgggcgccgagaacagcgtggcctactctaacaatagcatcgccatcccaaccaacttcacaatctctgtgaccacagagatcctgcccgtgtccatgaccaagacatctgtggactgcacaatgtatatctgtggcgattctaccgagtgcagcaacctgctgctccagtacggcagcttttgtacccagctgaatagagccctgacaggcatcgccgtggagcaggataagaacacacaggaggtgttcgcccaggtgaagcaaatctacaagaccccccctatcaaggactttggcggcttcaatttttcccagatcctgcctgatccatccaagccttctaagcggagctttatcgaggacctgctgttcaacaaggtgaccctggccgatgccggcttcatcaagcagtatggcgattgcctgggcgacatcgcagccagggacctgatctgcgcccagaagtttaatggcctgaccgtgctgccacccctgctgacagatgagatgatcgcacagtacacaagcgccctgctggccggcaccatcacatccggatggaccttcggcgcaggagccgccctccagatcccctttgccatgcagatggcctataggttcaacggcatcggcgtgacccagaatgtgctgtacgagaaccagaagctgatcgccaatcagtttaactccgccatcggcaagatccaggacagcctgtcctctacagccagcgccctgggcaagctccaggatgtggtgaatcagaacgcccaggccctgaataccctggtgaagcagctgagcagcaacttcggcgccatctctagcgtgctgaatgacatcctgagccggctggacaaggtggaggcagaggtgcagatcgaccggctgatcaccggccggctccagagcctccagacctatgtgacacagcagctgatcagggccgccgagatcagggccagcgccaatctggcagcaaccaagatgtccgagtgcgtgctgggccagtctaagagagtggacttttgtggcaagggctatcacctgatgtccttccctcagtctgccccacacggcgtggtgtttctgcacgtgacctacgtgcccgcccaggagaagaacttcaccacagcccctgccatctgccacgatggcaaggcccactttccaagggagggcgtgttcgtgtccaacggcacccactggtttgtgacacagcgcaatttctacgagccccagatcatcaccacagacaacaccttcgtgagcggcaactgtgacgtggtcatcggcatcgtgaacaataccgtgtatgatccactccagcccgagctggacagctttaaggaggagctggataagtatttcaagaatcacacctcccctgacgtggatctgggcgacatcagcggcatcaatgcctccgtggtgaacatccagaaggagatcgaccgcctgaacgaggtggctaagaatctgaacgagagcctgatcgacctccaggagctgggcaagtatgagcagtacatcaagtggccctggtacatctggctgggcttcatcgccggcctgatcgccatcgtgatggtgaccatcatgctgtgctgtatgAAATTAAAGCACACCAAGAAAAGACAGATTTATACAGACATAGAGATGAACCGACTTGGAAAGTAA
【0361】
変異型VSVマトリックス(M)タンパク質(M51R)のアミノ酸配列(配列番号7)
MSSLKKILGLKGKGKKSKKLGIAPPPYEEDTSMEYAPSAPIDKSYFGVDERDTHDPNQLRYEKSFFTVKMTVRSNRPFRTYSDVAAAVSHWDHMYIGMAGKRPFYKILAFLGSSNLKATPAVLADQGQPEYHAHCEGRAYLPHRMGKTPPMLNVPEHFRRPFNIGLYKGTIELTMTIYDDESLEAAPMIWDHFNSSKFSDFREKALMFGLIVEEEASGAWVLDSVRHSKWASLASSF
【0362】
変異型VSVマトリックス(M)タンパク質(M51R)のヌクレオチド配列(配列番号8)
ATGAGTTCCTTAAAGAAGATTCTCGGTCTGAAGGGGAAAGGTAAGAAATCTAAGAAATTAGGGATCGCACCACCCCCTTATGAAGAGGACACTAGCATGGAGTATGCTCCGAGCGCTCCAATTGACAAATCCTATTTTGGAGTTGACGAGCGAGACACCTATGATCCGAATCAATTAAGATATGAGAAATTCTTCTTTACAGTGAAAATGACGGTTAGATCTAATCGTCCGTTCAGAACATACTCAGATGTGGCAGCCGCTGTATCCCATTGGGATCACATGTACATCGGAATGGCAGGGAAACGTCCCTTCTACAAAATCTTGGCTTTTTTGGGTTCTTCTAATCTAAAGGCCACTCCAGCGGTATTGGCAGATCAAGGTCAACCAGAGTATCACGCTCACTGCGAAGGCAGGGCTTATTTGCCACATAGGATGGGGAAGACCCCTCCCATGCTCAATGTACCAGAGCACTTCAGAAGACCATTCAATATAGGTCTTTACAAGGGAACGATTGAGCTCACAATGACCATCTACGATGATGAGTCACTGGAAGCAGCTCCTATGATCTGGGATCATTTCAATTCTTCCAAATTTTCTGATTTCAGAGAGAAGGCCTTAATGTTTGGCCTGATTGTCGAGAAAAAGGCATCTGGAGCGTGGGTCCTGGACTCTATCGGCCACTTCAAATGA
