(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】滅菌製品のための保持装置、滅菌製品、および滅菌製品サイクルの監視方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20230602BHJP
A61B 50/30 20160101ALI20230602BHJP
A61B 90/98 20160101ALI20230602BHJP
【FI】
G16H40/00
A61B50/30
A61B90/98
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565841
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021060926
(87)【国際公開番号】W WO2021219600
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102020111712.4
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー ウーバー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ベーラー
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク レンツェンヒューバー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ プフィステル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
本発明は、滅菌製品のため、特に滅菌製品容器または軟包装のための保持装置(1)に関し、この装置は、準備プロセス中に滅菌対象の医療製品を保持するために設けられ、通信手段(2、5、6、8)を備え、通信手段(2、5、6、8)の一部は、滅菌製品が閉じられたときに、当該一部が医療製品に関する情報を滅菌製品の環境へ供給するように、ある周波数範囲に関して設計されている。本発明はさらに、滅菌製品、および滅菌製品サイクルを監視するための方法(10)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌製品サイクル中に保持装置に取り付けられた医療製品のための保持装置(1)であって、
前記保持装置は、準備プロセスステップのパラメータ、好ましくは、さらに好ましくは滅菌製品サイクル全体の全てのプロセスステップのパラメータを取得するように設けられ設計される複数のセンサであって、個々のセンサは、実行されたばかりのプロセスステップを識別できるように、前記滅菌製品サイクルの互いに異なる個々のプロセスステップをそれぞれ表す互いに異なるパラメータを取得するよう設計されている、複数のセンサを備える、保持装置。
【請求項2】
前記保持装置の前記センサは、手術室における前記医療製品の使用、および/または超音波洗浄、および/または洗浄消毒装置における洗浄、および/または潤滑剤によるメンテナンス、および/または滅菌に関して、それらのパラメータデータ全体を取得するように設計されている、請求項1に記載の保持装置(1)。
【請求項3】
前記センサは、温度、湿度、pH値、圧力、音波、電圧、および/または振動を全体的に検出する、請求項1または請求項2に記載の保持装置(1)。
【請求項4】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、圧電素子である、請求項3に記載の保持装置(1)。
【請求項5】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、放射計である、請求項3または請求項4に記載の保持装置(1)。
【請求項6】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、マイクロフォンである、請求項3、4または5に記載の保持装置(1)。
【請求項7】
前記保持装置は、前記パラメータデータから前記医療製品の寿命および/または状態を推測する電子的な評価ユニットを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項8】
前記センサは、冗長的に設計されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項9】
前記保持装置(1)は、複数のアンテナと、読み書きユニットと、を備え、
前記アンテナは、電子分配システム(マルチプレクサ)を介して、前記読み書きユニットに接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項10】
前記保持装置は、モジュール構造であり、前記保持装置の個々の要素(2、3、4、5、6、8)の取り外しを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項11】
前記評価ユニットは、プロセスステップを表す個々の前記パラメータデータを所定のパラメータと比較し、プロセスステップの実行が成功したと前記評価ユニットが判断する場合に、それぞれのカウンタをインクリメントするように設計されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項12】
前記保持装置(1)は、光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記プロセスステップに関する情報をユーザに示す信号伝送器を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【請求項13】
前記信号伝送器は、前記光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記医療製品の位置を前記ユーザに示すことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌製品のための保持装置、特に滅菌製品容器または軟包装のための保持装置、および滅菌製品サイクルを監視する方法に関し、滅菌製品は、挿入されたスクリーンバスケットを有する滅菌容器および軟包装内のスクリーンバスケットも意味する。保持装置はとりわけ、特に準備プロセス(超音波洗浄、洗浄および消毒、潤滑剤の塗布などのメンテナンス、および/または滅菌を含む)中に、少なくとも1つの滅菌可能な医療製品を保持し、準備プロセスの前および/または後に医療製品を保管するために提供され得る。
【背景技術】
【0002】
例えばツール(アプリケーション部品、ツールなど)、外科用器具、またはハンドピースといった医療工業製品などの医療製品の滅菌製品サイクルの検出は、たいていの場合、準備サイクル完了時の文書記録またはチェックに基づいている。これに関する問題は、予洗浄、洗浄および消毒、メンテナンス、および滅菌がどのように行われたかを確実に説明できないということである。手書きの記録によって有効なデータが作成されるであろうが、このやり方はミスが発生しやすい。さらに、電気製品、空気圧製品、または油圧製品の使用時間は、当該製品に関連する方法で(個々の製品レベルで)記録することができない。さらなる問題は、個々の製品の識別およびそれらの寿命の検出、すなわちキャッチワードトレーサビリティが欠如していることである。
