(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】PRNアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
A61M39/10 110
A61M39/10 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564498
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021027899
(87)【国際公開番号】W WO2021216410
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202020642967.0
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンダ クナルディ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066JJ03
4C066JJ09
(57)【要約】
PRNアダプタは、ケーシングおよびエラストマ部材から形成することができる。エラストマ部材は、隔壁および雄ルアーテーパを形成することができる。PRNアダプタを2つの部品のみで形成することにより、製造工程を簡素化することができる。ケーシングは、近位開口部および遠位開口部を有する中空内部を形成し得る。エラストマ部材の隔壁は、中空内部の近位開口部に配置され得、雄ルアーテーパは、中空内部の遠位開口部に延在し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに結合されたエラストマ部材であって、隔壁および雄ルアーテーパを形成する前記エラストマ部材と、
を含むPRNアダプタ。
【請求項2】
前記ケーシングが、近位開口部および遠位開口部を有する中空内部を形成する、請求項1に記載のPRNアダプタ。
【請求項3】
前記エラストマ部材の前記隔壁が、前記中空内部の前記近位開口部に配置され、前記雄ルアーテーパが、前記中空内部の前記遠位開口部に延びる、請求項2に記載のPRNアダプタ。
【請求項4】
前記ケーシングが、前記近位開口部を形成するリムを含む、請求項3に記載のPRNアダプタ。
【請求項5】
前記隔壁が、前記リムの近位面と重なる遠位向きのリップを形成する、請求項4に記載のPRNアダプタ。
【請求項6】
前記エラストマ部材が、頚部によって前記隔壁から間隔を置かれた保持部材を含む、請求項5に記載のPRNアダプタ。
【請求項7】
前記保持部材の近位面が、前記リムの遠位面に隣接する、請求項6に記載のPRNアダプタ。
【請求項8】
前記中空内部がねじ山を含む、請求項2に記載のPRNアダプタ。
【請求項9】
前記エラストマ部材が、前記隔壁(septum)から前記雄ルアーテーパを通って延びる管腔(lumen)を形成する、請求項1に記載のPRNアダプタ。
【請求項10】
前記ケーシングが、近位開口部および遠位開口部を有する中空内部を形成し、前記近位開口部は、リムによって形成され、前記中空内部は、前記遠位開口部から延びるねじ山を含み、
前記エラストマ部材は、頚部によって前記隔壁から離間された保持部材を含み、前記エラストマ部材はまた、前記隔壁から前記雄ルアーテーパを通って延在する管腔を形成し、前記エラストマ部材の前記隔壁は、前記中空内部の前記近位開口部に配置され、前記雄ルアーテーパは、前記中空内部の前記遠位開口部に延在し、前記隔壁は、前記保持部材の近位面が前記リムの遠位面に当接するときに、前記リムの近位面と重なる遠位向きのリップを形成する、
請求項1に記載のPRNアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PRNアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
静脈内(IV)カテーテルシステムは、様々な輸液療法に一般的に使用される。例えば、静脈内カテーテルは、生理食塩水、様々な薬剤、および総合的な非経口栄養のような流体を患者へと注入するために使用し得る。静脈内カテーテルはまた、患者から血液を引き出すために使用されてもよい。
【0003】
一般的な静脈内カテーテルデバイスの種類としては、オーバーニードル方式の末梢静脈(「IV」)カテーテル(「PIVC」)がある。オーバーニードルカテーテルは、その名のとおり、鋭利な遠位端を有する針の上に装着することができるカテーテルである。カテーテルおよび針は、針の遠位先端が、カテーテルの遠位先端を越えて延び、針の斜角(bevel)を患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てられ得る。カテーテルと針は、一般的に、皮膚を通して患者の血管系へと浅い角度で挿入される。
【0004】
IVカテーテルデバイスは、典型的には、カテーテルが患者の血管系に配置されている間に、他のデバイスがカテーテルへのアクセスを得ることができるアクセスポートを提供する。これらの他のデバイスは、血液試料の取得、流体の注入、測定の実行、監視などの様々なタスクを実行するために使用され得る。このようなアクセスポートを保護し、アクセスポートにバルブを提供するために「PRNアダプタ」を使用することが一般的である。略語「PRN」(ラテン語の「pro re nata」に由来)は、一般に、「必要な場合」を意味し、PRNダプタが、臨床医が「必要な場合」に患者の血管系にアクセスすることを可能にすることを表す。