【0363】
野生型VSVマトリックス(M)タンパク質のアミノ酸配列(配列番号9)
MSSLKKILGLKGKGKKSKKLGIAPPPYEEDTSMEYAPSAPIDKSYFGVDEMDTHDPNQLRYEKSFFTVKMTVRSNRPFRTYSDVAAAVSHWDHMYIGMAGKRPFYKILAFLGSSNLKATPAVLADQGQPEYHAHCEGRAYLPHRMGKTPPMLNVPEHFRRPFNIGLYKGTIELTMTIYDDESLEAAPMIWDHFNSSKFSDFREKALMFGLIVEEEASGAWVLDSVRHSKWASLASSF
【0364】
野生型VSVマトリックス(M)タンパク質のヌクレオチド配列(配列番号10)
ATGAGTTCCTTAAAGAAGATTCTCGGTCTGAAGGGGAAAGGTAAGAAATCTAAGAAATTAGGGATCGCACCACCCCCTTATGAAGAGGACACTAGCATGGAGTATGCTCCGAGCGCTCCAATTGACAAATCCTATTTTGGAGTTGACGAGATGGACACCTATGATCCGAATCAATTAAGATATGAGAAATTCTTCTTTACAGTGAAAATGACGGTTAGATCTAATCGTCCGTTCAGAACATACTCAGATGTGGCAGCCGCTGTATCCCATTGGGATCACATGTACATCGGAATGGCAGGGAAACGTCCCTTCTACAAAATCTTGGCTTTTTTGGGTTCTTCTAATCTAAAGGCCACTCCAGCGGTATTGGCAGATCAAGGTCAACCAGAGTATCACGCTCACTGCGAAGGCAGGGCTTATTTGCCACATAGGATGGGGAAGACCCCTCCCATGCTCAATGTACCAGAGCACTTCAGAAGACCATTCAATATAGGTCTTTACAAGGGAACGATTGAGCTCACAATGACCATCTACGATGATGAGTCACTGGAAGCAGCTCCTATGATCTGGGATCATTTCAATTCTTCCAAATTTTCTGATTTCAGAGAGAAGGCCTTAATGTTTGGCCTGATTGTCGAGAAAAAGGCATCTGGAGCGTGGGTCCTGGACTCTATCGGCCACTTCAAATGA
【0365】
野生型VSVコザック配列(配列番号11)
CACTATG
【0366】
最適化コザック配列(配列番号12)
CACCATG
【0367】
SARS-CoV-1スパイク(S)タンパク質のアミノ酸配列(配列番号13;UniProtKB/Swiss-Prot:P59594.1)
MFIFLLFLTLTSGSDLDRCTTFDDVQAPNYTQHTSSMRGVYYPDEIFRSDTLYLTQDLFLPFYSNVTGFHTINHTFGNPVIPFKDGIYFAATEKSNVVRGWVFGSTMNNKSQSVIIINNSTNVVIRACNFELCDNPFFAVSKPMGTQTHTMIFDNAFNCTFEYISDAFSLDVSEKSGNFKHLREFVFKNKDGFLYVYKGYQPIDVVRDLPSGFNTLKPIFKLPLGINITNFRAILTAFSPAQDIWGTSAAAYFVGYLKPTTFMLKYDENGTITDAVDCSQNPLAELKCSVKSFEIDKGIYQTSNFRVVPSGDVVRFPNITNLCPFGEVFNATKFPSVYAWERKKISNCVADYSVLYNSTFFSTFKCYGVSATKLNDLCFSNVYADSFVVKGDDVRQIAPGQTGVIADYNYKLPDDFMGCVLAWNTRNIDATSTGNYNYKYRYLRHGKLRPFERDISNVPFSPDGKPCTPPALNCYWPLNDYGFYTTTGIGYQPYRVVVLSFELLNAPATVCGPKLSTDLIKNQCVNFNFNGLTGTGVLTPSSKRFQPFQQFGRDVSDFTDSVRDPKTSEILDISPCSFGGVSVITPGTNASSEVAVLYQDVNCTDVSTAIHADQLTPAWRIYSTGNNVNFSISITTEVMPVSMAKTSVDCNMYICGDSTECANLLLQYGSFCTQLNRALSGIAAEQDRNTREVFAQVKQMYKTPTLKYFGGFNFSQILPDPLKPTKRSFIEDLLFNKVTLADAGFMKQYGECLGDINARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDDMIAAYTAALVSGTATAGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKQIANQFNKAISQIQESLTTTSTALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQAAPHGVVFLHVTYVPSQERNFTTAPAICHEGKAYFPREGVFVFNGTSWFITQRNFFSPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIINNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYVWLGFIAGLIAIVMVTILLCCMTSCCSCLKGACSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT
【0368】
【0369】
SARS-CoV-1(配列番号13)及びSARS-CoV-2(配列番号1)からのスパイク(S)糖タンパク質配列の、CLUSTAL O(1.2.4)多重配列整列
【0370】
Rluc8 155-156DSP1-7ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号14;ウミシイタケルシフェラーゼ断片aa1~155には下線が付されている;リンカーは強調されていない;改変GFPの断片aa1~156は太字で示されている)
【0371】