【0003】
使用中に滅菌製品サイクル全体を検出する方法はない。センサデータおよびトランスポンダデータの取得は、製品に関連するホルダに限定される。医療製品(例えば、モータ、ハンドピース、外科用器具など)に関するデータはわずかしか取得されないので、評価の可能性、およびサービス、交換品の配送などのさらなるプロセスを始める可能性が制限されてしまう。
【0004】
本タイプの保持装置は、とりわけ、外科用ハンドピースの洗浄および保持のために提供され、とりわけ、DE 10 2010 017 624に記載されている。ホルダは、特に、滅菌器やすすぎプラントなどの医療洗浄装置内のホルダに配置された医療製品と共に配置される。さらに、ホルダは、滅菌製品容器内に配置されて滅菌製品容器と共に使用される場合があり、これにより、医療製品の滅菌後、医療製品が新たに汚染されることが効率的に防止されることが保証される。
【0005】
さらに、例えば、再利用可能なインプラントが、上述の医療製品と同様に再処理されることも通常である。これら複数の再処理可能なインプラントは、特にチタンから製造されている場合、頻繁に再処理をすると、医療製品の品質損失につながってしまう。チタンねじの場合、例えば、侵攻性の洗浄物質を頻繁に使用することよって、腐食およびバイオフィルムの形成からチタンねじを保護する酸化物層の厚みが薄くなってしまうことがある。再処理可能なインプラントは、セットで利用されることが多く、セットの個々の要素が実際に使用されるかどうかに関わらず、一緒に準備プロセスを受けるのが常である。
【0006】
例えば、本出願の関連製品に係る最新技術から、上述のタイプのホルダが知られており、このホルダは、洗浄および準備プロセス全体にわたって、ホルダに保持される医療製品を伴う。そのようなホルダは、例えば、DE 10 2010 017 624から知られている。
【0007】
医療製品がその寿命期間中にどのくらいの頻度で再処理されたかを追跡できるようにするために、例えば、医療製品のモータにおいて、エネルギー供給ユニットまたは環境発電ユニットと一体化された温度センサであって、準備プロセス中に温度を検出し、それをモータのデータ記憶部に記憶する温度センサを提供することが知られている。この目的に適した記憶装置を含むモータは、例えば、DE 10 2011 050 192に記載されている。ただし、このような解決策は、医療製品内で比較的大きな設置スペースを取ってしまい、医療製品の重量を増加させてしまうことが特に不利である。特に神経外科の分野や低侵襲的方法などで適用される医療製品の場合、これらの不利な点は容認できない。
【0008】
医療製品の監視において、
医療製品自体の体積および/または重量の変化は回避されることが好ましく、
個々の医療製品の監視が可能である、
ということが重要であると分かった。
【0009】
さらに、
取得したデータを無線で読み出すことができ、
評価のために取得されたデータを提供することができ、
世界中でデータにアクセスできる、
ということが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、最新技術の欠点を回避するか、少なくとも軽減することである。特に、医療製品のトレーサビリティおよび寿命に関する記録に関して、滅菌製品サイクルが改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示によれば、この目的は、医療製品のための保持装置が提供されることによって解決される。医療装置は、滅菌製品サイクル中に保持装置に取り付けられている。本開示によれば、保持装置は、滅菌製品サイクルのプロセスステップのデータを取得するように設けられ設計される(複数の)センサを備える。
【0012】
一般的な装置では、この目的は、好ましくは保持装置が滅菌製品のために設けられる/滅菌製品の中に設けられる本発明によって、特に、保持装置が、滅菌製品容器のために設けられる/滅菌製品容器の中に設けられる、滅菌製品スクリーンのために設けられる/滅菌製品スクリーンの中に設けられる、または軟包装のために設けられる/軟包装の中に設けられる発明によって、解決される。保持装置は、準備プロセス/サイクル全体にわたって、ホルダ内/ホルダにおいて、および/または滅菌製品スクリーン内において、滅菌対象の医療製品を保持するために提供される。保持装置は、通信手段を備える。例えば、以下にさらに記載される通信モジュールなどの通信手段の一部は、ある周波数範囲に対して設計されており、滅菌容器が閉じられると、その一部は滅菌製品容器の外部環境へ医療製品に関するデータを供給する。
【0013】
これは、滅菌製品サイクル全体の監視が改善されるという利点を有する。
【0014】
滅菌製品容器の代替または滅菌製品容器の補足として、軟包装が使用されてもよい。軟包装は、特定の紙で包まれたスクリーンであってもよい。ここで、スクリーンは保持装置を形成する。
【0015】
滅菌製品容器は、滅菌製品スクリーンなどの挿入されたスクリーンバスケットを有する滅菌製品容器を指すこともある。滅菌製品スクリーンは、軟包装内のスクリーンバスケットを指すこともある。
【0016】
具体的には、滅菌製品容器である全金属容器を損失的に通り抜けることができる周波数が提供されてもよい。滅菌製品容器は、例えば使用中に、密封されてもよい。特定の周波数は、例えば、2.4GHzおよび5GHzであってもよい。Bluetooth(登録商標)の場合、特に、2.402GHz~2.480GHzの周波数範囲が提供されてもよい。WLANの場合、特に、2.412GHz~2.484GHzの周波数範囲、および/または5.18GHz~5.825GHzの周波数範囲が提供されてもよい。これは、802.11b/g/n規格または802.11a/h/j/n/ac規格に対応し得る。
【0017】
通信手段は、広く解釈されるべきであり、以下でさらに説明するように、センサを備えていてもよい。ここには、任意の形態の通信および/またはインターフェースが含まれていてもよい。具体的には、通信手段は、通信の観点で接続されたユニットへ受信信号/送信信号/センサ信号を送信してもよい。この接続されたユニットは、以下でさらに説明される評価ユニット/データ処理ユニットであってもよい。
【0018】
有利な実施形態は、サブクレームに記載されており、以下で詳しく説明される。
【0019】
保持装置は特に、滅菌製品/滅菌製品容器内のスクリーン、例えば、滅菌製品スクリーンであってもよい。したがって、スクリーンは、通信手段などの個々の要素を含んでいてもよい。スクリーンは、バスケットの形態であってもよく、すなわち、スクリーンバスケットであってもよい。このスクリーンバスケットは、滅菌製品/滅菌製品容器への挿入のためのホルダを含んでいてもよく、そうでなければ、滅菌対象の医療製品が保持される一方でグリッドを通って落下または滑り落ちることがないように、目の細かいグリッドを備えていてもよい。
【0020】
滅菌製品容器(容器)の外部環境は、特に、比較的近接した環境であってもよい。環境は、例えば、最大8メートルまたは最大4メートルの範囲である。言い換えれば、環境は、上述の範囲(受信ユニットが配置されなければならない範囲)に対応する。また、環境が、滅菌製品(滅菌容器/スクリーン)の周囲半径1メートルとして定義されれば十分である。それに応じて、対応する通信手段のシグナル強度を適応させてもよい。
【0021】