【0005】
図1は、PRNアダプタが用いられ得るPIVC100の例を提供する。PIVC100は、カテーテル111がそこから延びるカテーテルアダプタ110、針121がそこから延びる針アダプタ120、およびカテーテルアダプタ110から2つの雌ルアーロックポート132aおよび132bを有するYアダプタ132に延びる延長チューブ131を有する延長セット130を含む。PRNアダプタ140は、ポート132aに接続され、ベントプラグ150は、ポート132bに接続される。したがって、
図1は、PRNアダプタが、Yアダプタのポートまたは拡張セットの他のコネクタのポート上で一般的に使用されることを表すように意図されている。特に、PRNアダプタは、PIVCの他の位置のポート上で、または他のIVカテーテルデバイスと共に使用することもできる。
【0006】
図2は、共通PRNアダプタ240の例を提供する。PRNアダプタ240は、(1)ケーシング241、(2)隔壁242、および(3)収縮フィルム243の3つの別個の構成要素からなる。典型的には硬質プラスチックから形成されるケーシング241は、雌ルアーポート(例えば、ポート132aまたは132b)に挿入される雄ルアーテーパ241aを形成する。ケーシング241はまた、通常、雄ルアーロックスリーブ241bの形態であり、PRNアダプタ240が雌ルアーロックポートにねじ込まれることを可能にする。典型的には、ゴムまたはシリコーンなどのエラストマ材料から形成される隔壁242は、PRNアダプタ240を介して血液または流体が漏れるのを防ぐシールとして機能すると同時に、PIVCまたはPRNアダプタ240が接続され得る他のIVカテーテルデバイスへのアクセスを得るために、針またはカニューレがそこを通って挿入されることを可能にする。隔壁242は、ケーシング241に部分的に挿入され得る。収縮フィルム243は、隔壁242をケーシング241に固定する。例えば、PRNアダプタ240の製造中に、収縮フィルム243は、ケーシング241の一部および隔壁242の一部の周りに配置され、次いで、収縮フィルムをこれらの部分の周りで締め付けるように加熱され得る。
【0007】
本明細書で主張される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、概して、PRNアダプタおよびPRNアダプタが使用され得るIVカテーテルデバイスに関する。PRNアダプタは、ケーシングおよびエラストマ部材から形成することができる。エラストマ部材は、隔壁および雄ルアーテーパを形成することができる。PRNアダプタを2つの部品のみで形成することにより、製造工程を簡素化することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、PRNアダプタは、ケーシングと、ケーシングに結合されたエラストマ部材とを含むことができる。エラストマ部材は、隔壁および雄ルアーテーパを形成する。いくつかの実施形態では、ケーシングは、近位開口部および遠位開口部を有する中空(hollow)内部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、エラストマ部材の隔壁は、中空内部の近位開口部に配置されてもよく、雄ルアーテーパは、中空内部の遠位開口部に延びてもよい。いくつかの実施形態では、ケーシングは、近位開口部を形成するリムを含み得る。いくつかの実施形態では、隔壁は、リムの近位面と重なる遠位向きのリップを形成し得る。いくつかの実施形態では、エラストマ部材は、頚部(neck)によって隔壁から間隔を置かれた保持部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、保持部材の近位面は、リムの遠位面に当接し得る。いくつかの実施形態では、中空内部は、ねじ山を含み得る。いくつかの実施形態では、エラストマ部材は、隔壁(septum)から雄ルアーテーパを通って延びる管腔(lumen)を形成し得る。
【0010】
上述の概略の説明、および、以下の詳細な説明の両方は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された発明を限定するものではないことが理解されるべきである。様々な実施形態は、図面に示された構成(arrangements)および手段(instrumentality)に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、または、他の実施形態が用いられてよいこと、および、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【
図1】
図1は、PRNアダプタが使用され得る共通のPIVCの例を示す。
【
図2】
図2は、共通PRNアダプタの例を図示する。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されるPRNアダプタの例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および特許請求の範囲において、「PRNアダプタ」という用語は、カテーテルが静脈内に配置されている間に別のデバイスがIVカテーテルデバイスのカテーテルにアクセスすることを可能にするために、IVカテーテルデバイスの一部であり得る、またはIVカテーテルデバイス上で使用され得る任意のアダプタとして解釈されるべきである。