Rluc8155-156DSP1-7構築物のヌクレオチド配列(配列番号15;コーディングORFはnt1068~2018)
agatcttcaatattggccattagccatattattcattggttatatagcataaatcaatat
tggctattggccattgcatacgttgtatctatatcataatatgtacatttatattggctc
atgtccaatatgaccgccatgttggcattgattattgactagttattaatagtaatcaat
tacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaa
tggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgt
tcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggta
aactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtccgccccctattgacgt
caatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttacgggactttcc
tacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggca
gtacaccaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccat
tgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaa
taaccccgccccgttgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggtgggaggtctatataag
cagagctcgtttagtgaaccgtcagatcactagaagctttattgcggtagtttatcacag
ttaaattgctaacgcagtcagtgcttctgacacaacagtctcgaacttaagctgcagaag
ttggtcgtgaggcactgggcaggtaagtatcaaggttacaagacaggtttaaggagacca
atagaaactgggcttgtcgagacagagaagactcttgcgtttctgataggcacctattgg
tcttactgacatccactttgcctttctctccacaggtgtccactcccagttcaattacag
ctcttaaggctagagtacttaatacgactcactataggctagccaccatggcttccaagg
tgtacgaccccgagcaacgcaaacgcatgatcactgggcctcagtggtgggctcgctgca
agcaaatgaacgtgctggactccttcatcaactactatgattccgagaagcacgccgaga
acgccgtgatttttctgcatggtaacgctacctccagctacctgtggaggcacgtcgtgc
ctcacatcgagcccgtggctagatgcatcatccctgatctgatcggaatgggtaagtccg
gcaagagcgggaatggctcatatcgcctcctggatcactacaagtacctcaccgcttggt
tcgagctgctgaaccttccaaagaaaatcatctttgtgggccacgactggggggctgctc
tggcctttcactacgcctacgagcaccaagacaggatcaaggccatcgtccatatggaga
gtgtcgtggacgtgatcgagtcctgggacgagtccggaggaggcggaatgagcaagggcg
aggagctgttcaccggcgtggtgcccatcctggtggagctggacggcgacgtgaacggcc
acaagttcagcgtgagaggcgagggcgagggcgacgccaccatcggcaagctgaccctga
agttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctggtgaccaccctga
cctacggcgtgcagtgcttcagcagataccccgaccacatgaagagacacgacttcttca
agagcgccatgcccgagggctacgtgcaggagagaaccatcagcttcaaggacgacggca
agtacaagaccagagccgtggtgaagttcgagggcgacaccctggtgaacagaatcgagc
tgaagggcaccgacttcaaggaggacggcaacatcctgggccacaagctggagtacaact
tcaacagccacaacgtgtacatcaccgccgacaagtgatctagagcggccgcttcgagca
gacatgataagatacattgatgagtttggacaaaccacaactagaatgcagtgaaaaaaa
tgctttatttgtgaaatttgtgatgctattgctttatttgtaaccattataagctgcaat
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【0372】
Rluc8 155-156DSP8-11ルシフェラーゼ-GFP融合タンパク質(配列番号16;ウミシイタケルシフェラーゼ断片aa156~311には下線が付されている;リンカーは強調されていない;改変GFPの断片aa157~231は太字で示されている)
【0373】
Rluc8155-156DSP8-11構築物のヌクレオチド配列(配列番号17;コーディングORFはnt1068~1778)
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【0374】
改変GFP(配列番号18)
MSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVRGEGEGDATIGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKRHDFFKSAMPEGYVQERTISFKDDGKYKTRAVVKFEGDTLVNRIELKGTDFKEDGNILGHKLEYNFNSHNVYITADKMQKNGIKANFTVRHNVEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQTVLSKDPNEKRDHMVLHEYVNAAGIT
【0375】
RLuc8(配列番号19)
MASKVYDPEQRKRMITGPQWWARCKQMNVLDSFINYYDSEKHAENAVIFLHGNATSSYLWRHVVPHIEPVARCIIPDLIGMGKSGKSGNGSYRLLDHYKYLTAWFELLNLPKKIIFVGHDWGAALAFHYAYEHQDRIKAIVHMESVVDVIESWDEWPDIEEDIALIKSEEGEKMVLENNFFVETVLPSKIMRKLEPEEFAAYLEPFKEKGEVRRPTLSWPREIPLVKGGKPDVVQIVRNYNAYLRASDDLPKLFIESDPGFFSNAIVEGAKKFPNTEFVKVKGLHFLQEDAPDEMGKYIKSFVERVLKNEQ
【0376】
バリアント2で欠失した、SARS-CoV-2 S糖タンパク質細胞質尾部の19個のアミノ酸(配列番号20)
KFDEDDSEPVLKGVKLHYT
【0377】
バリアント3で使用された、VSV G糖タンパク質細胞質尾部配列(配列番号21)
KLKHTKKRQIYTDIEMNRLGK
【0378】
【0379】
【0380】
SARS-CoV-2 Δ19CT CPE溶解感染バリアントのアミノ酸配列(配列番号42;CPEバリアント)
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRRYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQNVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRAQSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCC
【0381】
SARS-CoV-2 Δ19CT CPE溶解感染バリアントのコドン最適化ポリヌクレオチド配列(配列番号43;CPEバリアント)
atgttcgtcttcctggtcctgctgcctctggtctcctcacagtgcgtcaatctgacaactcggactcagctgccacctgcttatactaatagcttcaccagaggcgtgtactatcctgacaaggtgtttagaagctccgtgctgcactctacacaggatctgtttctgccattctttagcaacgtgacctggttccacgccatccacgtgagcggcaccaatggcacaaagcggttcgacaatcccgtgctgccttttaacgatggcgtgtacttcgcctctaccgagaagagcaacattatcagaggctggatctttggcaccacactggactccaagacacagtctctgctgatcgtgaacaatgccaccaacgtggtcatcaaggtgtgcgagttccagttttgtaatgatcccttcctgggcgtgtactatcacaagaacaataagagctggatggagtccgagtttagagtgtattctagcgccaacaactgcacatttgagtacgtgagccagcctttcctgatggacctggagggcaagcagggcaatttcaagaacctgagggagttcgtgtttaagaatatcgacggctacttcaaaatctactctaagcacacccccatcaacctggtgcgcgacctgcctcagggcttcagcgccctggagcccctggtggatctgcctatcggcatcaacatcacccggtttcagacactgctggccctgcacagaagatacctgacacccggcgactcctctagcggatggaccgccggcgctgccgcctactatgtgggctacctccagccccggaccttcctgctgaagtacaacgagaatggcaccatcacagacgcagtggattgcgccctggaccccctgagcgagacaaagtgtacactgaagtcctttaccgtggagaagggcatctatcagacatccaatttcagggtgcagccaaccgagtctatcgtgcgctttcctaatatcacaaacctgtgcccatttggcgaggtgttcaacgcaacccgcttcgccagcgtgtacgcctggaataggaagcggatcagcaactgcgtggccgactatagcgtgctgtacaactccgcctctttcagcacctttaagtgctatggcgtgtcccccacaaagctgaatgacctgtgctttaccaacgtctacgccgattctttcgtgatcaggggcgacgaggtgcgccagatcgcccccggccagacaggcaagatcgcagactacaattataagctgccagacgatttcaccggctgcgtgatcgcctggaacagcaacaatctggattccaaagtgggcggcaactacaattatctgtaccggctgtttagaaagagcaatctgaagcccttcgagagggacatctctacagaaatctaccaggccggcagcaccccttgcaatggcgtggagggctttaactgttatttcccactccagtcctacggcttccagcccacaaacggcgtgggctatcagccttaccgcgtggtggtgctgagctttgagctgctgcacgccccagcaacagtgtgcggccccaagaagtccaccaatctggtgaagaacaagtgcgtgaacttcaacttcaacggcctgaccggcacaggcgtgctgaccgagtccaacaagaagttcctgccatttcagcagttcggcagggacatcgcagataccacagacgccgtgcgcgacccacagaccctggagatcctggacatcacaccctgctctttcggcggcgtgagcgtgatcacacccggcaccaatacaagcaaccaggtggccgtgctgtatcagaacgtgaattgtaccgaggtgcccgtggctatccacgccgatcagctgaccccaacatggcgggtgtacagcaccggctccaacgtcttccagacaagagccggatgcctgatcggagcagagcacgtgaacaattcctatgagtgcgacatcccaatcggcgccggcatctgtgcctcttaccagacccagacaaactctcccagaagagcccagagcgtggcctcccagtctatcatcgcctataccatgtccctgggcgccgagaacagcgtggcctactctaacaatagcatcgccatcccaaccaacttcacaatctctgtgaccacagagatcctgcccgtgtccatgaccaagacatctgtggactgcacaatgtatatctgtggcgattctaccgagtgcagcaacctgctgctccagtacggcagcttttgtacccagctgaatagagccctgacaggcatcgccgtggagcaggataagaacacacaggaggtgttcgcccaggtgaagcaaatctacaagaccccccctatcaaggactttggcggcttcaatttttcccagatcctgcctgatccatccaagccttctaagcggagctttatcgaggacctgctgttcaacaaggtgaccctggccgatgccggcttcatcaagcagtatggcgattgcctgggcgacatcgcagccagggacctgatctgcgcccagaagtttaatggcctgaccgtgctgccacccctgctgacagatgagatgatcgcacagtacacaagcgccctgctggccggcaccatcacatccggatggaccttcggcgcaggagccgccctccagatcccctttgccatgcagatggcctataggttcaacggcatcggcgtgacccagaatgtgctgtacgagaaccagaagctgatcgccaatcagtttaactccgccatcggcaagatccaggacagcctgtcctctacagccagcgccctgggcaagctccaggatgtggtgaatcagaacgcccaggccctgaataccctggtgaagcagctgagcagcaacttcggcgccatctctagcgtgctgaatgacatcctgagccggctggacaaggtggaggcagaggtgcagatcgaccggctgatcaccggccggctccagagcctccagacctatgtgacacagcagctgatcagggccgccgagatcagggccagcgccaatctggcagcaaccaagatgtccgagtgcgtgctgggccagtctaagagagtggacttttgtggcaagggctatcacctgatgtccttccctcagtctgccccacacggcgtggtgtttctgcacgtgacctacgtgcccgcccaggagaagaacttcaccacagcccctgccatctgccacgatggcaaggcccactttccaagggagggcgtgttcgtgtccaacggcacccactggtttgtgacacagcgcaatttctacgagccccagatcatcaccacagacaacaccttcgtgagcggcaactgtgacgtggtcatcggcatcgtgaacaataccgtgtatgatccactccagcccgagctggacagctttaaggaggagctggataagtatttcaagaatcacacctcccctgacgtggatctgggcgacatcagcggcatcaatgcctccgtggtgaacatccagaaggagatcgaccgcctgaacgaggtggctaagaatctgaacgagagcctgatcgacctccaggagctgggcaagtatgagcagtacatcaagtggccctggtacatctggctgggcttcatcgccggcctgatcgccatcgtgatggtgaccatcatgctgtgctgtatgacatcctgctgttcttgcctgaagggctgctgtagctgtggctcctgctgttaa
【0382】
SARS-CoV-2 Δ19CTバリアントのアミノ酸配列(配列番号44;バリアント)
【0383】
請求対象の主題は、本明細書に記載の具体的実施形態によってその範囲を制限されないものとする。実際には、本明細書に記載されているものに加えて、請求対象の主題の様々な修正形態が、当業者には以上の説明から明らかになるだろう。このような修正形態は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0384】
本明細書に引用される全ての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、及びその他の資料は、あたかもこれらが本明細書中に物理的に存在しているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
【配列表】
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【国際調査報告】