保持装置は、データ処理装置と、エネルギー供給ユニットと、を備えていてもよい。例えば、データ処理装置は、準備プロセスのプロセスステップ間において、エネルギー供給ユニットによって提供されるデータ処理装置に関する保持装置の通信手段のためのエネルギー供給を最小化するように設計されている。
【0022】
データ処理装置および/または通信手段は、それらを一緒にまたは個別に囲む分離体をさらに備えていてもよく、分離体は、熱的および/または防水的に分離する。
【0023】
さらに、通信手段は保持装置に設けられるNFC読み書き装置を備えていてもよく、これにより、滅菌対象の医療製品が保持装置に挿入されると、滅菌対象の医療製品の相補的なNFCアンテナとのNFC通信が可能になる。
【0024】
保持装置はモジュール構造であってもよく、したがって、保持装置の個々の要素の取り外しが可能である。
【0025】
上記の目的は、滅菌製品容器または軟包装などの容器によっても解決される。滅菌製品容器、場合によっては軟包装も、閉状態において金属のファラデーケージを形成する。金属は非強磁性金属であってもよい。滅菌製品容器の金属層は、シートメタルであってもよく、内部トランスポンダと外部レシーバとの間の交流磁場によってそこで誘導される電流の侵入深さよりも(明らかに)小さい。
【0026】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、センサが冗長的に設けられる。
【0027】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、保持装置は、複数のアンテナと、読み書きユニットと、を備え、複数のアンテナは、電子分配システム(マルチプレクサ)を介して、読み書きユニットに接続される。
【0028】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、保持装置は、モジュール構造であり、保持装置の個々の要素の取り外しを可能にする。
【0029】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、評価ユニットが、個々のプロセスステップを所定のパラメータと比較し、プロセスステップの実行が成功したと評価ユニットが判断する場合に、それぞれのカウンタをインクリメントする。
【0030】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、保持装置(1)は、光信号、音響信号、および/または触覚信号によって、プロセスステップに関する情報をユーザに示す信号伝送器を備える。
【0031】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、信号伝送器は、光信号、音響信号、および/または触覚信号によって、医療製品の位置をユーザに示す。
【0032】
上記の目的は、滅菌製品サイクルを監視するための方法によっても解決される。本方法は、
滅菌製品容器、滅菌製品スクリーン、または軟包装などの滅菌製品ケース内に保持装置を提供するステップと、
滅菌対象の医療製品を滅菌製品容器内に提供し、全金属式の方法で滅菌製品容器を閉じるステップと、
滅菌製品容器内で滅菌洗浄を実行するステップと、
滅菌洗浄の実行中に、保持装置/ホルダの複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサによって取得される滅菌洗浄を表すパラメータデータによって、医療製品を監視するステップと、を備える。
【0033】
同様に、超音波洗浄などの準備中に、保持装置は、特にスクリーンバスケットの形態の洗浄槽に入れられてもよく、保持装置に配置される複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、超音波洗浄を表すパラメータデータを取得する。
【0034】
同様に、オイルを使うメンテナンス中に、製品はホルダに置かれたままでもよく、保持装置に配置された複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、オイルメンテナンスを表すパラメータデータを取得する。これは、洗浄プロセスにも当てはまり、保持装置に配置される複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、洗浄プロセスを表すパラメータデータを取得する。オイルを使用するメンテナンスプロセス中、最適なオイルの流れを確保するために、使用されるオイルボトルは、垂直に立てられるか、垂直に保持されるべきである。これは、例えば、保持装置内の/保持装置に配置される傾斜センサによって保証されてもよい。したがって、メンテナンスプロセス中に、オイルボトルの正しい位置を確実に追跡することができる。
【0035】
言い換えれば、本開示は好ましくは、滅菌製品サイクルの監視に関し、特に、超音波洗浄の検出、Bluetoothおよび/またはWiFiを使って利用可能な閉鎖システム内のトラッキング、環境センサ、プロセスステップの自動検出、および/または製品の監視に関する。
【0036】
例えば、温度検出のため、洗浄、消毒、メンテナンス、および/または滅菌を含む準備プロセスの検出のための装置(センサ)が提供されてもよい。さらに、無線識別マーカ(トランスポンダ)を製品に設ける方法が、本明細書で説明され得る。データは、サーバまたはクラウドソリューションに記憶されてもよい。トランスポンダは、本明細書に記載の医療製品のための保持装置および/またはその要素によって、読み取られてもよいし、および/または書き込まれてもよい。
【0037】
本開示は、製品の滅菌製品サイクル全体の包括的な監視を可能とする。このため、1つの保持装置に配置される様々なセンサは、異なるプロセスステップを自動で検出し、1つの保持装置の評価装置によってデータを自律的に評価し、対応する動作モードを変更し、および/または、結果を記憶する一方で、製品トランスポンダに結果を書き込むことができる。さらに、トランスポンダおよびセンサデータの読み出しは、例えば、スクリーンバスケットおよび/または滅菌容器に配置される/内のホルダ/保持装置(トレイとも呼ばれる)に設置されるインテリジェント「モジュール」によって実施可能であってもよい。重要な情報をユーザに知らせるために、光信号、音響信号、または触覚信号の伝送器が使用されてもよい。
【0038】
さらに、本開示は、滅菌製品サイクル(手術室での使用、超音波洗浄、洗浄消毒装置における洗浄、例えばオイルスプレーによるメンテナンス、および滅菌)の全面的な検知および解析、ならびに対応する個々の製品についての詳細なデータの提供に関する。システムおよび/または装置の構成は、本明細書に記載される保持装置のようにそれ自体がホルダとして設計されてもよいし、本明細書に記載される保持装置のようにスクリーンバスケットのインサートとして設計されてもよい。
【0039】
保持装置のセンサは、手術室での使用、超音波洗浄、洗浄消毒装置における洗浄、オイルスプレー等によるメンテナンス、および滅菌に関するデータ全体を取得する。
【0040】
使用される周波数範囲によっては金属環境による遮蔽が生じないので、比較的自由に電子機器の配置を選択できる(例えば、スクリーンバスケットの内側または下)。しかしながら、電子機器は、ホルダ、特にスクリーンに(ただし、容器にではない)しっかりと接続されることが好ましい。
【0041】