図3は、本開示のいくつかの実施形態に従って構成されるPRNアダプタ300の例を提供する。
図3Aは、PRNアダプタ300の断面図を提供する。
【0013】
PRNアダプタ300は、(1)ケーシング310、および(2)エラストマ部材320の2つの構成要素から形成される。ケーシング310は、近位端310aから遠位端310bに延びる。ケーシング310の中空内部312は、近位開口部312aおよび遠位開口部312bを形成する。リム313(または中空内部312の縮小直径領域)は、近位開口部312aを形成する。リム313は、近位面313a、内向き面313b、および遠位面313cを形成する。ねじ山(threads)314は、中空内部312内に形成され、遠位開口部312bから近位方向に延びる。リブ311は、ケーシング310の外側の周りに形成されてよく、PRNアダプタ300の把持を容易にするように機能してよい。
【0014】
図4は、エラストマ部材320を分離した例を提供し、
図4Aは、エラストマ部材320の分離した断面図を提供する。図示されるように、エラストマ部材320は、近位端320aから遠位端320bに延びる。隔壁321は、近位端320aに形成され、雄ルアーテーパ324は、遠位端320bに形成される。頚部322は、隔壁321から遠位に延び、保持部材323は、頚部322から遠位に延びる。頚部322は、隔壁321の外径に対して、および保持部材323の外径に対して、縮小された外径領域を含む。したがって、頚部側壁322aは、隔壁321上に形成された遠位向きのリップ321aと、保持部材323上に形成された近位面323aとの間に配置される。
【0015】
エラストマ部材320はまた、近位端325aからエラストマ部材320の遠位端320bを通って隣接する隔壁321に延びる管腔325を含む。図示の実施形態では、管腔325の近位端325aは、リップ321aと整列する。しかしながら、他の実施形態では、近位端325aは、隔壁321の厚さが図に示されるものよりも大きいまたは小さいように、リップ321aに対してオフセットされてもよい。
【0016】
図3Aに最もよく見られるように、エラストマ部材320は、リム313を隔壁321と保持部材323との間に配置することによって、ケーシング310に固定される。この位置では、リップ321aは、リム313の近位面313aと重なり、頚部側壁322aは、リム313の内向き面313bに隣接し、保持部材323の近位面323aは、リム313の遠位面313cに隣接する。したがって、隔壁321は、リム313の近位に配置され、雄ルアーテーパ324は、遠位開口部312bを超えて遠位に延びる。しかしながら、他の実施形態では、雄ルアーテーパ324は、遠位開口部312bまで延在してもよく、または遠位開口部312bの短いところまで延在してもよい。雄ルアーテーパ324の外径は、雄ルアーテーパ324が雌ルアーロックポートに挿入されるときに、雌ルアーロックポートが雄ルアーテーパ324とケーシング310との間に挿入することを可能にするために、中空内部312の直径未満である。
【0017】
エラストマ部材320のエラストマ特性は、エラストマ部材320をケーシング310に挿入し、ケーシング310内に固定することを可能にする。例えば、エラストマ部材320は、隔壁321が近位開口部312aを通過するまで遠位開口部312bを通して挿入することができる。隔壁321は、それが近位開口部312aのより小さい直径を通過することを可能にするように変形することができる。保持部材323は次いで、ケーシング310に対するエラストマ部材320のさらなる遠位移動を防止することができる。隔壁321が近位開口部312aを超えて近位に配置されると、リップ321aは近位面313aと重なり、それによってエラストマ部材320が遠位に移動するのを防ぐ。
【0018】
PRNアダプタ300は、雄ルアーテーパ324をポートに挿入し、PRNアダプタ300を回して、雌ルアーロックポートの対応するタブ(複数可)に対してねじ山314を締め付けることによって、IVカテーテルデバイスの雌ルアーロックポートに接続することができる。PRNアダプタ300がポート上に締め付けられると、雄ルアーテーパ324は、雌ルアーロックポートに対して流体密閉シールを形成することができる。IVカテーテルデバイスのカテーテルにアクセスするために、別個のデバイスの針またはカニューレを隔壁321を通って管腔325に挿入することができる。針またはカニューレがその後除去されるとき、隔壁321のエラストマ特性は、シールを改変し、流体が管腔325から漏れるのを防ぐ。
【0019】
本明細書で記載される全ての例および条件付き文言は、本発明、および技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態について詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、および改変が本明細書にされ得ることを理解されたい。
【国際調査報告】