複数のアンテナシステムを使用するために、スロットが含まれていてもよく、こうすることによって、電子分配システム(マルチプレクサ)を介して複数のアンテナを読み書きユニットに接続することができる。
【0042】
システムは、データ評価ユニット(マイクロコントローラ)、通信モジュール(例えば、2.4~5.825GHzの範囲のBluetoothまたはWi-Fi)、交換可能なエネルギー供給部(例えば、高温バッテリ、パワーキャップ)、RFID/NFCモジュール(読み書きモジュール)、および/または、様々なセンサ(温度、湿度、pH値、圧力、音波、流量、電圧、光、または振動)および信号伝送器(音響、光学、または触覚)をさらに備えていてもよい。エネルギー供給部として、少なくとも部分的に環境発電を使用してもよい。
【0043】
システムはさらに、モジュール構造であってもよく、要望通りに所与の要件にしたがって構築されてもよい。洗浄前および滅菌前に電子機器を保護するために、断熱遮蔽材(湿気および化学物質から)が使われていてもよい。センサは、個々のプロセスステップが確実に検出されるように配置されていてもよい。エネルギー供給部は、寿命尽きたら交換されてもよいし、所定のプロセス場所で所定の変更間隔で再充電されてもよい。
【0044】
態様のうちの1つは、スマートトレイまたはスマートスクリーンを備えていてもよい。それは、ホルダ自体についてだけでなく、スクリーン全体についてのことであってもよい。
【0045】
別の態様は、好適なセンサシステムによって実行され得る超音波洗浄の検知であってもよい。
【0046】
さらに別の態様は、製品の位置特定であってもよい。BluetoothまたはBluetooth Low Energy(BLE)および/またはW-LANを使って、密封された滅菌製品容器およびスクリーンバスケット(ファラデーケージ)を通して製品をトラッキングおよび検知してもよい。スマートトレイ「モジュール」によって、信号が出力されてもよく、スマートトレイ「モジュール」は、音を出力するか、振動する。製品を見つけるために容器を開ける必要がないことが大きな利点である。容器が開封されてしまうと、使用されていなくても非滅菌状態であるとみなされ、再び準備プロセスに投入されてしまう。この場合、費用が高くなってしまうが、本開示ではこれを回避することができる。
【0047】
さらに別の態様は、BluetoothおよびW-LANを使う、密封された滅菌製品容器を通したデータ伝送に関する。
【0048】
本発明は、最新技術とは異なり、滅菌製品サイクルの全体的な監視が検出できる。プロセスステップの自動的な検出および分析により、プロセス全体の評価が可能であり、個々の製品の寿命、損傷、および使用挙動の算出が可能となる。さらなる改良は、スクリーンバスケットがセンサデータの評価およびトランスポンダの読み取り/書き込みのためのシステムとして機能できるように、スクリーンバスケットが変更される解決策への、ある製品タイプ用に設計された特定の保持装置からの分離であり得る。
【0049】
さらなる違いは、医療製品の衛生にとって非常に重要である超音波洗浄の自動検知が提供されることである。
【0050】
特に、滅菌製品サイクル全体の検出に焦点が当てられてもよい。さらに、超音波浴による予洗浄の検出のために、超音波センサ(例えば、圧電素子、放射計、マイクロフォン)の使用が提供されてもよい。
【0051】
超音波洗浄は、滅菌製品サイクルの重要なプロセスステップの1つである。超音波洗浄が実行されたかどうかは、超音波センサによって検出されてもよい。超音波センサは、例えば、圧電素子、放射計、および/またはマイクロフォンであり、それによって、多重冗長が達成される。
【0052】
適用可能なセンサを、(温度、圧力)湿度、pH値、音波、流量、電圧、光、および/または振動へ拡張してもよい。
【0053】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、センサが、温度、湿度、pH値、圧力、音波、電圧、および/または振動を検出する。
【0054】
さらに、保持システムを、アンテナ用の接続部と評価ユニットとを備えるスクリーンバスケットへ拡張してもよい。
【0055】
同様に、GHz周波数範囲(遮蔽なし)の通信によって、容器またはスクリーンバスケット(ファラデーケージ)内で電子機器が自由に配置されていてもよい。
【0056】
例えば、BluetoothまたはWiFi(2.4~5.825GHz)が、システムのトラッキングに使用されてもよい。
【0057】
さらに、密封された滅菌容器および密封されたスクリーンバスケット(ファラデーケージ)を通して、製品の位置特定が行われてもよい。
【0058】
さらに、BluetoothおよびW-LANを使って、密封された容器を通してデータ伝送が行われてもよい。
【0059】
本開示は、例えば、医療製品の連続的な監視を実施してもよい。得られたデータを使って、医療製品の寿命および状態に関する算出を確立できる。さらに、個々のプロセスステップは、装置によって自律的に検出される。追加のデータを提供することによって、起こり得る損傷の算出を実行できる。例えば、ユーザは、信号伝送器によって、位置、状態、およびプロセスステップについて知らされてもよい。ユーザは、容器を開けることなく、密封された滅菌容器を通して、製品の位置特定および製品の識別をすることができる。容器を開けてしまうと、再処理の費用が増してしまう。顧客は、軟包装を開けることなく、密封された軟包装を通して、製品の位置特定および製品の識別をすることができる。軟包装を開けてしまうと、再処理の費用が増してしまう。
【0060】
他の特徴と組み合わされてもよいし、個別であってもよい本開示の有利な実施形態では、保持装置は、データから医療製品の寿命および/または状態を推測する評価ユニットを備える。
【0061】
以下に説明される本開示の例示的なケースは、医療用モータシステムのための保持装置である。医療用モータシステムは、モータシステムと一致する固有の識別番号を有するNFCトランスポンダを備える。さらに、トランスポンダは、予洗浄、洗浄、メンテナンス、滅菌、および使用のサイクル数(例えば、電流給電の継続時間など)に関する情報が、任意で詳細データと共に、記憶される得るように設計されている。
【0062】
保持装置は、例えば、センサが、保護された評価ユニットおよび交換可能なエネルギー供給部と一緒に配置されるように設計されている。電子機器全体が、例えば、交換可能に設計されている。温度、湿度、pH値、圧力、音波、電圧、位置、および/または振動を検出するためのセンサを使用してもよい。NFCトランスポンダの読み出しおよび書き込みのために、例えば、少なくとも1つのアンテナが、評価ユニットに接続され、トランスポンダがいつでも有効範囲内にあるように取り付けられている。
【0063】
プロセスステップを検出するためのセンサは、例えば、動作、洗浄効果、またはハンドリングを妨げずに最適な検出を行えるように取り付けられている。モジュールに必要なエネルギーを最小限に抑えるために、例えば、必要とされるこれらのシステムのみが起動される。2つのプロセスステップの間では、モジュールは、例えば、プロセスステップが始まったかどうかのチェックが規定された間隔で行われる省エネモードになる。この例は、洗浄、メンテナンス、および滅菌の前の温度限界、ならびに予洗浄での超音波の使用前の開放中または使用中の光の変化である。
【0064】
超音波洗浄の検出には、例えば、圧電素子を用いてもよい。使用および動作状態に関する情報の検出は、提供される制御装置によって実施することができ、制御装置は、個々のハンドピースにデータを記憶する。基本的な変形例では、洗浄、オイルスプレーを使ったメンテナンス、および滅菌の検出に、一対の温度センサを使用してもよい。センサは、いずれの場合でも、冗長的に設計されていてもよく、および/またはセルフチェックによって自動的に検査されてもよい。
【0065】
評価ユニットは、例えば、個々のプロセスステップを分析し、それらを所定のパラメータと比較する。プロセスステップが許容可能なずれで達成された場合、それぞれの内部カウンタがインクリメントされる。更新されたカウンタ値および/またはプロセスデータは、その後、NFCトランスポンダに送られる。光信号、音響信号、または触覚信号を発することができる信号伝送器によって、プロセスステップおよびオイルスプレープロセスの正確な継続時間に関することが、ユーザに知らされる。
【0066】
信号伝送器を使用することによって、例えば、硬質または軟質の滅菌バリアシステム(例えば、滅菌容器、スクリーン、軟包装)内の関連する医療製品の位置を特定することもできる。ここで、ユーザは、BluetoothまたはWi-Fiを使って、検索機能を有効にすることができる。続いて、対応する信号伝送器が起動され、その結果、より近い環境における信号(音、光、振動)によって、製品の位置が示される。例えば、無線規格(例えば、Bluetooth、Wi-Fi)で実現可能な三角測量またはシグナル強度測定によって、位置を特定することも考えられる。
【0067】
センサ値の第1の評価は、例えば、統合評価ユニットによって行われ、それによって、プロセスを分析することができる。寿命、起こり得る損傷、および他の製品関連の予測(予測メンテナンス)の算出のために、例えば、外部評価ユニット(例えば、PC、タブレット)またはサーバベースのソリューション(例えば、クラウド、サーバ)において、データがさらに分析される。
【0068】
したがって、一例では、本開示は、医療製品(例えば、外科用器具、インプラントなど)の滅菌製品サイクル全体を検出することができ、かつオフラインおよびオンラインで詳細なセンサデータを提供することができる保持システムに関する。超音波予洗浄の検知はセンサによって行われるため、入手できるデータが多くなる。さらに、製品位置特定システムが、例えば、スクリーンに一体化される。したがって、製品位置特定システムは、密閉容器内に存在する本開示の一体的な要素である。
【0069】
追加の実施形態は、以下に記載される。
【0070】
保持装置は、特に準備プロセス中に少なくとも1つの滅菌可能な医療製品を保持し、準備プロセスの前および/または後に医療製品を保管するために提供されてもよい。データ処理装置は、信号伝達が可能なように少なくとも1つのセンサに接続される/接続可能である。センサは、特に、準備プロセス中に温度を特定するための温度センサ、および/または準備プロセス中に洗浄液の静圧および/または動圧を特定するための圧力センサであってもよい。
【0071】
データ処理装置は、例えばセンサ信号を洗浄情報へと処理し、記憶装置を備え、および/または、洗浄情報が記憶される/記憶可能である記憶装置に、データ伝達が可能なように接続される/接続可能である。洗浄情報は、評価ユニットによって記憶装置から取出し可能/読み取り可能であり、これによって、洗浄情報を使って、医療製品の洗浄プロファイルを評価ユニットによって特定することができる。
【0072】
したがって、医療製品の体積および/または重さを変化させることなく、洗浄プロファイルを使って医療製品の準備プロセスを記録することができる。特に、センサデータの履歴が洗浄プロファイルの構成要素であることも提供される。データ処理装置とセンサとの間の信号伝達接続は、例えば、有線接続および/またはワイヤレス接続によって確立されてもよい。
【0073】
洗浄剤の圧力および温度の特定のほかに、例えば、1つまたは複数のセンサによって、洗浄オイルの量、pH値、導電率等を特定することもできる。特定された全てのデータについて、履歴、サイクル、保持時間、時間経過などを検出することもできる。
【0074】
一例として、データ処理装置は、例えば、いわゆるSOC(システム・オン・チップ)であってもよい。ホルダにおいて、すなわち、洗浄されるべき領域および/または滅菌されるべき領域内において、データ処理装置を使用できるようにするために、データ処理装置は環境的な影響から保護される。
【0075】
評価ユニットは、例えば、PC、ノートパソコン、タブレットなどであってもよい。さらに、評価ユニットは、さらなるコンピュータシステムの構成要素として、例えば、医療製品の制御装置として設計可能であることが考えられる。
【0076】
一実施形態では、保持装置は、供給ラインと、供給ラインから分岐する少なくとも1つの洗浄ラインと、を備え、少なくとも1つの洗浄ラインには、特にハンドピースの医療製品を受け入れるためのすすぎ口が接続され、供給ライン、洗浄ライン、およびすすぎ口を通じて、特にハンドピースの洗浄対象部に洗浄剤を導入することができる。ハンドピースは、例えば、内部駆動装置または外部駆動装置ならびに外科用ツールのための入り口を有する外科用器具を指してもよい。
【0077】
保持装置は複数の洗浄ラインを備えていてもよく、洗浄ラインの各々はすすぎ口に割り当てられ、これにより、洗浄ラインを監視することによって、準備プロセスが所定のパラメータに従って行われたかどうか、およびすすぎ口に配置された医療製品、特にハンドピースが適切に洗浄されたかどうかを推測できることが有利である。
【0078】
温度センサおよび/または圧力センサは、例えば、供給ライン、および/または洗浄ライン、および/またはすすぎ口に配置される。供給ライン、洗浄ライン、すすぎ口の間の熱力学的連結および水力学的連結により、洗浄プロファイルを特定するには、各洗浄ラインが圧力センサを備え、供給ラインが温度センサを備えていれば十分である。
【0079】
洗浄プロセス中に供給ラインにおいて特定される温度および洗浄ラインにおける圧力は、パラメータを定義し、このパラメータを使って、適切で衛生的な準備が保証されるように、すべての医療製品、特にハンドピースに洗浄プロセスが行われたことを判断することができる。
【0080】
保持装置の構成をシンプルにするために、供給ラインのみが圧力センサと温度センサの両方を備えてもよいことも考えられる。これは、汚染度が同程度のよく似た医療製品、特にハンドピースを洗浄する場合に、特に有利である。
【0081】
一実施形態では、データ処理装置は、医療製品のデータ記憶部に接続され/接続可能であり、洗浄情報は、データ記憶部に記憶される/記憶可能である。したがって、データ処理装置は、医療製品のデータ記憶部に特定された洗浄情報を書き込む。使用前に関連する制御装置に接続されるハンドピースの場合、記憶された洗浄情報を、制御装置によって読み取ることができる、および/または表示することができる。このようなデータ伝送は、例えば、有線接続または無線によって行われてもよい。
【0082】
保持装置のこのような実施形態の場合、洗浄情報と各医療製品との紐づけは、医療製品に割り当てられた洗浄情報が医療製品のデータ記憶部に直接書き込まれることによって行われる。
【0083】
例えば、保持装置は、データ処理装置と動作可能に接続される/適合される少なくとも1つの識別構成を備え、識別構成によって、識別特徴に基づいて保持装置に配置される医療製品を識別することができ、データ処理装置によって、識別特徴を洗浄情報と紐づけて、医療製品の製品情報を作成する。本開示のこのような実施形態は、処理された洗浄情報を医療製品とは関係なく製品情報へ伝送することができ、したがって、在庫管理中、使用間隔の監視中などの外部分析の範囲において使用されるのにも適している。
【0084】
例えば、識別構成は、例えば、NFCチップを読み取るための読取装置であってもよく、識別特徴は、医療製品に配置されるNFCチップである。本発明概念による識別特徴は、自動化可能な方法で対象物を識別するのに適した任意の手段ならびにそこに記憶された識別情報を指す。洗浄情報を識別特徴に紐づける際、洗浄情報は、識別特徴の識別情報によって強化される。識別特徴は、特に、NFCチップ、抵抗コード、EEPROM、バーコード、機械可読数列などである。識別構成は、部分的にまたは完全にデータ処理装置に一体化されることも考えられる。
【0085】
例えば、識別構成は、有線と無線の両方によって、データ処理装置と動作可能に接続されていてもよい。無線接続は、例えばWLANなどの無線規格によって、確立されてもよい。
【0086】
別の例では、少なくとも部分的に無線によって、医療製品の特定が行われる。本発明概念による医療製品の識別は、特に、識別構成と識別特徴のどの組合せが、医療製品を識別するために使用されるかを意味する。無線方法は、無線ベースの電子的方法と、例えば、光学的方法との両方を含む。無線ベースの電子的方法は、例えば、RFID技術、WLAN、NFCなどの使用である。光学的方法は、例えば、QRコード(登録商標)、バーコード、機械可読数列などの使用を含む。
【0087】
また、少なくとも部分的に有線によって、医療製品の識別を行うことも考えられる。有線の方法では、識別構成と識別特徴との間に、物理的接続、特にワイヤ接続が確立される。有線識別に特に適した識別特徴は、例えば、抵抗コード、EEPROMなどである。
【0088】
さらに、医療製品を識別する際に冗長性がもたらされるように、様々な識別手段を並行して使用することも考えられる。こうすることで、特に、医療製品の識別におけるエラー率が下がり、フェイルセーフ性を高められる。
【0089】
データ処理装置から評価ユニットへ洗浄情報および/または製品情報を直接伝送するために、本発明によると、データ処理装置が、データを伝送可能なように、例えば通信手段の一部といった伝送装置と動作可能に接続されており/適合されており、伝送装置は、データ処理装置と評価ユニットとの間にデータ伝送接続を確立し/確立するように適合されており、これによって、洗浄情報および/または製品情報が、データ処理装置から評価ユニットへ伝送可能である。
【0090】
保持装置のこのような実施形態は、洗浄対象の医療製品が自身でデータ記憶部を有していない場合に特に有利である。そのような医療製品は、例えば、圧縮空気ハンドピース、再処理可能なインプラント、ツール、器具などである。評価ユニットは、例えば、PC、タブレット、スマートフォン等であってもよい。この実施形態では、例えば、滅菌スクリーン、トレイ、軟包装、および/または滅菌製品容器を開封せずにかつそのシールを破らずに、その内容物を検査できることが特に有利である。
【0091】
あるいは、無線規格、特にモバイル通信規格、WLAN規格、および/または近距離無線通信規格によって、評価ユニットとのデータ伝送接続を確立することができるように、伝送装置が設計されていてもよい。無線規格を使用することにより、標準化されたプロトコルが使用できるので、伝送装置によるデータ処理装置への評価ユニットの接続が容易になる。しかしながら一方で、一般的な無線規格が接続を確立するために使用され得ることもある。
【0092】
保持装置と評価ユニットとの間において、製品情報は、直接的にも間接的にも伝送可能である。直接接続は、無線および有線の両方で設計されてもよい。間接接続は、特に医療製品のデータ記憶部を介して、確立することができる。すなわち、データ記憶部がまず保持装置に接続されて、製品情報がデータ記憶部に記憶され、その後、医療製品がデータ記憶部と共に評価ユニットに接続されることで、評価ユニットによって製品情報をデータ記憶部から読み出すことができる。
【0093】
評価ユニットによって製品情報を正確に医療製品に割り当てることができるように、評価ユニットは、医療製品のデータ記憶部に記憶された情報特徴または製品情報を読み出すための手段を備えていてもよい。
【0094】
評価ユニットは、外部記憶媒体と動作可能に接続されてよく/適合されてよく、洗浄情報および/または製品情報は、評価ユニットを介してデータ処理装置から外部記憶媒体へ伝送されてもよい。これにより、洗浄情報がエクスポートされ、外部システムで評価および/または記憶することができる。したがって、医療製品に関する品質保証および衛生監視の手段が、容易になる。
【0095】
外部記憶媒体は、クラウドストレージであってもよい。クラウドストレージに洗浄情報を記憶することによって、関係者たち、特に外科医、中央の滅菌製品供給部門の職員、製造業者などが、場所に関わらず、医療製品の状態に関する情報を取得することができる。さらに、医療製品の製造業者が、より少ない組織労力で、製品アップデート、リコールアクションなどを集中化および実行、および/または調整することができる。
【0096】
当業者にとって、本明細書の説明が、ハードウェア回路、ソフトウェア手段、またはこれらの組合せを使用して実施され得る/実施可能であることは明らかである。ソフトウェア手段は、プログラムされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)、および/またはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)に関連していてもよい。
【0097】
保持装置、滅菌製品/滅菌容器、および/またはそれらの(構造的な)要素は、例えば、コンピュータ、論理回路、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(μC)、またはベクトルプロセッサを含む)/コア(プロセッサと一体化されるか、プロセッサによって使用されてよい)/CPU(中央処理ユニット、複数のプロセッサコアの可能性がある)、FPU(浮動小数点ユニット)、NPU(数値処理ユニット)、ALU(算術論理ユニット)、コプロセッサ(中央処理ユニット(CPU)をサポートするための追加のマイクロプロセッサ)、GPGPU(グラフィックスプロセッシングユニットによる汎用計算)、並列コンピュータ(特に、複数の中央処理ユニットおよび/またはグラフィックプロセッサ上でのコンピューティング動作の同時実行用)、またはDSPとして実現されてもよい。
【0098】
さらに、本明細書で説明される詳細が方法に関して説明される場合、これらの詳細もまた、適切な装置、コンピュータプロセッサ、またはプロセッサに接続された記憶部において実施されてもよく、記憶部は、プロセッサによって実行されたときに方法を実施する1つまたは複数のプログラムを備えることが、当業者には明らかである。スワッピングおよびページングなどの方法が使用されてもよい。
【0099】
前述の態様のいくつかが保持装置に関して説明されているとしても、これらの態様は、滅菌製品/滅菌製品容器および方法にも適用されていてもよい。同様に、滅菌品/滅菌品容器に関して上述した態様は、方法、保持装置、およびスクリーンに対応して適用されていてもよい。
【0100】
ここで、ある要素が別の要素に「接続されている」、「紐付けられている」、または「アクセスする」と書かれている場合、直接接続または直接的なアクセスを意味する場合があるが、別の要素が介在してもよいということに留意されたい。一方、ある要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接アクセスする」と書かれている場合、その要素間で他の要素が利用可能でないことを意味する。
【0101】
以下、図面を使って本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【発明を実施するための形態】
【0103】
図面は、単に概略的な性質のものであり、本発明を理解する目的においてのみ役割を果たす。同じ要素には同じ参照番号が付されている。個々の実施形態の特徴は、相互に交換可能である。
【0104】
さらに、「下方に配置された」、「下」、「下側」、「上方に配置された」、「上」、「左」、「右」などの空間に関する用語は、図示された1つの要素または1つの構造と1つまたは複数の他の要素または構造との関係を簡単に説明するために使用され得る。空間に関する用語は、図示される向きに加えて、使用中または動作中における要素の他の向きを含むものとする。要素の向きは、異なっていてもよく(90度回転された向きまたは別の向き)、本明細書の空間に関する記述は、それに対応して解釈されてもよい。
【0105】
実施形態によって、保持装置、方法、および滅菌製品、すなわち滅菌製品容器または滅菌製品スクリーンについて説明する。
【0106】
図1は、保持システム1とその要素の概略図を示す。具体的には、保持システム1は、データの外部通信のために設けられる通信モジュール2を備える。このために、通信モジュール2と直接通信するマイクロコントローラ3によって、データが提供される。マイクロコントローラ3は、エネルギー供給ユニット4によって提供されるエネルギー供給を制御する。このため、マイクロコントローラ3は、エネルギー供給が段階的に少なくなるように、および/またはプロセスステップ間で省エネモードになるように、エネルギー供給に影響を及ぼすことができる。
【0107】
さらに、マイクロコントローラ3は、センサ6と直接通信する。センサの種類は、異なっていてもよく、本明細書で言及される種類のうちの1つまたは複数であってもよい。同様に、マイクロコントローラ3は、信号伝送器5と接してもよい。このため、センサ6は、マイクロコントローラ3を介して、信号伝送器5と直接的または間接的に接してもよい。例えばLED、ラウドスピーカ、または無線モジュールなどの信号伝送器5は、例えば、医療製品が現在どこにあるのか、および/またはシステム1が現在どのプロセスステップにあるのかをユーザに知らせる。システム1は、NFC読み(場合によっては)書き装置8をさらに備え、装置8は、異なる製品7の1つまたは複数のNFCアンテナ9に接続され、かつ/またはNFCアンテナ9と動作中に通信する。これは、1つのNFC読み書き装置8上および/または複数のNFC読み書き装置8上に製品7を直接配置することによって実施されてもよい。
【0108】
さらなる詳細および態様は、上記または下記に記載される実施形態に関連して記載される。
図1に示される実施形態は、
図2を参照して以下で提案される概念または説明される実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加特徴を備えていてもよい。
【0109】
図2は、考えられるシステムプロセス10の概略図を示す。システムプロセス10は、例えば、手術中に製品が使用されるステップS1から始まってもよい。次に、ユーザは、ステップX1において、この製品の検索機能を起動してもよい。信号伝送器5は、製品の位置(例えば、密閉された容器内)をユーザに示す(X2参照)。使用に関するデータは、制御装置/マイクロコントローラ3によってトランスポンダに書き込まれる(M1参照)。そして、システム1は、省エネモードSxに移行する。
【0110】
省エネモードSxが終わると、超音波による予洗浄が始まる(S2参照)。超音波は、センサ6によって検出され、例えば通信モジュール2を介してホルダ(すなわち、容器または軟包装)の外部へ伝達された後に、評価ユニットにおいて分析される(M2参照)。そして、システム1は、再び省エネモードSxに移行する。
【0111】
省エネモードSxが終わると、洗浄消毒装置において洗浄が始まる(S3参照)。このプロセスでは、温度センサ6が、評価ユニット3において分析される使用時温度(および/またはホルダの内部温度)を検出する(M3参照)。その後、オイルスプレーを使ったメンテナンスが行われる(S4参照)。信号伝送器5は、十分なスプレー継続時間を示す(X3参照)。温度センサ6はスプレーを検出し、評価ユニットは継続時間を検出する(M4参照)。その後、加圧滅菌器(図示せず)において滅菌が行われる(S5参照)。温度センサは、評価ユニットにおいて分析される使用時温度(および/または、ホルダおよび/または容器の内部温度)を検出する(M5参照)。そして、システム1は、再び省エネモードに移行する(Sx参照)。
【0112】
ステップM1、M2、M3、またはM4が成功した場合、それぞれのカウンタがインクリメントされ(X4参照)、および/または信号伝送器5は、プロセスステップの失敗/成功を示す(X5参照)。
【0113】
さらなる詳細および態様は、上記または下記に記載される実施形態に関連して記載される。
図2に示される実施形態は、前述で提案された概念または前述で説明された1つまたは複数の実施形態(例えば、
図1)に関して言及された1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加特徴を備えてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 保持システム
2 通信モジュール
3 マイクロコントローラ
4 エネルギー供給
5 信号伝送器
6 センサ
7 製品
8 NFC読み書き装置
9 NFCアンテナ
10 方法
S1~S5、Sx 動作
X1~X5 イベント
M1~M5 センサイベント
【手続補正書】
【提出日】2022-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌製品サイクル中に保持装置に取り付けられた医療製品のための保持装
置であって、
前記保持装置は、準備プロセスステップのパラメー
タを取得するように設けられ設計される複数のセンサであって、個々のセンサは
、前記滅菌製品サイクルの互いに異なる個々のプロセスステップをそれぞれ表す互いに異なるパラメータを取得するよう設計されている、複数のセンサを備え
、
前記保持装置は、前記パラメータの分析のために設けられ設計され、前記分析に基づいて、実行されたばかりのプロセスステップの識別を実行する評価ユニットを備える、保持装置。
【請求項2】
前記保持装置の前記センサは、手術室における前記医療製品の使用、および/または超音波洗浄、および/または洗浄消毒装置における洗浄、および/または潤滑剤によるメンテナンス、および/または滅菌に関して、それらのパラメータデータ全体を取得するように設計されている、請求項1に記載の保持装
置。
【請求項3】
前記センサは、温度、湿度、pH値、圧力、音波、電圧、および/または振動を全体的に検出する、請求項1または請求項2に記載の保持装
置。
【請求項4】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、圧電素子である、請求項3に記載の保持装
置。
【請求項5】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、放射計である、請求項3または請求項4に記載の保持装
置。
【請求項6】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、マイクロフォンである、請求項3、4または5に記載の保持装
置。
【請求項7】
前記
評価ユニットは、前記パラメータデータから前記医療製品の寿命および/または状態を推測す
る、請求項1~6のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項8】
前記センサは、冗長的に設計されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項9】
前記保持装
置は、複数のアンテナと、読み書きユニットと、を備え、
前記アンテナは、電子分配システム(マルチプレクサ)を介して、前記読み書きユニットに接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項10】
前記保持装置は、モジュール構造であり、前記保持装置の個々の要
素の取り外しを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項11】
前記評価ユニットは、プロセスステップを表す個々の前記パラメータデータを所定のパラメータと比較し、プロセスステップの実行が成功したと前記評価ユニットが判断する場合に、それぞれのカウンタをインクリメントするように設計されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項12】
前記保持装
置は、光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記プロセスステップに関する情報をユーザに示す信号伝送器を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の保持装
置。
【請求項13】
前記保持装置は、光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記医療製品の位置をユーザに示す信号伝送器を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項14】
前記信号伝送器は、前記光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記医療製品の位置を前記ユーザに示すことを特徴とする、請求項
12に記載の保持装
置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
さらなる詳細および態様は、上記または下記に記載される実施形態に関連して記載される。
図2に示される実施形態は、前述で提案された概念または前述で説明された1つまたは複数の実施形態(例えば、
図1)に関して言及された1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加特徴を備えてもよい。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
滅菌製品サイクル中に保持装置に取り付けられた医療製品のための保持装置(1)であって、
前記保持装置は、準備プロセスステップのパラメータ、好ましくは、さらに好ましくは滅菌製品サイクル全体の全てのプロセスステップのパラメータを取得するように設けられ設計される複数のセンサであって、個々のセンサは、実行されたばかりのプロセスステップを識別できるように、前記滅菌製品サイクルの互いに異なる個々のプロセスステップをそれぞれ表す互いに異なるパラメータを取得するよう設計されている、複数のセンサを備える、保持装置。
(項目2)
前記保持装置の前記センサは、手術室における前記医療製品の使用、および/または超音波洗浄、および/または洗浄消毒装置における洗浄、および/または潤滑剤によるメンテナンス、および/または滅菌に関して、それらのパラメータデータ全体を取得するように設計されている、項目1に記載の保持装置(1)。
(項目3)
前記センサは、温度、湿度、pH値、圧力、音波、電圧、および/または振動を全体的に検出する、項目1または項目2に記載の保持装置(1)。
(項目4)
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、圧電素子である、項目3に記載の保持装置(1)。
(項目5)
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、放射計である、項目3または項目4に記載の保持装置(1)。
(項目6)
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサは、マイクロフォンである、項目3、4または5に記載の保持装置(1)。
(項目7)
前記保持装置は、前記パラメータデータから前記医療製品の寿命および/または状態を推測する電子的な評価ユニットを備える、項目1~6のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目8)
前記センサは、冗長的に設計されている、項目1~7のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目9)
前記保持装置(1)は、複数のアンテナと、読み書きユニットと、を備え、
前記アンテナは、電子分配システム(マルチプレクサ)を介して、前記読み書きユニットに接続される、項目1~8のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目10)
前記保持装置は、モジュール構造であり、前記保持装置の個々の要素(2、3、4、5、6、8)の取り外しを可能にする、項目1~9のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目11)
前記評価ユニットは、プロセスステップを表す個々の前記パラメータデータを所定のパラメータと比較し、プロセスステップの実行が成功したと前記評価ユニットが判断する場合に、それぞれのカウンタをインクリメントするように設計されている、項目7~10のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目12)
前記保持装置(1)は、光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記プロセスステップに関する情報をユーザに示す信号伝送器を備える、項目1~11のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
(項目13)
前記信号伝送器は、前記光学信号、音響信号、および/または触覚信号によって、前記医療製品の位置を前記ユーザに示すことを特徴とする、項目1~12のいずれか一項に記載の保持装置(1)。
【国際調査報告】